(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153485
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】景品把持装置及び景品獲得ゲーム機
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067409
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】504025446
【氏名又は名称】株式会社アムジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】南部 敏彦
(57)【要約】
【課題】アームの把持力を弱めた際にアームから景品が自然に落下しているように見せることができ、かつ部品点数を抑えることが可能な景品把持装置及び景品獲得ゲーム機を提供する。
【解決手段】本開示に係る景品把持装置10は、第1付勢部材13と、第1付勢部材13よりも強い第2付勢部材14とを備え、第2付勢部材14は、スライド部材16が第1位置に位置するときには複数のアーム12に対して付勢力を付与せず、第2位置へのスライド部材16の移動に伴って複数のアーム12に対して付勢力を付与し、アーム制御部材17は、第1回転位置では複数のアーム12を開位置に保持するとともに、スライド部材16を第1位置に保持し、第2回転位置では、開位置への複数のアーム12の保持を解除した状態で、スライド部材16を第1位置に保持し、第3回転位置では、開位置への複数のアーム12の保持を解除した状態で、スライド部材16を第2位置に保持する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品を上方から把持することが可能な景品把持装置であって、
ベース部材と、
上下方向に延びる第1回転軸を中心として前記ベース部材に回転可能に支持されるアーム制御部材と、
前記アーム制御部材を前記ベース部材に対して回転駆動可能なモータと、
前記ベース部材に上下方向にスライド移動可能に支持され、第1位置と第2位置との間を上下にスライド移動するスライド部材と、
前記第1回転軸を中心とした径方向と交叉する方向に延びる第2回転軸を中心として前記ベース部材に傾動可能に支持されて、先端側を互いに近接又は接触させた閉位置と前記先端側を互いに離間させた開位置との間を傾動可能な複数のアームと、
前記複数のアームを前記開位置から前記閉位置へ付勢する第1付勢部材と、
前記第1付勢部材よりも強い付勢力を有し、上端が前記スライド部材に対して取り付けられ、下端が前記複数のアームに対して取り付けられ、前記複数のアームを前記閉位置へ付勢可能な第2付勢部材と、を備え、
前記第2付勢部材は、前記スライド部材が前記第1位置に位置するときには前記複数のアームに対して付勢力を付与せず、前記第1位置から前記第2位置への前記スライド部材の移動に伴って前記複数のアームに対して付勢力を付与し、
前記アーム制御部材は、前記スライド部材をスライド移動させるスライド部材操作部と、前記複数のアームを傾動させるアーム操作部とを有し、第1回転位置と第2回転位置と第3回転位置とに回転移動可能であり、
前記第1回転位置の前記アーム制御部材は、前記アーム操作部によって前記複数のアームを前記開位置に保持するとともに、前記スライド部材を前記第1位置に保持し、
前記第2回転位置の前記アーム制御部材は、前記アーム操作部による前記開位置への前記複数のアームの保持を解除した状態で、前記スライド部材を前記第1位置に保持し、
前記第3回転位置の前記アーム制御部材は、前記アーム操作部による前記開位置への前記複数のアームの保持を解除した状態で、前記スライド部材を前記第2位置に保持する
ことを特徴とする景品把持装置。
【請求項2】
前記アーム制御部材の回転位置を検出する回転位置検出手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の景品把持装置。
【請求項3】
前記アーム制御部材の前記第2回転位置は、回転方向一側の前記第1回転位置と回転方向他側の前記第3回転位置との間の位置であり、
前記アーム制御部材は、前記第2回転位置から前記第3回転位置への回転角度を調整可能であり、
前記スライド部材の前記第2位置の高さ位置は、前記アーム制御部材の前記第2回転位置から前記第3回転位置への回転角度が大きくなるほど前記第1位置から離間し、
前記複数のアームに対する前記第2付勢部材の付勢力は、前記スライド部材の前記第1位置から前記第2位置までの離間距離の応じて強くなる
ことを特徴とする請求項1に記載の景品把持装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の景品把持装置を備える
ことを特徴とする景品獲得ゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、景品把持装置及び景品獲得ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クレーンゲーム機の景品取得装置としての把持装置が開示されている。把持装置は、開状態と閉状態とに変位可能に構成された3つのアームとを備え、景品を把持することができる。3つのアームユニットは、独立して制御が可能とされており、アーム毎に動作制御することができるようになっている。各アームユニットは、取付ベースと、取付ベースに支持されるモータと、モータシャフトと、アームを支持する支持部材と、支持部材をモータシャフトに対して回転可能に取り付けるためのベアリングストッパ、ベアリングホルダ、及びベアリングと、支持部材に対して付勢力を付与するメインスプリング及びサブスプリングと、モータシャフトが係合する回動部材と、モータシャフトの回転量を検出するためのエンコーダとを備えている。メインスプリングは、巻回バネによって構成され、一端が支持部材に係脱可能となっており、他端が回動部材に係脱可能となっている。サブスプリングは、巻回バネによって構成され、一端が支持部材に係脱不能に保持され、他端が回動部材に係脱不能に保持されており、メインスプリングよりも小さい付勢力を支持部材に付与する。
【0003】
