(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153829
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】キャップ装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B41J2/165 101
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024124454
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2020134457の分割
【原出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼梨 博道
(57)【要約】
【課題】1つのキャップで、ノズルから排出された液体の受容、排出、およびノズルの加湿を行うことにより、液体吐出装置が大きくなることを抑制できるキャップ装置を提供する。
【解決手段】キャップ装置50は、液体を吐出するノズル22を有する液体吐出ヘッド21に接触したときに、ノズル22の開口22aを囲む空間SPを形成可能なキャップ装置であって、空間SPを形成する凹部57と、空間SPを加湿するための加湿流体L1aが流入する流入口55aと、加湿流体L1aが流出する流出口55bと、を有する加湿室55と、凹部57と加湿室55とを区画する気体透過性を有する隔壁の一例である第1透湿膜54と、を有するキャップの一例である単位キャップ51aを備える。凹部57は、液体吐出ヘッド21からキャップの一例である単位キャップ51a内に排出された液体を排出可能な孔の一例である排出孔56bを有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドに接触したときに、前記ノズルの開口を囲む空間を形成可能なキャップ装置であって、
前記空間を形成する凹部と、
前記空間を加湿するための加湿流体が流入する流入口と、前記加湿流体が流出する流出口と、を有する加湿室と、
前記凹部と前記加湿室とを区画する気体透過性を有する隔壁と、を有するキャップを備え、
前記凹部は、前記液体吐出ヘッドから前記キャップ内に排出された液体を排出可能な孔を有することを特徴とするキャップ装置。
【請求項2】
前記孔は、前記凹部において、前記隔壁よりも低い位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載のキャップ装置。
【請求項3】
前記孔は、前記凹部の最下部に設けられることを特徴とする請求項2に記載のキャップ装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記隔壁と接する位置に液体を吸収可能な吸収体を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項5】
前記加湿室は、前記加湿流体が流通するための溝を有し、
前記加湿室は、前記溝および該溝を覆う前記隔壁によって前記流入口と前記流出口とを連通する流路状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項6】
前記加湿室は水平に対して傾斜した姿勢で設けられており、
前記流入口および前記流出口は、前記加湿室の鉛直方向における中心よりも上側に設けられることを特徴とする請求項1から請求項5のうち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項7】
前記凹部は、前記空間を大気と連通するための大気連通孔を有し、
前記大気連通孔は、前記凹部の鉛直方向における中心よりも上側に設けられることを特徴とする請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項8】
前記加湿流体を収容する加湿流体収容部と、
前記加湿流体収容部と前記流入口とを連通する供給流路と、
前記流出口と前記加湿流体収容部とを連通する回収流路と、
前記加湿流体収容部、前記供給流路および前記回収流路を含む循環経路内で前記加湿流体を流動可能なポンプと、を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項7のうち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項9】
前記循環経路内に水分を供給可能な水分供給部を更に備えることを特徴とする請求項8に記載のキャップ装置。
【請求項10】
前記キャップ装置は前記キャップが複数並んで構成されており、
複数の前記キャップのうち、1のキャップの前記流出口は、前記1のキャップと隣り合う2のキャップの前記流入口に接続され、
最も上流に位置する前記流入口は前記供給流路に接続され、最も下流に位置する前記流出口は前記回収流路に接続されることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のキャップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に液体を吐出する液体吐出装置に使用されるキャップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された液体吐出装置の一例である液体噴射装置は、液体噴射ヘッドに接触してノズルを囲む空間を形成し、吸引によって液体噴射ヘッド内の増粘した液体及び気泡を排出するためのキャップ機構を備える。さらに、当該液体噴射装置は、液体噴射ヘッドに接触してノズルを囲む空間を形成し、加湿流体の一例である保湿液を加湿流体収容部の一例である保湿液貯留部内から接続流路を通じて供給してノズルを加湿するためのキャップ装置を備える。すなわち、メンテナンスのために、当該キャップ機構と当該キャップ装置とを備えることによって、ノズルの目詰まりを予防するだけでなく、ノズルの乾燥を抑制する液体噴射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された液体噴射装置において、液体噴射ヘッドは、メンテナンスのために、媒体に印刷が行われる噴射領域から噴射領域の外側のメンテナンス領域へと移動する。すなわち、当該キャップ機構のキャップと、当該キャップ装置のキャップと、がメンテナンス領域において液体吐出ヘッドの移動方向に並べて配置される。このため、両方のキャップが配置されるスペースが必要となるため、液体噴射装置が大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するキャップ装置は、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドに接触したときに、前記ノズルの開口を囲む空間を形成可能なキャップ装置であって、前記空間を形成する凹部と、前記空間を加湿するための加湿流体が流入する流入口と、前記加湿流体が流出する流出口と、を有する加湿室と、前記凹部と前記加湿室とを区画する気体透過性を有する隔壁と、を有するキャップを備え、前記凹部は、前記液体吐出ヘッドから前記キャップ内に排出された液体を排出可能な孔を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態における液体吐出装置を示す斜視図。
【
図2】液体吐出ヘッド周辺の構成要素の配置を示す模式図。
【
図3】
図2において吐出方向に沿う方向から見た構成要素の模式正面図。
【
図4】
図2において第1搬送方向に沿う方向から見た構成要素の模式正面図。
【
図5】
図3において斜め上方より見た単位キャップの分解斜視図。
【
図6】
図3において斜め下方より見た単位キャップの分解斜視図。
【
図7】
図5において吐出方向に沿う方向から見た加湿室の平面図。
【
図9】
図8における液体の流れを矢印で示す模式図。
【
図10】
図8における気体の流れを矢印で示す模式図。
【
図12】液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図13】循環動作が実行されるときの加湿流体の状態を示す模式図。
【
図15】濃度調整動作が実行されるときの加湿流体の状態を示す模式図。
【
図17】キャップ交換準備動作が実行されるときの加湿流体の状態を示す模式図。
【
図18】キャップ交換準備動作を示すフローチャート。
【
図19】水分収容部交換前動作が実行されるときの加湿流体の状態を示す模式図。
【
図20】水分収容部交換前動作を示すフローチャート。
【
図21】加湿流体充填動作が実行されるときの加湿流体の状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、液体吐出装置、液体吐出装置に使用されるキャップ装置、及び液体吐出装置に使用されるキャップ装置のメンテナンス方法の一実施形態を、図面を参照して説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0008】
図面では、液体吐出装置11は、平面上に置かれているものとし、幅方向と奥行方向は実質的に水平である。そして、鉛直方向をZ軸で、Z軸と交差する面に沿う方向をX軸及びY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、好ましくは互いに直交する。以下の説明では、X軸方向を幅方向X、Y軸方向を奥行き方向Y、Z軸方向を鉛直方向Zともいう。
【0009】
<液体吐出装置の構成について>
図1に示すように、液体吐出装置11は、直方体状をなす本体部12と、その上部に取り付けられる画像読取部13と自動給送部14とを備える。液体吐出装置11は、鉛直方向Zにおいて下側から順に、本体部12、画像読取部13、自動給送部14が積み重なる構成を有する。
【0010】
画像読取部13は、原稿に記録されている文字や写真などの画像を読み取り可能に構成される。自動給送部14は、画像読取部13に向けて原稿を給送可能に構成される。また、画像読取部13は、液体吐出装置11に指示を与えるときに操作される操作部15を有する。操作部15は、例えばタッチパネル式の液晶画面や操作用のボタンなどを有する。
【0011】
本体部12は、用紙などの媒体を収容可能な複数の媒体収容部16を有する。本実施形態における本体部12は、計四つの媒体収容部16を有する。媒体収容部16は、本体部12に対して引出可能に構成される。また、本体部12は、本体部12内において媒体Mに記録を行う記録部20を有する。記録部20は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッド21を有するヘッドユニット24を備える。さらに、本体部12は、記録が行われた媒体Mが載置される載置部17をその上部に有する。載置部17は、媒体Mが載置される載置面17aを有する。なお、媒体収容部16の数は1つのみでもよい。
【0012】
媒体収容部16に収容された媒体Mは、搬送経路19に沿って、媒体収容部16から記録部20を通過し、載置部17まで搬送される。不図示の給送ローラーが媒体収容部16に収容された複数の媒体Mのうち最上位のものと接して回転することにより、その最上位の媒体Mが媒体収容部16から媒体収容部16の上方に位置する記録部20へ送り出される。媒体Mが記録部20を通過するときに、液体吐出ヘッド21は媒体Mに向かって液体を吐出し、吐出した液体を媒体Mに付着させて記録する。記録後の媒体Mは、不図示の排出ローラー対により、載置部17に向けて排出される。
【0013】
図2に示すように、記録部20が備える液体吐出ヘッド21の周辺には、搬送経路19に対してヘッドユニット24が位置する側とは反対側に、後述するキャップ装置が備えるキャップユニット51と、ワイパーキャリッジ41とが配置される。ヘッドユニット24は、液体吐出ヘッド21と、液体吐出ヘッド21を保持する支持部25とを備える。
【0014】
液体吐出ヘッド21は、幅方向Xに延在する状態で、複数のノズル群を構成する複数のノズル22から媒体Mに液体を吐出するように構成される。液体吐出ヘッド21が媒体Mに液体を吐出するときに、液体が吐出される方向を吐出方向Y1という。また、液体吐出ヘッド21が媒体Mに液体を吐出するときに、媒体Mが搬送される方向を第1搬送方向Z1という。
【0015】
本実施形態においては、ノズル22が配置されるノズル面23は水平ではなく、水平に対して第1所定角度θ1を有する。すなわち、本実施形態においては、ノズル面23が水平に対して第1所定角度θ1を有した状態で液体吐出ヘッド21が配置され、その状態で液体吐出ヘッド21が媒体Mに液体を吐出する。なお、ノズル22が配置されるノズル面23が水平に配置されてもよい。すなわち、ノズル面23が水平の状態で液体吐出ヘッド21が配置されてもよい。
【0016】
本実施形態の液体吐出ヘッド21は、第1搬送方向Z1及び吐出方向Y1と交差する幅方向Xにおいて、媒体Mの幅全域に亘り液体を同時に吐出可能な数のノズル22を有するラインヘッドである。液体吐出装置11は、一定速度で搬送される媒体Mに向かって、その幅全域と対向する位置にある複数のノズル22から液体を吐出することでライン印刷を行う。
【0017】
液体吐出装置11においては、液体吐出ヘッド21のノズル22の目詰まり、または異物の付着などに起因して生じる吐出不良の予防または解消のために、キャッピング、クリーニング、フラッシング、ワイピングなどのメンテナンス動作が行なわれる。
【0018】
キャッピングとは、液体吐出ヘッド21が液体の吐出を行わないときに、キャップユニット51が、ノズル22を囲むように液体吐出ヘッド21のノズル面23に接触する動作をいう。キャッピングによって、ノズル22内の液体の増粘が抑制されるため、吐出不良の発生が予防できる。
【0019】
クリーニングとは、液体吐出ヘッド21の上流側を加圧してノズル22から強制的に液体を排出したり、液体吐出ヘッド21のノズル22に吸引力を加えてノズル22から強制的に液体を排出したりする動作をいう。
【0020】
フラッシングとは、ノズル22から印刷とは関係のない液滴が排出されるための吐出動作をいう。フラッシングは空吐出ともいう。フラッシングによって、ノズル22から吐出不良の原因となる増粘インク、気泡または異物を排出するため、ノズル22の目詰まりを予防することができる。液体吐出ヘッド21から排出された液体のうち、印刷には使用されない液体を廃液という。フラッシングによって排出された液体は、印刷には使用されないため廃液である。フラッシングによって排出された廃液は、キャップユニット51に受容される。すなわち、液体吐出ヘッド21がキャップユニット51内に向かってノズル22から液滴を吐出することで、フラッシングが行なわれる。
【0021】
ワイピングとは、ゴムワイパーや布ワイパー等によりノズル面23を払拭する動作をいう。ワイピングによって、液体吐出ヘッド21のノズル面23に付着する液体、および塵埃などの汚れが除去される。なお、ワイピングによって払拭された液体も、印刷には使用されないため、廃液である。
【0022】
液体吐出ヘッド21が媒体Mに液体を吐出するとき、すなわち、液体吐出ヘッド21が媒体Mに記録するときのヘッドユニット24の位置を記録位置という。また、液体吐出ヘッド21が媒体Mに液体を吐出するときのキャップユニット51の位置を退避位置という。また、液体吐出装置11がメンテナンス動作を行うときのヘッドユニット24の位置をメンテナンス位置という。液体吐出装置11がメンテナンス動作を行うときのキャップユニット51の位置もメンテナンス位置という。
【0023】
図2に示すように、ヘッドユニット24は、不図示のヘッド移動機構によって、
図2に実線で示す記録位置と、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置との間で移動される。ヘッドユニット24が記録位置からメンテナンス位置に移動する方向を第1方向D1という。ヘッドユニット24がメンテナンス位置から記録位置に移動する方向を第2方向D2という。
【0024】
キャップユニット51は、不図示のキャップ移動機構によって、
図2に実線で示す退避位置と、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置との間で移動される。キャップユニット51が記録位置からメンテナンス位置に移動する方向を第3方向D3という。キャップユニット51がメンテナンス位置から記録位置に移動する方向を第4方向D4という。
【0025】
図2に示すように、キャップユニット51が、
図2に実線で示す退避位置から第3方向D3へ移動し、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置に位置した後に、ヘッドユニット24が、
図2に実線で示す記録位置から第1方向D1へ移動し、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置に位置する。これにより、ヘッドユニット24がキャップユニット51によって、キャッピングされる。本実施形態においては、このキャッピング状態で、液体吐出ヘッド21がキャップユニット51内に向かってノズル22から液滴を吐出することで、フラッシングが行なわれる。すなわち、本実施形態の液体吐出装置11においては、メンテナンス位置において、キャッピングとフラッシングの両方が行なわれる。フラッシングは、液体吐出ヘッド21がキャップユニット51から離れている状態で行ってもよい。
【0026】
メンテナンスが終了すると、ヘッドユニット24が、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置から第2方向D2へ移動し、
図2に実線で示す記録位置に位置する。その後に、キャップユニット51が、
図2に二点鎖線で示すメンテナンス位置から第4方向D4へ移動し、
図2に実線で示す退避位置に位置する。なお、このときワイパーキャリッジ41は、幅方向Xにおいてヘッドユニット24、及びキャップユニット51と重ならない位置に位置する。ワイパーキャリッジ41の移動については後述する。
【0027】
<液体吐出ヘッドとキャップユニットの構成について>
図3に示すように、液体吐出ヘッド21は、複数の単位吐出ヘッド21aを備える。支持部25における
図2に示す搬送経路19に対向する面には、複数の単位吐出ヘッド21aが幅方向Xに第1所定ピッチP1で配列される。単位吐出ヘッド21aは、複数のノズル列21bにより構成される。複数の単位吐出ヘッド21aは、媒体Mが搬送される第1搬送方向Z1に対して第2所定角度θ2だけ傾斜した状態で配置される。すなわち、ノズル列21bも、第1搬送方向Z1に対して第2所定角度θ2だけ傾斜した状態で配置される。本実施形態においては、液体吐出ヘッド21は、5つの単位吐出ヘッド21aを備え、各々の単位吐出ヘッド21aは、6つのノズル列21bにより構成される。
【0028】
本実施形態においては、キャップユニット51は、複数の単位キャップ51aと、その複数の単位キャップ51aを保持する保持部59とを有する。単位キャップ51aは、キャップの一例である。
図2に示す搬送経路19に対してヘッドユニット24が位置する側とは反対側に、複数の単位キャップ51aが幅方向Xに第1所定ピッチP1で配列される。複数の単位キャップ51aは、媒体Mが搬送される第1搬送方向Z1に対して第2所定角度θ2だけ傾斜した状態で配置される。すなわち、単位キャップ51aは、吐出方向Y1に沿う方向から見たとき、略平行四辺形の形状を有する。本実施形態においては、キャップユニット51は、5つの単位キャップ51aを備える。
【0029】
