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特開2024-153491用紙後処理装置、及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153491
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】用紙後処理装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/04 20060101AFI20241022BHJP
   B65H 7/20 20060101ALI20241022BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B65H45/04
B65H7/20
B41J2/01 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067421
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 優汰
(72)【発明者】
【氏名】本田 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健司
【テーマコード(参考)】
2C056
3F048
3F108
【Fターム(参考)】
2C056HA44
2C056HA60
3F048AA01
3F048AB01
3F048BB02
3F048BB05
3F048BB08
3F048BD07
3F048EB38
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA08
3F108CC01
3F108EA05
(57)【要約】
【課題】用紙の折り曲げのときに、画像形成される用紙面同士が重なることを要因とする画像形成不良の発生を防止する。
【解決手段】用紙後処理装置20では、画像が形成された記録紙Pを折り曲げる中綴じ部27と、中綴じ部27を制御する駆動制御部56と、を備え、駆動制御部56は、記録紙Pの折り曲げのときに内向きに折られて重ねられる記録紙Pの面の印字率を取得して、この取得された印字率が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、印字率が閾値以上である場合に、中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始を遅らせるようにしている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成後の用紙を折り曲げる折り曲げ部と、
前記折り曲げ部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記用紙の折り曲げのときに内向きに折られて向き合って重なる用紙の面の印字率を取得して、前記取得された印字率が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、前記印字率が前記閾値以上である場合に、前記折り曲げ部による前記用紙の折り曲げ開始時期を予め定められた遅延時間だけ遅らせる用紙後処理装置。
【請求項2】
前記用紙の折り曲げのときに内向きに折られて重ねられる用紙の面に対して送風を行う送風部を備え、
前記制御部は、前記用紙の折り曲げ開始時期を予め定められた遅延時間だけ遅らせる処理に加えて、前記取得された印字率が前記閾値以上であると判定した時点から前記折り曲げ部による前記用紙の折り曲げ開始時期までの間、前記送風部による送風を行わせる請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記印字率が前記閾値以上である場合に、前記印字率が増大する程、前記用紙の折り曲げ開始時期を遅らせる予め定められた遅延時間を長くする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項4】
前記用紙後処理装置の内部の温度又は湿度を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記印字率が前記閾値以上である場合に、(i)前記検出部により検出された温度が高いほど、前記用紙の折り曲げ開始時期を遅らせる前記予め定められた遅延時間を短くする、又は(ii)前記検出部により検出された湿度が高いほど、前記用紙の折り曲げ開始時期を遅らせる前記予め定められた遅延時間を長くする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記各用紙の種類に応じて前記閾値を変更する請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項6】
前記折り曲げ部は、それぞれの画像が形成された前記各用紙の面を内向きにして前記用紙が折り曲げられる内折り、及びそれぞれの画像が形成された前記各用紙の面を外向きにして前記用紙が折り曲げられる外折りのいずれかを行い、
前記制御部は、前記折り曲げ部により前記内折り及び前記外折りのいずれを行わせるかに応じて、前記用紙の折り曲げのときに内向きに折られて重ねられる用紙の面の印字率を取得し、当該印字率に基づいて前記用紙の折り曲げ開始時期の調整を行う請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項7】
インクジェット方式によりインクを用いて原稿の画像を用紙に形成する画像形成装置と、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の用紙後処理装置と、を備え、
前記用紙後処理装置では、複数の用紙を前記画像形成装置から受け取り、前記折り曲げ部が、前記用紙を折り曲げ、前記制御部が、前記用紙の折り曲げのときに内向きに折られて重ねられる用紙の面の印字率を前記画像形成装置から取得して、前記取得された印字率が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、前記印字率が前記閾値以上である場合に、前記折り曲げ部による前記用紙の折り曲げ開始時期を予め定められた遅延時間だけ遅らせる画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの画像が形成された複数の用紙からなる用紙を折り曲げる用紙後処理装置及び画像形成システムに関し、特に用紙の折り曲げを原因とする用紙上での画像形成不良を防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、画像形成装置では、画像読取部により原稿の画像を読取り、画像形成部により原稿の画像を記録紙(用紙)に形成する。また、用紙後処理装置では、原稿の画像が形成された記録紙を画像形成装置から受け取って、記録紙に対して後処理を施す。用紙後処理装置により実施される後処理としては、記録紙をテーブルに積載し、テーブル上で記録紙を折り曲げて排紙トレイに排出する処理などがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のシート折り装置では、シート部材を折りローラー対に挟持することで折り加工を施して、シート部材を排紙ローラーから排紙しており、予め決定された折り加工に関する条件(折りの種類、シート部材のサイズ、シート部材のスタック時の開き方向、スタックされるシート部材の枚数、スタック精度など)と、条件毎に対応して予め設定されたパラメータ(シート部材の搬送速度)とに応じて、排紙ローラーの搬送速度を制御し、折り加工に関する条件に対応した最適なスタック性を実現している。
【0004】
また、特許文献2に記載の用紙後処理装置では、画像形成装置から排出された用紙を、互いに並行する第1の搬送路、第2の搬送路、第3の搬送路のいずれかを通じて処理トレイへと搬送しており、複数の用紙を所定の順序で各搬送路に一時的に退避させ、各搬送路に退避された各用紙を再度合流させて、各用紙を重ねて処理トレイへと搬送し、また用紙がZ折り紙である場合は、Z折り紙を第1の搬送路又は第2の搬送路に一時的に退避させて処理トレイへと排出し、生産性の低下を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-042442号公報
