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特開2024-153430評価装置、評価方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153430
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01D 18/00 20060101AFI20241022BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01D18/00
G01C3/06 140
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067320
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】金山 寛明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】左部 俊介
【テーマコード(参考)】
2F076
2F112
【Fターム(参考)】
2F076AA01
2F112AD10
2F112BA06
2F112CA12
2F112GA01
(57)【要約】
【課題】評価装置、評価方法、及びコンピュータプログラムの提供。
【解決手段】対象空間を計測する第1計測器より第1計測値を取得し、第1計測器の挙動を示す第2計測値を取得し、取得した前記第2計測値に基づき、前記挙動が第1計測値の取得へ与える影響を評価する処理部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間を計測する第1計測器より第1計測値を取得し、
前記第1計測器の挙動を示す第2計測値を取得し、
取得した前記第2計測値に基づき、前記挙動が前記第1計測値の取得へ与える影響を評価する
処理部
を備える評価装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記第1計測器の挙動を計測する第2計測器より前記第2計測値を取得する
請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記第2計測値を設定値と比較し、
比較結果に応じて、警報を出力する
請求項1に記載の評価装置。
【請求項4】
前記第1計測器は複数種のセンサを含み、
前記処理部は、
前記センサ毎に設定される設定値の1つと、前記第2計測値との比較結果に応じて、警報を出力する
請求項3に記載の評価装置。
【請求項5】
前記警報は、
音、振動、光、文字及び記号の少なくとも1つにより構成される
請求項3に記載の評価装置。
【請求項6】
前記第2計測値に基づく情報を表示する表示部
を備える請求項1に記載の評価装置。
【請求項7】
前記設定値の入力を受付ける受付部を備え、
前記処理部は、
前記第2計測値を、前記受付部より受付けた前記設定値と比較することにより、前記挙動が前記第1計測値の取得へ与える影響を評価する
請求項3に記載の評価装置。
【請求項8】
前記処理部は、
前記第2計測値を設定値と比較し、
比較結果に応じて、前記第1計測器による計測を停止させる
請求項1に記載の評価装置。
【請求項9】
前記処理部は、
前記第1計測器による計測を停止させた後、再計測を案内する
請求項8に記載の評価装置。
【請求項10】
前記処理部は、
前記第1計測器による計測を停止させた後、設定距離だけ遡った地点からの計測再開を案内する
請求項8に記載の評価装置。
【請求項11】
前記第2計測値は、前記第1計測器の速度、加速度、及び角速度の少なくとも1つを含む
請求項1に記載の評価装置。
【請求項12】
対象空間を計測する第1計測器より第1計測値を取得し、
前記第1計測器の挙動を示す第2計測値を取得し、
取得した前記第2計測値に基づき、前記挙動が前記第1計測値の取得へ与える影響を評価する
処理をコンピュータにより実行する評価方法。
【請求項13】
対象空間を計測する第1計測器より第1計測値を取得し、
前記第1計測器の挙動を示す第2計測値を取得し、
取得した前記第2計測値に基づき、前記挙動が前記第1計測値の取得へ与える影響を評価する
処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置、評価方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、3次元点群データにより計測対象が表示される3次元マップを生成し、3次元マップの品質の評価結果に基づき、次に取得すべき計測対象領域の情報を含む計測計画を生成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/121406号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、得られた3次元マップの品質評価に、処理した3次元計測データを用いる。この場合、3次元点群データを処理しないと3次元マップを構築するために適切なデータを取得できているか確認できない。
【0005】
本開示の目的は、3次元マップを生成する前のタイミングであるデータ取得中に、3次元マップを構築するために適切なデータを取得できているかを評価する評価装置、評価方法、及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に係る評価装置は、対象空間を計測する第1計測器より第1計測値を取得し、前記第1計測器の挙動を示す第2計測値を取得し、取得した前記第2計測値に基づき、前記挙動が前記第1計測値の取得へ与える影響を評価する処理部を備える。
【0007】
本開示の第2側面に係る評価装置は、第1側面に係る評価装置において、前記処理部は、前記第1計測器の挙動を計測する第2計測器より前記第2計測値を取得する。
【0008】
本開示の第3側面に係る評価装置は、第1側面又は第2側面に係る評価装置において、前記処理部は、前記第2計測値を設定値と比較し、比較結果に応じて、警報を出力する。
【0009】
