(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153573
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】航空機の内部キャビンのための緊急酸素システム
(51)【国際特許分類】
B64D 13/06 20060101AFI20241022BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B64D13/06
A62B18/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024064492
(22)【出願日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】18/301,326
(32)【優先日】2023-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/418,611
(32)【優先日】2024-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ファブリー, アンドリュー レオ
(72)【発明者】
【氏名】バローズ, アダム パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ベンソン, カティア マルグリット
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ダグラス アラン
(72)【発明者】
【氏名】カニーナ, フランコ マリノ
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185AA09
2E185CB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ビークルの内部キャビンのための緊急酸素システムを提供する。
【解決手段】ビークルの内部キャビンのための緊急酸素システムが、1つ以上の区分を含むハウジングを備える。1つ以上の酸素アセンブリが、マスク及び流体導管を含む。マスクが、1つ以上の区分内に収容され及び1つ以上の区分から展開されるよう構成される。扉が、ハウジングに可動に固定されている。扉が、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションへとアウトボード側の方向に動くよう構成される。1つ以上のポーチが、扉の内面に固定されうる。マスクが1つ以上の区分内に収納されるときには、流体導管のコイル状のチューブが、1つ以上のポーチによって保持される。警報装置が、1つ以上の酸素アセンブリに動作可能に接続されうる。警報装置は、酸素がマスクへと流れていることを示す応答を発するよう構成される。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルの内部キャビン(102、230、280、300)のための緊急酸素システム(100)であって、
1つ以上の区分を含むハウジングと、
マスク(110)及び流体導管(112)を含む1つ以上の酸素アセンブリ(108)であって、前記マスク(110)が、前記1つ以上の区分内で収納され及び前記1つ以上の区分から展開されるよう構成される、1つ以上の酸素アセンブリ(108)と、
前記ハウジングに可動に固定された扉であって、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションへとアウトボード側の方向に枢動するよう構成された扉と、
を備えた、緊急酸素システム(100)。
【請求項2】
前記扉が、前記ハウジングのアウトボード側表面に枢動可能に結合されている、請求項1に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項3】
前記扉と前記ハウジングとの間の枢動的結合は、通路よりも、前記内部キャビン(102、230、280、300)のアウトボード側壁により近い、請求項2に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項4】
前記扉の内面に固定された1つ以上のポーチをさらに備え、前記マスク(110)が前記1つ以上の区分内に収納されるときには、前記流体導管(112)のコイル状のチューブが、前記1つ以上のポーチによって保持される、請求項1に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項5】
前記1つ以上のポーチが、弾性材料で形成される、請求項4に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項6】
前記1つ以上のポーチが、対角線保持ストラップに接続された長手方向固定ストラップを含み、前記対角線保持ストラップ同士が接点で交わる、請求項4に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項7】
前記1つ以上のポーチが、前記長手方向固定ストラップと前記対角線保持ストラップとの間に延在する可撓性メッシュカバーをさらに含む、請求項6に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項8】
前記1つ以上の酸素アセンブリ(108)に動作可能に接続された警報装置をさらに含み、前記警報装置は、酸素が前記マスク(110)へと流れていることを示す応答を発するよう構成される、請求項1に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項9】
前記警報装置がベルである、請求項8に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項10】
前記1つ以上の区分が、上壁に固定されたクリップを含み、前記クリップが、前記流体導管(112)のチューブの一部分を着脱可能に保持するよう構成される、請求項1に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項11】
ビークルであって、
内部キャビン(102、230、280、300)と、
前記内部キャビン(102、230、280、300)内の緊急酸素システム(100)と、
を備え、前記緊急酸素システム(100)が、
1つ以上の区分を含むハウジングと、
マスク(110)及び流体導管(112)を含む1つ以上の酸素アセンブリ(108)であって、前記マスク(110)が、前記1つ以上の区分内で収納され及び前記1つ以上の区分から展開されるよう構成される、1つ以上の酸素アセンブリ(108)と、
ハウジングに可動に固定された扉であって、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションへとアウトボード側の方向に枢動するよう構成された扉と、
含む、ビークル。
【請求項12】
前記扉が、前記ハウジングのアウトボード側表面に枢動可能に結合されており、前記扉と前記ハウジングとの間の枢動的結合は、通路よりも、前記内部キャビン(102、230、280、300)のアウトボード側壁により近い、請求項11に記載のビークル。
【請求項13】
前記扉の内面に固定された1つ以上のポーチをさらに備え、前記マスク(110)が前記1つ以上の区分内に収納されるときには、前記流体導管(112)のコイル状のチューブが、前記1つ以上のポーチによって保持される、請求項11に記載のビークル。
【請求項14】
前記1つ以上のポーチが、弾性材料で形成される、請求項13に記載のビークル。
【請求項15】
前記1つ以上のポーチが、対角線保持ストラップに接続された長手方向固定ストラップを含み、前記対角線保持ストラップ同士が接点で交わる、請求項13に記載のビークル。
【請求項16】
前記1つ以上のポーチが、前記長手方向固定ストラップと前記対角線保持ストラップとの間に延在する可撓性メッシュカバーをさらに含む、請求項15に記載のビークル。
【請求項17】
前記緊急酸素システム(100)が、前記1つ以上の酸素アセンブリ(108)に動作可能に接続された警報装置をさらに含み、前記警報装置は、酸素が前記マスク(110)へと流れていることを示す応答を発するよう構成される、請求項11に記載のビークル。
【請求項18】
前記警報装置がベルである、請求項17に記載のビークル。
【請求項19】
前記1つ以上の区分が、上壁に固定されたクリップを含み、前記クリップが、前記流体導管(112)のチューブの一部分を着脱可能に保持するよう構成される、請求項11に記載のビークル。
【請求項20】
ビークルの内部キャビン(102、230、280、300)のための緊急酸素システム(100)であって、
1つ以上の区分を含むハウジングと、
マスク(110)及び流体導管(112)を含む1つ以上の酸素アセンブリ(108)であって、前記マスク(110)が、前記1つ以上の区分内で収納され及び前記1つ以上の区分から展開されるよう構成される、1つ以上の酸素アセンブリ(108)と、
前記ハウジングに可動に固定された扉であって、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションに動くよう構成された扉と、
前記扉の内面に固定された1つ以上のポーチであって、前記マスク(110)が前記1つ以上の区分内に収納されるときには、前記流体導管(112)のコイル状のチューブが、前記1つ以上のポーチによって保持される、1つ以上のポーチと、
を備えた、緊急酸素システム(100)。
【請求項21】
前記1つ以上のポーチが、弾性材料で形成される、請求項20に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項22】