【特許文献2】特開2011-105503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、各記録紙からなる用紙束を折り曲げる方法として、2つ折り、3つ折り、Z折り、ブックレット処理などがあるが、用紙束の折り曲げのときに内向きに折られて重ねられる記録紙の面については、該記録紙の面に形成された画像が折られて重なり押圧されるので、この記録紙の面の画像が損なわれて、画像不良が生じることが懸念される。
【0007】
特に、インクジェット方式により画像が形成された記録紙の場合は、記録紙の面がインクで濡れるので、記録紙の面に形成された画像が折られて面同士が重なりこの状態で押圧されると、画像移り又は画像擦れが生じて画像形成に不良が生じ易い。
【0008】
特許文献1では、予め決定された折り加工に関する条件と、条件毎に対応して予め設定されたパラメータとに応じて、排紙ローラーの搬送速度を制御し、最適なスタック性を実現しているが、上記のような記録紙の折り曲げで生じる画像形成不良を防止することはできない。
【0009】
また、特許文献2では、複数の用紙を所定の順序で各搬送路に一時的に退避させ、各搬送路に退避された各用紙を再度合流させて、各用紙を重ねて処理トレイへと搬送し、また用紙がZ折り紙である場合は、Z折り紙を第1の搬送路又は第2の搬送路に一時的に退避させて処理トレイへと排出しているが、やはり、上記のような記録紙の折り曲げで生じる画像形成不良を防止することはできない。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、用紙の折り曲げのときに、画像形成される用紙面同士が重なることを要因とする画像形成不良の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面にかかる用紙後処理装置は、画像形成後の用紙を折り曲げる折り曲げ部と、前記折り曲げ部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記用紙の折り曲げのときに内向きに折られて向き合って重なる用紙の面の印字率を取得して、前記取得された印字率が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、前記印字率が前記閾値以上である場合に、前記折り曲げ部による前記用紙の折り曲げ開始時期を予め定められた遅延時間だけ遅らせるものである。
【0012】
また、本発明の一局面にかかる画像形成システムは、インクジェット方式によりインクを用いて原稿の画像を用紙に形成する画像形成装置と、本発明の一局面に係る用紙後処理装置と、を備え、前記用紙後処理装置では、複数の用紙を前記画像形成装置から受け取り、前記折り曲げ部が、前記用紙を折り曲げ、前記制御部が、前記用紙の折り曲げのときに内向きに折られて重ねられる用紙の面の印字率を前記画像形成装置から取得して、前記取得された印字率が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、前記印字率が前記閾値以上である場合に、前記折り曲げ部による前記用紙の折り曲げ開始時期を予め定められた遅延時間だけ遅らせるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、用紙の折り曲げのときに、画像形成される用紙面同士が重なることを要因とする画像形成不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にかかる一実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置及び用紙後処理装置を示す断面図である。
図2】用紙後処理装置における中綴じ部を拡大して示す断面図である。
図3A】(A)(B)は、中綴じ部により各記録紙に対して施される処理を説明するために用いられた図である。
図3B】(C)(D)は、中綴じ部により各記録紙に対して施される処理を説明するために用いられた図である。
図4】(A)は外折りを示す図であり、(B)は内折りを示す図である。
図5】画像形成装置及び用紙後処理装置の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
図6A】用紙後処理装置の中綴じ部による用紙束の折り曲げ開始時点を遅らせる一連の処理を示すフローチャートである。
図6B図6Aに続く一連の処理を示すフローチャートである。
図7】複数の印字率範囲と複数の乾燥時間を対応付けた印字率テーブルを例示する図である。
図8】複数の湿度範囲と複数の補正係数を対応付けた湿度補正テーブルを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明にかかる一実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置及び用紙後処理装置を示す断面図である。本実施形態の画像形成システムSyは、原稿の画像を読取って記録紙(用紙)に形成する画像形成装置10と、記録紙を画像形成装置10から受け取って、記録紙に対して後処理を施す用紙後処理装置20とを備えている。
【0016】
画像形成装置10は、画像読取部11と、画像形成部12とを備えている。画像読取部11では、複数の原稿Mが原稿トレイ1に載置されると、これらの原稿Mを原稿トレイ1から順次引き出して搬送しつつ、各原稿Mの画像を撮像素子により読取り、各原稿Mを排出トレイ2に順次排出して重ねる。各原稿Mの画像毎に、撮像素子の出力が原稿Mの画像を示す画像データに変換される。
【0017】
画像形成部12は、複数の原稿Mの画像を示すそれぞれの画像データを逐次入力する度に、画像データによって示される原稿Mの画像を、インクジェット方式により記録紙Pに形成する。画像形成部12は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエロー)のインク滴を吐出するそれぞれのラインヘッド(インクヘッドの一例)15を有している。各ラインヘッド15は、それぞれの色のインク滴を、給紙部14から第1搬送路3を通じて搬送ユニット4へと搬送されて来た記録紙(用紙)Pに吐出して、カラー画像を記録紙Pに形成する。
【0018】
搬送ユニット4は、駆動ローラー8と、従動ローラー9と、テンションローラー5と、搬送ベルト6とを備えている。搬送ベルト6は、無端状のベルトであり、駆動ローラー8、従動ローラー9、及びテンションローラー5に架け渡されている。駆動ローラー8は、モーター(図示せず)により反時計回りに回転駆動されるローラーであり、制御部46(図5)による制御の下駆動ローラー8が回転駆動されることで、搬送ベルト6が反時計回りに周回移動されると共に、従動ローラー9及びテンションローラー5が反時計回りに従動回転する。
【0019】
テンションローラー5は、搬送ベルト6のテンションを適切に保つためのローラーである。吸着ローラー7は、搬送ベルト6に接触しており、制御部46(図5)による制御の下、搬送ベルト6を帯電させることで、給紙部14から給紙された記録紙Pを搬送ベルト6に静電的に吸着させる。
【0020】
制御部46(図5)による制御の下、画像形成部12により各原稿Mの画像がそれぞれの記録紙Pに形成され、各記録紙Pが、中継搬送路18を経由し、搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと逐次搬送される。この場合、各記録紙Pは、それぞれの原稿Mの画像が形成された面を上向きにされて(フェイスアップで)、用紙後処理装置20へと搬送される。
【0021】
記録紙Pを、原稿Mの画像が形成された面を下向きにして(フェイスダウンで)、用紙後処理装置20へと搬送させる場合は、画像形成部12により原稿Mの画像が記録紙Pの面に形成された後、記録紙Pを中継搬送路18から搬送ローラー16へと搬送させて、搬送ローラー16を一旦停止させて逆回転させるというスイッチバック搬送を行い、記録紙Pを、第2搬送路17から搬送ユニット4及び中継搬送路18へと搬送させ、搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。
【0022】
