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特開2024-153420デフォルメ地図への現在位置表示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153420
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】デフォルメ地図への現在位置表示システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/10 20060101AFI20241022BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20241022BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20241022BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G09B29/10 A
G09B29/00 A
G09B29/00 F
G01C21/26 C
G06T11/60 300
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067302
(22)【出願日】2023-04-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】519111017
【氏名又は名称】株式会社AB.do
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】竹前 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 清
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5B050
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2C032HC21
2C032HC27
2F129AA02
2F129BB03
2F129BB21
2F129BB22
2F129DD13
2F129EE02
2F129EE35
2F129EE78
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF18
2F129FF20
2F129FF36
2F129FF40
2F129FF62
2F129HH02
2F129HH04
2F129HH12
2F129HH20
5B050BA17
5B050CA07
5B050DA10
5B050EA05
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA18
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
(57)【要約】
【課題】携帯端末を所持するユーザがデフォルメ地図を見ながら移動する場合に現在位置をリアルタイムで正確に把握できるシステムを提供する。
【解決手段】携帯端末40と、携帯端末40とデータ通信可能に接続されたサーバ装置20と、を備え、サーバ装置20は、デフォルメ地図の画像データ30とデフォルメ地図平面座標データ32とを含むデフォルメ地図データ34と、正確な地図におけるGNSS座標をデフォルメ地図の画像データ30上のデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数36と、を記憶しているサーバ記憶部24とを有し、携帯端末40の端末制御部54は、サーバ装置20からダウンロードしたデフォルメ地図の画像データ30を前記表示部に表示し、現在位置のGNSS座標を、歪み補正係数36に基づいてデフォルメ地図平面座標に変換し、表示部52に表示したデフォルメ地図の画像データ30上に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を把握できるGNSS受信機と、表示部と、端末制御部と、端末記憶部と、を有する携帯端末と、
該携帯端末とデータ通信可能に接続されたサーバ装置と、を備え、
前記サーバ装置は、
デフォルメ地図の画像データと、前記デフォルメ地図の画像データ上の位置が平面座標系で設定されたデフォルメ地図平面座標データと、を含むデフォルメ地図データと、
正確な地図におけるGNSS座標を、前記デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数と、を記憶しているサーバ記憶部とを有し、
前記携帯端末の前記端末制御部は、
前記サーバ装置から前記デフォルメ地図データと、前記歪み補正係数と、をダウンロードして前記端末記憶部に記憶し、
ダウンロードした前記デフォルメ地図の画像データを前記表示部に表示し、
前記GNSS受信機が受信した現在位置のGNSS座標を、前記歪み補正係数に基づいて前記デフォルメ地図におけるデフォルメ地図平面座標に変換し、
前記デフォルメ地図におけるデフォルメ地図平面座標に変換された現在位置のGNSS座標に該当する箇所を、前記表示部に表示した前記デフォルメ地図の画像データ上に表示することを特徴とするデフォルメ地図への現在位置表示システム。