前記1つ以上のポーチが、対角線保持ストラップに接続された長手方向固定ストラップを含み、前記対角線保持ストラップ同士が接点で交わる、請求項20に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項23】
前記1つ以上のポーチが、前記長手方向の固定ストラップと前記対角線保持ストラップとの間に延在する可撓性メッシュカバーをさらに含む、請求項22に記載の緊急酸素システム(100)。
【請求項24】
ビークルの内部キャビン(102、230、280、300)のための緊急酸素システム(100)であって、
1つ以上の区分を含むハウジングと、
マスク(110)及び流体導管(112)を含む1つ以上の酸素アセンブリ(108)であって、前記マスク(110)が、前記1つ以上の区分内で収納され及び前記1つ以上の区分から展開されるよう構成される、1つ以上の酸素アセンブリ(108)と、
前記ハウジングに可動に固定された扉であって、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションに動くよう構成された扉と、
前記1つ以上の酸素アセンブリ(108)に動作可能に接続された警報装置であって、酸素が前記マスク(110)へと流れていることを示す応答を発するよう構成された警報装置と、
を備えた、緊急酸素システム(100)。
【請求項25】
前記警報装置がベルである、請求項24に記載の緊急酸素システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2023年4月17日に出願された「Emergency Oxygen Systems for Internal Cabins of Aircraft」と題する米国特許出願第18/301,326号の一部継続出願であり、その全体が参照により援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施形態は、概して、航空機の内部キャビンのための緊急酸素システムに関する。
【背景技術】
【0003】
民間航空機などのビークルが、様々な場所の間で乗客を搬送するために使用される。緊急酸素アセンブリが、民間航空機の内部キャビン内に設けられている。内部キャビン内で所定の減圧が発生した場合には、緊急酸素アセンブリは、乗客が当該緊急酸素アセンブリで呼吸できるように展開するよう構成されている。
【0004】
通常では、マスク及び導管を含む緊急酸素アセンブリが、内部キャビン内の座席の上方に配置された旅客サービスユニット(PSU:passenger service unit)内に収容されている。上記から分かるように、緊急酸素アセンブリは、PSU内でスペースをとり、これにより、PSU内に他のコンポーネントを収容することが妨げられる。
【0005】
さらに、特定の民間航空機の内部キャビンは、所望のように再設定することが可能である。例えば、内部キャビン内の座席の間の間隔又はピッチを変更することが可能である。再設定の後には、PSU内の緊急酸素アセンブリは、それぞれの座席と位置合わせされていないこともある。これに対応して、通常では、再設定された座席に対して緊急酸素アセンブリを調整するために追加の時間及び労働が必要となる。
【発明の概要】
【0006】
PSU内の空間を解放するためのシステム及び方法が必要とされている。さらに、内部キャビン内の座席が再設定された(例えば、少なくとも2つの座席の間の座席ピッチが変わりうる)場合にも、航空機の内部キャビン内で緊急酸素アセンブリを容易に直ぐに使用できることを保証する必要がある。
【0007】
上記の必要性を念頭において、特定の実施形態が、ビークルの内部キャビンのための緊急酸素システムを提供する。緊急酸素システムが、1つ以上の区分を含むハウジングを備える。1つ以上の酸素アセンブリが、マスク及び流体導管を含む。マスクが、1つ以上の区分内に収容され及び1つ以上の区分から展開されるよう構成される。扉が、ハウジングに可動に固定されている。扉が、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションへとアウトボード側の方向に枢動するよう構成される。
【0008】
少なくとも1つの例において、扉が、ハウジングのアウトボード側表面に枢動可能に結合されている。少なくとも1つの例において、扉とハウジングとの間の枢動的結合は、通路よりも、内部キャビンのアウトボード側壁により近い。
【0009】
少なくとも1つの例において、1つ以上のポーチが扉の内面に固定されている。マスクが1つ以上の区分内に収納されるときには、流体導管のコイル状のチューブが、1つ以上のポーチによって保持される。少なくとも1つのさらなる例において、1つ以上のポーチが弾性材料で形成される。1つ以上のポーチは、対角線保持ストラップに接続された長手方向固定ストラップを含みうる。対角線保持ストラップ同士が接点で交わる。1つ以上のポーチは、長手方向固定ストラップと対角線保持ストラップとの間に延在する可撓性メッシュカバーも含みうる。
【0010】
少なくとも1つの例において、警報装置が、1つ以上の酸素アセンブリに動作可能に接続される。警報装置は、酸素がマスクへと流れていることを示す応答を発するよう構成される。一例として、警報装置がベルである。
【0011】
少なくとも1つの例において、1つ以上の区分が、上壁に固定されたクリップを含む。クリップが、流体導管のチューブの一部分を着脱可能に保持するよう構成される。
【0012】
本開示の特定の実施例が、本明細書に記載のような、内部キャビンと、内部キャビン内の緊急酸素システムとを含むビークルを提供する。
【0013】
本開示の特定の実施例が、ビークルの内部キャビンのための緊急酸素システムを提供する。緊急酸素システムが、1つ以上の区分を含むハウジングを備える。1つ以上の酸素アセンブリが、マスク及び流体導管を含む。マスクが、1つ以上の区分内に収容され及び1つ以上の区分から展開されるよう構成される。扉が、ハウジングに可動に固定されている。扉は、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションに動くよう構成される。1つ以上のポーチが、扉の内面に固定される。マスクが1つ以上の区分内に収納されるときには、流体導管のコイル状のチューブが、1つ以上のポーチによって保持される。
【0014】
本開示の特定の実施例が、ビークルの内部キャビンのための緊急酸素システムを提供する。緊急酸素システムが、1つ以上の区分を含むハウジングを備える。1つ以上の酸素アセンブリが、マスク及び流体導管を含む。マスクが、1つ以上の区分内に収容され及び1つ以上の区分から展開されるよう構成される。扉が、ハウジングに可動に固定される。扉は、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションに動くよう構成される。警報装置が、1つ以上の酸素アセンブリに動作可能に接続される。警報装置は、酸素がマスクへと流れていることを示す応答を発するよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施形態に係る、航空機の内部キャビン内の緊急酸素システムの概略的なブロック図を示す。
【
図2】本開示の一実施形態に係る、航空機の正面斜視図を示す。
【
図3A】本開示の一実施形態に係る、航空機の内部キャビンの上面図を示す。
【
図3B】本開示の一実施形態に係る、航空機の内部キャビンの上面図を示す。
【
図4】本開示の一実施形態に係る、航空機の内部キャビンの内部斜視図を示す。
【
図5】本開示の一実施形態に係る、酸素アセンブリに接続された酸素供給部の概略的なブロック図を示す。
【
図6】本開示の一実施形態に係る、複数の酸素アセンブリに接続された酸素供給部の概略的なブロック図を示す。
【
図7】本開示の一実施形態に係る、航空機の内部キャビンの内部斜視図を示す。
【
図8】本開示の一実施形態に係る、航空機の内部キャビンの軸方向断面図を示す。
【
図9】本開示の一実施形態に係る、内部キャビン内の緊急酸素システムの酸素アセンブリの軸方向断面図を示す。
【
図10】本開示の一実施形態に係る、内部キャビン内の緊急酸素システムの側面図を示す。
【
図11】本開示の一実施例に係る、内部キャビン内の緊急酸素システムの側面斜視図を示す。
【
図12】本開示の一実施形態に係る方法のフローチャートを示す。
【
図13】本開示の一実施形態に係る、酸素アセンブリが展開ポジションにある緊急酸素システムの側面斜視図を示す。
【
図14】酸素アセンブリが展開ポジションにある
図13の緊急酸素システムの底面斜視図を示す。
【
図15】本開示の一実施形態に係る、開ポジションにある扉の底面斜視図を示す。
【
図16】本開示の一実施形態に係る、開いている区分の横方向底面斜視図を示す。
【
図18】本開示の一実施形態に係る、緊急酸素システムの末端斜視図を示す。
【
図19】本開示の一実施形態に係る方法のフローチャートを示す。
【
図20】本開示の一実施形態に係る、酸素アセンブリが展開ポジションにある緊急酸素システムの横方向底面斜視図を示す。
【
図21】
図20の酸素システムから展開した酸素アセンブリのマスクを付けた人間の斜視図を示す。
【
図22】本開示の一実施形態に係る、扉の内面に固定されたポーチ内で保持されたチューブの正面斜視図である。
【
図23】
図22のポーチからチューブが取り出された状態の正面斜視図を示す。
【
図24】本開示の一実施形態に係る、警報サブシステムの上方斜視図を示す。
【
図25】本開示の一実施形態に係る、一区分の内部斜視図を示す。
【
図26】本開示の一実施形態に係る、酸素アセンブリが展開ポジションにある状態の横方向斜視図を示す。
【
図27】本開示の一実施形態に係る、ポーチ内に固定されている最中のチューブの正面斜視図を示す。
