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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153425
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
F25D23/02 306L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067314
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】川野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】青木 均史
(72)【発明者】
【氏名】設楽 真輔
(72)【発明者】
【氏名】中泉 雄太
(72)【発明者】
【氏名】田中 正昭
(72)【発明者】
【氏名】田代 佳史
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA06
3L102KB14
3L102KB17
3L102KB23
3L102KD11
(57)【要約】
【課題】従来の冷蔵庫では、制御部が、断熱扉の半ドア状態時に全閉状態であると誤判定する恐れがあるという課題がある。
【解決手段】本発明の冷蔵庫10は、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15を自閉させる自閉機構41を有する。そして、自閉機構41は、断熱箱体11に配設されるキャッチャー部42と、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15に配設され、キャッチャー部42と着脱自在に連結するストライカ部44と、キャッチャー部42の回転速度を減速させるソフトクローズ部45と、を備える。この構造により、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15は、キャッチャー部42とストライカ部44との連結状態時に自閉し、ストライカ部44が検知装置46のボタン46Bを押下することで、冷蔵庫10の制御部が、第1の断熱扉14の半ドア状態時に、全閉状態であると誤判定することが防止される。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室が形成される断熱箱体と、
前記断熱箱体にヒンジ機構を介して取り付けられ、前記貯蔵室の前面開口部を開閉自在に塞ぐ断熱扉と、
前記断熱扉を前記断熱箱体に対して自閉させる自閉機構と、
前記断熱扉の全閉状態を検知する検知装置と、を備え、
前記自閉機構は、
前記断熱箱体に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、
前記断熱扉に配設され、前記断熱扉の開閉動作に連動して前記キャッチャー部に連結し、あるいは前記キャッチャー部から離脱するストライカ部と、を有し、
前記キャッチャー部には、前記ストライカ部の係止ピンが侵入する係合溝が形成され、
前記係合溝の延在方向の一端側には、前記係止ピンが前記係合溝内に侵入し、あるいは前記係合溝から離脱するための開口部が形成され、
前記検知装置が、前記係合溝の前記延在方向の他端側に前記係止ピンを検知可能な状態に配設されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記検知装置は、機械式スイッチであり、
前記機械式スイッチのボタンが、前記係合溝の前記延在方向の他端側の前記係合溝内へ突出し、
前記断熱扉の前記全閉状態時に、前記係止ピンが前記ボタンを押下することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記自閉機構は、前記キャッチャー部の回転速度を減速させる減速機構を有し、
前記減速機構は、前記キャッチャー部の回転を規制するダンパ部と、前記キャッチャー部の回転を補助する弾性部と、を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記キャッチャー部は、前記係合溝を形成する第1の基部と第2の基部とを有し、
前記第2の基部は、前記第1の基部よりも庫内側に位置すると共に、前記第2の基部は、前記第1の基部よりも長いことを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記キャッチャー部には、前記係合溝へと前記係止ピンを誘導する復旧部が形成されることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、制御部が自閉式の断熱扉の半ドア状態時に全閉状態であると誤判定することを防止する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の冷蔵庫が開示されている。冷蔵庫は、貯蔵室として用いられる冷蔵庫本体と、冷蔵庫本体の前面開口部を塞ぐ断熱扉と、を備える。そして、断熱扉の右側端部が、上部ヒンジ部を介して冷蔵庫本体に対して回転自在に軸支される。また、冷蔵庫本体の天井面には、上部ヒンジ部の近傍に断熱扉の自閉機構部が配設される。
【0003】
自閉機構部は、主に、上部ヒンジ部と同軸上に回転可能な第1機構と、第1機構に対して回転可能に取り付けられたL字形状の第2機構と、第1機構に配設される永久磁石と、第1機構の回転動作を規制するダンパ部と、第1機構の回転動作をアシストする第1バネ部と、断熱扉の全閉状態を検出する位置検出スイッチと、を備える。
【0004】
一方、断熱扉の庫内側には、断熱扉の閉動作の際に第2機構を押す接続部が形成される。接続部が、断熱扉の閉動作に連動して、自閉機構部のカバーの切欠き部を介してその内部に侵入する。そして、接続部が、第2機構を押すことで第1機構が回転し、第1機構が位置検出スイッチを押下する。冷蔵庫の制御部は、位置検出スイッチからの入力信号により、断熱扉の全閉状態を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3953082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の冷蔵庫では、第1機構が、位置検出スイッチを押下することで、冷蔵庫の制御部は、位置検出スイッチからの入力信号により、断熱扉の全閉状態を判定する。しかしながら、冷蔵庫の経年劣化やドアポケットへの収納物の荷重等により、断熱扉の上部ヒンジ部の反対側の先端部が垂れ下がるように傾く場合がある。そして、断熱扉が傾いた状態で回転することで、接続部が、カバーの切り欠き部に対して完全に侵入しきらず、半ドア状態となる。この場合には、接続部のカバー内への侵入量に応じて、第1機構が回転し、位置検出スイッチを押した状態を維持する。その結果、実際には断熱扉は半ドア状態であるが、制御部が、断熱扉の全閉状態と判断し、各種の冷却運転等を行ってしまうという課題がある。