【請求項2】
前記携帯端末の前記端末制御部は、
前記表示部に、デフォルメ地図の画像データと、該デフォルメ地図と同じ場所を示す正確な地図の画像データとを並べて表示させ、
前記GNSS受信機が受信した現在位置のGNSS座標に該当する箇所を、前記表示部に表示した前記正確な地図の画像データ上に表示することを特徴とする請求項1記載のデフォルメ地図への現在位置表示システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、
デフォルメ地図の任意の複数の位置に正確な地図におけるGNSS座標が付与されたときに、
デフォルメ地図の任意の複数の位置に付与したGNSS座標を、デフォルメ地図平面座標に変換するための非線形関数を算出する機能と、
前記非線形関数に基づいて、正確な地図におけるGNSS座標を、前記デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数を算出する算出機能と、を有するサーバ制御部を具備することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のデフォルメ地図への現在位置表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観光マップや古地図などのデフォルメされた地図に正確な現在位置を表示させるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
観光地等では観光地の案内のために観光マップを準備しておくことが多い。観光マップは、観光地の見どころなどを分かりやすく明示するために、観光地の担当者等が手書きでマップを作成したりするため、方角、緯度経度、道路の向き、道路の長さなどが正確ではないデフォルメされた地図となっていることが一般的である。
また、観光マップだけでなく、古地図やスキー場のゲレンデマップなどもデフォルメされた地図になっている。
【0003】
特許文献1(特許第5681920号公報)に示すように、古地図や手書きの地図等のデフォルメされた地図上に現在位置を表示できるシステムが開示されている。
この特許文献1のシステムは、サーバ装置と端末装置とを備えており、端末装置は絶対位置情報である現在位置情報を取得して端末情報としてサーバ装置に送信する。サーバ装置は絶対位置情報と地図上の相対位置情報との組である2組以上の位置対応情報を地図識別子ごとに格納する地図情報格納部を有しており、端末装置から受信した端末情報が有する地図識別子と現在位置情報とを用いて、2組以上の位置対応情報に基づいて地点情報を取得し、地点情報を端末装置に送信する構成となっている。
【0004】
また、特許文献2(国際公開第2019/069366号)には、地図表現データ(デフォルメ地図)と、ユーザの位置を特定する位置特定情報を関連付けて記憶しており、ユーザの端末装置がこれらの情報をダウンロードする構成が記載されている。また、特許文献2では、他のユーザの位置情報も地図表現データ上で表示できることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5681920号公報
【特許文献2】国際公開第2019/069366号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたシステムでは、ユーザの現在位置についてはデフォルメ地図上に表示できるが、ユーザが歩いて移動している場合などにはユーザの現在位置をリアルタイムで変化させてデフォルメ地図上で表示させることはできない。
すなわち、特許文献1では、絶対位置情報から相対位置情報を算出するときに、絶対位置情報の近傍の絶対位置情報の点とこれに対する相対位置情報に対応する点を、これらの点が三角形になるような点を複数組取得し、現在位置である絶対位置情報から各点に向かうベクトル演算により現在位置の相対位置情報を算出しているが、このような方法では、ユーザが実際に歩きながら現在位置をリアルタイムで変化させながらデフォルメ地図上に表示させようとすると、端末装置とサーバ装置との間で常にデータのやり取りをし、サーバ装置では現在位置が変わる都度常に上記の計算をしなくてはならないため、ユーザが実際に歩きながら現在位置をリアルタイムで変化させてデフォルメ地図上に表示させることは困難である。
【0007】
また、特許文献2では、サーバ装置では、ユーザの現在位置に対応するデフォルメ地図上の位置情報を管理表から読み出して、ユーザの位置情報を付加した位置付加地図データを端末装置に送信している。このような管理表による方法では、デフォルメ地図上の位置情報をわずかな地点に限定せざるを得ず、特許文献2ではデフォルメデータの頂点の8箇所の緯度と経度しか記憶していない。
このように、特許文献2では、ユーザが実際に歩きながら現在位置をリアルタイムでデフォルメ地図上に表示させることは想定されていない。
【0008】
上述したように従来の技術においては、ユーザが移動しながらデフォルメ地図を参照してリアルタイムで正確な現在位置を確認することはできなかった。
