(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153791
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】サーキュレータ
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
F24F7/007 101
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024122413
(22)【出願日】2024-07-29
(62)【分割の表示】P 2022152866の分割
【原出願日】2018-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2017191401
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀規
(72)【発明者】
【氏名】福増 一人
(72)【発明者】
【氏名】石川 弘
(57)【要約】
【課題】室内の空気を確実に撹拌できるサーキュレータを提供する。
【解決手段】送風用のファン17と、ファンを駆動するモーター18とを有する送風部2を備え、送風部は、正面側に送風口11を有し、該送風口にグリル12が設けられ、グリルには、複数の送風案内板が渦巻き状に設けられ、送風部は、フロントカバー15aとリアカバー15bから成るカバー15と、フロントカバーの内側に設けられた風路形成部材60とを、有し、風路形成部材の後端部がフロントカバーから後方へ突出し、リアカバーに装入されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風用のファンと、前記ファンを駆動するモーターとを有する送風部を備え、
前記送風部は、外面を形成するカバーと、前記カバーの内側に設けられた風路形成部材と、を有し、
前記風路形成部材の外周面には、補強リブが設けられている、サーキュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、サーキュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、渦巻き状のフィン(送風案内板)が設けられたグリルを有するサーキュレータが提案されている。サーキュレータによって室内の空気を撹拌し、室内の温度を均一化することで、例えば夏季のエアコンなどの冷房効率を向上させることができ、省エネの効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のサーキュレータは、送風口に設けたグリルが平面的な構造であるので、送風方向の中央に風が集中せず、十分な風速が得られないという欠点があった。送風方向の中央の風速が不十分であると、風の到達距離が伸びず、室内の空気を確実に撹拌できない場合があった。
【0005】
本実施の形態は、室内の空気を確実に撹拌できるサーキュレータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一態様によれば、送風用のファンと、前記ファンを駆動するモーターとを有する送風部を備え、前記送風部は、正面側に送風口を有し、該送風口にグリルが設けられ、前記グリルには、複数の送風案内板が渦巻き状に設けられ、前記送風部は、フロントカバーとリアカバーから成るカバーと、前記フロントカバーの内側に設けられた風路形成部材とを、有し、前記風路形成部材の後端部が前記フロントカバーから後方へ突出し、前記リアカバーに装入されているサーキュレータが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本実施の形態によれば、送風方向の中央に風を集めることができ、室内の空気を確実に撹拌できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の斜視図。
【
図2】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の正面図。
【
図3】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の右側面図。
【
図4】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の上面図。
【
図5】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の背面図。
【
図6】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の断面図。
【
図7】比較例に係るサーキュレータ(送風機)の斜視図。
【
図8】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の送風状態を示す斜視図。
【
図9】(a)実施例1に係るサーキュレータ(送風機)が備えるグリル部分の右側面図、(b)実施例2に係るサーキュレータ(送風機)が備えるグリル部分の右側面図。
【
図10】(a)比較例に係るサーキュレータ(送風機)の要部の端面図、(b)実施例1に係る送風機の要部の端面図。
【
図11】比較例、実施例1,2の風速の試験結果を示すグラフ。
【
図12】比較例、実施例1,2の風の到達距離の試験結果を示すグラフ。
【
図13】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)が備える風路形成部材の斜視図。
【
図14】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)が備える風路形成部材の断面図。
【
