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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153427
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
F25D23/02 306L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067316
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】川野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】青木 均史
(72)【発明者】
【氏名】設楽 真輔
(72)【発明者】
【氏名】中泉 雄太
(72)【発明者】
【氏名】田中 正昭
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA06
3L102KB14
3L102KB17
(57)【要約】
【課題】従来の冷蔵庫では、自閉機構のストライカ部とキャッチャー部とが非連結状態となることで、断熱扉が半ドア状態となるという課題がある。
【解決手段】本発明の冷蔵庫10の自閉機構41は、断熱箱体11に配設されるキャッチャー部42と、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19に配設され、キャッチャー部42と着脱自在に連結するストライカ部44と、キャッチャー部42の回転速度を減速させるソフトクローズ部45と、を備える。そして、キャッチャー部42の係合溝42Aにストライカ部44の係合ピン44Aが、挿入されることで、キャッチャー部42とストライカ部44とは連結状態となる。この構造により、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19の半ドア状態が発生し難くなる。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室が形成される断熱箱体と、
前記断熱箱体にヒンジ機構を介して取り付けられ、前記貯蔵室の前面開口部を開閉自在に塞ぐ断熱扉と、
前記断熱扉を前記断熱箱体に対して自閉させる自閉機構と、を備え、
前記自閉機構は、
前記断熱箱体に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、
前記キャッチャー部と連結し、前記キャッチャー部の回転速度を減速させる減速機構と、を有し、
前記ヒンジ機構の本体フレームは、前記断熱箱体に位置決めして固定されると共に、前記本体フレームは、前記減速機構の配設領域まで連続して形成され、
前記減速機構は、前記本体フレームに設けられた位置決め構造を用いて前記本体フレームに固定されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記自閉機構は、
前記断熱扉に配設され、前記断熱扉の開閉動作に連動して前記キャッチャー部に連結し、あるいは前記キャッチャー部から離脱するストライカ部を有し、
前記断熱扉の閉動作時には、前記ストライカ部の係合ピンは、前記キャッチャー部の係合溝に対して侵入し、前記キャッチャー部と前記ストライカ部とが連結することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記位置決め構造は、前記本体フレームに形成される突起部であり、
前記減速機構は、固定部材及び前記突起部を用いて前記本体フレームに固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記位置決め構造は、前記本体フレームに形成される孔部であり、
前記減速機構は、固定部材及び前記孔部を用いて前記本体フレームに固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
貯蔵室が形成される断熱箱体と、
前記断熱箱体にヒンジ機構を介して取り付けられ、前記貯蔵室の前面開口部を開閉自在に塞ぐ断熱扉と、
前記断熱扉を前記断熱箱体に対して自閉させる自閉機構と、を備え、
前記自閉機構は、
前記断熱箱体に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、
前記キャッチャー部と連結し、前記キャッチャー部の回転速度を減速させる減速機構と、を有し、
前記ヒンジ機構の本体フレームは、前記断熱箱体に位置決めして固定されると共に前記断熱箱体の内側に配設される補強板に固定され、
前記補強板は、前記本体フレームの配設領域から前記減速機構の配設領域まで連続して形成され、
前記減速機構は、前記補強板に形成される位置決め構造を介して前記補強板に固定されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項6】
前記自閉機構は、
前記断熱扉に配設され、前記断熱扉の開閉動作に連動して前記キャッチャー部に連結し、あるいは前記キャッチャー部から離脱するストライカ部を有し、
前記断熱扉の閉動作時には、前記ストライカ部の係合ピンは、前記キャッチャー部の係合溝に対して侵入し、前記キャッチャー部と前記ストライカ部とが連結することを特徴とする請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記位置決め構造は、前記補強板に形成される突起部であり、前記減速機構は、前記突起部を用いて前記補強板に固定されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記位置決め構造は、前記補強板に形成される孔部であり、前記減速機構は、固定部材及び前記孔部を用いて前記補強板に固定されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、断熱扉の自閉機構の組み立て作業を簡素化し、自閉機構の位置決め精度を向上させることで断熱扉の半ドアを防止する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の冷蔵庫が開示されている。冷蔵庫は、貯蔵室として用いられる冷蔵庫本体と、冷蔵庫本体の前面開口部を塞ぐ断熱扉と、を備える。そして、断熱扉は、冷蔵庫本体の略中央から両開き式である。冷蔵庫の正面視左側の断熱扉は、その左側上端部が上部ヒンジ部を介して冷蔵庫本体に対して回転自在に軸支される。同様に、冷蔵庫の正面視右側の断熱扉は、その右側上端部が上部ヒンジ部を介して冷蔵庫本体に対して回転自在に軸支される。それぞれの上部ヒンジ部は、冷蔵庫本体の天面において、カバー体により覆われる。
【0003】
また、冷蔵庫本体の天面には、断熱扉の開閉動作に要するトルクを低減する扉開閉手段が配設される。扉開閉手段は、左右両側の断熱扉に対してそれぞれ配設される。そして、一対の扉開閉手段は、冷蔵庫本体の略中央に並んで配設される。
【0004】
扉開閉手段は、断熱扉側に配設される引き込みピンを有するブラケットと、冷蔵庫本体側に配設される引き込みピンと連結する回転板と、連結部材を介して回転板の閉方向への回転を規制するアクチュエータと、回転板の閉方向への回転をアシストするスプリングと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3864948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の冷蔵庫では、上部ヒンジ部が断熱扉の横幅方向の一端側に配設され、扉開閉手段が断熱扉の横幅方向の他端側に配設される。そして、断熱扉の閉動作時には、扉開閉手段では、断熱扉側の引き込みピンが、冷蔵庫本体側の回転板の螺旋溝内へと侵入し、連結状態となる。その後、扉開閉手段の連結状態にて、断熱扉は、全閉状態へと移行する。この構造により、断熱扉の閉動作時に、引き込みピンが回転板の螺旋溝内へと侵入出来ない場合には、断熱扉は半ドア状態となるという課題がある。
【0007】
そして、従来の冷蔵庫では、上部ヒンジ部と扉開閉手段とが、個別に冷蔵庫本体部に取付けられる構造であり、両部材の取付け位置が大幅に離間している。そのため、上記断熱扉の半ドアを防止するためには、冷蔵庫の組み立て作業時に、扉開閉手段の引き込みピンと回転板との位置決めに関して高い精度が求められる。その結果、作業者の組み立て作業が煩雑化し、個々の作業員の技量に依存するという課題がある。そして、冷蔵庫の量産時における歩留まりを向上させるためには、個々の作業員の技量に頼らず、上記位置精度を高める構造が求められる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、断熱扉の自閉機構の組み立て作業を簡素化し、自閉機構の位置決め精度を向上させることで断熱扉の半ドアを防止する冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷蔵庫の第1の態様では、貯蔵室が形成される断熱箱体と、前記断熱箱体にヒンジ機構を介して取り付けられ、前記貯蔵室の前面開口部を開閉自在に塞ぐ断熱扉と、前記断熱扉を前記断熱箱体に対して自閉させる自閉機構と、を備え、前記自閉機構は、前記断熱箱体に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、前記キャッチャー部と連結し、前記キャッチャー部の回転速度を減速させる減速機構と、を有し、前記ヒンジ機構の本体フレームは、前記断熱箱体に位置決めして固定されると共に、前記本体フレームは、前記減速機構の配設領域まで連続して形成され、前記減速機構は、前記本体フレームに設けられた位置決め構造を用いて前記本体フレームに固定されることを特徴とする。この構造により、作業員が、自閉機構の組み付け作業時に減速機構単独の位置決め作業を行うことなく、自閉機構は、断熱箱体の所望の位置に精度良く組み付けられる。その結果、断熱扉の閉動作時に、断熱扉の半ドアが防止される。
