IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特開2024-1538液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置
<>
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図1
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図2
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図3
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図4
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図5
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図6
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図7
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図8
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図9
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図10
  • 特開-液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001538
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231227BHJP
   B41J 2/145 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/145
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100254
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 峻介
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056FA13
2C056HA07
2C057AG96
2C057AN05
2C057AP71
(57)【要約】
【課題】液体吐出ヘッドのレイアウトの自由度を向上させる。
【解決手段】液体吐出ヘッドユニットは、第1部分と、第1部分に対して第1方向の一方側に配置され、第1方向に直交する第2方向における幅が狭い第2部分と、第1部分に対して第1方向の他方側に配置され、第2方向における幅が狭い第3部分と、を有する第1液体吐出ヘッドと、第4部分と、第4部分に対して第1方向の一方側に配置され、第2方向における幅が狭い第5部分と、第4部分に対して第1方向の他方側に配置され、第2方向における幅が狭い第6部分と、を有する第2液体吐出ヘッドと、第3部分の一部と第5部分の一部とが第2方向から視たときに互いに重なるように第1方向に沿って並んで配置された第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとが固定されている固定部材と、第1方向における第3部分と第4部分との間に介在する第1介在部を有するスペーサーと、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドユニットであって、
第1部分と、前記第1部分に対して第1方向の一方側に配置されており、前記第1部分に比べて前記第1方向に直交する第2方向における幅が狭い第2部分と、前記第1部分に対して前記第1方向の他方側に配置されており、前記第1部分に比べて前記第2方向における幅が狭い第3部分と、を有する第1液体吐出ヘッドと、
第4部分と、前記第4部分に対して前記第1方向の前記一方側に配置されており、前記第4部分に比べて前記第2方向における幅が狭い第5部分と、前記第4部分に対して前記第1方向の前記他方側に配置されており、前記第4部分に比べて前記第2方向における幅が狭い第6部分と、を有する第2液体吐出ヘッドと、
前記第3部分の一部と前記第5部分の一部とが前記第2方向から視たときに互いに重なるように前記第1方向に沿って並んで配置された前記第1液体吐出ヘッドと前記第2液体吐出ヘッドとが固定されている固定部材と、
前記第1方向における前記第3部分と前記第4部分との間に介在している第1介在部を有するスペーサーと、
を備える、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドユニットであって、
前記第1介在部と前記第3部分との前記第1方向における隙間は、前記第1介在部の前記第1方向における幅よりも狭く、
前記第1介在部と前記第4部分との前記第1方向における隙間は、前記第1介在部の前記第1方向における幅よりも狭い、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出ヘッドユニットであって、
前記第1介在部と前記第4部分との前記第1方向における隙間は、前記第1介在部と前記第3部分との前記第1方向における隙間よりも広い、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドユニットであって、
前記スペーサーは、前記第2方向における前記第3部分と前記第5部分との間に介在している第2介在部を更に有する、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項5】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドユニットであって、
前記スペーサーは、前記第1方向における前記第1部分と前記第5部分との間に介在している第3介在部を更に有する、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項6】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドユニットであって、
前記第1介在部は、
前記第1方向および前記第2方向に沿って設けられている底面と、
前記第2方向と交差するように、前記第1方向と前記第2方向との両方に直交する第3方向に沿って設けられている壁面と、
を有する、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項7】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドユニットであって、
前記スペーサーは、前記固定部材に固定されている、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項8】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドユニットであって、
前記第1液体吐出ヘッドは、
前記第1部分と前記第2部分とにまたがって配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第1ヘッドチップと、
