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特開2024-153640マイクロRNA適合SHRNA(SHRNAMIR)を含む遺伝子改変免疫細胞
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153640
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】マイクロRNA適合SHRNA(SHRNAMIR)を含む遺伝子改変免疫細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20241022BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20241022BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20241022BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20241022BHJP
   A61P 35/02 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N15/113 Z
A61K35/17
C12N5/10
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024107199
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2023085262の分割
【原出願日】2020-04-03
(31)【優先権主張番号】62/828,794
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/843,804
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/900,126
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/930,905
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/000,774
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】508117721
【氏名又は名称】プレシジョン バイオサイエンシズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】チャタートン,ジョン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ピレス,ミシェル ブレンダ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特定の標的遺伝子の安定なノックダウンを可能にするマイクロRNA適合shRNA(shRNAmiR)分子を含む遺伝子改変免疫細胞を提供する。
【解決手段】そのゲノム中に、マイクロRNA適合shRNA(shRNAmiR)をコードする核酸配列を含む遺伝子改変免疫細胞であって、該shRNAmiRが該遺伝子改変免疫細胞において発現され、該shRNAmiRが該遺伝子改変免疫細胞における標的タンパク質の発現を低下させる、遺伝子改変免疫細胞である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのゲノム中に、マイクロRNA適合shRNA(shRNAmiR)をコードする核
酸配列を含む遺伝子改変免疫細胞であって、該shRNAmiRが該遺伝子改変免疫細胞
において発現され、該shRNAmiRが該遺伝子改変免疫細胞における標的タンパク質
の発現を低下させる、遺伝子改変免疫細胞。
【請求項2】
遺伝子改変T細胞またはそれに由来する細胞である、請求項1に記載の遺伝子改変免疫
細胞。
【請求項3】
遺伝子改変ナチュラルキラー(NK)細胞またはそれに由来する細胞である、請求項1
に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項4】
遺伝子改変B細胞またはそれに由来する細胞である、請求項1に記載の遺伝子改変免疫
細胞。
【請求項5】
遺伝子改変された単球もしくはマクロファージ、またはそれに由来する細胞である、請
求項1に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項6】
前記shRNAmiRが、5’から3’に:
(a)5’miR足場ドメイン;
(b)5’miR基底ステムドメイン;
(c)パッセンジャー鎖;
(d)miRループドメイン;
(e)ガイド鎖;
(f)3’miR基底ステムドメイン;および
(g)3’miR足場ドメイン;
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項7】
前記miRループドメインがmiR-30aループドメインである、請求項6に記載の
遺伝子改変免疫細胞。
【請求項8】
前記miR-30aループドメインが、配列番号3と少なくとも80%の配列同一性を
有する核酸配列を含む、請求項7に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項9】
前記miR-30aループドメインが配列番号3の核酸配列を含む、請求項8に記載の
遺伝子改変免疫細胞。
【請求項10】
前記shRNAmiRが、マイクロRNA-E(miR-E)足場、miR-30(例
えば、miR-30a)足場、miR-15足場、miR-16足場、miR-155足
場、miR-22足場、miR-103足場、またはmiR-107足場を含む、請求項
6~9のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項11】
前記shRNAmiRがmiR-E足場を含む、請求項10に記載の遺伝子改変免疫細
胞。
【請求項12】
(a)前記5’miR足場ドメインが、配列番号1と少なくとも80%の配列同一性を
有する核酸配列を含み;
(b)前記5’miR基底ステムドメインが、配列番号2と少なくとも80%の配列同
一性を有する核酸配列を含み;
(c)前記3’miR基底ステムドメインが、配列番号4と少なくとも80%の配列同
一性を有する核酸配列を含み;および
(d)前記3’miR足場ドメインが、配列番号5と少なくとも80%の配列同一性を
有する核酸配列を含む、
請求項6~11のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項13】
(a)前記5’miR足場ドメインが配列番号1の核酸配列を含み;
(b)前記5’miR基底ステムドメインが配列番号2の核酸配列を含み;
(c)前記3’miR基底ステムドメインが配列番号4の核酸配列を含み;および
(d)前記3’miR足場ドメインが配列番号5の核酸配列を含む、
請求項12に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項14】
そのゲノム中に、キメラ抗原受容体(CAR)または外因性T細胞受容体(TCR)を
コードする核酸配列を含み、該CARまたは該外因性TCRを発現させる、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項15】
そのゲノム中に、HLAクラスI組織適合抗原、アルファ鎖E(HLA-E)融合タン
パク質をコードする核酸配列を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の遺伝子改変
免疫細胞。
【請求項16】
前記HLA-E融合タンパク質が、配列番号66と少なくとも80%の配列同一性を有
するアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項17】
前記HLA-E融合タンパク質が、配列番号66のアミノ酸配列を含む、請求項15ま
たは請求項16に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項18】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記CARまたは前記外因性TC
Rをコードする前記核酸配列とは異なる遺伝子内に位置する、請求項14~17のいずれ
か一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項19】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列、または前記CARもしくは前記外因
性TCRをコードする前記核酸配列が、TCRアルファ遺伝子またはTCRアルファ定常
領域遺伝子内に位置する、請求項18に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項20】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記CARまたは前記外因性TC
Rをコードする前記核酸配列と同じ遺伝子内に位置する、請求項14~17のいずれか一
項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項21】
前記遺伝子がTCRアルファ遺伝子またはTCRアルファ定常領域遺伝子である、請求
項20に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項22】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記CARまたは前記外因性T
CRをコードする前記核酸配列が前記遺伝子中のカセット内にある、請求項20または請
求項21に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項23】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記CARまたは前記外因性T
CRをコードする前記核酸配列が同じプロモータに作動可能に連結されている、請求項2
0~22のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項24】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;および
(b)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列
を含むカセットを含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞
【請求項25】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列;および
(b)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列
を含むカセットを含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞
【請求項26】
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列と、前記shRNAmi
Rをコードする前記核酸配列とが、2AまたはIRES配列によって分離される、請求項
20~25のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項27】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記CARまたは前記外因性TC
Rをコードする前記核酸配列と同じ向きである、請求項20~26のいずれか一項に記載
の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項28】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記CARまたは前記外因性TC
Rをコードする前記核酸配列と逆向きである、請求項20~26のいずれか一項に記載の
遺伝子改変免疫細胞。
【請求項29】
イントロン配列が、前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に
配置され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配
置される、請求項20~23のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項30】
前記カセットが、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記CARま
たは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列に作動可能に連結されたプロモータを含
む、請求項22~29のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項31】
前記カセットが終結シグナルを含む、請求項22~30のいずれか一項に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項32】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記HLA-E融合タンパク質を
コードする前記核酸配列と同じ遺伝子内に位置する、請求項15~17のいずれか一項に
記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項33】
前記遺伝子がTCRアルファ遺伝子またはTCRアルファ定常領域遺伝子である、請求
項32に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項34】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記HLA-E融合タンパク質
をコードする前記核酸配列が、前記遺伝子中のカセット内にある、請求項32または請求
項33に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項35】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記HLA-E融合タンパク質
をコードする核酸配列が、同じプロモータに作動可能に連結されている、請求項32~3
4のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項36】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(b)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列
を含むカセットを含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞
【請求項37】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列;および
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列
を含むカセットを含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞
【請求項38】
前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列と、前記shRNAmiRを
コードする前記核酸配列とが、2AまたはIRES配列によって分離される、請求項32
~37のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項39】
イントロン配列が、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置
され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配置さ
れる、請求項32~35のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項40】
前記カセットがプロモータを含み、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列お
よび前記HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列が該プロモータに作動可能に連
結されている、請求項34~39のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項41】
前記カセットが終結シグナルを含む、請求項34~40のいずれか一項に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項42】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列、前記CARまたは前記外因性TCR
をコードする前記核酸配列、および前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸
配列が同じ遺伝子内に位置する、請求項15~17のいずれか一項に記載の遺伝子改変免
疫細胞。
【請求項43】
前記遺伝子がTCRアルファ遺伝子またはTCRアルファ定常領域遺伝子である、請求
項42に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項44】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列、前記CARまたは前記外因性TCR
をコードする前記核酸配列、および前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸
配列が、前記遺伝子中のカセット内にある、請求項42または請求項43に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項45】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列、前記CARまたは前記外因性TCR
をコードする前記核酸配列、および前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸
配列が、同じプロモータに作動可能に連結されている、請求項42~44のいずれか一項
に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項46】
そのゲノム中に:
(a)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;
(b)2AまたはIRES配列;
(c)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(d)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列
を含むカセットを含む、請求項42~45のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞
【請求項47】
イントロン配列が、前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に
配置され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配
置される、請求項42~46のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項48】
イントロン配列が、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置
され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配置さ
れる、請求項42~46のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項49】
前記カセットが、前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列、前記
HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列、および前記shRNAmiRをコ
ードする前記核酸配列に作動可能に連結されたプロモータを含む、請求項44~48のい
ずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項50】
前記カセットが終結シグナルを含む、請求項44~49のいずれか一項に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項51】
そのゲノム内に、5’から3’に:
(a)プロモータ;
(b)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;
(c)2AまたはIRES配列;
(d)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、イントロン
配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、前記sh
RNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸配列;お
よび
(e)任意選択的に、終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タ
ンパク質をコードする前記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸
配列が、該プロモータに作動可能に連結されているカセットを含む、請求項45に記載の
遺伝子改変免疫細胞。
【請求項52】
そのゲノム内に、5’から3’に:
(a)プロモータ;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、イントロン
配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、前記sh
RNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸配列;
(c)2AまたはIRES配列;
(d)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;および
(e)任意選択的に、終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タ
ンパク質をコードする前記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸
配列が、該プロモータに作動可能に連結されているカセットを含む、請求項45に記載の
遺伝子改変免疫細胞。
【請求項53】
そのゲノム内に、5’から3’に:
(a)プロモータ;
(b)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列であって、イント
ロン配列が前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に配置され、
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸
配列;
(c)2AまたはIRES配列;
(d)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(e)任意選択的に、終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タ
ンパク質をコードする前記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸
配列が、該プロモータに作動可能に連結されているカセットを含む、請求項45に記載の
遺伝子改変免疫細胞。
【請求項54】
そのゲノム内に、5’から3’に:
(a)プロモータ;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;
(c)2AまたはIRES配列;
(d)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列であって、イント
ロン配列が前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に配置され、
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸
配列;および
(e)任意選択的に、終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タ
ンパク質をコードする前記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸
配列が、該プロモータに作動可能に連結されているカセットを含む、請求項45に記載の
遺伝子改変免疫細胞。
【請求項55】
前記イントロン配列が合成イントロン配列である、請求項29~31、39~41、4
7~50、または51~54のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項56】
前記イントロン配列が、配列番号69と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配
列を含む、請求項29~31、39~41、47~50、または51~54のいずれか一
項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項57】
前記イントロン配列が配列番号69の核酸配列を含む、請求項29~31、39~41
、47~50、または51~54のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項58】
前記終結シグナルがポリA配列またはウシ成長ホルモン(BGH)終結シグナルである
、請求項31、41、50または51~57のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞
【請求項59】
前記ポリA配列が、配列番号68と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を
含む、請求項58に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項60】
前記ポリA配列が配列番号68の核酸配列を含む、請求項58に記載の遺伝子改変免疫
細胞。
【請求項61】
前記BGH終結シグナルが、配列番号71と少なくとも80%の配列同一性を有する核
酸配列を含む、請求項58に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項62】
前記BGH終結シグナルが配列番号71の核酸配列を含む、請求項58に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項63】
前記プロモータが、配列番号67と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を
含む、請求項23~31、35~41、または45~62のいずれか一項に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項64】
前記プロモータが配列番号67の核酸配列を含む、請求項23~31、35~41、ま
たは45~62のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項65】
前記2A配列が、配列番号70と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含
むP2A/フューリン部位である、請求項26~28、30、31、38、40、41ま
たは46~64のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項66】
前記2A配列が、配列番号70の核酸配列を含むP2A/フューリン部位である、請求
項26~28、30、31、38、40、41または46~64のいずれか一項に記載の
遺伝子改変免疫細胞。
【請求項67】
前記CARが、配列番号73と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を
含むシグナルペプチドを含む、請求項14~66のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫
細胞。
【請求項68】
前記CARが、配列番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む、請求項1
4~66のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項69】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)配列番号67と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含むプロモー
タ;
(b)前記CARをコードする前記核酸配列であって、前記CARが配列番号73と少
なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配
列;
(c)配列番号70と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含むP2A/
フューリン部位;
(d)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、前記HLA
-E融合タンパク質が配列番号66と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配
列を含み、イントロン配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内
に配置され、該イントロン配列が配列番号69と少なくとも80%の配列同一性を有する
核酸配列を含み、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内
に配置される核酸配列;および
(e)任意選択的に、配列番号68と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列
を含む終結シグナル
を含み、
前記CARをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前
記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該プロモータに
作動可能に連結されているカセットを含む、請求項45に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項70】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)配列番号67の核酸配列を含むプロモータ;
(b)前記CARをコードする前記核酸配列であって、前記CARが配列番号73のア
ミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配列;
(c)配列番号70の核酸配列を含むP2A/フューリン部位;
(d)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、前記HLA
-E融合タンパク質が配列番号66のアミノ酸配列を含み、イントロン配列が前記HLA
-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、該イントロン配列が配列番
号69の核酸配列を含み、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロ
ン配列内に配置される核酸配列;および
(e)任意選択的に、配列番号68の核酸配列を含む終結シグナル
を含み、
前記CARをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前
記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該プロモータに
作動可能に連結されているカセットを含む、請求項45に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項71】
そのゲノム中に、配列番号74と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含
むカセットを含み、該カセットが、TCRアルファ定常領域遺伝子内のゲノム中に配置さ
れる、請求項69または請求項70に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項72】
そのゲノム中に、配列番号74の核酸配列を含むカセットを含み、該カセットが、TC
Rアルファ定常領域遺伝子内のゲノム中に配置される、請求項69または請求項70に記
載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項73】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記CARまたは前記外因性T
CRをコードする前記核酸配列が、異なるプロモータに作動可能に連結されている、請求
項20~22のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項74】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)該第1のプロモータに作動可能に連結された、前記CARまたは外因性TCRを
コードする前記核酸配列;
(c)第2のプロモータ;および
(d)該第2のプロモータに作動可能に連結された、前記shRNAmiRをコードす
る前記核酸配列
を含むカセットを含む、請求項73に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項75】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)該第1のプロモータに作動可能に連結された、前記shRNAmiRをコードす
る前記核酸配列;
(c)第2のプロモータ;および
(d)該第2のプロモータに作動可能に連結された、前記CARまたは外因性TCRを
コードする前記核酸配列
を含むカセットを含む、請求項73に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項76】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記CARまたは外因性TCRを
コードする前記核酸配列と同じ向きである、請求項73~75のいずれか一項に記載の遺
伝子改変免疫細胞。
【請求項77】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記CARまたは外因性TCRを
コードする前記核酸配列と逆向きである、請求項83~85のいずれか一項に記載の遺伝
子改変免疫細胞。
【請求項78】
前記第1のプロモータおよび前記第2のプロモータが同一である、請求項74~77の
いずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項79】
前記第1のプロモータと前記第2のプロモータとが異なる、請求項74~77のいずれ
か一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項80】
前記カセットが1つまたは複数の終結シグナルを含む、請求項74~79のいずれか一
項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項81】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記HLA-E融合タンパク質
をコードする前記核酸配列が、異なるプロモータに作動可能に連結されている、請求項2
0~22のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項82】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)該第1のプロモータに作動可能に連結された、前記HLA-E融合タンパク質を
コードする前記核酸配列;
(c)第2のプロモータ;および
(d)該第2のプロモータに作動可能に連結された、前記shRNAmiRをコードす
る前記核酸配列
を含むカセットを含む、請求項81に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項83】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)該第1のプロモータに作動可能に連結された、前記shRNAmiRをコードす
る前記核酸配列;
(c)第2のプロモータ;および
(d)該第2のプロモータに作動可能に連結された、前記HLA-E融合タンパク質を
コードする前記核酸配列
を含むカセットを含む、請求項81に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項84】
前記第1のプロモータおよび前記第2のプロモータが同一である、請求項80~82の
いずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項85】
前記第1のプロモータと前記第2のプロモータとが異なる、請求項80~82のいずれ
か一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項86】
前記カセットが1つまたは複数の終結シグナルを含む、請求項82~85のいずれか一
項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項87】
そのゲノム内に:
(a)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(c)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列が第1のプロモータに作
動可能に連結されており、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列およ
び前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結
されているカセットを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細
胞。
【請求項88】
そのゲノム内に:
(a)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(c)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列および前記shRNAm
iRをコードする前記核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連結されており、前記H
LA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結
されているカセットを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細
胞。
【請求項89】
イントロン配列が、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置
され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配置さ
れる、請求項87に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項90】
イントロン配列が、前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に
配置され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配
置される、請求項88に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項91】
前記カセットが、前記CARまたは前記外因性TCRの転写を終結させることができる
第1の終結シグナル、および前記HLA-E融合タンパク質の転写を終結させることがで
きる第2の終結シグナルを含む、請求項87~90のいずれか一項に記載の遺伝子改変免
疫細胞。
【請求項92】
前記カセットが、前記HLA-E融合タンパク質の転写を終結させることができる第1
の終結シグナル、および前記CARまたは前記外因性TCRの転写を終結させることがで
きる第2の終結シグナルを含む、請求項87~90のいずれか一項に記載の遺伝子改変免
疫細胞。
【請求項93】
そのゲノム内に、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;
(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;
(d)第2のプロモータ;
(e)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、イントロン
配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、前記sh
RNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸配列;お
よび
(f)任意選択的に、第2の終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列が該第1のプロモータに
作動可能に連結されており、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列お
よび前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該第2のプロモータに作動可能に
連結されているカセットを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の遺伝子改変免
疫細胞。
【請求項94】
そのゲノム内に、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、イントロン
配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、前記sh
RNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸配列;
(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;
(d)第2のプロモータ;
(e)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする核酸配列;および
(f)任意選択的に、第2の終結シグナル
を含み、
前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列および前記shRNAmiR
をコードする前記核酸配列が該第1のプロモータに作動可能に連結されており、前記CA
Rまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列が該第2のプロモータに作動可能に
連結されているカセットを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の遺伝子改変免
疫細胞。
【請求項95】
そのゲノム内に、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列であって、イント
ロン配列が前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に配置され、
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸
配列;
(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;
(d)第2のプロモータ;
(e)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(f)任意選択的に、第2の終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列および前記shRNAm
iRをコードする前記核酸配列が該第1のプロモータに作動可能に連結されており、前記
HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列が該第2のプロモータに作動可能に
連結されているカセットを含む、請求項42~442のいずれか一項に記載の遺伝子改変
免疫細胞。
【請求項96】
そのゲノム内に、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;
(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;
(d)第2のプロモータ;
(e)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列であって、イント
ロン配列が前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に配置され、
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸
配列;および
(f)任意選択的に、第2の終結シグナル
を含み、
前記HLA-E融合タンパク質コードする前記核酸配列が該第1のプロモータに作動可
能に連結されており、前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列およ
び前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該第2のプロモータに作動可能に連
結されているカセットを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫
細胞。
【請求項97】
前記イントロン配列が合成イントロン配列である、請求項89~96のいずれか一項に
記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項98】
前記イントロン配列が、配列番号69と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配
列を含む、請求項89~96のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項99】
前記イントロン配列が、配列番号69の核酸配列を含む、請求項89~96のいずれか
一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項100】
前記1つまたは複数の終結シグナルがポリA配列またはBGH終結シグナルである、請
求項80または請求項86に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項101】
前記第1の終結シグナルが前記第2の終結シグナルと同一である、請求項91~99の
いずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項102】
前記第1の終結シグナルおよび前記第2の終結シグナルがポリA配列またはBGH終結
シグナルである、請求項101に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項103】
前記第1の終結シグナルが前記第2の終結シグナルとは異なる、請求項91~99のい
ずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項104】
前記第1の終結シグナルがポリA配列であり、前記第2の終結シグナルがBGH終結シ
グナルである、請求項103に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項105】
前記第1の終結シグナルがBGH終結シグナルであり、前記第2の終結シグナルがポリ
A配列である、請求項103に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項106】
前記ポリA配列が、配列番号68と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を
含む、請求項100、102、104または105のいずれか一項に記載の遺伝子改変免
疫細胞。
【請求項107】
前記ポリA配列が配列番号68の核酸配列を含む、請求項100、102、104また
は105のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項108】
前記BGH終結シグナルが、配列番号71と少なくとも80%の配列同一性を有する核
酸配列を含む、請求項100、102または104~107のいずれか一項に記載の遺伝
子改変免疫細胞。
【請求項109】
前記BGH終結シグナルが配列番号71の核酸配列を含む、請求項100、102また
は104~107のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項110】
前記第1のプロモータおよび前記第2のプロモータが同一である、請求項74~80ま
たは82~109のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項111】
前記第1のプロモータおよび前記第2のプロモータがJeTプロモータまたはEF1ア
ルファコアプロモータである、請求項110に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項112】
前記第1のプロモータが前記第2のプロモータとは異なる、請求項74~80または8
2~109のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項113】
前記第1のプロモータがJeTプロモータであり、前記第2のプロモータがEF1アル
ファコアプロモータである、請求項112に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項114】
前記第1のプロモータがEF1アルファコアプロモータであり、前記第2のプロモータ
がJeTプロモータである、請求項112に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項115】
前記JeTプロモータが、配列番号67と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸
配列を含む、請求項111、113または114のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫
細胞。
【請求項116】
前記JeTプロモータが配列番号67の核酸配列を含む、請求項111、113または
114のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項117】
前記EF1アルファコアプロモータが、配列番号72と少なくとも80%の配列同一性
を有する核酸配列を含む、請求項111または113~116のいずれか一項に記載の遺
伝子改変免疫細胞。
【請求項118】
前記EF1アルファコアプロモータが配列番号72の核酸配列を含む、請求項111ま
たは113~116のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項119】
前記CARが、配列番号73と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を
含むシグナルペプチドを含む、請求項73~118のいずれか一項に記載の遺伝子改変免
疫細胞。
【請求項120】
前記CARが、配列番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む、請求項7
3~118のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項121】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)配列番号67と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含む第1のプ
ロモータ;
(b)前記CARをコードする前記核酸配列であって、前記CARが配列番号73と少
なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配
列;
(c)任意選択的に、配列番号70と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列
を含む第1の終結シグナル;
(d)配列番号72と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含む第2のプ
ロモータ;
(e)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、前記HLA
-E融合タンパク質が配列番号66と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配
列を含み、イントロン配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内
に配置され、該イントロン配列が、配列番号69と少なくとも80%の配列同一性を有す
る核酸配列を含み、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列
内に配置される核酸配列;および
(f)任意選択的に、配列番号71と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列
を含む第2の終結シグナル
を含み、
前記CARをコードする前記核酸配列が該第1のプロモータに作動可能に連結されてお
り、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列および前記shRNAmi
Rをコードする前記核酸配列が該第2のプロモータに作動可能に連結されているカセット
を含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項122】
そのゲノム中に、5’から3’に:
(a)配列番号67の核酸配列を含む第1のプロモータ;
(b)前記CARをコードする前記核酸配列であって、前記CARが配列番号73のア
ミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配列;
(c)任意選択的に、配列番号70の核酸配列を含む第1の終結シグナル;
(d)配列番号72の核酸配列を含む第2のプロモータ;
(e)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、前記HLA
-E融合タンパク質が配列番号66のアミノ酸配列を含み、イントロン配列が前記HLA
-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、該イントロン配列が配列番
号69の核酸配列を含み、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロ
ン配列内に配置される核酸配列;および
(f)任意選択的に、配列番号71の核酸配列を含む第2の終結シグナル
を含み、
前記CARをコードする前記核酸配列が該第1のプロモータに作動可能に連結されてお
り、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列および前記shRNAmi
Rをコードする前記核酸配列が、該第2のプロモータに作動可能に連結されているカセッ
トを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項123】
そのゲノム中に、配列番号75と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含
むカセットを含み、該カセットが、TCRアルファ定常領域遺伝子内のゲノム中に配置さ
れる、請求項121または請求項122に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項124】
そのゲノム中に、配列番号75の核酸配列を含むカセットを含み、該カセットが、TC
Rアルファ定常領域遺伝子内のゲノム中に配置される、請求項121または請求項122
に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項125】
前記標的タンパク質の発現が、対照細胞と比較して少なくとも約10%、約20%、約
30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約
80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項1~12
4のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項126】
前記標的タンパク質が、ベータ-2ミクログロブリン、CS1、トランスフォーミング
増殖因子ベータ受容体2(TGFBR2)、Cbl癌原遺伝子B(CBL-B)、CD5
2、TCRアルファ遺伝子、TCRアルファ定常領域遺伝子、CD7、グルココルチコイ
ド受容体(GR)、デオキシシチジンキナーゼ(DCK)、核内受容体サブファミリー2
グループFメンバー6(NR2F6)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTL
A-4)、またはC-Cケモカイン受容体5型(CCR5)である、請求項1~125の
いずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項127】
前記標的タンパク質がベータ-2ミクログロブリンである、請求項126に記載の遺伝
子改変免疫細胞。
【請求項128】
ベータ-2ミクログロブリンの細胞表面発現が、対照細胞と比較して少なくとも約10
%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70
%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する
、請求項127に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項129】
MHCクラスI分子の発現が、対照細胞と比較して細胞表面上で少なくとも約10%、
約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、
約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請
求項127または請求項128に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項130】
対照細胞と比較して同種異系性が低下している、請求項127~129のいずれか一項
に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項131】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号17の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号18の核酸配列を含む;
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号7の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号
8の核酸配列を含む;
(c)前記パッセンジャー鎖が配列番号9の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号
10の核酸配列を含む;
(d)前記パッセンジャー鎖が配列番号11の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号12の核酸配列を含む;
(e)前記パッセンジャー鎖が配列番号13の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号14の核酸配列を含む;または
(f)前記パッセンジャー鎖が配列番号15の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号16の核酸配列を含む
請求項127~130のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項132】
前記パッセンジャー鎖が配列番号17の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号18
の核酸配列を含む、請求項127~131のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項133】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号46と少なくとも80%
の配列同一性を有する配列を含む、請求項127~132のいずれか一項に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項134】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号46の配列を含む、請求項
133に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項135】
前記標的タンパク質がCS1である、請求項126に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項136】
CS1の細胞表面発現が、対照細胞と比較して少なくとも約10%、約20%、約30
%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80
%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項135に記載
の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項137】
CS1に対する特異性を有するCARを発現する、請求項135または請求項136に
記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項138】
対照細胞と比較して、CS1に対する特異性を有するCARを発現する遺伝子改変免疫
細胞によるフラトリサイドを受けにくい、請求項135~137のいずれか一項に記載の
遺伝子改変免疫細胞。
【請求項139】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号21の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号22の核酸配列を含む;
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号23の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号24の核酸配列を含む;または
(c)前記パッセンジャー鎖が配列番号25の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号26の核酸配列を含む、
請求項135~138のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項140】
前記パッセンジャー鎖が配列番号25の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号26
の核酸配列を含む、請求項135~139のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項141】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号50と少なくとも80%
の配列同一性を有する配列を含む、請求項135~140のいずれか一項に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項142】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号50の配列を含む、請求項
141に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項143】
前記標的タンパク質がTGFBR2である、請求項126に記載の遺伝子改変免疫細胞
【請求項144】
TGFBR2の細胞表面発現が、対照細胞と比較して少なくとも約10%、約20%、
約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、
約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項143
に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項145】
対照細胞と比較して、トランスフォーミング増殖因子B1(TGFB1)による免疫抑
制を受けにくい、請求項143または請求項144に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項146】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号27の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号28の核酸配列を含む;
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号29の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号30の核酸配列を含む;
(c)前記パッセンジャー鎖が配列番号31の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号32の核酸配列を含む;
(d)前記パッセンジャー鎖が配列番号33の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号34の核酸配列を含む;または
(e)前記パッセンジャー鎖が配列番号35の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号36の核酸配列を含む、
請求項143~145のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項147】
前記パッセンジャー鎖が配列番号31の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号32
の核酸配列を含む、請求項143~146のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項148】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号53と少なくとも80%
の配列同一性を有する配列を含む、請求項143~147のいずれか一項に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項149】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号53の配列を含む、請求項
148に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項150】
前記標的タンパク質がCBL-Bである、請求項126に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項151】
CBL-Bの細胞表面発現が、対照細胞と比較して少なくとも約10%、約20%、約
30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約
80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項150に
記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項152】
対照細胞と比較して、下流シグナリングタンパク質の分解によるT細胞受容体(TCR
)シグナル伝達の抑制を受けにくい、請求項150または請求項151に記載の遺伝子改
変免疫細胞。
【請求項153】
前記標的タンパク質がCD52である、請求項126に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項154】
CD52の細胞表面発現が、対照細胞と比較して少なくとも約10%、約20%、約3
0%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約8
0%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項153に記
載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項155】
CD52抗体誘導細胞死を受けにくい、請求項153または請求項154に記載の遺伝
子改変免疫細胞。
【請求項156】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号37の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号38の核酸配列を含む;または
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号39の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号40の核酸配列を含む、
請求項153~155のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項157】
前記パッセンジャー鎖が配列番号37の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号38
の核酸配列を含む、請求項153~156のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項158】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号56と少なくとも80%
の配列同一性を有する配列を含む、請求項153~157のいずれか一項に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項159】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号56の配列を含む、請求項
158に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項160】
前記標的タンパク質がDCKである、請求項126に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項161】
DCKの細胞表面発現が、対照細胞と比較して少なくとも約10%、約20%、約30
%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80
%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項160に記載
の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項162】
細胞増殖に対するプリンヌクレオシド類似体の影響を受けにくい、請求項160または
請求項161に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項163】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号76の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号77の核酸配列を含む;
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号78の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号79の核酸配列を含む;
(c)前記パッセンジャー鎖が配列番号80の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号81の核酸配列を含む;
(d)前記パッセンジャー鎖が配列番号82の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号83の核酸配列を含む;または
(e)前記パッセンジャー鎖が配列番号84の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号85の核酸配列を含む、
請求項160~162のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項164】
前記パッセンジャー鎖が配列番号76の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号77
の核酸配列を含む、請求項160~163のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項165】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号86と少なくとも80%
の配列同一性を有する配列を含む、請求項160~164のいずれか一項に記載の遺伝子
改変免疫細胞。
【請求項166】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号86の配列を含む、請求項
165に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項167】
前記標的タンパク質がGRである、請求項126に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項168】
GRの細胞表面発現が、対照細胞と比較して少なくとも約10%、約20%、約30%
、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%
、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項167に記載の
遺伝子改変免疫細胞。
【請求項169】
細胞増殖に対するグルココルチコイドの影響を受けにくい、請求項167または請求項
168に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項170】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号91の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号92の核酸配列を含む;
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号93の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号94の核酸配列を含む;
(c)前記パッセンジャー鎖が配列番号95の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号96の核酸配列を含む;
(d)前記パッセンジャー鎖が配列番号97の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号98の核酸配列を含む;
(e)前記パッセンジャー鎖が配列番号99の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号100の核酸配列を含む;
(f)前記パッセンジャー鎖が配列番号101の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列
番号102の核酸配列を含む;
(g)前記パッセンジャー鎖が配列番号103の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列
番号104の核酸配列を含む;
(h)前記パッセンジャー鎖が配列番号105の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列
番号106の核酸配列を含む;または
(i)前記パッセンジャー鎖が配列番号107の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列
番号108の核酸配列を含む、
請求項167~169のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項171】
前記パッセンジャー鎖が配列番号95の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号96
の核酸配列を含む、請求項167~170のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項172】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号111と少なくとも80
%の配列同一性を有する配列を含む、請求項167~171のいずれか一項に記載の遺伝
子改変免疫細胞。
【請求項173】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号111の配列を含む、請求
項172に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項174】
免疫細胞における内因性タンパク質の発現を低下させる方法であって、shRNAmi
Rをコードする核酸配列を含む鋳型核酸を該免疫細胞に導入して、該鋳型核酸が該免疫細
胞のゲノムに挿入され、該shRNAmiRが該免疫細胞において内因性標的タンパク質
の発現を低下させることを含む、方法。
【請求項175】
前記免疫細胞がT細胞またはそれに由来する細胞である、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記免疫細胞がナチュラルキラー(NK)細胞またはそれに由来する細胞である、請求
項174に記載の方法。
【請求項177】
前記免疫細胞がB細胞またはそれに由来する細胞である、請求項174に記載の方法。
【請求項178】
前記免疫細胞が単球もしくはマクロファージ、またはそれに由来する細胞である、請求
項174に記載の方法。
【請求項179】
前記鋳型核酸が、ランダムな組み込みによって前記免疫細胞のゲノムに挿入される、請
求項174~178のいずれか一項に記載の方法。
【請求項180】
レンチウイルスベクターを使用して前記鋳型核酸を前記免疫細胞に導入する、請求項1
74~179のいずれか一項に記載の方法。
【請求項181】
前記免疫細胞がCARまたは外因性TCRを発現する、請求項174~180のいずれ
か一項に記載の方法。
【請求項182】
前記免疫細胞のゲノム中の認識配列に特異性を有する操作されたヌクレアーゼをコード
する第2の核酸を前記免疫細胞に導入し、該操作されたヌクレアーゼが前記免疫細胞にお
いて発現し、該認識配列に切断部位を生成し、前記鋳型核酸が該切断部位において前記免
疫細胞のゲノムに挿入されることをさらに含む、請求項174~178のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項183】
前記鋳型核酸が、前記認識配列に隣接する配列と相同性を有する相同アームに隣接し、
前記鋳型核酸が相同組換えによって前記切断部位に挿入される、請求項182に記載の方
法。
【請求項184】
前記鋳型核酸がウイルスベクターによって前記免疫細胞に導入される、請求項182ま
たは請求項183に記載の方法。
【請求項185】
前記ウイルスベクターが組換えAAVベクターである、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記組換えAAVベクターがAAV2またはAAV6の血清型を有する、請求項185
に記載の方法。
【請求項187】
前記認識配列が標的遺伝子内にある、請求項182~186のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項188】
前記標的遺伝子によってコードされるタンパク質の発現が前記免疫細胞において破壊さ
れる、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
前記標的遺伝子が、TCRアルファ遺伝子およびTCRアルファ定常領域遺伝子からな
る群から選択される、請求項187または請求項188に記載の方法。
【請求項190】
前記標的遺伝子がTCRアルファ定常領域遺伝子であり、前記免疫細胞が内因性TCR
の検出可能な細胞表面発現を有さない、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
前記操作されたヌクレアーゼが、操作されたメガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌク
レアーゼ、TALEN、コンパクトTALEN、CRISPRシステムヌクレアーゼ、ま
たはmegaTALである、請求項182~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項192】
前記操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである、請求項182~1
91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項193】
前記操作されたヌクレアーゼをコードする前記第2の核酸がmRNAを使用して導入さ
れる、請求項182~192のいずれか一項に記載の方法。
【請求項194】
前記免疫細胞が、そのゲノム中に、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列を
含む、請求項174~193のいずれか一項に記載の方法。
【請求項195】
前記免疫細胞が、そのゲノム中にHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列を含
む、請求項174~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項196】
前記鋳型核酸が、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列を含み、前記CAR
または前記外因性TCRが前記免疫細胞によって発現される、請求項174~193また
は195のいずれか一項に記載の方法。
【請求項197】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記CARまたは前記外因性T
CRをコードする前記核酸配列が、前記切断部位に前記鋳型核酸を導入した後に、前記免
疫細胞中で同じプロモータに作動可能に連結される、請求項196に記載の方法。
【請求項198】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;および
(b)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列
を含む、請求項196または請求項197に記載の方法。
【請求項199】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列;および
(b)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列
を含む、請求項196または請求項197のいずれか一項に記載の方法。
【請求項200】
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列および前記shRNAm
iRをコードする前記核酸配列が、2AまたはIRES配列によって分離される、請求項
196~199のいずれか一項に記載の方法。
【請求項201】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記CARまたは前記外因性TC
Rをコードする前記核酸配列と同じ向きである、請求項196~200のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項202】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記CARまたは前記外因性TC
Rをコードする前記核酸配列と逆向きである、請求項196~200のいずれか一項に記
載の方法。
【請求項203】
イントロン配列が、前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に
配置され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配
置される、請求項196または請求項197に記載の方法。
【請求項204】
前記鋳型核酸がプロモータを含み、該プロモータが、前記CARまたは前記外因性TC
Rをコードする前記核酸配列および前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列に作
動可能に連結される、請求項196~203のいずれか一項に記載の方法。
【請求項205】
前記鋳型核酸が終結シグナルを含む、請求項196~204のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項206】
前記鋳型核酸が、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列を含み、前記HLA
-E融合タンパク質が前記免疫細胞によって発現される、請求項174~194のいずれ
か一項に記載の方法。
【請求項207】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記HLA-E融合タンパク質
をコードする前記核酸配列が、前記切断部位に前記鋳型核酸を導入した後、前記免疫細胞
中で同じプロモータに作動可能に連結される、請求項206に記載の方法。
【請求項208】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)前記前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(b)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列
を含む、請求項206または請求項207に記載の方法。
【請求項209】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列;および
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列
を含む、請求項206または請求項207のいずれか一項に記載の方法。
【請求項210】
前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列および前記shRNAmiR
をコードする前記核酸配列が、2AまたはIRES配列によって分離される、請求項20
6~209のいずれか一項に記載の方法。
【請求項211】
イントロン配列が、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置
され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配置さ
れる、請求項206または請求項207に記載の方法。
【請求項212】
前記鋳型核酸がプロモータを含み、該プロモータが、前記HLA-E融合タンパク質を
コードする前記核酸配列および前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列に作動可
能に連結される、請求項206~211のいずれか一項に記載の方法。
【請求項213】
前記鋳型核酸が終結シグナルを含む、請求項206~212のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項214】
前記鋳型核酸が、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列およびHLA-E融
合タンパク質をコードする核酸配列を含み、該CARまたは該外因性TCRおよび該HL
A-E融合タンパク質が前記免疫細胞によって発現される、請求項174~193のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項215】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列、前記CARまたは前記外因性TCR
をコードする前記核酸配列、および前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸
配列が、前記切断部位に前記鋳型核酸を導入した後に同じプロモータに作動可能に連結さ
れる、請求項214に記載の方法。
【請求項216】
前記鋳型核酸が:
(a)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;
(b)2AまたはIRES配列;
(c)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(d)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列
を含む、請求項215に記載の方法。
【請求項217】
イントロン配列が、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置
され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配置さ
れる、請求項216に記載の方法。
【請求項218】
イントロン配列が、前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に
配置され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配
置される、請求項216に記載の方法。
【請求項219】
前記鋳型核酸が、前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列、前記
HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列、および前記shRNAmiRをコ
ードする前記核酸配列に作動可能に連結されたプロモータを含む、請求項216に記載の
方法。
【請求項220】
前記鋳型核酸が終結シグナルを含む、請求項215~219のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項221】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)プロモータ;
(b)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;
(c)2AまたはIRES配列;
(d)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、イントロン
配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、前記sh
RNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸配列;お
よび
(e)任意選択的に、終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タ
ンパク質をコードする前記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸
配列が、該プロモータに作動可能に連結されている、請求項215に記載の方法。
【請求項222】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)プロモータ;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、イントロン
配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、前記sh
RNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸配列;
(c)2AまたはIRES配列;
(d)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;および
(e)任意選択的に、終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タ
ンパク質をコードする前記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸
配列が、該プロモータに作動可能に連結されている、請求項215に記載の方法。
【請求項223】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)プロモータ;
(b)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列であって、イント
ロン配列が前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に配置され、
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸
配列;
(c)2AまたはIRES配列;
(d)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(e)任意選択的に、終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タ
ンパク質をコードする前記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸
配列が、該プロモータに作動可能に連結されている、請求項215に記載の方法。
【請求項224】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)プロモータ;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;
(c)2AまたはIRES配列;
(d)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列であって、イント
ロン配列が前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に配置され、
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸
配列;および
(e)任意選択的に、終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タ
ンパク質をコードする前記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸
配列が、該プロモータに作動可能に連結されている、請求項215に記載の方法。
【請求項225】
前記イントロン配列が合成イントロン配列である、請求項203~205、211~2
13または217~224のいずれか一項に記載の方法。
【請求項226】
前記イントロン配列が、配列番号69と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配
列を含む、請求項203~205、211~213または217~224のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項227】
前記イントロン配列が、配列番号69の核酸配列を含む、請求項203~205、21
1~213または217~224のいずれか一項に記載の方法。
【請求項228】
前記終結シグナルがポリA配列またはウシ成長ホルモン(BGH)終結シグナルである
、請求項205、213または220~227のいずれか一項に記載の方法。
【請求項229】
前記ポリA配列が、配列番号68と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を
含む、請求項228に記載の方法。
【請求項230】
前記ポリA配列が配列番号68の核酸配列を含む、請求項228に記載の方法。
【請求項231】
前記BGH終結シグナルが、配列番号71と少なくとも80%の配列同一性を有する核
酸配列を含む、請求項228に記載の方法。
【請求項232】
前記BGH終結シグナルが配列番号71の核酸配列を含む、請求項228に記載の方法
【請求項233】
前記プロモータが、配列番号67と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を
含む、請求項197~205、207~213、または215~232のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項234】
前記プロモータが配列番号67の核酸配列を含む、請求項197~205、207~2
13、または215~232のいずれか一項に記載の方法。
【請求項235】
前記2A配列が、配列番号70と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含
むP2A/フューリン部位である、請求項200~202、204、205、210、2
12、213、または216~234のいずれか一項に記載の方法。
【請求項236】
前記2A配列が、配列番号70の核酸配列を含むP2A/フューリン部位である、請求
項200~202、204、205、210、212、213、または216~234の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項237】
前記HLA-E融合タンパク質が、配列番号66と少なくとも80%の配列同一性を有
するアミノ酸配列を含む、請求項206~236のいずれか一項に記載の方法。
【請求項238】
前記HLA-E融合タンパク質が、配列番号66のアミノ酸配列を含む、請求項206
~236のいずれか一項に記載の方法。
【請求項239】
前記CARが、配列番号73と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を
含むシグナルペプチドを含む、請求項181または194~238のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項240】
前記CARが、配列番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む、請求項1
81または194~238のいずれか一項に記載の方法。
【請求項241】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)配列番号67と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含むプロモー
タ;
(b)前記CARをコードする前記核酸配列であって、前記CARが配列番号73と少
なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配
列;
(c)配列番号70と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含むP2A/
フューリン部位;
(d)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、前記HLA
-E融合タンパク質が配列番号66と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配
列を含み、イントロン配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内
に配置され、該イントロン配列が配列番号69と少なくとも80%の配列同一性を有する
核酸配列を含み、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内
に配置される核酸配列;および
(e)任意選択的に、配列番号68と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列
を含む終結シグナル
を含み、
前記CARをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前
記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該プロモータに
作動可能に連結されている、請求項215に記載の方法。
【請求項242】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)配列番号67の核酸配列を含むプロモータ;
(b)前記CARをコードする前記核酸配列であって、前記CARが配列番号73のア
ミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配列;
(c)配列番号70の核酸配列を含むP2A/フューリン部位;
(d)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、前記HLA
-E融合タンパク質が配列番号66のアミノ酸配列を含み、イントロン配列が前記HLA
-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、該イントロン配列が配列番
号69の核酸配列を含み、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロ
ン配列内に配置される核酸配列;および
(e)任意選択的に、配列番号68の核酸配列を含む終結シグナル
を含み、
前記CARをコードする前記核酸配列、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前
記核酸配列、および前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該プロモータに
作動可能に連結されている、請求項215に記載の方法。
【請求項243】
前記鋳型核酸が、配列番号74と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含
み、前記鋳型核酸が、TCRアルファ定常領域遺伝子内のゲノムに挿入されている、請求
項241または請求項242に記載の方法。
【請求項244】
前記鋳型核酸が配列番号74の核酸配列を含み、前記鋳型核酸がTCRアルファ定常領
域遺伝子内のゲノムに挿入されている、請求項241または請求項242に記載の方法。
【請求項245】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記CARまたは前記外因性T
CRをコードする前記核酸配列が、前記切断部位に前記鋳型核酸を導入した後に、前記免
疫細胞中で異なるプロモータに作動可能に連結される、請求項196に記載の方法。
【請求項246】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)該第1のプロモータに作動可能に連結された前記CARまたは外因性TCRをコ
ードする前記核酸配列;
(c)第2のプロモータ;および
(d)該第2のプロモータに作動可能に連結された前記shRNAmiRをコードする
前記核酸配列
を含む、請求項245に記載の方法。
【請求項247】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)該第1のプロモータに作動可能に連結された前記shRNAmiRをコードする
前記核酸配列;
(c)第2のプロモータ;および
(d)該第2のプロモータに作動可能に連結された前記CARまたは外因性TCRをコ
ードする前記核酸配列
を含む、請求項245に記載の方法。
【請求項248】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記CARまたは外因性TCRを
コードする前記核酸配列と同じ向きである、請求項245~247のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項249】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、前記CARまたは外因性TCRを
コードする前記核酸配列と逆向きである、請求項245~247のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項250】
前記第1のプロモータおよび前記第2のプロモータが同一である、請求項245~24
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項251】
前記第1のプロモータと前記第2のプロモータとが異なる、請求項245~249のい
ずれか一項に記載の方法。
【請求項252】
前記鋳型核酸が1つまたは複数の終結シグナルを含む、請求項245~251のいずれ
か一項に記載の方法。
【請求項253】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列および前記HLA-E融合タンパク質
をコードする前記核酸配列が、前記切断部位に前記鋳型核酸を導入した後、前記免疫細胞
中で異なるプロモータに作動可能に連結される、請求項206に記載の方法。
【請求項254】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)該第1のプロモータに作動可能に連結された前記HLA-E融合タンパク質をコ
ードする前記核酸配列;
(c)第2のプロモータ;および
(d)該第2のプロモータに作動可能に連結された前記shRNAmiRをコードする
前記核酸配列
を含む、請求項253に記載の方法。
【請求項255】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)該第1のプロモータに作動可能に連結された前記shRNAmiRをコードする
前記核酸配列;
(c)第2のプロモータ;および
(d)該第2のプロモータに作動可能に連結された前記HLA-E融合タンパク質をコ
ードする前記核酸配列
を含む、請求項253に記載の方法。
【請求項256】
前記第1のプロモータおよび前記第2のプロモータが同一である、請求項253~25
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項257】
前記第1のプロモータと前記第2のプロモータとが異なる、請求項253~255のい
ずれか一項に記載の方法。
【請求項258】
前記鋳型核酸が1つまたは複数の終結シグナルを含む、請求項253~257のいずれ
か一項に記載の方法。
【請求項259】
前記鋳型核酸が、
(a)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(c)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列が第1のプロモータに作
動可能に連結されており、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列およ
び前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結
されている、請求項214に記載の方法。
【請求項260】
前記鋳型核酸が、
(a)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(c)前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列および前記shRNAm
iRをコードする前記核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連結されており、前記H
LA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結
されている、請求項214に記載の方法。
【請求項261】
イントロン配列が、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置
され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配置さ
れる、請求項259に記載の方法。
【請求項262】
イントロン配列が、前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に
配置され、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、該イントロン配列内に配
置される、請求項260に記載の方法。
【請求項263】
前記鋳型核酸が、前記CARまたは前記外因性TCRの転写を終結させることができる
第1の終結シグナル、および前記HLA-E融合タンパク質の転写を終結させることがで
きる第2の終結シグナルを含む、請求項259~262のいずれか一項に記載の方法。
【請求項264】
前記鋳型核酸が、前記HLA-E融合タンパク質の転写を終結させることができる第1
の終結シグナル、および前記CARまたは前記外因性TCRの転写を終結させることがで
きる第2の終結シグナルを含む、請求項259~262のいずれか一項に記載の方法。
【請求項265】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列;
(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;
(d)第2のプロモータ;
(e)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、イントロン
配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、前記sh
RNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸配列;お
よび
(f)任意選択的に、第2の終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列が該第1のプロモータに
作動可能に連結されおり、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列およ
び前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該第2のプロモータに作動可能に連
結されている、請求項214に記載の方法。
【請求項266】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、イントロン
配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、前記sh
RNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸配列;
(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;
(d)第2のプロモータ;
(e)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする核酸配列;および
(f)任意選択的に、第2の終結シグナル
を含み、
前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列および前記shRNAmiR
をコードする前記核酸配列が該第1のプロモータに作動可能に連結されており、前記CA
Rまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列が該第2のプロモータに作動可能に
連結されている、請求項214に記載の方法。
【請求項267】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列であって、イント
ロン配列が前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に配置され、
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸
配列;
(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;
(d)第2のプロモータ;
(e)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;および
(f)任意選択的に、第2の終結シグナル
を含み、
前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列および前記shRNAm
iRをコードする前記核酸配列が該第1のプロモータに作動可能に連結されており、前記
HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列が該第2のプロモータに作動可能に
連結されている、請求項214に記載の方法。
【請求項268】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)第1のプロモータ;
(b)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列;
(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;
(d)第2のプロモータ;
(e)前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列であって、イント
ロン配列が前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列内に配置され、
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列内に配置される核酸
配列;および
(f)任意選択的に、第2の終結シグナル
を含み、
前記HLA-E融合タンパク質コードする前記核酸配列が該第1のプロモータに作動可
能に連結されており、前記CARまたは前記外因性TCRをコードする前記核酸配列およ
び前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該第2のプロモータに作動可能に連
結されている、請求項214に記載の方法。
【請求項269】
前記イントロン配列が合成イントロン配列である、請求項261~268のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項270】
前記イントロン配列が、配列番号69と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配
列を含む、請求項261~268のいずれか一項に記載の方法。
【請求項271】
前記イントロン配列が、配列番号69の核酸配列を含む、請求項261~268のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項272】
前記1つまたは複数の終結シグナルがポリA配列またはBGH終結シグナルである、請
求項252または請求項258に記載の方法。
【請求項273】
前記第1の終結シグナルが前記第2の終結シグナルと同一である、請求項263~27
1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項274】
前記第1の終結シグナルが前記第2の終結シグナルとは異なる、請求項263~271
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項275】
前記第1の終結シグナルがポリA配列であり、前記第2の終結シグナルがBGH終結シ
グナルである、請求項274に記載の方法。
【請求項276】
前記第1の終結シグナルがBGH終結シグナルであり、前記第2の終結シグナルがポリ
A配列である、請求項274に記載の遺伝子改変免疫細胞。
【請求項277】
前記ポリA配列が、配列番号68と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を
含む、請求項272、275または276のいずれか一項に記載の方法。
【請求項278】
前記ポリA配列が配列番号68の核酸配列を含む、請求項272、275または276
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項279】
前記BGH終結シグナルが、配列番号71と少なくとも80%の配列同一性を有する核
酸配列を含む、請求項272、275または276のいずれか一項に記載の方法。
【請求項280】
前記BGH終結シグナルが配列番号71の核酸配列を含む、請求項272、275また
は276のいずれか一項に記載の方法。
【請求項281】
前記第1のプロモータおよび前記第2のプロモータが同一である、請求項246~25
2または254~280のいずれか一項に記載の方法。
【請求項282】
前記第1のプロモータが前記第2のプロモータとは異なる、請求項246~252また
は254~280のいずれか一項に記載の方法。
【請求項283】
前記第1のプロモータがJeTプロモータであり、前記第2のプロモータがEF1アル
ファコアプロモータである、請求項282に記載の方法。
【請求項284】
前記第1のプロモータがEF1アルファコアプロモータであり、前記第2のプロモータ
がJeTプロモータである、請求項282に記載の方法。
【請求項285】
前記JeTプロモータが、配列番号67と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸
配列を含む、請求項283または請求項284に記載の方法。
【請求項286】
前記JeTプロモータが配列番号67の核酸配列を含む、請求項283または請求項2
84に記載の方法。
【請求項287】
前記EF1アルファコアプロモータが、配列番号72と少なくとも80%の配列同一性
を有する核酸配列を含む、請求項283~286のいずれか一項に記載の方法。
【請求項288】
前記EF1アルファコアプロモータが配列番号72の核酸配列を含む、請求項283~
286のいずれか一項に記載の方法。
【請求項289】
前記HLA-E融合タンパク質が、配列番号66と少なくとも80%の配列同一性を有
するアミノ酸配列を含む、請求項253~288のいずれか一項に記載の方法。
【請求項290】
前記HLA-E融合タンパク質が、配列番号66のアミノ酸配列を含む、請求項253
~288のいずれか一項に記載の方法。
【請求項291】
前記CARが、配列番号73と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を
含むシグナルペプチドを含む、請求項245~290のいずれか一項に記載の方法。
【請求項292】
前記CARが、配列番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む、請求項2
45~290のいずれか一項に記載の方法。
【請求項293】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)配列番号67と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含む第1のプ
ロモータ;
(b)前記CARをコードする前記核酸配列であって、前記CARが配列番号73と少
なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配
列;
(c)任意選択的に、配列番号70と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列
を含む第1の終結シグナル;
(d)配列番号72と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含む第2のプ
ロモータ;
(e)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、前記HLA
-E融合タンパク質が配列番号66と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配
列を含み、イントロン配列が前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内
に配置され、該イントロン配列が、配列番号69と少なくとも80%の配列同一性を有す
る核酸配列を含み、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロン配列
内に配置される核酸配列;および
(f)任意選択的に、配列番号71と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列
を含む第2の終結シグナル
を含み、
前記CARをコードする前記核酸配列が該第1のプロモータに作動可能に連結されてお
り、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列および前記shRNAmi
Rをコードする前記核酸配列が該第2のプロモータに作動可能に連結されている、請求項
214記載の方法。
【請求項294】
前記鋳型核酸が、5’から3’に:
(a)配列番号67の核酸配列を含む第1のプロモータ;
(b)前記CARをコードする前記核酸配列であって、前記CARが配列番号73のア
ミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配列;
(c)任意選択的に、配列番号70の核酸配列を含む第1の終結シグナル;
(d)配列番号72の核酸配列を含む第2のプロモータ;
(e)前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列であって、前記HLA
-E融合タンパク質が配列番号66のアミノ酸配列を含み、イントロン配列が前記HLA
-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列内に配置され、該イントロン配列が配列番
号69の核酸配列を含み、前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が該イントロ
ン配列内に配置される核酸配列;および
(f)任意選択的に、配列番号71の核酸配列を含む第2の終結シグナル
を含み、
前記CARをコードする前記核酸配列が該第1のプロモータに作動可能に連結されてお
り、前記HLA-E融合タンパク質をコードする前記核酸配列および前記shRNAmi
Rをコードする前記核酸配列が、該第2のプロモータに作動可能に連結されている、請求
項214に記載の方法。
【請求項295】
前記鋳型核酸が、配列番号75と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を含
み、前記カセットが、TCRアルファ定常領域遺伝子内のゲノムに挿入されている、請求
項293または請求項294に記載の方法。
【請求項296】
前記鋳型核酸が配列番号75の核酸配列を含み、前記カセットがTCRアルファ定常領
域遺伝子内のゲノムに挿入されている、請求項293または請求項294に記載の方法。
【請求項297】
前記shRNAmiRが、5’から3’に:
(a)5’miR足場ドメイン;
(b)5’miR基底ステムドメイン;
(c)パッセンジャー鎖;
(d)miRループドメイン;
(e)ガイド鎖;
(f)3’miR基底ステムドメイン;および
(g)3’miR足場ドメイン
を含む、請求項174~296のいずれか一項に記載の方法。
【請求項298】
前記miRループドメインがmiR-30aループドメインである、請求項297に記
載の方法。
【請求項299】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号3と少なくとも80%の
配列同一性を有するmiR-30aループドメインコード配列を含む、請求項298に記
載の方法。
【請求項300】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号3のmiR-30aルー
プドメインコード配列を含む、請求項298に記載の方法。
【請求項301】
前記shRNAmiRが、マイクロRNA-E(miR-E)足場、miR-30(例
えば、miR-30a)足場、miR-15足場、miR-16足場、miR-155足
場、miR-22足場、miR-103足場またはmiR-107足場を含む、請求項1
74~300のいずれか一項に記載の方法。
【請求項302】
前記shRNAmiRがmiR-E足場を含む、請求項301に記載の方法。
【請求項303】
(a)前記5’miR足場ドメインが、配列番号1と少なくとも80%の配列同一性を
有する核酸配列を含み;
(b)前記5’miR基底ステムドメインが、配列番号2と少なくとも80%の配列同
一性を有する核酸配列を含み;
(c)前記3’miR基底ステムドメインが、配列番号4と少なくとも80%の配列同
一性を有する核酸配列を含み;および
(d)前記3’miR足場ドメインが、配列番号5と少なくとも80%の配列同一性を
有する核酸配列を含む、
請求項297~302のいずれか一項に記載の方法。
【請求項304】
a)前記5’miR足場ドメインが配列番号1の核酸配列を含み;
(b)前記5’miR基底ステムドメインが配列番号2の核酸配列を含み;
(c)前記3’miR基底ステムドメインが配列番号4の核酸配列を含み;および
(d)前記3’miR足場ドメインが配列番号5の核酸配列を含む、
請求項297~303に記載の方法。
【請求項305】
前記標的タンパク質の発現が、対照細胞と比較して、少なくとも約10%、約20%、
約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、
約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項174
~304のいずれか一項に記載の方法。
【請求項306】
前記標的タンパク質が、ベータ-2ミクログロブリン、CS1、トランスフォーミング
増殖因子受容体2(TGFBR2)、Cbl癌原遺伝子B(CBL-B)、CD52、T
CRアルファ遺伝子、TCRアルファ定常領域遺伝子、CD7、グルココルチコイド受容
体(GR)、デオキシシチジンキナーゼ(DCK)、核内受容体サブファミリー2グルー
プFメンバー6(NR2F6)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4
)、またはC-Cケモカイン受容体5型(CCR5)である、請求項174~305のい
ずれか一項に記載の方法。
【請求項307】
前記標的タンパク質がベータ-2ミクログロブリンである、請求項306に記載の方法
【請求項308】
ベータ-2ミクログロブリンの細胞表面発現が、対照細胞と比較して、少なくとも約1
0%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約7
0%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下す
る、請求項307に記載の方法。
【請求項309】
MHCクラスI分子の発現が、対照細胞と比較して細胞表面上で少なくとも約10%、
約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、
約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請
求項307または請求項308に記載の方法。
【請求項310】
前記免疫細胞が、対照細胞と比較して同種異系性が低下している、請求項307~30
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項311】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号17の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号18の核酸配列を含む;
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号7の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号
8の核酸配列を含む;
(c)前記パッセンジャー鎖が配列番号9の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号
10の核酸配列を含む;
(d)前記パッセンジャー鎖が配列番号11の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号12の核酸配列を含む;
(e)前記パッセンジャー鎖が配列番号13の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号14の核酸配列を含む;または
(f)前記パッセンジャー鎖が配列番号15の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号16の核酸配列を含む;
請求項307~310のいずれか一項に記載の方法。
【請求項312】
前記パッセンジャー鎖が配列番号17の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号18
の核酸配列を含む、請求項307~311のいずれか一項に記載の方法。
【請求項313】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号46と少なくとも80%
の配列同一性を有する配列を含む、請求項307~312のいずれか一項に記載の方法。
【請求項314】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号46の配列を含む、請求項
307~313のいずれか一項に記載の方法。
【請求項315】
前記標的タンパク質がCS1である、請求項306に記載の方法。
【請求項316】
CS1の細胞表面発現が、対照細胞と比較して少なくとも約10%、約20%、約30
%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80
%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項315に記載
の方法。
【請求項317】
前記免疫細胞が、CS1に対する特異性を有するCARを発現する、請求項315また
は請求項316に記載の方法。
【請求項318】
前記免疫細胞が、対照細胞と比較してCS1に対する特異性を有するCARを発現する
免疫細胞によるフラトリサイドに対する感受性が低い、請求項315~317のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項319】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号21の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号22の核酸配列を含む;
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号23の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号24の核酸配列を含む;または
(c)前記パッセンジャー鎖が配列番号25の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号26の核酸配列を含む、
請求項315~318のいずれか一項に記載の方法。
【請求項320】
前記パッセンジャー鎖が配列番号25の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号26
の核酸配列を含む、請求項315~319のいずれか一項に記載の方法。
【請求項321】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号50と少なくとも80%
の配列同一性を有する配列を含む、請求項315~320のいずれか一項に記載の方法。
【請求項322】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号50の配列を含む、請求項
315~321に記載の方法。
【請求項323】
前記標的タンパク質がTGFBR2である、請求項306に記載の方法。
【請求項324】
TGFBR2の細胞表面発現が、対照細胞と比較して、少なくとも約10%、約20%
、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%
、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項32
3に記載の方法。
【請求項325】
前記免疫細胞が、対照細胞と比較して、トランスフォーミング増殖因子B1(TGFB
1)による免疫抑制を受けにくい、請求項323または請求項324に記載の方法。
【請求項326】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号27の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号28の核酸配列を含む;
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号29の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号30の核酸配列を含む;
(c)前記パッセンジャー鎖が配列番号31の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号32の核酸配列を含む;
(d)前記パッセンジャー鎖が配列番号33の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号34の核酸配列を含む;または
(e)前記パッセンジャー鎖が配列番号35の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号36の核酸配列を含む、
請求項323~325のいずれか一項に記載の方法。
【請求項327】
前記パッセンジャー鎖が配列番号31の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号32
の核酸配列を含む、請求項323~326のいずれか一項に記載の方法。
【請求項328】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号53と少なくとも80%
の配列同一性を有する配列を含む、請求項323~327のいずれか一項に記載の方法。
【請求項329】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号53の配列を含む、請求項
323~328のいずれか一項に記載の方法。
【請求項330】
前記標的タンパク質がCBL-Bである、請求項306に記載の方法。
【請求項331】
CBL-Bの細胞表面発現が、対照細胞と比較して、少なくとも約10%、約20%、
約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、
約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項330
に記載の方法。
【請求項332】
前記免疫細胞が、対照細胞と比較して、下流シグナル伝達タンパク質の分解によるT細
胞受容体(TCR)シグナル伝達の抑制を受けにくい、請求項330または請求項331
に記載の方法。
【請求項333】
前記標的タンパク質がCD52である、請求項306に記載の方法。
【請求項334】
CD52の細胞表面発現が、対照細胞と比較して、少なくとも約10%、約20%、約
30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約
80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項333に
記載の方法。
【請求項335】
前記免疫細胞がCD52抗体誘導細胞死を受けにくい、請求項333または請求項33
4に記載の方法。
【請求項336】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号37の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号38の核酸配列を含む;または
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号39の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号40の核酸配列を含む、
請求項333~335のいずれか一項に記載の方法。
【請求項337】
前記パッセンジャー鎖が配列番号37の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号38
の核酸配列を含む、請求項333~336のいずれか一項に記載の方法。
【請求項338】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号56と少なくとも80%
の配列同一性を有する配列を含む、請求項333~337のいずれか一項に記載の方法。
【請求項339】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号56の配列を含む、請求項
333~338のいずれか一項に記載の方法。
【請求項340】
前記標的タンパク質がDCKである、請求項306に記載の方法。
【請求項341】
DCKの細胞表面発現が、対照細胞と比較して、少なくとも約10%、約20%、約3
0%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約8
0%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項340に記
載の方法。
【請求項342】
前記免疫細胞が、細胞増殖に対するプリンヌクレオシド類似体の影響を受けにくい、請
求項340または請求項341に記載の方法。
【請求項343】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号76の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号77の核酸配列を含む;
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号78の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号79の核酸配列を含む;
(c)前記パッセンジャー鎖が配列番号80の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号81の核酸配列を含む;
(d)前記パッセンジャー鎖が配列番号82の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号83の核酸配列を含む;または
(e)前記パッセンジャー鎖が配列番号84の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号85の核酸配列を含む、
請求項340~342のいずれか一項に記載の方法。
【請求項344】
前記パッセンジャー鎖が配列番号76の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号77
の核酸配列を含む、請求項340~343のいずれか一項に記載の方法。
【請求項345】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号86と少なくとも80%
の配列同一性を有する配列を含む、請求項340~344のいずれか一項に記載の方法。
【請求項346】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号86の配列を含む、請求項
340~345のいずれか一項に記載の方法。
【請求項347】
前記標的タンパク質がGRである、請求項306に記載の方法。
【請求項348】
GRの細胞表面発現が、対照細胞と比較して少なくとも約10%、約20%、約30%
、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%
、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する、請求項347に記載の
方法。
【請求項349】
前記免疫細胞が、細胞増殖に対するグルココルチコイドの影響を受けにくい、請求項3
47または請求項348に記載の方法。
【請求項350】
(a)前記パッセンジャー鎖が配列番号91の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号92の核酸配列を含む;
(b)前記パッセンジャー鎖が配列番号93の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号94の核酸配列を含む;
(c)前記パッセンジャー鎖が配列番号95の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号96の核酸配列を含む;
(d)前記パッセンジャー鎖が配列番号97の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号98の核酸配列を含む;
(e)前記パッセンジャー鎖が配列番号99の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番
号100の核酸配列を含む;
(f)前記パッセンジャー鎖が配列番号101の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列
番号102の核酸配列を含む;
(g)前記パッセンジャー鎖が配列番号103の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列
番号104の核酸配列を含む;
(h)前記パッセンジャー鎖が配列番号105の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列
番号106の核酸配列を含む;または
(i)前記パッセンジャー鎖が配列番号107の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列
番号108の核酸配列を含む、
請求項 347~349のいずれか一項に記載の方法。
【請求項351】
前記パッセンジャー鎖が配列番号95の核酸配列を含み、前記ガイド鎖が配列番号96
の核酸配列を含む、請求項347~350のいずれか一項に記載の方法。
【請求項352】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が、配列番号111と少なくとも80
%の配列同一性を有する配列を含む、請求項347~351のいずれか一項に記載の方法
【請求項353】
前記shRNAmiRをコードする前記核酸配列が配列番号111の配列を含む、請求
項347~352のいずれか一項に記載の方法。
【請求項354】
請求項174~306のいずれか一項に記載の方法によって作製された免疫細胞。
【請求項355】
請求項307~314のいずれか一項に記載の方法によって作製された免疫細胞。
【請求項356】
請求項315~322のいずれか一項に記載の方法によって作製された免疫細胞。
【請求項357】
請求項323~329のいずれか一項に記載の方法によって作製された免疫細胞。
【請求項358】
請求項330~332のいずれか一項に記載の方法によって作製された免疫細胞。
【請求項359】
請求項333~339のいずれか一項に記載の方法によって作製された免疫細胞。
【請求項360】
請求項340~346のいずれか一項に記載の方法によって作製された免疫細胞。
【請求項361】
請求項347~353のいずれか一項に記載の方法によって作製された免疫細胞。
【請求項362】
複数の請求項1~173のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞または複数の請求
項354~361のいずれか一項に記載の免疫細胞を含む、細胞の集団。
【請求項363】
前記集団中の細胞の少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、
約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、
または最大100%が、請求項1~173のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫細胞ま
たは請求項354~361のいずれか一項に記載の免疫細胞である、請求項362に記載
の細胞の集団。
【請求項364】
薬学的に許容される担体と、請求項1~173のいずれか一項に記載の遺伝子改変免疫
細胞または請求項354~361のいずれか一項に記載の免疫細胞とを含む、医薬組成物
【請求項365】
薬学的に許容される担体と、請求項362または請求項363に記載の細胞の集団とを
含む、請求項326に記載の医薬組成物。
【請求項366】
それを必要とする対象において疾患を治療するための免疫療法の方法であって、有効量
の請求項364または請求項365に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む
、方法。
【請求項367】
それを必要とする対象においてがんを治療するための免疫療法であって、前記遺伝子改
変免疫細胞または前記免疫細胞が、遺伝子改変ヒトT細胞もしくはそれに由来する細胞、
または遺伝子改変NK細胞もしくはそれに由来する細胞であり、前記遺伝子改変免疫細胞
または前記免疫細胞が、CARまたは外因性TCRを含み、前記CARまたは前記外因性
TCRが、腫瘍特異的抗原に対する特異性を有する細胞外リガンド結合ドメインを含む、
請求項366に記載の方法。
【請求項368】
前記遺伝子改変免疫細胞または前記免疫細胞が、不活性化TCRアルファ遺伝子または
不活性化TCRアルファ定常領域遺伝子を含む、請求項366または請求項367に記載
の方法。
【請求項369】
前記遺伝子改変免疫細胞または前記免疫細胞が、内因性アルファ/ベータTCRの検出
可能な細胞表面発現を有さない、請求項366~368のいずれか一項に記載の方法。
【請求項370】
前記がんが、癌腫、リンパ腫、肉腫、芽細胞腫および白血病のがんからなる群から選択
される、請求項367~369のいずれか一項に記載の方法。
【請求項371】
前記がんが、B細胞起源のがん、乳がん、胃がん、神経芽細胞腫、骨肉腫、肺がん、黒
色腫、前立腺がん、結腸がん、腎細胞癌腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、白血病、およびホジ
キンリンパ腫からなる群から選択される、請求項367~370のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項372】
前記B細胞起源のがんが、B系列急性リンパ芽球性白血病、B細胞慢性リンパ球性白血
病、B細胞非ホジキンリンパ腫、および多発性骨髄腫からなる群から選択される、請求項
371に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍学、がん免疫療法、分子生物学および組換え核酸技術の分野に関する。
特に、本発明は、特定の標的遺伝子の安定なノックダウンを可能にするマイクロRNA適
合shRNA(shRNAmiR)分子を含む遺伝子改変免疫細胞に関する。本発明はさ
らに、対象における内因性タンパク質の発現を低下させ、がんを含む疾患を治療するため
の、このような遺伝子改変免疫細胞の使用に関する。
【0002】
EFS-WEBを介してテキストファイルとして提出された配列表の参照
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出された配列表を含み、その全
体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年4月3日に作成されたASCIIコ
ピーは、PBIO-037WO_Seq_List_4-20と名付けられ、サイズが5
8,911バイトである。
【背景技術】
【0003】
T細胞養子免疫療法は、がん治療のための有望なアプローチである。本明細書に開示さ
れる免疫療法治療方法は、特定の腫瘍関連抗原に対する特異性を高めるために遺伝子改変
された単離ヒトT細胞を利用する。遺伝子改変は、抗原特異性をT細胞に移植するための
キメラ抗原受容体または外因性T細胞受容体の発現を含み得る。外因性T細胞受容体とは
対照的に、キメラ抗原受容体は、モノクローナル抗体の可変ドメインからそれらの特異性
を得る。したがって、キメラ抗原受容体を発現するT細胞(CAR T細胞)は、主要組
織適合遺伝子複合体非拘束性様式で腫瘍免疫反応性を誘導する。T細胞養子免疫療法は、
B細胞悪性腫瘍(例えば、急性リンパ芽球性白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫、急性骨
髄性白血病、および慢性リンパ球性白血病)、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠芽腫
、進行性神経膠腫、卵巣がん、中皮腫、黒色腫、前立腺がん、膵臓がんなどを含む多くの
がんの臨床療法として利用されている。
【0004】
がん治療としての潜在的有用性にもかかわらず、CAR T細胞による養子免疫療法は
、部分的には、細胞表面上の内因性T細胞受容体の発現によって制限されてきた。内因性
T細胞受容体を発現するCAR T細胞は、同種異系患者への投与後に主要組織適合抗原
および副組織適合抗原を認識し得、移植片対宿主病(GVHD)の発症をもたらし得る。
結果として、臨床試験は、患者のT細胞を単離し、キメラ抗原受容体を組み込むように遺
伝子改変し、次いで同じ患者に再注入する自己CAR T細胞の使用に主に焦点を当てて
きた。自己アプローチは、投与されたCAR T細胞に免疫寛容を提供するが、このアプ
ローチは、患者のがんが診断された後に患者特異的CAR T細胞を作製するのに必要な
時間および費用の両方によって制約される。
【0005】
したがって、内因性T細胞受容体(例えば、アルファ/ベータT細胞受容体)の発現が
低下しているか、または検出可能な細胞表面発現を有さず、投与時にGVHDを発症しな
い、第三者健常ドナー由来のT細胞を使用して調製された「既製の」CAR T細胞を開
発することが有利であると思われる。このような製品は、診断の前に作製および検証する
ことができ、必要に応じてすぐに患者に利用可能にすることができる。したがって、GV
HDの発生を防止するために、内因性T細胞受容体を欠く同種異系CAR T細胞の開発
が必要とされている。
【0006】
この目的のために、ベータ-2ミクログロブリン(B2M)タンパク質発現の発現を完
全にノックアウトするために、ベータ-2ミクログロブリン遺伝子に特異性を有する操作
されたメガヌクレアーゼが生成されている(例えば、特許文献1を参照されたい)。B2
Mは主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子の成分であり、B2Mが存在しな
ければこの分子は細胞表面に構築されない。したがって、B2Mのノックアウトは、CA
R T細胞を同種異系患者に投与した場合にGVHDを軽減するはずの、MHCクラスI
分子を排除するための手段である。
【0007】
しかしながら、CAR T細胞の細胞表面上のB2MおよびMHCクラスI分子発現を
完全に排除した結果により、CAR T細胞は、それらを非自己と見なすナチュラルキラ
ー(NK)細胞による標的化をより受けやすくなる。この現象を考慮して、B2Mの不完
全なノックダウンを生じるための、CAR T細胞に対するノックダウンアプローチが開
発された(例えば、特許文献2を参照されたい)。本質的に、B2M標的shRNAコー
ド配列を含むカセットが、ヌクレアーゼ媒介標的挿入によってT細胞のT細胞受容体アル
ファ定常領域遺伝子に導入された。shRNAコード配列は、CARコード配列も含むカ
セットに含まれ、TCR陰性、CAR陽性であり、細胞表面B2Mの部分的ノックダウン
を有するCAR T細胞の生成を可能にした。このプロジェクトのデータは、これらのC
AR T細胞が実際に、B2Mの完全なノックアウトを示したCAR T細胞よりもNK
細胞による殺滅を受けにくいことを実証した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2017/112859号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2018/208837号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、本明細書に記載されるように、さらなる実験は、shRNAコード配列
を含むカセットが安定ではなく、B2Mノックダウンが一過性であることを示した。最終
的に、細胞はゲノムからshRNAコード配列を除去し、B2M発現の回復を引き起こし
た。したがって、B2Mなどの内因性タンパク質の安定なノックダウンを維持することが
できるCAR T細胞の作製が依然として必要とされている。当技術分野におけるこの問
題に対する答えの探求に際して、免疫細胞において目的のタンパク質のさまざまな程度の
遺伝子ノックダウンを生じさせるために使用できる技術が本明細書において発見された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、標的タンパク質の発現を低下させるマイクロRNA適合shRNA(shR
NAmiR)を発現する遺伝子改変免疫細胞(およびその集団)を提供する。標的タンパ
ク質の発現をノックダウンするためのshRNAmiRの使用は、タンパク質発現の安定
なノックダウンを可能にし、これは、ノックアウトではなくノックダウンが好ましい標的
タンパク質に理想的である。例えば、ベータ-2ミクログロブリン(B2M)標的shR
NAmiRの発現を介して、B2Mの発現レベルが低下した免疫細胞は、B2M発現が遺
伝子不活性化によってノックアウトされた細胞よりもナチュラルキラー(NK)細胞によ
る細胞溶解に対する感度が低い。したがって、細胞のゲノムに挿入され、内因性タンパク
質の発現を低下させるために発現されるshRNAmiRをコードする核酸配列を含む鋳
型核酸を導入することによって、免疫細胞における内因性タンパク質の発現を低下させる
方法がさらに提供される。
【0011】
したがって、一態様では、本発明は、そのゲノム中にマイクロRNA適合shRNA(
shRNAmiR)をコードする核酸配列を含む遺伝子改変免疫細胞を提供する。shR
NAmiRは、遺伝子改変免疫細胞中で発現され、遺伝子改変免疫細胞における標的タン
パク質の発現を低下させる。標的タンパク質発現の低下は、shRNAmiRガイド配列
が標的タンパク質をコードするmRNAへ結合することによって媒介される。
【0012】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、遺伝子改変T細胞、またはそれに由
来する細胞である。ある実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、遺伝子改変ナチュラルキ
ラー(NK)細胞、またはそれに由来する細胞である。他の実施形態では、遺伝子改変免
疫細胞は、遺伝子改変B細胞、またはそれに由来する細胞である。さまざまな実施形態で
は、遺伝子改変免疫細胞は、遺伝子改変された単球もしくはマクロファージ、またはそれ
に由来する細胞である。
【0013】
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、5’から3’に:(a)5’miR足
場ドメイン;(b)5’miR基底ステム(basal stem)ドメイン;(c)パ
ッセンジャー鎖;(d)miRループドメイン;(e)ガイド鎖;(f)3’miR基底
ステムドメイン;および(g)3’miR足場ドメインを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、miRループドメインは、miR-30aループドメイン、
miR-15ループドメイン、miR-16ループドメイン、miR-155ループドメ
イン、miR-22ループドメイン、miR-103ループドメインまたはmiR-10
7ループドメインである。特定の実施形態では、miRループドメインはmiR-30a
ループドメインである。
【0015】
ある実施形態では、miR-30aループドメインが、配列番号3と少なくとも80%
、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同
一性を有する核酸配列を含む。特定の実施形態では、miR-30aループドメインは、
配列番号3の核酸配列を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、マイクロRNA-E(miR-E)足
場、miR-30(例えば、miR-30a)足場、miR-15足場、miR-16足
場、miR-155足場、miR-22足場、miR-103足場、またはmiR-10
7足場を含む。ある実施形態では、shRNAmiRはmiR-E足場を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を含む:(a)5’miR足
場ドメインが、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、
少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含み;(b)5’
miR基底ステムドメインが、配列番号2と少なくとも80%、少なくとも85%、少な
くとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含
み;(c)3’miR基底ステムドメインが、配列番号4と少なくとも80%、少なくと
も85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有す
る核酸配列を含み;および/または(d)3’miR足場ドメインが、配列番号5と少な
くとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを
超える配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0018】
ある実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を含む:(a)5’miR足場ドメ
インが配列番号1の核酸配列を含み;(b)5’miR基底ステムドメインが配列番号2
の核酸配列を含み;(c)3’miR基底ステムドメインが配列番号4の核酸配列を含み
;および(d)3’miR足場ドメインが配列番号5の核酸配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、キメラ抗原受容体
(CAR)または外因性T細胞受容体(TCR)をコードする核酸配列を含み、CARま
たは外因性TCRは遺伝子改変免疫細胞によって発現される。
【0020】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、HLAクラスI組
織適合抗原、アルファ鎖E(HLA-E)融合タンパク質をコードする核酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、HLA-E融合タンパク質は、配列番号66と少なくとも80
%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列
同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、HLA-E融合タンパク
質は配列番号66のアミノ酸配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、CARまたは外
因性TCRをコードする核酸配列とは異なる遺伝子内に位置する。ある実施形態では、s
hRNAmiRをコードする核酸配列、またはCARもしくは外因性TCRをコードする
核酸配列は、TCRアルファ遺伝子またはTCRアルファ定常領域遺伝子内に位置する。
特定の実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列、またはCARもしくは外
因性TCRをコードする核酸配列は、配列番号58を含む配列内のTCRアルファ定常領
域遺伝子内に位置する。
【0022】
いくつかの実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、CARまたは外
因性TCRをコードする核酸配列と同じ遺伝子内に位置する。ある実施形態では、遺伝子
は、TCRアルファ遺伝子またはTCRアルファ定常領域遺伝子である。特定の実施形態
では、shRNAmiRをコードする核酸配列およびCARまたは外因性TCRをコード
する核酸配列は、配列番号58を含む配列内のTCRアルファ定常領域遺伝子内に位置す
る。ある実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列およびCARまたは外因
性TCRをコードする核酸は、遺伝子中のカセット内にある。いくつかのこのような実施
形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列およびCARまたは外因性TCRをコ
ードする核酸配列は、同じプロモータに作動可能に連結されている。いくつかのこのよう
な実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、5’から3’に:(a)CA
Rまたは外因性TCRをコードする核酸配列;および(b)shRNAmiRをコードす
る核酸配列を含むカセットを含む。他のこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は
、そのゲノム中に、5’から3’に:(a)shRNAmiRをコードする核酸配列;お
よび(b)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列を含むカセットを含む。いく
つかのこのような実施形態では、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列と、s
hRNAmiRをコードする核酸配列とは、2AまたはIRES配列によって分離される
。特定のこのような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、CARま
たは外因性TCRをコードする核酸配列と同じ向きである。他のこのような実施形態では
、shRNAmiRをコードする核酸配列は、CARまたは外因性TCRをコードする核
酸配列と逆向きである。いくつかのこのような実施形態では、イントロン配列がCARま
たは外因性TCRをコードする核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核
酸配列はイントロン配列内に配置される。いくつかのこのような実施形態では、カセット
は、shRNAmiRをコードする核酸配列およびCARまたは外因性TCRをコードす
る核酸配列に作動可能に連結されたプロモータを含む。いくつかのこのような実施形態で
は、カセットは終結シグナルを含む。
【0023】
ある実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、HLA-E融合タンパ
ク質をコードする核酸配列と同じ遺伝子内に位置する。いくつかの実施形態では、遺伝子
はTCRアルファ遺伝子またはTCRアルファ定常領域遺伝子である。いくつかの実施形
態では、shRNAmiRをコードする核酸配列およびHLA-E融合タンパク質をコー
ドする核酸配列は、遺伝子中のカセット内にある。いくつかのこのような実施形態では、
shRNAmiRをコードする核酸配列およびHLA-E融合タンパク質をコードする核
酸配列は、同じプロモータに作動可能に連結されている。いくつかのこのような実施形態
では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、5’から3’に:(a)HLA-E融合
タンパク質をコードする核酸配列;および(b)shRNAmiRをコードする核酸配列
を含むカセットを含む。いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そ
のゲノム中に、5’から3’に:(a)shRNAmiRをコードする核酸配列;および
(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列を含むカセットを含む。いくつか
のこのような実施形態では、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列と、shR
NAmiRをコードする核酸配列とは、2AまたはIRES配列によって分離される。特
定のこのような実施形態では、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする
核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸配列はイントロン配列内に配
置される。いくつかのこのような実施形態では、カセットはプロモータを含み、shRN
AmiRをコードする核酸配列およびHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列は
プロモータに作動可能に連結されている。いくつかのこのような実施形態では、カセット
は終結シグナルを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列、CARまたは外因
性TCRをコードする核酸配列、およびHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列
は、同じ遺伝子内に位置する。いくつかの実施形態では、遺伝子はTCRアルファ遺伝子
またはTCRアルファ定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、shRNAmi
Rをコードする核酸配列、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列、およびHL
A-E融合タンパク質をコードする核酸配列は、遺伝子中のカセット内にある。いくつか
のこのような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列、CARまたは外因
性TCRをコードする核酸配列、およびHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列
は、同じプロモータに作動可能に連結されている。いくつかのこのような実施形態では、
遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に:(a)CARまたは外因性TCRをコードする
核酸配列;(b)2AまたはIRES配列;(c)HLA-E融合タンパク質をコードす
る核酸配列;および(d)shRNAmiRをコードする核酸配列を含むカセットを含む
。いくつかのこのような実施形態では、イントロン配列がCARまたは外因性TCRをコ
ードする核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸配列はイントロン配
列内に配置される。他のこのような実施形態では、イントロン配列は、HLA-E融合タ
ンパク質をコードする核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸配列は
、イントロン配列内に配置される。いくつかのこのような実施形態では、カセットは、C
ARまたは外因性TCRをコードする核酸配列、HLA-E融合タンパク質をコードする
核酸配列、およびshRNAmiRをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモ
ータを含む。いくつかのこのような実施形態では、カセットは終結シグナルを含む。
【0025】
いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に、5’か
ら3’に:(a)プロモータ;(b)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列;
(c)2AまたはIRES配列;(d)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列
であって、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配置さ
れ、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;
および(e)任意選択的に、終結シグナルを含み、CARまたは外因性TCRをコードす
る核酸配列、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiR
をコードする核酸配列が、プロモータに作動可能に連結されているカセットを含む。
【0026】
いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に、5’か
ら3’に:(a)プロモータ;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列で
あって、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配置され
、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;(
c)2AまたはIRES配列;(d)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列;
および(e)任意選択的に、終結シグナルを含み、CARまたは外因性TCRをコードす
る核酸配列、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiR
をコードする核酸配列が、プロモータに作動可能に連結されているカセットを含む。
【0027】
いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に、5’か
ら3’に:(a)プロモータ;(b)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列で
あって、イントロン配列がCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列内に配置され
、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;(
c)2AまたはIRES配列;(d)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列;
および(e)任意選択的に、終結シグナルを含み、CARまたは外因性TCRをコードす
る核酸配列、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiR
をコードする核酸配列が、プロモータに作動可能に連結されているカセットを含む。
【0028】
いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に、5’か
ら3’に:(a)プロモータ;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列;
(c)2AまたはIRES配列;(d)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列
であって、イントロン配列がCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列内に配置さ
れ、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;
および(e)任意選択的に、終結シグナルを含み、CARまたは外因性TCRをコードす
る核酸配列、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiR
をコードする核酸配列が、プロモータに作動可能に連結されているカセットを含む。
【0029】
上記のいくつかの実施形態では、イントロン配列は合成イントロン配列である。ある実
施形態では、イントロン配列は、配列番号69と少なくとも80%、少なくとも85%、
少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列
を含む。特定の実施形態では、イントロン配列は、配列番号69の核酸配列を含む。
【0030】
上記のいくつかの実施形態では、終結シグナルはポリA配列またはウシ成長ホルモン(
BGH)終結シグナルである。ある実施形態では、ポリA配列は、配列番号68と少なく
とも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超
える配列同一性を有する核酸配列を含む。特定の実施形態では、ポリA配列は、配列番号
68の核酸配列を含む。ある実施形態では、BGH終結シグナルは、配列番号71と少な
くとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを
超える配列同一性を有する核酸配列を含む。特定の実施形態では、BGH終結シグナルは
配列番号71の核酸配列を含む。
【0031】
上記のいくつかの実施形態では、プロモータは、配列番号67と少なくとも80%、少
なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性
を有する核酸配列を含む。特定の実施形態では、プロモータは、配列番号67の核酸配列
を含む。
【0032】
上記のいくつかの実施形態では、2A配列は、配列番号70と少なくとも80%、少な
くとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を
有する核酸配列を含むP2A/フューリン部位である。特定の実施形態では、2A配列は
、配列番号70の核酸配列を含むP2A/フューリン部位である。
【0033】
上記のいくつかの実施形態では、CARは、配列番号73と少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有
するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む。特定の実施形態では、CARは、配列
番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む。
【0034】
特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、5’から3’に:(a
)配列番号67と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも
95%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含むプロモータ;(b)CA
Rをコードする核酸配列であって、CARが配列番号73と少なくとも80%、少なくと
も85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有す
るアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配列;(c)配列番号70と少なくと
も80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超え
る配列同一性を有する核酸配列を含むP2A/フューリン部位;(d)HLA-E融合タ
ンパク質をコードする核酸配列であって、HLA-E融合タンパク質が配列番号66と少
なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ
を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、イントロン配列がHLA-E融合タン
パク質をコードする核酸配列内に配置され、イントロン配列が配列番号69と少なくとも
80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える
配列同一性を有する核酸配列を含み、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロ
ン配列内に配置される核酸配列;および(e)任意選択的に、配列番号68と少なくとも
80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える
配列同一性を有する核酸配列を含む終結シグナルを含み、CARをコードする核酸配列、
HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiRをコードする
核酸配列が、プロモータに作動可能に連結されているカセットを含む。
【0035】
特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、5’から3’に:(a
)配列番号67の核酸配列を含むプロモータ;(b)CARをコードする核酸配列であっ
て、CARが配列番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配列;(c
)配列番号70の核酸配列を含むP2A/フューリン部位;(d)HLA-E融合タンパ
ク質をコードする核酸配列であって、HLA-E融合タンパク質が配列番号66のアミノ
酸配列を含み、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配
置され、イントロン配列が配列番号69の核酸配列を含み、shRNAmiRをコードす
る核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;および(e)任意選択的に、配列
番号68の核酸配列を含む終結シグナルを含み、CARをコードする核酸配列、HLA-
E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiRをコードする核酸配列
が、プロモータに作動可能に連結されているカセットを含む。
【0036】
特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、配列番号74と少なく
とも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超
える配列同一性を有する核酸配列を含み、TCRアルファ定常領域遺伝子内のゲノム中に
配置されているカセットを含む。特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノ
ム中に、配列番号74の核酸配列を含み、TCRアルファ定常領域遺伝子内のゲノム中に
配置されているカセットを含む。
【0037】
上記のいくつかの実施形態では、カセットは、shRNAmiRをコードする2つ以上
の核酸を含む。ある実施形態では、2つ以上の核酸は同じshRNAmiRをコードする
ことができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の核酸は、同じ標的タンパク質の発現
を低下させる異なるshRNAmiRをコードすることができる。他の実施形態では、2
つ以上の核酸は、異なる標的タンパク質の発現を低下させる異なるshRNAmiRをコ
ードする。ある実施形態では、カセットは、本明細書に記載の異なるshRNAmiRを
コードする2つ以上の核酸を含むことができる。特定の実施形態では、カセットは、B2
Mの発現を低下させるshRNAmiRをコードする核酸配列、およびCD52の発現を
低下させるshRNAmiRをコードする核酸配列を含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列およびCARまたは
外因性TCRをコードする核酸配列は、同じ遺伝子に位置し、異なるプロモータに作動可
能に連結されている。いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、その
ゲノム中に、5’から3’に:(a)第1のプロモータ;(b)第1のプロモータに作動
可能に連結された、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列;(c)第2のプロ
モータ;および(d)第2のプロモータに作動可能に連結された、shRNAmiRをコ
ードする核酸配列を含むカセットを含む。他のこのような実施形態では、遺伝子改変免疫
細胞は、そのゲノム中に、5’から3’に:(a)第1のプロモータ;(b)第1のプロ
モータに作動可能に連結された、shRNAmiRをコードする核酸配列;(c)第2の
プロモータ;および(d)第2のプロモータに作動可能に連結された、CARまたは外因
性TCRをコードする核酸配列を含むカセットを含む。いくつかのこのような実施形態で
は、shRNAmiRをコードする核酸配列は、CARまたは外因性TCRをコードする
核酸配列と同じ向きである。他のこのような実施形態では、shRNAmiRをコードす
る核酸配列は、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列と逆向きである。あるこ
のような実施形態では、第1のプロモータおよび第2のプロモータは同一である。他の実
施形態では、第1のプロモータと第2のプロモータとは異なる。いくつかのこのような実
施形態では、カセットは1つまたは複数の終結シグナルを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列およびHLA-E融
合タンパク質をコードする核酸配列は、異なるプロモータに作動可能に連結されている。
いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、5’から
3’に:(a)第1のプロモータ;(b)第1のプロモータに作動可能に連結された、H
LA-E融合タンパク質をコードする核酸配列;(c)第2のプロモータ;および(d)
第2のプロモータに作動可能に連結された、shRNAmiRをコードする核酸配列を含
むカセットを含む。他のこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中
に、5’から3’に:(a)第1のプロモータ;(b)第1のプロモータに作動可能に連
結された、shRNAmiRをコードする核酸配列;(c)第2のプロモータ;および(
d)第2のプロモータに作動可能に連結された、HLA-E融合タンパク質をコードする
核酸配列を含むカセットを含む。あるこのような実施形態では、第1のプロモータおよび
第2のプロモータは同一である。他のこのような実施形態では、第1のプロモータと第2
のプロモータとは異なる。いくつかのこのような実施形態では、カセットは1つまたは複
数の終結シグナルを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に:(a)CARまた
は外因性TCRをコードする核酸配列;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核
酸配列;および(c)shRNAmiRをコードする核酸配列を含み、CARまたは外因
性TCRをコードする核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連結されており、HLA
-E融合タンパク質をコードする核酸配列およびshRNAmiRをコードする核酸配列
が第2のプロモータに作動可能に連結されているカセットを含む。いくつかのこのような
実施形態では、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配
置され、shRNAmiRをコードする核酸配列はイントロン配列内に配置される。いく
つかの実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に:(a)CARまたは外因
性TCRをコードする核酸配列;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列
;および(c)shRNAmiRをコードする核酸配列を含み、CARまたは外因性TC
Rをコードする核酸配列およびshRNAmiRをコードする核酸配列が第1のプロモー
タに作動可能に連結されており、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列が第2
のプロモータに作動可能に連結されているカセットを含む。いくつかのこのような実施形
態では、イントロン配列がCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列内に配置され
、shRNAmiRをコードする核酸配列はイントロン配列内に配置される。いくつかの
このような実施形態では、カセットは、CARまたは外因性TCRの転写を終結させるこ
とができる第1の終結シグナル、およびHLA-E融合タンパク質の転写を終結させるこ
とができる第2の終結シグナルを含む。他のこのような実施形態では、カセットは、HL
A-E融合タンパク質の転写を終結させることができる第1の終結シグナル、およびCA
Rまたは外因性TCRの転写を終結させることができる第2の終結シグナルを含む。
【0041】
いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に、5’か
ら3’に:(a)第1のプロモータ;(b)CARまたは外因性TCRをコードする核酸
配列;(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;(d)第2のプロモータ;(e)HL
A-E融合タンパク質をコードする核酸配列であって、イントロン配列がHLA-E融合
タンパク質をコードする核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸配列
がイントロン配列内に配置される核酸配列;および(f)任意選択的に、第2の終結シグ
ナルを含み、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列が第1のプロモータに作動
可能に連結されており、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列およびshRN
