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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153475
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A01C11/02 350H
A01C11/02 350G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067392
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 大介
(72)【発明者】
【氏名】荒井 毅
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064CA15
2B064CA22
2B064CA28
2B064CB08
(57)【要約】
【課題】従来、機体前部の左右外側方にマット状苗を載置する予備苗載台と空の苗箱を載置する載置台を上下2段に設けた乗用型田植機がある。然しながら、機体前部の左右外側方に予備苗載台と載置台を上下2段に固定して設けているので、田植作業中に前方左右の視界が悪く作業性に課題があった。そこで、前方左右の視界を向上し作業性の良い予備苗載台を装備した苗移植機を提供する。
【解決手段】前部側方に作業者が移動するフロア6と予備苗載台11L,11Rを設けた走行車体2の後部に苗植装置3を装着した苗移植機において、予備苗載台11L,11Rを機体外側方に位置する外側苗載せ枠21とフロア6上方に位置する内側苗載せ枠22を機体左右方向に並列して構成し、一方の外側苗載せ枠21または内側苗載せ枠22が他方の内側苗載せ枠22または外側苗載せ枠21の上方または下方に回動して移動自在である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部側方に作業者が移動するフロア(6)と予備苗載台(11L,11R)を設けた走行車体(2)の後部に苗植装置(3)を装着した苗移植機において、予備苗載台(11L,11R)を機体外側方に位置する外側苗載せ枠(21)とフロア(6)上方に位置する内側苗載せ枠(22)を機体左右方向に並列して構成し、一方の外側苗載せ枠(21)または内側苗載せ枠(22)が他方の内側苗載せ枠(22)または外側苗載せ枠(21)の上方または下方に回動して移動自在であることを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
外側苗載せ枠(21)及び/または内側苗載せ枠(22)を水平回動させて、外側苗載せ枠(21)及び/または内側苗載せ枠(22)が機体前端よりも前方に突出する状態となることを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
前部側方に作業者が移動するフロア(6)と予備苗載台(11L,11R)を設けた走行車体(2)の後部に苗植装置(3)を装着した苗移植機において、予備苗載台(11L,11R)を苗箱(N)の長手方向が前後方向を向く状態で縦に2つ及び横に2列の4つを載置すること及び苗箱(N)の長手方向が左右方向を向く状態で縦に4つ載置することができる広い平板状に構成したことを特徴とする苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に苗を植付ける苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体前部の左右外側方にマット状苗を載置する予備苗載台と空の苗箱を載置する載置台を上下2段に設けた乗用型田植機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-188710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機体前部の左右外側方に予備苗載台と載置台を上下2段に固定して設けているので、田植作業中に前方左右の視界が悪く作業性に課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、前方左右の視界を向上し作業性の良い予備苗載台を装備した苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、前部側方に作業者が移動するフロア6と予備苗載台11L,11Rを設けた走行車体2の後部に苗植装置3を装着した苗移植機において、予備苗載台11L,11Rを機体外側方に位置する外側苗載せ枠21とフロア6上方に位置する内側苗載せ枠22を機体左右方向に並列して構成し、一方の外側苗載せ枠21または内側苗載せ枠22が他方の内側苗載せ枠22または外側苗載せ枠21の上方または下方に回動して移動自在である苗移植機である。
