(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015370
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】骨アンカーと細長器具とのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/88 20060101AFI20240125BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61B17/88
A61B17/86
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209507
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2019019022の分割
【原出願日】2019-02-05
(31)【優先権主張番号】18156123.4
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/628,820
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・ビーダーマン
(57)【要約】
【課題】骨アンカーと細長器具とのシステムを提供する。
【解決手段】システムは、第1端部(3)および第2端部(4)を有するシャンク(2)と、第1端部からシャンクを通って第2端部にまで延在するチャネル(7)とを含む骨アンカー(1)を備える。チャネルはチャネル軸(L)を規定する。内部前進構造(8)がシャンクの第2端部またはその付近においてチャネルの内壁に設けられる。システムはチャネルを通って延在するように構成された細長器具(20,30,40,50)を備える。細長器具は先端部分(23,31,42,51)および外部前進構造(25,32,43,53)を含む。外部前進構造は、先端部分を、チャネルにおいて第2端部に向かう方向に前進させるとともに第1端部に向かって反対方向に後退させることを可能にするようにシャンクの内部前進構造と協働する。先端部分を備えた細長器具はチャネルから取外し可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカーと細長器具とのシステムであって、
骨アンカー(1)を備え、前記骨アンカー(1)は、第1端部(3)および第2端部(4)を有するシャンク(2)と、前記第1端部(3)から前記シャンク(2)を通って前記第2端部(4)にまで延在するチャネル(7)とを含み、前記チャネル(7)はチャネル軸(L)を規定し、
内部前進構造(8)が、前記シャンク(2)の前記第2端部(4)にまたは前記第2端部(4)の付近において、前記チャネル(7)の内壁に設けられており、前記システムはさらに、
前記チャネル(7)を通って延在するように構成された細長器具(20,30,40,50)を備え、
前記細長器具(20,30,40,50)は先端部分(23,31,42,51)および外部前進構造(25,32,43,53)を含み、前記外部前進構造(25,32,43,53)は、前記先端部分(23,31,42,51)を、前記チャネル(7)において前記第2端部(4)に向かう方向に前進させるとともに前記第1端部(3)に向かって反対方向に後退させることを可能にするように、前記シャンク(2)の前記内部前進構造(8)と協働し、
前記先端部分(23,31,42,51)を備えた前記細長器具は前記チャネル(7)から取外し可能である、システム。
【請求項2】
前記内部前進構造(8)は雌ねじであり、前記外部前進構造(25,32,43,53)は雄ねじである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記雌ねじおよび前記雄ねじは円筒形のねじである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記先端部分(23,31,42,51)は、好ましくは、前記第2端部(4)から外に延在するまで、前記チャネル(7)内を前記第1端部(3)から前記第2端部(4)にまで前進するように構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記細長器具(20,30,40,50)は、前記先端部分(23,31,42,51)が前記チャネル(7)の前記第2端部(4)にあるかまたは前記第2端部(4)の付近にあるときに前記シャンク(2)の前記第1端部(3)から外に延在するような長さを有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記内部前進構造(8)および前記外部前進構造(25,32,43,53)は、前記骨アンカーに対する前記細長器具(20,30,40,50)の位置が、ずれないように軸方向に固定されるような態様で協働するように構成される、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記細長器具(20,30,40,50)はさらに第1係合構造を含み、前記第1係合構造は、前記細長器具(20,30,40,50)が前記骨アンカーに対して相対的に回転するのを防ぐために、前記骨アンカーにおいて、または器具において第2係合構造と協働するように構成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記外部前進構造(25,32,43,53)の軸方向長さは、前記内部前進構造(8)の軸方向長さ以上である、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記細長器具(20,30,40,50)は、前記先端部分(23)の反対側において後方端部(21)と、前記後方端部(21)側において前記外部前進構造(25,43)
に隣接するかまたは近接して首部分(26,44)とを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記外部前進構造(25,32)の軸方向長さは、前記内部前進構造(8)の軸方向長さよりも短く、好ましくは、前記細長器具(20,30,40,50)を軸方向に摺動させないように固定するのに十分な長さを有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記先端部分(23)は、骨に切込みを入れるように構成された少なくとも1つの切れ刃(24)を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
止め部(9)が、前記骨アンカーへの前記細長器具の挿入を制限するために前記チャネル(7)の内壁に設けられており、好ましくは、前記先端部分はセンサ要素(46)またはマーカ要素(52)を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記細長器具(20,30,40,50)は管(51)を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記細長器具は一体型部分である、請求項1から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
工具(100)をさらに含み、前記工具(100)は、前記シャンク(2)を保持するように構成された第1部分と、前記細長器具(2)が軸方向に回転可能に前記シャンク(2)に固定されるように前記細長器具(20,30,40,50)を保持するように構成された第2部分とを有する、請求項1から14のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、カニューレ挿入型シャンクを備えた骨アンカーと、カニューレ挿入型シャンクに挿入可能な細長器具とのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の低侵襲手術(minimally invasive surgery:MIS)における脊椎手術の手順において、皮膚を貫いて、脊柱の堆骨内の骨アンカーの所期の位置に経皮的に配置されるキルシュナー鋼線(K-ワイヤ)などのガイドワイヤを用いることが公知である。いくつかの場合には、骨アンカーのための穴が予め空けられており、骨アンカーのためのねじが予め切られている。次いで、カニューレ挿入型シャンクを有する骨アンカーがガイドワイヤに沿って案内されて、最終的に椎弓根にねじ留めされる。その後、ガイドワイヤが取外される。このような骨アンカーおよび手順は、たとえばUS8,690,930B2から公知である。
【0003】
ガイドピンまたはドリルを通じて案内するためにカニューレ挿入される他の骨アンカーが当該技術において公知である。たとえば、US5,098,435は、骨アンカーを形成するガイドピンおよびカニューレを含む骨安定化システムを開示している。ガイドピンの前方端部には、折れた骨へのガイド孔を予め定められた位置に空けるための穿孔手段が設けられている。システムの使用は、骨にガイドピンを挿入するステップと、ガイドピン上にわたってカニューレを配置するステップと、カニューレを骨内に前進させるステップとを含む。
【0004】
US7,938,848B2は、ねじの長手方向軸に沿って延在するチャネルを有するペディクルスクリューを開示する。ドリルは、チャネルを通って延在する。ドリルの第1端部は、チャネルの遠位開口部から出て延在している。
【0005】