図15】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の断面図。
【
図16】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の内部構造を示す断面図。
【
図17】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の内部構造を示す斜視図。
【
図18】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の内部構造を示す断面図。
【
図19】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)の内部構造を示す斜視図。
【
図20】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)が備える操作パネルの平面図。
【
図21】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)が備える左右首振り機構を示す断面図。
【
図22】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)が備える台座部の分解図。
【
図23】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)が備える台座部の合わせ目を示す断面図。
【
図24】本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)のリズム風の風量調節パターンの一例を示すグラフ。
【
図25】
図24に示されるリズム風の制御方法を示すグラフであり、(a)モーターに付加する電圧を固定値とする場合、(b)モーターに付加する電圧を徐々に変化させる場合。
【
図26】(a)実施例1に係るサーキュレータ(送風機)が備えるグリル部分の断面図、(b)変形例に係るサーキュレータ(送風機)が備えるグリル部分の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
[外観]
図1~
図5は、本実施の形態に係るサーキュレータ(送風機)1を示す外観図であり、
図1は斜視図、
図2は正面図、
図3は右側面図、
図4は上面図、
図5は背面図である。この送風機1は、球面グリル構造により風速強化を図るとともに、球体形状の進化形デザインによりコンパクトに見えるように構成されている。
【0011】
詳細については後述するが、本実施の形態に係る送風機1は、
図1~
図5に示すように、正面側に送風口11を有し、送風口11にグリル12が設けられた送風部2と、送風部2を支持する台座部(支持部)3とを備え、グリル12は、複数のフィン13が渦巻き状に設けられ、複数のフィン13の渦巻きの中心部Oに近い内端部13Aが、送風口11に連続する外端部13Bより送風方向4に突出している。換言すると、グリル12の内の複数のフィン13が形成されている部分13Cの外端部13Bに対し内端部13Aが送風方向4に突出している。内端部13Aとは、渦巻きの中心部Oに近い内端側であり、内端近くを含む。外端部13Bとは、送風口11に連続する外端側の部分である。これにより、風が中央に集まり(収束し)、送風方向の中央に於ける風速を向上できる。また、送風口11から吹き出される風(スパイラル気流)の到達距離を伸長できる。その結果、室内の空気を確実に撹拌でき、室内の温度を均一化させて省エネに貢献できる。
【0012】
具体的には、
図6に示すように、複数のフィン13の外端部13Bに対する内端部13Aの突出量L1が、外端部13Bに於ける前後方向のフィン幅寸法Wよりも大きく設定されているのが好ましい。ここでいう突出量L1とは、外端部13Bの前端から内端部13Aの前端までの前後方向の距離に相当する。また、フィン幅寸法Wとは、フィン13の前後方向の幅寸法である。ここでは、フィン幅寸法Wが一定のフィン13を例示し、そのフィン13の外端部13Bが送風口11に連続している。なお、「複数のフィン13の外端部13Bに対する内端部13Aの突出量」という記載は、「グリル12の内の複数のフィン13が形成されている部分13Cの(外端部13Bに対する内端部13Aの)突出量」と言い換えることもできる。複数のフィン13が形成されている部分13Cとは、グリル12から渦巻きの中心部Oにあるキャップ14を除いた部分である。これにより、複数のフィン13の外端部13Bに対する内端部13Aの突出量L1を十分に確保でき、風を中央に収集させる効果を確実に発揮できる。
【0013】
また、複数のフィン13(グリル12の内の複数のフィン13が形成されている部分13C)は、外端部13Bから渦巻きの中心部Oに向かうにつれて次第に送風方向4に突出しているのが好ましい。これにより、風を中央に収集させる効果を効率良く発揮でき、確実に風速を向上できる。
【0014】
また、複数のフィン13(グリル12の内の複数のフィン13が形成されている部分13C)は、送風方向4に凸となるように弯曲しているのが好ましい。これにより、グリル12を弯曲状(球面状)とすることで、より一層効率良く風速を向上できる。
【0015】
また、送風部2の送風口11が円形に形成され、複数のフィン13の外端部13Bに対する内端部13Aの突出量L1が、送風口11の直径の20%より大きくなるように設定されている。言い換えると、グリル12の内の複数のフィン13が形成されている部分13Cの内端部13Aが、送風口11の直径の20%を超えて送風方向4に突出している。これにより、風を中央に収集させる効果を十分に発揮でき、確実に風速を向上できる。
【0016】