この把持装置は、アームが閉じられた状態で、アームを支持する支持部材に対して、サブスプリングの付勢力のみを付与した状態と、メインスプリングの付勢力を付与した状態とを切り替え可能となっており、少なくともアームが閉じられた状態では、支持部材に対して所定の付勢力が付与されるように構成されている。その結果、メインスプリングによるアームへの付勢力が消失されても、サブスプリングにより所定の付勢力がアームに付与されるので、アームにより持ち上げられた景品をアームの把持力を消失させて落下させようとした場合でも、アームが自由揺動することがない。これにより、景品を落とす制御が行われていることを遊戯者に対して認識させ難くしており、遊戯意欲の減退を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の把持装置(景品把持装置)では、アームを支持する支持部材に対して、サブスプリングの付勢力のみを付与してアームを閉じられている状態で、また、3つのアームユニットのそれぞれに、取付ベース、モータ、モータシャフト、支持部材、ベアリングストッパ、ベアリングホルダ、ベアリング、メインスプリング、サブスプリング、回動部材、及びエンコーダを設けている。このように、特許文献1に記載の把持装置では、アームの把持力を消失させて景品を落下させる際に、景品がアームから自然に落下しているように遊戯者に対して見せるために、部品点数が多くなってしまう。
【0006】
そこで、本開示は、アームの把持力を弱めた際にアームから景品が自然に落下しているように見せることができ、かつ部品点数を抑えることが可能な景品把持装置及び景品獲得ゲーム機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、景品を上方から把持することが可能な景品把持装置であって、ベース部材と、上下方向に延びる第1回転軸を中心として前記ベース部材に回転可能に支持されるアーム制御部材と、前記アーム制御部材を前記ベース部材に対して回転駆動可能なモータと、前記ベース部材に上下方向にスライド移動可能に支持され、第1位置と第2位置との間を上下にスライド移動するスライド部材と、前記第1回転軸を中心とした径方向と交叉する方向に延びる第2回転軸を中心として前記ベース部材に傾動可能に支持されて、先端側を互いに近接又は接触させた閉位置と前記先端側を互いに離間させた開位置との間を傾動可能な複数のアームと、前記複数のアームを前記開位置から前記閉位置へ付勢する第1付勢部材と、前記第1付勢部材よりも強い付勢力を有し、上端が前記スライド部材に対して取り付けられ、下端が前記複数のアームに対して取り付けられ、前記複数のアームを前記閉位置へ付勢可能な第2付勢部材と、を備え、前記第2付勢部材は、前記スライド部材が前記第1位置に位置するときには前記複数のアームに対して付勢力を付与せず、前記第1位置から前記第2位置への前記スライド部材の移動に伴って前記複数のアームに対して付勢力を付与し、前記アーム制御部材は、前記スライド部材をスライド移動させるスライド部材操作部と、前記複数のアームを傾動させるアーム操作部とを有し、第1回転位置と第2回転位置と第3回転位置とに回転移動可能であり、前記第1回転位置の前記アーム制御部材は、前記アーム操作部によって前記複数のアームを前記開位置に保持するとともに、前記スライド部材を前記第1位置に保持し、前記第2回転位置の前記アーム制御部材は、前記アーム操作部による前記開位置への前記複数のアームの保持を解除した状態で、前記スライド部材を前記第1位置に保持し、前記第3回転位置の前記アーム制御部材は、前記アーム操作部による前記開位置への前記複数のアームの保持を解除した状態で、前記スライド部材を前記第2位置に保持する。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の景品把持装置であって、前記アーム制御部材の回転位置を検出する回転位置検出手段を備える。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様の景品把持装置であって、前記アーム制御部材の前記第2回転位置は、回転方向一側の前記第1回転位置と回転方向他側の前記第3回転位置との間の位置であり、前記アーム制御部材は、前記第2回転位置から前記第3回転位置への回転角度を調整可能であり、前記スライド部材の前記第2位置の高さ位置は、前記アーム制御部材の前記第2回転位置から前記第3回転位置への回転角度が大きくなるほど前記第1位置から離間し、前記複数のアームに対する前記第2付勢部材の付勢力は、前記スライド部材の前記第1位置から前記第2位置までの離間距離の応じて強くなる。
【0010】
本発明の第4の態様は、景品獲得ゲーム機であって、上記第1の態様から上記第3の態様のいずれかの景品把持装置を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、アームの把持力を弱めた際にアームから景品が自然に落下しているように見せることができ、かつ部品点数を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る景品把持装置を備えた景品獲得ゲーム機の外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る景品把持装置の上方からの斜視図である。
【
図3】
図2の景品把持装置のカバーを外した状態を示す斜視図である。
【
図4】景品把持装置の側面図であって、(a)はアーム開放状態を、(b)はアーム強閉止状態をそれぞれ示す。
【
図5】アンダーベースを上方から視た概略的な平面図である。
【
図6】アーム開放状態の景品把持装置をスライド部材の上方から視た平面図である。
【
図7】アーム制御部材の外観図であって、(a)は斜め上方から視た状態を、(b)は側方から視た状態を、(c)は斜め下方から視た状態をそれぞれ示す。
【
図8】アーム開放状態の景品把持装置の概略的な斜視図である。
【
図9】アーム強閉止状態の景品把持装置の概略的な斜視図である。
【
図10】アーム弱閉止状態の景品把持装置の概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、上下方向は、
図5及び
図6を除いて、各図における上下方向に対応する。また、一点鎖線CL1はアーム制御部材の回転軸(第1回転軸)CL1を、一点鎖線CL2はアームの回転軸(第2回転軸)CL2をそれぞれ示す。また、周方向及び径方向は、特に説明のない限り第1回転軸CL1を中心とした周方向及び径方向を示す。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る景品把持装置を備えた景品獲得ゲーム機の外観斜視図である。
【0015】
先ず、本実施形態に係る景品把持装置10を備える景品獲得ゲーム機1について説明する。なお、正面は、遊戯者が遊戯する側(後述する操作パネルがある側)を示す。また、上下方向、幅方向、及び奥行方向は、遊戯者が景品獲得ゲーム機1を正面から視た状態における方向をそれぞれ示す。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る景品獲得ゲーム機1は、筐体2内の遊戯空間3に配置された景品4を、景品把持装置10を操作して獲得するクレーンゲーム機である。
【0017】