本開示の第4側面に係る評価装置は、第3側面に係る評価装置において、前記第1計測器は複数種のセンサを含み、前記処理部は、前記センサ毎に設定される設定値の1つと、前記第2計測値との比較結果に応じて、警報を出力する。
【0010】
本開示の第5側面に係る評価装置は、第3側面又は第4側面に係る評価装置において、前記警報は、音、振動、光、文字及び記号の少なくとも1つにより構成される。
【0011】
本開示の第6側面に係る評価装置は、第1側面から第5側面の何れか1つに係る評価装置において、前記第2計測値に基づく情報を表示する表示部を備える。
【0012】
本開示の第7側面に係る評価装置は、第1側面から第6側面の何れか1つに係る評価装置において、前記設定値の入力を受付ける受付部を備え、前記処理部は、前記第2計測値を、前記受付部より受付けた前記設定値と比較することにより、前記挙動が前記第1計測値の取得へ与える影響を評価する。
【0013】
本開示の第8側面に係る評価装置は、第1側面から第7側面の何れか1つに係る評価装置において、前記処理部は、前記第2計測値を設定値と比較し、比較結果に応じて、前記第1計測器による計測を停止させる。
【0014】
本開示の第9側面に係る評価装置は、第8側面に係る評価装置において、前記処理部は、前記第1計測器による計測を停止させた後、再計測を案内する。
【0015】
本開示の第10側面に係る評価装置は、第8側面に係る評価装置において、前記処理部は、前記第1計測器による計測を停止させた後、設定距離だけ遡った地点からの計測再開を案内する。
【0016】
本開示の第11側面に係る評価装置は、第1側面から第10側面の何れか1つに係る評価装置において、前記第2計測値は、前記第1計測器の速度、加速度、及び角速度の少なくとも1つを含む。
【0017】
本開示の第12側面に係る評価方法は、対象空間を計測する第1計測器より第1計測値を取得し、前記第1計測器の挙動を示す第2計測値を取得し、取得した前記第2計測値に基づき、前記挙動が前記第1計測値の取得へ与える影響を評価する処理をコンピュータにより実行する。
【0018】
本開示の第13側面に係るコンピュータプログラムは、対象空間を計測する第1計測器より第1計測値を取得し、前記第1計測器の挙動を示す第2計測値を取得し、取得した前記第2計測値に基づき、前記挙動が前記第1計測値の取得へ与える影響を評価する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、3次元マップを生成する前のタイミングであるデータ取得中に、3次元マップを構築するために適切なデータを取得できているかを評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図2】測定装置の模式的斜視図である。
図3】端末装置が提供するインタフェース画面の一例を示す模式図である。
図4】警報出力時の画面例を示す模式図である。
図5】実施の形態1における端末装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2における端末装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図7】計測再開時の案内画面を示す模式図である。
図8】実施の形態3における端末装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図9】実施の形態3における再計測の案内画面を示す模式図である。
図10】3次元空間モデルの作成手順を示すフローチャートである。
図11】学習モデルの構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の本実施形態に係る空調関連機器及び空調システムを、以下に図面を参照しつつ説明する。本実施形態の概要は以下の通りである。
顧客の物件へ訪問し、空調関連の営業活動を行う際、実際の物件の条件における気流解析を行うことにより、実際に顧客物件で発生していると考えられる温度ムラや淀みなどの空気環境の問題を明らかにしたうえで機器の提案が可能となる。しかし、実際に気流解析を行うための流体計算用モデルを作成する場合、室内形状や什器の採寸及びモデル化、熱源などの条件の設定に多くの時間がかかっている。
上記課題を解決する手段として、流体計算用モデル自動作成手法を提案する。システム例としては、手持ちのデプスカメラ、カメラ、サーモグラフィ、スマートフォン一体型モジュールを用いて空間内を歩行しながら撮影し、空間内のデプス画像、画像、サーモグラフィ画像をスマートフォンに保存する。スマートフォンに保存したデータを情報処理装置1へ転送し、3次元再構成用のソフトを用いて3次元点群データを作成する。3次元点群データから床、壁、天井を検出し、面の空間モデルである流体計算用モデルを作成する。ここで、撮影画像に対して事前に機械学習により学習した画像認識を行うことによってオブジェクトの種類(空調機、什器等)と位置を特定し、3次元空間モデルに反映する。人が手持ちで撮影する代わりにお掃除ロボットやドローンなどを用いて撮影しても良い。
【0022】
(実施の形態1)
図1は実施の形態に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図であり、図2は測定装置の模式的斜視図である。本実施形態に係る情報処理システムは、情報処理装置1、測定装置2、及び端末装置3を備える。情報処理システムは、少なくとも一部に面を有する空間を計測し、得られたデータに基づいて当該空間の環境を予測するための3次元空間モデルを半自動的に作成するものである。以下、モデル化対象の空間を対象空間ともいう。
【0023】
測定装置2は、RGBセンサ21、深度センサ22、IR投射器23、赤外線カメラ24、把持部25、及び端末保持部26を備える。本実施の形態において、測定装置2が備えるRGBセンサ21、深度センサ22、IR投射器23、赤外線カメラ24は対象空間を計測する計測器の一例である。以下では、対象空間を計測する計測器を第1計測器ともいう。また、第1計測器の出力を第1計測値ともいう。
【0024】
