IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図1
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図2
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図3
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図4
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図5
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図6
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図7
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図8
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図9
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図10
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図11
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図12
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図13
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図14
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図15
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図16
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図17
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図18
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図19
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図20
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図21
  • 特開-カテーテルアセンブリ 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015366
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】カテーテルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A61M25/06 512
A61M25/06 500
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209321
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2020504306の分割
【原出願日】2018-07-17
(31)【優先権主張番号】15/664,827
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイ アイザックソン
(72)【発明者】
【氏名】フィデリン ウィリービロ
(57)【要約】
【課題】ニードル保護機構に対して能動的システムおよび受動的システムの両方を組み込んだカテーテルアセンブリの提供。
【解決手段】カテーテルアダプターに担持されているカテーテルと、鋭利な遠位端を有するニードルであって、第1ニードル位置においてカテーテルを超えて延びるようにカテーテル中に配置されているニードルと、ニードルの近位端に隣接して固定されている制動機構と、制動機構を包囲するように配置され、第1内径および第2内径を有するバレルアセンブリとを含み、ニードルが第1ニードル位置を離れてバレルアセンブリ内に引き込まれる際に、ニードルは、バレルアセンブリの第1内径および第2内径と、制動機構との相互作用に基づくニードル引き込み速度プロファイルにしたがって移動することを特徴とするカテーテルアセンブリ。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアダプターに担持されているカテーテルと、
鋭利な遠位端を有するニードルであって、第1ニードル位置において前記ニードルが前記カテーテルを超えて延びるようにカテーテル中に配置されているニードルと、
前記ニードルの近位端に隣接して固定されている制動機構と、
前記制動機構を包囲する様に配置され、第1内径および第2内径を有するバレルアセンブリと、
を含み、
前記ニードルが第1ニードル位置を離れて前記バレルアセンブリ内に引き込まれる際に、前記ニードルは、ニードル引き込み速度プロファイルにしたがって移動し、前記ニードル引き込み速度プロファイルは、前記バレルアセンブリの第1内径および第2内径と、制動機構との相互作用に基づく
ことを特徴とするカテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記カテーテルアダプター内に配置されるクリップを更に含み。