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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153595
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ポリマー、塗布材料及び組立製品
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/08 20060101AFI20241022BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
C08G63/08 ZBP
C08L101/16
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066046
(22)【出願日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】112114265
(32)【優先日】2023-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516134855
【氏名又は名称】星歐光學股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 偉源
(72)【発明者】
【氏名】陳 柏村
(72)【発明者】
【氏名】陳 日賢
(72)【発明者】
【氏名】呂 怡柔
(72)【発明者】
【氏名】洪 于傑
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 鈞鴻
【テーマコード(参考)】
4J029
4J200
【Fターム(参考)】
4J029AA02
4J029AB01
4J029AC02
4J029AD01
4J029AE01
4J029AE03
4J029AE11
4J029AE13
4J029BE03
4J029BF12
4J029EG09
4J029EH03
4J200AA02
4J200BA03
4J200BA05
4J200BA17
4J200BA18
4J200CA01
4J200CA02
4J200DA17
4J200DA19
4J200DA20
4J200DA24
4J200EA07
4J200EA11
(57)【要約】
【課題】本開示内容は、分解性を有するポリマーを提供する。
【解決手段】ポリマーの構成モノマーは、ベンゼン環誘導体、ラクチド及びカプロラクトンを含む。ベンゼン環誘導体のポリマーに占める割合は、ラクチドのポリマーに占める割合より小さい。ベンゼン環誘導体のポリマーに占める割合は、カプロラクトンのポリマーに占める割合より小さい。それにより、ポリマーで製造された製品を光照射海洋環境で分解させることができ、廃棄製品による海洋生態系への破壊の軽減に寄与する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解性を有し、構成モノマーがベンゼン環誘導体、ラクチド及びカプロラクトンを含むポリマーであって、
前記ベンゼン環誘導体の前記ポリマーに占める割合は、前記ラクチドの前記ポリマーに占める割合より小さく、前記ベンゼン環誘導体の前記ポリマーに占める割合は、前記カプロラクトンの前記ポリマーに占める割合より小さく、
前記ポリマーの光照射海洋環境での28日目の分解率はDrus28とされ、
13%≦Drus28
という条件を満たすポリマー。
【請求項2】
前記ベンゼン環誘導体は光吸収性質を有する請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記ベンゼン環誘導体は、ヒドロキシ基、カルボニル基及びエーテル基のうちの少なくとも1つを有する請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記ポリマーの平均分子量はMwとされ、
300g/mole≦Mw
という条件を満たす請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ポリマーの平均分子量はMwとされ、
Mw≦10000g/mole
という条件を満たす請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
前記ポリマーの分解温度はPtとされ、
100℃≦Pt
という条件を満たす請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
前記ポリマーの粘度はViとされ、
Vi≦500Pa・s
という条件を満たす請求項6に記載のポリマー。
【請求項8】
前記ポリマーの水への溶解率はSwとされ、
Sw≦5.00%
という条件を満たす請求項1に記載のポリマー。
【請求項9】
前記ポリマーの前記光照射海洋環境での28日目の分解率はDrus28とされ、前記ポリマーの無光海洋環境での28日目の分解率はDrs28とされ、
1%≦Drus28-Drs28
という条件を満たす請求項1に記載のポリマー。
【請求項10】
前記ポリマーの前記光照射海洋環境での178日目の分解率はDrus178とされ、前記ポリマーの前記無光海洋環境での178日目の分解率はDrs178とされ、
5%≦Drus178-Drs178
という条件を満たす請求項9に記載のポリマー。
【請求項11】
前記ポリマーは、生分解性を有し、且つ前記ポリマーの土壌環境での28日目の分解率はDr28とされ、
50%≦Dr28
という条件を満たす請求項1に記載のポリマー。
【請求項12】
前記ポリマーは、生分解性を有し、且つ前記ポリマーが土壌環境で50%の分解率に達するための時間はTDr50pとされ、
TDr50p≦28日間
