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特開2024-153510二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153510
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20241022BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067451
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】梅田 豊裕
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA00
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】本発明は、マスバランス方式において、改善した新たな演算手法を用いた二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、互いに第1種類の異なる複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関して所定の期間に利用した、CO排出量を演算可能なリソースの第1利用量を当該第1種類の演算対象に対応付けて記憶し、互いに第2種類の異なる複数のリソースそれぞれについて、当該第2種類のリソースに関して前記期間に利用したリソースの第2利用量、その順番およびその割当て先を当該第2種類のリソースに対応付けて記憶し、複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に対応付けられた第1利用量の内訳を前記順番および割当て先に基づき第2種類のリソース別に求めてCO排出量を求める。前記第2種類は、単位量当たりのCO排出量で分類される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに第1種類の異なる複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関して所定の期間に利用した、CO排出量を演算可能なリソースの第1利用量を当該第1種類の演算対象に対応付けて記憶する第1利用量情報記憶部と、
互いに第2種類の異なる複数のリソースそれぞれについて、当該第2種類のリソースに関して前記所定の期間に利用した前記リソースの第2利用量を当該第2種類の前記リソースに対応付けて記憶する第2利用量情報記憶部と、
前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に対応付けられた第1利用量の内訳を前記第2種類のリソース別に求める内訳演算部と、
前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関するCO排出量を、前記内訳演算部で求めた第1利用量の内訳に基づいて求めるCO排出量演算部とを備え、
前記第2種類は、単位量当たりのCO排出量である単位CO排出量で分類される種類であり、
前記第2利用量情報記憶部は、前記リソースの第2利用量を割り当てる順番、および、前記複数の演算対象のうちの前記リソースの第2利用量を割り当てる割当て先の演算対象を、前記複数のリソースそれぞれに対応付けてさらに記憶し、
前記内訳演算部は、前記順番に従って前記複数のリソースそれぞれについて、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める、
二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項2】
前記内訳演算部は、さらに、前記割り当てた後に、当該リソースの第2利用量に残量が有る場合に、前記残量を当該リソースの割当て先ではない演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める、
請求項1に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項3】
前記内訳演算部は、前記割り当てる場合に、当該リソースの割当て先の演算対象における第1利用量のうち、第2利用量が割り当てられていない未割当て量の比で、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める、
請求項1に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項4】
前記内訳演算部は、前記残量を割り当てる場合に、当該リソースの割当て先ではない演算対象における第1利用量のうち、第2利用量が割り当てられていない未割当て量の比で、前記残量を当該リソースの割当て先ではない演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める、
請求項2に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項5】
前記順番は、単位CO排出量の小さい方から順に順次に前記複数のリソースそれぞれに割り当てられている、
請求項1に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項6】
互いに第1種類の異なる複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関して所定の期間に利用した、CO排出量を演算可能なリソースの第1利用量を当該第1種類の演算対象に対応付けて第1利用量情報記憶部に記憶する第1記憶工程と、
互いに第2種類の異なる複数のリソースそれぞれについて、当該第2種類のリソースに関して前記所定の期間に利用した前記リソースの第2利用量を当該第2種類の前記リソースに対応付けて第2利用量情報記憶部に記憶する第2記憶工程と、
前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に対応付けられた第1利用量の内訳を前記第2種類のリソース別に求める内訳演算工程と、
前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関するCO排出量を、前記内訳演算工程で求めた第1利用量の内訳に基づいて求めるCO排出量演算工程とを備え、
前記第2種類は、単位量当たりのCO排出量である単位CO排出量で分類される種類であり、
前記第2憶部工程は、前記リソースの第2利用量を割り当てる順番、および、前記複数の演算対象のうちの前記リソースの第2利用量を割り当てる割当て先の演算対象を、前記複数のリソースそれぞれに対応付けて前記第2利用量情報記憶部にさらに記憶し、
