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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153408
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】溶着基板、及び包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B65B51/10 Z
B65B51/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067286
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 雅和
(72)【発明者】
【氏名】田村 幸彦
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA04
3E094CA03
3E094DA01
3E094EA01
3E094GA04
3E094HA01
(57)【要約】
【課題】
特別な移動機構を用いることなく、異なる複数の容器やシート材といった載置材に対応することができ、交換に際しても便利なヒートシール手段としての溶着基板を提供することを課題とする。
【解決手段】
形状の異なる複数の載置材に対応させて封止材を熱溶着する溶着基板であって、ベース絶縁体と、前記形状の異なる複数の載置材に対応した複数の溶着経路、を備え、前記複数の溶着経路は、経路が重複する共通経路と、独立した個別経路とを有することを特徴とする溶着基板により、課題を解決した。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状の異なる複数の載置材に対応させて封止材を熱溶着する溶着基板であって、
ベース絶縁体と、
前記形状の異なる複数の載置材に対応した複数の溶着経路、
を備え、
前記複数の溶着経路は、経路が重複する共通経路と、独立した個別経路とを有する
ことを特徴とする溶着基板。
【請求項2】
形状の異なる複数の載置材に対応させて封止材を熱溶着する溶着基板であって、
ベース絶縁体と、
第1の載置材の溶着をする前記ベース絶縁体の上に設けられた第1溶着経路と、
第2の載置材の溶着をする前記ベース絶縁体の上に設けられた第2溶着経路と、
を備え、
前記第1溶着経路と前記第2溶着経路とは一部が共通する
ことを特徴とする溶着基板。
【請求項3】
前記第1溶着経路は、第1個別端子から共通端子までの経路であり、前記第1の載置材の四辺を溶着し、
前記第2溶着経路は、第2個別端子から前記共通端子までの経路であり、前記第2の載置材の四辺を溶着する
ことを特徴とする請求項2に記載の溶着基板。
【請求項4】
前記第2溶着経路は、前記第1溶着経路よりも経路長が大きいものであり、
前記第1個別端子と前記第2個別端子と前記共通端子とは、前記第2溶着経路の四辺のうちの一辺の上又は近傍に配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の溶着基板。
【請求項5】
前記第1溶着経路及び前記第2溶着経路は、電熱線が用いられたものであり、
前記ベース絶縁体は、前記第1溶着経路及び前記第2溶着経路が設けられる面とは異なる面に、前記電熱線を固定する固定用パッドと、を有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の溶着基板。
【請求項6】
前記ベース絶縁体は、
前記電熱線の2つが交差する位置において、前記ベース絶縁体の厚み方向に貫通する加工用穴と、
前記電熱線を前記異なる面に折り返す位置において、前記ベース絶縁体の側面に設けられる折返し用溝と、を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の溶着基板。
【請求項7】
特殊形状の載置材に対応させて封止材を熱溶着する溶着基板であって、ベース絶縁体と、特殊形状の載置材に対応した溶着経路、を備え、前記溶着経路は、矩形の四隅が丸みを帯びた形状とされている
ことを特徴とする溶着基板。
【請求項8】
前記請求項1~4,7の何れか一項に記載の溶着基板を備えた包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被包装物を載せた載置材に被せたフィルムを前記載置材の端部周辺に溶着するための溶着基板、及び当該溶着基板を備えた包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の包装機として、被包装物を載置台に置いて機体内に押し込み、ヒートシール後に載置台が搬出機構により自動的に機体外に押し出されるように構成することによって、利便性を向上させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-261102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の包装機におけるヒートシール手段は、円筒状の発熱ローラーを用いてヒートシールするものであって、装置が大掛かりであるため、ヒートシール手段のメンテナンスや故障による交換に際しての費用や作業時間等が馬鹿にならないものであった。ローラータイプでないヒータ装置を用いるものもあったが、装置の大型化によりコストが高くつく点では変わりがないものであった。また、小トレーや大トレーといった異なるサイズのトレーに対応するためには、ヒータの一部を移動させる機構が必要とされ、四辺それぞれの辺の集積度を向上させることが困難であった。さらに、ヒートシールされる形状は、矩形に限られ、例えば、丸みを帯びた形状などでのヒートシールをすることはできないという問題もあった。
