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特開2024-153447電磁弁制御装置、水素対応制御システム、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153447
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】電磁弁制御装置、水素対応制御システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
F16K31/06 320A
F16K31/06 305H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067349
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 武史
(72)【発明者】
【氏名】沼野 翔太
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD02
3H106EE19
3H106EE20
3H106EE34
3H106FB08
3H106KK17
3H106KK34
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で弁体の位置または速度を把握すること。
【解決手段】電磁弁制御装置は、ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する。電磁弁制御装置は、電流制御部と、電圧検出部と、推定部とを備える。電流制御部は、前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する。電圧検出部は、前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する。推定部は、前記ソレノイドの誘起電圧定数と、検出された前記誘起電圧と、に基づいて、前記弁体の位置又は移動速度を推定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置であって、
前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部と、
前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する電圧検出部と、
前記ソレノイドの誘起電圧定数と、検出された前記誘起電圧と、に基づいて、前記弁体の位置又は移動速度を推定する推定部と、
を備える電磁弁制御装置。
【請求項2】
前記電流制御部は、前記戻しバネにより移動する前記弁体が前記弁座に着座する前に、推定された前記位置と前記移動速度とに基づいて、前記ソレノイドに電流を供給して前記弁座の閉弁速度を下げる衝撃緩和制御を実行する、
請求項1に記載の電磁弁制御装置。
【請求項3】
前記電流制御部は、
上位装置から送信される指令であって、送信期間が調整された前記指令に基づいて、前記衝撃緩和制御を実行し、
前記衝撃緩和制御を実行する場合は、前記衝撃緩和制御を実行しない場合と比較して、前記開弁制御時に前記ソレノイドに供給する電流値と電流の供給時間の積を小さくする、
請求項2に記載の電磁弁制御装置。
【請求項4】
前記開弁制御では、前記ソレノイドへの電流の供給と停止とを繰り返して前記弁体を吸引し、
前記電圧検出部は、前記開弁制御における電流の供給が停止した際の前記誘起電圧を検出し、
前記推定部は、前記誘起電圧定数と前記誘起電圧とに基づいて、前記開弁制御時の前記弁体の前記移動速度を推定する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の電磁弁制御装置。
【請求項5】
前記電流制御部は、前回の前記開弁制御時に推定された前記移動速度に基づいて、今回ソレノイドに供給する前記電流を調整する、
請求項4に記載の電磁弁制御装置。
【請求項6】
前記電圧検出部は、前記ソレノイドへの電流の供給が停止してから所定期間の前記誘起電圧の推移を検出し、
前記推定部は、前記所定期間に検出された前記誘起電圧のそれぞれと前記誘起電圧定数とに基づいて、前記所定期間の前記弁体の移動速度の推移を算出し、算出した前記移動速度の推移を積分することで前記弁体の位置を推定する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の電磁弁制御装置。
【請求項7】
ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置であって、
前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部と、
前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する電圧検出部と、
を備え、
前記電流制御部は、前記誘起電圧の検出に応じて、前記弁体が前記弁座に着座する前に、前記ソレノイドに電流を供給する衝撃緩和制御を実行する、
電磁弁制御装置。
【請求項8】
ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置であって、
前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部を備え、
前記電流制御部は、前記開弁制御の実行後に閉弁指令を受信したことに応じて前記ソレノイドへの電流供給を停止し、その後、前記弁体が前記弁座に着座するまでの間となるように予め定められた所定時間が経過すると前記ソレノイドに電流を供給する衝撃緩和制御を実行する、
電磁弁制御装置。
【請求項9】
ソレノイドと、
水素ガスを供給する供給口と、
前記ソレノイドにより生じた電磁力で吸引され、前記供給口を開閉する弁体と、
吸引された前記弁体を吸引前の位置に戻す戻しバネと、
を有する水素対応電磁弁と、
前記ソレノイドに電流を流して前記弁体を吸引する開弁制御を実行する電流供給部と、
前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する電圧検出部と、
前記ソレノイドの誘起電圧定数と、検出された前記誘起電圧と、に基づいて、前記弁体の位置又は移動速度を推定する推定部と、
を有する電磁弁制御装置と、
を備える水素ガス制御システムであって、
前記弁体と弁座の少なくとも一方には、他方との接触面に表面処理が施され、
前記電流供給部は、前記戻しバネにより移動する前記弁体が前記弁座に着座する前に、推定された前記位置と前記移動速度とに基づいて、前記ソレノイドに電流を供給する衝撃緩和制御を実行する、
水素対応制御システム。
【請求項10】
ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置のコンピュータを、
前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部、
