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特開2024-153454ガスタービンプラント、及びその運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153454
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ガスタービンプラント、及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 6/08 20060101AFI20241022BHJP
   F02C 6/16 20060101ALI20241022BHJP
   F02C 9/48 20060101ALI20241022BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
F02C6/08
F02C6/16
F02C9/48
F02C6/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067356
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】奥井 英貴
(72)【発明者】
【氏名】上地 英之
(72)【発明者】
【氏名】中村 太一
(57)【要約】
【課題】ガスタービン出力調整を柔軟に対応しつつも、ガスタービンからの抽気空気の体積を縮小化するためのエネルギー消費を抑える。
【解決手段】ガスタービンと、前記ガスタービンの前記圧縮機で生成された前記圧縮空気の一部を抽気空気として抽気可能な抽気ラインと、前記抽気ラインから分岐している分岐ラインと、前記分岐ラインに接続され前記分岐ラインを流れてきた前記抽気空気により駆動可能な抽気タービンと、前記抽気ラインに接続され、前記抽気ラインを流れてきた前記抽気空気の体積を縮小化可能な体積縮小化装置と、を備える。前記体積縮小化装置は、前記抽気空気を圧縮可能な装置内圧縮機と、前記装置内圧縮機の駆動をアシストするアシスト機構と、を有する。前記アシスト機構は、前記抽気タービンの駆動エネルギーを前記少なくとも一の装置内圧縮機の駆動に利用させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮可能な圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された空気である圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動可能なタービンと、を有するガスタービンと、
前記圧縮機で生成された前記圧縮空気の一部を抽気空気として、前記ガスタービンから抽気可能な抽気ラインと、
前記抽気ラインから分岐している分岐ラインと、
前記分岐ラインに接続され前記分岐ラインを流れてきた前記抽気空気により駆動可能な抽気タービンと、
前記抽気ラインに接続され、前記抽気ラインを流れてきた前記抽気空気の体積を縮小化可能な体積縮小化装置と、
を備え、
前記体積縮小化装置は、前記抽気空気を圧縮可能な一以上の装置内圧縮機と、前記一以上の装置内圧縮機のうちの少なくとも一の装置内圧縮機の駆動をアシストするアシスト機構と、を有し、
前記一以上の装置内圧縮機は、前記抽気ラインに接続され、前記抽気ラインを流れてきた前記抽気空気を圧縮可能な抽気圧縮機を含み、
前記アシスト機構は、前記抽気タービンの駆動エネルギーを前記少なくとも一の装置内圧縮機の駆動に利用させる機構である、
ガスタービンプラント。
【請求項2】
請求項1に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記アシスト機構は、前記抽気タービンの駆動力を前記少なくとも一の装置内圧縮機に機械的に伝達可能な駆動力伝達機を有する、
ガスタービンプラント。
【請求項3】
請求項1に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記一以上の装置内圧縮機毎に連結されている装置内電動機を備え、
前記アシスト機構は、前記抽気タービンの駆動で発電可能な抽気タービン発電機と、前記抽気タービン発電機で発電された電力を、前記一以上の装置内圧縮機毎に連結されている装置内電動機のうち、少なくとも一の装置内電動機に送ることが可能な電力系統と、を有する、
ガスタービンプラント。
【請求項4】
請求項1に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記体積縮小化装置は、空気液化装置であり、
前記空気液化装置は、
前記抽気圧縮機で圧縮された前記抽気空気と冷却媒体とを熱交換させて、前記抽気空気を冷却可能な熱交換器と、
前記熱交換器で冷却された前記抽気空気を減圧して、前記抽気空気の少なくとも一部を液化可能な空気液化用減圧器と、
を有する、
ガスタービンプラント。
【請求項5】
請求項4に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記空気液化装置は、
前記抽気ライン中で、前記分岐ラインが分岐している位置よりも前記抽気圧縮機側の位置に配置され、前記抽気ラインを流れる前記抽気空気を減圧可能な抽気減圧器と、
前記空気液化用減圧器からの前記抽気空気が流入可能で、前記抽気空気を液体の前記抽気空気である液体空気と気体の前記抽気空気である気体空気とに分離可能な気液分離器と、
前記気液分離器内の前記気体空気を前記抽気ライン中で前記抽気減圧器よりも前記抽気圧縮機側の位置に導くことが可能な気体空気戻しラインと、
を有する、
ガスタービンプラント。
【請求項6】
請求項4に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記空気液化装置は、
前記空気液化用減圧器からの前記抽気空気が流入可能で、前記抽気空気を液体の前記抽気空気である液体空気と気体の前記抽気空気である気体空気とに分離可能な気液分離器と、
前記気液分離器内の前記気体空気を前記抽気ライン中で前記分岐ラインが分岐している位置よりも前記抽気圧縮機側の位置に導くことが可能な気体空気戻しラインと、
前記気体空気戻しライン中に設けられ、前記気液分離器からの前記気体空気を昇圧可能な戻し空気昇圧機と、
を有する、
ガスタービンプラント。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記熱交換器は、前記抽気圧縮機で圧縮された前記抽気空気と、前記冷却媒体としての前記気体空気戻しラインを流れる前記気体空気とを熱交換可能である、
ガスタービンプラント。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記体積縮小化装置は、空気分離装置であり、
前記空気分離装置は、
前記抽気圧縮機で圧縮された前記抽気空気と冷却媒体とを熱交換させて、前記抽気空気を冷却可能な熱交換器と、
前記熱交換器で冷却された前記抽気空気を減圧して、前記抽気空気中の窒素を液化させずに前記抽気空気中の酸素を液化可能な酸素液化用減圧器と、
を有する、
ガスタービンプラント。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記体積縮小化装置は、圧縮空気貯蔵装置であり、
前記圧縮空気貯蔵装置は、前記抽気圧縮機で圧縮された前記抽気空気を貯蔵可能な圧縮空気タンクを有する、
ガスタービンプラント。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記燃焼器に供給する燃料の流量を調節可能な燃料調節弁と、
前記ガスタービンから前記抽気ラインに流入する前記抽気空気の流量を調節可能な抽気調節弁と、
前記燃料調節弁及び前記抽気調節弁を制御可能な制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
ガスタービンに要求される要求出力を受け付け、前記要求出力に応じて前記燃料調節弁の開度を制御する燃料制御器と、
前記要求出力を受け付け、前記要求出力に応じて前記抽気調節弁の開度を制御する抽気制御器と、
を有し、
前記抽気制御器は、前記要求出力が予め定められた出力以上の場合に、前記抽気調節弁に閉を指示し、前記要求出力が前記予め定められた出力未満の場合に、前記抽気調節弁に開を指示する、
ガスタービンプラント。
【請求項11】
請求項10に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記抽気ラインから前記抽気圧縮機に流入する前記抽気空気と、前記分岐ラインから前記抽気タービンに流入する前記抽気空気との流量比を調節可能な分岐調節弁を備え、
前記制御装置は、前記分岐調節弁の開度を制御する分岐制御器を有する、
ガスタービンプラント。
【請求項12】
空気を圧縮可能な圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された空気である圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動可能なタービンと、を有するガスタービンを備えるガスタービンプラントの運転方法において、
前記ガスタービンに接続されている抽気ラインにより、前記圧縮機で生成された前記圧縮空気の一部を抽気空気として抽気する抽気工程と、
前記抽気ラインを流れる前記抽気空気の一部を前記抽気ラインから分岐している分岐ラインに流す抽気分岐工程と、
前記分岐ラインを流れてきた前記抽気空気により抽気タービンを駆動させる抽気タービン駆動工程と、
前記抽気ラインを流れてきた抽気空気の体積を縮小化する体積縮小化工程と、
を実行し、
前記体積縮小化工程は、
前記抽気空気を圧縮可能な一以上の装置内圧縮機で圧縮する圧縮工程と、
前記抽気タービンの駆動エネルギーを前記一以上の装置内圧縮機のうちの少なくとも一の装置内圧縮機の駆動に利用させるアシスト工程と、
を含み、
前記圧縮工程は、前記抽気ラインに接続され、前記抽気ラインを流れてきた前記抽気空気を圧縮可能な抽気圧縮機で、前記抽気空気を圧縮する抽気圧縮工程を含む、
ガスタービンプラントの運転方法。
【請求項13】
請求項12に記載のガスタービンプラントの運転方法において、
前記体積縮小化工程は、空気液化工程であり、
前記空気液化工程は、
前記抽気圧縮機で圧縮された前記抽気空気と冷却媒体とを熱交換させて、前記抽気空気を冷却する熱交換工程と、
前記熱交換工程で冷却された前記抽気空気を減圧して、前記抽気空気の少なくとも一部を液化する空気液化用減圧工程と、
を含む、
ガスタービンプラントの運転方法。
【請求項14】
請求項13に記載のガスタービンプラントの運転方法において、