1つの単位吐出ヘッド21aごとに、1つの単位キャップ51aが、対向する位置に配置される。そのため、ヘッドユニット24がキャップユニット51によって、キャッピングされるとき、複数の単位吐出ヘッド21aは、各々が別々の1つの単位キャップ51aによって覆われる。すなわち、液体吐出ヘッド21が有する複数のノズル22は、単位吐出ヘッド21aと同数の単位キャップ51aにより、単位吐出ヘッド21aごとに覆われる。本実施形態においては、5つの単位吐出ヘッド21aにより構成される液体吐出ヘッド21が有する複数のノズル22は、キャップユニット51が有する5つの単位キャップ51aにより、単位吐出ヘッド21aごとに覆われる。これにより、キャッピングのときに、液体吐出ヘッド21が有する全てのノズル22は、キャップユニット51によって覆われる。
【0030】
図4に示すように、ヘッドユニット24は、不図示のヘッド移動機構によって、
図4に実線で示す記録位置と、
図4に二点鎖線で示すメンテナンス位置との間で移動される。
ワイパーキャリッジ41は、不図示のワイパー移動機構によって、
図4に実線で示す退避位置と、
図4に二点鎖線で示す折り返し位置との間で往復移動される。ワイパーキャリッジ41が退避位置から折り返し位置に移動する方向を第5方向D5という。ワイパーキャリッジ41が折り返し位置から退避位置に移動する方向を第6方向D6という。
【0031】
図4に示すように、ヘッドユニット24が、
図4に実線で示す記録位置から第1方向D1へ移動し、
図4に二点鎖線で示すメンテナンス位置に位置した後に、ワイパーキャリッジ41が、
図4に実線で示す退避位置から第5方向D5へ移動し、
図4に二点鎖線で示す折り返し位置まで移動する。これにより、ヘッドユニット24のノズル面23は、ワイパーキャリッジ41が有するワイパー部材42によって、ワイピングされる。
【0032】
ワイピングが終了すると、ヘッドユニット24が、
図4に二点鎖線で示すメンテナンス位置から第2方向D2へ移動し、
図4に実線で示す記録位置に位置する。その後に、ワイパーキャリッジ41が、
図4に二点鎖線で示す折り返し位置から第6方向D6へ移動し、
図4に実線で示す退避位置に位置する。
【0033】
<キャップの構成について>
図5に示すように、キャップの一例である単位キャップ51aは、規制部材52と、吸収体53と、隔壁の一例である第1透湿膜54と、加湿室55と、ケース56とを有する。単位キャップ51aは、略平行四辺形の底面を有する高さの低い角柱形状を呈する。本実施形態においては、単位キャップ51aは、その略平行四辺形の底面が
図2に示すXZ1平面に配置された状態で使用される。すなわち、
図5に示す単位キャップ51aは、その略平行四辺形の底面が水平に対して傾斜した状態で使用される。なお、XZ1平面とは、
図4に示す液体吐出ヘッド21のノズル面23と平行な面である。
【0034】
規制部材52は、吸収体53が有する表面53aの-Y1方向側の位置を規制するための略平行四辺形形状の規制面52aと、位置決め被係合部52cとを有する。規制部材52に用いられる材料は、例えば、ステンレス材等の金属の薄板である。そして、規制部材52は、規制面52aの周囲の四辺を+Y1方向側に曲げられていることにより、規制面52aの平面性と強度とを確保して、吸収体53の位置を規制する。
【0035】
規制部材52は、規制面52aが網状に形成される。すなわち、規制面52aは複数の連通孔52bを有する。規制面52aの-Y1方向側と+Y1方向側とが複数の連通孔52bで連通する。これにより、単位キャップ51aは、その単位キャップ51a内において、規制面52aの-Y1方向側から+Y1方向側へ、及び+Y1方向側から-Y1方向側への液体の通過が可能に構成される。
【0036】
図5に示すように、吸収体53は、XZ1平面に広がる略平行四辺形の薄板状に形成される。吸収体53は、液体を吸収可能に構成される。そのため、吸収体53は、液体を吸収することによって、その体積が増すように変位すること、すなわち膨潤することがある。
【0037】
規制部材52は、吸収体53の表面53aを広く露出させつつ、その表面53aと
図4に示すノズル面23との距離を一定にするために、吸収体53を所定の位置で規制する。
すなわち、規制部材52は、吸収体53が膨潤した場合に、吸収体53が-Y1方向側に変位することを抑制する。
【0038】
図5に示すように、第1透湿膜54は、XZ1平面に広がる略平行四辺形のシート状に形成される。第1透湿膜54は、気体透過性を有する。すなわち、第1透湿膜54は気体の通過を許容するが、液体の通過を規制する。本実施形態においては、第1透湿膜54に用いられる材料は、フッ素樹脂を布地にコーティングした素材である。第1透湿膜54に用いられる材料は、液体を通さず、気体を通すものであれば何でもよく、フィルム膜やエラストマー膜であってもよい。
【0039】
第1透湿膜54は、その略平行四辺形の四辺のうち、三辺に連通部54aを有する。第1透湿膜54は、その三辺の中央部分を略平行四辺形の内側に向けて少し切り欠くことによって、第1透湿膜54の三辺近傍においてのみ、第1透湿膜54の-Y1方向側から+Y1方向側へ、及び+Y1方向側から-Y1方向側へ液体の通過が可能に構成される。なお、第1透湿膜54は、その略平行四辺形の最も+Z方向側の一辺にも、連通部54aを有してもよい。
【0040】
上述したように、本実施形態においては、
図5に示す単位キャップ51aは、その略平行四辺形の底面が水平に対して傾斜したXZ1平面に設けられる。重力によって液体を鉛直方向の-Z方向側に流動させる力が働くため、液体はその略平行四辺形の最も+Z方向側の辺には流動し難い。そのため、本実施形態においては、第1透湿膜54は、その略平行四辺形の最も+Z方向側の一辺に、連通部54aを有さない。
【0041】
図5に示すように、加湿室55は、XZ1平面に広がる略平行四辺形の底面を有する。
そして、加湿室55は、その底面の中央部分に後述する加湿流体が流通するための溝55cを有する。加湿室55は、樹脂成型等により形成される。すなわち、加湿室55に用いられる材料は、液体が通過しない材料である。溝55cは溝壁55iを有する。溝壁55iの-Y1方向側の端部と、第1透湿膜54とは、例えば、溶着または接着によってシールされる。これにより、加湿室55が有する溝55cと第1透湿膜54によって、室が形成される。
【0042】
加湿室55は、その略平行四辺形の四辺のうち、三辺に連通部55eと、二辺に位置決め係合部55dとを有する。加湿室55は、その三辺の複数箇所を略平行四辺形の内側に向けて少し切り欠くことによって、加湿室55の三辺近傍においてのみ、加湿室55の-Y1方向側から+Y1方向側へ、及び+Y1方向側から-Y1方向側への液体の通過が可能に構成される。なお、加湿室55は、その略平行四辺形の最も+Z方向側の一辺にも、連通部55eを有してもよい。加湿室55の周囲はシールされているため、加湿室55と、連通部55eとは連通しない。
【0043】
上述したように、本実施形態においては、
図5に示す単位キャップ51aは、その略平行四辺形の底面が水平に対して傾斜した状態で使用される。重力によって液体を鉛直方向の-Z方向側に流動させる力が働くため、液体はその略平行四辺形の最も+Z方向側の辺には流動し難い。そのため、本実施形態においては、加湿室55は、その略平行四辺形の最も+Z方向側の一辺に、連通部55eを有さない。
【0044】
加湿室55は、その略平行四辺形の最も-Z方向側の一辺の連通部55eにおいて、連通部55eの中央よりもやや+X方向側に、ケース56内の空間と連通する連通孔55fを有する。これにより、加湿室55は、重力によって流動する液体がより均等に効率よく連通孔55fを流動するように構成される。
【0045】
ケース56は、その略平行四辺形の最も+Z方向側の一辺において、その一辺の中央よりもやや-X方向側に、大気連通孔56aを有する。また、加湿室55は、ケース56内の空間と、大気連通孔56aとを連通する
図6に示す連通孔55jを有する。これにより、ケース56内の空間と後述する大気とが連通する。大気をより効率よくケース56内に流通させるためには、ケース56の中央に大気連通孔56aが位置することが望ましい。
本実施形態においては、加湿室55が略平行四辺形の底面を有している。そのため、大気連通孔56aが、幅方向Xに対してやや-X方向側に位置する。
【0046】
図6に示すように、加湿室55は、略平行四辺形の底面の+Y1方向側の面に、流入口55aと、流出口55bと、係合部55gと、位置決め係合部55hとを有する。係合部55gは管状であり、+X方向側の係合部55gの内側に流入口55aが、-X方向側の係合部55gの内側に流出口55bが形成される。流入口55aと流出口55bとは、略平行四辺形の底面の+Y1方向側と-Y1方向側とを連通する。そして、流入口55aと流出口55bとは、加湿室55の室内において溝55cと第1透湿膜54によって形成される流路によって連通する。溝55cと第1透湿膜54によって形成される流路については後述する。
【0047】
ケース56は、大気連通孔56aと、孔の一例である排出孔56bと、被係合部56cと、
図5に示す位置決め被係合部56dと、シール部56eとを有する。大気連通孔56aと排出孔56bとは、略平行四辺形の底面の+Y1方向側と-Y1方向側とを連通する。
【0048】
シール部56eは、ケース56を形成する周囲の壁の最も-Y1方向側の面において、周囲の壁に沿って枠状に形成される。シール部56eに用いられる材料は、例えば、ゴム材料やエラストマー等の可撓性を有する材料である。単位キャップ51a内の液体が、シール部56eから単位キャップ51a外に垂れることを抑制するため、シール部56eの材料は、液体吐出ヘッド21から吐出された液体をはじく撥水エラストマー材であってもよい。本実施形態においては、ケース56を形成する周囲の壁の最も-Y1方向側の面が、水平に対して傾斜したXZ1平面に位置する。液体は重力によって鉛直方向に移動する。そのため、単位キャップ51aの鉛直方向Zにおける中心よりも下側のシール部56eを、上側のシール部56eよりも高い撥水性としても良いし、下側のシール部56eのみを撥水性としても良い。
【0049】
ケース56は、単位キャップ51aの略平行四辺形の底面を有する高さの低い角柱形状の外形を形成し、規制部材52と、吸収体53と、第1透湿膜54と、加湿室55とを収容する。加湿室55が有する位置決め係合部55dは、規制部材52が有する位置決め被係合部52cと係合する。加湿室55が有する係合部55gは、ケース56が有する被係合部56cと係合する。加湿室55が有する位置決め係合部55hは、ケース56が有する
図5に示す位置決め被係合部56dと係合する。これにより、規制部材52と、吸収体53と、第1透湿膜54と、加湿室55とが、ケース56に保持される。さらに、加湿室55が有する連通孔55fと、ケース56が有する排出孔56bとが連通する。そして、加湿室55が有する連通孔55jと、ケース56が有する大気連通孔56aとが連通する。
【0050】
図7に示すように、加湿室55が有する溝55cは、略平行四辺形を呈する底面の-Y1方向側の面に形成される。溝55cは、その面の全体を覆うように、蛇行状に曲がりくねって、流入口55aから流出口55bまでの一本道の迷路状に形成される。溝55cを形成する溝壁55iの-Y1方向側の端部と
図5に示す第1透湿膜54とは、流入口55aから流出口55bまでの全域においてシールされている。そのため、溝55cと第1透湿膜54とによって、蛇行する複雑な経路を有する一本道の曲がりくねった流路が形成されて、流入口55aと流出口55bとが連通される。すなわち、加湿室55は、後述する加湿流体が流通する溝55cおよび溝55cを覆う隔壁の一例である
図5に示す第1透湿膜54によって、流入口55aと流出口55bとを連通する流路状に形成されている。
【0051】
後述するように、溝55cを流通する加湿流体によって単位キャップ51a内の空間が加湿されるため、XZ1平面において、単位キャップ51a内で溝55cが占める面積は、大きい方が望ましい。すなわち、単位キャップ51aの底面に対して、溝55cが占める面積を大きくするために、単位キャップ51aの底面全体に流路を引き回すことが望ましい。
【0052】
<空間を形成する凹部について>
図8に示すように、液体吐出装置11は、キャップ装置50を備える。キャップ装置50は、移動可能な
図3に示すキャップユニット51を有する。そして、キャップユニット51は、単位キャップ51aを有する。
【0053】
キャップユニット51が、第1方向D1へ移動して
図8に示すメンテナンス位置に位置した後に、ヘッドユニット24が、第3方向D3へ移動して
図8に示すメンテナンス位置に位置すると、キャップ装置50が有する単位キャップ51aは液体吐出ヘッド21のノズル面23に接触する。ケース56の周囲に位置するシール部56eの-Y1方向側の面を密着面56fという。キャップ装置50と液体吐出ヘッド21とが接触したときに、ノズル面23と密着面56fとが密着して、ノズル面23がシール部56eによってシールされる。すなわち、キャップ装置50は、キャップの一例である単位キャップ51aが液体を吐出するノズル22を有する液体吐出ヘッド21に接触したときに、ノズル22の開口22aを囲む空間SPを形成可能に構成される。換言すれば、キャップの一例である単位キャップ51aは、液体を吐出するノズル22を有する液体吐出ヘッド21に接触したときに、ノズル22の開口22aを囲む空間SPを形成可能である。
【0054】
単位キャップ51aは、空間SPを形成する凹部57を有する。本実施形態においては、凹部57は、
図8に示すように、ケース56の内側の面と、加湿室55の外周の外側の面と、第1透湿膜54の吸収体53側の面とにより構成される。凹部57は、隔壁の一例である第1透湿膜54と接する位置に液体を吸収可能な吸収体53を有する。気体透過性を有する第1透湿膜54は、凹部57と加湿室55とを区画する。これにより、キャップ装置50と液体吐出ヘッド21とが接触したときに、凹部57は、ノズル22の開口22aを囲む空間SPを形成する。なお、凹部57は、フラッシングが行われたときにフラッシングにより凹部内に吐出された液体が、シール部56eから溢れ出ない容積を有する。
【0055】
本実施形態においては、ノズル22が配置されるノズル面23は水平ではなく、水平に対して第1所定角度θ1を有する。そのため、ケース56の周囲に位置するシール部56eの-Y1方向側の面も水平ではなく、水平に対して第1所定角度θ1を有する。これにより、単位キャップ51aが水平に対して第1所定角度θ1傾斜した状態で、ノズル面23とシール部56eの密着面56fとが密着して、ノズル面23がシール部56eによってシールされる。単位キャップ51aが水平に対して傾斜した本実施形態においても、凹部57は、フラッシングが行われたときにフラッシングにより凹部内に吐出された液体が、傾いたシール部56eの下方部分から溢れ出ない容積を有する。
【0056】
ノズル22が配置されるノズル面23と、シール部56eの-Y1方向側の面とが水平に配置されてもよい。すなわち、液体吐出ヘッド21と単位キャップ51aとが水平に配置された状態で、ノズル面23がシール部56eによってシールされてもよい。
【0057】
図9に示すように、規制部材52と、吸収体53とは液体透過性を有し、第1透湿膜54は液体透過性を有しない。そのため、フラッシングのときに、ノズル22から排出された液体は、規制部材52と、吸収体53とを-Y1方向側から+Y1方向側へ通過するが、第1透湿膜54を-Y1方向側から+Y1方向側へ通過しない。また、液体は吸収体53によって吸収される。そして、吸収体53に吸収された液体は、吸収体53全体に広がる。より詳しくは、吸収体53内において、液体が多く吸収された部分の周囲に液体があまり吸収されていない部分があるときは、液体が多く吸収された部分から液体があまり吸収されていない部分に液体が流動する。
【0058】
吸収体53によってさらに多くの液体が吸収されて、吸収体53がこれ以上液体を吸収できない状態に近づくと、吸収体53内において、液体は重力によって鉛直方向である-Z方向に流動する。これにより、液体が第1透湿膜54の-Y1方向側の面に到達すると、重力によって-Z1方向に流動する。第1透湿膜54は液体透過性を有しないため、第1透湿膜54は液体の通過を規制する。すなわち、液体は加湿室55内には流入しない。
そして、その液体は重力によって連通部54aと連通部55eとを通過して、ケース56が有する排出孔56bより、単位キャップ51a外へ排出される。すなわち、凹部57は、液体吐出ヘッド21から単位キャップ51a内に排出された液体を排出可能な孔の一例である排出孔56bを有する。
【0059】
本実施形態においては、孔の一例である排出孔56bは、凹部57において、隔壁の一例である第1透湿膜54よりも低い位置に設けられる。すなわち、排出孔56bは、第1透湿膜54よりも-Z方向側に設けられる。また、孔の一例である排出孔56bは、凹部57の最下部に設けられてもよい。すなわち、排出孔56bは、凹部57の最も-Z方向側に設けられてもよい。
【0060】
加湿室55は、空間SPを加湿するための後述する加湿流体が流入する流入口55aと、加湿流体が流出する流出口55bとを有する。第1透湿膜54は液体透過性を有しないため、第1透湿膜54は、+Y1方向側から-Y1方向側へ加湿室55内の液体の通過を規制する。これにより、加湿室55において、流入口55aより流入した液体は、流出口55bより流出する。なお、加湿室55は水平に対して傾斜した姿勢で設けられている。
そして、流入口55aおよび流出口55bは、加湿室55の鉛直方向Zにおける中心よりも上側に設けられる。本実施形態においては、流入口55aおよび流出口55bは、加湿室55の鉛直方向Zにおける中心よりも+Z方向側に位置する。流入口55aおよび流出口55bが、加湿室55の+Z方向側に設けられることにより、加湿室55内の液体が、流入口55aまたは流出口55bから水頭圧によって加湿室55外に流動することを抑制できる。
【0061】
図10に示すように、規制部材52と、吸収体53と、第1透湿膜54とは気体透過性を有する。そのため、気体である大気や水蒸気は、規制部材52と、吸収体53と、第1透湿膜54とを-Y1方向側から+Y1方向側へ、及び+Y1方向側から-Y1方向側へ通過する。これにより、キャップ装置50は、単位キャップ51a内において、後述する加湿流体から蒸発した水蒸気を、加湿室55内から凹部57内へ流動可能に構成される。
【0062】
凹部57は、空間SPを大気と連通するための大気連通孔56aを有する。大気連通孔56aは、単位キャップ51aの鉛直方向における中心よりも上側に設けられる。本実施形態においては、大気連通孔56aは、凹部57の鉛直方向Zにおける中心よりも+Z方向側に設けられる。大気連通孔56aが、単位キャップ51aの鉛直方向における中心よりも上側に設けられることにより、大気連通孔56aが、液体で閉塞されることを抑制できる。また、大気連通孔56aは、第1透湿膜54よりも高い位置、すなわち、第1透湿膜54よりも+Z方向側に設けられてもよい。
【0063】
<キャップ装置が備える加湿流体循環機構の構成について>
図11に示すように、キャップ装置50は、単位キャップ51aを有するキャップユニット51と、不図示のキャップ移動機構と、加湿流体循環機構60と、廃液回収機構80とを備える。
【0064】
キャップ装置50が備える加湿流体循環機構60は、加湿流体L1aを収容する加湿流体収容部61と、供給流路62aと、回収流路62bとを備える。供給流路62aは、加湿流体収容部61と流入口55aとを連通する。すなわち、供給流路62aは、加湿流体収容部61とキャップの一例である単位キャップ51aとを連通する。回収流路62bは、流出口55bと加湿流体収容部61とを連通する。すなわち、回収流路62bは、キャップの一例である単位キャップ51aと加湿流体収容部61とを連通する。そして、加湿流体循環機構60は、加湿流体収容部61、供給流路62a、および回収流路62bを含む循環経路62を備える。
【0065】
加湿流体収容部61は、流入部61fと流出部61gを有する。加湿流体収容部61は、流入部61fにおいて、回収流路62bと連通する。加湿流体収容部61は、流出部61gにおいて、供給流路62aと連通する。