筐体2は、例えば、直方体の箱状に形成され、その内部の上部には、遊戯空間3が区画される。遊戯空間3の側方を区画する側面のうちの少なくとも1つの側面は、外部から遊戯空間3内を視認可能に、透明のガラス又は樹脂によって形成される。遊戯空間3の下部には、獲得するための景品4が配置される。遊戯空間3の下方の一部には、景品4を遊戯空間3から排出可能な景品排出口5が設けられる。景品排出口5は、筐体2の下部の正面に設けられる景品取出口6へ連通している。景品取出口6は、獲得した景品4を取り出し可能な大きさに形成される。なお、筐体2の下部の正面に、遊戯をするために必要な硬貨やコインを投入するための投入部を設けてもよい。
【0018】
景品把持装置10は、景品4を上方から把持することが可能な装置であって、筐体2の天井部2aから垂下する伸縮可能なロッド8の下端部に固定され、遊戯空間3に配置される。天井部2aには、幅方向及び奥行方向に沿って延びるレール(図示省略)が設けられる。ロッド8及び景品把持装置10は、上記レールに沿って幅方向及び奥行方向にモータ(図示省略)によって移動可能となっている。ロッド8は、ロッド8の長さを伸縮可能な伸縮装置(図示省略)を有しており、景品把持装置10の高さ位置を上下に変位可能となっている。景品把持装置10の詳細は、後述する。
【0019】
なお、本実施形態では、景品把持装置10の高さ位置を上下に変位可能とするために、伸縮可能なロッド8を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、リールに巻かれたワイヤを用いて景品把持装置10を天井部2aから吊り下げて、上記リールを回転させることによって、景品把持装置10の高さ位置を上下に変位可能としてもよい。
【0020】
筐体2の下部の正面には、景品把持装置10を移動させるための操作パネル7が設けられる。操作パネル7には、例えば、景品把持装置10を幅方向及び奥行方向に移動させるためのレバー7aと、景品把持装置10を下降させるためのボタン7bとが設けられる。遊戯者は、レバー7aを操作することによって、景品把持装置10を上記レールに沿って幅方向及び奥行方向の所望の位置へ移動させることができる。遊戯者がボタン7bを操作すると、景品把持装置10は、ロッド8の伸長によって下降した後、把持動作を行ってからロッド8の収縮によって上昇し、その後、景品排出口5の上方へ移動してアームを開放する。このとき、景品把持装置10が景品4を把持していた場合には、景品4が景品排出口5内に落下し、景品取出口6から取り出し可能となる。
【0021】
なお、本実施形態では、景品把持装置10を幅方向及び奥行方向へ移動させるためのレバー7aを操作パネル7に設けたが、レバー7aに代えて、幅方向及び奥行方向への移動用のボタンを操作パネル7に設けてもよい。また、本実施形態では、景品把持装置10の下降を開始するためのボタン7bを操作パネル7に設けたが、ボタン7bを設けなくてもよい。例えば、レバー或いはボタンを使用して景品把持装置10を幅方向及び奥行方向へ移動させた移動回数、或いは、移動を開始してからの時間等が所定の閾値を超えると自動的に景品把持装置10の下降を開始してもよい。また、遊戯の残り回数や残り時間等を表示する表示部を操作パネル7に設けてもよい。
【0022】
次に、本実施形態に係る景品把持装置10について説明する。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係る景品把持装置の上方からの斜視図である。
図3は、
図2の景品把持装置のカバーを外した状態を示す斜視図である。
図4は、景品把持装置の側面図であって、(a)はアーム開放状態を、(b)はアーム強閉止状態をそれぞれ示す。
図5は、アンダーベースを上方から視た概略的な平面図である。
図6は、アーム開放状態の景品把持装置をスライド部材の上方から視た平面図である。
図7は、アーム制御部材の外観図であって、(a)は斜め上方から視た状態を、(b)は側方から視た状態を、(c)は斜め下方から視た状態をそれぞれ示す。
【0024】
図2及び
図3に示すように、景品把持装置10には、景品4を上方から把持することが可能な装置であって、ベース部材11と、複数(本実施形態では3つ)のアーム12と、2種類の付勢部材13,14と、モータ15と、スライド部材16と、アーム制御部材17と、を備える。また、本実施形態の景品把持装置10は、上記の各種の部材に加えて、アーム制御部材17の回転位置を検出する回転位置検出センサ(回転位置検出手段)18を備える(
図5参照)。景品把持装置10には、上記各種の部材を覆うカバー19が、上記各種の部材の動きを許容する状態でベース部材11に対して着脱可能に取り付けられる。
【0025】
図3~
図5に示すように、ベース部材11は、複数のアーム12、2種類の付勢部材13,14、モータ15、スライド部材16、アーム制御部材17、回転位置検出センサ18,及びカバー19を支持する部材である。ベース部材11は、下側に位置するアンダーベース11aと、上側に位置するアッパーベース11bと、アンダーベース11aとアッパーベース11bとの間で延びる柱状スペーサ11cとを有する。
【0026】
図5に示すように、アンダーベース11aは、上下方向と交叉する板状に形成される。アンダーベース11aの形状は、特に限定されるものではないが、本実施形態では略正十二角形状に形成される。アンダーベース11aは、アーム制御部材17を回転可能に支持するシャフト支持部20と、複数のアーム12を支持する複数(本実施形態では3つ)のアーム支持ブラケット21と、を有する。シャフト支持部20は、アンダーベース11aの中心部に配置される。複数のアーム支持ブラケット21は、アンダーベース11aの外周縁部に、周方向に等間隔で配置される。すなわち、本実施形態では、3つのアーム支持ブラケット21は、アンダーベース11aの中心(第1回転軸CL1の位置)に対して120度間隔で配置される。アーム支持ブラケット21の詳細については後述する。
【0027】
図3~
図5に示すように、アッパーベース11bは、上下方向と交叉する板状に形成され、アンダーベース11aから上方へ離間した位置に配置されて、アンダーベース11aに対向する。アッパーベース11bの形状は、特に限定されるものではないが、本実施形態では略円形状に形成される。アッパーベース11bの中心部には、アーム制御部材17の後述するシャフト34から上方へ延びる軸状部材(図示省略)の挿通を許容する挿通孔22(
図8参照)が設けられる。
【0028】
柱状スペーサ11cは、アンダーベース11aとアッパーベース11bとの間のスペーサであって、上下方向に延びる柱状(本実施形態では円柱状)に形成され、下端部がアンダーベース11aに固定され、上端部がアッパーベース11bに固定される。柱状スペーサ11cを設ける数は特に限定されるものではないが、例えば、本実施形態では柱状スペーサ11cは3本設けられる。柱状スペーサ11cは、アンダーベース11a及びアッパーベース11bの外周縁部に配置されて、アンダーベース11aから起立し、アッパーベース11bを下方から支持する。3本の柱状スペーサ11cは、複数のアーム支持ブラケット21間に周方向に等間隔で配置される(