US9,095,395B2は、長手方向チャネルを含む骨ねじを案内するための外科用K-ワイヤを開示している。閉じ要素が、骨ねじの長手方向チャネルの遠位端出口開口部を閉じるためにK-ワイヤの遠位端に形成されている。いくつかの実施形態においては、閉じ要素はねじによって長手方向チャネルに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US8,690,930B2
【特許文献2】US5,098,435
【特許文献3】US7,938,848B2
【特許文献4】US9,095,395B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、特定のMIS処置において、骨アンカーと、広範囲に適用されるとともに外科処置を簡素化する細長器具とのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は請求項1に記載のシステムによって解決される。さらなる展開例が従属請求項において記載されている。
【0009】
システムの細長器具は、たとえば、切断装置、K-ワイヤ、移植部位における特徴もしくはマーカを検知するためのセンサ、または他の任意の器具であってもよい。各々の細長器具および骨アンカーはともに、移植部位に配置可能なユニットを形成する。さらに、細長器具に関連する外科処置を行なうことができる。その後、器具は、骨アンカーのチャネルから取外すことができる。必要に応じて、別のタイプの細長器具がチャネルに挿入されてもよい。したがって、骨アンカーは、必要な器具の特定の機能に応じてさまざまな器具と選択的に組合わせることができる。これにより、システムの適用範囲が広がる。
【0010】
細長器具が切断装置である場合、システムは、K-ワイヤを用いたり、予め穴を空けたり、予めねじを切ったりすることなく、挿入された切断装置と共に骨アンカーを配置することを可能にする。これにより、外科処置にかかる時間が節約される。さらに、骨アンカーが用いられるべき特定の臨床状況に適した形状および長さを有する切断部を備えた切断装置が選択され得る。
【0011】
細長器具がK-ワイヤである場合、システムは、骨アンカーをK-ワイヤと共に1ユニットとして骨表面上に配置して、K-ワイヤ先端を骨に押込むことを可能にする。その後、K-ワイヤを案内手段として用いることができる。
【0012】
細長器具がマーカである場合、骨アンカーおよびマーカ要素は、骨アンカーの位置が正確に検出され得るように、互いに対して規定された位置関係を有し得る。
【0013】
さらなる特徴および利点が、添付の図面を参照した本発明の実施形態の説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】骨アンカーと切断装置の形状をした細長器具とのシステムの一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1のシステムを組立てられた状態で示す斜視図である。
【
図3a】
図1および
図2のシステムを、骨アンカーのチャネル軸を通って延在する面に沿って示す断面図である。
【
図4】堆骨の椎弓根に骨アンカーを埋込むステップ中における、
図1~
図3bのシステムに取付けられた器具を示す斜視図である。
【
図5a】
図1~
図3bのシステムを堆骨の椎弓根に挿入している状態を示す断面図である。
【
図5b】
図1~
図3bのシステムを堆骨の椎弓根に挿入している状態を示す断面図である。
【
図5c】
図1~
図3bのシステムを堆骨の椎弓根に挿入している状態を示す断面図である。
【
図6】細長器具を取外した後の、挿入された骨アンカーの断面図である。
【
図7】システムを形成するための骨アンカーと各々を骨アンカーと共に用いることができるさまざまな細長器具とを示す斜視図である。
【
図8】システムのうち、改良されたK-ワイヤを含む細長器具を備えた部分を示す断面図である。
【
図9】システムのうち、センサを含む細長器具を備えた部分を示す断面図である。
【
図10】システムのうち、マーカを含む細長器具を備えた部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図4は、骨アンカー1と切断装置20の形状をした細長器具とのシステムの一実
施形態を示す。骨アンカー1は、第1端部にヘッド3と、自由な第2端部4とを備えるシャンク2を含む。ヘッド3は、骨アンカー1の最大外径を規定する球形状の外面部分を有してもよい。骨ねじ5は、シャンク2の外面のうち少なくとも一部分上に設けられてもよい。シャンク2は、第2端部4に向かってわずかに先細になっていてもよい。工具と係合させるための係合窪み6が、ヘッド3の自由端面に形成されていてもよい。
【0016】
図3aおよび