また、制御部46(図5)による制御の下、記録紙Pの両面にそれぞれの原稿Mの画像を形成し、記録紙Pを、原稿Mの画像が形成された面を上向きにし、別の原稿Mの画像が形成された裏面を下向きにして、用紙後処理装置20へと搬送させる場合は、画像形成部12により原稿Mの画像が記録紙Pの面に形成された後、上記のスイッチバック搬送を行い、記録紙Pを、第2搬送路17を通じて搬送ユニット4に戻して、記録紙Pの表裏を反転させ、画像形成部12により記録紙Pの裏面に別の原稿Mの画像を形成させ、2回目のスイッチバック搬送を行い、記録紙Pを、第2搬送路17を通じて搬送ユニット4に戻して、記録紙Pの表裏を再度反転させ、記録紙Pを、中継搬送路18から搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。
【0023】
更に、制御部46(図5)による制御の下、記録紙Pの両面にそれぞれの原稿Mの画像を形成し、記録紙Pを、原稿Mの画像が形成された第1面(両面のうち最初に画像が形成される面)を下向きにし、別の原稿Mの画像が形成された第2面(第1面の裏面)を上向きにして、用紙後処理装置20へと搬送させる場合は、上記のように記録紙Pの両面にそれぞれの原稿Mの画像を形成した後、上記の2回目のスイッチバック搬送を行わずに、記録紙Pを、中継搬送路18から搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。
【0024】
従って、用紙後処理装置20は、原稿Mの画像が形成された面を上向きにされたフェイスアップの記録紙Pを受け取るか、原稿Mの画像が形成された面を下向きにされたフェイスダウンの記録紙Pを受け取るか、それぞれの原稿Mの画像が両面に形成されて、第1面を上向きにされた記録紙Pを受け取るか、又はそれぞれの原稿Mの画像が両面に形成されて、第1面を下向きにされた記録紙Pを受け取ることとなる。
【0025】
一方、用紙後処理装置20は、画像形成装置10からの各記録紙Pを搬送する複数の搬送ローラー21、22、23、搬送ローラー21を通過した各記録紙Pを水平方向に導いて搬送ローラー22へと送り出すか又は搬送ローラー21を通過した各記録紙Pを下方に導いて搬送ローラー23へと送り出す分岐爪240、搬送ローラー22を通じて搬送されて来た各記録紙Pを第1排紙トレイ26に排出する排出ローラー24、搬送ローラー23を通じて搬送されて来た各記録紙Pを積み重ねて、各記録紙Pの中央部にステイプル処理を施し、各記録紙Pをその中央で折り曲げる中綴じ部27、及び中綴じ部27によりステイプル処理が施されて折り曲げられた各記録紙Pが排出される第2排紙トレイ28などを備える。
【0026】
尚、中綴じ部27及び第2排紙トレイ28は、特許請求の範囲における折り曲げ部及び排紙トレイに対応する。
【0027】
図2は、用紙後処理装置20の中綴じ部27を拡大して示す断面図である。図1及び図2に示すように中綴じ部27は、搬送ローラー23-により搬送され排出された複数の記録紙Pを受ける各分割テーブル75A、75B、各分割テーブル75A、75B上で記録紙Pを移動させて、記録紙Pの長手方向の位置を調節する先端カーソル85A及び後端カーソル85B、各カーソル85A、85Bを支持して、各カーソル85A、85Bを記録紙Pの排出方向Qに沿って往復移動させるそれぞれの回転ベルト76A、76Bを備えている。更に、中綴じ部27は、各分割テーブル75A、75B上の各記録紙Pからなる用紙束PTの中央部にステイプル処理を施すステイプル部77、各分割テーブル75A、75B間のスペース上方に配置されて、用紙束PTを折り曲げて搬送する各折りローラー78A、78B、78C、各分割テーブル75A、75B間のスペースを通じて各折りローラー78A、78Bのニップ域に対向配置されて、このニップ域に対して接離する方向に往復移動される折りブレード79、用紙束PTを各折りローラー78A、78Bから受け取って案内するガイド部81、用紙束PTを第2排紙トレイ28へと搬送して排出する排出コンベアー83、用紙束PTの幅方向の位置を規制する両側の各側端カーソル91A、91B、及び各分割テーブル75A、75Bの下方に設けられた送風ファン25などを備えている。
【0028】
図3A(A)(B)及び図3B(C)(D)は、中綴じ部27による各記録紙P(用紙束PT)の折り曲げ動作の概略を示している。図3A(A)に示すように記録紙Pが各分割テーブル75A、75B上に排出されると、記録紙Pの先端が先端カーソル85Aに突き当てられて揃えられ、また各側端カーソル91A、91Bにより記録紙Pの両側端が揃えられる。先端カーソル85Aが後端カーソル85Bに接近する方向に移動されるか、又は後端カーソル85Bが先端カーソル85Aに接近する方向に移動されて、後端カーソル85Bにより記録紙Pの後端が揃えられ、先端カーソル85A及び後端カーソル85Bがそれぞれの元の位置に移動される。記録紙Pは、その自重により各分割テーブル75A、75B上で斜め下方に付勢されているので、記録紙Pの先端が先端カーソル85Aに当接された状態が維持される。このような動作を、1枚の記録紙Pが排出される度に繰り返して、複数の記録紙Pを各分割テーブル75A、75B上に積載して揃えて用紙束PTとする。あるいは、数枚の記録紙Pが排出される度に、上記のように各側端カーソル91A、91B、先端カーソル85A、及び後端カーソル85Bを移動させて、該各カーソルにより各記録紙Pの両側端、先端、及び後端を揃え、複数の記録紙Pを各分割テーブル75A、75B上に積載して揃えて用紙束PTとする。
【0029】
図3A(B)に示すように先端カーソル85A及び後端カーソル85Bが移動されて、各分割テーブル75A、75B上で用紙束PTが移動され、用紙束PTの中央部がステイプル部77によるステイプル処理の位置に位置決めされ、ステイプル部77により用紙束PTの中央部に対してステイプル処理が施される。
【0030】
図3B(C)に示すように各カーソル85A、85Bにより各分割テーブル75A、75B上で用紙束PTが移動され、用紙束PTの中央部が各分割テーブル75A、75Bの間のスペースに位置決めされる。
【0031】
図3B(D)に示すように折りローラー78Aが反時計回り方向に回転駆動されると共に、折りローラー78Bが時計回り方向に回転駆動され、折りブレード79が各折りローラー78A、78Bのニップ域Nに接近する方向に移動され、折りブレード79の先端により用紙束PTの中央部が下方から突き上げられて、用紙束PTの中央部が各折りローラー78A、78Bのニップ域Nに押し込まれ、各折りローラー78A、78Bにより用紙束PTの中央部が折り曲げられて、用紙束PTが2つ折りにされる。この折り曲げられた用紙束PTは、各折りローラー78A、78Bにより搬送されて、ガイド部81により排出コンベアー83へと案内され、排出コンベアー83により搬送されて第2排紙トレイ28へと排出される。
【0032】
ここで、用紙後処理装置20では、4種の折り曲げ方法(i)-(iv)のいずれかで用紙束PTが折り曲げられる。例えば、(i)上記のようにそれぞれの原稿Mの画像が形成された面を上向きにされたフェイスアップの各記録紙Pを受け取った場合、各記録紙Pの画像が形成された面が上向きにされた状態で、各記録紙Pが分割テーブル75A、75B上に載置され、折りブレード79の先端が各記録紙Pの裏面(画像が形成された面の裏面)側に突き当てられて、図4(A)に示すように各記録紙Pの画像が形成された面が外向きにされて、用紙束PTが折り曲げられる。以降、この折り曲げ方法を、片面印刷で表面の外折りと称する。つまり、「表面」とは、おもて面を示し、片面印刷において画像形成がされている面、或いは、両面印刷においては最初に画像形成がされた面(第1面)を示す。
【0033】
また、用紙後処理装置20では、(ii)上記のようにそれぞれの原稿Mの画像が形成された表面を下向きにされたフェイスダウンの各記録紙Pを受け取った場合、各記録紙Pの表面が下向きにされた状態で、各記録紙Pが分割テーブル75A、75B上に載置され、折りブレード79の先端が各記録紙Pの表面側に突き当てられて、図4(B)に示すように各記録紙Pの表面が内向きにされて、用紙束PTが折り曲げられる。以降、この折り曲げ方法を、片面印刷で表面の内折りと称する。
【0034】
また、用紙後処理装置20では、(iii)上記のようにそれぞれの原稿Mの画像が両面に形成されて、表面を上向きにされた各記録紙Pを受け取った場合、各記録紙Pが分割テーブル75A、75B上に載置され、折りブレード79の先端が各記録紙Pの裏面側に突き当てられて、各記録紙Pの表面が外向きにされて、用紙束PTが折り曲げられる。以降、この折り曲げ方法を、両面印刷で表面の外折りと称する。
【0035】
