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特開2024-153460多孔質材料の洗浄装置及び多孔質材料の洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153460
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】多孔質材料の洗浄装置及び多孔質材料の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/04 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B08B3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067364
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523144726
【氏名又は名称】株式会社沖縄環境保全研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】青木 陽士
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 慎一
(72)【発明者】
【氏名】相澤 渉
(72)【発明者】
【氏名】平良 辰二
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201AB33
3B201AB37
3B201AB45
3B201BB02
3B201BB82
3B201BB83
3B201BB90
3B201BB92
3B201CC01
3B201CC12
(57)【要約】

【課題】
多孔質材料を洗浄液で洗浄しようとしても、多孔質材料の比重が洗浄液の比重より小さい場合、多孔質材料が洗浄液に浸漬することができず、洗浄が困難であった。
【解決手段】
洗浄装置は、多孔質材料を収納する収納ケース(20、25)と、多孔質材料を洗浄する洗浄液を貯留する貯留槽(30)と、前記収納ケース(20、25)を前記貯留槽(30)内で上下方向に駆動させる動力源とを備えた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質材料を収納する収納ケースと、
多孔質材料を洗浄する洗浄液を貯留する貯留槽と、
前記収納ケースを前記貯留槽内で上下方向に駆動させる動力源と、
を備えた多孔質材料の洗浄装置。
【請求項2】
多孔質材料を収納する収納ケースと、
多孔質材料を洗浄する洗浄液を貯留する貯留槽と、
多孔質材料を洗浄する洗浄液が前記貯留槽内で前記収納ケースに圧力がかかるように加圧する動力源と、
を備えた多孔質材料の洗浄装置。
【請求項3】
前記多孔質材料が軽石である、請求項1または2記載の多孔質材料の洗浄装置。
【請求項4】
多孔質材料を収納する収納ケースと、
多孔質材料を洗浄する洗浄液と、
前記洗浄液を貯留する貯留槽と、
を備えた洗浄装置を用い、
前記多孔質材料が前記収納ケースに収納された状態で前記多孔質材料に付着している有害物質を除去する多孔質材料の洗浄方法。
【請求項5】
前記多孔質材料が軽石である、請求項4に記載の多孔質材料の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質で密度の小さい岩石の洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火山の噴火により噴出したマグマは、急速に冷やされるとマグマの内部に存在していたガスが外部に噴出して固まり、いわゆる「軽石」と呼ばれる多孔質の岩石となる。海底火山噴火に由来するとみられる軽石は、近海や陸に押し寄せ漁業、観光等に対する様々な被害が生じるため、軽石の回収が進められており、回収された軽石の利用が望まれている。
【0003】
しかしながら、軽石は、マグマ由来のカドミウム等の有害物質を含んでおり、また、海水に浸かって塩分を含むことが多く、建築用や農業用の資材として用いる場合には、軽石に付着している有害物質や塩分を洗浄・除去する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4037179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軽石のような多孔質材料を洗浄する方法として、洗浄液内に多孔質材料を浸漬し、加圧・減圧を繰り返す方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、軽石を建築用や農業用の資材として用いるために洗浄液で洗浄しようとしても、軽石は水より比重が小さいことから洗浄液に浸漬することができず、従来技術では十分に洗浄をすることができなかった。