前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する電圧検出部、
前記ソレノイドの誘起電圧定数と、検出された前記誘起電圧と、に基づいて、前記弁体の位置又は移動速度を推定する推定部、
として機能させるプログラム。
【請求項11】
ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置のコンピュータを、
前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部、
前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する電圧検出部、
として機能させ、
前記電流制御部は、前記誘起電圧の検出に応じて、前記弁体が前記弁座に着座する前に、前記ソレノイドに電流を供給する衝撃緩和制御を実行する、
プログラム。
【請求項12】
ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置のコンピュータを、
前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部として機能させ、
前記電流制御部は、前記開弁制御の実行後に閉弁指令を受信したことに応じて前記ソレノイドへの電流供給を停止し、その後、前記弁体が前記弁座に着座するまでの間となるように予め定められた所定時間が経過すると前記ソレノイドに電流を供給する衝撃緩和制御を実行する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁制御装置、水素対応制御システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な分野で電磁弁が利用されている。例えば、電磁弁には、エンジンへ燃料を供給するために用いられるものがある。電磁弁は、磁性材料から成る弁体と、ソレノイドとを備える。弁体は、閉弁状態において弁座に着座している。ソレノイドは、電流が供給されることによって磁界を発生させる。この磁界の発生によって、弁体は、磁化して、ソレノイドに吸引されて開方向に向かって移動し、開弁状態となる。
【0003】
また、電磁弁は、戻しバネを備える。戻しバネは、ソレノイドへの電流の供給が停止すると、復元力によって弁体を閉方向へ移動させる。ここで、弁体が弁座に着座する際に、弁体と弁座とが衝突する。この衝突による衝撃を低減するため、下記特許文献1には、ピストン位置検出センサでピストンの位置を検出し、ピストンがシリンダに衝突する前にピストンの移動速度を低減するよう調整する衝撃緩和シリンダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-257715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術では、弁体の位置を検出するためにセンサを設けているため部品点数が増え、装置が大型化あるいは複雑化してしまう。このため、従来技術では、簡単な構成で弁体の位置または速度を把握することができない、という問題があった。
【0006】
本発明は、簡単な構成で弁体の位置または速度を把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電磁弁制御装置は、ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置であって、前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部と、前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する電圧検出部と、前記ソレノイドの誘起電圧定数と、検出された前記誘起電圧と、に基づいて、前記弁体の位置又は移動速度を推定する推定部と、を備える電磁弁制御装置である。
【0008】
上記構成により、位置検出用のセンサ等を設けることなく、簡単な構成で弁体の位置または移動速度を把握することができる。
【0009】
上記構成において、前記電流制御部は、前記戻しバネにより移動する前記弁体が前記弁座に着座する前に、推定された前記位置と前記移動速度とに基づいて、前記ソレノイドに電流を供給して前記弁座の閉弁速度を下げる衝撃緩和制御を実行するようにしてもよい。
【0010】
上記構成において、前記電流制御部は、上位装置から送信される指令であって、送信期間が調整された前記指令に基づいて、前記衝撃緩和制御を実行し、前記衝撃緩和制御を実行する場合は、前記衝撃緩和制御を実行しない場合と比較して、前記開弁制御時に前記ソレノイドに供給する電流値と電流の供給時間の積を小さくするようにしてもよい。
【0011】
上記構成において、前記開弁制御では、前記ソレノイドへの電流の供給と停止とを繰り返して前記弁体を吸引し、前記電圧検出部は、前記開弁制御における電流の供給が停止した際の前記誘起電圧を検出し、前記推定部は、前記誘起電圧定数と前記誘起電圧とに基づいて、前記開弁制御時の前記弁体の前記移動速度を推定するようにしてもよい。
【0012】
上記構成において、前記電流制御部は、前回の前記開弁制御時に推定された前記移動速度に基づいて、今回ソレノイドに供給する前記電流を調整するようにしてもよい。
【0013】
上記構成において、前記電圧検出部は、前記ソレノイドへの電流の供給が停止してから所定期間の前記誘起電圧の推移を検出し、前記推定部は、前記所定期間に検出された前記誘起電圧のそれぞれと前記誘起電圧定数とに基づいて、前記所定期間の前記弁体の移動速度の推移を算出し、算出した前記移動速度の推移を積分することで前記弁体の位置を推定するようにしてもよい。
【0014】
本発明の他の態様に係る電磁弁制御装置は、ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置であって、前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部と、前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する電圧検出部と、を備え、前記電流制御部は、前記誘起電圧の検出に応じて、前記弁体が前記弁座に着座する前に、前記ソレノイドに電流を供給する衝撃緩和制御を実行する、電磁弁制御装置である。
【0015】
上記構成により、弁体の位置や移動速度を推定しなくても、衝撃緩和制御を実行することができる。したがって、より簡単な制御で、弁体が閉弁状態となる際の弁体と弁座との衝撃を緩和することができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る電磁弁制御装置は、ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置であって、前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部を備え、前記電流制御部は、前記開弁制御の実行後に閉弁指令を受信したことに応じて前記ソレノイドへの電流供給を停止し、その後、前記弁体が前記弁座に着座するまでの間となるように予め定められた所定時間が経過すると前記ソレノイドに電流を供給する衝撃緩和制御を実行する、電磁弁制御装置である。