前記クリップは前記ニードルと協働することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記バレルアセンブリは第3内径を含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記制動機構と前記第1内径との間の摩擦が、前記バレルアセンブリ内の前記ニードルの引き込み速度を遅くし、前記制動機構と前記第2内径との間の間隔が、前記第1内径におけるニードルの引き込み速度を比較する際に、前記バレルアセンブリ内の前記ニードルの引き込み速度を増大させ、前記制動機構と前記第3内径との間の摩擦が、前記バレルアセンブリの近位端の停止位置にいたる前記ニードルの引き込み速度を遅くすることを特徴とする請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記第1内径および前記第3内径は実質的に同一であり、前記第2内径は、それぞれ前記第1内径および前記第3内径よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記ニードルが第2位置にある際に、前記クリップは、前記ニードルの遠位端を被包することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記ニードルが第3位置に移動する際に、スプリングの弾性力によりニードルがバレルアセンブリ内に引き込まれることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記制動機構がシリコーンワッシャを含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記バレルアセンブリの第1内径と第2内径との間で、円滑な遷移を提供することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記円滑な遷移は、前記ニードルの引き込み速度の緩やかな変化を提供することを特徴とする請求項9に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記第2内径は、前記第1内径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記バレルアセンブリの第1内径および第2内径の一方は、ニードル引き込み速度プロファイル変化させるように調整されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記バレルアセンブリの第1内径および第2内径の一方の幅を通して制動機構が移動する際に、前記ニードルの引き込み速度が低下することを特徴とする請求項12に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の実施形態は、カテーテルアセンブリにおけるニードルの保護およびニードルの引き込みに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、参照により本明細書の一部をなすものとする、2017年6月31日に提出した米国特許出願第15/664,827号の米国特許法第119条(e)の権利を主張する。
【0003】
典型的なカテーテルアセンブリは、2種のニードル保護機構の一方を含む。能動的システムは、バレルアセンブリ内への自動および即時のニードル引き込みを始動させる始動ボタンの押下のような、ニードルの保護を開始するために使用者による別個の動作を必要とするニードル保護機構である。この動作は、患者の皮膚およびカテーテルからニードルが引き抜かれた後に行われるであろう。一方、受動的システムは、使用者が手動でニードルをカテーテルから引き込む際に、典型的には、スプリングクリップを用い、使用者による別個の動作を必要とすることなしに、自動的にニードルを保護するニードル保護機構である。言い換えると、ニードルは、患者の皮膚およびカテーテルからニードルが引き抜かれる際に、直ちに保護される。
【0004】
ニードル保護機構のそれぞれにおいて、種々の不都合が発生する。具体的には、能動的システムにおいて、使用者は、始動ボタンを押し下げることを忘れる可能性、または、ニードルを保護するための使用者の第2動作を行うことを怠る可能性がある。たとえば、始動ボタンが押し下げられない場合、血液に被覆されている使用後のニードル先端は患者の肉体から望ましくない状態で露出されている。受動的システムにおいて、スプリングクリップは、望ましくない鋭利な端部を含み、血液がニードルおよびスプリングクリップにさらされ、かつ、ニードルが被覆された後にスプリングクリップを手動で操作してニードルの遠位端を露出させることができる。
【0005】
カテーテルアセンブリのバレルアセンブリ中へのニードル引き込みの速度を減衰させるための種々の手段が存在する。いくつかの制動(ダンパー)機構は、シリコーンゲル、Oリング、およびシリコーンワッシャを含む、しかしながら、これらの制動機構は、ニードルの引き込み速度を必ずしも適切に制御できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの態様は、ニードル保護機構に能動的システムおよび受動的システムの両方を組み込んだカテーテルアセンブリを提供することである。そのようなカテーテルアセンブリは、前述の不都合を救済し、ニードル保護およびニードル引き込みを改善する。具体的には、ニードル先端はスプリングクリップにより被包され、ニードルはバレルアセンブリ中へと引き込まれる。この様式において、使用者が始動ボタンを押し忘れた場合、遠位端は既にスプリングクリップにより保護されている。始動ボタンを押し下げられる際に、ニードルおよびスプリングクリップは、バレルアセンブリ中に引き込まれ、それによって使用者を全ての危険から保護する。したがって、カテーテルアセンブリは、ニードルの再露出を防止し、血液の露出を減少させる。
【0007】
本発明の別の態様は、カテーテルアセンブリのバレルアセンブリ中へのニードルの制御された可変の引き込み速度を提供することである。有利なことには、そのようなカテーテルアセンブリは、ニードルの移動の開始時および終了時における緩やかなニードル引き込みを提供して、血液のハネを減少させ、引き込み時のニードルの滑らかな動きを提供する。有利なことには、速度減衰プロファイルを用いて、ニードル引き込みの速度を制御する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前述および/または別の態様は、カテーテルアセンブリを提供することによって達成することができ、カテーテルアセンブリは、カテーテルアダプターに担持されているカテーテルと、鋭利な遠位端を有し、第1ニードル位置においてニードルがカテーテルを超えて延びるようにカテーテル中に配置されているニードルと、ニードルの近位端に隣接して固定されているニードルハブと、カテーテルアダプター中に配置され、ニードルと協働するクリップと、内径を有するバレルアセンブリとを含み、ニードルが第2ニードル位置にある際にクリップがニードルの遠位端を被包し、ニードルが第3ニードル位置に移動する際にニードルはバレルアセンブリの内径内に配置される。
【0009】