前記内訳演算工程は、前記順番に従って前記複数のリソースそれぞれについて、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める、
二酸化炭素排出量演算方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の二酸化炭素排出量演算システムとして機能させるための二酸化炭素排出量演算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の排出量を求める二酸化炭素排出量演算システム、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の保全等の観点から、二酸化炭素の排出量(CO排出量)に関心が寄せられている。このCO排出量を製品別に演算する場合、製品にCO排出量を分配する方式として、マスバランス方式(例えば非特許文献1)がある。このマスバランス方式は、所定の期間内でのCO排出量の総量と、製品別のCO排出量の総和(総量)とを一致させるように製品にCO排出量を分配する方式である。前記マスバランス方式には、大別すると、2つの演算手法が知られている。第1演算手法は、製品の製造で削減できたCO排出量を特定の製品に分配する手法である。第2演算手法は、製品の製造に用いられるリソースを、CO排出量の相違によって通常リソースと前記通常リソースのCO排出量より少ない低CO排出量リソースとに分け、所定の期間に用いた通常リソースの総量と低CO排出量リソースとの比率で、前記所定の期間に製造した製品全体を通常リソースの製品と低CO排出量リソースの製品とに分ける手法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】日産自動車株式会社、株式会社神戸製鋼所、「日産車への神戸製鋼所の低CO2高炉鋼材及びグリーンアルミニウム原料を用いたアルミ板材の適用について」、[online]、2022年12月19日、[2023年2月9日検索]、インターネット<URL:https://www.kobelco.co.jp/releases/files/2022.12.19_1_01.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記第1演算手法では、CO排出量の削減量を特定の製品に分配するため、各製品において、前記通常リソースと前記低CO排出量リソースとの使用量の割合を求めることができない。一方、前記第2演算手法では、製品の種類や製造工程の種類が多岐にわたる場合、製品ごとに実際に用いたリソースの使用量が異なるため、通常リソースの製品と低CO排出量リソースの製品とに分けることが難しい。このため、マスバラン方式において、演算手法に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、マスバランス方式において、改善した新たな演算手法を用いた二酸化炭素排出量演算システム、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる二酸化炭素排出量演算システムは、互いに第1種類の異なる複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関して所定の期間に利用した、CO排出量を演算可能なリソースの第1利用量を当該第1種類の演算対象に対応付けて記憶する第1利用量情報記憶部と、互いに第2種類の異なる複数のリソースそれぞれについて、当該第2種類のリソースに関して前記所定の期間に利用した前記リソースの第2利用量を当該第2種類の前記リソースに対応付けて記憶する第2利用量情報記憶部と、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に対応付けられた第1利用量の内訳を前記第2種類のリソース別に求める内訳演算部と、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関するCO排出量を、前記内訳演算部で求めた第1利用量の内訳に基づいて求めるCO排出量演算部とを備え、前記第2種類は、単位量当たりのCO排出量である単位CO排出量で分類される種類であり、前記第2利用量情報記憶部は、前記リソースの第2利用量を割り当てる順番、および、前記複数の演算対象のうちの前記リソースの第2利用量を割り当てる割当て先の演算対象を、前記複数のリソースそれぞれに対応付けてさらに記憶し、前記内訳演算部は、前記順番に従って前記複数のリソースそれぞれについて、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。
【0007】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、第1利用量と第2利用量とのマスバランスを維持しながら、リソースの第2利用量を所望の演算対象に割り当てて第1利用量の内訳を求めることができ、前記複数の演算対象ごとに第1利用量の内訳に基づいてCO排出量を求めることができる。したがって、これによれば、マスバランス方式において、改善した新たな演算手法を用いた二酸化炭素排出量演算システムが提供できる。
【0008】
他の一態様では、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記内訳演算部は、さらに、前記割り当てた後に、当該リソースの第2利用量に残量が有る場合に、前記残量を当該リソースの割当て先ではない演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。すなわち、前記内訳演算部は、前記順番に従って前記複数のリソースそれぞれについて、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当て、前記割り当てた後に、当該リソースの第2利用量に残量が有る場合に、前記残量を当該リソースの割当て先ではない演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。
【0009】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、リソースの第2利用量を所望の演算対象に割り当てた後の残量を有効に活用できる。
【0010】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記内訳演算部は、前記割り当てる場合に、当該リソースの割当て先の演算対象における第1利用量のうち、第2利用量が割り当てられていない未割当て量の比で、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。