前記第1部分と前記第3部分とにまたがって配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第2ヘッドチップと、
前記第1ヘッドチップと前記第2ヘッドチップとを支持する第1支持部材と、
を有し、
前記第2液体吐出ヘッドは、
前記第4部分と前記第5部分とにまたがって配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第3ヘッドチップと、
前記第4部分と前記第6部分とにまたがって配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第4ヘッドチップと、
前記第3ヘッドチップと前記第4ヘッドチップとを支持する第2支持部材と、
を有する、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の液体吐出ヘッドユニットであって、
前記第1液体吐出ヘッドは、
前記第1部分に配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第5ヘッドチップと、
前記第1部分のうち、前記第5ヘッドチップに比べて前記第1方向において前記第2ヘッドチップの近くに配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第6ヘッドチップと、
を更に有し、
前記第1支持部材は、前記第5ヘッドチップと前記第6ヘッドチップとを更に支持し、
前記第2液体吐出ヘッドは、
前記第4部分に配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第7ヘッドチップと、
前記第4部分のうち、前記第7ヘッドチップに比べて前記第1方向において前記第4ヘッドチップの近く配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第8ヘッドチップと、
を更に有し、
前記第2支持部材は、前記第7ヘッドチップと前記第8ヘッドチップとを更に支持する、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項10】
請求項8に記載の液体吐出ヘッドユニットであって、
前記スペーサーのヤング率は、前記第1支持部材のヤング率よりも小さく、かつ、前記第2支持部材のヤング率よりも小さい、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項11】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドユニットであって、
前記第2部分と前記第3部分とは、前記第2方向における位置を互いに異ならせて配置されており、
前記第5部分と前記第6部分とは、前記第2方向における位置を互いに異ならせて配置されている、液体吐出ヘッドユニット。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドユニットと、
記録媒体を搬送する搬送機構と、
を備える、液体吐出装置。
【請求項13】
請求項12に記載の液体吐出装置であって、
前記第3部分は、前記第2部分に対して、前記搬送機構による前記記録媒体の搬送方向の上流側に配置されている、液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出ヘッドユニットおよび液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つの板部材に固定されている複数の液体吐出ヘッドを備える装置が開示されている。この装置では、板部材に複数の開口部が設けられており、各液体吐出ヘッドは板部材の各開口部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-030687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置のように、1つの開口部に1つの液体吐出ヘッドが固定される構成では、開口部の位置によって液体吐出ヘッドのレイアウトの自由度が制限される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、液体吐出ヘッドユニットが提供される。この液体吐出ヘッドユニットは、第1部分と、前記第1部分に対して第1方向の一方側に配置されており、前記第1部分に比べて前記第1方向に直交する第2方向における幅が狭い第2部分と、前記第1部分に対して前記第1方向の他方側に配置されており、前記第1部分に比べて前記第2方向における幅が狭い第3部分と、を有する第1液体吐出ヘッドと、第4部分と、前記第4部分に対して前記第1方向の前記一方側に配置されており、前記第4部分に比べて前記第2方向における幅が狭い第5部分と、前記第4部分に対して前記第1方向の前記他方側に配置されており、前記第4部分に比べて前記第2方向における幅が狭い第6部分と、を有する第2液体吐出ヘッドと、前記第3部分の一部と前記第5部分の一部とが前記第2方向から視たときに互いに重なるように前記第1方向に沿って並んで配置された前記第1液体吐出ヘッドと前記第2液体吐出ヘッドとが固定されている固定部材と、前記第1方向における前記第3部分と前記第4部分との間に介在している第1介在部を有するスペーサーと、を備える。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置は、上記形態の液体吐出ヘッドユニットと、記録媒体を搬送する搬送機構と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の液体吐出装置の概略構成を示す説明図。
図2】第1実施形態の液体吐出ヘッドユニットの斜視図。
図3】第1実施形態の液体吐出ヘッドの分解斜視図。
図4】第1実施形態の液体吐出ヘッドの上面図。
図5】第1実施形態の液体吐出ヘッドの底面図。
図6】第1実施形態のヘッドチップの構成を模式的に示す説明図。
図7】第1実施形態の液体吐出ヘッドユニットの底面図。
図8図7におけるVIII-VIII線断面図。
図9】第2実施形態の液体吐出ヘッドユニットの底面図。
図10】第3実施形態の液体吐出ヘッドユニットの底面図。
図11】第4実施形態の液体吐出ヘッドユニットの底面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における液体吐出装置100の概略構成を示す説明図である。本実施形態では、液体吐出装置100は、液体の一例であるインクを液滴状にして記録媒体11に吐出するインクジェットプリンターである。記録媒体11は、典型的には印刷用紙である。記録媒体11は、例えば、樹脂フィルムまたは布帛等であってもよい。
【0009】
図1には、互いに直交する3つの座標軸であるX,Y,Z軸が表されている。X軸およびY軸は水平面に平行な座標軸である。Z軸は鉛直方向に平行な座標軸であり、Z軸の矢印の指し示す方向は鉛直方向とは反対方向である。以下の説明では、X軸に平行な方向のことをX方向または第1方向、Y軸に平行な方向のことをY方向または第2方向、Z軸に平行な方向のことをZ方向または第3方向と呼ぶ。X,Y,Z方向は、各軸の矢印の指し示す方向とその反対方向との両方を含む。向きを特定する場合には、矢印の指し示す正の方向を「+」、その反対方向である負の方向を「-」として、方向表記に正負の符号を併用する。X,Y,Z軸は、他の図においても、矢印の指し示す方向が図1と対応するように適宜、図示してある。