また、用紙後処理装置20では、(iv)上記のようにそれぞれの原稿Mの画像が両面に形成されて、裏面を上向きにされた各記録紙Pを受け取った場合、各記録紙Pが分割テーブル75A、75B上に載置され、折りブレード79の先端が各記録紙Pの表面側突き当てられて、各記録紙Pの表面が内向きにされて、用紙束PTが折り曲げられる。以降、この折り曲げ方法を、両面印刷で表面の内折りと称する。
【0036】
従って、(i)片面印刷で表面の外折り、(ii)片面印刷で表面の内折り、(iii)両面印刷で表面の外折り、及び(iv)両面印刷で表面の内折りという4種類の折り曲げ方法がある。
【0037】
尚、図2に示す折りローラー78Cは、内折り又は外折りで2つ折りにされた用紙束PTに対して3つ目の折り目をつけて、用紙束PTを3つ折りにするためのものである。2つ折りにされた用紙束が各折りローラー78A、78Bの間を通過した後、用紙束の3つ折りにされる部分が折りローラー78Aと折りローラー78Cの間へと導入されて、用紙束に3つ目の折り目が付けられ、3つ折りにされた用紙束が別のガイド部(図示せず)及び排出コンベアー83を通じて第2排紙トレイ28へと排出される(例えば、特開2021-59410号公報の図6を参照)。3つ折りの場合も、上記4種類の折り曲げ方法がある。
【0038】
次に、画像形成装置10及び用紙後処理装置20の制御に係る構成について説明する。図5は、画像形成装置10及び用紙後処理装置20の主要内部構成を示す機能ブロック図である。図5に示すように画像形成装置10は、画像読取部11と、画像形成部12と、表示部41と、操作部42と、タッチパネル43と、記憶部44と、制御部46と、インターフェイス47とを備えている。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0039】
表示部41は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイなどから構成される。
【0040】
操作部42は、テンキー、決定キー、スタートキーなどの物理キーを備えている。操作部42は、各キーの操作に応じて各種の指示を受け付ける。
【0041】
表示部41の画面には、タッチパネル43が配置されている。タッチパネル43は、所謂抵抗膜方式や静電容量方式などのタッチパネルであって、タッチパネル43に対するユーザーの指などの接触(タッチ)をその接触位置とともに検知して、その接触位置の座標を示す検知信号を制御部46などに出力する。
【0042】
記憶部44は、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置であって、各種のアプリケーションプログラムや種々のデータを記憶している。
【0043】
制御部46は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等であり、上記のROM又は記憶部44に記憶された制御プログラムを実行して、画像形成装置10による画像形成に必要な各種の処理などを実行する処理部としての役割を果たす。
【0044】
制御部46は、画像読取部11、画像形成部12、表示部41、操作部42、タッチパネル43、記憶部44、及びインターフェイス47などと接続されており、これらの構成要素の動作制御や、該各構成要素との間での信号またはデータの送受信を行う。
【0045】
また、制御部46は、表示部41の表示動作を制御する機能を有する。更に、制御部46は、タッチパネル43から出力される検知信号あるいは操作部42の物理キーの操作に基づき、ユーザーにより入力された操作指示を受付ける。例えば、制御部46は、タッチパネル43を通じて表示部41の画面に表示されているGUI(Graphical User Interface)などに対するタッチ操作を受付ける。
【0046】
また、用紙後処理装置20は、送風ファン25と、湿度検出部29と、中綴じ部27と、記憶部54と、駆動制御部56と、インターフェイス57とを備えている。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0047】
湿度検出部29は、例えば感湿材料の両端にそれぞれの電極を接続し、感湿材料の吸湿又は脱湿によって変化する抵抗値を、各電極間を通じて検出するという既知の湿度センサーであり、用紙後処理装置20内部の湿度Hを検出する。
【0048】
駆動制御部56は、プロセッサー、RAM、及びROMなどから構成され、中綴じ部27などを駆動制御する。
【0049】
画像形成装置10の制御部46と用紙後処理装置20の駆動制御部56は、それぞれのインターフェイス47、57を通じて、データ又は信号を互いに入出力する。用紙後処理装置20は、画像形成装置10の制御部46により、用紙後処理装置20の駆動制御部56を通じて、全体的な動作が制御される。
【0050】
なお、以下に示す駆動制御部56による用紙後処理装置20の各部の駆動制御は、画像形成装置10の制御部46による制御の下で行われる。この場合、駆動制御部56及び制御部46が特許請求の範囲における制御部の一例となる。但し、駆動制御部56は、画像形成装置10の制御部46から処理を実行させる制御信号を受け取った後、駆動制御部56が主体的に、この処理の実行に必要な用紙後処理装置20の各部の駆動制御を行うようにしてもよい。この場合は、駆動制御部56が特許請求の範囲における制御部の一例となる。
【0051】
このような構成の画像形成システムSyにおいて、例えば、制御部46は、画像形成装置10により複数の原稿Mの画像を読取らせてそれぞれの記録紙Pに記録させ、用紙後処理装置20の中綴じ部27により複数の記録紙Pからなる用紙束PTの中央部を綴じさせて、用紙束PTを折り曲げさせるという中綴じ処理を実行させる。この中綴じ処理の実行時、ユーザーは、タッチパネル43を通じて表示部41の画面に表示されているGUIを操作して、中綴じ処理の実行指示を操作部42に入力する。そして、ユーザーは、複数の原稿Mを画像読取部11にセットして、操作部42のスタートキーを操作して画像形成指示を操作部42に入力する。制御部46は、操作部42に入力された中綴じ処理の実行指示及び画像形成指示に従って、中綴じ処理を開始する。
【0052】
このとき、画像形成装置10の制御部46は、中綴じ処理を示す制御信号を、インターフェイス47を通じて用紙後処理装置20に出力し、これと共に、画像読取部11により各原稿Mの画像を順次読取らせて、各原稿Mの画像を画像形成部12によりそれぞれの記録紙Pに形成させ、これらの記録紙Pを用紙後処理装置20に逐次搬送させる。
【0053】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、中綴じ処理を示す制御信号を、インターフェイス57を通じて受信すると共に、画像形成装置10から搬送されて来た記録紙Pを逐次受け入れ、その制御信号に基づき記録紙Pを中綴じ部27へと搬送し、中綴じ部27における各回転ベルト76A、76B、ステイプル部77、各折りローラー78A、78B、78C、折りブレード79、排出コンベアー83のそれぞれの駆動源となる各モーターなどを駆動制御して、それらを作動させる。これにより、複数の記録紙Pからなる用紙束PTの中央部にステイプル処理が施されて、用紙束PTが折り曲げられ、用紙束PTが第2排紙トレイ28へと排出される。
【0054】
また、後で詳しく述べるように画像形成システムSyにおいては、ユーザーが上記の4種類の折り曲げ方法のいずれかを指示すると、この指示された折り曲げ方法で用紙束PTが折り曲げられる。
【0055】
ここで、それぞれの画像が形成された各記録紙Pの画像形成がされた面同士を対面させて表面を内向きにして用紙束PTが折り曲げられた場合は、用紙束PTの最も内側の面が折られて重なり押圧されるので、この記録紙Pの当該面の画像が画像移り又は画像擦れにより損なわれて、画像形成不良が生じるおそれがある。
【0056】
4種類の折り曲げ方法のうち、片面印刷で表面の内折り、両面印刷で表面の外折り、及び両面印刷で表面の内折りでは、それぞれの画像が形成された各記録紙Pの面が内向きで用紙束PTが折り曲げられるので、用紙束PTの最も内側の記録紙Pの面の画像が上記のように損なわれるおそれがある。
【0057】
特に、インクジェット方式により画像が形成された記録紙Pで、印字率が高い場合は、記録紙Pの面がインクで濡れるので、画像形成直後に記録紙Pの面が折られて重なり押圧されると、記録紙Pの面の画像が損なわれ易い。
【0058】
