(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153554
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】オリーブ果実緑色保持加工装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20241022BHJP
【FI】
A23L19/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024038603
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】202310404359.4
(32)【優先日】2023-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524097207
【氏名又は名称】云南省林業和草原科学院
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】耿 樹香
(72)【発明者】
【氏名】寧 徳魯
(72)【発明者】
【氏名】李 勇杰
(72)【発明者】
【氏名】肖 良俊
(72)【発明者】
【氏名】陳 海云
(72)【発明者】
【氏名】馬 ▲ティン▼
【テーマコード(参考)】
4B016
【Fターム(参考)】
4B016LC03
4B016LG01
4B016LK01
4B016LK04
4B016LT08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オリーブ果実緑色保持加工装置を提供する。
【解決手段】緑色保持加工装置は、円筒状本体10と、搬送オーガ20と、搬送モータ1と、伸縮機構2と、送水ポンプ3とを備える。円筒状本体の内部は、上部円筒キャビティ11及び下部円筒キャビティ12に分かれている。上部円筒キャビティの円筒壁には、複数のノズル孔14が設置されている。送水ポンプは、給水パイプライン3aによりノズル孔に連通する。下部円筒キャビティ内には、上下にスライドすることが可能な第一のピストン板31が設置されている。伸縮機構の伸縮端は、第一のピストン板に接続し、第一のピストン板が上下に移動するように駆動する。下部円筒キャビティの側壁には、アルカリ液投入口12a及び酸性液投入口12bが設置されている。下部円筒キャビティの底部には、酸性液排出口12d、アルカリ液排出口12c及び浄水排出口12eが設置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状本体と、搬送オーガと、搬送モータと、伸縮機構と、送水ポンプとを備え、
前記円筒状本体は、垂直に設置され、前記円筒状本体の内部は、上部円筒キャビティ及び下部円筒キャビティに分かれており、
前記上部円筒キャビティ内には、前記搬送オーガが設置され、前記上部円筒キャビティの側壁の頂部には、材料出入口が設置されており、
前記搬送モータの動力伝達軸は、前記搬送オーガに接続され、前記搬送オーガが回転するように駆動するために用いられ、
前記上部円筒キャビティの円筒壁には、複数のノズル孔が設置されており、送水ポンプは、給水パイプラインにより前記ノズル孔に連通し、ノズル孔により浄水を前記上部円筒キャビティ内にスプレーし、搬送オーガ上の材料を洗浄するために用いられ、
前記下部円筒キャビティ内には、上下にスライドすることが可能な第一のピストン板が設置されており、
前記伸縮機構の伸縮端は、前記第一のピストン板に接続し、前記第一のピストン板が上下に移動するように駆動するために用いられ、前記第一のピストン板には、上下に連通する複数の第一の水通過孔が設けられており、
前記下部円筒キャビティの側壁には、前記下部円筒キャビティ内にアルカリ液及び酸性液をそれぞれ投入するために用いられるアルカリ液投入口及び酸性液投入口が設置されており、
前記下部円筒キャビティの底部には、アルカリ液、酸性液及び浄水をそれぞれ排出するために用いられる酸性液排出口、アルカリ液排出口及び浄水排出口が設置されていることを特徴とするオリーブ果実緑色保持加工装置。
【請求項2】
前記搬送モータは、前記円筒状本体の頂部に設置され、前記伸縮機構は、前記円筒状本体の底部に設置されており、
前記搬送オーガは、中心軸本体及び螺旋羽根を備え、螺旋羽根の外径の大きさは、円筒状本体の内壁径とマッチングし、前記螺旋羽根には、複数の透水孔が設けられ、透水孔の直径は、オリーブオイルの粒径より小さく、オリーブ果実が螺旋羽根と色保護円筒の内壁との間の隙間、透水孔から落下することを回避することを特徴とする請求項1に記載のオリーブ果実緑色保持加工装置。
【請求項3】
前記上部円筒キャビティの側壁の外側には、環状中間層キャビティが設置されており、
前記ノズル孔の入口は、前記環状中間層キャビティ内に設置されており、前記給水パイプラインは、環状中間層キャビティによりノズル孔に連通していることを特徴とする請求項1に記載のオリーブ果実緑色保持加工装置。
【請求項4】
前記下部円筒キャビティ内及び前記第一のピストン板の上方は、第二のピストン板が上下にスライド可能に設置され、第二のピストン板には、第二の水通過孔が設けられ、第一の水通過孔及び第二の水通過孔が完全にずれ、前記第一のピストン板と第二のピストン板は、上下が密着することにより、水が通過しない仕切り板グループを形成し、
伸縮機構の伸縮端が伸び出ることで、仕切り板グループが上部円筒キャビティと下部円筒キャビティの中間領域に置かれ、上部円筒キャビティは、オリーブ果実を浸すための貯水キャビティ室を形成することを特徴とする請求項1に記載のオリーブ果実緑色保持加工装置。
【請求項5】
前記第一の水通過孔と前記第二の水通過孔は、それぞれ異なる同心円上に設置されていることにより、第一の水通過孔と第二の水通過孔が水平投影面上で重なることで前記仕切り板グループの水漏れを招くことを回避することができることを特徴とする請求項4に記載のオリーブ果実緑色保持加工装置。
【請求項6】
前記上部円筒キャビティの側壁と前記第二のピストン板との間には、第二のピストン板が周方向に沿って回転することを防止するために用いられる軸方向ガイド構造が設置されていることを特徴とする請求項4に記載のオリーブ果実緑色保持加工装置。
【請求項7】
前記第一のピストン板の頂面には、第一のネジ部が設置され、前記第二のピストン板の底部には、前記第一のネジ部と螺合する第二のネジ部が設置されており、
前記第一のピストン板を前記第二のピストン板に対して強制的に順方向に回転させることにより、第一のピストン板と前記第二のピストン板は、第一のネジ部及び第二のネジ部によりしっかりと密着し、固定接続され、前記第一のピストン板を前記第二のピストン板に対して強制的に逆方向に回転させることにより、第一のネジ部が第二のネジ部に対して逆方向に回転し、第一のピストン板と前記第二のピストン板が離れることを特徴とする請求項4に記載のオリーブ果実緑色保持加工装置。
