(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153488
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】屋外広告板
(51)【国際特許分類】
G09F 19/00 20060101AFI20241022BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241022BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G09F19/00 Z
G09F9/00 307A
G09F9/00 302
G09F9/00 307B
G09F9/00 307Z
G09F9/00 313
G09F9/30 308Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067416
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一幸
(72)【発明者】
【氏名】山下 厳己
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瑞
【テーマコード(参考)】
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA31
5C094AA38
5C094BA23
5C094BA27
5C094DA08
5C094ED02
5C094ED12
5C094HA01
5C094JA08
5G435AA11
5G435AA13
5G435AA14
5G435BB04
5G435BB05
5G435GG11
5G435GG16
5G435GG43
5G435HH03
5G435HH05
5G435LL19
(57)【要約】
【課題】視認性、耐久性及び意匠性を兼ね備えた屋外広告板を提供する。
【解決手段】支持部材2により支持される屋外広告板1であって、日射方向に配置される第1面11と、当該第1面11とは反対側の第2面12を有する第一透明板13を含む第一透明ユニット10と、第一透明ユニット10の第一透明板13に接触する接着層を有し、複数の発光体が配置された発光フィルム20と、を備え、第一透明ユニット10の第一透明板13は、接着層の劣化を抑制する劣化抑制機能を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材により支持される屋外広告板であって、
日射方向に配置される第1面と、当該第1面とは反対側の第2面を有する第一透明板を含む第一透明ユニットと、
前記第一透明ユニットに接触する接着層を有し、複数の発光体が配置された発光フィルムと、を備え、
前記第一透明ユニットは、前記接着層の劣化を抑制する劣化抑制機能を有している屋外広告板。
【請求項2】
前記第一透明板は、ガラス板及び樹脂板の一方又は両方を含む請求項1に記載の屋外広告板。
【請求項3】
前記樹脂板は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂の少なくとも1つを含んで形成されている請求項2に記載の屋外広告板。
【請求項4】
前記第2面の少なくとも前記発光フィルムが対向する領域には、UVカット層が被覆されている請求項1に記載の屋外広告板。
【請求項5】
前記UVカット層は、380nmの波長を有する光透過率が5%以下である請求項4に記載の屋外広告板。
【請求項6】
前記第一透明板はフロート板ガラスであり、前記第一透明板の板厚は、5mm以上である請求項1に記載の屋外広告板。
【請求項7】
前記第2面の少なくとも前記発光フィルムが対向する領域には、前記発光フィルムへの赤外線の進入を抑制するIRカット層が被覆されている請求項1に記載の屋外広告板。
【請求項8】
前記発光フィルムを介して前記第2面と対向する第3面と、当該第3面とは反対側の第4面を有する第二透明板を含む第二透明ユニットを更に備えた請求項1に記載の屋外広告板。
【請求項9】
前記第3面の全域には、反射防止膜が被覆されている請求項8に記載の屋外広告板。
【請求項10】
複数の前記発光体は、透明樹脂材により保持されている請求項1から9のいずれか一項に記載の屋外広告板。
【請求項11】
前記第一透明ユニットは、前記第一透明板の端部を覆う保護カバーを更に含んでいる請求項1から9のいずれか一項に記載の屋外広告板。
【請求項12】
前記第一透明板の端部が面取りされている請求項1から9のいずれか一項に記載の屋外広告板。
【請求項13】
前記発光フィルムと前記第2面との境界は、防水材で覆われている請求項1から9のいずれか一項に記載の屋外広告板。
【請求項14】
前記発光フィルムの外形が前記第一透明板の外形よりも小さく、少なくとも前記発光フィルムの上端面が前記第一透明板の上端面よりも下方に配置されている請求項13に記載の屋外広告板。
【請求項15】
支持部材により支持される屋外広告板であって、
日射方向に配置される第1面と、当該第1面とは反対側の第2面を有する第一透明板を含む第一透明ユニットと、
前記第2面に対向する第3面と、当該第3面とは反対側の第4面を有する第二透明板を含む第二透明ユニットと、
前記第二透明板に接触する接着層を有し、複数の発光体が配置された発光フィルムと、を備え、
前記第一透明ユニットは、前記接着層の劣化を抑制する劣化抑制機能を有している屋外広告板。
【請求項16】
前記第一透明板及び前記第二透明板は、ガラス板及び樹脂板の一方又は両方を含む請求項8又は15に記載の屋外広告板。
【請求項17】
前記第一透明板又は前記第二透明板は、アイゾット衝撃値が15以上である請求項8又は15に記載の屋外広告板。
【請求項18】
前記発光フィルムの端面は、防水材で覆われている請求項15に記載の屋外広告板。
【請求項19】
前記防水材は、前記第一透明板の前記第2面と前記第二透明板の前記第3面とに接している請求項18に記載の屋外広告板。
【請求項20】
前記第一透明板と前記第二透明板との間に放熱空間が形成されている請求項8又は15に記載の屋外広告板。
【請求項21】
前記発光フィルムは、前記発光体の発光が許容される発光領域と、前記発光体の発光が不可となる非発光領域とに区分可能に構成されている請求項1又は15に記載の屋外広告板。
