(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153763
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】電動機、圧縮機、及び機器
(51)【国際特許分類】
H02K 3/46 20060101AFI20241022BHJP
H02K 3/52 20060101ALI20241022BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20241022BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20241022BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H02K3/46 B
H02K3/52 Z
H02K7/14 B
F04B39/00 106C
F04C29/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024120784
(22)【出願日】2024-07-26
(62)【分割の表示】P 2024540027の分割
【原出願日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2023027018
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】大北 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】和田 聡
(72)【発明者】
【氏名】角 正貴
(57)【要約】
【課題】電動機の組立時には、削り屑がインシュレータと固定子との間に入り込むことによってインシュレータが固定子から浮き上がることがなく、電動機の組立後には、削り屑が固定子や回転子の隙間に入り込むことによる不都合が生じることがなく、高効率で低振動の電動機、この電動機を用いた圧縮機、この圧縮機を用いた機器を提供する。
【解決手段】固定用突起部54を、インシュレータヨーク凹部底面53aから立ち上げることで、固定用突起部54は、インシュレータヨーク凹部53内に位置する固定用突起根元部分54Xと、インシュレータヨーク凹部53から突出する固定用突起突出部分54Yとで形成され、固定用突起根元部分54Xの周囲には、インシュレータヨーク凹部53によって環状溝が形成され、固定用突起突出部分54Yを固定用凹部34に挿入することで、インシュレータ50を固定子30に固定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコアシートを積層することで形成され、回転軸を中心に複数の永久磁石を配置した回転子と、
ステータコアシートを積層することで形成され、前記回転子とエアギャップを介して配置された固定子と、
前記固定子の積層方向の両端面に配置されたインシュレータと
を有し、
前記固定子は、
前記回転軸を中心とした環状の固定子ヨークと、
前記固定子ヨークから前記回転子に向かって延出した複数の固定子ティースと、
前記固定子ティース間に形成されるスロットと
を有し、
前記スロットには巻線が配置され、
前記固定子ティースは、
前記巻線が巻かれる固定子ティース基部と、
前記回転子と対向する固定子ティース内周面を形成する固定子ティース先端部と
を有し、
前記インシュレータは、
前記固定子ヨークに位置するインシュレータヨーク部と、
前記固定子ティース基部に位置するインシュレータティース基部と、
前記固定子ティース先端部に位置するインシュレータティース先端部と、
前記インシュレータヨーク部に設けた固定用突起部と
を有し、
前記固定子ヨークには固定用凹部を有する電動機であって、
前記固定用突起部を、前記インシュレータヨーク部に形成したインシュレータヨーク凹部のインシュレータヨーク凹部底面から立ち上げることで、前記固定用突起部は、前記インシュレータヨーク凹部内に位置する固定用突起根元部分と、前記インシュレータヨーク凹部から突出する固定用突起突出部分とで形成され、
前記固定用突起根元部分の周囲には、前記インシュレータヨーク凹部によって環状溝が形成され、
前記固定用突起突出部分を前記固定用凹部に挿入することで、前記インシュレータを前記固定子に固定する
ことを特徴とする電動機。
【請求項2】
前記固定用突起突出部分には、
先端側に向かって断面積が小さくなるテーパー部分と、
前記断面積が変化しないストレート部分と
を有し、
前記ストレート部分によって前記固定用突起根元部分に連続し、
前記テーパー部分を前記ストレート部分より長くした
ことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記ストレート部分の長さを、1枚の前記ステータコアシートの厚さ以上とした
ことを特徴とする請求項2に記載の電動機。
【請求項4】
前記固定用突起部を、複数本に分割した
ことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項5】
