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特開2024-153560加圧パンチの状態を評価する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153560
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】加圧パンチの状態を評価する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/00 20060101AFI20241022BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241022BHJP
   B30B 3/00 20060101ALI20241022BHJP
   B30B 15/28 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B30B15/00 B
G06T7/00 350B
G06T7/00 610C
B30B3/00 Z
B30B15/28 N
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024053243
(22)【出願日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】10 2023 108 106.3
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】513277289
【氏名又は名称】フェッテ コンパクティング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルプ スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン ジャニス
(72)【発明者】
【氏名】ナエベ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャスパー ティモ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、回転プレス機の加圧パンチの状態を評価する方法に関する。
【解決手段】加圧パンチがパンチ・シャフトを有し、この一端には作動中に回転プレス機の圧力装置と協働するパンチ・ヘッドが配置され、この他端には回転プレス機のダイ・プレートのキャビティに材料を圧入して作動中にペレットを形成するパンチ・チップが配置されている。本方法は、加圧パンチの少なくとも一部分の画像をカメラで記録するステップと、この記録画像を評価装置へ送るステップと、評価装置が、画像処理アルゴリズムを用いて加圧パンチの少なくとも一部分の状態解析を行い、その状態解析に基づいて加圧パンチの状態を評価するステップと、評価装置によって評価された加圧パンチの状態が公差範囲外であった場合、評価装置が警告を出力するステップと、を含む。本発明はまた、この方法を実行する装置に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転プレス機の加圧パンチの状態を評価する方法であって、前記加圧パンチがパンチ・シャフト(10)を有し、この一端には作動中に前記回転プレス機の圧力装置と協働するパンチ・ヘッド(12)が配置され、この他端には前記回転プレス機のダイ・プレートのキャビティに材料を圧入して作動中にペレットを形成するパンチ・チップ(14)が配置されており、前記方法は、
・前記加圧パンチの少なくとも一部分の画像をカメラ(22)で記録するステップと、
・前記記録画像を評価装置(26)へ送るステップと、
・前記評価装置(26)が、画像処理アルゴリズムを用いて前記加圧パンチの少なくとも一部分の状態解析を行い、前記状態解析に基づいて前記加圧パンチの状態を評価するステップと、
・前記評価装置(26)によって評価された前記加圧パンチの状態が公差範囲外であった場合、前記評価装置(26)が警告を出力するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
画像処理アルゴリズムを用いた前記状態解析が、前記記録画像と少なくとも1つの参照画像との比較を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの参照画像が、未使用の加圧パンチの少なくとも一部分の少なくとも1つの参照画像であり、かつ/または、少なくとも1つの参照画像が、前記回転プレス機における評価対象の加圧パンチの最終製造プロセス前の評価対象の加圧パンチの少なくとも一部分の少なくとも1つの参照画像であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
画像処理アルゴリズムを用いた前記状態解析が、前記記録画像から関心領域を抽出することを含み、前記関心領域は好ましくは前記パンチ・チップ(14)の端面(16)であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記記録画像がカラー画像であり、かつ、画像処理アルゴリズムを用いた前記状態解析が、前記カラー画像をグレースケール化することを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
