IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

特開2024-153753車両用灯具、レーダモジュール、レーダ及び車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153753
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】車両用灯具、レーダモジュール、レーダ及び車両
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20241022BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20241022BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20241022BHJP
   F21S 43/241 20180101ALI20241022BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241022BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20241022BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241022BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241022BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20241022BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20241022BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20241022BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20241022BHJP
【FI】
B60Q1/26 Z
G01S7/03 246
B60Q1/34 Z
F21S43/241
F21S43/14
F21W103:55
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W103:45
F21W103:35
F21W103:20
F21W103:10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024120363
(22)【出願日】2024-07-25
(62)【分割の表示】P 2021545570の分割
【原出願日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2019164750
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019183068
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019183069
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019183070
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019186787
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019206320
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019206321
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019207074
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019216675
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020088267
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】桂田 善弘
(72)【発明者】
【氏名】綿野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】久保山 治
(72)【発明者】
【氏名】堀川 彰仁
(72)【発明者】
【氏名】菊池 洸成
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ミリ波レーダ等のレーダが搭載された車両用灯具の外観のデザイン性をさらに向上させる。
【解決手段】左側車両用灯具(2L)は、ランプハウジング(14)と、ランプハウジング(14)の開口部を覆うランプカバー(12)と、ランプハウジング(14)とランプカバー(12)とによって形成された灯室(S)内に配置された照明ユニット(3,4)と、電波を車両の外部に向けて出射することで前記車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されたレーダ(5)と、レーダ(5)の少なくとも一部を前記車両の外部から隠蔽するようにレーダ(5)に対向するように配置され、レーダ(5)から出射された電波を通過させるように構成された導光部材(6)と、を備える。レーダ(5)は、灯室(S)外に配置される。導光部材(6)は、前記車両の外部に向けて光を出射するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプハウジングと、
前記ランプハウジングの開口部を覆うランプカバーと、
前記ランプハウジングと前記ランプカバーとによって形成された灯室内に配置されると共に、電波を車両の外部に向けて出射することで前記車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されたレーダと、
前記レーダに対向するように前記灯室内に配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された第1導光部材と、
前記レーダに対向するように前記灯室内に配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された第2導光部材と、を備え、
前記第1導光部材は、前記車両の外部に向けて第1の光を出射するように構成され、
前記第2導光部材は、前記車両の外部に向けて第2の光を出射するように構成される、車両用灯具。
【請求項2】
前記灯室内に配置され、前記第1導光部材に向けて前記第1の光を出射するように構成された第1光源と、
前記灯室内に配置され、前記第2導光部材に向けて前記第2の光を出射するように構成された第2光源と、をさらに備える、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1導光部材及び前記第2導光部材は、前記車両の走行に関連する情報を前記車両の外部に向けて提示するように構成されたランプ又はデイタイム・ランニング・ランプ(DRL)として機能し、
前記第1導光部材が機能するランプと前記第2導光部材が機能するランプとは互いに異なる、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1導光部材は、
前記レーダに対向する第1面と、
前記第1面とは反対側に位置する第2面と、
前記第1面及び前記第2面のうちの少なくとも一方に形成された複数の第1ステップと、を有し、
前記複数の第1ステップは、前記第1導光部材の内部を伝搬する前記第1の光を前記車両の外部に向けて出射するように構成され、
前記第2導光部材は、
前記レーダに対向する第3面と、
前記第3面とは反対側に位置する第4面と、
前記第3面と前記第4面のうちの少なくとも一方に形成された複数の第2ステップと、を有し、
前記複数の第2ステップは、前記第2導光部材の内部を伝搬する前記第2の光を前記車両の外部に向けて出射するように構成され、
前記車両用灯具を正面から見たときに、前記複数の第1ステップと前記複数の第2ステップは互いに重ならない、請求項1から3のうちいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記複数の第1ステップは、前記第1導光部材上に第1光学パターンを形成するように構成され、
前記複数の第2ステップは、前記第2導光部材上に第2光学パターンを形成するように構成される、請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第2導光部材は、前記第1導光部材を介して前記レーダに対向している、請求項1から5のうちいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第1導光部材と前記第2導光部材との間に設けられ、不透明な樹脂部材から形成された仕切部材をさらに備え、
前記第1導光部材と前記第2導光部材は、前記仕切部材を介して互いに一体的に形成されている、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記第1導光部材と前記仕切部材との間の境界において凸部が形成されていないと共に、前記第2導光部材と前記仕切部材との間の境界において凸部が形成されていない、請求項7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記第1導光部材の厚さt1は、式(1)により規定され、
前記第2導光部材の厚さt2は、式(2)により規定されている、
請求項1から8のうちいずれか一項に記載の車両用灯具。

t1=λ/(2εr1 1/2)×n・・・(1)
t2=λ/(2εr2 1/2)×n・・・(2)

ここで、λは前記レーダから出射される電波の波長、εr1は前記第1導光部材の比誘電率、εr2は前記第2導光部材の比誘電率、nは1以上の整数である。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一項に記載の車両用灯具を備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具、レーダモジュール、レーダ及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の外部の周辺環境を示すデータを取得するように構成されたミリ波レーダ等のレーダを車両用灯具に搭載する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1では、車両用灯具の灯室内にミリ波レーダが配置されると共に、ミリ波レーダを車両の外部から隠蔽するために透明なランプカバーの一部に不透明な意匠部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-137758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された車両用灯具では、透明なランプカバーに設けられた不透明な意匠部によって灯室内に配置されたミリ波レーダを隠蔽することができるものの、車両用灯具の外観のデザイン性が当該意匠部によって低下してしまうといった課題がある。このように、ミリ波レーダ等のレーダが搭載された車両用灯具の外観のデザイン性をさらに向上させる点について検討する余地がある。
【0005】
本開示は、レーダが搭載された車両用灯具の外観のデザイン性をさらに向上させることを目的とする。さらに、本開示は、レーダモジュール及びレーダの外観のデザイン性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車両用灯具は、
ランプハウジングと、
前記ランプハウジングの開口部を覆うランプカバーと、
前記ランプハウジングと前記ランプカバーとによって形成された灯室内に配置された照明ユニットと、
電波を車両の外部に向けて出射することで前記車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されたレーダと、
前記レーダの少なくとも一部を前記車両の外部から隠蔽するように前記レーダに対向するように配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された導光部材と、を備える。
前記レーダは、前記灯室外に配置される。前記導光部材は、前記車両の外部に向けて光を出射するように構成されている。
【0007】
上記構成によれば、導光部材によってレーダの少なくとも一部を車両の外部から隠蔽することができると共に、導光部材から光が外部に向けて出射される。このように、導光部材によって車両用灯具の外観のデザイン性を高めることが可能となる。さらに、レーダが灯室外に配置されているため、灯室内に配置された照明ユニットから発生した熱によってレーダの動作性能が悪影響を受けることが好適に防止されうる。
このように、車両用灯具の外観のデザイン性を高めると共に、車両用灯具に搭載されたレーダの信頼性を高めることが可能となる。
【0008】
本開示の一態様に係る車両用灯具は、
ランプハウジングと、
前記ランプハウジングの開口部を覆うランプカバーと、
前記ランプハウジングと前記ランプカバーとによって形成された灯室内に配置された照明ユニットと、
電波を車両の外部に向けて出射することで前記車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように前記灯室外に配置されたレーダの少なくとも一部を前記車両の外部から隠蔽するように前記レーダに対向するように配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された導光部材と、を備える。
前記導光部材は、前記車両の外部に向けて光を出射するように構成されている。
【0009】
本開示の一態様に係る車両用灯具は、
ランプハウジングと、
前記ランプハウジングの開口部を覆うランプカバーと、
前記ランプハウジングと前記ランプカバーとによって形成された灯室内に配置された照明ユニットと、
電波を車両の外部に向けて出射することで前記車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されたレーダと、
前記レーダの少なくとも一部を前記車両の外部から隠蔽するように前記レーダに対向するように配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された導光部材と、を備える。
前記導光部材は、
前記車両の外部に向けて光を出射するように構成された光出射部と、
前記光出射部と一体的に形成され、不透明な樹脂から形成された着色樹脂部と、
を有する。
前記光出射部は、
前記レーダに対向する第1面と、
前記第1面とは反対側に位置する第2面と、
前記第1面及び前記第2面のうちの少なくとも一方に形成された複数のステップと、
を有する。
前記複数のステップは、前記導光部材の内部を伝搬する光を前記車両の外部に向けて出射するように構成される。
前記光出射部と前記着色樹脂部との境界において凸部が形成されていない。
【0010】
上記構成によれば、導光部材によってレーダの少なくとも一部を車両の外部から隠蔽することができる。さらに、導光部材の光出射部が車両の外部に向けて光を出射すると共に、光出射部と一体的に形成された着色樹脂部によって導光部材のデザイン性をさらに高めることが可能となる。このように、導光部材によって車両用灯具の外観のデザイン性をさらに向上させることが可能となる。
【0011】
さらに、導光部材を構成する光出射部と着色樹脂部との境界において凸部が形成されていない。このため、当該境界がレーダの視野内に存在する場合であっても、導光部材によって反射された反射電波がレーダデータに悪影響を与えることが好適に防止されうる。このように、光出射部と着色樹脂部を有する導光部材がレーダデータの信頼性に悪影響を与えることが好適に防止されうる。
【0012】
本開示の一態様に係る車両用灯具は、
ランプハウジングと、
前記ランプハウジングの開口部を覆うランプカバーと、
前記ランプハウジングと前記ランプカバーとによって形成された灯室内に配置された照明ユニットと、
電波を車両の外部に向けて出射することで前記車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されたレーダと、
前記レーダの少なくとも一部を前記車両の外部から隠蔽するように前記レーダに対向するように配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された導光部材と、を備える。
前記導光部材は、前記車両の外部に向けて光を出射するように構成されていると共に、前記ランプカバーと一体的に形成されている。
前記導光部材は、
前記レーダに対向する第1面と、
前記第1面とは反対側に位置する第2面と、
前記第1面及び前記第2面のうちの少なくとも一方に形成された複数のステップと、
を有する。
前記複数のステップは、前記導光部材の内部を伝搬する光を前記車両の外部に向けて出射するように構成されている。
【0013】
上記構成によれば、導光部材によってレーダの少なくとも一部を車両の外部から隠蔽することができると共に、導光部材から光が外部に向けて出射される。このように、導光部材によって車両用灯具の外観のデザイン性を高めることが可能となる。さらに、導光部材がランプカバーと一体的に形成されているため、導光部材を車両用灯具に取り付ける手間を省くことができると共に、導光部材とランプカバーの一体化によって車両用灯具の外観のデザイン性をさらに向上させることが可能となる。
【0014】
本開示の一態様に係る車両用灯具は、
ランプハウジングと、
前記ランプハウジングの開口部を覆うランプカバーと、
前記ランプハウジングと前記ランプカバーとによって形成された灯室内に配置された照明ユニットと、
電波を車両の外部に向けて出射することで前記車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されたレーダと、
前記レーダの少なくとも一部を前記車両の外部から隠蔽するように前記レーダに対向するように配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された導光部材と、を備える。
前記導光部材は、前記車両の外部に向けて光を出射するように構成される。
前記導光部材は、
前記レーダに対向する第1面と、
前記第1面とは反対側に位置する第2面と、
前記第1面及び前記第2面のうちの少なくとも一方に形成された複数のステップと、
を有する。
前記複数のステップは、前記導光部材の内部を伝搬する光を前記車両の外部に向けて出射するように構成される。
前記導光部材の第1面に加飾フィルムが設けられる。
前記加飾フィルムは、前記レーダから出射された電波を透過させると共に、前記レーダの少なくとも一部を隠蔽するように構成される。
前記加飾フィルムは、金属材料を含まない。
【0015】
上記構成によれば、導光部材と加飾フィルムによってレーダの少なくとも一部を車両の外部から隠蔽することができると共に、導光部材から光が外部に向けて出射される。このように、導光部材の発光によって車両用灯具の外観のデザイン性を高めることが可能となる。
また、導光部材が発光していない場合であっても加飾フィルムによってレーダを車両の外部から隠蔽することができるため、導光部材の発光に関係なくレーダを車両の外部から確実に隠蔽することが可能となる。
【0016】
さらに、加飾フィルムは、金属材料を含まないため、レーダから出射された電波に悪影響を及ぼすことが防止されうる。このため、加飾フィルムによってレーダデータの信頼性が低下することが好適に防止されうる。
【0017】
本開示の一態様に係る車両用灯具に搭載されるレーダモジュールは、
電波を車両の外部に向けて出射することで前記車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されたレーダと、
前記レーダを前記車両の外部から隠蔽するように前記レーダに対向するように配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された導光部材と、
前記導光部材に固定されると共に、前記レーダを支持するように構成された支持部材と、を備える。
前記導光部材は、前記車両の外部に向けて光を出射するように構成されている。
【0018】
上記構成によれば、導光部材によってレーダの少なくとも一部を車両の外部から隠蔽することができると共に、導光部材から光が外部に向けて出射される。このように、導光部材によってレーダモジュールの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0019】
本開示の一態様に係る車両は、
ランプハウジングと、
前記ランプハウジングの開口部を覆うランプカバーと、
前記ランプハウジングと前記ランプカバーとによって形成された灯室内に配置された照明ユニットと、を備えた車両用灯具と、
前記車両用灯具に搭載されたレーダモジュールと、
を備えてもよい。
【0020】
本開示の一態様に係る車両用灯具は、
ランプハウジングと、
前記ランプハウジングの開口部を覆うランプカバーと、
前記ランプハウジングと前記ランプカバーとによって形成された灯室内に配置された照明ユニットと、
前記灯室内に配置されると共に、車両の周辺環境を示すセンサデータを取得するように構成された少なくとも一つのセンサと、
電波を車両の外部に向けて出射することで前記車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されたレーダと、
前記レーダの少なくとも一部を前記車両の外部から隠蔽するように前記レーダに対向するように配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された導光部材と、を備える。
前記導光部材は、前記車両の外部に向けて光を出射するように構成される。
前記導光部材は、
前記レーダに対向する第1面と、
前記第1面とは反対側に位置する第2面と、
前記第1面及び前記第2面のうちの少なくとも一方に形成された複数のステップと、
を有する。
前記複数のステップは、前記導光部材の内部を伝搬する光を前記車両の外部に向けて出射するように構成されている。
【0021】
上記構成によれば、導光部材によってレーダの少なくとも一部を車両の外部から隠蔽することができると共に、導光部材からの光が車両の外部に向けて出射される。このように、導光部材により、少なくとも一つのセンサとレーダとが搭載された車両用灯具の外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0022】
本開示の一態様に係る車両用灯具は、
ランプハウジングと、
前記ランプハウジングの開口部を覆うランプカバーと、
前記ランプハウジングと前記ランプカバーとによって形成された灯室内に配置されると共に、電波を車両の外部に向けて出射することで前記車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されたレーダと、
前記レーダに対向するように前記灯室内に配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された第1導光部材と、
前記レーダに対向するように前記灯室内に配置され、前記レーダから出射された電波を通過させるように構成された第2導光部材と、
を備える。
前記第1導光部材は、前記車両の外部に向けて第1の光を出射するように構成される。
前記第2導光部材は、前記車両の外部に向けて第2の光を出射するように構成される。
【0023】
上記構成によれば、第1導光部材と第2導光部材の2つの導光部材の発光によってレーダを車両の外部から隠蔽することができる。このように、2つの導光部材によってレーダを搭載する車両用灯具の外観のデザイン性をさらに向上させることができる。
【0024】
本開示の一態様に係るレーダは、
レーダハウジングと、
前記レーダハウジングの開口部を覆う発光レドームと、
前記レーダハウジングと前記発光レドームとによって形成された空間内に配置された第1回路基板と、
前記第1回路基板上に配置されると共に、電波をレーダの外部に向けて送信するように構成された送信アンテナと、前記レーダの外部に存在する対象物によって反射された反射電波を受信するように構成された受信アンテナとを有するアンテナ部と、
前記空間内に配置されると共に、前記第1回路基板に電気的に接続された第2回路基板と、
前記第2回路基板上に配置されると共に、前記発光レドームに向けて光を出射するように構成された少なくとも一つの光源と、
を備える。
前記発光レドームは、
前記第1回路基板に対向する第1面と、
前記第1面とは反対側に位置する第2面と、
前記第1面及び前記第2面のうちの少なくとも一方に形成された複数のステップと、
を有する。
前記複数のステップは、前記発光レドームの内部を伝搬する光を前記レーダの外部に向けて出射するように構成される。
【0025】
上記構成によれば、発光レドームに形成された複数のステップによって光がレーダの外部に向けて出射される。このように、外部に向けて光を出射する発光レドームによりレーダの外観のデザイン性を高めることが可能となる。例えば、レーダが車両に搭載される場合において、レーダ自体を車両の外観のデザイン性を高めるための装飾用部材として積極的に活用することができる。
【0026】
上記車両用灯具を備えた車両が提供されてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、レーダが搭載された車両用灯具の外観のデザイン性をさらに向上させることができる。さらに、本開示によれば、レーダモジュール及びレーダの外観のデザイン性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】左側車両用灯具及び右側車両用灯具を備えた車両を後方から見た図である。
