(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153677
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】新規の製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 38/28 20060101AFI20241022BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241022BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241022BHJP
C07K 14/62 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
A61K38/28 ZNA
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/10
A61P3/10
A61K38/28
C07K14/62
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024110933
(22)【出願日】2024-07-10
(62)【分割の表示】P 2022132329の分割
【原出願日】2017-09-29
(31)【優先権主張番号】1616509.4
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1617866.7
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1707190.3
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519111280
【氏名又は名称】アレコル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ジェリング
(72)【発明者】
【氏名】サラ ハウエル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジェゼク
(72)【発明者】
【氏名】レオン ザクルゼウスキ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】良好な物理的及び化学的安定性を有する速効型又は超速効型である形態のインスリンを提供する。
【解決手段】(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、及び(iv)非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結
合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結
合種、及び(iv)非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及
び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含
まない、前記水性液体医薬製剤。
【請求項2】
前記製剤のイオン強度が40mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数1】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、前記亜鉛結合種及び前記インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全ての
イオン(n)を含める)を用いて計算される、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
式Iaを用いた前記製剤のイオン強度が、30mM未満、例えば、20mM未満又は10mM未満であ
る、請求項2記載の製剤。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤がポリソルベート80以外のものである、請求項1~3のいずれ
か一項記載の製剤。
【請求項5】
前記インスリン化合物がインスリングラルギンではない、請求項1~4のいずれか一項記
載の製剤。
【請求項6】
前記インスリン化合物がインスリンリスプロである、請求項1~4のいずれか一項記載の
製剤。
【請求項7】
前記インスリン化合物がインスリンアスパルトである、請求項1~4のいずれか一項記載
の製剤。
【請求項8】
前記インスリン化合物がインスリングルリジンである、請求項1~4のいずれか一項記載
の製剤。
【請求項9】
前記インスリン化合物が組換えヒトインスリンである、請求項1~4のいずれか一項記載
の製剤。
【請求項10】
前記インスリン化合物が、>500~1000U/ml、例えば、600~1000U/ml、>600~1000U/m
l、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、800~1000U/ml
、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、又は>900~1000U/mlの濃度で存在する、請求項1~
9のいずれか一項記載の製剤。
【請求項11】
前記インスリン化合物が1000U/mlの濃度で存在する、請求項10記載の製剤。
【請求項12】
前記イオン性亜鉛が前記製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.05%
超の濃度で存在する、請求項1~11のいずれか一項記載の製剤。
【請求項13】
前記イオン性亜鉛が前記製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.5%
超の濃度で存在する、請求項12記載の製剤。
【請求項14】
前記イオン性亜鉛が前記製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0.5~1
%の濃度で存在する、請求項13記載の製剤。
【請求項15】
前記亜鉛イオン結合に関するlogKが4.5~12.3の範囲である亜鉛結合種が、クエン酸塩
、ピロリン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、システイン、シスチン、グルタチ
オン、エチレンジアミン、ヒスチジン、DETA、及びTETAから選択される、請求項1~14の
いずれか一項記載の製剤。
【請求項16】
前記亜鉛結合種がクエン酸塩である、請求項15記載の製剤。
【請求項17】
前記クエン酸塩の源がクエン酸である、請求項16記載の製剤。
【請求項18】
前記亜鉛イオン結合に関するlogKが4.5~12.3の範囲である亜鉛結合種が1~50mMの濃度
で存在する、請求項1~17のいずれか一項記載の製剤。
【請求項19】
前記亜鉛イオン結合に関するlogKが4.5~12.3の範囲である亜鉛結合種が、10~50mM、
例えば、20~50mM、25~50mM、30~50mM、又は40~50mMの濃度で存在する、請求項18記載
の製剤。
【請求項20】
イオン性亜鉛と亜鉛結合種のモル比が1:3~1:175である、請求項1~19のいずれか一項
記載の製剤。
【請求項21】
前記亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM
以上の濃度の亜鉛結合種が、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である
種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種である、請求項1~14のいずれか一項記載の
製剤。
【請求項22】
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10~12.3である亜鉛結合種を実質的に含まない、
請求項1~14のいずれか一項記載の製剤。
【請求項23】
前記非イオン性界面活性剤がアルキルグリコシドである、請求項1~22のいずれか一項
記載の製剤。
【請求項24】
前記アルキルグリコシドが、ドデシルマルトシド、ドデシルグルコシド、オクチルグル
コシド、オクチルマルトシド、デシルグルコシド、デシルマルトシド、デシルグルコピラ
ノシド、トリデシルグルコシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルグルコシド、テト
ラデシルマルトシド、ヘキサデシルグルコシド、ヘキサデシルマルトシド、モノオクタン
酸スクロース、モノデカン酸スクロース、モノドデカン酸スクロース、モノトリデカン酸
スクロース、モノテトラデカン酸スクロース、及びモノヘキサデカン酸スクロースからな
る群から選択される、請求項23記載の製剤。
【請求項25】
前記アルキルグリコシドがドデシルマルトシド又はデシルグルコピラノシドである、請
求項24記載の製剤。
【請求項26】
前記アルキルグリコシドがドデシルマルトシドである、請求項25記載の製剤。
【請求項27】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート界面活性剤、例えば、ポリソルベート20
である、請求項1~22のいずれか一項記載の製剤。
【請求項28】
前記非イオン性界面活性剤がポリエチレングリコールのアルキルエーテルである、請求
項1~22のいずれか一項記載の製剤。
【請求項29】
前記ポリエチレングリコールのアルキルエーテルが、ポリエチレングリコール(2)ドデ
シルエーテル、ポリエチレングリコール(2)オレイルエーテル、及びポリエチレングリコ
ール(2)ヘキサデシルエーテルから選択される、請求項28記載の製剤。
【請求項30】
前記非イオン性界面活性剤がポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブ
ロックコポリマーである、請求項1~22のいずれか一項記載の製剤。
【請求項31】
前記ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマーが、ポ
ロキサマー188、ポロキサマー407、ポロキサマー171、又はポロキサマー185である、請求
項30記載の製剤。
【請求項32】
前記非イオン性界面活性剤がポリエチレングリコールのアルキルフェニルエーテルであ
る、請求項1~22のいずれか一項記載の製剤。
【請求項33】
前記ポリエチレングリコールのアルキルフェニルエーテルが4-(1,1,3,3-テトラメチル
ブチル)フェニル-ポリエチレングリコールである、請求項32記載の製剤。
【請求項34】
前記非イオン性界面活性剤が、1~1000μg/ml、例えば、5~500μg/ml、10~200μg/ml
、10~100μg/ml、又は約50μg/mlの濃度で存在する、請求項1~33のいずれか一項記載の
製剤。
【請求項35】
前記非イオン性界面活性剤が、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/m
l、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、50
~200μg/ml、10~100μg/ml、20~100μg/ml、又は50~100μg/mlの濃度で存在する、請
求項34記載の製剤。
【請求項36】
非荷電性浸透圧調節剤をさらに含む、請求項1~35のいずれか一項記載の製剤。
【請求項37】
前記非荷電性浸透圧調節剤が、トレハロース、マンニトール、グリセロール、及び1,2-
プロパンジオールからなる群から選択される、請求項36記載の製剤。
【請求項38】
前記非荷電性浸透圧調節剤がグリセロールである、請求項37記載の製剤。
【請求項39】
前記製剤が、<10mM、例えば、<9mM、<8mM、<7mM、<6mM、もしくは<5mMの塩化物(
例えば、塩化ナトリウム)を含むか、又は塩化物(例えば、塩化ナトリウム)を実質的に含
まない、請求項1~38のいずれか一項記載の製剤。
【請求項40】
前記組成物が実質的に等張である、請求項1~39のいずれか一項記載の製剤。
【請求項41】
pHが5.5~9.0の範囲である、請求項1~40のいずれか一項記載の製剤。
【請求項42】
前記pHが7.0~7.5の範囲、例えば、7.4である、請求項41記載の製剤。
【請求項43】
前記pHが7.6~8.0の範囲、例えば、7.8である、請求項41記載の製剤。
【請求項44】
リン酸緩衝剤、例えば、リン酸ナトリウムを含む、請求項42又は請求項43記載の製剤。
【請求項45】
防腐剤をさらに含む、請求項1~44のいずれか一項記載の製剤。
【請求項46】
前記防腐剤が、フェノール、m-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、
プロピルパラベン、メチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムか
らなる群から選択される、請求項45記載の製剤。
【請求項47】
ニコチンアミドをさらに含む、請求項1~46のいずれか一項記載の製剤。
【請求項48】
ニコチン酸又はその塩をさらに含む、請求項1~46のいずれか一項記載の製剤。
【請求項49】
トレプロスチニル又はその塩をさらに含む、請求項1~48のいずれか一項記載の製剤。
【請求項50】
(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)1mM以上の濃度
の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)非イオン性界面活性剤を含む、請求項1記載
の水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.
3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が40mM未満
であり、該イオン強度が、次式:
【数2】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、前記亜鉛結合種及び前記インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全ての
イオン(n)を含める)を用いて計算される、前記製剤。
【請求項51】
前記クエン酸塩が、30~50mM、例えば、40~50mMの濃度で前記製剤中に存在する、請求
項50記載の製剤。
【請求項52】
真性糖尿病に罹患している対象の治療において使用するための、請求項1~51のいずれ
か一項記載の製剤。
【請求項53】
それを必要としている対象に、有効量の請求項1~51のいずれか一項記載の製剤を投与
することを含む、真性糖尿病の治療方法。
【請求項54】
1用量又は複数用量の請求項1~51のいずれか一項記載の製剤を含有する容器。
【請求項55】
1用量又は複数用量の請求項1~51のいずれか一項記載の製剤を注射針とともに含有する
容器を含む1回又は複数回使用のための注射器具。
【請求項56】
複数用量の請求項1~51のいずれか一項記載の製剤を含むリザーバー及び自動又は遠隔
操作したときに1以上の用量の前記製剤が体内に投与されるように自動又は遠隔操作に適
応しているポンプを含む医療器具。
【請求項57】
再構成の後、(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の
濃度の亜鉛結合種、及び(iv)非イオン性界面活性剤を含む、水性媒体による再構成に好適
な乾燥固体医薬組成物であって;該組成物が、EDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25
℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記乾燥固体医薬組成物。
【請求項58】
請求項1~51のいずれか一項記載の製剤を調製する方法であって、請求項57記載の乾燥
固体医薬組成物を水性媒体に溶解させることを含む、前記方法。
【請求項59】
(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)亜鉛イオ
ン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜
鉛結合種を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlog
Kが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記製剤の貯蔵安定
性を改善する方法であって;非イオン性界面活性剤を該製剤に添加することを含む、前記
方法。
【請求項60】
(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)亜鉛イオ
ン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜
鉛結合種を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlog
Kが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記製剤の貯蔵安定
性を改善するための非イオン性界面活性剤の使用。
【請求項61】
(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)非イオン
性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤の作用開始を加速させる方法であって;該製剤に、
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の
濃度の亜鉛結合種を加えることを含む、前記方法。
【請求項62】
(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、及び(iii)非イオン
性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関す
るlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医
薬製剤の作用開始を加速させるための、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3
の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種の使用。
【請求項63】
前記製剤のイオン強度が40mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数3】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、前記亜鉛結合種及び前記インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全ての
イオン(n)を含める)を用いて計算される、請求項57~62のいずれか一項記載の組成物、方
法、又は使用。
【請求項64】
式Iaを用いて計算される前記イオン強度が、30mM未満、例えば、20mM未満又は10mM未満
である、請求項63記載の組成物、方法、又は使用。
【請求項65】
前記非イオン性界面活性剤がポリソルベート80以外のものである、請求項57~64のいず
れか一項記載の組成物、方法、又は使用。
【請求項66】
前記亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM
以上の濃度の亜鉛結合種が、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である
種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種である、請求項57~65のいずれか一項記載
の組成物、方法、又は使用。
【請求項67】
前記製剤が、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10~12.3である亜鉛結合種を実質的
に含まない、請求項57~66のいずれか一項記載の組成物、方法、又は使用。
【請求項68】
前記亜鉛結合種がクエン酸塩である、請求項57~67のいずれか一項記載の組成物、方法
、又は使用。
【請求項69】
前記製剤が血管拡張薬を含有しない、例えば、トレプロスチニルも、ニコチンアミドも
、ニコチン酸も、これらの塩も含有しない、請求項1~46又は請求項50~68のいずれか一
項記載の製剤、組成物、方法、又は使用。
【請求項70】
前記製剤が、例えば、糖尿病の治療において有用な追加の治療活性剤をさらに含む、請
求項1~51のいずれか一項記載の製剤。
【請求項71】
前記追加の薬剤が、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニス
ト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくは
リキシセナチドからなる群から選択される、請求項70記載の製剤。
【請求項72】
前記製剤が、長時間作用型インスリン、例えば、インスリングラルギン又はインスリン
デグルデクと共投与される、請求項1~51のいずれか一項記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、特に、インスリン及びインスリン類似体の速効型水性液体製剤に関する。そ
のような組成物は、真性糖尿病、特に、I型真性糖尿病に罹患している対象の治療に好適
である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
真性糖尿病(「糖尿病」)は、低血糖又は高血糖に至る血糖値の制御不全と関連する代謝
障害である。未治療の糖尿病は、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、卒中、糖尿病性腎症、ニュ
ーロパチー、及び網膜症を含む、重篤な微小血管及び大血管合併症に至ることがある。糖
尿病の2つの主要なタイプは、(i)インスリンを産生しない膵臓に起因し、それに対する通
常の治療がインスリン補充療法である、1型糖尿病、及び(ii)患者が不十分なインスリン
を産生するか又はインスリン抵抗性を有するかのいずれかであり、かつそれに対する治療
がインスリン感受性増強剤(例えば、メトホルミン又はピオグリタゾン)、従来のインスリ
ン分泌促進物質(例えば、スルホニルウレア)、腎臓におけるグルコース吸収を低下させ、
それにより、グルコース排泄を促進するSGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、カナグ
リフロジン、及びエンパグリフロジン)、膵臓β細胞からのインスリン放出を刺激するGLP
-1アゴニスト(例えば、エキセナチド及びデュラグルチド)、並びにGLP-1の分解を阻害し
て、インスリン分泌の増加をもたらすDPPIV阻害剤(例えば、シタグリプチン又はビルダグ
リプチン)を含む、2型糖尿病である。2型糖尿病を有する患者は、最終的には、インスリ
ン補充療法を必要とし得る。
【0003】
インスリン補充療法を必要とする患者のために、種々の治療選択肢があり得る。組換え
ヒトインスリンの使用は、近年、改変された性質を有する、例えば、通常のインスリンよ
りも作用が長いか又は作用が速いインスリン類似体の使用に取って代わられている。した
がって、患者に対する一般的なレジメンは、食事時の頃に、速効型インスリンにより補足
された長時間作用型の基本インスリンの受容を伴う。
【0004】
インスリンは、ジスルフィド架橋によって連結された2つの鎖(それぞれ、長さが21アミ
ノ酸及び30アミノ酸のA鎖及びB鎖)から形成されるペプチドホルモンである。インスリン
は、通常、中性pHでは、6量体の形態で存在し、各々の6量体は、亜鉛イオンで結び付けら
れた3つの2量体を含む。インスリン上のヒスチジン残基は、亜鉛イオンとの相互作用に関
与することが知られている。インスリンは、体内で6量体形態で貯蔵されるが、単量体形
態が活性形態である。伝統的に、インスリンの治療的組成物も、亜鉛イオンの存在下、6
量体形態で製剤化されている。典型的には、1つのインスリン6量体当たりおよそ3個の亜
鉛カチオンが存在する。6量体形態は、単量体及び2量体形態よりもかなりゆっくりと注射
部位から吸収されると理解されている。それゆえ、6量体形態を不安定化し、注射後の皮
下空間における亜鉛結合6量体から2量体及び単量体へのより迅速な解離を可能にすれば、
より速やかなインスリン作用の開始を達成することができる。この原理を考慮して、3つ
のインスリン類似体が遺伝子改変されている。1つ目は、B鎖の残基28及び29(それぞれ、P
ro及びLys)が逆転しているインスリンリスプロ(Humalog(登録商標))であり、2つ目は、B
鎖の残基28、通常ProがAspに置き換えられているインスリンアスパルト(NovoRapid(登録