このため、ユーザがデフォルメ地図を見ながら現地を歩くなどして移動する場合、現在位置をリアルタイムで正確に把握したいという課題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、ユーザがデフォルメ地図を見ながら移動する場合に現在位置をリアルタイムで正確に把握できる、デフォルメ地図への現在位置表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかるデフォルメ地図への現在位置表示システムによれば、現在位置を把握できるGNSS受信機と、表示部と、制御部と、端末記憶部と、を有する携帯端末と、該携帯端末とデータ通信可能に接続されたサーバ装置と、を備え、前記サーバ装置は、デフォルメ地図の画像データと、前記デフォルメ地図の画像データ上の位置が平面座標系で設定されたデフォルメ地図平面座標データと、を含むデフォルメ地図データと、正確な地図におけるGNSS座標を、前記デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数と、を記憶しているサーバ記憶部とを有し、前記携帯端末の前記制御部は、前記サーバ装置から前記デフォルメ地図データと、前記歪み補正係数と、をダウンロードして前記端末記憶部に記憶し、ダウンロードした前記デフォルメ地図の画像データを前記表示部に表示し、前記GNSS受信機が受信した現在位置のGNSS座標を、前記歪み補正係数に基づいて前記デフォルメ地図におけるデフォルメ地図平面座標に変換し、前記デフォルメ地図におけるデフォルメ地図平面座標に変換された現在位置のGNSS座標に該当する箇所を、前記表示部に表示した前記デフォルメ地図の画像データ上に表示することを特徴としている。
この構成を採用することによって、携帯端末を所持するユーザは、携帯端末が有するGNSS受信機によって検出される現在位置に基づいて、デフォルメ地図上における現在位置を正確に確認できる。また、歪み補正係数に基づいてデフォルメ地図上に正確な現在位置を表示することができ、計算に時間がかかることがないためユーザが移動している場合でもその都度正確な現在位置をデフォルメ地図上にリアルタイムで表示できる。
ダウンロードしたデフォルメ地図の画像データと歪み補正係数は携帯端末内に保持されるため、電波が届かない場所においても正確な現在位置を表示することができ、また現在位置を算出する処理はサーバ装置と通信する必要が無いため通信負荷が無く高速で実現できる。また、デフォルメ地図の歪みを補正するための技術は、サーバ装置内で歪み補正係数として算出され、歪み補正係数のみが携帯端末にダウンロードされるため、地図の歪みを補正する技術そのものがユーザに開示されることが無く、核心技術としての地図の歪みを補正する技術は秘匿にすることができる。
【0011】
また、前記携帯端末の前記制御部は、前記表示部に、デフォルメ地図の画像データと、該デフォルメ地図と同じ場所を示す正確な地図の画像データとを並べて表示させ、前記GNSS受信機が受信した現在位置のGNSS座標に該当する箇所を、前記表示部に表示した前記正確な地図の画像データ上に表示することを特徴としてもよい。
この構成によれば、携帯端末を所持するユーザは、デフォルメ地図と正確な地図を見比べながら正確な現在位置を確認することができる。
【0012】
また、前記サーバ装置は、デフォルメ地図の任意の複数の位置に正確な地図におけるGNSS座標を付与し、デフォルメ地図の任意の複数の位置に付与したGNSS座標を、デフォルメ地図平面座標に変換するための非線形関数を算出し、前記非線形関数に基づいて、正確な地図におけるGNSS座標を、前記デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数を算出する算出機能を有する制御部を具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、サーバ装置側では、GNSS座標をデフォルメ地図の任意の位置に変換するための非線形関数を算出し、これに基づいて歪み補正係数を算出するので、正確な地図におけるGNSS座標を、デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標への変換を正確に実行することができる。
また、特許文献1では、現在地Tの近傍の絶対位置情報とそれに対する相対位置情報に対応する点n組を基に現在位置座標を算出しているが、これでは近傍の絶対位置情報で囲まれた範囲の歪みしか考慮できない。ユーザが移動しながらデフォルメ地図上に現在位置を表示する場合、近傍の絶対位置情報で囲まれた範囲から外に出た時(計算に使用する近傍の絶絶対位置情報が他の情報に変わった時)、現在位置座標の算出結果も大きく変わるため、ユーザの現在位置表示が急激に移動する(例えば5m先に飛ぶ)など大きく変化するため、ユーザの正確な位置表示を行うことができない。一方で、本願発明の歪み補正係数は、デフォルメ地図の任意の複数の位置に付与したGNSS座標全てを考慮して算出した非線形の結果であるため、前述した範囲内外にかかわらず、ユーザが移動しながら現在位置を表示する場合においても、ユーザの現在位置表示が急激に移動することはなく、滑らで正確な現在位置を表示できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のデフォルメ地図への現在位置表示システムによれば、携帯端末を所持するユーザがデフォルメ地図を見ながら移動する場合に現在位置をリアルタイムで正確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】デフォルメ地図への現在位置表示システムの全体構成を示す概略説明図である。