【0007】
請求項1記載の発明によると、予備苗載台11L,11Rを機体外側方に位置する外側苗載せ枠21とフロア6上方に位置する内側苗載せ枠22を機体左右方向に並列して構成したので、苗植作業時に機体を操縦する作業者の前方左右視界が良くなり、機体の操縦操作性が良い。
【0008】
また、一方の外側苗載せ枠21または内側苗載せ枠22が他方の内側苗載せ枠22または外側苗載せ枠21の上方または下方に回動して移動自在であるので、内側苗載せ枠22を外側苗載せ枠21の上方または下方に回動して移動させると、機体のフロア6上方が開放されて、作業者が開放されたフロア6上にて予備苗載台11L,11Rに載置された苗を苗植装置3に供給する苗供給作業が容易に且つ効率良く行えて作業性が良い。
【0009】
そして、外側苗載せ枠21を内側苗載せ枠22の上方または下方に回動して移動させると、機体左右幅が狭くなり、狭い圃場での苗植作業、道路の移動、トラックへの積載及び納屋等への格納が容易に行なえる。
【0010】
請求項2記載の発明は、外側苗載せ枠21及び/または内側苗載せ枠22を水平回動させて、外側苗載せ枠21及び/または内側苗載せ枠22が機体前端よりも前方に突出する状態となる請求項1に記載の苗移植機である。
【0011】
請求項2記載の発明によると、請求項1記載の発明の作用効果に加えて、外側苗載せ枠21及び/または内側苗載せ枠22を水平回動させて、外側苗載せ枠21及び/または内側苗載せ枠22が機体前端よりも前方に突出する状態となるので、機体前部を畦や道路に着けると、機体前端よりも前方に突出した外側苗載せ枠21及び/または内側苗載せ枠22前部が畦や道路の近くまたは上方に位置し、畦や道路にいる作業者が機体前端よりも前方に突出した外側苗載せ枠21及び/または内側苗載せ枠22前部に容易に且つ作業性良く畦や道路に置いている苗を載置することができて、畦や道路から機体への苗供給作業が容易に行なえる。
【0012】
請求項3記載の発明は、前部側方に作業者が移動するフロア6と予備苗載台11L,11Rを設けた走行車体2の後部に苗植装置3を装着した苗移植機において、予備苗載台11L,11Rを苗箱Nの長手方向が前後方向を向く状態で縦に2つ及び横に2列の4つを載置すること及び苗箱Nの長手方向が左右方向を向く状態で縦に4つ載置することができる広い平板状に構成した苗移植機である。
【0013】
請求項3記載の発明によると、予備苗載台11L,11Rを苗箱Nの長手方向が前後方向を向く状態で縦に2つ及び横に2列の4つを載置すること及び苗箱Nの長手方向が左右方向を向く状態で縦に4つ載置することができる広い平板状に構成したので、苗植作業時に機体を操縦する作業者の前方左右視界が良く、機体の操縦操作性が良い。
【0014】
また、予備苗載台11L,11Rが苗箱Nの長手方向が前後方向を向く状態で縦に2つ及び横に2列の4つを載置すること及び苗箱Nの長手方向が左右方向を向く状態で縦に4つ載置することを選択できるので、作業者が使い勝手の良いようにして作業が行なえて、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の作用説明用正面図である。
図2】同上田植機の左予備苗載台の作用説明用斜視図である。
図3】同上田植機の右予備苗載台の作用説明用平面図である。
図4】同上田植機の左予備苗載台の作用説明用平面図である。
図5】本発明の他の実施形態を示す左予備苗載台の作用説明用斜視図である。
図6】本発明の他の実施形態を示す左予備苗載台の作用説明用平面図である。
図7】本発明の他の実施形態を示す乗用型田植機の平面図である。
図8】本発明の他の実施形態を示す乗用型田植機の側面図である。
図9】HSTレバー部分の平面図である。
