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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153457
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】倉庫内の作業環境改善装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20241022BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20241022BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20241022BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20241022BHJP
   F24F 11/33 20180101ALI20241022BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20241022BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20241022BHJP
   F24F 140/30 20180101ALN20241022BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/007 101
F24F11/65
F24F11/64
F24F11/80
F24F11/33
F24F110:10
F24F110:20
F24F140:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067360
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】瀧上 柾
(72)【発明者】
【氏名】小坂 千里
(72)【発明者】
【氏名】内山 明彦
(72)【発明者】
【氏名】染谷 孟行
(72)【発明者】
【氏名】深野 純一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 恒佑
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD02
3L056BD03
3L056BE01
3L056BF06
3L056BG02
3L056BG09
3L260AB11
3L260AB15
3L260BA02
3L260BA24
3L260CA08
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA22
3L260CA50
3L260CB62
3L260EA02
3L260EA03
3L260EA09
3L260EA30
3L260FA02
3L260FB61
3L260FC01
3L260FC05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】倉庫内の結露抑制装置を用いて倉庫内で作業する者の作業環境を改善する。
【解決手段】監視員の判断により結露抑制手段が駆動される倉庫内に保管されている荷物140や躯体122の結露を抑制するための支援装置であって、支援装置は、制御装置400と、監視装置200と、警報装置420と、倉庫内の空気の湿度と温度を検出する空気センサ520と、放射温度を検出する放射センサ530と、倉庫内に保管されている荷物や躯体の温度を検出する温度センサ510、515と、結露抑制手段310、330と、を備え、前記制御装置400は、前記空気センサ520により算出された露点温度と前記温度センサで検出された対象物温度との差の時間的変化により倉庫内の結露の発生を判断し、前記運転モード選択手段は、少なくとも結露抑制運転モードと空気調和モードが選択可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視員の判断により、結露抑制手段が駆動される倉庫内に保管されている荷物や躯体の結露を抑制するための支援装置であって、
支援装置は、
制御装置と、
監視装置と、
警報装置と、
倉庫内の空気の湿度と温度を検出する空気センサと、
輻射温度を検出する輻射センサと、
倉庫内に保管されている荷物や躯体の温度を検出する温度センサと、
結露抑制手段と、
運転モード選択手段と、
パッケージエアコンと、
を備え、
前記制御装置は、前記監視装置と、前記空気センサと、前記輻射センサと、前記温度センサと前記結露抑制手段と接続され、
前記監視手段は、前記警報装置に接続され、前記空気センサにより算出された露点温度と前記温度センサで検出された対象物の温度との差の時間的変化により倉庫内の結露の発生を判断し、その判断の結果により前記警報装置を駆動し、
前記運転モード選択手段は、少なくとも結露抑制運転モードと空気調和モードが選択可能であり、空気調和モードが選択されたときには、前記パッケージエアコンを制御して倉庫内の空気調和の制御を自動制御する、
倉庫内に保管されている荷物や躯体の結露を抑制するための支援装置。
【請求項2】
前記結露抑制手段は、大型シーリングファンである請求項1に記載の倉庫内に保管されている荷物や躯体の結露を抑制するための支援装置。
【請求項3】
前記空気調和モードは、室内のWBGTに基づいて制御される請求項1に記載の倉庫内に保管されている荷物や躯体の結露を抑制するための支援装置。
【請求項4】
前記空気調和モードは、室内のPMVに基づいて制御される請求項1に記載の倉庫内に保管されている荷物や躯体の結露を抑制するための支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫内で入荷や出荷等の作業を行う作業員に快適な作業現場を提供するための作業環境改善装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫内の結露の発生を抑制するために倉庫内の空間の空気調和をすることするシステムが種々提案されている。
【0003】
特許文献1には、土間床の結露の発生を抑制するために、センサを用いて倉庫内の露点温度を検出し、土間床と露点温度との関係で結露の発生を抑制する装置を自動運転することが提案されている。
特許文献2には、住居として用いられる建物の中にいる者が熱中症を起こさないように空気調和機の制御を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-57446号公報
【特許文献2】特開2022-155943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空気調和機の分野では、センサの出力により空気調和機の制御を行うことが種々提案されている。特に、室内の居住空間における空気調和機の制御は、各種のセンサが検出した物理量に基づいて、居住空間の温度と湿度の制御を行い、快適な空気調和の制御を行うことが提供されている。
【0006】
倉庫内の結露抑制についても、上記特許文献1に開示されているように、屋内空間の温度を検知する屋内空間温度センサと、土間床を有する非空調の建物の屋内空間に土間床に送風可能な送風機と、土間床の表面温度を検知する土間床温度センサとを備え、土間床の表面温度と屋内空間の温度との関係で送風機を制御装置により制御することにより土間床の結露を抑制しようとすることが提案されている。
【0007】
上記特許文献1に開示される先行技術は、結露抑制の制御の対象が倉庫であるという特殊な空間であり、出荷や入荷というイベントが発生することが考慮されていない。倉庫内の結露抑制のための制御は、室内の居住空間の空気調和の制御とは大きく異なるため、居住空間の空気調和で実現できそうな制御であっても、倉庫内の結露の抑制を制御装置により自動制御することは困難であるといわざるを得ない。その困難とする問題点について以下説明する。
