(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153717
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】CD40Lアンタゴニスト及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20241022BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241022BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241022BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241022BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241022BHJP
A61K 38/37 20060101ALI20241022BHJP
A61K 38/36 20060101ALI20241022BHJP
A61K 38/43 20060101ALI20241022BHJP
A61K 38/47 20060101ALI20241022BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241022BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20241022BHJP
C07K 14/765 20060101ALI20241022BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/56 20060101ALI20241022BHJP
C07K 14/78 20060101ALN20241022BHJP
C07K 14/755 20060101ALN20241022BHJP
C12N 9/26 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
A61K38/16
A61P29/00 101
A61P37/06 ZNA
A61P19/02
A61P29/00
A61K45/00
A61K38/37
A61K38/36
A61K38/43
A61K38/47
A61K48/00
A61K35/76
C07K14/765
C07K19/00
C12N15/86 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/12
C12N15/56
A61P37/06
A61K38/16 ZNA
C07K14/78
C07K14/755
C12N9/26
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024116945
(22)【出願日】2024-07-22
(62)【分割の表示】P 2021516965の分割
【原出願日】2019-09-25
(31)【優先権主張番号】62/736,851
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/853,575
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/758,060
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/747,552
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520304402
【氏名又は名称】ビエラ バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドラッパ ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】アルブレスク マリウス
(72)【発明者】
【氏名】リー ジン
(72)【発明者】
【氏名】グラント イーサン
(72)【発明者】
【氏名】シュトライヒャー ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】イレイ ガボール
(72)【発明者】
【氏名】ワン リャンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リーズ ウィリアム
(57)【要約】
【課題】CD40Lアンタゴニスト及びその使用の提供。
【解決手段】ヒトCD40L特異的Tn3分子及びその治療的使用。本明細書は、RA治療中の患者において、RA疾患活動性の指標を低下させるための方法を更に提供する。方法は、VIB4920を患者に投与し、患者のRA疾患活動性の指標を減少させる工程を含む。減少したRA疾患活動性の指標としては、DAS28-CRP、臨床疾患活動性指標(CDAI)、圧痛関節数、腫脹関節数、患者による全般評価、又は医師による全般評価のうちの1つ以上を挙げることができる。VIB4920は、約500mg~3000mgの用量で投与され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
CD40/CD40L経路は、体液性免疫応答を引き起こす際に重要な役割を果たし、
いくつかの自己免疫疾患の病因に関与する。CD40は、樹状細胞(DC)、マクロファ
ージ及びB細胞を含む、様々な抗原提示細胞上に恒常的に発現し(1)、非造血細胞上に
発現することもある。
【0002】
CD40リガンドであるCD40L(CD154としても知られている)の発現は高度
に調節されており、大部分が活性化CD4+T細胞上で見られる(2)。B細胞と活性化
T細胞との間のCD40/CD40L相互作用は、T細胞依存性抗原に対して有効な体液
性応答を開始するのに不可欠である(3~5)。CD40/CD40L系は、インビトロ
でB細胞の増殖、分化、及びアイソタイプスイッチを引き起こす(6~9)。インビボで
は、胚中心(GC)の形成、体細胞高頻度突然変異、及び記憶B細胞並びに長期生存形質
細胞の産生のためにCD40のシグナル伝達が必要となる(10~13)。ヒトにおける
CD40又はCD40Lの欠損は、アイソタイプクラススイッチの障害を特徴とする疾患
であるX連鎖高免疫グロブリン症候群をもたらすが、これは、検出可能性が低い乃至全く
ないIgG、IgA又はIgEを伴い、感染症に対する感受性が増大した高レベルの血清
IgMとして現れる(14~16)。
【0003】
CD40Lに対して指向された化合物による臨床試験では、自己免疫疾患においてCD
40経路を標的化する潜在的な効果が証明されている。第2相試験において、ヒト化5c
8抗CD40L抗体であるBG9588は、増殖性ループス腎炎患者のタンパク尿及び抗
dsDNA抗体価を有意に減少させた(17)。抗CD40Lによる治療により、活動性
SLE患者に存在する循環CD38hiIg分泌細胞、並びに末梢のGC B細胞が減少
するということが、更なる研究により明らかとなった(18、19)。また、抗CD40
Lモノクローナル抗体(mAb)による治療により、免疫性血小板減少症(ITP)患者
のサブセットにおいて顕著な反応が誘導されることが示された(20)。
【0004】
臨床試験において抗CD40L mAbによる治療に可能性があることが示されている
にもかかわらず、有害な血栓塞栓性事象のためにそれらのプログラムは中止されている。
正確に定義されてはいないが、これらの予期しない安全性の問題に関する1つの考えられ
る説明としては、ヒトに発現しているがマウスには発現していない、血小板上のFcγR
IIa(又はCD32a)の発現である(21)。CD40Lは、活性化した血小板上に
も高度に発現しており(22)、隣接する細胞上のCD40LとFcγRIIaとの両方
に同時に抗体媒介性結合をすることで、血小板凝集を引き起こす可能性がある。マウスモ
デルによって、抗CD40Lの誘導する血小板減少症におけるFcγRIIaの役割が裏
付けられる。ヒトFcγRIIaを導入したトランスジェニックマウスでは、抗CD40
LmAbによってショック及び血小板減少症が引き起こされた(23)。この効果は、F
cγRに会合することが不可能な野生型マウス、又は抗体をアグリコシル化したバージョ
ンが注射されたトランスジェニックマウスのいずれにも観察されなかった。
【0005】
CD40Lを標的とするものの、mAbと関連する潜在的な合併症を伴わないようにす
るために、CD40L特異的Tn3足場タンパク質(24、25)が生成された。Tn3
タンパク質は、ヒトテネイシン-Cの第3フィブロネクチンIII型ドメインに由来する
ものであり、標的特異的結合特性を付与するように改変することができる(26、27)
。二価CD40L特異的Tn3タンパク質をヒト血清アルブミン(HSA)に融合させる
と、ヒトCD40Lと結合してCD40受容体との相互作用を阻止することができる分子
、すなわちVIB4920が得られた。このCD40L/CD40相互作用の阻害と一致
して、VIB4920は、CD40シグナル伝達イベントを遮断することにより、インビ
トロでヒトB細胞の活性化と分化とを強力に阻害することができた。
【0006】
体液性免疫応答に大きな影響を与え、自己免疫及び/又は炎症状態を治療するための新
しい治療法が、当該技術分野において求められている。また、当該技術分野において、免
疫寛容を、それを必要とする患者の補充療法に誘導することも求められている。
【0007】
現在、VIB4920は、自己免疫/炎症性疾患又は障害に罹患した患者に投与すると
、臨床症状及び他の疾患マーカーを減少させるということが分かってきている。特に、関
節リウマチ(RA)の被験者に特定の用量でVIB4920を投与すると、リウマトイド
因子(RF)自己抗体の力価、Vectra DAバイオマーカースコア、DAS28-
CRPによって測定される疾患活動性が、プラセボと比較すると統計的に有意に減少する
結果となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、被験者におけるB細胞及びT細胞媒介免疫応答を抑制するための方法を提
供する。方法は、500mg~3000mgのVIB4920の用量を、それを必要とす
る被験者に投与し、B細胞及びT細胞性免疫応答を抑制する工程を含む。
【0009】
本明細書はまた、自己免疫疾患又は障害を治療するための方法を提供する。方法は、5
00mg~3000mgのVIB4920の用量を、それを必要とする被験者に投与し、
それによって自己免疫疾患又は障害を治療する工程を含む。
【0010】
本明細書は、RA治療中の患者において、RA疾患活動性の指標を低下させるための方
法を更に提供する。方法は、VIB4920を患者に投与し、患者のRA疾患活動性の指
標を減少させる工程を含む。減少したRA疾患活動性の指標としては、DAS28-CR
P、臨床疾患活動性指標(CDAI)、圧痛関節数、腫脹関節数、患者による全般評価、
又は医師による全般評価のうちの1つ以上を挙げることができる。VIB4920は、約
500mg~3000mgの用量で投与され得る。
【0011】
本明細書はまた、RA治療中の患者において、RF自己抗体を減少させるための方法を
提供する。方法は、約500mg~3000mgの用量で患者にVIB4920を投与し
、患者のRF自己抗体を減少させる工程を含む。
【0012】
本明細書は、加えてRA治療中の患者におけるバイオマーカースコアを減少させるため
の方法を提供する。方法は、約500mg~3000mgのVIB4920を患者に投与
し、患者におけるバイオマーカースコアを減少させる工程を含む。そのような方法におい
て、バイオマーカースコアとは、形質細胞(PC)遺伝子シグネチャー、Vectra-
DAスコア、又は血清C反応性タンパク質(CRP)レベルのうちの1つ以上であってよ
い。
【0013】
本明細書はまた、それを必要とする患者のPC遺伝子シグネチャースコアを減少させ
るための方法を提供する。方法は、VIB4920を、それを必要とする患者に投与し、
患者のPC遺伝子シグネチャースコアを減少させる工程を含む。それを必要とする患者と
は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、筋炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性
肝炎、シェーグレン病、又は他の自己免疫性又は炎症状態、並びに移植手術及び移植片対
宿主病を治療中の患者であってよい。それを必要とする患者に投与されるVIB4920
は、約500mg~3000mgの用量であり得る。
【0014】
本明細書は、自己免疫性障害を治療中の患者の自己抗体、又は移植の場合にはアロ抗体
を減少させるための方法を更に提供する。方法は、VIB4920を、それを必要とする
患者に投与し、患者の自己抗体、又はアロ抗体を減少させる工程を含む。そのような方法
において、患者とは、自己抗体が存在することを特徴とする自己免疫疾患を治療中の患者
であり、又は、患者とは、移植拒絶反応を防止するために治療を受けている患者である。
患者は、約500mg~3000mgの用量でVIB4920を投与される。
【0015】
本明細書はまた、患者の炎症を減少させるための方法を提供する。方法は、VIB49
20を、それを必要とする患者に投与し、患者の炎症を減少させる工程を含む。患者とは
、炎症性疾患又は障害を治療中の患者であってよいか、又は、器官若しくは組織移植に反
応した予測される炎症に対して、予防的に治療を受けている患者であってよい。VIB4
920は、約500mg~3000mgの用量で投与され得る。
【0016】
本明細書は、患者において補充療法に対する免疫寛容を誘導する方法を更に提供する。
方法は、補充療法を必要とする患者にVIB4920を投与し、患者における補充療法に
対する免疫寛容を減少させる工程を含む。VIB4920は、約1000mg~3000
mgの用量で投与され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A-1G】HSAに融合した二価342クローンであるVIB4920の生物化学的性質を含む、ヒトCD40L特異的Tn3クローンの生物化学的性質を提供するものである。
図1Aは、Proteonによって測定された、一連のヒトCD40L特異的Tn3クローンのCD40-CD40L相互作用を阻害する能力を示す。Tn3濃度の範囲にわたって阻害率が示される。デュプリケイトウェルの平均を示す。
図1Bは、抗CD40L Tn3タンパク質のNFkBを介したCD40L媒介シグナル伝達を阻害する能力を示す。CD40R及びNFkB-ルシフェラーゼレポーターを発現しているHEK293細胞を、抗CD40L Tn3タンパク質の存在下で一晩、組換えCD40Lで刺激した。ルシフェラーゼ活性の阻害率を示す。データは、デュプリケイトウェルの平均を表している。
図1Cは、様々な濃度における、Tn3構築物によるCD86の発現上昇の阻害を示す。ヒトPBMCを組換えCD40Lで刺激し、CD40L Tn3タンパク質とプレインキュベートした後、フローサイトメトリーによってCD86の発現を評価した。デュプリケイトウェルの平均を示す。
図1Dは、Tn3分子のCD40-CD40L相互作用を阻害する能力について、示されたTn3分子をELISAアッセイで調査した。データは、デュプリケイトウェルの平均を表している。
図1Eは、Fas、TNFα、TNFβ、及びOX40Lを含む、関連TNFファミリーメンバーのパネルへの結合についての、クローン342のスクリーニングからのデータを提供するものである。クローン342がCD40Lに選択的に結合することが見出された。
図1Fは、342 Tn3の結晶化、及び公開されているHSAの結晶構造(1)に基づいて、VIB4920の構造を提唱するものである。
図1Gは、共通のCD40L分子を介して配置された、CD40/CD40L及び342/CD40L構造体を模式的に示したものである。CD40Lは緑、Tn3はマゼンタで示され、CD40受容体はシアンで示されている。
【
図2A-2D】ヒトCD40L特異的Tn3クローン342の構造的特徴を提供するものである。
図2Aは、三量体342/CD40L構造体を模式的に示したものである。CD40Lの細胞外ドメインは緑、342はマゼンタで示されている。
図2Bは、342とCD40Lとの間の界面を示す。CD40L及び342のフラグメントはそれぞれ、緑及びマゼンタのチューブで示されている。水素結合に関与するアミノ酸は、棒で示される。水素結合は、関連する距離(Å)を伴った黒い破線で示されている。最大3.5Åの距離の結合が示されている。
図2C及び
図2Dは、(
図2Cの)CD40Lと(
