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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153478
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】浄化ユニット
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/04 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A01K63/04 A
A01K63/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067396
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】木内 裕紀
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104CA01
2B104ED10
2B104ED12
2B104ED17
2B104ED30
2B104EE03
2B104EE05
2B104EE13
2B104EF12
(57)【要約】
【課題】本開示は、従来の問題点に鑑み、複数の浄化要素を備えながら小型化することが可能な浄化ユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の浄化ユニット10は、複数の浄化要素1と、複数の浄化要素1を一体的に収容し、入口25から出口26まで水を流通させる筐体2と、を備える。複数の浄化要素1は、物理ろ過部3と、紫外光照射部4と、第1生物ろ過部5と、第1生物ろ過部5とは別の第2生物ろ過部6とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の浄化要素と、
前記複数の浄化要素を一体的に収容し、入口から出口まで水を流通させる筐体と、
を備え、
前記複数の浄化要素は、物理ろ過部と、紫外光照射部と、第1生物ろ過部と、前記第1生物ろ過部とは別の第2生物ろ過部とを含む浄化ユニット。
【請求項2】
前記入口から前記出口に向かって、前記物理ろ過部、前記紫外光照射部、前記第1生物ろ過部、前記第2生物ろ過部の順で配置される、請求項1に記載の浄化ユニット。
【請求項3】
前記第1生物ろ過部は、好気性微生物を用いて水をろ過するように構成され、
前記第2生物ろ過部は、嫌気性微生物を用いて水をろ過するように構成される、請求項2に記載の浄化ユニット。
【請求項4】
流通する水に含まれる空気を集めるための空間を有する空気集合部を有し、
前記空気集合部は、前記第1生物ろ過部に隣接して配置される、請求項3に記載の浄化ユニット。
【請求項5】
前記筐体は、前記複数の浄化要素を収容する流路を有し、
前記空気集合部は、前記流路から外向きに突出する形状を有する、請求項4に記載の浄化ユニット。
【請求項6】
前記筐体は、前記入口を有する第1流路と、前記出口を有する第2流路とを含み、
前記第1流路の前記入口とは反対側の端部と、前記第2流路の前記出口とは反対側の端部とが、連通し、
前記第1流路には、前記物理ろ過部と前記紫外光照射部とが収容され、
前記第2流路には、前記第1生物ろ過部と前記第2生物ろ過部とが収容され、
前記空気集合部は、前記第2流路に設けられる、請求項4に記載の浄化ユニット。
【請求項7】
前記第1流路および前記第2流路は、左右に並べて配置される、請求項6に記載の浄化ユニット。
【請求項8】
前記紫外光照射部は、紫外光を出力するLEDと、前記LEDが装着された基板とを含み、
前記基板は、前記紫外光が照射された水が、前記基板の前記LEDとは反対側を流れるように配置される、請求項1に記載の浄化ユニット。
【請求項9】
前記物理ろ過部は、光触媒を保持する触媒保持部を有し、
前記紫外光照射部は、前記触媒保持部に向かって紫外光を照射する、請求項1に記載の浄化ユニット。
【請求項10】
前記筐体は、前記複数の浄化要素のうち少なくとも1つを交換することが可能な開口を有する請求項1に記載の浄化ユニット。
【請求項11】