前記固定用突起突出部分を前記固定用凹部に挿入した状態では、前記固定用突起突出部分と前記固定用凹部の固定用凹部底面との間には、1枚の前記ステータコアシートの厚さ以上の隙間が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項6】
前記インシュレータヨーク凹部底面は平坦面であり、前記インシュレータヨーク凹部底面の底面外周部と底面内周部はR形状とした
ことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項7】
前記環状溝の開口面側径方向寸法をaとし、前記インシュレータヨーク凹部底面までの深さ寸法をbとすると、a:bを、1:1~1:20の範囲とした
ことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項8】
前記固定子ティースごとに複数に分割された前記固定子が円環状に配置され、
前記固定子ごとに前記インシュレータが配置され、
前記固定子ティース内周面の両側部には、端部に向かって前記エアギャップが漸次拡大する固定子ティース内周テーパー面が形成され、
前記インシュレータティース先端部には、前記固定子ティース内周テーパー面に当接する係止用突起部を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項9】
ロータコアシートを積層することで形成され、回転軸を中心に複数の永久磁石を配置した回転子と、
ステータコアシートを積層することで形成され、前記回転子とエアギャップを介して配置された固定子と、
前記固定子の積層方向の両端面に配置されたインシュレータと
を有し、
前記固定子は、
前記回転軸を中心とした環状の固定子ヨークと、
前記固定子ヨークから前記回転子に向かって延出した複数の固定子ティースと、
前記固定子ティース間に形成されるスロットと
を有し、
前記スロットには巻線が配置され、
前記固定子ティースは、
前記巻線が巻かれる固定子ティース基部と、
前記回転子と対向する固定子ティース内周面を形成する固定子ティース先端部と
を有し、
前記インシュレータは、
前記固定子ヨークに位置するインシュレータヨーク部と、
前記固定子ティース基部に位置するインシュレータティース基部と、
前記固定子ティース先端部に位置するインシュレータティース先端部と、
前記インシュレータヨーク部に設けた固定用突起部と
を有し、
前記固定子ティースごとに複数に分割された前記固定子が円環状に配置され、
前記固定子ごとに前記インシュレータが配置され、
前記固定子ヨークには固定用凹部を有し、
前記固定用突起部を前記固定用凹部に挿入することで、前記インシュレータを前記固定子に固定する電動機であって、
前記固定子ティース内周面の両側部には、端部に向かって前記エアギャップが漸次拡大する固定子ティース内周テーパー面が形成され、
前記インシュレータティース先端部には、前記固定子ティース内周テーパー面に当接する係止用突起部を形成した
ことを特徴とする電動機。
【請求項10】
請求項1から請求項9に記載の電動機を用いた圧縮機であって、
前記回転軸に圧縮機構部を連結し、
前記圧縮機構部によって冷媒を圧縮する
ことを特徴とする圧縮機。
【請求項11】
請求項10に記載の圧縮機を用いた機器であって、
前記圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器を配管によって環状に接続した
ことを特徴とする機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機、この電動機を用いた圧縮機、及びこの圧縮機を用いた機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動機は、固定子のバックヨーク部へ嵌合穴を設けることで磁気性能への影響を少なくし、インシュレータに設けた突起をバックヨークの穴へ嵌合させることでインシュレータを固定子に取り付け、インシュレータにコイルを巻き回す際に、インシュレータが回転することで巻線スペースが減少することを抑えることを目的に、固定子とインシュレータの両端面をバックヨーク部の嵌合穴と離れた場所で、インシュレータを固定子へ係止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の電動機のように、固定子の嵌合穴へ精度良くインシュレータの突起を嵌合させると、インシュレータの突起が固定子に削られる可能性がある。