本発明は、水より比重が小さい多孔質材料を洗浄液により洗浄をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、収納される多孔質材料の大きさより小さな穴を複数備えた収納ケースに多孔質材料を収納し、該収納ケースを洗浄液に浸漬して洗浄することを特徴とする。
本発明によれば、多孔質が収納された収納ケースが洗浄液に浸漬されることから、収納ケースに収納された多孔質材料は洗浄液に浸漬され洗浄液により洗浄されるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一形態に係る多孔質材料の洗浄装置によれば、多孔質材料を収納ケースに収納洗浄するという簡単な構成により、従来困難であった多孔質材料の洗浄を容易に行えることができた。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】多孔質材料の断面図
図2】多孔質材料を収納する収納ケースの斜視図
図3】多孔質材料を収納ケースにして洗浄する洗浄装置の実施形態1の動作図
図4】多孔質材料を収納ケースにして洗浄する洗浄装置の実施形態2の全体図
図5】多孔質材料を収納ケースにして洗浄する洗浄装置の実施形態3の全体図
図6】多孔質材料を収納ケースにして洗浄する洗浄装置の実施形態4の全体図
図7】多孔質材料を収納ケースにして洗浄する洗浄装置の実施形態5の全体図
図8】多孔質材料を収納ケースにして洗浄する洗浄装置の実施形態6の全体図
図9】多孔質材料を収納ケースにして洗浄する洗浄装置の実施形態7の全体図
図10】多孔質材料を収納ケースにして洗浄する洗浄装置の実施形態の動作図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、有害物質が付着していて洗浄液より比重が小さい多孔質材料を洗浄する洗浄装置及び多孔質材料を洗浄する方法に関するものである。
【0010】
有害物質が付着している多孔質材料を洗浄液で洗浄しようとしても、多孔質材料が洗浄液より比重が小さいとき、多孔質材料が洗浄液に浮かんでしまい洗浄液に浸漬せず、洗浄することが困難であった。
【0011】
本発明は、多孔質材料を穴が開いた収納ケースに収納し、収納ケースを洗浄液に浸漬することにより収納ケースに収納されている多孔質材料洗浄液に浸漬して洗浄するものである。そして、収納ケースが洗浄液に浸漬されている状態において、洗浄液により多孔質材料に付着した有害物質を除去するものである。
【0012】
以下、多孔質材料に付着した有害物質を除去する洗浄の方法について述べる。なお、本発明でいう多孔質材料とは、典型的には軽石であるが、気泡や複数の孔により比重が洗浄液より小さいものであり、洗浄液で少なくとも表面が洗浄がされるものであれば、本発明の多孔質材料に含まれる。また、有害物質とは、典型的には、多孔質材料が軽石であれば、軽石に付着している塩分であるが、洗浄されるべき物質であれば、塩分に限定されるものではない。
【0013】
また、本発明によれば、多孔質材料のみならず、木材やプラスチックのような比重が洗浄液より小さい材料や、金属や岩石であって内部に空隙を備えているものや、表面張力等により洗浄液に浮かぶ洗浄物に適用することができる。
【0014】
多孔質材料は、洗浄液で洗浄する前に、予め事前洗浄を行うことができる。事前洗浄は、多孔質材料を攪拌機等により撹拌し、多孔質材料の表面をこそぎ取るようにしてもよい。その際、撹拌機に洗浄液を注入して撹拌すれば、予め多孔質材料の表面に付着した有害物質を除去することができ、次の工程で行われる洗浄液での洗浄を効率よく行うことができる。
【0015】
事前洗浄をされた多孔質材料は、格子状やメッシュ状の開口を備えた収納ケースに収納される。収納ケースの開口は、多孔質材料を洗浄するときに、収納ケースの外部から収納ケースの内部に洗浄液が注入できるように設けられている。収納ケースの開口は、収納ケースに収納される多孔質材料が通過できない程度の大きさ、つまり、洗浄を行っているときに抜けない程度の大きさである必要がある。
【0016】
多孔質材料は収納ケースに直接収納されるが、大量の多孔質材料を予めメッシュ状の収納袋に入れ、多孔質材料が収納されたメッシュ状の収納袋を収納ケースに収納することもできる。
【0017】
多孔質材料を直接収納ケースに収納するには、収納ケースの開口は洗浄される多孔質材料が抜けない程度の大きさとされるが、収納ケースの開口を篩として用い、収納ケースに残った多孔質材料を洗浄するということも可能である。開口の大きさが異なる収納ケースを用意しておき、その開口に応じた多孔質材料を洗浄することもできる。
【0018】
多孔質材料を収納袋に収納してから収納ケースに収納するときには、ほとんどの場合、収納ケースの開口の大きさが多孔質材料の大きさと比べて大きすぎるというような問題が生じることが少なくなる。また、多孔質材料を収納袋に収納してから収納ケースに収納する方法を採用すると、多孔質材料を収納ケースに入れたり出したりすることをまとめて行うことができ、収納袋を用いると取り扱いが容易になるという効果を奏する。
【0019】