画像処理アルゴリズムを用いた前記状態解析が、前記記録画像を二値画像に変換することを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記加圧パンチの少なくとも一部分が、前記加圧パンチの前記パンチ・チップ(14)の端面(16)であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
画像処理アルゴリズムを用いた前記状態解析が、前記パンチ・チップ(14)の記録された端面(16)の中心点(28)を決定することを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
画像処理アルゴリズムを用いた前記状態解析が、前記記録画像の座標を極座標系に変換することを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記パンチ・チップ(14)の端面(16)がその外側領域に環状平坦部(18)を有し、かつ画像処理アルゴリズムを用いた前記状態解析が、前記環状平坦部(18)の外側境界と内側境界とを識別することを含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
画像処理アルゴリズムを用いた前記状態解析がまた、外側境界と内側境界との間の環状平坦部(18)の円周にわたる距離を決定することを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記状態解析の一部として処理された画像の最大値(32,34)を決定することによって、前記環状平坦部(18)の外側および内側の境界を識別することが可能であることを特徴とする、請求項10または11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
画像処理アルゴリズムを用いた前記状態解析が、Cannyアルゴリズムの使用を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
画像処理アルゴリズムを用いた前記状態解析が、前記加圧パンチの少なくとも一部分の異常を検出することを含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
クラスタ分析のための画像処理アルゴリズムが、前記加圧パンチの少なくとも一部分の異常を検出するために使用されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記状態解析が機械学習アルゴリズムによって実行されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
本方法を実行している間に、評価対象の前記加圧パンチが前記回転プレス機に取り付けられ、または、本方法を実行している間に、評価対象の前記加圧パンチが前記回転プレス機の外部のホルダ、特に前記回転プレス機の前記加圧パンチの洗浄装置内に保持されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記カメラ(22)が前記回転プレス機の加圧空間内へ移動可能な支持アームに保持されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記回転プレス機の前記加圧パンチを評価するために、前記ロータを順次回転させて、前記回転プレス機の前記加圧パンチの少なくとも一部分を順次前記カメラ(22)に記録することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の方法を行う装置であって、前記加圧パンチの少なくとも一部分の画像を記録するカメラ(22)と評価装置(26)とを備え、前記評価装置(26)は、少なくとも1つの画像処理アルゴリズムを用いて前記加圧パンチの少なくとも一部分の状態解析を行い、前記状態解析に基づいて前記加圧パンチの状態を評価するように設計されており、かつ前記評価装置(26)によって評価された前記加圧パンチの状態が許容範囲外であった場合、前記評価装置(26)が警告を出力するようにも設計されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転プレス機の加圧パンチの状態を評価する方法に関する。ここでは、加圧パンチがパンチ・シャフトを有し、この一端には作動中に回転プレス機の圧力装置と協働するパンチ・ヘッドが配置され、この他端には回転プレス機のダイ・プレートのキャビティに材料を圧入して作動中にペレットを形成するパンチ・チップが配置されている。本発明はまた、この方法を実行する装置に関する。
【0002】
回転プレス機には、多数の上部および下部の加圧パンチが通常設けられており、これらはいずれも対になって1つのダイ・プレートの1つのキャビティに割り当てられている。回転プレス機の作動中、上部および下部の加圧パンチはダイ・プレートと共に回転し、この加圧パンチの軸方向の運動は、制御カムによって制御され、上部および下部のパンチ・ガイドによって案内される。回転している間、ダイ・プレートは回転プレス機のさまざまな装置、すなわち充填装置や圧力装置を通過する。充填装置では、押圧される材料、特に粉体材料がダイ・プレートのキャビティに充填され、圧力装置では、材料をたとえば錠剤などのペレットに圧入するために、上部および下部の加圧パンチが特に上部および下部の圧力ローラによってキャビティに押し込まれる。圧力装置の後、上部加圧パンチがキャビティから上方に案内され、キャビティ内で製造されたペレットは下部加圧パンチによってダイ・プレートの上面に押される。たとえばスクレーパによって、ついでペレットはダイ・プレートから回転プレス機の出力部に掻出され、そこからペレットがさらに処理されるために供給される。
