(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153468
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】デシュリンクシステム
(51)【国際特許分類】
B65B 69/00 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B65B69/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067384
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】390025391
【氏名又は名称】OMC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 清志
(72)【発明者】
【氏名】宅見 貫
(72)【発明者】
【氏名】松本 義彦
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 大地
(72)【発明者】
【氏名】安孫子 祐志
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA06
3E058BA06
3E058CA01
3E058DA10
3E058FA05
3E058GA02
3E058GA05
(57)【要約】
【課題】省スペースで設置可能且つメンテナンスを容易に行えるデシュリンクシステムを提供する。
【解決手段】デシュリンクシステム1は、シュリンクフィルムFに覆われた包装体5を内部に収容可能なフレーム2と、アーム3とを備え、フレーム2は、側面に包装体5が挿通可能な開口2aを有し、開口2aと対向する側面を切断用側面2bとして、切断用側面2bの上部には、切断用側面2bの両側縁を軸として水平方向に回動可能な一対の吸着機構6,6が設けられ、下面に包装体5を昇降可能な昇降機構12が設けられ、吸着機構6は、包装体5がフレーム2の内部に収容された状態で、切断用側面2bと平行になるように回動した際、シュリンクフィルムFに対して接近及び離間可能な吸着部8を備え、アーム3は、シュリンクフィルムFを切断可能な切断刃10と、シュリンクフィルムFの吸着及び把持を実行可能なグリッパ11とが一体に設けられるハンド9を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットと、前記パレット上に載置される物品との全体が、下面中央を除きシュリンクフィルムによって包装された直方体形状の包装体から前記シュリンクフィルムを除去するためのデシュリンクシステムであって、
前記包装体全体を内部に収容可能で、包装状態の前記シュリンクフィルムの持ち上げ動作と開封動作とを実行するフレームと、前記シュリンクフィルムの切断動作と除去動作とを実行するアームとを備え、
前記フレームは、側面に前記包装体が挿通可能な開口を有し、1つの前記側面を切断用側面として、前記切断用側面の上部には、水平方向に延びる棒状体で、前記切断用側面の両側縁を軸として水平方向に回動可能な一対の吸着機構が設けられ、下面に前記包装体を昇降可能な昇降機構が設けられ、
前記吸着機構は、前記包装体が前記フレームの内部に収容された状態で、前記切断用側面と平行になるように回動した際、前記切断用側面側から前記包装体の前記シュリンクフィルムの前記切断用側面側の一面を吸着可能な位置に、前記包装体に対して接近及び離間可能な吸着部を備え、
前記アームは、1又は複数の前記アームにより、前記シュリンクフィルムの前記切断動作と前記除去動作とが実行可能となるよう、前記シュリンクフィルムを切断可能な切断刃と、前記シュリンクフィルムの吸着及び把持の少なくとも一方を実行可能なグリッパとが一体又は別体に設けられるハンドを備え、
前記包装体が前記フレームに収容され、前記昇降機構により押し上げられた状態で、前記吸着機構が、前記切断用側面と平行になるように回動すると共に、前記吸着部が前記包装体に向けて接近して前記シュリンクフィルムを吸着し、吸着状態のまま前記吸着部が前記包装体から離間することで、前記物品と前記シュリンクフィルムとの間に所定間隔以上の隙間を形成可能であり、
前記吸着機構が、前記物品と前記シュリンクフィルムとの間に前記隙間を形成した状態で、前記アームが前記切断刃により前記シュリンクフィルムを、前記隙間を形成した側の面の上端縁の一方の端部から他方の端部まで水平方向に切断し、上端縁中央から下端縁中央まで鉛直方向に切断すると共に、前記吸着部による前記シュリンクフィルムの吸着を維持した状態で、前記吸着機構が、切断された前記シュリンクフィルムの一面を開くように回動することで、前記シュリンクフィルムを開封可能であり、