【
図28】本開示の一実施例に係る、区分内の定位置にマスクを固定するために使用されているカードの底面斜視図を示す。
【
図29】本開示の一実施例に係る、閉じられた扉と旅客サービスユニット(PSU)との間の間隙から延びたカードの底面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記の概要、及び特定の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことにより、よりよく理解されよう。本明細書では、単数形で記載され、「1つの(「a」又は「an」)」という用語の後に記載される要素又はステップは、複数の要素又はステップを必ずしも除外しないと理解されたい。更に、「1つの実施形態(one embodiment)」への言及は、記載されている特徴を同様に包含するさらなる実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図していない。さらに、明示的に反対の記載がされていない限り、特定の条件を有する一又は複数の要素を「含む(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、かかる条件を有していないさらなる要素を含みうる。
【0017】
本明細書では、本開示の実施形態は、航空機の内部キャビン内の旅客サービスユニット(PSU)とは別体であって当該旅客サービスユニット(PSU)とは区別される緊急酸素システムを提供する。特に、システムの酸素アセンブリはPSUから抜かれている。酸素アセンブリはPSU内に存在しない。さらに、酸素アセンブリは、座席のピッチから切り離されている。即ち、酸素アセンブリの位置は座席のピッチに依存しない。
【0018】
PSUから緊急酸素システムを分離することによって、内部キャビン内でのより簡単な座席再設定、及び座席間のより短いピッチが可能となる。さらに、本明細書に記載の緊急酸素システムによって、設定時のばらつきが減り、これにより、繰り返し発生するエンジニアリング時間及びその後のコストが低減される。さらに、本開示の実施形態によって、PSU内で利用できる空間が増大し、これにより、PSU内にさらなる構成要素を入れることが可能となる。
【0019】
少なくとも1つの実施形態において、緊急酸素システムは、内部キャビンの伸長にわたって延在するレール(又はレールアレイ)を含む。レールは、PSUから分離されている。レールは、例えばマスク及び流体導管を含みうる酸素アセンブリを含み、流体導管は、酸素供給部と流体的に連通している。
【0020】
少なくとも1つの実施形態において、酸素アセンブリは、内部キャビンの伸長に沿って長手方向に配列されている。酸素アセンブリは、座席アセンブリ間のピッチに関わらず、内部キャビンの乗客が当該酸素アセンブリを利用できることを保証するよう、間隔をおいて配置されている。例えば、内部キャビンは、座席アセンブリ間のピッチを変更するために再設定することが可能であり、それでもなお、
内部キャビン内の座席ごとに酸素アセンブリを直ちにかつ容易に利用することができる。
【0021】
本明細書では、少なくとも1つの例において、緊急酸素システムがPSUから分離されており、これにより、マスクを、内部キャビンの伸長に沿って直線的に配置することが可能となる。格納ポジションでは、各マスクが、ボックス内又は他のこのような区分内に収容されている。扉が、閉ポジションで上記区分を覆う。扉は、バネ荷重式(spring-loaded)とすることができ、これにより、緊急時には、180度回転させることなどで扉が開ポジションに動き、マスクが上記区分から外に出て展開する。任意選択的に、扉がバネ荷重式ではない。
【0022】
少なくとも1つの例において、マスクが、流体導管のチューブによって扉から吊り下げられる。展開ポジションでは、マスクが、(上記区分から直線的に下向きに落ちるのではなく)上記区分に対してインボード側に(inboard)ぶら下がり、これにより、乗客及び客室乗務員の手がより良好に届く。
【0023】
図1は、本開示の一実施形態に係る、航空機104の内部キャビン102内の緊急酸素システム100の概略的なブロック図を示している。緊急酸素システム100は、内部キャビン102内の旅客サービスユニット(PSU)106とは別体でありこれとは区別される。特に、PSU106は緊急酸素システム100を含まず、この逆も然りである。
【0024】
緊急酸素システム100は、複数の酸素アセンブリ108を含む。酸素アセンブリ108は、マスク110及び流体導管112を含む。キャビンでの急減圧の間、酸素アセンブリ108は、展開する(例えば、下に落ちる)よう構成されている。酸素供給部114が、流体導管112と流体連通している。少なくとも1つの実施形態において、各酸素アセンブリ108が、流体導管112と流体的に接続された酸素缶といったそれぞれの酸素供給部114と流体連通している。少なくとも1つの他の実施形態において、酸素タンク又は酸素ボンベといった酸素供給部114が、例えばマニフォールドを介して、酸素アセンブリ108の複数の流体導管112と流体連通している。
【0025】
少なくとも1つの実施形態において、緊急酸素システム100が、内部キャビン102の伸長に沿って延在するレール116を含む。レール116は、例えば、1つのレール又はレールアレイでありうる。レール116は、例えば内部キャビン102内の座席より上方の位置、及び/又は当該座席に対して側方の位置で、酸素アセンブリ108を保持する。酸素供給部114の少なくとも一部分も、レール116によって保持されうる。任意選択的に、レール116が酸素供給部114を保持しない。さらに任意選択的に、緊急酸素システム100がレール116を含まないこともある。代わりに、酸素アセンブリ108は、レールが使用される範囲内にある内部キャビンの部分(側壁、天井、又はフロアなど)に固定されうる。
【0026】
酸素アセンブリ108は、PSU106とは別体でありPSU106とは区別される。酸素アセンブリ108はPSU106から抜かれている。PSU106は酸素アセンブリ108を含まない。
【0027】
本明細書では、ビークル(航空機104など)が内部キャビン102を含む。複数のPSU106が、内部キャビン102内に存在する。緊急酸素システム100が、内部キャビン102内に存在する。緊急酸素システム100は、複数のPSU106とは別体でありこれらとは区別される。
【0028】
図2は、本開示の一実施形態に係る航空機210の正面斜視図を示している。航空機210は、
図1に示した航空機104の一例である。航空機210が、推進システム212を含み、推進システム212は、例えばエンジン214を含む。任意選択的に、推進システム212が、図示されるより多くのエンジン214を含みうる。エンジン214は、航空機210の翼216によって保持される。他の実施形態において、エンジン214は、胴体218及び/又は尾翼220によって保持されうる。尾翼220は、水平安定板222と、垂直安定板224も支持しうる。
【0029】
航空機210の胴体218が、内部キャビン230を画定し、内部キャビン230は、操縦室又はコックピット、1つ以上の作業セクション(例えば、ギャレー、及び乗務員の手荷物エリアなど)、1つ以上の乗客セクション(例えば、ファーストクラス、ビジネスクラス、及びエコノミークラス)、及び/又は1つ以上の化粧室などを含む。内部キャビン230は、
図1に示した内部キャビン102の一例である。
【0030】
代替的に、本開示の実施形態は、航空機の代わりに、自動車、バス、機関車及び列車、及び船舶といった様々な他のビークルに使用されうる。更に、本開示の実施形態は、商用及び住居用の建物といった固定された構造に対して使用されうる。
【0031】
図3Aは、本開示の一実施形態に係る、航空機の内部キャビン230の上面図を示している。内部キャビン230は、航空機の胴体232(
図2の胴体218など)の内部に存在しうる。例えば、1つ以上の胴体壁が内部キャビン230を画定しうる。内部キャビン230は複数のエリアを含み、複数のエリアには、前方の区域233、ファーストクラス区域234、ビジネスクラス区域236、前方ギャレーステーション238、拡張されたエコノミー又はコーチ区域240、標準エコノミー又はコーチ区域242、及び、後方の区域244が含まれる。内部キャビン230は、示されるより多くの又は少ないエリアを含みうると理解されたい。例えば、内部キャビン230は、ファーストクラス区域を含まないことがあり、示されるより多くの又は少ないギャレーステーションを含みうる。上記区域のそれぞれは、通路間のクラス仕切アセンブリを含みうるキャビン移行エリア246によって分離することができる。
【0032】
図3Aに示すように、内部キャビン230は2つの通路250及び252を含んでおり、通路250及び252は後方区域244につながっている。任意選択的に、内部キャビン230が、示されるより少ない又は多くの通路を有しうる。例えば、内部キャビン230は、内部キャビン230の中央を通って延びて後方区域244につながる1つの通路を含みうる。
【0033】
図1に示した緊急酸素システム100は、内部キャビン230内に配置されうる。例えば、レール116が、内部キャビン230の伸長に沿って延在しうる。
【0034】
図3Bは、本開示の一実施形態に係る、航空機の内部キャビン280の上面図を示している。内部キャビン280は、
図2Aに示した内部キャビン230の一例である。内部キャビン280は、航空機の胴体281の内部に存在しうる。例えば、1つ以上の胴体壁が内部キャビン280を画定しうる。内部キャビン280は複数の領域を含み、複数の領域には、客席を有するメインキャビン282、及び、メインキャビン282の後ろの後方区域285が含まれる。内部キャビン280は、示されるより多くの又は少ないエリアを含みうると理解されたい。