そこで、本実施形態の用紙後処理装置20では、図3A(B),図3B(C)(D)に示すように折りブレード79の先端により各分割テーブル75A、75B上に積載された用紙束PTが下方から突き上げられて、用紙束PTの最も下側(内側)の記録紙Pの下に向く面が内向きに折られて重ねられることから、駆動制御部56は、用紙束PTの最も下側(内側)の記録紙Pの下に向く面を判定し、この判定された記録紙Pの面の印字率IRを取得して、この取得された印字率IRが予め設定された閾値IS(例えば、1%)以上であるか否かを判定し、印字率IRが閾値IS以上である場合に、中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始時期を遅らせている。これは、印字率IRが高くなる程、記録紙Pの面がインクでより濡れる程度が大きくなり、記録紙Pの面の画像(インク)が乾燥し難くなるためである。
【0059】
ここで、中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始時期t2は、各記録紙Pの積載が終了した時点t1から予め定められた経過時間T1(例えば、1秒)が経過した時期である。
【0060】
そして、駆動制御部56は、中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始時点t2を予め定められた遅延時間Δtだけ遅らせる。すなわち、積載終了時点t1から上記予め定められた経過時間T1に加えて更に上記予め定められた遅延時間Δtが経過した時点が、遅延処理が加えられた新たな折り曲げ開始時期t2となり、積載終了時点t1から新たな折り曲げ開始時期t2までの時間が用紙束PTの遅延時間Δtとなる。
【0061】
このように折り曲げ開始時期t2を遅らせることで、各分割テーブル75A、75B上の用紙束PTの折り曲げが開始されるまでに、用紙束PTの最も下側(内側)の記録紙Pの下に向く面の画像(インク)を十分に乾燥させ、この記録紙Pの面が折られて重なり押圧されても、記録紙Pの面に形成された画像が損なわれ難くする。
【0062】
また、駆動制御部56は、印字率IRが閾値IS以上である場合に、湿度検出部29によって検出された用紙後処理装置20内部の湿度Hが高くなるほど上記の遅延時間Δtを長くして、折り曲げ開始時点t2をより遅らせる処理を行う。これは、湿度Hが高くなる程、記録紙Pの面の画像(インク)が乾燥し難くなるためである。
【0063】
なお、このように中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始時点t2を遅らせると、用紙束PTの最も下側(内側)の記録紙P上に積載された別の記録紙Pの面の画像(インク)も乾燥のための時間が確保され、該別の記録紙Pの面の画像(インク)が、該別の記録紙Pに重なり合う他の記録紙Pの面に移り難くなる。
【0064】
更に、図2に示すように送風ファン25が各分割テーブル75A、75Bの下方に設けられている。この送風ファン25は、上方に空気を吹き出す。各分割テーブル75A、75Bには、例えば多数の小さな通風孔(図示せず)が形成されており、送風ファン25からの空気がそれらの通風孔を通じて用紙束PTの最も下側(内側)の記録紙Pの下に向く面に流れて、この記録紙Pの面の画像(インク)の乾燥が促進される。
【0065】
次に、上記のように中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始時点t2を遅らせる一連の処理を、図6A図6Bに示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0066】
画像形成装置10において、ユーザーは、用紙後処理装置20の中綴じ部27により各記録紙Pに対する後処理を行わせる場合、タッチパネル43を通じて表示部41の画面に表示されているGUIを操作して、中綴じ処理の実行指示と、上記4種類の折り曲げ方法のいずれかの実行指示とを操作部42に入力し、用紙束PTとなる各記録紙Pの枚数nを指定する枚数指定指示を操作部42に入力する。
【0067】
画像形成装置10の制御部46は、ユーザーにより入力された指示が示す中綴じ処理の実行、折り曲げ方法、及び用紙束PTとなる各記録紙Pの枚数nを示す制御信号を、インターフェイス47を通じて用紙後処理装置20に出力し、更に、画像読取部11により各原稿Mの画像を順次読取らせて、各原稿Mの画像を画像形成部12によりそれぞれの記録紙Pの表面、裏面、又は両面に形成させ、これらの記録紙Pを用紙後処理装置20に逐次搬送させる。
【0068】
このとき、画像形成装置10の制御部46は、ユーザーにより、折り曲げ方法として片面印刷で表面の外折りの実行指示が操作部42に入力されているとき、原稿Mの画像が形成された記録紙Pの表面を上向きにして(フェイスアップで)、記録紙Pを中継搬送路18から搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。
【0069】
また、画像形成装置10の制御部46は、ユーザーにより、折り曲げ方法として片面印刷で表面の内折りの実行指示が操作部42に入力されているとき、原稿Mの画像が形成された記録紙Pの表面を下向きにして(フェイスダウンで)、記録紙Pを中継搬送路18から搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。
【0070】
また、画像形成装置10の制御部46は、ユーザーにより、折り曲げ方法として両面印刷で表面の外折りの実行指示が操作部42に入力されているとき、それぞれの原稿Mの画像が両面に形成された記録紙Pの表面を上向きにして、記録紙Pを中継搬送路18から搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。
【0071】
また、画像形成装置10の制御部46は、ユーザーにより、折り曲げ方法として両面印刷で表面の内折りの実行指示が操作部42に入力されているとき、それぞれの原稿Mの画像が両面に形成された記録紙Pの表面を下向きにして、記録紙Pを中継搬送路18から搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。
【0072】
また、画像形成装置10の制御部46は、1枚目の原稿Mの画像が画像形成部12により記録紙Pに形成させ、1枚目の記録紙Pを用紙後処理装置20に搬送させると、この1枚目の記録紙Pの表面及び裏面に対するそれぞれの印字率IRを算出して、これらの印字率IRを示す制御信号を、インターフェイス47を通じて用紙後処理装置20に出力する。例えば、制御部46は、原稿の画像を示す画像データに基づき記録紙Pの印字可能領域面積に対するインクの吐出面積の比率を算出して、この比率を該記録紙Pの印字率IRとして取得する。
【0073】
尚、片面印刷の場合は、記録紙Pの表面だけに画像が形成されるので、記録紙Pの裏面に対する印字率は「0」とする。
【0074】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、中綴じ処理、折り曲げ方法、及び用紙束PTとなる各記録紙Pの枚数nを示す制御信号を、インターフェイス57を通じて受信すると、この制御信号によって示される中綴じ処理の実行、折り曲げ方法、用紙束PTとなる各記録紙Pの枚数nを取得し(S101)、折り曲げ方法を判定する(S102)。
【0075】
続いて、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、1枚目の記録紙Pの表面の印字率及び裏面の印字率を示す制御信号を、インターフェイス57を通じて受信すると、1枚目の記録紙Pの表面及び裏面に対するそれぞれの印字率IRを取得する(S103)。
【0076】
用紙後処理装置20では、駆動制御部56の制御の下、画像形成装置10からの記録紙Pが搬送ローラー21→分岐爪240→搬送ローラー23→各分割テーブル75A、75Bへと搬送されて積載される(S104)。
【0077】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、記録紙Pが各分割テーブル75A、75Bに搬送されてくると、記録紙Pの枚数naを計数し(S105)、この計数した枚数naがS101で取得された枚数nに達したか否かを判定し(S106)、その計数した枚数naが枚数nに達しなければ(S106「No」)、S104、S105を繰り返す。
【0078】