【0010】
また、本発明の冷蔵庫の第2の態様では、前記自閉機構は、前記断熱扉に配設され、前記断熱扉の開閉動作に連動して前記キャッチャー部に連結し、あるいは前記キャッチャー部から離脱するストライカ部を有し、前記断熱扉の閉動作時には、前記ストライカ部の係合ピンは、前記キャッチャー部の係合溝に対して侵入し、前記キャッチャー部と前記ストライカ部とが連結することを特徴とする。この構造により、断熱扉の閉動作時に、自閉機構のキャッチャー部とストライカ部とが連結状態となり、キャッチャー部がストライカ部に押されながら回転することで、断熱扉の半ドアが防止される。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫の第3の態様では、前記位置決め構造は、前記本体フレームに形成される突起部であり、前記減速機構は、固定部材及び前記突起部を用いて前記本体フレームに固定されることを特徴とする。この構造により、自閉機構の減速機構は、突起部を用いて位置決めされ、固定部材により固定される。その結果、減速機構単独の位置決め作業が不要となり、自閉機構の組み付け作業性が向上される。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫の第4の態様では、前記位置決め構造は、前記本体フレームに形成される孔部であり、前記減速機構は、固定部材及び前記孔部を用いて前記本体フレームに固定されることを特徴とする。この構造により、自閉機構の減速機構は、孔部を用いて位置決めされ、固定部材により固定される。その結果、減速機構単独の位置決め作業が不要となり、自閉機構の組み付け作業性が向上される。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫の第5の態様では、貯蔵室が形成される断熱箱体と前記断熱箱体にヒンジ機構を介して取り付けられ、前記貯蔵室の前面開口部を開閉自在に塞ぐ断熱扉と、前記断熱扉を前記断熱箱体に対して自閉させる自閉機構と、を備え、前記自閉機構は、前記断熱箱体に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、前記キャッチャー部と連結し、前記キャッチャー部の回転速度を減速させる減速機構と、を有し、前記ヒンジ機構の本体フレームは、前記断熱箱体に位置決めして固定されると共に前記断熱箱体の内側に配設される補強板に固定され、前記補強板は、前記本体フレームの配設領域から前記減速機構の配設領域まで連続して形成され、前記減速機構は、前記補強板に形成される位置決め構造を介して前記補強板に固定されることを特徴とする。この構造により、作業員が、自閉機構の組み付け作業時に減速機構単独の位置決め作業を行うことなく、自閉機構は、断熱箱体の所望の位置に精度良く組み付けられる。その結果、断熱扉の閉動作時に、断熱扉の半ドアが防止される。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫の第6の態様では、前記自閉機構は、前記断熱扉に配設され、前記断熱扉の開閉動作に連動して前記キャッチャー部に連結し、あるいは前記キャッチャー部から離脱するストライカ部を有し、前記断熱扉の閉動作時には、前記ストライカ部の係合ピンは、前記キャッチャー部の係合溝に対して侵入し、前記キャッチャー部と前記ストライカ部とが連結することを特徴とする。この構造により、断熱扉の閉動作時に、自閉機構のキャッチャー部とストライカ部とが連結状態となり、キャッチャー部がストライカ部に押されながら回転することで、断熱扉の半ドアが防止される。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫の第7の態様では、前記位置決め構造は、前記補強板に形成される突起部であり、前記減速機構は、前記突起部を用いて前記補強板に固定されることを特徴とする。この構造により、自閉機構の減速機構は、突起部を用いて位置決めされ、固定部材により固定される。その結果、減速機構単独の位置決め作業が不要となり、自閉機構の組み付け作業性が向上される。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫の第8の態様では、前記位置決め構造は、前記補強板に形成される孔部であり、前記減速機構は、固定部材及び前記孔部を用いて前記補強板に固定されることを特徴とする。この構造により、自閉機構の減速機構は、孔部を用いて位置決めされ、固定部材により固定される。その結果、減速機構単独の位置決め作業が不要となり、自閉機構の組み付け作業性が向上される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷蔵庫は、断熱扉の自閉機構の組み立て作業を簡素化し、自閉機構の位置決め精度を向上させることで断熱扉の半ドアを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する側方断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明するブロック図である。
図5A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室の断熱扉の開状態を説明する上面図である。
図5B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室の断熱扉の全閉状態を説明する上面図である。
図6A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する上面図である。
図6B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する斜視図である。
図7A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のヒンジ機構及び自閉機構の組み付け構造を説明する斜視図である。
図7B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のヒンジ機構及び自閉機構の組み付け構造を説明する斜視図である。
図8A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のヒンジ機構及び自閉機構の組み付け構造を説明する斜視図である。
図8B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のヒンジ機構及び自閉機構の組み付け構造を説明する斜視図である。
図8C】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のヒンジ機構及び自閉機構の組み付け構造を説明する斜視図である。
図9A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍室の断熱扉の開状態を説明する底面図である。
図9B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍室の断熱扉の全閉状態を説明する底面図である。
図10】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する底面図である。
図11】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のヒンジ機構及び自閉機構の組み付け構造を説明する斜視図である。
図12】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のヒンジ機構及び自閉機構の組み付け構造を説明する斜視図である。
図13A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図13B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図13C】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図14A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のキャッチャー部に形成される復旧部を説明する斜視図である。
