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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153598
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】シート設置装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/165 20060101AFI20241022BHJP
   B65H 16/06 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
E04F21/165 B
B65H16/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066114
(22)【出願日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2023067280
(32)【優先日】2023-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 怜
(72)【発明者】
【氏名】坂本 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】今井 睦惺
(72)【発明者】
【氏名】菊地 剛史
(72)【発明者】
【氏名】生田 尚行
(72)【発明者】
【氏名】木本 勝久
(72)【発明者】
【氏名】坂本 宜幸
(72)【発明者】
【氏名】柏木 寿樹
【テーマコード(参考)】
3F052
【Fターム(参考)】
3F052AA03
3F052AA06
3F052AB00
3F052BA14
(57)【要約】
【課題】平面以外の形状を有する対象面に対して対応可能なシート設置装置を提供する。
【解決手段】本開示は、例えば、折半屋根1の上面上を前方に移動させることによって折半屋根1の上面に対して保護シート2を設置するシート設置装置であって、保護シート2を折半屋根1の上面との間に挟み、折半屋根1の上面に対して押圧するシート押圧ローラ13を備える。シート押圧ローラ13は、折半屋根1の上面の谷部4の底面6上を前方へ向かって転がる際に、保護シート2を底面6との間に挟み、保護シート2を底面6に対して押圧する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の対象面上を所定方向に移動させることによって前記対象面に対してシートを設置するシート設置装置であって、
前記シートを前記対象面との間に挟み、前記対象面に対して押圧するシート押圧部を備える
ことを特徴とするシート設置装置。
【請求項2】
ロール状に巻回された前記シートを繰り出し可能に保持するシート保持部を備え、
前記シート押圧部は、前記対象面上を前方へ向かって転がる際に、前記シート保持部から繰り出された前記シートを前記対象面との間に挟み、前記対象面に対して押圧するシート押圧ローラを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシート設置装置。
【請求項3】
前記シート押圧ローラよりも前方の幅方向の両側又は後方の幅方向の両側に配置される車輪を備える
ことを特徴とする請求項2に記載のシート設置装置。
【請求項4】
シート当接面を有し、前記シート押圧ローラの前方の前記対象面に近接する位置に配置され、前記シート保持部から繰り出された前記シートを前記シート押圧ローラで押圧する前に前記シート当接面に当接させることによって所定の形状になるように型を付ける型付け部を備える
ことを特徴とする請求項2に記載のシート設置装置。
【請求項5】
前記型付け部の前記シート当接面は、下方から前上方へ向かって延びる前面を含む
ことを特徴とする請求項4に記載のシート設置装置。
【請求項6】
前記型付け部の前記シート当接面の前記前面は、側面視において前方へ膨出するように湾曲している
ことを特徴とする請求項5に記載のシート設置装置。
【請求項7】
前記型付け部の前記シート当接面の幅方向の両端縁は、湾曲している
ことを特徴とする請求項4に記載のシート設置装置。
【請求項8】
前記シート保持部及び前記型付け部よりも前方、かつ前記シート保持部と前記型付け部との間の高さ位置に配置されて幅方向に延び、前記シート保持部から繰り出されて前記型付け部へ向かう前記シートを掛けるシート掛け部を備える
ことを特徴とする請求項4に記載のシート設置装置。
【請求項9】
前記シート掛け部は、前記シート掛け部に対する前記シートの幅方向への移動を規制する幅方向両側のストッパを有する
ことを特徴とする請求項8に記載のシート設置装置。
【請求項10】
前記型付け部からの衝撃を緩衝する緩衝機構を備える
ことを特徴とする請求項4に記載のシート設置装置。
【請求項11】
折半屋根の上面である前記対象面に対して前記シートを設置する請求項4~請求項10のいずれか1項に記載のシート設置装置であって、
前記シート押圧ローラの幅及び前記型付け部の下端の幅は、前記折半屋根の谷部の底面の幅よりも短く設定され、
前記型付け部は、前記シートの幅方向の一部を前記対象面のうち前記谷部の前記底面の幅に沿うように型を付ける
ことを特徴とするシート設置装置。
【請求項12】
折半屋根の上面である前記対象面に対して前記シートを設置する請求項3に記載のシート設置装置であって、
前記シート押圧ローラの幅は、前記折半屋根の谷部の底面の幅よりも短く設定され、
前記シート押圧ローラよりも幅方向の両側に配置される前記車輪は、前記シート押圧ローラを前記折半屋根の所定の谷部の底面上に配置した際に、前記所定の谷部とは異なる谷部の底面上に位置するように配置される
ことを特徴とするシート設置装置。
【請求項13】
前記シート押圧部は、前記シート押圧ローラの前方又は後方に配置され、前記谷部の前記底面の幅方向の両側に位置する傾斜面に対して前記シートを押圧する傾斜面押圧部を含む
ことを特徴とする請求項11に記載のシート設置装置。
【請求項14】
前記傾斜面押圧部を前記傾斜面側へ移動可能に支持する支持部と、
前記傾斜面押圧部を前記傾斜面側へ移動させる移動手段と、を備える
ことを特徴とする請求項13に記載のシート設置装置。
【請求項15】
傾斜面を含む前記対象面に対して前記シートを設置する請求項1に記載のシート設置装置であって、
前記シート押圧部は、前記傾斜面に対向し、前記傾斜面に対して前記シートを設置する傾斜面押圧部を含む
ことを特徴とするシート設置装置。
【請求項16】
前記所定方向に延びる谷部の幅方向の両側に前記傾斜面が設けられた前記対象面に対して前記シートを設置する請求項15に記載のシート設置装置であって、
前記傾斜面押圧部は、前記谷部の幅方向の一方側の前記傾斜面に対して前記シートを設置するように幅方向の少なくとも一方側に設けられる
ことを特徴とするシート設置装置。
【請求項17】
前記シート押圧部は、前記谷部の底面に対向し、前記底面に対して前記シートを設置する底面押圧部を含む
ことを特徴とする請求項16に記載のシート設置装置。
【請求項18】
前記所定方向に延びる山部の幅方向の両側に前記傾斜面が設けられた前記対象面に対して前記シートを設置する請求項15に記載のシート設置装置であって、
前記傾斜面押圧部は、前記山部の幅方向の一方側の前記傾斜面に対して前記シートを設置するように幅方向の少なくとも一方側に設けられる
ことを特徴とするシート設置装置。
【請求項19】
前記傾斜面が、上部領域と、前記上部領域の下端から幅方向の内側へ延びる段差領域と、前記段差領域の下端から幅方向の外側下方へ延びる下部領域とを含む前記対象面に対して前記シートを設置する請求項18に記載のシート設置装置であって、
前記傾斜面押圧部は、前記傾斜面の少なくとも前記下部領域に対向するように設けられる
ことを特徴とするシート設置装置。
【請求項20】
前記シート押圧部は、前記山部の頂面に対向し、前記頂面に対して前記シートを設置する頂面押圧部を含む
ことを特徴とする請求項18又は請求項19に記載のシート設置装置。
【請求項21】
前記傾斜面押圧部を前記傾斜面側へ移動可能に支持する支持部と、
前記傾斜面押圧部を前記傾斜面側へ移動させる移動手段と、を備える
ことを特徴とする請求項18又は請求項19に記載のシート設置装置。
【請求項22】
前記シート押圧部から上方へ延びて、前記シート押圧部を支持する支持部材と、
前記シート押圧部よりも前後方向の一側で前記対象面に当接可能な当接部を有し、前記支持部材に対して幅方向に延びる軸を中心として傾動可能に支持される傾動部材と、
前記傾動部材を前方へ付勢する付勢手段と、を備え、
前記シート押圧部は、幅方向に延びるように形成され、前記対象面上を前方へ向かって移動する際に、前記シートを前記対象面との間に挟み、前記対象面に対して押圧する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート設置装置。
【請求項23】
ロール状に巻回された前記シートを繰り出し可能に保持するシート保持部と、
前記シート保持部から繰り出される前記シートから剥がされた剥離シートを巻き取る回収ロールを保持する回収ロール保持部と、
前記回収ロール保持部に保持される前記回収ロールを巻取り方向に回転させる回収ロール回転手段と、を備える
ことを特徴とする請求項22に記載のシート設置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シート設置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートや金属製の構造物の対象面に対して、劣化防止や防水等のためにシートを貼り付ける場合がある。この場合、作業者が屈んで対象面に対してシートを手貼りで施工すると、時間が掛かってしまい、また作業者の身体的な負担も大きい。このような問題を解決するための装置としては、例えば特許文献1に開示されているシート貼付装置がある。
【0003】
特許文献1のシート貼付装置は、帯状をなす耐火シートを、ロール状に巻回された状態から連続的に送り出すとともに、回転自在に設けられた2つの押さえローラにより押さえ付けることで、屋根の隣接する断熱パネル同士の直線状をなす境界部に対して、貼付する際に用いられる。2つの押さえローラは、円筒状をなし、その幅が耐火シートの幅よりも大きく設定される。前進の際に、第1押さえローラの前方側から第1押さえローラと境界部との間に耐火シートを供給することで、第1押さえローラで境界部に耐火シートを押さえ付ける。また、第2押さえローラは、前進の際に、第1押さえローラにより境界部に対して貼付された耐火シートを、境界部にさらに押さえ付ける。これにより、屋根の断熱パネル同士の境界部に対して耐火シートを連続的に貼付する。なお、同公報には、第2押さえローラの長さが第1押さえローラよりも長い状態が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-195736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のシート貼付装置では、耐火シートの幅よりも大きく設定された2つの押さえローラを用いて耐火シート(シート)を屋根(対象面)に押さえつけるので、シートは平面状に貼り付けられる。また、長さが異なる2つの押さえローラを必要とするので、例えば、シートを溝に沿わせた状態で貼り付けるなど、平面以外の形状に沿ってシートを貼り付けることが難しい。
【0006】
そこで、本開示は、平面以外の形状を有する対象面に対して対応可能なシート設置装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、対象物の対象面上を所定方向に移動させることによって前記対象面に対してシートを設置するシート設置装置であって、前記シートを前記対象面との間に挟み、前記対象面に対して押圧するシート押圧部を備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のシート設置装置であって、ロール状に巻回された前記シートを繰り出し可能に保持するシート保持部を備え、前記シート押圧部は、前記対象面上を前方へ向かって転がる際に、前記シート保持部から繰り出された前記シートを前記対象面との間に挟み、前記対象面に対して押圧するシート押圧ローラを含む。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様のシート設置装置であって、前記シート押圧ローラよりも前方の幅方向の両側又は後方の幅方向の両側に配置される車輪を備える。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第2の態様のシート設置装置であって、シート当接面を有し、前記シート押圧ローラの前方の前記対象面に近接する位置に配置され、前記シート保持部から繰り出された前記シートを前記シート押圧ローラで押圧する前に前記シート当接面に当接させることによって所定の形状になるように型を付ける型付け部を備える。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様のシート設置装置であって、前記型付け部の前記シート当接面は、下方から前上方へ向かって延びる前面を含む。
【0012】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様のシート設置装置であって、前記型付け部の前記シート当接面の前記前面は、側面視において前方へ膨出するように湾曲している。
【0013】
本発明の第7の態様は、上記第4の態様のシート設置装置であって、前記型付け部の前記シート当接面の幅方向の両端縁は、湾曲している。
【0014】
本発明の第8の態様は、上記第4の態様のシート設置装置であって、前記シート保持部及び前記型付け部よりも前方、かつ前記シート保持部と前記型付け部との間の高さ位置に配置されて幅方向に延び、前記シート保持部から繰り出されて前記型付け部へ向かう前記シートを掛けるシート掛け部を備える。
【0015】
本発明の第9の態様は、上記第8の態様のシート設置装置であって、前記シート掛け部は、前記シート掛け部に対する前記シートの幅方向への移動を規制する幅方向両側のストッパを有する。
【0016】
本発明の第10の態様は、上記第4の態様のシート設置装置であって、前記型付け部からの衝撃を緩衝する緩衝機構を備える。
【0017】
本発明の第11の態様は、折半屋根の上面である前記対象面に対して前記シートを設置する上記第4の態様から上記第10の態様のいずれかのシート設置装置であって、前記シート押圧ローラの幅及び前記型付け部の下端の幅は、前記折半屋根の谷部の底面の幅よりも短く設定され、前記型付け部は、前記シートの幅方向の一部を前記対象面のうち前記谷部の前記底面の幅に沿うように型を付ける。
【0018】
本発明の第12の態様は、折半屋根の上面である前記対象面に対して前記シートを設置する上記第3の態様のシート設置装置であって、前記シート押圧ローラの幅は、前記折半屋根の谷部の底面の幅よりも短く設定され、前記シート押圧ローラよりも幅方向の両側に配置される前記車輪は、前記シート押圧ローラを前記折半屋根の所定の谷部の底面上に配置した際に、前記所定の谷部とは異なる谷部の底面上に位置するように配置される。
【0019】
