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特開2024-1534情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001534
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0202 20230101AFI20231227BHJP
   G06Q 30/0251 20230101ALI20231227BHJP
【FI】
G06Q30/02 310
G06Q30/02 398
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100244
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】アブロール サティアン
(72)【発明者】
【氏名】ナビーン クマール カガルバディ バサワナ
(72)【発明者】
【氏名】サヤンタン チャトパディ
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB05
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】設定した任意の基準タイミングより後における見込み顧客を予測する。
【解決手段】情報処理装置は、基準タイミングおよび対象サービスを設定する設定手段と、当該基準タイミングより前におけるユーザのユーザ属性を含む事実特徴を含むユーザ特徴、および、当該基準タイミングより後における前記対象サービスのサービス利用履歴を取得する取得手段と、前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴に基づいて、前記ユーザとは異なる任意の対象ユーザが前記基準タイミングより後において前記対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客か否かを予測する予測手段と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準タイミングおよび対象サービスを設定する設定手段と、
当該基準タイミングより前におけるユーザのユーザ属性を含む事実特徴を含むユーザ特徴、および、当該基準タイミングより後における前記対象サービスのサービス利用履歴を取得する取得手段と、
前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴に基づいて、前記ユーザとは異なる任意の対象ユーザが前記基準タイミングより後において前記対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客か否かを予測する予測手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザ特徴は、前記事実特徴に基づいて推定された前記ユーザ属性を含む推定特徴を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザ特徴は、さらに、前記ユーザによる、前記対象サービスを含む複数のサービスを提供するためのウェブサイト上での行動を示すデータを事実特徴として含むことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測手段は、前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴を学習済みの機械学習モデルに入力することにより、前記対象ユーザが前記見込み顧客か否かを予測することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記見込み顧客のグループを生成する生成手段をさらに有し、
前記取得手段は、複数の前記対象ユーザそれぞれについて前記ユーザ特徴を取得し、
前記予測手段は、複数の前記対象ユーザそれぞれが前記見込み顧客か否かを予測し、
前記生成手段は、前記予測手段により前記見込み顧客であると予測された、複数の前記対象ユーザのうちの1以上の前記対象ユーザからなるグループを、前記見込み顧客のグループとして生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記見込み顧客のグループに対して、前記対象サービスに関する広告を提供する提供手段をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
基準タイミングおよび対象サービスを設定する設定工程と、
当該基準タイミングより前におけるユーザのユーザ属性を含む事実特徴を含むユーザ特徴、および、当該基準タイミングより後における前記対象サービスのサービス利用履歴を取得する取得工程と、
前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴に基づいて、前記ユーザとは異なる任意の対象ユーザが前記基準タイミングより後において前記対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客か否かを予測する予測工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該情報処理プログラムは、前記コンピュータに、
基準タイミングおよび対象サービスを設定する設定処理と、
当該基準タイミングより前におけるユーザのユーザ属性を含む事実特徴を含むユーザ特徴、および、当該基準タイミングより後における前記対象サービスのサービス利用履歴を取得する取得処理と、
前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴に基づいて、前記ユーザとは異なる任意の対象ユーザが前記基準タイミングより後において前記対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客か否かを予測する予測処理と、を含む処理を実行させるためのものである、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムに関し、特に、サービスの利用が見込まれる見込み顧客を予測するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
