(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153553
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】拡大されたロータ溝に適したダボテール構成を有するタービンブレード及びアセンブリのための方法
(51)【国際特許分類】
F01D 5/30 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
F01D5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024034579
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】18/295,413
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェルヴェット、フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】マタ ロペス、サルヴァドール
(72)【発明者】
【氏名】バードギック、スティーブン セバスティアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】新しくできた大きいロータ溝に適合するダボテールを有する新規のブレードであって、元のブレードよりも重量が重くならない新規のブレードを提供する。
【解決手段】延長挿入体は、ダボテールの端面432に接触するように構成された第1の端部424と、第2の端部426とを含んでいる。少なくとも1つの位置決め脚部428は、挿入体の第2の端部426から軸に対して半径方向内側に向かって延在する。ダボテール404と延長挿入体は、タービンブレード402をロータ412に取り付けるためにロータ溝410に配置されるように構成されている。取付けアーム420は、ロータ溝410の半径方向内側を向くロータフック430に係合し、位置決め脚部428は、ロータ溝410の半径方向外側を向く表面432、及び、位置決め脚部428とロータ溝410の半径方向外側を向く表面432との間に位置する平坦な板状のシムのうちの一方に係合する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
軸を有するロータ(412)に画定されるロータ溝(410)を用意することであって、前記ロータ溝(410)は、半径方向内側を向くロータフック(430)と半径方向外側を向く表面(432)とを含む、ロータ溝(410)を用意すること、
タービンブレードアセンブリ(400)を前記ロータ溝(410)に取り付けること
を含み、
前記タービンブレードアセンブリ(400)は、
エアフォイル(416)と、前記エアフォイル(416)に結合されたダボテール(404)とを含むタービンブレード(402)であって、前記ダボテール(404)は、取付けアーム(420)と、前記軸に対して半径方向内側を向く端面(432)とを含む、タービンブレード(402)と、
前記ダボテール(404)の端面(432)に接触するように構成された第1の端部(424)と、第2の端部(426)とを含む延長挿入体(406)であって、前記第2の端部(426)は、前記軸に対して半径方向内側に向かって延在する少なくとも1つの位置決め脚部(428)を含む、延長挿入体(406)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記取付けアーム(420)は、前記ロータ溝(410)の半径方向内側を向くロータフック(430)に係合し、前記少なくとも1つの位置決め脚部(428)は、前記ロータ溝(410)の半径方向外側を向く表面(432)、及び、前記少なくとも1つの位置決め脚部(428)と前記ロータ溝(410)の半径方向外側を向く表面(432)との間に位置する平坦な板状のシム(440)のうちの一方に係合する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記延長挿入体(406)の半径方向の大きさは4ミリメートルより大きく、前記少なくとも1つの位置決め脚部(428)と前記ロータ溝(410)の半径方向外側を向く表面(432)との間に少なくとも1つの平坦な板状のシム(440)を位置決めすることを更に含み、前記少なくとも1つの平坦な板状のシム(440)の半径方向の大きさは、1.5ミリメートルよりも大きくない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
固定要素(450)を使用して、前記タービンブレード(402)のダボテール(404)に対する前記延長挿入体(406)の位置を固定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記固定要素(450)は嵌め込み形結合器を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記嵌め込み形結合器(450)の雌部分(452)は、ダボテール(404)の端面(422)に画定され、前記嵌め込み形結合器(450)の雄部分(454)は、前記延長挿入体(406)の第1の端部(424)から延在し、前記タービンブレード(402)の前記ダボテール(404)に対して前記延長挿入体(406)の位置を固定するために、前記端面(422)の雌部分(452)内に嵌合するように構成されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記固定要素(450)は、前記ダボテール(404)の端面(422)と前記延長挿入体(406)の第1の端部(424)とを結合する締結具(456)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの位置決め脚部(428)は、前記軸に対して半径方向内側に向かって延在する複数の位置決め脚部(428)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の位置決め脚部(428)のうちの少なくとも2つの位置決め脚部は異なる長さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
タービンブレードアセンブリ(400)を前記ロータ溝(410)に取り付ける前に、前記取付けアーム(420)と少なくとも1つの位置決め脚部(428)の半径方向内側端部(438)との間の第1の半径方向距離が、前記ロータ溝(410)の半径方向内側を向くロータフック(430)と半径方向外側を向く表面(432)との間の第2の半径方向距離と一致するように、前記少なくとも1つの位置決め脚部(428)を調整することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
方法であって、
軸を有するロータ(302)に画定されるロータ溝(304)を用意することであって、前記ロータ溝(304)は、半径方向内側を向くロータフック(330)と半径方向外側を向く表面(332)とを含む、ロータ溝(304)用意すること、
取付けアーム(316)とダボテール(314)の半径方向内側を向く端面(320)から延在する単一の位置決め脚部(318)とを有するダボテール(314)を含むタービンブレード(310)に関して、前記取付けアーム(316)と前記単一の位置決め脚部(318)の半径方向内側端部(322)との間の第1の半径方向距離が、前記ロータ溝(304)の半径方向内側を向くロータフック(330)と半径方向外側を向く表面(332)との間の第2の半径方向距離に一致するように、前記単一の位置決め脚部(318)を調整すること、
前記タービンブレード(310)のダボテール(314)を前記ロータ溝(304)に取り付けること
を含む、方法。
【請求項12】
前記ロータ溝(304)を用意することは、前記ロータ溝(304)の半径方向内側を向くロータフック(330)と半径方向外側を向く表面(332)との間の前記第2の半径方向距離が長くなるように、前記ロータ溝(304)を機械加工することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記取付けアーム(316)と前記単一の位置決め脚部(318)の半径方向内側端部(322)との間の前記第1の半径方向距離が、前記ロータ溝(304)の半径方向内側を向くロータフック(330)と半径方向外側を向く表面(332)との間の前記第2の半径方向距離よりも小さくなるように、前記単一の位置決め脚部(318)を調整すること
を更に含み、
前記取り付けることは、更に、前記単一の位置決め脚部(318)と前記ロータ溝(304)の半径方向外側を向く表面(332)との間に、少なくとも平坦な板状のシム(338)を位置決めすることを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にタービンシステムに関する。より具体的には、本開示は、拡大されたロータ溝に適したダボテール構成を有する、タービンシステム用のタービンブレード及びタービンブレードアセンブリのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンシステムは、ロータに接続された回転ブレードに流体の流れを導く静止ノズルを含んでいる。静止ノズル(エアフォイル)は、典型的には、静止ブレード、ダイヤフラム、又はノズルアセンブリ段と呼ばれている。回転ブレードは、ノズルから蒸気流(例えば、燃焼ガス又は蒸気)を受けて、ブレードがロータを回転させている。ブレードは、一般に、ロータの溝と嵌合するダボテールを有するベースを使ってロータに組み付けられており、ダボテールは、薄い板状のシムによって半径方向外側に押し付けられ、しっかりと固定された(押し固められた)組立体を得るのに役立つ。