図2】左側車両用灯具の縦断面図である。
図3図2に示すレーダの付近を拡大して示す拡大縦断面図である。
図4】(a)は、導光部材の光出射部に形成された複数のステップを示す正面図である。(b)は、光出射部に形成されたステップが凹部である場合の導光部材の一部を示す断面図である。(c)は、光出射部に形成されたステップが凸部である場合の導光部材の一部を示す断面図である。
図5】導光部材及びレーダのみを概略的に示す正面図である。
図6】導光部材の光出射部によって反射された反射電波を示す図である。
図7】レーダに対向するランプハウジングの下方延出部によって反射された反射電波を示す図である。
図8】導光部材の光出射部に対向するランプカバーの下方光透過部によって反射された反射電波を示す図である。
図9】第1実施形態の変形例に係る左側車両用灯具の縦断面図である。
図10】左側車両用灯具及び右側車両用灯具を備えた車両を後方から見た図である。
図11】左側車両用灯具の縦断面図である。
図12図11に示すレーダの付近を拡大して示す拡大縦断面図である。
図13】(a)は、導光部材の光出射部に形成された複数のステップを示す正面図である。(b)は、光出射部に形成されたステップが凹部である場合の導光部材の一部を示す断面図である。(c)は、光出射部に形成されたステップが凸部である場合の導光部材の一部を示す断面図である。
図14】導光部材及びレーダのみを概略的に示す正面図である。
図15】(a)は、本実施形態に係る導光部材の光出射部と着色樹脂部との境界付近を示す図である。(b)は、比較例に係る導光部材の光出射部と着色樹脂部との境界付近を示す図である。
図16】導光部材の光出射部によって反射された反射電波を示す図である。
図17】左側車両用灯具及び右側車両用灯具を備えた車両を後方から見た図である。
図18】左側車両用灯具の縦断面図である。
図19図18に示すレーダの付近を拡大して示す拡大縦断面図である。
図20】(a)は、導光部材の光出射部に形成された複数のステップを示す正面図である。(b)は、光出射部に形成されたステップが凹部である場合の導光部材の一部を示す断面図である。(c)は、光出射部に形成されたステップが凸部である場合の導光部材の一部を示す断面図である。
図21】導光部材及びレーダのみを概略的に示す正面図である。
図22】導光部材の光出射部によって反射された反射電波を示す図である。
図23】左側車両用灯具及び右側車両用灯具を備えた車両を後方から見た図である。
図24】左側車両用灯具の縦断面図である。
図25図24に示すレーダの付近を拡大して示す拡大縦断面図である。
図26】加飾フィルムの層構造の一例を示す図である。
図27】左側車両用灯具とレーダモジュールとを概略的に示した垂直方向断面図である。
図28】レーダモジュールを拡大して示した垂直方向断面図である。
図29】(a)は、導光部材の光出射部に形成された複数のステップを示す正面図である。(b)は、光出射部に形成されたステップが凹部である場合の光出射部の一部を示す断面図である。(c)は、光出射部に形成されたステップが凸部である場合の光出射部の一部を示す断面図である。
図30】導光部材の光出射部に形成された光学パターンの一例を示す図である。
図31】回路基板に配置された第1光源及び第2光源を示す図である。
図32】第6実施形態に係る左側車両用灯具及び右側車両用灯具を備えた車両の正面図である。
図33】(a)は、左側車両用灯具を示す正面図である。(b)は、左側車両用灯具の水平方向断面図である。
図34】(a)は、導光部材に形成された複数のステップを示す正面図である。(b)は、導光部材に形成されたステップが凹部である場合の導光部材の一部を示す断面図である。(c)は、導光部材に形成されたステップが凸部である場合の導光部材の一部を示す断面図である。
図35】導光部材に形成された光学パターンを概略的に示す正面図である。
図36】第7実施形態に係る左側車両用灯具を示す正面図である。
図37図36に示すA-A線に沿って切断された左側車両用灯具の垂直方向断面図である。
図38図37に示すレーダの付近を拡大して示す垂直方向断面図である。
図39】導光部材に形成された光学パターンを概略的に示す正面図である。
図40】第8実施形態に係る左側車両用灯具及び右側車両用灯具を備えた車両を後方から見た図である。
図41】第8実施形態に係る左側車両用灯具を概略的に示す縦断面図である。
図42】(a)は、第1導光部材に形成された複数のステップを示す正面図である。(b)は、第1導光部材に形成されたステップが凹部である場合の第1導光部材の一部を示す断面図である。(c)は、第1導光部材に形成されたステップが凸部である場合の第1導光部材の一部を示す断面図である。
図43】(a)は、第2導光部材に形成された第2光学パターンの一例を示す図である。(b)は、第1導光部材に形成された第1光学パターンの一例を示す図である。
図44】第8実施形態の変形例に係る左側車両用灯具を概略的に示す縦断面図である。
図45】第9実施形態に係る左側車両用灯具及び右側車両用灯具を備えた車両を後方から見た図である。
図46】第9実施形態に係る左側車両用灯具を概略的に示す縦断面図である。
図47】第1導光部材に形成された第1光学パターンの一例と第2導光部材に形成された第2光学パターンの一例とを示す図である。
図48】左側車両用灯具及び右側車両用灯具を備えた車両を前方から見た図である。
図49】左側車両用灯具を概略的に示した水平方向断面図である。
図50】本実施形態に係るレーダを概略的に示した断面図である。
図51】(a)は、発光レドームの光出射部に形成された複数のステップを示す正面図である。(b)は、光出射部に形成されたステップが凹部である場合の光出射部の一部を示す断面図である。(c)は、光出射部に形成されたステップが凸部である場合の光出射部の一部を示す断面図である。
図52】(a)は、第2回路基板に搭載されたレーダの構成部品の一例を示す図である。(b)は、第2回路基板に搭載されたレーダの構成部品の他の一例を示す図である。
図53】発光レドームの光出射部に形成された発光パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0030】
本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。尚、図1では「前後方向」は示されていないが、「前後方向」は、左右方向及び上下方向に垂直な方向である。
【0031】
また、本実施形態では、車両1の「水平方向」について言及されるが、「水平方向」は、上下方向(垂直方向)に垂直な方向であって、左右方向と前後方向を含む方向である。さらに、本実施形態では、右側車両用灯具2R及び左側車両用灯具2Lについて設定された方向(左右方向、上下方向、前後方向)は、車両1に設定された方向(左右方向、上下方向、前後方向)に一致するものとする。
【0032】
最初に、図1を参照して本実施形態に係る車両1について説明する。図1は、左側車両用灯具2Lと右側車両用灯具2Rを備えた車両1を後方から見た図である。図1に示すように、車両1の左後側に左側車両用灯具2Lが配置されていると共に、車両1の右後側に右側車両用灯具2Rが配置されている。左側車両用灯具2L及び右側車両用灯具2Rの各々は、レーダ5を備える。
【0033】
本実施形態では、左側車両用灯具2L及び右側車両用灯具2Rは、リアランプとして機能する。また、左側車両用灯具2L及び右側車両用灯具2Rは同様の構成を備えているものとする。したがって、以降の説明では、左側車両用灯具2Lの具体的構成について図2を参照して説明する。
【0034】
尚、説明の便宜上、左側車両用灯具2Lと右側車両用灯具2Rを総称して単に「車両用灯具2」という場合がある。また、本実施形態では、リアランプとして機能する車両用灯具2について説明をするが、車両用灯具2は、車両1の前面に配置されると共に、レーダ5が搭載されたヘッドランプであってもよい。
【0035】
図2は、左側車両用灯具2Lの縦断面図(上下方向における断面図)を示す。図2に示すように、左側車両用灯具2Lは、ランプハウジング14と、ランプハウジング14の開口部を覆うランプカバー12と、2つの照明ユニット3,4と、レーダ5と、導光部材6とを備える。
【0036】
ランプハウジング14は、例えば、ポリプロピレンやAAS樹脂(耐候性ABS樹脂)等の不透明な樹脂材料により形成されてもよい。ランプハウジング14は、前後方向において導光部材6とレーダ5との間に配置された下方延出部140を有する。下方延出部140は、レーダ5の視野F内に存在するため、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。
【0037】
ランプカバー12は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の樹脂材料により形成されている。ランプカバー12は、中央光透過部124と、中央光透過部124と一体的に形成され、下方向に延びる下方光透過部123と、中央光透過部124と一体的に形成され、上方向に延びる上方延出部125とを有する。
【0038】
中央光透過部124は、照明ユニット3,4に対向すると共に、照明ユニット3,4から出射された光を透過させるように構成される。照明ユニット3,4の各々がテールランプ及びストップランプのうちのいずれか一方である場合に、中央光透過部124は、赤色で着色された樹脂材料により形成されてもよい。また、照明ユニット3がテール&ストップランプとして構成される一方で、照明ユニット4がターンシグナルランプ又はバックランプとして構成される場合には、照明ユニット3に対向する中央光透過部124の部分は、赤色で着色された樹脂材料により形成されてもよい。さらに、照明ユニット4に対向する中央光透過部124の部分は、透明樹脂材料により形成されてもよい。
【0039】
下方光透過部123は、例えば、二色成形によって中央光透過部124と一体的に形成されている。下方光透過部123は、導光部材6に対向しており、導光部材6から出射された光を透過するように構成されている。さらに、下方光透過部123は、レーダ5の視野F内に存在するため、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。下方光透過部123は、例えば、透明樹脂材料により形成されている。上方延出部125も、二色成形によって中央光透過部124と一体的に形成されてもよい。
【0040】
2つの照明ユニット3,4は、ランプハウジング14とランプカバー12とによって形成された灯室S内に配置されており、車両1の後方に向けて光を出射するように構成されている。照明ユニット3,4の各々は、テールランプ、ストップランプ、テール&ストップランプ、ターンシグナルランプ及びバックランプのうちの少なくとも一つとして機能する。
【0041】
レーダ5は、灯室S外に配置されており、車両1の外部に向けて電波(例えば、ミリ波やマイクロ波)を出射することで車両1の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されている。本実施形態では、レーダ5は、車両1の後方に向けて電波を出射することで車両1の後方領域を示すレーダデータを取得するように構成されている。レーダ5は、例えば、ミリ波レーダ又はマイクロ波レーダである。図示しない車両制御部(車載コンピュータ)は、レーダ5から出力されたレーダデータに基づいて、車両1の周辺環境(特に、車両1の外部に存在する対象物に関する情報)を特定するように構成されている。
【0042】
レーダ5は、アンテナ部52と、通信回路部(図示せず)と、ハウジングと、レドームとを有する。アンテナ部52は、電波(例えば、波長が1mmから10mmのミリ波)を空中に放射するように構成された送信アンテナと、対象物によって反射された反射電波を受信するように構成された受信アンテナとを備える。送信アンテナから放射された放射電波が他車両等の対象物によって反射された上で、対象物からの反射電波が受信アンテナによって受信される。
【0043】
アンテナ部52は、パッチアンテナ(基板上に形成された金属パターン)として構成されてもよい。この場合、送信アンテナは、n行×m列のマトリックス状に配列された複数のアンテナ素子(金属パターン)を有してもよい。受信アンテナは、例えば、n行×(m+1)列のマトリックス状に配列された複数のアンテナ素子を有してもよい。
【0044】
通信回路部は、送信側RF(無線周波数)回路と、受信側RF回路と、信号処理回路とを備える。通信回路部は、モノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)として構成されている。送信側RF回路は、送信アンテナに電気的に接続される。受信側RF回路は、受信アンテナに電気的に接続される。信号処理回路は、受信側RF回路から出力されたデジタル信号を処理することでレーダデータを生成するように構成されている。アンテナ部52と通信回路部は、ハウジングとレドームとによって形成された空間内に配置されている。
【0045】
レーダ5は、金属製又は樹脂製のブラケットである支持部材8によって支持及び固定されている。支持部材8は、図示しないネジを介してランプハウジング14に固定されている。支持部材8は、ランプハウジング14から下方に延びている。また、レーダ5及び支持部材8は、灯室S外に配置されているため、照明ユニット3,4から発生した熱によってレーダ5の動作が悪影響を受けることが好適に防止されうる。
【0046】
レーダ5の垂直方向の視野F(検出範囲)は、例えば、3°から100°の範囲内であってもよい。レーダ5の水平方向における視野Fは、例えば、120°から180°の範囲内であってもよい。
【0047】
前後方向におけるレーダ5と下方延出部140との間の距離dは、例えば、20mm以上100mm以下に設定されてもよい。下方延出部140とレーダ5との間の距離dが20mm以上の場合には、レーダ5から出射されて下方延出部140によって反射された反射電波は、レーダ5の受信アンテナに至るまでに十分に減衰する。このため、レーダ5によって受信された反射電波がノイズ成分としてレーダデータに悪影響を与える状況を回避することができる。
【0048】
また、本実施形態では、アンテナ部52を含むレーダ5の一部は、ランプカバー12と、導光部材6と、ランプハウジング14とによって覆われている一方で、レーダ5の他の一部は、バンパー100によって覆われている。
【0049】
導光部材6は、灯室S内に配置されており、レーダ5の一部を車両1の外部から隠蔽するように、下方延出部140を介してレーダ5に対向している。導光部材6は、レーダ5の視野F内に存在するため、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。導光部材6は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。導光部材6は、車両1の外部に向けて光を出射する光出射部61と、光源9から出射された光をガイドする光ガイド部62とを有する。
【0050】
以下に、図3を参照して、導光部材6の構成について具体的に説明する。図3は、図2に示すレーダ5の付近を拡大して示す拡大縦断面図である。図3に示すように、左側車両用灯具2Lは、灯室S内に配置され、導光部材6の光ガイド部62に向けて光を出射するように構成された光源9をさらに備える。光源9は、配線基板19上に搭載されている。光源9は、例えば、Light Emitting Diode(LED)やLaser Diode(LD)等の半導体発光素子から構成されてもよい。
【0051】
光源9から出射された光は、仕切り部材30の開口部32を介して光ガイド部62に入射した後に、反射面63により反射される。反射面63によって反射された光の一部は、光出射面65を介して車両1の外部に出射される。一方、反射面63によって反射された光の他の一部は、反射面64によって反射された後に、光出射部61の内部を伝搬する。
【0052】
光出射部61は、レーダ5に対向する第1面67と、第1面67とは反対側に位置する第2面66と、第1面に形成された複数のステップ68(図4(a)参照)とを有する。複数のステップ68は、光出射部61内を伝搬する光を車両1の外部に向けて反射するように構成されている。
【0053】
図4(a)に示すように、複数のステップ68は、例えば、光出射部61の第1面67上に格子状に形成されてもよい。複数のステップ68のうち隣接するステップ68間の間隔d1は、例えば、400μmである。この点において、隣接するステップ68間の間隔d1を調整することで後述する光学パターン69(図5参照)の明るさを適宜調整することができる。
【0054】
ステップ68は、凹部として光出射部61の第1面67上に形成されてもよいし(図4(b)参照)、凸部として第1面67上に形成されてもよい(図4(c)参照)。光出射部61の厚さ方向における第1面67からのステップ68の深さd2又は高さd3は、例えば、0μmより大きく300μm以下の範囲内となる。例えば、光出射部61の厚さが約2.4mmである場合、ステップ68の深さd2又は高さd3は、約30μmであってもよい。
【0055】
この点において、ステップ68の深さd2又は高さd3は、λ/8よりも小さいことが好ましい。ここで、λは、レーダ5から出射される電波の波長となる。d2,d3<λ/8の関係が満たされる場合、ステップの高さd2又は深さd3は、レーダ5から出射されて光出射部61の第1面67に入射した電波に殆ど悪影響を与えない。つまり、ステップ68の深さd2又は高さd3がλ/8よりも小さくなれば、電波干渉の観点からはステップ68の凹凸は殆ど無視することができる。例えば、電波の波長λが3.92mmである場合には、ステップ68の深さd2又は高さd3は、d<0.49mmよりも小さいことが好ましい。
【0056】
また、光出射部61内を伝搬する光を車両1の外部に向けて効率よく出射させるため、ステップ68は半球状の凹部又は凸部に形成されていることが好ましい。複数のステップ68によって光出射部61の内部を伝搬する光を車両1の外部に向けて反射することができるため、光出射部61を発光させることが可能となる。換言すれば、車両1の外部に存在する歩行者等や他車両の乗員は、導光部材6の発光を視認することができる。
【0057】
図5に示すように、複数のステップ68の集まりによって光学パターン69を光出射部61に形成することが可能となる。図5に示す例では、複数のステップ68の集まりによってストライプ状の光学パターン69を光出射部61に形成することができる。本実施形態では、光学パターン69の形状は特に限定されるものではなく、所定の幾何学模様の光学パターン69が光出射部61に形成されてもよい。このように、光出射部61上に形成された光学パターン69によって左側車両用灯具2Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0058】
また、導光部材6は、車両1の走行に関連する情報(例えば、停止情報、ターン情報、自動運転モードに関連する情報等)を車両1の外部に向けて提示するように構成されたランプとして機能してもよい。具体的には、導光部材6は、車両1の停止を外部に向けて提示するストップランプ、車両1のターン(右左折や走行レーンの変更)を外部に向けて提示するターンシグナルランプ、車両1の後退を外部に向けて提示するバックランプ又は車両1の自動運転モードに関する情報を提示する自動運転システム(ADS)ランプとして機能してもよい。また、導光部材6は、ADSランプの一例として、車両1の運転モードに応じて点灯又は消灯するIDランプとして機能してもよい。IDランプは、車両1の運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に消灯する一方、車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードの場合に点灯する。
【0059】
例えば、照明ユニット3がテール&ストップランプとして機能しつつ、照明ユニット4がバックランプとして機能する場合に、導光部材6はターンシグナルランプとして機能してもよい。この場合、光源9はアンバー色の光を出射するように構成される。さらに、照明ユニット3がテール&ストップランプとして機能し、照明ユニット4がターンシグナルランプとして機能する場合に、導光部材6はバックランプ又はADSランプとして機能してもよい。
【0060】
このように、導光部材6がターンシグナルランプ、バックランプ又はADSランプとして機能する場合には、導光部材6と同一の機能を有するランプ(例えば、ターンシグナルランプ)を車両用灯具2に別途設ける必要がない。このように、車両用灯具2の部品点数を削減することが可能となる。
【0061】
本実施形態によれば、導光部材6及びランプハウジング14の下方延出部140によってレーダ5の少なくとも一部を車両1の外部から隠蔽することができると共に、導光部材6によって形成された光学パターン69が外部に向けて視認される。このように、導光部材6によって車両用灯具2の外観のデザイン性を高めることが可能となる。さらに、レーダ5が灯室S外に配置されているため、灯室S内に配置された照明ユニット3,4から発生した熱によってレーダ5の動作性能が悪影響を受けることが好適に防止されうる。このように、車両用灯具2の外観のデザイン性を高めると共に、車両用灯具2に搭載されたレーダ5の信頼性を高めることが可能となる。
【0062】
また、本実施形態に係る車両用灯具2では、ランプハウジング14の一部である下方延出部140が、前後方向において導光部材6とレーダ5との間に配置されている。このため、導光部材6が発光していない場合においても下方延出部140によってレーダ5を車両1の外部から隠蔽させることが可能となる。この点において、導光部材6がターンシグナルランプとして機能する場合、車両1が直進又は停止しているときには導光部材6は消灯している。しかしながら、下方延出部140によってレーダ5が外部から隠蔽されているため、車両1の外部に存在する歩行者等はレーダ5を視認することができない。このように、導光部材6と下方延出部140とによって、車両1の走行状態に依存せずにレーダ5を車両1の外部から確実に隠蔽することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態では、ランプハウジング14の下方延出部140と、導光部材6の光出射部61と、ランプカバー12の下方光透過部123がレーダ5に対向するように配置されていると共に、レーダ5の視野F内に存在する。具体的には、本実施形態では、視野F内に存在するレーダからの電波の全てが、下方延出部140と、光出射部61と、下方光透過部123をそれぞれ通過するように、下方延出部140と、光出射部61と、下方光透過部123がレーダ5に対向するように配置されている。
【0064】
このため、下方延出部140と、光出射部61と、下方光透過部123のそれぞれは、レーダ5から出射された電波を車両1の外部に向けて透過させるように構成されている。さらに、レーダ5によって取得されるレーダデータの信頼性を向上させるために、レーダ5から出射された電波に対するこれらの部材の反射率を低く抑えることが望ましい。
【0065】
上記観点を踏まえて、図6を参照して、導光部材6の光出射部61の厚さt1について以下に説明する。図6は、光出射部61によって反射された反射電波R1,R2を示す図である。図6に示す光出射部61の厚さt1は、以下(1)によって規定される。
【数1】
ここで、λはレーダ5から出射される電波の波長である。εr1は導光部材6の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0066】
このように、光出射部61の厚さt1が上記式(1)に規定される厚さに設定される場合には、下方延出部140を介してレーダ5に対向する光出射部61の第1面67で反射される反射電波R2と、第1面67とは反対側に位置する光出射部61の第2面66で反射される反射電波R1とが互いに弱め合う。具体的には、反射電波R2と反射電波R1との間の位相差Δθが(2m+1)π(mはゼロ以上の整数)となるため、反射電波R1と反射電波R2は互いに弱め合う。この結果、レーダ5から出射された電波に対する光出射部61の反射率を低く抑えることができる。したがって、光出射部61によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がレーダ5により受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、レーダ5の電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなる導光部材6の比誘電率εr1が2.57、n=2とした場合に、光出射部61の厚さt1は約2.45mmとなる。
【0067】
さらに、図7を参照して、ランプハウジング14の下方延出部140の厚さt2について以下に説明する。図7は、下方延出部140によって反射された反射電波R1,R2を示す図である。図7に示す下方延出部140の厚さt2は、以下式(2)によって規定される。
【数2】
ここで、λはレーダ5から出射される電波の波長である。εr2はランプハウジング14の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0068】
このように、下方延出部140の厚さt2が上記式(2)に規定される厚さに設定される場合には、レーダ5に対向する下方延出部140の第1面143で反射される反射電波R2と、第1面143とは反対側に位置する下方延出部140の第2面142で反射される反射電波R1とが互いに弱め合う。具体的には、反射電波R2と反射電波R1との間の位相差Δθが(2m+1)π(mはゼロ以上の整数)となるため、反射電波R1と反射電波R2は互いに弱め合う。この結果、レーダ5から出射された電波に対する下方延出部140の反射率を低く抑えることができる。したがって、下方延出部140によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がレーダ5により受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、レーダ5の電波の波長λが3.922mm、AAS樹脂からなるランプハウジング14の比誘電率εr2が2.87、n=2とした場合に、下方延出部140の厚さt2は約2.31mmとなる。