【請求項8】
前記伸縮機構と前記第一のピストン板は、前記円筒状本体と相対的に回転可能に設置され、回転機構を更に備え、回転機構は、前記伸縮機構に接続され、前記伸縮機構と前記第一のピストン板が回転するように駆動するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のオリーブ果実緑色保持加工装置。
【請求項9】
前記伸縮機構の本体は、前記円筒状本体の底板上に回転可能に設置され、伸縮機構の伸縮ロッドは、円筒状本体の底板上の通過孔を貫通して前記第一のピストン板に固定接続され、前記回転機構は、ステッピングモータを備え、ステッピングモータは、歯車伝動対により伸縮機構本体に接続されていることを特徴とする請求項8に記載のオリーブ果実緑色保持加工装置。
【請求項10】
色保護剤パイプラインを更に備え、色保護剤パイプラインの一端は、前記環状中間層キャビティに接続され、色保護剤パイプラインの他端は、色保護剤供給源に接続され、色保護剤パイプライン上には、色保護剤を環状中間層キャビティ及びノズル孔により前記上部円筒キャビティ内に注入し、搬送オーガ上のオリーブ果実に対して色保護処理を行うために用いられる色保護剤ポンプ本体が設置されており、
及び/又は、蒸気パイプラインを更に備え、蒸気パイプラインの一端は、前記環状中間層キャビティに接続され、蒸気パイプラインの他端は、蒸気源に接続され、蒸気パイプラインには、蒸気を環状中間層キャビティ及びノズル孔により前記上部円筒キャビティ内に注入し、搬送オーガ上のオリーブ果実に対して熱処理を実施して変色を防ぐために用いられる蒸気ポンプ本体が設置されていることを特徴とする請求項3に記載のオリーブ果実緑色保持加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量に収穫された果物の加工処理技術分野に関し、特に、オリーブ果実緑色保持加工装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オリーブ(Olea europaea)は、世界において重要な油料作物及び食用作物であり、オリーブ果実には、不飽和脂肪酸が豊富に含まれるほか、バニリン酸、カフェ酸、p-クマリン酸、アラビン酸、マスリン酸、ヒドロキシチロソール、ルテオリン、アピゲニン、ケルセチン、チロソール等のような機能性成分も豊富に含まれている。オリーブは、抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗がん作用等の効果があるので、常時に摂取することは、亜健康の人に有益である。
【0003】
現在、国内に導入されたオリーブは、主にオリーブオイルの生産に用いられているが、産業チェーンの拡張性が高くない。国内市場におけるオリーブ類食品が単一であり、オリーブ製品開発に関する技術が依然として実験室での研究開発段階に留まり、実際の生産に移すことができない。食用オリーブは、オリーブ果実の缶詰を加工するためによく用いられているが、オリーブ果実に苦グルコシド及びタンニン物質が含まれているため、オリーブ果実の缶詰は、加工工程全体において果実の色を維持することがボトルネック問題であり、アルカリ液の濃度を適切にコントロールできないと、黒くなったり皮が剥がれやすくなったりし、脱アルカリ工程での脱アルカリが不完全だと、缶詰の液が白濁したり、色が濃すぎたりし、品質が悪すぎる。
【0004】
また、従来のオリーブ果実の脱苦味及び脱アルカリの方法は、効率が比較的悪い。係る工程が多く、工程のつなぎに長時間を要するので、オリーブ果実が長時間空気に曝されやすく、酸化による色艶や品質の低下を容易に招いてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術における少なくとも1つの上述した技術課題を解決するために、オリーブ果実緑色保持加工装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した技術課題を解決するために、本発明によるオリーブ果実緑色保持加工方法は、S10、S20、S30、S40及びS50のステップを備える。S10においては、摘み取ったオリーブ果実を浄水で洗い、表面の汚れを取り除くための一回目のクリーニングを行う。S20においては、設定された濃度の水酸化ナトリウムアルカリ液を用いてオリーブ果実を、設定された時間で浸漬するオリーブ果実の脱オレウロペインを行う。S30においては、オリーブ果実の表面のアルカリ液を浄水で洗うための二回目のクリーニングを行う。S40においては、有機酸クエン酸水溶液を用いてオリーブ果実を浸漬し、オリーブ果実に対して脱アルカリ処理をするための脱アルカリを行う。S50においては、色保護剤を用いてオリーブ果実に対して色保護をするための色保護鮮度保持処理を行う。
【0007】
また、前記色保護剤は、0.005%クロロフィル銅ナトリウム塩、0.02%カロチン粉末、0.03%ルテイン粉末及び0.5%Lアスコルビン酸カルシウムを含む。
【0008】
また、ステップS50においては、色保護剤を用いてオリーブ果実を2~10時間で浸漬する。
【0009】
本願の色保護方法は、脱苦味及び脱アルカリの後のオリーブ果実を明るい黄緑色に保つことができ、従来の緑色保護剤方法におけるクロロフィル構造中のマグネシウム原子の代わり、銅、亜鉛、マグネシウム等の低試薬剤を用いる。緑色保護検出における銅の残留物は、0.5ppmであり、国の衛生基準要件(10ppm以下)よりも遥かに低く、オリーブ果実の缶詰においては、非常に衛生で且つ安全な方法である。本願においては、当該色保護剤の組み合わせを用いて浸漬し、後続する硬化及び脆性の保持工程が減り、硬化剤の添加が減り、得られたオリーブの缶詰が高温殺菌を経ても、柔らかくなったり、噛み応えがなくなったりしない。
【0010】
また、前記有機酸クエン酸水溶液の濃度は、0.3%~0.5%である。
【0011】
また、ステップS60を更に備える。S60においては、色保護処理後のオリーブ果実に対して熱処理を実施して変色を防ぎ、変色が防がれたオリーブ果実を缶に入れて密封し、殺菌する。
【0012】
また、ステップS20においては、前記水酸化ナトリウムアルカリ液の質量濃度は、1.5%~3%である。
【0013】
また、ステップS20においては、オリーブ果実を前記水酸化ナトリウムアルカリ液に10~15時間で浸漬する。
【0014】
本発明は、次の有益な効果を有する。
【0015】