【0007】
また、断熱扉のドアポケットへの収納物が多くなり、上述したように、断熱扉が冷蔵庫本体に対して若干傾くことで、接続部とカバーの切欠き部とが位置ずれを起こす場合もある。この場合には、断熱扉の閉動作の際に、接続部が、切欠き部を介してカバーの内部に侵入出来ず、カバーと衝突することで、断熱扉が全閉状態とならないという問題が発生する。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、制御部が断熱扉の半ドア状態時に全閉状態であると誤判定することを防止する冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷蔵庫の第1の態様では、貯蔵室が形成される断熱箱体と、前記断熱箱体にヒンジ機構を介して取り付けられ、前記貯蔵室の前面開口部を開閉自在に塞ぐ断熱扉と、前記断熱扉を前記断熱箱体に対して自閉させる自閉機構と、前記断熱扉の全閉状態を検知する検知装置と、を備え、前記自閉機構は、前記断熱箱体に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、前記断熱扉に配設され、前記断熱扉の開閉動作に連動して前記キャッチャー部に連結し、あるいは前記キャッチャー部から離脱するストライカ部と、を有し、前記キャッチャー部には、前記ストライカ部の係止ピンが侵入する係合溝が形成され、前記係合溝の延在方向の一端側には、前記係止ピンが前記係合溝内に侵入し、あるいは前記係合溝から離脱するための開口部が形成され、前記検知装置が、前記係合溝の前記延在方向の他端側に前記係止ピンを検知可能な状態に配設されることを特徴とする。この構造により、キャッチャー部とストライカ部が連結した状態にて断熱扉が自閉し、キャッチャー部の係合溝内にて、断熱扉の全閉状態が検知される。その結果、冷蔵庫の制御部が、断熱扉の半ドア状態時に、全閉状態であると誤判定することが防止される。
【0010】
また、本発明の冷蔵庫の第2の態様では、前記検知装置は、機械式スイッチであり、前記機械式スイッチのボタンが、前記係合溝の前記延在方向の他端側の前記係合溝内へ突出し、前記断熱扉の前記全閉状態時に、前記係止ピンが前記ボタンを押下することを特徴とする。この構造により、キャッチャー部は、断熱扉の全閉状態時に機械式スイッチのボタンを押下する。その結果、冷蔵庫の制御部が、断熱扉の半ドア状態時に、全閉状態であると誤判定することが防止される。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫の第3の態様では、前記自閉機構は、前記キャッチャー部の回転速度を減速させる減速機構を有し、前記減速機構は、前記キャッチャー部の回転を規制するダンパ部と、前記キャッチャー部の回転を補助する弾性部と、を有することを特徴とする。この構造により、断熱扉は、減速機構を介してその回転速度を減速させながら全閉状態へと向けて回転する。その結果、断熱扉の自閉時における静穏性が実現される。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫の第4の態様では、前記キャッチャー部は、前記係合溝を形成する第1の基部と第2の基部とを有し、前記第2の基部は、前記第1の基部よりも庫内側に位置すると共に、前記第2の基部は、前記第1の基部よりも長いことを特徴とする。この構造により、係合溝の先端開口部の開口幅が広くなると共に、係合ピンが、庫内側の第2の基部と衝突し易くなる。そして、係合ピンが、第2の基部と衝突し、係合溝へと誘導されることで、キャッチャー部とストライカ部との連結状態が実現し易くなる。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫の第5の態様では、前記キャッチャー部には、前記係合溝へと前記係止ピンを誘導する復旧部が形成されることを特徴とする。この構造により、ストライカ部は、最初にキャッチャー部との連結に失敗した場合でも、その後の断熱扉の閉動作時に、復旧部を介してキャッチャー部と連結することが可能となる。その結果、断熱扉が半ドア状態に維持されることが防止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の冷蔵庫では、断熱扉の半ドア状態時に、制御部が、断熱扉が全閉状態であると誤判定することを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する側方断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明するブロック図である。
図5A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室の断熱扉の開状態を説明する上面図である。
図5B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室の断熱扉の全閉状態を説明する上面図である。
図6A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する上面図である。
図6B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する斜視図である。
図7A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍室の断熱扉の開状態を説明する底面図である。
図7B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍室の断熱扉の全閉状態を説明する底面図である。
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する底面図である。
