(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153489
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】異種液体の収容袋及び異種液体の混合方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/32 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B65D81/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067418
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】501286152
【氏名又は名称】株式会社フジ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 栄介
(72)【発明者】
【氏名】牧原 宏
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013AA06
3E013AB01
3E013AB03
3E013AC01
3E013AD33
3E013AE12
3E013AF02
3E013AF16
3E013AF21
(57)【要約】
【課題】異種液体の保管時には異種液体の混合を未然に防止しながら、使用時には異種液体の粘性が高くても短時間で均一に混合可能にする。
【解決手段】第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とが平面視において第1の方向に並んで設けられるように第1の仕切り部11が形成されている。混合用空間R3と第1の収容空間R1とが平面視において第2の方向に並んで設けられるように第2の仕切り部12が形成されている。混合用空間R3と第2の収容空間R2とが平面視において第2の方向に並んで設けられるように第3の仕切り部13が形成されている。第1の収容空間R1と混合用空間R3とを連通させる第1の開口部21と、第2の収容空間R2と混合用空間R3とを連通させる第2の開口部22とが第1の仕切り部11を挟んで隣合うように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体が収容される第1の収容空間と、第2の液体が収容される第2の収容空間と、前記第1の液体と前記第2の液体とを混合させるための混合用空間とを備えた異種液体の収容袋であって、
前記混合用空間は、前記第1の液体の容積と前記第2の液体の容積とを合計した容積以上の容積を有しており、
前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とが平面視において第1の方向に並んで設けられるように、前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とを仕切る第1の仕切り部と、
前記混合用空間と前記第1の収容空間とが平面視において前記第1の方向と交差する第2の方向に並んで設けられるように、前記第1の収容空間と前記混合用空間とを仕切る第2の仕切り部と、
前記混合用空間と前記第2の収容空間とが平面視において前記第2の方向に並んで設けられるように、前記第2の収容空間と前記混合用空間とを仕切る第3の仕切り部と、
前記第1の収容空間と前記混合用空間とを連通させる第1の開口部と、
前記第2の収容空間と前記混合用空間とを連通させる第2の開口部と、を備え、
前記第1の開口部と前記第2の開口部とは、前記第1の仕切り部を挟んで隣合うように配置されていることを特徴とする異種液体の収容袋。
【請求項2】
請求項1に記載の異種液体の収容袋において、
前記第2の仕切り部と前記第3の仕切り部とは、前記第1の方向に延びる同一直線上に位置するように設けられ、
前記第1の仕切り部は、前記第2の方向に延びるように設けられ、
前記第2の仕切り部と前記第1の仕切り部との間に前記第1の開口部が開口し、
前記第3の仕切り部と前記第1の仕切り部との間に前記第2の開口部が開口していることを特徴とする異種液体の収容袋。
【請求項3】
請求項1に記載の異種液体の収容袋において、
前記収容袋の前記第1の方向の寸法は、前記収容袋の前記第2の方向の寸法よりも長く設定され、
前記混合用空間は、前記収容袋の前記第1の方向の一端部から他端部まで連続して設けられていることを特徴とする異種液体の収容袋。
【請求項4】
第1の液体が収容される第1の収容空間と、第2の液体が収容される第2の収容空間と、前記第1の液体と前記第2の液体とを混合させるための混合用空間とを備えた収容袋を用いた異種液体の混合方法であって、
前記混合用空間は、前記第1の液体の容積と前記第2の液体の容積とを合計した容積以上の容積を有しており、
前記収容袋は、
前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とが平面視において第1の方向に並んで設けられるように、前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とを仕切る第1の仕切り部と、
前記混合用空間と前記第1の収容空間とが平面視において前記第1の方向と交差する第2の方向に並んで設けられるように、前記第1の収容空間と前記混合用空間とを仕切る第2の仕切り部と、
前記混合用空間と前記第2の収容空間とが平面視において前記第2の方向に並んで設けられるように、前記第2の収容空間と前記混合用空間とを仕切る第3の仕切り部と、
前記第1の収容空間と前記混合用空間とを連通させる第1の開口部と、
前記第2の収容空間と前記混合用空間とを連通させる第2の開口部と、を備え、
前記第1の開口部と前記第2の開口部とは、前記第1の仕切り部を挟んで隣合うように配置され、