図5参照)。本実施形態の柱状スペーサ11cは、スライド部材16をスライド移動可能に支持する支持部材としても機能する。
【0029】
なお、本実施形態では、アンダーベース11aと、アッパーベース11bと、柱状スペーサ11cとを有するベース部材11としたが、ベース部材11の構成はこれに限定されるものではなく、景品把持装置10の各種部品を支持する構成であればよい。
【0030】
図3~
図5に示すように、複数(本実施形態では3つ)のアーム12は、アンダーベース11aに固定される複数(本実施形態では3つ)のアーム支持ブラケット21に傾動可能に支持される。複数のアーム12は、先端12a側を互いに離間させた開位置(
図4(a)に示す位置)と、先端12a側を互いに近接又は接触させた閉位置(
図4(b)に示す位置)との間を傾動可能である。なお、アーム12及びアーム支持ブラケット21を設ける数は、3つに限定されるものではなく、少なくとも2つであればよい。また、複数のアーム支持ブラケット21及び複数のアーム12は、略同じ構成であるため、以下では、1つのアーム支持ブラケット21及び1つのアーム12について説明し、他の説明を省略する。
【0031】
アーム支持ブラケット21は、上下方向と交叉する板状に形成されてアンダーベース11aの上面に固定される固定板部21aと、固定板部21aの周方向の一端縁から曲折して起立する板状の支持板部21bとを一体的に有する。支持板部21bは、径方向と交叉する方向に延びる第2回転軸CL2を中心としてアーム12の基端12b側を回転可能に支持する。また、支持板部21bは、アーム12の閉方向への傾動を閉位置までに規制するアームストッパ23を有する。アームストッパ23は、アーム12のうち第2回転軸CL2よりも基端12b側の被操作部24よりも上方に位置する。
図4(b)に示すように、閉位置のアーム12の被操作部24は、アームストッパ23に下方から当接することによって、閉方向への傾動が規制される。
【0032】
アーム12は、景品4を把持するための部材である。アーム12の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、本実施形態では略L状に形成される。アーム12の基端12b側は、アンダーベース11a上で第1回転軸CL1に向かって延びている(
図5参照)。アーム12は、アンダーベース11a上の基端12bから径方向に沿ってアンダーベース11aの外縁よりも径方向の外側まで延び、その後曲折してアンダーベース11aよりも下方の先端12aまで延びる。
【0033】
アーム12のうち第2回転軸CL2よりも基端12b側(径方向の内側)の被操作部24には、第1付勢部材13の一端を係止するバネ係止部25と、上下方向に長尺の長孔状に形成されて第2付勢部材14の一端側をスライド移動可能に支持するバネ支持孔26とが設けられる。
【0034】
2種類の付勢部材13,14は、複数のアーム12に対する付勢力が互いに異なる付勢部材であって、複数のアーム12のそれぞれに設けられる。なお、各アーム12に設けられる付勢部材13,14は、略同じであるので、以下では、1つのアーム12に設けられる付勢部材13,14について説明する。
【0035】
2種類の付勢部材13,14のうちの一方の第1付勢部材13は、アーム12を開位置から閉位置へ付勢する。第1付勢部材13の種類は、特に限定されるものではないが、本実施形態ではねじりコイルバネが適用される。第1付勢部材13のコイル部分は、アーム12の第2回転軸CL2に設けられる軸27に係止されて軸27に支持される。第1付勢部材13の一端13aは、アーム12の被操作部24のバネ係止部25に係止され、第1付勢部材13の他端13bは、アンダーベース11aの上面に係止される(
図3参照)。これにより、第1付勢部材13は、後述するアーム制御部材17の動きに拘わらず、アーム12に対して開位置から閉位置へ向かう付勢力を付与する。アーム12に対する第1付勢部材13の付勢力は、アーム12に対して開位置へ向かう力が加わっていない状態でアーム12を閉位置に保持できる強さよりも強く、かつ複数のアーム12で景品4を把持して持ち上げることができる強さよりも弱い。すなわち、第1付勢部材13の付勢力は、アーム12に対して開位置へ向かう力が加わっていない状態でアーム12を閉位置に保持できるが、景品4を把持して持ち上げることができない強さに設定されている。
【0036】
2種類の付勢部材13,14のうちの他方の第2付勢部材14は、複数のアーム12を閉位置へ付勢可能である。第2付勢部材14の種類は、特に限定されるものではないが、本実施形態では引張コイルバネが適用される。第2付勢部材14の一端(下端)14aは、アーム12の被操作部24のバネ支持孔26を挿通する軸28に取り付けられる(
図3参照)。軸28は、被操作部24のバネ支持孔26を貫通しており、バネ支持孔26にスライド移動可能に支持される。本実施形態では、1つのアーム12に2つの第2付勢部材14が設けられ、一方の第2付勢部材14の下端14aは、バネ支持孔26を貫通する軸28の一端部に取り付けられ、他方の第2付勢部材14の下端14aは、バネ支持孔26を貫通する軸28の他端部に取り付けられる。第2付勢部材14の他端(上端)14bは、スライド部材16の後述するバネ支持部33に取り付けられる(
図3参照)。第2付勢部材14は、後述するスライド部材16が下部位置(
図4(a)に図示している位置)に配置されているときには、完全に収縮しており、アーム12に対して付勢力を付与しない。また、第2付勢部材14は、後述するスライド部材16が上部位置(
図4(b)に図示している位置)に配置されているときには、伸長してアーム12の被操作部24を上方へ引き上げる付勢力を付与する。このスライド部材16が上部位置に配置され、アーム12の被操作部24を上方へ引き上げている第2付勢部材14の付勢力は、アーム12を閉位置へ付勢する付勢力であり、複数のアーム12で景品4を把持して持ち上げることができる強さに設定されている。すなわち、第2付勢部材14は、第1付勢部材13よりも強い付勢力を有する。
【0037】
図3に示すように、モータ15は、アーム制御部材17をベース部材11に対して回転駆動可能なモータであって、モータブラケット29を介してベース部材11に固定される。モータ15は、図示しない電源に電気的に接続され、電気の供給を受けて回転可能となっている。モータ15のモータ軸(図示省略)は、アーム制御部材17の後述するシャフト34に対して歯車やベルト等の動力伝達機構を介して接続され、アーム制御部材17をベース部材11に対して回転駆動させる。本実施形態では、モータ15は、ベース部材11の側方に配置されてベース部材11に固定され、アーム制御部材17のシャフト34の上端部に対して接続される。モータ15の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、パルスモータが挙げられる。モータ15は、その回転速度と位置を検出するエンコーダ付きのモータ15であることが好ましい。
