(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153596
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】軌道を加工するための加工機械および方法
(51)【国際特許分類】
E01B 31/02 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
E01B31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024066058
(22)【出願日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】10 2023 203 452.2
(32)【優先日】2023-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】507069564
【氏名又は名称】ローベル バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBEL Bahnbaumaschinen GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 31, D-83395 Freilassing, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヘルツルヴィマー
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA32
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】軌道を加工するための加工機械(1)は、支持体(6)と、支持体(6)に配置された変位機構(7)と、軌道(2)を加工するために支持体(6)に配置された少なくとも1つの加工ユニット(13,14)と、加工機械(1)を手動で案内するための少なくとも1つのハンドル(33,34)とを備える。変位機構(7)は、加工機械(1)をレール(3)上および地面(G)上で変位させるための少なくとも1つのレール・地面変位ユニット(8,9)を備える。
【効果】加工機械(1)により、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工が可能になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道を加工するための加工機械であって、
支持体(6)と、
前記支持体(6)に配置された変位機構(7)と、
軌道(2)を加工するために前記支持体(6)に配置された少なくとも1つの加工ユニット(13,14)と、
前記加工機械(1)を手動で案内するための少なくとも1つのハンドル(33,34,45)と
を備える、加工機械において、
前記変位機構(7)は、前記加工機械(1)をレール(3)上および地面(G)上で変位させるための少なくとも1つのレール・地面変位ユニット(8,9)を備えることを特徴とする、加工機械。
【請求項2】
前記少なくとも1つのレール・地面変位ユニット(8,9)は、少なくとも1つの地面走行面(LG1,LG2)と少なくとも1つのレール走行面(LS)とを備える走行面(LG1,LS,LG2)を構成していることを特徴とする、請求項1記載の加工機械。
【請求項3】
前記少なくとも1つのレール・地面変位ユニット(8,9)は、2つの地面走行面(LG1,LG2)と、それらの間に配置されたレール走行面(LS)とを備える走行面(LG1,LS,LG2)を構成していることを特徴とする、請求項1または2記載の加工機械。
【請求項4】
前記少なくとも1つのレール・地面変位ユニット(8,9)は、レール(3)のレール頭部を収容するための凹部(V)を備えた走行面(LG1,LS,LG2)を構成していることを特徴とする、請求項1から3までの少なくとも1項記載の加工機械。
【請求項5】
前記少なくとも1つのレール・地面変位ユニット(8,9)は変位装置(36)を備えることを特徴とする、請求項1から4までの少なくとも1項記載の加工機械。
【請求項6】
前記変位機構(7)は少なくとも1つの操舵ユニット(29)を備えることを特徴とする、請求項1から5までの少なくとも1項記載の加工機械。
【請求項7】
前記変位機構(7)は、前記支持体(6)に長手方向(x)で互いに離間させて配置された第1のレール・地面変位ユニット(8)と第2のレール・地面変位ユニット(9)とを備えることを特徴とする、請求項1から6までの少なくとも1項記載の加工機械。
【請求項8】
前記少なくとも1つの加工ユニット(13,14)は、前記長手方向(x)において、前記第1のレール・地面変位ユニット(8)と前記第2のレール・地面変位ユニット(9)との間に配置されていることを特徴とする、請求項7記載の加工機械。
【請求項9】
前記変位機構(7)は、前記第1のレール・地面変位ユニット(8)を前記支持体(6)に対して旋回させるための第1の操舵ユニット(29)と、前記第2のレール・地面変位ユニット(9)を前記支持体(6)に対して旋回させるための第2の操舵ユニット(41)とを備えることを特徴とする、請求項7または8記載の加工機械。
【請求項10】
前記少なくとも1つの加工ユニット(13,14)は、前記支持体(6)に懸吊されて配置されていることを特徴とする、請求項1から9までの少なくとも1項記載の加工機械。
【請求項11】
横方向(y)において、前記支持体(6)の第1の側に第1の加工ユニット(13)が配置されており、前記支持体(6)の反対側の第2の側に第2の加工ユニット(14)が配置されていることを特徴とする、請求項1から10までの少なくとも1項記載の加工機械。
【請求項12】
前記少なくとも1つの加工ユニット(13,14)を位置決めするための位置決め機構(15)を備えることを特徴とする、請求項1から11までの少なくとも1項記載の加工機械。
【請求項13】