【0011】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、割当ての前後で、第2利用量が割り当てられていない当該リソースの割当て先での未割当て量の比を維持でき、公平に割当て先の演算対象にリソースの第2利用量を割り当てることができる。
【0012】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記内訳演算部は、前記残量を割り当てる場合に、当該リソースの割当て先ではない演算対象における第1利用量のうち、第2利用量が割り当てられていない未割当て量の比で、前記残量を当該リソースの割当て先ではない演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。
【0013】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、残量の割当ての前後で、第2利用量が割り当てられていない当該リソースの割当て先でない演算対象において未割当て量の比を維持でき、公平に割当て先の演算対象にリソースの第2利用量を割り当てることができる。
【0014】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記順番は、単位CO排出量の小さい方から順に順次に前記複数のリソースそれぞれに割り当てられている。
【0015】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、単位CO排出量の小さい方から順にリソースの第2利用量を演算対象に割り当てることができる。
【0016】
本発明の他の一態様にかかる二酸化炭素排出量演算方法は、互いに第1種類の異なる複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関して所定の期間に利用した、CO排出量を演算可能なリソースの第1利用量を当該第1種類の演算対象に対応付けて第1利用量情報記憶部に記憶する第1記憶工程と、互いに第2種類の異なる複数のリソースそれぞれについて、当該第2種類のリソースに関して前記所定の期間に利用した前記リソースの第2利用量を当該第2種類の前記リソースに対応付けて第2利用量情報記憶部に記憶する第2記憶工程と、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に対応付けられた第1利用量の内訳を前記第2種類のリソース別に求める内訳演算工程と、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関するCO排出量を、前記内訳演算工程で求めた第1利用量の内訳に基づいて求めるCO排出量演算工程とを備え、前記第2種類は、単位量当たりのCO排出量である単位CO排出量で分類される種類であり、前記第2憶部工程は、前記リソースの第2利用量を割り当てる順番、および、前記複数の演算対象のうちの前記リソースの第2利用量を割り当てる割当て先の演算対象を、前記複数のリソースそれぞれに対応付けて前記第2利用量情報記憶部にさらに記憶し、前記内訳演算工程は、前記順番に従って前記複数のリソースそれぞれについて、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。
【0017】
このような二酸化炭素排出量演算方法は、第1利用量と第2利用量とのマスバランスを維持しながら、リソースの第2利用量を所望の演算対象に割り当てて第1利用量の内訳を求めることができ、前記複数の演算対象ごとに第1利用量の内訳に基づいてCO排出量を求めることができる。したがって、これによれば、マスバランス方式において、改善した新たな演算手法を用いた二酸化炭素排出量演算方法が提供できる。
【0018】
本発明の他の一態様にかかる二酸化炭素排出量演算プログラムは、コンピュータを、これら上述のいずれかの二酸化炭素排出量演算システムとして機能させるためのプログラムである。
【0019】
これによれば、二酸化炭素排出量演算プログラムが提供でき、この二酸化炭素排出量演算プログラムは、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムと同様な作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、マスバランス方式において、改善した新たな演算手法を用いた二酸化炭素排出量演算システム、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態における二酸化炭素排出量演算システムの構成を示すブロック図である。
図2】一例として、第1利用量情報テーブルを示す図である。
図3】一例として、第2利用量情報テーブルを示す図である。
図4】一例として、単位排出量情報テーブルを示す図である。
図5】前記二酸化炭素排出量演算システムの動作を示すフローチャートである。
図6】内訳の演算に関する前記二酸化炭素排出量演算システムの動作を示すフローチャートである。
図7】一例として、前記内訳の演算を説明するための図である。
図8】一例として、図7に続く前記内訳の演算を説明するための図である。
図9】一例として、図8に続く前記内訳の演算を説明するための図である。
図10】一例として、図9に続く前記内訳の演算を説明するための図である。
図11】一例として、図10に続く前記内訳の演算を説明するための図である。
図12】一例として、演算対象ごとにおける第1利用量の内訳を説明するための図である。
図13】一例として、演算対象ごとにおけるCO排出量を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0023】
実施形態における二酸化炭素排出量演算システムは、第1利用量情報記憶部、第2利用量情報記憶部、内訳演算部およびCO排出量演算部を備える。前記第1利用量情報記憶部は、互いに第1種類の異なる複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関して所定の期間に利用した、CO排出量を演算可能なリソースの第1利用量を当該第1種類の演算対象に対応付けて記憶するものである。前記第2利用量情報記憶部は、互いに第2種類の異なる複数のリソースそれぞれについて、当該第2種類のリソースに関して前記所定の期間に利用した前記リソースの第2利用量を当該第2種類の前記リソースに対応付けて記憶するものである。前記内訳演算部は、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に対応付けられた第1利用量の内訳を前記第2種類のリソース別に求めるものである。前記CO排出量演算部は、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関するCO排出量を、前記内訳演算部で求めた第1利用量の内訳に基づいて求めるものである。前記第2種類は、単位量当たりのCO排出量である単位CO排出量で分類される種類であり、前記第2利用量情報記憶部は、前記リソースの第2利用量を割り当てる順番、および、前記複数の演算対象のうちの前記リソースの第2利用量を割り当てる割当て先の演算対象を、前記複数のリソースそれぞれに対応付けてさらに記憶する。そして、前記内訳演算部は、前記順番に従って前記複数のリソースそれぞれについて、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。