という条件を満たす請求項1に記載のポリマー。
【請求項13】
請求項1に記載のポリマーを含む塗布材料。
【請求項14】
請求項13に記載の塗布材料を含む組立製品。
【請求項15】
分解性を有し、構成モノマーがベンゼン環誘導体、ラクチド及びカプロラクトンを含むポリマーであって、
前記ベンゼン環誘導体は、ヒドロキシ基、カルボニル基及びエーテル基のうちの少なくとも1つを有し、
前記ポリマーが最大吸光度を有する場合の波長はWAmaxとされ、
WAmax≦300nm
という条件を満たすポリマー。
【請求項16】
前記ベンゼン環誘導体は光吸収性質を有する請求項15に記載のポリマー。
【請求項17】
前記ポリマーの平均分子量はMwとされ、
300g/mole≦Mw≦10000g/mole
という条件を満たす請求項15に記載のポリマー。
【請求項18】
前記ポリマーの水への溶解率はSwとされ、
Sw≦5.00%
という条件を満たす請求項15に記載のポリマー。
【請求項19】
前記ポリマーの波長400nm~700nmでの平均透過率はT4070とされ、
70.00%≦T4070
という条件を満たす請求項15に記載のポリマー。
【請求項20】
前記ポリマーは、生分解性を有し、且つ前記ポリマーの土壌環境での28日目の分解率はDr28とされ、
50%≦Dr28
という条件を満たす請求項15に記載のポリマー。
【請求項21】
前記ポリマーは、生分解性を有し、且つ前記ポリマーが土壌環境で50%の分解率に達するための時間はTDr50pとされ、
TDr50p≦28日間
という条件を満たす請求項15に記載のポリマー。
【請求項22】
請求項15に記載のポリマーを含む塗布材料。
【請求項23】
請求項22に記載の塗布材料を含む組立製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、ポリマー及び塗布材料に関し、特に組立製品に適用されるとともに分解性を有するポリマー及び塗布材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりにつれて、日常用品から電子製品にかけて環境に優しい材質の使用を唱えており、一般的な環境に優しい材質としては、リサイクル可能な材質、再生材質や生分解性材質などを含み、生分解性材質は、生態環境への破壊を軽減することができ、その生分解性の性質によってこのような製品のリサイクルコストを省くこともできるため、スナック包装袋、手提げ袋や使い捨て容器などの日常生活で大量に使用される低単価の製品に広く適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生分解性材質の製品は多いが、殆どの生分解性材質は分解率が低く、その分解効果が環境によって制限され、通常、高温高湿環境でこそ分解可能になり、その廃棄物が適切に処理されずに海洋に入ると、効果的に分解できず、最終的に海洋生態系を破壊してしまう。また、生分解性材料は、分解性の性質を有するため、その分子構造が比較的脆弱であり、日常環境において分解したり化学反応したりしやすく、耐久性が低下するか、又は製品とする前に既に破損している可能性がある。
【0004】
以上から分かるように、環境に制限されず耐久性が高い生分解性材質の研究開発は非常に重要な目標となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示内容は、ベンゼン環誘導体、ラクチド及びカプロラクトンをモノマーとするポリマーを設計することで、分解性質を有する製品を製造して、前記ポリマーで製造された製品を光照射海洋環境で分解させることができ、廃棄製品による海洋生態系への破壊の軽減に寄与する。
【0006】
本開示内容により提供されるポリマーは、分解性を有し、前記ポリマーの構成モノマーは、ベンゼン環誘導体、ラクチド及びカプロラクトンを含み、ベンゼン環誘導体のポリマーに占める割合は、ラクチドのポリマーに占める割合より小さく、ベンゼン環誘導体のポリマーに占める割合は、カプロラクトンのポリマーに占める割合より小さい。ポリマーの光照射海洋環境での28日目の分解率はDrus28とされ、13%≦Drus28という条件を満たす。
【0007】
本開示内容により提供される塗布材料は、前段落に記載のポリマーを含む。
【0008】
本開示内容により提供される組立製品は、前段落に記載の塗布材料を含む。
【0009】
本開示内容により提供されるポリマーは、分解性を有し、前記ポリマーの構成モノマーは、ベンゼン環誘導体、ラクチド及びカプロラクトンを含み、ベンゼン環誘導体は、ヒドロキシ基、カルボニル基及びエーテル基のうちの少なくとも1つを有し、ポリマーが最大吸光度を有する場合の波長はWAmaxとされ、WAmax≦300nmという条件を満たす。
【0010】
本開示内容により提供される塗布材料は、前段落に記載のポリマーを含む。
【0011】
本開示内容により提供される組立製品は、前段落に記載の塗布材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示内容の第1の実施例と第2の実施例によるポリマーの波長と吸光度の関係図を示す。
図2】本開示内容の第1の実施例と第2の実施例によるポリマーの波長と透過率の関係図を示す。
図3】本開示内容の第1の実施例によるポリマーの光照射海洋環境と無光海洋環境での分解率の変化図を示す。
図4】本開示内容の第2の実施例によるポリマーの光照射海洋環境と無光海洋環境での分解率の変化図を示す。