図2】サーバ装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】デフォルメ地図の一例を示す説明図である。
図4図3のデフォルメ地図にXY座標系を設定したところを示す説明図である。
図5】非線形関数を算出するための準備を説明する説明図である。
図6】非線形関数の概要を説明する説明図である。
図7】GNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換するための線形関数の一例を示す説明図である。
図8】GNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換するための非線形関数の一例を示す説明図である。
図9】携帯端末の内部構成を示すブロック図である。
図10】携帯端末における動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(システム全体構成)
図1に、デフォルメ地図への現在位置表示システムの全体構成を示す。
デフォルメ地図への現在位置表示システム(以下、単にシステムと称する場合がある)10は、サーバ装置20と、サーバ装置20に対してインターネット等の電気通信回線11を通じてデータ通信可能な携帯端末40とを有する。
【0016】
サーバ装置20には、デフォルメ地図の画像データ30と、デフォルメ地図の画像データ上の位置が平面座標系で設定されたデフォルメ地図平面座標データ32と、を含むデフォルメ地図データ34が記憶されている。
デフォルメ地図とは、観光地における観光マップ、古地図、スキー場におけるゲレンデマップなど、方角、緯度経度、道路の向き、道路の長さなどが正確ではないデフォルメされた地図を指す。
【0017】
さらにサーバ装置20には、携帯端末40のGNSS座標をデフォルメ地図上に設定したデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数36が記憶されている。
デフォルメ地図データ34と歪み補正係数36は、携帯端末40からダウンロード可能な状態としてサーバ装置20内に記憶されている。
【0018】
携帯端末40はGNSS受信機42を搭載しているものである。GNSS(Global Navigation Satellite System)は衛星測位システムの総称であり、一般的にはGPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定するGPSシステムがよく知られている。
携帯端末40は、GNSS受信機42を搭載していることによりGNSS衛星13からの電波に基づいて正確な位置をGNSS座標で算出できる。また、GNSS座標とは、緯度及び経度のことを指す。
【0019】
(サーバ装置)
図2に、サーバ装置の内部構成を示す。
サーバ装置20は、サーバ用コンピュータを採用することができ、内部にサーバ制御部22と、サーバ記憶部24、インターネット等の電気通信回線11と接続する通信機器27と、マウスやキーボード等から構成される入力装置26と、モニタ28とを有している。
【0020】
サーバ装置20のサーバ制御部22は、中央処理演算装置(CPU等)、メモリ(ROM、RAM)等を含み、サーバ装置20の全体動作を制御するとともに、サーバ記憶部24に記憶されている動作プログラムP1に基づく機能を実行制御する。すなわち、サーバ制御部22は、動作プログラムP1を読み出して実行することによって、後述する非線形関数を算出する非線形関数算出機能と、非線形関数に基づいて歪み補正係数を算出する歪み補正算出機能を実現する。
【0021】
サーバ記憶部24は、ハードディスクドライブやSSD等から構成されている。
サーバ記憶部24は、携帯端末40にダウンロードさせるためのデフォルメ地図の画像データ30と、デフォルメ地図の画像データ上の位置が平面座標系で設定されたデフォルメ地図平面座標データ32と、を含むデフォルメ地図データ34と、携帯端末40のGNSS座標を、デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数36と、動作プログラムP1と記憶している。
【0022】
(デフォルメ地図平面座標データの作成)
図3にデフォルメ地図の一例を示し、図4にデフォルメ地図の画像データ上の位置を平面座標系で設定したフォルメ地図平面座標について示す。
図3にはデフォルメ地図の一例として、ある街における観光マップを示している。この観光マップは、街の東の上空から西に向けて見下ろすような形で描かれており、図面上部に向かうにつれて歪みが大きくなっている。
【0023】
図4に示すように、デフォルメ地図の位置は図3のデフォルメ地図の画像データ上にXY平面座標を設定することによって実行される。ここではXY平面座標の原点はデフォルメ地図の左上頂点に設定している。
このようにデフォルメ地図の画像データ上にXY平面座標を設定することでデフォルメ地図の任意の地点はXY座標で表現できる。デフォルメ地図の任意の地点をXY座標で表現したデータを、デフォルメ地図平面座標データと称している。