【0066】
加湿流体循環機構60において、循環経路62内で流動する加湿流体L1aは、
図8に示す空間SPを加湿するための水分を含む流体である。加湿流体L1aの保湿力は、液体吐出ヘッド21から吐出される液体の保湿力と同等であることが望ましい。保湿力とは、加湿流体L1aや、液体吐出ヘッド21から吐出される液体に含まれる保湿剤の濃度である。例えば、液体吐出ヘッド21が、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するときは、加湿流体L1aの保湿力は、フレッシュのインクの保湿力と同等であることが望ましい。また、インクの保湿力は、各色で釣り合っていることが望ましい。なお、加湿流体L1aについての詳細は後述する。
【0067】
図3に示すように、本実施形態のキャップ装置50が備えるキャップユニット51は、5つの
図6に示す単位キャップ51aを有する。すなわち、キャップ装置50は、キャップの一例である単位キャップ51aが複数並んで構成されている。そして、キャップ装置50は、5つの単位キャップ51aは各々が
図6に示す流入口55aと
図6に示す流出口55bとを有する。そのため、本実施形態においては、複数の単位キャップ51aのうち、1つの単位キャップ51aの流出口55bは、その単位キャップ51aと隣り合う別の単位キャップ51aの流入口55aに接続される。例えば、1つの単位キャップ51aの流出口55bと、その単位キャップ51aと隣り合う別の単位キャップ51aの流入口55aとは、不図示のチューブによって接続されて、その流出口55bと、その流入口55aとが連通する。これにより、最も上流に位置する流入口55aと、最も下流に位置する流出口55bとが連通する。最も上流に位置する流入口55aは、
図11に示す供給流路62aに接続される。そして、最も下流に位置する流出口55bは、
図11に示す回収流路62bに接続される。すなわち、本実施形態のキャップ装置50は、
図11に示す循環経路62内で流動する加湿流体L1aが、全ての単位キャップ51aの
図7に示す加湿室55の溝55cを流通することが可能に構成される。キャップ装置50が1つだけの単位キャップ51aを有するときは、その単位キャップ51aの流入口55aは供給流路62aに接続され、その単位キャップ51aの流出口55bは回収流路62bに接続されてもよい。
【0068】
図11に示すように、加湿流体収容部61は、
図8に示す空間SPを加湿するための水分を含む加湿流体L1aを収容する。加湿流体収容部61は、加湿流体収容部61内の液面を検知する検知部61aを有する。検知部61aは、第1電極61bと、第2電極61cとを有する。
【0069】
加湿流体L1aは、導電性の添加剤を含む。検知部61aは、第1電極61bと第2電極61cとの間の電気抵抗によって、加湿流体収容部61内の液面を検知する。加湿流体収容部61に収容される加湿流体L1aの液面高さが、「所定の高さ」の一例である第1所定高さH1よりも高いときは、第1電極61bと第2電極61cとの間は導通する。加湿流体収容部61に収容される加湿流体L1aの液面高さが、第1所定高さH1よりも低く、第2所定高さH2よりも高いときは、第1電極61bと第2電極61cとの間は導通しない。このように、検知部61aは、第1電極61bが液面に接触するときと接触しないときとで出力レベルが変わることによって、加湿流体L1aの液面高さが第1所定高さH1よりも高いか否かを判定することが可能に構成される。
【0070】
加湿流体L1aの液面高さが、検知部61aによって第1所定高さH1を上回っていると検知されているときは、加湿流体収容部61内に加湿流体L1aが十分に収容されている、すなわち、加湿流体収容部61が加湿流体L1aにより満杯状態であることを意味する。本実施形態においては、加湿流体収容部61の満杯状態が検知される。加湿流体収容部61の満杯状態だけが検知されるのではなく、加湿流体収容部61の空状態や空に近い状態が検知されるようにしてもよい。また、液面を検知する方式は、電極方式に限らず、光学方式や静電容量方式でもよい。
【0071】
加湿流体収容部61は、第2大気連通路61dと第2透湿膜61eとを有する。第2大気連通路61dは、加湿流体収容部61と大気とを連通する。第2大気連通路61dは、迷路状の細管構造を有してもよい。迷路状の細管構造とは、空気は出入りできるが、液体の出入りがかなり制限される程度に、管路が細くかつ蛇行する複雑な経路を有する管構造をいう。迷路状の細管構造により、加湿流体収容部61内の液体の蒸発が抑制される。
【0072】
第2透湿膜61eは、加湿流体収容部61と第2大気連通路61dとの接続部に設けられる。また、第2透湿膜61eは、加湿流体収容部61内から第2大気連通路61dへの気体の通過を許容する一方、加湿流体収容部61内から第2大気連通路61dへの液体の通過を規制する。加湿流体収容部61内から第2大気連通路61dへ気体が通過する効率を上げるために、第2透湿膜61eの面積は広い方が望ましい。
【0073】
図11に示すように、キャップ装置50が備える加湿流体循環機構60は、その循環経路62内で加湿流体L1aを流動可能なポンプの一例である第1ポンプ63と、第1逆止弁64と、圧力調整弁65とを備える。第1ポンプ63は、循環経路62内で流体を流動させる。第1ポンプ63の駆動により、供給流路62aを流通する液体が単位キャップ51a内の加湿室55に送られる。
【0074】
第1逆止弁64は、加湿流体収容部61側から単位キャップ51a側への液体の流動は許容し、水頭差による単位キャップ51a側から加湿流体収容部61側への液体の逆流は阻止する。なお、第1逆止弁64の代わりに開閉弁が設けられてもよい。その開閉弁が開弁されたときの第1ポンプ63の駆動により、液体は、加湿流体収容部61側から単位キャップ51a側へ流通してもよい。なお、開閉弁の弁を開くことを、開弁する、または弁を開放するという。また、開閉弁の弁を閉じることを、閉弁する、または弁を閉鎖するという。
【0075】
圧力調整弁65は、加湿流体収容部61側が所定の負圧になったときに単位キャップ51a側から加湿流体収容部61側への液体の流動を許容し、加湿流体収容部61側から単位キャップ51a側への液体の逆流を常に阻止する。液体が水頭圧によって単位キャップ51a側から加湿流体収容部61側へ流通しないように、圧力調整弁65によって、水頭差分の圧力差が調整される。
【0076】
図11に示すように、キャップ装置50が備える加湿流体循環機構60は、循環経路62内に水分L1bを供給可能な水分供給部66を備える。水分供給部66は、水分収容部66aと、水分供給流路66bと、開閉弁の一例である第1開閉弁66cと、第2逆止弁66dとを備える。水分収容部66aは、循環経路62内に供給可能な水分L1bを収容する。水分供給流路66bは、循環経路62と連通する。第1開閉弁66cは、水分供給流路66bを開閉可能に構成される。
【0077】
水分収容部66aは、流出部66fを有する。水分収容部66aは、流出部61gにおいて、水分供給流路66bと連通する。水分供給流路66bは、循環経路62の第1合流部62cにおいて、循環経路62と連通する。すなわち、水分収容部66aと循環経路62とは連通する。なお、水分収容部66aは交換可能に構成されることが望ましい。
【0078】
水分収容部66aから循環経路62内に供給される水分L1bは、加湿流体L1aから蒸発した水分を補充するための水分である。水分L1bは、純水と少量の防腐剤で構成される。
【0079】
第1開閉弁66cの開弁により、水分収容部66aと循環経路62とが、水分供給流路66bによって連通する。第2逆止弁66dは、水分収容部66a側から循環経路62側への液体の流動は許容し、水頭差による循環経路62側から水分収容部66a側への液体の逆流は阻止する。なお、第2逆止弁66dはなくてもよい。第2逆止弁66dがないときは、第1開閉弁66cが開弁されたときの第1ポンプ63の駆動により、第1ポンプ63は、水分L1bを水分収容部66a側から単位キャップ51a側へ流動させてもよい。
【0080】
図11に示すように、キャップ装置50が備える加湿流体循環機構60は、加圧空気供給部67を更に有する。加圧空気供給部67は、循環経路62内に加圧空気を供給可能に構成される。加圧空気供給部67は、循環経路62と連通する加圧空気供給路67aと、第2開閉弁67bと、第2ポンプ67cとを有する。第2開閉弁67bの開弁により、第2ポンプ67cと循環経路62とが、加圧空気供給路67aによって連通する。第2ポンプ67cは、例えば加圧ポンプである。第2ポンプ67cは、大気に圧力を加えて加圧空気とし、その加圧空気を加圧空気供給路67aに供給する。
【0081】
循環経路62において、第1ポンプ63の下流に加圧空気供給部67を設けず、第1ポンプ63の上流、かつ第1合流部62cよりも下流に、大気供給部が設けられてもよい。
その大気供給部は、大気と連通する大気連通路と、開閉弁とを有してもよい。そして、その開閉弁の開弁によって、大気連通路を通じて循環経路62と大気とを連通させた状態で、第1ポンプ63によって、その大気が循環経路62に送り出されてもよい。すなわち、キャップ装置50は、加湿流体L1aが流動する循環経路62において、水分供給部66と循環経路62とが合流する第1合流部62cと、単位キャップ51aが有する流入口55aと、の間に大気を循環経路62に供給する大気供給部を有してもよい。そしてキャップ装置50は、更に、その大気を循環経路62に送出するポンプを有してもよい。
【0082】
<キャップ装置が備える廃液回収機構の構成について>
図11に示すように、キャップ装置50が備える廃液回収機構80は、廃液回収路81と、第3ポンプ82と、バッファー室83と、第4ポンプ84と、第3大気連通路85と、廃液収容部86とを有する。
【0083】
廃液回収路81は、第1廃液回収路81aと第2廃液回収路81bとを備える。第1廃液回収路81aは、単位キャップ51aが有する排出孔56bにおいて、単位キャップ51a内の
図8に示す凹部57が形成する空間SPと連通する。そして、第1廃液回収路81aは、空間SPと廃液収容部86とをバッファー室83を通じて連通する。また、第2廃液回収路81bは、ワイパーキャリッジ41が有する廃液流出口43において、ワイパーキャリッジ41と連通する。そして、第2廃液回収路81bは、ワイパーキャリッジ41と廃液収容部86とを連通する。
【0084】
フラッシングやクリーニングなどのときに、液体が液体吐出ヘッド21のノズル22から廃液L2として排出される。液体の一例である廃液L2は、単位キャップ51a内から回収されて、第1廃液回収路81aへ流通する。また、ワイピングのときに、液体吐出ヘッド21のノズル面23に付着した液体が払拭されて、廃液L2としてワイパーキャリッジ41内に回収される。廃液L2は、ワイパーキャリッジ41内から回収されて、第2廃液回収路81bへ流通する。フラッシングやクリーニングによって回収された廃液L2と、ワイピングによって回収された廃液L2とは、第3ポンプ82によって、廃液収容部86に送られる。そして、廃液収容部86内に廃液L2が収容される。
【0085】
図3に示すように、本実施形態のキャップ装置50が備えるキャップユニット51は、5つの
図6に示す単位キャップ51aを有する。すなわち、キャップ装置50は単位キャップ51aが複数並んで構成されており、5つの単位キャップ51aは各々が排出孔56bを有する。そのため、本実施形態においては、5つの排出孔56bが第1廃液回収路81aに接続され、第1廃液回収路81aによって、5つの排出孔56bと廃液収容部86とが連通する。キャップ装置50が1つだけの単位キャップ51aを有するときは、その単位キャップ51aの排出孔56bだけが第1廃液回収路81aに接続されてもよい。
【0086】
図11に示すように、本実施形態においては、第4ポンプ84は減圧ポンプである。第4ポンプ84は、第3大気連通路85を通じて、バッファー室83内の空気をバッファー室83外に排出することによって、バッファー室83内の気圧を下げる。これにより、フラッシングやクリーニングのときに液体吐出ヘッド21のノズル22から単位キャップ51a内に排出された廃液L2が、第1廃液回収路81aを通じて、バッファー室83内に流通し易くなる。なお、バッファー室83と、第4ポンプ84と、第3大気連通路85とは、なくてもよい。
【0087】
図11に示すように、単位キャップ51aを有するキャップユニット51は、大気開放機構58を有する。大気開放機構58は、第1大気連通路58aと、第3開閉弁58bとを有する。
【0088】
第1大気連通路58aは、キャップユニット51において、単位キャップ51aの各々の大気連通孔56aと大気とを連通する。第3開閉弁58bは、第1大気連通路58aを開閉可能な開閉弁である。本実施形態においては、第1大気連通路58aの大気側が開放されている。そして、キャップユニット51が
図11に二点鎖線で示すメンテナンス位置から第4方向D4へ移動して
図11に実線で示す退避位置に位置したときに、その解放された部分が不図示の壁に当たり、その壁が第1大気連通路58aを閉塞するように、キャップ装置50が構成される。すなわち、キャップユニット51の移動によって、第3開閉弁58bが開閉される。フラッシングやクリーニングのときは、第1大気連通路58aが開放状態で、液体吐出ヘッド21は単位キャップ51a内に液体を排出する。
【0089】
<液体吐出装置の電気的構成について>
図12に示すように、液体吐出装置11は、ヘッドユニット24と、ワイパー装置40と、キャップ装置50とを制御する制御部90を備える。キャップ装置50は、制御部90によって制御される検出器群91を備える。検出器群91は、加湿流体収容部61内の液面を検知する検知部61aを含む。検知部61aは、検知結果を制御部90に出力する。
【0090】
制御部90は、インターフェイス部94と、CPU95と、メモリー96と、制御回路97と、駆動回路98と、を有する。インターフェイス部94は、外部装置であるコンピューター99と液体吐出装置11との間でデータを送受信する。駆動回路98は、液体吐出ヘッド21のアクチュエーターを駆動させる駆動信号を生成する。
【0091】
CPU95は、演算処理装置である。メモリー96は、CPU95のプログラムを格納する領域または作業領域等を確保する記憶装置であり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU95は、メモリー96に格納されているプログラムに従い、制御回路97を介して、ヘッドユニット24、ワイパー装置40、及びキャップ装置50などを制御する。
【0092】
<加湿流体の循環動作について>
キャップ装置のメンテナンス方法における循環動作について説明する。
図13に示すように、キャップ装置50は循環動作を行う。循環動作のときは、第1開閉弁66cが閉弁状態で、制御部90は、加湿流体循環機構60に循環経路62内で加湿流体L1aを
図13に示す実線の矢印の方向に流動させる。そして、制御部90は、加湿流体L1aからの水分蒸発量を確認する。
【0093】
図8に示す空間SPを加湿するための水分を含む加湿流体L1aを収容する加湿流体収容部61と、加湿流体収容部61と単位キャップ51aとを連通する供給流路62aと、単位キャップ51aと加湿流体収容部61とを連通する回収流路62bと、単位キャップ51a内の
図8に示す加湿室55とで、循環路が構成される。なお、循環動作のときの単位キャップ51a内の内圧は、第1ポンプ63による循環流量の調整によって、液体吐出ヘッド21のメニスカス耐圧以下にされることが望ましい。
【0094】
図13に示すように、加湿流体L1aの循環動作において、加湿流体L1aは、循環経路62を
図13に示す実線の矢印の方向に流動して、循環路を循環する。制御部90が、循環経路62内で加湿流体L1aを流動させることにより、加湿流体L1aは、加湿室55内において、
図7に示す蛇行する複雑な経路を有する一本道の曲がりくねった流路を流通する。加湿流体L1aからの水分は、主に単位キャップ51a内の加湿室55で蒸発する。そして、例えば、加湿室55内の加湿流体L1aが加湿流体収容部61内に流動し、加湿流体収容部61内の加湿流体L1aが加湿室55内に流動したタイミングで、制御部90は、加湿流体L1aの流動を停止して、加湿流体L1aからの水分蒸発量を確認する。すなわち、キャップ装置のメンテナンス方法における循環動作の目的には、加湿流体L1aからの水分蒸発量を確認することが含まれる。
【0095】
図13に示すように、制御部90は、タイマー等によって時間を管理して、循環動作を定期的に実行する。例えば、液体吐出装置11の電源が投入されているときは、制御部90は循環動作を1日1回実行する。後述する循環動作のフローの最後に、制御部90は、加湿流体L1aからの水分蒸発量を確認するために、検知部61aより、加湿流体収容部61内の液面高さの情報を取得する。単位キャップ51a内での水分蒸発量が多いと、加湿流体収容部61内の液面高さは低くなる。単位キャップ51aが
図13に示す退避位置に位置する時間、すなわち、単位キャップ51aが
図8に示すノズル22の開口22aを囲む空間SPを形成していない時間に、水分蒸発量が多くなる。そのため、制御部90は、温湿度環境ごとに、単位キャップ51aが退避位置に位置する時間を管理して、循環動作を行ってもよい。なお、液体吐出装置11が設置されて最初に媒体Mに記録を行う前や、キャップユニット51が新品のキャップユニット51に交換されて最初に媒体Mに記録が行なわれる前や、水分収容部66aが満杯の水分収容部66aに交換されて最初に媒体Mに記録が行なわれる前にも、制御部90は循環動作を実行してもよい。
【0096】
循環動作の頻度を少なくするために、加湿流体収容部61は、加湿流体収容部61内の深さに対して液面の面積を広くすることが望ましい。これにより、加湿流体L1aに含まれる水分が蒸発することにより、加湿流体収容部61内の液体の量が変化したときの、液面の高さの変化を少なくすることができる。また、加湿流体L1aから、加湿流体L1aに含まれる水分が蒸発することによる加湿流体L1aの濃度変化を出来る限り緩やかにするために、加湿流体収容部61の容積は、液体吐出装置11のサイズの中で可能な限り大きくするのが望ましい。
【0097】
次に、
図14に示すフローチャートを参照し、キャップ装置のメンテナンス方法における循環動作のフローについて、各ステップにおける制御部90が実行する制御を順に説明する。
【0098】
ステップS101において、制御部90は、第1開閉弁66cが閉弁状態か否かを判定する。第1開閉弁66cが閉弁状態のときは、ステップS103に移行する。第1開閉弁66cが開弁状態のときは、ステップS102に移行する。そして、ステップS102において、制御部90は、第1開閉弁66cを閉弁させる。
【0099】
ステップS103において、制御部90は、第1開閉弁66cが閉弁状態で、第1ポンプ63を第1所定時間T1駆動させる。これにより、
図13に示すように、加湿流体L1aが、循環経路62内で
図13に示す実線の矢印の方向に流動する。
【0100】
ステップS104において、制御部90は、第1開閉弁66cが閉弁状態で、第1ポンプ63を第2所定時間T2停止させる。これにより、加湿流体収容部61内の液面状態が安定する。なお、液面状態が安定するまでの時間を短くするために、加湿流体収容部61内の深さに対して液面の面積を広くすることにより、加湿流体収容部61内の液体の量が変化したときに液面の高さが変化する量を少なくすることが望ましい。
【0101】
ステップS105において、制御部90は、検知部61aより、加湿流体収容部61内の液面高さの情報を取得する。そして、ステップS106において、制御部90は、液面高さが第1所定高さH1より高いか否かを判定する。液面高さが第1所定高さH1より高いときは、フローを終了する。
【0102】