1、オリーブ果実の製品の多様化を実現し、オリーブの産業チェーンを拡大することができ、得られたオリーブ果実の缶詰めは、粗脂肪含有量が15%~20%であり、タンパク質が1.58%~3.24%であり、総アミノ酸が3.28%~4.55%であり、総糖質が2.89~4.12%であり、総ポリフェノールが0.1%~0.3%であり、フラボノイドが0.1%~0.28%であり、保存期間が長ければ長いほど、人体の機能成分が徐々に放出されることに有利であり、オリーブ果実の効果的な生理活性成分の薬理効果を十分に発揮することができる。
【0016】
2、製造プロセスが簡単であり、操作しやすく、生産サイクルが短く、家庭で容易に操作ができるため、産業化の生産の実現に役立ち、オリーブの産業チェーンの発展を更に促進及び改善し、製品の付加価値を高め、雲南省のオリーブの栽培地域の経済発展を推進することに寄与する。
【0017】
本願の第二の局面においては、オリーブ果実緑色保持加工装置を提供する。当該オリーブ果実緑色保持加工装置は、円筒状本体と、搬送オーガと、搬送モータと、伸縮機構と、送水ポンプとを備える。前記円筒状本体は、垂直に設置され、前記円筒状本体の内部は、上部円筒キャビティ及び下部円筒キャビティに分かれている。前記上部円筒キャビティ内には、前記搬送オーガが設置され、前記上部円筒キャビティの側壁の頂部には、材料出入口が設置されている。前記搬送モータの動力伝達軸は、前記搬送オーガに接続され、前記搬送オーガが回転するように駆動するために用いられる。前記上部円筒キャビティの円筒壁には、複数のノズル孔が設置されており、送水ポンプは、給水パイプラインにより前記ノズル孔に連通し、ノズル孔により浄水を前記上部円筒キャビティ内にスプレーし、搬送オーガ上の材料を洗浄するために用いられる。前記下部円筒キャビティ内には、上下にスライドすることが可能な第一のピストン板が設置されている。前記伸縮機構の伸縮端は、前記第一のピストン板に接続し、前記第一のピストン板が上下に移動するように駆動するために用いられ、前記第一のピストン板には、上下に連通する複数の第一の水通過孔が設置されている。前記下部円筒キャビティの側壁には、前記下部円筒キャビティ内にアルカリ液及び酸性液をそれぞれ投入するために用いられるアルカリ液投入口及び酸性液投入口が設置されている。前記下部円筒キャビティの底部には、アルカリ液、酸性液及び浄水をそれぞれ排出するために用いられる酸性液排出口、アルカリ液排出口及び浄水排出口が設置されている。
【0018】
好ましくは、アルカリ液投入口及び酸性液投入口は、下部円筒キャビティの側壁における上部に設置されている。
【0019】
好ましくは、前記搬送モータは、前記円筒状本体の頂部に設置されている。また、前記伸縮機構は、前記円筒状本体の底部に設置されている。
また、前記搬送オーガは、中心軸本体及び螺旋羽根を備え、螺旋羽根の外径の大きさは、前記円筒状本体(上部円筒キャビティ)の内壁径とマッチングし(螺旋羽根の外径は、円筒状本体の内径と等しい又は円筒状本体の内径より少し小さい)、前記螺旋羽根には、複数の透水孔が設置され、透水孔の直径は、オリーブ果実の粒径より小さく、オリーブ果実が螺旋羽根と色保護円筒の内壁との間の隙間、透水孔から落下することを回避する。
【0020】
また、前記上部円筒キャビティの側壁の外側には、環状中間層キャビティが設置されている。
【0021】
前記ノズル孔の入口は、前記環状中間層キャビティ内に設置されており、前記給水パイプラインは、環状中間層キャビティによりノズル孔に連通している。
【0022】
また、前記下部円筒キャビティ内及び前記第一のピストン板の上方は、第二のピストン板が上下にスライド可能に設置されている。第二のピストン板には、第二の水通過孔が設置され、(水平投影平面において)第一の水通過孔及び第二の水通過孔が完全にずれ、前記第一のピストン板と第二のピストン板は、上下が密着することにより、水が通過しない仕切り板グループを形成している。
【0023】
伸縮機構の伸縮端が伸び出ることで、仕切り板グループが上部円筒キャビティと下部円筒キャビティの中間領域に置かれ、上部円筒キャビティは、オリーブ果実を浸すための貯水キャビティ室を形成している。
【0024】
第二のピストン板を設置することにより、前記第一のピストン板と第二のピストン板が上下に密着することで上部円筒キャビティを貯水キャビティ室に形成し、更に、ステップS30に用いられて浄水浸漬法で脱アルカリを行うことができる。
【0025】
スプレー法を用いても、浸漬法を用いても、第一のピストン板と第二のピストン板が分離された後、ステップS30で生じた浄水が全て下部円筒キャビティ内に流れ込むことができ、下部円筒キャビティが洗われ、下部円筒キャビティ内に残っているアルカリ液が除去され、次のステップの酸浸漬を準備する。同じく、ステップS10で生じた浄水が全て下部円筒キャビティ内に流れ込むことができ、下部円筒キャビティが洗われ、下部円筒キャビティ内に残っている酸性液が除去され、次のバッチの製品の酸浸漬を準備する。
【0026】
また、前記上部円筒キャビティと下部円筒キャビティの中間には、前記第二のピストン板の上方ストロークを制限するための位置制限台(好ましくは、環状ボス)が設置されている。
【0027】
位置制限台を設置することにより、第二のピストン板が上方のリミット位置に達した時に搬送オーガの下端に近づくようにさせるので、搬送オーガが反転すると、第二のピストン板上の全ての材料を搬送オーガにより下から上へ搬送することができることを保証する。同時に、位置制限台は、第二のピストン板が搬送オーガに接触することで部材が損傷するのを防ぐことができる。
【0028】
また、前記上部円筒キャビティの側壁の底部及び前記位置制限台の上方には、液体排出口が設置されている。
【0029】
上部円筒キャビティを貯水キャビティ室として使用する場合、液体排出口は、浸漬工程の完成後に上部円筒キャビティ内の浸漬液を排出することができ、又は、浸漬プロセスにおいて、循環給水方法で浸漬する際の水液体の交換をするために用いられる。
【0030】
また、前記第一の水通過孔と前記第二の水通過孔は、それぞれ異なる同心円上に設置されていることにより、第一の水通過孔と第二の水通過孔が水平投影面上で重なることで前記仕切り板グループの水漏れを招くことを回避することができる。
【0031】
好ましくは、前記アルカリ液投入口、酸液投入口、酸液排出口、アルカリ液排出口、液体排出口及び浄水排出口には、これらの開閉を制御するための制御弁が設置されている。
【0032】
また、前記第一のピストン板の頂面又は前記第二のピストン板の底面には、可撓性密封材料(例えば、ゴム又はシリコン等)から作られたパッキンが設置されている。パッキンにより仕切り板グループの密封性能を高めることができる。