本発明の第13の態様は、上記第11の態様のシート設置装置であって、前記シート押圧部は、前記シート押圧ローラの前方又は後方に配置され、前記谷部の前記底面の幅方向の両側に位置する傾斜面に対して前記シートを押圧する傾斜面押圧部を含む。
【0020】
本発明の第14の態様は、上記第13の態様のシート設置装置であって、前記傾斜面押圧部を前記傾斜面側へ移動可能に支持する支持部と、前記傾斜面押圧部を前記傾斜面側へ移動させる移動手段と、を備える。
【0021】
本発明の第15の態様は、傾斜面を含む前記対象面に対して前記シートを設置する上記第1の態様のシート設置装置であって、前記シート押圧部は、前記傾斜面に対向し、前記傾斜面に対して前記シートを設置する傾斜面押圧部を含む。
【0022】
本発明の第16の態様は、前記所定方向に延びる谷部の幅方向の両側に前記傾斜面が設けられた前記対象面に対して前記シートを設置する上記第15の態様のシート設置装置であって、前記傾斜面押圧部は、前記谷部の幅方向の一方側の前記傾斜面に対して前記シートを設置するように幅方向の少なくとも一方側に設けられる。
【0023】
本発明の第17の態様は、上記第16の態様のシート設置装置であって、前記シート押圧部は、前記谷部の底面に対向し、前記底面に対して前記シートを設置する底面押圧部を含む。
【0024】
本発明の第18の態様は、前記所定方向に延びる山部の幅方向の両側に前記傾斜面が設けられた前記対象面に対して前記シートを設置する上記第15の態様のシート設置装置であって、前記傾斜面押圧部は、前記山部の幅方向の一方側の前記傾斜面に対して前記シートを設置するように幅方向の少なくとも一方側に設けられる。
【0025】
本発明の第19の態様は、前記傾斜面が、上部領域と、前記上部領域の下端から幅方向の内側へ延びる段差領域と、前記段差領域の下端から幅方向の外側下方へ延びる下部領域とを含む前記対象面に対して前記シートを設置する上記第18の態様のシート設置装置であって、前記傾斜面押圧部は、前記傾斜面の少なくとも前記下部領域に対向するように設けられる。
【0026】
本発明の第20の態様は、上記第18の態様又は上記第19の態様のシート設置装置であって、前記シート押圧部は、前記山部の頂面に対向し、前記頂面に対して前記シートを設置する頂面押圧部を含む。
【0027】
本発明の第21の態様は、上記第18の態様又は上記第19の態様のシート設置装置であって、前記傾斜面押圧部を前記傾斜面側へ移動可能に支持する支持部と、前記傾斜面押圧部を前記傾斜面側へ移動させる移動手段と、を備える。
【0028】
本発明の第22の態様は、上記第1の態様のシート設置装置であって、前記シート押圧部から上方へ延びて、前記シート押圧部を支持する支持部材と、前記シート押圧部よりも前後方向の一側で前記対象面に当接可能な当接部を有し、前記支持部材に対して幅方向に延びる軸を中心として傾動可能に支持される傾動部材と、前記傾動部材を前方へ付勢する付勢手段と、を備え、前記シート押圧部は、幅方向に延びるように形成され、前記対象面上を前方へ向かって移動する際に、前記シートを前記対象面との間に挟み、前記対象面に対して押圧する。
【0029】
本発明の第23の態様は、上記第22の態様のシート設置装置であって、ロール状に巻回された前記シートを繰り出し可能に保持するシート保持部と、前記シート保持部から繰り出される前記シートから剥がされた剥離シートを巻き取る回収ロールを保持する回収ロール保持部と、前記回収ロール保持部に保持される前記回収ロールを巻取り方向に回転させる回収ロール回転手段と、を備える。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、平面以外の形状を有する対象面に対して対応可能なシート設置装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態に係るシート設置装置の側面図である。
図2】第1実施形態に係るシート設置装置の平面図である。
図3】第1実施形態に係るシート設置装置の前方からの斜視図である。
図4】第1実施形態に係るシート設置装置の側方からの斜視図である。
図5図1のシート設置装置をV方向から視た要部の説明図である。
図6】型付け部の説明図であって、(a)は側方から視た状態を、(b)は前方から見た状態を、(c)は(b)のc部分を拡大した状態をそれぞれ示す。
図7】型付け部を支持する支柱の変形例を示す概略的な説明図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るシート設置装置の外観図である。
図9】第2実施形態に係るシート設置装置の要部の斜視図である。
図10】第2実施形態に係るシート設置装置を使用している状態を示す斜視図である。
図11図10のXI-XI矢視断面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係るシート設置装置の外観図である。
図13】第3実施形態に係るシート設置装置の要部の斜視図である。
図14】第3実施形態に係るシート設置装置を使用している状態を示す説明図である。
図15】本発明の第4実施形態に係るシート設置装置の概略的な外観斜視図である。
図16】第3実施形態に係るシート設置装置の概略的な側面図である。
図17図16のシート設置装置をXVII方向から視た概略的な説明図である。
図18】本発明の第5実施形態に係るシート設置装置の概略的な外観斜視図である。
図19】第5実施形態に係るシート設置装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRはシート設置装置の前方を、UPは上方を、INは幅方向の内側をそれぞれ示し、一点鎖線CLはシートのロール体の回転軸の軸心を示す。また、以下の説明において、前後方向はシート設置装置を移動させる際の進行方向を前方とした場合の前後方向を意味する。また、上下方向は、対象面に直交する方向を意味し、対象面側を下方とし、対象面から離間する方向を上方とする。幅方向は前後方向及び上下方向と交叉(直交)する方向を意味する。また、左右方向は前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0033】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るシート設置装置の側面図である。図2は、第1実施形態に係るシート設置装置の平面図である。図3は、第1実施形態に係るシート設置装置の前方からの斜視図である。図4は、第1実施形態に係るシート設置装置の側方からの斜視図である。図5は、図1のシート設置装置をV方向から視た要部の説明図である。図6は、型付け部の説明図であって、(a)は側方から視た状態を、(b)は前方から見た状態を、(c)は(b)のc部分を拡大した状態をそれぞれ示す。図7は、型付け部を支持する支柱の変形例を示す概略的な説明図である。なお、図1では、右側の車輪の図示を省略している。
【0034】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態に係るシート設置装置10は、例えば、折半屋根(対象物)1の劣化を防止するための保護シート(シート)2を折半屋根1の上面(対象面)1aに貼り付ける際に使用される。本実施形態のシート設置装置10は、折半屋根1の上面1a上を前方(所定方向)に移動させることによって上面1aに対して保護シート2を設置するシート設置装置である。
【0035】
折半屋根1は、金属の板を折り曲げ加工した屋根であって、山部3と谷部4とが交互に並んだ状態で所定方向に互いに平行に延びる。折半屋根1は、山部3の頂面5と、谷部4の底面6と、頂面5と底面6との間の傾斜面7とを有する。山部3の傾斜面7と谷部4の傾斜面7とは、共通している。すなわち、谷部4の底面6の幅方向の両側に傾斜面7が起立しており、当該傾斜面7が上記谷部4に隣接する山部3の頂面5の幅方向の端縁まで延びている。本実施形態では、折半屋根1の上面1aのうち谷部4に保護シート2を設置するためにシート設置装置10を使用する。シート設置装置10を使用して折半屋根1の上面1aに保護シート2を設置する際には、シート設置装置10を折半屋根1の山部3と谷部4とが互いに平行に延びる上記所定方向に沿って移動させる。なお、本開示における「傾斜面」とは、シート設置装置の幅方向(本実施形態では水平方向)に対して傾斜する面を意味する。
【0036】
保護シート2は、特に限定されるものではないが、防水性、耐候性、及び耐酸・耐アルカリ性、各種薬品耐性、対象物への粘着性、等の機能を有するものが適宜使用される。保護シート2は、折半屋根1の上面1aに設置される前の状態では、ロール状に巻回されたロール体2aとなっている。本実施形態の保護シート2の幅W1は、谷部4の底面6の幅W2と当該底面6に隣接する左右の傾斜面7の幅W3とを合わせた長さよりも短い(W1<W2+W3+W3)。すなわち、本実施形態では、保護シート2を設置する対象面(上面1a)は、略V状の形状を有する。なお、本明細書において「保護シート」とは、対象物を修繕、補修、補強、又は保護するためのシートをいう。また、シートは、上記保護シート2に限定されるものではなく、対象面に対して貼り付けるためのシートであれば、様々なシートを適用することができる。
【0037】
図1図6に示すように、シート設置装置10は、基台部11と、基台部11を支持する回転可能な左右の車輪12a,12bと、基台部11を支持する回転可能なシート押圧ローラ(シート押圧部)13と、基台部11の下方に配置されて基台部11に支持される型付け部14と、基台部11の上方に配置されて基台部11に支持されるシート保持部15と、幅方向に延びるシート掛け部16と、基台部11から起立するハンドル部17と、を備える。なお、以下の説明では、使用する際の状態(左右の車輪12a,12b及びシート押圧ローラ13を折半屋根1の谷部4の底面6に載置した状態(図1図2図5に示す状態))のシート設置装置10について説明する。また、以下の説明では、折半屋根1の山部3及び谷部4のことを単に「山部3」又は「谷部4」という場合がある。
【0038】
基台部11は、シート設置装置10のベースとなる部材であって、本実施形態では枠状に形成される。基台部11は、シート設置装置10の幅方向の両側に配置されて前後方向に延びる左右のサイドメンバ18と、左右のサイドメンバ18間で幅方向に延びて左右のサイドメンバ18同士を連結する複数(本実施形態では3つ)のクロスメンバ19a,19b,19cとを有する。複数のクロスメンバ19a,19b,19cのうち最も前側に位置する第1のクロスメンバ19aは、左右のサイドメンバ18の前端部同士を連結する。複数のクロスメンバ19a,19b,19cのうち最も後側に位置する第3のクロスメンバ19cは、左右のサイドメンバ18の後端部同士を連結する。複数のクロスメンバ19a,19b,19cのうち中間に位置する第2のクロスメンバ19bは、後側に位置する第3のクロスメンバ19cの前方近傍に配置され、左右のサイドメンバ18の中間部同士を連結する。
【0039】
左右の車輪12a,12bは、シート設置装置10を移動可能にするための車輪12a,12bであって、基台部11の前端部(本実施形態では第1のクロスメンバ19a)の幅方向の外端部の下方に配置され、幅方向に延びる軸を中心として回転可能であり、基台部11を下方から支持する。左右の車輪12a,12bは、後述するシート押圧ローラ13よりも前方の幅方向の両側に配置される。左右の車輪12a,12bの幅方向の中心同士の間隔W4は、折半屋根1の複数の谷部4のうち少なくとも1つの谷部4を挟む幅方向両側の谷部4の底面6の中心同士の間隔W5に設定される(図2参照)。本実施形態では、左右の車輪12a,12bの幅方向の中心同士の間隔W4は、1つの谷部4(シート押圧ローラ13を配置している谷部4)を挟む幅方向両側の谷部4の底面6の中心同士の間隔W5に設定される。左右の車輪12a,12bの幅は、谷部4の底面6の幅W2よりも短い長さに設定され、左右の車輪12a,12bは、谷部4の底面6上を転がることによって上記所定方向に沿って移動可能である。左右の車輪12a,12bの表面は、折半屋根1及び保護シート2の損傷防止の観点から、ゴムや樹脂等の弾性を有する部材であることが好ましい。なお、左右の車輪12a,12bは、基台部11に対して上下方向を軸として回転可能であってもよい。
【0040】
基台部11に対する左右の車輪12a,12bの上下距離は、左右の車輪12a,12bを折半屋根1の谷部4の底面6上に配置した状態で、基台部11が折半屋根1の山部3の頂面5よりも上方に位置するように設定される。なお、基台部11と左右の車輪12a,12bとの上下距離を調整可能な高さ調整手段を設けてもよい。高さ調整手段は、特に限定されるものではないが、例えば、基台部11側に雌ねじを有する上下方向に延びる開口を設け、左右の車輪12a,12b側に上記雌ねじに螺合可能な雄ねじを有する軸を設け、当該軸を基台部11に対して回転させることによって、高さ調整可能な高さ調整手段であってもよい。これにより、様々な深さの谷部4(又は様々な高さの山部3)を有する折半屋根1に対応することができる。また、山部3及び谷部4が水平方向に対して傾斜する方向に延びる折半屋根1に対して保護シート2を設置する場合、シート設置装置10を前下がりに移動させる際に、基台部11と左右の車輪12a,12bとの上下距離を長くなるように調整することによって、基台部11を水平(或いは水平に近い角度)にした状態で作業を行うことができる。
【0041】
また、左右の車輪12a,12bは、基台部11に対して着脱可能であってもよい。これにより、様々な幅の車輪12a,12bを準備しておき、谷部4の底面6の幅W2に応じた幅の車輪12a,12bに変更することができる。また、左右の車輪12a,12bを取り付けるための基台部11側の車輪取付部を、幅方向の異なる位置に複数組設けてもよい。この場合、左右の車輪12a,12bの取り付け位置を幅方向に異なる位置に変更することができるので、左右の車輪12a,12b間の間隔を変更することができ、複数の谷部4間(又は複数の山部3間)のピッチが異なる複数種の折半屋根1に対応することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、左右の車輪12a,12bを、基台部11の前端部に配置したが、これに限定されるものではなく、シート押圧ローラ13よりも前方の幅方向の両側であればよい。或いは、左右の車輪12a,12bを、シート押圧ローラ13よりも後方の幅方向の両側に配置してもよい。
【0043】