その結果、インシュレータへ設けた突起の根本へ削り屑が集り、インシュレータが固定子の端面から浮き上がる可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、電動機の組立時には、削り屑がインシュレータと固定子との間に入り込むことによってインシュレータが固定子から浮き上がることがなく、電動機の組立後には、削り屑が固定子や回転子の隙間に入り込むことによる不都合が生じることがなく、高効率で低振動の電動機、この電動機を用いた圧縮機、この圧縮機を用いた機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の電動機14は、ロータコアシートを積層することで形成され、回転軸4を中心に複数の永久磁石を配置した回転子20と、ステータコアシートを積層することで形成され、前記回転子20とエアギャップを介して配置された固定子30と、前記固定子30の積層方向の両端面に配置されたインシュレータ50とを有し、前記固定子30は、前記回転軸4を中心とした環状の固定子ヨーク31と、前記固定子ヨーク31から前記回転子20に向かって延出した複数の固定子ティース32と、前記固定子ティース32間に形成されるスロット33とを有し、前記スロット33には巻線41が配置され、前記固定子ティース32は、前記巻線41が巻かれる固定子ティース基部32Aと、前記回転子20と対向する固定子ティース内周面32Sを形成する固定子ティース先端部32Bとを有し、前記インシュレータ50は、前記固定子ヨーク31に位置するインシュレータヨーク部51と、前記固定子ティース基部32Aに位置するインシュレータティース基部52Aと、前記固定子ティース先端部32Bに位置するインシュレータティース先端部52Bと、前記インシュレータヨーク部51に設けた固定用突起部54とを有し、前記固定子ヨーク31には固定用凹部34を有する電動機14であって、前記固定用突起部54を、前記インシュレータヨーク部51に形成したインシュレータヨーク凹部53のインシュレータヨーク凹部底面53aから立ち上げることで、前記固定用突起部54は、前記インシュレータヨーク凹部53内に位置する固定用突起根元部分54Xと、前記インシュレータヨーク凹部53から突出する固定用突起突出部分54Yとで形成され、前記固定用突起根元部分54Xの周囲には、前記インシュレータヨーク凹部53によって環状溝が形成され、前記固定用突起突出部分54Yを前記固定用凹部34に挿入することで、前記インシュレータ50を前記固定子30に固定することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の電動機14において、前記固定用突起突出部分54Yには、先端側に向かって断面積が小さくなるテーパー部分54Yaと、前記断面積が変化しないストレート部分54Ybとを有し、前記ストレート部分54Ybによって前記固定用突起根元部分54Xに連続し、前記テーパー部分54Yaを前記ストレート部分54Ybより長くしたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の電動機14において、前記ストレート部分54Ybの長さを、1枚の前記ステータコアシートの厚さ以上としたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の電動機14において、前記固定用突起部54を、複数本に分割したことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載の電動機14において、前記固定用突起突出部分54Yを前記固定用凹部34に挿入した状態では、前記固定用突起突出部分54Yと前記固定用凹部34の固定用凹部底面34aとの間には、1枚の前記ステータコアシートの厚さ以上の隙間Lが形成されることを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1に記載の電動機14において、前記インシュレータヨーク凹部底面53aは平坦面であり、前記インシュレータヨーク凹部底面53aの底面外周部53bと底面内周部53cはR形状としたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1に記載の電動機14において、前記環状溝の開口面側径方向寸法をaとし、前記インシュレータヨーク凹部底面53aまでの深さ寸法をbとすると、a:bを、1:1~1:20の範囲としたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1に記載の電動機14において、前記固定子ティース32ごとに複数に分割された前記固定子30が円環状に配置され、前記固定子30ごとに前記インシュレータ50が配置され、前記固定子ティース内周面32Sの両側部には、端部に向かって前記エアギャップが漸次拡大する固定子ティース内周テーパー面32Saが形成され、前記インシュレータティース先端部52Bには、前記固定子ティース内周テーパー面32Saに当接する係止用突起部55を形成したことを特徴とする。