広告効果を最大化するためには、広告の配信対象のユーザ群として、広告の対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客(ターゲット顧客)を適切に抽出することが重要である。特許文献1には、機械学習を用いて、任意のユーザの将来の購買動向を予測する技術が開示されている。当該文献によれば、当該予測結果に基づいて、見込み顧客を抽出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-189983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献では、過去におけるユーザの行動データを用いて任意のユーザの将来の購買動向を予測している。具体的には、現在を基準タイミングとして、当該基準タイミングより後における購買行動を予測している。しかしながら、当該文献1による技術では、未来のタイミングといった、時間上の任意の基準タイミングより後における購買行動を予測できず、当該基準タイミングより後における見込み顧客を予測することはできなかった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、設定した任意の基準タイミングより後における見込み顧客を予測するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明による情報処理装置の一態様は、基準タイミングおよび対象サービスを設定する設定手段と、当該基準タイミングより前におけるユーザのユーザ属性を含む事実特徴を含むユーザ特徴、および、当該基準タイミングより後における前記対象サービスのサービス利用履歴を取得する取得手段と、前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴に基づいて、前記ユーザとは異なる任意の対象ユーザが前記基準タイミングより後において前記対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客か否かを予測する予測手段と、を有する。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明による情報処理方法の一態様は、基準タイミングおよび対象サービスを設定する設定工程と、当該基準タイミングより前におけるユーザのユーザ属性を含む事実特徴を含むユーザ特徴、および、当該基準タイミングより後における前記対象サービスの利用履歴を取得する取得工程と、前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴に基づいて、前記ユーザとは異なる任意の対象ユーザが前記基準タイミングより後において前記対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客か否かを予測する予測工程と、を有する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によるプログラムの一態様は、情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該情報処理プログラムは、前記コンピュータに、基準タイミングおよび対象サービスを設定する設定処理と、当該基準タイミングより前におけるユーザのユーザ属性を含む事実特徴を含むユーザ特徴、および、当該基準タイミングより後における前記対象サービスの利用履歴を取得する取得処理と、前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴に基づいて、前記ユーザとは異なる任意の対象ユーザが前記基準タイミングより後において前記対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客か否かを予測する予測処理と、を含む処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設定した任意の基準タイミングより後における見込み顧客を予測することが可能となる。
上記した本発明の目的、態様および効果並びに上記されなかった本発明の目的、態様および効果は、当業者であれば添付図面および請求の範囲の記載を参照することにより下記の発明を実施するための形態から理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、情報処理システムの構成例を示す。
図2図2は、実施形態による情報処理装置10の機能構成例を示す。
図3図3は、情報処理装置10とユーザ装置11のハードウェア構成例を示す。
図4A図4Aは、購買予測モデル112の学習処理の概念図を示す。
図4B図4Bは、購買予測モデル112による購買確率予測処理の概念図を示す。
図5A図5Aは、見込み顧客予測部105による購買確率予測処理の概略フローを示す。
図5B図5Bは、コンフィグファイル121を用いる場合の、見込み顧客予測部105による購買確率予測処理の概略フローを示す。
図6図6は、情報処理装置10により実行される処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。以下に開示される構成要素のうち、同一機能を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、以下に開示される実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
[情報処理システムの構成例]
図1に、本実施形態による情報処理システムの構成例を示す。本情報処理システムは、その一例として、図1に示すように、情報処理装置10と、任意の複数のユーザ1~Nにより使用される複数のユーザ装置11-1~11-N(N>1)を含んで構成される。なお、以下の説明において、特に説明がない限り、ユーザ装置11-1~11-Nをユーザ装置11と総称しうる。また、以下の説明において、ユーザ装置とユーザという語は同義に使用されうる。
【0013】
ユーザ装置11は、例えば、スマートフォンやタブレットといったデバイスであり、LTE(Long Term Evolution)等の公衆網や、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信網を介して、情報処理装置10と通信可能に構成されている。ユーザ装置11は、液晶ディスプレイ等の表示部(表示面)を有し、各ユーザは、当該液晶ディスプレイに装備されたGUI(Graphic User Interface)により各種操作を行うことができる。当該操作は、指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、画面に表示された画像等のコンテンツに対する各種の操作を含む。