シート押圧ローラ13は、保護シート2を折半屋根1の上面1aに押圧するために使用されるとともに、シート設置装置10を移動可能にするために車輪としても使用されるローラである。シート押圧ローラ13は、基台部11の後端部(本実施形態では第3のクロスメンバ19c)の幅方向の中央部の下方に配置され、幅方向に延びる軸を中心として回転可能であり、基台部11を下方から支持する。シート押圧ローラ13の幅は、保護シート2の幅W1よりも短い。本実施形態のシート押圧ローラ13の幅は、谷部4の底面6の幅W2よりも短い長さ(本実施形態では僅かに短い長さ)に設定され、シート押圧ローラ13は、谷部4の底面6上を転がることによって上記所定方向に沿って移動可能である。シート押圧ローラ13が谷部4の底面6上を前方へ向かって転がる際には、シート押圧ローラ13の前方には、後述する型付け部14によって型がつけられた保護シート2が存在するので、シート押圧ローラ13は、保護シート2の上を転がることとなる。すなわち、シート押圧ローラ13は、谷部4の底面6上を前方へ向かって転がる際に、保護シート2を底面6との間に挟み、保護シート2を底面6に対して押圧する。このように、シート押圧ローラ13は、保護シート2を底面6との間に挟み、底面6に対して押圧するシート押圧部として機能する。シート押圧ローラ13の表面は、保護シート2の損傷防止の観点から、ゴムや樹脂等の弾性を有する部材であることが好ましい。なお、本実施形態では、シート押圧ローラ13の表面を、平面状としているが、これに限定されるものではなく、対象面の形状に対応する所望の形状にすることができる。
【0044】
基台部11に対するシート押圧ローラ13の上下距離は、シート押圧ローラ13を折半屋根1の谷部4の底面6上に配置した状態で、基台部11が折半屋根1の山部3の頂面5よりも上方に位置するように設定される。なお、基台部11とシート押圧ローラ13との上下距離を調整可能な高さ調整手段を設けてもよい。高さ調整手段は、特に限定されるものではないが、上述した左右の車輪12a,12bと同様に雌ねじと雄ねじとを用いた高さ調整手段であってもよい。これにより、様々な深さの谷部4(又は様々な高さの山部3)を有する折半屋根1に対応することができる。また、山部3及び谷部4が水平方向に対して傾斜する方向に延びる折半屋根1に対して保護シート2を設置する場合、シート設置装置10を前上がりに移動させる際に、基台部11とシート押圧ローラ13との上下距離を長くなるように調整することによって、基台部11を水平(或いは水平に近い角度)にした状態で作業を行うことができる。
【0045】
また、シート押圧ローラ13は、基台部11に対して着脱可能であってもよい。これにより、様々な幅のシート押圧ローラ13を準備しておき、谷部4の底面6の幅W2に応じた幅のシート押圧ローラ13に変更することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、シート押圧ローラ13を基台部11の後端部に配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、シート押圧ローラ13を基台部11の前後方向の中間部に配置してもよい。
【0047】
図1及び図2に示すように、型付け部14は、保護シート2をシート押圧ローラ13で押圧する前に、予め保護シート2が谷部4の底面6及び左右の傾斜面7に沿うように略V字形状(所定の形状)になるように保護シート2に型を付ける部分であって、シート押圧ローラ13の前方の谷部4の底面6に近接する位置に配置され、基台部11に支持される。本実施形態の型付け部14は、基台部11の第2のクロスメンバ19bの幅方向の中央部の下方に配置され、第2のクロスメンバ19bから垂下する棒状の支柱20の下端部に固定される。すなわち、本実施形態の型付け部14は、第2のクロスメンバ19bから垂下する支柱20を介して基台部11に支持される。型付け部14は、後述するシート掛け部16及びシート押圧ローラ13の双方に下方から接する仮想線L(図1に示す一点鎖線L)よりも下方に配置される。
【0048】
図6に示すように、本実施形態の型付け部14は、幅方向に延びる円柱状に形成され、支柱20の下端部に固定される。型付け部14の外周面のうち下端から前上方へ延びる領域(型付け部14の前下方の前面)は、保護シート2に当接するシート当接面21として機能する(図6(a)参照)。すなわち、シート当接面21は、型付け部14の下端から前上方へ向かって延びて、側面視において前方へ膨出するように湾曲している前面(型付け部14の前下方の前面)を含む。後述するように、保護シート2は、シート当接面21よりも前上方から案内されてシート当接面21に当接する。
【0049】
なお、本実施形態では、シート当接面21を側面視において前方へ膨出する湾曲面としたが、これに限定されるものではなく、例えば、側面視において下方から前上方へ向かって直線状に延びる傾斜面であってもよい。また、本実施形態では、シート当接面21を、型付け部14の下端から前上方へ向かって延びる前面のみによって構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、型付け部14の下端から後方へ平面状に延びる下面を設け、シート当接面21を、前面及び下面によって構成してもよい。
【0050】
シート当接面21の下端は、シート設置装置10の左右の車輪12a,12b及びシート押圧ローラ13を所定の平面に載置した状態で、上記所定の平面から僅かに離間するように配置される。すなわち、シート当接面21の下端は、保護シート2を折半屋根1の谷部4に設置する際に、谷部4の底面6から僅かに離間している。シート当接面21の下端は、幅方向に直線状に延びる。シート当接面21の下端の幅(型付け部14の下端の幅)は、保護シート2の幅W1よりも短い。本実施形態のシート当接面21の下端の幅は、谷部4の底面6の幅W2よりも短い長さに設定される(図5参照)。シート当接面21の下端の幅は、谷部4の底面6と傾斜面7との角部8(図2及び図5参照)と保護シート2との間に空間が生じない程度に、底面6の幅W2よりも僅かに短い長さに設定されることが好ましい。本実施形態のシート当接面21の幅は、上端から下端まで略同じ幅に設定される(図6(b)参照)。
【0051】
なお、本実施形態では、シート当接面21の幅を上端から下端まで略同じ幅に設定したが、これに限定されるものではない。例えば、保護シート2を谷部4の底面6及び傾斜面7に沿うように徐々に略V字状に型を付けるために、シート当接面21の幅を上端から下端に向かうほどに徐々に狭くなるように設定してもよい。この場合であっても、シート当接面21の下端の幅は、谷部4の底面6と傾斜面7との間の角部8と保護シート2との間に空間が生じない程度に、底面6の幅W2よりも僅かに短い長さに設定されることが好ましい。また、本実施形態では、シート当接面21の下端を、幅方向に直線状に延ばしたが、これに限定されるものではなく、対象面の形状に対応する所望の形状にすることができる。
【0052】
シート当接面21の幅方向の両端縁22は、保護シート2の損傷防止の観点から、角がなくなるように湾曲させることも可能である(図6(c)参照)。シート当接面21の幅方向の両端縁22の曲率半径は、0.5mm以上4mm以下であってよく、またさらに好ましくは1mm以上2mm以下であってもよい。なお、シート当接面21の幅方向の両端縁22を湾曲させなくてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、型付け部14を支持する支柱20を単に棒状に形成したが、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、型付け部14を支持する支柱20に、型付け部14からの衝撃を緩衝する緩衝機構30を設けてもよい。例えば、図7に示すように、緩衝機構30は、基台部11に固定されるシリンダ部31と、上端側がシリンダ部31にスライド移動可能に支持されて下端側が型付け部14を支持するピストン部32とを有してもよい。シリンダ部31の内部には、密閉された空間33が区画されてもよく、空間33にはエアーやオイル等が充填されていてもよい。なお、緩衝機構30は、上記構成に限定されるものではなく、型付け部14からの衝撃を緩衝可能であれば、他の構成(例えば、スプリングを使用した構成等)であってもよい。
【0054】
図1図4に示すように、シート保持部15は、ロール状に巻回された保護シート2を繰り出し可能に保持する部分であって、基台部11の上方に配置されて基台部11に下方から支持される。本実施形態のシート保持部15は、基台部11から起立する棒状の左右の脚部23の上端部に設けられる。左右の脚部23は、第2のクロスメンバ19bよりも前方に位置し、左右のサイドメンバ18の上面から、左右のサイドメンバ18に対して垂直方向に起立する。すなわち、シート保持部15は、左右の脚部23を介して基台部11に下方から支持される。シート保持部15は、保護シート2のロール体2aに設けられる軸棒24の両端部、又は保護シート2のロール体2aの中心に挿通可能な軸棒24の両端部を、着脱可能に支持する。これにより、シート保持部15は、ロール状に巻回された保護シート2を繰り出し可能に保持する。
【0055】
本実施形態の左右の脚部23は、前後の補強部材25,26によってそれぞれ支持される。前側の補強部材25は、後上方から前下方へ直線状に延びる部材であって、上端部が左右の脚部23の上端部に固定され、下端部が左右の脚部23よりも前方の左右のサイドメンバ18に固定される。後側の補強部材26は、左右のサイドメンバ18と略平行に前後方向に延びる部材であって、前端部が左右の脚部23の上端部に固定され、後端部が後述するハンドル部17のハンドル脚部17aに固定される。
【0056】
なお、本実施形態では、シート保持部15を棒状の左右の脚部23の上端部に設けたが、これに限定されるものではなく、型付け部14よりも上方に配置されて基台部11に支持されていれば、他の構成であってもよい。
【0057】
図1図4に示すように、シート掛け部16は、型付け部14に対して前上方から保護シート2を供給するための部材であって、幅方向に延びる棒状に形成される。シート掛け部16は、シート保持部15及び型付け部14よりも前方、かつシート保持部15と型付け部14との間の高さ位置に配置される。本実施形態のシート掛け部16は、基台部11の第1のクロスメンバ19aと第2のクロスメンバ19bとの間の前後位置(本実施形態では、第1のクロスメンバ19aの後方近傍)に配置され、その幅方向の両端部が左右のサイドメンバ18に支持される。保護シート2は、シート保持部15側から前下方へ繰り出された後、前下方のシート掛け部16に掛けられて後下方へ折り返され、型付け部14へ向かう。すなわち、シート掛け部16は、シート保持部15から前下方へ繰り出されて型付け部14へ向かう保護シート2を掛けるための部材である。なお、シート掛け部16の幅方向の両端部は、左右のサイドメンバ18に回転可能に支持されてもよい。
【0058】
シート掛け部16は、シート掛け部16に対する保護シート2の幅方向への移動を規制する幅方向両側のストッパ27を有していることが好ましい。本実施形態のストッパ27は、棒状に形成されたシート掛け部16よりも大径に形成される。左右のストッパ27間の距離は、保護シート2の幅W1よりも僅かに広く設定される。なお、シート掛け部16に左右のストッパ27を設けなくてもよい。
【0059】
図1図4に示すように、ハンドル部17は、シート設置装置10を作業員が手動で操作する際の操作部として機能する部分であって、基台部11から起立する左右のハンドル脚部17aと、左右のハンドル脚部17aの上端部間で幅方向に延びるハンドル把持部17bとを有する。なお、ハンドル部17の形状は、これに限定されるものではなく、シート設置装置10を作業員が手動で操作する際の操作部として機能する形状であればよい。例えば、第3のクロスメンバ19cの幅方向の中央部から起立する1本の棒状部材を設け、当該棒状部材をハンドル部として機能させてもよい。
【0060】
次に、シート設置装置10を使用して折半屋根1の谷部4に保護シート2を設置する際のシート設置作業について説明する。
【0061】
シート設置作業を行う際には、先ず、シート設置作業を行う折半屋根1の複数の谷部4間のピッチ(幅方向の離間距離)に対応したシート設置装置10を準備する。具体的には、左右の車輪12a,12b間の距離及びシート押圧ローラ13の位置が折半屋根1の複数の谷部4間のピッチに対応したシート設置装置10を準備する。
【0062】
次に、作業現場にシート設置装置10を移動した後、或いは移動する前に、保護シート2のロール体2aをシート設置装置10のシート保持部15にセットする。
【0063】
次に、シート設置装置10のシート押圧ローラ13を設置対象となる谷部4の底面6上に配置し、左右の車輪12a,12bを設置対象とは異なる谷部4の底面6上に配置する。なお、設置対象となる谷部4は、その谷部4への保護シート2の設置終了後に他の谷部4へ変更される。
【0064】
次に、シート保持部15に保持されたロール体2aから保護シート2を引き出す。引き出した保護シート2を、シート掛け部16の前側を上方から通してシート掛け部16に掛けた後、後下方へ更に引き出す。そして、保護シート2を型付け部14の下方を通した後、シート設置装置10を少し前進させて、保護シート2の幅方向の中央部の先端部を、谷部4の底面6とシート押圧ローラ13との間に挟む。この状態では、シート押圧ローラ13よりも前方の保護シート2の幅方向の中央部は、型付け部14のシート当接面21に当接している。この状態からシート設置装置10を前進させると、保護シート2の先端側がシート押圧ローラ13に押圧されているので、保護シート2は、ロール体2aから自動的に繰り出される(引き出される)。
【0065】
保護シート2が型付け部14のシート当接面21に対して前上方から供給され、型付け部14がシート掛け部16及びシート押圧ローラ13の双方に下方から接する仮想線L(図1参照)よりも下方に配置されるので、保護シート2は、型付け部14のシート当接面21によって略V字状に型付けられる。具体的には、保護シート2のうち型付け部14のシート当接面21に当接している部分では、保護シート2の幅方向の中央部(幅方向の一部)が、シート当接面21の下端によって谷部4の底面6に沿うように型付けられる。また、保護シート2のうち型付け部14のシート当接面21に当接しない幅方向の両側の領域は、シート掛け部16とシート押圧ローラ13とによって、型付け部14に対して上側に引かれているので、保護シート2が略V字状に型付けられる。このように、型付け部14は、シート保持部15から繰り出された保護シート2をシート押圧ローラ13で押圧する前にシート当接面21に当接させることによって所定の形状(本実施形態では、谷部4の底面6及び左右の傾斜面7に沿う略V字状)になるように型を付ける。なお、本実施形態では、上記所定の形状を、対象面に沿う形状としているが、対象面に沿う形状とは、対象面と全く同じ形状に限定されるものではなく、対象面の形状に近い大まかな形状を含む。
【0066】
型付け部14の下方を通過した保護シート2は、後方のシート押圧ローラ13によって押圧される。具体的には、保護シート2のうち型付け部14のシート当接面21に当接した幅方向の中央部分は、谷部4の底面6上に配置され、シート押圧ローラ13によって上方から押圧される。また、保護シート2のうち型付け部14のシート当接面21に当接しなかった幅方向の両側の領域は、その自重によって左右の傾斜面7に沿って設置される。
【0067】
保護シート2を折半屋根1の上面1aに貼り付ける方法は、特に限定されるものではない。例えば、保護シート2の裏面に粘着層を設けておき、当該粘着層に貼り付けられた剥離シートを剥がしながらシート設置装置10を前進させて保護シート2を折半屋根1の上面1aに設置することによって、保護シート2を折半屋根1の上面1aに貼り付けてもよい。或いは、折半屋根1の上面1aに接着剤を予め塗布した状態でシート設置装置10を前進させて保護シート2を折半屋根1の上面1aに設置することによって、保護シート2を折半屋根1の上面1aに貼り付けてもよい。
