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特開2024-1535機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、及び画像形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001535
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231227BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231227BHJP
   B41J 3/36 20060101ALN20231227BHJP
   B41J 21/16 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
B41J29/38 202
G03G15/00 303
B41J3/36 Z
B41J21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100245
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】古川 雄一
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
2C187
2H270
【Fターム(参考)】
2C055AA00
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AS08
2C061HJ02
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HK19
2C187AC06
2C187AD05
2C187AG08
2C187BH17
2C187CD02
2H270LA44
2H270LA71
2H270LA75
2H270LC10
2H270LD03
2H270MC21
2H270MC55
2H270MD02
2H270MD05
2H270MF09
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】画像を適切な位置に形成することができるようにする。
【解決手段】画像形成装置において所定の搬送方向に搬送される媒体に前記搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲のピッチに関連するピッチ関連情報と、前記媒体の搬送状態に関連する搬送関連情報とを含む第1のデータを記憶する記憶部と、前記第1のデータ、及び前記印刷範囲のピッチを補正する第2のデータを用いて機械学習処理を行うことにより、前記第1のデータが入力され前記第2のデータが出力される学習モデルを生成する学習モデル生成部とを備える。
【選択図】図10

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において所定の搬送方向に搬送される媒体に前記搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲のピッチに関連するピッチ関連情報と、前記媒体の搬送状態に関連する搬送関連情報とを含む第1のデータを記憶する記憶部と、
前記第1のデータ、及び前記印刷範囲のピッチを補正する第2のデータを用いて機械学習処理を行うことにより、前記第1のデータが入力され前記第2のデータが出力される学習モデルを生成する学習モデル生成部と
を備えることを特徴とする機械学習装置。
【請求項2】
前記搬送関連情報は、
前記印刷範囲毎の、前記媒体が張架状態となっている張架時間を示す情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記搬送関連情報は、
第1の印刷範囲を含む複数の印刷範囲のそれぞれの前記張架時間の平均値を示す情報である
ことを特徴とする請求項2に記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記媒体は、
基材層と前記印刷範囲となる複数の剥離層とを有する連続媒体であり、
前記剥離層は、一定の間隔を設けて前記基材層上に配置されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の機械学習装置。
【請求項5】
媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体に前記搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲に画像を形成する画像形成部と、
前記印刷範囲のピッチに関連するピッチ関連情報を取得するピッチ関連情報取得部と、
前記媒体の搬送状態に関連する搬送関連情報を取得する搬送関連情報取得部と、
前記ピッチ関連情報と前記搬送関連情報とを含む第1のデータが入力され、前記印刷範囲のピッチを補正する第2のデータが出力される学習モデルを記憶する記憶部と、
前記学習モデルを用いて、前記第1のデータに基づいて前記第2のデータを生成する演算部と、
前記演算部の出力結果に基づいて、前記印刷範囲における前記画像形成部による画像形成位置を調節する調節部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送関連情報は、
前記印刷範囲毎の、前記媒体が張架状態となっている張架時間を示す情報である
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送関連情報は、
第1の印刷範囲を含む複数の印刷範囲のそれぞれの前記張架時間の平均値を示す情報である
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記演算部は、
前記張架時間の平均値が所定の閾値以下である場合には、当該平均値を0として、前記学習モデルに入力する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記記憶部は、
前記学習モデルを第1の学習モデルとして、当該第1の学習モデルとは別に、前記ピッチ関連情報を含み前記搬送関連情報を含まない第3のデータが入力され、前記印刷範囲のピッチを補正する前記第2のデータが出力される第2の学習モデルを記憶し、
前記演算部は、
前記張架時間の平均値が所定の閾値以下である場合には、前記第2の学習モデルを用いて、前記第3のデータに基づいて前記第2のデータを生成する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記媒体は、
基材層と前記印刷範囲となる複数の剥離層とを有する連続媒体であり、
前記剥離層は、一定の間隔を設けて前記基材層上に配置されている
ことを特徴とする請求項5~9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像形成装置において所定の搬送方向に搬送される媒体に前記搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲のピッチに関連するピッチ関連情報と、前記媒体の搬送状態に関連する搬送関連情報とを含む第1のデータを記憶部に記憶することと、
前記第1のデータ、及び前記印刷範囲のピッチを補正する第2のデータを用いて機械学習処理を行うことにより、前記第1のデータが入力され前記第2のデータが出力される学習モデルを生成することと
を含む
ことを特徴とする機械学習方法。
【請求項12】
搬送部により媒体を所定の搬送方向に搬送することと、
前記媒体に前記搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲のピッチに関連するピッチ関連情報と、前記媒体の搬送状態に関連する搬送関連情報とを含む第1のデータが入力され、前記印刷範囲のピッチを補正する第2のデータが出力される学習モデルを記憶部に記憶することと、
前記学習モデルを用いて、前記第1のデータに基づいて前記第2のデータを生成することと、
生成された前記第2のデータに基づいて、前記印刷範囲における画像形成部による画像形成位置を調節することと、
前記画像形成部により、調整された画像形成位置に画像を形成することと
を含む
ことを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷範囲が設けられた媒体における印刷範囲の位置を学習する機械学習装置及び機械学習方法と、このような機械学習装置及び機械学習方法により得られた学習モデルを利用して印刷範囲に画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、基材層(例えばロール台紙)に複数の剥離層(例えばラベル)が配置されたいわゆる連続媒体(例えばラベルロール紙)に画像を形成可能なものがある。また近年、画像形成装置においてもAI学習(機械学習)が活用されるようになっており、例えば、AI学習により得られた学習済モデルを利用して、様々な印刷設定で印刷した場合の印刷結果を示す複数の画像データを生成して表示し、表示した複数の画像データの中からユーザに所望の画像データを選択させ、選択された画像データに対応する印刷設定で印刷するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-117388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連続媒体に画像を形成する画像形成装置では、印刷範囲となる剥離層の位置に合わせて画像を形成することが要求される為、AI学習を活用することで、画像をより適切な位置に形成することできるようになると考えられる。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、画像を適切な位置に形成することができる機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、及び画像形成方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の機械学習装置は、画像形成装置において所定の搬送方向に搬送される媒体に前記搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲のピッチに関連するピッチ関連情報と、前記媒体の搬送状態に関連する搬送関連情報とを含む第1のデータを記憶する記憶部と、前記第1のデータ、及び前記印刷範囲のピッチを補正する第2のデータを用いて機械学習処理を行うことにより、前記第1のデータが入力され前記第2のデータが出力される学習モデルを生成する学習モデル生成部とを備える。
【0007】
本発明の画像形成装置は、媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、前記媒体に前記搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲に画像を形成する画像形成部と、前記印刷範囲のピッチに関連するピッチ関連情報を取得するピッチ関連情報取得部と、前記媒体の搬送状態に関連する搬送関連情報を取得する搬送関連情報取得部と、前記ピッチ関連情報と前記搬送関連情報とを含む第1のデータが入力され、前記印刷範囲のピッチを補正する第2のデータが出力される学習モデルを記憶する記憶部と、前記学習モデルを用いて、前記第1のデータに基づいて前記第2のデータを生成する演算部と、前記演算部の出力結果に基づいて、前記印刷範囲における前記画像形成部による画像形成位置を調節する調節部とを備える。
【0008】
本発明の機械学習方法は、画像形成装置において所定の搬送方向に搬送される媒体に前記搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲のピッチに関連するピッチ関連情報と、前記媒体の搬送状態に関連する搬送関連情報とを含む第1のデータを記憶部に記憶することと、前記第1のデータ、及び前記印刷範囲のピッチを補正する第2のデータを用いて機械学習処理を行うことにより、前記第1のデータが入力され前記第2のデータが出力される学習モデルを生成することとを含む。
【0009】