AmiRをコードする核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結されているカセット
を含む。
【0042】
いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に、5’か
ら3’に:(a)第1のプロモータ;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸
配列であって、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配
置され、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配
列;(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;(d)第2のプロモータ;(e)CAR
または外因性TCRをコードする核酸配列;および(f)任意選択的に、第2の終結シグ
ナルを含み、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列およびshRNAmiRを
コードする核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連結されており、CARまたは外因
性TCRをコードする核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結されているカセット
を含む。
【0043】
いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に、5’か
ら3’に:(a)第1のプロモータ;(b)CARまたは外因性TCRをコードする核酸
配列であって、イントロン配列がCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列内に配
置され、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配
列;(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;(d)第2のプロモータ;(e)HLA
-E融合タンパク質をコードする核酸配列;および(f)任意選択的に、第2の終結シグ
ナルを含み、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列およびshRNAmiRを
コードする核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連結されており、HLA-E融合タ
ンパク質をコードする核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結されているカセット
を含む。
【0044】
いくつかのこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム内に、5’か
ら3’に:(a)第1のプロモータ;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸
配列;(c)任意選択的に、第1の終結シグナル;(d)第2のプロモータ;(e)CA
Rまたは外因性TCRをコードする核酸配列であって、イントロン配列がCARまたは外
因性TCRをコードする核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸配列
がイントロン配列内に配置される核酸配列;および(f)任意選択的に、第2の終結シグ
ナルを含み、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列が第1のプロモータに作動
可能に連結されており、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列およびshRN
AmiRをコードする核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結されているカセット
を含む。
【0045】
上記のいくつかの実施形態では、イントロン配列は合成イントロン配列である。ある実
施形態では、イントロン配列は、配列番号69と少なくとも80%、少なくとも85%、
少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列
を含む。特定の実施形態では、イントロン配列は、配列番号69の核酸配列を含む。
【0046】
上記のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の終結シグナルは、ポリA配列または
BGH終結シグナルである。
【0047】
上記のいくつかの実施形態では、第1の終結シグナルは第2の終結シグナルと同一であ
る。いくつかのこのような実施形態では、第1の終結シグナルおよび第2の終結シグナル
は、ポリA配列またはBGH終結シグナルである。
【0048】
上記のいくつかの実施形態では、第1の終結シグナルは第2の終結シグナルとは異なる
。いくつかの実施形態では、第1の終結シグナルはポリA配列であり、第2の終結シグナ
ルはBGH終結シグナルである。いくつかの実施形態では、第1の終結シグナルはBGH
終結シグナルであり、第2の終結シグナルはポリA配列である。
【0049】
上記のいくつかの実施形態では、ポリA配列は、配列番号68と少なくとも80%、少
なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性
を有する核酸配列を含む。ある実施形態では、ポリA配列は、配列番号68の核酸配列を
含む。いくつかの実施形態では、BGH終結シグナルは、配列番号71と少なくとも80
%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列
同一性を有する核酸配列を含む。ある実施形態では、BGH終結シグナルが配列番号71
の核酸配列を含む。
【0050】
上記のいくつかの実施形態では、第1のプロモータおよび第2のプロモータは同一であ
る。いくつかのこのような実施形態では、第1のプロモータおよび第2のプロモータは、
JeTプロモータまたはEF1アルファコアプロモータである。
【0051】
上記のいくつかの実施形態では、第1のプロモータは第2のプロモータとは異なる。あ
る実施形態では、第1のプロモータはJeTプロモータであり、第2のプロモータはEF
1アルファコアプロモータである。ある実施形態では、第1のプロモータはEF1アルフ
ァコアプロモータであり、第2のプロモータはJeTプロモータである。
【0052】
上記のある実施形態では、JeTプロモータは、配列番号67と少なくとも80%、少
なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性
を有する核酸配列を含む。特定の実施形態では、JeTプロモータは、配列番号67の核
酸配列を含む。ある実施形態では、EF1アルファコアプロモータは、配列番号72と少
なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ
を超える配列同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、EF1アルファ
コアプロモータは、配列番号72の核酸配列を含む。
【0053】
上記のいくつかの実施形態では、CARは、配列番号73と少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有
するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む。特定の実施形態では、CARは、配列
番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む。
【0054】
特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、5’から3’に:(a
)配列番号67と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも
95%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含む第1のプロモータ;(b
)CARをコードする核酸配列であって、CARが配列番号73と少なくとも80%、少
なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性
を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配列;(c)任意選択的に、配
列番号70と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95
%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含む第1の終結シグナル;(d)
配列番号72と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも9
5%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含む第2のプロモータ;(e)
HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列であって、HLA-E融合タンパク質が
配列番号66と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも9
5%、またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、イントロン配列がH
LA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配置され、イントロン配列が、配列番
号69と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、
またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含み、shRNAmiRをコードする
核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;および(f)任意選択的に、配列番
号71と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、
またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含む第2の終結シグナルを含み、CA
Rをコードする核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連結されており、HLA-E融
合タンパク質をコードする核酸配列およびshRNAmiRをコードする核酸配列が第2
のプロモータに作動可能に連結されているカセットを含む。
【0055】
特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、5’から3’に:(a
)配列番号67の核酸配列を含む第1のプロモータ;(b)CARをコードする核酸配列
であって、CARが配列番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配列
;(c)任意選択的に、配列番号70の核酸配列を含む第1の終結シグナル;(d)配列
番号72の核酸配列を含む第2のプロモータ;(e)HLA-E融合タンパク質をコード
する核酸配列であって、HLA-E融合タンパク質が配列番号66のアミノ酸配列を含み
、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配置され、イン
トロン配列が配列番号69の核酸配列を含み、shRNAmiRをコードする核酸配列が
イントロン配列内に配置される核酸配列;および(f)任意選択的に、配列番号71の核
酸配列を含む第2の終結シグナルを含み、CARをコードする核酸配列が第1のプロモー
タに作動可能に連結されており、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列および
shRNAmiRをコードする核酸配列が、第2のプロモータに作動可能に連結されてい
るカセットを含む。
【0056】
特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中に、配列番号75と少なく
とも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超
える配列同一性を有する核酸配列を含み、TCRアルファ定常領域遺伝子内のゲノム中に
配置されているカセットを含む。特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノ
ム中に、配列番号75の核酸配列を含み、TCRアルファ定常領域遺伝子内のゲノム中に
配置されているカセットを含む。
【0057】
上記のいくつかの実施形態では、カセットは、shRNAmiRをコードする2つ以上
の核酸を含む。ある実施形態では、2つ以上の核酸は同じshRNAmiRをコードする
ことができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の核酸は、同じ標的タンパク質の発現
を低下させる異なるshRNAmiRをコードすることができる。他の実施形態では、2
つ以上の核酸は、異なる標的タンパク質の発現を低下させる異なるshRNAmiRをコ
ードする。ある実施形態では、カセットは、本明細書に記載の異なるshRNAmiRを
コードする2つ以上の核酸を含むことができる。特定の実施形態では、カセットは、B2
Mの発現を低下させるshRNAmiRをコードする核酸配列、およびCD52の発現を
低下させるshRNAmiRをコードする核酸配列を含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質の発現は、対照細胞と比較して、少なくとも
約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、
約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低
下する。
【0059】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、ベータ-2ミクログロブリン、CS1、
トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体2(TGFBR2)、Cbl癌原遺伝子B(
CBL-B)、CD52、TCRアルファ遺伝子、TCRアルファ定常領域遺伝子、CD
7、グルココルチコイド受容体(GR)、デオキシシチジンキナーゼ(DCK)、核内受
容体サブファミリー2グループFメンバー6(NR2F6)、細胞傷害性Tリンパ球関連
タンパク質4(CTLA-4)、またはC-Cケモカイン受容体5型(CCR5)である
【0060】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質はベータ-2ミクログロブリンである。いく
つかのこのような実施形態では、ベータ-2ミクログロブリンの細胞表面発現は、対照細
胞と比較して少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%
、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%
、または最大約99%低下する。さらなる実施形態では、MHCクラスI分子の発現は、
対照細胞と比較して、細胞表面上で少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%
、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%
、約90%、約95%、または最大約99%低下する。いくつかのこのような実施形態で
は、遺伝子改変免疫細胞は、対照細胞と比較して同種異系性が低下している。
【0061】
いくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する:(a)
パッセンジャー鎖が配列番号17の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号18の核酸配列
を含む;(b)パッセンジャー鎖が配列番号7の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号8
の核酸配列を含む;(c)パッセンジャー鎖が配列番号9の核酸配列を含み、ガイド鎖が
配列番号10の核酸配列を含む;(d)パッセンジャー鎖が配列番号11の核酸配列を含
み、ガイド鎖が配列番号12の核酸配列を含む;(e)パッセンジャー鎖が配列番号13
の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号14の核酸配列を含む;または(f)パッセンジ
ャー鎖が配列番号15の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号16の核酸配列を含む。あ
るこのような実施形態では、パッセンジャー鎖は配列番号17の核酸配列を含み、ガイド
鎖は配列番号18の核酸配列を含む。特定のこのような実施形態では、shRNAmiR
をコードする核酸配列は、配列番号46と少なくとも80%、少なくとも85%、少なく
とも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含む。さ
らなるこのような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、配列番号4
6の配列を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質はCS1である。いくつかのこのような実施
形態では、CS1の細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少なくとも約10%、約20
%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75
%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する。いくつか
のこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、CS1に対する特異性を有するCA
Rを発現する。さらなるこのような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、対照細胞と比
較して、CS1に対する特異性を有するCARを発現する遺伝子改変免疫細胞によるフラ
トリサイドを受けにくい。
【0063】
いくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する:(a)
パッセンジャー鎖が配列番号21の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号22の核酸配列
を含む;(b)パッセンジャー鎖が配列番号23の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号
24の核酸配列を含む;または(c)パッセンジャー鎖が配列番号25の核酸配列を含み
、ガイド鎖が配列番号26の核酸配列を含む。あるこのような実施形態では、パッセンジ
ャー鎖は配列番号25の核酸配列を含み、ガイド鎖は配列番号26の核酸配列を含む。特
定のこのような実施形態では、shRNAmiRは、配列番号50と少なくとも80%、
少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一
性を有する配列を含む。さらなるこのような実施形態では、shRNAmiRは配列番号
50の配列を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、TGFBR2である。いくつかのこのよ
うな実施形態では、TGFBR2の細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少なくとも約
10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約
70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下
する。さらなる実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、対照細胞と比較して、トランスフ
ォーミング増殖因子B1(TGFB1)による免疫抑制を受けにくい。
【0065】
いくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する:(a)
パッセンジャー鎖が配列番号27の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号28の核酸配列
を含む;(b)パッセンジャー鎖が配列番号29の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号
30の核酸配列を含む;(c)パッセンジャー鎖が配列番号31の核酸配列を含み、ガイ
ド鎖が配列番号32の核酸配列を含む;(d)パッセンジャー鎖が配列番号33の核酸配
列を含み、ガイド鎖が配列番号34の核酸配列を含む;または(e)パッセンジャー鎖が
配列番号35の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号36の核酸配列を含む。あるこのよ
うな実施形態では、パッセンジャー鎖は配列番号31の核酸配列を含み、ガイド鎖は配列
番号32の核酸配列を含む。特定のこのような実施形態では、shRNAmiRをコード
する核酸配列は、配列番号53と少なくとも80%、少なくとも95%、少なくとも90
%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含む。さらなるこ
のような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、配列番号53の配列
を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質はCBL-Bである。いくつかのこのような
実施形態では、CBL-Bの細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少なくとも約10%
、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%
、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する。
さらなるこのような実施形態では、免疫細胞は、対照細胞と比較して、下流シグナル伝達
タンパク質の分解によるT細胞受容体(TCR)シグナル伝達の抑制を受けにくい。
【0067】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質はCD52である。いくつかのこのような実
施形態では、CD52の細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少なくとも約10%、約
20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約
75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する。さら
なる実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、CD52抗体誘導細胞死を受けにくい。
【0068】
いくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する:(a)
パッセンジャー鎖が配列番号37の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号38の核酸配列
を含む;または(b)パッセンジャー鎖が配列番号39の核酸配列を含み、ガイド鎖が配
列番号40の核酸配列を含む。あるこのような実施形態では、パッセンジャー鎖は配列番
号37の核酸配列を含み、ガイド鎖は配列番号38の核酸配列を含む。特定のこのような
実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、配列番号56と少なくとも8
0%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配
列同一性を有する配列を含む。さらなるこのような実施形態では、shRNAmiRをコ
ードする核酸配列は、配列番号56の配列を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質はDCKである。いくつかのこのような実施
形態では、DCKの細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少なくとも約10%、約20
%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75
%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する。さらなる
このような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、細胞増殖に対するプリンヌクレオシド
類似体(例えば、フルダラビン)の影響を受けにくい。
【0070】
いくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する:(a)
パッセンジャー鎖が配列番号76の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号77の核酸配列
を含む;(b)パッセンジャー鎖が配列番号78の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号
79の核酸配列を含む;(c)パッセンジャー鎖が配列番号80の核酸配列を含み、ガイ
ド鎖が配列番号81の核酸配列を含む;(d)パッセンジャー鎖が配列番号82の核酸配
列を含み、ガイド鎖が配列番号83の核酸配列を含む;または(e)パッセンジャー鎖が
配列番号84の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号85の核酸配列を含む。特定のこの
ような実施形態では、パッセンジャー鎖は配列番号76の核酸配列を含み、ガイド鎖は配
列番号77の核酸配列を含む。特定のこのような実施形態では、shRNAmiRをコー
ドする核酸配列は、配列番号86と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも9
0%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含む。さらなる
このような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、配列番号86の配
列を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質はGRである。いくつかのこのような実施形
態では、GRの細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少なくとも約10%、約20%、
約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、
約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する。さらなるこの
ような実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、増殖の低下などのグルココルチコイド(例
えば、デキサメタゾン)の影響を受けにくい。
【0072】
いくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する:(a)
パッセンジャー鎖が配列番号91の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号92の核酸配列
を含む;(b)パッセンジャー鎖が配列番号93の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号
94の核酸配列を含む;(c)パッセンジャー鎖が配列番号95の核酸配列を含み、ガイ
ド鎖が配列番号96の核酸配列を含む;(d)パッセンジャー鎖が配列番号97の核酸配
列を含み、ガイド鎖が配列番号98の核酸配列を含む;(e)パッセンジャー鎖が配列番
号99の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号100の核酸配列を含む;(f)パッセン
ジャー鎖が配列番号101の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号102の核酸配列を含
む;(g)パッセンジャー鎖が配列番号103の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号1
04の核酸配列を含む;(h)パッセンジャー鎖が配列番号105の核酸配列を含み、ガ
イド鎖が配列番号106の核酸配列を含む;または(i)パッセンジャー鎖が配列番号1
07の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号108の核酸配列を含む。特定のこのような
実施形態では、パッセンジャー鎖は配列番号95の核酸配列を含み、ガイド鎖は配列番号
96の核酸配列を含む。特定のこのような実施形態では、shRNAmiRをコードする
核酸配列は、配列番号111と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%
、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含む。さらなるこの
ような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、配列番号111の配列
を含む。
【0073】
別の態様では、本発明は、免疫細胞における内因性タンパク質の発現を低下させる方法
であって、shRNAmiRをコードする核酸配列を含む鋳型核酸を免疫細胞に導入して
、鋳型核酸が免疫細胞のゲノムに挿入されることを含む、方法を提供する。shRNAm
iRは、免疫細胞中で発現され、免疫細胞における内因性標的タンパク質の発現を低下さ
せる。標的タンパク質発現の低下は、shRNAmiRガイド配列が標的タンパク質をコ
ードするmRNAへ結合することによって媒介される。
【0074】
本方法のいくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞またはそれに由来する細胞である
。ある実施形態では、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞またはそれに由来する
細胞である。他の実施形態では、免疫細胞は、B細胞またはそれに由来する細胞である。
さまざまな実施形態では、免疫細胞は、単球もしくはマクロファージ、またはそれに由来
する細胞である。
【0075】
上記方法のいくつかの実施形態では、鋳型核酸は、ランダムな組み込みによって免疫細
胞のゲノム内に挿入される。本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、
ウイルスベクター(すなわち、組換えウイルス)、例えばレンチウイルスベクター(すな
わち、組換えレンチウイルス)を使用して免疫細胞に導入される。
【0076】
本方法のいくつかの実施形態では、免疫細胞はCARまたは外因性TCRを発現する。
【0077】
いくつかの実施形態では、本方法は、免疫細胞のゲノム中の認識配列に特異性を有する
操作されたヌクレアーゼをコードする第2の核酸を免疫細胞に導入することをさらに含む
。操作されたヌクレアーゼは、免疫細胞において発現され、認識配列に切断部位を生成す
る。shRNAmiRをコードする核酸配列を含む鋳型核酸は、切断部位において免疫細
胞のゲノム内に挿入される。本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、
認識配列に隣接する配列と相同性を有する相同アームに隣接し、鋳型核酸は、相同組換え
によって切断部位に挿入される。本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸
は、ウイルスベクター(すなわち、組換えウイルス)を使用して免疫細胞に導入される。
いくつかのこのような実施形態では、ウイルスベクターは組換えAAVベクター(すなわ
ち、組換えAAV)である。特定の実施形態では、AAVベクターは、AAV2またはA
AV6の血清型を有する。本方法のいくつかのこのような実施形態では、認識配列は標的
遺伝子内にある。本方法のいくつかのこのような実施形態では、標的遺伝子によってコー
ドされるタンパク質の発現は、免疫細胞において破壊される。本方法のあるこのような実
施形態では、標的遺伝子がTCRアルファ遺伝子またはTCRアルファ定常領域遺伝子で
あり、免疫細胞が内因性TCR(例えば、アルファ/ベータTCR)の検出可能な細胞表
面発現を有さない。本方法のいくつかのこのような実施形態では、操作されたヌクレアー
ゼは、操作されたメガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、コン
パクトTALEN、CRISPRシステムヌクレアーゼ、またはmegaTALである。
本方法の特定のこのような実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、操作されたメガヌ
クレアーゼである。本方法のあるこのような実施形態では、操作されたヌクレアーゼをコ
ードする第2の核酸は、mRNAを使用して導入される。
【0078】
本方法のいくつかの実施形態では、鋳型核酸が導入される免疫細胞は、そのゲノム中に
、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列をさらに含む。本方法のある実施形態
では、鋳型核酸が導入される免疫細胞は、そのゲノム中に、HLA-E融合タンパク質を
コードする核酸配列をさらに含む。
【0079】
本方法のいくつかの実施形態では、鋳型核酸が、CARまたは外因性TCRをコードす
る核酸配列をさらに含み、CARまたは外因性TCRが免疫細胞によって発現される。い
くつかのこのような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列およびCAR
または外因性TCRをコードする核酸配列は、切断部位に鋳型核酸が導入された後、免疫
細胞中で同じプロモータに作動可能に連結される。本方法のいくつかのこのような実施形
態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)CARまたは外因性TCRをコードする核
酸配列;および(b)shRNAmiRをコードする核酸配列を含む。本方法の他のこの
ような実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)shRNAmiRをコードす
る核酸配列および;(b)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列を含む。本方
法のあるこのような実施形態では、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列と、
shRNAmiRをコードする核酸配列とは、2AまたはIRES配列によって分離され
る。本方法のいくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配
列は、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列と同じ向きである。本方法の他の
このような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、CARまたは外因
性TCRをコードする核酸配列と逆向きである。本方法のいくつかのこのような実施形態
では、イントロン配列がCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列内に配置され、
shRNAmiRをコードする核酸配列はイントロン配列内に配置される。本方法のある
このような実施形態では、鋳型核酸はプロモータを含み、プロモータがCARまたは外因
性TCRをコードする核酸配列およびshRNAmiRをコードする核酸配列に作動可能
に連結される。本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は終結シグナルを
含む。
【0080】
本方法のいくつかの実施形態では、鋳型核酸は、HLA-E融合タンパク質をコードす
る核酸配列を含み、HLA-E融合タンパク質は免疫細胞によって発現される。本方法の
いくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRおよびHLA-E融合タンパク質
をコードする核酸配列は、切断部位に鋳型核酸が導入された後、免疫細胞中で同じプロモ
ータに作動可能に連結される。本方法のあるこのような実施形態では、鋳型核酸は、5’
から3’に:(a)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列;および(b)sh
RNAmiRをコードする核酸配列を含む。本方法の他のこのような実施形態では、鋳型
核酸は、5’から3’に:(a)shRNAmiRをコードする核酸配列;および(b)
HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列を含む。本方法のいくつかのこのような
実施形態では、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列と、shRNAmiRを
コードする核酸配列とは、2A配列またはIRES配列によって分離される。本方法のあ
るこのような実施形態では、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする核
酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸配列はイントロン配列内に配置
される。本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸はプロモータを含み、プ
ロモータがHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列およびshRNAmiRをコ
ードする核酸配列に作動可能に連結される。本方法のあるこのような実施形態では、鋳型
核酸は終結シグナルを含む。
【0081】
本方法のいくつかの実施形態では、鋳型核酸は、CARまたは外因性TCRをコードす
る核酸配列、およびHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列を含み、CARまた
は外因性TCRおよびHLA-E融合タンパク質は免疫細胞によって発現される。本方法
のいくつかの実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列、CARまたは外因
性TCRをコードする核酸配列、およびHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列
は、切断部位に鋳型核酸が導入された後、同じプロモータに作動可能に連結される。本方
法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は:(a)CARまたは外因性TCR
をコードする核酸配列;(b)2AまたはIRES配列;(c)HLA-E融合タンパク
質をコードする核酸配列;および(d)shRNAmiRをコードする核酸配列を含む。
本方法のあるこのような実施形態では、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコ
ードする核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸配列はイントロン配
列内に配置される。本方法の他のこのような実施形態では、イントロン配列がCARまた
は外因性TCRをコードする核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸
配列はイントロン配列内に配置される。本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳
型核酸は、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列、HLA-E融合タンパク質
をコードする核酸配列、およびshRNAmiRをコードする核酸配列に作動可能に連結
されたプロモータを含む。本方法のあるこのような実施形態では、鋳型核酸は終結シグナ
ルを含む。
【0082】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)プ
ロモータ;(b)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列;(c)2AまたはI
RES配列;(d)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列であって、イントロ
ン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配置され、shRNAmi
Rをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列、および(e)任意選
択的に、終結シグナルを含み、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列、HLA
-E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiRをコードする核酸配
列は、プロモータに作動可能に連結されている。
【0083】
本法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)プロ
モータ;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列であって、イントロン配
列がHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配置され、shRNAmiRを
コードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;(c)2AまたはIRE
S配列;(d)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列;および(e)任意選択
的に、終結シグナルを含み、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列、HLA-
E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiRをコードする核酸配列
は、プロモータに作動可能に連結されている。
【0084】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)プ
ロモータ;(b)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列であって、イントロン
配列がCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列内に配置され、shRNAmiR
をコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;(c)2AまたはIR
ES配列;(d)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列;および(e)任意選
択的に、終結シグナルを含み、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列、HLA
-E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiRをコードする核酸配
列は、プロモータに作動可能に連結されている。
【0085】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)プ
ロモータ;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列;(c)2AまたはI
RES配列;(d)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列であって、イントロ
ン配列がCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列内に配置され、shRNAmi
Rをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;および(e)任意選
択的に終結シグナルを含み、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列、HLA-
E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiRをコードする核酸配列
は、プロモータに作動可能に連結されている。
【0086】
上記方法のいくつかの実施形態では、イントロン配列は合成イントロン配列である。本
方法のある実施形態では、イントロン配列は、配列番号69と少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有
する核酸配列を含む。本方法の特定の実施形態では、イントロン配列は、配列番号69の
核酸配列を含む。
【0087】
上記方法のいくつかの実施形態では、終結シグナルはポリA配列またはウシ成長ホルモ
ン(BGH)終結シグナルである。本方法のある実施形態では、ポリA配列は、配列番号
68と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、ま
たはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含む。本方法の特定の実施形態では、ポ
リA配列は、配列番号68の核酸配列を含む。本方法のある実施形態では、BGH終結シ
グナルは、配列番号71と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少
なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含む。本方法の特定
の実施形態では、BGH終結シグナルは配列番号71の核酸配列を含む。
【0088】
上記方法のある実施形態では、プロモータは、配列番号67と少なくとも80%、少な
くとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を
有する核酸配列を含む。本方法の特定の実施形態では、プロモータは配列番号67の核酸
配列を含む。
【0089】
上記方法のある実施形態では、2A配列は、配列番号70と少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有
する核酸配列を含むP2A/フューリン部位である。本方法の特定の実施形態では、2A
配列は、配列番号70の核酸配列を含むP2A/フューリン部位である。
【0090】
上記方法のある実施形態では、HLA-E融合タンパク質は、配列番号66と少なくと
も80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超え
る配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。本方法の特定の実施形態では、HLA-E融
合タンパク質は配列番号66のアミノ酸配列を含む。
【0091】
上記方法のある実施形態では、CARは、配列番号73と少なくとも80%、少なくと
も85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有す
るアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む。本方法の特定の実施形態では、CARは
、配列番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む。
【0092】
本方法の特定の実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)配列番号67と少
なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ
を超える配列同一性を有する核酸配列を含むプロモータ;(b)CARをコードする核酸
配列であって、CARが配列番号73と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくと
も90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含
むシグナルペプチドを含む核酸配列;(c)配列番号70と少なくとも80%、少なくと
も85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有す
る核酸配列を含むP2A/フューリン部位;(d)HLA-E融合タンパク質をコードす
る核酸配列であって、HLA-E融合タンパク質が配列番号66と少なくとも80%、少
なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性
を有するアミノ酸配列を含み、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする
核酸配列内に配置され、イントロン配列が配列番号69と少なくとも80%、少なくとも
85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する
核酸配列を含み、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置され
る核酸配列;および(e)任意選択的に、配列番号68と少なくとも80%、少なくとも
85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する
核酸配列を含む終結シグナルを含み、CARをコードする核酸配列、HLA-E融合タン
パク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiRをコードする核酸配列は、プロモ
ータに作動可能に連結されている。
【0093】
本方法の特定の実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)配列番号67の核
酸配列を含むプロモータ;(b)CARをコードする核酸配列であって、CARが配列番
号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配列;(c)配列番号70の核
酸配列を含むP2A/フューリン部位;(d)HLA-E融合タンパク質をコードする核
酸配列であって、HLA-E融合タンパク質が配列番号66のアミノ酸配列を含み、イン
トロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配置され、イントロン
配列が配列番号69の核酸配列を含み、shRNAmiRをコードする核酸配列がイント
ロン配列内に配置される核酸配列;ならびに(e)任意選択的に、配列番号68の核酸配
列を含む終結シグナルを含み、CARをコードする核酸配列、HLA-E融合タンパク質
をコードする核酸配列、およびshRNAmiRをコードする核酸配列は、プロモータに
作動可能に連結されている。
【0094】
本方法の特定の実施形態では、鋳型核酸は、配列番号74と少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有
する核酸配列を含み、TCRアルファ定常領域遺伝子内のゲノム中に挿入される。本方法
の特定の実施形態では、鋳型核酸は、配列番号74の核酸配列を含み、TCRアルファ定
常領域遺伝子内のゲノム中に挿入される。
【0095】
上記方法のいくつかの実施形態では、鋳型核酸は、shRNAmiRをコードする2つ
以上の核酸を含む。本方法のある実施形態では、2つ以上の核酸は同じshRNAmiR
をコードすることができる。本方法のいくつかの実施形態では、2つ以上の核酸は、同じ
標的タンパク質の発現を低下させる異なるshRNAmiRをコードすることができる。
本方法の他の実施形態では、2つ以上の核酸は、異なる標的タンパク質の発現を低下させ
る異なるshRNAmiRをコードする。本方法のある実施形態では、鋳型核酸は、本明
細書に記載の異なるshRNAmiRをコードする2つ以上の核酸を含むことができる。
本方法の特定の実施形態では、鋳型核酸は、B2Mの発現を低下させるshRNAmiR
をコードする核酸配列、およびCD52の発現を低下させるshRNAmiRをコードす
る核酸配列を含むことができる。
【0096】
本方法のいくつかの実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列およびCA
Rまたは外因性TCRをコードする核酸配列は、切断部位に鋳型核酸が導入された後、免
疫細胞中で異なるプロモータに作動可能に連結される。本方法のいくつかのこのような実
施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)第1のプロモータ;(b)第1のプロ
モータに作動可能に連結されたCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列;(c)
第2のプロモータ;および(d)第2のプロモータに作動可能に連結されたshRNAm
iRをコードする核酸配列を含む。本方法の他のこのような実施形態では、鋳型核酸は、
5’から3’に:(a)第1のプロモータ;(b)第1のプロモータに作動可能に連結さ
れたshRNAmiRをコードする核酸配列;(c)第2のプロモータ;および(d)第
2のプロモータに作動可能に連結されたCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列
を含む。本方法のあるこのような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列
は、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列と同じ向きである。本方法の他のこ
のような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、CARまたは外因性
TCRをコードする核酸配列と逆向きである。本方法の特定のこのような実施形態では、
第1のプロモータおよび第2のプロモータは同一である。本方法の他のこのような実施形
態では、第1のプロモータと第2のプロモータとは異なる。本方法のいくつかのこのよう
な実施形態では、鋳型核酸は、1つまたは複数の終結シグナルを含む。
【0097】
上記方法のいくつかの実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列およびH
LA-E融合タンパク質をコードする核酸配列は、切断部位に鋳型核酸が導入された後、
免疫細胞中で異なるプロモータに作動可能に連結される。本方法の特定のこのような実施
形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)第1のプロモータ;(b)第1のプロモ
ータに作動可能に連結された、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列;(c)
第2のプロモータ;および(d)第2のプロモータに作動可能に連結された、shRNA
miRをコードする核酸配列を含む。本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型
核酸は、5’から3’に:(a)第1のプロモータ;(b)第1のプロモータに作動可能
に連結された、shRNAmiRをコードする核酸配列;(c)第2のプロモータ;およ
び(d)第2のプロモータに作動可能に連結された、HLA-E融合タンパク質をコード
する核酸配列を含む。本方法のあるこのような実施形態では、第1のプロモータおよび第
2のプロモータは同一である。本方法の他のこのような実施形態では、第1のプロモータ
と第2のプロモータとは異なる。本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸
は、1つまたは複数の終結シグナルを含む。
【0098】
本方法のいくつかの実施形態では、鋳型核酸は:(a)CARまたは外因性TCRをコ
ードする核酸配列;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列;および(c
)shRNAmiRをコードする核酸配列を含み、CARまたは外因性TCRをコードす
る核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連結されており、HLA-E融合タンパク質
をコードする核酸配列およびshRNAmiRをコードする核酸配列が第2のプロモータ
に作動可能に連結されている。本方法のいくつかの実施形態では、イントロン配列がHL
A-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードす
る核酸配列はイントロン配列内に配置される。本方法のいくつかの実施形態では、鋳型核
酸は:(a)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列;(b)HLA-E融合タ
ンパク質をコードする核酸配列;および(c)shRNAmiRをコードする核酸配列を
含み、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列およびshRNAmiRをコード
する核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連結されており、HLA-E融合タンパク
質をコードする核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結されている。本方法のいく
つかの実施形態では、イントロン配列がCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列
内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸配列はイントロン配列内に配置される
【0099】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、CARまたは外因性TCR
の転写を終結させることができる第1の終結シグナル、およびHLA-E融合タンパク質
の転写を終結させることができる第2の終結シグナルを含む。本方法のいくつかのこのよ
うな実施形態では、鋳型核酸は、HLA-E融合タンパク質の転写を終結させることがで
きる第1の終結シグナル、およびCARまたは外因性TCRの転写を終結させることがで
きる第2の終結シグナルを含む。
【0100】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)第
1のプロモータ;(b)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列;(c)任意選
択的に、第1の終結シグナル;(d)第2のプロモータ;(e)HLA-E融合タンパク
質をコードする核酸配列であって、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質をコード
する核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内
に配置される核酸配列;および(f)任意選択的に、第2の終結シグナルを含み、CAR
または外因性TCRをコードする核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連結されてお
り、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列およびshRNAmiRをコードす
る核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結されている。
【0101】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)第
1のプロモータ;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列であって、イン
トロン配列がHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配置され、shRNA
miRをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;(c)任意選択
的に、第1の終結シグナル;(d)第2のプロモータ;(e)CARまたは外因性TCR
をコードする核酸配列;および(f)任意選択的に、第2の終結シグナルを含み、HLA
-E融合タンパク質をコードする核酸配列、およびshRNAmiRをコードする核酸配
列が第1のプロモータに作動可能に連結されており、CARまたは外因性TCRをコード
する核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結されている。
【0102】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)第
1のプロモータ;(b)CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列であって、イン
トロン配列がCARまたは外因性TCRをコードする核酸配列内に配置され、shRNA
miRをコードする核酸配列がイントロン配列内に配置される核酸配列;(c)任意選択
的に、第1の終結シグナル;(d)第2のプロモータ;(e)HLA-E融合タンパク質
をコードする核酸配列;および(f)任意選択的に、第2の終結シグナルを含み、CAR
または外因性TCRをコードする核酸配列およびshRNAmiRをコードする核酸配列
が第1のプロモータに作動可能に連結されており、HLA-E融合タンパク質をコードす
る核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結されている。
【0103】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)第
1のプロモータ;(b)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列;(c)任意選
択的に、第1の終結シグナル;(d)第2のプロモータ;(e)CARまたは外因性TC
Rをコードする核酸配列であって、イントロン配列がCARまたは外因性TCRをコード
する核酸配列内に配置され、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内
に配置される核酸配列;および(f)任意選択的に、第2の終結シグナルを含み、HLA
-E融合タンパク質をコードする核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連結されてお
り、CARまたは外因性TCRをコードする核酸配列およびshRNAmiRをコードす
る核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結されている。
【0104】
上記方法のいくつかの実施形態では、イントロン配列は合成イントロン配列である。本
方法のある実施形態では、イントロン配列は、配列番号69と少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有
する核酸配列を含む。本方法の特定の実施形態では、イントロン配列は、配列番号69の
核酸配列を含む。
【0105】
上記の方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の終結シグナルは、ポリA配列
またはBGH終結シグナルである。
【0106】
上記方法のいくつかの実施形態では、第1の終結シグナルは第2の終結シグナルと同一
である。本方法の他の実施形態では、第1の終結シグナルは第2の終結シグナルとは異な
る。本方法のある実施形態では、第1の終結シグナルはポリA配列であり、第2の終結シ
グナルはBGH終結シグナルである。本方法のある実施形態では、第1の終結シグナルは
BGH終結シグナルであり、第2の終結シグナルはpolyA配列である。
【0107】
上記方法のある実施形態では、ポリA配列は、配列番号68と少なくとも80%、少な
くとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を
有する核酸配列を含む。本方法の特定の実施形態では、ポリA配列は、配列番号68の核
酸配列を含む。本方法のある実施形態では、BGH終結シグナルは、配列番号71と少な
くとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを
超える配列同一性を有する核酸配列を含む。本方法の特定の実施形態では、BGH終結シ
グナルは配列番号71の核酸配列を含む。
【0108】
上記方法のいくつかの実施形態では、第1のプロモータおよび第2のプロモータは同一
である。本方法の他の実施形態では、第1のプロモータは第2のプロモータとは異なる。
本方法のある実施形態では、第1のプロモータはJeTプロモータであり、第2のプロモ
ータはEF1アルファコアプロモータである。本方法のある実施形態では、第1のプロモ
ータはEF1アルファコアプロモータであり、第2のプロモータはJeTプロモータであ
る。
【0109】
上記方法のある実施形態では、JeTプロモータは、配列番号67と少なくとも80%
、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同
一性を有する核酸配列を含む。本方法の特定の実施形態では、JeTプロモータは、配列
番号67の核酸配列を含む。本方法のある実施形態では、EF1アルファコアプロモータ
は、配列番号72と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくと
も95%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含む。特定の実施形態では
、EF1アルファコアプロモータは、配列番号72の核酸配列を含む。
【0110】
上記方法のいくつかの実施形態では、HLA-E融合タンパク質は、配列番号66と少
なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ
を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。本方法の特定の実施形態では、HLA
-E融合タンパク質は配列番号66のアミノ酸配列を含む。
【0111】
上記方法のいくつかの実施形態では、CARは、配列番号73と少なくとも80%、少
なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性
を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む。本方法の特定の実施形態では、C
ARは、配列番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む。
【0112】
本方法の実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)配列番号67と少なくと
も80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超え
る配列同一性を有する核酸配列を含む第1のプロモータ;(b)CARをコードする核酸
配列であって、CARが配列番号73と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくと
も90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含
むシグナルペプチドを含む核酸配列;(c)任意選択的に、配列番号70と少なくとも8
0%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配
列同一性を有する核酸配列を含む第1の終結シグナル;(d)配列番号72と少なくとも
80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える
配列同一性を有する核酸配列を含む第2のプロモータ;(e)HLA-E融合タンパク質
をコードする核酸配列であって、HLA-E融合タンパク質が配列番号66と少なくとも
80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える
配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、イントロン配列がHLA-E融合タンパク質を
コードする核酸配列内に配置され、イントロン配列が配列番号69と少なくとも80%、
少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一
性を有する核酸配列を含み、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内
に配置される核酸配列;および(f)任意選択的に、配列番号71と少なくとも80%、
少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一
性を有する核酸配列を含む第2の終結シグナルを含み、CARをコードする核酸配列が第
1のプロモータに作動可能に連結されており、HLA-E融合タンパク質をコードする核
酸配列およびshRNAmiRをコードする核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連
結されている。
【0113】
本方法の特定の実施形態では、鋳型核酸は、5’から3’に:(a)配列番号67の核
酸配列を含む第1のプロモータ;(b)CARをコードする核酸配列であって、CARが
配列番号73のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドを含む核酸配列;(c)任意選択的
に、配列番号70の核酸配列を含む第1の終結シグナル;(d)配列番号72の核酸配列
を含む第2のプロモータ;(e)HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列であっ
て、HLA-E融合タンパク質が配列番号66のアミノ酸配列を含み、イントロン配列が
HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列内に配置され、イントロン配列が配列番
号69の核酸配列を含み、shRNAmiRをコードする核酸配列がイントロン配列内に
配置される核酸配列;および(f)任意選択的に、配列番号71の核酸配列を含む第2の
終結シグナル;を含み、CARをコードする核酸配列が第1のプロモータに作動可能に連
結されており、HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列およびshRNAmiR
をコードする核酸配列が第2のプロモータに作動可能に連結されている。
【0114】
本方法の特定の実施形態では、鋳型核酸は、配列番号75と少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有
する核酸配列を含み、TCRアルファ定常領域遺伝子内のゲノム中に挿入される。本方法
の特定の実施形態では、鋳型核酸が配列番号75の核酸配列を含み、カセットがTCRア
ルファ定常領域遺伝子内のゲノムに挿入される。
【0115】
上記方法のいくつかの実施形態では、鋳型核酸は、shRNAmiRをコードする2つ
以上の核酸を含む。本方法のある実施形態では、2つ以上の核酸は同じshRNAmiR
をコードすることができる。本方法のいくつかの実施形態では、2つ以上の核酸は、同じ
標的タンパク質の発現を低下させる異なるshRNAmiRをコードすることができる。
本方法の他の実施形態では、2つ以上の核酸は、異なる標的タンパク質の発現を低下させ
る異なるshRNAmiRをコードする。本方法のある実施形態では、鋳型核酸は、本明
細書に記載の異なるshRNAmiRをコードする2つ以上の核酸を含むことができる。
本方法の特定の実施形態では、鋳型核酸は、B2Mの発現を低下させるshRNAmiR
をコードする核酸配列、およびCD52の発現を低下させるshRNAmiRをコードす
る核酸配列を含むことができる。
【0116】
本方法のいくつかの実施形態では、shRNAmiRは、5’から3’に:(a)5’
miR足場ドメイン;(b)5’miR基底ステムドメイン;(c)パッセンジャー鎖;
(d)miRループドメイン;(e)ガイド鎖;(f)3’miR基底ステムドメイン;
および(g)3’miR足場ドメインを含む。
【0117】
本方法のいくつかの実施形態では、miRループドメインは、miR-30aループド
メイン、miR-15ループドメイン、miR-16ループドメイン、miR-155ル
ープドメイン、miR-22ループドメイン、miR-103ループドメインまたはmi
R-107ループドメインである。本方法の特定の実施形態では、miRループドメイン
はmiR-30aループドメインである。
【0118】
本方法のある実施形態では、miR-30aループドメインが、配列番号3と少なくと
も80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超え
る配列同一性を有する核酸配列を含む。本方法の特定の実施形態では、miR-30aル
ープドメインは、配列番号3の核酸配列を含む。
【0119】
本方法のいくつかの実施形態では、shRNAmiRは、マイクロRNA-E(miR
-E)足場、miR-30(例えば、miR-30a)足場、miR-15足場、miR
-16足場、miR-155足場、miR-22足場、miR-103足場、またはmi
R-107足場を含む。本方法のある実施形態では、shRNAmiRはmiR-E足場
を含む。
【0120】
本方法のいくつかの実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を含む:(a)5’
miR足場ドメインが、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも
90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含み;(
b)5’miR基底ステムドメインが、配列番号2と少なくとも80%、少なくとも85
%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する核酸
配列を含み;(c)3’miR基底ステムドメインが、配列番号4と少なくとも80%、
少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一
性を有する核酸配列を含み;および/または(d)3’miR足場ドメインが、配列番号
5と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、また
はそれを超える配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0121】
本方法のある実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を含む:(a)5’miR
足場ドメインが配列番号1の核酸配列を含み;(b)5’miR基底ステムドメインが配
列番号2の核酸配列を含み;(c)3’miR基底ステムドメインが配列番号4の核酸配
列を含み;および(d)3’miR足場ドメインが配列番号5の核酸配列を含む。
【0122】
本方法のいくつかの実施形態では、標的タンパク質の発現は、対照細胞と比較して、少
なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約
65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約
99%低下する。
【0123】
本方法のいくつかの実施形態では、標的タンパク質は、ベータ-2ミクログロブリン、
CS1、トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体2(TGFBR2)、Cbl癌原遺
伝子B(CBL-B)、CD52、TCRアルファ遺伝子、TCRアルファ定常領域遺伝
子、CD7、グルココルチコイド受容体(GR)、デオキシシチジンキナーゼ(DCK)
、核内受容体サブファミリー2グループFメンバー6(NR2F6)、細胞傷害性Tリン
パ球関連タンパク質4(CTLA-4)、またはC-Cケモカイン受容体5型(CCR5
)である。
【0124】
上記方法のいくつかの実施形態では、標的タンパク質はベータ-2ミクログロブリンで
ある。本方法のいくつかのこのような実施形態では、ベータ-2ミクログロブリンの細胞
表面発現は、対照細胞と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%
、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%
、約90%、約95%、または最大約99%低下する。本方法のさらなるこのような実施
形態では、MHCクラスI分子の発現は細胞表面において、対照細胞と比較して、少なく
とも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65
%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99
%低下する。本方法のいくつかのこのような実施形態では、免疫細胞は、対照細胞と比較
して同種異系性が低下している。
【0125】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する
:(a)パッセンジャー鎖が配列番号17の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号18の
核酸配列を含む;(b)パッセンジャー鎖が配列番号7の核酸配列を含み、ガイド鎖が配
列番号8の核酸配列を含む;(c)パッセンジャー鎖が配列番号9の核酸配列を含み、ガ
イド鎖が配列番号10の核酸配列を含む;(d)パッセンジャー鎖が配列番号11の核酸
配列を含み、ガイド鎖が配列番号12の核酸配列を含む;(e)パッセンジャー鎖が配列
番号13の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号14の核酸配列を含む;または(f)パ
ッセンジャー鎖が配列番号15の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号16の核酸配列を
含む。本方法のあるこのような実施形態では、パッセンジャー鎖は配列番号17の核酸配
列を含み、ガイド鎖は配列番号18の核酸配列を含む。本方法の特定のこのような実施形
態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、配列番号46と少なくとも80%、
少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一
性を有する配列を含む。本方法のさらなるこのような実施形態では、shRNAmiRを
コードする核酸配列は、配列番号46の配列を含む。
【0126】
本方法のいくつかの実施形態では、標的タンパク質はCS1である。本方法のいくつか
のこのような実施形態では、CS1の細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少なくとも
約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、
約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低
下する。本方法のいくつかのこのような実施形態では、免疫細胞は、CS1に対する特異
性を有するCARを発現する。本方法のさらなるこのような実施形態では、免疫細胞は、
対照細胞と比較して、CS1に対する特異性を有するCARを発現する免疫細胞によるフ
ラトリサイドを受けにくい。
【0127】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する
:(a)パッセンジャー鎖が配列番号21の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号22の
核酸配列を含む;(b)パッセンジャー鎖が配列番号23の核酸配列を含み、ガイド鎖が
配列番号24の核酸配列を含む;または(c)パッセンジャー鎖が配列番号25の核酸配
列を含み、ガイド鎖が配列番号26の核酸配列を含む。本方法のあるこのような実施形態
では、パッセンジャー鎖は配列番号25の核酸配列を含み、ガイド鎖は配列番号26の核
酸配列を含む。本方法の特定のこのような実施形態では、shRNAmiRは、配列番号
50と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、ま
たはそれを超える配列同一性を有する配列を含む。本方法のさらなるこのような実施形態
では、shRNAmiRは配列番号50の配列を含む。
【0128】
本方法のいくつかの実施形態では、標的タンパク質はTGFBR2である。本方法のい
くつかのこのような実施形態では、TGFBR2の細胞表面発現は、対照細胞と比較して
、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%
、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最
大約99%低下する。本方法のさらなるこのような実施形態では、免疫細胞は、対照細胞
と比較して、トランスフォーミング増殖因子B1(TGFB1)による免疫抑制を受けに
くい。
【0129】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する
:(a)パッセンジャー鎖が配列番号27の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号28の
核酸配列を含む;(b)パッセンジャー鎖が配列番号29の核酸配列を含み、ガイド鎖が
配列番号30の核酸配列を含む;(c)パッセンジャー鎖が配列番号31の核酸配列を含
み、ガイド鎖が配列番号32の核酸配列を含む;(d)パッセンジャー鎖が配列番号33
の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号34の核酸配列を含む;または(e)パッセンジ
ャー鎖が配列番号35の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号36の核酸配列を含む。本
方法のあるこのような実施形態では、パッセンジャー鎖は配列番号31の核酸配列を含み
、ガイド鎖は配列番号32の核酸配列を含む。本方法の特定のこのような実施形態では、
shRNAmiRをコードする核酸配列は、配列番号53と少なくとも80%、少なくと
も95%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有す
る配列を含む。本方法のさらなるこのような実施形態では、shRNAmiRをコードす
る核酸配列は、配列番号53の配列を含む。
【0130】
本方法のいくつかの実施形態では、標的タンパク質はCBL-Bである。本方法のいく
つかのこのような実施形態では、CBL-Bの細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少
なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約
65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約
99%低下する。本方法のさらなるこのような実施形態では、免疫細胞は、対照細胞と比
較して、下流シグナル伝達タンパク質の分解によるT細胞受容体(TCR)シグナル伝達
の抑制を受けにくい。
【0131】
本方法のいくつかの実施形態では、標的タンパク質はCD52である。本方法のいくつ
かのこのような実施形態では、CD52の細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少なく
とも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65
%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99
%低下する。本方法のさらなるこのような実施形態では、免疫細胞は、CD52抗体誘導
細胞死を受けにくい。
【0132】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する
:(a)パッセンジャー鎖が配列番号37の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号38の
核酸配列を含む;または(b)パッセンジャー鎖が配列番号39の核酸配列を含み、ガイ
ド鎖が配列番号40の核酸配列を含む。本方法のあるこのような実施形態では、パッセン
ジャー鎖は配列番号37の核酸配列を含み、ガイド鎖は配列番号38の核酸配列を含む。
本方法の特定のこのような実施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、配
列番号56と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95
%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含む。本方法のさらなるこのような実
施形態では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、配列番号56の配列を含む。
【0133】
本方法のいくつかの実施形態では、標的タンパク質はDCKである。いくつかのこのよ
うな実施形態では、DCKの細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少なくとも約10%
、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%
、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する。
本方法のさらなるこのような実施形態では、免疫細胞は、細胞増殖に対するプリンヌクレ
オシド類似体(例えば、フルダラビン)の影響を受けにくい。
【0134】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する
:(a)パッセンジャー鎖が配列番号76の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号77の
核酸配列を含む;(b)パッセンジャー鎖が配列番号78の核酸配列を含み、ガイド鎖が
配列番号79の核酸配列を含む;(c)パッセンジャー鎖が配列番号80の核酸配列を含
み、ガイド鎖が配列番号81の核酸配列を含む;(d)パッセンジャー鎖が配列番号82
の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号83の核酸配列を含む;または(e)パッセンジ
ャー鎖が配列番号84の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号85の核酸配列を含む。本
方法の特定のこのような実施形態では、パッセンジャー鎖は配列番号76の核酸配列を含
み、ガイド鎖は配列番号77の核酸配列を含む。本方法の特定のこのような実施形態では
、shRNAmiRをコードする核酸配列は、配列番号86と少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有
する配列を含む。本方法のさらなるこのような実施形態では、shRNAmiRをコード
する核酸配列は、配列番号86の配列を含む。
【0135】
本方法のいくつかの実施形態では、標的タンパク質はGRである。本方法のいくつかの
このような実施形態では、GRの細胞表面発現は、対照細胞と比較して、少なくとも約1
0%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約7
0%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下す
る。さらなるこのような実施形態では、免疫細胞は、増殖の低下などのグルココルチコイ
ド(例えば、デキサメタゾン)の影響を受けにくい。
【0136】
本方法のいくつかのこのような実施形態では、shRNAmiRは以下の構造を有する
:(a)パッセンジャー鎖が配列番号91の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号92の
核酸配列を含む;(b)パッセンジャー鎖が配列番号93の核酸配列を含み、ガイド鎖が
配列番号94の核酸配列を含む;(c)パッセンジャー鎖が配列番号95の核酸配列を含
み、ガイド鎖が配列番号96の核酸配列を含む;(d)パッセンジャー鎖が配列番号97
の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号98の核酸配列を含む;(e)パッセンジャー鎖
が配列番号99の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号100の核酸配列を含む;(f)
パッセンジャー鎖が配列番号101の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号102の核酸
配列を含む;(g)パッセンジャー鎖が配列番号103の核酸配列を含み、ガイド鎖が配
列番号104の核酸配列を含む;(h)パッセンジャー鎖が配列番号105の核酸配列を
含み、ガイド鎖が配列番号106の核酸配列を含む;または(i)パッセンジャー鎖が配
列番号107の核酸配列を含み、ガイド鎖が配列番号108の核酸配列を含む。本方法の
特定のこのような実施形態では、パッセンジャー鎖は配列番号95の核酸配列を含み、ガ
イド鎖は配列番号96の核酸配列を含む。本方法の特定のこのような実施形態では、sh
RNAmiRをコードする核酸配列は、配列番号111と少なくとも80%、少なくとも
85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれを超える配列同一性を有する
配列を含む。本方法のさらなるこのような実施形態では、shRNAmiRをコードする
核酸配列は、配列番号111の配列を含む。
【0137】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかによって作製された免疫細
胞を提供する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質はベータ-2ミクログロブリン
であり、本方法によって作製された免疫細胞は、ベータ-2ミクログロブリンおよび/ま
たはMHCクラスIタンパク質の細胞表面発現が低下している。いくつかの実施形態では
、標的タンパク質はCS1であり、本方法によって作製された免疫細胞はCS1の細胞表
面発現が低下している。いくつかの実施形態では、標的タンパク質はTGFRB2であり
、本方法によって作製された免疫細胞は、TGFBR2の発現が低下している。いくつか
の実施形態では、標的タンパク質はCBL-Bであり、本方法によって作製された免疫細
胞はCBL-Bの発現が低下している。いくつかの実施形態では、標的タンパク質はCD
52であり、本方法によって作製された免疫細胞は、CD52の細胞表面発現が低下して
いる。いくつかの実施形態では、標的タンパク質はDCKであり、本方法によって作製さ
れた免疫細胞は、DCKの発現が低下している。いくつかの実施形態では、標的タンパク
質はGRであり、本方法によって作製された免疫細胞はGRの発現が低下している。
【0138】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の複数の遺伝子改変免疫細胞、または複数の
免疫細胞を含む細胞の集団を提供する。いくつかの実施形態では、集団中の細胞の少なく
とも約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70
%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大100%が、本明
細書に記載の遺伝子改変免疫細胞、または本明細書に記載の免疫細胞である。
【0139】
別の態様では、本発明は、薬学的に許容される担体と、本明細書に記載の複数の遺伝子
改変免疫細胞、または本明細書に記載の複数の免疫細胞とを含む医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の細胞の集団を含む。
【0140】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において疾患を治療するための免疫療
