(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153638
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】強化無線電力伝送
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20241022BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241022BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/10
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024106854
(22)【出願日】2024-07-02
(62)【分割の表示】P 2023512231の分割
【原出願日】2021-07-23
(31)【優先権主張番号】63/068,768
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナルバント, メフメット ケー.
(72)【発明者】
【氏名】サファエ, アリレザ
(72)【発明者】
【氏名】ショーロス, ユッカ-ペッカ ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】アブハラフ, ザイド エー.
(72)【発明者】
【氏名】パストラナ, フアン カルロス
(72)【発明者】
【氏名】コスット, アレクセイ イー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通信規格に準拠する方法で送電機とネゴシエートして、標準の範囲を超える方法で動作する無線受電機及び該方法を提供する。
【解決手段】。無線電力伝送システム100は、誘導結合130を介して受電機(PRx)120に無線で電力を伝送する送電機(PTx)110を含む。送電機110は、インバータ114によって特定の電圧及び周波数特性を有するAC電圧に変換される入力電力を受け取る。インバータ114は、コントローラ/通信モジュール116によって制御する。インバータコントローラ及び通信モジュールは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどに基づくシステムなどの共通システム内に実装されてもよい。コントローラ/通信モジュールは、送電機コイルを監視し、そこから導出された情報を使用して、所与の状況に適切なようにインバータを制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線受電機であって、
無線送電機から電力を受け取るように構成された受電機コイルと、
前記受電機コイルに結合され、前記受電機コイルの両端間に現れるAC電圧を、負荷に送られるDC電圧に変換するように構成された整流器と、
前記受電機コイル及び前記整流器に結合された制御及び通信モジュールと、を備え、前記制御及び通信モジュールは、
前記受電機コイルを介して前記無線送電機から帯域内通信信号を受信し、
前記受電機コイルを介して前記送電機に送信される帯域内通信信号を生成するように前記整流器を動作させるように構成され、
前記受電機コイルを介して前記送電機に送信される前記帯域内通信信号は、前記受電機が標準通信プロトコルによって規定される周波数とは異なる周波数で動作することが可能であるという指示を含む、強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する通信を含む、無線受電機。
【請求項2】
前記強化又は拡張動作モードは、前記標準通信プロトコルによって規定された周波数又は電力レベルとは異なる周波数及び電力レベルのうちの1つ以上で動作することを含む、請求項1に記載の無線受電機。
【請求項3】
前記制御及び通信モジュールに結合されたNFC通信モジュールを更に備え、前記強化又は拡張動作モードは、前記無線送電機内の対応するNFC通信モジュールとのNFC通信を可能にするために無線電力伝送を遅延させることを含む、請求項1に記載の無線受電機。
【請求項4】
強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する前記通信は、前記無線受電機の1つ以上の強化機能を示す通信を含む、請求項1に記載の無線受電機。
【請求項5】
強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する前記通信は、前記無線送電機の1つ以上の強化機能を要求する通信を更に含む、請求項4に記載の無線受電機。
【請求項6】
強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する前記通信は、前記無線送電機の1つ以上の強化機能を確認応答する通信を更に含む、請求項5に記載の無線受電機。
【請求項7】
強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する前記通信は、前記無線送電機及び前記無線受電機のうちの少なくとも1つのユーザインターフェース機能に関係する通信を含む、請求項1に記載の無線受電機。
【請求項8】
無線送電機であって、
無線受電機に電力を送るように構成された送電機コイルと、
前記送電機コイルに結合され、入力電圧を前記送電機コイルに送られるAC電圧に変換するように構成されたインバータと、
前記送電機コイル及び前記インバータに結合された制御及び通信モジュールと、を備え、前記制御及び通信モジュールは、
前記送電機コイルを介して前記無線受電機から帯域内通信信号を受信し、
前記送電機コイルを介して前記受電機に送信される帯域内通信信号を生成するように前記インバータを動作させるように更に構成され、
前記無線受電機から受信された前記帯域内通信信号は、前記受電機が標準通信プロトコルによって規定された周波数とは異なる周波数で動作することができることを示す標準通信プロトコルに準拠した通信を含み、前記受電機に送信された前記帯域内通信信号は、前記受電機が前記標準通信プロトコルによって規定された周波数とは異なる周波数で動作し、前記標準通信プロトコルによって規定された周波数とは異なる周波数で動作することを含む強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートすることができることの確認応答を含む、無線送電機。
【請求項9】
前記強化又は拡張動作モードは、前記標準通信プロトコルによって規定される電力レベルとは異なる電力レベルで動作することを更に含む、請求項8に記載の無線送電機。
【請求項10】
前記制御及び通信モジュールに結合されたNFC通信モジュールを更に備え、前記強化又は拡張動作モードは、前記無線受電機内の対応するNFC通信モジュールとのNFC通信を可能にするために無線電力伝送を遅延させることを含む、請求項8に記載の無線送電機。
【請求項11】
強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する前記通信は、前記無線送電機の1つ以上の強化機能を示す通信を含む、請求項8に記載の無線送電機。
【請求項12】
強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する前記通信は、前記無線受電機の1つ以上の強化機能を要求する通信を更に含む、請求項11に記載の無線送電機。
【請求項13】
強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する前記通信は、前記無線受電機の1つ以上の強化機能を確認応答する通信を更に含む、請求項12に記載の無線送電機。
【請求項14】
強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する前記通信は、前記無線送電機及び前記無線受電機のうちの少なくとも1つのユーザインターフェース機能に関係する通信を含む、請求項8に記載の無線送電機。
【請求項15】
無線送電機又は無線受電機であるデバイスと相手デバイスとの間の無線電力伝送をネゴシエートする方法であって、
標準通信プロトコルを使用して前記相手デバイスとの通信を開始することと、
前記標準通信プロトコルを使用して前記デバイスの1つ以上の強化機能を前記相手デバイスに通信することであって、前記1つ以上の強化機能は、前記標準通信プロトコルによって規定された周波数とは異なる周波数で動作する機能を含む、ことと、
前記相手デバイスも前記1つ以上の強化機能の各々に従って動作することが可能であるかどうかを判定することと、
前記相手デバイスが前記強化機能のうちの1つ以上に従って動作することができない場合、標準モードで動作するか、又は
前記相手デバイスが前記強化機能のうちの1つ以上に従って動作することができる場合、前記強化機能のうちの1つ以上を含む合意された強化モードへの移行をネゴシエートすることと、を含む、方法。