図3bにより詳細に示されるように、骨アンカー1にはカニューレ挿入がなされる。骨アンカー1は、ヘッド3から骨アンカー内全体を通り第2端部4にまで延在するチャネル7を含む。チャネル7は、第1端部から延在する同軸ボアによって、第2端部4から一定の距離まで形成されている。ボア軸は、チャネルの長手方向軸Lを規定する。第2端部4に隣接する部分においては、チャネル7の直径が同軸ボアよりもわずかに小さい。雌ねじ8の形状をした内部前進構造が、第2端部4に隣接するかまたは近接してチャネル内に設けられている。同軸ボアと前進構造との間に肩部9が形成されていてもよい。肩部9は、細長器具の挿入を制限するためにアバットメントとして機能する。これにより、骨アンカー1と細長器具との間に正確な位置関係を成立させることが可能となる。骨アンカー1におけるチャネル7の最少内径は雌ねじ8によって規定されている。
【0017】
骨アンカー1に投入される骨用セメントまたは医療用物質のための出口を形成する目的で、シャンク2の壁に、少なくとも1つ(好ましくは複数の)径方向開口部10(
図6に図示)が設けられていてもよい。
【0018】
切断装置20の形状をした細長器具は、(
図4に示される)第1端部または後方端部21と反対側の第2端部または前方端部22とを含む、実質的に棒状の部材である。基本的に、切断装置20は円筒状ロッドとして形成されており、骨アンカー1の長さよりも長い後方端部21から前方端部22までの長さを有する。具体的には、切断装置20の長さは、切断装置20が骨アンカー1の通路7を通って延在して一方側において骨アンカー1の第2端部4から突出るように構成されるとともに、後方端部21を器具100から突出させるように骨アンカーを挿入するために(
図4に示される)器具100内を通って延在するように構成されるように、設定されている。
【0019】
切れ刃24を含む先端部分23が、前方端部22に隣接して設けられている。たとえば、切れ刃24は、先端部分23の外面における窪みによって形成されてもよく、窪みのうち少なくとも1つの端縁は切断機能を実行するように構成されている。図には1つの切れ刃24しか示されていないが、複数の切れ刃が設けられていてもよい。1つの切れ刃または複数の切れ刃の形状は直線的であってもよい。切れ刃24は、長手方向に延在してもよく、または螺旋形であってもよく、または骨を切断するように構成されていれば他の如何なる形状であってもよい。切断装置20は、骨アンカー1の雌ねじ8と協働するように構成された雄ねじ25の形状をした外部前進構造を備えた区域を、先端部分23に隣接して、または先端部分23から距離を空けたところに備える。雄ねじ25を備えた区域の軸方向長さは、骨アンカー1のうち雌ねじ8を備えた区域の長さ以上であり得るので、切断装置20が骨アンカー1の通路7に挿入されると、切断装置20の位置は、一定の範囲にわたって正確に調整することができる。雄ねじ25を備えた区域の後に続けて、小さい首部分26が設けられてもよい。切断装置の残り部分または主部分27は、切断装置20が同軸ボア内で摺動できるように通路7の同軸ボアの内径よりもわずかに小さい外径を有するとともに平滑面をなす円筒状ロッドとして形成することができる。
【0020】
さらに、切断装置20は、切断装置がチャネル7に挿入されたときに主部分27のうち骨アンカー1の外側の位置において、器具100の一部と係合するための係合構造(図示せず)を備えていてもよい。このような係合部分は、切断装置20が骨アンカーに挿入されて先端部分23が骨アンカー1の第1端部4から外に延在しているときに、切断装置2
0を骨アンカー1に対して回転可能に固定することを目的としている。
【0021】
骨アンカー1および切断装置20は各々、たとえばチタンもしくはステンレス鋼といった生体適合性材料、たとえば、ニチノールといったNiTi合金などの生体適合性合金、マグネシウムもしくはマグネシウム合金、または、たとえばポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone:PEEK)もしくはポリ-l-ラクチド酸(poly-l-lactide
acid:PLLA)などの生体適合性プラスチック材料から、構成されていてもよい。加
えて、上記部品は互いに同じ材料または異なる材料で作製することができる。
【0022】
組立てのために、切断装置のうち骨アンカー1の第2端部4から突出る切断部分23の長さが協働し合うねじ8と25とによって調整されるような態様で、骨アンカー1が器具100によって保持され得るとともに切断装置20が骨アンカー1のチャネル7に挿入される。なお、切断装置20および骨アンカー1が予め組合わされて器具で把持され得ることに留意されたい。切断装置20の種類を(すなわち切れ刃24の形状および先端部分23の長さに関して)選択することによって、かつ、ねじ付き骨アンカー1の第2端部4から外に突出る部分の長さを調整することによって、移植部位における特定の要件に適合されたシステムを提供することができる。最後に、切断装置20が、ねじ8および25によって骨アンカーに軸方向に固定されるとともに、切断装置20と器具100との協働する係合部分(図示せず)によって回転可能に固定される。したがって、骨アンカー1および切断装置20は1ユニットとして骨に挿入されるように構成されている。