前記第1の収容空間に収容された前記第1の液体を前記第1の開口部から前記混合用空間へ流入させるのと同時に、前記第2の収容空間に収容された前記第2の液体を前記第2の開口部から前記混合用空間へ流入させる流入工程の後、
前記収容袋を曲げて前記第1の開口部及び前記第2の開口部を閉じる閉塞工程を行い、
前記閉塞工程の後、前記収容袋における前記第1の方向の一方側を握って前記混合用空間に収容されている前記第1の液体及び前記第2の液体を前記第1の方向の他方側へ移動させる第1混合工程と、前記収容袋における前記第1の方向の他方側を握って前記混合用空間に収容されている前記第1の液体及び前記第2の液体を前記第1の方向の一方側へ移動させる第2混合工程とを繰り返し行うことを特徴とする異種液体の混合方法。
【請求項5】
請求項4に記載の異種液体の混合方法において、
前記収容袋の前記第1の方向の寸法を前記収容袋の前記第2の方向の寸法よりも長くし、
前記混合用空間を前記収容袋の前記第1の方向の一端部から他端部まで連続して設けておき、
その後、前記流入工程、前記閉塞工程、前記第1混合工程及び前記第2混合工程を行うことを特徴とする異種液体の混合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異なる種類の複数の液体を収容可能な収容袋及び当該収容袋に収容されている異なる種類の液体を混合する混合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、剛性のある基板に窪み部からなる2つの収容部を形成しておき、各収容部に主剤と硬化剤を収容した後、基板の上から薄いシートを貼り合わせて周縁部を密閉するパッケージ体が開示されている。2つの収容部の間に位置する仕切り部のみ軟接着されており、この軟接着部分を外部からの圧迫力によって剥離させた後、パッケージ体を適当な時間、揉むことで主剤と硬化剤とを混合させ、混合後、パッケージを引き裂き、内容物を押し出して使用することができるようになっている。
【0003】
また、特許文献2には、外周部のヒートシール部により袋状に形成された容器が開示されている。この袋状内が仕切り部により2つの収容部に仕切られ、一方の収容部に2液混合型ウレタン系発泡薬液の一方が収容され、他方の収容部に2液混合型ウレタン系発泡薬液の他方が収容されている。仕切り部を剥離させることにより、容器内で2液を混合させることが可能になっている。
【0004】
また、特許文献3には、第1の収容部と第2の収容部とが隔離された状態で形成されるとともに、第1の収容部に収容されている液体及び第2の収容部に収容されている液体が流入する混合用の収容部とを備えた容器が開示されている。この容器では、第1の収容部と混合用の収容部とを連通させる第1の開口部と、第2の収容部と混合用の収容部とを連通させる第2の開口部とが、互いに間隔をあけて設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-120040号公報
【特許文献2】特開2001-107049号公報
【特許文献3】登録実用新案第3177471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2では、2液を別々の収容部に収容した状態で保管しておき、使用する際には、外部からの圧迫力によって仕切り部のみ剥離させ、2液を混合することが可能になっている。しかしながら、特許文献1では、容器の部材として剛性のある基板を用いているので、容器を自由に変形させることは難しい。そのため、2液を混合する時、液体を一方の窪み部から他方の窪み部へ移動させ、その後、他方の窪み部から一方の窪み部に移動させる操作を繰り返し行うのが難しく、ひいては2液が均一に混合できなくなる、あるいは均一に混合しようとすると長時間要することになる。
【0007】
この点、特許文献2では、袋状の容器なので、容器を自由に変形させることが可能であり、特許文献1の容器に比べて2液を混合し易いと考えられる。しかしながら、特許文献2の容器は、一方の収容部の容積が一方の液体の体積と等しく、他方の収容部の容積が他方の液体の体積と等しいことから、一方の液体を他方の収容部に移動させようとしても、他方の収容部には入りきらず、2液を完全に混ぜ合わせるのが難しい。特に、2液の粘性が高い場合には、不均一な混合状態のままになってしまうおそれがある。この問題は、特許文献1でも生じ得る問題である。
【0008】
一方、特許文献3では、袋状の容器を前提として混合用の収容部を設け、第1の収容部に収容されている液体及び第2の収容部に収容されている液体を混合用の収容部に流入させてから混合可能にしているので、特許文献1、2に比べて2液が混ざりやすいと考えられる。
【0009】
ところが、特許文献3のように、第1の収容部と混合用の収容部とを連通させる第1の開口部と、第2の収容部と混合用の収容部とを連通させる第2の開口部とが、離れて設けられていると、混合用の収容部には、第1の液体と第2の液体とが互いに離れた箇所から流入することになり、第1の液体と第2の液体とが混合用の収容部に流入した後に、互いに混ざり合うことになる。この特許文献3のように、混合用の収容部の互いに離れた箇所に流入した液体同士を当該混合用の収容部で混ぜる作業を本願発明者が行ったところ、特に粘性が高い液体の場合には、均一になり難く、均一に混合しようとすると長時間要することがわかった。