【0017】
上記構成により、誘起電圧を検出しなくても、衝撃緩和制御を実行することができる。したがって、より簡単な制御で、弁体が閉弁状態となる際の弁体と弁座との衝撃を緩和することができる。
【0018】
本発明の他の態様に係る水素対応制御システムは、ソレノイドと、水素ガスを供給する供給口と、前記ソレノイドにより生じた電磁力で吸引され、前記供給口を開閉する弁体と、吸引された前記弁体を吸引前の位置に戻す戻しバネと、を有する水素対応電磁弁と、前記ソレノイドに電流を流して前記弁体を吸引する開弁制御を実行する電流供給部と、前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する電圧検出部と、前記ソレノイドの誘起電圧定数と、検出された前記誘起電圧と、に基づいて、前記弁体の位置又は移動速度を推定する推定部と、を有する電磁弁制御装置と、を備える水素ガス制御システムであって、前記弁体と弁座の少なくとも一方には、他方との接触面に表面処理が施され、前記電流供給部は、前記戻しバネにより移動する前記弁体が前記弁座に着座する前に、推定された前記位置と前記移動速度とに基づいて、前記ソレノイドに電流を供給する衝撃緩和制御を実行する、水素対応制御システムである。
【0019】
上記構成により、耐衝撃性および耐久性が低下するおそれのある表面処理を行ったとしても、衝撃緩和制御を実行するようにしているため、衝撃を抑え、耐久性を向上させることができる。したがって、水素ガスに対応した電磁弁に特に有用である。
【0020】
本発明の他の態様に係るプログラムは、ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置のコンピュータを、前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部、前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する電圧検出部、前記ソレノイドの誘起電圧定数と、検出された前記誘起電圧と、に基づいて、前記弁体の位置又は移動速度を推定する推定部、として機能させるプログラムである。
【0021】
上記構成により、位置検出用のセンサ等を設けることなく、簡単な構成で弁体の位置または移動速度を把握することができる。
【0022】
本発明の他の態様に係るプログラムは、ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置のコンピュータを、前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部、前記ソレノイドへの電流の供給が停止した際に、前記戻しバネにより前記弁体が吸引前の位置に向かって移動することに応じて前記ソレノイドに生じる誘起電圧を検出する電圧検出部、として機能させ、前記電流制御部は、前記誘起電圧の検出に応じて、前記弁体が前記弁座に着座する前に、前記ソレノイドに電流を供給する衝撃緩和制御を実行する、プログラムである。
【0023】
上記構成により、弁体の位置や移動速度を推定しなくても、衝撃緩和制御を実行することができる。したがって、より簡単な制御で、弁体が閉弁状態となる際の弁体と弁座との衝撃を緩和することができる。
【0024】
本発明の他の態様に係るプログラムは、ソレノイドへの通電により弁体を弁座から吸引して開弁し、戻しバネで吸引前の位置に戻して閉弁する電磁弁を制御する電磁弁制御装置のコンピュータを、前記ソレノイドに電流を流して弁体を吸引する開弁制御を実行する電流制御部として機能させ、前記電流制御部は、前記開弁制御の実行後に閉弁指令を受信したことに応じて前記ソレノイドへの電流供給を停止し、その後、前記弁体が前記弁座に着座するまでの間となるように予め定められた所定時間が経過すると前記ソレノイドに電流を供給する衝撃緩和制御を実行する、プログラムである。
【0025】
上記構成により、誘起電圧を検出しなくても、衝撃緩和制御を実行することができる。したがって、より簡単な制御で、弁体が閉弁状態となる際の弁体と弁座との衝撃を緩和することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡単な構成で弁体の位置または速度を把握するができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】閉弁状態おける電磁弁100の一例を示す図。
図2】開弁状態における電磁弁100の一例を示す図。
図3】本実施形態に係る水素対応制御システムStの機能的構成の一例を示すブロック図。
図4】本実施形態に係る電磁弁制御装置400による制御例を示す図。
図5】本実施形態に係る電磁弁制御装置400が行う衝撃緩和制御の概要を示すフローチャート。
図6】衝撃緩和制御430の詳細を示すフローチャート。
図7A】衝撃緩和制御430を実行しない場合の弁体300の動作例を示す図。
図7B】衝撃緩和制御430を実行する場合の弁体300の動作例を示す図。
図7C】指令901の送信タイミングを変更した場合の弁体300の動作例を示す図。
図8】変形例5に係る開弁時において衝撃緩和制御を実行した際の一例を示す図。
図9】従来の電磁弁制御装置による制御例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、閉弁状態おける電磁弁100の一例を示す図である。図1に示す電磁弁100は、気体用の電磁弁である。特に、電磁弁100は、水素ガスに対応可能な電磁弁である。電磁弁100は、本体200と、弁体300と、ソレノイド380と、複数の戻しバネ390と、を備える。弁体300は、ソレノイド380から発生した磁界によって磁化される磁性弁体である。弁体300は、単一の板材から成る。具体的には、弁体300は、鉄や他の磁性材料から形成された単一の円板である。弁体300は、アーマチュア及び弁体が合体された組立体よりも小さく、且つ、軽量である。電磁弁100は、高い応答性を発揮する。なお、所定期間の経過後に、顕著な応答遅れが生ずる場合がある。
【0029】
このような、応答遅れの原因について補足する。液体を作動流体として取り扱う電磁弁に関して、開位置にある弁体が、壁面に当接する際に、弁体は、液体の表面張力によって、壁面に吸着される。このため、液体を作動流体として取り扱う電磁弁の弁体は、開位置において、壁面から離間される。一方で、気体の表面張力は、液体の表面張力よりも遙かに低い。このため、本実施形態では、弁体300を、ソレノイド380からの磁界に素早く反応させるために、気体の流動経路を閉じる閉位置だけでなく、気体の流動経路が開かれる開位置においても、弁体300を取り囲む壁面に弁体300が当接する構造を採用している。
【0030】