図9A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図9B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図9C】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図10A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のキャッチャー部に形成される復旧部を説明する斜視図である。
図10B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のキャッチャー部に形成される復旧部を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態の冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の説明では、上下方向は冷蔵庫10の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫10を前方から見た横幅方向を示し、前後方向は冷蔵庫10の奥行方向を示している。また、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0017】
図1は、本実施形態の冷蔵庫10を前方側から見た外観構造を説明する斜視図である。図2は、本実施形態の冷蔵庫10を前方側から見た内部構造を説明する正面図である。図3は、本実施形態の冷蔵庫10の構造を説明する側方断面図である。図4は、本実施形態の冷蔵庫10の全閉状態であるか、否かを検知する制御を説明するブロック図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室と、を備える。また、貯蔵室としては、上方側から、1つの冷蔵室12と2つの冷凍室13が形成される。尚、図1では、説明の都合上、各貯蔵室の付番を示している。
【0019】
冷蔵室12は、断熱箱体11の中央より上方側の領域であり、庫内の内部空間の略半分程度を用いて形成される。冷蔵室12の前面開口部12Aは、断熱箱体11の略中央から両開き式の第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15にて開閉自在に塞がれる。第1の断熱扉14は回転式の扉であり、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。また、第2の断熱扉15は回転式の扉であり、紙面右方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。尚、第1の断熱扉14、第2の断熱扉15の下端側のヒンジ機構31の下部ヒンジ部は公知の構造であり、図面上省略する。
【0020】
第1の断熱扉14の中央側の端部であり、第1の断熱扉14の庫内側には、センターピラー16が配設される。また、詳細は後述するが、断熱箱体11に配設される自閉機構41のキャッチャー部42(図6A参照)の取付け位置に対応して、第1の断熱扉14の天面14A側には、ストライカ部44が配設される。同様に、断熱箱体11に配設される自閉機構41のキャッチャー部42の取付け位置に対応して、第2の断熱扉15の天面15A側には、ストライカ部44が配設される。尚、冷蔵室12は、例えば、仕切り板部材(図示せず)により紙面上下方向に複数段に仕切られる。
【0021】
冷凍室13は、断熱箱体11の中央より下方側の領域であり、庫内の内部空間の略半分程度を用いて形成される。冷凍室13は、断熱箱体11の一部である区画壁17により紙面左右方向に区画して形成される。そして、第3の断熱扉18は回転式の扉であり、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。また、第4の断熱扉19は回転式の扉であり、紙面右方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。尚、第3の断熱扉18、第4の断熱扉19の上端側のヒンジ機構31の上部ヒンジ部は公知の構造であり、図面上省略する。
【0022】
また、冷凍室13が、両開き式の第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19により全閉状態となる場合には、第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19は、区画壁17に対して当接し磁着した状態となる。また、断熱箱体11に配設される自閉機構37(図8参照)のキャッチャー部42(図8参照)の取付け位置に対応して、第3の断熱扉18の底面18A側には、ストライカ部44が配設される。同様に、断熱箱体11に配設される自閉機構37のキャッチャー部42の取付け位置に対応して、第4の断熱扉19の底面19A側には、ストライカ部44が配設される。尚、冷凍室13は、例えば、引き出し式の収納ケース(図示せず)により、それぞれ紙面上下方向に複数段に仕切られる。
【0023】
図示したように、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15の庫内側の内面板材35には、外周端部に沿って環状にガスケット36が配設される。また、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15の庫内側には、ガスケット36の内側に膨出部35Aが形成される。そして、膨出部35Aは、収納ラック34を支持することで、ドア側の収納領域が形成される。
【0024】
図3に示すように、断熱箱体11は、主に、冷蔵庫10の外形を形成する鋼板から成る外箱21と、外箱21の内側に形成された箱形の合成樹脂板から成る内箱22と、外箱21と内箱22との間に配設された断熱材23と、を有する。断熱材23としては、例えば、発泡ウレタンが採用される。
【0025】
冷凍室13の後方には、冷却室24が区画形成される。冷却室24には冷却器25が配設される。また、断熱箱体11の最下部後方には、機械室26が区画形成され、機械室26には圧縮機27等が配設される。冷却器25及び圧縮機27は、図示しない膨張手段および凝縮器と冷媒配管を経由して接続され、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成する。尚、蒸気圧縮冷凍サイクルの各構成機器は、ここでは図示しない冷媒配管を経由して相互に接続される。
【0026】