【0023】
ここで
図5a~
図5cを参照すると、切断装置20を備えた骨アンカー1および器具100の一部が示される。器具100は例示的な実施形態として示されている。器具100は、外側からヘッド3に係合する第1ヘッド係合部分101と、窪み6においてヘッド3に係合する第2ヘッド係合部分102と、骨アンカー1のヘッド3が器具にしっかりとクランプされるように第1ヘッド係合部分102をヘッド3に向かって押込むクランプスリーブ103とを備える。第2ヘッド係合部分102は、切断装置20内を通過するための通路を含む。
図5aに示されるように、骨アンカー1と切断装置20とで構成されるユニットは、骨アンカー1が挿入されるべき位置(たとえば、堆骨500の椎弓根)に配置される。切れ刃24は皮質骨に貫通させるために用いられる。したがって、先端部分23は骨アンカー1のための経路を準備して、骨アンカー1をそこに容易に捩じ込むことができるようにする。穴は予め空けておかなくてもよい。
【0024】
次いで、
図5bおよび
図5cに示されるように、骨アンカー1は、シャンク2が最後に埋込まれてヘッド3が骨表面から突出るまで、椎弓根に捩じ込まれる。切断装置20が備わった骨アンカー1の配置は画像化方法の助けを借りて行われてもよい。
【0025】
骨アンカーが最終位置にある場合、切断装置20はねじ巻きが戻されて、
図6に示されるように骨アンカーから取外される。必要に応じて、プラグ部材を挿入することによって第2端部4を閉じることができ、および/または、開口部10から流出し得る骨用セメントもしくは別の物質を注入することができる。
【0026】
図7は骨アンカー1およびさまざまな細長器具を示す。このような器具は、たとえば、切断装置20、改良されたK-ワイヤなどの医療用ガイドワイヤ30、センサ40、およびマーカ50を含み得る。器具の各々が骨アンカー1と共にユニットを形成する。さまざまな器具と骨アンカーとが、用途に応じて1つの細長器具を骨アンカー1と選択的に組合わせることを可能にするモジュラーシステムを形成してもよい。
【0027】
改良されたK-ワイヤなどの医療用ガイドワイヤ30の形状をした細長器具が、
図8においてより詳細に示される。ガイドワイヤ30は、骨アンカー1のチャネル7内を通って
案内させることができるように、実質的に滑らかな外面を有するとともにねじ8の内径よりもわずかに小さい外径を有する。従来通り、ガイドワイヤ30は骨に押込まれるように構成された先端部分31を有する。骨アンカー1の雌ねじ8と協働するように構成された雄ねじ32の形状をした外部前進構造が、先端部分31から距離を空けて設けられている。好ましくは、雄ねじ32の軸方向長さは、雌ねじ8の軸方向長さよりも短い。より詳細には、雄ねじ32の軸方向長さは、チャネル7内で摺動しないようにガイドワイヤ30を軸方向に固定するのに必要なだけのねじ巻き数を備える。この場合、ねじ巻き数は少なくとも1つまたは少ない数であってもよい。雄ねじ32は、雄ねじ32が雌ねじ8に係合したときに先端部分31と好ましくは先端部分31に隣接する部分33とが第2端部4から突出るように、先端部分31から離れた位置に配置されてもよい。
【0028】
使用の際に、ガイドワイヤ30と骨アンカー1とは、ガイドワイヤ30を骨アンカー1に捩じ込むことによって組合され、さらに、システムは、ガイドワイヤの先端部分31が骨に押込まれるように骨表面上に1ユニットとして配置される。その後、ねじ同士の係合が外れるまで骨アンカー1を下方に捩じ込むことができる。この状態で、ガイドワイヤは通常のガイドワイヤと同様に用いることができ、骨アンカー1および他の部分は、ガイドワイヤに沿って移植部位に向かって案内されてもよい。または、骨アンカーおよび改良されたK-ワイヤを骨表面上に1ユニットとして配置することができ、K-ワイヤを骨に押込んで雌ねじに沿ってさらに下方に捩じ込むことができる。
【0029】
センサ40の形状をした細長器具が
図9に示される。
