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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153416
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
F24H9/02 301J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067298
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AA02
3L037AB01
3L037AB02
3L037AB03
(57)【要約】
【課題】給湯器において電装基板にかかる作業性を向上させる。
【解決手段】給湯器は、前面に設けられる開口71Aと開口71Aを閉塞するフロントカバー72とを有する筐体70と、筐体70内に配されるコントローラ80と、を備え、コントローラ80は、電装基板81と、電装基板81を収容する基板ケース82と、基板ケース82を前方から覆うフィルム状のカバー83と、カバー83の一部を基板ケース82に固定するボス82Cと、を備え、カバー83は、基板ケース82に固定される固定部84と、固定部84に接続され、固定部84に対して移動可能な可動部85と、可動部85の端縁部に形成される保持部86と、を備え、保持部86は、可動部85をめくった状態でボス82Cに係止可能とされている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に設けられる開口と前記開口を閉塞するフロントカバーとを有する筐体と、
前記筐体内に配されるコントローラと、を備え、
前記コントローラは、電装基板と、前記電装基板を収容する基板ケースと、前記基板ケースを前方から覆うフィルム状のカバーと、前記カバーの一部を前記基板ケースに固定するボスと、を備え、
前記カバーは、前記基板ケースに固定される固定部と、前記固定部に接続され、前記固定部に対して移動可能な可動部と、前記可動部の端縁部に形成される保持部と、を備え、
前記保持部は、前記可動部をめくった状態で前記ボスに係止可能とされている、給湯器。
【請求項2】
前記ボスは前記基板ケースの上壁に取り付けられ、
前記保持部は、前記ボスと幅方向について同じ位置に配されている、請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記保持部は、前記ボスを挿通可能な保持孔を有する、請求項1または請求項2に記載の給湯器。
【請求項4】
前記固定部には、前記ボスが挿通される挿通孔が形成され、
前記保持孔の孔径は、前記挿通孔の孔径よりも大きく設定されている、請求項3に記載の給湯器。
【請求項5】
前記保持部は、前記保持孔に連通するスリットを有する、請求項3に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2005-37018号公報(下記特許文献1)に記載の給湯暖房機が知られている。特許文献1に記載の給湯暖房機は、略直方体形状の筐体と、筐体内に配される内胴と、を備える。内胴には、バーナ、ファン、熱交換器、コントローラ等が含まれる。筐体は、左側壁、右側壁、背面壁、及び天板を有するバックカバーと、バックカバーの開放された底面側に固定される底板と、バックカバーの背面壁と対向する前面側に固定されるフロントカバーと、により構成されている。フロントカバーの下部には開口部が設けられており、この開口部を塞ぐように正面視略長方形状のケーブル接続扉が設けられている。ケーブル接続扉は、ビスによってフロントカバーに固定されている。このケーブル接続扉の裏面側には、コントローラが配されている。コントローラの点検、又は給湯暖房機の試運転時によるコントローラの操作等を行う場合、ケーブル接続扉をフロントカバーから外して作業が行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-37018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には詳細に記載されていないものの、コントローラは、例えば、電装基板と、電装基板を収容し、前面が開口するボックス本体と、ボックス本体の前面を開閉可能とされるフィルム状のカバーと、を備えて構成することができる。このような構成によれば、フロントカバーの開口部を通じて手でカバーをめくることで、簡単に電装基板にかかる作業を行うことができる。