【0035】
内部キャビン280は、後方区域285につながった1つの通路284を含みうる。後方区域285につながった1つの通路284は、内部キャビン280の中央を通って延びうる。例えば、1つの通路284は、内部キャビン280の、中央の長手方向の平面と同軸上にあるよう位置合わせされうる。
【0036】
図1に示した緊急酸素システム100は、内部キャビン280内に配置されうる。例えば、レール116が、内部キャビン280の伸長に沿って延在しうる。
【0037】
図4は、本開示の一実施形態に係る、航空機の内部キャビン300の内部斜視図を示している。内部キャビン300は、
図1に示した内部キャビン102の一例である。内部キャビン300は、アウトボード側壁302、及び天井304を含む。アウトボード側壁302には、窓306が形成されうる。フロア308が、座席310の列を支持している。
図4に示すように、列312が、通路313の両側の2つの座席310を含みうる。しかしながら、列312は、示されるより多くの又は少ない座席310を含んでよい。さらに、内部キャビン300は、示されるより多くの通路を含んでよい。
【0038】
通路313の両側には、PSU314が、アウトボード側壁302と天井304との間、及び/又はアウトボード側壁302と収納棚アセンブリ318との間に固定されている。PSU314は、内部キャビン300の前端と後端の間に延在する。例えば、PSU314は、列312内の各座席310の上方に配置されうる。各PSU314はハウジング316を含むことができ、ハウジング316には一般に、通気孔、読書灯、乗務員呼出ボタン、及び、列312内の各座席310(又は座席群)に対する他の制御部が含まれる。特に、PSU314は、
図1に示した酸素アセンブリ108を含まない。
【0039】
頭上収納棚アセンブリ318が、通路313の両側のPSU314より上方のかつ当該PSU314からインボード側の天井304及び/又はアウトボード側壁302に固定されている。頭上収納棚アセンブリ318は、座席310の上で固定されている。頭上収納棚アセンブリ318は、内部キャビン300の前端と後端との間に延在する。各収納棚アセンブリ318は、ストロングバック(strongback)に枢動可能に固定された枢動棚又は枢動容器320を含みうる。頭上収納棚アセンブリ318は、PSU314の下面より上方かつ当該仮面からインボード側に配置されうる。頭上収納棚アセンブリ318は、例えば旅客の機内持込手荷物及び携行品を収容するために、枢動して開くよう構成されている。
【0040】
本明細書では、「アウトボード側の(outboard)」という用語は、他の構成要素と比べて、内部キャビン300の中央の長手方向の平面322からより離れた位置を意味する。「インボード側の(inboard)」という用語は、他の構成要素と比べて、内部キャビン300の中央の長手方向の平面322により近い位置を意味する。例えば、PSU314の下面は、収納庫アセンブリ318に対してアウトボード側にありうる。
【0041】
図5は、本開示の一実施形態に係る、酸素アセンブリ108に接続された酸素供給部114aの概略的なブロック図を示している。図示されるように、各酸素アセンブリ108は、流体導管112(
図1に図示)と直接的に流体連通する酸素缶といったそれぞれの酸素供給部114aに接続可能である。
【0042】
図6は、本開示の一実施形態に係る、複数の酸素アセンブリ108に接続された酸素供給部114bの概略的なブロック図を示している。例えば、酸素供給部114bが、流体マニフォールド400を介して複数の酸素アセンブリ108と流体連通した酸素タンク又は酸素ボンベである。
図1及び
図6を参照すると、1つの酸素供給部114bが、内部キャビン102内の全ての酸素アセンブリ108と流体連通することができる。任意選択的に、複数の酸素供給部114bを内部キャビン102内に配置することができ、複数の酸素供給部114bのそれぞれが、酸素アセンブリ108のサブセットと流体連通しうる。
【0043】
図7は、本開示の一実施形態に係る、航空機104の内部キャビン102の内部斜視図を示している。図示されるように、緊急酸素システム100が、内部キャビン102の伸長に沿って延在するレール116を含む。レール116は、例えば酸素降下パネル120を含みうる酸素アセンブリ108を保持する。
図1及び
図7を参照すると、酸素アセンブリ108が
図7に示すような格納ポジションにあるときには、マスク110及び流体導管112は、酸素降下パネル120より上方に配置されている。
【0044】
緊急酸素システム100が、PSU106からアウトボード側に示されている。即ち、緊急酸素システム100は、PSU106よりも側壁401のより近くに配置されている。収納棚アセンブリ402は、PSU106からインボード側に存在しうる。任意選択的に、緊急酸素システム100が、PSU106からインボード側に存在しうる。緊急酸素システム100は、内部キャビン102内の座席404の上及び/又は当該座席404の側方に配置されている。
【0045】
PSU106は、乗務員呼出ボタン/乗務員呼出灯408、ギャスパー又は乗客空気吹き出し孔410、及び読書灯412を含みうる。例えば、各PSU106は、乗務員灯408の少なくとも一部分を保持するパネル414、ギャスパー410、及び読書灯412を含む。対照的に、酸素システム100は、PSU106又はその一部(上記呼出灯408、ギャスパー410、及び読書灯412など)を含まない。
【0046】
図8は、本開示の一実施形態に係る、航空機104の内部キャビン102の内部斜視図を示している。航空機104は、1つの通路500を含みうる。緊急酸素システム100が、通路500の各サイドに配置されうる。緊急酸素システム100が、内部キャビン102の伸長に沿って延在する。
【0047】
任意選択的に、内部キャビン102が複数の通路を含みうる。緊急酸素システム100は、通路の間にある中央のセクションの座席404の上方に配置されうる。
【0048】
少なくとも1つの実施形態において、緊急酸素システム100が、通路500の上の天井502に固定されうる。緊急酸素システム100は、側壁504の近傍に示された緊急酸素システム100に追加されたもの又は当該緊急酸素システム100の代わりのものとすることができる。
【0049】
図9は、本開示の一実施形態に係る、内部キャビン102内の緊急酸素システム100の酸素アセンブリ108の軸方向断面図を示している。図示されるように、緊急酸素システム100は、PSU106とは別体でありこれとは区別される。少なくとも1つの実施形態において、隔壁600によって、緊急酸素システム100がPSU106から隔てられる。酸素アセンブリ108が、隔壁600の第1の側面602に取り付けられており、PSU106が、隔壁600の、(第1の側面602から反対の)第2の側面604に取り付けられている。
【0050】
図示されるように、緊急酸素システム100は、PSU106に対してアウトボード側にあり、PSU106自体は、収納棚アセンブリ402に対してアウトボード側にありうる。ライト固定物606が、側壁608と、例えば通気口を含みうる環境制御システム(ECS:environmental control system)610と、の間に配置可能である。緊急酸素システム100は、ECS610とPSU106との間に配置されうる。
【0051】
緊急酸素システム100は、PSU106及び収納棚アセンブリ402からは分離している。即ち、PSU106にも、収納棚アセンブリ402にも、緊急酸素システム100が含まれない。PSU106も、収納棚アセンブリ402と別体であり得、これとは区別されうる。
【0052】
少なくとも1つの実施形態において、緊急酸素システム100が、収納棚アセンブリ402を含まない内部キャビン102の伸長に沿って延在しうる。さらに、PSU106が緊急酸素システム100に対してアウトボード側にあるように、緊急酸素システム100とPSU106の位置を入れ替えることができる。
【0053】
図10は、本開示の一実施形態に係る、内部キャビン102内の緊急酸素システム100の側面図を示している。図示されるように、酸素アセンブリ108が、展開ポジションにある(例えば、酸素アセンブリのハウジングから下方に落ちている)。酸素アセンブリ108は、内部キャビン102の伸長103に沿って延在するレール116によって保持されている。
【0054】
酸素アセンブリ108は直線的に配置されており、互いに間隔が置かれている。隣合う(即ち、直近の)酸素アセンブリ108同士は、互いに一定の距離で離れている。少なくとも1つの実施形態において、間隔dが3~10インチである。例えば、間隔dは5インチとすることができる。このようなやり方で酸素アセンブリ108同士の間隔をおくことで、内部キャビン102内の乗客が、座席のピッチに関わらず、酸素アセンブリ108を直ちに利用できることが保証される。即ち、酸素アセンブリ108は座席のピッチに依存しない。代わりに、酸素アセンブリ108は、座席のピッチから切り離されている。
【0055】
図11は、本開示の一実施形態に係る、内部キャビン102内の緊急酸素システム100の側面斜視図を示している。緊急酸素システム100は、伸長103に沿って延在しており、伸長103は、収納棚アセンブリ402があるエリアと、収納棚アセンブリ402がないエリア403と、を含みうる。少なくとも1つの例において、内部キャビン102は収納棚を含まないことがある。
【0056】
図12は、本開示の一実施形態に係る方法のフローチャートを示す。
図1~
