(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015343
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】グラフェン炭素ナノ粒子及び分散剤樹脂を含有する分散液
(51)【国際特許分類】
C08L 39/04 20060101AFI20240125BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240125BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20240125BHJP
C09C 1/44 20060101ALI20240125BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240125BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240125BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20240125BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20240125BHJP
C01B 32/194 20170101ALI20240125BHJP
H01G 11/36 20130101ALI20240125BHJP
H01G 11/38 20130101ALI20240125BHJP
H01M 4/62 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
C08L39/04
C08K3/04
C09D17/00
C09C1/44
H01M4/13
H01M4/139
B82Y40/00
B82Y30/00
C01B32/194
H01G11/36
H01G11/38
H01M4/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023208666
(22)【出願日】2023-12-11
(62)【分割の表示】P 2021548698の分割
【原出願日】2020-02-19
(31)【優先権主張番号】62/808,126
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】チー ディン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ. パウリク
(72)【発明者】
【氏名】ケイトリン ビー. ニーディグ
(72)【発明者】
【氏名】シンシア クチュコ
(72)【発明者】
【氏名】ラリー ジェイ. ラファナー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ダブリュー. スキナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ジー. ワイス
(72)【発明者】
【氏名】イナンレリー ワイ. ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン ウク ロ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル エル. エサリー
(72)【発明者】
【氏名】パウェル エム. クリス
(57)【要約】
【課題】 分散剤樹脂の使用によって溶媒中に分散されるグラフェン炭素ナノ粒子を提供すること
【解決手段】 分散剤樹脂の使用によって溶媒中に分散されるグラフェン炭素ナノ粒子が開示される。グラフェン炭素ナノ粒子は、分散前に粉砕され得る。分散剤樹脂は、ビニル複素環アミドの残基を含む付加重合体、ホモ重合体、ブロック(共)重合体、ランダム(共)重合体、交互(共)重合体、グラフト(共)重合体、ブラシ(共)重合体、星型(共)重合体、テレケリック(共)重合体を含む付加重合体、又はそれらの組合せを含む重合体分散剤樹脂を含み得る。溶媒は、水性、非水性、無機及び/又は有機溶媒であり得る。分散液は非常に安定であり、比較的高充填のグラフェン炭素ナノ粒子を含有し得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2019年2月20日に出願された米国仮特許出願第62/808,126号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、グラフェン炭素粒子及び分散剤樹脂を含有する分散液に関し、より詳細には、水性溶媒及び/又は有機溶媒中の、粉砕グラフェン炭素粒子及び分散剤樹脂の分散液に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
グラフェンナノ粒子は、多くの現行の及び潜在的な用途を有する。しかし、そのようなナノ粒子は、他の材料に分散させることが困難であり得る。
【発明の概要】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、溶媒、3:1を超える平均アスペクト比及び少なくとも1:1のラマン2D:Gピーク比を有するグラフェン炭素ナノ粒子、並びにビニル複素環アミドの残基を含む付加重合体を含む重合体分散剤樹脂を含む分散液を提供する。
【0005】
本発明はまた、有機溶媒、グラフェン炭素ナノ粒子、重合体分散剤樹脂(ホモ重合体、ブロック(共)重合体、ランダム(共)重合体、交互(共)重合体、グラフト(共)重合体、ブラシ(共)重合体、星型(共)重合体、テレケリック(共)重合体を含む付加重合体)を含む分散液を提供する。
【0006】
本発明は更に、グラフェン炭素ナノ粒子を溶媒中に分散させる方法であって、分散剤樹脂を溶媒中に混合することと、グラフェン炭素ナノ粒子を溶媒及び分散剤樹脂混合物中に混合することとを含み、分散剤樹脂が、ビニル複素環アミドの残基を含む付加重合体、ホモ重合体、ブロック(共)重合体、ランダム(共)重合体、交互(共)重合体、グラフト(共)重合体、ブラシ(共)重合体、星型(共)重合体、テレケリック(共)重合体を含む付加重合体、又はそれらの組合せを含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】粉砕プラズマグラフェン炭素粒子及び粉砕剥離グラフェン炭素を含有する油状分散液についての不安定指数対時間のグラフである。
【
図2】粉砕プラズマグラフェン炭素粒子及び粉砕剥離グラフェン炭素粒子を含有する水性分散液についての不安定指数対時間のグラフである。
【
図3】非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子と比べて、粉砕グラフェン炭素ナノ粒子について、より均一な粒子分散を示す、乾燥グラフェン炭素ナノ粒子分散液の写真である。
【
図4】非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子の分散液から製造された不均一な大きさの凝集グラフェン炭素ナノ粒子を示す顕微鏡写真である。
【
図5】非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子の分散液から製造された不均一な大きさの凝集グラフェン炭素ナノ粒子を示す写真に対応する線図である。
【
図6】粉砕グラフェン炭素ナノ粒子の分散液から製造された均一な大きさを有する均一に分散した非凝集グラフェン炭素ナノ粒子を示す写真である。
【
図7】粉砕グラフェン炭素ナノ粒子の分散液から製造された均一な大きさを有する均一に分散した非凝集グラフェン炭素ナノ粒子を示す写真に対応する線図である。
【
図8】グラフェン炭素ナノ粒子試料の酸素含有量対粉砕時間のグラフである。
【
図9】グラフェン炭素ナノ粒子試料の欠陥レベル対粉砕時間のグラフである。
【
図10】非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子のTEM画像である。
【
図11】粉砕グラフェン炭素ナノ粒子のTEM画像である。
【
図12】貯蔵弾性率(G’)を示す、様々な充填の非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含有する分散液の動的周波数掃引結果である。
【
図13】損失弾性率(G’’)を示す、様々な充填の非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含有する分散液の動的周波数掃引結果である。
【
図14】複素粘度を示す、様々な充填の非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含有する分散液の動的周波数掃引結果である。
【
図15】貯蔵弾性率(G’)を示す、様々な充填の粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含有する分散液の動的周波数掃引結果である。
【
図16】弾性率(G’’)を示す、様々な充填の粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含有する分散液の動的周波数掃引結果である。
【
図17】複素粘度を示す、様々な充填の粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含有する分散液の動的周波数掃引結果である。
【
図18】8重量%の非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含有する水性グラフェン炭素ナノ粒子分散液と20重量%の粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含有する水性グラフェン炭素ナノ粒子分散液とを比較した、粘度対せん断速度のプロット図である。
【
図19】8重量%の非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含有する分散液と20重量%の粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含有する分散液とを比較した場合の、10Hzのせん断速度における水性グラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度を示すグラフである。
【
図20】5重量%の非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子、10重量%の粉砕グラフェン炭素ナノ粒子及び15重量%のグラフェン炭素ナノ粒子を含有する有機溶媒中のグラフェン炭素ナノ粒子分散液についての粘度対せん断速度のプロット図である。
【
図21】5重量%の非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子、10重量%の粉砕グラフェン炭素ナノ粒子及び15重量%のグラフェン炭素ナノ粒子を含有する有機溶媒中の分散液についての、10Hzのせん断速度における有機溶媒中のグラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度を示すグラフである。
【
図22】粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液及び非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液を含有する分散液についての不安定指数対時間のグラフである。
【
図23】粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液及び非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液を含有する分散液についての不安定指数対時間のグラフである。
【
図24】粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液及び非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液を含有する分散液についての不安定指数対時間のグラフである。
【
図25】N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、SARアクリル樹脂、並びに様々なLMA含有量のラウリルメタクリレート及びビニルピロリドン(LMA-VP)の共重合体を含む様々な種類の有機溶媒中のグラフェンナノ粒子分散液の不安定指数値を示すグラフである。
【
図26】ラウリルメタクリレート含有量を増加させたLMA-VP分散剤樹脂を含むPVP中の10Hzのせん断速度におけるグラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度を示すグラフである。
【
図27】ラウリルメタクリレート含有量を増加させたLMA-VP分散剤樹脂を含むPVP中の10Hzのせん断速度におけるグラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度を示すグラフである。
【
図28】ラウリルメタクリレート含有量を増加させたLMA-VP分散剤樹脂を含むPVP中の10Hzのせん断速度におけるグラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度を示すグラフである。
【
図29】スラリー中の固体総量の重量百分率としてのスラリー中のラウリルメタクリレート含有量に対するD50粒径のグラフである。
【
図30】スラリー中の固体総量の重量百分率としてのスラリー中のラウリルメタクリレート含有量に対する粘度及びD50粒径のグラフである。
【
図31】グラフェン炭素ナノ粒子分散液によって製造されたリチウムイオンカソード膜の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図32】グラフェン炭素ナノ粒子分散液によって製造されたリチウムイオンカソード膜の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図33】グラフェン炭素ナノ粒子分散液によって製造されたリチウムイオンカソード膜の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図34】グラフェン炭素ナノ粒子分散液によって製造されたリチウムイオンカソード膜の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図35】グラフェン炭素ナノ粒子分散液によって製造されたリチウムイオンカソード膜の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図36】グラフェン炭素ナノ粒子分散液によって製造されたリチウムイオンカソード膜の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図37】グラフェン炭素ナノ粒子分散液によって製造されたリチウムイオンカソード膜の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図38】グラフェン炭素ナノ粒子分散液によって製造されたリチウムイオンカソード膜の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図39】グラフェン炭素ナノ粒子分散液によって製造されたリチウムイオンカソード膜の様々なCレートにおけるサイクル数に対する容量維持率のグラフである。