しかし、作業を行う間、カバーをめくった状態で保持する必要があり、作業性に改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の給湯器は、前面に設けられる開口と前記開口を閉塞するフロントカバーとを有する筐体と、前記筐体内に配されるコントローラと、を備え、前記コントローラは、電装基板と、前記電装基板を収容する基板ケースと、前記基板ケースを前方から覆うフィルム状のカバーと、前記カバーの一部を前記基板ケースに固定するボスと、を備え、前記カバーは、前記基板ケースに固定される固定部と、前記固定部に接続され、前記固定部に対して移動可能な可動部と、前記可動部の端縁部に形成される保持部と、を備え、前記保持部は、前記可動部をめくった状態で前記ボスに係止可能とされている、給湯器である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、給湯器において電装基板にかかる作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態にかかる給湯暖房機の正面図である。
図2図2は、フロントカバーを除いた給湯暖房機の正面図である。
図3図3は、フロントカバーを除いた状態でカバーをめくり保持部をボスに係止させた給湯暖房機の正面図である。
図4図4は、コントローラの斜視図である。
図5図5は、カバーの可動部をめくった状態を示すコントローラの斜視図である。
図6図6は、カバーを除いたコントローラの斜視図であって、ボスの周辺について拡大して示す図である。
図7図7は、挿通孔にボスが挿通された状態について示すコントローラの拡大斜視図である。
図8図8は、保持孔にボスが挿通された状態について示すコントローラの拡大斜視図である。
図9図9は、挿通孔にボスが挿通された状態について示すコントローラの拡大平面図である。
図10図10は、保持孔にボスが挿通された状態について示すコントローラの拡大平面図である。
図11図11は、給湯暖房機の概略回路図である。
図12図12は、他の実施形態にかかる保持部について示すコントローラの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0009】
(1)本開示の給湯器は、前面に設けられる開口と前記開口を閉塞するフロントカバーとを有する筐体と、前記筐体内に配されるコントローラと、を備え、前記コントローラは、電装基板と、前記電装基板を収容する基板ケースと、前記基板ケースを前方から覆うフィルム状のカバーと、前記カバーの一部を前記基板ケースに固定するボスと、を備え、前記カバーは、前記基板ケースに固定される固定部と、前記固定部に接続され、前記固定部に対して移動可能な可動部と、前記可動部の端縁部に形成される保持部と、を備え、前記保持部は、前記可動部をめくった状態で前記ボスに係止可能とされている。
【0010】
このような構成によると、可動部をめくり、保持部をボスに係止することにより、電装基板が前方に露出した状態を保持することができる。したがって、電装基板の配線作業やメンテナンスを行いやすくなる。
【0011】
(2)(1)に記載の給湯器において、前記ボスは前記基板ケースの上壁に取り付けられ、前記保持部は、前記ボスと幅方向について同じ位置に配されていることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、可動部を上側にめくり、保持部をボスに係止することができる。保持部は、ボスと幅方向について同じ位置に配されているから、保持部をボスに係止しやすい。
【0013】
(3)(1)または(2)に記載の給湯器において、前記保持部は、前記ボスを挿通可能な保持孔を有することが好ましい。
【0014】
このような構成によると、ボスを保持孔に挿通し、保持孔の孔縁部をボスに係止することができる。
【0015】
(4)(3)に記載の給湯器において、前記固定部には、前記ボスが挿通される挿通孔が形成され、前記保持孔の孔径は、前記挿通孔の孔径よりも大きく設定されていることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、ボスを保持孔に挿通しやすくなる。
【0017】
(5)(3)または(4)に記載の給湯器において、前記保持部は、前記保持孔に連通するスリットを有することが好ましい。
【0018】
このような構成によると、ボスを保持孔に挿通しやすくなる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態について、図1から図11を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0020】