本発明の前述および/または別の態様は、カテーテルアセンブリ中のクリップにより達成され、クリップは、1つまたは複数の可撓アームと、ニードルが貫通するための開口部と、リップを有する1つまたは複数の遠位壁と、1つまたは複数のアームと連結される後部壁とを有し、1つまたは複数の可撓アームは、開き(オープン)位置においてニードルに付勢し、および閉じ(クローズ)位置にあるニードルの遠位端を被包することにより、クリップの開きおよび閉じを行うように設計されており、リップは開き位置のニードルに付勢し、遠位壁およびリップは、閉じ位置において、ニードルを妨害してクリップを閉じ、後部壁は、バレルアセンブリ中へのクリップの移動を案内するように設計されたテーパ外側表面を有する。
【0010】
本発明の前述および/または別の態様は、さらに、カテーテルアセンブリ中のバレルアセンブリにより達成され、バレルアセンブリは、バレルと、ハンドルと、ニードルに固定されるニードルハブと、ニードルハブとバレルとの間に配置されるスプリングと、ニードルハブと係合および脱係合するように設計された始動ボタンとを含み、バレルおよびハンドルのそれぞれは内径を有し、ハンドルの内径は、始動ボタンが押し下げられた際にハンドルおよびバレル中へのクリップの移動を案内するように設計されたテーパ内側表面を有する。
【0011】
本発明の前述および/または別の態様は、カテーテルアセンブリを提供することによって達成することができ、カテーテルアセンブリは、カテーテルアダプターに担持されているカテーテルと、鋭利な遠位端を有し、第1ニードル位置においてニードルがカテーテルを超えて延びるようにカテーテル中に配置されているニードルと、ニードルの近位端に隣接し、制動機構に固定されているニードルハブと、カテーテルアダプター中に配置され、ニードルと協働するクリップと、ニードルハブを包囲するバレルアセンブリとを含み、ニードルが第2ニードル位置にある際にクリップはニードルの遠位端を被包し、ニードルが第3ニードル位置に移動する際にスプリングの弾性力によりニードルがバレルアセンブリ内に引き込まれ、バレルアセンブリは、第1内径、第2内径および第3内径を含み、制動機構と第1内径との間の摩擦がバレルアセンブリ中のニードルハブの初期移動を遅くし、制動機構と第2内径との間の隙間がバレルアセンブリ中のニードルのより速い移動を提供し、制動機構と第3内径との間の摩擦がバレルアセンブリの近位端の停止位置に至るニードルハブの移動を遅くする。
【0012】
本発明の前述および/または別の態様は、カテーテルアセンブリを提供することによって達成することができ、カテーテルアセンブリは、カテーテルアダプターに担持されているカテーテルと、鋭利な遠位端を有し、第1ニードル位置においてニードルがカテーテルを超えて延びるようにカテーテル中に配置されているニードルと、ニードルの近位端に隣接し、第1制動機構に固定されているニードルハブと、カテーテルアダプター中に配置され、ニードルと協働するクリップと、ニードルハブを包囲するバレルアセンブリと、バレルアセンブリとニードルハブとの間に配置されているスプリングと、スプリングの近位端に配置されている第2制動機構とを含み、バレルアセンブリは第1内径および第2内径を含み、ニードルが第2ニードル位置にある際にクリップはニードルの遠位端を被包し、ニードルが第3ニードル位置に移動する際にスプリングの弾性力によりニードルがバレルアセンブリ内に引き込まれ、第2制動機構とスプリングとの間の摩擦がバレルアセンブリ中のニードルハブの初期移動を遅くし、第2制動機構と第1内径との間の隙間がバレルアセンブリ中のニードルのより速い移動を提供し、第1制動機構と第2内径との係合がバレルアセンブリの近位端の停止位置に至るニードルハブの移動を遅くする。
【0013】
本発明の前述および/または別の態様は、カテーテルアセンブリを提供することによって達成することができ、カテーテルアセンブリは、カテーテルアダプターに担持されているカテーテルと、鋭利な遠位端を有し、カテーテル内に配置されているニードルと、ニードルの近位端に隣接して固定されているニードルハブと、カテーテルアダプター中に配置され、ニードルと協働するクリップと、ニードルハブを包囲するバレルアセンブリとを含み、ニードルハブの近位端は、制動機構に固定されており、バレルアセンブリの内側表面の近位端は前記制動機構を含み、ニードルが第2ニードル位置にある際にクリップはニードルの遠位端を被包し、ニードルが第3ニードル位置に移動する際にスプリングの弾性力によりニードルがバレルアセンブリ内に引き込まれ、制動機構およびスプリングがバレルアセンブリ中のニードルハブの初期移動を遅くし、ニードルハブが移動の終点に接近する際に、制動機構およびスプリングがバレルアセンブリの近位端の停止位置に至るニードルハブの移動を遅くする。
【0014】
最後に、本発明の前述および/または別の態様は、カテーテルアセンブリのニードルを遮蔽および被包する方法を提供することにより達成され、当該方法は、患者の皮膚からニードルを除去する工程であって、ニードルがニードルハブに固定されている工程と、ニードルハブを介してニードルを、第1ニードル位置から第2ニードル位置へと、カテーテルおよびカテーテルアダプター中へと引き込む工程と、受動的システムを介して、クリップを用いてニードルの遠位端を遮蔽する工程であって、ニードルは第2ニードル位置にある工程と、能動的システムを動作させ、ニードル、クリップおよびニードルハブを、第2ニードル位置から、ニードル、クリップおよびニードルハブがバレルアセンブリ中に被包される第3ニードル位置へと移動させる工程とを含む。
【0015】
本発明の追加および/または別の態様および利点を以下の記載に記載し、または当該記載から明らかとなり、または本発明の実施により理解されるであろう。
【0016】
本発明の上記の態様および特徴は、添付の図面を参照しつつ、本発明の例示的態様の記載からより明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1ニードル位置にあるカテーテルアセンブリの第1の例示的形態の側面図である。
図2】第2ニードル位置へと移動中の、図1のカテーテルアセンブリの断面図である。
図3図2のカテーテルアダプターの断面図である。
図4図2のバレルアセンブリの部分断面図である。
図5図4のバレルアセンブリ中のニードルハブの部分断面図である。
図6】第2ニードル位置にある図1のカテーテルアセンブリの側面図である。