【請求項22】
複数の前記発光体の夫々は、隣接する前記発光体との間隔が5mm以上に設定されて配置されている請求項1又は15に記載の屋外広告板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半屋外又は屋外に設置される屋外広告板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の発光体を備えたデジタルサイネージが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のデジタルサイネージは、向かい合わせになったガラスと透明板との間に両面液晶モジュールを挿入している。
【0003】
特許文献1に記載のデジタルサイネージは、正面ガラスの内表面に対して正面液晶パネルの表示面が接着層を介して貼り付けられており、背面液晶パネルの表示面と背面透明板の内表面との間には、空間が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のデジタルサイネージのように正面ガラスと正面液晶パネルとの間に接着層がある場合、屋外広告板として使用すると日射を受けて劣化しやすく、また雨や埃でも劣化しやすい。その結果、デジタルサイネージが紫外線の影響により黄変して発光色合いが変化し、デジタルサイネージの視認性が低下することがある。また、デジタルサイネージにおいて正面ガラスと背面液晶パネルとの間の接着力が弱くなり、正面ガラスから背面液晶パネルが捲れてしまうおそれもある。また、デジタルサイネージのよる広告表示の際には、表示領域において奥行の風景が遮断されるため、デジタルサイネージ越しの視野が狭くなって開放感が阻害され、外観や意匠性が悪くなるといった課題があった。
【0006】
そこで、視認性、耐久性及び意匠性を兼ね備えた屋外広告板が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る屋外広告板の特徴構成は、支持部材により支持される屋外広告板であって、日射方向に配置される第1面と、当該第1面とは反対側の第2面を有する第一透明板を含む第一透明ユニットと、前記第一透明ユニットに接触する接着層を有し、複数の発光体が配置された発光フィルムと、を備え、前記第一透明ユニットは、前記接着層の劣化を抑制する劣化抑制機能を有している点にある。
【0008】
鋭意研究したところ、発光フィルムのうち、接着層が日射や雨、埃の影響を受けて劣化しやすいことを突き止めた。特に本構成のように第一透明板の第1面から太陽光が入射する配置の場合、接着層が劣化しやすい。この接着層が劣化した結果、複数の発光体によって作り出されるデジタルサイネージの視認性が低下し、屋外広告板の耐久性の低下を招くことが判明した。
【0009】
そこで、本構成における第一透明ユニットは、発光フィルムの接着層の劣化を抑制する劣化抑制機能を有している。つまり、発光フィルムの接着層の劣化に起因したデジタルサイネージの視認性の低下、及び屋外広告板の耐久性の低下を第一透明ユニットにより抑制することが可能となる。また、発光フィルムによる広告が第一透明ユニットの第一透明板を通して表示されるので、第一透明板における発光フィルムの配置領域を調整することで外観や意匠性の良好な屋外広告板にすることもできる。このように、視認性、耐久性及び意匠性を兼ね備えた屋外広告板となっている。
【0010】
他の特徴構成として、前記第一透明板は、ガラス板及び樹脂板の一方又は両方を含む点にある。
【0011】
本構成のように、第一透明板がガラス板及び樹脂板の一方又は両方を含むことで、屋外広告板は、設置場所に応じて第一透明板をガラス板又は樹脂板で構成したり、第一透明板をガラス板及び樹脂板で構成することができる。第一透明板がガラス板を含む場合には、第一透明板の剛性を高めることができる。一方、第一透明板が樹脂板を含む場合には、第一透明板を軽量化できる。
【0012】
他の特徴構成として、前記樹脂板は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂の少なくとも1つを含んで形成されている点にある。
【0013】
各種樹脂のうち、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂は、紫外線による劣化を起こし難い樹脂である。したがって、本構成のように、樹脂板をフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂の少なくとも1つを含んで形成すれば、樹脂板を含む第一透明板から接着層の劣化を招きやすい紫外線の入射を防止できる。
【0014】
他の特徴構成として、前記第2面の少なくとも前記発光フィルムが対向する領域には、UVカット層が被覆されている点にある。
【0015】
本構成のように、第一透明板の第2面の少なくとも発光フィルムが対向する領域にUVカット層を被覆すれば、第一透明板から接着層の劣化を招きやすい紫外線の入射を防止できる。
【0016】
他の特徴構成として、前記UVカット層は、380nmの波長を有する光透過率が5%以下である点にある。
【0017】
本構成のように380nmの波長を有する光透過率が5%以下であれば、第一透明板から接着層の劣化を招きやすい紫外線の入射を確実に防止できる。
【0018】
他の特徴構成として、前記第一透明板はフロート板ガラスであり、前記第一透明板の板厚は、5mm以上である点にある。
【0019】
本構成のように、第一透明板がフロート板ガラスであり、第一透明板の板厚が5mm以上であれば、第一透明板自体で紫外線の入射を防止することが可能となる。
【0020】
他の特徴構成として、前記第2面の少なくとも前記発光フィルムが対向する領域には、前記発光フィルムへの赤外線の進入を抑制するIRカット層が被覆されている点にある。
【0021】
本構成のように、第一透明板の第2面の少なくとも発光フィルムが対向する領域にIRカット層を被覆すれば、赤外線の入射を防止して、熱に弱い発光体の耐久性を高めることが可能となる。
【0022】
他の特徴構成として、複数の前記発光体は、透明樹脂材により保持されている点にある。
【0023】
本構成のように複数の発光体が透明樹脂材により保持されていれば、第一透明板と発光フィルムとを備えた屋外広告板の透明度が高まり、建物の窓等にも使用することが可能となる。