前記変位機構(7)は、レール(4)に支持される片持ち梁(25)を備えることを特徴とする、請求項1から12までの少なくとも1項記載の加工機械。
【請求項14】
特に前記支持体(6)に配置された給電ユニット(16)を備えることを特徴とする、請求項1から13までの少なくとも1項記載の加工機械。
【請求項15】
軌道を加工するための方法であって、
請求項1から14までの少なくとも1項記載の加工機械(1)を用意するステップと、
前記加工機械(1)を前記少なくとも1つのレール・地面変位ユニット(8,9)によって前記地面(G)上で軌道(2)へかつ前記軌道(2)のレール(3)上へ変位させるステップと、
前記軌道(2)を前記少なくとも1つの加工ユニット(13,14)によって加工するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
独国特許出願第102023203452.2号の内容は参照により援用される。
【0002】
本発明は、軌道を加工するための加工機械および方法に関する。特に、本発明は、軌道を加工するために、第1のレール上で運動可能であり、隣り合う第2のレールに対して支持可能である加工機械に関する。
【0003】
独国実用新案第202016006565号明細書は、軌道を機械加工するための、ねじ締結機械の形態の加工機械を開示している。ねじ締結機械は、2つのフランジ付きローラがレール長手方向に相前後して配置された支持フレームを備えており、その結果、ねじ締結機械は、ハンドルによって第1のレール上にて手動で移動させることができる。片持ち梁は、片持ち梁に回転可能に取り付けられた軌道ローラを備えた支持フレームに配置されており、その結果、ねじ締結機械は、隣り合う第2のレールに対して支持されている。軌道ローラを備えた片持ち梁は、支持フレームに容易に取外し可能に接続されている。ねじ締結機械は、フランジ付きローラの両側で支持フレームに締結された2つのねじ締結ユニットを備えており、その結果、第1のレールの両側に配置されたねじを締めたり緩めたりすることができる。ねじ締結機械は、ただ1つのレール上で変位させることができ、隣り合うレールに対して支持されているだけであるという事実により、ねじ締結機械は、容易に軌道上に配置することができ、容易に軌道から取り外すことができる。
【0004】
本発明の目的は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を可能にする加工機械を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する加工機械によって達成される。加工機械の支持体に配置された変位機構は、加工機械をレール上および地面上で変位させるための少なくとも1つのレール・地面変位ユニットを備えている。本発明によれば、従来技術から公知の加工機械では、加工される軌道への運搬が多くの場合に困難であり、ユーザフレンドリーでないことが認識されている。なぜならば、加工機械を地面上で手動にて移動させることが困難であるかまたは不可能であり、したがって、現場までまたは現場から手動でまたは補助車両によって多大な費用をかけて頻繁に運搬する必要があるからである。本発明による加工機械の変位機構が、少なくとも1つのレール・地面変位ユニットを備えているという事実により、加工される軌道への地面上での加工機械の、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすい変位と、軌道の加工中のレール上での加工機械の変位とが可能になる。これにより、加工機械および軌道の加工の効率が向上する。
【0006】
好ましくは、加工機械は、支持体に配置された少なくとも第1の変位ユニットと第2の変位ユニットとを備えている。第1の変位ユニットはレール・地面変位ユニットである。これに対して、第2の変位ユニットは、レール変位ユニット、地面変位ユニットまたはレール・地面変位ユニットであってもよい。好ましくは、第1の変位ユニットはレール・地面変位ユニットであり、第2の変位ユニットはレール・地面変位ユニットである。第1の変位ユニットおよび第2の変位ユニットは、支持体の長手方向に相前後して配置されており、支持体の長手方向はレール長手方向に対応している。したがって、第1のレール・地面変位ユニットおよび第2のレール・地面変位ユニットは、支持体を同じレール上に配置する役割を果たす。好ましくは、第1の変位ユニットおよび第2の変位ユニットは、支持体の長手方向の両方の端部に配置されている。レール変位ユニットは、例えば、フランジ付きローラまたは案内ローラとして構成されている。地面変位ユニットは、例えばホイールとして構成されている。
【0007】
少なくとも1つのレール・地面変位ユニット、特に各々のレール・地面変位ユニットは一体形に構成されている。これは、レール・地面変位ユニットが、互いに相対的に調整可能、特に高さ調整可能な別個のレール変位ユニットおよび別個の地面変位ユニットによって構成されておらず、レール変位ユニットまたは地面変位ユニットのいずれかが使用されることを意味する。
【0008】
少なくとも1つのレール・地面変位ユニット、特に各々のレール・地面変位ユニットは、好ましくは、支持体に懸吊されて配置されている。好ましくは、レール・地面変位ユニットは変位基体を備えており、変位基体は、割り当てられた締結要素によって支持体に締結されている。締結要素は、変位基体の片側または両側に配置することができる。両側に配置する場合、締結要素は、特にフォーク状に構成されている。
【0009】
加工機械は、例えば、ねじ締結、切取り、穴あけ、釘打ち、釘抜きおよび/または研削の役割を果たす。したがって、加工機械は、例えば、加工ユニットとして、少なくとも1つのねじ締結ユニット、少なくとも1つの切取りユニット、少なくとも1つの穴あけユニット、少なくとも1つの釘打ちユニット、少なくとも1つの釘抜きユニットおよび/または少なくとも1つの研削ユニットを備えている。少なくとも1つの加工ユニットは、支持体の長手方向において、特に第1の変位ユニットと第2の変位ユニットとの間で支持体に配置されている。特に、少なくとも1つの加工ユニットは、支持体に懸吊されて配置されている。