液面高さが第1所定高さH1より低いときは、ステップS200に移行する。そして、ステップS200において、制御部90は、後述する濃度調整動作のサブルーチンを実行する。濃度調整動作のサブルーチンが終了すると、制御部90は、フローを終了する。
【0103】
<加湿流体の濃度調整動作について>
キャップ装置のメンテナンス方法における濃度調整動作について説明する。
図15に示すように、キャップ装置50は濃度調整動作を行う。濃度調整動作のときは、第1開閉弁66cが開弁状態で、制御部90は、加湿流体循環機構60に循環経路62内で加湿流体L1aを
図15に示す実線の矢印の方向に流動させる。このとき、第1開閉弁66cが開弁状態であることにより、水分供給部66内の水分L1bが、
図15に示す破線の矢印の方向に流動し、循環経路62内に供給される。すなわち、キャップ装置のメンテナンス方法における濃度調整動作は、水分供給部66により水分L1bを循環経路62内に供給することと、循環経路62内で加湿流体L1aを流動させることと、を含む。
【0104】
濃度調整動作は、前述の循環動作のフローの最後で、制御部90が加湿流体収容部61内の液面高さの情報を取得したときの加湿流体収容部61内の液面高さが、検知部61aによって「所定の高さ」の一例である第1所定高さH1を下回っていると検知されているときに、制御部90によって実行される。すなわち、キャップ装置50は、検知部61aにより加湿流体収容部61内の液面が所定の高さを下回っていると検知されているときに濃度調整動作を行う場合には、その液面が所定の高さ以上になったと検知されるまで水分収容部66a内の水分L1bを循環経路62内に供給する。そして、その後、循環経路62内で加湿流体L1aを流動させる。
【0105】
単位キャップ51a内で加湿流体L1aから水分が蒸発し、前述の循環動作によってその加湿流体L1aが循環経路62内を循環する。これにより、加湿流体収容部61内の水分も少なくなるため、加湿流体収容部61内の液面高さは低くなる。さらに蒸発が進むと、加湿流体収容部61内の液面高さが、第1所定高さH1よりも低くなる。このときの加湿流体L1aの濃度が、所定の濃度よりも大きくなるように、第1所定高さH1が設定される。制御部90によって濃度調整動作が実行されることにより、その液面が第1所定高さH1よりも高くなるように、水分収容部66a内の水分L1bが循環経路62内に供給される。これにより、単位キャップ51a内で蒸発した水分とほぼ同量の水分が、循環経路62内に供給されて、加湿流体L1aの濃度が所定の濃度よりも小さくなる。すなわち、加湿流体L1aの濃度が、単位キャップ51a内で水分が蒸発する前の加湿流体L1aの濃度に戻る。
【0106】
制御部90は、濃度調整動作において、第1開閉弁66cを開弁状態にして、水分収容部66a内の水分L1bを循環経路62内に供給する。そして、制御部90は、加湿流体収容部61内の液面高さが第1所定高さH1よりも高くなったと判定すると、第1開閉弁66cを閉弁状態にして、前述の循環動作を行い、加湿流体収容部61内の加湿流体L1aを循環経路62内で流動させる。すなわち、キャップ装置のメンテナンス方法における濃度調整動作は、水分収容部66a内の水分L1bを循環経路62内に供給する際には、開閉弁の一例である第1開閉弁66cを開放し、循環経路62内で加湿流体L1aを流動させる際には、第1開閉弁66cを閉鎖することを含む。
【0107】
循環経路62の第1合流部62cにおいて、加湿流体収容部61から流動する加湿流体L1aと、水分供給部66から流動する水分L1bとが合流する。加湿流体収容部61から流動する加湿流体L1aの体積に比べて、水分供給部66から流動する水分L1bの体積が多いときは、加湿流体収容部61内の液面高さの変化速度が速くなって液面検知ばらつきが大きくなるため、液面高さをタイミングよく検知することが難しい。そのため、第1合流部62cにおいて、水分供給部66側の流路の圧力損失が、加湿流体収容部61側の流路の圧力損失に比べて、同じか大きくなるように設定されることが望ましい。
【0108】
次に、
図16に示すフローチャートを参照し、キャップ装置のメンテナンス方法における濃度調整動作のフローについて、各ステップにおける制御部90が実行する制御を順に説明する。
【0109】
ステップS201において、制御部90は、第1開閉弁66cが開弁状態か否かを判定する。第1開閉弁66cが開弁状態のときは、ステップS203に移行する。第1開閉弁66cが閉弁状態のときは、ステップS202に移行し、ステップS202において、制御部90は、第1開閉弁66cを開弁させる。
【0110】
ステップS203において、制御部90は、第1開閉弁66cが開弁状態で、第1ポンプ63を第3所定時間T3駆動させる。これにより、
図15に示すように、加湿流体L1aが、循環経路62内で
図15に示す実線の矢印の方向に流動する。そして、水分L1bが、水分供給流路66b内で
図15に示す破線の矢印の方向に流動し、第1合流部62cで、加湿流体L1aと合流する。そして、合流した加湿流体L1aと水分L1bとは、水分の量が増加した加湿流体L1aとなって、第1合流部62cから単位キャップ51aに向かい、循環経路62内を
図15に示す実線の矢印の方向に流動し、加湿流体収容部61内に流入する。そして、加湿流体収容部61内の液面が第1所定高さH1よりも高くなる。
【0111】
ステップS204において、制御部90は、検知部61aより、加湿流体収容部61内の液面高さの情報を取得する。そして、ステップS205において、制御部90は、液面高さが第1所定高さH1より高いか否かを判定する。液面高さが第1所定高さH1より高いときは、ステップS206に移行する。液面高さが第1所定高さH1より低いときは、ステップS207に移行する。
【0112】
ステップS206において、制御部90は、第1開閉弁66cを閉弁させて、ステップS100の前述の循環動作のサブルーチンに移行する。制御部90は、循環動作のサブルーチンを終了すると、フローを終了する。
【0113】
ステップS207において、制御部90は、水分収容部66a内の水分L1bがなくなったと判定し、ステップS400において、制御部90は、後述する水分収容部交換前動作のサブルーチンを実行する。すなわち、水分収容部66a内の水分L1bの量が、水分収容部66aの交換が必要と判断される量に達した場合には、キャップ装置50は、水分収容部交換前動作を行う。制御部90は、水分収容部交換前動作のサブルーチンを終了すると、フローを終了する。
【0114】
なお、ステップS203~S205において、制御部90は、第1開閉弁66cが開弁状態で、検知部61aより加湿流体収容部61内の液面高さの情報を取得しつつ、第1ポンプ63を駆動させ、液面高さが第1所定高さH1より高くなったときに、第1ポンプ63を停止させてもよい。そして、第1ポンプ63を駆動させてから第3所定時間T3が経過したときに、液面高さが、検知部61aによって第1所定高さH1を下回っていると検知されているときは、ステップS207において、制御部90は、水分収容部66a内の水分L1bがなくなったと判定してもよい。
【0115】
<キャップ交換準備動作について>
キャップ装置のメンテナンス方法におけるキャップ交換準備動作について説明する。
キャップ交換準備動作とは、キャップの交換が行なわれる際に、キャップ装置50が行う動作である。キャップが交換される前に、キャップ内の加湿流体L1aが回収される。
本実施形態のキャップ装置50においては、キャップ交換のときは、
図3に示すキャップユニット51が交換される。なお、キャップ装置50は、キャップ交換のときに、単位キャップ51aが交換されるように構成されてもよい。
【0116】
図17に示すように、キャップ装置50はキャップ交換準備動作を行う。キャップ交換準備動作のときは、第1開閉弁66cが閉弁状態、かつ第2開閉弁67bが開弁状態で、制御部90は、加湿流体循環機構60が有する加圧空気供給部67に、加圧空気供給路67a内で加圧空気を
図17に示す破線の矢印の方向に流動させる。このとき、第2開閉弁67bが開弁状態であることにより、循環経路62内の加湿流体L1aが、
図17に示す実線の矢印の方向に流動し、加圧空気が循環経路62内に供給される。
【0117】
加圧空気供給部67が、加圧空気を循環経路62内に供給し続けることにより、循環経路62が構成する循環路のうち、第2合流部66eから流入部61fまでの流路の加湿流体L1aが、加湿流体収容部61内に押し出される。そして、第2合流部66eから流入部61fまでの流路に空気が充填される。これにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aが、加湿流体収容部61に回収される。すなわち、キャップ装置のメンテナンス方法におけるキャップ交換準備動作は、加圧空気供給部67からキャップの一例である単位キャップ51a内に加圧空気を供給することにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを加湿流体収容部61に排出するとともに加圧空気を単位キャップ51a内に供給する動作である。
【0118】
加湿流体L1aは単位キャップ51a内で水分が蒸発するため、単位キャップ51a内の加湿流体L1aの濃度は大きい。これにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを加湿流体収容部61に回収したときに、加湿流体収容部61内の加湿流体L1aの濃度が大きくなる。また、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを加湿流体収容部61に回収したときに、濃度が大きい加湿流体L1aが単位キャップ51a内に少し残る。これにより、次に加湿流体L1aに水分L1bを補給したときに、加湿流体収容部61内の加湿流体L1aの濃度が小さくなる。この加湿流体L1aの濃度変化を少なくするために、加湿流体収容部61の容積は、液体吐出装置11のサイズの中で可能な限り大きくするのが望ましい。
【0119】
次に、
図18に示すフローチャートを参照し、キャップ装置のメンテナンス方法におけるキャップ交換準備動作のフローについて、各ステップにおける制御部90が実行する制御を順に説明する。
【0120】
ステップS301において、制御部90は、第1開閉弁66cが閉弁状態か否かを判定する。第1開閉弁66cが閉弁状態のときは、ステップS303に移行する。第1開閉弁66cが開弁状態のときは、ステップS302に移行する。そして、ステップS302において、制御部90は、第1開閉弁66cを閉弁させる。
【0121】
ステップS303において、制御部90は、第2開閉弁67bを開弁させる。そして、ステップS304において、制御部90は、第1開閉弁66cが閉弁状態、かつ第2開閉弁67bが開弁状態で、第2ポンプ67cを第4所定時間T4駆動させる。これにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aが、加湿流体収容部61に回収される。そして、ステップS305において、制御部90は、第2開閉弁67bを閉弁させて、フローを終了する。
【0122】
<水分収容部交換前動作について>
キャップ装置のメンテナンス方法における水分収容部交換前動作について説明する。
図19に示すように、キャップ装置50は水分収容部交換前動作を行う。水分収容部交換前動作とは、水分収容部66a内の水分L1bの量が、水分収容部66aの交換が必要と判断される量に達した場合に、制御部90によって実行される動作である。本実施形態においては、前述の濃度調整動作において、第1ポンプ63が第3所定時間T3駆動されたときに、加湿流体収容部61内の液面高さが、検知部61aによって第1所定高さH1を下回っていると検知されているときは、制御部90は、水分収容部66a内の水分がなくなったと判定する。すなわち、循環経路62内の加湿流体L1aの濃度を、単位キャップ51a内で水分が蒸発する前の濃度に戻すことができないときに、制御部90によって、水分収容部66aの交換が必要と判断される。
【0123】
水分収容部66aの交換が必要と判断されたときは、前述のキャップ交換準備動作と同じ動作が制御部90によって実行される。そして、単位キャップ51a内の加湿流体L1aが回収された後に、水分収容部66aが交換されるまで、フラッシングの第1パラメーターテーブルが、水分収容部66a内の水分L1bがなくなったときの第2パラメーターテーブルに切り替えられる。
【0124】
パラメーターテーブルとは、フラッシングが行われる条件や回数等が記載されたテーブルであり、このテーブルに基づいてフラッシングが行われる。単位キャップ51a内の加湿流体L1aが回収されると、単位キャップ51a内の空間SPは、加湿流体L1aによって加湿されないため、制御部90は、単位キャップ51a内の空間SPに印刷に関係しない液体の吐出である空吐出を行ってノズル22の加湿を実行する。そのため、フラッシングが行なわれる条件や回数等がノズル22の加湿に適したパラメーターに変更される。
【0125】
要約すると、水分収容部交換前動作は、前述のキャップ交換準備動作と、キャップ装置50が、水分収容部66aが交換されるまで液体吐出ヘッド21からキャップの一例である単位キャップ51a内の空間SPに印刷に関係しない液体の吐出である空吐出を行ってノズル22の加湿を行うことと、を含む。
【0126】
なお、水分収容部66aが交換されるまでは、それまで定期的に行われていた前述の循環動作は実行されない。水分収容部66aが交換されたときは、制御部90は、第2パラメーターテーブルを、パラメーターテーブルが切り替えられる前の第1パラメーターテーブルに戻した後に、前述の濃度調整動作を開始する。そして、その後は、前述の循環動作も定期的に実行される。
【0127】
次に、
図20に示すフローチャートを参照し、キャップ装置のメンテナンス方法における水分収容部交換前動作のフローについて、各ステップにおける制御部90が実行する制御を順に説明する。
【0128】
ステップS300において、制御部90は、前述したキャップ交換準備動作のサブルーチンを実行する。キャップ交換準備動作のサブルーチンが終了すると、ステップS401において、制御部90は、パラメーターテーブルの切り替えを行い、フローを終了する。
【0129】
<加湿流体充填動作について>
キャップ装置のメンテナンス方法における加湿流体充填動作について説明する。
加湿流体充填動作は、
図1に示す液体吐出装置11が組み立てられて、工場から出荷される前に、加湿流体L1aが加湿流体収容部61内に収容されるために行われるフローである。加湿流体L1aが加湿流体収容部61内に収容された後、単位キャップ51a内の加湿流体L1aが加湿流体収容部61内に回収された状態で、液体吐出装置11は工場から出荷される。水分収容部66aが水分供給流路66bに取り付けられる前に、加湿流体充填動作が行われる。なお、すでに水分収容部66aが水分供給流路66bに取り付けられているときは、水分収容部66aが水分供給流路66bから取り外された後に、加湿流体充填動作のフローが実行される。なお、加湿流体充填動作のフローにおいて、一部の工程は、作業者の手作業により行われる。
【0130】
図21に示すように、加湿流体収容部61内に収容されるための加湿流体L1aが収容された加湿流体パック68が、水分供給流路66bに取り付けられる。そして、加湿流体パック68の流出部68aで、加湿流体パック68と水分供給流路66bとが連通する。
これにより、第1開閉弁66cが開弁状態のときは、加湿流体パック68と第1合流部62cとが、水分供給流路66bによって連通状態となる。
【0131】
循環経路62は、第1合流部62cの上流にクレンメ部62dを有する。クレンメ部62dと第1合流部62cとの距離はできるだけ短い方が望ましい。クレンメ部62dをクレンメ69によって閉じると、クレンメ部62dで流路が閉状態となる。すなわち、加湿流体収容部61と、第1合流部62cとが、クレンメ69によって非連通状態となる。なお、クレンメとは、流路の途中に設けられて、流路をクランプすることによって、流路の流量を調整する器具である。
【0132】
この状態で、第1開閉弁66cが開弁状態で、制御部90は、第1ポンプ63の駆動によって、加湿流体循環機構60に循環経路62内で加湿流体L1aを
図21に示す実線の矢印の方向に流動させる。このとき、加湿流体パック68内の加湿流体L1aが、
図21に示す実線の矢印の方向に流動する。そして、第1開閉弁66cが開弁状態であることにより、加湿流体L1aが循環経路62内に供給される。また、このとき、クレンメ部62dがクレンメ69によって閉状態である。そのため、加湿流体収容部61内の加湿流体L1aは、循環経路62内に供給されない。これにより、加湿流体パック68内の加湿流体L1aの所定量が加湿流体収容部61内に流動する。そして、加湿流体収容部61内の液面高さが第1所定高さH1より高くなる。
【0133】
制御部90によって第1開閉弁66cが閉弁状態にされ、作業者によってクレンメ69が除去される。そして、加湿流体L1aが循環経路62内を循環して、加湿流体収容部61内の液面状態が安定する。その後に、制御部90がキャップ交換準備動作を実行することにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aが加湿流体収容部61内に回収される。液体吐出装置11は、この状態で工場から出荷される。
【0134】
次に、
図22に示すフローチャートを参照し、加湿流体充填動作のフローについて、各ステップにおける工程を順に説明する。
ステップS501において、作業者によって、加湿流体パック68が取り付けられる。
そして、ステップS502において、作業者によって、クレンメ部62dにクレンメ69が取り付けられて、クレンメ69が閉じられる。
【0135】
ステップS503において、制御部90は、第1開閉弁66cが開弁状態か否かを判定する。第1開閉弁66cが開弁状態のときは、ステップS505に移行する。第1開閉弁66cが閉弁状態のときは、ステップS504に移行する。そして、ステップS504において、制御部90は、第1開閉弁66cを開弁させる。
【0136】
ステップS505において、制御部90は、第1ポンプ63の駆動を開始する。これにより、
図21に示すように、加湿流体L1aが、水分供給流路66b内で
図21に示す実線の矢印の方向に流動する。そして、加湿流体L1aは、第1合流部62cから単位キャップ51aに向かい、循環経路62内を
図21に示す実線の矢印の方向に流動する。
【0137】
ステップS506において、制御部90は、検知部61aより、加湿流体収容部61内の液面高さの情報を取得する。そして、ステップS507において、加湿流体収容部61内の液面高さが第1所定高さH1より高いか否かを判定する。液面高さが第1所定高さH1より高いときは、ステップS508に移行する。そして、ステップS508において、制御部90は、第1ポンプ63の駆動を停止させる。液面高さが第1所定高さH1より低いときは、第1ポンプ63の駆動を継続するとともに、ステップS506に移行する。
【0138】
ステップS509において、制御部90は、第1開閉弁66cを閉弁させる。そして、ステップS510において、作業者によって、クレンメ69が除去される。
ステップS511において、制御部90は、第1開閉弁66cが閉弁状態で、第1ポンプ63を第1所定時間T1駆動させる。これにより、
図13に示すように、加湿流体L1aが、循環経路62内で
図13に示す実線の矢印の方向に流動する。
【0139】
ステップS512において、制御部90は、第1開閉弁66cが閉弁状態で、第1ポンプ63を第2所定時間T2停止させる。これにより、加湿流体収容部61内の液面状態が安定する。
【0140】