【0024】
デフォルメ地図の画像データ上にXY平面座標を設定する作業は、作業者が入力装置26を操作して実行する。なお、ここでいう作業者は、本システム10を提供し、サーバ装置20を操作する権限を有する企業の担当者等を指す。
【0025】
(非線形関数の作成)
上記のようにデフォルメ地図平面座標データが設定された後、図5に示すように、デフォルメ地図の任意の複数の位置に正確な地図におけるGNSS座標を付与する。
正確な地図におけるGNSS座標は、どのような方法で調べてもよいが、インターネット上で閲覧可能な正確な地図に付与されているGNSS座標を利用すると容易に調べることができる。デフォルメ地図の任意の複数の位置に正確な地図におけるGNSS座標を付与する作業は、作業者がサーバ装置20の入力装置26を操作して実行する。
【0026】
デフォルメ地図の任意の複数の位置は、交差点などのわかりやすい地点を選択するとよい。特に歪みが大きい場所では、作業者は多数の地点を選択することが好ましい。
図5の例では、作業者は、デフォルメ地図で5個所の交差点A、B、C、D、Eを選択しており、作業者はこの交差点A、B、C、D、EのGNSS座標(東経、北緯)を調べる。交差点A、B、C、D、EのGNSS座標(東経、北緯)の調べ方は、上述したようにインターネット上で閲覧可能な正確な地図に付与されているGNSS座標を利用するとよい。
【0027】
作業者は、交差点A、B、C、D、EのGNSS座標(東経、北緯)が判明すると、交差点A、B、CのGNSS座標(東経、北緯)を交差点A、B、Cのデフォルメ地図平面座標(X、Y)と紐づけしてサーバ記憶部24に記憶する。
なお、図5では、デフォルメ地図上の5個所の交差点についてGNSS座標を付与している例を示したが、実際には5箇所だけではなくもっと多くの箇所についてGNSS座標を付与する必要があり、また付与する箇所は交差点に限定するものではない。
【0028】
次に、GNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換するための非線形関数を算出する。
非線形関数算出は、予めサーバ装置20に組み込んでおいた動作プログラムP1を、サーバ装置20のサーバ制御部22が実行することによって行われる。
【0029】
図6に示すように、非線形関数fは、図5において選択した5箇所の交差点A、B、C、D、Eを結ぶ曲線であり、GNSS座標(東経と北緯)を代入するとデフォルメ地図平面座標値が算出される関数である。
動作プログラムP1の非線形関数算出機能は、まずデフォルメ地図平面座標のX又はYを変数とし、変数の次数を2次以上の非線形関数として設定したうえで、この非線形関数の係数をランダムで選択する。
【0030】
次に、非線形関数算出機能は、ランダムで選択した係数の非線形関数を複数作成し、誤差が最も小さい非線形関数を基準として選択する。そして、非線形関数算出機能は、基準として選択した非線形関数にGNSS座標を代入して係数を調整して最終的な非線形関数を決定する。最終的な非線形関数の決定はAIを用いて行ってもよい。
【0031】
ここで、線形関数と非線形関数の相違について説明する。
図7にGNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換するための線形関数の一例を示し、図8にGNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換するための非線形関数の一例を示す。双方ともに同じ6箇所の所定の場所を結んだ関数である。
線形関数では、各場所を直線で結んでいるために、GNSS座標を正確なデフォルメ地図平面座標に変換することは困難である。一方、非線形関数では、各場所を滑らかな曲線で結ぶことができるために、GNSS座標を正確なデフォルメ地図平面座標に変換することができる。
【0032】
(歪み補正係数の作成)
次に、決定した非線形関数に基づいて歪み補正係数を算出する。歪み補正係数の算出は、予めサーバ装置20に組み込んでおいた動作プログラムP1の歪み補正係数算出機能を、サーバ装置20のサーバ制御部22が実行することによって行われる。
歪み補正係数は、非線形関数に基づいてGNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換するためにGNSS座座標に演算するため係数である。携帯端末40のGNSS受信機42によって得られたGNSS座標にこの歪み補正係数を演算することによって、非線形関数にGNSS座標を代入せずに、GNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換することができる。
【0033】
歪み補正係数を用いてGNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換する理由は以下の通りである。