本発明の画像形成方法は、搬送部により媒体を所定の搬送方向に搬送することと、前記媒体に前記搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲のピッチに関連するピッチ関連情報と、前記媒体の搬送状態に関連する搬送関連情報とを含む第1のデータが入力され、前記印刷範囲のピッチを補正する第2のデータが出力される学習モデルを記憶部に記憶することと、前記学習モデルを用いて、前記第1のデータに基づいて前記第2のデータを生成することと、生成された前記第2のデータに基づいて、前記印刷範囲における画像形成部による画像形成位置を調節することと、前記画像形成部により、調整された画像形成位置に画像を形成することとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の機械学習装置及び機械学習方法によれば、画像を適切な位置に形成することができる。また本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、画像を適切な位置に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の一構成例を表す説明図である。
図2図1に示した記録媒体の一構成例を表す説明図である。
図3図1に示した画像形成ユニットの一構成例を表す説明図である。
図4図1に示したたるみ/張りセンサの一構成例を表す説明図である。
図5図1に示した画像形成装置の制御系の一例を表すブロック図である。
図6図5に示した画像形成装置におけるラベルピッチの推定処理に係るブロックの一例を表すブロック図である。
図7】ラベルピッチの推定処理の一例を表す説明図である。
図8】たるみ/張りセンサの出力結果を示すグラフである。
図9図6に示した前処理部の一構成例を表すブロック図である。
図10図6に示した補正値生成モデルを生成する機械学習装置の一構成例を表すブロック図である。
図11図10に示した機械学習装置における機械学習処理に係るブロックの一例を表すブロック図である。
図12図10に示した学習モデル生成部におけるニューラルネットワークの一構成例を表す説明図である。
図13図5に示した画像形成装置の一動作例を表すフローチャートである。
図14】記録媒体が張り状態にあるときの張り時間のページ毎の変化を示すグラフである。
図15】張り時間と、記録媒体のラベルに対する書き出し位置のズレ量との関係を示すグラフである。
図16】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置が画像の書き出し位置を精度よく推定できることを示すグラフである。
図17図10に示した機械学習装置の一動作例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[1.画像形成装置]
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置1の一構成例を表すものである。画像形成装置1は、例えば、ラベルロール紙などの記録媒体9に対して、電子写真方式を用いて画像を形成するプリンタとして機能するように構成される。この画像形成装置1は、本体部2と、記録媒体9を引き出して本体部2に供給する媒体供給部3とで構成される。
【0014】
図2は、記録媒体9の一構成例を表すものである。記録媒体9は、いわゆるダイカットラベルであり、複数のラベルLと台紙9Bとで構成される。ラベルLは、台紙9Bに仮着されており、台紙9Bからはがして、様々なものに貼り付けることができるものである。複数のラベルLは、記録媒体9のラベル面9Cにおいて、記録媒体9の長手方向(記録媒体9の搬送方向F1)にピッチ(以下、ラベルピッチと呼ぶ)LPで並設されている。このように、記録媒体9は、基材層としての台紙9Bと複数の剥離層としての複数のラベルLとを有する連続媒体であり、台紙9B上に一定の間隔(ラベルピッチLP)を設けてラベルLが配置されている。具体的には、記録媒体9では、ラベル長LLの長さを有するラベルLが、ラベル間隔LSの間隔で並設されていて、ラベル長LLにラベル間隔LSを加算した長さがラベルピッチLPであり、ここでは、1ラベルピッチLPが1ページとなっている。この例では、画像形成装置1が記録媒体9をロールから引き出して搬送方向F1(図2における右方向)に搬送する場合のラベルLの先端(図2におけるラベルLの右端)を基準にラベルピッチLPを定義している。
【0015】
画像形成装置1は、これらのラベルLに画像を形成する。つまり、記録媒体9は、台紙9Bから剥離可能なラベルLが印刷範囲(図2のLL)となっている。ラベルLに画像を形成する際、画像形成装置1は、詳しくは後述するが、検出された最新のラベルL(これを基準ラベルLA(図7参照)と呼ぶ)のラベルピッチLP、及びその基準ラベルLAより搬送方向F1の下流に配置され、過去に検出された複数のラベルLのラベルピッチLPなどに基づいて、基準ラベルLAよりもK個(例えば7個)だけ搬送方向F1の上流に配置されたラベルL(これを印刷対象ラベルLB(図7参照)と呼ぶ)の位置を推定し、その印刷対象ラベルLBの位置に合わせて画像を形成するようになっている。
【0016】
図1に戻り、画像形成装置1は、本体部2側に、画像形成ユニット10と、LED(Light Emitting Diode)ヘッド14と、一次転写ローラ21と、中間転写ベルト22と、駆動ローラ23と、アイドルローラ24と、テンションローラ25と、バックアップローラ26と、二次転写ローラ27とを備えている。これらは、画像形成装置1において、記録媒体9に画像を形成する画像形成部を構成している。
【0017】
画像形成ユニット10は、トナー像を形成するように構成される。尚、図1に示す画像形成装置1は、画像形成ユニット10と一次転写ローラ21を1セット分有するモノクロ印刷構成となっているが、画像形成装置1に画像形成ユニット10と一次転写ローラ21を複数セット分設けてカラー印刷構成としてもよい。この場合、例えば、黒、シアン、マゼンタ、イエローのトナー像をそれぞれ形成する4台の画像形成ユニット10と、これらに対応する4つの一次転写ローラ21とを、中間転写ベルト22の搬送方向F2に沿って配置すればよい。
【0018】
図3は、画像形成ユニット10の一構成例を簡略化したものである。画像形成ユニット10は、感光体11と、帯電ローラ13と、現像ローラ15と、現像ブレード16と、供給ローラ17と、トナー収容部18とを有している。
【0019】
感光体11は、表面(表層部分)に静電潜像を担持するように構成される。感光体11は、感光体モータ(図示せず)から伝達された動力により、図3における反時計回りで回転する。感光体11は、帯電ローラ13により帯電し、LEDヘッド14により露光される。これにより、感光体11の表面には、静電潜像が形成される。そして、現像ローラ15によりトナーが供給されることにより、感光体11には、静電潜像に応じたトナー像が形成(現像)されるようになっている。
【0020】
帯電ローラ13は、感光体11の表面(表層部分)を略均一に帯電させるように構成される。帯電ローラ13は、感光体11の表面(周面)に接するように配置され、所定の押し付け量で感光体11に押し付けられるように配置される。帯電ローラ13は、感光体11の回転に応じて、図3における時計回りで回転する。帯電ローラ13には、画像形成制御部53(後述)により帯電電圧が印加されるようになっている。
【0021】
LEDヘッド14は、感光体11に対して光を照射するように構成される。LEDヘッド14は、例えば、主走査線方向(図3における奥行方向)に並設された複数の発光ダイオードを有し、これらの発光ダイオードを用いて、ドット単位で感光体11に対して光を照射する。これにより、感光体11の表面には、静電潜像が形成されるようになっている。
【0022】
現像ローラ15は、トナーを表面に担持するように構成される。現像ローラ15は、感光体11の表面(周面)に接するように配置され、所定の押し付け量で感光体11に押し付けられるように配置される。現像ローラ15は、感光体モータ(図示せず)から伝達された動力により、図3における時計回りで回転する。現像ローラ15には、画像形成制御部53(後述)により現像電圧が印加されるようになっている。
【0023】
現像ブレード16は、現像ローラ15の表面に当接することにより、この現像ローラ15の表面にトナーからなる層(トナー層)を形成させるとともに、そのトナー層の厚さを規制(制御、調整)するように構成される。現像ブレード16は、例えば、ステンレスなどからなる板状弾性部材をL字形状に折り曲げたものを用いることができる。現像ブレード16は、その折れ曲がった部分が現像ローラ15の表面に当接するように配置され、所定の押し付け量で現像ローラ15に押し付けられるように配置される。
【0024】
供給ローラ17は、トナー収容部18内に収容されたトナーを、現像ローラ15に対して供給するように構成される。供給ローラ17は、現像ローラ15の表面(周面)に接するように配置され、所定の押し付け量で現像ローラ15に押し付けられるように配置される。供給ローラ17は、感光体モータ(図示せず)から伝達された動力により、図3における時計回りで回転する。これにより、画像形成ユニット10では、供給ローラ17の表面と現像ローラ15の表面との間に摩擦が生じる。その結果、画像形成ユニット10では、トナーが、いわゆる摩擦帯電により帯電するようになっている。供給ローラ17には、画像形成制御部53(後述)により供給電圧が印加されるようになっている。
【0025】
トナー収容部18は、トナーを収容するように構成される。具体的には、画像形成ユニット10のトナー収容部18は例えば黒色のトナーを収容するようになっている。
【0026】
この構成により、画像形成ユニット10では、感光体11が、帯電ローラ13により帯電し、LEDヘッド14により露光される。これにより、感光体11の表面には、静電潜像が形成される。またトナー収容部18内に収容されたトナーは、供給ローラ17及び現像ローラ15により帯電し、感光体11に供給される。これにより、感光体11には、静電潜像に応じたトナー像が形成(現像)されるようになっている。
【0027】
図1に戻り、一次転写ローラ21は、画像形成ユニット10により形成されたトナー像を、中間転写ベルト22の被転写面上に静電的にそれぞれ転写するように構成される。一次転写ローラ21は、中間転写ベルト22を介して画像形成ユニット10の感光体11に対向配置される。一次転写ローラ21は、感光体11に所定の押し付け量で押しつけられるように配置される。一次転写ローラ21には、画像形成制御部53(後述)により一次転写電圧が印加される。これにより、画像形成装置1では、画像形成ユニット10により形成されたトナー像が、中間転写ベルト22の被転写面上に転写(一次転写)されるようになっている。
【0028】
中間転写ベルト22は、環状の弾性ベルトであり、駆動ローラ23、アイドルローラ24、テンションローラ25、及びバックアップローラ26によって張設(張架)されるように構成される。そして、中間転写ベルト22は、駆動ローラ23の回転に応じて、搬送方向F2に向かって循環搬送されるようになっている。その際、中間転写ベルト22は、画像形成ユニット10の感光体11と一次転写ローラ21との間を通過するようになっている。この構成により、中間転写ベルト22は、一次転写により被転写面上に転写されたトナー像を、バックアップローラ26及び二次転写ローラ27により構成される二次転写部28へと搬送するようになっている。
【0029】
駆動ローラ23は、中間転写ベルト22を循環搬送するように構成される。具体的には、駆動ローラ23は、搬送方向F2において、画像形成ユニット10の上流に配置され、ベルトモータ(図示せず)から伝達された動力により、図1における時計回りで回転する。これにより、駆動ローラ23は、中間転写ベルト22を搬送方向F2の方向へ循環搬送するようになっている。
【0030】
アイドルローラ24は、中間転写ベルト22の循環搬送に応じて、図1における時計回りで従動回転するように構成される。アイドルローラ24は、搬送方向F2において、画像形成ユニット10の下流に配置される。
【0031】
テンションローラ25は、中間転写ベルト22の循環搬送に応じて、図1における反時計回りで従動回転するように構成される。テンションローラ25は、駆動ローラ23とバックアップローラ26との間に配置される。
【0032】
バックアップローラ26は、中間転写ベルト22の循環搬送に応じて、図1における時計回りで従動回転するように構成される。バックアップローラ26は、記録媒体9を搬送する搬送路8及び中間転写ベルト22を挟んで、二次転写ローラ27と対向配置される。バックアップローラ26は、この二次転写ローラ27とともに、二次転写部28を構成する。
【0033】
二次転写ローラ27は、中間転写ベルト22の被転写面上のトナー像を、記録媒体9の被転写面(ラベル面9C)上に転写するように構成される。二次転写ローラ27には、画像形成制御部53(後述)により二次転写電圧が印加される。これにより、画像形成装置1では、中間転写ベルト22の被転写面上のトナー像が、記録媒体9の被転写面上に転写(二次転写)されるようになっている。
