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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153405
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】硝酸イオン電極及び水質測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/333 20060101AFI20241022BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01N27/333 331K
G01N27/333 331E
G01N27/333 331C
G01N27/416 351J
G01N27/416 351A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067282
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】592187534
【氏名又は名称】株式会社 堀場アドバンスドテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】室賀 樹興
(72)【発明者】
【氏名】野中 雄太
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和樹
(57)【要約】
【課題】 寿命が長く、かつ測定値が安定した硝酸イオン電極を提供する。
【解決手段】測定対象液中の硝酸イオンを検出するイオン電極であって、内部に内部液を収容する筒状の電極本体と、前記電極本体の先端に形成された開口部に、前記測定対象液と前記内部液とを隔てるように設けられて、前記測定対象液中の硝酸イオンに応答する応答膜と、を備え、前記応答膜が前記電極本体に接着又は溶着されていることを特徴とする硝酸イオン電極。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象液中の硝酸イオンを検出するイオン電極であって、
内部に内部液を収容する筒状の電極本体と、
前記電極本体の先端に形成された開口部に、前記測定対象液と前記内部液とを隔てるように設けられて、前記測定対象液中の硝酸イオンに応答する応答膜と、を備え、
前記応答膜が前記電極本体に接着又は溶着されていることを特徴とする硝酸イオン電極。
【請求項2】
前記電極本体と前記応答膜とが同じ種類又は同じ性質の樹脂を含有するものである、請求項1に記載の硝酸イオン電極。
【請求項3】
前記応答膜を測定対象液側から覆う透過膜を備えた膜部品をさらに備え、
前記膜部品は前記電極本体に対して着脱可能なものである、請求項1に記載の硝酸イオン電極。
【請求項4】
前記膜部品が、先端部に開口を有する内筒体と、前記内筒体が内部に配置される外筒体とを備えるものであり、
前記透過膜が、前記内筒体の開口を覆うように配置された状態で、前記内筒体と前記外筒体との間に挟まれることによって固定されたものであり、
前記電極本体には、前記膜部品が取り付けられた場合に、前記内筒体の内側に配置されて前記透過膜を測定対象液側に押す押し部を備えている、請求項3に記載の硝酸イオン電極。
【請求項5】
前記透過膜が半透膜である、請求項3に記載の硝酸イオン電極。
【請求項6】
前記電極本体の前記開口部の外側には、前記開口部を取り囲むように溝が形成されており、
前記応答膜の一部が前記溝内に配置されている、請求項1に記載の硝酸イオン電極。
【請求項7】
前記応答膜が、前記溝の内部において前記電極本体に接着又は溶着されている、請求項1に記載の硝酸イオン電極。
【請求項8】
請求項1に記載の硝酸イオン電極と比較電極とを備えた水質測定装置。
【請求項9】
アンモニウムイオンを検出するアンモニウムイオン電極をさらに備える請求項8に記載の水質測定装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、硝酸イオン電極及び該硝酸イオン電極を備えた水質測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象液中の窒素濃度を測定するセンサとしては、特許文献1に示すように、内部に内部液を収容する筒状の電極本体と、前記電極本体の先端に形成された開口部に、前記測定対象液と前記内部液とを隔てるように設けられて、前記測定対象液中のアンモニウムイオンに応答する応答膜とを備えたアンモニウムイオン電極が知られている。
【0003】
そこで、特許文献2から非特許文献25等で用いられる測定対象液中の硝酸態窒素濃度を測定するセンサとして、前述したアンモニウムイオン電極と同じ構造で、硝酸イオンに応答する応答膜を備えた硝酸イオン電極とすることが考えられる。
しかしながら、仮に前述した硝酸イオン電極とした場合、コストがかかるにも関わらず、寿命が短く、測定値が安定しないという問題が生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5144829号公報