法の方法であって、有効量の本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方
法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、それを必要とする対象においてがん
を治療するための免疫療法であって、遺伝子改変免疫細胞または免疫細胞が、遺伝子改変
ヒトT細胞もしくはそれに由来する細胞、または遺伝子改変NK細胞もしくはそれに由来
する細胞であり、遺伝子改変免疫細胞または免疫細胞が、CARまたは外因性TCRを含
み、CARまたは外因性TCRが、腫瘍特異的抗原に対する特異性を有する細胞外リガン
ド結合ドメインを含む免疫療法である。本方法のいくつかの実施形態では、遺伝子改変免
疫細胞または免疫細胞は、不活性化TCRアルファ遺伝子または不活性化TCRアルファ
定常領域遺伝子を含む。本方法のさらなる実施形態では、遺伝子改変免疫細胞または免疫
細胞は、内因性TCR(例えば、アルファ/ベータTCR)の検出可能な細胞表面発現を
有さない。本方法のいくつかの実施形態では、がんは、癌腫、リンパ腫、肉腫、芽細胞腫
および白血病のがんからなる群から選択される。本方法のある実施形態では、がんは、B
細胞起源のがん、乳がん、胃がん、神経芽細胞腫、骨肉腫、肺がん、黒色腫、前立腺がん
、結腸がん、腎細胞癌腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、白血病、およびホジキンリンパ腫から
なる群から選択される。本方法の特定の実施形態では、B細胞起源のがんは、B系列急性
リンパ芽球性白血病、B細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫、および
多発性骨髄腫からなる群から選択される。
【0141】
本方法の特定の実施形態では、対象は、ヒトなどの哺乳動物であり得る。
【0142】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんなどの疾患を治療する方
法であって、内因性デオキシシチジンキナーゼ(DCK)の発現を低下させるshRNA
miRをコードする核酸配列をそのゲノム中に含む本明細書に記載の任意の遺伝子改変免
疫細胞(例えば、CARまたは外因性TCRを発現する遺伝子改変ヒトT細胞またはNK
細胞)の集団の治療有効量を、プリンヌクレオシドの投与前、投与中、または投与後に対
象に投与することを含む方法を提供する。shRNAmiRによるDCK発現の低下は、
遺伝子改変免疫細胞の増殖またはインビボ持続性に対するプリンヌクレオシドの効果を低
下させる。
【0143】
本方法の特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞の集団およびプリンヌクレオシドは
、プリンヌクレオシドが投与されるとき、またはプリンヌクレオシドが有効レベルで対象
中に存在する間に、遺伝子改変免疫細胞が対象中に存在する(すなわち、宿主によって除
去されていない)ように投与される。上記方法のいくつかの実施形態では、プリンヌクレ
オシドはフルダラビンである。本方法のいくつかのこのような実施形態では、フルダラビ
ンは、免疫療法のためのリンパ球枯渇レジメンの一部として、単独で、または別の化学療
法化合物と組み合わせて投与される。
【0144】
本方法の特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、標的がん細胞上の抗原に対して
特異性を有するCARまたは外因性TCRを発現する、遺伝子改変ヒトT細胞または遺伝
子改変NK細胞である。
【0145】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象においてがんなどの疾患を治療する方
法であって、内因性グルココルチコイド受容体(GR)の発現を低下させるshRNAm
iRをコードする核酸配列をゲノムに含む本明細書に記載の任意の遺伝子改変免疫細胞(
例えば、CARまたは外因性TCRを発現する遺伝子改変ヒトT細胞またはNK細胞)の
集団の治療有効量を、コルチコステロイドの投与前、投与中、または投与後に対象に投与
することを含む方法を提供する。shRNAmiRによるGR発現の低下は、遺伝子改変
免疫細胞の増殖またはインビボ持続性に対するコルチコステロイドの効果を低下させる。
【0146】
本方法の特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞の集団およびコルチコステロイドは
、コルチコステロイドが投与されるとき、またはコルチコステロイドが有効レベルで対象
中に存在する間に、遺伝子改変免疫細胞が対象中に存在する(すなわち、宿主によって除
去されていない)ように投与される。本方法のいくつかの実施形態では、コルチコステロ
イドはデキサメタゾンまたはメチルプレドニゾロンである。本方法のいくつかのこのよう
な実施形態では、コルチコステロイドは、免疫療法中のサイトカイン放出症候群を低下さ
せるための治療の一部として、単独で、または別の化合物と組み合わせて投与される。
【0147】
本方法の特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、標的がん細胞上の抗原に対して
特異性を有するCARまたは外因性TCRを発現する、遺伝子改変ヒトT細胞または遺伝
子改変NK細胞である。
【0148】
別の態様では、本発明は、医薬として使用するための、本明細書に記載の遺伝子改変免
疫細胞もしくはその集団、または本明細書に記載の免疫細胞もしくはその集団を提供する
。本発明はさらに、それを必要とする対象において疾患を治療するための医薬の製造にお
ける、本明細書に記載の遺伝子改変免疫細胞もしくはその集団、または本明細書に記載の
免疫細胞もしくはその集団の使用を提供する。このような一態様では、医薬はがんの治療
に有用である。
【0149】
別の態様では、本発明は、疾患の治療、好ましくはがんの治療に使用するための、本明
細書に記載の遺伝子改変細胞もしくはその集団、または本明細書に記載の免疫細胞もしく
はその集団を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0150】
図1】shRNA472の単一コピーをCARと3’から5’への頭-尾(head-to-tail)配置で発現する構築物7056を含むAAVにより形質導入されたT細胞上のベータ-2ミクログロブリンの発現またはHLA-A、B、およびCの発現(すなわち、MHCクラスI分子発現)を示す。
図1A】対照培養物由来のshRNAを発現しないメガヌクレアーゼ編集細胞と比較した、CD3-/CAR+細胞におけるB2Mの表面レベルを示す。
図1B】同じ培養物中のCD3-/CAR+対CD3+/CAR-集団のB2Mレベルを示す。
図1C】対照培養物由来のshRNAを発現しないメガヌクレアーゼ編集細胞と比較した、CD3-/CAR+細胞におけるHLA-ABC(すなわち、MHCクラスI分子)の表面レベルを示す。
図1D】同じ培養物中のCD3+/CAR+対CD3+/CAR-集団のHLA-ABCレベルを示す。
図2】AAV7056を用いて産生された培養物におけるCD3-/CAR+細胞の頻度およびB2Mのノックダウンを示す。
図2A】4日目のCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図2B】4日目のB2Mのノックダウンを示す。
図2C】7日目のCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図2D】7日目のB2Mのノックダウンを示す。
図2E】10日目のCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図2F】10日目のB2Mのノックダウンを示す。
図3】AAV7206、AAV7056またはAAV7282による形質導入の3日後に産生された培養物における、CD3-/CAR+細胞の頻度およびB2Mのノックダウンを示す。
図3A】7206-形質導入細胞におけるCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図3B】7206-形質導入細胞におけるB2Mのノックダウンを示す。
図3C】7282-形質導入細胞におけるCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図3D】7282-形質導入細胞におけるB2Mのノックダウンを示す。
図3E】7056-形質導入細胞におけるCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図3F】7056-形質導入細胞におけるB2Mのノックダウンを示す。
図4】AAV7206、AAV7056またはAAV7282を用いた形質導入の7日後に産生された培養物における、CD3-/CAR+細胞の頻度およびB2Mのノックダウンを示す。
図4A】7206-形質導入細胞におけるCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図4B】7206-形質導入細胞におけるB2Mのノックダウンを示す。
図4C】7282-形質導入細胞におけるCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図4D】7282-形質導入細胞におけるB2Mのノックダウンを示す。
図4E】7056-形質導入細胞におけるCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図4F】7056-形質導入細胞におけるB2Mのノックダウンを示す。
図5】AAV7206、AAV7056またはAAV7282による形質導入の11日後に産生された培養物における、CD3-/CAR+細胞の頻度およびB2Mのノックダウンを示す。
図5A】7206-形質導入細胞におけるCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図5B】7206-形質導入細胞におけるB2Mのノックダウンを示す。
図5C】7282-形質導入細胞におけるCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図5D】7282-形質導入細胞におけるB2Mのノックダウンを示す。
図5E】7056-形質導入細胞におけるCD3-/CAR+細胞の頻度を示す。
図5F】7056-形質導入細胞におけるB2Mのノックダウンを示す。
図6】同種抗原特異的細胞傷害性リンパ球(CTL)またはNK細胞による細胞溶解に対するCAR T細胞の感受性についての、B2Mのノックアウトまたはノックダウン効果を示す。
図6A】B2MノックアウトおよびB2MノックダウンCAR T細胞集団に対する、プライムされた同種抗原特異的CTLの細胞溶解活性を示す。
図6B】B2MノックアウトおよびB2MノックダウンCAR T細胞集団に対するNK細胞の細胞溶解活性を示す。
図7】操作されたメガヌクレアーゼおよびHLA-Eポリペプチドのコード配列を含むドナー鋳型の標的挿入を用いた、B2Mのノックアウトを示す図である。
図7A】標的挿入なしのB2Mノックアウトを示す。
図7B】AAV7346を使用したB2Mノックアウトおよびドナー鋳型の標的挿入を示す。
図8】B2Mノックアウトおよび挿入されたドナー鋳型によってコードされるHLA-Eの細胞表面発現によるT細胞集団の精製を示す。
図8A】B2M陰性の細胞集団を示す。
図8B】精製されたB2M陰性集団を示す。
図8C】HLA-E陽性である細胞集団を示す。
図8D】精製されたHLA-E陽性細胞集団を示す。
図9】同種抗原プライムCTLによるCAR T細胞殺滅およびナチュラルキラー(NK)細胞による細胞殺滅を示す。
図9A】エフェクター:標的比の漸増時の、同種抗原プライムCTLによるB2M陽性、B2MノックアウトおよびB2Mノックアウト/HLA-Eノックイン、CAR T細胞の殺滅を示す。
図9B】エフェクター:標的比の漸増時の、B2M陽性、B2MノックアウトおよびB2Mノックアウト/HLA-Eノックイン、CAR T細胞のNK細胞殺滅を示す。
図10】CAR T細胞におけるB2MのshRNAmiR誘導ノックダウンのインビボ有効性および安定性を示す。
図10A】NALM-6細胞を移植し、ビヒクルで処置したマウス(黒色の線で三角形を付して示す)、CD19指向性CAR T細胞で処置したマウス(濃い灰色の線で丸を付して示す)、または統合されたB2M標的化shRNAmiRを含むCD19指向性CAR T細胞で処置したマウス(薄い灰色の線で三角形を付して示す)における経時的な総フラックスの生物発光イメージングを示す。
図10B】統合されたB2M標的化shRNAmiRを含むCD19指向性CAR T細胞(薄い灰色のヒストグラムとして示される)または対照CD19指向性CAR T細胞(濃い灰色のヒストグラムとして示される)のいずれかを投与した14日後のヒトCD45+細胞におけるB2M発現についてのフローサイトメトリ染色を示す。
図11】CAR T細胞におけるCS1のshRNAmiR誘導安定的ノックダウンを示す。CS1/SLAMF7 shRNAmiRの3つの候補ガイド鎖配列およびパッセンジャー鎖配列をmiR-E足場内に構築し、BCMA特異的CARの終止コドンの後に配置した。構築物をAAV72101~72103と命名し、ドナーT細胞の形質導入に使用した。
図11A】BCMA CARをコードするがshRNAmiR構築物をコードしないAAVによる形質導入の7日後のCARおよびCS1染色を示す。
図11B】AAV 72101による形質導入の7日後のCARおよびCS1染色を示す。
図11C】AAV 72102による形質導入の7日後のCARおよびCS1染色を示す。
図11D】AAV 72103による形質導入の7日後のCARおよびCS1染色を示す。
図12】CAR T細胞におけるTGFRB2のshRNAmiR誘導安定的ノックダウンを示す。TGFBR2 shRNAmiRの複数の候補ガイド鎖配列およびパッセンジャー鎖配列をmiR-E足場内に構築し、CD19特異的CARの終止コドンの後に配置した。構築物をAAV 72110~72114と命名し、ドナーT細胞の形質導入に使用した。
図12A】モック形質導入後のCARおよびTGFBR2染色を示す。
図12B】AAV 72110による形質導入の14日後のCARおよびTGFBR2染色を示す。
図12C】AAV 72111による形質導入の14日後のCARおよびTGFBR2染色を示す。
図12D】AAV 72112による形質導入の14日後のCARおよびTGFBR2染色を示す。
図12E】AAV 72113による形質導入の14日後のCARおよびTGFBR2染色を示す。
図12F】AAV 72114による形質導入の14日後のCARおよびTGFBR2染色を示す。
図13】2つの操作されたメガヌクレアーゼを使用したT細胞におけるTGFBR2のノックアウトを検出するフローサイトメトリを示す。
図13A】陰性染色対照を示す。
図13B】モックトランスフェクトT細胞を示す。
図13C】TGF 1-2 x.5メガヌクレアーゼをコードするmRNAをトランスフェクトしたT細胞を示す。
図13D】TGF 1-2 L.296メガヌクレアーゼをコードするmRNAをトランスフェクトしたT細胞を示す。
図14】TGFB1で処理したTGFBR2陽性T細胞および陰性T細胞におけるリン酸化SMAD2/3のフローサイトメトリ染色を示す。
図15】TGFBR2陽性CAR T細胞、タンパク質発現をノックダウンするために抗TGFBR2 shRNAmiRを発現するCAR T細胞、およびTGFBR2発現をノックアウトするために操作されたメガヌクレアーゼで処理されたT細胞におけるリン酸化SMAD2/3のフローサイトメトリを示す。
図16】未処理対照BCMA CAR T細胞(A)、TGFβ1で処理されたBCMA CAR T細胞(B)、TGF 1-2L.296メガヌクレアーゼを用いてTGFBR2がノックアウトされた、TGFβ1で処理されたBCMA CAR T細胞(C)、または72112 TGFBR2 shRNAmiRを用いてTGFBR2がノックダウンされた、TGFβ1で処理されたBCMA CAR T細胞(D)、におけるリン酸化SMAD 2/3のフローサイトメトリを示す。
図17】正常なK562細胞、BCMAを安定に発現するようにトランスフェクトされたK562細胞(KBCMA)、またはBCMAを安定に発現し、活性TGFβ1を構成的に分泌するK562細胞(KBCMA-TGF)と共培養した後の、経時的なBCMA CAR T細胞数を示す。BCMA CAR T細胞を、shRNAmiRを使用してTGFBR2をノックダウンするように改変(TGFBR KD)するか、またはshRNAmiRを用いてB2Mをノックダウンするように改変(Ctrl KD)した。
図18】BCMAを安定に発現するようにトランスフェクトされたK562細胞(KBCMA)、またはBCMAを安定に発現し、活性TGFβ1を構成的に分泌するK562細胞(KBCMA-TGF)と共培養した後の、経時的な標的細胞数を示す。BCMA CAR T細胞を、shRNAmiRを使用してTGFBR2をノックダウンするように改変(TGFBRKD)するか、またはshRNAmiRを用いてB2Mをノックダウンするように改変(CtrlKD)した。
図19】正常なK562細胞、BCMAを安定に発現するようにトランスフェクトされたK562細胞、およびBCMAを安定に発現し、活性TGFβ1を構成的に分泌するK562細胞と共培養した後の、経時的なBCMA CAR T細胞数を示す。BCMA CAR T細胞を、shRNAmiRを使用してTGFBR2をノックダウンするように改変(72154)し、shRNAmiRを用いてB2Mをノックダウンするように改変(72155)し、または操作されたメガヌクレアーゼを用いてTGFBR2をノックアウトするように改変(dKO)した。
図20】BCMAを安定に発現するようにトランスフェクトされたK562細胞、およびBCMAを安定に発現し、活性TGFβ1を構成的に分泌するK562細胞と共培養した後の、経時的なBCMA CAR T細胞のCD4:CD8比を示す。BCMA CAR T細胞を、shRNAmiRを使用してTGFBR2をノックダウンするように改変(72154)し、shRNAmiRを用いてB2Mをノックダウンするように改変(72155)し、または操作されたメガヌクレアーゼを用いてTGFBR2をノックアウトするように改変(dKO)した。
図21】正常なU266細胞、または活性TGFβ1を構成的に分泌するU266細胞と共培養した後の、経時的なBCMA CAR T細胞数を示す。BCMA CAR T細胞を、shRNAmiRを使用してTGFBR2をノックダウンするように改変(72154)し、shRNAmiRを用いてB2Mをノックダウンするように改変(72155)し、または操作されたメガヌクレアーゼを用いてTGFBR2をノックアウトするように改変(dKO)した。
図22】U266細胞、または活性TGFβ1を構成的に分泌するU266細胞と共培養した後の、経時的なBCMA CAR T細胞数を示す。BCMA CAR T細胞を、shRNAmiRを使用してTGFBR2をノックダウンするように改変(72154)し、shRNAmiRを用いてB2Mをノックダウンするように改変(72155)し、または操作されたメガヌクレアーゼを用いてTGFBR2をノックアウトするように改変(dKO)した。
図23】U266細胞と共培養した異なる時点での、CD4+CAR T細胞の数のフローサイトメトリプロットを示す。
図23A】72154構築物を組み込んだCAR T細胞を示す。
図23B】72155構築物を組み込んだCAR T細胞を示す。
図23C】HLA-E融合タンパク質がB2M遺伝子にノックインされたCAR T細胞を示す。
図24】BCMA CAR T細胞変異体と16日間共培養した後の、U266細胞の生細胞対死細胞のフローサイトメトリプロットを示す。
図24A】U266細胞と、shRNAmiRを使用してTGFBR2をノックダウンするように改変(TGFb RKD)されたBCMA CAR T細胞との共培養を示す。
図24B】U266細胞と、shRNAmiRを使用してB2Mをノックダウンするように改変(Ctrl KD)されたBCMA CAR T細胞との共培養を示す。
図24C】U266細胞と、操作されたメガヌクレアーゼを用いてTGFBR2をノックアウトするように改変(TGFbR KO)されたBCMA CAR T細胞との共培養を示す。
図24D】活性TGFβ1を分泌するU266細胞と、shRNAmiRを使用してTGFBR2をノックダウンするように改変(TGFb RKD)されたBCMA CAR T細胞との共培養を示す。
図24E】活性TGFβ1を分泌するU266細胞と、shRNAmiRを使用してB2Mをノックダウンするように改変(Ctrl KD)されたBCMA CAR T細胞との共培養を示す。
図24F】活性TGFβ1を分泌するU266細胞と、操作されたメガヌクレアーゼを用いてTGFBR2をノックアウトするように改変(TGFbR KO)されたBCMA CAR T細胞との共培養を示す。
図25】CAR T細胞におけるCD52のshRNAmiR誘導安定的ノックダウンを示す。CD52 shRNAmiRの複数の候補ガイド鎖配列およびパッセンジャー鎖配列をmiR-E足場内に構築し、CD19特異的CARの終止コドンの後に配置した。構築物をAAV 72123およびAAV 72124と命名し、ドナーT細胞の形質導入に使用した。
図25A】AAV形質導入後のCD3-/CAR+T細胞集団の染色を示す。
図25B】AAV 72123による形質導入の10日後のCD3-/CAR+T細胞におけるCD52のノックダウンを示す。
図25C】AAV 72124による形質導入の10日後のCD3-/CAR+T細胞におけるCD52のノックダウンを示す。
図26】B2M標的化shRNAmiRおよびCD52標的化shRNAmiRを発現するT細胞におけるB2MおよびCD52についてのフローサイトメトリ染色を示す。
図27】B2M標的化shRNAmiRおよびCD52標的化shRNAmiRを発現するCAR T集団のCD52枯渇後に回収されたCAR+T細胞のパーセンテージを示す。
図28】構築物73161、73162、73163、および73164の図を示す。
図28A】JeTプロモータ、CD19 CAR遺伝子、P2A/フューリン部位、B2M標的化shRNAmiRを含む合成イントロンを含むHLA-E遺伝子、およびSV40双方向性ポリA配列を含む構築物73161を示す。
図28B】JeTプロモータ、B2M標的化shRNAmiRを含む合成イントロンを含むCD19 CAR遺伝子、SV40双方向性ポリA配列、第2のJeTプロモータ、HLA-E遺伝子、およびウシ成長ホルモン(BGH)終結シグナルを含む構築物73162を示す。
図28C】JeTプロモータ、CD19 CAR遺伝子、SV40双方向ポリA配列、EF1アルファコアプロモータ、B2M標的化shRNAmiRを含む合成イントロンを含むHLA-E遺伝子、およびBGH終結シグナルを含む構築物73163を示す。
図28D】JeTプロモータ、CD19 CAR遺伝子、SV40双方向ポリA配列、第2のJeTプロモータ、B2M標的化shRNAmiRを含む合成イントロンを含むHLA-E遺伝子、およびBGH終結シグナルを含む73164構築物を示す。
図29】同定された構築物がAAVによって導入され、TRAC遺伝子座のみに挿入されたT細胞(7206および73161~73164)、またはCAR遺伝子がTRAC遺伝子座に挿入され、HLA-E遺伝子がB2M遺伝子座に挿入された細胞(dKO dKI)のCAR表現型を要約する表を示す。この表は、7206構築物を使用して導入されたCARと比較した場合の、CD3-/CAR+であった細胞のパーセンテージ、CARノックインを有したCD3ノックアウト細胞のパーセンテージ、発現したCARの平均蛍光強度(MFI)、および各CARのMFIの比較を提供する。
図30】同定された構築物がAAVによって導入され、TRAC遺伝子座のみに挿入されたT細胞(7206および73161~73164)、またはCAR遺伝子がTRAC遺伝子座に挿入され、HLA-E遺伝子がB2M遺伝子座に挿入された細胞(dKO dKI)のHLA-ABCおよびHLA-E表現型を要約する表を示す。この表は、CD3-/CAR+集団における野生型と比較したHLA-ABC発現のパーセンテージ、野生型ゲーティングアウトによるHLA-ABCノックダウンのパーセンテージ、CD3-/CAR+集団におけるHLA-Eを発現する細胞のパーセンテージ、このような細胞におけるHLA-E発現のMFI、およびCAR-集団におけるHLA-E+であった細胞のパーセンテージを提供する。
図31】同定された構築物がAAVによって導入され、TRAC遺伝子座のみに挿入されたCAR T細胞(7206および73161~73164)、またはCAR遺伝子がTRAC遺伝子座に挿入され、HLA-E遺伝子がB2M遺伝子座に挿入された細胞(dKO dKI)の特徴を要約する表を示す。
図32】2種の異なるドナー(K3212またはK2916)由来の同種抗原プライムCTLと共培養した場合の、第1のドナー(HC6366)由来のT細胞を用いて調製したCD19 CAR T変異体の細胞溶解を示す。
図32A】K3212同種抗原プライムCTLによるCAR T細胞の殺滅を示す。
図32B】K2916同種抗原プライムCTLによるCAR T細胞の殺滅を示す。
図33】1:1の比で共培養したCD19 CAR T変異体のナチュラルキラー(NK)細胞による細胞溶解を複数の時点において示す。
図33A】24時間での細胞溶解を示す。
図33B】48時間での細胞溶解を示す。
図33C】120時間での細胞溶解を示す。
図34】NALM/6白血病細胞を移植した免疫不全マウスにおけるCD19 CAR T変異体のインビボ有効性を実証する発光測定を示す。
図35】CD19 CAR T変異体で処置した、NALM/6白血病細胞を移植した免疫不全マウスの生存を示す。
図36】異なる濃度のフルダラビンとインキュベーションした後のCD3ノックアウトT細胞における、DCK shRNAmiRを含む、または含まないCD19 CAR配列のノックインパーセントの変化を示す。
図37】DCK shRNAmiRを含む、または含まないCD19 CAR T細胞変異体と共にインキュベートしたフルダラビンの濃度に対するCD3-/CAR+集団の事象/uLを示す。
図38】DCK shRNAmiRを含む、または含まない異なるCD19 CAR T細胞変異体を異なる濃度のフルダラビンで処理した後4日目の生細胞数/mLを示す。
図39】DCK shRNAmiRを含む、または含まない異なるCD19 CAR T細胞変異体を異なる濃度のフルダラビンで処理した後8日目の生細胞数/mLを示す。
図40】異なる濃度のフルダラビンの存在下で、DCK shRNAmiRを欠くCD19 CAR T細胞(エフェクター)と共培養されたCD19発現HEK293細胞(標的)の細胞溶解パーセントを示す。細胞を2:1、1:2、および1:4のE:T比で共培養した。
図41】異なる濃度のフルダラビンの存在下で、DCK shRNAmiR(72138)を含むCD19 CAR T細胞(エフェクター)と共培養されたCD19発現HEK293細胞(標的)の細胞溶解パーセントを示す。細胞を2:1、1:2、および1:4のE:T比で共培養した。
図42】異なる濃度のフルダラビンの存在下で、DCK shRNAmiR(72136)を含むCD19 CAR T細胞(エフェクター)と共培養されたCD19発現HEK293細胞(標的)の細胞溶解パーセントを示す。細胞を2:1、1:2、および1:4のE:T比で共培養した。
図43】異なる濃度のデキサメタゾンとのインキュベーション後のCD3ノックアウトT細胞における、GR shRNAmiRを含む、または含まないCD19 CAR配列のノックインパーセントの変化を示す。
図44】GR shRNAmiRを含む、または含まないCD19 CAR T細胞変異体と共にインキュベートしたデキサメタゾンの濃度に対するCD3-/CAR+集団の事象/uLを示す図である。
【0151】
配列の簡単な説明
【0152】
配列番号1は、5’miR-E足場ドメインコード配列の核酸配列を示す。
【0153】
配列番号2は、5’mir-E基底ステムドメインコード配列の核酸配列を示す。
【0154】
配列番号3は、miR-30aループドメインコード配列の核酸配列を示す。
【0155】
配列番号4は、3’miR-E基底ステムドメインコード配列の核酸配列を示す。
【0156】
配列番号5は、3’miR-E足場ドメインコード配列の核酸配列を示す。
【0157】
配列番号6は、shRNA 472をコードする核酸配列を示す。
【0158】
配列番号7は、7282ベータ-2ミクログロブリン(B2M)shRNAmiRのパ
ッセンジャー鎖をコードする核酸配列を示す。
【0159】
配列番号8は、7282 B2M shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配列
を示す。
【0160】
配列番号9は、7285 B2M shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードする
核酸配列を示す。
【0161】
配列番号10は、7285 B2M shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配
列を示す。
【0162】
配列番号11は、7286 B2M shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0163】
配列番号12は、7286 B2M shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配
列を示す。
【0164】
配列番号13は、7287 B2M shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0165】
配列番号14は、7287 B2M shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配
列を示す。
【0166】
配列番号15は、7288 B2M shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0167】
配列番号16は、7288 B2M shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配
列を示す。
【0168】
配列番号17は、7289 B2M shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0169】
配列番号18は、7289 B2M shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配
列を示す。
【0170】
配列番号19は、7290 B2M shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0171】
配列番号20は、7290 B2M shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配
列を示す。
【0172】
配列番号21は、72101 CS1 shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を示す。
【0173】
配列番号22は、72101 CS1 shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0174】
配列番号23は、72102 CS1 shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を設定する。
【0175】
配列番号24は、72102 CS1 shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を設定する。
【0176】
配列番号25は、72103 CS1 shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を設定する。
【0177】
配列番号26は、72103 CS1 shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0178】
配列番号27は、72110トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体2(TGFB
R2)shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードする核酸配列を示す。
【0179】
配列番号28は、72110 TGFBR2 shRNAmiRのガイド鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0180】
配列番号29は、72111 TGFBR2 shRNAmiRのパッセンジャー鎖を
コードする核酸配列を示す。
【0181】
配列番号30は、72111 TGFBR2 shRNAmiRのガイド鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0182】
配列番号31は、72112 TGFBR2 shRNAmiRのパッセンジャー鎖を
コードする核酸配列を示す。
【0183】
配列番号32は、72112 TGFBR2 shRNAmiRのガイド鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0184】
配列番号33は、72113 TGFBR2 shRNAmiRのパッセンジャー鎖を
コードする核酸配列を示す。
【0185】
配列番号34は、72113 TGFBR2 shRNAmiRのガイド鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0186】
配列番号35は、72114 TGFBR2 shRNAmiRのパッセンジャー鎖を
コードする核酸配列を示す。
【0187】
配列番号36は、72114 TGFBR2 shRNAmiRのガイド鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0188】
配列番号37は、72123 CD52 shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコー
ドする核酸配列を示す。
【0189】
配列番号38は、72123 CD52 shRNAmiRのガイド鎖をコードする核
酸配列を示す。
【0190】
配列番号39は、72124 CD52 shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコー
ドする核酸配列を示す。
【0191】
配列番号40は、72124 CD52 shRNAmiRのガイド鎖をコードする核
酸配列を示す。
【0192】
配列番号41は、7282 B2M shRNAmiRをコードする核酸配列を示す。
【0193】
配列番号42は、7285 B2M shRNAmiRをコードする核酸配列を示す。
【0194】
配列番号43は、7286 B2M shRNAmiRをコードする核酸配列を示す。
【0195】
配列番号44は、7287 B2M shRNAmiRをコードする核酸配列を示す。
【0196】
配列番号45は、7288 B2M shRNAmiRをコードする核酸配列を示す。
【0197】
配列番号46は、7289 B2M shRNAmiRをコードする核酸配列を示す。
【0198】
配列番号47は、7290 B2M shRNAmiRをコードする核酸配列を示す。
【0199】
配列番号48は、72101 CS1 shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0200】
配列番号49は、72102 CS1 shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0201】
配列番号50は、72103 CS1 shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0202】
配列番号51は、72110 TGFBR2 shRNAmiRをコードする核酸配列
を示す。
【0203】
配列番号52は、72111 TGFBR2 shRNAmiRをコードする核酸配列
を示す。
【0204】
配列番号53は、72112 TGFBR2 shRNAmiRをコードする核酸配列
を示す。
【0205】
配列番号54は、72113 TGFBR2 shRNAmiRをコードする核酸配列
を示す。
【0206】
配列番号55は、72114 TGFBR2 shRNAmiRをコードする核酸配列
を示す。
【0207】
配列番号56は、72123 CD52 shRNAmiRをコードする核酸配列を示
す。
【0208】
配列番号57は、72124 CD52 shRNAmiRをコードする核酸配列を示
す。
【0209】
配列番号58は、TRC 1-2認識配列(センス)の核酸配列を示す。
【0210】
配列番号59は、TRC 1-2認識配列(アンチセンス)の核酸配列を示す。
【0211】
配列番号60は、B2M 13-14認識配列(センス)の核酸配列を示す。
【0212】
配列番号61は、B2M 13-14認識配列(アンチセンス)の核酸配列を示す。
【0213】
配列番号62は、TGF 1-2認識配列(センス)の核酸配列を示す。
【0214】
配列番号63は、TGF 1-2認識配列(アンチセンス)の核酸配列を示す。
【0215】
配列番号64は、TGF 1-2x.5メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0216】
配列番号65は、TGF 1-2L.296メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0217】
配列番号66は、HLAクラスI組織適合抗原、アルファ鎖E(HLA-E)融合ポリ
ペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0218】
配列番号67は、JeTプロモータの核酸配列を示す。
【0219】
配列番号68は、双方向SV40ポリAシグナルの核酸配列を示す。
【0220】
配列番号69は、合成イントロンの核酸配列を示す。
【0221】
配列番号70は、P2A/フューリン部位の核酸配列を示す。
【0222】
配列番号71は、ウシ成長ホルモン終結シグナルの核酸配列を示す。
【0223】
配列番号72は、EF1アルファコアプロモータの核酸配列を示す。
【0224】
配列番号73は、シグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0225】
配列番号74は、構築物73161に含まれるカセットの核酸配列を示す。
【0226】
配列番号75は、構築物73163に含まれるカセットの核酸配列を示す。
【0227】
配列番号76は、72136 DCK shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を示す。
【0228】
配列番号77は、72136 DCK shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0229】
配列番号78は、72137 DCK shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を示す。
【0230】
配列番号79は、72137 DCK shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0231】
配列番号80は、72138 DCK shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を示す。
【0232】
配列番号81は、72138 DCK shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0233】
配列番号82は、72139 DCK shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を示す。
【0234】
配列番号83は、72139 DCK shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0235】
配列番号84は、72140 DCK shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を示す。
【0236】
配列番号85は、72140 DCK shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0237】
配列番号86は、72136 DCK shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0238】
配列番号87は、72137 DCK shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0239】
配列番号88は、72138 DCK shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0240】
配列番号89は、72139 DCK shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0241】
配列番号90は、72140 DCK shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0242】
配列番号91は、72142 GR shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0243】
配列番号92は、72142 GR shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配
列を示す。
【0244】
配列番号93は、72143 GR shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0245】
配列番号94は、72143 GR shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配
列を示す。
【0246】
配列番号95は、72145 GR shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0247】
配列番号96は、72145 GR shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配
列を示す。
【0248】
配列番号97は、72146 GR shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0249】
配列番号98は、72146 GR shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸配
列を示す。
【0250】
配列番号99は、72148 GR shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコードす
る核酸配列を示す。
【0251】
配列番号100は、72148 GR shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0252】
配列番号101は、72149 GR shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を示す。
【0253】
配列番号102は、72149 GR shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0254】
配列番号103は、72150 GR shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を示す。
【0255】
配列番号104は、72150 GR shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0256】
配列番号105は、72151 GR shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を示す。
【0257】
配列番号106は、72151 GR shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0258】
配列番号107は、72152 GR shRNAmiRのパッセンジャー鎖をコード
する核酸配列を示す。
【0259】
配列番号108は、72152 GR shRNAmiRのガイド鎖をコードする核酸
配列を示す。
【0260】
配列番号109は、72142 GR shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0261】
配列番号110は、72143 GR shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0262】
配列番号111は、72145 GR shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0263】
配列番号112は、72146 GR shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0264】
配列番号113は、72148 GR shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0265】
配列番号114は、72149 GR shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0266】
配列番号115は、72150 GR shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0267】
配列番号116は、72151 GR shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0268】
配列番号117は、72152 GR shRNAmiRをコードする核酸配列を示す
【0269】
配列番号118は、HLA-E-01:03タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【0270】
配列番号119は、ベータ-2ミクログロブリンタンパク質のアミノ酸配列を示す。
【0271】
配列番号120は、HLA-Gリーダーペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0272】
配列番号121は、(GGGGS)3リンカーペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0273】
配列番号122は、(GGGGS)4リンカーペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0274】
配列番号123は、クラミドモナス・レインハルディ(Chlamydomonas
reinhardtii)由来の野生型I-CreIホーミングエンドヌクレアーゼのア
ミノ酸配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0275】
発明の詳細な説明
1.1 参照および定義
本明細書で言及される特許および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本
明細書に引用される発行された米国特許、許可された出願、公開された外国出願、および
GenBankデータベース配列を含む参考文献は、それぞれが参照により組み込まれる
ことが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる
【0276】
本発明は、異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定され
ると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全で
あり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。例えば、一実施形態に関
して例示された特徴は、他の実施形態に組み込むことができ、特定の実施形態に関して例
示された特徴は、その実施形態から削除することができる。さらに、本明細書で提案され
る実施形態に対する多数の変形および追加は、本開示に照らして当業者には明らかである
と思われ、本発明から逸脱するものではない。
【0277】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本
発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細
書における本発明の説明で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのもの
であり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0278】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その
全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0279】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(
the)」は、1つまたは複数を意味することができる。例えば、「a」細胞は、単一の
細胞または多数の細胞を意味し得る。
【0280】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「または」という単語は、「および
/または」の包括的な意味で使用され、「いずれか/または」の排他的な意味では使用さ
れない。
【0281】
本明細書で使用される場合、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に関して「外因性」
または「異種」という用語は、純粋に合成されている、外来種に由来する、または同じ種
に由来する場合、意図的なヒトの介入によって組成および/またはゲノム遺伝子座におい
てその天然の形態から実質的に改変されている配列を意味することを意図している。
【0282】
本明細書で使用される場合、ヌクレオチド配列またはタンパク質に関して「内因性」と
いう用語は、細胞内に天然に含まれるかまたは細胞によって発現される配列またはタンパ
ク質を意味することを意図している。
【0283】
本明細書で使用される場合、「ヌクレアーゼ」および「エンドヌクレアーゼ」という用
語は互換的に使用され、ポリヌクレオチド鎖内のホスホジエステル結合を切断する、天然
に存在する酵素または操作された酵素を指す。
【0284】
本明細書で使用される場合、「shRNA」または「短鎖ヘアピンRNA」という用語
は、RNA干渉を介して遺伝子発現をサイレンシングするために使用可能なヘアピンを含
む人工RNA分子を指す。
【0285】
本明細書で使用される場合、「miRNA」または「マイクロRNA」または「miR
」という用語は、標的遺伝子の発現を転写後に低下させる約22nt長の内因的にコード
される成熟マイクロRNA(miRNA)を指す。miRNAは、植物、動物、および一
部のウイルスに見られ、一般に、高度に組織特異的または発達段階特異的な様式で発現さ
れる。
【0286】
「ステムループ構造」は、主に一本鎖ヌクレオチドの領域(ループ部分)によって片側
に連結された二本鎖(ステム部分)を形成することが知られている、または予測されるヌ
クレオチド領域を含む二次構造を有する核酸を指す。いくつかの場合、ループは非常に短
く、それによってDicerによって認識されず、Dicer非依存性shRNA(内因
性miR0431に匹敵する)をもたらし得る。用語「ヘアピン」はまた、ステムループ
構造を指すために本明細書で使用される。ステムループ構造内のヌクレオチドの実際の一
次配列は、二次構造が存在する限り、説明の実施にとって重要ではない。当技術分野で公
知のように、二次構造は、正確な塩基対形成を必要としない。したがって、ステムは、1
つまたは複数の塩基ミスマッチを含んでもよい。あるいは、塩基対形成は正確であり得る
(すなわち、いかなるミスマッチも含まない)。
【0287】
本明細書で使用される場合、「shRNAmiR」および「マイクロRNA適合shR
NA」という用語は、マイクロRNA足場にはめ込まれたshRNA配列を指す。shR
NAmiR分子は、それらが効率的なプロセシングに必要な配列に隣接するヘアピンを含
むという点で、天然に存在するpri-miRNA分子を模倣し、Drosha酵素によ
ってpre-miRNAにプロセシングされ、細胞質に輸送され、Dicerによって切
断され、その後、成熟miRNAがRISCに入ることができる。マイクロRNA足場は
、天然に存在するマイクロRNA、pre-miRNA、もしくはpri-miRNAま
たはその変異体に由来し得る。いくつかの実施形態では、shRNAmiRが基づくsh
RNA配列は、miRNA(22ヌクレオチド長である)とは異なる長さであり、したが
って、miRNA足場は、より長いまたはより短いshRNA配列長に適応するために改
変されなければならない。
【0288】
本明細書で使用される場合、「マイクロRNA隣接配列」という用語は、マイクロRN
Aプロセシングエレメントを含むヌクレオチド配列を指す。マイクロRNAプロセシング
エレメントは、一次マイクロRNAまたは前駆体マイクロRNAからの成熟マイクロRN
Aの生成に寄与する最小核酸配列である。多くの場合、これらのエレメントは、マイクロ
RNAステム-ループ構造に隣接する40ヌクレオチド配列内に位置する。いくつかの例
では、マイクロRNAプロセシングエレメントは、マイクロRNAステム-ループ構造に
隣接する5~4,000ヌクレオチド長のヌクレオチド配列のストレッチ内に見出される
。shRNAmiR分子に使用されるマイクロRNA隣接配列は、天然に存在するマイク
ロRNAに隣接する天然に存在する配列であり得るか、またはその変異体であり得る。マ
イクロRNA隣接配列には、miR足場ドメインおよびmiR基底ステムドメインが含ま
れる。
【0289】
ここに開示される組成物および方法において使用されるshRNAmiR分子は、5’
から3’方向に:(a)5’miR足場ドメイン;(b)5’miR基底ステムドメイン
;(c)パッセンジャー鎖;(d)miRループドメイン;(e)ガイド鎖;(f)3’
miR基底ステムドメイン;(g)3’miR足場ドメインを含む。
【0290】
本明細書で使用される場合、shRNAmiRに関する「miR足場ドメイン」という
用語は、shRNAmiR分子中のマイクロRNAまたはshRNAの5’または3’末
端のいずれかに隣接することができ、天然に存在するマイクロRNA隣接配列またはその
変異体に由来し得るヌクレオチド配列を指す。一般に、miR基底ステムドメイン配列は
、shRNA配列(パッセンジャー鎖およびガイド鎖、ならびにmiRループドメイン)
と足場ドメインとを分離する。5’miR足場ドメインは、その3’末端またはその近く
に制限酵素(例えば、IIS型制限酵素)認識配列を含むことができ、3’miR足場ド
メインは、その5’末端またはその近くに制限酵素認識配列を含むことができ、したがっ
て、shRNA配列の挿入が容易になる。いくつかの実施形態では、miR足場ドメイン
の二次構造は、その実際の配列よりも重要である。
【0291】
本明細書で使用される場合、shRNAmiRに関する「miR基底ステムドメイン」
という用語は、パッセンジャー:ガイド二重鎖の下のヘアピンステムの塩基を含む、パッ
センジャー鎖配列およびガイド鎖配列に直接隣接する配列を指す。したがって、5’およ
び3’miR基底ステムドメインは、配列が互いに(完全にまたは部分的に)相補的であ
る。いくつかの実施形態では、5’および3’miR基底ステムドメインは、互いにハイ
ブリダイズした場合に、それぞれが1つまたは2つのミスマッチ塩基対を含む2つのミス
マッチバブルを形成する配列を含む。
【0292】
本明細書で使用される場合、shRNAmiRに関する「パッセンジャー鎖」という用
語は、ガイド配列に(完全にまたは部分的に)相補的であるshRNAmiRの配列を指
す。
【0293】
本明細書で使用される場合、shRNAmiRに関する「ガイド鎖」という用語は、発
現の低下が望まれる標的mRNA配列と(完全または部分的)相補性を有するshRNA
miRの配列を指す。
【0294】
本明細書で使用される場合、shRNAmiRに関する「miRループドメイン」は、
shRNAmiRのパッセンジャー:ガイド二重鎖の一端における一本鎖ループ配列を指
す。miRループドメインは、天然に存在するpre-マイクロRNAループ配列または
その変異体に由来し得る。
【0295】
本明細書で使用される場合、「切断する」または「切断」という用語は、標的配列内の
二本鎖切断をもたらす、本明細書で「切断部位」と呼ばれる標的配列内の認識配列骨格内
のホスホジエステル結合の加水分解を指す。
【0296】
本明細書で使用される場合、「メガヌクレアーゼ」という用語は、12塩基対を超える
認識配列において二本鎖DNAに結合するエンドヌクレアーゼを指す。いくつかの実施形
態では、本開示のメガヌクレアーゼの認識配列は22塩基対である。メガヌクレアーゼは
、I-CreI(配列番号123)に由来するエンドヌクレアーゼであり得、例えば、D
NA結合特異性、DNA切断活性、DNA結合親和性、または二量体化特性に関して天然
のI-CreIと比較して改変された、I-CreIの操作された変異体を指し得る。I
-CreIのこのような改変された変異体を作製するための方法は、当技術分野で公知で
ある(例えば、参照によりその全体が組み込まれる国際公開第2007/047859号
)。本明細書で使用されるメガヌクレアーゼは、ヘテロ二量体として二本鎖DNAに結合
する。メガヌクレアーゼはまた、一対のDNA結合ドメインがペプチドリンカーを使用し
て単一のポリペプチドに連結されている「単鎖メガヌクレアーゼ」であり得る。「ホーミ
ングエンドヌクレアーゼ」という用語は、「メガヌクレアーゼ」という用語と同義である
。本開示のメガヌクレアーゼは、細胞、特にヒト免疫細胞で発現された場合実質的に非毒
性であり、本明細書に記載の方法を使用して測定した場合、細胞生存率への有害な影響ま
たはメガヌクレアーゼ切断活性の有意な低下を観察することなく、細胞をトランスフェク
トし、37℃で維持することができる。
【0297】
本明細書で使用される場合、「単鎖メガヌクレアーゼ」という用語は、リンカーによっ
て連結された一対のヌクレアーゼサブユニットを含むポリペプチドを指す。単鎖メガヌク
レアーゼは、N末端サブユニット-リンカー-C末端サブユニットという構成を有する。
2つのメガヌクレアーゼサブユニットは、一般に、アミノ酸配列が同一ではなく、同一で
はないDNA配列に結合する。したがって、単鎖メガヌクレアーゼは、典型的には、擬似
パリンドロームまたは非パリンドローム認識配列を切断する。単鎖メガヌクレアーゼは、
実際には二量体ではないが、「単鎖ヘテロ二量体」または「単鎖ヘテロ二量体メガヌクレ
アーゼ」と呼ばれることがある。明確にするために、特に明記しない限り、「メガヌクレ
アーゼ」という用語は、二量体または単鎖メガヌクレアーゼを指すことができる。
【0298】
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、2つのヌクレアーゼサブユニ
ットを単一のポリペプチドに連結するために使用される外因性ペプチド配列を指す。リン
カーは、天然タンパク質に見られる配列を有していてもよく、またはいずれの天然タンパ
ク質にも見られない人工配列であってもよい。リンカーは、可動性であり、二次構造を欠
いていてもよく、または生理学的条件下で特定の三次元構造を形成する傾向を有していて
もよい。リンカーは、限定するものではないが、米国特許第8,445,251号、同第
9,340,777号、同第9,434,931号および同第10,041,053号明
細書に包含されるものを含むことができ、これらの各々は参照によりその全体が組み込ま
れる。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号65の残基154~195と少な
くとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも9
2%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少
なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれを超える配列同一性
を有し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号65の残基154~195
を含むアミノ酸配列を有し得る。
【0299】
本明細書で使用される場合、「TALEN」という用語は、限定するものではないが、
制限エンドヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、S1ヌクレアーゼ、マングビ
ーンヌクレアーゼ、膵臓DNAse I、ミクロコッカスヌクレアーゼ、および酵母HO
エンドヌクレアーゼを含むエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼに由来するヌク
レアーゼドメインまたはその活性部分に融合された複数のTALドメインリピートを含む
DNA結合ドメインを含むエンドヌクレアーゼを指す。例えば、Christian e
t al.(2010)Genetics186:757-761を参照されたい(当該
文献は参照によりその全体が組み込まれる)。TALENの設計に有用なヌクレアーゼド
メインには、限定するものではないが、FokI、FoM、StsI、HhaI、Hin
dIII、Nod、BbvCI、EcoRI、BglI、およびAlwIを含むII型制
限エンドヌクレアーゼに由来するものが含まれる。さらなるII型制限エンドヌクレアー
ゼは、国際公開第2007/014275号パンフレットに記載されており、当該文献は
参照によりその全体が組み込まれる。いくつかの実施形態では、TALENのヌクレアー
ゼドメインはFokIヌクレアーゼドメインまたはその活性部分である。TALドメイン
リピートは、キサントモナス(Xanthomonas)属の植物病原体による感染過程
で使用されるタンパク質のTALE(転写活性化因子様エフェクター)ファミリーに由来
し得る。TALドメインリピートは、12番目および13番目に多様なアミノ酸を有する
33~34個のアミノ酸配列である。リピート可変ジペプチド(RVD)と呼ばれるこれ
らの2つの位置は非常に可変的であり、特異的ヌクレオチド認識と強い相関を示す。DN
A標的配列中の各塩基対は、RVDから生じる特異性を有する単一のTALリピートに接
触される。いくつかの実施形態では、TALENは、16~22個のTALドメインリピ
ートを含む。TALENによるDNA切断は、非特異的中央領域(すなわち、「スペーサ
」)に隣接する2つのDNA認識領域(すなわち、「ハーフサイト」)を必要とする。T
ALENに関して「スペーサ」という用語は、TALENを構成する各モノマーによって
認識および結合される2つの核酸配列を分離する核酸配列を指す。TALドメインリピー
トは、天然に存在するTALEタンパク質由来の天然配列であり得るか、または所定のD
NA配列に結合するタンパク質を生成するために合理的または実験的手段によって再設計
することができる(例えば、Boch et al.(2009)Science326
(5959):1509-1512およびMoscou and Bogdanove(
2009)Science326(5959):1501、これらはそれぞれその全体が
参照により組み込まれる)。特定の配列を認識して結合するようにTALENを操作する
方法、ならびにRVDおよびそれらの対応する標的ヌクレオチドの例については、米国特
許出願公開第20110145940号および国際公開第2010/079430号パン
フレットも参照されたい。いくつかの実施形態では、各ヌクレアーゼ(例えば、FokI
)モノマーは、異なるDNA配列を認識して結合するTALエフェクター配列に融合する
ことができ、2つの認識部位が近接している場合にのみ、不活性モノマーが一緒になって
機能性酵素を生成する。用語「TALEN」は、TALENスペーサ配列に隣接する上流
および下流のハーフサイトに結合し、スペーサ配列内に切断部位を生成するために協調し
て働く、単一のTALENタンパク質、あるいは、一対のTALENタンパク質(すなわ
ち、左TALENタンパク質および右TALENタンパク質)を指し得ることが理解され
よう。所定のDNA遺伝子座またはスペーサ配列が与えられると、上流および下流のハー
フサイトは、当技術分野で公知のいくつかのプログラム(Kornel Labun;T
essa G.Montague;James A.Gagnon;Summer B.
Thyme;Eivind Valen.(2016).CHOPCHOP v2:a
web tool for the next generation of CRIS
PR genome engineering.Nucleic Acids Rese
arch;doi:10.1093/nar/gkw398;Tessa G.Mont
ague;Jose M.Cruz;James A.Gagnon;George M
.Church;Eivind Valen.(2014).CHOPCHOP:a C
RISPR/Cas9 and TALEN web tool for genome
editing.Nucleic Acids Res.42.W401-W407)
を使用して同定することができる。TALEN認識配列は、単一のTALENタンパク質
のDNA結合配列(すなわち、ハーフサイト)として、または代替的に、上流ハーフサイ
ト、スペーサ配列、および下流ハーフサイトを含むDNA配列として定義され得ることも
理解されよう。
【0300】
本明細書で使用される場合、「コンパクトTALEN」という用語は、I-TevIホ
ーミングエンドヌクレアーゼの任意の部分、または米国特許出願公開第20130117
869号明細書(その全体が参照により組み込まれる)の表2に列挙されているエンドヌ
クレアーゼのいずれかに任意の方向で融合した1つまたは複数のTALドメインリピート
を有するDNA結合ドメインを含むエンドヌクレアーゼを指し、MmeI、EndA、E
nd1、I-BasI、I-TevII、I-TevIII、I-TwoI、MspI、
MvaI、NucA、およびNucMを含むがこれらに限定されない。コンパクトTAL
ENは、DNAプロセシング活性のために二量体化を必要とせず、介在するDNAスペー
サを有する二重標的部位の必要性を軽減する。いくつかの実施形態では、コンパクトTA
LENは、16~22個のTALドメインリピートを含む。
【0301】
本明細書で使用される場合、「megaTAL」という用語は、転写活性化因子様エフ
ェクター(TALE)DNA結合ドメインおよび操作された配列特異的ホーミングエンド
ヌクレアーゼを含む単鎖エンドヌクレアーゼを指す。
【0302】
本明細書で使用される場合、「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」または「ZFN」とい
う用語は、限定するものではないが、制限エンドヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレ
アーゼ、S1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、膵臓DNAse I、ミクロコ
ッカスヌクレアーゼ、および酵母HOエンドヌクレアーゼを含むエンドヌクレアーゼまた
はエキソヌクレアーゼに由来するヌクレアーゼドメインに融合されたジンクフィンガーD
NA結合ドメインを含むキメラタンパク質を指す。ジンクフィンガーヌクレアーゼの設計
に有用なヌクレアーゼドメインには、限定するものではないが、FokI、FoM、およ
びStsI制限酵素を含むII型制限エンドヌクレアーゼに由来するものが含まれる。さ
らなるII型制限エンドヌクレアーゼは、国際公開第2007/014275号パンフレ
ットに記載されており、当該文献は参照によりその全体が組み込まれる。ジンクフィンガ
ードメインの構造は、亜鉛イオンの配位によって安定化される。1つまたは複数のジンク
フィンガードメインを含むDNA結合タンパク質は、配列特異的にDNAに結合する。ジ
ンクフィンガードメインは、天然配列であり得るか、2~10塩基対で分離された一対の
9塩基対ハーフサイトを含む長さが約18塩基対の所定のDNA配列に結合するタンパク
質を産生するように、合理的または実験的手段によって再設計されてもよい。例えば、米
国特許第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号
、同第6,013,453号、同第6,200,759号明細書、および国際公開第95
/19431号、同第96/06166号、同第98/53057号、同第98/543
11号、同第00/27878号、同第01/60970号、同第01/88197号、
同第02/099084号パンフレットを参照されたく、これらの各々はその全体が参照
により組込まれる。この操作されたタンパク質ドメインをFokIヌクレアーゼなどのヌ
クレアーゼドメインに融合することにより、ゲノムレベルの特異性でDNA切断を標的化
することが可能である。標的部位、ジンクフィンガータンパク質の選択、ならびにジンク
フィンガーヌクレアーゼの設計および構築のための方法は、当業者に公知であり、米国特
許出願公開第20030232410号、同第20050208489号、同第2005
064474号、同第20050026157号、同第20060188987号明細書
および国際公開第07/014275号パンフレットに詳細に記載されており、これらの
各々は、その全体が参照により組み込まれる。ジンクフィンガーの場合、DNA結合ドメ
インは、典型的には、2~10塩基対の「スペーサ配列」によって分離された一対の9塩
基対「ハーフサイト」を含む18bp認識配列を認識し、ヌクレアーゼによる切断は、平
滑末端または可変長の5’オーバーハング(多くの場合、4塩基対)を作り出す。「ジン
クフィンガーヌクレアーゼ」という用語は、ジンクフィンガーヌクレアーゼスペーサ配列
に隣接する上流および下流のハーフサイトに結合し、スペーサ配列内に切断部位を生成す
るために協調して働く、単一のジンクフィンガータンパク質、あるいは、一対のジンクフ
ィンガータンパク質(すなわち、左ZFNタンパク質および右ZFNタンパク質)を指し
得ることが理解されよう。所定のDNA遺伝子座またはスペーサ配列が与えられると、上
流および下流のハーフサイトは、当技術分野で公知の多くのプログラム(Mandell
JG,Barbas CF 3rd.Zinc Finger Tools:cust
om DNA-binding domains for transcription
factors and nucleases.Nucleic Acids Res
.2006 Jul 1;34(Web Server issue):W516-23
)を使用して同定することができる。また、ジンクフィンガーヌクレアーゼ認識配列は、
単一のジンクフィンガーヌクレアーゼタンパク質のDNA結合配列(すなわち、ハーフサ
イト)、または代替的に、上流ハーフサイト、スペーサ配列、および下流ハーフサイトを
含むDNA配列として定義され得ることも理解されよう。
【0303】
本明細書で使用される場合、「CRISPRヌクレアーゼ」または「CRISPRシス
テムヌクレアーゼ」という用語は、ポリヌクレオチド中の認識部位にハイブリダイズする
ことによって関連エンドヌクレアーゼによる核酸切断を指示する、ガイドRNAと会合す
るCas9などのCRISPR(クラスター化して規則的な配置の短いパリンドロームリ
ピート)関連(Cas)エンドヌクレアーゼまたはその変異体を指す。ある実施形態では
、CRISPRヌクレアーゼはクラス2 CRISPR酵素である。これらの実施形態の
いくつかでは、CRISPRヌクレアーゼはクラス2のII型酵素、例えばCas9であ
る。他の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、クラス2のV型酵素、例えばCp
f1である。ガイドRNAは、ダイレクトリピートと、標的認識部位に相補的なガイド配
列(内因性CRISPRシステムの文脈ではしばしばスペーサと呼ばれる)とを含む。あ
る実施形態では、CRISPRシステムは、ガイドRNA上に存在するダイレクトリピー
ト(tracr-メイト配列と呼ばれることもある)に(完全にまたは部分的に)相補的
であるtracrRNA(トランス活性化CRISPR RNA)をさらに含む。特定の
実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、酵素が、標的ポリヌクレオチドの一本の鎖
を切断する能力を欠き、ニッカーゼとして機能して、標的DNAの単一の鎖のみを切断す
るように、対応する野生型酵素に対して変異させることができる。ニッカーゼとして機能
するCRISPR酵素の非限定的な例としては、RuvC I触媒ドメイン内にD10A
変異を有するか、またはH840A、N854AもしくはN863A変異を有するCas
9酵素が挙げられる。所定のDNA遺伝子座が与えられると、認識配列は、当技術分野で
公知のいくつかのプログラム(Kornel Labun;Tessa G.Monta
gue;James A.Gagnon;Summer B.Thyme;Eivind
Valen.(2016).CHOPCHOP v2:a web tool for
the next generation of CRISPR genome en
gineering.Nucleic Acids Research;doi:10.
1093/nar/gkw398;Tessa G.Montague;Jose M.
Cruz;James A.Gagnon;George M.Church;Eivi
nd Valen.(2014).CHOPCHOP:a CRISPR/Cas9 a
nd TALEN web tool for genome editing.Nuc
leic Acids Res.42.W401-W407)を使用して同定することが
できる。
【0304】
本明細書で使用される場合、「鋳型核酸」は、細胞のゲノム内の切断部位に挿入される
ことが望ましい核酸(すなわち、ポリヌクレオチド)を指す。
【0305】
本明細書で使用される場合、タンパク質に関して「組換え」または「操作された」とい
う用語は、タンパク質をコードする核酸およびタンパク質を発現する細胞または生物への
遺伝子操作技術の適用の結果として変更されたアミノ酸配列を有することを意味する。核
酸に関して、「組換え」または「操作された」という用語は、遺伝子操作技術の適用の結
果として変更された核酸配列を有することを意味する。遺伝子操作技術には、限定するも
のではないが、PCRおよびDNAクローニング技術;トランスフェクション、形質転換
および他の遺伝子移入技術;相同組換え;部位特異的突然変異誘発;および遺伝子融合が
挙げられる。この定義によれば、天然に存在するタンパク質と同一のアミノ酸配列を有す
るが、異種宿主でのクローニングおよび発現によって産生されるタンパク質は、組換えま
たは操作されていると見なされない。
【0306】
本明細書で使用される場合、「野生型」という用語は、野生型対立遺伝子によってコー
ドされるポリペプチドがその元の機能を有する、同じタイプの遺伝子の対立遺伝子集団に
おける最も一般的な天然対立遺伝子(すなわち、ポリヌクレオチド配列)を指す。「野生
型」という用語はまた、野生型対立遺伝子によってコードされるポリペプチドを指す。野
生型対立遺伝子(すなわち、ポリヌクレオチド)およびポリペプチドは、野生型配列と比
較して1つまたは複数の突然変異および/または置換を含む突然変異体または変異体の対
立遺伝子およびポリペプチドとは区別可能である。野生型対立遺伝子またはポリペプチド
は生物において正常な表現型を付与することができるが、突然変異体または変異体の対立
遺伝子またはポリペプチドは、場合によっては、変更された表現型を付与し得る。野生型
ヌクレアーゼは、組換えヌクレアーゼまたは天然に存在しないヌクレアーゼと区別可能で
ある。「野生型」という用語はまた、特定の遺伝子の野生型対立遺伝子を有する細胞、生
物、および/または対象、または比較目的で使用される細胞、生物、および/または対象
を指すことができる。
【0307】
本明細書で使用される場合、「遺伝子改変」という用語は、ゲノムDNA配列が組換え
技術によって意図的に改変されている、またはその先祖においてゲノムDNA配列が組換
え技術によって意図的に改変されている細胞または生物を指す。本明細書で使用される場
合、「遺伝子改変」という用語は、「遺伝子導入」という用語を包含する。
【0308】
組換えタンパク質に関して本明細書で使用される場合、「改変」という用語は、参照配
列(例えば、野生型配列または天然配列)に対する組換え配列内のアミノ酸残基の任意の
挿入、欠失、または置換を意味する。
【0309】
本明細書で使用される場合、「認識配列」または「認識部位」という用語は、ヌクレア
ーゼによって結合および切断されるDNA配列を指す。メガヌクレアーゼの場合、認識配
列は、4塩基対によって分離された一対の逆位9塩基対「ハーフサイト」を含む。単鎖メ
ガヌクレアーゼの場合、タンパク質のN末端ドメインは第1のハーフサイトと接触し、タ
ンパク質のC末端ドメインは第2のハーフサイトと接触する。メガヌクレアーゼによる切
断は、4塩基対の3’オーバーハングを生じる。「オーバーハング」または「粘着末端」
は、二本鎖DNA配列のエンドヌクレアーゼ切断によって生成することができる短い一本
鎖DNAセグメントである。I-CreI由来のメガヌクレアーゼおよび単鎖メガヌクレ
アーゼの場合、オーバーハングは、22塩基対の認識配列の塩基10~13を含む。コン
パクトTALENの場合、認識配列は、I-TevIドメインによって認識される第1の
CNNNGN配列、それに続く長さ4~16塩基対の非特異的スペーサ、それに続くTA
L-エフェクタードメインによって認識される長さ16~22bpの第2の配列(この配
列は典型的には5’T塩基を有する)を含む。コンパクトTALENによる切断は、2塩
基対の3’オーバーハングを生じる。CRISPRヌクレアーゼの場合、認識配列は、ガ
イドRNAが結合して切断を指示する、典型的には16~24塩基対の配列である。ガイ
ド配列と認識配列との間の完全な相補性は、切断をもたらすために必ずしも必要ではない
。CRISPRヌクレアーゼによる切断は、CRISPRヌクレアーゼに応じて、平滑末
端(例えばクラス2、II型CRISPRヌクレアーゼによる)またはオーバーハング末
端(例えばクラス2、V型CRISPRヌクレアーゼによる)を生じ得る。CpfI C
RISPRヌクレアーゼが利用される実施形態では、CpfI CRISPRヌクレアー
ゼを含むCRISPR複合体による切断は、5’オーバーハングをもたらし、ある実施形
態では、5ヌクレオチドの5’オーバーハングをもたらす。各CRISPRヌクレアーゼ
酵素はまた、ガイドRNAに相補的な認識配列の近くにあるPAM(プロトスペーサ隣接
モチーフ)配列の認識も必要とする。PAMの正確な配列、長さ要件、および標的配列か
らの距離は、CRISPRヌクレアーゼ酵素に応じて異なるが、PAMは、典型的には、
標的/認識配列に隣接する2~5塩基対の配列である。特定のCRISPRヌクレアーゼ
酵素に対するPAM配列は当技術分野で公知であり(例えば、米国特許第8,697,3
59号および米国特許出願公開第20160208243号明細書を参照されたい、これ
らの各々は、参照によりその全体が組み込まれる)、新規または操作されたCRISPR
ヌクレアーゼ酵素に対するPAM配列は、PAM枯渇アッセイなどの当技術分野で公知の
方法を使用して同定することができる(例えば、Karvelis et al.(20
17)Methods121-122:3-8を参照されたい、当該文献はその全体が本
明細書に組み込まれる)。ジンクフィンガーの場合、DNA結合ドメインは、典型的には
、2~10塩基対によって分離された一対の9塩基対「ハーフサイト」を含む18bpの
認識配列を認識し、ヌクレアーゼによる切断は、平滑末端または可変長の5’オーバーハ
ング(多くの場合、4塩基対)を作り出す。
【0310】
本明細書で使用される場合、「標的部位」または「標的配列」という用語は、ヌクレア
ーゼの認識配列を含む細胞の染色体DNAの領域を指す。
【0311】
本明細書で使用される場合、「DNA結合親和性」または「結合親和性」という用語は
、ヌクレアーゼが参照DNA分子(例えば、認識配列または任意の配列)と非共有結合す
る傾向を意味する。結合親和性は、解離定数Kdによって測定される。本明細書で使用さ
れる場合、参照認識配列に対するヌクレアーゼのKdが、参照ヌクレアーゼに対して統計
的に有意なパーセント変化で増加または減少する場合、ヌクレアーゼは「変更された」結
合親和性を有する。
【0312】
本明細書で使用される場合、「特異性」という用語は、認識配列と呼ばれる塩基対の特
定の配列においてのみ、または認識配列の特定のセットにおいてのみ、ヌクレアーゼが二
本鎖DNA分子に結合して切断する能力を意味する。認識配列のセットは、特定の保存さ
れた位置または配列モチーフを共有するが、1つまたは複数の位置で縮重し得る。高度に
特異的なヌクレアーゼは、1つのみまたはごく少数の認識配列を切断することができる。
特異性は、当技術分野で公知の任意の方法によって決定することができる。
【0313】
本明細書で使用される場合、「相同組換え」または「HR」という用語は、二本鎖DN
A切断が、修復鋳型として相同DNA配列を使用して修復される天然の細胞プロセスを指
す(例えば、Cahill et al.(2006),Front.Biosci.1
1:1958-1976を参照されたい)。相同DNA配列は、細胞に送達された内因性
染色体配列または外因性核酸であり得る。
【0314】
本明細書で使用される場合、「非相同末端結合」または「NHEJ」という用語は、2
本鎖DNA切断が2つの非相同DNAセグメントの直接結合によって修復される天然の細
胞プロセスを指す(例えば、Cahill et al.(2006),Front.B
iosci.11:1958-1976を参照されたい)。非相同末端結合によるDNA
修復はエラーを起こしやすく、修復部位でのDNA配列の鋳型なしの付加または欠失を頻
繁にもたらす。いくつかの例では、標的認識配列での切断が、標的認識部位においてNH
EJをもたらす。遺伝子のコード配列中の標的部位のヌクレアーゼ誘導切断とそれに続く
NHEJによるDNA修復は、遺伝子機能を破壊する突然変異、例えばフレームシフト突
然変異をコード配列に導入し得る。したがって、操作されたヌクレアーゼを使用して、細
胞集団中の遺伝子を効果的にノックアウトすることができる。
【0315】
本明細書で使用される場合、「破壊された」または「破壊する」または「発現を破壊す
る」または「標的配列を破壊すること」という用語は、遺伝子機能に干渉し、ポリペプチ
ド/それによってコードされる発現産物の発現および/または機能を妨げる突然変異(例
えばフレームシフト突然変異)の導入を指す。例えば、遺伝子のヌクレアーゼ媒介破壊は
、切断型タンパク質の発現および/または野生型機能を保持しないタンパク質の発現をも
たらし得る。さらに、遺伝子への鋳型核酸の導入は、コードされたタンパク質の非発現、
切断型タンパク質の発現、および/または野生型機能を保持していないタンパク質の発現
をもたらし得る。
【0316】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗原受容体」または「CAR」という用語は、免
疫エフェクター細胞(例えば、ヒトT細胞)上に抗原に対する特異性を付与または移植す
る操作された受容体を指す。キメラ抗原受容体は、少なくとも1つの細胞外リガンド結合
ドメインまたは部分、膜貫通ドメイン、ならびに1つまたは複数のシグナル伝達ドメイン
および/または共刺激ドメインを含む細胞内ドメインを含む。
【0317】
いくつかの実施形態では、細胞外リガンド結合ドメインまたは部分は、抗体または抗体
断片である。これに関連して、「抗体断片」という用語は、抗原のエピトープと、(例え
ば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布によって)特異的に相互作用する能力
を保持する、抗体の少なくとも一部を指すことができる。抗体断片の例には、限定するも
のではないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv抗体断片、ジス
ルフィド結合Fv(sdFv)、VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、線状抗体
、単一ドメイン抗体、例えばsdAb(VLまたはVHのいずれか)、ラクダ科VHHド
メイン、抗体断片から形成された多重特異性抗体、例えばヒンジ領域でジスルフィド架橋
によって連結された2つのFab断片を含む二価断片、および抗体の単離されたCDRま
たは他のエピトープ結合断片が含まれる。抗原結合断片はまた、単一ドメイン抗体、マキ
シボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テ
トラボディ、v-NARおよびビス-scFvに組み込むことができる(例えば、Hol
linger and Hudson,Nature Biotechnology 2
3:1126-1136,2005を参照されたい)。抗原結合断片はまた、III型フ
ィブロネクチン(Fn3)などのポリペプチドに基づく足場に移植することもできる(フ
ィブロネクチンポリペプチドミニボディを記載する米国特許第6,703,199号明細
書を参照されたい)。
【0318】
いくつかの実施形態では、細胞外リガンド結合ドメインまたは部分は、特定のエピトー
プまたは抗原(例えば、がん細胞または他の疾患を引き起こす細胞もしくは粒子などの、
細胞表面に優先的に存在するエピトープまたは抗原)に対する特異性を提供する、モノク
ローナル抗体に由来する単鎖可変断片(scFv)の形態である。いくつかの実施形態で
は、scFvは、リンカー配列を介して結合している。いくつかの実施形態では、scF
vは、ネズミ、ヒト化、または完全ヒトである。
【0319】
キメラ抗原受容体の細胞外リガンド結合ドメインはまた、Bリンパ球上の自己抗原特異
的B細胞受容体によって認識され得る自己抗原を含むことができ(Payne et a
l.(2016),Science353(6295):179-184を参照されたい
)、したがって抗体媒介自己免疫疾患において自己反応性Bリンパ球を特異的に標的化し
て殺滅するようにT細胞に指示する。このようなCARはキメラ自己抗体受容体(CAA
R)と呼ぶことができ、それらの使用は本発明に包含される。キメラ抗原受容体の細胞外
リガンド結合ドメインはまた、目的の抗原に対する天然に存在するリガンド、または目的
の抗原に結合する能力を保持する天然に存在するリガンドの断片を含むことができる。
【0320】
細胞内刺激ドメインは、抗原結合後に活性化シグナルをT細胞に伝達する1つまたは複
数の細胞質シグナル伝達ドメインを含み得る。このような細胞質シグナル伝達ドメインと
しては、限定するものではないが、CD3ゼータシグナル伝達ドメインを挙げることがで
きる。
【0321】
細胞内刺激ドメインはまた、リガンド結合後に増殖および/または細胞生存シグナルを
伝達する1つまたは複数の細胞内共刺激ドメインを含み得る。このような細胞内共刺激ド
メインは、当技術分野で公知のもののいずれかであり得、限定するものではないが、例え
ば、Novel6などの国際公開第2018/067697号パンフレットに開示されて
いる共刺激ドメインを挙げることができる。共刺激ドメインのさらなる例としては、4-
1BB(CD137)、CD27、CD28、CD8、OX40、CD30、CD40、
PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LI
GHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれら
の任意の組み合わせを挙げることができる。
【0322】
キメラ抗原受容体は、ヒンジまたはスペーサ配列を介して細胞外リガンド結合ドメイン
に結合している膜貫通ドメインを含む、さらなる構造エレメントをさらに含む。膜貫通ド
メインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来し得る。例えば、膜貫
通ポリペプチドは、T細胞受容体(例えば、CD3複合体を構成するα、β、γまたはζ
ポリペプチド)、IL2受容体p55(a鎖)、p75(β鎖)もしくはγ鎖、Fc受容
体(例えば、Fcy受容体III)のサブユニット鎖、またはCD8アルファ鎖などのC
Dタンパク質のサブユニットであり得る。ある例では、膜貫通ドメインは、CD8アルフ
ァドメインである。あるいは、膜貫通ドメインは合成であり得、ロイシンおよびバリンな
どの疎水性残基を主に含み得る。
【0323】
ヒンジ領域は、膜貫通ドメインを細胞外リガンド結合ドメインに連結するように機能す
る任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを指す。例えば、ヒンジ領域は、最大300
個のアミノ酸、好ましくは10~100個のアミノ酸、最も好ましくは25~50個のア
ミノ酸を含み得る。ヒンジ領域は、天然に存在する分子の全部もしくは一部、例えばCD
8、CD4もしくはCD28の細胞外領域の全部もしくは一部、または抗体定常領域の全
部もしくは一部に由来し得る。あるいは、ヒンジ領域は、天然に存在するヒンジ配列に対
応する合成配列であってもよく、または完全に合成されたヒンジ配列であってもよい。特
定の例では、ヒンジドメインは、ヒトCD8アルファ鎖、FcyRllla受容体または
IgG1の一部を含み得る。ある例では、ヒンジ領域はCD8アルファドメインであり得
る。
【0324】
本明細書で使用される場合、「外因性T細胞受容体」または「外因性TCR」という用
語は、その配列が免疫細胞(例えば、ヒトT細胞)のゲノムに導入されるTCRを指し、
TCRは内因的に発現されてもされなくてもよい。免疫細胞上の外因性TCRの発現は、
特定のエピトープまたは抗原(例えば、がん細胞または他の疾患を引き起こす細胞もしく
は粒子の表面に優先的に存在するエピトープまたは抗原)に対する特異性を付与すること
ができる。このような外因性T細胞受容体は、アルファ鎖およびベータ鎖を含むことがで
き、あるいはガンマ鎖およびデルタ鎖を含むことができる。本発明において有用な外因性
TCRは、目的の任意の抗原またはエピトープに対する特異性を有し得る。
【0325】
本明細書で使用される場合、「HLAクラスI組織適合抗原、アルファ鎖E融合タンパ
ク質」または「HLA-E融合タンパク質」という用語は、細胞表面上でのHLA-Eタ
ンパク質の発現を可能にする少なくとも1つのさらなるタンパク質に融合したHLA-E
タンパク質を含むタンパク質を指す。HLA-Eタンパク質としては、例えば、HLA-
E-01:01またはHLA-E-01:03タンパク質(例えば、配列番号118)を
挙げることができる。HLA-E融合タンパク質は、例えば、細胞表面上でのHLA-E
タンパク質の発現を可能にするベータ-2ミクログロブリンタンパク質(例えば、配列番
号119)に融合したHLA-Eタンパク質を含み得る。さらなる例では、HLA-E融
合タンパク質は、ベータ-2ミクログロブリンタンパク質と、例えば、HLA-Gリーダ
ーペプチド(例えば、配列番号120)および当技術分野で公知の他のものなどの提示の
ためにHLA-Eタンパク質にロードされるさらなるタンパク質との両方に融合したHL
A-Eタンパク質を含み得る。HLA-E融合タンパク質のタンパク質は、ポリペプチド
リンカー、例えば、配列番号121(すなわち、(GGGGS)3リンカー)または配列
番号122(すなわち、(GGGGS)4リンカー)などを含むリンカーによって融合さ
れ得る。
【0326】
本明細書で使用される場合、標的タンパク質(すなわち、内因的に発現されるタンパク
質)に関して「発現低下」という用語は、対照細胞と比較した場合の、遺伝子改変細胞に
よる内因性タンパク質の発現の任意の低下を指す。低下したという用語はまた、対照細胞
集団と比較した場合の、本開示のshRNAmiRによって標的化される内因性タンパク
質を野生型レベルで発現する細胞の、細胞集団中のパーセンテージの低下を指すことがで
きる。標的内因性タンパク質を完全に発現する細胞の、集団中のパーセンテージのこのよ
うな低下は、最大5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、8
0%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または最大100%であり得
る。本開示の文脈において、「低下した」という用語は、標的または内因性タンパク質の
部分的または不完全なノックダウンを包含し、ヌクレアーゼによる遺伝子不活性化によっ
て達成されるものなどの完全なノックダウンとは区別されることが理解されよう。
【0327】
本明細書で使用される場合、アミノ酸配列および核酸配列の両方に関して、「同一性パ
ーセント」、「配列同一性」、「類似性パーセンテージ」、「配列類似性」などの用語は
、アライメントしたアミノ酸残基またはヌクレオチド間の類似性を最大にし、同一または
類似の残基またはヌクレオチドの数、残基またはヌクレオチドの総数、ならびに配列アラ
インメントにおけるギャップの存在および長さの関数である、配列のアラインメントに基
づく2つの配列の類似性の程度の尺度を指す。標準的なパラメータを使用して配列類似性
を決定するために、さまざまなアルゴリズムおよびコンピュータプログラムが利用可能で
ある。本明細書で使用される場合、配列類似性は、アミノ酸配列についてのBLASTp
プログラムおよび核酸配列についてのBLASTnプログラムを使用して測定され、これ
らは両方とも国立生物工学情報センターを介し利用可能であり(www.ncbi.nl
m.nih.gov/)、例えば、Altschul et al.(1990),J.