図5】本開示内容の第1の実施例~第3の実施例によるポリマーの土壌環境での生分解率の変化図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示内容により提供されるポリマーは、分解性を有し、前記ポリマーの構成モノマーは、ベンゼン環誘導体、ラクチド及びカプロラクトンを含む。それにより、本開示内容は、ベンゼン環誘導体、ラクチド及びカプロラクトンをモノマーとするポリマーを設計することで、分解性質を有する製品を製造して、前記ポリマーで製造された製品を光照射海洋環境で分解させることができ、廃棄製品による海洋生態系への破壊の軽減に寄与する。
【0014】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ベンゼン環誘導体のポリマーに占める割合は、ラクチドのポリマーに占める割合より小さく、ベンゼン環誘導体のポリマーに占める割合は、カプロラクトンのポリマーに占める割合より小さい。それにより、ベンゼン環誘導体のポリマーに占める割合がラクチドとカプロラクトンのポリマーに占める割合より小さいように調整することで、ベンゼン環誘導体のポリマーに占める割合が少なく、即ち、光照射海洋環境で分解する効果を有し、ポリマーの分解率と耐久性のバランスを取ることに寄与することができる。なお、ベンゼン環誘導体、ラクチドとカプロラクトンのポリマーに占める割合は、1:2~7:2~5であってよく、1:2:2、1:2:3、1:3:3、1:4:3、1:4:4、1:5:4、1:5:5、1:6:5又は1:7:5であってよいが、本開示内容は、上記割合に限定されない。
【0015】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの光照射海洋環境での28日目の分解率はDrus28とされ、13%≦Drus28という条件を満たす。それにより、ポリマーの光照射海洋環境での分解率を満たすことで、ポリマーで製造された製品の廃棄後における光照射海洋環境での分解効果を向上させ、ポリマーの製品が海洋に残留することを回避し、更に海洋生態系に対する破壊を軽減することができる。なお、14%≦Drus28という条件を満たしてよい。なお、15%≦Drus28≦100%という条件を満たしてよい。
【0016】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ベンゼン環誘導体は、ヒドロキシ基、カルボニル基及びエーテル基のうちの少なくとも1つを有する。それにより、ポリマーのモノマーを、ヒドロキシ基、カルボニル基及びエーテル基を有するベンゼン環誘導体に設計することで、上記官能基が光反応に関与し、分子内又は分子間の結合を増やし、ベンゼン環誘導体の光反応速度の向上に寄与することができる。
【0017】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーが最大吸光度を有する場合の波長はWAmaxとされ、WAmax≦300nmという条件を満たす。それにより、大気層が波長300nm以下の光線を遮断することができるため、ポリマーが最大吸光度を有する場合の波長を300nm以下に制限することで、ポリマーが自然光の照射によって化学反応して消耗されることを回避し、ポリマーの耐久性の向上に寄与することができる。なお、WAmax≦400nmという条件を満たしてよい。なお、WAmax≦350nmという条件を満たしてよい。なお、0nm≦WAmax≦270nmという条件を満たしてよい。
【0018】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ベンゼン環誘導体は、光吸収性質を有してよい。それにより、ポリマーにおいて光吸収剤の性質を有するベンゼン環誘導体を設計することで、光照射によりポリマーに電子伝達が発生し、ポリマーが化学反応する難易度の低下に寄与することができる。
【0019】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの平均分子量はMwとされ、300g/mole≦Mwという条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの平均分子量の下限を満たすことで、ポリマーが細胞膜を通過することを回避し、バイオセキュリティの向上に寄与することができる。なお、Mw≦10000g/moleという条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの平均分子量の上限を制限することで、分子結合の切断の難易度を低下させ、ポリマーの分解難易度の低下に寄与することができる。なお、300g/mole≦Mw≦10000g/moleという条件を満たしてよい。なお、500g/mole≦Mwという条件を満たしてよい。なお、1000g/mole≦Mw≦10000g/moleという条件を満たしてよい。なお、1200g/mole≦Mw≦8000g/moleという条件を満たしてよい。なお、1500g/mole≦Mw≦6000g/moleという条件を満たしてよい。なお、2000g/mole≦Mw≦4000g/moleという条件を満たしてよい。
【0020】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの分解温度はPtとされ、100℃≦Ptという条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの分解温度を満たすことで、ポリマーの高温時の構造が安定的に維持されることに寄与することができる。なお、120℃≦Ptという条件を満たしてよい。なお、150℃≦Pt≦1000℃という条件を満たしてよい。なお、180℃≦Pt≦800℃という条件を満たしてよい。なお、200℃≦Pt≦500℃という条件を満たしてよい。