【0010】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、異種液体の保管時には異種液体の混合を未然に防止しながら、使用時には異種液体の粘性が高くても短時間で均一に混合可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、第1の液体が収容される第1の収容空間と、第2の液体が収容される第2の収容空間と、前記第1の液体と前記第2の液体とを混合させるための混合用空間とを備えた異種液体の収容袋を前提とすることができる。前記収容袋の前記混合用空間は、前記第1の液体の体積と前記第2の液体の体積とを合計した体積以上の容積を有している。前記収容袋は、前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とが平面視において第1の方向に並んで設けられるように、前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とを仕切る第1の仕切り部と、前記混合用空間と前記第1の収容空間とが平面視において前記第1の方向と交差する第2の方向に並んで設けられるように、前記第1の収容空間と前記混合用空間とを仕切る第2の仕切り部と、前記混合用空間と前記第2の収容空間とが平面視において前記第2の方向に並んで設けられるように、前記第2の収容空間と前記混合用空間とを仕切る第3の仕切り部と、前記第1の収容空間と前記混合用空間とを連通させる第1の開口部と、前記第2の収容空間と前記混合用空間とを連通させる第2の開口部と、を備えている。前記第1の開口部と前記第2の開口部とは、前記第1の仕切り部を挟んで隣合うように配置されている。
【0012】
この構成によれば、第1の収容空間に第1の液体を収容し、第2の収容空間に第2の液体を収容すると、第1の収容空間と第2の収容空間とが第1の仕切り部によって仕切られているので、第1の液体と第2の液体とを混合することなく、保管可能になる。この保管時には、第1の開口部及び第2の開口部が閉じられるように、収容袋を曲げておくことで、第1の収容空間に収容されている第1の液体が混合用空間に流入するのが防止されるとともに、第2の収容空間に収容されている第2の液体が混合用空間に流入するのも防止される。
【0013】
一方、第1の液体及び第2の液体を混合させる際には、曲げられていた収容袋を展開することで、第1の開口部及び第2の開口部が開き、第1の収容空間に収容されている第1の液体が第1の開口部から混合用空間に流入し、第2の収容空間に収容されている第2の液体が第2の開口部から混合用空間に流入する。このとき、第1の開口部と第2の開口部とが第1の仕切り部を挟んで隣合っているので、混合用空間に流入し始めた段階(初期段階)で第1の液体と第2の液体とが接触してすぐに混合が開始される。よって、第1の液体及び第2の液体の粘性が高くても短時間で均一に混合可能になる。
【0014】
前記第2の仕切り部と前記第3の仕切り部とは、前記第1の方向に延びる同一直線上に位置するように設けられていてもよい。また、前記第1の仕切り部は、前記第2の方向に延びるように設けられていてもよい。この場合、前記第2の仕切り部と前記第1の仕切り部との間に前記第1の開口部が開口し、前記第3の仕切り部と前記第1の仕切り部との間に前記第2の開口部が開口する構成とすることができる。
【0015】
この構成によれば、第1の方向に延びる直線に沿って収容袋を曲げることで、第1の開口部と第2の開口部とを閉じることが可能になる。また、第1の開口部と第2の開口部とを接近させることができるので、第1の液体と第2の液体とをさらに均一に混合させることができる。
【0016】
前記収容袋の前記第1の方向の寸法は、前記収容袋の前記第2の方向の寸法よりも長く設定されていてもよい。この場合、前記混合用空間は、前記収容袋の前記第1の方向の一端部から他端部まで連続して設けることができる。この構成によれば、混合用空間が第1の方向に長い形状になるので、第1の液体と第2の液体とを混合させる際に、混合用空間の長手方向一方側を握って内部の第1の液体及び第2の液体を他方側へ移動させた後、混合用空間の長手方向他方側を握って内部の第1の液体及び第2の液体を一方側へ移動させることを繰り返し行うことができる。これにより、第1の液体と第2の液体とをより一層均一に混合させることができる。
【0017】
また、本開示の他の態様として、第1の液体が収容される第1の収容空間と、第2の液体が収容される第2の収容空間と、前記第1の液体と前記第2の液体とを混合させるための混合用空間とを備えた収容袋を用いた異種液体の混合方法を前提とすることもできる。前記収容袋の前記混合用空間は、前記第1の液体の体積と前記第2の液体の体積とを合計した体積以上の容積を有している。前記収容袋は、前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とが平面視において第1の方向に並んで設けられるように、前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とを仕切る第1の仕切り部と、前記混合用空間と前記第1の収容空間とが平面視において前記第1の方向と交差する第2の方向に並んで設けられるように、前記第1の収容空間と前記混合用空間とを仕切る第2の仕切り部と、前記混合用空間と前記第2の収容空間とが平面視において前記第2の方向に並んで設けられるように、前記第2の収容空間と前記混合用空間とを仕切る第3の仕切り部と、前記第1の収容空間と前記混合用空間とを連通させる第1の開口部と、前記第2の収容空間と前記混合用空間とを連通させる第2の開口部と、を備えている。前記第1の開口部と前記第2の開口部とは、前記第1の仕切り部を挟んで隣合うように配置されている。
【0018】
そして、前記第1の収容空間に収容された前記第1の液体を前記第1の開口部から前記混合用空間へ流入させるのと同時に、前記第2の収容空間に収容された前記第2の液体を前記第2の開口部から前記混合用空間へ流入させる流入工程の後、前記収容袋を曲げて前記第1の開口部及び前記第2の開口部を閉じる閉塞工程を行い、前記閉塞工程の後、前記収容袋における前記第1の方向の一方側を握って前記混合用空間に収容されている前記第1の液体及び前記第2の液体を前記第1の方向の他方側へ移動させる第1混合工程と、前記収容袋における前記第1の方向の他方側を握って前記混合用空間に収容されている前記第1の液体及び前記第2の液体を前記第1の方向の一方側へ移動させる第2混合工程とを繰り返し行うことができる。