【0010】
液体吐出装置100は、液体容器12と、制御ユニット21と、搬送機構23と、液体吐出ヘッドユニット25とを備えている。液体容器12には、インクが貯留されている。例えば、液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、または、インクを補充可能なインクタンクが、液体容器12として用いられる。本実施形態では、液体容器12は、第1インクを貯留している液体容器12Aと、第2インクを貯留している液体容器12Bとを有している。第1インクと第2インクとでは、例えば、インクの色等のインクの種類が相互に異なる。
【0011】
本実施形態では、液体吐出装置100には、インクを一時的に貯留するサブタンク13が設けられている。サブタンク13には、液体容器12から供給されたインクが貯留される。本実施形態では、サブタンク13は、第1インクが貯留されるサブタンク13Aと、第2インクが貯留されるサブタンク13Bと有している。サブタンク13Aは、液体容器12Aに接続されており、サブタンク13Bは、液体容器12Bに接続されている。各サブタンク13A,13Bは、液体吐出ヘッドユニット25に接続されており、液体吐出ヘッドユニット25にインクを供給し、且つ、液体吐出ヘッドユニット25からインクを回収する。なお、他の実施形態では、液体吐出装置100にサブタンク13が設けられずに、液体容器12と液体吐出ヘッドユニット25が接続され、液体容器12から液体吐出ヘッドユニット25にインクが供給されてもよい。
【0012】
制御ユニット21は、液体吐出装置100の各構成要素を制御する。制御ユニット21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の1つまたは複数の処理回路と、半導体メモリー等の1つまたは複数の記憶回路とを備えている。
【0013】
搬送機構23は、制御ユニット21による制御下で、記録媒体11を搬送する。本実施形態では、搬送機構23は、記録媒体11を-Y方向に向かって搬送する。本実施形態では、搬送機構23は、ローラーの回転によって記録媒体11を送り出す。搬送機構23は、ローラーを用いたローラー搬送方式に限られず、例えば、静電気または空気圧によって記録媒体11を吸着したベルトを移動させることで、ベルトとともに記録媒体11を移動させるベルト搬送方式でもよい。
【0014】
液体吐出ヘッドユニット25は、図示されていない支持部材によって、記録媒体11の搬送経路の上方に支持されている。液体吐出ヘッドユニット25は、制御ユニット21による制御下で、サブタンク13から供給されるインクを複数のノズルの各々から記録媒体11に吐出する。液体吐出ヘッドユニット25から記録媒体11へのインクの吐出と、搬送機構23による記録媒体11の搬送とが交互に繰り返されることによって、記録媒体11の表面にインクによる画像が形成される。
【0015】
図2は、液体吐出ヘッドユニット25の斜視図である。図2に示すように、液体吐出ヘッドユニット25は、固定部材251と、第1液体吐出ヘッド252Aと、第2液体吐出ヘッド252Bとを備えている。以下の説明では、第1液体吐出ヘッド252Aと第2液体吐出ヘッド252Bとを特に区別せずに説明する場合には、第1液体吐出ヘッド252Aと第2液体吐出ヘッド252Bとのことを、単に、液体吐出ヘッド252と呼ぶ。
【0016】
固定部材251は、平板状に形成されており、水平面に沿って配置されている。固定部材251の中央部分には、1つの開口部253が設けられている。本実施形態では、上方から視た固定部材251の輪郭は、記録媒体11の搬送方向である-Y方向に直交するX方向に沿った長手方向を有する矩形であり、上方から視た開口部253の開口形状は、X軸に沿った長手方向を有する矩形である。
【0017】
固定部材251には、第1液体吐出ヘッド252Aと第2液体吐出ヘッド252Bとが固定されている。本実施形態では、固定部材251には、4つのネジ孔254が設けられている。各液体吐出ヘッド252A,252Bは、それぞれの下端部が開口部253に挿入されている状態で、X軸に沿って並んで配置されており、2つのネジ孔254と2つのネジ256とを用いたネジ留めによって固定部材251に固定されている。なお、他の実施形態では、各液体吐出ヘッド252A,252Bは、ネジ留めではなく、例えば、接着によって固定部材251に固定されてもよい。
【0018】
図3は、液体吐出ヘッド252の分解斜視図である。図4は、液体吐出ヘッド252の上面図である。図5は、液体吐出ヘッド252の底面図である。図3に示すように、液体吐出ヘッド252は、流路部材31と、配線基板32と、ホルダー33と、4つのヘッドチップHnと、固定板36と、補強板37と、カバー38とを備えている。配線基板32とホルダー33との間に流路部材31が配置されている。具体的には、流路部材31に対して-Z方向にホルダー33が配置されており、流路部材31に対して+Z方向に配線基板32が配置されている。
【0019】
流路部材31は、サブタンク13に貯留されたインクを各ヘッドチップHnに供給するための流路が内部に形成された構造体である。流路部材31は、流路構造体311と、4つの接続管312~315とを備えている。図示については省略するが、流路構造体311には、第1インクを各ヘッドチップHnに供給するための供給流路と、第2インクを各ヘッドチップHnに供給するための供給流路と、各ヘッドチップHnから第1インクを排出するための排出流路と、各ヘッドチップHnから第2インクを排出するための排出流路とが設けられている。流路構造体311は、複数の基板Su1~Su5の積層により構成されている。流路構造体311を構成する各基板Su1~Su5は、例えば、樹脂材料の射出成形で形成されており、接着剤により相互に接合されている。4つの接続管312~315のそれぞれは、流路構造体311から突出する管体である。接続管312の先端部には、流路構造体311に第1インクを供給するための供給口Sa_inが設けられており、接続管313の先端部には、流路構造体311に第2インクを供給するための供給口Sb_inが設けられている。接続管314の先端部には、流路構造体311から第1インクを排出するための排出口Da_outが設けられており、接続管315の先端部には、流路構造体311から第2インクを排出するための排出口Db_outが設けられている。
【0020】
配線基板32は、液体吐出ヘッド252を制御ユニット21に電気的に接続するための実装部品である。配線基板32は、例えば、フレキシブル配線基板またはリジッド配線基板等で構成されている。配線基板32は、流路部材31上に配置されている。配線基板32の一方の面は、流路部材31に対向しており、配線基板32の他方の面には、コネクター35が設置されている。コネクター35は、液体吐出ヘッド252と制御ユニット21とを電気的に接続するための接続部品である。図示については省略するが、配線基板32には、各ヘッドチップHnに接続される配線が接続されている。当該配線は、例えば、フレキシブル配線基板およびリジッド配線基板の組み合わせで構成されている。なお、当該配線は、配線基板32と一体で構成されてもよい。
【0021】