【0021】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの粘度はViとされ、Vi≦500Pa・sという条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの粘度を制限することで、ポリマーが良好な流動性を有することを確保し、ポリマーの使用時の利便性の向上に寄与することができる。なお、Vi≦300Pa・sという条件を満たしてよい。なお、Vi≦100Pa・sという条件を満たしてよい。なお、Vi≦50Pa・sという条件を満たしてよい。なお、1Pa・s≦Vi≦30Pa・sという条件を満たしてよい。
【0022】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの水への溶解率はSwとされ、Sw≦5.00%という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの水への溶解率を制限することで、ポリマーが湿気又は撒水によって失効することを回避し、ポリマーの防水性の向上に寄与することができる。なお、Sw≦3.00%という条件を満たしてよい。なお、Sw≦1.00%という条件を満たしてよい。なお、0.00%≦Sw≦0.50%という条件を満たしてよい。なお、0.10%≦Sw≦0.35%という条件を満たしてよい。
【0023】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの光照射海洋環境での28日目の分解率はDrus28とされ、ポリマーの無光海洋環境での28日目の分解率はDrs28とされ、1%≦Drus28-Drs28という条件を満たしてよい。それにより、光照射海洋環境と無光海洋環境の分解率の差を満たすことで、光照射によるポリマーの分解への相加効果の向上に寄与することができる。なお、3%≦Drus28-Drs28という条件を満たしてよい。なお、5%≦Drus28-Drs28≦100%という条件を満たしてよい。
【0024】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの光照射海洋環境での178日目の分解率はDrus178とされ、ポリマーの無光海洋環境での178日目の分解率はDrs178とされ、5%≦Drus178-Drs178という条件を満たしてよい。それにより、光照射海洋環境と無光海洋環境の長期の分解率の差を満たすことで、光照射によるポリマーの分解への相加効果の上限の向上に寄与することができる。なお、10%≦Drus178-Drs178という条件を満たしてよい。なお、15%≦Drus178-Drs178という条件を満たしてよい。なお、20%≦Drus178-Drs178という条件を満たしてよい。なお、25%≦Drus178-Drs178という条件を満たしてよい。なお、30%≦Drus178-Drs178≦100%という条件を満たしてよい。
【0025】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーは、生分解性を有してよく、且つポリマーの土壌環境での28日目の分解率はDr28とされ、50%≦Dr28という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの土壌環境での分解率を満たすことで、ポリマーの土壌環境での分解効果の向上に寄与することができる。なお、60%≦Dr28という条件を満たしてよい。なお、70%≦Dr28という条件を満たしてよい。なお、80%≦Dr28という条件を満たしてよい。なお、90%≦Dr28という条件を満たしてよい。なお、95%≦Dr28≦100%という条件を満たしてよい。
【0026】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーは、生分解性を有することができ、且つポリマーが土壌環境で50%の分解率に達するための時間はTDr50pとされ、TDr50p≦28日間という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーが土壌環境で分解するための時間を満たすことで、ポリマーの土壌環境での分解効率の向上に寄与することができる。なお、TDr50p≦21日間という条件を満たしてよい。なお、0日間≦TDr50p≦14日間という条件を満たしてよい。なお、1日間≦TDr50p≦7日間という条件を満たしてよい。なお、2日間≦TDr50p≦5日間という条件を満たしてよい。
【0027】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの波長400nm~700nmでの平均透過率はT4070とされ、70.00%≦T4070という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの可視光帯域での透過率を満たすことで、ポリマーによる光透過率への影響を回避し、ポリマーの適用範囲の拡大に寄与することができる。なお、80.00%≦T4070という条件を満たしてよい。なお、90.00%≦T4070という条件を満たしてよい。なお、95.00%≦T4070≦100.00%という条件を満たしてよい。
【0028】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの波長700nm~1000nmでの平均透過率はT70100とされ、70.00%≦T70100という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの近赤外光帯域での透過率を満たすことで、ポリマーの近赤外光の透過に対する影響を回避し、ポリマーを近赤外光関連製品とすることに寄与することができる。なお、80.00%≦T70100という条件を満たしてよい。なお、90.00%≦T70100という条件を満たしてよい。なお、95.00%≦T70100≦100.00%という条件を満たしてよい。