【0010】
特に、加工機械は、手動で案内および/または操作することができる。好ましくは、加工機械は、第1のレール上で変位可能、特に移動可能であると共に隣り合う第2のレールに対して支持可能であるように構成されている。
【0011】
請求項2記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。少なくとも1つのレール・地面変位ユニット、特に各々のレール・地面変位ユニットが、少なくとも1つの地面走行面と少なくとも1つのレール走行面とを備える走行面を構成しているという事実により、レール・地面変位ユニットが一体形に構成されている。少なくとも1つの地面走行面および少なくとも1つのレール走行面は、加工機械の横方向に隣り合って配置されている。横方向は、支持体の長手方向に対して横方向に、特に直交して延在している。
【0012】
少なくとも1つのレール・地面変位ユニット、特に各々のレール・地面変位ユニットは、変位基体を備えている。変位基体は、金属材料、プラスチック材料および/または木材から構成されていてもよい。少なくとも1つの地面走行面および/または少なくとも1つのレール走行面は、変位基体によって直接構成されていてもよい。変位基体は、円形の断面または丸みを帯びた角隅を備えた多角形の断面から構成されていてもよい。
【0013】
少なくとも1つのレール・地面変位ユニット、特に各々のレール・地面変位ユニットは、特に変位基体に配置された少なくとも1つの接触要素を備えている。少なくとも1つの接触要素は、好ましくは、少なくとも1つの地面走行面および/または少なくとも1つのレール走行面を構成している。少なくとも1つの接触要素は、金属材料、プラスチック材料および/またはエラストマー材料から構成されていてもよい。プラスチック材料は、例えば、熱可塑性プラスチック材料および/または熱硬化性プラスチック材料を含んでいる。少なくとも1つの接触要素は、特に、変位基体に固定されてかつ/または変位可能に配置されている。特に、少なくとも1つの接触要素は、変位基体の周りで周方向に変位可能であり、かつ/または横方向、つまり、変位基体に対して側方に変位可能である。
【0014】
少なくとも1つの接触要素は、特にチェーンおよび/またはベルト、例えば金属チェーン、ゴムチェーンおよび/またはゴムベルトとして構成されている。特に、チェーンおよび/またはベルトは、変位基体を周行するように構成されていて、閉じた設計である。チェーンおよび/またはベルトは変位基体に配置されており、好ましくは、変位基体の周りで周方向および/または横方向、つまり、変位基体に対して側方に変位可能である。チェーンおよび/またはベルトは、好ましくは、少なくとも1つの地面走行面および/または少なくとも1つのレール走行面を構成している。
【0015】
少なくとも1つの接触要素は、特にリングとして構成されている。特に、リングは、金属材料、プラスチック材料および/またはエラストマー材料から構成されている。好ましくは、第1のリングおよび第2のリングは、接触要素として変位基体に配置されており、変位基体は、ホイール状または断面円形に構成されている。好ましくは、少なくとも一方のリング、特に両方のリングは、変位基体に対して横方向に変位可能である。特に、少なくとも1つのリングは、少なくとも1つの地面走行面および/または少なくとも1つのレール走行面を構成している。好ましくは、変位基体はレール走行面を構成しており、2つのリングはそれぞれ地面走行面を構成している。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つの地面走行面は、変位基体の中心長手方向軸線から少なくとも1つのレール走行面よりも大きい距離を有している。特に、少なくとも1つの地面走行面は距離AGを有しており、特に、5cm≦AG≦30cm、特に10cm≦AG≦25cm、特に15cm≦AG≦20cmである。少なくとも1つのレール走行面は、特に、変位基体の中心長手方向軸線から距離ASを有しており、特に、距離ASについて、4cm≦AS≦29cm、特に、9cm≦AS≦24cm、特に、14cm≦AS≦19cmが適用される。差ΔA=AG-ASの場合、特に1cm≦ΔA≦8cm、特に2cm≦ΔA≦7cm、特に3cm≦ΔA≦6cmである。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの地面走行面は、変位基体の周方向および/または横方向に輪郭を描くように構成されている。特に、少なくとも1つの地面走行面は、変位基体の周方向および/または横方向に隆起部を有している。隆起部は、特にノブおよび/またはスタッドとして構成されている。
【0018】
請求項3記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。レール走行面が、横方向において2つの地面走行面の間に構成されているという事実により、走行面をレールの断面に適合させることができる。好ましくは、変位基体の中心長手方向軸線からの地面走行面の距離AGは、レール走行面の距離ASよりも大きく、その結果、走行面は、レールのレール頭部を収容するための凹部を構成している。2つの地面走行面の間の距離は、特に横方向、つまり、変位基体の中心長手方向軸線の方向に調整することができる。これにより、走行面を種々異なる幅のレール頭部に適合させることが可能になる。例えば、地面走行面は、ホイール状または断面円形の変位基体に調整可能に配置された2つのリングによって構成されている。調整機構は、特に調整のための役割を果たす。調整機構は、好ましくは、所望の位置に係止することができる。
【0019】