さらに、前記アームが、前記シュリンクフィルムの前記開封された側と対向する面の前記グリッパによる吸着及び把持の少なくとも一方を実行し、引き続き、前記シュリンクフィルムを前記アームにより吸着及び把持の少なくとも一方が実行された側へ引き抜くことで前記シュリンクフィルムを除去可能であることを特徴とするデシュリンクシステム。
【請求項2】
前記フレームは、上部に、前記除去動作の際に、前記物品の転倒を防止するための押さえ機構が設けられることを特徴とする請求項1に記載のデシュリンクシステム。
【請求項3】
前記フレームは、前記吸着機構よりも下方の所定箇所に、前記包装体に対して接近及び離間可能な補助吸着部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のデシュリンクシステム。
【請求項4】
前記フレームは、収容した前記包装体を水平方向に回転可能な回転テーブルを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のデシュリンクシステム。
【請求項5】
前記フレームは、収容した前記包装体を水平方向に回転可能な回転テーブルを備えることを特徴とする請求項3に記載のデシュリンクシステム。
【請求項6】
前記包装体から除去された前記シュリンクフィルムを減容するための減容装置を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のデシュリンクシステム。
【請求項7】
前記包装体から除去された前記シュリンクフィルムを減容するための減容装置を備えることを特徴とする請求項3に記載のデシュリンクシステム。
【請求項8】
前記包装体から除去された前記シュリンクフィルムを減容するための減容装置を備えることを特徴とする請求項4に記載のデシュリンクシステム。
【請求項9】
前記包装体から除去された前記シュリンクフィルムを減容するための減容装置を備えることを特徴とする請求項5に記載のデシュリンクシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット上に載置され、物品全体がシュリンクフィルムによって包装された包装体からシュリンクフィルムを除去するために用いられるデシュリンクシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲料用の空缶のような物品をまとめて搬送する際、多数の物品をパレット上に四角形状に配列し、さらに、配列させた物品を多段状に積層させて直方体形状としたものをバンド等で一体に結束した上で、汚れや傷がつくことを防止するために、全体をシュリンクフィルムで梱包することが行われている。
シュリンクフィルムは、輸送に伴う汚れや傷を防止する上で有用である一方、搬送先で内容物を取り出すためには、フィルムの除去作業が必須となる。フィルムの除去作業を作業者自身が行う場合、多くの時間が必要となることから、作業効率向上のため、例えば、特許文献1、2に示すような、自動化された開梱装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-175510号公報
【特許文献2】特許2577390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1,2で開示される開梱装置は、実際には、装置自体が大きく、設置箇所に大きなスペースが必要となる。また、複数の作業工程を1つの装置で行うために、種々の作業に係る構成が一体に搭載されることで、装置のメンテナンスが煩雑となる課題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、省スペースで設置可能且つメンテナンスを容易に行えるデシュリンクシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、パレットと、パレット上に載置される物品との全体が、下面中央を除きシュリンクフィルムによって包装された直方体形状の包装体からシュリンクフィルムを除去するためのデシュリンクシステムであって、包装体全体を内部に収容可能で、包装状態のシュリンクフィルムの持ち上げ動作と開封動作とを実行するフレームと、シュリンクフィルムの切断動作と除去動作とを実行するアームとを備え、