【0003】
回転プレス機は高回転速度で、それに応じて高製造速度で作動する。多数の加圧プロセスの間、加圧パンチは摩耗してくる。圧力ローラと協働することによるパンチ・ヘッドの摩耗に加えて、キャビティに材料を圧入するパンチ・チップの摩耗もまた、たとえば研磨材やその他の摩耗の場合によって生じる。パンチ・チップの摩耗や損傷が、製造されたペレットの仕様が許容されないことに繋がる可能性がある。
【0004】
押圧力曲線を用いてパンチ・ヘッドの摩耗を分析し評価することが知られている。この方法では、パンチ・チップの摩耗が困難ながら評価のみ可能であるか、全く不可能かである。その理由は、パンチ・チップの半径またはパンチ・チップの平坦な縁部の可能性などの、パンチ・チップの摩耗が押圧力曲線に与える影響はわずかなためである。しかし、パンチ・チップのそのような変化は、ペレットの製造プロセスや、ひいてはその品質に顕著に影響を与える。
【0005】
加圧パンチの状態を目視検査で判断することが一般的である。しかし、このような評価方法は、不正確であり、この評価を行う操作者に依存する。加圧パンチの状態を評価し、該当する場合にはそれを交換するための適切な客観的基準を定義することは困難である。手作業による検査方法は、多大な時間を費やすこととなる。実際のところ、パンチ・チップなどの加圧パンチの不十分な状態が認識されるのは、たいてい、製造の問題が発生した場合や製造されたペレットの品質が不十分な場合のみである。さらに、このような手法では、加圧パンチ、特にパンチ・チップをリアルタイムでモニタリングすることは不可能である。
【0006】
加圧パンチを検査する方法が、米国特許第10 598 605 B2号より知られているが、この方法では、加圧パンチがパンチ・ホルダに配置されている。加圧パンチがホルダに保持されている状態で、加圧パンチが一方ではLEDマイクロメータで、他方ではレーザセンサで走査される。走査された加圧パンチの種々の幾何学的パラメータを、LEDマイクロメータとレーザ・スキャナとで検出し、公差範囲と比較する。これに基づいて、合格か不合格のステータスがパラメータに割り当てられる。しかし、加圧パンチの被検査面の各点を走査することは、多大な労力を伴う。米国特許第10 598 605 B2号で仕様されているセンサは、高価でもある。
【0007】
したがって、説明した先行技術により、本発明の目的は、加圧パンチの状態を高信頼性で簡潔に、かつ費用対効果の高い方法で評価することのできる、冒頭に述べたタイプの方法および装置を提供することである。
【0008】
本発明は、独立請求項1および20によってこの目的を達成する。有利な実施形態は、従属請求項、明細書、および図面に開示されている。
【0009】
冒頭に述べたタイプの方法について、本発明は以下のステップによってこの目的を達成する。すなわち、
・加圧パンチの少なくとも一部分の画像をカメラで記録するステップと、
・この記録画像を評価装置へ送るステップと、
・評価装置が、画像処理アルゴリズムを用いて加圧パンチの少なくとも一部分の状態解析を行い、その状態解析に基づいて加圧パンチの状態を評価するステップと、
・評価装置によって評価された加圧パンチの状態が公差範囲外であった場合、評価装置が警告を出力するステップ。
【0010】
本発明はまた、本発明による方法を行う装置によってこの目的を達成し、この装置は、加圧パンチの少なくとも一部分の画像を記録するカメラと評価装置とを備え、評価装置は、少なくとも1つの画像処理アルゴリズムを用いて加圧パンチの少なくとも一部分の状態解析を行い、その状態解析に基づいて加圧パンチの状態を評価するように設計されており、かつ評価装置によって評価された加圧パンチの状態が許容範囲外であった場合、評価装置が警告を出力するように設計されている。
【0011】
本発明に従って評価された加圧パンチが使用される回転プレス機の基本的構成は、冒頭で説明している。したがって、回転プレス機は一般的に、複数の上部および下部の加圧パンチを備え、この加圧パンチはそれぞれ、特に粉体の材料をダイ・プレートのキャビティに圧入して、ペレット、特に錠剤を形成する。加圧パンチは複数の部分、特にパンチ・シャフトを有し、この一端には作動中に回転プレス機の圧力装置、特に圧力ローラと協働するパンチ・ヘッドが配置され、この他端には作動中にダイ・プレートのキャビティに材料を圧入するパンチ・チップが配置されている。パンチ・チップの設計は、製造されるペレットの形状およびサイズによる。異なる回転プレス機、すなわち製造される異なるペレットに対して、特に異なる形状および/またはサイズのパンチ・チップを備えた異なる加圧パンチが使用される。
【0012】
加圧パンチのパンチ・チップの端面は、摩耗に関して特に重要であるが、その外側領域に環状平坦部を有していてもよく、この環状平坦部は、特にパンチ・シャフトの縦軸に垂直な面に配置される。環状平坦部は、製造されるペレットを形成する凹状の輪郭部を囲む。環状平坦部は、パンチ・チップの端面の外縁部を補強し、特にその縁部領域にペレットを形成する輪郭部を摩耗や損傷から保護して、所望のペレット形状が常に生成されることを意図している。環状平坦部の幅は、通常は1mm未満、特に0.5mm未満の範囲にある。このような幅の狭い環状平坦部は、回転プレス機の作動中に特定の荷重を受け、したがって特に摩耗や損傷を受けやすい。