請求項9記載の本発明の電動機14は、ロータコアシートを積層することで形成され、回転軸4を中心に複数の永久磁石を配置した回転子20と、ステータコアシートを積層することで形成され、前記回転子20とエアギャップを介して配置された固定子30と、前記固定子30の積層方向の両端面に配置されたインシュレータ50とを有し、前記固定子30は、前記回転軸4を中心とした環状の固定子ヨーク31と、前記固定子ヨーク31から前記回転子20に向かって延出した複数の固定子ティース32と、前記固定子ティース32間に形成されるスロット33とを有し、前記スロット33には巻線41が配置され、前記固定子ティース32は、前記巻線41が巻かれる固定子ティース基部32Aと、前記回転子20と対向する固定子ティース内周面32Sを形成する固定子ティース先端部32Bとを有し、前記インシュレータ50は、前記固定子ヨーク31に位置するインシュレータヨーク部51と、前記固定子ティース基部32Aに位置するインシュレータティース基部52Aと、前記固定子ティース先端部32Bに位置するインシュレータティース先端部52Bと、前記インシュレータヨーク部51に設けた固定用突起部54とを有し、前記固定子ティース32ごとに複数に分割された前記固定子30が円環状に配置され、前記固定子30ごとに前記インシュレータ50が配置され、前記固定子ヨーク31には固定用凹部34を有し、前記固定用突起部54を前記固定用凹部34に挿入することで、前記インシュレータ50を前記固定子30に固定する電動機14であって、前記固定子ティース内周面32Sの両側部には、端部に向かって前記エアギャップが漸次拡大する固定子ティース内周テーパー面32Saが形成され、前記インシュレータティース先端部52Bには、前記固定子ティース内周テーパー面32Saに当接する係止用突起部55を形成したことを特徴とする。
請求項10記載の本発明の圧縮機10は、請求項1から請求項9に記載の電動機14を用いた圧縮機10であって、前記回転軸4に圧縮機構部13を連結し、前記圧縮機構部13によって冷媒を圧縮することを特徴とする。
請求項11記載の本発明の機器は、請求項10に記載の圧縮機10を用いた機器であって、前記圧縮機10、凝縮器17、減圧装置18、及び蒸発器19を配管によって環状に接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固定用突起突出部分を固定用凹部に挿入する際、及び電動機の動作時などの振動の際、固定用突起突出部分が固定用凹部によって削られて発生する削り屑を環状溝に留めることができる。
また本発明によれば、固定用突起部を固定用凹部に挿入することで、インシュレータを固定子に固定するとともに、係止用突起部を固定子ティース内周テーパー面に当接させるため、特に巻線を固定子に巻き付ける際にインシュレータが固定子からずれることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例による電動機を用いた圧縮機、及びこの圧縮機を用いた冷凍装置の構成図
【
図3】本実施例による電動機を構成する固定子とインシュレータとを示す斜視図
【
図5】インシュレータヨーク部に設けた固定用突起部と固定子ヨークに設けた固定用凹部とを示す断面図
【
図6】本実施例による電動機を用いたスクロール圧縮機、及びこのスクロール圧縮機を用いた冷凍装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による電動機は、固定用突起部を、インシュレータヨーク部に形成したインシュレータヨーク凹部のインシュレータヨーク凹部底面から立ち上げることで、固定用突起部は、インシュレータヨーク凹部内に位置する固定用突起根元部分と、インシュレータヨーク凹部から突出する固定用突起突出部分とで形成され、固定用突起根元部分の周囲には、インシュレータヨーク凹部によって環状溝が形成され、固定用突起突出部分を固定用凹部に挿入することで、インシュレータを固定子に固定するものである。本実施の形態によれば、固定用突起突出部分を固定用凹部に挿入する際、及び電動機の動作時などの振動の際、固定用突起突出部分が固定用凹部によって削られて発生する削り屑を環状溝に留めることができる。従って、電動機の組立時には、削り屑がインシュレータと固定子との間に入り込むことによってインシュレータが固定子から浮き上がることがなく、電動機の組立後には、削り屑が固定子や回転子の隙間に入り込むことによる不都合が生じることがなく、高効率で低振動の電動機を実現することができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による電動機において、固定用突起突出部分には、先端側に向かって断面積が小さくなるテーパー部分と、断面積が変化しないストレート部分とを有し、ストレート部分によって固定用突起根元部分に連続し、テーパー部分をストレート部分より長くしたものである。本実施の形態によれば、ストレート部分によって固定用突起突出部分を固定用凹部に挿入することができ、固定用凹部内にはテーパー部分が位置することで、テーパー部分によるばね性によって耐振に優れるため削り屑の発生を低減できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による電動機において、ストレート部分の長さを、1枚のステータコアシートの厚さ以上としたものである。本実施の形態によれば、固定用突起突出部分を固定用凹部に確実に挿入することができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態による電動機において、固定用突起部を、複数本に分割したものである。