図1に示す電磁弁100は、気体の流出量を制御するために用いられる。気体は、例えば、水素ガスである。例えば、電磁弁100は、船舶用のガスエンジンの副室へ流入する燃料ガス(水素ガス)の流量を調整するために用いられる。電磁弁100は、開弁時に流出する気体の流量を、副室内の燃料の濃度が適切な範囲に収まるように調整する。
【0031】
本体200は、弁体300が変位するためのチャンバ210を形成する。弁体300は、チャンバ210内で、垂直方向に往復動する。ソレノイド380は、電源405(図4)から電流が供給される。ソレノイド380は、電流が供給されると、磁界を発生させる。弁体300は、磁界の発生によって磁化し、ソレノイド380(下方)に向けて変位する。戻しバネ390は、弁体300を押し上げる方向に力を発生させ、弁体300を押し上げる。
【0032】
本体200は、上ブロック220と、下ブロック230と、スペーサリング240と、を含む。上ブロック220の下方には、スペーサリング240が配置され、さらに下方に、下ブロック230が配置されている。上ブロック220と、下ブロック230及びスペーサリング240は、図中上方から見て、ほぼ円形の外形輪郭を有する。
【0033】
本体200は、円筒形である。上ブロック220は、円筒状の下部221と、円筒状の上部222とを含む。上部222と、下部221とは、ほぼ同心である。上部222は、下部221から上方に突出する。
【0034】
下部221は、流入口251(供給口)と、下面223と、上流路252とを含む。上流路252は、気体が流入する流入口251から延び、下面223に向けて屈曲し、流入口251から下面223へ繋がる流路である。流入口251は、外部の気体供給源(例えば、不図示の燃料混合器)に接続される。
【0035】
上部222には、気体が流出する流出口253を一端とする下流路254が形成される。下流路254は、チャンバ210から流出口253へ繋がる流路である。下流路254の上流端は、下部221の下面223側に形成される。流出口253は、気体を用いて所定の処理を行う外部装置(例えば、不図示のガスエンジンの副室)に接続される。
【0036】
スペーサリング240は、上ブロック220の下面223と、下ブロック230の上面232との間に配置される。チャンバ210は、スペーサリング240と、上ブロック220の下面223と、下ブロック230の上面232と、によって囲まれた領域である。弁体300は、チャンバ210内で図中の垂直方向に変位する。
【0037】
下ブロック230は、上面232を含む。上面232には、環状の収容溝231が形成されている。収容溝231には、ソレノイド380が収容される。ソレノイド380は、樹脂や他の封止剤によって収容溝231内に封止される。ソレノイド380は、電源405(図4)に電気的に接続され、電流が供給されると、磁界を発生させる。弁体300は、ソレノイド380によって発生させられた磁界に応じて磁化する。この結果、弁体300は、収容溝231が形成された下ブロック230の上面232に引き寄せられ、開弁状態となる。開弁状態になると、流入口251から流入した気体は、上流路252、チャンバ210および下流路254を通じて、流出口253から排出される。
【0038】
弁体300は、弁面310と、下面320と、周面330と、を含む。弁体300の弁面310は、上ブロック220の下面223に対向する。弁体300が閉弁状態にあるとき、弁体300の弁面310は、上ブロック220の下面223に当接する。また、弁体300の下面320は、下ブロック230の上面232に対向する。弁体300が開位置にあるとき、弁体300の下面320は、下ブロック230の上面232に当接する。弁体300の周面330は、スペーサリング240に対向する。弁体300の周面330は、スペーサリング240から離間しているため、弁体300とスペーサリング240との間で摩擦力は生じない。このため、弁体300は、高速で変位することができる。
【0039】
図2は、開弁状態における電磁弁100の一例を示す図である。図2に示すように、弁体300は、開弁状態となっている。開弁状態は、チャンバ210と、上流路252の下流端と、下流路254の上流端との間の連通を許容した状態である。
【0040】
ソレノイド380が発生させた磁界に応じて磁化された弁体300は、下ブロック230の上面232に引き寄せられる。このとき、戻しバネ390は、弁体300によって圧縮される。磁界が消失すると、弁体300は、戻しバネ390の復元力によって上方に移動して、閉弁状態となる。閉弁状態において、上ブロック220の下面223の領域は、弁体300の弁座260として機能する。
【0041】
ここで、水素ガスは、水素脆性(鋼材中に水素が吸収されることによって、鋼材が脆くなること)を起こす。このため、本実施形態において、弁体300の弁面310、および上ブロック220の下面223には、硬質化を目的とした表面処理が施されている。なお、当該表面処理は、弁面310および下面223の両方に施されていなくてもよく、これらのうちの少なくとも一方に施されていればよい。
【0042】
弁体300が閉弁状態にあるとき、ソレノイド380が、磁界を発生させると、弁体300は、磁界に応じて、下方に変位する。これにより、弁体300の下面320は、下ブロック230の上面232に当接する。このとき、弁面310は、上ブロック220の下面223から離れるので、流入口251から流入した気体は、上流路252、チャンバ210および下流路254を通じて、流出口253から排出される。
【0043】
なお、弁体300は、図示した形状および構成に限らない。例えば、弁体300は、垂直方向に延びる貫通孔を備え、垂直方向に往復動する磁性弁体に対する気体の抵抗を低減させることが可能な構成でもよい。
【0044】
(従来の弁体300の動作例)
図9は、従来の電磁弁制御装置による制御例を示す図である。図9において、指令901は、弁体300の開弁または閉弁に係る指示である。指令901は、上位装置であるシリンダコントローラ410(図4)から送信される。指令901は、開弁指令と閉弁指令とを含む。制御電流902は、ソレノイド380に供給する電流を示す。ストローク903は、弁体300の閉弁時を0とし、開弁時を100とした開放度合い(%)を示す。
【0045】
(タイミングt0)
図9において、指令901は、タイミングt0に至るまで、閉弁指令を示す。タイミングt0になると、電磁弁制御装置は、シリンダコントローラ410から開弁指令を受信する。開弁指令を受信すると、制御電流902は、電流値A1に制御される。ソレノイド380は、電流値A1が供給されると、磁界を発生させる。これにより、弁体300は、磁化し、ストローク903に示すように、開方向に素早く移動する。
【0046】
(タイミングt1)
タイミングt1になると、制御電流902は、電流値A2(<A1)に制御される。制御電流902をA2に制御することにより、弁体300を開位置に保持しつつ、消費エネルギーを減らことができる。また、ソレノイド380の発熱を抑えることができる。