上記冷凍サイクルが運転することで、冷却器25により冷却室24の内部の空気が冷却される。冷却室24には、冷却器25の上方側に送風機28が配設される。送風機28は、例えば、軸流送風機または遠心送風機であり、冷却室24の内部の冷気を、冷蔵室12および冷凍室13に向けて送風する。そして、上記冷気が、各種風路29を経由して各貯蔵室に送風されることで、冷蔵室12は冷蔵温度帯域となり、冷凍室13は冷凍温度帯域となる。
【0027】
冷却室24の冷却器25の下方には、除霜ヒータ20が配置される。上記冷凍サイクルの運転に伴い、冷却器25の表面に厚い着霜が生じる。このようになると、制御部30(図4参照)は、圧縮機27を停止して除霜ヒータ20を通電して加熱する除霜運転を行い、上記霜を溶融除去する。尚、除霜ヒータ20としては、電気抵抗加熱式のヒータ、シーズヒータやホットガスデフロスト等が採用される。
【0028】
図4に示すように、冷蔵庫10の制御部30は、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19に対してそれぞれ配設される自閉機構41,37内の検知装置46からの入力信号を検知し、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19の全閉状態を判定する。具体的には、冷蔵庫10の制御部30は、機械式スイッチ46A(図6A参照)のボタン46B(図6A参照)が、係合ピン44Aにより押下された入力信号を検知することで、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19が全閉状態であるとそれぞれ判定する。
【0029】
一方、冷蔵庫10の制御部30は、一定時間に渡り検知装置46からの上記入力信号を検知しない場合には、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19のいずれかが、半ドア状態を含む開状態であると判定する。そして、冷蔵庫10の制御部30は、報知部40を制御して、例えば、音を発し、冷蔵庫10の利用者に対して、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19のいずれかが開状態であることを報知する。尚、本実施形態の報知部40は、例えば、冷蔵庫10の利用者に対して音や光等を発するための装置である。
【0030】
次に、図5Aから図6Bを用いて、本実施形態の冷蔵庫10の冷蔵室12(図2参照)側の第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15に対して配設される自閉機構41について説明する。尚、以下の説明では、第1の断熱扉14に配設される自閉機構41について説明し、第2の断熱扉15側に配設される自閉機構41の説明は、第1の断熱扉14側の説明を参照し、ここではその説明を省略する。
【0031】
図5Aは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、断熱箱体11に対して開いた状態を説明する上面図である。図5Bは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、断熱箱体11に対して全閉した状態を説明する上面図である。図6Aは、本実施形態の冷蔵庫10の自閉機構41のソフトクローズ部45の内部構造を説明する上面図である。図6Bは、本実施形態の冷蔵庫10の自閉機構41のキャッチャー部42を説明する斜視図である。
【0032】
図5Aに示すように、第1の断熱扉14は、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aは、断熱箱体11の天面11A上に配設されると共に、その上面がカバー部33により覆われる。尚、ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aの詳細の構造は図示しないが、公知の構造である。上部ヒンジ部31Aは、例えば、断熱箱体11に固定され、第1の断熱扉14側まで延在する本体フレーム、本体フレームの第1の断熱扉14側に配設されるヒンジピン、ヒンジピンが挿通される第1の断熱扉14のヒンジ取付け孔等を備える。
【0033】
自閉機構41は、主に、キャッチャー部42と、ストライカ部44と、ソフトクローズ部45と、検知装置46と、を備える。そして、自閉機構41は、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15の回転速度を調整しながら、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15を自閉させる機構である。
【0034】
自閉機構41の一部は、ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aの隣であり、断熱箱体11の天面11Aに固定して配設される。そして、自閉機構41の一部は、ヒンジ機構31と一緒にカバー部33の内部に収納される。図示したように、自閉機構41のキャッチャー部42は、断熱箱体11の天面11A側であり、自閉機構41のソフトクローズ部45に対して回転可能に軸支される。第1の断熱扉14の開状態時には、キャッチャー部42の一部は、カバー部33から導出した状態となる。そして、キャッチャー部42には、ストライカ部44の係合ピン44Aが、侵入可能な、あるいは離脱可能な係合溝42Aが形成される。
【0035】
自閉機構41のストライカ部44は、第1の断熱扉14の天面14A側であり、庫内側に向けて配設される。ストライカ部44の先端には、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入する係合ピン44Aが配設される。詳細は後述するが、第1の断熱扉14の閉動作時に、係合ピン44Aが係合溝42A内に侵入し、キャッチャー部42とストライカ部44とが連結状態と成る。その後、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫内側へと押しながら、係合溝42A内をキャッチャー部42の根本側へと移動する。
【0036】