【0068】
上記のように構成されたシート設置装置10では、シート保持部15から繰り出された保護シート2を底面6との間に挟み、底面6に対して押圧するシート押圧ローラ13とを備える。このため、シート押圧ローラ13の幅を適切に設定することによって、平面以外の形状(谷部4の略V字状)を有する対象面に対して保護シート2を設置することができる。例えば、本実施形態では、シート押圧ローラ13の幅を保護シート2の幅W1よりも短く、かつ底面6の幅W2よりも短くすることによって、保護シート2の幅方向の中央側の一部を底面6上に設置することができ、保護シート2の幅方向の両側の領域を左右の傾斜面7に設置することができる。このように、シート設置装置10では、平面以外の形状(谷部4の略V字状)を有する対象面に対して保護シート2を設置することができる。
【0069】
また、型付け部14が、シート押圧ローラ13の前方の対象面(谷部4の底面6)に近接する位置に配置され、シート当接面21を有している。そして、型付け部14は、シート保持部15から繰り出された保護シート2をシート押圧ローラ13で押圧する前にシート当接面21に当接させることによって所定の形状(谷部4の底面6及び左右の傾斜面7に沿う略V字状)になるように型を付ける。これにより、例えば、谷部4の底面6と傾斜面7との間の角部8との間に隙間が発生しない形状に保護シート2を型付けることができるので、外観上の見栄えの低下等を防止することができる。
【0070】
また、型付け部14は、シート押圧ローラ13の前方の対象面(谷部4の底面6)に近接する位置に配置され、対象面に対して当接していないので、型付け部14で保護シート2に型を付ける際に、保護シート2が対象面に接着されてしまうことを防止することができる。このため、保護シート2が対象面に接着される前に、粘着力に邪魔されることなく容易に保護シート2に型を付けることができる。
【0071】
このように、本実施形態によれば、平面以外の形状(谷部4の略V字状)を有する対象面に対して対応可能なシート設置装置10を提供することができる。
【0072】
また、型付け部14のシート当接面21に、下方から前上方へ向かって延びる前面を含めることによって、型付け部14に対して前上方から供給される保護シート2を、シート当接面21によって滑らかに下方へ案内することができる。このため、シート当接面21による保護シート2の損傷を防止することができる。
【0073】
また、型付け部14のシート当接面21(型付け部14の前下方の前面)を、側面視において前方へ膨出するように湾曲させることによって、シート当接面21による保護シート2の損傷を更に好適に防止することができる。
【0074】
また、型付け部14のシート当接面21の幅方向の両端縁22を湾曲させることによって、シート当接面21の幅方向の両端縁22による保護シート2の損傷を防止することができる。
【0075】
また、シート押圧ローラ13よりも前方の幅方向の両側又は後方の幅方向の両側に左右の車輪12a,12bを設けることによって、シート設置装置10を移動させる際の左右方向への傾き(ローリング)を抑えることができる。
【0076】
また、シート掛け部16を、シート保持部15及び型付け部14よりも前方、かつシート保持部15と型付け部14との間の高さ位置に設けることによって、シート保持部15を型付け部14の前上方に配置しなくても、保護シート2を型付け部14のシート当接面21に対して前上方から供給することができる。このため、シート保持部15のレイアウトの自由度が高まる。
【0077】
また、シート掛け部16に対する保護シート2の幅方向への移動を規制する幅方向両側のストッパ27を設けることによって、型付け部14へ供給する保護シート2の幅方向へのズレを防止することができる。
【0078】
また、型付け部14からの衝撃を緩衝する緩衝機構30を設けることによって、保護シート2への過度の入力を抑えることができ、保護シート2の損傷を防止することができる。例えば、保護シート2を設置する対象面(谷部4の底面6)の凹凸等によって型付け部14が対象面に当接した際の保護シート2の損傷を防止することができる。
【0079】
また、シート押圧ローラ13の幅及びシート当接面21の下端の幅(型付け部14の下端の幅)は、谷部4の底面6の幅W2よりも短い長さに設定される。このため、シート押圧ローラ13の幅及び型付け部14の下端の幅を適切に設定することによって、谷部4の底面6と傾斜面7との間の角部8と保護シート2との間の隙間の発生を防止することができ、折半屋根1の谷部4に対して保護シート2を設置することができる。
【0080】
また、左右の車輪12a,12bの幅方向の中心同士の間隔W4は、1つの谷部4(シート押圧ローラ13を配置している谷部4)を挟む幅方向両側の谷部4の底面6の中心同士の間隔W5に設定される。すなわち、左右の車輪12a,12bは、シート押圧ローラ13を所定の谷部4の底面6上に配置した際に、上記所定の谷部4とは異なる谷部4の底面6上に位置するように配置される。これにより、左右の車輪12a,12bとシート押圧ローラ13とによって、シート設置装置10を谷部4の底面6に沿って移動させることができる。また、シート設置装置10を移動させる際の左右方向への傾き(ローリング)を抑えることができる。
【0081】
なお、本実施形態では、シート掛け部16にストッパ27を設けたが、ストッパ27を設けなくてもよい。
【0082】
また、本実施形態では、シート掛け部16を設けたが、シート掛け部16を設けなくてもよい。例えば、型付け部14に対して前上方から保護シート2を直接的に供給可能な位置にシート保持部15を設けた場合には、シート掛け部16を設けなくてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、左右の車輪12a,12bを、谷部4の底面6上を移動可能な位置に配置したが、これに限定されるものではない。例えば、シート押圧ローラ13を配置する谷部4の幅方向の両側に位置する山部3の頂面5上を移動可能な位置に、左右の車輪12a,12bを配置してもよい。
【0084】
また、本実施形態では、シート押圧ローラ13に加えて左右の車輪12a,12bを設けたが、シート押圧ローラ13を除く車輪数は2つに限定されるものではなく、1つであってもよいし、又は3つ以上であってもよい。或いは、シート押圧ローラ13以外に車輪を設けなくてもよい。例えば、シート押圧ローラ13以外に車輪を設けることなく、ハンドル部17を把持することによって、シート押圧ローラ13を1つの車輪としてシート設置装置10を手押し車のように操作してもよい。
【0085】
また、本実施形態では、シート設置装置10を手動で操作したが、駆動源は、手動に限定されるものではなく、例えば、左右の車輪12a,12b及び/又はシート押圧ローラ13を駆動するモータ等であってもよい。また、本実施形態では、シート設置装置10を手動で操作するためのハンドル部17を設けたが、上記モータ等の駆動源を設ける場合には、ハンドル部17を設けなくてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、折半屋根1の上面(対象面)1aの谷部4に保護シート(シート)2を設置するためにシート設置装置10を使用したが、これに限定されるものではない。シート設置装置10は、型付け部14の形状を適切に設定することによって、上記実施形態(折半屋根1の谷部4)とは異なる様々な形状の対象面に対応することができる。この場合、シート押圧ローラ13の表面の形状も、対象面に合わせて適切に設定することが好ましい。例えば、対象面が断面波形状である場合には、型付け部14のシート当接面21及びシート押圧ローラ13の表面の形状を波形にしてもよい。
【0087】
また、本実施形態では、略V字状の対象面(谷部4)にシートを設置するためにシート設置装置10を使用したが、平面状の対象面に対しても当然に使用することができる。すなわち、本開示によれば、平面のみならず、平面以外の形状(本実施形態では谷部4の略V字状)を有する対象面に対しても対応可能なシート設置装置10を提供することができる。
【0088】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のシート設置装置40は、シート押圧部の形状が第1実施形態と相違する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0089】
図8は、本発明の第2実施形態に係るシート設置装置の外観図である。図9は、第2実施形態に係るシート設置装置の要部の斜視図である。図10は、第2実施形態に係るシート設置装置を使用している状態を示す斜視図である。図11は、図10のXI-XI矢視断面図である。
【0090】
本実施形態に係るシート設置装置40は、例えば、上記第1実施形態と同様に、保護シート2を折半屋根1の上面1aに貼り付ける際に使用される。本実施形態のシート設置装置40は、折半屋根1の上面1a上を前方(所定方向)に移動させることによって上面1aに対して保護シート2を設置するシート設置装置である。折半屋根1の上面1aは、頂面5と底面6との間の傾斜面7を含む。すなわち、本実施形態のシート設置装置40は、傾斜面7を含む上面(対象面)1aに対して保護シート2を設置するシート設置装置である。
【0091】
図8及び図9に示すように、シート設置装置40は、アーム41と、アーム41の基端に固定されるベース部(支持部、底面押圧部(シート押圧部))42と、ベース部42の幅方向の両側に配置されてベース部42に傾斜面7側へ移動可能に支持される左右の傾斜面押圧部(シート押圧部)43と、左右の傾斜面押圧部43を傾斜面7側へ付勢するスプリング(移動手段)44とを備える。
【0092】
アーム41は、シート設置装置40を操作する際に作業者が把持するための操作部として機能する部分であって、本実施形態では棒状に形成される。なお、操作部の形状は、特に限定されるものではなく、様々な形状を適用することができる。
【0093】
ベース部42は、左右の傾斜面押圧部43を傾斜面7側へ移動可能に支持するための部分である。本実施形態では、ベース部42は、左右の傾斜面押圧部43を傾動可能に支持する。ベース部42の形状は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、ベース部42は、上下方向と交叉する板状に形成され、幅方向よりも前後方向に長く形成される。ベース部42は、ベース部42を水平の状態にするとアーム41が後方へ傾くように、アーム41に対して固定される。本実施形態のベース部42の幅方向の長さは、底面6の幅W2よりも短く設定される。これにより、本実施形態のベース部42は、後述するように、保護シート2の幅方向の一部を底面6との間に挟むことによって、保護シート2を底面6上に設置する底面押圧部(シート押圧部)としても機能する。本実施形態のベース部42の下面は、使用時に保護シート2に接触するので、保護シート2の損傷防止の観点から、柔軟性を有する部材(例えばカーペット状の部材等)であることが好ましい。
【0094】
なお、本実施形態では、ベース部42を、保護シート2を底面6上に設置する底面押圧部(シート押圧部)としても機能させたが、これに限定されるものではない。ベース部42は、少なくとも左右の傾斜面押圧部43を移動可能に支持するものであればよく、シート押圧部として機能しなくてもよい。
【0095】
左右の傾斜面押圧部43は、使用時に谷部4の幅方向両側の傾斜面7に対向する部分であって、傾斜面7に向かって移動可能にベース部42に支持される。本実施形態では、左右の傾斜面押圧部43は、ヒンジ45を介してベース部42に連結されて、ベース部42に傾動可能に支持される。左右の傾斜面押圧部43は、幅方向の内端部がベース部42に傾動可能に支持され、幅方向の外端側が上下方向に傾動可能となっている。本実施形態の左右の傾斜面押圧部43は、ベース部42と略同一平面上に位置する通常位置(図9に図示している位置)から、幅方向の外端側が上方へ傾動可能となっている。なお、左右の傾斜面押圧部43とベース部42とを傾動可能に連結する方法は、ヒンジ45に限定されるものではなく、例えば、板バネ等で傾動可能に連結してもよい。この場合、板バネは、傾斜面押圧部43を傾斜面7側へ移動させる移動手段としても機能する。
【0096】
左右の傾斜面押圧部43の形状は、特に限定されるものではないが、図8及び図9に示すように、左右の傾斜面押圧部43を通常位置に配置した状態で、幅方向の長さが前方から後方へ向かうほど広くなるように、平面視において三角形状であることが好ましい。左右の傾斜面押圧部43の下面は、使用時に保護シート2に接触するので、保護シート2の損傷防止の観点から、柔軟性を有する部材(例えばカーペット状の部材等)であることが好ましい。
【0097】
スプリング44は、ヒンジ45の軸に設けられ、左右の傾斜面押圧部43を通常位置へ付勢する。すなわち、スプリング44は、左右の傾斜面押圧部43の幅方向の外端側が通常位置から上方へ傾動した状態(図10及び図11参照)では、左右の傾斜面押圧部43を通常位置へ戻すように作用する。これにより、後述するように、シート設置装置40を使用する際に、スプリング44は、左右の傾斜面押圧部43を幅方向両側の傾斜面7側へ移動させる移動手段として機能する。
【0098】
なお、傾斜面押圧部43を傾斜面7側へ移動させる移動手段は、スプリング44に限定されるものではない。例えば、上述したように、左右の傾斜面押圧部43とベース部42とを傾動可能に連結するために、ヒンジ45に代えて板バネを設けた場合には、当該板バネを移動手段として機能させてもよい。或いは、折半屋根1が金属製である場合には、折半屋根1の上面1aに吸着可能な磁石を傾斜面押圧部43に設け、当該磁石を移動手段として機能させてもよい。
【0099】
また、シート設置装置40は、左右の傾斜面押圧部43の上方への傾動を所定の位置までに規制する傾動ストッパ46を備えていてもよい。本実施形態では、図11に示すように、傾動ストッパ46は、アーム41から下方へ延びてベース部42の後端部に連結される棒状部材47に対して固定され、棒状部材47から幅方向の両側へ延びる。左右の傾斜面押圧部43の上方への傾動は、傾動ストッパ46の先端に当接する位置(上記所定の位置)までに規制される。棒状部材47から幅方向外側への傾動ストッパ46の突出量は、谷部4の形状に応じて設定されてもよい。なお、傾動ストッパ46を設けなくてもよい。
【0100】
次に、シート設置装置40を使用して折半屋根1の谷部4に保護シート2を設置する際のシート設置作業について説明する。
【0101】
図10及び図11に示すように、シート設置作業を行う際には、先ず、保護シート2を谷部4に予め配置する。谷部4への保護シート2の配置は、シート設置装置40によるシート設置作業と同時にシート設置装置40の前方で行われてもよいし、或いは、シート設置作業よりも先に予め配置していてもよい。
【0102】