請求項4記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。走行面は、断面において、レールのレール頭部を収容するための凹部を少なくとも部分的に構成している。これにより、少なくとも1つのレール・地面変位ユニット、特に各々のレール・地面変位ユニットを、操作者が簡単に扱いやすい形でレール上に案内し、変位させることが可能になる。凹部により、走行面はレール自体に対してセンタリングされる。特に、凹部は、拡幅断面を有している。拡幅断面は、好ましくはV字形および/またはU字形に構成されている。特に、凹部の断面形状は、例えば、少なくとも1つの地面走行面が、レール走行面に対して相対的に、特に変位基体の横方向に変位可能であるという事実により、調整可能である。これにより、凹部を種々異なるサイズのレール頭部に適合させることが可能になる。例えば、地面走行面は、変位基体に締結されたリングによって横方向に調整可能に構成されている。
【0020】
少なくとも1つのレール・地面変位ユニット、特に各々のレール・地面変位ユニットは、好ましくは、2つの地面走行面と、それらの間に配置されたレール走行面とを備える走行面を構成している。好ましくは、地面走行面は、変位基体の周方向および/または横方向に輪郭を描くように構成されている。特に、少なくとも1つの地面走行面は、変位基体の周方向および/または横方向に隆起部を有している。隆起部は、特にノブおよび/またはスタッドとして構成されている。特に、隆起部はレール走行面に向かって面取り部および/または丸みを有している。これにより、走行面を、調整を必要とすることなく、種々異なる幅のレール頭部に適合させることが可能になる。
【0021】
請求項5記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。好ましくは、レール・地面変位ユニットまたは複数のレール・地面変位ユニットまたは各レール・地面変位ユニットは、割り当てられた変位装置を備えている。各々の変位装置は、特に電動モータとして構成されている。各々の変位装置は、特に、レール・地面変位ユニットの変位基体を中心長手方向軸線を中心として駆動し、かつ/または接触要素をレール・地面変位ユニットの変位基体の周りで周方向に駆動する役割を果たす。変位装置は、割り当てられた変位基体と一体化することができる。特に、加工機械は、各々の変位装置を制御するための制御装置を備えている。特に、制御装置は、変位装置が互いに独立してかつ/または同期して制御可能であるように構成されている。
【0022】
請求項6記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。少なくとも1つの操舵ユニットにより、地面上で加工機械を簡単に変位または移動させることが可能になる。好ましくは、少なくとも1つの操舵ユニットは、少なくとも1つの変位ユニット、特にレール・地面変位ユニットを支持体に対して旋回させる役割を果たす。特に、少なくとも1つの操舵ユニットは、支持体に対して鉛直な旋回軸線を中心として旋回させることができる。少なくとも1つの操舵ユニットは、好ましくは、手動で旋回させる役割を果たす。少なくとも1つの操舵ユニットは、例えば、旋回軸受、操舵リンク機構および/または少なくとも1つのハンドル、特に少なくとも2つのハンドルを備えている。好ましくは、少なくとも1つの操舵ユニットは、割り当てられた変位ユニット、特に変位装置を備えるレール・地面変位ユニットに接続されている。
【0023】
請求項7記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。第1のレール・地面変位ユニットおよび第2のレール・地面変位ユニットは、特に支持体の端部に配置されており、かつ/または支持体に懸吊されて配置されている。長手方向は、レール長手方向に対応している。レール・地面変位ユニットが支持体に懸吊されて配置されているという事実により、レール・地面変位ユニットと支持体とは、レールに向かって開放された収容空間を画定している。少なくとも1つの加工ユニットおよび/またはエネルギー供給ユニットは、収容空間に配置されている。特に、少なくとも1つの加工ユニットおよび/またはエネルギー供給ユニットは、支持体に懸吊されて配置されている。
【0024】
請求項8記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。特に、少なくとも1つの加工ユニットは、支持体に懸吊されて配置されている。好ましくは、第1の加工ユニットは、レール・地面変位ユニット同士の間で支持体の第1の側に配置されており、第2の加工ユニットは、支持体の第2の側に配置されている。これにより、レールの両側での軌道の加工が可能となる。
【0025】
請求項9記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。加工機械が2つの操舵ユニットを備えているという事実により、軌道の加工機械を地面上で移動させたり、加工機械を軌道上に配置したり、加工機械を軌道から取り外したりすることが極めて簡単になり、操作者が扱いやすくなっている。操舵ユニットは、互いに従属的にかつ/または独立的に作動させることができる。好ましくは、操舵ユニットは、互いに結合され、かつ/または互いに結合解除されてもよい。特に、操舵ユニットは、加工機械を手動で操舵する役割を果たす。好ましくは、各々の操舵ユニットは、旋回軸受および/または操舵リンク機構および/または少なくとも1つのハンドル、好ましくは少なくとも2つのハンドルを備えている。操作者から離れたレール・地面変位ユニットを旋回させる操舵ユニットは、平行ガイドを備えているかまたは構成していてもよい。好ましくは、支持体は、長手方向ロッドおよび2つの横方向ロッドとともに、平行ガイドを構成しており、これにより、操作者から離れたレール・地面変位ユニットを容易に旋回させることができる。
【0026】
請求項10記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。少なくとも1つの加工ユニットが支持体に懸吊されて配置されていることにより、操作者は軌道の加工を自由に観察することができる。これにより、少なくとも1つの加工ユニットの簡単な位置決めが可能になる。好ましくは、第1の加工ユニットは、支持体の第1の側に懸吊されて配置されており、第2の加工ユニットは、支持体の第2の側に懸吊されて配置されている。第1の側は、支持体に対して横方向で第2の側の反対側に位置している。