Mol.Biol.215:403-410;Gish and States(199
3),Nature Genet.3:266-272;Madden et al.(
1996),Meth.Enzymol.266:131-141;Altschul
et al.(1997),Nucleic Acids Res.25:33 89-
3402);Zhang et al.(2000),J.Comput.Biol.7
(1-2):203-14に記載されている。本明細書で使用される場合、2つのアミノ
酸配列の類似性パーセントは、BLASTpアルゴリズムについての以下のパラメータに
基づくスコアである:ワードサイズ=3;ギャップオープニングペナルティ=-11;ギ
ャップ拡張ペナルティ=-1;およびスコア行列=BLOSUM62。本明細書で使用さ
れる場合、2つの核酸配列の類似性パーセントは、BLASTnアルゴリズムについての
以下のパラメータに基づくスコアである:ワードサイズ=11;ギャップオープニングペ
ナルティ=5;ギャップ拡張ペナルティ=2;マッチリワード=1;およびミスマッチペ
ナルティ=-3。
【0328】
本明細書で使用される場合、2つのタンパク質またはアミノ酸配列の改変に関する「に
対応する」という用語は、第1のタンパク質の指定の改変が第2のタンパク質の改変と同
じアミノ酸残基の置換であること、および2つのタンパク質が標準的な配列アラインメン
トに(例えば、BLASTpプログラムを使用して)供される場合、第1のタンパク質の
改変のアミノ酸位置が第2のタンパク質の改変のアミノ酸位置に対応するか整列すること
を示すために使用される。したがって、第1のタンパク質における残基「X」のアミノ酸
「A」への改変は、残基XおよびYが配列アラインメントにおいて互いに対応する場合、
XおよびYが異なる数であり得るという事実にもかかわらず、第2のタンパク質における
残基「Y」のアミノ酸「A」への改変に対応する。
【0329】
本明細書で使用される場合、「T細胞受容体アルファ遺伝子」または「TCRアルファ
遺伝子」という用語は、T細胞受容体アルファサブユニットをコードするT細胞内の遺伝
子座を指す。T細胞受容体アルファ遺伝子は、再編成の前後に、NCBI遺伝子ID番号
6955を指し得る。再編成に続いて、T細胞受容体アルファ遺伝子は、内因性プロモー
タ、再編成されたVセグメントおよびJセグメント、内因性スプライスドナー部位、イン
トロン、内因性スプライスアクセプター部位、ならびにサブユニットコードエクソンを含
むT細胞受容体アルファ定常領域遺伝子座を含む。
【0330】
本明細書で使用される場合、「T細胞受容体アルファ定常領域」または「TCRアルフ
ァ定常領域」という用語は、T細胞受容体アルファ遺伝子のコード配列を指す。TCRア
ルファ定常領域は、NCBI遺伝子ID番号28755によって同定される野生型配列お
よびその機能的変異体を含む。
【0331】
本明細書で使用される場合、「T細胞受容体ベータ遺伝子」または「TCRベータ遺伝
子」という用語は、T細胞受容体ベータサブユニットをコードするT細胞内の遺伝子座を
指す。T細胞受容体ベータ遺伝子は、NCBI遺伝子ID番号6957を指し得る。
【0332】
本明細書で使用される場合、「組換えDNA構築物」、「組換え構築物」、「カセット
」、「発現カセット」、「発現構築物」、「キメラ構築物」、「構築物」、および「組換
えDNA断片」という用語は、本明細書で互換的に使用され、一本鎖または二本鎖ポリヌ
クレオチドである。組換え構築物は、限定するものではないが、天然には一緒に見られな
い調節配列およびコード配列を含む核酸断片の人工的な組み合わせを含む。例えば、組換
えDNA構築物は、異なる供給源に由来する調節配列およびコード配列、または同じ供給
源に由来し、天然に見られるものとは異なる様式で編成された調節配列およびコード配列
を含み得る。このような構築物は、単独で使用されてもよく、またはベクターと併せて使
用されてもよい。
【0333】
本明細書で使用される場合、「ベクター」または「組換えDNAベクター」という用語
は、所与の宿主細胞においてポリペプチドコード配列の転写および翻訳が可能な複製シス
テムおよび配列を含む構築物であり得る。ベクターが使用される場合、ベクターの選択は
、当業者に周知のように、宿主細胞を形質転換するために使用される方法に依存する。ベ
クターとしては、限定するものではないが、プラスミドベクターおよび組換えAAVベク
ター、または遺伝子を標的細胞に送達するのに適した当技術分野で公知の任意の他のベク
ターを挙げることができる。当業者は、本発明の単離されたヌクレオチドまたは核酸配列
のいずれかを含む、宿主細胞の形質転換、選択および増殖を成功させるためにベクター上
に存在しなければならない遺伝子エレメントを十分に認識している。
【0334】
本明細書で使用される場合、「ベクター」はウイルスベクター(すなわち、組換えウイ
ルス)を指すこともできる。ウイルスベクターとしては、限定するものではないが、レト
ロウイルスベクター(すなわち、組換えレトロウイルス)、レンチウイルスベクター(す
なわち、組換えレンチウイルス)、アデノウイルスベクター(すなわち、組換えアデノウ
イルス)、およびアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)(すなわち、組換えAAV)を
挙げることができる。
【0335】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」という用語は、免疫系(自然および/または
適応)の一部であり、造血起源の任意の細胞を指す。免疫細胞の非限定的な例としては、
リンパ球、B細胞、T細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、顆粒球、巨核球、単球、
マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、骨髄系由来サプレッサー細胞、自然リンパ球系
細胞、血小板、赤血球、胸腺細胞、白血球、好中球、肥満細胞、好酸球、好塩基球および
顆粒球が挙げられる。
【0336】
本明細書で使用される場合、「ヒトT細胞」または「T細胞」または「単離ヒトT細胞
」は、ドナー、特にヒトドナーから単離されたT細胞を指す。T細胞およびそれに由来す
る細胞には、培養で継代されていない単離T細胞、不死化せずに細胞培養条件下で継代お
よび維持されたT細胞、ならびに不死化され、細胞培養条件下で無期限に維持され得るT
細胞が含まれる。
【0337】
本明細書で使用される場合、「ヒトNK細胞」または「NK細胞」は、ドナー、特にヒ
トドナーから単離されたNK細胞を指す。NK細胞およびそれに由来する細胞には、培養
で継代されていない単離NK細胞、不死化せずに細胞培養条件下で継代および維持された
NK細胞、ならびに不死化され、細胞培養条件下で無期限に維持され得るNK細胞が含ま
れる。
【0338】
本明細書で使用される場合、「ヒトB細胞」または「B細胞」は、ドナー、特にヒトド
ナーから単離されたB細胞を指す。B細胞およびそれに由来する細胞には、培養で継代さ
れていない単離T細胞、不死化せずに細胞培養条件下で継代および維持されたB細胞、な
らびに不死化され、細胞培養条件下で無期限に維持され得るB細胞が含まれる。
【0339】
本明細書で使用される場合、「対照」または「対照細胞」という用語は、遺伝子改変細
胞の遺伝子型または表現型の変化を測定するための基準点を提供する細胞を指す。対照細
胞は、例えば、(a)野生型細胞、すなわち、遺伝子改変細胞をもたらした遺伝子変更の
ための出発物質と同じ遺伝子型の野生型細胞;(b)遺伝子改変細胞と同じ遺伝子型であ
るが、ヌル構築物を用いて(すなわち、目的の形質に公知の影響を及ぼさない構築物を用
いて)形質転換された細胞;または(c)遺伝子改変細胞と遺伝的に同一であるが、変更
された遺伝子型または表現型の発現を誘導する条件もしくは刺激またはさらなる遺伝子改
変に曝露されていない細胞を含み得る。
【0340】
本明細書で使用される場合、「治療」または「対象を治療する」という用語は、疾患を
有する対象への本発明の遺伝子改変免疫細胞または遺伝子改変免疫細胞の集団の投与を指
す。例えば、対象はがんなどの疾患を有することができ、治療は疾患を治療するための免
疫療法を表し得る。治療の望ましい効果としては、限定するものではないが、疾患の発症
または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減少
、疾患進行の速度の低下、疾患状態の改善または緩和、および寛解または予後の改善が挙
げられる。いくつかの態様では、本明細書に記載の遺伝子改変免疫細胞または遺伝子改変
免疫細胞の集団は、治療中に本発明の医薬組成物の形態で投与される。
【0341】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、有益または望ましい生物学的および/
または臨床的結果をもたらすのに十分な量を指す。治療有効量は、使用される製剤または
組成物、疾患およびその重症度、ならびに治療される対象の年齢、体重、体調および応答
性に応じて変化する。特定の実施形態では、有効量の本発明の遺伝子改変免疫細胞もしく
は遺伝子改変免疫細胞の集団、または本明細書に開示の医薬組成物は、対象における疾患
の少なくとも1つの症状を軽減する。疾患ががんである実施形態では、本明細書に開示の
医薬組成物の有効量は、がんの増殖もしくは転移のレベルを低下させ、がんの部分的もし
くは完全な応答もしくは寛解を引き起こし、または対象におけるがんの少なくとも1つの
症状を軽減する。
【0342】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、悪性の増殖または腫瘍を引き起こ
す異常で制御されない細胞分裂を特徴とする任意の新生物性疾患(浸潤性または転移性に
かかわらず)を包含すると理解されるべきである。
【0343】
本明細書で使用される場合、「癌腫」という用語は、上皮細胞で構成される悪性増殖を
指す。
【0344】
本明細書で使用される場合、「白血病」という用語は、造血器官/造血系の悪性腫瘍を
指し、一般に、血液および骨髄における白血球およびその前駆体の異常な増殖および発達
を特徴とする。
【0345】
本明細書で使用される場合、「肉腫」という用語は、胚性結合組織のような物質で構成
され、一般に線維性、不均一または均一な物質に埋め込まれた密集した細胞で構成される
腫瘍を指す。
【0346】
本明細書で使用される場合、「黒色腫」という用語は、皮膚および他の器官のメラニン
細胞系から生じる腫瘍を指す。
【0347】
本明細書で使用される場合、「リンパ腫」という用語は、リンパ球から発生する血液細
胞腫瘍の群を指す。
【0348】
本明細書で使用される場合、「芽細胞腫」という用語は、前駆細胞または芽球(未成熟
または胚性組織)の悪性腫瘍によって引き起こされるがんのタイプを指す。
【0349】
本明細書で使用される場合、変数の数値範囲の列挙は、その範囲内の値のいずれかに等
しい変数で本発明が実施され得ることを伝えることを意図している。したがって、本質的
に離散的な変数の場合、この変数は、範囲の終点を含む数値範囲内の任意の整数値に等し
くなり得る。同様に、本質的に連続的な変数の場合、この変数は、範囲の終点を含む数値
範囲内の任意の実数値に等しくなり得る。例として、限定するものではないが、0と2と
の間の値を有すると記載されている変数は、その変数が本質的に離散的である場合、0、
1または2の値をとることができ、その変数が本質的に連続的である場合、0.0、0.
1、0.01、0.001の値、または0以上2以下の任意の他の実数値をとることがで
きる。
【0350】
2.1 発明の原理
本発明は、一部には、マイクロRNA適合shRNA(shRNAmiR)分子が、内
因性タンパク質の発現の安定した低下を有する遺伝子改変免疫細胞を作製するために使用
することができるという発見に基づく。本明細書では、shRNAmiRをコードする核
酸配列をT細胞のゲノムに挿入することにより、例えば、ベータ-2ミクログロブリン(
B2M)、CS1、トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体II(TGFBR2)、
Cbl癌原遺伝子B(CBL-B)、デオキシシチジンキナーゼ(DCK)、グルココル
チコイド(GR)、および分化抗原群52(CD52)の安定かつ効果的なノックダウン
を含む、一連の内因性タンパク質の安定なノックダウンが提供されることが実証される。
内因性タンパク質のノックダウンは、いくつかの例では、遺伝子不活性化によるノックア
ウトと比較して有利であり得る特性を付与し得る。例えば、shRNAmiRによるB2
Mノックダウンは、B2Mの完全なノックアウトを示すCAR T細胞よりも同種異系で
なく、ナチュラルキラー(NK)細胞による殺滅を受けにくいCAR T細胞を産生する
。さらに、免疫細胞のゲノムへのshRNAmiR分子の組み込みは、shRNA分子を
コードするカセットの挿入により観察される安定性および毒性の問題を解決することが実
証されている。
【0351】
shRNAmiR分子が複数の内因性タンパク質の発現を低下させるために使用され得
るという実証を考慮すると、本開示の組成物および方法は、免疫細胞内のB2Mタンパク
質だけでなく任意の目的の内因性タンパク質の発現をさまざまな程度で安定にノックダウ
ンするために使用することができる。
【0352】
2.2 マイクロRNA適応shRNA(shRNAmiR)
RNA干渉(RNAi)またはRNAサイレンシングは、遺伝子発現がマイクロRNA
などの非コードRNAによって負に調節されるプロセスを指す。負の調節は、以下の3つ
の可能な機序のうちの1つまたは複数により生じ得る:(1)標的mRNAの翻訳を抑制
することによる、(2)転写産物の脱アデニル化および不安定化による、および(3)m
RNAの切断および分解による。RNAiは、通常、二本鎖RNA(dsRNA)または
内因性マイクロRNA前駆体(pri-miRNA/pre-miRNA)によって誘発
される。
【0353】
内因性マイクロRNA分子の生成は、RNAポリメラーゼII(Pol II)プロモ
ータからの一次miRNA(pri-mRNA)の転写から始まる。各pri-miRN
Aは、1~6個のpre-miRNAを含有し得る。pre-miRNAは、約70ヌク
レオチドで構成されるヘアピンループ構造であり、各ヘアピンは、効率的なプロセシング
に必要な配列に隣接している。酵素Droshaは、ヘアピン塩基から約11ヌクレオチ
ドのRNAを切断することによって、pri-miRNAからヘアピンを遊離させる。D
rosha切断によって生成されるpre-miRNAは、3’末端に2ヌクレオチドの
オーバーハングを含む。この2ヌクレオチドのオーバーハングは、核から細胞質へのpr
e-miRNAの搬出を媒介するExportin-5タンパク質によって結合される。
細胞質において、pre-miRNAヘアピンは、ヘアピンの5’末端および3’末端と
の相互作用を介してDicerによって切断される。Dicerは、pre-miRNA
ヘアピンをループ領域において切断して、約22ヌクレオチド長である不完全なmiRN
A:miRNA二重鎖を生成する。miRNA:miRNA二重鎖(成熟miRNA)の
単一の鎖は、miRNAおよびそのmRNA標的が相互作用するRNA誘導サイレンシン
グ複合体(RISC)に組み込まれる。
【0354】
その発見以来、RNAiは、哺乳動物細胞における遺伝子発現を抑制するための強力な
遺伝子ツールとして浮上した。遺伝子ノックダウンは、pre-miRNAを模倣し、D
icerによってプロセシングされ、RISCに供給される合成短鎖ヘアピンRNA(s
hRNA)の発現によって達成され得る。しかしながら、本明細書に記載のように、sh
RNAは、免疫細胞におけるタンパク質発現を長期低下させることができない。対照的に
、本発明のマイクロRNA適合shRNA(shRNAmiR)分子の発現は、タンパク
質発現の持続的な低下および毒性効果の低下をもたらす。shRNAmiR分子は、それ
らが効率的なプロセシングに必要な配列に隣接するヘアピンを含むという点でpri-m
iRNA分子を模倣し、Drosha酵素によってpri-miRNAにプロセシングさ
れ、細胞質に輸送され、Dicerによって切断され、その後、成熟miRNAがRIS
Cに入ることができる。
【0355】
本発明は、内因性タンパク質の存在量を減少させる、shRNAmiR分子を発現する
遺伝子改変免疫細胞を提供する。
【0356】
shRNAmiR分子は、shRNAmiR分子の構造が天然に存在するマイクロRN
A(またはpri-miRNAもしくはpre-miRNA)またはその変異体の構造を
模倣することができるという点で、マイクロRNA足場を含むことができる。マイクロR
NA(ならびにpri-miRNAおよびpre-miRNA)の配列は、当技術分野で
公知である。本開示のshRNAmiRのための好適なmiR足場の非限定的な例として
は、miR-E、miR-30(例えば、miR-30a)、miR-15、miR-1
6、miR-155、miR-22、miR-103およびmiR-107が挙げられる
。特定の実施形態では、本開示の組成物および方法で使用されるshRNAmiRは、m
ir-E足場を含む。mir-E足場は、miR-30aの合成由来変異体であり、その
起源は国際公開第2014/117050号パンフレットに記載されており、当該文献は
参照によりその全体が組み込まれる。
【0357】
本開示のshRNAmiR分子は、5’から3’方向に以下のドメインを含み得る:(
a)5’miR足場ドメイン;(b)5’miR基底ステムドメイン;(c)パッセンジ
ャー鎖;(d)miRループドメイン;(e)ガイド鎖;(f)3’miR基底ステムド
メイン;および(g)3’miR足場ドメイン。miR足場ドメインおよび基底ステムド
メインは、miRNAステム-ループに隣接し、本明細書では、マイクロRNAプロセシ
ングエレメント(一次マイクロRNAまたは前駆体マイクロRNAからの成熟マイクロR
NAの生成に寄与する最小核酸配列)を含むマイクロRNA隣接配列と称される。多くの
場合、これらのエレメントは、マイクロRNAステム-ループ構造に隣接する40ヌクレ
オチド配列内に位置する。いくつかの例では、マイクロRNAプロセシングエレメントは
、マイクロRNAステム-ループ構造に隣接する5~4,000ヌクレオチド長のヌクレ
オチド配列のストレッチ内に見出される。
【0358】
いくつかの実施形態では、miRNA隣接配列は、約3~約4,000nt長であり、
shRNAmiR分子の5’末端および3’末端のいずれか、または両方に存在し得る。
他の実施形態では、shRNAmiR分子のマイクロRNA隣接配列の最小長は、約10
、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約1
25、約126、約127、約128、約129、約130、約131、約132、約1
33、約134、約135、約136、約137、約138、約139、約140、約1
50、約200、およびその間の任意の整数である。他の実施形態では、shRNAmi
R分子のマイクロRNA隣接配列の最大長は、約2,000、約2,100、約2,20
0、約2,300、約2,400、約2,500、約2,600、約2,700、約2,
800、約2,900、約3,000、約3,100、約3,200、約3,300、約
3,400、約3,500、約3,600、約3,700、約3,800、約3,900
、約4,000、およびそれらの間の任意の整数である。
【0359】
マイクロRNA隣接配列は、天然マイクロRNA隣接配列または人工マイクロRNA隣
接配列であり得る。天然マイクロRNA隣接配列は、マイクロRNA配列と共に天然に存
在する系内に通常含まれるヌクレオチド配列である(すなわち、これらの配列は、インビ
ボで最小マイクロRNAヘアピンを取り囲むゲノム配列内に見出される)。人工マイクロ
RNA隣接配列は、天然に存在する系においてマイクロRNA配列に隣接していることが
見出されないヌクレオチド配列である。人工マイクロRNA隣接配列は、他のマイクロR
NA配列との関連において天然に見出される隣接配列であり得る。あるいは、それらは、
天然に存在する隣接配列内に見出され、天然には隣接配列として存在しないか、または天
然の隣接配列として部分的にのみ存在する他のランダム核酸配列に挿入される最小のマイ
クロRNAプロセシングエレメントから構成され得る。
【0360】
いくつかの実施形態では、5’miR足場ドメインは、約10~約150ヌクレオチド
長であり、限定するものではないが、約10、約20、約30、約40、約50、約60
、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140および
約150ヌクレオチド長を含む。これらの実施形態のいくつかでは、5’miR足場ドメ
インは約111ヌクレオチド長である。5’miR足場ドメインは、IIS型制限酵素に
対する認識配列である3’配列を含み得る。これらの実施形態のいくつかでは、5’mi
R足場ドメインは、その3’末端にXhoI認識配列を含む。特定の実施形態では、5’
miR足場ドメインは、配列番号1として示される配列と少なくとも約50%、少なくと
も約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくと
も約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくと
も約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくと
も約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくと
も約99%、またはそれを超える配列同一性を有する。ある実施形態では、5’miR足
場ドメインは、配列番号1として示される配列を有する。
【0361】
shRNAmiRの5’miR基底ステムドメインは約5~約30ヌクレオチド長であ
り得、いくつかの実施形態では、限定するものではないが、約5、約6、約7、約8、約
9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約1
9、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約2
9および約30ヌクレオチド長を含む。これらの実施形態のいくつかでは、5’miR基
底ステムドメインは約20ヌクレオチド長である。特定の実施形態では、5’miR基底
ステムドメインは、配列番号2として示される配列と少なくとも約50%、少なくとも約
55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約
75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約
91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約
95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約
99%、またはそれを超える配列同一性を有する。ある実施形態では、5’miR基底ス
テムドメインは、配列番号2として示される配列を有する。
【0362】
本開示の組成物および方法のshRNAmiR分子は、ステム-ループ構造を含み、ス
テムはハイブリダイズしたパッセンジャー鎖およびガイド鎖から構成され、ループは一本
鎖である。miRループドメインは、天然に存在するpre-マイクロRNAまたはpr
i-マイクロRNAループ配列またはその変異体に由来し得る。いくつかの実施形態では
、miRループドメインは、miR-30(例えば、miR-30a)、miR-15、
miR-16、miR-155、miR-22、miR-103およびmiR-107の
いずれか1つに由来するループドメインの配列を有する。特定の実施形態では、shRN
AmiRはmiR-30aループドメインを含み、その配列は配列番号3として示される
【0363】
ある実施形態では、miRループドメインは約5~約30ヌクレオチド長であり得、限
定するものではないが、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約1
3、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約2
3、約24、約25、約26、約27、約28、約29および約30ヌクレオチド長を含
む。これらの実施形態のいくつかでは、miRループドメインは約15ヌクレオチド長で
ある。特定の実施形態では、miRループドメインは、配列番号3として示される配列と
少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、
少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、
少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、
少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、
少なくとも約98%、少なくとも約99%、またはそれを超える配列同一性を有する。あ
る実施形態では、miRループドメインは、配列番号3として示される配列を有する。
【0364】
shRNAmiRの3’miR基底ステムドメインは約5~約30ヌクレオチド長であ
り得、いくつかの実施形態では、限定するものではないが、約5、約6、約7、約8、約
9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約1
9、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約2
9および約30ヌクレオチド長を含む。これらの実施形態のいくつかでは、3’miR基
底ステムドメインは約18ヌクレオチド長である。特定の実施形態では、3’miR基底
ステムドメインは、配列番号4として示される配列と少なくとも約50%、少なくとも約
55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約
75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約
91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約
95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約
99%、またはそれを超える配列同一性を有する。ある実施形態では、3’miR基底ス
テムドメインは、配列番号4として示される配列を有する。
【0365】
いくつかの実施形態では、3’miR足場ドメインは、約50~約150ヌクレオチド
長であり、限定するものではないが、約10、約20、約30、約40、約50、約60
、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140または
約150ヌクレオチド長を含む。これらの実施形態のいくつかでは、3’miR足場ドメ
インは約116ヌクレオチド長である。特定の実施形態では、3’miR足場ドメインは
、配列番号5として示される配列と少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくと
も約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくと
も約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくと
も約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくと
も約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、またはそ
れを超える配列同一性を有する。ある実施形態では、3’miR足場ドメインは、配列番
号5として示される配列を有する。
【0366】
shRNAmiRのガイド鎖は、mRNAを標的とする配列であり、mRNAによって
コードされるタンパク質の存在量の減少をもたらす。ガイド鎖がその標的mRNAに結合
した後、RISCは、標的転写物を分解するか、および/または標的転写物が翻訳のため
にリボソームに取り込まれるのを防ぐ。ガイド鎖は、標的mRNAの発現の低下をもたら
すために、標的mRNAと十分な相補性を有する。いくつかの実施形態では、ガイド鎖は
、標的mRNA配列に対して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約7
0%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約9
7%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%相補的である。ある実施
形態では、ガイド鎖は、コード配列内の標的mRNAとハイブリダイズする。ガイド鎖は
、標的mRNA配列と1、2、3、4、5またはそれを超えるミスマッチヌクレオチドを
含み得る。他の実施形態では、ガイド鎖は、5’または3’非翻訳領域(UTR)などの
非コード領域において標的mRNAとハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、ガ
イド鎖は、約15~約25ヌクレオチド長であり、限定するものではないが、約15、約
16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24および約25
ヌクレオチド長を含む。これらの実施形態のいくつかでは、ガイド鎖は約22ヌクレオチ
ド長である。shRNAmiRが由来するshRNA配列が、ほとんどの天然に存在する
マイクロRNAの長さである22ヌクレオチド長未満である特定の実施形態では、追加の
ヌクレオチドがshRNA配列に付加され、ある実施形態では、この追加のヌクレオチド
は、標的mRNA内の対応する位置と相補的なものである。
【0367】
shRNAmiRのパッセンジャー鎖は、ガイド鎖配列と完全または部分的に相補的な
配列である。いくつかの実施形態では、パッセンジャー鎖は、約15~約25ヌクレオチ
ド長であり、限定するものではないが、約15~約25ヌクレオチド長を含み、限定する
ものではないが、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、
約23、約24および約25ヌクレオチド長を含む。これらの実施形態のいくつかでは、
パッセンジャー鎖は約22ヌクレオチド長である。パッセンジャー鎖は、ガイド鎖に対し
て少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%
、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%
、少なくとも約99%または100%相補的であり得る。パッセンジャー鎖は、ガイド鎖
と1、2、3、4、5またはそれを超えるミスマッチヌクレオチドを含み得る。しかしな
がら、ある実施形態では、ガイド:パッセンジャー鎖二重鎖は、いかなるミスマッチヌク
レオチドも含まない。一般に、ガイド/パッセンジャー鎖配列は、それ自体の中にいかな
る二次構造も形成しないように選択されるべきである。さらに、一塩基多型を含むmRN
A内の部位を標的とするガイド/パッセンジャー鎖配列の使用は避けるべきである。標的
mRNAに特異的なガイド/パッセンジャー鎖配列は、オフターゲット効果(すなわち、
非標的mRNAの発現の低下)を回避するために好ましい。
【0368】
適切なshRNAmiRガイド/パッセンジャー鎖、または他のshRNAmiRドメ
インの配列の選択を助けるために、RNA分子の予測二次構造をモデル化する当技術分野
で公知の任意のプログラム、限定するものではないが、Mfold、RNAfold、お
よびUNAFoldなどを使用することができる。特定のmRNAを標的とするshRN
AまたはmiRNAガイド/パッセンジャー配列の効率を予測することができる当技術分
野で公知の任意のプログラム、限定するものではないが、例えば、以下に開示されている
ものを使用して適切なガイド/パッセンジャー鎖配列を選択することができる:Agar
wal et al.(2015)eLife4:e05005;およびKnott e
t al.(2014)Mol Cell56(6):796-807、これらの各文献
はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0369】
2.3 遺伝子改変免疫細胞
本発明は、遺伝子改変免疫細胞およびその集団、ならびにそれらを作製するための方法
を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の組成物および方法の遺伝子改変免疫細胞
はヒト免疫細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞、またはそれに由来
する細胞である。他の実施形態では、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞またはそ
れに由来する細胞である。さらに他の実施形態では、免疫細胞は、B細胞、またはそれに
由来する細胞である。さらに他の実施形態では、免疫細胞は、単球もしくはマクロファー
ジ細胞、またはそれに由来する細胞である。
【0370】
免疫細胞(例えば、T細胞)は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺
組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織および腫瘍を含む多くの供給源から得
ることができる。本開示のある実施形態では、当技術分野で利用可能な任意の数のT細胞
株、NK細胞株、B細胞株、単球細胞株またはマクロファージ細胞株を使用することがで
きる。本開示のいくつかの実施形態では、免疫細胞(例えば、T細胞)は、当業者に公知
の任意の数の技術を使用して、対象から採取された血液単位から得られる。一実施形態で
は、個体の循環血液由来の細胞はアフェレーシスによって得られる。本発明の免疫細胞は
また、機能的免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、B細胞)に分化した人工多能性幹細
胞(iPSC)由来細胞であり得る。
【0371】
本開示の組成物および方法の遺伝子改変免疫細胞は、細胞のゲノム中にshRNAmi
Rをコードする核酸配列を含み、標的タンパク質の発現の低下をもたらす。
【0372】
内因性タンパク質の発現がshRNAmiRによって低下する実施形態のいくつかにお
いて、内因性タンパク質の発現は、対照細胞(例えば、shRNAmiRを発現しない細
胞)と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約5
5%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約9
5%、または最大約99%低下する。当技術分野で公知の任意の方法、限定するものでは
ないが、ELISA、フローサイトメトリ、ウェスタンブロット、免疫細胞化学および免
疫沈降などを使用して、shRNAmiRによって標的化される内因性タンパク質の発現
レベルを決定することができる。
【0373】
集団内の細胞によってshRNAmiRを発現させると、対照細胞の集団と比較した場
合、shRNAmiRが標的とする内因性タンパク質を完全に発現する細胞の、集団中の
細胞のパーセンテージの低下をもたらし得る。このような低下は、集団中の細胞の最大5
%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95
%、96%、97%、98%、99%、または最大100%であり得る。
【0374】
shRNAmiRをコードする核酸配列は、遺伝子改変免疫細胞のゲノム、例えばカセ
ットに存在し得る。このようなカセットは、例えば、ランダムな組み込み(例えば、レン
チウイルス形質導入)、または選択された部位への標的挿入(例えば、ヌクレアーゼ媒介
標的挿入によって)のいずれかによって本発明の鋳型核酸を導入することによって、ゲノ
ムに内に挿入することができる。shRNAmiRコード配列を含むカセットは、例えば
、本明細書に記載されるもの(例えば、CAR、外因性TCR、融合タンパク質)などの
追加のタンパク質をコードする核酸配列を含むことができ、プロモータおよび終結配列な
どの制御配列も含み得る。shRNAmiRをコードする核酸配列は、shRNAmiR
の発現を可能にするカセットまたは鋳型核酸内の任意の数の位置に配置することができる
。いくつかの例では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、別の導入遺伝子(例え
ば、CAR、外因性TCRまたは融合タンパク質をコードする核酸配列)の終止コドンと
終結シグナルとの間に配置される。他の例では、カセットまたは鋳型核酸中に存在する別
の導入遺伝子(例えば、CAR、外因性TCRまたは融合タンパク質をコードする核酸配
列)は、導入遺伝子配列内に配置されるイントロンを含む。ここで、「配置される」とは
、得られた配列が導入遺伝子の5’部分、イントロン配列および導入遺伝子の3’部分を
含むように、イントロン配列が導入遺伝子配列に挿入されることを意味することを意図し
ている。いくつかのこのような例では、shRNAmiRをコードする核酸配列は、この
ようなイントロン内に配置することができる。ここで、「配置される」とは、得られた配
列がイントロン配列の5’部分、shRNAmiRコード配列、およびイントロン配列の
3’部分を含むように、shRNAmiRコード配列がイントロン配列に挿入されること
を意味することを意図している。このような場合、導入遺伝子が発現されると、shRN
AmiRが発現され、イントロン配列が細胞によってスプライシングで切り出される。こ
の様式で含めることができるイントロンは、天然に存在するイントロンまたは代替的に合
成イントロンであり得る。本発明に有用な合成イントロンの特定の例は、配列番号69に
よってコードされる。
【0375】
ある実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、そのゲノム中にCARまたは外因性TCR
をコードする核酸配列をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、遺伝子改変
免疫細胞は、そのゲノム中に、免疫細胞表面上に発現され得るHLA-E融合タンパク質
をコードする核酸配列をさらに含むことができる。
【0376】
CAR/TCRコード核酸配列および/またはHLA-E融合タンパク質をコードする
核酸配列は、shRNAmiRコード配列と同じ遺伝子内に位置し得る。あるいは、CA
R/TCRコード核酸配列および/またはHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配
列は、shRNAmiRコード配列とは異なる遺伝子内に位置し得る。
【0377】
各コード配列は、異なるプロモータに作動可能に連結され得る。他の実施形態では、s
hRNAmiRコード配列は、CARもしくは外因性TCRをコードする核酸配列および
/またはHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列と同じプロモータに作動可能に
連結されている。いくつかの具体例では、shRNAmiRをコードする核酸配列、CA
Rまたは外因性TCRをコードする核酸配列、およびHLA-E融合タンパク質をコード
する核酸配列がすべて同じ遺伝子内に位置する場合、核酸配列の2つは第1のプロモータ
に作動可能に連結されており、第3の核酸配列は第2のプロモータに作動可能に連結され
ている。他の具体例では、shRNAmiRをコードする核酸配列、CARまたは外因性
TCRをコードする核酸配列、およびHLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列が
すべて同じ遺伝子内に位置する場合、核酸配列の3つすべてが同じプロモータに作動可能
に連結されている。さまざまな実施形態では、核酸配列は、ゲノム内への挿入後に内因性
プロモータに作動可能に連結され得る。いくつかのこのような場合、本発明のカセットま
たは鋳型核酸は、コードされた配列を発現させるために外因性プロモータを必要としない
場合がある。さらに、このような場合、カセットまたは鋳型核酸は、核酸が内因性プロモ
ータに作動可能に連結されるのに必要なエレメント(例えば、スプライスアクセプター配
列、2AまたはIRES配列など)を含み得る。他の実施形態では、本発明のカセットま
たは鋳型核酸は、核酸配列に作動可能に連結された、shRNAmiR、CARもしくは
外因性TCR、および/またはHLA-E融合タンパク質の発現を駆動する1つまたは複
数の外因性プロモータを含む。
【0378】
コード配列の各々は、ゲノム中に同じ向きで、または互いに異なる向きで存在し得る。
例えば、1つのコード配列は二本鎖DNAのプラス鎖上にあり得、別のコード配列はマイ
ナス鎖上にあり得る。いくつかの実施形態では、shRNAmiRコード核酸配列は、C
ARもしくは外因性TCRをコードする核酸配列および/またはHLA-E融合タンパク
質をコードする核酸配列の3’下流にある。代替的な実施形態では、shRNAmiRコ
ード配列は、CAR/TCRコード配列および/またはHLA-E融合タンパク質をコー
ドする核酸配列の5’上流にある。
【0379】
ある実施形態では、CARもしくは外因性TCR、shRNAmiR、および/または
HLA-E融合タンパク質をコードする核酸配列などの核酸配列は、同じプロモータに作
動可能に連結され、同じ核酸分子からの2つ以上の遺伝子(すなわち、シストロン)の翻
訳を可能にするために当技術分野で公知の任意のエレメントによって分離される。このよ
うな要素としては、限定するものではないが、IRESエレメント、T2Aエレメント、
P2Aエレメント(例えば、P2A/フューリン)、E2Aエレメント、およびF2Aエ
レメントを挙げることができる。
【0380】
ある実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、免疫細胞をNK細胞殺滅から保護する細胞
表面タンパク質をコードする核酸配列を含む。いくつかの例では、核酸配列は、非古典的
MHC Iタンパク質をコードする。非古典的MHCクラスIタンパク質としては、限定
するものではないが、HLA-E、HLA-F、HLA-GおよびHLA-Hを挙げるこ
とができる。特定の例では、核酸配列はHLA-Eタンパク質をコードする。HLA-E
タンパク質の例としては、限定するものではないが、HLA-E-01:01タンパク質
またはHLA-E-01:03タンパク質(例えば、配列番号118)が挙げられる。本
発明の特定の例では、核酸配列は、非古典的MHCクラスIタンパク質(例えば、HLA
-E)と、免疫細胞の細胞表面上のMHCクラスIタンパク質の発現を可能にする少なく
とも1つの追加のタンパク質とを含む融合タンパク質をコードする。融合タンパク質は、
例えば、細胞表面上でのMHCクラスIタンパク質の発現を可能にするベータ-2ミクロ
グロブリンタンパク質(例えば、配列番号119)に融合したMHCクラスIタンパク質
(HLA-E)を含み得る。内因性ベータ-2ミクログロブリンの発現を阻害し、ベータ
2ミクログロブリンを含む融合タンパク質の発現を阻害しないために、融合タンパク質中
のベータ-2ミクログロブリンコード配列を、変更された配列に対してshRNAmiR
が特異性を有さないように変更することができる(例えば、コドン最適化)。さらなる例
では、融合タンパク質は、ベータ-2ミクログロブリンタンパク質と非古典的MHCによ
って細胞外に提示される追加のタンパク質との両方に融合した非古典的MHCクラスIタ
ンパク質(例えば、HLA-E)を含み得る。このような追加のタンパク質としては、例
えば、HLA-Gリーダーペプチド(例えば、配列番号120)を挙げることができる。
融合タンパク質の個々のタンパク質は、ポリペプチドリンカー、例えば、配列番号121
(すなわち、(GGGGS)3リンカー)または配列番号122(すなわち、(GGGG
S)4リンカー)などを含むリンカーによって融合され得る。
【0381】
特定の実施形態では、融合タンパク質は、HLA-Eタンパク質、ベータ-2ミクログ
ロブリンタンパク質、およびHLA-Gリーダーペプチドを含むHLA-E融合タンパク
質である。いくつかのこのような実施形態では、HLA-Eタンパク質はHLA-E-0
1:01タンパク質またはHLA-E-01:03タンパク質であり、特定の実施形態で
は、HLA-Eタンパク質は配列番号118のアミノ酸配列を有するHLA-E-01:
03タンパク質である。いくつかのこのような実施形態では、ベータ-2ミクログロブリ
ンタンパク質は、配列番号119のアミノ酸配列を有し、HLA-Gリーダーペプチドは
、配列番号120のアミノ酸配列を有する。さらなるこのような実施形態では、HLA-
Eタンパク質、ベータ-2ミクログロブリンタンパク質、およびHLA-Gリーダータン
パク質は、配列番号121(すなわち、(GGGGS)3リンカー)または配列番号12
2(すなわち、(GGGGS)4リンカー)を含むポリペプチドリンカーによって融合さ
れる。特定の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号66と少なくとも80%、少な
くとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも9
3%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少
なくとも98%、または最大少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む
。特定の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号66のアミノ酸配列を含む。
【0382】
ある実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする
核酸配列を含む。一般に、本開示のCARは、少なくとも細胞外ドメイン、膜貫通ドメイ
ン、および細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインは、細胞外
リガンド結合ドメインまたは部分とも称される標的特異的結合エレメントを含む。いくつ
かの実施形態では、細胞内ドメインまたは細胞質ドメインは、少なくとも1つの共刺激ド
メインおよび1つまたは複数のシグナル伝達ドメインを含む。
【0383】
いくつかの実施形態では、本発明において有用なCARは、細胞外リガンド結合ドメイ
ンを含む。リガンド結合ドメインの選択は、標的細胞の表面を規定するリガンドのタイプ
および数に依存する。例えば、リガンド結合ドメインは、特定の疾患状態に関連する標的
細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するように選択され得る。した
がって、CARにおいてリガンド結合ドメインに対するリガンドとして作用し得る細胞表
面マーカーのいくつかの例としては、ウイルス、細菌および寄生虫感染、自己免疫疾患、
ならびにがん細胞に関連するものが含まれ得る。いくつかの実施形態では、CARは、が
ん(すなわち、腫瘍)細胞上の抗原に特異的に結合する所望のリガンド結合部分を操作す
ることによって、目的のがん特異的抗原を標的とするように操作される。本開示の文脈に
おいて、「がん抗原」、「腫瘍抗原」、「がん特異的抗原」または「腫瘍特異的抗原」は
、がんなどの特定の過剰増殖性障害に共通の抗原を指す。
【0384】
いくつかの実施形態では、CARの細胞外リガンド結合ドメインは、目的の任意の抗原
またはエピトープ、特に目的の任意の腫瘍抗原またはエピトープに特異的である。非限定
的な例として、いくつかの実施形態では、標的の抗原は、主要関連表面抗原、例えば、E
rbB2(HER2/neu)、癌胎児性抗原(CEA)、上皮細胞接着分子(EpCA
M)、上皮増殖因子受容体(EGFR)、EGFR変異体III(EGFRvIII)、
CD19、CD20、CD22、CD30、CD40、CD79B、IL1RAP、グリ
ピカン3(GPC3)、CLL-1、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、g
p36、TAG-72、グリコスフィンゴ脂質、神経膠腫関連抗原、B-ヒト絨毛性ゴナ
ドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、サイログロ
ブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU
2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、プロ
スターゼ、プロスターゼ特異的抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGA-
la、p53、プロスタイン(prostein)、PSMA、生存およびテロメラーゼ
、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ
、エフリンB2、インスリン成長因子(IGF1)-1、IGF-II、IGFI受容体
、メソセリン、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合遺伝子複合体(M
HC)分子、5T4、ROR1、Nkp30、NKG2D、腫瘍間質抗原、フィブロネク
チンのエクストラドメインA(EDA)とエクストラドメインB(EDB)、テネイシン
CのAlドメイン(TnC Al)、および線維芽細胞関連タンパク質(fap);系列
特異的または組織特異的抗原、例えば、CD3、CD4、CD8、CD24、CD25、
CD33、CD34、CD38、CD123、CD133、CD138、CTLA-4、
B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、エンドグリン、主要組織適合遺伝子複合
体(MHC)分子、BCMA(CD269、TNFRSF 17)、CS1;またはウイ
ルス特異的表面抗原、例えば、HIV特異的抗原(HIV gpl20など)、EBV特
異的抗原、CMV特異的抗原、E6もしくはE7腫瘍性タンパク質などのHPV特異的抗
原、ラッセウイルス特異的抗原、インフルエンザウイルス特異的抗原、ならびにこれらの
表面マーカーの誘導体または変異体である。
【0385】
いくつかの例において、細胞外リガンド結合ドメインまたは部分は、抗体または抗体断
片である。抗体断片は、例えば、抗原のエピトープと(例えば、結合、立体障害、安定化
/不安定化、空間分布によって)特異的に相互作用する能力を保持する、抗体の少なくと
も一部であり得る。抗体断片の例には、限定するものではないが、Fab、Fab’、F
(ab’)2、Fv断片、scFv抗体断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VH
およびCH1ドメインからなるFd断片、線状抗体、単一ドメイン抗体、例えばsdAb
(VLまたはVHのいずれか)、ラクダ科VHHドメイン、抗体断片から形成された多重
特異性抗体、例えばヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片
を含む二価断片、および抗体の単離されたCDRまたは他のエピトープ結合断片が含まれ
る。抗原結合断片はまた、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、
イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NARおよびビス-
scFvに組み込むことができる(例えば、Hollinger and Hudson
,Nature Biotechnology 23:1126-1136,2005を
参照されたい)。抗原結合断片はまた、III型フィブロネクチン(Fn3)などのポリ
ペプチドに基づく足場に移植することもできる(フィブロネクチンポリペプチドミニボデ
ィを記載する米国特許第6,703,199号明細書を参照されたい)。
【0386】
いくつかの実施形態では、細胞外リガンド結合ドメインまたは部分は、特定のエピトー
プまたは抗原(例えば、がん細胞または他の疾患を引き起こす細胞もしくは粒子などの、
細胞表面に優先的に存在するエピトープまたは抗原)に対する特異性を提供する、モノク
ローナル抗体に由来する単鎖可変断片(scFv)の形態である。いくつかのこのような
実施形態では、scFvは、抗原に対する特異性を有するモノクローナル抗体由来の重鎖
可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含むことができる。いくつかの
実施形態では、scFvは、リンカー配列を介して結合している。いくつかの実施形態で
は、scFvは、ネズミ、ヒト化、または完全ヒトである。
【0387】
キメラ抗原受容体の細胞外リガンド結合ドメインはまた、Bリンパ球上の自己抗原特異
的B細胞受容体によって認識され得る自己抗原を含むことができ(Payne et a
l.(2016),Science353(6295):179-184を参照されたい
)、したがって抗体媒介自己免疫疾患において自己反応性Bリンパ球を特異的に標的化し
て殺滅するようにT細胞に指示する。このようなCARはキメラ自己抗体受容体(CAA
R)と呼ぶことができ、それらの使用は本発明に包含される。
【0388】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外ドメインは、目的の抗原に対する
天然に存在するリガンド、または目的の抗原に結合する能力を保持する天然に存在するリ
ガンドの断片を含むことができる。
【0389】
CARは、ヒンジ領域またはスペーサ配列を介して細胞外リガンド結合ドメインを細胞
内シグナル伝達ドメインおよび共刺激ドメインと連結する膜貫通ドメインを含み得る。膜
貫通ドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来し得る。例えば
、膜貫通ポリペプチドは、T細胞受容体(例えば、CD3複合体を構成するα、β、γま
たはζポリペプチド)、IL2受容体p55(a鎖)、p75(β鎖)もしくはγ鎖、F
c受容体(例えば、Fcy受容体III)のサブユニット鎖、またはCD8アルファ鎖な
どのCDタンパク質のサブユニットであり得る。ある例では、膜貫通ドメインは、CD8
アルファドメインである。あるいは、膜貫通ドメインは合成であり得、ロイシンおよびバ
リンなどの疎水性残基を主に含み得る。
【0390】
ヒンジ領域は、膜貫通ドメインを細胞外リガンド結合ドメインに連結するように機能す
る任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを指す。例えば、ヒンジ領域は、最大300
個のアミノ酸、好ましくは10~100個のアミノ酸、最も好ましくは25~50個のア
ミノ酸を含み得る。ヒンジ領域は、天然に存在する分子の全部もしくは一部、例えばCD
8、CD4もしくはCD28の細胞外領域の全部もしくは一部、または抗体定常領域の全
部もしくは一部に由来し得る。あるいは、ヒンジ領域は、天然に存在するヒンジ配列に対
応する合成配列であってもよく、または完全に合成されたヒンジ配列であってもよい。特
定の例では、ヒンジドメインは、ヒトCD8アルファ鎖、FcyRllla受容体または
IgG1の一部を含み得る。ある例では、ヒンジ領域はCD8アルファドメインであり得
る。
【0391】
CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CARが配置された細胞の正常なエフェクタ
ー機能の少なくとも1つの活性化ならびに/または増殖および細胞生存経路の活性化を担
う。「エフェクター機能」という用語は、細胞の特殊化された機能を指す。T細胞のエフ
ェクター機能は、例えば、細胞溶解活性またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性で
あり得る。細胞内刺激ドメインは、抗原結合後に活性化シグナルをT細胞に伝達する1つ
または複数の細胞質シグナル伝達ドメインを含み得る。このような細胞質シグナル伝達ド
メインとしては、限定するものではないが、CD3ゼータシグナル伝達ドメインを挙げる
ことができる。
【0392】
細胞内刺激ドメインはまた、リガンド結合後に増殖および/または細胞生存シグナルを
伝達する1つまたは複数の細胞内共刺激ドメインを含み得る。場合によっては、共刺激ド
メインは、1つまたは複数のTRAF結合ドメインを含み得る。このような細胞内共刺激
ドメインは、当技術分野で公知のもののいずれかであり得、限定するものではないが、例
えば、Novel 6(「N6」)などの国際公開第2018/067697号パンフレ
ットに開示されている共刺激ドメインを挙げることができる。共刺激ドメインのさらなる
例としては、4-1BB(CD137)、CD27、CD28、CD8、OX40、CD
30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD
2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガン
ド、またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。特定の実施形態では、共刺
激ドメインはN6ドメインである。別の特定の実施形態では、共刺激ドメインは4-1B
B共刺激ドメインである。
【0393】
他の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、外因性T細胞受容体(TCR)をコードす
る核酸配列を含む。このような外因性T細胞受容体は、アルファ鎖およびベータ鎖を含む
ことができ、あるいはガンマ鎖およびデルタ鎖を含むことができる。本発明において有用
な外因性TCRは、限定するものではないが、本明細書に開示の任意の抗原またはエピト
ープなどの目的の任意の抗原またはエピトープに対する特異性を有し得る。
【0394】
特定の実施形態では、CARまたは外因性TCRは、任意のタイプのがん細胞に特異的
であり得る。このようながんとしては、限定するものではないが、癌腫、リンパ腫、肉腫
、芽細胞腫、白血病、B細胞起源のがん、乳がん、胃がん、神経芽細胞腫、骨肉腫、肺が
ん、黒色腫、前立腺がん、結腸がん、腎細胞癌腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、白血病および
ホジキンリンパ腫を挙げることができる。特定の実施形態では、がんおよび障害としては
、限定するものではないが、プレB ALL(小児適応症)、成人ALL、マントル細胞
リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、同種骨髄移植後のサルベージなどが挙げら
れる。これらのがんは、例えば、CD19、CD20、CD22および/またはROR1
を標的とするCARの組み合わせを使用して治療することができる。いくつかの非限定的
な例では、本開示の遺伝子改変免疫細胞またはその集団は、癌種、リンパ腫、肉腫、黒色
腫、芽細胞腫、白血病、および胚細胞腫瘍を標的とし、限定するものではないが、B細胞
起源のがん、神経芽細胞腫、骨肉腫、前立腺がん、腎細胞癌腫、肝がん、胃がん、骨がん
、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、乳がん、肺がん、皮膚または眼内の悪性黒色腫、腎
がん、子宮がん、卵巣がん、結腸直腸がん、結腸がん、直腸がん、肛門部がん、胃がん、
精巣がん、子宮がん、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部
の癌腫、非ホジキンリンパ腫、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん
、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、小児の固形
腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱のがん、腎臓または尿管のがん、腎盂の癌腫、中枢神経
系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠
腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、アスベストによって誘発され
るがんを含む環境誘発がん、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急
性骨髄性リンパ腫、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、免疫芽球性大細胞リンパ腫
、急性リンパ芽球性白血病、真菌症、未分化大細胞リンパ腫、およびT細胞リンパ腫、な
らびに前記がんの任意の組み合わせなどを標的とする。ある実施形態では、B細胞起源の
がんには、限定するものではないが、B系列急性リンパ芽球性白血病、B細胞慢性リンパ
球性白血病、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、プレB ALL(小児
適応症)、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ
腫、多発性骨髄腫およびB細胞非ホジキンリンパ腫が含まれる。いくつかの例では、がん
には、限定するものではないが、B細胞起源のがんまたは多発性骨髄腫が含まれ得る。い
くつかの例では、B細胞起源のがんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ
球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、または非ホジキンリンパ腫(
NHL)である。いくつかの例では、B細胞起源のがんは、マントル細胞リンパ腫(MC
L)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0395】
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子改変免疫細胞は、不活性化TCRアルファ遺
伝子および/または不活性化TCRベータ遺伝子を含む。本発明の遺伝子改変細胞を作製
するためのTCRアルファ遺伝子および/またはTCRベータ遺伝子の不活性化は、TC
Rアルファ遺伝子および/またはTCRベータ遺伝子が発現されている少なくとも一方ま
たは両方の対立遺伝子において起こる。したがって、一方または両方の遺伝子の不活性化
は、内因性TCRアルファ鎖または内因性TCRベータ鎖タンパク質の発現を妨げる。こ
れらのタンパク質の発現は、細胞表面上の内因性アルファ/ベータTCRの構築に必要で
ある。したがって、TCRアルファ遺伝子および/またはTCRベータ遺伝子の不活性化
は、内因性アルファ/ベータTCRの検出可能な細胞表面発現を有さない遺伝子改変免疫