前記空気液化工程は、
前記抽気ライン中で、前記分岐ラインが分岐している位置よりも前記抽気圧縮機側の位置に配置されている抽気減圧器で、前記抽気ラインを流れる前記抽気空気を減圧する抽気減圧工程と、
前記空気液化用減圧工程を経た前記抽気空気を液体の前記抽気空気である液体空気と気体の前記抽気空気である気体空気とに分離する気液分離工程と、
前記気液分離工程で得られた前記気体空気を前記抽気ライン中で前記抽気減圧器よりも前記抽気圧縮機側の位置に導く気体空気戻し工程と、
を含む、
ガスタービンプラントの運転方法。
【請求項15】
請求項13に記載のガスタービンプラントの運転方法において、
前記空気液化工程は、
前記空気液化用減圧工程を経た前記抽気空気を液体の前記抽気空気である液体空気と気体の前記抽気空気である気体空気とに分離する気液分離工程と、
前記気液分離工程で得られた前記気体空気を昇圧する空気昇圧工程と、
前記空気昇圧工程で昇圧された前記気体空気を前記抽気ライン中で前記分岐ラインが分岐している位置よりも前記抽気圧縮機側の位置に導く気体空気戻し工程と、
を含む、
ガスタービンプラントの運転方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のガスタービンプラントの運転方法において、
前記熱交換工程では、前記抽気圧縮機で圧縮された前記抽気空気と前記冷却媒体として前記気液分離工程で得られた前記気体空気とを熱交換させる、
ガスタービンプラントの運転方法。
【請求項17】
請求項12に記載のガスタービンプラントの運転方法において、
前記体積縮小化工程は、空気分離工程であり、
前記空気分離工程は、
前記抽気圧縮機で圧縮された前記抽気空気と冷却媒体とを熱交換させて、前記抽気空気を冷却する熱交換工程と、
前記熱交換工程で冷却された前記抽気空気を減圧して、前記抽気空気中の窒素を液化させずに前記抽気空気中の酸素を液化する酸素液化用減圧工程と、
を含む、
ガスタービンプラントの運転方法。
【請求項18】
請求項12に記載のガスタービンプラントの運転方法において、
前記体積縮小化工程は、圧縮空気貯蔵工程であり、
前記圧縮空気貯蔵工程では、前記抽気圧縮機で圧縮された前記抽気空気を圧縮空気タンクに貯蔵する、
ガスタービンプラントの運転方法。
【請求項19】
請求項12から15のいずれか一項に記載のガスタービンプラントの運転方法において、
前記ガスタービンプラントは、前記燃焼器に供給する燃料の流量を調節可能な燃料調節弁と、前記ガスタービンから前記抽気ラインに流入する前記抽気空気の流量を調節可能な抽気調節弁と、を備え、
前記燃料調節弁及び前記抽気調節弁を制御する制御工程を実行し、
前記制御工程は、
前記ガスタービンに要求される要求出力を受け付け、前記要求出力に応じて前記燃料調節弁の開度を制御する燃料制御工程と、
前記要求出力を受け付け、前記要求出力に応じて前記抽気調節弁の開度を制御する抽気制御工程と、
を含み、
前記抽気制御工程では、前記要求出力が予め定められた出力以上の場合に、前記抽気調節弁に閉を指示し、前記要求出力が前記予め定められた出力未満の場合に、前記抽気調節弁に開を指示する、
ガスタービンプラントの運転方法。
【請求項20】
請求項19に記載のガスタービンプラントの運転方法において、
前記ガスタービンプラントは、前記抽気ラインから前記抽気圧縮機に流入する前記抽気空気と、前記分岐ラインから前記抽気タービンに流入する前記抽気空気との流量比を調節可能な分岐調節弁を備え、
前記制御工程は、前記分岐調節弁の開度を制御する分岐制御工程を含む、
ガスタービンプラントの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンを備えるガスタービンプラント、及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、燃焼ガスにより駆動するタービンと、を備えている。
【0003】
以下の特許文献1には、電力系統の負荷変動に応じて、ガスタービン出力を増減させる技術が開示されている。この技術では、圧縮機で圧縮された空気の一部をガスタービンから抽気し、この抽気空気を空気液化装置で液化する。このように、特許文献1に記載の技術では、圧縮機で圧縮された空気の一部をガスタービンから抽気することで、ガスタービン出力を抑えることができる。さらに、特許文献1に記載の技術では、液体空気を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-205353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、ガスタービン出力を抑えることができるので、ガスタービン出力調整を柔軟に対応できる。
【0006】
上記特許文献1における空気液化装置のように、抽気空気の体積を縮小化する体積縮小化装置に関しては、その駆動エネルギー消費を抑えることが望まれる。
【0007】
そこで、本開示は、ガスタービン出力調整を柔軟に対応できる上に、ガスタービンからの抽気空気の体積を縮小化するためのエネルギー消費を抑えることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための一態様としてのガスタービンプラントは、
空気を圧縮可能な圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された空気である圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動可能なタービンと、を有するガスタービンと、前記圧縮機で生成された前記圧縮空気の一部を抽気空気として、前記ガスタービンから抽気可能な抽気ラインと、前記抽気ラインから分岐している分岐ラインと、前記分岐ラインに接続され前記分岐ラインを流れてきた前記抽気空気により駆動可能な抽気タービンと、前記抽気ラインに接続され、前記抽気ラインを流れてきた前記抽気空気の体積を縮小化可能な体積縮小化装置と、を備える。前記体積縮小化装置は、前記抽気空気を圧縮可能な一以上の装置内圧縮機と、前記一以上の装置内圧縮機のうちの少なくとも一の装置内圧縮機の駆動をアシストするアシスト機構と、を有する。前記一以上の装置内圧縮機は、前記抽気ラインに接続され、前記抽気ラインを流れてきた前記抽気空気を圧縮可能な抽気圧縮機を含む。前記アシスト機構は、前記抽気タービンの駆動エネルギーを前記少なくとも一の装置内圧縮機の駆動に利用させる機構である。
【0009】
本態様では、圧縮機で生成された圧縮空気の一部が燃焼器に流入せずに、ガスタービンから抽気される。このため、本態様では、ガスタービンの出力を抑えることができるので、ガスタービンの出力調整を柔軟に対応できる。
【0010】
本態様では、分岐ラインを流れてきた抽気空気により抽気タービンが駆動する。また、本態様では、体積縮小化装置の抽気圧縮機が、抽気ラインを流れてきた抽気空気を圧縮する。アシスト機構は、抽気タービンの駆動エネルギーを少なくとも一の装置内圧縮機の駆動に利用させる。このため、本態様では、装置内圧縮機の駆動エネルギー消費を抑えることができる。よって、本態様では、ガスタービンからの抽気空気の体積を縮小化するためのエネルギー消費を抑えることができる。
【0011】
本態様では、ガスタービンからの抽気空気のうち、一部を抽気タービンに駆動に利用し、残りの抽気空気の体積を縮小化する。ここで、本態様に対する比較例について説明する。比較例では、ガスタービンからの全ての抽気空気の体積を縮小化する。比較例と本態様とで同じ流量の抽気空気の体積を縮小する仮定すると、本態様の方が、比較例よりも、ガスタービンから抽気する圧縮空気の流量が多くなる。よって、本態様では、比較例よりも、燃焼器に流入する圧縮空気の流量が少なくなり、比較例よりもガスタービン出力を抑えることができる。
【0012】
前記目的を達成するための一態様としてのガスタービンプラントの運転方法は、
空気を圧縮可能な圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された空気である圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動可能なタービンと、を有するガスタービンを備えるガスタービンプラントの運転方法である。
この運転方法では、前記ガスタービンに接続されている抽気ラインにより、前記圧縮機で生成された前記圧縮空気の一部を抽気空気として抽気する抽気工程と、前記抽気ラインを流れる前記抽気空気の一部を前記抽気ラインから分岐している分岐ラインに流す抽気分岐工程と、前記分岐ラインを流れてきた前記抽気空気により抽気タービンを駆動させる抽気タービン駆動工程と、前記抽気ラインを流れてきた抽気空気の体積を縮小化する体積縮小化工程と、を実行する。前記体積縮小化工程は、前記抽気空気を圧縮可能な一以上の装置内圧縮機で圧縮する圧縮工程と、前記抽気タービンの駆動エネルギーを前記一以上の装置内圧縮機のうちの少なくとも一の装置内圧縮機の駆動に利用させるアシスト工程と、を含む。前記圧縮工程は、前記抽気ラインに接続され、前記抽気ラインを流れてきた前記抽気空気を圧縮可能な抽気圧縮機で、前記抽気空気を圧縮する抽気圧縮工程を含む。
【0013】
本態様の運転方法を実行することにより、前記一態様におけるガスタービンプラントと同様、ガスタービンの出力調整を柔軟に対応できる上に、ガスタービンからの抽気空気の体積を縮小化するためのエネルギー消費を抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様では、ガスタービン出力調整を柔軟に対応できる上に、ガスタービンからの抽気空気の体積を縮小化するためのエネルギー消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示に係る第一実施形態におけるガスタービンプラントの系統図である。
図2】本開示に係る第一実施形態におけるガスタービンプラントの動作を示すフローチャートである。
図3】本開示に係る第二実施形態におけるガスタービンプラントの系統図である。
図4】本開示に係る第二実施形態におけるガスタービンプラントの動作を示すフローチャートである。
図5】本開示に係る第三実施形態におけるガスタービンプラントの系統図である。
図6】本開示に係る第三実施形態におけるガスタービンプラントの動作を示すフローチャートである。
図7】本開示に係る第四実施形態におけるガスタービンプラントの系統図である。
図8】本開示に係る第四実施形態におけるガスタービンプラントの動作を示すフローチャートである。