【特許文献2】特開2017-192934号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「下水の高度処理 高度処理方式 A2O法」、横浜市HP、https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/kasen-gesuido/gesuido/shori/kodoshori/shoriho/houshiki03.html(2019)
【非特許文献2】「水浄化フォーラム」(2017)
【非特許文献3】「産業排水における新しい排水処理・回収技術」、オルガノ株式会社、https://www.kinki-shasej.org/upload/pdf/281.pdf(2010)
【非特許文献4】「産業排水の回収」、『トコトンやさしい水処理の本』より、オルガノ(株)開発センター/編 (2009)
【非特許文献5】「活性汚泥モデル(ASM)を用いた内生脱窒法における運転条件の検討」、蒲池一将ほか著、学会誌「EICA」第18巻第2・3合併号(2013)
【非特許文献6】「活性汚泥モデルを用いた嫌気-硝化内生脱窒法と嫌気-無酸素-好気法における運転条件の比較」、蒲池一将ほか著、学会誌「EICA」第19巻 第2・3合併号(2014)
【非特許文献7】「硝化内生脱窒法におけるアンモニアセンサーを用いた硝化制御運転の最適化」、蒲池一将ほか著、学会誌「EICA」第21巻 第2・3合併号(2016)
【非特許文献8】「A2O法におけるリン・窒素モデルのシミュレーション評価」、原直樹ほか著、学会誌「EICA」第1巻 第1号(1996)
【非特許文献9】「A2O 法下水処理場における窒素濃度制御」、堀岡洋二ほか著、学会誌「EICA」第25巻 第2・3号(2020)
【非特許文献10】「ORP計を用いた硝化脱窒制御の実験的検討」、小原卓巳ほか著、学会誌「EICA」第7巻 第2号(2002)
【非特許文献11】「企業の水問題と処理技術の動向」、環境管理、2015年5月号Vol.51、No.5
【非特許文献12】「アンモニア・硝酸計を活用した高度処理 (A2O) における硝化・脱窒作用の評価と応用」、後藤大輔ほか著、学会誌「EICA」第21巻 第2・3合併号(2016)
【非特許文献13】「アンモニアセンサーを使用した空気量制御運転の活性汚泥モデルによる最適化」、蒲池一将ほか著、学会誌「EICA」第20巻 第2・3合併号(2015)
【非特許文献14】「アンモニア計と硝酸計を用いた同時硝化脱窒処理技術の開発」、中村高士他著、学会誌「EICA」第21巻 第2・3合併号(2016)
【非特許文献15】「カレンダー機能による、し尿処理施設の無人運転、円馬悼三ほか著、学会誌「EICA」第1巻 第2号(1996)
【非特許文献16】「コスト評価指標に基づく循環式硝化脱窒プロセスの最適制御-ベンチマークプロセスを用いた制御の有効性評価-」、山中理ほか著、学会誌「EICA」第9巻 第2号(2004)
【非特許文献17】「し尿処理におけるアンモニアセンサーを用いた最適運転条件の検討」、蒲池一将ほか著、学会誌「EICA」第24巻 第2・3号(2019)
【非特許文献18】「し尿処理プラントにおけるデータ収集とリモート通信」、植田明郎ほか著、学会誌「EICA」第1巻 第2号(1996)
【非特許文献19】「し尿処理施設における投入量決定シミュレーション」、田中駿ほか著、学会誌「EICA」第27巻 第2・3合併号(2022)
【非特許文献20】「メタノール排水を対象としたpHとナトリウムの影響を組み込んだ嫌気性消化モデル」、蒲池一将ほか著、学会誌「EICA」第22巻 第2・3合併号(2017)
【非特許文献21】「汚泥処理返流水を対象とした高度処理システムの実証実験」、賀藤寛文ほか著、学会誌「EICA」第 14 巻 第 2・3 合併号(2009)
【非特許文献22】「下水汚泥固液分離システムの分析評価」、竹原明伸ほか著、学会誌「EICA」第5巻 第1号(2000)
【非特許文献23】「下水処理施設(嫌気-無酸素-好気法)に対するASM2dを用いたシミュレーション」、出口達也ほか著、「EICA」第9巻 第2号(2004)
【非特許文献24】「下水処理場の反応槽における亜硝酸化の活性汚泥モデルシミュレーション」、中大輔ほか著、学会誌「EICA」第21巻 第2・3合併号(2016)
【非特許文献25】「下水処理場運転計画支援システムの開発」、福嶋俊貴ほか著、学会誌「EICA」第17巻 第2・3合併号 (2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、寿命が長く、かつ測定値が安定した硝酸イオン電極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る硝酸イオン電極は、測定対象液中の硝酸イオンを検出するイオン電極であって、内部に内部液を収容する筒状の電極本体と、前記電極本体の先端に形成された開口部に、前記測定対象液と前記内部液とを隔てるように設けられて、前記測定対象液中の硝酸イオンに応答する応答膜と、を備え、前記応答膜が前記電極本体に接着又は溶着されていることを特徴とするものである。