【0069】
さらに、図8を参照して、ランプカバー12の下方光透過部123の厚さt3について以下に説明する。図8は、下方光透過部123によって反射された反射電波R1,R2を示す図である。図8に示す下方光透過部123の厚さt3は、以下式(3)によって規定される。
【数3】
ここで、λはレーダ5から出射される電波の波長である。εr3はランプカバー12の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0070】
このように、下方光透過部123の厚さt3が上記式(3)に規定される厚さに設定される場合には、下方延出部140及び導光部材6を介してレーダ5に対向する下方光透過部123の第1面127で反射される反射電波R2と、第1面127とは反対側に位置する下方光透過部123の第2面126で反射される反射電波R1とが互いに弱め合う。具体的には、反射電波R2と反射電波R1との間の位相差Δθが(2m+1)π(mはゼロ以上の整数)となるため、反射電波R1と反射電波R2は互いに弱め合う。この結果、レーダ5から出射された電波に対する下方光透過部123の反射率を低く抑えることができる。したがって、下方光透過部123によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がレーダ5により受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、レーダ5の電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなるランプカバー12の比誘電率εr3が2.57、n=2とした場合に、下方光透過部123の厚さt3は約2.45mmとなる。
【0071】
本実施形態の説明では、アンテナ部52を含むレーダ5の一部が下方延出部140と、光出射部61と、下方光透過部123によって隠蔽されていると共に、レーダ5の他の一部がバンパー100によって隠蔽されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、レーダ5の全体が下方延出部140と、光出射部61と、下方光透過部123によって隠蔽されていてもよい。
【0072】
また、本実施形態の説明では、2つの照明ユニット3,4が車両用灯具2に設けられているが本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、車両用灯具2に設けられる照明ユニットの数は特に限定されるものではない。
【0073】
また、本実施形態の説明では、ランプハウジング14の下方延出部140が前後方向において導光部材6とレーダ5との間に配置されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、導光部材6とレーダ5との間に下方延出部140が設けられていなくてもよい。この場合には、光出射部61に形成された光学パターン69のみによって車両1の外部からレーダ5を隠蔽してもよい。さらに、この場合には、光出射部61の第1面67上に加飾フィルムが設けられてもよい。光出射部61が非発光時においても、加飾フィルムによって車両1の外部からレーダ5を隠蔽することが可能となる。加飾フィルムは、例えば、低屈折率の高分子薄膜と高屈折率の高分子薄膜が交互に多層に積層された高分子多層膜ミラー(例えば、東レ株式会社によって製造されるPICASUS(登録商標))から構成される。
【0074】
また、本実施形態の説明では、複数のステップ68が光出射部61の第1面67に形成されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、複数のステップ68は、光出射部61の第2面66に形成されてもよいし、第1面67と第2面66の両方に形成されてもよい。
【0075】
また、本実施形態の説明では、車両用灯具2はリアランプとして機能しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、車両用灯具2は、車両1の前面に搭載されると共に、レーダ5を搭載するヘッドランプとして機能してもよい。この場合、照明ユニット3は、ハイビーム用照明ユニット及びロービーム用照明ユニットのうちのいずれか一方として機能すると共に、照明ユニット4は、ハイビーム用照明ユニット及びロービーム用照明ユニットのうちのいずれか他方として機能する。さらに、この場合、レーダ5は、車両1の前方領域における周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されると共に、レーダ5を車両1の外部から隠蔽する導光部材6は、デイタイム・ランニング・ランプ(DRL)として機能してもよい。
【0076】
さらに、車両用灯具2がヘッドランプとして機能する場合において、照明ユニット3,4から発生する熱に対する耐熱性を考慮して、導光部材6とランプカバー12は、ポリカーボネートにより形成されていてもよい。また、ランプハウジング14は、ポリプロピレンにより形成されてもよい。
【0077】
レーダ5の電波の波長λが3.922mm、ポリカーボネートからなる導光部材6の比誘電率εr1が2.76、n=2とした場合に、図6に示す光出射部61の厚さt1は約2.36mmとなる。
【0078】
レーダ5の電波の波長λが3.922mm、ポリプロピレンからなるランプカバー12の比誘電率εr2が2.65、n=2とした場合に、図7に示す下方延出部140の厚さt2は約2.41mmとなる
【0079】
レーダ5の電波の波長λが3.922mm、ポリカーボネートからなるランプカバー12の比誘電率εr3が2.76、n=2とした場合に、図8に示す下方光透過部123の厚さt3は約2.36mmとなる。
【0080】
(第1実施形態の変形例)
次に、図9を参照して第1実施形態の変形例に係る左側車両用灯具20Lについて以下に説明する。図9は、変形例に係る左側車両用灯具20Lの縦断面図である。尚、以降の説明では、上記実施形態において既に説明された構成要素と同一の参照番号を有する構成要素について繰り返し説明はしない。
【0081】
図9に示すように、左側車両用灯具20Lは、レーダ5が支持部材8aを介して車体ボディ210に固定されている点で図2に示す左側車両用灯具2Lとは相違する。レーダ5は、金属製又は樹脂製のブラケットである支持部材8aによって支持及び固定されている。支持部材8aは、固定手段であるネジ380を介して車体ボディ210に固定されている。また、ランプハウジング14は、ネジ321を介して車体ボディ210に固定されている。
【0082】
本例によれば、レーダ5は、ランプハウジング14から分離されている一方で、支持部材8aを介して車体ボディ210に予め固定されている。このため、左側車両用灯具20Lが車体ボディ210に固定された時点で、導光部材6から出射された光によりレーダ5の少なくとも一部を車両の外部から隠蔽することができる。このように、導光部材6によって左側車両用灯具20Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0083】
(第2実施形態)
以下、本開示の第2実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0084】
また、本実施形態の説明では、第1実施形態において既に説明した部材と同一の参照番号を有する部材については繰り返し説明しない場合がある。
【0085】
最初に、図10を参照して本実施形態に係る車両1Aについて説明する。図10は、左側車両用灯具102Lと右側車両用灯具102Rを備えた車両1Aを後方から見た図である。図10に示すように、車両1Aの左後側に左側車両用灯具102Lが配置されていると共に、車両1Aの右後側に右側車両用灯具102Rが配置されている。左側車両用灯具102L及び右側車両用灯具102Rの各々は、レーダ5を備える。
【0086】
本実施形態では、左側車両用灯具102L及び右側車両用灯具102Rは、リアランプとして機能する。また、左側車両用灯具102L及び右側車両用灯具102Rは同様の構成を備えているものとする。したがって、以降の説明では、左側車両用灯具102Lの具体的構成について図11を参照して説明する。
【0087】
尚、説明の便宜上、左側車両用灯具102Lと右側車両用灯具102Rを総称して単に「車両用灯具102」という場合がある。また、本実施形態では、リアランプとして機能する車両用灯具102について説明をするが、車両用灯具102は、車両1Aの前面に配置されると共に、レーダ5が搭載されたヘッドランプであってもよい。
【0088】
図11は、左側車両用灯具102Lの縦断面図(上下方向における断面図)を示す。図11に示すように、左側車両用灯具102Lは、ランプハウジング14と、ランプハウジング14の開口部を覆うランプカバー12と、2つの照明ユニット3,4と、レーダ5と、導光部材106とを備える。
【0089】
導光部材106は、灯室S内に配置されており、レーダ5の一部を車両1Aの外部から隠蔽するように、下方延出部140を介してレーダ5に対向している。導光部材106は、レーダ5の視野F内に存在するため、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。
【0090】
導光部材106は、車両1Aの外部に向けて光を出射する光出射部161と、光源9から出射された光をガイドする光ガイド部162と、不透明な樹脂から形成された着色樹脂部70とを有する。導光部材106のうち光出射部51と光ガイド部162は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。本実施形態では、光出射部161と着色樹脂部70は二色成形により一体的に形成されている。
【0091】
以下に、図12を参照して、導光部材106の構成について具体的に説明する。図12は、図11に示すレーダ5の付近を拡大して示す拡大縦断面図である。図12に示すように、左側車両用灯具102Lは、灯室S内に配置され、導光部材106の光ガイド部162に向けて光を出射するように構成された光源9をさらに備える。光源9は、配線基板19上に搭載されている。光源9は、例えば、LEDやLD等の半導体発光素子から構成されてもよい。
【0092】
光源9から出射された光は、仕切り部材30の開口部32を介して光ガイド部162に入射した後に、反射面163により反射される。反射面163によって反射された光の一部は、光出射面165を介して車両1Aの外部に出射される。一方、反射面163によって反射された光の他の一部は、反射面164によって反射された後に、光出射部161の内部を伝搬する。
【0093】
光出射部161は、レーダ5に対向する第1面167と、第1面167とは反対側に位置する第2面166と、第1面167に形成された複数のステップ168(図13(a)参照)とを有する。複数のステップ168は、光出射部161内を伝搬する光を車両1Aの外部に向けて反射するように構成されている。
【0094】
図13(a)に示すように、複数のステップ168は、例えば、光出射部161の第1面167上に格子状に形成されてもよい。複数のステップ168のうち隣接するステップ168間の間隔d1は、例えば、400μmである。この点において、隣接するステップ168間の間隔d1を調整することで後述する光学パターン169(図14参照)の明るさを適宜調整することができる。
【0095】
ステップ168は、凹部として光出射部161の第1面167上に形成されてもよいし(図13(b)参照)、凸部として第1面167上に形成されてもよい(図13(c)参照)。光出射部161の厚さ方向における第1面167からのステップ168の深さd2又は高さd3は、例えば、0μmより大きく300μm以下の範囲内となる。例えば、光出射部161の厚さが約2.4mmである場合、ステップ168の深さd2又は高さd3は、約30μmであってもよい。
【0096】
また、光出射部161内を伝搬する光を車両1Aの外部に向けて効率よく出射させるため、ステップ168は半球状の凹部又は凸部に形成されていることが好ましい。複数のステップ168によって光出射部161の内部を伝搬する光を車両1Aの外部に向けて反射することができるため、光出射部161を発光させることが可能となる。換言すれば、車両1Aの外部に存在する歩行者等や他車両の乗員は、導光部材106の発光を視認することができる。
【0097】
図14に示すように、複数のステップ168の集まりによって光学パターン169を光出射部161に形成することが可能となる。図14に示す例では、複数のステップ168の集まりによってストライプ状の光学パターン169を光出射部161に形成することができる。本実施形態では、光学パターン169の形状は特に限定されるものではなく、所定の幾何学模様の光学パターン169が光出射部161に形成されてもよい。このように、光出射部161上に形成された複数の光学パターン169によって左側車両用灯具102Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0098】
次に、図15を参照して導光部材106の着色樹脂部70について以下に説明する。図15(a)は、本実施形態に係る導光部材106の光出射部161と着色樹脂部70との境界B付近を示す図である。図15(b)は、比較例に係る導光部材106aの光出射部161aと着色樹脂部70bとの境界B付近を示す図である。本実施形態では、光出射部161と着色樹脂部70は、二色成形によって一体的に形成されている。
【0099】
図15(a)に示すように、光出射部161と着色樹脂部70との間の境界Bにおいて、着色樹脂部70の接合部163aと光出射部161の接合部170が互いに接合されている。さらに、境界Bにおいて、着色樹脂部70の第1面165aと光出射部161の第1面167が互いに面一となると共に、着色樹脂部70の第2面168aと光出射部161の第2面166が互いに面一となっている。
【0100】
このように、本実施形態では、境界Bにおいて凸部が形成されていないと共に、境界B及びその付近において導光部材106の面(具体的には、境界B及びその付近における着色樹脂部70の面と光出射部161の面)が平滑面として形成されている。
【0101】
さらに、図15(a)に示すように、上下方向に沿って、光ガイド部162を除く導光部材106(即ち、光出射部161と着色樹脂部70)の厚さが一定となっている。
【0102】
一方、図15(b)に示す比較例に係る導光部材106aでは、光出射部161aと着色樹脂部70bとは互いに二色成形によって一体的に形成されている。一方、光出射部161aと着色樹脂部70bとの境界Bにおいて、着色樹脂部70bに凸部163bが形成されていると共に、光出射部161aに凸部167bが形成されている。
【0103】
比較例に係る導光部材106aでは、光出射部161aと着色樹脂部70bとの境界Bがレーダ5の視野F内に存在する場合には、レーダ5から出射された電波が凸部163b,167bによって反射されてしまう。この結果、凸部163b,167bによって反射された反射電波がレーダ5の受信アンテナにより受信されることで、レーダデータに悪影響を与える虞がある。
【0104】
一方、本実施形態に係る導光部材106では、境界Bにおいて凸部163b,167bが形成されない二色成形法を通じて、光出射部161と着色樹脂部70が一体的に形成されている。このように、導光部材106では、境界Bにおいて凸部が形成されないため、境界Bがレーダ5の視野F内に存在する場合であっても、導光部材106によって反射された反射電波がレーダデータに悪影響を与えることが好適に防止されうる。
【0105】
また、導光部材106は、車両1Aの走行に関連する情報(例えば、停止情報、ターン情報、後退情報、自動運転モードに関連する情報等)を車両1Aの外部に向けて提示するように構成されたランプとして機能してもよい。具体的には、導光部材106は、車両1Aの停止を外部に向けて提示するストップランプ、車両1Aのターン(右左折や走行レーンの変更)を外部に向けて提示するターンシグナルランプ、車両1Aの後退を外部に向けて提示するバックランプ又は車両1Aの自動運転モードに関する情報を提示する自動運転システム(ADS)ランプとして機能してもよい。また、導光部材106は、ADSランプの一例として、車両1Aの運転モードに応じて点灯又は消灯するIDランプとして機能してもよい。IDランプは、車両1Aの運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に消灯する一方、車両1Aの運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードの場合に点灯する。
【0106】
例えば、照明ユニット3がテール&ストップランプとして機能しつつ、照明ユニット4がバックランプとして機能する場合に、導光部材106はターンシグナルランプとして機能してもよい。この場合、光源9はアンバー色の光を出射するように構成される。さらに、照明ユニット3がテール&ストップランプとして機能し、照明ユニット4がターンシグナルランプとして機能する場合に、導光部材106はバックランプ又はADSランプとして機能してもよい。
【0107】
このように、導光部材106がターンシグナルランプ、バックランプ又はADSランプとして機能する場合には、導光部材106と同一の機能を有するランプ(例えば、ターンシグナルランプ)を車両用灯具102に別途設ける必要がない。このように、車両用灯具102の部品点数を削減することが可能となる。
【0108】
本実施形態によれば、導光部材106及びランプハウジング14の下方延出部140によってレーダ5の少なくとも一部を車両1Aの外部から隠蔽することができると共に、導光部材106によって形成された光学パターン169が外部に向けて視認される。このように、導光部材106によって車両用灯具102の外観のデザイン性を高めることが可能となる。特に、光出射部161と一体的に形成された着色樹脂部70によって、車両用灯具102の外観のデザイン性を更に高めることが可能となる。
【0109】
さらに、レーダ5が灯室S外に配置されているため、灯室S内に配置された照明ユニット3,4から発生した熱によってレーダ5の動作性能が悪影響を受けることが好適に防止されうる。このように、車両用灯具102の外観のデザイン性を高めると共に、車両用灯具102に搭載されたレーダ5の信頼性を高めることが可能となる。
【0110】
また、本実施形態に係る車両用灯具102では、ランプハウジング14の一部である下方延出部140が、前後方向において導光部材106とレーダ5との間に配置されている。このため、導光部材106が発光していない場合においても下方延出部140によってレーダ5を車両1Aの外部から隠蔽させることが可能となる。この点において、導光部材106がターンシグナルランプとして機能する場合、車両1Aが直進又は停止しているときには導光部材106は消灯している。しかしながら、下方延出部140によってレーダ5が外部から隠蔽されているため、車両1Aの外部に存在する歩行者等はレーダ5を直接視認することができない。このように、導光部材106と下方延出部140とによって、車両1Aの走行状態に依存せずにレーダ5を車両1Aの外部から確実に隠蔽することが可能となる。
【0111】
また、本実施形態では、ランプハウジング14の下方延出部140と、導光部材106の光出射部161と、ランプカバー12の下方光透過部123がレーダ5に対向するように配置されていると共に、レーダ5の視野F内に存在する。具体的には、本実施形態では、視野F内に存在するレーダからの電波の全てが、下方延出部140と、光出射部161と、下方光透過部123をそれぞれ通過するように、下方延出部140と、光出射部161と、下方光透過部123がレーダ5に対向するように配置されている。
【0112】
このため、下方延出部140と、光出射部161と、下方光透過部123のそれぞれは、レーダ5から出射された電波を車両1Aの外部に向けて透過させるように構成されている。さらに、レーダ5によって取得されるレーダデータの信頼性を向上させるために、レーダ5から出射された電波に対するこれらの部材の反射率を低く抑えることが望ましい。
【0113】
上記観点を踏まえて、図16を参照して、導光部材106の光出射部161の厚さt1について以下に説明する。図16は、光出射部161によって反射された反射電波R1,R2を示す図である。図16に示す光出射部161の厚さt1は、以下式(4)によって規定される。
【数4】
ここで、λはレーダ5から出射される電波の波長である。εr1は導光部材106の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0114】
このように、光出射部161の厚さt1が上記式(4)に規定される厚さに設定される場合には、下方延出部140を介してレーダ5に対向する光出射部161の第1面167で反射される反射電波R2と、第1面167とは反対側に位置する光出射部161の第2面166で反射される反射電波R1とが互いに弱め合う。具体的には、反射電波R2と反射電波R1との間の位相差Δθが(2m+1)π(mはゼロ以上の整数)となるため、反射電波R1と反射電波R2は互いに弱め合う。この結果、レーダ5から出射された電波に対する光出射部161の反射率を低く抑えることができる。したがって、光出射部161によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がレーダ5により受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、レーダ5の電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなる導光部材106の比誘電率εr1が2.57、n=2とした場合に、光出射部161の厚さt1は約2.45mmとなる。
【0115】
また、本実施形態の説明では、ランプハウジング14の下方延出部140が前後方向において導光部材106とレーダ5との間に配置されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、導光部材106とレーダ5との間に下方延出部140が設けられていなくてもよい。この場合には、光出射部161に形成された光学パターン169のみによって車両1Aの外部からレーダ5を隠蔽してもよい。さらに、この場合には、光出射部161の第1面167上に加飾フィルムが設けられてもよい。この場合では、光出射部161が発光しない状況であっても、加飾フィルムによって車両1Aの外部からレーダ5を隠蔽することが可能となる。このように、光出射部161の発光/非発光に関係なしに、光出射部161と加飾フィルムによって車両1Aの外部からレーダ5を確実に隠蔽することができる。加飾フィルムは、レーダ5から出射された光を透過させるように構成されていると共に、金属材料を含まない。この点において、加飾フィルムは、低屈折率の高分子薄膜と高屈折率の高分子薄膜が交互に多層に積層された高分子多層膜ミラー(例えば、東レ株式会社によって製造されるPICASUS(登録商標))を有してもよい。
【0116】
(第3実施形態)
以下、本開示の第3実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0117】
また、本実施形態の説明では、第1実施形態において既に説明した部材と同一の参照番号を有する部材については繰り返し説明しない場合がある。
【0118】
最初に、図17を参照して本実施形態に係る車両1Bについて説明する。図17は、左側車両用灯具202Lと右側車両用灯具202Rを備えた車両1Bを後方から見た図である。図17に示すように、車両1Bの左後側に左側車両用灯具202Lが配置されていると共に、車両1Bの右後側に右側車両用灯具202Rが配置されている。左側車両用灯具202L及び右側車両用灯具202Rの各々は、レーダ5を備える。
【0119】
本実施形態では、左側車両用灯具202L及び右側車両用灯具202Rは、リアランプとして機能するものとする。また、左側車両用灯具202L及び右側車両用灯具202Rは同様の構成を備えているものとする。したがって、以降の説明では、左側車両用灯具202Lの具体的構成について図18を参照して説明する。
【0120】
尚、説明の便宜上、左側車両用灯具202Lと右側車両用灯具202Rを総称して単に「車両用灯具202」という場合がある。また、本実施形態では、リアランプとして機能する車両用灯具202について説明をするが、車両用灯具202は、車両1Bの前面に配置されると共に、レーダ5が搭載されたヘッドランプであってもよい。
【0121】
図18は、左側車両用灯具202Lの縦断面図(上下方向における断面図)を示す。図18に示すように、左側車両用灯具202Lは、ランプハウジング214と、ランプハウジング214の開口部を覆うランプカバー212と、2つの照明ユニット3,4と、レーダ5と、導光部材206とを備える。
【0122】
ランプハウジング214は、例えば、ポリプロピレンやAAS樹脂(耐候性ABS樹脂)等の不透明な樹脂材料により形成されてもよい。ランプカバー212は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の樹脂材料により形成されている。ランプカバー212は、中央光透過部224と、中央光透過部224と一体的に形成され、上方向に延びる上方延出部225とを有する。
【0123】