【請求項16】
前記デバイスとその相手との間の前記通信は、帯域内通信である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記強化機能は、前記標準通信プロトコルによって規定された電力レベルとは異なる電力レベルで動作する能力を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記強化機能はNFC通信機能を含み、前記強化モードは、NFC通信を可能にするために無線電力伝送を遅延させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記強化機能は、ユーザインターフェース機能を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記合意された強化モードは、どのデバイスが無線電力伝送の状態に関する情報をユーザに提供するかについての、前記デバイスとその相手との間の合意を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
無線受電機であって、
無線送電機から電力を受け取るように構成された受電機コイルと、
前記受電機コイルの両端間に現れるAC電圧を、負荷に送られるDC電圧に変換するように構成された、前記受電機コイルに結合された整流器と、
前記受電機コイル及び前記整流器に結合された制御及び通信モジュールと、を備え、前記制御及び通信モジュールは、
前記受電機コイルを介して前記無線送電機から帯域内通信信号を受信し、
前記受電機コイルを介して前記送電機に送信される帯域内通信信号を生成するように前記整流器を動作させるように構成され、
前記受電機コイルを介して前記送電機に送信される前記帯域内通信信号は、複数の動作周波数から選択された動作周波数での動作をネゴシエートする通信を含む、無線受電機。
【請求項22】
前記帯域内通信信号は、標準通信プロトコルに準拠する、請求項21に記載の無線受電機。
【請求項23】
前記帯域内通信信号は、複数の電力レベルから選択された電力レベルでの動作をネゴシエートする通信を含む、請求項22に記載の無線受電機。
【請求項24】
前記複数の電力レベルのうちのより高い電力レベルは、前記複数の動作周波数のうちのより高い動作周波数に対応し、前記複数の電力レベルのうちのより低い電力レベルは、前記複数の動作周波数のうちのより低い動作周波数に対応する、請求項23に記載の無線受電機。
【請求項25】
前記帯域内通信信号は、複数の電力レベルから選択された電力レベルでの動作をネゴシエートする通信を含む、請求項21に記載の無線受電機。
【請求項26】
前記制御及び通信モジュールに結合されたNFC通信モジュールを更に備え、前記帯域内通信信号は、前記無線送電機内の対応するNFC通信モジュールとのNFC通信を可能にするために無線電力伝送における遅延をネゴシエートする通信を含む、請求項21に記載の無線受電機。
【請求項27】
前記帯域内通信は、前記無線送電機及び前記無線受電機のうちの少なくとも1つのユーザインターフェース機能に関係する通信を含む、請求項21に記載の無線受電機。
【請求項28】
無線送電機であって、
無線受電機に電力を送るように構成された送電機コイルと、
前記送電機コイルに結合され、入力電圧を前記送電機コイルに送られるAC電圧に変換するように構成されたインバータと、
前記送電機コイル及び前記インバータに結合された制御及び通信モジュールと、を備え、前記制御及び通信モジュールは、
前記送電機コイルを介して前記無線受電機から帯域内通信信号を受信し、
前記送電機コイルを介して前記受電機に送信される帯域内通信信号を生成するように前記インバータを動作させるように更に構成され、
前記無線受電機から受信された前記帯域内通信信号は、複数の動作周波数から選択された動作周波数での動作をネゴシエートする通信を含む、無線送電機。
【請求項29】
前記帯域内通信信号は、標準通信プロトコルに準拠する、請求項28に記載の無線送電機。
【請求項30】
前記帯域内通信信号は、複数の電力レベルから選択された電力レベルでの動作をネゴシエートする通信を含む、請求項29に記載の無線送電機。
【請求項31】
前記複数の電力レベルのうちのより高い電力レベルは、前記複数の動作周波数のうちのより高い動作周波数に対応し、前記複数の電力レベルのうちのより低い電力レベルは、前記複数の動作周波数のうちのより低い動作周波数に対応する、請求項30に記載の無線送電機。
【請求項32】
前記帯域内通信信号は、複数の電力レベルの中から選択された電力レベルでの動作をネゴシエートする通信を含む、請求項28に記載の無線送電機。
【請求項33】
前記制御及び通信モジュールに結合されたNFC通信モジュールを更に備え、前記帯域内通信信号は、前記無線受電機内の対応するNFC通信モジュールとのNFC通信を可能にするために無線電力伝送における遅延をネゴシエートする通信を含む、請求項28に記載の無線送電機。
【請求項34】
前記帯域内通信信号は、前記無線送電機及び無線受電機のうちの少なくとも1つのユーザインターフェース機能に関係する通信を含む、請求項28に記載の無線送電機。
【請求項35】
無線送電機又は無線受電機であるデバイスと相手デバイスとの間の無線電力伝送をネゴシエートする方法であって、
前記相手デバイスとの通信を開始することと、
前記デバイスの1つ以上の機能を前記相手デバイスに通信することであって、前記1つ以上の機能は、複数の動作周波数で動作する機能を含む、ことと、
前記相手デバイスが前記複数の動作周波数の各々で動作することが可能であるかどうかを判定することと、
前記相手デバイスが第1の動作周波数で動作することが可能である場合、前記複数の動作周波数の中から前記第1の動作周波数を選択することと、又は
前記相手デバイスが第2の動作周波数で動作することができるが、前記第1の動作周波数で動作することができない場合、前記複数の動作周波数の中から前記第2の動作周波数を選択することと、を含む、方法。
【請求項36】
前記デバイスとその相手との間の通信は、標準通信プロトコルに準拠した帯域内通信である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記機能は、複数の電力レベルで動作する能力を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記複数の電力レベルの各々は、前記複数の動作周波数のうちの1つに対応する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記機能は、NFC通信機能を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記機能は、ユーザインターフェース機能を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記無線送電機と前記無線受電機との間の合意されたモードは、どのデバイスが無線電力伝送の状態に関する情報をユーザに提供するかについての合意を含む、請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
誘導電力伝送(「IPT」)としても知られることがある無線電力伝送(「WPT」)は、近年、いくつかの用途においてより普及している。WPT/IPTの使用が増加している1つの用途は、携帯電話(すなわち、スマートフォン)及びそれらのアクセサリ(例えば、無線イヤホン、スマートウォッチなど)、並びにタブレット及び他のタイプのポータブルコンピュータ及びそれらのアクセサリ(例えば、スタイラスなど)などのデバイスの周りの家電空間である。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの実施形態では、無線受電機は、規格に準拠する方法で送電機とネゴシエートして、標準の範囲を超える方法で動作することができる。
【0003】
無線受電機は、無線送電機から電力を受け取るように構成された受電機コイルと、受電機コイルに結合され、受電機コイルの両端間に現れるAC電圧を、負荷に送られるDC電圧に変換するように構成された整流器と、受電機コイル及び整流器に結合された制御及び通信モジュールと、を含むことができる。コントローラ及び通信モジュールは、受電機コイルを介して無線送電機から帯域内通信信号を受信し、整流器を動作させて、受電機コイルを介して送電機に送信される帯域内通信信号を生成するように更に構成され得る。帯域内通信信号は、強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する通信を含むことができる。強化又は拡張動作モードは、標準通信プロトコルによって規定された周波数又は電力レベルとは異なる周波数及び電力レベルのうちの1つ以上で動作することを含むことができる。
【0004】