図9】本開示に係る第二実施形態の変形例におけるガスタービンプラントの系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示に係るガスタービンプラントの各種実施形態及び各種変形例について、図面を用いて説明する。
【0017】
「第一実施形態」
以下、本開示に係るガスタービンプラントの第一実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。
【0018】
本実施形態におけるガスタービンプラントは、図1に示すように、ガスタービン1と、ガスタービン1から排気された排気ガスの熱を利用する排熱利用設備20と、ガスタービン1内の空気の一部を抽気して、これを処理する抽気設備30と、電力設備60と、制御装置100と、を備える。
【0019】
ガスタービン1は、空気Aを圧縮可能な圧縮機10と、圧縮機10で圧縮された空気である圧縮空気中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器15と、燃料調節弁5と、高温高圧の燃焼ガスにより駆動可能なタービン16と、中間ケーシング3と、を備える。
【0020】
圧縮機10は、ロータ軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ11と、この圧縮機ロータ11を覆う圧縮機ケーシング12と、吸気量調節機13と、を有する。ここで、ロータ軸線Arが延びる方向を軸線方向Daとし、この軸線方向Daの両側のうち、一方側を軸線上流側Dau、他方側を軸線下流側Dadとする。
【0021】
圧縮機ロータ11は、ロータ軸線Arを中心として軸線方向Daに延びる圧縮機ロータ軸11sと、この圧縮機ロータ軸11sに固定されている複数の動翼列11bと、を有する。複数の動翼列11bは、軸線方向Daに並んでいる。複数の動翼列11bは、いずれも、ロータ軸線Arに対する周方向に並ぶ複数の動翼を有する。吸気量調節機13は、圧縮機ケーシング12内であって複数の動翼列11bよりも軸線上流側Dauに配置されている複数の入口案内翼(IGV(Inlet Guide Vane)とする)13vと、各入口案内翼13vの向きを変更できる駆動機13dと、を有する。
【0022】
タービン16は、圧縮機10の軸線下流側Dadに配置されている。このタービン16は、燃焼器15からの燃焼ガスにより、ロータ軸線Arを中心として回転するタービンロータ17と、このタービンロータ17を覆うタービンケーシング18と、を有する。
【0023】
タービンロータ17は、ロータ軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるタービンロータ軸17sと、このタービンロータ軸17sに固定されている複数の動翼列17bと、を有する。複数の動翼列17bは、軸線方向Daに並んでいる。複数の動翼列17bは、いずれも、ロータ軸線Arに対する周方向に並ぶ複数の動翼を有する。
【0024】
タービンロータ17と圧縮機ロータ11とは、同一のロータ軸線Arを中心として一体回転可能に相互に連結されて、ガスタービンロータ2を成す。このガスタービンロータ2には、GT発電機6のロータが接続されている。
【0025】
中間ケーシング3は、ロータ軸線Arが延びている方向で、圧縮機ケーシング12とタービンケーシング18との間に配置され、圧縮機ケーシング12とタービンケーシング18とを連結する。この中間ケーシング3内には、圧縮機10から吐出された圧縮空気が流入する。燃焼器15は、中間ケーシング3に固定されている。燃焼器15には、燃料ライン4が接続されている。燃料ライン4には、この燃料ライン4を流れる燃料Fの流量を調節する前述の燃料調節弁5が設けられている。
【0026】
排熱利用設備20は、排熱回収ボイラー21と、煙突22と、排熱回収ボイラー21からの蒸気で駆動する蒸気タービン23と、排熱回収ボイラー21で発生した蒸気を蒸気タービン23に導くことができる主蒸気ライン24と、蒸気タービン23から排気された蒸気を水に戻すことが可能な復水器25と、復水器25内の水を排熱回収ボイラー21に導くことができる給水ライン26と、給水ライン26中に設けられている給水ポンプ27と、を備える。蒸気タービン23のロータには、このロータの回転で回転可能な駆動対象が接続されている。この駆動対象としては、例えば、GT発電機6のロータ、GT発電機6とは独立したST発電機のロータ、ポンプのインペラ―等がある。
【0027】
排熱回収ボイラー21は、タービン16から排気された燃焼ガスである排気ガスの熱を利用して水を蒸発させて蒸気を生成できる。この排熱回収ボイラー21は、タービンケーシング18に接続されているダクト21dと、ダクト21d内に配置されている伝熱管21tと、を有する。ダクト21d内には、タービン16からの排気ガスが流れる。また、伝熱管21t内には、液体の水又は気体の水が流れる。伝熱管21tの一端は、水入口を成し、給水ライン26に接続されている。また、伝熱管21tの他端は、蒸気出口を成し、主蒸気ライン24に接続されている。煙突22は、排熱回収ボイラー21のダクト21dに接続されている。
【0028】
抽気設備30は、圧縮機10で生成された圧縮空気の一部を抽気空気として、ガスタービン1から抽気可能な抽気ライン31と、抽気調節弁32と、抽気ライン31から分岐している分岐ライン33と、分岐調節弁34と、分岐ライン33を流れてきた抽気空気により駆動可能な抽気タービン35と、抽気ライン31を流れてきた抽気空気を液化可能な空気液化装置40と、を備える。
【0029】
抽気ライン31の両端のうちの一端は、ガスタービン1の中間ケーシング3に接続されている。抽気ライン31の他端は、空気液化装置40に接続されている。よって、この抽気ライン31には、中間ケーシング3内に流入した圧縮空気の一部が流入可能である。
【0030】
抽気タービン35は、回転可能な抽気タービンロータ36と、この抽気タービンロータ36を覆う抽気タービンケーシング37と、を有する。抽気タービンケーシング37には、分岐ライン33が接続されている。よって、抽気タービンケーシング37には、分岐ライン33を流れてきた抽気空気が流入可能である。抽気タービンロータ36は、この抽気空気により回転する。
【0031】
抽気調節弁32は、抽気ライン31中で、分岐ライン33の分岐位置よりもガスタービン1の側に設けられている。この抽気調節弁32は、ガスタービン1から抽気ライン31に流入する抽気空気の流量を調節可能である。分岐調節弁34は、分岐ライン33に設けられている。この分岐調節弁34は、抽気ライン31から空気液化装置40に流入する抽気空気と、分岐ライン33から抽気タービン35に流入する抽気空気との流量比を調節可能である。なお、この分岐調節弁34は、抽気ライン31中で、分岐ライン33の分岐位置よりも空気液化装置40の側に設けられてもよい。
【0032】
空気液化装置40は、抽気ライン31を流れてきた抽気空気の体積を縮小化可能な体積縮小化装置の一種である。この空気液化装置40は、装置内圧縮機41と、アシスト機構45,45dと、熱交換器50と、空気液化用減圧器51と、気液分離器52と、抽気減圧器53と、気体空気戻しライン54と、液体空気ポンプ55と、液体空気タンク56と、を有する。
【0033】
本実施形態では、装置内圧縮機41の一つである抽気圧縮機42を有する。この抽気圧縮機42は、回転可能な抽気圧縮機ロータ42rと、抽気圧縮機ロータ42rを覆う抽気圧縮機ケーシング42cと、を有する。抽気圧縮機ケーシング42cには、抽気ライン31の他端が接続されている。よって、抽気圧縮機ケーシング42c内には、抽気ライン31からの抽気空気が流入可能である。抽気圧縮機ロータ42rには、装置内電動機57の一つである抽気圧縮電動機58が接続されている。抽気圧縮機ロータ42rは、この抽気圧縮電動機58により回転して、抽気圧縮機ケーシング42c内に流入した抽気空気を圧縮可能である。
【0034】
アシスト機構45は、抽気タービン35の駆動エネルギーを装置内圧縮機41である抽気圧縮機42の駆動に利用させる機構である。このアシスト機構45は、抽気タービン35の駆動力を抽気圧縮機42に機械的に伝達可能な駆動力伝達機46を有する。駆動力伝達機46は、抽気タービンロータ36に接続されている入力軸46iと、抽気圧縮機ロータ42rに接続されている出力軸46oと、を有する。
【0035】
熱交換器50は、抽気圧縮機42で圧縮された抽気空気と冷却媒体とを熱交換させて、抽気空気を冷却可能である。空気液化用減圧器51は、熱交換器50で冷却された抽気空気を減圧して、抽気空気の少なくとも一部を液化可能である。気液分離器52は、空気液化用減圧器51からの抽気空気が流入可能で、抽気空気を液体の抽気空気である液体空気と気体の抽気空気である気体空気とに分離可能である。抽気減圧器53は、抽気ライン31中で、分岐ライン33の分岐位置よりも抽気圧縮機42の側の位置に設けられ、抽気ライン31を流れる抽気空気を減圧可能である。気体空気戻しライン54は、気液分離器52内の気体空気を抽気ライン31中で抽気減圧器53よりも抽気圧縮機42の側の位置に導くことが可能である。前述の熱交換器50は、抽気圧縮機42で圧縮された抽気空気と気体空気戻しライン54を流れる気体空気とを熱交換可能である。すなわち、この熱交換器50は、気体空気戻しライン54を流れる気体空気を、抽気空気に対する冷却媒体にする。
【0036】
液体空気タンク56は、気液分離器52内の液体空気を貯蔵可能である。液体空気ポンプ55は、気液分離器52内の液体空気を液体空気タンク56に送ることができる。
【0037】
電力設備60は、GT発電機6と外部電力系統64とを電気的に接続するGT電力線61と、抽気圧縮電動機58と外部電力系統64とを電気的に接続する抽気圧縮M電力線62と、を有する。GT発電機6が発電した電力は、このGT電力線61を介して、外部電力系統64へ送られる。また、抽気圧縮電動機58には、抽気圧縮M電力線62を介して、外部電力系統64からの電力が送られる。
【0038】
制御装置100は、燃料調節弁5の開度を制御する燃料制御器101と、圧縮機10の入口案内翼13vの開度を制御するIGV制御器102と、抽気調節弁32の開度を制御する抽気制御器103と、分岐調節弁34の開度を制御する分岐制御器104と、を有する。
【0039】
燃料制御器101は、外部からガスタービン1に要求される要求出力PWcを受け付け、この要求出力に応じた燃料流量を定める。本実施形態におけるガスタービン1の出力は、GT発電機6が発電した電力である。よって、本実施形態における要求出力は、GT発電機6が発電する電力の要求値である。なお、前述した蒸気タービン23のロータが、GT発電機6とは独立したST発電機のロータに接続されている場合、燃料制御器101は、要求出力として、GT発電機6が発電した電力とST発電機が発電した電力とを合わせた出力の要求値を受け付ける。