また、送風部2は、外面を形成するカバー15と、カバーの内側に設けられた円筒状の風洞部16とを有しているのが好ましい。これにより、送風口11から吹き出される風の風速が安定する。サーキュレータから吹き出される風は、渦を巻きながら直進するスパイラル気流であり、扇風機等と比べて風の指向性及び直進性が高い。風洞部16を設ければ、このようなサーキュレータ特有の作用である風の指向性及び直進性を確保できる。
【0017】
また、送風部2のカバー15は、グリル12を有するフロントカバー15aと、フロントカバー15aに嵌着可能なリアカバー15bとを有し、フロントカバー15aとリアカバー15bとが嵌着された嵌着状態で球体形状を成すのが好ましい。これにより、洗練された球体形状で、角がなくコンパクトに見える。また、見た目のかわいらしさやおしゃれ感がアップする。
【0018】
また、フロントカバー15aとリアカバー15bは、嵌着状態で球体形状を成すように半球状に形成され、フロントカバー15aの内側には、風洞部16を有する風路形成部材60が設けられ、風路形成部材60の一部がフロントカバー15aの後方から突出しているのが好ましい。これにより、嵌着状態で球体形状を成す場合でも、風路形成部材60の長さを確保することができる。
【0019】
また、風路形成部材60は、円筒状の風洞部16と、風洞部16の後端に連設されて後方に向かうにつれて次第に径が大きくなる拡径筒部とを、有しているのが好ましい。拡径筒部については後に詳しく説明する。このように、風路形成部材60の後端がテーパー状になっていれば、後方からの空気の流れをスムーズに案内できる。また、拡径筒部から風洞部16に入るところで、流路面積の縮小により流速が増加し、風速のアップに寄与できる。
【0020】
なお、ここでは、複数のフィン13,13の隙間から手指が入るのを防止すると共にグリル12の補強も兼ねて、各フィン13と交差する円形のリング13Rを設けた構成を例示しているが、このリング13Rはなくてもよい。
【0021】
[各部の詳細]
以下、
図1~
図5を用いて、本実施の形態に係る送風機1を更に詳しく説明する。
【0022】
既に説明したように、送風部2のカバー15は、フロントカバー15aと、リアカバー15bとを有する。フロントカバー15aは、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で形成された半球形状のカバーであり、前方に開口された円形の送風口11に球面のグリル12が設けられている。リアカバー15bも、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で形成された半球形状のカバーである。リアカバー15bのほぼ全面にわたって、外気を取り込むための多数の通気口21が形成されている。
【0023】
グリル12は、例えば、耐衝撃性の高い合成樹脂材料で形成された前面パネルである。具体的には、渦巻き状のフィン13が渦巻きの中心部Oに向かうにつれて次第に突出するように凸弯曲状に形成されている。グリル12の後方から風を送り、グリル12の前後方向に空気流(風)が通過すると、渦を巻きながら直進するスパイラル気流が生じるようになっている。
【0024】
台座部3は、送風部2を左右首振り自在に支持し、設置面に載置される。台座部3は、平面視で円形状に形成された台座下部31と、台座下部31に嵌着可能な台座上部32とを有する。台座下部31も台座上部32も、外面を形成するカバーは、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で形成することができる。台座上部32の中心より後方に一本脚形状の支柱部33を垂直に立設し、支柱部33より前方に操作パネル34を配置している。ここでは、支持部3として台座部3を例示しているが、支持部3は、天井などに取り付け可能な構造にしてもよい。
【0025】
[内部構造]
図6は、本実施の形態に係る送風機1の断面図である。この図に示すように、送風部2は、空気流を発生させる送風装置であって、送風用のファン17と、ファン17を駆動するモーター18とを備える。送風用のファン17としては、大風量の空気流を発生させるため、軸流式のプロペラファンを採用している。また、ファン17用のモーター18としては、一般的なACコンデンサモーターを採用している。なお、ファン17の直径R0は、約120mm~約240mmとする。
【0026】
本実施の形態に係る送風機1は、左右首振り及び上下首振りを自動で行うために、左右首振り用のモーターM1と上下首振り用のモーターM2とを用いている。この2つの首振り用のモーターM1,M2としては、製品内部に収めるべくサイズ的に小さいことが要求されるため、シンクロナスモーターを採用している。ここでは、左右首振り及び上下首振りを自動で行うこととしているが、これに限定されるものではない。例えば、左右首振りだけを自動で行うこととしてもよい。
【0027】
[凸弯曲(球面)グリル構造]
以下、本実施の形態に係る送風機1が備える球面グリル構造について詳細に説明する。以下では、球面グリル構造の特徴を明確にするため、比較例(平面グリル構造)と実施例1,2(球面グリル構造)とを対比しながら説明する。
【0028】
(比較例)
図7は、比較例に係る送風機100の斜視図である。
図1と同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
図7に示すように、比較例に係る送風機100は、平面グリル構造を備えるサーキュレータである。すなわち、外形形状が略太鼓状に形成された送風部2を備え、前方に開口された円形の送風口11に平面のグリル12が設けられている。このような平面のグリル12も、渦巻き状の複数のフィン13を有している点は同じである。フロントカバー15aのうちグリル12を除いた部分は、丸みを帯びた円錐台形状に形成されている。