図2Dの)342 CD40L特異的Tn3との表面の相互作用の静電表面ポテンシャルを図示する。界面を示すため、分子をおよそ90度回転させ、水素結合に関与するアミノ酸を視覚化できるように半透明にしている。赤色は負に荷電した表面を示し、青色は正電荷を示している。
【
図3A-3G】VIB4920によりCD40シグナル伝達及びヒトB細胞の活性化が阻害されるが、エクスビボ調査では血小板凝集を誘導しない様子を示す。
図3Aは、CD40Lによって一晩刺激した改変HEK29細胞における、VIB4920によるNFkBルシフェラーゼシグナルの阻害率を示す。データは、デュプリケイトウェルの平均を表している。2つの独立した試験うちの1つが示されている。
図3Bは、VIB4920及び抗CD40L mAbが、刺激されたヒトPBMCのCD86の発現上昇を阻害することができた様子を示す。ヒトPBMCを組換えヒトmegaCD40Lで24時間刺激し、フローサイトメトリーによってCD19+/CD86+細胞の割合を測定した。データは、デュプリケイトウェルの平均を表している。
図3Cは、対照又は抗CD40L(mAb又はVIB4920 Tn3)の存在下で、ヒトB細胞をIL-21及びmegaCD40Lで刺激した。3日目にB細胞増殖を定量化した。点線は非刺激細胞におけるATPレベルを表す。示されるデータはトリプリケートウェルの平均及びSDであり、2つの独立した実験を代表するものである。
図3D及び
図3Eは、非刺激のままにした場合(無し)、又はIL-21、抗IgM及びmegaCD40Lで刺激した場合のヒトB細胞に対する抗CD40L(mAb又はVIB4920 Tn3)の効果を示す。7日目にPCの数を定量化した。
図3Dは、7日目のIgD-CD38hi PCの割合に対する7日目に示された分子の効果を具体的に示す。
図3Eは、示された濃度での示された分子による7日目のPCの数に対する効果を示す。示されるデータはトリプリケートウェルの平均及びSDであり、2つの独立した実験を代表するものである。
****=p<0.0001、両側独立スチューデントt検定による。
図3F及び
図3Gは、予め形成された免疫複合体とインキュベートした洗浄ヒト血小板に対する抗CD40L(mAb又はVIB4920 Tn3)分子の効果を示すものであり、血小板凝集又はその欠如を12~14分間測定した。
図3Fは、凝集率を示す。ここで示されているのは、免疫複合体を添加する前に、血小板を抗CD32a抗体と5分間プレインキュベートしたものである。凝集の陽性対照として、アデノシン二リン酸(ADP)を使用した。
図3Gは、示された濃度における、VIB4920(Tn3)又は抗CD40L mAb(5c8)による免疫複合体と血小板をインキュベートした後の凝集率を提供するものである。データは2つの独立した実験を代表するものである。
【
図4A-4B】マウス代替CD40L特異的Tn3は免疫に応答し、インビボにおいて強力な中和活性を示す。
図4A及び
図4Bの両方において、0日目にヒツジ赤血球(SRBC)によってマウスを免疫し、対照又は抗CD40L Tn3(M31-MSA)を9~13日目の間毎日投与した。
図4Aは、14日目にフローサイトメトリーによって定量化された、脾臓及びリンパ節における胚中心B細胞の割合を提供するものである。点は個々の動物を示し、データは2つの独立した実験を代表するものである。
****=p<0.0001、両側独立スチューデントt検定による。
図4Bは、14日目に血清から定量化された、抗ヒツジ赤血球IgGの産生を提供するものである。データは、群当たり4匹の動物の平均及びSEMを示す(n=1試験)。
【
図5A-5B】健康なボランティアにおけるVIB4920の安全性を評価するための、第1a相臨床試験の試験デザインである。
図5Aは、第1a相試験の試験コホートを示す。
図5Bは、第1a相試験の投与及び免疫方式を提供するものである。
【
図6A-6B】健康なボランティアの第1a相試験において、VIB4920は好ましいPKプロファイルを示した。
図6Aは、示された時点でELISAによって測定された、VIB4920の血中濃度を示す。点線は、アッセイの感度下限値を表す。エラーバーは平均値の標準偏差を表すが、N=2被験者の群については算出しなかった。
図6Bは、示された時点でのすべての用量コホートにおける、ELISAによって評価された可溶性CD40Lの濃度を示す。点線は、アッセイの検出下限値を表す。
【
図7】VIB4920により、健康なボランティアの第1a相試験において、高用量で抗薬物抗体(ADA)が阻害される。ELISAによってADAの存在を測定した。各コホート内のそれぞれの被験者は、個別の線で表されている。高いADA(>力価の中央値480)を有する被験者はマゼンタの線で示され、低いADA(<力価の中央値480)を有する被験者は紺青色の線によって示され、ADAが検出不可能な被験者は明るい青色で強調されている。
【
図8A-8C】VIB4920により、健康なヒトボランティアにおいて用量依存的にB細胞増殖及びTDARが阻害される。健康なボランティアを、プラセボ又はVIB4920による処置の14日前にKLHで免疫し、投与後15日目に再チャレンジした。
図8Aは、健康なボランティアにおける抗KLH IgG力価を、異なるVIB4920の用量で、複数の時点にわたって提供するものである。
図8Bは、健康なボランティアにおける抗KLH IgM力価を、異なるVIB4920の用量で、複数の時点にわたって提供するものである。IgG及びIgM力価は、ELISAによって測定した。
図8Cは、43日目における抗KLH IgGの阻害についての用量反応モデルである。
【
図9A-9C】VIB4920により、健康なヒト被験者において、TDARの減少の際にB細胞増殖及び形質細胞反応が阻害される。
図9Aは、TDAR検証試験でプラセボ又は高用量のVIB4920のいずれかを受けたボランティアにおいて、様々な時点でフローサイトメトリーによって定量化された、血液循環中の増殖B細胞(Ki67+ CD19+)の検出された発現頻度を提供するものである。
図9Bは、TDAR検証試験でプラセボ又は高用量のVIB4920のいずれかを受けたボランティアにおいて、様々な時点でフローサイトメトリーによって定量化された、血液循環中のクラススイッチされた記憶B細胞(Ki67+ CD19+ IgD-CD27+)の検出された発現頻度を提供するものである。
図9Cは、Taqman PCRによって評価された、全血中のPCシグネチャースコアを提供するものである。プラセボ及び高用量のVIB4920群の平均及び標準誤差の発現値を示す。プラセボと比較して
*=P<0.05、
**=P<0.01、マン・ホイットニーU検定による。
【
図10】RA患者においてVIB4920を評価するための第1b相試験デザインである。矢印はVIB4920又はプラセボの投与を示している。
【
図11】VIB4920第1b相臨床試験のRA患者の、コホートの人口統計学的及び臨床的特徴。
【
図12】VIB4920による、RA患者における容認可能な安全性プロファイルを示す。RA被験者の第1b相試験において、少なくとも2例の被験者で発生した最も多く見られるTEAEを示す。
【
図13A-13C】VIB4920による、RA患者の第1b相試験における線形PK、及びADAの用量依存的な減少を示す。
図13Aは、示された時点でELISAによって測定された、循環血液中のVIB4920の濃度を提供するものである。点線は、アッセイの感度下限値を表す。平均及び平均の標準誤差が示される。
図13Bは、試験中の任意の時点で投与された各投与量に対する、ELISAによって測定された陽性ADA力価を有する被験者の割合を提供するものである。
図13Cは、検出可能なADAを有する被験者における、ELISAによって測定されたADA力価を経時的に提供するものである。
【
図14A-14F】VIB4920により、RA患者の疾患指数スコアと自己抗体とが減少する。
図14Aは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのDAS28-CRPの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図14Bは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのCDAIの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図14Cは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからの患者による全般評価の変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図14Dは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからの医師による全般評価の変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図14Eは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのVectra DAスコアの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図14Fは、それぞれ示された用量のVIB4920又はプラセボに対して、示された時点でELISAによって測定された、RF抗体価の減少率の測定値を示す。
【
図15A-15B】VIB4920により、RA患者のDAS28-CRPスコア及びRF自己抗体が用量依存的に減少する。
図15Aは、プラセボと示されたVIB4920の用量との間の85日目のDAS28-CRPスコアの差異を示す。線形用量反応が示されており、VIB4920の用量と疾患活動性の減少との間の関係を評価するために最適なモデルとして同定された。
図15Bは、VIB4920の示された用量における、プラセボと比較した85日目のRF自己抗体の減少率を示す。Emaxモデルが示されており、RF力価に対するVIB4920の用量の関係を評価するために最適なものであると判断された。
【
図16】VIB4920により、処置を受けたRA患者のDAS28カテゴリーが向上する。85日目におけるDAS28カテゴリーを示す。85日目に、それぞれ1000mg及び1500mg群で処置したRA患者の50%及び75%が低疾患活動性となったか、又は寛解した。
【
図17A-17C】RA被験者の第1b相試験における圧痛/腫脹関節数、及びCRPに対するVIB4920の影響。
図17Aは、示された用量及び示された時点での、RA被験者の圧痛関節数のベースラインからの変化を示す。
図17Bは、示された用量及び示された時点での、RA被験者の腫脹関節数のベースラインからの変化を示す。
図17Cは、示された用量及び示された時点での、RA被験者のCRPレベルのベースラインに対する比率の変化を示す。平均及び標準誤差をそれぞれ示す。
【
図19A-19B】クローン342 CD40L特異的Tn3分子のアミノ酸配列。
【
図20】二価クローン342 CD40L特異的Tn3分子のアミノ酸配列。
【
図21A-21B】クローン309 CD40L特異的Tn3分子のアミノ酸配列。
【
図22A-22B】VIB4920により、12週間のVIB4920の投与期間、及びVIB4920の用量を最後に投与した後の12週間の観察期間の両方において、RA患者の疾患指数スコア及び自己抗体が減少する。
図22Aは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのDAS28-CRPの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Bは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのCDAIの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Cは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからの患者による全般評価の変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Dは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからの医師による全般評価の変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Eは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのVectra DAスコアの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Fは、それぞれ示された用量のVIB4920又はプラセボに対して、示された時点でELISAによって測定された、RF抗体価の減少率の測定値を示す。
【
図22C-22D】VIB4920により、12週間のVIB4920の投与期間、及びVIB4920の用量を最後に投与した後の12週間の観察期間の両方において、RA患者の疾患指数スコア及び自己抗体が減少する。
図22Aは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのDAS28-CRPの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Bは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのCDAIの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Cは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからの患者による全般評価の変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Dは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからの医師による全般評価の変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Eは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのVectra DAスコアの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Fは、それぞれ示された用量のVIB4920又はプラセボに対して、示された時点でELISAによって測定された、RF抗体価の減少率の測定値を示す。
【
図22E-22F】VIB4920により、12週間のVIB4920の投与期間、及びVIB4920の用量を最後に投与した後の12週間の観察期間の両方において、RA患者の疾患指数スコア及び自己抗体が減少する。
図22Aは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのDAS28-CRPの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Bは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのCDAIの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Cは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからの患者による全般評価の変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Dは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからの医師による全般評価の変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Eは、VIB4920の特定の用量又はプラセボに対して、示された時点で評価された、ベースラインからのVectra DAスコアの変化(平均及び標準誤差が示される)を示す。
図22Fは、それぞれ示された用量のVIB4920又はプラセボに対して、示された時点でELISAによって測定された、RF抗体価の減少率の測定値を示す。
【
図23A-23B】VIB4920により、RA患者の圧痛/腫脹関節数及びCRPが影響を受ける。投与段階と投与後12週間の観察期間との両方で、RA患者を対象とした第1b相臨床試験においてVIB4920の影響を検出することができた。
図23Aは、示された用量及び示された時点での、RA被験者の圧痛関節数のベースラインからの変化を示す。