【0040】
燃料制御器101は、自身が定めた流量の燃料が燃焼器15に供給されるよう、燃料調節弁5の開度を定める。燃料制御器101は、燃料調節弁5の開度がこの開度になるように、燃料調節弁5に指示する。IGV制御器102は、ガスタービン出力に応じて圧縮機10における入口案内翼13vの開度を定める。なお、ここでのガスタービン出力とは、GT発電機6の発電量である。IGV制御器102は、入口案内翼13vの開度がこの開度になるように、吸気量調節機13の駆動機13dに指示する。入口案内翼13vの開度は、このIGV制御器102により、燃料調節弁5の開度に対して正の相関性を有するように制御される。すなわち、入口案内翼13vの開度は、燃料調節弁5の開度が大きくなると、これに伴って大きくなるよう制御される。言い換えると、入口案内翼13vの開度は、燃料調節弁5の開度が小さくなると、これに伴って小さくなるよう制御される。なお、入口案内翼13vが最小開度になっても、圧縮機10には、所定以上の流量の空気が流入可能である。これは、圧縮機10のサージング発生を防ぐ等の理由による。
【0041】
抽気制御器103は、外部からガスタービン1に要求される要求出力PWcを受け付け、この要求出力が予め定められた出力以上の場合に、抽気調節弁32に閉を指示し、この要求出力PWcが予め定められた出力未満の場合に、抽気調節弁32に開を指示する。よって、要求出力PWcが予め定められた出力未満になると、中間ケーシング3内の圧縮空気が抽気空気として抽気ライン31に流入するようになる。予め定められた出力は、例えば、ガスタービン1の定格出力の50%の出力である。本実施形態では、ガスタービン1の出力が予め定められた出力のとき、入口案内翼13vは最小開度になる。このため、本態様では、要求出力PWcが予め定められた出力より小さい場合でも、入口案内翼13vの開度は最小開度に維持される。
【0042】
分岐制御器104は、外部からの指示、若しくは予め定められたパターンに従って、分岐調節弁34に、この分岐調節弁34の開度を指示する。予め定められたパターンとしては、例えば、抽気ライン31に抽気空気が流入してから、予め定められた時間までは、抽気圧縮機42に流入する抽気空気流量に対する抽気タービン35に流入する抽気空気流量の流量比を小さくしておき、予め定められた時間を経過すると、この流量比を大きくするパターンである。
【0043】
次に、以上で説明したガスタービンプラントの動作について、図2に示すフローチャートに従って説明する。
【0044】
制御装置100は、外部からガスタービン1に要求される要求出力PWcを受け付けると、ガスタービン1の出力が要求出力PWcになるよう制御工程S10を実行する。この制御工程S10では、燃料制御工程S11、IGV制御工程S12、抽気制御工程S13、及び分岐制御工程S14が実行される。
【0045】
燃料制御工程S11では、制御装置100の燃料制御器101が、要求出力PWcを受け付けると、燃料調節弁5に対して開度を指示する。具体的に、燃料制御器101は、要求出力PWcに応じた燃料流量を定める。次に、燃料制御器101は、自身が定めた流量の燃料が燃焼器15に供給されるよう、燃料調節弁5の開度を定める。そして、燃料制御器101は、燃料調節弁5の開度がこの開度になるように、燃料調節弁5に指示する。燃料調節弁5は、この指示を受け付けると、この指示に応じた開度になる。この結果、燃焼器15には、燃料制御器101が定めた流量の燃料が供給されるようになる(燃料調節工程S15)。
【0046】
IGV制御工程S12では、制御装置100のIGV制御器102が、入口案内翼13vの開度を吸気量調節機13の駆動機13dに指示する。具体的に、IGV制御器102は、前述したようにガスタービン出力に応じて圧縮機10の入口案内翼13vの開度を定める。そして、IGV制御器102は、入口案内翼13vの開度がこの開度になるように、吸気量調節機13の駆動機13dに指示する。吸気量調節機13の駆動機13dは、この指示を受け付けると、入口案内翼13vの開度がこの指示に応じた開度になる。この結果、圧縮機10には、燃焼器15に流入する燃料流量に応じた空気が流入するようになる(吸気量調節工程S16)。
【0047】
抽気制御工程S13では、制御装置100の抽気制御器103が、抽気調節弁32に対して開閉を指示する。具体的に、抽気制御器103は、要求出力PWcを受け付け、この要求出力PWcが予め定められた出力以上の場合に、抽気調節弁32に閉を指示し、この要求出力PWcが予め定められた出力未満の場合に、抽気調節弁32に開を指示する。この結果、要求出力PWcが予め定められた出力未満になると、抽気調節弁32が開き、中間ケーシング3内の圧縮空気が抽気空気として抽気ライン31に流入するようになる(抽気工程S17)。
【0048】
分岐制御工程S14では、制御装置100の分岐制御器104が、外部からの指示、若しくは予め定められたパターンに従って、分岐調節弁34に、この分岐調節弁34の開度を指示する。分岐制御器104は、抽気調節弁32が開状態のとき、言い換えると、抽気空気が抽気ライン31に流入しているときに、分岐調節弁34に指示する。この結果、抽気ライン31を介して抽気圧縮機42に流入する抽気空気流量と、分岐ライン33を介して抽気タービン35に流入する抽気空気流量との流量比が、外部からの指示、若しくは予め定められたパターンに従った流量比になる(抽気分岐工程S18)。
【0049】
抽気タービン35は、分岐ライン33から抽気空気が流入して、この抽気空気により駆動する(抽気タービン駆動工程S19)。
【0050】
空気液化装置40は、抽気ライン31から抽気空気が流入して、この抽気空気を液化する(空気液化工程S20)。この空気液化工程S20は、体積縮小化工程の一種である。この空気液化工程S20では、抽気減圧工程S21、抽気圧縮工程S22、アシスト工程S23、熱交換工程S24、空気液化用減圧工程S25、気液分離工程S26、液体空気貯蔵工程S29、及び気体空気戻し工程S28が実行される。
【0051】
抽気減圧工程S21では、空気液化装置40の抽気減圧器53が、抽気ライン31を流れる抽気空気を減圧する。例えば、中間ケーシング3から抽気ライン31に流入した抽気空気の圧力が1.0MPaであるとき、抽気減圧器53により、この抽気空気は0.5MPaにまで減圧される。
【0052】
抽気圧縮工程S22では、空気液化装置40の抽気圧縮機42が抽気減圧工程S21を経た抽気空気を圧縮する。ここでは、例えば、0.5MPaの抽気空気を6.0MPaにまで圧縮する。よって、この抽気圧縮工程S22の実行により、中間ケーシング3からの抽気空気は、圧縮されて、抽気空気の体積が縮小化される。
【0053】
アシスト工程S23では、空気液化装置40のアシスト機構45が、抽気タービン35の駆動エネルギーを抽気圧縮機42の駆動に利用させる。具体的に、アシスト機構45の駆動力伝達機46が抽気タービン35の駆動力を抽気圧縮機42に機械的に伝達する。
【0054】
熱交換工程S24では、空気液化装置40の熱交換器50が、抽気圧縮工程S22で圧縮された抽気空気と、冷却媒体とを熱交換させ、抽気空気を冷却する。なお、ここでの冷却媒体は、後述の気体空気である。
【0055】
空気液化用減圧工程S25では、空気液化装置40の空気液化用減圧器51が、熱交換工程S24で冷却された抽気空気を減圧して、この抽気空気の少なくとも一部を液化する
【0056】
気液分離工程S26では、空気液化装置40の気液分離器52が、空気液化用減圧工程S25を経た抽気空気を液体の抽気空気である液体空気と気体の抽気空気である気体空気とに分離する。
【0057】
液体空気貯蔵工程S29では、空気液化装置40の液体空気ポンプ55が気液分離器52内の液体空気を液体空気タンク56に送って、この液体空気を液体空気タンク56に貯蔵する。液体空気タンク56に貯蔵された液体空気は、どのように利用されてもよい。例えば、要求出力PWcが高くなった場合、この液体空気を気化させた後、この空気を圧縮機10内又は中間ケーシング3内に戻してもよい。
【0058】
気体空気戻し工程S28では、気液分離器52内の気体空気が気体空気戻しライン54を通って、抽気ライン31中で抽気減圧器53よりも抽気圧縮機42側の位置に戻る。この結果、この気体空気は、抽気圧縮機42で再び圧縮されることになる。気液分離器52内の気体空気が抽気ライン31に戻る過程で、この気体空気は、熱交換器50に流入し、前述したように、抽気圧縮工程S22で圧縮された抽気空気を冷却するための冷却媒体として利用される。このように、本実施形態では、気体空気戻しライン54を流れる気体空気を冷却媒体として利用するため、別途、冷却媒体を準備するよりも、運転コストを抑えることができる。
【0059】
なお、抽気圧縮機42で抽気空気を圧縮する前に、この抽気空気を抽気減圧器53により減圧するのは、気液分離器52内の気体空気を抽気ライン31中に戻すためである。
【0060】
本実施形態では、前述したように、外部からの要求出力PWcが予め定められた出力より小さい場合でも、入口案内翼13vの開度は最小開度に維持され、入口案内翼13vの開度調整のみでは燃焼器15に流入する圧縮空気の流量は少なくならない。しかしながら、本実施形態では、要求出力PWcが予め定められた出力未満になると、抽気調節弁32が開いて、ガスタービン1内の圧縮空気の一部が抽気空気として抽気され、燃焼器15に流入する圧縮空気の流量が少なくなる。このため、本実施形態では、要求出力PWcが予め定められた出力未満になっても、ガスタービン1の出力をこの要求出力PWcに合わせることができ、ガスタービン1の出力調整を柔軟に対応できる。
【0061】
本実施形態では、要求出力PWcが予め定められた出力未満になったときの燃焼器15内の燃空比を、要求出力PWcが予め定められた出力以上のときの燃焼器15内の燃空比になるよう、燃料制御器101により、燃焼器15に流入する燃料流量が制御される。このため、本実施形態では、要求出力PWcが予め定められた出力未満になっても、タービン16に流入する燃焼ガスの温度低下を抑えることができ、結果として、排熱回収ボイラー21に流入する排気ガスの温度低下を抑えることができる。よって、本実施形態では、要求出力PWcが予め定められた出力未満になったときのガスタービンプラントの効率低下を抑えることができる。
【0062】