【0003】
タービンの電力供給が停止している間に、或る回転ブレード段を交換する必要が生じる場合がある。確実に適切な組立てができるようにするために、ロータ溝をきれいにし、起こり得る損傷(例えば、小さな割れ又は他の変形)が生じないように、ロータ溝の再加工が必要な場合もある。再加工するときのロータ溝の深さは、ロータの寿命消費に依存し、例えば、ロータ上の位置が異なったり、ブレード段が異なったり、タービンシステムが異なると、再加工するときのロータ溝の深さが違ってくる場合がある。ロータ溝の内側を機械加工して、例えば2ミリから15ミリの範囲で削り、割れの入った材料又は年数の経った古い材料を取り除いて、ロータの寿命を延ばすことができる。新しくできた大きいロータ溝に適合するダボテールを有する新規のブレードであって、ロータ溝にかかる遠心力と応力が大きくなるのを回避するために、元のブレードよりも重量が重くならない新規のブレードを提供することは1つの課題である。
【発明の概要】
【0004】
以下に述べる全ての態様、例及び特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0005】
本開示の一態様では、軸を有するロータに画定されたロータ溝に適したタービンブレードアセンブリが提供される。タービンブレードアセンブリは、エアフォイルと、前記エアフォイルに結合されたダボテールとを含むタービンブレードであって、前記ダボテールは、取付けアームと、前記軸に対して半径方向内側を向く端面とを含む、タービンブレードと、前記ダボテールの端面に接触するように構成された第1の端部と、第2の端部とを含む延長挿入体であって、前記第2の端部は、前記軸に対して半径方向内側に向かって延在する少なくとも1つの位置決め脚部を含む、延長挿入体とを含み、前記ダボテール及び前記延長挿入体は、前記タービンブレードを前記ロータに取り付けるために、前記ロータ溝に位置決めされるように構成されている。
【0006】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記取付けアームは、前記ロータ溝の半径方向内側を向くロータフックに係合し、前記少なくとも1つの位置決め脚部は、前記ロータ溝の半径方向外側を向く表面、及び、前記少なくとも1つの位置決め脚部と前記ロータ溝の半径方向外側を向く表面との間の平坦な板状のシムのうちの一方に係合する。
【0007】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記延長挿入体の半径方向の大きさは4ミリメートルより大きい。
【0008】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記少なくとも1つの位置決め脚部と前記ロータ溝の半径方向外側を向く表面との間に少なくとも1つの平坦な板状のシムを更に含み、前記少なくとも1つの平坦な板状のシムの半径方向の大きさは、1.5ミリメートルよりも大きくない。
【0009】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記タービンブレードのダボテールに対する前記延長挿入体の位置を固定する固定要素を更に含む。
【0010】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記固定要素は嵌め込み形結合器を含む。
【0011】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記嵌め込み形結合器の雌部分は、ダボテールの端面に画定され、前記嵌め込み形結合器の雄部分は、前記延長挿入体の第1の端部から延在し、前記タービンブレードの前記ダボテールに対して前記延長挿入体の位置を固定するために、前記端面の雌部分内に嵌合するように構成されている。
【0012】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記固定要素は、前記ダボテールの端面と前記延長挿入体の第1の端部とを結合する締結具を含む。
【0013】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記少なくとも1つの位置決め脚部は、前記軸に対して半径方向内側に向かって延在する複数の位置決め脚部を含む。
【0014】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記複数の位置決め脚部のうちの少なくとも2つの位置決め脚部は異なる長さを有する。
【0015】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記延長挿入体は、エアフォイル及びダボテールの材料よりも軽い材料を含む。
【0016】
本開示の一態様は方法を提供する。本方法は、軸を有するロータに画定されるロータ溝を用意することであって、前記ロータ溝は、半径方向内側を向くロータフックと半径方向外側を向く表面とを含む、ロータ溝を用意すること、タービンブレードアセンブリを前記ロータ溝に取り付けることを含み、前記タービンブレードアセンブリは、エアフォイルと、前記エアフォイルに結合されたダボテールとを含むタービンブレードであって、前記ダボテールは、取付けアームと、前記軸に対して半径方向内側を向く端面とを含む、タービンブレードと、前記ダボテールの端面に接触するように構成された第1の端部と、第2の端部とを含む延長挿入体であって、前記第2の端部は、前記軸に対して半径方向内側に向かって延在する少なくとも1つの位置決め脚部を含む、延長挿入体を含む。
【0017】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記取付けアームは、前記ロータ溝の半径方向内側を向くロータフックに係合し、前記少なくとも1つの位置決め脚部は、前記ロータ溝の半径方向外側を向く表面、及び、前記少なくとも1つの位置決め脚部と前記ロータ溝の半径方向外側を向く表面との間の平坦な板状のシムのうちの一方に係合する。
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記延長挿入体の半径方向の大きさは4ミリメートルより大きく、前記少なくとも1つの位置決め脚部と前記ロータ溝の半径方向外側を向く表面との間に少なくとも1つの平坦な板状のシムを位置決めすることを更に含み、前記少なくとも1つの平坦な板状のシムの半径方向の大きさは、1.5ミリメートルよりも大きくはない。
【0018】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、固定要素を使用して、前記タービンブレードのダボテールに対する前記延長挿入体の位置を固定することを更に含む。
【0019】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記固定要素は嵌め込み形結合器を含む。
【0020】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記嵌め込み形結合器の雌部分は、ダボテールの端面に画定され、前記嵌め込み形結合器の雄部分は、前記延長挿入体の第1の端部から延在し、前記タービンブレードの前記ダボテールに対して前記延長挿入体の位置を固定するために、前記端面の雌部分内に嵌合するように構成されている。
【0021】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記固定要素は、前記ダボテールの端面と前記延長挿入体の第1の端部とを結合する締結具を含む。
【0022】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記少なくとも1つの位置決め脚部は、前記軸に対して半径方向内側に向かって延在する複数の位置決め脚部を含む。
【0023】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記複数の位置決め脚部のうちの少なくとも2つの位置決め脚部は異なる長さを有する。
【0024】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、タービンブレードアセンブリを前記ロータ溝に取り付ける前に、前記取付けアームと少なくとも1つの位置決め脚部の半径方向内側端部との間の第1の半径方向距離が、前記ロータ溝の半径方向内側を向くロータフックと半径方向外側を向く表面との間の第2の半径方向距離と一致するように、前記少なくとも1つの位置決め脚部を調整することを更に含む。
【0025】
本開示の一態様では、軸を有するロータに画定されたロータ溝に適したタービンブレードを提供する。タービンブレードは、エアフォイルと、前記エアフォイルに結合されたダボテールとを含み、前記ダボテールは、取付けアームと、ダボテールの半径方向内側を向く端面から軸に対して半径方向内側に向かって延在する単一の位置決め脚部とを含む。