【
図40】グラフェン炭素ナノ粒子分散液によって製造されたリチウムイオンカソード膜の様々なCレートにおけるサイクル数に対する容量維持率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(詳細な説明)
本発明は、貯蔵及び使用中に安定であるグラフェン炭素ナノ粒子の分散液を提供する。安定な分散液は、導電性インク、バッテリーアノード及び/又はカソードコーティング、スーパーキャパシタ、EMIシールド、RFIシールド、熱伝導性コーティング、導電性コーティング、潤滑剤、冷却剤、複合材、3D印刷等を含む多くの異なる用途に使用することができる。導電性インクには、銀インク、医療用電極インク、銀ハイブリッド、炭素インク、誘電性インク、亜鉛電極電池インク、マンガン電池インク、熱硬化性炭素電池インク、IR透過性セキュリティインク及び低抵抗UVインクを含むことができる。導電性インクの用途には、スマートフォン、タブレット、インタラクティブ及びエレクトロクロミックディスプレイ、バイオメディカルセンサ、印刷キーパッド、工業用膜スイッチコントロール、RFIDタグ、及び印刷回路を有する他の製品が含まれる。
【0009】
本明細書で使用される場合、用語「分散した」は、グラフェン炭素ナノ粒子が、重合体分散剤を含有する溶媒等の媒体中に分散して、粒子の実質的な凝集なしに媒体全体にわたってグラフェン炭素ナノ粒子の実質的に均一な分散液を形成することを意味する。以下でより完全に説明するように、分散液の均一性は、「不安定指数」によって測定することができる。凝集の存在は、TEM顕微鏡写真画像の視覚分析等の標準的な方法によって決定することができる。凝集は、標準的な粒径測定技術、並びに導電性の測定、又は色、ヘーズ、ジェットネス、反射率及び透過特性等のグラフェン炭素粒子を含有する材料の光学特性の測定によっても検出され得る。
【0010】
グラフェン炭素ナノ粒子は、粉砕されて、組成物中における分散性及び/又は安定性を改善することができる。固体状態粉砕、ボールミル粉砕、乾式ボールミル粉砕、Eiger粉砕、LAU粉砕、Cowlesブレードミル粉砕等の様々な異なる種類の粉砕技術を使用することができる。
【0011】
グラフェン炭素ナノ粒子に加えて、分散液は様々な種類の樹脂分散剤を含む。樹脂は、分散液中のグラフェン炭素ナノ粒子の分散及び/又は安定性を改善し得る。例えば、樹脂分散剤は、ラウリルメタクリレート(LMA)及びビニルピロリドン(VP)樹脂の組合せを含み得る。LMA-VP共重合体は、従来のフリーラジカル重合化学を使用して合成することができる。このような配合において、LMAは典型的には10~90重量%を構成し得、VPは典型的には10~90重量%を構成し得る。例えば、LMAは40又は50~85重量%の範囲であってもよく、VPは15~50又は60重量%の範囲であってもよい。特定の実施形態では、LMAは約75重量%を構成してもよく、VPは約25重量%を構成してもよい。樹脂分散剤は、粉砕及び非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液中の分散及び安定性を促進し得る。
【0012】
例えば、樹脂分散剤は、ステアリルアクリレート(SA)及びビニルピロリドン(VP)の残基を含む付加共重合体を含み得る。SA-VP共重合体は、従来のフリーラジカル重合化学を用いて合成することができる。このような配合において、SAは典型的には10~90重量%を構成し得、VPは典型的には10~90重量%を構成し得る。例えば、SAは40又は50~85重量%の範囲であってもよく、VPは15~50又は60重量%の範囲であってもよい。特定の実施形態では、SAは約75重量%を構成してもよく、VPは約25重量%を構成してもよい。
【0013】
例えば、樹脂分散剤は、ビニルピロリドンの残基を含む付加重合体、例えばポリビニルピロリドン(PVP)等を含み得る。PVPは、少なくとも1,000g/mol、例えば少なくとも3,000g/mol、例えば少なくとも5,000g/molの重量平均分子量を有し得る。PVPは、2,000,000g/mol以下、例えば1,000,000g/mol以下、例えば500,000g/mol以下、例えば100,000g/mol以下、例えば50,000g/mol以下、例えば20,000g/mol以下、例えば15,000g/mol以下の重量平均分子量を有し得る。PVPは、1,000~2,000,000g/mol、例えば1,000~1,000,000g/mol、例えば1,000~500,000g/mol、例えば1,000~100,000g/mol、例えば3,000~50,000g/mol、例えば5,000~20,000g/mol、例えば5,000~15,000g/molの重量平均分子量を有し得る。
【0014】
グラフェン炭素ナノ粒子と樹脂分散剤との重量比は、典型的には、0.1:1~20:1の範囲、例えば0.5:1~15:1、1:1~10:1、又は3:1~6:1、例えば1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1であり得る。
【0015】
分散剤樹脂は、グラフェン炭素ナノ粒子の分散安定性を高め、導電性インク、電池製造、熱伝導性コーティング、導電性コーティング、EMI及びRFIシールドコーティング、潤滑剤、複合材、3D印刷等の用途におけるそのようなナノ粒子の利用を拡大することができる。本発明の分散剤の利点には、貯蔵寿命の延長、グラフェン炭素ナノ粒子の高充填及び室温及び高温で安定なままである分散を挙げることができる。
【0016】
グラフェン炭素ナノ粒子及び樹脂分散剤を種々の溶媒に添加して、本発明の分散液を製造することができる。好適な溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、油、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエステル(DE)アセテート、トリエチルホスフェート等の水性溶媒及び有機溶媒が挙げられる。
【0017】
本発明のグラフェン炭素ナノ粒子は、従来のグラフェン炭素粒子の分散液と比較して、
比較的多量の様々な種類の水性溶媒及び有機溶媒中に分散して、グラフェン炭素粒子の高い充填を有する分散液を製造することができる。例えば、粉砕グラフェン炭素粒子は、溶媒及びグラフェン炭素粒子を合わせた総重量の少なくとも5重量%を構成し得る。例えば、粉砕グラフェン炭素粒子は、分散液の少なくとも8重量%、又は少なくとも10重量%、又は少なくとも12重量%、又は少なくとも15重量%を構成し得る。例えば、水系溶媒分散液中で、粉砕グラフェン炭素粒子は、最大20重量%、又は最大23重量%、最大25重量%、又はそれを超える量で分散し得る。NMP等の有機溶媒分散液において、粉砕グラフェン炭素粒子は、最大10重量%、又は最大12重量%、又は最大15重量%、又は最大20重量%、又はそれを超える量で存在していてもよい。あるいは、粉砕グラフェン炭素粒子の充填は、比較的低くてもよく、例えば、5若しくは3重量%未満、又は2若しくは1重量%未満、又は0.5若しくは0.1重量%未満であってもよい。
【0018】
グラフェン炭素ナノ粒子は、従来の添加剤と比較して比較的低い充填でベース配合物に添加され得る。例えば、本発明のグラフェン炭素ナノ粒子の分散液は、従来のグラフェン含有配合物及び材料の性能を満たすか又は超えつつ、5重量%未満、又は2重量%未満、又は1重量%未満、又は0.5重量%未満の粒子充填でベース配合物又は材料に添加され得る。例えば、0.05~1重量%、又は0.1~0.5重量%の充填を潤滑剤配合物に使用することができる。
【0019】
不安定指数分析は、指定された遠心分離速度及び温度における分散沈降を測定する、長期安定性の加速評価に対して使用することができる。本明細書又は特許請求の範囲に別段の指示がない限り、「不安定指数」は以下のように測定する。分散液試料を遠心分離機に入れ、865nmのパルス近赤外線を試料に透過させる。遠心分離中、試料を透過した近赤外線を、LuM GmbHによってLUMiSizer Model 611の商品名で販売されている分散分析装置を用いて測定する。20分間の遠心分離中、2202の相対遠心加速度(RCA)により、25℃、4000rpmで測定を行う。遠心分離開始時の透過レベルを、20分間終了時の透過レベルと比較し、記録された透過レベルの変化を正規化することにより不安定指数を算出する。報告される不安定指数は、0と1との間の無次元数であり、「0」は粒子濃度の変化がないことを意味し、「1」は分散液が完全に相分離していることを意味する。比較的不安定な分散液は、グラフェン炭素ナノ粒子と溶媒との顕著な相分離に起因して透過のより高い増加を示すが、比較的安定な分散液は、相分離がより少ないことに起因して透過のより低い増加を示す。不安定指数は、SEPView(登録商標)ソフトウェアツールを使用して計算することができる。SEPView(登録商標)ソフトウェアツールが不安定指数をどのように決定するかについての説明は、参照により本明細書に組み込まれる、‘‘Instability Index’’(T.Detloff,T.Sobisch,D.Lerche,Instability
Index,Dispersion Letters Technical,T4(2013)1-4,Update 2014)という題名の記事に提供されている。粉砕グラフェン炭素ナノ粒子の水性分散液の不安定指数は、典型的には、0.7未満、例えば、0.6未満、又は0.5未満、又は0.4未満、又は0.3未満、又は0.1未満であり得る。油性溶媒中の粉砕グラフェン炭素ナノ粒子の分散液の不安定指数は、典型的には0.5未満、例えば0.4未満、又は0.3未満、又は0.2未満、又は0.1未満である。
【0020】
不安定指数は、非粉砕グラフェン炭素粒子を含有する同様の分散液より少なくとも10%低くてもよく、例えば、少なくとも50%低くてもよく、又は少なくとも100%低くてもよく、又は少なくとも300%低くてもよく、又は少なくとも500%低くてもよい。
【0021】
粉砕グラフェン炭素粒子を含有する溶媒混合物は、非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を含
有する同様の溶媒混合物と比較して、より低い粘度を有し得る。例えば、1重量%のグラフェン炭素ナノ粒子の充填において、粉砕グラフェン炭素粒子は、非粉砕グラフェン炭素粒子を有する同様の溶媒分散液の粘度より少なくとも10又は20%低い溶媒分散液の粘度をもたらし得る。粘度は、Anton Paar MCR 302及びCP50-1/TG測定コーンを使用してレオロジー測定値を収集する標準的な技術によって測定することができる。10Hzのせん断速度における粘度測定値を、分散液のレオロジーの比較に使用することができる。
【0022】
粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液は、例えば、撹拌、振盪、研削、粉砕等によって様々なベース配合物に添加され得る。上記のように、グラフェン炭素ナノ粒子分散液が添加され得るベース配合物は、様々な種類のインク、コーティング、潤滑剤等を含み得る。
【0023】
本発明で使用されるグラフェン炭素粒子は、商業的供給源、例えばRaymor、Angstron、XG Sciences及び他の商業的供給源から得ることができる。以下に詳細に説明するように、グラフェン炭素粒子は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,486,363号、第8,486,364号及び第9,221,688号に記載の方法及び装置に従って熱的に製造され得る。炭素ナノチューブ、又は導電性カーボンブラック、グラファイト等の他の炭素含有材料は、グラフェン炭素粒子と組み合わせて、又はグラフェン炭素粒子の代わりに使用され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「グラフェン炭素粒子」は、ハニカム結晶格子に密集したsp2-結合炭素原子の1原子厚の平面シートの1つ又は複数の層を含む構造を有する炭素粒子を意味する。平均積層数は、100未満、例えば50未満であり得る。特定の実施形態では、積層の平均数は、30以下、例えば20以下、10以下、又は場合によっては5以下である。平均積層数は、2より大きくてもよく、例えば3より大きくてもよく、4より大きくてもよい。グラフェン炭素粒子の少なくとも一部分は、実質的に湾曲し、カールし、折り目を付けられ、又は中央がくぼんだ小板の形態であってもよい。グラフェン炭素ナノ粒子は、六方晶形であってもよく、すなわち、隣接する積み重ねられた原子層は、従来の剥離グラフェンに関連する規則正しいAB Bernal積層を示さず、むしろ、無秩序又は非ABABAB積層を示す。あるいは、グラフェン炭素粒子はナノチューブの形態であってもよい。粒子は、典型的には、回転楕円形又は等軸の形態を有さない。
【0025】
グラフェン炭素ナノ粒子は、炭素原子層に垂直な方向に測定して、10nm以下、5nm以下、又は特定の実施形態では、4又は3又は2又は1nm以下、例えば3.6nm以下の厚さを有し得る。グラフェン炭素粒子は、1原子層~3、6、9、12、20又は30原子層までの厚さ、又はそれ以上であり得る。本発明の組成物中に存在するグラフェン炭素粒子は、炭素原子層に平行な方向に測定して、少なくとも50nm、例えば100nm超、場合によっては100nm超~500nm、又は100nm超~200nmの幅及び長さを有する。グラフェン炭素粒子は、3:1より大きい、例えば10:1より大きい比較的高いアスペクト比(アスペクト比は、粒子の最短寸法に対する粒子の最長寸法の比として定義される)を有する超薄薄片、小板又はシートの形態で提供され得る。あるいは、グラフェン炭素粒子がナノチューブの形態である場合、グラフェン炭素粒子は、0.3~100nm、又は0.4~40nmの範囲の外径、0.3nm~50cm、又は500nm~500μmの範囲の長さ、及び1:1~100,000,000:1、又は10:1~10,000:1の範囲の長さ:直径アスペクト比を有し得る。
【0026】
グラフェン炭素粒子は、比較的低い酸素含有量を有し得る。例えば、グラフェン炭素粒子は、5nm以下又は2nm以下の厚さを有する場合であっても、2原子重量%以下、例えば1.5又は1原子重量%以下、又は0.6原子重量%以下、例えば約0.5原子重量%の酸素含有量を有し得る。グラフェン炭素粒子の酸素含有量は、D.R.Dreyer
et al.,Chem.Soc.Rev.39,228-240(2010)に記載されるように、X線光電子分光法を使用して決定できる。
【0027】
グラフェン炭素粒子は、少なくとも50m2/g、例えば70~1000m2/g、又は場合によっては200~1000m2/g又は200~400m2/gのB.E.T.比表面積を有し得る。本明細書で使用される場合、用語「B.E.T.比表面積」は、定期刊行物‘‘The Journal of the American Chemical Society’’,60,309(1938)に記載されているBrunauer-Emmett-Teller法に基づくASTMD 3663-78標準に従って窒素吸着によって決定される比表面積を指す。