【0024】
以下、このような二酸化炭素排出量演算システム、ならびに、これに実装された二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムについて、より具体的に説明する。二酸化炭素排出量演算システムは、データを入出力する入出力端末装置、種々の演算処理を実行する1または複数の演算処理装置(例えばサーバ装置)および種々のデータを記憶(管理)する1または複数のデータベース装置を相互に通信可能に接続することで構成されてよく、これら入出力端末装置、1または複数の演算処理装置および1または複数のデータベース装置のうちの少なくとも一部が一体に構成され、残余との間で相互に通信可能に接続することで構成されてよいが、ここでは、全てを一体化した二酸化炭素排出量演算装置を例に、二酸化炭素排出量演算システムについて、説明する。
【0025】
図1は、実施形態における二酸化炭素排出量演算システム(一例としての二酸化炭素排出量演算装置)の構成を示す図である。図2は、一例として、第1利用量情報テーブルを示す図である。図3は、一例として、第2利用量情報テーブルを示す図である。図4は、一例として、単位排出量情報テーブルを示す図である。
【0026】
実施形態における二酸化炭素排出量演算システム(一例としての二酸化炭素排出量演算装置)Sは、例えば、図1に示すように、制御処理部1と、記憶部2と、入力部3と、出力部4と、インターフェース部(IF部)5とを備える。
【0027】
入力部3は、制御処理部1に接続され、例えば、CO排出量の演算開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、第1利用量や第2利用量や単位CO排出量等の、二酸化炭素排出量演算装置Sを動作させる上で必要な各種データを前記二酸化炭素排出量演算装置Sに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチや、キーボードや、マウス等である。出力部4は、制御処理部1に接続され、制御処理部1の制御に従って、入力部3から入力されたコマンドやデータおよび演算結果等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0028】
なお、入力部3および出力部4は、タッチパネルより構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部3は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部4は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として二酸化炭素排出量演算装置Sに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い二酸化炭素排出量演算装置Sが提供される。
【0029】
IF部5は、制御処理部1に接続され、制御処理部1の制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部5は、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってもよい。
【0030】
記憶部2は、制御処理部1に接続され、制御処理部1の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。
【0031】
前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、例えば、制御プログラム、内訳演算プログラムおよびCO排出量演算プログラム等が含まれる。前記制御プログラムは、二酸化炭素排出量演算装置Sの各部2~5を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するものである。前記内訳演算プログラムは、互いに第1種類の異なる複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に対応付けられた第1利用量の内訳を第2種類のリソース別に求めるプログラムである。前記CO排出量演算プログラムは、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関するCO排出量を、前記内訳演算プログラムで求めた、前記第2種類のリソース別の第2利用量で表された第1利用量の内訳に基づいて求めるプログラムである。
【0032】
前記各種の所定のデータには、例えば、第1利用量情報、第2利用量情報、単位CO排出量情報、演算途中の各種演算結果、および、最終的な演算結果等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。
【0033】
このような記憶部2は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部2は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部1のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。また、記憶部2は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0034】
記憶部2は、第1利用量情報、第2利用量情報および単位CO排出量情報それぞれを記憶するために、第1利用量情報記憶部21、第2利用量情報記憶部22および単位排出量情報記憶部23を機能的に備える。
【0035】
第1利用量情報記憶部21は、第1利用量情報を記憶するものである。前記第1利用量情報は、互いに第1種類の異なる複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関して所定の期間に利用した、CO排出量を演算可能なリソースの第1利用量を当該第1種類の演算対象に対応付けたデータを表す情報である。前記所定の期間は、例えば10日間や1ヶ月間や半年間等、ユーザ(オペレータ)によって適宜に予め設定される。