【0008】
問題点1:倉庫の構造に起因する問題
倉庫は、入荷、出荷のために大きな扉が設けられており、扉が開口されたときに開口された扉から倉庫外の高温高湿の空気が倉庫内に侵入すると、倉庫内の空気の露点温度が上昇する。扉が開口される前の状態では、倉庫内で保管されている荷物や躯体の表面温度は倉庫内の空気の露点温度より高い状態であり結露が発生しない状態であったとしても、倉庫の扉が開口し、倉庫外の高温高湿の空気が倉庫内に侵入し倉庫内の空気の露点温度が上昇すると、倉庫内で保管されている荷物や躯体の表面温度が倉庫内の空気の露点温度より相対的に低くなり結露が発生することになる。
【0009】
問題点2:気象に起因する問題
特許文献1には、秋の温度の一日変化を示すグラフが提示されている。しかしながら、倉庫は、立地の費用が安く済む山間部に設けられたり、港湾に近い海辺に設けられたりする。山間部の一日の温度変化は、内陸性気候の変化に似たものとなるが、海辺の一日の温度変化は、海洋性気候の変化に似たものとなる。
【0010】
倉庫の温度変化が海洋性気候の変化と似ている場合には、一日の温度変化が内陸性気候の温度変化に比べて小さいものとなるため、一日の温度変化に対してさほど考慮する必要はないといえる。
【0011】
倉庫の温度変化が内陸性気候の変化と似ている場合には、一日の温度変化が海洋性気候の温度変化に比べて大きいものとなるため、一日の温度変化に対して考慮する必要が生じる場合があり、適切な制御を行うためには、立地条件に基づいて一日の温度変化を考慮して制御する必要がある。
【0012】
複数の倉庫が同じ敷地内に設置されていたとしても、倉庫が大きいと倉庫毎の周辺の状況が大きく異なる場合がある。湖沼に近い倉庫とそうでない倉庫、海側に設置された倉庫と山側に設置された倉庫とでは、それぞれ、風が吹けば高湿の外気の影響を受ける倉庫と影響を受けない倉庫に分かれることになる。しかも、外気の影響は、風向きによっても大きく異なることから、常に気象の変化を把握することが必要となる。
【0013】
また、精度の高い制御を行うために、予め必要な情報、例えば天気予報を制御装置に記憶しておくことも考えられるが、天気予報は必ずしも当たるわけではない。
【0014】
問題点3:入荷物による問題
倉庫には、様々な荷物が入荷されたり、出荷されたりする。入荷される荷物には、外気の影響やトラックの輸送時の影響で高温になっていたり、低温になっていたりする。
【0015】
倉庫内にすでに保管されている荷物や躯体が結露の発生しない状況であったとしても、高温の荷物が入荷されることにより、倉庫内の空気の温度が上昇し、それに伴い倉庫内の空気の露点が上昇することがある。倉庫内の空気の露点温度が上昇すると、倉庫内で保管されている荷物や躯体の表面温度が倉庫内の空気の露点温度より相対的に低くなり結露が発生することになる。
【0016】
倉庫内の結露の発生は、一度結露が発生すると荷物が欠損したり、カビの発生の原因となったりしたりするため、必ず防ぐ必要がある。特に、段ボール等の容器で荷物が収納されているときにはこの問題が顕著となり、人の快適性を提供する空気調和機との大きな違いであるといえる。
【0017】
居室内にいる人の快適性を求める空気調和では、少しくらいの時間であれば快適とは言えない時間帯があったとしても、必ずしも問題になるとはいえないが、段ボールに結露が発生し、段ボールが破損したり、躯体に結露が発生し、それが原因でカビが発生したりすることは、必ず防ぐ必要があるのである。
【0018】
先行技術で開示されているように、倉庫内の結露の発生の抑制をセンサの出力により自動制御を行おうとしても、実際にはセンサで検出される物理量は限られたものである。上記、課題1~3に示された課題をセンサで検出される物理量で対応することは困難である。
【0019】
仮に、センサの出力により結露の発生を抑制しようとしても、センサで検出される要因以外の要因によって結露を発生させてしまうことになる。そして、様々な要因が発生することを考え安全率をとって結露抑制手段を稼働することになり、結局は結露を抑制手段の稼働率があがり、無駄に結露抑制手段を稼働することになり、その分無駄にエネルギーの消費を行うことになる。
【0020】
結局、倉庫内の結露の発生を抑制するためには、対象の倉庫についてセンサで検出できない気象状況の変化や入荷出荷のスケジュール等の様々な情報を把握した熟練した監視員が過去の経験等により結露抑制手段を操作するということになる。
問題点4:倉庫内での作業環境の改善
上記特許文献2に開示された技術は、住居として用いられる建物の中にいる者が熱中症を起こさないように空気調和機の制御を行うことが記載されている。
【0021】
上記特許文献2に開示された発明は、倉庫内で作業する者の作業環境を改善するものではなく、また倉庫内で作業する者に適用することを示唆するものではない。
【0022】
本発明は、上記問題点を鑑み、倉庫内の結露抑制装置を用いて倉庫内で作業する者の作業環境を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、課題を解決するために、監視員の判断により結露抑制手段が駆動される倉庫内に保管されている荷物や躯体の結露を抑制するための支援装置であって、支援装置は、制御装置と、監視装置と、警報装置と、倉庫内の空気の湿度と温度を検出する空気センサと、輻射温度を検出する輻射センサと、倉庫内に保管されている荷物や躯体の温度を検出する温度センサと、結露抑制手段と、運転モード選択手段と、パッケージエアコンと、を備え、前記制御装置は、前記監視装置と、前記空気センサと、前記温度センサと前記結露抑制手段と接続され、前記監視手段は、前記警報装置に接続され、前記空気センサにより算出された露点温度と前記温度センサで検出された対象物温度との差の時間的変化により倉庫内の結露の発生を判断し、その判断の結果により前記警報装置を駆動し、前記運転モード選択手段は、少なくとも結露抑制運転モードと空気調和モードが選択可能であり、空気調和モードが選択されたときには、前記パッケージエアコンを制御して倉庫内の空気調和の制御を自動制御するようにした。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、倉庫内で作業を行っている者が熱中症をおこさない作業環境を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る倉庫の一例を示す全体構成図である。
図2】結露の発生する機序の説明図
図3】本発明の実施形態における土間床温度T℃、露点温度T℃dp、安全温度Tsa℃の時間的変化を示すグラフである。
図4】本発明の別の実施形態における土間床温度T℃、露点温度T℃dp、安全温度Tsa℃の時間的変化を示すグラフである。
図5】本発明の別の実施形態における土間床温度T℃、露点温度T℃dp、安全温度Tsa℃の時間的変化を示すグラフである。
図6】本発明の別の実施形態における土間床温度T℃、露点温度T℃dp、安全温度Tsa℃の時間的変化を示すグラフである。
図7】本発明の別の実施形態における土間床温度T℃、露点温度T℃dp、安全温度Tsa℃の時間的変化を示すグラフである。
図8】倉庫内で大型シーリングファンを駆動したときの風の流れを示す断面図。
図9】倉庫内で通常のシーリングファンを駆動したときの風の流れを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
倉庫について
本発明が対象とする倉庫とは、物流等において一時的に保管される倉庫などであって、所謂メガ倉庫といわれる大型の倉庫を対象とするものである。