前記筐体は、前記複数の浄化要素のうち少なくとも1つを目視で確認可能な窓部を有する、請求項1に記載の浄化ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の浄化に用いる浄化ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線を用いて水などの液体を浄化する技術が知られている。例えば、特許文献1には、水を濾過する濾過器と、プロテインを除去するプロテインスキマーと、水に紫外線を照射して殺菌を行う紫外線照射装置のうち1以上の浄化装置を備える浄化ユニットが記載されている。このユニットは、循環ポンプと1以上の浄化装置によって構成されるユニットが搭載フレームに搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-278894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、水産養殖に用いる水は、養殖する生物の生息環境を整えるために、所定の浄化処理が施されることが望ましい。水には様々な物質や生物等が含まれており、それぞれの特性に合わせて物理ろ過、生物ろ過、不要微生物の不活化などの機能を持つ浄化要素を複数組み合わせて浄化処理することが重要である。このために、複数の浄化要素を個別に用意して連結して使用することが考えられる。しかし、このような構成では、組立工数の増加や装置の大型化といった問題が生じる。
特許文献1は、複数の浄化要素を備えながら小型化を図るという観点から十分な開示がなされていない。
【0005】
本発明の目的は、このような課題に鑑みてなされたものであり、複数の浄化要素を備えながら小型化が可能な浄化ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の浄化ユニットは、複数の浄化要素と、複数の浄化要素を一体的に収容し、入口から出口まで水を流通させる筐体と、を備える。複数の浄化要素は、物理ろ過部と、紫外光照射部と、第1生物ろ過部と、第1生物ろ過部とは別の第2生物ろ過部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の浄化要素を備えながら小型化が可能な浄化ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る浄化ユニットを備えた水浄化システムの一例を概略的に示す図である。
図2】第2実施形態に係る浄化ユニットを備えた水浄化システムの一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0011】
[第1実施形態]
図1を参照して、第1実施形態に係る浄化ユニット10の一例を備えた水浄化システム100を説明する。図1は、水浄化システム100を示す図である。便宜上、図中の上下左右を浄化ユニット10の上下左右と表記する。この方向の表記は、浄化ユニット10の使用姿勢を制限するものではない。以下、浄化の各段階における水を区別するときは、符号W1~W6を用い、総称するときは水Wという。水浄化システム100は、水棲生物等の飼育生物を飼育するための貯水設備7の水W1を浄化するために、浄化対象の水W1をポンプP1で汲み上げ、浄化ユニット10を通して浄化し、浄化後の水W6を貯水設備7に吐出するシステムである。浄化ユニット10は、このような水浄化システム100に好適に組み込まれる。貯水設備7は、水槽、プール、生け簀、池等を含む。
【0012】
複数の浄化要素を個別に設置する場合、それぞれが一定の大きさを有するため、全体として大きな設置空間を占める。また、複数の浄化要素を接続する配管が複雑になり、水漏れ等の問題も考えられる。そこで、本開示の浄化ユニット10は、複数の浄化要素1を一体的にモジュール化することにより、複雑な構成を1つのモジュールで完結させ、多様な要素を有しながら小型化できる。したがって、浄化ユニット10を水浄化システム100に容易かつ効率的に組み込むことができる。
【0013】
本実施形態の浄化ユニット10は、複数の浄化要素1と、複数の浄化要素1を一体的に収容し、入口25から出口26まで水Wを流通させる筐体2とを備える。複数の浄化要素1は、物理ろ過部3と、紫外光照射部4と、第1生物ろ過部5と、第1生物ろ過部5とは別の第2生物ろ過部6とを含む。
【0014】