中央光透過部224は、照明ユニット3,4に対向すると共に、照明ユニット3,4から出射された光を透過させるように構成される。照明ユニット3,4の各々がテールランプ及びストップランプのうちのいずれか一方である場合に、中央光透過部224は、赤色で着色された樹脂材料により形成されてもよい。また、照明ユニット3がテール&ストップランプとして構成される一方で、照明ユニット4がターンシグナルランプ又はバックランプとして構成される場合には、照明ユニット3に対向する中央光透過部224の部分は、赤色で着色された樹脂材料により形成されてもよい。さらに、照明ユニット4に対向する中央光透過部224の部分は、透明樹脂材料により形成されてもよい。上方延出部225は、例えば、二色成形によって中央光透過部224と一体的に形成されている。
【0124】
2つの照明ユニット3,4は、ランプハウジング214とランプカバー212とによって形成された灯室S2内に配置されており、車両1Bの後方に向けて光を出射するように構成されている。この点において、正確には、灯室S2は、ランプハウジング214と、ランプカバー212と、ランプカバー212と一体的に形成された導光部材206の上方延出部262(後述する)により形成されている。照明ユニット3,4の各々は、テールランプ、ストップランプ、テール&ストップランプ、ターンシグナルランプ及びバックランプのうちの少なくとも一つとして機能する。
【0125】
レーダ5は、灯室S2外に配置されており、車両1Bの外部に向けて電波(例えば、ミリ波やマイクロ波)を出射することで車両1Bの周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されている。本実施形態では、レーダ5は、車両1Bの後方に向けて電波を出射することで車両1Bの後方領域を示すレーダデータを取得するように構成されている。レーダ5は、例えば、ミリ波レーダ又はマイクロ波レーダである。図示しない車両制御部(車載コンピュータ)は、レーダ5から出力されたレーダデータに基づいて、車両1Bの周辺環境(特に、車両1Bの外部に存在する対象物に関する情報)を特定するように構成されている。
【0126】
レーダ5は、金属製又は樹脂製のブラケットである支持部材8によって支持及び固定されている。支持部材8は、図示しないネジを介してランプハウジング214に固定されている。支持部材8は、ランプハウジング214から下方に延びている。また、レーダ5及び支持部材8は、灯室S2外に配置されているため、照明ユニット3,4から発生した熱によってレーダ5の動作が悪影響を受けることが好適に防止されうる。
【0127】
導光部材206は、ランプカバー212の中央光透過部224に接続される上方延出部262と、車両1Bの外部に向けて光を出射するように構成された光出射部261とを有する。導光部材206は、中央光透過部224と二色成形により一体的に形成されると共に、バンパー100として機能する車体パネルと一体的に形成される。導光部材206は、レーダ5の一部を車両1Bの外部から隠蔽するように、レーダ5に対向するように配置されている。導光部材206は、レーダ5の視野F内に存在するため、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。導光部材206は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。
【0128】
前後方向におけるレーダ5と光出射部261との間の距離dは、例えば、20mm以上100mm以下に設定されてもよい。光出射部261とレーダ5との間の距離dが20mm以上の場合には、レーダ5から出射されて光出射部261によって反射された反射電波は、レーダ5の受信アンテナに至るまでに十分に減衰する。このため、レーダ5によって受信された反射電波がノイズ成分としてレーダデータに悪影響を与える状況を回避することができる。一方、距離dが100mm以下の場合には、レーダ5から出射された視野F内の電波の全てが光出射部261を通過することが可能となる。
【0129】
また、本実施形態では、アンテナ部52を含むレーダ5の大部分は、光出射部261により覆われている一方で、レーダ5の残りの一部は、バンパー100及びランプハウジング214により覆われている。
【0130】
以下に、図19を参照して、導光部材206及び導光体7の構成について具体的に説明する。図19は、図18に示すレーダ5の付近を拡大して示す拡大縦断面図である。図19に示すように、左側車両用灯具202Lは、光源9と導光体7とをさらに備える。光源9は、灯室S2内に配置されており、導光体7に向けて光を出射するように構成されている。光源9は、配線基板219上に搭載されており、図示しない光源駆動回路と電気的に接続されている。光源9は、例えば、LEDやLD等の半導体発光素子から構成されてもよい。
【0131】
導光体7は、灯室S2内に配置されていると共に、導光部材206の光出射部261に光学的に接続されている。導光体7は、光源9から出射された光の一部を車両1Bの外部に出射すると共に、光源9から出射された光の他の一部を光出射部261に向けて出射するように構成されている。導光体7は、第1反射面73と、第2反射面74と、第1光出射面75と、第2光出射面76とを有する。
【0132】
光源9から出射された光は、仕切り部材230の開口部を介して導光体7に入射した後に、第1反射面73により反射される。第1反射面73によって反射された光の一部は、第1光出射面75及び上方延出部262を介して車両1Bの外部に向けて出射される。一方、第1反射面73によって反射された光の他の一部は、第2反射面74に向けて出射される。その後、第2反射面74によって反射された光は、第2光出射面76を介して光出射部261に向けて出射される。
【0133】
このように、光源9から出射された光の一部が導光体7を介して光出射部261に入射するので、光源9から出射された光によって導光部材206を発光させることが可能となる。即ち、光源9からの光によって導光部材206は車両1Bの外部に向けて光を出射することができる。また、導光体7が光源9と導光部材206との間に配置されているため、光源9から出射された光の一部を車両1Bの外部に向けて効率よく出射することができると共に、光源から出射された光の他の一部を導光部材206に向けて効率よく出射することができる。
【0134】
光出射部261は、レーダ5に対向する第1面267と、第1面267とは反対側に位置する第2面266と、第1面267に形成された複数のステップ268(図20(a)参照)とを有する。複数のステップ268は、光出射部261内を伝搬する光を車両1Bの外部に向けて反射するように構成されている。
【0135】
図20(a)に示すように、複数のステップ268は、例えば、光出射部261の第1面267上に格子状に形成されてもよい。複数のステップ268のうち隣接するステップ268間の間隔d1は、例えば、400μmである。この点において、隣接するステップ268間の間隔d1を調整することで後述する光学パターン269(図21参照)の明るさを適宜調整することができる。
【0136】
ステップ268は、凹部として光出射部261の第1面267上に形成されてもよいし(図20(b)参照)、凸部として第1面267上に形成されてもよい(図20(c)参照)。光出射部261の厚さ方向における第1面267からのステップ268の深さd2又は高さd3は、例えば、0μmより大きく300μm以下の範囲内となる。例えば、光出射部261の厚さが約2.4mmである場合、ステップ268の深さd2又は高さd3は、約30μmであってもよい。
【0137】
また、光出射部261内を伝搬する光を車両1Bの外部に向けて効率よく出射させるため、ステップ268は半球状の凹部又は凸部に形成されていることが好ましい。複数のステップ268によって光出射部261の内部を伝搬する光を車両1Bの外部に向けて反射することができるため、光出射部261を発光させることが可能となる。換言すれば、車両1Bの外部に存在する歩行者等や他車両の乗員は、導光部材206の発光を視認することができる。
【0138】
図21に示すように、複数のステップ268の集まりによって光学パターン269を光出射部261に形成することが可能となる。図21に示す例では、複数のステップ268の集まりによってストライプ状の光学パターン269を光出射部261に形成することができる。本実施形態では、光学パターン269の形状は特に限定されるものではなく、所定の幾何学模様の光学パターン269が光出射部261に形成されてもよい。このように、光出射部261上に形成された複数の光学パターン269によって左側車両用灯具202Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0139】
また、導光部材206は、車両1Bの走行に関連する情報(例えば、停止情報、ターン情報、後退情報、自動運転モードに関連する情報等)を車両1Bの外部に向けて提示するように構成されたランプとして機能してもよい。具体的には、導光部材206は、車両1Bの停止を外部に向けて提示するストップランプ、車両1Bのターン(右左折や走行レーンの変更)を外部に向けて提示するターンシグナルランプ、車両1Bの後退を外部に向けて提示するバックランプ又は車両1Bの自動運転モードに関する情報を提示する自動運転システム(ADS)ランプとして機能してもよい。また、導光部材206は、ADSランプの一例として、車両1Bの運転モードに応じて点灯又は消灯するIDランプとして機能してもよい。IDランプは、車両1Bの運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に消灯する一方、車両1Bの運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードの場合に点灯する。
【0140】
例えば、照明ユニット3がテール&ストップランプとして機能しつつ、照明ユニット4がバックランプとして機能する場合に、導光部材206はターンシグナルランプとして機能してもよい。この場合、光源9はアンバー色の光を出射するように構成される。さらに、照明ユニット3がテール&ストップランプとして機能し、照明ユニット4がターンシグナルランプとして機能する場合に、導光部材206はバックランプ又はADSランプとして機能してもよい。
【0141】
このように、導光部材206がターンシグナルランプ、バックランプ又はADSランプとして機能する場合には、導光部材206と同一の機能を有するランプ(例えば、ターンシグナルランプ)を車両用灯具202に別途設ける必要がない。このように、車両用灯具202の部品点数を削減することが可能となる。
【0142】
本実施形態によれば、導光部材206によってレーダ5の少なくとも一部を車両1Bの外部から隠蔽することができると共に、導光部材206から光が車両1Bの外部に向けて出射される。このように、導光部材206によって車両用灯具202の外観のデザイン性を高めることが可能となる。さらに、導光部材206がランプカバー212と一体的に形成されているため、導光部材206を車両用灯具202に取り付ける手間を省くことができると共に、導光部材206とランプカバー212との一体化により車両用灯具202の外観のデザイン性をさらに高めることが可能となる。
【0143】
また、本実施形態によれば、導光部材206は、バンパー100として機能する車体パネルと一体的に形成されている。このように、ランプカバー212、導光部材206、車体パネルの一体化により車両1Bの外観のデザイン性をさらに高めることが可能となる。
【0144】
また、本実施形態では、導光部材206の光出射部261がレーダ5に対向するように配置されていると共に、レーダ5の視野F内に存在する。具体的には、レーダ5から出射された視野F内の電波の全てが光出射部261を通過するように、光出射部261がレーダ5に対向するように配置されている。
【0145】
このため、光出射部261は、レーダ5から出射された電波を車両1Bの外部に向けて透過させるように構成されている。さらに、レーダ5によって取得されるレーダデータの信頼性を向上させるために、レーダ5から出射された電波に対する光出射部261の反射率を低く抑えることが望ましい。
【0146】
上記観点を踏まえて、図22を参照して、導光部材206の光出射部261の厚さt1について以下に説明する。図22は、光出射部261によって反射された反射電波R1,R2を示す図である。図22に示す光出射部261の厚さt1は、以下式(5)によって規定される。
【数5】
ここで、λはレーダ5から出射される電波の波長である。εr1は導光部材206(光出射部261)の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0147】
このように、光出射部261の厚さt1が上記式(5)に規定される厚さに設定される場合には、レーダ5に対向する光出射部261の第1面267で反射される反射電波R2と、第1面267とは反対側に位置する光出射部261の第2面266で反射される反射電波R1とが互いに弱め合う。具体的には、反射電波R2と反射電波R1との間の位相差Δθが(2m+1)π(mはゼロ以上の整数)となるため、反射電波R1と反射電波R2は互いに弱め合う。この結果、レーダ5から出射された電波に対する光出射部261の反射率を低く抑えることができる。したがって、光出射部261によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がレーダ5により受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、レーダ5の電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなる導光部材206の比誘電率εr1が2.57、n=2とした場合に、光出射部261の厚さt1は約2.45mmとなる。
【0148】
本実施形態の説明では、アンテナ部52を含むレーダ5の大部分が光出射部261によって隠蔽されていると共に、レーダ5の残りの一部がバンパー100とランプハウジング214によって隠蔽されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、レーダ5の全体が光出射部261により隠蔽されてもよい。
【0149】
また、本実施形態の説明では、2つの照明ユニット3,4が車両用灯具202に設けられているが本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、車両用灯具202に設けられる照明ユニットの数は特に限定されるものではない。
【0150】
また、本実施形態の説明では、光源9から出射された光が導光体7を介して光出射部261に入射しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、導光体7は、車両用灯具202に設けられてなくてもよい。この場合、光源9から出射された光が直接的に光出射部261に入射してもよい。
【0151】
また、導光部材206は上方延出部262を有さなくてもよい。この場合、ランプカバー212の中央光透過部224がランプハウジング214の一端に接続されると共に、光出射部261の一端が中央光透過部224と一体的に形成されてもよい。
【0152】
また、本実施形態に係る車両用灯具202では、光出射部261の第1面267上に加飾フィルムが設けられてもよい。この場合では、光出射部261が発光しない状況であっても、加飾フィルムによって車両1Bの外部からレーダ5を隠蔽することが可能となる。このように、光出射部261の発光/非発光に関係なしに、光出射部261と加飾フィルムによって車両1Bの外部からレーダ5を確実に隠蔽することができる。加飾フィルムは、レーダ5から出射された光を透過させるように構成されていると共に、金属材料を含まない。この点において、加飾フィルムは、低屈折率の高分子薄膜と高屈折率の高分子薄膜が交互に多層に積層された高分子多層膜ミラー(例えば、東レ株式会社によって製造されるPICASUS(登録商標))を有してもよい。
【0153】
また、本実施形態の説明では、複数のステップ268が光出射部261の第1面267に形成されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、複数のステップ268は、光出射部261の第2面266に形成されてもよいし、第1面267と第2面266の両方に形成されてもよい。
【0154】
また、本実施形態の説明では、車両用灯具202はリアランプとして機能しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、車両用灯具202は、車両1Bの前面に搭載されると共に、レーダ5を搭載するヘッドランプとして機能してもよい。この場合、照明ユニット3は、ハイビーム用照明ユニット及びロービーム用照明ユニットのうちのいずれか一方として機能すると共に、照明ユニット4は、ハイビーム用照明ユニット及びロービーム用照明ユニットのうちのいずれか他方として機能する。さらに、この場合、レーダ5は、車両1Bの前方領域における周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成される。レーダ5を車両1Bの外部から隠蔽する導光部材206は、デイタイム・ランニング・ランプ(DRL)、ターンシグナルランプ及びADSランプのうちの一つとして機能してもよい。
【0155】
さらに、車両用灯具202がヘッドランプとして機能する場合において、照明ユニット3,4から発生する熱に対する耐熱性を考慮して、導光部材206とランプカバー212は、ポリカーボネートにより形成されていてもよい。また、ランプハウジング214は、ポリプロピレンにより形成されてもよい。
【0156】
レーダ5の電波の波長λが3.922mm、ポリカーボネートからなる導光部材206の比誘電率εr1が2.76、n=2とした場合に、図22に示す光出射部261の厚さt1は約2.36mmとなる。
【0157】
(第4実施形態)
以下、本開示の第4実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0158】
また、本実施形態の説明では、第3実施形態において既に説明した部材と同一の参照番号を有する部材については繰り返し説明しない場合がある。
【0159】
最初に、図23を参照して本実施形態に係る車両1Cについて説明する。図23は、左側車両用灯具302Lと右側車両用灯具302Rを備えた車両1Cを後方から見た図である。図23に示すように、車両1Cの左後側に左側車両用灯具302Lが配置されていると共に、車両1Cの右後側に右側車両用灯具302Rが配置されている。左側車両用灯具302L及び右側車両用灯具302Rの各々は、レーダ5を備える。
【0160】
本実施形態では、左側車両用灯具302L及び右側車両用灯具302Rは、リアランプとして機能するものとする。また、左側車両用灯具302L及び右側車両用灯具302Rは同様の構成を備えているものとする。したがって、以降の説明では、左側車両用灯具302Lの具体的構成について図24を参照して説明する。
【0161】
尚、説明の便宜上、左側車両用灯具302Lと右側車両用灯具302Rを総称して単に「車両用灯具302」という場合がある。また、本実施形態では、リアランプとして機能する車両用灯具302について説明をするが、車両用灯具302は、車両1Cの前面に配置されると共に、レーダ5が搭載されたヘッドランプであってもよい。
【0162】
図24は、左側車両用灯具302Lの縦断面図(上下方向における断面図)を示す。図24に示すように、左側車両用灯具302Lは、ランプハウジング214と、ランプハウジング214の開口部を覆うランプカバー212と、2つの照明ユニット3,4と、レーダ5と、導光部材206とを備える。
【0163】
導光部材206は、ランプカバー212の中央光透過部224に接続される上方延出部262と、車両1Cの外部に向けて光を出射するように構成された光出射部261とを有する。導光部材206は、中央光透過部224と二色成形により一体的に形成されると共に、バンパー100として機能する車体パネルと一体的に形成される。導光部材206は、レーダ5の一部を車両1Cの外部から隠蔽するように、レーダ5に対向するように配置されている。導光部材206は、レーダ5の視野F内に存在するため、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。導光部材206は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。
【0164】
前後方向におけるレーダ5と光出射部261との間の距離dは、例えば、20mm以上100mm以下に設定されてもよい。光出射部261とレーダ5との間の距離dが20mm以上の場合には、レーダ5から出射されて光出射部261によって反射された反射電波は、レーダ5の受信アンテナに至るまでに十分に減衰する。このため、レーダ5によって受信された反射電波がノイズ成分としてレーダデータに悪影響を与える状況を回避することができる。一方、距離dが100mm以下の場合には、レーダ5から出射された視野F内の電波の全てが光出射部261を通過することが可能となる。
【0165】
また、本実施形態では、アンテナ部52を含むレーダ5の大部分は、光出射部261により覆われている一方で、レーダ5の残りの一部は、バンパー100及びランプハウジング214により覆われている。
【0166】
以下に、図25を参照して、導光部材206及び導光体7の構成について具体的に説明する。図25は、図24に示すレーダ5の付近を拡大して示す拡大縦断面図である。図25に示すように、左側車両用灯具302Lは、光源9と導光体7とをさらに備える。光源9は、灯室S1内に配置されており、導光体7に向けて光を出射するように構成されている。光源9は、配線基板219上に搭載されており、図示しない光源駆動回路と電気的に接続されている。光源9は、例えば、LEDやLD等の半導体発光素子から構成されてもよい。
【0167】
図25に示すように、光出射部261の第1面267上に加飾フィルム10が接着されている。加飾フィルム10は、レーダ5から出射された電波を透過させると共に、レーダ5を車両1Cの外部から隠蔽するように構成されている。加飾フィルム10は、金属材料を含まない。また、加飾フィルム10は、レーダ5から出射される電波(例えば、ミリ波)の周波数帯において高い透過率を有する。加飾フィルム10の厚さは、例えば、0.1mmである。加飾フィルム10は、第1面267上に全体的又は部分的に設けられてもよい。例えば、加飾フィルム10が第1面267上に部分的に設けられる場合、加飾フィルム10はレーダ5のアンテナ部52以外の部分に対向するように第1面267上に設けられてもよい。
【0168】
図26に示すように、加飾フィルム10の層構造の一例として、加飾フィルム10は、接着層として機能するバインダー層110と、バインダー層110上に形成された加飾層111と、加飾層111上に形成された多層膜ミラー112と、多層膜ミラー112上に形成されたハードコート層113と、ハードコート層113上に形成された保護層114とを有する。多層膜ミラー112では、例えば、複数の低屈折率ポリマー層と複数の高屈折率ポリマー層とが交互に積層されている。多層膜ミラー112が加飾フィルム10に設けられているため、可視光に対する加飾フィルム10の反射率を大きくすることが可能となる。多層膜ミラー112の一例として、東レ株式会社によって製造されるPICASUS(登録商標)が使用されてもよい。
【0169】
本実施形態によれば、導光部材206によってレーダ5の少なくとも一部を車両1Cの外部から隠蔽することができると共に、導光部材206から光が車両1Cの外部に向けて出射される。このように、導光部材206によって車両用灯具302の外観のデザイン性を高めることが可能となる。さらに、導光部材206がランプカバー212と一体的に形成されているため、導光部材206を車両用灯具302に取り付ける手間を省くことができると共に、導光部材206とランプカバー212との一体化により車両用灯具302の外観のデザイン性をさらに高めることが可能となる。
【0170】
また、本実施形態によれば、導光部材206は、バンパー100として機能する車体パネルと一体的に形成されている。このように、ランプカバー212、導光部材206、車体パネルの一体化により車両1Cの外観のデザイン性をさらに高めることが可能となる。
【0171】
また、導光部材206が発光していない場合であっても加飾フィルム10によってレーダ5を車両1Cの外部から隠蔽することができるため、導光部材206の発光に関係なくレーダ5を車両1Cの外部から確実に隠蔽することが可能となる。
【0172】
さらに、レーダ5から出射された視野F内の電波の全てが加飾フィルム10を通過するように加飾フィルム10がレーダ5に対向している一方で、加飾フィルム10は、金属材料を含まないと共に、電波に対して高い透過率を有する。このため、加飾フィルム10がレーダ5から出射された電波に悪影響を及ぼすことが好適に防止されうる。この結果、加飾フィルム10によりレーダデータの信頼性が低下することが好適に防止されうる。
【0173】
また、本実施形態では、導光部材206の光出射部261がレーダ5に対向するように配置されていると共に、レーダ5の視野F内に存在する。具体的には、レーダ5から出射された視野F内の電波の全てが光出射部261を通過するように、光出射部261がレーダ5に対向するように配置されている。
【0174】
このため、光出射部261は、レーダ5から出射された電波を車両1Cの外部に向けて透過させるように構成されている。さらに、レーダ5によって取得されるレーダデータの信頼性を向上させるために、レーダ5から出射された電波に対する光出射部261の反射率を低く抑えることが望ましい。
【0175】
本実施形態の説明では、アンテナ部52を含むレーダ5の大部分が光出射部261によって隠蔽されていると共に、レーダ5の残りの一部がバンパー100とランプハウジング214によって隠蔽されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、レーダ5の全体が光出射部261により隠蔽されてもよい。
【0176】
(第5実施形態)
以下、本開示の第5実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0177】