【0036】
第2利用量情報記憶部22は、第2利用量情報を記憶するものである。前記第2利用量情報は、互いに第2種類の異なる複数のリソースそれぞれについて、当該第2種類のリソースに関して前記所定の期間に利用した前記リソースの第2利用量を当該第2種類の前記リソースに対応付けたデータを表す情報である。第2利用量情報記憶部22は、前記リソースの第2利用量を割り当てる順番、および、前記複数の演算対象のうちの前記リソースの第2利用量を割り当てる割当て先の演算対象を、前記複数のリソースそれぞれに対応付けてさらに記憶するので、前記第2利用量情報には、前記複数のリソースそれぞれについて、当該第2種類のリソースに前記順番および前記割当て先の演算対象がさらに対応付けられる。前記第2種類は、単位量当たりのCO排出量である単位CO排出量で分類される種類である。前記第2順番は、単位CO排出量の小さい方から順に順次に前記複数のリソースそれぞれに割り当てられている。
【0037】
前記リソース(物資、資材、資源)は、CO排出量が演算可能であれば、任意であってよく、CO排出量の演算対象に応じて適宜に規定される。例えば、演算対象が製品の製造にかかるCO排出量であって、前記製品が電気(電力)を利用して製造される場合、前記リソースは、電気(電力、エネルギー資源の一例)である。例えば、演算対象が金属原料(例えばインゴット(地金)等)の製造(精製)にかかるCO排出量である場合、前記リソースは、前記金属原料の製造に用いるモノである。一例では、前記金属原料がアルミニウム合金である場合,前記リソースは、合金製造時に使用するアルミニウム地金である。この場合、地金の種類により電解製錬に利用するエネルギーが異なるため,地金の種類毎の単位CO排出量[kgCO2/kg]が異なる。
【0038】
ここでは、一例として、演算対象が製品の製造にかかるCO排出量であって、前記製品が電気(電力)を利用して製造される場合について、第1および第2利用量情報それぞれをより具体的に説明する。この場合では、前記第1種類は、前記演算対象の種類であるから、製品の種類であり、第1利用量は、製品の製造で利用(使用)される利用電力量(使用電力量)であり、第2利用量は、前記使用電力の購入電力量である。前記第2種類は、前記リソースの種類であって、単位CO排出量で分類される種類であるから、例えば、風力発電の電力(以下、電力区分名の「GRN1電力」と略記する)、太陽光発電の電力(以下、電力区分名の「GRN2電力」と略記する)、水力発電の電力(以下、電力区分名の「GRN3電力」と略記する)および火力発電の電力(以下、電力区分名の「一般電力」と略記する)等である。単位CO排出量の小さい順に並べると、ここでは、GRN1電力<GRN2電力<GRN3電力<一般電力とする。
【0039】
前記第1利用量情報は、本実施形態では、テーブル形式で第1利用量情報記憶部21に記憶されている。この第1利用量情報を登録する第1利用量情報テーブルUTは、例えば、図2に示すように、第1種類の一例としての製品の種類を表す製品名を登録する製品名フィールド31と、製品名フィールド31に登録された製品名の製品を所定の期間において製造した際に、前記所定の期間で使用した電力量[kWh]を登録する使用電力量フィールド32とを備え、製品の種類ごとにレコードを持つ。
【0040】
前記第2利用量情報は、本実施形態では、テーブル形式で第2利用量情報記憶部22に記憶されている。この第2利用量情報を登録する第2利用量情報テーブルBTは、例えば、図3に示すように、第2種類を表す電力区分名を登録する電力区分名フィールド41と、電力区分名フィールド41に登録された電力区分の電力の購入量[kWh]を登録する購入電力量フィールド42と、電力区分名フィールド41に登録された電力区分名の電力における順番を登録する第2順番フィールド43と、電力区分名フィールド41に登録された電力区分名の電力における割当て先の演算対象を登録する割当て先フィールド44とを備え、第2種類(電力区分)ごとにレコードを持つ。
【0041】
なお、図2および図3に示す例において、マスバランス方式であるから、第1利用量の総和(この例では使用電力量の総和)と、第2利用量の総和(この例では購入電力量の総和)とは、一致している。
【0042】
単位排出量情報記憶部23は、単位排出量情報を記憶するものである。前記単位量当たりのCO排出量である単位CO排出量を表すデータであり、前記単位CO排出量は、電力量をCO排出量に換算するための係数である。
【0043】
前記単位排出量情報は、本実施形態では、テーブル形式で単位排出量情報記憶部23に記憶されている。この単位排出量情報を登録する単位排出量情報テーブルPTは、例えば、図4に示すように、電力区分名を登録する電力区分名フィールド51と、電力区分名フィールド51に登録された電力区分名の電力における単位CO排出量[kgCO2/kWh]を登録する単位CO排出量フィールド52とを備え、第2種類(電力区分)ごとにレコードを持つ。
【0044】
制御処理部1は、二酸化炭素排出量演算装置Sの各部2~5を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、複数の演算対象それぞれについて、第2種類のリソース別の第2利用量で表された第1利用量の内訳に基づいてCO排出量を求めるための回路である。制御処理部1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部1には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部11、内訳演算部12およびCO排出量演算部13が機能的に構成される。
【0045】
制御部11は、二酸化炭素排出量演算装置の各部2~5を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、二酸化炭素排出量演算装置Sの全体の制御を司るものである。
【0046】
内訳演算部12は、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に対応付けられた第1利用量の内訳を前記第2種類のリソース別に求めるものである。より具体的には、内訳演算部12は、前記順番に従って前記複数のリソースそれぞれについて、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。本実施形態では、内訳演算部12は、さらに、前記割り当てた後に、当該リソースの第2利用量に残量が有る場合に、前記残量を当該リソースの割当て先ではない演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。すなわち、本実施形態では、内訳演算部12は、前記順番に従って前記複数のリソースそれぞれについて、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当て、前記割り当てた後に、当該リソースの第2利用量に残量が有る場合に、前記残量を当該リソースの割当て先ではない演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。