【0027】
請求項11記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。2つの加工ユニットにより、例えばレールの両側でのねじ締結または切取りなどの効率のよい軌道の加工が可能になる。好ましくは、加工ユニットは同一に構成されている。好ましくは、加工機械は、加工ユニットを制御するための制御機構を備えている。加工ユニットは、互いに独立してかつ/または同期して位置決め可能かつ/または制御可能である。
【0028】
請求項12記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。位置決め機構は、少なくとも1つの加工ユニットを鉛直方向および/または水平方向に位置決めする役割を果たす。好ましくは、複数の加工ユニットは、少なくとも1つの割り当てられた位置決め機構、特にそれぞれ1つの割り当てられた位置決め機構を有している。特に、位置決め機構は、少なくとも1つの加工ユニットを鉛直方向および/または水平方向に位置決めするための少なくとも1つの位置決め駆動装置を備えている。好ましくは、位置決め機構は、実施される軌道の加工タスクを検出する検出ユニットを備えており、その結果、位置決め機構は少なくとも1つの加工ユニットを自動的に位置決めする。この目的のために、加工機械は、特に、位置決め機構と信号通信する制御機構を有している。特に、制御機構は、検出ユニットからの測定データを評価し、このデータを用いて、少なくとも1つの位置決め機構および/または少なくとも1つの加工ユニット用の制御信号を生成する。
【0029】
請求項13記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。支持体に配置された少なくとも1つの加工ユニットは、少なくとも2つの変位ユニットによってレール、特に正確に1つのレールに配置されている。片持ち梁によって、少なくとも1つの加工ユニットが配置された支持体は、隣り合う第2のレールに対して支持されている。この目的のために、片持ち梁は少なくとも1つの横方向ロッドを有している。横方向ロッドを使用して、隣り合う第2のレールに対する支持が提供される。好ましくは、片持ち梁は少なくとも1つの支持ローラを有しており、支持ローラは横方向ロッドに回転可能に取り付けられている。少なくとも1つの支持ローラは、操作中、隣り合う第2のレールに載置されている。
【0030】
代替的に、横方向ロッドは、少なくとも2つの更なる変位ユニットと少なくとも1つの更なる加工ユニットとが配置された更なる支持体に接続されており、第2のレールの領域で同時に軌道の加工を実施することができる。これにより、横方向ロッドは、少なくとも2つの更なる変位ユニットを介して、隣り合うレールに支持される。
【0031】
片持ち梁は支持体に締結されている。好ましくは、片持ち梁は支持体に取外し可能に締結されており、その結果、片持ち梁は、地面上での変位のために、かつ/または加工機械を軌道上に配置したり、加工機械を軌道から取り外したりするために、取外し可能となる。好ましくは、片持ち梁は、横方向ロッドを支持体から鉛直方向に離れた位置に締結するホルダを備えている。ホルダは、支持体に一体形に接続されていてもよいし、支持体に取外し可能に締結されていてもよい。
【0032】
請求項14記載の加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい軌道の加工を保証する。エネルギー供給ユニットは、特に電気エネルギーを供給する役割を果たす。好ましくは、エネルギー供給ユニットは、少なくとも1つの蓄電池を備えている。特に、蓄電池は、充電可能および/または交換可能である。エネルギー供給ユニットは、支持体に特に懸吊されて配置されている。好ましくは、エネルギー供給ユニットは、第1の変位ユニットと第2の変位ユニットとの間に配置されている。好ましくは、エネルギー供給ユニットは、少なくとも1つの加工ユニットおよび/または変位装置にエネルギー、特に電気エネルギーを供給する役割を果たす。好ましくは、エネルギー供給ユニットは、エネルギー供給ユニットの位置を支持体に対して横方向に調整するための調整機構を備えている。これにより、エネルギー供給ユニットの重心を、隣り合う第2のレールに向かって横方向にシフトさせることが可能になり、その結果、片持ち梁と組み合わせた加工機械の安定性が改善される。
【0033】
また、本発明の目的は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい、軌道を加工するための方法を提供することである。
【0034】
この目的は、請求項15の特徴を有する方法によって達成される。本発明による方法の利点は、すでに説明した本発明による加工機械の利点に対応する。特に、本発明による方法は、本発明による加工機械に関連して説明した任意の特徴を用いてさらに発展させることができる。
【0035】
特に、少なくとも1つのレール・地面変位ユニットは、少なくとも1つの地面走行面と少なくとも1つのレール走行面とを備える走行面を構成している。加工機械は、基本的に、少なくとも1つの地面走行面によって地面上で変位させられる。少なくとも1つの地面走行面は、地面に対して十分なグリップを有しているので、加工機械は、簡単かつフレキシブルであり、操作者が扱いやすく、効率のよい方法で、加工される軌道へ変位、特に移動させることができる。対照的に、特に少なくとも1つの地面走行面に相俟った少なくとも1つのレール走行面により、軌道のレール上での簡単で操作者が扱いやすい変位が可能になる。この目的のために、走行面は、特に凹部によって構成されているため、走行面自体がレールに対してセンタリングされる。
【0036】
