(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153526
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
F16D 55/22 20060101AFI20241022BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20241022BHJP
F16D 55/225 20060101ALI20241022BHJP
F16D 65/18 20060101ALI20241022BHJP
F16D 65/02 20060101ALI20241022BHJP
F16D 65/847 20060101ALI20241022BHJP
F16D 121/24 20120101ALN20241022BHJP
F16D 125/40 20120101ALN20241022BHJP
F16D 125/68 20120101ALN20241022BHJP
【FI】
F16D55/22 C
B60T13/74 G
F16D55/225 102C
F16D65/18
F16D65/02 B
F16D65/847
F16D121:24
F16D125:40
F16D125:68
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109899
(22)【出願日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】10-2023-0050287
(32)【優先日】2023-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン ボ ラム
【テーマコード(参考)】
3D048
3J058
【Fターム(参考)】
3D048BB45
3D048CC49
3D048HH18
3D048HH58
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA63
3J058AA69
3J058AA78
3J058AA84
3J058AA87
3J058BA46
3J058CC15
3J058CC23
3J058CC25
3J058CC33
3J058CC36
3J058CC62
3J058DE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ピストンの破損可能性を低減したブレーキ装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ装置は、ブレーキパッド、ブレーキパッドに連結されてブレーキパッドを直線運動させるパッド推進部、及びパッド推進部が取り付けられるシリンダー空間が設けられたキャリパーボディーを含み、パッド推進部は、回転運動を直線運動に転換する転換組み立て体と、転換組み立て体の一端に連結される少なくとも2つのピストンを含み、転換組み立て体はシリンダー空間の内部に取り付けられ、少なくとも2つのピストンはシリンダー空間の外部に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ装置であって、
ブレーキパッド;
前記ブレーキパッドに連結されて前記ブレーキパッドを直線運動させるパッド推進部;及び
前記パッド推進部が取り付けられるシリンダー空間が設けられたキャリパーボディーを含み、
前記パッド推進部は、
回転運動を直線運動に転換する転換組み立て体と、
前記転換組み立て体の一端に連結される少なくとも2つのピストンを含み、
前記転換組み立て体は前記シリンダー空間の内部に取り付けられ、
前記少なくとも2つのピストンは前記シリンダー空間の外部に位置する、ブレーキ装置。
【請求項2】
前記転換組み立て体は、
軸を中心として回転するボルトねじと、
前記ボルトねじに連結される移動ナットとを含み、
前記ボルトねじの回転により前記移動ナットが前記シリンダー空間の方向に沿って移動し、
前記少なくとも2つのピストンは前記移動ナットのヘッドに連結される、請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記パッド推進部はさらに回動連結部を含み、
前記回動連結部は前記移動ナットのヘッドと回動可能に連結され、
前記少なくとも2つのピストンは前記回動連結部に連結され、