【0033】
また、前記上部円筒キャビティの側壁と前記第二のピストン板との間には、第二のピストン板が周方向に沿って回転することを防止するために用いられる軸方向ガイド構造が設置されている。
【0034】
軸方向ガイド構造は、従来技術である。好ましくは、軸方向ガイド構造は、ガイド溝及びガイド突起を備え、前記ガイド溝は、円筒状本体の側壁又は第二のピストン板の側面上に設置され、前記ガイド突起は、第二のピストン板の側面上又は上部円筒キャビティの側壁上に設置され、ガイド溝とマッチングする。
【0035】
また、前記第一のピストン板の頂面には、第一のネジ部が設置され、前記第二のピストン板の底面には、前記第一のネジ部と螺合する第二のネジ部が設置されている。
【0036】
前記第一のピストン板を前記第二のピストン板に対して強制的に順方向に回転させることにより、第一のピストン板と前記第二のピストン板は、第一のネジ部及び第二のネジ部によりしっかりと密着し、固定接続され、前記第一のピストン板を前記第二のピストン板に対して強制的に逆方向に回転させることにより、第一のネジ部が第二のネジ部に対して逆方向に回転し、第一のピストン板と前記第二のピストン板が離れる。
【0037】
なお、第一のネジ部は、内ネジ孔であり、第二のネジ部は、下へ突起する雄ねじ部であり、その逆も同様である。
【0038】
また、前記伸縮機構と前記第一のピストン板は、前記円筒状本体と相対的に回転可能に設置され、回転機構を更に備え、回転機構は、前記伸縮機構に接続され、前記伸縮機構と前記第一のピストン板が回転するように駆動するために用いられる。
【0039】
好ましくは、前記伸縮機構の本体は、前記円筒状本体の底板上に回転可能に設置され、伸縮機構の伸縮ロッドは、円筒状本体の底板上の通過孔を貫通して前記第一のピストン板に固定接続され、前記回転機構は、ステッピングモータを備え、ステッピングモータは、歯車伝動対により伸縮機構本体に接続されている。
【0040】
なお、給水パイプラインは、浄水源に接続され、水ポンプは、給水パイプラインに設置され、浄水を上部円筒キャビティ内に注入するために用いられる。
【0041】
また、色保護剤パイプラインを更に備え、色保護剤パイプラインの一端は、前記環状中間層キャビティに接続され、色保護剤パイプラインの他端は、色保護剤供給源に接続され、色保護剤パイプライン上には、色保護剤を環状中間層キャビティ及びノズル孔により前記上部円筒キャビティ内に注入し、搬送オーガ上のオリーブ果実に対して色保護処理を行うために用いられる色保護剤ポンプ本体が設置されている。
【0042】
本願は、スプレー法を用いてオリーブ果実に対して色保護処理を行っても良く、仕切り板グループにより上部円筒キャビティの底部を塞ぎ、色保護剤を上部円筒キャビティに導入し、浸漬法でオリーブ果実に対して色保護処理を行っても良い。
【0043】
また、蒸気パイプラインを更に備え、蒸気パイプラインの一端は、前記環状中間層キャビティに接続され、蒸気パイプラインの他端は、蒸気源に接続され、蒸気パイプラインには、蒸気を環状中間層キャビティ及びノズル孔により前記上部円筒キャビティ内に注入し、搬送オーガ上のオリーブ果実に対して熱処理を実施して変色を防ぐために用いられる蒸気ポンプ本体が設置されている。
【0044】
本願による加工装置は、複数の加工工程を1つに纏めたものであり、1つの工程の終了後、オリーブ果実を空気に晒す必要がなく、直接且つ迅速に次の工程に移し、効率が高く、オリーブ果実の色艶及び品質を保証することができる。
【0045】
本願の第三の局面は、上述した加工装置に基づくオリーブ果実緑色保持加工方法を提供する。当該方法は、L10、L20、L30及びL40のステップを備える。
【0046】
L10においては、一回目のクリーニングを行う。具体的には、オリーブ果実を前記材料出入口により円筒状本体内に投入し、前記搬送モータは、搬送オーガが(ゆっくりと)正回転するように駆動し、搬送オーガは、オリーブ果実を(ゆっくりと)下へ搬送し、前記送水ポンプがオンになり、ノズル孔により浄水を前記上部円筒キャビティ内にスプレーし、搬送オーガ上のオリーブ果実を洗浄し、浄水が第一のピストン板上の第一の水通過孔により下部円筒キャビティ内に流れ込み、浄水排出口により排出される。
【0047】
L20においては、オリーブ果実の脱オレウロペインを行う。具体的には、前記伸縮機構の伸縮端が伸び出ることにより、前記第一のピストン板が上へ下部円筒キャビティの頂部まで移動するように駆動し、搬送オーガから投入されたオリーブ果実を受け取る。
【0048】
前記搬送オーガは、オリーブ果実を前記下部円筒キャビティ内に投入し続けることにつれ、前記伸縮機構は、前記第一のピストン板を(ゆっくりと)下へ移動するように駆動し、全てのオリーブ果実が下部円筒キャビティ内に落下した後、送水ポンプをオフにし、下部円筒キャビティ内の浄水の全てを排出し、アルカリ液投入口により下部円筒キャビティ内に設定された濃度の水酸化ナトリウムアルカリ液を投入し、オリーブ果実を設定された時間で浸漬する。
【0049】
L30においては、二回目のクリーニングを行う。具体的には、(アルカリ液をアルカリ液排出口により下部円筒キャビティから排出する)前記伸縮機構の伸縮端が二回目伸び出ることで、前記第一のピストン板が(ゆっくりと)上へ移動するように駆動し、第一のピストン板上のオリーブ果実が搬送オーガの下端に接触し、前記搬送モータは、搬送オーガが(ゆっくりと)反転するように駆動し、搬送オーガは、オリーブ果実を(ゆっくりと)上へ上部円筒キャビティ内に搬送し、前記送水ポンプは、二回目オンになり、ノズル孔により浄水を前記上部円筒キャビティ内にスプレーし、搬送オーガ上のオリーブ果実を洗浄し、オリーブ果実の表面のアルカリ液を除去し、浄水は、第一のピストン板上の第一の水通過孔を通過して下部円筒キャビティ内に流れ込み、浄水排出口から排出される。
【0050】
L40においては、脱アルカリを行う。具体的には、前記搬送モータは、搬送オーガが(ゆっくりと)正回転するように駆動し、搬送オーガは、オリーブ果実を(ゆっくりと)下へ搬送し、前記搬送オーガは、オリーブ果実を前記下部円筒キャビティ内に投入し続け、前記伸縮機構は、前記第一のピストン板が(ゆっくりと)下へ移動するように駆動し、全てのオリーブ果実が下部円筒キャビティ内に落下した後、送水ポンプをオフにし、下部円筒キャビティ内の浄水の全てを排出し、酸性液投入口により下部円筒キャビティ内に有機酸クエン酸水溶液を投入してオリーブ果実を浸漬し、オリーブ果実に対して脱アルカリ処理を行う。
【0051】