近年、倉庫は巨大化されてきている。巨大な倉庫の一例としては、ロジポート名古屋は、地上4階建、敷地面積157.042m2(約47.505坪)、延床面積355.109m2(約107.420坪)(http://logi-port.com/leasing/nagoya.html)がある。
【0027】
メガ倉庫は、躯体の一部として土間床を備えていることが多い。土間床は、地域によって異なるが春や秋頃の中間期には18度前後の温度で推移することがある。そして、土間床は、倉庫が設置されている気象条件により温度が上昇したり低下したりする。季節が春から夏に移るときには、倉庫の外気温度は上昇するが、外気の温度の上昇に遅れるように土間床の表面温度は上昇する。
土間床の表面温度の上昇が外気の温度の上昇より遅れる理由は、土間床は地熱の影響を受けるが、地熱の温度の上昇は外気の温度の上昇より遅れるためである。
【0028】
本発明では、例示として大型の倉庫を対象として記載するが、倉庫内の結露発生を課題としている倉庫であれば、本発明の対象とする倉庫であるといえる。また、家屋が倉庫と名称されていなくても、家屋の中に荷物を保管することができ、家屋内における結露が問題となるような家屋であれば本発明が対象とする倉庫であることは、当業者が容易に理解できるものである。
【0029】
結露抑制手段について
倉庫は、倉庫内に結露抑制手段として天井にシーリングファンを備えている。倉庫が結露の発生を抑制するために備えるシーリングファンは、室内の空気を循環させることにより室内の温度を均等に保ち、冷暖房の効率を上昇させることを主目的とするシーリングファンとは異なり、倉庫内に存在する空気を倉庫内で保管されている荷物や、躯体に対して送風する機能を持っている。
【0030】
通常、倉庫内の空気の温度は、倉庫内で保管されている荷物や躯体と比べて高い温度である。シーリングファンにより天井から倉庫内に保管されている荷物や躯体に吹き付けられる空気は、倉庫内で保管されている荷物や躯体の表面温度と比べて高い温度である。シーリングファンは、回転により天井付近に存在する高温の空気が相対的に低温である倉庫内に保管されている荷物や躯体の表面温度を上昇させるとともに、倉庫内の空気の温度を低下させるという機能を持っている。
【0031】
結露は、倉庫内で保管されている荷物や躯体の表面温度が倉庫内の空気の露点温度より低くなったときに発生するが、シーリングファンを駆動することにより倉庫内で保管されている荷物や躯体の表面温度が高くなり、結露の発生を防ぐことができる。
【0032】
シーリングファンについて
ここで、倉庫内で結露の発生を抑制するために用いられるシーリングファンには、「HVLSファン(大型シーリングファン)」が用いられてもよい。HVLSファンとは、「High Volume」・「Low Speed」の略称であり、大型シーリングファンと呼ばれている。ファンが備える羽根は低速で回転し、大風量を起こす機能を持っている。
【0033】
換気扇について
倉庫は、外気を倉庫内に導くことにより結露を抑制することができる換気扇を備えていてもよい。換気扇は、通常倉庫の側壁に設けられる。換気扇には有圧扇を採用してもよい。また、換気に際して、埃などの異物を除去するフィルタや、水分を除去するフィルタを備えてもよい。外気の露点温度が倉庫内の露点温度より低い場合には、換気扇により外気を倉庫内に導くように動作させてもよい。
外気を倉庫内に導入することにより、逆に倉庫内で結露が発生される状況とされる場合には、換気扇を駆動しない。また、既に換気扇が駆動されているときには、換気扇の駆動を停止する必要がある。
【0034】
結露の発生を抑制するために、シーリングファン、換気扇を独立して制御することができる。片方のみを駆動してもよいし、併用してもよい。シーリングファン、換気扇を併用しても結露の発生を抑制できない場合や、既に結露が発生しているときには、倉庫内に設けられている除湿手段を駆動してもよい。
【0035】
躯体には、躯体の温度を上昇させるヒータを設けてもよい。躯体の表面温度が所定の温度より低温であり、シーリングファンの駆動だけでは結露の発生を防ぐことができないときや、既に結露が発生しているときには、躯体に設けたヒータを駆動することができる。
【0036】
躯体に設けたヒータを駆動すると、加熱された躯体の表面温度が上昇する。躯体の表面温度が上昇すると、倉庫内の空気の露点温度より高くすることができ、結露の発生を抑制することができる。また、既に躯体の表面に結露が発生しているときには、ヒータを駆動することにより結露を除去することができる。
【0037】
躯体に設けたヒータは、シーリングファンや換気扇と併用して駆動することにより、より結露の発生を抑制したり、結露の除去をしたりすることができる。
【0038】
気体センサについて
倉庫は、倉庫内外の気体の状況を検出するための気体センサを備えている。倉庫内の気体センサは、倉庫内の空気の湿度、温度を検出する。倉庫外の気体センサは、倉庫外の空気の湿度、温度を検出することができる。気体センサには、黒球温度、温度、湿度、風速を検出し、検出した値により、PMV、WBGT、絶対湿度、露点温度、湿球温度を演算するセンサを用いてもよい。具体的には、ホルトプラン合同会社作成のPMV-20-ONEを採用してもよい。
気体センサは、後述する制御装置と通信線で接続してもよいし、無線で接続してもよい。無線で接続するときには、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)を採用してもよいし、電話回線を採用してもよい。
【0039】
輻射センサについて
倉庫は、輻射温度を検出する輻射センサを備えている。輻射センサは、倉庫内における周囲の全方向からの放射熱を平均して人体が受ける平均輻射温度が算出できる位置に設けることが好ましい。算出された平均輻射温度は、後述するPMVまたはWBGTの算出に用いられる。輻射センサは、作業者が作業を行う位置に設けたり、作業者自身が携帯するようにしてもよい。
【0040】
PMVについて
PMV(快適性評価:Predicted Mean Vote)とは、感覚的な温熱環境の快適さを示す指標であり、室温、湿度、気流、平均輻射温度、代謝、着衣量を含めた6つの変数から計算される。
【0041】
PMVは、制御装置で各センサからの出力で演算してもよいし、センサ自身がPMVを演算し、制御装置に送信するように構成してもよい。
【0042】
WBGTについて
WBGT(暑さ指数・湿球黒球温度:Wet Bulb Globe Temperature)とは、熱中症を抑制することを目的として1954年にアメリカで提案された指標であり、単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示される。WBGTは、気温とは異なり人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標であって、人体の熱収支に与える影響の大きい湿度、日射・輻射等の熱環境、気温の3つを取り入れた指標である。
【0043】
WGBTの演算式は、以下のとおりである。
屋外の場合:WBGT(℃)=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1× 乾球温度
屋内の場合:WBGT(℃)=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
(WBGT:黒球温度、湿球温度、乾球温度の単位は、摂氏度(℃))
湿球温度は、風速の影響を受けるところ、風速が速いほどその値は小さくなることは、当該技術者にとって明らかである。
【0044】
WBGTは、制御装置が各センサからの出力により演算してもよいし、各センサ自身がWBGTを演算し、その演算結果を制御装置に送信するように構成してもよい。WBGTは、風速の近似式でも計算をすることができる。
【0045】
躯体の温度について