【0026】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記取付けアームと前記単一の位置決め脚部の半径方向内側端部との間の第1の半径方向距離が、前記ロータ溝の半径方向内側を向くロータフックと半径方向外側を向く表面との間の第2の半径方向距離に一致する。
【0027】
本開示の一態様は方法を提供する。本方法は、軸を有するロータに画定されるロータ溝を用意することであって、前記ロータ溝は、半径方向内側を向くロータフックと半径方向外側を向く表面とを含む、ロータ溝用意すること、取付けアームとダボテールの半径方向内側を向く端面から延在する単一の位置決め脚部とを有するダボテールを含むタービンブレードに関して、前記取付けアームと前記単一の位置決め脚部の半径方向内側端部との間の第1の半径方向距離が、前記ロータ溝の半径方向内側を向くロータフックと半径方向外側を向く表面との間の第2の半径方向距離に一致するように、前記単一の位置決め脚部を調整すること、前記タービンブレードのダボテールを前記ロータ溝に取り付けることを含む。
【0028】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記ロータ溝を用意することは、前記ロータ溝の半径方向内側を向くロータフックと半径方向外側を向く表面との間の前記第2の半径方向距離が長くなるように、前記ロータ溝を機械加工することを含む。
【0029】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記取付けアームと前記単一の位置決め脚部の半径方向内側端部との間の前記第1の半径方向距離が、前記ロータ溝の半径方向内側を向くロータフックと半径方向外側を向く表面との間の前記第2の半径方向距離よりも小さくなるように、前記単一の位置決め脚部を調整することを更に含み、前記取り付けることは、更に、前記単一の位置決め脚部と前記ロータ溝の半径方向外側を向く表面との間に、少なくとも1つの平坦な板状のシムを位置決めすることを含む。
【0030】
本開示の一態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様の少なくとも1つのタービンブレード又は少なくとも1つのタービンブレードアセンブリを含むタービンを有するタービンシステムを含むことができる。
【0031】
本開示に記載されている2つ以上の態様(発明の概要に記載されているものを含む)を組み合わせて、本明細書に特には記載されていない実装態様を形成することができる。すなわち、本明細書に記載された全ての実施形態は、互いに組み合わせることができる。
【0032】
1つ又は複数の実装態様の詳細は、図面及び発明を実施するための形態に記載されている。他の特徴、目的及び利点は、発明を実施するための形態及び図面並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示のこれらの特徴及び他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付の図面とともに本開示の様々な態様の以下の詳細な記載から更に容易に理解することができる。
【
図1】本開示の教示を適用することができる、ガスタービン及び蒸気タービンを含む例示的な複合サイクル発電所(CCPP)の概略図を示す。
【
図2】本開示の教示を適用することができる、ガスタービン及び蒸気タービンを含む別の例示的なCCPPの概略図を示す。
【
図3】本開示の教示を適用することができる例示的な蒸気タービンシステムの斜視図である。
【
図4A】タービンブレードがシムを使用して従来の方法で取り付けられた状態の概略図を示す。
【
図4B】タービンブレードがシムを使用して従来の方法で取り付けられた状態の断面図を示す。
【
図6】2つの位置決め脚部を有するダボテールを含む従来のタービンブレードの取付けの端部斜視図を示す。
【
図7】本開示の実施形態による、単一の位置決め脚部を含むタービンブレードの取付けの拡大端面斜視図を示す。
【
図8】本開示の実施形態による、複数のタービンブレードであって、各タービンブレードが単一の位置決め脚部を含む複数のタービンブレードの取付けの端面斜視図を示す。
【
図9】本開示の実施形態による、単一の位置決め脚部を含みシムを使用するタービンブレードの取付けの拡大端面斜視図を示す。
【
図10】本開示の実施形態による、ダボテールを有するタービンブレードと位置決め脚部を含む延長挿入体とを含むタービンブレードアセンブリの取付けの端部斜視図を示す。
【
図11】本開示の実施形態による、位置決め脚部を含む延長挿入体の斜視図を示す。
【
図12】本開示の実施形態による、ダボテールを有するタービンブレードと2つの位置決め脚部を含む延長挿入体とを含むタービンブレードアセンブリが、両方の位置決め脚部の下に位置するシムを使用して取り付けられた状態の端部斜視図を示す。
【
図13】本開示の実施形態による、ダボテールを有するタービンブレードと2つの位置決め脚部を含む延長挿入体とを含むタービンブレードアセンブリが、一方の脚部の下にだけ存在するシムを使用して取り付けられた状態の端部斜視図を示す。
【
図14】本開示の実施形態による、ダボテールを有するタービンブレード、位置決め脚部を含む延長挿入体、及び固定要素の分解斜視図を示す。
【
図15】本開示の他の実施形態による、ダボテールを有するタービンブレード、位置決め脚部を含む延長挿入体、及び固定要素の分解斜視図を示す。
【
図16】本開示の追加的な実施形態による、ダボテールを有するタービンブレード、位置決め脚部を含む延長挿入体、及び固定要素の分解斜視図を示す。
【
図17】本開示の他の実施形態による、ダボテールを有するタービンブレード、位置決め脚部を含む延長挿入体、及び固定要素の分解斜視図を示す。
【
図18】本開示の実施形態による、単一の位置決め脚部を含む延長挿入体の斜視図を示す。
【
図19】本開示の実施形態による、3つの位置決め脚部を含む延長挿入体の斜視図を示す。
【
図20】本開示の実施形態による、互いに異なる長さの位置決め脚部を含む延長挿入体の斜視図を示す。
【
図21】本開示の実施形態による、周方向に沿って長さが異なる位置決め脚部を含む延長挿入体の斜視図を示す。
【0034】
本開示の図面は必ずしも一定の縮尺ではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間で同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
先ず初めに、本開示を明確に説明するためには、タービンシステムの例示的な用途において関連する機械の構成要素に言及し説明するときに、特定の用語を選択することが必要になる。用語の選択をする場合、可能な限り、一般的な業界用語が、その業界で受け入れられている意味と一致する態様で使用され、採用される。特に明記しない限り、上記の用語は、本出願の文脈及び特許請求の範囲と一致する広い解釈が与えられるべきである。当業者は、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なる用語又は重複する用語を使用して言及される場合があることを理解することができる。
【0036】
更に、本明細書では、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合があり、発明を実施するための形態の始めにこれらの用語を定義しておくことが有益である。これらの用語と用語の定義は、特に明記しない限り、以下の通りである。本明細書において、「下流」及び「上流」は、流体(ターボ機械を流れる作業流体など)の流れの相対的な方向、又は、例えば、燃焼器を流れる空気の流れ若しくはターボ機械の複数の構成要素システムのうちの1つを流れる冷却媒体の流れの相対的な方向を示す用語である。「下流」という用語は流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、その流体の流れとは反対の方向を表す。「前方」及び「後方」という用語は、他に特別なことがない限り、方向を表し、「前方」はターボ機械の前部側又は圧縮機端側を表し、「後方」はターボ機械の後部側又はタービン端側を表す。
【0037】
中心軸に対して半径方向の異なる位置に配置された部品を説明することが要求される場合がある。「軸の」という用語は、軸(例えば、タービンシステムの回転軸)に平行な動き又は位置を表す。「半径の」という用語は、軸(例えば、タービンシステムの回転軸)に垂直な動き又は位置を表す。これに関して、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸の近くに存在している場合、本明細書では、第1の構成要素は、第2の構成要素の「半径方向内側に」又は「内側に」存在すると記載することができる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸から遠くに存在する場合、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側に」又は「外側に」存在すると記載することができる。最後に、「周方向の」という用語は、軸の周りの動き又は位置を表し、例えば、タービンブレードのダボテールの半径方向内側を向く端面は、ターボ機械の回転軸の周りを周方向に延在する。上に示したように、このような用語は、タービンシステムの回転軸に関して適用できることが理解される。