オリーブ果実緑色保持加工方法は、L50を更に備える。L50においては、色保護鮮度保持処理を行う。具体的には、前記伸縮機構の伸縮端が三回目伸び出ることにより、前記第一のピストン板が(ゆっくりと)上へ移動するように駆動し、第一のピストン板上のオリーブ果実は、搬送オーガの下端に接触し、前記搬送モータは、搬送オーガが(ゆっくりと)反転するように駆動し、搬送オーガは、オリーブ果実を(ゆっくりと)上へ上部円筒キャビティ内に搬送し、色保護剤ポンプ本体及び色保護剤パイプラインを使用し、ノズル孔により色保護剤を前記上部円筒キャビティ内にスプレーし、搬送オーガ上のオリーブ果実をスプレーして色保護処理を行う。
【0052】
オリーブ果実緑色保持加工方法は、L60を更に備える。L60においては、熱処理を実施して変色を防ぐ。具体的には、(色保護剤ポンプ本体をオフにする)、蒸気ポンプ本体及び蒸気パイプラインを使用し、ノズル孔により蒸気を前記上部円筒キャビティ内にスプレーし、搬送オーガ上のオリーブ果実に対してスプレーし、熱処理を実施して変色を防ぐ。
【0053】
また、オリーブ果実緑色保持加工方法は、L70を更に備える。L70においては、搬送モータは、搬送オーガが(ゆっくりと)反転するように駆動し、搬送オーガは、オリーブ果実を材料出入口により前記円筒状本体から送り出す。
【0054】
本発明は、複数の加工工程を1つに纏めたものであり、1つの工程の終了後、オリーブ果実を空気に晒す必要がなく、直接且つ迅速に次の工程に移し、効率が高く、オリーブ果実の色艶及び品質を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介する。明らかに、以下において説明する図面は、本発明の幾つかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な労働せずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本発明の実施例1によるオリーブ果実緑色保持加工方法のフローチャート図である。
【
図2】本発明の実施例2によるオリーブ果実緑色保持加工装置の構造模式図である。
【
図4】オリーブ果実が下部円筒キャビティに落下した時の構造模式図である。
【
図5】第一のピストン板と第二のピストン板が回転することで密着した構造模式図である。
【
図6】第一のピストン板と第二のピストン板が密着した後に同期的に移動し上部円筒キャビティの容積を調整する原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、図面を参照しながら、本発明の技術案をより明確且つ完全に説明する。明らかに、記載されている実施形態は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、全ての実施形態ではない。本発明の実施形態を基に、当業者は、創造的な労働をせずに得られた全ての実施形態が何れも本発明の保護範囲に属する。
【0057】
以下、具体的な実施形態を用いて本発明を更に解釈し、説明する。
【0058】
<実施例1>
図1に示すように、本実施例には、以下のステップを備えるオリーブ果実緑色保持加工方法が開示されている。
【0059】
S10においては、摘み取ったオリーブ果実を浄水で洗い、表面の汚れを取り除くための一回目のクリーニング(洗浄)を行う。
【0060】
S20においては、設定された濃度の水酸化ナトリウムアルカリ液を用いてオリーブ果実を設定された時間で浸漬する、オリーブ果実の脱オレウロペインを行う。
【0061】
雲南省に導入されたオリーブ品種は、通常、1.5%~3%の水酸化ナトリウムアルカリ液に10時間~15時間浸漬して苦味を除去するが、本発明の苦味除去技術は、既存の技術資料における、オリーブ果実の脱オレウロペインに必要な時間より短く、苦味除去が完全であり、外観は、明るい緑色が保てる。同じ熟度のオリーブ果実の苦味除去技術では、オリーブ果実のグリコシド含有量に基づいてアルカリ液の濃度を選択することもできる。以下の表に示されている。
【0062】
【0063】
S30においては、オリーブ果実の表面のアルカリ液を浄水で洗うための二回目のクリーニングを行う。
【0064】
S40においては、有機酸クエン酸水溶液を用いてオリーブ果実を浸漬し、オリーブ果実に対して脱アルカリ処理をするための脱アルカリを行う。
【0065】
オリーブに対してアルカリ処理がされた後、果肉の苦味がなくなるが、アルカリの味が非常に強いため、同じく食べられず、脱アルカリを行う必要があり、浄水及び酸のいずれでもアルカリの味を除去することができる。ここでは、0.3%~0.5%の食品用クエン酸水溶液を使用して脱アルカリを行い、脱アルカリの際に果実を切り(又は、一回目のクリーニング又は脱オレウロペインの前に果実を切る)、各果実を3~4回切り、酸性液とアルカリ液の交換に有利であり、レモン液を4時間ごとに変える必要があり、24時間でオリーブ果実からアルカリ味が完全に除去されることができ、果実の表面が黒くなったり、後続するスープが濁ったりすることがなく(脱アルカリが不完全であるため)、過発酵による風味不良(夏場の加工、温度が高すぎ、発酵しやすい)の問題も生じない。
【0066】
S50においては、色保護剤を用いてオリーブ果実に対して色保護処理をするための色保護鮮度保持処理を行う。色保護剤には、0.005%のクロロフィル銅ナトリウム塩、0.02%のカロチン粉末、0.03%のルテイン粉末及び0.5%Lのアスコルビン酸カルシウムが含まれている。色保護剤の浸漬時間は、2~10時間である。
【0067】
S60においては、色保護処理後のオリーブ果実に対して熱処理を実施して変色を防ぎ(いわゆる殺青)、変色が防がれたオリーブ果実を缶に入れて密封し、殺菌する。
【0068】
本願の色保護方法は、脱苦味及び脱アルカリの後のオリーブ果実を明るい黄緑色に保つことができ、従来の緑色保護剤方法におけるクロロフィル構造中のマグネシウム原子の代わり、銅、亜鉛、マグネシウム等の低試薬剤を用いる。緑色保護検出における銅の残留物は、0.5ppmであり、国の衛生基準要件(10ppm以下)よりも遥かに低く、オリーブ果実の缶詰においては、非常に衛生で且つ安全な方法である。本願においては、当該色保護剤の組み合わせを用いて浸漬し、後続する硬化及び脆性の保持工程が不要で、硬化剤の添加が減り、得られたオリーブの缶詰が高温殺菌を経ても、柔らかくなったり、噛み応えがなくなったりしない。
【0069】
また、前記有機酸クエン酸水溶液の濃度は、0.3%~0.5%である。
【0070】
色保護鮮度保持がされた後のオリーブの缶詰めに対して、比較して評価を行う。基本的な構成要素の成分の測定と官能評価を含めた結果は、表1~2に示されている。
【0071】
【0072】
【0073】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0074】