図23Bは、示された用量及び示された時点での、RA被験者の腫脹関節数のベースラインからの変化を示す。
図23Cは、示された用量及び示された時点での、RA被験者のCRPレベルのベースラインに対する比率の変化を示す。平均及び標準誤差をそれぞれ示す。
【
図23C】VIB4920により、RA患者の圧痛/腫脹関節数及びCRPが影響を受ける。投与段階と投与後12週間の観察期間との両方で、RA患者を対象とした第1b相臨床試験においてVIB4920の影響を検出することができた。
図23Aは、示された用量及び示された時点での、RA被験者の圧痛関節数のベースラインからの変化を示す。
図23Bは、示された用量及び示された時点での、RA被験者の腫脹関節数のベースラインからの変化を示す。
図23Cは、示された用量及び示された時点での、RA被験者のCRPレベルのベースラインに対する比率の変化を示す。平均及び標準誤差をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
B細胞性免疫応答を抑制する方法、自己免疫疾患又は障害を治療するための方法、炎症
を減少させる方法、患者の自己抗体を減少させるための方法、患者のRA疾患活動性の指
標を減少させる方法、患者のRF自己抗体を減少させる方法、患者の形質細胞の遺伝子シ
グネチャースコアを減少させる方法、及び患者において補充療法に対する免疫寛容を誘導
する方法における、VIB4920及びその有用性が本明細書に記載される。
【0019】
VIB4920が自己免疫疾患又は障害を治療するために使用される場合、VIB49
20は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性アジソン病、副
腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎及び精巣
炎、シェーグレン症候群、乾癬、アテローム性動脈硬化、糖尿病網膜症及び他の網膜症、
後水晶体線維増殖症、加齢黄斑変性、血管新生緑内障、血管腫、甲状腺過形成(グレーブ
ス病を含む)、角膜及び他の組織移植、及び慢性炎症、敗血症、関節リウマチ、腹膜炎、
クローン病、再灌流傷害、敗血症、内毒素ショック、嚢胞性線維症、心内膜炎、乾癬、関
節炎(例えば、乾癬性関節炎)、アナフィラキシーショック、臓器虚血、再灌流傷害、脊
髄損傷及び同種移植片拒絶反応、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天
疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫性機能不全症候群(CFIDS
)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CRE
ST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリ
ン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギランバレー、移植片対宿主
病、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少症紫斑病(ITP)、IgA腎症
、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス、メニエール病、混合性結合組織病、Ig
G4介在性疾患、多発性硬化症、1型又は免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱
瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛
、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬
性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、
シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側
頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、ANCA関連血管炎、疱疹状皮
膚炎血管炎などの他の血管炎、白斑、固形臓器移植の拒絶反応、移植片対宿主病、腎移植
レシピエントにおけるパネル反応性抗体の脱感作、膵島細胞移植及び同種造血幹細胞移植
、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、糸球体腎炎を治療するために使用してもよい。
【0020】
VIB4920は、より詳しくは、RA、全身性エリテマトーデス(SLE)、筋炎、
抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性肝炎、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、ループ
ス腎炎、炎症性筋疾患、特発性血小板減少症紫斑病(ITP)、全身性硬化症、血管炎、
皮膚ループス、自己免疫性溶血性貧血、重症筋無力症、IgG4関連疾患、又はシェーグ
レン症候群を治療するために使用してもよい。更に、VIB4920は、移植片対宿主病
を治療する、及び/又は器官若しくは組織移植の拒絶反応を減少若しくは防止するために
使用することができる。
【0021】
自己免疫疾患又は障害の治療とは、B細胞又はT細胞性免疫応答を抑制するという形態
であってもよく、これは、クラススイッチされた抗体を減少させること、循環B細胞サブ
セットを減少させること、血漿活性を減少させること、又は形質細胞及び形質細胞遺伝子
シグネチャーを減少させることであってよい。自己免疫疾患又は障害の治療とは、炎症マ
ーカーを減少させることであってもよい。炎症マーカーは、自己抗体レベル、形質細胞(
PC)又はPC遺伝子シグネチャー(遺伝子IGHA1、IGJ、IGKC、IGKV4
-1及びTNFRSF17の発現を特徴とするシグネチャー)、循環B細胞サブセット及
びクラススイッチされた抗体のうちの1つ以上であってもよい。自己免疫疾患又は障害の
治療とは、患者又は医師による全般評価によって測定されるような臨床徴候及び症状を減
少させることであってもよい。臨床徴候及び症状としては、関節炎、疼痛、疲労、発熱、
倦怠感、発疹、脱力感、又はタンパク尿若しくは腎臓機能の喪失などの臓器不全の徴候の
うちの1つ以上を挙げることができる。
【0022】
方法が、自己免疫性障害の治療中の患者の自己抗体を減少させるものである場合、自己
抗体は、例えば、SLE、シェーグレン症候群、炎症性筋疾患、又は全身性硬化症の治療
中の患者の抗核抗体であってよい。抗核抗体は、抗SSA/Ro自己抗体又は抗SSB-
La自己抗体(SLE又はシェーグレン症候群)、抗dsDNA抗体(SLE)、抗スミ
ス抗体(SLE)、抗トポイソメラーゼ抗体(全身性硬化症)、又は抗ヒストン抗体(S
LE)のうちの1つ以上であってもよい。方法が、自己免疫性障害を治療中の患者の自己
抗体を減少させるものである場合、自己抗体は、例えば、自己免疫性肝炎を治療中の患者
の肝腎ミクロソーム1型抗体であってよい。方法が、自己免疫性障害を治療中の患者の自
己抗体を減少させるものである場合、自己抗体は、例えば、重症筋無力症を治療中の患者
の抗ニコチン性アセチルコリン受容体抗体、又は抗筋特異的キナーゼ抗体であってよい。
方法が移植手術の治療中の患者の抗体を減少させるものである場合、抗体はアロ抗体であ
ってよい。
【0023】
自己免疫性障害を治療中の患者の自己抗体を減少させることとは、VIB4920の投
与前より少なくとも20%少ないレベルまで自己抗体の割合を減少させることであっても
よい。このことは、VIB4920による治療前の自己抗体のレベルと比較して、少なく
とも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70
%、又は少なくとも80%のレベルまで自己抗体の割合を減少させることであってよい。
自己抗体の減少は、VIB4920の投与開始から1ヵ月~3ヵ月以内に達成され得る。
【0024】
自己免疫疾患又は障害がRAである場合、関節リウマチの治療とは、RF自己抗体、抗
シトルリン化ペプチド抗体、Vectra DAバイオマーカースコア(インターロイキ
ン-6、腫瘍壊死因子受容体I型、血管細胞接着分子1、上皮細胞成長因子、血管内皮増
殖因子A、YKL-40、マトリックスメタロプロテアーゼ1、MMP-3、CRP、血
清アミロイドA、レプチン、及びレジスチンの発現レベルの総合スコアであるVectr
a DAバイオマーカースコア)、形質細胞(PC)シグネチャー、血清反応性Cタンパ
ク質(CRP)、DAS28-CRP、若しくは臨床疾患活動性指標(CDAI)の1つ
以上を減少させることであってよく、又は圧痛関節数、腫脹関節の激しさ、腫脹関節数、
若しくは腫脹関節の激しさを減少させることであってもよい。自己免疫疾患又は障害がR
Aである場合、治療とは、ACR20、ACR50又はACR70を達成することであっ
てもよい。
【0025】
自己免疫疾患又は障害の治療とは、VIB4920による治療前のレベルと比較して、
疾患若しくは障害の臨床症状を少なくとも20%減少させること、又は炎症を減少させる
こと、又は疾患若しくは障害のバイオマーカーを減少させることを特徴とするものであっ
てよい。これらの症状、又は炎症、又はバイオマーカーのいずれかの減少とは、VIB4
920による治療を開始する前のレベルと比較して、少なくとも50%の症状又は炎症又
はバイオマーカーを減少させることであってよい。減少とは、自己免疫疾患又は障害が寛
解期にあることを特徴とするようなものであってよい。
【0026】
更に、自己免疫疾患又は障害が関節リウマチである場合、自己免疫疾患又は障害を治療
することとは、VIB4920による治療前のRF自己抗体レベルと比較して、患者のR
F自己抗体を、約少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも
45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、又は少なくとも80
%のレベルまで減少させることであってよい。自己免疫疾患又は障害が関節リウマチであ
る場合、自己免疫疾患又は障害を治療することとは、DAS28-CRPを減少させるこ
とであってよく、DAS28-CRPを減少させることとは、少なくとも-1.2、又は
少なくとも-1.5、又は少なくとも-2.0又は少なくとも-2.2の調整済み平均差
があるようなものであってよい。加えて、自己免疫疾患又は障害が関節リウマチである場
合、自己免疫疾患又は障害を治療することとは、Vectra DAバイオマーカースコ
アを減少させることであってよく、この減少とは、調整済み平均差が少なくとも-10.
3、又は少なくとも-10.5、又は少なくとも-10.8となることであってよい。
【0027】
炎症を減少させる方法においてVIB4920が使用される場合、炎症とは、炎症性疾
患若しくは障害の結果として生じるものであってよく、又は、器官若しくは組織移植処置
に起因するような損傷に起因するものであっても、若しくはそのような損傷を予期したも
のであってもよい。炎症性疾患又は障害の炎症を減少させる方法においてVIB4920
が使用される場合、炎症性疾患又は障害とは、炎症性筋疾患、又はループス腎炎、皮膚ル
ープス、RA、SLE、ITP、筋炎、シェーグレン症候群、血管炎、全身性硬化症、自
己免疫性溶血性貧血、重症筋無力症又は巣状分節性糸球体硬化症であってよい。炎症を減
少させる方法においてVIB4920が使用される場合、炎症とは、器官若しくは組織移
植処置に起因するような損傷に起因するものであっても、又はそのような損傷を予期した
ものであってもよい。
【0028】
患者において補充療法に対する免疫寛容を誘導する方法にVIB4920が使用される
場合、VIB4920は、患者の補充療法に対する中和抗体の産生を減少させることによ
って、免疫寛容を誘導することができる。患者が補充療法に未感作である場合、又はそう
でなければ、まだ補充療法に対する中和抗体を産生していない場合、まず最初に、免疫寛
容を誘導することによって、患者が補充療法に対する中和抗体を産生することを阻止する
ことができる。しかしながら、患者が補充療法に対する中和抗体を産生する場合、VIB
4920は、患者によって産生された補充療法に対する中和抗体のレベルを減少させるこ
とによって、免疫寛容を誘導することができる。補充療法に対して産生される患者の中和
抗体のレベルは、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも
65%、少なくとも70、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少
なくとも90%、少なくとも95%、又は検出不可能なレベルまで低下させることができ
る。患者の補充療法に対する中和抗体の産生レベルの減少率は、初回のVIB4920の
用量の投与前に補充療法に応答して産生された中和抗体の第1のレベルを、初回又は2回
目又は3回目又は4回目又は5回目のVIB4920の用量を投与した後の補充療法に応
答して産生された中和抗体の第2のレベルと比較したものであってよく、又はこれらを比
較することにより決定してもよい。或いは、患者の補充療法に対する中和抗体の産生レベ
ルの減少率は、初回のVIB4920の用量の投与前に補充療法に応答して産生されたピ
ークの中和抗体レベルを、初回又は2回目又は3回目又は4回目又は5回目のVIB49
20用量を投与した後の補充療法に応答して産生されたピークの中和抗体レベルと比較し
たものであってよく、又はこれらを比較することにより決定してもよい。
【0029】
或いは、又は更に、患者において補充療法に対する免疫寛容を誘導することとは、補充
療法に対するT細胞応答を減少させることであってよい。患者が補充療法に未感作である
場合、又は補充療法を受けたが、まだ補充療法に対するT細胞性免疫応答がない場合、V
IB4920は、補充療法に対する初期のT細胞応答の形成を阻止することによって、患
者のT細胞応答を減少させることができる。しかしながら、患者が補充療法に対する既存
のT細胞応答を有する場合、VIB4920は、補充療法に対する既存のT細胞応答を減
少させることによって、免疫寛容を誘導することができる。補充療法に対するT細胞応答
は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少な
くとも70、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90
%、少なくとも95%、又は検出不可能なレベルまで低下させることができる。患者の補
充療法に対するT細胞応答の減少率は、初回のVIB4920の用量の投与前の補充療法
に対するT細胞応答の第1のレベルを、初回又は2回目又は3回目又は4回目又は5回目
のVIB4920の用量を投与した後の補充療法に対するT細胞応答の第2のレベルと比
較したものであってよく、又はこれらを比較することにより決定してもよい。或いは、患
者の補充療法に対するT細胞応答の減少率は、初回のVIB4920の用量の投与前の補
充療法に対するピークのT細胞応答レベルを、初回又は2回目又は3回目又は4回目又は
5回目のVIB4920の用量を投与した後の補充療法に対するピークのT細胞応答レベ
ルと比較したものであってよく、又はこれらを比較することにより決定してもよい。T細
胞応答の減少とは、補充療法によって刺激されたCD4+T細胞の増殖の減少、及び/又
は刺激の減少を特徴とするものであってよい。また、T細胞応答の減少とは、補充療法に
対するCD4依存性CD8+T細胞応答の減少を特徴とするものであってよい。
【0030】
免疫寛容が誘導される補充療法は、ペプチド又はタンパク質補充療法であってもよい。
補充療法がペプチド又はタンパク質療法である場合、第VIII因子又は第IX因子療法
であってよく、血友病に罹患している患者を治療するために投与してもよい。補充療法が
ペプチド又はタンパク質療法である場合、酵素補充療法(ERT)であってよい。補充療
法がERTである場合、補充療法とはアガルシダーゼアルファ又はアガルシダーゼベータ
であってよく、これによってα-ガラクトシダーゼAを置換することが可能であり、ファ
ブリー病を罹患している患者を治療することができる。補充療法がERTである場合、補
充療法とはイアロニダーゼであってよく、これによってα-L-イズロニダーゼを置換す
ることが可能であり、ムコ多糖症(MPS)1型(その重症度に応じてハーラー症候群、
ハーラー-シャイエ症候群又はシャイエ症候群として知られている)を罹患している患者
を治療することができる。補充療法がERTである場合、補充療法とはアルグルコシダー