[給湯暖房機の全体構造]
本実施形態の給湯暖房機1(給湯器の一例)は、供給された水道水を加熱して外部に湯を供給する給湯機能と、湯を外部の室内や床下に設置された放熱器に供給し、室内や床を暖房する暖房機能と、を併せ持つ。詳細には、給湯暖房機1は、給湯回路Aと、暖房回路Bと、風呂回路Cと、を有する。
【0021】
図2に示すように、給湯暖房機1は、筐体70、筐体70内に収容される内胴2、コントローラ80等を備えている。筐体70は、前面に開口71Aを有する箱状の筐体本体71と、筐体本体71の開口71Aを閉塞するフロントカバー72(図1参照)と、を備える。筐体本体71は、正面視で下側に位置する底板部71Bと、正面視で左側に位置する左側板部71Cと、正面視で右側に位置する右側板部71Dと、正面視で上側に位置する天板部71Eと、背面側に位置する背面壁71Fと、を備えている。図1に示すように、フロントカバー72は、排気筒16が収容される排気口73や、外気を取り込むための給気口74等を有している。
【0022】
図2に示すように、内胴2は、給湯燃焼室4、暖房燃焼室5、給湯一次熱交換器11、暖房一次熱交換器13、給湯二次熱交換器12、暖房二次熱交換器14、排気フード15等を備えている。内胴2は左右に仕切られており、右側に給湯燃焼室4、給湯一次熱交換器11、給湯二次熱交換器12が、左側に暖房燃焼室5、暖房一次熱交換器13、暖房二次熱交換器14が設けられている。
【0023】
図11に示すように、給湯暖房機1は、内胴2内に、仕切部材3によって仕切り形成される給湯燃焼室4及び暖房燃焼室5と、バーナ6と、を有している。バーナ6は、給湯燃焼室4の下部に配される給湯バーナ6Aと、暖房燃焼室5の下部に配される暖房バーナ6Bと、を備えている。また、各燃焼室4,5には、点火プラグ8とフレームロッド9とがそれぞれ設けられている。内胴2の下部には、各バーナ6A,6Bへ燃焼用空気を供給する燃焼ファン10が設けられている。
【0024】
給湯燃焼室4内の上部には、給湯バーナ6Aの燃焼排気が通過する給湯一次熱交換器11及び給湯二次熱交換器12が設けられている。暖房燃焼室5の上部には、暖房バーナ6Bの燃焼排気が通過する暖房一次熱交換器13及び暖房二次熱交換器14が設けられている。各二次熱交換器12,14は、内胴2の上部に設けられた排気フード15内に収容されている。排気フード15には、各二次熱交換器12,14を通過した燃焼排気を排出する排気筒16が形成されている。
【0025】
筐体70の底板部71Bに設けたガス入口には、外部からのガス配管が接続されるガス管17が接続されている。各給湯バーナ6Aと暖房バーナ6Bとには、ガス管17から分岐するガス分岐管18,18・・がそれぞれ接続されると共に、各ガス分岐管18には、ガス流路を開閉するガス電磁弁19がそれぞれ設けられている。また、分岐前のガス管17には、上流側から元ガス電磁弁20、ガス比例弁21がそれぞれ設けられている。
【0026】
給湯二次熱交換器12の吸熱管の入口には、底板部71Bの水入口に接続される給水管22が接続される。給水管22には、上流側から、水抜き栓を備えたストレーナ23と、給水管22を流れる水量を検出する給湯水量センサ24と、入水温度を検出する給湯入水サーミスタ25と、給水管22を流れる水量を制御する水量制御弁26とが設けられている。吸熱管の出口は、給湯一次熱交換器11の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には、底板部71Bの湯出口に接続される出湯管27が接続される。出湯管27には、給湯一次熱交換器11からの出口温度を検出する給湯熱交換器サーミスタ28と、給湯熱交換器サーミスタ28より下流側で器具からの出湯温度を検出する給湯出湯サーミスタ29と、が設けられている。出湯管27における給湯出湯サーミスタ29の上流側と、給水管22における水量制御弁26の下流側との間には、給湯一次、二次熱交換器11,12をバイパスするバイパス管30が接続され、バイパス管30には、バイパス流量を制御する水分配弁31が設けられている。
【0027】
こうして筐体70内には、給水管22からの水が給湯二次熱交換器12、給湯一次熱交換器11の順に通過して給湯バーナ6Aの燃焼排気と熱交換して加熱された後、出湯管27から出湯される給湯回路Aが形成される。
【0028】