【0029】
(実施例1,2)
図8は、本実施の形態に係る送風機1の送風状態を示す斜視図である。
図8に示すように、本実施の形態に係る送風機1は、球面グリル構造を備えるサーキュレータである。そのため、グリル12から前方へ向けて吹き出される風には、送風方向4の中央に収束する渦を巻くように回転力が付与される。その結果、風が中央に集まり、送風方向4の中央に於ける風速を向上できる。以下、本実施の形態に係る送風機1の具体例として、実施例1に係る送風機1aと実施例2に係る送風機1bを挙げ、更に詳しく説明する。
【0030】
図9(a)は、実施例1に係る送風機1aが備えるグリル12部分の右側面図であり、
図9(b)は、実施例2に係る送風機1bが備えるグリル12部分の右側面図である。
図9(a)に示すように、実施例1に係る送風機1aでは、例えば、ファン17の直径R0が約150mmである場合には、グリル12の曲率半径Rを約105mmとしている。一方、
図9(b)に示すように、実施例2に係る送風機1bでは、例えば、グリル12の曲率半径Rを約92mmとしている。グリル12の曲率半径Rが異なる点を除き、実施例1,2に係る送風機1a,1bの基本構造は同じである。例えば、実施例1に係る送風機1aも実施例2に係る送風機1bも、外端部13Bの前端に対して内端部13Aの前端が突出している点は同じである。
【0031】
次に、比較例、実施例1,2による作用の違いについて説明する。
図10(a)は、比較例に係る送風機100の要部の端面図であり、
図10(b)は、実施例1に係る送風機1aの要部の端面図である。図中の矢印は、送風口11から吹き出される風の流れを示している。
図10(a)に示すように、比較例に係る送風機100では、渦巻き状の複数のフィン13が同一平面上に配置されているため、送風方向4の中央に風が集まりにくい。一方、
図10(b)に示すように、実施例1に係る送風機1aでは、渦巻き状の複数のフィン13が立体的に配置されているため、送風方向4の中央に風が集まりやすい。ここでは、実施例1に係る送風機1aについて説明したが、実施例2に係る送風機1bについても、送風方向4の中央に風が集まりやすい点は同じである。なお、「送風方向4の中央」は、「送風口11の中央の前方」や「ファン17の回転軸と平行であり、かつ、渦巻きの中心部Oを通る直線の延長線上」と言い換えることもできる。
【0032】
(風速の比較)
図11は、比較例、実施例1,2の風速の試験結果を示すグラフである。縦軸は風速[m/s]を示し、横軸は送風方向4の中央を基準位置「0」とした左右方向の距離を示している。具体的には、横軸に示される符号P-4~P4は、それぞれ、
図10(b)に示される符号P-4~P4の位置に対応している。
図11に示すように、比較例も実施例1,2も、左右方向の距離が大きくなるに従って風速が小さくなる。ただし、比較例の波形は、送風方向4の中央付近がほぼ平坦になっているのに対して、実施例1,2の波形は、送風方向4の中央付近が山形になっている。すなわち、送風方向4の中央付近では、実施例1,2の方が比較例に比べて風速が高くなっている。
【0033】
実施例1,2によれば、グリル12を球面にすることで送風方向4の中央に風が集まり、風速を向上できることが分かった。また、実施例1(曲率半径R105)と実施例2(曲率半径R92)との比較で言えば、実施例2の方が送風方向4の中央に風が寄り、風速がわずかに増えることが分かった。
【0034】
なお、グリル12の曲率半径Rは、例えば、ファン17の直径R0が約150mmである場合には、約80mm~約120mm(より好ましくは、約90mm~約110mm)であるのが好ましい。ここでは、ファン17の直径R0が約150mmである場合を前提としているが、ファン17の直径R0は、例えば、約120mm~約240mmの範囲で適宜変更可能である。ファン17の直径R0が変われば、それに応じてグリル12の曲率半径Rの好ましい範囲(約80mm~約120mm)も相似的に変わることは言うまでもない。
【0035】
(風の到達距離の比較)
図12は、比較例、実施例1,2の風の到達距離の試験結果を示すグラフである。
図12に示すように、風の到達距離[m]は、比較例が約28mであるのに対して、実施例1が約30m、実施例2が約29mであった。このように、実施例1,2によれば、グリル12を球面にすることで送風方向4の中央に風が集まり、風の到達距離を向上できることが分かった。比較例でも、スパイラル気流により遠くまで届く強い風を実現できるが、実施例1,2によれば、更にその到達距離を伸ばすことができ、サーキュレータ本来の空気撹拌効果が顕著となる。
【0036】
(ファンとグリルの相関関係)
図6に示すように、グリル12の曲率半径をR、ファン17の直径をR0、送風部2の外径をR1、送風口11の直径(風洞部16の内径)をR2とする。円筒状の風洞部16は、僅かに径が拡大・縮小してもよい。
【0037】
まず、ファン17の直径R0が約150mmである場合、グリル12の曲率半径Rの好ましい範囲は約80mm~約120mm(より好ましくは、約90mm~約110mm)であり、実測値は約105mmである。ファン17の直径R0とグリル12の曲率半径Rの関係で言うと、グリル12の曲率半径Rの好ましい範囲は、R/R0=約53.3%~約80.0%(より好ましくは、約60.0%~約73.3%)を満たす範囲と言うことができる。
【0038】
グリル12の曲率半径Rが下限値未満である場合、送風部2に於けるグリル12が歪な形状となる。ここでいう下限値とは、ファン17の直径R0の約53.3%(より好ましくは、約60.0%)である。一方、グリル12の曲率半径Rが上限値を超える場合、風速アップの効果が十分に得られない。ここでいう上限値とは、ファン17の直径R0の約80.0%(より好ましくは、約73.3%)である。