をもたらす。内因性アルファ/ベータTCRはCD3を組み込んでいる。したがって、不
活性化TCRアルファ遺伝子および/またはTCRベータ鎖を有する細胞は、CD3の検
出可能な細胞表面発現を有し得ない。特定の実施形態では、不活性化遺伝子は、TCRア
ルファ定常領域(TRAC)遺伝子である。
【0396】
いくつかの例では、TCRアルファ遺伝子、TRAC遺伝子、またはTCRベータ遺伝
子は、遺伝子の切断部位への鋳型核酸の挿入によって不活性化される。鋳型核酸の挿入は
、内因性TCRアルファ鎖またはTCRベータ鎖の発現を破壊し、したがってT細胞表面
上の内因性アルファ/ベータTCRの構築を妨げる。いくつかの例において、鋳型核酸は
、TRAC遺伝子内に挿入される。特定の例では、鋳型核酸は、配列番号58(すなわち
、TRC 1-2認識配列)を含む操作されたメガヌクレアーゼ認識配列においてTRA
C遺伝子内に挿入される。特定の例では、CAR導入遺伝子は、配列番号58内のヌクレ
オチド位置13と14との間に挿入される。
【0397】
遺伝子改変免疫細胞がCARまたは外因性TCRを発現する実施形態のいくつかでは、
このような細胞は内因性T細胞受容体(例えば、アルファ/ベータT細胞受容体)の検出
可能な細胞表面発現を有さない。したがって、本発明はさらに、shRNAmiRを発現
し、内因性T細胞受容体(例えば、アルファ/ベータT細胞受容体)の検出可能な細胞表
面発現を有さず、いくつかの実施形態ではさらにCARまたは外因性TCRを発現する遺
伝子改変免疫細胞の集団を提供する。例えば、この集団は、CARを発現し(すなわち、
CAR+である)、または外因性T細胞受容体を発現し(すなわち、exoTCR+)、
内因性T細胞受容体の細胞表面発現を有さない(すなわち、TCR-である)、本発明の
複数の遺伝子改変免疫細胞を含み得る。
【0398】
本明細書で使用される場合、「内因性TCRの検出可能な細胞表面発現」とは、標準的
な実験方法を使用して免疫細胞の細胞表面上のTCR複合体(例えば、アルファ/ベータ
TCR複合体)の1つまたは複数の成分を検出する能力を指す。このような方法としては
、例えば、TCRアルファ鎖もしくはTCRベータ鎖などのTCR自体の成分、またはC
D3などの構築された細胞表面TCR複合体の成分に特異的な免疫染色および/またはフ
ローサイトメトリを挙げることができる。免疫細胞上の内因性TCR(例えば、アルファ
/ベータTCR)の細胞表面発現を検出する方法としては、本明細書の実施例に記載の方
法、および例えば、MacLeod et al.(2017)Molecular T
herapy25(4):949-961に記載されている方法が挙げられる。
【0399】
2.4 shRNAmiR標的タンパク質
本開示の組成物および方法の遺伝子改変免疫細胞は、任意の内因性タンパク質の発現を
低下させるshRNAmiRを含み、発現することができる。shRNAmiRを用いて
発現を低下させることができる内因性タンパク質の非限定的な例には、ベータ-2ミクロ
グロブリン(B2M)、トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体2(TGFBR2)
、Cblがん原遺伝子B(CBL-B)、CS1、CD52、デオキシシチジンキナーゼ
(DCK)、グルココルチコイド受容体(GR)、T細胞受容体アルファ遺伝子、および
T細胞受容体アルファ定常領域遺伝子が含まれる。
【0400】
A.ベータ-2ミクログロブリン
いくつかの実施形態では、shRNAmiR分子の発現の結果として発現レベルが低下
する内因性タンパク質は、B2Mである。B2Mは主要組織適合遺伝子複合体(MHC)
クラスI分子の成分であり、B2Mが存在しなければこの分子は細胞表面に構築されない
。MHCクラスI分子は、B2Mに加えて、α1、α2、およびα3タンパク質から構成
される。MHCクラスI分子内で、B2Mタンパク質は、α3タンパク質の横に位置し、
細胞表面のα1タンパク質の下に位置する。B2Mは膜貫通領域を欠き、MHCクラスI
分子のペプチド結合溝の安定性に必要である。
【0401】
shRNAmiR分子は、B2M mRNAの任意の領域を標的とし得る。代表的なB
2M mRNAおよびタンパク質の配列は、当技術分野で公知である。B2M mRNA
配列の非限定的な例は、NCBIアクセッション番号NM_004048.3であり、B
2Mタンパク質配列はNCBIアクセッション番号NP_004039.1である。
【0402】
B2Mの発現がshRNAmiRによって低下するそれらの実施形態のいくつかでは、
B2Mの細胞表面発現は、対照細胞(例えば、B2M標的化shRNAmiRを発現しな
い細胞)と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、
約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、
約95%、または最大約99%低下する。
【0403】
B2Mが細胞表面上のMHCクラスI分子の構築に必要であることを考えると、B2M
の発現が低下した細胞はまた、細胞表面上のMHCクラスI分子の減少を示す。これらの
実施形態のいくつかでは、細胞表面上のMHCクラスI分子の発現は、対照細胞(例えば
、B2M標的化shRNAmiRを発現しない細胞)と比較して、少なくとも約10%、
約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、
約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約99%低下する。
【0404】
B2Mを標的とするshRNAmiR分子は、B2M遺伝子内の配列に(完全または部
分的に)相補的な任意のパッセンジャー配列および対応するガイド配列を含み得る。いく
つかの実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それ
ぞれ配列番号17および18として示される配列を含む(例えば、B2M 7289 s
hRNAmiR)。特定の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列および
ガイド配列は、それぞれ配列番号7および8として示される配列を含む(例えば、B2M
7282 shRNAmiR)。他の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャ
ー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号9および10として示される配列を含む(
例えば、B2M 7285 shRNAmiR)。さらに他の実施形態では、shRNA
miRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号11および12とし
て示される配列を含む(例えば、B2M 7286 shRNAmiR)。さらに他の実
施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列
番号13および14として示される配列を含む(例えば、B2M 7287 shRNA
miR)。特定の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配
列は、それぞれ配列番号15および16として示される配列を含む(例えば、B2M 7
288 shRNAmiR)。ある実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配
列およびガイド配列は、それぞれ配列番号19および20として示される配列を含む(例
えば、B2M 7290 shRNAmiR)。
【0405】
B2M標的化shRNAmiRは、配列番号41~47のいずれか1つに示される核酸
配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少
なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも
90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、
少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくと
も99%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含み得る。特定の実施形態では
、shRNAmiRは、配列番号41~47のいずれか1つに示される配列を含む。いく
つかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号41に示される配列を含む。いくつ
かの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号42に示される配列を含む。いくつか
の実施形態では、shRNAmiRは、配列番号43に示される配列を含む。いくつかの
実施形態では、shRNAmiRは、配列番号44に示される配列を含む。いくつかの実
施形態では、shRNAmiRは、配列番号45に示される配列を含む。いくつかの実施
形態では、shRNAmiRは、配列番号46に示される配列を含む。いくつかの実施形
態では、shRNAmiRは、配列番号47に示される配列を含む。
【0406】
B2MおよびMHCクラスI分子のレベルが低下した細胞は、対照細胞(例えば、B2
M標的化shRNAmiRを発現しない細胞)と比較して、同種異系性の低下を示し得る
。本明細書で使用される場合、「同種異系性」という用語は、細胞が「他の」または自己
ではないものとして免疫系によって認識され作用される能力を指す。同種異系性は、プラ
イミングされた同種異系抗原特異的CTLまたはNK細胞とのインキュベーション後に生
細胞のパーセンテージを定量した本明細書の他の箇所に記載される方法を含む、当技術分
野で公知の任意の方法を使用して測定することができる。
【0407】
B.CS1
いくつかの実施形態では、shRNAmiR分子の発現の結果として発現レベルが低下
する内因性タンパク質は、CS1(CCND3サブセット1、CRACC、CD319、
およびSLAMF7としても知られている)である。CS1は、シグナル伝達リンパ球活
性化分子(SLAM)関連受容体ファミリーのメンバーであり、正常なNK細胞、B細胞
、T細胞、樹状細胞、NK-T細胞、および単球の表面上に発現される。CS1は、多発
性骨髄腫細胞によって過剰発現され、多発性骨髄腫の免疫療法標的として機能する。
【0408】
shRNAmiR分子は、CS1 mRNAの任意の領域を標的とし得る。代表的なC
S1 mRNAおよびタンパク質の配列は、当技術分野で公知である。CS1 mRNA
配列の非限定的な例は、NCBIアクセッション番号NM_021181であり、CS1
タンパク質配列はNCBIアクセッション番号NP_067004.3である。
【0409】
CS1の発現がshRNAmiRによって低下する実施形態のいくつかでは、CS1の
細胞表面発現は、対照細胞(例えば、CS1標的化shRNAmiRを発現しない細胞)
と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%
、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%
、または最大約99%低下する。
【0410】
CS1を標的とするshRNAmiR分子は、CS1遺伝子内の配列に(完全または部
分的に)相補的な任意のパッセンジャー配列および対応するガイド配列を含み得る。いく
つかの実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それ
ぞれ配列番号21および22として示される配列を含む。いくつかの実施形態では、sh
RNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号23および2
4として示される配列を含む。いくつかの実施形態では、shRNAmiRのパッセンジ
ャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号25および26として示される配列を含
む。
【0411】
CS1標的化shRNAmiRは、配列番号48~50のいずれか1つに示される核酸
配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少
なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも
90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、
少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくと
も99%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含み得る。特定の実施形態では
、shRNAmiRは、配列番号48~50のいずれか1つに示される配列を含む。いく
つかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号48に示される配列を含む。いくつ
かの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号49に示される配列を含む。いくつか
の実施形態では、shRNAmiRは、配列番号50に示される配列を含む。
【0412】
遺伝子改変細胞がCS1の発現を低下させるshRNAmiRを発現する実施形態のい
くつかでは、遺伝子改変免疫細胞はCS1に対する特異性を有するCARを含む。CS1
に対する特異性を有するCARの非限定的な例としては、限定するものではないが、国際
公開第2014/179759号パンフレット、国際公開第2015121454号パン
フレットおよび国際公開第2016/090369号パンフレットに記載のものが挙げら
れる。
【0413】
shRNAmiR発現を介してCS1の発現がノックダウンされた細胞は、対照細胞(
例えば、CS1標的化shRNAmiRを発現しない細胞)と比較して、CS1に対する
特異性を有するCARを発現する遺伝子改変免疫細胞によるフラトリサイドを受けにくい
可能性がある。これは、多発性骨髄腫などの疾患の治療のためにCS1に対する特異性を
有するCAR発現細胞を使用する場合に有用であり、この場合、CAR発現細胞の長期存
在、したがって、疾患細胞(例えば、多発性骨髄腫細胞)の殺滅が望まれる。本明細書で
使用される場合、「フラトリサイド」という用語は、同様の遺伝子型および/または表現
型の細胞による細胞の殺滅を指す。CS1特異的CARを発現する遺伝子改変免疫細胞に
よるフラトリサイドは、限定するものではないが、CS1特異的shRNAmiRを発現
する免疫細胞とCS1特異的CARを発現する免疫細胞とのインキュベーション、および
生存shRNAmiR発現細胞の数の定量を含む、当技術分野で公知の任意の方法を使用
して測定することができる。
【0414】
C.TGFBR2
いくつかの実施形態では、shRNAmiR分子の発現の結果として発現レベルが低下
する内因性タンパク質は、トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体2(TGFBR2
)である。TGFBR2は、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFB)に結合す
る膜貫通受容体である。TGFBR2は、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼドメイ
ンを含み、他のTGFB受容体とヘテロ二量体化する。
【0415】
shRNAmiR分子は、TGFBR2 mRNAの任意の領域を標的とし得る。代表
的なB2M mRNAおよびタンパク質の配列は、当技術分野で公知である。TGFBR
2 mRNA配列の非限定的な例はNM_001024847.2であり、TGFBR2
タンパク質配列はNCBIアクセッション番号NP_001020018.1である。
【0416】
TGFBR2の発現がshRNAmiRによって低下する実施形態のいくつかでは、T
GFBR2の細胞表面発現は、対照細胞(例えば、TGFBR2標的化shRNAmiR
を発現しない細胞)と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、
約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、
約90%、約95%、または最大約99%低下する。
【0417】
TGFBR2を標的とするshRNAmiR分子は、TGFBR2遺伝子内の配列に(
完全または部分的に)相補的な任意のパッセンジャー配列および対応するガイド配列を含
み得る。いくつかの実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド
配列は、それぞれ配列番号27および28として示される配列を含む(例えば、TGFB
R2 721110 shRNAmiR)。他の実施形態では、shRNAmiRのパッ
センジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号29および30として示される配
列を含む(例えば、TGFBR2 721111 shRNAmiR)。さらに他の実施
形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番
号31および32として示される配列を含む(例えば、TGFBR2 721112 s
hRNAmiR)。さらに他の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列お
よびガイド配列は、それぞれ配列番号33および34として示される配列を含む(例えば
、TGFBR2 721113 shRNAmiR)。特定の実施形態では、shRNA
miRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号35および36とし
て示される配列を含む(例えば、TGFBR2 721114 shRNAmiR)。
【0418】
TGFBR2標的化shRNAmiRは、配列番号51~55のいずれか1つに示され
る核酸配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65
%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少な
くとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも9
4%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少
なくとも99%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含み得る。特定の実施形
態では、shRNAmiRは、配列番号51~55のいずれか1つに示される配列を含む
。いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号51に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号52に示される配列を含む。い
くつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号53に示される配列を含む。いく
つかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号54に示される配列を含む。いくつ
かの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号55に示される配列を含む。
【0419】
遺伝子改変免疫細胞がTGFBR2の発現を低下させるshRNAmiRを発現する実
施形態のいくつかでは、遺伝子改変免疫細胞は、対照細胞(例えば、TGFBR2標的化
shRNAmiRを発現しない免疫細胞)と比較して、トランスフォーミング増殖因子B
1(TGFB1)による免疫抑制を受けにくい。本明細書で使用される場合、「免疫抑制
」という用語は、免疫系の活性化または有効性の低下を指す。TGFB1による免疫抑制
は、限定するものではないが、T細胞の分化および/またはサイトカイン産生に対するT
GFB1の効果の測定を含む、当技術分野で公知の任意の方法を使用して測定することが
できる。
【0420】
D.CBL-B
いくつかの実施形態では、shRNAmiR分子の発現の結果として発現レベルが低下
する内因性タンパク質は、Cblがん原遺伝子B(CBL-B)である。CBL-Bは、
ユビキチンのタンパク質への結合を触媒し、したがって分解のためにタンパク質を標的化
するE3ユビキチンリガーゼである。
【0421】
shRNAmiR分子は、CBL-B mRNAの任意の領域を標的とし得る。代表的
なCBL-B mRNAおよびタンパク質の配列は、当技術分野で公知である。CBL-
B mRNA配列の非限定的な例は、NCBIアクセッション番号NM_170662.
5であり、CBL-Bタンパク質配列はNCBIアクセッション番号NP_733762
.2である。
【0422】
CBL-Bの発現がshRNAmiRによって低下する実施形態のいくつかでは、CB
L-Bの細胞表面発現は、対照細胞(例えば、CBL-B標的化shRNAmiRを発現
しない細胞)と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50
%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90
%、約95%、または最大約99%低下する。
【0423】
CBL-Bを標的とするshRNAmiR分子は、CBL-B遺伝子内の配列に(完全
または部分的に)相補的な任意のパッセンジャー配列および対応するガイド配列を含み得
る。
【0424】
遺伝子改変免疫細胞がCBL-Bの発現を低下させるshRNAmiRを発現する実施
形態のいくつかでは、遺伝子改変免疫細胞は、対照細胞(例えば、CBL-B標的化sh
RNAmiRを発現しない免疫細胞)と比較して、下流シグナル伝達タンパク質の分解に
よるT細胞受容体(TCR)シグナル伝達の抑制を受けにくい。CBLタンパク質は、p
85(PI3Kの調節サブユニット)、ホスホリパーゼC-g、ならびにLck、Fyn
およびZAP70などのチロシンキナーゼのターンオーバーを調節し、これらはすべてT
CRシグナル伝達に関与する(Lee et al.(2003)Science 30
2:1218-1222)。下流シグナル伝達タンパク質の分解によるTCRシグナル伝
達の抑制に対する感受性は、限定するものではないが、ELISA、フローサイトメトリ
、ウェスタンブロット、免疫細胞化学、および免疫沈降を含む当技術分野で公知の任意の
方法を使用して測定することができる。
【0425】
E.CD52
いくつかの実施形態では、shRNAmiR分子の発現の結果として発現レベルが低下
する内因性タンパク質は、CAmPATH-1抗原としても知られているCD52(分化
抗原群52)である。CD52は、成熟リンパ球の表面ならびに単球および樹状細胞上に
存在する糖タンパク質である。可溶性CD52分子は、シアル酸結合免疫グロブリン様レ
クチン10(Siglec10)と相互作用して、T細胞の増殖および活性化を阻害する
(Zhao et al.(2017)Inflamm Res 66(7):571-
578)。
【0426】
shRNAmiR分子は、CD52 mRNAの任意の領域を標的とし得る。代表的な
CD52 mRNAおよびタンパク質の配列は、当技術分野で公知である。CD52 m
RNA配列の非限定的な例は、NCBIアクセッション番号NM_001803.3であ
り、CD52タンパク質配列はNCBIアクセッション番号NP_001794.2であ
る。
【0427】
CD52の発現がshRNAmiRによって低下する実施形態のいくつかでは、CD5
2の細胞表面発現は、対照細胞(例えば、CD52標的化shRNAmiRを発現しない
細胞)と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約
55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約
95%、または最大約99%低下する。
【0428】
CD52を標的とするshRNAmiR分子は、CD52遺伝子内の配列に(完全また
は部分的に)相補的な任意のパッセンジャー配列および対応するガイド配列を含み得る。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、
それぞれ配列番号37および38として示される配列を含む(例えば、CD52 721
23 shRNAmiR)。他の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列
およびガイド配列は、それぞれ配列番号39および40として示される配列を含む(例え
ば、CD52 72124 shRNAmiR)。
【0429】
CD52標的化shRNAmiRは、配列番号56または57として示される核酸配列
と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なく
とも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90
%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少な
くとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも9
9%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、s
hRNAmiRは、配列番号56または57として示される配列を含む。いくつかの実施
形態では、shRNAmiRは、配列番号56に示される配列を含む。いくつかの実施形
態では、shRNAmiRは、配列番号57に示される配列を含む。
【0430】
遺伝子改変免疫細胞がCD52の発現を低下させるshRNAmiRを発現する実施形
態のいくつかでは、遺伝子改変免疫細胞はCD52抗体誘導細胞死を受けにくい。
【0431】
F.デオキシシチジンキナーゼ(DCK)
いくつかの実施形態では、shRNAmiR分子の発現の結果として発現レベルが低下
する内因性タンパク質は、デオキシシチジンキナーゼ(DCK)である。DCKは、主に
デオキシシチジンをリン酸化し、デオキシシチジン一リン酸に変換する。
【0432】
shRNAmiR分子は、DCK mRNAの任意の領域を標的とし得る。代表的なD
CK mRNAおよびタンパク質の配列は、当技術分野で公知である。DCK mRNA
配列の非限定的な例は、NCBIアクセッション番号NM_000788.3であり、D
CKタンパク質配列はNCBIアクセッション番号NP_000779.1である。
【0433】
DCKの発現がshRNAmiRによって低下する実施形態のいくつかでは、DCKの
細胞表面発現は、対照細胞(例えば、DCK標的化shRNAmiRを発現しない細胞)
と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%
、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%
、または最大約99%低下する。
【0434】
DCKを標的とするshRNAmiR分子は、DCK遺伝子内の配列に(完全または部
分的に)相補的な任意のパッセンジャー配列および対応するガイド配列を含み得る。いく
つかの実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それ
ぞれ配列番号76および77として示される配列を含む(例えば、DCK 72136
shRNAmiR)。他の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列および
ガイド配列は、それぞれ配列番号78および79として示される配列を含む(例えば、D
CK 72137 shRNAmiR)。他の実施形態では、shRNAmiRのパッセ
ンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号80および81として示される配列
を含む(例えば、DCK 72138 shRNAmiR)。他の実施形態では、shR
NAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号82および83
として示される配列を含む(例えば、DCK 72139 shRNAmiR)。他の実
施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列
番号84および85として示される配列を含む(例えば、DCK 72140 shRN
AmiR)。
【0435】
DCK標的化shRNAmiRは、配列番号86~90のいずれか1つに示される核酸
配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少
なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも
90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、
少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくと
も99%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含み得る。特定の実施形態では
、shRNAmiRは、配列番号86~90のいずれか1つに示される配列を含む。いく
つかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号86に示される配列を含む。いくつ
かの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号87に示される配列を含む。いくつか
の実施形態では、shRNAmiRは、配列番号88に示される配列を含む。いくつかの
実施形態では、shRNAmiRは、配列番号89に示される配列を含む。いくつかの実
施形態では、shRNAmiRは、配列番号90に示される配列を含む。
【0436】
遺伝子改変免疫細胞がDCKの発現を低下させるshRNAmiRを発現する実施形態
のいくつかでは、遺伝子改変免疫細胞は、細胞増殖に対するプリンヌクレオシド類似体(
例えば、フルダラビン)の影響を受けにくい。実際、DCKの発現が低下した遺伝子改変
免疫細胞は、細胞集団と、フルダラビンなどのプリンヌクレオシド類似体とのインキュベ
ーションによって濃縮することができる。さらに、DCKの発現が低下した遺伝子改変免
疫細胞(例えば、CAR T細胞)は、治療の経過中にフルダラビンなどのプリンヌクレ
オシド類似体を投与した場合、免疫療法中にインビボでより高い持続性を有し得る。
【0437】
G.グルココルチコイド受容体(GR)
いくつかの実施形態では、shRNAmiR分子の発現の結果として発現レベルが低下
する内因性タンパク質は、グルココルチコイド受容体(GR)である。コルチゾールまた
はデキサメタゾンなどのグルココルチコイドの結合は、細胞におけるトランス活性化また
はトランス抑制につながり得る、ヒートショックタンパク質などのタンパク質の放出を誘
導する可能性がある。
【0438】
shRNAmiR分子は、GR mRNAの任意の領域を標的とし得る。代表的なGR
mRNAおよびタンパク質の配列は、当技術分野で公知である。GR mRNA配列の
非限定的な例は、NCBIアクセッション番号AM183262.1である。
【0439】
GRの発現がshRNAmiRによって低下する実施形態のいくつかでは、GRの発現
は、対照細胞(例えば、GR標的化shRNAmiRを発現しない細胞)と比較して、少
なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約
65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または最大約
99%低下する。
【0440】
GRを標的とするshRNAmiR分子は、GR遺伝子内の配列に(完全または部分的
に)相補的な任意のパッセンジャー配列および対応するガイド配列を含み得る。いくつか
の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ
配列番号91および92として示される配列を含む(例えば、GR 72142 shR
NAmiR)。他の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド
配列は、それぞれ配列番号93および94として示される配列を含む(例えば、GR 7
2143 shRNAmiR)。他の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー
配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号95および96として示される配列を含む(
例えば、GR 72145 shRNAmiR)。他の実施形態では、shRNAmiR
のパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号97および98として示さ
れる配列を含む(例えば、GR 72146 shRNAmiR)。他の実施形態では、
shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号99およ
び100として示される配列を含む(例えば、GR 72148 shRNAmiR)。
他の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞ
れ配列番号101および102として示される配列を含む(例えば、GR 72149
shRNAmiR)。他の実施形態では、shRNAmiRのパッセンジャー配列および
ガイド配列は、それぞれ配列番号103および104として示される配列を含む(例えば
、GR 72150 shRNAmiR)。他の実施形態では、shRNAmiRのパッ
センジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号105および106として示され
る配列を含む(例えば、GR 72151 shRNAmiR)。他の実施形態では、s
hRNAmiRのパッセンジャー配列およびガイド配列は、それぞれ配列番号107およ
び108として示される配列を含む(例えば、GR 72152 shRNAmiR)。
【0441】
GR標的化shRNAmiRは、配列番号109~117のいずれか1つに示される核
酸配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、
少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくと
も90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%
、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なく
とも99%、またはそれを超える配列同一性を有する配列を含み得る。特定の実施形態で
は、shRNAmiRは、配列番号109~117のいずれか1つに記載の配列を含む。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号109に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号110に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号111に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号112に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号113に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号114に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号115に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号116に示される配列を含む。
いくつかの実施形態では、shRNAmiRは、配列番号117に示される配列を含む。
【0442】
遺伝子改変免疫細胞がGRの発現を低下させるshRNAmiRを発現する実施形態の
いくつかでは、遺伝子改変免疫細胞は、コルチゾールまたはデキサメタゾンなどのグルコ
コルチコイドの影響、例えば増殖の低下を受けにくい。実際、GRの発現が低下した遺伝
子改変免疫細胞は、細胞集団とグルココルチコイドとのインキュベーションによって濃縮
することができる。さらに、GRの発現が低下した遺伝子改変免疫細胞(例えば、CAR
T細胞)は、治療の経過中にグルココルチコイド(例えば、ステロイド)を投与した場
合、免疫療法中にインビボでより高い持続性を有し得る。
【0443】
2.5 内因性タンパク質の発現を低下させる方法
本発明は、shRNAmiRをコードする核酸配列を含む鋳型核酸を細胞に導入し、そ
れによって鋳型核酸がゲノムに挿入され、発現されることによって、免疫細胞において内
因性タンパク質の発現を低下させる方法を提供する。
【0444】
鋳型核酸は、ランダムな組み込みによって免疫細胞のゲノム内に挿入することができる
。あるいは、鋳型核酸は、ヌクレアーゼ媒介標的挿入によって標的遺伝子内に挿入するこ
とができ、操作されたヌクレアーゼは、免疫細胞のゲノム内の認識配列に対して特異性を
有し、認識配列に切断部位を生成し、免疫細胞のゲノム内への鋳型核酸の挿入を切断部位
において可能にする。
【0445】
操作されたメガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、コンパク
トTALEN、CRISPRシステムヌクレアーゼ、またはmegaTALを含む任意の
操作されたヌクレアーゼを、鋳型核酸の標的挿入に使用することができる。
【0446】
例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ゲノム中の所定の部位を認識お
よび切断するように操作することができる。ZFNは、エンドヌクレアーゼまたはエキソ
ヌクレアーゼ(例えば、FokI制限酵素などのII型制限エンドヌクレアーゼ)由来の
ヌクレアーゼドメインに融合されたジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むキメラタ
ンパク質である。ジンクフィンガードメインは、天然配列であり得るか、長さが約18塩
基対の所定のDNA配列に結合するタンパク質を産生するように、合理的または実験的手
段によって再設計されてもよい。この操作されたタンパク質ドメインをヌクレアーゼドメ
インに融合することにより、ゲノムレベルの特異性でDNA切断を標的化することが可能
である。ZFNは、広範囲の真核生物における遺伝子の付加、除去および置換を標的とす
るために広く使用されている(S.Durai et al.,Nucleic Aci
ds Res 33,5978(2005)に概説されている)。
【0447】
同様に、TAL-エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を作製して、ゲノムDNA
の特定の部位を切断することができる。ZFNと同様に、TALENは、エンドヌクレア
ーゼまたはエキソヌクレアーゼ(例えば、FokI制限酵素などのII型制限エンドヌク
レアーゼ)に融合された操作された部位特異的DNA結合ドメインを含む(Mak,et
al.(2013)Curr Opin Struct Biol.23:93-9に
概説されている)。しかしながら、この場合、DNA結合ドメインは、それぞれが単一の
DNA塩基対を特異的に認識するTAL-エフェクタードメインのタンデムアレイを含む
【0448】
コンパクトTALENは、二量体化の必要性を回避する代替的なエンドヌクレアーゼア
ーキテクチャである(Beurdeley,et al.(2013)Nat Comm
un.4:1762)。コンパクトTALENは、I-TevIホーミングエンドヌクレ
アーゼまたは米国特許出願公開第20130117869号明細書の表2に列挙されてい
るエンドヌクレアーゼのいずれかに由来するヌクレアーゼドメインに融合された、操作さ
れた部位特異的TAL-エフェクターDNA結合ドメインを含む。コンパクトTALEN
は、DNAプロセシング活性のために二量体化を必要としないので、コンパクトTALE
Nは単量体として機能的である。
【0449】
CRISPR/Casシステムに基づく操作されたエンドヌクレアーゼも当技術分野で
公知である(Ran,et al.(2013)Nat Protoc.8:2281-
2308;Mali et al.(2013)Nat Methods.10:957
-63)。CRISPRシステムは、2つの構成要素:(1)CRISPRヌクレアーゼ
;(2)ヌクレアーゼをゲノム中の目的の位置に指向させる約20ヌクレオチドの標的化
配列を含む短鎖「ガイドRNA」、を含む。CRISPRシステムはまた、tracrR
NAを含み得る。各々が異なる標的化配列を有する複数のガイドRNAを同じ細胞内で発
現させることにより、DNA切断をゲノム内の複数の部位に同時に標的化することが可能
である。
【0450】
12塩基対を超える認識配列において二本鎖DNAに結合する操作されたメガヌクレア
ーゼを、本開示の方法に使用することができる。メガヌクレアーゼは、I-CreIに由
来するエンドヌクレアーゼであり得、例えば、DNA結合特異性、DNA切断活性、DN
A結合親和性、または二量体化特性に関して天然のI-CreIと比較して改変された、
I-CreIの操作された変異体を指し得る。I-CreIのこのような改変された変異
体を作製するための方法は、当技術分野で公知である(例えば、国際公開第2007/0
47859号パンフレット、当該文献は参照によりその全体が組み込まれる)。本明細書
で使用されるメガヌクレアーゼは、ヘテロ二量体として二本鎖DNAに結合する。メガヌ
クレアーゼはまた、一対のDNA結合ドメインがペプチドリンカーを使用して単一のポリ
ペプチドに連結されている「単鎖メガヌクレアーゼ」であり得る。
【0451】
megaTALと呼ばれるヌクレアーゼは、転写活性化因子様エフェクター(TALE
)DNA結合ドメインおよび操作された配列特異的ホーミングエンドヌクレアーゼを含む
単鎖エンドヌクレアーゼである。
【0452】
特定の実施形態では、操作されたヌクレアーゼの認識配列は標的遺伝子内にある。標的
遺伝子は、配列が変更されること(例えば、ヌクレオチドの付加もしくは削除、ヌクレオ
チドの置換、または異種もしくは外因性配列の挿入)が望ましい任意の遺伝子であり得る
。例えば、遺伝子不活性化による標的遺伝子のノックアウトが望ましい場合がある。いく
つかの実施形態では、標的遺伝子はTCRアルファ遺伝子またはTCRベータ遺伝子であ
る。特定の実施形態では、標的遺伝子は、TCRアルファ定常領域(TRAC)遺伝子で
あり得る。いくつかの具体的な実施形態では、標的遺伝子はTRAC遺伝子であり、認識
配列は配列番号58に示されるTRC 1-2認識配列である。
【0453】
これらの実施形態のいくつかでは、鋳型核酸の標的遺伝子への挿入は、標的遺伝子によ
ってコードされる完全長内因性タンパク質の発現の破壊をもたらす。したがって、標的遺
伝子がTCRアルファ遺伝子、TRAC遺伝子、またはTCRベータ遺伝子である実施形
態のいくつかでは、内因性TCRが、これらの遺伝子によってコードされる内因性タンパ
ク質の非存在下で細胞表面に適切に構築されないので、遺伝子改変免疫細胞は、アルファ
/ベータTCRなどの内因性TCRの検出可能な細胞表面発現を有さない。
【0454】
遺伝子改変免疫細胞が、アルファ/ベータTCRの成分をコードする遺伝子の不活性化
に起因して、内因性TCR(例えば、アルファ/ベータTCR)の検出可能な細胞表面発
現を有さない特定の実施形態では、遺伝子改変免疫細胞は、CARまたは外因性TCRお
よび/またはHLA-E融合タンパク質をさらに発現する。CARまたは外因性TCRお
よび/またはHLA-E融合タンパク質は、鋳型核酸内に含まれる配列によってコードさ
れ得る。これらの実施形態のいくつかでは、CAR/TCRコード配列および/またはH
LA-E融合タンパク質コード配列は、shRNAmiRコード配列とは異なるプロモー
タに作動可能に連結されている。代替的な実施形態では、CAR/TCRコード配列およ
び/またはHLA-E融合タンパク質コード配列は、shRNAmiRコード配列と同じ
プロモータまたは異なるプロモータに作動可能に連結されている。CAR/TCRコード
配列および/またはHLA-E融合タンパク質コード配列は、shRNAmiRコード配
列の5’または3’であり得、コード配列は、同じ向きまたは異なる向き、例えば5’か
ら3’または3’から5’であり得る。さらに、コード配列は、同じ核酸分子からの2つ
以上の遺伝子(すなわち、シストロン)の翻訳を可能にするために、当技術分野で公知の
エレメント、限定するものではないが、IRESエレメント、T2Aエレメント、P2A
エレメント(例えば、P2A/フューリン)、E2Aエレメント、およびF2Aエレメン
トなどによって分離され得る。
【0455】
内因性TCRの発現を破壊するためのヌクレアーゼの使用、例えば、ジンクフィンガー
ヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、
メガTAL、およびCRISPRシステムの使用が開示されている(例えば、Osbor
n et al.(2016),Molecular Therapy 24(3):5
70-581;Eyquem et al.(2017),Nature 543:11
3-117;米国特許第8,956,828号明細書;米国特許出願公開第2014/0
301990号明細書;米国特許出願公開第2012/0321667号明細書)。ヒト
TRAC遺伝子のDNA標的を切断するための操作されたメガヌクレアーゼの具体的な使
用も以前に開示されている。例えば、国際公開第2014/191527号パンフレット
があり、これはTCRアルファ定常領域遺伝子のエクソン1内の認識配列を標的とするよ
うに操作されたI-OnuIメガヌクレアーゼの変異体を開示した。
【0456】
さらに、国際公開第2017/062439号パンフレットおよび国際公開第2017
/062451号パンフレットにおいて、出願人らは、TCRアルファ定常領域(TRA
C)遺伝子のエクソン1中の認識配列に対して特異性を有する操作されたメガヌクレアー
ゼを開示した。これらには、TRAC遺伝子のエクソン1中のTRC 1-2認識配列(
配列番号58)に特異性を有する「TRC 1-2メガヌクレアーゼ」が含まれた。公報
’439および’451はまた、CARコード配列または外因性TCRコード配列をTC
R 1-2メガヌクレアーゼ切断部位へ標的挿入するための方法を開示した。
【0457】
特定の実施形態では、本発明を実施するために使用されるヌクレアーゼは、単鎖メガヌ
クレアーゼである。単鎖メガヌクレアーゼは、リンカーペプチドによって連結されたN末
端サブユニットおよびC末端サブユニットを含む。2つのドメインの各々は、認識配列の
半分(すなわち、認識ハーフサイト)を認識し、DNA切断の部位は、2つのサブユニッ
トの界面付近の認識配列の中央にある。DNA鎖切断は、メガヌクレアーゼによるDNA
切断が一対の4塩基対の3’一本鎖オーバーハングを生成するように、4塩基対によって
オフセットされる。
【0458】
操作されたヌクレアーゼは、タンパク質の形態で、または好ましくは操作されたヌクレ
アーゼをコードする核酸として細胞に送達され得る。このような核酸は、DNA(例えば
、環状または線状化プラスミドDNAまたはPCR産物)またはRNA(例えば、mRN
A)であり得る。操作されたヌクレアーゼコード配列がDNA形態で送達される実施形態
の場合、それは、ヌクレアーゼ遺伝子の転写を促進するためにプロモータに作動可能に連
結されなければならない。本発明に適した哺乳動物プロモータには、サイトメガロウイル
ス初期(CMV)プロモータ(Thomsen et al.(1984),Proc
Natl Acad Sci USA.81(3):659-63)またはSV40初期
プロモータ(Benoist and Chambon(1981),Nature.2
90(5804):304-10)などの構成的プロモータ、ならびにテトラサイクリン
誘導性プロモータなどの誘導性プロモータ(Dingermann et al.(19
92),Mol Cell Biol.12(9):4038-45)が含まれる。操作
されたヌクレアーゼをコードする核酸はまた、合成プロモータに作動可能に連結され得る
。合成プロモータとしては、限定するものではないが、JeTプロモータ(国際公開第2
002/012514号パンフレット)を挙げることができる。
【0459】
ある実施形態では、操作されたヌクレアーゼをコードする核酸配列は、組換えDNA構
築物または発現カセット上に送達される。例えば、組換えDNA構築物は、プロモータと
本明細書に記載の操作されたヌクレアーゼをコードする核酸配列とを含む発現カセット(
すなわち、「カセット」)を含むことができる。
【0460】
いくつかの実施形態では、操作されたヌクレアーゼをコードするmRNAは、これが、
操作されたヌクレアーゼをコードする遺伝子が細胞のゲノムに統合される可能性を低減す
るので、細胞に送達される。
【0461】
操作されたヌクレアーゼをコードするmRNAは、インビトロ転写などの当技術分野で
公知の方法を使用して作製することができる。いくつかの実施形態では、mRNAは、改
変された5’キャップを含む。このような改変5’キャップは当技術分野で公知であり、
限定するものではないが、アンチリバースキャップ類似体(ARCA)(米国特許第70
74596号)、7-メチル-グアノシン、CleanCap(登録商標)類似体、例え
ばCap 1類似体(Trilink;San Diego、CA)を挙げることができ
、または例えばワクシニアキャップ酵素などを使用して酵素的にキャップされる。いくつ
かの実施形態では、mRNAはポリアデニル化され得る。mRNAは、コードされた操作
されたヌクレアーゼの発現および/またはmRNA自体の安定性を増強するために、さま
ざまな5’および3’非翻訳配列エレメントを含有し得る。このようなエレメントには、
例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス翻訳後調節エレメントなどの翻訳後調節エレメント
が含まれ得る。
【0462】
mRNAは、プソイドウリジン、5-メチルシチジン、N6-メチルアデノシン、5-
メチルウリジンまたは2-チオウリジンなどのヌクレオシド類似体または天然に存在する
ヌクレオシドを含有し得る。さらなるヌクレオシド類似体としては、例えば、米国特許第
8,278,036号明細書に記載のものが挙げられる。
【0463】
別の特定の実施形態では、操作されたヌクレアーゼをコードする核酸は、一本鎖DNA
鋳型を使用して細胞に導入することができる。一本鎖DNAは、操作されたヌクレアーゼ
をコードする配列の上流および/または下流に5’および/または3’AAV逆位末端反
復配列(ITR)をさらに含むことができる。他の実施形態では、一本鎖DNAは、操作
されたヌクレアーゼをコードする配列の上流および/または下流に5’および/または3
’相同アームをさらに含むことができる。
【0464】
別の特定の実施形態では、ヌクレアーゼをコードする遺伝子は、線状化DNA鋳型を使
用して細胞に導入することができる。いくつかの例では、ヌクレアーゼをコードするプラ
スミドDNAは、環状プラスミドDNAが細胞に導入される前に線状化されるように、1
つまたは複数の制限酵素によって消化され得る。
【0465】
精製されたヌクレアーゼタンパク質を細胞内に送達してゲノムDNAを切断することが
でき、これにより、本明細書で以下にさらに詳述するものを含む、当技術分野で公知のさ
まざまな異なる機序によって、切断部位における目的の配列との相同組換えまたは非相同
末端結合が可能になる。
【0466】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼタンパク質、またはヌクレアーゼをコードする
DNA/mRNAは、細胞取り込みを促進するために細胞透過性ペプチドまたは標的化リ
ガンドに結合される。当技術分野で公知の細胞透過性ペプチドの例としては、ポリアルギ
ニン(Jearawiriyapaisarn,et al.(2008)Mol Th
er.16:1624-9)、HIVウイルス由来のTATペプチド(Hudecz e
t al.(2005),Med.Res.Rev.25:679-736)、MPG(
Simeoni,et al.(2003)Nucleic Acids Res.31
:2717-2724)、Pep-1(Deshayes et al.(2004)B
iochemistry 43:7698-7706)、およびHSV-1 VP-22
(Deshayes et al.(2005)Cell Mol Life Sci.
62:1839-49)が挙げられる。代替的な実施形態では、ヌクレアーゼタンパク質
、またはヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、標的細胞上に発現される特異的
細胞表面受容体を認識する抗体に共有結合または非共有結合して、ヌクレアーゼタンパク
質/DNA/mRNAが標的細胞に結合し、標的細胞によって内在化されるようにする。
あるいは、ヌクレアーゼタンパク質/DNA/mRNAは、このような細胞表面受容体の
天然リガンド(または天然リガンドの一部)に共有結合または非共有結合することができ
る。(McCall,et al.(2014)Tissue Barriers.2(
4):e944449;Dinda,et al.(2013)Curr Pharm
Biotechnol.14:1264-74;Kang,et al.(2014)C
urr Pharm Biotechnol.15(3):220-30;Qian e
t al.(2014)Expert Opin Drug Metab Toxico
l.10(11):1491-508)。
【0467】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼタンパク質、またはヌクレアーゼをコードする
DNA/mRNAは、当技術分野で公知の方法(Sharma,et al.(2014
)Biomed Res Int.2014)を使用して、ナノ粒子に共有結合もしくは
好ましくは非共有結合されるか、またはこのようなナノ粒子内に封入される。ナノ粒子は
、長さスケールが1μm未満、好ましくは100nm未満であるナノスケール送達システ
ムである。このようなナノ粒子は、金属、脂質、ポリマー、または生物学的高分子で構成
されたコアを使用して設計することができ、複数コピーのヌクレアーゼタンパク質、mR
NA、またはDNAをナノ粒子コアに付着させる、または封入することができる。これは
、各細胞に送達されるタンパク質/mRNA/DNAのコピー数を増加させ、したがって
、各ヌクレアーゼの細胞内発現を増加させて、標的認識配列が切断される可能性を最大に
する。このようなナノ粒子の表面は、ポリマーまたは脂質(例えば、キトサン、カチオン
性ポリマーまたはカチオン性脂質)でさらに改変されて、コア-シェルナノ粒子を形成す
ることができ、その表面に細胞送達およびペイロードの取り込みを増強するための追加の
機能性が付与される(Jian et al.(2012)Biomaterials.
33(30):7621-30)。ナノ粒子は、ナノ粒子を適切な細胞型に指向させるた
め、および/または細胞取り込みの可能性を高めるために、標的化分子にさらに有利に結
合され得る。このような標的化分子の例としては、細胞表面受容体に特異的な抗体および
細胞表面受容体の天然リガンド(または天然リガンドの一部)が挙げられる。
【0468】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼタンパク質またはヌクレアーゼをコードするD
NA/mRNAは、リポソーム内に封入されるか、またはカチオン性脂質を使用して複合
体化される(例えば、Lipofectamine(商標)、Life Technol
ogies Corp.、Carlsbad,CA;Zuris et al.(201
5)Nat Biotechnol.33:73-80;Mishra et al.(
2011)J Drug Deliv.2011:863734を参照されたい)。リポ
ソームおよびリポプレックス製剤は、ペイロードを分解から保護し、標的細胞の細胞膜と
の融合および/または細胞膜の破壊を通じて細胞取り込みおよび送達効率を促進すること
ができる。
【0469】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼタンパク質、またはヌクレアーゼをコードする
DNA/mRNAは、ポリマー足場(例えば、PLGA)内に封入されるか、またはカチ
オン性ポリマー(例えば、PEI、PLL)を使用して複合体化される(Tamboli
et al.(2011)Ther Deliv.2(4):523-536)。ポリ
マー担体は、ポリマー侵食および薬物拡散の制御によって調整可能な薬物放出速度を提供
するように設計することができ、高い薬物封入効率は、所望の標的細胞集団への細胞内送
達まで治療用ペイロードの保護を提供することができる。
【0470】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼタンパク質、または組換えヌクレアーゼをコー
ドするDNA/mRNAは、ミセル内に自己集合する両親媒性分子と組み合わされる(T
ong et al.(2007)J Gene Med.9(11):956-66)
。ポリマーミセルは、凝集を防止し、電荷相互作用をマスクし、非特異的相互作用を低減
することができる親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)で形成されたミセ
ルシェルを含み得る。
【0471】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼタンパク質、またはメガヌクレアーゼをコード
するDNA/mRNAは、標的細胞への投与および/または送達のためにエマルジョンま
たはナノエマルジョン(すなわち、1nm未満の平均粒径を有する)に製剤化される。「
エマルジョン」という用語は、限定するものではないが、水不混和性相が水相と混合され
た場合に、無極性残基(例えば、長鎖炭化水素)を水から遠ざけ、極性頭部基を水に向け
る疎水力の結果として形成することができる脂質構造を含む、任意の水中油型、油中水型
、水中油中水型、または油中水中油型の分散液または液滴を指す。これらの他の脂質構造
としては、限定するものではないが、単層、少層、および多層の脂質小胞、ミセル、およ
びラメラ相が挙げられる。エマルジョンは、水相および親油性相(典型的には油および有
機溶媒を含有する)から構成される。エマルジョンはまた、1つまたは複数の界面活性剤
を含むことが多い。ナノエマルジョン製剤は周知であり、例えば、米国特許出願公開第2
002/0045667号および同第2004/0043041号明細書、ならびに米国
特許第6,015,832号、同第6,506,803号、同第6,635,676号お
よび同第6,559,189号明細書に記載されており、これらの各々は、その全体が参
照により本明細書に組み込まれる。
【0472】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼタンパク質、またはヌクレアーゼをコードする
DNA/mRNAは、多機能ポリマーコンジュゲート、DNAデンドリマー、およびポリ
マーデンドリマーに共有結合または非共有結合する(Mastorakos et al
.(2015)Nanoscale.7(9):3845-56;Cheng et a
l.(2008)J Pharm Sci.97(1):123-43)。デンドリマー
生成は、ペイロードの容量およびサイズを制御することができ、高い薬物ペイロード容量
を提供することができる。さらに、複数の表面基の表示を利用して、安定性を改善し、非
特異的相互作用を低減させ、細胞特異的標的化および薬物放出を増強することができる。
【0473】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼをコードする遺伝子は、ウイルスベクター(す
なわち、組換えウイルス)を使用して送達される。このようなベクターは当技術分野で公
知であり、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター
、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが含まれる(Vannucci,et
al.(2013)New Microbiol.36:1-22)。本発明で有用な組
換えAAVベクターは、細胞へのウイルスの形質導入および細胞ゲノムへのヌクレアーゼ
遺伝子の挿入を可能にする任意の血清型を有することができる。特定の実施形態では、組
換えAAVベクターは、AAV2またはAAV6の血清型を有する。AAVベクターはま
た、自己相補的であり得、したがって、宿主細胞において第2鎖DNA合成を必要としな
い(McCarty,et al.(2001)Gene Ther.8:1248-5
4)。本明細書に開示の鋳型核酸を送達するものを含む組換えAAVベクターによって送
達されるポリヌクレオチドは、左(5’)および右(3’)逆位末端反復配列を含み得る
【0474】
ヌクレアーゼ遺伝子がDNA形態(例えば、プラスミド)で、および/またはウイルス
ベクター(例えばAAV)を介して送達される場合、それらはプロモータに作動可能に連
結されなければならない。いくつかの実施形態では、これは、ウイルスベクター(例えば
レンチウイルスベクターのLTR)由来の内因性プロモータ、または周知のサイトメガロ
ウイルスプロモータもしくはSV40ウイルス初期プロモータなどのウイルスプロモータ
であり得る。好ましい実施形態では、ヌクレアーゼ遺伝子は、標的細胞(例えば、T細胞
)において遺伝子発現を優先的に駆動するプロモータに作動可能に連結される。
【0475】
CAR/TCRコード配列および/またはHLA-E融合タンパク質コード配列は、さ
らなる制御配列をさらに含むことができる。例えば、配列は、相同組換えエンハンサー配
列、コザック配列、ポリアデニル化配列、転写終結配列、選択マーカー配列(例えば、抗
生物質耐性遺伝子)、複製起点などを含み得る。操作されたヌクレアーゼをコードする配
列はまた、少なくとも1つの核局在化シグナルを含み得る。核局在化シグナルの例は、当
技術分野で公知である(例えば、Lange et al.,J.Biol.Chem.