【0019】
この構成によれば、保管時には、第1の液体と第2の液体とを混合させることなく、保管できる。また、第1の液体及び第2の液体を混合させる際には、第1の開口部と第2の開口部とが第1の仕切り部を挟んで隣合っているので、混合用空間に流入し始めた段階で第1の液体と第2の液体とが接触してすぐに混合が開始され、更に、第1混合工程及び第2混合工程を繰り返し行うことで、第1の液体及び第2の液体の粘性が高くても短時間で均一に混合可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、保管時には収容袋を曲げておくことで第1の液体と第2の液体との混合を未然に防止することができ、混合時には第1の液体と第2の液体とを混合用空間に流入させた初期段階で接触させてすぐに混合を開始することができ、第1の液体及び第2の液体の粘性が高くても短時間で均一に混合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る異種液体の収容袋の平面図である。
【
図2】
図2は、2液が収容された状態の収容袋の斜視図である。
【
図5】
図5は、保管時の一態様を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、折り畳んだ収容袋をカップに入れた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の液体及び第2の液体を混合用空間に流入させた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、収容袋の収容空間側を巻いて開口部を閉塞した状態を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、容積占有率と回収率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る異種液体の収容袋1の平面図であり、
図2は、収容袋の斜視図である。
図1及び
図2に示すように、収容袋1の幅方向、高さ方向(上下方向)及び厚み方向を定義するが、これは説明の便宜を図るためだけであり、実際の製造時の方向や、保管時、混合時、排出時の方向を限定するものではない。例えば幅方向と高さ方向を反対にしてもよいし、幅方向を長手方向とし、高さ方向を短手方向としてもよい。
【0024】
収容袋1は、シート状またはフィルム状の柔軟性を有する部材1A、1B(
図3及び
図4に示す)が厚み方向に2枚積層されることによって構成されている。収容袋1を構成する部材1A、1Bの種類は特に限定されるものではないが、例えば収容袋1の内側に位置する部分がヒートシール可能な部材を挙げることができる。ヒートシールが可能な層としては、例えば塩化ビニル、無延伸ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン(LLPE)等で形成された層を挙げることができる。
【0025】
収容袋1を構成する部材1A、1Bは、1層構造であってもよいし、複層構造、多層構造であってもよい。収容袋1を構成する部材1A、1Bが複層構造又は多層構造である場合、収容袋1の内側に位置する層(内層)が、ヒートシール可能な材料からなる層である。これにより、内層にヒートシール性を持たせることができるので、熱を利用して2枚の部材1A、1Bを液密かつ気密に接合できる。また、1枚の部材を折り返して接合することによって収容袋1を構成することもできるので、収容袋1を構成する部材の数は2つに限られるものではない。
【0026】
収容袋1の形状は矩形状に限られるものではなく、例えば三角形または五角形以上の多角形であってもよいし、円形であってもよいし、楕円形であってもよく、その形状は特に限定されない。本実施形態では、収容袋1が平面視で矩形状をなしている場合について説明する。すなわち、収容袋1を構成する部材1A、1Bを重ね合わせた後、部材1A、1Bの周縁部(4辺部)をヒートシールすることによって収容袋1とされている。各図において符号2a~2dで示す部分が周縁部のヒートシール部であり、収容袋1は、当該収容袋1の上縁部のヒートシール部(上縁ヒートシール部)2a、当該収容袋1の下縁部のヒートシール部(下縁ヒートシール部)2b、当該収容袋1の左側縁部のヒートシール部(左側縁ヒートシール部)2c、当該収容袋1の右側縁部のヒートシール部(右側縁ヒートシール部)2dを有している。左側縁ヒートシール部2cは、上縁ヒートシール部2aの左端部から下縁ヒートシール部2bの左端部まで連続している。右側縁ヒートシール部2dは、上縁ヒートシール部2aの右端部から下縁ヒートシール部2bの右端部まで連続している。
【0027】
ヒートシール部2a~2dを形成する際には、従来から周知のヒートシール用機器を用いることができる。ヒートシール用機器としては、例えば、瞬間的に電流を流すことによって樹脂を溶融温度まで加熱するインパルス式、超音波式、棒状の熱体からなるシールバー式などを挙げることができるが、これらに限られるものではない。ヒートシール部2a~2dの接合強度は、後述する混合工程で剥離しないように設定されている。
【0028】
収容袋1を構成する部材1A、1Bの外層乃至中間層は、内容物の保管性(変質抑制)、後述する混合工程で破れない程度の強度を有する材料で構成されている。内容物の保管性を高めるための層としては、例えばアルミニウムのような金属コート層、気密性の高いシリカのような酸化物コート層などを挙げることができ、これらのうち、任意1つの層または任意の2つ以上の層を積層してもよい。また、収容袋1を構成する部材1A、1Bの中間層(内層)の材料としては、例えばナイロンやポリエチレンテレフタレートなどを挙げることができる。ナイロンやポリエチレンテレフタレートなどを中間層の材料として用いることで、例えばボイルによる高温環境に耐えることができるとともに、真空冷凍に耐えることができる。