なお、ユーザ装置11は、図1に示すような形態のデバイスに限らず、タブレット端末やノート型のPCといったデバイスであってもよい。また、ユーザ装置11は、表示面を別に備えてもよい。
【0014】
ユーザ装置11は、情報処理装置10から、または、不図示の他の装置から情報処理装置10を介して提供されるウェブサービス(インターネット関連サービス)を利用することができる。当該ウェブサービスは、インターネットを介して提供される、オンラインモールやネットスーパー、あるいは、通信、金融、不動産、スポーツ、旅行予約サービスを含むことができる。ユーザ装置11は、当該ウェブサービスを利用するために、ユーザの住所やユーザの氏名、ユーザが保持するクレジットカードの番号、ユーザのデモグラフィック情報(性別、年齢、居住地域、職業、家族構成等の人口統計学的なユーザ属性)といった情報を登録しうる。
【0015】
[情報処理装置10の機能構成]
本実施形態による情報処理装置10は、見込み顧客を予測する対象サービス(対象サービス)を設定する。また、情報処理装置10は、見込み顧客を予測するための基準となるタイミング(以下、基準タイミング)と、当該基準タイミングより前(過去)の一定期間(第1期間)と、当該基準タイミングより後(未来)の一定期間(第2期間)を設定する。情報処理装置10は、複数のユーザ1~Nのうちの任意のユーザ(対象ユーザ)から取得した、第1期間におけるユーザデータを用いて、第2期間における対象サービスについての対象ユーザの購買確率を予測する。情報処理装置10はさらに、予測した購買確率に基づいて、対象ユーザが見込み顧客か否かを予測する。本実施形態では、見込み顧客は、対象サービスの利用が見込まれるユーザであり、当該対象サービスは、任意のウェブサービスや、ユーザが利用可能な任意のアイテムであり、対象アイテムと読み替えることができる。本実施形態では、「利用」は「購買」を意味するものとするが、登録、入会といったあらゆる利用形態を含んでもよい。
【0016】
本実施形態において、ユーザが利用可能なアイテムとは、様々なサービスに関して提供可能な有形または無形のモノ(Thing)でありうる。例えば、金融(フィンテック)サービスに関しては、銀行口座、株式や投資信託や保険商品といった金融商品、暗号通貨、スマホアプリ決済等のアイテムが存在する。また、デジタルコンテンツサービスに関しては、映画やアニメといった動画コンテンツや、写真やイラストやテキストといった静止画コンテンツ等のアイテムが存在する。また、Eコマースサービスに関しては、ネットショッピングで扱う無形または有形の商品等のアイテムが存在する。また、トラベルサービスに関しては、ホテルやパックツアーや交通機関に関する情報や予約等のアイテムが存在する。また、モバイルサービスに関しては、モバイル機器、公衆網/インターネット接続、通信利用料金等のアイテムが存在する。また、広告およびメディアサービスに関しては、オフラインやオフラインの広告商品、ダイレクトメール、放送やインターネットを介した広告等のアイテムが存在する。また、カードサービスに関しては、クレジットカード決済やポイント取引等のアイテムが存在する。また、スポーツおよび文化サービスに関しては、スポーツイベントやコンサートといったイベントやイベントで販売される商品等のアイテムが存在する。
【0017】
図2は、本実施形態による情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す情報処理装置10は、ユーザデータ取得部101、時間情報設定部102、サービス設定部103、ユーザデータ選択部104、見込み顧客予測部105、出力部106、学習モデル記憶部110、およびファイル記憶部120を備える。学習モデル記憶部110は、ユーザ特徴予測モデル111と購買予測モデル112を記憶可能に構成される。また、ファイル記憶部120は、コンフィグファイル121を記憶可能に構成される。
【0018】
ユーザデータ取得部101は、ユーザ装置11-1~11-Nのそれぞれから、当該ユーザ装置やユーザについての特徴(ユーザ特徴)を示すデータ(ユーザデータ)を取得する。本実施形態では、ユーザデータは、ユーザの事実特徴と、当該ユーザの事実特徴に基づいて推定されたユーザの推定特徴とを含む。
【0019】
ユーザの事実特徴は、ユーザ装置やユーザについての事実情報から得られる特徴である。ユーザデータ取得部101は例えば、ユーザ装置11から直接的に当該ユーザの事実特徴を取得することができる。また、ユーザデータ取得部101は、ユーザ装置11のユーザによりウェブサービスに登録された情報として、当該ユーザの事実特徴を取得することができる。ユーザの事実特徴は、ユーザ装置やユーザについての事実属性(以下、ユーザ属性)を含む。また、ユーザの事実特徴は、トラッキングデータ(トラッキングログ)や利用履歴データを含んでもよい。
【0020】
ユーザ属性は、ユーザ装置のIPアドレス、ユーザの住所やユーザの氏名、ユーザが保持するクレジットカードの番号、ユーザのデモグラフィック情報(性別、年齢、居住地域、職業、家族構成等の人口統計学的な属性)等を含む、ユーザ自身に関連する属性である。また、ユーザ属性は、所定のウェブサービス利用時における登録番号や登録名を含んでもよい。
【0021】
トラッキングデータは、ユーザによる、サービス(例えば、対象サービスを含む複数のサービス)を提供するためのウェブサイト上での行動を追跡することによって得られるデータ(ウェブサイト上での行動を示すデータ)である。トラッキングデータは、例えば、当該ウェブサイト上での行動として、クリック数、当該サイトに訪問するルート、当該サイトにおけるアイテムに対するクリック数、または、当該サイトの閲覧時間といったデータを含む。
【0022】
利用履歴データは、ユーザによるサービス(例えば、対象サービスを含む複数のサービス)利用時のサービス利用履歴(利用状況、検索履歴、アイテム購買履歴(購入結果を含む))を含む。利用履歴データはまた、利用したサービスにおいて費やした金額、購買したアイテムの数、または、登録したアイテムの数といったデータを含んでもよい。利用履歴データはまた、ウェブサービスの利用により貯めることが可能なポイントに関する情報を含んでもよい。