図12を参照すると、方法は、700において、航空機104の内部キャビン102内に複数の旅客サービスユニット(PSU)106を設けることと、702において、内部キャビン102内に緊急酸素システム100を設けることと、を含み、ここで、緊急酸素システム100は、複数のPSU106とは別体でありこれらとは区別される。
【0057】
少なくとも1つの実施形態において、方法が、酸素供給部114と複数の酸素アセンブリ108とを流体的に接続することも含む。例えば、上記の流体的接続は、酸素缶114aを流体導管112に流体的に接続することを含む。即ち、各酸素アセンブリ108は、それ自身のそれぞれの酸素缶114aに接続されうる。他の例として、上記流体的接続は、マニフォールド400を介して酸素缶タンク114bを複数の流体導管112に流体的に接続することを含む。
【0058】
少なくとも1つの実施形態において、方法は、内部キャビン102の伸長103に沿って延在するレール116によって、複数の酸素アセンブリ108を保持することも含む。
【0059】
少なくとも1つの実施形態において、方法は、航空機104の側壁504と複数のPSU106との間に緊急酸素システム100を配置することも含む。
【0060】
少なくとも1つの実施形態において、方法は、隔壁600によって、複数のPSU106から緊急酸素システム100を隔てることも含む。
【0061】
少なくとも1つの実施形態において、方法は、1つ以上の収納棚アセンブリ402と緊急酸素システム100との間に、複数のPSU106のうちの1つ以上を配置することも含む。
【0062】
少なくとも1つの実施形態において、方法は、PSU及びPSUの構成要素とは別体に酸素システムを設置することを含む。少なくとも1つの実施形態において、方法は、座席のピッチから独立して酸素システムを設置することを含む。
【0063】
図13は、本開示の一実施形態に係る、酸素アセンブリ108が展開ポジションにある緊急酸素システム100の側面斜視図を示している。
図14は、酸素アセンブリ108が展開ポジションにある
図13の緊急酸素システム100の底面斜視図を示している。
図13及び
図14を参照すると、少なくとも1つの例において、緊急酸素システム100が、ハウジング800と、当該ハウジング800に可動に固定された扉802と、を含む。ハウジング800は、レール116(例えば、
図1に図示)に固定されうる。任意選択的に、ハウジング800がレール116を形成しうる。
【0064】
ハウジング800は、格納ポジションにある酸素アセンブリ108を保持するよう構成された1つ以上の区分804を含む。図示されるように、ハウジング800は、ライン806に沿って配置された4つ以上の区分804を含みうる。このように、区分804は直線的に配置されている。ハウジング800は、図示されるよりも多くの区分804を含みうる。例えば、ハウジング800は5つ、6つ、又はそれより多い区分804を含みうる。他の例として、ハウジング800が3つ以下の区分804を含みうる。少なくとも1つの例において、ハウジング800が1つの区分804を含む。
【0065】
各区分804は、アウトボード側壁810と、インボード側壁812と、上方壁814とに接続した前方壁808を含む。前方壁808からは反対側の後方壁816が、アウトボード側壁810と、インボード側壁812と、上壁814とに接続している。内部室817が、前方壁808と、アウトボード側壁810と、インボード側壁812と、上壁814と、後方壁816と、の間で画定される。
【0066】
扉802がカバーパネル818を含み、カバーパネル818は、エッジリップ部819に接続しうる。エッジリップ部819は、カバーパネル818に対して傾けられうる。扉802は、ハウジング800に可動に固定されている。例えば、扉802は、枢動軸820を介してハウジング800に枢動可能に結合されている。扉802は、ハウジングのインボード側の内面に枢動可能に結合されており、例えば、区分804のインボード側壁812上で及び/又は当該インボード側壁812の範囲内で、枢動可能に結合されている。
【0067】
カバーパネル818の内面822が、流体導管112の部分を保持するよう構成された1つ以上のクリップを含む。例えば、クリップは、流体導管112のチューブ824を保持する。
【0068】
酸素アセンブリ108は、
図11で示したように、格納ポジションで固定されている。格納ポジションでは、扉802は閉じられており、かつ区分804の下方で固定されている。閉ポジションにある扉802は、エッジリップ部819が、ハウジング800のアウトボード側表面に又は当該表面上で固定されており、例えば、区分804のアウトボード側壁810上で又は当該アウトボード側壁810の範囲内で固定されている。扉802が閉ポジションにあるときは、酸素アセンブリ108は格納ポジションにある。格納ポジションでは、流体導管112のチューブ824は、クリップによって固定することができ、これにより、チューブ824のたるみ825を巻き取り、コイル状にし、及び/又はループ状にするなどが可能となる。このようにして、クリップによって、チューブ824がきちんと、効果的に、かつ効率よく保持される。格納ポジションでは、マスク110及びチューブ824は、カバーパネル818の内面822に載置されうる。
【0069】
展開イベントに応じて、扉802は、インボード側に内部キャビンの通路に向かって、円弧830の方向に枢動軸820周りを枢動することにより、揺動して開く。扉802が揺動して開ポジションになると、扉802の内側822に流体導管112のたるみ825が固定されているため、当該たるみ825が開ポジションになる。その結果、扉802が開くと、マスク110が区分804から外に出て落ちるが、扉の自由端(例えば、エッジリップ部819)からぶら下がるため、エッジリップ部819の近傍のたるみ825から延びて、横方向に移動する(例えば、内方にインボード側の方向832に移動する)。マスク110が区分804から外に出て落ちる間にマスクを上記方向832に展開することで、マスク110は、内部キャビン102内に着席した人間がより迅速にアクセスでき、かつより容易に掴むことができる。
【0070】
酸素アセンブリ108aのマスクといった、マスク110のうちの1つを人間が引っ張ると、チューブ824のぶら下がった部分827が当該人間に向かって増えるにつれて、扉802に固定されたクリップ内のたるみ825が減る。少なくとも1つの例において、チューブ824のぶら下がった部分827を引っ張ることが、他の酸素アセンブリ108b、108c、及び108dに影響を与えない。特に、酸素アセンブリ108a~108dのチューブ824同士が接続されない。従って、1の酸素アセンブリ108a、b、c、又はdの流体導管112の移動は、他の酸素アセンブリ108a、b、c、又はdに影響を与えない。代替的に、様々な酸素アセンブリのチューブ同士が接続してよい。
【0071】
図15は、本開示の一実施形態に係る、開ポジションにある扉802の底面斜視図を示している。
図13~
図15を参照すると、扉802の内面822が、当該内面822に固定されたクリップ840を含む。クリップ840は、各区分804に対して固定されている。各クリップ840は、内面822に固定されたベース842と、流体導管112のチューブ824の外面の周りに着脱可能に固定された可撓性の保持プロング844と、を含む。このように、クリップ840は、たるみを吸収するようチューブ824を保持するよう構成され、かつ扉802が開ポジションにあるときには、流体導管112の余分なたるみが区分804から離れる方向に移動するのを保証するためのきちんと整理された、効率が良く、かつ効果的なシステムを提供するよう構成されている。このようにして、流体導管112の部分が扉802に固定されており、これにより、マスク110を、展開中に矢印832の方向に横向きに移動させることが可能となる。さらに、区分804から離れるように流体導管112のたるみ825を固定することによって、扉802が開ポジションにあるときに、酸素アセンブリ108がより簡単に束ねられて区分804内に元通りに詰め直される。というのは、余分なたるみ825が区分804内で障害物とならないからである。
【0072】
クリップ840によって、流体導管112のほとんどのチューブ824を扉802上で保持することが可能となる。このようにして、クリップ840によって、酸素アセンブリ108をきちんと整理して効果的にまとめることが可能となる。さらに、クリップ840によって、チューブがぶら下がる可能性が下がる。さらに、クリップ840は、区分804内へのよりクリアな(障害物がない)経路を設けることで、酸素アセンブリ108を束ねて区分804内に詰め直すのをより簡単にすることができる。
【0073】
図16は、本開示の一実施形態に係る、開いている区分804の横方向底面斜視図を示している。保持部850が、各区分804内に可動に固定されうる。保持部850は、保持ポジションと解除ポジションとの間で動かされるよう構成されている。少なくとも1つの例において、保持部850が、区分804の一部分に枢動可能に固定された可動アーム852である。例えば、可動アーム852が末端854を含み、末端854が、
図13に関して図示して記載した後方壁816、上壁814、又は他の壁に枢動可能に結合されている。末端854は、中間本体858によって自由端856に接続する。
【0074】