図14B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のキャッチャー部に形成される復旧部を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態の冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の説明では、上下方向は冷蔵庫10の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫10を前方から見た横幅方向を示し、前後方向は冷蔵庫10の奥行方向を示している。また、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0020】
図1は、本実施形態の冷蔵庫10を前方側から見た外観構造を説明する斜視図である。図2は、本実施形態の冷蔵庫10を前方側から見た内部構造を説明する正面図である。図3は、本実施形態の冷蔵庫10の構造を説明する側方断面図である。図4は、本実施形態の冷蔵庫10の全閉状態であるか、否かを検知する制御を説明するブロック図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室と、を備える。また、貯蔵室としては、上方側から、1つの冷蔵室12と2つの冷凍室13が形成される。尚、図1では、説明の都合上、各貯蔵室の付番を示している。
【0022】
冷蔵室12は、断熱箱体11の中央より上方側の領域であり、庫内の内部空間の略半分程度を用いて形成される。冷蔵室12の前面開口部12Aは、断熱箱体11の略中央から両開き式の第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15にて開閉自在に塞がれる。第1の断熱扉14は回転式の扉であり、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。また、第2の断熱扉15は回転式の扉であり、紙面右方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。尚、第1の断熱扉14、第2の断熱扉15の下端側のヒンジ機構31の下部ヒンジ部は公知の構造であり、図面上省略する。
【0023】
第1の断熱扉14の中央側の端部であり、第1の断熱扉14の庫内側には、センターピラー16が配設される。また、詳細は後述するが、断熱箱体11に配設される自閉機構41のキャッチャー部42(図6A参照)の取付け位置に対応して、第1の断熱扉14の天面14A側には、ストライカ部44が配設される。同様に、断熱箱体11に配設される自閉機構41のキャッチャー部42の取付け位置に対応して、第2の断熱扉15の天面15A側には、ストライカ部44が配設される。尚、冷蔵室12は、例えば、仕切り板部材(図示せず)により紙面上下方向に複数段に仕切られる。
【0024】
冷凍室13は、断熱箱体11の中央より下方側の領域であり、庫内の内部空間の略半分程度を用いて形成される。冷凍室13は、断熱箱体11の一部である区画壁17により紙面左右方向に区画して形成される。そして、第3の断熱扉18は回転式の扉であり、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。また、第4の断熱扉19は回転式の扉であり、紙面右方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。尚、第3の断熱扉18、第4の断熱扉19の上端側のヒンジ機構31の上部ヒンジ部は公知の構造であり、図面上省略する。
【0025】
また、冷凍室13が、両開き式の第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19により全閉状態となる場合には、第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19は、区画壁17に対して当接し磁着した状態となる。また、断熱箱体11に配設される自閉機構37(図10参照)のキャッチャー部42(図10参照)の取付け位置に対応して、第3の断熱扉18の底面18A側には、ストライカ部44が配設される。同様に、断熱箱体11に配設される自閉機構37のキャッチャー部42の取付け位置に対応して、第4の断熱扉19の底面19A側には、ストライカ部44が配設される。尚、冷凍室13は、例えば、引き出し式の収納ケース(図示せず)により、それぞれ紙面上下方向に複数段に仕切られる。
【0026】
図示したように、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15の庫内側の内面板材35には、外周端部に沿って環状にガスケット36が配設される。また、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15の庫内側には、ガスケット36の内側に膨出部35Aが形成される。そして、膨出部35Aは、収納ラック34を支持することで、ドア側の収納領域が形成される。
【0027】
図3に示すように、断熱箱体11は、主に、冷蔵庫10の外形を形成する鋼板から成る外箱21と、外箱21の内側に形成された箱形の合成樹脂板から成る内箱22と、外箱21と内箱22との間に配設された断熱材23と、を有する。断熱材23としては、例えば、発泡ウレタンが採用される。
【0028】
冷凍室13の後方には、冷却室24が区画形成される。冷却室24には冷却器25が配設される。また、断熱箱体11の最下部後方には、機械室26が区画形成され、機械室26には圧縮機27等が配設される。冷却器25及び圧縮機27は、図示しない膨張手段および凝縮器と冷媒配管を経由して接続され、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成する。尚、蒸気圧縮冷凍サイクルの各構成機器は、ここでは図示しない冷媒配管を経由して相互に接続される。
【0029】
上記冷凍サイクルが運転することで、冷却器25により冷却室24の内部の空気が冷却される。冷却室24には、冷却器25の上方側に送風機28が配設される。送風機28は、例えば、軸流送風機または遠心送風機であり、冷却室24の内部の冷気を、冷蔵室12および冷凍室13に向けて送風する。そして、上記冷気が、各種風路29を経由して各貯蔵室に送風されることで、冷蔵室12は冷蔵温度帯域となり、冷凍室13は冷凍温度帯域となる。
【0030】
冷却室24の冷却器25の下方には、除霜ヒータ20が配置される。上記冷凍サイクルの運転に伴い、冷却器25の表面に厚い着霜が生じる。このようになると、制御部30(図4参照)は、圧縮機27を停止して除霜ヒータ20を通電して加熱する除霜運転を行い、上記霜を溶融除去する。尚、除霜ヒータ20としては、電気抵抗加熱式のヒータ、シーズヒータやホットガスデフロスト等が採用される。
【0031】
図4に示すように、冷蔵庫10の制御部30は、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19に対してそれぞれ配設される自閉機構41,37内の検知装置46からの入力信号を検知し、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19の全閉状態を判定する。具体的には、冷蔵庫10の制御部30は、機械式スイッチ46A(図6A参照)のボタン46B(図6A参照)が、キャッチャー部42により押下された入力信号を検知することで、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19が全閉状態であるとそれぞれ判定する。
【0032】
一方、冷蔵庫10の制御部30は、一定時間に渡り検知装置46からの上記入力信号を検知しない場合には、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19のいずれかが、半ドア状態を含む開状態であると判定する。そして、冷蔵庫10の制御部30は、報知部40を制御して、例えば、音を発し、冷蔵庫10の利用者に対して、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19のいずれかが開状態であることを報知する。尚、本実施形態の報知部40は、例えば、冷蔵庫10の利用者に対して音や光等を発するための装置である。
【0033】
次に、図5Aから図6Bを用いて、本実施形態の冷蔵庫10の冷蔵室12(図2参照)側の第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15に対して配設される自閉機構41について説明する。尚、以下の説明では、第1の断熱扉14に配設される自閉機構41について説明し、第2の断熱扉15側に配設される自閉機構41の説明は、第1の断熱扉14側の説明を参照し、ここではその説明を省略する。
【0034】
図5Aは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、断熱箱体11に対して開いた状態を説明する上面図である。図5Bは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、断熱箱体11に対して全閉した状態を説明する上面図である。図6Aは、本実施形態の冷蔵庫10の自閉機構41のソフトクローズ部45の内部構造を説明する上面図である。図6Bは、本実施形態の冷蔵庫10の自閉機構41のキャッチャー部42を説明する斜視図である。
【0035】