【0024】
他の特徴構成として、前記発光フィルムを介して前記第2面と対向する第3面と、当該第3面とは反対側の第4面を有する第二透明板を含む第二透明ユニットを更に備えた点にある。
【0025】
本構成のように第二透明板を含む第二透明ユニットを備えることにより、発光フィルムの両面から保護されることなるため、発光フィルムの耐久性を高めることができる。
【0026】
他の特徴構成として、前記第3面の全域には、反射防止膜が被覆されている点にある。
【0027】
本構成のように第二透明板の第3面の全域に反射防止膜が設けられているため、屋外反射光の広告への映り込みを防ぎ、デジタルサイネージを鮮明に視認することができる。
【0028】
他の特徴構成として、前記第一透明ユニットは、前記第一透明板の端部を覆う保護カバーを更に含んでいる点にある。
【0029】
本構成のように第一透明板の端部を覆う保護カバーを設ければ、発光フィルムの接着層が雨、埃の影響を受けて劣化することを確実に防止できる。また、この保護カバーにより第一透明板の破損も防止できる。
【0030】
他の特徴構成として、前記第一透明板の端部が面取りされている点にある。
【0031】
本構成のように第一透明板の端部に面取りがあれば、第一透明板の端部からクラックが入って第一透明板が破損することを防止できる。
【0032】
他の特徴構成として、前記発光フィルムと前記第2面との境界は、防水材で覆われている点にある。
【0033】
本構成のように発光フィルムと第一透明板の第2面との境界を防水材で覆えば、接着層が風雨や埃の影響を受けて劣化することを確実に防止できる。
【0034】
他の特徴構成として、前記発光フィルムの外形が前記第一透明板の外形よりも小さく、少なくとも前記発光フィルムの上端面が前記第一透明板の上端面よりも下方に配置されている点にある。
【0035】
本構成のように発光フィルムの外形が第一透明板の外形よりも小さく、少なくとも発光フィルムの上端面が第一透明板の上端面よりも下方に配置されていれば、防水材を第一透明板の板面に支持させつつ配置できる。これにより、発光フィルムの端面に防水材を多く配置できるので、防水材による接着層の劣化抑制効果を高めることができる。
【0036】
本発明に係る屋外広告板の特徴構成は、支持部材により支持される屋外広告板であって、日射方向に配置される第1面と、当該第1面とは反対側の第2面を有する第一透明板を含む第一透明ユニットと、前記第2面に対向する第3面と、当該第3面とは反対側の第4面を有する第二透明板を含む第二透明ユニットと、前記第二透明板に接触する接着層を有し、複数の発光体が配置された発光フィルムと、を備え、前記第一透明ユニットは、前記接着層の劣化を抑制する劣化抑制機能を有している点にある。
【0037】
本構成における第一透明ユニットは、第二透明板に接触する発光フィルムの接着層の劣化を抑制する劣化抑制機能を有している。つまり、発光フィルムの接着層の劣化に起因したデジタルサイネージの視認性の低下、及び屋外広告板の耐久性の低下を第一透明ユニットにより抑制することが可能となる。また、発光フィルムによる広告が屋外広告板を通して表示されるので、第二透明板における発光フィルムの配置領域を調整することで外観や意匠性の良好な屋外広告板にすることもできる。このように、視認性、耐久性および意匠性を兼ね備えた屋外広告板となっている。
【0038】
他の特徴構成として、前記第一透明板及び前記第二透明板は、ガラス板及び樹脂板の一方又は両方を含む点にある。
【0039】
本構成のように、第一透明板及び第二透明板がガラス板及び樹脂板の一方又は両方を含むことで、屋外広告板は、設置場所に応じて第一透明板又は第二透明板をガラス板又は樹脂板で構成したり、第一透明板又は第二透明板をガラス板及び樹脂板で構成することができる。第一透明板(第二透明板)がガラス板を含む場合には、第一透明板(第二透明板)の剛性を高めることができる。一方、第一透明板(第二透明板)が樹脂板を含む場合には、第一透明板(第二透明板)を軽量化できる。また、第一透明板(第二透明板)がガラス板であれば、屋外広告板の透明度が高まるので、屋外広告板を建物の窓等にも使用することが可能となる。
【0040】
他の特徴構成として、前記第一透明板又は前記第二透明板は、アイゾット衝撃値が15以上である点にある。
【0041】
本構成のように第一透明板又は第二透明板のアイゾット衝撃値が15以上であれば、第一透明板又は第二透明板に障害物がぶつかった場合でも、屋外広告板の破損を防止できる。
【0042】
他の特徴構成として、前記発光フィルムの端面は、防水材で覆われている点にある。
【0043】
本構成のように発光フィルムの端面を防水材で覆えば、接着層が風雨や埃の影響を受けて劣化することを防止できる。
【0044】
他の特徴構成として、前記防水材は、前記第一透明板の前記第2面と前記第二透明板の前記第3面とに接している点にある。
【0045】
本構成のように防水材が第一透明板の第2面と第二透明板の第3面とに接していれば、発光フィルムの端面を防水材によってより確実に覆うことができ、さらに、発光フィルムの端面に対して多量の防水材を配置できる。これにより、防水材によって発光フィルムの接着層が風雨や埃の影響を受けて劣化することをより効果的に防止できる。
【0046】
他の特徴構成として、前記第一透明板と前記第二透明板との間に放熱空間が形成されている点にある。
【0047】
第一透明板と第二透明板との間に配置された発光フィルムは、屋外環境や発光体の発熱等により過熱状態が継続されると寿命低下を招くおそれがある。しかし、本構成のように第一透明板と第二透明板との間に放熱空間を形成すれば、発光フィルムが過熱状態になっても、発光フィルムから放熱空間に放熱させることが可能となるため、発光フィルムの耐久性を高めることができる。
【0048】
他の構成として、前記発光フィルムは、前記発光体の発光が許容される発光領域と、前記発光体の発光が不可となる非発光領域とに区分可能に構成されている点にある。
【0049】
本構成によれば、屋外広告板は、発光領域に広告用の静止画や動画等を表示し、非発光領域から景色等を確認できる。屋外広告板は、例えば発光領域を上部領域とし、非発光領域を下部領域にすることができる。この場合、屋外広告板の非発光領域は、広告を表示できないが、視認性が確保されるため、屋外広告板を例えば道路の自転車道と歩道との境界に用いることができる。また、屋外広告板が建築物の窓であっても、情景を視認可能な高さを非発光領域とすれば、窓近傍の人に対して景色を提供し、且つ通行者に対して広告を提供できる。