【0034】
また画像形成装置1は、媒体供給ローラ31と、第1のラベルセンサ32と、第2のラベルセンサ33と、カッター34と、複数の搬送ローラ35(35A~35E)と、たるみ/張りセンサ36と、定着部40とを有している。これらは、記録媒体9の搬送路8に沿って配置されている。記録媒体9は、搬送路8を形成する媒体ガイド37に導かれることにより、搬送路8に沿って搬送されるようになっている。
【0035】
尚、搬送路8は、搬送方向F1の上流部分が媒体供給部3の内部に設けられ、上流部分につづく下流部分が、本体部2の内部に設けられている。媒体供給部3の内部には、搬送路8の上流側から順に、媒体供給ローラ31、第1のラベルセンサ32、カッター34、搬送ローラ35A、たるみ/張りセンサ36が設けられている。また本体部2の内部には、搬送路8の上流側から順に、搬送ローラ35B、35C、35D、第2のラベルセンサ33、二次転写部28、定着部40、搬送ローラ35Eが設けられている。
【0036】
媒体供給ローラ31は、搬送路8を挟んで配置された一対のローラで構成され、記録媒体9が巻かれたロールから記録媒体9を引き出して、搬送路8に沿って記録媒体9を搬送するように構成される。
【0037】
第1のラベルセンサ32は、媒体供給ローラ31とカッター34との間に設けられ、媒体供給ローラ31により供給された記録媒体9のラベルLを検出するように構成される。第1のラベルセンサ32は、例えば透過型の光学センサを用いて構成される。具体的には、第1のラベルセンサ32は、搬送路8を挟んで配置された発光部及び受光部を有する。発光部から受光部への光路は、記録媒体9の搬送路8を横切る。第1のラベルセンサ32では、発光部から射出した所定の強度の光のうち、記録媒体9により透過した光が、受光部において受光される。よって、光路上のラベルLの有無に応じて、受光部が受光する光の強度が異なる。第1のラベルセンサ32は、受光部が受光した光の強度に応じた検出信号を出力するようになっている。画像形成装置1は、第1のラベルセンサ32の検出信号に基づいて、ラベルLの先端を検出し、この検出結果に基づいて、カッター34による記録媒体9の切断位置を決定するようになっている。
【0038】
カッター34は、記録媒体9を切断するように構成される。カッター34は、画像形成装置1が、第1のラベルセンサ32の検出信号に基づいて決定した切断位置で、記録媒体9を切断するようになっている。
【0039】
複数の搬送ローラ35(35A~35E)は、それぞれ搬送路8を挟んで配置された1対のローラで構成され、それぞれ所定の箇所に配置されている。これら複数の搬送ローラ35(35A~35E)は、記録媒体9を搬送路8に沿って搬送方向F1に搬送するようになっている。
【0040】
たるみ/張りセンサ36は、図4(A)に簡略化した模式図を示すように、搬送路8の上方に設けられた回転可能なレバー36Lを備えている。レバー36Lは、搬送路8の幅方向に延びる回転軸を中心として回転可能に設けられ、先端部分が、搬送路8に沿って搬送される記録媒体9の上面に接することで、記録媒体9のたるみ/張り具合によって回転角度が変化するようになっている。たるみ/張りセンサ36は、このレバー36Lの回転角度を示す検出信号を出力するようになっている。画像形成装置1は、たるみ/張りセンサ36の検出信号(つまり回転角度)に基づいて、記録媒体9のたるみ/張り状態を検出するようになっている。
【0041】
具体的には、図4(A)に示すように、記録媒体9がわずかにたるんだ状態のときのレバー36Lの回転角度の範囲が、たるみ良好状態の回転角度の範囲として設定されている。また図4(C)に示すように、記録媒体9が大きくたるんだ状態のときのレバー36Lの回転角度の範囲が、過たるみ状態の回転角度の範囲として設定されている。さらに図4(B)に示すように、記録媒体9がたるまずに張った状態(つまりたるまずに張架した状態)のときのレバー36Lの回転角度の範囲が、張り状態(張架状態ともいう)の回転角度の範囲として設定されている。画像形成装置1は、たるみ/張りセンサ36から出力された回転角度が、設定されたどの範囲に含まれるのかを判定することで、記録媒体9のたるみ/張り状態が、たるみ良好状態、過たるみ状態、張り状態のいずれであるのかを検出するようになっている。
【0042】
尚、記録媒体9がたるみ良好状態にある場合というのは、本体部2側の媒体搬送速度が、媒体供給部3側の媒体搬送速度よりもわずかに遅くなっている場合である。また記録媒体9が過たるみ状態にある場合というのは、本体部2側の媒体搬送速度が、媒体供給部3側の媒体搬送速度よりも遅くなっている場合であり、記録媒体9が張り状態にある場合というのは、本体部2側の媒体搬送速度が、媒体供給部3側の媒体搬送速度(つまり媒体供給速度)よりも速くなっている場合である。画像形成装置1は、記録媒体9が張り状態であることを検出すると、記録媒体9がたるみ良好状態となるように、例えば媒体供給部3側の媒体供給速度を速めるようになっている。
【0043】
このように、画像形成装置1は、記録媒体9がわずかにたるんだたるみ良好状態となるように搬送制御を行うようになっている。このような搬送制御を行う理由は、主に、媒体供給部3内で発生する記録媒体9を搬送するときの外乱を防ぐ為である。媒体供給部3の媒体供給ローラ31は、記録媒体9のロール残量によりトルクが変動して、記録媒体9にかかる力が変化する。このような記録媒体9にかかる力の変化が外乱であり、画像形成装置1では、記録媒体9にわずかなたるみを発生させることで、記録媒体9にかかる力の変化を吸収するようになっている。
【0044】
別の言い方をすると、記録媒体9が張り状態になると外乱を吸収できなくなり、記録媒体9の搬送速度がばらついてしまう。この為、画像形成装置1では、記録媒体9が張り状態になった場合には、直ちにたるみ良好状態となるように搬送制御を行うようになっている。
【0045】
また画像形成装置1では、記録媒体9が過たるみ状態となると、記録媒体9の折れ曲がりや意図しない畳み込みが発生して媒体詰まりを起こす。この為、画像形成装置1では、記録媒体9が過たるみ状態であることを検出すると、例えば記録媒体9の搬送を一旦停止して、媒体詰まりが起きていることを表示するようになっている。この場合、例えばユーザが、媒体詰まりを解消する作業を行う。
【0046】
第2のラベルセンサ33は、二次転写部28よりも搬送方向F1の上流において、二次転写部28の近傍に配置される。この第2のラベルセンサ33も、第1のラベルセンサ32と同様、記録媒体9のラベルLを検出するように構成される。すなわち、第2のラベルセンサ33は、例えば透過型の光学センサを用いて構成される。画像形成装置1は、第2のラベルセンサ33の検出信号に基づいて、ラベルLの先端を検出する。そして、画像形成装置1は、各ラベルLの先端の検出結果に基づいてラベルピッチLPを検出し、複数のラベルLのラベルピッチLPに基づいて、印刷対象ラベルLBにおけるラベルピッチLPを推定する。そして、画像形成装置1は、推定したラベルピッチLPに基づいて、その印刷対象ラベルLBに対して画像を形成するための、LEDヘッド14(図3)が動作を開始するタイミング(書出タイミング)を決定するようになっている。
【0047】
これにより、画像形成装置1では、印刷対象ラベルLBが二次転写部28に到達するタイミングと、中間転写ベルト22におけるトナー像が二次転写部28に到達するタイミングとを一致させることができる。その結果、二次転写部28は、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置にトナー像を転写することできるようになっている。
【0048】
記録媒体9は、二次転写部28においてトナー像が転写された後、定着部40に供給される。
【0049】
定着部40は、記録媒体9に対し熱および圧力を付与することにより、記録媒体9上に転写されたトナー像を記録媒体9に定着させるように構成される。定着部40は、定着ローラ41と、加圧ローラ42とを有している。定着ローラ41は、例えば、その内部に、例えばハロゲンヒータなどのヒータを含んで構成され、記録媒体9上のトナーに対して熱を付与するように構成される。加圧ローラ42は、定着ローラ41との間に圧接部が形成されるように配置され、記録媒体9上のトナーに対して圧力を付与するように構成される。これにより、定着部40では、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着するようになっている。
【0050】
そして、定着部40によりトナー像が定着された記録媒体9は、画像形成装置1から排出される。画像形成装置1から排出された記録媒体9は、例えば、図示しないリワインダにより、図示しないモータから供給された動力を用いて巻き取られる。
【0051】
この構成により、画像形成装置1は、記録媒体9の各ラベルLに対して、連続的に画像形成を行うことができるようになっている。
【0052】
ところで、画像形成装置1で扱う記録媒体9においては、ラベルLが等間隔で配置されることが望ましいが、例えば製造方法により、ラベルLの位置がずれる場合がある。製造方法には、例えばいわゆる平圧方式がある。この平圧方式では、複数のラベルLの輪郭形状に対応した形状を有する刃を表面に配置した平板状の型を、ラベルLがまだ形成されていない記録媒体9に順次押し当てることにより、ラベルLを形成する。この場合には、複数のラベルLをワンセットとして形成する為、例えば、このセット内ではラベルピッチLPのばらつきが小さく、セット間のラベルピッチLPのばらつきは、セット内のラベルピッチLPのばらつきよりも大きくなる。
【0053】
画像形成装置1においては、このように記録媒体9のラベルピッチLPにばらつきがある場合でも、記録媒体9の印刷対象ラベルLBが二次転写部28に到達するタイミングと、中間転写ベルト22におけるトナー像が二次転写部28に到達するタイミングとにずれが生じないようにして、印刷対象ラベルLBの適切な位置に画像を形成することが望ましい。
【0054】
また画像形成装置1においては、本体部2の駆動と媒体供給部3の駆動のばらつきにより、記録媒体9の搬送速度がばらつく場合がある。このように記録媒体9の搬送速度がばらつくと、本体部2側の媒体搬送速度に対して媒体供給部3側の媒体搬送速度(媒体供給速度)が遅れて、記録媒体9が張り状態になることがある。記録媒体9が張り状態になると、本体部2側の媒体搬送速度に対して媒体供給部3側の媒体供給速度が遅れていることから、記録媒体9の印刷対象ラベルLBが二次転写部28に到達するタイミングが遅れることになる。
【0055】
画像形成装置1においては、このように記録媒体9の搬送速度にばらつきがある場合でも、記録媒体9の印刷対象ラベルLBが二次転写部28に到達するタイミングと、中間転写ベルト22におけるトナー像が二次転写部28に到達するタイミングとにずれが生じないようにして、印刷対象ラベルLBの適切な位置に画像を形成することが望ましい。
【0056】
そこで、画像形成装置1では、詳しくは後述するが、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチLP、及びその基準ラベルLAより搬送方向F1の下流に配置され、過去に検出された複数のラベルLのラベルピッチLP、記録媒体9のたるみ/張り状態などに基づいて、印刷対象ラベルLBの位置を推定する。これにより、画像形成装置1では、記録媒体9の製造方法や、記録媒体9の搬送速度のばらつきによる、印刷対象ラベルLBにおける画像形成位置への影響を抑えることができ、印刷対象ラベルLBの適切な位置に画像を形成することができるようになっている。
【0057】
図5は、画像形成装置1における制御系の一構成例を表すものである。画像形成装置1は、通信部51と、表示操作部52と、画像形成制御部53と、処理部60と、記憶部70とを備えている。
【0058】
通信部51は、例えばUSB(Universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)を用いて通信を行うように構成され、例えば、ホストコンピュータから送信された、各種印刷設定データや画像データを含む印刷データを受信するように構成される。印刷設定データは、例えば、ラベルピッチLPの設定値や、印刷すべきラベルLの数などについての情報を含む。
【0059】
表示操作部52は、ユーザの操作を受け付けるとともに、画像形成装置1の動作状態などを表示するように構成され、例えばタッチパネル、各種ボタン、液晶ディスプレイや各種インジケータを用いて構成される。
【0060】