ホルダー33は、各ヘッドチップHnを収容および支持する構造体である。ホルダー33は、例えば、樹脂材料または金属材料等で形成されている。ホルダー33には、複数の凹部331と複数のインク孔332と複数の配線孔333と一対のフランジ334とが設けられている。複数の凹部331のそれぞれは、-Z方向に向けて開口しており、各ヘッドチップHnが配置される空間を有している。複数のインク孔332のそれぞれは、凹部331に配置される各ヘッドチップHnと上述した流路部材31との間でインクを流通させる流路である。複数の配線孔333のそれぞれは、各ヘッドチップHnと配線基板32とを接続する図示しない配線が通される孔である。一対のフランジ334は、固定部材251に対してホルダー33を固定するための固定部である。図4に示すように、一対のフランジ334には、固定部材251に対するネジ留めのための孔335が設けられている。孔335には、上述したネジ256が通される。
【0022】
4つのヘッドチップHnは、X軸に沿って千鳥配列で並んで配置されている。各ヘッドチップHnは、インクを吐出する。図5に示すように、各ヘッドチップHnは、第1インクを吐出する複数のノズルNと、第2インクを吐出する複数のノズルNとを有している。図5に示すように、各ヘッドチップHnの複数のノズルNは、ノズル列Laとノズル列Lbとに区分される。ノズル列Laおよびノズル列Lbの各々は、X軸に沿って配列された複数のノズルNの集合である。ノズル列Laおよびノズル列Lbは、Y方向に相互に間隔をあけて併設されている。各ヘッドチップHnの具体的な構成については後述する。
【0023】
固定板36は、各ヘッドチップHnをホルダー33に対して固定するための板部材である。具体的には、固定板36は、ホルダー33との間に各ヘッドチップHnを挟む状態で配置されており、接着剤によってホルダー33に固定されている。固定板36は、例えば、金属材料等で形成されている。固定板36には、各ヘッドチップHnのノズルを露出させるための複数の開口部361が設けられている。本実施形態では、各開口部361は、ヘッドチップHnごとに個別に設けられている。なお、他の実施形態では、開口部361は、2つ以上のヘッドチップHnごとに設けられてもよい。
【0024】
補強板37は、固定板36を補強する板状部材である。補強板37は、ホルダー33と固定板36との間に配置されている。補強板37は、固定板36上に重ねて配置されており、接着剤によって固定板36に固定されている。補強板37には、各ヘッドチップHnが配置される複数の開口部371が設けられている。補強板37は、例えば、金属材料等で形成されている。
【0025】
カバー38は、流路部材31の流路構造体311と配線基板32とを収容する箱状の部材である。カバー38は、例えば、樹脂材料等で形成されている。カバー38には、4つの貫通孔381と1つの開口部382とが設けられている。4つの貫通孔381は、流路部材31の4つの接続管312に対応しており、各貫通孔381には、4つの接続管312~315のうちの対応する1つが通されている。開口部382には、カバー38内から外部にコネクター35が通されている。
【0026】
図6は、ヘッドチップHnの構成を模式的に示す説明図である。図6には、上方から視たヘッドチップHnの内部の構造が模式的に表されている。各ヘッドチップHnは、液体吐出部Qaと液体吐出部Qbとを備えている。各ヘッドチップHnの液体吐出部Qaは、サブタンク13Aから供給される第1インクをノズル列Laの各ノズルNから吐出する。各ヘッドチップHnの液体吐出部Qbは、サブタンク13Bから供給される第2インクをノズル列Lbの各ノズルNから吐出する。
【0027】
液体吐出部Qaは、液体貯留室Raと、複数の圧力室Caと、複数の駆動素子Eaとを備えている。液体貯留室Raは、ノズル列Laの複数のノズルNに連通する共通液室である。圧力室Caおよび駆動素子Eaは、ノズル列LaのノズルNごとに設けられている。圧力室Caは、ノズルNに連通する空間である。液体貯留室Raから供給される第1インクは、複数の圧力室Caの各々に充填される。駆動素子Eaは、圧力室Ca内の第1インクの圧力を変動させる。例えば、圧力室Caの壁面を変形させることで当該圧力室Caの容積を変化させる圧電素子、または、圧力室Ca内の第1インクの加熱により圧力室Ca内に気泡を発生させる発熱素子が、駆動素子Eaとして好適に用いられる。駆動素子Eaが圧力室Ca内の第1インクの圧力を変動させることで、当該圧力室Ca内の第1インクがノズルNから吐出される。
【0028】
液体吐出部Qbは、液体吐出部Qaと同様に、液体貯留室Rbと、複数の圧力室Cbと、複数の駆動素子Ebとを備えている。液体貯留室Rbは、ノズル列Lbの複数のノズルNに連通する共通液室である。圧力室Cbおよび駆動素子Ebは、ノズル列LbのノズルNごとに設けられている。液体貯留室Rbから供給される第2インクが複数の圧力室Cbの各々に充填される。駆動素子Ebは、例えば、上述した圧電素子または発熱素子である。駆動素子Ebが圧力室Cb内の第2インクの圧力を変動させることで、当該圧力室Cb内の第2インクがノズルNから吐出される。
【0029】
各ヘッドチップHnには、供給口Ra_inと排出口Ra_outと供給口Rb_inと排出口Rb_outとが設けられている。供給口Ra_inおよび排出口Ra_outは、液体貯留室Raに連通している。供給口Rb_inおよび排出口Rb_outは、液体貯留室Rbに連通している。
【0030】
各ヘッドチップHnの液体貯留室Raに貯留される第1インクのうちノズル列Laの各ノズルNから吐出されない第1インクは、排出口Ra_outと、流路部材31の第1インクのための排出流路と、液体吐出ヘッド252の外部に設けられたサブタンク13Aと、流路部材31の第1インクのための供給流路と、供給口Ra_inと、液体貯留室Raとをこの順に通る経路で循環する。同様に、各ヘッドチップHnの液体貯留室Rbに貯留される第2インクのうちノズル列Lbの各ノズルNから吐出されない第2インクは、排出口Rb_outと、流路部材31の第2インクのための排出流路と、液体吐出ヘッド252の外部に設けられたサブタンク13Bと、流路部材31の第2インクのための供給流路と、供給口Rb_inと、液体貯留室Rbとをこの順に通る経路で循環する。
【0031】
図7は、液体吐出ヘッドユニット25の底面図である。図8は、液体吐出ヘッドユニット25のVIII-VIII線断面図である。図7に示すように、第1液体吐出ヘッド252Aは、第1部分U1と、第2部分U2と、第3部分U3とを有している。第1部分U1は、第2部分U2と第3部分U3との間に配置されており、第1液体吐出ヘッド252Aの中央部分を構成している。第2部分U2は、第1部分U1に対して+X方向に配置されており、第3部分U3は、第1部分U1に対して-X方向に配置されている。第2部分U2は、第1部分U1の+X方向側の端面から+X方向に向かって突き出すように設けられており、第3部分U3は、第1部分U1の-X方向側の端面から-X方向に向かって突き出すように設けられている。本実施形態では、第2部分U2および第3部分U3は、Y方向における位置を互いに異ならせて配置されている。具体的には、第2部分U2は、図4に示した第1液体吐出ヘッド252Aの中心線Lcに対して、搬送機構23による記録媒体11の搬送方向の下流側である-Y方向に配置されており、第3部分U3は、第1液体吐出ヘッド252Aの中心線Lcに対して、搬送機構23による記録媒体11の搬送方向の上流側である+Y方向に配置されている。
【0032】