RGBセンサ21は、例えばCMOSセンサ、CCDセンサ等の撮像素子を有し、対象空間のカラー撮影するカメラである。RGBセンサ21は動画を撮影することができる。RGBセンサ21は、対象空間を撮像して得た時系列の画像データ(RGBデータ)を出力する。動画を構成する時系列の画像データには、撮像日時を示す時間データが含まれているものとする。
【0025】
深度センサ22は、測定装置2から対象空間の壁面、対象空間に含まれる各種オブジェクトまでの距離(深度)を測定する。深度センサ22は、測距して得られた深度を表す深度データを出力する。IR投射器23は、より正確な深度データを得るために、赤外線を対象空間及びオブジェクトに投射するための素子である。
【0026】
赤外線カメラ24は、赤外線撮像素子を有し、対象空間を赤外線にて撮影するカメラである。赤外線カメラ24は、対象空間を撮像して得たサーモグラフィ画像データを出力する。
【0027】
把持部25は、測定装置2の使用者(以下、単にユーザとも記載する)によって把持される棒状の部材である。端末保持部26は、端末装置3を保持するための部材である。
【0028】
このように構成された測定装置2は、画像データ、深度データ及びサーモグラフィ画像データを端末装置3へ出力する。測定装置2は、画像データ、深度データ及びサーモグラフィ画像データを外部の可搬型の記憶装置に記憶させるようにしてもよい。測定装置2は、画像データ、深度データ及びサーモグラフィ画像データを直接的に情報処理装置1へ送信してもよい。
【0029】
端末装置3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の可搬型の情報処理端末(コンピュータ)であり、処理部31、記憶部32、取得部33、表示部34、操作部35、及び警報部36を備える。
【0030】
処理部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。処理部31のCPUは、ROMや記憶部32に予め記憶された各種プログラムをRAMに読み込んで実行することにより、上述した各種ハードウェアの動作を制御し、装置全体を本開示における評価装置として機能させる。
【0031】
処理部31は、上記の構成に限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、量子プロセッサ、揮発性又は不揮発性のメモリ等を備える任意の処理回路であればよい。処理部31は、日時情報を出力するクロック、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を備えていてもよい。
【0032】
記憶部32は、フラッシュメモリ、ハードディスクなどの記憶装置を備える。記憶部32には、処理部31によって実行される各種コンピュータプログラム、及びコンピュータプログラムの実行に必要なデータ等が記憶される。記憶部32に記憶されるコンピュータプログラムには、第1計測器の挙動が第1計測値の取得へ与える影響を評価するための評価プログラムPG等が含まれる。
【0033】
なお、記憶部32に記憶されるプログラムは、例えば、当該プログラムを読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体RMにより提供される。記録媒体RMは、CD-ROM、USBメモリ、SD(Secure Digital)カード、マイクロSDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)などの可搬型メモリである。処理部31は、不図示の読取装置を用いて記録媒体RMから各種プログラムを読み取り、読み取った各種プログラムを記憶部32にインストールする。また、記憶部32に記憶されるプログラムは、通信により提供されてもよい。この場合、処理部31は、通信により各種プログラムを取得し、取得した各種プログラムを記憶部32にインストールすればよい。
【0034】
取得部33は、外部装置から各種のデータを取得するためのインタフェースを備える。取得部33は、外部装置との間でデータを有線又は無線で送受信するための通信インタフェースを備えてもよく、可搬型の記憶装置からデータを読み出す読出回路を備えてもよい。取得部33は、測定装置2から出力される画像データ、深度データ、及びサーモグラフィ画像データを取得することができる。
【0035】
表示部34は、液晶ディスプレイ装置などを備えており、ユーザに対して報知すべき情報を表示する。操作部35は、タッチパネルなどの入力インタフェースを備えており、ユーザによる操作を受付ける。
【0036】
警報部36は、警報を出力する警報器を備える。警報部36が備える警報器は、音による警報を出力するブザーであってもよく、振動による警報を出力するバイブレータであってもよく、光による警報を出力する発光素子であってもよい。代替的に、警報部36は、文字や記号を表示部34に表示させることによって、警報を出力する構成であってもよい。警報部36は、処理部31からの指示により警報を出力する。
【0037】
端末装置3は、更に、方位センサS1、速度センサS2、加速度センサS3、及び角速度センサS4を備える。方位センサS1は、例えば電子コンパス等の方位計であり、測定装置2の方位を示す方位データを出力する。速度センサS2は、例えばドップラー効果や空間フィルタ等を利用したセンサであり、互いに直交する3つの軸方向の測定装置2の速度を計測し、計測値のデータを出力する。加速度センサS3は、圧電型、ピエゾ抵抗型、静電容量型等のセンサであり、互いに直交する3軸方向の測定装置2の加速度を計測し、計測値のデータを出力する。角速度センサS4は、振動型、静電容量型等のセンサであり、互いに直交する3軸方向の測定装置2の角速度を計測し、計測値のデータを出力する。
【0038】
本実施の形態において、速度センサS2、加速度センサS3、及び角速度センサS4は、第1計測器の挙動を計測する計測器の一例である。以下では、第1計測器の挙動を計測する計測器を第2計測器ともいう。また、第2計測器の出力を第2計測値ともいう。
【0039】