【0023】
ユーザの推定特徴は、ユーザの事実特徴から推定(導出)される。本実施形態では、ユーザデータ取得部101が、当該ユーザの事実特徴を、学習済みのユーザ特徴予測モデル111に適用して、当該推定特徴を取得することができる。ユーザ特徴予測モデル111は、対象ユーザの事実特徴を入力として、複数のユーザ特徴それぞれが当該対象ユーザに該当する(適合する)確率(該当確率)を推定して出力するように構成される。ユーザデータ取得部101は、該当確率に基づいて、当該対象ユーザの推定特徴を決定する。
【0024】
例えば、ユーザデータ取得部101は、対象ユーザの事実特徴をユーザ特徴予測モデル111に入力する。ユーザ特徴予測モデル111からは、該当確率として、当該対象ユーザが購買すると推定される複数のアイテムや当該対象ユーザが有しうる複数の趣向それぞれに対する確率が出力される。そして、ユーザデータ取得部101は、所定値以上の確率を有するアイテムや趣向と対応する、推定されたユーザ属性を、当該対象ユーザの推定特徴として、取得することができる。
【0025】
なお、ユーザの推定特徴は、現在より先(すなわち、未来)に対して推定される特徴に限定されない。特徴推定のための基準を、現在より前(すなわち、過去)に設定し、当該基準より後におけるユーザの推定特徴が推定されてもよい。
【0026】
時間情報設定部102は、時間情報として、見込み顧客を予測するための基準タイミングと、当該基準タイミングにより後(過去)の一定期間(第1期間)と、当該基準タイミングより前(未来)の一定期間(第2期間)を設定する。当該時間情報は、操作者が入力部(図3の入力部35)による入力操作により設定されてもよいし、予めシステムにおいて設定されていてもよいし、記憶部(図3のROM32やRAM33)に格納されている任意のプログラムによって設定されてもよい。
【0027】
サービス設定部103は、見込み顧客予測の対象となるサービス(対象サービス)を設定する。当該対象サービスは、操作者が入力部(図3の入力部35)による入力操作により設定されてもよいし、予めシステムにおいて設定されていてもよいし、記憶部(図3のROM32やRAM33)に格納されている任意のプログラムによって設定されてもよい。
【0028】
ユーザデータ選択部104は、オプション的な機能であり、見込み顧客予測部105による予測処理に使用するユーザデータを、ユーザデータ取得部101により取得されたユーザデータから選択する。本実施形態では、ユーザデータ選択部104は、ファイル記憶部120に記憶されているコンフィグファイル121に基づいて、ユーザデータを選択することができる。コンフィグファイル121については後述する。
【0029】
見込み顧客予測部105は、学習済みの購買予測モデル112を用いて、見込み顧客を予測して抽出する。具体的には、見込み顧客予測部105は、複数のユーザ1~Nのうちの任意のユーザ(対象ユーザ)から取得した、第1期間におけるユーザデータを用いて、第2期間における対象サービスについての対象ユーザの購買確率を予測する。そして、見込み顧客予測部105は、当該購買確率に基づいて、対象ユーザが見込み顧客か否かを予測する。また、見込み顧客予測部105は、ユーザ1~Nのそれぞれが、見込み顧客か否かを予測することにより、ユーザ1~Nのうちの見込み顧客のグループ(ユーザセグメント)を生成しうる。
【0030】
出力部106は、見込み顧客予測部105に予測された見込み顧客の情報を出力する。出力部106は、当該見込み顧客に関する情報を生成して出力してもよい。また、出力部106は、ユーザセグメントに対して、対象サービスに関する広告を生成して出力(提供)することができる。当該出力は、あらゆる出力処理であり得、通信I/F(図3の通信I/F37)を介した外部装置への出力であってもよいし、表示部(図3の表示部36)への表示であってもよい。
【0031】
学習モデル記憶部110は、前述した学習済みのユーザ特徴予測モデル111を記憶する。また、学習モデル記憶部110は、購買予測モデル112を記憶する。購買予測モデル112については後述する。
【0032】
ファイル記憶部120は、コンフィグファイル121を記憶する。コンフィグファイル121は、見込み顧客予測のための、複数のサービスそれぞれに対する設定情報が設定されている。本実施形態では、コンフィグファイル121は、ユーザデータ取得部101により取得可能なユーザデータのうち、各サービスに対して見込み顧客を予測するために必要なデータを指示する情報を含む。ユーザデータ選択部104は、コンフィグファイル121に従って、ユーザデータ取得部101により取得されたユーザデータから、対象サービスに対する見込み顧客の予測のために必要なユーザデータを選択することができる。これにより、ユーザデータ取得部101により取得される膨大な量のデータから、対象サービスに対する見込み顧客の予測のために必要なユーザデータのみを選択できるため、見込み顧客予測部105によるデータ選択処理が省かれ、処理負荷が軽減される。
【0033】
また、本実施形態によるコンフィグファイル121は、各サービスに対する購買予測モデル112の設定も含む。例えば、コンフィグファイル121は、対象サービスに対して使用するパラメータ、使用するモデル(後述するような、CatBoost等)、使用するユーザデータの構造等を含む。これにより、見込み顧客予測部105は、対象サービスにより適合した購買予測モデル112を用いて、見込み顧客予測処理を行うことができる。
【0034】
[情報処理装置10のハードウェア構成]
図3は、本実施形態による情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態による情報処理装置10は、単一または複数の、あらゆるコンピュータ、モバイルデバイス、または他のいかなる処理プラットフォーム上にも実装することができる。
図3を参照して、情報処理装置10は、単一のコンピュータに実装される例が示されているが、本実施形態による情報処理装置10は、複数のコンピュータを含むコンピュータシステムに実装されてよい。複数のコンピュータは、有線または無線のネットワークにより相互通信可能に接続されてよい。
【0035】
図3に示すように、情報処理装置10は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、HDD34と、入力部35と、表示部36と、通信I/F37と、システムバス38とを備えてよい。情報処理装置10はまた、外部メモリを備えてよい。