画像形成制御部53は、処理部60からの指示に基づいて、画像形成装置1における画像形成動作を制御するように構成される。具体的には、画像形成制御部53は、例えば、LEDヘッド14(図3)における露光動作を制御する。また画像形成制御部53は、各種電源の動作を制御することにより、帯電電圧、現像電圧、供給電圧、一次転写電圧、および二次転写電圧の生成動作を制御する。また画像形成制御部53は、各種モータの動作を制御することにより、記録媒体9の搬送動作、画像形成ユニット10におけるトナー像の形成動作、及び中間転写ベルト22の搬送動作を制御する。また、画像形成制御部53は、定着部40のヒータに流れる電流を制御することにより、定着温度を制御するようになっている。
【0061】
処理部60は、画像形成装置1の各ブロックの動作を制御することにより、画像形成装置1の動作を制御するように構成される。処理部60は、例えば、プログラムを実行可能なプロセッサや、データを一時的に記憶可能なRAM(Random Access Memory)などを用いて構成される。処理部60は、ラベルセンサ値取得部61と、ラベルピッチ検出部62と、ラベルピッチ変位検出部63と、ラベルピッチ推定部64と、ラベルピッチ補正部65と、書出タイミング算出部66と、たるみ/張りセンサ値取得部67と、たるみ/張り状態検出部68とを有している。
【0062】
図6は、ラベルピッチ検出部62、ラベルピッチ変位検出部63、ラベルピッチ推定部64、ラベルピッチ補正部65、及びたるみ/張り状態検出部68の一例を表すものである。図7は、ラベルピッチ検出部62、ラベルピッチ変位検出部63、ラベルピッチ推定部64、及びラベルピッチ補正部65により処理されるラベルピッチLPに係るラベルLの一例を表すものである。図7において、例えば、Lは、i番目のラベルLを示し、Li-N+1は(i-N+1)番目のラベルLを示し、Li-Mは(i-M)番目のラベルLを示し、Li+Kは(i+K)番目のラベルLを示す。これらの番目の数は、画像形成装置1において画像が形成される順番を示す。i番目のラベルLは、検出された最新のラベルLである基準ラベルLAであり、(i+K)番目のラベルLi+Kは、印刷対象ラベルLBである。尚、本実施の形態では、説明を簡単にする為、ラベルLの番目とページ数とが一致しているとする。つまりi番目のラベルLは、iページ目のラベルLである。
【0063】
ラベルセンサ値取得部61(図5)は、第2のラベルセンサ33の検出信号が示すセンサ値を取得するように構成される。またたるみ/張りセンサ値取得部67(図5)は、たるみ/張りセンサ36の検出信号が示すセンサ値(つまりレバー36Lの回転角度)を取得するように構成される。
【0064】
ラベルピッチ検出部62(図5、6)は、ラベルセンサ値取得部61が取得したセンサ値に基づいて、各ラベルLのラベルピッチLPを検出するように構成される。そしてラベルピッチ検出部62は、検出したラベルピッチLPに基づいて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71を更新するようになっている。ラベルピッチ履歴データ71は、図7に示したように、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLのラベルピッチLPを示すデータである。
【0065】
ラベルピッチ変位検出部63は、ラベルピッチ検出部62が検出したラベルピッチLPに基づいて、このラベルピッチLPの検出値と、印刷データに含まれるラベルピッチLPの設定値との差分であるラベルピッチ変位LPDを検出するように構成される。そして、ラベルピッチ変位検出部63は、検出されたラベルピッチ変位LPDに基づいて、記憶部70に記憶された変位履歴データ73を更新するようになっている。変位履歴データ73は、図7に示したように、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のM個(例えば50個)前のラベルLから、この基準ラベルLAまでの、複数のラベルLの複数のラベルピッチ変位LPDを示すデータである。
【0066】
またラベルピッチ変位検出部63は、この変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値であるラベルピッチ変位平均値LPDAを算出し、この算出結果を変位平均データ74として記憶部70に記憶させる。またラベルピッチ変位検出部63は、変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチ変位LPDと、この基準ラベルLAのM個(例えば50個)前のラベルLのラベルピッチ変位LPDとの差分を算出し、この算出結果を変位変動データ75として記憶部70に記憶させるようになっている。
【0067】
ラベルピッチ推定部64は、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71に基づいて、印刷対象ラベルLBのラベルピッチLPを推定することにより推定ラベルピッチLP0を算出し、この推定ラベルピッチLP0をラベルピッチ推定データ72として記憶部70に記憶させるように構成される。例えば、記録媒体9が平圧方式で製造された場合には、ラベルピッチLPには周期性が生じ得る。ラベルピッチ推定部64は、このようなラベルピッチLPの周期性を解析することにより、印刷対象ラベルLBのラベルピッチLPを推定するようになっている。
【0068】
たるみ/張り状態検出部68は、たるみ/張りセンサ値取得部67が取得したセンサ値に基づいて、記録媒体9のたるみ/張り状態を検出するように構成される。ここで、たるみ/張り状態検出部68は、記録媒体9の1ページ毎(つまり1ラベル毎)に、記録媒体9が張り状態となっている時間(以下、これを張り時間(又は張架時間)と呼ぶ)を計測する。具体的には、たるみ/張り状態検出部68は、図8に示すように、たるみ/張りセンサ値取得部67が取得したセンサ値(基板電圧)の時間的変化を示す履歴データを所定時間分保持している。この図8から分かるように、記録媒体9はほぼ一定時間毎に張り状態となっている。たるみ/張り状態検出部68は、この履歴データを記録媒体9の1ページ毎に分割し、1ページ毎に張り時間(図8に示す例では基準電圧が一定値以上の時間)Ttをカウントするようになっている。
【0069】
尚、履歴データを1ページ毎に分割する為には、たるみ/張りセンサ36が1ページ分のたるみ/張り状態を検出するのに要した時間を算出する必要がある。この時間は、例えばラベルピッチ履歴データ71に含まれている各ラベルLのラベルピッチLPと、媒体供給部3に設定されている媒体搬送速度とを用いて算出することができる。
【0070】
さらにたるみ/張り状態検出部68は、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLの1ページ毎(1ラベル毎)の張り時間Ttの平均値である張り時間平均値を算出し、この算出結果を、張り時間平均データ77として記憶部70に記憶させる。
【0071】
ラベルピッチ補正部65は、ラベルピッチ推定部64により算出された推定ラベルピッチLP0を補正するように構成される。ラベルピッチ補正部65は、図6に示したように、前処理部65Aと、補正値生成部65Bと、補正処理部65Cとを有する。
【0072】
前処理部65Aは、図9に詳しく示すように、ラベルピッチ推定データ72が示す推定ラベルピッチLP0を、現在(つまり最新)の印刷対象ラベルLBのページ番号nに対応付け(つまり推定ラベルピッチLP0とし)、前処理用履歴データ76として記憶部70に記憶させる。また前処理部65Aは、変位平均データ74が示すラベルピッチ変位平均値LPDAを、現在の印刷対象ラベルLBのページ番号nに対応付け(つまりラベルピッチ変位平均値LPDAとし)、前処理用履歴データ76として記憶部70に記憶させる。このようにして、前処理部65Aは、現在の印刷対象ラベルLB及び過去の印刷対象ラベルLBのそれぞれのページ番号に対応付けられた現在及び過去の推定ラベルピッチLP0(LP0、LP0n-1、LP0n-2、…)と、現在及び過去に算出されたラベルピッチ変位平均値LPDA(LPDA、LPDAn-1、LPDAn-2、…)とを、前処理用履歴データ76として記憶部70に記憶させるようになっている。尚、前処理用履歴データ76には、少なくとも現在の印刷対象ラベルLBの推定ラベルピッチLP0及び現在の印刷対象ラベルLBの1ページ前(つまり1つ前)のラベルLの推定ラベルピッチLP0n-1と、現在のラベルピッチ変位平均値LPDA及び1ページ前(つまり1つ前)のラベルピッチ変位平均値LPDAn-1とが含まれていればよい。
【0073】
前処理部65Aは、前処理用履歴データ76から、現在の印刷対象ラベルLBの1ページ前のラベルL(つまり現在の印刷対象ラベルLBの搬送方向F1の下流に隣接するラベルL)の推定ラベルピッチLP0n-1を取得し、現在の推定ラベルピッチLP0から1ページ前の推定ラベルピッチLP0n-1を引いた値(これを推定LP差分値と呼ぶ)を、補正値生成部65Bに入力する。
【0074】
また前処理部65Aは、前処理用履歴データ76から、現在の印刷対象ラベルLBの1ページ前のラベルLのラベルピッチLPを推定したときに算出されたラベルピッチ変位平均値LPDAn-1を取得し、現在のラベルピッチ変位平均値LPDAから1ページ前のラベルピッチ変位平均値LPDAn-1を引いた値(これをLP変位平均差分値と呼ぶ)を、補正値生成部65Bに入力する。別の言い方をすると、現在のラベルピッチ変位平均値LPDAは、印刷対象ラベルLBのK個前の基準ラベルLAを含むN個のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値であり、ラベルピッチ変位平均値LPDAn-1は、基準ラベルLAの1ページ前のラベルLを含むN個のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値である。尚、前処理部65Aにより算出された推定LP差分値とLP変位平均差分値とを記憶部70に記憶させ、これらを補正値生成部65Bが記憶部70から取得するようにしてもよい。
【0075】
補正値生成部65B(図5)は、機械学習処理により得られた補正値生成モデルMを用いて、記憶部70に記憶された、ピッチ関連情報としての、ラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、前処理部65Aにより算出された推定LP差分値及びLP変位平均差分値と、張り関連情報としての張り時間平均データ77とに基づいて、ラベルピッチ推定データ72が示す推定ラベルピッチLP0に対する補正値ΔLPを示すデータを生成するように構成される。補正処理部65Cは、推定ラベルピッチLP0を、この補正値ΔLPに基づいて補正することにより推定ラベルピッチLP1を生成するように構成される。具体的には、補正処理部65Cは、図7に示したように、推定ラベルピッチLP0と補正値ΔLPとを加算することにより、推定ラベルピッチLP1を生成するようになっている。
【0076】
このようにして、画像形成装置1では、ラベルピッチ推定部64が印刷対象ラベルLBのラベルピッチLPを推定することにより推定ラベルピッチLP0を生成し、ラベルピッチ補正部65が、この推定ラベルピッチLP0を補正することにより、推定ラベルピッチLP1を生成するようになっている。
【0077】
書出タイミング算出部66(図5)は、ラベルピッチ補正部65により生成された推定ラベルピッチLP1に基づいて、その印刷対象ラベルLBに対して画像を形成する為の、LEDヘッド14(図3)が動作を開始するタイミング(書出タイミング)を算出するように構成される。
【0078】
記憶部70(図5、6)は、例えば揮発性のメモリ、不揮発性のメモリ、ハードディスクドライブなどを用いて構成され、各種プログラムや、各種設定データを記憶するように構成される。記憶部70は、ラベルピッチ履歴データ71と、ラベルピッチ推定データ72と、変位履歴データ73と、変位平均データ74と、変位変動データ75と、前処理用履歴データ76と、張り時間平均データ77と、補正値生成モデルMとを記憶する。
【0079】
ラベルピッチ履歴データ71は、上述したように、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLのラベルピッチLPを示すデータである。
【0080】
ラベルピッチ推定データ72は、上述したように、ラベルピッチ履歴データ71に含まれるN個(例えば7個)のラベルLのラベルピッチLPに基づいてラベルピッチ推定部64により推定された、印刷対象ラベルLBのラベルピッチLP(推定ラベルピッチLP0)を示すデータである。
【0081】
変位履歴データ73は、上述したように、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のM個(例えば50個)前のラベルLから、この基準ラベルLAまでの、複数のラベルLの複数のラベルピッチ変位LPDを示すデータである。