収納ケースの材料は、金属のような重たい材料であることが望ましい。収納ケースに多孔質材料が収納された状態で収納ケースが洗浄液に沈むことができれば、他の力を用いずに収納ケースを介して多孔質材料を洗浄液に浸漬することができ、容易に多孔質材料を洗浄することができるという効果を奏する。
【0020】
一つの収納ケースに収納される多孔質材料の量が多ければ多いほど、収納ケース全体として比重が小さくなる。そうすると、収納ケースが金属のような重たい材料で構成されていても、収納ケースに収納されている多孔質材料が多ければ、多孔質材料を収納している収納ケース全体として洗浄液より比重が小さくなり、収納ケースが洗浄液に浸漬せず洗浄液に浮いてしまうという問題が生じることがある。
【0021】
そのような問題が生じないようにするために、収納ケースを錘が接続できるように構成し、錘を含めた収納ケース全体の比重が洗浄液の比重より大きくなるように構成してもよい。収納ケースに収納される多孔質材料の重量を計量し、それにより錘を接続するか否か、錘を接続する場合の錘の重さを計算、選択できるように構成してもよい。
【0022】
収納ケースに収納された多孔質材料は、収納ケースに収納された状態で洗浄液により洗浄される。多孔質材料の洗浄は、収納ケースに収納されていない状態で行われる通常の洗浄の形態により行ってもよい。例えば、収納ケースを洗浄液に浸漬した状態で洗浄液を撹拌したり、収納ケースを振動させたり、超音波による洗浄をしたりして多孔質材料を洗浄することができる。
【0023】
しかしながら、洗浄ケースに収納された多孔質材料の洗浄は、従来の洗浄の形態では洗浄が十分に行われない場合がある。収納ケースが洗浄液の多孔質材料に対する撹拌力を妨げたり、多孔質材料の表面に気泡が発生していて、洗浄液による洗浄が困難であったりするためである。
【0024】
収納ケースに収納された多孔質材料の洗浄は、好ましい形態として、洗浄液が有害物質が付着している多孔質材料の孔に浸透するように加圧と減圧を繰り返すように構成すればよい。多孔質材料が洗浄液により加圧されると多孔質材料の孔に洗浄液が浸透し有害物質が洗浄液に溶け込み、減圧すると多孔質材料の孔から有害物質が溶け込んだ洗浄液が出てくることになる。
また、加圧および減圧を繰り返しながら、多孔質材料が収納された収納ケースを洗浄液で撹拌することにより洗浄することにより洗浄をすることもできる。
【0025】
また、多孔質材料の洗浄を洗浄液による加圧および減圧に加え、多孔質材料を洗浄液から取り出すように構成してもよい。多孔質材料を洗浄液から取り出すと、多孔質材料の孔から有害物質を含んだ洗浄液が重力により滴り出るようになり、多孔質材料から有害物質を取り出すことができる。
【0026】
多孔質材料の洗浄は、多孔質材料に付着した有害物質を洗浄液で洗浄するものであるが、洗浄液により洗浄の前に、多孔質材料の表面に付着している洗浄液では洗浄しにくい異物の除去を行う事前洗浄を行ってもよい。事前洗浄は、多孔質材料を撹拌機に投入し、撹拌したりすることにより多孔質材料の表面に付着している異物を除去することができる。
【0027】
多孔質材料の洗浄の状況は、多孔質材料を洗浄している洗浄液の状態を検出することで把握することができる。濁度センサで洗浄液の汚れを検出したり、電導度測定法により、塩分の濃度を検出したり、他の周知の方法を採用して洗浄液の状況を把握し多孔質材料の洗浄の状況を検出し、その結果により洗浄液による洗浄の終了等の判断をしてもよい。
【0028】
洗浄液による洗浄が終了した多孔質材料は、濯ぎ工程により濯いだり、脱水工程により脱水したり、乾燥工程で乾燥したりしてもよい。
【0029】
実施形態1
以下、図面を参照し、多孔質材料として軽石(S)を洗浄するための好ましい実施形態を説明する。なお、本発明は、軽石の洗浄に特定されるものではなく、多孔質材料等の洗浄液より比重が小さいものの洗浄であれば、特定の材料に限定されるものではない。また、洗浄液により洗浄される有害物質は塩分に限定されず、洗浄液で洗浄可能なものであれば、本発明の実施形態に含まれる。
【0030】
<収納工程>
図1に、多孔質材料として典型的な軽石(S)の断面図を示す。
海や海岸から回収された軽石(S)は、その大きさで区分を行い、その区分に応じた洗浄プログラムにより洗浄を行うことが望ましい。その理由は、軽石(S)は、自然現象で発生するため、その大きさは個体によって大小ばらばらであるからである。区分は人間が行ってもよいし、機械で行ってもよい。
【0031】
大きい軽石(S)と小さい軽石(S)とでは、洗浄液(32)で洗浄しようとしたとき、軽石(S)の孔(10)の内部まで洗浄液(32)を浸透させようとしても、大きい軽石(S)と小さい軽石(S)とでは、孔(10)の内部までの距離が異なり、均一に洗浄液(32)を孔(10)の内部まで浸透させることが困難であるからである。
【0032】
そのため、一度に複数の軽石(S)を均一な洗浄をしようとしても、軽石(S)の大きさを揃えて洗浄を行えば、軽石(S)の個体の大きさによる差が少なくなり、無駄な洗浄をしたり、洗浄不足となったりすることを防ぐことができる。