第2液体吐出ヘッド252Bは、第4部分U4と、第5部分U5と、第6部分U6とを有している。第4部分U4は、第5部分U5と第6部分U6との間に配置されており、第2液体吐出ヘッド252Bの中央部分を構成している。第5部分U5は、第4部分U4に対して+X方向に配置されており、第6部分U6は、第4部分U4に対して-X方向に配置されている。第5部分U5は、第4部分U4の+X方向側の端面から+X方向に向かって突き出すように設けられており、第6部分U6は、第4部分U4の-X方向側の端面から-X方向に向かって突き出すように設けられている。本実施形態では、第5部分U5および第6部分U6は、Y方向における位置を互いに異ならせて配置されている。具体的には、第5部分U5は、図4に示した第2液体吐出ヘッド252Bの中心線Lcに対して-Y方向に配置されており、第6部分U6は、第2液体吐出ヘッド252Bの中心線Lcに対して+Y方向に配置されている。
【0033】
第1液体吐出ヘッド252Aおよび第2液体吐出ヘッド252Bは、第3部分U3の一部と第5部分U5の一部とがY方向から視たときに互いに重なるようにX軸に沿って並んで配置されている。第3部分U3の一部と第5部分U5の一部とがY方向から視たときに互いに重なるとは、Y軸に垂直な投影面に第3部分U3と第5部分U5とを投影したときに、投影面に形成される第3部分U3の投影像の一部と第5部分U5の投影像の一部とが互いに重なることを意味する。本実施形態では、第3部分U3は、第5部分U5に対して、搬送機構23による記録媒体11の搬送方向の上流側である+Y方向に配置されている。第4部分U4は、第3部分U3の-X方向に配置されており、第3部分U3の少なくとも一部と第4部分U4の一部とがX方向から視たときに互いに重なっている。第5部分U5は、第1部分U1の-X方向に配置されており、第5部分U5の少なくとも一部と第1部分U1の一部とがX方向から視たときに互いに重なっている。固定部材251の開口部253のX方向における長さは、第1液体吐出ヘッド252AのX方向における長さと、第2液体吐出ヘッド252BのX方向における長さから第3部分U3と第5部分U5とがY方向において重なる部分のX方向における長さを差し引いた長さとの合計値よりも長い。
【0034】
図5に示すように、第1液体吐出ヘッド252Aの第2部分U2のY方向における幅W2および第3部分U3のY方向における幅W3は、第1部分U1のY方向における幅W1よりも狭い。第2液体吐出ヘッド252Bの第5部分U5のY方向における幅W5および第6部分U6のY方向における幅W6は、第4部分U4のY方向における幅W4よりも狭い。各部分U1~U6のY方向における幅W1~W6とは、各部分U1~U6の+Y方向側の端面と-Y方向側の端面との距離のことを意味する。本実施形態では、幅W2および幅W3は同じであり、幅W5および幅W6は同じである。なお、他の実施形態では、幅W2およびW3が互いに異なってもよいし、幅W5および幅W6が互いに異なってもよい。
【0035】
図7に示すように、第1液体吐出ヘッド252Aの備える4つのヘッドチップHnのうち、第1部分U1と第2部分U2とにまたがって配置されているヘッドチップHnのことを第1ヘッドチップH1と呼び、第1部分U1と第3部分U3とにまたがって配置されているヘッドチップHnのことを第2ヘッドチップH2と呼ぶ。第1部分U1に配置されている2つのヘッドチップHnのうち、第1部分U1の+X方向側の端部に配置されている方のことを第5ヘッドチップH5と呼び、第1部分U1の-X方向側の端部に配置されている方のことを第6ヘッドチップH6と呼ぶ。第6ヘッドチップH6は、第5ヘッドチップH5に比べてX方向において第2ヘッドチップH2の近くに配置されている。
【0036】
第2液体吐出ヘッド252Bの備える4つのヘッドチップHnのうち、第4部分U4と第5部分U5とにまたがって配置されているヘッドチップHnのことを第3ヘッドチップH3と呼び、第4部分U4と第6部分U6とにまたがって配置されているヘッドチップHnのことを第4ヘッドチップH4と呼ぶ。第4部分U4に配置されている2つのヘッドチップHnのうち、第4部分U4の+X方向側の端部に配置されている方のことを第7ヘッドチップH7と呼び、第4部分U4の-X方向側の端部に配置されている方のことを第8ヘッドチップH8と呼ぶ。第8ヘッドチップH8は、第7ヘッドチップH7に比べてX方向において第4ヘッドチップH4の近くに配置されている。
【0037】
第1液体吐出ヘッド252Aと第2液体吐出ヘッド252Bとの間に配置されたスペーサー400を備えている。スペーサー400は、第1液体吐出ヘッド252Aの第3部分U3と第2液体吐出ヘッド252Bの第4部分U4との間に介在している第1介在部R1を有している。
【0038】
図8に示すように、スペーサー400は、底面部410と、壁面部420とを有している。底面部410は、水平面に沿って平板状に形成されている。壁面部420は、底面部410の上面から上方に向かって突き出しており、平板状に形成されている。壁面部420は、Y軸に交差するように設けられている。壁面部420のX方向における幅は、底面部410のX方向における幅と同じである。底面部410の一部および壁面部420は、第1介在部R1を構成している。なお、スペーサー400は、壁面部420を有していなくてもよい。
【0039】
図7に示すように、スペーサー400は、固定部材251に固定されている。本実施形態では、底面部410の+Y方向側の端部が、ネジ405によって固定部材251に固定されている。なお、他の実施形態では、スペーサー400は、固定部材251ではなく、例えば、第1液体吐出ヘッド252Aまたは第2液体吐出ヘッド252Bに固定されてもよい。スペーサー400は、ネジ405ではなく、接着剤によって固定されてもよい。
【0040】
第1介在部R1と第3部分U3とのX方向における隙間の幅D1は、第1介在部R1のX方向における幅Waよりも狭い。第1介在部R1と第4部分U4とのX方向における隙間の幅D2は、第1介在部R1のX方向における幅Waよりも狭い。第1介在部R1と第4部分U4とのX方向における隙間の幅D2は、第1介在部R1と第3部分U3とのX方向における隙間の幅D1よりも広い。なお、他の実施形態では、幅D1は幅Wa以上でもよいし、幅D2は幅Wa以上でもよい。幅D2は幅D1以下でもよい。
【0041】
スペーサー400は、例えば、樹脂材料または金属材料で形成されている。本実施形態では、スペーサー400のヤング率は、第1液体吐出ヘッド252Aのホルダー33のヤング率よりも小さく、且つ、第2液体吐出ヘッド252Bのホルダー33のヤング率よりも小さい。なお、他の実施形態では、スペーサー400のヤング率は、第1液体吐出ヘッド252Aのホルダー33のヤング率以上でもよいし、第2液体吐出ヘッド252Bのホルダー33のヤング率以上でもよい。第1液体吐出ヘッド252Aのホルダー33のことを第1支持部材と呼ぶことがあり、第2液体吐出ヘッド252Bのホルダー33のことを第2支持部材と呼ぶことがある。
【0042】
以上で説明した第1実施形態によれば、液体吐出ヘッドユニット25の固定部材251に1つの開口部253が設けられており、第1液体吐出ヘッド252Aと第2液体吐出ヘッド252Bとが1つの開口部253に固定されている。そのため、各液体吐出ヘッド252A,252Bのレイアウトの自由度を高めることができる。例えば、固定部材251に2つの開口部253が設けられて、一方の開口部253に第1液体吐出ヘッド252Aが固定され、他方の開口部253に第2液体吐出ヘッド252Bが固定される形態では、各開口部253の配置によって各液体吐出ヘッド252A,252Bの配置が制限されるので、第1液体吐出ヘッド252Aと第2液体吐出ヘッド252Bとの間隔を広げたり狭めたりすることが困難である。これに対して、本実施形態では、第1液体吐出ヘッド252Aと第2液体吐出ヘッド252Bとの間隔を、容易に広げたり狭めたりすることができる。