本実施形態では、筐体2は板状の仕切壁29で左右2つの領域に仕切られ、それぞれ第1流路21、第2流路22が形成されており、上部で第1流路21および第2流路22が連通している。第1流路21の下端に入口25が設けられ、第2流路22の下端に出口26が設けられる。第1流路21には、物理ろ過部3と紫外光照射部4とが収容される。第2流路22には、第1生物ろ過部5と第2生物ろ過部6とが収容される。入口25が出口26と同じ高さになるように、第1流路21と第2流路22の下端は互いに同じ高さに形成される。第1流路21と第2流路22を総称するときは流路20という。
【0015】
第1流路21および第2流路22は、左右に並べて配置された2つの筒状部に形成されてもよく、当該2つの筒状部は、角筒状でも円筒状でもよい。この場合、第2流路22は、第1流路21の延在方向と交差する方向に延在してもよい。
【0016】
本実施形態では、浄化ユニット10は、流通する水Wに含まれる空気を集めるための空間を有する空気集合部24を有する。空気集合部24には、水Wとともに混入した空気A1が集められる。空気集合部24は、自然に空気が集まるように流路20の最上部に設けられる。空気集合部24は、流路20から外向きに突出する形状を有する。空気集合部24は、第1生物ろ過部5に隣接して配置される。本実施形態の空気集合部24は、第2流路22の出口26とは反対側の端部に設けられている。空気集合部24は、第2流路22の最上部に配置されているから、水中の空気は浮力により自然に空気集合部24に溜まる。
【0017】
後述するように、第1生物ろ過部5の好気性微生物は、酸素を取り込むことにより活性化される。このため、空気集合部24は、第1生物ろ過部5の好気性微生物が空気集合部24の空気A1を利用し易いように配置されることが望ましい。そこで、本実施形態では、空気集合部24は、第1生物ろ過部5に隣接して配置されている。
【0018】
本実施形態では、入口25から出口26に向かって、物理ろ過部3、紫外光照射部4、第1生物ろ過部5、第2生物ろ過部6の順で配置される。貯水設備7からポンプP1によって汲み上げられた水W1は、入口配管252を通じて入口25に注入される。入口25に注入された水W1は、物理ろ過部3で第1浄化処理がなされる。第1浄化処理された水W2は、紫外光照射部4からの紫外光を受けて第2浄化処理がなされる。第2浄化処理された水W3は、第1生物ろ過部5で第3浄化処理がなされる。第3浄化処理された水W4は、第2生物ろ過部6で第4浄化処理がなされる。さらに別の浄化処理がなされてもよいが、本実施形態では、第4浄化処理された水W5は、浄化後の水W6として、出口配管262を通じて貯水設備7に送水される。
【0019】
物理ろ過部3は、残餌や糞などの浮遊懸濁物をろ過する。物理ろ過部3は、サンドフィルタ、ウールマット、セラミック濾過材等で構成されるろ過部材34を有する。物理ろ過部3は、所定の不純物を吸着可能な化学フィルタを含んでもよい。
【0020】
本実施形態の物理ろ過部3は、酸化チタン等の光触媒31を保持する触媒保持部32を有する。特に、ろ過部材34は、光触媒31が塗布され、塗布された光触媒31を保持する触媒保持部32を構成する。触媒保持部32は下流側を向いて配置され、触媒保持部32には上流側の紫外光照射部4からの紫外光が照射される。光触媒31は、第1流路21の内面に塗布されてもよい。
【0021】
紫外光照射部4は、飼育生物の病気の予防等のために、水W2に紫外光を照射し、水中の雑菌を不活化する。雑菌を不活化することにより、生物ろ過部の活性化を促す効果も期待できる。紫外光照射部4は、紫外光を出力するLED41と、LED41が装着された基板42と、LED41および基板42を包囲するカバー43を含む。カバー43は、内部への水の浸入を概ね防止可能な防水性能を有する。カバー43の少なくともLED41からの紫外光を通過させる領域は、紫外光の透過率が高い高透過素材で構成される。本実施形態のカバー43は、全体が紫外光の透過率が高い透明な高透過素材で構成されている。
【0022】
基板42は水W2の流れに略直交するように配置される。基板42のLED41が装着される装着面は上流側を向いている。基板42の装着面にLED41が複数搭載される。複数のLED41は、基板42の装着面上にアレイ状(例えば、二次元アレイ状)に並べられ、上流側に向けて紫外光を照射するように配置される。
【0023】