【0047】
そして、前記割り当てる場合に、内訳演算部12は、当該リソースの割当て先の演算対象における第1利用量のうち、第2利用量が割り当てられていない未割当て量の比で、当該リソースの第2利用量を、当該リソースの割当て先の演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。前記残量を割り当てる場合に、内訳演算部12は、当該リソースの割当て先ではない演算対象における第1利用量のうち、第2利用量が割り当てられていない未割当て量の比で、前記残量を当該リソースの割当て先ではない演算対象に割り当てることによって前記第1利用量の内訳を求める。
【0048】
CO排出量演算部13は、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関するCO排出量を、前記内訳演算部12で求めた、前記第2種類のリソース別の第2利用量で表された第1利用量の内訳に基づいて求めるものである。
【0049】
二酸化炭素排出量演算システムの一例としての二酸化炭素排出量演算装置Sにおける制御処理部1、記憶部2、入力部3、出力部4およびIF部5は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。もちろん、上述したように、二酸化炭素排出量演算システムは、通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成されてよい。
【0050】
次に、本実施形態の動作について説明する。図5は、前記二酸化炭素排出量演算システムの動作を示すフローチャートである。図6は、内訳の演算に関する前記二酸化炭素排出量演算システムの動作を示すフローチャートである。図7は、一例として、前記内訳の演算を説明するための図である。図8は、一例として、図7に続く前記内訳の演算を説明するための図である。図9は、一例として、図8に続く前記内訳の演算を説明するための図である。図10は、一例として、図9に続く前記内訳の演算を説明するための図である。図11は、一例として、図10に続く前記内訳の演算を説明するための図である。図12は、一例として、演算対象ごとにおける第1利用量の内訳を説明するための図である。図13は、一例として、演算対象ごとにおけるCO排出量を説明するための図である。
【0051】
このような構成の二酸化炭素排出量演算装置Sは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部1には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部11、内訳演算部12およびCO排出量演算部13が機能的に構成される。
【0052】
図5において、ユーザ(オペレータ)は、第1利用量および第2利用量を、例えば入力部3から入力し、二酸化炭素排出量演算装置Sは、制御処理部1の制御部11によって、これら第1利用量および第2利用量それぞれを取得して第1利用量情報記憶部21および第2利用量情報記憶部22それぞれに記憶する(S1、第1記憶工程、第2記憶工程)。本実施形態では、順番および割当て先も入力され、第2利用量情報記憶部22に記憶される。なお、第1および第2利用量等は、これらを記憶した記憶媒体(例えばUSBメモリやSDカード(登録商標)等)からIF部5を介して入力されてよく、これらを記録した記録媒体(例えばCD-RやDVD-R等)から、そのドライブ装置およびIF部5を介して入力されてよく、これらを管理する管理サーバ装置から通信ネットワークおよびIF部5を介して入力されてよい。あるいは、第1および第2利用量は、実績値として、製品を製造するプラントから通信ネットワークおよびIF部5を介して収集されて入力されてもよい。
【0053】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Sは、制御処理部1の内訳演算部12によって、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に対応付けられた第1利用量の内訳を前記第2種類のリソース別に求める(S2、内訳演算工程)。この処理S2については、図6ないし図11を用いて後述するが、図2および図3に示す例における各演算対象の第1利用量の内訳が図12に示されている。例えば、製品名「P1」の製品における第1利用量の内訳では、電力区分名「GRN1電力」の利用量が「2000」[kWh]であり、電力区分名「GRN2電力」の利用量が「750」[kWh]であり、電力区分名「GRN3電力」の利用量が「83」[kWh]であり、電力区分名「一般電力」の利用量が「167」[kWh]である。例えば、製品名「P6」の製品における第1利用量の内訳では、電力区分名「GRN3電力」の利用量が「3333」[kWh]であり、電力区分名「一般電力」の利用量が「6667」[kWh]である。
【0054】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Sは、制御処理部1のCO排出量演算部13によって、前記複数の演算対象それぞれについて、当該第1種類の演算対象に関するCO排出量を、前記処理S2で内訳演算部12によって求めた、前記第2種類のリソース別の第2利用量で表された第1利用量の内訳に基づいて求める(S3、CO排出量演算工程)。CO排出量演算部13は、当該第1種類の演算対象において、前記第2種類のリソース別の第2利用量で表された第1利用量の内訳それぞれについて、当該第2種類のリソースの第2利用量で表された第1利用量に、当該第2種類のリソースにおける単位CO排出量を乗算し、各乗算結果の総和を求めることによって、当該第1種類の演算対象に関するCO排出量をもとめる。図4および図12に示す例における演算対象に関するCO排出量が図13に示されている。例えば、製品名「P1」の製品に関するCO排出量は、電力区分名「GRN1電力」の利用量「2000」[kWh]とその単位CO排出量「0.1」[kgCO2/kWh]とを乗算し、電力区分名「GRN2電力」の利用量「750」[kWh]とその単位CO排出量「0.2」[kgCO2/kWh]とを乗算し、電力区分名「GRN3電力」の利用量「83」[kWh]とその単位CO排出量「0.3」[kgCO2/kWh]とを乗算し、電力区分名「一般電力」の利用量「167」[kWh]とその単位CO排出量「0.6」[kgCO2/kWh]とを乗算し、これら各乗算結果の総和「475」[kgCO2]として求められる。例えば、製品名「P6」の製品に関するCO排出量は、電力区分名「GRN3電力」の利用量「3333」[kWh]とその単位CO排出量「0.3」[kgCO2/kWh]とを乗算し、電力区分名「一般電力」の利用量「6667」[kWh]とその単位CO排出量「0.6」[kgCO2/kWh]とを乗算し、これら各乗算結果の総和「5000」[kgCO2]として求められる。