本実施形態では、分岐ライン33を流れてきた抽気空気により抽気タービン35が駆動する。また、本実施形態では、空気液化装置40の抽気圧縮機42が、抽気ライン31を流れてきた抽気空気を圧縮する。アシスト機構45は、抽気タービン35の駆動エネルギーを装置内圧縮機41である抽気圧縮機42の駆動に利用させる。このため、本実施形態では、装置内圧縮機41である抽気圧縮機42の駆動エネルギー消費を抑えることができる。よって、本態様では、ガスタービン1からの抽気空気の体積を縮小化するためのエネルギー消費を抑えることができる。
【0063】
本実施形態では、ガスタービン1からの抽気空気のうち、一部を抽気タービン35に駆動に利用し、残りの抽気空気の体積を縮小化する。ここで、本実施形態に対する比較例について説明する。比較例では、ガスタービン1からの全ての抽気空気の体積を縮小化する。比較例と本態様とで同じ流量の抽気空気の体積を縮小する仮定すると、本実施形態の方が、比較例よりも、ガスタービン1から抽気する圧縮空気の流量が多くなる。よって、本態様では、比較例よりも、燃焼器15に流入する圧縮空気の流量が少なくなり、比較例よりもガスタービン1の出力を抑えることができる。
【0064】
本実施形態では、抽気空気が抽気圧縮機42に流入する前に、この抽気空気を抽気減圧器53で減圧するので、気液分離器52内の気体空気を抽気圧縮機42に戻すことができる。このため、本実施形態では、気体空気を破棄せずに済み、抽気空気を液化する量を増やすことができる。
【0065】
本実施形態では、ガスタービン1からの抽気空気のうちで、抽気圧縮機42で体積を縮小化する抽気空気と、抽気圧縮機42の駆動に利用される抽気空気との流量比を調節することができる。すなわち、本実施形態では、ガスタービン1からの抽気空気のうちで、空気液化装置40で液化する抽気空気と、空気液化過程で必要な空気液化装置40の駆動力をアシストするための抽気空気との流量比を調整することができる。
【0066】
「第二実施形態」
以下、本開示に係るガスタービンプラントの第二実施形態について、図3及び図4を用いて説明する。
【0067】
本実施形態におけるガスタービンプラントも、第一実施形態におけるガスタービンプラントと同様、図3に示すように、ガスタービン1と、ガスタービン1から排気された排気ガスの熱を利用する排熱利用設備20と、ガスタービン1内の空気の一部を抽気して、これを処理する抽気設備30と、電力設備60と、制御装置100と、を備える。本実施形態におけるガスタービン1プランの抽気設備30も、第一実施形態におけるガスタービンプラントの抽気設備30と同様、空気液化装置40aを有する。但し、この空気液化装置40aは、第一実施形態における空気液化装置40と異なる。よって、以下では、本実施形態における空気液化装置40aについて主として説明する。
【0068】
本実施形態における空気液化装置40aも、第一実施形態における空気液化装置40と同様、抽気ライン31を流れてきた抽気空気の体積を縮小化可能な体積縮小化装置の一種である。この空気液化装置40aは、第一実施形態における空気液化装置40と同様、装置内圧縮機41aと、アシスト機構45と、熱交換器50と、空気液化用減圧器51と、気液分離器52と、気体空気戻しライン54と、液体空気ポンプ55と、液体空気タンク56と、を有する。但し、本実施形態における空気液化装置40aは、第一実施形態における抽気減圧器53を有してない。また、本実施形態における空気液化装置40aの装置内圧縮機41aは、抽気圧縮機42と、空気昇圧機43と、を有する。すなわち、本実施形態における空気液化装置40aは、第一実施形態における空気液化装置40の抽気減圧器53を有していない替りに、空気昇圧機43を有する。この空気昇圧機43のロータには、装置内電動機57aの一つである昇圧電動機59のロータが接続されている。この昇圧電動機59は、昇圧M電力線63で、外部電力系統64と電気的に接続されている。この空気昇圧機43は、気体空気戻しライン54中に設けられている。よって、この空気昇圧機43は、気液分離器52からの気体空気を昇圧することができる。この空気昇圧機43で昇圧された気体空気は、気体空気戻しライン54を介して、抽気ライン31中で分岐ライン33の分岐位置よりも抽気圧縮機42の側の位置に、送られる。
【0069】
次に、以上で説明したガスタービンプラントの動作について、図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0070】
前述したように、本実施形態におけるガスタービンプラントの空気液化装置40aは、第一実施形態におけるガスタービンプラントの空気液化装置40と異なっている。よって、本実施形態における空気液化工程S20aは、第一実施形態における空気液化工程S20と異なっている。
【0071】
本実施形態における空気液化工程S20aでも、第一実施形態における空気液化工程S20と同様、抽気圧縮工程S22、アシスト工程S23、熱交換工程S24、空気液化用減圧工程S25、気液分離工程S26、液体空気貯蔵工程S29、及び気体空気戻し工程S28が実行される。但し、本実施形態における空気液化工程20aでは、第一実施形態における空気液化工程S20中の抽気減圧工程S21を実行しない。このため、本実施形態の抽気圧縮工程S22では、ガスタービン1からの抽気空気が、減圧されずに、抽気圧縮機42で圧縮される。よって、本実施形態の抽気圧縮工程S22での圧縮比が、第一実施形態の抽気圧縮工程S22での抽気空気の圧縮比と異なる。例えば、第一実施形態の抽気圧縮工程S22では、0.5MPaの抽気空気を6.0MPaにまで圧縮するのに対して、本実施形態の抽気圧縮工程S22では、1.0MPaの抽気空気を6.0MPaにまで圧縮する。
【0072】
アシスト工程S23では、第一実施形態におけるアシスト工程S23と同様、空気液化装置40aのアシスト機構45が、抽気タービン35の駆動エネルギーを抽気圧縮機42の駆動に利用させる。以下、第一実施形態における空気液化工程S20と同様に、熱交換工程S24、空気液化用減圧工程S25、気液分離工程S26、液体空気貯蔵工程S29が実行される。
【0073】
気液分離器52内の気体空気は、気体空気戻しライン54及び熱交換器50を介して、空気昇圧機43に流入する。気体空気は、空気昇圧工程S27で、空気昇圧機43により、例えば、1.0MPaにまで昇圧される。空気昇圧工程S27で昇圧された気体空気は、気体空気戻しライン54を通って、例えば、1.0MPaの抽気空気が流れる抽気ライン31に戻る。この結果、この気体空気は、抽気圧縮機42で再び圧縮されることになる。
【0074】
以上、本実施形態でも、第一実施形態と同様、外部からの要求出力PWcが予め定められた出力未満になると、抽気調節弁32が開いて、ガスタービン1内の圧縮空気の一部が抽気空気として抽気され、燃焼器15に流入する圧縮空気の流量が少なくなる。このため、本実施形態でも、第一実施形態と同様、要求出力PWcが予め定められた出力未満になっても、ガスタービン1の出力をこの要求出力PWcに合わせることができ、ガスタービン1の出力調整を柔軟に対応できる。さらに、本実施形態でも、抽気タービン35の駆動エネルギーを装置内圧縮機41aの一つである抽気圧縮機42の駆動に利用させるため、装置内圧縮機41aの一つである抽気圧縮機42の駆動エネルギー消費を抑えることができる。
【0075】
なお、本実施形態における空気液化装置40aは、第一実施形態における空気液化装置40にはない昇圧電動機59を有するため、この昇圧電動機59を駆動するための電力を消費する。すなわち、本実施形態では、装置内圧縮機41aが有する抽気圧縮機42の抽気圧縮電動機58及び空気昇圧機43の昇圧電動機59が電力を消費する。しかしながら、本実施形態における抽気圧縮機42は、第一実施形態における抽気圧縮機42よりも圧縮比が小さいため、本実施形態における抽気圧縮電動機58の電力消費は、第一実施形態における抽気圧縮電動機58よりも電力消費が少ない。さらに、空気昇圧機43が昇圧する空気は、抽気圧縮機42が圧縮した空気の一部であることから、この空気昇圧機43を駆動する昇圧電動機59の消費電力は、抽気圧縮機42を駆動する抽気圧縮電動機58の消費電力より少ない。このため、本実施形態における装置内圧縮機41aは二台の圧縮機42,43を有するものの、この装置内圧縮機41aを駆動する電動機58,59の消費電力は、第一実施形態における装置内圧縮機41(抽気圧縮機42のみ)を駆動する電動機58の消費電力と同等以下である。
【0076】
本実施形態では、装置内圧縮機41aが有する抽気圧縮機42と空気昇圧機43のうち、抽気圧縮機42に、抽気タービン35の駆動力を伝達させている。しかしながら、空気昇圧機43にのみ抽気タービン35の駆動力を伝達させてもよい。また、抽気圧縮機42と空気昇圧機43との両方に、抽気タービン35の駆動力を伝達させてもよい。この場合、駆動力伝達機46は、抽気タービンロータ36に接続されている入力軸と、抽気圧縮機ロータ42rに接続されている第一出力軸と、空気昇圧機43のロータに接続されている第二出力軸と、を有することになる。
【0077】
「第三実施形態」
以下、本開示に係るガスタービンプラントの第三実施形態について、図5及び図6を用いて説明する。
【0078】
本実施形態におけるガスタービンプラントも、以上の各実施形態におけるガスタービンプラントと同様、図5に示すように、ガスタービン1と、ガスタービン1から排気された排気ガスの熱を利用する排熱利用設備20と、ガスタービン1内の空気の一部を抽気して、これを処理する抽気設備30と、電力設備60と、制御装置100と、を備える。但し、本実施形態におけるガスタービンプラントの抽気設備30bは、以上の各実施形態におけるガスタービンプラントの抽気設備30と異なり、体積縮小化装置として空気分離装置40bを有する。よって、以下では、本実施形態における空気分離装置40bについて主として説明する。
【0079】
本実施形態における空気分離装置40bは、装置内圧縮機41と、アシスト機構45と、熱交換器50と、酸素液化用減圧器51bと、気液分離器52と、液体酸素ポンプ55bと、液体酸素タンク56bと、を有する。
【0080】
本実施形態では、装置内圧縮機41の一つである抽気圧縮機42を有する。この抽気圧縮機42は、以上の実施形態における抽気圧縮機42と同様、抽気圧縮機ロータ42rと、抽気圧縮機ケーシング42cと、を有する。抽気圧縮機ケーシング42cには、抽気ライン31の他端が接続されている。よって、抽気圧縮機ケーシング42c内には、抽気ライン31からの抽気空気が流入可能である。抽気圧縮機ロータ42rには、抽気圧縮電動機58が接続されている。抽気圧縮機ロータ42rは、この抽気圧縮電動機58により回転して、抽気圧縮機ケーシング42c内に流入した抽気空気を圧縮可能である。
【0081】