【0008】
このように構成された硝酸イオン電極によれば、前記応答膜が前記電極本体に直接接着されているので、従来よりも応答膜と電極本体との絶縁性や密着性を高めることができる。その結果、長寿命であり、かつ検出値のドリフトを抑えることができる硝酸イオン電極を提供することができる。
【0009】
前記電極本体と前記応答膜とが、例えば、同じ種類又は同じ性質の樹脂を主成分とするものであれば、レーザーやバーナーを用いた加熱処理や、超音波を用いた処理、前記応答膜を形成する材料を前記溶媒中に溶解させた応答膜形成液や有機溶媒を用いた処理等より、前記応答膜と前記電極本体とのそれぞれ、または前記電極本体と前記応答膜の一方の一部を一度溶解させて圧着することによって互いに接着(溶着)させることができる。その結果、別途用意した組成の異なる接着剤を用いてこれらを接着する場合に比べてより強固に接着できる。また、電極本体や応答膜とは異なる成分の接着剤の部分において測定対象液と内部液との間の電気的な絶縁性が低くなることによる検出値への影響を抑えることができる。さらに電極本体に収容されている内部液が、応答膜とは異なる組成の接着剤に触れることによる検出値への悪影響をも抑えて、検出値をより安定させることができる。
【0010】
前記応答膜を測定対象液側から覆う透過膜を備えた膜部品をさらに備え、前記膜部品は前記電極本体に対して着脱可能なものとすれば、測定対象液中のイオンは透過させつつ汚れの原因となる異物の透過を妨げて、応答膜を保護することができる透過膜を備えているので、例えば、汚れが付着しやすい環境でイオン電極を使用する場合に応答膜の表面に汚れが付着して測定精度が低下してしまうことを抑制することができる。また、透過膜の表面が汚れてしまった場合でも、膜部品だけを取り外して交換することができるので、イオン電極全体を交換する場合に比べて環境負荷やコストを抑えることができる。
【0011】
前記膜部品が、先端部に開口を有する内筒体と、前記内筒体が内部に配置される外筒体とを備えるものとしても良い。内筒体と外筒体とを備えることで、前記透過膜が、前記内筒体の開口を覆うように配置された状態で、前記内筒体と前記外筒体との間に挟まれることによって固定されたものとすることができる。さらに、電極本体が前記内筒体の内側に配置されて前記透過膜を測定対象液側に押し出す押し部を備えているので、透過膜を皺が寄らないように張り詰めた状態で固定することができる。その結果、透過膜の厚みが一部だけ分厚くなることによる測定結果への悪影響をも抑えることができる。
【0012】
本発明の具体的な実施態様としては、前記硝酸イオン電極と基準電極とを備えた水質測定装置を挙げることができる。
【0013】
前記水質装置が、前記硝酸イオン電極の他に、アンモニウムイオンを検出するアンモニウムイオン電極を備えるものとしても良い。前記イオン電極は、特に、汚水処理やし尿処理施設などの電極の寿命が短くなりやすい環境において、処理中又は処理後の処理水の水質を分析するために用いられるものとしてその効果をより顕著に発揮することができるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、硝酸イオンに応答する応答膜が電極本体に接着、または溶着されているので、従来よりも応答膜と電極本体との密着性を高めることができる。その結果、長寿命であり、かつ検出値のドリフトを抑えることができる硝酸イオン電極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る水質測定装置の全体図である。
図2図1のII-II線の要部断面図である。
図3図2の分解図である。
図4図2の要部拡大図である。
図5図4の分解図である。
図6図4のVI領域拡大図である。
図7図4のVII領域拡大図である。
図8】他の実施形態に係るイオン電極の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る硝酸イオン電極及び該硝酸イオン電極を備えた水質測定装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態に係る硝酸イオン電極及び水質測定装置は、研究用途だけでなく、例えば、し尿や生活排水などの汚水処理や、湖沼や海水、河川、地下水又は井戸水などの水質調査、植物工場における肥料の濃度管理や外部への排出の監視、養殖場の生簀内の水質管理や排水の監視、半導体製造工程における各試薬の濃度管理や排水の監視など、先行技術文献として挙げたような様々な分野における用途に広く使用することができるものである。
【0017】
本実施形態に係る水質測定装置は、例えば図1に示すように、測定の対象である測定対象液中の特定のイオンを検出する検出部2と、検出部2から出力される信号を受け付けて前記イオンの濃度を算出する装置本体3とを備えたものである。