ステップS513において、制御部90は、検知部61aより、加湿流体収容部61内の液面高さの情報を取得する。そして、ステップS514において、加湿流体収容部61内の液面高さが第1所定高さH1より高いか否かを判定する。液面高さが第1所定高さH1より高いときは、ステップS300に移行する。そして、ステップS300において、制御部90は、キャップ交換準備動作のサブルーチンを実行する。これにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aが加湿流体収容部61内に回収される。なお、キャップ交換準備動作が実行されると、単位キャップ51a内の加湿流体L1aによって、液面高さがさらに高くなる場合がある。そのため、キャップ交換準備動作において、単位キャップ51a内の加湿流体L1aが加湿流体収容部61内に全て回収される前に、加湿流体収容部61内が加湿流体L1aで全て充填されてしまうことがないような高さに、第1所定高さH1が設定される。
【0141】
ステップS514において、液面高さが第1所定高さH1より低いときは、制御部90は、ステップS502に移行する。これにより、再度、加湿流体パック68内の加湿流体L1aが循環経路62内に供給される。すなわち、加湿流体収容部61内の液面高さの微調整が行われる。
【0142】
キャップ交換準備動作のサブルーチンが終了すると、ステップS515において、作業者によって、加湿流体パック68が取り外されて水分収容部66aが取り付けられる。そして、フローが終了する。
【0143】
<液体吐出ヘッドが吐出する液体について>
液体吐出装置11が吐出する液体の一例であるインクについて以下に詳述する。
液体吐出装置11に使用されるインクは、組成上、樹脂を含有し、1気圧下での沸点が290℃のグリセリンを実質的に含有しない。インクがグリセリンを実質的に含むと、インクの乾燥性が大幅に低下してしまう。その結果、種々の媒体、特にインク非吸収性又は低吸収性の媒体において、画像の濃淡ムラが目立つだけではなく、インクの定着性も得られない。さらに、インクは、1気圧下相当での沸点が280℃以上のアルキルポリオール類(上記グリセリンを除く)を実質的に含まないことが好ましい。
【0144】
ここで、本明細書における「実質的に含まない」とは、添加する意義を十分に発揮する量以上含有させないことを意味する。これを定量的に言えば、グリセリンを、インクの総質量(100質量%)に対して、1.0質量%以上含まないことが好ましく、0.5質量%以上含まないことがより好ましく、0.1質量%以上含まないことがさらに好ましく、0.05質量%以上含まないことがさらにより好ましく、0.01質量%以上含まないことが特に好ましい。そして、グリセリンを0.001質量%以上含まないことが最も好ましい。
【0145】
次に、上記インクに含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)について説明する。
[1.色材]
インクは、色材を含んでもよい。上記色材は、顔料及び染料から選択される。
【0146】
[1-1.顔料]
色材として顔料を用いることにより、インクの耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、及び酸化シリカが挙げられる。
【0147】
有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。有機顔料の具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0148】
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、60、65、66、C.I.バットブルー4、60が挙げられる。中でも、C.I.ピグメントブルー15:3及び15:4のいずれかが好ましい。
【0149】
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。中でも、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、及びC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される一種以上が好ましい。
【0150】
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213が挙げられる。中でもC.I.ピグメントイエロー74、155、及び213からなる群から選択される一種以上が好ましい。
【0151】
なお、グリーンインクやオレンジインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。
顔料の平均粒子径は、ノズル22における目詰まりを抑制することができ、かつ、吐出安定性が一層良好となるため、250nm以下であることが好ましい。なお、本明細書における平均粒子径は、体積基準のものである。測定方法としては、例えば、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、日機装社(Nikkiso Co.,Ltd.)製のマイクロトラックUPA)が挙げられる。
【0152】
[1-2.染料]
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。色材の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、0.4~12質量%であることが好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0153】
[2.樹脂]
インクは、樹脂を含有する。インクが樹脂を含有することにより、媒体上に樹脂被膜が形成され、結果としてインクを媒体上に十分定着させて、主に画像の耐擦性を良好にする効果を発揮する。このため、樹脂エマルジョンは熱可塑性樹脂であることが好ましい。樹脂の熱変形温度は、ノズル22の目詰まりを起こしにくく、媒体の耐擦性を持たせられるという有利な効果が得られるため、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。
【0154】
ここで、本明細書における「熱変形温度」は、ガラス転移温度(Tg)又は最低造膜温度(Minimum Film forming Temperature;MFT)で表された温度値とする。つまり、「熱変形温度が40℃以上」とは、Tg又はMFTのいずれかが40℃以上であればよいことを意味する。なお、MFTの方がTgよりも樹脂の再分散性の優劣を把握しやすいため、当該熱変形温度はMFTで表された温度値であることが好ましい。樹脂の再分散性に優れたインクであると、インクが固着しないためノズル22が目詰まりしにくくなる。
【0155】
上記熱可塑性樹脂の具体例として、特に限定されないが、ポリ(メタ)アクリル酸エステル又はその共重合体、ポリアクリロニトリル又はその共重合体、ポリシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、及びポリ(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、及びポリスチレン、並びにそれらの共重合体、並びに石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、及びテルペン樹脂などのポリオレフィン系重合体、ポリ酢酸ビニル又はその共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、及びポリビニルエーテルなどの酢酸ビニル系又はビニルアルコール系重合体、ポリ塩化ビニル又はその共重合体、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、及びフッ素ゴムなどの含ハロゲン系重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン又はその共重合体、ポリビニルピリジン、及びポリビニルイミダゾールなどの含窒素ビニル系重合体、ポリブタジエン又はその共重合体、ポリクロロプレン、及びポリイソプレン(ブチルゴム)などのジエン系重合体、並びにその他の開環重合型樹脂、縮合重合型樹脂、及び天然高分子樹脂が挙げられる。
【0156】
樹脂の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、1~30質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。含有量が上記範囲内である場合、形成される上塗り画像の光沢性及び耐擦性を一層優れたものとすることができる。また、上記インクに含有させてもよい樹脂としては、例えば、樹脂分散剤、樹脂エマルジョン、及びワックス等が挙げられる。
【0157】
[2-1.樹脂エマルジョン]
インクは、樹脂エマルジョンを含んでもよい。樹脂エマルジョンは、媒体が加熱される際、好ましくはワックス(エマルジョン)と共に樹脂被膜を形成することで、インクを媒体上に十分定着させて画像の耐擦性を良好にする効果を発揮する。上記の効果により樹脂エマルジョンを含有するインクで媒体を印刷した場合、インクは特にインク非吸収性又は低吸収性の媒体上で耐擦性に優れたものとなる。
【0158】
また、バインダーとして機能する樹脂エマルジョンは、インク中にエマルジョン状態で含有される。バインダーとして機能する樹脂をエマルジョン状態でインク中に含有させることにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性を高めることができる。
【0159】
樹脂エマルジョンとしては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、及び塩化ビニリデンの単独重合体又は共重合体、フッ素樹脂、及び天然樹脂が挙げられる。中でも、メタアクリル系樹脂及びスチレン-メタアクリル酸共重合体系樹脂のいずれかが好ましく、アクリル系樹脂及びスチレン-アクリル酸共重合体系樹脂のいずれかがより好ましく、スチレン-アクリル酸共重合体系樹脂がより一層好ましい。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のうちいずれの形態であってもよい。
【0160】
樹脂エマルジョンの平均粒子径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、5nm~400nmの範囲であることが好ましく、20nm~300nmの範囲であることがより好ましい。樹脂の中でも樹脂エマルジョンの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、0.5~7質量%の範囲であることが好ましい。含有量が上記範囲内であると、固形分濃度を低くすることができるため、吐出安定性を一層良好にすることができる。
【0161】
[2-2.ワックス]
インクは、ワックスを含んでもよい。インクがワックスを含むことにより、インク非吸収性及び低吸収性の媒体上でのインクの定着性がより優れたものとなる。ワックスは、中でもエマルジョンタイプのものがより好ましい。上記ワックスとしては、以下に限定されないが、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、及びポリオレフィンワックスが挙げられ、中でも後述するポリエチレンワックスが好ましい。なお、本明細書において、「ワックス」とは、主に、後述する界面活性剤を使用して、固体ワックス粒子を水中に分散させたものを意味する。
【0162】
上記インクがポリエチレンワックスを含むことにより、インクの耐擦性を優れたものとすることができる。ポリエチレンワックスの平均粒子径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、5nm~400nmの範囲であることが好ましく、50nm~200nmの範囲であることがより好ましい。
【0163】
ポリエチレンワックスの含有量(固形分換算)は、互いに独立して、インクの総質量(100質量%)に対して、0.1~3質量%の範囲であることが好ましく、0.3~3質量%の範囲であることがより好ましく、0.3~1.5質量%の範囲であることがさらに好ましい。含有量が上記範囲内であると、インク非吸収性又は低吸収性の媒体上においてもインクを良好に固化・定着させることができ、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層優れたものとすることができる。
【0164】
[3.界面活性剤]
インクは、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤として、以下に限定されないが、例えばノニオン系界面活性剤が挙げられる。ノニオン系界面活性剤は、媒体上でインクを均一に拡げる作用がある。このため、ノニオン系界面活性剤を含むインクを用いて印刷を行った場合、滲みの殆ど無い高精細な画像が得られる。このようなノニオン系界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、シリコン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、多環フェニルエーテル系、ソルビタン誘導体、及びフッ素系の界面活性剤が挙げられ、中でもシリコン系界面活性剤が好ましい。
【0165】
界面活性剤の含有量は、インクの保存安定性及び吐出安定性が一層良好なものとなるため、インクの総質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上3質量%以下の範囲であることが好ましい。
【0166】
[4.有機溶剤]
インクは、公知の揮発性の水溶性有機溶剤を含んでもよい。ただし、上述のとおり、インクは、有機溶剤の一種であるグリセリン(1気圧下での沸点が290℃)を実質的に含まず、また1気圧下相当での沸点が280℃以上のアルキルポリオール類(上記グリセリンを除く)を実質的に含まないことが好ましい。
【0167】
[5.非プロトン性極性溶媒]
インクは、非プロトン性極性溶媒を含んでもよい。インクに非プロトン性極性溶媒を含有することにより、インクに含まれる上述の樹脂粒子が溶解するため、印刷の際にノズル22の目詰まりを効果的に抑制することができる。また、塩化ビニル等の媒体を溶解させる性質があるので、画像の密着性が向上する。
【0168】
非プロトン性極性溶媒については、特に限定されないが、ピロリドン類、ラクトン類、スルホキシド類、イミダゾリジノン類、スルホラン類、尿素誘導体、ジアルキルアミド類、環状エーテル類、アミドエーテル類から選択される一種以上を含むことが好ましい。ピロリドン類の代表例としては、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドンがあり、ラクトン類の代表例としては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ε-カプロラクトンがあり、スルホキシド類の代表例としてはジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシドがある。
【0169】
イミダゾリジノン類の代表例としては、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンがあり、スルホラン類の代表例としては、スルホラン、ジメチルスルホランがあり、尿素誘導体の代表例としては、ジメチル尿素、1,1,3,3-テトラメチル尿素がある。ジアルキルアミド類の代表例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドがあり、環状エーテル類の代表例としては1,4-ジオキサン、テトラヒドロフランがある。
【0170】
中でも、上述した効果の観点からピロリドン類、ラクトン類、スルホキシド類、アミドエーテル類が特に好ましく、2-ピロリドンが最も好ましい。上記の非プロトン性極性溶媒の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、3~30質量%の範囲であることが好ましく、8~20質量%の範囲であることがより好ましい。
【0171】
[6.その他の成分]
インクは、上記の成分に加えて、防かび剤、防錆剤、及びキレート化剤などをさらに含んでもよい。
【0172】
<加湿流体について>
加湿流体L1aに混合される界面活性剤の成分について説明する。
界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤;ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン等の両イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤等を用いることができるが、これらの中でも特に、アニオン性界面活性剤もしくはノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0173】
界面活性剤の含有量は、加湿流体L1aの総質量に対して0.1~5.0質量%であるのが好ましい。さらに、気泡性および気泡後の消泡性の観点から界面活性剤の含有量は、加湿流体L1aの総質量に対して0.5~1.5質量%であるのが好ましい。なお、界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また、加湿流体L1aに含有される界面活性剤は、インク(液体)に含有される界面活性剤と同じであることが好ましく、例えば、インク(液体)に含有される界面活性剤がノニオン性界面活性剤の場合、ノニオン性界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、シリコン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、多環フェニルエーテル系、ソルビタン誘導体、及びフッ素系の界面活性剤が挙げられ、中でもシリコン系界面活性剤が好ましい。
【0174】
特に、ロスマイルス法を用いた起泡直後および起泡5分後の泡高さが前記範囲(起泡直後の泡高さが50mm以上、起泡5分後の泡高さが5mm以下)になるようにするためには、界面活性剤として、アセチレンジオールに付加モル数4~30でエチレンオキサイド(EO)が付加した付加物を用い、該付加物の含有量を洗浄液全重量に対して0.1~3.0重量%とすることが好ましい。さらに、ロスマイルス法を用いた起泡直後および起泡5分後の泡高さが前記好ましい範囲(起泡直後の泡高さが100mm以上、起泡5分後の泡高さが5mm以下)になるようにするためには、アセチレンジオールに付加モル数10~20でエチレンオキサイド(EO)が付加した付加物を用い、該付加物の含有量を洗浄液全重量に対して0.5~1.5重量%とすることが好ましい。但し、アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物の含有量が多すぎると、臨界ミセル濃度に達し、エマルションとなってしまう恐れがある。
【0175】
界面活性剤は、記録媒体上で水性インクを濡れ広がりやすくする機能を有する。本発明で用いることのできる界面活性剤に特に制限はなく、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩類、および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤などを用いることができる。
【0176】
なお、界面活性剤は加湿流体L1aと凝集物との間の界面活性効果により凝集物を細分化して分散させる効果がある。また、洗浄液の表面張力を下げる働きがあるため、凝集物とノズル面23との間に洗浄液が侵入しやすくなり、凝集物をノズル面23から剥離しやすくする効果がある。
【0177】
界面活性剤は親水部と疎水部を同一分子中に持つ化合物であれば、いずれも好適に用いることができる。具体例としては、下記式(I)~(IV)で表わされるものが好ましい。