次に、作業者は、シート設置装置40のアーム41を把持し、ベース部42及び左右の傾斜面押圧部43を、下方の谷部4の保護シート2上に向かって移動させる。このとき、ベース部42が谷部4の底面6に向かうように移動させる。ベース部42及び左右の傾斜面押圧部43を、下方の谷部4に向かって移動させると、ベース部42の幅方向の両側に位置する左右の傾斜面押圧部43は、谷部4の幅方向の両側に位置する山部3に当接し、下方への移動が規制される。左右の傾斜面押圧部43の下方への移動が規制された状態で、更にベース部42を谷部4の底面6に向かって移動させると、左右の傾斜面押圧部43は、ベース部42に対して通常位置から上方へ相対的に傾動する。
【0103】
本実施形態では、シート設置装置40のベース部42を、底面押圧部(シート押圧部)としても機能させるので、谷部4の底面6との間に保護シート2を挟むように、ベース部42を谷部4の底面6上に配置する。そして、作業者は、アーム41を介してベース部42を下方へ向かって谷部4の底面6に対して押圧する。これにより、ベース部42は、保護シート2を谷部4の底面6との間に挟み、底面6に対して押圧する底面押圧部(シート押圧部)として機能する。
【0104】
ベース部42を谷部4の底面6上に配置すると、左右の傾斜面押圧部43は、谷部4の底面6の幅方向の両側に位置する傾斜面7との間に保護シート2を挟んだ状態で、傾斜面7に対向する。左右の傾斜面押圧部43は、スプリング44によって幅方向の外側へ向かって付勢されているので、保護シート2を傾斜面7との間に挟み、傾斜面7に対して押圧するシート押圧部として機能する。
【0105】
また、本実施形態では、ベース部42を谷部4の底面6上に配置した際に、上方へ傾動する左右の傾斜面押圧部43は、傾動ストッパ46の先端に幅方向の外側から当接する。これにより、左右の傾斜面押圧部43の幅方向内側への傾動は規制される。このため、作業者がアーム41を把持してベース部42を下方へ押圧すると、傾動ストッパ46の先端から左右の傾斜面押圧部43に対して下方への力が作用する。これにより、左右の傾斜面押圧部43は、スプリング44による付勢力に加えて、傾動ストッパ46から作用する力によって、保護シート2を傾斜面7に対して更に強力に押圧する。
【0106】
この状態で、作業者が、シート設置装置40を前方へ移動させると、保護シート2が谷部4の底面6及び幅方向両側の傾斜面7に沿って設置される。
【0107】
なお、保護シート2を折半屋根1の上面1aに設置する方法は、これに限定されるものではなく、上述したように、保護シート2の裏面に粘着層を設けておき、当該粘着層に貼り付けられた剥離シートを剥がしながらシート設置装置40を前進させて保護シート2を折半屋根1の上面1aに設置することによって、保護シート2を折半屋根1の上面1aに貼り付けてもよい。或いは、折半屋根1の上面1aに接着剤を予め塗布した状態でシート設置装置40を前進させて保護シート2を折半屋根1の上面1aに設置することによって、保護シート2を折半屋根1の上面1aに貼り付けてもよい。
【0108】
上記のように構成されたシート設置装置40では、傾斜面7に対向し、傾斜面7に対して保護シート2を設置する傾斜面押圧部43を備えるので、平面以外の形状(傾斜面7)を有する対象面に対して保護シート2を設置することができる。
【0109】
このように、本実施形態によれば、平面以外の形状(谷部4の傾斜面7)を有する対象面に対して対応可能なシート設置装置40を提供することができる。
【0110】
また、シート設置装置40は、傾斜面押圧部43を傾動可能に支持するベース部(支持部)42と、傾斜面押圧部43を傾斜面7側へ傾動(移動)させるスプリング(移動手段)44とを備えるので、保護シート2を傾斜面7に対して押し付けることができ、保護シート2と傾斜面7との間の隙間の発生を抑えることができる。これにより、保護シート2設置後の外観上の見栄えの低下等を防止することができる。
【0111】
また、傾斜面押圧部43は、ベース部42の幅方向の両側に設けられるので、谷部4の幅方向両側の傾斜面7に対して保護シート2を設置することができる。
【0112】
また、ベース部42は、谷部4の底面6に対向し、底面6に対して保護シート2を設置するので、1度の作業で、谷部4の底面6及び幅方向の両側の傾斜面7に対して、保護シート2を同時に設置することができる。
【0113】
なお、本実施形態では、傾斜面押圧部43を、ベース部42の幅方向の両側に設けたが、これに限定されるものではなく、幅方向のいずれか一方のみに設けてもよい。すなわち、傾斜面押圧部43は、幅方向の少なくとも一方側に設けられていればよい。
【0114】
また、本実施形態では、ベース部42は、傾斜面押圧部43を傾動可能に支持したが、これに限定されるものではなく、例えば、ベース部42は、予め傾斜した状態の傾斜面押圧部43を幅方向にスライド移動可能に支持してもよい。この場合、傾斜面押圧部43を傾斜面7側へ移動させる移動手段は、傾斜面押圧部43の全体を幅方向の外側へ付勢するスプリング等であってもよい。
【0115】
また、本実施形態では、傾斜面押圧部43を移動可能に支持するベース部42と、傾斜面押圧部43を傾斜面7側へ移動させる移動手段(本実施形態ではスプリング44)とを設けたが、これに限定されるものではなく、少なくとも傾斜面押圧部43を設けていればよい。例えば、谷部4の幅方向両側の傾斜面7に沿うように、所定の支持部材に対して固定的に設けられた傾斜面押圧部43であってもよい。
【0116】
また、本実施形態では、シート設置装置40にアーム41を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、車輪を有する台車の下方に傾斜面押圧部43を設け、或いは、車輪を有する台車の下方にベース部42及び傾斜面押圧部43を設け、上記台車を前方へ移動させてシート設置作業を行ってもよい。この場合、上記台車を移動させる方法は、手動に限定されるものではなく、モータ等の駆動源を設けて移動させてもよい。
【0117】
また、シート設置装置40の一部である傾斜面押圧部43を、上記第1実施形態のシート設置装置10のシート押圧ローラ13の前方又は後方に設けてもよい。この場合、傾斜面押圧部43をシート設置装置10の基台部11に対して固定的に設けてもよいし、或いは、基台部11に固定されたベース部に対して傾斜面押圧部43を移動可能に設け、傾斜面押圧部43を傾斜面7側へ移動させる移動手段を設けてもよい。
【0118】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のシート設置装置50は、山部を有する対象面に対してシートを設置する点で第1実施形態と相違する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0119】
図12は、本発明の第3実施形態に係るシート設置装置の外観図である。図13は、第3実施形態に係るシート設置装置の要部の斜視図である。図14は、第3実施形態に係るシート設置装置を使用している状態を示す説明図である。
【0120】
本実施形態に係るシート設置装置50は、例えば、嵌合式折半屋根(対象物)1Aの劣化を防止するための保護シート2を嵌合式折半屋根1A(図14参照)の上面(対象面)1Aaに貼り付ける際に使用される。本実施形態のシート設置装置50は、嵌合式折半屋根1Aの上面1Aa上を前方(所定方向)に移動させることによって上面1Aaに対して保護シート2を設置するシート設置装置である。嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaは、後述するように所定方向に延びる山部3Aを有する。すなわち、本実施形態のシート設置装置50は、所定方向に延びる山部3Aを有する上面(対象面)1Aaに対して保護シート2を設置するシート設置装置である。
【0121】
図14に示すように、嵌合式折半屋根1Aは、金属の板を折り曲げ加工した屋根であって、山部3Aと谷部4Aとが交互に並んだ状態で所定方向に互いに平行に延びる。嵌合式折半屋根1Aは、山部3Aの頂面5Aと、谷部4Aの底面6Aと、頂面5Aと底面6Aとの間の傾斜面7Aとを有する。山部3Aの傾斜面7Aと谷部4Aの傾斜面7Aとは、共通している。すなわち、山部3Aの頂面5Aの幅方向の両側に傾斜面7Aが起立しており、当該傾斜面7が上記山部3Aに隣接する谷部4Aの底面6Aの幅方向の端縁まで延びている。
【0122】
嵌合式折半屋根1Aは、複数のパネルを上記所定方向と交叉する方向(幅方向)に並べて、互いに連結可能となっている。図14に示すように、嵌合式折半屋根1Aは、所定のパネルPと隣接するパネルP’とを連結可能にするために、山部3Aの幅方向両側の傾斜面7Aの上端部が幅方向外側へ突出した状態で上記所定方向に延びている。傾斜面7Aは、山部3Aの頂面5Aの幅方向の外端部から下方の幅方向外側へ延びる上部領域7Aaと、上部領域7Aaの下端から下方の幅方向内側へ延びる段差領域7Abと、段差領域7Abの下端から外側下方(下方の幅方向外側)へ延びて谷部4Aの底面6Aの幅方向の外端部へ連続する下部領域7Acとを有する。図14に示すように、所定のパネルPの山部3Aの上端部(頂面5A、左右の上部領域7Aa、及び左右の段差領域7Ab)と、二点鎖線で示す隣接するパネルP’の上端部(頂面5A、左右の上部領域7Aa、及び左右の段差領域7Ab)とを嵌合することによって、所定のパネルPと隣接するパネルP’とが連結される。
【0123】
本実施形態では、嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaのうち山部3Aに保護シート2を設置するためにシート設置装置50を使用する。シート設置装置50を使用して嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaに保護シート2を設置する際には、シート設置装置50を嵌合式折半屋根1Aの山部3Aと谷部4Aとが互いに平行に延びる上記所定方向に沿って移動させる。
【0124】
図12及び図13に示すように、シート設置装置50は、アーム51と、アーム51の基端に固定されるベース部(支持部)52と、ベース部52に支持される頂面押圧部(シート押圧部)53と、ベース部52に傾斜面7A側へ移動可能に支持される左右の傾斜面押圧部(シート押圧部)54と、左右の傾斜面押圧部54を傾斜面7A側へ付勢するスプリング(移動手段)55とを備える。
【0125】
アーム51は、シート設置装置50を操作する際に作業者が把持するための操作部として機能する部分であって、本実施形態では棒状に形成される。なお、操作部の形状は、特に限定されるものではなく、様々な形状を適用することができる。
【0126】
ベース部52は、頂面押圧部53及び左右の傾斜面押圧部54を支持するための部分である。ベース部52は、ベース部52を水平の状態にするとアーム51が後方へ傾くように、アーム51の基端部に固定される。ベース部52の形状は、特に限定されるものではない。
【0127】
本実施形態のベース部52は、アーム51の基端部に固定されるフレーム部52aと、フレーム部52aの幅方向の両側から下方へ延びる傾斜面側支持部材52bとを有する。フレーム部52aは、フレーム部52aの下方に配置される頂面押圧部53を支持する。本実施形態では、フレーム部52aは、複数のスプリング56を介して頂面押圧部53を下方へ付勢した状態で弾性支持する。傾斜面側支持部材52bは、フレーム部52aの幅方向の両側に設けられ、左右の傾斜面押圧部54を傾斜面7A側(幅方向の内側)へ移動可能に支持する。すなわち、ベース部52は、傾斜面押圧部54を傾斜面7A側へ移動可能に支持する。傾斜面側支持部材52bの下端部は、傾斜面7Aに対向するように幅方向外側へ向かって傾斜している。傾斜面側支持部材52bの下端部の幅方向の内側には、左右の傾斜面押圧部54が配置される。本実施形態では、左右の傾斜面側支持部材52bは、複数のスプリング(移動手段)55を介して左右の傾斜面押圧部54を幅方向の内側へ付勢した状態で弾性支持する。
【0128】
頂面押圧部53は、山部3Aの頂面5Aに向かって保護シート2を押圧する部分であって、フレーム部52aの下方に配置される。本実施形態の頂面押圧部53は、後述する左右の傾斜面押圧部54よりも前方に配置される。頂面押圧部53は、保護シート2を頂面5Aとの間に挟むことによって、保護シート2を頂面5A上に設置する。本実施形態の頂面押圧部53は、下方へ開口する断面U状に形成されて前後方向に延びており、山部3Aの頂面5Aに保護シート2を押圧する第1の部分53aのみならず、頂面5Aの幅方向の両側の傾斜面7Aの上部領域7Aaに向かって保護シート2を押圧する第2の部分53bを含む。頂面押圧部53の下面は、使用時に保護シート2に接触するので、保護シート2の損傷防止の観点から、柔軟性を有する部材(例えばカーペット状の部材等)であることが好ましい。
【0129】
なお、本実施形態では、頂面押圧部53に、傾斜面7Aの上部領域7Aaに向かって保護シート2を押圧する第2の部分53bを含めたが、これに限定されるものではなく、少なくとも山部3Aの頂面5Aに保護シート2を押圧する第1の部分53aを含んでいればよい。また、本実施形態では、頂面押圧部53を左右の傾斜面押圧部54よりも前方に配置したが、これに限定されるものではなく、左右の傾斜面押圧部54と略同じ前後位置に配置してもよいし、或いは、左右の傾斜面押圧部54よりも後方に配置してもよい。また、本実施形態では、頂面押圧部53を1箇所設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、頂面押圧部53を前後の2箇所に設け、前後の頂面押圧部53の間の前後位置に左右の傾斜面押圧部54を配置してもよい。
【0130】
本実施形態では、頂面押圧部53の第2の部分53bは、幅方向に弾性変形可能に形成されており、シート設置装置50は、第2の部分53bの幅方向の位置を調節可能な調節機構57を備える。調節機構57は、ベース部52のフレーム部52aに支持され、頂面押圧部53の第2の部分53bの幅方向の外側に配置され、第2の部分53bを幅方向の内側へ押圧可能となっている。本実施形態では、調節機構57は、頂面押圧部53の左右の第2の部分53bに幅方向の外側から当接する左右の当接板57aと、左右の当接板57aを幅方向の内側へ押圧可能な左右の押圧部材57bと、左右の押圧部材57bを幅方向へ移動させる左右のボルト57cと、左右のボルト57cを支持する左右のボルト支持部材57dと、を有する。左右のボルト支持部材57dは、ベース部52のフレーム部52aの幅方向の両側に設けられ、フレーム部52aに固定される。ボルト57cを幅方向内側へ締め付けることによって、押圧部材57bが左右のボルト支持部材57dに対して幅方向内側へ移動して当接板57aを幅方向内側へ押圧し、頂面押圧部53の第2の部分53bを幅方向内側へ変形させることができる。これにより、シート設置装置50の使用時に、頂面押圧部53の第2の部分53bを傾斜面7Aの上部領域7Aa側へ、保護シート2を挟んだ状態で密着させることができる。なお、調節機構57の構成は、上記に限定されるものではなく、第2の部分53bの幅方向の位置を調節可能な構成であればよい。また、本実施形態では、シート設置装置50に調節機構57を設けたが、調節機構57を設けなくてもよい。
【0131】