【0082】
変位平均データ74は、上述したように、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値(ラベルピッチ変位平均値LPDA)を示すデータである。
【0083】
変位変動データ75は、上述したように、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチ変位LPDと、この基準ラベルLAからM個(この例では50個)前のラベルLのラベルピッチ変位LPDとの差分を示すデータである。
【0084】
前処理用履歴データ76は、上述したように、現在及び過去に推定された推定ラベルピッチLP0(LP0、LP0n-1、LP0n-2、…)と、現在及び過去に算出されたラベルピッチ変位平均値LPDA(LPDA、LPDAn-1、LPDAn-2、…)とを含むデータである。
【0085】
張り時間平均データ77は、上述したように、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLの1ページ毎(1ラベル毎)の張り時間Ttの平均値を示すデータである。
【0086】
補正値生成モデルMは、予め機械学習処理を行うことにより生成された学習モデルであり、画像形成装置1の記憶部70に記憶される。補正値生成モデルMでは、ラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値、LP変位平均差分値、及び張り時間平均データ77が入力され、ラベルピッチ推定データ72が示すラベルピッチLPの推定値(推定ラベルピッチLP0)に対する補正値ΔLPを示すデータが出力されるようになっている。
【0087】
[2.機械学習装置]
図10は、補正値生成モデルMを生成する機械学習装置200の一構成例を表すものである。機械学習装置200は、例えばパーソナルコンピュータである。尚、機械学習装置200は、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、画像形成装置1における処理部60が機械学習処理を行うようにしてもよい。機械学習装置200には、ディスプレイ201と、キーボード202と、マウス203とが接続される。ディスプレイ201は、機械学習装置200から供給された画像信号に基づいて画像を表示するように構成される。キーボード202及びマウス203は、ユーザが情報を入力する際に用いるものである。
【0088】
機械学習装置200は、処理部210と、記憶部220と、メモリ230と、インタフェース240と、ディスプレイインタフェース250と、通信部260とを有している。処理部210、記憶部220、メモリ230、インタフェース240、ディスプレイインタフェース250、及び通信部260は、バス290に接続されている。
【0089】
処理部210は、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いて構成される。処理部210は、データセット取得部211と、教師データ生成部212と、学習モデル生成部213とを有している。
【0090】
図11は、データセット取得部211、教師データ生成部212、及び学習モデル生成部213の一例を表すものである。
【0091】
データセット取得部211は、機械学習処理に必要なデータのセットであるデータセットDSを取得するように構成される。そして、データセット取得部211は、取得したデータセットDSを記憶部220に記憶させるようになっている。データセットDSは、ラベルピッチ履歴データ221と、ラベルピッチ推定データ222と、推定LP差分値データ223と、LP変位平均差分値データ224と、変位変動データ225と、ラベルピッチデータ226と、張り時間平均データ227とを含んでいる。
【0092】
ラベルピッチ履歴データ221は、ラベルピッチ履歴データ71(図5、6)と同様に、あるラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLのラベルピッチLPを示すデータである。
【0093】
ラベルピッチ推定データ222は、ラベルピッチ推定データ72(図5、6)と同様に、ラベルピッチ履歴データ221に含まれるN個(例えば7個)のラベルLのラベルピッチLPに基づいて推定された、基準ラベルLAよりもK個(例えば7個)だけ搬送方向F1の上流に配置されたラベルLのラベルピッチLP(推定ラベルピッチLP0)を示すデータである。
【0094】
推定LP差分値データ223は、前処理部65A(図9)により算出された推定LP差分値を示すデータである。すなわち、推定LP差分値データ223は、基準ラベルLAよりもK個(例えば7個)だけ搬送方向F1の上流に配置されたラベルLの推定ラベルピッチLP0(LP0)から、当該推定ラベルピッチLP0の1ページ前の推定ラベルピッチLP0(LP0n-1)を引いた値を示すデータである。
【0095】
LP変位平均差分値データ224は、前処理部65A(図9)により算出されたLP変位平均差分値を示すデータである。すなわち、LP変位平均差分値データ224は、推定ラベルピッチLP0が推定されたときに算出されたラベルピッチ変位平均値LPDAから、1ページ前の推定ラベルピッチLP0n-1が推定されたときに算出されたラベルピッチ変位平均値LPDAn-1を引いた値を示すデータである。
【0096】
変位変動データ225は、変位変動データ75(図5、6)と同様に、あるラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチ変位LPDと、この基準ラベルLAからM個(例えば50個)前のラベルLのラベルピッチ変位LPDとの差分を示すデータである。
【0097】
ラベルピッチデータ226は、基準ラベルLAよりもK個(例えば7個)だけ搬送方向F1の上流に配置されたラベルLのラベルピッチLPを示すデータである。
【0098】
張り時間平均データ227は、張り時間平均データ77(図5、6)と同様に、あるラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLの1ページ毎(1ラベル毎)の張り時間Ttの平均値を示すデータである。
【0099】
データセット取得部211は、このようなラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、推定LP差分値データ223、LP変位平均差分値データ224、変位変動データ225、ラベルピッチデータ226、張り時間平均データ227を含むデータセットDSを、例えば画像形成装置1から取得することができる。すなわち、画像形成装置1は、例えば、記録媒体9に対して画像を形成せずに、記録媒体9を搬送させつつラベルLを順次検出するとともに、1ページ毎(つまり1ラベルごと)のたわみ/張り状態を検出することにより、複数のデータセットDSを得ることができる。具体的には、画像形成装置1は、ラベルLを順次検出する度に、検出された最新のラベルLを基準ラベルLAとして設定し、データセットDSを得ることができる。データセット取得部211は、このようにして画像形成装置1により得られた複数のデータセットDSを取得する。そして、データセット取得部211は、取得した複数のデータセットDSを記憶部220に記憶させるようになっている。
【0100】
教師データ生成部212は、記憶部220に記憶されたデータセットDSに含まれる、ラベルピッチデータ226が示すラベルピッチLPと、ラベルピッチ推定データ222が示す推定ラベルピッチLP0との差分に基づいて、補正値ΔLPを教師データDTとして生成するように構成される。具体的には、教師データ生成部212は、ラベルピッチデータ226が示すラベルピッチLPから、ラベルピッチ推定データ222が示す推定ラベルピッチLP0を減算することにより、補正値ΔLPを生成するようになっている。
【0101】
学習モデル生成部213は、記憶部220に記憶されたラベルピッチ履歴データ221、推定LP差分値データ223、LP変位平均差分値データ224、変位変動データ225、張り時間平均データ227、及び教師データ生成部212により生成された教師データDT(補正値ΔLP)に基づいて、機械学習処理を行うことにより、補正値生成モデルMを生成するように構成される。学習モデル生成部213は、例えばニューラルネットワークモデルを用いた、いわゆる教師あり学習を行うことにより、補正値生成モデルMを生成する。そして、学習モデル生成部213は、生成した補正値生成モデルMを記憶部220に記憶させるようになっている。
【0102】
図12は、学習モデル生成部213において行われる教師あり学習のためのニューラルネットワークモデルの一例を表すものである。ニューラルネットワークモデルにおけるニューラルネットワークNNは、入力層LXにおけるk個のニューロンx(ニューロンx~x)と、第1中間層LY1におけるm個のニューロンy1(ニューロンy1~y1)と、第2中間層LY2におけるn個のニューロンy2(ニューロンy2~y2)と、出力層LZにおける1個のニューロンz(ニューロンz)とを有している。この例では、2つの中間層を設けたが、これに限定されるものではなく、3つ以上の中間層を設けてもよいし、1つの中間層を設けてもよい。
【0103】
入力層LXと第1中間層LY1との間、第1中間層LY1と第2中間層LY2との間、第2中間層LY2と出力層LZとの間には、ニューロンを接続するノードが設けられており、それぞれのノードには、重みwj(jは自然数)が対応づけられている。
【0104】
以下に、記憶部220に記憶されたラベルピッチ履歴データ221、推定LP差分値データ223、LP変位平均差分値データ224、変位変動データ225、張り時間平均データ227、及び教師データ生成部212により供給された補正値ΔLPに基づいて、機械学習処理を実行することにより補正値生成モデルMを生成する処理を説明する。
【0105】
学習モデル生成部213は、記憶部220に記憶されたラベルピッチ履歴データ221、推定LP差分値データ223、LP変位平均差分値データ224、変位変動データ225、及び張り時間平均データ227と、教師データ生成部212により供給された補正値ΔLPとの相関関係を学習する。具体的には、学習モデル生成部213は、ラベルピッチ履歴データ221、推定LP差分値データ223、LP変位平均差分値データ224、変位変動データ225、及び張り時間平均データ227を入力層LXの複数のニューロンxに対応づけることにより、出力層LZのニューロンzの値を算出する。まず学習モデル生成部213は、入力層LXのk個のニューロンxの値に基づいて、第1中間層LY1のm個のニューロンy1の値を算出する。具体的には、学習モデル生成部213は、第1中間層LY1の各ニューロンy1の値を、このニューロンy1に接続された、入力層LXのk個のニューロンxの値に基づいて、各ノードに対応づけられた重みWiを用いて重みづけ加算を行うことにより算出する。同様に、学習モデル生成部213は、第1中間層LY1のm個のニューロンy1の値に基づいて、第2中間層LY2のn個のニューロンy2の値を算出し、第2中間層LY2のn個のニューロンy2の値に基づいて、出力層LZのニューロンzの値を算出する。
【0106】
そして、学習モデル生成部213は、算出された出力層LZのニューロンzの値と、教師データDTに含まれるデータtの値とを比較して誤差を求める。ここで、ニューロンzの値は、ラベルピッチ履歴データ221、推定LP差分値データ223、LP変位平均差分値データ224、変位変動データ225、及び張り時間平均データ227に基づいて算出された補正値ΔLPであり、データtの値は、教師データDTにおける補正値ΔLPである。そして、学習モデル生成部213は、求められた誤差が小さくなるように、各ノードに対応づけられた重みwiを調整する(バックプロバケーション)ことを反復する。
【0107】
そして、上述した一連の工程を所定回数反復して実施し、あるいは上述した誤差が許容値より小さくなること等の所定の条件が満たされるまで反復して実施した場合には、学習モデル生成部213は、学習を終了して、そのニューラルネットワークモデルを補正値生成モデルMとして記憶部220に記憶させる。このようにして、学習モデル生成部213は、ニューラルネットワークモデルのノードのそれぞれに対応づけられた全ての重みwjについての情報を含む補正値生成モデルMを生成するようになっている。尚、ここでは、ニューラルネットワークモデルを用いた教師あり学習を行うことにより、補正値生成モデルMを生成するようにしたが、これは一例であり、他の手法を用いた教師あり学習を行うことにより、補正値生成モデルMを生成するようにしてもよい。
【0108】