【0029】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの無光海洋環境での28日目の分解率はDrs28とされ、1%≦Drs28という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの無光海洋環境での分解率を満たすことで、ポリマーの無光海洋環境での分解効果の向上に寄与することができる。なお、3%≦Drs28という条件を満たしてよい。なお、5%≦Drs28という条件を満たしてよい。なお、8%≦Drs28という条件を満たしてよい。なお、10%≦Drs28という条件を満たしてよい。なお、12%≦Drs28≦100%という条件を満たしてよい。
【0030】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの無光海洋環境での178日目の分解率はDrs178とされ、5%≦Drs178という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの無光海洋環境での178日目の分解率を満たすことで、ポリマーの無光海洋環境での長期分解効果の向上に寄与することができる。なお、10%≦Drs178という条件を満たしてよい。なお、15%≦Drs178という条件を満たしてよい。なお、20%≦Drs178という条件を満たしてよい。なお、25%≦Drs178という条件を満たしてよい。なお、30%≦Drs178≦100%という条件を満たしてよい。
【0031】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの光照射海洋環境での178日目の分解率はDrus178とされ、30%≦Drus178という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの光照射海洋環境での178日目の分解率を満たすことで、ポリマーの光照射海洋環境での長期分解効果の向上に寄与することができる。なお、40%≦Drus178という条件を満たしてよい。なお、50%≦Drus178という条件を満たしてよい。なお、60%≦Drus178という条件を満たしてよい。なお、63%≦Drus178≦100%という条件を満たしてよい。
【0032】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの土壌環境での35日目の分解率はDr35とされ、50%≦Dr35という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの土壌環境での35日目の分解率を満たすことで、ポリマーの土壌環境での短期分解効果の向上に寄与することができる。なお、60%≦Dr35という条件を満たしてよい。なお、70%≦Dr35という条件を満たしてよい。なお、80%≦Dr35という条件を満たしてよい。なお、90%≦Dr35という条件を満たしてよい。なお、95%≦Dr35≦100%という条件を満たしてよい。
【0033】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの土壌環境での56日目の分解率はDr56とされ、50%≦Dr56という条件を満たしてよい。それにより、ポリマーの土壌環境での56日目の分解率を満たすことで、ポリマーの土壌環境での中期分解効果の向上に寄与することができる。なお、60%≦Dr56という条件を満たしてよい。なお、70%≦Dr56という条件を満たしてよい。なお、80%≦Dr56という条件を満たしてよい。なお、90%≦Dr56という条件を満たしてよい。なお、95%≦Dr56≦100%という条件を満たしてよい。
【0034】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの重合反応に触媒を添加してよく、前記触媒は、イソオクタン酸第一スズ、塩化第一スズ、硫酸第一スズ、ジブチルスズオキシド又はジブチルスズジラウレートであってよい。
【0035】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、光吸収性質を有することは、モノマーがポリマーにおいて光吸収剤の特性を有するか又は保有することを指す。光吸収性質を有するモノマーによってポリマーが光照射を受けた後に化学反応し、分子内又は分子間の結合強度又は結合方式を変え、又はその分子形態を変えることができる。光吸収剤は、光照射を受けると化学反応を引き起こす化合物又は物質を指し、光照射を受けて発生した化学反応は、光反応と称されてよく、光反応を誘発する光の種類は、紫外光又は可視光であってよい。本開示内容のポリマーの光吸収性質を有するモノマーは、紫外光を吸収する紫外光吸収モノマー、可視光を吸収する可視光吸収モノマー及び青色光を吸収する青色光吸収モノマーに分けられてよい。ベンゼン環誘導体は、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(IRGACURE 2959)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(HMPP)、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン(DMPA)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)又はベンゼン環を有する他の化合物であってよいが、本開示内容は、上記化合物に限定されない。