【0038】
更に、本明細書では、以下に説明するように、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合がある。「第1」、「第2」、及び「第3」という用語は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置及び重要度を意味することを意図するものではない。
【0039】
明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書において、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「この(the)」は、文脈が明らかに複数形を含むことを示していない限り、複数形を含むことも意図している。「含む、有する、備える(comprises)」及び/又は「含んでいる、有している、備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素が存在していることを特定しているが、1つ又は複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在及び追加を排除しないことが更に理解される。「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に記述される事象が発生しても発生しなくてもよいこと、又はその後に記述される特徴が存在しても存在しなくてもよいこと、及びその記述が、事象が発生する又は特徴が存在する例と、事象が発生しない又は特徴が存在しない例とを含むことを意味する。
【0040】
ある要素又は層が、別の要素又は層「に接触する」、「に係合されている」、「に接続されている」、「に結合されている」、又は「に取り付けられている」ものとして言及されている場合、ある要素又は層は、他の要素又は層に、直接的に接触する、係合する、接続する、結合する、又は取り付けられるものであってもよいし、介在する要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある要素が、別の要素又は層「に直接的に接触」、「に直接的に係合」、「に直接的に接続」、又は「に直接的に結合」しているものとして言及されている場合、介在する要素又は層は存在していない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同じように解釈されるべきである(例えば、「間に」と「直接的に間に」、「隣接する」と「直接的に隣接する」など)。本明細書において、「及び/又は」という用語は、列挙された関連する複数の項目のうちの1つ以上の項目のあらゆる組合せを含む。本明細書では、「結合する」及び「取り付ける」という動詞形は、交換可能に使用することができる。
【0041】
上記に示したように、本開示は、ロータ溝に適したタービンブレード及びタービンブレードアセンブリを提供している。タービンブレードのダボテールは、取付けアームと、ロータ軸に対して半径方向内側を向く端面とを含んでいる。特定の実施形態では、延長挿入体は、ダボテールの端面に接触するように構成された第1の端部と、第2の端部とを含んでいる。少なくとも1つの位置決め脚部は、延長挿入体の第2の端部から軸に対して半径方向内側に向かって延在している。ダボテール及び延長挿入体は、タービンブレードをロータに取り付けるために、前記ロータ溝に位置決めされるように構成され、タービンブレードアセンブリを形成する。取付けアームは、ロータ溝の半径方向内側を向くロータフックに係合し、位置決め脚部は、ロータ溝の半径方向外側を向く表面、及び、位置決め脚部とロータ溝の半径方向外側を向く表面との間の平坦な板状のシムのうちの一方に係合する。他の実施形態は、軸を有するロータに画定されたロータ溝に適したタービンブレードを提供する。タービンブレードは、エアフォイルと、エアフォイルに結合されたダボテールとを含む。ダボテールは、取付けアームと、ダボテールの半径方向内側を向く端面から軸に対して半径方向内側に向かって延在する単一の位置決め脚部とを有する。関連する方法も提供される。
【0042】
タービンブレード又はタービンブレードアセンブリの様々な実施形態は、任意の溝深さの全ての形式のタービンロータ溝に使用することができる。有利なことに、様々な実施形態では、点検中に拡大されるロータ溝に適した再加工できる材料が提供される。タービンブレード又はタービンブレードアセンブリは、新たなタービンシステムに使用することができる、及び/又は任意の製造業者の既存のユニットに新たな溶接を必要とすることなく使用する/後から取り付けることができる。タービンブレード又はタービンブレードアセンブリは、点検が行われ、割れの生じた古いロータ領域が除去された新しい深いロータ溝に適合することができるが、ブレード(ダボテール)の重量を増加させることはない。位置決め脚部だけでロータ溝のロータフックと半径方向外側を向く端面(底面)との間に締まりばめを作り、半径方向の位置決めをすることができる、又は脚部を、脚部の下に平坦な板状のシムが挿入された状態で使用して、ロータ溝のロータフックと底面との間に締まりばめを実現することもできる。
【0043】
タービンブレード又はタービンブレードアセンブリは、本明細書で説明するように、任意のタービンシステム(例えば、ガスタービンシステム及び/又は蒸気タービンシステムであるが、これらに限定されることはない)で使用することができる。説明の便宜上、本開示の教示は、主に蒸気タービンシステムに対して説明されている。しかし、本開示で教示している2つの可能な運転設定を同時に説明するために、複合サイクル発電所について簡単に説明する。
【0044】
図1を参照すると、例示的な複合サイクル発電所(CCPP)100の一部の概略図が示されている。本例では、CCPP100は、2つの発電機を有する多軸システムであるが、当業者であれば、本開示の教示があらゆる種類の複合サイクル発電所に適用可能であることを容易に理解する。CCPP100は、ガスタービン(GT)システム102及び蒸気タービン(ST)システム104を含むことができる。
【0045】
GTシステム102は、シャフト106によって第1の発電機108に機械的に結合することができ、第1の発電機108は、電気エネルギーを生成する。GTシステム102は、圧縮機110及び燃焼器112を含むことができる。また、GTシステム102は、圧縮機/タービンの共通のシャフト106に結合されたガスタービン114を含んでいる。一実施形態では、ガスタービンシステム102は、サウスカロライナ州 グリーンビルのゼネラル・エレクトリック・カンパニィ(General Electric Company)から商業的に入手可能なMS7001FBエンジン(9FBエンジンと呼ばれることもある)である。一実施形態では、GTシステム102は、サウスカロライナ州 グリーンビルのゼネラル・エレクトリック・カンパニィから商業的に入手可能な7HA.03エンジンである。本開示は、1つの特定のGTシステムに限定されず、他のエンジン(例えば、ゼネラル・エレクトリック・カンパニィの他のHA、F、B、LM、GT、TM及びEクラスのエンジンモデル、並びに他社のエンジンモデルを含む)に関しても適用できる。動作において、空気は圧縮機110の入口部に入り、圧縮され、その後、燃焼器112に排出され、燃焼器112において、ガス(例えば、天然ガス)又は流体(例えば、油)などの燃料が燃焼され、高エネルギーの燃焼ガスが供給され、この燃焼ガスがガスタービン114を駆動する。ガスタービン114では、高温ガスのエネルギーが仕事に変換され、その一部は回転シャフト106を介して圧縮機110を駆動するために使用され、残りは、シャフト106を通じて負荷(第1の発電機108など)を駆動して電気を生成するための有用な仕事に利用することができる。
【0046】
STシステム104は、シャフト124を介して別の発電機122に動作可能に結合される蒸気タービン120を含んでいる。STシステム104は、実際には、1つ又は複数の蒸気タービン(例えば、図示のように、高圧(HP)タービン126、中圧(IP)タービン128、及び低圧(LP)タービン130)を含むことができ、これらの各タービンは、シャフト124に結合されている。各蒸気タービン126、128、130は、シャフト124に機械的に結合された複数の回転ブレード(
図1及び
図2には図示せず)を含んでいる。
【0047】
また、CCPP100は蒸気源132を含むことができ、蒸気源132は、GTシステム102及びSTシステム104に動作可能に接続された熱回収蒸気発生器(HRSG)134を含むことができる。理解されるように、GTシステム102からの排気136は、HRSG134によって使用されて蒸気流138が生成され、この蒸気流138はSTシステム104によって使用される。HRSG134は、従来のHRSG構成(従来のCCPPで使用されるようなHRSG構成)を含むことができる、及び/又は、HRSG134は、排気エネルギーを使用して蒸気を生成する別のタイプの熱交換器又は同様の構成要素として具現化することができる。例えば、HRSG134は、水が流れる熱伝導性パイプ、ラインなどを含むことができ、HRSG134の水が排気136(