本発明は、特別な移動機構を用いることなく、異なる容器やシート材といった載置材に対応することができ、交換に際しても便利なヒートシール手段としての溶着基板を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の溶着基板は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
形状の異なる複数の載置材に対応させて封止材を熱溶着する溶着基板であって、ベース絶縁体と、前記形状の異なる複数の載置材に対応した複数の溶着経路、を備え、前記複数の溶着経路は、経路が重複する共通経路と、独立した個別経路とを有することを特徴とする。
ここで、「載置材」とは、底面と側面を持ち深さを有する「容器」の他に、一枚ペラ状のシート材をも含む概念である。近時、シート材を用いた包装は、従来のトレーによる包装に比較して、プラスチック使用量を大幅に抑えることができることから、サステナブル素材として注目されている。
【0006】
また、本発明の包装機は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
形状の異なる複数の載置材に対応させて封止材を熱溶着する溶着基板を備えた包装機であって、ベース絶縁体と、前記形状の異なる複数の載置材に対応した複数の溶着経路、を備え、前記複数の溶着経路は、経路が重複する共通経路と、独立した個別経路とを有することを特徴とする。
また、本発明の包装機は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
特殊形状の載置材に対応させて封止材を熱溶着する溶着基板であって、ベース絶縁体と、特殊形状の載置材に対応した溶着経路、を備え、前記溶着経路は、矩形の四隅が丸みを帯びた形状とされていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る包装機の外観を示す斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る包装機の外観を示す上面図。
図3】本発明の実施形態に係る包装機の筐体を外した内部を示す斜視図。
図4】本発明の実施形態に係る包装機の筐体を外した内部を示す左側面図であって、(a)は大サイズのトレー対応時、(b)は小サイズのトレー対応時を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る包装機のトレー突き上げ部の突き上げ動作を説明する左側面図であって、(a)はトレー突き上げ部が最下段に位置する状態を、(b)は中段に位置する状態を、(c)は最上段に位置する状態を、それぞれ示す図。
図6】本発明の実施形態に係る包装機のトレー突き上げ部と排出部を示す斜視図。
図7】本発明の実施形態に係る包装機のトレー突き上げ部と排出部を示す上面図。
図8】本発明の実施形態に係る包装機のトレー突き上げ部と排出部を示す斜視図であって、異なるサイズのトレー突き上げ部が装填された様子を示す図。
図9】本発明の実施形態に係る包装機のトレー突き上げ部と排出部を示す上面図であって、異なるサイズのトレー突き上げ部が装填された様子を示す図。
図10】本発明の実施形態に係る溶着基板の背面図。
図11】本発明の実施形態に係る溶着基板について、電熱線を取付ける前の様子を示す背面図。
図12】本発明の実施形態に係る溶着基板について、電熱線を取付ける前の様子を示す平面図。
図13】本発明の実施形態に係る溶着基板の側断面図。
図14】本発明の別の実施形態に係る溶着基板の背面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る包装機及び溶着基板の実施の形態の一例を図面に基づいて説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
(全体構成)
図1及び2は、本発明の実施形態に係る包装機の外観を示すものであって、図1は斜視図であり、図2は上面図である。また、図3は包装機の筐体を外した内部を示す斜視図であり、図4は包装機の筐体を外した内部を示す左側面図であって、(a)は大サイズのトレー対応時、(b)は小サイズのトレー対応時を示している。
【0010】
図1及び2に示す本発明の実施形態に係る包装機100は、被包装物を載せたトレーTを機内に搬入しつつ、ヒートシール処理を行った後の搬出までの一連の動作を自動で行うものである。より、具体的には、図2において矢印を用いて示すように、包装機100は、被包装物を載せたトレーTを載置部1に載せると、トレーTがヒートシール部2を有する機内に搬入され、機内においてトレーTを上方に突き上げることによって、機内上方位置に吊架されたフィルムにトレーTの縁部を当接させ、フィルムを熱溶着してシール包装した後、搬入方向と直交する搬出方向にトレーTを移動させて第1排出台3に排出し、さらに、搬入方向逆向きにトレーTを移動させて第2排出台4まで送るように構成されている。本発明の実施形態においては、サイズの異なる大小2種類のトレーTに対応できるようにされている。なお、縁部については、トレーの四辺全部を対象とする縁部でなくても、適切な包装処理を行えるのであれば、縁部の一部であるトレーの端部であってもよい。
【0011】