商標))であり、3つ目は、B鎖の残基3、通常AsnがLysに置き換えられ、かつB鎖の残基29、
通常LysがGluに置き換えられているインスリングルリジン(Apidra(登録商標))である。
【0005】
既存の速効型インスリン類似体は、より迅速な作用開始を達成することができるが、亜
鉛カチオンをインスリンから完全に除去することにより、より一層迅速に作用する(「超
速効型」)インスリンを達成することができると理解されている。残念なことに、6量体解
離の結果は、通常、物理的安定性(例えば、凝集に対する安定性)と化学的安定性(例えば
、脱アミド化に対する安定性)の両方に関して、インスリン安定性の相当な障害となる。
例えば、作用が迅速に開始される単量体インスリン又はインスリン類似体は凝集し、極め
て迅速に物理的に不安定化することが知られているが、それは、不溶性凝集体の形成がイ
ンスリンの単量体を介して進行するからである。この問題に対処するための様々なアプロ
ーチが当技術分野において記載されている:
【0006】
US5,866,538号(Norup)は、ヒトインスリン又はその類似体もしくは誘導体、グリセロー
ル、並びに/或いはマンニトール及び5mM~100mMのハロゲン化物(例えば、NaCl)を含む化
学的安定性に優れたインスリン調製物を記載している。
【0007】
US7,205,276号(Boderke)は、インスリン並びにインスリン誘導体及び類似体の亜鉛不含
製剤の調製と関連する安定性の問題に対処し、少なくとも1つのインスリン誘導体、少な
くとも1つの界面活性剤、任意に少なくとも1つの防腐剤、並びに任意に、等張化剤、緩衝
剤、及び賦形剤のうちの少なくとも1つを含む水性液体製剤(ここで、該製剤は安定であり
、亜鉛を含まないか又は製剤のインスリン含有量ベースで0.4重量%未満(例えば、0.2重
量%未満)の亜鉛を含む)が記載されている。好ましい界面活性剤は、ポリソルベート20(
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)であるように思われる。
【0008】
US2008/0194461号(Maggio)は、その成分が凝集及び免疫原性を低下させると考えられて
いるアルキルグリコシドを含有する、インスリンを含むペプチド及びポリペプチドの製剤
を記載している。
【0009】
WO2012/006283号(Pohl)は、インスリンをエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの亜鉛キ
レーターとともに含有する製剤を記載している。EDTAの種類及び量を調節することにより
、インスリン吸収プロファイルが変化すると考えられている。カルシウムEDTAは、注射部
位での疼痛の軽減と関連していると考えられており、かつカルシウムを体内から除去する
可能性が低いので、EDTAの好ましい形態である。好ましい製剤は、吸収をさらに増強させ
、かつ製剤の化学的安定性を改善すると考えられているクエン酸塩も含有する。
【0010】
US2010/0227795号(Steiner)は、インスリン、解離剤、例えば、クエン酸又はクエン酸
ナトリウム、及び亜鉛キレーター、例えば、EDTAを含む組成物(ここで、該製剤は生理的p
Hを有し、透明な水溶液である)を記載している。該製剤は、安定性が改善され、かつ作用
が迅速に開始されると考えられている。
【0011】
WO2015/120457号(Wilson)は、亜鉛キレーター、例えば、EDTA、溶解/安定化剤、例えば
、クエン酸、マグネシウム塩、亜鉛化合物、及び任意に追加の賦形剤と組み合わせたイン
スリンを含む安定化された超速効型インスリン製剤を記載している。
【0012】
特定の加速添加剤の使用によるインスリンの吸収及び効果を加速させるためのさらなる
アプローチが記載されている:
【0013】
WO91/09617号(Jorgensen)は、ニコチンアミドもしくはニコチン酸又はこれらの塩が非
経口投与された水性調製物からのインスリンの吸収速度を高めることを報告している。
【0014】
WO2010/149772号(Olsen)は、インスリン、ニコチン化合物、及びアルギニンを含む製剤
を記載している。アルギニンの存在は、製剤の化学的安定性を改善すると考えられている
。
【0015】
WO2015/171484号(Christe)は、トレプロスチニルの存在のために、インスリンの作用及
び/又は吸収の開始がより速い速効型インスリン製剤を記載している。
【0016】
US2013/0231281号(Soula)は、インスリン又はインスリン類似体及びその平均重合度が3
~13であり、かつその多分散指数が1.0を上回る少なくとも1つのオリゴ糖を含む、水性溶
液組成物であって、該オリゴ糖が部分置換カルボキシル官能基を有し、非置換カルボキシ
ル官能基が塩形成性である、水性溶液組成物を記載している。そのような製剤は速効性で
あると考えられている。
【0017】
PCT/GB2017/051254号(Arecor Limited)は、インスリン又はインスリン類似体、イオン
性亜鉛、キレート剤、及びポリソルベート80を含む水性液体医薬製剤を記載している。
【0018】
WO2016/100042号(Eli Lilly and Company)は、特定の濃度のクエン酸塩、塩化物を含み
、場合により、塩化ナトリウム、亜鉛、及び任意に、塩化マグネシウム及び/又は界面活
性剤の添加を含み、既存のインスリン類似体産物の市販製剤よりも速い薬物動態及び/又
は薬力学作用を有すると考えられている、ヒトインスリン又はインスリン類似体の組成物
を記載している。
【0019】
市販の速効型インスリン製剤は、100U/ml製剤(Humalog(登録商標)(インスリンリスプロ
)、NovoRapid(登録商標)(別名、NovoLog(登録商標)、インスリンアスパルト)、及びApidr
a(登録商標)(インスリングルリジン))、並びに200U/ml製剤(Humalog(登録商標))として入
手可能である。より高い濃度のインスリン化合物を有する製剤は、例えば、より高いイン
スリン用量を必要とする患者、例えば、肥満患者又はインスリン抵抗性を発症した患者に
望ましい。必要とされる高い用量をより小さい容量で送達することができるので、より高
い濃度のインスリンを有する製剤は、結果として、これらのカテゴリーの患者に望ましい
。200U/ml Humalog(登録商標)製剤の開発は、上記の状況における患者の利便性に向けて
の重要な一歩であったが、迅速な作用開始を維持しつつ、かなり高い濃度、例えば、500U
/ml又は1000U/mlの速効型インスリンの製剤を開発することが依然として強く必要とされ
ている。
【0020】
しかしながら、より高い濃度のインスリン化合物、特に、速効型インスリン化合物を含
有する製剤の使用と関連する既知の問題は、低濃度(又は低強度)製剤、例えば、100U/ml
のインスリン化合物で観察される速効作用が低下するということである。したがって、イ
ンスリン化合物の濃度を増加させると、同じ用量が送達された場合でも、より遅い作用開
始をもたらすことが観察されている。例えば、de la Penaらの文献、健康な肥満対象にお
ける高用量ヒト正規U-500インスリンとヒト正規U-100インスリンの薬物動態及び薬力学(P
harmacokinetics and Pharmacodynamics of High-Dose Human Regular U-500 Insulin Ve
rsus Human Regular U-100 Insulin in Healthy Obese Subjects)、Diabetes Care, 34,
pp 2496-2501, 2011を参照されたい。
【0021】
超速効型であり、したがって、生理的インスリンの活性により厳密に一致するインスリ
ンの類似体又は製剤が利用できるならば、望ましいであろう。速効型でかつ安定であるイ
ンスリン及びインスリン類似体のさらなる、好ましくは、改善された製剤を提供すること
も当技術分野で依然として必要とされている。さらに、インスリン化合物の作用の開始速
度が維持されている高濃度のインスリン化合物の製剤を提供することが必要とされている
。
【発明の概要】
【0022】
(発明の概要)
本発明によれば、(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(i
ii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以
上の濃度の亜鉛結合種、及び(iv)非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって
;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結
合種を実質的に含まない、水性液体医薬製剤(「本発明の製剤」)が提供される。好適には
、製剤は、低イオン強度のものであり、例えば、製剤のイオン強度は、本明細書に記載さ
れる式Iaを用いて計算して、40mM未満である。
【0023】
本発明の製剤は、良好な物理的及び化学的安定性を有する速効型又は超速効型である形
態のインスリンを提供する。製剤は、高濃度(又は「高強度」)、すなわち、500~1000U/m
lのインスリン化合物を有する。上の背景の考察において述べられているように、6量体イ
ンスリン中の亜鉛イオンをキレートするためのEDTAの使用は作用の速度を確かに増加させ
るが、安定性を大いに低下させるという代償を払う。理論に束縛されるものではないが、
本発明者らは、亜鉛を亜鉛との結合があまり強くない種と併用することにより、作用速度
に関して同様の効果を達成することができ、非イオン性界面活性剤を使用することにより
、その適度に不安定化する効果を低下又は消失させることができることを理解している。
本発明者らは、そのような亜鉛結合種の存在が高濃度(高強度)インスリン化合物製剤の作
用開始を加速させることをさらに理解している。言い換えると、本発明者らは、そのよう
な亜鉛結合種の添加が、製剤中のインスリン化合物の濃度が増加するときに観察されてい
るインスリンの作用開始に対する遅延効果を緩和することができることを発見した。
【0024】
本発明の製剤は、真性糖尿病、特に、1型真性糖尿病に罹患している対象の治療におい
て、特に、食事時の投与のために使用することができる。
【0025】
付随する実施例から分かるように、本発明の製剤は、非イオン性界面活性剤を含まない
対応する製剤よりも顕著に安定である。本製剤は、インスリンの迅速な作用速度を達成し
、EDTAを含有する従来技術の速効型インスリン製剤よりも安定である。さらに、本発明の
製剤は、迅速な作用開始を維持しながら、高濃度のインスリン化合物を含有する。
【0026】
(配列表の説明)
配列番号1:ヒトインスリンのA鎖
配列番号2:ヒトインスリンのB鎖
配列番号3:インスリンリスプロのB鎖
配列番号4:インスリンアスパルトのB鎖
配列番号5:インスリングルリジンのB鎖
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】検証済みの糖尿病ユカタンミニブタモデルにおける実施例7の製剤7A~7Dの薬力学プロファイル。
【
図2】検証済みの糖尿病ユカタンミニブタモデルにおける実施例7の製剤7A、7B、及び7Dの薬物動態プロファイル。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用される場合、「インスリン化合物」は、インスリン及びインスリン類似
体を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「インスリン」は、配列番号1及び2に示されるA鎖及びB鎖
を有し、ネイティブな分子と同様のジスルフィド架橋を含有し、かつそれによって接続さ
れている(Cys A6-Cys A11、Cys B7~Cys A7、及びCys-B19-Cys A20)、ネイティブなヒト
インスリンを指す。インスリンは、好適には、組換えインスリンである。
【0030】
「インスリン類似体」は、インスリン受容体アゴニストであり、かつ例えば、A又はB鎖
(特に、B鎖)の配列中に1個又は2個のアミノ酸変化を含有する、修飾されたアミノ酸配列
を有する、インスリンの類似体を指す。望ましくは、そのようなアミノ酸修飾は、該分子
の亜鉛に対する親和性を低下させ、それにより、作用速度を増加させることが意図される
。したがって、望ましくは、インスリン類似体は、インスリンの作用速度と同じか又は好
ましくはそれを上回る作用速度を有する。インスリン又はインスリン類似体の作用速度は
、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)で決定することがで
きる。例示的なインスリン類似体としては、速効型類似体、例えば、インスリンリスプロ
、インスリンアスパルト、及びインスリングルリジンが挙げられる。これらの形態のイン
スリンは、ヒトインスリンA鎖を有するが、変異体B鎖を有する-配列番号3~5を参照され
たい。さらに速効型類似体は、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、
EP0214826号、EP0375437号、及びEP0678522号に記載されている。好適には、インスリン
化合物は、インスリングラルギンではない。好適には、インスリン化合物は、インスリン
デグルデクではない。好適には、インスリン化合物は、速効型インスリン化合物であり、
ここで、「速効型」は、例えば、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的な方
法(c)を参照)を用いて測定したときに、ネイティブなヒトインスリンの作用速度を上回る
作用速度を有する、インスリン化合物と定義される。
【0031】
一実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。別の実施態
様において、それは、インスリンリスプロである。別の実施態様において、それは、イン
スリンアスパルトである。別の実施態様において、それは、インスリングルリジンである
。
【0032】
本明細書で使用される「水性液体医薬製剤」という用語は、水性成分が、水、好ましく
は、蒸留水、脱イオン水、注射用水、滅菌注射用水、もしくは静菌注射用水であるか、又
はそれらを含む、治療的使用に好適な製剤を指す。本発明の水性液体医薬製剤は、全成分
が水に溶解している溶液製剤である。
【0033】
製剤中のインスリン化合物の濃度は、500~1000U/mlの範囲、例えば、800~1000U/mlで
あり、別の例示的な製剤は、1000U/ml(約36mg/ml)の濃度のインスリン化合物を含有する
。
【0034】
一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、500~1000U/ml、例えば、
>500~1000U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、600
~1000U/ml、例えば、>600~1000U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリ
ン化合物の濃度は、700~1000U/ml、例えば、>700~1000U/mlである。一実施態様におい
て、製剤中のインスリン化合物の濃度は、750~1000U/ml、例えば、>750~1000U/mlであ
る。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、800~1000U/ml、例えば
、>800~1000U/mlである。一実施態様において、製剤中のインスリン化合物の濃度は、9
00~1000U/ml、例えば、>900~1000U/mlである。
【0035】
本明細書で使用される「U/ml」は、容量当たりの単位に換算したインスリン化合物の濃
度を記載したものであり、ここで、「U」は、インスリン活性の国際単位である(例えば、
欧州薬局方5.0、ヒトインスリン(European Pharmacopoeia 5.0, Human Insulin)、pp 180
0-1802を参照)。
【0036】
本発明の製剤は、イオン性亜鉛、すなわち、Zn2+イオンを含有する。イオン性亜鉛の源
は、通常、水溶性亜鉛塩、例えば、ZnCl2、ZnO、ZnSO4、Zn(NO3)2、又はZn(酢酸)2、最も
好適には、ZnCl2又はZnOである。
【0037】
製剤中のイオン性亜鉛の濃度は、通常、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛
の重量で0.05%超、例えば、0.1%超、例えば、0.2%超、0.3%超、又は0.4%超である。
したがって、製剤中のイオン性亜鉛の濃度は、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく
亜鉛の重量で0.5%超、例えば、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で0
.5~1%、例えば、0.5~0.75%、例えば、0.5~0.6%であり得る。計算のために、亜鉛に
対する対イオンの重量は除外される。
【0038】
例えば、1000U/mlのインスリン化合物を含有する製剤において、イオン性亜鉛の濃度は
、通常、0.15mM超、例えば、0.3mM超、例えば、0.6mM超、0.9mM超、又は1.2mM超である。
したがって、製剤中のイオン性亜鉛の濃度は、1.5mM超、例えば、1.5~6.0mM、例えば、2
.0~4.5mM、例えば、2.5~3.5mMであり得る。
【0039】
本発明の製剤は、亜鉛結合種を含有する。亜鉛結合種は、イオン性亜鉛を錯体にするこ
とができるべきであり、25℃で決定したとき、亜鉛イオン結合に関する金属結合安定度定
数logKが4.5~12.3である。アメリカ国立標準技術研究所(National Institute of Standa
rds and Technology)の参照データベース46(金属錯体の厳しく選択された安定度定数)に
掲載されている金属結合安定度定数を使用することができる。このデータベースは、通常
、25℃で決定されたlogK定数を掲載している。それゆえ、本発明に対する亜鉛結合種の好
適性は、25℃で測定される及び該データベースに引用されている、亜鉛結合に関するその
金属結合安定度定数logKに基づいて決定することができる。亜鉛結合種は、本発明による
製剤中の「加速剤」と記載されてもよい。例示的な亜鉛結合種としては、多座有機アニオ
ンが挙げられる。したがって、好ましい亜鉛結合種は、例えば、クエン酸三ナトリウムと
して利用することができるクエン酸塩(logK=4.93)である。さらなる例としては、ピロリ
ン酸塩(logK=8.71)、アスパラギン酸塩(logK=5.87)、グルタミン酸塩(logK=4.62)、シ
ステイン(logK=9.11)、シスチン(logK=6.67)、及びグルタチオン(logK=7.98)が挙げら
れる。他の考えられる亜鉛結合種としては、イオン性亜鉛との相互作用のための孤立電子
対又は電子密度に寄与し得る物質、例えば、エチレンジアミン(logK=5.69)、ジエチレン
トリアミン(DETA、logK=8.88)、及びトリエチレンテトラミン(TETA、logK=11.95)を含
む、多座アミン;並びに孤立電子対に寄与し得る芳香族又はヘテロ芳香族物質、特に、イ
ミダゾール部分を含むもの、例えば、ヒスチジン(logK=6.51)が挙げられる。したがって
、一実施態様において、亜鉛イオン結合に関するlogKが4.5~12.3の範囲である亜鉛結合
種は、クエン酸塩、ピロリン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、システイン、シ
スチン、グルタチオン、エチレンジアミン、ヒスチジン、DETA、及びTETAから選択される
。
【0040】
一実施態様において、亜鉛結合種は、亜鉛イオン結合に関する金属結合安定度定数logK
が25℃で4.5~10である。
【0041】
亜鉛結合種の最も好適な濃度は、薬剤とそのlogK値によって決まり、通常、1~100mMの
範囲である。亜鉛結合種の濃度は、所望の加速効果をもたらすために、組成物中に存在す
るインスリン化合物の特定の濃度に従って調整することができる。
【0042】
例えば、製剤中の亜鉛結合種の濃度は、通常、1~50mMの範囲であり得る。好適には、
製剤中の亜鉛結合種の濃度は、該亜鉛結合種がインスリン化合物1000U/ml製剤用のクエン
酸塩又はヒスチジンであるとき、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50mM、より
好ましくは、約44mMである。
【0043】
一実施態様において、亜鉛結合種の濃度は、10mM以上である。別の実施態様において、
亜鉛結合種の濃度は、5~50mM、例えば、10~50mM、20~50mM、25~50mM、30~50mM、又
は40~50mMである。
【0044】
アニオン性亜鉛結合種は、遊離酸又は塩形態、例えば、ナトリウムもしくはカルシウム
イオン、特に、ナトリウムイオンとの塩形態として利用することができる。
【0045】
亜鉛結合種の混合物を利用することができるが、単一の亜鉛結合種が好ましい。
【0046】
好適には、製剤中のイオン性亜鉛と亜鉛結合種のモル比は、1:1~1:1000の範囲、例え
ば、1:1~1:500、例えば、1:1~1:250、又は1:3~1:500、例えば、1:3~1:175である。
【0047】
特に、亜鉛結合種としてのクエン酸塩又はヒスチジンの場合、以下の範囲が特に対象と
なる: 1:10~1:500、例えば、1:10~1:200、例えば、1:10~1:100、例えば、1:10~1:50
、例えば、1:10~1:30、例えば、1:10~1:20(特に、インスリン化合物1000U/ml製剤の場
合)。
【0048】
例えば、1000U/mlのインスリン化合物を含有する製剤は、約3mMのイオン性亜鉛(すなわ
ち、約197μg/mlのイオン性亜鉛、すなわち、製剤中のインスリン化合物の重量に基づく
亜鉛の重量で約0.54%)及び約30~60mM、例えば、40~60mMの亜鉛結合種(特に、クエン酸
塩)を含有し得る。
【0049】
一実施態様において、製剤中のインスリン化合物濃度(U/ml)と亜鉛結合種(mM)の比は、
100:1~2:1の範囲、例えば、50:1~2:1、例えば、40:1~2:1である。
【0050】
本発明の製剤は、25℃で決定したとき、亜鉛結合に関する金属結合安定度定数logKが12
.3を上回る亜鉛結合種を実質的に含まない。具体的に、本発明の製剤は、EDTA(logK=14.
5)を実質的に含まない。避けられるべき亜鉛結合に関する金属結合安定度定数logKが12.3
を上回る亜鉛結合種のさらなる例としては、EGTA(logK=12.6)が挙げられる。一般に、本
発明の製剤は、四座配位子又は配位座数がより大きい配位子を実質的に含まない。ある実
施態様において、本発明の製剤はまた、25℃で決定したとき、亜鉛イオン結合に関する金
属結合安定度定数logKが10~12.3である亜鉛結合種を実質的に含まない。「実質的に含ま
ない」とは、指定されているような亜鉛結合に関する金属結合安定度定数logKを有する亜
鉛結合種(例えば、EDTA)の濃度が、0.1mM未満、例えば、0.05mM未満、例えば、0.04mM未
満、又は0.01mM未満であることを意味する。
【0051】
酸形態を有する亜鉛イオン結合種(例えば、クエン酸)を、本発明の水性製剤中に、酸の
塩、例えば、ナトリウム塩(例えば、クエン酸三ナトリウム)の形態で導入することができ
る。或いは、それらを酸の形態で導入し、その後、pHを必要とされるレベルに調整するこ
とができる。本発明者らは、ある状況において、酸形態(例えば、クエン酸)を塩形態(例
えば、クエン酸三ナトリウム)の代わりに製剤中に導入すると、優れた化学的及び物理的
安定性がもたらされるという点で利点を有し得ることを見出した。したがって、ある実施
態様において、亜鉛イオン結合種としてのクエン酸塩の源は、クエン酸である。
【0052】
一実施態様において、(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛
、(iii)1mM以上の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv)非イオン性界面活性剤
を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃
で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が40mM
未満であり、該イオン強度が、次式:
【数1】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤が提供される。好適には、クエン
酸塩は、製剤中に、30~50mM、例えば、40~50mMの濃度で存在する。
【0053】