【0013】
本発明は、まず、加圧パンチの少なくとも一部分、たとえば、パンチ・チップの端面、パンチ・ヘッド、および/またはパンチ・シャフトの画像や写真を、カメラ、特にデジタル・カメラによって記録するという考えに基づく。記録は、特に平面図、すなわちパンチ・シャフトの軸方向に、パンチ・チップおよび/またはパンチ・ヘッドに対して行うことができる。カメラは、可視波長範囲、すなわちたとえば赤外線範囲で機能可能である。カメラは、たとえば二次元CMOSまたはCCDセンサを備えていてもよい。記録されたデジタル画像が評価装置へ送られる。評価装置は記録された部分、したがって加圧パンチの状態解析を行う。そのようにするために、評価装置は、記録画像を画像処理アルゴリズムで処理するか、または、それぞれ、記録画像に画像処理アルゴリズムを適用する。対応するソフトウェアを評価装置に格納することが可能である。状態解析の一部として評価される特定のパラメータの許容範囲は、たとえば、操作者によって、または評価装置によっても規定可能である。この許容範囲から逸脱した場合、警告は、たとえば、視覚信号および/または聴覚信号の形態で、かつ/または、たとえば、PC、ラップトップ、タブレットまたはスマートフォン上のディスプレイまたはアプリを介して、操作者へのメッセージの形態で、評価装置によって出力される。評価装置によって評価された状態は、特に、加圧パンチの少なくとも一部分またはそれぞれの摩耗状態であり得る。説明したように、回転プレス機の作動中、たとえば研磨材が押圧されることによってパンチ・チップの摩耗が生じる。本発明による状態解析の一部として、パンチ・チップの表面、特に端面の傷、隆起、または他の変形などの損傷もまた、検出し、評価することが可能である。これらは、パンチ・ヘッドやパンチ・シャフトについても同様である。加圧パンチのリアルタイムでのモニタリングも想定し得る。さらに、カメラと連動した評価装置による加圧パンチの自動評価も可能である。状態評価は、特に操作者による個別検査とは独立して行われる。同時に、従来技術で提案されているレーザ・スキャナを使用するよりも、本発明による方法または本発明による装置をそれぞれよりコスト効率よく実現することができる。画像処理アルゴリズムを使用することによって、加圧パンチの状態に対して、確実に高信頼性の評価を行うことが可能である。したがって、本発明によると、製造されるペレットの品質特性が持続的に最適化され、プロセスの安定性が向上し、回転プレス機の作動中の予期しない停止時間が簡潔で高信頼性の方法で最小限に抑えられる。
【0014】
回転プレス機の上部および/または下部の加圧パンチすべてが、本発明による手法で評価されてもよい。評価装置が、状態解析の結果を操作者に表示することが可能である。評価装置はまた、操作者が状態解析用のパラメータ、たとえば特定の評価されたパラメータの許容範囲または評価されるパンチの種類を設定可能な入力装置を含んでいてもよい。状態解析の結果の表示や、操作者による入力を、それぞれ回転プレス機のディスプレイ、あるいは評価装置の入力装置、あるいは、たとえばPC、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなど独立した装置の入力装置で行うことが可能である。 特に、対応するアプリケーション(アプリ)を介して、表示や入力を行うことが可能である。
【0015】
一実施形態によると、画像処理アルゴリズムを用いた状態解析が、記録画像と少なくとも1つの参照画像との比較を含んでいてもよい。少なくとも1つの参照画像は、少なくとも一部分、たとえばパンチ・チップやその端面のそれぞれの目標状態を示すことが可能である。画像処理アルゴリズムを使用して、記録画像と少なくとも1つまたは複数の参照画像との比較を行うことができる。特定のパラメータ、たとえばパンチ・チップの端面の外径、存在する場合には、端面の環状の外側平坦領域の内径または端面の平坦度、特に、少なくとも1つの参照画像と比較した記録画像における不規則な領域の発生が比較可能である。これらは、たとえばパンチ・ヘッドについても同様である。記録画像とデータベースに保存された参照画像とを比較することができるように、それぞれのパンチのタイプ、たとえばそれぞれのパンチ・チップの形状および/またはサイズに対する参照画像のデータベースを作成することができるので、記録画像を参照画像と直接比較することで、たとえばパンチ・チップの領域にある縁部の破損を迅速かつ確実に検出することが可能である。
【0016】
別の実施形態によると、少なくとも1つの参照画像が、未使用の加圧パンチの少なくとも一部分の少なくとも1つの参照画像であってもよく、かつ/または、少なくとも1つの参照画像が、回転プレス機における評価対象の加圧パンチの最終製造プロセス前の評価対象の加圧パンチの少なくとも一部分の少なくとも1つの参照画像であってもよい。したがって、加圧パンチの新しい状態との比較、または加圧パンチの以前の状態、特に回転プレス機における加圧パンチによる最終製造プロセス直前の状態、または回転プレス機における加圧パンチによる複数の製造プロセス直前の状態との比較を行うことが可能である。
【0017】
概して、記録画像は評価対象の加圧パンチそのものの参照画像と比較することが可能である。しがたって、各加圧パンチの個々の特性を評価したり考慮したりすることができる。しかし、参照画像は、評価対象のパンチのタイプの標準画像であることも想定される。