【0055】
そして、二酸化炭素排出量演算装置Sは、制御処理部1の制御部11によって、各演算結果を出力部4から出力し(S4)、本処理を終了する。例えば、図13に示す演算結果が出力部4に出力される。なお、二酸化炭素排出量演算装置Sは、必要に応じて、各演算結果をIF部5を介して外部の機器に出力してもよい。
【0056】
第1利用量の内訳を演算する処理S2について、説明する。図6において、内訳演算部12は、まず、第2利用量情報記憶部22に記憶されている記憶内容に基づき、各第2利用量(この例では購入電力量)を順番の順にソートする(S11)。
【0057】
続いて、内訳演算部12は、変数nを「1」に設定し(n←1)、変数nを初期化する(S12)。変数nは、順番を表す変数であり、図3に示す例では、n=1は、電力区分名「GRN1電力」の購入電力量を表し、n=2は、電力区分名「GRN2電力」の購入電力量を表し、n=3は、電力区分名「GRN3電力」の購入電力量を表し、n=4は、電力区分名「一般電力」の購入電力量を表す。
【0058】
続いて、内訳演算部12は、第1および第2利用量情報記憶部21、22に記憶されている記憶内容に基づき、順番nの購入電力量の割当て先において、購入電力量を割り当てていない使用電力量(区分未割当電力量)の合計Wnを求める(S13)。図2および図3に示す例では、図7に示すように、n=1であるから、電力区分名「GRN1電力」の購入電力量の割当て先となる製品名「P1」の製品において、購入電力量を割り当てていない使用電力量の合計W1=3000[kWh]が求められる。
【0059】
続いて、内訳演算部12は、使用電力量に割り当てられていない順番nの購入電力量Vnが、処理S13で求めた、順番nの購入電力量の割当て先において、購入電力量を割り当てていない使用電力量の合計Wnより大きいか否かを判定する(S14)。この判定の結果、Wn<Vnである場合(Yes)には、内訳演算部12は、次に、処理S15および処理S16の各処理を順次に実行した後に、処理S17を実行する。一方、前記判定の結果、Wn<Vnではない場合(No、Wn≧Vn)には、内訳演算部12は、次に、処理S21に実行した後に、処理S17を実行する。
【0060】
この処理S15では、内訳演算部12は、使用電力量に割り当てられていない順番nの購入電力量Vnのうち、順番nの購入電力量の割当て先において、購入電力量を割り当てていない使用電力量の合計Wnを、順番nの購入電力量における割当て先の演算対象に割り当てる。したがって、順番nの購入電力量における割当て先の演算対象の全てに、順番nの購入電力量Vnが割り当てられる。
【0061】
前記処理S16では、処理S15の割当て後に、順番nの購入電力量Vnに残量(=Vn-Wn)があるので、内訳演算部12は、前記残量を、順番nの購入電力量の割当て先ではない演算対象に割り当てる。この残量を割り当てる場合に、内訳演算部12は、順番nの購入電力量の割当て先ではない演算対象における使用電力量のうち、購入電力量が割り当てられていない未割当て量の比で、前記残量を順番nの購入電力量の割当て先ではない演算対象に割り当てる。
【0062】
一方、前記処理S21では、内訳演算部12は、使用電力量に割り当てられていない順番nの購入電力量Vnの全量を、順番nの購入電力量における割当て先の演算対象に割り当てる。この割り当てる場合に、内訳演算部12は、順番nの購入電力量における割当て先の演算対象における使用電力量のうち、購入電力量が割り当てられていない未割当て量の比で、順番nの購入電力量を、順番nの購入電力量における割当て先の演算対象に割り当てる。図2および図3に示す例では、図7に示すように、n=1であるから、順番「1」の購入電力量V1=2000[kWh]であり、W1<V1ではないから、順番「1」の購入電力量V1=2000[kWh]の全量が、順番「1」の購入電力量における割当て先の演算対象である製品名「P1」の製品に、前記未割当て量の比「1」で割り当てられる。
【0063】
前記処理S17では、内訳演算部12は、使用電力量および順番nの購入電力量Vnそれぞれを更新する。より具体的には、使用電力量は、処理S15および処理S16で、または、処理S21で、割り当てられた量だけ減算される。順番nの購入電力量Vnは、順番nの購入電力量Vnの全量を割り当てたので、「0」[kWh]に更新される(Vn←0)。
【0064】
前記処理S17に続いて、全ての使用電力量について、その内訳が求められた否かを判定するために、内訳演算部12は、購入電力量を割り当てていない使用電力量の全てが「0」[kWh]であるか否かを判定する。この判定の結果、全てが「0」[kWh]である場合(Yes)には、内訳演算部12は、本処理S2を終了し、一方、前記判定の結果、全てが「0」[kWh]ではない場合(No)には、内訳演算部12は、次に、処理S19を実行した後に、処理を処理S13に戻す。
【0065】
この処理S19では、順番nの購入電力量Vnの全量が割り当てられたので、次の順番n+1の購入電力を割り当てるために、内訳演算部12は、nを1だけインクリメントする(n←n+1)。
【0066】
例えば、図2および図3に示す例では、上述したように、まず、処理S11、処理S12、処理S13、処理S14、処理S21および処理S17の各処理が順次に実行され、図7に示す各演算結果が得られる(SV1={1000;2000、0、0、0}[kWh]、V1=0[kWh]、n=1)。そして、処理S18では、全てが「0」[kWh]ではないと判定され、処理S19が実行され(n=2)、処理が処理S13に戻される。ここで、SVk={α;β、γ、δ、ε}は、製品名「Pk」の製品における使用電力量の状況を表し、αは、購入電力量が割り当てられていない使用電力量であり、βは、割り当てられた電力区分名「GRN1電力」の電力量であり、γは、割り当てられた電力区分名「GRN2電力」の電力量であり、δは、割り当てられた電力区分名「GRN3電力」の電力量であり、εは、割り当てられた電力区分名「一般電力」の電力量である。