図10】ブレーキペダル部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の苗移植機の一実施形態である6条植え乗用型田植機について図面に基づき説明する。
【0017】
なお、本明細書では、乗用型田植機の前進方向に向かって左右をそれぞれ左側と右側といい、前進方向を前側、後進方向を後側という。
【0018】
図1図7及び図8に示すように、乗用型田植機1は、走行車体2の後部に昇降リンク機構を介して昇降自在に苗植装置としての苗植装置3を装着している。
【0019】
走行車体2は、機体下部に左右一対の操舵用の左右駆動前輪4,4と左右一対の左右駆動後輪5,5を備え、機体上にフロア6を張設し、該フロア6前側左右中央部に立設したフロントカバー7の上部に操縦ハンドル8を設けている。
【0020】
そして、走行車体2中央部に設けたフロア6を上方へ膨らませたカバ膨出部6a内にエンジン9を搭載し、カバ膨出部6a上に操縦席10を設け、走行車体2前部の左右両側に左右予備苗載台11L,11Rを設け、走行車体2後部には施肥装置の肥料タンク12を設けている。
【0021】
苗植装置3は、左右往復移動する苗載置台13,該苗載置台13の下端側に苗分割口を設けた苗受け止め用の苗受け体14、該苗受け体14の苗分割口から一株分の苗を取り出して圃場に植付ける植付装置、後部を枢着して前側が上下動自由に設けて苗植付け圃場面を整地するセンターフロート15a及びサイドフロート15bを装備する。
【0022】
センターフロート15aは、苗植装置3の自動昇降制御用のセンサを兼用し、先端側が所定の姿勢から一定以上に上方へ押し上げられると制御バルブを切り替えて昇降シリンダを作動させて昇降リンク機構にて苗植装置3を上昇し、逆に、所定の姿勢から一定以上に下方へ下がると制御バルブを切り替えて昇降シリンダを作動させて昇降リンク機構にて苗植装置3を下降させる。
【0023】
ここで、図1図4に基づいて、左右予備苗載台11L,11Rの詳細構成について説明する。
【0024】
左右予備苗載台11L,11Rは、機体に基部を固定した左右支持フレーム20L,20Rの上部に2つの外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22を設けている。
【0025】
左右予備苗載台11L,11Rは左右対称の構成なので、代表して左予備苗載台11Lを説明する。
【0026】
図2に示すように、左予備苗載台11Lは、左支持フレーム20L上端に水平方向(矢印イ-ロ方向)に回転自在に設けたT字状支持部23に2つの外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22を前後方向の軸心まわりに上下方向(矢印ハ-ニ方向)に回動自在に設けている。
【0027】
T字状支持部23は、垂直方向の筒体23aと前後方向の2つの筒体23b1,23b2を直角に交差させて固着して構成されており、垂直方向の筒体23aが左支持フレーム20L上端に水平方向(矢印イ-ロ方向)に回転自在に外篏している。
【0028】
なお、T字状支持部23は、2つの外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22の前側に配置されており、2つの外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22を矢印イ方向に回動させると、2つの外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22が機体前端よりも大きく前方に突出する状態となる。
【0029】
2つの筒体23b1,23b2は、各々2つの外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22の支持杆21a,22aを上下方向(矢印ハ-ニ方向)に回動自在に支持している。
【0030】
2つの外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22は、杆体を溶接した枠体にて構成され、各々、苗箱Nの長手方向が前後方向を向く状態で3つ並列載置できる苗載せ部21b,22b、左右の側壁21c,22c、前後壁21d,22dと左支持フレーム20Lに近い側の側壁21c,22cに一体形成した前記支持杆21a,22aにて構成される。
【0031】