図1)によって加熱されて蒸気流138を生成することができる。HRSG134は、従来の配管(符号は省略)を通じてGTシステム102とSTシステム104との両方に流体的に接続することができる。
【0048】
動作においては、蒸気源132(例えば、HRSG134及び場合によっては他の供給源)からの蒸気は、HPタービン126、IPタービン128及び/又はLPタービン130の入口に流入し、ブレードにシャフト124を回転させる力を付与する。理解されるように、上流タービンからの蒸気は、後で下流タービンで使用することができる。このようにして蒸気源132によって生成された蒸気は、STシステム104の少なくとも一部を駆動し、追加の仕事が取り出されてシャフト124及び追加の負荷(第2の発電機122など)が駆動され、追加の負荷は追加の電力を生成する。
【0049】
発電機108、122及びシャフト106、124は、当該技術分野で既知の任意のサイズ又は種類のものとすることができ、発電機及びシャフトの用途又は発電機及びシャフトが接続されるシステムに応じて異なっていてもよいことが理解される。発電機及びシャフトの符号が共通であるのは、明瞭化のためであり、これらの発電機又はシャフトが必ずしも同一のものであることを示唆するものではない。
【0050】
別の実施形態では、
図2に示すように、単一シャフトのCCPP140は、共通シャフト144を介してGTシステム102及びSTシステム104に結合された単一の発電機142を含むことができる。蒸気源132、STシステム104及び/又はGTシステム102は、
図1で説明したものと同様とすることができる。しかし、具体的な構成に関わらず、GTシステム102、蒸気源132、及びSTシステム104を組み込んだCCPP100(
図1)、CCPP140(
図2)は、自動制御をするために、既知の又は将来的に開発される制御システム(図示せず)を含む又は制御システムとやり取りすることができる。
【0051】
図3は、蒸気タービン(ST)システム150(例えば、
図1及び
図2のシステム130と同様の低圧STシステム)の部分切断斜視図である。STシステム150はロータ152を含んでおり、ロータ152は、回転シャフト154と、軸方向に間隔を空けて配置された複数のロータホイール158とを含んでいる。ロータ152は軸Aを有している。複数の回転ブレード160は、ロータ152の各ロータホイール158に機械的に結合されている。より具体的には、ブレード160は、各ロータホイール158の周方向に並ぶように複数の列に配置されている。シャフト154の周方向には複数の静止ベーン162が広がっており、複数のベーンはブレード160の隣接する列の間に軸方向に配置されている。静止ベーン162はブレード160と協働して段を形成し、STシステム150の蒸気流路の一部を画定する。動作においては、蒸気流138はSTシステム150の入口に流入し、静止ベーン162を通って流される。ベーン162は、蒸気流138をブレード160に対して下流に導く。蒸気流138は残りの段を通過し、ブレード160にシャフト154を回転させるための力を付与する。STシステム150の少なくとも一端は、ロータ152から軸方向に離れる方向に延在して、発電機122(
図1)及び/又は別のタービンシステムなどの負荷又は機械(図示せず)に取り付けることができる。
【0052】
図3に示されるような本開示の一実施形態において、STシステム150は、5つの段を含んでいる。この5つの段は、L0、L1、L2、L3及びL4と呼ばれる。段L4は第1の段であり、5つの段の中で(半径方向に)最小の段である。段L3は第2の段であり、軸方向の次の段である。段L2は第3の段であり、5つの段のうちの中間に位置している。段L1は第4の段であり、最後から2番目の段である。段L0は最後の段であり、(半径方向に)最大の段である。5つの段は一例として示されているに過ぎず、各タービンは5つの段より多くてもよいし、少なくてもよいことを理解されたい。また、本明細書で説明するように、本発明の教示は複数段のタービンであることを必要とするものではない。
【0053】
図4Aは、ロータ152のロータ溝(図示せず)に取り付けられている複数のタービンブレード160の概略図を示し、
図4Bは、ロータ152のロータ溝170に対して取り付けられたタービンブレード160の断面図を示し、
図5は、ロータ152の様々なロータ溝170に対して取り付けられたタービンブレード160の断面図を示す。
図4A、
図4B、及び
図5に示されるように、タービンブレード160は、とりわけ、エアフォイル168と、エアフォイル168に結合されたダボテール172とを含んでいる。(留意点として、ダボテールは当該技術分野でルート部としても知られている。)ダボテール172は、取付けアーム174(
図4及び
図5では2つの取付けアームが示されている)と、ロータ152の軸Aに対して半径方向内側を向く端面176とを含むことができる。(留意することとして、軸Aの実際の位置は、
図4及び
図5のページの図示されている位置よりも低い)。ロータ溝170は、半径方向内側を向くロータフック180(2つ図示されている)と、半径方向外側を向く表面182(すなわち、図示のように溝170の底面)とを含んでいる。(留意することとして、ロータフックは、当該技術分野ではランド又はロータホイールとも呼ばれることがある)。当技術分野で認識されているように、ダボテール172及びロータ溝170は、ロータ152に取り付けられたタービンブレード160を保持するための様々な他の嵌合面(図示せず)を含むことができる。例えば、GTシステム用のダボテール172は、タービンブレードを確実に取り付けるために、例えばモミの木のように、多くの面を有することができる。初期設定では、
図5に示すように、ダボテール172の取付けアーム174は、ロータ溝170の半径方向内側を向くロータフック180に係合し、半径方向内側を向く端面176は、ロータ溝170の半径方向外側を向く表面182に係合する。このように、ダボテール172は、タービンブレード160がロータ152に保持されるように、ロータ溝170にぴったり合う大きさに形成される。他の実施形態では、
図4A-
図4Bに示すように、ロータ溝170の半径方向外側を向く表面182とダボテール172の半径方向内側を向く端面176との間に1つ又は複数の平坦な板状のシム190を挿入して、ダボテール172をロータ溝170にしっかりと位置決めする(すなわち、押し付ける)ことができる。GTシステムも同様の取り付けシステムを採用していることが認識される。
【0054】
使用している間に、ロータ溝170は古くなり、タービンシステム(例えば、STシステム150(
図3))の定期点検中に取り除く必要がある欠陥(例えば、兆候、割れ、浸食又は他の変形)が現れることがある。点検の間、タービンブレード160はロータ溝170から取り外され、ロータ溝170は、その一部が取り除かれるように機械加工され、その結果、元のロータ溝170と比較してロータ溝が拡大してしまうことになる。
図5は、初期のロータ溝170を拡大できる範囲を表す2本の線を示している。ロータ溝170Aは、半径方向に(概ねページの上下に)第1の距離D1だけ拡大され、ロータ溝170Bは、距離D1よりも長い第2の距離D2だけ半径方向に拡大されている。除去される材料の量は、複数の要因(欠陥の深さなどであるが、これに限定されることはない)に依存する。非限定的な一例では、距離D1は5ミリメートル(mm)、距離D2は10mmとすることができる。いずれにせよ、新しいロータ溝170A、170Bは、初期のダボテール172よりも深く、このため、一般的にはもはやタービンブレード160をロータ152に保持するために使用することができない。本開示の実施形態は、タービンシステムの点検中に拡大されたロータ溝に関連して記載されているが、本開示の教示は、ロータ溝が、ロータ溝に取り付ける必要のあるダボテールよりも大きく設計される新規のタービンシステムにも適用可能であることが強調される。このような構成は、溝に応力が集中してしまう要因を低減するためにロータが実質的に大きなロータ溝を必要とする一方で、遠心応力を低減するために小さなダボテールを必要とする場合に、要望されることがある。
【0055】
図6は、拡大されたロータ溝170A又は170B内にしっかりと嵌合するダボテール200を実現するための1つのアプローチの斜視図である。
図6において、新規のタービンブレード198は、半径方向内側を向く端面204から延在する一対の位置決め脚部202を有するダボテール200を含んでいる。脚部202のサイズは、ダボテール200の取付けアーム174が、新しいロータ溝170A又は170Bの半径方向内側を向くロータフック206に係合し、脚部202の半径方向内側を向く端部210が、ロータ溝170A又は170Bの半径方向外側を向く表面212にしっかりと係合するように決めることができる。
図4A-
図4Bのような板状のシムもこの構成で使用することができる。このアプローチでは、しっかりと嵌合する構成が実現されるが、脚部202は、ダボテール200の一部として一体的に形成され(すなわち、脚部202及びダボテール200は同じ一体材料である)、重量が増加し、遠心力と応力が増加する。
【0056】
図7は、本開示の実施形態による、タービンブレード300の拡大斜視図であり、