本実施の形態によれば、固定用突起部のばね性を更に高めることができ、耐振に優れるため削り屑の発生を低減できる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態による電動機において、固定用突起突出部分を固定用凹部に挿入した状態では、固定用突起突出部分と固定用凹部の固定用凹部底面との間には、1枚のステータコアシートの厚さ以上の隙間が形成されるものである。本実施の形態によれば、インシュレータを固定子から浮き上がることなく確実に固定子に密着固定することができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態による電動機において、インシュレータヨーク凹部底面は平坦面であり、インシュレータヨーク凹部底面の底面外周部と底面内周部はR形状としたものである。本実施の形態によれば、製作性に優れ、削り屑の発生を低減できる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第1の実施の形態による電動機において、環状溝の開口面側径方向寸法をaとし、インシュレータヨーク凹部底面までの深さ寸法をbとすると、a:bを、1:1~1:20の範囲としたものである。本実施の形態によれば、発生する削り屑を環状溝に留めることができる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第1の実施の形態による電動機において、固定子ティースごとに複数に分割された固定子が円環状に配置され、固定子ごとにインシュレータが配置され、固定子ティース内周面の両側部には、端部に向かってエアギャップが漸次拡大する固定子ティース内周テーパー面が形成され、インシュレータティース先端部には、固定子ティース内周テーパー面に当接する係止用突起部を形成したものである。本実施の形態によれば、固定用突起部を固定用凹部に挿入することで、インシュレータを固定子に固定するとともに、係止用突起部を固定子ティース内周テーパー面に当接させるため、特に巻線を固定子に巻き付ける際にインシュレータが固定子からずれることを確実に防止することができる。
【0017】
本発明の第9の実施の形態による電動機は、固定子ティースごとに複数に分割された固定子が円環状に配置され、固定子ごとにインシュレータが配置され、固定子ヨークには固定用凹部を有し、固定用突起部を固定用凹部に挿入することで、インシュレータを固定子に固定するものであり、固定子ティース内周面の両側部には、端部に向かってエアギャップが漸次拡大する固定子ティース内周テーパー面が形成され、インシュレータティース先端部には、固定子ティース内周テーパー面に当接する係止用突起部を形成したものである。本実施の形態によれば、固定用突起部を固定用凹部に挿入することで、インシュレータを固定子に固定するとともに、係止用突起部を固定子ティース内周テーパー面に当接させるため、特に巻線を固定子に巻き付ける際にインシュレータが固定子からずれることを確実に防止することができる。
【0018】
本発明の第10の実施の形態による圧縮機は、第1から第9のいずれかの実施の形態による電動機を用いた圧縮機であり、回転軸に圧縮機構部を連結し、圧縮機構部によって冷媒を圧縮するものである。本実施の形態によれば、低振動による圧縮機を実現できる。
【0019】
本発明の第11の実施の形態による機器は、第10の実施の形態による圧縮機を用いた機器であり、圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器を配管によって環状に接続したものである。本実施の形態によれば、トルクを低下させることなく、低振動による低騒音と、高効率な機器を実現できる。
【実施例0020】
以下本発明の一実施例による圧縮機について説明する。なお、以下の実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
図1は、本実施例による電動機を用いた圧縮機、及びこの圧縮機を用いた冷凍装置の構成図である。本実施例による圧縮機はロータリー圧縮機を示している。
密閉容器1には、冷媒を吸入する吸入管2と、冷媒を吐出する吐出管3とが接続されている。密閉容器1の内部には、吸入管2から吸入された冷媒を圧縮する圧縮機構部13と、圧縮機構部13を駆動する電動機14とが配置されている。密閉容器1内の底部は貯オイル部11となっている。
圧縮機構部13は、シリンダ13aと、ピストン13bと、ベーン(図示せず)と、主軸受13cと、副軸受13dとから構成されている。シリンダ13aは密閉容器1に固定される。ピストン13bはシリンダ13a内を貫通する回転軸4の偏心部4aに自転自在に嵌合される。ベーンは、シリンダ13aの内壁面に沿って転動するピストン13bに追従して、ベーン溝を往復動する。主軸受13cと副軸受13dは、シリンダ13aの上端面と下端面を密閉するとともに、回転軸4を支持する。
電動機14は、密閉容器1に固定される固定子30と、固定子30の内周に配置される回転子20とからなる。