第2計測器として角速度センサS4が好適に使用される。代替的に、第2計測器として速度センサS2が使用されてもよく、加速度センサS3が使用されてもよい。また、第2計測器として、速度センサS2、加速度センサS3、及び角速度センサS4の3つのセンサが使用されてもよく、何れか2つのセンサが使用されてもよい。このため、端末装置3には角度センサS4のみが搭載されてもよい。代替的に、端末装置3には速度センサS2のみが搭載されてもよく、加速度センサS3のみが搭載されてもよい。また、端末装置3には、速度センサS2、加速度センサS3、及び角速度センサS4の3つのセンサが搭載されてもよく、何れか2つのセンサが搭載されてもよい。これらのセンサは、端末装置3に外付けされてもよく、測定装置2に搭載されてもよい。
【0040】
端末装置3は、取得した画像データに基づき、測定装置2が撮像した画像を表示装置に表示させると共に、取得した第2計測値に基づき、第1計測器の挙動が第1計測値の取得へ与える影響を評価する。端末装置3は、第1計測値の取得へ与える影響が大きいと評価した場合、警報部36より警報を出力し、ユーザに対して再計測を促す。端末装置3は、第1計測値の取得へ与える影響が小さいと評価した場合、取得した画像データ、深度データ、及びサーモグラフィ画像と、方位センサS1にて得られた方位データとを記憶し、適宜のタイミングで情報処理装置1へ送信する。端末装置3は、取得した画像データ、深度データ、及びサーモグラフィ画像と、方位センサS1にて得られた方位データとを可搬型の記憶装置に記憶させるように構成してもよい。
【0041】
このように構成された測定装置2によれば、ユーザは、測定装置2を把持し、対象空間内を移動し、また測定装置2を様々な方向へ向けることにより、対象空間の壁面、床面、天井面及びオブジェクトを複数の位置及び方向から撮像及び測距することができる。測定装置2は、対象空間内を複数の位置から測定して得られる対象空間データ、サーモグラフィ画像データ及び方位データを情報処理装置1へ提供する。
【0042】
情報処理装置1は、処理部11、記憶部12、取得部13、表示部14、及び操作部15を備える。
【0043】
処理部11は、CPU、ROM、RAMなどを備えるプロセッサである。処理部11は、物体検出及び画像認識に係る画像処理に特化したGPU、TPU(Tensor Processing Unit)又はAIチップ(AI用半導体)などの1又は複数の演算回路を備えてもよい。処理部11は、記憶部12に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、対象空間の3次元空間モデルを作成する。3次元空間モデルの作成に係る各機能部は、ソフトウェア的に実現してもよいし、一部又は全部をハードウェア的に実現してもよい。
【0044】
記憶部12は、例えば、ハードディスク、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリなどのストレージである。記憶部12は、処理部11が実行する各種のプログラム、処理部11の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施形態において記憶部12は、少なくとも処理部11が実行するコンピュータプログラムを記憶する。
【0045】
コンピュータプログラムは、情報処理装置1の製造段階において記憶部12に書き込まれる態様でもよいし、他の情報処理装置1などからネットワークを介して配信される態様でもよい。情報処理装置1は通信にてコンピュータプログラムを取得して記憶部12に書き込む。コンピュータプログラムは、フラッシュメモリなどの半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクなどの記録媒体に読み出し可能に記録された態様でもよい。情報処理装置1は、図に示していない読取装置を用いて記録媒体からコンピュータプログラムを読み出し、読み出したコンピュータプログラムを記憶部12に記憶させる。
【0046】
取得部13は、外部装置との間でデータを有線又は無線で送受信する通信回路、又は可搬型の記憶装置からデータを読み出す読出回路である。情報処理装置1は、取得部13を介して測定装置2から画像データ、深度データ、サーモグラフィ画像データ、方位データ等を取得する。
【0047】
情報処理装置1は、取得部13を介して、対象空間における換気装置の吸込口又は吹出口に関連するダクト系統を表したダクト系統図データを外部装置から取得してもよい。ダクト系統図データは、ダクト系統の方向を表す方向情報と、ダクト系統の外形を示す外形情報とを含む。外形情報には、空調機又は換気装置の吸込口又は吹出口の位置を示す情報が含まれている。
【0048】
情報処理装置1は、取得部13を介して、対象空間の配管系統図を表した配管系統図データを外部装置から取得してもよい。配管系統図データは、配管系統の方向を表す方向情報と、配管系統の外形を示す外形情報とを含む。配管系統図データは、室内機の位置、空調機の熱境界条件に係る情報等を含む。
【0049】
情報処理装置1は、取得部13を介して、対象空間の外気温時系列データ、対象空間における日照量時系列データを外部装置から取得してもよい。
【0050】
表示部14は、例えば液晶表示パネル、有機EL表示パネルなどの表示装置である。処理部11は、3次元空間モデルに係る画像を表示部14に表示する。
【0051】
操作部15は、情報処理装置1のユーザの操作を受け付けるマウス、キーボード、タッチパネルなどの入力装置である。処理部11は、操作部15を介してユーザによる3次元空間モデルの編集等を受け付ける。
【0052】
なお、情報処理装置1は、ネットワークに接続されたサーバ装置であっても良い。情報処理装置1は、クライアント装置と、サーバ装置とで構成してもよい。情報処理装置1は、複数台のコンピュータで構成し分散処理する構成でもよいし、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されていてもよいし、クラウドサーバを用いて実現されていてもよい。また、情報処理装置1は端末装置3であってもよい。つまり、端末装置3が情報処理装置1として機能するように構成してもよい。
【0053】