倉庫は、躯体の温度、物品の温度を検出するための温度センサを備えてもよい。躯体の温度センサは、躯体の温度を検出し、躯体の温度と室内空気の露点温度とを比較するために用いられるものである。
【0046】
躯体の表面温度、荷物の表面温度について
倉庫は、躯体の表面温度、荷物の表面温度を検出するための温度センサを備えてもよい。躯体の表面温度センサは、躯体の表面温度を検出し、躯体の表面温度と室内空気の露点温度とを比較するために用いられるものである。
【0047】
ここで、躯体の表面温度とは、躯体の温度の影響により結露が発生する域内のことを意図する。躯体の温度が倉庫内の空気の温度より低い場合、躯体から倉庫の中心に向かう方向にかけて温度が上昇する。躯体が土間床である場合、床面から天井に向けて温度が上昇する。土間床の表面温度とは、結露が発生する土間床と接する倉庫内の空気の温度を意図する。
【0048】
可能であれば、躯体の表面温度センサは、躯体の内部に埋蔵するように設置して躯体の表面温度を検出するようにしてもよい。躯体の表面温度センサは、躯体の室内側表面の結露の発生を抑制するために設けられるものであるから、躯体の室内側の表面の温度を検出するものが望ましい。
【0049】
躯体の表面温度センサを躯体は室内側表面に設置してもよいし、躯体の内部に設置してもよい。躯体の表面温度センサを躯体の内部に設置する場合には、躯体内部の中心より室内側表面に偏った位置に配置すると、躯体の室内側表面の温度を正確に検出することができる。
【0050】
躯体の表面温度センサは、温度変化により抵抗値が変化することを利用したセンサであってもよいが、躯体と離れた場所で躯体が放射する赤外線を検出する赤外線センサで構成されてもよい。赤外線センサを躯体の室内側に設けて温度を測定することにより、躯体の室内側表面の温度を検出することができる。躯体の室内側表面の温度を正しく検出することにより、躯体の結露の発生を正しく予測することができる。
【0051】
荷物の表面温度センサは、荷物の表面温度を検出し、荷物の表面温度と室内空気の露点温度とを比較するために用いられる。荷物の表面温度センサは、荷物を包装している容器の表面に設けてもよいし、荷物に接触させて設けてもよい。荷物を包装している容器の表面に温度センサを設けると、荷物を包装している容器、例えば段ボールに設ければ、段ボールの表面に結露が発生ことを正しく判断することができる。
【0052】
輻射温度について
輻射温度は。輻射センサにより、倉庫内における周囲の全方向からの放射熱を平均して人体が受ける平均輻射温度として検出、演算される。輻射温度は、作業者が受ける輻射熱を正確に検出されることが望ましいため、輻射センサの検出値を倉庫内の環境や作業者の作業の実態等により適宜補正することができる。また、他のセンサを輻射センサとして採用し、他のセンサの出力値に基づいて輻射温度を演算したり、輻射温度の近似値を演算したりすることができる。
【0053】
除湿装置
倉庫には、除湿装置を設けてもよい。倉庫内に保管されている荷物や躯体に結露が発生した場合や、結露抑制手段を動作させても結露の発生を抑制することができない場合には、倉庫内で除湿手段を動作させることができる。
倉庫内の空気の湿度を下げることにより倉庫内での結露の発生を抑制したり、倉庫内に保管されている荷物や躯体に発生した結露を除去したりすることが速やかに行うことができる。除湿装置として、除湿モードが選択可能なパッケージエアコンを除湿モードで運転することにより除湿装置とすることができる。
【0054】
制御装置について
制御装置は、空気センサや温度センサ等の各種センサ並びに入力手段と接続され、監視装置、警報装置、中央管理装置、通信装置、除湿手段に接続されている。制御装置は、対象となる倉庫内や倉庫の近くに設けてもよいし、倉庫を管理する中央管理装置に設けてもよい。
【0055】
監視装置について
監視装置は、制御装置の出力により、結露の発生の予測、結露の発生等の倉庫内の結露に関して監視を行う。監視装置が結露の発生の予測、結露発生を判断したときには、警報装置に警報を行うように指示する。
監視装置は、制御装置と一体的に構成されてもよいし、制御装置と独立して構成されてもよい。監視装置が制御装置と独立して設けられるときには、複数の監視装置を適宜の場所、例えば倉庫毎に設けてもよい。
【0056】
警報装置について
警報装置は、各種センサからの出力データにより、監視対象となる倉庫に保管された荷物や、躯体の結露が発生しそうとなったときに、監視員に警報を発する装置である。より具体的には、制御装置が倉庫に保管された荷物や、躯体が結露しそうになっている、または、、結露したと判断したときには、制御装置は警報装置を作動させて、倉庫を監視する監視員に結露の発生を抑制、または、結露を除去する行動を促すものである。
【0057】
警報装置は、対象の倉庫内に設けてもよいし、中央管理装置に組み込まれるように設けてもよい。警報装置は、監視装置からの信号を受けて作動して警報音を発する音響装置や警報を表示する表示装置、振動を行う振動装置等により構成されている。
警報装置としては、監視室に設けられるモニタを利用することができるが、PDA(携帯情報端末)や、スマートフォン等を利用することができる。
【0058】
警報装置にPDA(携帯情報端末)や、スマートフォンを採用すれば、結露発生の監視を監視室にいる監視員のみならず、倉庫内で作業をしている作業者が警報装置の警報を認知することができ、現場で結露の発生の抑制や、結露が発生している箇所の対応を速やかに行うことができる。
【0059】
警報装置が発する警報の種類には、結露が起こりそうであるときには、「結露予報」、結露が発生しているときには、「結露警報」がある。警報装置は、発する警報の種類に応じて音響装置が発する音響内容、表示装置が表示する表示内容、振動装置の振動を変化させて、監視員に警報装置が発する警報の内容が容易に理解できるように構成することができる。
警報装置は、監視装置と一体的に設けてもよいし、監視装置とは独立して設けてもよい。警報装置を監視装置と独立して設けるときには、複数の箇所に設けることができる。
【0060】
入力手段について
入力手段は、監視員の指示内容、作業者に関する情報、倉庫に関する情報、倉庫の入荷、出荷に関する情報、気象情報等を入力することができる。入力手段で入力された情報に基づいて結露抑制手段の運転、倉庫内のPMVの算出、WBGTの算出が行われる。
監視員は、入力手段により制御装置の制御を行うこともできる。
【0061】
作業者に関する情報としては、倉庫内での作業の内容、作業する作業者の人数、性別、年齢、服装、暑がりであったり、寒がりであったりとかの情報である。
倉庫内での作業の内容、服装は、PMVを演算する際に必要となる情報である。
入力手段は、監視員やその他の担当者が情報を手入力で入力してもよいし、通信回路を通じて外部から情報を入力するように構成してもよい。
【0062】
警報装置が結露に関して警報を発したときには、監視員はその警報の内容により入力手段で結露抑制手段を駆動するように入力することができる。
【0063】
倉庫に関する情報としては、倉庫の大きさや倉庫の扉の位置、扉の大きさ等の倉庫の構造、倉庫の断熱能力等の情報、倉庫が設置されている位置、倉庫の周辺に関する情報が挙げられる。
【0064】
倉庫の入荷、出荷に関する情報としては、倉庫に荷物が入荷される時間、荷物が出荷される時間、倉庫に入荷される荷物の情報、倉庫から出荷される荷物の情報、入荷、出荷されるための扉が開口される時間が挙げられる。
【0065】
気象情報としては、倉庫の周辺の現在の気象情報に加え、過去気象情報、今後の気象情報であり、湿度、温度、風速、風向、気象に関する注意報、警報が挙げられる。
【0066】
監視員は、結露抑制装置の運転を結露が発生することを抑制するために制御を行うが、結露抑制手段を倉庫内で作業する作業者のために、PMV、WBGTの値に基づいて制御してもよい。
【0067】