前記回動連結部は垂直方向の軸を中心として回動する、請求項2に記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つのピストンは前記回動連結部に相互対称に連結される、請求項3に記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記回動連結部と前記移動ナットのヘッドは垂直方向に締結されたボルトにより回動可能に連結され、前記回動連結部の回動抵抗は前記ボルトの締結トルクに基づく、請求項4に記載のブレーキ装置。
【請求項6】
中立位置において前記少なくとも2つのピストンの前面を含む仮想の平面から前記移動ナットのヘッドの端部までの垂直距離は少なくとも2mm以上である、請求項5に記載のブレーキ装置。
【請求項7】
前記キャリパーボディーはさらに前記回動連結部が中立位置から所定の角度以上回動することを防ぐストッパーを含む、請求項6に記載のブレーキ装置。
【請求項8】
前記回動連結部は前記ストッパーが接する位置に前記ストッパーの少なくとも一部が挿入される凹部を備える、請求項7に記載のブレーキ装置。
【請求項9】
前記キャリパーボディーは放熱口を含み、
前記放熱口の幅は前記ボルトの幅より大きく、
前記放熱口の長さは前記ブレーキパッドの許容摩耗量の2倍及び前記ボルトの幅を併せたものよりも長く、
前記放熱口は前記ボルトの上部において前記ボルトの移動方向に沿って形成される、請求項8に記載のブレーキ装置。
【請求項10】
ブレーキ装置であって、
ブレーキパッド;
前記ブレーキパッドに連結されて前記ブレーキパッドを直線運動させるパッド推進部;及び
前記パッド推進部が取り付けられるシリンダー空間が設けられたキャリパーボディーを含み、
前記パッド推進部は、
前記シリンダー空間内で軸を中心として回転するボルトねじと、前記ボルトねじに連結される移動ナットと、前記移動ナットのヘッドに回動可能に連結される回動連結部を含み、
前記移動ナットは前記ボルトねじの回転により前記シリンダー空間の方向に沿って移動し、前記回動連結部は前記移動ナットのヘッドを貫通する垂直方向の軸を中心として回動し、少なくとも2つのピストンは前記回動連結部に連結される、ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は全ての車種に適用可能なブレーキ装置に関し、より詳しくは、車両のブレーキディスクに連結されるブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に取り付けられるブレーキ装置は走行中の自動車を減速/停止するか又は停止状態を維持するための装置であって、車輪と共に回転する円盤状のブレーキディスクを両側からブレーキパッドで強く圧迫して車両に制動を掛けるものである。
【0003】
通常のブレーキ装置では一般的に1つのブレーキパッドが1つのピストンにより推進されてブレーキディスクを加圧するが、2つ以上のピストンによりブレーキパッドが推進される場合もある。
【0004】
複数のピストンにより1つのブレーキパッドが推進される場合、ピストンごとに均一な圧力が作用することがブレーキ性能において重要である。ブレーキパッドの全面に圧力が均一に分布するほど、ブレーキパッドが均一にブレーキディスクに加圧できるためである。ところが、ブレーキパッドに偏摩耗が発生してパッド面に傾斜が形成されると、複数のピストンの間に作用する圧力に差が発生する問題がある。即ち、特定のピストンに圧力が過度に作用してピストンが破損し、ブレーキ性能が低下する可能性がある。
【0005】
また、ピストンを推進するアクチュエーターの製造公差などのその他の要素により複数のピストンのいずれかに過渡な圧力が作用することもあり、それによりブレーキパッド面に圧力が均一に分布しない問題が大きくなる。
【0006】
上述した問題はブレーキ装置の性能に影響を及ぼすので、技術の改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の実施例は上述した問題を改善したブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0008】
より具体的には、この発明の実施例はピストンの破損可能性を低減したブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0009】
またこの発明の実施例はブレーキパッドの面圧が改善したブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明で解決しようとする課題は上述した技術的課題に限られず、言及していない他の技術的課題は以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するためのブレーキ装置として、ブレーキパッド、このブレーキパッドに連結されてブレーキパッドを直線運動させるパッド推進部、及びパッド推進部が取り付けられるシリンダー空間が設けられたキャリパーボディーを含み、パッド推進部は、回転運動を直線運動に転換する転換組み立て体と、転換組み立て体の一端に連結される少なくとも2つのピストンを含み、転換組み立て体はシリンダー空間の内部に取り付けられ、少なくとも2つのピストンはシリンダー空間の外部に位置する。