例えば、搬送ローラー23と各分割テーブル75A、75Bの間に記録紙Pの後端を検出する用紙センサー(例えば、発光素子及び受光素子を備える光センサー。図略)を設けておき、駆動制御部56が用紙センサーからの各用紙の後端検出を示す検出出力に基づき記録紙Pの枚数naを計数する。用紙センサーは、発光素子と受光素子を記録紙Pの搬送路を挟んで対向配置し、光を発光素子から出射させて受光素子で受光させ、この光が記録紙Pで遮られたときの受光素子の出力変化に基づき記録紙Pの後端を検出するものである。
【0079】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、その計数した枚数naがS101で取得された枚数nに達すると(S106「Yes」)、各分割テーブル75A、75Bへの各記録紙Pの搬送及び積載が終了したものとして、この終了時点を積載終了時点t1として検出し、この積載終了時点t1からの経過時間tsの計時を開始する(S107)。更に、駆動制御部56は、S102で判定された折り曲げ方法に応じて(S108)、S109及びS110の処理、S111~S119(S109及びS110を含む)の処理、又はS120~S130の処理に移る。
【0080】
ここで、1枚目の記録紙Pは、画像形成装置10から用紙後処理装置20へと搬送されて、中綴じ部27の各分割テーブル75A、75Bに最初に載せられる。そして、2枚目以降の記録紙Pが、画像形成装置10から用紙後処理装置20へと搬送されて、各分割テーブル75A、75B上に逐次積載される。従って、1枚目の記録紙Pは、各分割テーブル75A、75B上の用紙束PTの最も下側の記録紙Pとなり、この1枚目の記録紙Pの下に向く面が内向きに折られて重ねられる。
【0081】
ユーザーが、用紙束PTの折り曲げ方法として、片面印刷で表面の外折りを選択したものとすると、画像形成装置10の制御部46は、原稿Mの画像が形成された記録紙Pの表面を上向きにして(フェイスアップで)、記録紙Pを用紙後処理装置20へと搬送する。用紙後処理装置20では、フェイスアップの各記録紙Pを逐次受け取ると、各記録紙Pの表面を上向きにした状態で、各記録紙Pを各分割テーブル75A、75B上に積載する。
【0082】
この場合、各分割テーブル75A、75B上に積載された各記録紙Pの下向きの各裏面には画像が形成されていない。よって、折りブレード79の先端により各分割テーブル75A、75B上に積載された用紙束PTの最も下側の1枚目の記録紙Pの下に向く裏面が内向きに折られて向き合って重ねられても画像移り及び画像擦れの支障はない。
【0083】
このため、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、S102で折り曲げ方法として、片面印刷で表面の外折りを判定していた場合(S108「片面印刷で表面の外折り」)、内向きに折られて重ねられる記録紙Pの面が印字率「0」の裏面であると検出し、積載終了時点t1から中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始時点t2を遅らせる予め定められた遅延時間Δtを「0」に設定する(S109)。すなわち、折り曲げ開始時点t2の遅延処理は行われない。駆動制御部56は、積載終了時点t1から上記予め定められた経過時間T1の経過後に、すなわち、遅延処理をしていない元の折り曲げ開始時点t2で、中綴じ部27により用紙束PTの中央部を綴じさせて、用紙束PTを折り曲げさせる(S110)。中綴じ部27により綴じられて折り曲げられた用紙束PTは、ガイド部81により排出コンベアー83へと案内され、排出コンベアー83により搬送されて第2排紙トレイ28へと排出される。
【0084】
また、ユーザーが、用紙束PTの折り曲げ方法として、片面印刷で表面の内折りを選択したものとすると、画像形成装置10の制御部46は、原稿Mの画像が形成された記録紙Pの表面を下向きにして(フェイスダウンで)、記録紙Pを用紙後処理装置20へと搬送させる。用紙後処理装置20では、フェイスダウンの各記録紙Pを逐次受け取ると、各記録紙Pの表面を下向きにした状態で、各記録紙Pを各分割テーブル75A、75B上に積載する。
【0085】
この場合、各分割テーブル75A、75B上に積載された各記録紙Pの下向きの表面には画像が形成されている。そして、折りブレード79の先端により各分割テーブル75A、75B上に積載された用紙束PTの最も下側の1枚目の記録紙Pの下に向く表面が内向きに折られて重ねられる。
【0086】
このため、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、S102で折り曲げ方法として、片面印刷で表面の内折りを判定していた場合(S108「片面印刷で表面の内折り」)、内向きに折られて重ねられる記録紙Pの面が印刷されている表面であると判定し、S103で取得された1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRを取得して当該印字率IRが予め設定された閾値IS以上であるか否かを判定する(S111)。
【0087】
例えば、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRが閾値IS以上でないと判定した場合(S111「No」)、積載終了時点t1から中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始時点t2を遅らせる予め定められた遅延時間Δtを「0」に設定する(S109)。すなわち、折り曲げ開始時点t2の遅延処理は行われない。駆動制御部56は、積載終了時点t1から上記予め定められた経過時間T1の経過後に、中綴じ部27により用紙束PTの中央部を綴じさせて、用紙束PTを折り曲げさせる(S110)。これは、記録紙Pの表面の印字率IRが閾値IS以上でなければ、1枚目の記録紙Pの表面がインクで濡れている程度が比較的少ないので、記録紙Pの面が折られて重なり押圧されても、記録紙Pの面の画像形成が画像移り又は画像擦れにより損なわれるおそれが低いためである。
【0088】
また、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRが閾値IS以上であると判定した場合(S111「Yes」)、中綴じ部27を駆動制御して、図3A(B)に示すように各分割テーブル75A、75B上で用紙束PTを移動させ、ステイプル部77により用紙束PTの中央部に対してステイプル処理を施させ、図3B(C)に示すように用紙束PTの中央部を各分割テーブル75A、75Bの間のスペースに位置決めさせるまでの処理を行う(S113)。
【0089】
また、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRに応じた折り曲げ開始時点t2の遅延処理に用いる上記予め定められた遅延時間Δtを設定する(S114)。例えば、図7に示すように複数の印字率範囲IWとそれぞれの遅延時間Δtを対応付けた印字率テーブルDT1が記憶部54に予め記憶されている。駆動制御部56は、記憶部54に記憶されている印字率テーブルDT1を参照して、1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRが含まれる印字率範囲IWを選択し、この選択された印字率範囲IWに対応付けられた遅延時間Δtを取得する。この印字率テーブルDT1では、印字率IRが高くなる程、遅延時間Δtがより長くなるように各印字率範囲IWと各遅延時間Δtが対応付けられている。このため、S114では、1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRが高くなる程、より長い遅延時間Δtが設定される。
【0090】
続いて、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、湿度検出部29によって検出された用紙後処理装置20内部の湿度Hを取得し、この取得された湿度Hが高くなる程、S114で設定された遅延時間Δtが長くなるように、遅延時間Δtを補正する(S115)。例えば、図8に示すように複数の湿度範囲HWと複数の補正係数M1を対応付けた湿度補正テーブルDT2を記憶部54に予め記憶させておく。駆動制御部56は、記憶部54に記憶されている湿度補正テーブルDT2を参照して、湿度検出部29によって検出された湿度Hが含まれる湿度範囲HWを選択し、この選択された湿度範囲HWに対応付けられた補正係数M1を取得し、S114で設定された遅延時間Δtにその取得された補正係数M1を掛け合わせて、遅延時間Δtを補正する。この湿度補正テーブルDT2では、湿度Hが高くなる程、補正係数M1が大きくなるように各湿度範囲HWと各補正係数M1が対応付けられている。このため、S115では、用紙後処理装置20内部の湿度Hが高くなる程、より補正係数M1が大きくなり、遅延時間Δtがより長くなるように補正される。