,2007,282:5101-5105を参照されたい)。
【0476】
本発明はさらに、標的遺伝子への鋳型核酸の導入を提供する。いくつかの実施形態では
、鋳型核酸は、インサートの要素に隣接する5’相同アームおよび3’相同アームを含む
。このような相同アームは、切断部位が生成されるヌクレアーゼ認識配列の5’上流およ
び3’下流の対応する配列と配列相同性を有する。一般に、相同アームは、少なくとも5
0塩基対、好ましくは少なくとも100塩基対、最大2000塩基対以上の長さを有する
ことができ、ゲノム中のそれらの対応する配列と少なくとも90%、好ましくは少なくと
も95%、またはそれを超える配列相同性を有することができる。
【0477】
本明細書に開示の鋳型核酸(例えば、shRNAmiRをコードするもの、CARもし
くは外因性TCRをコードする核酸、および/またはHLA-E融合タンパク質をコード
する核酸)は、前述の手段のいずれかによって細胞に導入することができる。特定の実施
形態では、鋳型核酸は、ウイルスベクター(すなわち、組換えウイルス)、例えば組換え
レンチウイルス、組換えレトロウイルス、組換えアデノウイルス、または好ましくは組換
えAAVベクター(すなわち、組換えAAV)によって導入される。外因性核酸(例えば
、鋳型核酸)を導入するのに有用な組換えAAVベクターは、ウイルスの細胞への形質導
入および外因性核酸配列の細胞ゲノムへの挿入を可能にする任意の血清型を有することが
できる。特定の実施形態では、組換えAAVベクターは、AAV2またはAAV6の血清
型を有する。組換えAAVベクターはまた、自己相補的であり得、したがって、宿主細胞
において第2鎖DNA合成を必要としない。
【0478】
別の特定の実施形態では、本明細書に開示の鋳型核酸(例えば、shRNAmiRをコ
ードするもの、CARもしくは外因性TCRをコードする核酸、および/またはHLA-
E融合タンパク質をコードする核酸)は、一本鎖DNA鋳型を使用して細胞に導入するこ
とができる。一本鎖DNAは、目的の外因性配列を含むことができ、好ましい実施形態で
は、相同組換えによってメガヌクレアーゼ切断部位への核酸配列の挿入を促進するために
5’および3’相同アームを含むことができる。一本鎖DNAは、5’相同アームの5’
上流に5’AAV逆位末端反復(ITR)配列、および3’相同アームの3’下流に3’
AAV ITR配列をさらに含むことができる。
【0479】
別の特定の実施形態では、本明細書に開示の鋳型核酸(例えば、shRNAmiRをコ
ードするもの、CARもしくは外因性TCRをコードする核酸、および/またはHLA-
E融合タンパク質をコードする核酸)は、線状化DNA鋳型を用いて細胞に導入すること
ができる。いくつかの例では、プラスミドDNAは、環状プラスミドDNAが細胞にトラ
ンスフェクトされる前に線状化されるように、1つまたは複数の制限酵素によって消化さ
れ得る。
【0480】
本発明によって改変された免疫細胞(例えば、T細胞)は、目的のヌクレアーゼおよび
/または外因性配列の導入前に活性化を必要とし得る。例えば、T細胞は、可溶性である
か、または支持体(すなわち、ビーズ)にコンジュゲートされている抗CD3および抗C
D28抗体と、細胞を活性化するのに十分な期間接触させることができる。
【0481】
本発明の遺伝子改変免疫細胞は、1つまたは複数の誘導性自殺遺伝子を発現するように
さらに改変することができ、その誘導は細胞死を引き起こし、インビトロまたはインビボ
での細胞の選択的破壊を可能にする。いくつかの例では、自殺遺伝子は、細胞傷害性ポリ
ペプチド、非毒性プロドラッグを細胞傷害性薬物に変換する能力を有するポリペプチド、
および/または細胞内の細胞傷害性遺伝子経路を活性化するポリペプチドをコードするこ
とができる。すなわち、自殺遺伝子は、単独で、または他の化合物の存在下で細胞死を引
き起こす産物をコードする核酸である。このような自殺遺伝子の代表例は、単純ヘルペス
ウイルスのチミジンキナーゼをコードするものである。さらなる例は、水痘帯状疱疹ウイ
ルスのチミジンキナーゼをコードする遺伝子および5-フルオロシトシンを高毒性化合物
5-フルオロウラシルに変換することができる細菌遺伝子シトシンデアミナーゼである。
自殺遺伝子には、非限定的な例として、カスパーゼ-9、カスパーゼ-8またはシトシン
デアミナーゼをコードする遺伝子も含まれる。いくつかの例では、カスパーゼ-9は、特
定の二量体化化学誘導物質(CID)を使用して活性化され得る。自殺遺伝子はまた、治
療用および/または細胞傷害性モノクローナル抗体に対して細胞を敏感にする、細胞の表
面で発現されるポリペプチドをコードし得る。さらなる例では、自殺遺伝子は、抗CD2
0 mAbのリツキシマブによって認識される抗原モチーフおよび自殺遺伝子を発現する
細胞の選択を可能にするエピトープを含む組換え抗原性ポリペプチドをコードすることが
できる。例えば、2つのリツキシマブ結合エピトープおよびQBEnd10結合エピトー
プを含む、国際公開第2013153391号パンフレットに記載のRQR8ポリペプチ
ドを参照されたい。このような遺伝子の場合、リツキシマブを対象に投与して、必要に応
じて細胞枯渇を誘導することができる。さらなる例では、自殺遺伝子は、切断型EGFR
ポリペプチドと組み合わせて発現されるQBEnd10結合エピトープを含み得る。
【0482】
天然に存在するヌクレアーゼおよびマイクロRNA配列(pre-miRNAおよびp
ri-miRNA配列を含む)の変異体を、本開示の組成物および方法に使用することが
できる。本明細書で使用される場合、「変異体」は、実質的に類似の配列を意味すること
を意図している。「変異体」ポリペプチドは、天然タンパク質の1つまたは複数の内部部
位での1つまたは複数のアミノ酸の欠失もしくは付加、および/または天然ポリペプチド
の1つまたは複数の部位での1つまたは複数のアミノ酸の置換による、「天然」ポリペプ
チドに由来するポリペプチドを意味することを意図している。本明細書で使用される場合
、「天然」ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、変異体が由来する親配列を含む。実
施形態に包含される変異体ポリペプチドは、生物学的に活性である。すなわち、それらは
天然タンパク質の所望の生物学的活性を保持し続ける。このような変異体は、例えば、ヒ
トの操作により生じ得る。天然ポリペプチドの生物学的に活性な変異体は、本明細書の他
の箇所に記載されている配列アラインメントプログラムおよびパラメータによって決定さ
れる場合、天然ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも約40%、約45%、約50%
、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%
、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%
、または約99%の配列同一性を有すると思われる。ポリペプチドの生物学的に活性な変
異体は、そのポリペプチドまたはサブユニットと、わずか約1~40個のアミノ酸残基、
わずか約1~20個、わずか約1~10個、わずか約5個、わずか4個、3個、2個、ま
たはさらには1個のアミノ酸残基だけ異なり得る。
【0483】
ポリペプチドは、アミノ酸の置換、欠失、切断および挿入を含むさまざまな方法で変更
され得る。このような操作のための方法は、当技術分野で一般的に知られている。例えば
、アミノ酸配列変異体は、DNA中の突然変異によって調製することができる。突然変異
誘発およびポリヌクレオチド変更のための方法は、当技術分野で周知である。例えば、K
unkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488
-492;Kunkel et al.(1987)Methods in Enzym
ol.154:367-382;米国特許第4,873,192号明細書;Walker
and Gaastra,eds.(1983)Techniques in Mol
ecular Biology(MacMillan Publishing Comp
any,New York)、およびそこに引用されている参考文献を参照されたい。目
的のタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関する指針は、
Dayhoff et al.(1978)Atlas of Protein Seq
uence and Structure(Natl.Biomed.Res.Foun
d.,Washington,D.C.)のモデルに見出すことができ、当該文献は参照
により本明細書に組み込まれる。1つのアミノ酸を類似の特性を有する別のアミノ酸と交
換するなどの保存的置換が最適であり得る。
【0484】
ポリヌクレオチドの場合、「変異体」は、天然ポリヌクレオチド内の1つまたは複数の
部位における1つまたは複数のヌクレオチドの欠失および/または付加を含む。当業者は
、実施形態の核酸の変異体が、オープンリーディングフレームが維持されるように構築さ
れることを認識されよう。ポリヌクレオチドの場合、保存的変異体は、遺伝暗号の縮重の
ために、実施形態のポリペプチドのうちの1つのアミノ酸配列をコードする配列を含む。
変異体ポリヌクレオチドには、例えば部位特異的突然変異誘発を使用することによって生
成されるが、依然としてポリペプチドまたはRNAをコードするものなどの合成由来ポリ
ヌクレオチドが含まれる。一般に、実施形態の特定のポリヌクレオチドの変異体は、本明
細書の他の箇所に記載されている配列アラインメントプログラムおよびパラメータによっ
て決定される場合、その特定のポリヌクレオチドと少なくとも約40%、約45%、約5
0%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約9
0%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約9
8%、約99%、またはそれを超える配列同一性を有すると思われる。特定のポリヌクレ
オチド(すなわち、参照ポリヌクレオチド)の変異体は、変異体ポリヌクレオチドによっ
てコードされるポリペプチドと、参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチ
ドとの間の配列同一性パーセントの比較によって評価することもできる。
【0485】
本明細書に包含されるタンパク質配列の欠失、挿入および置換は、ポリペプチドの特徴
に根本的な変化をもたらすことは予期されない。しかしながら、置換、欠失または挿入の
正確な効果を事前に予測することが困難である場合、当業者は、ポリペプチドをその生物
学的活性についてスクリーニングすることによって、その効果が評価されることを理解さ
れよう。
【0486】
2.6 医薬組成物
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の遺伝子改変免疫細胞、または本発明の遺
伝子改変免疫細胞の集団と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。こ
のような医薬組成物は、公知の技術に従って調製することができる。例えば、Remin
gton,The Science and Practice of Pharmac
y(21st ed.2005)を参照されたい。本発明による医薬製剤の製造では、細
胞を典型的には薬学的に許容される担体と混合し、得られた組成物を対象に投与する。担
体は、当然のことながら、製剤中の任意の他の成分と適合性であるという意味で許容され
なければならず、対象に有害であってはならない。いくつかの実施形態では、本発明の医
薬組成物は、対象の疾患の治療に有用な1つまたは複数の追加の薬剤をさらに含むことが
できる。さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、遺伝子改変T細胞のインビボ細
胞増殖および生着を促進するサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7、IL-15お
よび/またはIL-21)などの生物学的分子をさらに含むことができる。本発明の遺伝
子改変免疫細胞を含む医薬組成物は、追加の薬剤または生物学的分子と同じ組成物中で投
与することができ、あるいは別個の組成物で同時投与することができる。
【0487】
本開示はまた、医薬として使用するための、本明細書に記載の遺伝子改変免疫細胞また
はその集団を提供する。本開示はさらに、それを必要とする対象において疾患を治療する
ための医薬の製造における、本明細書に記載の遺伝子改変免疫細胞またはその集団の使用
を提供する。このような一態様では、医薬は、それを必要とする対象におけるがん免疫療
法に有用である。
【0488】
本発明の医薬組成物は、養子免疫療法、特にT細胞養子免疫療法によって標的化され得
る任意の疾患状態を治療するのに有用であり得る。特定の実施形態では、本発明の医薬組
成物および医薬は、がんの治療に有用である。本開示の医薬組成物および医薬で治療する
ことができるがんの非限定的な例には、限定するものではないが、CARまたは外因性T
CRによって標的とされ得る本明細書に記載のさまざまな種類のがんが含まれる。
【0489】
がんが本開示の遺伝子改変免疫細胞またはその集団で治療される実施形態のいくつかで
は、遺伝子改変免疫細胞またはその集団を投与された対象に、放射線、外科手術、または
化学療法剤などの追加の治療法をさらに投与する。
【0490】
本発明はさらに、そのゲノム中にshRNAmiRをコードする核酸配列を含む本明細
書に記載の複数の遺伝子改変免疫細胞を含む遺伝子改変免疫細胞の集団であって、shR
NAmiRをコードする外因性核酸分子をTCRアルファ遺伝子またはTRAC遺伝子な
どの標的遺伝子に挿入し、したがって細胞が内因性TCR(例えば、アルファ/ベータT
CR)の検出可能な細胞表面発現を有さないようにすることができる遺伝子改変免疫細胞
の集団を提供する。したがって、本発明のさまざまな実施形態では、免疫細胞の集団であ
って、集団中の細胞の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なく
とも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45
%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少な
くとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも9
0%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少
なくとも99%、または最大100%が、本明細書に記載の遺伝子改変免疫細胞である免
疫細胞の集団が提供される。本発明のいくつかの実施形態では、免疫細胞の集団であって
、集団中の細胞の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約4
0%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約8
0%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、また
は最大100%が、本明細書に記載の遺伝子改変免疫細胞である免疫細胞の集団が提供さ
れる。本発明のさらなる実施形態では、免疫細胞の集団であって、集団中の細胞の少なく
とも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30
%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少な
くとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも7
5%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少
なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または最大
100%が、CARもしくは外因性TCRをさらに発現し、および/またはHLA-E融
合タンパク質をさらに発現する本明細書に記載の遺伝子改変免疫細胞である免疫細胞の集
団が提供される。本発明のある実施形態では、免疫細胞の集団であって、集団中の細胞の
約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、
約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、
約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または最大100%が
、CARもしくは外因性TCR、および/またはHLA-E融合タンパク質をさらに発現
する本明細書に記載の遺伝子改変免疫細胞である免疫細胞の集団が提供される。
【0491】
2.7 遺伝子改変免疫細胞の投与方法
本明細書に開示の別の態様は、有効量の本開示の遺伝子改変免疫細胞またはその集団の
、それを必要とする対象への投与である。特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組
成物は、それを必要とする対象に投与される。例えば、有効量の細胞集団を、疾患を有す
る対象に投与することができる。特定の実施形態では、疾患はがんであり得、本発明の遺
伝子改変免疫細胞の投与は免疫療法を表す。投与された細胞は、レシピエントにおける標
的細胞の増殖を低下させ、数を減少させ、または殺滅することができる。抗体療法とは異
なり、本開示の遺伝子改変免疫細胞は、インビボで複製および増殖することができ、疾患
の持続的制御につながり得る長期持続性をもたらす。
【0492】
可能な投与経路の例としては、非経口(例えば、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮
内、皮下(SC)、または注入)投与が挙げられる。さらに、投与は、連続注入によって
、または単回もしくは複数回のボーラス投与によるものであり得る。特定の実施形態では
、薬剤は、約12時間未満、6時間、4時間、3時間、2時間、または1時間の期間にわ
たって注入される。さらに他の実施形態では、注入は最初はゆっくり行われ、次いで経時
的に増加される。
【0493】
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子改変免疫細胞またはその集団は、がんを治療
する目的で腫瘍抗原を標的とする。このようながんとしては、限定するものではないが、
CARまたは外因性TCRによって標的とされ得る本明細書に記載のさまざまな種類のが
んを挙げることができる。
【0494】
「有効量」または「治療量」が示される場合、投与される正確な量は、患者(対象)の
年齢、体重、腫瘍サイズ(存在する場合)、感染または転移の程度、および状態の個人差
を考慮して医師が決定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺
伝子改変免疫細胞またはその集団を含む医薬組成物は、それらの範囲内のすべての整数値
を含めて、10~10細胞/kg体重の投与量で投与される。さらなる実施形態では
、投与量は、それらの範囲内のすべての整数値を含めて、10~10細胞/kg体重
である。いくつかの実施形態では、細胞組成物は、これらの投与量で複数回投与される。
細胞は、免疫療法において一般に知られている注入技術を使用することによって投与する
ことができる(例えば、Rosenberg et al.,New Eng.J.of
Med.319:1676,1988を参照されたい)。特定の患者に対する最適な投
与量および治療計画は、疾患の徴候について患者を監視し、それに応じて治療を調整する
ことによって、医学の当業者が容易に決定することができる。
【0495】
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子改変免疫細胞またはその集団の投与は、標的
疾患または状態の少なくとも1つの症状を軽減する。例えば、本開示の遺伝子改変T細胞
またはその集団の投与は、がんの少なくとも1つの症状を軽減することができる。がんの
症状は当技術分野で周知であり、公知の技術によって決定することができる。
【実施例0496】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これらは限定として解釈される
べきではない。当業者は、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載の特定の物質お
よび手順に対する多数の等価物を認識するか、または確認することができるであろう。こ
のような等価物は、以下の実施例に続く特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0497】
実施例1
shRNAカセットを抗CD19 CAR T細胞のゲノムに挿入した場合の、ベータ
-2ミクログロブリンの一過性ノックダウン
【0498】
これらの実験では、T細胞受容体アルファ定常(TRAC)遺伝子座にCAR遺伝子と
同時送達されるshRNAの単一コピーを使用して、ベータ-2ミクログロブリン(B2
M)を効率的にノックダウンできるかどうかを評価した。アフェレーシスサンプルを健常
ドナーから採取し、CD3陽性選択キットIIを製造者の説明書(Stem Cell
Technologies)に従って使用して、T細胞を濃縮した。T細胞を、Immu
noCult(商標)T細胞刺激因子(抗CD2/CD3/CD28、Stem Cel
l Technologies)を使用して、5%ウシ胎児血清および10ng/ml
IL-2(Gibco)を補充したX-VIVO(商標)15培地(Lonza)におい
て活性化した。刺激の3日後、細胞を収集し、1×10細胞のサンプルに、TRAC遺
伝子中のTRC 1-2認識配列(配列番号58)を認識して切断するTRC 1-2L
.1592メガヌクレアーゼをコードするRNA 1μgをエレクトロポレーションし、
構築物7056をパッケージングしたAAVを25,000ウイルスゲノム/細胞のMO
Iで用いて形質導入した。AAV 7056は、TRACオープンリーディングフレーム
と反対向きのCAR(抗CD19 FMC63 scFv、CD8ヒンジおよび膜貫通ド
メイン、Novel 6(N6)共刺激ドメイン、ならびにCD3ゼータ細胞内シグナル
伝達ドメインから構成される)をコードする。転写はJeTプロモータによって開始され
、双方向ポリA配列によって終結される。CAR発現を制御するJeTプロモータの上流
には、やはりTRAC ORFに対して反対の転写配向でshRNA発現カセットが位置
している。shRNAの転写は、U6プロモータによって開始され、中央ポリピリミジン
トラクトによって終結される。いくつかのshRNA配列を、B2M発現のノックダウン
効力について評価した。AAV 7056は、shRNA472と略されるshRNA配
列TRCN0000381472を含み、その配列は配列番号6として示される。
【0499】
細胞培養物を、5% FBSおよび30ng/mlのIL-2を補充したX-VIVO
(商標)15培地中でさらに最大x日間維持した。ヌクレオフェクション後4、7および
/または10日目に、培養物をサンプリングし、CD3(抗CD3-PE、BioLeg
end)、CAR(抗FMC63抗CAR、AlexaFluor 488にコンジュゲ
ートされたクローンVM16)、B2M(抗B2M-APCまたはPE、クローンTU-
99 BD Biosciences)ならびにHLA-A、BおよびC(クローンW6
/32、BV605、BioLegend)の表面発現について分析した。フローサイト
メトリデータを、Beckman-Coulter CytoFLEX-LXで取得した
。細胞表面CD3の検出は、細胞表面上の内因性T細胞受容体の指標である。したがって
、CD3+またはCD3-である遺伝子改変細胞は、それぞれTCR+およびTCR-で
あることが理解されよう。
【0500】
B2MおよびHLA-ABCレベルを、構築物7056を発現するサンプルおよび対照
集団において測定した。図1Aは、対照培養物由来のshRNAを発現しないTRAC編
集細胞と比較した、CD3-/CAR+細胞におけるB2Mの表面レベルを示す。図1B
は、同じ培養物中のCD3-/CAR+対CD3+/CAR-集団のB2Mレベルを示す
図1Cおよび1Dは、HLA-ABC表面レベルの表示において同じそれぞれの比較を
行う。AAV-7056により形質導入された細胞のCD3-/CAR+画分は、対照集
団と比較して90%超低下したB2MおよびHLA-ABCのレベルを示した。
【0501】
導入遺伝子送達後の最も早い時点で、CAR+細胞は、マーカーおよび比較によって、
HLA-ABCおよびB2Mの表面レベルの90~95%の低下を示す。培養をより長期
間行うと、CAR+事象の頻度が低下し、B2M表面発現がほぼ正常レベルまで回復する
図2A~2F)。
【0502】
このノックダウン効力の喪失の根本原因を明らかにするために、生存CAR+細胞のゲ
ノム中の遺伝子導入インサートを形質導入の10日後(d10)に配列決定した。705
6配列のTRAC相同アームにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを使用して、配列
決定反応をプライミングした。B2M転写産物を標的とすることを意図した自己相補的ヘ
アピン構造の配列は、d10ゲノムでは回収されなかった。しかし、この配列は、AAV
調製物またはパッケージングプラスミドを鋳型として使用した反応から回収した。U6プ
ロモータおよびcPPTを含む隣接配列が乱されなかったので、配列喪失はヘアピン配列
に限定されるように見えた。
【0503】
これらの研究は、事前スクリーニングされたB2M標的化shRNAが、(T細胞受容
体アルファ定常領域遺伝子座への標的挿入を介して)構築物が送達された細胞の表面上の
B2M発現レベルをノックダウンできることを示している。この効果はCAR+集団(す
なわち、TRAC遺伝子座への標的化された組み込みが起こった細胞)に特異的である。
この実験は、TRAC遺伝子座および同じAAV鋳型上のCAR遺伝子に同時送達された
shRNA472の単一コピーを使用して、B2Mを効率的にノックダウンできることを
実証する。結果は初期の時点で有望であるように見えたが、ノックダウン効果は一過性で
あり、CAR+集団における毒性または成長停止に関連すると判定された。ノックダウン
効果が弱まるにつれて、生存T細胞のゲノムからのshRNA配列の喪失が観察された。
これは、shRNA472がゲノムから切除され、統合された単一コピーにより媒介され
るB2Mまたは潜在的に他の内因性タンパク質のノックダウンには適していないことを示
唆した。
【0504】
実施例2
ベータ-2ミクログロブリンshRNAmiRの設計、構築および特性評価
【0505】
shRNAを使用したB2M発現の標的化は、おそらくゲノムからのヘアピン配列の喪
失のために、CAR T産物における一過性ノックダウン効果および毒性によって妨げら
れた。短鎖ヘアピンを含むガイド鎖およびパッセンジャー鎖の配列を、より大きく、より
高度に構造化されたマイクロRNA足場(miR)に適合させた。shRNAおよびmi
RNAの技術のこの組み合わせは、本明細書ではマイクロRNA適合shRNAまたはs
hRNAmiRと呼ばれる。
【0506】
shRNAmiRを作製するために選択されるmiR足場はmiR-Eと呼ばれ、mi
R-30と呼ばれるヒトゲノム中の天然に存在するmiRの操作された誘導体である(国
際公開第2014/117050号パンフレットを参照されたく、当該文献は参照により
その全体が本明細書に組み込まれる)。マイクロRNAは核内の細胞のRNAi経路に入
り、そこでDroshaによってプロセシングされ、エキスポーチン複合体によってサイ
トゾルに輸送され、その後DicerおよびArgonautと相互作用して、RNA誘
導サイレンシング複合体(RISC)にロードされる。
【0507】
この研究において使用されるmiR-E足場の配列は、配列番号1(5’miR-E足
場ドメイン)、配列番号2(5’miR-E基底ステムドメイン)、配列番号3(mir
-30aループドメイン)、配列番号4(3’miR-E基底ステムドメイン)および配
列番号5(3’miR-E足場ドメイン)として示される。それぞれ配列番号7および8
として示されるB2M標的化パッセンジャー鎖配列およびガイド鎖配列を、終止コドンの
下流であるがポリA転写ターミネータの上流である抗CD19 CAR(実施例1に記載
されるものと同じ)ベクター内にクローニングした。このベクター(7282)をAAV
6キャプシドにパッケージングし、B2Mノックダウンの規模および持続期間を決定する
ための研究に使用した。
【0508】
この研究では、アフェレーシスサンプルを健常ドナーから採取し、CD3陽性選択キッ
トIIを製造者の説明書(Stem Cell Technologies)に従って使
用して、T細胞を濃縮した。T細胞を、ImmunoCult(商標)T細胞刺激因子(
抗CD2/CD3/CD28、Stem Cell Technologies)を使用
して、5%ウシ胎児血清および10ng/ml IL-2(Gibco)を補充したX-
VIVO(商標)15培地(Lonza)において活性化した。刺激の3日後、細胞を収
集し、1×10細胞のサンプルに、TRAC遺伝子中のTRC 1-2認識配列を認識
して切断するTRC 1-2L.1592メガヌクレアーゼをコードするRNA 1μg
をエレクトロポレーションし、構築物 7282をパッケージングしたAAVを25,0
00ウイルスゲノム/細胞のMOIで用いて形質導入した。RNAiの特徴を有さないC
AR T細胞(7206)またはshRNA-472を有するCAR T細胞(7056
)を対照として含めた。
【0509】
編集およびAAV形質導入の3、7、および11日後に、これらの培養物由来の細胞を
、TCRノックアウト(抗CD3-BB515クローンSK7、BD Bioscien
cesを使用)について、CAR導入遺伝子ノックイン(抗FMC63-AlexaFl
uor647、クローンVM16、自社生産を使用)について、および抗B2M-PE(
クローンTU-99、BD Biosciences)を使用してB2Mノックダウンに
ついて分析した。B2Mレベル(PEチャネル中の平均蛍光強度によって測定)を、同じ
培養物由来の細胞のCD3-/CAR+集団とCD3+/CAR-集団との間で比較した
【0510】
編集/形質導入の3日後、AAV 7282を使用して産生されたCAR T細胞は、
CAR+の頻度に関してAAV 7206に比肩したが、AAV 7056を使用して産
生された培養物は、CAR+細胞の頻度がより低かった。CD3-/CAR+細胞の頻度
は、AAV 7206またはAAV 7282を用いて産生された培養物では増加または
同じままであったが、AAV 7056により形質導入された培養物では全細胞の5%未
満に減少した。
【0511】
shRNA(AAV 7056)を発現するCAR T細胞は、3日目にB2Mの表面
レベルを急速に91.9%下方制御した。B2M shRNAmiRは、この時点でB2
M表面レベルを77.4%下方制御した(図3)。培養物をさらに数日間保持すると、s
hRNAによって媒介されるノックダウンの規模は、7および11日目にそれぞれ84.
3%および65.1%に低下した(図4および5)。さらに、これらの時点で、正常レベ
ルまたはほぼ正常レベルのB2Mを再発現し始めたCAR+事象がAAV 7056形質
導入培養物に存在した。比較すると、shRNAmiRによって媒介されるノックダウン
の大きさは、驚くべきことに、7日目および11日目に、両方の時点で約85%に増加し
、B2M発現の上方制御は観察されなかった。
【0512】
したがって、B2M発現に干渉するためのshRNAmiRの使用は、実施例1に記載
の以前に評価されたshRNAと比較した場合、より遅いノックダウン速度論およびわず
かに低いノックダウン規模を有利にもたらしたが、より安定な表現型および毒性の大幅な
低下をもたらした。この研究で観察された優れた結果は、CAR T細胞における内因性
タンパク質発現を下方制御するためのshRNAmiRの使用のための初期概念実証を提
供し、これは特定の状況における遺伝子ノックアウトよりも有利であり得る。
【0513】
実施例3
さらなるB2M shRNAmiR構築物の設計および特性評価
【0514】
6つのさらなるB2Mガイド鎖配列およびパッセンジャー鎖配列を同定し、miR-E
骨格にクローニングし、実施例2に記載の抗CD19 CAR構築物のCARの終止コド
ンとポリA転写ターミネータとの間に挿入した。B2M 7285 shRNAmiRの
パッセンジャー鎖およびガイド鎖は、それぞれ配列番号9および10として示される。B
2M 7286 shRNAmiRのパッセンジャー鎖およびガイド鎖は、それぞれ配列
番号11および12として示される。B2M 7287 shRNAmiRのパッセンジ
ャー鎖およびガイド鎖は、それぞれ配列番号13および14として示される。B2M 7
288 shRNAmiRのパッセンジャー鎖およびガイド鎖は、それぞれ配列番号15
および16として示される。B2M 7289 shRNAmiRのパッセンジャー鎖お
よびガイド鎖は、それぞれ配列番号17および18として示される。B2M 7290
shRNAmiRのパッセンジャー鎖およびガイド鎖は、それぞれ配列番号19および2
0として示される。これらのさらなるB2M shRNAmiR配列を、B2M発現をノ
ックダウンする能力について試験した。
【0515】
この研究では、アフェレーシスサンプルをドナーから採取し、CD3陽性選択キットI
Iを製造者の説明書(Stem Cell Technologies)に従って使用し
て、T細胞を濃縮した。T細胞を、ImmunoCult(商標)T細胞刺激因子(抗C
D2/CD3/CD28、Stem Cell Technologies)を使用して
、5%ウシ胎児血清および10ng/ml IL-2(Gibco)を補充したX-VI
VO(商標)15培地(Lonza)において活性化した。刺激の3日後、細胞を収集し
、1×10細胞のサンプルに、T細胞受容体アルファ定常遺伝子座のTRC 1-2認
識配列を認識して切断するTRC 1-2L.1592メガヌクレアーゼをコードするR
NA 1μgをエレクトロポレーションした。6つのCAR-shRNAmiR構築物(
構築物7285~7290)を、ヌクレオフェクション中にTRC1-2 RNAと同時
に線状化DNA(2μg/サンプル)としてT細胞に送達した。あるいは、T細胞に、ヒ
トB2M遺伝子中のB2M 13-14認識配列(配列番号60)を認識して切断するB
2M 13-14x.479ヌクレアーゼをヌクレオフェクトした(国際公開第2017
112859号パンフレットを参照されたい)。これは、B2Mノックアウト細胞上に存
在するバックグラウンドシグナルを定義することによって、shRNAmiRノックダウ
ンに存在するB2M表面シグナルの量の状況を説明するために含めた。
【0516】
ヌクレオフェクション後4および11日目に、培養物のサンプルを抗CD3-BB51
5(クローンSK7、BD Biosciences)、抗FMC63-AlexaFl
uor647(クローンVM16、自社生産)、抗B2M-PE(クローンTU-99、
BD Biosciencesを使用)で染色した。B2Mレベル(PEチャネル中の平
均蛍光強度によって測定)を、同じ培養物由来の細胞のCD3-/CAR+集団とCD3
+/CAR-集団との間で比較した。
【0517】
CD3-/CAR+集団およびCD3+CAR-集団の平均蛍光強度(MFI)を、下
記の表1において対応するshRNAmiRの横に列挙する。ノックダウンのパーセント
を、(shRNAmiR+集団のMFI/参照集団のMFI)×100として定義する。
表にしたデータは、ヌクレオフェクション後11日目に取得した。構築物7289および
7290は、試験した7つの構築物の中で最大のB2M干渉を示した。B2Mノックアウ
ト細胞上に存在するバックグラウンドシグナルは、参照集団の2%未満である(列挙せず
)。
【0518】
【表1】
【0519】
この研究で試験した7つの構築物はすべて、ある程度の安定したB2Mノックダウンお
よびCAR発現を示した。興味深いことに、この研究は、内因性タンパク質ノックダウン
の程度が、異なるガイド鎖およびパッセンジャー鎖の選択によって調節され得ることを実
証した。shRNAmiRアプローチによって提供されるこの柔軟性は、さまざまな程度
の内因性タンパク質ノックダウンがほぼ完全なノックアウトよりも好ましい場合に有利で
あり得る。7282、7288、7289、および7290でコードされた候補配列をさ
らなる実験で調査した。
【0520】
実施例4
shRNAmiR B2M CAR T細胞の同種異系性およびナチュラルキラー(N
K)細胞殺滅に対する感受性
【0521】
これらの研究では、同種抗原特異的細胞傷害性リンパ球(CTL)またはNK細胞によ
る細胞溶解に対する細胞の感受性についての、shRNAmiRを使用した不完全である
が安定したノックダウンと比較して、遺伝子アブレーションによるB2Mのノックアウト
の効果を評価した。非血縁健常ドナー由来の単球由来樹状細胞を使用してCTLをプライ
ミングして、同種抗原特異的CD8+T細胞集団を活性化および増殖させた。
【0522】
アフェレーシスサンプルを2人の非血縁健常ドナーから採取し、CD3陽性選択キット
IIを製造者の説明書(Stem Cell Technologies)に従って使用
して、T細胞を濃縮した。樹状細胞を調製するために、アフェレーシスサンプルからの未
分画単核細胞をポリスチレン細胞培養フラスコにプレーティングし、1~2時間接着させ
た。非接着細胞を捨て、接着細胞を、単球を樹状細胞様細胞に分化させるサイトカイン混
合物(800U/ml GM-CSFおよび500U/ml IL-4、いずれもPep
roTech製)中で6日間培養した。樹状細胞(DC)を収集し、非血縁ドナー由来の
T細胞と共にさまざまな比率でプレーティングした。最初の24時間の共培養は、外因性
サイトカインの非存在下で行った。その後、IL-2を10ng/mlで培養物に添加し
た。
【0523】
共培養を5日間行い、Miltenyi CliniMACS CD4マイクロビーズ
およびLSカラムを使用してCD4+T細胞を枯渇させることによってCD8+T細胞を
濃縮した。CD3-PE(クローンUCHT1、BioLegend)およびCD8-B
V421(クローンRPA-T8、BioLegend)を使用して純度を評価した。次
いで、プライミングされたCTLを、DCを生成したのと同じドナー由来の標的T細胞と
共培養した。標的T細胞を、ImmunoCult(商標)T細胞刺激因子(抗CD2/
CD3/CD28、Stem Cell Technologies)を使用して、5%
ウシ胎児血清および10ng/ml IL-2(Gibco)を補充したX-VIVO(
商標)15培地(Lonza)において活性化した。刺激の3日後、標的T細胞を、メガ
ヌクレアーゼB2M13-14x.479を使用してB2M遺伝子座で編集(B2M K
O)するか、またはTRC1-2L.1592を使用してTRAC遺伝子座で編集した。
TRAC編集標的T細胞に、AAV 7206(対照CAR T)またはAAV 728
9(B2M shRNAmiR)のいずれかを25,000ウイルスゲノム/細胞のMO
Iで形質導入した。
【0524】
FACSMelodyセルソーター(Becton-Dickinson)および抗B
2M-PE(クローンTU-99、BD Biosciences)、CD3-PE(ク
ローンUCHT1、BioLegend)および抗FMC63-BV421(自社生産の
クローンVM16)を使用して、B2M-画分またはCAR+画分を99%超の純度にF
ACS選別した。選別した標的細胞を1μMのCell Trace Violet(T
hermoFisher)で標識し、1:5~5:1の範囲のエフェクター:標的(E:
T)比で同種抗原感作CTLと共に培養物中に入れた。培養セットアップの18時間後、
サンプルを色素陽性生標的細胞について分析し、生存標的細胞の数を「エフェクターなし
」対照と比較することによって殺滅パーセントを計算した。
【0525】
ナチュラルキラー(NK)応答も測定した。NK細胞を、CD56陽性選択キット(S
tem Cell Technologies)を使用してPBMCサンプルから磁気的
に濃縮した。濃縮されたNK細胞を、Cell Trace Violet標識CAR-
T細胞(AAV6-7206で作製)、B2MノックダウンCAR-T細胞(B2M s
hRNAmiRを含有するAAV6-7289で作製)、またはB2MノックアウトT細
胞と18時間共培養した。18時間の共培養後、色素陽性生存標的細胞を計数し、殺滅パ
ーセントを計算した。
【0526】
正常レベルのB2M表面発現を有するCAR T細胞を、プライミングされた同種抗原
特異的CTLによって殺滅させた(図6A)。E:T比が上昇するにつれて、それに応じ
て殺滅パーセントが増加し、2:1のE:T比で最大74%の殺滅があった。B2M遺伝
子座で遺伝子編集され、B2Mタンパク質の表面発現を完全に欠いているT細胞は、各E
:T比でB2M+対照ほど効率的に殺滅されなかった。B2M shRNAmiRをコー
ドし、正常なB2M表面レベルの5~10%を発現するCAR T細胞で観察された殺滅
レベルは、同様に、プライミングされたCTLによって、B2M KOによって観察され
たものよりも低いパーセンテージで非効率的に殺滅された。
【0527】
B2Mノックアウト細胞は、E:T比と相関してNK細胞によって殺滅され、5:1の
E:T比で最大50%の殺滅に達したことがさらに観察された(図6B)。操作されてい
ないレベルのB2M発現を有するCAR T細胞は、NK細胞によって効率的に殺滅され
なかったが、いくらかのバックグラウンド殺滅が最も高いE:T比で観察された。注目す
べきことに、B2Mノックダウン細胞は、NK細胞によって非効率的に殺滅されたが、最
も高いE:T比でいくらかの殺滅(28%)が観察された。
【0528】
メガヌクレアーゼによるB2M発現の遺伝子アブレーションは、プライミングされた同
種抗原特異的CTLによる殺滅に対して高度に耐性の細胞をもたらしたが、それらはNK
細胞によって容易に殺滅された。shRNAmiRアプローチを使用して内因性B2Mを
正常レベルの5~10%に安定にノックダウンすると、CTLに対して同様に耐性である
が、NK細胞溶解に対して実質的に感度が低い細胞が得られた。これは、これらの細胞が
、B2Mの完全なノックアウトを有する同種異系CAR T細胞よりもインビボでNK細
胞殺滅を回避する可能性が高いことを示唆している。
【0529】
B2MのshRNAmiR媒介ノックダウンに加えて、第2の遺伝子編集アプローチを
NK細胞回避について評価した。第2のアプローチは、B2M遺伝子に切断部位を生成す
るように操作されたメガヌクレアーゼの使用、および切断部位へのドナー鋳型の導入を含
んだ。このドナー鋳型は、HLAクラスI組織適合抗原、アルファ鎖E(HLA-E)ポ
リペプチド(配列番号66)をコードした。細胞表面に発現された場合、HLA-Eは、
NK細胞上のCD94/NKG2A阻害受容体に結合することが知られており、NK細胞
媒介溶解からHLA-E+細胞を保護することが示されている。ここでは、HLA-Eコ
ード配列のB2M遺伝子への標的挿入がB2M発現を同時にノックアウトし、したがって
CAR T細胞の同種異系性を低下させ、NK細胞殺滅を阻害するためにHLA-Eを発
現することができるかどうかを調べた。
【0530】
この研究では、アフェレーシスサンプルを健常で、情報を知らされ、補償されたドナー
から採取し、CD3陽性選択キットIIを製造者の説明書(Stem Cell Tec
hnologies)に従って使用して、T細胞を濃縮した。T細胞を、ImmunoC
ult T細胞刺激因子(抗CD2/CD3/CD28-Stem Cell Tech
nologies)を使用して、5%ウシ胎児血清および10ng/ml IL-2(G
ibco)を補充したX-VIVO15培地(Lonza)において活性化した。刺激の
3日後、細胞を収集し、1e6細胞のサンプルに、B2M遺伝子座中のB2M 13-1
4認識配列(配列番号60)を認識して切断するB2M13-14x.479メガヌクレ
アーゼをコードするRNA 1ugをエレクトロポレーションした。
【0531】
エレクトロポレーションの直後に、グリシン-セリンリンカーによって連結された3つ
のポリペプチドを含むHLA-E融合タンパク質(配列番号66)をコードするAAV7
346を用いて細胞に形質導入した。第1のポリペプチドは、HLA-Gリーダーペプチ
ド(配列番号120)とそれに続く(GGGGS)3リンカー(配列番号121)とを含
む九量体である。第2のポリペプチドは、完全長コドン最適化ヒトB2M遺伝子(配列番
号119をコードする)とそれに続く(GGGGS)4リンカー(配列番号122)であ
る。第3のポリペプチドは、ヒトHLA-E-01:03配列(配列番号118)である
。導入遺伝子はJeTプロモータの制御下にあり、双方向ポリA配列によって終結する。
導入遺伝子は、導入遺伝子をB2M13-14切断部位に挿入するように指向させる相同
アームに隣接している。
【0532】
30ng/ml IL-2を含有する完全X-VIVO15培地で少なくとも6日間培
養した後、細胞を抗HLA-ABC-PE(BioLegend、クローンW6/32-
B2M編集細胞を検出するため)および抗HLA-E-BV421(BioLegend
クローン3D12)で染色した。Beckman-Coulter CytoFLEX
-SまたはLXを使用して、細胞をノックアウト/ノックイン頻度について分析した。H
LA-ABCHLAE細胞を、Beckton-Dickinson FACSMe
lodyを使用してFACSによって精製した。形質導入されていないHLA-ABC-
(B2M編集され、AAVなし)を対照として選別した。この実施例において以前に記載
されたように、CTLおよびNK細胞による殺滅に対する感受性について、選別された細
胞を測定した。
【0533】
B2M13-14x.479 RNAをトランスフェクトしたT細胞は、標準的なMH
C Iタンパク質HLA-A、BおよびCならびにHLA-Eの表示を欠く集団を発達さ
せた(図7A)。B2M編集細胞にAAV7346を用いて形質導入すると、高レベルの
HLA-E導入遺伝子を発現するHLA-ABC-細胞の集団が現れる(図7B)。これ
らの集団を99%超の純度に選別した(図8)。
【0534】
図9Aに示されるように、B2M編集されていないCAR T細胞は、同種抗原プライ
ムCTLによって殺滅され、E:T比の上昇につれて、CAR T殺滅の増加が観察され
た(最大で約75%に達した)。対照的に、B2Mノックアウト細胞およびHLA-E導
入遺伝子を発現するB2Mノックアウト細胞は両方とも効率的に殺滅されず(10%以下
)、E:T比の上昇による殺滅の増加は観察されなかった。
【0535】
図9Bに示すように、NK細胞による殺滅を測定した場合、B2Mが十分なCAR T
細胞はNK細胞によって効率的に標的化されなかったが、B2MノックアウトT細胞は効
率的に殺滅された(最大約50%)。HLA-ABC発現を欠くにもかかわらず、HLA
-E細胞は、B2Mが十分な細胞で観察される程度に匹敵する程度までNK細胞溶解か
ら保護された。これらのデータは、内因性B2M遺伝子の遺伝子破壊が、同種抗原プライ
ムCTLによる細胞溶解からT細胞を保護し、HLA-E導入遺伝子が、NK細胞溶解の
自己機序の喪失を防止することを示している。
【0536】
実施例5
shRNAmiRによるB2Mのノックダウンを有するCAR T細胞のインビボ有効
性およびB2Mノックダウンの安定性
【0537】
これらの研究は、対照CD19 CAR T細胞を標的細胞に曝露し、インビボで活性
化した後の細胞と比較した、shRNAmiRによるB2Mのノックダウンを有するCD
19 CAR T細胞の有効性を評価するため、およびインビボでのB2Mノックダウン
の安定性を決定するために行った。
【0538】
凍結保存したCD3+T細胞を、前述のように解凍し、静置し、活性化した。活性化後
3日目に、細胞に、TRAC特異的ヌクレアーゼ(TRC1-2L.1592)をコード
するmRNAをエレクトロポレーションし、直ちに、CD19指向性CAR配列を担持す
る7206 AAVベクター、またはCARの終止コドンとポリアデニル化配列との間に
コードされるB2M標的化shRNAmiRを有するCD19 CARを担持する728
9 AAVベクターを用いて形質導入した。両群由来の残存CD3+(未編集)CAR
T細胞を、CD3磁気濃縮キットを使用して枯渇させ、処分し、両群由来の細胞を、前述
のように枯渇後の増殖後に凍結保存した。
【0539】
雌NSGマウスに、ホタルルシフェラーゼを発現するNALM-6ヒト急性リンパ芽球
性白血病細胞株を接種し、1週間後、ビヒクルコントロール、CD19指向性CAR T
細胞、またはCD19 CAR-B2M shRNAmiR細胞のいずれかを5e6 C
AR T細胞/マウスの用量で静脈内(i.v.)注射した(n=動物5匹/群)。
【0540】
ルシフェラーゼ活性を、遮光性のサンプル室に取り付けられたCCDカメラを備えたI
VIS Spectrum(Perkin Elmer、MA)イメージングシステムを
使用して、生きた動物において測定した。
【0541】
イメージングの当日に、動物にルシフェリン基質を注射し、麻酔誘導室に入れた。鎮静
の後、ルシフェリン基質後に一定の間隔で画像を取得するために、生理学的温度に加熱し
たステージを備えたイメージングチャンバー内に動物を背臥位で置いた。取得時間は、L
ivingImageソフトウェアによって自動的に決定された。目的の領域を各マウス
の周りに引き、フラックスを定量化し、光子/秒(p/s)として報告した。Livin
g Imageソフトウェア4.5.2(Perkin Elmer、MA)を使用して
データを分析し、エクスポートした。
【0542】
マウス血液中に存在するヒトT細胞上のB2M発現の分析のために、CAR T細胞の
投与後14日目に個々のマウスから血液サンプルを採取した。赤血球を溶解し、次いでサ
ンプルを洗浄し、ヒトCD45およびB2Mの存在について染色し、前述のようにフロー
サイトメトリによって分析した。
【0543】
図10Aに示すように、NALM-6細胞を移植し、ビヒクル(三角形の黒い線)で処
置したマウスは、生物発光イメージングによって測定されるように、研究の経過にわたっ
て腫瘍成長の増加を示し、経時的に総フラックスが着実に増加した。対照的に、ビヒクル
処置動物と比較して総フラックスの減少によって観察されるように、CD19指向性CA
R T細胞(丸のついた濃い灰色の線)または統合されたB2M標的化shRNAmiR
(三角形のついた薄い灰色の線)を含むCD19指向性CAR T細胞のいずれかで処置
したマウスは、研究の経過にわたって迅速かつ持続可能な抗腫瘍活性を媒介した。
【0544】
CAR T投与の14日後に、血液サンプルを採取して、ヒトCD45+細胞上のB2
Mの発現を評価した。図10Bに示すように、B2M発現のMFIは、統合されたB2M
標的化shRNAmiRを有するCD19指向性CAR T細胞では、対照CD19指向
性CAR T細胞と比較して90%を超えて減少しており、活性化され、標的細胞のクリ
アランスを媒介しているB2M shRNAmiR保有細胞が、ゲノムに統合されたB2
M shRNAmiRを有さない対照細胞と比較してB2M発現レベルが依然として低下
していることを示した。
【0545】
CARを発現する細胞におけるB2M発現の標的ノックダウンを可能にする構築物の一
方にshRNAmiRベクターが含まれることのみが異なる、CD19指向性CAR T
細胞の2つの群を作製した。両方の群のCAR T細胞は、白血病の異種移植モデルにお
いて腫瘍負荷を軽減することができた。マウスから採取した血液サンプルにより、B2M
shRNAmiRを有するヒトT細胞が、対照CD19 CAR T細胞群のマウスの
血液中のT細胞よりも細胞表面上のB2M発現レベルが低いことが確認され、B2Mのノ
ックダウンが、ヒト白血病の関連するマウスモデルにおいて活性化され、標的細胞の殺滅
を媒介している細胞においてさえ安定であることを示している。
【0546】
実施例6
CAR T細胞におけるCS1の安定なノックダウン
【0547】
これらの研究は、shRNAmiR配列を使用してCS1を安定にノックダウンするこ
とができるかどうかを決定するために開始した。CS1/SLAMF7 shRNAmi
Rの3つの候補ガイド鎖配列およびパッセンジャー鎖配列をmiR-E足場内に構築し、
BCMA特異的CAR(BCMA特異的scFv、CD8ヒンジおよび膜貫通ドメイン、
N6共刺激ドメイン、およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む)の終止コ
ドンの後に配置した。これらを構築物72101、72102、および72103と命名
した。
【0548】
この研究では、アフェレーシスサンプルを健常で、情報を知らされ、補償されたドナー
から採取し、CD3陽性選択キットIIを製造者の説明書(Stem Cell Tec
hnologies)に従って使用して、T細胞を濃縮した。T細胞を、ImmunoC
ult T細胞刺激因子(抗CD2/CD3/CD28-Stem Cell Tech
nologies)を使用して、5%ウシ胎児血清および10ng/ml IL-2(G
ibco)を補充したX-VIVO15培地(Lonza)において活性化した。刺激の
3日後、細胞を収集し、1e6細胞のサンプルに、TRAC遺伝子中のTRC 1-2認
識配列を認識して切断するTRC 1-2L.1592メガヌクレアーゼをコードするR
NA 1ugをエレクトロポレーションした。ヌクレオフェクションを、CARをコード
する線状化DNAの2ug/1e6細胞および候補CS1/SLAMF7 shRNAm
iRのうちの1つの存在下で行った。この実験では、個々のサンプルに、上記のようなT
RC1-2L.1592、およびRNAiの特徴をコードしないBCMA CAR構築物
をヌクレオフェクションした。ヌクレオフェクションの7日後、培養物を抗CD3(クロ
ーンUCHT1、BD Biosciences)、抗CS1(クローン162.1、B
ioLegend)およびビオチン化BCMA(ACRO Biosystems)で染
色して、CAR(ストレプトアビジン-APCまたはBV421、BioLegendを
用いて対比染色)を検出した。
【0549】
CAR+細胞上のCS1表面発現レベルを、同じ培養物中のCAR-細胞上に表示され
るレベルと比較することによって、相対的なノックダウンの大きさを測定することができ
た。構築物72101および72102は、CS1発現を目に見えるように変化させなか
ったが、平均蛍光強度は、それぞれ26%および30%のノックダウンを示唆した。72
103を使用して産生されたCAR T細胞は、目に見えるほど低いレベルのCS-1を
示し、高発現細胞はほとんどなく、36%のノックダウンと計算された(図11)。
【0550】
これらの実験は、内因性CS1の発現がCAR T細胞において安定に低下され得るこ
とを実証した。産生中のフラトリサイド活性を防止するために、CS1特異的CAR T
細胞上のCS1をノックダウンするという目的で、候補72103をさらに調べることに
なる。
【0551】
実施例7
CAR T細胞におけるトランスフォーミング増殖因子ベータ受容体2(TGFBR2
)の安定なノックダウン
【0552】
これらの研究は、shRNAmiR配列を使用してさらなる内因性遺伝子のTGFBR
2を安定にノックダウンすることができるかどうかを決定するために開始した。TGFB
R2 shRNAmiRのための候補ガイド鎖配列およびパッセンジャー鎖配列を同定し
、miR-E足場に組み込み、(実施例1に記載されるように)FMC63に基づく抗C
D19 CARの終止コドンの後に配置した。TGFBR2 72110 shRNAm
iRのパッセンジャー鎖およびガイド鎖は、それぞれ配列番号27および28として示さ
れる。TGFBR2 72111 shRNAmiRのパッセンジャー鎖およびガイド鎖
は、それぞれ配列番号29および30として示される。TGFBR2 72112 sh
RNAmiRのパッセンジャー鎖およびガイド鎖は、それぞれ配列番号31および32と
して示される。TGFBR2 72113 shRNAmiRのパッセンジャー鎖および
ガイド鎖は、それぞれ配列番号33および34として示される。TGFBR2 7211
4 shRNAmiRのパッセンジャー鎖およびガイド鎖は、それぞれ配列番号35およ
び36として示される。
【0553】
アフェレーシスサンプルを健常ドナーから採取し、CD3陽性選択キットIIを製造者
の説明書(Stem Cell Technologies)に従って使用して、T細胞
を濃縮した。T細胞を、ImmunoCult(商標)T細胞刺激因子(抗CD2/CD
3/CD28、Stem Cell Technologies)を使用して、5%ウシ
胎児血清および10ng/ml IL-2(Gibco)を補充したX-VIVO(商標
)15培地(Lonza)において活性化した。
【0554】
刺激の3日後、細胞を収集し、1×10細胞のサンプルに、TRAC遺伝子中のTR
C 1-2認識配列を認識して切断するTRC 1-2L.1592メガヌクレアーゼを
コードするRNA 1μgをエレクトロポレーションした。ヌクレオフェクションを、C
ARをコードする線状化DNAの2μg/1×10細胞および候補TGFBR2 sh
RNAmiRのうちの1つの存在下で行った。この実験では、個々のサンプルに上記のT
RC1-2L.1592をヌクレオフェクションし、FMC63抗CD19 CARをコ
ードするがRNAiの特徴を含まないAAV 7206を用いて形質導入した。
【0555】
細胞を、抗TGFBR2抗体MM0056-4F14(Abcam)およびPEにコン
ジュゲートされた抗マウスκ軽鎖二次抗体(BioLegend)を使用して、ヌクレオ
フェクション後7、10および14日目にTGFBR2発現について分析した。CAR+
細胞を、自社で作製した抗FMC63-Alx647を使用して同定した。CAR+上の
TGFBR2シグナルの平均蛍光強度(MFI)をCAR-細胞上のものと比較し、ノッ
クダウンパーセントを計算した。CAR+事象の頻度は、異なる構築物にわたって一貫し
ており、4.9%~6.7%の範囲であった(図12)。
【0556】
TGFBR2表面レベルは、CAR+集団ではサンプルごとに変動したが、TRAC遺
伝子座に組み込まれたCAR-shRNAmiR構築物を有さないCAR-集団では比較
的一貫していた。配列72111、72112および72113は、実験全体を通して最