【0028】
グラフェン炭素粒子は、少なくとも0.9:1、又は0.95:1、又は1:1、例えば少なくとも1.2:1又は1.3:1のラマン分光法2D/Gピーク比を有し得る。本明細書で使用される場合、用語「2D/Gピーク比」は、1,580cm-1におけるGピークの強度に対する2692cm-1における2Dピークの強度の比を指す。そのような2D/Gピーク比は、2を超える平均積層数、例えば3層以上の平均積層数を有するグラフェン炭素ナノ粒子中に存在し得る。
【0029】
グラフェン炭素粒子は、比較的低いかさ密度を有し得る。例えば、本発明の特定の実施形態で使用されるグラフェン炭素粒子は、0.2g/cm3未満、例えば0.1g/cm3以下のかさ密度(タップ密度)を有することを特徴とする。本発明の目的のために、粉砕グラフェン炭素粒子のかさ密度は、0.4gのグラフェン炭素粒子を読み取り可能なスケールを有するガラス製メスシリンダに入れることによって決定される。シリンダを約1インチ持ち上げ、シリンダの基部を硬質表面に打ち付けることによって100回軽く叩いて、グラフェン炭素粒子をシリンダ内で沈降させる。次いで、粒子の体積を測定し、0.4gを測定された体積で割ることによってかさ密度を計算し、ここで、かさ密度はg/cm3で表す。
【0030】
グラフェン炭素粒子は、グラファイト粉末及び特定の種類の実質的に平坦なグラフェン炭素粒子の圧縮密度及び緻密化率よりも小さい圧縮密度及び緻密化率を有し得る。より低い圧縮密度及びより低い緻密化率はそれぞれ、より高い圧縮密度及びより高い緻密化率を示すグラフェン炭素粒子よりも良好な分散特性及び/又はレオロジー特性に寄与すると現在考えられている。特定の実施形態では、グラフェン炭素粒子の圧縮密度は、0.9以下、例えば0.8未満、0.7未満、例えば0.6~0.7である。特定の実施形態では、グラフェン炭素粒子の緻密化率は、40%未満、例えば30%未満、例えば25~30%である。
【0031】
本発明の目的のために、グラフェン炭素粒子の圧縮密度は、圧縮後の粒子の所与の質量の測定された厚さから計算される。具体的には、測定された厚さは、0.1gのグラフェン炭素粒子を1.3cmのダイ内で45分間、接触圧力500MPaで、15,000ポンドの力の下でコールドプレスすることによって決定する。次いで、グラフェン炭素粒子の圧縮密度を、この測定された厚さから以下の式に従って計算する。
【数1】
【0032】
次いで、グラフェン炭素粒子の緻密化率を、グラファイトの密度である2.2g/cm3に対する、上で決定したグラフェン炭素粒子の計算された圧縮密度の比として決定する。
【0033】
グラフェン炭素粒子は、混合直後及び後の時点、例えば10分、又は20分、又は30分、又は40分で、少なくとも100マイクロジーメンス、例えば少なくとも120マイクロジーメンス、例えば少なくとも140マイクロジーメンスの測定されたバルク液体伝導率を有し得る。本発明の目的のために、グラフェン炭素粒子のバルク液体伝導率は、以下のように決定される。最初に、ブチルセロソルブ中のグラフェン炭素粒子の0.5%溶液を含む試料を、超音波洗浄機を用いて30分間超音波処理する。超音波処理の直後に、試料を標準的な校正した伝導度セル(K=1)に入れる。Fisher Scientific AB 30導電率計を試料に導入して、試料の導電率を測定する。導電率は、約40分間にわたってプロットする。
【0034】
グラフェン炭素粒子は、望ましくない又は有害な材料を実質的に含まなくてもよい。例えば、グラフェン炭素粒子は、多環芳香族炭化水素(PAH)を含有しないか又は微量の多環芳香族炭化水素(PAH)を含有する。例えば、2重量%未満のPAH、1重量%未満のPAHを含有し得るか、又はPAHを含有しない。
【0035】
本発明で利用される出発グラフェン炭素ナノ粒子は、例えば、熱プロセスによって作製することができる。本発明の実施形態によれば、熱的に製造されたグラフェン炭素粒子は、プラズマ等の熱ゾーンにおいて高温に加熱される炭素含有前駆体材料から作製される。気体又は液体の形態で提供される炭化水素等の炭素含有前駆体は、熱ゾーンで加熱されて、熱ゾーン又はその下流でグラフェン炭素粒子を製造する。例えば、熱的に製造されたグラフェン炭素粒子は、米国特許第8,486,363号、同第8,486,364号及び同第9,221,688号に開示されているシステム及び方法によって作製され得る。
【0036】
グラフェン炭素粒子は、米国特許第8,486,363号に記載されている装置及び方法を使用することによって作製することができ、この方法では、(i)2炭素フラグメント種(例えば、n-プロパノール、エタン、エチレン、アセチレン、塩化ビニル、1,2-ジクロロエタン、アリルアルコール、プロピオンアルデヒド及び/又は臭化ビニル)を形成することができる1つ又は複数の炭化水素前駆体材料を熱ゾーン(プラズマ等)に導入し、(ii)炭化水素を熱ゾーン内で少なくとも1,000℃の温度まで加熱して、グラフェン炭素粒子を形成する。グラフェン炭素粒子は、米国特許第8,486,364号に記載されている装置及び方法を使用することによって作製することができ、この方法では、(i)メタン前駆体材料(例えば、少なくとも50%のメタン、又は場合によっては、少なくとも95又は99%又はそれを超える純度の気体又は液体メタンを含む材料)を熱ゾーン(プラズマ等)に導入し、(ii)メタン前駆体を熱ゾーンで加熱してグラフェン炭素粒子を形成する。このような方法は、上記の特徴の少なくとも一部、場合によっては全てを有するグラフェン炭素粒子を製造することができる。
【0037】
上記の熱的製造方法によるグラフェン炭素粒子の製造中、炭素含有前駆体は、不活性キャリアガスと接触し得る供給材料として提供される。炭素含有前駆体材料は、例えば、DCプラズマ、RFプラズマ、マイクロ波プラズマ等のプラズマシステムによって、熱ゾーン内で加熱されてもよい。特定の実施形態では、前駆体材料は、2,000℃超~20,000℃以上、例えば3,000℃~15,000℃の範囲の温度に加熱される。例えば、熱ゾーンの温度は、3,500℃~12,000℃、例えば4,000℃~10,000℃の範囲であってもよい。熱ゾーンはプラズマシステムによって生成されてもよいが、電気加熱管炉等を含む様々な種類の炉等、任意の他の好適な加熱システムを使用して熱ゾーンを作り出してもよいことを理解されたい。
【0038】
気体流は、少なくとも1つのクエンチ流注入ポートを介してプラズマチャンバに注入される1つ又は複数のクエンチ流と接触することができる。クエンチ流は、気体流を冷却して、グラフェン炭素粒子の形成を促進するか、又は粒径若しくは形態を制御することがで
きる。本発明の特定の実施形態では、気体生成流をクエンチ流と接触させた後、超微粒子を収束部材に通過させることができる。グラフェン炭素粒子がプラズマシステムを出た後、グラフェン炭素粒子を回収することができる。グラフェン炭素粒子を気体流から分離するために、任意の好適な手段、例えばバッグフィルタ、サイクロン分離器又は基材上への堆積を使用してもよい。
【0039】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、グラフェン炭素ナノ粒子を製造する前述の方法は、上記のように、比較的低い酸素含有量と組み合わせて、比較的低い厚さ及び比較的高いアスペクト比を有するグラフェン炭素ナノ粒子を製造するのに特に好適であると現在考えられている。更に、このような方法は、現在、実質的に2次元(又は平坦)の形態を有する大部分の粒子を製造するのとは対照的に、実質的に湾曲し、カールし、折り目がついた、又は中央がくぼんだ形態(本明細書では「3D」形態と呼ばれる)を有する相当量のグラフェン炭素ナノ粒子を製造すると考えられている。この特性は、グラフェン炭素粒子のかなりの部分が3D形態を有する場合、組成物中のグラフェン炭素粒子間の「端対端」及び「端対面」の接触が促進され得ると現在考えられているため、前述の圧縮密度特性に反映されると考えられ、本発明において有益であると考えられる。これは、3D形態を有する粒子は、2次元形態を有する粒子よりも組成物中で凝集しにくいため(ファンデルワールス力が低いため)と考えられる。更に、現在では、3D形態を有する粒子間の「面対面」接触の場合であっても、粒子が2つ以上の面平面を有し得るため、粒子表面全体は、別の単一粒子との単一の「面対面」相互作用に関与しないが、代わりに、他の平面における他の「面対面」相互作用を含む、他の粒子との相互作用に関与することができると考えられている。結果として、3D形態を有するグラフェン炭素粒子は、分散液中に良好な導電性及び/又は熱伝導性経路を提供し得、導電性及び/又は熱伝導性特性を得るために有用であり得る。更に、3D形態は、特定の配合物において超潤滑性を提供し得る。
【0040】
分散剤樹脂は、付加重合体を含んでもよい。付加重合体は、以下に説明するもの等の1つ又は複数のα、β-エチレン性不飽和単量体の残基を含む構成単位から誘導され得、それを含み得、そのような単量体の反応混合物を重合することによって調製することができる。単量体の混合物は、1つ又は複数の活性水素基含有エチレン性不飽和単量体を含んでもよい。反応混合物はまた、複素環基を含むエチレン性不飽和単量体を含んでもよい。本明細書で使用される場合、複素環基を含むエチレン性不飽和単量体は、少なくとも1つのα、βエチレン性不飽和基、及び環構造中に炭素に加えて少なくとも1つの原子、例えば酸素、窒素又は硫黄を有する少なくとも1つの環式部分を有する単量体を指す。複素環基を含むエチレン性不飽和単量体の非限定的な例としては、とりわけ、ビニルピロリドン及びビニルカプロラクタムが挙げられる。反応混合物は、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等の他のエチレン性不飽和単量体及び以下に記載される他のものを更に含んでもよい。
【0041】
付加重合体は、1つ又は複数の(メタ)アクリル単量体の残基を含む構成単位を含む(メタ)アクリル重合体を含み得る。(メタ)アクリル重合体は、1つ又は複数の(メタ)アクリル単量体及び場合により他のエチレン性不飽和単量体を含むα、β-エチレン性不飽和単量体の反応混合物を重合することによって調製され得る。本明細書で使用される場合、用語「(メタ)アクリル単量体」は、アクリル酸、メタクリル酸、及びアクリル酸及びメタクリル酸のアルキルエステル等を含む、それに由来する単量体を指す。本明細書で使用される場合、用語「(メタ)アクリル重合体」は、1つ又は複数の(メタ)アクリル単量体の残基を含む構成単位から誘導されるか、又はそれを含む重合体を指す。単量体の混合物は、1つ又は複数の活性水素基含有(メタ)アクリル単量体、複素環基を含むエチレン性不飽和単量体、及び他のエチレン性不飽和単量体を含み得る。(メタ)アクリル重合体はまた、反応混合物中のグリシジルメタクリレート等のエポキシ官能性エチレン性不飽和単量体により調製されてもよく、得られた重合体上のエポキシ官能基は、β-ヒドロ
キシ官能酸、例えばクエン酸、酒石酸及び/又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸と後反応して、(メタ)アクリル重合体上にヒドロキシル官能基を生成し得る。
【0042】
付加重合体は、アルキル基に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を含み得る。アルキル基に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの非限定的な例としては、オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレートが挙げられる。特定の例として、ラウリルメタクリレートを使用することができる。アルキル基に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加重合体の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、例えば少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、例えば少なくとも30重量%、例えば少なくとも50重量%、例えば少なくとも70重量%を構成し得る。
【0043】
付加重合体は、ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位を含み得る。ヒドロキシアルキルエステルの非限定的な例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加重合体の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%を構成し得、30重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下を構成し得る。ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加重合体の総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%を構成し得る。付加重合体は、反応混合物に使用される重合性単量体の総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%の量のヒドロキシアルキルエステルを含む反応混合物から誘導されてもよい。ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位を分散剤に含めると、少なくとも1つのヒドロキシル基を含む分散剤が得られる(ヒドロキシル基は他の方法によって含まれてもよい)。
【0044】
付加重合体は、ビニル複素環アミドの残基を含む構成単位を含み得る。ビニル複素環アミドの非限定的な例としては、とりわけ、ビニルピロリドン及びビニルカプロラクタムが挙げられる。複素環基を含むエチレン性不飽和単量体の残基を含む構成単位は、付加重合体の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、例えば少なくとも40重量%、例えば少なくとも50重量%を構成し得、90重量%以下、例えば85重量%以下、例えば60重量%以下、例えば50重量%以下、例えば40重量%以下、例えば30重量%以下、例えば20重量%以下を構成し得る。複素環基を含むエチレン性不飽和単量体の残基を含む構成単位は、付加重合体の総重量に基づいて、0.5重量%~99重量%、例えば0.5重量%~50重量%、例えば1重量%~40重量%、例えば5重量%~30重量%、8重量%~27重量%、例えば10重量%~90重量%、例えば15重量%~60重量%、例えば15重量%~50重量%、例えば40重量%~85重量%、例えば50重量%~85重量%を構成し得る。付加重合体は、反応混合物に使用される重合性単量体の総重量に基づいて、0.5重量%~50重量%、例えば1重量%~40重量%、例えば5重量%~30重量%、8重量%~27重量%、例えば10重量%~90重量%、例えば15重量%~60重量%、例えば15重量%~50重量%、例えば40重量%~85重量%、例えば50重量%~85重量%の量の複素環基を含むエチレン性不飽和単量体を含む反応混合物から誘導されてもよい。
【0045】