本発明の製剤は、非イオン性界面活性剤を含有する。
【0054】
好適なクラスの非イオン性界面活性剤は、アルキルグリコシド、特に、ドデシルマルト
シドである。一実施態様において、アルキルグリコシドは、デシルグルコピラノシドであ
る。他のアルキルグリコシドとしては、ドデシルグルコシド、オクチルグルコシド、オク
チルマルトシド、デシルグルコシド、デシルマルトシド、トリデシルグルコシド、トリデ
シルマルトシド、テトラデシルグルコシド、テトラデシルマルトシド、ヘキサデシルグル
コシド、ヘキサデシルマルトシド、モノオクタン酸スクロース、モノデカン酸スクロース
、モノドデカン酸スクロース、モノトリデカン酸スクロース、モノテトラデカン酸スクロ
ース、及びモノヘキサデカン酸スクロースが挙げられる。
【0055】
別の好適なクラスの非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート(エトキシ化ソルビタン
の脂肪酸エステル)、例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。ポリソル
ベート20は、ラウリン酸及び20という数字が分子中のオキシエチレン基の数を示すポリオ
キシエチレン(20)ソルビタンから形成されるモノエステルである。ポリソルベート80は、
オレイン酸及び20という数字が分子中のオキシエチレン基の数を示すポリオキシエチレン
(20)ソルビタンから形成されるモノエステルである。ポリソルベート20は、特に、Tween
20及び同じくAlkest TW 20を含む、様々な商標名で知られている。ポリソルベート80は、
特に、Tween 80及び同じくAlkest TW 80を含む、様々な商標名で知られている。他の好適
なポリソルベートとしては、ポリソルベート40及びポリソルベート60が挙げられる。一実
施態様において、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート80以外のものである。一実施
態様において、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート20以外のものである。
【0056】
別の好適なクラスの非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、特に、ポロキサマー188
、ポロキサマー407、ポロキサマー171、及びポロキサマー185としても知られる、ポリエ
チレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマーである。ポロキサマ
ーは、Pluronics又はKoliphorsという商標名でも知られている。例えば、ポロキサマー18
8は、Pluronic F-68として市販されている。
【0057】
別の好適なクラスの非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールのアルキルエー
テル、特に、例えば、ポリエチレングリコール(2)ヘキサデシルエーテル(Brij 52)、ポリ
エチレングリコール(2)オレイルエーテル(Brij 93)、及びポリエチレングリコール(2)ド
デシルエーテル(Brij L4)から選択される、Brijという商標名で知られているものである
。他の好適なBrij界面活性剤としては、ポリエチレングリコール(4)ラウリルエーテル(Br
ij 30)、ポリエチレングリコール(10)ラウリルエーテル(Brij 35)、ポリエチレングリコ
ール(20)ヘキサデシルエーテル(Brij 58)、及びポリエチレングリコール(10)ステアリル
エーテル(Brij 78)が挙げられる。
【0058】
別の好適なクラスの非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールのアルキルフェ
ニルエーテル、特に、Triton X-100という商標名でも知られている、4-(1,1,3,3-テトラ
メチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコールである。
【0059】
特に好適なのは、1000g/モル未満、特に、600g/モル未満の分子量を有する非イオン性
界面活性剤、例えば、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコー
ル(Triton X-100)(647g/モル)、ドデシルマルトシド(511g/モル)、オクチルグルコシド(2
92g/モル)、ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(362g/モル)、ポリエ
チレングリコール(2)オレイルエーテル(Brij 93)(357g/モル)、及びポリエチレングリコ
ール(2)ヘキサデシルエーテル(Brij 52)(330g/モル)である。
【0060】
製剤中の非イオン性界面活性剤の濃度は、通常、1~1000μg/mlの範囲、例えば、5~50
0μg/ml、例えば、10~200μg/ml、例えば、10~100μg/ml、特に、約50μg/mlである。
一実施態様において、非イオン性界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml
、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20
~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度で存在する。
【0061】
別の実施態様において、インスリン化合物の濃度は800~1000U/mlであり、非イオン性
界面活性剤は50~200μg/mlの濃度で存在する。この実施態様において、好適には、非イ
オン性界面活性剤はドデシルマルトシドである。
【0062】
好適には、本発明の水性製剤のpHは、5.5~9.0の範囲、特に、6.5~8.0、例えば、7.0
~7.8.、例えば、7.0~7.5である。注射痛を最小限に抑えるために、pHは、好ましくは、
生理的pH(約pH 7.4)付近である。別の対象となるpHは、7.6~8.0、例えば、約7.8である
。さらなる対象となるpHは、7.2~7.8、例えば、約7.6である。
【0063】
好適には、本発明の組成物は、製剤のpHを安定化するために、緩衝剤(例えば、1以上の
緩衝剤)を含み、これは、タンパク質安定性を増強するように選択することもできる。一
実施態様において、緩衝剤は、組成物のpHに近いpKaを有するように選択され;例えば、ヒ
スチジンは、好適には、組成物のpHが5.0~7.0の範囲であるときに緩衝剤として利用され
る。そのような緩衝剤は、0.5~20mM、例えば、2~5mMの濃度で利用され得る。ヒスチジ
ンが製剤中に亜鉛結合種として含まれる場合、それは、このpHで緩衝する役割も有する。
別の例として、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウムは、好適には、組成物のpHが6.1~8
.1の範囲であるときに緩衝剤として利用される。そのような緩衝剤は、0.5~20mM、例え
ば、2~5mM、例えば、2mMの濃度で利用され得る。或いは、別の実施態様において、本発
明の製剤は、タンパク質及び1以上の添加剤を含む製剤であって、系が従来の緩衝剤、す
なわち、組成物の意図される貯蔵温度範囲、例えば、25℃で、製剤のpHの1単位以内のpKa
を有するイオン化可能な基を有する化合物を実質的に含まないことを特徴とする、製剤を
記載しているWO2008/084237号(引用により完全に本明細書中に組み込まれる)に開示され
ているようにさらに安定化にされる。この実施態様において、製剤のpHは、該製剤がpHに
関して最大の測定可能な安定性を有する値に設定され; 1以上の添加剤(置換緩衝剤)は、
プロトンをインスリン化合物と交換することができ、製剤の意図される貯蔵温度範囲で製
剤のpHよりも少なくとも1単位大きい又は小さいpKa値を有する。添加剤は、組成物の意図
される貯蔵温度範囲(例えば、25℃)で、水性製剤のpHの1~5 pH単位、好ましくは、1~3
pH単位、最も好ましくは、1.5~2.5 pH単位のpKaを有するイオン化可能な基を有し得る。
そのような添加剤は、通常、0.5~10mM、例えば、2~5mMの濃度で利用され得る。
【0064】
本発明の水性製剤は、低張、等張、及び高張組成物を含む、広範囲のオスモル濃度に及
ぶ。好ましくは、本発明の製剤は、実質的に等張である。好適には、製剤のオスモル濃度
は、投与経路による、例えば、注射時の痛みを最小限に抑えるように選択される。好まし
い製剤は、約200~約500mOsm/Lの範囲のオスモル濃度を有する。好ましくは、オスモル濃
度は、約250~約350mOsm/Lの範囲である。より好ましくは、オスモル濃度は、約300mOsm/
Lである。
【0065】
製剤の浸透圧は、浸透圧調節剤(例えば、1以上の浸透圧調節剤)で調整することができ
る。浸透圧調節剤は、荷電性であっても非荷電性であってもよい。荷電性浸透圧調節剤の
例としては、塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、又はカルシウムイオン
と、塩化物、硫酸、炭酸、亜硫酸、硝酸、乳酸、コハク酸、酢酸、又はマレイン酸イオン
との組合せ(特に、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム、特に、塩化ナトリウム)が挙げら
れる。本発明のインスリン化合物製剤は、インスリン製剤を調製する際に利用される標準
的な酸性化及び後続の中和工程の使用の結果として、2~4mMの残存NaCl濃度を含有し得る
。アルギニン、グリシン、又はヒスチジンなどのアミノ酸も、この目的で使用し得る。荷
電性浸透圧調節剤(例えば、NaCl)は、100~300mM、例えば、約150mMの濃度で使用し得る
。一実施態様において、本発明の製剤は、<10mM、例えば、<9mM、<8mM、<7mM、<6mM
、もしくは<5mMの塩化物(例えば、塩化ナトリウム)を含むか、又は塩化物(例えば、塩化
ナトリウム)を実質的に含まない、すなわち、塩化物は、製剤に、pH調整の一部として寄
与し得る塩化物を超えて添加されない。
【0066】
非荷電性浸透圧調節剤の例としては、糖、糖アルコール及び他のポリオール、例えば、
トレハロース、スクロース、マンニトール、グリセロール、1,2-プロパンジオール、ラフ
ィノース、ラクトース、デキストロース、ソルビトール、又はラクチトール(特に、トレ
ハロース、マンニトール、グリセロール、もしくは1,2-プロパンジオール、特に、グリセ
ロール)が挙げられる。非荷電性浸透圧調節剤は、好ましくは、200~500mM、例えば、約3
00mMの濃度で使用される。別の対象となる範囲は、100~500mMである。一実施態様におい
て、製剤中の非荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、
又は約174mMの濃度のものである。一実施態様において、製剤中の非荷電性浸透圧調節剤
は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度のグリセロール
である。
【0067】
インスリン化合物がインスリンリスプロである場合、浸透圧は、好ましくは、200~500
mM、例えば、約300mMの濃度の非荷電性浸透圧調節剤を用いて好適に調整される。この実
施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、好適には、トレハロース、マンニトール、グ
リセロール、及び1,2-プロパンジオール(最も好適には、グリセロール)からなる群から選
択される。別の実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150
~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度で使用される。一実施態様において、非荷電性
浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度の
グリセロールである。
【0068】
インスリン化合物がインスリンアスパルトである場合、浸透圧は、好ましくは、200~5
00mM、例えば、約300mMの濃度の非荷電性浸透圧調節剤を用いて好適に調整される。この
実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、好適には、トレハロース、マンニトール、
グリセロール、及び1,2-プロパンジオール(最も好適には、グリセロール)からなる群から
選択される。別の実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、15
0~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度で使用される。一実施態様において、非荷電
性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度
のグリセロールである。
【0069】
インスリン化合物がインスリングルイジンである場合、浸透圧は、好ましくは、200~5
00mM、例えば、約300mMの濃度の非荷電性浸透圧調節剤を用いて好適に調整される。この
実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、好適には、トレハロース、マンニトール、
グリセロール、及び1,2-プロパンジオール(最も好適には、グリセロール)からなる群から
選択される。別の実施態様において、非荷電性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、15
0~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度で使用される。一実施態様において、非荷電
性浸透圧調節剤は、100~300mM、例えば、150~200mM、170~180mM、又は約174mMの濃度
のグリセロールである。
【0070】
製剤のイオン強度は、式Ia:
【数2】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、組成物中に存在する全てのイオン(n)を含める)に従って計算することができる
。インスリン化合物自体の寄与は、計算のために無視されるべきである。亜鉛結合種の寄
与は、計算のために無視されるべきである。好適には、イオン性亜鉛の寄与は、計算のた
めに含まれるべきである。双性イオンの場合、電荷の絶対値は、極性を除いた総電荷であ
り、例えば、グリシンの場合、考えられるイオンは、0、1、又は2という絶対電荷を有し
、アスパラギン酸の場合、考えられるイオンは、0、1、2、又は3という絶対電荷を有する
。
【0071】
一般に、製剤のイオン強度は、好適には、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又
は10mM未満である。
【0072】
一実施態様において、インスリン化合物は、500~1000U/ml、例えば、>500~1000U/ml
、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml
、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/m
l、又は1000U/mlの濃度で存在し、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く、製剤中のイ
オンを考慮したイオン強度は、40mM未満、例えば、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば
、10mM未満、例えば、1~10mMである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種及びイン
スリン化合物を除く、製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、35mM未満、30mM未満、25
mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<40mM、5~30mM、5
~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。
【0073】
インスリン化合物が、500~1000U/ml、例えば、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>6
00~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、80
0~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/mlの濃度
のインスリンリスプロである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより低い
製剤よりも、特に、高いインスリン濃度で安定性が低いので、製剤のイオン強度は、好適
には、最低レベルに維持される。好適には、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く、製
剤中のイオンを考慮したイオン強度は、40mM未満、例えば、30mM未満、例えば、20mM未満
、例えば、10mM未満、例えば、1~10mMである。特に、亜鉛結合種及びインスリン化合物
を除く、製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、35mM未満、30mM未満、25mM未満、20mM
未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<40mM、5~30mM、5~20mM、2~20
mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。
【0074】
インスリン化合物が、500~1000U/ml、例えば、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>6
00~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、80
0~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/ml)の濃
度のインスリンアスパルトである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより
低い製剤よりも安定性が低いので、製剤のイオン強度は、好適には、最低レベルに維持さ
れる。好適には、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く、製剤中のイオンを考慮したイ
オン強度は、40mM未満、例えば、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未満である
。この場合、浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され得る。特に、
亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く、製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、35mM
未満、30mM未満、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~
<40mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である
。
【0075】
インスリン化合物が、500~1000U/ml、例えば、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>6
00~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、80
0~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/ml)の濃
度のインスリングルリジンである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより
低い製剤よりも安定性が低い可能性があるので、製剤のイオン強度は、好適には、最低レ
ベルに維持される。好適には、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く、製剤中のイオン
を考慮したイオン強度は、40mM未満、例えば、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10
mM未満である。この場合、浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され
得る。特に、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く、製剤中のイオンを考慮したイオン
強度は、35mM未満、30mM未満、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満である
か、又は5~<40mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mM
の範囲である。
【0076】
別の実施態様において、製剤のイオン強度は、式Ib:
【数3】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、組成物中に存在する全てのイオン(n)を含める)に従って計算することができ、
ここで、インスリン化合物、亜鉛結合種、及びイオン性亜鉛の寄与は、計算のために無視
されるべきである。双性イオンの場合、電荷の絶対値は、極性を除いた総電荷であり、例
えば、グリシンの場合、考えられるイオンは、0、1、又は2という絶対電荷を有し、アス
パラギン酸の場合、考えられるイオンは、0、1、2、又は3という絶対電荷を有する。
【0077】
この実施態様において、製剤のイオン強度は、好適には、30mM未満、20mM未満、又は10
mM未満である。
【0078】
一実施態様において、インスリン化合物は、500~1000U/ml、例えば、>500~1000U/ml
、600~1000U/ml、>600~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml
、>750~1000U/ml、800~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/m
l、又は1000U/mlの濃度で存在し、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を
除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10
mM未満、例えば、1~10mMである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種、インスリン
化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、25mM未満、20
mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<30mM、5~30mM、5~20mM、2~
20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。
【0079】
インスリン化合物が、500~1000U/ml、例えば、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>6
00~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、80
0~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/mlの濃度
のインスリンリスプロである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより低い
製剤よりも、特に、高いインスリン濃度で安定性が低いので、製剤のイオン強度は、好適
には、最低レベルに維持される。好適には、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン
性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、30mM未満、例えば、20mM未満、例
えば、10mM未満、例えば、1~10mMである。特に、亜鉛結合種、インスリン化合物、及び
イオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、25mM未満、20mM未満、15mM
未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<30mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10m
M、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。
【0080】
インスリン化合物が、500~1000U/ml、例えば、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>6
00~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、80
0~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/ml)の濃
度のインスリンアスパルトである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより
低い製剤よりも安定性が低いので、製剤のイオン強度は、好適には、最低レベルに維持さ
れる。好適には、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオ
ンを考慮したイオン強度は、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未満である。特
に、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオンを考慮した
イオン強度は、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか、又は5~<3
0mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの範囲である。
浸透圧は、好適には、非荷電性浸透圧調節剤を用いて調整され得る。
【0081】
インスリン化合物が、500~1000U/ml、例えば、>500~1000U/ml、600~1000U/ml、>6
00~1000U/ml、700~1000U/ml、>700~1000U/ml、750~1000U/ml、>750~1000U/ml、80
0~1000U/ml、>800~1000U/ml、900~1000U/ml、>900~1000U/ml、又は1000U/ml)の濃
度のインスリングルリジンである場合、イオン強度のより高い製剤が、イオン強度のより
低い製剤よりも安定性が低い可能性があるので、製剤のイオン強度は、好適には、最低レ
ベルに維持される。好適には、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く
製剤中のイオンを考慮したイオン強度は、30mM未満、例えば、20mM未満、例えば、10mM未
満である。特に、亜鉛結合種、インスリン化合物、及びイオン性亜鉛を除く製剤中のイオ
ンを考慮したイオン強度は、25mM未満、20mM未満、15mM未満、もしくは10mM未満であるか
、又は5~<30mM、5~30mM、5~20mM、2~20mM、1~10mM、2~10mM、もしくは5~10mMの
範囲である。
【0082】
本発明の製剤は、任意に、防腐剤(例えば、1以上の防腐剤)、好ましくは、フェノール
、m-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、プロピルパラベン、メチルパ
ラベン、塩化ベンザルコニウム、又は塩化ベンゼトニウムを含むことができる。一実施態
様において、製剤は、フェノール又はm-クレゾールを含む。一実施態様において、防腐剤
の混合物、例えば、フェノールとm-クレゾールが利用される。
【0083】
本発明の製剤は、任意に、ニコチンアミドを含み得る。ニコチンアミドの存在は、本発
明の組成物中に製剤化されたインスリンの作用の開始速度をさらに増加させ得る。好適に
は、ニコチンアミドの濃度は、10~150mMの範囲、好ましくは、20~100mMの範囲、例えば
、約80mMである。
【0084】
本発明の製剤は、任意に、ニコチン酸又はその塩を含み得る。ニコチン酸又はその塩の
存在も、本発明の組成物中で製剤化されたインスリンの作用の開始速度をさらに増加させ
得る。好適には、ニコチン酸又はその塩の濃度は、10~150mMの範囲、好ましくは、20~1
00mM、例えば、約80mMである。例となる塩としては、金属塩、例えば、ナトリウム、カリ
ウム、及びマグネシウム塩が挙げられる。
【0085】
典型的には、ニコチンアミド及びニコチン酸(又はその塩としてのもの)のうちの1つを
製剤中に含めることができるが、両方を含めることはできない。
【0086】
本発明の製剤は、任意に、トレプロスチニル又はその塩を含み得る。トレプロスチニル
の存在は、本発明の組成物中に製剤化されたインスリンの作用の開始速度をさらに増加さ
せ得る。好適には、製剤中のトレプロスチニルの濃度は、0.1~12μg/mlの範囲、例えば
、0.1~10μg/ml、0.1~9μg/ml、0.1~8μg/ml、0.1~7μg/ml、0.1~6μg/ml、0.1~5
μg/ml、0.1~4μg/ml、0.1~3μg/ml、0.1~2μg/ml、0.5~2μg/ml、例えば、約1μg/m
lである。
【0087】
一実施態様において、製剤は、血管拡張薬を含有しない。さらなる実施態様において、
製剤は、トレプロスチニルも、ニコチンアミドも、ニコチン酸も、これらの塩も含有しな
い。
【0088】
本発明の製剤は、任意に、安定剤を含む他の有益な成分を含み得る。例えば、安定化す
る性質を有し得るアルギニン又はプロリンなどのアミノ酸を含め得る。したがって、一実
施態様において、本発明の製剤は、アルギニンを含む。
【0089】
本発明の実施態様において、製剤は、グルタミン酸、アスコルビン酸、コハク酸、アス
パラギン酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、及び酢酸から選択される酸を含まず、
これらの酸の対応するイオン形態も含まない。
【0090】
本発明の実施態様において、製剤は、アルギニンを含まない。
【0091】
本発明の実施態様において、製剤は、プロタミン及びプロタミン塩を含まない。
【0092】
本発明の実施態様において、製剤は、マグネシウムイオンを含まない。
【0093】
例えば、塩化マグネシウムの形態での、マグネシウムイオンの添加は、安定化する効果
をもたらすことができる。したがって、本発明の実施態様において、製剤は、マグネシウ
ムイオン、例えば、MgCl2を含有する。
【0094】
本発明の実施態様において、製剤は、カルシウムイオンを含まない。
【0095】
本発明の製剤は、追加の治療活性剤(「活性剤」)、特に、糖尿病の治療において有用な
(すなわち、インスリン化合物、特に、速効型インスリン化合物に加えた)薬剤、例えば、
アミリン類似体又はGLP-1アゴニストをさらに含み得る。一実施態様において、製剤は、
好適には、0.1~10mg/ml、例えば、0.2~6mg/mlの濃度のアミリン類似体、例えば、プラ
ムリンタイドをさらに含む。一実施態様において、製剤は、好適には、10μg/ml~50mg/m
l、例えば、200μg/ml~10mg/ml、又は1~10mg/mlの濃度のGLP-1アゴニスト、例えば、リ
ラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチドをさ
らに含む。
【0096】
好適には、本発明の製剤は、長期貯蔵したときに高分子量種の濃度が低い状態であり続
ける程度に十分に安定である。本明細書で使用される「高分子量種」という用語は、サイ
ズ排除クロマトグラフィーなどの好適な分析法によって検出したとき、親インスリン化合
物の分子量の少なくとも約2倍の見掛けの分子量を有するタンパク質含有物の任意の不可
逆的に形成された成分を指す。すなわち、高分子量種は、親インスリン化合物の多量体凝
集物である。多量体凝集物は、かなり変化した立体構造を有する親タンパク質分子を含み
得るか、又はそれらは、ネイティブなもしくはネイティブに近い立体構造の親タンパク質
ユニットの集合体であり得る。高分子量種の決定は、サイズ排除クロマトグラフィー、電
気泳動、分析的超遠心分離、光散乱、動的光散乱、静的光散乱、及びフィールドフローフ
ラクショネーションを含む、当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。
【0097】
好適には、本発明の製剤は、それらが、30℃で少なくとも、1、2、又は3カ月間貯蔵し
た後に、可視粒子を実質的に含まない状態であり続ける程度に十分に安定である。可視粒
子は、好適には、2.9.20.欧州薬局方各条(European Pharmacopoeia Monograph)(微粒子汚
染:可視粒子(Particulate Contamination: Visible Particles))を用いて検出される。例
えば、製剤が、実施例の項で与えられる定義に従って、視覚的評価方法Bによる1、2、又
は3、特に、1又は2という視覚的スコアを有する場合、それは、可視粒子を実質的に含ま
ない。
【0098】
好適には、本発明の製剤は、長期貯蔵したときに関連種の濃度が低い状態であり続ける
程度に十分に安定である。本明細書で使用される「関連種」という用語は、親インスリン
化合物、特に、デスアミド又は環状イミド形態のインスリンの化学修飾によって形成され
るタンパク質含有物の任意の成分を指す。関連種は、好適には、RP-HPLCによって検出さ
れる。
【0099】
好ましい実施態様において、本発明の製剤は、30℃で1、2、又は3カ月間貯蔵した後、(
全タンパク質の重量で)少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、例えば、少なくとも9
7%、例えば、少なくとも98%、例えば、少なくとも99%の親インスリン化合物を保持す
る。(全タンパク質の重量による)インスリン化合物のパーセンテージは、サイズ排除クロ
マトグラフィー又はRP-HPLCによって決定することができる。
【0100】
好ましい実施態様において、本発明の製剤は、30℃で1、2、又は3カ月間貯蔵した後、(
全タンパク質の重量で)4%以下、好ましくは、2%以下の高分子量種を含む。
【0101】
好ましい実施態様において、本発明の製剤は、30℃で1、2、又は3カ月間貯蔵した後、(
全タンパク質の重量で)4%以下、好ましくは、2%以下、好ましくは、1%以下のA-21デス
アミド形態のインスリン化合物を含む。
【0102】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、同じ条件(例えば、30℃)及び時間の長
さ(例えば、1、2、又は3カ月)の下で貯蔵した後、非イオン性界面活性剤を欠くが、その
他の点では同一である組成物よりも少なくとも10%低い、好ましくは、少なくとも25%低
い、より好ましくは、少なくとも50%低い貯蔵時の高分子量種の増加を示すべきである。
【0103】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、同じ条件(例えば、30℃)及び時間の長
さ(例えば、1、2、又は3カ月)の下で貯蔵した後、非イオン性界面活性剤を欠くが、その
他の点では同一である組成物よりも少なくとも10%低い、好ましくは、少なくとも25%低
い、より好ましくは、少なくとも50%低い貯蔵時の関連種の増加を示すべきである。
【0104】
本発明の製剤の作用速度は、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c
)を参照)で決定することができる。好ましい実施態様において、本発明の組成物は、この
モデルを用いると、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲(例えば、4.5
~10の範囲)である亜鉛結合種を欠くが、その他の点では同一である組成物よりも少なく
とも20%短い、好ましくは、少なくとも30%短いTmax(すなわち、最大インスリン濃度ま
での時間)を示す。好ましい実施態様において、本発明の組成物は、このモデルを用いる
と、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲(例えば、4.5~10の範囲)であ
る亜鉛結合種を欠くが、その他の点では同一である組成物よりも少なくとも20%大きい、
好ましくは、少なくとも30%大きい注射後の最初の45分以内の薬力学プロファイルでの曲
線下面積を示す。
【0105】
一実施態様において、本発明は、(i)500~1000U/mlの濃度のインスリンリスプロ、(ii)
イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から
選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)非イオン性界面
活性剤、例えば、アルキルグリコシドを含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン
結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病
ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.3に調整さ
れた、インスリンリスプロ(100U/ml)、リン酸ナトリウム(13.2mM)、グリセロール(174mM)
、m-クレゾール(29mM)、イオン性亜鉛(19.7μg/ml、対イオンを除く):からなる水性製剤
よりも少なくとも20%短い、好ましくは、少なくとも30%短いTmax(すなわち、最大イン
スリン濃度までの時間)を示す、組成物を提供する。別の実施態様において、本発明は、(
i)500~1000U/mlの濃度のインスリンリスプロ、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合
に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合
種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド
を含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回
る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の
一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.3に調整された、インスリンリスプロ(100U/ml)
、リン酸ナトリウム(13.2mM)、グリセロール(174mM)、m-クレゾール(29mM)、イオン性亜
鉛(19.7μg/ml、対イオンを除く):からなる水性製剤よりもよりも少なくとも20%大きい
、好ましくは、少なくとも30%大きい注射後の最初の45分以内の薬力学プロファイルでの
曲線下面積を示す、組成物を提供する。
【0106】
一実施態様において、本発明は、(i)500~1000U/mlの濃度のインスリンアスパルト、(i
i)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種か
ら選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)非イオン性界
面活性剤、例えば、アルキルグリコシドを含む組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イオ
ン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、糖尿
病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用いると、pH 7.4に調整
された、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(7mM)、グリセロール(174mM
)、塩化ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、及びイオン性
亜鉛(19.7μg/ml、対アニオンを除く):からなる水性製剤よりも少なくとも20%短い、好
ましくは、少なくとも30%短いTmax(すなわち、最大インスリン濃度までの時間)を示す、
組成物を提供する。別の実施態様において、本発明は、(i)500~1000U/mlの濃度のインス
リンアスパルト、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12
.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及
び(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシドを含む組成物であって;製剤
がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実
質的に含まず、糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(実施例の一般的方法(c)を参照)を用い
ると、pH 7.4に調整された、インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(7mM)、
グリセロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9
mM)、及びイオン性亜鉛(19.7μg/ml、対アニオンを除く):からなる水性製剤よりも少なく
とも20%大きい、好ましくは、少なくとも30%大きい注射後の最初の45分以内の薬力学プ
ロファイルでの曲線下面積を示す、組成物を提供する。
【0107】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、100U/mlのインスリン化合物含む対応
する製剤と生物学的に等価である。
【0108】
本明細書で使用される場合、「生物学的に等価」とは、本発明の製剤が対応する製剤と
等価又は同様の薬物動態/薬力学(PK/PD)プロファイルを有することを意味する。例えば、
本発明の製剤は、対応する製剤のものと実質的に同じ(例えば、±20%以内、例えば、±1
0%以内)であるTMAX又はT1/2MAX(一般的方法の項目(c)に記載されている糖尿病ブタ薬物
動態/薬力学モデルに従って測定された)を示す。生物学的等価性は、スチューデントのt-
検定を、一般的方法の項目(c)に記載されている糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデルに記載
されている2つの異なる組成物を用いて達成された薬物動態/薬力学の結果に適用すること
により確定することもできる。
【0109】
「対応する製剤」とは、標準的製剤、すなわち、100U/mlの濃度の同じインスリン化合
物の市販製剤、例えば、Humalog(登録商標)(インスリンリスプロの場合)又はNovoRapid(
登録商標)(インスリンアスパルトの場合)又はApidra(登録商標)(インスリングルリジンの
場合)を意味する。
【0110】
一実施態様において、インスリン化合物がインスリンリスプロである本発明の組成物は
、100U/mlの濃度のインスリンリスプロの市販製剤、例えば、pH 7.3に調整された、イン
スリンリスプロ(100U/ml)、リン酸ナトリウム(13.2mM)、グリセロール(174mM)、m-クレゾ
ール(29mM)、イオン性亜鉛(19.7μg/ml、対イオンを除く):からなる水性製剤(すなわち、
Humalog(登録商標)の製剤)と生物学的に等価である。
【0111】
一実施態様において、インスリン化合物がインスリンアスパルトである本発明の組成物
は、100U/mlの濃度のインスリンアスパルトの市販製剤、例えば、pH 7.4に調整された、
インスリンアスパルト(100U/ml)、リン酸ナトリウム(7mM)、グリセロール(174mM)、塩化
ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、及びイオン性亜鉛(197
μg/ml、対イオンを除く):からなる水性製剤(すなわち、NovoRapid(登録商標)の製剤)と
生物学的に等価である。
【0112】
本発明のさらなる態様によれば、真性糖尿病に罹患している対象の治療において使用す
るための本発明の製剤が提供される。それを必要としている対象に有効量の本発明の製剤
投与することを含む、真性糖尿病の治療方法も提供される。
【0113】
本発明の組成物の典型的なインスリン用量は、2~30U、例えば、5~15Uである。投与は
、好適には、食事の15分前(すなわち、食事の開始前)から食事の15分後(すなわち、食事
の終了後)の間の時間帯で行われるべきである。
【0114】
一実施態様において、本発明の製剤は、好適には、50~1000U/ml、例えば、100~500U/
ml、又は100~200U/mlの濃度の長時間作用型インスリン、例えば、インスリングラルギン
又はインスリンデグルデクと共投与される。
【0115】
一実施態様において、本発明の組成物は、静脈内注射もしくは注入、又は皮下もしくは
筋肉内注射による投与のためのものである。一実施態様において、本発明の組成物は、鼻
腔内送達による投与のためのものではない。
【0116】
本発明の一態様は、例えば、1用量又は複数用量の本発明の製剤を含有するプラスチッ
ク又はガラスでできた容器である。容器は、例えば、注射器具とともに使用するための交
換可能アイテムとなるように設計されたカートリッジであることができる。
【0117】
本発明の製剤は、注射、特に、皮下又は筋肉内注射用に好適にパッケージングすること
ができる。皮下注射が好ましい。注射は、従来のシリンジによるもの、又はより好ましく
は、糖尿病対象による使用に適したペン型装置によるものであり得る。例示的なペン型装
置としては、Kwikpen(登録商標)装置及びFlexpen(登録商標)装置が挙げられる。
【0118】
本発明の一態様は、注射針とともに1用量又は複数用量の本発明の製剤を含有する容器
を含む単回又は複数回使用のための注射器具、特に、皮下又は筋肉内注射に適した器具で
ある。一実施態様において、容器は、複数用量を含有する交換可能カートリッジである。
一実施態様において、針は、例えば、各々の使用機会の後に、交換可能である。
【0119】
本発明の別の態様は、複数用量の本発明の製剤を含むリザーバー及び自動又は遠隔操作
したときに、1以上の用量の本発明の製剤が、体内に、例えば、皮下又は筋肉内に投与さ
れるように自動又は遠隔操作に適応しているポンプを含む医療器具である。そのような器
具は、体の外側に着用するか又は体内に移植することができる。
【0120】
本発明の製剤は、原料を混合することにより調製することができる。例えば、インスリ
ン化合物を、他の成分を含む水性製剤に溶解させることができる。或いは、インスリン化
合物を、強酸(通常、HCl)に溶解させ、溶解後、他の成分を含む水性製剤で希釈し、その
後、アルカリ(例えば、NaOH)を添加して、pHを所望のpHに調整することができる。この方
法のバリエーションとして、酸溶液を中和する工程を希釈工程の前に実施してもよく、そ
の時は、希釈工程の後にpHを調整する必要がない場合がある(又はわずかな調整しか必要
でない場合がある)。
【0121】
本発明の別の態様によれば、再構成の後、(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物
、(ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例
えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5
~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、及び(iv)非イオン性
界面活性剤を含む、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;該組成
物がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を
実質的に含まない、乾燥固体医薬組成物が提供される。そのような製剤は、好適には、40
mM未満のイオン強度を有し、該イオン強度は、次式:
【数4】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、亜鉛結合種及びインスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオン(n
)を含める)を用いて計算される。したがって、本発明の製剤は、そのような乾燥固体医薬
組成物を、水性媒体、例えば、水又は生理食塩水に溶解させることにより調製することが