無線受電機は、制御及び通信モジュールに結合されたNFC通信モジュールを更に含むことができる。その場合、強化又は拡張動作モードは、無線送電機内の対応するNFC通信モジュールとのNFC通信を可能にするために無線電力伝送を遅延させることを含むことができる。強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する通信は、受電機の1つ以上の強化機能を示す通信を含むことができる。強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する通信は、送電機の1つ以上の強化機能を要求する通信を更に含むことができる。強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する通信は、送電機の1つ以上の強化機能を確認応答する通信を更に含むことができる。強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する通信は、送電機及び受電機のうちの少なくとも1つのユーザインターフェース機能に関係する通信も含むことができる。
【0005】
無線送電機は、無線受電機に電力を送るように構成された送電機コイルと、送電機コイルに結合され、入力電圧を送電機コイルに送られるAC電圧に変換するように構成されたインバータと、送電機コイル及びインバータに結合された制御及び通信モジュールと、を含むことができる。コントローラ及び通信モジュールは、送電機コイルを介して無線受電機から帯域内通信信号を受信し、インバータを動作させて、送電機コイルを介して受信された電力に送られる帯域内通信信号を生成するように更に構成され得る。帯域内通信信号は、強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する通信を含むことができる。強化又は拡張動作モードは、標準通信プロトコルによって規定された周波数又は電力レベルとは異なる周波数又は電力レベルで動作することを含むことができる。
【0006】
無線送電機は、制御及び通信モジュールに結合されたNFC通信モジュールを更に含むことができる。その場合、強化又は拡張動作モードは、無線受電機内の対応するNFC通信モジュールとのNFC通信を可能にするために無線電力伝送を遅延させることを含むことができる。標準通信プロトコルに準拠する通信は、送電機の1つ以上の強化機能を示す通信を含む、強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートすることを含むことができる。強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する通信は、受電機の1つ以上の強化機能を要求する通信を更に含むことができる。強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する通信は、受電機の1つ以上の強化機能を確認応答する通信を更に含むことができる。強化又は拡張動作モードへの移行をネゴシエートする標準通信プロトコルに準拠する通信は、送電機及び受電機のうちの少なくとも1つのユーザインターフェース機能に関係する通信も含むことができる。
【0007】
無線送電機又は無線受電機と相手デバイスとの間の無線電力伝送をネゴシエートする方法は、標準通信プロトコルを使用して相手デバイスとの通信を開始することと、標準通信プロトコルを使用してデバイスの1つ以上の強化機能を相手デバイスに通信することと、相手デバイスも1つ以上の強化機能の各々に従って動作することができるかどうかを判定することと、を含むことができる。相手デバイスが強化機能のうちの1つ以上に従って動作することができない場合、本方法は、標準モードで動作することを更に含むことができる。代替的に、相手デバイスが強化機能のうちの1つ以上に従って動作することができる場合、本方法は、強化機能のうちの1つ以上を含む合意された強化モードへの移行をネゴシエートすることを更に含むことができる。デバイスとその相手との間の通信は、帯域内通信又は帯域外通信であり得る。強化機能は、標準通信プロトコルによって規定される周波数又は電力レベルとは異なる周波数又は電力レベルで動作する能力を含み得る。強化機能は、NFC通信機能を含み得、強化モードは、NFC通信を可能にするために無線電力伝送を遅延させることを含む。強化機能はまた、送電機又は受電機デバイスのユーザインターフェース機能を含み得、その場合、合意された強化モードは、どのデバイスが無線電力伝送の状態に関する情報をユーザに提供するかについて、デバイスとその相手との間の合意を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【0009】
【
図2A】強化/拡張無線電力伝送モードで動作するための無線電力伝送ネゴシエーションを示す。
【
図2B】強化/拡張無線電力伝送モードで動作するための無線電力伝送ネゴシエーションを示す。
【
図2C】強化/拡張無線電力伝送モードで動作するための無線電力伝送ネゴシエーションを示す。
【
図2D】強化/拡張無線電力伝送モードで動作するための無線電力伝送ネゴシエーションを示す。
【
図2E】強化/拡張無線電力伝送モードで動作するための無線電力伝送ネゴシエーションを示す。
【0010】
【
図3】強化/拡張無線電力伝送モードのための受電機側ネゴシエーションのフローチャートを示す。
【0011】
【
図4】強化/拡張無線電力伝送モードのための送電機側ネゴシエーションのフローチャートを示す。
【0012】
【
図5】強化/拡張無線電力伝送モードに関連付けられたNFC走査プロセスのフローチャートを示す。
【0013】
【
図6】強化/拡張無線電力伝送モードで動作するための電力伝送ネゴシエーションの高レベルフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載では、説明を目的として、開示された概念に対する理解を深めるために、多くの具体的な詳細を説明している。この記載の一部として、本開示の図面のいくつかは、簡潔化のため、構造及びデバイスをブロック図の形態で表す。また、明確性の点から、本開示においては、実際の実装形態の全ての特徴が説明されているわけではない。更に、本明細書において使用される文言は、読みやすさ及び説明の目的で選択されたものであり、開示された主題を限定又は制限するために選択されたものではない。むしろ、添付の特許請求の範囲はそのような目的のために意図されている。
【0015】
本開示のコンセプトの各種実施形態は、同種の参照記号が同様の要素を示す添付図面において、限定ではなく例示を目的として示される。例示の簡潔化と明確化のために、適宜、参照番号は、対応する要素又は類似の要素を示すために図面の中で繰り返されている。また、本明細書に記載される通り、実装形態の完全な理解を提供するために、数多くの具体的な詳細が記載されている。他の例では、説明されている関連する関連機能を不明瞭にしないように、方法、手順、及び構成要素は詳細に説明されていない。本開示における「ある(an)」、「1つの(one)」、又は「別の(another)」実施形態への言及は、必ずしも同じ又は異なる実施形態に対するものではなく、それらは少なくとも1つを意味する。特定の図面は、1以上の実施形態又は本開示の1以上の種の特徴を説明するために用いられ、図中の全ての要素は、所与の実施形態又は種において必要とされ得るものではない。参照番号は、所与の図面において提供される場合、いくつかの図面を通して同じ要素を指すが、全ての図面において繰り返されるわけではない。図面は、別段の指示がない限り一定の縮尺ではなく、特定の部分の比率は、本開示の詳細及び特徴をより良く示すために誇張されている場合がある。
【0016】
図1は、無線電力伝送システム100の簡略ブロック図である。無線電力伝送システムは、誘導結合130を介して受電機(PRx)120に無線で電力を伝送する送電機(PTx)110を含む。送電機110は、インバータ114によって特定の電圧及び周波数特性を有するAC電圧に変換される入力電力を受け取り得る。インバータ114は、以下で更に説明するように動作するコントローラ/通信モジュール116によって制御し得る。種々の実施形態では、インバータコントローラ及び通信モジュールは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどに基づくシステムなどの共通システム内に実装されてもよい。他の実施形態では、インバータコントローラは、それらの間の通信手段を有する別個のコントローラモジュール及び通信モジュールによって実装されてもよい。インバータ114は、任意の好適な回路トポロジ(例えば、フルブリッジ、ハーフブリッジなど)を使用して構築されてもよく、任意の好適な半導体スイッチングデバイス技術(例えば、シリコン、炭化ケイ素、又は窒化ガリウムデバイスを使用して作製されたMOSFET、IGBTなど)を使用して実装されてもよい。
【0017】
インバータ114は、生成されたAC電圧を送電機コイル112に送り得る。受電機への磁気結合を可能にする無線コイルに加えて、