1、オリーブ果実の製品の多様化を実現し、オリーブの産業チェーンを拡大することができ、得られたオリーブ果実の缶詰めは、粗脂肪含有量が15%~20%であり、タンパク質が1.58%~3.24%であり、総アミノ酸が3.28%~4.55%であり、総糖質が2.89~4.12%であり、総ポリフェノールが0.1%~0.3%であり、フラボノイドが0.1%~0.28%であり、保存期間が長ければ長いほど、人体の機能成分が徐々に放出されることに有利であり、オリーブ果実の効果的な生理活性成分の薬理効果を十分に発揮することができる。
【0075】
2、製造プロセスが簡単であり、操作しやすく、生産サイクルが短く、家庭で容易に操作ができるため、産業化の生産の実現に役立ち、オリーブの産業チェーンの発展を更に促進及び改善し、製品の付加価値を高め、雲南省のオリーブの栽培地域の経済発展を推進することに寄与する。
【0076】
<実施例2>
図2~
図6に示すように、本実施例によるオリーブ果実緑色保持加工装置は、円筒状本体10と、搬送オーガ20と、搬送モータ1と、伸縮機構2と、送水ポンプ3とを備える。
【0077】
前記円筒状本体10は、垂直に設置されている。前記円筒状本体10の内部は、上部円筒キャビティ11及び下部円筒キャビティ12に分かれている。前記上部円筒キャビティ11内には、前記搬送オーガ20が設置されている。前記上部円筒キャビティ11の側壁の頂部には、材料出入口13が設置されている。前記搬送モータ1の動力伝達軸は、前記搬送オーガ20に接続され、前記搬送オーガ20が回転するように駆動するために用いられる。前記上部円筒キャビティ11の円筒壁には、複数のノズル孔14が設置されている。送水ポンプ3は、一端が水供給源に接続され、他端が給水パイプライン3aにより前記ノズル孔14に連通し、ノズル孔14により浄水を前記上部円筒キャビティ11内にスプレーし、搬送オーガ20上の材料を洗浄するために用いられている。
【0078】
前記下部円筒キャビティ12内には、上下にスライドすることが可能な第一のピストン板31が設置されている。
【0079】
前記伸縮機構2の伸縮端は、前記第一のピストン板31に接続し、前記第一のピストン板31が上下に移動するように駆動するために用いられている。前記第一のピストン板31には、上下に連通する複数の第一の水通過孔31aが設置されている。
【0080】
前記下部円筒キャビティ12の側壁には、前記下部円筒キャビティ12内にアルカリ液及び酸性液をそれぞれ投入するために用いられるアルカリ液投入口12a及び酸性液投入口12bが設置されている。
【0081】
前記下部円筒キャビティ12の底部には、アルカリ液、酸性液及び浄水をそれぞれ排出するために用いられる酸性液排出口12d、アルカリ液排出口12c及び浄水排出口12eが設置されている。
【0082】
本実施例においては、前記伸縮機構2は、前記円筒状本体10の底板に設置されている。伸縮機構2の伸縮ロッドは、円筒状本体10の底板の通過孔を貫通して前記第一のピストン板31に固定接続されている。
【0083】
好ましくは、前記アルカリ液投入口12a及び酸性液投入口12bは、下部円筒キャビティ12の側壁の中央上部に設置されている。
【0084】
また、前記搬送モータ1は、前記円筒状本体10の頂部に設置されている。前記伸縮機構2は、前記円筒状本体10の底部に設置されている。
【0085】
また、前記搬送オーガ20は、中心軸本体22及び螺旋羽根21を備える。螺旋羽根21の外径の大きさは、前記円筒状本体10(具体的には、上部円筒キャビティ11)の内壁径とマッチングし(具体的には、螺旋羽根21の外径が円筒状本体10の内径と等しい又は円筒状本体10の内径より少し小さい)、前記螺旋羽根21には、複数の透水孔21aが設置され、透水孔21aの直径は、オリーブ果実の粒径より小さく、オリーブ果実が螺旋羽根21と色保護円筒の内壁との間の隙間、透水孔21aから落下することを回避する。
【0086】
また、前記上部円筒キャビティ11の側壁の外側には、環状中間層キャビティ11aが設置されている。
【0087】
前記ノズル孔14の入口は、前記環状中間層キャビティ11a内に設置されている。前記給水パイプライン3aは、環状中間層キャビティ11aによりノズル孔14に連通している。
【0088】
前記下部円筒キャビティ12内及び前記第一のピストン板31の上方は、第二のピストン板32が上下にスライド可能に設置されている。第二のピストン板32には、第二の水通過孔32aが設置されている。水平投影面においては、第一の水通過孔31a及び第二の水通過孔32aが完全にずれ、前記第一のピストン板31と第二のピストン板32は、上下が密着することにより、水が通過しない仕切り板グループを形成することで、上部円筒キャビティ11と下部円筒キャビティが相対的に隔離され、上部円筒キャビティ11上の水液体が下部円筒キャビティ12内に流れ込むことを回避することができる。伸縮機構2の伸縮端が伸び出ることで、仕切り板グループが上部円筒キャビティ11と下部円筒キャビティ12の中間領域に置かれ、上部円筒キャビティ11は、オリーブ果実を浸漬するための貯水キャビティ室を形成する。
【0089】
本願は、第二のピストン板32を設置することにより、前記第一のピストン板31及び第二のピストン板32が上下に密着することで上部円筒キャビティ11を貯水キャビティ室に形成し、更に、ステップS30に用いられて浄水浸漬法で脱アルカリを行うことができる。
【0090】
スプレー法を用いても、浸漬法を用いても、第一のピストン板31と第二のピストン板32が分離された後、ステップS30で生じた浄水が全て下部円筒キャビティ12内に流れ込むことができ、下部円筒キャビティ12が洗われ、下部円筒キャビティ12内に残っているアルカリ液が除去され、次のステップの酸浸漬を準備する。同じく、ステップS10で生じた浄水が全て下部円筒キャビティ12内に流れ込むことができ、下部円筒キャビティ12が洗われ、下部円筒キャビティ12内に残っている酸性液が除去され、次のバッチの製品のアルカリ液浸漬を準備する。
【0091】
また、前記上部円筒キャビティ11と下部円筒キャビティ12の中間には、前記第二のピストン板32の上方ストロークを制限するための位置制限台16(好ましくは、環状ボス)が設置されている。
【0092】
伸縮機構2の伸縮端が上へ伸び出ることにより、第一のピストン板31及び第二のピストン板32が上へ移動し、位置制限台16に接触した後、伸縮機構2の伸縮端が第一のピストン板31及び第二のピストン板32を強制的に密着するようにさせ、仕切り板グループの密封を実現することができる。
【0093】