フレームは、側面に包装体が挿通可能な開口を有し、1つの側面を切断用側面として、切断用側面の上部には、水平方向に延びる棒状体で、切断用側面の両側縁を軸として水平方向に回動可能な一対の吸着機構が設けられ、下面に包装体を昇降可能な昇降機構が設けられ、吸着機構は、包装体がフレームの内部に収容された状態で、切断用側面と平行になるように回動した際、切断用側面側から包装体のシュリンクフィルムの切断用側面側の一面を吸着可能な位置に、包装体に対して接近及び離間可能な吸着部を備え、アームは、1又は複数のアームにより、シュリンクフィルムの切断動作と除去動作とが実行可能となるよう、シュリンクフィルムを切断可能な切断刃と、シュリンクフィルムの吸着及び把持の少なくとも一方を実行可能なグリッパとが一体又は別体に設けられるハンドを備え、包装体がフレームに収容され、昇降機構により押し上げられた状態で、吸着機構が、切断用側面と平行になるように回動すると共に、吸着部が包装体に向けて接近してシュリンクフィルムを吸着し、吸着状態のまま吸着部が包装体から離間することで、物品とシュリンクフィルムとの間に所定間隔以上の隙間を形成可能であり、吸着機構が、物品とシュリンクフィルムとの間に隙間を形成した状態で、アームが切断刃によりシュリンクフィルムを、隙間を形成した側の面の上端縁の一方の端部から他方の端部まで水平方向に切断し、上端縁中央から下端縁中央まで鉛直方向に切断すると共に、吸着部によるシュリンクフィルムの吸着を維持した状態で、吸着機構が、切断されたシュリンクフィルムの一面を開くように回動することで、シュリンクフィルムを開封可能であり、さらに、アームが、シュリンクフィルムの開封された側と対向する面のグリッパによる吸着及び把持の少なくとも一方を実行し、引き続き、シュリンクフィルムをアームにより吸着及び把持の少なくとも一方が実行された側へ引き抜くことでシュリンクフィルムを除去可能であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、上記構成に加え、フレームは、上部に、除去動作の際に、物品の転倒を防止するための押さえ機構が設けられることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、上記構成に加え、フレームは、吸着機構よりも下方の所定箇所に、包装体に対して接近及び離間可能な補助吸着部が設けられることを特徴とする。
請求項4及び5に記載の発明は、上記構成に加え、フレームは、収容した包装体と、パレットとを水平方向に回転可能な回転テーブルを備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、上記構成に加え、包装体から除去されたシュリンクフィルムを減容するための減容装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来のデシュリンク装置を、フレームとアームとを独立させたことで、設置箇所に合わせた省スペースでの設置が可能となると共に、それぞれの装置構成を従来のデシュリンク装置と比べて簡易的なものとできるため、メンテナンスを容易に行うことができる。また、減容装置を備えることで、アームによって除去されたシュリンクフィルムをそのまま減容装置へ投入できるため、シュリンクフィルムの後処理を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のデシュリンクシステムを示す説明図である。
【
図3】フレームに包装体が搬入された状態のデシュリンクシステムを示す説明図である。
【
図4】持ち上げ動作時のフレームの様子と、シュリンクフィルムの被切断線を示す説明図である。
【
図5】切断動作時のデシュリンクシステムを示す説明図である。
【
図6】回転テーブルが回転した後のデシュリンクシステムを示す説明図である。
【
図7】開封動作時のデシュリンクシステムを示す説明図である。
【
図8】開封動作時のフレームとシュリンクフィルムの様子を示す説明図である。
【
図9】除去動作時において、ハンドがシュリンクフィルムを把持した状態のデシュリンクシステムを示す説明図である。
【
図10】シュリンクフィルム除去中のデシュリンクシステムを示す説明図である。
【
図11】押さえ機構を備えるフレームを示す説明図である。
【
図12】補助吸着部を備えるフレームを示す説明図である。
【
図13】直方体以外のフレームの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のデシュリンクシステムを示す説明図である。
デシュリンクシステム1は、パレットPと、パレットP上に載置される物品5aとの全体が、下面中央を除きシュリンクフィルムFによって包装された直方体形状の包装体5(
図4等)からシュリンクフィルムFを除去するために用いられるものであり、