【0067】
続いて、処理S13、処理S14、処理S21および処理S17の各処理が順次に実行される。これによって、図8に示す各演算結果が得られる(SV1={250;2000、750、0、0}[kWh]、SV2={250;0、750、0、0}[kWh]、SV3={500;0、1500、0、0}[kWh]、n=2)。なお、順番「2」の購入電力量における割当て先の演算対象は、製品名「P1」、製品名「P2」および製品名「P3」の各製品であり、未割当量の合計W2は、「4000」[kWh](=1000+1000+2000)であり、製品名「P1」、製品名「P2」および製品名「P3」の各製品における未割当て量の比は、1000:1000:2000=1:1:2となる。製品名「P1」、製品名「P2」および製品名「P3」の各製品には、「750」[kWh]、「750」[kWh]および「1500」[kWh]が割り当てられる。そして、処理S18では、全てが「0」[kWh]ではないと判定され、処理S19が実行され(n=3)、処理が処理S13に戻される。
【0068】
続いて、処理S13、処理S14、処理S15および処理S16の各処理が順次に実行される。これによって、図9に示す各演算結果が得られる(SV1={250;2000、750、0、0}[kWh]、SV2={250;0、750、0、0}[kWh]、SV3={0;0、1500、500、0}[kWh]、SV4={0;0、0、1000、0}[kWh]、n=3)。なお、順番「3」の購入電力量における割当て先の演算対象は、製品名「P3」および製品名「P4」の各製品であり、未割当量の合計W2は、「1500」[kWh](=500+1000)であり、製品名「P3」および製品名「P4」の各製品における未割当て量の比は、500:1000=1:2となる。製品名「P3」および製品名「P4」の各製品には、「500」[kWh]および「1000」[kWh]が割り当てられる。続いて、処理S17が実行される。これによって、図10に示す各演算結果が得られる(SV1={167;2000、750、83、0}[kWh]、SV2={167;0、750、83、0}[kWh]、SV3={0;0、1500、500、0}[kWh]、SV4={0;0、0、1000、0}[kWh]、SV5={2000;0、0、1000、0}[kWh]、SV6={6667;0、0、3333、0}[kWh]、n=3)。なお、順番「3」の購入電力量における割当て先ではない演算対象は、製品名「P1」、製品名「P2」、製品名「P5」および製品名「P6」の各製品であり、順番「3」の購入電力量における残量は、「4500」[kWh]であり、製品名「P1」、製品名「P2」、製品名「P5」および製品名「P6」の各製品における未割当て量の比は、250:250:3000:10000=1:1:12:40となる。製品名「P1」、製品名「P2」、製品名「P5」および製品名「P5」の各製品には、「83」[kWh]、「83」[kWh]、「1000」[kWh]および「3333」[kWh]が割り当てられる。そして、処理S18では、全てが「0」[kWh]ではないと判定され、処理S19が実行され(n=4)、処理が処理S13に戻される。
【0069】
続いて、処理S13、処理S14、処理S21および処理S17の各処理が順次に実行される。これによって、図11に示す各演算結果が得られる(SV1={0;2000、750、83、167}[kWh]、SV2={0;0、750、83、167}[kWh]、SV3={0;0、1500、500、0}[kWh]、SV4={0;0、0、1000、0}[kWh]、SV5={0;0、0、1000、2000}[kWh]、SV6={0;0、0、3333、6667}[kWh]、n=4)。そして、処理S18では、全てが「0」[kWh]であると判定され、本処理S2が終了される。
【0070】
以上説明したように、実施形態における二酸化炭素排出量演算システム(その一例の二酸化炭素排出量演算装置)S、ならびに、これに実装された二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、第1利用量と第2利用量とのマスバランスを維持しながら、リソースの第2利用量を所望の演算対象に割り当てて第1利用量の内訳を求めることができ、前記複数の演算対象ごとに第1利用量の内訳に基づいてCO排出量を求めることができる。したがって、これによれば、マスバランス方式において、改善した新たな演算手法を用いた二酸化炭素排出量演算システム(二酸化炭素排出量演算装置)S、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムが提供できる。
【0071】
上記二酸化炭素排出量演算システム(二酸化炭素排出量演算装置)S、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、リソースの第2利用量を所望の演算対象に割り当てた後の残量を有効に活用できる。
【0072】
上記二酸化炭素排出量演算システム(二酸化炭素排出量演算装置)S、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、割当ての前後で、第2利用量が割り当てられていない当該リソースの割当て先での未割当て量の比を維持でき、公平に割当て先の演算対象にリソースの第2利用量を割り当てることができる。
【0073】
上記二酸化炭素排出量演算システム(二酸化炭素排出量演算装置)S、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、残量の割当ての前後で、第2利用量が割り当てられていない当該リソースの割当て先でない演算対象において未割当て量の比を維持でき、公平に割当て先の演算対象にリソースの第2利用量を割り当てることができる。
【0074】
上記二酸化炭素排出量演算システム(二酸化炭素排出量演算装置)S、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、単位CO排出量の小さい方から順にリソースの第2利用量を演算対象に割り当てることができる。
【0075】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0076】
S 二酸化炭素排出量演算システム(その一例の二酸化炭素排出量演算装置)
1 制御処理部
2 記憶部
3 入力部
4 出力部
5 インターフェース部(IF部)
11 制御部
12 内訳演算部
13 CO排出量演算部
21 第1利用量情報記憶部
22 第2利用量情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13