【0043】
また、本実施形態では、第1液体吐出ヘッド252Aと第2液体吐出ヘッド252Bとの間にスペーサー400が配置されており、スペーサー400は、第1液体吐出ヘッド252Aの第3部分U3と第2液体吐出ヘッド252Bの第4部分U4との間に介在する第1介在部R1を有している。そのため、例えば、液体吐出装置100の各部が駆動する際の振動や固定部材251に対する各液体吐出ヘッド252A,252Bの固定の緩みによって固定部材251に対する各液体吐出ヘッド252A,252Bの位置がずれたとしても、第3部分U3と第4部分U4とが衝突して第3部分U3や第4部分U4が損傷することを第1介在部R1によって抑制できる。ここで、剛性が互いに異なる2つの物体が衝突すると、両者のうちの剛性の低い方が損傷しやすい。第3部分U3のY方向における幅は、第4部分U4のY方向における幅よりも狭いので、第3部分U3の剛性は、第4部分U4の剛性よりも低い。したがって、第3部分U3と第4部分U4とが衝突した場合には、第3部分U3が損傷しやすい。上述したとおり、本実施形態では、第3部分U3と第4部分U4とが衝突することが第1介在部R1によって抑制されるので、第3部分U3が損傷することを抑制できる。
【0044】
また、本実施形態では、第1介在部R1と第3部分U3とのX方向における隙間の幅D1、および、第1介在部R1と第4部分U4とのX方向における隙間の幅D2は、それぞれ、第1介在部R1のX方向における幅Waよりも狭い。そのため、第1液体吐出ヘッド252Aと第2液体吐出ヘッド252Bとを近接して配置でき、さらに、各液体吐出ヘッド252A,252Bが互いに接近するようにずれたとしても、各液体吐出ヘッド252A,252Bのずれ量を小さくできる。
【0045】
また、本実施形態では、第1介在部R1と第4部分U4とのX方向における隙間の幅D2は、第1介在部R1と第3部分U3とのX方向における隙間の幅D1よりも広いので、第1液体吐出ヘッド252Aが第2液体吐出ヘッド252Bに接近するようにずれた場合の第1液体吐出ヘッド252Aのずれ量を、第2液体吐出ヘッド252Bが第1液体吐出ヘッド252Aに接近するようにずれた場合の第2液体吐出ヘッド252Bのずれ量よりも小さくできる。そのため、第1液体吐出ヘッド252Aの位置ずれによって第3部分U3が第1介在部R1に衝突した場合の衝撃力を、第2液体吐出ヘッド252Bの位置ずれによって第4部分U4が第1介在部R1に衝突した場合の衝撃力に比べて小さくできる。したがって、第3部分U3と第1介在部R1との衝突によって第3部分U3が損傷することを効果的に抑制できる。
【0046】
また、本実施形態では、スペーサー400のヤング率は、第1液体吐出ヘッド252Aの外表面を構成しているホルダー33のヤング率よりも小さく、かつ、第2液体吐出ヘッド252Bの外表面を構成しているホルダー33のヤング率よりも小さい。そのため、第1液体吐出ヘッド252Aや第2液体吐出ヘッド252Bがスペーサー400に衝突したときに、第1液体吐出ヘッド252Aのホルダー33や第2液体吐出ヘッド252Bのホルダー33が損傷することを抑制できる。
【0047】
また、本実施形態では、第3部分U3は、第2部分U2に対して、搬送機構23による記録媒体11の搬送方向の上流側に配置されており、搬送方向の上流側に配置されている第3部分U3と第4部分U4との間には、スペーサー400の第1介在部R1が設けられている。ここで、搬送機構23による記録媒体11の搬送速度が比較的高速である場合、記録媒体11の搬送に伴って、搬送方向の上流から下流に向かう気流が発生することがある。第1介在部R1が設けられていない形態では、搬送方向の上流側に配置されている第3部分U3と第4部分U4との隙間に気流が侵入する可能性がある。第3部分U3と第4部分U4との隙間に気流が侵入すると、当該隙間の下流部分に配置されているノズルNから吐出されるインクの飛翔経路が気流によって曲げられる可能性がある。これに対して、本実施形態では、第3部分U3と第4部分U4との間に第1介在部R1が設けられているので、第3部分U3と第4部分U4との間に気流が侵入することを第1介在部R1によって抑制できる。特に、本実施形態では、第1介在部R1は、水平面に沿って設けられている底面部410の一部と、搬送方向に平行なY軸と交差するように設けられている壁面部420とを含んでいる。そのため、第3部分U3と第4部分U4との間に気流が侵入することを第1介在部R1の壁面部420によって効果的に抑制できる。
【0048】
また、本実施形態では、スペーサー400は、固定部材251に固定されている。そのため、スペーサー400と固定部材251との相対位置がずれることを抑制できる。
【0049】
B.第2実施形態:
図9は、第2実施形態における液体吐出ヘッドユニット25bの底面図である。第2実施形態では、液体吐出ヘッドユニット25bのスペーサー400bが、第1介在部R1に加えて、第2介在部R2を有していることが第1実施形態とは異なる。その他の構成は、特に説明しない限り第1実施形態と同じである。
【0050】
本実施形態では、スペーサー400bは、第1液体吐出ヘッド252Aの第3部分U3と第2液体吐出ヘッド252Bの第4部分U4との間に介在する第1介在部R1と、第3部分U3と第2液体吐出ヘッド252Bの第5部分U5との間に介在する第2介在部R2とを有している。スペーサー400bのうちの第2介在部R2は、第1介在部R1に接続されている。スペーサー400bは、上方から視てL字状に形成されている。
【0051】
以上で説明した第2実施形態によれば、スペーサー400bが第1介在部R1に加えて第2介在部R2を有しているので、第3部分U3と第4部分U4とが衝突することだけではなく、第3部分U3と第5部分U5とが衝突することをも抑制できる。そのため、第3部分U3や第4部分U4や第5部分U5が損傷することを抑制できる。
【0052】
C.第3実施形態:
図10は、第3実施形態における液体吐出ヘッドユニット25cの底面図である。第3実施形態では、液体吐出ヘッドユニット25cのスペーサー400cが、第1介在部R1に加えて、第3介在部R3を有していることが第1実施形態とは異なる。その他の構成は、特に説明しない限り第1実施形態と同じである。
【0053】
本実施形態では、液体吐出ヘッドユニット25cには、2つのスペーサー400cが設けられている。2つのスペーサー400cのうちの一方は、第1液体吐出ヘッド252Aの第3部分U3と第2液体吐出ヘッド252Bの第4部分U4との間に介在する第1介在部R1を有している。2つのスペーサー400cのうちの他方は、第1液体吐出ヘッド252Aの第1部分U1と第2液体吐出ヘッド252Bの第5部分U5との間に介在する第3介在部R3を有している。2つのスペーサー400cのうち、第1介在部R1を有する方は、第1実施形態のスペーサー400と同じ外形形状を有している。2つのスペーサー400cは、Y軸に垂直な平面を挟んで対称に構成されており、X方向における位置を異ならせて配置されている。ネジ405によって固定部材251に固定されている。
【0054】