図1に示される送電機コイルブロック112は、受電機への様々な磁気結合の程度や様々な動作周波数など、各種条件下での送電機の動作を容易にする、追加のインダクタ及びキャパシタなどの同調回路を含むことができる。無線コイル自体は、種々の異なる方法で構築されてもよい。いくつかの実施形態では、無線コイルは、適切なボビンの周りのワイヤの巻線として形成されてもよい。他の実施形態では、コイルは、プリント回路基板上のトレースとして形成されてもよい。他の構成も可能であり、本明細書に記載の様々な実施形態と併せて使用することができる。無線送電機コイルは、特定の用途に適した方法でコイルの磁束パターンに影響を及ぼすように構成された透磁性材料(例えば、フェライト)のコアも含み得る。本明細書の教示は、所与の用途に適した多種多様な送電機コイル構成のいずれかと併せて適用され得る。
【0018】
PTxコントローラ/通信モジュール116は、送電機コイルを監視し、そこから導出された情報を使用して、所与の状況に適切なようにインバータ114を制御し得る。例えば、コントローラ/通信モジュールは、インバータ114を特定の用途に応じて所与の周波数又は出力電圧で動作させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ/通信モジュールは、PRxデバイスから情報を受信し、それに応じてインバータ114を制御するように構成されてもよい。この情報は、送電機コイルを介して受信されてもよく(すなわち、帯域内通信)、又は別個の通信チャネルを介して受信されてもよい(図示せず、すなわち、帯域外通信)。帯域内通信の場合、コントローラ/通信モジュール116は、情報を受信するためにPRxによって磁気リンクに課された信号(電圧、周波数、又は負荷変動など)を検出及び復号し得、情報をPRxに送信するために様々なパラメータ(電圧、周波数、位相など)を操作することによって送達電力を変調するようにインバータに命令し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ/通信モジュールは、インバータ信号の周波数が変調される周波数偏移変調(FSK)通信を採用して、データをPRxに通信するように構成されてもよい。コントローラ/通信モジュール116は、PRxからの振幅偏移変調(ASK)通信又は負荷変調ベースの通信を検出するように構成され得る。いずれの場合も、コントローラ/通信モジュール126は、受電機側で引き出される電流を、PRxからPTxを変化させて、Txコイル上で見られる波形を操作して、PRxからPTxに情報を送るように構成され得る。帯域外通信の場合、PTxとPRxとの間の通信を可能にする追加のモジュール、例えば、Wifi、Bluetooth(登録商標)、若しくは他の無線リンク、又は任意の他の好適な通信チャネルが提供され得る。
【0019】
上述したように、コントローラ/通信モジュール116は、例えば、単一の集積回路上に設けられた単一のモジュールであってもよく、又は、異なる集積回路上に設けられた複数のモジュール/デバイス、若しくはアナログ構成要素及びデジタル構成要素の両方を有する集積回路及び個別回路の組合せから構成されてもよい。本明細書の教示は、コントローラ/通信回路のいかなる特定の構成にも限定されない。
【0020】
PTxデバイス110は、任意選択的に、近距離無線通信(「NFC」)モジュール118などの他のシステム及び構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、NFCモジュール118は、電力伝送コイルを介してPRx内の対応するモジュール又は無線周波数識別(RFID)タグと通信し得る。他の実施形態では、NFCモジュール118は、別個の物理チャネル138を使用して、対応するモジュール又はタグと通信し得る。いくつかの実施形態では、以下でより詳細に説明されるように、NFC通信との干渉を防止するために誘導電力伝送を中断する必要があり得る。
【0021】
上述したように、無線電力伝送システムは、無線受電機(PRx)120も含む。無線受電機は、送電機コイル112に磁気結合され得る(130)受電機コイル122を含むことができる。上述の送電機コイル112と同様に、
図1に示される受電機コイルブロック122は、受電機への異なる程度の磁気結合、異なる動作周波数などの異なる条件における送電機の動作を容易にする、追加のインダクタ及びキャパシタなどの同調回路を含んでもよい。無線コイル自体は、様々な異なる方法で構築されてもよい。いくつかの実施形態では、無線コイルは、適切なボビンの周りのワイヤの巻線として形成されてもよい。他の実施形態では、コイルは、プリント回路基板上のトレースとして形成されてもよい。他の構成も可能であり、本明細書に記載の様々な実施形態と併せて使用することができる。無線受電機コイルは、特定の用途に適した方法でコイルの磁束パターンに影響を及ぼすように構成された透磁性材料(例えば、フェライト)のコアも含むことができる。本明細書の教示は、所与の用途に適した多種多様な受電機コイル構成のいずれかと併せて適用され得る。
【0022】
受電機コイル122は、電磁誘導により誘起された交流電圧を、送電機コイル112を介して出力する。この出力AC電圧は、DC出力電力を、PRxデバイスに関連付けられた1つ以上の負荷に提供する整流器124に提供され得る。整流器124は、以下で更に説明するように動作するコントローラ/通信モジュール126によって制御し得る。種々の実施形態では、整流器コントローラ及び通信モジュールは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどに基づくシステムなどの共通システム内に実装されてもよい。他の実施形態では、整流器コントローラは、それらの間の通信手段を有する別個のコントローラモジュール及び通信モジュールによって実装されてもよい。整流器124は、任意の好適な回路トポロジ(例えば、フルブリッジ、ハーフブリッジなど)を使用して構築されてもよく、任意の好適な半導体スイッチングデバイス技術(例えば、シリコン、炭化ケイ素、又は窒化ガリウムデバイスを使用して作製されたMOSFET、IGBTなど)を使用して実装されてもよい。
【0023】
PRxコントローラ/通信モジュール126は、受電機コイルを監視し、そこから導出された情報を使用して、所与の状況に適切なように整流器124を制御し得る。例えば、コントローラ/通信モジュールは、特定の用途に応じて所与の出力電圧を提供するように整流器124を動作させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ/通信モジュールは、受電機に送られる電力を効果的に制御するために、PTxデバイスに情報を送信するように構成されてもよい。この情報は、送電機コイルを介して送信されてもよく(すなわち、帯域内通信)、又は別個の通信チャネルを介して送信されてもよい(図示せず、すなわち、帯域外通信)。帯域内通信の場合、コントローラ/通信モジュール126は、例えば、受信電力の負荷電流又は他の電気パラメータを変調して、PTxに情報を送信し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ/通信モジュール126は、PTxから情報を受信するために、PTxによって磁気リンクに課された信号(電圧、周波数、又は負荷変動など)を検出及び復号するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ/通信モジュール126は、周波数偏移変調(FSK)通信を受信するように構成されてもよく、インバータ信号の周波数は、データをPRxに通信するために変調されている。コントローラ/通信モジュール126は、PRxからの振幅偏移変調(ASK)通信又は負荷変調ベースの通信を生成するように構成され得る。いずれの場合も、コントローラ/通信モジュール126は、受電機側で引き出される電流を、PRxからPTxを変化させて、Txコイル上で見られる波形を操作して、PRxからPTxに情報を送るように構成され得る。帯域外通信の場合、PTxとPRxとの間の通信を可能にする追加のモジュール、例えば、Wifi、Bluetooth(登録商標)、若しくは他の無線リンク、又は任意の他の好適な通信チャネルが提供され得る。
【0024】
上述したように、コントローラ/通信モジュール126は、例えば、単一の集積回路上に設けられた単一のモジュールであってもよく、又は、異なる集積回路上に設けられた複数のモジュール/デバイス、若しくはアナログ構成要素及びデジタル構成要素の両方を有する集積回路及び個別回路の組合せから構成されてもよい。本明細書の教示は、コントローラ/通信回路のいかなる特定の構成にも限定されない。
【0025】