【0091】
すなわち、記録紙Pの表面の印字率IRが閾値IS以上である場合は、記録紙Pの表面の印字率IRに応じて、各分割テーブル75A、75Bへの各記録紙Pの搬送及び積載が終了した積載終了時点t1から中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始時点t2までの遅延時間Δtが設定され、この遅延時間Δtが湿度Hに応じて補正される。
【0092】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、S107で積載終了時点t1から計時する経過時間tsが、上記予め定められた経過時間T1に遅延時間Δtを加算した時間Δt2に達するのを待機し(S116「No」)、経過時間tsが時間Δt2に達したとき(S116「Yes」)、すなわち、遅延処理がされた新たな折り曲げ開始時点t2が到来したとき(S117)、図3B(D)に示すように中綴じ部27により用紙束PTを折り曲げさせる(S119)。中綴じ部27により綴じられて折り曲げられた用紙束PTは、ガイド部81により排出コンベアー83へと案内され、排出コンベアー83により搬送されて第2排紙トレイ28へと排出される。
【0093】
従って、各分割テーブル75A、75Bへの各記録紙Pの搬送及び積載が終了した積載終了時点t1から、遅延処理がされた新たな折り曲げ開始時点t2が到来するまでの間は、中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げが開始されることはない。これより、用紙束PTの最も下側の1枚目の記録紙Pの下に向く表面の画像(インク)を乾燥させる時間を確保する。このため、その1枚目の記録紙Pの下に向く表面が内向きに折られて重ねられたときの、この1枚目の記録紙Pの表面の画像が損なわれるおそれを少なくする。
【0094】
また、このように印字率IR及び湿度Hが高くなる程、遅延時間Δtを長く設定するので、その1枚目の記録紙Pの下に向く表面がより多くのインクで濡れていても、或いはインクが乾燥し難い湿度環境であっても、その1枚目の記録紙Pの下に向く表面の画像(インク)を乾燥させる時間が適切に確保される。
【0095】
また、ユーザーが、用紙束PTの折り曲げ方法として、両面印刷で表面の外折りを指示した場合、画像形成装置10の制御部46は、記録紙Pの両面にそれぞれの原稿Mの画像を形成させ、記録紙Pの表面を上向きにした状態で、記録紙Pを中継搬送路18から搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。用紙後処理装置20では、各記録紙Pを逐次受け取ると、各記録紙Pの表面を上向きにした状態で、各記録紙Pを各分割テーブル75A、75B上に積載する。
【0096】
この場合、各分割テーブル75A、75B上に積載された各記録紙Pの下向きの裏面には画像が形成されている。そして、折りブレード79の先端により各分割テーブル75A、75B上に積載された用紙束PTの最も下側の1枚目の記録紙Pの下に向く裏面が内向きに折られて向き合って重なる。
【0097】
このため、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、S102で折り曲げ方法として、両面印刷で表面の外折りを判定していた場合(S108「両面印刷で表面の外折り」)、内向きに折られて重ねられる記録紙Pの面が印刷された裏面であると判定し、S103で取得された1枚目の記録紙Pの裏面の印字率IRを取得して当該印字率IRが閾値IS以上であるか否かを判定する(S120)。
【0098】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、1枚目の記録紙Pの裏面の印字率IRが閾値IS以上でないと判定した場合(S120「No」)、遅延時間Δtを「0」に設定する(S121)。すなわち、折り曲げ開始時点t2の遅延処理は行われない。駆動制御部56は、積載終了時点t1から上記予め定められた経過時間T1の経過後に、中綴じ部27により用紙束PTの中央部を綴じさせて、用紙束PTを折り曲げさせる(S122)。
【0099】
また、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、1枚目の記録紙Pの裏面の印字率IRが閾値IS以上であると判定した場合(S120「Yes」)、中綴じ部27を駆動制御して、図3A(B)に示すように各分割テーブル75A、75B上で用紙束PTを移動させ、ステイプル部77により用紙束PTの中央部に対してステイプル処理を施させ、図3B(C)に示すように用紙束PTの中央部を各分割テーブル75A、75Bの間のスペースに位置決めさせるまでの処理を行う(S124)。
【0100】
また、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、記憶部54に記憶されている図7に示すような印字率テーブルDT1を参照して、S103で取得された1枚目の記録紙Pの裏面の印字率IRに応じた遅延時間Δtを設定する(S125)。これにより、S103で取得された記録紙Pの裏面の印字率IRが高くなる程、より長い遅延時間Δtが設定される。
【0101】
そして、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、記憶部54に記憶されている図8に示すような湿度補正テーブルDT2を参照して、湿度検出部29によって検出された用紙後処理装置20内部の湿度Hが高くなる程、S125で設定された遅延時間Δtが更に長くなるように、遅延時間Δtを補正する(S126)。
【0102】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、S107で積載終了時点t1より計時を開始された経過時間tsが、上記予め定められた経過時間T1に遅延時間Δtを加算した時間Δt2に達するのを待機し(S127で「No」)、経過時間tsが時間Δt2に達したとき(S127「Yes」)、すなわち、遅延処理がされた新たな折り曲げ開始時点t2が到来したと判定する(S128)。駆動制御部56は、この折り曲げ開始時点t2で、中綴じ部27を駆動制御して、図3B(D)に示すように中綴じ部27による用紙束PTを折り曲げさせる(S130)。中綴じ部27により綴じられて折り曲げられた用紙束PTは、排出コンベアー83により搬送されて第2排紙トレイ28へと排出される。
【0103】
これにより、遅延時間Δtの間に、1枚目の記録紙Pの下に向く裏面の画像(インク)が乾燥し、その1枚目の記録紙Pの下に向く裏面が内向きに折られて重ねられても、この1枚目の記録紙Pの裏面の画像が損なわれるおそれが少なくなる。
【0104】
また、ユーザーが、用紙束PTの折り曲げ方法として、両面印刷で表面の内折りの実行指示を入力した場合、画像形成装置10の制御部46は、記録紙Pの両面にそれぞれの原稿Mの画像を形成させ、記録紙Pの表面を下向きにした状態で、記録紙Pを中継搬送路18から搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。用紙後処理装置20では、各記録紙Pを逐次受け取ると、各記録紙Pの表面を下向きにした状態で、各記録紙Pを各分割テーブル75A、75B上に積載する。
【0105】
この場合、各分割テーブル75A、75B上に積載された各記録紙Pの下向きの表面には画像が形成されている。そして、折りブレード79の先端により各分割テーブル75A、75B上に積載された用紙束PTの最も下側の1枚目の記録紙Pの下に向く表面が内向きに折られて重ねられる。
【0106】
このため、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、S102で折り曲げ方法として、両面印刷で表面の内折りを判定していた場合(S108「両面印刷で表面の内折り」)、内向きに折られて重ねられる記録紙Pの面が印刷された表面であると判定し、S103で取得された1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRが閾値IS以上であるか否かを判定する(S120)。