【0012】
好ましくは、転換組み立て体は、軸を中心として回転するボルトねじと、ボルトねじに連結される移動ナットを含み、ボルトねじの回転により移動ナットがシリンダー空間の方向に沿って移動し、少なくとも2つのピストンは移動ナットのヘッドに連結される。
【0013】
また好ましくは、パッド推進部はさらに回動連結部を含み、回動連結部は移動ナットのヘッドと回動可能に連結され、少なくとも2つのピストンは回動連結部に連結され、回動連結部は垂直方向の軸を中心として回動する。ここで、少なくとも2つのピストンは回動連結部に相互対称に連結される。
【0014】
また好ましくは、回動連結部と移動ナットのヘッドは垂直方向に締結されたボルトにより回動可能に連結され、回動連結部の回動抵抗はボルトの締結トルクに基づく。
【0015】
また、中立位置において少なくとも2つのピストンの前面を含む仮想の平面から移動ナットのヘッドの端部までの垂直距離は少なくとも2mm以上である。
【0016】
また、キャリパーボディーはさらに回動連結部が中立位置から所定の角度以上回動すること防ぐストッパーを含み、回動連結部はストッパーが接する位置にストッパーの少なくとも一部が挿入される凹部を備える。
【0017】
また好ましくは、キャリパーボディーは放熱口を含み、放熱口の幅はボルトの幅より大きく、放熱口の長さはブレーキパッドの許容摩耗量の2倍及びボルトの幅を併せたものよりも長く、放熱口はボルトの上部においてボルトの移動方向に沿って形成される。
【0018】
ブレーキ装置であって、ブレーキパッド、ブレーキパッドに連結されてブレーキパッドを直線運動させるパッド推進部、及びパッド推進部が取り付けられるシリンダー空間が設けられたキャリパーボディーを含み、パッド推進部は、シリンダー空間内で軸を中心として回転するボルトねじと、ボルトねじに連結される移動ナットと、移動ナットのヘッドに回動可能に連結される回動連結部を含み、移動ナットはボルトねじの回転によりシリンダー空間の方向に沿って移動し、回動連結部は移動ナットのヘッドを貫通する垂直方向の軸を中心として回動し、少なくとも2つのピストンは回動連結部に連結される。
【発明の効果】
【0019】
この発明の実施例によれば、ブレーキ装置のピストンの破損可能性が低くなる。
【0020】
また、この発明の実施例によれば、ブレーキパッドに作用する面圧が改善される。
【0021】
また、この発明の実施例によれば、複数のピストンに連結されたブレーキパッドの活用度が高くなる。
【0022】
本発明から得られる効果は上述した効果に限られず、言及していない他の効果は以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明の実施例によるブレーキ装置の斜視図である。
【
図5】ブレーキ装置のキャリパーボディー及びパッド推進部を示す図である。
【
図6】ブレーキ装置のパッド推進部の斜視図である。
【
図9】パッド推進部の上部平面図及び部分拡大図である。
【
図10】キャリパーボディーに組み立てられたパッド推進部の一断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付する図面とともに詳細に後述する実施例を参照にすると明確になるであろう。しかしながら、この発明は以下に開示する実施例に限定されるものではなく、相違する多様な形に具現化することができる。但し、この実施例はこの発明の開示が完全となるようにし、この発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであって、この発明は請求項の範疇によって定義される。
【0025】
この明細書で使用する用語は実施例を説明するためのものであり、この発明を制限するものではない。この明細書において単数形は、文言で特別に言及しない限り、複数形をも含む。明細書で使用する「含む」及び/又は「からなる」は言及した構成要素以外に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。なお、明細書全体にかけて、同一の参照符号は同一の構成要素を指し、「及び/又は」は言及された構成要素のそれぞれ及び1つ以上の全ての組合せを含む。「第1」、「第2」などが多様な構成要素を説明するために使用されているが、これらの構成要素はかかる用語に制限されるものではない。これらはただ1つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものである。従って、以下に言及する第1構成要素はこの発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得る。