冷媒は、吸入管2から圧縮機構部13に吸入され、圧縮機構部13で圧縮される。その後、冷媒は、電動機14を通過して吐出管3から吐出される。
【0022】
本実施例による冷凍装置は、圧縮機10、凝縮器17、減圧装置18、及び蒸発器19が配管によって環状に接続されている。凝縮器17では吐出管3から吐出される冷媒を凝縮し、減圧装置18では凝縮器17で凝縮された冷媒を減圧し、蒸発器19では減圧装置18で減圧された冷媒を蒸発させる。
蒸発器19で蒸発された冷媒は、アキュムレータ16を介して圧縮機10に戻される。
図1に示す圧縮機10は、回転軸4の一端(下端)側だけを軸受(主軸受13c、副軸受13d)で受けるため、回転軸4の他端(上端)側での軸振れが生じやすい。従って、径方向の電磁力の抑制と回転方向のトルクムラであるトルクリップルの抑制を同時に実現できる電動機14による低振動化の効果が高い。
【0023】
図2は本実施例による電動機の要部構成図であり、
図2(a)は巻線を巻いた状態での平面図、
図2(b)は巻線を巻いていない状態での平面図、
図2(c)は
図2(a)のA-A断面図、
図2(d)は
図2(b)のB-Bb断面図である。
図3は本実施例による電動機を構成する固定子とインシュレータとを示す斜視図、
図4は固定子とインシュレータとを示す図である。
本実施例では、回転子20は回転軸4に固定され、固定子30は密閉容器1(
図1参照)に固定される。
【0024】
回転子20は、ロータコアシートが積層されて筒状に形成され、回転軸4を中心に複数の永久磁石(図示せず)を配置している。
ロータコアシートは、厚さが0.3mm程度の電磁鋼板であり、回転子20は磁性体で構成されている。
【0025】
固定子30は、回転子20とエアギャップを介して配置される。固定子30は、ステータコアシートが回転軸4の軸方向に積層されて構成される。ステータコアシートは、厚さが0.3mm程度の電磁鋼板であり、固定子30は磁性体で構成されている。
図3(a)に示すように、固定子30は、回転子20の回転軸4を中心とした環状の固定子ヨーク31と、固定子ヨーク31から回転子20に向かって延出した複数の固定子ティース32と、固定子ティース32間に形成されるスロット33とを有している。スロット33には巻線41(
図2(a)、
図2(c))が配置される。
固定子ヨーク31には固定用凹部34(
図3)を有している。
【0026】
固定子ティース32は、絶縁材42(
図2(c))を介して巻線41(
図2(a)、
図2(c))が巻かれる固定子ティース基部32Aと、固定子ティース基部32Aの先端に形成される固定子ティース先端部32Bとを有している。
固定子ティース先端部32Bは、回転子20の回転子外周面20Sと対向する固定子ティース内周面32Sを形成している。
固定子ティース先端部32Bは、固定子ティース基部32Aの周方向の幅Tよりも両側に張り出して形成されている。この張り出して形成される固定子ティース内周面32Sの両側部には、端部に向かってエアギャップが漸次拡大する固定子ティース内周テーパー面32Saが形成されている。
【0027】
図3に示すように、インシュレータ50は、固定子ヨーク31に位置するインシュレータヨーク部51と、固定子ティース基部32Aに位置するインシュレータティース基部52Aと、固定子ティース先端部32Bに位置するインシュレータティース先端部52Bと、インシュレータヨーク部51に設けた固定用突起部54とを有している。
また、インシュレータティース先端部52Bには、固定子ティース内周テーパー面32Saに当接する係止用突起部55を形成している。
係止用突起部55は、インシュレータティース先端部52Bの両側に形成していることが好ましい。更に、係止用突起部55は、固定子ティース先端部32Bの側面32Baに当接する係止用突起延出部55aを形成していることが好ましい。
固定用突起部54は、インシュレータヨーク部51に形成したインシュレータヨーク凹部53のインシュレータヨーク凹部底面53aから立ち上げている。
固定用突起部54は、2本に分割している。このように、固定用突起部54を複数本に分割することで、固定用突起部54のばね性を更に高めることができ、耐振に優れるため削り屑の発生を低減できる。
図4に示すように、固定子30の積層方向の両端面にはインシュレータ50が配置される。
【0028】
なお、本実施例では、固定子ティース32ごとに複数に分割された固定子30が円環状に配置されている。
本実施例のように、固定子ティース32ごとに複数に分割された固定子30が円環状に配置され、分割された固定子30ごとにインシュレータ50が配置される場合には、固定用突起部54を固定用凹部34に挿入することで、インシュレータ50を固定子30に固定するとともに、係止用突起部55を固定子ティース内周テーパー面32Saに当接させるため、特に巻線41を固定子30に巻き付ける際にインシュレータ50が固定子30からずれることを確実に防止することができる。なお、固定用突起部54の固定用凹部34への取り付けは圧入によることが好ましい。