図5Aに示すように、第1の断熱扉14は、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aは、断熱箱体11の天面11A上に配設されると共に、その上面がカバー部33により覆われる。尚、ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aの詳細の構造に関しては、図7Aから図8Cを用いて後述する。
【0036】
自閉機構41は、主に、キャッチャー部42と、ストライカ部44と、ソフトクローズ部45と、検知装置46と、を備える。そして、自閉機構41は、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15の回転速度を調整しながら、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15を自閉させる機構である。
【0037】
自閉機構41の一部は、ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aの隣であり、断熱箱体11の天面11Aに固定して配設される。そして、自閉機構41の一部は、ヒンジ機構31と一緒にカバー部33の内部に収納される。図示したように、自閉機構41のキャッチャー部42は、断熱箱体11の天面11A側であり、自閉機構41のソフトクローズ部45に対して回転可能に軸支される。第1の断熱扉14の開状態時には、キャッチャー部42の一部は、カバー部33から導出した状態となる。そして、キャッチャー部42には、ストライカ部44の係合ピン44Aが、侵入可能な、あるいは離脱可能な係合溝42Aが形成される。
【0038】
自閉機構41のストライカ部44は、第1の断熱扉14の天面14A側であり、庫内側に向けて配設される。ストライカ部44の先端には、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入する係合ピン44Aが配設される。詳細は後述するが、第1の断熱扉14の閉動作時に、係合ピン44Aが係合溝42A内に侵入し、キャッチャー部42とストライカ部44とが連結状態と成る。その後、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫内側へと押しながら、係合溝42A内をキャッチャー部42の根本側へと移動する。
【0039】
図5Bに示すように、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで回転動作し、カバー部33内へと収納される。詳細は図6Aに示すが、カバー部33の内部の自閉機構41の配置領域には、キャッチャー部42の回転動作を規制するソフトクローズ部45及び第1の断熱扉14の全閉状態を検出する検知装置46が収納される。そして、検知装置46は、例えば、機械式スイッチ46Aを有し、キャッチャー部42が、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下すると、その押下された信号が冷蔵庫10の制御部30(図4参照)へと送信される。冷蔵庫10の制御部30では、上記信号から第1の断熱扉14の全閉状態を検出することで、第1の断熱扉14のドア照明を消灯する等、各種制御を実行する。
【0040】
一方、第1の断熱扉14が、図5Bに示す全閉状態から図5Aに示す開状態へと移行する過程では、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫外側へと押しながら、係合溝42Aの先端側へと移動した後、先端開口部39を介して係合溝42Aから離脱する。このとき、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで回転動作し、キャッチャー部42の一部は、カバー部33の外側へと導出する。
【0041】
尚、キャッチャー部42は、第1の断熱扉14が開状態であり、キャッチャー部42とストライカ部44との非連結状態時には、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して45度の位置にて停止する。そして、キャッチャー部42の底面の一部が、ソフトクローズ部45の収納部32の突起部(図示せず)に対して嵌合することで、バネ部48を介して連結部48Bにより付勢されても上記停止状態を維持する。そして、第1の断熱扉14の開状態時に、キャッチャー部42が、冷蔵庫10の利用者と軽く接触した程度では、上記停止状態を維持することが出来る。
【0042】
図6Aに示すように、カバー部33(図5A参照)の内部の自閉機構41の配設領域には、ヒンジ機構31側から、バネ部48、第2のダンパ部50、第1のダンパ部49及び検知装置46が、並んで配設される。そして、ソフトクローズ部45は、主に、バネ部48と、第1のダンパ部49と、第2のダンパ部50と、を有する。尚、本実施形態のソフトクローズ部45は、本願発明の減速機構に対応する。
【0043】
バネ部48は、例えば、3本の圧縮コイルバネ48Aと、圧縮コイルバネ48Aの先端部を固定する連結部48Bと、を有する。圧縮コイルバネ48Aの後端部は、ソフトクローズ部45の収納部32に固定される。また、連結部48Bは、キャッチャー部42の後端側と接触状態となる。
【0044】
この構造により、連結部48Bが、キャッチャー部42の回転動作に連動して、キャッチャー部42により押され、あるいは、キャッチャー部42を押すことで、圧縮コイルバネ48Aは、矢印51の方向(紙面前後方向)に伸縮する。
【0045】
具体的には、第1の断熱扉14が、図5Aに示す開状態から図5Bに示す全閉状態へと移行する過程では、圧縮コイルバネ48Aは伸びることで、連結部48Bが、キャッチャー部42を押し、キャッチャー部42の回転動作をアシストする。一方、第1の断熱扉14が、図5Bに示す全閉状態から図5Aに示す開状態へと移行する過程では、圧縮コイルバネ48Aは、キャッチャー部42に押されることで圧縮される。尚、本実施形態では、3本の圧縮コイルバネ48Aが用いられる場合について説明するが、圧縮コイルバネ48Aの本数は任意の設計変更が可能である。
【0046】
第1のダンパ部49及び第2のダンパ部50は、バネ部48と同様に、矢印51の方向に伸縮するように配設される。第1のダンパ部49のシャフト部49Aの先端部49Bは、キャッチャー部42の側面に配設されるスライダー部52と接触する。同様に、第2のダンパ部50のシャフト部50Aの先端部50Bは、キャッチャー部42の側面に配設されるスライダー部52と接触する。そして、第1の断熱扉14が、図5Aに示す開状態から図5Bに示す全閉状態へと移行する際には、第1のダンパ部49及び第2のダンパ部50は、キャッチャー部42に押されることで、それぞれのシャフト部49A,50Aが本体部49C,50C内へと収納される。
【0047】
ここで、図6A及び図6Bに示すように、スライダー部52は、キャッチャー部42の側面に開口するスライダー収納凹部42Dに配設される。そして、スライダー部52は、回転軸部42Eを介してキャッチャー部42に対して回転可能に連結される。この構造により、スライダー部52は、キャッチャー部42の回転動作に連動して、スライダー収納凹部42Dにガイドされることで、矢印51の方向に移動する。その結果、スライダー部52は、第1及び第2のダンパ部49,50の先端部49B,50Bを矢印51の方向に押すことが可能となる。
【0048】
詳細は後述するが、第1の断熱扉14の閉動作時に、キャッチャー部42の回転動作に連動して、スライダー部52が、第1のダンパ部49と第2のダンパ部50に対して順次接触することで、キャッチャー部42の回転を規制する抵抗力が、段階的に変化する。この構造により、キャッチャー部42とストライカ部44との連結状態時に、キャッチャー部42が最後まで回転し、第1の断熱扉14が全閉状態となる。
【0049】
検知装置46は、例えば、機械式スイッチ46Aを有し、機械式スイッチ46Aは、配線部46Cを介して冷蔵庫10の制御部30(図4参照)と接続する。そして、キャッチャー部42が、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下すると、その押下された信号が冷蔵庫10の制御部30へと送信される。検知装置46の機械式スイッチ46Aは、第1の断熱扉14の全閉状態時に、言い換えると、図5Bに示すキャッチャー部42の水平状態時に、ボタン46Bが、キャッチャー部42にて押下される位置に配設される。
【0050】
次に、図7Aから図8Cを用いて、本実施形態の冷蔵庫10の冷蔵室12(図2参照)側のヒンジ機構31及び自閉機構41の断熱箱体11への組み付け構造について説明する。尚、以下の説明では、第1の断熱扉14側のヒンジ機構31及び自閉機構41について説明し、第2の断熱扉15側のヒンジ機構31及び自閉機構41の説明は、第1の断熱扉14側の説明を参照し、ここではその説明を省略する。
【0051】
図7A及び図7Bは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14に配設されるヒンジ機構31及び自閉機構41の断熱箱体11の天面11Aへの組み付け構造を説明する斜視図である。図8Aから図8Cは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14に配設されるヒンジ機構31及び自閉機構41の断熱箱体11の天面11Aへの組み付け構造を説明する斜視図であり、図7A及び図7Bに示す構造の変形例である。尚、図7Aから図8Cに示す構造の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0052】