記憶部220(図10)は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を用いて構成され、機械学習装置200において使用される様々なデータを記憶するように構成される。記憶部220は、データセットDS、及び補正値生成モデルMを記憶している。データセットDSは、ラベルピッチ履歴データ221と、ラベルピッチ推定データ222と、推定LP差分値データ223と、LP変位平均差分値データ224と、変位変動データ225と、ラベルピッチデータ226と、張り時間平均データ227とを含み、データセット取得部211により取得され、記憶部220に記憶される。補正値生成モデルMは、学習モデル生成部213により生成され、記憶部220に記憶される。
【0109】
メモリ230は、処理部210が処理を行う際に一時的にデータを記憶するように構成される。インタフェース240は、機械学習装置200に外部機器を接続するためのインタフェースであり、例えば、キーボード202及びマウス203が接続される。ディスプレイインタフェース250は、機械学習装置200にディスプレイ201を接続するためのインタフェースであり、ディスプレイ201に対して画像信号を供給するように構成される。通信部260は、例えばLAN(Local Area Network)を用いて通信を行うように構成される。
【0110】
[3.動作]
つづいて、本実施の形態の画像形成装置1及び機械学習装置200の動作について説明する。
【0111】
[3-1.全体動作概要]
まず図1、3、5を参照して、画像形成装置1の全体動作概要を説明する。画像形成装置1(図1)では、媒体供給ローラ31が、記録媒体9が巻かれたロールから記録媒体9を引き出して、搬送路8に沿って記録媒体9を搬送する。搬送ローラ35Aは、記録媒体9を搬送路8に沿って搬送する。第2のラベルセンサ33は、搬送路8に沿って搬送されてくる記録媒体9のラベルLを検出する。
【0112】
処理部60のラベルセンサ値取得部61は、第2のラベルセンサ33の検出信号が示すセンサ値を取得する。ラベルピッチ検出部62は、ラベルセンサ値取得部61が取得したセンサ値に基づいて、各ラベルLのラベルピッチLPを検出する。そしてラベルピッチ検出部62は、検出したラベルピッチLPに基づいて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71を更新する。
【0113】
ラベルピッチ変位検出部63は、ラベルピッチ検出部62が検出したラベルピッチLPに基づいて、このラベルピッチLPの検出値と、印刷データに含まれるラベルピッチLPの設定値との差分であるラベルピッチ変位LPDを検出する。そしてラベルピッチ変位検出部63は、検出されたラベルピッチ変位LPDに基づいて、記憶部70に記憶された変位履歴データ73を更新する。またラベルピッチ変位検出部63は、この変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値であるラベルピッチ変位平均値LPDAを算出し、この算出結果を変位平均データ74として記憶部70に記憶させる。またラベルピッチ変位検出部63は、変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチ変位LPDと、この基準ラベルLAのM個(この例では50個)前のラベルLのラベルピッチ変位LPDとの差分を算出し、この算出結果を変位変動データ75として記憶部70に記憶させる。
【0114】
ラベルピッチ推定部64は、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71に基づいて、印刷対象ラベルLBのラベルピッチLPを推定することにより推定ラベルピッチLP0を算出し、この推定ラベルピッチLP0をラベルピッチ推定データ72として記憶部70に記憶させる。
【0115】
たるみ/張りセンサ値取得部67は、たるみ/張りセンサ36の検出信号が示すセンサ値を取得する。たるみ/張り状態検出部68は、たるみ/張りセンサ値取得部67が取得したセンサ値に基づいて、記録媒体9のたるみ/張り状態を検出する。またたるみ/張り状態検出部68は、1ページ毎(1ラベル毎)の張り時間Ttをカウントし、カウントした張り時間Ttに基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLの1ページ毎(1ラベル毎)の張り時間Ttの平均値である張り時間平均値を算出し、この算出結果を張り時間平均データ77として記憶部70に記憶させる。
【0116】
ラベルピッチ補正部65は、ラベルピッチ推定部64により算出された推定ラベルピッチLP0を補正するように構成される。すなわち、ラベルピッチ補正部65の前処理部65Aは、最新の印刷対象ラベルLBの推定ラベルピッチLP0から1ページ前の推定ラベルピッチLP0n-1を引いた値である推定LP差分値を算出する。また前処理部65Aは、最新のラベルピッチ変位平均値LPDAから、1ページ前の推定ラベルピッチLP0を推定したときのラベルピッチ変位平均値LPDAn-1を引いた値であるLP変位平均差分値を算出する。
【0117】
補正値生成部65Bは、機械学習処理により得られた補正値生成モデルMを用いて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、及び張り時間平均データ77と、前処理部65Aにより算出された推定LP差分値及びLP変位平均差分値とに基づいて、ラベルピッチ推定データ72が示す推定ラベルピッチLP0に対する補正値ΔLPを生成する。ラベルピッチ補正部65の補正処理部65Cは、推定ラベルピッチLP0を、この補正値ΔLPに基づいて補正することにより推定ラベルピッチLP1を生成する。
【0118】
書出タイミング算出部66は、ラベルピッチ補正部65により生成された推定ラベルピッチLP1に基づいて、その印刷対象ラベルLBに対して画像を形成するための、LEDヘッド14が動作を開始するタイミング(書出タイミング)を算出する。
【0119】
画像形成制御部53は、書出タイミング算出部66が算出した書出タイミングに応じたタイミングで、画像形成ユニット10のLEDヘッド14の動作を開始させる。これにより、画像形成ユニット10がトナー像を形成する。そして一次転写ローラ21は、画像形成ユニット10の感光体11のトナー像を中間転写ベルト22の被転写面上に転写(一次転写)する。中間転写ベルト22のトナー像は、中間転写ベルト22が循環搬送されることにより二次転写部28に到達する。二次転写部28は、中間転写ベルト22の被転写面上のトナー像を、記録媒体9の被転写面(ラベル面9C)上に転写(二次転写)する。定着部40は、トナー像を記録媒体9上に定着させる。そして、定着部40によりトナー像が定着された記録媒体9は、画像形成装置1から排出される。
【0120】
次に、図10図11を参照して、機械学習装置200の全体動作概要を説明する。データセット取得部211は、機械学習処理に必要なデータのセットであるデータセットDS(ラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、推定LP差分値データ223、LP変位平均差分値データ224、変位変動データ225、ラベルピッチデータ226、及び張り時間平均データ227)を取得する。教師データ生成部212は、データセットDSに含まれる、ラベルピッチデータ226が示すラベルピッチLPと、ラベルピッチ推定データ222が示す推定ラベルピッチLP0との差分に基づいて、補正値ΔLPを教師データDTとして生成する。学習モデル生成部213は、記憶部220に記憶されたラベルピッチ履歴データ221、推定LP差分値データ223、LP変位平均差分値データ224、変位変動データ225、張り時間平均データ227、及び教師データ生成部212により生成された教師データDT(補正値ΔLP)に基づいて、機械学習処理を行うことにより、補正値生成モデルMを生成する。
【0121】
[3-2.画像形成装置の詳細動作]
画像形成装置1は、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチLP、及びその基準ラベルLAより搬送方向F1の下流に配置され、過去に検出された複数のラベルLのラベルピッチLPに基づいて、基準ラベルLAよりもK個(例えば7個)だけ搬送方向F1の上流に配置されたラベルL(印刷対象ラベルLB)の位置を推定し、その印刷対象ラベルLBの位置に合わせて画像を形成する。以下に、画像形成装置1の詳細動作について説明する。
【0122】
図13は、画像形成装置1の一動作例を表すフローチャートである。処理部60は、ラベルセンサ値取得部61が第2のラベルセンサ33の検出信号が示すセンサ値を取得する度に、以下の処理を行う。
【0123】
まず、ラベルピッチ検出部62は、ラベルピッチLPを検出したかどうかを確認する(ステップS101)。ラベルピッチ検出部62がラベルピッチLPを検出していない場合(ステップS101において“NO”)には、ラベルピッチLPを検出するまでこのステップS101を繰り返す。
【0124】
ステップS101において、ラベルピッチ検出部62がラベルピッチLPを検出した場合(ステップS101において“YES”)には、ラベルピッチ検出部62は、検出されたラベルピッチLPに基づいて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71を更新する(ステップS102)。
【0125】
次に、ラベルピッチ変位検出部63は、検出されたラベルピッチLPに基づいて、このラベルピッチLPの検出値と、印刷データに含まれるラベルピッチLPの設定値との差分であるラベルピッチ変位LPDを検出する(ステップS103)。
【0126】
次に、ラベルピッチ変位検出部63は、検出されたラベルピッチ変位LPDに基づいて、記憶部70に記憶された変位履歴データ73を更新する(ステップS104)。
【0127】
次に、ラベルピッチ変位検出部63は、変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値を算出することにより、変位平均データ74を生成する(ステップS105)。そして、ラベルピッチ変位検出部63は、生成した変位平均データ74を記憶部70に記憶させる。
【0128】
次に、ラベルピッチ変位検出部63は、変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチ変位LPDと、この基準ラベルLAのM個(この例では50個)前のラベルLのラベルピッチ変位LPDとの差分を算出することにより、変位変動データ75を生成する(ステップS106)。そして、ラベルピッチ変位検出部63は、生成した変位変動データ75を記憶部70に記憶させる。
【0129】
次に、ラベルピッチ推定部64は、ラベルピッチ履歴データ71に基づいて、印刷対象ラベルLBのラベルピッチLP(推定ラベルピッチLP0)を推定することにより、ラベルピッチ推定データ72を生成する(ステップS107)。そして、ラベルピッチ推定部64は、生成したラベルピッチ推定データ72を記憶部70に記憶させる。
【0130】
次に、ラベルピッチ補正部65の前処理部65Aは、ラベルピッチ推定データ72が示す推定ラベルピッチLP0を、印刷対象ラベルLBのページ番号nに対応付け(つまり推定ラベルピッチLP0とし)、前処理用履歴データ76として記憶部70に記憶させる。また前処理部65Aは、変位平均データ74が示すラベルピッチ変位平均値LPDAを、印刷対象ラベルLBのページ番号nに対応付け(つまりラベルピッチ変位平均値LPDAとし)、前処理用履歴データ76として記憶部70に記憶させる。そして、前処理部65Aは、前処理用履歴データ76から、1ページ前の推定ラベルピッチLP0n-1を取得し、最新の推定ラベルピッチLP0から1ページ前の推定ラベルピッチLP0n-1を引いた推定LP差分値を算出する。また前処理部65Aは、前処理用履歴データ76から、1ページ前のラベルピッチ変位平均値LPDAn-1を取得し、最新のラベルピッチ変位平均値LPDAから1ページ前のラベルピッチ変位平均値LPDAn-1を引いたLP変位平均差分値を算出する(ステップS108)。
【0131】
次に、たるみ/張り状態検出部68は、たるみ/張りセンサ値取得部67が取得したセンサ値に基づいて、記録媒体9のたるみ/張り状態を検出する。またたるみ/張り状態検出部68は、1ページ毎(1ラベル毎)の張り時間Ttをカウントし、カウントした張り時間Ttに基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLの1ページ毎(1ラベル毎)の張り時間Ttの平均値である張り時間平均値を算出することにより、張り時間平均データ77を生成する(ステップS109)。そして、たるみ/張り状態検出部68は、生成した張り時間平均データ77を記憶部70に記憶させる。