載置部1は、秤になっており、載置された被包装物及びトレーTの重量を計量するように構成されている。また、載置部1には、2つの無端ベルト111、111を備えた搬入移送部11が設けられており、ヒートシール部2を有する機内に向けて載置されたトレーTを搬入できるよう構成されている。より詳細には、図3,4に示されるように、搬入移送部11は、その周面上に爪112,112を有する2つの無端ベルト111,111で構成されており、爪112,112がトレーTの縁部を押すことによって、搬入方向へのトレーTの移動が行われる。なお、図3並びに図4(a)及び(b)では、それぞれの無端ベルトに沿って2つの爪112(図3においては2列の合計で4つの爪112)が近接するように描かれているが、爪112が移動する様子を分かり易くするために描かれているのであって、実際には、無端ベルト111を半周した位置に1つずつ、合計で2つの爪112(2列の合計で4つの爪112)が位置するようにされている。この爪112が周回することによって、ヒートシール部2を有する機内へのトレーTの搬入が行われる。図4(a)及び(b)においてトレーTより左側に描かれている爪112は、実際には、トレーTの機内への搬入が完了した後、速やかに、トレー突き上げ部23と干渉しない位置に移動する。
【0012】
ヒートシールがされたトレーTは、図3に示される駆動ローラーで構成される排出部21によって、搬入方向とは直交する搬出方向に移送され、第1排出台3へ向けて排出される。第1排出台3も駆動ローラーを備えており、搬入方向逆向きにトレーTを移動させて第2排出台4まで送る。第2排出台4には傾斜がつけられており、トレーTはその自重で移動するため、第2排出台4のローラーは駆動力を持たない単なるコロである。なお、図1図2に示されるように、第1排出台3の上方には、正面に表示部やテンキー、タッチパネル等の操作部、ラベル印字のための印字部を有し、内部に制御手段を有するコンソール5が配設されている。
【0013】
ヒートシール部2を有する機内について概括すると、トレー突き上げ部23、機内に装填されたロールフィルムRを引き出してヒートシール処理ができるようにするためのフィルムフィード部24、ヒートシール処理を行うための発熱部、ヒートシール処理が完了した後の包装済みトレーTを排出する排出部21が設けられている。
【0014】
本実施形態において、ロールフィルムRは、その中心孔に軸を通して支持されているが、ロールフィルムR下面の4箇所を片持ち支持する4つのローラーで支持するような構造としてもよい。引き出されたフィルムは、その先端がフィルムフィード部24により挟持(クランプ)される。図4(a)及び(b)からは、フィルムフィード部24が異なる位置までフィルムを引き出している様子を確認することができる。このように、フィルムフィード部24は、フィルムサイズに応じて設定される異なる距離の区間を往復移動するように構成されており、ヒートシール処理が実行される都度、新たなフィルムを供給する。フィルム挟持部は、フィルムの幅方向全幅を挾着するように構成されており、フィルムが挟持されない部分がないので、フィードした際に皺が生じることがない。
【0015】
引き出されたフィルムに対向するようにヒータ部材としての溶着基板(発熱部)が配設されている(図3においては、紙面裏側に配設される状態なので見えない。)。トレー突き上げ部23によりトレーTが上昇移動させられた際には、トレー突き上げ部23と溶着基板とで、トレーTの縁部とフィルムを挟む状態でトレーTの縁部に沿ってフィルムが熱溶着される。
【0016】
(トレー突き上げ部の動作)
図5は、トレー突き上げ部23の動作を説明するための左側面図であるが、筐体やフィルムフィード部24は図示されていない。図5(a)では、載置部1に置かれたトレーTが搬入移送部11の爪112に押されて、ヒートシール部2を有する機内に押し込まれる途中のトレーTと、ヒートシール部2を有する機内に搬入されたトレーTの両方が、説明のために描かれているが、実際には、一つのトレーTしか存在せず、搬入途中と搬入完了済みのトレーTが同時に存在することはない。ただし、トレーTの機内への搬入が完了した後には、載置部1に次に包装対象となる新たなトレーTを置くことが可能となるため、搬入完了済みのトレーTと待機中のトレーTが同時に存在することはあり得る。また、図5においては図示されていない筐体の内面側板には、トレー突き上げ部23を昇降動させる移動機構が存在し、当該移動機構に対して、トレー突き上げ部23が連結可能(取り外し可能)とされている。また、図5(a)において示されているトレー突き上げ部23の上端のやや上方には、3つの近接センサが設けられていて、トレー突き上げ部23の初動時に、適切なトレー突き上げ部23が装填されているか検知することができるようにされている。
【0017】
図5(b)は、トレー突き上げ部23が上昇する途中の段階を示している。トレー突き上げ部23が上昇していくと、矩形状の枠体であるトレー突き上げ部23内にトレーTが入り込む。この際、搬入移送部11の爪112での移送の勢いが強すぎて、多少トレーTの移動が大きくなりすぎ、適正位置からやや外れた状態に置かれていたとしても、トレーの側面には傾斜が付けられているため、位置が矯正されて、トレー突き上げ部23内にトレーTが自然に入り込むようになっている。
【0018】
図5(c)は、さらに、トレー突き上げ部23が上昇して、トレーTが図示されないフィルムフィード部の位置まで押し上げられている様子を示している。図4(a)及び(b)は、この状態を示しているものと理解することも可能であり、トレー突き上げ部23がフィルムフィード部24と略同じ高さ位置まで上昇した状態を示している。
【0019】
(トレー突き上げ部と排出部の関係)