図7Aに示すように、ヒンジ機構31は、第1の断熱扉14の上端部を回転自在に軸支する上部ヒンジ部31Aと、第1の断熱扉14の下端部を回転自在に軸支する下部ヒンジ部(図示せず)と、を備える。上部ヒンジ部31Aは、主に、本体フレーム71と、本体フレーム71と一体に形成されるヒンジピン72と、ヒンジピン72が挿入されるヒンジカラー73と、本体フレーム71を支持する補強板74と、を備える。尚、ヒンジカラー73は、第1の断熱扉14のヒンジ取付け孔14Bに対して配設される。また、補強板74は、例えば、鋼板等の金属板を板金加工して、従来の構造と同様に、上部ヒンジ部31Aの配設領域に対応して形成される。
【0053】
本体フレーム71は、例えば、鋼板等の金属板を板金加工して形成される。本体フレーム71は、断熱箱体11の天面11Aに配設されると共に、その先端側は第1の断熱扉14側へと延在する。そして、本体フレーム71の先端部に形成されるヒンジピン72が、ヒンジ取付け孔14B内に挿入されることで、本体フレーム71は、第1の断熱扉14を回転可能に支持する。
【0054】
本体フレーム71の上部ヒンジ部31Aの配設領域71Aは、従来の構造と同様に、予め、外箱21に形成される締結孔11Dを利用して、断熱箱体11の天面11Aの所望の位置にボルト締結により固定される。このとき、本体フレーム71は、補強板74との間に断熱箱体11の外箱21(図3参照)を挟み込むように固定される。そして、本体フレーム71は、補強板74に固定されることで、上部ヒンジ部31Aとしての所望の強度が実現される。尚、補強板74の爪部74Aが、天面11Aに形成される小孔11Eに挿入されることで、補強板74も断熱箱体11に対して位置固定される。
【0055】
また、図示したように、本実施形態では、本体フレーム71は、上部ヒンジ部31Aの配設領域71Aからソフトクローズ部45の収納部32の配設領域71Bまで連続して形成される。本体フレーム71のソフトクローズ部45の配設領域71Bには、位置決め構造75を構成する部材として、例えば、3本のスタッドボルト75Aが形成される。一方、ソフトクローズ部45の収納部32には、3つの位置決め孔部32Aが形成される。そして、位置決め孔部32Aに対してスタッドボルト75Aが挿入されることで、収納部32は、本体フレーム71に対して位置決めされる。その後、固定部材76としてのボルト76Aを用いて、収納部32は、本体フレーム71に固定される。尚、本実施形態のスタッドボルト75Aは、本願発明の突起部に対応する。
【0056】
この構造により、ソフトクローズ部45は、本体フレーム71に対して位置決めされることで、ソフトクローズ部45内に回転可能に連結されるキャッチャー部42も本体フレーム71に対して位置決めされる。上述したように、自閉機構41では、第1の断熱扉14の半ドアを防止するために、キャッチャー部42の係合溝42Aと第1の断熱扉14に配設されるストライカ部44の係合ピン44Aとの位置決め精度が非常に重要となる。
【0057】
本実施形態では、本体フレーム71及び断熱箱体11の外箱21は、それぞれ板金加工により加工精度良く形成される。そして、ソフトクローズ部45の収納部32は、本体フレーム71のスタッドボルト75Aに対して挿入して位置決めされる構造となる。つまり、自閉機構41の組み立て作業時に、キャッチャー部42単独の位置決め作業が不要となり、作業工程が簡素化される。更には、キャッチャー部42の位置決め作業が、個々の作業者の技量に左右されることなく、自閉機構41の組み立て精度のばらつきが防止される。その結果、キャッチャー部42とストライカ部44との上記位置決め精度が、簡易な組み立て作業により実現されることで、冷蔵庫10の量産時の歩留まりも向上される。
【0058】
図7Bに示すように、本体フレーム71に形成される位置決め構造75として、例えば、3個のバーリング孔75Bが形成される場合でも良い。この場合には、断熱箱体11の天面11Aには、予め、3個のバーリング逃げ孔11Fが板金加工される。そして、固定部材76としてのビス76Bが、位置決めされた位置決め孔部32A及びバーリング孔75Bに対して挿入されビス止めされることで、収納部32は、本体フレーム71に固定される。尚、本実施形態のバーリング孔75Bは、本願発明の孔部に対応する。
【0059】
この構造により、ソフトクローズ部45は、本体フレーム71に対して位置決めされることで、ソフトクローズ部45内に回転可能に連結されるキャッチャー部42も本体フレーム71に対して位置決めされる。そして、位置決め構造75としてバーリング孔75Bを用いた場合でも、図7Aを用いて上述したように、位置決め構造75としてスタッドボルト75Aを用いた場合と同様の効果が得られる。
【0060】
次に、図8Aから図8Cを用いて、断熱箱体11へのヒンジ機構31及び自閉機構41の組み付け構造の変形例を説明する。
【0061】
図8Aに示すように、上部ヒンジ部31Aの本体フレーム57は、例えば、鋼板等の金属板を板金加工し、従来の構造と同様に、上部ヒンジ部31Aの形成領域に対応して形成される。一方、補強板54が、例えば、鋼板等の金属板を板金加工し、上部ヒンジ部31Aの配設領域54Aから自閉機構41のソフトクローズ部45の収納部32の配設領域54Bまで連続して形成される。そして、補強板54の配設領域54Bには、位置決め構造55として、例えば、3個の締結孔55Aが形成される。尚、本実施形態の締結孔55Aは、本願発明の孔部に対応する。
【0062】
また、図示したように、断熱箱体11の天面11Aには、予め、ソフトクローズ部45の収納部32の取付け位置に合わせて3個の通し孔56が板金加工される。そして、固定部材58としてのビス58Aが、位置決めされた位置決め孔部32A、通し孔56及び締結孔55Aに対して挿入されビス止めされることで、収納部32は、補強板54に固定される。尚、収納部32と補強板54との間には、断熱箱体11の外箱21が挟み込まれる。
【0063】
尚、本体フレーム57は、従来の構造と同様に、予め、外箱21に形成される締結孔11Dを利用して、断熱箱体11の天面11Aの所望の位置にボルト締結より固定される。このとき、本体フレーム57は、補強板54との間に断熱箱体11の外箱21を挟み込むように固定される。また、補強板54の爪部54Cが、外箱21に形成される小孔11Eに挿入されることで、補強板54も断熱箱体11に対して位置固定される。
【0064】
この構造により、ソフトクローズ部45及び本体フレーム57は、補強板54に対してそれぞれ位置決めされることで、ソフトクローズ部45内に回転可能に連結されるキャッチャー部42も本体フレーム57に対して位置決めされる。そして、補強板54に位置決め構造55を形成した場合でも、図7Aを用いて上述したように、本体フレーム71に位置決め構造75を形成した場合と同様の効果が得られる。
【0065】
図8Bに示すように、補強板54に形成される位置決め構造55として、例えば、3本のスタッドボルト55Bが形成される場合でも良い。この場合にも、断熱箱体11の天面11Aには、予め、ソフトクローズ部45の収納部32の取付け位置に合わせて3個の通し孔56が板金加工される。そして、位置決め孔部32A及び通し孔56に対してスタッドボルト55Bが挿入されることで、収納部32は、補強板54に対して位置決めされる。その後、固定部材58としてのナット58Bを用いて、収納部32は、補強板54及び断熱箱体11に固定される。尚、本体フレーム57は、図8Aに示す構造と同様に、補強板54及び断熱箱体11に位置決めされて固定される。また、本実施形態のスタッドボルト55Bは、本願発明の突起部に対応する。
【0066】
この構造により、ソフトクローズ部45及び本体フレーム57は、補強板54に対して位置決めされることで、ソフトクローズ部45内に回転可能に連結されるキャッチャー部42も本体フレーム57に対して位置決めされる。そして、位置決め構造55としてスタッドボルト55Bを用いた場合でも、図8Aを用いて上述したように、位置決め構造55として締結孔55Aを用いた場合と同様の効果が得られる。
【0067】
図8Cに示すように、補強板54に形成される位置決め構造55として、例えば、3個のバーリング孔55Cが形成される場合でも良い。この場合にも、断熱箱体11の天面11Aには、予め、ソフトクローズ部45の収納部32の取付け位置に合わせて3個の通し孔56が板金加工される。そして、固定部材58としてのボルト58Cが、位置決めされた位置決め孔部32A及びバーリング孔55Cに対して挿入され、固定部材58としてのナット58Dにより締め込まれることで、収納部32は、補強板54及び断熱箱体11に固定される。尚、本体フレーム57は、図8Aに示す構造と同様に、補強板54及び断熱箱体11に位置決めされて固定される。本実施形態のバーリング孔55Cは、本願発明の孔部に対応する。
【0068】
この構造により、ソフトクローズ部45及び本体フレーム57は、補強板54に対して位置決めされることで、ソフトクローズ部45内に回転可能に連結されるキャッチャー部42も本体フレーム57に対して位置決めされる。そして、位置決め構造55としてバーリング孔55Cを用いた場合でも、図8Aを用いて上述したように、位置決め構造55として締結孔55Aを用いた場合と同様の効果が得られる。