図8は、ロータ302に取り付けられた複数のタービンブレード300の斜視図である。タービンブレード310は、エアフォイル312と、エアフォイル312に結合されたダボテール314とを含んでいる。ダボテール314は、取付けアーム316(2つの取付けアームが図示されている)と、ダボテール314の半径方向内側を向く端面320から軸Aに対して半径方向内側に向かって延在する単一の位置決め脚部318とを含んでいる。取付けアーム316と単一の位置決め脚部318とを含むダボテール314は、単一の材料で一体的に形成されている。
図7に示すように、取付けアーム316と単一の位置決め脚部318の半径方向内側端部322との間の半径方向距離RD1は、半径方向内側を向くロータフック330とロータ溝304の半径方向外側を向く表面332との間の半径方向距離RD2に一致する。したがって、タービンブレード300は、タービンブレード198(
図6)よりも軽量で、拡大されたロータ溝304内にしっかりと嵌合するダボテール314を提供する。単一の位置決め脚部318は、ダボテール314の半径方向内側を向く端面320に対して軸方向の任意の位置に設けることができる。単一の位置決め脚部318は、一定の長さL1(すなわち、ダボテール314の半径方向内側を向く端面320と単一の位置決め脚部318の半径方向内側端部322との間の長さ)を有することができる。他の実施形態では、長さL2は、ロータ溝304の半径方向外側を向く表面332のでこぼこに適応するために、周方向(すなわち、
図7のページに向かう方向又はページから離れる方向)において変動してもよい。タービンブレード300は、鋳造及び付加製造(これらに限定されることはない)などの既知の又は将来的に開発される技術を使用して形成することができる。
【0057】
タービンブレード300を取り付ける方法は、軸Aを有するロータ302に画定されるロータ溝304を設けることを含む。ロータ溝304は、半径方向内側を向くロータフック330と半径方向外側を向く表面332とを含む。前述のように、特定の実施形態では、ロータ溝304を設けることは、ロータ溝304の半径方向内側を向くロータフック330と半径方向外側を向く表面332との間の半径方向距離RD2が拡大される(例えば、過去の使用によってロータ溝の古くなった表面又は損傷した表面が除去される)ように、ロータ溝304を機械加工することを含むことができる。タービンブレード310はダボテール314を含んでおり、ダボテール314は、取付けアーム316と、ダボテール314の半径方向内側を向く端面320から延在する単一の位置決め脚部318とを含んでいる。単一の位置決め脚部318を有するタービンブレード300は、取付けアーム316と単一の位置決め脚部318の半径方向内側端部322との間の半径方向距離RD1が、ロータ溝304の半径方向内側を向くロータフック330と半径方向外側を向く表面332との間の第2の半径方向距離RD2に一致するように形成することができる。あるいは、単一の位置決め脚部318は、取付けアーム316と単一の位置決め脚部318の半径方向内側端部322との間の半径方向距離RD1が、ロータ溝304の半径方向内側を向くロータフック330と半径方向外側を向く表面332との間の第2の半径方向距離RD2に一致するように調整する(例えば、機械加工する)ことができる。例えば、単一の位置決め脚部318の半径方向内側端部322から材料を除去して脚部318の長さを調整するために、任意の機械加工を行うことができる。
【0058】
図8は、タービンブレード300のダボテール314がロータ溝304に取り付けられた様子を示す。ダボテール314は、既知の方法又は将来的に開発される任意の方法、典型的には、ダボテール314をロータ溝304の開口端に挿入してスライドすることによって、ロータ溝304に取り付けることができる。ダボテール314は、隣接するタービンブレード300のダボテール314に突き当たるまで、ロータ溝340に沿って周方向にスライドさせることができる。なお、場合によっては、半径方向に延在するシム(図示せず)を隣接するタービンブレード300のダボテールの間に配置して、周方向に適切に位置決めすることができる。場合によっては、単一の位置決め脚部318を調整することは、取付けアーム316と単一の位置決め脚部318の半径方向内側端部322との間の半径方向距離RD1が、ロータ溝304の半径方向内側を向くロータフック330と半径方向外側を向く表面332との間の半径方向距離RD2よりも短くなるように、脚部318を調整することを含むことができる。この場合、
図9に示すように、取付けは、単一の位置決め脚部318とロータ溝304の半径方向外側を向く表面332との間に少なくとも1つの平坦な板状のシム338を位置決めすることを更に含むことができる。ダボテール314とロータ溝304がしっかりと嵌合するように接続するために、任意の数の平坦な板状のシム338を備えることができる。
【0059】
図7~
図9の実施形態における1つの課題は、各タービンブレード300が単一の位置決め脚部318を有するように製造され、使用に合う正しいサイズを有するように製造するためには、一般的には、ロータ溝304のサイズが既知でなければならないことである。しかしながら、タービンシステムの保守点検中に、ロータ溝304に必要とされる拡大量を知ることができず、単一の位置決め脚部318を有するタービンブレード300の製造に十分なリードタイムが確保されない場合がある。更に、拡大量は、ステージに応じて異なる、及び/又は特定のロータ溝304に沿って変化することがあり、別の未知の要素のセットが生じる。適切なサイズのタービンブレード300の製造が遅れると、タービンシステムの点検の完了が遅れる恐れがあり、非常に損失が大きくなる恐れがある。
【0060】
図10~
図21を参照すると、別の実施形態では、タービンブレードアセンブリ400(以下、「アセンブリ400」と呼ぶ)は、ダボテール404を有するタービンブレード402を別個の延長挿入体406とともに利用している。延長挿入体406は、ダボテール404とは一体的に形成されていない。ダボテール404を有するタービンブレード402とともに別個の延長挿入体406を備えたアセンブリ400は、上述の課題に対処するためにダボテール404の半径方向内側の端部を分割する。例えば、タービンブレードアセンブリ400は、点検の間にリードタイムの長いタービンブレード402を製造及び提供することができるが、より短時間で製造及び提供することができる延長挿入体406であって、タービンシステム内のすべてのタービンブレードに対してしっかりと嵌合するダボテール-ロータ溝構造が提供できるように高度にカスタマイズすることができる延長挿入体406を提供することができる。
【0061】
図10、
図12及び
図13は、本開示の実施形態によるタービンブレードアセンブリ400の端面図を示し、
図11は、延長挿入体406の斜視図を示す。
図10、
図12及び
図13に示すように、アセンブリ400は、軸Aを有するロータ412に画定された、拡大されたロータ溝410(
図5のロータ溝170A、170Bと同様のロータ溝)用に構成される。アセンブリ400はタービンブレード402を含むことができ、タービンブレード402は、エアフォイル416と、エアフォイル416に結合されたダボテール404とを含んでいる。ダボテール404は、取付けアーム420と、軸Aに対して半径方向内側を向く端面422とを含んでいる。これらの実施形態では、ダボテール404の端面422には、位置決め脚部はなく、ダボテール404の端面422はロータ溝410の半径方向外側端面432に接触するようには延在していない。
図10~
図13に示すように、アセンブリ400は、ダボテール404の端面422に接触するように構成された第1の端部424と第2の端部426とを含む別個の延長挿入体406を含む。第2の端部426は、軸Aに対して半径方向内側に向かって延在する少なくとも1つの位置決め脚部428を含んでいる。
図10~
図13に示すように、ダボテール404及び延長挿入体406は、タービンブレード402をロータ412に取り付けるために、ロータ溝410内に位置決めされるように構成されている。取付けアーム420は、ロータ溝410の半径方向内側を向くロータフック430に係合し、延長挿入体406は、ダボテール404の端面422とロータ溝410の半径方向外側を向く表面432との間の半径方向の空間を埋めることができる。
【0062】
図10に示されるように、特定の実施形態では、提供された全ての位置決め脚部428は、ロータ溝410の半径方向外側を向く表面432に係合することができる。この実施形態では、位置決め脚部428は、ロータ溝410のダボテール404にしっかり嵌まるように製造される、又はロータ溝410のダボテール404にしっかり嵌まるように調整される(例えば、材料が除去されるように機械加工される)。
図12に示すように、他の実施形態では、全ての位置決め脚部428は、位置決め脚部428とロータ溝410の半径方向外側を向く表面432との間に1つ又は複数の平坦な板状のシム440を係合させることができる。すなわち、全ての位置決め脚部428は、ロータ溝410においてダボテール404との締まり嵌めを作るには少し短すぎるが、1つ又は複数の平坦な板状のシム440が、ロータ溝410においてダボテール404と挿入体406との締まり嵌めを実現する。したがって、アセンブリ400は、位置決め脚部428とロータ溝410の半径方向外側を向く表面432との間に少なくとも1つの平坦な板状のシム440を含むことができる。あるいは、