好ましくは、少なくとも1つのレール・地面変位ユニットは、割り当てられた操舵ユニットを有している。好ましくは、加工機械は、第1のレール・地面変位ユニットを支持体に対して旋回させるための第1の操舵ユニットと、第2のレール・地面変位ユニットを支持体に対して旋回させるための第2の操舵ユニットとを備えている。操舵ユニットは、同じ方向および/または反対方向に旋回させることができ、特に、操作者はそれらを手動で旋回させることができる。操舵ユニットが同じ方向に同じ角度だけ旋回させられた場合、加工機械は、特に線形にかつ傾斜して、つまり、横方向に変位させられる。一方、操舵ユニットが反対方向に旋回させられると、加工機械は特に曲線に沿って変位させられる。
【0037】
本発明の更なる特徴、利点および詳細は、多数の実施形態例の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】第1の実施形態例による軌道を加工するための加工機械の平面図を示す図である。
【
図2】
図1に示す軌道の加工機械の、加工される軌道がない状態の平面図を示す図である。
【
図4】
図3の断面線IV-IVに沿った加工機械を通る断面を示す図である。
【
図5】第2の実施形態例による軌道を加工するための加工機械の側面図を示す図である。
【
図7】第1の操舵位置にある
図5の加工機械の平面図を示す図である。
【
図8】第2の操舵位置にある
図5の加工機械の平面図を示す図である。
【
図9】第3の実施形態例による軌道を加工するための加工機械の側面図を示す図である。
【
図11】第1の操舵位置にある
図9の加工機械の平面図を示す図である。
【
図12】第2の操舵位置にある
図9の加工機械の平面図を示す図である。
【
図13】
図9の加工機械のレール・地面変位ユニットを幅広のレール頭部のために設定した状態の拡大正面図を示す図である。
【
図14】
図13のレール・地面変位ユニットを幅狭のレール頭部のために設定した状態の拡大正面図を示す図である。
【0039】
本発明の第1の実施形態例を
図1~
図4を参照して以下に説明する。
図1~
図4に示す加工機械1は、軌道2を加工する役割を果たす。軌道2は、第1のレール3と第2のレール4とを備えており、それらはまくらぎ5に締結されている。レール3,4は、レール長手方向に延在しており、レール長手方向に対して直交して延在するレール横方向に互いに離間させて配置されている。軌道2は地面Gによって取り囲まれている。
【0040】
加工機械1は支持体6を備えており、支持体6は、長手方向xと、それに対して直交して延在する横方向yとを規定している。支持体6は、実質的に長手方向xに延在している。加工機械1は、支持体6に配置された変位機構7をさらに備えている。
【0041】
変位機構7は、第1のレール・地面変位ユニット8と第2のレール・地面変位ユニット9とを有している。第1のレール・地面変位ユニット8は、フォーク状の第1の締結要素10によって支持体6の第1の端部に締結されており、一方、第2のレール・地面変位ユニット9は、フォーク状の第2の締結要素11によって支持体6の第2の端部に締結されている。レール・地面変位ユニット8,9は、支持体6をレール3上で変位させる役割を果たす。
【0042】
支持体6と、レール・地面変位ユニット8,9と、締結要素10,11とは、収容空間12を画定しており、収容空間12は、支持体6と反対の側で開放されている。収容空間12は、第1の加工ユニット13と、第2の加工ユニット14と、割り当てられた位置決め機構15と、割り当てられたエネルギー供給ユニット16とを少なくとも部分的に収容する役割を果たす。
【0043】
位置決め機構15は、支持体6の下面に懸吊されて締結されている。第1の加工ユニット13は、横方向yに見たとき、支持体6の第1の側で位置決め機構15に締結されており、一方、第2の加工ユニット14は、支持体6の第2の側で位置決め機構15に締結されている。位置決め機構15は、第1の加工ユニット13および/または第2の加工ユニット14を横方向yで位置決めするための第1の位置決め駆動装置17を備えている。さらに、位置決め機構15は、第1の加工ユニット13および第2の加工ユニット14を鉛直方向zで位置決めするための第2の位置決め駆動装置18を備えている。鉛直方向zは、長手方向xおよび横方向yに対して直交して延在している。長手方向xと、横方向yと、鉛直方向zとは、直交座標系を形成している。
【0044】
加工ユニット13,14は、例えば、ねじ締結の役割を果たす。
【0045】
代替的に、加工ユニット13,14は、穴あけ、切取り、釘打ち、釘抜きおよび/または研削のために構成されていてもよい。加工ユニット13,14は、位置決め機構15によって支持体6の下面に懸吊されて締結されている。加工ユニット13,14はそれぞれ工具駆動装置19を備えており、それにより、加工工具20が回転軸線21を中心として回転駆動される。
【0046】
エネルギー供給ユニット16は、長手方向xにおいて、位置決め機構15と第2のレール・地面変位ユニット9との間で支持体6に懸吊されて配置されている。エネルギー供給ユニット16は、複数の蓄電池23が配置されたハウジング22を備えている。蓄電池23は、並列および/または直列に接続されている。蓄電池23は電気エネルギーを供給する役割を果たす。エネルギー供給ユニット16は調整機構24をさらに備えており、それにより、支持体6に対するハウジング22の位置を横方向yに調整することが可能になる。調整機構24は、例えば、線形ガイドとして構成されている。特に、線形ガイドは所望の位置に係止することができる。
図2は、支持体6に対して中央位置にあるハウジング22を示しており、一方、
図1は、隣り合うレール4に向かって変位させられた位置にあるハウジング22を示している。
【0047】