図6及び図7を用いて、トレー突き上げ部23と排出部21の関係について説明する。図6は、本発明の実施形態に係る包装機100のトレー突き上げ部23と排出部21を示す斜視図であり、図7は、本発明の実施形態に係る包装機100のトレー突き上げ部23と排出部21を示す上面図である。本発明の実施形態に係る包装機100は大小2つのサイズの異なるトレーTに対応できるように構成されているところ、図6及び7は大サイズのトレーTに対応させる場合を示している。図6及び7において、大きく描かれた矢印はトレーTの移動方向を表しており、図6において、小さく描かれた矢印はトレー突き上げ部23の昇降動の動作を表している。
【0020】
被包装物を載せたトレーTを載置部1に載せると、トレーTが機内に搬入される。機内の搬入口にはトレーTの通過を検知するセンサ(不図示)が設けられており、トレー搬入時に搬入移送部11が起動してから最初のセンサを遮るまでの時間でトレーサイズを検知するように構成されている。すなわち、大サイズのトレーTであれば早くセンサ位置に到達するという機序を利用している。次いで、機内においてトレー突き上げ部23を上昇させることによって、トレーTを上方に突き上げて、フィルムの熱溶着処理をしてシール包装した後、トレー突き上げ部23が降下し、トレーTが元の高さ位置に置かれる。その後、排出部21が、搬入方向と直交する搬出方向に位置する第1排出台3に向けてトレーTを排出する。本発明の実施形態において、排出部21は、8つの駆動ローラーにより構成されており、その何れもが、トレー突き上げ部23の内側に配設されている。8つの駆動ローラーは、トレーTを、支持しつつ、第1排出台3に向けて送り出すようにされている。
【0021】
トレー突き上げ部23には、重量物を突き上げるに際しての工夫もされている。トレー突き上げ部23は、単なる矩形状でなく、支持部を備えている。排出部21の8つの駆動ローラー間の間隔のうち6箇所は等間隔であるが、右ないし左から数えて4つ目と5つ目の駆動ローラーの間隔は他の箇所よりも大きな幅とされていて、当該大きな幅の部分、すなわち、排出部21の間を通過する支持部材(不図示)がトレー突き上げ部23に設けられており、トレー上昇時には、支持部材(不図示)が排出部21の間を上下に通り抜けることになる。この支持部材(不図示)が、トレーの中央部を支持することで、トレーの縁部を支える作用と協働するようになっている。これは、重量物が載置された際のトレーTの撓みを生じさせないようにするためである。支持部材の形状は、枠の両端を結ぶようにしてもよいし、途中で分断されるようにしてもよい。
【0022】
排出部21の8つの駆動ローラーとは別に6つのローラーが設けられており、これらについてもトレー突き上げ部23の内側に配設されている。6つのローラーは、大サイズのトレーTを支持するものの、駆動力は有しておらず、自由回転のできるローラーとして支持部22として機能することになる。8つの駆動ローラーからなる排出部21に対して数の異なる6つのローラーで同じ推進力を与えるには、自由回転の方が複雑な制御が必要でなく有利であるが、支持部22に相当するローラーにも駆動力を与えるようにしてもよく、そのような構成とした際には、大サイズのトレーTの処理時には6つのローラーも駆動し、小サイズのトレーTの処理時には6つのローラーは駆動させないといった駆動制御の切り替えを行うとよい。
【0023】
第1排出台3には、10本の駆動ローラーが配設されており、搬入方向とは逆向きの操作者が位置する第2排出台4に向けて、トレーTを移送させる。第2排出台4には傾斜がつけられており、トレーTはその自重で移動するため、第2排出台4のローラーは駆動力を持たない単なるコロである。
【0024】
これらのトレーTの一連の移動態様から理解されるように、本発明の実施形態に係る包装機100においては、操作者がトレーTを載置部1に載せると直ちにトレーTが機内に搬入され、ヒートシール処理がされたトレーTが、載置部1の隣に位置する第2排出台4に速やかに排出されてくることになる。載置部1からトレーTが機内に搬入されれば、載置部1には、すぐさま次の被包装対象となるトレーTを置くことが可能となる。すなわち、一の包装処理が完全に終了するのを待ってから次の被包装物を載置台に置くような必要がない。また、第2排出台4は載置部1の隣に位置しているため、包装が完了したトレーTを取り上げることも円滑に行える。包装前のトレーTのセットと包装完了後のトレーTの取り上げという作業の双方を一人の操作者によって円滑に行うことができ、包装処理の作業効率が大幅に向上したものとなる。
【0025】
図8及び図9を用いて、小サイズのトレーTを処理する際のトレー突き上げ部23と排出部21の関係について説明する。図8は、本発明の実施形態に係る包装機100のトレー突き上げ部23と排出部21を示す斜視図であり、図9は、本発明の実施形態に係る包装機100のトレー突き上げ部23と排出部21を示す上面図である。ただし、いずれの図も、小サイズのトレーTを包装処理する際の態様を示したものである。図8及び9において、大きく描かれた矢印はトレーTの移動方向を表しており、図8において、小さく描かれた矢印はトレー突き上げ部23の昇降動の動作を表している。
【0026】
被包装物を載せたトレーTを載置部1に載せると、トレーTが機内に搬入される。先述した機内の搬入口に設けられたセンサ(不図示)によって、小サイズのトレーTであることを確認し、次いで、機内においてトレー突き上げ部23を上昇させることによって、トレーTを上方に突き上げて、フィルムの熱溶着処理をしてシール包装した後、トレー突き上げ部23が降下し、トレーTが元の高さ位置に置かれる。その後、排出部21が、搬入方向と直交する搬出方向に位置する第1排出台3に向けてトレーTを排出する。本発明の実施形態において、排出部21は、8つの駆動ローラーにより構成されており、その何れもが、トレー突き上げ部23の内側に配設されている。一方で、トレー突き上げ部23は、単なる矩形状でなく、排出部21の8つの駆動ローラーを4つずつに分ける真ん中を通る中桟を有している。8つの駆動ローラーは、トレーTを、支持しつつ、第1排出台3に向けて送り出すようにされている。