図5Bに示すように、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで回転動作し、カバー部33内へと収納される。詳細は図6Aに示すが、カバー部33の内部の自閉機構41の配置領域には、キャッチャー部42の回転動作を規制するソフトクローズ部45が収納される。そして、検知装置46は、例えば、機械式スイッチ46Aを有し、キャッチャー部42の係合溝42Aに侵入した係合ピン44Aが、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下すると、その押下された信号が冷蔵庫10の制御部30(図4参照)へと送信される。冷蔵庫10の制御部30では、上記信号から第1の断熱扉14の全閉状態を検出することで、第1の断熱扉14のドア照明を消灯する等、各種制御を実行する。
【0037】
一方、第1の断熱扉14が、図5Bに示す全閉状態から図5Aに示す開状態へと移行する過程では、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫外側へと押しながら、係合溝42Aの先端側へと移動した後、先端開口部39を介して係合溝42Aから離脱する。このとき、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで回転動作し、キャッチャー部42の一部は、カバー部33の外側へと導出する。
【0038】
尚、キャッチャー部42は、第1の断熱扉14が開状態であり、キャッチャー部42とストライカ部44との非連結状態時には、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して45度の位置にて停止する。そして、キャッチャー部42の底面の一部が、ソフトクローズ部45の収納部32の突起部(図示せず)に対して嵌合することで、バネ部48を介して連結部48Bにより付勢されても上記停止状態を維持する。そして、第1の断熱扉14の開状態時に、キャッチャー部42が、冷蔵庫10の利用者と軽く接触した程度では、上記停止状態を維持することが出来る。
【0039】
図6Aに示すように、カバー部33(図5A参照)の内部の自閉機構41の配設領域には、ヒンジ機構31側から、バネ部48、第2のダンパ部50及び第1のダンパ部49が、並んで配設される。また、検知装置46は、キャッチャー部42の内部に配設される。そして、ソフトクローズ部45は、主に、バネ部48と、第1のダンパ部49と、第2のダンパ部50と、を有する。尚、本実施形態のソフトクローズ部45は、本願発明の減速機構に対応する。また、本実施形態のバネ部48は、本願発明の弾性部に対応する。
【0040】
バネ部48は、例えば、3本の圧縮コイルバネ48Aと、圧縮コイルバネ48Aの先端部を固定する連結部48Bと、を有する。圧縮コイルバネ48Aの後端部は、ソフトクローズ部45の収納部32に固定される。また、連結部48Bは、キャッチャー部42の後端側と接触状態となる。
【0041】
この構造により、連結部48Bが、キャッチャー部42の回転動作に連動して、キャッチャー部42により押され、あるいは、キャッチャー部42を押すことで、圧縮コイルバネ48Aは、矢印51の方向(紙面前後方向)に伸縮する。
【0042】
具体的には、第1の断熱扉14が、図5Aに示す開状態から図5Bに示す全閉状態へと移行する過程では、圧縮コイルバネ48Aは伸びることで、連結部48Bが、キャッチャー部42を押し、キャッチャー部42の回転動作をアシストする。一方、第1の断熱扉14が、図5Bに示す全閉状態から図5Aに示す開状態へと移行する過程では、圧縮コイルバネ48Aは、キャッチャー部42に押されることで圧縮される。尚、本実施形態では、3本の圧縮コイルバネ48Aが用いられる場合について説明するが、圧縮コイルバネ48Aの本数は任意の設計変更が可能である。
【0043】
第1のダンパ部49及び第2のダンパ部50は、バネ部48と同様に、矢印51の方向に伸縮するように配設される。第1のダンパ部49のシャフト部49Aの先端部49Bは、キャッチャー部42の側面に配設されるスライダー部52と接触する。同様に、第2のダンパ部50のシャフト部50Aの先端部50Bは、キャッチャー部42の側面に配設されるスライダー部52と接触する。そして、第1の断熱扉14が、図5Aに示す開状態から図5Bに示す全閉状態へと移行する際には、第1のダンパ部49及び第2のダンパ部50は、キャッチャー部42に押されることで、それぞれのシャフト部49A,50Aが本体部49C,50C内へと収納される。
【0044】
ここで、図6A及び図6Bに示すように、スライダー部52は、キャッチャー部42の側面に開口するスライダー収納凹部42Dに配設される。そして、スライダー部52は、回転軸部42Eを介してキャッチャー部42に対して回転可能に連結される。この構造により、スライダー部52は、キャッチャー部42の回転動作に連動して、スライダー収納凹部42Dにガイドされることで、矢印51の方向に移動する。その結果、スライダー部52は、第1及び第2のダンパ部49,50の先端部49B,50Bを矢印51の方向に押すことが可能となる。
【0045】
詳細は後述するが、第1の断熱扉14の閉動作時に、キャッチャー部42の回転動作に連動して、スライダー部52が、第1のダンパ部49と第2のダンパ部50に対して順次接触することで、キャッチャー部42の回転を規制する抵抗力が、段階的に変化する。この構造により、キャッチャー部42とストライカ部44との連結状態時に、キャッチャー部42が最後まで回転し、第1の断熱扉14が全閉状態となる。
【0046】
検知装置46は、例えば、機械式スイッチ46Aを有し、機械式スイッチ46Aは、配線部46Cを介して冷蔵庫10の制御部30(図4参照)と接続する。図示したように、機械式スイッチ46Aは、キャッチャー部42の内部に配設され、機械式スイッチ46Aのボタン46Bは、キャッチャー部42の係合溝42A内の根元に露出して配設される。
【0047】
上述したように、第1の断熱扉14の全閉状態時に、係合ピン44Aが、係合溝42Aの根本まで移動する。そして、係合ピン44Aが、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下することで、その押下された信号が冷蔵庫10の制御部30へと送信される。
【0048】
次に、図7Aから図8を用いて、本実施形態の冷蔵庫10の冷凍室13(図2参照)側の第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19に対して配設される自閉機構37について説明する。尚、以下の説明では、第3の断熱扉18に配設される自閉機構37について説明し、第4の断熱扉19側に配設される自閉機構37の説明は、第3の断熱扉18側の説明を参照し、ここではその説明を省略する。また、自閉機構37に関し、自閉機構41と同じ構成部材には同一の符番を用い、繰り返しの説明を省略する。