CPU(Central Processing Unit)31は、情報処理装置10における動作を統括的に制御するものであり、データ伝送路であるシステムバス38を介して、各構成部(32~37)を制御する。
【0036】
ROM(Read Only Memory)32は、CPU31が処理を実行するために必要な制御プログラム等を記憶する不揮発性メモリである。なお、当該プログラムは、HDD(Hard Disk Drive)34、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリや着脱可能な記憶媒体(不図示)等の外部メモリに記憶されていてもよい。
RAM(Random Access Memory)33は、揮発性メモリであり、CPU31の主メモリ、ワークエリア等として機能する。すなわち、CPU31は、処理の実行に際してROM32から必要なプログラム等をRAM33にロードし、当該プログラム等を実行することで各種の機能動作を実現する。本実施形態では、学習モデル記憶部110とファイル記憶部120は、RAM33で構成されうる。
【0037】
HDD34は、例えば、CPU31がプログラムを用いた処理を行う際に必要な各種データや各種情報等を記憶している。また、HDD34には、例えば、CPU31がプログラム等を用いた処理を行うことにより得られた各種データや各種情報等が記憶される。
入力部35は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスにより構成される。
表示部36は、液晶ディスプレイ(LCD)等のモニターにより構成される。表示部46は、入力部35と組み合わせて構成されることにより、GUI(Graphical User Interface)として機能してもよい。
【0038】
通信I/F37は、情報処理装置10と外部装置との通信を制御するインタフェースである。
通信I/F37は、ネットワークとのインタフェースを提供し、ネットワークを介して、外部装置との通信を実行する。通信I/F37を介して、外部装置との間で各種データや各種パラメータ等が送受信される。本実施形態では、通信I/F37は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に準拠する有線LAN(Local Area Network)や専用線を介した通信を実行してよい。ただし、本実施形態で利用可能なネットワークはこれに限定されず、無線ネットワークで構成されてもよい。この無線ネットワークは、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等の無線PAN(Personal Area Network)を含む。また、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)や、WiMAX(登録商標)等の無線MAN(Metropolitan Area Network)を含む。さらに、LTE/3G、4G、5G等の無線WAN(Wide Area Network)を含む。なお、ネットワークは、各機器を相互に通信可能に接続し、通信が可能であればよく、通信の規格、規模、構成は上記に限定されない。
【0039】
図2に示す情報処理装置10の各要素のうち少なくとも一部の機能は、CPU31がプログラムを実行することで実現することができる。ただし、図2に示す情報処理装置10の各要素のうち少なくとも一部の機能が専用のハードウェアとして動作するようにしてもよい。この場合、専用のハードウェアは、CPU31の制御に基づいて動作する。
【0040】
[ユーザ装置11のハードウェア構成]
図1に示すユーザ装置11のハードウェア構成は、図3と同様でありうる。すなわち、ユーザ装置11は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、HDD34と、入力部35と、表示部36と、通信I/F37と、システムバス38とを備えうる。ユーザ装置11は、情報処理装置10により提供された各種情報を、表示部36に表示し、GUI(入力部35と表示部36による構成)を介してユーザから受け付ける入力操作に対応する処理を行うことができる。
【0041】
[見込み顧客の予測手順]
本実施形態では、見込み顧客予測部105が、ユーザデータ取得部101により取得された、対象ユーザのユーザデータを、学習済みの購買予測モデル112に適用して、購買確率を予測する。そして、見込み顧客予測部105は、当該購買確率から、対象ユーザが対象サービスに対する見込み顧客か否かを予測する。見込み顧客の予測手順について、まず、購買予測モデル112について説明し、その後、購買予測モデル112を用いた購買確率の予測処理と見込み顧客の予測(抽出)処理について説明する。
【0042】
購買予測モデル112は、機械学習のための学習モデル(機械学習モデル)であり、例えば、CatBoostをベースにした学習モデルである。あるいは、購買予測モデル112は、XGBoostやLightGBMといった他のブースティングベースの学習モデルであってもよい。
【0043】
購買予測モデル112は、ユーザデータ取得部101により取得された過去ユーザデータ(過去に得られたユーザデータ)に基づく学習データを用いて学習済みである。購買予測モデル112の学習処理について、図4Aを参照して説明する。図4Aに、購買予測モデル112の学習処理の概念図を示す。基準タイミングT1より前(過去)の第1期間41と基準タイミングT1より後(未来)の第2期間42が設定される。例えば、第1期間41は1年、第2期間42は1か月である。学習データとしては、第1期間41における、任意のサービスに対する過去ユーザデータ(第1期間41において取得されたユーザデータ)に相当するユーザ特徴に対して、利用履歴データ(過去ユーザデータの一部)から得られるサービス利用履歴(利用履歴、購買履歴)に相当する購買結果(例えば、0:購入しなかった、1:購入した)をラベリングすることで得られる学習データが準備される。そして、当該学習データを用いて購買予測モデル112が学習される。なお、基準タイミングT1、第1期間41、および第2期間42は、学習段階において、任意に設定される。なお、購買予測の際に設定される基準タイミングT1(学習データにおける基準タイミングT1)は、例として、年月日のような時間的な情報の他に、季節および祝日などのイベントを示す情報をさらに有してよい。