【0018】
記録画像および少なくとも1つの参照画像は、比較する前に少なくとも画像処理アルゴリズムを用いて評価装置によって処理可能である。さらなる処理を単純化する様々な画像処理方法、たとえば平滑化、グレースケール変換などが使用可能である。
【0019】
別の実施形態によると、画像処理アルゴリズムを用いた状態解析が、記録画像から関心領域を抽出することを含んでいてもよく、関心領域は好ましくはパンチ・チップの端面である。記録画像から関心領域(ROI)として知られているものを抽出することによって、たとえばパンチ・チップの縁部領域を特に高信頼性で分析可能である。評価される画像は、パンチ・チップの端面に限られる。加圧パンチの、特にパンチ・シャフトの、および該当する場合にはパンチ・ヘッドの、その後部に見える領域は考慮しない。このことによって、評価を簡潔かつ迅速にする。
【0020】
記録画像はカラー画像(RBG)であってもよい。ついで、別の実施形態によると、画像処理アルゴリズムを用いた状態解析が、カラー画像をグレースケール化することを含んでいてもよい。さらに、画像処理アルゴリズムを用いた状態解析が、記録画像を二値画像に変換することを含んでいてもよい。二値化は適応的な閾値で行うことが可能である。グレースケール変換および二値化によって、摩耗状態に関連する記録画像の光学特性を容易に発見できる。二値画像が0と1との間の浮動小数点数で構成されることも可能である。
【0021】
すでに説明したように、カメラによって記録された加圧パンチの少なくとも一部分が、加圧パンチのパンチ・チップの端面であってもよい。ついで、別の実施形態によると、画像処理アルゴリズムを用いた状態解析が、パンチ・チップの記録された端面の中心点を決定することを含んでいてもよい。この文脈で中心点という場合、端面は必ずしも円形ではないため、特に幾何学的中心点または幾何学的中心となる。さらに、画像処理アルゴリズムを用いた状態解析が、記録画像の座標を極座標系に変換することを含んでいてもよい。特にパンチ・チップの外側にある平坦環状領域を評価するために、記録画像を極座標に変換し、そのためにパンチ・チップの端面の中心点をまず決定することが有用となり得る。
【0022】
したがって、上述のようにパンチ・チップの端面がその外側領域に環状平坦部を有する別の実施形態によると、画像処理アルゴリズムを用いた状態解析が、環状平坦部の外側境界と内側境界とを識別することを含んでいてもよい。環状平坦部を画定する線は、たとえば記録画像では円形であるが、理想的な場合、極座標への変換後には平行線として現れる。これにより、画像処理アルゴリズムを用いて環状平坦部の境界に関する評価が大幅に簡略化される。したがって、画像処理アルゴリズムを用いた状態解析が、外側境界と内側境界との間の環状平坦部の円周にわたる距離を決定することを含んでいてもよい。この距離は、境界を表す平行線を横切る軸に沿って処理された記録画像上の画素を決定することによって、特に極座標に変換後、円周にわたる評価技術の観点から極めて簡単に決定することが可能である。このようにして処理された記録画像に生じる主最大値は、パンチ・チップの端面の環状平坦部の内縁部および外縁部を表す。したがって、状態解析の一部として処理された画像の最大値を決定することによって、環状平坦部の外側および内側の境界を識別することが可能である。距離の評価は、極座標から直交座標への再変換の前後に生じる主最大値の差から簡単に行うことができる。しかし、当然ながら、中心点を決定せず、かつ極座標に変換することなく、特に、たとえばアレイ・センサ上で境界を形成する画素を決定することによって、直交座標での環状平坦部の外側および内側の境界を決定することも可能である。パンチ・チップの端面の円周にわたり決定した環状平坦部の外側と内側の境界の距離の値は、たとえば、距離の目標値と比較することができる。円周にわたり決定した個々または複数の距離の値が目標値から信頼できないほど逸脱している場合、評価装置は環状平坦部またはその外縁部の摩耗や損傷が増加したと推定することが可能である。円周にわたり決定した距離値、たとえば最小距離値および最大距離値の変動幅を測定することもまた想定し得る。変動幅が許容範囲を超えると、平坦環状部、ひいてはパンチ・チップの摩耗や損傷が増加したと推測される。
【0023】
この文脈で環状部という場合、円形部だけでなく、楕円形または長円形の環状部などの他の環状幾何形状、あるいは、たとえば角状または多角形の環状部などの非円形環状形状も含まれる。
【0024】
別の実施形態によると、画像処理アルゴリズムを用いた状態解析が、記録画像にCannyアルゴリズムを適用することを含んでいてもよい。Cannyアルゴリズムを用いて、状態の評価に関連しない画像情報、たとえば、少なくとも一部分を照明するために設けられた光源からの光反射などを、記録画像から効果的に除去することが可能である。これにより、その後の状態解析が簡単になる。
【0025】