【0033】
区分された軽石(S)の大きさで、洗浄液による工程の時間や洗浄液の加圧および減圧の圧力の制御をすることができる。大きさでの区分が困難である場合には、軽石(S)の重さで区分することもできる。軽石(S)の区分は、洗浄しやすい形状、例えば粒状、球状または略立方形状であるか、洗浄しにくい形状、例えば板状や棒状の形状であるか等で行ってもよい。
【0034】
回収された軽石(S)の大きさが洗浄可能な所定の大きさ(V1)より大きい場合は、粉砕等の加工を施して所定の大きさ(V1)より小さくすることが望ましい。また、所定の大きさ(V1)より小さい別の所定の大きさ(V2)より小さい大きさの軽石(S)で、容易に洗浄液(32)に沈殿する大きさの軽石(S)は、本発明による洗浄工程ではなく、別の洗浄工程で洗浄することもできる。
【0035】
火山の噴火により形成された軽石(S)の洗浄液(32)による洗浄は、直径が5mm程度であるもの適していることがわかった。また、多孔質材料の形状は、「粒状」または「縦横高比が1」に近い略立方形状であることが望ましいことがわかった。したがって、洗浄の観点からの区分の目安として、軽石(S)の直径が5mm前後の洗浄に適した大きさであるか、5mmよりはるかに大きいか、5mmよりもはるかに小さいか、砂状であるか、等の区分をすることが望ましい。また、形状を粒状または略立方形状に調整することが望ましい。
5mmより大きい軽石(S)は、粉砕して5mm程度の粒状または略立方形状となるように調整してもよい。軽石(S)の大きさや形状が均一であれば収納ケース内を洗浄液が通水しやすくなり、洗浄ムラが小さくなるという効果を奏する。
【0036】
軽石(S)の大きさによる区分は、篩による篩分けで可能である。軽石(S)は、篩等により区分され、その区分ごとに収納ケース(20、25)に直接収納してもよい。また、軽石(S)を洗浄袋に収納して収納ケース(20、25)に収納してもよい。
【0037】
<収納ケース(20、25)>
図2に、開口を格子で形成された収納ケース(20)、メッシュで形成された収納ケース(25)を示す。軽石(S)は、収納ケース(20、25)に収納されて洗浄液(32)により洗浄される。
【0038】
図2(a)は、収納ケース(20)の全体が格子で形成されているものを示しているが、必ずしも全体を格子で形成する必要はない。図2(b)にメッシュで形成された収納ケースを示す。図で「・」で示されているものは、メッシュ(小さい穴)である。図2(b)は、収納ケース(25)の全体でメッシュが形成されているものを示しているが、必ずしも全体をメッシュで形成する必要はない。
【0039】
収納ケース(20、25)は軽石(S)を収納し、洗浄時に洗浄液(32)に軽石(S)とともに浸漬される。収納ケース(20、25)の形状は特に限定されないが、取り扱いを考慮すると直方体であることが望ましい。
【0040】
収納ケース(20、25)には、図示されていない、軽石(S)を投入するための投入口、および収納ケース(20、25)から軽石(S)を排出する排出口が設けられる。投入口を収納ケース(20、25)の上部に設け、排出口を収納ケース(20、25)の下部に設ければ、軽石(S)を容易に収納ケース(20、25)に投入し、また、収納ケース(20、25)から排出することができる。
【0041】
収納ケース(20、25)には、洗浄時に洗浄液(32)が出入りできる開口が設けられている。収納ケース(20、25)が洗浄液(32)に浸漬されたとき、洗浄液(32)は開口から収納ケース(20、25)内に入り軽石(S)を洗浄する。洗浄後、洗浄液(32)は開口から収納ケース(20、25)内から出ていくように構成されている。収納ケース(20、25)は、開口を格子で形成(20)したり、メッシュで形成(25)したりすることができるが、開口の大きさや形状は適宜選択することができる。
【0042】
収納ケース(20、25)の全体の形状は、直方体であることが望ましいが、特に、高さ方向において扁平であることが望ましい。軽石(S)の洗浄は、収納ケース(20、25)に軽石(S)を収納し、収納ケース(20、25)に軽石(S)が収納された状態で洗浄液(32)の満たされた貯留槽(30)内で上下方向に移動させる。それにより、洗浄液(32)の水圧の変化により軽石(S)に対して加圧および減圧させ行う。上下方向の移動は約5mとすることができるが、軽石(S)の形状等に応じて適宜変更することができる。
【0043】
洗浄の際、収納ケース(20、25)が高さ方向に扁平であると、貯留槽(30)内での高さ方向のストロークを大きくすることができ、それにより、洗浄液(32)の水圧による加圧および減圧の圧力を高くすることができ、洗浄の効果が上がるという効果を奏する。
【0044】
貯留槽(30)の高さ方向の距離を大きくとることができる場合、収納ケース(20、25)を高さ方向に長くする形状とすることができる。収納ケース(20、25)を上下方向に移動させる洗浄が選択された場合、高さ方向に移動させるときに、高さ方向に扁平下状態に比べて安定した状態を保つことができる。