【0044】
ラベリングによって学習データに反映される購買結果とは、少なくとも第2期間42において利用履歴データから確認されうる購買結果を指す。また、ラベリングによって学習データに反映される購買結果は、基準タイミングT1を少なくとも含む連続する期間において利用履歴データから確認されうる購買結果を指してもよい。また、ラベリングによって学習データに反映される購買結果とは、第1期間41において利用履歴データから確認されうる購買結果と、第2期間42において利用履歴データから確認されうる購買結果と、の相違(購買状況の時系列変化)を指してもよい。具体的には、ラベリングによって学習データに反映される購買結果は、第1期間41において購買(購入)の有無と、第2期間42において購買の有無と、に基づく基準タイミングT1を基準とした購買状況のポジティブな時系列変化の有無を指してもよい。ここで、学習データは、第1期間41において購買(購入)が無く、第2期間42において購買(購入)が有った場合、例として正のラベリングがなされる。また、ここで、学習データは、第1期間41において購買(購入)が無く、第2期間42において購買(購入)が有った場合、例として負のラベリングがなされる。
【0045】
購買予測モデル112の学習データは、第1期間41におけるユーザ特徴に対して、さらに、第1期間41から第2期間42にかけて基準タイミングT1を基準としてユーザ特徴の時系列変化(時間変化)の有無がラベリングされてもよい。学習データは、例として、基準タイミングT1がユーザの誕生日である場合に当該ユーザの年齢変化が基準タイミングT1を基準として起こることを考慮し、第1期間41におけるユーザ特徴に対して、ユーザ特徴の時系列変化有り、がラベリングされてよい。学習データは、属性ごとにユーザ特徴の時系列変化の有無がラベリングされてよい。
【0046】
学習済みの購買予測モデル112は、任意の基準タイミングより前の第1期間におけるユーザデータを入力として、設定した対象サービスに対して、当該基準タイミングより後の第2期間における購買確率(購買スコア)を出力するように構成される。購買確率は0~1で表され、本実施形態では、購買確率が1の場合は、ユーザが対象サービスにおいて購買を行う可能性が100%であることを示し、購買確率が0の場合、ユーザが対象サービスにおいて購買を行う可能性が0%であることを示す。学習済みの購買予測モデル112は、学習モデル記憶部110に格納される。
【0047】
続いて、購買予測モデル112を用いた購買確率55の予測処理について、図4B図5Aを参照して説明する。図4Bは、購買予測モデル112による購買確率予測処理の概念図を示し、図5Aは、見込み顧客予測部105による購買確率予測処理の概略フローを示す。
【0048】
まず、見込み顧客予測部105は、時間情報設定部102により設定された時間情報52、および、サービス設定部103により設定された見込み顧客予測の対象サービス53を取得する。時間情報52には、図4Bに示す基準タイミングT2、第1期間43、第2期間44の情報が含まれている。また、見込み顧客予測部105は、ユーザデータ取得部101により取得されたユーザデータのうち、第1期間43におけるユーザデータ51を取得する。
【0049】
続いて、見込み顧客予測部105は、ユーザデータ51を、購買予測モデル112に入力し、対象サービス53に対する第2期間44における購買確率55を予測する。ここで、使用する購買予測モデル112は、基準タイミングT2、第1期間43、および第2期間44に基づいて学習されたモデルである。あるいは、使用する購買予測モデル112は、基準タイミングT2、第1期間43、および第2期間44に基づいて選択されたモデルである。基準タイミングT2が現在より前(過去)に設定された場合は、当該基準タイミングT2、第1期間43、および第2期間44に基づいて既に学習された購買予測モデル112が使用されうる。一方で、基準タイミングT2が、現在より後(未来)に設定された場合は、実質的に学習データ(すなわち、購入結果)は存在しない。この場合は、例えば、1年前の同時期の日時に対応する基準タイミングT2、第1期間43、および第2期間44に基づいて既に学習された購買予測モデル112を選択して使用することができる。
【0050】
なお、見込み顧客予測部105は、基準タイミングT2、第1期間43、および第2期間44の複数の組み合わせのそれぞれと対応する購買予測モデル112に基づいて、対象ユーザの購買確率55を複数予測し、各購買予測モデル112において予測された複数の購買確率55に基づいて、最終的な購買確率55を決定してよい。ここで、見込み顧客予測部105は、基準タイミング、第1期間、および第2期間の組み合わせについて、一定の制約を課した上で購買確率55を複数予測する。制約は、広告の提供タイミングなどの所定のタイミングと、基準タイミング、第1期間、および第2期間と、に基づくものである。また、制約は、例として、広告の提供タイミングと同時期のタイミングが第2期間に含まれるような組み合わせを条件とするなどである。
【0051】
このように、基準タイミングT2までのユーザデータ、具体的には、第1期間43におけるユーザ特徴を購買予測モデル112に入力することにより、第2期間44におけるユーザの購買確率55を予測することができる。
【0052】
見込み顧客予測部105は、ユーザ1~Nに対して、このような購買確率予測処理を行うことにより、第2期間44における、対象サービス53に対するユーザ1~Nの購買確率55を予測することができる。
【0053】
コンフィグファイル121を用いる場合、購買確率予測処理がより効率的に行われうる。図5Bに、コンフィグファイル121を用いる場合の、見込み顧客予測部105による購買確率予測処理の概略フローを示す。前述のように、コンフィグファイル121は、各サービスに対して見込み顧客を予測するために必要なデータを指示する情報と、各サービスに対する購買予測モデル112の設定含む。見込み顧客予測部105は、第1期間43におけるユーザデータ51を取得し、コンフィグファイル121に従って、当該ユーザデータ51から対象サービス53に対して見込み顧客を予測するために必要なデータを選択する(選択されたユーザデータ54)。また、見込み顧客予測部105は、コンフィグファイル121に従って、対象サービス53に対する購買予測モデル112の設定を行う。
【0054】