【0029】
図5はインシュレータヨーク部に設けた固定用突起部と固定子ヨークに設けた固定用凹部とを示す断面図である。
固定用突起部54は、インシュレータヨーク凹部53内に位置する固定用突起根元部分54Xと、インシュレータヨーク凹部53から突出する固定用突起突出部分54Yとで形成されている。
固定用突起根元部分54Xの周囲には、インシュレータヨーク凹部53によって環状溝が形成される。
図5は、固定用突起突出部分54Yを固定用凹部34に挿入することで、インシュレータ50を固定子30に固定した状態を示している。
固定用突起突出部分54Yには、先端側に向かって断面積が小さくなるテーパー部分54Yaと、断面積が変化しないストレート部分54Ybとを有しており、ストレート部分54Ybによって固定用突起根元部分54Xに連続している。テーパー部分54Yaはストレート部分54Ybより長くしている。
ストレート部分54Ybは、1枚のステータコアシートの厚さ以上の長さとしている。
本実施例によれば、ストレート部分54Ybによって固定用突起突出部分54Yを固定用凹部34に挿入することができ、固定用凹部34内にはテーパー部分54Yaが位置することで、テーパー部分54Yaによるばね性によって耐振に優れるため削り屑の発生を低減できる。
また、ストレート部分54Ybの長さを、1枚のステータコアシートの厚さ以上としているので、固定用突起突出部分54Yを固定用凹部34に確実に挿入することができる。
【0030】
固定用突起突出部分54Yを固定用凹部34に挿入した状態では、固定用突起突出部分54Yと固定用凹部34の固定用凹部底面34aとの間には、1枚のステータコアシートの厚さ以上の隙間Lが形成される。
すなわち、固定用突起突出部分54Yは、固定用凹部34の深さよりも短くしている。このように、固定用突起突出部分54Yと固定用凹部34の固定用凹部底面34aとの間に隙間Lを形成することで、インシュレータ50を固定子30から浮き上がることなく確実に固定子30に密着固定することができる。
【0031】
環状溝の開口面側径方向寸法をaとし、インシュレータヨーク凹部底面53aまでの深さ寸法をbとすると、a:bを、1:1~1:20の範囲とすることで、発生する削り屑を環状溝に留めることができる。なお、a:bは、1:2~1:10の範囲とすることが好ましく、1:3~1:5の範囲とすることが更に好ましい。深さ寸法bを開口面側径方向寸法a以上とすることで、固定用突起突出部分54Yが固定用凹部34によって削られて発生する削り屑を環状溝に留めることができる。深さ寸法bを開口面側径方向寸法aの3倍以上とすることで、固定用突起根元部分54Xにばね性を持たせることができる。
【0032】
図5(b)は
図5(a)の丸枠部分、
図5(c)は
図5(b)相当部分の他の実施例、
図5(d)は
図5(b)相当部分の更に他の実施例、
図5(e)は
図5(b)相当部分の更に他の実施例を示している。
図5(b)は、インシュレータヨーク凹部底面53aを平坦面とし、インシュレータヨーク凹部底面53aの底面外周部53bと底面内周部53cをR形状としたものである。
図5(c)は、インシュレータヨーク凹部底面53aを平坦面とし、インシュレータヨーク凹部底面53aの底面外周部53bと底面内周部53cを角部としたものである。
図5(d)は、インシュレータヨーク凹部底面53aを平坦面とし、インシュレータヨーク凹部底面53aの底面外周部53bと底面内周部53cを斜面としたものである。
図5(e)は、インシュレータヨーク凹部底面53aを砲弾状凹面としたものである。
インシュレータヨーク凹部底面53aを
図5(b)から
図5(e)に示すような形状にすることで、製作性に優れ、削り屑の発生を低減できる。
【0033】
図6は、本実施例による電動機を用いたスクロール圧縮機、及びこのスクロール圧縮機を用いた冷凍装置の構成図である。
本実施例による圧縮機10は、密閉容器1内に、冷媒ガスを圧縮する圧縮機構部13と、圧縮機構部13を駆動する電動機14とを備えている。
密閉容器1内は、圧縮機構部13によって、一方の容器内空間と他方の容器内空間に分割している。そして、他方の容器内空間には、電動機14を配置している。
また、他方の容器内空間は、電動機14によって、圧縮機構側空間と貯オイル側空間に分割している。そして、貯オイル側空間には、貯オイル部11を配置している。
密閉容器1には、吸入管2と吐出管3とが溶接によって固定されている。吸入管2と吐出管3とは密閉容器1の外部に通じ、冷凍サイクルを構成する部材と接続されている。吸入管2は密閉容器1の外部から冷媒ガスを導入し、吐出管3は一方の容器内空間から密閉容器1の外部に冷媒ガスを導出する。
【0034】
主軸受部材7aは、密閉容器1内に溶接や焼き嵌めなどで固定され、回転軸4を軸支している。回転軸4は、一方を主軸受部材7aで軸支され、他方を軸受7bで軸支される。この主軸受部材7aには、固定スクロール13jがボルト止めされている。固定スクロール13jと噛み合う旋回スクロール13kは、主軸受部材7aと固定スクロール13jとで挟み込まれている。固定スクロール13j及び旋回スクロール13kは、スクロール式の圧縮機構部13を構成している。