【0029】
図3及び
図4にも示すように、収容袋1は、平袋であり、ガゼット袋のようなマチ(耳)がない袋で構成されている。マチ(耳)がある袋は、液体が接触する面積が大きく、収容空間から混合空間へ液体が移動するとき、また、混合空間から袋の外に混合された液体を取り出すとき、接触している面に液体が付着して取り出し難い。
【0030】
収容した液体の重量の合計に対して、混合され収容袋1の外に取り出すことのできた液体の重量の比率を回収率と表現する。収容袋1を平袋とすることで回収率が高くなる。収容袋1を構成する平袋は、三方袋であってもよいし、二方袋であってもよい。三方袋は、気密性が高く、生産性が良い点で好ましい。
【0031】
収容袋1は、第1の液体が収容される第1の収容空間R1と、第2の液体が収容される第2の収容空間R2と、第1の液体と第2の液体とを混合させるための混合用空間R3とを備えている。第1の液体及び第2の液体は、異なる種類の液体、即ち異種液体である。このような異種液体としては、例えば2液型エポキシ樹脂接着剤のエポキシ樹脂主剤(第1の液体)とポリアミン系硬化剤(第2の液体)を挙げることができる。また、第1の液体はエポキシ樹脂に限らず、ウレタン、アクリルなどの2液性樹脂であってもよい。第1の液体と第2の液体は、互いに異なっていればよく、接着剤に限定されるものではない。
【0032】
樹脂以外にも2種類の液体調味料を混合することによって1つの調味料とする場合には、第1の液体調味料が第1の液体に相当し、第2の液体調味料が第2の液体に相当する。また、2種類の塗料を混合することによって1つの塗料とする場合には、第1の塗料が第1の液体に相当し、第2の塗料が第2の液体に相当する。また、2種類の薬品(薬、医薬品)を混合することによって1つの薬品とする場合には、第1の薬品が第1の液体に相当し、第2の薬品が第2の液体に相当する。また、第1の液体と第2の液体は、流動性を有していればよく、水のような低粘度のものであってもよいし、ペースト状、グリス状のような高粘度のものであってもよい。また、第1の液体と第2の液体の粘度は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第1の液体と第2の液体はチキソトロピー性を有するものであってもよい。さらに、第1の液体と第2の液体の少なくとも一方に、液体の流動と共に移動可能な固形物などが含まれていてもよい。固形物の形状としては、例えば粒状、繊維状などを挙げることができる。
【0033】
第1の収容空間R1の容積と第2の収容空間R2の容積とは同じであってもよいし、一方が他方より大きくてもよい。混合用空間R3は、第1の液体の体積と第2の液体の体積とを合計した体積以上の容積を有している。これにより、第1の収容空間R1に収容されている第1の液体の全量と、第2の収容空間R2に収容されている第2の液体の全量とを混合用空間R3に流入させることが可能になる。第1の収容空間R1が一杯になるまで第1の液体が収容され、また第2の収容空間R2が一杯になるまで第2の液体が収容されている場合には、混合用空間R3の容積は、第1の収容空間R1の容積と第2の収容空間R2の容積とを合計した容積以上とする。尚、第1の収容空間R1の一部にのみ第1の液体が収容されていてもよいし、第2の収容空間R2の一部にのみ第2の液体が収容されていてもよい。
【0034】
混合用空間R3に占める2液の合計体積(第1の液体の体積と第2の液体の体積とを合計した体積)を容積占有率と呼ぶ。容積占有率は、30%以上90%以下が好ましい。これにより、第1の液体及び第2の液体の全量を混合用空間R3に流入させて液体の無駄を無くしながら、後述する混合工程が行い易くなり、均一な混合を短時間で行うことができる。
【0035】
収容袋1における右側縁ヒートシール部2dには、右に向かって開放するように切欠部4が形成されている。切欠部4は、収容袋1を開封する際のきっかけとなる部分である。収容袋1の一部を切欠部4が形成された箇所から破断させる(割く)ことで混合用空間R3を外部に開放することができる。切欠部4は、左側縁ヒートシール部2cに形成されていてもよいし、上縁ヒートシール部2aに形成されていてもよい。また、切欠部4の代わりにミシン目のような脆弱部ないし破断誘起部を設けてもよい。
【0036】
図1に示すように、収容袋1の幅方向の寸法Wは、収容袋1の高さ方向の寸法Hよりも長く設定されており、従って、収容袋1は横長の袋となっている。収容袋1の幅方向は、本発明の第1の方向であり、収容袋1の高さ方向は平面視で幅方向と交差(直交)する方向であり、本発明の第2の方向である。寸法W及び寸法Hは、収容する液体の体積によって任意に設定することができる。一例を挙げると、寸法Wは例えば5cm以上30cm以下の範囲で設定することができ、寸法Hは例えば3cm以上20cm以下の範囲で設定することができる。
【0037】
上述したような容積を有する第1の収容空間R1、第2の収容空間R2及び混合用空間R3は、収容袋1に3つの仕切り部、即ち第1の仕切り部11、第2の仕切り部12及び第3の仕切り部13を設けることで収容袋1内に形成できる。第1の仕切り部11、第2の仕切り部12及び第3の仕切り部13は、周縁部のヒートシール部2a~2cと同様に、収容袋1を構成する部材1A、1Bをヒートシールすることによって形成されている。
【0038】