PMVのための制御、WBGTのための制御は、倉庫内に結露抑制装置が備える設備、センサを利用して容易に行うことができる。
【0068】
監視装置の動作の説明
本発明の監視装置について監視対象の倉庫内の土間床に対しての結露抑制の動作を説明するが、結露抑制の対象となるものが、土間床に限定されるものではなく、倉庫内で保管されている荷物や、土間床以外の壁や天井等の他の躯体に適用できることは、当業者であれば明らかである。
【0069】
以下の説明では、土間床の表面温度は一定であるとし、倉庫内の空気の温度、湿度は状況により変化し、その変化に伴い倉庫内の空気の露点温度も変化するものとして説明する。土間床は、倉庫内の空気に比べて温度変化が小さいが、実際には、気象状況やその他の要因で変化するがその変化については省略する。
【0070】
監視対象の倉庫内には空気が存在しているが、通常の状態では、倉庫内の空気の露点温度は、土間床の表面温度より低い状態である。
【0071】
図1に結露抑制手段(310、330、340)を備えた倉庫の全体図を示す。倉庫(100)は、基本的な構造として、躯体として土間床(122)、側壁(124)、天井(126)を有する。
【0072】
側壁(124)は、輸送用のトラック(120)から荷物(140)を入荷、または出荷のための扉(110)と、結露抑制手段の一つとしての換気扇(330)を有する。側壁(124)が有する扉(110)が開くと、側壁(124)には開口(115)が形成される。
【0073】
倉庫(100)内には、荷物(140)と、作業を行う作業員(130)が存在する。倉庫(100)内には、その他の図示されていない重機や機械が存在することがある。
【0074】
天井(126)には、結露抑制手段の一つとしての、シーリングファン(310)、シーリングファン(310)の制御を行うシーリングファン制御装置(320)、除湿手段としても用いられることが可能なパッケージエアコン(600)が設けられている。
【0075】
土間床(122)には、土間床(122)の温度を検出する温度センサ(515)が設けられている。また、結露抑制手段、結露除去手段としてヒータ(340)が設けられている。
【0076】
倉庫(100)内には、設置位置が特定されない倉庫(100)内の空気の湿度と温度を検出する空気センサ(520)が設けられている。空気センサ(520)を複数設ければ、より正確な倉庫内の状況を把握することができる。
【0077】
倉庫(100)内には、設置位置が特定されない倉庫(100)内の特定位置の空気の湿度と温度を検出する空気センサ(520)が設けられている。空気センサ(520)を複数設ければ、より正確な倉庫内の状況を把握することができる。
【0078】
倉庫(100)の外部には、倉庫(100)が位置する外気であって、倉庫(100)内侵入すると影響を与える外気の温度と湿度を検出する外気センサ(530)が設けられている。
【0079】
倉庫(100)または倉庫(100)を遠隔で監視する監視センターには、制御装置(400)、制御装置(400)に各種の情報を入力することができる入力手段(430)、監視装置(200)の出力を受けて警報を発する警報装置(420)が設けられている。
【0080】
制御装置(400)には、温度を検出するセンサ(510、515、520、530)、湿度を検出するセンサ(520、530)その他のセンサの出力が入力され、制御装置(400)の出力により監視装置(200)は倉庫(100)を監視し、監視結果に基づいて警報装置(420)を作動させる。
【0081】
倉庫(100)内の結露を抑制するための支援装置の動作についての一実施例を説明する。本発明の倉庫(100)内の結露を抑制するための支援装置は、倉庫(100)を監視している監視員が結露を発生させないようにするために監視装置(200)により監視を行い、必要に応じて警報装置(420)により警報を行い結露抑制手段(310、330、340)の駆動を促すことを支援するものである。
【0082】
監視装置(200)の監視対象とする倉庫(100)には大型の扉(110)が設けられており、トラック(120)等の大型の車から荷物(140)が倉庫に入荷されるとき、扉(110)が開くと開口(115)が形成される。開口(115)が形成されると、外気が高温高湿である場合、高温高湿の空気が開口(115)を介して倉庫(100)内に侵入し、倉庫(100)内の空気の露点温度は上昇することになる。
【0083】
倉庫(100)内に設けられた空気センサ(520)は、倉庫(100)内の温度と湿度を検知し、制御装置(400)に無線あるいは有線の通信線(500)にて検知した温度と湿度を送信する。土間床(122)に設置された温度センサ(515)は、土間床(122)の温度を検知し制御装置(400)に無線あるいは有線の通信線(500)にて検知した温度を送信する。
【0084】
図2に基づいて倉庫内における結露の発生の機序を説明する。
土間床(122)の表面温度(以下「土間床の表面温度T℃」ともいう。)が倉庫(100)内の空気の露点温度(以下「T℃dp」ともいう。)よりも高い状態が保たれている。時刻(T1)に倉庫(100)の扉(110)が入荷、出荷のために開くと開口(115)が形成される。
なお、図2では、理解を容易とするために土間床の表面温度T℃は、一定の値としているが、実際には、室内温度の上昇に従って上昇することがあるし、他の要因により下降することがある。
【0085】
開口(115)を介して高温多湿の外気が倉庫(100)内に大量に侵入すると、倉庫(100)内の露点温度T℃dpが上昇する。時刻(T2)になり、露点温度T℃dpが土間床の表面温度T℃を超えると、土間床(122)に結露が発生する。
【0086】
時刻(T3)に扉(110)が閉じられて、開口(115)がなくなると、露点温度T℃dpの上昇が止まるが、土間床の表面温度T℃が露点温度T℃dpより高くならないと、土間床(122)に結露が発生する状況が継続する。
【0087】
本発明の実施形態においては、制御装置(400)は、図示されていない記憶手段を備えており、倉庫(100)内の空気の温度、湿度、土間床(122)の温度を随時記憶するように構成されている。そして、倉庫(100)内の空気の温度、湿度、土間床(122)の表面温度の時間変化を記憶できるように構成されている。
【0088】
図3に基づいて、警報装置の動作について説明する。
監視装置(200)は、倉庫(100)内の空気の温度、湿度、土間床の表面温度の時間的変化により、土間床(122)の表面に結露が発生する可能性について判断する。監視装置(200)が土間床(122)の表面に結露が発生することを判断したときには、警報装置(420)を作動し、監視人に対して、結露抑制手段(310、330、340)の駆動を促す警報を発する。
【0089】
本実施例では、土間床(122)の表面温度T℃に基づいて、安全率を考慮した所定の温度(以下「安全温度Tsa」という。)を演算する。露点温度T℃dpが安全温度Tsaよりも高くなると結露が発生しやすい温度に達していると判断する。
【0090】
扉(110)が開口すると露点温度T℃dpは上昇する。時刻T4で露点温度T℃dpが安全温度Tsaより高くなると、監視装置(200)は、倉庫(100)内では、結露が発生しやすくなっていると判断し、警報装置(420)は監視員に対して警報を発する。
【0091】
警報を認識した監視員は、時刻T5にて結露抑制手段(310、330、340)を駆動させる。結露抑制手段(310、330、340)が駆動されたことにより、露点温度T℃dpは下降する。土間床の表面温度T℃は、結露抑制手段(310、330、340)が駆動されることにより温度が上昇する。
【0092】
時刻T6で露点温度T℃dpは安全温度Tsaよりも低くなると、監視員は、結露抑制手段(310、330、340)の駆動を停止する。土間床の表面温度T℃は、結露抑制手段が停止されることにより温度の上昇が停止する。
【0093】