【0045】
収納ケース(20、25)は、収納ケース(20、25)内に軽石(S)が収納された状態で洗浄液(32)に沈むことが望ましい。そのため、収納ケース(20、25)内に軽石(S)を収納された状態で洗浄液(32)に沈まないときには、錘(28)を接続し洗浄液(32)に沈むように構成することができる。
【0046】
錘(28)は、通常、収納ケース(20、25)の下方に着脱可能に設けられる。収納ケース(20、25)の下面が長方形であるように構成されている場合には、その四隅に着脱可能に設けられるように構成し、全体の重量のバランスをとれるようにすることが望ましい。それにより、収納ケース(20、25)が貯留槽(30)内に沈んだ状態において、斜めになったりすることを防ぐという効果を奏することができる。
【0047】
収納ケース(20、25)の水平方向の重量のバランスをとる必要がない場合には、錘を収納ケース(20、25)の中心に設けることができる。錘を収納ケース(20、25)の中心に設ける場合は、錘を四隅に設ける必要がないので、錘を設ける作業を少なくすることができる。
【0048】
<事前洗浄>
海や海岸で回収される軽石(S)は、長時間海で漂っている場合がある。そのため軽石(S)の表面には砂、貝、海藻等の異物(15)が付着していることがある。軽石(S)の表面に異物(15)が付着していると、軽石(S)の孔(10)を塞ぎ洗浄液(32)が孔(10)に入ることを妨げることがある。
【0049】
また、軽石(S)の表面に付着した異物は、収納ケース(20、25)に収納されている状態では落としにくく、洗浄後に軽石(S)に異物が付着していると、軽石(S)を建築用や農業用の資材として用いる場合の品質の低下を招くものである。
【0050】
そのため、軽石(S)を収納ケース(20、25)に収納する前に、異物を落とすための事前洗浄を行うことが望ましい。事前洗浄は、回収された軽石(S)を撹拌機内に投入し、軽石(S)同士が接触するように撹拌するとよい。撹拌により軽石(S)同士がぶつかり、軽石(S)の表面に付着した異物がこそぎ取られる。また、軽石(S)の孔(10)を塞いでいるような異物(15)を取り除くことができ、洗浄液(32)による洗浄の悪影響を防ぐことができる。
【0051】
軽石(S)を攪拌機で撹拌しているときに、撹拌機に水を投入することができる。水を投入しながら軽石(S)を撹拌することにより、軽石(S)の表面に付着した塩分をとりのぞくことができ、洗浄液(32)による洗浄の際の洗浄液(32)の汚染を小さくすることができるという効果を奏する。
【0052】
<洗浄液による洗浄>
本実施形態は、図3(a、b、c)に示すとおり、洗浄ケース(20、25)が洗浄液(32)で注水されている貯留槽(30)内で、洗浄が行われる。軽石(S)の貯留槽(30)内における洗浄液(32)による洗浄は、洗浄ケースが貯留槽の底部にある状態(図3(a))、洗浄液(32)の水面付近にまで上昇している状態(図3(b))、洗浄液(32)より取り出された状態(図3(c))の3つの状態をとりえる。
【0053】
洗浄ケース(20、25)は、棹(34)に連結されており、棹(34)は外部の動力源で駆動され、洗浄ケース(20、25)を貯留槽(30)内で上下方向に移動させることができるよう構成されている。
【0054】
洗浄液(32)による洗浄は、軽石(S)に対して洗浄液(32)を加圧および減圧することにより行われる。本実施形態では、洗浄液(32)で満たされた貯留槽(30)内で軽石(S)が収納された収納ケース(20、25)を上下方向に移動させることにより洗浄を行う。
【0055】
洗浄液(32)で満たされた貯留槽(30)内で収納ケース(20、25)を貯留槽(30)の底に移動させると(図3(a))、洗浄液(32)の水圧が高くなる。そうすると、洗浄液(32)が収納ケース(20、25)に収納された軽石(S)の孔(10)に浸透し、軽石(S)の孔(10)に付着した塩分が洗浄液(32)に溶解することにより軽石(S)を洗浄する。
【0056】
そして、収納ケース(20、25)を貯留槽(30)の上部に移動させると(図3(b))、洗浄液(32)の水圧が低くなり、塩分を溶解した洗浄液(32)が軽石(S)の孔(10)から放出される。
【0057】
本実施形態は、収納ケース(20、25)を貯留槽(30)内で上下の移動を1度、あるいは複数回繰り返し行うことで、収納ケースに収納された軽石(S)の洗浄を行う。なお、上下方向の移動は複数回繰り返したほうが、洗浄度があがる。また、上下方向の移動の速度は、早ければ早いほど洗浄液(32)が軽石(S)に強く作用して洗浄度が上がることから、洗浄度をあげるためには、収納ケース(20、25)の上下方向の移動の速度は速くしたほうがよい。
【0058】