また、本実施形態の説明では、第1実施形態において既に説明した部材と同一の参照番号を有する部材については繰り返し説明しない場合がある。
【0178】
また、図27に示すレーダモジュール300に対して設定された方向(上下方向、前後方向及び左右方向)は、左側車両用灯具402Lに対して設定された方向(上下方向、前後方向及び左右方向)に一致するものとする。
【0179】
最初に、図27を参照して本実施形態に係る左側車両用灯具402Lについて以下に説明する。図27は、左側車両用灯具402L及びレーダモジュール300を概略的に示した垂直方向断面図である。図27に示すように、左側車両用灯具402Lは、図示しない車両の左後側に配置されたリアランプ(若しくはリアコンビネーションランプ)であって、ランプハウジング314と、ランプハウジング314の開口部を覆うランプカバー312と、2つの照明ユニット3,4とを備える。また、本実施形態では、リアランプとして機能する左側車両用灯具402Lについて説明をするが、左側車両用灯具402Lは、車両の左前側に配置されたヘッドランプであってもよい。さらに、本実施形態では、車両の右側に配置された右側車両用灯具については特に言及しない。右側車両用灯具は、左側車両用灯具402Lと同様の構成を備えているものとする。
【0180】
ランプカバー312は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の樹脂材料により形成されている。ランプカバー312は、中央光透過部324と、中央光透過部324と一体的に形成され、下方向に延びる下方光透過部323と、中央光透過部324と一体的に形成され、上方向に延びる上方延出部325とを有する。
【0181】
中央光透過部324は、照明ユニット3,4に対向すると共に、照明ユニット3,4から出射された光を透過させるように構成される。照明ユニット3,4の各々がテールランプ及びストップランプのうちのいずれか一方である場合に、中央光透過部324は、赤色で着色された樹脂材料により形成されてもよい。また、照明ユニット3がテール&ストップランプとして構成される一方で照明ユニット4がターンシグナルランプ又はバックランプとして構成される場合には、照明ユニット3に対向する中央光透過部324の部分は、赤色で着色された樹脂材料により形成されてもよい。さらに、照明ユニット4に対向する中央光透過部324の部分は、透明樹脂材料により形成されてもよい。
【0182】
下方光透過部323は、例えば、二色成形によって中央光透過部324と一体的に形成されている。下方光透過部323は、導光体360に対向しており、導光体360から出射された光を透過させるように構成されている。下方光透過部323は、例えば、透明樹脂材料により形成されている。上方延出部325も、二色成形によって中央光透過部324と一体的に形成されてもよい。
【0183】
2つの照明ユニット3,4は、ランプハウジング314とランプカバー312とによって形成された灯室S2内に配置されており、車両の後方に向けて光を出射するように構成されている。照明ユニット3,4の各々は、テールランプ、ストップランプ、テール&ストップランプ、ターンシグナルランプ及びバックランプのうちの少なくとも一つとして機能する。
【0184】
左側車両用灯具402Lは、灯室S2内に配置された光源9と導光体360とをさらに備える。光源9は、導光体360に向けて光を出射するように構成されている。光源9は、配線基板319上に搭載されており、図示しない光源駆動回路と電気的に接続されている。光源9は、例えば、LEDやLD等の半導体発光素子から構成されている。
【0185】
導光体360は、導光部材330に光学的に接続されてもよい。導光体360は、光源9から出射された光の一部を車両の外部に向けて出射すると共に、光源9から出射された光の他の一部を導光部材330に向けて出射するように構成されている。導光体360は、反射面363,364と、光出射面365とを有する。
【0186】
光源9から出射された光は、仕切部材370の開口部を介して導光体360に入射した後に、反射面363により反射される。反射面363によって反射された光の一部は、光出射面365及び下方光透過部323を介して車両の外部に向けて出射される。一方、反射面363によって反射された光の他の一部は、反射面364に向けて出射される。その後、反射面364によって反射された光は、導光部材330と下方光透過部323との間の空気ギャップを介して導光部材330に入射される。導光部材330と下方光透過部323との間の空気ギャップの距離dは、例えば、75mmである。
【0187】
光源9から出射された光の発光色は、後述する第1光源323aから出射された光の発光色及び第2光源323bから出射された光の発光色と同一であってもよい(図28参照)。この場合、左側車両用灯具402Lの下方部分からの発光とレーダモジュール300の導光部材330からの発光によって、車両の外部に存在する歩行者等は、左側車両用灯具402Lとレーダモジュール300との一体性を視認することができる。このように、左側車両用灯具402Lとレーダモジュール300とが搭載された車両の外観のデザイン性を向上させることができる。
【0188】
次に、レーダモジュール300の構造について以下に説明する。図27に示すように、レーダモジュール300は、左側車両用灯具402Lに搭載されている。具体的には、レーダモジュール300は、左側車両用灯具402Lの灯室S2外に配置されていると共に、ランプハウジング314に取り付けられた支持部材8を介してランプハウジング314に固定されている。レーダモジュール300は、レーダ5を備える。
【0189】
図28を参照してレーダモジュール300の具体的構造について以下に説明する。図28は、図27に示すレーダモジュール300を拡大して示した垂直方向断面図である。図28に示すように、レーダモジュール300は、導光部材330と、支持部材340と、回路基板320と、第1光源323aと、第2光源323bとをさらに備える。
【0190】
導光部材330は、レーダ5を車両の外部から隠蔽するようにレーダ5に対向するように配置されている。導光部材330は、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。導光部材330は、例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート等の透明な樹脂材料により形成されている。
【0191】
支持部材340は、導光部材330に固定されていると共に、レーダ5を支持するように構成されている。特に、支持部材340の第1係合凹部343aが導光部材330の第1係合凸部330aに係合すると共に、支持部材340の第2係合凹部343bが導光部材330の第2係合凸部330bに係合することで、支持部材340は導光部材330に固定される。また、レーダ5が回路基板320の表面326上に配置されていると共に、回路基板320が支持部材340の内側面342上に配置されている。このように、レーダ5は、回路基板320を介して支持部材340によって支持されている。
【0192】
導光部材330と支持部材340とによって空間Kが規定されており、レーダ5及び回路基板320は、空間K内に配置されている。回路基板320の表面326上には、複数の第1光源323aと、複数の第2光源323bと、光源制御回路部(図示せず)とが配置されている。
【0193】
第1光源323aと第2光源323bの各々は、例えば、LEDやLD等の半導体発光素子から構成される。図31に示すように、複数の第1光源323a(図31に示す例では、8つの第1光源323a)が、回路基板320の第1端部328付近において左右方向に配列されている。同様に、複数の第2光源323b(図31に示す例では、8つの第2光源323b)が、第1端部328とは反対側に位置する回路基板320の第2端部329の付近において左右方向に配列されている。
【0194】
各第1光源323aは、導光部材330の第1延出部335の端面335aに向けて光を出射するように構成されている。同様に、各第2光源323bは、導光部材330の第2延出部334の端面334bに向けて光を出射するように構成されている。
【0195】
尚、本実施形態において第1光源323aの個数と第2光源323bの個数は特に限定されるものではない。例えば、第1光源323aの個数と第2光源323bの個数はそれぞれ1つであってもよい。
【0196】
光源制御回路部は、第1光源323aと第2光源323bのそれぞれに電気的に接続されており、第1光源323aと第2光源323bの点灯を制御するように構成されている。また、導光部材330がターンシグナルランプとして機能する場合、光源制御回路部は、車両制御部から送信された指示信号に基づいて、第1光源323aと第2光源323bの点灯を制御してもよい。
【0197】
次に、導光部材330の構造についてより詳細に説明する。導光部材330は、光出射部331と、光出射部331の一端に接続された第1光ガイド部338と、光出射部331の他端に接続された第2光ガイド部339と、第1光ガイド部338に接続された第1延出部335と、第2光ガイド部339に接続された第2延出部334とを有する。
【0198】
光出射部331は、レーダ5と対向する内側面333(第1面の一例)と、内側面333とは反対側に位置する外側面332(第2面の一例)と、内側面333に形成された複数のステップ368(図29(a)参照)とを有する。複数のステップ368は、導光部材330の光出射部331内を伝搬する光を車両の外部に向けて出射するように構成されている。
【0199】
図29(a)に示すように、複数のステップ368は、例えば、光出射部331の内側面333上に格子状に形成されてもよい。複数のステップ368のうち隣接するステップ368間の間隔d1は、例えば、400μmである。この点において、隣接するステップ368間の間隔d1を調整することで後述する光学パターン369(図30参照)の明るさを適宜調整することができる。
【0200】
複数のステップ368は、凹部として光出射部331の内側面333上に形成されてもよいし(図29(b)参照)、凸部として内側面333上に形成されてもよい(図29(c)参照)。光出射部331の厚さ方向における内側面333からのステップ368の深さd2又は高さd3は、例えば、0μmより大きく300μm以下の範囲内となる。例えば、光出射部331の厚さが約2.4mmである場合、ステップ368の深さd2又は高さd3は、約30μmであってもよい。
【0201】
また、光出射部331内を伝搬する光を車両の外部に向けて効率よく出射させるため、ステップ368は半球状の凹部又は凸部に形成されていることが好ましい。複数のステップ368によって光出射部331の内部を伝搬する光を車両の外部に向けて反射することができるため、光出射部331を発光させることが可能となる。換言すれば、車両の外部に存在する歩行者等や他車両の乗員は、レーダモジュール300の発光を視認することができる。
【0202】
図30に示すように、複数のステップ368の集まりによって光学パターン369を光出射部331に形成することが可能となる。図30に示す例では、複数のステップ368の集まりによって矩形状の光学パターン369を光出射部331に形成することができる。本実施形態では、光学パターン369の形状は特に限定されるものではなく、所定の幾何学模様の光学パターン369が光出射部331に形成されてもよい。このように、光出射部331上に形成された光学パターン369によってレーダモジュール300の外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0203】
図28に戻ると、第1光ガイド部338と光出射部331との間には反射面336が形成されている。第1延出部335は、空間K内に配置されていると共に、回路基板320に向けて延びている。第1延出部335の端面335aは、空隙を介して第1光源323aに対向している。
【0204】
第1光源323aから出射された光は、第1延出部335に入射した後に、第1光ガイド部338の内部を伝搬する。その後、第1光ガイド部338の内部を伝搬する光は、反射面336によって光出射部331に向かって反射される。その後、光出射部331の内部を伝搬する光は、内側面333に形成された複数のステップ368によって車両の外部に向かって反射される。このように、第1光源323aから出射された光によって、導光部材330の光出射部331が発光する。より具体的には、第1光源323aから出射された光によって光出射部331に形成された光学パターン369が発光する。
【0205】
第2光ガイド部339と光出射部331との間には反射面337が形成されている。第2延出部334は、空間K内に配置されていると共に、回路基板320に向けて延びている。第2延出部334の端面334bは、空隙を介して第2光源323bに対向している。
【0206】
第2光源323bから出射された光は、第2延出部334に入射した後に、第2光ガイド部339の内部を伝搬する。その後、第2光ガイド部339の内部を伝搬する光は、反射面337によって光出射部331に向かって反射される。その後、光出射部331の内部を伝搬する光は、内側面333に形成された複数のステップ368によって車両の外部に向かって反射される。このように、第2光源323bから出射された光によって、導光部材330の光出射部331が発光する。より具体的には、第2光源323bから出射された光によって光学パターン369が発光する。
【0207】
本実施形態によれば、導光部材330によってレーダ5を車両の外部から隠蔽することができると共に、導光部材330から光が車両の外部に向けて出射される。このように、導光部材330によってレーダモジュール300の外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0208】
また、導光部材330は、車両の走行に関連する情報(例えば、停止情報、ターン情報、後退情報、自動運転モードに関連する情報等)を車両の外部に向けて提示するように構成されたランプとして機能してもよい。具体的には、導光部材330は、車両の停止を外部に向けて提示するストップランプ、車両のターン(右左折や走行レーンの変更)を外部に向けて提示するターンシグナルランプ、車両の後退を外部に向けて提示するバックランプ又は車両の自動運転モードに関する情報を提示する自動運転システム(ADS)ランプとして機能してもよい。また、導光部材330は、ADSランプの一例として、車両の運転モードに応じて点灯又は消灯するIDランプとして機能してもよい。IDランプは、車両の運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に消灯する一方、車両の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードの場合に点灯する。
【0209】
例えば、照明ユニット3がテール&ストップランプとして機能しつつ、照明ユニット4がバックランプとして機能する場合に、導光部材330はターンシグナルランプとして機能してもよい。この場合、第1光源323a及び第2光源323bはアンバー色の光を出射するように構成される。さらに、照明ユニット3がテール&ストップランプとして機能し、照明ユニット4がターンシグナルランプとして機能する場合に、導光部材330はバックランプ又はADSランプとして機能してもよい。
【0210】
このように、導光部材330がターンシグナルランプ、バックランプ又はADSランプとして機能する場合には、導光部材330と同一の機能を有するランプ(例えば、ターンシグナルランプ)を左側車両用灯具402Lに別途設ける必要がない。このように、左側車両用灯具402Lの部品点数を削減することが可能となる。
【0211】
また、本実施形態では、光出射部331がレーダ5に対向するように配置されている。このため、光出射部331は、レーダ5から出射された電波をレーダ5の外部に向けて透過させるように構成されている。さらに、レーダ5によって取得されるレーダデータの信頼性を向上させるために、レーダ5から出射された電波に対する光出射部331の反射率を低く抑えることが望ましい。
【0212】
上記観点を踏まえて、光出射部331の厚さt1(図29参照)は、以下式(6)によって規定される。
【数6】
ここで、λはレーダ5から出射される電波の波長である。εは導光部材330(光出射部331)の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0213】
このように、光出射部331の厚さt1が上記式(6)に規定される厚さに設定される場合には、レーダ5に対向する光出射部331の内側面333で反射される反射電波と、光出射部331の外側面332で反射される反射電波とが互いに弱め合う。この結果、レーダ5から出射された電波に対する光出射部331の反射率を低く抑えることができる。したがって、光出射部331によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がレーダ5の受信アンテナにより受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなる導光部材330の比誘電率εが2.57、n=2とした場合に、光出射部331の厚さt1は約2.45mmとなる。
【0214】
また、光出射部331の内側面333上に加飾フィルムが設けられてもよい。光出射部331が非発光時においても、加飾フィルムによって車両の外部からレーダ5を隠蔽することが可能となる。加飾フィルムは、レーダ5から出射された電波を透過させると共に、レーダ5を車両の外部から隠蔽するように構成されている。加飾フィルムは、金属材料を含まない。また、加飾フィルムは、レーダ5から出射された電波(例えば、ミリ波)の周波数帯において高い透過率を有する。加飾フィルムの厚さは、例えば、0.1mmである。
【0215】
加飾フィルムの層構造の一例として、加飾フィルムは、接着層として機能するバインダー層と、バインダー層上に形成された加飾層と、加飾層上に形成された多層膜ミラーと、多層膜ミラー上に形成されたハードコート層と、ハードコート層上に形成された保護層とを有してもよい。多層膜ミラーでは、例えば、複数の低屈折率ポリマー層と複数の高屈折率ポリマー層とが交互に積層されている。多層膜ミラーが加飾フィルムに設けられているため、可視光に対する加飾フィルムの反射率を大きくすることが可能となる。多層膜ミラーの一例として、東レ株式会社によって製造されるPICASUS(登録商標)が使用されてもよい。
【0216】
また、複数のステップ368は、導光部材330の光出射部331の外側面332に形成されてもよいし、外側面332と内側面333の両方に形成されてもよい。
【0217】
また、本実施形態の説明では、左側車両用灯具402Lはリアランプとして機能しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、左側車両用灯具402Lは、車両の前面に搭載されたヘッドランプとして機能してもよい。この場合、レーダモジュール300は、車両の前方領域における周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されると共に、レーダ5を車両の外部から隠蔽する導光部材330は、デイタイム・ランニング・ランプ(DRL)として機能してもよい。
【0218】
(第6実施形態)
以下、本開示の第6実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0219】
また、本実施形態の説明では、第1実施形態において既に説明した部材と同一の参照番号を有する部材については繰り返し説明しない場合がある。
【0220】
また、本実施形態では、車両1Dの「水平方向」について言及されるが、「水平方向」は、上下方向(垂直方向)に垂直な方向であって、左右方向と前後方向を含む方向である。さらに、本実施形態では、右側車両用灯具502R及び左側車両用灯具502Lについて設定された方向(左右方向、上下方向、前後方向)は、車両1Dに設定された方向(左右方向、上下方向、前後方向)に一致するものとする。
【0221】
最初に、図32を参照して本実施形態に係る車両1Dについて説明する。図32は、左側車両用灯具502Lと右側車両用灯具502Rを備えた車両1Dの正面図である。図32に示すように、車両1Dの左前側に左側車両用灯具502Lが配置されていると共に、車両1Dの右前側に右側車両用灯具502Rが配置されている。左側車両用灯具502L及び右側車両用灯具502Rの各々は、照明ユニット403と、カメラ404と、LiDARユニット407と、レーダ5と、導光部材406とを備える。
【0222】
本実施形態では、左側車両用灯具502L及び右側車両用灯具502Rは、ヘッドランプとして機能するものとする。また、左側車両用灯具502L及び右側車両用灯具502Rは同様の構成を備えているものとする。したがって、以降の説明では、左側車両用灯具502Lの具体的構成について図33を参照して説明する。
【0223】
尚、説明の便宜上、左側車両用灯具502Lと右側車両用灯具502Rを総称して単に「車両用灯具502」という場合がある。また、本実施形態では、ヘッドランプとして機能する車両用灯具502について説明をするが、車両用灯具502は、車両1Dの後面に配置されると共に、照明ユニットと、カメラと、LiDARユニットと、レーダと、導光部材とを備えたリアランプであってもよい。
【0224】
次に、図33を参照して本実施形態に係る左側車両用灯具502Lの具体的構成について以下に説明する。図33(a)は、左側車両用灯具502Lを示す正面図である。図33(b)は、左側車両用灯具502Lの水平方向断面図である。図33に示すように、左側車両用灯具502Lは、ランプハウジング414と、ランプハウジング414の開口部を覆うランプカバー412と、照明ユニット403と、カメラ404と、LiDARユニット407と、レーダ5と、導光部材406と、光源408とを備える。
【0225】
ランプハウジング414は、例えば、ポリプロピレンやAAS樹脂(耐候性ABS樹脂)等の不透明な樹脂材料により形成されている。ランプカバー412は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。
【0226】
照明ユニット403は、ランプハウジング414とランプカバー412とによって形成された灯室S3内に配置されており、車両1Dの前方に向けて光を出射するように構成されている。特に、照明ユニット403は、車両1Dの前方に向けてロービーム用配光パターン及びハイビーム用配光パターンを出射するように構成されている。
【0227】
カメラ404は、灯室S3内に配置されており、車両1Dの周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該画像データを図示しない車両制御部(車載コンピュータ)に送信するように構成されている。LiDARユニット407は、灯室S3内に配置されており、車両1Dの周辺環境を示す3Dマッピングデータ(点群データ)を取得した上で、当該3Dマッピングデータを車両制御部に送信するように構成されている。レーダ5は、灯室S3内に配置されている。レーダ5は、電波(例えば、ミリ波やマイクロ波)を車両1Dの外部に向けて出射することで車両1Dの周辺環境を示すレーダデータを取得した上で、取得したレーダデータを車両制御部に送信するように構成されている。レーダ5は、例えば、ミリ波レーダ又はマイクロ波レーダである。
【0228】
車両制御部は、画像データ、3Dマッピングデータ及びレーダデータを受信した上で、受信した画像データ、3Dマッピングデータ及びレーダデータに基づいて車両1Dの周辺環境情報を特定する。ここで、周辺環境情報は、車両1Dの外部に存在する歩行者や他車両等の対象物に関連する情報(自車に対する対象物の位置、自車に対する対象物の距離、自車に対する対象物の角度等)を含むものとする。その後、車両制御部は、特定した周辺環境情報、地図情報、現在位置情報等に基づいて車両1Dの走行を制御する。
【0229】
レーダ5は、アンテナ部52と、通信回路部(図示せず)と、ハウジングと、レドームとを有する。アンテナ部52は、電波(例えば、波長が1mmから10mmのミリ波)を空中に放射するように構成された送信アンテナと、対象物によって反射された反射電波を受信するように構成された受信アンテナとを備える。送信アンテナから放射された放射電波が他車両等の対象物によって反射された上で、対象物からの反射電波が受信アンテナによって受信される。
【0230】
アンテナ部52は、パッチアンテナ(基板上に形成された金属パターン)として構成されてもよい。この場合、送信アンテナは、n行×m列のマトリックス状に配列された複数のアンテナ素子(金属パターン)を有してもよい。受信アンテナは、例えば、n行×(m+1)列のマトリックス状に配列された複数のアンテナ素子を有してもよい。
【0231】
通信回路部は、送信側RF(無線周波数)回路と、受信側RF回路と、信号処理回路とを備える。通信回路部は、モノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)として構成されている。送信側RF回路は、送信アンテナに電気的に接続される。受信側RF回路は、受信アンテナに電気的に接続される。信号処理回路は、受信側RF回路から出力されたデジタル信号を処理することでレーダデータを生成するように構成されている。アンテナ部52と通信回路部は、ハウジングとレドームとによって形成された空間内に配置されている。
【0232】
レーダ5の垂直方向の視野F(検出範囲)は、例えば、3°から100°の範囲内であってもよい。レーダ5の水平方向における視野Fは、例えば、120°から180°の範囲内であってもよい。
【0233】