図3では、時刻T6で結露抑制手段(310、330、340)の駆動を停止しているが、チャタリングを避けるために、結露の発生の抑制が十分できるタイミングで結露抑制手段(310、330、340)の駆動を停止するようにしてもよい。
【0094】
結露抑制手段(310、330、340)の駆動時間は、結露の発生を抑制するために所定時間継続することが望ましい。そのため、制御装置(400)に図示されていないタイマーを設け、タイマーに基づいて所定の時間は、結露抑制手段(310、330、340)が継続して駆動されるように結露抑制手段(310、330、340)の制御を行ってもよい。
【0095】
監視員が結露抑制手段(310、330、340)を駆動したときには、タイマーで設定された時間だけ結露抑制手段(310、330、340)を駆動し、その後、自動的に結露抑制手段(310、330、340)が駆動の停止をするように構成したり、監視員がタイマーで設定された時間内において結露抑制手段(310、330、340)の駆動の停止を行おうとした場合には、警報装置(420)が時間内であることの警告を発したり、結露抑制手段(310、330、340)の停止をできないように構成してもよい。
【0096】
タイマーの設定は、倉庫の大きさやその他の要因を考慮して入力手段で入力するように構成することができる。
タイマーを設けることにより、確実に結露の発生の抑制をすることができるし、監視員が誤った操作をすることを防ぐことができる。
タイマーの時間は、対象となる倉庫の大きさにより、適宜設定することができる。
【0097】
図4図5に基づいて、本発明の別の実施形態について説明する。
本実施形態では、土間床(122)の表面温度(以下「土間床の表面温度T℃」という。)と、倉庫(100)内の空気の露点温度(以下「倉庫内の空気の露点温度T℃dp」という。)との時間的変化によって区分を行い、区分毎結露の発生の可能性を判断し適宜警報を行うようにしたものである。
土間床の表面温度T℃と、倉庫(100)内の空気の露点温度T℃dpと、土間床T℃の温度との差Ts(T℃dp-T℃=Ts、以下「Ts」という。)と、安全率を考慮した所定の温度(以下「安全温度Tsa℃」という。)と、土間床の表面温度T℃と倉庫内の空気の露点温度T℃dpとの差の時間的変化(dTs/dt=α以下「α」という。)の関係は大きく分けて、以下のパターンに区分することができる。
ここで、安全温度Tsa℃は、土間床の表面温度T℃に基づいて設定され、露点温度T℃dpが安全温度Tsa℃より高い温度となると結露が発生しやすい状態であるといえるし、露点温度T℃dpが安全温度Tsa℃より低い温度であると結露が発生しにくい状態であるといえる。
【0098】
ここで説明する土間床(122)の表面温度T℃と、倉庫(100)内の空気の露点温度T℃dpの変化は、理解を容易にするために土間床の表面温度T℃は一定とし、倉庫内の空気の露点温度T℃dpが上昇する変化をするとしているが、実際には、土間床の表面温度T℃と倉庫内の空気の露点温度T℃dpの双方が変化することもあるし、土間床の表面温度T℃の変化が倉庫内の空気の露点温度T℃dpの変化より大きい場合もある。
また、ここでは温度変化は直線状に変化するように図示されているが、直線で変化することを特定するものではなく、実際のそれぞれの温度変化は、上昇、下降が繰り返されることがある。
【0099】
パターン1:安全温度Tsa℃>露点温度T℃dp、0≦α
図4にパターン1を図示する。
露点温度T℃dpが安全率を考慮した安全温度Tsa℃より低く、また、土間床の表面温度T℃と倉庫内の空気の露点温度T℃dpとの温度差が開いていく状態(結露が発生しにくい状態)であるので、監視装置(200)は、結露の発生の可能性は低いと判断する。
【0100】
パターン2:安全温度Tsa℃>露点温度T℃dp、0>α
図4にパターン2を図示する。
露点温度T℃dpが安全率を考慮した安全温度Tsa℃より低いが、土間床の表面温度T℃と倉庫内の空気の露点温度T℃dpとの温度差は小さくなっている状態(結露が発生する状態に近づいている状態)であるので、監視装置(200)は、今後、結露が発生する可能性があると判断する。
【0101】
上記パターン1の状態では、監視装置は警報装置(420)により監視員に警報をする必要はない。上記パターン2の状態であるときには、監視装置は警報装置により監視員に警報を発し、監視員は警報により倉庫内の状況を把握し結露抑制手段(310、330、340)を駆動することができる。
【0102】
パターン3 T℃dp>Tsa℃、0>α
露点温度T℃dpが安全率を考慮したTsaよりも高く、既に結露が発生しやすい状況であるが、土間床の表面温度T℃と倉庫内の空気の露点温度T℃dpとの温度差が開いていく状態(結露が発生しにくい状態)であるので、監視装置(200)は、結露が発生する可能性は低いと判断する。
【0103】
パターン4 T℃dp>Tsa℃、α>0
露点温度T℃dpが安全率を考慮したTsa℃よりも高く、また時間の経過に伴い露点温度(Tdp)が上昇し土間床の表面温度に近づいているため、今後露点温度T℃dpが土間床の表面温度(T)よりも高くなることが予測されるので、監視装置(200)は、結露が発生する可能性が高いと判断する。
【0104】
パターン5 T℃dp≧T℃
土間床の表面温度T℃が露点温度T℃dpよりも低いため、監視装置(200)は、既に結露が発生している可能性があると判断する。
【0105】
監視員は、上記パターン3の場合は、今後の状況を踏まえて結露抑制手段(310、330、340)の駆動を検討し、上記パターン4の場合には、速やかに結露抑制手段(310、330、340)を駆動することを検討しないといけないことが理解できるし、上記パターン5の場合には、直ちに結露抑制手段(310、330、340)の駆動を行わないといけないことを認識することができる。
【0106】
以上のとおり、監視装置(200)は、土間床の表面温度T℃、露点温度T℃dpの時間的変化に基づいて上記パターン1~5に区分し、警報装置を制御することができる。本実施例においては、露点温度T℃dpの時間的変化に基づいてパターンに分類することにより、時刻T7において、パターン1とパターン2、パターン3とパターン4はそれぞれ土間床の表面温度T℃、露点温度T℃dpが同じ値であるが、時刻T7より前の時間的変化に基づいて時刻T7より後の時間的変化を予測するから、監視装置(200)は、より精度の高い監視をすることができる。
【0107】
警報装置(420)は、監視装置(200)が区分した上記パターン1~5に基づいて、結露が発生する可能性の高さを考慮して警報装置(420)の動作の内容を選択することができる。
【0108】
監視装置(200)の判断が倉庫(100)内で結露が発生する可能性がないとの判断をしたときには、警報装置(420)は警報を行う必要はない。
【0109】
監視装置(200)の判断が倉庫(100)内で結露が発生する可能性はあるが、その可能性が低いと判断したときには、警報装置(420)は監視員に結露について注意を促す程度の警報を発することができる。
【0110】
監視装置(420)が倉庫(100)内で結露の発生が高いと判断したときには、警報装置(420)は監視員に、結露抑制手段(310、330、340)の駆動を行うことを警報することができる。
【0111】
監視装置(420)が倉庫(100)内で結露が発生したと判断したときには、警報装置(420)は監視員に、結露抑制手段(310、330、340)の駆動と除湿手段(600)の駆動を行うことを警報することができる。
【0112】
図6に本発明の別の実施形態を示す。
図6の実施形態では、監視装置(200)は、入力手段(430)で入力された情報に基づいて土間床(122)が結露しそうな状況が発生することが予測できたときには、その情報に基づいて警報装置(420)を制御することができる。
【0113】