できる。そのような乾燥固体医薬組成物は、本発明の製剤を脱水する(例えば、フリーズ
ドライする)ことにより調製することができる。本発明はまた、1用量又は複数用量のその
ような乾燥固体医薬組成物を含有する容器を提供する。
【0122】
一実施態様において、(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛
、及び(iii)非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤の作用開始を加速させる方法
であって;該製剤に、亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から
選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種を添加することを含む、方法が提供される。
【0123】
一実施態様において、(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛
、及び(iii)非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって、該製剤がEDTA及び
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含ま
ない、水性液体医薬製剤の作用開始を加速させるための、亜鉛イオン結合に関するlogKが
25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種の使用が提供
される。
【0124】
本発明のさらなる態様は、以下のものを含む。
【0125】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM又は10~30mM、例えば、10~20mM)の濃度の亜鉛結合種、例
えば、クエン酸塩、及び(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例え
ば、ドデシルマルトシドを含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン
結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該
製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該
イオン強度が、次式:
【数5】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、界面活性
剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~30
0μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度の
アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、
亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸
塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約
44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプ
ロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパル
トである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジ
ンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリ
ンである。
【0126】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン
性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に
、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防
腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば
、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン
類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デ
ュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液
体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回
る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満、例え
ば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数6】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、界面活性
剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~30
0μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度の
アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、
亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸
塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約
44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプ
ロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパル
トである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジ
ンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリ
ンである。
【0127】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン
性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に
、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防
腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば
、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン
類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デ
ュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる、水性
液体医薬製剤であって、該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満
、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数7】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、界面活性
剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~30
0μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度の
アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、
亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸
塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約
44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプ
ロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパル
トである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジ
ンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリ
ンである。
【0128】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
0の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば
、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び(iv)非イオ
ン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドを含む水性
液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回
る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満、例え
ば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数8】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、界面活性
剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~30
0μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度の
アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、
亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸
塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約
44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプ
ロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパル
トである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジ
ンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリ
ンである。
【0129】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
0の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば
、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン性
界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に、1
以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐
剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、
グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類
似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュ
ラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体
医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任
意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、
30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数9】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、界面活性
剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~30
0μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度の
アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、
亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸
塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約
44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプ
ロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパル
トである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジ
ンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリ
ンである。
【0130】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
0の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば
、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン性
界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に、1
以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐
剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、
グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類
似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュ
ラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体
医薬製剤であって;該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又
は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数10】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、界面活性
剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~30
0μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度の
アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、
亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸
塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約
44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプ
ロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパル
トである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジ
ンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリ
ンである。
【0131】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50
mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、及び(iv
)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドを
含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で1
2.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM
未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数11】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、界面活性
剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~30
0μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度の
アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。第一のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0132】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50
mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、(iv)非
イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)
任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以
上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、
例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、ア
ミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチ
ド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる
水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3
を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満
、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数12】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、界面活性
剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~30
0μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度の
アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。第一のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0133】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50
mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩、(iv)非
イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)
任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以
上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、
例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、ア
ミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチ
ド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる
水性液体医薬製剤であって;該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM
未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数13】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、界面活性
剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~30
0μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度の
アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。第一のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0134】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM又は10~30mM、例えば、10~20mM)の濃度の亜鉛結合種、例
えば、クエン酸塩、(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、
ドデシルマルトシド;及び(v)アミリン類似体、例えば、プラムリンタイドを含む水性液体
医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る
任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば
、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数14】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アミリン
類似体、例えば、プラムリンタイドは、0.1~10mg/mlの範囲、例えば、0.2~6mg/mlの濃
度である。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml
、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20
~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルト
シドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特
に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において
、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において
、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において
、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0135】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン
性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に
、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防
腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば
、グリセロール又はNaCl、及び(vii)アミリン類似体、例えば、プラムリンタイドからな
る水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.