PRxデバイス120は、任意選択的に、近距離無線通信(「NFC」)モジュール128などの他のシステム及び構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、NFCモジュール128は、電力伝送コイルを介してPTx内の対応するモジュール又は無線周波数識別(RFID)タグと通信し得る。他の実施形態では、NFCモジュール128は、別個の物理チャネル138を使用して、対応するモジュール又はタグと通信し得る。いくつかの実施形態では、以下でより詳細に説明されるように、NFC通信との干渉を防止するために誘導電力伝送を中断する必要があり得る。
【0026】
上述の無線電力伝送システム100の多数の変形形態及び拡張形態が可能であり、以下の教示は、そのような変形及び改良のいずれにも適用可能である。
【0027】
上述したように、PRxコントローラ/通信モジュール126及びPTxコントローラ/通信モジュール126は、互いに通信して、それぞれ自身を互いに識別し、それらの間で電力送達をネゴシエートし得る。この識別及びネゴシエーションプロセスは、異なる製造業者からのデバイスが相互運用することができるように、無線電力コンソーシアムQi標準によって定義されるプロトコルなどの標準定義プロトコルとともに行われ得る。そのような標準に準拠することは、特化を潜在的に犠牲にして相互運用性の利益をもたらす。他の実施形態では、識別及び交渉プロセスは、デバイスの製造業者によって決定される独自プロトコルと併せて行われてもよく、これは、独自プロトコルを実行しないデバイスとの相互運用性の損失という欠点とともに、柔軟性の改善及び潜在的な拡張性能という利点をもたらす。
【0028】
このジレンマに対処するために、コントローラ/通信モジュールは、標準定義プロトコルに従ってネゴシエーションプロセスを開始するように構成されてもよい。そのネゴシエーションプロセスでは、一方、他方、又は両方のデバイスは、標準に準拠する方法で、標準の範囲を超える強化機能セットをサポートするものとして自身を識別することができる。両方のデバイスが、この強化機能セットに従って動作することができる場合、デバイスは、強化機能セットに従って動作することを選択し得る。そうでない場合、デバイスは、規格ベースの機能セットと併せて動作することを選択し得る。一実施形態では、強化機能セットは、異なる周波数で、異なる電力レベルで、又は既存の標準で定義されているものを超えるその他の方法で動作する能力を含み得る。
【0029】
図2A~
図2Hは、第1の通信プロトコル体制から、固有の1つ以上の強化を含む第2の体制に移行するため、無線受電機(PRx)120と無線送電機(PTx)110との間の例示的な通信交換を示す。いくつかの実施例では、第1のプロトコル体制は、Qiなどの規格ベースの体制である。第2の体制における強化は、標準の拡張又は強化バージョン(後者のバージョン又は代替バージョンなど)のいずれかであってもよく、あるいは完全に別個の独自システムであってもよい。説明される様々な通信パケットは、異なるパケット構造、パケットを通信するための異なる変調スキームなどを採用する、様々な形態のいずれかをとり得る。以下の説明は、通信パケットの構成要素を高レベルで扱うが、任意の特定のプロトコル実装は、適宜、これらのパケットに含まれ得る異なる又は追加のデータを指定し得ることを理解されたい。
【0030】
図2Aを参照すると、例示的なネゴシエーションプロセスは、PRx120が一連のメッセージ202~208を送電機110に送信することから始まる。この交換は、無線電力伝送システムにおいて一般に実行されるように、PRxがPTxに近接していることをPRxが検出することによってトリガされ得る。交換は、標準によって指定された周波数で帯域内通信を使用して行うことができる。いくつかの実施形態では、この周波数は、約100kHz~約250kHzであってもよい。いくつかの実施形態では、この周波数は128kHzであってもよい。図示された実施例では、4つのメッセージ202~208は、Qi標準に従って送信されるメッセージに対応する。しかしながら、いくつかの実施形態では、より多くの又はより少ないメッセージが存在してもよく、それらは代替の標準又はプロトコルに準拠し得る。
【0031】
第1のメッセージ202は、SIGパケット、すなわち、Qi標準に従う信号強度パケットであり得る。第2のメッセージ204は、IDパケット、すなわち、Qi標準に従う識別パケットであり得る。第3のメッセージ206は、XID、すなわち、Qi標準に従う拡張識別パケットであり得る。第4のメッセージ208は、CFGパケット、すなわち、Qi標準に従う構成パケットであり得る。いくつかの実施形態では、これらの4つのパケットは、Qi標準による「Ping」及び「構成フェーズ」に対応し得る。これらのパケットの詳細は、その中に含まれる情報及びシステムにおけるそのようなパケットの効果を含めて、それらが関係するQi標準バージョンに詳細に説明されており、したがってここでは繰り返さない。Qi標準の様々なバージョンは、そのようなパケットの異なるバージョンを組み込むことができ、後続バージョンは、そのようなパケットを組み合わせるか、削除するか、又は別様に変更することができることが理解されるだろう。したがって、図示されたパケットは、本明細書では単に規格に準拠する初期化の例として提供されており、他の同様の構成も使用することができる。
【0032】
上述の通信に関連するのは、XIDパケットである。Qi標準では、このオプションのパケットは、PRxとPTxとの間の追加の情報交換を提供するために使用され得る。この追加の情報交換は、標準の拡張若しくは強化又は他の標準外(すなわち、標準の範囲外)動作モードに従って実行する能力など、強化機能の識別を含み得る。本明細書で説明される標準で規定されないこれらの性能モードは、標準外(「XS」)と呼ばれる。したがって、PTxは、標準の拡張又は拡張に従って実行可能であるという通信をPRxから受信すると、XS ACK、すなわち、PRxの標準外機能の確認応答である応答パケット210を送信し得る。
【0033】
次に
図2Bを参照すると、PRxとPTxとの間の更なる通信が示されている。PRx強化(XS)機能の確認応答をPTxから受信すると、PRxは、もしあれば、PTxがその強化機能を提供することを要求する更なるパケット212を送信し得る。これは、「GET」要求の形態をとることができ、この場合、PRxは、XS XIDパケット、すなわち、規準標準の範囲を超え、PTxが提供することができる標準を超える追加機能を提供するパケットの形態で、PTxがその強化機能を送信することを要求する。このパケットは、異なる電力伝送パラメータ(電圧、電力レベル、動作周波数など)、並びに強化(XS)モードで動作するのに必要なPTxに関係する1つ以上のパラメータなど、PTxが提供することができる規準標準の範囲を超える様々な特徴の指示を提供し得る。
【0034】
一例として、PTxは、規準標準で定義された周波数を超える異なる周波数で動作することができることを示し得る。場合によっては、PRxは、例えば、他のデバイス又はシステムとの潜在的な干渉を回避するために、利用可能である場合、この異なる周波数で動作することを選ぶように構成され得る。その結果、PRxは、一連の通信を開始して、現在の規格に準拠する動作周波数から異なる規格外周波数へ移行し得る。この通信プロセスの一部として、PRxはまた、ユーザインターフェース(UI関連情報)及び上述のNFCシステムなどの他のデバイスシステムに関係する情報を含む、電力伝送に関する他の情報を交換することを試みてもよい。そのために、
図2Bに示される通信は、PRxがUI関連パラメータを要求し(メッセージ216)、PTxが要求されたUI関連パラメータを報告する(メッセージ218)ことによって継続し得る。
【0035】
一例として、無線電力伝送システムの状態又はステータスを示すフィードバックをユーザに提供することが望ましい場合がある。例えば、成功又は失敗の電力伝送構成の視覚表示(LED又は有色LEDなど)又は音声通知(ビープ音又はチャイムなど)を提供することが有用であり得る。使用される特定のデバイスに応じて、PTx又はPRxのいずれかは、利用可能な特定のUIタイプを有してもよく、有さなくてもよい。例えば、充電パッドは、ステータスLEDを有し得るが、チャイムを再生することを可能にするスピーカを有さなくてもよい。スマートフォンなどの他のデバイスは、音声インジケータ及び視覚インジケータを提供することが可能であり得る。同様に、充電ケースなどの他のデバイスは、制限されたUI機能を有し得る。したがって、所望のレベルのフィードバックをユーザに提供するために、デバイスは、どのデバイスが所望のフィードバックをユーザに提供する機能を有するかを決定するために、デバイス間でネゴシエートする必要があり得る。
【0036】
図示の実施形態では、どのデバイスが必要なユーザフィードバックを提供するかについて決定するのはPRxである。次に