【0069】
次に、図9Aから図10を用いて、本実施形態の冷蔵庫10の冷凍室13(図2参照)側の第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19に対して配設される自閉機構37について説明する。尚、以下の説明では、第3の断熱扉18に配設される自閉機構37について説明し、第4の断熱扉19側に配設される自閉機構37の説明は、第3の断熱扉18側の説明を参照し、ここではその説明を省略する。また、自閉機構37に関し、自閉機構41と同じ構成部材には同一の符番を用い、繰り返しの説明を省略する。
【0070】
図9Aは、冷蔵庫10の第3の断熱扉18が、断熱箱体11に対して開いた状態を説明する底面図である。図9Bは、本実施形態の冷蔵庫10の第3の断熱扉18が、断熱箱体11に対して全閉した状態を説明する底面図である。図10は、本実施形態の冷蔵庫10の自閉機構37の内部構造を説明する底面図である。
【0071】
最初に、図10に示すように、自閉機構37は、図6Aに示す自閉機構41の構成部材と同一の構成部材が用いられるが、構成部材の配置関係が自閉機構41と相違する。具体的には、自閉機構37の配設領域には、ヒンジ機構31側から、検知装置46、第1のダンパ部49、第2のダンパ部50及びバネ部48が、並んで配設される。また、キャッチャー部42が、ヒンジ機構31側に向けて回転するように配設される。尚、第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19が、自閉機構37により自閉する動作は、回転する方向は異なるが、その他の動作は上述した自閉機構41を用いた場合と同様である。
【0072】
次に、図9Aに示すように、自閉機構37は、ヒンジ機構31の隣であり、断熱箱体11の底面11Cに固定して配設される。そして、第3の断熱扉18の開状態時には、キャッチャー部42の一部は、自閉機構37のカバー部38から導出した状態となる。
【0073】
また、図示したように、自閉機構37のストライカ部44は、第3の断熱扉18の底面18A側であり、庫内側に向けて配設される。ストライカ部44の先端には、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入する係合ピン44Aが配設される。そして、第3の断熱扉18の閉動作時に、係合ピン44Aが係合溝42A内に侵入し、キャッチャー部42とストライカ部44とが連結状態と成る。その後、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫内側へと押しながら、係合溝42A内をキャッチャー部42の根本側へと移動する。
【0074】
図9Bに示すように、キャッチャー部42は、ストライカ部44により押されると共に、ソフトクローズ部45により回動速度が遅くなりながら、断熱箱体11の前面11Bに対して略水平な状態まで回転する。キャッチャー部42は、カバー部38内へと収納される。そして、キャッチャー部42が、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下すると、その押下された信号が冷蔵庫10の制御部30(図4参照)へと送信される。
【0075】
一方、第3の断熱扉18が、図9Bに示す全閉状態から図9Aに示す開状態へと移行する過程では、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫外側へと押しながら、係合溝42Aの先端側へと移動した後、先端開口部39を介して係合溝42Aから離脱する。このとき、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで回転動作し、キャッチャー部42の一部は、カバー部38の外側へと導出する。
【0076】
上述したように、自閉機構37では、キャッチャー部42が、ヒンジ機構31側に向けて回転動作することで、第3の断熱扉18の開状態において、キャッチャー部42の先端側は、断熱箱体11のヒンジ機構31近傍に突出した状態となる。言い換えると、第3及び第4の断熱扉18,19の開状態において、一対のキャッチャー部42は、冷蔵庫10の前面11B側から見て、片仮名の略ハの字形状となるように、断熱箱体11の前面11Bに対して左右外側へと向けて展開される。
【0077】
この構造により、例えば、利用者が、冷凍室13内の食材を探す際、あるいは、冷凍室13へと食材を収納する際に、利用者は、冷凍室13へと近づくが、キャッチャー部42は、冷蔵庫10の利用者の足やスリッパ等と接触し難くなる。その結果、キャッチャー部42は、所定の位置に留まることで、第3の断熱扉18の閉動作時に、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入し、第3の断熱扉18が半ドア状態となることが防止される。
【0078】
次に、図11から図12を用いて、本実施形態の冷蔵庫10の冷凍室13(図2参照)側のヒンジ機構31及び自閉機構37の断熱箱体11への組み付け構造について説明する。尚、以下の説明では、第3の断熱扉18側のヒンジ機構31及び自閉機構37について説明し、第4の断熱扉19側のヒンジ機構31及び自閉機構37の説明は、第3の断熱扉18側の説明を参照し、ここではその説明を省略する。
【0079】
図11は、本実施形態の冷蔵庫10の第3の断熱扉18に配設されるヒンジ機構31及び自閉機構37の断熱箱体11の底面11Cへの組み付け構造を説明する斜視図である。図12は、本実施形態の冷蔵庫10の第3の断熱扉18に配設されるヒンジ機構31及び自閉機構37の断熱箱体11の底面11Cへの組み付け構造を説明する斜視図であり、図11に示す構造の変形例である。尚、図11から図12に示す構造の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0080】
図11に示すように、ヒンジ機構31は、第3の断熱扉18の上端部を回転自在に軸支する上部ヒンジ部(図示せず)と、第3の断熱扉18の下端部を回転自在に軸支する下部ヒンジ部31Bと、を備える。下部ヒンジ部31Bは、主に、本体フレーム81と、本体フレーム81と一体に形成されるヒンジピン82と、ヒンジピン82が挿入されるヒンジカラー83と、本体フレーム81を支持する補強板84と、を備える。尚、ヒンジカラー83は、第3の断熱扉18のヒンジ取付け孔18Bに対して配設される。また、本体フレーム81には、冷蔵庫10を移動させる車輪式台座85が配設される。また、補強板84は、例えば、鋼板等の金属板を板金加工して、従来の構造と同様に、下部ヒンジ部31Bの配設領域に対応して形成される。
【0081】
本体フレーム81は、例えば、鋼板等の金属板を板金加工して形成される。本体フレーム81は、断熱箱体11の底面11Cに配設されると共に、その先端側は第3の断熱扉18側へと延在する。そして、本体フレーム81の先端部に形成されるヒンジピン82が、ヒンジ取付け孔18B内に挿入されることで、本体フレーム81は、第3の断熱扉18を回転可能に支持する。
【0082】
本体フレーム81の下部ヒンジ部31Bの配設領域81Aは、従来の構造と同様に、予め、外箱21に形成される締結孔11Dを利用して、断熱箱体11の底面11Cの所望の位置にボルト締結より固定される。このとき、本体フレーム81は、補強板84との間に断熱箱体11の外箱21を挟み込むように固定される。そして、本体フレーム81は、補強板84に固定されることで、下部ヒンジ部31Bとしての所望の強度が実現される。
【0083】
また、図示したように、本実施形態では、本体フレーム81は、下部ヒンジ部31Bの配設領域81Aからソフトクローズ部45の収納部32の配設領域81Bまで連続して形成される。本体フレーム81のソフトクローズ部45の配設領域81Bには、位置決め構造86を構成する部材として、例えば、3個のバーリング孔86Aが形成される。この場合には、断熱箱体11の底面11Cには、予め、3個のバーリング逃げ孔11Fが板金加工される。そして、固定部材87としてのビス87Aが、位置決めされた位置決め孔部32A及びバーリング孔86Aに対して挿入されビス止めされることで、収納部32は、本体フレーム81に固定される。尚、本実施形態のバーリング孔86Aは、本願発明の孔部に対応する。
【0084】
この構造により、ソフトクローズ部45は、本体フレーム81に対して位置決めされることで、ソフトクローズ部45内に回転可能に連結されるキャッチャー部42も本体フレーム81に対して位置決めされる。そして、第3の断熱扉18においても第1の断熱扉14と同様に、位置決め構造86としてバーリング孔86Aを用いた場合でも、図7Aを用いて上述したように、位置決め構造75としてスタッドボルト75Aを用いた場合と同様の効果が得られる。
【0085】
尚、図示していないが、第3の断熱扉18において、位置決め構造86として、バーリング孔86Aに変えてスタッドボルトを用いる場合でも良い。この場合においても、図7Aを用いて上述した構造を採用することで、図11に示すバーリング孔86Aを用いた場合と同様の効果が得られる。
【0086】