も堅固なノックダウンを支援するように思われた(TGFBR2 MFIによる測定、以
下の表2に要約する)。これらの3つの配列をさらなる研究のために選択した。
【0557】
【表2】
【0558】
TGFBR2特異的shRNAmiR配列のこのスクリーニングにより、さまざまなレ
ベルのTGFBR2の安定なノックダウンを有するCAR T細胞を調製可能であること
が実証された。特に、構築物72111、72112および72113は、CAR-sh
RNAmiR配列が首尾よく組み込まれた細胞における表面TGFBR2の堅固な減少を
支援した。
【0559】
本明細書に記載のshRNAmir媒介ノックダウンアプローチを、TGFBR2遺伝
子のヌクレアーゼ媒介ノックアウトと比較するために、さらなる研究を行った。
【0560】
この研究では、アフェレーシスサンプルを健常で、情報を知らされ、補償されたドナー
から採取し、CD3陽性選択キットIIを製造者の説明書(Stem Cell Tec
hnologies)に従って使用して、T細胞を濃縮した。T細胞を、ImmunoC
ult T細胞刺激因子(抗CD2/CD3/CD28-Stem Cell Tech
nologies)を使用して、5%ウシ胎児血清および10ng/ml IL-2(G
ibco)を補充したX-VIVO15培地(Lonza)において活性化した。刺激の
3日後、細胞を収集し、1e6細胞のサンプルに、TRC1-2L.1592をコードす
るRNA 1ug、またはTGFBR2遺伝子を標的とする2つのヌクレアーゼ候補:T
GF1-2x.5(配列番号64)またはTGF1-2L.296(配列番号65)のう
ちの1つをエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションした細胞を、30ng
/mlのIL-2を補充した完全X-VIVO15培地中で6日間培養し、その後編集効
率を分析した。これは、細胞を抗TGFβRII抗体(Abcam クローンMM005
6-4F14)で染色し、続いてPEにコンジュゲートされた抗マウスIgGκ軽鎖(B
ioLegend クローンRMK45)で染色することによって達成した。データを、
Beckman-Coulter CytoFLEX-SまたはLXで取得した。
【0561】
TRC1-2L.1592をエレクトロポレーションしたT細胞に、AAV72112
(実施例1に記載の抗CD19 FMC63 CARをコードし、CAR終止コドンの後
およびTGFBR2特異的shRNAmiRがポリA配列の前に挿入されている)または
AAV7206(RNAiを含まない対照FMC63 CARをコードする)を用いて直
ちに形質導入した。培養の6日間後、CD3-CAR+細胞を、上記の方法を使用してF
ACSによって精製した。さらに、TGF1-2L.296編集培養物由来のTGFβR
II-細胞をこの様式で選別した。選別した細胞を無血清培地中で一晩静置した後、50
0ng/mlの組換えヒトTGFβ1(TGFBR2のリガンド)(PeproTech
)で刺激した。TGFβ1添加の30分後、細胞を回収し、Phos-Flow lys
e-fix緩衝液およびPhos-Flow Fix-Perm緩衝液III(BD B
iosciences)を製造者の説明書に従って使用して、染色のために直ちに調製し
た。固定された細胞を抗pSMAD2/3-PE(BD Biosciences)で染
色し、データをBeckman-Coulter CytoFLEX-LXで取得した。
【0562】
モックヌクレオフェクトT細胞を抗TGFβRII抗体および二次抗体で、または二次
抗体単独で染色して、それぞれ、TGFβRIIの表面検出の陽性対照および陰性対照と
して役立てた。
【0563】
モックヌクレオフェクト細胞と比較して、TGF1-2x.5の導入は培養物中の細胞
の38.6%においてTGFBR2ノックアウトをもたらしたが、TGF1-2L.29
6の導入は69%のより高いノックアウト頻度をもたらした(図13)。
【0564】
TGFβRII発現が破壊されたT細胞(メガヌクレアーゼ対RNAi)を選別し、T
GFβ1で刺激して、TGFβRの下流シグナル伝達物質であるSMAD2/3のリン酸
化を評価した。TGFβ1の非存在下で低いpSMAD2/3シグナルおよびTGFβ1
曝露後により高いpSMADシグナルを示すTRAC編集T細胞と比較して、TGFBR
2 KO細胞はリガンド曝露にほとんど応答しない(図14)。TGFBR2編集サンプ
ルにおいて事象のある小さな集団が、サイトカイン曝露後にSMAD2/3リン酸化を示
すが、これはおそらく選別不純物を表す。TGFβ1に応答してSMAD2/3をリン酸
化する選別されたTGFβRII十分T細胞(7206 CAR T)、およびTGFβ
1に応答してSMAD2/3をリン酸化しない選別されたTGFBR2 KO細胞と比較
して、TGFBR2指向性shRNAmiRを発現するCAR T細胞は、SMAD2/
3を陽性対照および陰性対照によって線引きされる範囲にわたるレベルにリン酸化する(
図15)。
【0565】
TGFBR2のメガヌクレアーゼ媒介ノックアウトおよびshRNAmiR媒介ノック
ダウンが、(実施例6に記載されるBCMA特異的CARを発現する)BCMA特異的C
AR T細胞におけるpSMAD2/3シグナル伝達を低下させることができるかどうか
を決定するために、さらなる実験を行った。BCMA CAR T細胞の4つの実験群を
調製し、pSMAD2/3レベルについて試験した。第1および第2の群には、それぞれ
未処理対照およびTGFβ1処理BCMA CAR T細胞が含まれた。第3および第4
の群には、それぞれ、TGF 1-2L.296メガヌクレアーゼでノックアウトされた
TGFBR2、または72112 TGFBR2 shRNAmiRでノックダウンされ
たTGFBR2のいずれかを有するTGFβ1で処理されたBCMA CAR T細胞が
含まれた。
【0566】
CAR T細胞の各群を、TRC 1-2認識配列を認識して切断するTRC1-2L
.1592メガヌクレアーゼを使用して調製し、BCMA特異的CARをコードするDN
A構築物を上記のようにこの認識配列内に挿入した。TGFBR2のノックアウトを有す
るBCMA CAR T細胞を、TGF 1-2L.296メガヌクレアーゼを用いて調
製し、TGFBR2のノックダウンを有する細胞を、上記のように72112 TGFB
R2 shRNAmiRを用いて調製した。それぞれのBCMA CAR T細胞群をT
GFβ1(500 ng/ml)で処理し、すべての細胞群を回収し、上記のように分析
した。TGFBR2ノックアウト細胞については、TGFBR2陰性細胞集団についてフ
ローサイトメトリをゲーティングした。
【0567】
図16に示されるように、未処理BCMA CAR T細胞は低レベルのpSMAD2
/3を有し、これに対して、TGFβ1による処理はこれらのレベルを増大させた。TG
F 1-2L.296メガヌクレアーゼによるBCMA CAR T細胞におけるTGF
BR2のノックアウトは、pSMAD2/3を未処理BCMA CAR T細胞対照と同
等またはそれより低いレベルまで低下させた。72112 TGFBR2 shRNAm
iRによるBCMA CAR T細胞におけるTGFBR2のノックアウトはまた、pS
MAD2/3を未処理BCMA CAR T細胞対照と同等のレベルまで低下させた。
【0568】
したがって、これらの研究は、遺伝子編集またはshRNAmiRのいずれかによるT
GFBR2破壊が、CAR T細胞のSMAD2/3をリン酸化する能力の低下をもたら
すことを実証した。SMADリン酸化は、障害されたTGFBR2遺伝子を有するCAR
T細胞では検出されなかったが、shRNAmiRを発現する細胞は不均一であり、細
胞はさまざまな程度でSMAD2/3をリン酸化する。
【0569】
実施例8
CAR T細胞におけるTGFBR2のノックダウン対ノックアウトの比較
【0570】
TGFβ経路に対するさまざまな変更の後でCAR T細胞の活性を評価するさらなる
研究を行った。TRAC遺伝子のTRC 1-2部位に挿入されたBCMA特異的CAR
(実施例6に記載)を使用して、CAR T細胞を、健常な補償されたドナーのT細胞か
ら生成した(他の箇所に記載)。いくつかの変異体では、shRNAmiRをコードする
配列も、CARと同じカセット中のTRC 1-2部位(CAR終止コドンとポリA配列
との間に配置される)に導入された。一変異体では、shRNAmiRはTGFBR2特
異的shRNAmiR(構築物72154)であったが、別の変異体では、TGFβ機能
に関連しないshRNAmiR(B2Mを標的とする-構築物72155)を導入した。
CAR T細胞の第3の変異体を、構築物72155を使用して作製したが、TGFBR
2遺伝子をノックアウトするために、それらを、上記のTGF1-2L296ヌクレアー
ゼを使用してTGFBR2遺伝子座において編集した。TGFBR2 KO群のCAR
T細胞は60%のKOを含んでいた。
【0571】
CAR T細胞の各群に、さまざまな腫瘍標的:K562陰性対照細胞、BCMAを安
定に発現するようにトランスフェクトしたK562細胞、およびBCMAを安定に発現し
、活性TGFβ1を構成的に分泌するK562細胞(C223S C225S点変異)を
負荷した。1つの実験では、CAR T細胞および標的を1:1の比でプレーティングし
た。図17に示す時点において、T細胞および任意の生存標的を計数し、各時点で1:1
の比が再確立されるように新鮮な標的を培養物に添加した。時間に対する培養中のT細胞
の数を図17に示す。陰性対照K562細胞に応答して増殖するCAR T細胞は観察さ
れなかった。
【0572】
正常レベルのTGFBR2発現を有するCAR T細胞は、BCMA+標的を負荷した
場合、共培養の6日目までに15倍超増殖したが、TGFB分泌標的細胞の存在下では5
倍しか増殖しなかった。比較すると、TGFBR2ノックダウン細胞は、BCMA+標的
に応答して同様に増殖するが、TGFB分泌標的による阻害は少ない(15倍対10倍)
。別の実験では、CAR T細胞を1:9のE:T比で標的と共にプレーティングし、生
存標的細胞を5日目および7日目に計数した。7日目までに、TGFBR2ノックダウン
細胞は、それらのTGFb分泌能にかかわらず、BCMA+標的細胞を実質的に根絶した
。対照CAR T細胞は、対照BCMA+標的を根絶しただけであり、TGFb分泌BC
MA+標的を排除しなかった(図18)。
【0573】
TGF1-2L296ヌクレアーゼで編集してTGFBR2をノックアウトしたCAR
T細胞は、対照、または標的細胞によるTGFb分泌に関連しなかったTGBFRII
ノックダウンCAR T細胞を上回る機能的利点を示した。図19に示されるように、T
GFBR2ノックアウトCAR T細胞を含有する培養物は、実験の17日間にわたって
連続的な増殖を示した。これは、TGFBR2ノックアウトCAR T細胞を含有する培
養物における、CD4:CD8比の持続的な上昇に関連していた(図20)。
【0574】
まとめると、これらのデータは、TGF1-2L296による編集、またはTGFBR
2-特異的(sepcific)shRNAmiRの包含が、CAR T細胞が抑制量の
TGFb1の存在下でエフェクター機能を維持および実行可能にすることを示している。
【0575】
実施例9
CAR T細胞におけるTGFBR2のノックダウン対ノックアウトの比較
【0576】
実施例8に記載のCAR T変異体に多発性骨髄腫細胞株U266、または活性TGF
b1を分泌するように操作されたU266細胞をさらに繰り返し(上記のように)負荷し
た。K562実験からの知見と一致して、対照CAR T細胞の増殖ピークは、対照U2
66標的と比較して、TGFb分泌U266標的に応答して約50%低下した(図21
。TGFBR2特異的shRNAmiRを発現するCAR T細胞は、TGFb1分泌U
266標的によって阻害されなかった。TGF1-2L296ヌクレアーゼで編集してT
GFBR2をノックアウトしたCAR T細胞は、他のCAR T変異体よりも多数に増
殖し、この実験の19日間、多数を維持した(図22)。これに伴い、CD4+T細胞の
頻度も上昇した(図23)。図23のヒストグラムは共培養の16日目に得られ、対照C
AR T培養物(72154、CD4+約16%)と比較して、TGFBR2ノックダウ
ンCAR T培養物はわずかにCD4頻度(23%)が上昇したが、培養された二重編集
CAR Tは63%のCD4+細胞を含んでいたことを示している。
【0577】
増殖のピーク後の、培養物中の標的細胞を根絶するCAR T細胞の能力に関してさら
なる観察を行った。16日目の時点の、BCMA(y軸)またはTGFb-GFP導入遺
伝子(x軸)を発現する生存標的細胞を示すドットプロットを図24に示す。13日目の
再チャレンジ後の16日目にT細胞数の減少が観察されたにもかかわらず、対照およびT
GFBR2ノックダウンCAR T細胞の両方がU266標的を根絶することができた。
T細胞数の減少を示さなかった二重編集CAR T細胞もまた、13日目と16日目との
間にU266標的を根絶した。重要なことに、TGFb耐性を有する(TGFBR2 s
hRNAmiRを発現するか、またはTGF1-2L296ヌクレアーゼで編集された)
CAR T細胞のみが、TGFb分泌U266標的を排除することができた。対照CAR
T細胞は、TGFb分泌U266標的を殺滅させることができなくなり、13日目から
16日目までに共培養物の90%超を占めるように増殖した。
【0578】
これらのデータは、shRNAmiRノックダウンまたは遺伝子ノックアウトのいずれ
かによって、TGFBR2の発現が乱されたCAR T細胞が、抑制レベルのTGFbサ
イトカインの存在下で増殖し、標的細胞を排除することができるという実施例8における
結論を裏付けている。
【0579】
実施例10
CAR T細胞におけるCD52の安定なノックダウン
【0580】
これらの研究は、shRNAmiR配列を使用してさらなる内因性遺伝子のCD52を
安定にノックダウンすることができるかどうかを決定するために開始した。CD52 7
2123 shRNAmiRのパッセンジャー鎖およびガイド鎖は、それぞれ配列番号3
7および38として示される。CD52 72124 shRNAmiRのパッセンジャ
ー鎖およびガイド鎖は、それぞれ配列番号39および40として示される。
【0581】
アフェレーシスサンプルを健常ドナーから採取し、CD3陽性選択キットIIを製造者
の説明書(Stem Cell Technologies)に従って使用して、T細胞
を濃縮した。T細胞を、ImmunoCult(商標)T細胞刺激因子(抗CD2/CD
3/CD28、Stem Cell Technologies)を使用して、5%ウシ
胎児血清および10ng/ml IL-2(Gibco)を補充したX-VIVO(商標
)15培地(Lonza)において活性化した。刺激の3日後、細胞を収集し、1×10
細胞のサンプルに、TRAC遺伝子中のTRC 1-2認識配列を認識して切断するT
RC 1-2L.1592メガヌクレアーゼをコードするRNA 1μgをエレクトロポ
レーションした。線状化DNAのサンプルも、ヌクレオフェクション時に最終濃度2μg
/1×10細胞まで細胞に添加した。この実験では、それぞれが7206の変異体であ
り、それぞれがFMC63 CAR遺伝子の終止コドンの下流であるがポリA転写ターミ
ネータの上流に異なるCD52特異的shRNAmiRをコードする、2つの異なる線状
化構築物を使用した。
【0582】
ヌクレオフェクション後10日目に、細胞の培養物を抗CD3-BV711(クローン
UCHT1、BD Biosciences)、抗FMC63-Alx647(クローン
VM16、自社生産)および抗CD52-PEクローン4C8 BD BioScien
ces)で染色した。CD52の強度を、CD3-CAR+細胞と未編集のCD3+/C
AR-細胞との間で比較した。
【0583】
ヌクレオフェクション後10日目に、TRAC編集CAR+細胞上のCD52強度を、
同じ培養物中の未編集(CD3+CAR-)細胞上のCD52強度に対してプロットした
。構築物72123および72124をヌクレオフェクトされた培養物からのCAR+集
団(影のないヒストグラム)は、対応する参照集団(影のあるヒストグラム)よりも約1
log低いCD52シグナルを発現し、CAR+集団で約90%の安定した低下を表した
図25)。
【0584】
この研究は、shRNAmiRアプローチが、CAR T細胞集団における内因性CD
52タンパク質を効率的かつ安定に約90%ノックダウンするために活用できることを実
証する。
【0585】
実施例11
CAR T細胞におけるshRNAmiRによるタンパク質の多重ノックダウン
【0586】
さらなる研究を、多重アプローチにおいてCAR T細胞でのshRNAmiR媒介ノ
ックダウンを使用することの実現可能性を決定するために行った。これらの研究では、B
2MおよびCD52の両方を、ゲノムから安定に発現された異なるshRNAmiRによ
る、同じT細胞中でのノックダウンのために標的化した。
【0587】
これらの実験のために、アフェレーシスサンプルを健常ドナーから採取し、CD3陽性
選択キットIIを製造者の説明書(Stem Cell Technologies)に
従って使用して、T細胞を濃縮した。T細胞を、ImmunoCult(商標)T細胞刺
激因子(抗CD2/CD3/CD28、Stem Cell Technologies
)を使用して、5%ウシ胎児血清および10ng/ml IL-2(Gibco)を補充
したX-VIVO(商標)15培地(Lonza)において活性化した。刺激の3日後、
細胞を収集し、1×10細胞のサンプルに、TRAC遺伝子中のTRC 1-2認識配
列を認識して切断するTRC 1-2L.1592メガヌクレアーゼをコードするRNA
1μgをエレクトロポレーションした。
【0588】
線状化DNAのサンプルも、ヌクレオフェクション時に最終濃度1μg/1×10
胞まで細胞に添加した。この実験では、3つの異なる線状化構築物を使用し、それぞれが
JeT駆動抗CD19 CARを発現する7206の変異体であった。クローン7290
と呼ばれる1つの配列は、CARの3’非翻訳領域(UTR)にB2M特異的shRNA
miRを含む。72124と呼ばれる第2の構築物は、同じ位置にCD52特異的shR
NAmiRを含有し、72156と呼ばれる第3の構築物は、CARの3’UTRにCD
52 shRNAmiR、そのすぐ後にB2M shRNAmiRを含有する。
【0589】
エレクトロポレーション後、細胞を、30ng/ml IL-2を補充した完全X-V
IVO15中で7日間インキュベートした。この時点で、T細胞を、上に詳述したように
、TRAC編集およびCAR挿入、ならびにCD52およびB2M発現について分析した
【0590】
CARCD3細胞の集団を、CD52およびB2M発現について各サンプル中の未
編集CD3CAR細胞と比較した。7290DNAを投与したサンプルでは、CAR
T細胞は、CD3+CAR-細胞と比較して、B2Mの表面レベル(平均蛍光強度によ
って測定)の91%の低下を示した。両集団は、同等レベルの表面CD52を示した。7
2124DNAを投与したサンプルでは、CAR+集団は未編集集団と比較してCD52
レベルの90%の低下を示したが、B2Mレベルの低下は示さなかった。72156DN
Aを含有するCAR細胞は、参照集団と比較して、両方のレベル低下、CD52(89
%)およびB2M(88%)を示した(図26)。さらに、ビオチン化抗CD52試薬を
、依然として高レベルのCD52を発現するCAR-細胞を枯渇させるための陰性選択ア
プローチに使用して、CD52発現が低下したCAR+細胞の集団を濃縮できることが実
証された(図27)。
【0591】
これらの知見は、2つの異なる転写物に対して指向する2つの操作されたshRNAm
iRが、単一コピー標的挿入を介してT細胞に送達可能なこと、および両方のshRNA
miR遺伝子が、一方のshRNAmiR遺伝子のみを発現する対照と比較して、性能に
ほとんどまたは全く差がなく同時に機能し得ることを示す。
【0592】
実施例12
CAR、HLA-EおよびshRNAmiRをコードする構築物の単一ゲノム遺伝子座
への標的挿入
【0593】
同種異系CAR T細胞持続性を改善し、潜在的なNK細胞殺滅に対するそれらの感受
性を低下させるためのアプローチにおける、shRNAmiR構築物の使用をさらに評価
する研究を行った。これらの研究では、前述のTRC 1-2L.1592メガヌクレア
ーゼを使用して、4つの候補構築物をTRC 1-2認識部位においてT細胞に挿入した
。各構築物は、腫瘍抗原標的化のためのCD19特異的CAR遺伝子(実施例1に記載さ
れているが、配列番号73のシグナルペプチドを含むように改変されている)、MHC
I発現を低下させ、アロ反応性T細胞を回避するように最適化されたB2M特異的shR
NAmiR(前述の7289構築物で使用されるものと同じもの)、およびNK細胞溶解
を阻害するためのHLA-E融合タンパク質遺伝子を含んでいた。図28に示す構築物7
3161~73164は、プロモータ使用および転写終結の点で違いのある異なる構成で
これらの3つのエレメントを組み込んでいる。
【0594】
構築物73161(図28 A)は、JeTプロモータ(配列番号67)を使用して、
CAR、HLA-E融合タンパク質(配列番号66)、およびshRNAmiR遺伝子の
発現を、双方向SV40ポリAシグナル(標識BipA;配列番号68)で終結する単一
転写物として駆動する。shRNAmiRは、HLA-E 03-01対立遺伝子のエク
ソン接合部に挿入された合成イントロン(配列番号69)にコードされている。イントロ
ンはスプライシングで切り出され、核マイクロRNA生合成機序によってプロセシングさ
れるが、CAR-HLA-E転写物の残りはサイトゾルに輸送され、タンパク質に翻訳さ
れる。P2A/フューリン部位(配列番号70)は、CARおよびHLA-E融合ポリペ
プチドの分離を可能にする。
【0595】
構築物73162~164(図28B図28D)は、P2A/フューリン切断部位を
使用しないが、CARおよびHLA-Eの発現を駆動するために別々のプロモータに依存
する。73162では、shRNAmiRイントロンはCAR遺伝子に移動し、その両方
がJeTプロモータによって制御され、BipAによって終結し、HLA-Eは別個のJ
eTプロモータによって制御され、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリAシグナルによって
終結する(配列番号71)。73163および73164の構築物では、shRNAmi
Rイントロンはこの場合もまたHLA-Eにコードされ、CARおよびHLA-Eの発現
は別々のプロモータおよびターミネータによって制御される。73163では、CAR遺
伝子はJeTプロモータによって制御され、BipAによって終結し、HLA-E発現は
EF1αコアプロモータ(配列番号72)およびBGHターミネータによって制御される
。73164では、両方の遺伝子は、別個のJeTプロモータ、およびBipA(CAR
)またはBGH(HLA-E)ターミネータのいずれかによって制御される。4つすべて
の構築物において、CAR遺伝子は、編集されたT細胞の表面上のCAR密度を増加させ
るように最適化されたシグナルペプチド(配列番号73)を含む。
【0596】
凍結保存したCD3+T細胞を、前述のように解凍し、静置し、活性化した。活性化後
3日目に、細胞に、TRAC特異的ヌクレアーゼ(TRC 1-2L.1592)をコー
ドするmRNAをエレクトロポレーションし、直後に25000ウイルスゲノム/細胞の
MOIでAAVベクターを用いて形質導入した。細胞に、AAV7206または7316
1~73164のうちの1つを投与した。さらに、刺激されたT細胞の他のサンプルに、
TRC 1-2L.1592、および内因性B2M遺伝子座を標的とするヌクレアーゼB
2M 13-14x.479の両方をコードするmRNAをエレクトロポレーションした
。これらの細胞に、JeT駆動HLA-E遺伝子をコードし、B2M13-14部位に隣
接する領域に相同な挿入を指向させるAAV7206およびAAV7346(前述)を用
いて形質導入した。これらの細胞は、ダブルノックアウト、ダブルノックイン(dKO
dKI)と呼ばれる。
【0597】
編集およびAAV形質導入の6日後、細胞を、先に記載された試薬、ハードウェア、ソ
フトウェアおよび手順を使用して、CAR、HLA-ABC、HLA-EおよびCD3の
表面発現についてフローサイトメトリによって分析した。
【0598】
TRAC編集CAR T細胞の頻度、ならびにCAR染色の強度を評価し、図29の表
にまとめた。CD19特異的CARのみを発現する7206対照と比較して、構築物73
161および73163は遜色がなかったが、構築物73162および73164はCD
3-/CAR+集団を産生したが、効率的ではなかった。すべての実験構築物は、720
6よりも高いCAR表面発現レベルが確認された(任意の蛍光単位で列挙したMFIなら
びに7206シグナルのパーセンテージ)。これは、リーダーペプチド配列に対して行わ
れた改善に起因する可能性がある。
【0599】
すべての実験構築物は、B2M shRNAmiRの発現および可変レベルのHLA-
E発現から生じる、HLA-ABCの等しく効率的なノックダウン(89~90%、図3
0)が確認された。注目すべきことに、73162および73164の構築物は、HLA
-Eを発現するCD3-/CAR-集団の集団を生じさせた。この観察結果は、これらの
サンプルにおけるCD3-/CAR+細胞のより低い相対頻度と相まって、ベクターの左
半分(CARをコードする)または右半分(HLA-E)のいずれかを欠く不完全なイン
サートが産生され、AAVキャプシドにパッケージングされたことを示す。配列分析(図
示せず)により、組換え事象が、ベクター中に存在し得る同一の配列によって駆動された
ことが確認される。断片化は、2つのJeTプロモータを含むベクター73162および
73164で観察されたが、同様のサイズのベクター、例えば反復同一配列を含まない7
3163からはインタクトなインサートのみが検出される。HLA-ABCの効率的なノ
ックダウンはまた、shRNAmiRをイントロンに配置することが許容され、RNAi
機能を損なわないことを示唆する。
【0600】
要約すると、これらの研究は、CAR T細胞において3つの異なる機能を支援するい
くつかの構築物の有効性を実証している(すなわち、CARの高発現、HLA-Eの高発
現、およびHLA-ABCの効率的なノックダウン)。HLA-Eの発現およびB2M(
したがって、HLA-ABC)のノックダウンの両方が、CAR T細胞をNK細胞殺滅
から保護するように潜在的に作用し得る。重要なことに、これらの多成分構築物のそれぞ
れは、単一のヌクレアーゼを使用してゲノム内の単一の遺伝子座に挿入することができ、
第1のヌクレアーゼを使用してCAR遺伝子をTRAC遺伝子座に挿入し、第2のヌクレ
アーゼを使用してHLA-E遺伝子をB2M遺伝子座に別々に挿入するための多重遺伝子
編集の必要性を回避する。さらに、HLA-E染色のシグナル強度は、HLA-E遺伝子
がB2M13-14部位に挿入されている本発明者らの以前に記載されたdKO dKI
細胞よりも多遺伝子実験サンプル(構築物73161~73164)において大きいこと
が分かった(図30の表の第5列に報告されているMFIを参照されたい)。本発明者ら
は、dKO/dKI細胞で観察されるHLA-E発現レベルによりNK細胞溶解からの保
護を達成できることを知っているので、本発明者らは、構築物73161および7316
3によって支持されるHLA-E発現レベルが保護も付与すると予想する。
【0601】
最後に、これらの実験は、均質なベクター、AAV調製、および細胞表現型を達成する
ために、導入遺伝子における同一の反復配列の使用を回避することによって、部分的なベ
クター喪失をもたらす分子内相同性によって駆動される組換え事象を最小化しなければな
らないことをさらに示す。
【0602】
実施例13
CAR/HLA-E/B2M shRNAmiR構築物の評価
【0603】
この研究では、CAR T細胞を調製し、実施例12に記載されるようにCAR、HL
A-ABCおよびHLA-Eの表面発現について評価した。ここで、構築物7206、7
3161、または73163をTRAC遺伝子のTRC 1-2部位に挿入した。HLA
-ABCおよびHLA-Eの発現レベルの比較として、さらなる対照細胞(dKO/dK
I)を含めた。これらの対照dKO/dKI細胞は、TRAC遺伝子のTRC1-2部位
に挿入されたCD19-CAR 7206構築物と、B2M遺伝子のB2M 13-14
部位に挿入されたHLA-E構築物とを有していた。
【0604】
表にしたフローサイトメトリデータを図31に示す。73161および73163で調
製した培養物中のCD3-CAR+細胞の頻度は、導入遺伝子を発現するTRAC編集細
胞(KO中のKI)の頻度と同様に、対照(7206)に比肩した。CARシグナルのM
FIは、73161および73163で生成されたサンプルでは、7206またはdKO
/dKIサンプルよりも約2.5倍高く現れた。73161および73163で生成され
たCAR+細胞は、HLA-ABC MFIの90%超の減少を示し、それらの大部分は
HLA-Eも発現する。HLA-E+CAR T細胞の頻度およびMFIの両方が、73
161の調製物でより高かった。まとめると、これらの結果は、ベクター73161およ
び73163が、7206よりも高いCAR発現、高度のHLA-ABCノックダウン、
およびdKO/dKIアプローチよりも高いHLA-Eレベルを支援することを示し、こ
れはインビボでのNK細胞殺滅からのより大きな回避をもたらし得る。
【0605】
実施例14
セクション3.2の実験-アロ反応性T細胞に対する保護のインビトロ評価
【0606】
この研究では、B2M shRNAmiRおよびHLA-E導入遺伝子を備えている場
合、CAR T細胞がナチュラルキラー(NK)および細胞傷害性リンパ球(CTL)殺
滅から逃れる能力を評価した。最初に、CAR T細胞を、他の箇所に記載のベクター7
206、7289、73161または73163を使用して作製した。B2M KO T
細胞およびB2M KO/HLA-E KI細胞は、B2M特異的メガヌクレアーゼと、
JeTプロモータによって駆動されるHLA-E融合タンパク質をコードするB2M特異
的修復ベクターとを使用して作製した。すべてのCAR T変異体を、同じドナーから収
集された細胞(HC6366)から作製した。
【0607】
次に、2人の非血縁ドナー由来のナイーブT細胞(K2916およびK3212)をH
6366アロ抗原に対して感作した。簡潔には、HC6366由来の単球を、組換えヒト
GM-CSF(800U/ml-PeproTech)およびIL-4(400U/ml
-PeproTech)の存在下で6日間培養して、樹状細胞様APCに分化させた。A
PCを収集し、K3212およびK2916由来のナイーブT細胞と5:1のT:APC
比で共培養した。IL-2(Gibco)を24時間後に10ng/mlの最終濃度まで
培養物に添加した。プレーティングの1週間後、同種抗原感作T細胞を収集し、CD4枯
渇によってCTLを濃縮した(CliniMACS CD4マイクロビーズ、Milte
nyi)。CAR T変異体を1uM CellTrace Violet(Therm
o-Fisher)で標識し、次いで、図32に示す比で各ドナー由来の同種抗原プライ
ムCTLと共にプレーティングした。この共培養を20~24時間行い、その時点でサン
プルを1ug/mlのヨウ化プロピジウム(Sigma)で標識し、Beckman-C
oulter CytoFLEX-Sを用いて各サンプル中の色素陽性生細胞の数を計数
した。ゼロエフェクター対照を使用して殺滅パーセントを決定した。
【0608】
図32では、K3212(パネルA)またはK2916(パネルB)のCTLによるC
AR T細胞の殺滅が示されている。広範な殺滅が、対照(7206)CAR T細胞に
対して観察された。低いE:T比(1:1未満)は25~50%の殺滅をもたらしたが、
1を超えるE:Tはこのアッセイでの最大殺滅:50~60%を支援した。B2M特異的
shRNAmiRを発現するCAR T細胞はCTL殺滅を受けにくく、73163 C
AR T細胞において最大20%、73161 CAR T細胞において最大10%であ
った。
【0609】
CAR T変異体に対するNK活性を評価するために、CD56陽性選択キット(St
emCell Technologies)を使用して、同じドナー(HC6366)お
よび非血縁ドナー(K799)由来のPBMCからNK細胞を磁気的に濃縮し、10ng
/ml IL-15(Gibco)中で48時間培養した。CAR T標的細胞をCel
l Trace Violet(上記)で標識し、図33に指定された比でNK細胞と一
緒にプレーティングした。共培養を、XVIVO15+5% FBSおよび10ng/m
l IL-2中で4~5日間行った。プレーティングの4~5日後、培養物を1ug/m
lのヨウ化プロピジウムで標識し、生存CAR T標的を上記のように計数した。B2M
KO細胞および7289 CAR T細胞(shRNAmiR単独)は、ドナー一致N
K細胞および不一致NK細胞の両方によってほぼ根絶され(90%超の殺滅)、殺滅を、
正常なHLA-ABCレベルまたはHLA-E導入遺伝子のいずれかの欠如に関連づけら
れる。正常なHLA-ABC発現を有するCAR T細胞(7206)のNK殺滅は非常
に低かった(10%未満)か、または検出されなかった。HLA-ABCを欠くが、HL
A-E導入遺伝子を発現するCAR T変異体は、NK細胞溶解に対する感受性が変化し
た。自己NK細胞と共に培養した場合、73163 CAR T細胞およびB2MKO/
HLA-E+細胞は中程度に保護され(30~40%の殺滅)、73161 CAR T
細胞は堅固に保護された(10%未満の殺滅)。同種異系NK細胞を用いて行った実験で
は、B2MKO/HLA-E+細胞および73161細胞の殺滅は検出されなかった。
【0610】
これらの観察は、構築物73161および73163が、細胞をNK殺滅に対して感作
することなく、同種抗原特異的CTLに対する保護を付与することを示している。さらに
、この保護は、単一の遺伝子編集を使用してTRAC遺伝子座に挿入される単一の組換え
AAVベクターによって提供され得る。
【0611】
実施例15
B2M shRNAmiR/HLA-E CAR T細胞のインビボ活性
【0612】
shRNAmiRおよびHLA-E導入遺伝子の包含がCAR T細胞の殺腫瘍活性を
損なわないことを実証するために、本発明者らは、NALM/6白血病細胞を移植した免
疫不全マウスにおいて腫瘍殺滅を経時的にモニターするインビボ実験を行った。NOD.
Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJマウス(NOD.scid
.γ鎖 KOまたはNSG)マウスをJackson Laboratoryから購入し
、ホタルルシフェラーゼを発現する5×10個のNALM/6細胞(Imanis)を
尾静脈を介して注射した。腫瘍移植の6日後、動物にd-ルシフェリンを注射し、IVI
S imager(Perkin-Elmer)を用いて発光を測定した。腫瘍生着を確
認した後、マウスを、7206対照導入遺伝子(CD19 CARのみ)、7289導入
遺伝子、73161導入遺伝子または73163導入遺伝子のいずれかを担持する1×1
個または5×10個のCAR T細胞(他の箇所に記載されるように作製される)
で処置した。動物の1つの群にビヒクル対照(2%ヒト血清アルブミンを補充した生理食
塩水)を投与した。マウスを、発光については縦方向で、および体重についてモニターし
た。IACUC承認のヒューマンエンドポイントを使用して生存期間を決定した。発光測
定値を図34に示し、生存率を図35にプロットする。
【0613】
ビヒクル対照を投与された動物は、NALM/6の生着後およそ27日目にエンドポイ
ントに達するまで、処置後に発光の増加を示した。CAR T介入を施されたマウスは、
CAR T用量に比例する持続時間および大きさで、一時的に発光の低下を示した。これ
は延命効果を伴い、1×10個のCAR T細胞を投与されたマウスは35~42日生
存し、5×10個の細胞を投与されたマウスは52日から60日を超えて生存する。用
量サイズ以外に、処置群間の発光または生存に対する有意な寄与は観察されなかった。こ
の研究は、構築物73161および73163を使用して作製されたCAR T細胞が、
7206 CAR T細胞と同等の有効性を有することを示す。
【0614】
実施例16
CAR/shRNAmiR構築物の非ウイルスDNAトランスフェクションによるDC
K shRNAmiRのスクリーニング
【0615】
これらの研究は、DCKを安定にノックダウンするためのshRNAmiRとしての異
なるガイド配列およびパッセンジャー配列を評価するために開始した。この目的は、CA
R T細胞におけるDCKのノックダウンが、CAR Tリンパ球枯渇レジメンにおいて
一般的に使用されるフルダラビンなどのプリンヌクレオシド類似体の存在下でのCD3-
/CAR+集団の濃縮を可能にするかどうかを決定することであった。
【0616】
この研究で利用された導入遺伝子は、CD19 CARの発現を駆動するJeTプロモ
ータ(実施例1で前述)と、双方向SV40ポリAシグナルで終結する単一転写物として
のshRNAmiR遺伝子とを含んでいた。導入遺伝子は、導入遺伝子をTRAC遺伝子
のTRC1-2切断部位に挿入するように指向させる相同アームによって両側で挟まれて
いた。shRNAmiRについては、5つのDCKガイド鎖配列およびパッセンジャー鎖
配列を同定し、miR-E骨格にクローニングし、CARの終止コドンと双方向SV40
ポリA転写ターミネータとの間でCD19-CAR構築物に挿入した。別個の実験では、
この研究で評価されたDCK shRNAmiRは、DCK標的化shRNAmiRを含
まないCD19 CAR発現対照細胞の内因性DCKレベルと比較した場合、70%(7
2136)、40%(72137)、35%(72138)、60%(72140)の低
下を示した(7206)。これらのDCK shRNAmiR配列を、フルダラビンで処
理した場合のCD3-/CAR+集団を濃縮する能力について試験した。
【0617】
凍結保存したCD3+T細胞を解凍し、静置した。CD3+T細胞を、ImmunoC
ult(商標)T細胞刺激因子(抗CD2/CD3/CD28、Stem Cell T
echnologies)を使用して、5%ウシ胎児血清および10ng/ml IL-
2(Gibco)を補充したX-VIVO(商標)15培地(Lonza)において活性
化した。刺激の3日後、細胞を収集し、1×10細胞のサンプルに、TRAC遺伝子中
のTRC 1-2認識配列を認識して切断するTRC 1-2L.1592メガヌクレア
ーゼをコードするRNA 1μgをエレクトロポレーションした。5つのCAR-shR
NAmiR構築物(構築物72136~72140)を、ヌクレオフェクション中にTR
C 1-2ヌクレアーゼ RNAと同時に線状化DNA(1μg/1×10細胞)とし
てT細胞に送達した。エレクトロポレーションした細胞を、5%ウシ胎児血清および30
ng/ml IL-2を添加したX-VIVO(商標)15培地で培養した。
【0618】
ヌクレオフェクション後4日目に、2.5e5の生存細胞を、96丸底プレート中で広
範囲の用量のフルダラビンで処理した;10ng/mLのIL-15、IL-21(Gi
bco)を補充した完全XVIVO(商標)15培地中50uM、5uM、0.5uM、
0.05uM、0.005uM、および未処理対照。未処理対照には、最高用量のフルダ
ラビンに等しい体積のDMSOを投与した。処理の2日後、96ウェルプレートを遠心沈
殿させ、薬物を含有する培地を捨て、細胞を96ウェルプレートから48ウェルプレート
に移し、新鮮な完全XVIVO(商標)15培地、サイトカインおよびフルダラビン(い
かなる薬物も与えなかった未処理対照は除いて)で処理した。フルダラビンによる処理後
6日目に、200uLのサンプルを染色のために各ウェルから取り出し、残りの細胞を遠
心沈殿させ、10ng/mLのIL-15、IL-21(Gibco)およびフルダラビ
ン(いかなる薬物も与えなかった未処理対照は除いて)を補充した新鮮な完全XVIVO
(商標)15培地で処理した。フルダラビンによる処理後6日目および10日目に、20
0uLの培養物のサンプルを抗CD3-PE(BioLegend Clone UCH
T1)、抗FMC63-AlexaFluor647(クローンVM16、自社生産)で
染色した。
【0619】
図36は、フローサイトメトリによって試験した異なる用量のフルダラビンでプロット
したKO中のKI%を示し、表3の対応するshRNAmiRの下にも列挙する。KO中
のKIパーセントは、(CD3-/CAR+%)/(総CD3-%)×100として定義
される。表にしたデータは、フルダラビンによる処理後10日目に取得した。DCK s
hRNAmiRを発現するCARでは、漸増用量のフルダラビンによる処理は、CD3-
/CAR+集団の濃縮をもたらし、KO中のKIパーセントの増加によって表3で観察す
ることができる。72139を除いて、すべてのDCKノックダウン構築物は、5uMの
フルダラビン用量で70%を超えるKO中のKIを示した。用量50uMのフルダラビン
は、細胞に対して毒性が高すぎた。図37は、CD3-/CAR+集団の事象/uL対フ
ルダラビンの濃度(uM)を示し、KO中のKI%と相関する。最も高いKO中のKIパ
ーセントおよび事象/uLは、フルダラビン用量5uMにおいて見られた。
【0620】
【表3】
【0621】
72136、72138にコードされた候補配列を、AAVを使用してさらなる実験で
調査した。
【0622】
この実験は、shRNAmiRを使用してDCKをノックダウンすることにより、フル
ダラビンの存在下でCD3-/CAR+細胞の濃縮が可能になることを実証した。この非
ウイルスアプローチによって試験された5つのDCK shRNAmiR構築物のうち4
つは、用量5uMのフルダラビンによる10日間の処理が70%を超えるKO中のKIを
もたらしたことを示した。フルダラビンは、CAR Tの投与前に患者をリンパ球枯渇さ
せるためにシクロホスファミドと共に一般的に使用される。この研究は、shRNAmi
RでDCKをノックダウンすることにより、CAR T細胞がフルダラビンに対して耐性
になり、それらの濃縮が可能になるという概念実証を提供する。臨床的には、DCK s
hRNAmiRの包含は、同種異系フルダラビン耐性CAR Tの投与後の患者へのフル
ダラビンの継続的投与を可能にし、したがって宿主免疫応答を抑制し、これらの薬物耐性
CAR T細胞がインビボでより大きな増殖および持続性を有することを可能にし得る。
したがって、DCKをノックダウンする潜在的な臨床的利点は、同種異系薬物耐性CAR
T細胞の活性の治療域の拡大を可能にし得るが、同時に、フルダラビンとCAR T療
法との相乗的抗腫瘍活性も可能にし得る。
【0623】
実施例17
CAR T細胞の表現型および抗腫瘍活性に対する、shRNAmiRによるDCKノ
ックダウンの効果
【0624】
これらの研究は、AAV形質導入後にDCKを安定にノックダウンするためのshRN
AmiR(構築物72136および72138)としての異なるガイド配列およびパッセ
ンジャー配列を評価するために開始した。この目的は、CAR T細胞の表現型および抗
腫瘍活性に対するDCKノックダウンの効果を決定することであった。
【0625】
凍結保存したCD3+T細胞を、前述のように解凍し、静置し、活性化した。活性化後
3日目に、細胞に、TRAC特異的ヌクレアーゼであるTRC 1-2L.1592をコ
ードするmRNAをエレクトロポレーションし、直後に20000ウイルスゲノム/細胞
のMOIでAAVベクターを用いて形質導入した。細胞に、AAV7206、または72
136もしくは72138を投与したか、またはAAVを与えなかった(TRC 1-2
L.1592のみを投与した)。形質導入の3日後、CAR T表現型を、抗CD3-
PE(BioLegend、クローンUCHT1)、抗FMC63-AlexFluor
647(クローンVM16、自社生産)、抗CD4-BV711(BioLegend、
クローンOKT4)、抗CD8a-BV785(BioLegend、クローンSK1)
、抗CD62L-BS515(BD Pharmingen、クローンDREG-56)
、抗CD45RO-PE/シアニン7(BioLegend、クローンUCHL1)、抗
CD27-BV421(BioLegend、クローンO323)で染色することによっ
て研究した。サンプルをフローサイトメトリによって試験し、CytoFLEX-Sでデ
ータを取得した。
【0626】
2.5e5の生存細胞を48ウェルプレートにおいて以下の用量のフルダラビンで処理
した:10ng/mLのIL-15、IL-21(Gibco)を補充した完全Xuri
培地中、12uM、6uM、3uMおよび未処理対照。注:未処理対照には、最高用量の
フルダラビンに等しい体積のDMSOを投与した。処理後4日目に、細胞数を得て(図3
8に示す)、1e6生存細胞を遠心沈殿させ、上清を捨て(6uMおよび12uMのフル
ダラビンで処理したサンプルTRCおよび7206を除く)、細胞を新しい48ウェルプ
レートに移し、新鮮な完全Xuri培地、サイトカイン、+/-フルダラビンで処理した
。フルダラビンによる処理後8日目に、上記のようにCAR T表現型染色のためにサン
プルを採取した。残りの細胞は、EasySep Human Release CD3
陽性選択キットを使用してCD3を枯渇させた。CD3-画分を保持し、10ng/mL
のIL-15、IL-21(Gibco)を補充した完全Xuri培地で培養し、フルダ
ラビンによるさらなる処理を行わなかった。形質導入後14日目、CAR T表現型染色
のためにサンプルを採取し、その後ACEAアッセイをセットアップした(上記のパネル
参照)。これは、CD3-CAR+の%が、エフェクターとして加えるべきCAR Tの
正確な数を決定するために必要とされるからである。形質導入後15日目に、エフェクタ
ー細胞として3または6uMのフルダラビンで未処理の、または処理した72136また
は72138(DCKノックダウンCD19-CAR T)または7206(CD19
CAR T)、および標的細胞としてCD19を発現するHEK 293使用して、AC
EA殺滅アッセイを設定した。細胞溶解の陽性対照としてTriton X-100を使
用し、陰性対照としてTRCを使用した。実験を、エフェクター:標的(E:T)比2:
1、1:2および1:4で設定した。
【0627】
形質導入(フルダラビンによる前処理)後3日目のCAR T表現型をフローサイトメ
トリによって試験し、以下の表4に要約する。KO中のKIパーセントは、(CD3-/
CAR+%)/(総CD3-%)×100として定義される。Tナイーブ(Tn)、Tセ
ントラルメモリー(Tcm)/Tトランジションメモリー(Ttm)、Tエフェクターメ
モリー(Tem)についてのCD4:CD8比および頻度を表4に報告する。TnはCD
62L+CD45RO-(低)であり、一方、TcmはCD62L+、CD45RO+(
中)であり、TtmはCD62L+、CD45RO+(高)であり、TemはCD62L
-、CD45RO+である。フルダラビンによる処理前のCAR T表現型は、以下に示
すように、7206(CD19-CAR)と72136、72138(DCK shRN
AmiRを発現するCD19-CAR)との間で変化しないままである。
【0628】
【表4】
【0629】
図38は、フルダラビンによる処理後4日目に得た生細胞数/mLを示す。TRCのみ
(AAVなし)または7206(CD19-CAR AAV)では、72136および7
2138(DCK shRNAmiRを発現するCD19-CAR AAV)と比較して
、漸増用量のフルダラビンによる処理後に細胞数の50%以上の減少が見られた。
【0630】
フルダラビンによる処理後8日目のCAR T表現型をフローサイトメトリによって試
験し、下記の表5に報告する。図39は、フルダラビンによる処理後8日目に得た生細胞
数/mLを示す。DCKノックダウンにより、DCK shRNAmiRを発現するCA
R T細胞は、TRCヌクレアーゼのみ(AAVなし)および7206(CD19-CA
R AAV)と比較して、フルダラビンの存在下でより生存可能であった。DCK sh
RNAmiRを発現するCAR Tでは、漸増用量のフルダラビンによる処理はCD3-
/CAR+集団の濃縮をもたらし、KO中のKIパーセントの増加によって表5において
観察することができる。Tナイーブ(Tn)、Tセントラルメモリー(Tcm)/Tトラ
ンジションメモリー(Ttm)、Tエフェクターメモリー(Tem)についてのCD4:
CD8比および頻度もまた報告する。未処理またはフルダラビンで処理したサンプルの間
で、DCK shRNAmiRを発現するCD19-CARのCAR T表現型に有意差
は観察されなかった。しかしながら、CD19 CAR(7206)では、フルダラビン
による処理時のCD4およびCD8表現型は、セントラルメモリーからトランジションメ
モリーへ移行し、およびエフェクターメモリー表現型に移行する。これは、DCKノック
ダウンおよびフルダラビンによる処理がCAR T細胞表現型に対して有意な効果を全く
有さなかったことを示す。
【0631】
【表5】
【0632】
図40は、ACEAアッセイにおけるエフェクター細胞として、未処理または3および
6uMのフルダラビンで処理した7206(CD19-CAR)を使用した(TRCに対
して正規化した)細胞溶解%を示す。CD19を発現するHEK293を標的細胞とした
。実験を、E:T比2:1、1:2および1:4で設定した。細胞溶解の陽性対照として
Tritonを使用し、陰性対照としてTRCを使用した。フルダラビンによる処理の+
/-にかかわらず、最も効率的な殺滅は、E:T比2:1で見られた。E:T比1:2、
1:4では、未処理と比較して、漸増用量のフルダラビンの存在下では効率の悪い殺滅が
見られた。
【0633】
図41は、ACEAアッセイにおけるエフェクター細胞として、未処理、または3uM
もしくは6uMのフルダラビンで処理した72138(DCK shRNAmiRを発現
するCD19-CAR)を使用した(TRCに対して正規化した)細胞溶解%を示す。C
D19を発現するHEK293を標的細胞とした。実験を、E:T比2:1、1:2およ
び1:4で設定した。細胞溶解の陽性対照としてTritonを使用し、陰性対照として
TRCを使用した。フルダラビン処理の有無にかかわらず、E:T比2:1、次いで1:
2、次いで1:4で最も効率的な殺滅が見られたことが観察された。図42は、ACEA
アッセイにおけるエフェクター細胞として、未処理、または3uMもしくは6uMのフル
ダラビンで処理した72136(DCK shRNAmiRを発現するCD19-CAR
)を使用した(TRCに対して正規化した)細胞溶解%を示す。CD19を発現するHE
K293を標的細胞とした。実験を、E:T比2:1、1:2および1:4で設定した。
細胞溶解の陽性対照としてTritonを使用し、陰性対照としてTRCを使用した。フ
ルダラビン処理の有無にかかわらず、E:T比2:1、次いで1:2、次いで1:4で最
も効率的な殺滅が見られたことが観察された。
【0634】
最後に、DCK shRNAmiRを発現するCD19-CAR(72136、721
38)は、フルダラビンで処理した場合、E:T比1:2でCD19 CARよりもより
効率的な殺滅を示した。これは、shRNAmiRを使用するDCKノックダウンおよび
フルダラビンによる処理が、CD19-CARの抗腫瘍活性に対して相乗効果を有するこ
とを実証した。
【0635】
実施例18
CAR/shRNAmiR構築物の非ウイルスDNAトランスフェクションによるグル
ココルチコイド受容体shRNAmiRのスクリーニング
【0636】
これらの研究は、グルココルチコイド受容体(GR)を安定にノックダウンするための
shRNAmiRとしての異なるガイド配列およびパッセンジャー配列を評価するために
開始した。目的は、CAR T細胞におけるGRのノックダウンが、CAR T細胞療法
に関連し得るサイトカイン放出症候群の治療において一般に使用されるデキサメタゾンな
どのコルチコステロイドの存在下でのCD3-/CAR+集団の濃縮を可能にするかどう
かを決定することであった。
【0637】
この研究で利用された導入遺伝子は、CD19-CARの発現を駆動するJeTプロモ
ータと、双方向SV40ポリAシグナルで終結する単一転写物としてのshRNAmiR
遺伝子とを含んでいた。導入遺伝子は、導入遺伝子をTRAC遺伝子のTRC1-2切断
部位に挿入するように指向させる相同アームによって両側で挟まれていた。shRNAm
iRについては、9つのGRガイド鎖配列およびパッセンジャー鎖配列を同定し、miR
-E骨格にクローニングし、CARの終止コドンと双方向SV40ポリA転写ターミネー
タとの間でCD19-CAR構築物に挿入した。別個の実験では、この研究で評価された
GR shRNAmiRは、CD19 CARを発現したがGR標的化shRNAmiR
を含まない対照細胞(7206)の内因性GRレベルと比較した場合、37%(7214
2)、45%(72143)、50%(72145)および56%(72149)の低下
を示した。これらのGR shRNAmiR配列を、デキサメタゾンで処理した場合のC
D3-/CAR+集団を濃縮する能力について試験した。
【0638】
凍結保存したCD3+T細胞を解凍し、静置した。T細胞を、ImmunoCult(
商標)T細胞刺激因子(抗CD2/CD3/CD28、Stem Cell Techn
ologies)を使用して、5%ウシ胎児血清および10ng/ml IL-2(Gi
bco)を補充したX-VIVO(商標)15培地(Lonza)において活性化した。
刺激の3日後、細胞を収集し、1×10細胞のサンプルに、T細胞受容体アルファ定常
遺伝子中のTRC 1-2認識配列を認識して切断するTRC 1-2L.1592メガ
ヌクレアーゼをコードするRNA 1μgをエレクトロポレーションした。9つのCAR
-shRNAmiR構築物(構築物72142、72143、72145、72146、
72148~72152)を、ヌクレオフェクション中にTRC1-2ヌクレアーゼRN
Aと同時に、線状化DNA(1μg/1×10細胞)としてT細胞に送達した。エレク
トロポレーションした細胞を、5%ウシ胎児血清および30ng/ml IL-2を添加
したX-VIVO(商標)15培地で培養した。
【0639】
ヌクレオフェクション後8日目に、2.5e5の生存細胞を、96丸底プレート中で広
範囲の用量のデキサメタゾンで処理した;10ng/mLのIL-15、IL-21(G
ibco)を補充した完全XVIVO(商標)15培地中100uM、10uM、1uM
、0.1uM、0.01uM、および未処理対照。注:未処理対照には、最高用量のデキ
サメタゾンに等しい体積の95%エタノールを投与した。処理の3日後、96ウェルプレ
ートを遠心沈殿させ、薬物を含有する培地を捨て、細胞を96ウェルプレートから48ウ
ェルプレートに移し、新鮮な完全XVIVO(商標)15培地、サイトカインおよびデキ
サメタゾン(いかなる薬物も与えなかった未処理対照は除いて)で処理した。デキサメタ
ゾンによる処理後7日目に、染色のために各ウェルから200uLのサンプルを取り出し
た。サンプルを、抗CD3-PE(BioLegend、クローンUCHT1)、抗FM
C63-AlexaFluor647(クローンVM16、自社生産)で染色し、Cyt
oFLEX-LXでフローサイトメトリによって試験した。
【0640】
図43は、フローサイトメトリによって試験した異なる用量のデキサメタゾンでのKO
中のKIパーセントを示し、表6の対応するshRNAmiRの下に列挙する。KO中の
KIパーセントは、(CD3-/CAR+%)/(総CD3-%)×100として定義さ
れる。表にしたデータは、デキサメタゾンによる処理後7日目に取得した。GR shR
NAmiRを発現するCARでは、漸増用量のデキサメタゾンによる処理はCD3-/C
AR+集団の濃縮をもたらし、KO中のKIパーセントの増加によって表6において観察
することができる。72148を除いて、すべてのGRノックダウン構築物は、用量1、
10uMのデキサメタゾンで35~50%のKO中のKIを示した。図44は、デキサメ
タゾンの濃度(uM)に対してプロットされたCD3-/CAR+の事象/uL を示す
。KO中のKIパーセントは、事象/uLと相関する。
【0641】
【表6】
【0642】
この実験は、shRNAmiRを使用してGRをノックダウンすることにより、コルチ
コステロイド様デキサメタゾンの存在下でCD3-/CAR+細胞の濃縮が可能になるこ
とを実証した。非ウイルスアプローチによって試験した9つのGR shRNAmiRの
うち8つは、用量1uMまたは10uMのデキサメタゾンによる7日間の処理が35~5
0%のKO中のKIをもたらしたことを示した。
【0643】
したがって、これらの実験により、shRNAmiRによるGRのノックダウンがCA
R T細胞をデキサメタゾンに対して耐性にし、それらの濃縮を可能にすることが確認さ
れた。臨床的には、コルチコステロイドは、がんのための養子T細胞療法の投与後に時折
見られる、潜在的に生命を脅かす毒性であるサイトカイン放出症候群(CRS)の治療に
おいてトシリズマブと併せて一般に使用される。サイトカイン放出症候群は、いくつかの
サイトカインの循環レベルの上昇に関連する。しかしながら、高用量のコルチコステロイ
ドの投与は、CAR T療法の臨床的有効性を低下させ得る。CAR T細胞をコルチコ
ステロイドに対して耐性にすることによって、CAR T細胞に対するHvG応答を、C
AR T機能に影響を及ぼすことなく抑制することができ、それによって、活性に対する
可能性の枠を増大させ、安全性を改善する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
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図24A
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図36
図37
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図39
図40
図41
図42
図43
図44
【配列表】
2024153640000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのゲノム中に、マイクロRNA適合shRNA(shRNAmiR)をコードする核酸配列を含む遺伝子改変免疫細胞であって、該shRNAmiRが該遺伝子改変免疫細胞において発現され、該shRNAmiRが該遺伝子改変免疫細胞における標的タンパク質の発現を低下させる、遺伝子改変免疫細胞。
【外国語明細書】