【0027】
図8ないし9から確認できるように、8つの駆動ローラーはトレー突き上げ部23の内側に配設されているものの、6つのローラーはトレー突き上げ部23の外側に位置しており、トレー突き上げ部23の一部は、8つの駆動ローラーと6つのローラーの間を上下動するように構成されている。図6図8とでは、トレー突き上げ部23のサイズが異なるものとなっているからである。言うまでもなく、サイズの異なる大小2つのサイズのトレーTに対応するための構成である。具体的に、トレー突き上げ部23は、これを駆動するための移動機構(不図示)に連結可能(取り外し可能)とされている。
【0028】
第1排出台3には、10本の駆動ローラーが配設されており、搬入方向とは逆向きの操作者が位置する第2排出台4に向けて、トレーTを移送させる。第2排出台4には傾斜がつけられており、トレーTはその自重で移動するため、第2排出台4のローラーは駆動力を持たない単なるコロである。
【0029】
一の包装処理が完全に終了するのを待ってから次の被包装物を載置台に置くような必要がないことや、包装が完了したトレーTを取り上げることも円滑に行えることは、大サイズのトレーTについてした説明と同様であるが、このことに加えて、本発明の実施形態の包装機100は、サイズの異なるトレーTに簡便に対応することが可能という利点がある。すなわち、サイズの異なるトレーTごとに包装機を用意しておく必要はなく、また、サイズ交換に際して、大掛かりな機構上の設定変更をしなければならないということもなく、トレー突き上げ部23の交換とコンソール5での設定操作だけで対応することができるものであって、非常に使い勝手が良く、全体の処理効率にも寄与するものである。
【0030】
(トレーサイズに応じた発熱部の制御)
トレー突き上げ部23のサイズとトレーTのサイズとの関連に対応させた発熱部の制御処理や関連する制御処理について説明する。先述したように、本発明の実施形態の包装機100は、トレー突き上げ部23の交換とコンソール5での設定操作だけで、サイズの異なる大小2種類のトレーTに対応できるものである。例えば、大サイズのトレー突き上げ部23を装填するとともに、大サイズの設定をすると、フィルムフィードの量と発熱部の発熱領域も大サイズのトレーTに対応したものとなる。小サイズの場合も同様である。
【0031】
ところで、操作者の錯誤により、コンソール5で設定されたサイズと実際に装填されたトレー突き上げ部23のサイズが異なる状況や、設定サイズとトレー突き上げ部23のサイズは一致するものの、載置部1に置かれたトレーTのサイズが異なる状況が生じる場合がある。特に、コンソール5での設定は、「大」、「小」との別で行われるのでなく、利便性を考えて、コンソール5で商品コード等によって呼び出した商品に対応させて自動的にサイズ設定がされるように構成されることがある。こうした場合、たとえ、呼び出した商品に対応した大小サイズがコンソール画面に表示されるように構成されていても、それを見落とすことや敢えて見ないで操作を続けてしまうことがあり、サイズの勘違いということが却って生じてしまう虞がある。しかし、本発明の実施形態の包装機100は、先述したように、トレー突き上げ部23の初動位置近傍に配置される3つの近接センサや、機内の搬入口に配置されるトレーTの通過を検知するセンサを備えているため、設定ミス等に適切に対処できるようになっている。
【0032】
トレー突き上げ部23を装填して、コンソール5で装填を完了した旨の操作を行うと、トレー突き上げ部23は初期動作として一定範囲での昇降動作を行い、3つの近接センサがトレー突き上げ部23を検知するかを確認する。3つとも検知が行われれば、大サイズであると判断し、2つの検知であれば小サイズであると判断する。ごく稀にではあるが生じる可能性のある装填し忘れについても判断できるように、1つのセンサはトレー突き上げ部23が装填されていなくても反応する移動機構を検知するように構成されている。呼び出した商品の対応トレーのサイズとトレー突き上げ部23のサイズが対応していない際には、コンソール5にて出力される画像や音声で警告したり、包装機のその後の動作を停止させたりする等の適宜の制御を行う。また、設定誤りという観点に止まらず、設定された、ないし、検知されたサイズを認識できるように、コンソール5の表示画面に、「大」や「小」といった文字表示をさせたり、画面背景を変更したりするように構成してもよい。また、3つの近接センサでトレー突き上げ部23のサイズを判定することによって、サイズ設定により決定済みのフィルムフィードの量や発熱部の発熱領域が、近接センサで判定されたサイズと異なってしまう事態が生じた場合に、これらの量や領域を適切なものに修正することが可能となる。なお、フィルムフィードの量や発熱部の発熱領域を、そもそも設定しないようにして、トレー突き上げ部23のサイズが検知及び判定されてから、その都度、フィード量や発熱領域を制御するように構成してもよい。
【0033】
機内の搬入口に配置されるトレーTの通過を検知するセンサは、トレー搬入時に搬入移送部11が起動してから最初のセンサを遮るまでの時間でトレーサイズを検知することができるものであるが、この構成によって、例えば、設定された、ないし、検知されたトレー突き上げ部23が大サイズであるのに、トレーサイズが小であった場合に、包装機の動作を停止させたり、搬入移送部11に適宜のリジェクト機構を設けてトレーを載置部1の初期位置に戻したりする制御を実行させることが可能となる。或いは、包装処理を実行せずに、トレーTを第1排出台3に移動させ、第2排出台4まで移動させるようにしてもよく、このようにすれば、搬入移送部11にリジェクト機構を設ける必要もなくなる。