導光部材406は、レーダ5を車両1Dの外部から隠蔽するように、レーダ5に対向するように灯室S3内に配置されている。導光部材406は、レーダ5の視野F内に存在するため、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。導光部材406は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。本実施形態では、アンテナ部52を含むレーダ5の全てが、導光部材406により覆われているが、レーダ5の一部が導光部材406によって覆われてもよい。
【0234】
また、本実施形態では、導光部材406がレーダ5に対向するように配置されていると共に、レーダ5の視野F内に存在する。具体的には、レーダ5から出射された視野F内の電波の全てが導光部材406を通過するように、導光部材406がレーダ5に対向するように配置されている。
【0235】
このため、導光部材406はレーダ5から出射された電波を車両1Dの外部に向けて透過させるように構成されている。さらに、レーダ5によって取得されるレーダデータの信頼性を向上させるために、レーダ5から出射された電波に対する導光部材406の反射率を低く抑えることが望ましい。このため、導光部材406の厚さt1は以下式(7)によって規定される。
【数7】
ここで、λはレーダ5から出射される電波の波長である。εr1は導光部材406の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0236】
導光部材406の厚さt1が上記式(7)に規定される厚さに設定される場合には、レーダ5に対向する導光部材406の第1面467で反射される反射電波R2と、第1面467とは反対側に位置する導光部材406の第2面466で反射される反射電波R1とが互いに弱め合う。具体的には、反射電波R2と反射電波R1との間の位相差Δθが(2m+1)π(mはゼロ以上の整数)となるため、反射電波R1と反射電波R2は互いに弱め合う。この結果、レーダ5から出射された電波に対する導光部材406の反射率を低く抑えることができる。したがって、導光部材406によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がレーダ5により受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、レーダ5の電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなる導光部材406の比誘電率εr1が2.57、n=2とした場合に、導光部材406の厚さt1は約2.45mmとなる。
【0237】
また、導光部材406に対向するランプカバー412の一部の厚さt2は、以下式(8)によって規定される。
【数8】
ここで、λはレーダ5から出射される電波の波長である。εr2はランプカバー412の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0238】
このように、ランプカバー412の厚さt2が上記式(8)に規定される厚さに設定される場合には、導光部材406を介してレーダ5に対向するランプカバー412の第1面436で反射される反射電波と、第1面436とは反対側に位置するランプカバー412の第2面437で反射される反射電波R1とが互いに弱め合う。この結果、レーダ5から出射された電波に対するランプカバー412の反射率を低く抑えることができる。したがって、ランプカバー412によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がレーダ5により受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、レーダ5の電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなるランプカバー412の比誘電率εr2が2.57、n=2とした場合に、導光部材406に対向するランプカバー412の一部の厚さt2は約2.45mmとなる。
【0239】
光源408は、灯室S3内に配置されており、導光部材406に向けて光を出射するように構成されている。光源408は、図示しない配線基板に搭載されていると共に、図示しない光源駆動回路と電気的に接続されている。光源408は、例えば、LEDやLD等の半導体発光素子から構成されてもよい。
【0240】
光源408から出射された光は、導光部材406の端面465に入射した後に、導光部材406の内部を伝搬する。その後、導光部材406の内部を伝搬する光は、導光部材406の第1面467に形成された複数のステップ468(図34参照)によって反射されることで、車両1Dの外部に向けて出射される。
【0241】
図34に示すように、複数のステップ468は、導光部材406の第1面467に形成されており、導光部材406内を伝搬する光を車両1Dの外部に向けて反射するように構成されている。図34(a)に示すように、複数のステップ468のうち隣接するステップ468間の間隔d1は、例えば、400μmである。この点において、隣接するステップ468間の間隔d1を調整することで後述する光学パターン469(図35参照)の明るさを適宜調整することができる。
【0242】
ステップ468は、凹部として導光部材406の第1面467上に形成されてもよいし(図34(b)参照)、凸部として第1面467上に形成されてもよい(図34(c)参照)。導光部材406の厚さ方向における第1面467からのステップ468の深さd2又は高さd3は、例えば、0μmより大きく300μm以下の範囲内となる。例えば、導光部材406の厚さが約2.4mmである場合、ステップ468の深さd2又は高さd3は、約30μmであってもよい。
【0243】
また、導光部材406内を伝搬する光を車両1Dの外部に向けて効率よく出射させるため、ステップ468は半球状の凹部又は凸部に形成されていることが好ましい。複数のステップ468によって導光部材406の内部を伝搬する光を車両1Dの外部に向けて反射することができるため、導光部材406を発光させることが可能となる。換言すれば、車両1Dの外部に存在する歩行者等や他車両の乗員は、導光部材406の発光を視認することができる。
【0244】
図35に示すように、複数のステップ468の集まりによって光学パターン469を導光部材406に形成することが可能となる。図35に示す例では、複数のステップ468の集まりによって矩形状の光学パターン469を導光部材406に形成することができる。本実施形態では、光学パターン469の形状は特に限定されるものではなく、所定の幾何学模様の光学パターン469が導光部材406に形成されてもよい。このように、導光部材406上に形成された複数の光学パターン469によって左側車両用灯具502Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0245】
また、導光部材406は、車両1Dの走行に関連する情報(例えば、ターン情報、自動運転モードに関連する情報等)を車両1Dの外部に向けて提示するように構成されたランプとして機能してもよい。具体的には、導光部材406は、車両1Dのターン(右左折や走行レーンの変更)を外部に向けて提示するターンシグナルランプ又は車両1Dの自動運転モードに関する情報を提示する自動運転システム(ADS)ランプとして機能してもよい。また、導光部材406は、ADSランプの一例として、車両1Dの運転モードに応じて点灯又は消灯するIDランプとして機能してもよい。IDランプは、車両1Dの運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に消灯する一方、車両1Dの運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードの場合に点灯する。また、導光部材406は、デイタイム・ランニング・ランプ(DRL)又はクリアランスランプとしても機能してもよい。
【0246】
このように、導光部材406がターンシグナルランプ、ADSランプ、DRL又はクリアランスランプとして機能する場合には、導光部材406と同一の機能を有するランプ(例えば、ターンシグナルランプ)を車両用灯具502に別途設ける必要がない。このように、車両用灯具502の部品点数を削減することが可能となる。
【0247】
本実施形態によれば、導光部材406によってレーダ5を車両1Dの外部から隠蔽することができると共に、導光部材406から光が車両1Dの外部に向けて出射される。このように、導光部材406により、カメラ404と、LiDARユニット407と、レーダ5とが搭載された車両用灯具502の外観のデザイン性を高めることが可能となる。特に、導光部材406に形成された光学パターン469によって車両用灯具502の外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0248】
また、本実施形態では、カメラ404と、LiDARユニット407と、レーダ5が車両用灯具502の灯室S3内に配置されているので、灯室S3のスペースを有効活用することができると共に、車両用灯具502の全体のサイズを小型化することができる。
【0249】
(第7実施形態)
次に、図36から図39を参照することで本開示の第7実施形態(以下、本実施形態という。)について以下に説明する。図36は、第2実施形態に係る左側車両用灯具420Lを示す正面図である。図37は、図36に示すA-A線に沿って切断された左側車両用灯具420Lの垂直方向断面図である。図38は、図37に示すレーダ425の付近を拡大して示す垂直方向断面図である。図39は、導光部材426に形成された光学パターン479を概略的に示す正面図である。
【0250】
第7実施形態に係る左側車両用灯具420Lは、レーダ425が左側車両用灯具420Lの灯室S8外に配置されている点で第6実施形態に係る左側車両用灯具502Lと大きく相違する。尚、以降の説明では、第6実施形態において既に説明された構成要素と同一の参照番号を有する構成要素については繰り返し説明をしない。
【0251】
図36に示すように、左側車両用灯具420Lは、照明ユニット423a~423cと、カメラ424と、LiDARユニット427と、レーダ425と、導光部材426とを備える。左側車両用灯具420Lは、図示しない車両の左前側に配置されている。本実施形態では、車両の右前側に配置された右側車両用灯具(図示せず)は、左側車両用灯具420Lと同様の構成を備えているものとする。
【0252】
図37に示すように、左側車両用灯具420Lは、ランプハウジング450と、ランプハウジング450の開口部を覆うランプカバー430とをさらに備える。照明ユニット423a~423cと、カメラ424と、LiDARユニット427と、導光部材426は、ランプハウジング450とランプカバー430とによって形成された灯室S8内に配置されている。一方、レーダ425は、灯室S8外に配置されている。
【0253】
照明ユニット423aは、車両の外部に向けてハイビーム用配光パターンを出射するように構成されている。照明ユニット423bは、車両の外部に向けてロービーム用配光パターンを出射するように構成されている。照明ユニット423cは、ターンシグナルランプとして機能する。カメラ424は、第6実施形態のカメラ404と同様の機能を有する。LiDARユニット427は、第6実施形態のLiDARユニット407と同様の機能を有する。レーダ425は、第6実施形態のレーダ5と同様の機能を有する。レーダ425は、電波(例えば、ミリ波やマイクロ波)を車両の外部に向けて出射することで車両1Dの周辺環境を示すレーダデータを取得した上で、取得したレーダデータを車両制御部に送信するように構成されている。レーダ425は、例えば、ミリ波レーダ又はマイクロ波レーダである。レーダ425のアンテナ部462は、パッチアンテナとして構成されてもよい。
【0254】
レーダ425は、金属製又は樹脂製のブラケットである支持部材428によって支持及び固定されている。支持部材428は、図示しないネジを介してランプハウジング450に固定されている。支持部材428は、ランプハウジング450から下方に延びている。また、レーダ425及び支持部材428は、灯室S8外に配置されているため、照明ユニット423a~423cから発生した熱によってレーダ425の動作が悪影響を受けることが好適に防止されうる。
【0255】
ランプハウジング450は、例えば、ポリプロピレンやAAS樹脂(耐候性ABS樹脂)等の不透明な樹脂材料により形成されている。ランプハウジング450は、前後方向において導光部材426とレーダ425との間に配置された下方延出部452を有する。下方延出部452は、レーダ425の視野F1内に存在するため、レーダ425から出射された電波を透過させるように構成されている。
【0256】
ランプカバー430は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。ランプカバー430は、導光部材426及びレーダ425と対向する下方光透過部433を有する。下方光透過部433は、レーダ425の視野F1内に存在するため、レーダ425から出射された電波を透過させるように構成されている。
【0257】
また、本実施形態では、アンテナ部462を含むレーダ425の一部は、ランプカバー430と、導光部材426と、ランプハウジング450とによって覆われている一方で、レーダ425の他の一部は、バンパー410によって覆われている。
【0258】
導光部材426は、灯室S8内に配置されており、レーダ425の一部を車両の外部から隠蔽するように、下方延出部452を介してレーダ425に対向している。導光部材426は、レーダ425の視野F1内に存在するため、レーダ425から出射された電波を透過させるように構成されている。導光部材426は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。導光部材426は、車両1Dの外部に向けて光を出射する光出射部471と、光源429から出射された光をガイドする光ガイド部472とを有する。
【0259】
以下に、図38を参照して、導光部材426の構成について具体的に説明する。図38に示すように、左側車両用灯具420Lは、灯室S8内に配置され、導光部材426の光ガイド部472に向けて光を出射するように構成された光源429をさらに備える。光源429は、配線基板19上に搭載されている。光源429は、例えば、LEDやLD等の半導体発光素子から構成されている。
【0260】
光源429から出射された光は、仕切り部材440の開口部442を介して光ガイド部472に入射した後に、反射面473により反射される。反射面473によって反射された光の一部は、光出射面475を介して車両の外部に出射される。一方、反射面473によって反射された光の他の一部は、反射面474によって反射された後に、光出射部471の内部を伝搬する。
【0261】
光出射部471は、レーダ425に対向する第1面477と、第1面477とは反対側に位置する第2面476と、第1面477に形成された複数のステップ478(図39参照)とを有する。複数のステップ478は、光出射部471内を伝搬する光を車両の外部に向けて反射するように構成されている。
【0262】
複数のステップ478は、例えば、光出射部471の第1面477上に格子状に形成されてもよい。複数のステップ478のうち隣接するステップ478間の間隔は、例えば、400μmである。この点において、隣接するステップ478間の間隔を調整することで後述する光学パターン479の明るさを適宜調整することができる。ステップ478は、凹部又は凸部として光出射部471の第1面477上に形成されてもよい。
【0263】
複数のステップ478によって光出射部471の内部を伝搬する光を車両の外部に向けて反射することができるため、光出射部471を発光させることが可能となる。換言すれば、車両の外部に存在する歩行者や他車両の乗員は、導光部材426の発光を視認することができる。
【0264】
また、複数のステップ478の集まりによって光学パターン479を光出射部471に形成することが可能となる。図39に示す例では、複数のステップ478の集まりによってストライプ状の光学パターン479を光出射部471に形成することができる。このように、光出射部471上に形成された光学パターン479によって左側車両用灯具420Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0265】
また、導光部材426は、車両の走行に関連する情報(例えば、ターン情報、自動運転モードに関連する情報等)を車両の外部に向けて提示するように構成されたランプとして機能してもよい。具体的には、導光部材426は、ターンシグナルランプ、ADSランプとして機能してもよい。また、導光部材426は、DRL又はクリアランスランプとしても機能してもよい。
【0266】
このように、導光部材426がターンシグナルランプ、ADSランプ、DRL又はクリアランスランプとして機能する場合には、導光部材426と同一の機能を有するランプ(例えば、ターンシグナルランプ)を左側車両用灯具420Lに別途設ける必要がない。このように、左側車両用灯具420Lの部品点数を削減することが可能となる。
【0267】
本実施形態によれば、導光部材426によってレーダ425を車両の外部から隠蔽することができると共に、導光部材426から光が車両の外部に向けて出射される。このように、導光部材426により、カメラ424と、LiDARユニット427と、レーダ425とが搭載された左側車両用灯具420Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。特に、導光部材426に形成された光学パターン479によって左側車両用灯具420Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0268】
また、本実施形態では、ランプハウジング450の下方延出部452と、導光部材426の光出射部471と、ランプカバー430の下方光透過部433がレーダ425に対向するように配置されていると共に、レーダ425の視野F1内に存在する。具体的には、本実施形態では、視野F1内に存在するレーダ425からの電波の全てが、下方延出部452と、光出射部471と、下方光透過部433をそれぞれ通過する。
【0269】
このため、下方延出部452と、光出射部471と、下方光透過部433のそれぞれは、レーダ425から出射された電波を車両1Dの外部に向けて透過させるように構成されている。さらに、レーダ425によって取得されるレーダデータの信頼性を向上させるために、レーダ425から出射された電波に対するこれらの部材の反射率を低く抑えることが望ましい。
【0270】
図38に示すように、ランプハウジング450の下方延出部452の厚さt3は以下式(9)によって規定される。
【数9】
ここで、λはレーダ425から出射される電波の波長である。εr3はランプハウジング450の比誘電率、nは1以上の整数である。例えば、レーダ425の電波の波長λが3.922mm、AAS樹脂からなるランプハウジング450の比誘電率εr3が2.87、n=2とした場合に、下方延出部452の厚さt3は約2.31mmとなる。
【0271】
また、導光部材426の光出射部471の厚さt4は以下式(10)によって規定される。
【数10】
ここで、λはレーダ425から出射される電波の波長である。εr4は導光部材426の比誘電率、nは1以上の整数である。例えば、レーダ425の電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなる導光部材426の比誘電率εr4が2.57、n=2とした場合に、光出射部471の厚さt4は約2.45mmとなる。
【0272】
また、ランプカバー430の下方光透過部433の厚さt5は以下式(11)によって規定される。
【数11】
ここで、λはレーダ425から出射される電波の波長である。εr5はランプカバー430の比誘電率、nは1以上の整数である。例えば、レーダ425の電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなるランプカバー430の比誘電率εr5が2.57、n=2とした場合に、下方光透過部433の厚さt5は約2.45mmとなる。
【0273】
第7実施形態の説明では、アンテナ部462を含むレーダ425の一部が下方延出部452と、光出射部471と、下方光透過部433によって隠蔽されていると共に、レーダ425の他の一部がバンパー410によって隠蔽されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、レーダ425の全体が下方延出部452と、光出射部471と、下方光透過部433によって隠蔽されていてもよい。
【0274】
また、第6実施形態及び第7実施形態において、車両用灯具に設けられる照明ユニットの数は特に限定されるものではない。
【0275】
また、第7実施形態の説明では、ランプハウジング450の下方延出部452が前後方向において導光部材426とレーダ425との間に配置されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、導光部材426とレーダ425との間に下方延出部452が設けられていなくてもよい。この場合には、光出射部471に形成された光学パターン479のみによって車両の外部からレーダ425を隠蔽してもよい。さらに、この場合には、光出射部471の第1面477上に加飾フィルムが設けられてもよい。光出射部471が非発光時においても、加飾フィルムによって車両の外部からレーダ425を隠蔽することが可能となる。
【0276】
また、第6実施形態の説明では、複数のステップ468が導光部材406の第1面467に形成されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、複数のステップ468は、導光部材406の第2面466に形成されてもよいし、第1面467と第2面466の両方に形成されてもよい。第7実施形態でも同様に、複数のステップ478が光出射部471の第2面476に形成されてもよいし、第1面477と第2面476の両方に形成されてもよい。
【0277】
(第8実施形態)
以下、本開示の第8実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0278】
また、本実施形態の説明では、第1実施形態において既に説明した部材と同一の参照番号を有する部材については繰り返し説明しない場合がある。
【0279】
本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、図40に示す車両1Eについて設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。尚、図40では「前後方向」は示されていないが、「前後方向」は、左右方向及び上下方向に垂直な方向である。
【0280】
また、本実施形態では、車両1Eの「水平方向」について言及されるが、「水平方向」は、上下方向(垂直方向)に垂直な方向であって、左右方向と前後方向を含む方向である。さらに、本実施形態では、右側車両用灯具602R及び左側車両用灯具602Lについて設定された方向(左右方向、上下方向、前後方向)は、車両1Eに設定された方向(左右方向、上下方向、前後方向)に一致するものとする。
【0281】
最初に、図40を参照して本実施形態に係る車両1Eについて説明する。図40は、左側車両用灯具602Lと右側車両用灯具602Rを備えた車両1Eを後方から見た図である。図40に示すように、車両1Eの左後側に左側車両用灯具602Lが配置されていると共に、車両1Eの右後側に右側車両用灯具602Rが配置されている。左側車両用灯具602L及び右側車両用灯具602Rの各々は、レーダ5を備える。
【0282】
本実施形態では、左側車両用灯具602L及び右側車両用灯具602Rは、リアランプ(若しくはリアコンビネーションランプ)として機能する。また、左側車両用灯具602L及び右側車両用灯具602Rは同様の構成を備えているものとする。したがって、以降の説明では、左側車両用灯具602Lの具体的構成について図41を参照して説明する。尚、説明の便宜上、左側車両用灯具602Lと右側車両用灯具602Rを総称して単に「車両用灯具602」という場合がある。
【0283】
図41は、左側車両用灯具602Lの縦断面図(上下方向における断面図)を示す。図41に示すように、左側車両用灯具602Lは、ランプハウジング514と、ランプハウジング514の開口部を覆うランプカバー512と、レーダ5と、第1導光部材507と、第1光源508aと、第2導光部材506と、第2光源508bとを有する。
【0284】
ランプハウジング514は、例えば、ポリプロピレンやAAS樹脂(耐候性ABS樹脂)等の不透明な樹脂材料により形成されてもよい。ランプカバー512は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の樹脂材料により形成されている。ランプカバー512とランプハウジング514によって灯室S4が形成される。レーダ5と、第1導光部材507と、第1光源508aと、第2導光部材506と、第2光源508bは灯室S4内に配置されている。
【0285】
レーダ5は、灯室S4内に配置されており、車両1Eの外部に向けて電波(例えば、ミリ波やマイクロ波)を出射することで車両1Eの周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されている。本実施形態では、レーダ5は、車両1Eの後方に向けて電波を出射することで車両1Eの後方領域を示すレーダデータを取得するように構成されている。レーダ5は、例えば、ミリ波レーダ又はマイクロ波レーダである。図示しない車両制御部(車載コンピュータ)は、レーダ5から出力されたレーダデータに基づいて、車両1Eの周辺環境(特に、車両1Eの外部に存在する対象物に関する情報)を特定するように構成されている。
【0286】
レーダ5は、金属製又は樹脂製のブラケットである支持部材(図示せず)によって支持及び固定されてもよい。支持部材は、ランプハウジング514に固定されてもよい。レーダ5の垂直方向の視野F(検出範囲)は、例えば、3°から100°の範囲内であってもよい。レーダ5の水平方向における視野Fは、例えば、120°から180°の範囲内であってもよい。