【0036】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの平均分子量は、試験時におけるポリマー分子全体の数平均分子量を指し、その式は、以下の通りである。
数平均分子量=(Σ分子量)/分子の合計数。
【0037】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの分解温度は、ポリマーが熱分解し始める温度を指す。
【0038】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの粘度は、ポリマーの粘着性を指し、ポリマーの流動性を代表することができる。
【0039】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの水への溶解率は、水を溶媒とする場合のポリマーの溶解率を指す。試験時に、ポリマーが溶解できなくなるまで、非常に少量のポリマーを溶質として水に徐々に加える。
【0040】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの吸光度と透過率は、分光光度計により波長200nm~1000nmで20nmごとに吸光度試験を1回行い、その吸光度(O.D.)を測定することで得られたものである。分光光度計の一側には、光源を有し、且つ様々な波長の平行光線を提供し、光線が被験体を通過した後、他側の検出器により光線強度を検出し、被験体を通過する前と通過した後の光線強度を比較することで、その吸光度を得ることができ、吸光度と透過率の関係は以下の通りである。
吸光度=-log10(透過率)。
【0041】
ポリマーが測定時に液体であるため、反射率が非常に弱く無視されてよく、吸収率と透過率の合計は100%であり、吸光度から吸収率と透過率を逆に推算することができる。吸光度を試験する時、ポリマーの濃度は0.25%(重量百分率)とされ、且つ希釈溶媒は脱イオン水とされる。ポリマーが一部の波長でほぼ完全に透過し、吸光度に負の誤差が発生し、この場合、吸光度を0とみなし、且つ透過率を100%とみなす。
【0042】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーの生分解性は、ポリマーが所定の環境で微生物により徐々に分解され得ることを指す。
【0043】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、海洋環境は、被験体を模擬海水の分解液に浸漬することを指す。具体的には、被験体と分解液を1:6の重量割合で分解タンクに置き、且つ分解タンクを25±2℃に置いて180日間持続的に観察する。分解液の配合及びステップは以下の通りである。
【0044】
I.ミネラル培地の原液(Stock solution for mineral medium):
【0045】
溶液(a):8.50gのKH2PO4、21.75gのK2HPO4、33.40gのNa2HPO4と0.50gのNH4Clを脱イオン水で総体積が1Lになるまで溶解し、pH値を7.4に調整した。
【0046】
溶液(b):27.50gのCaCl2又は36.40gのCaCl2・2H2Oを脱イオン水で総体積が1Lになるまで溶解した。
【0047】
溶液(c):22.50gのMgSO4・7H2Oを脱イオン水で総体積が1Lになるまで溶解した。
【0048】
溶液(d):0.25gのFeCl3・6H2Oを脱イオン水で総体積が1Lになるまで溶解した。保存しやすいように、この溶液に1滴の濃硫酸又は0.4gのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えてよい。
【0049】
II.ミネラル培地(Mineral medium):10mLの溶液(a)を800mLの脱イオン水に加えてから、溶液(b)、溶液(c)と溶液(d)をそれぞれ1mL順に加え、脱イオン水で1Lになるまで補足した。
【0050】
III.堆肥の前処理-分解液の調製:
【0051】
ASTM-D5338に使用される堆肥における大型塊状物を除去した後、培地で堆肥を洗浄し、遠心分離(1100g、10min)した後に上清液を除去し、3回~5回繰り返し、70℃のオーブンで乾燥し、使用前に培地で3g/L~5g/Lになるまで再溶解して2分間撹拌し、20分間静置して粒子が沈殿した後に上清液を培地に加え、濃度10mL/Lの分解液と配合し、pH値を7.4±0.2に調整した。
【0052】
試験過程で、新鮮な0.1MのKOH水溶液を配合して50mLのPPタンクに分注し、分解タンク内に置いてから、分解タンクを88.4cm(長さ)×70.2cm(幅)×76.4cm(高さ)の室温密閉箱(25±2℃)の底部に置いて培養し、KOH水溶液が被験体の分解時に放出するCO2を吸収する。KOH水溶液の試験初期(1日目~30日目)における交換頻度は6回/週であり、一ヶ月後に、180日目まで2回/週に変更し、また、総試験時間は180日間を超えてもよい。
【0053】
収集されたKOH水溶液をpHメーターでその数値を計測し、対照群(0.1MのKOH水溶液、分解反応が行われていないインキュベータ内に置かれる)と比較した後に水素イオンの濃度に換算し、更に水素イオンの濃度からCO2の重量に換算して分解率を推定する。上記で言及された換算式は以下の通りである。
(1)水酸基の濃度変化=対照群の水酸基の濃度-実験組の水酸基の濃度=水素イオンの濃度。
(2)二酸化炭素の重量(単位:mg)変化=水素イオンの濃度×44/2×50mL、44が二酸化炭素の分子量であり、2が二酸化炭素の反応平衡定数であり、50mLが水溶液の体積である。
(3)無機化(分解)百分率=二酸化炭素の重量変化/被験体が完全に分解するための二酸化炭素の理論量×100%。