付加重合体は、他のα、β-エチレン性不飽和単量体の残基を含む構成単位を含み得る。他のα、β-エチレン性不飽和単量体の非限定的な例としては、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレン及びビニルトルエン等のビニル芳香族化合物、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等の有機ニトリル類、塩化アリル及びシアン化アリル等のアリル単量体、1,3-ブタジエン及び2-メチル-1,3-ブタジエン等の単量体ジエン、(自己架橋性であってもよい)アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。他のα、β-エチレン性不飽和単量体の残基を含む構成単位は、付加重合体の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%を構成し得、30重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下を構成し得る。他のα、β-エチレン性不飽和単量体の残基を含む構成単位は、付加重合体の総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%を構成し得る。付加重合体は、反応混合物に使用される重合性単量体の総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%の量の他のα、β-エチレン性不飽和単量体を含む反応混合物から誘導されてもよい。
【0046】
付加重合体は、重合性単量体を溶媒又は溶媒混合物を含む第2の有機媒体に溶解し、変換が完了するまでフリーラジカル開始剤の存在下で重合させる、従来のフリーラジカル開始溶液重合技術によって調製することができる。付加重合体を調製するために使用される第2の有機媒体は、付加重合体溶液の添加によって有機媒体の組成が変化しないように、分散液組成物中に存在する有機媒体と同じであり得る。例えば、第2の有機媒体は、分散液組成物の有機媒体と同じ比率の同じ1次溶媒(複数可)及び共溶媒(複数可)を含み得る。あるいは、付加重合体を調製するために使用される第2の有機媒体は、分散液組成物の有機媒体とは異なり、識別されていてもよい。付加重合体を製造するために使用される第2の有機媒体は、例えばAromatic 200、Solvesso 200等の有機媒体に関して上述したものを含む、任意の好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含み得る。
【0047】
フリーラジカル開始剤の例は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(α、γ-メチルバレロニトリル)、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルアセテート、ベンゾイルペルオキシド、di-tert-ブチルペルオキシド及びtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート等の単量体混合物に可溶であるものである。
【0048】
場合により、アルキルメルカプタン、例えばtert-ドデシルメルカプタン、メチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルム等のクロロ炭化水素類等の単量体の混合物に可溶な連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤により、分子量の制御が提供され、様々なコーティング用途に必要な粘度を有する製品が得られる。tert-ドデシルメルカプタンは、単量体から重合体生成物への高い転化率をもたらすため好ましい。
【0049】
付加重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ブラシ共重合体、星型共重合体及びテレケリック共重合体を含むがこれらに限定されない他の構造並びにランダム及び交互共重合体構造体を用いて調製されてもよい。
【0050】
本明細書で使用されるブロック共重合体は、一般に、構造[A]-b-[B]で説明することができ、「b」は、ランダム構造を示す「r」とは対照的にブロック構造を示す。本発明で提示されるものを含む多くのブロック共重合体はジブロック共重合体であるが、追加のブロックを有することは珍しくない。ブロック共重合体のブロックは、樹脂性能を達成するために任意の順序(配列)で合成することができる。しかし、ブロックの順序を
選択するためにいくつかの合成上の制限が存在し得る。ブロック共重合体の個々のブロックは、ホモ重合体であってもよく、又は2つ以上の単量体の共重合体であってもよい。第2のブロックを合成する前に第1の単量体の完全な変換は必要でないため、第2のブロックは、第1のブロックからの残留単量体及び第2のブロックからの単量体の共重合体(すなわち、[A]-b-[A-r-B])であってもよい。これは、「グラジエント」又は「テーパー状」共重合体と呼ばれることがある。
【0051】
ブロック共重合体(例えば、ジブロック又はトリブロック)は、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)機構、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシド媒介重合技術、及び有機金属媒介ラジカル重合(OMRP)、とりわけコバルト媒介ラジカル重合(CMRP)による少なくとも1つのエチレン性不飽和単量体の制御ラジカル重合によって製造され得る。他の方法としては、ヨウ素媒介重合、グループ移動重合(GTP)、アニオン重合、カチオン重合が挙げられる。方法の選択は、コスト、選択された単量体との適合性、官能基に対する耐性、操作温度、触媒(例えば金属)の存在が最終生成物において望ましくないかどうか等の多くのパラメータに依存する。ブロック共重合体の第1、第2、及び、使用される場合、第3のブロックは、任意の順序(配列)で製造されてもよく、ブロックの1つは、第1及び/又は第2の成分と反応性であってもよいことを理解されたい。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「制御ラジカル重合」及び「制御ラジカル重合プロセス」等の関連する用語には、ATRP、単電子移動(SET)重合、RAFT、及びニトロキシド媒介重合が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
RAFT及び上に列挙した他のもの等の制御ラジカル重合は、一般に「リビング重合」、すなわち、本質的に連鎖移動がなく、及び本質的に連鎖停止なしで伝播する連鎖成長重合として記載される。制御ラジカル重合によって調製される重合体の分子量は、単量体及び開始剤の初期濃度等の反応物の化学量論によって制御することができる。制御ラジカル重合技術により、1つの単量体の重合体を第2の種類の重合体により鎖延長して、ブロック共重合体を得ることが可能になる。更に、制御ラジカル重合はまた、所望の範囲内の多分散指数(PDI)値等の狭い分子量分布、及び/又は明確に定義された重合体鎖構造、例えばブロック共重合体及び交互共重合体を含む特性を有する重合体を提供する。
【0054】
ATRPプロセスは、一般に、開始システムの存在下で1つ又は複数のラジカル重合性単量体を重合し、重合体を形成することを含むものとして説明することができる。開始システムは、少なくとも1つのラジカル移動可能な原子又は基、開始剤との可逆的レドックスサイクルに関与する、触媒等の遷移金属化合物、及び遷移金属化合物と配位する配位子を含むことができる。ATRPプロセスは、米国特許第5,763,548号、同第5,789,487号、同第5,807,937号、同第6,538,091号、同第6,887,962号、同第7,572,874号、同第7,893,173号、同第7,893,174号、及び同第8,404,788号に更に詳細に記載されている。
【0055】
可逆的付加開裂連鎖移動、すなわちRAFT重合は、いくつかの種類の可逆的失活ラジカル重合のうちの1つである。これは、チオカルボニルチオ又は同様の化合物(例えば、ジチオエステル、チオカルバメート、及びキサンテート、RAFT剤としても知られている)の形態の連鎖移動剤を利用して、可逆的連鎖移動プロセスを介して重合を媒介し、したがってフリーラジカル重合中に生成される分子量、構造及び多分散性を制御する。
【0056】
ニトロキシド媒介ラジカル重合は、アルコキシアミン開始剤を利用して、十分に制御された立体化学及び非常に低い多分散指数を有する重合体を生成するラジカル重合の方法である。これは、可逆的失活ラジカル重合の一種である。
【0057】
本発明のグラフェン炭素ナノ粒子分散液は、様々な種類の材料組成物を製造するために使用することができる。組成物は、当技術分野で既知の様々な熱可塑性及び/又は熱硬化性組成物のいずれかを含み得る。例えば、コーティング組成物は、エポキシ樹脂、アクリル重合体、ポリエステル重合体、ポリウレタン重合体、ポリアミド重合体、ポリエーテル重合体、ビスフェノールA系エポキシ重合体、ポリシロキサン重合体、スチレン、エチレン、ブチレン、それらの共重合体、及びそれらの混合物から選択される膜形成樹脂を含み得る。一般に、これらの重合体は、当業者に既知の任意の方法によって作製されたこれらの種類の任意の重合体であり得る。そのような重合体は、溶剤型、水溶性若しくは水分散性、乳化性、又は限定された水溶性であり得る。更に、重合体は、ゾルゲル系で提供されてもよく、コアシェル重合体系で提供されてもよく、又は粉末形態で提供されてもよい。特定の実施形態では、重合体は、水及び/又は有機溶媒、例えば乳化重合体又は非水性分散液を含む連続相中の分散液である。
【0058】
樹脂及びグラフェン炭素ナノ粒子成分に加えて、本発明の特定の実施形態によるコーティング又は他の材料は、架橋剤、顔料、着色剤、流動助剤、消泡剤、分散剤、溶媒、UV吸収剤、触媒及び界面活性剤等のコーティング又はインク組成物に従来から添加されている追加の成分を含んでもよい。
【0059】
熱硬化性又は硬化性コーティング組成物は、典型的には、それ自体又は架橋剤のいずれかと反応性である官能基を有する膜形成重合体又は樹脂を含む。膜形成樹脂上の官能基は、例えば、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基、ヒドロキシル基、チオール基、カルバメート基、アミド基、尿素基、イソシアネート基(ブロック化イソシアネート基及びトリス-アルキルカルバモイルトリアジンを含む)、メルカプタン基、スチレン基、無水物基、アセトアセテートアクリレート、ウレチジオン及びそれらの組合せを含む様々な反応性官能基のいずれかから選択することができる。
【0060】
熱硬化性コーティング組成物は、典型的には、例えば、アミノプラスト、ブロック化イソシアネートを含むポリイソシアネート、ポリエポキシド、β-ヒドロキシアルキルアミド、ポリ酸、無水物、有機金属酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミド、及び前述のいずれかの混合物から選択され得る架橋剤を含む。好適なポリイソシアネートには、多官能性イソシアネートが含まれる。多官能性ポリイソシアネートの例には、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、並びにトルエンジイソシアネート及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが含まれる。ポリイソシアネートは、ブロック化されていてもブロック化されていなくてもよい。他の好適なポリイソシアネートの例としては、イソシアヌレートトリマー、アロファネート、及びジイソシアネートのウレトジオンが挙げられる。市販のポリイソシアネートの例としては、Bayer Corporationによって販売されているDESMODUR N3390、及びRhodia Inc.によって販売されているTOLONATE HDT90が挙げられる。好適なアミノプラストとしては、アミン及び/又はアミドとアルデヒドとの縮合物が挙げられる。例えば、メラミンとホルムアルデヒドとの縮合物は、好適なアミノプラストである。好適なアミノプラストは当技術分野で周知である。好適なアミノプラストは、例えば、米国特許第6,316,119号の第5欄45~55行に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、樹脂は自己架橋性であり得る。自己架橋性は、樹脂がそれ自体と反応することができる、例えばアルコキシシラン基等の官能基を含有すること、又は反応生成物が、例えばヒドロキシル基及びブロック化イソシアネート基等の共反応性官能基を含有することを意味する。
【0061】
硬化したコーティングの乾燥膜厚は、典型的には、0.5μm未満~100μm以上、例えば1~50μmの範囲であり得る。特定の例として、硬化したコーティングの厚さは
、1~15μmの範囲であり得る。しかし、コーティング厚が著しく大きく、非コーティング材料の材料寸法が著しく大きいことは、本発明の範囲内である。
【0062】
本明細書で使用される場合、分子量は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィによって決定する。別段示されない限り、分子量は重量平均に基づく。
【0063】
本発明の特定の態様では、グラフェン炭素ナノ粒子分散液を使用して、リチウムイオン電池のカソード及びアノードを製造することができる。リチウムイオン電池は、アノード、カソード、アノードとカソードとの間のセパレータ、並びにアノード及びカソードに接触する電解質を含むことができる。ケーシングは、アノードと電気的に接触して設けられ、端子は、カソードと電気的に接触している。
【0064】
リチウムイオン電池の電解質は、典型的には、有機溶媒に溶解したリチウム含有電解質塩を含み得る。リチウム含有電解質塩の例には、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiB(C2O4)2、CH3SO3Li、CF3SO3Li、LiCl、LiBr等が含まれる。有機溶媒の例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、アセテート、ブチレート、プロピオネート等が挙げられる。プロピレンカーボネート等の環状カーボネート、又はジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートを使用してもよい。これらの有機溶媒は、単独又は2種以上の組合せで使用できる。特定の実施形態では、電解質はまた、VC(ビニルカーボネート)、VEC(ビニルエチレンカーボネート)、FEC(フルオロエチレンカーボネート)、EA(エチレンアセテート)、TPP(トリフェニルホスフェート)、ホスファゼン、LiBOB、LiBETI、LiTFSI、BP(ビフェニル)、PS(プロピレンサルファイト)、ES(エチレンサルファイト)、AMC(アリルメチルカーボネート)、及びAPV(ジビニルアジペート)等の添加剤又は安定剤を含んでもよい。
【0065】
グラフェン炭素ナノ粒子分散液は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,761,903号に開示されているように、リチウムイオン電池カソード材料を製造するために使用することができる。グラフェン炭素ナノ粒子分散液は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0272591号に開示されているように、リチウムイオン電池アノード材料を製造するために使用することができる。