【0050】
他の特徴として、複数の前記発光体の夫々は、隣接する他の発光体との間隔が5mm以上に設定されて配置されている点にある。
【0051】
本構成によれば、発光フィルムを含む第一透明板において透明性を確保できる。したがって、複数の発光体の光量をゼロにすれば、第一透明板越しの景色等を確認でき、景観を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図4】第2面の側から見た屋外広告板の部分平面図である。
【
図6】第二及び第三実施形態の屋外広告板の部分断面図である。
【
図7】第四実施形態の屋外広告板の部分断面図である。
【
図10】第六及び第七実施形態の屋外広告板の部分断面図である。
【
図11】第八実施形態の屋外広告板の部分断面図である。
【
図12】第八実施形態の変形例の部分断面図である。
【
図13】第九実施形態の屋外広告板の部分断面図である。
【
図14】第九実施形態の変形例1の部分断面図である。
【
図15】第九実施形態の変形例2の部分断面図である。
【
図16】第九実施形態の変形例3の部分断面図である。
【
図17】第九実施形態の変形例4の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に、本発明に係る屋外広告板の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、本発明に係る屋外広告板は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0054】
〔第一実施形態〕
図1は、本発明の実施形態の一例として、屋外においてデジタルサイネージとして利用される屋外広告板1を示す概略説明図である。なお、屋外広告板1は、半屋外空間に配置されてもよい。半屋外空間とは、屋外と屋内とをつなぐ中間的な空間のことであり、屋根部分を有する建造物に連続する空間である。
【0055】
図1に示されるように、屋外広告板1は、第一透明ユニット10と、発光フィルム20と、を備え、支持部材2によって支持されている。第一透明ユニット10は、日射方向に配置される第1面11と、当該第1面11とは反対側の第2面12を有する第一透明板13を含む。第一透明板13は、例えば板面が横方向よりも上下方向に長い矩形状に形成されている。第一透明ユニット10は、第一透明板13を複数有していてもよい。第一透明ユニット10は、複数の第一透明板13を有して構成される場合には、複数の第一透明板13が上下や左右等に隣接して配置される。また、第一透明板13を合わせガラスとしてもよい。発光フィルム20は、第一透明板13の第2面12に接着されて配置される。
【0056】
屋外広告板1を支持する支持部材2は、第一透明ユニット10の下側に配置されており、第一透明ユニット10の設置面に固定されている。支持部材2は、例えば第一透明板13を保持可能な枠体(例えばサッシや支持土台)等を有して構成される。図示しないが、支持部材2は、他の建築物や構造物等に設けられてもよく、第一透明ユニット10を上側(吊り下げ式)や左右側方側から支持するものでもよい。
【0057】
〔発光フィルム〕
図2及び
図3に示されるように、発光フィルム20は、複数の発光体25が配置されている。
図3に示されるように、複数の発光体25が透明樹脂材23により保持されており、第一透明ユニット10に接触する接着層26を有する。具体的には、発光フィルム20は、透明樹脂材23の上に、電気回路24、発光体25、接着層26が順に積層されて構成されている。発光フィルム20は接着層26によって第一透明板13に接着される。発光体25は、通常のLEDに限定されず、ミニLEDやマイクロLED等であってもよく、さらには有機ELの発光素子(発行ポリマー)、量子ドット(硫化カドニウムやセレン化カドニウムに代表される直径数nmの半導体微粒子)等であってもよい。発光体25は、例えば電気回路24との接触部位以外がゲル状樹脂27に覆われた状態で透明樹脂材23に配置されている。透明樹脂材23は、例えばPETフィルム等の透明樹脂フィルムで構成される。電気回路24としては、ITO(酸化インジウムスズ)膜、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜等の透明導電膜が挙げられる。こうして、発光フィルム20は、第一透明板13の側に第1面21(接着層26の表面)を有し、第一透明板13とは反対の側に第2面22(透明樹脂材23の裏面)を有する。発光フィルム20は、複数の発光体25によって静止画や動画等の映像を表示可能に構成されている。
【0058】
発光フィルム20の厚さは、30mm以下であることが好ましく、20mm以下であることが更に好ましい。通常のLEDを用いた場合には、発光体16の厚さが20mm以上となる場合がある。ミニLED(直径が100μmから200μm程度のLED)やマイクロLED(直径が100μm未満のLED)であれば、通常のLEDと比較して小さくて薄いので、発光フィルム20を小型化、薄型化できる。このように、発光フィルム20を小型化、薄型化することにより、設置された屋外広告板1における発光フィルム20の存在感を薄めて人に対する圧迫感を消すことができると共に、屋外広告板1越しの風景との一体感を高めることができる。
【0059】
図2に示されるように、発光フィルム20は例えば矩形状に形成されている。本実施形態では、
図4に示されるように、第一透明板13の第2面12に対して複数の発光フィルム20が上下左右に隣接して配置されている。
図2に示されるように、複数の発光体25は、発光フィルム20において隣接する他の発光体25との間隔Sが5mm以上に設定されており、第一透明板13の透過性を担保可能な所定の間隔Sで配置されている。具体的には、複数の発光体25は、第一透明板13の透明性が確保されるように発光フィルム20に均等な間隔で分散配置されている。ここで、発光フィルム20を含む第一透明板13が「透明性」を有するとは、可視光線の透過率が80%以上であるか、可視光線の透過率が80%未満であっても発光フィルム20を含む第一透明板13を通して遠方の景色を確認できることをいう。複数の発光体25の夫々は、発光フィルム20を含む第一透明板13の透明性を確保するために、隣接する他の発光体25との間隔Sが例えば5mm以上25mm以下に設定されて配置されている。間隔Sは、5mm以上20mm以下が好ましく、5mm以上15mm以下が更に好ましい。