【0018】
装置本体3は、例えば、本実施形態のように、情報が入力される入力部3aと、情報を処理する処理部3bと、処理部3bにより処理された情報を出力する出力部3cとを備えていてもよい。
【0019】
通信手段4は、例えば、本実施形態のように、有線通信手段(例えば、ケーブル)であってもよく、また、例えば、無線通信手段であってもよい。なお、検出部2と装置本体3とは、一体的に構成されていてもよい。
【0020】
入力部3aは、特に限定されないが、例えば、ボタン、タッチパネル等とすることができる。そして、入力部3aには、例えば、測定を開始する指示の情報等が入力されてもよい。
【0021】
処理部3bは、例えば、CPU及びMPU等のプロセッサ、ROM及びRAM等のメモリ、各種インターフェイス等を備えていてもよい。具体的には、処理部3bは、例えば、検出部2及び入力部3a等から情報を取得する取得部と、情報を記憶する記憶部と、情報(例えば、水質値)を演算する演算部と、水質測定装置1の各部(例えば、出力部3c)を制御する制御部とを備えていてもよい。
【0022】
出力部3cは、特に限定されないが、例えば、表示装置等とすることができる。なお、出力部3cは、例えば、水質測定装置1の外部へ信号を出力(送信)する送信手段としてもよい。そして、出力部3cは、測定した結果(例えば、水質値)等を出力してもよい。
【0023】
検出部2は、例えば、躯体等に取り付けられて、施設内や流路内を流れる測定対象液中のイオンを検出するフロー式のものであってもよいし、測定者に把持され、容器に入れられた測定対象液中に浸漬されてイオンを検出するバッチ式のものとしてもよい。
検出部2は、例えば図1図3に示すように、測定対象液中のイオンを検出するイオン電極5,6,7と基準電位を測定する基準電極8とを備えている。具体的には、検出部2は、測定対象液中の硝酸イオン(第1のイオンともいう。)を検出する硝酸イオン電極5を、少なくとも備えている。なお、検出部2は、例えば、第1のイオンとは異なるイオンを検出する他のイオン電極6,7を備えていてもよい。前記他のイオンは、特に限定されないが、例えば、アンモニウムイオン、亜硝酸イオン、カリウムイオン、塩化物イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン等とすることができる。
【0024】
これら他のイオンの種類は目的に応じて適宜変更することができ、例えば、生物処理槽における処理水中の窒素濃度を測定する場合には、他のイオンとして塩化物イオン及びアンモニウムイオンを検出するイオン電極を備えるものとすることが好ましい。測定対象液中の硝酸イオン濃度とアンモニウムイオン濃度が分かれば、生物処理槽における硝化反応の度合いが分かるので、生物処理槽の好気槽中におけるエアレーションを適切にコントロールすることにより硝化反応を適切なレベルに制御可能である。また、生物処理槽中の嫌気層及び/又は無酸素層のような脱窒反応が行われる層中において、硝酸イオンを測定することにより脱窒反応がどの程度起こっているのかを知ることができるので、脱窒反応の速度をコントロールするために生物処理槽に送り込むメタノールのようなBOD成分の量を適切な量に抑え、コストの削減を図ることができる。
また、硝酸イオン電極は塩化物イオンにも応答してしまう場合があるので、塩化物イオン濃度を検出する塩化物イオン電極を備えるものとすれば、塩化物イオン濃度が高いし尿処理施設における測定対象液などにおいても、測定対象液中の硝酸イオン濃度をより精度よく測定することが可能である。特に、し尿処理における処理水中の塩化物イオンは、硝酸イオンに対して100倍以上5000倍以下、500倍以上2000倍以下、より具体的には800倍以上1200倍以下の濃度範囲となっていることが多いが、本実施形態にかかる水質測定装置1によれば塩化物イオン電極を備えたものであるので、このような測定対象物においても硝酸イオン濃度を十分に精度よく測定することが可能である。
本実施形態に係る硝酸イオン電極5及び水質測定装置1は、イオンやその他成分等を、例えば、先行技術文献、特に特許文献2に記載されている各濃度範囲で含有する測定対象物に適用することができる。
そこで、本実施形態においては、硝酸イオン電極5とアンモニウムイオン電極6と塩化物イオン電極7と基準電極8とを備えるものを一例として説明する。
【0025】
検出部2は、例えば、本実施形態のように、イオン電極5,6,7及び基準電極8を収容する検出部本体9と、検出部本体9に着脱可能であって、イオン電極5,6,7及び基準電極8を保持する保持部10とを備えていてもよい。そして、例えば、イオン電極5,6,7及び基準電極8の一部は、検出部2の先端部(本実施形態においては、保持部10の開口)から、露出している、という構成でもよい。
【0026】
これにより、検出部2の先端部、即ち、イオン電極5,6,7及び基準電極8の露出部分が測定対象液に浸されることによって、測定対象液中のイオンを検出することができる。
【0027】