【0047】
(タイミングt2)
タイミングt2になると、電磁弁制御装置は、シリンダコントローラ410から閉弁指令を受信する。閉弁指令を受信すると、制御電流902は、電流値A2からゼロに制御される。これにより、ソレノイド380に電流が供給されなくなり、磁界が消失する。よって、弁体300の磁化も消失し、弁体300は、戻しバネ390の復元力(戻す力)によって、ストローク903に示すように、閉方向に移動する。
【0048】
(タイミングt3)
タイミングt3は、弁体300が閉位置に移動した状態を示す。弁体300は、勢いよく閉方向に移動することにより、弁体300と弁座260とが衝突する。これにより、弁体300がバウンドしてしまう。図示するように、タイミングt3よりも後に、弁体300は、30%、20%のストローク903を示している。このため、バウンドした分、燃料がガスエンジンの副室へ流入することになるため、燃料の流入量にバラツキが生じてしまう。また、弁体300と弁座260との衝突により生じる衝撃により、弁体300表面や、上ブロック220の下面223が摩耗し、耐久性が低下してしまう。
【0049】
そこで、本実施形態では、弁体が閉位置に向かって移動を開始してから弁体と弁座とが衝突するまでの間に衝撃緩和制御を行い、弁体300と弁座260との衝突により生じる衝撃を抑えるようにしている。以下、図3を用いて、本実施形態に係る電磁弁制御装置について説明する。
【0050】
(水素対応制御システムStの機能的構成)
図3は、本実施形態に係る水素対応制御システムStの機能的構成の一例を示すブロック図である。水素対応制御システムStは、電磁弁100と、電磁弁制御装置400と、シリンダコントローラ410とを含む。電磁弁制御装置400は、電磁弁100を制御する。電磁弁100は、ソレノイド380により生じた電磁力で弁体300を弁座260(上ブロック220の下面223の領域)から吸引し、戻しバネ390で吸引前の位置に戻す。
【0051】
図3において、電磁弁制御装置400は、電流制御部401と、電圧検出部402と、推定部403との各機能部を備える。電磁弁制御装置400は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信I/F(インターフェース)等を備えるコンピュータ装置である。図3に示す電磁弁制御装置400の各機能部は、それぞれ、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。また、上記プログラムは、本実施形態に係る電磁弁制御プログラムを含む。
【0052】
以下では、図4を参照しつつ、各機能部について説明する。
図4は、本実施形態に係る電磁弁制御装置400による制御例を示す図である。
電流制御部401は、弁体300に対する開閉制御を実行する。開閉制御は、電源405から得た電流をソレノイド380に供給して弁体300を吸引する制御である。図4において、電流制御部401は、図9に示した制御例と同様に、タイミングt0において、シリンダコントローラ410から開弁指令を受信すると、ソレノイド380に電流値A1を供給する。これにより、弁体300は開方向に移動する。タイミングt1になると、電流制御部401は、制御電流902を電流A2に切り替える。そして、タイミングt2になると、シリンダコントローラ410から閉弁指令を受信し、電流制御部401は、ソレノイド380への供給電流をゼロにする。
【0053】
(誘起電圧の検出について)
電圧検出部402は、ソレノイド380に生じる誘起電圧420(図4)を検出する。誘起電圧420は、ソレノイド380の両端の電圧である。電圧検出部402は、ソレノイド380への電流の供給が停止した際に、すなわち、タイミングt2以降に、ソレノイド380に生じる誘起電圧420を検出する。タイミングt2以降に検出される誘起電圧420は、戻しバネ390の復元力によって、弁体300が吸引前の位置に向かって移動することに応じて生じる電圧である。本実施形態において、電圧検出部402は、少なくとも所定期間(例えば、タイミングt2~T1)の誘起電圧420の推移を検出する。
【0054】
(弁体300の位置または移動速度の推定について)
推定部403は、弁体300の位置または移動速度を推定する。具体的には、推定部403は、ソレノイド380の誘起電圧定数と、電圧検出部402によって検出された誘起電圧420とに基づいて、弁体300の位置または移動速度を推定する。誘起電圧定数は、予めソレノイド380に設定される既知の値である。具体的には、推定部403は、タイミングt2~T1に検出された誘起電圧420のそれぞれと、誘起電圧定数とに基づいて、タイミングt2~T1の弁体300の移動速度の推移を算出する。そして、推定部403は、算出した移動速度の推移を積分することによって弁体300の位置を推定する。
【0055】
(衝撃緩和制御について)
電流制御部401は、推定部403によって推定された位置と移動速度とに基づいて、ソレノイド380に電流を供給する衝撃緩和制御430(図4)を実行する。衝撃緩和制御430は、戻しバネ390により移動する弁体300の閉方向への移動を開始してから弁座260に着座するまでの間に実行される。具体的には、衝撃緩和制御430は、図4に示すように、タイミングT2~T3にかけて、ソレノイド380に電流を供給し、弁体を吸引し移動速度を抑える制御である。なお、衝撃緩和制御430の詳細については、図6を用いて後述する。
【0056】
タイミングt4は、弁体300が閉位置に移動した状態を示す。タイミングt4は、衝撃緩和制御430が行われたことによって弁体300がゆっくりと閉方向に移動するため、t3(図9)以降のタイミングである。すなわち、「t4≧t3」である。これにより、タイミングt3において、弁体300が閉位置に移動した際に、勢いよく弁座260に衝突することを抑えることができる。
【0057】
(電磁弁制御装置400が行う衝撃緩和制御処理の概要)
図5は、本実施形態に係る電磁弁制御装置400が行う衝撃緩和制御の概要を示すフローチャートである。図5に示すように、電磁弁制御装置400は、シリンダコントローラ410から閉弁指令を受信したか否かを判断する(ステップS501)。電磁弁制御装置400は、閉弁指令を受信するまで待機する(ステップS501:NO)。閉弁指令を受信すると(ステップS501:YES)、電圧検出部402は、所定期間(例えば、タイミングt2~T1)の誘起電圧420の推移を検出する(ステップS502)。
【0058】
そして、推定部403は、ソレノイド380の誘起電圧定数と、電圧検出部402によって検出された誘起電圧420の推移とに基づいて、弁体300の位置および移動速度を推定する(ステップS503)。次に、電流制御部401は、推定部403によって推定された位置と移動速度とに基づいて、ソレノイド380に電流を供給する衝撃緩和制御430を実行し(ステップS504)、一連の処理を終了する。
【0059】
(衝撃緩和制御430の詳細)