以上で説明した第3実施形態によれば、スペーサー400cが第1介在部R1に加えて第3介在部R3をも有しているので、第3部分U3と第4部分U4とが衝突することだけではなく、第1部分U1と第5部分U5とが衝突することをも抑制できる。そのため、第1部分U1や第3部分U3や第4部分U4や第5部分U5が損傷することを抑制できる。
【0055】
D.第4実施形態:
図11は、第4実施形態における液体吐出ヘッドユニット25dの底面図である。第4実施形態では、液体吐出ヘッドユニット25dのスペーサー400dが、第1介在部R1に加えて、第2介在部R2と第3介在部R3とを有していることが第1実施形態とは異なる。その他の構成は、特に説明しない限り第1実施形態と同じである。
【0056】
本実施形態では、スペーサー400dは、第1液体吐出ヘッド252Aの第3部分U3と第2液体吐出ヘッド252Bの第4部分U4との間に介在する第1介在部R1と、第3部分U3と第2液体吐出ヘッド252Bの第5部分U5との間に介在する第2介在部R2と、第1液体吐出ヘッド252Aの第1部分U1と第5部分U5との間に介在する第3介在部R3とを有している。スペーサー400dのうちの第2介在部R2を有する部分は、第1介在部R1を有する部分に接続されており、第3介在部R3を有する部分の一端は、第2介在部R2を有する部分に接続されている。スペーサー400dは、上方から視てS字状に形成されている。スペーサー400dのうちの第3介在部R3を有する部分の他端は、ネジ405によって固定部材251に固定されている。
【0057】
以上で説明した第4実施形態によれば、スペーサー400dが第1介在部R1に加えて第2介在部R2と第3介在部R3とを有しているので、第3部分U3と第4部分U4とが衝突することだけではなく、第3部分U3と第5部分U5とが衝突すること、および、第1部分U1と第5部分U5とが衝突することをも抑制できる。そのため、第1部分U1や第3部分U3や第4部分U4や第5部分U5が損傷することを抑制できる。
【0058】
E.他の実施形態:
(E1)上述した各実施形態では、第1液体吐出ヘッド252Aは、第1ヘッドチップH1と第2ヘッドチップH2と第5ヘッドチップH5と第6ヘッドチップH6とを備えており、第2液体吐出ヘッド252Bは、第3ヘッドチップH3と第4ヘッドチップH4と第7ヘッドチップH7と第8ヘッドチップH8とを備えている。これに対して、第1液体吐出ヘッド252Aは、第5ヘッドチップH5と第6ヘッドチップH6とを備えずに、第1ヘッドチップH1と第2ヘッドチップH2とを備えてもよいし、第2液体吐出ヘッド252Bは、第7ヘッドチップH7と第8ヘッドチップH8とを備えずに、第3ヘッドチップH3と第4ヘッドチップH4とを備えてもよい。
【0059】
(E2)上述した各実施形態では、第1液体吐出ヘッド252Aの第2部分U2および第3部分U3は、Y方向における位置を互いに異ならせて配置されており、第2液体吐出ヘッド252Bの第5部分U5および第6部分U6は、Y方向における位置を互いに異ならせて配置されている。これに対して、第2部分U2のY方向における位置と第3部分U3のY方向における位置とが同じでもよいし、第5部分U5のY方向における位置と第6部分U6のY方向における位置とが同じでもよい。
【0060】
(E3)上述した各実施形態では、第1液体吐出ヘッド252Aの第3部分U3は、第2液体吐出ヘッド252Bの第5部分U5に対して、搬送機構23による記録媒体11の搬送方向の上流側に配置されている。これに対して、第3部分U3は、第5部分U5に対して、搬送機構23による記録媒体11の搬送方向の下流側に配置されてもよい。
【0061】
F.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0062】
(1)本開示の第1の形態によれば、液体吐出ヘッドユニットが提供される。この液体吐出ヘッドユニットは、第1部分と、前記第1部分に対して第1方向の一方側に配置されており、前記第1部分に比べて前記第1方向に直交する第2方向における幅が狭い第2部分と、前記第1部分に対して前記第1方向の他方側に配置されており、前記第1部分に比べて前記第2方向における幅が狭い第3部分と、を有する第1液体吐出ヘッドと、第4部分と、前記第4部分に対して前記第1方向の前記一方側に配置されており、前記第4部分に比べて前記第2方向における幅が狭い第5部分と、前記第4部分に対して前記第1方向の前記他方側に配置されており、前記第4部分に比べて前記第2方向における幅が狭い第6部分と、を有する第2液体吐出ヘッドと、前記第3部分の一部と前記第5部分の一部とが前記第2方向から視たときに互いに重なるように前記第1方向に沿って並んで配置された前記第1液体吐出ヘッドと前記第2液体吐出ヘッドとが固定されている固定部材と、前記第1方向における前記第3部分と前記第4部分との間に介在している第1介在部を有するスペーサーと、を備える。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとのレイアウトの自由度を高めることができる。さらに、スペーサーが第1介在部を有しているので、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとの第1方向における相対位置がずれたとしても、第3部分と第4部分とが衝突することを第1介在部によって抑制できる。
【0063】
(2)上記形態の液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記第1介在部と前記第3部分との前記第1方向における隙間は、前記第1介在部の前記第1方向における幅よりも狭く、前記第1介在部と前記第4部分との前記第1方向における隙間は、前記第1介在部の前記第1方向における幅よりも狭くてもよい。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとを近接して配置できる。
【0064】
(3)上記形態の液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記第1介在部と前記第4部分との前記第1方向における隙間は、前記第1介在部と前記第3部分との前記第1方向における隙間よりも広くてもよい。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、第1液体吐出ヘッドが第2液体吐出ヘッドに接近するようにずれた場合の第1液体吐出ヘッドのずれ量を、第2液体吐出ヘッドが第1液体吐出ヘッドに接近するようにずれた場合の第2液体吐出ヘッドのずれ量よりも小さくできる。したがって、第1液体吐出ヘッドの位置ずれによって第3部分が第1介在部に衝突した場合の衝撃力を、第2液体吐出ヘッドの位置ずれによって第4部分が第1介在部に衝突した場合の衝撃力に比べて小さくできる。
【0065】
(4)上記形態の液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記スペーサーは、前記第2方向における前記第3部分と前記第5部分との間に介在している第2介在部を更に有してもよい。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとの第2方向における相対位置がずれたとしても、第3部分と第5部分とが衝突することを第2介在部によって抑制できる。
【0066】