一方、暖房二次熱交換器14の吸熱管の入口には、底板部71Bの暖房戻り口に接続された暖房戻り管32が接続される。暖房戻り口は、給湯暖房機1外部の高温放熱器33及び低温放熱器34から延びる配管の下流端と接続される。高温放熱器33は例えば室内へと温風を吹き出す暖房送風機である。低温放熱器34は例えば床暖房である。暖房二次熱交換器14の吸熱管の出口は中間配管35に接続されている。中間配管35には、暖房タンク69及び暖房循環ポンプ36が設けられている。暖房タンク69は、暖房回路Bを循環する液体(本実施形態では水)が加熱されて膨張した場合に、暖房回路Bを構成する配管等が破損することを防止するためのものである。暖房タンク69には、暖房低温サーミスタ37が設けられている。
【0029】
中間配管35の下流側の端部は、暖房低温往き管38及び暖房一次熱交換器13の伝熱管の入口に接続されている。暖房低温往き管38は内蔵熱動弁39を介して低温放熱器34に接続されている。暖房一次熱交換器13の伝熱管の出口は、暖房高温往き管40に接続されている。暖房高温往き管40は高温放熱器33と接続されている。暖房高温往き管40には、暖房高温サーミスタ41が設けられている。暖房高温往き管40と暖房戻り管32との間は、風呂加熱用配管42によって接続されている。風呂加熱用配管42には、追い炊き流量制御弁43が設けられている。中間配管35における暖房タンク69の上流側と、暖房高温往き管40との間には、暖房一次、暖房二次熱交換器13,14をバイパスする暖房バイパス管44が接続され、暖房バイパス管44には、バイパス流量を制御するバイパス熱動弁45が設けられている。
【0030】
よって、暖房回路Bでは、暖房二次熱交換器14で加熱された湯は、中間配管35、暖房タンク69、暖房低温往き管38、低温放熱器34を介して暖房戻り管32へと循環するとともに、中間配管35を介して、暖房一次熱交換器13へと流入する。暖房一次熱交換器13で加熱された湯は、暖房高温往き管40、高温放熱器33を介して、暖房戻り管32へ戻り、暖房二次熱交換器14、中間配管35、暖房タンク69を介して、暖房一次熱交換器13へと循環する。
【0031】
風呂回路Cには、風呂加熱用配管42が内挿される風呂熱交換器46が設けられている。風呂熱交換器46の入口は、底板部71Bの風呂戻り口に接続された風呂戻り管47が接続される。風呂戻り口は、外部風呂戻り管48を介して浴槽49と接続される。風呂戻り管47の下流側には風呂循環ポンプ50が設けられている。風呂循環ポンプ50の上流側には、風呂戻り温度を検出する風呂戻りサーミスタ51が設けられている。風呂循環ポンプ50の下流側には、水流スイッチ52と水位センサ53とが設けられている。風呂熱交換器46の出口は、底板部71Bの風呂往き口に接続される風呂往き管54に接続されている。風呂往き口は、外部風呂往き管55を介して浴槽49と接続されている。風呂往き管54には、風呂往き温度を検出する風呂往きサーミスタ56が設けられている。
【0032】
また、出湯管27におけるバイパス管30より下流側と、風呂戻り管47における風呂循環ポンプ50よりも上流側との間には、落とし込み管57が接続される。この落とし込み管57には、上流側(出湯管27側)から、落とし込み管57を開閉する落とし込み水電磁弁58と、落とし込み管57を流れる水量を検出する風呂水量センサ59とがそれぞれ設けられている。落とし込み管57により、給湯回路Aで加熱された湯を浴槽49へ供給可能となっている。風呂水量センサ59の下流側には、3つの逆止弁60,60,60が設けられている。これらの逆止弁60の間には、縁切弁61が接続されている。この縁切弁61は、底板部71Bに設けたオーバーフロー排出口に接続される排水管62と、給水管22におけるストレーナ23の下流側と接続された導入管63とが接続されている。落とし込み管57内の湯水の内圧が、風呂戻り管47からの逆圧によって高まり、導入管63からの背圧よりも大きくなると、縁切弁61は、落とし込み管57から逆流した湯水を、排水管62を介してオーバーフロー排出口へと排出するようになっている。
【0033】
このように、風呂熱交換器46、風呂往き管54、風呂戻り管47等によって、浴槽49の湯水を循環させる風呂回路Cが形成される。
【0034】
筐体70内には、給湯二次熱交換器12及び暖房二次熱交換器14で生じたドレンを中和するための中和器64が設けられている。この中和器64は、ドレン導入管65を介して排気フード15の底面に設けたドレン受け66と接続されるとともに、ドレン排出管67を介して縁切弁61の排水管62と接続されている。中和器64には、水位を検出する水位電極68が設けられている。