図7】第3ニードル位置へと移動中の、図1のカテーテルアセンブリの部分断面図である。
図8】第3ニードル位置にある図1のカテーテルアセンブリの部分断面図である。
図9図8のバレルアセンブリ中のスプリングクリップの部分断面図である。
図10】第2ニードル位置へと移動中の、カテーテルアセンブリの第2の例示的形態の部分断面図である。
図11図10のカテーテルアダプターの部分断面図である。
図12】第2ニードル位置へと移動中の、図11のスプリングクリップおよびクリップハウジングの透視図である。
図13図10のバレルアセンブリの部分断面図である。
図14図13のバレルアセンブリ中のニードルハブの部分断面図である。
図15】第2ニードル位置にある図10のスプリングクリップおよびクリップハウジングの透視図である。
図16】第2ニードル位置にある図10のスプリングクリップ、クリップハウジングおよびバレルアセンブリの頂部断面図である。
図17】第2ニードル位置にある図10のスプリングクリップ、クリップハウジングおよびバレルアセンブリの透視断面図である。
図18】第3ニードル位置にある図10のスプリングクリップ、クリップハウジングおよびバレルアセンブリの透視断面図である。
図19】第3ニードル位置にある図10のバレルアセンブリの部分断面図である。
図20】開始位置にあるニードルハブを有する、バレルアセンブリの第3の例示的形態の断面図である。
図21】中間位置にあるニードルハブを有する、図20のバレルアセンブリの断面図である。
図22】終了位置にあるニードルハブを有する、図20のバレルアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図9は、カテーテルアセンブリ10の第1の例示的形態を例示する。図1は、動作準備のできた第1ニードル位置にあるカテーテルアセンブリ10を例示する。1つの実施形態によれば、カテーテルアセンブリ10は、患者の皮膚への挿入のための鋭利な遠位端24を有する中空の導入器ニードル20を含む。ニードル20は、可撓性のカテーテル30内に配置されている。カテーテル30は、カテーテルアセンブリ10の使用中の薬剤送達に用いられる。第1ニードル位置において、ニードル20の鋭利な遠位端24は、挿入のためにカテーテル30を超えて延びている。
【0019】
1つの実施形態によれば、カテーテル30およびニードル20は、カテーテルアダプター32により担持または包囲されている。図2は、使用者がカテーテル30を患者の肉体内に配置し、患者からニードル20を取り外した後に、第1ニードル位置から第2ニードル位置に向かって移動中であるニードル20を例示する。
【0020】
図3は、1つの実施形態にしたがい、ニードル20が引き戻され第2ニードル位置に接近中の際のカテーテルアダプター32を例示する。カテーテルアダプター32は、突起を含む保持部品34を含む。保持部品34は、例示されるようにスプリングクリップ40が開き位置にある際に、スプリングクリップ40を保持する。スプリングクリップ40の動作をさらに後述する。
【0021】
スプリングクリップ40は、カテーテルアダプター32内に配置され、ニードル20の鋭利な遠位端24を選択的に被包および拘束することにより、ニードルと協働する。スプリングクリップ40の部品および動作は、概して、参照により本明細書の一部をなすものとする米国特許第6,616,630号明細書に記載されている。
【0022】
具体的には、1つの実施形態によれば、スプリングクリップ40は、ニードル20が貫通する開口部42を含む。スプリングクリップ40の1つまたは複数の可撓アーム44、好ましくは2つの可撓アーム44は、ニードルが第2ニードル位置に入る前の開き位置においてニードル20と係合し、ニードル20に付勢する。可撓アーム44は、ニードル20の2つの側面に弾性力を印加する。第1ニードル位置において、および第2ニードル位置の前では、スプリングクリップ40は開いており、ニードル20が貫通することを許す。
【0023】
可撓アーム44の遠位端において、遠位壁50を含む。遠位壁50は、その一端においてニードル20と接触するリップ52を有する傾斜壁である。リップ52は、スプリングクリップ40の遠位壁の内向き位置に折り曲げられている。
【0024】
スプリングクリップ40は、後部壁46をさらに含む。後部壁46は、ニードル20の長軸に対して実質的に垂直であり、2つの可撓アーム44と互いに連結されている。また、後部壁46は、前述の開口部42を含む。好ましくは、後部壁46はテーパ外側表面48を含む。別の実施形態において、テーパ外側表面48は、アールまたはチャンファを含む。以下にさらに記載するように、有利なことには、テーパ外側表面48は、ハンドル71およびバレル72中へのスプリングクリップ40の案内された移動を提供する。
【0025】
図4および図5は、バレルアセンブリ70を例示する。1つの実施形態によれば、バレルアセンブリ70は、ハンドル71(グリップとも呼称される)およびバレル72(バレルハウジングとも呼称される)を含む。ハンドル71は、内径74と、ハンドル71の遠位端のテーパ内側表面76とを含む。別の実施形態において、テーパ内側表面76は、アールまたはチャンファを含む。別の実施形態において、テーパ内側表面76は、ハンドル71の外側表面およびハンドル71の内側表面の間の連結、またはそれらの変わり目を提供する。バレル72の遠位端は、動作中、ハンドル71の近位端と連結される。
【0026】
この実施形態において、カテーテルアセンブリ10は、ハンドル71の遠位端のテーパ内側表面76と、スプリングクリップ40のテーパ外側表面48との両方を含む。別の実施形態では、カテーテルアセンブリ10は、ハンドル71の遠位端のテーパ内側表面76のみを含む。同様に、別の実施形態では、カテーテルアセンブリ10は、スプリングクリップ40のテーパ外側表面48のみを含む。別の実施形態において、カテーテルアセンブリ10は、ハンドル71の遠位端のテーパ内側表面76、およびスプリングクリップ40のテーパ外側表面48のいずれをも含まない。
【0027】
テーパ内側表面76は、スプリングクリップ40のテーパ外側表面48と協働して、有利なことには、スプリングクリップ40をハンドル71およびバレル72中へと係合および案内する。同様に、有利なことには、テーパ外側表面48は、テーパ内側表面76と係合して、スプリングクリップ40を、ハンドル71およびバレル72の中心に合わせる。以下にさらに記載するように、ハンドル71およびバレル72は、バレルアセンブリ70の部品を収容する。