なお、位置制限台16を設置することにより、第二のピストン板32が上方のリミット位置に到着した際に、当該リミット位置が搬送オーガ20の下端に近づくので、搬送オーガ20が反転すると、第二のピストン板32上の全ての材料を搬送オーガ20により下から上へ搬送することができることを保証する。同時に、位置制限台16は、第二のピストン板32が搬送オーガ20に接触することで部材が損傷するのを防ぐことができる。
【0094】
また、前記上部円筒キャビティ11の側壁の底部及び前記位置制限台16の上方には、液体排出口11bが設置されている。
【0095】
上部円筒キャビティ11を貯水キャビティ室として使用する場合、液体排出口11bは、浸漬工程の完成後に上部円筒キャビティ11内の浸漬液体を排出することができ、又は、浸漬プロセスにおいて、循環給水方法で浸漬する際の水液体の循環交換をするために用いられる。
【0096】
図2に示すように、前記第一の水通過孔31a及び第二の水通過孔32aは、それぞれ異なる同心円に設置されている。隣接する2つの同心円の半径の差(即ち、両者の間隔)は、第一の水通過孔31aと第二の水通過孔32aの半径の合計より大きいので、第一の水通過孔31aと第二の水通過孔32aは、水平投影面において重なり、前記仕切り板グループの水漏れを招いてしまうことを回避する。
【0097】
好ましくは、前記アルカリ液投入口12a、酸性液投入口12b、酸性液排出口12d、アルカリ液排出口12c、液体排出口及び浄水排出口12eには、これらの開閉を制御するための制御弁が設置されている。
【0098】
なお、前記第一のピストン板31の頂面又は前記第二のピストン板32の底面には、可撓性密封材料(例えば、ゴム又はシリコン等)から作られたパッキンが設置されている。パッキンにより仕切り板グループの密封性能を高めることができる。
【0099】
また、前記上部円筒キャビティ11の側壁と前記第二のピストン板32との間には、第二のピストン板32が周方向に沿って回転することを防止するために用いられる軸方向ガイド構造が設置されている。
【0100】
図3に示すように、軸方向ガイド構造は、従来技術である。好ましくは、軸方向ガイド構造は、ガイド溝15及びガイド突起32cを備え、前記ガイド溝15は、円筒状本体10の側壁に設置され、前記ガイド突起32cは、第二のピストン板32の側面に設置され、ガイド溝15とマッチングする。
【0101】
また、前記第一のピストン板31の頂面には、第一のネジ部31bが設置され、前記第二のピストン板32の底面には、前記第一のネジ部31bと螺合する第二のネジ部32bが設置されている。前記第一のピストン板31を前記第二のピストン板32に対して強制的に順方向に回転させることにより、第一のネジ部31bと第二のネジ部32bがしっかりと螺合されると、第一のピストン板31と前記第二のピストン板32は、第一のネジ部31b及び第二のネジ部32bによりしっかりと密着し、固定接続され、前記第一のピストン板31を前記第二のピストン板32に対して強制的に逆方向に回転させることにより、第一のネジ部31bが第二のネジ部32bに対して逆方向に回転して離れると、第一のピストン板31と前記第二のピストン板32が離れる。
【0102】
本実施例においては、第一のネジ部31bは、内ネジ孔であり、第二のネジ部32bは、下へ突起する雄ねじ部であり、その逆も同様である。
【0103】
第一のピストン板31を回転可能に設置することを実現するために、本実施例は、回転機構40を更に備え、前記伸縮機構2と前記第一のピストン板31は、前記円筒状本体10と相対的に回転可能に設置されている。回転機構40は、前記伸縮機構2に接続され、前記伸縮機構2と前記第一のピストン板31が回転するように駆動するために用いられる。
【0104】
好ましくは、前記回転機構40は、ステッピングモータ41、取り付けベース42及び歯車伝動対を備える。取り付けベース42は、円筒状本体10の底部に回転可能に設置されている。伸縮機構2の本体は、取り付けベース42に固定されている。伸縮機構2の伸縮端が取り付けベース42及び円筒状本体10の底板上の通過孔を貫通して下部円筒キャビティ12内に伸入して第一のピストン板31に固定接続されている。
【0105】
ステッピングモータ41は、歯車伝動対により取り付けベース42に接続し、歯車伝動対及び取り付けベース42により、伸縮機構2及び第一のピストン板31が順方向又は逆方向に回転するように駆動し、第一のピストン板31と第二のピストン板32が密着する又は離れることを実現する。歯車伝動対は、従来技術であり、好ましくは、駆動歯車43及び取り付けベース42の外周の外側歯車構造を備え、前記駆動歯車43は、ステッピングモータ41の動力出力軸を被せるように設置されている。
【0106】
図6に示すように、第一のピストン板31と第二のピストン板32が回転した後に密着して密封仕切り板を形成し、その後、伸縮機構2を利用して第一のピストン板31及び第二のピストン板32が下へ移動するように同期的に駆動する。よって、上部円筒キャビティ11の容積の大きさを調整することができ、浸漬モードを用いる場合、より多くの浸漬液(例えば、浄水又は色保護剤等)を投入して浸漬の効果及び効率を高めることができる。
【0107】
より好ましくは、本願は、色保護剤パイプライン11cを更に備えても良い。色保護剤パイプライン11cは、一端が前記環状中間層キャビティ11aに接続され、他端が色保護剤源に接続されている。色保護剤パイプライン11cには、色保護剤を環状中間層キャビティ11a及びノズル孔14により前記上部円筒キャビティ11内に注入し、搬送オーガ20上のオリーブ果実に対して色保護処理を行うために用いられる色保護剤ポンプ本体(図示せず)が設置されている。よって、本願は、スプレー方法を用いてオリーブ果実に対して色保護処理を行っても良く、仕切り板グループにより上部円筒キャビティ11の底部を塞ぎ、色保護剤を上部円筒キャビティ11内に導入し、浸漬方法を用いてオリーブ果実に対して色保護処理を行っても良い。
【0108】
また、好ましくは、本願は、蒸気パイプライン11dを更に備えても良い。蒸気パイプライン11dは、一端が前記環状中間層キャビティ11aに接続され、他端が蒸気源に接続され、蒸気パイプライン11dには、蒸気を環状中間層キャビティ11a及びノズル孔14により前記上部円筒キャビティ11内に注入し、搬送オーガ20上のオリーブ果実に対して熱処理を実施して変色を防ぐために用いられる蒸気ポンプ本体(図示せず)が設置されている。
【0109】
本願による加工装置は、複数の加工工程を1つに纏めたものであり、1つの工程の終了後、オリーブ果実を空気に晒す必要がなく、直接且つ迅速に次の工程に移し、効率が高く、オリーブ果実の色艶及び品質を保証することができる。
【0110】
<実施例3>