【0034】
(本発明の実施形態に係る溶着基板)
図10は、本発明の実施形態に係る溶着基板の背面図である。包装機に取り付けられた際に溶着基板の発熱部は下方に面することになるので、図10は背面図ということになる。エポキシ樹脂製のベース絶縁体Bに、図面視左右及び上下に延びる線状の発熱部が固定されている。先述したように、コンソール5でのサイズ設定により、或いは、トレー突き上げ部23のサイズの検知及び判定により、フィルムフィードの量と発熱部の発熱領域が決定され、発熱部については、小さな領域が発熱される態様と大きな領域が発熱される態様とに切り替え制御される。小さな領域が発熱される場合には、第1個別端子であるFT11の電極が選択され、大きな領域が発熱される場合には、第2個別端子であるFT21の電極が選択され、通電がなされる。FTCは共通端子である。FT11、FT21、FTCは電線ワイヤと接続する際に用いられる平形接続端子、いわゆるファストン端子(登録商標)である。第1個別端子B11、第2個別端子B21、共通端子BCはベース絶縁体Bの裏側における端部であり、発熱部が第1個別折返し用孔BW11、第2個別折返し用孔BW21、共通折返し用孔BWCを貫通してベース絶縁体Bの表側に折り返された後にFT11、FT21、FTCに到達する。
【0035】
線状の領域である発熱部につき、本実施形態においては、電熱線(二クロム線)が用いられているが、導電することによって発熱するものであれば、銅箔などの別の材料も採用し得るものである。図10に示されるように、線状の発熱部は、全体として、小さな矩形と大きな矩形を形成している。B1の引出線が延びている小さな矩形の領域は、第1個別端子B11を起点とする図面視の水平部分において個別経路を成した後、図面視の上下部分、その後に続く水平部分、さらにその後に続く上下部分を経て共通端子まで到達する共通経路と合わせて第1溶着経路を形成している。B2の引出線が延びている大きな矩形の領域は、第2個別端子B21を起点とする図面視における若干の上下部分を経て水平部分において個別経路を成した後、図面視の上下部分、その後に続く水平部分、さらにその後に続く上下部分を経て共通端子まで到達する共通経路と合わせて第2溶着経路を形成している。
このような溶着経路と端子との関係について述べれば、第2個別端子B21及び共通端子BCは第2溶着経路の上に配置され、第1個別端子B11は第2溶着経路の近傍に配置されているということができる。このことから、溶着に寄与しない発熱部分を極力小さくすることができる。
なお、第1個別折返し用孔であるBW11の電極、第2個別折返し用孔であるBW21の電極及び共通折返し用孔であるBWCの間隔は、図示上は離れて描かれているが、説明のためであって、実際には、かなり近接した距離となっている。当該距離は、近接していても絶縁材の保護によりショートしないものであり、かつ、十分な熱量を印加することによって、当該距離による隙間部分にも熱が行き届くような距離に設定されている。このことにより、包装後に、溶着箇所に隙間が生じることなく、完全に密封された包装が可能とされている。
【0036】
図10に示されるように、電熱線は、大小の矩形領域の外側にも延びているが、矩形領域の外側の部分は電流経路ではなく、したがって、発熱はなされない。当該部分は、電熱線を基板に固定するためのものである。このことを説明するために、本発明の実施形態に係る溶着基板について、電熱線を取付ける前の背面図及び平面図を、それぞれ図11及び図12に示す。図11の背面図及び図12の平面図に共通して、矩形領域の外周であって、電熱線がベース絶縁体Bの外周端に到達する箇所には、電熱線を折返す際の手掛かりとなる折返し用溝BDが設けられている。折返された電熱線は、図12に示される固定用パッドBPに半田付けされる。しかし、この固定用パッドBPは電極として用いられるものではなく、電熱線をベース絶縁体Bに対して、飽くまで、半田付け固定するだけのために用いられるものである。斯くして、電熱線は、ベース絶縁体Bの平面視において、左右に、或いは、上下に架け渡された後、端部で折返され、ベース絶縁体Bの表側の面において、半田付けされることによって、固定がされることになる。このような、折り返し用溝BDにより電熱線の経路を一意に決定することが出来、固定用パッドBPにより電熱線の一方を半田付・固定してからテンションを掛けながら他方の電熱線端部を対向する固定用パッドBPに這わせることができるため、たるみの無い電熱線の取り付けを可能にする。これらの構成により、当該溶着基板の製造を簡潔に行えるようになる。
【0037】
図11の背面図及び図12の平面図に共通して示されるように、ベース絶縁体Bには、2つの電熱線が交差する位置にベース絶縁体の厚み方向に貫通する加工用穴BHが設けられている。当該箇所で、交差している電熱線の表裏から溶接具を接触させることによって、電熱線どうしを熱溶着させるために設けられた、作業をするための穴である。
【0038】