【0132】
次に、ラベルピッチ補正部65の補正値生成部65Bは、記憶部70に記憶された補正値生成モデルMを用いて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、及び張り時間平均データ77と、前処理部65Aにより算出された推定LP差分値及びLP変位平均差分値とに基づいて、ラベルピッチ推定データ72が示す推定ラベルピッチLP0に対する補正値ΔLPを示すデータを生成する(ステップS110)。
【0133】
次に、ラベルピッチ補正部65の補正処理部65Cは、推定ラベルピッチLP0を、補正値ΔLPに基づいて補正することにより推定ラベルピッチLP1を生成する(ステップS111)。
【0134】
そして、書出タイミング算出部66は、推定ラベルピッチLP1に基づいて、印刷対象ラベルLBに対して画像を形成するための書出タイミングを算出する(ステップS112)。以上で、このフローは終了する。
【0135】
[3-3.張り時間平均データを用いる理由]
ここで、機械学習により得られた補正値生成モデルMを用いて推定ラベルピッチLP0の補正を行う際に、説明変数として、ラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値、及びLP変位平均差分値の4つの情報に加えて、張り時間平均データ77を用いるようにした理由について説明する。
【0136】
同出願人の特願2021-207179にも記載しているように、ラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値、及びLP変位平均差分値の4つの情報を用いた場合でも、推定ラベルピッチLP0の補正を行わない場合(つまり学習未適用の場合)と比較すると、精度よく印刷対象ラベルLBの位置(つまり画像の書き出し位置)を推定することができる。
【0137】
一方で、画像形成装置1では、記録媒体9の搬送速度がばらついて、記録媒体9が張り状態になる場合があり、記録媒体9が張り状態(張架状態)になると、本体部2側の媒体搬送速度に対して媒体供給部3側の媒体供給速度が遅れていることから、記録媒体9の印刷対象ラベルLBが二次転写部28に到達するタイミングが遅れることになる。つまり、ラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値、及びLP変位平均差分値の4つの情報を用いた場合でも、記録媒体9が張り状態となり記録媒体9の印刷対象ラベルLBが二次転写部28に到達するタイミングが遅れてしまうと、印刷対象ラベルLBの位置を推定する精度が低下してしまう(つまり印刷対象ラベルLBに対する画像の書き出し位置がずれてしまう)。
【0138】
ここで、図14のグラフに、張り時間(張架時間)Ttのページ毎の変化を示す。このグラフは、縦軸を1ページ毎の張り時間Tt、横軸をページ数とするグラフである。このグラフから分かるように、張り時間Ttは、一定ではなくページ毎に変化していることが分かる。
【0139】
つづけて図15のグラフに、張り時間Ttと、当該張り時間Ttが得られたページ(つまりラベル)における書き出し位置のズレ量を示す。尚、このズレ量は、推定ラベルピッチLP0の補正を行わない場合(つまり推定ラベルピッチLP0をそのまま用いる場合)のズレ量である。このグラフは、縦軸を書き出し位置のズレ量、横軸を張り時間Ttとするグラフである。尚、書き出し位置のズレ量が+の場合というのは、書き出し位置が、印刷対象ラベルLBの先端から見て搬送方向F1の上流側にずれている場合(つまり書き出しタイミングが遅れている場合)を示し、書き出し位置が-の場合というのは、書き出し位置が、印刷対象ラベルLBの先端から見て搬送方向F1の下流側にずれている場合(つまり書き出しタイミングが早過ぎる場合)を示している。
【0140】
このグラフに点線で示すように、書き出し位置のズレ量と、張り時間Ttとの間には、緩やかではあるが相関があることが分かる。具体的には、張り時間Ttが長くなるほど、書き出し位置のズレ量が+方向に大きくなっている。このことは、実際の現象(張り時間Ttが長いほど、本体部2側の媒体搬送速度に対して媒体供給部3側の媒体供給速度が遅れて、記録媒体9の印刷対象ラベルLBが二次転写部28に到達するタイミングが遅れること)とも合致する。
【0141】
これらの関係から、説明変数として、張り時間Ttを用いれば、記録媒体9が張り状態となり記録媒体9の印刷対象ラベルLBが二次転写部28に到達するタイミングが遅れてしまう場合でも、印刷対象ラベルLBの位置を精度よく推定することができる(つまり印刷対象ラベルLBに対する画像の書き出し位置のずれを抑制できる)と考えられる。
【0142】
このような理由から、本実施の形態では、説明変数として、ラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値、及びLP変位平均差分値の4つの情報に加えて、張り時間平均データ77を用いるようになっている。尚、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLの1ページ毎(1ラベル毎)の張り時間Ttの平均値である張り時間平均データ77を用いた理由は、1ページの張り時間Ttだけでなく複数ページの張り時間Ttの傾向を考慮することで、印刷対象ラベルLBの位置をより精度よく推定する為である。
【0143】
ここで、図16に、学習未適用(AI無し)の場合と、機械学習の説明変数に張り時間Ttを含めていない場合(AI有り、張り時間無し)と、機械学習の説明変数に張り時間を含めた本実施の形態の場合(AI有、張り時間有り)とでそれぞれ計測した画像の書き出し位置のばらつきを示す。尚、図16の縦軸となる平均2σは、画像の書き出し位置のばらつきを示す指標であり、6000ページ分印刷したときの書き出し位置の値の標準偏差の2倍で計算した結果である。この値が小さいほど、画像の書き出し位置が安定していることを示す。
【0144】
この図16からもわかるように、本実施の形態の画像形成装置1では、学習未適用の場合と比較して、画像の書き出し位置のばらつきが小さく、また説明変数としてラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値、及びLP変位平均差分値の4つの情報を用いた場合と比較しても、画像の書き出し位置のばらつきが小さいことがわかる。
【0145】
このように、画像形成装置1では、機械学習の説明変数として、ラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値、及びLP変位平均差分値の4つの情報に加えて、張り時間平均データ77を用いるようにしたことで、精度よく印刷対象ラベルLBの位置を推定することができ、この結果、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置に画像を形成することができる。
【0146】
尚、本実施の形態では、ラベルピッチ履歴データ71、推定ラベルピッチLP0、ラベルピッチ変位平均値LPDA、変位変動データ75のうち、推定ラベルピッチLP0とラベルピッチ変位平均値LPDAについて、1ページ前の値との差分を取るようにした。一方、変位変動データ75については、そもそもラベルピッチLPの検出値と印刷データに含まれるラベルピッチLPの設定値との差分であり、さらに1ページ前の値との差分を取っても効果が薄い為に、そのまま用いるようにした。またラベルピッチ履歴データ71については、N個のラベルピッチLPを示すデータであり、処理負荷軽減の為、1ページ前の値との差分を取っていないが、N個のラベルピッチLPのそれぞれについて1ページ前のラベルピッチLPとの差分を取るようにしてもよい。
【0147】
この場合、基準ラベルLAを含むN個のラベルLのそれぞれのラベルピッチLPの検出値と、基準ラベルLAの1ページ前のラベルLを含むN個のラベルLのそれぞれのラベルピッチLPの検出値との差分を取り、これを検出ピッチ差分値としての検出LP差分値とし、ラベルピッチ履歴データ71の代わりに説明変数として用いるようにすればよい。
【0148】
また本実施の形態では、説明変数として、推定ラベルピッチLP0とラベルピッチ変位平均値LPDAをそのまま用いるのではなく、1ページ前の値との差分値(推定LP差分値及びLP変位平均差分値)を用いるようにしたが、これに限らず、説明変数として、推定ラベルピッチLP0とラベルピッチ変位平均値LPDAをそのまま用いるようにしてもよい。このようにすれば、印刷対象ラベルLBの位置を推定する精度については低下するものの、処理負荷を軽減することができる。
【0149】
[3-4.機械学習装置の詳細動作]
図17は、機械学習装置200の一動作例を表すフローチャートである。まず、処理部210は、機械学習処理において使用される補正値生成モデルMの初期モデル(補正値生成モデルM0)を準備する(ステップS201)。この補正値生成モデルM0におけるニューラルネットワークNNでは、重みWjが所定の初期値に設定されている。
【0150】
次に、データセット取得部211は、ラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、推定LP差分値データ223、LP変位平均差分値データ224、変位変動データ225、ラベルピッチデータ226、及び張り時間平均データ227を含むデータセットDSを取得する(ステップS202)。そして、データセット取得部211は、取得したデータセットDSを記憶部220に記憶させる。
【0151】
次に、教師データ生成部212は、データセットDSに含まれる、ラベルピッチデータ226が示すラベルピッチLPと、ラベルピッチ推定データ222が示す推定ラベルピッチLP0との差分に基づいて、補正値ΔLPを教師データDTとして生成する(ステップS203)。
【0152】
次に、学習モデル生成部213は、データセットDSに含まれるラベルピッチ履歴データ221、推定LP差分値データ223、LP変位平均差分値データ224、変位変動データ225、及び張り時間平均データ227を、補正値生成モデルM0の入力層LXに入力する(ステップS204)。これにより、補正値生成モデルM0の出力層LZから、補正値ΔLPを示すデータが出力される。
【0153】
そして、学習モデル生成部213は、補正値生成モデルM0の出力層LZから出力されたデータと、ステップS203において生成した補正値ΔLP(教師データDT)とに基づいて、機械学習処理を行う(ステップS205)。具体的には、学習モデル生成部213は、出力層LZから出力されたデータと、教師データDTに含まれる補正値ΔLPとを比較し、両者の誤差を検出し、この誤差が小さくなるようなデータが出力層LZから出力されるよう、補正値生成モデルM0における重みWjを調整する。
【0154】
次に、学習モデル生成部213は、機械学習処理が終了したかどうかを確認する(ステップS206)。具体的には、学習モデル生成部213は、さらに機械学習処理を行う必要がないと判断する場合に、機械学習が終了したと判断する。機械学習処理が終了していない場合(ステップS206において“NO”)には、ステップS202の処理に戻り、機械学習処理が終了するまで、ステップS202~S206の処理を繰り返す。このように繰り返すことにより、補正値生成モデルM0の精度は向上していく。
【0155】
そして、ステップS206において、機械学習処理が終了した場合(ステップS206において“YES”)には、学習モデル生成部213は、この機械学習処理において使用した補正値生成モデルM0を、学習済みの補正値生成モデルMとして、記憶部220に記憶させる(ステップS207)。以上で、このフローは終了する。
【0156】
[4.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態の画像形成装置1は、媒体としての記録媒体9を所定の搬送方向F1に搬送する搬送部としての媒体供給ローラ31、搬送ローラ35A~35Eと、記録媒体9に搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲としてのラベルLに画像を形成する画像形成部としての画像形成ユニット10、一次転写ローラ21、中間転写ベルト22、及び二次転写部28とを備える。
【0157】
さらに画像形成装置1は、印刷範囲のピッチとしてのラベルLのラベルピッチLPに関連するピッチ関連情報(ラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値及びLP変位平均差分値)を取得するピッチ関連情報取得部としての、第2のラベルセンサ33、ラベルセンサ値取得部61、ラベルピッチ検出部62、ラベルピッチ変位検出部63、ラベルピッチ推定部64、及びラベルピッチ補正部65を備える。