次に、図12を用いて、断熱箱体11へのヒンジ機構31及び自閉機構37の組み付け構造の変形例を説明する。
【0087】
図12に示すように、下部ヒンジ部31Bの本体フレーム91は、例えば、鋼板等の金属板を板金加工し、従来の構造と同様に、下部ヒンジ部31Bの形成領域に対応して形成される。一方、補強板92が、例えば、鋼板等の金属板を板金加工し、下部ヒンジ部31Bの配設領域92Aから自閉機構41のソフトクローズ部45の収納部32の配設領域92Bまで連続して形成される。そして、補強板92の配設領域92Bには、位置決め構造93として、例えば、3個の締結孔93Aが形成される。尚、本実施形態の締結孔93Aは、本願発明の孔部に対応する。
【0088】
また、図示したように、断熱箱体11の底面11Cには、予め、ソフトクローズ部45の収納部32の取付け位置に合わせて3個の通し孔94が板金加工される。そして、固定部材95としてのビス95Aが、位置決めされた位置決め孔部32A、通し孔94及び締結孔93Aに対して挿入されビス止めされることで、収納部32は、補強板92に固定される。尚、収納部32と補強板92との間には、断熱箱体11の外箱21が挟み込まれる。
【0089】
尚、本体フレーム91は、従来の構造と同様に、予め、外箱21に形成される締結孔11Dを利用して、断熱箱体11の底面11Cの所望の位置にボルト締結より固定される。このとき、本体フレーム91は、補強板92との間に断熱箱体11の外箱21を挟み込むように固定される。
【0090】
この構造により、ソフトクローズ部45及び本体フレーム91は、補強板92に対してそれぞれ位置決めされることで、ソフトクローズ部45内に回転可能に連結されるキャッチャー部42も本体フレーム91に対して位置決めされる。そして、補強板92に位置決め構造93を形成した場合でも、図11を用いて上述したように、本体フレーム81に位置決め構造86を形成した場合と同様の効果が得られる。
【0091】
尚、図示していないが、第3の断熱扉18において、位置決め構造86として、締結孔93Aに変えてスタッドボルトやバーリング孔を用いる場合でも良い。この場合においても、図8B図8Cを用いて上述した構造を採用することで、図12に示す締結孔93Aを用いた場合と同様の効果が得られる。
【0092】
次に、図13Aから図13Cを用いて、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、開状態から全閉状態へと移行する際の自閉機構41の動作について説明する。尚、以下の説明では、第1の断熱扉14を用いて説明する。そして、第2の断熱扉15から第4の断熱扉19に関する動作の説明は、第1の断熱扉14に関する説明を参照し、ここではその説明を省略する。また、説明の都合上、カバー部33の内部に配設されるソフトクローズ部45とキャッチャー部42との位置関係を実線にて示すと共に、検知装置46の機械式スイッチ46A及びボタン46Bも実線にて示す。また、第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19の場合には、図10を用いて上述したように、自閉機構41を自閉機構37に置き換えて、その説明を参照する。
【0093】
図13Aから図13Cは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、断熱箱体11に対して開状態から全閉状態へと移行する状況を説明する上面図である。図14A及び図14Bは、本実施形態の冷蔵庫10のキャッチャー部42とストライカ部44が、復旧部61を介して連結する状況を説明し、図14Aはその斜視図であり、図14Bはその断面図である。
【0094】
図13Aでは、第1の断熱扉14が開状態から全閉状態へと向けて移行する途中であり、例えば、第1の断熱扉14が、全閉状態から45度開いた状態を示す。図示したように、第1の断熱扉14に配設されるストライカ部44の係合ピン44Aは、キャッチャー部42の係合溝42Aから離脱した状態である。そして、冷蔵庫10の利用者が、第1の断熱扉14を閉めるために、第1の断熱扉14を断熱箱体11の前面11B側へと押す。この利用者の閉める動作により、上記押した勢いと第1の断熱扉14の荷重を利用して、第1の断熱扉14は、断熱箱体11の前面11B側へと回転する。
【0095】
本実施形態では、キャッチャー部42は、例えば、断熱箱体11の前面11Bから約45度まで庫外側へと回転する構造である。そして、キャッチャー部42の係合溝42Aの形成領域が、カバー部33から外部に露出する。また、上述したように、キャッチャー部42は、断熱箱体11の天面11Aに配設される。この構造により、第1の断熱扉14の開状態において、キャッチャー部42は、利用者の目線よりも高い位置であり、断熱箱体11の前面11Bから必要最小限の部分が突出することで、目立たない構造となり、冷蔵庫10の意匠性が損なわれ難くなる。
【0096】
次に、図13Bでは、図13Aに引き続き、第1の断熱扉14が開状態から全閉状態へと向けて移行する途中であり、例えば、第1の断熱扉14が、全閉状態から10度開いた状態を示す。図示したように、第1の断熱扉14に配設されるストライカ部44の係合ピン44Aは、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入した状態である。そして、キャッチャー部42とストライカ部44とは連結状態となり、連動して動作する。
【0097】
ここで、図13Aに示すように、キャッチャー部42は、係合溝42Aを挟むように、第1の基部42Bと、第2の基部42Cと、を有する。そして、丸印53にて示すように、第2の基部42Cの先端部は、第1の基部42Bの先端部よりも庫内中央側まで延在する。この構造により、係合溝42Aでは、先端開口部39の開口幅が広くなると共に、庫内側の第2の基部42Cが長くなることで、係合ピン44Aと第2の基部42Cとが衝突し易くなる。そして、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入する際に、係合ピン44Aが、第2の基部42Cと衝突し、係合溝42Aへと誘導されることで、キャッチャー部42とストライカ部44との連結状態が実現し易くなる。
【0098】
具体的には、第1の断熱扉14が、上記押した勢いと荷重(以下、「上記荷重等」と呼ぶ。)により、断熱箱体11の前面11B側へと回転しなら移動することで、係合ピン44Aもキャッチャー部42へと近づく。そして、第1の断熱扉14が、例えば、全閉状態から30度開いた状態となることで、ストライカ部44の係合ピン44Aが、キャッチャー部42の係合溝42Aの先端開口部39から内部へと侵入する。
【0099】
その後、図13Bに示すように、第1の断熱扉14が、上記荷重等を利用して閉方向へ回転し続けることで、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫内側へと押しながら、係合溝42A内をキャッチャー部42の根本側へと移動する。一方、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで、検知装置46の機械式スイッチ46A側へと回転する。
【0100】
ここで、ソフトクローズ部45の動作について説明する。上述したように、ソフトクローズ部45では、第1の断熱扉14の閉動作時において、キャッチャー部42には、バネ部48により回転をアシストする回転補助力が加わる一方、第1及び第2のダンパ部49,50により回転を規制する抵抗力が加わる。そして、本実施形態では、ソフトクローズ部45に第1及び第2のダンパ部49,50が配設されることで、キャッチャー部42の回転を規制するための抵抗力が、段階的にキャッチャー部42に加わる。
【0101】
具体的には、第1段階として、図13Aに示すように、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入し、ストライカ部44とキャッチャー部42とが連結してから一定の間は、第1のダンパ部49の先端部49Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触した状態となる。このとき、第2のダンパ部50の先端部50Bは、キャッチャー部42のスライダー部52と離間した状態となる。
【0102】
第1段階では、キャッチャー部42に対して、第1のダンパ部49を介して抵抗力が加わる。そして、第1段階での抵抗力に対しては、キャッチャー部42に上記荷重等が加わることで対抗可能である。そして、係合ピン44Aが、係合溝42Aに侵入した状態を維持することで、係合ピン44Aが、係合溝42Aによりガイドされ、上記荷重等がキャッチャー部42に対して伝達される。尚、第1のダンパ部49による抵抗力は、例えば、第1の断熱扉14が、利用者により勢い良く閉められた際に、第1の断熱扉14の回転速度を減速させることを目的として設計される。
【0103】
次に、第2段階として、図13Bに示すように、第1の断熱扉14が全閉状態時へと向けて更に回転することで、第2のダンパ部50の先端部50Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触した状態となる。そして、この状態では、第1及び第2のダンパ部49,50の先端部49B,50Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触している。