ベース絶縁体Bに固定された電熱線は、その上から耐熱性のガラスシートが貼り付けられるようにして、電熱線が直接フィルムに接触しないように構成されている。すなわち、包装機100の構成としては、電熱線の下にガラスシートが配置されることになる。ガラスシートは溶着基板から簡単に外せるように構成されており、メンテナンスに容易に対応できるようになっている。例えば、1万回のヒートシール処理で、ガラスシート交換を行い、10万回のヒートシール処理で、溶着基板ごとの交換を実行するといった対応が可能である。コンソール5内の制御基板の記憶装置に、ヒートシール処理の実行回数を記憶させておき、適宜アラート処理をさせるようにすると便利である。なお、電熱線のフィルムへの接触防止構成としては、ガラスシートに限定されるものではなく、剥離性に優れ、耐熱性のある素材であれば良く、例えばテフロン(登録商標)シートなどにより、フィルムを保護する構成であっても良い。
従来の装置でのヒータの交換は、装置全体の構成に及ぶ大掛かりなものであったが、本発明の実施形態において、溶着基板は故障があった場合に、当該ユニットだけの交換が可能となっており、交換作業が簡便なものとされている。
【0039】
図13は、本発明の実施形態に係る溶着基板の側断面図である。共通折返し用孔BWCを貫通してベース絶縁体Bの表側に折り返された電熱線は、共通端子(平形接続端子FTC)まで延設されているが、その中間程の電熱線の図面視で上に2つの絶縁テープISが配設され、2つの絶縁テープISの間には、熱電対THが挟み込まれるように配置されており、その上には、押さえつけゴムRUを介して、圧接・固定具PRにより、全体が固定されている。この熱電対THにより電熱線の温度を測定し、適正な発熱量となるように、電流を制御するようにしている。この熱電対THの配置は、固定用パッドBPを端部とした電流の流れない経路ではなく、電極を端部とした電流の流れる経路の途中に設けることで、電熱線の温度の測定を可能としている。また、熱電対THの配置は、表面に配線された電熱線のみの温度を計測できるように、裏面側に電熱線が配線されていない位置としている。仮に、裏面にも電熱線が配線されている場合、熱電対THは表面の発熱と裏面の発熱の両方の熱を測定し、正しい発熱量を測定できないという問題を抱えることになる。
先に説明したように、本発明の実施形態係る溶着基板の機械的構造は交換作業に大きく利するものである。このことに加えて、特に、平形接続端子FTC、いわゆるファストン端子(登録商標)が採用されていることによって、ヒータ基板の故障があった際のユニット交換をさらに作業性の良いものとすることができる。
さらに、本発明の実施形態係る溶着基板の機械的構造と電気回路との構成から、次のようなメリットも享受することが可能となる。溶着の際に出力する電力は一定であるため、電熱線をフィルム溶着温度に上昇させるには、当該電力を出力する時間を制御することで、必要温度を得ているところ、当該出力時間と電熱線による検出温度とから、電熱線を1℃上昇させるために必要な出力時間をサンプリングすることができる。このサンプリング情報を用いることで、包装(溶着)可能温度までの待機時間を示すことや、当該溶着デバイス(電力出量部、電熱線、熱電対)が正しく機能しているのかを確認するフィードバックとして利用することができ、故障や接続漏れ等を早期に発見することができる。
上記は出力される電力が一定という条件で時間を制御したが、出力電力が可変であれば、電力と検出温度とから、電熱線を1℃上昇させるために必要な出力時間をサンプリングすることも可能である。
【0040】
(別の実施形態に係る溶着基板)
図14は、別の実施形態に係る溶着基板の背面図である。エポキシ樹脂製のベース絶縁体Bに、矩形状であるが、四つ角が曲線状に面取りされた特殊形状の電熱線である特殊溶着経路BRが配設されている。シート状のニクロム線を所望の形状で打ち抜くことで、電熱線を形成することが可能である。ベース絶縁体Bへの固定は、複数の孔を適宜箇所に穿設して、当該箇所での山盛り半田で固定する態様や、ベース絶縁体Bに溝を掘り、その溝に沿うように、電熱線を埋め込む等の種々の手法を採用し得るが、図14の例では、ベース絶縁体の4箇所に折返し用孔BWが穿設されており、折り返した先で固定用パッドBPがそれぞれ独立して存在しているため、これを利用して固定ができるようになっている。図から理解できるように、矩形の四辺に対応する5つの直線部(一つは、プラス及びマイナス端子との接続のために、途中で切断されている)と四隅に対応する4つの曲線部を貼り合わせて形成されている。曲線部のサイズが小さいので、打ち抜き加工がし易くなっている。また、端部での折返しでなく、折返し用孔BWを利用しているため、材料となる二クロム線の無駄を抑えることができる。
このような曲線部を有する電熱線をベース絶縁体Bに固定することは、一般的には手間となるが、図14のように、曲線部の接線に沿った直線状にも電熱線を延長することで、折り返し用孔BWを経由した固定用パッドに固定することが出来る為、曲線部の位置を一意に固定することが出来、製造容易な構造としている。
これにより、四つ角が丸みを帯びた容器やシートについても、確実な溶着を行うことが可能となる。
【0041】
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は被包装物を載せたトレーに被せたフィルムを前記トレーの縁部に溶着するための溶着基板、及び当該溶着基板を備えた包装機に関する。
[背景技術]
従来の包装機として、被包装物を載置台に置いて機体内に押し込み、ヒートシール後に載置台が搬出機構により自動的に機体外に押し出されるように構成することによって、利便性を向上させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2003-261102号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