【0038】
図3、
図4、及び
図6に示すように、スライド部材16は、第2付勢部材14から複数のアーム12への付勢力の大きさを変動させるための部材であって、上下方向と交叉する板状の円環状に形成される。スライド部材16は、アンダーベース11aとアッパーベース11bとの間の空間のうち径方向の外側の領域に配置され、ベース部材11に上下方向にスライド移動可能に支持される。スライド部材16は、柱状スペーサ11cが挿通するスペーサ挿通孔30(本実施形態では3つのスペーサ挿通孔30)を有し、支持部材として機能する柱状スペーサ11cに上下にスライド移動可能に支持される。すなわち、スライド部材16は、ベース部材11に対して回転不能な状態で、上下方向にスライド移動可能に支持される。スライド部材16の径方向内側の内端縁31は、アーム制御部材17よりも大径の空間を径方向内側に区画する。なお、スライド部材16の形状は、円環状の板状に限定されるものではない。また、本実施形態では、柱状スペーサ11cを、スライド部材16を支持する支持部材として機能させたが、柱状スペーサ11cを上記支持部材として機能させることなく単にスペーサとして機能させ、上記支持部材を柱状スペーサ11cとは別体に設けてもよい。
【0039】
スライド部材16は、その内端縁31よりも径方向の内側へ突出するピン32(本実施形態では3つのピン32)と、後述する第2付勢部材14の上端14bを支持する複数(本実施形態では6つ)のバネ支持部33とを有する。
【0040】
本実施形態の3つのピン32は、3つのアーム12と周方向に略同じ位置に配置され、後述するアーム制御部材17に下方から支持される。これにより、スライド部材16は、アーム制御部材17の回転に伴って下部位置(第1位置:
図4(a)に図示している位置)と、上部位置(第2位置:
図4(b)に図示している位置)との間を上下にスライド移動可能となっている。なお、安定性を確保する観点からは、ピン32を3つ設けることが好ましいが、これに限定されるものではなく、少なくとも1つのピン32を有していればよい。
【0041】
複数のバネ支持部33は、アーム12の被操作部24の周方向の両側に位置する2つの第2付勢部材14の上方に位置するように配置される。複数のバネ支持部33には、第2付勢部材14の上端14bが取り付けられる。
【0042】
図4、
図6、及び
図7に示すように、アーム制御部材17は、複数のアーム12を制御するための部材であって、アンダーベース11aとアッパーベース11bとの間の空間のうち径方向の内側の領域に配置され、上下方向に延びる第1回転軸CL1を中心として、シャフト34を介してベース部材11に回転可能に支持される。アーム制御部材17は、スライド部材16の内径よりも小径に形成される。なお、ベース部材11に対するアーム制御部材17の上下方向の移動は、規制されている。
【0043】
シャフト34は、上下方向に延びる棒状の部材であって、ベース部材11に第1回転軸CL1を中心として回転に支持される。本実施形態では、シャフト34の下端部が、アンダーベース11aのシャフト支持部20(
図5参照)に回転可能に支持され、シャフト34の上端部がモータ15に回転駆動される軸状部材(図示省略)に連結される。この軸状部材は、アッパーベース11bの中央部分の挿通孔22(
図8参照)を挿通する。
【0044】
図6及び
図7に示すように、アーム制御部材17は、シャフト34に固定される本体部35と、スライド部材16を移動させることが可能なスライド部材操作部36と、複数のアーム12を開位置へ保持可能なアーム操作部37とを有する。アーム制御部材17は、シャフト34に固定され、シャフト34と共に第1回転軸CL1を中心として周方向(回転方向)に回転する。
【0045】
アーム制御部材17の本体部35は、上下方向と交叉する略円板状に形成され、シャフト34の挿通を許容する開口38を中央部に有する。本体部35は、開口38を挿通するシャフト34に対して固定される。
【0046】
アーム制御部材17のスライド部材操作部36は、スライド部材16のピン32を支持し、アーム制御部材17の回転に伴ってスライド部材16を下部位置と上部位置との間で上下にスライド移動させる操作を行う。スライド部材操作部36は、所定の形状を有し、本体部35の外周縁部の上方に周方向に沿って設けられる。スライド部材操作部36を設ける数は、スライド部材16のピン32の数に対応している。すなわち、本実施形態では、同一の形状のスライド部材操作部36を、本体部35の外周縁部の上方に周方向に3箇所設けている。スライド部材16の3つのピン32は、本体部35の外周縁部の各スライド部材操作部36上に載置される。なお、スライド部材操作部36とピン32との対応関係は、3箇所の全てにおいて略同じであるので、以下では、1つのスライド部材操作部36と1つのピン32との関係について説明し、他の説明を省略する。
【0047】
本実施形態のスライド部材操作部36は、本体部35の外周縁部に配置されて周方向に沿って延びる上面を有する。スライド部材操作部36の上面は、略水平に周方向に延びる下端面36aと、下端面36aの周方向の一側(
図6における時計回りの方向。以下同じ。)から上記一側の上方へ向かって周方向に延びる傾斜面36bと、傾斜面36bの上端から上記一側へ略水平に周方向に延びる上端面36cとを有する(
図7参照)。スライド部材16がベース部材11に対して回転不能であるので、アーム制御部材17がベース部材11に対して周方向の上記一側(又は他側(
図6における反時計回りの方向。以下同じ。))へ回転すると、スライド部材16のピン32は、スライド部材操作部36上を周方向の上記他側(又は上記一側)へ相対的に移動する。ピン32は、アーム制御部材17の回転に伴って、スライド部材操作部36の下端面36aから上端面36cまでの間を、周方向の両側へ相対的に移動可能である。なお、「水平」とは、第1回転軸CL1に対して直交する面と平行な状態を意味する。
【0048】