図2Cを参照すると、PRxは、様々なユーザインターフェース問題がどのように処理されるかに関して、それ自体の機能及びそのXIDパケットにおいてPTxから受信された機能によって通知されるその決定を通信することができる。これは、SRQ UI(special request-user interface)パケット220によってPRxに通信され得る。PTxは、この要求/命令(ACKパケット222)を確認応答し得、両方のデバイスはそれに応じて進み得る。同様に、PRxは、SRQ Freqパケット224(特別要求周波数)を介して所望の動作周波数を示し得る。PTxは、この要求/命令(ACKパケット224)を確認応答し得、両方のデバイスは、それに応じて、以下でより詳細に説明するように異なる周波数で動作するように進み得る。加えて、PRxは、特定のNFCパラメータを要求するSRQ NFC(special request-NFC)パケット228を使用し得る。これらは、例えば、以下でより詳細に説明するように、NFC走査が行われることを可能にするために、デフォルト/標準周波数における現在の電力及び通信交換を非アクティブ化することと、パケット224で要求された任意選択の周波数における電力及び通信交換を再アクティブ化することとの間の遅延を含み得る。PTxは、この要求/命令(ACKパケット230)を確認応答し得、両方のデバイスはそれに応じて進み得る。最後に、PRXは、強化/拡張プロトコルに付随する追加の特別な要求を提供することができ、又はSRQ End(特別要求終了)パケット232を用いて特別な要求の終了を示し得る。PTxは、この要求/命令(ACKパケット234)を確認応答し得、両方のデバイスは、それに応じて、例えば、新しい周波数に移行し、所望のUI対話を提供し、前述の交換において合意されたNFC動作を可能にするように進み得る。
【0037】
次に
図2Dを参照すると、PRxは、元の標準、例えば、Qi標準に従ってEPT(電力伝送終了)パケット236を送信し得る。使用される特定の標準及びバージョンに応じて、このパケットは異なり得ることが理解されよう。しかしながら、この命令のポイント(及び現在の電力/データ交換体制の終了)は、(例えば、標準定義された周波数での)元の電力伝送標準に従った動作から、先行する交換でネゴシエートされたように(例えば、元の標準に従うのではなく、強化標準に従う異なる周波数での)強化/拡張標準に従った電力伝送へ移行することである。したがって、電力伝送が無効にされ(238)、これにより、ネゴシエートされた場合(240)、NFC走査を実行するための時間を許容することができる。より一般的に言えば、Bluetooth及びRFID通信など、他のタイプの帯域外通信を利用することができることに留意されたい。そのような帯域外通信、この例ではNFC走査の更なる詳細を以下で説明する。
【0038】
電力伝送238及び任意選択のNFC走査240(又はネゴシエートされた遅延中に行われる他のアクティビティ)の無効化に続いて、電力伝送は、メッセージ交換242~248から開始され、例えば、異なる周波数で、強化モードで再開され得る。いくつかの実施形態では、強化モードにおけるこの再開は、任意選択の帯域外通信期間(例えば、NFC走査240)中のPTxとPRxとの間の成功した通信に応答する。図示された実施形態では、これは、PRXが、拡張又は強化標準(「XS」)に準拠する一連のメッセージを送信することから開始され、それ以外は、最初に行われた規格準拠開始又は「Ping」に対応する基本パターンに一致する。前述のように、交換は、拡張又は強化標準によって指定された周波数で帯域内通信を使用して行われ得る。いくつかの実施形態では、この周波数は、約360kHzの間であってもよいが、他の周波数が使用されてもよい。
【0039】
図示された例示的な交換では、第1のメッセージ242は、XS:SIGパケット、すなわち、拡張標準に従う信号強度パケットであり得る。第2のメッセージ244は、XS:IDパケット、すなわち、拡張標準による識別パケットであり得る。第3のメッセージ246は、XS:XID、すなわち、拡張標準に従う拡張識別パケットであり得る。第4のメッセージ248は、XS:CFGパケット、すなわち、拡張標準による構成パケットであり得る。いくつかの実施形態では、これらの4つのパケットは、概してQi標準に一致する「Ping」及び「構成フェーズ」に対応し得る。他の実施形態では、交換は、より多くの又はより少ないメッセージを含んでもよく、完全に一意であってもよく、又は概して、他の規格ベースの通信プロトコルに一致してもよい。したがって、図示されたパケットは、ここでは単にping又は初期化手順の例として提供されており、他の同様の構成も使用することができる。いくつかの実施形態では、このping又は初期化手順は、上記で説明された先行する特別要求交換においてネゴシエートされたパラメータを確認するために使用され得る。
【0040】
ここで
図2Eを参照すると、強化標準に従って(例えば、異なる周波数で)電力伝送を確立することは、受電機と送電機との間で更なる情報の交換を必要とし得る。したがって、PRxは、メッセージ/パケット252、XS:GET PTx XID(すなわち、強化標準、送電機拡張識別情報取得)を使用して、PTxの拡張識別情報を要求し得る。それに応答して、PTxは、メッセージ/パケット254、PTx XIDを介して要求された情報を提供し得る。PRxはまた、メッセージ256 XS:SEND PRx Cap(拡張標準、受電機機能送信)を使用して、自身の機能の指示をPTXに提供し得る。この送信は、確認応答258を用いてPTxによって確認応答され得る。最後に、PRxが、ここではパケット260、XS:SEND CFGn(拡張標準、送信構成n)によって示される1つ以上の構成パケットを送信する更なる交換があってもよく、nは、必要な情報を交換するために必要な本質的に任意の数のパケットのいずれかである。これらのメッセージの各々は、確認応答メッセージ/パケット262によって確認応答され得る。構成交換の結果、強化標準に従った電力伝送が開始され得る(264)。
【0041】
前述のメッセージ/パケット交換は例示的である。拡張標準(XS)通信は、基礎となる標準の様々な拡張に従って電力伝送を確立するために必要とされる、より多くの、より少ない、又は異なるメッセージ交換を含み得る。更に、各メッセージ又はパケットは、受電機と送電機との間の電力契約ネゴシエーションに必要な情報の様々な組合せを含み得る。更に、図示されたプロセスは受電機によって駆動されるものとして示されているが、いくつかの実施形態では、送電機(PTx)は、そうするために受電機(PRx)に依存するのではなく、様々な構成パラメータを決定し得る。したがって、前述の説明は、規格に準拠する無線伝送モードから、その標準の拡張又は強化に基づく無線伝送モードへの移行を容易にする方法の一例にすぎないと見なされるべきである。
【0042】
図3は、規格に準拠する無線電力伝送モードから、そのような標準の拡張又は強化に従った無線電力伝送モードへの受電機側(PRx)の移行を説明する簡略決定木/フローチャート300を示す(例えば、周波数は、規準標準において指定されていない)。プロセスは、PRx及びPRxが通信を開始する「Pingフェーズ302」から開始される。このpingフェーズは、例えば、Qi標準によって定義されたpingフェーズに一般的に対応する、
図2Aにおいて上述されたメッセージ交換に対応してもよく、又は任意の他の適切な規格ベースの交換であってもよい。この時点から、プロセスはブロック304に進み、ここで受電機は、再び規準標準に準拠する方法で、その識別情報及び拡張識別情報を報告する。上記で概説したように、標準によって規定された拡張識別情報パケットは、標準の範囲外の機能の通信を可能にし得る。ブロック308において、PRxは、PTxから受信された構成パケットの受信を報告/確認応答し得る。ブロック310において、PRxは、PTxが、PRxによって望まれる1つ以上の強化又は拡張と併せて動作することができるかどうかを判定し得る。できない場合、プロセスはブロック312に進むことができ、ここで、標準と併せて規準モード電力伝送が提供される。そうではなく、PTxが、PRxによって要求された拡張/強化機能の確認応答を提供した場合、システムは、上記で説明したように拡張モード電力伝送314をネゴシエートすることに移行し、その後、ブロック316において強化/拡張モードに移行し得る。
【0043】