そして、左右の側壁21c,22c及び前後壁21d,22dは、苗載せ部21b,22bの上下に亘って設けられており、外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22を上下方向(矢印ハ-ニ方向)に回動させて反転しても苗箱Nが載置できる構成としている。
【0032】
次に、左予備苗載台11Lの姿勢変更による苗箱Nの載置作用を説明する。
【0033】
2つの外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22は、左支持フレーム20Lの左右に配置した並列配置と片方の苗載せ枠21(22)を他方の苗載せ枠22(21)上方に回動させた積層配置に変更自在である。
【0034】
即ち、2つの外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22を左支持フレーム20Lの左右に配置した並列配置にすると、6個(縦に3個で横に2列)の苗箱Nを平面状に低い位置に載置できて、田植作業時に操縦席10に着座して機体を操縦する作業者の前方左右視界が良くなり、機体の操縦操作性が良くなる。
【0035】
そして、機体内側の苗載せ枠22を機体外側の苗載せ枠21の上方に回動させて外側積層配置にすると、機体の左右フロア6上方が開放されて、作業者は該広く開放された左右フロア6上にて左予備苗載台11Lに載置された苗箱Nから苗を取り出して苗植装置3の苗載置台13に供給する苗供給作業が容易に且つ効率良く行えて作業性が良い。
【0036】
そして、機体外側の苗載せ枠21を機体内側の苗載せ枠22の上方に回動させて内側積層配置にすると、機体の左右外側に苗載せ枠21が無くなって機体左右幅が狭くなり、狭い圃場での田植作業、道路の移動、トラックへの積載及び納屋等への格納が容易に行なえる。
【0037】
また、機体外側の苗載せ枠21を機体内側の苗載せ枠22の上方に回動させて内側積層配置にして、または、機体内側の苗載せ枠22を機体外側の苗載せ枠21の上方に回動させて外側積層配置にして、積層配置の外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22を矢印イ方向に回動させると、外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22が積層配置で機体前端よりも大きく前方に突出する状態となる(図3及び図4参照)。
【0038】
従って、乗用型田植機1前部を畦や道路に着けると、機体前端よりも大きく前方に突出した外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22前部が畦や道路の近くまたは上方に位置するので、畦や道路にいる作業者が機体前端よりも大きく前方に突出した外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22前部に容易に且つ作業性良く畦や道路に置いている苗箱Nを載置することができて、畦や道路から乗用型田植機1への苗供給作業が容易に行なえる。
【0039】
なお、2つの外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22を左支持フレーム20Lの左右に配置した並列配置で矢印イ方向に回動させて、外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22が機体前端よりも大きく前方に突出する状態にしても同様の作用効果がある。
【0040】
また、一方の外側苗載せ枠21または内側苗載せ枠22を他方の内側苗載せ枠22または外側苗載せ枠21の上方に回動させる例を示したが、一方の外側苗載せ枠21または内側苗載せ枠22を他方の内側苗載せ枠22または外側苗載せ枠21の下方に回動させても同様の作用効果がある。
【0041】
以上、左予備苗載台11Lについて説明したが、右予備苗載台11Rも左右対称の構成で同じ作用である。
【0042】
次に、左右予備苗載台11L,11Rの他の実施形態について説明する。
【0043】
図5及び図6は、左右予備苗載台11L,11Rの他の実施形態で代表して左予備苗載台11Lを示す。
【0044】
左右予備苗載台11L,11Rは、機体に基部を固定した左右支持フレーム20L,20Rの上部に2つの内側苗載せ枠22と外側苗載せ枠21を設けている。