図6は、衝撃緩和制御430の詳細を示すフローチャートである。なお、以下に説明する各値の算出手順は一例に過ぎず、他の算出手順を採用することも可能である。
【0060】
図6において、電磁弁制御装置400は、制御周期「t」となるまで待機する(ステップS601:NO)。制御周期「t」は、例えばCPUの処理能力に応じた周期である。制御周期「t」になると(ステップS601:YES)、衝撃緩和制御430を開始するまでの移動距離「a」を算出する(ステップS602)。
【0061】
移動距離「a」は、制御周期「t」の間に弁体300が移動した距離である。具体的には、移動距離「a」は、先の制御周期「tc-1」までに算出した移動距離「at-1」と、今回の制御周期「t」において移動した距離と、を加算した値である。今回の制御周期「t」において移動した距離は、「速度×時間」によって得られる。ここで、ソレノイド380の誘起電圧(両端電圧)を「V」とし、誘起電圧定数を「K」とすると、弁体300の移動速度「v」は、「v=V/K」して表すことができる。このため、今回の制御周期「t」において移動した距離は、弁体300の移動速度「v=V/K」と、制御周期「t」とを乗算することによって得られる。このように、本実施形態において、電磁弁制御装置400は、ソレノイドの誘起電圧定数「K」と、誘起電圧「V」とに基づいて、弁体300の移動速度「v」を推定し、さらに、移動距離「a」を推定することを可能にしている。
【0062】
次に、電磁弁制御装置400は、弁体300に閉方向に沿って生じる閉力「F」を算出する(ステップS603)。閉力「F」は、バネ定数と水素ガスの圧力とに応じた値である。閉力「F」は、「質量×加速度」によって得られ、具体的には、弁体300の質量「m」と、弁体300の速度変化(加速度)とを乗算することによって得られる。弁体300の速度変化(加速度)は、弁体300の減速度「(v)-(vt-1)」を制御周期「t」で除算することによって得られる。
【0063】
次に、電磁弁制御装置400は、開力「F」の時間関数「f(t)」を取得する(ステップS604)。開力「F」は、ソレノイド380に電流を供給することによって、弁体300に対して開方向に沿って生じさせる力であり、時間に応じて変化する力である。時間関数「f(t)」は、(開力「F」)に応じた電流値(ソレノイド380に供給する電流値)の時間変化を示す関数である。時間関数「f(t)」は、実験により事前に求めた固定関数である。
【0064】
次に、電磁弁制御装置400は、開力によって弁体300の速度「v」がゼロになる時間「t」を算出する(ステップS605)。時間「t」は、弁体が閉位置へ移動するまでの時間であり、具体的には、制御周期「t」における下方向の速度「v」と、開力による上方向の速度とが同じ大きさになる時間である。開力による上方向の速度は、閉力「F」と、開力「F0t」との差分を時間で積分することによって得られる値(質量×速度)を、質量「m」で除算することによって得られる。
【0065】
そして、電磁弁制御装置400は、衝撃緩和制御430を行った後の移動距離「b」を算出する。移動距離「b」は、衝撃緩和制御430を行わないとした場合の移動距離(第1移動距離)から、衝撃緩和制御430を行ったとした場合の移動距離(第2移動距離)を減じた値である。具体的には、第1移動距離は、速度「v」に時間「t」を乗じた値である。第2移動距離は、閉力「F」と開力「F0t」との差分を時間で2回積分することによって得られる値(質量×距離)を、質量「m」で除算することによって得られる値である。
【0066】
そして、電磁弁制御装置400は、開力「F0t」によって速度「v」が0になるときの弁体300の位置が閉位置であるか否かの判断として、衝撃緩和制御430を開始するまでの移動距離「a」と、衝撃緩和制御430の開始後の移動距離「b」との加算値が、弁体300のストローク「x」(閉位置までの移動距離)を超えたか否かを判断する(ステップS607)。当該加算値が、ストローク「x」を超えない場合(ステップS607:NO)、すなわち、開力「F0t」によって速度「v」が0になるときの弁体300の位置が閉位置ではない場合、電磁弁制御装置400は、ステップS601に戻り、ステップS601~S607の処理を繰り返す。
【0067】
一方で、当該加算値が、ストローク「x」を超えたと判断した場合(ステップS607:YES)、すなわち、開力「F0t」によって速度「v」が0になるときの弁体300の位置が閉位置である場合、電磁弁制御装置400は、ステップS604において取得した時間関数「f(t)」から得られる開力「F」に応じた電流値をソレノイド380に供給する(ステップS608)。
【0068】
電磁弁制御装置400は、速度「v」がゼロになる時間「t」となるまで(ステップS609:NO)、ステップS608に戻り、時間関数「f(t)」から得られる開力「F」に応じた電流値をソレノイド380に供給する。そして、時間「t」になると(ステップS609:YES)、電磁弁制御装置400は、ソレノイド380への電流の供給を停止し(ステップS610)、一連の処理を終了する。このようにして、衝撃緩和制御430が行われる。
【0069】
なお、上述した説明では、ソレノイド380へ電流を供給する前に、既知の時間関数「f(t)」に基づいて開力を算出する例について示した。このような例に代えて又は加えて、電磁弁制御装置400は、ソレノイド380への電流の供給を開始した後に、制御周期「t」ごとに、誘起電圧「V」を検出するようにし、弁体300の位置および速度を推定するようにしてもよい。また、この場合、電磁弁制御装置400は、制御周期「t」ごとに推定した位置および速度に基づいて、衝撃緩和制御430(開力の算出、および開力に応じた電流値の供給)を行うようにすればよい。
【0070】
(本実施形態の作用・効果)
以上説明したように、電磁弁制御装置400は、ソレノイド380への電流の供給が停止した際に、戻しバネ390により弁体300が吸引前の位置に向かって移動することに応じてソレノイド380に生じる誘起電圧を検出する。そして、電磁弁制御装置400は、ソレノイド380の誘起電圧定数「K」と、検出された誘起電圧「V」と、に基づいて、弁体300の位置または移動速度を推定する。これにより、位置検出用のセンサを設けることなく、簡単な構成で弁体300の位置または移動速度を把握することができる。また、位置検出用のセンサを設けないため、その分のコストを低減させることができる。
【0071】
また、電磁弁制御装置400は、戻しバネ390により移動する弁体300が弁座260に着座する前に、推定した位置と移動速度とに基づいて、ソレノイド380に電流を供給して弁座260の閉弁速度を下げる衝撃緩和制御430を実行する。これにより、弁体300が閉弁状態となる際に、弁体300と弁座260との衝突を緩和することができる。したがって、弁体300がバウンドしてしまうことにより、燃料の投入量にバラツキが生じることを抑えることができる。また、弁体300の弁面310や、上ブロック220の下面223が摩耗してしまうことを抑えることができるため、電磁弁100の耐久性を向上させることができる。