第1の仕切り部11は、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とが平面視において幅方向に並んで設けられるように、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とを仕切るための部分である。第1の仕切り部11は、収容袋1の幅方向中間部に位置しており、上下方向に延びている。第1の仕切り部11の上下方向が長手方向となる。第1の仕切り部11の下端部は、下縁ヒートシール部2bの中間部と連続している。第1の仕切り部11の上端部は、収容袋1の高さ方向中間部に位置している。第1の仕切り部11は、収容袋1の幅方向中央部に位置していてもよいし、左側に偏位していてもよいし、右側に偏位していてもよい。第1の仕切り部11の位置及び上下方向の寸法を変更することにより、第1の収容空間R1及び第2の収容空間R2の容積を任意に設定できる。
【0039】
第2の仕切り部12は、混合用空間R3と第1の収容空間R1とが平面視において高さ方向に並んで設けられるように、第1の収容空間R1と混合用空間R3とを仕切るための部分である。第2の仕切り部12は、収容袋1の高さ方向中間部に位置しており、幅方向に延びている。第2の仕切り部12の左端部は、左側縁ヒートシール部2cの中間部と連続している。第2の仕切り部12の右端部は、収容袋1の幅方向中間部に位置している。
【0040】
第3の仕切り部13は、混合用空間R3と第2の収容空間R2とが平面視において高さ方向に並んで設けられるように、第2の収容空間R2と混合用空間R3とを仕切るための部分である。第3の仕切り部13は、第2の仕切り部12と同様に、収容袋1の高さ方向中間部に位置しており、幅方向に延びている。第3の仕切り部13の右端部は、右側縁ヒートシール部2dの中間部と連続している。第3の仕切り部13の左端部は、収容袋1の幅方向中間部に位置している。第2の仕切り部12及び第3の仕切り部13の左右方向は、第2の仕切り部12及び第3の仕切り部13の長手方向となる。
【0041】
第2の仕切り部12と第3の仕切り部13とは、収容袋1の幅方向に延びる同一直線L1上に位置するように設けられている。すなわち、収容袋1の幅方向に延びる直線L1を高さ方向中間部に想定した時、直線L1に沿って第2の仕切り部12及び第3の仕切り部13が延びるように形成されている。これにより、混合用空間R3は、収容袋1の幅方向の一端部から他端部まで連続して設けられていることになる。これに対し、第1の仕切り部11は、直線L1に対して直交する方向に延びるように形成されている。第2の仕切り部12及び第3の仕切り部13の高さ方向の位置を変更することにより、第1の収容空間R1、第2の収容空間R2及び混合用空間R3の容積を任意に設定できる。
【0042】
収容袋1は、第1の収容空間R1と混合用空間R3とを連通させる第1の開口部21と、第2の収容空間R2と混合用空間R3とを連通させる第2の開口部22とを備えている。第1の開口部21と第2の開口部22とは、互いに接近しており、第1の仕切り部11の上端部を挟んで隣合うように配置されている。具体的には、第2の仕切り部12の右端部は第1の仕切り部11の上端部から左に離れていて、第2の仕切り部12の右端部と第1の仕切り部11の上端部との間に第1の開口部21が開口している。第3の仕切り部13の左端部は第1の仕切り部11の上端部から右に離れていて、第3の仕切り部13の左端部と第1の仕切り部11の上端部との間に第2の開口部22が開口している。
【0043】
この実施形態では、第1の開口部21及び第2の開口部22が第1の仕切り部11の上端部に隣接するように形成されているが、これに限らず、第1の開口部21及び第2の開口部22は、第1の仕切り部11の上端部から左右方向に所定距離だけ離れていてもよい。所定距離とは、例えば1mm以上5mm以下の範囲で設定することができる。この範囲であれば、第1の開口部21及び第2の開口部22が第1の仕切り部11の上端部に隣接している場合とほぼ同じように、第1の液体及び第2の液体の均一な混合が可能である。
【0044】
図2では、第1の収容空間R1に第1の液体を収容し、第2の収容空間R2に第2の液体を収容した状態を示している。従って、収容袋1における第1の収容空間R1に対応する部分及び第2の収容空間R2に対応する部分が膨らんでいる。一方、混合用空間R3には液体が流入していないので、混合用空間R3に対応する部分は膨らんでいない。
【0045】
図5は、収容袋1の保管時の一態様を示す斜視図である。保管時には、第1の開口部21及び第2の開口部22が閉じられるように、収容袋1を曲げておく。本例では、第1の開口部21及び第2の開口部22が直線L1(
図1に示す)上に位置していることから、収容袋1を、直線L1を折れ線として山折りまたは谷折りとなるように折り曲げておくことで、第1の開口部21及び第2の開口部22を閉じることができる。これにより、第1の収容空間R1に収容されている第1の液体が混合用空間R3に流入するのが防止されるとともに、第2の収容空間R2に収容されている第2の液体が混合用空間R3に流入するのも防止される。また、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とが第1の仕切り部11によって仕切られているので、第1の液体と第2の液体とが混合することはない。
【0046】
収容袋1は、直線L1で折り曲げた後、第1の仕切り部11に沿って延びる直線L2を折れ線として山折りまたは谷折りとなるように折り曲げることもできる。これにより、第1の液体及び第2の液体が収容された収容袋1をコンパクトな形状にすることができる。直線L2で折り曲げた収容袋1は、例えば
図6に示すように、硬質樹脂製のカップ100に収容して保管することができる。カップ100を構成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、塩化ビニル等を挙げることができる。このようなカップ100に入れておくことで、重ねて保管しても収容袋1に荷重がかかることはなく、保管性に優れる。カップ100の形状は円筒状に限られるものではなく、例えば角筒状であってもよい。