【0026】
特に定義がなければ、この明細書で使用する全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、この発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通に理解され得る意味に使用される。また、一般的に使用される辞典に定義されている用語は、明確に特別に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0027】
相対的な空間関係を表す用語の「下(below、beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図面に表した1つの構成要素と別の構成要素との相関関係を容易に記述するために用いられる。これらの用語は、図面に示す方向に加え、使用時又は動作時における構成要素の互いに異なる方向を含むものとして理解すべきである。例えば、図面に示した構成要素をひっくり返した場合、別の構成要素の「下(below、beneath)」と記述された構成要素は、該別の構成要素の「上(above)」にあり得る。従って、例示的な用語の「下」は下方と上方、両方を含むことができる。構成要素は他の方向に向かってもよく、それにより相対的な空間関係を表す用語は図に表した向きによって解釈できる。
【0028】
図1、
図2、
図3及び
図4はこの発明の実施例に係るブレーキ装置100(以下、“ブレーキ装置”という)の斜視図、側面図、下部平面図及び上部平面図である。ブレーキ装置100はブレーキパッド130で車両のブレーキディスク(図示せず)面を加圧して車輪に制動を掛ける。車両の走行中にブレーキディスクは車輪と共に回転し、ブレーキ装置100がブレーキディスクに圧力を加えると、ブレーキディスクの回転に抵抗が作用して車輪の回転速度を下げることができる。
【0029】
図1ないし
図4を参照すると、ブレーキ装置100はキャリパーボディー110及びパッドキャリア120を含む。またブレーキ装置100はブレーキパッド130、パッド推進部140及び連結ピン150を含む。
【0030】
キャリパーボディー110はブレーキ装置100の構成要素を連結する胴体である。キャリパーボディー110は‘コ’と類似する形状に設けられ、凹状の領域にブレーキディスクの一部が位置する。キャリパーボディー110はブレーキディスクの両面を加圧するために内部にブレーキパッド130が位置する。またキャリパーボディー110はブレーキパッド130を推進するパッド推進部140が取り付けられるシリンダー空間を含む。シリンダー空間はパッド推進部140の少なくとも一部を収容可能な空間である。
【0031】
キャリパーボディー110の材質及び形状は他の構成要素の位置、荷重などを考慮して様々に決定される。好ましくは、キャリパーボディー110の材質は金属系の材質を含む。キャリパーボディー110はブレーキ締付力に対する反力を支持するために適切な強度を有する金属系の材質からなる。
【0032】
パッドキャリア120はキャリパーボディー110と連結ピン150により連結され、ブレーキパッド130の移動をガイドするようにブレーキパッド130の両側面に連結される。ブレーキパッド130の両側面には突出部が設けられ、パッドキャリア120は突出部に対応する溝を備えて、ブレーキパッド130の突出部がパッドキャリア120の溝に挿入される。
【0033】
パッドキャリア120の溝はブレーキパッド130がブレーキディスクを加圧するために移動する方向(例えば、図においてx軸に平行な方向)に沿って延びる。従って、ブレーキパッド130はパッドキャリア120により両側面の突出部がガイドされながら移動する。
【0034】
パッドキャリア120は車輪のナックル(図示せず)などの固定された構成要素に連結され、パッドキャリア120と連結されたキャリパーボディー110は連結ピン150の方向に沿ってガイドされて移動する。例えば、ブレーキの動作時、ブレーキパッド130がブレーキディスクに圧力を加える反力によりキャリパーボディー110が移動する。連結ピン150の方向はブレーキパッド130が推進する方向に平行である。
【0035】
パッドキャリア120はブレーキパッド130に作用する制動トルクを支持するように適切な強度を有する金属系の材質からなる。
【0036】