【0107】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRが閾値IS以上でないと判定した場合(S120「No」)、積載終了時点t1から中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始時点t2を遅らせる予め定められた遅延時間Δtを「0」に設定する(S121)。すなわち、折り曲げ開始時点t2の遅延処理は行われない。駆動制御部56は、積載終了時点t1から上記予め定められた経過時間T1の経過後、すなわち、遅延処理がされていない元の折り曲げ開始時点t2で、中綴じ部27により用紙束PTの中央部を綴じさせて、用紙束PTを折り曲げさせる(S122)。
【0108】
また、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRが閾値IS以上であると判定した場合(S120「Yes」)、中綴じ部27を駆動制御して、各分割テーブル75A、75B上で用紙束PTを移動させ、ステイプル部77により用紙束PTの中央部に対してステイプル処理を施させ、用紙束PTの中央部を各分割テーブル75A、75Bの間のスペースに位置決めさせるまでの処理を行う(S124)。
【0109】
また、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、記憶部54に記憶されている印字率テーブルDT1を参照して、S103で取得された記録紙Pの表面の印字率IRに応じた遅延時間Δtを設定する(S125)。これにより、S103で取得された1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRが高くなる程、より長い遅延時間Δtが設定される。
【0110】
そして、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、記憶部54に記憶されている湿度補正テーブルDT2を参照して、湿度検出部29によって検出された湿度Hが高くなる程、S125で設定された遅延時間Δtが更に長くなるように、遅延時間Δtを補正する(S126)。
【0111】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、S107で積載終了時点t1より計時を開始された経過時間tsが、上記予め定められた経過時間T1に遅延時間Δtを加算した時間Δt2に達するのを待機し(S127で「No」)、経過時間tsが時間Δt2に達したとき(S127「Yes」)、すなわち、遅延処理がされた新たな折り曲げ開始時点t2が到来したと判定する(S128)。駆動制御部56は、この折り曲げ開始時点t2で、中綴じ部27により用紙束PTを折り曲げさせる(S130)。中綴じ部27により綴じられて折り曲げられた用紙束PTは、排出コンベアー83により搬送されて第2排紙トレイ28へと排出される。
【0112】
これにより、遅延処理がされた新たな折り曲げ開始時点t2が到来するまでの間に、1枚目の記録紙Pの下に向く表面の画像(インク)が乾燥し、その1枚目の記録紙Pの下に向く表面が内向きに折られて重ねられても、この1枚目の記録紙Pの表面の画像が損なわるおそれが少なくなる。
【0113】
このように本実施形態では、折りブレード79の先端により用紙束PTが下方から突き上げられて、用紙束PTの最も下側の記録紙Pの下に向く面が内向きに折られて向き合って重ねられることから、この記録紙Pの下に向く面を判定し、この判定された記録紙Pの面の印字率IRを取得して、この取得された印字率IRが閾値IS以上であるか否かを判定し、印字率IRが閾値IS以上である場合に、印字率IRに応じた遅延時間Δtを設定し、遅延処理がされた新たな折り曲げ開始時点t2が到来するまで中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ処理の開始を遅らせるので、用紙束PTの最も下側の記録紙Pの下に向く面の画像(インク)を乾燥させる時間を確保でき、画像形成される面同士が重なることを要因とする画像形成不良の発生が防止される。
【0114】
なお、用紙後処理装置20の内部の温度Tを検出する温度検出部を更に設け、或いは、湿度検出部29に代えて設け、駆動制御部56が、温度検出部により検出された温度Tに応じて中綴じ部27による用紙束PTの折り曲げ開始時期t2の遅延処理を行うようにしてもよい。例えば、複数の温度範囲と複数の補正係数を対応付けた温度補正テーブルを記憶部54に予め記憶させておく。この場合、温度検出部により検出された温度が高いほど、遅延時間Δtを短くする補正係数が設定される。駆動制御部56は、記憶部54に記憶されている温度補正テーブルを参照して、温度検出部により検出された温度Tが含まれる温度範囲を選択し、この選択された温度範囲に対応付けられた補正係数を取得し、遅延時間Δtにその取得された補正係数を掛け合わせて、遅延時間Δtを補正する。
【0115】
また、記録紙Pの種類により、記録紙Pの吸湿性が異なり、記録紙Pの面の濡れ程度が変わるので、記録紙Pの種類に応じて印字率IRと比較される閾値ISを変更してもよい。例えば、複数種の記録紙Pと複数の閾値ISを対応付けた閾値補正テーブルを記憶部54に予め記憶させておく。ユーザーは、用紙後処理装置20の中綴じ部27により各記録紙Pに対する後処理を行わせるために、中綴じ処理の実行、折り曲げ方法、及び用紙束PTとなる各記録紙Pの枚数nの指示を入力するときに、記録紙Pの種類を指定する指示も操作部42に入力する。用紙後処理装置20の駆動制御部56は、記録紙Pの種類を指定する指示が操作部42に入力されると、記憶部54に記憶されている閾値補正テーブルを参照して、その指示が示す記録紙Pの種類に対応付けられた閾値ISを取得し、1枚目の記録紙Pの表面又は裏面の印字率IRがその取得した閾値IS以上である場合に、印字率IRに応じた遅延時間Δtを設定して、用紙束PTの折り曲げ開始時点t2の遅延処理を実行する。
【0116】
また、上記実施形態では、用紙束PTに対して折り曲げ処理を行う場合を例にして説明しているが、用紙束PTではなく1枚の記録紙Pを対象として折り曲げ処理を行う場合にも、上記に示した折り曲げ開始時点t2を遅らせる一連の処理を行うことにより、画像形成される面同士が重なることを要因とする画像形成不良の発生を防止することは可能である。
【0117】
駆動制御部56は、上記折り曲げ開始時期t2の遅延処理に加えて、送風ファン25を、1枚目の記録紙Pの表面の印字率IRが閾値IS以上であると判定した時点から、遅延処理がされた新たな折り曲げ開始時期t2が到来するまでの間駆動させるようにしてもよい。この場合、送風ファン25からの空気流により記録紙Pの面の画像の乾燥が促進されるため、この促進分だけ遅延時間Δtを短縮させることが可能である。例えば、送風ファン25からの空気流により記録紙Pの面の画像の乾燥時間が30%短縮される場合は、上記予め定められた経過時間T1に遅延時間Δtを加算した時間Δt2を30%短縮させることができる。
【0118】
また、上記実施形態では、2つ折り、3つ折りを例示しているが、Z折り、ブックレット処理など別の折り方であっても、用紙束の折り曲げのときに内向きに折られて重ねられる記録紙の面の印字率を取得して、この取得された印字率が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、この印字率が閾値以上である場合に、用紙束PTの折り曲げ開始時点t2の遅延処理を実行するようにしてもよい。
【0119】
また上記実施形態では、用紙後処理装置20に用紙後処理装置20の駆動制御部56を設けているが、用紙後処理装置20の駆動制御部56を省略して、制御部46により用紙後処理装置20を直接制御する構成としてもよい。
【0120】
また、図1乃至図8を用いて説明した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0121】
10 画像形成装置
11 画像読取部
12 画像形成部
20 用紙後処理装置
29 湿度検出部
27 中綴じ部
28 第2排紙トレイ
41 表示部
42 操作部
43 タッチパネル
44 記憶部
46 制御部
47 インターフェイス
54 記憶部
56 駆動制御部
57 インターフェイス
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8