現在の状況が結露の発生の可能性が低い状態であったとしても、例えば、荷物(140)の入荷や出荷のために、時刻T11に、扉(110)が開き、開口(110)を介して高温多湿の外気が倉庫(100)内に侵入することがわかっていれば、予め警報装置(420)を作動させ、監視員に結露抑制手段(310、330、340)を駆動させるように警報することができる。
図6に示されるパターン7は、警報装置(420)が作動せず結露抑制手段(310、330、340)が駆動しなかったときの露点温度T℃dpの時間的推移を示しており、パターン6は、警報装置(420)が作動し、結露抑制手段(310、330、340)が駆動されたときの露点温度T℃dpの時間推移を示す。
【0114】
警報装置(420)が作動しないパターン7では、露点温度T℃dpが時刻T10において扉(110)が解放し開口(115)を介して高温高湿の外気が倉庫(100)内に侵入し、それに伴い露点温度T℃dpは上昇し、時刻T11で土間床の表面温度T℃を超えて土間床の表面に結露が発生する。
【0115】
本発明の実施例のパターン6では、予め入力手段(430)により、時刻T10において扉(110)が解放し開口(115)を介して高温高湿の外気が倉庫(100)内に侵入することが入力されている。
【0116】
警報装置は、時刻T8において監視員に対して警報を発し、監視員は時刻T9にて結露抑制手段(310、330、340)を駆動する。結露抑制手段(310、330、340)の駆動に伴い露点温度T℃dpは下降し、時刻T10において扉(110)が解放し開口(115)を介して高温高湿の外気が倉庫(100)内に侵入しても露点温度T℃dpは、土間床の表面温度T℃を超えることを防ぐことができる。
【0117】
図7にパターン4の変形例を示す。
土間床の表面温度T℃と露点温度T℃dpが近い場合は、土間床の表面温度T℃と露点温度T℃dpとの温度差と時間との変化に応じて警報装置(420)を制御することができる。
監視装置(200)は、土間床の表面温度T℃と露点温度T℃dpとの差であるTsの値が小さいときは、その状態の継続時間が短い時間であったとしても警報装置を作動させるが、Tsの値が大きいときには、その状態の継続時間が長い時間となったときに警報装置を作動することができる。
【0118】
図7の時刻T12より前の状態では、露点温度T℃dpは安全率を考慮したTsaより低い温度を保っている。そうすると、時刻T12より以前は、倉庫(100)内で結露が発生しにくい状況であるといえる。
【0119】
時刻T12おいて、高温多湿の空気が倉庫(100)内に侵入するようなイベントが発生すると、露点温度T℃dpは安全率を考慮したTsaより高くなり、結露が発生しやすい状態となる。
【0120】
パターン8とパターン9とを比べてみると、時刻T12以降において、パターン8は、パターン9に比べて露点温度T℃dpが土間床の表面温度T℃に近い値、すなわちTsが小さい値となっており結露が発生しやすい状態となっている。監視装置(200)はTsの値が小さいパターン8については時刻T13において結露抑制手段(310、330、340)を駆動するように警報を行う。
【0121】
監視装置(200)は、Tsの値がパターン8より大きいパターン9のときには、時刻T13より遅い時刻のT14において結露抑制手段(310、330、340)を駆動するように警報を行う。
【0122】
本実施例では、Tsの値が小さいとき、すなわち結露が発生しやすい状況が継続すると、監視装置(200)は警報装置(420)に早めに警報を行うようにする指示するところ、Tsの値が大きいとき、すなわち結露が発生しにくい状況では、監視装置(200)は警報装置(420)に遅めに警報を行うようにする指示することができる。
【0123】
本実施例によれば、Tsの値の大きさと時間的変化によって、結露が発生しやすい状況を把握し、警報装置(420)により監視員が結露抑制手段(310、330、340)を駆動し、結露の発生の抑制を行うことができるとともに、無駄に結露抑制手段(310、330、340)を駆動することがないから、無駄に電力を消費することがない。
【0124】
本発明の別の実施形態について説明する。
本発明の結露抑制手段を、倉庫内で作業をしている作業者に快適な作業環境を提供する手段として駆動させるために、WBGTモードを設けた点を特徴とする。
【0125】
図8に倉庫内で大型のシーリングファン(310)が起こす風量(350)の概略図、図9に倉庫内で通常の居室等で用いられるシーリングファン(320)が起こす風量の概略図を示す。
【0126】
図8によれば、大型のシーリングファン(310)が起こす大風量は、床面まで届いていることが理解できる。大型のシーリングファン(310)が起こす大風量(350)は、作業者にあたることになり、作業者から熱量を奪う機能をする。特に、作業者は汗をかいていることがあり、気化熱として作業者から大量の熱量を奪うことになる。
【0127】
図9によれば、シーリングファン(320)が起こす風量(350)は、床面まで届いていないことが理解できる。居室で用いられるシーリングファン(320)は、室内の空気を循環させて室内の温度を均等に保つことを目的としている。そのため、シーリングファン(320)が起こす風量(350)は、快適性やエネルギー効率を考慮し、室内の空気を循環させて室内の温度を均等に保つという機能を果たす範囲内の風量(350)とするため、作業者に風が当たるようには設計されていない。
【0128】
本発明は、倉庫内という特殊な環境において、結露を抑制するための大型のシーリングファン(310)の風を作業者に快適な作業環境を提供するために用いるという発想に基づくものである。
【0129】
従来の倉庫に設けられた結露抑制装置は、結露の発生が予測されないときには結露抑制装置は駆動されないし、結露の発生が予測されたときには結露抑制装置を駆動するが、結露の発生を抑制できたと判断されたときには、結露抑制手段の駆動を停止していた。
【0130】
本発明によれば、結露抑制装置にWBGTモードが選択できるように構成し、WBGTモードが選択されれば、結露の発生にかかわらず、倉庫内のWBGTに基づいて結露抑制手段の制御を行うものである。
【0131】
ここで、結露抑制手段が備える大型のシーリングファン(310)の制御だけでは、室内の温度の低下を期待することができず、WBGTが下がらないことがあるため、結露抑制手段に加えパッケージエアコン(600)を併用するものである。
【0132】
「日常生活における熱中症予防指針」Ver.3.1 日本生気象学会によれば、WBGTによる温度基準域、注意すべき生活活動の目安は、以下のとおりである。
【0133】
31℃以上(危険)すべての生活活動でおこる危険性
28℃以上31℃未満(厳重注意)すべての生活活動でおこる危険性
25℃以上28℃未満(警戒)中等度以上の生活活動でおこる危険性
25℃未満(注意)強い生活活動でおこる危険性
【0134】
倉庫内での作業者の作業内容は、中程度の生活活動であるといえるから、倉庫内でのWBGTは少なくとも31℃未満、好ましくは、28℃未満、可能であれば、25℃未満とすることが望まれている。
【0135】
なお、WBGTは、屋内の場合:WBGT(℃)=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度で算出されるため、湿球温度の係数が黒球温度の係数より大きく、湿球温度がWBGTの値に与える影響は大きい。
【0136】
湿球温度は、ある一定の風速になればその値が下がることが技術常識であるところ、結露抑制手段として用いられるシーリングファンが回転し、大風量を起こすと、湿球温度が下がるから、WBGTの制御を行うために、シーリングファンの制御を行うことは理にかなっているといえる。
【0137】