図1に示すように、フレーム2と、アーム3及び減容装置4を備える。物品5aは、例えば、缶詰や飲料用の空缶等の複数の空容器を方形状に配列し、さらに仕切板Dを用いて、方形状に配列した複数の空容器を多段に積層したものである。なお、
図3~11において、物品5aは、最上段に設けられた仕切板Dのみを図示し、空容器や最上段以外の仕切板Dの図示を省略している。フレーム2は、包装体5全体を内部に収容可能で、後述する包装状態のシュリンクフィルムFの持ち上げ動作と開封動作とを実行する。アーム3は、例えば多関節式のロボットであり、先端に設けられた後述するハンド9によりシュリンクフィルムFの切断動作と除去動作とを実行する。減容装置4は、包装体5から除去されたシュリンクフィルムFを減容する。
【0010】
図2は、フレームを示す説明図である。
フレーム2は、
図2に示すように、棒状鋼材が直方体形状に組まれたものであり、側方に、包装体5が挿通可能な開口2aが設けられている。
また、開口2aと対向する側面を切断用側面2bとして、その上部には、水平方向に延びる棒状体で、切断用側面2bの両側縁を軸として水平方向に回動可能な一対の吸着機構6,6が設けられている。
さらに、フレーム2の下面には、収容した包装体5を昇降可能な昇降機構12、及び水平方向に回転可能な回転テーブル7が設けられている。
【0011】
吸着機構6は、包装体5がフレーム2の内部に収容された状態で、切断用側面2bと平行になるように回動した際、切断用側面2b側から包装体5のシュリンクフィルムFの切断用側面2b側の一面Faを吸着可能な位置に、包装体5に対して接近及び離間するように伸縮可能な吸着部8を備える。
【0012】
アーム3は、公知の機構で駆動する多関節式のロボットであり、先端に、例えばヒートカッター等のシュリンクフィルムFを切断可能な切断刃10と、シュリンクフィルムFの吸着及び把持を実行可能なグリッパ11とが一体に設けられたハンド9を備える(
図3等)。ハンド9には、図示しない距離センサ、圧力センサ等の種々のセンサが設けられており、シュリンクフィルムFの切断動作時における切断位置の特定、シュリンクフィルムFの除去動作時における物品5aの転倒防止が実現可能とされている。
【0013】
以上のように、従来のデシュリンク装置では、1つの装置として組み込まれていた機能を、フレーム2とアーム3とにそれぞれ独立させたことで、設置箇所に合わせた省スペースでの設置が可能となる。また、フレーム2とアーム3それぞれの装置構成は、多くの機能を包括していた従来のデシュリンク装置と比べて簡易的なものとなるため、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0014】
続いて、デシュリンクシステム1を用いて包装体5からシュリンクフィルムFを除去するデシュリンク作業について説明する。
図3は、フレームに包装体が搬入された状態のデシュリンクシステムを示す説明図である。
図4は、持ち上げ動作時のフレームの様子と、シュリンクフィルムの被切断線を示す説明図である。
図5,6,7は、それぞれ、切断動作時、回転テーブルが回転した後、開封動作時のデシュリンクシステムを示す説明図である。
図8は、開封動作時のフレームとシュリンクフィルムの様子を示す説明図である。
図9,10は、それぞれ、除去動作時において、ハンドがシュリンクフィルムを把持した状態、シュリンクフィルム除去中のデシュリンクシステムを示す説明図である。
まず、
図3に示すように、開口2aを通して、フレーム2の内部にパレットPごと包装体5が搬送される。本実施例において、包装体5の搬送は、フレーム2の下部まで延びる図示しない自走式レールによって行われることを想定しているが、フォークリフト等によって作業員に搬送されても良い。
【0015】
続いて、シュリンクフィルムFの切断が実行される。
図4に示すように、吸着機構6,6が、切断用側面2bと平行となるように回動する。引き続き、吸着部8がシュリンクフィルムFの一面Faに接近するよう伸張し、減圧吸着により、シュリンクフィルムFを吸着する。その後、シュリンクフィルムFを吸着した状態のまま、吸着部8が収縮し、シュリンクフィルムFの一面Faと物品5aとの間に、切断刃10によるシュリンクフィルムFの切断時に、物品5aに切断刃10が触れることなくシュリンクフィルムFのみを切断できる程度の隙間が形成される(持ち上げ動作)。
また、シュリンクフィルムFの切断前に、昇降機構12により、包装体5が押し上げられる。これにより、後述する切断刃10によるシュリンクフィルムFの切断時において、パレットPの下面中央を除いた周縁に回り込んだシュリンクフィルムFの端まで、切り残しを作ることなく切断が可能となる。
【0016】
続いて、