変位機構7は片持ち梁25を備えている。片持ち梁25は、長手方向xにおいて、加工ユニット13,14とエネルギー供給ユニット16との間で支持体6に締結されている。片持ち梁25は、ホルダ26と、横方向ロッド27と、支持ローラ28とを有している。ホルダ26は支持体6に締結されていて、鉛直方向zで収容空間12内に延在している。横方向ロッド27は、横方向yにおいて隣り合うレール4に延在しており、ホルダ26に取外し可能に締結されている。支持ローラ28は、横方向ロッド27の自由端部に回転可能に取り付けられている。支持ローラ28は、支持体6と、その上に配置されたレール・地面変位ユニット8,9とを、隣り合うレール4に対して支持する役割を果たす。これは
図1に示されている。
【0048】
変位機構7は、第1のレール・地面変位ユニット8を鉛直な旋回軸線30を中心として旋回させるための操舵ユニット29を備えている。操舵ユニット29は、旋回軸受31と、操舵リンク機構32と、ハンドル33,34とを備えている。フォーク状の締結要素10は支持体6に取り付けられていて、旋回軸受31によって旋回軸線30を中心として旋回させることができる。操舵リンク機構32は、フォーク状の締結要素10に締結されている。操舵リンク機構32はU字形に構成されている。第1のハンドル33と第2のハンドル34とは、操舵リンク機構32の自由端部に締結されている。ハンドル33,34は、加工機械1をレール3またはレール3,4と、軌道2を取り囲む地面Gとに対して案内しかつ操舵する役割を果たす。第2のレール・地面変位ユニット9は支持体6に配置されているため、操舵することができない。この目的のため、フォーク状の締結要素11は、支持体6に固く接続されている。
【0049】
レール・地面変位ユニット8,9は同じ構成であり、そのため、以下ではレール・地面変位ユニット8のみを詳細に説明する。レール・地面変位ユニット8は、変位基体35と、変位装置36と、接触要素37とを備えている。変位基体35は、締結要素10または締結要素11に締結されており、締結要素10または締結要素11に対して回転することができない。変位基体35は、多角形、特に長方形、特に正方形の断面と、丸みを帯びた角隅とを有している。変位基体35は中心長手方向軸線Mを規定している。
図3に示す操舵位置では、中心長手方向軸線Mは横方向yに対して平行に延在している。接触要素37は、変位基体35を取り囲むように周方向Uに延在していて、閉じた形状を有している。接触要素37は、特にチェーンおよび/またはベルトとして構成されている。接触要素37は、変位装置36によって変位基体35に対して中心長手方向軸線Mを中心として周方向Uに変位させることができる。変位装置36は変位基体35に一体化されている。接触要素37は、例えばゴム材料から製造されている。
【0050】
各々の接触要素37は、第1の地面走行面LG1と、レール走行面LSと、第2の地面走行面LG2とを備える走行面を横方向yまたは中心長手方向軸線Mの方向に構成している。レール走行面LSは、中心長手方向軸線Mの方向において、地面走行面LG1,LG2同士の間に配置されている。地面走行面LG1,LG2およびレール走行面LSは、接触要素37に従って中心長手方向軸線Mまたは変位基体35を周行する。
【0051】
地面走行面LG1,LG2は、周方向Uおよび中心長手方向軸線Mの方向に輪郭を描くように構成されている。この目的のために、接触要素37は隆起部38を有しており、隆起部38は、例えばノブまたはスタッドとして構成されている。隆起部38は、少なくとも部分的に地面走行面LG1,LG2を構成している。地面走行面LG1,LG2は中心長手方向軸線Mから最大距離AGを有しており、一方、レール走行面LSは中心長手方向軸線Mから最大距離ASを有している。AG>ASが適用される。距離AGについては、特に5cm≦AG≦30cm、特に10cm≦AG≦25cm、特に15cm≦AG≦20cmである。距離ASについては、特に4cm≦AS≦29cm、特に9cm≦AS≦24cm、特に14cm≦AS≦19cmである。差ΔA=AG-ASについては、特に1cm≦ΔA≦8cm、特に2cm≦ΔA≦7cm、特に3cm≦ΔA≦6cmである。
【0052】
走行面は、断面において、レール3のレール頭部を収容するための凹部Vを少なくとも部分的に構成している。凹部Vは、断面において、中心長手方向軸線Mに対して横方向に広がっている。この目的のために、隆起部38は、レール走行面LSに面する領域39に面取り部および/または丸みを有している。凹部Vの断面が広がっているため、異なる幅のレール頭部を収容することができる。
【0053】
第1の位置決め駆動装置17、第2の位置決め駆動装置18、工具駆動装置19および変位装置36は、特に電気的に構成されている。制御のために、加工機械1は制御機構40を備えており、制御機構40は操舵リンク機構32に配置されている。
【0054】
加工機械1の動作原理は次の通りである。
【0055】
軌道を加工するために、まず、加工機械1を、加工される軌道2または軌道区間に移動させる必要がある。この目的のために、まず、横方向ロッド27と、これに配置された支持ローラ28とが、ホルダ26から取り外される。加工機械1は、地面G上の操作者によって、レール・地面変位ユニット8,9により軌道2へ変位させられるかまたは移動させられる。この目的のために、接触要素37が、変位装置36によって各々の変位基体35の周りで周方向Uに変位させられる。操舵ユニット29によって、操作者は加工機械1を所望の方向に操舵することができる。地面走行面LG1,LG2により、加工機械1は地面Gに対して十分なグリップを有しており、その結果、レール・地面変位ユニット8,9は地面Gに対して良好なトラクションを有している。距離AGは距離ASよりも大きいという事実により、レール走行面LSは同時に地面Gでの損傷に対して防護される。
【0056】
加工機械1が軌道2上に位置している場合、加工機械1は手動でレール3上に持ち上げられるかまたはレール・地面変位ユニット8,9によってレール3上に移動させられ、支持ローラ28を備えた横方向ロッド27がホルダ26に取り付けられ、加工機械1は片持ち梁25によって隣り合うレール4に対して支持される。加工機械1の位置の安定性を高めるために、内部に配置された蓄電池23を備えたハウジング22が、調整機構24によってレール4に向かってシフトさせられ、その結果、加工機械1の重心がレール3,4同士の間に位置する。