【0047】
また、収容袋1は、収容する液体がたとえばポリエチレンを透過するようなポリアミン硬化剤を使った2液型エポキシ樹脂接着剤/塗料/パテの場合は、収容空間R1、R2に直接収容せず、結晶性オレフィンの内袋などに入れて収容空間R1、R2に収めることができ、こうすることで長期保管性に優れる。
【0048】
次に、異種液体の混合方法について説明する。第1の液体と第2の液体とを混合する際には、曲げられていた収容袋1を
図2に示すように展開することで、第1の開口部21及び第2の開口部22が開く。その後、収容袋1の第1の収容空間R1に対応する部分及び第2の収容空間R2に対応する部分を同時に圧迫すると、第1の収容空間R1に収容されている第1の液体が第1の開口部21から混合用空間R3に流入し、第2の収容空間R2に収容されている第2の液体が第2の開口部22から混合用空間R3に流入する(
図7参照)。このとき、第1の開口部21と第2の開口部22とが第1の仕切り部11を挟んで隣合っているので、混合用空間R3に流入し始めた段階で第1の液体と第2の液体とが接触してすぐに混合が開始され、混合が開始されながら混合用空間R3に広がっていく。この工程は、第1の収容空間R1に収容された第1の液体を第1の開口部21から混合用空間R3へ流入させるのと同時に、第2の収容空間R2に収容された第2の液体を第2の開口部22から混合用空間R3へ流入させる流入工程である。
【0049】
第1の液体及び第2の液体の全量を混合用空間R3に流入させて流入工程を終えた後、
図8に示すように収容袋1の第1の収容空間R1及び第2の収容空間R2に対応する部分を曲げて巻く。巻き終わりの部分は、直線L1に対応する部分とされている。これにより、保管時と同様に第1の開口部21及び第2の開口部22を閉じることができるので、混合用空間R3に流入した第1の液体及び第2の液体が第1の収容空間R1及び第2の収容空間R2に逆流しなくなる。この工程は、収容袋1を曲げて第1の開口部21及び第2の開口部22を閉じる閉塞工程である。
【0050】
閉塞工程の後、収容袋1における幅方向の一方側を握って混合用空間R3に収容された第1の液体及び第2の液体を幅方向の他方側へ移動させる第1混合工程と、収容袋1における幅方向の他方側を握って混合用空間R3に収容された第1の液体及び第2の液体を幅方向の一方側へ移動させる第2混合工程とを繰り返し行う。第1混合工程及び第2混合工程では、収容袋1の第1の収容空間R1及び第2の収容空間R2に対応する部分を、混合用空間R3に対応する部分と一緒に握る。これにより、第1の開口部21及び第2の開口部22の閉塞状態を維持できるので、混合用空間R3内の混合物が第1の収容空間R1及び第2の収容空間R2に流入しなくなる。
【0051】
例えば収容袋1の左側を片方の手で握ると、混合用空間R3に収容された第1の液体及び第2の液体が混合用空間R3の右側へ流動し、このときに第1の液体及び第2の液体の混合が促進される。第1の液体及び第2の液体が収容袋1の右側に流動した後、収容袋1の右側を別の手で握ると、混合用空間R3に収容された第1の液体及び第2の液体が混合用空間R3の左側へ流動し、このときに第1の液体及び第2の液体の混合が促進される。左右方向への流動を繰り返し行うことで、第1の液体及び第2の液体の粘性が高くても短時間で均一に混合可能になる。
【0052】
また、一般に、ポリアミン硬化剤を用いた2液型エポキシ樹脂は、低温では、硬化反応の開始が遅い。たとえば、冬場の硬化時間は、夏場よりも長く取らなければ2液型エポキシ樹脂が硬化しないため、2液混合後、次の作業工程で待たなければならない。本実施形態は、2液を混合した後、収容袋1の切欠部4を割かない状態で、別の作業を行うことができ、硬化の時間調整をすることができる。また、ボイルに耐え得る材料(例えば、エスラップAW,スタープラスチック工業株式会社製)で収容袋1を構成すれば、ヒーターや湯煎で収容袋1内の2液の温度を上げて、硬化時間を速くすることも可能である。また、収容袋1に適温温度シールを貼れば、混合したあとの時間を管理することなく、温度シールで適当な硬化時間を管理することができる。
【0053】
(変形例)
図9は、実施形態の変形例1に係る収容袋1を示している。変形例1の収容袋1は、第2の仕切り部12及び第3の仕切り部13の形状が上記実施形態のものとは異なっている。具体的には、第2の仕切り部12の下縁部が第1の開口部21に近づくほど上に位置するように直線L1に対して傾斜している。これにより、第2の仕切り部12の上下方向の寸法が第1の開口部21に近づくほど短くなる。よって、第1の収容空間R1に収容されている第1の液体を流出させる際に、第1の開口部21へ向けてスムーズに流動させることができる。
【0054】
変形例1の第3の仕切り部13の下縁部は、第2の開口部22に近づくほど上に位置するように直線L1に対して傾斜している。これにより、第3の仕切り部13の上下方向の寸法が第2の開口部22に近づくほど短くなる。よって、第2の収容空間R2に収容されている第2の液体を流出させる際に、第2の開口部22へ向けてスムーズに流動させることができる。
【0055】
図10は、実施形態の変形例2に係る収容袋1を示している。変形例2の第2の仕切り部12の右端部には混合用空間R3へ向けて突出する第1シール部12aがヒートシールによって形成されている。第1の収容空間R1に収容されている第1の液体を流出させる際には、第1シール部12aによって第1の液体を混合用空間R3に案内することができるとともに、第1の液体が第2の開口部22から離れないように案内することができる。
【0056】