ブレーキパッド130はブレーキディスクと直接接して摩擦するパッド及びパッドの一面に連結されるバックプレートで構成される。ブレーキパッド130は複数個からなり、第1ブレーキパッドはブレーキディスクの一面を加圧し、第2ブレーキパッドはブレーキディスクの他面を加圧する。一対のブレーキパッド130はブレーキディスクを介在して、互いにパッド面が対向する状態で配置される。
【0037】
図示していないが、ブレーキ装置100はパッド推進部140を駆動するためのモーター及びモーターに連結されたギアからなるギア部を含む。モーターは電気信号に基づいて動作が制御され、モーターを稼動すると、モーターの回転運動がギア部を介してパッド推進部140に伝達される。
【0038】
ギア部はモーターの回転運動を伝達するための複数のギアの組み立て体である。複数のギアはモーターギアと連結され、複数のギアの種類、個数、位置及びサイズなどは通常の技術者により考案された様々な構造を含む。複数のギアは平歯車(Spur gear)、はすば歯車(Helical gear)、ウォーム歯車(Worm gear)などの様々な種類の組み合わせで構成される。
【0039】
図5はパッド推進部140が組み立てられたキャリパーボディー110を示す図である。
図5では説明しようとする構成要素以外の不要な構成要素は省略している。
図5を参照すると、パッド推進部140の少なくとも一部はキャリパーボディー110のシリンダー空間に挿入されて位置する。具体的には、パッド推進部140を構成する要素のうち、ボルトねじ143及び移動ナット142はその一部がシリンダー空間内に位置する。
【0040】
図6はパッド推進部140の斜視図であり、
図7はパッド推進部140の分解図である。また、
図8はパッド推進部140の側面図である。
【0041】
パッド推進部140はギア部から動力を受けてブレーキパッド130を移動させる。
図5ないし
図8を参照すると、パッド推進部140はピストン141、転換組み立て体142,143及び/又は回動連結部146を含む。パッド推進部140はアクチュエーターとも称される。
【0042】
転換組み立て体はギアの回転運動を直線運動に転換する様々な構成及び構成間の連結方式を示す。例えば、この実施例において、転換組み立て体はボルトねじ143及びそれに対応する移動ナット142を含む。転換組み立て体はキャリパーボディー110に形成されたシリンダー空間に取り付けられる。シリンダー空間は移動ナット142が移動可能な円筒状の空間である。
【0043】
ボルトねじ143はモーターに連結されたギアと噛み合い、軸を中心として回転する。ボルトねじ143はシリンダー空間の中心に軸方向(例えば、x軸に平行な方向)に位置する。ボルトねじ143の軸方向はブレーキパッド130が移動(前進又は後退)する方向に平行である。ボルトねじ143はキャリパーボディー110のシリンダー空間内に位置し、もとの位置で回転する。図示していないが、ボルトねじ143は外面に螺旋形のスクリュー(ねじ線)を備える。
【0044】
移動ナット142はボルトねじ143のスクリューに対応するスクリューを備え、ボルトねじ143と連結されてボルトねじ143の回転方向に沿って前進又は後退する。移動ナット142はボルトねじ143に連結されて移動しながら、シリンダー空間の外側に突出するか、又はシリンダー空間の内に引き込まれる。移動ナット142はシリンダー空間の長さ方向に沿って移動する。
【0045】
移動ナット142の長さは、移動ナット142がシリンダー空間の端部まで引き込まれてもその頭部がシリンダー空間の外側に突出する程度に十分に長く形成される。即ち、移動ナットの長さはシリンダー空間の長さよりも長い。シリンダー空間内にベアリングが位置する場合、移動ナットの長さLはシリンダー空間の長さDからベアリングの厚さWを引いたものよりも大きい。即ち、L>(D-W)である。
【0046】
パッド推進部140はボルトねじ143と連結されたベアリング144をさらに含む。ベアリング144は1つ以上からなり、移動ナット142の尾部の後方に位置する。ベアリング144はスクリューベアリングを含み、ボルトねじ143の位置を一定に維持する。
【0047】
移動ナット142は一部がシリンダー空間内に位置し、移動ナット142の移動はシリンダー空間が形成された方向によりガイドされる。移動ナット142はボールねじナットとも称され、ボルトねじ143と移動ナット142の構造はボールねじ構造とも称される。
【0048】
一方、
図6ないし
図8を参照すると、パッド推進部140は回動連結部146を含む。回動連結部146は移動ナット142のヘッドと回動可能に連結され、回動連結部146はz軸(垂直方向)を回転軸として回動できる。
【0049】