ゼであってよく、これによってα-グルコシダーゼを置換することが可能であり、ポンぺ
病を罹患している患者を治療することができる。補充療法がERTである場合、補充療法
とはイデュルスルファーゼであってよく、これによってイズロン酸-2-スルファターゼ
を置換することが可能であり、MPS II型を罹患している患者を治療することができ
る。補充療法がERTである場合、補充療法とはイミグルセラーゼ又はベラグルセラーゼ
アルファ又はタリグルセラーゼアルファであってよく、これによってβ-グルコセレブロ
シダーゼを置換することが可能であり、ゴーシェ病を罹患している患者を治療することが
できる。補充療法がERTである場合、補充療法とはナグラザイム アリルスルファター
ゼBであってよく、これによってN-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼを置
換することが可能であり、MPS VI型を罹患している患者を治療することができる。
ペプチド又はタンパク質補充療法がペプチド又はタンパク質である場合、免疫寛容誘導に
より、このペプチド又はタンパク質に対する中和抗体の産生を減少させることができるか
、及び/又は患者によるペプチド又はタンパク質に対するT細胞応答を減少させることが
できる。
【0031】
更に、免疫寛容が誘導される補充療法は、治療用ペプチド又はタンパク質をコードする
核酸を含むウイルスベクターであってよい。補充療法が治療用ペプチド又はタンパク質を
コードする核酸を含むウイルスベクターである場合、ウイルスベクターは、アデノウィル
スベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ポックスウイルス
、アルファウイルス、単純ヘルペスウイルスベクター、又は治療用ペプチド若しくはタン
パク質をコードする核酸を患者の細胞に送達することが可能なその他のウイルスベクター
であってもよい。ウイルスベクターは、例えば、シュードタイプ化することによって、及
び/又はその野生型遺伝子を欠失させるように、及び/又は治療用ペプチド若しくはタン
パク質をコードする核酸を含むように改質してもよい。
【0032】
ウイルスベクターの核酸によってコードされる治療用ペプチド又はタンパク質は、第V
III因子若しくは第IX因子の治療用ペプチド若しくはタンパク質であってよく、又は
アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、イデュルスルファーゼ、イアロニダー
ゼ、アルグルコシダーゼアルファ、イミグルセラーゼ、ベラグルセラーゼアルファ、タリ
グルセラーゼアルファ、若しくはナグラザイム アリルスルファターゼBなどのERTで
あってもよい。
【0033】
更に、補充療法が治療用ペプチド又はタンパク質をコードする核酸を含むウイルスベク
ターである場合、VIB4920は、ウイルスベクターに対する免疫応答を減少させるこ
とによって、又はウイルスベクターによってコードされる治療用ペプチド又はタンパク質
に対する免疫応答を減少させることによって、又はその両方によって、免疫寛容を誘導す
ることができる。VIB4920は、ベクター自体、又はウイルスベクターに感染した細
胞のいずれかのウイルスベクターに対する中和抗体及び/又はT細胞応答を減少させるこ
とによって、ウイルスベクターに対する免疫寛容を誘導することができる。加えて、又は
その代わりに、VIB4920は、ウイルスベクターの核酸によってコードされる治療用
ペプチド又はタンパク質に対する中和抗体又はT細胞応答を減少させることによって、ウ
イルスベクターからなる補充療法に対する免疫寛容を誘導することができる。
【0034】
各種方法において使用されるVIB4920は、
図18に示されるようなアミノ酸配列
を含み得る。VIB4920は、
図18に示されるようなアミノ酸配列を有してもよいか
、又は、
図18に示されるようなアミノ酸配列に対して、1つ以上のアミノ酸残基の改変
を有してもよい。VIB4920が
図18に示されるようなアミノ酸配列に対してアミノ
酸配列の改変を有する場合、改変は、リンカーのうちの1つに対するものであってもよい
。VIB4920は、2つのCD40L特異的モノマーを隔てているGly15リンカー
と、HSA配列からCD40L特異的モノマーを隔てているGly10リンカーを含んで
いる。これらのリンカーの両方又は一方を変化させてもよく、アミノ酸配列(G
mX)
n
[式中、Xはセリン(S)、アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、イソロ
イシン(I)又はバリン(V)であり、m及びnは整数値であり、mは1、2、3又は4
であり、並びにnは1、2、3、4、5、6又は7である]と置換してもよい。例えば、
一方又は両方のリンカーを、GGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、
GGGGGGGGGG又はGGGGGGGGGGGGGGGのうちの1つを含むアミノ酸
配列を有するように変化させてもよい。VIB4920が
図18に示されるようなアミノ
酸配列に関連するアミノ酸配列を有する場合、2つのCD40L特異的モノマーに融合し
たHSAのアミノ酸配列の改変又は改変によるものであってよい。2つのCD40L特異
的モノマーに融合したHSAを、少なくとも1つのアミノ酸置換を除き、全長成熟HSA
の位置に対して番号が付けられた、407、415、463、500、506、508、
509、511、512、515、516、521、523、524、526、535、
550、557、573、574、及び580からなる群から選択される位置で、2つの
CD40L特異的Tn3モノマーに融合したHSAに対して変化させてもよいが、ここで
、少なくとも1つのアミノ酸置換とは、573位におけるリジン(K)のグルタミン酸(
E)への置換を含まない。VIB4920が
図18に示されるアミノ酸配列に対してアミ
ノ酸配列の改変を有する場合、改変は、インビボでのVIB4920の有効性に悪影響を
与えない限りにおいて、一方又は両方のCD40L特異的Tn3モノマーのアミノ酸配列
に対するものであってよく、例えば、一方又は両方のCD40L特異的Tn3モノマーが
、
図19Aに示されるようなアミノ酸配列を有するようなアミノ酸配列の改変であってよ
い。
【0035】
本方法において投与されるVIB4920の用量は、約500mg~約3000mgの
用量であってよい。用量は、約750mg~約3000mg、又は約1000mg~約3
000mg、又は約1500mg~約3000mg、又は約500mg~約2000mg
、又は約750mg~約2000mg、又は約1000mg~約2000mg、又は約1
000mg~約2500mg、又は約1000mg~約1500mgであってよい。用量
は、500mg、750mg、900mg、1000mg、1250mg、1500mg
、1750mg、2000mg、2250mg、2500mg、又は3000mgであっ
てよい。
【0036】
VIB4920の用量を、およそ隔週で投与してもよく、又は1ヵ月につき2回投与
してもよい。また、VIB4920の用量を、およそ毎週、又はおよそ1ヵ月に1回投与
してもよい。VIB4920の用量を、7日毎、10日毎、14日毎、15日毎、16日
毎、14~10日毎、14~16日毎、又は30日毎に投与してもよい。VIB4920
の用量を、静脈注射又は皮下注射によって投与してもよい。
【0037】
投与されるVIB4920の用量が1000mg、1500mg、又は約1000mg
~約1500mgのうちの1つである場合、用量を隔週で投与してもよいか、又は1ヵ月
につき2回投与してもよい。VIB4920の用量が3000mgである場合、VIB4
920の用量を、1ヵ月につき1回投与してもよい。VIB4920の用量が500mg
又は750mgである場合、VIB4920の用量を、隔週で1回投与してもよく、又は
代わりに1ヵ月につき2回投与してもよい。これらの用量のいずれかを静脈内投与しても
よい。
【0038】
VIB4920の用量及び投与計画は、任意の自己免疫性/炎症性疾患又は障害を治療
するために、VIB4920を投与することにより達成される任意の治療効果、例えば、
自己抗体の減少、Vectra DAスコアの減少、形質細胞シグネチャーの減少、CR
Pの減少、DAS28-CRPの減少、腫脹関節数の減少、圧痛関節数の減少、CDAI
の減少、患者による全般評価の向上、医師による全般評価の向上、ACR20の達成、A
CR50の達成、又はACR70の達成を、「長期間持続する」と見なすことができるよ
うなものであってよい。自己免疫性/炎症性疾患又は障害の治療におけるVIB4920
の「長期間持続する」効果とは、VIB4920によって達成される治療効果が、VIB
4920の1コースの用量を最後に投与した後、(VIB4920がもはや投与されない
にもかかわらず)少なくとも4週、少なくとも6週、少なくとも8週、少なくとも10週
、少なくとも12週、少なくとも16週、少なくとも20週、又は少なくとも24週にわ
たって維持されるものである。VIB4920のコースは、7~31日毎(例えば、7日
毎、10日毎、14日毎、15日毎、16日毎、14~10日毎、14~16日毎、又は
30日毎)に1回の投与間隔で、約8週~24週(例えば、8週、又は10週、又は12
週、又は14週、又は16週、又は18週、又は20週、又は22週、又は24週、又は
2ヵ月、又は4ヵ月、又は6ヵ月)の期間にわたって、500mg~3000mg(例え
ば、500mg、750mg、1000mg、1250mgm、1500mg、1750
mg、2000mg、2250mg、2500mg、2750mg、又は3000mg)
のVIB4920の用量を投与することであってよい。
【0039】
本開示は、次の実施形態を包含する。
[項1]
被験者におけるB細胞性免疫応答を抑制するための方法であって、
500mg~3000mgのVIB4920の用量を、それを必要とする被験者に投与
することと、
前記B細胞性免疫応答を抑制することと、を含む方法。
[項2]
前記用量が、1000mg~1500mgのVIB4920である、項1に記載の方法
。
[項3]
前記用量が、1000mgのVIB4920である、項2に記載の方法。
[項4]
前記用量が、1500mgのVIB4920である、項2に記載の方法。
[項5]
前記用量が、14日毎に投与されるか、又は1ヵ月につき2回投与される、項1~4の
いずれか一項に記載の方法。
[項6]
前記用量が、静脈内投与される、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
[項7]
前記B細胞性免疫応答を前記抑制することが、抗体のクラススイッチを減少させること
である、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
[項8]
前記B細胞性免疫応答を前記抑制することが、循環B細胞を減少させることである、項
1~6のいずれか一項に記載の方法。
[項9]
前記B細胞性免疫応答を前記抑制することが、形質細胞の活性を減少させることである
、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
[項10]
形質細胞の活性の前記減少が、形質細胞シグネチャーの減少であることを特徴とする、
項9のいずれか一項に記載の方法。
[項11]
形質細胞シグネチャーの前記減少が、遺伝子IGHA1、IGJ、IGKC、IGKV
4-1、及びTNFRSF17の発現の減少であることを特徴とする、項10に記載の方
法。
[項12]
自己免疫疾患又は障害を治療するための方法であって、
500mg~3000mgのVIB4920の用量を、それを必要とする患者に投与す
ることと、
前記自己免疫疾患又は障害を治療することと、を含む方法。
[項13]
前記用量が、1000mg~1500mgのVIB4920である、項12に記載の方
法。
[項14]
前記用量が、1000mgのVIB4920である、項13に記載の方法。
[項15]
前記用量が、1500mgのVIB4920である、項14に記載の方法。
[項16]
前記用量が、14日毎に投与されるか、又は1ヵ月につき2回投与される、項12~1
5のいずれか一項に記載の方法。
[項17]
前記用量が、静脈内投与される、項12~16のいずれか一項に記載の方法。
[項18]
前記自己免疫疾患又は傷害を前記治療することが、炎症マーカーの減少であることを特
徴とする、項12~17のいずれか一項に記載の方法。
[項19]
前記炎症マーカーが、自己抗体レベル、形質細胞(PC)シグネチャー、循環B細胞、
及び抗体クラススイッチのうちの1つ以上を含む、項18に記載の方法。
[項20]
前記治療することが、臨床症状を減少させることである、項18に記載の方法。
[項21]
前記自己免疫疾患又は障害が、関節リウマチである、項12に記載の方法。
[項22]
前記治療することが、リウマトイド因子(RF)自己抗体、Vectra DAバイオ
マーカースコア、形質細胞(PC)シグネチャー、血清反応性Cタンパク質(CRP)、
DAS28-CRP、腫脹関節数、圧痛関節数、又は臨床疾患活動性指標(CDAI)の
うちの1つ以上を減少させることである、項21に記載の方法。
[項23]
前記治療することが、リウマトイド因子自己抗体を減少させることである、項22に記
載の方法。
[項24]
RF自己抗体の前記減少とは、治療開始後85日以内までに少なくとも50%までとな
ることである、項23に記載の方法。
[項25]
前記治療することが、DAS28-CRPを減少させることである、項22に記載の方
法。
[項26]
DAS28-CRPの前記減少とは、調整済み平均差が少なくとも-1.2となること
である、項25に記載の方法。
[項27]
DAS28-CRPの前記減少が、VIB4920の単回用量を投与した後に検出可能
である、項25に記載の方法。
[項28]
前記治療することが、Vectra DAバイオマーカースコアを減少させることであ
る、項22に記載の方法。
[項29]
前記Vectra DAバイオマーカースコアの前記減少とは、調整済み平均差が少な
くとも-10.3となることである、項28に記載の方法。
[項30]
前記自己免疫疾患又は障害が、全身性硬化症、筋炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫
性肝炎、ループス腎炎、特発性血小板減少症紫斑病、血管炎、皮膚ループス、自己免疫性
溶血性貧血、シェーグレン病、IgG4関連疾患、又は全身性エリテマトーデスのうちの
1つである、項12に記載の方法。
[項31]
前記治療することが、前記自己免疫疾患又は障害の臨床症状を減少させることである、
項30に記載の方法。
[項32]
前記治療することが、PCシグネチャーを減少させることである、項30に記載の方法
。
[項33]
PCシグネチャーの前記減少が、遺伝子IGHA1、IGJ、IGKC、IGKV4-
1、及びTNFRSF17の発現の減少であることを特徴とする、項32に記載の方法。
[項34]
前記治療することが、前記自己免疫疾患又は障害の1つ以上のバイオマーカーを減少さ
せることである、項30に記載の方法。
[項35]
関節リウマチ(RA)を治療中の患者において、関節リウマチ疾患活動性の指標を減少
させるための方法であって、
前記患者にVIB4920を投与することであって、
RA疾患活動性の前記指標は、DAS28-CRP、臨床疾患活動性指標(CDAI
)、患者による全般評価、又は医師による全般評価の1つ以上を含み、
前記VIB4920が、約500mg~3000mgの用量で投与されることと、
前記患者のRA疾患活動性の前記指標を減少させることと、を含む方法。
[項36]
前記VIB4920が、約1000mg~2000mgの用量で投与される、項35に
記載の方法。
[項37]
前記VIB4920が、約1000mg~1500mgの用量で投与される、項36に
記載の方法。
[項38]
前記VIB4920が、約1000mgの用量で投与される、項37に記載の方法。
[項39]
前記VIB4920が、約1500mgの用量で投与される、項37に記載の方法。
[項40]
前記VIB4920が、14日毎に投与されるか、又は1ヵ月につき2回投与される、
項35~39のいずれか一項に記載の方法。
[項41]
前記VIB4920が、静脈内投与される、項35~40のいずれか一項に記載の方法
。
[項42]
前記指標がDAS28-CRPであり、前記減少させることとは、調整済み平均変化が
少なくとも-1.2となることである、項35~41のいずれか一項に記載の方法。
[項43]
前記減少させることとは、調整済み平均変化が少なくとも-2.2となることである、