特許文献1に記載の包装機におけるヒートシール手段は、円筒状の発熱ローラーを用いてヒートシールするものであって、装置が大掛かりであるため、ヒートシール手段のメンテナンスや故障による交換に際しての費用や作業時間等が馬鹿にならないものであった。ローラータイプでないヒータ装置を用いるものもあったが、装置の大型化によりコストが高くつく点では変わりがないものであった。また、小トレーや大トレーといった異なるサイズのトレーに対応するためには、ヒータの一部を移動させる機構が必要とされ、四辺それぞれの辺の集積度を向上させることが困難であった。
[課題を解決するための手段]
(1)以上説明したように、本実施形態の一態様は、形状の異なる複数の載置材に対応させて封止材を熱溶着する溶着基板であって、ベース絶縁体(B)と、前記形状の異なる複数の載置材に対応した複数の溶着経路(B1,B2)、を備え、前記複数の溶着経路は、経路が重複する共通経路と、独立した個別経路とを有することを特徴とする溶着基板である。
【0042】
上記構成によれば、形状の異なるトレーに対応した溶着を行うことが可能となる他、電熱線の一部を共有して無駄がない溶着基板を提供することができる。
【0043】
(2)本実施形態の一態様は、形状の異なる複数の載置材に対応させて封止材を熱溶着する溶着基板であって、ベース絶縁体(B)と、第1の載置材の溶着をする前記ベース絶縁体の上に設けられた第1溶着経路(B1)と、第2の載置材の溶着をする前記ベース絶縁体の上に設けられた第2溶着経路(B2)と、を備え、前記第1溶着経路と前記第2溶着経路とは一部が共通することを特徴とする溶着基板である。
【0044】
上記構成によれば、大小異なるサイズのトレーに対応した溶着を行うことが可能となる他、電熱線の一部を共有して無駄がない溶着基板を提供することができる。
【0045】
(3)本実施形態の一態様は、(2)に記載の溶着基板において、前記第1溶着経路(B1)は、第1個別端子(B11)から共通端子(BC)までの経路であり、前記第1の載置材の四辺を溶着し、前記第2溶着経路(B2)は、第2個別端子(B21)から前記共通端子(BC)までの経路であり、前記第2の載置材の四辺を溶着することを特徴とする。
【0046】
上記構成によれば、電熱線に加えて、端子の一部を共有することが可能となり、無駄がない溶着基板を提供することができる。
【0047】
(4)本実施形態の一態様は、(2)又は(3)に記載の溶着基板において、前記第2溶着経路(B2)は、前記第1溶着経路(B1)よりも経路長が大きいものであり、前記第1個別端子(B11)と前記第2個別端子(B21)と前記共通端子(BC)とは、前記第2溶着経路の四辺のうちの一辺の上又は近傍に配置されていることを特徴とする。
【0048】
上記構成によれば、発熱しない領域を極力小さくして、実質的に、四辺全域が発熱するように構成することが可能となる。
【0049】
(5)本実施形態の一態様は、(2)又は(3)に記載の溶着基板において、前記第1溶着経路(B1)及び前記第2溶着経路(B2)は、電熱線が用いられたものであり、前記ベース絶縁体(B)は、前記第1溶着経路(B1)及び前記第2溶着経路(B2)が設けられる面とは異なる面に、前記電熱線を固定する固定用パッド(BP)と、を有することを特徴とする。
【0050】
上記構成によれば、簡単な構成で、電熱線を確実に固定することができる。
【0051】
(6)本実施形態の一態様は、(5)に記載の溶着基板において、前記ベース絶縁体(B)は、前記電熱線の2つが交差する位置において、前記ベース絶縁体の厚み方向に貫通する加工用穴(BH)と、前記電熱線を前記異なる面に折り返す位置において、前記ベース絶縁体の側面に設けられる折返し用溝(BD)と、を有することを特徴とする。
【0052】
上記構成によれば、電熱線の固定をより確実なものとすることができる。
【0053】
(7)本実施形態の一態様は、特殊形状の載置材に対応させて封止材を熱溶着する溶着基板であって、ベース絶縁体(B)と、特殊形状の載置材に対応した溶着経路、を備え、前記溶着経路は、矩形の四隅が丸みを帯びた形状とされていることを特徴とする溶着基板である。
【0054】
上記構成によれば、四つ角が丸みを帯びた容器やシートについても、確実な溶着を行うことが可能となる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、溶着経路は2つのものとして実施例の説明をしたが、3以上の異なる溶着経路を設定してもよく、図10で示される第2溶着経路B2の下に、第3溶着経路を設けても良い。共通端子BCと第2個別端子を、より下方に配置することで対応することができる。溶着に寄与しない発熱部分が少々生じることになるが、然程の問題とはならない。
また、実施形態は、トレーへの溶着として説明したが、シート材に対して溶着を行う包装であっても良いことは勿論のことである。
【符号の説明】
【0056】
100 包装機
1 載置部
11 搬入移送部
111 無端ベルト
112 爪
2 ヒートシール部
21 排出部
22 支持部
23 トレー突き上げ部(トレー保持部)
24 フィルムフィード部
3 第1排出台
4 第2排出台
5 コンソール
T トレー
R ロールフィルム
B ベース絶縁体
B1 第1溶着経路
B2 第2溶着経路
B11 第1個別端子
B21 第2個別端子
BC 共通端子
BD 折返し用溝
BP 固定用パッド
BH 加工用穴
BWC 共通折返し用孔
BW11 第1個別折返し用孔
BW21 第2個別折返し用孔
IS 絶縁テープ
TH 熱電対
RU 押さえつけゴム
PR 圧接・固定具
BR 特殊溶着経路
FTC 平形接続端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14