貯留槽(30)内で収納ケース(20、25)を上下移動させることを考慮すると、収納ケース(20、25)は図3に示されるとおり、高さ方向に扁平状とすることが望ましい。収納ケース(20、25)を扁平状にすることにより貯留槽(30)内でのストロークを確保することができ、洗浄液(32)により加圧、減圧を有効に作用させるという効果を奏する。洗浄される軽石(S)の大きさが、例えば、直径5mm程度であれば、収納ケース(20、25)の高さ方向の長さは、7~10mm程度にしてもよい。軽石(S)の直径の140%から200%程度の高さにすれば、収納ケース(20、25)は、洗浄液(32)に浸漬しやすくなるという効果を奏する。
【0059】
収納ケース(20、25)を洗浄液(32)の底に移動させ洗浄液(32)の水圧により洗浄し、その後、洗浄液(32)から取り出すように洗浄液(32)の液面(36)より上部に取り出されるように移動させてもよい(図3(c))。収納ケース(20、25)が洗浄液(32)から取り出されることにより、軽石(S)の孔(10)から塩分を含んだ洗浄液(38)が摘出される。
なお、収納ケース(20、25)が洗浄液(32)から取り出される過程において、軽石(S)は、洗浄液(32)に減圧の作用がされている。
【0060】
収納ケース(20、25)が洗浄液(32)から取り出されているとき、収納ケース(20、25)を上下方向や左右方向等に振動させて、軽石(S)の孔(10)から多くの洗浄液(38)が摘出するように構成してもよい。
【0061】
軽石(S)の孔(10)から洗浄液(38)が摘出されると、再度、軽石(S)を洗浄液(32)に浸漬したときに、軽石(S)に、新たな洗浄液(32)が浸透しやすくなり、洗浄度が向上するという効果を奏する。
【0062】
軽石(S)に洗浄液(32)を加圧する時間、減圧する時間、洗浄液(32)から取り出している時間等は、軽石(S)の大きさや、求められる洗浄度に応じて適宜決めることができる。
【0063】
洗浄液(32)による洗浄の効率を上げるために、貯留槽(30)内に図示しない超音波振動子を設け、超音波洗浄をすることができる。また、洗浄液(32)に塩分が溶解しやすくするために、貯留槽(30)内にヒータ(59)を設け、洗浄液(32)の温度が低いときには、洗浄液(32)を加熱することができる。
【0064】
洗浄液は、多孔質部材が軽石(S)であり、塩分の洗浄を目的とする場合には水が選択されるが、多孔質部材や有害物質部によっては、溶媒が選択されることがある。また、適宜添加剤を添加することもできる。
【0065】
貯留槽(30)には、洗浄状態を把握するために塩分濃度計を設けることができる。塩分濃度計により軽石(S)から洗浄液(32)に溶解した塩分の量を検出することができ、その量に基づいて軽石(S)の洗浄の状態を推測することができる。
【0066】
貯留槽(30)には、水温計を設けることができる。水温計により洗浄液(32)の温度を検出し、洗浄液(32)の温度が低い場合には貯留槽(30)に設けられたヒータを駆動することにより洗浄液(32)の水温を上昇させることができ、軽石(S)に付着した塩分をより洗浄することができる。
【0067】
貯留槽(30)には、洗浄液(32)を注入する注入口(58)、洗浄液(32)を排出する排出口(56)を設けることができる。洗浄液(32)の注入は洗浄前に、排出は洗浄後に行うことができるが、洗浄中に注入および排出を行ってもよい。
【0068】
洗浄液(32)の塩分の濃度が高くなったときには、貯留槽(30)の下部に設けた排出口(56)から洗浄液(32)を排出することができる。塩分濃度が高い洗浄液(32)は貯留槽(30)の下部に溜まりやすいため、貯留槽(30)の下部から排出することにより貯留槽(30)内の塩分の除去を効率よくできる。
【0069】
洗浄液(32)が排出口(56)から排出されたときには、排出された洗浄液(32)の量に応じて洗浄液(32)を注入口(58)から注入することで補充ができる。注入口(58)を排出口(56)から離れた貯留槽(30)の上部に設けることができる。注入口(58)を貯留槽(30)の上部に設けることにより、貯留槽(30)の下部に設けられた排出口(56)から直接排出されることを防ぐことができる。
【0070】
<濯ぎ洗浄>
本洗浄の後、清水で濯ぎ洗浄をすることができる。濯ぎ洗浄をすることにより、軽石(S)に付着している塩分など有害物質を含んだ洗浄液(32)を洗い流すことができ、洗浄度を上げることができる。
【0071】
濯ぎ洗浄は、貯留槽(30)内の洗浄液(32)を排出し、濯ぎ水を貯留槽(30)に入れることにより可能である。濯ぎ洗浄は、貯留槽(30)内に濯ぎ水を入れた状態で洗浄液(32)による洗浄と同じ動作をすることで行うことができる。
【0072】
軽石(S)を貯留槽(30)から取り出し、別の濯ぎ用の貯留槽に投入し、濯ぎ水で濯ぐこともできる。濯ぎ工程は、洗浄液(30)での洗浄と同じ方法で洗浄することができる。また、貯留槽に入れずに、収納ケース(20、25)から軽石(S)を取り出し、軽石(S)に濯ぎ水を振りかけて濯ぐことも可能である。
【0073】
<脱水工程>