【0039】
また、ファン17の直径R0が約150mmである場合、送風部2の外径R1の好ましい範囲は約160mm~約240mmである。送風部2の外径R1とファン17の直径R0との関係で言うと、送風部2の外径R1の好ましい範囲は、R1/R0=約107%~約160%を満たす範囲と言うことができる。送風部2は球型であるため、送風部2の外径R1はグリル12の曲率半径Rの約2倍となる。
【0040】
送風部2の外径R1がファン17の直径R0の約107%未満である場合、ファン17と風洞部16のクリアランスを確保できず、ファン17と風洞部16の内面が接触する虞があり、製作も困難である。一方、送風部2の外径R1がファン17の直径R0の約160%を超える場合、送風部2のサイズが過大となり、頭でっかちで台座部3とのバランスが崩れる。
【0041】
また、ファン17の直径R0が約150mmである場合、送風口11の直径R2の好ましい範囲は約155mm~約175mmである。送風口11の直径R2とファン17の直径R0との関係で言うと、送風口11の直径R2の好ましい範囲は、R2/R0=約103%~約117%を満たす範囲と言うことができる。送風口11の直径R2を小さくすると、風洞部16の長さを確保できる利点がある。
【0042】
送風口11の直径R2がファン17の直径R0の約103%未満である場合、ファン17と風洞部16のクリアランスを確保できず、接触の虞があり、製作も困難である。一方、送風口11の直径R2がファン17の直径R0の約117%を超える場合、球型の送風部2の中で風洞部16の長さを確保できず、吹き出される風の指向性と直進性を保つことが困難である。
【0043】
送風口11の直径R2と送風部2の外径R1との関係で言うと、送風口11の直径R2の好ましい範囲は、R2/R1=約74%~約83%を満たす範囲と言うこともできる。このようにR2/R1が比較的小さい場合は、送風部2の正面視に占める送風口11の面積が小さく見える効果がある。
【0044】
送風口11の直径R2が送風部2の外径R1の約74%未満である場合、ファン17と風洞部16のクリアランスを確保できず、接触の虞がより高まる。一方、送風口11の直径R2が送風部2の外径R1の約83%を超える場合、球型の送風部2の中で風洞部16の長さを確保できず、吹き出される風の指向性と直進性を保つことがより困難になる。
【0045】
[球体デザイン+内部の風洞部]
送風部2は、洗練された球体形状であるため、角がなくコンパクトに見える。また、見た目のかわいらしさやおしゃれ感がアップする。一方、送風機1から吹き出される風の風速を安定させるためには、一定長さの風洞部16が必要である。そこで、本実施の形態に係る送風機1では、以下の構成を採用している。
【0046】
図13は、本実施の形態に係る送風機1が備える風路形成部材60の斜視図である。
図13に示すように、風路形成部材60は、風路を形成する部材であり、グリル12と風洞部16と拡径筒部19とを有する。グリル12と風洞部16と拡径筒部19とを合成樹脂材料で一体成型することで、風路形成部材60を形成している。
【0047】
風洞部16は、ファン17のラジアル外方に設けられた円筒状の部材であり、風洞部16の内径は、送風口11の内径と略等しい。
【0048】
拡径筒部19は、リアカバー15bと嵌合する部分であり、後方にいくに従って次第に径が大きくなるテーパー筒状の部材である。拡径筒部19の最後端19aには、リアカバー15bと係合する複数の係止爪19bが設けられている。
【0049】
風洞部16から拡径筒部19にかけて、その外周面に複数の補強リブ19cを直角に立て、拡径筒部19の強度を確保している。補強リブ19cの外縁は、外装球面カバー部材15Cの内側の面に当接するように形成されている。
【0050】
風路形成部材60の外側に外装球面カバー部材15Cを取り付けると、グリル12の前面(複数のフィン13の前端面)と外装球面カバー部材15Cの外周面が連続した球面を構成することになる。
【0051】
風洞部16とグリル12が一体成型されることで、風洞部16とグリル12との連結部の強度を確保しつつ、部品点数の減少、コストダウンを図ることが可能である。
【0052】
また、グリル12の前面(複数のフィン13の前端面)と、外装球面カバー部材15Cの外周面が連続した球面を構成することで、送風部2に於けるグリル12と外装球面カバー部材15Cの間に段差がなく、美しい球体形状とすることができ、美観を向上できる。
【0053】
外装球面カバー部材15Cの内側に風洞部16を設けることで、吹き出される風の指向性と直進性が向上し、サーキュレータとしての性能が安定する。
【0054】
(風路形成部材)
図14は、本実施の形態に係る送風機1が備える風路形成部材60の断面図である。この図に示すように、風路形成部材60本体の長さをL0、グリル12の突出量をL1、風洞部16の長さをL2、拡径筒部19の長さをL3、グリル12の曲率半径をR、拡径筒部19の内周面のテーパー角度をθとする。風路形成部材60本体の長さL0は、グリル12の先端から拡径筒部19の後端までの長さであり、L0=L1+L2+L3となる。以下でも、ファン17の直径R0が約150mmである場合を前提とする。ファン17の直径R0が変われば、それに応じて各部の大きさも相似的に変わることは言うまでもない。
【0055】
ファン17の直径R0が約150mmである場合、風洞部16の長さL2の好ましい範囲は、約45mm~約60mmであり、実測値は約50mmである。風洞部16の長さL2の好ましい範囲はファン17の直径R0(約150mm)の約30%~約40%と言うこともできる。風洞部16を長くすると、風の指向性及び直進性を確保できる。
【0056】