図3は端末装置3が提供するインタフェース画面340の一例を示す模式図である。端末装置3の処理部31は、測定装置2によって対象空間を計測する際、図3に示すようなインタフェース画面340を表示部34に表示させる。インタフェース画面340は、例えば、画像表示欄341、録画開始ボタン342、表示切替ボタン344、録画一覧表示ボタン346、録画時間表示欄348、及びインジケータ350を備える。
【0054】
画像表示欄341は、測定装置2のRGBセンサ21より得られる画像(RGB3色のカラー画像)若しくは深度センサ22より得られる画像(デプス画像)を表示する。
【0055】
録画開始ボタン342は、ユーザによる録画開始指示を受付けるソフトウェアボタンである。録画開始ボタン342が押下操作されると、処理部31は、取得部33より取得した第1計測値(RGBセンサ21から出力される画像データ、深度センサ22から出力される深度データ、赤外線カメラ24から出力されるサーモグラフィ画像データ)を記憶部32に記憶させる。
【0056】
表示切替ボタン344は、ユーザによる表示切替指示を受付けるソフトウェアボタンである。表示切替ボタン344が押下操作される都度、処理部31は、画像表示欄341における画像表示を、RGB3色のカラー画像と、デプス画像との間で切り替える。
【0057】
録画一覧表示ボタン346は、録画済みのファイルを一覧で表示させるためのソフトウェアボタンである。録画一覧表示ボタン346が押下操作されると、処理部31は、画像表示に代えて、録画済みのファイルの一覧を表示部34に表示させる。一覧から録画済みのファイルが選択されると、処理部31は、選択されたファイルを読み出し、画像表示欄341に画像(RGB3色のカラー画像若しくはデプス画像)を表示させる。
【0058】
録画時間表示欄348は、録画開始ボタン342が押下操作されてからの経過時間(録画時間)を表示する。録画時間表示欄348は、fps(frames per Second)等の値を表示してもよい。fpsの値は固定値であってもよく、リアルタイムで変化する値であってもよい。
【0059】
インジケータ350は、第2計測値を表示する。図3では、加速度センサS3により計測される加速度の大きさをインジケータ350で表示した例を示している。この例では、インジケータ350に示されるバー351の長さが加速度の大きさを表している。加速度の大きさ(数値)そのものをインジケータ350に表示してもよい。
【0060】
代替的に、加速度センサS3により計測される3軸方向の加速度の値(3つの値)をインジケータ350で表示してもよい。また、速度センサS2により計測される速度の大きさ若しくは各軸方向の速度の値をインジケータ350で表示してもよく、角速度センサS4により計測される角速度の大きさ若しくは各軸方向の角速度の値をインジケータ350で表示してもよい。
【0061】
端末装置3の処理部31は、第2計測値を常時監視し、第2計測値が設定値を超えたか否かを判断する。第2計測値が設定値を超えた場合、処理部31は、警報を出力する。図4は警報出力時の画面例を示す模式図である。図4は録画が開始された後のインタフェース画面340を示している。図4の画面例では、録画開始ボタン342に代えて録画停止ボタン343が表示され、録画一覧表示ボタン346に代えて終了確認ボタン347が表示されている。
【0062】
録画停止ボタン343は、ユーザによる録画停止指示を受付けるソフトウェアボタンである。録画停止ボタン343が押下操作されると、処理部31は、取得部33より取得した第1計測値(RGBセンサ21から出力される画像データ、深度センサ22から出力される深度データ、赤外線カメラ24から出力されるサーモグラフィ画像データ)の記録を一時的に停止させる。
【0063】
終了確認ボタン347は、ユーザによる録画終了指示を受付けるソフトウェアボタンである。終了確認ボタン347が押下操作されると、処理部31は、録画を終了しても良いか否かをユーザに確認する画面を表示部34に表示させ、ユーザにより録画終了が確認された場合、録画を終了する。録画を終了した場合、処理部31は、RGBセンサ21から出力される画像データ、深度センサ22から出力される深度データ、及び赤外線カメラ24から出力されるサーモグラフィ画像データをファイルとして記憶部32に記憶させる。
【0064】
上述したように、端末装置3の処理部31は、第2計測値を常時監視しており、第2計測値が設定値を超えた場合、警報を出力する。図4の画面例は、第2計測値が設定値を超えており、メッセージ欄352に計測が失敗する可能性がある旨、及び測定装置2をゆっくり動かすべき旨のメッセージを表示した例を示している。図4の例では、文字のみによるメッセージを示しているが、記号を含んだメッセージを表示してもよい。また、処理部31は、インジケータ350におけるバー351の色を目立つ色に変更(例えば、緑色から黄色又は赤色に変更)して、第2計測値が設定値を超えたことをユーザに提示してもよい。更に、処理部31は、警報部36から警報を出力してもよい。
【0065】
図5は実施の形態1における端末装置3が実行する処理の手順を示すフローチャートである。端末装置3の処理部31は、取得部33を通じて第1計測値を取得する(ステップS101)。すなわち、処理部31は、RGBセンサ21から出力される画像データ、深度センサ22から出力される深度データ、及び赤外線カメラ24から出力されるサーモグラフィ画像データを取得する。処理部31は、インタフェース画面340が表示部34に表示されたことを契機に第1計測値を取得してもよく、ユーザによる取得指示が与えられたことを契機に第1計測値を取得してもよい。処理部31は、インタフェース画面340を表示部34に表示させ、取得した第1計測値に基づく画像を画像表示欄341に表示させる(ステップS102)。
【0066】
処理部31は、第2計測値を取得する(ステップS103)。すなわち、処理部31は、速度センサS2より出力される速度のデータ、加速度センサS3より出力される加速度のデータ、及び角速度センサS4より出力される角速度のデータの少なくとも1つを取得すればよい。本フローチャートでは、第1計測値を取得した後に、第2計測値を取得する手順としたが、これらの手順は前後してもよく、同時並行的に実施してもよい。
【0067】