図16に示すように、保持部850は保持ポジションにあり、この保持ポジションでは、中間本体858が、区分804の一部分にわたり延在する。区分804内に入るよう酸素アセンブリ108がまとめられ又は詰め込まれるときには、保持部850が枢動して解除ポジションになり、これにより、区分804への経路が空けられる。従って、人間はその後、区分804内にマスク110を配置することができる。マスク110がそれぞれの区分804内に配置された後に、人間が次いで、保持部850を枢動させてマスク110の真下で保持ポジションにし、これにより、マスク110が区分804から外に出て落ちない。全てのマスク110が区分804内に配置されて、保持ポジションにある保持部850によって定位置で保持されると、扉802が、マスク110の真下で閉じられる。扉802が閉じられると、扉802の1つ以上の部分(例えば、端部、又は突起など)が保持部850の部分に接触して、保持部850を解除ポジションに戻す(解除ポジションでは、保持部850は、マスク110の真下に存在しない)。従って、マスク110はその後、扉802の内面822上で支持されており、展開イベント中に扉802が揺動して開いたときには、区分804から外に出て落ちることができる。
【0075】
図17は、開いている区分804の前方底面斜視図を示している。図示されるように、酸素アセンブリ108は、区分804内に詰め込まれているところである。
図17では、保持部850が解除ポジションにあり、これにより、保持部850は、マスク110の真下にあって区分804内でマスク110を一時的に保持しているわけではない。
【0076】
図18は、本開示の一実施形態に係る、緊急酸素システム100の末端斜視図を示している。
図18に示すように、扉802は完全には閉じられていない。
図13~
図18を参照すると、保持部850は、中間本体856がマスク110の真下にあり、それによりマスク110を一時的に保持する(このことによって、扉802が開ポジションにあるときには、酸素アセンブリ108を簡単に束ねて詰め直すことが可能となる)ように、保持ポジションになる。扉802が閉じられると、リップ部819が、自由端856に突入するよう動かされて、解除ポジションに戻るよう保持部850を枢動させ、これにより、マスク110は、扉802の内面822でのみ支持される(これにより、展開イベント中に扉802が開くと、マスク110が区分804から外に出て落ちることが可能となる)。
【0077】
再び
図17を参照すると、可動アームの代わりに(又は可動アームに加えて)、保持部850が、スナップクリップ860であってよく又はそうでなければスナップクリップ860を含んでよい。スナップクリップ860は、区分804の内壁部に固定されており、マスク110の一部分(相互補完的な突起など)をスナップ式で(snapably)保持するよう構成されている。このように、スナップクリップ860は、区分804内でマスク110を一時的に固定することが可能である。
図17及び
図18を参照すると、扉802が閉じられると、扉802の内面822がマスク110を上方に押して、マスク110の上記一部分をスナップクリップ860から外し、これにより、マスク110が扉802の内面822によって支持され、もはやスナップクリップ860によって支持されないことが保証される。
【0078】
少なくとも1つの例において、保持部850が、可動アーム、及びスナップクリップを含みうる。任意選択的に、保持部850は、様々な他の構造であってよく又は当該構造を含みうる。例えば、保持部850はマグネットであってよく又はマグネットを含みうる。他の例として、保持部850が、面ファスナであってよく又は面ファスナを含みうる。保持ポジションにおいて、保持部850は、区分804内でマスク110を一時的に固定するよう構成されている。解除ポジションにおいて、保持部850は、区分804内でマスク110を固定しない。
【0079】
図1~
図18を参照すると、本開示の実施形態は、PSU106から酸素アセンブリ108が抜かれている緊急酸素システム100を提供する。酸素アセンブリ108は、内部キャビン内の座席の上に直線的に配置されうる。PSU106から緊急酸素システム100を分離することで、酸素アセンブリを内部キャビン内で直線的に配置することが可能となり、さらに、PSU106の構成要素をより容易に更新及び/又は置換することが可能となる。マスク110を直線的に配置することで、内部キャビン内での座席のピッチ、座席の位置、座席の種類、又は座席のポジション(フルフラットシートのベッドポジションなど)に関わらず、どの乗客にも緊急の酸素降下に対するアクセスが提供される。本明細書に記載の緊急酸素システム100によって、区分804に対して酸素アセンブリ100を効率の良くかつ効果的に収納し、展開し、束ね、及び詰め直すことがもたらされる。本明細書に記載のシステム及び方法によって、乗客、並びに、酸素アセンブリ100を束ねて詰め直す任務を負う乗員のために直感的な操作が提供される。
【0080】
本明細書では、少なくとも1つの例において、緊急酸素システム100は、航空機104といったビークルの内部キャビン102のためのものである。緊急酸素システム100は、1つ以上の区分804を含むハウジング800と、1つ以上の酸素アセンブリ108と、を含む。1つ以上の酸素アセンブリ108のそれぞれは、マスク110及び流体導管112を含む。マスク110は、1つ以上の区分804内に収容され及び1つ以上の区分804から展開されるよう構成される。扉802は、ハウジング800に可動に固定されている。扉802は、区分804内でマスク110を固定するための、区分804の真下の閉ポジションと、
マスク110が区分804から外に出て下へと、かつ例えばインボード側(矢印832の方向)に落ちる展開イベント中の開ポジションと、の間で可動である。
図13及び
図14に示したように、扉802が開ポジションにあるときには、特に、扉802の一部分(例えば、エッジリップ部819といった自由部分(free portion))からマスク110がぶら下がる。少なくとも1つの例において、扉802は、例えば枢動軸820の周りを閉ポジションと開ポジションとの間で回転するよう構成されている。
【0081】
少なくとも1つの例において、流体導管112の少なくとも一部分が、扉802の内面822に固定される。例えば、扉が、内面822に固定された1つ以上のクリップ840を含む。流体導管112の少なくとも一部分(チューブ824のたるみ部分など)が、クリップ840によって扉802の内面822に固定される。
【0082】
少なくとも1つの例において、1つ以上の保持部850が、区分804に結合されている。保持部850は、扉802が開いているときに保持部850が区分804内でマスク110を一時的に支持する保持ポジションと、保持部850が区分804内でマスク110を支持しない解除ポジションと、の間で可動である。少なくとも1つの例において、扉802が閉ポジションに移ったときには、扉802の一部分が、保持部850を保持ポジションから解除ポジションに動かす。少なくとも1つの例において、保持部850が、区分804の1つ以上の部分に枢動可能に結合された1つ以上のアーム852を含む。他の例として、保持部850が1つ以上のスナップクリップ860を含む。
【0083】
図19は、本開示の一実施形態に係る方法のフローチャートを示している。
図1~
図19を参照すると、900において、緊急酸素システム100の扉802が開ポジションに移ることができ、それにより、1つ以上の区分804が露出する。902において、酸素アセンブリ108のマスク110が、開いている区分802内に配置される(流体導管112のチューブ824の少なくとも一部分が、クリップ840によって扉804に固定されている)。904において、マスク110がそれぞれの区分804内に配置された後で、保持部850が、区分804内でマスク110を一時的に支持するために保持ポジションに移される。906において、全てマスク110がそれぞれの区分804内にあるかどうかが判定される。そうでない場合には、方法が902に戻る。しかしながら、全てのマスク110がそれぞれの区分804内にあって、保持部850によって一時的に保持されているときには、908において、扉802が区分の真下で閉じられる。扉802が閉ポジションに移る間、扉802の1つ以上の部分が、保持部850の1つ以上の部分と係合して、保持部850を(マスク110がもはや保持部850によって保持されない)解除ポジションに移し、これにより、マスク110は扉802の内面822上で支持される。このようにして、展開イベント中に扉802が開けられると、マスク110は、区分804から外に出て下方に(及び上記方向832に)落ちることができる。
【0084】
図20は、本開示の一実施形態に係る、酸素アセンブリ108が展開ポジションにある緊急酸素システム100の横方向底面斜視図を示している。
図21は、
図20の酸素システムから展開した酸素アセンブリのマスクを付けた人間1000の斜視図を示している。
図20及び
図21を参照すると、緊急酸素システム100が、ハウジング800と、当該ハウジング800に可動に固定された扉802と、を含む。ハウジング800は、レール116(例えば、
図1に図示)に固定されうる。任意選択的に、ハウジング800がレール116を形成しうる。
【0085】
ハウジング800は、本明細書に記載のように、格納ポジションにある酸素アセンブリ108を保持するよう構成された1つ以上の区分を含む。少なくとも1つの例において、扉802が、本明細書に記載のように、枢動軸を介してハウジング800に枢動可能に固定されている。示されるように、扉802は、ハウジング800のアウトボード側壁803に枢動可能に結合されており、例えば、区分804のアウトボード側壁803上で及び/又は当該アウトボード側壁803の範囲内で(例えば、
図13に図示)、枢動可能に結合されている。扉802とハウジング800との間の枢動的結合は、通路よりも、内部キャビンのアウトボード側壁302により近い。展開中に、扉802は、通路から離れて外方に、アウトボード側壁302に向かってアウトボード側の方向1002に揺動するよう構成されている。即ち、展開イベントに応じて、扉802は、円弧1002の方向に、アウトボード側壁302に向かってアウトボード側に枢動して開く。従って、扉802によって、酸素アセンブリ108のそれぞれのチューブ824が、内部キャビン内の人間に直ぐに提示される。扉802は、当該扉802の内面822に固定されたチューブ824への眺めを遮断しない。展開中に扉802がアウトボード側に動くと、酸素アセンブリ108が見える度合が増し、かつ酸素アセンブリ108の係合がより容易になる。