図9に示されるように、センサ40はハウジング41を含む。ハウジング41は実質的に管状であって、骨アンカー1のチャネル7内を通過するように構成されている。ハウジング41は、第2端部4を通って延在し得る先端部分42を有する。ハウジング41は、先端部分42に隣接して前進構造を備える。この前進構造は、骨アンカー1の雌ねじ8と協働するように構成された雄ねじ43の形状をしている。雄ねじ43の軸方向長さは、雌ねじ8の軸方向長さ以上であってもよい。雄ねじ43に隣接して首部分44が存在していてもよい。首部分44の後に、滑らかな外面を備えたハウジング41の主部分45が続いてもよい。センサ要素46はハウジング41に位置決めされている。センサ要素46は先端部分47を備える。先端部分47は、たとえば、骨の密度などのそれぞれの特徴を検知するように構成されているか、または、神経を監視するように構成されている。他の任意の好適なセンサ要素も企図され得る。
【0030】
センサ40は、骨アンカーが骨に既に挿入された状態で挿入されてもよく、または、骨アンカー1と予め組合わされて骨アンカー1と共に骨に挿入されてもよい。
【0031】
骨上の位置をX線および/またはマーキングによって検出するためのマーカなどのマーカ50の形状をした細長器具が
図10においてより詳細に示される。マーカ50は、実質的に棒状であり、骨アンカー1の同軸ボアの内径よりもわずかに小さい内径を有している。マーカ要素52(たとえば、X線検出可能要素)を含む先端部分51が設けられている。骨アンカー1の雌ねじ8と協働するように構成された雄ねじ53の形状をした外部前進構造が、先端部分51から距離を空けて設けられている。雄ねじ53の軸方向長さは、雌ねじ8の軸方向長さ以下であり得る。雄ねじ53に隣接し得る肩部54は、骨アンカーへのマーカ50の挿入を制限するためにチャネル7において肩部または段差9に当接するように構成されている。肩部54は、肩部54が肩部9に当接したときに、マーカ要素が第2端部4に位置決めされて第2端部4からわずかに突出し得るような位置に配置されている。肩部9によって提供される止め部によって、骨アンカー1に対するマーカ50の位置が規定されている。したがって、マーカ50は、骨アンカー1の位置を正確に示すことができる。
【0032】
使用時に、好ましくは、マーカ50および骨アンカー1が予め組合わされて骨に挿入されてもよい。
【0033】
上述のシステムのさらなる変形例が企図され得る。骨アンカーの形状は実施形態において示される形状に限定されない。骨釘などの、たとえば骨ねじのない骨アンカーのような如何なる種類の骨アンカーが用いられてもよい。骨アンカーのヘッドが球形状で示されている。しかしながら、他のいかなる好適なヘッドも企図され得る。特に、多軸骨アンカーを設けるための受け部がヘッドに取付けられてもよい。
【0034】
骨アンカーのチャネルは円筒形以外の形状であってもよい。骨アンカーの壁における開口部は如何なる形状であってもよく、特に、長手方向に延在するスリットも企図され得る。最後に、開口部は省くことができる。
【0035】
前進構造はねじとして示されている。しかしながら、前進構造を形成するために複数の同心リブが用いられてもよく、または、チャネル内で切断装置を連続的もしくは徐々に前進させることを可能にする別の前進構造が用いられてもよい。
【0036】
細長器具の他の実施形態を提供するために細長器具のさまざまな特徴が組合わされてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 骨アンカー、2 シャンク、3 第1端部、4 第2端部、7 チャネル、8 内部前進構造、20、30、40、50 細長器具、23、31、42、51 先端部分、25、32、43、53 外部前進構造、L チャネル軸。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカーと細長器具とのシステムであって、
骨アンカー(1)を備え、前記骨アンカー(1)は、第1端部(3)および第2端部(
4)を有するシャンク(2)と、前記第1端部(3)から前記シャンク(2)を通って前
記第2端部(4)にまで延在するチャネル(7)とを含み、前記チャネル(7)はチャネ
ル軸(L)を規定し、
内部前進構造(8)が、前記シャンク(2)の前記第2端部(4)にまたは前記第2端
部(4)の付近において、前記チャネル(7)の内壁に設けられており、前記システムは
さらに、
前記チャネル(7)を通って延在するように構成された細長器具(20,30,40,
50)を備え、
前記細長器具(20,30,40,50)は先端部分(23,31,42,51)およ
び外部前進構造(25,32,43,53)を含み、前記外部前進構造(25,32,4
3,53)は、前記先端部分(23,31,42,51)を、前記チャネル(7)におい
て前記第2端部(4)に向かう方向に前進させるとともに前記第1端部(3)に向かって
反対方向に後退させることを可能にするように、前記シャンク(2)の前記内部前進構造
(8)と協働し、
前記先端部分(23,31,42,51)を備えた前記細長器具は前記チャネル(7)
から取外し可能である、システム。