【0054】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、光照射環境及び無光環境は、光照射を受けたか否かを指す。光照射時に使用されるランプは、それぞれ勝特力社のTL-K 40W/10-R SLV及びフィリップス社のTL 20W/52 SLV/25であり、2種類のランプは、密閉箱内の上方にそれぞれ1つ設けられ、その光照射の波長は約350nm~500nmである。
【0055】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、土壌環境は、ASTM-D5338を標準測定方法とする試験環境を指し、土壌環境の分解率は、ASTM-D5338方法により得られた試験結果であり、重量を単位として計算した分解百分率である。詳細には、被験体と活性汚泥(肥料)を1:6の重量割合で互いに混合し、且つパーライトで分解タンクにおける含水率を約50%に保持し、更に分解タンクを58±2℃に置いて180日間持続的に観察する。肥料の主な成分は、家畜糞、大豆粉、バガス、木屑、小麦ふすま及びキノコ栽培廃棄物などを含み、パーライトの成分は、下記表1に示す通りである。
【表1】
【0056】
試験過程で、新鮮な0.1MのKOH水溶液を配合して50mLのPPタンクに分注し、分解タンク内に置いてから、分解タンクをインキュベータ(58±2℃)に置いて培養し、KOH水溶液が被験体の分解時に放出するCO2を吸収する。KOH水溶液の試験初期(1日目~30日目)における交換頻度は6回/週であり、一ヶ月後に、180日目まで2回/週に変更し、また、総試験時間は180日間を超えてもよい。
【0057】
収集されたKOH水溶液をpHメーターでその数値を計測し、対照群(0.1MのKOH水溶液、分解反応が行われていないインキュベータ内に置かれる)と比較した後に水素イオンの濃度に換算し、更に水素イオンの濃度からCO2の重量に換算して分解率を推定する。上記で言及された換算式は以下の通りである。
(1)水酸基の濃度変化=対照群の水酸基の濃度-実験組の水酸基の濃度=水素イオンの濃度。
(2)二酸化炭素の重量(単位:mg)変化=水素イオンの濃度×44/2×50mL、44が二酸化炭素の分子量であり、2が二酸化炭素の反応平衡定数であり、50mLが水溶液の体積である。
(3)無機化(分解)百分率=二酸化炭素の重量変化/被験体が完全に分解するための二酸化炭素の理論量×100%。
【0058】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーのn日目の分解率は、ポリマーの土壌環境でのn日目の分解率、ポリマーの無光海洋環境でのn日目の分解率又はポリマーの光照射海洋環境でのn日目の分解率を指す。n日目は、7日目、8日目、9日目、10日目、14日目、21日目、24日目、25日目、26日目、28日目、29日目、30日目、31日目、35日目、42日目、49日目、52日目、56日目、59日目、63日目、66日目、70日目、73日目、77日目、80日目、84日目、87日目、91日目、94日目、98日目、101日目、105日目、140日目、150日目、154日目、157日目、175日目、178日目又は180日目であってよく、又は1日目~180日目のうちの何れかの日の分解率であってよい。例えば、前記Dr28は、ポリマーの土壌環境での28日目の分解率であり、且つ上記規則に従って別途定義されてよく、Dr21は、ポリマーの土壌環境での21日目の分解率を表し、Drs14は、ポリマーの無光海洋環境での14日目の分解率を表し、Drus42は、ポリマーの光照射海洋環境での42日目の分解率を表し、このように類推するが、本開示内容は、上記例に限定されない。
【0059】
本開示内容により提供されるポリマーによれば、ポリマーは、接着材料、補修材料、塗布材料、包装材料又は梱包材料に用いられてよいが、これらに限定されない。
【0060】
本開示内容により提供される塗布材料は、前記ポリマーを含む。塗布材料は、接着剤、ビスコース、ゲル、光硬化性接着剤、酸化接着剤を含んでよい。塗布材料は、粘性を有し、又は光照射後に硬化することで膜層を生成してもよく、光照射により塗布材料に接触する物質、素子又は物体を接着してもよく、塗布材料は、電子製品、包装、衣類、容器及び様々な組立製品に用いられてよいが、これらに限定されない。
【0061】
本開示内容により提供される組立製品は、前記塗布材料を含む。組立製品は、部品を組み立てる必要のある製品を指し、例えば、携帯電話、スマートブレスレット、腕時計、カメラ、ノートパソコン、デスクトップパソコンホスト、スクリーン、マウス、キーボード、家電製品、椅子、机、電池、自転車、バイク、自動車、容器、食器、衣類及び包装であるが、これらに限定されない。
【0062】
上記実施形態に基づき、以下、具体的な実施例を提案して図面に合わせて詳細に説明する。
【0063】
<第1の実施例>
【0064】
第1の実施例のポリマーの構成モノマーは、ベンゼン環誘導体、ラクチド(Lactide)及びカプロラクトン(Caprolactone)を含み、第1の実施例のベンゼン環誘導体は、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(2-Hydroxy-4’-(2-hydroxyethoxy)-2-methylpropiophenone)である。
【0065】
第1の実施例のポリマーでは、ポリマーの平均分子量はMwとされ、ポリマーの分解温度はPtとされ、ポリマーの粘度はViとされ、ポリマーの水への溶解率はSwとされ、Mw=3700g/mole、Pt=246℃、Vi=6.547Pa・s、及びSw=0.38%という条件を満たす。
【0066】