【0104】
第2段階では、キャッチャー部42に対して、第1及び第2のダンパ部49,50を介して抵抗力が加わる。そして、第2段階での抵抗力に対しては、ストライカ部44とキャッチャー部42との連結状態において、キャッチャー部42に上記荷重等が加わると共に、ソフトクローズ部45のバネ部48による回転補助力が加わることで対抗可能となる。
【0105】
次に、図13Cでは、第1の断熱扉14の全閉状態を示す。図示したように、第1の断熱扉14に配設されるストライカ部44の係合ピン44Aは、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入した状態である。
【0106】
上述したように、第1の断熱扉14の回転動作に連動し、第1及び第2のダンパ部49,50の先端部49B,50Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触する。キャッチャー部42に対しては、第1及び第2のダンパ部49,50を介して抵抗力が加わる。そして、キャッチャー部42には、上記第1段階よりも大きな抵抗力が加わるが、ソフトクローズ部45のバネ部48による回転補助力も用いて、キャッチャー部42は、上記水平状態まで回転を継続する。その結果、キャッチャー部42は、検知装置46の機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下する。そして、第1の断熱扉14は、冷蔵室12に対して全閉状態となる。
【0107】
本実施形態の冷蔵庫10では、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入し、キャッチャー部42とストライカ部44とは連結状態となる。そして、この連結状態時に、第1の断熱扉14は、ソフトクローズ部45により回転速度が調整されながら、冷蔵室12に対して全閉状態となる。
【0108】
この構造により、利用者が、第1の断熱扉14を勢い良く押し、第1の断熱扉14を閉める場合でも、第1の断熱扉14は、ゆっくりと断熱箱体11の前面11Bのガスケット36に対して磁着する。その結果、第1の断熱扉14の全閉時の静穏性、例えば、第1の断熱扉14の全閉時の音や第1の断熱扉14が振動し収納物が周囲と当たり発生する音が低減され、利用者の快適性が高められる。
【0109】
一方、本実施形態の冷蔵庫10では、係合ピン44Aが係合溝42A内への侵入に失敗した場合には、ストライカ部44とキャッチャー部42とは非連結状態となる。この非連結状態の場合には、例えば、キャッチャー部42が、正規の停止位置から位置ずれを起こし、ストライカ部44が、キャッチャー部42に対して接触しない状態となることで、キャッチャー部42へ上記荷重等が加わらない。あるいは、ストライカ部44とキャッチャー部42との接触角度が所望の位置からずれることで、キャッチャー部42へ加わる上記荷重等が低減する。その結果、キャッチャー部42は、第1及び第2のダンパ部49,50による抵抗力に対抗出来ず、第1の断熱扉14は、半ドア状態にて回転が停止する。
【0110】
この場合には、機械式スイッチ46Aのボタン46Bが、キャッチャー部42にて押下されることはなく、第1の断熱扉14の半ドア状態時に、冷蔵庫10の制御部30(図4参照)が、第1の断熱扉14が全閉状態であると誤判定することが防止される。そして、上述したように、冷蔵庫10の制御部30が、報知部40(図4参照)を制御し、冷蔵庫10の利用者に対して警告音を発することで、利用者により第1の断熱扉14の半ドア状態が解消可能となる。
【0111】
次に、図14A及び図14Bを用いて、キャッチャー部42の構造の変形例について説明する。
【0112】
図14Aに示すように、キャッチャー部42の係合溝42Aの形成領域であり、庫外側の第1の基部42Bには、復旧部61が形成される場合でも良い。そして、復旧部61は、第1の断熱扉14の閉動作時において、最初に係合ピン44Aが係合溝42A内への侵入に失敗した後に、係合ピン44Aがキャッチャー部42の側方側から係合溝42Aへと戻るための傾斜面61Aである。尚、復旧部61は、第1の基部42Bの全体に形成される場合でも良く、第1の基部42Bに対して部分的に形成される場合でも良い。
【0113】
図14Bに示すように、復旧部61は、例えば、キャッチャー部42の表面側に形成される傾斜形状であり、庫外側の側面から係合溝42A側へと向けて上り傾斜の傾斜面61Aとなる。一方、係合ピン44Aは、例えば、弾性バネにより付勢され、ストライカ部44の筐体部に対して上下方向にスライド可動する構造となる。
【0114】
ここで、図13Aに示すように、第1の断熱扉14の開動作に伴い、係合ピン44Aが係合溝42Aから離脱した場合には、キャッチャー部42は、上記45度の角度を維持する。しかしながら、キャッチャー部42の一部が、冷蔵室12の前方側へと突出する構造により、キャッチャー部42が利用者と接触することで、キャッチャー部42の角度が、上記45度よりも小さくなる場合がある。
【0115】
この場合には、キャッチャー部42が、正規の停止位置から位置ずれを起こすことで、係合ピン44Aが、先端開口部39を介して係合溝42A内に侵入出来なくなる。その結果、係合ピン44Aは、キャッチャー部42の復旧部61の傾斜面61Aと衝突する。そして、その衝突直後には、第1の断熱扉14は、上記荷重等により全閉方向へと回転し続けることで、係合ピン44Aは、復旧部61の傾斜面61Aに沿って移動する。
【0116】
上述したように、係合ピン44Aは、復旧部61の傾斜面61Aと接触し、傾斜面61Aに沿って移動する際に、ストライカ部44の筐体部の上方側へとスライド移動することで、復旧部61を乗り越え、係合溝42A内へと侵入する。その結果、キャッチャー部42とストライカ部44との連結状態が実現され、第1の断熱扉14は、全閉状態まで回転可能となる。
【0117】
一方、図示したように、復旧部61の傾斜面61Aは、係合溝42Aまで連続しない構造となる。この構造により、ソフトクローズ部45の正常動作時に、係合ピン44Aが、係合溝42Aの先端開口部39から係合溝42A内に侵入した場合には、係合ピン44Aが、下方の先端部から上方へと押されることはなく、係合溝42Aから抜け落ちることが防止される。尚、係合ピン44Aが、係合溝42A内へと復旧した後の動作は、上述した通りである。
【0118】
尚、本実施形態では、ソフトクローズ部45として第1及び第2のダンパ部49,50が配設され、第1及び第2のダンパ部49,50が、キャッチャー部42に対して段階的に抵抗力を加える場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、ソフトクローズ部45としては、第1のダンパ部49のみから構成される場合でも良く、また、3本以上のダンパ部から構成される場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0119】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
11A 天面
11B 前面
11C 底面
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 第1の断熱扉
14A 天面
15 第2の断熱扉
15A 天面
16 センターピラー
17 区画壁
18 第3の断熱扉
18A 底面
18B ヒンジ取付け孔
19 第4の断熱扉
19A 底面
20 除霜ヒータ
21 外箱
22 内箱
23 断熱材
24 冷却室
25 冷却器
26 機械室
27 圧縮機
28 送風機
29 風路
30 制御部
31 ヒンジ機構
31A 上部ヒンジ部
31B 下部ヒンジ部
32 収納部
33 カバー部
34 収納ラック
35 内面板材
35A 膨出部
36 ガスケット
37 自閉機構
38 カバー部
39 先端開口部
40 報知部
41 自閉機構
42 キャッチャー部
42A 係合溝
42B 第1の基部
42C 第2の基部
42E 回転軸部
42D スライダー収納凹部
44 ストライカ部
44A 係合ピン
45 ソフトクローズ部
46 検知装置
46A 機械式スイッチ
46B ボタン
46C 配線部
48 バネ部
48A 圧縮コイルバネ
48B 連結部
49 第1のダンパ部
49A,50A シャフト部
49B,50B 先端部
49C,50C 本体部
50 第2のダンパ部
52 スライダー部
54 補強板
55 位置決め構造
55A 締結孔
55B スタッドボルト
55C バーリング孔
56 通し孔
57 本体フレーム
58 固定部材
58A ビス
61 復旧部
61A 傾斜面
71 本体フレーム
72 ヒンジピン
73 ヒンジカラー
74 補強板
75 位置決め構造
75A スタッドボルト
75B バーリング孔
76 固定部材
81 本体フレーム
82 ヒンジピン
83 ヒンジカラー
84 補強板
85 車輪式台座
86 位置決め構造
86A バーリング孔
87 固定部材
91 本体フレーム
92 補強板
93 位置決め構造
93A 締結孔
94 通し孔
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B