【0045】
左右予備苗載台11L,11Rは左右対称の構成なので、代表して左予備苗載台11Lを説明する。
【0046】
左予備苗載台11Lは、左支持フレーム20L上端に固定した内側苗載せ枠22と左支持フレーム20L上端に水平方向(矢印イ-ロ方向)に回転自在に設けた外側苗載せ枠21を設けている。
【0047】
内側苗載せ枠22と外側苗載せ枠21は、杆体を溶接した枠体にて構成され、各々、苗箱Nの長手方向が前後方向を向く状態で2つ並列載置できる苗載せ部21b,22b、側壁枠21c,22c、前後一側の壁体30及び前後他側の壁枠21d,22dにて構成される。
【0048】
外側苗載せ枠21は、その前部で内側苗載せ枠22側を左支持フレーム20L上端に垂直軸20Laで水平方向(矢印イ-ロ方向)に回転自在に支持されている。
【0049】
また、前後一側の壁体30の中央部も左支持フレーム20L上端に垂直軸20Laで水平方向(矢印イ-ロ方向)に回転自在に支持されている。
【0050】
よって、外側苗載せ枠21が内側苗載せ枠22と平行に横並びに並んだ状態では、前後一側の壁体30が外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22の前後一側の壁体の作用をして、載置した苗箱Nの移動を規制する(図5の仮想線の状態)。
【0051】
そして、外側苗載せ枠21を内側苗載せ枠22の前方に矢印イ方向に回動させて、外側苗載せ枠21が内側苗載せ枠22の前方に縦に一直線に並んだ状態では、前後一側の壁体30が外側苗載せ枠21及び内側苗載せ枠22の前後方向と同じ向きとなって、外側苗載せ枠21と内側苗載せ枠22が前後で連通した状態となる(図5の実線の状態)。
【0052】
なお、左予備苗載台11Lについて説明したが、右予備苗載台11Rも左右対称の構成で同じ作用である。
【0053】
従って、田植作業中は、外側苗載せ枠21を内側苗載せ枠22と平行に横並びに並んだ状態にして、安定した苗箱Nの載置状態で作業を行なう。
【0054】
畦や道路から乗用型田植機1への苗供給作業時には、乗用型田植機1前部を畦や道路に着けて、外側苗載せ枠21を前方に矢印イ方向に回動させて外側苗載せ枠21と内側苗載せ枠22が前後で連通した状態として、機体前端よりも大きく前方に突出した外側苗載せ枠21前部が畦や道路の近くまたは上方に位置させ、畦や道路にいる作業者が機体前端よりも大きく前方に突出した外側苗載せ枠21前部に容易に且つ作業性良く畦や道路に置いている苗箱Nを載置することができて、畦や道路から乗用型田植機1への苗供給作業が容易に行なえる。
【0055】
図7及び図8は、他の実施形態である左右予備苗載台11L,11Rを装備した乗用型田植機1の平面図及び側面図である。
【0056】
左右予備苗載台11L,11Rは、機体に基部を固定した左右支持フレーム20L,20Rの上部に左右苗載せ枠40L,40Rを設けている。
【0057】
左右予備苗載台11L,11Rは左右対称の構成なので、代表して左予備苗載台11Lを説明する。
【0058】
左予備苗載台11Lは、左支持フレーム20L上端に水平方向(矢印イ-ロ方向)に回転自在に設けた左苗載せ枠40Lを設けている。
【0059】
左苗載せ枠40Lは、平板41に左右側壁42,42及び前後壁43,43を設けて構成され、苗箱Nの長手方向が前後方向を向く状態で縦に2つ及び横に2列の4つを載置することまたは苗箱Nの長手方向が左右方向を向く状態で縦に4つ載置することができる(図7参照)。
【0060】
また、左苗載せ枠40Lの回転中心となる左支持フレーム20L上端は、左苗載せ枠40Lに苗箱Nの長手方向が左右方向を向く状態で縦に4つ載置した時に前壁43から1つの苗箱N分だけ離れた左右中央位置に配置されている。
【0061】
よって、左苗載せ枠40Lを矢印ロ方向に回動させた時は左苗載せ枠40Lが機体の前端から操縦席10後端に亘る後方位置(図7及び図8実線の状態)となり、左苗載せ枠40Lを矢印イ方向に回動させた時は左苗載せ枠40Lが機体の前端から大きく前方に突出した前方位置(図7及び図8仮想線の状態)となる。
【0062】
なお、左予備苗載台11Lについて説明したが、右予備苗載台11Rも左右対称の構成で同じ作用である。
【0063】
従って、左右予備苗載台11L,11Rは、平板状であるから、田植作業時に操縦席10に着座して機体を操縦する作業者の前方左右視界が良く、機体の操縦操作性が良い。