本願の第三の局面は、前記加工装置に基づくオリーブ果実緑色保持加工方法を提供する。当該加工方法は、以下のステップを備える。
【0111】
L10においては、一回目のクリーニングを行う。具体的には、オリーブ果実を前記材料出入口13により円筒状本体10内に投入し、前記搬送モータ1は、搬送オーガ20が(ゆっくりと)正回転するように駆動し、搬送オーガ20は、オリーブ果実を(ゆっくりと)下へ搬送し、前記送水ポンプ3がオンになり、ノズル孔14により浄水を前記上部円筒キャビティ11内にスプレーし、搬送オーガ20上のオリーブ果実を洗浄し、浄水が第一のピストン板31上の第一の水通過孔31aにより下部円筒キャビティ内に流れ込み、浄水排出口12eにより排出される。
【0112】
L20においては、オリーブ果実の脱オレウロペインを行う。具体的には、伸縮機構2の伸縮端が伸び出ることにより、前記第一のピストン板31が上へ下部円筒キャビティ12の頂部まで移動するように駆動し、搬送オーガ20から投入されたオリーブ果実を受け取る。
【0113】
前記搬送オーガ20は、オリーブ果実を前記下部円筒キャビティ12内に投入し続けることにつれ、前記伸縮機構2は、前記第一のピストン板31を(ゆっくりと)下へ移動するように駆動し、全てのオリーブ果実が下部円筒キャビティ12内に落下した後、送水ポンプ3をオフにし、下部円筒キャビティ12内の浄水の全てを排出し、アルカリ液投入口12aにより下部円筒キャビティ12内に設定された濃度の水酸化ナトリウムアルカリ液を投入し、オリーブ果実を設定された時間で浸漬する。
【0114】
L30においては、二回目のクリーニングを行う。具体的には、アルカリ液をアルカリ液排出口12cにより下部円筒キャビティ12から排出し、前記伸縮機構2の伸縮端が二回目伸び出ることで、前記第一のピストン板31が(ゆっくりと)上へ移動するように駆動し、第一のピストン板31上のオリーブ果実が搬送オーガ20の下端に接触し、上方のリミット位置に到達した時に、第一のピストン板31が搬送オーガ20と隙間を保ち、当該隙間は、オリーブ果実の粒径より小さいので、オリーブ果実が上下に搬送されるという目的を実現するとともに、第一のピストン板31が搬送オーガ20の下端に直接に接触することを回避することができる。
【0115】
前記搬送モータ1は、搬送オーガ20が(ゆっくりと)反転するように駆動し、搬送オーガ20は、オリーブ果実を(ゆっくりと)上へ上部円筒キャビティ11内に搬送し、前記送水ポンプ3は、二回目オンになり、ノズル孔14により浄水を前記上部円筒キャビティ11内にスプレーし、搬送オーガ20上のオリーブ果実を洗浄し、オリーブ果実の表面のアルカリ液を除去し、浄水は、第一のピストン板31上の第一の水通過孔31aを通過して下部円筒キャビティ内に流れ込み、浄水排出口12eから排出される。
【0116】
L40においては、脱アルカリを行う。具体的には、前記搬送モータ1は、搬送オーガ20が(ゆっくりと)正回転するように駆動し、搬送オーガ20は、オリーブ果実を(ゆっくりと)下へ搬送し、前記搬送オーガ20は、オリーブ果実を前記下部円筒キャビティ12内に投入し続け、前記伸縮機構2は、前記第一のピストン板31が(ゆっくりと)下へ移動するように駆動し、第一のピストン板31が二回目洗浄した後のオリーブ果実を載せて下へ移動し、全てのオリーブ果実が下部円筒キャビティ12内に落下した後、送水ポンプ3をオフにし、下部円筒キャビティ12内の浄水の全てを排出し、酸性液投入口12bにより下部円筒キャビティ12内に有機酸クエン酸水溶液を投入してオリーブ果実を浸漬し、オリーブ果実に対して脱アルカリ処理を行う。
【0117】
オリーブ果実緑色保持加工方法は、L50を更に備える。L50においては、色保護鮮度保持処理を行う。具体的には、前記伸縮機構2の伸縮端が再び伸び出ることにより、前記第一のピストン板31が(ゆっくりと)上へ移動するように駆動し、第一のピストン板31上のオリーブ果実は、搬送オーガ20の下端に接触し、前記搬送モータ1は、搬送オーガ20が(ゆっくりと)反転するように駆動し、搬送オーガ20は、オリーブ果実を(ゆっくりと)上へ上部円筒キャビティ11内に搬送し、色保護剤ポンプ本体及び色保護剤パイプラインを使用し、ノズル孔14により色保護剤を前記上部円筒キャビティ11内にスプレーし、搬送オーガ20上のオリーブ果実をスプレーして色保護処理を行う。
【0118】
オリーブ果実緑色保持加工方法は、L60を更に備える。L60においては、熱処理を実施して変色を防ぐ。具体的には、色保護剤ポンプ本体をオフにし、蒸気ポンプ本体及び蒸気パイプラインを使用し、ノズル孔14により蒸気を前記上部円筒キャビティ11内にスプレーし、搬送オーガ20上のオリーブ果実に対してスプレーし、熱処理を実施して変色を防ぐ。
【0119】
また、オリーブ果実緑色保持加工方法は、L70を更に備える。L70においては、搬送モータ1は、搬送オーガ20が(ゆっくりと)反転するように駆動し、搬送オーガ20は、オリーブ果実を材料出入口13により前記円筒状本体10から送り出す。
【0120】
本発明は、複数の加工工程を1つに纏めたものであり、1つの工程の終了後、オリーブ果実を空気に晒す必要がなく、直接且つ迅速に次の工程に移し、効率が高く、オリーブ果実の色艶及び品質を保証することができる。
【0121】
最後に、上述した各実施例は、本発明の技術案を説明するためにのみ用いられ、本発明を限定するものではないことに留意されたい。上述した各実施形態を参照しながら、本発明を詳しく説明した。当業者は、上述した各実施例に記載の技術案を修正することができ、或いは、一部又は全部の技術特徴に対して等価に置き換えることができるが、これらの修正又は置き換えは、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱させないと理解すべきである。
【符号の説明】
【0122】
1 搬送モータ
2 伸縮機構
3 送水ポンプ
3a 給水パイプライン
10 円筒状本体
11 上部円筒キャビティ
11a 環状中間層キャビティ
11b 液体排出口
11c 色保護剤パイプライン
11d 蒸気パイプライン
12 下部円筒キャビティ
12a アルカリ液投入口
12b 酸性液投入口
12c アルカリ液排出口
12d 酸性液排出口
12e 浄水排出口
13 材料出入口
12 ノズル孔
15 ガイド溝
16 位置制限台
20 搬送オーガ
21 螺旋羽根
21a 透水孔
22 中心軸本体
31 第一のピストン板
31a 第一の水通過板
31b 第一のネジ部
32 第二のピストン板
32a 第二の水通過板
32b 第二のネジ部
32c ガイド突起
40 回転機構
41 ステッピングモータ
42 取り付けベース
43 駆動歯車
【外国語明細書】