【0049】
図7Aは、冷蔵庫10の第3の断熱扉18が、断熱箱体11に対して開いた状態を説明する底面図である。図7Bは、本実施形態の冷蔵庫10の第3の断熱扉18が、断熱箱体11に対して全閉した状態を説明する底面図である。図8は、本実施形態の冷蔵庫10の自閉機構37の内部構造を説明する底面図である。
【0050】
最初に、図8に示すように、自閉機構37は、図6Aに示す自閉機構41の構成部材と同一の構成部材が用いられるが、構成部材の配置関係が自閉機構41と相違する。具体的には、自閉機構37の配設領域には、ヒンジ機構31側から、第1のダンパ部49、第2のダンパ部50及びバネ部48が、並んで配設される。また、検知装置46は、キャッチャー部42の内部に配設され、ボタン46Bが、係合溝42Aの根本に露出する。尚、第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19が、自閉機構37により自閉する動作に関しては、キャッチャー部42が、ヒンジ機構31側に向けて回転する構造は異なるが、その他の動作は上述した自閉機構41を用いた場合と同様である。
【0051】
次に、図7Aに示すように、自閉機構37は、ヒンジ機構31の隣であり、断熱箱体11の底面11Cに固定して配設される。そして、第3の断熱扉18の開状態時には、キャッチャー部42の一部は、自閉機構37のカバー部38から導出した状態となる。
【0052】
また、図示したように、自閉機構37のストライカ部44は、第3の断熱扉18の底面18A側であり、庫内側に向けて配設される。ストライカ部44の先端には、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入する係合ピン44Aが配設される。そして、第3の断熱扉18の閉動作時に、係合ピン44Aが係合溝42A内に侵入し、キャッチャー部42とストライカ部44とが連結状態と成る。その後、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫内側へと押しながら、係合溝42A内をキャッチャー部42の根本側へと移動する。
【0053】
図7Bに示すように、キャッチャー部42は、ストライカ部44により押されると共に、ソフトクローズ部45により回動速度が遅くなりながら、断熱箱体11の前面11Bに対して略水平な状態まで回転する。キャッチャー部42は、カバー部38内へと収納される。そして、係合ピン44Aが、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下すると、その押下された信号が冷蔵庫10の制御部30へと送信される。
【0054】
一方、第3の断熱扉18が、図7Bに示す全閉状態から図7Aに示す開状態へと移行する過程では、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫外側へと押しながら、係合溝42Aの先端側へと移動した後、先端開口部39を介して係合溝42Aから離脱する。このとき、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで回転動作し、キャッチャー部42の一部は、カバー部38の外側へと導出する。
【0055】
上述したように、自閉機構37では、キャッチャー部42が、ヒンジ機構31側に向けて回転動作することで、第3の断熱扉18の開状態において、キャッチャー部42の先端側は、断熱箱体11のヒンジ機構31近傍に突出した状態となる。言い換えると、第3及び第4の断熱扉18,19の開状態において、一対のキャッチャー部42は、冷蔵庫10の前面11A側から見て、片仮名の略ハの字形状となるように、断熱箱体11の前面11Aに対して左右外側へと向けて展開される。
【0056】
この構造により、例えば、利用者が、冷凍室13内の食材を探す際、あるいは、冷凍室13へと食材を収納する際に、利用者は、冷凍室13へと近づくが、キャッチャー部42は、冷蔵庫10の利用者の足やスリッパ等と接触し難くなる。その結果、キャッチャー部42は、所定の位置に留まることで、第3の断熱扉18の閉動作時に、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入し、第3の断熱扉18が半ドア状態となることが防止される。
【0057】
次に、図9Aから図9Cを用いて、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、開状態から全閉状態へと移行する際の自閉機構41の動作について説明する。尚、以下の説明では、第1の断熱扉14を用いて説明する。そして、第2の断熱扉15から第4の断熱扉19に関する動作の説明は、第1の断熱扉14に関する説明を参照し、ここではその説明を省略する。また、説明の都合上、カバー部33の内部に配設されるソフトクローズ部45とキャッチャー部42との位置関係を実線にて示す。
【0058】
図9Aから図9Cは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、断熱箱体11に対して開状態から全閉状態へと移行する状況を説明する上面図である。図10A及び図10Bは、本実施形態の冷蔵庫10のキャッチャー部42とストライカ部44が、復旧部61を介して連結する状況を説明し、図10Aはその斜視図であり、図10Bはその断面図である。
【0059】
図9Aでは、第1の断熱扉14が開状態から全閉状態へと向けて移行する途中であり、例えば、第1の断熱扉14が、全閉状態から45度開いた状態を示す。図示したように、第1の断熱扉14に配設されるストライカ部44の係合ピン44Aは、キャッチャー部42の係合溝42Aから離脱した状態である。そして、冷蔵庫10の利用者が、第1の断熱扉14を閉めるために、第1の断熱扉14を断熱箱体11の前面11B側へと押す。この利用者の閉める動作により、上記押した勢いと第1の断熱扉14の荷重を利用して、第1の断熱扉14は、断熱箱体11の前面11B側へと回転する。
【0060】
本実施形態では、キャッチャー部42は、例えば、断熱箱体11の前面11Bから約45度まで庫外側へと回転する構造である。そして、キャッチャー部42の係合溝42Aの形成領域が、カバー部33から外部に露出する。また、上述したように、キャッチャー部42は、断熱箱体11の天面11Aに配設される。この構造により、第1の断熱扉14の開状態において、キャッチャー部42は、利用者の目線よりも高い位置であり、断熱箱体11の前面11Bから必要最小限の部分が突出することで、目立たない構造となり、冷蔵庫10の意匠性が損なわれ難くなる。