【0064】
また、左右予備苗載台11L,11Rは、苗箱Nの長手方向が前後方向を向く状態で縦に2つ及び横に2列の4つを載置すること、苗箱Nの長手方向が左右方向を向く状態で縦に4つ載置することを選択できるので、作業者が使い勝手の良いようにして作業が行なえて、作業性が向上する。
【0065】
また、畦や道路から乗用型田植機1への苗供給作業時には、乗用型田植機1前部を畦や道路に着けて、左右予備苗載台11L,11Rを矢印イ方向に回動させて機体前端よりも大きく前方に突出した前方位置にして、左右予備苗載台11L,11R前部を畦や道路の近くまたは上方に位置させ、畦や道路にいる作業者が機体前端よりも大きく前方に突出した左右予備苗載台11L,11R前部に容易に且つ作業性良く畦や道路に置いている苗箱Nを載置することができて、畦や道路から乗用型田植機1への苗供給作業が容易に行なえる。
【0066】
次に、乗用型田植機1の他の構成部品について説明する。
【0067】
図9は、操縦ハンドル8側方のフロントカバー7上部に設けた主変速レバーであるHSTレバー50部分の平面図である。
【0068】
乗用型田植機1は、セルモータ及びリコイルスタータを装備しており、エンジン始動スイッチの操作にてセルモータでエンジン9が始動し、また、リコイルノブを引くことによりリコイルスタータでもエンジン9が始動する。
【0069】
そして、HSTレバー50が中立位置にある時に、エンジン始動スイッチの操作にてセルモータが作動してエンジン9が始動し、また、リコイルノブを引くことによりリコイルスタータでエンジン9が始動するようにして、エンジン9が始動してもHSTレバー50が中立位置であるから不用意に機体が進行しないようにして安全性を保っている。
【0070】
HSTレバー50のレバーガイド51は、前後方向の前進操作ガイド溝52と前後方向の後進操作ガイド溝53を左右方向の中立ガイド溝54にて連通して構成しており、HSTレバー50が該前進操作ガイド溝52、中立ガイド溝54及び後進操作ガイド溝53をクランク状に操作される。
【0071】
そして、中立ガイド溝54にHSTレバー50が操作されていることを検出するリミットスイッチ55を設け、該リミットスイッチ55のHSTレバー50が中立ガイド溝54に操作されていることの検出にてエンジン始動スイッチの操作にてセルモータが作動してエンジン9が始動し、リコイルノブを引くことによりリコイルスタータでエンジン9が始動する。
【0072】
リミットスイッチ55は、中立ガイド溝54に対して45度の角度で斜めに取付けられている。
【0073】
なお、リミットスイッチ55は、レバーガイド51に設けた取付孔に割ピン56にて取り付けられている。
【0074】
従って、リミットスイッチ55は、HSTレバー50が前進操作ガイド溝52から中立ガイド溝54に操作された場合も、HSTレバー50が後進操作ガイド溝53から中立ガイド溝54に操作された場合も、HSTレバー50が中立ガイド溝54に操作されていること適切に検出することができて安全性が向上する。
【0075】
リミットスイッチ55は、レバーガイド51の表面側に取付けても裏面側に取付けても良いが、裏面側に取付けた方が雨や圃場の泥水が跳ね上げられた時に大量の水を浴びてしまうような事態を防止できる。
【0076】
図10は、フロントカバー7下部に設けたブレーキペダル60部分の斜視図である。
【0077】
ブレーキペダル60が踏み込み操作されてブレーキ作動状態で、エンジン始動スイッチの操作にてセルモータが作動してエンジン9が始動し、また、リコイルノブを引くことによりリコイルスタータでエンジン9が始動するようにして、エンジン9が始動してもブレーキペダル60が踏み込み操作されてブレーキ作動状態であるから不用意に機体が進行しないようにして安全性を保っている。
【0078】
ブレーキペダル60の回動枢支軸61にブレーキペダル60の踏み込み操作にて上下回動する操作片62を設け、機枠部から延設した取付け片63に第1安全スイッチ64と第2安全スイッチ65を組み付ける。
【0079】
第1安全スイッチ64はエンジン9とバッテリの始動回路を遮蔽及び接続するスイッチで、第2安全スイッチ65はエンジン9自体の始動回路を遮蔽及び接続するスイッチである。
【0080】