【0287】
(第1導光部材507の構成)
第1導光部材507は、レーダ5に対向するように灯室S4内に配置されており、車両1Eの外部に向けて光を出射するように構成されている。このように、第1導光部材507の発光によって車両1Eの外部からレーダ5の少なくとも一部を隠蔽することができる。また、第1導光部材507は、レーダ5の視野F内に存在するため、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。第1導光部材507は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。
【0288】
また、前後方向におけるレーダ5と第1導光部材507との間の距離dは、例えば、20mm以上100mm以下に設定されてもよい。第1導光部材507とレーダ5との間の距離dが20mm以上の場合には、レーダ5から出射されて第1導光部材507によって反射された反射電波は、レーダ5の受信アンテナに至るまでに十分に減衰する。このため、レーダ5によって受信された反射電波がノイズ成分としてレーダデータに悪影響を与える状況を回避することができる。一方、距離dが100mm以下の場合には、レーダ5から出射された視野F内の電波の全てが第1導光部材507を通過することが可能となる。
【0289】
また、第1導光部材507の厚さt1は、以下式(12)によって規定される。
【数12】
ここで、λはレーダ5から出射される電波の波長である。εr1は第1導光部材507の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0290】
このように、第1導光部材507の厚さt1が上記式(12)に規定される厚さに設定される場合には、レーダ5に対向する第1導光部材507の第1面572で反射される反射電波R1と、第1面572とは反対側に位置する第1導光部材507の第2面571で反射される反射電波R2とが互いに弱め合う。具体的には、反射電波R2と反射電波R1との間の位相差Δθが(2m+1)π(mはゼロ以上の整数)となるため、反射電波R1と反射電波R2は互いに弱め合う。この結果、レーダ5から出射された電波に対する第1導光部材507の反射率を低く抑えることができる。
【0291】
したがって、第1導光部材507によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がレーダ5により受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、レーダ5の電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなる第1導光部材507の比誘電率εr1が2.57、n=2とした場合に、第1導光部材507の厚さt1は約2.45mmとなる。
【0292】
第1光源508aは、配線基板510上に配置されており、図示しない光源駆動回路に電気的に接続されている。第1光源508aは、例えば、LEDやLD等の半導体発光素子から構成されてもよい。
【0293】
第1光源508aは、第1導光部材507に向けて光を出射するように構成されている。第1光源508aから出射された光は、第1導光部材507の内部を伝搬しつつ、第1導光部材507の第1面572に形成された複数の第1ステップ578によって車両1Eの外部に向けて反射される。このように、複数の第1ステップ578は、第1導光部材507の内部を伝搬する光を車両1Eの外部に向けて出射するように構成されている。
【0294】
図42(a)に示すように、複数の第1ステップ578は、例えば、第1導光部材507の第1面572上に格子状に形成されてもよい。複数の第1ステップ578のうち隣接する第1ステップ578間の間隔d1は、例えば、400μmである。この点において、隣接する第1ステップ578間の間隔d1を調整することで後述する第1光学パターン579(図43(b)参照)の明るさを適宜調整することができる。
【0295】
第1ステップ578は、凹部として第1面572上に形成されてもよいし(図42(b)参照)、凸部として第1面572上に形成されてもよい(図42(c)参照)。第1導光部材507の厚さ方向における第1面572からの第1ステップ578の深さd2又は高さd3は、例えば、0μmより大きく300μm以下の範囲内となる。例えば、第1導光部材507の厚さが約2.4mmである場合、第1ステップ578の深さd2又は高さd3は、約30μmであってもよい。
【0296】
また、第1導光部材507内を伝搬する光を車両1Eの外部に向けて効率よく出射させるため、第1ステップ578は半球状の凹部又は凸部に形成されていることが好ましい。複数の第1ステップ578によって第1導光部材507の内部を伝搬する光を車両1Eの外部に向けて反射することができるため、第1導光部材507を発光させることが可能となる。換言すれば、車両1Eの外部に存在する歩行者等や他車両の乗員は、第1導光部材507の発光を視認することができる。
【0297】
さらに、図43(b)に示すように、複数の第1ステップ578の集まりによって第1光学パターン579を第1導光部材507の第1面572上に形成することができる。図43(b)に示す例では、複数の第1ステップ578の集まりによって矩形状の第1光学パターン579を第1面572上に形成することができる。本実施形態では、第1光学パターン579の形状は特に限定されるものではなく、所定の幾何学模様の第1光学パターン579が第1面572上に形成されてもよい。このように、第1導光部材507上に形成された第1光学パターン579によって左側車両用灯具602Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。また、第1光学パターン579は、第1導光部材507の上下方向の中心を通る中心線C2よりも下方の第1面572の領域内に形成されている。
【0298】
また、第1導光部材507の第1面572上に加飾フィルムが接着されてもよい。加飾フィルムは、レーダ5から出射された電波を透過させると共に、レーダ5を車両1Eの外部から隠蔽するように構成されている。加飾フィルムの厚さは、例えば、0.1mmである。第1面572上に接着された加飾フィルムによって、第1導光部材507が発光していない状態であっても車両1Eの外部からレーダ5を隠蔽することができる。
【0299】
(第2導光部材506の構成)
第2導光部材506は、第1導光部材507を介してレーダ5に対向するように灯室S4内に配置されており、車両1Eの外部に向けて光を出射するように構成されている。このように、第2導光部材506の発光によって車両1Eの外部からレーダ5の少なくとも一部を隠蔽することができる。また、第2導光部材506は、レーダ5の視野F内に存在するため、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。第2導光部材506は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。第2導光部材506の外形寸法は、第1導光部材507の外形寸法と同一であってもよい。
【0300】
また、第2導光部材506の厚さt2は、以下式(13)によって規定される。
【数13】
ここで、λはレーダ5から出射される電波の波長である。εr2は第2導光部材506の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0301】
このように、第2導光部材506の厚さt2が上記式(13)に規定される厚さに設定される場合には、第1導光部材507を介してレーダ5に対向する第2導光部材506の第1面562で反射される反射電波R1と、第1面562とは反対側に位置する第2導光部材506の第2面561で反射される反射電波R2とが互いに弱め合う。具体的には、反射電波R2と反射電波R1との間の位相差Δθが(2m+1)π(mはゼロ以上の整数)となるため、反射電波R1と反射電波R2は互いに弱め合う。この結果、レーダ5から出射された電波に対する第2導光部材506の反射率を低く抑えることができる。
【0302】
したがって、第2導光部材506によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がレーダ5により受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、レーダ5の電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなる第2導光部材506の比誘電率εr2が2.57、n=2とした場合に、第2導光部材506の厚さt2は約2.45mmとなる。
【0303】
第2光源508bは、配線基板510上に配置されており、図示しない光源駆動回路に電気的に接続されている。第2光源508bは、例えば、LEDやLD等の半導体発光素子から構成されてもよい。
【0304】
第2光源508bは、第2導光部材506に向けて光を出射するように構成されている。第2光源508bから出射された光は、第2導光部材506の内部を伝搬しつつ、第2導光部材506の第1面562に形成された複数の第2ステップ568によって車両1Eの外部に向けて反射される。このように、複数の第2ステップ568は、第2導光部材506の内部を伝搬する光を車両1Eの外部に向けて出射するように構成されている。
【0305】
複数の第2ステップ568は、図42に示す複数の第1ステップ578と同様の構成を有してもよい。即ち、複数の第2ステップ568は、第2導光部材506の第1面562上に格子状に形成されてもよい。隣接する第2ステップ568間の間隔は、例えば、400μmである。
【0306】
さらに、第2ステップ568は、凹部又は凸部として第1面562上に形成されてもよい。第2導光部材506の厚さ方向における第1面562からの第2ステップ568の深さ又は高さは、例えば、0μmより大きく300μm以下の範囲内となる。
【0307】
また、第2導光部材506内を伝搬する光を車両1Eの外部に向けて効率よく出射させるため、第2ステップ568は半球状の凹部又は凸部に形成されていることが好ましい。複数の第2ステップ568によって第2導光部材506の内部を伝搬する光を車両1Eの外部に向けて反射することができるため、第2導光部材506を発光させることが可能となる。換言すれば、車両1Eの外部に存在する歩行者等や他車両の乗員は、第2導光部材506の発光を視認することができる。
【0308】
さらに、図43(a)に示すように、複数の第2ステップ568の集まりによって第2光学パターン569を第2導光部材506の第1面562上に形成することができる。図43(a)に示す例では、複数の第2ステップ568の集まりによって矩形状の第2光学パターン569を第1面562上に形成することができる。本実施形態では、第2光学パターン569の形状は特に限定されるものではなく、所定の幾何学模様の第2光学パターン569が第1面572上に形成されてもよい。このように、第2導光部材506上に形成された第2光学パターン569によって左側車両用灯具602Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0309】
また、第2光学パターン569は、第2導光部材506の上下方向の中心を通る中心線C1よりも上方の第1面562の領域内に形成されている。特に、第1導光部材507と第2導光部材506とを正面から見たときに、第1光学パターン579と第2光学パターン569とが互いに重ならない。換言すれば、車両用灯具602を正面から見たときに、第1ステップ578と第2ステップ568とが互いに重ならない。このように、第1導光部材507から出射された光と第2導光部材506から出射された光が互いに混ざってしまうことが好適に防止されうる。
【0310】
また、第2導光部材506の第1面562上に加飾フィルムが接着されてもよい。加飾フィルムは、レーダ5から出射された電波を透過させると共に、レーダ5を車両1Eの外部から隠蔽するように構成されている。加飾フィルムの厚さは、例えば、0.1mmである。第1面562上に接着された加飾フィルムによって、第2導光部材506が発光していない状態であっても車両1Eの外部からレーダ5を隠蔽することができる。
【0311】
第1導光部材507及び第2導光部材506は、車両1Eの走行に関連する情報(例えば、停止情報、ターン情報、後退情報、自動運転モードに関連する情報等)を車両1Eの外部に向けて提示するように構成されたランプとして機能してもよい。具体的には、第1導光部材507及び第2導光部材506は、車両1Eの停止を外部に向けて提示するストップランプ、車両1Eのターン(右左折や走行レーンの変更)を外部に向けて提示するターンシグナルランプ、車両1Eの後退を外部に向けて提示するバックランプ又は車両1Eの自動運転モードに関する情報を提示する自動運転システム(ADS)ランプとして機能してよい。特に、第1導光部材507又は第2導光部材506は、ADSランプの一例として、車両1Eの運転モードに応じて点灯又は消灯するIDランプとして機能してもよい。IDランプは、車両1Eの運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に消灯する一方、車両1Eの運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードの場合に点灯する。
【0312】
この点において、第1導光部材507が機能するランプと第2導光部材506が機能するランプとは互いに異なることが好ましい。例えば、第1導光部材507がストップランプとして機能する場合に、第2導光部材506はストップランプ以外のランプ(例えば、ターンシグナルランプ)として機能してもよい。
【0313】
また、第2導光部材506がテール&ストップランプとして機能しつつ、第1導光部材507がターンシグナルランプ及びバックランプとして機能する場合では、第1導光部材507及び第2導光部材506以外のランプユニットは灯室S4内には配置されてなくてもよい。この場合、第2光源508bは、赤色光を出射する赤色光源であってもよい。さらに、第1光源508aは、黄色光を出射する黄色光源と白色光を出射する白色光源とを有してもよい。
【0314】
また、第1導光部材507及び第2導光部材506のランプ機能に応じて、ストップランプ等の照明ユニットが灯室S4内に設けられてもよい。例えば、第1導光部材507がIDランプとして機能しつつ、第2導光部材506がターンシグナルランプとして機能する場合に、テール&ストップランプ及びバックランプが灯室S4内に設けられてもよい。
【0315】
本実施形態によれば、複数の第1ステップ578によって第1光学パターン579が第1導光部材507上に形成されるため、第1導光部材507を発光させることができる。同様に、複数の第2ステップ568によって第2光学パターン569が第2導光部材506上に形成されるため、第2導光部材506を発光させることができる。このように、2つの導光部材の発光によってレーダ5を車両1Eの外部から隠蔽することができる。したがって、第1導光部材507及び第2導光部材506によってレーダ5を搭載する車両用灯具602の外観のデザイン性をさらに向上させることができる。また、第1導光部材507及び第2導光部材506が互いに異なるランプとして機能するため、車両用灯具602の部品点数を削減することができる。
【0316】
(第8実施形態の変形例)
次に、第8実施形態の変形例に係る左側車両用灯具620Lについて図44を参照して説明する。図44は、第8実施形態の変形例に係る左側車両用灯具620Lを概略的に示す縦断面図である。第8実施形態に係る車両用灯具602はリアランプである一方、変形例に係る左側車両用灯具620Lは、車両の左側前面に搭載された左側ヘッドランプである。尚、以降の説明では、第8実施形態において既に説明された構成要素と同一の参照番号を有する構成要素については繰り返し説明をしない。
【0317】
図44に示すように、左側車両用灯具620Lは、ランプハウジング540と、ランプカバー520と、照明ユニット503と、レーダ5と、第1導光部材507と、第1光源508aと、第2導光部材506と、第2光源508bとを有する。
【0318】
ランプカバー520は、ランプハウジング540の開口部を覆うように配置されている。照明ユニット503は、ランプカバー520とランプハウジング540とによって形成された灯室S5内に配置されている。照明ユニット503は、例えば、ハイビーム用配光パターン及び/又はロービーム用配光パターンを車両の前方に向けて出射するように構成されている。
【0319】
レーダ5は、灯室S5外に配置されており、車両の外部に向けて電波を出射することで車両の周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されている。第1導光部材507及び第2導光部材506も同様にレーダ5に対向するように灯室S5外に配置されている。第1光源508a及び第2光源508bも同様に灯室S5外に配置されている。第1導光部材507から出射された光及び第2導光部材506から出射された光は、ランプハウジング540の下方延出部550を介して車両の外部に向けて出射される。
【0320】
第1導光部材507及び第2導光部材506が左側ヘッドランプである左側車両用灯具620Lに搭載される場合には、第1導光部材507及び第2導光部材506の一方は、デイタイム・ランニング・ランプ(DRL)として機能する一方で、第1導光部材507及び第2導光部材506の他方は、ターンシグナルランプとして機能してもよい。このように、第1導光部材507及び第2導光部材506の発光によってレーダ5を隠蔽することができるため、レーダ5を搭載する左側車両用灯具620Lの外観のデザイン性をさらに向上させることができる。
【0321】
また、第1導光部材507及び第2導光部材506の一方がDRLとして機能しつつ、第1導光部材507及び第2導光部材506の他方がターンシグナルランプとして機能するため、DRL及びターンシグナルランプを左側車両用灯具620Lに別途設ける必要がない。このように、左側車両用灯具620Lの部品点数を削減することができる。
【0322】
(第9実施形態)
次に、図45から図47を参照して第9実施形態に係る車両用灯具について以下に説明する。図45は、第9実施形態に係る左側車両用灯具200L及び右側車両用灯具200Rを備えた車両1Fを後方から見た図である。図46は、第9実施形態に係る左側車両用灯具200Lを概略的に示す縦断面図である。図47は、第1導光部材570に形成された第1光学パターン679の一例と第2導光部材560に形成された第2光学パターン669の一例とを示す図である。
【0323】
第9実施形態に係る左側車両用灯具200Lは、図45に示すように、第1導光部材570と第2導光部材560が仕切部材530を介して一体的に形成されている点で第8実施形態に係る左側車両用灯具602Lと大きく相違する。尚、以降の説明では、第8実施形態において既に説明された構成要素と同一の参照番号を有する構成要素については繰り返し説明をしない。
【0324】
図45に示すように、車両1Fの左後側に左側車両用灯具200Lが配置されていると共に、車両1Fの右後側に右側車両用灯具200Rが配置されている。左側車両用灯具200L及び右側車両用灯具200Rの各々は、レーダ5を備える。
【0325】
本実施形態では、左側車両用灯具200L及び右側車両用灯具200Rは、リアランプ(若しくはリアコンビネーションランプ)として機能する。また、左側車両用灯具200L及び右側車両用灯具200Rは同様の構成を備えているものとする。したがって、以降の説明では、左側車両用灯具200Lの具体的構成について図46を参照して説明する。尚、説明の便宜上、左側車両用灯具200Lと右側車両用灯具200Rを総称して単に「車両用灯具200」という場合がある。
【0326】
図46に示すように、左側車両用灯具200Lは、ランプハウジング514と、ランプハウジング514の開口部を覆うランプカバー512と、レーダ5と、第1導光部材570と、第1光源508aと、第2導光部材560と、第2光源508bと、仕切部材530とを有する。
【0327】
第1導光部材570は、レーダ5に対向するように灯室S4内に配置されており、車両1Fの外部に向けて光を出射するように構成されている。このように、第1導光部材570の発光によって車両1Eの外部からレーダ5の少なくとも一部を隠蔽することができる。また、第1導光部材570は、レーダ5の視野F内に存在するため、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。第1導光部材570は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。第1導光部材570は、既に説明した式(12)で規定された厚さt1を有していてもよい。これにより、レーダ5から出射された電波に対する第1導光部材570の反射率を低く抑えることができる。
【0328】
第1光源508aは、配線基板510a上に配置されており、図示しない光源駆動回路に電気的に接続されている。第1光源508aは、第1導光部材570に向けて光を出射するように構成されている。第1光源508aから出射された光は、第1導光部材570の内部を伝搬しつつ、第1導光部材570の第1面672に形成された複数の第1ステップ678によって車両1Eの外部に向けて反射される。このように、複数の第1ステップ678は、第1導光部材570の内部を伝搬する光を車両1Eの外部に向けて出射するように構成されている。
【0329】
複数の第1ステップ678は、図42(a)に示す複数の第1ステップ578と同様の構成を有する。即ち、複数の第1ステップ678は、第1導光部材570の第1面672上に格子状に形成されてもよい。また、第1ステップ678は、第1面672上に凹部又は凸部として形成されてもよい。複数の第1ステップ678によって第1導光部材570の内部を伝搬する光を車両1Fの外部に向けて反射することができるため、第1導光部材570を発光させることが可能となる。
【0330】
さらに、図47に示すように、複数の第1ステップ678の集まりによって第1光学パターン679を第1導光部材570の第1面672上に形成することができる。図47に示す例では、複数の第1ステップ678の集まりによって矩形状の第1光学パターン679を第1面672上に形成することができる。このように、第1導光部材570上に形成された第1光学パターン679によって左側車両用灯具200Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0331】
第2導光部材560は、レーダ5に対向するように灯室S4内に配置されており、車両1Fの外部に向けて光を出射するように構成されている。このように、第2導光部材560の発光によって車両1Fの外部からレーダ5の少なくとも一部を隠蔽することができる。また、第2導光部材560は、レーダ5から出射された電波を透過させるように構成されている。第2導光部材560は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。第2導光部材560は、既に説明した式(13)で規定された厚さt2を有していてもよい。これにより、レーダ5から出射された電波に対する第2導光部材560の反射率を低く抑えることができる。
【0332】
第2光源508bは、配線基板510b上に配置されており、図示しない光源駆動回路に電気的に接続されている。第2光源508bは、第2導光部材560に向けて光を出射するように構成されている。第2光源508bから出射された光は、第2導光部材560の内部を伝搬しつつ、第2導光部材560の第1面662に形成された複数の第2ステップ668によって車両1Fの外部に向けて反射される。このように、複数の第2ステップ668は、第2導光部材560の内部を伝搬する光を車両1Fの外部に向けて出射するように構成されている。
【0333】
複数の第2ステップ668も図42(a)に示す複数の第1ステップ578と同様の構成を有する。即ち、複数の第2ステップ668は、第2導光部材560の第1面662上に格子状に形成されてもよい。また、第2ステップ668は、第1面662上に凹部又は凸部として形成されてもよい。複数の第2ステップ668によって第2導光部材560の内部を伝搬する光を車両1Fの外部に向けて反射することができるため、第2導光部材560を発光させることが可能となる。
【0334】
さらに、図47に示すように、複数の第2ステップ668の集まりによって第2光学パターン669を第2導光部材560の第1面662上に形成することができる。図47に示す例では、複数の第2ステップ668の集まりによって矩形状の第2光学パターン669を第1面662上に形成することができる。このように、第2導光部材560上に形成された第2光学パターン669によって左側車両用灯具200Lの外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0335】
仕切部材530は、上下方向において第1導光部材570と第2導光部材560との間に設けられており、不透明な樹脂部材により形成されている。この点において、仕切部材530は、透明な樹脂部材からなる第1導光部材570と二色成形により一体的に形成されると共に、透明な樹脂部材からなる第2導光部材560と二色成形により一体的に形成される。このように、第1導光部材570と第2導光部材560は、仕切部材530を介して互いに一体的に形成されている。
【0336】
このように、本実施形態によれば、仕切部材530によって第1導光部材570から出射された光と第2導光部材560から出射された光が混ざってしまう状況が好適に防止されうる。さらに、仕切部材530によって、第1導光部材570上に形成された第1光学パターン679と第2導光部材560上に形成された第2光学パターン669との間の境界が明確に規定されるため、車両用灯具200の外観のデザイン性をさらに高めることが可能となる。