アシスト機構45は、抽気タービン35の駆動エネルギーを装置内圧縮機41である抽気圧縮機42の駆動に利用させる機構である。このアシスト機構45は、以上の各実施形態におけるアシスト機構45と同様、抽気タービン35の駆動力を抽気圧縮機42に機械的に伝達可能な駆動力伝達機46を有する。
【0082】
熱交換器50は、抽気圧縮機42で圧縮された抽気空気と冷却媒体とを熱交換させて、抽気空気を冷却可能である。酸素液化用減圧器51bは、熱交換器50で冷却された抽気空気を減圧して、抽気空気中の窒素を液化させずに抽気空気中の酸素を液化可能である。気液分離器52は、酸素液化用減圧器51bからの抽気空気が流入可能で、抽気空気を液体の酸素である液体酸素と、気体の抽気空気(主として窒素)ある気体空気とに分離可能である。液体酸素タンク56bは、気液分離器52内の液体酸素を貯蔵可能である。液体酸素ポンプ55bは、気液分離器52内の液体酸素を液体酸素タンク56bに送ることができる。
【0083】
次に、以上で説明したガスタービンプラントの動作について、図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0084】
前述したように、本実施形態におけるガスタービンプラントの体積縮小化装置は、以上の各実施形態におけるガスタービンプラントの体積縮小化装置と異なり、空気分離装置40bである。よって、本実施形態における体積縮小化工程は、以上の各実施形態における体積縮小化工程と異なり、空気分離工程20bである。
【0085】
空気分離装置40bは、抽気ライン31から抽気空気が流入して、この抽気空気を分離する(空気分離工程20b)。この空気分離工程20bでは、抽気圧縮工程S22、アシスト工程S23、熱交換工程S24、酸素液化用減圧工程25b、気液分離工程S26、液体酸素貯蔵工程29b、及び残留気体供給工程28bが実行される。
【0086】
抽気圧縮工程S22では、空気分離装置40bの抽気圧縮機42が、抽気ライン31からの抽気空気を圧縮する。よって、この抽気圧縮工程S22の実行により、中間ケーシング3からの抽気空気は、圧縮されて、抽気空気の体積が縮小化される。
【0087】
アシスト工程S23では、空気分離装置40bのアシスト機構45が、抽気タービン35の駆動エネルギーを抽気圧縮機42の駆動に利用させる。具体的に、アシスト機構45の駆動力伝達機46が抽気タービン35の駆動力を抽気圧縮機42に機械的に伝達する。
【0088】
熱交換工程S24では、空気分離装置40bの熱交換器50が、抽気圧縮工程S22で圧縮された抽気空気と、冷却媒体とを熱交換させ、抽気空気を冷却する。酸素液化用減圧工程25bでは、空気分離装置40bの酸素液化用減圧器51bが、熱交換工程S24で冷却された抽気空気を減圧して、抽気空気中の窒素を液化させずに抽気空気中の酸素を液化する。気液分離工程S26では、空気分離装置40bの気液分離器52が、酸素液化用減圧工程25bを経た抽気空気を液体の酸素である液体酸素と気体の抽気空気である気体空気(主として窒素)とに分離する。液体酸素貯蔵工程29bでは、空気分離装置40bの液体酸素ポンプ55bが気液分離器52内の液体酸素を液体酸素タンク56bに送って、この液体酸素を液体酸素タンク56bに貯蔵する。残留気体供給工程28bでは、主として窒素である気液分離器52内の気体空気が、ブロワー等により、別のタンク等に送られる。
【0089】
以上のように、本実施形態における空気分離装置40bでは、抽気ライン31からの抽気空気中から酸素を液体酸素として分離することができる。
【0090】
また、本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、外部からの要求出力PWcが予め定められた出力未満になると、抽気調節弁32が開いて、ガスタービン1内の圧縮空気の一部が抽気空気として抽気され、燃焼器15に流入する圧縮空気の流量が少なくなる。このため、本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、要求出力PWcが予め定められた出力未満になっても、ガスタービン1の出力をこの要求出力PWcに合わせることができ、ガスタービン1の出力調整を柔軟に対応できる。さらに、本実施形態でも、抽気タービン35の駆動エネルギーを装置内圧縮機41の一つである抽気圧縮機42の駆動に利用させるため、装置内圧縮機41の一つである抽気圧縮機42の駆動エネルギー消費を抑えることができる。
【0091】
「第四実施形態」
以下、本開示に係るガスタービンプラントの第三実施形態について、図7及び図8を用いて説明する。
【0092】
本実施形態におけるガスタービンプラントも、第一実施形態におけるガスタービンプラントと同様、図7に示すように、ガスタービン1と、ガスタービン1から排気された排気ガスの熱を利用する排熱利用設備20と、ガスタービン1内の空気の一部を抽気して、これを処理する抽気設備30cと、電力設備60と、制御装置100と、を備える。但し、本実施形態におけるガスタービンプラントの抽気設備30cは、以上の各実施形態におけるガスタービンプラントの抽気設備30,30bと異なり、体積縮小化装置として圧縮空気貯蔵装置40cを有する。よって、以下では、本実施形態における圧縮空気貯蔵装置40cについて主として説明する。
【0093】
本実施形態における圧縮空気貯蔵装置40cは、装置内圧縮機41と、アシスト機構45と、圧縮空気タンク56cと、を有する。
【0094】
本実施形態では、装置内圧縮機41の一つである抽気圧縮機42を有する。この抽気圧縮機42は、以上の実施形態における抽気圧縮機42と同様、抽気圧縮機ロータ42rと、抽気圧縮機ケーシング42cと、を有する。抽気圧縮機ケーシング42cには、抽気ライン31の他端が接続されている。よって、抽気圧縮機ケーシング42c内には、抽気ライン31からの抽気空気が流入可能である。抽気圧縮機ロータ42rには、抽気圧縮電動機58が接続されている。抽気圧縮機ロータ42rは、この抽気圧縮電動機58により回転して、抽気圧縮機ケーシング42c内に流入した抽気空気を圧縮可能である。
【0095】
アシスト機構45は、抽気タービン35の駆動エネルギーを装置内圧縮機41の一つである抽気圧縮機42の駆動に利用させる機構である。このアシスト機構45は、以上の各実施形態におけるアシスト機構45と同様、抽気タービン35の駆動力を抽気圧縮機42に機械的に伝達可能な駆動力伝達機46を有する。圧縮空気タンク56cは、抽気圧縮機42で圧縮された抽気空気を貯蔵可能である。
【0096】
次に、以上で説明したガスタービンプラントの動作について、図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0097】
前述したように、本実施形態におけるガスタービンプラントの体積縮小化装置は、以上の各実施形態におけるガスタービンプラントの体積縮小化装置と異なり、圧縮空気貯蔵装置40cである。よって、本実施形態における体積縮小化工程は、以上の各実施形態における体積縮小化工程と異なり、圧縮空気貯蔵工程S20cである。
【0098】
圧縮空気貯蔵装置40cは、抽気ライン31から抽気空気が流入して、この抽気空気を圧縮した後、貯蔵する(圧縮空気貯蔵工程S20c)。この圧縮空気貯蔵工程S20cでは、抽気圧縮工程S22、アシスト工程S23、貯蔵工程S29cが実行される。
【0099】
抽気圧縮工程S22では、圧縮空気貯蔵装置40cの抽気圧縮機42が、抽気ライン31からの抽気空気を圧縮する。よって、この抽気圧縮工程S22の実行により、中間ケーシング3からの抽気空気は、圧縮されて、抽気空気の体積が縮小化される。
【0100】
アシスト工程S23では、圧縮空気貯蔵のアシスト機構45が、抽気タービン35の駆動エネルギーを抽気圧縮機42の駆動に利用させる。具体的に、アシスト機構45の駆動力伝達機46が抽気タービン35の駆動力を抽気圧縮機42に機械的に伝達する。貯蔵工程S29cでは、抽気圧縮工程S22で圧縮された抽気空気が、圧縮空気タンク56cに貯蔵される。
【0101】
以上のように、本実施形態における圧縮空気貯蔵装置40cでは、抽気ライン31からの抽気空気を圧縮した後、これを貯蔵することができる。
【0102】
また、本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、外部からの要求出力PWcが予め定められた出力未満になると、抽気調節弁32が開いて、ガスタービン1内の圧縮空気の一部が抽気空気として抽気され、燃焼器15に流入する圧縮空気の流量が少なくなる。このため、本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、要求出力PWcが予め定められた出力未満になっても、ガスタービン1の出力をこの要求出力PWcに合わせることができ、ガスタービン1の出力調整を柔軟に対応できる。さらに、本実施形態でも、抽気タービン35の駆動エネルギーを装置内圧縮機41の一つである抽気圧縮機42の駆動に利用させるため、装置内圧縮機41の一つである抽気圧縮機42の駆動エネルギー消費を抑えることができる。
【0103】
「変形例」
以上の各実施形態におけるアシスト機構45は、抽気タービン35の駆動力を少なくとも一の装置内圧縮機41,41aに機械的に伝達可能な駆動力伝達機46を有する。しかしながら、アシスト機構は、抽気タービン35の駆動エネルギーを電気エネルギーに変換して、この電気エネルギーを少なくとも一の装置内圧縮機41,41aの駆動に利用させる機構であってもよい。このアシスト機構について、図9を用いて説明する。なお、図9に示すガスタービンプラントは、第二実施形態におけるガスタービンプラントの変形例である。
【0104】
本変形例におけるアシスト機構45dは、抽気タービン発電機47と、電力系統48と、を有する。抽気タービン発電機47は、抽気タービン35の駆動で発電可能である。電力系統48は、抽気圧縮電動機58と外部電力系統64とを電気的に接続する抽気圧縮M電力線62と、昇圧電動機59と外部電力系統64とを電気的に接続する昇圧M電力線63と、抽気タービン発電機47と外部電力系統64とを電気的に接続するBT電力線65と、を有する。よって、この電力系統48は、抽気タービン発電機47で発電された電力を、複数の装置内圧縮機41a毎に連結されている装置内電動機57aに送ることが可能である。なお、本変形例の装置内電動機57aは、抽気圧縮電動機58と昇圧電動機59とを有する。
【0105】
本変形例では、抽気タービン35の駆動エネルギーを電気エネルギーに変換して、この電気エネルギーを装置内電動機57aが有する抽気圧縮電動機58と昇圧電動機59とに送ることができる。
【0106】