なお、検出部2は、イオン濃度のみを検出するものであっても良いし、イオン濃度以外の水質項目、例えば、溶存酸素、pH、導電率、濁度、温度、リン(P)濃度、ORP等を検出する他の水質センサを備えるものとしてもよい。また、亜硝酸イオン濃度などについて、本実施形態で説明するイオン電極とはことなる光学式のイオン濃度センサを備えるものとしても良い。
【0028】
基準電極8は、基準電位を測定するための比較電極であり、例えば、後述するイオン電極5、6と基本的に同じ構造であり、内部に内部液16を収容する筒状の電極本体13と、内部液16に浸漬するように電極本体13の内部に設けられた内部電極15と、前記電極本体13の先端に形成された開口部に、前記測定対象液と前記内部液16とを隔てるように設けられて、どのような測定サンプルに置いても一定の電位を示す液絡部と、を備えるものである。液絡部は電極本体13から着脱可能に構成してあり、連続使用による汚れ等により液絡部としての機能が低下してきた場合には交換できるようにしてある。基準電極8における内部液16としては過飽和の塩化カリウム溶液が用いられている。また、内部電極15としてはAg/AgCl電極が用いられている。
【0029】
イオン電極7としては、本実施形態においては内部液を備えない従来型の塩化物イオン電極を用いている。具体的に該イオン電極7は、例えば、筒状の電極本体13と、前記電極本体13の先端に形成された開口部に、前記測定対象液に触れるように設けられたAg/AgCl電極と、を備えるものである。
【0030】
図3及び図4に示すように、イオン電極5及び6は、内部に内部液16を収容する筒状の電極本体13と、内部液16に浸漬するように電極本体13の内部に設けられた内部電極15と、前記電極本体13の先端に形成された開口部に、前記測定対象液と前記内部液16とを隔てるように設けられて、前記測定対象液中の硝酸イオンに応答する応答膜14と、を備えるものである。イオン電極5及び6は、さらに応答膜14の一部又は全部を測定対象液と触れる面側から覆うものであってイオンを透過させる透過膜11を有する膜部品12を備えている。
【0031】
図4及び図5に示すように、膜部品12は、先端に開口17aを有する内筒体17と、内筒体17が内部に配置される外筒体18とを備えている。透過膜11は、内筒体17の開口17aを覆うように配置されている。そして、透過膜11は、内筒体17と外筒体18との間に挟まれることによって、内筒体17及び外筒体18に固定されている。
【0032】
例えば、本実施形態のように、内筒体17の先端面と外筒体18の先端面とは、面一となるように配置されていてもよい。また、内筒体17は、例えば、本実施形態のように、筒状に形成されて外筒体18の内部に配置される筒本体部17bと、筒本体部17bの外周部から外方へ突出する突出部17cとを備えていてもよい。
【0033】
そして、透過膜11は、内筒体17の開口17aを覆うカバー部11aと、カバー部11aの外側に配置され、内筒体17の筒本体部17bの外 周部と外筒体18の内周部とによって挟まれる第1被挟み部11bと、第1被挟み部1カバー部11aと、カバー部11aの外側に配置され、内筒体17の筒本体部17bの外周部と外筒体18の内周部とによって挟まれる第1被挟み部11bと、第1被挟み部1bの外側に配置され、内筒体17の突出部17cと外筒体18の基端部18aとによって挟まれる第2被挟み部11cとを備えている、という構成が好ましい。
【0034】
これにより、透過膜11は、内筒体17の筒本体部17bの外周部と外筒体18の内周部とによって挟まれているだけでなく、内筒体17の突出部17cと外筒体18の基端部18aとによっても挟まれている。したがって、例えば、内筒体17及び外筒体18に透過膜11を確実に固定することができる。
【0035】
また、内筒体17及び外筒体18を構成する材質は、特に限定されない。内筒体17は、例えば、金属、硬質樹脂で形成されていてもよく、また、例えば、外筒体18は、例えば、金属、硬質樹脂、弾性樹脂で形成されていてもよい。そして、内筒体17及び外筒体18を 構成する材質は、同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、特に限定されないが、膜部品12は、内筒体17と外筒体18との間を封止するために封止体(例えば、Oリングやパッキン)を備えていてもよい。イオン電極5及び6は、膜部品12(具体的には、内筒体17)と電極本体13との間を封止する封止体(例えば、Oリングやパッキン)をさらに備えていてもよい。
【0036】
本実施形態に係るイオン電極5及び6は、膜部品12を電極本体13に取り外し可能に取り付ける取付機構19を備えている。これにより、例えば、図5の状態から図4の状態となるように、膜部品12を電極本体13に取り付けたり、また、例えば、図4の状態から図5の状態となるように、膜部品12を電極本体13から取り外したりすることができる。
【0037】
取付機構19は、例えば、膜部品12の内筒体17の内周部に形成された雌ネジ19aと、電極本体13のベース部13aの外周部に形成されたものであり前記雌ネジ19aと螺合する雄ネジ19bとを備えるネジ機構としてもよい。