【0060】
複数の発光体25の配置間隔(間隔S)は、光透過性を担保し、かつ屋外広告板1が設置された場所で求められる光透過率により定められる。複数の発光体25の間隔Sが狭いと屋外広告板1の光透過率は低下し、複数の発光体25の間隔Sが広いと屋外広告板1の光透過率は向上する。つまり、屋外広告板1は、複数の発光体25の間隔Sを調整することで、設置環境(設置場所や使用条件等)に応じて光透過性(例えば可視光線に対する透過率)を担保すればよい。これにより、屋外広告板1は、発光フィルム20を含む第一透明板13において透明性を確保できる。したがって、複数の発光体25の光量をゼロにすれば第一透明板13越しの景色等を確認でき、景観を損なうことがない。
【0061】
発光フィルム20は、発光体25の発光が許容される発光領域と、発光体25の発光が不可となる非発光領域とに区分可能に構成してもよい。本構成であれば、屋外広告板1は、発光領域に広告用の静止画や動画等を表示し、非発光領域から景色等を確認できる。屋外広告板1は、例えば発光領域を上部領域とし、非発光領域を下部領域にすることができる。この場合、屋外広告板1の非発光領域は、広告を表示できないが、視認性が確保されるため、屋外広告板1を例えば道路の自転車道と歩道との境界に用いることができる。また、屋外広告板1が建築物の窓であっても、情景を視認可能な高さを非発光領域とすれば、窓近傍の人に対して景色を提供し、且つ通行者に対して広告を提供できる。
【0062】
第一透明板13はガラス板又は樹脂板を含んで構成されている。第一透明板13がガラス板であれば、屋外広告板1の透明度が高まるので、屋外広告板1を建物の窓等にも使用することが可能となる。また、第一透明板13がガラス板を含んでいれば、第一透明板13の剛性を高めることができる。第一透明板13は、例えば、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、化学強化ガラス等をベース材として構成してもよい。第一透明板13に用いられる樹脂板は、例えばフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂の少なくとも1つを含んで形成されている。第一透明板13は、平坦な板状に限定されず曲面を有する形状であってもよい。
【0063】
屋外広告板1は、第一透明板13の第1面11から太陽光が入射した場合に、第一透明板13を透過した紫外線等の影響により発光フィルム20の接着層26が劣化することがある。接着層26が劣化すると、屋外広告板1において、複数の発光体25によって作り出されるデジタルサイネージの視認性が低下する。また、屋外広告板は、耐久性の低下を招くおそれもある。
【0064】
そこで、本実施形態では、第一透明ユニット10が発光フィルム20の接着層26の劣化を抑制する劣化抑制機能を有している。具体的には、第一透明ユニット10の第一透明板13はフロート板ガラスであり、第一透明板13の板厚が5mm以上になるように設定されている。フロート板ガラスは鉄分を含有しており、紫外線を吸収する。第一透明板13の板厚が5mm以上であれば、第一透明板13自体で紫外線の入射を抑制することが可能となる。
【0065】
第一透明ユニット10は、第一透明板13を、例えば合わせガラスによって構成してもよい。第一透明ユニット10は、第一透明板13を例えば3mmのガラス板を2枚合わせた合わせガラスにした場合には、第一透明板13を透過する紫外線量を約0.1%程度まで減少できる。フロート板ガラスによって構成される第一透明板13によって紫外線を抑制して屋外広告板1の耐久性を長期に亘って維持するには、第一透明板13の板厚が8mm以上であると好ましく、板厚が12mm以上であるとさらに好ましい。
【0066】
第一透明板13として、熱線吸収ガラス板を用いてもよい。熱線吸収ガラス板とは、板ガラス組成の中に微量の金属成分を加えて着色されたガラス板である。また、第一透明ユニット10は、第一透明板13を、熱線吸収ガラス板を2枚合わせた合わせガラスによって構成してもよい。この場合には、夫々の熱線吸収ガラス板の板厚を5mmにすることで、第一透明板13を透過する紫外線量をほぼ0%にでき、第一透明板13によって紫外線を十分カットできる。
【0067】
第一透明板13は樹脂板またはガラス板及び樹脂板によって構成してもよい。各種樹脂のうち、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂は、紫外線による劣化を起こし難い樹脂である。したがって、樹脂板をフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂の少なくとも1つを含んで形成すれば、樹脂板を含む第一透明板13から接着層26の劣化を招きやすい紫外線の入射を防止できる。また、第一透明板13が樹脂板を含んでいれば、屋外広告板1の軽量化を図ることができる。
【0068】
このように、第一透明ユニット10の第一透明板13が接着層26の劣化を抑制する劣化抑制機能を有することで、接着層26の劣化に起因したデジタルサイネージの視認性の低下、及び屋外広告板1の耐久性の低下を第一透明ユニット10により抑制することが可能となる。また、発光フィルム20による広告が第一透明ユニット10の第一透明板13を通して表示されるので、第一透明板13における発光フィルム20の配置領域を調整することで外観や意匠性の良好な屋外広告板1にすることもできる。このように、本実施形態は、視認性、耐久性及び意匠性を兼ね備えた屋外広告板1となっている。
【0069】
図1に示されるように、第一透明ユニット10は、第一透明板13の端面13a,13b(端部の一例、
図4も参照)を覆う保護カバー14,2を更に含んでいる。
図1では、保護カバー14が第一透明板13の上端面13aに取付けられており、支持部材2が第一透明板13の下端面13bに取付けられている。支持部材2は、第一透明板13の下端面13bを覆う保護カバーにも相当する。