3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未
満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数15】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アミリン
類似体、例えば、プラムリンタイドは、0.1~10mg/mlの範囲、例えば、0.2~6mg/mlの濃
度である。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml
、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20
~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルト
シドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特
に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において
、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において
、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において
、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0136】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン
性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に
、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防
腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば
、グリセロール又はNaCl、及び(vii)アミリン類似体、例えば、プラムリンタイドからな
る水性液体医薬製剤であって;該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20m
M未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数16】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、アミリン
類似体、例えば、プラムリンタイドは、0.1~10mg/mlの範囲、例えば、0.2~6mg/mlの濃
度である。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml
、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20
~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルト
シドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特
に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において
、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において
、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において
、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0137】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM又は10~30mM、例えば、10~20mM)の濃度の亜鉛結合種、例
えば、クエン酸塩、(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、
ドデシルマルトシド;及び(v)GLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド
、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチドを含む水性液体医薬製剤であって
;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結
合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM
未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数17】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、GLP-1ア
ゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又
はリキシセナチドは、10μg/ml~50mg/ml、200μg/ml~10mg/ml、又は1~10mg/mlの濃度
範囲である。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/
ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、2
0~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマル
トシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(
特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例
えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0138】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン
性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に
、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防
腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば
、グリセロール又はNaCl、及び(vii)GLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグ
ルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤
であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他
の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未
満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数18】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、GLP-1ア
ゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又
はリキシセナチドは、10μg/ml~50mg/ml、200μg/ml~10mg/ml、又は1~10mg/mlの濃度
範囲である。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/
ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、2
0~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマル
トシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(
特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例
えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0139】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン
性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に
、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防
腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば
、グリセロール又はNaCl、及び(vii)GLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグ
ルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又はリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤
であって;該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未
満であり、該イオン強度が、次式:
【数19】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、GLP-1ア
ゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、又
はリキシセナチドは、10μg/ml~50mg/ml、200μg/ml~10mg/ml、又は1~10mg/mlの濃度
範囲である。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/
ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、2
0~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマル
トシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(
特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例
えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様におい
て、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0140】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM又は10~30mM、例えば、10~20mM)の濃度の亜鉛結合種、例
えば、クエン酸塩、(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、
ドデシルマルトシド;及び(v)トレプロスチニル又はその塩を含む水性液体医薬製剤であっ
て;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛
結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20
mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数20】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、トレプロ
スチニルは、0.1~12μg/mlの範囲、例えば、0.1~10μg/ml、0.1~9μg/ml、0.1~8μg/
ml、0.1~7μg/ml、0.1~6μg/ml、0.1~5μg/ml、0.1~4μg/ml、0.1~3μg/ml、0.1~2
μg/ml、0.5~2μg/ml、例えば、約1μg/mlの濃度である。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において
、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン
酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、
約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリス
プロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパ
ルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリ
ジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインス
リンである。
【0141】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン
性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に
、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防
腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば
、グリセロール又はNaCl、及び(vii)トレプロスチニル又はその塩からなる水性液体医薬
製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意
の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30
mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数21】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、トレプロ
スチニルは、0.1~12μg/mlの範囲、例えば、0.1~10μg/ml、0.1~9μg/ml、0.1~8μg/
ml、0.1~7μg/ml、0.1~6μg/ml、0.1~5μg/ml、0.1~4μg/ml、0.1~3μg/ml、0.1~2
μg/ml、0.5~2μg/ml、例えば、約1μg/mlの濃度である。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において
、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン
酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、
約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリス
プロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパ
ルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリ
ジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインス
リンである。
【0142】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン
性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に
、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防
腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば
、グリセロール又はNaCl、及び(vii)トレプロスチニル又はその塩からなる水性液体医薬
製剤であって;該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10m
M未満であり、該イオン強度が、次式:
【数22】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、トレプロ
スチニルは、0.1~12μg/mlの範囲、例えば、0.1~10μg/ml、0.1~9μg/ml、0.1~8μg/
ml、0.1~7μg/ml、0.1~6μg/ml、0.1~5μg/ml、0.1~4μg/ml、0.1~3μg/ml、0.1~2
μg/ml、0.5~2μg/ml、例えば、約1μg/mlの濃度である。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において
、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン
酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、
約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリス
プロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパ
ルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリ
ジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインス
リンである。
【0143】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM又は10~30mM、例えば、10~20mM)の濃度の亜鉛結合種、例
えば、クエン酸塩、(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、
ドデシルマルトシド;及び(v)ニコチンアミド、ニコチン酸、又はこれらの塩を含む水性液
体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回
る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満、例え
ば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数23】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、ニコチン
アミド、ニコチン酸、又はこれらの塩は、10~150mMの範囲、例えば、20~100mM、例えば
、約80mMの濃度である。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、2
0~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~20
0μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ド
デシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒ
スチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~
50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施
態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態
様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態
様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態
様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0144】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン
性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に
、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防
腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば
、グリセロール又はNaCl、及び(vii)ニコチンアミド、ニコチン酸、又はこれらの塩から
なる水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で1
2.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM
未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数24】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、ニコチン
アミド、ニコチン酸、又はこれらの塩は、10~150mMの範囲、例えば、20~100mM、例えば
、約80mMの濃度である。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、2
0~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~20
0μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ド
デシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒ
スチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~
50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施
態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態
様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態
様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態
様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0145】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~1
2.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例え
ば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)非イオン
性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に
、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防
腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば
、グリセロール又はNaCl、及び(vii)ニコチンアミド、ニコチン酸、又はこれらの塩から
なる水性液体医薬製剤であって;該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、2
0mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数25】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤。一実施態様において、ニコチン
アミド、ニコチン酸、又はこれらの塩は、10~150mMの範囲、例えば、20~100mM、例えば
、約80mMの濃度である。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、2
0~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~20
0μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ド
デシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒ
スチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~
50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施
態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態
様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態
様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態
様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0146】
再構成の後、(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインス
リン化合物、(ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05
%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが
25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20
~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、
及び(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルト
シドを含む、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;製剤がEDTA及
び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含
まず、かつ製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満
であり、該イオン強度が、次式:
【数26】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において
、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン
酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、
約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリス
プロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパ
ルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリ
ジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインス
リンである。
【0147】
再構成の後、(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインス
リン化合物、(ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05
%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが
25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20
~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(
iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;
(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に
、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調
節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例え
ば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラ
グルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドか
らなる、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;製剤がEDTA及び亜
鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず
、かつ製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であ
り、該イオン強度が、次式:
【数27】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において
、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン
酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、
約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリス
プロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパ
ルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリ
ジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインス
リンである。
【0148】
再構成の後、(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインス
リン化合物、(ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05
%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが
25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20
~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(
iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;
(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に
、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調
節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例え
ば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラ
グルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドか
らなる、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;製剤のイオン強度
が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次
式:
【数28】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において
、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン
酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、
約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリス
プロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパ
ルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリ
ジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインス
リンである。
【0149】
再構成の後、(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインス
リン化合物、(ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05
%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが
25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~5
0mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、及び
(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド
を含む、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;製剤がEDTA及び亜
鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、
かつ製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり
、該イオン強度が、次式:
【数29】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において
、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン
酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、
約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリス
プロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパ
ルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリ
ジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインス
リンである。
【0150】
再構成の後、(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインス
リン化合物、(ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05
%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが
25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~5
0mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)
非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv
)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1
以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤
、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、
アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグル
チド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからな
る、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;製剤がEDTA及び亜鉛イ
オン結合に関するlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ
製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該
イオン強度が、次式:
【数30】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において
、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン
酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、
約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリス
プロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパ
ルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリ
ジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインス
リンである。
【0151】
再構成の後、(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインス
リン化合物、(ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05
%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが
25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上(例えば、10~50mM、例えば、20~5
0mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩、(iv)
非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv
)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1
以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤
、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、
アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグル
チド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナチドからな
る、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;製剤のイオン強度が、4
0mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数31】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において
、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン
酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、
約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリス
プロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパ
ルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリ
ジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインス
リンである。
【0152】
再構成の後、(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインス
リン化合物、(ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05
%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)1mM以上(例えば、10~50mM、例
えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン
酸塩、及び(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシル
マルトシドを含む、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;製剤がE
DTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質
的に含まず、該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM
未満であり、該イオン強度が、次式:
【数32】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。第一のさらなる実施態様に
おいて、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0153】
再構成の後、(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインス
リン化合物、(ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05
%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)1mM以上(例えば、10~50mM、例
えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン
酸塩、(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマル
トシド;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)
任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸
透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤
、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば
、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナ
チドからなる、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;製剤がEDTA
及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に
含まず、かつ製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未
満であり、該イオン強度が、次式:
【数33】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。第一のさらなる実施態様に
おいて、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0154】
再構成の後、(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインス
リン化合物、(ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05
%以上、例えば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)1mM以上(例えば、10~50mM、例
えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン
酸塩、(iv)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、例えば、ドデシルマル
トシド;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)
任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸
透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(vii)任意に、1以上の追加の活性剤
、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド、又はGLP-1アゴニスト、例えば
、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、もしくはリキシセナ
チドからなる、水性媒体による再構成に好適な乾燥固体医薬組成物であって;製剤のイオ
ン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度
が、次式:
【数34】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、乾燥固体医薬組成物。一実施態様において、界面活
性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~
300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度
のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。第一のさらなる実施態様に
おいて、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様にお
いて、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0155】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、及び(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキ
ルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドを含む水性液体医薬製剤の作用開始を加速さ
せる方法であって; 亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から
選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩を、好適には、1mM以上(例
えば、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の該製剤
に添加することを含み;ここで、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で1
2.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、該製剤のイオン強度が、40mM未満
、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数35】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、方法。一実施態様において、界面活性剤は、10~40
0μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50
~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリ
コシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は
、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチ
ジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。
第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第
二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第
三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第
四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0156】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩
、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-ク
レゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(v
ii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド
、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エ
キセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤の作用開始を加速させる
方法であって; 亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択
される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩を、好適には、1mM以上(例えば
、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の該製剤に添
加することを含み;ここで、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3
を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、該製剤のイオン強度が、40mM未満、例
えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数36】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、方法。一実施態様において、界面活性剤は、10~40
0μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50
~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリ
コシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は
、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチ
ジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。
第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第
二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第
三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第
四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0157】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩
、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-ク
レゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(v
ii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド
、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エ
キセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤の作用開始を加速させる
方法であって; 亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択
される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩を、好適には、1mM以上(例えば
、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の該製剤に添
加することを含み;該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又
は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数37】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、方法。一実施態様において、界面活性剤は、10~40
0μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50
~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリ
コシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は
、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチ
ジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。
第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第
二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第
三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第
四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0158】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、及び(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキ
ルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドを含む水性液体医薬製剤の作用開始を加速さ
せる方法であって; 亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選
択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩を、好適には、1mM以上(例え
ば、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の該製剤に
添加することを含み;ここで、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10
を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、該製剤のイオン強度が、40mM未満、例
えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数38】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、方法。一実施態様において、界面活性剤は、10~40
0μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50
~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリ
コシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は
、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチ
ジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。
第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第
二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第
三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第
四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0159】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩
、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-ク
レゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(v
ii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド
、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エ
キセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤の作用開始を加速させる
方法であって; 亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択さ
れる1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩を、好適には、1mM以上(例えば、1
0~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の該製剤に添加す
ることを含み;ここで、該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で10を上回
る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、
30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数39】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、方法。一実施態様において、界面活性剤は、10~40
0μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50
~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリ
コシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は
、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチ
ジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。
第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第
二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第
三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第
四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0160】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩
、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-ク
レゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(v
ii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド
、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エ
キセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤の作用開始を加速させる
方法であって; 亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択さ
れる1mM以上の濃度の亜鉛結合種、例えば、クエン酸塩を、好適には、1mM以上(例えば、1
0~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の該製剤に添加す
ることを含み;該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10m
M未満であり、該イオン強度が、次式:
【数40】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、方法。一実施態様において、界面活性剤は、10~40
0μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50
~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリ
コシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は
、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチ
ジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。
第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第
二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第
三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第
四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0161】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、及び(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキ
ルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドを含む水性液体医薬製剤の作用開始を加速さ
せる方法であって; 1mM以上(好適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM
、例えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩を添加することを含み;ここで、
該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合
種を実質的に含まず、かつ該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未
満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数41】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、方法。一実施態様において、界面活性剤は、10~40
0μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50
~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリ
コシド、例えば、ドデシルマルトシドである。第一のさらなる実施態様において、インス
リン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリ
ン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリ
ン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリ
ン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0162】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩
、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-ク
レゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(v
ii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド
、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エ
キセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤の作用開始を加速させる
方法であって; 1mM以上(好適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例
えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩(これは、好ましくは、クエン酸とし
て該製剤中に組み込まれ得る)を添加することを含み;ここで、該製剤がEDTA及び亜鉛イオ
ン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まず、かつ
該製剤のイオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、
該イオン強度が、次式:
【数42】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、方法。一実施態様において、界面活性剤は、10~40
0μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50
~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリ
コシド、例えば、ドデシルマルトシドである。第一のさらなる実施態様において、インス
リン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリ
ン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリ
ン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリ
ン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0163】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド;(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸塩
、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-ク
レゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに(v
ii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイド
、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、エ
キセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤の作用開始を加速させる
方法であって; 1mM以上(好適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例
えば、44mM)の濃度の亜鉛結合種としてのクエン酸塩(これは、好ましくは、クエン酸とし
て該製剤中に組み込まれ得る)を添加することを含み;ここで、該製剤のイオン強度が、40
mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強度が、次式:
【数43】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、方法。一実施態様において、界面活性剤は、10~40
0μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50
~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリ
コシド、例えば、ドデシルマルトシドである。第一のさらなる実施態様において、インス
リン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリ
ン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリ
ン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリ
ン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0164】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、及び(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキ
ルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドを含む水性液体医薬製剤であって;該製剤の
イオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン
強度が、次式:
【数44】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤の作用開始を加速させるための;
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上(
好適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜
鉛結合種、例えば、クエン酸塩の使用(ここで、該製剤は、EDTA及び亜鉛イオン結合に関
するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない)。一実施態様
において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10
~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50
~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらな
る実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であ
り、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば
、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物
は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は
、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は
、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は
、組換えヒトインスリンである。
【0165】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド、(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸
塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-
クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに
(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイ
ド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、
エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤のイ
オン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強
度が、次式:
【数45】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤の作用開始を加速させるための;
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上(
好適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜
鉛結合種、例えば、クエン酸塩の使用(ここで、該製剤は、EDTA及び亜鉛イオン結合に関
するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない)。一実施態様
において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10
~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50
~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらな
る実施態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であ
り、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば
、40~50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物
は、インスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は
、インスリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は
、インスリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は
、組換えヒトインスリンである。
【0166】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド、(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸
塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-
クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに
(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイ
ド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、
エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤のイ
オン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強
度が、次式:
【数46】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤の作用開始を加速させるための;
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上(
好適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜
鉛結合種、例えば、クエン酸塩の使用。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg
/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300
μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシ
ド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、ク
エン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジン
の濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一
のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二の
さらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三の
さらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四の
さらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0167】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、及び(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキ
ルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドを含む水性液体医薬製剤であって、該製剤の
イオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン
強度が、次式:
【数47】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤の作用開始を加速させるための;
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上(好
適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛
結合種、例えば、クエン酸塩の使用(ここで、該製剤は、EDTA及び亜鉛イオン結合に関す
るlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない)。一実施態様にお
いて、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300
μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200
μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施
態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製
剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~
50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、イ
ンスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、イン
スリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、イン
スリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換
えヒトインスリンである。
【0168】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド、(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸
塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-
クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに
(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイ
ド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、
エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤のイ
オン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強
度が、次式:
【数48】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤の作用開始を加速させるための;
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上(好
適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛
結合種、例えば、クエン酸塩の使用(ここで、該製剤は、EDTA及び亜鉛イオン結合に関す
るlogKが25℃で10を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない)。一実施態様にお
いて、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300
μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200
μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施
態様において、亜鉛結合種は、クエン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製
剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~
50、例えば、約44mMである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、イ
ンスリンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、イン
スリンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、イン
スリングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換
えヒトインスリンである。
【0169】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド、(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸
塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-
クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに
(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイ
ド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、
エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤のイ
オン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強
度が、次式:
【数49】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤の作用開始を加速させるための;
亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~10の範囲である種から選択される1mM以上(好
適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の亜鉛
結合種、例えば、クエン酸塩の使用。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/m
l、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μ
g/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド
、例えば、ドデシルマルトシドである。さらなる実施態様において、亜鉛結合種は、クエ
ン酸塩又はヒスチジン(特に、クエン酸塩)であり、製剤中のクエン酸塩又はヒスチジンの
濃度は、10~50mM、例えば、30~50mM、例えば、40~50、例えば、約44mMである。第一の
さらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさ
らなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさ
らなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさ
らなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0170】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、及び(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキ
ルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドを含む水性液体医薬製剤であって;該製剤の
イオン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン
強度が、次式:
【数50】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤の作用開始を加速させるための1m
M(好適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の
亜鉛結合種としてのクエン酸の使用(ここで、該製剤は、EDTA及び亜鉛イオン結合に関す
るlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない)。
【0171】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド、(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸
塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-
クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに
(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイ
ド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、
エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤のイ
オン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強
度が、次式:
【数51】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤の作用開始を加速させるための1m
M(好適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度の
亜鉛結合種としてのクエン酸の使用(ここで、該製剤は、EDTA及び亜鉛イオン結合に関す
るlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない)。一実施態様に
おいて、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20~400μg/ml、50~400μg/ml、10~3
00μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200μg/ml、20~200μg/ml、又は50~20
0μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデシルマルトシドである。第一のさら
なる実施態様において、インスリン化合物は、インスリンリスプロである。第二のさらな
る実施態様において、インスリン化合物は、インスリンアスパルトである。第三のさらな
る実施態様において、インスリン化合物は、インスリングルリジンである。第四のさらな
る実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒトインスリンである。
【0172】
(i)500~1000U/ml、例えば、800~1000U/ml又は1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(
ii)製剤中のインスリン化合物の重量に基づく亜鉛の重量で、例えば、0.05%以上、例え
ば、0.5%以上の濃度のイオン性亜鉛、(iii)非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルグ
リコシド、例えば、ドデシルマルトシド、(iv)任意に、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸
塩、例えば、リン酸ナトリウム;(v)任意に、1以上の防腐剤、例えば、フェノール及びm-
クレゾール;(vi)任意に、1以上の浸透圧調節剤、例えば、グリセロール又はNaCl、並びに
(vii)任意に、1以上の追加の活性剤、例えば、アミリン類似体、例えば、プラムリンタイ
ド、又はGLP-1アゴニスト、例えば、リラグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド、
エキセナチド、もしくはリキシセナチドからなる水性液体医薬製剤であって;該製剤のイ
オン強度が、40mM未満、例えば、30mM未満、20mM未満、又は10mM未満であり、該イオン強
度が、次式:
【数52】
(式中、c
xは、イオンxのモル濃度(mol L
-1)であり、z
xは、イオンxの電荷の絶対値であり
、総和は、該亜鉛結合種及び該インスリン化合物を除く、該製剤中に存在する全てのイオ
ン(n)を含める)を用いて計算される、水性液体医薬製剤の作用開始を加速させるための;
1mM(好適には、10~50mM、例えば、20~50mM、例えば、30~50mM、例えば、44mM)の濃度
の亜鉛結合種の使用。一実施態様において、界面活性剤は、10~400μg/ml、例えば、20
~400μg/ml、50~400μg/ml、10~300μg/ml、20~300μg/ml、50~300μg/ml、10~200
μg/ml、20~200μg/ml、又は50~200μg/mlの濃度のアルキルグリコシド、例えば、ドデ
シルマルトシドである。第一のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インス
リンリスプロである。第二のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリ
ンアスパルトである。第三のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、インスリ
ングルリジンである。第四のさらなる実施態様において、インスリン化合物は、組換えヒ
トインスリンである。
【0173】
少なくともいくつかの実施態様における本発明の製剤は、以下の有利な性質のうちの1
つ又は複数を有すると考えられる:
・対象に投与したときに、典型的には、通常のヒトインスリンよりも速い、迅速な作用速
度;
・典型的には、100U/mlのインスリン化合物濃度を有する対応する製剤と同じぐらい速い
迅速な作用速度;
・迅速な作用速度を維持しながらの高いインスリン濃度;
・特に、HMWSの量又は粒子の目視検査によって測定される、貯蔵時の良好な物理的安定性
;
・特に関連産物、例えば、脱アミド化の産物の量によって測定される、貯蔵時の良好な化
学的安定性。
(略語)
【表1】
【実施例0174】
(実施例)
(一般的方法)
(a)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
インスリン調製物の超高速サイズ排除クロマトグラフィーは、Waters ACQUITY H-class
Bio UPLC(登録商標)システムを、1.7μmエチレン架橋ハイブリッド125Å孔充填材料とと
もに、300mm×4.6mmのカラム中で用いて実施した。カラムは、0.65mg/ml L-アルギニン、
20%v/vアセトニトリル、15%v/v氷酢酸移動相、及び0.01M HClで酸性化した10μlの試料
中で平衡化し、276nmでのUV検出により、0.4mL/分で分析した。分析は全て、周囲温度で
実施した。
【0175】
(b)逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)
超高速逆相クロマトグラフィーは、50mm×2.1mmのカラム中で3つの官能基を介してC18
リガンドで固定化された1.7μmエチレン架橋ハイブリッド粒子の130Å孔樹脂を含むWater
s ACQUITY H-class Bio UPLC(登録商標)システムを用いて実施した。インスリン試料を、
82%w/v Na2SO4、18%v/vアセトニトリル、pH 2.3の移動相中で結合させ、50%w/v Na2SO
4、50%v/vアセトニトリル勾配流中で溶出させた。2μlの試料を0.01M HClで酸性化し、2
14nmでのUV検出により、0.61mL/分で分析した。分析は全て、40℃で実施した。
【0176】
(c)糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル:作用速度を決定する方法:
10匹のオスの糖尿病ユカタンミニブタを使用した。ブタに、試験製剤の試料を皮下注射
し、血液を、注射後約240分までの注射に対する様々な時点(分)で採取した(1又は2ml)。
薬力学プロファイルのために、血清を(市販の血糖値測定器を用いて)グルコースについて
分析した。薬物動態プロファイルのために、インスリン濃度を、イムノアッセイを用いて
、血清中で決定した。
【0177】
製剤を生物学的等価性について評価するために、TMAX(すなわち、血清中で最大インス
リン濃度に達するまでの時間)の平均値及び対応する標準偏差を本試験で使用された10匹
のブタの全セットにわたって計算した。同様に、T1/2MAX(すなわち、最大濃度の半分に達
するまでの時間)の平均値及び対応する標準偏差を本試験で使用された10匹のブタの全セ
ットにわたって計算した。その後、スチューデントのt-検定(95%信頼区間)を適用して、
試験された任意の2つの製剤間の生物学的等価性の評価を可能にした。2つの試料の結果集
団に適用されたt-検定のp-値が≧0.05である場合、試料を生物学的に等価であるとみなし
、結果が<0.05である場合、試料を生物学的に等価でないとみなした。
【0178】
(d)視覚的評価
可視粒子を、好適には、2.9.20.欧州薬局方各条(European Pharmacopoeia Monograph)(
微粒子汚染:可視粒子(Particulate Contamination: Visible Particles))を用いて検出し
た。必要とされる装置は、以下のものを含むビューイングステーションからなる:
・垂直位置に保持された適当なサイズの艶消し黒色パネル
・黒色パネルの隣に垂直位置に保持された適当なサイズの反射防止白色パネル
・好適な笠付白色光源及び好適な散光器が装着された調整可能なランプホルダー(各々長
さ525mmの2本の13W蛍光管を含むビューイングイルミネーターが好適である)。ビューイン
グポイントにおける照明の強度は、2000ルクス~3750ルクスに維持される。
【0179】
いかなる接着ラベルも容器から除去し、外側を洗浄し、乾燥させる。気泡が確実に入ら
ないようにしながら容器を穏やかに旋回又は反転させて、白色パネルの前で約5秒間観察
する。この手順を黒色パネルの前で繰り返す。いかなる粒子の存在も記録する。
【0180】
視覚的スコアを次のように順位付ける:
(視覚的評価スコアリング方法A)
視覚的スコア1:可視粒子を含まない透明な溶液
視覚的スコア2:わずかな粒子形成
視覚的スコア3:より顕著な沈殿
(視覚的評価スコアリング方法B)
視覚的スコア1:粒子をほとんど含まない透明な溶液
視覚的スコア2:~5個の非常に小さい粒子
視覚的スコア3:~10から20個の非常に小さい粒子
視覚的スコア4:巨大粒子を含む20~50個の粒子
視覚的スコア5:巨大粒子を含む>50個の粒子
【0181】
視覚的スコア4及び5を有する試料中の粒子は、普通光下での随時の視覚的評価で明らか
に検出可能であるが、視覚的スコア1~3を有する試料は、通常、同じ評価で透明な溶液に
見える。視覚的スコア1~3を有する試料は「合格」とみなされ;視覚的スコア4~5を有す
る試料は「不合格」とみなされる。
【0182】
(実施例1-実例となる製剤)
以下の実例となる製剤を調製することができる:
【0183】
(実施例A:)
【表2】
実施例A1:界面活性剤=ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)
実施例A2:界面活性剤=ポリソルベート20(Tween 20)(0.05mg/ml)
実施例A3:界面活性剤=ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(0.05mg/m
l)
【0184】
(実施例B:)
【表3】
実施例B1:界面活性剤=ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)
実施例B2:界面活性剤=ポリソルベート20(Tween 20)(0.05mg/ml)
実施例B3:界面活性剤=ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(0.05mg/m
l)
【0185】
(実施例C:)
【表4】
実施例C1:界面活性剤=ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)
実施例C2:界面活性剤=ポリソルベート20(Tween 20)(0.05mg/ml)
実施例C3:界面活性剤=ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(0.05mg/m
l)
【0186】
(実施例D:)
【表5】
実施例D1:界面活性剤=ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)
実施例D2:界面活性剤=ポリソルベート20(Tween 20)(0.05mg/ml)
実施例D3:界面活性剤=ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(0.05mg/m
l)
【0187】
(実施例E:)
【表6】
実施例E1:界面活性剤=ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)
実施例E2:界面活性剤=ポリソルベート20(Tween 20)(0.05mg/ml)
実施例E3:界面活性剤=ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(0.05mg/m
l)
【0188】
(実施例F:)
【表7】
実施例F1:界面活性剤=ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)
実施例F2:界面活性剤=ポリソルベート20(Tween 20)(0.05mg/ml)
実施例F3:界面活性剤=ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(0.05mg/m
l)
【0189】
(実施例G:)
【表8】
実施例G1:界面活性剤=ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)
実施例G2:界面活性剤=ポリソルベート20(Tween 20)(0.05mg/ml)
実施例G3:界面活性剤=ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(0.05mg/m
l)
【0190】
(実施例H:)
【表9】
実施例H1:界面活性剤=ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)
実施例H2:界面活性剤=ポリソルベート20(Tween 20)(0.05mg/ml)
実施例H3:界面活性剤=ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(0.05mg/m
l)
【0191】
(実施例I:)
【表10】
実施例I1:界面活性剤=ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)
実施例I2:界面活性剤=ポリソルベート20(Tween 20)(0.05mg/ml)
実施例I3:界面活性剤=ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(0.05mg/m
l)
【0192】
(実施例J:)
【表11】
実施例J1:界面活性剤=ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)
実施例J2:界面活性剤=ポリソルベート20(Tween 20)(0.05mg/ml)
実施例J3:界面活性剤=ポリエチレングリコール(2)ドデシルエーテル(Brij L4)(0.05mg/m
l)
【0193】
(上記の製剤の調製方法:)
インスリン粉末を水に添加し、該粉末が完全に溶解するまでHClを添加する(完全溶解を
達成するために、pHは<3でなければならない)。ZnCl2を所要のレベルまで添加する。溶
解したら、pHをおよそ7に調整し、インスリン濃度が所要の濃度の2倍となるように、容量
を水で調整する。その後、組成物を(全て所要の濃度の2倍の)追加の賦形剤の混合物と1:1
(v/v)で混合する。
【0194】
(実施例2-クエン酸三ナトリウム、L-ヒスチジン、及びピロリン酸塩の存在下におけるイ
ンスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するドデシルマルトシド及びポリソルベート
80の効果)
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性を、クエン酸三ナトリウム(44mM)、L-ヒスチ
ジン(22mM)、又はピロリン酸塩(22mM)を含む製剤中、ドデシルマルトシド又はポリソルベ
ート80の存在下と非存在下の両方で調べた。組成物(NovoRapid(登録商標)組成物に基づく
対照を除く、下記参照)は全て、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナ
トリウム(2mM)、グリセロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、及びイオン性亜鉛(ZnCl2
として197μg/ml、対アニオンを除く)をさらに含み、pH 7.4に調整された。
【0195】
比較のために、100U/mlの市販のインスリンアスパルト製品(NovoRapid(登録商標))の組
成物中のインスリンアスパルト(1000U/ml)の製剤も本試験に含めた。この製剤は、本実験
で検討された他の全ての1000U/ml製剤に使用された手順と同じ手順を用いて調製され、市
販のNovoRapid(登録商標)製品の賦形剤を含有していた。インスリンアスパルトとイオン
性亜鉛の比が100U/ml NovoRapid(登録商標)製品中での比と確実に同じになるように、イ
オン性亜鉛の濃度を調整した。したがって、本製剤は、リン酸ナトリウム(7mM)、グリセ
ロール(174mM)、塩化ナトリウム(10mM)、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、
及びイオン性亜鉛(197μg/ml、対アニオンを除く)を含み、pH 7.4に調整された。
【0196】
視覚的評価スコアリング方法Bを用いて、クエン酸三ナトリウム、L-ヒスチジン、又は
ピロリン酸塩の存在が、インスリンアスパルトの粒子形成の割合をかなり増加させること
が示された(表1)。ドデシルマルトシドの存在は、不安定化効果を緩和した。ポリソルベ
ート80も安定化効果を示したが、ドデシルマルトシドと同程度ではなかった。
表1:表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンア
スパルト(1000U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表12】
*イオン強度の計算は、式Iaを用いて、亜鉛結合種(クエン酸三ナトリウム、L-ヒスチジン
、又はピロリン酸塩)及びインスリン化合物を除く、製剤中の全てのイオンを考慮に入れ
る。
【0197】
(実施例3-クエン酸三ナトリウム/ドデシルマルトシド組合せの存在下と非存在下の両方
におけるインスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するNaCl濃度の効果)
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するNaCl濃度の効果をクエン酸三ナトリ
ウム(44mM)/ドデシルマルトシド(50μg/ml)組合せの存在下と非存在下の両方で調べた。
製剤は全て、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、イ
オン性亜鉛(ZnCl2として197μg/ml、対アニオンを除く)をさらに含み、pH 7.4に調整され
た。
【0198】
この製剤は、浸透圧調節剤としてのグリセロール(174mM)又はNaCl(150mM)又はグリセロ
ールとNaClの混合物のいずれかを含んでいた(表2を参照)。グリセロールとNaClの混合物
を含む製剤中のグリセロールの濃度は、組成物の全体的なオスモル濃度がグリセロールの
みを含む組成物中と同じままであるように174mM未満であった。
【0199】
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性は、クエン酸三ナトリウム(44mM)/ドデシル
マルトシド(50μg/ml)組合せの非存在下と存在下の両方で、NaClの存在による負の影響を
受けることが示された(表2)。クエン酸三ナトリウム(44mM)/ドデシルマルトシド(50μg/m
l)組合せの非存在下では、グリセロール(174mM)及びグリセロール(154mM)/NaCl(10mM)混
合物を浸透圧調節剤として使用すると、安定性は同程度であった。しかしながら、150mM
NaClを使用したとき、安定性のかなりの障害が観察された。興味深いことに、この障害は
、2~8℃でしか観察されず、2~8℃では、150mM NaClの存在下で、粒子形成の割合の顕著
な増加が観察された。インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するNaCl濃度増加の
悪い影響は、クエン酸三ナトリウム(44mM)/ドデシルマルトシド(50μg/ml)組合せの存在
下でも観察された。浸透圧調節剤としてグリセロール(174mM)を含む組成物とグリセロー
ル(154mM)/NaCl(10mM)混合物を含む組成物の間ではごくわずかな違いしか観察されなかっ
たが、グリセロール(154mM)/NaCl(50mM)混合物を含む組成物は、2~8℃でかなり障害され
た安定性を示した。
【0200】
したがって、1000U/mlのインスリンアスパルトの組成物のイオン強度を増加させると、
粒子形成の割合の増加がもたらされることが示された。
【0201】
興味深いことに、この効果は、より低い濃度(例えば、100U/ml)のインスリンアスパル
トでは観察されず、この場合、組成物のイオン強度の増加は、製剤の安定性を実際に改善
することができる(データは示さない)。同様に、インスリンリスプロの場合、イオン強度
を1000U/ml濃度で低く維持することにより、安定性の改善がもたらされるが、この効果は
、より低い濃度(例えば、100U/ml)のインスリンリスプロでは観察されない(データは示さ
ない)。
表2:表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンア
スパルト(1000U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表13】
*イオン強度の計算は、式Iaを用いて、亜鉛結合種(クエン酸三ナトリウム)及びインスリ
ン化合物を除く、製剤中の全てのイオンを考慮に入れる。
【0202】
(実施例4:インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するクエン酸塩の源及び製剤のp
Hの比較)
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対する製剤のクエン酸塩アニオンの源及び
pHの効果を調べた。クエン酸とクエン酸三ナトリウムをクエン酸塩アニオンの源として比
較した。クエン酸を含む製剤をpH 7.8で試験し、クエン酸三ナトリウムを含む製剤をpH 7
.4で試験した。両製剤は、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウ
ム(2mM)、グリセロール(174mM)、ドデシルマルトシド(50μg/ml)、及びイオン性亜鉛(ZnC
l2として197μg/ml、対アニオンを除く)をさらに含んでいた。
【0203】
クエン酸塩の源及びpHは、インスリンアスパルトの安定性に最小限の影響しかないこと
が示された(表3)。クエン酸(pH 7.8)を含む製剤は、30℃で、8週の時点で、ごくわずかに
より安定であるように思われた。
表3.表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンア
スパルト(1000U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表14】
*イオン強度の計算は、式Iaを用いて、亜鉛結合種(クエン酸三ナトリウム、クエン酸)及
びインスリン化合物を除く、製剤中の全てのイオンを考慮に入れる。
【0204】
(実施例5:ドデシルマルトシドの存在下におけるインスリンアスパルト(1000U/ml)の安定
性に対するクエン酸濃度の効果の検討)
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対するクエン酸濃度の効果をドデシルマル
トシド(0.05mg/ml)の存在下で調べた。試験された製剤は全て、フェノール(15.9mM)、m-
クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、グリセロール(174mM)、ドデシルマルトシ
ド(0.05mg/ml)、及びイオン性亜鉛(ZnCl2として197μg/ml、対アニオンを除く)をさらに
含み、これをpH 7.8に調整された。
【0205】
クエン酸の濃度を0から44mMに増加させることは、ドデシルマルトシド(0.05mg/ml)の存
在下におけるインスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性に対して、ごくわずかな影響しか
ないことが示された(表4)。効果は、実験期間中、2~8℃及び37℃で観察されず、粒子形
成の割合は、30℃で、0及び11mMクエン酸を含む組成物と比較して、22、33、及び44mMク
エン酸を含む組成物中でごくわずかしか高くなかった。
表4:表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンア
スパルト(1000U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表15】
*イオン強度の計算は、式Iaを用いて、亜鉛結合種(クエン酸)及びインスリン化合物を除
く、製剤中の全てのイオンを考慮に入れる。
【0206】
(実施例6:様々な濃度のクエン酸の存在下におけるインスリンアスパルト(1000U/ml)の安
定性に対するドデシルマルトシド及びポリソルベート80の最適濃度の検討)
インスリンアスパルト(1000U/ml)の安定性を様々な濃度のクエン酸及び様々な濃度のド
デシルマルトシド又はポリソルベート80のいずれかの存在下で調べた。試験された製剤は
全て、フェノール(15.9mM)、m-クレゾール(15.9mM)、リン酸ナトリウム(2mM)、グリセロ
ール(174mM)、及びイオン性亜鉛(ZnCl2として197μg/ml、対アニオンを除く)をさらに含
み、pH 7.8に調整された。3つの濃度のクエン酸(44、66、及び88mM)並びに4つの濃度の各
々の非イオン性界面活性剤、並びに対応する界面活性剤不含組成物を試験した。
【0207】
インスリンアスパルト(1000U/ml)の製剤中の粒子形成の割合は、44~88mMの範囲でクエ
ン酸濃度に比例し、44mMというより低いクエン酸濃度が最も好適であることが分かった(
表5)。ドデシルマルトシドとポリソルベート80の両方の存在は粒子形成の割合の低下をも
たらすが、ドデシルマルトシドは、ポリソルベート80よりも粒子形成を阻害するのに効果
的であることが分かった。より低い濃度のドデシルマルトシド(0.05及び0.1mg/ml)は、よ
り高い濃度(0.2及び0.3mg/ml)よりも粒子形成を阻害するのに効果的であるように思われ
た。対照的に、ポリソルベート80の場合、より低い濃度(0.05及び0.1mg/ml)よりも粒子形
成の割合を低下させる能力が大きいことを示すのは、より高い濃度(0.3及び0.5mg/ml)で
あった。
表5.表示された温度での貯蔵の後の視覚的評価スコアリング方法Bを用いたインスリンア
スパルト(1000U/ml)製剤の視覚的スコア。
【表16】
*イオン強度の計算は、式Iaを用いて、亜鉛結合種(クエン酸)及びインスリン化合物を除
く、製剤中の全てのイオンを考慮に入れる。
【0208】
(実施例7-クエン酸塩及びドデシルマルトシドの存在下及び非存在下におけるインスリン
アスパルト(100及び1000U/ml)製剤の薬力学及び薬力学プロファイルの比較)
インスリンアスパルトの薬力学及び薬物動態プロファイルを、以下の組成物において、
糖尿病ブタ薬物動態/薬力学モデル(一般的方法(c)を参照)を用いて比較した:
・現在市販されているNovoRapid(登録商標)(100U/ml)速効型製品の製剤中のインスリンア
スパルト(100U/ml)
・現在市販されているNovoRapid(登録商標)(100U/ml)速効型製品の製剤中のインスリンア
スパルト(1000U/ml)
・22mMのクエン酸三ナトリウム及び0.1mg/mlのドデシルマルトシドを含む本発明の製剤中
のインスリンアスパルト(1000U/ml)
・44mMのクエン酸三ナトリウム及び0.1mg/mlのドデシルマルトシドを含む本発明の製剤中
のインスリンアスパルト(1000U/ml)
【0209】
試験された製剤は全て、フェノール(15.9mM)及びm-クレゾール(15.9mM)を含み、pH 7.4
に調整された。各々の製剤の追加の成分は、表6に掲載されている。
表6:試験されたインスリンアスパルトの製剤中の追加の成分。
【表17】
*対アニオンの寄与を含まない
【0210】
製剤7A~7Dの薬力学プロファイルは、
図1に示されている。市販のNovoRapid(登録商標)
製品の製剤中のインスリアスパルトの濃度を100U/mlから1000U/mlへと増加させることが
、より遅い作用開始をもたらすことが示された。これは、速効型インスリンのグルコース
低下効果の用量依存的遅延に関する以前の報告と一致していた(例えば、de la Penaらの
文献、健康な肥満対象における高用量ヒト正規U-500インスリンとヒト正規U-100インスリ
ンの薬物動態及び薬力学(Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of High-Dose Human
Regular U-500 Insulin Versus Human Regular U-100 Insulin in Healthy Obese Subjec
ts)、Diabetes Care, 34, pp 2496-2501, 2011)。44mMクエン酸三ナトリウム及び0.1mg/m
lドデシルマルトシドを含むインスリンアスパルト(1000U/ml)の製剤が、市販のNovoRapid
(登録商標)製品(100U/ml)の製剤によって達成されるものと同程度の薬力学プロファイル
をもたらすことも示された(
図1)。グルコース低下の開始のそのような加速は、22mMクエ
ン酸三ナトリウム及び0.1mg/mlドデシルマルトシドを含む組成物では観察されず、このク
エン酸塩濃度が低すぎて、このインスリンアスパルト濃度で加速効果を達成することがで
きないことが示された。
【0211】
製剤7A、7B、及び7D(
図2)の薬物動態プロファイルは、薬力学プロファイルと一致し、
市販のNovoRapid(登録商標)製品の製剤中のインスリンアスパルト濃度を100U/mlから1000
U/mlへと増加させることが、よりゆっくりとした血清インスリンレベルの増加をもたらす
のに対し、44mMクエン酸三ナトリウム及び0.1mg/mlドデシルマルトシドを含む製剤は、市
販のNovoRapid(登録商標)製品(100U/ml)の製剤によって達成されるものと同程度のプロフ
ァイルをもたらした。製剤7Cの薬物動態プロファイルは、試験しなかった。
【0212】
製剤7A、7B、及び7Dの薬物動態プロファイルに関するT
MAX及びT
1/2MAXの平均値及び標
準偏差(SD)は、下の表7に示されている。
表7:製剤7A、7B、及び7Dの薬物動態プロファイルに関するT
MAX及びT
1/2MAXの平均値及び
標準偏差(SD)。
【表18】
【0213】
製剤7Aと製剤7Bと製剤7Dの間の生物学的等価性を評価するために実施されたスチューデ
ントのt-検定の結果は、下の表8に示されている。製剤7Aと製剤7Dが生物学的に等価であ
ることが示されたのに対し、製剤7Aと製剤7B及び製剤7Bと製剤7Dは、生物学的に等価では
ないことが示された
表8:製剤7A、7B、及び7Dの薬物動態プロファイルの生物学的等価性のt-検定分析
【表19】
【0214】
本明細書及び以下に続く特許請求の範囲の全体を通して、文脈上、別段の解釈を要する
場合を除き、「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」
などのその変化形は、記載された整数、工程、整数の群、又は工程の群の包含を意味する
が、任意の他の整数、工程、整数の群、又は工程の群の除外を意味するものではないと理
解されるであろう。
【0215】
本明細書において「A及び/又はB」などの語句の中で使用される「及び/又は」という用
語は、AとBの両方; A又はB; A(のみ);及びB(のみ)を含むことが意図される。同様に、「A
、B、及び/又はC」などの語句の中で使用される「及び/又は」という用語は、以下の実施
態様の各々を包含することが意図される: A、B、及びC; A、B、又はC; A又はC; A又はB;
B又はC; A及びC; A及びB; B及びC; A(のみ); B(のみ);並びにC(のみ)。
【0216】
引用された刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及びアクセッション番号
/データベース配列(ポリヌクレオチド配列とポリペプチド配列の両方を含む)は全て、あ
たかも各々の個々の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及びアクセッショ
ン番号/データベース配列が引用によりそのように組み込まれることが具体的かつ個別的
に示されるのと同じ程度まで、あらゆる目的のために、引用により完全に本明細書中に組
み込まれる。
【0217】
(i)500~1000U/mlの濃度のインスリン化合物、(ii)イオン性亜鉛、(iii)亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で4.5~12.3の範囲である種から選択される1mM以上の濃度の亜鉛結合種、及び(iv)非イオン性界面活性剤を含む水性液体医薬製剤であって;該製剤がEDTA及び亜鉛イオン結合に関するlogKが25℃で12.3を上回る任意の他の亜鉛結合種を実質的に含まない、前記水性液体医薬製剤。