処理部31は、取得した第2計測値と設定値とを比較し(ステップS104)、比較結果に応じて警報を出力する(ステップS105)。実施の形態において、第2計測値に対する設定値は記憶部32に記憶されているものとする。代替的に、処理部31は、操作部35を通じて設定値を受付け、受付けた設定値を記憶部32に記憶させてもよい。また、取得部13を介して、過去の計測の評価結果に基づいて算出された設定値を受け付けてもよい。過去の計測の評価結果に基づいて算出された設定値とは、例えば、撮影時に第2計測値を時系列に記憶部32へと記憶しておき、3次元空間モデル作成時に得られた3次元点群の密度やモデル可否情報と各時刻の第2計測値とから、第2計測値が3次元空間モデルに影響を与えないよう算出される値を表す。設定値は、速度、加速度、角速度のそれぞれについて設定されてもよい。ステップS105において、処理部31は、第2計測値が設定値よりも大きいと判断した場合に警報を出力する。例えば、処理部31は、図4に示すようなメッセージを表示することによって警報を出力してもよく、警報部36を作動させることによって警報を出力してもよい。また、設定値は第1計測値(RGBセンサ21から出力される画像データ、深度センサ22から出力される深度データ、赤外線カメラ24から出力されるサーモグラフィ画像データ)の取得項目ごとにフレームレートが異なることなどによって、項目ごとに設定値が異なることがある。この場合、取得項目ごとに設定値が設定されてもよく、各設定値の大きさを比較し、一番値が低い条件を基に警報を出力してもよい。
【0068】
処理部31は、第2計測値に基づき、第1計測器の挙動が第1計測値へ与える影響を評価する(ステップS106)。処理部31は、ステップS104で第2計測値と設定値とを比較した結果、第2計測値が設定値以下と判断した場合、第1計測値へ与える影響が小さいと評価し、第2計測値が設定値より大きいと判断した場合、第1計測値へ与える影響が大きいと評価する。
【0069】
第1計測値へ与える影響が小さいと評価した場合(S107:YES)、処理部31は、計測終了か否かを判断する(ステップS108)。インタフェース画面340で終了確認ボタン347が押下操作され、ユーザにより終了が確認された場合、処理部31は、計測終了と判断する。計測が終了していないと判断した場合(S108:NO)、処理部31は、処理をステップS101へ戻し、計測を継続する。
【0070】
計測終了と判断した場合(S108:YES)、処理部31は、ステップS101で取得した第1計測値(RGBセンサ21から出力される画像データ、深度センサ22から出力される深度データ、及び赤外線カメラ24から出力されるサーモグラフィ画像データ)や方位センサS1より得られる方位データを、情報処理装置1へ送信する(ステップS109)。
【0071】
ステップS107で第1計測値へ与える影響が大きいと評価した場合(S107:NO)、処理部31は、ステップS101で取得した第1計測値や方位センサS1より得られる方位データを情報処理装置1へ送信したりすることなく、本フローチャートによる処理を終了する。
【0072】
上述したように、第1計測値の取得へ与える影響が小さいと評価した場合、第1計測値(RGBセンサ21から出力される画像データ、深度センサ22から出力される深度データ、及び赤外線カメラ24から出力されるサーモグラフィ画像データ)や方位センサS1より得られる方位データは情報処理装置1へ送信される。情報処理装置1は、端末装置3より取得したデータに基づき、対象空間の環境を予測するための3次元空間モデルを半自動的に作成する。3次元空間モデルの作成には既存の手法が用いられる。
【0073】
以上のように、実施の形態1では、第1計測器の挙動を示す第2計測値に基づき、第1計測器の挙動が第1計測値の取得へ与える影響を評価するので、情報処理装置1で3次元空間モデルを作成することなく、計測に不備がある旨をユーザに通知できる。
【0074】
(実施の形態2)
実施の形態2では、第1計測器の挙動が第1計測値の取得へ与える影響が大きい場合、計測を停止させ、その後、再計測を案内する構成について説明する。
情報処理システムの構成や端末装置3などの構成は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0075】
図6は実施の形態2における端末装置3が実行する処理の手順を示すフローチャートである。端末装置3の処理部31は、実施の形態1と同様の手順にて第1計測値及び第2計測値を取得し、第2計測値と設定値とを比較する(ステップS201~S204)。処理部31は、第2計測値と設定値との比較結果に応じて、第1計測器による計測を停止させる(ステップS205)。端末装置3は、測定装置2に対して計測停止指示を与えることにより、測定装置2による計測を停止させる。計測を停止させない場合、処理部31はステップS208以降の処理を実行する。
【0076】
第1計測器による計測を停止させた後、処理部31は、計測を再開させるか否かを判断する(ステップS206)。処理部31は、第1計測器による計測を停止させた後も第2計測値を随時取得し、第2計測値が設定値未満となったか否かを判断することにより、計測を再開させるか否かを判断する。第2計測値が設定値より大きい場合(S206:NO)、処理部31は、計測を再開させることなく待機する。
【0077】
第2計測値が設定値未満となった場合、計測を再開させると判断し(S206:YES)、処理部31は、再計測を案内して計測を再開させる(ステップS207)。図7は計測再開時の案内画面を示す模式図である。図7は、計測を再開する旨のメッセージをインタフェース画面340に重畳して表示した例を示している。代替的に、処理部31は、音声を出力することによって計測再開を案内してもよい。計測が再開された場合、処理部31は、ステップS201~S204の処理を再度実行する。
【0078】
次いで、処理部31は、計測を終了するか否かを判断する(ステップS208)。インタフェース画面340で終了確認ボタン347が押下操作され、ユーザにより終了が確認された場合、処理部31は、計測終了と判断する。計測が終了していないと判断した場合(S208:NO)、処理部31は、処理をステップS201へ戻し、計測を継続する。
【0079】