非線形関数を用いてGNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換しようとする場合、携帯端末40で非線形関数にGNSS座標を代入する計算は携帯端末40のCPU(端末制御部50)では処理速度に問題があり、またサーバ装置20で非線形関数にGNSS座標を代入する計算をしても携帯端末40との間での通信のタイムラグが大きくなるため、非線形関数を用いてGNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換することは好ましくないと考えられるためである。また、歪み補正係数を携帯端末40にダウンロードすることで、GNSS座標をデフォルメ地図平面座標に変換処理する動作を携帯端末40内で完結することができるため、電波が届かない場所であっても正確な現在位置をデフォルメ地図上に表示できる。
【0034】
(携帯端末)
携帯端末40は、スマートフォンやタブレット等を採用することができ、観光客等が所有するものである。
図9に、携帯端末40の概略の内部構成のブロック図を示す。
携帯端末40は、携帯端末40全体の動作を制御する端末制御部50と、GNSS受信機42と、表示部52と、端末記憶部54とを有している。
【0035】
端末制御部50は、CPU等から構成され、端末記憶部54に記憶されている動作プログラムP2を読み出して実行する。動作プログラムP2は、いわゆるアプリケーションソフトウェアであり、動作プログラムP2を起動することによって、表示部52に表示されるデフォルメ地図の画像データ上に、GNSS受信機42で受信した正確な現在位置を表示させることができる。
また、動作プログラムP2は、表示部52にデフォルメ地図画像と、正確な地図の両方が並んで表示されるように制御する機能を有する。このとき、正確な地図上においてもGNSS受信機42で受信した正確な現在位置を表示させることができる。
【0036】
GNSS受信機42は、上述したように一般的に用いられているのはGPS受信機である。GNSS受信機42は現在の正確な位置(GNSS座標(緯度及び経度))を検出することができる。
【0037】
表示部52は、具体的にはタッチパネル式の液晶モニタを採用していることが一般的であるが、タッチパネル式のものに限定されない。
【0038】
端末記憶部54には、サーバ装置20からダウンロードしたデフォルメ地図データ34が記憶される。デフォルメ地図データ34は、デフォルメ地図の画像データ30とデフォルメ地図平面座標データ32を含むものである。また、端末記憶部54には、サーバ装置20から歪み補正係数36が記憶される。
【0039】
また、携帯端末40には、ジャイロセンサ56が設けられており、ユーザが携帯端末40の向きを変えたときには、ジャイロセンサ56が回転方向及び回転角度を検出する。端末制御部50は、ジャイロセンサ56が携帯端末40の向きが変わったことを検出した場合には表示部52に表示されている画像が、ジャイロセンサ56が回転した回転方向及び回転角度となるように画像を回転させる。
【0040】
また携帯端末40には、電子コンパス58が設けられているとよい。電子コンパス58は、地磁気を検出する磁気センサによって構成されている。電子コンパス58は地磁気を検出することによって北方向を検出することができる。これにより、端末制御部50は、GNSS受信機42が受信したGNSS座標と、電子コンパス58によって検出された北方向とによって、携帯端末40を所持するユーザがどの方向に歩いているか(移動しているか)を判断することができる。
【0041】
(携帯端末における動作)
次に、図10に基づいて本システムを用いた携帯端末における動作を説明する。
携帯端末40を所持するユーザ(例えば、観光マップを利用して歩いて観光したい観光客)は、動作プログラムP2を起動する。端末制御部50は、動作プログラムP2を読み込み、動作プログラムP2によって決められた動作を実行する。
【0042】
まず端末制御部50は、サーバ装置20にアクセスする(ステップS100)。
次にユーザは、タッチパネル式の表示部52を操作すると、端末制御部50が所望のデフォルメ地図データ34をダウンロードする(ステップS102)。ここで、デフォルメ地図データ34と一緒に歪み補正係数36もダウンロードするように、予めサーバ記憶部24内でデータを一体でダウンロード可能にさせておく。
【0043】
次にユーザは、タッチパネル式の表示部52を操作し、ダウンロードしたデフォルメ地図データ34を開く。
すると、端末制御部50は、デフォルメ地図の画像データ30を表示部52に表示させるとともに、デフォルメ地図の画像データ30と隣接して正確な地図を表示部52に表示させる(ステップS104)。
【0044】
正確な地図は、インターネット上で自由に利用できる地図を用い、動作プログラムP2は、これを取り込むことによって表示部52に表示させるように制御する。
なお、動作プログラムP2がインターネット上から取り込む正確な地図にはGNSS座標が既に付与されているものであるとする。
【0045】
そして、端末制御部50は、GNSS受信機42が受信したGNSS座標に基づく現在位置を正確な地図上に表示させる制御を実行する(ステップS106)。これと同時に、端末制御部50は、GNSS受信機42が受信したGNSS座標に歪み補正係数36を演算して補正しデフォルメ地図におけるデフォルメ地図平面座標に変換する(ステップS108)。そして端末制御部50は、デフォルメ地図平面座標に変換されたGNSS座標に基づく現在位置をデフォルメ地図上に表示させる制御を実行する(ステップS110)。