対象サービス53が、例えば、旅行予約サービスである場合、コンフィグファイル121に従って選択されたユーザデータ54は、第1期間43における、旅行パッケージやホテルの予約数、旅行先、旅行に掛かる費用を含む。このように、ユーザデータ51は膨大な量のデータであるが、コンフィグファイル121を用いることにより、対象サービス53に対応して選択されたユーザデータ54を購買予測モデル112に入力することができる。
【0055】
購買確率55が予測されると、見込み顧客予測部105は、当該購買確率55から、見込み顧客を予測する。具体的には、見込み顧客予測部105は、購買確率55が所定の閾値以上である1以上のユーザを、見込み顧客(対象サービス53の利用が見込まれる(利用の蓋然性が高い)ユーザ)として予測することができる。当該閾値は、例えば0.5である。
【0056】
さらに、見込み顧客予測部105は、見込み顧客として予測した1以上のユーザからなるユーザグループを、ユーザセグメントとして生成する。当該ユーザセグメントに含まれるユーザは、対象サービス53の利用可能性が高い。よって、見込み顧客予測部105は、当該ユーザセグメントを、対象サービス53の広告配信の対象に適したユーザグループとして決定することができる。
【0057】
[処理の流れ]
図6に、本実施形態による情報処理装置10により実行される処理のフローチャートを示す。図6に示す処理は、情報処理装置10のCPU31がROM32等に格納されたプログラムをRAM33にロードして実行することによって実現されうる。図6の説明のために、図1に示した情報処理システムを参照する。学習済みの、ユーザ特徴予測モデル111と購買予測モデル112は、学習モデル記憶部110に格納されているものとする。また、図6の処理の順序は、図示される順序に限定されない。
【0058】
S61において、時間情報設定部102は、見込み顧客を予測するための基準タイミングと、当該基準タイミングにより後(過去)の(第1期間)と、当該基準タイミングより前(未来)の一定期間(第2期間)を設定する。当該基準タイミングは、現在のタイミングに限定されず、過去や未来の任意のタイミングに設定することができる。
【0059】
S62において、サービス設定部103は、見込み顧客予測の対象となるサービス(対象サービス53)を設定する。本実施形態では、サービスは、ウェブサービスや、ユーザが利用可能なアイテムである。
【0060】
S63において、ユーザデータ取得部101は、見込み顧客予測の対象となるユーザ(対象ユーザ)から、ユーザデータを取得する。本実施形態では、前述のように、ユーザデータ(ユーザ特徴)は、ユーザの事実特徴と、当該ユーザの事実特徴に基づいて推定されたユーザの推定特徴を含む。
【0061】
S64において、見込み顧客予測部105は、S63で取得されたユーザデータを購買予測モデル112に入力して、S62で設定された対象サービス53に対する、対象ユーザの購買確率55を予測する。購買確率予測処理については、図4B図5A、および図5Bを参照して上述した通りである。
【0062】
S65において、見込み顧客予測部105は、S64において予測された対象ユーザの購買確率55に基づいて、対象ユーザが見込み顧客(対象サービス53の利用が見込まれるユーザ)か否かを判定する。例えば、見込み顧客予測部105は、当該購買確率55が所定の閾値以上である場合、対象ユーザは見込み顧客であると判定する。
【0063】
情報処理装置10は、ユーザ1~Nに対して、S63~S65の処理を実施する。すなわち、情報処理装置10は、ユーザ1~Nのそれぞれを対象ユーザとして、S63~S65の処理を実施する。次に、S66において、見込み顧客予測部105は、見込み顧客として予測した、ユーザ1~Nのうちの1以上のユーザからなるユーザグループを、ユーザセグメントとして生成する。
【0064】
S67は、オプション的な処理であり、出力部106は、S66で生成されたユーザセグメントに対して、S62で設定された対象サービス53に関する広告を提供する。例えば。S61で設定された基準タイミングが、現在から1か月後の場合、出力部106は、当該基準タイミングの前の一定期間において、対象サービス53に関する広告を当該ユーザセグメントに対して提供する。当該広告の提供は、当該基準タイミング後のユーザセグメントによる購買行動に、有効に作用しうる。
【0065】
このように、本実施形態によれば、任意に設定した基準タイミングを基準としたユーザ特徴の時系列変化を考慮することにより、ユーザが見込み顧客であるか否かの予測を、より高精度に行うことができる。特に、ユーザ特徴は、ライフイベント(結婚や出産等)を経て変化する可能性が高いが、本実施形態では、基準タイミングより前の一定期間におけるユーザ特徴の時系列的変化を考慮することにより、ユーザが(将来的に)見込み顧客となるか否かの予測を効果的に行うことが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態では、「利用」は「購買」に対応する例を示し、購買予測モデル112を用いて、購買確率55を予測したが、あらゆる利用形態に本実施形態を適用することが可能である。すなわち、あらゆる利用形態に対応した利用予測モデルを用い、当該利用予測モデルにより予測された利用確率に応じて、見込み顧客が予測されてもよい。
【0067】
以下に、基準タイミングの設定に応じた複数のユースケースを説明する。当該説明のために、図1に示した情報処理システムと、図4Bに示した購買確率予測処理の概念図と、図5Aに示した購買確率予測処理の概略フローを参照する。
【0068】
[第1のユースケース]
第1のユースケースは、基準タイミングT2が現在より前に設定された場合である。当該ユースケースでは、基準タイミングT2が、過去の集客イベントの開催日に設定され、対象サービス53を、当該集客イベントが開催された地域に関するサービスに設定される。見込み顧客予測部105は、学習済みの購買予測モデル112を用いて、複数のユーザ1~Nのうち、基準タイミングT2より後の第2期間44において、当該地域に関するサービスに対する見込み顧客を予測することができる。予測された見込み顧客の情報は、当該地域で、再度、集客イベントが開催される場合に活用することができる。例えば、将来に当該地域で集客イベントが開催される場合に、当該地域に関するサービスの充実度を効果的に計画することが可能となる。
【0069】
[第2のユースケース]