送風量の制御だけではWBGTが下がらない場合には、倉庫内の室温を下げる必要がある。制御装置はパッケージエアコン(600)の制御を行い、倉庫内の室温を下げて室内を目標とするWBGTとすることができる。
【0138】
結露抑制手段を備えている倉庫であれば、倉庫内の湿度、温度を検出するセンサを備え、WBGTを算出できるものであるから、WBGTの算出結果に基づいて、結露抑制手段の運転に加え、パッケージエアコン(600)の制御を加えるという簡単な設計変更により倉庫内の作業者の作業環境を大幅に改善できるという効果を奏するものである。
【0139】
しかも、倉庫内の結露を抑制するための大型のシーリングファン(310)は、倉庫内で大きなものが少ない台数で設置されているものであり、大型のシーリングファン(310)の風は、床の表面に沿って流れるものであり、倉庫内で作業をしている作業者の作業している位置に関係なく十分な風を当てることができるといえる。
【0140】
具体的な制御の例としては、制御装置はWBGTを10分間隔で測定を行い、WBGTが31℃を超えている時には、大型のシーリングファン(310)とパッケージエアコン(600)の駆動を行う。パッケージエアコン(600)の設定温度は26℃が適当な値であるが、WBGTの値によっては、設定温度を26℃より低い値とすることができる。
【0141】
制御装置は、再度WBGTの測定を行い、WBGTが希望の値となれば、大型のシーリングファン(310)とパッケージエアコン(600)の駆動を停止し、WBGTが希望の値となっていないときには、パッケージエアコン(600)の設定温度を下げる。
制御装置は、WBGTによって、パッケージエアコン(600)の設定温度に加え、大型のシーリングファン(310)の風量(350)を変化させて希望のWBGTとすることができる。
【0142】
本発明の実施例によれば、倉庫内に設けられた結露抑制手段にパッケージエアコン(600)の制御を加えるだけで、倉庫内で作業をしている作業者に対して快適な作業環境を提供することができた。
【0143】
本発明の別の実施形態について説明する。
本発明の結露抑制手段を、倉庫内で作業をしている作業者に快適な作業環境を提供する手段として駆動させるために、PMVモードを設けた点を特徴とする。
【0144】
本発明によれば、結露抑制装置にPMVモードが選択できるように構成し、PMVモードが選択されれば、結露の発生にかかわらず、倉庫内のPMV値に基づいて結露抑制手段の制御を行うものである。
【0145】
ここで、結露抑制手段が備える大型のシーリングファン(310)の制御だけでは、室内の温度の低下を期待することができず適切なPMV値をとることができないことがあるため、結露抑制手段に加えパッケージエアコン(600)を併用するものである。
【0146】
PMV(快適性評価:Predicted Mean Vote)とは、感覚的な温熱環境の快適さを示す指標であり、室温、湿度、気流、平均輻射温度の4つの物理的要素と、代謝、着衣量の二つの人間側の要素の6つの変数から計算されるものである。
【0147】
PMVを求めるために、室温、湿度、気流、平均輻射温度の測定は、結露抑制のために備えているセンサを利用してもいいし、PMVを求めるために、別途センサを設けてもよい。
【0148】
PMVを求めるために、着衣量は入力手段により入力することができる。代謝は、典型的な値を採用して入力手段で入力してもよいし、精緻な制御を行うときには、倉庫内で作業を行っている作業者にウェアラブル活動量計を着用させ、ウェアラブル活動計と制御装置とを有線あるいは無線にて接続することにより正確に取得することができる。
【0149】
ウエラブル活動計に、温度センサ、湿度センサ、気流センサ、輻射センサを設ければ、倉庫内で作業をしている作業員のPMVをより正確に求めることができる。また、ウェアラブル活動計に着衣量を入力することができれば、作業員毎のより正確なPMVを求めることができる。
【0150】
具体的な制御の例としては、制御装置はPMVを10分間隔で測定を行い、PMVが(-2<PMV<+2)の範囲でないときには、大型のシーリングファン(310)とパッケージエアコン(600)の駆動を行う。パッケージエアコン(600)の設定温度は26℃が適当な値であるが、WBGTの値によっては、設定温度を26℃より低い値とすることができる。
【0151】
倉庫内にパッケージエアコン(600)が複数台備えられており、ウェアラブル活動計により倉庫内で作業を行っている作業員の位置が把握できる場合には、作業員の位置に近いパッケージエアコン(600)の制御を行うようにすることができる。
【0152】
倉庫内全体に対して空気調和を行うことは目標とするPMVとするまでに時間がかかるとともに、無駄なエネルギーの消費につながる。
対象者の近くのパッケージエアコン(600)の駆動を行うことにより、確実かつ無駄なエネルギーの消費を行わないで目標のPMVとすることができる。
【0153】
制御装置は、10分後、再度PMVの測定を行い、PMVが希望の値となれば、シーリングファンとパッケージエアコン(600)の駆動を停止し、PMVが希望の値となっていないときには、パッケージエアコン(600)の設定温度を下げる。
制御装置は、PMVよって、パッケージエアコン(600)の設定温度に加え、大型のシーリングファン(310)の風量(350)を変化させて希望のPMVとすることができる。
【0154】
本発明の実施例によれば、倉庫内に設けられた結露抑制手段にパッケージエアコン(600)の制御を加えるだけで、倉庫内で作業をしている作業者に対して快適な作業環境を提供することができる。
【0155】
本発明の変形例
監視員は、入力手段により、結露抑制手段の運転モードを選択することができる。結露抑制モードが選択されると、結露抑制手段は、結露抑制運転モードとなり、WBGTモードが選択されると、結露抑制手段はWBGT運転モードとなり、PMVモードが選択されるとPMV運転モードとなる。
【0156】
結露抑制手段が結露抑制モードになると、結露抑制手段は監視員の判断により駆動と停止がされる。結露抑制モードでは、結露の発生の抑制を目的としたパッケージエアコン(600)の運転は行わない。ただし、結露の除去を目的としたパッケージエアコン(600)の運転を行うことはあり得るものである。
【0157】
結露抑制手段がWBGT運転モードになると、結露抑制手段は倉庫が備えるセンサが検出したWBGTに基づいて自動制御が行われる。WBGT運転モードでは結露抑制手段に加えパッケージエアコン(600)による空気調和も併用される。
【0158】
結露抑制手段がPMV運転モードになると、結露抑制手段は各センサが検出したPMVに基づいて自動制御が行われる。PMV運転モードでは結露抑制手段に加えパッケージエアコン(600)による空気調和も併用される。
【0159】
他の変形例
上記実施例では、空気調和の指標としてWBGT、PMVを採用した例を示したが、標準新有効温度SET、不快指数THIなど、他の指標を用いて倉庫内の空気調和を行うことができる。
【0160】
ウェアラブル活動計は、時計を模したタイプであってもよいし、ポケットに入れて使うタイプであってもよいし、スマートフォンであってもよい。ウェアラブル活動計は、PMVに基づく制御のほか、他の指標に基づく制御に採用してもよい。
【符号の説明】
【0161】
100…倉庫
110…扉
115…開口
122…土間床
124…側壁
126…天井
130…作業員
140…荷物
200…監視装置
310…シーリングファン
320…シーリングファン制御装置
330…換気扇
340…ヒータ
400…制御装置
420…警報装置
430…入力手段
500…通信線(有線、無線)
510…温度センサ
515…温度センサ
520…空気センサ
530…輻射センサ
600…パッケージエアコン(除湿機)
図1
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