図13に示すように、特定の実施形態では、ロータ溝410においてダボテール404と(調整あり又は調整なしで)締まりばめを形成するように製造された位置決め脚部428を、位置決め脚部が必要とする平坦な板状のシム440と組み合わせることができる。したがって、取付けアーム420は、ロータ溝410の半径方向内側を向くロータフック430に係合し、位置決め脚部428は、ロータ溝410の半径方向外側を向く表面432と係合する、又は位置決め脚部428とロータ溝410の半径方向外側を向く表面432との間に存在する平坦な板状のシム440と係合することができる。
【0063】
延長挿入体406は、ロータフック430と半径方向外側表面432との間の様々な半径方向距離に対処するために、高度にカスタマイズすることができる。延長挿入体406は、所定のロータ溝410に対して半径方向距離が一定である状況に対処することができる。別の例では、延長挿入体406は、延長挿入体406の2つ以上の位置決め脚部428が異なる長さを有することによって、所定のロータ溝410内の半径方向距離が軸方向において一貫した距離になっていない場合に対処することができる。
図20は延長挿入体406を示しており、延長挿入体406は、第1の端部424からそれぞれの半径方向内端部438A、438Bまでの長さL2、L3が異なる位置決め脚部428A、428Bを含んでいる。すなわち、複数の位置決め脚部428が使用される場合、複数の位置決め脚部のうちの少なくとも2つの位置決め脚部は、異なる長さを有することができる(第1の端部424から各脚部の半径方向内側端部まで測定すると、例えば、脚部428Aは長さL2であり、脚部428Bは長さL3である)。更に別の実施例では、延長挿入体406は、所定のロータ溝410内の半径方向距離が周方向(すなわち、
図10、
図12、及び
図13のページに向かう方向又はページから離れる方向)において一貫した距離になっていないことに対処することができる。例えば、選択された挿入体406の位置決め脚部428は、選択された挿入体406が配置される箇所において、異なる半径方向距離に適合するように周方向において半径方向の大きさが変化する。
図21は、例えば、位置決め脚部428の半径方向内側端部438の湾曲を示している。これに加えて、又はこれに代えて、周方向に隣接する延長挿入体406は、各挿入体が配置される箇所において、異なる半径方向距離に対処するように異なる半径方向長さを有する位置決め脚部428を有することができる。いずれにしても、位置決め脚部428は、軸方向において(すなわち、軸Aに沿って)延長挿入体406のどの箇所にでも配置することができる。
【0064】
また、アセンブリ400は、任意選択で、タービンブレード402のダボテール404に対して延長挿入体406の位置を、ロータ溝410内で、例えば周方向及び軸方向の両方向について固定する固定要素450を任意に含むことができる。固定要素450は様々な形態をとることができる。
図14~
図16に示す一例では、固定要素450は、嵌め込み形結合器450を含んでいる。特定の実施形態では、嵌め込み形結合器450の雌部分452は、ダボテール404の端面422に画定され、嵌め込み形結合器450の雄部分454は、延長挿入体406の第1の端部424から延在し、端面422の雌部分452に嵌まり、タービンブレード402のダボテール404に対して延長挿入体406の位置を固定するように構成されている。
図14において、嵌め込み形結合器450は、端面422の対応する孔458に嵌合するように構成された2つ以上のペグ455を含むことができる。
図15及び
図16において、嵌め込み形結合器450は、端面422の溝又はスロットの形態の対応する雌部分452に嵌合するように構成された舌状要素の形態の雄部分454を含むことができる。多種多様な代替の嵌め込み形結合器450が可能であり、本開示の範囲内で考えられることが認識される。
【0065】
図17に示す別の実施形態では、固定要素450は、ダボテール404の端面422と延長挿入体406の第1の端部424とを結合する1つ又は複数の締結具460を含むことができる。締結具456は任意の形態とすることができ、延長挿入体460の対応する開口462を貫通して、ダボテール404の端面422の孔464に嵌合することができる。図示の例では、締結具456は、ねじ溝が形成された締結具(ボルト又はねじなど)を含んでいる。他の形の締結具456も可能である。
【0066】
延長挿入体406では、第1の端部424と第2の端部426との間(固定要素450は除外する)の半径方向の大きさは、4ミリメートルよりも大きい。対照的に、平坦な板状のシムが備えられる場合、各平坦な板状のシム440の半径方向の大きさは、1.5ミリメートルを超えないようにすることができる。
【0067】
任意の数の位置決め脚部428を任意の延長挿入体406に使用することができる。
図18は、単一の位置決め脚部428が使用される実施形態を示し、
図10~
図17、
図19及び
図20は、延長挿入体406が軸Aに対して半径方向内側に向かって延在する複数の位置決め脚部428を含む実施形態を示す。
図10-
図17は、2つの位置決め脚部428が使用された実施形態を示し、
図19は3つの位置決め脚部428が使用された実施形態を示す。4つ以上の位置決め脚部428も可能である。
図20に関連して先に述べたように、複数の位置決め脚部428が使用される場合、複数の位置決め脚部のうちの少なくとも2つの位置決め脚部は、異なる長さを有することができる(第1の端部424から各脚部の半径方向内側端部まで測定すると、例えば、脚部428Aは長さL2であり、脚部428Bは長さL3である)。
【0068】
タービンブレードアセンブリ400は、既知の又は将来的に開発される技術(鋳造及び付加製造などであるが、これらに限定されることはない)を使用して形成することができる。しかしながら、ダボテール404及びエアフォイル416を含むタービンブレード402は一緒に形成されるが、延長挿入体406は別個に形成される。特定の実施形態では、延長挿入体406は、タービンブレード402の他の部分(すなわち、エアフォイル416及びダボテール404)の材料よりも軽い材料を含むことができる。この軽い材料は、ロータ溝410内にダボテール404を保持する作用を果たし、使用されるタービンシステムの環境条件(例えば、ガスタービンにおける燃焼ガス温度、又は蒸気タービンにおける蒸気温度)に耐えるのに十分な強度を有する任意の材料とすることができる。一例では、ダボテール404とエアフォイル416は高クロム又はインコネル材を含み、延長挿入体406は低クロム材を含む。ダボテール404と延長挿入体406に異なる材料を使用することで、ダボテール404の(一般的に)高価で加工しにくい材料を加工する必要性を無くす又は少なくすることができ、これによって不経済で廃棄を発生させることが低減され、時間を節約することができる。
【0069】
本開示の教示(
図10~
図21に明示的に示された実施形態など)は、任意の方法で混合できることが強調される。例えば、
図14~
図17に示された固定要素450のどの固定要素も、他の実施形態のいずれかの実施形態(例えば、
図10~
図13及び
図18~
図21の実施形態)の任意の延長挿入体406と共に使用することができる。
【0070】
例えば
図10を再び参照すると、アセンブリ400を取り付ける方法は、軸Aを有するロータに画定されたロータ溝410を設けることを含むことができる。ロータ溝410は、半径方向内側を向くロータフック430と半径方向外側を向く表面432とを含んでいる。前述のように、ロータ溝410を設けることは、ロータ溝410の半径方向内側を向くロータフック430と半径方向外側を向く表面432との間の半径方向距離RD3が拡大される(例えば、過去の使用によってロータ溝の古くなった表面又は損傷した表面が除去される)ように、ロータ溝410を機械加工することを含むことができる。前述のように、アセンブリ400はタービンブレード402を含み、タービンブレード402は、エアフォイル416と、エアフォイル416に結合されたダボテール404とを含んでいる。ダボテール404は、取付けアーム420と、軸Zに対して半径方向内側を向く端面422とを含んでいる。ダボテール404の半径方向距離RD4(すなわち、取付けアーム420と端面422との間の距離)は、ロータ溝410の半径方向距離RD3を埋めるには不十分である。アセンブリ400は延長挿入体406も含んでおり、延長挿入体406は、ダボテール404の端面422に接触するように構成された第1の端部424と、第2の端部426とを含んでいる。第2の端部426は、軸Aに対して半径方向内側に向かって延在する少なくとも1つの位置決め脚部428を含んでいる。延長挿入体406の半径方向距離RD5は、ロータ溝410の半径方向距離RD3の全てではないにしても大部分をダボテール404の半径方向距離RD4で満たし、タービンブレード402をしっかりと取り付けるように設定又は調整される。位置決め脚部428は、ダボテール404の取付けアーム420と位置決め脚部428の半径方向内側端部438との間の半径方向距離RD6が、ロータ溝304の半径方向内側を向くロータフック330と半径方向外側を向く表面332との間の半径方向距離RD3に一致するように調整する(例えば、機械加工する)ことができる。位置決め脚部428の半径方向内側端部438から材料を除去して脚部428の長さを調整するために、任意の機械加工を行うことができる。