【0061】
次に、図9Bでは、図9Aに引き続き、第1の断熱扉14が開状態から全閉状態へと向けて移行する途中であり、例えば、第1の断熱扉14が、全閉状態から10度開いた状態を示す。図示したように、第1の断熱扉14に配設されるストライカ部44の係合ピン44Aは、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入した状態である。そして、キャッチャー部42とストライカ部44とは連結状態となり、連動して動作する。
【0062】
ここで、図9Aに示すように、キャッチャー部42は、係合溝42Aを挟むように、第1の基部42Bと、第2の基部42Cと、を有する。そして、丸印53にて示すように、第2の基部42Cの先端部は、第1の基部42Bの先端部よりも庫内中央側まで延在する。この構造により、係合溝42Aでは、先端開口部39の開口幅が広くなると共に、庫内側の第2の基部42Cが長くなることで、係合ピン44Aと第2の基部42Cとが衝突し易くなる。そして、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入する際に、係合ピン44Aが、第2の基部42Cと衝突し、係合溝42Aへと誘導されることで、キャッチャー部42とストライカ部44との連結状態が実現し易くなる。
【0063】
具体的には、第1の断熱扉14が、上記押した勢いと荷重(以下、「上記荷重等」と呼ぶ。)により、断熱箱体11の前面11B側へと回転しなら移動することで、係合ピン44Aもキャッチャー部42へと近づく。そして、第1の断熱扉14が、例えば、全閉状態から30度開いた状態となることで、ストライカ部44の係合ピン44Aが、キャッチャー部42の係合溝42Aの先端開口部39から内部へと侵入する。
【0064】
その後、図9Bに示すように、第1の断熱扉14が、上記荷重等を利用して閉方向へ回転し続けることで、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫内側へと押しながら、係合溝42A内をキャッチャー部42の根本側へと移動する。一方、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで、カバー部33側へと回転する。
【0065】
ここで、ソフトクローズ部45の動作について説明する。上述したように、ソフトクローズ部45では、第1の断熱扉14の閉動作時において、キャッチャー部42には、バネ部48により回転をアシストする回転補助力が加わる一方、第1及び第2ダンパ部49,50により回転を規制する抵抗力が加わる。そして、本実施形態では、ソフトクローズ部45に第1及び第2のダンパ部49,50が配設されることで、キャッチャー部42の回転を規制するための抵抗力が、段階的にキャッチャー部42に加わる。
【0066】
具体的には、第1段階として、図9Aに示すように、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入し、ストライカ部44とキャッチャー部42とが連結してから一定の間は、第1のダンパ部49の先端部49Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触した状態となる。このとき、第2のダンパ部50の先端部50Bは、キャッチャー部42のスライダー部52と離間した状態となる。
【0067】
第1段階では、キャッチャー部42に対して、第1のダンパ部49を介して抵抗力が加わる。そして、第1段階での抵抗力に対しては、キャッチャー部42に上記荷重等が加わることで対抗可能である。そして、係合ピン44Aが、係合溝42Aに侵入した状態を維持することで、係合ピン44Aが、係合溝42Aによりガイドされ、上記荷重等がキャッチャー部42に対して伝達される。尚、第1のダンパ部49による抵抗力は、例えば、第1の断熱扉14が、利用者により勢い良く閉められた際に、第1の断熱扉14の回転速度を減速させることを目的として設計される。
【0068】
次に、第2段階として、図9Bに示すように、第1の断熱扉14が全閉状態時へと向けて更に回転することで、第2のダンパ部50の先端部50Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触した状態となる。そして、この状態では、第1及び第2のダンパ部49,50の先端部49B,50Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触している。
【0069】
第2段階では、キャッチャー部42に対して、第1及び第2のダンパ部49,50を介して抵抗力が加わる。そして、第2段階での抵抗力に対しては、ストライカ部44とキャッチャー部42との連結状態において、キャッチャー部42に上記荷重等が加わると共に、ソフトクローズ部45のバネ部48による回転補助力が加わることで対抗可能となる。
【0070】
次に、図9Cでは、第1の断熱扉14の全閉状態を示す。図示したように、第1の断熱扉14に配設されるストライカ部44の係合ピン44Aは、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入した状態である。
【0071】
上述したように、第1の断熱扉14の回転動作に連動し、第1及び第2のダンパ部49,50の先端部49B,50Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触する。キャッチャー部42に対しては、第1及び第2のダンパ部49,50を介して抵抗力が加わる。そして、キャッチャー部42には、上記第1段階よりも大きな抵抗力が加わるが、ソフトクローズ部45のバネ部48による回転補助力も用いて、キャッチャー部42は、上記水平状態まで回転を継続する。その結果、係合ピン44Aが、係合溝42Aの根本まで到達することで、係合ピン44Aが、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下する。そして、第1の断熱扉14は、冷蔵室12に対して全閉状態となる。
【0072】
本実施形態の冷蔵庫10では、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入し、キャッチャー部42とストライカ部44とは連結状態となる。そして、この連結状態時に、第1の断熱扉14は、ソフトクローズ部45により回転速度が調整されながら、冷蔵室12に対して全閉状態となる。