【0057】
このとき、レール3のレール頭部は走行面の凹部Vに位置しており、レール・地面変位ユニット8,9のレール走行面LSはレール3のレール頭部上に載置されている。地面走行面LG1,LG2はレール頭部に対して側方に位置していて、レール・地面変位ユニット8,9をレール3に対してセンタリングしている。
【0058】
このとき、加工ユニット13,14は、位置決め機構15を用いて横方向yに調整することができる。続いて、軌道の加工が行われる。この目的のために、加工ユニット13,14は鉛直方向zにおいて下降され、加工工具20は工具駆動装置19によって回転駆動され、その後、加工ユニット13,14は再び持ち上げられる。このとき、加工機械1は、レール・地面変位ユニット8,9によって、次に加工される軌道区間までレール長手方向に移動させられ、そこで上述の軌道の加工が繰り返される。
【0059】
軌道の加工が終了すると、加工機械1は軌道から取り外される。この目的のために、まず、蓄電池23を備えたハウジング22が、調整機構24によって支持体6に対して中央位置に戻される。次いで、支持ローラ28を備えた横方向ロッド27がホルダ26から取り外され、加工機械1がレール3から手動で持ち上げられるかまたはレール・地面変位ユニット8,9を使用してレール3から移動させられる。このとき、加工機械1を、すでに説明した形式で地面G上に移動させることができる。
【0060】
本発明の第2の実施形態例を
図5~
図8を参照して以下に説明する。第1の実施形態例とは対照的に、加工機械1は、第1の操舵ユニット29に加えて、第2のレール・地面変位ユニット9を鉛直な旋回軸線42を中心として旋回させるための第2の操舵ユニット41を備えている。第2の操舵ユニット41は、旋回軸受43と、操舵リンク機構44と、第3のハンドル45とを備えている。フォーク状の締結要素11は、旋回軸受43によって旋回軸線42を中心として旋回可能に支持体6に取り付けられている。操舵リンク機構44は、第1の横方向ロッド46と、第1の長手方向ロッド47と、第2の横方向ロッド48と、第2の長手方向ロッド49とを備えている。第1の横方向ロッド46は、第2の締結要素11に回動不能に接続されている。第1の長手方向ロッド47は、第1の横方向ロッド46および第2の横方向ロッド48に枢着されており、第2の横方向ロッド48は支持体6に枢着されている。こうして、支持体6、第1の横方向ロッド46、第1の長手方向ロッド47および第2の横方向ロッド48は、平行ガイドを構成している。第2の長手方向ロッド49は、横方向yにおいて支持体6から離れて第2の横方向ロッド48に締結されていて、平行ガイドを作動させる役割を果たす。第3のハンドル45は第2の長手方向ロッド49に締結されている。第2の操舵ユニット41は、無段階または段階的に所望の旋回位置に係止することができる。
【0061】
図7に示す第1の操舵位置では、操舵ユニット29,41は、異なる旋回方向S
1,S
2に作動させられ、その結果、レール・地面変位ユニット8,9は互いに反対方向に旋回させられる。これにより、加工機械1をきつい湾曲を辿って移動させることが可能になる。したがって、第1の操舵位置では、加工機械1は、小さな旋回半径の湾曲を辿って走行することができる。
【0062】
図8に示す第2の操舵位置では、操舵ユニット29,41が旋回軸線30,42を中心として同じ旋回方向S
1,S
2に旋回させられ、その結果、レール・地面変位ユニット8,9は互いに同期して旋回させられる。その結果、レール・地面変位ユニット8,9は、実質的に互いに平行に整列させられ、その結果、加工機械1は、線形にかつ傾斜して移動させられ、つまり、横方向に変位させられる。加工機械1の更なる構造および更なる動作原理に関しては、先の実施形態例を参照されたい。
【0063】
本発明の第3の実施形態例を
図9~
図14を参照して以下に説明する。第2の実施形態例によれば、加工機械1は、第1のレール・地面変位ユニット8を旋回させるための第1の操舵ユニット29と、第2のレール・地面変位ユニット9を旋回させるための第2の操舵ユニット41とを有している。
図11は、第1の操舵位置にある加工機械を示し、一方、
図12は、第2の操舵位置にある加工ユニット1を示す。
【0064】
第1のレール・地面変位ユニット8は、一方の側で支持体6に締結されていて、締結要素10によって中心長手方向軸線Mを中心として回転可能である。これに対応して、第2のレール・地面変位ユニット9は、一方の側で支持体6に締結されていて、締結要素11によって中心長手方向軸線Mを中心として回転可能である。
【0065】
レール・地面変位ユニット8,9は同じ構造であるため、以下ではレール・地面変位ユニット8についてのみ説明する。レール・地面変位ユニット8は、ホイール状または断面円形の変位基体35を有しており、この変位基体35は、割り当てられた変位装置36によって中心長手方向軸線Mを中心として回転駆動することができる。リング状の接触要素37は、螺合部50によって変位基体35に締結されている。リング状の接触要素37は、地面走行面LG1,LG2を構成しており、一方、変位基体35は、地面走行面LG1,LG2同士の間に配置されたレール走行面LSを構成している。接触要素37は、周方向Uおよび中心長手方向軸線M方向に輪郭を描き、隆起部38を有するように構成されている。接触要素37は、変位基体35に対する側壁を構成している。
【0066】
接触要素37は、各々の螺合部50によって変位基体35に対して中心長手方向軸線Mの方向に調整することができ、その結果、凹部Vはレール3上の異なる幅のレール頭部に適合することができる。これは、
図13および
図14に示されている。したがって、接触要素37同士の間の距離sは、中心長手方向軸線Mの方向に調整することができる。この目的のために、接触要素37は、変位基体35に対して所望の位置に係止することができる。更なる構造および更なる動作原理に関しては、先の実施形態例を参照されたい。
【外国語明細書】