【0035】
コントローラ80(図11では不図示)は、各サーミスタやセンサ等の検出信号を受けて各弁等を動作させて出湯温制御や浴槽49への湯張り制御、暖房に関する温度制御等を行う。図示しないものの、給湯暖房機1は、コントローラ80と通信可能に接続されるリモコン等を備えている。
【0036】
[コントローラ]
コントローラ80は、図5に示すように、電装基板81と、電装基板81を収容する基板ケース82と、基板ケース82を前方から覆うフィルム状のカバー83と、カバー83の一部を基板ケース82に固定するボス82Cと、を備えている。電装基板81は、例えばコネクタやスイッチ等を備えている。電装基板81は、給水管22や出湯管27等の各配管に取り付けられるサーミスタや水量センサ等の検出部品や、モータや電磁弁等のアクチュエータ等の複数の電気部品と電気的に接続されている。
【0037】
基板ケース82は、前面が開口した箱状をなしている。基板ケース82の上壁及び右壁には、基板ケース82を筐体70内において固定するための取付片82Aが突設されている。取付片82Aはネジ止め等により筐体70内部の他の部材(例えば内胴2等)に固定される。基板ケース82の下壁には、脚部82Bが突設されている。脚部82Bの先端部には係合突起82B1が形成されている。係合突起82B1は筐体70の底板部71Bに設けられる係合孔(図示しない)に挿通されるようになっている。
【0038】
図6に示すように、基板ケース82は、基板ケース82の上壁から上方に突出するボス82Cを備えている。ボス82Cは、軸部82C1と、軸部82C1の先端部(上端部)に配される頭部82C2と、を備えている。軸部82C1は円柱状をなし、上下方向に延びている。頭部82C2は円盤状をなし、軸部82C1の延び方向(上下方向)に直交する径方向(水平方向)について軸部82C1よりも外側に広がっている。図9に示すように、頭部82C2の径方向の寸法L2は軸部82C1の径方向の寸法L1より大きくなっている。
【0039】
カバー83は絶縁性の樹脂から構成され、柔軟性を有している。図4に示すように、カバー83は、基板ケース82に固定される固定部84と、固定部84に接続され、固定部84に対して移動可能な可動部85と、可動部85の端縁部に形成される保持部86と、を備えている。固定部84は、本体部84Aと、本体部84Aの上端縁から後方に延びる固定片84Bと、を備えている。本体部84Aは、左右方向に長い第1部分84A1と、第1部分84A1の右側略三分の一の部分から下方に延びる第2部分84A2と、を備えている。本体部84Aは、正面視で略L字状をなしている。固定片84Bは本体部84Aに対して略直角に折り曲げられている。
【0040】
図7に示すように、固定部84は、固定片84Bを貫通する挿通孔84Cを有している。挿通孔84Cにはボス82Cが挿通されるようになっている。図9に示すように、挿通孔84Cは、平面視において略正方形状をなしている。挿通孔84Cの孔径は最大径R1と最小径R2との間の大きさを有して構成されている。挿通孔84Cの最大径R1は頭部82C2の径方向の寸法L2より大きい。挿通孔84Cの最小径R2は頭部82C2の径方向の寸法L2より小さく、軸部82C1の径方向の寸法L1より大きい。また、固定片84Bには挿通孔84Cに連通可能とされるスリット84Dが形成されている。1つの挿通孔84Cに対してスリット84Dは2つ形成されている。各スリット84Dは、挿通孔84C寄りに配される直線部84D1と、挿通孔84Cと反対側に配される直線部84D1の端部から延びる返し部84D2と、を有している。返し部84D2は弧状に湾曲した形状を有している。返し部84D2は、外力等によりスリット84Dが割けることを抑制している。挿通孔84Cにボス82Cが挿通された状態では、直線部84D1は前後方向に延びている。1つの挿通孔84Cに設けられる2つの直線部84D1は、挿通孔84Cの中心を通る同一直線上に配置されている。スリット84Dが形成されることにより、ボス82Cを挿通孔84Cに挿通しやすくなっている。
【0041】
図4に示すように、可動部85は、第1部分84A1の左側略三分の二に配される部分から延びている。可動部85と第1部分84A1との境界には左右方向に延びる折り目85Aが形成されている。この折り目85Aで可動部85を折り曲げることで、図5に示すように、固定部84を移動させずに、可動部85をめくるようにして動かすことができる。可動部85をめくることにより、電装基板81の一部を前方に露出させることができる。図4に示すように、可動部85が固定部84に対して折り曲げられていない状態では、電装基板81の全体は前方からカバー83によって覆われる。また、可動部85の下端と固定部84の下端とは略同じ高さ位置に配される。