【0158】
さらに画像形成装置1は、記録媒体9の搬送状態としての張り(張架)に関連する搬送関連情報としての張り関連情報(張り時間平均データ77)を取得する張り関連情報取得部としての、たるみ/張りセンサ36、たるみ/張りセンサ値取得部67、及びたるみ/張り状態検出部68を備える。
【0159】
さらに画像形成装置1は、ピッチ関連情報としてのラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値、LP変位平均差分値と、張り関連情報としての張り時間平均データ77を含む第1のデータ(すなわち説明変数)が入力され、推定ラベルピッチLP0を補正する第2のデータとしての補正値ΔLPが出力される学習モデルとしての補正値生成モデルMを記憶する記憶部70を備える。
【0160】
さらに画像形成装置1は、補正値生成モデルMを用いて、第1のデータとしての説明変数に基づいて補正値ΔLPを生成する演算部としてのラベルピッチ補正部65と、ラベルピッチ補正部65の出力結果に基づいて、ラベルL(印刷対象ラベルLB)における画像形成部による画像形成位置を調節する調節部としての書出タイミング算出部66を備える。
【0161】
このように、画像形成装置1では、補正値生成モデルMに入力する説明変数(第1のデータ)として、ピッチ関連情報に加えて、画像の書き出し位置のずれと相関がある張り関連情報を用いたことにより、張り関連情報を用いない場合と比較して、精度よく印刷対象ラベルLBの位置(つまり画像の書き出し位置)を推定することができ、この結果、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置に、画像を形成することができる。かくして、本実施の形態の画像形成装置1では、画像を適切な位置に形成することができる。
【0162】
また画像形成装置1では、張り関連情報として、第1の印刷範囲としての検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(例えば7個)のラベルLの1ページ毎(1ラベル毎)の張り時間Ttの平均値である張り時間平均データ77を用いるようにした。こうすることで、ページ毎(つまりラベル毎)の張り状態を考慮して印刷対象ラベルLBの位置を推定することができ、また複数ページの張り時間Ttの傾向を考慮して印刷対象ラベルLBの位置を推定することができるので、印刷対象ラベルLBの位置をより正確に推定することができる。
【0163】
また本実施の形態の機械学習装置200は、画像形成装置1において所定の搬送方向F1に搬送される媒体としての記録媒体9に搬送方向に沿って複数設けられた印刷範囲としてのラベルLのラベルピッチLPに関連するピッチ関連情報(ラベルピッチ履歴データ221、変位変動データ225、推定LP差分値データ223、及びLP変位平均差分値データ224)と、記録媒体9の搬送状態としての張りに関連する搬送関連情報としての張り関連情報(張り時間平均データ227)とを含む第1のデータ(すなわち説明変数)を記憶する記憶部220を備える。
【0164】
さらに機械学習装置200は、第1のデータとしての説明変数、及びラベルピッチLPを補正する第2のデータとしての補正値ΔLPを用いて機械学習処理を行うことにより、第1のデータとしての説明変数が入力され第2のデータとしての補正値ΔLPが出力される学習モデルとしての補正値生成モデルMを生成する学習モデル生成部213を備える。
【0165】
このように、機械学習装置200では、補正値生成モデルMに入力する説明変数(第1のデータ)として、ピッチ関連情報に加えて、画像の書き出し位置のずれと相関がある張り関連情報を用いたことにより、張り関連情報を用いない場合と比較して、精度よく印刷対象ラベルLBの位置(つまり画像の書き出し位置)を推定可能な補正値生成モデルMを生成することができ、この画像形成装置1がこの補正値生成モデルMを用いることで、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置に、画像を形成することができる。かくして、本実施の形態の機械学習装置200では、画像を適切な位置に形成することができる。
【0166】
[5.他の実施の形態]
[5-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、回転可能なレバー36Lの先端部分を記録媒体9の上面に接触させ、当該レバー36Lの回転角度に基づいて、たるみ/張り状態検出部68が、記録媒体9のたるみ/張り状態を検出するようにした。これに限らず、これ以外の方法で、記録媒体9のたるみ/張り状態(もしくは張り状態のみ)を検出するようにしてもよい。
【0167】
例えば、記録媒体9のたるみ/張り具合に応じて媒体供給ローラ31のトルクが変動することから、媒体供給ローラ31のトルクを検出するセンサを設け、たるみ/張り状態検出部68が、当該センサにより検出されたトルクに基づいて、記録媒体9のたるみ/張り状態(もしくは張り状態のみ)を検出するようにしてもよい。またこれに限らず、記録媒体9のたるみ/張り具合を検出可能なセンサなどを設けるようにしてもよい。
【0168】
[5-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、画像形成装置1のラベルピッチ補正部65が、補正値生成モデルMに、説明変数としてのラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値、LP変位平均差分値、張り時間平均データ77の5つの情報を入力することで、補正値ΔLPを得、この補正値ΔLPを用いて推定ラベルピッチLP0を補正するようにした。
【0169】
ここで、張り時間Ttが十分に短い場合、記録媒体9の張りによる画像書き出し位置のずれは無視できるほど小さくなることから、例えば、張り時間Ttの平均値が所定の閾値(例えば0.05秒などのように十分に短い値)以下となる場合には、ラベルピッチ補正部65が、張り時間平均データ77を0として(つまり記録媒体9が張り状態にはなっていないとして)、補正値生成モデルMに入力してもよい。
【0170】
またこれに限らず、例えば、画像形成装置1の記憶部70に、第1の学習モデルとしての補正値生成モデルMとは別に、説明変数として第3のデータとしてのピッチ関連情報のみ(ラベルピッチ履歴データ71、変位変動データ75、推定LP差分値、LP変位平均差分値の4つの情報)を入力することで第2のデータとしての補正値ΔLPを出力する第2の学習モデルとしての補正値生成モデルを記憶し、張り時間Ttの平均値が所定の閾値以下となる場合には、ラベルピッチ補正部65が、張り時間平均データ77を用いず、ピッチ関連情報のみを、別途記憶した補正値生成モデルに入力して、補正値ΔLPを得るようにしてもよい。このように、説明変数の数を減らせば、補正値ΔLPを得るまでに要する時間を短縮することができる。
【0171】
[5-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、記録媒体9の搬送状態に関連する搬送関連情報の1つである、記録媒体9の張りに関連する張り関連情報(具体的にはラベルLの1ページ毎の張り時間Ttの平均値である張り時間平均データ77(張り時間平均データ227))を、機械学習の説明変数として用いるようにした。これに限らず、張り関連情報の代わりに他の搬送関連情報を機械学習の説明変数として用いるようにしてもよい。具体的には、記録媒体9の搬送状態である張り、たるみなどに関連する種々の搬送関連情報を、機械学習の説明変数として用いるようにしてもよい。尚、記録媒体9の搬送状態に関連する搬送関連情報を、機械学習の説明変数として用いる理由は、記録媒体9の搬送状態である張りやたるみなどが書き出し位置のズレ量に相関があると考えられる為である。
【0172】
[5-4.他の実施の形態4]
さらに上述した実施の形態では、機械学習の説明変数に、ピッチ関連情報としてのラベルピッチ履歴データ71(ラベルピッチ履歴データ221)、推定LP差分値(推定LP差分値データ223)、LP変位平均差分値(LP変位平均差分値データ224)、変位変動データ75(変位変動データ225)と、搬送関連情報としての張り時間平均データ77(張り時間平均データ227)が含まれるようにし、推定LP差分値とLP変位平均差分値については、それぞれ1ページ前の値との差分値とした。これに限らず、これら5つの情報以外の情報が説明変数に含まれていてもよい。
【0173】
さらに上述した実施の形態では、最新の推定ラベルピッチLP0から1ページ前の推定ラベルピッチLP0n-1を引いた値を、推定LP差分値としたが、これに限らず、最新の推定ラベルピッチLP0から2ページ以上前の推定ラベルピッチLP0を引いた値を、推定LP差分値としてもよい。さらに上述した実施の形態では、最新のラベルピッチ変位平均値LPDAから1ページ前のラベルピッチ変位平均値LPDAn-1を引いた値を、LP変位平均差分値としたが、これに限らず、最新のラベルピッチ変位平均値LPDAから2ページ以上前のラベルピッチ変位平均値LPDAを引いた値を、LP変位平均差分値としてもよい。
【0174】
[5-5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、複数のラベルLが設けられた記録媒体9(つまりラベル紙)に画像を形成する画像形成装置1に本発明を適用した。これに限らず、記録媒体9とは異なる媒体に画像を形成する画像形成装置に適用してもよい。例えばブラックマークや切り欠きなどにより印刷範囲が指定された媒体や、印刷範囲を示す枠が予め印刷された媒体などに画像を形成する画像形成装置に適用してもよい。
【0175】
[5-6.他の実施の形態6]
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部が異なる実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0176】
例えば、上述した実施の形態では、画像形成ユニット10が形成したトナー像を、中間転写ベルト22に一旦転写し、中間転写ベルト22に転写されたトナー像を記録媒体9に転写する方式(いわゆる二次転写方式)の画像形成装置1に本発明を適用したが、これに限定されるものではなく、例えば、画像形成ユニット10が形成したトナー像を、記録媒体9に直接転写する方式(いわゆる直接転写方式)の画像形成装置に適用することでもできる。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、ラベルなどの印刷範囲に画像を形成するプリンタなどで広く利用できる。
【符号の説明】
【0178】
1……画像形成装置、8……搬送路、9……記録媒体、9B……台紙、9C……ラベル面、10……画像形成ユニット、21……一次転写ローラ、22……中間転写ベルト、28……二次転写部、31……媒体供給ローラ、32…第1のラベルセンサ、33……第2のラベルセンサ、34……カッター、35……搬送ローラ、36……たるみ/張りセンサ、40……定着部、53……画像形成制御部、60……処理部、61……ラベルセンサ値取得部、62……ラベルピッチ検出部、63……ラベルピッチ変位検出部、64……ラベルピッチ推定部、65……ラベルピッチ補正部、66……書出タイミング算出部、67……たるみ/張りセンサ値取得部、68……たるみ/張り状態検出部、70……記憶部、71……ラベルピッチ履歴データ、72……ラベルピッチ推定データ、73……変位履歴データ、74……変位平均データ、75……変位変動データ、76……前処理用履歴データ、77……張り時間平均データ、200……機械学習装置、210、…処理部、211……データセット取得部、212……教師データ生成部、213……学習モデル生成部、220……記憶部、221……ラベルピッチ履歴データ、222…ラベルピッチ推定データ、223…推定LP差分値データ、224……LP変位平均差分値データ、225……変位変動データ、226……ラベルピッチデータ、227……張り時間平均データ、DS……データセット、DT……教師データ、F1、F2…搬送方向、L……ラベル、LA……基準ラベル、LB……印刷対象ラベル、LP…ラベルピッチ、LP0、LP1…推定ラベルピッチ、LPD……ラベルピッチ変位、LPDA……ラベルピッチ変位平均値、LS……ラベル間隔、M…補正値生成モデル、NN…ニューラルネットワーク、ΔLP…補正値。
図1
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