【0337】
また、第1導光部材570と仕切部材530との間の境界において凸部が形成されていないと共に、第2導光部材560と仕切部材530との間の境界において凸部が形成されていない。つまり、第1導光部材570と仕切部材530との間の境界において、第1導光部材570の第1面672とレーダ5と対向する仕切部材530の面539は、連続する平滑面を形成している。また、第2導光部材560と仕切部材530との間の境界において、第2導光部材560の第1面662と仕切部材530の面539は、連続する平滑面を形成している。
【0338】
このように、本実施形態によれば、仕切部材530がレーダ5の視野F内に存在する場合であっても、仕切部材530と第1導光部材570との境界部分若しくは仕切部材530と第2導光部材560との境界部分によって反射された反射電波によってレーダデータが悪影響を受けることが好適に防止されうる。
【0339】
また、第1導光部材570及び第2導光部材560は、車両1Fの走行に関連する情報(例えば、停止情報、ターン情報、後退情報、自動運転モードに関連する情報等)を車両1Fの外部に向けて提示するように構成されたランプとして機能してもよい。具体的には、第1導光部材570及び第2導光部材560は、ストップランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ又はADSランプとして機能してよい。
【0340】
本実施形態によれば、複数の第1ステップ678によって第1光学パターン679が第1導光部材570上に形成されるため、第1導光部材570を発光させることができる。同様に、複数の第2ステップ668によって第2光学パターン669が第2導光部材560上に形成されるため、第2導光部材560を発光させることができる。このように、2つの導光部材の発光によってレーダ5を車両1Eの外部から隠蔽することができる。したがって、第1導光部材570及び第2導光部材560によってレーダ5を搭載する車両用灯具602の外観のデザイン性をさらに向上させることができる。また、第1導光部材570及び第2導光部材560が互いに異なるランプとして機能するため、車両用灯具200の部品点数を削減することができる。
【0341】
本実施形態の説明では、複数の第1ステップ578が第1導光部材507の第1面572に形成されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、複数の第1ステップ578は、第1導光部材507の第2面571に形成されてもよいし、第1面572と第2面571の両方に形成されてもよい。同様に、複数の第2ステップ568は、第2導光部材506の第2面561に形成されてもよいし、第1面562と第2面561の両方に形成されてもよい。
【0342】
(第10実施形態)
以下、本開示の第10実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0343】
本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、図48に示す車両1Gについて設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。尚、図48では「前後方向」は示されていないが、「前後方向」は、左右方向及び上下方向に垂直な方向である。
【0344】
また、本実施形態では、車両1Gの「水平方向」について言及されるが、「水平方向」は、上下方向(垂直方向)に垂直な方向であって、左右方向と前後方向を含む方向である。本実施形態では、右側車両用灯具702R及び左側車両用灯具702Lについて設定された方向(左右方向、上下方向、前後方向)は、車両1Gに設定された方向(左右方向、上下方向、前後方向)に一致するものとする。
【0345】
さらに、本実施形態の説明では、「X軸方向」、「Y軸方向」、「Z軸方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、図49に示すレーダ705について設定された相対的な方向である。ここで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のうちの一つの方向は、残りの2つの方向に対して垂直となる。説明の便宜上、レーダ705のX軸方向は、車両1Gの上下方向と平行であるものとする。レーダ705のY軸方向は、車両1Gの左右方向と平行であるものとする。レーダ705のZ軸方向は、車両1Gの前後方向に平行であるものとする。
【0346】
最初に、図48を参照して本実施形態に係る車両1Gについて説明する。図48は、左側車両用灯具702Lと右側車両用灯具702Rを備えた車両1Gを前方から見た図である。図48に示すように、車両1Gの左前側に左側車両用灯具702Lが配置されていると共に、車両1Gの右前側に右側車両用灯具702Rが配置されている。左側車両用灯具702L及び右側車両用灯具702Rの各々は、レーダ705を備える。本実施形態では、左側車両用灯具702L及び右側車両用灯具702Rは同様の構成を備えているものとする。したがって、以降の説明では、左側車両用灯具702Lの具体的構成について図49を参照して説明する。
【0347】
尚、説明の便宜上、左側車両用灯具702Lと右側車両用灯具702Rを総称して単に「車両用灯具702」という場合がある。また、本実施形態では、ヘッドランプとして機能する車両用灯具702について説明をするが、車両用灯具702は、車両1Gの後面に配置されると共に、レーダ705が搭載されたリアランプであってもよい。
【0348】
図49は、左側車両用灯具702Lを概略的に示した水平方向断面図である。図49に示すように、左側車両用灯具702Lは、ランプハウジング714と、ランプハウジング714の開口部を覆うランプカバー712と、2つの照明ユニット703,704と、レーダ705とを備える。
【0349】
照明ユニット703,704は、ランプハウジング714とランプカバー712とによって形成された灯室S7内に配置されている。照明ユニット703,704の一方は、ハイビーム用配光パターンを車両1Gの前方に出射するように構成されたハイビーム用照明ユニットとして機能すると共に、照明ユニット703,704の他方は、ロービーム用配光パターンを車両1Gの前方に出射するように構成されたロービーム用照明ユニットとして機能する。
【0350】
レーダ705は、灯室S7内に配置されており、車両1Gの外部に向けて電波(例えば、ミリ波やマイクロ波)を出射することで車両1Gの周辺環境を示すレーダデータを取得するように構成されている。本実施形態では、レーダ705は、車両1Gの前方に向けて電波を出射することで車両1Gの前方領域を示すレーダデータを取得するように構成されている。レーダ705は、例えば、ミリ波レーダ又はマイクロ波レーダである。図示しない車両制御部(車載コンピュータ)は、レーダ705から出力されたレーダデータに基づいて、車両1Gの周辺環境(特に、車両1Gの外部に存在する対象物に関する情報)を特定するように構成されている。垂直方向(X軸方向)におけるレーダ705の視野F(検出範囲)は、例えば、3°から100°の範囲内であってもよい。X軸方向に垂直な水平方向におけるレーダ705の視野Fは、例えば、120°から180°の範囲内であってもよい。尚、レーダ705は、灯室S7外に配置されてもよいし、車両1Gの所定場所に配置されてもよい。
【0351】
次に、図50を参照してレーダ705の具体的構成について以下に説明する。図50は、レーダ705を概略的に示した断面図(特に、Y軸方向に直交する断面図)である。図50に示すように、レーダ705は、第1回路基板710と、第2回路基板720と、レーダハウジング740と、レーダハウジング740の開口部を覆う発光レドーム730とを備える。
【0352】
発光レドーム730とレーダハウジング740とによって空間K7が規定されている。第1回路基板710は、空間K7内に配置されている。第1回路基板710の表面716上には、アンテナ部713と、モノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)として構成されたRF(無線周波数)回路部715が配置されている。
【0353】
アンテナ部713は、第1回路基板710の表面716上に形成された複数の金属パターン830(パッチアンテナ)から構成されている。アンテナ部713は、送信アンテナと、受信アンテナとを有する。送信アンテナは、電波(例えば、波長が1mmから10mmのミリ波)をレーダ705の外部に向けて送信するように構成されている。受信アンテナは、レーダ705の外部に存在する対象物(例えば、他車両)によって反射された反射電波を受信するように構成されている。送信アンテナから放射された放射電波が他車両等の対象物によって反射された上で、対象物からの反射電波が受信アンテナによって受信される。このように、送信アンテナに入力される高周波信号と受信アンテナから出力された高周波信号に基づいて、車両1Gの外部に存在する対象物に関連した情報が取得される。
【0354】
送信アンテナは、N行×M列のマトリックス状に配列された複数の金属パターン830によって構成されてもよい。一方、受信アンテナは、N行×(M+1)列に配列された複数の金属パターン830によって構成されてもよい。本例では、送信アンテナは、4行×3列に配列された金属パターン830によって構成される。受信アンテナは、4行×4列に配列された金属パターン830によって構成される。
【0355】
RF回路部715は、送信側RF回路と、受信側RF回路とを有する。送信側RF回路は、送信アンテナに電気的に接続されており、送信アンテナに高周波信号(TX信号)を入力するように構成されている。受信側RF回路は、受信アンテナ及び送信側RF回路に電気的に接続されており、受信アンテナから出力された高周波信号(RX信号)とTX信号に基づいてIF(中間周波数)信号を生成した上で、当該IF信号をAD変換するように構成されている。
【0356】
第2回路基板720は、空間K7内に配置されていると共に、レーダハウジング740の表面742上に配置されている。第2回路基板720は、図示しない電気コネクタ等を介して第1回路基板710に電気的に接続されている。第2回路基板720の表面726上には、信号処理回路部721と、複数の第1光源723aと、複数の第2光源723bと、光源制御回路部722とが配置されている。
【0357】
信号処理回路部721は、RF回路部715に電気的に接続されており、受信側RF回路から出力されたIF信号(デジタル信号)に基づいて、対象物に関連する情報(対象物の距離、方向及び相対速度等)を示すレーダデータを生成するように構成されている。信号処理回路部721は、DSP(Digital Signal Processor)とマイクロコントローラを含んでもよい。信号処理回路部721は、レーダデータを図示しない車両制御部に送信する。その後、車両制御部は、信号処理回路部721から送信されたレーダデータに基づいて、車両1Gの周辺環境情報を特定する。
【0358】
第1光源723aと第2光源723bの各々は、例えば、LEDやLD等の半導体発光素子から構成される。図50及び図52(a)に示すように、複数の第1光源723a(図52(a)に示す例では、6つの第1光源723a)は、第2回路基板720の第1端部728付近においてY軸方向に配列されている。同様に、複数の第2光源723b(図52(a)に示す例では、6つの第2光源723b)は、第1端部728とは反対側に位置する第2回路基板720の第2端部729の付近においてY軸方向に配列されている。各第1光源723aは、発光レドーム730の第1延出部735の端面735aに向けて光を出射するように構成されている。同様に、各第2光源723bは、発光レドーム730の第2延出部734の端面734bに向けて光を出射するように構成されている。
【0359】
また、図52(a)に示す例では、6つの第1光源723aが第1端部728付近においてY軸方向に配列されていると共に、6つの第2光源723bが第2端部729付近においてY軸方向に配列されているが、本実施形態において第1光源723aの個数と第2光源723bの個数は特に限定されるものではない。例えば、第1光源723aの個数と第2光源723bの個数はそれぞれ1つであってもよい。
【0360】
また、図52(b)に示すように、2つの第1光源723aが第1端部728付近に配置されると共に、2つの第2光源723bが第2端部729付近に配置されてもよい。この場合には、2つの第1光源723aのうち一方が第2回路基板720のコーナー部725aの付近に配置されると共に、2つの第1光源723aのうち他方が第2回路基板720のコーナー部725bの付近に配置される。さらに、2つの第1光源723aの間において第1導光体727aが配置される。この場合、2つの第1光源723aから出射された光が第1導光体727aに入射される。その後、第1導光体727aの内部を伝搬する光が第1導光体727aの表面に形成された複数のステップによって第1延出部735の端面735aに向けて反射される。
【0361】
同様に、2つの第2光源723bのうち一方が第2回路基板720のコーナー部725cの付近に配置されると共に、2つの第2光源723bのうち他方が第2回路基板720のコーナー部725dの付近に配置される。さらに、2つの第2光源723bの間において第1導光体727bが配置される。この場合、第2光源723bから出射された光が第1導光体727bに入射される。その後、第1導光体727bの内部を伝搬する光が第1導光体727bの表面に形成された複数のステップによって第2延出部734の端面734bに向けて反射される。
【0362】
光源制御回路部722は、第1光源723aと第2光源723bのそれぞれに電気的に接続されており、第1光源723aと第2光源723bの点灯を制御するように構成されている。また、レーダ705がターンシグナルランプとして機能する場合、光源制御回路部722は、車両制御部から送信された指示信号に基づいて、第1光源723aと第2光源723bの点灯を制御してもよい。
【0363】
次に、発光レドーム730の構造について具体的に説明する。発光レドーム730は、例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート等の透明な樹脂材料により形成されている。発光レドーム730は、光出射部731と、光出射部731の一端に接続された第1光ガイド部738と、光出射部731の他端に接続された第2光ガイド部739と、第1光ガイド部738に接続された第1延出部735と、第2光ガイド部739に接続された第2延出部734とを有する。
【0364】
光出射部731は、第1回路基板710と対向する内側面733(第1面の一例)と、内側面733とは反対側に位置する外側面732(第2面の一例)と、内側面733に形成された複数のステップ768(図51(a)参照)とを有する。複数のステップ768は、発光レドーム730の光出射部731内を伝搬する光をレーダ705の外部(特に、+Z軸方向)に向けて出射するように構成されている。
【0365】
図51(a)に示すように、複数のステップ768は、例えば、光出射部731の内側面733上に格子状に形成されてもよい。複数のステップ768のうち隣接するステップ768間の間隔d1は、例えば、400μmである。この点において、隣接するステップ768間の間隔d1を調整することで後述する光学パターン769(図53参照)の明るさを適宜調整することができる。
【0366】
ステップ768は、凹部として光出射部731の内側面733上に形成されてもよいし(図51(b)参照)、凸部として内側面733上に形成されてもよい(図51(c)参照)。光出射部731の厚さ方向における内側面733からのステップ768の深さd2又は高さd3は、例えば、0μmより大きく300μm以下の範囲内となる。例えば、光出射部731の厚さが約2.4mmである場合、ステップ768の深さd2又は高さd3は、約30μmであってもよい。
【0367】
また、光出射部731内を伝搬する光をレーダ705の外部に向けて効率よく出射させるため、ステップ768は半球状の凹部又は凸部に形成されていることが好ましい。複数のステップ768によって光出射部731の内部を伝搬する光をレーダ705の外部に向けて反射することができるため、光出射部731を発光させることが可能となる。換言すれば、車両1Gの外部に存在する歩行者等や他車両の乗員は、レーダ705の発光を視認することができる。
【0368】
図53に示すように、複数のステップ768の集まりによって光学パターン769を光出射部731に形成することが可能となる。図53に示す例では、複数のステップ768の集まりによって矩形状の光学パターン769を光出射部731に形成することができる。本実施形態では、光学パターン769の形状は特に限定されるものではなく、所定の幾何学模様の光学パターン769が光出射部731に形成されてもよい。このように、光出射部731上に形成された光学パターン769によってレーダ705の外観のデザイン性を高めることが可能となる。
【0369】
また、図50に示すように、光出射部731の内側面733上に加飾フィルム750が接着されている。さらに、加飾フィルム750は、第1光ガイド部738の内側面と第1延出部735の内側面に接着されていると共に、第2光ガイド部739の内側面と第2延出部734の内側面に接着されている。
【0370】
加飾フィルム750は、アンテナ部713から出射された電波を透過させると共に、第1回路基板710及び第2回路基板720をレーダ705の外部から隠蔽するように構成されている。加飾フィルム750は、金属材料を含まない。また、加飾フィルム750は、アンテナ部713から出射される電波(例えば、ミリ波)の周波数帯において高い透過率を有する。加飾フィルム750の厚さは、例えば、0.1mmである。
【0371】
加飾フィルム750の層構造の一例として、加飾フィルム750は、接着層として機能するバインダー層と、バインダー層上に形成された加飾層と、加飾層上に形成された多層膜ミラーと、多層膜ミラー上に形成されたハードコート層と、ハードコート層上に形成された保護層とを有する。多層膜ミラーでは、例えば、複数の低屈折率ポリマー層と複数の高屈折率ポリマー層とが交互に積層されている。多層膜ミラーが加飾フィルム750に設けられているため、可視光に対する加飾フィルム750の反射率を大きくすることが可能となる。多層膜ミラーの一例として、東レ株式会社によって製造されるPICASUS(登録商標)が使用されてもよい。
【0372】
第1光ガイド部738と光出射部731との間には反射面736が形成されている。第1延出部735は、空間K7内に配置されていると共に、第2回路基板720に向けて延びている。第1延出部735の端面735aは、空隙を介して第1光源723aに対向している。
【0373】
第1光源723aから出射された光は、第1延出部735に入射した後に、第1光ガイド部738の内部を伝搬する。その後、第1光ガイド部738の内部を伝搬する光は、反射面736によって光出射部731に向かって反射される。その後、光出射部731の内部を伝搬する光は、内側面733に形成された複数のステップ768によってレーダ705の外部に向かって反射される。このように、第1光源723aから出射された光によって、発光レドーム730の光出射部731が発光する。
【0374】
第2光ガイド部739と光出射部731との間には反射面737が形成されている。第2延出部734は、空間K7内に配置されていると共に、第2回路基板720に向けて延びている。第2延出部734の端面734bは、空隙を介して第2光源723bに対向している。
【0375】
第2光源723bから出射された光は、第2延出部734に入射した後に、第2光ガイド部739の内部を伝搬する。その後、第2光ガイド部739の内部を伝搬する光は、反射面737によって光出射部731に向かって反射される。その後、光出射部731の内部を伝搬する光は、内側面733に形成された複数のステップ768によってレーダ705の外部に向かって反射される。このように、第2光源723bから出射された光によって、発光レドーム730の光出射部731が発光する。
【0376】
本実施形態によれば、光出射部731に形成された複数のステップ768によって光がレーダ705の外部に向けて出射される。このように、発光レドーム730によりレーダ705の外観のデザイン性を高めることが可能となる。さらに、レーダ705自体を車両1Gの外観のデザイン性を高めるための装飾部材として積極的に活用することができる。
【0377】
特に、複数のステップ768によって形成された光学パターン769によりレーダ705の外観のデザイン性を高めることが可能となる。さらに、発光レドーム730に設けられた第1延出部735によって第1光源723aから出射された光を効率的に光出射部731に導光させることができると共に、発光レドーム730に設けられた第2延出部734によって第2光源723bから出射された光を効率的に光出射部731に導光させることができる。
【0378】
さらに、本実施形態によれば、発光レドーム730が発光していない状況においても、加飾フィルム750により第1回路基板710及び第2回路基板720をレーダ705の外部から隠蔽することが可能となる。
【0379】
さらに、レーダ705から出射された視野内の電波の全てが加飾フィルム750を通過するように加飾フィルム750がレーダ705に対向している一方で、加飾フィルム750は、金属材料を含まないと共に、電波に対して高い透過率を有する。このため、加飾フィルム750がレーダ705から出射された電波に悪影響を及ぼすことが好適に防止されうる。この結果、加飾フィルム750によりレーダデータの信頼性が低下することが好適に防止されうる。
【0380】
また、本実施形態では、光出射部731がアンテナ部713に対向するように配置されている。このため、光出射部731は、アンテナ部713から出射された電波をレーダ705の外部に向けて透過させるように構成されている。さらに、レーダ705によって取得されるレーダデータの信頼性を向上させるために、アンテナ部713から出射された電波に対する光出射部731の反射率を低く抑えることが望ましい。
【0381】
上記観点を踏まえて、光出射部731の厚さt(図50参照)について以下に説明する。光出射部731の厚さtは、以下式(14)によって規定される。
【数14】
ここで、λはアンテナ部713の送信アンテナから出射される電波の波長である。εは発光レドーム730(光出射部731)の比誘電率、nは1以上の整数である。
【0382】
このように、光出射部731の厚さtが上記式(14)に規定される厚さに設定される場合には、アンテナ部713に対向する光出射部731の内側面733で反射される反射電波R1と、光出射部731の外側面732で反射される反射電波R2とが互いに弱め合う。具体的には、反射電波R2と反射電波R1との間の位相差Δθが(2m+1)π(mはゼロ以上の整数)となるため、反射電波R1と反射電波R2は互いに弱め合う。この結果、アンテナ部713から出射された電波に対する光出射部731の反射率を低く抑えることができる。したがって、光出射部731によって反射された反射電波の強度が弱くなるため、当該反射電波がアンテナ部713の受信アンテナにより受信されることでノイズ成分としてレーダデータに悪影響を及ぼす状況を回避することができる。例えば、電波の波長λが3.922mm、アクリル樹脂からなる光出射部731の比誘電率εが2.57、n=2とした場合に、光出射部731の厚さtは約2.45mmとなる。
【0383】
また、レーダ705は、車両1Gの運転モードに関する情報を車両1Gの外部に向けて提示する自動運転システム(ADS)ランプ又はデイタイム・ランニング・ランプ(DRL)として機能してもよい。特に、レーダ705は、ADSランプの一例として、車両1Gの運転モードに応じて点灯又は消灯するIDランプとして機能してもよい。IDランプは、車両1Gの運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に消灯する一方、車両1Gの運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードの場合に点灯する。
【0384】
このように、レーダ705がADSランプ又はDRLとして機能する場合には、ADSランプ又はDRLを車両用灯具702に別途設ける必要がない。このように、車両用灯具702の部品点数を削減することが可能となる。
【0385】
本実施形態の説明では、複数のステップ768が光出射部731の内側面733に形成されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、複数のステップ768は、光出射部731に外側面732に形成されてもよいし、内側面733と外側面732の両方に形成されてもよい。
【0386】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0387】
本出願は、以下の日本国特許出願に開示された内容を適宜援用するものである。
・特願2019-164750号(出願日:2019年9月10日)
・特願2019-183068号(出願日:2019年10月3日)
・特願2019-183069号(出願日:2019年10月3日)
・特願2019-183070号(出願日:2019年10月3日)
・特願2019-186787号(出願日:2019年10月10日)
・特願2019-206320号(出願日:2019年11月14日)
・特願2019-206321号(出願日:2019年11月14日)
・特願2019-207074号(出願日:2019年11月15日)
・特願2019-216675号(出願日:2019年11月29日)
・特願2020-088267号(出願日:2020年5月20日)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53