第2のユースケースは、基準タイミングが、過去から未来に渡って複数に設定された場合である。当該ユースケースでは、基準タイミングT2が、複数の感染症の流行収束タイミングに設定され、対象サービス53が、インターネットモールに設定される。見込み顧客予測部105は、学習済みの購買予測モデル112を用いて、複数のユーザ1~Nのうち、各基準タイミングT2より後の第2期間44において、当該インターネットモールに対する見込み顧客を予測することができる。予測された見込み顧客の情報は、感染症の流行収束時期に応じた出品計画に活用することができる。すなわち、異なる収束時期に応じた、ユーザの購買傾向が定量化され、インターネットモールでの出品計画を効果的に行うことが可能となる。
【0070】
[第3のユースケース]
第3のユースケースは、基準タイミングT2が現在より後に設定された場合である。当該ユースケースでは、基準タイミングT2が、今年の12月1日(基準タイミングT2より後)に設定され、対象サービス53が、レストラン予約サービスに設定される。見込み顧客予測部105は、学習済みの購買予測モデル112を用いて、複数のユーザ1~Nのうち、基準タイミングT2より後の、クリスマスを含む第2期間44において、レストラン予約サービスに対する見込み顧客を予測することができる。すなわち、将来的に、複数のユーザ1~Nがレストラン予約サービスに対する見込み顧客となりうるかを、予測することができる。
【0071】
なお、上記において特定の実施形態が説明されているが、当該実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定する意図はない。本明細書に記載された装置および方法は上記した以外の形態において具現化することができる。また、本発明の範囲から離れることなく、上記した実施形態に対して適宜、省略、置換および変更をなすこともできる。かかる省略、置換および変更をなした形態は、請求の範囲に記載されたものおよびこれらの均等物の範疇に含まれ、本発明の技術的範囲に属する。
【0072】
本実施形態の開示は以下の構成を含む。
[1]基準タイミングおよび対象サービスを設定する設定手段と、当該基準タイミングより前におけるユーザのユーザ属性を含む事実特徴を含むユーザ特徴、および、当該基準タイミングより後における前記対象サービスのサービス利用履歴を取得する取得手段と、前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴に基づいて、前記ユーザとは異なる任意の対象ユーザが前記基準タイミングより後において前記対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客か否かを予測する予測手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【0073】
[2]前記ユーザ特徴は、前記事実特徴に基づいて推定された前記ユーザ属性を含む推定特徴を、含むことを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0074】
[3]前記ユーザ特徴は、さらに、前記ユーザによる、前記対象サービスを含む複数のサービスを提供するためのウェブサイト上での行動を示すデータを事実特徴として含むことを特徴とする[2]に記載の情報処理装置。
【0075】
[4]前記予測手段は、前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴を学習済みの機械学習モデルに入力することにより、前記対象ユーザが前記見込み顧客か否かを予測することを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0076】
[5]前記見込み顧客のグループを生成する生成手段をさらに有し、前記取得手段は、複数の前記対象ユーザそれぞれについて前記ユーザ特徴を取得し、前記予測手段は、複数の前記対象ユーザそれぞれが前記見込み顧客か否かを予測し、前記生成手段は、前記予測手段により前記見込み顧客であると予測された、複数の前記対象ユーザのうちの1以上の前記対象ユーザからなるグループを、前記見込み顧客のグループとして生成することを特徴とする[4]に記載の情報処理装置。
【0077】
[6]前記見込み顧客のグループに対して、前記対象サービスに関する広告を提供する提供手段をさらに有することを特徴とする[5]に記載の情報処理装置。
【0078】
[7]基準タイミングおよび対象サービスを設定する設定工程と、当該基準タイミングより前におけるユーザのユーザ属性を含む事実特徴を含むユーザ特徴、および、当該基準タイミングより後における前記対象サービスのサービス利用履歴を取得する取得工程と、前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴に基づいて、前記ユーザとは異なる任意の対象ユーザが前記基準タイミングより後において前記対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客か否かを予測する予測工程と、を有することを特徴とする情報処理方法。
【0079】
[8]情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該情報処理プログラムは、前記コンピュータに、基準タイミングおよび対象サービスを設定する設定処理と、当該基準タイミングより前におけるユーザのユーザ属性を含む事実特徴を含むユーザ特徴、および、当該基準タイミングより後における前記対象サービスのサービス利用履歴を取得する取得処理と、前記ユーザ特徴およびサービス利用履歴に基づいて、前記ユーザとは異なる任意の対象ユーザが前記基準タイミングより後において前記対象サービスの利用が見込まれる見込み顧客か否かを予測する予測処理と、を含む処理を実行させるためのものである、情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0080】
1~N:ユーザ、10:情報処理装置、11-1~11-N:ユーザ装置、101:ユーザデータ取得部、102:時間情報設定部、103:サービス設定部、104:ユーザデータ選択部、105:見込み顧客予測部、106:出力部、110:学習モデル記憶部、111:ユーザ特徴予測モデル、112:購買予測モデル、120:ファイル記憶部、121:コンフィグファイル
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6