すなわち、下記式(I)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、式(II)のアセチレングリコール系界面活性剤、下記式(III)のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤ならびに式(IV)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界面活性剤が挙げられる。
【0178】
【化1】
(Rは分岐していてもよい炭素数6~14の炭化水素鎖、k:5~20)
【0179】
【0180】
【化3】
(Rは分岐してもよい炭素数6~14の炭化水素鎖、nは5~20)
【0181】
【化4】
(Rは炭素数6~14の炭化水素鎖、m、nは20以下の数)
前記式(I)~(IV)の化合物以外では、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、エタノール、2-プロパノール等の低級アルコール類を用いることができるが、特にジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0182】
本実施形態の作用について説明する。
液体吐出装置11が組み立てられて、工場から出荷される前に、
図22に示す加湿流体充填動作のフローが行われる。
【0183】
図21に示すように、加湿流体充填動作において、クレンメ69によって加湿流体収容部61内の加湿流体L1aが循環経路62内に供給されない状態、かつ第1開閉弁66cが開弁状態で、制御部90は、第1ポンプ63の駆動によって、循環経路62内で加湿流体L1aを
図21に示す実線の矢印の方向に流動させる。検知部61aによって加湿流体収容部61内の液面高さが第1所定高さH1より上回っていると検知されるまで第1ポンプ63が駆動されることにより、加湿流体パック68内の所定量の加湿流体L1aを加湿流体収容部61に収容することができる。そのため、所定量の加湿流体L1aが加湿流体収容部61に収容された状態で、液体吐出装置11を工場から出荷することができる。
【0184】
加湿流体充填動作の最後に制御部90によって実行されるキャップ交換準備動作によって、単位キャップ51a内の加湿流体L1aのほとんどが単位キャップ51a外に排出される。そのため、単位キャップ51a内に加湿流体L1aがほとんどない状態で、液体吐出装置11を工場から出荷することができる。
【0185】
工場から出荷された液体吐出装置11が、ユーザーによって設置されて、液体吐出装置11の使用が開始される。液体吐出装置11が設置されて最初に媒体Mに記録を行う前に、制御部90は、
図14に示す循環動作のフローを実行する。
【0186】
図13に示すように、循環動作において、第1開閉弁66cが閉弁状態で、制御部90は、第1ポンプ63の駆動によって、循環経路62内で加湿流体L1aを
図13に示す実線の矢印の方向に流動させる。これにより、出荷時には加湿流体L1aがほとんどない状態であった単位キャップ51a内に、加湿流体L1aを流通させることができる。そして、単位キャップ51aが有する加湿室55内に、加湿流体L1aを充填することができる。
【0187】
より詳しくは、
図7に示すように、溝55cおよび溝55cを覆う第1透湿膜54によって流入口55aと流出口55bとを連通する一本道の流路状に形成されている加湿室55内に、加湿流体L1aを流通させることができる。すなわち、出荷時には加湿流体L1aがほとんどない状態であった加湿室55が有する溝55cに、加湿流体L1aを充填することができる。
【0188】
加湿室55が、そのような一本道の流路状に形成されることにより、加湿流体L1aを循環動作によって加湿室55内に充填し易くすることができる。さらに、加湿室55は、曲がりくねった流路状に形成されているため、循環動作によって加湿室55内に充填された加湿流体L1aが、流入口55aまたは流出口55bから加湿室55外に流出することを抑制できる。
【0189】
図3に示すように、キャップ装置50は、単位キャップ51aが複数並んで構成される。そして、前述したように、複数の単位キャップ51aのうち、1つの単位キャップ51aの流出口55bは、その単位キャップ51aと隣り合う別の単位キャップ51aの流入口55aに接続される。そして、
図11に示すように、最も上流に位置する流入口55aは供給流路62aに接続され、最も下流に位置する流出口55bは回収流路62bに接続される。これにより、1つの供給流路62aおよび回収流路62bのみで、複数の単位キャップ51aに対して加湿流体L1aを充填することができる。
【0190】
図8に示すように、加湿室55は水平に対して傾斜した姿勢で設けられる。そして、流入口55aおよび流出口55bは、加湿室55の鉛直方向における中心よりも上側に設けられる。そのため、循環動作によって加湿室55内に充填された加湿流体L1aが、流入口55aまたは流出口55bから水頭圧によって加湿室55外に流出することを抑制できる。
【0191】
図2に示すように、液体吐出装置11において、液体吐出ヘッド21が媒体Mに記録するときは、
図1に示す媒体収容部16内の媒体Mが給送され、媒体Mは搬送経路19を通って記録部20に向かう。そして、記録部20において、液体吐出ヘッド21は、第1搬送方向Z1に搬送された媒体Mに向けて液体を吐出する。そして液体吐出装置11が、媒体Mを次の記録位置まで搬送する搬送動作と、液体吐出ヘッド21から液体を吐出する記録動作とを交互に繰り返すことで、媒体Mに文字や画像等が記録される。
【0192】
図8に示すように、液体吐出ヘッド21が液体の吐出を行わないときは、液体吐出装置11は、キャップユニット51がノズル22を囲むように液体吐出ヘッド21のノズル面23に接触する動作であるキャッピングを行う。すなわち、液体吐出ヘッド21が液体の吐出を行わないときは、単位キャップ51aがノズル22を囲むように液体吐出ヘッド21のノズル面23に接触する状態が保たれる。
【0193】
図2に示すように、キャッピングのときは、キャップユニット51が、退避位置から第3方向D3へ移動してメンテナンス位置に位置した後に、ヘッドユニット24が、記録位置から第1方向D1へ移動してメンテナンス位置に位置する。これにより、キャップユニット51がヘッドユニット24を、キャッピングする。すなわち、キャップ装置50と液体吐出ヘッド21とが接触する。そのため、単位キャップ51aの密着面56fと、液体吐出ヘッド21のノズル面23とが密着して、シール部56eがノズル面23をシールすることができる。
【0194】
図10に示すように、加湿室55は加湿流体L1aで充填されている。加湿流体L1aから蒸発した水分は、その水分を含んだ湿った空気と共に、第1透湿膜54と吸収体53とを通過して、凹部57内に至ることができる。そして、その水分は凹部57内を加湿することができる。これにより、単位キャップ51aが液体吐出ヘッド21に接触したときのノズル22の開口を囲む空間SPが加湿されるため、ノズル22の開口を加湿することができる。そして、ノズル22内の液体の増粘が抑制されるため、吐出不良の発生を予防することができる。
【0195】
図8に示すように、加湿室55において、単位キャップ51aの底面全体に流路が引き回されているため、凹部57内全体を加湿することができる。これにより、液体吐出ヘッド21が有する複数のノズル22の開口をより均一に加湿することができる。
【0196】
図8に示すように、液体吐出装置11は、ノズル22から印刷とは関係のない液滴が単位キャップ51a内の空間SPに排出されるための吐出動作であるフラッシングを定期的に行う。フラッシングのときも、単位キャップ51aがノズル22を囲むように液体吐出ヘッド21のノズル面23に接触する状態が保たれる。
【0197】
図2に示すように、フラッシングやクリーニングのときは、キャップユニット51が、退避位置から第3方向D3へ移動してメンテナンス位置に位置した後に、ヘッドユニット24が、記録位置から第1方向D1へ移動してメンテナンス位置に位置する。これにより、キャップ装置50と液体吐出ヘッド21とが接触する。そのため、単位キャップ51aの密着面56fと、液体吐出ヘッド21のノズル面23とが密着して、シール部56eがノズル面23をシールすることができる。
【0198】
図9に示すように、フラッシングやクリーニングによってノズル22から凹部57に排出された廃液L2は、規制部材52と吸収体53とを通過する。廃液L2は吸収体53によって吸収される。そして、吸収体53に吸収された廃液L2は、吸収体53の全体に広がる。さらに、吸収体53がこれ以上廃液L2を吸収できない状態に近づくと、吸収体53内において、廃液L2は重力によって鉛直方向に流動する。第1透湿膜54は液体透過性を有しないため、廃液L2は加湿室55の室内には流入しない。凹部57は排出孔56bを有するため、凹部57内で吸収体53が吸収できなかった廃液L2を、排出孔56bより単位キャップ51a外へ排出することができる。
【0199】
排出孔56bは、凹部57において、第1透湿膜54よりも低い位置に設けられてもよい。廃液L2を重力によって排出孔56bより、単位キャップ51a外へ排出することができる。そして、第1透湿膜54の表面が廃液L2で閉塞されて、気体が通過できなくなることを抑制できる。
【0200】
排出孔56bは、凹部57の最下部に設けられてもよい。廃液L2を重力によって排出孔56bより単位キャップ51a外へ排出することができる。そして、凹部57内に廃液L2が残留することを抑制できる。
【0201】
図11に示すように、凹部57は、空間SPを大気と連通するための大気連通孔56aを有する。前述したように、本実施形態においては、キャップユニット51の移動によって、空間SPと大気とを連通させる第3開閉弁58bが開閉される。これにより、第3開閉弁専用のアクチュエーターを使用することなく第3開閉弁58bを開閉して、空間SPと大気とを連通させることができる。
【0202】
第3開閉弁58bが開閉されると、空間SPが大気と連通する。これにより、ノズル22の開口を囲む空間SPが形成されているときも、大気が空間SP内に流入するため、凹部57内の廃液L2を排出孔56bより単位キャップ51a外に排出し易くすることができる。
【0203】
フラッシングやクリーニングのときは、第1大気連通路58aが開放状態で、液体吐出ヘッド21は単位キャップ51a内に液体を排出する。そして、液体吐出ヘッド21が液体の吐出を行わないキャッピングのときも、第1大気連通路58aが開放状態である。すなわち、ほとんどの時間において、第1大気連通路58aが開放状態であるため、凹部57内に廃液L2が残留することを抑制できる。
【0204】
図10に示すように、大気連通孔56aは、凹部57の鉛直方向における中心よりも上側に設けられてもよい。大気連通孔56aが廃液L2で閉塞されて、凹部57内から廃液L2が排出できなくなることを抑制できる。
【0205】
大気連通孔56aは、凹部57において、第1透湿膜54よりも高い位置に設けられてもよい。第1透湿膜54の表面を流れる廃液L2で大気連通孔56aが閉塞されて、凹部57内から廃液L2が排出できなくなることを抑制できる。
【0206】
図9に示すように、フラッシングやクリーニングによってノズル22から凹部57に排出された廃液L2は、吸収体53に吸収される。また、
図10に示すように、加湿流体L1aから蒸発して第1透湿膜54を通過した水分は、吸収体53に吸収された廃液L2を加湿する。これにより、吸収体53に吸収された廃液L2の増粘度が高いときに、加湿流体L1aから蒸発した水分によって廃液L2の増粘度が調整される。加湿流体L1aから蒸発した水分と、増粘度が調整された廃液L2とによって、空間SPをより効率的に加湿することができる。
【0207】
本実施形態においては、加湿流体L1aの保湿力は、フレッシュのインクの保湿力と同等であるため、吸収体53に吸収されているインクが増粘されているときに、吸収体53に吸収されているインクを加湿して、吸収体53に吸収されているインクの保湿力を、フレッシュのインクの保湿力と同等の保湿力に保つことができる。
【0208】
吸収体53に吸収された廃液L2は、吸収体53全体に広がる。これにより、吸収体53に吸収された廃液L2の分布を均一に近づけることができるため、空間SP全体をより均一に加湿することができる。そして、液体吐出ヘッド21が有する複数のノズル22の開口をより均一に加湿することができる。
【0209】
フラッシングやクリーニングを行うと、液体吐出ヘッド21のノズル22から排出された液体がノズル面23に付着する。そのため、フラッシングやクリーニングを行った後には、液体吐出装置11はワイピングを行う。
【0210】
図4に示すように、ヘッドユニット24が、記録位置から第1方向D1へ移動してメンテナンス位置に位置した後に、ワイパーキャリッジ41が、退避位置から第5方向D5へ移動して折り返し位置まで移動する。これにより、ヘッドユニット24のノズル面23を、ワイパーキャリッジ41が有するワイパー部材42によって、ワイピングすることができる。そして、ノズル面23に付着した液体を、廃液L2としてワイパーキャリッジ41内に回収することができる。これにより、液体吐出ヘッド21のノズル面23に付着する液体、および塵埃などの汚れを除去することができる。
【0211】
図11に示すように、廃液回収機構80は、第3ポンプ82によって、フラッシングやクリーニングによって回収された廃液L2と、ワイピングによって回収された廃液L2とを、廃液回収路81を通じて廃液収容部86に流出させる。これにより、フラッシングやクリーニングによって回収された廃液L2と、ワイピングによって回収された廃液L2と、の両方の廃液L2を、廃液収容部86内にまとめて収容することができる。
【0212】
第4ポンプ84は減圧ポンプである。そのため、第1廃液回収路81aにおいて、第4ポンプ84は、バッファー室83内の空気をバッファー室83外に排出することによって、バッファー室83内の気圧を下げる。これにより、フラッシングやクリーニングによって回収された廃液L2を、バッファー室83内に流入し易くすることができる。そして、フラッシングやクリーニングによって回収された廃液L2を廃液収容部86に流入し易くすることができる。すなわち、凹部57内に廃液L2が残留することを抑制できる。
【0213】
図10に示すように、キャッピングのときに、加湿室55内に充填されている加湿流体L1aが含む水分によって、単位キャップ51aが液体吐出ヘッド21に接触したときのノズル22の開口を囲む空間SPが加湿される。これにより、加湿室55内に充填されている加湿流体L1aが含む水分の量が減少する。すなわち、加湿室55内に充填されている加湿流体L1aの濃度が、加湿流体収容部61内に収容されている加湿流体L1aの濃度と比べて大きくなる。
【0214】
図13に示すように、加湿流体収容部61と、供給流路62aと、回収流路62bと、第1ポンプ63とを備えるキャップ装置50において、循環動作によって循環経路62内で加湿流体L1aを循環させる。これにより、循環経路62内の加湿流体L1aを撹拌することができる。循環経路62内の加湿流体L1aが撹拌されることにより、循環経路62内全体の加湿流体L1aの濃度を均一にすることができる。すなわち、循環動作によって、加湿室55内に充填されている加湿流体L1aが含む水分の量を出荷時の量に近い量まで戻すことができる。
【0215】
制御部90は、タイマー等によって時間を管理して、循環動作を定期的に実行する。これにより、適切なタイミングで、循環経路62内全体の加湿流体L1aの濃度を均一にすることができる。すなわち、加湿室55内に充填されている加湿流体L1aの濃度が、加湿流体収容部61内に収容されている加湿流体L1aの濃度と比べて大きくなったままであることを抑制できる。より詳しくは、加湿室55内に充填されている加湿流体L1aが含む水分の量が減少しても、その水分の量を適切なタイミングで出荷時の量に近い量まで戻すことができる。これにより、ノズル22の開口の加湿が不十分となることによる吐出不良の発生を予防することができる。
【0216】
前述したように、複数の単位キャップ51aのうち、1つの単位キャップ51aの流出口55bは、その単位キャップ51aと隣り合う別の単位キャップ51aの流入口55aに接続され、最も上流に位置する流入口55aは供給流路62aに接続され、最も下流に位置する流出口55bは回収流路62bに接続される。これにより、1つの供給流路62aおよび回収流路62bのみで、複数の単位キャップ51aの加湿室55内を含む循環経路62内の加湿流体L1aを撹拌することができる。さらに、1つの供給流路62aおよび回収流路62bのみで、複数の単位キャップ51aの加湿室55内を含む循環経路62内の加湿流体L1aの濃度を均一にすることができる。
【0217】
キャップ装置50が、加湿室55内に充填されている加湿流体L1aが含む水分によって空間SPを加湿することと、循環動作を定期的に行うこととによって、蒸発した水分の分だけ加湿流体収容部61内に収容されている加湿流体L1aの体積が減少する。加湿流体収容部61が、加湿流体収容部61内の液面を検知する検知部61aを有することにより、加湿流体L1aの濃度が、所定の濃度よりも大きくなったことを判定することができる。
【0218】
循環動作において、加湿流体収容部61内の液面高さが、検知部61aによって第1所定高さH1よりも下回っていると検知されているときに、循環経路62内の加湿流体L1aの濃度が所定の濃度よりも大きくなったと判定されて、
図16に示す濃度調整動作フローが実行される。
【0219】
図15に示すように、循環経路62内に水分を供給可能な水分供給部66を更に備えることにより、加湿流体L1aから水分が蒸発した場合に、加湿流体L1aに水分L1bを補充して加湿流体L1aの濃度の適正化を行うことができる。すなわち、加湿流体L1aが含む水分の量を出荷時の水分の量まで戻すことができる。
【0220】
水分供給部66側の流路の圧力損失が、加湿流体収容部61側の流路の圧力損失に比べて、同じか大きくなるように設定される。これにより、加湿流体収容部61内の液面高さの変化速度が遅くなって液面検知ばらつきが小さくなるため、液面高さをタイミングよく検知することができる。
【0221】
検知部61aにより加湿流体収容部61内の液面が第1所定高さH1を下回っていると検知されているときに濃度調整動作を行う場合には、キャップ装置50は、液面が第1所定高さH1以上になったと検知されるまで水分収容部66a内の水分を循環経路62内に供給する。その後、キャップ装置50は、循環経路62内で加湿流体L1aを流動させる。これにより、蒸発した分の水分を加湿流体L1aに補給した後、循環経路62内で加湿流体L1aを循環させることで、加湿流体L1aの濃度の適正化を行うことができる。
【0222】
濃度調整動作において、加湿流体収容部61内の液面高さが、検知部61aによって第1所定高さH1を上回っていると検知されたときは、キャップ装置50は、第1開閉弁66cを閉弁状態にして、前述の循環動作を行う。すなわち、濃度調整動作が行われたときは、濃度調整動作が終了される前に、循環動作が行われる。これにより、循環経路62内の加湿流体L1aが撹拌されるため、濃度調整動作が行われたときも、循環経路62内全体の加湿流体L1aの濃度を均一にすることができる。
【0223】
キャップ装置50が、蒸発した分の水分を循環経路62内の加湿流体L1aに補給することによって、循環経路62内の加湿流体L1aの体積が増加する。また、加湿流体収容部61と第2大気連通路61dとの接続部に設けられる第2透湿膜61eは、加湿流体収容部61内と第2大気連通路61dとの気体の通過を許容する。これにより、加湿流体L1aが増加した体積と同じ体積の空気を、加湿流体L1aの体積増加とともに加湿流体収容部61内から第2大気連通路61dへ流出することができる。そのため、循環経路62内の加湿流体L1aに、水分を補給し易くすることができる。また、第2透湿膜61eの面積を加湿流体収容部61の体積に比べて大きくすることにより、第2大気連通路61dから大気へ流出する空気の量を増やすことができる。そのため、蒸発した分の水分を加湿流体L1aに効率よく補給することができる。