たとえば、Cannyアルゴリズムに基づいて、画像処理アルゴリズムを用いての状態解析は、加圧パンチの少なくとも一部分、たとえばパンチ・チップの端面の異常を検出することを含んでいてもよい。異常とは、期待される状態からの逸脱、たとえば表面欠陥であるので、表面が期待された形状、たとえば平坦や凹形から部分的に逸脱する。典型的に発生する異常は、傷、亀裂、凹みなどであり得る。クラスタ分析のための画像処理アルゴリズムもまた、異常を検出するために使用可能である。これを用いて、1つの場所または1つの領域で異常が頻繁に発生する場合に、異常は特に臨界と評価される。たとえば、パンチ・チップの環状平坦部の縁幅部に加えて、特にパンチ・チップ面全体、特に製造されるペレットを形成するための通常は凹状の凹部面もまた、画像処理アルゴリズムによって検査することが可能である。この目的を達成するために、たとえば関心領域を抽出し、該当する場合にはグレースケール化を行い、さらなる例として、記録画像を平滑化した後で、このようにして処理された画像から異常を検出することが可能である。たとえば、画像を平滑化した後、DBSCAN(density-based spatial clustering of applications with noise:ノイズ適用可能な密度に基づいた空間クラスタリング)アルゴリズムを用いて、たとえばパンチ・チップの傷、亀裂、凹みによって形成された異常を評価することが可能である。このようにして、製造される対応するペレットの欠陥に繋がるパンチ・チップの特に重大な欠陥を早期に高信頼性で検出可能であるので、影響を受けている加圧パンチを特定し、かつたとえば交換することが可能となる。
【0026】
別の実施形態によると、状態解析は、機械学習アルゴリズムによって実行可能である。特に、自己学習アルゴリズムは、以前の評価プロセスからの訓練データおよび/または経験的データに基づいて、加圧パンチ、特にパンチ・チップの状態の評価基準を継続的に最適化する。本発明による画像処理の一部として決定されたパラメータの目標パラメータからの偏差の限界値は、訓練データや経験的データに基づいて、このタイプの自己学習ソフトウェアによって作動中に最適化可能である。機械学習アルゴリズムは、たとえば、ニューラル・ネットワークで構成されてもよい。
【0027】
別の実施形態によると、本方法を実行している間に評価対象の加圧パンチが回転プレス機に取り付けられていてもよいし、または、本方法を実行している間に、評価対象の加圧パンチが回転プレス機の外部のホルダ、特に回転プレス機の加圧パンチの洗浄装置内に保持されていてもよい。カメラはまた、回転プレス機の加圧空間内または加圧パンチの洗浄装置内へ移動可能な支持アームに保持可能である。回転プレス機の加圧パンチを評価するために、ロータをたとえば順次回転させて、回転プレス機の加圧パンチの少なくとも一部分、たとえばパンチ・チップの端面を順次カメラに記録することが可能である。このようにして、すべての加圧パンチの評価が可能となる。この目的を達成するために、支持アームをたとえば360度回転可能であるので、回転プレス機の上部および下部の加圧パンチを順次記録することが可能である。上述の実施形態によると、回転プレス機に設置した状態でも、回転プレス機から取り外した状態でも、すべての加圧パンチの状態解析の大部分を自動で行うことができる。また、本発明に従って使用されるカメラを、加圧パンチの幾何学的パラメータを検出するための追加で設けられた触覚測定システムに統合することも想定し得る。支持アームは、たとえば、状態解析を実行するための支持アームの自動制御を行うことができるように、ロボットの一部としてもよい。このことはまた、評価装置によって制御することが可能である。
【0028】
本方法は、個別の測定装置において実行することも可能であり、パンチは個別に、または一組のパンチで、この目的のために設けられた測定装置の支持シート内に案内されている。支持シートは、画像をカメラで記録できるように位置決めされている。これはたとえばライト・テント内に配置される。一組のパンチを測定する場合、各パンチは、たとえば各パンチ用のコネクタを備えた支持シートに保持される。このような構成によって、個々のパンチを支持シートから取り外すことなく個々のパンチの画像を記録することができる。この目的を達成するために、カメラを各パンチに移動させて画像を記録しながらホルダなどを用いて、たとえばすでに述べたライト・テント内に支持シートを固定する。
【0029】
本発明による方法を、回転プレス機の加圧パンチのための洗浄装置に組み込むことによって、さらなる利点をもたらすことが可能である。一方、加圧パンチを洗浄装置内のホルダに規則正しく収容し、その位置を固定する(GMP環境)と、パンチ・チップの端面の画像記録が容易となる。さらに、洗浄装置内で画像を記録することにより、既存の製造ダストなどによる回転プレス機の加圧空間で発生する問題を回避することが可能である。洗浄されたパンチが、本発明による状態評価の前に研磨さえされていれば、状態評価を左右する可能性のある追加パラメータを確実に除外することが可能である。たとえば、洗浄装置に組み込まれた場合、少なくとも一部分のカメラ画像を各洗浄サイクルの前および/または後に撮影することができる。本発明の方法を回転プレス機に組み込むと、たとえば各製造プロセスの開始前に、加圧パンチのカメラ画像を撮影することが可能であり、かつ対応する状態評価を行うことが可能である。
【0030】
本発明はまた、上部および/または下部の加圧パンチを洗浄室内に保持するホルダを備えた、回転プレス機の加圧パンチのための洗浄装置に関し、洗浄装置は上部および/または下部の加圧パンチを洗浄する洗浄機をさらに備え、本発明に係る装置を備える。洗浄装置はまた、加圧パンチを研磨する研磨装置を備えていてもよい。
【0031】