風洞部16の長さL2が、ファン17の直径R0の約30%(約45mm)未満である場合、風洞部16が過小となり、風の指向性及び直進性を確保できない。一方、風洞部16の長さL2が、ファン17の直径R0の約40%(約60mm)を超える場合、グリル12の突出量L1や拡径筒部19の長さL3が小さくなって、風速アップの効果が十分に得られない。
【0057】
また、風路形成部材60本体の長さL0は、グリル12の曲率半径R(約105mm)より大きく設定されている。そのため、風路形成部材60の後端部(拡径筒部19)が半球状のフロントカバー15aから後方へ突出し、風路形成部材60の後端部がリアカバー15bに装入されている。風路形成部材60本体の長さL0が長いほど、風洞部16の長さL2を確保し易いのだが、グリル12を球面状に形成しているため、風洞部16を前方に延ばして長さL2を大きくすることができない。本実施の形態では、風路形成部材60本体の長さL0をグリル12の曲率半径Rより大きく設定し、風洞部16の後方の拡径筒部19の一部をリアカバー15bに装入することで、風洞部16の長さL2を確保している。また、拡径筒部19の長さL3も十分に確保できる。
【0058】
また、拡径筒部19は、テーパー角度θが15度~30度に設定されている。このように、風路形成部材60の後端の拡径筒部19を角度15度~30度のテーパー状としたことで、後方からの空気の流れをスムーズに案内できる。また、拡径筒部19から風洞部16に入るところで、流路面積の縮小により流速が増加し、風速をアップさせることが可能である。
【0059】
拡径筒部19のテーパー角度θが15度未満である場合、拡径筒部19から風洞部16に入るところで、流路面積の縮小による流速アップの効果を得にくくなる。一方、テーパー角度θが30度を超える場合、拡径筒部19における通風抵抗が大きくなるため、後方からの空気の流れがスムーズでなくなる虞がある。
【0060】
(ファンと風路形成部材の関係)
図15に於て、送風機1内を流れる空気61の流路を示している。送風機1内を流れる空気61は、拡径筒部19から風洞部16に入るところで、流路面積の縮小により流速が増加する。これにより、送風口11から吹き出される風の風速のアップに寄与している。なお、
図15に示すように、風路形成部材60がファン17の外側を包囲し、ファン17の後端位置より風路形成部材60が後ろに延びている。
【0061】
[電気ケーブルの配線]
図16及び
図17は、本実施の形態に係る送風機1の内部構造を示している。具体的には、
図16は、送風部2の中心より左側で切断した場合の断面図であり、
図17は、カバー15と風路形成部材60を取り外して左斜め後方から見下ろした場合の斜視図である。
【0062】
図16及び
図17に示すように、台座部3から立ち上げた支柱70でモーターカバー71を両脇から挟み込み、この挟み込んだ位置を上下首振りの軸72として、送風部2が台座部3に対して上下首振りを行う。そこで、モーターカバー71に収容されるファン17用のモーター18(
図6参照)や上下首振り用のモーターM2(
図6参照)に接続される電気ケーブル73を上下首振りの軸72上から引き出してもよい。上下首振りの軸72上から引き出された電気ケーブル73は、台座部3の上面35に形成された開口36から台座部3の内部に取り込まれる。電気ケーブル73が支柱70の適当な位置に電気ケーブル73を固定されていてもよい。このように上下首振りの回転中心に電気ケーブル73を通す構成によれば、上下首振り時に電気ケーブル73に捩り力が掛からないため、電気ケーブル73の断線を防止できる。
【0063】
[上下首振り機構]
図18及び
図19は、本実施の形態に係る送風機1の内部構造を示している。具体的には、
図18は、送風部2の中心より右側で切断した場合の断面図であり、
図19は、カバー15と風路形成部材60を取り外して右斜め後方から見下ろした場合の斜視図である。
【0064】
また、
図18及び
図19に示すように、上下首振り用のモーターM2の出力軸94が上下首振りのリンク機構90を介して支柱70に接続されている。具体的には、リンク機構90は、上下首振り用のモーターM2の出力軸94に固定された揺動アーム部材91と、支柱70に固定された固定部材93と、一端部が揺動アーム部材91に枢着され、他端部が固定部材93に枢着された弓形のリンク部材92とを備える。揺動アーム部材91とリンク部材92との間にゴムワッシャー95が嵌め込まれ、リンク部材92と固定部材93との間にゴムワッシャー96が嵌め込まれてもよい。これにより、ゴムワッシャー95,96で振動が吸収されるため、シンクロナスモーター(上下首振り用のモーターM2)のバックラッシ及び部材91,92,93間のクリアランスによるリンク機構90の異音を防止できる。なお、2箇所のゴムワッシャー95,96の一方を省略しても良い。
【0065】
[操作パネル]
図20は、本実施の形態に係る送風機1が備える操作パネル34の平面図である。操作パネル34には、
図20に示すように、電源ボタン34a、切タイマーボタン34b、風量ボタン34c、リズムボタン34d、首振りボタン34eなどが含まれる。電源ボタン34aは、電源の切/入を設定するためのボタンである。切タイマーボタン34bは、切タイマーを設定するためのボタンである。風量ボタン34cは、送風部2の風量調節を行うためのボタンであって、押下される度に、風量の強弱設定を微風・弱・中・強・ターボの順に5段階に切り替える。リズムボタン34dは、後述するリズム風を設定するためのボタンである。首振りボタン34eは、上下首振り及び左右首振りのオン/オフを設定するためのボタンである。
【0066】
[リアカバー]
次に、