アーム制御部材17は、周方向の上記一側への回転によって、スライド部材16を下降させ、周方向の上記他側への回転によって、スライド部材16を上昇させる。例えば、スライド部材操作部36の上端面36cがスライド部材16のピン32と周方向の略同じ位置に位置するときは、スライド部材16のピン32がスライド部材操作部36の上端面36cに下方から支持され、スライド部材16が上部位置に位置している。この状態から、アーム制御部材17を周方向の上記一側へ回転すると、スライド部材操作部36の上記一側への移動に伴って、ピン32がスライド部材操作部36の傾斜面36bに沿って下降して下端面36aに到達し、スライド部材16が下部位置に到達する。また、スライド部材16が下部位置に配置される状態から、アーム制御部材17を周方向の上記他側へ回転すると、スライド部材操作部36の上記他側への移動に伴って、スライド部材16のピン32が下端面36a上を上記一側へ相対的にスライド移動し、傾斜面36bに当接した後、傾斜面36bに沿って上昇し、所定の高さ位置(本実施形態では上端面36c)まで到達して、スライド部材16が上部位置に到達する。
【0049】
アーム制御部材17のアーム操作部37は、複数のアーム12を閉位置から開位置へ傾動させて開位置へ解除可能に保持する部分である。アーム操作部37は、所定の形状を有し、本体部35の外周縁部の下方に周方向に沿って設けられる。アーム操作部37を設ける数は、複数のアーム12の数に対応している。すなわち、本実施形態では、同一の形状のアーム操作部37を、本体部35の外周縁部の下方に周方向に3箇所設けている。なお、アーム操作部37とアーム12との対応関係は、3箇所の全てにおいて略同じであるので、以下では、1つのアーム操作部37と1つのアーム12との関係について説明し、他の説明を省略する。
【0050】
本実施形態のアーム操作部37は、本体部35の外周縁部に配置されて周方向に沿って延びる下面を有する。アーム操作部37の下面は、略水平に周方向に延びる上端面37aと、上端面37aの周方向の上記他側から上記他側の下方へ向かって周方向に延びる傾斜面37bとを有する(
図7参照)。アーム操作部37の上端面37aは、閉位置及び開位置の双方のアーム12の被操作部24に当接しない高さ位置に配置され、アーム12に当接しない。アーム操作部37の傾斜面37bは、閉位置及び開位置の双方のアーム12の被操作部24に当接可能な高さ位置に配置される。アーム操作部37の傾斜面37bが閉位置のアーム12の被操作部24に当接した状態から、アーム制御部材17を上記一側へ回転すると、この回転に伴ってアーム操作部37の傾斜面37bは、アーム12の被操作部24を押圧して徐々に下方へ移動させて、アーム12を開位置まで傾動させる。
【0051】
アーム制御部材17の周方向におけるアーム操作部37の傾斜面37bの配置位置は、少なくともスライド部材16のピン32がスライド部材操作部36の上端面36cから傾斜面36bに沿って下降して下端面36aに到達するまでの間は、アーム12の被操作部24に当接しない位置に設定される。例えば、本実施形態では、アーム操作部37の傾斜面37bは、ピン32がスライド部材操作部36の傾斜面36b及び下端面36aの双方に当接した状態では、アーム12の被操作部24に当接しない位置に設定される。
【0052】
アーム制御部材17は、周方向の上記一側への回転によって、複数のアーム12を閉位置から開位置へ移動させて開位置へ保持し、周方向の上記他側への回転によって、複数のアーム12の開位置への保持を解除する。例えば、アーム操作部37の上端面37aがアーム12の被操作部24と周方向の略同じ位置に位置するときは、複数のアーム12は開位置への保持が解除されて閉位置に位置している。この状態から、アーム制御部材17を周方向の上記一側へ回転すると、アーム操作部37の傾斜面37bがアーム12の被操作部24に当接した後、アーム12の被操作部24がアーム操作部37の傾斜面37bに沿って下方へ移動し、アーム12が閉位置から開位置へ傾動する。また、複数のアーム12が開位置に配置される状態から、アーム制御部材17を周方向の上記他側へ回転すると、アーム12の被操作部24がアーム操作部37の傾斜面37bに沿って上昇し、アーム12の開位置への保持が解除され、アーム12が開位置から閉位置へ傾動可能となる。
【0053】
図5に示すように、アンダーベース11a上には、アーム制御部材17の回転を、所定の回転範囲(以下、「上記回転範囲」という場合がある。)内に規制するストッパ39a,39bが固定される。ストッパ39a,39bは、シャフト34に固定された係止部材40の移動を規制することによって、アーム制御部材17の回転を上記回転範囲に規制する。一方のストッパ39aは、アーム制御部材17が第1回転位置に位置するときの係止部材40に当接する位置に配置され、アーム制御部材17の上記一側への回転を第1回転位置までに規制する。他方のストッパ39bは、アーム制御部材17が第3回転位置に位置するときの係止部材40に当接する位置に配置され、アーム制御部材17の上記他側への回転を第3回転位置までに規制する。第1回転位置と第3回転位置との間の回転角度は、所定の回転角度よりも小さい。上記所定の回転角度は、アーム12の本数に応じて定まる値であり、本実施形態では120度である。第1回転位置と第3回転位置との間には、第2回転位置が存在する。すなわち、アーム制御部材17は、上記回転範囲内で第1回転位置と第2回転位置と第3回転位置とに回転移動可能である。
【0054】
図5に示すように、回転位置検出センサ18は、アーム制御部材17の回転位置を検出する回転位置検出手段であって、本実施形態ではアンダーベース11a上に配置され、アンダーベース11aに固定される。回転位置検出センサ18は、例えば、フォトインタラプタであって、シャフト34の下端部に固定されるセンサープレート41の位置を検出する。本実施形態では1対の回転位置検出センサ18が設けられる。一方の回転位置検出センサ18は、アーム制御部材17が第1回転位置に位置するときのセンサープレート41を検出可能な位置に配置される。他方の回転位置検出センサ18は、アーム制御部材17が第3回転位置に位置するときのセンサープレート41を検出可能な位置に配置される。
【0055】
次に、アーム制御部材17の回転に伴う各種部材の動きについて説明する。
【0056】
図8は、アーム開放状態の景品把持装置の概略的な斜視図である。
図9は、アーム強閉止状態の景品把持装置の概略的な斜視図である。
図10は、アーム弱閉止状態の景品把持装置の概略的な斜視図である。なお、
図8~
図10では、アーム12の動きを分かり易くするために、回転位置検出センサ18及びストッパ39a,39bの図示を省略している。また、
図8では、アーム制御部材17とアーム12との関係を分かり易くするために、右側に位置するアーム12の手前側の第2付勢部材14の図示を省略している。
【0057】
図8に示すように、アーム制御部材17が周方向の最も上記一側(