具体的には、回動連結部146は回転部1461、連結アーム1462及びピストン固定部1463からなる。回転部1461は移動ナット142とボルト1461aにより連結される。例えば、回転部1461と移動ナット142のヘッドはz軸方向(垂直方向)に形成された締結孔をそれぞれ含み、ボルト1461aが締結孔を垂直方向に貫通することにより2つの構成要素を軸を中心として回動可能に連結することができる。ボルト1461aは移動ナット142に固定され、回転部1461の締結孔はボルト1461aの外径に比べて直径が多少大きい。従って、回転部1461がボルト1461aを軸として回転することができる。回転部1461と移動ナット142が互いに回動可能に連結される方式は、通常の技術者により他の方式が適用されてもよい。
【0050】
回転部1461はボルト1461aの締結トルクに基づいて摩擦抵抗が適用される。ボルト1461aの締結トルクが強いほど回転部1461と移動ナット142が強く結合し、回転部1461の回転時により多い摩擦が発生する。従って、ボルト1461aの締結トルクを調節することにより回転部1461の回転に対する抵抗を調節することができる。ボルト1461aの締結トルクが低すぎる場合、回動連結部146が容易に回転してブレーキパッド130に適切な推進力を伝達することが難しい。従って、通常の技術者であれば、ボルト1461aの締結トルクを調節して回動連結部146の回転に対して適切な抵抗を加えることができる。
【0051】
ボルト1461aのヘッドと回転部1461の間にワッシャーを設けて2つの構成要素の間の相対的な動きを円滑にすることができる。ワッシャーは回転部1461と移動ナット142のヘッドの間に備えられても良い。ワッシャーは締結孔内に異物質が流入することを防止し、回動連結部146の回転を柔らかくする。またボルト1461aの外形にブッシュが適用されてもよい。ブッシュは締結孔内のノイズに対する強健さのためにダンピングが必要な場合に適用できる。
【0052】
ピストン固定部1463はピストン141に連結される構成要素である。回動連結部146は複数のピストン固定部1463を含み、複数のピストン固定部1463は複数のピストン141にそれぞれ連結される。複数のピストン141はブレーキパッド130の面の中心を基準として対称に連結されてブレーキパッド130に制動力を伝達する。
【0053】
連結アーム1462は回転部1461とピストン固定部1463を連結する部材である。連結アーム1462の一端は回転部1461に連結され、連結アーム1462の他端はピストン固定部1463に連結される。連結アーム1462は回転部1461が回転する中心軸を基準として対称に形成される。具体的には、連結アーム1462は回転部1461の回転軸を通過するxz平面を基準として対称に形成される。言い換えれば、ブレーキパッド130の中心を通過し、ブレーキパッド130の面に垂直である仮想の垂直平面(即ち、xz平面)を基準として連結アーム1462が対称に形成される。また、ボルトねじ143の回転軸を含み、回転部1461の回転軸を含む垂直平面(即ち、xz平面)を基準として連結アーム1462が対称に形成される。
【0054】
なお、連結アーム1462はブレーキパッド130の中心を通過し、ブレーキパッド130の面と垂直である仮想の水平平面(即ち、xy平面)を基準として対称に形成される。又は、ボルトねじ143の回転軸を含み、回転部1461の回転軸に垂直である水平平面(即ち、xy平面)を基準として連結アーム1462は対称に形成される。
【0055】
連結アーム1462の形状に対応して、複数のピストン141は回動連結部146と対称に連結される。従って、ブレーキパッド130の面に対して複数のピストン141が均一に力を作用することができる。
【0056】
連結アーム1462の具体的な形状は通常の技術者により適切に変更可能である。ブレーキパッド130を推進するために、ブレーキパッド130と連結される複数のピストン141の位置が設計されると、複数のピストン141にそれぞれ連結される複数のピストン固定部1463の位置が定義され、連結アーム1462は複数のピストン固定部1463と回転部1461を連結するように形成される。連結アーム1462はブレーキパッド130を加圧する力を考慮して、適切な強度を有する部材からなる。
【0057】
一方、ピストン141は一端がブレーキパッド130に連結され、他端はピストン固定部1463に連結されて移動ナット142の動きをブレーキパッド130に伝達する。ピストン141の形状は一面が開放した円筒状であり、開放した一面を介してピストン固定部1463に連結される。ピストン固定部1463は突出した部分がピストン141の開放した一面を通過して挿入されてピストン141に連結される。従って、移動ナット142が前進又は後退すると、移動ナット142に連結された回動連結部146が前進又は後退し、回動連結部146に連結された複数のピストン141がブレーキパッド130と共に前進又は後退する。ここで、ピストン141はシリンダー空間に挿入されず、シリンダー空間の外部に位置する。