【0042】
本実施形態の保持部86は、可動部85の下端部を貫通する保持孔86Aと、保持孔86Aに連通可能とされるスリット86Bと、を有している。可動部85を上方にめくり、保持孔86Aにボス82Cを挿通すると、図8に示すように、保持孔86Aの孔縁部がボス82Cに係止するようになっている。これにより、図3に示すように、可動部85をめくった状態で維持することができる。図10に示すように、保持孔86Aは、平面視において略正方形状をなしている。保持孔86Aの孔径は最大径R3と最小径R4との間の大きさを有して構成されている。保持孔86Aの最大径R3は頭部82C2の径方向の寸法L2より大きい。保持孔86Aの最小径R4は頭部82C2の径方向の寸法L2より小さく、軸部82C1の径方向の寸法L1より大きい。1つの保持孔86Aに対してスリット86Bは2つ形成されている。各スリット86Bは、保持孔86A寄りに配される直線部86B1と、保持孔86Aと反対側に配される直線部86B1の端部から延びる返し部86B2と、を有している。返し部86B2は弧状に湾曲した形状を有している。返し部86B2は、外力等によりスリット86Bが割けることを抑制している。を有している。保持孔86Aにボス82Cが挿通された状態では、直線部86B1は左右方向に延びている。1つの保持孔86Aに設けられる2つの直線部86B1は、保持孔86Aの中心を通る同一直線上に配置されている。スリット86Bが形成されることにより、ボス82Cを保持孔86Aに挿通しやすくなっている。
【0043】
本実施形態では、ボス82Cは基板ケース82の上壁に取り付けられ、保持孔86Aは、ボス82Cと左右方向(幅方向の一例)について同じ位置に配されている(図2参照)。このため、可動部85を上方にめくり、保持部86(保持孔86Aの孔縁部)をボス82Cに容易に係止させることができる。
【0044】
保持孔86Aの孔径は、挿通孔84Cの孔径よりも大きく設定されていることが好ましい。例えば、保持孔86Aの最大径R3は挿通孔84Cの最大径R1よりも大きく設定されていてもよい。また、保持孔86Aの最小径R4は挿通孔84Cの最小径R2よりも大きく設定されていてもよい。このような構成によれば、挿通孔84Cと保持孔86Aとを比較した場合に、保持孔86Aの孔縁部の方がボス82Cの頭部82C2との係止代が小さくなりやすい。よって、ボス82Cを保持孔86Aに挿通する作業、及びボス82Cを保持孔86Aから外す作業が容易になる。したがって、電装基板81のメンテナンス等が行いやすくなる。
【0045】
[実施形態の作用効果]
以上のように、実施形態の給湯器(給湯暖房機1)は、前面に設けられる開口71Aと開口71Aを閉塞するフロントカバー72とを有する筐体70と、筐体70内に配されるコントローラ80と、を備え、コントローラ80は、電装基板81と、電装基板81を収容する基板ケース82と、基板ケース82を前方から覆うフィルム状のカバー83と、カバー83の一部を基板ケース82に固定するボス82Cと、を備え、カバー83は、基板ケース82に固定される固定部84と、固定部84に接続され、固定部84に対して移動可能な可動部85と、可動部85の端縁部に形成される保持部86と、を備え、保持部86は、可動部85をめくった状態でボス82Cに係止可能とされている。
【0046】
このような構成によると、可動部85をめくり、保持部86をボス82Cに係止することにより、電装基板81が前方に露出した状態を保持することができる。したがって、電装基板81の配線作業やメンテナンスを行いやすくなる。
【0047】
実施形態では、ボス82Cは基板ケース82の上壁に取り付けられ、保持部86は、ボス82Cと幅方向(左右方向)について同じ位置に配されている。
【0048】
このような構成によると、可動部85を上側にめくり、保持部86をボス82Cに係止することができる。保持部86は、ボス82Cと幅方向について同じ位置に配されているから、保持部86をボス82Cに係止しやすい。
【0049】
実施形態では、保持部86は、ボス82Cを挿通可能な保持孔86Aを有する。
【0050】
このような構成によると、ボス82Cを保持孔86Aに挿通し、保持孔86Aの孔縁部をボス82Cに係止することができる。
【0051】
実施形態では、固定部84には、ボス82Cが挿通される挿通孔84Cが形成され、保持孔86Aの孔径は、挿通孔84Cの孔径よりも大きく設定されていることが好ましい。