左右の傾斜面押圧部54は、使用時に山部3Aの幅方向両側の傾斜面7A(下部領域7Ac)に対向する部分であって、傾斜面7Aに向かって移動可能にベース部52(傾斜面側支持部材52b)に支持される。左右の傾斜面押圧部54は、傾斜面7Aに対向する板状に形成されて、傾斜面側支持部材52bの下端部の幅方向の内側に配置され、傾斜面側支持部材52bの下端部に、傾斜面7Aと交叉する方向に移動可能に支持される。左右の傾斜面押圧部54は、頂面押圧部53よりも後方に配置される。左右の傾斜面押圧部54の形状は、特に限定されるものではない。また、左右の傾斜面押圧部54の幅方向の内側面は、使用時に保護シート2に接触するので、保護シート2の損傷防止の観点から、柔軟性を有する部材(例えばカーペット状の部材等)であることが好ましい。なお、本実施形態では、左右の傾斜面押圧部54を、頂面押圧部53よりも後方に配置したが、これに限定されるものではなく、頂面押圧部53と略同じ前後位置に配置してもよいし、或いは、頂面押圧部53よりも前方に配置してもよい。
【0132】
左右の傾斜面押圧部54の高さ位置は、使用時に左右の傾斜面押圧部54を傾斜面7Aに当接させた際に、左右の傾斜面押圧部54が傾斜面7Aの下部領域7Acのうちの上端部に当接する高さ位置であることが好ましく、左右の傾斜面押圧部54の上端が段差領域7Abの下方近傍に位置することがより好ましい。本実施形態では、後述するように、頂面押圧部53を山部3Aの頂面5Aにセットすると、頂面押圧部53の上方のスプリング56によって、ベース部52と共に左右の傾斜面押圧部54が上方へ引き上げられ、左右の傾斜面押圧部54の上端が段差領域7Abの下方近傍に配置される。
【0133】
図14に示すように、本実施形態では、傾斜面押圧部54の幅方向の外側面から、軸部58が傾斜面側支持部材52bの下端部に向かって延びている。軸部58の先端部には雄ねじが形成されており、軸部58の先端部は、傾斜面側支持部材52bの下端部に形成された挿通孔(図示省略)を挿通している。傾斜面側支持部材52bの下端部の挿通孔(図示省略)を挿通した軸部58の先端部には、ナット59が取り付けられる。傾斜面側支持部材52bと傾斜面押圧部54との間には、軸部58が挿通する状態でスプリング(移動手段)55が設けられる。なお、本実施形態では、ベース部(支持部)52は、傾斜面側支持部材52b及び軸部58を介して、傾斜面押圧部54を傾斜面7A側へ移動可能に支持したが、これに限定されるものではなく、傾斜面押圧部54を傾斜面7A側へ移動可能に支持していればよい。例えば、傾斜面押圧部54をベース部52に対してヒンジ等によって傾動可能に連結し、これにより、ベース部52が傾斜面押圧部54を傾斜面7A側へ移動可能に支持してもよい。
【0134】
スプリング55は、傾斜面側支持部材52bと傾斜面押圧部54との間に設けられ、傾斜面押圧部54を幅方向の内側へ付勢する。これにより、シート設置装置50を使用する際に、スプリング55は、傾斜面押圧部54を傾斜面7A側へ移動させる移動手段として機能する。
【0135】
なお、傾斜面押圧部54を傾斜面7A側へ移動させる移動手段は、スプリング55に限定されるものではない。例えば、嵌合式折半屋根1Aが金属製である場合には、嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaに吸着可能な磁石を傾斜面押圧部54に設け、当該磁石を移動手段として機能させてもよい。
【0136】
次に、シート設置装置50を使用して嵌合式折半屋根1Aの山部3Aに保護シート2を設置する際のシート設置作業について説明する。
【0137】
図14に示すように、シート設置作業を行う際には、先ず、保護シート2を山部3A上に予め配置する。山部3Aへの保護シート2の配置は、シート設置装置50によるシート設置作業と同時にシート設置装置50の前方で行われてもよいし、或いは、シート設置作業よりも先に予め配置していてもよい。
【0138】
次に、作業者は、シート設置装置50のアーム51を把持し、頂面押圧部53及び左右の傾斜面押圧部54を、下方の山部3Aの保護シート2上に向かって移動させる。このとき、頂面押圧部53が山部3Aの頂面5Aに向かうように移動させる。頂面押圧部53が山部3Aの頂面5Aの保護シート2に当接すると、スプリング55に付勢された左右の傾斜面押圧部54が傾斜面7Aの下部領域7Acの保護シート2に当接する。なお、以下の説明では、対象面(本実施形態では上面1Aa)に対して保護シート2を介して当接することを、単に対象面に当接するという場合がある。
【0139】
頂面押圧部53を山部3Aの頂面5Aに当接させると、ベース部52には、スプリング56からの上方への付勢力が作用する。スプリング56からの上方への付勢力がベース部52に作用すると、左右の傾斜面押圧部54が上方へ引き上げられ、左右の傾斜面押圧部54の上端が段差領域7Abの下方近傍に配置される(図14参照)。
【0140】
これにより、頂面押圧部53の第1の部分53aは、山部3Aの頂面5Aとの間に保護シート2を挟み、頂面5Aに対して押圧する。また、本実施形態では、頂面押圧部53の第2の部分53bの位置を調節する調節機構57を有するので、調節機構57によって第2の部分53bの位置を幅方向内側へ調節してもよい。頂面押圧部53の第2の部分53bは、傾斜面7Aの上部領域7Aaとの間に保護シート2を挟み、傾斜面7Aの上部領域7Aaに対して押圧する。また、左右の傾斜面押圧部54は、傾斜面7Aの下部領域7Acとの間に保護シート2を挟み、傾斜面7Aの下部領域7Acに対して押圧する。
【0141】
この状態で、作業者が、シート設置装置50を前方へ移動させると、保護シート2が山部3Aの頂面5A及び幅方向両側の傾斜面7Aに沿って設置される。
【0142】
なお、保護シート2を嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaに設置する方法は、これに限定されるものではなく、上述したように、保護シート2の裏面に粘着層を設けておき、当該粘着層に貼り付けられた剥離シートを剥がしながらシート設置装置50を前進させて保護シート2を嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaに設置することによって、保護シート2を嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaに貼り付けてもよい。或いは、嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaに接着剤を予め塗布した状態でシート設置装置50を前進させて保護シート2を嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaに設置することによって、保護シート2を嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaに貼り付けてもよい。
【0143】
上記のように構成されたシート設置装置50では、傾斜面押圧部54が、山部3Aの幅方向の一方側(本実施形態では両側)の傾斜面7Aに対して保護シート2を設置するように、幅方向の少なくとも一方側(本実施形態では両側)に設けられる。このため、平面以外の形状(傾斜面7A)を有する嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaに対して保護シート2を設置することができる。
【0144】
このように、本実施形態によれば、平面以外の形状(山部3Aの傾斜面7A)を有する対象面に対して対応可能なシート設置装置50を提供することができる。
【0145】
また、傾斜面押圧部54は、傾斜面7Aの少なくとも下部領域7Acに対向するように設けられる。このため、嵌合式折半屋根1Aのように、所定のパネルPと隣接するパネルP’とを連結可能にするために、山部3Aの幅方向両側の傾斜面7Aの上端部が幅方向外側へ突出した状態で上記所定方向に延びている場合であっても、段差領域7Abの下方の下部領域7Acに対して保護シート2を設置することができる。
【0146】
また、傾斜面押圧部54は、ベース部52の幅方向の両側に設けられるので、山部3Aの幅方向両側の傾斜面7Aに対して保護シート2を設置することができる。
【0147】
また、山部3Aの頂面5Aに対向し、頂面5Aに対して保護シート2を設置する頂面押圧部53を有するので、1度の作業で、山部3Aの頂面5A及び幅方向の両側の傾斜面7Aに対して、保護シート2を同時に設置することができる。
【0148】
また、傾斜面押圧部54を傾斜面7A側へ移動可能に支持するベース部(支持部)52と、傾斜面押圧部54を傾斜面7A側へ移動させるスプリング(移動手段)55と、を備える。このため、保護シート2を傾斜面7Aに対して押し付けることができ、保護シート2と傾斜面7Aとの間の隙間の発生を抑えることができる。これにより、保護シート2設置後の外観上の見栄えの低下等を防止することができる。
【0149】
また、頂面押圧部53を、ベース部52から下方へ付勢するスプリング56を有するので、頂面押圧部53を山部3Aの頂面5Aに当接させた際に、スプリング56からの上方への付勢力をベース部52に作用させることができる。これにより、左右の傾斜面押圧部54を上方へ引き上げることができ、左右の傾斜面押圧部54を段差領域7Abの下方近傍に配置することができる。したがって、傾斜面7Aの段差領域7Abと保護シート2との間の隙間の発生や、段差領域7Abにおける保護シート2の皺の発生を抑えることができ、保護シート2設置後の外観上の見栄えの低下等を防止することができる。
【0150】
なお、本実施形態では、傾斜面押圧部54を、ベース部52の幅方向の両側に設けたが、これに限定されるものではなく、幅方向のいずれか一方のみに設けてもよい。すなわち、傾斜面押圧部54は、幅方向の少なくとも一方側に設けられていればよい。
【0151】
また、本実施形態では、傾斜面押圧部54を移動可能に支持するベース部52と、傾斜面押圧部54を傾斜面7A側へ移動させる移動手段(本実施形態ではスプリング55)とを設けたが、これに限定されるものではなく、少なくとも傾斜面押圧部54を設けていればよい。例えば、山部3Aの幅方向両側の傾斜面7Aに沿うように、所定の支持部材に対して固定的に設けられた傾斜面押圧部54であってもよい。この場合、嵌合式折半屋根1Aの上記所定方向の一端から傾斜面押圧部54を嵌合させて、上記シート設置作業を行ってもよい。
【0152】
また、本実施形態では、シート設置装置50にアーム51を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、車輪を有する台車の下方に傾斜面押圧部54を設け、或いは、車輪を有する台車の下方に頂面押圧部53及び傾斜面押圧部54を設け、上記台車を前方へ移動させてシート設置作業を行ってもよい。この場合、上記台車を移動させる方法は、手動に限定されるものではなく、モータ等の駆動源を設けて移動させてもよい。
【0153】
また、本実施形態では、頂面押圧部53を設けたが、頂面押圧部53を設けることなく、傾斜面押圧部54を設けていてもよい。
【0154】
また、本実施形態では、所定のパネルPと隣接するパネルP’とを連結可能にするために、山部3Aの幅方向両側の傾斜面7Aの上端部が幅方向外側へ突出した状態で上記所定方向に延びている嵌合式折半屋根1Aの上面1Aaに対して保護シート2を設置するために、シート設置装置50を使用したが、これに限定されるものではない。例えば、上記第1実施形態の折半屋根1の上面1aに対して保護シート2を設置するために、シート設置装置50を使用してもよい。
【0155】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のシート設置装置60は、波板屋根1Bに対して保護シート2を設置する点で第1実施形態と相違する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0156】
図15は、本発明の第4実施形態に係るシート設置装置の概略的な外観斜視図である。図16は、第3実施形態に係るシート設置装置の概略的な側面図である。図17は、図16のシート設置装置をXVII方向から視た概略的な説明図である。
【0157】
図15図17に示すように、本実施形態に係るシート設置装置60は、例えば、波板屋根(対象物)1Bの劣化を防止するための保護シート(シート)2を波板屋根1Bの上面(対象面)1Baに貼り付ける際に使用される。本実施形態のシート設置装置60は、波板屋根1Bの上面1Ba上を前方(所定方向)に移動させることによって上面1Baに対して保護シート2を設置するシート設置装置である。
【0158】
波板屋根1Bは、山部3Bと谷部4Bとが交互に並ぶ波板で構成される屋根である。本実施形態では、シート設置装置60を使用して波板屋根1Bの上面1Baに保護シート2を設置する際には、シート設置装置60を波板屋根1Bの山部3Bと谷部4Bとが互いに平行に延びる方向と交叉する方向(所定方向)に沿って移動させる。
【0159】
本実施形態の保護シート(シート)2の裏面には、波板屋根1Bの上面1Baに接着するための粘着層が設けられ、当該粘着層には、保護するための剥離シート9が設けられる。保護シート2を設置する際には、粘着層から剥離シート9を剥がして設置する。
【0160】
図15図17に示すように、シート設置装置60は、基台部61と、基台部61を支持するクローラ62と、幅方向に延びるシート押圧部63と、基台部61に支持されるシート保持部64と、保護シート2から剥がした剥離シート9を巻き取る回収ロール9aを保持する回収ロール保持部65と、回収ロール保持部65に保持される回収ロール9aを回転させる回収ロール回転手段66と、基台部61の後部に設けられるハンドル部67と、を備える。
【0161】
基台部61は、シート設置装置60のベースとなる部材であって、本実施形態では下方へ開口する複数(本実施形態では3つ)のU状部材61aと、前後方向(所定方向)に延びてU状部材61a同士を連結する連結部材61bとによって形成される。
【0162】
クローラ62は、環状のベルト68と、ベルト68の内側に配置されてベルト68を回転可能に支持する複数の支持輪69とを有する。本実施形態のクローラ62は、基台部61の下端部の幅方向の両側に設けられて、基台部61を支持し、シート設置装置60を前後方向に移動可能とする。クローラ62の前後長さは、波板屋根1Bのピッチ(山部3B同士の距離)よりも長く設定される。ベルト68の材料は特に限定されるものではないが、保護シート2を保護する観点からゴム製であることが好ましい。クローラ62は、無限軌道、履帯、トラックベルト、キャタピラ(登録商標)等と称されることもある。なお、本実施形態では、クローラ62を、前後方向に長い形状としたが、これに限定されるものではなく、例えば、側面視三角形状のクローラ62であってもよい。
【0163】
シート押圧部63は、基台部61の下方の幅方向の内側に配置され、基台部61に上下方向に移動可能に支持される。本実施形態のシート押圧部63は、幅方向に延びる円柱状に形成され、基台部61の前端部の下方に配置される。
【0164】