なお、本変形例は、第二実施形態におけるガスタービンプラントのアシスト機構45の変形例であるが、第一実施形態、第三実施形態及び第四実施形態におけるガスタービンプラントのアシスト機構45を本変形例と同様に変更してもよい。
【0107】
以上の各実施形態におけるガスタービンプラントは、排熱利用設備20を備える。しかしながら、ガスタービンプラントは、排熱利用設備20を備えていなくてもよい。
【0108】
また、本開示は、以上で説明した各実施形態及び各変形例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0109】
「付記」
以上の実施形態及び変形例におけるガスタービンプラントは、例えば、以下のように把握される。
【0110】
(1)第一態様におけるガスタービンプラントは、
空気Aを圧縮可能な圧縮機10と、前記圧縮機10で圧縮された空気である圧縮空気中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器15と、前記燃焼ガスで駆動可能なタービン16と、を有するガスタービン1と、前記圧縮機10で生成された前記圧縮空気の一部を抽気空気として、前記ガスタービン1から抽気可能な抽気ライン31と、前記抽気ライン31から分岐している分岐ライン33と、前記分岐ライン33に接続され前記分岐ライン33を流れてきた前記抽気空気により駆動可能な抽気タービン35と、前記抽気ライン31に接続され、前記抽気ライン31を流れてきた前記抽気空気の体積を縮小化可能な体積縮小化装置40,40a,40b,40cと、を備える。前記体積縮小化装置40,40a,40b,40cは、前記抽気空気を圧縮可能な一以上の装置内圧縮機41,41aと、前記一以上の装置内圧縮機41,41aのうちの少なくとも一の装置内圧縮機41,41aの駆動をアシストするアシスト機構45,45dと、を有する。前記一以上の装置内圧縮機41,41aは、前記抽気ライン31に接続され、前記抽気ライン31を流れてきた前記抽気空気を圧縮可能な抽気圧縮機42を含む。前記アシスト機構45,45dは、前記抽気タービン35の駆動エネルギーを前記少なくとも一の装置内圧縮機41,41aの駆動に利用させる機構である。
【0111】
本態様では、圧縮機10で生成された圧縮空気の一部が燃焼器15に流入せずに、ガスタービン1から抽気される。このため、本態様では、ガスタービン1の出力を抑えることができるので、ガスタービン1の出力調整を柔軟に対応できる。
【0112】
本態様では、分岐ライン33を流れてきた抽気空気により抽気タービン35が駆動する。また、本態様では、体積縮小化装置40,40a,40b,40cの抽気圧縮機42が、抽気ライン31を流れてきた抽気空気を圧縮する。アシスト機構45,45dは、抽気タービン35の駆動エネルギーを少なくとも一の装置内圧縮機41,41aの駆動に利用させる。このため、本態様では、装置内圧縮機41,41aの駆動エネルギー消費を抑えることができる。よって、本態様では、ガスタービン1からの抽気空気の体積を縮小化するためのエネルギー消費を抑えることができる。
【0113】
本態様では、ガスタービン1からの抽気空気のうち、一部を抽気タービン35に駆動に利用し、残りの抽気空気の体積を縮小化する。ここで、本態様に対する比較例について説明する。比較例では、ガスタービン1からの全ての抽気空気の体積を縮小化する。比較例と本態様とで同じ流量の抽気空気の体積を縮小する仮定すると、本態様の方が、比較例よりも、ガスタービン1から抽気する圧縮空気の流量が多くなる。よって、本態様では、比較例よりも、燃焼器15に流入する圧縮空気の流量が少なくなり、比較例よりもガスタービン1出力を抑えることができる。
【0114】
(2)第二態様におけるガスタービンプラントは、
前記第一態様におけるガスタービンプラントにおいて、前記アシスト機構45は、前記抽気タービン35の駆動力を前記少なくとも一の装置内圧縮機41,41aに機械的に伝達可能な駆動力伝達機46を有する。
【0115】
本態様では、抽気タービン35の駆動力が少なくとも一の装置内圧縮機41,41aに機械的に伝達される。
【0116】
(3)第三態様におけるガスタービンプラントは、
前記第一態様におけるガスタービンプラントにおいて、前記一以上の装置内圧縮機41,41a毎に連結されている装置内電動機57,57aを備える。前記アシスト機構45dは、前記抽気タービン35の駆動で発電可能な抽気タービン発電機47と、前記抽気タービン発電機47で発電された電力を、前記一以上の装置内圧縮機41,41a毎に連結されている装置内電動機57,57aのうち、少なくとも一の装置内電動機57,57aに送ることが可能な電力系統48と、を有する。
【0117】
本態様では、抽気タービン35の駆動エネルギーが電気的に少なくとも一の装置内電動機57,57aに送られる。
【0118】
(4)第四態様におけるガスタービンプラントは、
前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンプラントにおいて、前記体積縮小化装置40,40aは、空気液化装置40,40aである。前記空気液化装置40,40aは、前記抽気圧縮機42で圧縮された前記抽気空気と冷却媒体とを熱交換させて、前記抽気空気を冷却可能な熱交換器50と、前記熱交換器50で冷却された前記抽気空気を減圧して、前記抽気空気の少なくとも一部を液化可能な空気液化用減圧器51と、を有する。
【0119】
本態様では、抽気空気を原料とした液体空気を得ることができる。
【0120】
(5)第五態様におけるガスタービンプラントは、
前記第四態様におけるガスタービンプラントにおいて、前記空気液化装置40は、前記抽気ライン31中で、前記分岐ライン33が分岐している位置よりも前記抽気圧縮機42側の位置に配置され、前記抽気ライン31を流れる前記抽気空気を減圧可能な抽気減圧器53と、前記空気液化用減圧器51からの前記抽気空気が流入可能で、前記抽気空気を液体の前記抽気空気である液体空気と気体の前記抽気空気である気体空気とに分離可能な気液分離器52と、前記気液分離器52内の前記気体空気を前記抽気ライン31中で前記抽気減圧器53よりも前記抽気圧縮機42側の位置に導くことが可能な気体空気戻しライン54と、を有する。
【0121】
本態様では、抽気空気が抽気圧縮機42に流入する前に、この抽気空気を抽気減圧器53で減圧するので、気液分離器52内の気体空気を抽気圧縮機42に戻すことができる。このため、本態様では、気体空気を破棄せずに済み、抽気空気を液化する量を増やすことができる。
【0122】
(6)第六態様におけるガスタービンプラントは、
前記第四態様におけるガスタービンプラントにおいて、前記空気液化装置40aは、前記空気液化用減圧器51からの前記抽気空気が流入可能で、前記抽気空気を液体の前記抽気空気である液体空気と気体の前記抽気空気である気体空気とに分離可能な気液分離器52と、前記気液分離器52内の前記気体空気を前記抽気ライン31中で前記分岐ライン33が分岐している位置よりも前記抽気圧縮機42側の位置に導くことが可能な気体空気戻しライン54と、前記気体空気戻しライン54中に設けられ、前記気液分離器52からの前記気体空気を昇圧可能な戻し空気昇圧機43と、を有する。
【0123】
本態様では、気液分離器52内の気体空気を空気昇圧機43で昇圧するので、この気体空気を抽気圧縮機42に戻すことができる。このため、本態様では、気体空気を破棄せずに済み、抽気空気を液化する量を増やすことができる。
【0124】
(7)第七態様におけるガスタービンプラントは、
前記第五態様又は前記第六態様におけるガスタービンプラントにおいて、前記熱交換器50は、前記抽気圧縮機42で圧縮された前記抽気空気と、前記冷却媒体としての前記気体空気戻しライン54を流れる前記気体空気とを熱交換可能である。
【0125】
本態様では、気体空気戻しライン54を流れる気体空気を冷却媒体として利用するため、別途、冷却媒体を準備するよりも、運転コストを抑えることができる。
【0126】
(8)第八態様におけるガスタービンプラントは、
前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンプラントにおいて、前記体積縮小化装置40bは、空気分離装置40bである。前記空気分離装置40bは、前記抽気圧縮機42で圧縮された前記抽気空気と冷却媒体とを熱交換させて、前記抽気空気を冷却可能な熱交換器50と、前記熱交換器50で冷却された前記抽気空気を減圧して、前記抽気空気中の窒素を液化させずに前記抽気空気中の酸素を液化可能な酸素液化用減圧器51bと、を有する。
【0127】
本態様では、抽気空気を分離し、抽気空気中の酸素を液体酸素として得ることができる。
【0128】
(9)第九態様におけるガスタービンプラントは、
前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンプラントにおいて、前記体積縮小化装置40cは、圧縮空気貯蔵装置40cである。前記圧縮空気貯蔵装置40cは、前記抽気圧縮機42で圧縮された前記抽気空気を貯蔵可能な圧縮空気タンク56cを有する。
【0129】
本態様では、抽気空気を圧縮した圧縮空気を得ることができる。
【0130】
(10)第十態様におけるガスタービンプラントは、
前記第一態様から前記第九態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンプラントにおいて、前記燃焼器15に供給する燃料Fの流量を調節可能な燃料調節弁5と、前記ガスタービン1から前記抽気ライン31に流入する前記抽気空気の流量を調節可能な抽気調節弁32と、前記燃料調節弁5及び前記抽気調節弁32を制御可能な制御装置100と、を備える。前記制御装置100は、ガスタービン1に要求される要求出力PWcを受け付け、前記要求出力PWcに応じて前記燃料調節弁5の開度を制御する燃料制御器101と、前記要求出力PWcを受け付け、前記要求出力PWcに応じて前記抽気調節弁32の開度を制御する抽気制御器103と、を有する。前記抽気制御器103は、前記要求出力PWcが予め定められた出力以上の場合に、前記抽気調節弁32に閉を指示し、前記要求出力PWcが前記予め定められた出力未満の場合に、前記抽気調節弁32に開を指示する。
【0131】
本態様では、要求出力PWcが予め定められた出力未満の場合に、抽気調節弁32が開いて、ガスタービン1内の圧縮空気が抽気空気として抽気される。このため、本態様では、要求出力PWcが予め定められた出力未満になっても、ガスタービン1の出力をこの要求出力PWcに合わせることができる。
【0132】
(11)第十一態様におけるガスタービンプラントは、