ブレーキペダル60を踏み込み操作すると、操作片62が上動回動して第1安全スイッチ64と第2安全スイッチ65を押圧して、エンジン9のバッテリとの始動回路及びエンジン9自体の始動回路を接続して、エンジン始動スイッチの操作にてセルモータが作動してエンジン9が始動し、また、リコイルノブを引くことによりリコイルスタータでエンジン9が始動する。
【0081】
第1安全スイッチ64と第2安全スイッチ65を設けた理由は、以下のとおりである。
【0082】
バッテリが放電してしまっている場合、ブレーキペダル60を踏み込み操作して第1安全スイッチ64を押圧してエンジン9のバッテリとの始動回路を接続してエンジン始動スイッチを操作してもセルモータが作動しないのでエンジン9が始動しないが、ブレーキペダル60を踏み込み操作して第2安全スイッチ65を押圧してエンジン9自体の始動回路を接続してリコイルノブを引くことによりリコイルスタータでエンジン9を始動することができる。
【0083】
また、操縦ハンドル8側方のフロントカバー7上部には、苗植装置3の駆動の入り切りと上昇及び下降の切換えを操作する植付けレバーを設け、該植付けレバーの操作位置を検出するポテンショメータを設けている。
【0084】
そして、植付けレバーが苗植装置3を上昇する操作位置または苗植装置3の駆動を入りにする操作位置にされていることをポテンショメータが検出している時は、制御装置がエンジン9とバッテリの始動回路またはエンジン9自体の始動回路を遮断して、エンジン9が始動しないようにしている。
【0085】
従って、エンジン9の始動と同時に苗植装置3が上昇するような事態や苗植装置3が不用意に駆動されるような事態を回避できて安全である。
【0086】
また、他の実施形態として、走行車体2前部左右両側に、3段の苗載台を電動モータの駆動にて作動するリンクにて前後方向に連通する平板状に切り換えて機体前方に突出する左右予備苗載台が設けられ、該左右予備苗載台の前側に左右線引きマーカが設けられている乗用型田植機1がある。
【0087】
左右線引きマーカは、機体内側に起立した収納状態と機体外側方に回動した線引き作用状態に切り換えられるが、左右線引きマーカが機体外側方に回動した線引き作用状態に切り換えられている時のみ左右予備苗載台を左右線引きマーカと干渉せずに機体前方に突出する状態に切り換えることができる。
【0088】
換言すると、左右線引きマーカが機体内側に起立した収納状態に切り換えられている時に左右予備苗載台を機体前方に突出する状態に切り換えると、両者が干渉して破損してしまう。
【0089】
そこで、左右線引きマーカが機体外側方に回動した線引き作用状態に切り換えられていることを検出するリミットスイッチよりなるマーカセンサを左右線引きマーカの回動枢支部に各々設け、該マーカセンサの左右線引きマーカが機体外側方に回動した線引き作用状態に切り換えられていることの検出にて制御装置が電動モータを駆動させてリンクにて左右予備苗載台を機体前方に突出する状態に切り換える。
【0090】
そして、マーカセンサの左(及び/または右)線引きマーカが機体外側方に回動した線引き作用状態に切り換えられていないことの検出にて制御装置が電動モータを駆動させないで左(及び/または右)予備苗載台を機体前方に突出する状態に切り換えない場合は、フロントカバー7上部に設けたモニタに左(及び/または右)線引きマーカが機体外側方に回動した線引き作用状態に切り換えられていないので、左(及び/または右)予備苗載台を機体前方に突出する状態に切り換えない旨の表示をして、作業者に報知する。
【0091】
なお、マーカセンサを左右線引きマーカが機体内側に起立した収納状態に切り換えられていることを検出するリミットスイッチとして、上記と同様の制御を行なっても良い。
【0092】
また、マーカセンサが左右線引きマーカが機体外側方に回動した線引き作用状態に切り換えられていることも左右線引きマーカが機体内側に起立した収納状態に切り換えられていることも検出しない場合は、マーカセンサに異常があると判断して、左右予備苗載台を機体前方に突出する状態に切り換えない。
【符号の説明】
【0093】
2 走行車体
3 苗植装置(田植装置)
6 フロア
11L,11R 予備苗載台(左右予備苗載台)
21 外側苗載せ枠
22 内側苗載せ枠
N 苗箱
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