【0038】
取付機構19は、膜部品12(例えば、内筒体17)及び電極本体13のうち、一方から突出し、膜部品12が電極本体13に対して移動することを阻止するように、他方を止める止め部を備えているものとしても良い。斯かる構成においては、当該他方は、止め部が内部に配置されることによって止め部に止められる凹部(例えば、溝)を備えていてもよい。
【0039】
そして、電極本体13は、透過膜11を押す押し部13eを備えているものとしても良い。例えば、押し部13eは、例えば、ベース部13aの先端部に配置されており、膜部品12が電極本体13に取り付けられたときに、内筒体17の内部に配置され、内筒体17から先端側へ突出するように構成されていてもよい。
【0040】
このように構成すれば、膜部品12が電極本体13に取り付けられることによって、押し部13eが透過膜11を押すため、透過膜11に張力が付与される。したがって、透過膜11にしわが寄ったりすることなく張り詰めた状態で透過膜11を電極本体13に容易に取り付けることができる。その結果、透過膜11に張力が付与されたイオン電極5及び6を容易に製造することができる。また、膜部品12が汚れた場合などにも簡単に膜部品12を交換することができる。
【0041】
なお、押し部13eが透過膜11を押す方向は、透過膜11に張力が付与される限り特に限定されないが、例えば、膜部品12が電極本体13に取り付けられる際に、電極本体13が膜部品12に対して移動する方向である。また、押し部13eは、他の部材(例えば、応答膜14)を介在して、透過膜11を押してもよいし、 透過膜11を直接に押してもよい。
【0042】
前述したように押し部13eが透過膜11を押すことに対して、本実施形態においては、透過膜11は、第1被挟み部11bだけでなく、第2被挟み部11cも、内筒体17及び外筒体18に挟まれている。これにより、透過膜11が内筒体17及び外筒体18に対して位置ずれすることを抑制することができるため、例えば、透過膜11に所望の張力を付与する ことができる。
【0043】
なお、第1被挟み部11bは、例えば、押し部13eが透過膜11を押す方向に対して垂直方向で、内筒体17と外筒体18との間に挟まれている。即ち、押し部13eが透過膜11を押す方向に沿う断面(図4参照)において、第1被挟み部11bは、押し部13eが透過膜11を押す方向に対して平行方向に延びて配置されている。
【0044】
また、第2被挟み部11cは、例えば、押し部13eが透過膜11を押す方向に 対して平行方向で、内筒体17と外筒体18との間に挟まれている。即ち、押し部13eが透過膜11を押す方向に沿う断面(図4参照)において、第2被挟み部11cは、押し部13eが透過膜11を押す方向に対して垂直方向に延びて配置されている。
【0045】
具体的には、内筒体17が、筒状に形成された筒本体部17bと、該筒本体部17bの外周部から外方へ突出する突出部17cとを備え、前記透過膜11は、前記筒本体部17bの外周部と前記外筒体18の内周部とによって挟まれ、且つ、前記突出部17cと前記外筒体18の基端部18aとによって挟まれるように構成されていることが好ましい。
【0046】
本実施形態においては、膜部品12が電極本体13の突出部13bに当たるように、膜部品12を 電極本体13に取り付けることによって、透過膜11に所望の張力を付与することができるように構成している。これにより、例えば、膜部品12の位置決めを容易に行うことができる。
【0047】
ところで、押し部13eが透過膜11を押すときに、押し部13eの先端は、透過膜11に接する。そこで、押し部13eは、先端の外周縁に、面取り部13fを備えている、という構成が好ましい。これにより、透過膜11が押し部13eの面取り部13fに接するため、透過膜11が破損することを抑制することができる。
【0048】
図6に示すように、内筒体17は、先端の外周縁に、面取り部17dを備えることが好ましく、また、図7に示すように、外筒体18は、基端部18aの内周縁に、面取り部18bを備える、という構成が好ましい。これにより、膜部品12が電極本体13に取り付けられるときに、透過膜11が内筒体17及び外筒体18に対して動いたり位置ずれしたりした場合でも、透過膜11が面取り部17d18bに接するため、透過膜11が破損することを抑制することができる。
【0049】
なお、これに限定されないが、例えば、内筒体17の筒本体部17bの外周面は、凹凸がなく、滑らかな面で形成され、外筒体18の内周面は、凹凸がなく、滑らかな面で形成されている、という構成でもよい。ここで、「滑らかな面」とは、内筒体17と外筒体18との間に透過膜11を介在させて、外筒体18を内筒体17に軸方向へスライドさせることができる面のことをいう。
【0050】
このように構成すれば、内筒体17と外筒体18との間に透過膜11を介在させた状態で、外筒体18を内筒体17に沿ってスライドさせることによって、内筒体17及び外筒体18に透過膜11を固定させることができる。このようにして透過膜11を固定する場合にも、内筒体17と外筒体18との間に透過膜11を固定するときに、透過膜11が面取り部17d、18bに接するため、透過膜11が破損することを抑制することができる。