(5)上記形態の液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記スペーサーは、前記第1方向における前記第1部分と前記第5部分との間に介在している第3介在部を更に有してもよい。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとの第1方向における相対位置がずれたとしても、第1部分と第5部分とが衝突することを第3介在部によって抑制できる。
【0067】
(6)上記形態の液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記第1介在部は、前記第1方向および前記第2方向に沿って設けられている底面と、前記第2方向と交差するように、前記第1方向と前記第2方向との両方に直交する第3方向に沿って設けられている壁面と、を有してもよい。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、第1介在部が壁面を有しているので、第3部分と第4部分との間に気流が侵入することを抑制できる。
【0068】
(7)上記形態の液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記スペーサーは、前記固定部材に固定されてもよい。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、スペーサーと固定部材との相対位置がずれることを抑制できる。
【0069】
(8)上記形態の液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記第1液体吐出ヘッドは、前記第1部分と前記第2部分とにまたがって配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第1ヘッドチップと、前記第1部分と前記第3部分とにまたがって配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第2ヘッドチップと、前記第1ヘッドチップと前記第2ヘッドチップとを支持する第1支持部材と、を有し、前記第2液体吐出ヘッドは、前記第4部分と前記第5部分とにまたがって配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第3ヘッドチップと、前記第4部分と前記第6部分とにまたがって配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第4ヘッドチップと、前記第3ヘッドチップと前記第4ヘッドチップとを支持する第2支持部材と、を有してもよい。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとのそれぞれが2つのヘッドチップを備える形態において、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0070】
(9)上記形態の液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記第1液体吐出ヘッドは、前記第1部分に配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第5ヘッドチップと、前記第1部分のうち、前記第5ヘッドチップに比べて前記第1方向において前記第2ヘッドチップの近くに配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第6ヘッドチップと、を更に有し、前記第1支持部材は、前記第5ヘッドチップと前記第6ヘッドチップとを更に支持し、前記第2液体吐出ヘッドは、前記第4部分に配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第7ヘッドチップと、前記第4部分のうち、前記第7ヘッドチップに比べて前記第1方向において前記第4ヘッドチップの近く配置されており、液体を吐出するノズルが設けられている第8ヘッドチップと、を更に有し、前記第2支持部材は、前記第7ヘッドチップと前記第8ヘッドチップとを更に支持してもよい。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとのそれぞれが4つのヘッドチップを備える形態において、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0071】
(10)上記形態の液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記スペーサーのヤング率は、前記第1支持部材のヤング率よりも小さく、かつ、前記第2支持部材のヤング率よりも小さくてもよい。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、第1支持部材や第2支持部材がスペーサーに衝突したときに、第1支持部材や第2支持部材が損傷することを効果的に抑制できる。
【0072】
(11)上記形態の液体吐出ヘッドユニットにおいて、前記第2部分と前記第3部分とは、前記第2方向における位置を互いに異ならせて配置されており、前記第5部分と前記第6部分とは、前記第2方向における位置を互いに異ならせて配置されてもよい。
この形態の液体吐出ヘッドユニットによれば、第1液体吐出ヘッドの第2部分と第3部分とが第2方向における位置を互いに異ならせて配置されており、第2液体吐出ヘッドの第5部分と第6部分とが第2方向における位置を互いに異ならせて配置されている形態において、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0073】
(12)本開示の第2の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出ヘッドユニットは、上記形態の液体吐出ヘッドユニットと、記録媒体を搬送する搬送機構と、を備える。
この形態の液体吐出装置によれば、搬送機構によって記録媒体を搬送しつつ液体吐出ヘッドユニットによって記録媒体に液体を吐出できる。
【0074】
(13)上記形態の液体吐出装置において、前記第3部分は、前記第2部分に対して、前記搬送機構による前記記録媒体の搬送方向の上流側に配置されてもよい。
この形態の液体吐出装置によれば、搬送機構による記録媒体の搬送によって発生する搬送方向の上流側から下流側に向かう気流が、搬送方向の上流側に配置された第3部分と第4部分との間から侵入することを抑制できる。
【符号の説明】
【0075】
11…記録媒体、12…液体容器、13…サブタンク、21…制御ユニット、23…搬送機構、25…液体吐出ヘッドユニット、31…流路部材、32…配線基板、33…ホルダー、35…コネクター、36…固定板、37…補強板、38…カバー、100…液体吐出装置、251…固定部材、252A…第1液体吐出ヘッド、252B…第2液体吐出ヘッド、253…開口部、254…ネジ孔、256…ネジ、311…流路構造体、312~315…接続管、331…凹部、334…フランジ、400…スペーサー、405…ネジ、410…底面部、420…壁面部、Hn…ヘッドチップ、N…ノズル、R1…第1介在部、R2…第2介在部、R3…第3介在部、U1…第1部分、U2…第2部分、U3…第3部分、U4…第4部分、U5…第5部分、U6…第6部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11