シート押圧部63は、例えば、シート押圧部63から上方へ延びる軸部70と、基台部61に固定的に設けられて軸部70を上下にスライド移動可能に支持する筒状部71と、筒状部71の内部に配置されるコイルスプリング72とによって、基台部61に上下方向に移動可能に支持される。軸部70は、シート押圧部63の幅方向の中央部から上方へ延びる。筒状部71は、U状部材61aのうち幅方向に延びる部分に固定され、当該部分から下方へ延びる。筒状部71には下方から軸部70が挿入される。筒状部71内の軸部70よりも上方の空間には、コイルスプリング72が上下に弾性変形可能に配置される。シート押圧部63は、シート押圧部63の下端がクローラ62の下端よりも下方に位置する谷部押圧位置(図16参照)と、シート押圧部63の下端がクローラ62の下端と略同じ高さ位置に位置する山部押圧位置(図17参照)との間を、上下に移動可能に基台部61に支持される。すなわち、軸部70及び筒状部71の長さは、シート押圧部63が谷部押圧位置と山部押圧位置との間を移動可能な長さに設定される。谷部押圧位置は、波板屋根1Bの谷部4Bの底を押圧可能な高さ位置(図16参照)であり、山部押圧位置は、波板屋根1Bの山部3Bの頂きを押圧可能な高さ位置(図17参照)である。コイルスプリング72の長さ及び強さは、谷部押圧位置のシート押圧部63を下方の谷部4Bの底へ付勢する長さ及び強さに設定される。すなわち、コイルスプリング72は、シート押圧部63を下方の波板屋根1Bの上面1Ba側へ移動させる移動手段として機能する。
【0165】
なお、本実施形態では、基台部61に上下方向に移動可能に支持される1本の軸部70をシート押圧部63の幅方向の中央部に設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、軸部70をシート押圧部63の幅方向の両端部に設けてもよい。これにより、シート押圧部63を基台部61によって上下方向に移動可能に安定的に支持することができる。また、シート押圧部63を下方の波板屋根1Bの上面1Ba側へ移動させる移動手段は、コイルスプリング72に限定されるものではない。例えば、コイルスプリング72に代えて板バネ等の他のスプリングを移動手段として機能させてもよいし、或いはシート押圧部63を基台部61側から下方へ反発させる又は上面1Ba側へ吸着させる磁石を移動手段として機能させてもよい。
【0166】
シート押圧部63は、基台部61に上下方向に移動可能に支持されることによって、波板屋根1Bの上面1Baを、山部3B及び谷部4Bが延びる方向と交叉する方向(所定方向)に沿って移動可能である。すなわち、シート押圧部63は、波板屋根1Bの上面1Baの山部3B及び谷部4Bを乗り越えて上記所定方向に移動可能である。これにより、シート押圧部63は、保護シート2を波板屋根1Bの上面1Baとの間に挟み、保護シート2を上面1Baに対して押圧する。シート押圧部63の表面は、保護シート2の損傷防止の観点から、ゴムや樹脂等の弾性を有する部材であることが好ましい。
【0167】
また、シート押圧部63は、基台部61に対して着脱可能であってもよい。これにより、様々な幅や径のシート押圧部63を準備しておき、山部3B及び谷部4Bの形状に応じた幅や径のシート押圧部63に変更することができる。
【0168】
なお、本実施形態では、シート押圧部63を基台部61の前端部に配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、シート押圧部63を基台部61の前後方向の中間部、又は後端部に配置してもよい。
【0169】
シート保持部64は、ロール状に巻回された保護シート2を繰り出し可能に保持する部分であって、基台部61の上方に配置されて基台部61に下方から支持される。本実施形態のシート保持部64は、基台部61から起立する左右の脚部73の上端部に設けられる。シート保持部64は、保護シート2のロール体2aに設けられる軸棒24の両端部、又は保護シート2のロール体2aの中心に挿通可能な軸棒24の両端部を、着脱可能に支持する。これにより、シート保持部64は、ロール状に巻回された保護シート2を繰り出し可能に保持する。
【0170】
なお、本実施形態では、シート保持部64を基台部61から起立する左右の脚部73の上端部に設けたが、これに限定されるものではなく、シート押圧部63よりも上方に配置されて基台部61に支持される構成であれば、他の構成であってもよい。
【0171】
回収ロール保持部65は、シート保持部64から繰り出される保護シート2から剥がされた剥離シート9を巻き取る回収ロール9aを保持する部分である。本実施形態の回収ロール保持部65は、基台部61から起立する左右の脚部74の上端部に設けられる。回収ロール保持部65は、回収ロール9aに設けられる軸棒75の両端部、又は回収ロール9aの中心に挿通可能な軸棒75の両端部を、着脱可能に支持する。これにより、回収ロール保持部65は、保護シート2から剥がされた剥離シート9を巻き取り可能に、回収ロール9aを保持する。
【0172】
なお、本実施形態では、回収ロール保持部65を基台部61から起立する左右の脚部74の上端部に設けたが、これに限定されるものではなく、保護シート2から剥がされた剥離シート9を巻き取り可能な構成であれば、他の構成であってもよい。
【0173】
回収ロール回転手段66は、回収ロール保持部65に保持される回収ロール9aを巻取り方向(剥離シート9を巻き取る方向)に回転させる。回収ロール回転手段66は、特に限定されるものではないが、例えば、保護シート2のロール体2aの回転と回収ロール9aの回転とを連動させる連動部材(ギア又はベルト)であってもよい。或いは、保護シート2のロール体2aと連動させることなく、回収ロール9aを巻取り方向に回転させるモータ等であってもよい。本実施形態では、保護シート2のロール体2aの回転と回収ロール9aの回転とを連動させる連動部材を、回収ロール回転手段66として設けている。
【0174】
ハンドル部67は、シート設置装置60を作業員が手動で操作する際の操作部として機能する部分であって、基台部61の後端部に設けられる。ハンドル部67の形状は、特に限定されるものではなく、シート設置装置60を作業員が手動で操作する際の操作部として機能する形状であればよい。
【0175】
次に、シート設置装置60を使用して波板屋根1Bの上面1Baに保護シート2を設置する際のシート設置作業について説明する。
【0176】
シート設置作業を行う際には、先ず、作業現場にシート設置装置60を移動した後、或いは移動する前に、保護シート2のロール体2aをシート設置装置60のシート保持部64にセットする。
【0177】
次に、シート保持部64に保持されたロール体2aから保護シート2を引き出すとともに、保護シート2から剥離シート9を剥がし、剥離シート9の先端を回収ロール保持部65に保持される軸棒75にセットする。
【0178】
次に、シート押圧部63を上方へ持ち上げて、ロール体2aから引き出した保護シート2の先端部を、シート押圧部63の下方の上面1Baに貼り付ける。次に、シート押圧部63を上面1Baに貼り付けた保護シート2の先端部に上方から当接させて、シート押圧部63と上面1Baとの間に保護シート2を挟む。
【0179】
この状態からシート設置装置60を前進させると、保護シート2がロール体2aから自動的に繰り出され(引き出され)るとともに、シート押圧部63が保護シート2を上面1Baへ押圧しつつ波板屋根1Bの山部3Bと谷部4Bとを交互に乗り越えて前方へ移動する。これにより、保護シート2が上面1Baに設置される。また、シート設置装置60を前進させると、保護シート2がロール体2aから自動的に繰り出されるとともに、剥離シート9が保護シート2から自動的に剥がされて回収ロール9aとして巻き取られる。
【0180】
上記のように構成されたシート設置装置60では、保護シート2を波板屋根1Bの上面1Baとの間に挟み、上面1Baに対して押圧するシート押圧部63を備える。シート押圧部63は、上下方向に移動可能に支持され、幅方向に延びるので、波板屋根1Bの山部3B及び谷部4Bが延びる方向と交叉する方向(所定方向)に沿って保護シート2を設置することができる。
【0181】
このように、本実施形態によれば、平面以外の形状(山部3B及び谷部4B)を有する対象面に対して対応可能なシート設置装置60を提供することができる。
【0182】
また、ロール状に巻回された保護シート2を繰り出し可能に保持するシート保持部64を備えるので、シート設置装置60によるシート設置作業を行う前に保護シート2を波板屋根1Bの上面1Ba上に予め配置する必要がない。このため、シート設置装置60によるシート設置作業と同時にシート保持部64から保護シート2を繰り出すことができるので、作業効率が向上する。
【0183】
また、保護シート2から剥がされた剥離シート9を巻き取る回収ロール9aを保持する回収ロール保持部65を備えるので、保護シート2から剥がされた剥離シート9をシート設置装置60で回収することができる。
【0184】
また、回収ロール9aを巻取り方向に回転させる回収ロール回転手段66を備えるので、保護シート2から剥がされた剥離シート9の回収を容易に行うことができる。
【0185】
なお、本実施形態では、保護シート2に粘着層を設け、粘着層を保護する剥離シート9を設けたが、これに限定されるものではなく、粘着層及び剥離シート9を有しない保護シート2を、シート設置装置60を使用して波板屋根1Bの上面1Baに設置することもできる。
【0186】
また、本実施形態では、回収ロール保持部65及び回収ロール回転手段66を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、保護シート2に剥離シート9が設けられない場合には、回収ロール保持部65及び回収ロール回転手段66を設けなくてもよい。或いは、保護シート2に剥離シート9が設けられている場合であっても、回収ロール保持部65及び回収ロール回転手段66を設けなくてもよい。
【0187】
また、本実施形態では、シート保持部64を設け、シート設置装置60の前方への移動によって自動的に保護シート2を繰り出す構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、シート設置装置60にシート保持部64を設けることなく、シート設置装置60を前方へ移動させる前に、保護シート2を波板屋根1Bの上面1Ba上に予め配置しておき、その後、シート設置装置60を使用して保護シート2を上面1Baに押圧して上面1Ba上に設置してもよい。
【0188】
また、本実施形態では、シート設置装置60を手動で移動させたが、これに限定されるものではなく、例えばクローラ62を駆動可能なモータ等の駆動源を設けて移動させてもよい。
【0189】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のシート設置装置80は、波板屋根1Bに対して保護シート2を設置する点で第1実施形態と相違する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0190】
図18は、本発明の第5実施形態に係るシート設置装置の概略的な外観斜視図である。図19は、第5実施形態に係るシート設置装置の動作説明図である。
【0191】
図18及び図19に示すように、本実施形態に係るシート設置装置80は、例えば、波板屋根(対象物)1Bの劣化を防止するための保護シート(シート)2を波板屋根1Bの上面(対象面)1Baに貼り付ける際に使用される。本実施形態のシート設置装置80は、波板屋根1Bの上面1Ba上を前方(所定方向)に移動させることによって上面1Baに対して保護シート2を設置するシート設置装置である。
【0192】
波板屋根1Bは、山部3Bと谷部4Bとが交互に並ぶ波板で構成される屋根である。本実施形態では、シート設置装置80を使用して波板屋根1Bの上面1Baに保護シート2を設置する際には、シート設置装置80を波板屋根1Bの山部3Bと谷部4Bとが互いに平行に延びる方向と交叉する方向(所定方向)に沿って移動させる。
【0193】
本実施形態の保護シート(シート)2の裏面には、波板屋根1Bの上面1Baに接着するための粘着層が設けられ、当該粘着層には、保護するための剥離シート9が設けられる。保護シート2を設置する際には、粘着層から剥離シート9を剥がして設置する。
【0194】
図18及び図19に示すように、シート設置装置80は、枠状のメインフレーム(支持部材)81と、保護シート2を上面1Baへ押圧するシート押圧部82と、メインフレーム81に傾動可能に支持される傾動フレーム(傾動部材)83と、傾動フレーム83を前方へ付勢するスプリング(付勢手段)84と、保護シート2のロール体2aを保持するシート保持部85と、回収ロール9aを保持する回収ロール保持部86と、回収ロール9aを回転させる回収ロール回転手段87と、を備える。
【0195】
メインフレーム81は、シート設置装置80の各部材を支持する基本となる部分であって、上下方向に延びる左右のサイドメンバ81a,81bと、幅方向に延びて左右のサイドメンバ81a,81b同士を連結する複数(本実施形態では3つ)のクロスメンバ81c,81d,81eとを有する。クロスメンバ81c,81d,81eのうち最も上方に位置するクロスメンバ81cは、左右のサイドメンバ81a,81bの上端部同士を連結する。このクロスメンバ81cは、シート設置装置80の使用時にシート設置装置80を操作するために把持する把持部として機能してもよい。クロスメンバ81c,81d,81eのうち最も下方に位置するクロスメンバ81eは、左右のサイドメンバ81a,81bの下端部から上方へ離間した位置に配置され、左右のサイドメンバ81a,81b同士を連結する。クロスメンバ81c,81d,81eのうち中間に位置するクロスメンバ81dは、クロスメンバ81cとクロスメンバ81eとの間の高さ位置に配置され、左右のサイドメンバ81a,81b同士を連結する。左右のサイドメンバ81a,81bの下端部間には、後述するシート押圧部82が固定される。すなわち、メインフレーム81は、シート押圧部82から上方へ延びて、シート押圧部82を支持する支持部材として機能する。なお、本実施形態では、シート押圧部82を支持する支持部材として枠状のメインフレーム81を設けたが、支持部材の形状は枠状のメインフレーム81に限定されるものではなく、様々な形状を適用することができる。
【0196】
シート押圧部82は、波板屋根1Bの上面1Ba上を前方へ向かって移動する際に、保護シート2を上面1Baとの間に挟み、上面1Baに対して押圧する部分である。シート押圧部82は、左右のサイドメンバ81a,81b間で幅方向に延びるように形成され、左右のサイドメンバ81a,81bの下端部同士を連結する。本実施形態のシート押圧部82は、幅方向に延びる円柱状に形成される。シート押圧部82の表面は、保護シート2の損傷防止の観点から、ゴムや樹脂等の弾性を有する部材であることが好ましい。なお、シート押圧部82の形状は、円柱状に限定されるものではなく、少なくとも幅方向と直交する断面の下側の領域が下方へ膨出する円弧状の形状を有していればよい。
【0197】
傾動フレーム83は、シート押圧部82よりも前後方向の一側(本実施形態では後側)で波板屋根1Bの上面1Baに当接可能な当接部88を有し、メインフレーム81に対して幅方向に延びる軸CL1を中心として傾動可能に支持される。
【0198】
本実施形態の傾動フレーム83は、上下方向に延びる左右の棒状部材89と、左右の棒状部材89の下端部同士を連結する当接部88とを有する略U状に形成される。
【0199】