【0051】
透過膜11は、例えば、応答膜14を保護する機能を有していてもよい。具体的には、透過膜11は、例えば、測定対象液中のイオンを通過させる一方で、測定対象液中の浮遊物や微生物を通過させない半透膜とすることが好ましい。
【0052】
透過膜11は、例えば、フッ素系樹脂を含有する樹脂組成物で形成された膜としてもよいし、フッ素樹脂から形成された膜であってもよい。また、透過膜11は、フッ素系樹脂だけでなくその他の材質で形成された膜としてもよい。例えば、透過膜11は、応答膜14に含まれる可塑剤を吸収し難く且つ所定の延性を有する樹脂やシリコーン等で形成された膜としてもよい。また、透過膜11は、ポリエチレンやポリプロピレン等で形成された膜としてもよい。前記透過膜は、親水性のものであることが好ましい。透過膜の材質は、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、PPS(ポリパラフェニレンスルホン酸)、セルロース、PET、PP、PE、PS、PC、PVDF、PTFE、ナイロン、グラスファイバー及びPES(ポリエーテルサルフォン)からなる群より選ばれる1種であってもよいし、2種以上を混合したものであってもよく、これらを親水化処理したポリマー等を用いるものとしても良い。
【0053】
透過膜11は、気泡が滞留しにくいことから半透膜であることが好ましいが、検出対象であるイオンを透過させるものであればよく、用途によっては、例えば、金属メッシュ等であっても良いし、セラミックスや樹脂などで形成された多孔質膜で形成されていてもよい。透過膜11の孔径は、特に限定されないが、可能な限り小さいことが好ましく、例えば、0.5μm以下とすることが好ましい。
【0054】
なお、透過膜11が、測定対象液に含まれる成分や浮遊物、微生物などによって汚れてしま他場合には、膜部品12ごと透過膜11を交換することも可能であるが、本実施形態の場合には、透過膜11が膜部品によって張り詰めた状態で固定されており、この透過膜11によって応答膜14が保護されているだけでなく、応答膜14自体も電極本体13に接着されているため超音波洗浄やジェット(エア)洗浄などの比較的強力な洗浄操作によって汚れを落とすことも可能である。
【0055】
電極本体13は、例えば、本実施形態のように、内部電極15及び内部液16を内部に収容する筒状のベース部13aと、ベース部13aの外周部から突出する突出部13bとを備えていてもよい。なお、電極本体13を構成する材質は、特に限定されず、電極本体13は、例えば、金属又は硬質樹脂で形成されていてもよい。また、電極本体13は、本実施形態のように、先端に、開口13cと、開口13cの外側に配置される環状の溝13dとをそれぞれ備えていてもよい。電極本体13は、PVC、ポリウレタン、エポキシ、シリコーン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、PET、PP、PE、PS、PC、PVDF、PTFE、ナイロンからなる群より選ばれる1種であってもよいし、2種以上を混合したものからなるものとしても良い。
【0056】
応答膜14は、電極本体13の内部に内部液16を封入するために、電極本体13の開口13cを覆うようにして電極本体13の先端に固定されている。これにより、応答膜14は、測定対象液と内部電極15とを電気的に絶縁している。
【0057】
例えば、本実施形態のように、応答膜14の中央部は、電極本体13の開口13cを塞ぎ、応答膜14の外周部は、電極本体13の開口部の外側に形成された環状の溝13dを塞いでいてもよいし、溝13dを覆いさらにその外側まで覆うようにしても良い。また、応答膜14は、前述した透過膜11によって電極本体13側に向けて押圧されていることにより、その外表面が、電極本体13の開口部が形成されている側の先端側へ向けて凸状となっているものとしてもよい。
【0058】
応答膜14、内部電極15及び内部液16を構成する材質は、測定対象のイオンに応じて従来用いられているものを使用することができる。硝酸イオンを検出する硝酸イオン電極5においては、内部液16として0.01Mの塩化カリウム水溶液、内部電極15は、例えば、Ag/AgCl電極を用い、応答膜14は、例えば、選択的に硝酸イオンに応答する膜を使用している。また、アンモニウムイオンを検出するイオン電極6においては、内部液16は、例えば、塩化アンモニウムを含み、内部電極15は、例えば、Ag/AgCl電極を用い、応答膜14は、例えば、選択的にアンモニウムイオンに応答する膜を使用している。
【0059】
応答膜14は、例えば、PVC等の樹脂で形成される基体と、基体に含有され、特定のイオン(硝酸イオン又はアンモニウムイオン)のみと選択的に反応するイオノフォアと、基体に含有され、PVC等の樹脂を軟質化させるための可塑剤とを含有するものである。