【0046】
また、端末制御部50は、軌跡を表示させる軌跡表示モード、現在位置のみ点で表示して軌跡を表示しない軌跡非表示モードと、をユーザの操作によって切り替え可能に設けることもできる。
ユーザが、軌跡を表示させる軌跡表示モードを選択した場合、端末制御部50は、GNSS受信機42が受信したGNSS座標に基づく現在位置を正確な地図上に表示させる制御と、GNSS受信機42が受信したGNSS座標を歪み補正係数36によって補正してデフォルメ地図におけるデフォルメ地図平面座標に変換して現在位置をデフォルメ地図上に表示させる制御をリアルタイムで実行し、その軌跡を正確な地図上及びデフォルメ地図上に表示させる制御を実行する。
【0047】
また、端末制御部50は、ジャイロセンサ56が携帯端末40の向きが変わったことを検出した場合には表示部52に表示されている画像が、ジャイロセンサ56が回転した回転方向及び回転角度となるように画像を回転させるように制御する。
このような制御を実行することによって、ユーザが携帯端末40の向きを変えた場合に、正確な地図とデフォルメ地図は、携帯端末40の向きに合わせるようにできる。
【0048】
さらに、端末制御部50は、正確な地図とデフォルメ地図をノースアップモード又はヘディングアップモードのいずれかを切り替え可能に設けることができる。
ノースアップモードとは、地図の北が常に上を向くように表示する方式であり、ヘディングアップモードとは進行方向が常に上を向くように表示する方式である。
【0049】
ノースアップモードの場合、正確な地図には予め東経北緯が設定されており(すなわち北が設定されている)ため、正確な地図の北が上を向くように制御するノースアップモードにおいては、端末制御部50は、正確な地図の東経方向を表示部52の上方向に合わせるように制御する。
【0050】
また、デフォルメ地図については、デフォルメ地図であっても北が上向きになるように描かれていることが一般的であり、デフォルメ地図平面座標データとしてデフォルメ地図の左上頂点を原点としたXY平面座標を設定しているため、デフォルメ地図の北が上を向くように制御するノースアップモードにおいては、端末制御部50は、デフォルメ地図のY軸方向を表示部52の上方向に合わせるように制御する。
【0051】
ヘディングアップモードの場合、端末制御部50は、GNSS受信機42が受信したGNSS座標と電子コンパス58が検出した北方向とに基づいて携帯端末40のユーザがどの方向を向いて歩いているか(移動しているか)を算出する。
そして端末制御部50は、ユーザが歩いている方向が表示部52の上方向に一致するように、デフォルメ地図及び正確な地図を回転させるように制御する。
【0052】
なお、上述してきた実施形態では携帯端末40を所持するユーザが観光マップを見ながら観光地を歩くケースについて想定してきた。
しかしながら本発明においては、携帯端末40を所持するユーザがデフォルメ地図としての古地図を見ながら該当地域を歩くケースや、携帯端末40を所持するユーザがデフォルメ地図としてのゲレンデマップを見ながらスキー等で移動するケースに採用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 デフォルメ地図への現在位置表示システム
11 電気通信回線
13 GNSS衛星
20 サーバ装置
22 サーバ制御部
24 サーバ記憶部
26 入力装置
27 通信機器
28 モニタ
30 デフォルメ地図の画像データ
32 デフォルメ地図平面座標データ
34 デフォルメ地図データ
36 歪み補正係数
40 携帯端末
42 GNSS受信機
50 端末制御部
52 表示部
54 端末記憶部
56 ジャイロセンサ
58 電子コンパス
P1 動作プログラム
P2 動作プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明にかかるデフォルメ地図への現在位置表示システムによれば、現在位置を把握できるGNSS受信機と、表示部と、端末制御部と、端末記憶部と、を有する携帯端末と、該携帯端末とデータ通信可能に接続されたサーバ装置と、を備え、前記サーバ装置は、デフォルメ地図の画像データと、前記デフォルメ地図の画像データ上の位置がXY平面座標系で設定されたデフォルメ地図平面座標データと、を含むデフォルメ地図データと、正確な地図におけるGNSS座標を、前記デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数と、を記憶しているサーバ記憶部と、デフォルメ地図の任意の複数の位置に正確な地図におけるGNSS座標が付与されたときに、デフォルメ地図の任意の複数の位置に付与したGNSS座標を、デフォルメ地図平面座標に変換するために、デフォルメ地図の任意の複数の箇所を結ぶ曲線であって、デフォルメ地図平面座標のXYを変数とし、変数の次数を2次以上とした非線形関数を算出する機能と、前記非線形関数に基づいて、正確な地図におけるGNSS座標を、前記デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数を算出する算出機能とを有するサーバ制御部と、を具備し、前記携帯端末の前記端末制御部は、前記サーバ装置から前記デフォルメ地図データと、前記歪み補正係数と、をダウンロードして前記端末記憶部に記憶し、ダウンロードした前記デフォルメ地図の画像データを前記表示部に表示し、前記GNSS受信機が受信した現在位置のGNSS座標を、前記歪み補正係数に基づいて前記デフォルメ地図におけるデフォルメ地図平面座標に変換し、前記デフォルメ地図におけるデフォルメ地図平面座標に変換された現在位置のGNSS座標に該当する箇所を、前記表示部に表示した前記デフォルメ地図の画像データ上に表示することを特徴としている。