【0224】
図15に示すように、キャップ装置50は、水分供給部66により水分L1bを循環経路62内に供給することと、循環経路62内で加湿流体L1aを流動させることと、を含む濃度調整動作を行う。また、キャップ装置50は、水分収容部66a内の水分L1bを循環経路62内に供給する際には第1開閉弁66cを開放し、循環経路62内で加湿流体L1aを流動させる際には第1開閉弁66cを閉鎖することを含む濃度調整動作を行う。
第1開閉弁66cの状態によって、蒸発した分の水分を循環経路62内に供給すること、および循環経路62内で加湿流体L1aを流動させることを、必要に応じて行うことができる。これにより、蒸発した分の水分を加湿流体L1aに補給した後、循環経路62内で加湿流体L1aを循環させることで、加湿流体L1aの濃度の適正化を行うことができる。
【0225】
液体吐出装置11において、液体吐出ヘッド21による媒体Mへの記録が繰り返されると、単位キャップ51aが有するシール部56eは、長期間におよぶ繰り返し応力などに対する劣化や疲労によって、ノズル面23との密着性が衰える場合がある。また、キャップユニット51が構成される部品において不具合が発生する場合もある。このようなときは、それまで使用されていたキャップユニット51が、新品のキャップユニット51に交換される。なお、キャップユニット51は、単位キャップ51aの1つずつが交換されるように構成されてもよい。
【0226】
図17に示すように、キャップユニット51の交換が行われる際に、キャップ交換準備動作が行われる。加圧空気供給部67から単位キャップ51a内に加圧空気を供給することにより、加圧空気を単位キャップ51a内に供給するとともに、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを加湿流体収容部61に排出する。これにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを単位キャップ51a外に排出することができる。さらに、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを加湿流体収容部61に回収することができる。すなわち、それまで使用されていたキャップユニット51内の加湿流体L1aを、これから使用されるキャップユニット51内の加湿流体L1aとして、使用することができる。
【0227】
キャップ装置50は、加湿流体L1aが流動する循環経路62において、水分供給部66と循環経路62とが合流する第1合流部62cと、単位キャップ51aが有する流入口55aと、の間に大気を循環経路62に供給する大気供給部を有してもよい。そしてキャップ装置50は、更に、その大気を循環経路62に送出するポンプを有してもよい。これにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを単位キャップ51a外に排出することができる。さらに、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを加湿流体収容部61に回収することができる。
【0228】
図7に示すように、加湿室55は、溝55cおよび溝55cを覆う第1透湿膜54によって流入口55aと流出口55bとを連通する一本道の流路状に形成されている。そのため、キャップ交換準備動作において、加湿室55内のその一本道の流路の流入口55aからに加圧空気を供給することにより、加湿室55内の流出口55bから加湿流体L1aを排出し易くすることができる。
【0229】
前述したように、複数の単位キャップ51aのうち、1つの単位キャップ51aの流出口55bは、その単位キャップ51aと隣り合う別の単位キャップ51aの流入口55aに接続され、最も上流に位置する流入口55aは供給流路62aに接続され、最も下流に位置する流出口55bは回収流路62bに接続される。これにより、1つの供給流路62a、1つの回収流路62b、および1つの加圧空気供給部67で、キャップ交換準備動作によって、複数の単位キャップ51aの加湿室55内の加湿流体L1aを排出することができる。
【0230】
図17に示すように、加湿流体収容部61は、第2大気連通路61dを有する。第2大気連通路61dは、迷路状の細管構造により加湿流体収容部61と大気とを連通する。キャップ交換準備動作において、加湿流体収容部61内に加圧空気が供給されたときも、第2大気連通路61dの迷路状の細管構造により、加湿流体収容部61から第2大気連通路61dを通じて加湿流体収容部61外への加湿流体L1aの流出を抑制できる。
【0231】
図17に示すように、加湿流体収容部61は、第2透湿膜61eを有する。第2透湿膜61eは、気体の通過を許容する一方、液体の通過を規制する。キャップ交換準備動作において、加湿流体収容部61内に加圧空気が供給されたときも、加湿流体収容部61から第2大気連通路61dを通じて加湿流体収容部61外への加湿流体L1aの流出を抑制できる。
【0232】
それまで使用されていたキャップユニット51が新品のキャップユニット51に交換されて最初に媒体Mに記録を行う前に、前述の循環動作が実行されて、新品のキャップユニット51の単位キャップ51aが有する加湿室55内が加湿流体L1aによって充填される。これにより、交換後のキャップユニット51においても、単位キャップ51aが液体吐出ヘッド21に接触したときのノズル22の開口を囲む空間SPが加湿されるため、ノズル22の開口を加湿することができる。
【0233】
液体吐出装置11において、交換後のキャップユニット51においても、単位キャップ51aが液体吐出ヘッド21に接触したときのノズル22の開口を囲む空間SPが加湿されることにより、加湿流体L1a内の水分が使用される。使用された水分は、濃度調整動作のときに、水分収容部66a内から加湿流体L1a内に補充される。すなわち、交換後のキャップユニット51においても、循環経路62内に新しく加湿流体L1aを補充することなく、液体吐出ヘッド21が有するノズル22の開口を加湿することができる。
【0234】
図15に示すように、濃度調整動作において、第1ポンプ63が第3所定時間T3駆動されたときに、加湿流体収容部61内の液面高さが、検知部61aによって第1所定高さH1を下回っていると検知されたときは、制御部90は、水分収容部66a内の水分がなくなったと判定する。加湿流体収容部61が、加湿流体収容部61内の液面を検知する検知部61aを有することにより、水分収容部66a内の水分の量が水分収容部66aの交換が必要と判断される量に達したことを検知することができる。
【0235】
ノズル22の開口を加湿するために使用される水分収容部66a内の水分の量が、水分収容部66aの交換が必要と判断される量に達したときは、今まで使用されていた水分収容部66aが、満杯の水分収容部66aに交換される。しかし、ユーザーの手元に交換用の水分収容部66aがないときは、ユーザーの手元に交換用の水分収容部66aが届くまで、加湿流体L1aによってノズル22の開口を加湿することができなくなる。また、水分収容部66aがユーザーによって交換できないように構成されるときは、サービスマンによって水分収容部66aが交換されるまで、加湿流体L1aによってノズル22の開口を加湿することができなくなる。
【0236】
水分収容部66aが交換されるまで、フラッシングの第1パラメーターテーブルが、水分収容部66a内の水分L1bがなくなったときの第2パラメーターテーブルに切り替えられる。これにより、フラッシングによってノズル22の開口が加湿される。すなわち、水分収容部66aが交換されるまで液体吐出ヘッド21から単位キャップ51a内に空吐出を行って空間SPの加湿を行うことができる。そのため、ユーザーによる印刷作業を継続することができる。
【0237】
図19に示すように、水分収容部66aの交換が行われる際に、キャップ交換準備動作が行われる。加圧空気供給部67から単位キャップ51a内に加圧空気を供給することにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを加湿流体収容部61に排出するとともに加圧空気を単位キャップ51a内に供給する。これにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを排出することができる。
【0238】
図9に示すように、凹部57は第1透湿膜54と接する位置に液体を吸収可能な吸収体53を有する。フラッシングやクリーニングによって単位キャップ51a内に吐出される廃液L2の量が増えるため、吸収体53に通常よりも多くの量の廃液L2が吸収される。
そして、吸収体53に吸収された廃液L2は、吸収体53の全体に広がる。吸収体53に吸収された多くの量の廃液L2によって、水分収容部66aが交換されるまでの間も、空間SPをより効果的に加湿することができる。そして、液体吐出ヘッド21が有するノズル22の開口をより効果的に加湿することができる。
【0239】
本実施形態のように、加湿室55が水平に対して傾斜した姿勢で設けられているときも、吸収体53に吸収された廃液L2は、吸収体53全体に広がる。すなわち、吸収体53が廃液L2を吸収することによって、重力による凹部57内での廃液L2の偏りの影響を抑制することができる。これにより、加湿室55が水平に対して傾斜した姿勢で設けられているときも、空間SP全体をより均一に加湿することができる。そして、液体吐出ヘッド21が有する複数のノズル22の開口をより均一に加湿することができる。
【0240】
吸収体53は第1透湿膜54と接する位置に位置する。そのため、吸収体53が第1透湿膜54と接していない側の面だけを規制部材52によって規制されることにより、吸収体53の位置を規制することができる。
【0241】
シール部56eは、液体吐出ヘッド21から吐出された液体をはじく材料が使用されることにより、フラッシングやクリーニングによって単位キャップ51a内に排出される廃液L2の量が増えたときも、単位キャップ51a内の液体が、シール部56eから単位キャップ51a外に垂れることを抑制できる。
【0242】
水分収容部66aが交換されると、フラッシングの第2パラメーターテーブルが、通常の第1パラメーターテーブルに戻されて、濃度調整動作が実行される。フラッシングによって単位キャップ51a内に吐出される廃液L2の量が増える期間は、水分収容部66aが交換されるまでの期間だけであるため、フラッシングによって使用される液体の量を少なくすることができる。
【0243】
以上説明したように、キャップ装置50は、空間SPを形成する凹部57と、加湿室55と、第1透湿膜54と、を有する単位キャップ51aを備え、さらに凹部57は、排出孔56bを有するため、1つの単位キャップ51aで、ノズル22から排出された液体の受容、排出およびノズル22の加湿を、必要に応じて行うことができる。そして、蒸発した分の水分を加湿流体L1aに補給しつつ、循環経路62内で加湿流体L1aを循環させることで、加湿流体L1aの撹拌、および濃度の適正化を行うことができる。すなわち、循環経路62内全体の加湿流体L1aを液体吐出ヘッド21のノズル22の加湿に適した状態で維持することができる。
【0244】
本実施形態の効果について説明する。
(1)キャップ装置50は、単位キャップ51aが液体吐出ヘッド21に接触したときに空間SPを形成する凹部57と、加湿流体L1aが流通する加湿室55と、凹部57と加湿室55とを区画する気体透過性を有する第1透湿膜54と、を有する単位キャップ51aを備える。そして、凹部57は、液体吐出ヘッド21のノズル22から単位キャップ51a内に排出された廃液L2を排出可能な排出孔56bを有する。加湿室55内の加湿流体L1aから蒸発した水分は、第1透湿膜54を通過して凹部57内に至るため、凹部57が形成する空間SPが加湿されて、ノズル22の開口が加湿される。また、単位キャップ51a内に排出された廃液L2は、第1透湿膜54によって加湿室55の室内には流入しないため、凹部57内の排出孔56bより単位キャップ51a外へ排出される。これにより、1つの単位キャップ51aで、ノズル22から排出された廃液L2の受容、排出、およびノズル22の加湿を行うことができる。すなわち、液体吐出装置11において、ノズル22の目詰まりを予防するキャップ機構のキャップと、ノズル22の乾燥を抑制するキャップ装置のキャップと、の両方のキャップが配置されるスペースが、片方のキャップだけが配置されるスペースで済む。これにより、液体吐出装置11が大きくなることを抑制できる。
【0245】
(2)排出孔56bは、凹部57において、第1透湿膜54よりも低い位置に設けられる。凹部57内の廃液L2を重力によって、排出孔56bより単位キャップ51a外へ排出することができる。そして、凹部57内に残留する廃液L2を少なくすることができる。また、第1透湿膜54の表面が廃液L2で閉塞されることにより、加湿室55内の加湿流体L1aから蒸発した水分が第1透湿膜54を通過できなくなることを抑制できる。すなわち、液体吐出ヘッド21のノズル22の開口を加湿できなくなることを抑制できる。
【0246】
(3)排出孔56bは、凹部57の最下部に設けられる。凹部57内の廃液L2を重力によって、排出孔56bより単位キャップ51a外へ排出することができる。そして、凹部57内に廃液L2が残留することを抑制できる。
【0247】
(4)凹部57は、第1透湿膜54と接する位置に液体を吸収可能な吸収体53を有する。凹部57に排出された廃液L2は、吸収体53に吸収される。また、加湿流体L1aから蒸発して第1透湿膜54を通過した水分は、吸収体53に吸収された廃液L2を加湿する。吸収体53に吸収された廃液L2は、吸収体53全体に広がる。これにより、吸収体53に吸収された廃液L2の分布を均一に近づけることができる。すなわち、空間SP全体をより均一に加湿することができる。そして、液体吐出ヘッド21が有する複数のノズル22の開口をより均一に加湿することができる。
【0248】
(5)加湿室55は、加湿流体L1aが流通するための溝55cを有する。そして、加湿室55は、溝55cおよび溝55cを覆う第1透湿膜54によって流入口55aと流出口55bとを連通する流路状に形成されている。流入口55aと流出口55bとを連通する一本道の流路状に形成されている加湿室55内で、加湿流体L1aを流動させることによって、必要に応じて、加湿流体L1aを加湿室55内に充填、または加湿室55内から排出させることができる。さらに、加湿室55は、そのような流路状に形成されているため、加湿室55内に充填された加湿流体L1aが、加湿室55外に必要もなく流出することを抑制できる。また、単位キャップ51aの底面全体に流路が引き回されているため、凹部57内全体を加湿することができる。これにより、液体吐出ヘッド21が有する複数のノズル22の開口をより均一に加湿することができる。
【0249】
(6)加湿室55は水平に対して傾斜した姿勢で設けられており、流入口55aおよび流出口55bは、加湿室55の鉛直方向における中心よりも上側に設けられる。これにより、加湿室55内に充填された加湿流体L1aが、流入口55aまたは流出口55bから水頭圧によって加湿室55外に流出することを抑制できる。
【0250】
(7)凹部57は、空間SPを大気と連通するための大気連通孔56aを有し、大気連通孔56aは、凹部57の鉛直方向における中心よりも上側に設けられる。これにより、大気連通孔56aが廃液L2で閉塞されて、凹部57内から廃液L2が排出できなくなることを抑制できる。
【0251】
(8)キャップ装置50は、加湿流体収容部61と、供給流路62aと、回収流路62bと、循環経路62内で加湿流体L1aを流動可能な第1ポンプ63と、を更に備える。
これにより、循環経路62内の加湿流体L1aを撹拌することができる。空間SPを加湿するために、加湿室55内に充填されている加湿流体L1aからは多くの水分が蒸発する。そのため、循環経路62内の加湿流体L1aが撹拌されることにより、循環経路62内全体の加湿流体L1aの濃度を均一にすることができる。すなわち、加湿室55内に充填されている加湿流体L1aが含む水分の量を、液体吐出装置11が出荷されるときの量に近い量まで戻すことができる。
【0252】
(9)キャップ装置50は、循環経路62内に水分を供給可能な水分供給部66を更に備える。これにより、加湿流体L1aから水分が蒸発した場合に、加湿流体L1aに水分L1bを補充して加湿流体L1aの濃度の適正化を行うことができる。すなわち、加湿流体L1aが含む水分の量を、液体吐出装置が出荷されるときの量まで戻すことができる。
【0253】
(10)キャップ装置50は、単位キャップ51aが複数並んで構成される。そして、複数の単位キャップ51aのうち、1つの単位キャップ51aの流出口55bは、その単位キャップ51aと隣り合う別の単位キャップ51aの流入口55aに接続される。そして、最も上流に位置する流入口55aは供給流路62aに接続され、最も下流に位置する流出口55bは回収流路62bに接続される。これにより、1つの供給流路62aおよび回収流路62bのみで、複数の単位キャップ51aに対して、加湿流体L1aの充填、撹拌、および排出を行うことができる。
【0254】
(11)キャップ装置50のメンテナンス方法は、水分供給部66により水分を循環経路62内に供給することと、循環経路62内で加湿流体L1aを流動させることと、を含む濃度調整動作を行う。これにより、蒸発した分の水分を加湿流体L1aに補給した後、循環経路62内で加湿流体L1aを循環させることで、加湿流体L1aの濃度の適正化を行うことができる。すなわち、循環経路62内全体の加湿流体L1aを液体吐出ヘッド21のノズル22の加湿に適した状態で維持することができる。
【0255】
(12)キャップ装置50のメンテナンス方法は、水分収容部66aの水分を循環経路62内に供給する際には第1開閉弁66cを開放し、循環経路62内で加湿流体L1aを流動させる際には第1開閉弁66cを閉鎖することを含む濃度調整動作を行う。第1開閉弁66cの状態によって、蒸発した分の水分を循環経路62内に供給すること、および循環経路62内で加湿流体L1aを流動させることを、必要に応じて行うことができる。これにより、蒸発した分の水分を加湿流体L1aに補給した後、循環経路62内で加湿流体L1aを循環させることで、加湿流体L1aの濃度の適正化を行うことができる。すなわち、循環経路62内全体の加湿流体L1aを液体吐出ヘッド21のノズル22の加湿に適した状態で維持することができる。
【0256】
(13)キャップ装置50のメンテナンス方法は、単位キャップ51aの交換を行う際には、加圧空気供給部67から単位キャップ51a内に加圧空気を供給することにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを加湿流体収容部61に排出するとともに加圧空気を単位キャップ51a内に供給するキャップ交換準備動作を行う。これにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを単位キャップ51a外に排出することができる。さらに、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを加湿流体収容部61に回収することができる。すなわち、それまで使用されていたキャップユニット51内の加湿流体L1aを、これから使用されるキャップユニット51内の加湿流体L1aとして、使用することができる。そして、交換後のキャップユニット51においても、液体吐出ヘッド21のノズル22の開口を加湿することができる。
【0257】