図21に示すように、特に、マスク110のそれぞれは、扉802から最も離れた通路側の座席に座った人間1000といった乗客に無理なく届く範囲内にある。
【0086】
少なくとも1つの例において、扉802がバネ荷重式のヒンジに結合されていない。ハウジング800及び扉802は、バネ荷重式のヒンジが無くてよく、これにより、より簡素で軽量な緊急酸素システム100が提供される。
【0087】
図22は、本開示の一実施形態に係る、扉802の内面822に固定されたポーチ1020内で保持されたチューブ824の正面斜視図を示している。扉802に固定されたクリップでチューブ824を保持する代わりに、ポーチ1020が使用される。ポーチ1020は、一連のクリップより軽量であり、当該クリップより複雑ではない。
【0088】
ポーチ1020は、ゴム、又はポリエーテルポリウレアコポリマー等の弾性材料で形成されている。少なくとも1つの例において、ポーチ1020が、対角線保持ストラップ1026に接続された長手方向固定ストラップ1024を含む。長手方向固定ストラップ1024は、接着剤、及び/又はファスナ等によって内面822に固定されうる。可撓性メッシュカバー1028が、固定ストラップ1024と保持ストラップ1026との間に延在しうる。対角線保持ストラップ1026同士が接点1030で交わって、増大した保持力を提供する。ポーチ1020は、固定ストラップ1024と、保持ストラップ1026と、メッシュカバー1028と、扉802の内面822との間の可撓性の保持エリア1032を提供する。コイル状のチューブ824が、保持エリア1032内に収納されうる。
【0089】
図23は、
図22のポーチ1020からチューブ824が取り出された状態の正面斜視図を示している。酸素アセンブリ108(
図20及び
図21に図示)のマスク110が引っ張られた場合には、酸素アセンブリ108のチューブ824が簡単にほどけて、ポーチ1020の外に出る(例えば、接点1030の一方の側1034にある部分から外に出る)。
【0090】
図24は、本開示の一実施形態に係る、警報サブシステム1040の上方斜視図を示している。少なくとも1つの例において、警報サブシステム1040が、ブラケット1044によってハウジング800、及び/又はレールなどに取り付けられた警報装置1042を含み、例えば、ベルを含む。警報装置1042は、緊急酸素システム100が展開しているときに、露出していないこともある。代わりに、警報装置1042は、ハウジング800内に存在しうる。任意選択的に、警報装置1042は、ガタガタ鳴るもの(rattle)、カチカチ鳴るもの(clicker)、又は他のこのような音響効果生成器でありうる。他の例として、警報装置1042が、スピーカといった電子デバイス、及び/又は発光体(1つ以上の発光ダイオードなど)などでありうる。
【0091】
警報装置1042は、例えば1つ以上のケーブル1046を介して、酸素アセンブリ108(例えば、
図20及び
図21に図示)の1つ以上の部分に動作可能に接続されており、上記ケーブル1046は、ハウジング800に固定された固定ブラケット1048に案内されている。固定ブラケット1048は、互いに反対方向のホイール1050を含み、当該ホイール1050は、それらの間でケーブル1046を固定し、かつケーブル1046の延ばされた部分1052を、チューブ824(例えば、
図20~
図23に図示)に固定されたラニヤード(lanyard)へと案内する。警報装置1042は、酸素が1つ以上のマスク110へと流れていることを示す応答を発するよう構成されている。例えば、人間がチューブ824を引っ張ると、ラニヤードが外れ、それによりケーブル1046を引き寄せ、このことによって次いで警報装置1042が作動させるが、例えば、引っ張って、べルを鳴らす。警報装置1042の音声応答(例えば、鳴っているベル)によって、内部キャビン内の人間に、酸素がマスク110に入ってマスクを流過していることが示される。任意選択的に、緊急酸素システム100は警報サブシステム1040を含まないこともある。
【0092】
図25は、本開示の一実施形態に係る、区分804の内部斜視図を示している。少なくとも1つの例において、クリップ1110が、後方壁816とアウトボード側壁810の近傍の上壁814に固定されうる。各区分804が、同じ位置にクリップ1100を含みうる。クリップ1110は、チューブ824の一部分を着脱可能に保持するために使用される。任意選択的に、クリップ1110は、異なる位置に固定することができ、例えば、前方壁808とアウトボード側壁810の近傍の上壁814に固定することができる。
【0093】
図26は、本開示の一実施形態に係る、酸素アセンブリ108が展開ポジションにある状態の横方向斜視図を示している。
図25及び
図26を参照すると、
各酸素アセンブリ108のチューブ824の部分を、(
図25に関して図示し記載したように)クリップ1100によって各区分804内の同じ位置に固定することで、隣合う(即ち、直近の)酸素アセンブリ108の延ばされたチューブ間の所望の間隔1102が、内部キャビン中で維持されうる。例えば、間隔1102は、6.25インチでありうる。任意選択的に、間隔1102は、6.25インチより短い(例えば、5インチ)としてもよく、又は6.25インチより長い(例えば、7インチ)としてもよい。
【0094】
図27は、本開示の一実施形態に係る、ポーチ1020内に固定されている最中のチューブ824の正面斜視図を示している。酸素アセンブリ108が展開された後に、区分内に酸素アセンブリを詰め直すために、チューブ824の延された部分をコイル状にして、ポーチ1020により画定された保持エリア1032内に配置することができる。チューブ824を警報サブシステムのケーブルに接続するラニヤードも、コイル状にするプロセスの前又は当該プロセスの間に繋ぎ直されうる。上述のように、本明細書に記載のシステム及び方法は、警報サブシステムを含んでも含まなくてもよい。
【0095】
図28は、本開示の一実施例に係る、区分804内の定位置にマスク110を固定するために使用されているカード1200の底面斜視図を示している。カード1200は、薄い可撓性のプラスチック製カードでありうる。一例として、カード1200がクレジットカードでありうる。上記詰め直しプロセスの間、カード1200は、第1の末端1204がマスク110の真下に配置されかつ第2の末端1205がPSU1204の一部分の真下に押し込まれるように、ハウジング800のビーム1202の上をスライドさせられ、それにより、カード1200が適所で宙に浮き、こで、第1の末端1204が、区分804内でマスク110を一時的に保持する。
【0096】
図29は、本開示の一実施例に係る、閉じている扉802とPSU1204との間の間隙1210から延びるカード1200の底面斜視図を示している。扉802が閉じられた後には、閉じた扉802がマスク110(
図28に図示)を適所で保持するため、カード1200をスライドさせて間隙1210から外に出すことができる。従って、カード1200はもはや、マスク110を一時的に適所で保持する必要がない。カード1200は、例えば扉820のテスト降下中に、マスク110を適所に保持するために使用することもできる。
【0097】
さらに、本開示は、以下の条項に係る実施形態を含む。
【0098】
条項1.ビークルの内部キャビンのための緊急酸素システムであって、
1つ以上の区分を含むハウジングと、
マスク及び流体導管を含む1つ以上の酸素アセンブリであって、マスクが、1つ以上の区分内で収納され及び1つ以上の区分から展開されるよう構成される、1つ以上の酸素アセンブリと、
ハウジングに可動に固定された扉であって、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションへとアウトボード側の方向に枢動するよう構成された扉と、
を備えた、緊急酸素システム。
【0099】
条項2.扉が、ハウジングのアウトボード側表面に枢動可能に結合されている、条項1に記載の緊急酸素システム。
【0100】
条項3.扉とハウジングとの間の枢動的結合は、通路よりも、内部キャビンのアウトボード側壁により近い、条項2に記載の緊急酸素システム。
【0101】
条項4.扉の内面に固定された1つ以上のポーチをさらに備え、マスクが1つ以上の区分内に収納されるときには、流体導管のコイル状のチューブが、1つ以上のポーチによって保持される、条項1から3のいずれか一項に記載の緊急酸素システム。
【0102】
条項5.1つ以上のポーチが、弾性材料で形成される、条項4に記載の緊急酸素システム。
【0103】
条項6.1つ以上のポーチが、対角線保持ストラップに接続された長手方向固定ストラップを含み、対角線保持ストラップ同士が接点で交わる、条項4又は5に記載の緊急酸素システム。
【0104】
条項7.1つ以上のポーチが、長手方向固定ストラップと対角線保持ストラップとの間に延在する可撓性メッシュカバーをさらに含む、条項6に記載の緊急酸素システム。
【0105】
条項8.1つ以上の酸素アセンブリに動作可能に接続された警報装置をさらに含み、警報装置は、酸素がマスクへと流れていることを示す応答を発するよう構成される、条項1から7のいずれか一項に記載の緊急酸素システム。
【0106】
条項9.警報装置がベルである、条項8に記載の緊急酸素システム。
【0107】