図4は、規格に準拠する無線電力伝送モードから、そのような標準の拡張又は強化に従った無線電力伝送モードへの送電機側(PTx)の移行を説明する簡略決定木/フローチャート400を示す(例えば、周波数は、規準標準において指定されていない)。プロセスは、PRxデバイスがPTxの範囲内にもたらされたことを検出するように設計された任意の数のセンサによって提供され得る、デバイス検出402から開始される。これは、上記でより詳細に説明した(Rx側デジタルpingフェーズ302に対応する)デジタルpingフェーズ404につながる。次に、ブロック406において、PTxは、IDパケットの内容に基づいて予想される場合、IDパケット(406)及びXIDパケット(408)を受信する。これらの通信の全ては、上述したように、業界標準に準拠し得る。ブロック410において、PTxは、XIDパケットが受信されたかどうかを判定することができる。受信されなかった場合、規準モードでの電力伝送(又は必要に応じてシャットダウン)に入ることができる(ブロック412)。代替的に、XIDパケットが受信された場合、PTxは、パケットの内容を分析して、PRxが強化/拡張モードで動作することができるかどうかを判定してもよい。できない場合、PTxは、規準モードに移行するか、又は電力伝送を無効にし得る(ブロック412)。そうである場合、PTxは、PRxが規準(規格準拠モード)を要求したかどうかを判定し得る(ブロック416)。そうである場合、上記のモードに入ることができる。代替的に、PTxは、上記のブロック306においてPRxによって送信された構成フェーズパケットを受信し得る(ブロック418/420)。これらのパケットは、PTxによって確認応答され得(ブロック422)、次いで、PTxは、再開してpingフェーズに進むか、又はブロック314における受電機側ネゴシエーションフェーズに対応する拡張/拡張ネゴシエーションフェーズ(ブロック426)に進むかどうかを判定し得る(ブロック422)。
【0044】
図2Dに簡単に戻ると、上述したように、PRx及びPTxが、規準標準とは異なる標準の拡張/強化バージョンに準拠する電力伝送モード(例えば、標準によって定義される周波数とは異なる周波数で動作する)に移行することに同意するネゴシエーションフェーズの後、最初に確立された規格電力伝送は、拡張/強化モードで再アクティブ化される前に無効にされてもよい(ブロック238)。いくつかの実施形態では、PRxとPTxとの間の交換は、PRxとPTxとの間のNFC通信のための時間を可能にするために、(例えば、上述したSRQ NFCブロック228で指定されているように)再アクティブ化の前に遅延を含み得る。電力伝送がNFCプロセスに干渉する可能性があり、NFCプロセスは同様の周波数を使用し得るため、この遅延が提供され得る。加えて、無線電力伝送に関連付けられた高電力レベルは、場合によっては、NFC機器に損傷を引き起こす可能性がある。したがって、上記で説明したネゴシエーションプロセスにおいて、PRx及びPTxは、NFC走査を可能にする時間をネゴシエートすることができる。
【0045】
NFC通信は、様々な目的のいずれかのために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、NFC通信は、PRx機能、特性、又はパラメータをPTxに提供するために使用されてもよく、逆も同様である。これらは、上述した様々な通信及びネゴシエーションにおいて提供される情報を確認するために使用され得る。他の場合には、NFC通信は、そうでなければ上記で説明された技法を使用して可能でない又は実現可能ではない情報交換を提供するために使用され得る。いくつかの実施形態では、NFC通信を使用して、PRx又はPTxのいずれかに設けられた1つ以上のNFCデバイスを読み出し得る。これらのNFCタグは、限定はしないが、認証、PRxからPTxに、又はその逆に配信されるソフトウェア/ファームウェア更新の提供、先行するフェーズにおいてネゴシエートされた電力パラメータの確認などを含む、追加の機能を実行するために使用され得る。
【0046】
図5は、NFC走査プロセスの高レベルフローチャート500を示す。ブロック502から開始して、デバイスは、上述したようにそれらの初期ネゴシエーションを実行し、その後、上述したように電力伝送の遅延(ブロック504)及びNFS走査(506)を実行し得る。遅延の期間は、実行されるべきNFC機能を考慮するためにネゴシエートされ得る。例えば、ネゴシエートされた電力伝送パラメータの認証又は確認のような比較的短いタスクは、比較的短い期間を要し得る。あるいは、ファームウェア更新のようなプロセスは、より長い期間を要する場合がある。ネゴシエートされた電力伝送遅延時間は、これらの差を考慮に入れることができる。更に、デバイスが、NFC走査のために特定の電力伝送遅延期間を最初に指定するが、後続のNFC走査中に、読み出される必要があるより多くのデバイスを発見する場合、デバイスは、タグの全てを走査するのに十分な時間を可能にするために、後続のより長い電力伝送遅延期間についてネゴシエートすることができる。例えば、ブロック508において、全てのNFCデバイスが読み出されたかどうかが判定され得る。そうである場合、電力伝送は、ブロック510において、(強化/拡張電力伝送モードに従って)有効化又は再有効化され得る。そうでない場合、デバイスは、更なるNFC走査を可能にするために、より長い電力伝送遅延をネゴシエートし得る(ブロック512)。
【0047】
上記に加えて、上述のネゴシエーションプロセスを簡略化することが望ましいいくつかの場合があり得る。一例として、PRxデバイスは、バッテリ切れを有し、より長引く電力契約ネゴシエーションプロセスに関与することを困難又は不可能にする場合がある。その場合、PRxデバイスは、
図2Aの要素206に関して上述したXIDパケット内で好ましい周波数を示し得る。上述したように、XIDパケットは、デバイスが様々な強化標準外電力伝送モードが可能であることをPTxに通知するために使用されたことを想起されたい。代わりに、この特定の例では、PRxは単に好ましい/所望の電力パラメータ(動作周波数など)を提供し、PTxデバイスは、可能であればそれに従う。
【0048】
図6は、準拠したままである拡張又は強化充電モードのための電力ネゴシエーションプロセス600の高レベルフローチャートを示す。プロセスは、上でより具体的に説明されたように、両方のデバイスのいずれかで行われ得る。プロセスは、ブロック602において規格ベースのネゴシエーションを開始することから始めることができる。このネゴシエーションは、所望の強化又は拡張機能をサポートしないデバイスとの相互運用性を保証するために、規格に準拠する機構を使用して行われ得る。いくつかの実施形態では、これらの規格に準拠する機構は、無線電力コンソーシアムQi標準、又は任意の他の好適な無線電力伝送標準によって提供され得る。しかしながら、ブロック604において、強化機能を信号で伝達するために規格準拠機構が使用され得る。いくつかの実施形態では、これは、Qi標準において提供される「XID」(拡張識別)パケットを含んでもよく、必要とされる情報を交換するための付加的機構を任意選択的に含んでもよい。他の実施形態では、他の規格に準拠する機構が、標準の異なるバージョン、又は完全に異なる標準に適切に使用されてもよい。ブロック606において、デバイスは、両方のデバイスが所望の強化又は拡張モード又は機能に従って動作することができるかどうかを判定し得る。できない場合、デバイスは、規格準拠モードで動作するように進み得、その場合、無線電力伝送は、関連する標準に従って行われ得る(ブロック608)。
【0049】
さもなければ、ブロック606において、デバイスが、標準において指定される以外の拡張/強化モードで動作することができると判定された場合、デバイスは、所望の拡張強化モードへの移行をネゴシエートし得る(ブロック610)。これらの拡張又は強化モードは、例えば、異なる周波数、異なる電圧、異なる電力レベルなどにおける動作を含む、規準標準に準拠しない方法で電力伝送を提供し得る。合意された強化又は拡張モードが合意されると、デバイスは、この合意された強化又は拡張モードに移行し、それに従って動作し得る(ブロック612)。
【0050】
上記では、強化/拡張動作モードをサポートしない無線電力伝送規格に準拠したままで、そのような強化/拡張動作モードをネゴシエートすることができる無線電力伝送システムの例示的な実施形態について説明した。そのようなシステムは、様々な用途で使用され得るが、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)などのパーソナル電子デバイス、及びそれらのアクセサリ(例えば、無線イヤホン、スタイラス、及び他の入力デバイスなど)、並びに無線充電アクセサリ(例えば、充電マット、パッド、スタンドなど)と併せて使用されるときに特に有利であり得る。多数の特定の特徴及び様々な実施形態が説明されてきたが、相互に排他的であると特に明記されていない限り、様々な特徴及び実施形態は、特定の実装形態において様々な順列で組み合わせられ得ることを理解されたい。よって、上述の様々な実施形態は、例示としてのみ提供されるものであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の範囲から逸脱することなく、また特許請求の範囲から逸脱することなく、本明細書の原理及び実施形態に対して様々な修正及び変更を行うことができる。
【0051】
上記では、システム内のPTx及びPRxの間で特定の情報を送信することができる無線電力伝送システムの例示的な実施形態について説明した。本開示は、この情報の通過が、バッテリ充電を容易にするために効率的かつ損傷を与えない方法で互いに無線電力信号を提供するデバイスの能力を改善することを企図する。本技術のいくつかの実行者は、シリアル番号、UID、製造者ID、MACアドレスなどの識別子の通過を考慮して、PTx及びPRx、特にそれらの無線機能の互いに対する識別を支援し得ることが企図される。