軽石(S)は、濯ぎ洗浄が終了した時点では、大量の水分を含んだ状態である。脱水工程では、軽石(S)を収納容器(20、25)から取り出し、衣類の脱水を行うように軽石(S)を高速回転させ、軽石(S)の孔(10)に残っている水を排水することができる。
【0074】
<乾燥工程>
脱水工程の後、乾燥工程を設けることができる。軽石(S)は細い孔(10)が複数あるため、脱水工程が終了したときには、軽石(S)は依然として少量の水分を保持している状態である。乾燥工程では、天日干しで乾燥をさせてもよいが、衣類乾燥機のように乾燥風をあてることにより軽石(S)を乾燥させることができる。
【0075】
実施形態2
図4に別の実施形態を図示する。
本実施形態では、貯留槽(30)内で複数の収納ケース(20、25)を連結し、洗浄液(32)による加圧・減圧を行うものである。複数の収納ケース(20、25)は、ワイヤー(40)等で連結されており、一方の収納ケース(20、25)が貯留槽(30)内で下降すると、他方の収納ケース(20、25)が上昇するように構成されている。
【0076】
動力源(42)は、モータ等により駆動されて回転し、ワイヤー(40)を左右方向に移動可能と構成されている。ワイヤーは滑車(44)を介して収納ケース(20、25)に接続されている。動力源(42)が時計回りで回転すると、左側の収納ケース(20、25)は貯留槽内で上昇し、右側の収納ケース(20、25)は貯留槽内で下降する。動力源が反時計回りの回転をすると、それぞれの収納ケースは時計回りの逆の移動を行う。
【0077】
なお、図4では、収納ケース(20、25)同志をワイヤー(40)で接続したものを図示しているが、例えば、棒状のような変形しない部材で接続し、所謂、シーソーのように連結して互いを上下方向に移動するように構成してもよい。
【0078】
本実施形態によれば、一度の動作で複数の収納ケース(20、25)を上下方向に移動して洗浄液(32)による洗浄をすることができ、洗浄時間の短縮や洗浄のための動力源のコストを軽減するという効果を奏する。
【0079】
実施形態3
図5に別の実施形態を図示する。
本実施形態では、収納ケース(20、25)が貯留槽(30)内を上下に移動しながら左右方向に移動するものである。図5の実施例では、貯留槽(30)内で複数の収納ケース(20、25)がワイヤー(40)で接続されている。搬入口(52)から投入された収納ケース(20、25)は、1回あるいは複数回貯留槽(30)内で上下方向ジグザグ状に移動し、洗浄液(32)で加圧および減圧をされた後、搬出口(54)から搬出される。
【0080】
貯留槽(30)内での収納ケース(20、25)の左右方向の移動は、例えば、貯留槽(30)の左側の搬入口(52)から搬入され、右側の搬出口(54)から搬出されてもよい。また、収納ケース(20、25)が左側の搬入口(52)から搬入され、右側端部で方向を反転するように構成し、左側の搬出口(54)から搬出されるように構成してもよい。
【0081】
また、貯留槽(30)の幅方向(図では奥行方向)が広いときには、収納ケース(20、25)(20、25)を貯留槽(30)内で螺旋状に移動させてもよい。そのように構成することにより、貯留槽(30)の全体を効率よく使うことができる。
貯留槽(30)内での上下方向の移動の回数や、移動時間は、軽石(S)の大きさや求められる洗浄度に応じて適宜設定することができる。
【0082】
実施形態4
図6に別の実施形態を図示する。
本実施形態では、収納ケース(20、25)が貯留槽(30)内で回転するように移動するものである。収納ケース(20、25)は、貯留槽(30)内で複数接続され遊園地にある観覧車のように回転するものであり、貯留槽(30)内で回転移動することにより、貯留槽(30)の底部と貯留槽(30)の上部の間を移動をすることができる。
【0083】
収納ケース(20、25)が貯留槽(30)の上部に達したときには、洗浄液(32)内にあるようにしてもよいし、洗浄液(32)から取り出されるようにしてもよい。また、貯留槽(30)内で収納ケース(20、25)が回転する回数や回転する速度は、軽石(S)の大きさや求められる洗浄度に応じて適宜設定することができる。
収納ケース(20、25)の移動以外の構成は、他の実施形態から適宜採用することができる。
【0084】
実施形態5
図7に別の実施形態を図示する。
本実施形態では、収納ケース(20、25)を洗浄液(32)で満たされたシリンダー状の貯留槽(30)に浸漬し、ピストン状の部材(74)で洗浄液(32)を押圧することにより洗浄液(32)を加圧し、軽石(S)を洗浄するものである。
【0085】
収納ケース(20、25)は、洗浄液(32)で満たされたシリンダー状の貯留槽(30)に浸漬され、ピストン状の部材で洗浄液(32)を押圧することにより洗浄液(32)が収納ケース(20、25)を加圧する。所定時間の経過後、ピストンをもとの位置に戻し、洗浄液(32)が収納ケース(20、25)を減圧すものである。
【0086】