項42に記載の方法。
[項44]
前記指標がDAS28-CRPであり、前記減少がVIB4920の初回用量後に観察
される、項35~41のいずれか一項に記載の方法。
[項45]
関節リウマチの治療中の患者において、リウマトイド因子(RF)自己抗体を減少させ
るための方法であって、
約500mg~3000mgの用量のVIB4920を前記患者に投与することと、
前記患者のRF自己抗体を減少させることと、を含む方法。
[項46]
前記用量が、約1000mg~約2000mgである、項45に記載の方法。
[項47]
前記用量が、約1000mg~約1500mgである、項46に記載の方法。
[項48]
前記用量が、約1000mgである、項47に記載の方法。
[項49]
前記用量が、約1500mgである、項48に記載の方法。
[項50]
前記用量が、14日毎に投与されるか、又は1ヵ月につき2回投与される、項45~4
9のいずれか一項に記載の方法。
[項51]
前記用量が、静脈内投与される、項45~50のいずれか一項に記載の方法。
[項52]
前記RF自己抗体が、少なくとも40%まで減少する、項45~51のいずれか一項に
記載の方法。
[項53]
前記RF自己抗体が、少なくとも50%まで減少する、項46~51のいずれか一項に
記載の方法。
[項54]
前記RF自己抗体が、治療開始後85日以内までに減少する、項46~53のいずれか
一項に記載の方法。
[項55]
関節リウマチを治療中の患者におけるバイオマーカースコアを減少させるための方法で
あって、
約500mg~3000mgのVIB4920を前記患者に投与することであって、
前記バイオマーカースコアは、形質細胞(PC)遺伝子シグネチャー、Vectra
-DAスコア、又は血清C反応性タンパク質レベル(CRP)のうちの1つ以上であるこ
とと、
前記患者における前記バイオマーカースコアを減少させることと、を含む方法。
[項56]
前記用量が、約1000mg~約2000mgである、項55に記載の方法。
[項57]
前記用量が、約1000mg~約1500mgである、項56に記載の方法。
[項58]
前記用量が、約1000mgである、項57に記載の方法。
[項59]
前記用量が、約1500mgである、項58に記載の方法。
[項60]
前記用量が、14日毎に投与されるか、又は1ヵ月につき2回投与される、項55~5
9のいずれか一項に記載の方法。
[項61]
前記用量が、静脈内投与される、項55~60のいずれか一項に記載の方法。
[項62]
前記バイオマーカースコアがVectra DAであり、前記減少させることとは、調
整済み平均差が少なくとも-10.3となることである、項55~61のいずれか一項に
記載の方法。
[項63]
前記バイオマーカースコアが、血清CRPである、項57~61のいずれか一項に記載
の方法。
[項64]
それを必要とする患者の形質細胞(PC)遺伝子シグネチャースコアを減少させるため
の方法であって、
VIB4920を、それを必要とする患者に投与することであって、
前記患者は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、筋炎、抗リン脂質抗体症候群
、自己免疫性肝炎、又はシェーグレン病を治療中であり、
前記VIB4920が、約500mg~3000mgの用量で投与されることと、
前記患者の前記PC遺伝子シグネチャースコアを減少させることと、を含む方法。
[項65]
前記用量が、約1000mg~約2000mgである、項64に記載の方法。
[項66]
前記用量が、約1000mg~約1500mgである、項65に記載の方法。
[項67]
前記用量が、約1000mgである、項66に記載の方法。
[項68]
前記用量が、約1500mgである、項67に記載の方法。
[項69]
前記用量が、14日毎に投与されるか、又は1ヵ月につき2回投与される、項64~6
8のいずれか一項に記載の方法。
[項70]
前記用量が、静脈内投与される、項64~69のいずれか一項に記載の方法。
[項71]
自己免疫性障害を治療中の患者の自己抗体を減少させる方法であって、
VIB4920を、それを必要とする患者に投与することであって、
前記患者は、自己抗体の存在を特徴とする自己免疫疾患を治療中であり、
前記VIB4920が、約500mg~3000mgの用量で投与されることと、
前記患者の前記自己抗体を減少させることと、を含む方法。
[項72]
前記用量が、約1000mg~約2000mgである、項71に記載の方法。
[項73]
前記用量が、約1000mg~約1500mgである、項72に記載の方法。
[項74]
前記用量が、約1000mgである、項73に記載の方法。
[項75]
前記用量が、約1500mgである、項73に記載の方法。
[項76]
前記用量が、14日毎に投与されるか、又は1ヵ月につき2回投与される、項71~7
5のいずれか一項に記載の方法。
[項77]
前記用量が、静脈内投与される、項71~76のいずれか一項に記載の方法。
[項78]
前記自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、筋炎、抗リン脂質抗体
症候群、自己免疫性肝炎、又はシェーグレン病である、項71~77のいずれか一項に記
載の方法。
[項79]
患者の炎症を減少させる方法であって、
VIB4920を、それを必要とする患者に投与することであって、
前記患者は、炎症性疾患又は障害を治療中であるか、又は、器官若しくは組織移植に
反応して予測される炎症に対して、予防的に治療を受けており、
前記VIB4920が、約1000mg~3000mgの用量で投与されることと、
前記患者の炎症を減少させることと、を含む方法。
[項80]
前記用量が、約1000mg~約2000mgである、項79に記載の方法。
[項81]
前記用量が、約1000mg~約1500mgである、項80に記載の方法。
[項82]
前記用量が、約1000mgである、項79に記載の方法。
[項83]
前記用量が、約1500mgである、項79に記載の方法。
[項84]
前記用量が、約3000mgである、項79に記載の方法。
[項85]
前記用量が、14日毎に投与されるか、又は1ヵ月につき2回投与される、項79~8
4のいずれか一項に記載の方法。
[項86]
前記用量が、静脈内投与される、項79~85のいずれか一項に記載の方法。
[項87]
前記用量が、1ヵ月につき1回投与される、項84に記載の方法。
[項88]
前記患者が、器官又は組織移植の拒絶反応を防止するために、併用して治療されるか、
又は予防的に治療される、項79~87のいずれか一項に記載の方法。
[項89]
前記炎症性疾患又は障害が、炎症性筋疾患、又はループス腎炎、皮膚ループス、RA、
SLE、ITP、筋炎、シェーグレン症候群、血管炎、全身性硬化症、自己免疫性溶血性
貧血、重症筋無力症又は巣状分節性糸球体硬化症である、項79~87のいずれか一項に
記載の方法。
[項90]
前記治療することが、ACR20、ACR50、又はACR70を達成することである
、項21に記載の方法。
[項91]
前記B細胞性免疫応答の前記抑制が、長期間持続する、項1~11のいずれか一項に記
載の方法。
[項92]
前記自己免疫疾患又は傷害の前記治療が、長時間持続する、項12~34又は90のい
ずれか一項に記載の方法。
[項93]
前記患者のRA疾患活動性の前記指標の前記減少が、長時間持続する、項35~44の
いずれか一項に記載の方法。
[項94]
前記患者のRF自己抗体の前記減少が、長時間持続する、項45~54のいずれか一項
に記載の方法。
[項95]
前記患者の前記バイオマーカーの前記減少が、長時間持続する、項55~63のいずれ
か一項に記載の方法。
[項96]
前記患者の前記PC遺伝子シグネチャースコアの前記減少が、長時間持続する、項64
~70のいずれか一項に記載の方法。
[項97]
前記患者の前記自己抗体の前記減少が、長時間持続する、項71~78のいずれか一項
に記載の方法。
[項98]
前記患者の炎症の前記減少が、長時間持続する、項79~89のいずれか一項に記載の
方法。
[項99]
患者において補充療法に対する免疫寛容を誘導する方法であって、
VIB4920を、補充療法を必要とする患者に投与することであって、
前記VIB4920が、約1000mg~3000mgの用量で投与されることと、
前記患者における前記補充療法に対する免疫寛容を減少させることと、を含む方法。
[項100]
前記VIB4920が、約1500mg~3000mgの用量で投与される、項99に
記載の方法。
[項101]
前記VIB4920が、約2500mg~3000mgの用量で投与される、項100
に記載の方法。
[項102]
前記VIB4920が、約3000mgの用量で投与される、項101に記載の方法。
[項103]
前記用量が、約2~4週毎に1回投与される、項99~102のいずれか一項に記載の
方法。
[項104]
前記用量が、約4週毎に1回投与される、項103に記載の方法。
[項105]
前記用量が、1ヵ月につき1回投与される、項102に記載の方法。
[項106]
前記補充療法が、タンパク質又はペプチドである、項99、102又は105のいずれ
か一項に記載の方法。
[項107]
免疫寛容を前記誘導することが、前記患者による前記タンパク質又はペプチドに対する
中和抗体の産生を減少させることを含む、項106に記載の方法。
[項108]
前記タンパク質が第VIII因子であり、前記患者が血友病患者である、項107に記
載の方法。
[項109]
前記タンパク質が第IX因子であり、前記患者が血友病患者である、項107に記載の
方法。
[項110]
免疫寛容を前記誘導することが、前記患者における抗第VIII因子抗体の中和を減少
させることである、項108に記載の方法。
[項111]
前記タンパク質又はペプチドが、酵素である、項106に記載の方法。
[項112]
前記酵素がアガルシダーゼアルファ又はアガルシダーゼベータであり、前記患者がファ
ブリー病患者である、項111に記載の方法。
[項113]
前記酵素がイデュルスルファーゼであり、前記患者がムコ多糖症II型患者又はハンタ
ー症候群患者である、項111に記載の方法。
[項114]
前記酵素がイアロニダーゼであり、前記患者がムコ多糖症I型患者である、項111に
記載の方法。
[項115]
前記酵素がアルグルコシダーゼアルファであり、前記患者がポンぺ病患者である、項1
11に記載の方法。
[項116]
前記補充療法が、治療用ペプチド又はタンパク質をコードする核酸を含むウイルスベク
ターである、項99、102又は105のいずれか一項に記載の方法。
[項117]
前記補充療法に対する免疫寛容を前記誘導することが、前記患者の前記ウイルスベクタ
ーに対する免疫応答を減少させること、前記治療用タンパク質に対する中和抗体を減少さ
せること、又はその両方を含む、項116に記載の方法。
[項118]
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)である、項117に記載の方
法。
[項119]
免疫寛容を前記誘導することが、前記AAVに対する免疫応答を減少させることを含む
、項118に記載の方法。
[項120]
前記AAVに対する免疫応答を前記減少させることとは、前記AAVに対するT細胞応
答を減少させること、又は前記AAVに対する抗体を減少させることである、項119に
記載の方法。
[項121]
T細胞応答を前記減少させることとは、AAVカプシドタンパク質に対するT細胞応答
を減少させることである、項120に記載の方法。
[項122]
前記補充療法に対する免疫寛容を前記誘導することが、前記治療用タンパク質に対する
中和抗体を前記減少させることを含む、項117に記載の方法。
当業者であれば、通常の実験を行うだけで、本明細書に記載される特定の実施形態との
多数の等価物を認識し、又は確認することができよう。このような等価物は下記の特許請
求の範囲によって包含されることが意図される。
【0040】
本明細書に言及されるすべての出版物、特許及び特許出願が、それぞれの個々の出版物
、特許又は特許出願が具体的且つ個々に参照により本明細書に組み込まれると指示された
かのように同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例0041】
実施例1-CD40L特異的Tn3タンパク質の単離及び最適化
Tn3は約90アミノ酸の長さの小さなタンパク質の足場であって、ランダム化して特
異的な結合特性を選択することができる抗体の相補性決定領域に構造的に類似したループ
を含む、免疫グロブリン様の折り畳みを備えている(24)。
【0042】
国際公開第2013/055745号パンフレットにおいて詳細に記載されているよう
に、ヒトCD40L特異的Tn3クローンが単離された(24、27、50も参照のこと
)。手短に言えば、ヒトCD40L特異的Tn3の選択は、組換えヒトCD40Lタンパ
ク質及びヒトCD40L発現CHO細胞株の選択を交互に行う5ラウンドのパニングを含
むものであった。組換えマウスCD40Lタンパク質のみを使用して、マウスCD40L
特異的Tn3タンパク質を選択した。選択されたアウトプットからのTn3遺伝子を発現
ベクターにプールクローニングし、個々のHisタグ付きバリアントを、抗His抗体で
コートされたMaxisorpプレート(PBS中2μg/ml)に捕捉することによっ
てCD40L結合について評価した。ビオチン化MegaCD40L(Enzo Bio
sciences、0.5μg/mL)を添加し、1.5時間インキュベートした。PB
S/Tweenで一回洗浄した後に、SA-HRP(1:1000希釈)を使用して、捕
捉されたTn3バリアントとCD40Lとの間の相互作用をモニターした。20分後、プ
レートをPBS/Tweenで2回洗浄してTMB基質によって現像し、2.5MのH3
PO4によって停止させた。吸光度は450nmにて測定した。CDR様ループがランダ
ムに変異した、ファージディスプレイされたライブラリから、改良された候補を選択する
ことによって、CD40L特異的Tn3タンパク質の親和性成熟を行った(24)。この
方式により、ヒトCD40L特異的309(
図21A)の改良されたバリアントであるク
ローン342(
図19)、及びマウスCD40L特異的M13の改良されたバリアントで
あるクローンM31が結果として生成された。更なるヒトCD40L-Tn3クローン、
例えば、クローン304、311、320、310、321及び322も調製した。参考
として本明細書に組み込まれる、国際公開第2013/055745号パンフレットを参
照されたい。
【0043】
このヒトCD40L特異的Tn3クローンのセットを、CD40Lがその受容体(CD
40)に結合するのを生化学的に阻害するその能力について特性決定した。このセットの
7つすべてでCD40LのCD40への結合が阻害され、IC50値は1μM未満であっ
た(
図1A)。生化学的なCD40L-CD40阻害アッセイにおける2つの最も強力な
阻害剤を、セルベースのレポーターアッセイにおいて、CD40L媒介シグナル伝達の阻
害について更に評価した。ヒトCD40及びNF-kB-ルシフェラーゼレポーター遺伝
子を発現するHEK-293細胞を、組換えヒトCD40Lタンパク質で刺激した。ヒト
CD40L特異的Tn3タンパク質309及び311は、CD40Lに誘導されたNF-
kBレポーター遺伝子の発現をマイクロモル濃度で用量依存的に阻害し(
図1B)、これ
らのタンパク質のCD40/CD40Lシグナル伝達を機能的に阻害する能力を際立たせ
た。
【0044】
二価抗体の場合に生じるように、複数の標的に同時に結合することは、著しく増大され
たアビディティーをもたらし得る。CD40L特異的Tn3タンパク質の効力に対する二
価性の影響を調査するために、同一のTn3モジュール(309-309、例えば、
図2
1B)の2つのコピーを、スペーサーを含むフレキシブルGly
4Serを介して連結し
、タンデム二価融合タンパク質を形成した。ヒト一次B細胞は、CD40による刺激に応
答して活性化マーカーCD86の発現を上昇させる。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を
一価CD40L特異的Tn3 309とプレインキュベートすると、ヒトCD19+B細
胞上のCD86の発現上昇が用量依存的な様式で阻害された(
図1C)。際立ったことに
、二価構築物を使用した初代細胞アッセイでは、一価のTn3と比較して、ほぼ1000
倍の効力の向上が見られた(
図1C)。加えて、クローン342をもたらす、クローン3
09の(可変CDR様ループ領域におけるランダム突然変異誘発による)親和性成熟によ
り、CD40Lに対する結合親和性が著しく向上し(309:190nM、342:1.