旋回スクロール13kと主軸受部材7aとの間には、オルダムリングなどによる自転拘束機構9を設けている。自転拘束機構9は、旋回スクロール13kの自転を防止し、旋回スクロール13kが円軌道運動するように案内する。旋回スクロール13kは、回転軸4の上端に設けている偏心部4aにて偏心駆動される。この偏心駆動により、固定スクロール13jと旋回スクロール13kとの間に形成している圧縮室は、圧縮機構部13の外周から中央部に向かって移動し、容積を小さくして圧縮を行う。
【0035】
電動機14は、回転軸4を中心に回転自在に配置された回転子20と、回転子20とエアギャップを介して配置された固定子30とを有する。なお、電動機14の構成については
図2と同一であるため説明を省略する。
【0036】
冷媒は、吸入管2から圧縮機構部13に吸入され、圧縮機構部13で圧縮される。その後、冷媒は、吐出管3から吐出される。
本実施例による冷凍装置は、圧縮機10、凝縮器17、減圧装置18、及び蒸発器19が配管によって環状に接続されている。凝縮器17では吐出管3から吐出される冷媒を凝縮し、減圧装置18では凝縮器17で凝縮された冷媒を減圧し、蒸発器19では減圧装置18で減圧された冷媒を蒸発させる。
蒸発器63で蒸発された冷媒は、吸入管2から圧縮機10に戻される。
図6に示す圧縮機10は、回転軸4の一端(下端)を軸受7bで受け、回転軸4の他端(上端)を主軸受部材7aで受けるため軸振れは生じにくいが、電動機14からの振動は密閉容器1に伝わりやすいため、径方向の電磁力の抑制と回転方向のトルクムラであるトルクリップルの抑制を同時に実現できる電動機14による低振動化の効果が高い。
【0037】
図1及び
図6に示すように、本実施例による電動機14は、回転軸4に圧縮機構部13を連結し、圧縮機構部13によって冷媒を圧縮する圧縮機10に適している。
なお、本実施例では、縦型の圧縮機10を用いて説明したが、横置き型の圧縮機10であっても同様に効果があり、例えば車載用圧縮機にも適している。また、
図1ではロータリー圧縮機を示し、
図6ではスクロール圧縮機を示したが、レシプロ圧縮機やその他の圧縮機であってもよい。
車載用圧縮機では、特に低騒音化が必要とされるため、高効率で低振動を実現できる本実施例による電動機14を用いることで低振動による低騒音の効果が高い。
また、本実施例による電動機14を用いた圧縮機10を、凝縮器17、減圧装置18、及び蒸発器19とともに配管によって環状に接続した冷凍装置では、トルクを低下させることなく、低振動による低騒音と、高効率化を実現することができる。
【0038】
以上のように、本実施例による電動機14は、固定用突起部54を、インシュレータヨーク部51に形成したインシュレータヨーク凹部53のインシュレータヨーク凹部底面53aから立ち上げることで、固定用突起部54は、インシュレータヨーク凹部53内に位置する固定用突起根元部分54Xと、インシュレータヨーク凹部53から突出する固定用突起突出部分54Yとで形成される。また、固定用突起根元部分54Xの周囲には、インシュレータヨーク凹部53によって環状溝が形成され、固定用突起突出部分54Yを固定用凹部34に挿入することで、インシュレータ50を固定子30に固定する。そうすることによって、固定用突起突出部分54Yを固定用凹部34に挿入する際、及び電動機14の動作時などの振動の際、固定用突起突出部分54Yが固定用凹部34によって削られて発生する削り屑を環状溝に留めることができる。従って、電動機14の組立時には、削り屑がインシュレータ50と固定子30との間に入り込むことによってインシュレータ50が固定子30から浮き上がることがなく、電動機14の組立後には、削り屑が固定子30や回転子20の隙間に入り込むことによる不都合が生じることがなく、高効率で低振動の電動機14を実現することができる。
【0039】
また、本実施例による電動機14は、固定子ティース32ごとに複数に分割された固定子30が円環状に配置され、固定子30ごとにインシュレータ50が配置され、固定子ヨーク31には固定用凹部34を有し、固定用突起部54を固定用凹部34に挿入することで、インシュレータ50を固定子30に固定するものであり、固定子ティース内周面32Sの両側部には、端部に向かってエアギャップが漸次拡大する固定子ティース内周テーパー面32Saが形成され、インシュレータティース先端部52Bには、固定子ティース内周テーパー面32Saに当接する係止用突起部55が形成されることによって、固定用突起部54を固定用凹部34に挿入する。そうすることで、インシュレータ50を固定子30に固定するとともに、係止用突起部55を固定子ティース内周テーパー面32Saに当接させるため、特に巻線41を固定子30に巻き付ける際にインシュレータ50が固定子30からずれることを確実に防止することができる。
なお、本実施例では、固定子ティース32ごとに複数に分割された固定子30が円環状に配置されるものを示したが、一体化された固定子30においても同様である。