【0066】
リチウムイオン電池のカソードは、リチウム含有活物質、本発明の分散液からのグラフェン炭素ナノ粒子、及びバインダを含み得る。カソードは、導電性基材、例えば、Alを含む金属箔、炭素被覆アルミニウム箔、アルミセルメット等を含んでもよい。カソード材料のコーティングを基材上に堆積及び硬化させて、5又は10~500μm、例えば20又は25~200μm、例えば50~100μmの典型的な乾燥膜厚を有するコーティングを形成することができる。
【0067】
カソードコーティングのリチウム含有活物質としては、LiFePO4、炭素被覆リン酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム等を挙げることができる。例えば、リチウム含有活物質は、50~99.9重量%、例えば80~99.5重量%、又は87~99重量%の硬化したカソードコーティング材料を含む。グラフェン炭素ナノ粒子は、典型的には、0.25~25重量%、例えば、0.5~10重量%、あるいは1又は2~8重量%の硬化したカソードコーティング材料を含むことができる。
【0068】
バインダは、典型的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリル、カルボキシメチルセルロース等のセルロース等を含むことができる。バインダは、0.25~25重量%、例えば、0.5~10重量%、あるいは1又は2~8重量%の硬化したカソードコーティング材料を含むことができる。
【0069】
リチウムイオン電池のアノードは、片面又は両面にグラフェン炭素ナノ粒子含有コーティングが堆積された、銅箔又は他の金属箔等の導電性基材を含んでもよい。グラフェン炭素粒子含有アノード材料は、グラフェン炭素ナノ粒子、Si及び/又はSn等のリチウム反応性粒子、並びにバインダの混合物を含み得る。
【0070】
アノード材料は、15~85重量%のリチウム反応性金属粒子、3~75重量%のグラフェン炭素ナノ粒子、及び3~60重量%のバインダを含み得る。例えば、リチウム反応性金属粒子は、25~70重量%、又は30~50重量%を構成し得る。例えば、グラフェン炭素ナノ粒子は、10~60重量%、又は30~50重量%を構成し得る。
【0071】
リチウム反応性金属粒子は、Si、Sn又はそれらの組合せを含み得る。リチウム反応性金属粒子は、典型的には、1,000nm未満、例えば5~200nm、又は10~120nmの平均粒径を有し得る。
【0072】
アノード材料のバインダは、重合体を含んでもよい。例えば、重合体バインダは、ポリ(アクリル酸)(PAA)、5重量%を超えるアクリル酸を含有するアクリレート重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸、5重量%を超えるメタクリル酸を含有するアクリレート重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリルラテックス分散液等を含み得る。
【0073】
したがって、上記を考慮して、本発明は、それに限定されるものではないが、以下の態様に関する。
【0074】
態様1.溶媒、グラフェン炭素ナノ粒子、及び重合体分散剤樹脂を含む分散液。
【0075】
態様2.グラフェン炭素ナノ粒子が、3:1より大きい平均アスペクト比及び少なくとも1:1のラマン2D:Gピーク比を有する、態様1に記載の分散液。
【0076】
態様3.重合体分散剤樹脂が、ビニル複素環アミドの残基を含む付加重合体を含む、態様1又は2に記載の分散液。
【0077】
態様4.ビニル複素環アミドがビニルピロリドンを含む、態様3に記載の分散液。
【0078】
態様5.分散液が、0.7未満の不安定指数を有する、態様1~4のいずれかに記載の分散液。
【0079】
態様6.グラフェン炭素ナノ粒子が、分散液の総重量に基づいて5重量%超を構成する、態様1~5のいずれかに記載の分散液。
【0080】
態様7.分散液が0.7未満の不安定指数を有する、態様6に記載の分散液。
【0081】
態様8.不安定指数が0.3未満である、態様6に記載の分散液。
【0082】
態様9.ラマン2D:Gピーク比が0.9:1未満であるグラフェン炭素ナノ粒子を含
有する同一の分散液の不安定指数よりも小さい不安定指数を有する、態様1~8のいずれかに記載の分散液。
【0083】
態様10.重合体分散剤がポリビニルピロリドンを含む、態様1~9のいずれかに記載の分散液。
【0084】
態様11.ポリビニルピロリドンが、1,000~2,000,000の重量平均分子量を有する、態様10に記載の分散液。
【0085】
態様12.グラフェン炭素ナノ粒子が、少なくとも3,500℃の温度で熱的に製造される、態様1~11のいずれかに記載の分散液。
【0086】
態様13.グラフェン炭素ナノ粒子が粉砕されている、態様1~12のいずれかに記載の分散液。
【0087】
態様14.グラフェン炭素粒子が乱層構造であり、少なくとも70m2/gのB.E.T.比表面積を有する、態様1~13のいずれかに記載の分散液。
【0088】
態様15.溶媒が水を含む、態様1~14のいずれかに記載の分散液。
【0089】
態様16.溶媒が有機溶媒を含む、態様1~15のいずれかに記載の分散液。
【0090】
態様17.有機溶媒が、油、N-メチル-2-ピロリドン、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエステル(DE)アセテート、及び/又はトリエチルホスフェートを含む、態様16に記載の分散液。
【0091】
態様18.有機溶媒が油を含む、態様16に記載の分散液。
【0092】
態様19.有機溶媒がN-メチル-2-ピロリドンを含む、態様16に記載の分散液。
【0093】
態様20.グラフェン炭素ナノ粒子と分散剤樹脂との重量比が0.5:1~15:1である、態様1~19のいずれかに記載の分散液。
【0094】
態様21.重合体分散剤樹脂が、ホモ重合体、ブロック(共)重合体、ランダム(共)重合体、交互(共)重合体、グラフト(共)重合体、ブラシ(共)重合体、星型(共)重合体、テレケリック(共)重合体、又はそれらの組合せを含む付加重合体を含む、態様1に記載の分散液。
【0095】
態様22.分散液が0.5未満の不安定指数を有する、態様21に記載の分散液。
【0096】
態様23.グラフェン炭素ナノ粒子が、分散液の総重量に基づいて3重量%超を構成する、態様21又は22に記載の分散液。
【0097】
態様24.不安定指数が0.3未満である、態様21~23のいずれかに記載の分散液。
【0098】
態様25.重合体分散剤が、アルキル基に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、ビニル複素環アミド、又はそれらの組合せの残基を含む付加重合体を含む、態様21~24のいずれかに記載の分散液。
【0099】
態様26.アルキル基に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが、ラウリルメタクリレート又はステアリルアクリレートを含む、態様25に記載の分散液。
【0100】
態様27.ビニル複素環アミドがビニルピロリドンを含む、態様26~26のいずれかに記載の分散液。
【0101】
態様28.グラフェン炭素ナノ粒子が、少なくとも3,500℃の温度で熱的に製造される、態様21~27のいずれかに記載の分散液。
【0102】
態様29.グラフェン炭素ナノ粒子が、3:1を超える平均アスペクト比及び少なくとも1:1のラマン2D:Gピーク比を有する、態様21~28のいずれかに記載の分散液。
【0103】
態様30.グラフェン炭素粒子が乱層構造であり、少なくとも70m2/gのB.E.T.比表面積を有する、態様21~29のいずれかに記載の分散液。
【0104】
態様31.グラフェン炭素ナノ粒子が粉砕されている、態様21~30のいずれかに記載の分散液。
【0105】
態様32.有機溶媒が、油、N-メチル-2-ピロリドン、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエステル(DE)アセテート、及び/又はトリエチルホスフェートを含む、態様21~31のいずれかに記載の分散液。
【0106】
態様33.有機溶媒が油を含む、態様21~31のいずれかに記載の分散液。
【0107】
態様34.有機溶媒がN-メチル-2-ピロリドンを含む、態様21~31のいずれかに記載の分散液。
【0108】
態様35.グラフェン炭素ナノ粒子と分散剤樹脂との重量比が0.5:1~15:1である、態様21~34のいずれかに記載の分散液。
【0109】
態様36.グラフェン炭素ナノ粒子を溶媒に分散させる方法であって、分散剤樹脂を溶媒に混合することであって、前記分散剤樹脂が、ホモ重合体、ブロック(共)重合体、ランダム(共)重合体、交互(共)重合体、グラフト(共)重合体、ブラシ(共)重合体、星型(共)重合体、テレケリック(共)重合体、又はそれらの組合せを含む付加重合体を含む、混合することと、グラフェン炭素ナノ粒子を溶媒と分散剤樹脂との混合物に混合することとを含む、グラフェン炭素ナノ粒子を溶媒に分散させる方法。
【0110】
態様37.付加重合体がビニル複素環アミドの残基を含む、態様36に記載の方法。
【0111】
態様38.グラフェン炭素ナノ粒子を溶媒と分散剤樹脂との混合物に混合する前に、グラフェン炭素ナノ粒子を粉砕することを更に含む、態様36又は37に記載の方法。
【0112】
態様39.グラフェン炭素ナノ粒子が、3:1を超える平均アスペクト比及び少なくとも1:1のラマン2D:Gピーク比を有する、態様36~38のいずれかに記載の方法。
【0113】
態様40.態様36~39のいずれかに記載の方法によって作製された分散液。
【0114】
態様41.分散液が、態様1~35のいずれかに記載の分散液を含む、態様40に記載
の分散液。
【0115】
態様42.態様1~36のいずれかに記載の分散液を含む潤滑剤。
【0116】
態様43.潤滑剤が基油と、ビニル複素環アミン、ホモ重合体、ブロック(共)重合体、ランダム(共)重合体、交互(共)重合体、グラフト(共)重合体、ブラシ(共)重合体、星型(共)重合体、テレケリック(共)重合体、又はそれらの組合せの残基を含む付加重合体を含む分散剤樹脂と、基油中に分散されたグラフェン炭素ナノ粒子とを含む、態様42に記載の潤滑剤。
【0117】
態様44.リチウム含有活物質又はリチウム反応性粒子、及び態様1~35のいずれかに記載の分散液を含むリチウムイオン電池電極スラリー。
【0118】
態様45.態様44に記載のリチウムイオン電池電極スラリーから作製されたリチウムイオン電池電極。
【0119】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を例示するためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例0120】
[実施例1]
Raymorから市販され、米国特許第8,486,364号の教示に従って製造されたグラフェン炭素ナノ粒子(GNP)粉末2gを、6個のジルコニアビーズ(5mm、非常に高密度のジルコニア、95% ZrO2、5% Y2O3、Glen Mill)を含む100mLプラスチックカップ(FlackTek Inc)に添加した。試料をFlackTek speedmixer(DAC 600.1 FVZ)で2350rpmにて、2分間隔で8分間混合した。次いで、粉砕ビーズを容器から取り出した。より大量の場合、25gのグラフェン炭素ナノ粒子を、20個のビーズを含む500mLのプラスチックカップに添加し、高速ミキサ上で2350rpmで、2分間隔で8分間混合した。次いで、粉末試料を分析特性決定及び分散液調製のために回収した。DI水を場合により容器中のグラフェン炭素ナノ粒子に添加してもよく、例えば、DI水のミストをプラスチックカップ中のグラフェン炭素ナノ粒子粉末に噴霧してもよく、水レベルは0%~99.9%の範囲である。次いで、水で濡らしたGNP試料を、高速ミキサで上記と同じ条件で粉砕ビーズと混合することができる。
【0121】
実施例1に記載の高速ミキサ混合によってGNP試料を調製した後、様々な水性溶媒及び有機溶媒中の分散液に試料を配合した。粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液は、高速ミキサ、Cowlesブレード及びEiger Mill粉砕を含む種々の粉砕技術を使用して調製することができる。
【0122】
[実施例2]
高速ミキサ分散液中で、表1に記載の0.34%分散剤樹脂(50%固体)を最初にプラスチックカップ中の基油溶媒に添加した。樹脂が完全に溶解するまで、試料を高速ミキサで6個のジルコニアビーズと4分間、又は必要に応じてそれ以上混合した。その後、実施例1から調製した0.50%の事前粉砕グラフェン粉末を、樹脂-溶媒混合物と共にカップに添加し、再び高速ミキサで2350rpmで更に8分間混合した。XG SciencesからM25の商品名で販売されている市販の剥離グラフェンを、実施例1のグラフェン炭素ナノ粉末の代わりに使用する場合以外は、この手順を繰り返した。標準基油分散配合物中の各成分の重量%を表1に列挙する。各分散液の不安定指数は、LUMiSizerを使用して、1500rpm、313 RCA(相対遠心加速度)、25C、5分
間で0.201と測定される。
図1は、樹脂に対する比が10のグラフェンによる0.5%グラフェン充填での、表1の粉砕プラズマグラフェン炭素粒子を含有する油状分散液及び粉砕剥離グラフェン炭素粒子を含有する油状分散液についての不安定指数対時間のグラフである。
図1は、粉砕プラズマグラフェン分散液が、同じ配合における市販の粉砕剥離グラフェン分散液よりも有意に低い不安定指数及び良好な安定性を示すことを表す。
【表1】
【0123】
固体状態事前粉砕プロセスは、熱的に製造された乱層グラフェン炭素ナノ粒子の分散液品質を改善するのに有効であったが、同じ粉砕プロセスを市販の剥離グラフェンM25に適用した場合、分散液品質の有意な改善は認められなかった。
【0124】
[実施例3]
高速ミキサ分散液中で、7.7%のポリビニルピロリドン(PVP)を最初にプラスチックカップ内のDI水に添加した。樹脂が完全に溶解するまで、試料を高速ミキサで6個のジルコニアビーズと4分間、又は必要に応じてそれ以上混合した。その後、実施例1で調製した23%の事前粉砕GNP粉末を、PVP分散剤及び溶媒混合物と共にカップに添加し、再び高速ミキサで2350rpmで更に8分間混合した。標準的な水性分散配合物中の各成分の重量%を表2に列挙する。
【表2】
【0125】
[実施例4]
Cowlesブレード分散液中で、Cowlesブレードと混合しながら7.7%のポリビニルピロリドン(PVP)を最初にDI水に添加した。樹脂が完全に溶解したら、Cowlesブレードで積極的に撹拌しながら、実施例1のGNPから調製した23%の事前粉砕GNP粉末を徐々に添加し、500RPMから開始し、必要に応じて2000RPMまで着実に増加させた。次いで、混合物をCowlesブレード上で30分間、又は必要に応じて更に長く混合した。標準的な水性分散配合物中の各成分の重量%を表3及び表4に列挙する。このプロセスを使用して調製した表3の分散液の不安定指数は、LUMiSizerを使用して、4000rpm、2201RCA、25C、20分において、0.335であると測定する。このプロセスを使用して調製された表4の分散液の不安定指数は、0.582であると測定する。