4nM)、CD40-CD40L相互作用の阻害における効力が約300倍向上したこと
が証明された(
図1D)。また、親和性成熟したクローン342を、Fas、TNFα、
TNFβ及びOX40Lを含む関連TNFファミリーメンバーのパネルへの結合について
スクリーニングして、CD40Lが選択的に結合することを見出した。
図1Eを参照され
たい。
【0045】
最終的に、他の代替的な足場技術と同様に、裸のTn3分子は、それらのサイズが小さ
いため、全身投与されたときに血液循環からの非常に迅速なクリアランスを示すことが予
期される。このタンパク質の薬動動態特性を向上させるため、CD40特異的Tn3タン
パク質を血清アルブミンに融合させた(28、29)。二価マウス代替CD40L特異的
Tn3タンパク質であるM13-M13は、マウスにおいて全身送達される際に<30分
の半減期を有していた。マウス血清アルブミン(MSA)をM13-M13 Tn3タン
パク質に融合させることにより、血清半減期が65倍増加し、クリアランスが345倍減
少する結果となった(表1)。
【0046】
【0047】
5~7週齢CD-1マウスに、MSAと共に、又はそれ無しで、二価CD40L特異的
Tn3分子を単回注射した(n=12/群、10mg/kg、i.v.)。15分~72
時間の様々な時点でn=3マウス/群から血液を採取し、ELISAによってTn3タン
パク質の血中濃度を測定した。
【0048】
これらの観察結果に基づいて、二価ヒトCD40L特異的Tn3分子であるVIB49
20は、効力を最適化するためにタンデム342 CD40L特異的Tn3タンパク質か
ら構成され、半減期を改善するためにヒト血清アルブミン(HSA)に融合される(
図1
F、
図18)。
【0049】
CD40LとVIB4920との間の相互作用における分子的性状をより良く理解する
ために、結晶学調査を行った。CD40L特異的Tn3(342)及び可溶性CD40L
タンパク質を発現させ、精製して共結晶化し、この構造体を2.8Åの解像度で測定した
。Tn3と複合体化した三量体可溶性CD40Lの分子構造を
図2Aに示す。CD40L
との界面は、分子間(3.5Åの距離内、
図2B)で形成される10個の水素結合のうち
の8個を含む、Tn3の第2の修飾されたループに由来するアミノ酸から主に構成されて
いる。分子の初期特性評価では、342 Tn3がCD40LとCD40との間の相互作
用を遮断することが可能であることを示していた。その作用の詳細を視覚化するために、
CD40/CD40L複合体の構造を、342/CD40Lのそれと重ね合わせた(
図1
G)。重ね合わせることにより、342及びCD40は、CD40L上に共通した結合部
位を共有していることが分かる。従って、VIB4920はCD40と競合して、CD4
0とCD40Lとの会合を阻止する。
【0050】
実施例2-VIB4920はヒトB細胞の活性化及び分化を遮断する
CD40シグナル伝達は、広範囲に特性決定され、様々な異なる経路及びNF-kBを
含む転写因子の活性化に関与しており(30)、これによりB細胞の活性化、増殖及び分
化を促進することができる(31)。従って、ヒトCD40及びNF-kBルシフェラー
ゼレポーター遺伝子を発現する細胞株を使用して、NF-kBのCD40L媒介性活性化
を阻害するVIB4920の能力を調査した。この細胞株を組換えヒトCD40L又はC
D40L発現細胞で刺激することによって、NF-kBの活性化が誘導される。NF-k
Bの活性化の用量依存的な阻害によって明示されるように(IC50:0.899nM、
図3A)、VIB4920は、この細胞株を使用したCD40シグナル伝達を強力に遮断
することができた。
【0051】
休止B細胞は、低レベルの共刺激分子CD86を恒常的に発現しており、このCD86
は、CD40による活性化を含む活性化の後に迅速に発現上昇する(32)。初代ヒトP
BMCを組換えヒトCD40Lで刺激し、16時間後にフローサイトメトリーによってB
細胞上のCD86の発現を評価した。VIB4920は、一次ヒトB細胞によるCD86
のCD40L媒介性の発現上昇を完全に阻止した(
図3B)。
【0052】
実施例3-VIB4920はインビトロで血小板凝集を誘導しない
抗CD40L指向mAbは、安全性上の懸念のため、主に血小板の細胞表面上でのCD
40Lの架橋に関連する血栓塞栓性の合併症のために臨床試験に失敗してきた。Fcドメ
インが欠如したVIB4920では血小板凝集を誘導しないことを確認するために、本発
明者らは、洗浄ヒト血小板に対するその影響をインビトロで評価した。前述したように、
抗CD40L mAb(ヒトIgG1)は、sCD40Lと予め複合化したときに、血小
板凝集を誘導する著しい能力を示した(
図3F)。反応は迅速であり、mAb-sCD4
0L免疫複合体は、血小板の80%を8分以内に凝集するように誘導した。重要なことに
、FcγRIIaを遮断する抗体(mAb IV.3)と血小板をプレインキュベートす
ることによってmAb-免疫複合体媒介性の凝集が阻止されるが、このことは、この反応
におけるFc受容体の必要不可欠な役割と一致する(
図3F)。対照的に、試験されたい
くつかの濃度では、VIB4920はこのアッセイにおいて血小板凝集を誘導する傾向を
示さなかった(
図3G)。これらのデータは、Tn3構築物にFc領域がないことにより
、臨床時に治療用抗CD40L抗体で観察された血小板凝集及び血栓塞栓性事象のリスク
を減少させることができたということを示唆している。この結果を確認して、最高300
mg/kgのVIB4920を投与された非ヒト霊長類における慢性(7ヵ月)試験から
のデータ(図示せず)では、血小板機能の有害な所見は確認されず、例えば、D-ダイマ
ー検査(血栓についてモニターする)、PFA100検査(血小板機能を評価する)、又
はTAT複合体(トロンビン・アンチトロンビン複合体)検査において有害な所見は確認
されなかった。
【0053】
実施例4-CD40L特異的Tn3タンパク質はインビボで免疫応答を調節する
T依存性免疫応答を促進する際のCD40Lの中心的役割は、十分特性決定されている
(9、35)。従って、T依存性免疫モデルを使用して、インビボにおいて体液性免疫応
答を遮断するTn3-MSA融合タンパク質の能力を評価した。ヒトCD40Lとマウス
CD40Lとの間の配列相同性が不十分であるため、これらの調査にCD40L特異的マ
ウス代替Tn3であるM31を使用した。
【0054】
Tn3-MSA融合タンパクがインビボで免疫応答を遮断することができるかどうかを
検証するために、マウスにヒツジ赤血球(SRBC)を接種し、次いで接種後9~13日
目に抗CD40L Tn3タンパク質で毎日処置した。フローサイトメトリーにより脾臓
及びリンパ節の胚中心B細胞を定量化することによって、処置された動物の免疫応答を1
4日目に評価した。予想通り、対照処置マウスのSRBCによる免疫により、胚中心の発
現頻度の顕著な増殖がもたらされた(
図4A)。CD40L特異的Tn3-MSA融合タ
ンパクで処置したマウスでは、胚中心B細胞の発現頻度が用量依存的に減少することが観
察された(
図4A)。CD40L特異的Tn3-MSA融合タンパク質は、30mg/k
gの用量で対照の非免疫マウスと同等の、脾臓及びリンパ節の胚中心B細胞がほぼ存在し
ないことによって評価されたように、胚中心形成の完全な抑制を誘導した。薬物投与によ
って特定のT細胞集団を含む細胞の他の亜集団が混乱することはなく、観察される効果が
T細胞の枯渇に対して副次的なものではないということが確実になった(データは示さず
)。加えて、抗SRBC IgGレベルは胚B細胞反応のレベルを反映しており、SRB
C特異的Ig力価は、より高用量の抗CD40L Tn3で顕著に減少した(
図4B)。
【0055】
実施例5-VIB4920は健康なボランティアにおいて忍容性が良好である
18~49歳の健康成人を対象として実施される第1a相(Ph1a)試験で、VIB
4920の安全性特性をヒトにおいて評価した。被験者を、最高3000mgのVIB4
920の用量による7つの単回漸増投与コホートに組み入れ、VIB4920又はプラセ
ボにランダム化した(
図5A及び5B)。治療下で発現した有害事象(TEAE)及び治
療下で発現した重篤な有害事象(TESAE)の発生頻度によって、主要評価項目、安全
性及び忍容性を測定した。すべての用量コホートにおいて、TEAEは一般に臨床的重大
性が軽度であり、最も頻度の高い事象は鼻咽腔炎(感冒)及び頭痛を含むものであった(
表2)。
【0056】
【0057】
健康なボランティアのPh1a試験において少なくとも2例の被験者に起こった最も多
く見られるTEAE
【0058】
重要なことに、1つ以上の治験薬に関連するTEAEがある被験者の全体的な割合は、
全体のVIB4920群(40.9%)とプラセボ(33.3%)群との間で同等であっ
た。加えて、輸注反応、重症感染又は死亡例は存在せず、プラセボ群において唯一のTE
SAEである脛骨骨折のみが報告された。注目すべきことに、このPh1a試験では、V
IB4920による処置後に臨床的に重大な凝固又は血小板機能異常は観察されなかった
。
【0059】
実施例6-VIB4920は健康なボランティアにおいて好ましいPK/PDプロファイ
ルを示す
VIB4920の安全性プロファイルを評価することに加えて、Ph1a試験において
薬物動態(PK)及び薬力学的(PD)評価項目も評価した。3~3000mgを単回静
脈内投与した後のVIB4920のPKプロファイルは、曝露が増加すると共に用量に比
例して直線状となった(
図6A)。分子の平均終末相半減期は8日であり、最高用量では
半減期が最高10.1+/-1.87日であった。
【0060】
CD40Lは膜貫通タンパク質であるが、活性化T細胞及び血小板の両方によって開裂
し、脱離する可能性がある。可溶性CD40L(sCD40L)は、18KDaの三量体
であり、健康なドナーにおいて低レベルで検出され、自己免疫疾患患者の血液循環中で増
加する(36、37)。VIB4920投与後のsCD40Lレベルの測定値は、VIB
4920に結合したsCD40Lが血液循環中に保持されて蓄積され得るような、潜在的
な標的結合の測定値を表す。予想通り、VIB4920投与後に血漿中の全sCD40L
において用量依存的な増加があり(
図6B)、標的結合が示唆された。血漿中の全sCD
40Lが最大値に到達するまでの時間は、用量が3mgから3000mgに増加するにつ
れて11.5日から84日に増加し、最高用量群では、標的結合がより長い持続時間で維
持されたことが示された。
【0061】
実施例7-より高用量のVIB4920を受けた健康な被験者において減少したADAが
観察された
生物学的製剤は、本来、極めて特異的/選択的なものであるが、それらは免疫応答を誘
発することができる複合分子である。抗薬物抗体(ADA)は、治療剤の免疫原性の指標
である。健康なボランティアにおいて、低用量のVIB4920を受けた過半数の患者で
ADAが検出された(
図7)。より具体的には、3~100mgの用量範囲において、被
験者20例のうちの18例が検出可能なADAを有し、それらの個体のうち10例が高い
ADA力価を示した(力価の中央値の480より大きい)。対照的に、ADAの発現頻度
は、より高用量のレベルのVIB4920で著しく減少し(
図7)、3000mg用量群
における被験者8例のうちわずか1例で検出可能な抗薬物力価が生じた。高用量のVIB
4920で観察されたADA発現頻度の減少は、分子の免疫調節性機能を裏付けるもので
ある。加えて、ADAの割合及び力価の低さは、忍溶性がより良好で、より有効な治療剤
への転換が可能である。
【0062】
実施例8-VIB4920により健康なボランティアにおけるT細胞依存性抗体応答が阻
害される
健康な被験者の体液性免疫応答に影響を与えるその能力について、VIB4920を更
に評価した。この評価は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)による免疫によ
って誘導されたT細胞依存性抗体応答(TDAR)に対するVIB4920の効果を測定
することによって行った。すべての処置群の健康な被験者は、KLH皮下免疫を2回受け
た:(1回目)VIB4920又はプラセボのいずれかを投与する14日前、及び(2回
目)投与後15日目(
図5B)。KLHに対して産生されるIgM及びIgG抗体の両方
を、113日目までモニターした。
【0063】
TDARは、プラセボ処置被験者において予想される傾向、すなわち22日目(2回目
の免疫の1週間後)に抗KLH IgG力価が激増し、29日目にIgGのピークレベル
が観察され、次いでモニター期間の終了までKLH特異的IgG抗体が減少することを含
む傾向をたどった(
図8A)。更に、前述の報告と一致して、プラセボ処置群における2
回目の抗KLH応答はIgGが優勢であり、再チャレンジ後に検出されたKLH特異的I
gMの上昇は、全体としてはるかに控えめなものであった(
図8B)(38~41)。
【0064】
予想通り、低用量のVIB4920で処置した健康なボランティアは、プラセボ処置群
に近い抗KLH力価を有していた。対照的に、より高用量のVIB4920で処置した健
康なボランティアは、300mg(p=0.035)の用量から開始して1,000mg
(p=0.002)及び3,000mg(p<0.001)の用量に増加させた抗KLH
IgGで43日目に統計的に有意に減少したように、KLHに対する二次応答を有意に
減少させることを示した。注目すべきことに、1000mg及び3000mgのコホート
では、KLHに対するIgGが43日目のプラセボと比較してそれぞれ78%及び86%
減少した(
図8C)。最高用量群では、被験者8例のうちの7例は、抗KLH-IgG力
価を43日目に検出できず、VIB4920による体液性免疫応答をほぼ完全に抑制した
ことが示唆された。
【0065】
実施例9-VIB4920の免疫抑制はB細胞増殖及び形質細胞反応の阻害によって媒介
される
VIB4920が二次免疫応答を抑制する機序は、末梢血を免疫前及び後で被験者から
採取し、フローサイトメトリーによって循環血液中のリンパ球サブセットを特性決定する
ことによって、より明確になった。プラセボの処置を受けた健康な被験者において、二次
免疫によりB細胞増殖が誘導されたが、このことは、来院日22日目、すなわち再チャレ
ンジ7日後における血液循環中のKi67+CD19+B細胞の発現頻度の増加を検出す
ることによって示された(
図9A)。
【0066】
再チャレンジ前の高用量のVIB4920を受けた被験者では、プラセボ処置群と比較
してベースラインのB細胞増殖の発現頻度が減少した。このことは、提唱された分子の作
用機序と一致する。更に、高用量のVIB4920を受けたコホートでは、免疫後のB細
胞増殖反応が著しく損なわれたが、このことはKi67+B細胞が増加しないことによっ
て証明された。チャレンジ後1週間の3000mgコホートを参照されたい(
図9A)。
更なる表現型検査により、B細胞増殖に対するVIB4920の最も大きな影響が、Ig
D-CD27+アイソタイプスイッチした記憶集団内に認められるということが明らかと
なった(
図9B)。これらのデータは、VIB4920が2度目のチャレンジに応答して
IgG産生に対する抑制効果を示すTDARの結果と一致する。
【0067】
KLHによる二次免疫前後における、プラセボ又はVIB4920で処置された被験者
の末梢血中の遺伝子発現の変化もモニターした。具体的には、循環血液中のPC発現頻度
のわずかな変化であっても検出することが可能な、正確且つロバストなシグネチャーであ
る形質細胞(PC)遺伝子シグネチャー(42)を使用して、遺伝子発現における特定の
変化を確認した。TDAR結果と一致して、免疫によって、再チャレンジ1週間後のプラ
セボ処置被験者の全血中のPC遺伝子シグネチャースコアの劇的な増加が誘導されたが、
2週間でベースラインに戻った(
図9C)。VIB4920の最高用量コホート(300
0mg)では、末梢血中のPC遺伝子シグネチャースコアは、KLHによる再チャレンジ
前のプラセボ処置被験者と比較して著しく減少した(
図9C)。重要なことに、高用量の
VIB4920を受けたボランティアでは、再免疫後にPC遺伝子シグネチャースコアが
増加しなかった。これらのデータは、VIB4920の作用機序に光を当て、そのB細胞
及びPC反応を抑制する強力な能力を証明するものである。
【0068】
実施例10-RA患者におけるVIB4920の反復投与は安全且つ忍容性が良好である
VIB4920が容認できる安全性プロファイルを有し、健康なボランティアにおける
作用機序の検証、反復漸増投与、概念実証を示すことが立証されたため、中等度から重度
の活動性RA成人患者でPh1b臨床試験を実施した。RA患者をVIB4920(75
mg、n=8;500mg、n=10;1000mg、n=12;若しくは1500mg
、n=12)、又はプラセボ(n=15)で処置し、隔週で12週間、静脈内(i.v.