図4に示される屋外広告板1では、保護カバー14が省略されている。図示しないが、保護カバー14は、第一透明板13の左右方向の側端面13c(
図4参照)に取り付けてもよい。保護カバー14は、樹脂、ゴム等の各種材料によって構成できる。本実施形態のように第一透明板13の端面13a,13bを覆う保護カバー14等を設ければ、発光フィルム20の接着層26が雨、埃の影響を受けて劣化することを確実に防止できる。また、この保護カバー14により第一透明板13の破損も防止できる。
【0070】
第一透明ユニット10の第一透明板13は端部が面取りされている。具体的には、
図4に示されるように、例えば、上端面13aと側端面13cとの間の角部13ac(端部の一例)が面取りされている。図示しないが、下端面13bと側端面13cとの間の角部が面取りされていてもよいし、上端面13a、下端面13b、及び側端面13cが全て面取りされていてもよい。本実施形態のように第一透明板13の角部13ac等に面取りがあれば、第一透明板13の端面13a等からクラックが入って第一透明板13が破損することを防止できる。なお、
図1に示す第一透明板13の板厚方向の両端部が面取りされていてもよい。
【0071】
屋外広告板1は、屋外に設置されているため、第一透明板13と発光フィルム20との境界は外部に露出されて、風雨等の影響を受け易い。そこで、本実施形態では、
図1に示されるように、発光フィルム20と第一透明板13の第2面12との境界Bは、防水材15で覆われている。具体的には、防水材15は、発光フィルム20の上端面20a及び下端面20bが防水材15によって覆われている。また、発光フィルム20の側端部(不図示)も防水材15によって覆われていることが好ましく、換言すると発光フィルム20の端部全域が防水材15によって覆われていることが好ましい。このように発光フィルム20と第一透明板13の第2面12との境界Bを防水材15で覆えば、発光フィルム20の接着層26が風雨や埃の影響を受けて劣化することを確実に防止できる。
【0072】
本実施形態では、発光フィルム20の外形が第一透明板13の外形よりも小さく、少なくとも発光フィルム20の上端面20aが第一透明板13の上端面13aよりも下方に配置されている。このようにすれば、防水材15を第一透明板13の板面(第2面12)に支持させつつ配置できる。これにより、発光フィルム20の上端面13aに防水材15を多く配置できるので、防水材15による接着層26の劣化抑制効果を高めることができる。
図1に示す例では、さらに、発光フィルム20の下端面20bが第一透明板13の下端面13bよりも上方に配置されているので、発光フィルム20の下端面13bにも防水材15を多く配置できる。また、
図3に示されるように、発光フィルム20の側端面20cについても、第一透明板13の側端面13cよりも第一透明板13の中心寄りに配置されているので、発光フィルム20の側端面20cにも防水材15を多く配置できる。
【0073】
防水材15は、各種樹脂材によって構成可能ではあるが、例えば、透明なオキシム型樹脂またはアルコール型樹脂であると好ましい。例えば、ダウ・東レ製シリコーンシーリング材(品名:DOWSIL(登録商標) SH 780 Sealant)等のオキシム型樹脂及び東レ・ダウコーニング製シリコーンシーリング材(品名:SE960シーラント)等のアルコール型樹脂は物理的強度に優れるので、防水材15をオキシム型樹脂またはアルコール型樹脂で構成すれば、JIS C 0920に定められた粉塵の浸入に対する保護等級のIPX4、かつ、水の浸入に対する保護等級のIPX5を満たすことができる。図示しないが、発光フィルム20は左右の側端面20c(
図4)についても防水材15によって覆われるように構成してもよい。なお、
図4に示される屋外広告板1では、防水材15が省略されている。
【0074】
〔第一実施形態の変形例〕
図5に示されるように、屋外広告板1は、第一透明板13の第2面12に対して、発光フィルム20が、接着層26、透明樹脂材23、電気回路24,発光体25、で配置されていてもよい。本変形例の発光フィルム20は、ゲル状樹脂27に覆われた発光体25の外面側に保護層28が設けられている。こうして、本変形例の発光フィルム20は、接着層26及び透明樹脂材23が第一透明板13の側(第1面21の側)に配置され、発光体25及び保護層28が第一透明板13とは反対の側(第2面22の側)に配置されている。
【0075】
〔第二実施形態〕
第二実施形態の屋外広告板1について、
図6を参照して説明する。
図6に示されるように、第二実施形態の屋外広告板1では、第一透明ユニット10において、紫外線防止効果をさらに高めるべく、第一透明板13の第2面12の少なくとも発光フィルム20が対向する領域に、UVカット層31が被覆されている。他の構成は第1実施形態と同じである。
【0076】
UVカット層31は、380nmの波長を有する光透過率が5%以下になるように構成されている。UVカット層31に被覆された第一透明板13は、例えば透明な熱線反射ガラスによって構成できる。熱線反射ガラスとは、板ガラスの表面に薄い金属膜をコーティングしたものである。この場合、UVカット層31は金属膜によって構成される。熱線反射ガラスは、例えばスパッタリング法等により板ガラスの表面に耐久性の優れた金属膜をコーティングすることで、遮蔽性能を向上させることができる。第一透明板13は、遮蔽性能の高い熱線反射ガラスによって構成し、板厚を5mm以上にすることで、380nmの波長を有する光透過率を5%以下にできる。すなわち、第一透明ユニット10は、UVカット層31によって紫外線量を5%以下にまで減少できる。
【0077】
本実施形態のように、第一透明板13の第2面12の少なくとも発光フィルム20が対向する領域にUVカット層31を被覆すれば、第一透明板13から接着層26の劣化を招きやすい紫外線の入射を確実に防止できる。UVカット層31は、金属膜以外の樹脂層で構成してもよい。
【0078】
〔第三実施形態〕
第三実施形態の屋外広告板1についても、
図6を参照して説明する。発光フィルム20の接着層26は、赤外線を受けた場合にも劣化するおそれがある。そこで、第三実施形態では、