【表3】
【0126】
[実施例5]
Eiger Mill分散液では、最初にCowlesブレードにより事前分散液を作製した。高揚力ブレード又はCowlesブレードで混合しながら、樹脂を水又は溶媒に添加した。樹脂が完全に溶解したら、Cowlesブレードで積極的に撹拌しながら、GNPを徐々に添加し、500RPMから開始し、必要に応じて2000RPMまで着実に増加させた。次いで、事前分散配合物を、1~1.2mmのZirconox Milling Mediaを備えたEiger Millを使用して20分の滞留時間まで粉砕して、粒径を更に減少させた。標準的な水性分散配合物中の各成分の重量%を表3及び表4に列挙する。表3の分散液の不安定指数は、LUMiSizerを使用して、4000rpm、2201RCA(相対遠心加速度)、25℃、20分において0.080であると測定する。表4の分散液の不安定指数は、LUMiSizerを使用して、4000rpm、2201RCA、25C、20分において0.511であると測定する。
図2は、樹脂に対するグラフェンの比が3で、粉砕プラズマグラフェン炭素粒子(20%グラフェン充填)及び粉砕剥離グラフェン炭素粒子(8%グラフェン充填)を含有する水性分散液の不安定指数対時間のグラフである。この図は、20%の粉砕プラズマグラフェン分散液が、8%の粉砕剥離グラフェン分散液よりも有意に低い不安定指数及び良好な安定性を示すことを表す。
【表4】
【0127】
[実施例6]
表5に列挙した成分により組成物を調製した。
【表5】
【0128】
表5の成分は、水系(wb)グラフェン炭素ナノ粒子事前分散配合物を構成する。最初に、高揚力ブレード又はCowlesブレードで混合しながら、PVPを水に添加した。PVPが完全に水に溶解したら、Cowlesブレードで積極的に撹拌しながら、GNPを徐々に添加し、500RPMから開始し、必要に応じて2000RPMまで着実に増加させた。次いで、表5からの事前分散配合物を、1~1.2mmのZirconox Milling Mediaを備えたEiger Millを使用して20分の滞留時間まで粉砕して、粒径を1μm未満に減少させた。
【0129】
表5からの事前分散液及び粉砕分散液を、表6に示すように、粒径、不安定性及びレオロジーについて分析した。
【表6】
【0130】
[実施例7]
Cowlesブレード分散液中で、40%のLMA-VP樹脂(50%固体)を最初に、Cowlesブレードで混合しながら基油溶媒に添加した。樹脂が完全に溶解したら、Cowlesブレードで積極的に撹拌しながら、実施例1から調製した20%の事前粉砕グラフェン粉末を徐々に添加し、500RPMから開始し、必要に応じて2000RPMまで着実に増加させた。次いで、混合物をCowlesブレード上で30分間、又は必要に応じて更に長く混合した。標準分散配合物中の各成分の重量%を表7に列挙する。
【表7】
【0131】
[実施例8]
高速ミキサ分散液中で、0.5%ポリビニルピロリドン(PVP)を、最初にプラスチックカップ内のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加した。樹脂が完全に溶解するまで、試料を高速ミキサで6個のジルコニアビーズと4分間、又は必要に応じてそれ以上混合した。その後、実施例1から調製した5%の事前粉砕グラフェン粉末を、樹脂-溶媒混合物と共にカップに添加し、再び高速ミキサで2350rpmで更に8分間混合した
。標準的な水性分散配合物中の各成分の重量%を表8に列挙する。
【表8】
【0132】
[実施例9]
組成物を、表9に列挙した成分によって調製した。
【表9】
【0133】
表9の試料C、D及びEの成分は、溶剤型グラフェン炭素ナノ粒子分散配合物を構成する。試料Cについては、Cowlesブレードで混合しながらPVPをNMPに添加した。PVPが完全にNMPに溶解したら、Cowlesブレードで積極的に撹拌しながら、TGCを徐々に添加し、500RPMから開始し、必要に応じて2000RPMまで着実に増加させた。事前分散した試料Cの配合物を、1~1.2mmのZirconox Milling Mediaを備えたEiger Millを使用して、20分の滞留時間まで粉砕した。
【0134】
試料Dについては、SAR樹脂をNMPに添加し、FlackTek SpeedMixerで2350rpmで5分間混合した。次いで、TGCを混合物に添加し、SpeedMixerで2350rpmで更に5分間混合した。必要に応じて混合工程を繰り返した。
【0135】
試料Eについては、PSII樹脂をNMPに添加し、FlackTek SpeedMixerで2350rpmで5分間混合した。次いで、TGCを混合物に添加し、SpeedMixerで2350rpmで更に5分間混合した。必要に応じて混合工程を繰り返した。
【0136】
分散した材料をよりよく理解するために、in situ光学顕微鏡による観察を使用した。この場合、同じ分散剤(PVP 10:1 P/B)及び上記の実施例8と同様の溶媒(NMP)を用いて分散させた、粉砕前後で同じ濃度のグラフェン(0.5%)をスライドガラス上にドロップキャストした。これらは、溶媒蒸発中にin situで観察された。2つの定性的観察を行うことができた。第1に、
図6及び
図7に示されているボールミル粉砕されたものと比較して、
図4及び
図5に示されている手を加えていないグラ
フェンには、より多くのマイクロメートル規模の凝集体が存在した。
図4及び
図5に示す凝集体は、溶媒が蒸発するにつれて大きくなった。これは、
図3に示すように、同じ溶液をシリコンウェーハ上にドロップキャストした場合に、肉眼でも容易に見ることができる。
【表10】
【0137】
複数の分析特性決定技術を使用して、材料品質をモニタリングし、グラフェンの望ましい熱的及び電気的特性が処理後に保存されているかどうかを判定することができる。更に、固体状態粉砕によって誘発される物理的変化を調べて、向上した分散品質及び安定性をもたらす構造-特性関係を理解するために、試験を行うことができる。
【0138】
材料の品質をモニタリングするために、ラマン、XPS及びTEMを使用することができる。これらは、材料の黒鉛質、純度及び構造を試験するためのものであり得る。固体状態粉砕の場合、ラマン及びXPSは、粉砕時間の関数として欠陥密度(
図9)及び酸素組込み(
図8)におけるいくらかの増加を示す。更に、高倍率TEMは、個々のグラフェン炭素ナノ粒子の形態が粉砕前(
図10)及び粉砕後(
図11)で同じであることを示す。
【0139】
平行平板形状(1mmのギャップ及び50mmの直径)を有するAnton-Paarレオメータを使用して、GNP充填の系統的変動を有する実施例7と同様の溶液の分散液特性を分析した。固体状態粉砕工程の有無による2種類のGNPは、2つのシリーズの主な違いであった。NMPを溶媒として使用し、PVP(Mw-10000)を重合体バインダとして使用し、組成物を溶液中のGNP重量に対して10%(重量)に維持した。測定前に試料を25℃で5分間安定化させた。動的周波数掃引測定を線形粘弾性領域(LVR)内で0.1%の一定歪みで実施して、GNP濃度の関数として分散液構造を調査し、流体から強いゲル挙動への移行時のGNP濃度を正確に決定した。
【0140】
図12及び
図13は、初期のGNP濃度における、周波数依存複素弾性率(G’及びG’’)を示し、
図14は複素粘度の傾向を示す。古典的な強いゲル挙動は、動的周波数掃引測定によって、結果が、i)G’及びG’’値が周波数に依存せず、ii)粘度が全ての適用周波数でlog-logプロットで約(-1)の勾配で減少する場合に決定することができる。0.5%溶液の最低濃度を有する溶液について、既に強いゲル挙動に近い粘弾性応答を溶液は示し、1%を超える全ての溶液は強いゲル挙動を示した。
【0141】
固体状態粉砕GNPを用いたシリーズ(
図15及び
図16)では、強いゲル挙動に対するGNP濃度は、初期のGNPを用いた溶液(<1%)と比較して、実質的に15%近くに増加した。G’及びG’’は、濃度と共に増加することが分かり、log-logプロットにおいて約(-1)のべき乗則に従う周波数非依存複素弾性率(G’及びG’’)値及び粘度(
図17)が、15%に近い充填で、ボールミル粉砕GNPを用いた試料について観察された。
【0142】
固体状態粉砕プロセスによって、約1%~約15%の流体的に強いゲル転移のためのGNP充填の有意なシフトが実現された。従来の剥離グラフェンは、有機溶液及び水溶液の両方に重合体バインダが含まれていても分散性が悪いことが知られており、同様の系の強いゲル挙動が報告されており、グラフェン充填はほとんどが1%未満である。酸化グラフ
ェンに対する酸素のような構造的欠陥を導入することで、分散のわずかな改善は可能であるが、これまでのところ、強いゲル状態に対する最高のグラフェン充填は依然として5%をはるかに下回る。
【0143】
図18は、水性グラフェン分散液の流動曲線である。8%の初期のグラフェン分散液を20%の固体状態粉砕グラフェン分散液と比較する。この図は、固体状態粉砕プロセスが、同程度の粘度を維持しながら、分散液の固体レベルを8%から20%に有意に増加させることができたことを示す。
【0144】
図19は、20%の固体状態粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液と共に、8%の初期グラフェン炭素ナノ粒子分散液の10Hzのせん断速度におけるグラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度を示す。この図は、固体状態粉砕プロセスが、同程度の粘度を維持しながら、分散液の固体レベルを8%から20%に有意に増加させることができたことを示す。
【0145】
図20は、5%の初期状態のグラフェン炭素ナノ粒子分散液を、10%、15%の固体状態粉砕分散液と比較したNMP分散液の曲線を示す。この図は、10%及び15%の固体状態粉砕分散液が、5%の標準分散液よりも低い粘度を示すことを表す。
【0146】
図21は、10%、15%の固体状態粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液と共に、5%の初期グラフェン炭素ナノ粒子分散液の10Hzのせん断速度におけるグラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度を示す。この図は、10%及び15%の固体状態粉砕分散液が、5%の標準分散液よりも低い粘度を示すことを表す。
【0147】
固体状態粉砕後のGNPの分散液品質は、初期状態の非粉砕GNPの分散液品質と比較して1桁分改善したことは明らかである。
【0148】
粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を炭化水素油中に分散させた。固体状態粉砕は、グラフェン炭素ナノ粒子の固体レベルを改善するだけでなく、グラフェン炭素ナノ粒子分散液の品質及び安定性の有意な改善も提供することが発見された。
【0149】
図22、
図23及び
図24の不安定指数プロットに示すように、固体状態粉砕のプロセスは、初期状態の非粉砕グラフェン炭素ナノ粒子分散液と比較して、不安定指数を低下させ、このような分散液を室温及び高温の両方でより安定にする。LUMiSizerを使用して、1500rpm、313RCA(相対遠心加速度)及び25Cで各分散液の不安定指数を測定する。
図22及び
図23は10分までの時間のみを示しているが、20分における不安定指数が10分で示されたものと実質的に同じであろうように、不安定性曲線は10分で安定化した。粉砕及び樹脂添加の組合せは、グラフェン炭素ナノ粒子分散液の安定化に相乗的な利益をもたらした。
【0150】
グラフェン炭素の固体状態粉砕は、分散液中のグラフェン炭素ナノ粒子の固体レベル及び安定性を有意に増加させ得、粒子を様々な溶媒及び水性系に更に効果的に組み込むことを可能にする。ラマン及びXPSは、粉砕時間の関数として欠陥密度及び酸素組込みのいくらかの増加を示すことがあり、レオロジー研究は、初期状態のグラフェン炭素ナノ粒子を用いて作製された1%の分散液から、固体状態の粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を用いて作製された15%の分散液への流体的に強いゲル転移を示す。シリコンアノードにおける同等の電池性能(2.5倍高い固体レベル)及びLiFePO4カソードにおけるより良好な導電性は、固体状態粉砕グラフェン炭素ナノ粒子を用いて作製された分散液によって達成され得る。
【0151】
アルキル官能化VP樹脂を、リチウムイオン電池電極製造に好適なNMP配合物中の分
散剤として評価した。典型的な分散配合物において、分散剤樹脂(分散固体に対して0.5重量%)を、デュアル非対称遠心分離機(DAC)カップにおいてNMPに溶解した。GNP粉末(分散固体に対して5.0重量%)をNMP溶液に添加し、SpeedMixer DACを使用して6個の5mmセラミック混合ビーズとカップを8分間混合した。次いで、LumiSizer(登録商標)分散分析装置を使用して不安定指数値を測定することによって、各分散液の室温安定性を評価した。より低い不安定指数値は、分散安定性の増加に対応することに留意されたい。
【0152】
ラジカル開始剤としてt-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(Trigonox 131)を使用して、85:1の初期[M]
0:[I]
0比を目標として、10~90重量%の範囲のLMA含有量で共重合体樹脂を調製した。次いで、上記のDAC混合手順を使用して、GNP分散液を調製し、得られた各分散液の不安定指数値を測定した。SAR分散剤は、好適な重合溶媒としてNMPを使用して、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸、2-エチルヘキシルアクリレート、及びVPのフリーラジカル重合によって調製した。SAR25及びSAR50は、それぞれ25重量%及び50重量%のVP組込みによって調製した。
図25に示すように、全てのLMA-VP共重合体は、市販のPVP対照(M
w約10,000g/mol)及び25又は50重量%のVPを含むSAR分散剤と比較して、より低い室温不安定指数値を有する分散液を提供した。LMA含有量を10から70重量%に増加させると、分散剤が70又は75重量%のLMAを含む場合に最小に達する分散液不安定指数の減少を導いた。これらの結果は、70~75重量%のLMAを含有するLMA-VP共重合体が、NMP中のGNPの分散及び安定化に最適であることを示唆している。
【0153】