図5に示すように、切断刃10によるシュリンクフィルムFの一面Faの切断が実行される。シュリンクフィルムFの一面Faは、アーム3のハンド9に設けられた切断刃10によって、
図4に一点鎖線で示すように、T字状に、シュリンクフィルムFの一面Faの上端縁を一方の端部から他方の端部まで水平に切断し、上端縁中央から下端縁中央まで鉛直方向に切断される(切断動作)。
シュリンクフィルムFの一面Faが切断された後、回転テーブル7が駆動し、
図6に示すように、フレーム2並びに包装体5が、180度水平回転する。
そして、吸着機構6,6が、吸着部8によるシュリンクフィルムFの吸着状態を維持した状態で、切断されたシュリンクフィルムFの一面Faを開くように回動することで、
図7及び8に示すように、シュリンクフィルムFが開封される(開封動作)。
【0017】
最後に、
図9に示すように、アーム3が、ハンド9に設けられたグリッパ11により、シュリンクフィルムFの一面Faと対向する面Fbの上端縁中央を吸着及び把持し、
図10に示すように、フレーム2の開口2a側で、フレーム2の外側へシュリンクフィルムFを引き抜くことで、シュリンクフィルムFの除去が実行される(除去動作)。
除去されたシュリンクフィルムFは、そのままアーム3により減容装置4へ移動され、後処理が容易となるよう減容される。
【0018】
上記形態のデシュリンクシステム1は、パレットPと、パレットP上に載置される物品5aとの全体が、下面中央を除きシュリンクフィルムFによって包装された直方体形状の包装体5からシュリンクフィルムFを除去するためのものであって、包装体5全体を内部に収容可能で、包装状態のシュリンクフィルムFの持ち上げ動作と開封動作とを実行する直方体形状に組まれたフレーム2と、シュリンクフィルムFの切断動作と除去動作とを実行するアーム3とを備え、フレーム2は、側面に包装体5が挿通可能な開口2aを有し、開口2aと対向する側面を切断用側面2bとして、切断用側面2bの上部には、水平方向に延びる棒状体で、切断用側面2bの両側縁を軸として水平方向に回動可能な一対の吸着機構6,6が設けられ、下面に包装体5を昇降可能な昇降機構12が設けられ、吸着機構6は、包装体5がフレーム2の内部に収容された状態で、切断用側面2bと平行になるように回動した際、切断用側面2b側から包装体5のシュリンクフィルムFの切断用側面2b側の一面Faを吸着可能な位置に、シュリンクフィルムFに対して接近及び離間可能な吸着部8を備え、アーム3は、シュリンクフィルムFの切断動作と除去動作とが実行可能となるよう、シュリンクフィルムFを切断可能な切断刃10と、シュリンクフィルムFの吸着及び把持を実行可能なグリッパ11とが一体に設けられるハンド9を備え、包装体5がフレーム2に収容され、昇降機構12により押し上げられた状態で、吸着機構6,6が、切断用側面2bと平行になるように回動すると共に、吸着部8が包装体5に向けて接近してシュリンクフィルムFの一面Faを吸着し、吸着状態のまま吸着部8が包装体5から離間するように移動することで、物品5aとシュリンクフィルムFとの間に隙間を形成可能であり、吸着機構6,6が物品5aとシュリンクフィルムFとの間に隙間を形成した状態で、アーム3が切断刃10によりシュリンクフィルムFを、一面Faの上端縁の一方の端部から他方の端部まで水平方向に切断し、上端縁中央から下端縁中央まで鉛直方向に切断すると共に、吸着部8によるシュリンクフィルムFの一面Faの吸着を維持した状態で、吸着機構6,6が、切断されたシュリンクフィルムFの一面Faを開くように回動することで、シュリンクフィルムFを開封可能であり、さらに、アーム3が、シュリンクフィルムFの開封された一面Faと対向する面Fbのグリッパ11による吸着及び把持を実行し、引き続き、シュリンクフィルムFをフレーム2の開口2a側へ引き抜くことでシュリンクフィルムFを除去可能である。
また、フレーム2は、収容した包装体5と、パレットPとを水平方向に回転可能な回転テーブル7を備える。
よって、従来のデシュリンク装置が包括的に有していた機能を、フレーム2と、アーム3とに独立させたことで、設置箇所に合わせた省スペースでの設置が可能となると共に、それぞれの装置構成を従来のデシュリンク装置と比べて簡易的なものとできるため、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0019】
また、デシュリンクシステム1は、包装体5から除去されたシュリンクフィルムFを減容するための減容装置4を備える。
よって、アーム3によって除去されたシュリンクフィルムFをそのまま減容装置4へ投入できるため、シュリンクフィルムFの後処理を容易化できる。
【0020】