第1の実施例のポリマーでは、ポリマーが最大吸光度を有する場合の波長はWAmaxとされ、ポリマーの波長400nm~700nmでの平均透過率はT4070とされ、ポリマーの波長700nm~1000nmでの平均透過率はT70100とされ、WAmax=280nm、T4070=100.00%、及びT70100=99.50%という条件を満たす。
【0067】
第1の実施例のポリマーでは、ポリマーの無光海洋環境での28日目の分解率はDrs28とされ、ポリマーの光照射海洋環境での28日目の分解率はDrus28とされ、Drs28=13%、Drus28=16%、及びDrus28-Drs28=3%という条件を満たす。
【0068】
第1の実施例のポリマーでは、ポリマーの無光海洋環境での178日目の分解率はDrs178とされ、ポリマーの光照射海洋環境での178日目の分解率はDrus178とされ、Drs178=31%、Drus178=64%、及びDrus178-Drs178=33%という条件を満たす。
【0069】
第1の実施例のポリマーでは、ポリマーの土壌環境での28日目の分解率はDr28とされ、ポリマーの土壌環境での35日目の分解率はDr35とされ、ポリマーの土壌環境での56日目の分解率はDr56とされ、ポリマーが土壌環境で50%の分解率に達するための時間はTDr50pとされ、Dr28=100%、Dr35=99%、Dr56=98%、及びTDr50p=3日間という条件を満たす。
【0070】
第1の実施例のポリマーの化学構造及び特性は、下記表2に挙げられる。
【0071】
<第2の実施例>
【0072】
第2の実施例のポリマーの構成モノマーは、ベンゼン環誘導体、ラクチド及びカプロラクトンを含み、第2の実施例のベンゼン環誘導体は、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノンである。
【0073】
第2の実施例のポリマーの化学構造及び特性は、下記表2に挙げられる。第2の実施例の表2における他のパラメータの定義は、全て第1の実施例と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0074】
<第3の実施例>
【0075】
第3の実施例のポリマーの構成モノマーは、ベンゼン環誘導体、ラクチド及びカプロラクトンを含み、第3の実施例のベンゼン環誘導体は、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノンである。
【0076】
第3の実施例のポリマーの化学構造及び特性は、下記表2に挙げられる。第3の実施例の表2における他のパラメータの定義は、全て第1の実施例と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【表2】
【0077】
図1及び図2を参照すると、図1は、本開示内容の第1の実施例と第2の実施例によるポリマーの波長と吸光度の関係図を示し、図2は、本開示内容の第1の実施例と第2の実施例によるポリマーの波長と透過率の関係図を示す。本開示内容は、第1の実施例と第2の実施例のポリマーに対して異なる波長の光線での吸光度と透過率を測定し、測定結果は下記表3に示す通りである。
【表3】
【0078】
上記表3、図1及び図2から分かるように、本開示内容のポリマーの最大吸光度の波長は300nmより小さくてよく、ポリマーが自然光の照射によって化学反応して消耗されることを回避し、ポリマーの耐久性の向上に寄与することができる。なお、本開示内容のポリマーの波長400nm~700nmでの平均透過率は70.00%より大きくてよく、ポリマーによる光透過率への影響を回避し、ポリマーの適用範囲の拡大に寄与することができる。
【0079】
図3及び図4を参照すると、図3は、本開示内容の第1の実施例のポリマーの光照射海洋環境と無光海洋環境での分解率の変化図を示し、図4は、本開示内容の第2の実施例によるポリマーの光照射海洋環境と無光海洋環境での分解率の変化図を示す。本開示内容において、第1の実施例と第2の実施例のポリマーに対して光照射海洋環境と無光海洋環境での分解率を測定し、光照射海洋環境は、ポリマーに紫外光(UV)を含む光線を照射することを指し、無光海洋環境は、紫外光が照射されておらず、測定結果は下記表4に示す通りである。
【表4】
【0080】
上記表4、図3及び図4から分かるように、本開示内容のポリマーの光照射海洋環境と無光海洋環境での28日目の分解率の差は1%より大きくてよく、且つ178日目の分解率の差は5%より大きくてよく、光照射によるポリマーの分解への相加効果に寄与し、更に前記相加効果の上限を向上させることができる。
【0081】
図5を参照すると、図5は、本開示内容の第1の実施例~第3の実施例によるポリマーの土壌環境での生分解率の変化図を示す。本開示内容において、第1の実施例~第3の実施例のポリマーに対して土壌環境での分解率を測定し、測定結果は下記表5に示す通りである。
【表5】
【0082】
上記表5及び図5から分かるように、本開示内容のポリマーの土壌環境での28日目の分解率は50%より大きくてよく、ポリマーの土壌環境での分解効果の向上に寄与する。なお、本開示内容のポリマーが土壌環境で50%の分解率に達するための時間は28日間より短くてよく、ポリマーの土壌環境での分解効率の向上に寄与する。
【0083】
本開示内容は、実施形態により前記の通りに開示されたが、実施形態が本開示内容を限定するものではなく、当業者であれば、本開示内容の精神と範囲から逸脱しない限り、種々の変更や修飾を加えることができる。従って、本開示内容の保護範囲は、下記特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
図1
図2
図3
図4
図5