以下の実施例に更に詳細に記載されるように、N-ビニルピロリドンとラウリルメタクリレートとの比率が100:0~3:1、1:1及び1:3の様々な比率で、ラウリルメタクリレートと共重合したN-ビニルピロリドン(P(LMA-co-VP))を含む重合体樹脂を含むN-メチル-2-ピロリドン(NMP)の溶液中に、グラフェン炭素ナノ粒子を分散させると、ラウリルメタクリレート含有量が増加し、分散液の固体総量が6重量%で一定に保たれたため、グラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度が有意に低下した。更に、分散液中のグラフェン炭素ナノ粒子の粒径は、一般に、グラフェン炭素ナノ粒子分散液の固体総量に対するラウリルメタクリレート含有量の増加と共に増加することが観察される。この結果は、ラウリルメタクリレート含有量傾向による粒径の増加が、グラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度の低下に伴うことを示唆している。重合体樹脂内のラウリルメタクリレート及びN-ビニルピロリドンの分布、並びに重合体樹脂の分子量もまた、分散液の全体的な粒径及び粘度の要因となり得る。
【0154】
様々な量のラウリルメタクリレート及びN-ビニルピロリドンを含有する重合体樹脂分散剤を使用したNMP中のグラフェン炭素ナノ粒子分散液を、リチウムイオン系エネルギー貯蔵用の活物質としてLiNi0.5Mn0.3Co0.2O2及びバインダとしてポリ(フッ化ビニリデン)を用いて、リチウムイオン電池カソードに導電性添加剤として使用し、記載されたグラフェン炭素分散剤樹脂が、リチウムイオン電池電極スラリー組成物に含まれる場合、コインセル形式内の速度能力及びサイクル寿命にほとんど又は全く影響を及ぼさないことを示した。これらの結果は、特定の比率のラウリルメタクリレート及びN-ビニルピロリドンでP(LMA-co-VP)を使用した低粘度のグラフェン炭素ナノ粒子分散液が、コインセル形式のセルのサイクル寿命又は速度能力に顕著に観察可能な減衰を与えることなく、電気化学的に活性なリチウムイオンカソード膜内で使用できることを保証する。
【0155】
分散剤樹脂中のラウリルメタクリレートの増加は、分散剤としてPVPと略されるポリ(ビニルピロリドン)のみを使用したものに匹敵する望ましい粘度を達成しながら、グラ
フェン炭素ナノ粒子分散液中の固体総含有量の増加を可能にする。
【0156】
[実施例10]
湿度から保護するために、N
2ブランケット下で表11に列挙した成分によって組成物を調製した。高速ミキサ分散液中で、PVP分散剤樹脂を最初に10個のジルコニアビーズを含むNMPに添加し、完全に溶解/分散するまで2000rpmで2分間混合した。次いで、グラフェン炭素ナノ粒子(GNP)を添加し、2000rpmで合計8分間、又は完全に分散するまで、混合した。標準分散配合物中の各成分の重量%を表11に列挙する。
【表11】
【0157】
[実施例11]
湿気から保護するために、N
2ブランケット下で表12に列挙した成分によって組成物を調製した。高速ミキサ分散液中で、P(LMA-co-VP)を最初に10個のジルコニアビーズを含むNMPに添加し、完全に溶解/分散するまで2000rpmで2分間混合した。次いで、GNPを添加し、2000rpmで合計8分間、又は完全に分散するまで混合した。標準分散配合物中の各成分の重量%を表12に列挙する。
【表12】
【0158】
[実施例12]
湿気から保護するために、N
2ブランケット下で表10に列挙した成分によって組成物を調製した。高速ミキサ分散液中で、P(LMA-co-VP)を最初に10個のジルコニアビーズを含むNMPに添加し、完全に溶解/分散するまで2000rpmで2分間混合した。次いで、GNPを添加し、2000rpmで合計8分間、又は完全に分散するまで混合した。標準分散配合物中の各成分の重量%を表13に列挙する。
【表13】
【0159】
[実施例13]
湿気から保護するために、N
2ブランケット下で表14に列挙した成分によって組成物を調製した。高速ミキサ分散液中で、P(LMA-co-VP)を最初に10個のジルコニアビーズを含むNMPに添加し、完全に溶解/分散するまで2000rpmで2分間混合した。次いで、GNPを添加し、2000rpmで合計8分間、又は完全に分散するまで混合した。標準分散配合物中の各成分の重量%を表14に列挙する。
【表14】
【0160】
[実施例14]
湿気から保護するために、N
2ブランケット下で表15に列挙した成分によって組成物を調製した。高速ミキサ分散液中で、P(LMA-co-VP)を最初に10個のジルコニアビーズを含むNMPに添加し、完全に溶解/分散するまで2000rpmで2分間混合した。次いで、GNPを添加し、2000rpmで合計8分間、又は4x2分間の増分混合工程を使用して完全に分散するまで混合した。標準分散配合物中の各成分の重量%を表15に列挙する。
【表15】
【0161】
[実施例15]
ラウリルメタクリレート含有量の変化が低レベルの樹脂含有量におけるグラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度にどのように影響するかを理解するために、Anton Paar
MCR 302及びCP50-1/TG測定コーンを使用してレオロジー測定値を収集した。10Hzのせん断速度における粘度測定値を、分散液のレオロジーの比較に使用した。試験された分散液は、実施例10、11、12及び13のそれぞれに、樹脂に対する比が9のグラフェンを含有する分散液Aとして記載されている。
図26は、この特定レベルの樹脂含有量において、グラフェン炭素ナノ粒子分散液のレオロジー特性に対する樹脂の影響がほとんどないことを示す。
【0162】
[実施例16]
ラウリルメタクリレート含有量の変化が中レベルの樹脂含有量におけるグラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度にどのように影響するかを理解するために、樹脂に対する比が5のグラフェン炭素ナノ粒子を含有する、実施例10、11、12及び13のそれぞれにおいて分散液Bとして記載されるスラリーから、10Hzのせん断速度でレオロジー測定値を収集した。
図27は、この特定レベルの樹脂含有量で、ラウリルメタクリレート成分が重合体樹脂の0%から75%に増加するにつれて、グラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度の明らかな低下を示す。したがって、固体含有量の増加は、樹脂に対するグラフェンの比>5を使用する場合、約30%未満であり得る。
【0163】
[実施例17]
ラウリルメタクリレート含有量の変化が高レベルの樹脂含有量におけるグラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度にどのように影響するかを理解するために、樹脂に対する比が3のグラフェン炭素ナノ粒子を含有する分散液Cとして記載されるスラリーから、10Hzのせん断速度でレオロジー測定値を収集した。
図28は、この特定レベルの樹脂含有量で、ラウリルメタクリレート成分が重合体樹脂の0%から75%に増加するにつれて、グラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度の明らかな低下を示す。したがって、固体含有量の増加は、樹脂に対するグラフェンの比<5を使用する場合、約30%より高くなり得る。
【0164】
[実施例18]
多量のラウリルメタクリレートを含有する樹脂によって達成可能な増加した固体含有量を決定するために、様々な固体総含有量で、但し、樹脂に対するグラフェン炭素ナノ粒子の比は常に5として、グラフェン炭素分散液を配合した。グラフェン炭素ナノ粒子分散液は、表16に列挙されるように構成される。
図29及び
図30は、樹脂に対するグラフェンの比5が使用される場合、同一のせん断速度で同様の粘度を維持しながら、NMPベースのグラフェン炭素ナノ粒子分散液中のPVPの代わりに樹脂3を使用すると、最大約3
0%(30%を含む)の固体総量の増加を達成できることを実証している。
【表16】
【0165】
[実施例19]
リチウムイオンカソード膜に使用した場合の分散剤の電気化学的安定性を試験するために、上記のグラフェン炭素ナノ粒子分散液を、N
2ブランケット下で表17に列挙した成分からなるリチウムイオンカソードスラリー配合物に使用した。高速ミキサ分散液中で、グラフェン炭素ナノ粒子分散液に、1/2の所望のLiNi
0.5Mn
0.3Co
0.2O
2活物質を添加し、2000rpmで30秒間混合した。次いで、所望のLiNi
0.5Mn
0.3Co
0.2O
2活物質の他の1/2を添加し、2x30秒の増分混合工程を使用して2000rpmで合計60秒間混合した。ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)をリチウムイオンカソードスラリーに添加するのとは別に及びその前に、PVDFをNMPに溶解して8重量%溶液を作製した。次いで、得られたPVDF溶液を、LiNi
0.5Mn
0.3Co
0.2O
2及びグラフェン炭素ナノ粒子分散液を含有するリチウムイオンカソードスラリーに添加し、2000rpmで30秒間混合した。次いで、残りの量のNMPをスラリーに添加し、完全に混合されるまで2000rpmで30秒間増分で混合し、典型的には2分程度~6分程度の範囲の合計時間混合した。次いで、膜をアルミニウム箔基板上に、ドクターブレード法を用いて毎秒10mmの速度でキャストし、次いで55℃で2分間硬化させ、続いて120℃で2分間の第2の硬化工程を行った。次いで、膜を約25~35%間隙率の所望の間隙率にカレンダープレスした。
図31~
図38は、最終リチウムイオンカソード膜の走査型電子顕微鏡画像を膜の断面として示す。これらの画像は、LiNi
0.5Mn
0.3Co
0.2O
2粒子のより大きな二次粒子のネットワーク全体にわたるグラフェン炭素ナノ粒子及びバインダの比較的均一な分布を示す。
【表17】
【0166】
[実施例20]
リチウムイオンカソード膜に使用した場合の分散剤の電気化学的安定性を試験するために、実施例19に記載した膜のコインセルを、酸素レベル<2ppm及びH
2Oレベル<0.5ppmを有するアルゴン下、VAC Atmospheres Nexus IIグローブボックス中で組み立てた。コインセル製造の前に、膜をコインセル製造のために1cm
2の区画に打ち抜き、110℃で10時間真空下で乾燥させ、次いで、外部空気に一切曝露することなくグローブボックスに直接入れた。作製のために2032コインセルを使用し、対極電極及び参照電極としてリチウム金属を使用し、セパレータとしてCelgard 2320ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン(PP/PE/PP)を使用した。エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネートを3:7の比で溶解し、ビニレンカーボネートを2重量%添加した1MのLiPF
6溶液75μLを電解質として使用した。コインセルを、Bio-Logic BCS-805又はBCS-810 Battery Cyclerを使用して、Liに対して3.0V~4.3Vの間で、表18に記載の様々な速度で、上から下へ順に合計50サイクルにわたって充放電した。
【表18】
【0167】
図39及び
図40で観察されるように、9又は5の樹脂に対するグラフェン炭素ナノ粒子の比のいずれにおいても、ラウリルメタクリレート含有量をグラフェン炭素ナノ粒子分散剤の0~75%に増加させた場合、容量維持率及びサイクル寿命にほとんど又は全く影響がないとみられる。これらの結果は、グラフェン炭素ナノ粒子分散液の粘度低下の原因となるグラフェン炭素ナノ粒子分散剤が、リチウムイオンカソード電極において、コインセル形式のセルの性能への影響を最小限に抑えて使用することができることを保証し、実施例11の分散液A及びB(ラウリルメタクリレート含有量が最も高い分散液)から実施例10の分散液A及びB対照(グラフェン炭素ナノ粒子分散樹脂中にラウリルメタクリレートを含有しない)に対する1.6Cにおける速度能力への影響が最も大きい。
【0168】
[実施例21]
ラウリルアクリレート及びN-ビニルピロリドン単量体を含むランダム共重合体構造を有する分散剤樹脂を、フリーラジカル重合化学を使用して製造した。典型的な調製において、Solvesso 200(23.15g)を反応器に装入し、一定の窒素存在下で110℃に加熱した。次いで、Solvesso 200(3.56g)及びフリーラジカル開始剤のtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.46g)の混合物を、開始剤供給タンクから反応器に185分かけて滴下で添加した。フリーラジカル開始剤溶液の装入開始から5分後、ラウリルアクリレート(26.25g)及びN-ビニルピロリドン(8.75g)の混合物を、単量体供給タンクから180分かけて反応器に添加した。フリーラジカル開始剤及び単量体供給が完了した後、単量体供給タンクをSolvesso 200(3.56g)ですすぎ、溶液を反応器に添加した。開始剤タンクから、Solvesso 200(3.56g)及びtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.15g)の混合物を反応器に60分かけて添加し
た。開始剤供給タンクをSolvesso 200(1.78g)ですすぎ、溶液を反応器に添加した。次いで、反応物を110℃の一定温度で60分間維持した。
【0169】
[実施例22]
ラウリルメタアクリレート及びN-ビニルピロリドン単量体を含むランダム共重合体構造を有する分散剤樹脂を、フリーラジカル重合化学を使用して製造した。典型的な調製において、Solvesso 200(20.00g)を反応器に装入し、一定の窒素存在下で120℃に加熱した。Solvesso 200(3.60g)及びフリーラジカル開始剤のtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.44g)の混合物を、開始剤供給タンクから反応器に185分かけて滴下で添加した。フリーラジカル開始剤溶液の装入開始から5分後、ラウリルメタアクリレート(24.50g)及びN-ビニルピロリドン(10.50g)の混合物を、単量体供給タンクから180分かけて反応器に添加した。フリーラジカル開始剤及び単量体供給が完了した後、単量体供給タンクをSolvesso 200(4.80g)ですすぎ、溶液を反応器に添加した。開始剤タンクから、Solvesso 200(1.20g)及びtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.15g)の混合物を反応器に60分かけて添加した。次いで、反応溶液を120℃で30分間維持した。開始剤タンクから、Solvesso 200(1.20g)及びtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.15g)の混合物を反応器に60分かけて添加した。開始剤供給タンクをSolvesso 200(1.65g)ですすぎ、溶液を反応器に添加した。次いで、反応を120℃の一定温度で60分間維持した。
【0170】
[実施例23]