この構成を採用することによって、携帯端末を所持するユーザは、携帯端末が有するGNSS受信機によって検出される現在位置に基づいて、デフォルメ地図上における現在位置を正確に確認できる。また、歪み補正係数に基づいてデフォルメ地図上に正確な現在位置を表示することができ、計算に時間がかかることがないためユーザが移動している場合でもその都度正確な現在位置をデフォルメ地図上にリアルタイムで表示できる。
ダウンロードしたデフォルメ地図の画像データと歪み補正係数は携帯端末内に保持されるため、電波が届かない場所においても正確な現在位置を表示することができ、また現在位置を算出する処理はサーバ装置と通信する必要が無いため通信負荷が無く高速で実現できる。また、デフォルメ地図の歪みを補正するための技術は、サーバ装置内で歪み補正係数として算出され、歪み補正係数のみが携帯端末にダウンロードされるため、地図の歪みを補正する技術そのものがユーザに開示されることが無く、核心技術としての地図の歪みを補正する技術は秘匿にすることができる。
また、この構成によれば、サーバ装置側では、GNSS座標をデフォルメ地図の任意の位置に変換するための非線形関数を算出し、これに基づいて歪み補正係数を算出するので、正確な地図におけるGNSS座標を、デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標への変換を正確に実行することができる。
また、特許文献1では、現在地Tの近傍の絶対位置情報とそれに対する相対位置情報に対応する点n組を基に現在位置座標を算出しているが、これでは近傍の絶対位置情報で囲まれた範囲の歪みしか考慮できない。ユーザが移動しながらデフォルメ地図上に現在位置を表示する場合、近傍の絶対位置情報で囲まれた範囲から外に出た時(計算に使用する近傍の絶対位置情報が他の情報に変わった時)、現在位置座標の算出結果も大きく変わるため、ユーザの現在位置表示が急激に移動する(例えば5m先に飛ぶ)など大きく変化するため、ユーザの正確な位置表示を行うことができない。一方で、本願発明の歪み補正係数は、デフォルメ地図の任意の複数の位置に付与したGNSS座標全てを考慮して算出した非線形の結果であるため、前述した範囲内外にかかわらず、ユーザが移動しながら現在位置を表示する場合においても、ユーザの現在位置表示が急激に移動することはなく、滑らで正確な現在位置を表示できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を把握できるGNSS受信機と、表示部と、端末制御部と、端末記憶部と、を有する携帯端末と、
該携帯端末とデータ通信可能に接続されたサーバ装置と、を備え、
前記サーバ装置は、
デフォルメ地図の画像データと、前記デフォルメ地図の画像データ上の位置がXY平面座標系で設定されたデフォルメ地図平面座標データと、を含むデフォルメ地図データと、
正確な地図におけるGNSS座標を、前記デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数と、を記憶しているサーバ記憶部と、
デフォルメ地図の任意の複数の位置に正確な地図におけるGNSS座標が付与されたときに、
デフォルメ地図の任意の複数の位置に付与したGNSS座標を、デフォルメ地図平面座標に変換するために、デフォルメ地図の任意の複数の箇所を結ぶ曲線であって、デフォルメ地図平面座標のXYを変数とし、変数の次数を2次以上とした非線形関数を算出する機能と、前記非線形関数に基づいて、正確な地図におけるGNSS座標を、前記デフォルメ地図の画像データ上のデフォルメ地図平面座標に変換するための歪み補正係数を算出する算出機能とを有するサーバ制御部と、を具備し、
前記携帯端末の前記端末制御部は、
前記サーバ装置から前記デフォルメ地図データと、前記歪み補正係数と、をダウンロードして前記端末記憶部に記憶し、
ダウンロードした前記デフォルメ地図の画像データを前記表示部に表示し、
前記GNSS受信機が受信した現在位置のGNSS座標を、前記歪み補正係数に基づいて前記デフォルメ地図におけるデフォルメ地図平面座標に変換し、
前記デフォルメ地図におけるデフォルメ地図平面座標に変換された現在位置のGNSS座標に該当する箇所を、前記表示部に表示した前記デフォルメ地図の画像データ上に表示することを特徴とするデフォルメ地図への現在位置表示システム。
【請求項2】
前記携帯端末の前記端末制御部は、
前記表示部に、デフォルメ地図の画像データと、該デフォルメ地図と同じ場所を示す正確な地図の画像データとを並べて表示させ、
前記GNSS受信機が受信した現在位置のGNSS座標に該当する箇所を、前記表示部に表示した前記正確な地図の画像データ上に表示することを特徴とする請求項1記載のデフォルメ地図への現在位置表示システム。