前記第十態様におけるガスタービンプラントにおいて、前記抽気ライン31から前記抽気圧縮機42に流入する前記抽気空気と、前記分岐ライン33から前記抽気タービン35に流入する前記抽気空気との流量比を調節可能な分岐調節弁34を備える。前記制御装置100は、前記分岐調節弁34の開度を制御する分岐制御器104を有する。
【0133】
本態様では、ガスタービン1からの抽気空気のうちで、抽気圧縮機42で体積を縮小化する抽気空気と、抽気圧縮機42の駆動に利用される抽気空気との流量比を調節することができる。
【0134】
以上の実施形態及び変形例におけるガスタービンプラントの運転方法は、例えば、以下のように把握される。
(12)第十二態様におけるガスタービンプラントの運転方法は、
空気Aを圧縮可能な圧縮機10と、前記圧縮機10で圧縮された空気である圧縮空気中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器15と、前記燃焼ガスで駆動可能なタービン16と、を有するガスタービン1を備えるガスタービンプラントの運転方法において、前記ガスタービン1に接続されている抽気ライン31により、前記圧縮機10で生成された前記圧縮空気の一部を抽気空気として抽気する抽気工程S17と、前記抽気ライン31を流れる前記抽気空気の一部を前記抽気ライン31から分岐している分岐ライン33に流す抽気分岐工程S18と、前記分岐ライン33を流れてきた前記抽気空気により抽気タービン35を駆動させる抽気タービン駆動工程S19と、前記抽気ライン31を流れてきた抽気空気の体積を縮小化する体積縮小化工程S20,S20a,S20b,S20cと、を実行する。前記体積縮小化工程S20,S20a,S20b,S20cは、前記抽気空気を圧縮可能な一以上の装置内圧縮機41,41aで圧縮する圧縮工程と、前記抽気タービン35の駆動エネルギーを前記一以上の装置内圧縮機41,41aのうちの少なくとも一の装置内圧縮機41,41aの駆動に利用させるアシスト工程S23と、を含む。前記圧縮工程は、前記抽気ライン31に接続され、前記抽気ライン31を流れてきた前記抽気空気を圧縮可能な抽気圧縮機42で、前記抽気空気を圧縮する抽気圧縮工程S22を含む。
【0135】
本態様の運転方法を実行することにより、前記第一態様と同様、ガスタービン1の出力調整を柔軟に対応できる上に、ガスタービン1からの抽気空気の体積を縮小化するためのエネルギー消費を抑えることができる。
【0136】
(13)第十三態様におけるガスタービンプラントの運転方法は、
前記第十二態様におけるガスタービンプラントの運転方法において、前記体積縮小化工程S20,S20aは、空気液化工程S20,S20aである。前記空気液化工程S20,S20aは、前記抽気圧縮機42で圧縮された前記抽気空気と冷却媒体とを熱交換させて、前記抽気空気を冷却する熱交換工程S24と、前記熱交換工程S24で冷却された前記抽気空気を減圧して、前記抽気空気の少なくとも一部を液化する空気液化用減圧工程S25と、を含む。
【0137】
本態様の運転方法を実行することにより、抽気空気を原料とした液体空気を得ることができる。
【0138】
(14)第十四態様におけるガスタービンプラントの運転方法は、
前記第十三態様におけるガスタービンプラントの運転方法において、前記空気液化工程S20は、前記抽気ライン31中で、前記分岐ライン33が分岐している位置よりも前記抽気圧縮機42側の位置に配置されている抽気減圧器53で、前記抽気ライン31を流れる前記抽気空気を減圧する抽気減圧工程S21と、前記空気液化用減圧工程S25を経た前記抽気空気を液体の前記抽気空気である液体空気と気体の前記抽気空気である気体空気とに分離する気液分離工程S26と、前記気液分離工程S26で得られた前記気体空気を前記抽気ライン31中で前記抽気減圧器53よりも前記抽気圧縮機42側の位置に導く気体空気戻し工程S28と、を含む。
【0139】
本態様の運転方法を実行することにより、前記第五態様と同様、気体空気を破棄せずに済み、抽気空気を液化する量を増やすことができる。
【0140】
(15)第十五態様におけるガスタービンプラントの運転方法は、
前記第十三態様におけるガスタービンプラントの運転方法において、前記空気液化工程S20aは、前記空気液化用減圧工程S25を経た前記抽気空気を液体の前記抽気空気である液体空気と気体の前記抽気空気である気体空気とに分離する気液分離工程S26と、前記気液分離工程S26で得られた前記気体空気を昇圧する空気昇圧工程S27と、前記空気昇圧工程S27で昇圧された前記気体空気を前記抽気ライン31中で前記分岐ライン33が分岐している位置よりも前記抽気圧縮機42側の位置に導く気体空気戻し工程S28と、を含む。
【0141】
本態様の運転方法を実行することにより、前記第六態様と同様、気体空気を破棄せずに済み、抽気空気を液化する量を増やすことができる。
【0142】
(16)第十六態様におけるガスタービンプラントの運転方法は、
前記第十四態様又は前記第十五態様におけるガスタービンプラントの運転方法において、前記熱交換工程S24では、前記抽気圧縮機42で圧縮された前記抽気空気と前記冷却媒体として前記気液分離工程S26で得られた前記気体空気とを熱交換させる。
【0143】
本態様の運転方法を実行することにより、前記第七態様と同様、気体空気を冷却媒体として利用するため、別途、冷却媒体を準備するよりも、運転コストを抑えることができる。
【0144】
(17)第十七態様におけるガスタービンプラントの運転方法は、
前記第十二態様におけるガスタービンプラントの運転方法において、前記体積縮小化工程S20bは、空気分離工程S20bである。前記空気分離工程S20bは、前記抽気圧縮機42で圧縮された前記抽気空気と冷却媒体とを熱交換させて、前記抽気空気を冷却する熱交換工程S24と、前記熱交換工程S24で冷却された前記抽気空気を減圧して、前記抽気空気中の窒素を液化させずに前記抽気空気中の酸素を液化する酸素液化用減圧工程25bと、を含む。
【0145】
本態様の運転方法を実行することにより、第八態様と同様、抽気空気中の酸素を液体酸素として得ることができる。
【0146】
(18)第十八態様におけるガスタービンプラントの運転方法は、
前記第十二態様におけるガスタービンプラントの運転方法において、前記体積縮小化工程S20cは、圧縮空気貯蔵工程S20cである。前記圧縮空気貯蔵工程S20cでは、前記抽気圧縮機42で圧縮された前記抽気空気を圧縮空気タンク56cに貯蔵する。
【0147】
本態様の運転方法を実行することにより、第九態様と同様、抽気空気を圧縮した圧縮空気を得ることができる。
【0148】
(19)第十九態様におけるガスタービンプラントの運転方法は、
前記第十二態様から前記第十八態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンプラントの運転方法において、前記ガスタービンプラントは、前記燃焼器15に供給する燃料の流量を調節可能な燃料調節弁5と、前記ガスタービン1から前記抽気ライン31に流入する前記抽気空気の流量を調節可能な抽気調節弁32と、を備える。前記燃料調節弁5及び前記抽気調節弁32を制御する制御工程S10を実行する。前記制御工程S10は、前記ガスタービン1に要求される要求出力PWcを受け付け、前記要求出力PWcに応じて前記燃料調節弁5の開度を制御する燃料制御工程S11と、前記要求出力PWcを受け付け、前記要求出力PWcに応じて前記抽気調節弁32の開度を制御する抽気制御工程S13と、を含む。前記抽気制御工程S13では、前記要求出力PWcが予め定められた出力以上の場合に、前記抽気調節弁32に閉を指示し、前記要求出力PWcが前記予め定められた出力未満の場合に、前記抽気調節弁32に開を指示する。
【0149】
本態様の運転方法を実行することにより、第十態様と同様、要求出力PWcが予め定められた出力未満になっても、ガスタービン1の出力をこの要求出力PWcに合わせることができる。
【0150】
(20)第二十態様におけるガスタービンプラントの運転方法は、
前記第十九態様におけるガスタービンプラントの運転方法において、前記ガスタービンプラントは、前記抽気ライン31から前記抽気圧縮機42に流入する前記抽気空気と、前記分岐ライン33から前記抽気タービン35に流入する前記抽気空気との流量比を調節可能な分岐調節弁34を備える。前記制御工程S10は、前記分岐調節弁34の開度を制御する分岐制御工程S14を含む。
【0151】
本態様の運転方法を実行することにより、第十一態様と同様、ガスタービン1からの抽気空気のうちで、抽気圧縮機42で体積を縮小化する抽気空気と、抽気圧縮機42の駆動に利用される抽気空気との流量比を調節することができる。
【符号の説明】
【0152】
1:ガスタービン
2:ガスタービンロータ
3:中間ケーシング
4:燃料ライン
5:燃料調節弁
6:GT発電機
10:圧縮機
11:圧縮機ロータ
11s:圧縮機ロータ軸
11b:動翼列
12:圧縮機ケーシング
13:吸気量調節機
13v:入口案内翼
13d:駆動機
15:燃焼器
16:タービン
17:タービンロータ
17s:タービンロータ軸
17b:動翼列
18:タービンケーシング
20:排熱利用設備
21:排熱回収ボイラー
21d:ダクト
21t:伝熱管
22:煙突
23:蒸気タービン
24:主蒸気ライン
25:復水器
26:給水ライン
27:給水ポンプ
30,30b,30c:抽気設備
31:抽気ライン
32:抽気調節弁
33:分岐ライン
34:分岐調節弁
35:抽気タービン
36:抽気タービンロータ
37;抽気タービンケーシング
40,40a:空気液化装置(体積縮小化装置)
40b:空気分離装置(体積縮小化装置)
40c:圧縮空気貯蔵装置(体積縮小化装置)
41,41a:装置内圧縮機
42:抽気圧縮機
42r:抽気圧縮機ロータ
42c:抽気圧縮機ケーシング
43:空気昇圧機
45,45d:アシスト機構
46:駆動力伝達機
46i:入力軸
46o:出力軸
47:抽気タービン発電機
48:電力系統
50:熱交換器
51:空気液化用減圧器
51b:酸素液化用減圧器
52:気液分離器
53:抽気減圧器
54:気体空気戻しライン
55:液体空気ポンプ
55b:液体酸素ポンプ
56:液体空気タンク
56b:液体酸素タンク
56c:圧縮空気タンク
57,57a:装置内電動機57
58:抽気圧縮電動機
59;昇圧電動機
60:電力設備
61:GT電力線
62:抽気圧縮M電力線
63:昇圧M電力線
64:外部電力系統
65:BT電力線
100:制御装置
101:燃料制御器
102:IGV制御器
103:抽気制御器
104:分岐制御器
A:空気
F:燃料
Ar:ロータ軸線
Da:軸線方向
Dau:軸線上流側
Dad:軸線下流側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9