図5を参照しながら、リアカバー15bについて更に詳しく説明する。既に説明したように、リアカバー15bのほぼ全面にわたって、外気を取り込むための多数の通気口21が形成されている。本実施の形態では、リアカバー15bのモーター後方箇所に風孔21aを追加している。そのため、モーター18がファン17を駆動しているときに、モーター後方箇所の風孔21aからも外気が取り込まれるため、風量をより多く確保できるだけでなく、モーター18が自ら発生させる空気流によって冷却効果を生じ、発熱対策にもなる。
【0067】
[左右首振り機構]
図21は、本実施の形態に係る送風機1が備える左右首振り機構43を示す断面図である。
図21に示すように、台座部3は、内部が空洞になっており、その空洞内部に左右首振り機構43が収納されている。左右首振り機構43は、台座上部32に固定された樹脂製の固定板41と、インサート成型にて固定板41に一体化された中心軸42と、固定板41の上面に固定された首振り用のモーターM1とを備える。中心軸42の下端が挿入される樹脂製の軸受部材(ブッシュ)44を備え、この軸受部材44の下端内周部には、係止爪44aが一体成型されている。中心軸42の下端外周部には切欠溝42aが形成され、切欠溝42aに係止爪44aが圧入されている。
【0068】
図22は、本実施の形態に係る送風機1が備える台座部3の分解図である。以下、
図22を用いて、左右首振り機構43を更に詳しく説明する。
【0069】
既に説明したように、台座部3は、内部が空洞になっており、その空洞内部に左右首振り機構43が収納されている。左右首振り機構43は、固定板41と、固定板41の上面に固定された首振り用のモーターM1(
図21参照)と、首振りモーターM1の出力軸43Eに固定された偏心カム43Aと、台座下部31に固定される固定軸43Dと、一端部が偏心カム43Aに枢着され、他端部が固定軸43Dに枢着された弓形の連結リンク43Bとを備える。
【0070】
また、固定板41は、台座上部32に固定され、中心軸42は、軸受部材44に旋回可能に挿入される。首振り用のモーターM1(出力軸43Eに固定された偏心カム43Aを含む)と固定軸43Dは、それぞれ中心軸42から離れた位置に設けられている。
【0071】
また、台座下部31に開孔された軸挿入孔47には、下端内周部に係止爪44aが形成された円筒状の軸受部材44が挿入される。この軸受部材44には中心軸42が挿入される。中心軸42の下端外周部には切欠溝42aが形成されており、その切欠溝42aに係止片となる係止爪44aが圧入される。軸受部材44の下部にコードフォルダー45を取り付け、台座下部31下面の開口部31bにボトムキャップ46で蓋をするようになっている。
【0072】
また、固定板41と中心軸42の上端部とをインサート成型し、中心軸42により台座上部32と台座下部31とを連結するとともに、中心軸42の軸受部材44を台座下部31に固定している。軸受部材44を介して中心軸42を軸挿入孔47に挿入しているので、中心軸42と軸挿入孔47とのクリアランスが無くなり、中心軸42の旋回による軸挿入孔47の摩耗やそれに起因する異音の発生を防止することができ、中心軸42を中心とした台座上部32(送風部2)の旋回もスムーズとなる。
【0073】
使用者が操作パネル34の首振りボタン34eを押下して左右首振りをオンすると、首振り用のモーターM1の出力軸43Eに固定された偏心カム43Aが偏心回転し、偏心カム43Aに枢着された連結リンク43Bの一端部が円運動をする。連結リンク43Bの他端部は台座下部31に固定された固定軸43Dに枢着されているため、この円運動によって台座上部32とその上に取り付けられた送風部2が中心軸42を中心に円運動の半径距離に応じて左右方向に旋回(首振り)することになる。
【0074】
このように、本実施の形態に係る送風機1は、台座下部31と、台座下部31の上に首振り可能に設けられる台座上部32とが中心軸42を通して連結され、台座上部32の上に送風部2が設けられた送風機1であって、台座下部31に軸受部材44を挿入し、この軸受部材44に中心軸42を旋回可能に挿入するとともに、台座上部32に設けられた固定板41と中心軸42の上端部とをインサート成型している。これにより、連結部の強度を確保しつつ、部品点数の減少、コストダウンを図ることが可能である。
【0075】
また、台座上部32に設けられた固定板41を樹脂にて形成している。これにより、固定板41のエッジ(角)に配線が擦接した際に、配線が傷つくのを防止できる。
【0076】
また、中心軸42の軸受部材44の下端内周部に係止爪44aが樹脂にて一体成型されている。これにより、係止爪44aがEリングの代替として機能するため、Eリングを用いる必要がなくなり、部品点数の減少、コストダウンを図ることが可能である。
【0077】
[台座部の合わせ目]
図23は、本実施の形態に係る送風機1が備える台座部3の合わせ目を示す断面図である。
図23に示すように、台座下部31の周縁の内側に環状内壁31aが立設され、台座上部32の周縁を台座下部31の環状内壁31aに被せるようにしている。これにより、台座上部32と台座下部31との隙間が環状内壁31aにより隠れて目立たない。また、上下のクリアランスに余裕ができるため、左右首振り時に台座上部32と台座下部31との擦接を防止でき、擦接に起因する異音が発生しにくい。更に、台座上部32と台座下部31との隙間を通じてホコリ等が台座部3の内部に侵入しにくい。
【0078】
[リズム風の制御]
本実施の形態に係る送風機1は、電源のON/OFF、切タイマーの作動、モーター18の回転数、首振りの作動等を制御する制御部50を備えている。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成される制御基板である(
図6参照)。使用者が操作パネル34のリズムボタン34dを押下してリズムモードをオンすると、制御部50がモーター18の回転数を制御することでリズム風を実現するようになっている。