【0072】
特に、本実施形態では、水素脆性を抑えるため、弁体300の弁面310および上ブロック220の下面223の少なくとも一方は、硬質化を目的とした表面処理を施すようにしている。この表面処理によって耐衝撃性および耐久性が低下したとしても、本実施形態では、衝撃緩和制御430を実行するようにしているため、衝撃を抑え、耐久性の低下を抑えることができる。このように、本実施形態に係る電磁弁制御装置400は、水素ガスに対応した電磁弁100に特に有用である。
【0073】
(実施形態の変形例)
次に、実施形態の変形例について説明する。なお、以下の変形例では、上述した実施形態で説明した内容については、適宜説明を省略する。また、以下の変形例、および上述した実施形態を組み合わせることも可能である。
【0074】
(変形例1)
まず、変形例1について説明する。変形例1では、シリンダコントローラ410からの指令901の送信タイミングを調整する例について説明する。
【0075】
図7Aは、衝撃緩和制御430を実行しない場合の弁体300の動作例を示す図である。図7Bは、衝撃緩和制御430を実行する場合の弁体300の動作例を示す図である。図7Cは、指令901の送信タイミングを変更した場合の弁体300の動作例を示す図である。図7A図7B、および図7Cにおいて、横軸(x軸)は時間(t)を示し、縦軸(y軸)は弁体300の開放度合い(ストローク:%)を示す。
【0076】
図7Aに示すように、衝撃緩和制御430を実行しない場合、弁体300は、タイミングt3に、閉位置へ移動する。一方で、上述した実施形態のように衝撃緩和制御430を行うと、弁体300は、図7Bに示すように、衝撃緩和制御430に伴う速度の低下により、タイミングt4(≧t3)に、閉位置へ移動する。弁体300は、タイミングt4で閉位置へ移動することにより、タイミングt3で閉位置へ移動する場合と比べて、開弁状態となっている時間が長くなる。
【0077】
これにより、船舶用のガスエンジンの副室へ流入する水素ガスの流入量が衝撃緩和制御を実行しない場合よりも多くなるおそれがある。なお、当該水素ガスの流入量は、ストローク903が示す線と、x軸との囲まれた面積で表すことができる。すなわち、図7Aにおけるタイミングt0~t3における当該面積と、図7Bにおけるタイミングt0~t4における当該面積とを比較すると、後者の方が大きくなるおそれがある。
【0078】
そこで、変形例1に係る衝撃緩和制御430では、弁体300の閉弁動作を早めに開始させることにより、燃料の流入量が多くならないようにしている。具体的な制御例について説明すると、変形例1において、シリンダコントローラ410は、開弁指令を送信する期間を調整する。例えば、図7Aおよび図7Bでは、シリンダコントローラ410は、タイミングt0~t2までの期間、開弁指令を送信し、タイミングt2になると、開弁指令を停止して、閉弁指令を送信する。一方で、図7Cに示すように、変形例1に係るシリンダコントローラ410は、タイミングt0~t5(<t2)までの期間、開弁指令を送信し、タイミングt5になると、開弁指令を停止して、閉弁指令を送信する。
【0079】
シリンダコントローラ410が行う指令(開弁指令または閉弁指令)を送信する期間の調整は、電磁弁制御装置400からの指示に基づいて行われる。例えば、電磁弁制御装置400は、前回の衝撃緩和制御430において算出した閉弁状態となったタイミングに基づいて、流入量の増加分を算出する。さらに、電磁弁制御装置400は、増加分に応じた閉弁開始タイミングを算出する。電磁弁制御装置400は、算出した閉弁開始タイミングをシリンダコントローラ410に送信する。シリンダコントローラ410は、電磁弁制御装置400から受信した閉弁開始タイミングに応じたタイミングに、閉弁指令の送信タイミングを調整する。
【0080】
なお、流入量の増加分の算出、および、閉弁開始タイミングの算出は、シリンダコントローラ410によって行われてもよい。すなわち、開弁指令を送信する期間の調整は、電磁弁制御装置400からの指示に基づいて行われることに限らず、シリンダコントローラ410自身で行われてもよい。
【0081】
次に、変形例1において、ソレノイド380に供給する電流の制御について説明する。電流制御部401は、送信タイミングがタイミングt5に調整された閉弁指令を受信することにより、衝撃緩和制御430を実行する。電流制御部401は、衝撃緩和制御430が実行される場合、衝撃緩和制御430が実行されない場合と比較して、開弁制御時にソレノイド380に供給する電流値と、電流の供給時間との積(電気量)を小さくする。具体的には、図7Aでは、t0~t2までの期間、所定の制御電流902(図4)が供給される。一方で、変形例1では、図7Cに示すように、t0~t5(<t2)までの期間、所定の制御電流902が供給される。これにより、変形例1に係る衝撃緩和制御430において、弁体300の閉弁動作を早めに開始させることができる。
【0082】
変形例1によれば、衝撃緩和制御430によって弁体300が開弁状態となっている時間が長くなることを抑制できる。したがって、衝撃緩和制御430によって燃料の流入量が多くなることを抑制することができる。
【0083】
(変形例2)
次に、変形例2について説明する。上述した実施形態では、推定した弁体300の位置と移動速度とに基づいて衝撃緩和制御430を実行する例について説明した。このような例に代えて又は加えて、変形例2では、弁体300の位置や移動速度を推定しなくても、衝撃緩和制御430を実行可能にする例について説明する。
【0084】
変形例2において、電流制御部401は、電圧検出部402による誘起電圧420の検出に応じて、弁体300が弁座260に着座する前に、ソレノイド380に電流を供給する衝撃緩和制御430を実行する。変形例2では、電流制御部401は、予め実験によって得られた、電流値データに基づいて、衝撃緩和制御430を実行する。当該電流値データは、誘起電圧420が検出された時刻から、弁体300が閉位置へ移動するまでの各時刻の電流値(衝撃緩和電流値)を示すデータである。
【0085】
電流制御部401は、開弁指令を受信した後に(あるいは、ソレノイド380への電流の供給を停止した後に)、弁体300の閉位置への移動に伴う所定の誘起電圧420が検出されると、電流値データに基づいて、経過時間ごとに衝撃緩和電流値をソレノイド380に供給する。これにより、電流制御部401は、衝撃緩和制御430を実行することができる。
【0086】
なお、変形例2に係る電流値データは、誘起電圧420の電圧値と、ソレノイド380に供給する電流値(衝撃緩和電流値)とを対応付けたデータとしてもよい。この場合、電流制御部401は、弁体300の閉位置への移動に伴う所定の誘起電圧420が検出されると、電流値データに基づいて、検出した電圧値に対応する電流値を取得して、当該電流値をソレノイド380に供給すればよい。
【0087】
変形例2によれば、弁体300の位置や移動速度を推定しなくても、衝撃緩和制御430を実行することができる。したがって、より簡単な制御で、弁体300が閉弁状態となる際の弁体300と弁座260との衝撃を緩和することができる。