図8に白抜き矢印で示す方向)へ回転した第1回転位置では、アーム開放状態となっている。第1回転位置では、アーム制御部材17のスライド部材操作部36の下端面36aが、スライド部材16のピン32と周方向の略同じ位置(ピン32の下方)に位置しており、スライド部材16が、下部位置に位置している。このため、第2付勢部材14は、完全に収縮した状態になっており、第2付勢部材14からの付勢力は、複数のアーム12側へ作用していない。一方で、第1付勢部材13からの付勢力は、アーム制御部材17の回転位置に拘わらず、常に複数のアーム12を閉位置へ付勢するように作用している。また、第1回転位置では、アーム制御部材17のアーム操作部37の傾斜面37bが、アーム12の被操作部24と周方向の略同じ位置(被操作部24の上方)に位置してアーム12の被操作部24に当接し、アーム12の被操作部24を下方へ押し下げている。このため、複数のアーム12は、第1付勢部材13の付勢力に抗して第2回転軸CL2を中心として傾動し、開位置に保持されている。すなわち、第1回転位置のアーム制御部材17は、アーム操作部37によって複数のアーム12を開位置に保持するとともに、スライド部材16を下部位置(第1位置)に保持する。
【0058】
図9に示すように、アーム制御部材17が周方向の最も上記他側(
図9に白抜き矢印で示す方向)へ回転した第3回転位置では、後述する第2回転位置のときよりも強い力で複数のアーム12が閉止しているアーム強閉止状態となっている。第3回転位置では、アーム制御部材17のアーム操作部37の上端面37aが、アーム12の被操作部24と周方向の略同じ位置(被操作部24の上方)に位置しており、アーム操作部37による開位置への複数のアーム12の保持が解除されている。また、第3回転位置では、アーム制御部材17のスライド部材操作部36の上端面36cが、スライド部材16のピン32と周方向の略同じ位置(ピン32の下方)に位置しており、スライド部材16が上部位置に位置している。このため、第2付勢部材14は、伸長した状態になっており、第2付勢部材14からの付勢力が、複数のアーム12に対して閉位置に向かうように最も強く作用している。また、第1付勢部材13からの付勢力も、アーム制御部材17の回転位置に拘わらず、常に複数のアーム12を閉位置へ付勢するように作用している。このため、複数のアーム12は、第1付勢部材13の付勢力よりも強い第2付勢部材14からの付勢力を受けて、強い力で閉位置に保持されている。すなわち、第3回転位置のアーム制御部材17は、アーム操作部37による開位置への複数のアーム12の保持を解除した状態で、スライド部材16を上部位置(第2位置)に保持する。
【0059】
図8に示すアーム開放状態から、
図9に示すアーム強閉止状態にする場合、アーム制御部材17を第1回転位置から周方向の上記他側(
図9に白抜き矢印で示す方向)へ回転させて、後述する第2回転位置を通過した後、第3回転位置まで移動させる。このとき、アーム制御部材17のアーム操作部37の傾斜面37bは、上記他側へのアーム制御部材17の回転に伴って、アーム12の被操作部24に対して上記他側へ移動し、アーム12の被操作部24が、アーム12の自重及び第1付勢部材13の付勢力によってアーム操作部37の傾斜面37bに沿って上昇する。アーム制御部材17のアーム操作部37の傾斜面37bがアーム12の被操作部24から上記他側へ離間すると、アーム操作部37による複数のアーム12の開位置への保持が解除される。複数のアーム12の開位置への保持が解除されると、複数のアーム12は、その自重及び第1付勢部材13の付勢力によって閉位置へ傾動する。一方で、スライド部材16のピン32は、上記他側へのアーム制御部材17の回転に伴って、アーム制御部材17のスライド部材操作部36の下端面36a上を上記一側へ相対的に移動し、傾斜面36bに当接した後、傾斜面36bに沿って上昇して上端面36cに到達する。このときのスライド部材16の下部位置から上部位置への移動に伴って、第2付勢部材14からの付勢力が、複数のアーム12に対して閉位置に向かうように徐々に作用し、上部位置に到達した際に最も強く作用する。
【0060】
図10に示すように、アーム制御部材17が第1回転位置と第3回転位置との間の所定の第2回転位置に位置するときは、第3回転位置のときよりも弱い力で複数のアーム12が閉止しているアーム弱閉止状態となっている。第2回転位置では、アーム制御部材17のアーム操作部37の傾斜面37bが、アーム12の被操作部24から周方向の上記他側へ離間しており、アーム操作部37の上端面37aが、アーム12の被操作部24と周方向の略同じ位置(被操作部24の上方)に位置しており、アーム操作部37による開位置への複数のアーム12の保持が解除されている。また、第2回転位置では、アーム制御部材17のスライド部材操作部36の下端面36aが、スライド部材16のピン32と周方向の略同じ位置(ピン32の下方)に位置しており、スライド部材16が、下部位置に位置している。このため、第2付勢部材14は、完全に収縮した状態になっており、第2付勢部材14からの付勢力は、複数のアーム12側へ作用していない。一方で、第1付勢部材13からの付勢力は、アーム制御部材17の回転位置に拘わらず、常に複数のアーム12を閉位置へ付勢するように作用している。このため、複数のアーム12は、第1付勢部材13の付勢力によって閉位置に保持される。すなわち、第2回転位置のアーム制御部材17は、アーム操作部37による開位置への複数のアーム12の保持を解除した状態で、スライド部材16を下部位置(第1位置)に保持する。
【0061】
図9に示すアーム強閉止状態から、
図10に示すアーム弱閉止状態にする場合、アーム制御部材17を第3回転位置から周方向の上記一側へ回転させて、第1回転位置よりも手前の第2回転位置まで回転させる。このとき、スライド部材16のピン32は、上記一側へのアーム制御部材17の回転に伴って上記他側へ相対的に移動し、スライド部材操作部36の上端面36cから傾斜面36bに沿って下降した後、下端面36aに到達する。これにより、スライド部材16が上部位置から下部位置へ移動し、第2付勢部材14が完全に収縮した状態になり、第2付勢部材14からの付勢力が複数のアーム12に作用せず、第1付勢部材13からの付勢力が複数のアーム12に作用している状態となる。また、アーム制御部材17のアーム操作部37の傾斜面37bは、上記一側へのアーム制御部材17の回転に伴って、アーム12の被操作部24に対して上記一側(近接する方向)へ移動するが、アーム12の被操作部24には到達(当接)しない。これにより、複数のアーム12は、アーム操作部37からの押圧力、及び第2付勢部材14からの付勢力の双方を受けておらず、第1付勢部材13からの付勢力を受けて閉位置へ付勢されたアーム弱閉止状態になる。
【0062】
アーム制御部材17は、第2回転位置から第3回転位置への回転角度を調整可能であってもよい。例えば、アーム制御部材17は、エンコーダ付きのモータ15の回転位置やストッパ39bの配置位置等の調整によって、第2回転位置から第3回転位置への回転角度を調整可能であってもよい。