【0079】
図24は、本実施の形態に係る送風機1から吹き出されるリズム風の風量調節パターンの一例を示すグラフである。横軸は時間を示し、縦軸は風量の強弱設定を示している。
図24に示すように、リズムモードでは、単純な繰り返しにならないよう弱い風と強い風を切り替えて、ゆらぎの効果を生じ、自然な風に近づけるようにしている。
【0080】
具体的には、リズムモードでは、下記のような20個の風量制御(1)~(20)を繰り返す。すなわち、風量制御(1)~(20)まで順に実施したら、風量制御(1)に戻るようになっている。例えば、風量制御(1)は、風量F2の動作期間を15秒に設定していることを意味する。風量F1は、風量「微風」に相当し、風量F2は、風量「弱」に相当し、風量F3は、風量「中」に相当してもよい。
【0081】
(1)風量F2を15秒→(2)風量F1を15秒→(3)風量F2を15秒→
(4)風量F1を15秒→(5)風量F3を30秒→(6)風量F1を30秒→
(7)風量F2を15秒→(8)風量F1を15秒→(9)風量F3を30秒→
(10)風量F1を30秒→(11)風量F2を15秒→(12)風量F1を15秒→
(13)風量F2を15秒→(14)風量F1を15秒→(15)風量F3を30秒→
(16)風量F1を30秒→(17)風量F2を15秒→(18)風量F1を15秒→
(19)風量F2を15秒→(20)風量F1を15秒→
なお、ここでは、20個の風量制御(1)~(20)を繰り返しの1単位としているが、このような1単位を構成する風量制御の数は限定されるものではない。また、リズム風に用いる風量として3つの風量F1,F2,F3を例示しているが、リズム風に用いる風量の数や風量の強弱も限定されるものではない。また、風量制御の1単位を15秒あるいは30秒として例示しているが、この単位秒数を増減することは自由である。
【0082】
図25は、
図24に示されるリズム風の制御方法を示すグラフである。横軸は時間を示し、縦軸はモーター18に付加する電圧を示している。
図25(a)に示すように、単位時間(t1~t2,t2~t3,t3~t4,…)の間はモーター18に付加する電圧を固定値(V2,V2,V3,…)としてもよい。あるいは、
図25(b)に示すように、モーター18に付加する電圧を徐々に変化させ、風量の切り替え時のモーター18の回転数を緩やかに変化させてもよい。モーター18に付加する電圧を徐々に変化させれば、ファン17にかかるトルクが次第に増大することとなり、ファン17の空気抵抗によるモーター18の負荷が軽減される。また、モーター18の回転数、即ち、ファン17の回転数を徐々に変化させれば、風量の切り替えをスムーズに行うことができるため、より自然な風に近づけることができ、しかも風量が切り替わるときのファン17の音を軽減できる。
【0083】
このように、制御部50が、複数種類の風量強弱と単位秒数を(不規則に)組み合わせた複数個の風量制御を備えたリズム風量調節パターンを繰り返すように制御することで、リズムモードでは、単純な繰り返しにならないよう弱い風と強い風を切り替えて、ゆらぎの効果を生じ、自然な風に近づけることができる。
【0084】
また、制御部50は、リズム風を制御する場合、ファン17を駆動するモーター18の電圧値を徐々に増加・減少させる。これにより、風量の切り替えを緩やかに行うことができるため、より自然な風に近づけることができ、しかも風量が切り替わるときのファン17の音を軽減できる。
【0085】
[変形例]
図26(a)は、実施例1に係る送風機1aが備える風路形成部材60の断面図であり、
図26(b)は、変形例に係る送風機が備える風路形成部材60cの断面図である。
図26(a)に示すように、実施例1では、フィン13の前後方向のフィン幅寸法Wはどの部分においても略一定である。一方、
図26(b)に示すように、変形例では、フィン13の前後方向のフィン幅寸法Wが異なり、フィン13の外端部13Bから内端部13Aに向かうにつれてフィン幅寸法Wが次第に増大し、全部のフィン13の後端位置を送風口11の位置に揃えている。すなわち、グリル12を裏側から見た場合に全部のフィン13の高さ位置が平坦になっている。このような変形例でも、比較例に比べて送風方向4の中央に風が集まりやすいという点は実施例1,2と同様に期待できる。
【0086】
その他、グリル12については様々な変形が可能である。すなわち、グリル12は、複数のフィン13が渦巻き状に設けられ、複数のフィン13の渦巻きの中心部Oに近い内端部13Aが、送風口11に連続する外端部13Bより送風方向4に突出していればよい。この条件を満たすグリル12を採用する以上、本実施の形態に含まれる。例えば、グリル12を側面から見た場合の形状としては、弯曲状のほか、2つ山がある形状、台形状、中央部だけ凹んだ形状、階段状、イスラム寺院のモスクに似た形状、富士山形状など、様々な形状を採用できる。
【0087】
[その他の実施の形態]
上記のように、いくつかの実施の形態について記載したが、開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0088】
このように、本実施の形態は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【符号の説明】
【0089】
1,1a,1b…サーキュレータ(送風機)
2…送風部
3…台座部(支持部)
4…送風方向
11…送風口
12…グリル
13…フィン
13A…内端部
13B…外端部
13C…複数のフィンが形成されている部分
15…カバー
15a…フロントカバー
15b…リアカバー
16…風洞部
19…拡径筒部
L1…突出量
W…フィン幅寸法
O…渦巻きの中心部