【0028】
バレルアセンブリ70は、ニードルハブ80をさらに含む。ニードルハブ80は、ニードル20に固定され、ハンドル71およびバレル72内部を移動する。具体的には、ニードルハブ80は、ニードル20の近位端に隣接して固定される。図1に例示されるように、ニードルハブ80は、ニードル20が第1ニードル位置にある際にカテーテルアダプター32に連結される。ニードルハブ80の移動は、以下に記載するように、ニードルを第2ニードル位置から第3ニードル位置へと引き込ませる。
【0029】
また、ハンドル71およびバレル72は、始動ボタン78と相互作用して、ニードルハブ80およびスプリング82の係合および解放を行う。具体的には、スプリング82は、ニードル20の周囲に配置され、ニードルハブ80とバレル72の近位端との間に延在する。始動ボタン78は、スプリング82が圧縮されている間、ニードルハブ80と接触している。始動ボタン78が押し下げられる際に、ニードルハブ80は、もはや始動ボタン78と接触せず、次いでスプリング82が解放され、ニードルハブ80を、ハンドル71を貫いてバレル72の近位端へと移動させる。すなわち、始動ボタン78は、バレル72の遠位端に連接して可動的に取り付けられており、かつ、スプリング82の付勢に逆らってニードルハブ80をバレル72の遠位端に保持する、ニードルハブ80との選択的係合に適合している。第1ニードル位置において、ニードル20はハンドル71およびバレル72の遠位端を超えて、バレル72の遠位端に隣接するカテーテルハブ32を有するカテーテルを貫いて、延在する。始動ボタン78の動作は、参照により本明細書の一部をなすものとする米国特許第5,501,675号明細書および米国特許第5,797,880号明細書に記載されている。動作のさらなる説明を、以下に提供する。
【0030】
1つの実施形態によれば、図6は、第2ニードル位置にあるカテーテルアセンブリ10を例示する。この位置において、ニードル20の鋭利な遠位端24は、スプリングクリップ40内に配置され、外部環境から遮蔽されている。第1ニードル位置から第2ニードル位置への使用者によるニードルの移動は、受動的システムに相当する。これは、同一の手動操作において、ニードル20が患者の皮膚から引き抜かれ、かつ、スプリングクリップ40がニードル20を保護するからである。
【0031】
図7に例示されるように、スプリングクリップ40は、2つの可撓アーム44が互いに対して付勢してニードル20の鋭利な遠位端24を被包する、閉じ位置にある。言い換えると、遠位壁50およびリップ52が互いに重なって、閉じ位置にあるスプリングクリップ40を閉じさせる。具体的には、一方の可撓アーム44のリップ52が他方の可撓アーム44の遠位壁50と接触する。スプリングクリップ40の2つの可撓アーム44は、もはやニードル20に付勢していない。したがって、可撓アーム44は、スプリングクリップ40の遠位端を閉じて、ニードル20が抜けることを防止する。
【0032】
また、ニードル20はニードル変形部22を含み、ニードル変形部22は、ニードル20に、スプリングクリップ40の開口部42の径よりも大きい局所径を提供する。ニードル変形部22は、スプリングクリップ40の近位端においてニードル20がスプリングクリップ40から抜けることを防止する。鋭利な遠位端24をスプリングクリップ40内部に保持する別の手段は、参照により本明細書の一部をなすものとする米国特許第4,952,207号明細書に記載されているような、ニードル内のプレートまたはノッチと係合するスプリングクリップを含む。
【0033】
スプリングクリップ40が閉じ位置に配置される際に、スプリングクリップ40は、もはやカテーテルアダプター32の保持部品34と係合していない。よって、図6に例示されるように、スプリングクリップ40は、もはやカテーテルアダプター32内に保持されず、今やカテーテルアダプター32から引き抜くことができる。
【0034】
1つの実施形態によれば、図8は、カテーテルアセンブリ10が第3ニードル位置にある際のバレルアセンブリ70を例示する。前述のように、始動ボタン78が押し下げられる際に、スプリング82およびニードルハブ80が開放され、バレル72の近位端に向かって引き込まれる。すなわち、始動ボタン78は、ニードル20、スプリングクリップ40およびニードルハブ80がバレル72内に被包される操作上の移動を起動させる。この移動中に、ハンドル71の内径74のテーパ内側表面76は、スプリングクリップ40のテーパ外側表面48と協働して、有利なことには、スプリングクリップ40をハンドル71およびバレル72内へと係合および案内する。また、テーパ外側表面48は、テーパ内側表面76と係合して、有利なことには、スプリングクリップ40を、ハンドル71およびバレル72の中心に合わせる。
【0035】
第2ニードル位置から第3ニードル位置への移動は、能動的システムに相当する。これは、患者の皮膚からのニードル20の最初の抜き取りに引き続く第2工程が行われるからである。具体的には、この第2工程において、使用者は始動ボタン78を押し下げ、スプリング82の弾性力によりニードル20が自動的に引き込ませる。よって、この第3ニードル位置において、鋭利な遠位端24およびスプリングクリップ40は、バレル72内に安全に被包される。
【0036】
1つの実施形態において、カテーテル30が患者の皮膚中へと挿入され、かつ始動ボタン78が押し下げられる場合、ニードル20およびニードルハブ80は、直ちにバレルアセンブリ70中へと引き抜かれる。このシナリオの下で、第2ニードル位置における先端の遮蔽は自動的に起こる。この移動は、受動的システムに相当する。
【0037】
従来技術において、典型的には、スプリングクリップはバレル中に引き込まれない。スプリングクリップを用いてニードルの鋭利な遠位端を覆うか、あるいはスプリングクリップを持たないニードルをバレル中へと引き込むかのいずれかである。有利なことには、本明細書に記載したカテーテルアセンブリ10は、能動的システムと受動的システムとを組み合わせ、使用者に対する増大した安全性を保証し、血液の露出およびハネを減少させる。カテーテルアセンブリ10は、スプリングクリップ40のテーパ外側表面48と協働するハンドル71の内径74のテーパ内側表面76を提供することにより、操作を改善する。
【0038】