【0058】
ピストン固定部1463の突出した部分は曲面を有し、ピストン141はピストン固定部1463の突出した部分と近い一面に対応する曲面を有する。例えば、ピストン固定部1463の突出した部分が凸状の曲面を有すると、ピストン141の対応する面は凹状の曲面を有する。ピストン固定部1463の曲面とピストン141の曲面は互いに対応して面どうしに接する。ピストン固定部1463の曲面とピストン141の曲面は中立状態で所定距離が離隔した状態である。従って、ピストン141は上述した所定の間隔が許容する範囲内で柔軟な動きが可能である。ピストン141の軸方向は移動ナット142の軸方向から多少傾くことができる。よって、ピストン141はピストン固定部1463との連結性を維持する同時に、柔軟性を有することができる。
【0059】
シール部148はピストン141とピストン固定部1463の間に生じた隙間を遮断する構成である。シール部148は異物質がピストン141の内部に進入することを遮断する。
【0060】
ピストン固定部1463は突出部の縁部に沿って形成された第1の溝を含み、ピストン141は内面に第1の溝と位置が対応する第2の溝を含む。ピストン141とピストン固定部1463の連結時、第1の溝と第2の溝は互いに対向し、第1の溝と第2の溝によってシール部148が位置する空間が設けられる。従って、ピストン固定部1463の第1の溝とピストン141の第2の溝により形成される空間にシール部148が位置する。シール部148はピストン固定部1463の第1の溝と第2の溝により形成された空間によって形成される形状であり、リング状を含む。シール部148の形状はピストン固定部1463の断面の形状によって異なるように適用される。また、シール部148の断面は矩形又は円形に形成され、第1の溝と第2の溝の溝形状はシール部148の断面の形状に対応して変更される。シール部148はシーリングのために通常使用される部品、材料などを含む。シール部148はピストン固定部1463とピストン141の間の隙間を遮断しつつ、ピストン固定部1463とピストン141が互いに離脱しないように連結する。
【0061】
他の実施例においては、ピストン固定部1463とピストン141はコーキングにより連結される。
【0062】
ブーツ147はキャリパーボディー110のシリンダー空間の縁部の外壁と移動ナット142の外面の間の隙間を遮断して外部からの異物質の流入を遮断する。
【0063】
キャリパーボディー110はシリンダー空間の開口部の縁部に沿って形成された第3の溝を含み、移動ナット142は外周面の縁部に沿って形成された第4の溝を含む。第4の溝はシリンダー空間の外部に位置する。ブーツ147の一端は第3の溝に挿入されて固定され、ブーツ147の他端は第4の溝に挿入されて固定される。ブーツ147は複数個の重なるシワが形成されて移動ナット142の位置が変わってもそれに応じて柔軟に変形でき、移動ナット142とシリンダー空間の壁体の間の隙間に異物質が流入しないように遮断する。
【0064】
図9はパッド推進部140の上部平面図及び部分拡大図である。
【0065】
図9を参照すると、ボルトねじ143の回転により移動ナット142が直線移動する。また回動連結部146と移動ナット142はボルト1461aにより回動可能に連結される。従って、ブレーキパッド130が偏摩耗されるか、或いは製造公差により移動ナット142の移動方向とブレーキディスク面が正確に垂直ではなくても、回動連結部146が回転することによりレーキパッド130の面とブレーキディスク面が均一に接することができる。
【0066】
回動連結部146が所定の角度に回転することを許容するために、ピストン141の前面を含む平面と移動ナット142のヘッドの端部を通過しながらボルトねじ143の回転軸と垂直である平面との垂直距離(c)は少なくとも2mm以上である。言い換えれば、中立状態で複数のピストン141の前面を含む仮想の平面から移動ナット142のヘッドの端部までの垂直距離は少なくとも2mm以上である。従って、回動連結部146が回転してブレーキパッド130が所定の角度に傾斜しても、ブレーキパッド130の後面が移動ナット142のヘッドと接しない。
【0067】
一方、
図4を参照すると、キャリパーボディー110は放熱口112を含む。放熱口112はボルト1461aから発散される熱を容易に外部に伝達するために、キャリパーボディー110を貫通して形成される孔である。