条項10.1つ以上の区分が、上壁に固定されたクリップを含み、クリップが、流体導管のチューブの一部分を着脱可能に保持するよう構成される、条項1から9のいずれか一項に記載の緊急酸素システム。
【0108】
条項11.ビークルであって、
内部キャビンと、
内部キャビン内の緊急酸素システムと、
を備え、緊急酸素システムが、
1つ以上の区分を含むハウジングと、
マスク及び流体導管を含む1つ以上の酸素アセンブリであって、マスクが、1つ以上の区分内で収納され及び1つ以上の区分から展開されるよう構成される、1つ以上の酸素アセンブリと、
ハウジングに可動に固定された扉であって、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションへとアウトボード側の方向に枢動するよう構成された扉と、
含む、ビークル。
【0109】
条項12.扉が、ハウジングのアウトボード側表面に枢動可能に結合されており、扉とハウジングとの間の枢動的結合は、通路よりも、内部キャビンのアウトボード側壁により近い、条項11に記載のビークル。
【0110】
条項13.扉の内面に固定された1つ以上のポーチをさらに備え、マスクが1つ以上の区分内に収納されるときには、流体導管のコイル状のチューブが、1つ以上のポーチによって保持される、請求項11又は12に記載のビークル。
【0111】
条項14.1つ以上のポーチが、弾性材料で形成される、条項13に記載のビークル。
【0112】
条項15.1つ以上のポーチが、対角線保持ストラップに接続された長手方向固定ストラップを含み、対角線保持ストラップ同士が接合点で交わる、条項13又は14に記載のビークル。
【0113】
条項16.1つ以上のポーチが、長手方向固定ストラップと対角線保持ストラップとの間に延在する可撓性メッシュカバーをさらに含む、条項15に記載のビークル。
【0114】
条項17.緊急酸素システムが、1つ以上の酸素アセンブリに動作可能に接続された警報装置をさらに含み、警報装置は、酸素がマスクへと流れていることを示す応答を発するよう構成される、条項11から16のいずれか一項に記載のビークル。
【0115】
条項18.警報装置がベルである、条項17に記載のビークル。
【0116】
条項19.1つ以上の区分が、上壁に固定されたクリップを含み、クリップが、流体導管のチューブの一部分を着脱可能に保持するよう構成される、条項11から18のいずれか一項に記載のビークル。
【0117】
条項20.ビークルの内部キャビンのための緊急酸素システムであって、
1つ以上の区分を含むハウジングと、
マスク及び流体導管を含む1つ以上の酸素アセンブリであって、マスクが、1つ以上の区分内で収納され及び1つ以上の区分から展開されるよう構成される、1つ以上の酸素アセンブリと、
ハウジングに可動に固定された扉であって、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションに動くよう構成された扉と、
ドアの内面に固定された1つ以上のポーチであって、マスクが1つ以上の区画内に収納されるときには、流体導管のコイル状のチューブが、1つ以上のポーチによって保持される、1つ以上のポーチと、
を備えた、緊急酸素システム。
【0118】
条項21.1つ以上のポーチが、弾性材料で形成される、条項20に記載の緊急酸素システム。
【0119】
条項22.1つ以上のポーチが、対角線保持ストラップに接続された長手方向固定ストラップを含み、対角線保持ストラップ同士が接合点で交わる、条項20又は21に記載の緊急酸素システム。
【0120】
条項23.1つ以上のポーチが、長手方向固定ストラップと対角線保持ストラップとの間に延在する可撓性メッシュカバーをさらに含む、条項22に記載の緊急酸素システム。
【0121】
条項24.ビークルの内部キャビンのための緊急酸素システムであって、
1つ以上の区分を含むハウジングと、
マスク及び流体導管を含む1つ以上の酸素アセンブリであって、マスクが、1つ以上の区分内で収納され及び1つ以上の区分から展開されるよう構成される、1つ以上の酸素アセンブリと、
ハウジングに可動に固定された扉であって、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションに動くよう構成された扉と、
1つ以上の酸素アセンブリに動作可能に接続された警報装置であって、酸素がマスクへと流れていることを示す応答を発するよう構成された警報装置と、
を備えた、緊急酸素システム。
【0122】
条項25.警報装置がベルである、条項24に記載の緊急酸素システム。
【0123】
条項26.ビークルの内部キャビンのための緊急酸素システムのための方法であって、緊急酸素システムが、
1つ以上の区分を含むハウジングと、
マスク及び流体導管を含む1つ以上の酸素アセンブリであって、マスクが、1つ以上の区分内で収納され及び1つ以上の区分から展開されるよう構成される、1つ以上の酸素アセンブリと、
ハウジングに可動に固定された扉であって、展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションへとアウトボード側の方向に枢動するよう構成された扉と、
を備え、
方法が、
展開イベントの間に閉ポジションから開ポジションへとアウトボード側の方向に扉を枢動させることと、
マスクが1つ以上の区分内に収納されるときには、扉の内面に固定された1つ以上のポーチによって、流体導管のコイル状のチューブを保持することと、
1つ以上の酸素アセンブリに動作可能に接続された警報装置によって、酸素がマスクへと流れていることを示す応答を発することと、
のうちの1つ以上を含む、方法。
【0124】
本明細書に記載のように、本開示の実施形態は、PSU内の空間を解放するためのシステム及び方法を提供する。さらに、本開示の実施形態は、航空機の内部キャビン内の座席が再設定された場合にも、当該内部キャビン内で緊急酸素アセンブリが容易に簡単に利用できることを保証するシステム及び方法を提供する。(以前はPSU内に存在した)酸素アセンブリのための取付位置を調整する必要がないため、本明細書に記載の緊急酸素システム及び方法によって、航空機の内部キャビンの製造及び再設定と関連する時間及び労働コストが削減される。
【0125】
本開示の実施形態の説明のために、上部、底部、下方、中央、横方向、水平、垂直、前方などの空間及び方向に関する様々な用語が用いられる場合があるが、そのような用語は、図面で示す方向に対して使用されているにすぎないことを理解されたい。これらの向きは、上部が下部に、又はその逆になることや、水平が垂直になることなどのように、反転し、回転し、又はそうでなければ変更されうる。
【0126】
本明細書では、タスク又は動作を実行する「よう構成され(configured to)」ている構造、制約、又は要素は、タスク又は動作に対応するやり方で、特に構造的に形成され、構築され、又は適合されている。明確にするため及び疑義回避のために、当該タスク又は動作を実行するよう変更可能であるにすぎない対象物は、本明細書で使用されるタスク又は動作を実行する「よう構成」されているものではない。
【0127】
先の記載は、限定ではなく例示を意図するものであると理解されたい。例えば、先の記載の実施形態(及び/又はこれらの態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、特定の状況又は材料に適合させるために、本開示の様々な実施形態の教示に対して、その範囲から逸脱することなく多くの修正を行うことが可能である。本明細書に記載の材料の寸法及び種類では、本開示の様々な実施形態のパラメータを定めることが意図されているが、当該実施形態は決して限定的なものではなく、例示的な実施形態である。上の記述を検討すれば、他の多くの実施形態が当業者には明らかになるであろう。したがって、本開示の様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲とともに、かかる特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲、及び本明細書の詳細な説明において、「含む(including)」及び「ここで(in which)」という用語はそれぞれ、「含む(comprising)」及び「ここで(wherein)」という用語の明白な同義語として使用される。更に、「第1(first)」「第2(second)」及び「第3(third)」等の用語は、単に符号として使用されており、それらの対象物に数的要件を課すことを意図するものではない。更に、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で記述されておらず、かかる特許請求の範囲の限定が、更なる構造を欠く機能の記述が後続する、「~のための手段(means for)」という言い回しを明示的に使用しない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【0128】
ここに記載した説明では、ベストモードを含む本開示の様々な実施形態を開示し、且つ当業者が任意のデバイス又はシステムの作成及び使用、並びに組込まれた任意の方法の実行を含め、本開示の様々な実施形態を実施することを可能にするために実施例を使用している。本開示の様々な実施形態の特許性の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の例を含みうる。かかるその他の例は、これらの例が、特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言とのごくわずかな相違しか有しない同等の構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲に含まれることが、意図されている。
【外国語明細書】