図10図19は、カテーテルアセンブリ110の第2の例示的形態を例示する。カテーテルアセンブリ110は、以下の差異を有する、前述のカテーテルアセンブリ10の変形バージョンである。図10は、使用者がカテーテル130の遠位端からニードル120を引き抜き、ニードル120の鋭利な遠位端124をカテーテルアダプター132中に配置した際のカテーテルアセンブリ110を例示する。
【0039】
1つの実施形態によれば、図11は、カテーテルアダプター132内部にあるニードル120を例示する。前述の実施形態における記載と同様に、スプリングクリップ140が選択的に開きおよび閉じを行い、ニードル120の鋭利な遠位端124を露出および被包する。スプリングクリップ140は、ニードル120が貫通して移動するための開口部142を含む。スプリングクリップ140は、湾曲部154、遠位壁150およびリップ152を含んで、鋭利な遠位端124を被包する。湾曲部154は、スプリングクリップ140の開き位置および閉じ位置の間で可撓アーム144を適切に曲げるように設計される。さらに、スプリングクリップ140は、スプリングクリップ140の近位端に、後部壁146およびテーパ外側表面148を含む。カテーテルアダプター132は、スプリングクリップ140が閉じるまで可撓アーム144を介してスプリングクリップ140を保持する保持部品134をさらに含む。
【0040】
1つの実施形態によれば、図11および図12は、スプリングクリップ140を部分的に包囲するクリップハウジング156も例示する。クリップハウジング156の特徴および動作は、参照により本明細書の一部をなすものとする2017年4月6日に出願された米国特許出願第15/481,166号の開示内容と同様である。具体的には、有利なことには、クリップハウジング156は、スプリングクリップ140の鋭角の端部を覆って、不注意な接触から使用者を保護する。また、クリップハウジング156は、スプリングクリップ140からの不注意な分離を保護する固定および/または係合部品を含む。
【0041】
スプリングクリップ140の可撓アーム144は、スプリングクリップ140の開き位置においてクリップハウジング156の外側に延在する。また、有利なことには、本実施形態のクリップハウジング156は、クリップハウジング156の遠位端にテーパ外側表面158を含む。別の実施形態において、テーパ外側表面158は、アールまたはチャンファを含む。以下のさらなる記載および前述の実施形態における記載と同様に、テーパ外側表面158は、有利なことには、ハンドル171およびバレル172中への案内された移動を提供するように設計される。また、有利なことには、テーパ外側表面158は、スプリングクリップ140を、ハンドル171およびバレル172の中心に合わせる。したがって、クリップハウジング156のテーパ外側表面158は、スプリングクリップ140の後部壁146のテーパ外側表面148と協働して、有利なことには、ハンドル171およびバレル172中への円滑な移動を提供する。
【0042】
1つの実施形態によれば、図13および図14は、バレルアセンブリ170を例示する。前述の実施形態における記載と同様に、バレルアセンブリ170は、内径174を有するハンドル171を含む。内径174は、ハンドル171の遠位端に配置されるテーパ内側表面176を含む。ハンドル171の内径174のテーパ内側表面176は、スプリングクリップ140のテーパ外側表面148およびクリップハウジング156のテーパ外側表面158と協働して、有利なことには、ハンドル171およびバレル172中へのスプリングクリップ140およびクリップハウジング156の係合および案内を提供する。同様に、スプリングクリップ140のテーパ外側表面148およびクリップハウジング156のテーパ外側表面158は、テーパ内側表面176と係合して、有利なことには、スプリングクリップ140およびクリップハウジング156を、ハンドル171およびバレル172の中心に合わせる。
【0043】
前述の実施形態における記載と同様に、バレルアセンブリ170は、引き込みについてニードルハブ180と協働する、始動ボタン178およびスプリング182をさらに含む。ニードル120はニードルハブ180に固定され、始動ボタン178が押し下げられる際にニードル120をバレル172中へと引き込む。
【0044】
1つの実施形態によれば、図15は、クリップハウジング156中に実質的に配置され、ニードルが第2ニードル位置にある閉じ位置にある、スプリングクリップ140を例示する。具体的には、遠位壁150がオフセットされ、遠位壁150の1つのリップ152が他方の遠位壁150と接触して、ニードル120の遠位端124がクリップハウジング156から抜けることを阻止する。同様に、スプリングクリップ140が閉じ位置にある後に、スプリングクリップ140の遠位部は、クリップハウジング156を超えて延在してもよい。
【0045】
1つの実施形態によれば、図16は、スプリングクリップ140およびクリップハウジング156の頂部断面図を例示し、図17は、スプリングクリップ140およびクリップハウジング156の断面図を例示する。これらの図は、ともに、第2ニードル位置から第3ニードル位置へと引き込まれつつあるスプリングクリップ140およびクリップハウジング156を例示する。
【0046】
前述の実施形態における記載と同様に、図18および図19は、バレル172内のスプリングクリップ140およびクリップハウジング156を例示する。これは、カテーテルアセンブリ110のニードル120の第3ニードル位置である。
【0047】
図20図22は、バレルアセンブリ270の第3の例示的形態を例示する。バレルアセンブリ270は、ハンドル271およびバレル272内のニードル220の引き込み速度を制御する以下の改良を有する、前述のバレルアセンブリ70、170の変形バージョンである。
【0048】
前述の以前の実施形態において、始動ボタン78、178が押し下げられる際に、スプリング82、182の力により、ニードルハブ80、180が、ハンドル71、171およびバレル72、172中へと引き込まれる。しかしながら、ニードルハブ80、180の引き込み速度が大きい可能性があり、それは、引き込み中に血液のハネをもたらす可能性がある。従来技術において、参照により本明細書の一部をなすものとする米国特許第5,575,777号明細書、米国特許第5,702,367号明細書および米国特許第6,090,078号明細書に記載されているような、シリコーンゲル、貯気槽通気孔、O-リング、圧潰可能フィルター、およびスプリング圧縮結節を含む種々の制動機構が用いられてきている。