【0088】
また、変形例2に係る電流値データは、一定の電流値または徐々に電流値を徐々に増加させるデータとすることも可能である。これにより、徐々に電流値を低減するようにした場合と比較して、閉弁時の応答性を維持しつつ、着座の衝撃を緩和できるというメリットがある。
【0089】
(変形例3)
次に、変形例3について説明する。上述した実施形態では、誘起電圧420の検出に応じて衝撃緩和制御430を実行する例について説明した。このような例に代えて又は加えて、変形例3では、誘起電圧420を検出しなくても、衝撃緩和制御430を実行可能にする例について説明する。
【0090】
変形例3において、電流制御部401は、開弁制御の実行後に閉弁指令を受信したことに応じてソレノイド380への電流供給を停止し、電流供給の停止時点から所定時間が経過すると、ソレノイド380に衝撃緩和電流を供給する衝撃緩和制御430を実行する。変形例3では、電流制御部401は、予め実験によって得られた、電流値データに基づいて、衝撃緩和制御430を実行する。当該電流値データは、電流の供給の停止した時刻から、弁体300が閉位置へ移動するまでの各時刻の電流値(衝撃緩和電流値)を示すデータである。
【0091】
電流制御部401は、閉弁指令を受信した後に(あるいは、電流の供給を停止した後に)、当該電流値データに基づいて、経過時間ごとに衝撃緩和電流値をソレノイド380に供給する。これにより、電流制御部401は、衝撃緩和制御430を実行することができる。
【0092】
変形例3によれば、誘起電圧420を検出しなくても、衝撃緩和制御430を実行することができる。したがって、より簡単な制御で、弁体300が閉弁状態となる際の弁体300と弁座260との衝撃を緩和することができる。
【0093】
また、変形例3に係る電流値データは、一定の電流値または徐々に電流値を徐々に増加させるデータとすることも可能である。これにより、徐々に電流値を低減するようにした場合と比較して、閉弁時の応答性を維持しつつ、着座の衝撃を緩和できるというメリットがある。
【0094】
(変形例4)
次に、変形例4について説明する。上述した実施形態に加えて、変形例4に係る衝撃緩和制御430では、例えば、ソレノイド380に供給する電流(供給電流)を、初めは低くし、最後の方を高くする。例えば、衝撃緩和制御430は、所定時間が経過するまでは、供給電流の電流値を低くし、所定時間経過後に、供給電流の電流値を高くする制御としてもよい。また、衝撃緩和制御430は、当該制御の開始から終了までに徐々に供給電流の電流値を高くする制御としてもよい。
【0095】
変形例4によれば、燃料の流入量の制御をしやすくすることができるとともに、弁体300と弁座260との衝撃を確実に防止できる。
【0096】
(変形例5)
次に、変形例5について説明する。上述した実施形態では、閉弁時において衝撃緩和制御430を実行する例について説明した。このような例に代えて又は加えて、変形例5では、開弁時において衝撃緩和制御を実行する例について説明する。
【0097】
電流制御部401による開弁制御において、ソレノイド380への電流の供給と停止とを繰り返して弁体を吸引する。具体的には、図4に示したように、時刻t0~t1の間に、電流値A1の供給と停止とを繰り返す。また、変形例5において、電圧検出部402は、開弁制御における電流の供給が停止した際の誘起電圧を検出する。具体的には、電圧検出部402は、図4の下方側に伸びる誘起電圧420aを検出する。
【0098】
推定部403は、誘起電圧定数「K」と誘起電圧420a「V」とに基づいて、開弁制御時の弁体300の移動速度「v」を推定することが可能である。また、電流制御部401は、前回の開弁制御時に推定された移動速度「v」に基づいて、今回ソレノイド380に供給する電流値を調整する。具体的には、変形例5に係る衝撃緩和制御は、吸引によって弁体300が開位置に移動する前に、前回推定された移動速度「v」に基づいて、ソレノイド380に電流を供給する制御である。
【0099】
図8は、変形例5に係る開弁時において衝撃緩和制御を実行した際の一例を示す図である。図8に示すように、衝撃緩和制御800は、タイミングt0~t1にかけて、ソレノイド380に所定の電流を供給する制御である。これにより、弁体300が開位置に移動した際に、勢いよく移動すること(衝撃)を抑え、すなわち、開位置におけるバウンドを抑えることができる。
【0100】
また、変形例5において、弁体300の下面320、および下ブロック230の上面232には、硬質化を目的とした表面処理が施されている。なお、当該表面処理は、下面320および上面232の両方に施されていなくてもよく、これらのうちの少なくとも一方に施されていればよい。
【0101】
変形例5によれば、位置検出用のセンサ等を設けることなく、簡単な構成で、開弁時における弁体300は移動速度を把握することができる。また、衝撃緩和制御800によって、開弁時おいて燃料の流入量にバラツキが生じることを抑えることができる。さらに、弁体300の下面320や、下ブロック230の上面232が摩耗することを抑え、電磁弁100の耐久性を向上させることができる。
【0102】
なお、衝撃緩和制御800を行うと、弁体300は、衝撃緩和制御800に伴う速度の低下により、タイミングt1よりも遅いたタイミングで開位置へ移動することが想定される。すなわち、弁体300が開弁状態となっている時間が短くなることが想定される。ただし、この点については、変形例1と同様に、シリンダコントローラ410からの指令901の送信タイミングを可変にすることにより、流入量を調整すればよい。
【0103】
なお、上述した説明では、電磁弁制御装置400を、気体用(例えば、水素ガス用)の電磁弁100に適用する例について説明したが、これに限らない。電磁弁制御装置400は、液体用の電磁弁100に適用することも可能である。
【0104】
なお、以上に説明した電磁弁制御装置400を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0105】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0106】
本明細書で開示した実施形態及び変形例において、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けてもよく、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0107】
St…水素対応制御システム、100…電磁弁、251…流入口、260…弁座、300…弁体、380…ソレノイド、390…戻しバネ、400…電磁弁制御装置、401…電流制御部、402…電圧検出部、703…推定部、410…シリンダコントローラ、430…衝撃緩和制御
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9