洗浄度をあげるためには、必要に応じてピストンをもとの位置より貯留槽(30)に対して外側に移動させることにより、貯留槽(30)内の洗浄液(32)をより減圧とすることができる。
ピストン状の部材を往復移動させることにより、貯留槽(30)内の洗浄液(32)は軽石(S)を加圧および減圧を行い洗浄を行う。
収納ケース(20、25)の加圧以外の構成は、他の実施形態から適宜採用することができる。
【0087】
実施形態6
図8に別の実施形態を示す。
本実施形態では、収納ケース(20、25)を貯留槽(30)に浸漬するよう収納し、さらに外部の貯留槽(33)とポンプ(82)を介して接続する。ポンプの駆動(82)の駆動により、外部の貯留槽(33)内の洗浄液(32)が貯留槽(30)内の洗浄液(32)を加圧および減圧を行う。
【0088】
収納ケース(20、25)を加圧するときには、ポンプ(82)を洗浄液(32)が外部の貯留槽(33)から貯留槽(30)に入るように駆動し、収納ケース(20、25)を減圧するときには、貯留槽(30)内から洗浄液(32)が外部の貯留槽(33)に排出するように駆動するものである。
【0089】
ポンプ(82)が洗浄液(32)を貯留槽(30)に対して加圧および減圧をするように駆動することにより、貯留槽(30)内の軽石(S)は洗浄液(32)により加圧および減圧がされて洗浄液(32)により洗浄される。
ポンプ(82)の駆動時間、加圧、減圧の回数は、軽石(S)の大きさや、求められる洗浄度に応じて適宜設定することができる。
【0090】
実施形態7
図9に別の実施形態を図示する。
本実施形態は、実施形態6の変形例であり、複数の収納ケース(20、25)をそれぞれ複数の貯留槽(30)に収納し、さらに複数の貯留槽(30)の間にポンプ(82)を設けたものである。
【0091】
ポンプ(82)により、洗浄液(32)が一方の貯留槽(30)から他方の貯留槽(33)に排出するよう駆動する。また、所定時間経過後に、ポンプ(82)により、洗浄液(32)が他方の貯留槽(30)から一方の貯留槽(30)に排出するよう駆動するものである。
【0092】
それにより、一方の貯留槽(30)は、洗浄液(32)がポンプ(82)により吸引されることにより減圧され、他方の貯留槽(33)は、洗浄液(32)が排出されてくることにより加圧されるものである。
【0093】
所定時間経過後に、ポンプの駆動方向を逆転するようにすれば、他方の貯留槽(30)から一方の貯留槽(30)に洗浄液(32)が排出するよう駆動し、それぞれの貯留槽(30)は加圧・減圧が逆転することになる。
貯留槽(30)、(33)内の洗浄液(32)が加圧および減圧されることにより、それぞれの洗浄液(32)は、それぞれの収納ケース(20、25)に収納されている軽石(S)の洗浄を行う。
ポンプ(82)の駆動時間、加圧、減圧の回数は、軽石(S)の大きさや、求められる洗浄度に応じて適宜設定することができる。
【0094】
実施形態8
図10に別の実施形態を図示する。
本実施形態は、複数の収納ケース(20、25)を(20、25)をそれぞれ複数の貯留槽(30)に収納し、さらにパイプ(84)等により複数の貯留槽(30)を接続し、それぞれの貯留槽(30)内の洗浄液(32)が別の貯留槽(30)に流通するように構成するものである(図10(a))。
【0095】
そして、図示しない駆動装置により、一方の貯留槽(30)を他方の貯留槽(33)より相対的に下降するように動作させる(図10(b))。そうすると、他方の貯留槽(33)は、貯留槽(30)内やパイプ内に存在する洗浄液(32)の重力により減圧されるとともに、一方の貯留槽(30)は、洗浄液(32)の重力により加圧されるものである。
【0096】
所定時間経過後、他方の貯留槽(33)を一方の貯留槽(30)より相対的に下降させ、一方の貯留槽(30)を上昇させるものである(図10(c))。そうすると、一方の貯留槽は減圧され、他方の貯留槽(33)は加圧されるものである。同様の動作を繰り返すことにより、貯留槽(30、33)は洗浄液(32)で加圧および減圧が繰り返され、収納ケース(20、25)内に収納されている軽石(S)が洗浄される。
【0097】
以上のように本発明は、上記実施形態で示されたとおり、多孔質材料を収納ケースに収納し洗浄液に浸漬するという簡易な手段を採用することにより、従来困難であった多孔質材料の洗浄をすることができた。
また、多孔質材料を収納ケースに収納した状態であっても、洗浄液を加圧および減圧を多孔質材料に与えることで、効率的な洗浄することが可能となった。
【符号の説明】
【0098】
10:孔
15:異物
20:収納ケース
25:収納ケース
30:貯留槽
32:洗浄液
34:棹
36:洗浄液の液面
38:多孔質部材から滴り落ちる洗浄液
40:ワイヤー
42:動力源
44:滑車
52:搬入口
54:搬出口
56:排出口
58:注入口
59:ヒータ
74:ピストン状部材
82:ポンプ
84:パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10