【0073】
この構造により、利用者が、第1の断熱扉14を勢い良く押し、第1の断熱扉14を閉める場合でも、第1の断熱扉14は、ゆっくりと断熱箱体11の前面11Bのガスケット36に対して磁着する。その結果、第1の断熱扉14の全閉時の静穏性、例えば、第1の断熱扉14の全閉時の音や第1の断熱扉14が振動し収納物が周囲と当たり発生する音が低減され、利用者の快適性が高められる。
【0074】
一方、本実施形態の冷蔵庫10では、係合ピン44Aが係合溝42A内への侵入に失敗した場合には、ストライカ部44とキャッチャー部42とは非連結状態となる。この非連結状態の場合には、例えば、キャッチャー部42が、正規の停止位置から位置ずれを起こし、ストライカ部44が、キャッチャー部42に対して接触しない状態となることで、キャッチャー部42へ上記荷重等が加わらない。あるいは、ストライカ部44とキャッチャー部42との接触角度が所望の位置からずれることで、キャッチャー部42へ加わる上記荷重等が低減する。その結果、キャッチャー部42は、第1及び第2のダンパ部49,50による抵抗力に対抗出来ず、第1の断熱扉14は、半ドア状態にて回転が停止する。
【0075】
この場合には、機械式スイッチ46Aのボタン46Bが、係合ピン44Aにて押下されることはなく、第1の断熱扉14の半ドア状態時に、冷蔵庫10の制御部30(図4参照)が、第1の断熱扉14が全閉状態であると誤判定することが防止される。そして、上述したように、冷蔵庫10の制御部30が、報知部40(図4参照)を制御し、冷蔵庫10の利用者に対して警告音を発することで、利用者により第1の断熱扉14の半ドア状態が解消可能となる。
【0076】
次に、図10A及び図10Bを用いて、キャッチャー部42の構造の変形例について説明する。
【0077】
図10Aに示すように、キャッチャー部42の係合溝42Aの形成領域であり、庫外側の第1の基部42Bには、復旧部61が形成される場合でも良い。そして、復旧部61は、第1の断熱扉14の閉動作時において、最初に係合ピン44Aが係合溝42A内への侵入に失敗した後に、係合ピン44Aがキャッチャー部42の側方側から係合溝42Aへと戻るための傾斜面61Aである。尚、復旧部61は、第1の基部42Bの全体に形成される場合でも良く、第1の基部42Bに対して部分的に形成される場合でも良い。
【0078】
図10Bに示すように、復旧部61は、例えば、キャッチャー部42の表面側に形成される傾斜形状であり、庫外側の側面から係合溝42A側へと向けて上り傾斜の傾斜面61Aとなる。一方、係合ピン44Aは、例えば、弾性バネにより付勢され、ストライカ部44の筐体部に対して上下方向にスライド可動する構造となる。
【0079】
ここで、図9Aに示すように、第1の断熱扉14の開動作に伴い、係合ピン44Aが係合溝42Aから離脱した場合には、キャッチャー部42は、上記45度の角度を維持する。しかしながら、キャッチャー部42の一部が、冷蔵室12の前方側へと突出する構造により、キャッチャー部42が利用者と接触することで、キャッチャー部42の角度が、上記45度よりも小さくなる場合がある。
【0080】
この場合には、キャッチャー部42が、正規の停止位置から位置ずれを起こすことで、係合ピン44Aが、先端開口部39を介して係合溝42A内に侵入出来なくなる。その結果、係合ピン44Aは、キャッチャー部42の復旧部61の傾斜面61Aと衝突する。そして、その衝突直後には、第1の断熱扉14は、上記荷重等により全閉方向へと回転し続けることで、係合ピン44Aは、復旧部61の傾斜面61Aに沿って移動する。
【0081】
上述したように、係合ピン44Aは、復旧部61の傾斜面61Aと接触し、傾斜面61Aに沿って移動する際に、ストライカ部44の筐体部の上方側へとスライド移動することで、復旧部61を乗り越え、係合溝42A内へと侵入する。その結果、キャッチャー部42とストライカ部44との連結状態が実現され、第1の断熱扉14は、全閉状態まで回転可能となる。
【0082】
一方、図示したように、復旧部61の傾斜面61Aは、係合溝42Aまで連続しない構造となる。この構造により、ソフトクローズ部45の正常動作時に、係合ピン44Aが、係合溝42Aの先端開口部39から係合溝42A内に侵入した場合には、係合ピン44Aが、下方の先端部から上方へと押されることはなく、係合溝42Aから抜け落ちることが防止される。尚、係合ピン44Aが、係合溝42A内へと復旧した後の動作は、上述した通りである。
【0083】
尚、本実施形態では、ソフトクローズ部45として第1及び第2のダンパ部49,50が配設され、第1及び第2のダンパ部49,50が、キャッチャー部42に対して段階的に抵抗力を加える場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、ソフトクローズ部45としては、第1のダンパ部49のみから構成される場合でも良く、また、3本以上のダンパ部から構成される場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
11A 天面
11B 前面
11C 底面
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 第1の断熱扉
14A 天面
15 第2の断熱扉
16 センターピラー
17 区画壁
18 第3の断熱扉
19 第4の断熱扉
20 除霜ヒータ
21 外箱
22 内箱
23 断熱材
24 冷却室
25 冷却器
26 機械室
27 圧縮機
28 送風機
29 風路
30 制御部
31 ヒンジ機構
31A 上部ヒンジ部
32 収納部
33,38 カバー部
34 収納ラック
35 内面板材
35A 膨出部
36 ガスケット
39 先端開口部
40 報知部
37,41 自閉機構
42 キャッチャー部
42A 係合溝
42B 第1の基部
42C 第2の基部
42E 回転軸部
42D スライダー収納凹部
44 ストライカ部
44A 係合ピン
45 ソフトクローズ部
46 検知装置
46A 機械式スイッチ
46B ボタン
46C 配線部
48 バネ部
48A 圧縮コイルバネ
48B 連結部
49 第1のダンパ部
49A,50A シャフト部
49B,50B 先端部
49C,50C 本体部
50 第2のダンパ部
52 スライダー部
61 復旧部
61A 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B