【0052】
本技術を実行するエンティティは、任意の機密情報が特定の実装形態において使用される範囲で、十分に確立されたプライバシーポリシー及び/又はプライバシー慣行が準拠されることを確実にするように注意すべきである。具体的には、そのようなエンティティは、ユーザのプライバシーを維持するための業界又は政府の要件を満たす又は上回ると一般に認識されるプライバシー慣行を実現し、一貫して適用することが予想されるであろう。実行者は、個人を特定可能な情報が無線電力伝送システムにおいて送信されると予想される場所をユーザに通知し、ユーザが参加の「オプトイン」又は「オプトアウト」を行うことを可能にすべきである。例えば、そのような情報は、ユーザがデバイスを送電機上に配置するときにユーザに提示され得る。
【0053】
本開示の意図は、もしあれば、個人情報データを、非意図的若しくは無許可アクセス又は使用の危険性を最小限に抑える方法で、管理及び処理するべきであるという点である。データの収集を制限し、データがもはや必要とされなくなると削除することにより、リスクを最小化することができる。更には、適用可能な場合、ユーザのプライバシーを保護するために、データの非特定化を使用することができる。例えば、デバイス識別子は、デバイスを一意に識別することなくデバイスの電力特性を伝達するために部分的にマスクされてもよい。非特定化は、適切な場合には、識別子を除去すること、記憶されたデータの量又は特異性を制御すること(例えば、位置データを住所レベルよりも都市レベルで収集すること)、データがどのように記憶されるかを制御すること(例えば、データをユーザ全体にわたって集約すること)、及び/又は差分プライバシーなどの他の方法によって、容易にしてもよい。ロバストな暗号化はまた、誘導結合デバイス間の通信がスプーフィングされる可能性を低減するために利用され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線受電機であって、
無線送電機から電力を受け取るように構成された受電機コイルと、
前記受電機コイルの両端間に現れるAC電圧を、負荷に送られるDC電圧に変換するように構成された、前記受電機コイルに結合された整流器と、
前記受電機コイル及び前記整流器に結合された制御及び通信モジュールと、を備え、前記制御及び通信モジュールは、
前記受電機コイルを介して前記無線送電機から帯域内通信信号を受信し、
前記受電機コイルを介して前記無線送電機に送信される帯域内通信信号を生成するように前記整流器を動作させるように構成され、
前記受電機コイルを介して前記無線送電機に送信される前記帯域内通信信号は、強化機能セットを用いて動作をネゴシエートする通信を含む、無線受電機。
【請求項2】
前記帯域内通信信号は、標準通信プロトコルに準拠し、前記強化機能セットは前記標準通信プロトコルの拡張又は強化バージョンである、請求項1に記載の無線受電機。
【請求項3】
前記強化機能セットは、より高い周波数及びより高い電力レベルでの動作に関連する、請求項2に記載の無線受電機。
【請求項4】
前記より高い周波数は360kHzである、請求項3に記載の無線受電機。
【請求項5】
前記帯域内通信信号は、Qi標準のバージョンに準拠した拡張識別パケットを含む、請求項2に記載の無線受電機。
【請求項6】
前記帯域内通信信号は、標準通信プロトコルと、独自システムに対応する前記強化機能セットとに準拠する、請求項1に記載の無線受電機。
【請求項7】
前記強化機能セットは、より高い周波数及びより高い電力レベルでの動作に関連する、請求項6に記載の無線受電機。
【請求項8】
前記より高い周波数は360kHzである、請求項7に記載の無線受電機。
【請求項9】
前記帯域内通信信号は、Qi標準のバージョンに準拠した拡張識別パケットを含む、請求項7に記載の無線受電機。
【請求項10】
前記強化機能セットを用いて動作をネゴシエートした後に、前記制御及び通信モジュールは、電力伝送を一時停止又は終了するように更に構成される、請求項1に記載の無線受電機。
【請求項11】
前記無線受電機は、Qi標準に従って終了電力伝送(EPT)パケットを送信することによって、電力伝送を一時停止又は終了する、請求項10に記載の無線受電機。
【請求項12】
前記無線受電機は、NFC走査のための時間を確保するために電力伝送を一時停止する、請求項10に記載の無線受電機。
【請求項13】
前記強化機能セットを用いて動作をネゴシエートした後に、前記制御及び通信モジュールは新たな電力伝送周波数に切り替えるように更に構成される、請求項1に記載の無線受電機。
【請求項14】
前記新たな電力伝送周波数は360kHzである、請求項13に記載の無線受電機。
【請求項15】
前記強化機能セットを用いて動作をネゴシエートした後に、前記制御及び通信モジュールは少なくとも1つの拡張識別パケットを含む追加メッセージを前記新たな電力伝送周波数において送信するように更に構成される、請求項13に記載の無線受電機。
【請求項16】
前記強化機能セットを用いて動作をネゴシエートした後に、前記制御及び通信モジュールは少なくとも1つの送電機拡張識別パケットに対する要求を含む追加メッセージを前記新たな電力伝送周波数において送信するように更に構成される、請求項13に記載の無線受電機。
【請求項17】
前記強化機能セットを用いて動作をネゴシエートした後に、前記制御及び通信モジュールは前記新たな電力伝送周波数における前記無線受電機の機能を識別する少なくとも1つのメッセージを含む追加メッセージを前記新たな電力伝送周波数において送信するように更に構成される、請求項13に記載の無線受電機。
【請求項18】
無線送電機であって、
無線受電機に電力を送るように構成された送電機コイルと、
前記送電機コイルに結合され、入力電圧を前記送電機コイルに送られるAC電圧に変換するように構成されたインバータと、
前記送電機コイル及び前記インバータに結合された制御及び通信モジュールと、を備え、前記制御及び通信モジュールは、
前記送電機コイルを介して前記無線受電機から帯域内通信信号を受信し、
前記送電機コイルを介して前記無線受電機に送信される帯域内通信信号を生成するように前記インバータを動作させるように更に構成され、
前記無線受電機から受信された前記帯域内通信信号は、強化機能セットを用いて動作をネゴシエートする通信を含む、無線送電機。
【請求項19】
前記帯域内通信信号は、標準通信プロトコルに準拠し、前記強化機能セットは前記標準通信プロトコルの拡張又は強化バージョンである、請求項18に記載の無線送電機。
【請求項20】
前記強化機能セットは、より高い周波数及びより高い電力レベルでの動作に関連する、請求項19に記載の無線送電機。
【請求項21】
前記より高い周波数は360kHzである、請求項20に記載の無線送電機。
【請求項22】
前記帯域内通信信号は、標準通信プロトコルと、独自システムに対応する前記強化機能セットとに準拠する、請求項18に記載の無線送電機。
【請求項23】
前記強化機能セットは、より高い周波数及びより高い電力レベルでの動作に関連する、請求項22に記載の無線送電機。
【請求項24】
前記より高い周波数は360kHzである、請求項23に記載の無線送電機。
【請求項25】
前記帯域内通信信号は、Qi標準のバージョンに準拠した拡張識別パケットを含む、請求項23に記載の無線送電機。
【請求項26】
無線送電機又は無線受電機であるデバイスと相手デバイスとの間の無線電力伝送をネゴシエートする方法であって、
前記相手デバイスとの通信を開始することと、
前記デバイスの1つ以上の機能を前記相手デバイスに通信することであって、前記1つ以上の機能は、強化機能セットを用いて動作する機能を含む、ことと、
前記相手デバイスが前記強化機能セットを用いて動作することが可能であるかどうかを判定することと、
前記相手デバイスが前記強化機能セットを用いて動作することが可能である場合、前記強化機能セットに対応する動作周波数及び電力レベルを選択することと、を含む、方法。
【請求項27】
前記デバイスとその相手との間の前記通信は、標準通信プロトコルと、前記標準通信プロトコルの拡張又は強化バージョンに対応する前記強化機能セットとに準拠する帯域内通信である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記デバイスとその相手との間の前記通信は、標準通信プロトコルと、独自システムに対応する前記強化機能セットとに準拠する帯域内通信である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記強化機能セットに対応する前記選択された動作周波数は360kHzである、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記帯域内通信は、Qi標準のバージョンに準拠した拡張識別パケットを含む、請求項26に記載の方法。
【外国語明細書】