【0049】
1つの実施形態によれば、バレルアセンブリ270は、カテーテルアセンブリのハンドル271およびバレル272中へのニードルの制御された可変の引き込み速度を提供する。具体的には、ハンドル271は、第1内径274a、第2内径274bおよび第3内径274cを含む。第1内径274aおよび第3内径274cは実質的に同様である。また、第2内径274bは、それぞれ、第1内径274aおよび第3内径274cのそれぞれよりも大きい。3つの内径274a、274bおよび274cは、内径テーパ部により連結され、内径の連続的変化を提供する。
【0050】
バレルアセンブリ270は、ニードル220に固定されるニードルハブ280をさらに含む。有利なことには、第1制動機構290は、ニードルハブ280の近位端に固定される。1つの実施形態において、第1制動機構290は、シリコーンワッシャまたはシリコーンディスクである。
【0051】
カテーテルアセンブリの動作において、始動ボタン78、178が押し下げられる際に、第1制動機構290の外径は、第1内径274aと摩擦接触している。これは、第1内径274aが第1制動機構290の外径よりも小さいからである。結果的に、有利なことには、ニードルハブ280およびニードルは、ハンドル271およびバレル272中へとゆっくりと移動し始める。
【0052】
ニードルハブ280がハンドル271およびバレル272中を移動するにつれて、内径が寸法的に増大し、第2内径274bに至る。第2内径274bは、第1制動機構290の外径よりも大きい。したがって、第2内径274bと第1制動機構290との間に隙間(著しく減少した摩擦接触)が存在する。結果的に、有利なことには、ニードルハブ280が速度を獲得し、ハンドル271およびバレル272を貫いてより速く移動する。
【0053】
ニードルハブ280がバレル272内のその移動の終点に接近するにつれて、バレル272の内径が寸法的に減少し、第3内径274cに至る。第1制動機構290の外径は、第3内径274cと摩擦接触する。これは、第3内径274cが第1制動機構290の外径よりも小さいからである。結果的に、有利なことには、ニードルハブ280は、バレル272内の移動の終点に接近するにつれて減速する。
【0054】
有利なことには、本実施形態のバレルアセンブリ270を含むカテーテルアセンブリは、開始時およびニードル移動の終了時に遅いニードル引き込みを提供して血液のハネを減少させ、かつ、引き込み中のニードル220およびニードルハブ280の円滑な移動を提供する。有利なことには、ハンドル271およびバレル272の変化する内径が、種々の位置におけるニードル引き込みの速度を制御する速度減衰プロファイルを提供する。
【0055】
速度減衰プロファイルを、ニードル220およびニードルハブ280の望ましい引き込み速度に基づいて調整することができる。1つの実施形態によれば、第3内径274cは第1内径274aよりも小さく、有利なことには、移動の開始時に比べて、移動の終点においてより遅い引き込み速度を提供することができる。別の実施形態によれば、第1内径274aは第3内径274cよりも小さく、有利なことには、移動の終点に比べて、移動の開始時においてより遅い引き込み速度を提供することができる。1つの実施形態によれば、第2内径274bは、第1内径274aおよび第3内径274cと実質的に同様であり、有利なことには、ハンドル271およびバレル272中の移動全体を通して、ニードル220およびニードルハブ280の遅い引き込み速度を提供する。
【0056】
1つの実施形態によれば、第1内径274a、第2内径274b、および第3内径274cのそれぞれの幅を変化させて、速度減衰プロファイルを調整する。具体的には、有利なことには、第1内径274a、第2内径274b、および第3内径274cの幅は、ニードル220およびニードルハブ280がハンドル271およびバレル272を貫いて移動する際に、ハンドル271およびバレル272のそれぞれの部分における引き込みのための時間を制御する。また、有利なことには、スプリング82、182の強さに加えて、第1内径274a、第2内径274b、および第3内径274cと第1制動機構290の外径との間の摩擦の量(どれだけの大きさの干渉が存在するか)が、ハンドル271およびバレル272のそれぞれの部分における引き込みのための時間を制御する。
【0057】
カテーテルアセンブリの第4の例示的形態は、以下の相違を有する、バレルアセンブリ270の変形バージョンである。具体的には、ハンドル271およびバレル272は、前述のように第1内径274aおよび第2内径274bを含む。また、バレルアセンブリ270は、ニードルハブ280の近位端に固定される第1制動機構290を含む。バレルアセンブリ270は、第2制動機構291をさらに含む。第1制動機構290は、前述と同様にシリコーンワッシャであり、第2制動機構291はシリコーンゲルである。シリコーンゲル291は、引き込みの前に、スプリング82、182の近位端に適用される。図4図5図13図14および図17~19は、使用者がシリコーンゲル291を供給するためにハンドル71、171に設けられた、例示的なアクセスホール292を例示する。
【0058】
本実施形態のバレルアセンブリ270を有するカテーテルアセンブリの動作において、始動ボタン78、178が押し下げられる際に、第1制動機構290の外径は、第1内径274aと摩擦接触している。これは、第1内径274aが第1制動機構290の外径よりも小さいからである。結果的に、有利なことには、引き込み中に、ニードルハブ280およびニードルは、ハンドル271およびバレル272中へとゆっくりと移動し始める。
【0059】
ニードルハブ280がハンドル271およびバレル272中を移動するにつれて、内径が寸法的に増大し、第2内径274bに至る。第2内径274bは、第1制動機構290の外径よりも大きい。したがって、第2内径274bと第1制動機構290との間には、著しく小さい摩擦接触しか存在しない。結果的に、有利なことには、ニードルハブ280が速度を獲得し、ハンドル271およびバレル272を貫いてより速く移動する。
【0060】