図6に示されるように、第一透明板13の第2面12の少なくとも発光フィルム20が対向する領域には、発光フィルム20への赤外線の進入を抑制するIRカット層32が被覆されている。他の構成は第1実施形態と同じである。
【0079】
IRカット層32は、例えば透明なIRカットフィルム等によって構成されて第一透明板13の第2面12に配置される。本実施形態のように、第一透明板13の第2面12の少なくとも発光フィルム20が対向する領域にIRカット層32を被覆すれば、第一透明板13から赤外線の入射を防止して、熱に弱い発光体25の耐久性を高めることが可能となる。
【0080】
〔第四実施形態〕
第四実施形態では、
図7に示されるように、発光フィルム20の第一透明板13とは反対の側の領域(第2面22)の全域に、反射防止膜33が被覆されている。他の構成は第1実施形態と同じである。
【0081】
反射防止膜33は、発光フィルム20に応じて既存の各種コーティング材料によって構成される。本実施形態では、発光フィルム20の第2面22の全域に反射防止膜33が設けられているため、屋外広告板1は、屋外反射光の広告への映り込みを防ぎ、デジタルサイネージを鮮明に視認することができる。
【0082】
〔第五実施形態〕
図8に示されるように、第五実施形態の屋外広告板1は、発光フィルム20を介して第一透明板13の第2面12と対向する第3面43と、第3面43とは反対側の第4面44を有する第二透明板45を含む第二透明ユニット40を更に備えている。第二透明板45は、少なくとも発光フィルム20よりも大きい面部を有して構成される。このように第二透明板45を設ければ、発光フィルム20が両面から保護されるため、発光フィルム20の耐久性を高めることができる。第二透明板45は、第一実施形態に記載の第一透明板13と同じくガラス板及び樹脂板の一方または両方を含んで構成されている。第二透明板45がガラス板であれば、屋外広告板1の透明度が高まるので、屋外広告板1を建物の窓等にも使用することが可能となる。また、第二透明板45がガラス板を含んでいれば、第二透明板45の剛性を高めることができる。
【0083】
第二透明板45は、第一透明板13の第2面12に対して接続部材46を介して接続されている。第二透明板45の板厚は、1mm以上8mm以下が好ましく、2mm以上6mm以下であるとさらに好ましい。第二透明板45を構成する第二透明板45の板厚が2mm以上6mm以下であれば、第二透明板45に障害物がぶつかった場合でも、屋外広告板1の破損や第二透明板45に傷が付くこと等を防止できる。また、第二透明板45の厚みを抑えることで、フロート板ガラス特有の青色を弱めて発光フィルム20の色合いを変えることなく発光フィルム20の破損を防止できる。
【0084】
第一透明板13と第二透明板45との間に配置された発光フィルム20は、屋外環境や発光体25の発熱等により過熱状態が継続されると寿命低下を招くおそれがある。本実施形態では、発光フィルム20の第2面22から第二透明板45が離間して配置されており、第一透明板13と第二透明板45との間に放熱空間Vが形成されている。このように、第一透明板13と第二透明板45との間に放熱空間Vを形成すれば、発光フィルム20の熱を放熱させることが可能となり、発光フィルム20の耐久性を高めることができる。
【0085】
第二透明板45は、アイゾット衝撃値が15以上であると好ましい。ここで、アイゾット衝撃値とは、プラスチックの機械的性質として重要視されている靭性(衝撃強度)です。アイゾット衝撃値は、衝撃試験を行うことで算出ことができ、数値が大きいほど耐衝撃性があります。アイゾット衝撃値は、例えば、ASTM Type 1ダンベル試験片の平行部を60×13×3.2mmに切断し、ノッチを機械加工により導入し、衝撃試験機(東洋精機製作所製,DG-UB型)を用い、ASTM D256に準拠したノッチ付アイゾット衝撃試験を行うことで算出できる。プラスチックの靭性(衝撃強度)はアイゾット衝撃値が15以上であれば優れ、アイゾット衝撃値が30以上であればさらに優れる。第二透明板45のアイゾット衝撃値が15以上であれば、第二透明板45に障害物(例えば、通行人、通行人の所有物,傘等の突起物,鳥等)がぶつかった場合でも、屋外広告板1の破損を防止できる。第二透明板45が樹脂板を含む場合には、樹脂板は例えばポリカーボネート系樹脂やポリエチレンテレフタレート系樹脂等を樹脂材として構成されている。第二透明板45がこれらの樹脂板を含んでいれば、屋外広告板1の軽量化を図ることができる。第二透明板45は、平坦な板状に限定されず曲面を有する形状であってもよい。屋外広告板1の破損を防止するうえでは、第一透明板13についても、アイゾット衝撃値が15以上であると好ましい。
【0086】
〔第五実施形態の変形例〕
図9に示されるように、屋外広告板1は、発光フィルム20と第二透明板45とは接触していてもよい。本実施形態のように発光フィルム20と第二透明板45とが接触していれば、屋外広告板1の厚みを薄くすることが可能となり、利便性が高まる。
【0087】
〔第六実施形態〕
第六実施形態の屋外広告板1について、
図10を参照して説明する。
図10に示されるように、第六実施形態の屋外広告板1は、第一透明板13の第2面12と発光フィルム20の第一透明板13の側の第1面21との間に、UVカット層31が配置されている。他の構成は、第五実施形態と同じである。
【0088】
UVカット層31の構成については、第二実施形態と同じである。本実施形態のように、第一透明板13の第2面12と発光フィルム20の第1面21との間にUVカット層31を配置して第一透明板13を被覆すれば、第一透明板13から接着層26の劣化を招きやすい紫外線の入射を確実に防止できる。
【0089】
〔第七実施形態〕
第七実施形態の屋外広告板1についても、
図10を参照して説明する。
図10に示されるように、第七実施形態の屋外広告板1は、第一透明板13の第2面12と発光フィルム20の第一透明板13の側の第1面21との間に、IRカット層32が配置されている。他の構成は、第五実施形態と同じである。
【0090】
IRカット層32の構成については、第三実施形態と同じである。本実施形態のように、第一透明板13の第2面12と発光フィルム20の第1面21との間にIRカット層32を配置して第一透明板13を被覆すれば、第一透明板13から赤外線の入射を防止して、熱に弱い発光体25の耐久性を高めることが可能となる。