)注入によって投与した(
図10)。次いで、患者を処置後更に12週間観察した。12
週目に測定された主要な評価項目は、安全性、忍容性、PKパラメータ、ADA、及び疾
患活動性の変化(DAS28-CRP)、並びにRF自己抗体、血清C反応性タンパク質
(CRP)及びVectra-DAスコアなどの更なるバイオマーカーを含むものであっ
た。53例の患者が12週間の処置を完了し、2例の患者(VIB4920 75mg群
に1例、及びVIB4920 1500mg群に1例)が有害事象により治療を中断し、
プラセボ群に1例の患者がインフォームドコンセントを撤回し、VIB4920 75m
g群に1例の患者が追跡調査不能であった。ベースラインの試験集団における主な人口統
計学的及び臨床的特徴を
図11に示す。
【0069】
全体として、VIB4920は、プラセボと4つの有効な用量群との間で観察されるT
EAEの分布が均衡しているため、一般に安全且つ忍溶性良好であった。報告された最も
多く見られるTEAEは下痢、多汗症、上気道感染症、及び尿路感染症であり、それぞれ
は3例の患者で発生した(7.1%)。
図12を参照されたい。血栓性の有害事象、又は
臨床的に重大な凝固異常は認められなかった。重篤且つ生命を脅かすものとして、治験薬
の6用量投与後に1500mg用量群で発生した1つの有害事象(基本語では「脳炎」)
が報告された。病原学的感染因子は特定されず、VIB4920を中止して数ヶ月後に類
似の症状が再発し、その後、患者は脳の転移性黒色腫と診断された。
【0070】
実施例11-VIB4920は線形PKプロファイルを示し、RA患者のADAを用量依
存的に減少させた
低用量のVIB4920を受けた健康なPh1a試験ボランティアと同様に、低用量の
VIB4920を受けたRA患者においてADAが観察された。75mgのVIB492
0を受けたRA患者8例のうち3例(37.5%)、及び500mgのVIB4920を
受けたRA患者10例のうち3例(30%)がADAを発現した(
図13B)。75mg
のVIB4920用量群では、被験者8例のうち2例が治療段階の間に検出可能なADA
を発現し、500mgのVIB4920処置群の3例の被験者全員が、治療後に検出可能
なADAを発現した(
図13C)。1000mg用量群では治療期間の間にADAは検出
されず、被験者1例が治療段階後に検出可能なADAを有していた。1500mg用量群
ではADAが検出されず(
図13B)、VIB4920は、より高用量でADA応答を効
果的に抑制するということが示唆された。
【0071】
実施例12-VIB4920によりRA患者の疾患活動性が減少する
VIB4920が第1b相臨床試験のRA患者の疾患活動性を減少させるかどうかを確
認するため、DAS-28/CRPスコアを測定した。DAS-28/CRPスコアは、
腫脹関節数、圧痛関節数、CRPレベル、及び患者による全般評価を考慮に入れた、RA
において使用される複合的な臨床疾患活動性スコアである。VIB4920は、DAS2
8-CRPスコアによって定量化したRA患者の疾患活動性を、より高用量で著しく減少
させた(
図14A及び
図22A)。治療開始後12週間目のDAS28-CRPのベース
ラインからの調整済み平均変化(SE)は、VIB4920 1500mg群で-2.3
(0.3)、VIB4920 1000mg群で-2.2(0.3)、VIB4920
500mg群で-1.2(0.3)、VIB4920 75mg群で0.1(0.4)、
及びプラセボ群で-1.0(0.3)であった(
図14A)。驚くべきことに、この観察
されたRA患者におけるDAS28-CRPスコアの減少は、VIB4920の用量を最
後に投与した後、少なくとも更に12週間維持された(
図22A、特に、来院日113日
目、141日目及び169日目を参照されたい)。DAS28-CRPに対するVIB4
920の効果は迅速であり、薬物の単回投与からわずか15日までにスコアの減少が明白
となった。
【0072】
更に、VIB4920の2つの最高用量における疾患活動性の減少は、プラセボと比較
すると臨床的にも統計学的にも有意性があり、12週目における調整済み平均差(SE)
は、VIB4920 1500mg群で-1.4(0.4)、VIB4920 1000
mg群で-1.2(0.4)であって、それぞれのp値は0.002及び0.006であ
った。線形用量反応モデルを使用すると、DAS28CRPに関する統計的に有意な用量
反応が示された(p<0.001)。主に1000mg及び1500mgの処置群によっ
て有意な結果がもたらされたが、500mg及び75mgでは、プラセボと比較してほと
んど或いは全く効果が示されなかった(
図15A)。個々の臨床反応に関して、1500
mg群の患者の75%、及び1000mg用量群の患者の50%が12週目に3.2以下
のDAS28-CRPスコアを達成し、主要評価項目において低い疾患活動性又は臨床的
寛解を示した。
図16を参照されたい。
【0073】
実施例13-VIB4920によりRA患者の免疫学的及び炎症性バイオマーカーが減少
する
Vectra DA血液検査を使用して、免疫学的及び炎症性バイオマーカーに対する
VIB4920の効果を測定した。Vectra DA検査とは、疾患活動性に関する1
2個のバイオマーカー(細胞接着因子、増殖因子、サイトカイン、マトリックスメタロプ
ロテアーゼ、骨格タンパク質、ホルモン及び急性期タンパク質)を測定し、RA疾患活動
性を引き起こす主要な機序及び経路を評価するために、それらを単一のスコアに組み合わ
せた、商業的に入手可能で有効性の確認された検査である。1500mg及び1000m
g用量のVIB4920は、VIB4920が隔週で投与された12週間の期間(
図14
E)と、VIB4920がもはや投与されなくなった12週間の観察期間(
図22E)の
両方で、Vectra DAマルチバイオマーカースコアを著しく減少させた。1500
mg用量におけるVIB4920の調整済み平均差(12週目)は、プラセボと比較して
-14.4(-21.5、-7.2)、p=0.001であり、1000mg用量におけ
るVIB4920の調整済み平均差(12週目)は、プラセボと比較して-10.3(-
17.4、-3.3)、p=0.018であった(
図14E)。
【0074】
この有効性の結果は、本治験で評価された他の評価項目(臨床疾患活動性指標(CDA
I)、圧痛及び腫脹関節数、患者及び医師による全般評価、並びに血清CRPレベルを含
む)の全体にわたって極めて一致したものであり、1000mg及び1500mgが臨床
的に有効な用量であることが、本試験において裏付けられた(
図14B~14D及び
図1
7A~17C、
図22B~22D及び
図23A~23Cも参照されたい)。
【0075】
実施例14-VIB4920によりRA被験者のリウマトイド因子自己抗体が著しく減少
する
リウマトイド因子自己抗体(RF)は、IgGのFc部分に対して産生される、自己抗
体のファミリーである。それらはRAにおいて増加し、予後不良に関連する。VIB49
20の作用機序を考慮して、RA被験者における自己抗体価に対するその影響を評価した
。注目すべきことに、VIB4920は、12週間の隔週での治療期間の間に、500、
1000、及び1500mg用量レベルにおいてRF力価を著しく減少させた(
図14F
)。更に驚くべきことに、1000mg及び1500mg用量レベルで減少したRF力価
は、VIB4920の用量を最後に投与した後、12週間の観察期間全体にわたって維持
された(
図22F)。ベースラインからのRF力価の減少は、早くも29日目にVIB4
920に反応して明らかとなり、高用量のVIB4920では、85日目までに約50%
のRF力価を減少させた。Emaxモデルを使用すると、ベースラインからのRF力価の
減少に関して、VIB4920は統計的に有意な用量反応を示している(p<0.001
)(
図15B)。
【0076】
実施例15-方法
NF-kBレポーターアッセイ
NF-kBルシフェラーゼレポーターを発現するHEK293細胞(Panomics
)を、ヒト全長CD40Rを安定的に発現するように改変した。5×104細胞/ウェル
の密度で96ウェルのポリ-D-リジンをコートしたプレート(BD Bioscien
ces)に細胞を播種し、対照又はCD40L特異的Tn3の存在下又は非存在下で16
~24時間、示された濃度で、megaCD40L組換えタンパク質(1.5μg/ml
、Enzo Biosciences)又はCD40Lを過剰発現させたD1.1 Ju
rkatサブクローン(ATCC)細胞によって刺激した。Bright-Glo Lu
ciferase Assay System(Promega)を使用して、Spec
traMax M5プレートリーダー(Molecular Devices)で発光を
検出した。
【0077】
CD86発現上昇アッセイ
MedImmuneの施設内審査委員会によって承認された通り、インフォームドコン
セント後に健康なドナーからヒト血液を採取した。遠心分離後、末梢血単核細胞をCPT
チューブ(BD Biosciences)から単離した。指示される通り、CD40L
特異的Tn3又はmAb(クローン5c8)の存在下で16~18時間、96ウェル丸底
プレートにおいて、組換えmegaCD40L(100ng/ml、Enzo Bios
ciences)でPBMC(2.5~5.0×105細胞/ウェル)を刺激した。フロ
ーサイトメトリーを使用して、CD19+B細胞上のCD86の発現を評価した。以下の
抗体、CD86(クローン2331、BD Pharmingen)、CD19(クロー
ンHIB19、BD Pharmingen)を使用した。
【0078】
ヒトB細胞アッセイ
PBMCを単離した。MACS細胞分離技術(Miltenyi Biotec)を使
用して全B細胞をネガティブセレクションし、これにより95%を上回る純度を定常的に
得た。精製された末梢血B細胞を、最終容量が150μlの完全培地中で、96ウェル丸
底プレートでウェル当たりB細胞0.5~1.0×105の密度で培養した。B細胞実験
用の培地は、10%FCS、ペニシリン-ストレプトマイシン(100単位/mlのペニ
シリン、100μg/mlのストレプトマイシン)、2-メルカプトエタノール(55μ
M)、Lグルタミン(2mM)、及びHEPES(5mM)を補充したRPMI 164
0(Invitrogen)であった。培養を開始する際、抗IgM F(ab’)2(
5.0μg/ml、Jackson ImmunoResearch Laborato
ries)と共に、又はそれ無しで、IL-21(33ng/ml、PeproTech
Inc.)とmegaCD40L(1.5nM、Enzo Biosciences)
とを組み合わせてB細胞を刺激した。培養の3日目又は4日目に、製造業者の指示書に従
って、Cell Titer-Glo Luminescent Assay(Prom
ega)を使用してATPを測定することにより、B細胞増殖を定量化した。7日目にP
C分化をフローサイトメトリーによって定量化した。細胞を一定時間の間に得て、PCを
CD19+IgD-CD38hi細胞であると定義した。
【0079】
マウスSRBC免疫モデル
ビンから直接引き出した後、腹腔内注射により、0.2mlのSRBC(Colora
do Serum Company)でBalb/cマウス(Jackson Labo
ratories)を0日目に免疫した。対照(30mg/kg)又はCD40L特異的
Tn3(最高30mg/kg、指示通り)を、9~13日目に毎日投与した(静脈内)。
14日目に、脾臓の胚中心B細胞の発現頻度をフローサイトメトリーによって定量化した
。GC B細胞を、CD19+B220+Fas+PNA+B細胞であると定義した。
【0080】
血小板凝集アッセイ
ヒト血液を健康なドナーから採取し、クエン酸、ブドウ糖及びナトリウムを含有するA
CD溶液Bチューブに入れた。遠心分離後、多血小板血漿の2/3をポリプロピレンチュ
ーブに移し、処理の間に血小板が活性化するのを阻止するため、アピラーゼ(2U/ml
)と10分間インキュベートした。血小板をペレット化し、改変タイロードバッファ(1
37mMのNaCl、2.7mMのKCl、1mMのMgCl2、5.6mMのブドウ糖
、3.3mMのNaH2PO4、20mMのHEPES、0.1%のBSA、及びpH7
.4)中で再懸濁した。
【0081】
mAb(h5c8、若しくは陰性対照抗体)又は抗CD40L Tn3を、hCD40
L(293 Cell Source)と室温で5分間混合することにより、免疫複合体
(IC)を生成した。いくつかの実験では、ICを添加する前に、血小板を抗CD32a
抗体(IV.3)と5分間プレインキュベートした。4チャンネルの光学血小板アグリゴ
メーター(モデル700、Chrono-Log、Havertown,PA)において