ニードルハブ280がバレル272内のその移動の終点に接近するにつれて、有利なことには、スプリング82、182は、第2制動機構291のシリコーンゲルを通って移動しはじめる。第2制動機構291のシリコーンゲルは、スプリング82、182の伸長に抵抗し、有利なことには、ニードル220およびニードルハブ280の引き込みを遅くする。したがって、有利なことには、第1および第2制動機構の組み合わせは、前述の第3の実施形態と同様のニードル引き込み中の速度減衰プロファイルを提供する。
【0061】
有利なことには、この設計は、ハンドル271およびバレル272中の3以上の制御された内径の製造上の複雑さを減少させる。また、有利なことには、シリコーンワッシャ290とシリコーンゲル291との組み合わせは、血液のハネを減少させながら同様の制動特性を適用し、引き込み中のニードル220およびニードルハブ280の円滑な移動を提供する。
【0062】
1つの実施形態によれば、第2制動機構291のシリコーンゲルは、ハンドル271の内径の近位端に加えて、スプリング82、182の遠位端に適用される。この様式において、シリコーンゲル291は、スプリング82、182がその伸長状態へと移動する際に加えて、圧縮状態のスプリング82、182と接触する。したがって、シリコーンゲル291は、スプリング82、182の伸長に抵抗し、同時にニードルハブ280と接触して、移動全体を通して、その移動を遅くする。有利なことには、この様式におけるシリコーンゲル291の適用は、スプリング82、182のコイルを、一度に全てが伸長するのではなく、一度に1つずつ伸長させる。
【0063】
有利なことには、そのような設計は、ニードル引き込み中の速度減衰プロファイルの精度を改善し、特に、初期始動の後のニードルハブ280の初期移動をゆっくりと許可することにより移動開始時における速度減衰プロファイルの精度を改善する。また、有利なことには、この設計は、始動時に過剰な摩擦を提供する可能性があるシリコーンワッシャの使用を回避する。このシナリオの下で、摩擦力は弾性力より大きく、よって、ニードル220は引き込まれず、安全ではない条件のままとなる。したがって、シリコーンゲル291は、初期の始動フェーズに関する強力な解決策を提供する。
【0064】
1つの実施形態において、シリコーンゲル291を圧縮状態のスプリング82、182の遠位端に提供し、シリコーンワッシャ290をニードルハブ280の近位端に固定する。シリコーンワッシャ290は、移動の終点の近傍においてのみバレル272の内径と有意に接触して、有意な摩擦力を提供する。この様式において、前述と同様に、シリコーンゲル291は、初期の始動フェーズに関する強力な解決策を提供する。一方、シリコーンワッシャ290は、移動の終点においてより良好な減速の解決策を提供する。有利なことには、移動の終点においてシリコーンゲル291に代えてシリコーンワッシャ290を用いることは、ニードルハブ280が終点において大量のシリコーンゲル291中に単純に「衝突」することを回避し、より良好な減速を提供する。
【0065】
別の実施形態において、第1制動機構290のシリコーンワッシャは、ニードルハブ280の近位端に配置され、第2制動機構291としてのシリコーンゲルは、バレル272の内径の近位端に配置される。前述と同様に、シリコーンワッシャは、ハンドル271およびバレル272の内径と相互作用し、ニードルハブ280の初期引き込みを制御する。バレル272の内径の近位端のシリコーンゲルは、ニードルハブ280と接触し、バレル272中の移動の終点を遅くする。有利なことには、そのような設計は、ニードル引き込み中の速度減衰プロファイルを制御する別の方法を提供する。
【0066】
別の実施形態において、第2制動機構291としてのシリコーンゲルは、ニードルハブ280の近位端に配置され、スプリング82、182に適用され、かつ、バレル272の内径の近位端に配置される。ニードルハブ280の近位端のシリコーンゲルは、ハンドル271の内径と接触し、引き込み速度を遅くする。同様の効果が、ニードルハブ280がバレル中の移動の終点に接近する際のバレル272の内径の近位端のシリコーンゲル291によって起こる。しかしながら、バレルの内径の近位端において、スプリングは、ニードルハブ280の近位端由来の残存シリコーンゲルと混合し、引き込み速度のさらなる減衰を提供する。有利なことには、この様式において、シリコーンゲル291は終点におけるニードルハブ280の引き込みを遅くし、引き込み位置におけるニードルハブ280のより円滑な減速および停止が得られる。有利なことには、そのような設計は、シリコーンゲルのみを用いるにもかかわらず、ニードル引き込み中の速度減衰プロファイルを制御する別の方法を提供する。別の実施形態において、有利なことには、アクセスホール292を、スプリング82,182の近位端、第1ニードル位置におけるニードルハブ280の近位端、およびハンドル271およびバレル272の内径の近位端のいずれかの近傍に配置する。この様式において、上記実施形態に記載された所望される位置に、使用者によって容易かつ正確にシリコーンゲルを適用することができる。
【0067】
前述の特定の例示的形態の詳細な説明は、本発明の原理およびその実際的用途を説明し、それによって種々の実施形態に関する本発明、および想定される具体的使用に適合するような種々の変形を含む本発明を当業者が実施可能にする目的のために提供された。この説明は、網羅的であることを意図するものでも、本発明を開示された詳細な実施形態に限定することを意図するものでもない。互いに相反しない限り、本明細書に記載された実施形態および/または要素のいずれをも互いに組み合わせて、具体的に開示されていない種々の追加の形態を形成してもよい。したがって、追加の実施形態は可能であり、追加の実施形態が本明細書および本発明の範囲に包含されることを意図する。本明細書は、具体的な例を記載し、別の方法により達成されてもよい、より一般的な目標を達成する。
【0068】
本願において用いられる際に、用語「前方」、「後方」、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」および他の配向に関する記載は、本発明の例示的形態の説明を容易にすることを意図し、本発明の例示的形態の構造を特定の位置または方向に限定することを意図するものではない。「実質的に」、「約」のような程度に関する用語が、所与の数値の外側の合理的範囲、例えば記載された実施形態の製造、組み立ておよび使用に付随する一般的な許容差を意味することは、当業者によって理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22