ステアリルアクリレート及びN-ビニルピロリドン単量体を含むランダム共重合体構造を有する分散剤樹脂を、フリーラジカル重合化学を使用して製造した。典型的な調製において、Solvesso 200(13.15g)を反応器に装入し、一定の窒素存在下で110℃に加熱した。次いで、Solvesso 200(3.56g)及びフリーラジカル開始剤のtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.46g)の混合物を、開始剤供給タンクから反応器に185分かけて滴下で添加した。フリーラジカル開始剤溶液の装入を開始してから5分後、ステアリルアクリレート(26.25g)及びN-ビニルピロリドン(8.75g)の混合物を45℃で加熱して、相溶性を得、単量体供給タンクから180分間にわたって反応器に添加した。フリーラジカル開始剤及び単量体供給が完了した後、単量体供給タンクをSolvesso 200(1.56g)ですすぎ、溶液を反応器に添加した。開始剤タンクから、Solvesso 200(3.56g)及びtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.15g)の混合物を反応器に60分かけて添加した。開始剤供給タンクをSolvesso 200(1.78g)ですすぎ、溶液を反応器に添加した。次いで、反応物を110℃の一定温度で60分間維持した。
【0171】
[実施例24]
ステアリルメタアクリレート及びN-ビニルピロリドン単量体を含むランダム共重合体構造を有する分散剤樹脂を、フリーラジカル重合化学を使用して製造した。典型的な調製において、Solvesso 200(23.15g)を反応器に装入し、一定の窒素存在下で110℃に加熱した。次いで、Solvesso 200(3.87g)及びフリーラジカル開始剤のtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.50g)の混合物を、開始剤供給タンクから反応器に185分かけて滴下で添加した。フリーラジカル開始剤溶液の装入開始から5分後、ステアリルメタアクリレート(26.25g)及びN-ビニルピロリドン(8.75g)の混合物を、単量体供給タンクから180分かけて反応器に添加した。フリーラジカル開始剤及び単量体供給が完了した後、単量体供給タンクをSolvesso 200(3.56g)ですすぎ、溶液を反応器に添加
した。開始剤タンクから、Solvesso 200(3.56g)及びtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.15g)の混合物を反応器に60分かけて添加した。開始剤供給タンクをSolvesso 200(1.78g)ですすぎ、溶液を反応器に添加した。次いで、反応物を110℃の一定温度で60分間維持した。
【0172】
[実施例25]
ステアリルアクリレート及びN-ビニルピロリドン単量体を含むランダム共重合体構造を有する分散剤樹脂を、フリーラジカル重合化学を使用して製造した。典型的な調製において、N-アミルプロピオネート(18.18g)を反応器に装入し、一定の窒素存在下で120℃に加熱した。次いで、N-アミルプロピオネート(3.66g)及びフリーラジカル開始剤のtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.35g)の混合物を、開始剤供給タンクから反応器に185分かけて滴下で添加した。フリーラジカル開始剤溶液の装入開始から5分後、ステアリルアクリレート(22.05g)、N-ビニルピロリドン(9.45g)、及びSolvesso 200(4.50g)の混合物を、単量体供給タンクから180分かけて反応器に添加した。フリーラジカル開始剤及び単量体供給が完了した後、単量体供給タンクをN-アミルプロピオネート(1.80g)ですすぎ、溶液を反応器に添加した。開始剤タンクから、N-アミルプロピオネート(1.22g)及びtert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(0.12g)の混合物を反応器に60分間にわたって添加した。開始剤供給タンクをN-アミルプロピオネート(2.25g)ですすぎ、溶液を反応器に加えた。次いで、反応を120℃の一定温度で60分間維持した。
【0173】
[実施例26]
ステアリルアクリレート及びN-ビニルピロリドン単量体を含むブロック共重合体構造を有する分散剤樹脂を、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を使用して製造した。典型的な調製において、N-アミルプロピオネート(70.2g)、2-シアノブタン-2-イル4-クロロ-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボジチオエート(BM1565)(2.0724g)及びステアリルアクリレート(100.8g)を反応器に装入し、一定の窒素存在下(ブランケット及びスパージ)で85℃に加熱した。N-アミルプロピオネート(27.4g)及びフリーラジカル開始剤2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(0.2769g)の混合物に窒素を15分間スパージし、次いで、反応器に120分間にわたって滴下で添加した。フリーラジカル開始剤の供給が完了した後、反応を85℃の一定温度で60分間維持した。その後、N-ビニルピロリドン(43.2g)及びN-アミルプロピオネート(21.6g)の混合物に窒素を15分間スパージし、次いで、反応器に30分間にわたって滴下で添加した。N-アミルプロピオネート(27.4g)及びフリーラジカル開始剤2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(0.2769g)の混合物に窒素を15分間スパージし、次いで、反応器に120分間にわたって滴下で添加した。フリーラジカル開始剤の供給が完了した後、反応を85℃の一定温度で150分間維持した。
【0174】
詳細な説明の目的のために、本発明は、明示的に反対に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形及び工程順序を想定し得ることを理解されたい。更に、任意の動作例以外、又は別段の指示がある場合を除いて、値、量、百分率、範囲、部分範囲及び分数を表すもの等の全ての数字は、用語「約」が明示的に出現しない場合でも、「約」という単語で始められているかのように読むことができる。したがって、反対のことが示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、及び特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。本明細書に閉じた数値範囲又は一方の端のみを指定した数値範囲が記載
されている場合、数値範囲内の、又は数値範囲に包含される全ての数値、値、量、百分率、部分範囲及び分数は、これらの数値、値、量、百分率、部分範囲及び分数がそれらの全体に明示的に記載されているかのように、本出願の元の開示に具体的に含まれ、それに属すると見なされるべきである。
【0175】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示される数値は可能な限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0176】
本明細書で使用される場合、「含む、含有する(including、containing)」及び同様の用語は、本出願の文脈において「含む(comprising)」と同義であると理解され、したがってオープンエンドであり、追加の記載されていない又は列挙されていない要素、材料、成分又は方法工程の存在を排除しない。本明細書で使用される場合、「からなる(consisting of)」は、本出願の文脈において、任意の特定されていない要素、成分又は方法工程の存在を除外すると理解される。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、本出願の文脈において、特定の要素、材料、成分又は方法工程並びに記載されているものの「基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないもの」を含むと理解される。
【0177】
本明細書で使用される場合、用語「上に(on)」、「上に(onto)」、「上に適用される(applied on)」、「上に適用される(applied onto)」、「上に形成される(formed on)」、「上に堆積される(deposited on)」、「上に堆積される(deposited onto)」は、表面上に形成され、重ねられ、堆積され、又は提供されることを意味するが、必ずしも表面と接触している必要はない。例えば、基材上に「堆積」された電着可能なコーティング組成物は、電着可能なコーティング組成物と基材との間に位置する同じ又は異なる組成物の1つ又は複数の他の介在コーティング層の存在を排除しない。
【0178】
本発明の特定の実施形態を例示の目的で上述したが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細の多数の変形がなされ得ることは当業者には明らかであろう。
【0179】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
溶媒と、
3:1を超える平均アスペクト比及び少なくとも1:1のラマン2D:Gピーク比を有するグラフェン炭素ナノ粒子と、
ビニル複素環アミドの残基を含む付加重合体を含む重合体分散剤樹脂と
を含む分散液。
(項2)
前記ビニル複素環アミドがビニルピロリドンを含む、上記項1に記載の分散液。
(項3)
0.7未満の不安定指数を有する、上記項1に記載の分散液。
(項4)
前記グラフェン炭素ナノ粒子が、前記分散液の総重量に基づいて、5重量%超を構成する、上記項1に記載の分散液。
(項5)
0.7未満の不安定指数を有する、上記項4に記載の分散液。
(項6)
前記不安定指数が0.3未満である、上記項4に記載の分散液。
(項7)
前記分散液が、0.9:1未満のラマン2D:Gピーク比を有するグラフェン炭素ナノ粒子を含有する同一の分散液の不安定指数よりも小さい不安定指数を有する、上記項1に記載の分散液。
(項8)
前記重合体分散剤がポリビニルピロリドンを含む、上記項1に記載の分散液。
(項9)
前記ポリビニルピロリドンが、1,000~2,000,000の重量平均分子量を有する、上記項8に記載の分散液。
(項10)
前記グラフェン炭素ナノ粒子が、少なくとも3,500℃の温度で熱的に製造される、上記項1に記載の分散液。
(項11)
前記グラフェン炭素ナノ粒子が粉砕される、上記項1に記載の分散液。
(項12)
前記グラフェン炭素粒子が乱層構造であり、少なくとも70m
2
/gのB.E.T.比表面積を有する、上記項1に記載の分散液。
(項13)
前記溶媒が水を含む、上記項1に記載の分散液。
(項14)
前記溶媒が有機溶媒を含む、上記項1に記載の分散液。
(項15)
前記有機溶媒が、油、N-メチル-2-ピロリドン、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエステル(DE)アセテート、及び/又はトリエチルホスフェートを含む、上記項14に記載の分散液。
(項16)
前記有機溶媒が油を含む、上記項14に記載の分散液。
(項17)
前記有機溶媒がN-メチル-2-ピロリドンを含む、上記項14に記載の分散液。
(項18)
前記グラフェン炭素ナノ粒子と前記分散剤樹脂との重量比が0.5:1~15:1である、上記項1に記載の分散液。
(項19)
潤滑基油中に分散した分散液を含む潤滑剤であって、前記グラフェン炭素ナノ粒子が、前記潤滑剤の総重量に基づいて0.05~1重量%を構成する、前記潤滑基油中に分散した上記項1に記載の分散液を含む潤滑剤。
(項20)
リチウムイオン電池電極であって、
リチウム含有活物質又はリチウム反応性粒子と、
上記項1に記載のグラフェン炭素ナノ粒子及び重合体分散剤樹脂と
を含むリチウムイオン電池電極。
(項21)
有機溶媒と、
グラフェン炭素ナノ粒子と、
ホモ重合体、ブロック(共)重合体、ランダム(共)重合体、交互(共)重合体、グラフト(共)重合体、ブラシ(共)重合体、星型(共)重合体、テレケリック(共)重合体又はそれらの組合せを含む付加重合体を含む重合体分散剤樹脂と
を含む分散液。
(項22)
0.5未満の不安定指数を有する、上記項21に記載の分散液。
(項23)
前記グラフェン炭素ナノ粒子が、前記分散液の総重量に基づいて3重量%超を構成する、上記項21に記載の分散液。
(項24)
前記不安定指数が0.3未満である、上記項23に記載の分散液。
(項25)
前記重合体分散剤が、アルキル基に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、ビニル複素環アミド、又はそれらの組合せの残基を含む付加重合体を含む、上記項21に記載の分散液。
(項26)
前記アルキル基に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが、ラウリルメタクリレート又はステアリルアクリレートを含む、上記項25に記載の分散液。
(項27)
前記ビニル複素環アミドがビニルピロリドンを含む、上記項25に記載の分散液。
(項28)
前記グラフェン炭素ナノ粒子が、少なくとも3,500℃の温度で熱的に製造される、上記項21に記載の分散液。
(項29)
前記グラフェン炭素ナノ粒子が、3:1より大きい平均アスペクト比及び少なくとも1:1のラマン2D:Gピーク比を有する、上記項21に記載の分散液。
(項30)
前記グラフェン炭素ナノ粒子が粉砕される、上記項21に記載の分散液。
(項31)
前記グラフェン炭素粒子が乱層構造であり、少なくとも70m
2
/gのB.E.T.比表面積を有する、上記項21に記載の分散液。
(項32)
前記有機溶媒が、油、N-メチル-2-ピロリドン、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエステル(DE)アセテート、及び/又はトリエチルホスフェートを含む、上記項21に記載の分散液。
(項33)
前記有機溶媒が油を含む、上記項32に記載の分散液。
(項34)
前記有機溶媒がN-メチル-2-ピロリドンを含む、上記項32に記載の分散液。
(項35)
前記グラフェン炭素ナノ粒子と前記分散剤樹脂との重量比が0.5:1~15:1である、上記項21に記載の分散液。
(項36)
潤滑基油中に分散した分散液を含む潤滑剤であって、前記グラフェン炭素ナノ粒子が、前記潤滑剤の総重量に基づいて0.05~1重量%を構成する、前記潤滑基油中に分散した上記項21に記載の分散液を含む潤滑剤。
(項37)
リチウムイオン電池電極であって、
リチウム含有活物質又はリチウム反応性粒子と、
上記項21に記載のグラフェン炭素ナノ粒子及び重合体分散剤樹脂と
を含むリチウムイオン電池電極。
(項38)
グラフェン炭素ナノ粒子を溶媒に分散させる方法であって、
分散剤樹脂を前記溶媒に混合することであって、前記分散剤樹脂が、ビニル複素環アミドの残基を含む付加重合体、ホモ重合体、ブロック(共)重合体、ランダム(共)重合体、交互(共)重合体、グラフト(共)重合体、ブラシ(共)重合体、星型(共)重合体、テレケリック(共)重合体を含む付加重合体、又はそれらの組合せを含む、混合することと、
前記グラフェン炭素ナノ粒子を前記溶媒と分散剤樹脂との混合物に混合することと
を含む、グラフェン炭素ナノ粒子を溶媒に分散させる方法。
(項39)
前記グラフェン炭素ナノ粒子を前記溶媒と分散剤樹脂との混合物に混合する前に、前記グラフェン炭素ナノ粒子を粉砕することを更に含む、上記項38に記載の方法。
(項40)
前記グラフェン炭素ナノ粒子が、3:1より大きい平均アスペクト比及び少なくとも1:1のラマン2D:Gピーク比を有する、上記項38に記載の方法。