【0068】
図4に示すように、放熱口112の幅はa、長さはbに定義される。このとき、aは少なくともボルト1461aのヘッドの最外側の直径よりも大きい。また、bはボルト1461aのヘッドの最外側の直径とブレーキパッド130の許容摩耗量の2倍を併せたものより大きい。即ち、b>ボルトヘッドの最外側直径+(許容摩耗量×2)である。
【0069】
放熱口112はボルト1461aの上部に位置し、ボルト1461aが移動する方向に平行な方向に配置される。
【0070】
キャリパーボディー110は幅がボルト1461aの幅より広く、長さがブレーキパッド130の許容摩耗量の2倍及びボルト1461aの幅を併せたものより長い孔からなる放熱口112を含み、放熱口112はボルト1461aの上部に位置し、ボルト1461aの移動方向に沿って形成される。
【0071】
図10はキャリパーボディー110に組み立てられたパッド推進部140の一断面を示す図である。
【0072】
図10を参照すると、キャリパーボディー110はさらに回動連結部146が中立状態で所定の角度以上に回動することを防ぐストッパー114を含む。ストッパー114はピストン固定部1463の後方に位置するキャリパーボディー110の表面から突出する。従って、回動連結部146が所定の角度に回転してピストン固定部1463がストッパー114に接する場合、回動連結部146はそれ以上回転できない。またピストン固定部1463はストッパー114の少なくとも一部が挿入可能な凹部を含む。
【0073】
ブレーキパッド130のパッドが非対称に摩耗した場合、ブレーキパッド130がブレーキディスクを加圧すると、偏摩耗したパッド面の傾きによりブレーキパッド130が傾くように外力がかかる。しかし、実施例によるブレーキ装置100はブレーキパッド130が少し傾くことができるので、ピストン141や移動ナット142が受ける外力の強さが顕著に減少し、破損可能性が低い。
【0074】
また、回動連結部146が移動ナット142のヘッドで回転可能であるので、複数のピストン141を使用するとき、ピストン141の間に作用する圧力の差を最小化することができる。従って、ブレーキパッド130の偏摩耗又は製造公差による移動ナットの方向誤差などの問題が発生しても、回動連結部146によりブレーキパッド130に均一な圧力を加えることができる。
【0075】
また、ピストン固定部1463とピストン141の間の間隔はブレーキパッド130のリターン性能を改善し、車両の振動によるピストン141の衝突現象を防止することができる。従って、装置のノイズが低減し、耐久性が改善される。
【0076】
また、ブレーキ装置100は1つの転換組み立て体により複数のピストンが一体に移動するので、コストを抑え、重量が減少し、ブレーキパッド130の面圧が改善される効果がある。
【0077】
ブレーキ装置100は1つのブレーキパッド130に複数のピストンを適用することによりブレーキパッド130の面圧を改善することができる。キャリパーボディー110とは関係なく、ピストンのサイズを減らすことができるという長所を活用して複数のピストンを適用でき、複数のピストンがブレーキパッド130の面圧を均一に改善することができる。
【0078】
この発明の様々な実施例についての説明は該当実施例のみに限られない。また様々な実施例で適用された各実施例に関する技術的思想は他の実施例にも適用することができる。
【0079】
以上では、当業者がこの発明を具現して実施できるようにこの発明の望ましい実施例について詳しく説明している。なお、この発明の望ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野に熟練した当業者であれば、この発明の領域から外れない範囲内でこの発明を様々に修正及び変更することができるであろう。例えば、当業者は上述した実施例に記載した各構成を互いに組み合わせる方式で利用することができる。
【0080】
従って、この発明はこの明細書に記載する実施例に限るものではなく、この明細書に記載した原理及び新規の特徴と一致する最広の範囲を付与するものである。
【符号の説明】
【0081】
100 ブレーキ装置、110 キャリパーボディー、112 放熱口、114 ストッパー、120 パッドキャリア、130 ブレーキパッド、140 パッド推進部、141 ピストン、142 移動ナット、143 ボルトねじ、(142,143 転換組み立て体)、144 ベアリング、146 回転連結部、1461 回転部、1461a ボルト、1462 連結アーム、1463 ピストン固定部、147 ブーツ、148 シール部、150 連結ピン。