【0052】
このような構成によると、ボス82Cを保持孔86Aに挿通しやすくなる。
【0053】
実施形態では、保持部86は、保持孔86Aに連通するスリット86Bを有する。
【0054】
このような構成によると、ボス82Cを保持孔86Aに挿通しやすくなる。
【0055】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、可動部85は上方にめくられる態様であったが、例えば可動部は右方、左方、または下方にめくられる態様であってもよい。また、可動部、保持部、及びボスの形状や配置は、本開示の目的が達成可能な範囲において適宜修正することができる。
【0056】
(2)上記実施形態では、保持孔86Aは平面視において略正方形状をなしていたが、保持孔は他の形状をなしていてもよい。例えば、保持孔の形状は、長方形や菱形、その他の多角形状、円形状、楕円形等であってもよい。
【0057】
(3)上記実施形態では、1つの保持孔86Aに対して2つのスリット86Bが形成されていたが、スリットは形成されなくてもよい。また、1つの保持孔に対して1つまたは3つ以上のスリットが形成されていてもよい。
【0058】
(4)上記実施形態では、保持部86は保持孔86Aを有していたが、保持部は他の態様であってもよい。例えば、図12に示すように、保持部186は、ボス82Cに引っ掛けることが可能なかぎ状の爪部であってもよい。
【0059】
(5)上記実施形態では、本開示の給湯器として、給湯回路A、暖房回路B、及び風呂回路Cを含む給湯暖房機1を例示したが、給湯器は暖房回路及び風呂回路を含まなくてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1:給湯暖房機(給湯器)
2:内胴、3:仕切部材、4:給湯燃焼室、5:暖房燃焼室、6:バーナ、6A:給湯バーナ、6B:暖房バーナ、8:点火プラグ、9:フレームロッド、10:燃焼ファン、11:給湯一次熱交換器、12:給湯二次熱交換器、13:暖房一次熱交換器、14:暖房二次熱交換器、15:排気フード、16:排気筒、17:ガス管、18:ガス分岐管、19:ガス電磁弁、20:元ガス電磁弁、21:ガス比例弁、22:給水管、23:ストレーナ、24:給湯水量センサ、25:給湯入水サーミスタ、26:水量制御弁、27:出湯管、28:給湯熱交換器サーミスタ、29:給湯出湯サーミスタ、30:バイパス管、31:水分配弁、32:暖房戻り管、33:高温放熱器、34:低温放熱器、35:中間配管、36:暖房循環ポンプ、37:暖房低温サーミスタ、38:暖房低温往き管、39:内蔵熱動弁、40:暖房高温往き管、41:暖房高温サーミスタ、42:風呂加熱用配管、43:追い炊き流量制御弁、44:暖房バイパス管、45:バイパス熱動弁、46:風呂熱交換器、47:風呂戻り管、48:外部風呂戻り管、49:浴槽、50:風呂循環ポンプ、51:風呂戻りサーミスタ、52:水流スイッチ、53:水位センサ、54:風呂往き管、55:外部風呂往き管、56:風呂往きサーミスタ、57:落とし込み管、58:落とし込み水電磁弁、59:風呂水量センサ、60:逆止弁、61:縁切弁、62:排水管、63:導入管、64:中和器、65:ドレン導入管、66:ドレン受け、67:ドレン排出管、68:水位電極、69:暖房タンク
A:給湯回路、B:暖房回路、C:風呂回路
70:筐体、71:筐体本体、71A:開口、71B:底板部、71C:左側板部、71D:右側板部、71E:天板部、71F:背面壁、72:フロントカバー、73:排気口、74:給気口
80:コントローラ
81:電装基板
82:基板ケース、82A:取付片、82B:脚部、82B1:係合突起、82C:ボス、82C1:軸部、82C2:頭部
83:カバー、84:固定部、84A:本体部、84A1:第1部分、84A2:第2部分、84B:固定片、84C:挿通孔、84D:スリット、84D1:直線部、84D2:返し部、85:可動部、85A:折り目、86,186:保持部、86A:保持孔、86B:スリット、86B1:直線部、86B2:返し部
L1:軸部の径方向の寸法、L2:頭部の径方向の寸法
R1:挿通孔の最大径、R2:挿通孔の最小径、R3:保持孔の最大径、R4:保持孔の最小径
図1
図2
図3
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図5
図6
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図11
図12