37℃で撹拌しながら、製造業者の指示書に従って血小板凝集アッセイを実行した。洗浄
血小板をアゴニストと混合した後、光透過を12~20分間モニターした。
【0082】
Ph1a被験者及び試験デザイン
妊娠の可能性のない女性を含む18~49歳の健康な成人を対象に、第I相ランダム化
盲検プラセボ対照試験を実施した(NCT02151110)。現在の用量コホートから
の安全性及び忍容性データだけでなく、これまでの用量コホートから蓄積されたデータを
検討した治験実施計画書、及び用量漸増委員会(DEC:Dose Escalatio
n Committee)からの勧告に基づいて、被験者を7つの用量コホート(3、1
0、30、100、300、1000又は3000mg)にランダム化し、順次投与した
。1mgのKLHを2回に分けて皮下免疫を施すことにより、被験者にTDARを誘導し
た。VIB4920又はプラセボのいずれかを投与する14日前のスクリーニング期間に
1回目のKLHの免疫を施し、VIB4920又はプラセボのいずれかを投与した15日
後に2回目のKLHの免疫を施した。それぞれ、コホート5(300mg)、コホート6
(1000mg)及びコホート7(3000mg)のすべての被験者が43日目に終了し
たときに、実施計画書に従って中間解析を3回行った。
【0083】
VIB4920のPKアッセイ
有効性の確認されたサンドイッチELSA法を使用して、ヒトK2EDTA血漿中のV
IB4920を測定したが、ここで、1×PBS/0.1%Tween20(PBST)
による洗浄工程を各インキュベーションの後に行い、結合しなかった構成成分を除去した
。要約すると、Nuncマイクロタイタープレートを2~8℃で一晩、1μg/mLの抗
VIB4920マウスモノクローナル抗体(MedImmune)でコートした。スタン
ダード、クオリティコントロール(QC)、及びVIB4920を含有する試料を、プレ
ートに添加する前に、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)/PBST中で1:50の
最小希釈倍率(MRD)による方法で希釈した。2時間インキュベートした後、ビオチン
標識されている抗VIB4920ラット抗体(MedImmune)1μg/mLをプレ
ートに添加し、1時間インキュベートした。ストレプトアビジンに結合した西洋ワサビペ
ルオキシダーゼ(HRP、GE Healthcare)と、SureBlue(商標)
テトラメチルベンジジン(TMB)ペルオキシダーゼ基質(KPL,Inc.)とを連続
してインキュベートすることにより、結合複合体を視覚化した。マイクロプレートリーダ
ーの450nmにおける分析の前に、0.2Mの硫酸によって発色現像を停止した。量的
範囲は0.05~1.60μg/mLであった;量的範囲を上回る測定値の試料は、プー
ルしたK2EDTA血漿によって希釈し、本方法の測定可能な範囲内の濃度とした。
【0084】
sCD40Lの定量化
スクリーニング期間、並びに1日目、2日目、3日目、5日目、8日目、15日目、2
2日目、29日目、43日目、57日目、85日目、及び113日目にsCD40L濃度
を測定するために、血漿試料を採取した。プログラムのニーズに合うように改変され、精
度及び精密さを保証するのに適格なヒトsCD40L Platinum ELISAキ
ット(eBioscience)を使用して、ヒトK2EDTA血漿中の全可溶性CD4
0L(遊離sCD40L及びVIB4920と結合したsCD40L)を測定した。要約
すると、結果を確実に比較可能で整合的なものとするために、スタンダード、QC、及び
sCD40Lを含有する試料を、0.5%BSA/PBST及びVIB4920含有アッ
セイ希釈液中で1:50のMRDによる方法で希釈した。PBSTによる洗浄工程を各イ
ンキュベーションの後に行い、結合しなかった構成成分を除去した。希釈した試料を、抗
sCD40L抗体でプレコートしたプレートに添加し、1.5時間インキュベートした。
次いで、HRP結合抗ヒトsCD40Lを添加し、コートした抗体によって捕捉されたs
CD40Lと結合させた。マイクロプレートリーダーの450nm及び540nmにおけ
る分析の前に、TMBペルオキシダーゼ基質及び停止液(リン酸)を連続して添加するこ
とにより、結合複合体を視覚化した。量的範囲は6.25~400.00ng/mLであ
った;量的範囲を上回る測定値の試料は、プールしたK2EDTA血漿によって希釈し、
本方法の測定可能な範囲内の濃度とした。
【0085】
ADAの測定
有効性の確認されたサンドイッチELISA法を使用して、ヒトK2EDTA血漿中の
VIB4920に対するADAの存在を測定したが、ここで、PBSTによる洗浄工程を
各インキュベーションの後に行い、結合しなかった構成成分を除去した。要約すると、Q
C及び試料を、0.5%BSA/PBST含有アッセイ希釈液中で1:60のMRDによ
る方法で希釈し、洗浄したPierce(商標)ProteinGコート済みプレート(
ThermoFisher)に添加して2時間インキュベートした。アッセイ希釈液中で
調製した、ビオチン標識した1μg/mLのVIB4920を一晩インキュベートするこ
とにより、VIB4920に対するADAが特異的に検出された。ストレプトアビジンに
結合したHRP(GE Healthcare)と、SureBlue(商標)TMBペ
ルオキシダーゼ基質(KPL,Inc.)とを連続してインキュベートすることにより、
結合複合体を視覚化した。マイクロプレートリーダーの450nmにおける分析の前に、
0.2Mの硫酸によって発色現像を停止した。各試料を3段階のプロセスに供したが、こ
の場合、試料反応を統計学的に決定されたカットオフOD値と最初に比較し、それ以上で
は試料がADA陽性である可能性があると見なし、それを下回ると試料がADA陰性であ
ると判断する。陽性である可能性のある試料を、良好なVIB4920の存在下で2回目
の競合評価に供した。つまり、統計学的に決定された確認カットポイント以上の阻害率を
有する試料を、陽性であることが確認されたと定義して、力価の評価を行った。確認カッ
トポイントを下回る試料を、VIB4920に対するADAが陰性であると見なした。プ
ールしたヒトK2EDTA血漿中の力価試料を、スクリーニングカットオフを下回るまで
段階的に希釈し、力価の結果を、陰性と測定する前に試料を陽性と測定した際の最高希釈
の逆数として報告した。
【0086】
抗KLH抗体の評価
有効性の確認されたサンドイッチELISA法を使用して、ヒト血清中の抗キーホール
リンペットヘモシアニン(KLH)IgG抗体を測定したが、ここで、PBSTによる洗
浄工程を各インキュベーションの後に行い、結合しなかった構成成分を除去した。すべて
の工程で100μL容量/ウェルを使用した。要約すると、nuncマイクロタイタープ
レートを、2~8℃で一晩、1×PBS(pH 7.2)中で調製した3μg/mLのK
LH(Immucothel、biosyn Arzneimittel GmbH)で
コートした。様々なアイソタイプ及び親和性を有する9つのモノクローナル抗-KLH
IgG抗体の混合物(AstraZeneca)から構成されるスタンダード及びQCと
、抗KLH抗体を含有する試料とを、プレートに添加する前に、0.5%BSA/PBS
T中で1:250のMRDによる方法で希釈した。2時間インキュベートした後、HRP
結合マウス抗ヒトIgG(Invitrogen)をプレートに添加し、1時間インキュ
ベートして抗KLH IgG抗体を特異的に検出した。マイクロプレートリーダーの45
0nmにおける分析の前に、TMBペルオキシダーゼ基質及び停止液(0.2M硫酸)を
連続して添加することにより、結合複合体を視覚化した。量的範囲は163.30~10
000.00ng/mLであった。量的範囲を上回る測定値の試料は、血清によって希釈
し、本方法の測定可能な範囲内の濃度とした。
【0087】
Ph1aにおけるフローサイトメトリー
Cytochex BCTチューブ(Streck)に血液を採取し、Covance
Central Laboratory Services(Indianapoli
s,IN)に発送し、有効性が確認された方法を使用して、フローサイトメトリーにより
試験した。要約すると、CD45(クローンHI30)、CD19(クローンHIB19
)、IgD(クローンIA6-2)、CD27(クローンM-T271)、及びCD38
(クローンHIT2、すべてBD)に対して細胞を蛍光色素標識抗体で染色し、B細胞集
団を同定した。続いて、細胞をFACSPerm2(Becton Dickenson
)で処置し、細胞内のKi67(クローンKI67、Biolegend)の発現を染色
して、増殖細胞を測定した。
【0088】
PCシグネチャー
PC遺伝子シグネチャーを上述したように測定した(Streicher 2014)
。要約すると、PAXgene Blood RNAキット(Qiagen)を使用して
、PAXgene採血管からトータルRNAを抽出した。SuperScript II
I First-Strand Synthesis SuperMixキット(Lif
e Technologies)及びランダムプライマーを使用して、TaqMan q
PCR用のcDNAを生成した。TaqMan Pre-Amp Master Mix
キットを使用して試料を調製し、BioMark Real-Time PCR Sys
temで分析した。本発明者らは、2つの参照遺伝子(β-アクチン及びGAPDH)、
及び対照として各患者のベースラインの発現レベルの平均値を使用して、ΔΔCt値を算
出した。2-ΔΔCtを算出することによって、倍数変化値を求めた。
【0089】
Ph1a患者及び試験デザイン
試験に参加する前の少なくとも6ヵ月間、EULAR/ACR基準(Aletaha
et al.2010)に従ってRAと診断された18~70歳の患者を対象とした第I
b相ランダム化盲検プラセボ対照試験を実施した。被験者は、スクリーニング時点で少な
くとも3.2のDAS28-CRPスコアと、スクリーニング及びランダム化時点で少な
くとも4つの腫脹関節、及び4つの圧痛関節とによって定義されるような、中等度から重
度の活動性を有していた。患者は、スクリーニング時点でリウマトイド因子(RF-Ig
M≧14単位/mL)、又は抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)のいずれかが陽性
であった。患者は、1週当たり7.5~25mgの用量でメトトレキサート(MTX)を
受けるか、又はMTX不耐性の場合には、スクリーニングの少なくとも12週間前、及び
安定用量で少なくとも6週間前に、異なる従来のDMARDを開始した。本発明者らの試
験のランダム化の前に適切なウォッシュアウトを行った場合に、RAに与えられた生物学
的製剤によるこれまでの治療(リツキシマブ又は他のB細胞除去剤を除く)を許容した。
隔週で12週間、静脈内注入によるプラセボ(n=15)又はVIB4920(75mg
n=8;500mg n=10;1000mg n=12;又は1500mg n=1
2)で患者を処置し、その後、治療後の観察を12週間行った。VECTRA-DAスコ
アの測定をCrescendo Bioscience(San Francisco,
CA)によって実行し、RF自己抗体の測定をCovance Central Lab
oratories Services(Princeton,NJ)によって実行した
。
【0090】
統計分析
両側独立スチューデントt検定を使用して、SRBCモデルにおける一次ヒトB細胞増
殖、血漿分化、及びGC B細胞反応に対する処置の影響を評価した。マン・ホイットニ
ーU検定を使用して、遺伝子シグネチャースコアについて複数の時点でVIB4920を
プラセボと比較した(
図9C)。統計的検定及びプロットは、Graphpad Pri
smソフトウェアを使用して行った。用量反応に事前に特定した3つの候補モデル(線形
、Emax、及びHill-Emaxモデル)を有し、対応するベースラインを共変量と
して含むMCP-Mod手法を用いて、85日目のDAS28-CRP及びRFのベース
ラインからの変化に対する用量反応を分析した。用量反応シグナルの検定を多重性につい
て調整し、ファミリーワイズエラー率を0.10レベルに制御した。赤池情報量規準に基
づいて、有意であると示されたモデルの中から最終的なモデルを選択した。対応するベー
スライン結果が共変量として含まれた反復測定による混合効果モデル(MMRM)分析を
使用して、DAS28-CRP、RF、Vectra DA、CDAI、圧痛関節数、腫
脹関節数、患者及び医師による全般評価、並びに血清CRPにおけるベースラインからの
変化を分析した。
【0091】
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