デシュリンクシステム1は、物品5aの転倒を防止し、シュリンクフィルムFの除去をより円滑に行うために押さえ機構13、補助吸着部14を備える場合がある。
図11は、押さえ機構を備えるフレームを示す説明図である。
図12は補助吸着部を備えるフレームを示す説明図である。
押さえ機構13は、
図11に示すように、水平方向に回転可能なローラ状体であって、フレーム2の上部で、除去動作時、シュリンクフィルムFの面Fbが面する側に、下端が物品5aの上端よりも下方に位置するように、下方に向けて突出して設けられる。これにより、シュリンクフィルムFと物品5aとの摩擦によって物品5aがシュリンクフィルムFの引き抜き方向に転倒しそうになっても、物品5aの上部に配置された仕切板Dに押さえ機構13が当接し、物品5aの転倒を防止できる。また、押さえ機構13は回転可能であるため、シュリンクフィルムFとの摩擦係数が抑えられ、円滑に除去動作を行うことができる。
【0021】
補助吸着部14は、
図12に示すように、除去動作を行う際のフレーム2の、シュリンクフィルムFの一面Fa側の下部で、シュリンクフィルムFの引き抜き方向と直交する方向と、シュリンクフィルムFの一面Faと対向する面Fb側の下部で、シュリンクフィルムFの引き抜き方向とにおいて、包装体5に対して接近及び離間可能に設けられる。
除去動作の際に、各補助吸着部14が包装体5に向けて接近して、切断された後のシュリンクフィルムFを吸着し、吸着状態のまま補助吸着部14が包装体5から離間することで、物品5a及びパレットPとシュリンクフィルムFとが引き離され、アーム3によるシュリンクフィルムFの引き抜きを補助できる。
【0022】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その技術範囲はこれに限定されるものではない。例えば、フレーム、アーム及び減容装置の形状及び配置は、包装体からシュリンクフィルムを除去する作業ができれば、任意に設計可能である。フレームの形状は、直方体形状に限定されず、
図13にフレーム21として示すように、直方体の一部が変形した形状であったり、多角形状の面、曲線を含む辺により構成される面等を有する複雑な形状であっても良い。フレームとアームの配置状況により、デシュリンク作業においてフレームの回転を必要としない場合は、回転テーブルが省略されても良い。除去されたシュリンクフィルムを流れ作業で減容する必要が無い等の場合は、減容装置が省略されても良い。
また、デシュリンクシステムの各構成の駆動力は、油圧、空圧、電動モータ等、任意の動力を利用可能である。また、それらの駆動機構についても任意の機構を選択して良い。
また、フレームの開口は複数設けられても良い。さらに、開口と切断用側面は、隣り合っていても良いし、同一面であっても良い。
また、アームは、任意の箇所へハンドを移動可能であれば、機構、形状は限定されない。例えば、移動可能な台座に設けられたものでも良い。さらに、切断刃とグリッパとが別体のハンドに設けられる場合、1つのアームで作業工程に応じて持ち替えるものとしてもよいし、それぞれ異なるアームに設けられていても良い。
また、吸着機構、及び吸着部は、シュリンクフィルムと物品との間に隙間を形成すると共に、アームによる除去が可能なように切断されたシュリンクフィルムの開封ができれば良く、形状及び設置数は限定されない。実施例では、吸着機構を構成する棒状体に直接吸着部が設けられたものとしたが、例えば、水平に延びるパイプの先端側に吸着部を備えるユニットが設けられたような構成であっても良い。
また、押さえ機構は、除去動作の際に物品の転倒を防止できればよく、形状、取付箇所、数は任意に設計可能である。例えば、2以上の方向から物品に対して当接するようにしても良いし、機械的な機構を用いて、所定の退避状態からシュリンクフィルムの引き抜きに合わせて物品に当接する位置に向けて駆動するようなものであっても良い。シュリンクフィルムとの摩擦係数低減ができれば、ローラ状以外にも、例えば断面半円形状の柱状体である等しても良い。
また、補助吸着部は、除去動作の際に、アームによるシュリンクフィルムの引き抜きを補助できれば、設置箇所、数及び方向は限定されない。
また、回転テーブルによるフレーム及び包装体の回転の回転角度は、フレーム,アームの配置等の周辺環境に合わせて、任意に設定できる。
減容装置は、既存の減容装置から任意に選択可能である。
【符号の説明】
【0023】
1・・デシュリンクシステム、2、21・・フレーム、3・・アーム、4・・減容装置、5・・包装体、5a・・物品、6・・吸着機構、7・・回転テーブル、8・・吸着部、9・・ハンド、10・・切断刃、11・・グリッパ、12・・昇降機構、13・・押さえ機構、14・・補助吸着部。