紫外光照射部4は、複数のLED41のそれぞれから出力される紫外光の照射方向を軸方向に平行化するためのリフレクタまたはレンズをさらに備えてもよい。一例として、複数のLED41は直列接続されて、1つの電流供給手段(不図示)によって一体的に電流が供給される。
【0024】
複数のLED41は、例えば、殺菌効率の高い波長である260nm~290nm付近の紫外光を発するよう構成される。複数のLED41は、触媒保持部32に設けられる光触媒31(例えば、酸化チタン)を活性化する効率の高い波長を有する紫外光を発するよう構成されてもよい。複数のLED41は、例えば、酸化チタンの活性化効率の高い280nm~380nm程度の紫外光を発するよう構成されてもよい。複数のLED41は、殺菌効率の高い260nm~290nm程度の紫外光を発するLEDと、光触媒の活性化効率の高い300nm~380nm程度の紫外光を発するLEDとを含んでもよい。
【0025】
基板42は、紫外光が照射された水W3が、基板42のLED41装着面とは反対側の面(以下、「反装着面」という)を流れるように配置される。基板42の反装着面に水W3が流れることによって基板42が冷却され、基板42が冷却されることによりLED41が冷却される。これにより、LED41の温度上昇が抑制される。冷却を促進するために、基板42の反装着面にヒートシンクが設けられてもよい。
【0026】
生物ろ過部は、生物学的作用によって水中のアンモニアを亜硝酸イオンに、亜硝酸イオンを硝酸イオンに変えて無害化する。本実施形態では、第1生物ろ過部5は、好気性微生物(バクテリア)を用いて水をろ過するように構成され、第2生物ろ過部6は、嫌気性微生物(バクテリア)を用いて水をろ過するように構成される。
【0027】
本実施形態の第1生物ろ過部5は、1または複数の円筒状の多孔質体(不図示)を含み、多孔質体の孔の中に好気性微生物を生息させている。第1生物ろ過部5では、好気性微生物によりアンモニアを亜硝酸イオンに変化させる。一例として、好気性微生物は、有機物をエサとして体内に取り込み、自らの成長や活動、増殖のためのエネルギーとして消費し、水中の有機物を無機物である窒素や二酸化炭素に分解する等の機能を有する。好気性微生物は、酸素を消費するので、水中の酸素は減少する。好気性微生物は水中の酸素を取り込むことにより活性化するので、第1生物ろ過部5は、第2生物ろ過部6よりも上流側に配置される。
【0028】
本実施形態の第2生物ろ過部6は、1または複数の円筒状の多孔質体(不図示)を含み、多孔質体の孔の中に嫌気性微生物を生息させている。第2生物ろ過部6は、嫌気性微生物により亜硝酸イオンを魚に無害な硝酸イオンに変化させる。また、第2生物ろ過部6は、嫌気性微生物により硝酸イオンを窒素に変化させてもよい。嫌気性微生物は酸素があると活性が低下するので、第2生物ろ過部6は、酸素濃度の低下が期待できる第1生物ろ過部5よりも下流側に配置される。
【0029】
水浄化システム100を長期間運転すると、浄化ユニット10の各浄化要素1は、目詰まりや異物付着等の不具合により浄化性能が低下する。この場合、浄化性能を回復するために、各浄化要素1を定期的または不定期的に、交換またはメンテナンス(以下、「交換等」という)をすることが望ましい。浄化ユニット10全体を分解して交換等をすることも考えられるが、各浄化要素1の交換時期は一律でなく、異なる場合が多いので全体を分解するのは非効率である。そこで、本実施形態の筐体2は、複数の浄化要素1のうち少なくとも1つを交換等するために通過させることが可能な開口27を有する。開口27には開閉可能な扉(不図示)が設けられている。扉を開いて、開口27を通過可能な浄化要素1を、開口27を通じて交換等することができる。
【0030】
本実施形態では、第1流路21に物理ろ過部3を交換することが可能な開口27が設けられている。つまり、開口27は、物理ろ過部3が通過可能な形状を有する。開口27は、複数の浄化要素1のすべてに対応して設けられてもよいし、一部の浄化要素1に対応して設けられてもよい。また、各浄化要素は、容易に交換できるようにカートリッジタイプに形成されてもよい。
【0031】