計測終了と判断した場合(S208:YES)、処理部31は、ステップS201で取得した第1計測値(RGBセンサ21から出力される画像データ、深度センサ22から出力される深度データ、及び赤外線カメラ24から出力されるサーモグラフィ画像データ)や方位センサS1より得られる方位データを、情報処理装置1へ送信する(ステップS209)。
【0080】
情報処理装置1は、端末装置3より取得したデータに基づき、対象空間の環境を予測するための3次元空間モデルを半自動的に作成する。3次元空間モデルの作成には既存の手法が用いられる。
【0081】
以上のように、実施の形態2では、第1計測器の挙動が第1計測値の取得へ与える影響が大きい場合、一時的に計測を停止させ、その後、計測が成功するタイミングで計測再開を案内できる。
【0082】
実施の形態1では、第2計測値と設定値との比較結果に応じて警報を出力する構成とし、実施の形態2では、第2計測値と設定値との比較結果に応じて一時的に計測を停止させる構成とした。代替的に、2つの設定値(以下、第1設定値及び第2設定値とし、第1設定値<第2設定値とする)を用意しておき、第2計測値>第1設定値、かつ、第2計測値≦第2設定値の場合、警報を出力し、第2計測値>第2設定値の場合、一時的に計測を停止させ、その後、計測が成功するタイミング(例えば第2計測値<第1設定値となったタイミング)で計測を再開させる構成としてもよい。
【0083】
(実施の形態3)
実施の形態3では、第1計測器の挙動が第1計測値の取得へ与える影響が大きい場合、計測を停止させ、その後、設定距離だけ遡った地点からの再計測を案内する構成について説明する。
情報処理システムの構成や端末装置3などの構成は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0084】
図8は実施の形態3における端末装置3が実行する処理の手順を示すフローチャートである。端末装置3の処理部31は、実施の形態1と同様の手順にて第1計測値及び第2計測値を取得し、第2計測値と設定値とを比較する(ステップS301~S304)。処理部31は、第2計測値と設定値との比較結果に応じて、第1計測器による計測を停止させる(ステップS305)。端末装置3は、測定装置2に対して計測停止指示を与えることにより、測定装置2による計測を停止させる。計測を停止させない場合、処理部31はステップS309以降の処理を実行する。
【0085】
第1計測器による計測を停止させた後、処理部31は、設定距離だけ遡った地点からの再計測を案内する(ステップS306)。図9は実施の形態3における再計測の案内画面を示す模式図である。図9は、1メートル遡った地点からの再計測を促すメッセージをインタフェース画面340に重畳して表示した例を示している。代替的に、処理部31は、音声を出力することによって再計測を案内してもよい。なお、ユーザが遡る距離は任意であり、事前に設定されて記憶部32に記憶されているものとする。代替的に、処理部31は、第2計測値が悪化し始めてからの経過時間と、速度センサS2により計測される速度とに基づき、遡る距離を計算により求めてもよい。
【0086】
処理部31は、計測を再開させるか否かを判断する(ステップS307)。ユーザが設定距離だけ遡り、第2計測値が設定値未満となった場合、処理部31は、計測を再開させると判断する。ユーザが設定距離だけ遡ったか否かはユーザの自己申告で判断すればよい。例えば図9に示す案内画面にて準備完了ボタン353が押下操作された場合、ユーザが設定距離だけ遡ったと判断すればよい。計測を再開させないと判断した場合(S307:NO)、処理部31は、再開可能となるまで待機する。
【0087】
計測を再開させると判断した場合(S307:YES)、処理部31は、計測を再開させる(ステップS308)。計測を再開させた場合、処理部31は、ステップS301~S304の処理を再度実行する。
【0088】
次いで、処理部31は、計測を終了するか否かを判断する(ステップS309)。インタフェース画面340で終了確認ボタン347が押下操作され、ユーザにより終了が確認された場合、処理部31は、計測終了と判断する。計測が終了していないと判断した場合(S309:NO)、処理部31は、処理をステップS301へ戻し、計測を継続する。
【0089】
計測終了と判断した場合(S309:YES)、処理部31は、ステップS301で取得した第1計測値(RGBセンサ21から出力される画像データ、深度センサ22から出力される深度データ、及び赤外線カメラ24から出力されるサーモグラフィ画像データ)や方位センサS1より得られる方位データを、情報処理装置1へ送信する(ステップS310)。
【0090】
情報処理装置1は、端末装置3より取得したデータに基づき、対象空間の環境を予測するための3次元空間モデルを半自動的に作成する。3次元空間モデルの作成には既存の手法が用いられる。
【0091】
以上のように、実施の形態3では、第1計測器の挙動が第1計測値の取得へ与える影響が大きい場合、一時的に計測を停止させ、設定距離だけ遡った位置から計測を再開させるので、3次元空間モデルを作成するのに適したデータを収集できる。
【0092】
実施の形態3では、第1計測器の挙動が第1計測値の取得へ与える影響が大きい場合、一時的に計測を停止させて設定距離だけ遡るように案内する構成としたが、計測を停止させずに、計測を行ったまま設定距離だけ遡るように案内してもよい。
【0093】
実施の形態1では、第2計測値と設定値との比較結果に応じて警報を出力する構成とし、実施の形態3では、第2計測値と設定値との比較結果に応じて設定距離だけ遡った地点からの再計測を案内する構成とした。代替的に、2つの設定値(以下、第1設定値及び第2設定値とし、第1設定値<第2設定値とする)を用意しておき、第2計測値>第1設定値、かつ、第2計測値≦第2設定値の場合、警報を出力し、第2計測値>第2設定値の場合、一時的に計測を停止させ(若しくは計測を停止させずに)、設定距離だけ遡った地点からの再計測を案内する構成としてもよい。
【0094】
(実施の形態4)
実施の形態4では、端末装置3にて3次元空間モデルを作成する構成について説明する。