変形例2の第3の仕切り部13の左端部には混合用空間R3へ向けて突出する第2シール部13aがヒートシールによって形成されている。第2の収容空間R2に収容されている第2の液体を流出させる際には、第2シール部13aによって第2の液体を混合用空間R3に案内することができるとともに、第2の液体が第1の開口部21から離れないように案内することができる。
【実施例0057】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例1の2液は、エポキシパテ(スーパーウマール、アトミクス株式会社製)であり、主剤のエポキシ樹脂(第1の液体)と、硬化剤のポリアミン(第2の液体)である。使用したエポキシパテの粘度は、B型回転粘度計(TVB-10U,東機産業)、ローターH5、室温22℃、回転数10rpmの時に、エポキシ主剤が183Pas、ポリアミン硬化剤が71Pasであった。また、チキソトロピーインデックス(TI値)は、エポキシ主剤が4.2(5/50rpm)、ポリアミン硬化剤が5.7(1/10rpm)であった。
【0058】
ポリアミン硬化剤は、長期保管で袋内側のヒートシール部の溶解並びに、袋自体から浸透してくるため、2液はOPP袋(二軸延伸ポリプロピレン製袋)に50gずつ入れ、この状態のエポキシ樹脂を
図1に示す収容袋1の第1の収容空間R1に収容しヒートシールで固定した。また、ポリアミン硬化剤を収容袋1の第2の収容空間R2に収容しヒートシールで固定した。
【0059】
その後、収容袋1の第1の収容空間R1に対応する部分及び第2の収容空間R2に対応する部分を同時に圧迫して流入工程を行った。流入工程では、混合用空間R3に流入し始めた段階で第1の液体と第2の液体とが接触してすぐに混合が開始された。流入工程後、閉塞工程、第1混合工程及び第2混合工程を行った。第1混合工程及び第2混合工程の時間は3分間であり、3分間で第1の液体と第2の液体を均一に混合できた。
【0060】
混合工程の後、切欠部4を割いて混合用空間R3から混合物を紙コップに流出させ、紙コップに流出した混合物を計量した。
図11は、容積占有率と回収率との関係を示すグラフであり、容積占有率と紙コップに流出させることができた混合物の回収率との関係を示す。この図に示すように、容積占有率30%以上90%以下において、特に60%以上80%以下の範囲で回収率が高かった。
【0061】
次に比較例1について説明する。比較例1は、第1の開口部21が収容袋1の左端部近傍に形成され、第2の開口部22が収容袋1の右端部近傍に形成されている例である。この場合、第1の液体と第2の液体は互いに離れた所から混合用空間R3に流入することになるので、混合用空間R3に流入し始めた段階で第1の液体と第2の液体と接触させることはできず、混合用空間R3に流入してから接触することになるので、実施例に比べて均一に混合するのに要する時間が長くなった。
【0062】
また、混合工程において例えば収容袋1の左側を片方の手で握ると、混合用空間R3に収容された第1の液体及び第2の液体が混合用空間R3の右側へ流動することになるが、このとき右端部には第2の開口部22が形成されているので、混合用空間R3内の液体が第2の開口部22から第2の収容空間R2へ流入してしまうことがあった。同様に、収容袋1の右側を片方の手で握ると、混合用空間R3に収容された第1の液体及び第2の液体が混合用空間R3の左側へ流動することになるが、このとき左端部には第1の開口部21が形成されているので、混合用空間R3内の液体が第1の開口部21から第1の収容空間R1へ流入してしまうことがあった。そのため、比較例1では実施例1に比べて回収率が悪化した。
【0063】
また、実施例1の混合工程を1分間とした場合であっても、2液が均一に混合していた。混合用空間R3内の混合物を紙コップに流出させてから3時間後、紙コップ内の硬化したエポキシ樹脂パテを取り出し、底部と表面部の硬化状態を、スパチュラを当て接触させ、離すときの付着力が大きいと硬化不良、付着力がないときを硬化良好と評価した。その結果、付着力はなく硬化良好であった。
【0064】
一方、比較例1の混合工程を1分間とした場合には、2液が均一に混合していなかった。具体的には、混合用空間R3内の混合物を紙コップに流出させてから3時間後、紙コップ内の硬化したエポキシ樹脂パテを取り出し、底部と表面部の硬化状態を上述したように評価すると、スパチュラに付着力があり、硬化不良であった。
【0065】
次に、実施例2について説明する。実施例2では、混合用空間R3に、1級チオール(リカド803,SC有機化学株式会社製)にタルクを混ぜてチキソトロピー性を持たせた液体を収容した。第1の収容空間R1と第2の収容空間R2には、実施例1と同じ液体を収容した。1級チオール硬化剤は、硬化促進剤の3級アミンがあると低温でも急激にエポキシと硬化反応する。しかし、エポキシ主剤、硬化促進剤の3級アミン、1級チオール硬化剤の3種類のうち2つを組み合わせて混ぜ、収容空間R1、R2に入れておくと、粘度上昇して混合が出来なくなった。本発明の収容空間R1、R2にそれぞれエポキシ主剤と硬化促進剤3級アミンを収容し、混合用空間R3に1級チオール硬化剤を入れ、
図5に示すように収容袋1を折り曲げておくことで、これらが混ざって粘度上昇することがなく、長期に保管ができた。
【0066】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。例えば
図12に示す変形例1のように、第1の仕切り部11を収容袋1の幅方向一方寄りに設けてもよい。この変形例1は、第1の収容空間R1に収容される液体の量と、第2の収容空間R2に収容される液体の量とが異なる場合に適している。また、
図13に示す変形例2のように、第2の仕切り部12及び第3の仕切り部13が収容袋1の対角線に沿って延びるように形成されていてもよい。この場合、第1の収容空間R1、第2の収容空間R2及び第3の収容空間R3の全てが平面視で三角形状になり、第3の収容空間R3が最も大きな三角形となる。