浄化要素1の目詰まりや異物付着は、目視で確認可能な場合がある。目視で確認することで、浄化要素1のおおよその不具合レベルを把握でき、交換等の時期を精度よく予測できる。そこで、本実施形態の筐体2は、複数の浄化要素1のうち少なくとも1つを目視で確認可能な窓部28を有する。本実施形態では、第1流路21に、物理ろ過部3を目視で確認可能な窓部28が設けられている。窓部28は透明な素材で形成できる。窓部28は、複数の浄化要素1のすべてに対応して設けられてもよいし、一部の浄化要素1に対応して設けられてもよい。
【0032】
[第2実施形態]
以下、図2を参照して、第2実施形態に係る浄化ユニット11の一例を備えた水浄化システム200を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付し、重複する説明を省き、第1実施形態と相違する構成を重点的に説明する。図2は、水浄化システム200を示す図である。本実施形態の浄化ユニット11は、第1実施形態の浄化ユニット10に対して、筐体2の構成が異なり、その他の構成は同様である。
【0033】
本実施形態の浄化ユニット11は、第2流路22が第1流路21の延長方向に連続して設けられ、流路20が全体として直線状に構成されている。また、空気集合部24は、第2流路22の側面から側方に突出している。図2では、流路20が水平方向に延在する例を示しているが、流路20は、水平以外の例えば鉛直方向に延在してもよい。
【0034】
本実施形態では、第1生物ろ過部5と第2流路22との間にはスペーサ54が設けられており、第1生物ろ過部5の一部が空気集合部24に進入している。このため、水の流れの方向から見て、第1生物ろ過部5の中心は、第2生物ろ過部6の中心に対して上方にオフセットしている。
【0035】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0036】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0037】
本発明の第1の態様は、複数の浄化要素と、前記複数の浄化要素を一体的に収容し、入口から出口まで水を流通させる筐体と、を備え、前記複数の浄化要素は、物理ろ過部と、紫外光照射部と、第1生物ろ過部と、前記第1生物ろ過部とは別の第2生物ろ過部とを含む浄化ユニットである。第1の態様によれば、複数の浄化要素が筐体に一体的に収容されるため、複数の浄化要素を備えながら小型化が容易になる。また、複数の浄化要素を接続する配管を省略できるため、設置が容易になり、配管からの水漏れ等の問題も殆どない。
【0038】
本発明の第2の態様は、前記入口から前記出口に向かって、前記物理ろ過部、前記紫外光照射部、前記第1生物ろ過部、前記第2生物ろ過部の順で配置される、第1の態様に記載の浄化ユニットである。第2の態様によれば、物理ろ過部で残餌や糞などがろ過され、紫外光照射部で雑菌が不活化された水が生物ろ過部に供給されるため、生物ろ過部の汚染が少なくなり、交換等の間隔を長くできる。
【0039】
本発明の第3の態様は、前記第1生物ろ過部は、好気性微生物を用いて水をろ過するように構成され、前記第2生物ろ過部は、嫌気性微生物を用いて水をろ過するように構成される、第2の態様に記載の浄化ユニットである。第3の態様によれば、第1生物ろ過部に酸素の豊富な水が供給されるため好気性微生物の活性が高まる。第2生物ろ過部に酸素が減少した水が供給されるため嫌気性微生物の活性が高まる。この結果、トータルで生物ろ過部の浄化能力を高めることができる。
【0040】
本発明の第4の態様は、流通する水に含まれる空気を集めるための空間を有する空気集合部を有し、前記空気集合部は、前記第1生物ろ過部に隣接して配置される、第3の態様に記載の浄化ユニットである。第4の態様によれば、第1生物ろ過部の好気性微生物が空気集合部の空気を利用できるため好気性微生物の活性が高まる。また、第1生物ろ過部の近傍で空気集合部に空気が溜まり、水中の酸素が減るので嫌気性微生物の活性が高まる。この結果、トータルで生物ろ過部の浄化能力を一層高めることができる。
【0041】
本発明の第5の態様は、前記筐体は、前記複数の浄化要素を収容する流路を有し、前記空気集合部は、前記流路から外向きに突出する形状を有する、第4の態様に記載の浄化ユニットである。第5の態様によれば、突出した空気集合部に溜まった空気は、空気集合部にトラップされるので、第2生物ろ過部に流れる空気を低減できる。
【0042】