【0091】
〔第八実施形態〕
図11に示されるように、第八実施形態の屋外広告板1は、第二透明板45の第3面43の全域に反射防止膜33が被覆されていてもよい。他の構成は、第五実施形態と同じである。
【0092】
反射防止膜33の構成については、第四実施形態と同じである。本実施形態では、発光フィルム20の第2面22の全域に反射防止膜33が設けられているため、屋外広告板1は、屋外反射光の広告への映り込みを防ぎ、デジタルサイネージを鮮明に視認することができる。また、本実施形態では、反射防止膜33が第二透明板45の第3面43に被覆されており、第二透明板45は形状が安定しているため、屋外広告板1は反射防止膜33を容易に配置できる。
【0093】
〔第八実施形態の変形例〕
図12に示されるように、屋外広告板1は、発光フィルム20の第一透明板13とは反対側の第2面22の全域に反射防止膜33が被覆されていてもよい。
【0094】
〔第九実施形態〕
図13に示されるように、第九実施形態の屋外広告板1は、発光フィルム20が第二透明板45に接触する接着層26を有し、第一透明板13の第2面12から発光フィルム20が離間して配置される構成でもよい。他の構成は、第五実施形態と同じである。
【0095】
具体的には、
図13に示されるように、屋外広告板1は、第二透明板45の第3面43に対して、発光フィルム20が、接着層26、透明樹脂材23、電気回路24、発光体25の順で配置されている。本実施形態の発光フィルム20では、ゲル状樹脂27に覆われた発光体25の外面側に保護層28が設けられている。こうして、発光フィルム20は、発光体25及び保護層28が第一透明板13の側(第1面21の側)に配置され、接着層26及び透明樹脂材23が第二透明板45の側(第2面22の側)に配置されている。
【0096】
〔第九実施形態の変形例1〕
図14に示されるように、屋外広告板1は、第二透明板45の第3面43に対して、発光フィルム20が、接着層26、発光体25、電気回路24、透明樹脂材23の順で配置されていてもよい。こうして、発光フィルム20は、透明樹脂材23が第一透明板13の側(第1面21の側)に配置され、接着層26及び発光体25が第二透明板45の側(第2面22の側)に配置されている。
【0097】
〔第九実施形態の変形例2〕
図15に示されるように、発光フィルム20の上端面20aと第二透明板45の上端面45aが面一である。変形例2では、防水材15が第一透明板13の第2面12から発光フィルム20の上端面20a及び第二透明板45の上端面45aに亘って配置されている。本変形例2では、発光フィルム20の上端面20aが防水材15で覆われているので、防水材15によって接着層26が風雨や埃の影響を受けて劣化することを防止できる。
【0098】
〔第九実施形態の変形例3〕
図16に示されるように、発光フィルム20の上端面20aよりも第二透明板45の上端面45aが下方に配置されている。変形例3においても、防水材15が第一透明板13の第2面12から発光フィルム20の上端面20a及び第二透明板45の上端面45aに亘って配置されている。本変形例3においても、発光フィルム20の上端面20aが防水材15で覆われているので、防水材15によって接着層26が風雨や埃の影響を受けて劣化することを防止できる。
【0099】
〔第九実施形態の変形例4〕
図17に示されるように、発光フィルム20の上端面20aよりも第二透明板45の上端面45aが上方に配置されている。変形例4では、防水材15が第一透明板13の第2面12から第二透明板45の第3面43に亘って配置されている。すなわち、防水材15は、第一透明板13の第2面12と第二透明板45の第3面43とに接している。本変形例によれば、発光フィルム20の上端面20aを防水材15によってより確実に覆うことができ、さらに、発光フィルム20の上端面20aに対して多量の防水材15を配置できる。これにより、防水材15によって発光フィルム20の接着層26が風雨や埃の影響を受けて劣化することを効果的に防止できる。
【0100】
[その他の実施形態]
(1)第二~第四実施形態及び第六~第八実施形態では、屋外広告板1が、UVカット層31、IRカット層32、及び反射防止膜33を個別に備える例を示した。図示しないが、第九実施形態においても、第一透明板13又は第二透明板45は、UVカット層31、IRカット層32、及び反射防止膜33を個別に備えてもよい。また、屋外広告板1は、UVカット層31、IRカット層32、及び反射防止膜33のうち複数を組み合わせて備える構成でもよい。また、発光フィルム20がUVカット層31及びIRカット層32の一方又は両方を有して構成されていてもよい。
(2)第六~第八実施形態の屋外広告板1は、放熱空間Vを有さずに構成してもよい。
(3)上記実施形態では、第一透明板13の第2面12又は第二透明板45の第3面43に対して複数の発光フィルム20を配置する例を示したが、第一透明板13の第2面12又は第二透明板45の第3面43に対して単一の発光フィルム20が配置される構成でもよい。
(4)第五~第九実施形態の屋外広告板1において、第一透明板13と第二透明板45とを接続する接続部材46が、第二透明板45の上部、下部、及び側部の全域に設けられていてもよい。その場合は、発光フィルム20の端面(上端面20a等)に防水材15を配置しなくてもよい。
(5)上述した実施形態における複数の屋外広告板1を隣接配置して統一感のあるデジタルサイネージとしてもよいし、複数の屋外広告板1の一方の群と他方の群とが個別のデジタルサイネージとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、屋外広告板に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 :屋外広告板
2 :支持部材(保護カバー)
10 :第一透明ユニット
11 :第1面
12 :第2面
13 :第一透明板
13a :上端面(端部)
13b :下端面(端部)
13c :側端面(端部)
14 :保護カバー
15 :防水材
20 :発光フィルム
23 :透明樹脂材
25 :発光体
26 :接着層
31 :UVカット層
32 :IRカット層
33 :反射防止膜
40 :第二透明ユニット
43 :第3面
44 :第4面
45 :第二透明板
B :境界
V :放熱空間