本発明はまた、回転プレス機に関する。回転プレス機は、ロータリ・ドライブを用いて回転可能なロータを備え、このロータは上部加圧パンチ用の上部パンチ・ガイドと、下部加圧パンチ用の下部パンチ・ガイドと、このパンチ・ガイド間に配置されているダイ・プレートとを備える。加圧パンチはダイ・プレートのキャビティと協働する。回転プレス機はさらに、充填装置を備え、これを用いて押圧される予定の粉体材料がダイ・プレートのキャビティに充填される。回転プレス機は圧力装置を備え、圧力装置はダイ・プレートのキャビティに押圧される粉体材料を圧入する作動中に、上部加圧パンチおよび下部加圧パンチと協働する上部圧力ローラと下部圧力ローラを有し、回転プレス機は本発明に係る装置を備える。
【0032】
本発明による方法および本発明による装置によれば、たとえばベローズや防塵キャップなどの加圧パンチに付加的に配置される部品をカメラで記録し、記録画像を本発明の方法に従って評価することもまた可能である。このようにして、他の部品の状態もまた、本発明に従って評価することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の例示的実施形態を、図を用いて以下により詳細に説明する。
【0034】
図1】回転プレス機の加圧パンチの側面図。
図2図1に示す加圧パンチのパンチ・チップの拡大図。
図3図2に示すパンチ・チップの平面図。
図4図1から3に示す加圧パンチの状態を評価する、本発明による装置。
図5】画像処理アルゴリズムを用いた、本発明による状態解析を示す図。
図6】画像処理アルゴリズムを用いた、本発明による状態解析を示すさらなる図。
図7】画像処理アルゴリズムを用いた、本発明による状態解析を示すさらなる図。
図8】画像処理アルゴリズムを用いた、本発明による状態解析を示すさらなる図。
図9】画像処理アルゴリズムを用いた、本発明による状態解析を示すさらなる図。
図10】画像処理アルゴリズムを用いた、本発明による状態解析を示すさらなる図。
【0035】
特に明記されていない限り、同じ参照記号は図中の同じ対象物を指す。
【0036】
図1にて、回転プレス機の加圧パンチを極めて概略的に示す。加圧パンチは、たとえば略円筒形のパンチ・シャフト10を備え、この一端には作動中に回転プレス機の圧力装置、特に圧力ローラと協働するパンチ・ヘッド12が配置されている。パンチ・シャフト10の他端には作動中に回転プレス機のダイ・プレートのキャビティに挿入され、対向する加圧パンチのパンチ・チップと協働してキャビティに充填されている粉体材料を押圧して、ペレット、特に錠剤を形成するパンチ・チップ14が配置されている。図2では、パンチ・チップ14の一部が拡大して示されている。ここでわかることは、パンチ・チップ14がその端面16(加圧面)の外側領域に環状平坦部18(縁幅部)を有し、この環状平坦部18は図2において垂直に走るパンチ・シャフト10の縦軸に対して垂直な平面内にあることである。図3では、図2において上からみたパンチ・チップ14の平面図を示す。環状平坦部18は、たとえば円形や楕円形をしていてもよい。これは、回転プレス機の作動中に製造されるペレットの外形を形成する中央凹部20(縁幅部のない加圧面)を画定する。対向する加圧パンチの環状平坦部18が、粉体材料を押圧する場合に作動中に互いに当接するように、図1から図3に示される加圧パンチと対になって反対側に割り当てられているさらなる加圧パンチを同一に設計可能である。
【0037】
作動中、たとえば研磨粉体材料や他の理由によって、たとえばパンチ・チップ14の端面16、特に幅が狭いために比較的感度の高い環状平坦部18の摩耗や損傷が生じる可能性がある。
【0038】
図4では、加圧パンチ、特にパンチ・チップ14の状態を評価するための本発明による装置が示されており、ここでも、明確にするために、パンチ・チップ14の一部のみを拡大して示す。この装置は、たとえば二次元CMOSやCCDアレイ・センサを備えたカメラ22、特にデジタル・カメラ22を備え、これを用いて、図4に概略的に描かれている視野23によって示されるように、パンチ・チップ14の端面16の画像が平面図で記録される。この記録画像が、有線接続部24または無線接続部24を介して評価装置26へ送られる。評価装置26は、少なくとも1つの画像処理アルゴリズムを用いて加圧パンチのパンチ・チップ14の状態解析を行い、その状態解析に基づいて加圧パンチの状態を評価する。この目的を達成するために、少なくとも1つの画像処理アルゴリズムがカメラ22によって記録画像に適用される。この目的を達成するために、対応するソフトウェアが評価装置26に格納されている。評価装置26はまた、たとえば評価装置26によって評価された加圧パンチの状態が許容範囲外であった場合に警告を表示するための、かつ/または操作者が評価パラメータを入力するための、ディスプレイおよび/または操作装置を備えていてもよい。また、評価装置26は、評価装置26のデータを表示したり入力したりするためのアプリなどを格納可能な外部機器、たとえば、PC、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなどと通信することも可能である。
【0039】
少なくとも1つの画像処理アルゴリズムを用いた、カメラ22によって記録画像の評価を、図5から図10を用いてより詳細に説明する。図5の左側に、カメラ22によって記録されたパンチ・チップ14の端面16の例示的な画像が示されている。環状平坦部18および凹部20を有する端面16に加えて、パンチ・シャフト10がカメラ22の焦点の外側にも見られる。第一の評価ステップでは、評価装置26は、図5の右側に示すように、画像処理アルゴリズムを用いて、図5の左側の画像からパンチ・チップ14の端面16を関心領域として抽出する。