本発明の第6の態様は、前記筐体は、前記入口を有する第1流路と、前記出口を有する第2流路とを含み、前記第1流路の前記入口とは反対側の端部と、前記第2流路の前記出口とは反対側の端部とが、連通し、前記第1流路には、前記物理ろ過部と前記紫外光照射部とが収容され、前記第2流路には、前記第1生物ろ過部と前記第2生物ろ過部とが収容され、前記空気集合部は、前記第2流路に設けられる、第4または第5の態様に記載の浄化ユニットである。第6の態様によれば、第1流路で残餌や糞などをろ過し、雑菌を不活化した水を第2流路に供給することで、第2流路の生物ろ過部の汚染が低減され、生物ろ過部の活性を長期間維持できる。
【0043】
本発明の第7の態様は、前記第1流路および前記第2流路は、左右に並べて配置される、第6の態様に記載の浄化ユニットである。第7の態様によれば、第2流路を第1流路の横に配置できるので、ユニットの全長を短くできる。
【0044】
本発明の第8の態様は、前記紫外光照射部は、紫外光を出力するLEDと、前記LEDが装着された基板とを含み、前記基板は、前記紫外光が照射された水が、前記基板の前記LEDとは反対側を流れるように配置される、第1から第7のいずれか1つの態様に記載の浄化ユニットである。第8の態様によれば、裏側を流れる水流によって基板が冷却され、LEDも冷却されるので、LEDの長寿命化を図れる。
【0045】
本発明の第9の態様は、前記物理ろ過部は、光触媒を保持する触媒保持部を有し、前記紫外光照射部は、前記触媒保持部に向かって紫外光を照射する、第1から第8のいずれか1つの態様に記載の浄化ユニットである。第9の態様によれば、紫外光照射部から紫外光が照射されて光触媒が活性化されることにより、生物ろ過部に到達する有害物質の量を低減できる。
【0046】
本発明の第10の態様は、前記筐体は、前記複数の浄化要素のうち少なくとも1つを交換することが可能な開口を有する、第1から第9のいずれか1つの態様に記載の浄化ユニットである。第10の態様によれば、開口を用いて容易に浄化要素を交換等することができる。全体を分解して交換等する場合に比べて作業工数を低減できる。
【0047】
本発明の第11の態様は、前記複数の浄化要素1のうち少なくとも1つを目視で確認可能な窓部を有する、第1から第10のいずれか1つの態様に記載の浄化ユニットである。第11の態様によれば、目視により浄化要素のおおよその不具合レベルを把握でき、交換等の時期を精度よく予測できる。
【0048】
以上、いくつかの実施形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0049】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0050】
第1実施形態の説明では、第1流路21と第2流路22の延在方向が同じである例を示したが、第1流路と第2流路の延在方向は互いに異なっていてもよい。
【0051】
第1実施形態の説明では、浄化ユニット10が、物理ろ過部3、紫外光照射部4、第1生物ろ過部5、および第2生物ろ過部6を備える例を示したが、浄化ユニットはこれらに加えて別の浄化要素を備えてもよい。
【0052】
第1実施形態の説明では、流路20が角筒形状を有する例を示したが、流路は、矩形とは別の断面形状を有してもよい(例えば、円筒形状)。
【0053】
第1実施形態の説明では、第1流路21と第2流路22とが同じ断面形状を有する例を示したが、第1流路と第2流路とで異なる断面形状を有してもよい。
【0054】
第1実施形態の説明では、第1流路21と第2流路22とが側面同士で接続されている例を示したが、これらの側面は互いに離れていてもよい。
【0055】
これらの各変形例は、第1実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0056】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0057】
1 浄化要素、 2 筐体、 3 物理ろ過部、 4 紫外光照射部、 5 第1生物ろ過部、 6 第2生物ろ過部、 7 貯水設備、 10、11 浄化ユニット、 21 第1流路、 22 第2流路、 24 空気集合部、 25 入口、 26 出口、 27 開口、 28 窓部、 31 光触媒、 32 触媒保持部、 34 ろ過部材、 41 LED、 42 基板、 100、200 水浄化システム。
図1
図2