【0071】
図10は、例えば、タービンブレード402のダボテール404をロータ溝410に取り付けることと、延長挿入体406をロータ溝410に取り付けることとを示している。この構造は、既知の又は将来的に開発される任意の方法、典型的には、ダボテール404及び延長挿入体406をロータ溝410の開口端に挿入してスライドすることによって、ロータ溝410に取り付けることができる。ダボテール404と延長挿入体406は、隣接するアセンブリ400のダボテール404と延長挿入体406に突き当たるまで、ロータ溝410に沿って周方向にスライドさせることができる。なお、場合によっては、隣接するアセンブリ400の間に、半径方向に広がるシム(図示せず)を配置して、周方向に適切に位置決めすることができる。
【0072】
特定の例では、本方法は、タービンブレードアセンブリ400をロータ溝410に取り付ける前に、ダボテール404の取付けアーム420と位置決め脚部428の半径方向内側端部438との間の半径方向距離RD6が、ロータ溝304の半径方向内側を向くロータフック330と半径方向外側を向く表面332との間の半径方向距離RD3に一致するように、位置決め脚部428を調整する(例えば、機械加工する)ことを含むことができる。例えば、任意の位置決め脚部428の半径方向内側端部438から材料を除去して脚部428の長さを調整するために、任意の機械加工を行うことができる。ある場合には、位置決め脚部428を調整することは、取付けアーム420と位置決め脚部428の半径方向内側端部438との間の半径方向距離RD6が、ロータ溝410の半径方向内側を向くロータフック430と半径方向外側を向く表面432との間の半径方向距離RD3よりも短くなるように、位置決め脚部を調整することを含むことができる。この場合、
図12及び
図13に示すように、取り付けることには、1つ又は複数の位置決め脚部428(
図12では全て、
図13では1つのみ)とロータ溝410の半径方向外側を向く表面432との間に少なくとも1つの平坦な板状のシム440を位置決めすることを更に含むことができる。ダボテール404、延長挿入体406、及びロータ溝410がしっかりと嵌合し接続されるように、任意の数の平坦な板状のシム440を設けることができる。
図10、
図12及び
図13に示すように、取付けアーム420は、ロータ溝410の半径方向内側を向くロータフック430に係合し、位置決め脚部428は、ロータ溝410の半径方向外側を向く表面432、及び、位置決め脚部428とロータ溝410の半径方向外側を向く表面432との間に位置する平坦な板状のシム440のうちの一方に係合する。
【0073】
前述したように、延長挿入体406では、第1の端部424と第2の端部426との間の半径方向の大きさであって、嵌め込み形結合器(
図10~13には図示せず)の雄部分を除いた半径方向の大きさは、4ミリメートルよりも大きい。対照的に、平坦な板状のシム440が備えられる場合、各平坦な板状のシム440の半径方向の大きさは、1.5ミリメートルを超えないようにすることができる。
【0074】
また、本方法は、固定要素450を使用して、タービンブレード402のダボテール404に対する延長挿入体406の位置を固定することを含むことができ、この固定要素は、
図14~
図17に関して本明細書に記載された任意の形態をとることができる。
図18及び
図19に関連して述べたように、本方法では、任意の数の位置決め脚部428を使用することができ、複数の位置決め脚部428が使用される場合、複数の位置決め脚部428は異なる長さL2、L3を有することができる。
【0075】
本開示の実施形態によって、様々な技術的及び商業的利点を得ることができ、その例は本明細書で説明されている。タービンブレード又はタービンブレードアセンブリの様々な実施形態は、任意の溝深さを有するあらゆる形態のタービンロータ溝で使用することができる。また、様々な実施形態では、点検中に及びロータ溝を拡大した後に、適合するように再加工できる材料が提供される。タービンブレード又はタービンブレードアセンブリは、既に使用されているタービンシステムに適用できるものとして記載されていたが、新しいシステムにも使用することができる。後者の場合、タービンブレード又はタービンブレードアセンブリは、例えば、大きなロータ溝内に小さなダボテールを必要としている新しいブレードのダボテールの設計に使用することができる。この構成は、ロータが溝の応力集中係数を低減するために十分に大きなロータ溝を必要とする一方で、遠心応力を低減するために小さなダボテールも必要とする場合に望まれる。どのような場合でも、タービンブレード又はタービンブレードアセンブリは、ブレード(ダボテール)の重量を増加させることなく、深いロータ溝(例えば、新しい溝、又は、点検が行われて、割れが生じた古いロータ領域が除去された溝)に嵌合することができる。位置決め脚部を使用して、ロータ溝の底部に狭い隙間を形成して、半径方向の位置決めをすることができ、又は、位置決め脚部は、ロータシートとの間に適切な半径方向の距離が与えられるように、板状のシムが脚部の下に挿入された状態で使用することができる。本開示の教示は、(新たな溶接を必要とすることなく)いかなるOEM(original equipment manufacturer)のタービンシステムにも適用可能である。
【0076】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて使用される近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、1つの又は複数の用語(「およそ」、「約」、及び「実質的に」など)によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。ここに記載されたこと並びに本明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の限定を組み合わせること及び/又は置き換えることが可能である。文脈又は文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含される全ての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」又は「おそよ」は、当該範囲の両端の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、言及された値の+/-10%を示すことができる。
【0077】
特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実行するための、一切の構造、材料、又は動作を包含することを意図している。本開示の記載は、例示及び説明の目的で提示されており、可能な全てのものを含んでいることも、開示された形態で本開示に限定することも意図するものではない。当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく多くの修正及び変形が明らかである。本開示の原理及び実際の用途を最適に説明し、他の当業者が、様々な実施形態について本開示を理解し、考えられる特定の使用に適するような様々な修正ができるように、本実施形態が選択され、かつ記載された。
【符号の説明】
【0078】
100 複合サイクル発電所(CCPP)
102 ガスタービンシステム
104 蒸気タービンシステム
106 回転シャフト
108 発電機
110 圧縮機
112 燃焼器
114 ガスタービン
120 蒸気タービン
122 発電機
124 シャフト
126 高圧タービン
128 中圧タービン
130 低圧タービン
132 蒸気源
134 熱回収蒸気発生器(HRSG)
136 排気
138 蒸気流
142 発電機
144 共通シャフト
150 蒸気タービンシステム
152 ロータ
154 回転シャフト
158 ロータホイール
160 回転ブレード
162 静止ベーン
168 エアフォイル
170 ロータ溝
170A ロータ溝
170B ロータ溝
172 ダボテール
174 取付けアーム
176 端面
180 ロータフック
182 表面
190 シム
198 タービンブレード
200 ダボテール
202 位置決め脚部
204 端面
206 ロータフック
210 端部
212 表面
300 タービンブレード
302 ロータ
304 ロータ溝
310 タービンブレード
312 エアフォイル
314 ダボテール
316 取付けアーム
318 位置決め脚部
318 脚部
320 端面
322 半径方向内側端部
330 ロータフック
332 表面
338 シム
340 ロータ溝
400 タービンブレードアセンブリ
402 タービンブレード
404 ダボテール
406 延長挿入体
410 ロータ溝
412 ロータ
416 エアフォイル
420 取付けアーム
422 端面
424 第1の端部
426 第2の端部
428 位置決め脚部
428 脚部
428A 位置決め脚部
430 ロータフック
432 表面
438 半径方向内側端部
438A 半径方向内端部
440 シム
450 固定要素
452 雌部分
455 ペグ
456 締結具
458 孔
460 締結具
462 開口
464 孔
【外国語明細書】