左右の棒状部材89の上端部は、メインフレーム81の左右のサイドメンバ81a,81bに幅方向に延びる軸CL1を中心として傾動可能に支持される。軸CL1は、左右のサイドメンバ81a,81bのうちシート押圧部82から上方へ離間した位置に配置される。左右の棒状部材89は、メインフレーム81の左右のサイドメンバ81a,81bの軸CL1の位置から後下方へ延びる。左右の棒状部材89の長さは、シート押圧部82を波板屋根1Bの上面1Baに当接させて、メインフレーム81を波板屋根1Bの上面1Baの鉛直方向に対して後方へ傾斜させた状態(図19参照)で、当接部88がシート押圧部82よりも後方で波板屋根1Bの上面1Baに当接する長さに設定される。
【0200】
当接部88は、傾動フレーム83のうち波板屋根1Bの上面1Baに当接する部分である。本実施形態の当接部88は、左右の棒状部材89間で幅方向に延びるように形成され、左右の棒状部材89の下端部同士を連結する。本実施形態の当接部88は、シート押圧部82と同様に、幅方向に延びる円柱状に形成される。当接部88の表面は、保護シート2の損傷防止の観点から、ゴムや樹脂等の弾性を有する部材であることが好ましい。
【0201】
なお、本実施形態では、左右の棒状部材89と当接部88とを有する略U状の傾動フレーム83を傾動部材として適用したが、傾動部材の形状はこれに限定されるものではなく、波板屋根1Bの上面1Baに当接する当接部を下端部に有し、上端部がメインフレーム81に傾動可能に支持されていればよい。
【0202】
スプリング84は、傾動フレーム83を前方へ付勢する付勢手段であって、メインフレーム81と傾動フレーム83との間で前後方向に延びる。スプリング84の前端部は、メインフレーム81の左右のサイドメンバ81a,81bのうち軸CL1よりも下方の位置に連結される。スプリング84の後端部は、傾動フレーム83の左右の棒状部材89に連結される。スプリング84が自然長のとき、傾動フレーム83の下端部の当接部88は、メインフレーム81の下端部のシート押圧部82から後方へ所定の距離離間している。傾動フレーム83の下端部の当接部88がメインフレーム81の下端部のシート押圧部82から後方へ上記所定の距離よりも長く後方へ離間すると、スプリング84が自然長から伸びて傾動フレーム83を前方へ付勢する。すなわち、スプリング84は、当接部88とシート押圧部82との前後距離が所定の距離以上離れると、傾動フレーム83を前方へ付勢する付勢手段として機能する。
【0203】
なお、本実施形態では、メインフレーム81と傾動フレーム83との間で前後方向に延びるスプリング84を、傾動フレーム83を前方へ付勢する付勢手段として機能させたが、付勢手段はこれに限定されるものではない。例えば、傾動フレーム83の軸CL1の部分に、ヒンジばねを設け、当該ヒンジばねを付勢手段として機能させてもよい。
【0204】
シート保持部85は、ロール状に巻回された保護シート2を繰り出し可能に保持する部分であって、メインフレーム81に支持される。本実施形態のシート保持部85は、メインフレーム81の左右のサイドメンバ81a,81bに固定される。シート保持部85は、左右のサイドメンバ81a,81bのうち傾動フレーム83の軸CL1よりも上方に配置される。シート保持部85は、保護シート2のロール体2aに設けられる軸棒24の両端部、又は保護シート2のロール体2aの中心に挿通可能な軸棒24の両端部を、着脱可能に支持する。これにより、シート保持部85は、ロール状に巻回された保護シート2を繰り出し可能に保持する。
【0205】
なお、本実施形態では、シート保持部85をメインフレーム81の左右のサイドメンバ81a,81bに設けたが、これに限定されるものではなく、メインフレーム81に支持される構成であれば、他の構成であってもよい。
【0206】
回収ロール保持部86は、シート保持部85から繰り出される保護シート2から剥がされた剥離シート9を巻き取る回収ロール9aを保持する部分である。本実施形態の回収ロール保持部86は、メインフレーム81の左右のサイドメンバ81a,81bに固定される。回収ロール保持部86は、左右のサイドメンバ81a,81bのうちシート保持部85よりも上方に配置される。回収ロール保持部86は、回収ロール9aに設けられる軸棒75の両端部、又は回収ロール9aの中心に挿通可能な軸棒75の両端部を、着脱可能に支持する。これにより、回収ロール保持部86は、保護シート2から剥がされた剥離シート9を巻き取り可能に、回収ロール9aを保持する。
【0207】
なお、本実施形態では、回収ロール保持部86をメインフレーム81の左右のサイドメンバ81a,81bのうちシート保持部85よりも上方に設けたが、これに限定されるものではなく、保護シート2から剥がされた剥離シート9を巻き取り可能な構成であれば、他の構成であってもよい。
【0208】
回収ロール回転手段87は、回収ロール保持部86に保持される回収ロール9aを巻取り方向(剥離シート9を巻き取る方向)に回転させる。回収ロール回転手段87は、特に限定されるものではないが、例えば、保護シート2のロール体2aの回転と回収ロール9aの回転とを連動させる連動部材(ギア又はベルト)であってもよい。或いは、保護シート2のロール体2aと連動させることなく、回収ロール9aを巻取り方向に回転させるモータ等であってもよい。本実施形態では、保護シート2のロール体2aと連動させることなく、回収ロール9aを巻取り方向に回転させるモータを、回収ロール回転手段87として設けている。
【0209】
次に、シート設置装置80を使用して波板屋根1Bの上面1Baに保護シート2を設置する際のシート設置作業について説明する。図19(a)は、メインフレーム81と傾動フレーム83との間の角度が小さい時の状態を、図19(b)は、メインフレーム81と傾動フレーム83との間の角度が大きい時の状態をそれぞれ示す。
【0210】
シート設置作業を行う際には、先ず、作業現場にシート設置装置80を移動した後、或いは移動する前に、保護シート2のロール体2aをシート設置装置80のシート保持部85にセットする。
【0211】
次に、図19(a)に示すように、シート設置装置80のシート押圧部82を波板屋根1Bの上面1Baのうち移動開始位置(例えば谷部4B)に配置し、傾動フレーム83の当接部88を、移動開始位置よりも後方の上面1Ba(例えば他の谷部4B)に配置する。このとき、スプリング84は、自然長又は自然長から僅かに伸びた状態であることが好ましい。
【0212】
次に、シート保持部85に保持されたロール体2aから保護シート2を引き出すとともに、保護シート2から剥離シート9を剥がし、剥離シート9の先端を回収ロール保持部86に保持される軸棒75にセットする。
【0213】
次に、シート押圧部82を上方へ持ち上げて、ロール体2aから引き出した保護シート2の先端部を、シート押圧部82の下方の上面1Baに貼り付ける。次に、シート押圧部82を上面1Baに貼り付けた保護シート2の先端部に上方から当接させて、シート押圧部82と上面1Baとの間に保護シート2を挟む。
【0214】
次に、メインフレーム81のクロスメンバ81c(図18参照)を把持して、クロスメンバ81cを下方へ押し下げると、傾動フレーム83の当接部88が谷部4Bに支持された状態で、メインフレーム81が軸CL1を中心として回転する。このとき、図19(a)に白抜き矢印Aで示すように、シート押圧部82が移動開始位置の前方に隣接する山部3Bの表面に沿って当該山部3Bを乗り越えるように、メインフレーム81を前方へ移動させる。このようにメインフレーム81を前方へ移動させると、保護シート2がロール体2aから自動的に繰り出され(引き出され)るとともに、シート押圧部82が保護シート2を山部3Bへ押圧しつつ、山部3Bを乗り越えて次の谷部4B(次の移動開始位置)へ移動する。これにより、シート設置装置80は、図19(a)に示す状態から図19(b)に示す状態になり、保護シート2がシート押圧部82の移動開始位置の前方に隣接する山部3B及び当該山部3Bの前方に隣接する谷部4Bに設置される。このとき、保護シート2がロール体2aから自動的に繰り出されるとともに、剥離シート9が保護シート2から自動的に剥がされて回収ロール9aとして巻き取られる。また、図19(b)に示す状態では、スプリング84が伸長しており、傾動フレーム83が前方へ付勢されている。
【0215】
次に、図19(b)に白抜き矢印Bで示すように、メインフレーム81のクロスメンバ81c(図18参照)を把持して、シート押圧部82を軸としてクロスメンバ81cを前方へ移動させる。シート押圧部82を軸としてクロスメンバ81cを前方へ移動させると、傾動フレーム83の当接部88が、前方に隣接する山部3Bに沿って上方へ移動する。傾動フレーム83の当接部88が前方の山部3Bを上方へ越えると、図19(b)に白抜き矢印Cで示すように、傾動フレーム83がスプリング84の付勢力によって軸CL1を中心として前方へ傾動し、傾動フレーム83の当接部88が、前方の谷部4Bへ移動する。これにより、シート設置装置80は、図19(b)に示す状態から図19(a)に示す状態になる。
【0216】
このような動作を繰り返すことによって、シート設置装置80を使用して波板屋根1Bの上面1Baに保護シート2を設置することができる。
【0217】
上記のように構成されたシート設置装置80では、シート押圧部82から上方へ延びて、シート押圧部82を支持するメインフレーム81と、メインフレーム81に傾動可能に支持される傾動フレーム83とを備え、傾動フレーム83が波板屋根1Bの上面1Ba当接する当接部88を有する。このため、メインフレーム81と傾動フレーム83との間の角度を広げたり縮めたりしつつ、シート押圧部82を前方へ移動させることができる。これにより、波板屋根1Bの山部3B及び谷部4Bが延びる方向と交叉する方向(所定方向)に沿って保護シート2を設置することができる。
【0218】
また、傾動フレーム83を前方へ付勢するスプリング84を備えるので、メインフレーム81と傾動フレーム83との間の角度を広げた後、谷部4Bへの当接部88の引っ掛かりを開放することによって傾動フレーム83を前方へ自動的に傾動させて、メインフレーム81と傾動フレーム83との間の角度を縮めることができる。これにより、傾動フレーム83を前方へ手動で移動させる場合とは異なり、作業効率を向上させることができる。
【0219】
このように、本実施形態によれば、平面以外の形状(山部3B及び谷部4B)を有する対象面に対して対応可能なシート設置装置80を提供することができる。
【0220】
また、ロール状に巻回された保護シート2を繰り出し可能に保持するシート保持部85を備えるので、シート設置装置80によるシート設置作業を行う前に保護シート2を波板屋根1Bの上面1Ba上に予め配置する必要がない。このため、シート設置装置80によるシート設置作業と同時にシート保持部85から保護シート2を繰り出すことができるので、作業効率が向上する。
【0221】
また、保護シート2から剥がされた剥離シート9を巻き取る回収ロール9aを保持する回収ロール保持部86を備えるので、保護シート2から剥がされた剥離シート9をシート設置装置80で回収することができる。
【0222】
また、回収ロール9aを巻取り方向に回転させる回収ロール回転手段87を備えるので、保護シート2から剥がされた剥離シート9の回収を容易に行うことができる。
【0223】
なお、本実施形態では、保護シート2に粘着層を設け、粘着層を保護する剥離シート9を設けたが、これに限定されるものではなく、粘着層及び剥離シート9を有しない保護シート2を、シート設置装置80を使用して波板屋根1Bの上面1Baに設置することもできる。
【0224】
また、本実施形態では、回収ロール保持部86及び回収ロール回転手段87を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、保護シート2に剥離シート9が設けられない場合には、回収ロール保持部86及び回収ロール回転手段87を設けなくてもよい。或いは、保護シート2に剥離シート9が設けられている場合であっても、回収ロール保持部86及び回収ロール回転手段87を設けなくてもよい。
【0225】
また、本実施形態では、シート保持部85を設け、シート設置装置80の前方への移動によって自動的に保護シート2を繰り出す構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、シート設置装置80にシート保持部85を設けることなく、シート設置装置80を前方へ移動させる前に、保護シート2を波板屋根1Bの上面1Ba上に予め配置しておき、その後、シート設置装置80を使用して保護シート2を上面1Baに押圧して上面1Ba上に設置してもよい。
【0226】
また、本実施形態では、傾動フレーム83をメインフレーム81の後方に配置したが、これに限定されるものではなく、傾動フレーム83をメインフレーム81の前方に配置してもよい。
【0227】
また、上記各実施形態に記載のシート設置装置10,40,50,60,80を使用してシートを設置する対象面を有する対象物は、折半屋根1、嵌合式折半屋根1A、及び波板屋根1Bに限定されるものではない。例えば、シート設置装置10,40,50,60,80を、折半屋根1、嵌合式折半屋根1A、及び波板屋根1Bとは異なる他の屋根(例えば、スレート屋根、ガルバリウム鋼板(登録商標)製の屋根、トタン屋根(亜鉛メッキ鋼板製屋根)、鉄に塗料を塗布した金属製の屋根、陸屋根(「りくやね」もしくは「ろくやね」)と呼ばれるものを含む、コンクリート製の屋根等)の対象面にシートを設置するために使用してもよいし、或いは、屋根とは異なるコンクリート構造物(例えば、橋脚、道路、建物等)や木製の構造物や石材からなる構造物等の対象面にシートを設置するために使用してもよい。
【0228】
また、上記各実施形態では、屋根の上面を対象面としたが、これに限定されるものではなく、例えば、内貼り等を行う建物の起立する壁面や天井面を対象面としてもよい。すなわち、シート設置装置10,40,50,60,80を使用する対象面によっては、シート設置装置10,40,50,60,80の上述した方向(前後方向、幅方向、及び上下方向)は、実際に使用する対象物の方向とは異なる場合がある。
【0229】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0230】
1:折半屋根(対象物)
1a:上面(対象面)
1A:嵌合式折半屋根(対象物)
1Aa:上面(対象面)
1B:波板屋根(対象物)
1Ba:上面(対象面)
2:保護シート(シート)
3,3A:山部
4,4A:谷部
6,6A:底面
7,7A:傾斜面
7Aa:上部領域
7Ab:段差領域
7Ac:下部領域
9:剥離シート
9a:回収ロール
10,40,50,60,80:シート設置装置
12a,12b:左右の車輪
13:シート押圧ローラ(シート押圧部)
14:型付け部
15,64,85:シート保持部
16:シート掛け部
21:シート当接面
27:ストッパ
30:緩衝機構
42:ベース部(支持部、底面押圧部(シート押圧部))
43,54:傾斜面押圧部(シート押圧部)
44,55:スプリング(移動手段)
52:ベース部(支持部)
53:頂面押圧部(シート押圧部)
81:フレーム(支持部材)
63,82:シート押圧部
83:傾動フレーム(傾動部材)
84:スプリング(付勢手段)
65,86:回収ロール保持部
66,87:回収ロール回転手段
図1
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