この応答膜14は、例えば、適切な支持体の上に、前述した成分を溶剤に溶かした溶液を滴下し、溶剤を揮発させることによって形成されるものである。
【0060】
しかして、応答膜14は電極本体13に対して、少なくとも一部が接着又は溶着されている。応答膜14は、電極本体13に形成された溝13dの内面(側面及び/又は底面)において電極本体13に対して接着又は溶着されていることが好ましい。具体的には、例えば、応答膜14の一部が前記溝13dの内部に配置されており、接着剤が電極本体13の溝13dの側面及び/又は底面に塗布され、電極本体13と応答膜14とが接着剤を介して接着されたものとなっている。接着剤としてはどのようなものを用いてもかまわないが、好ましくは、応答膜14を形成する際に用いられた溶剤などの応答膜14を溶解させることができる成分を含んだものを使用することが好ましい。さらに言えば、前記接着剤が電極本体13をも溶解させるものであり、応答膜14と電極本体13の一部が一度溶解して、その後互いに結合するものとすることが特に好ましい。このような製造工程を考慮すると、応答膜14と電極本体13とを構成する材質は、好ましくは、同じ種類の樹脂又は同じ性質の樹脂を主成分とするものであるが、これに限られない。ここで主成分とは、例えば、全体の50質量%以上を占める成分のことを意味する。
前記樹脂としては、例えば、前述したPVC以外にも、ポリウレタン、エポキシ、シリコーン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、PET、PP、PE、PS、PC、PVDF、PTFE、ナイロンからなる群より選ばれる1種であってもよいし、2種以上を混合したものであっても良い。
また、応答膜14は、電極本体13に前述したような接着剤を用いて接着又は溶着されているものに限らず、加熱処理によって応答膜14及び電極本体13の一部を溶解させて互いに押し付ける熱圧着により溶着されるものとしても良い。
本実施形態においては、応答膜14は円筒状の電極本体13の開口部を塞ぐように配置されているため、円盤状の応答膜14の電極本体13と触れている周縁部が溝13dの内部で全周にわたって電極本体13に接着又は溶着されている。これに限らず、応答膜14の周縁部の一部が溝13dの内部で電極本体13に対して接着又は溶着されているものとしてもよいし、応答膜14や電極本体13、膜部品12等の形状や構成に応じて、溝13dの内部又は外部において必要な部分が適宜接着又は溶着されているものとしても良い。
【0061】
本発明に係る水質測定装置1は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、透過膜が膜部品に固定される方法は、前述したものに限られず適宜変更してもかまわない。例えば、図8に示すように、第1被挟み部11bは、押し部13eが透過膜11を押す方向に対して傾斜方向で、内筒体17と外筒体18との間に挟まれている、という構成でもよい。また第1被挟み部と第2被挟み部のいずれか片方のみが存在するものとしても良い。
【0062】
また、膜部品と電極本体とが前述したように別部材であり着脱可能となっているものに限らず、これらが一体に形成されているものとしても良いし、例えば、外筒体のみが別部材として構成されているものとしても良い。
さらに言えば、硝酸イオンの検出には、透過膜や膜部品必須の構成ではない。
また、前記水質測定装置の測定対象物質は、前述したものに限らず、例えば、オゾン、臭素、過酸化水素等の他の無機物であってもよい。また本発明に係る硝酸イオン電極及び水質測定装置は、食品分野、水道水、飲料水、河川や沼湖の水、工業廃水、産業廃液、実験試薬、し尿、上下水、医療用試薬、空調用冷却水、浸出水処理、電子産業工場、半導体製造工場、液晶製造工場、施設内の中水回収設備、など様々な試料溶液に対して使用されてよい。さらに、本明細書中に記載したものに限らず、先行技術文献として挙げた論文に記載の構成や用途などを適宜組み合わせることも可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、前述した構成や方法等を任意に一つ選択することや、複数選択して適宜組み合わせることも可能である。
【0063】
1…水質測定装置、2…検出部、3…装置本体、3a…入力部、3b…処理部、3c… 出力部、4…通信手段、5…イオン電極、6…イオン電極、7…イオン電極、8…基準電極、9…検出部本体、10…保持部、11…透過膜、11a…カバー部、11b…第1被 挟み部、11c…第2被挟み部、12…膜部品、13…本体、13a…ベース部、13b …突出部、13c…開口、13d…溝、13e…押し部、13f…面取り部、14…応答膜、15…内部電極、16…内部液、17…内筒体、17a…開口、17b…筒本体部、 17c…突出部、17d…面取り部、18…外筒体、18a…基端部、18b…面取り部 、19…取付機構、19a…雌ネジ、19b…雄ネジ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8