図9に示すように、アーム制御部材17の第2回転位置から第3回転位置への回転角度を最も大きく設定した場合、アーム制御部材17の第3回転位置は、スライド部材操作部36の上端面36cがスライド部材16のピン32の下方に位置する回転位置となる。この場合、スライド部材16の上部位置が、下部位置から最も離間した高さ位置(最も高い位置)となり、複数のアーム12に対する第2付勢部材14からの付勢力が、最も大きくなる。これに対し、アーム制御部材17の第2回転位置から第3回転位置への回転角度を、上述した状態(
図9に示す状態)よりも小さく設定した場合、アーム制御部材17の第3回転位置は、スライド部材操作部36の傾斜面36bがスライド部材16のピン32の下方に位置する回転位置となる。この場合、スライド部材16の上部位置が、上述した状態(
図9に示す状態)よりも低い高さ位置となり、複数のアーム12に対する第2付勢部材14からの付勢力が、上述した状態(
図9に示す状態)よりも小さくなる。すなわち、スライド部材16の上部位置(第2位置)の高さ位置は、アーム制御部材17の第2回転位置から第3回転位置への回転角度が大きくなるほど下部位置(第1位置)から離間し、複数のアーム12に対する第2付勢部材14の付勢力は、スライド部材16の下部位置(第1位置)から上部位置(第2位置)までの離間距離の応じて強くなる。このように、アーム制御部材17の第2回転位置から第3回転位置への回転角度を調整することによって、アーム強閉止状態のときの複数のアーム12の把持力(景品4の保持力)を、スライド部材操作部36の傾斜面36bの範囲内で所望の強さに調整することができる。
【0063】
上記のように構成された景品把持装置10及び景品獲得ゲーム機1では、アーム制御部材17を第1回転位置に回転させたアーム開放状態と、第3回転位置に回転させたアーム強閉止状態と、第2回転位置に回転させたアーム弱閉止状態にすることができる。このため、例えば、第1回転位置のアーム開放状態にして景品4を複数のアーム12の内側に配置し、第3回転位置のアーム強閉止状態にすることによって、景品4を把持して持ち上げることができる。また、景品把持装置10を景品排出口5へ移動させている途中に、第2回転位置のアーム弱閉止状態にすると、景品4が落下する。
【0064】
このように、複数のアーム12に作用する付勢力が強いからアーム強閉止状態から、付勢力を弱くしたアーム弱閉止状態にすることができるので、アクチュエータやモータ等によって複数のアーム12を開位置へ向かう方向へ開くように直接的に動かすことなく、アーム12の把持力を弱めて景品4を落下させることができる。また、アーム弱閉止状態では、第1付勢部材13の付勢力によってアーム12を閉位置に保持するので、把持した景品4の落下時に、景品4が複数のアーム12から外れた後、複数のアーム12が自然に閉位置へ傾動する。このため、複数のアーム12が不自然な動きをしないので、複数のアーム12から景品4が自然に落下しているように見せることができる。
【0065】
また、1つのアーム制御部材17によって、複数のアーム12の動きを制御することができるので、複数のアーム12を傾動させるためのモータ15及びスライド部材16も複数設ける必要がない。このため、複数のアーム12から景品4が自然に落下しているように見せるための構成を複数のアーム12のそれぞれに設ける場合とは異なり、部品点数を抑えることができる。
【0066】
また、1つのアーム制御部材17によって、複数のアーム12の動きを制御することができるので、複数のアーム12の状態を検出するためには、アーム制御部材17の回転位置を検出すればよい。本実施形態では、アーム制御部材17の回転位置を検出する回転位置検出センサ(回転位置検出手段)18を設けている。このため、複数のアーム12の状態を検出するためのセンサを複数のアーム12のそれぞれに設ける必要がないので、部品点数を抑えることができる。
【0067】
このように、本実施形態によれば、アーム12の把持力を弱めた際にアームから景品が自然に落下しているように見せることができ、かつ部品点数を抑えることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、アーム制御部材17の回転位置を検出する回転位置検出センサ(回転位置検出手段)18を設けたが、これに限定されるものではなく、複数のアーム12の状態を検出するためのセンサを複数のアーム12のそれぞれに設けてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、スライド部材16が下部位置(第1位置)に配置されているときに、第2付勢部材14の付勢力をアーム12に対して作用させず、スライド部材16が上部位置(第2位置)に配置されているときに、第2付勢部材14の付勢力をアーム12に対して作用させたが、これに限定されるものではない。例えば、スライド部材16が上部位置に配置されているときに、第2付勢部材14の付勢力をアーム12に対して作用させず、スライド部材16が下部位置に配置されているときに、第2付勢部材14の付勢力をアーム12に対して作用させてもよい。この場合、上部位置が第1位置となり、下部位置が第2位置となる。
【0070】
また、本実施形態では、スライド部材16を、ピン32と複数のバネ支持部33とを有する構成としたが、これに限定されるものではなく、ベース部材11に上下方向にスライド移動可能に支持されており、複数のアーム12に対する第2付勢部材14の付勢力を上述のように変化させることが可能な構成であればよい。
【0071】
また、本実施形態では、アーム制御部材17のスライド部材操作部36を、本体部35の外周縁部に配置されて周方向に沿って延びる上面としたが、これに限定されるものではなく、スライド部材操作部36は、スライド部材16と係合し、アーム制御部材17の回転に伴ってスライド部材16を上下にスライド移動させることが可能であればよい。例えば、スライド部材操作部36は、アーム制御部材17の外周面に設けられてスライド部材16のピン32を係止する溝やレール等であってもよい。
【0072】
また、本実施形態では、アーム制御部材17のアーム操作部37を、本体部35の外周縁部に配置されて周方向に沿って延びる下面としたが、これに限定されるものではない。アーム操作部37は、アーム制御部材17の回転に伴って複数のアーム12を操作して、複数のアーム12を開位置へ解除可能に保持できる形状であればよい。
【0073】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0074】
1:景品獲得ゲーム機
4:景品
10:景品把持装置
11:ベース部材
12:複数のアーム
13:第1付勢部材
14:第2付勢部材
15:モータ
16:スライド部材
17:アーム制御部材
18:回転位置検出センサ(回転位置検出手段)
36:スライド部材操作部
37:アーム操作部
CL1:第1回転軸
CL2:第2回転軸