【0040】
図6の左側に、処理後の図5の右側の画像を示す。さらなるの評価ステップでは、評価装置26は、図6の右側に示すように、画像処理アルゴリズムを用いて、図6の左側の画像をグレースケール化して二値画像に変換する。
【0041】
図7で左側に再び示すこの二値画像は、環状平坦部18の中心点28、したがってパンチ・チップ14の端面16、および環状平坦部18を画定する長方形30が決定されるように、画像処理アルゴリズムを用いて評価装置26によってさらに処理される。
【0042】
ついで、図7の右側に示す処理画像は、画像処理アルゴリズムを用いて評価装置26によって図8の左側に示すように極座標に変換される。図7において略円形である環状平坦部18の内側および外側の境界は、理想的な場合には平行である直線としてここでは現れる。図8の右側に示すように、二つの強度最大値32,34は、その距離が内側および外側の境界の距離に相当し、したがって環状平坦部18の幅に相当し、結果としてx方向、つまりは図8の左から右に向かう方向となる。評価装置26は、画像処理アルゴリズムを用いて、図8の右側に示す最大値32,34をY軸上、すなわち図8の下から上に向かって交互に求めることにおいて、環状平坦部18の内側および外側の境界の距離は、環状平坦部18の全周にわたって測定可能である。
【0043】
図5から図8を用いて説明したように、画像処理アルゴリズムを用いた状態解析によって、環状平坦部18の状態、特にこの部分18の縁部の欠陥を確実かつ簡単に決定することができる。ついで、決定されたパラメータ、たとえば環状平坦部18の内側と外側の境界の距離を許容範囲と比較することができ、許容範囲から逸脱した場合には、説明したように警告信号を出力することができる。
【0044】
図9および図10を用いて、評価装置26による少なくとも1つの画像処理アルゴリズムを用いた追加的または代替的に可能な状態解析を説明するが、これによってパンチ・チップ14の端面16の表面状態もまた評価可能である。
【0045】
図9に4つの図が示されており、左上には、図5の右側にも示されているように、カメラ22によって記録され、関心領域に縮小された画像が再び示されている。この画像は、図9の右上に示すように、画像処理アルゴリズムを用いて評価装置26によってグレースケール画像に変換される。さらに、図9の左下に示すように、評価装置26は、画像処理アルゴリズムを用いてグレースケール画像の平滑化を行うことができる。ついで、評価装置26によって処理された画像に対して、たとえばCannyエッジ画像処理アルゴリズムを適用することが可能である。この結果は、図9の右下に示されている。パンチ・チップ14の端面16の表面には、たとえば、傷や同様の表面欠陥によって生じ得る異常が見られる。したがって、評価装置26はパンチ・チップ14の端面16にあるこれらの異常を検出することが可能であり、パンチ・チップ14がより摩耗していることについての警告を出力することが可能である。
【0046】
図10の左上には、評価装置26が画像処理アルゴリズムを用いてたとえば図9の右上に示すグレースケール画像から生成した二値画像を順に示す。この二値画像では、評価装置26によって、画像処理アルゴリズムを用いて、再び環状平坦部18の内側と外側の境界を決定することが可能である。さらに、図10の右側に示すように、パンチ・チップ14の端面16の表面にある異常を検出するために、クラスタ分析のための画像処理アルゴリズムを評価装置26によって適用することが可能である。たとえば、DBSCAN(density-based spatial clustering of applications with noise:ノイズ適用可能な密度に基づいた空間クラスタリング)アルゴリズムを使用することが可能である。評価装置26は、例として4つのクラスタ36,38,40,42を図10に示すように、検出された異常の蓄積、すなわちクラスタを検出可能である。これらのクラスタ36,38,40,42は、評価装置26によって表面の欠陥として評価されるので、再び警告を出力することが可能である。
【0047】
状態解析は、機械学習アルゴリズムを使用して評価装置26によって実行可能である。この目的を達成するために、許容範囲内にあるパンチ・チップ14の端面16の画像形態の訓練データと、許容範囲外の端面16の画像形態の訓練データが使用可能である。
【0048】
図を用いてパンチ・チップ14、特にその端面16の画像の記録や評価について説明したが、加圧パンチの他の部分、たとえばパンチ・ヘッド12および/またはパンチ・シャフト10のカメラによる記録も同様に行うことが可能であり、したがって説明した方法で評価することが可能である。上述したように、この方法でベローズや防塵キャップのような加圧パンチに接続されたさらなる部品を記録し、評価することも可能である。
【符号の説明】
【0049】
10…パンチ・シャフト
12…パンチ・ヘッド
14…パンチ・チップ
16…端面(加圧面)
18…環状平坦部(縁幅部)
20…凹部(縁幅部のない加圧面)
22…カメラ
23…視野
24…接続部
26…評価装置
28…中心点
30…矩形部
32…最大値
34…最大値
36…クラスタ
38…クラスタ
40…クラスタ
42…クラスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】