情報処理システムの構成や端末装置3などの構成は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0095】
図10は3次元空間モデルの作成手順を示すフローチャートである。端末装置3の処理部31は、測定装置2より取得した画像データ及び深度データに基づき、対象空間の3次元点群を復元する(ステップS401)。処理部31は、例えば、入力画像から疎な点群を幾何学的に推定するSfM(Structure from Motion)と、SfM点群に基づき高密度点群を生成するMVS(Multi-View Stereo)とを用いて、3次元点群を復元することができる。3次元点群の復元手法は、SfM及びMVSに限らず、既存の手法が用いられる。
【0096】
処理部31は、生成した3次元点群データに基づいて、流体計算用の3次元空間モデルを生成する(ステップS402)。処理部11は、例えば、自己位置推定技術及び視線方向推定技術を用いて、対象空間の壁面、床面、天井面に相当する平面、各種機器、什器等のオブジェクトの外面に相当する平面、各平面の位置を特定することができ、複数の面で構成される3次元空間モデルを生成する。
【0097】
処理部31は、対象空間に含まれるオブジェクトの位置及びクラスを認識する(ステップS403)。本実施の形態において、認識すべきオブジェクトは、対象空間の環境に影響を及ぼす物であり、例えば、什器、建具、人、産業機械、植物、空調機、換気装置等を含む。什器は、コンピュータ、モニタ、照明器具、ヒータ、及び椅子の少なくとも一つを含む。建具は、窓、ブラインド、間仕切り、ドアの少なくとも一つを含む。処理部31は、例えば、機械学習の学習モデルMD(図11を参照)を用いて、対象空間に含まれるオブジェクトの位置及びクラス(属性)を認識する。
【0098】
図11は学習モデルMDの構成例を示す模式図である。学習モデルMDは、例えば深層学習による学習済みの畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional neural network)を含む。学習モデルMDは、対象空間の画像データが入力される入力層L1と、画像データの特徴量を抽出する中間層L2と、検出されたオブジェクトに係る推論結果を出力する出力層L3とを有する。学習モデルMDは、例えばYOLOによるモデルである。
【0099】
学習モデルMDの入力層L1は、画像データ、つまり、対象空間及びオブジェクトの表面の画像を構成する各画素の画素値の入力を受け付ける複数のノードを有し、入力された画素値を中間層L2に受け渡す。
【0100】
中間層L2は、複数組みの畳み込み層(CONV層)及びプーリング層と、全結合層とを有する。畳み込み層は、前層のノードから出力された値に対してフィルタ処理を実行し、特徴マップを抽出する。プーリング層は、畳み込み層から出力された特徴マップを縮小して新たな特徴マップを得る。
【0101】
出力層L3は、画像データから検出されたオブジェクトに係る最終的な推論結果を出力するノードを有する。推論結果は、オブジェクトを囲むバウンディングボックスの中心座標位置及び縦横サイズ、バウンディングボックスで囲まれた画像がオブジェクトの画像であることの確からしさを示す物体検出スコアと、オブジェクトが特定のクラスに属する確からしさを示すクラススコアなどを含む。
【0102】
このような学習モデルMDは、既存の手法を用いて学習され、学習済みの学習モデルMDが端末装置3の記憶部32に記憶されているものとする。処理部11は、取得した画像データを学習済みの学習モデルMDに入力し、学習モデルMDによる演算を実行することによって、画像データに含まれるオブジェクトの位置及びクラス(属性)を認識する。
【0103】
本実施の形態では、端末装置3が学習モデルMDを備え、端末装置3の処理部31において学習モデルMDによる演算を実行する構成としたが、情報処理装置1若しくは外部サーバが学習モデルMDを備え、端末装置3からの指示によって情報処理装置1若しくは外部サーバに学習モデルMDによる演算を実行させる構成としてもよい。この場合、端末装置3は、測定装置2から取得した画像データを情報処理装置1若しくは外部サーバへ送信し、学習モデルMDによる演算結果を情報処理装置1若しくは外部サーバから取得すればよい。
【0104】
処理部11は、ステップS403でオブジェクトを認識した後、温度分布データを3次元空間モデルに反映させる(ステップS404)。処理部11は、認識したオブジェクト毎に温度分布を特定し、認識したオブジェクトと特定した温度分布と対応付けることによって、温度分布データを3次元空間モデルに反映させる。また、処理部11は、取得した方位データに基づく情報を3次元空間モデルに付与する(ステップS405)。温度分布及び方位情報が付与された3次元空間モデルは、記憶部12に記憶される。
【0105】
本実施の形態では、3次元点群の復元、3次元空間モデルの生成、オブジェクトの認識を端末装置3の内部で実行する構成としたが、情報処理装置1若しくは外部サーバにこれらの処理を実行させる構成としてもよい。この場合、演算用のプログラムや学習モデルMDは情報処理装置1若しくは外部サーバに記憶される。端末装置3は測定装置2から取得した画像データや深度データを情報処理装置1若しくは外部サーバへ送信し、情報処理装置1若しくは外部サーバに演算を実行させることによって、3次元空間モデルやオブジェクトの認識結果を取得すればよい。
【0106】
以上のように、実施の形態4では、認識したオブジェクトの属性及び位置を反映した3次元空間モデルを作成することができる。
【0107】
今回開示された実施形態は、全ての点において例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
2 測定装置
3 端末装置
21 RGBセンサ
22 深度センサ
23 IR投射器
24 赤外線カメラ
31 処理部
32 記憶部
33 取得部
34 表示部
35 操作部
S1 方位センサ
S2 速度センサ
S3 加速度センサ
S4 角速度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11