(14)キャップ装置50のメンテナンス方法は、上記のキャップ交換準備動作と、水分収容部66aが交換されるまで液体吐出ヘッド21から単位キャップ51a内の空間SPに印刷に関係しない液体の吐出である空吐出を行ってノズル22の加湿を行うことと、を含む水分収容部交換前動作を行う。これにより、単位キャップ51a内の加湿流体L1aを排出することができる。そして、単位キャップ51a内の加湿流体L1aが排出された状態で、液体吐出ヘッド21から単位キャップ51a内に空吐出を行って空間SPの加湿を行うことができる。これにより、ユーザーによる印刷作業を継続することができる。
【0258】
(15)キャップ装置50のメンテナンス方法は、加湿流体収容部61内の液面が第1所定高さH1を下回っていると検知されているときに濃度調整動作を行う場合には、液面が第1所定高さH1以上になったと検知されるまで水分収容部66a内の水分を循環経路62内に供給し、その後、循環経路62内で加湿流体L1aを流動させる。これにより、蒸発した分の水分を加湿流体L1aに補給した後、循環経路62内で加湿流体L1aを循環させることで、加湿流体L1aの濃度の適正化を行うことができる。すなわち、循環経路62内全体の加湿流体L1aを液体吐出ヘッド21のノズル22の加湿に適した状態で維持することができる。
【0259】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・キャップ装置50は、液体吐出ヘッド21から媒体Mに向けて液体を鉛直方向に吐出する液体吐出装置に、備えられてもよい。そして、単位キャップ51aにおいてキャッピングのときに液体吐出ヘッド21のノズル面23と密着する密着面56f、吸収体53、第1透湿膜54、及び加湿室55が、水平な状態で設けられてもよい。すなわち、液体吐出ヘッド21から媒体Mに向けて液体を鉛直方向に吐出する液体吐出装置に、本実施形態の単位キャップ51aが水平な状態で設けられてもよい。また、吸収体53、第1透湿膜54、及び加湿室55は、本実施形態のように水平に対して傾斜した状態で設けられ、密着面56fのみが水平な状態で設けられてもよい。
【0260】
・加湿室55が水平に対して傾斜する角度は、液体吐出ヘッド21のノズル22が配置されるノズル面23が水平に対して傾斜する角度と同じでなくてもよい。加湿室55が水平に対して傾斜する角度は、ノズル面23の水平に対して傾斜する角度よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0261】
・キャップ装置50は、幅方向Xに往復移動するキャリッジに支持された液体吐出ヘッドが媒体Mに向けて液体を吐出することで、印刷を行うシリアル方式のインクジェットプリンターである液体吐出装置に備えられてもよい。その往復移動するキャリッジが、メンテナンスのために、幅方向Xにおいて、媒体Mに印刷が行われる吐出領域から吐出領域の外側のメンテナンス領域へと移動するときに、メンテナンス領域に配置されたキャップ装置50のキャップが、液体吐出ヘッドのノズル面をキャッピングしてもよい。その場合、キャップ装置50は、キャリッジがメンテナンス領域に移動して液体吐出ヘッドがメンテナンス位置に位置するときに、キャップが液体吐出ヘッドのノズル面に近づく方向に移動してキャップがノズル面と密着することにより、キャッピングが行われるように構成されてもよい。これにより、シリアル方式の液体吐出装置においても、1つのキャップで、ノズルから排出された廃液の受容、排出およびノズルの加湿を行うことができる。そして、シリアル方式の液体吐出装置においても、ノズルの目詰まりを予防するキャップ機構のキャップと、ノズルの乾燥を抑制するキャップ装置のキャップと、の両方のキャップが配置されるスペースが、片方のキャップだけが配置されるスペースで済む。これにより、シリアル方式の液体吐出装置11が大きくなることを抑制できる。
【0262】
・キャップ装置50は、複数の単位キャップ51aを有してもよいし、1つだけの単位キャップ51aを有してもよい。キャップ装置50が1つだけの単位キャップ51aを有するとき、その単位キャップ51aは、1つの規制部材52と、1つの吸収体53と、1つの第1透湿膜54と、1つの加湿室55と、1つのケース56を有してもよい。
【0263】
・上記実施形態のように、5つの単位吐出ヘッド21aにより構成される液体吐出ヘッド21が使用されるライン方式のインクジェットプリンターのときも、キャップ装置50が1つだけの単位キャップ51aを有してもよい。また、上述のシリアル方式の液体吐出装置においても、キャップ装置50が1つだけの単位キャップ51aを有してもよい。
【0264】
・キャップ装置50が有する規制部材52、吸収体53、第1透湿膜54、および加湿室55の数は、同じ数でなくてもよい。例えば、キャップ装置50が1つだけの単位キャップ51aを備え、その単位キャップ51aが、1つの規制部材52と、1つの吸収体53と、1つの第1透湿膜54と、複数の加湿室55とを有してもよい。また、キャップ装置50が複数の単位キャップ51aを備え、その複数の単位キャップ51aの各々が、1つの規制部材52と、1つの吸収体53と、1つの第1透湿膜54と、複数の加湿室55とを有してもよい。
【0265】
・単位キャップ51aは複数の凹部57を有してもよい。
・凹部57は複数の排出孔56bを有してもよい。
・凹部57は複数の大気連通孔56aを有してもよい。
【0266】
・キャップ装置50が複数の単位キャップ51aを有するとき、各々の単位キャップ51aの凹部57が形成する空間SP同士が、排出孔56bを介さないで連通するように凹部が構成されてもよい。例えば、1つの単位キャップ51aの底部と、その単位キャップ51aと隣り合う別の単位キャップ51aの底部とが、キャップユニット51の内部で連通するように単位キャップ51aが構成されてもよい。そのとき、キャップユニット51において、排出孔56bの数は1つであってもよい。
【0267】
・吸収体53は第1透湿膜54と接していなくてもよい。例えば、吸収体53の+Y1方向側の面の位置を規制する規制部材52とは別の規制部材に、吸収体53の-Y1方向側の面の位置が規制されており、第1透湿膜54と吸収体53との間に空間がある構成としてもよい。
【0268】
・上記実施形態においては、加湿室55の流路は、流入口55aから流出口55bまでの一本道の迷路状に形成されているが、二本道であっても、三本道であってもよい。その流路は、流入口55aから流出口55bまで繋がっていればよい。
【0269】
・液体吐出ヘッド21を構成する単位吐出ヘッド21aの配列は適宜変更できる。上記実施形態のように単位吐出ヘッド21aを斜めに配列した構成に限らず、例えば、単位吐出ヘッド21aを幅方向Xに一定の間隔で配列した2列を、列間で間隔の半分だけ幅方向に位置をずらした配列である千鳥配置で設けた構成でもよい。
【0270】
・上記実施形態においては、循環経路62内の供給流路62aに、水分を供給可能な水分供給部66を備えるが、循環経路62内の回収流路62bに、水分供給部66を備えてもよい。その場合、キャップ装置50は、回収流路62bに水分を供給するためのポンプをさらに備えてもよい。
【0271】
・上記実施形態においては、キャップユニット51の移動によって、空間SPと大気とを連通させる第3開閉弁58bが開閉される。キャップユニット51の位置によらず、制御部90が開閉可能なアクチュエーター式の開閉弁を第1大気連通路58aに設けてもよい。
【0272】
・キャップ装置50は、水分収容部66a内の水分L1bの量を検知する第2の検知部を有してもよい。その第2の検知部の検知結果によって、水分収容部66a内の水分L1bの量が水分収容部の交換が必要な量に達したか否かを制御部90が判断してもよい。
【0273】
・キャップ装置50は、水分収容部66a内の水分を補充可能に構成されてもよい。また、キャップ装置50は、加湿流体収容部61を交換可能に構成されてもよい。
・循環動作が実行されるタイミングは、管理者やユーザーが、そのタイミングを変更できるようにしてもよい。
【0274】
・第1所定時間T1、第2所定時間T2、第3所定時間T3、および第4所定時間T4は、常に一定の時間でなくてもよい。温湿度環境に応じて値が変更されるようにしてもよい。また、管理者やユーザーがその値を変更できるようにしてもよい。
【0275】
・液体吐出装置11は、フラッシングのパラメーターテーブルとして、液体の吐出量がさらに多い第3のパラメーターテーブルを有してもよい。そして、濃度調整動作が行われた時間のインターバルが短いときは、水分収容部交換前動作におけるフラッシングテーブルの切り替えにおいて、制御部90は、第3パラメーターテーブルに切り替えてもよい。
すなわち、液体吐出装置11は、フラッシングのパラメーターテーブルとして、液体の吐出量が異なる複数のパラメーターテーブルを有してもよい。そして、制御部90は、水分収容部交換前動作におけるフラッシングテーブルの切り替えにおいて、濃度調整動作が行われた時間のインターバルに応じて、複数のパラメーターテーブルの中から、適切なパラメーターテーブルに切り替えてもよい。
【0276】
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。
液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。
【0277】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)キャップ装置は、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドに接触したときに、前記ノズルの開口を囲む空間を形成可能なキャップ装置であって、前記空間を形成する凹部と、前記空間を加湿するための加湿流体が流入する流入口と、前記加湿流体が流出する流出口と、を有する加湿室と、前記凹部と前記加湿室とを区画する気体透過性を有する隔壁と、を有するキャップを備え、前記凹部は、前記液体吐出ヘッドから前記キャップ内に排出された液体を排出可能な孔を有する。
【0278】
この構成によれば、加湿室内の加湿流体から蒸発した水分は、隔壁を通過して凹部内に至るため、凹部が形成する空間が加湿されて、液体吐出ヘッドのノズルの開口が加湿される。また、キャップ内に排出された液体は、隔壁によって加湿室内には流入しないため、凹部内の孔よりキャップ外へ排出される。これにより、1つのキャップで、ノズルから排出された液体の受容、排出、およびノズルの加湿を行うことができる。すなわち、液体吐出装置において、ノズルの目詰まりを予防するキャップ機構のキャップと、ノズルの乾燥を抑制するキャップ装置のキャップと、の両方のキャップが配置されるスペースが、片方のキャップだけが配置されるスペースで済む。これにより、液体吐出装置が大きくなることを抑制できる。
【0279】
(B)上記キャップ装置において、前記孔は、前記凹部において、前記隔壁よりも低い位置に設けられてもよい。
この構成によれば、凹部内の液体を重力によって、孔よりキャップ外へ排出することができる。そして、凹部内に残留する液体を少なくすることができる。また、隔壁の表面が液体で閉塞されることにより、加湿室内の加湿流体から蒸発した水分が隔壁を通過できなくなることを抑制できる。すなわち、液体吐出ヘッドのノズルの開口を加湿できなくなることを抑制できる。
【0280】
(C)上記キャップ装置において、前記孔は、前記凹部の最下部に設けられてもよい。
この構成によれば、凹部内の液体を重力によって、孔よりキャップ外へ排出することができる。そして、凹部内に液体が残留することを抑制できる。
【0281】
(D)上記キャップ装置において、前記凹部は、前記隔壁と接する位置に液体を吸収可能な吸収体を有してもよい。
この構成によれば、凹部に排出された液体は、吸収体に吸収される。また、加湿流体から蒸発して隔壁を通過した水分は、吸収体に吸収された液体を加湿する。吸収体に吸収された液体は、吸収体全体に広がる。これにより、吸収体に吸収された液体の分布を均一に近づけることができる。すなわち、空間全体をより均一に加湿することができる。そして、液体吐出ヘッドが有する複数のノズルの開口をより均一に加湿することができる。
【0282】
(E)上記キャップ装置において、前記加湿室は、前記加湿流体が流通するための溝を有し、前記加湿室は、前記溝および該溝を覆う前記隔壁によって前記流入口と前記流出口とを連通する流路状に形成されてもよい。
【0283】
この構成によれば、流入口と流出口とを連通する流路状に形成されている加湿室内で、加湿流体を流動させることによって、必要に応じて、加湿流体を加湿室内に充填、または加湿室内から排出させることができる。さらに、加湿室は、流路状に形成されているため、加湿室内に充填された加湿流体が、加湿室外に必要もなく流出することを抑制できる。
また、キャップの底面全体に流路が引き回されているため、凹部内全体を加湿することができる。これにより、液体吐出ヘッドが有する複数のノズルの開口をより均一に加湿することができる。
【0284】
(F)上記キャップ装置において、前記加湿室は水平に対して傾斜した姿勢で設けられており、前記流入口および前記流出口は、前記加湿室の鉛直方向における中心よりも上側に設けられてもよい。
【0285】
この構成によれば、加湿室内に充填された加湿流体が、流入口または流出口から水頭圧によって加湿室外に流出することを抑制できる。
(G)上記キャップ装置において、前記凹部は、前記空間を大気と連通するための大気連通孔を有し、前記大気連通孔は、前記凹部の鉛直方向における中心よりも上側に設けられてもよい。
【0286】
この構成によれば、大気連通孔が液体で閉塞されて、凹部内から液体が排出できなくなることを抑制できる。
(H)上記キャップ装置において、前記加湿流体を収容する加湿流体収容部と、前記加湿流体収容部と前記流入口とを連通する供給流路と、前記流出口と前記加湿流体収容部とを連通する回収流路と、前記加湿流体収容部、前記供給流路および前記回収流路を含む循環経路内で前記加湿流体を流動可能なポンプと、を更に備えてもよい。
【0287】
この構成によれば、循環経路内の加湿流体を撹拌することができる。空間を加湿するために、加湿室内に充填されている加湿流体からは多くの水分が蒸発する。そのため、循環経路内の加湿流体が撹拌されることにより、循環経路内全体の加湿流体の濃度を均一にすることができる。すなわち、加湿室内に充填されている加湿流体が含む水分の量を、液体吐出装置が出荷されるときの量に近い量まで戻すことができる。
【0288】
(I)上記キャップ装置において、前記循環経路内に水分を供給可能な水分供給部を更に備えてもよい。
この構成によれば、加湿流体から水分が蒸発した場合に、加湿流体に水分を補充して加湿流体の濃度の適正化を行うことができる。すなわち、加湿流体が含む水分の量を、液体吐出装置が出荷されるときの量まで戻すことができる。
【0289】
(J)上記キャップ装置において、前記キャップ装置は前記キャップが複数並んで構成されており、複数の前記キャップのうち、1のキャップの前記流出口は、前記1のキャップと隣り合う2のキャップの前記流入口に接続され、最も上流に位置する前記流入口は前記供給流路に接続され、最も下流に位置する前記流出口は前記回収流路に接続されてもよい。
【0290】
この構成によれば、1つの供給流路および回収流路のみで、複数のキャップに対して、加湿流体の充填、撹拌、および排出を行うことができる。
【符号の説明】
【0291】
11…液体吐出装置、12…本体部、13…画像読取部、14…自動給送部、15…操作部、16…媒体収容部、17…載置部、17a…載置面、19…搬送経路、20…記録部、21…液体吐出ヘッド、21a…単位吐出ヘッド、21b…ノズル列、22…ノズル、22a…開口、23…ノズル面、24…ヘッドユニット、25…支持部、40…ワイパー装置、41…ワイパーキャリッジ、42…ワイパー部材、43…廃液流出口、50…キャップ装置、51…キャップユニット、51a…キャップの一例である単位キャップ、52…規制部材、52a…規制面、52b…連通孔、52c…位置決め被係合部、53…吸収体、54…隔壁の一例である第1透湿膜、54a…連通部、55…加湿室、55a…流入口、55b…流出口、55c…溝、55d…位置決め係合部、55e…連通部、55f…連通孔、55g…係合部、55h…位置決め係合部、55i…溝壁、55j…連通孔、56…ケース、56a…大気連通孔、56b…孔の一例である排出孔、56c…被係合部、56d…位置決め被係合部、56e…シール部、56f…密着面、57…凹部、58…大気開放機構、58a…第1大気連通路、58b…第3開閉弁、59…保持部、60…加湿流体循環機構、61…加湿流体収容部、61a…検知部、61b…第1電極、61c…第2電極、61d…第2大気連通路、61e…第2透湿膜、61f…流入部、61g…流出部、62…循環経路、62a…供給流路、62b…回収流路、62c…第1合流部、62d…クレンメ部、63…ポンプの一例である第1ポンプ、64…第1逆止弁、65…圧力調整弁、66…水分供給部、66a…水分収容部、66b…水分供給流路、66c…開閉弁の一例である第1開閉弁、66d…第2逆止弁、66e…第2合流部、66f…流出部、67…加圧空気供給部、68…加湿流体パック、68a…流出部、69…クレンメ、67a…加圧空気供給路、67b…第2開閉弁、67c…第2ポンプ、80…廃液回収機構、81…廃液回収路、81a…第1廃液回収路、81b…第2廃液回収路、82…第3ポンプ、83…バッファー室、84…第4ポンプ、85…第3大気連通路、86…廃液収容部、90…制御部、91検出器群、94…インターフェイス部、95…CPU、96…メモリー、97…制御回路、98…駆動回路、99…コンピューター、θ1…第1所定角度、θ2…第2所定角度、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、D4…第4方向、D5…第5方向、D6…第6方向、H1…所定の高さの一例である第1所定高さ、H2…第2所定高さ、L1a…加湿流体、L1b…水分、L2…廃液、M…媒体、P1…第1所定ピッチ、SP…空間、T1…第1所定時間、T2…第2所定時間、T3…第3所定時間、T4…第4所定時間、X…幅方向、Y…奥行き方向、Y1…吐出方向、Z1…第1搬送方向、Z…鉛直方向。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドに接触したときに、前記ノズルの開口を
囲む空間を形成可能なキャップ装置であって、
前記空間を形成する凹部と、
前記凹部を加湿する加湿室と、を有するキャップを備え、
前記加湿室は、加湿流体が流入する流入口と、前記加湿流体が流出する流出口と、を有
し、
前記凹部内の液体は、前記流出口を経由せずに排出されることを特徴とするキャップ装
置。
【請求項2】
前記凹部は、前記液体吐出ヘッドから前記凹部内に排出された液体を排出可能な孔を有
し、
前記孔と前記流出口は、別々の流路に接続されることを特徴とする請求項1に記載のキ
ャップ装置。
【請求項3】
前記孔は、前記加湿室に隣接している位置に設けられることを特徴とする請求項1又は
請求項2に記載のキャップ装置。
【請求項4】
前記孔は、前記凹部の最下部に設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のう
ち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項5】
前記凹部は、液体を吸収可能な吸収体を有することを特徴とする請求項1から請求項4
のうち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項6】
前記キャップは、前記凹部と前記加湿室とを区画する気体透過性を有する膜を有し、
前記膜は、前記吸収体と接するように位置することを特徴とする請求項5に記載のキャ
ップ装置。
【請求項7】
前記キャップは、前記凹部と前記加湿室とを区画する気体透過性を有する膜を有するこ
とを特徴とする請求項1から請求項5のうち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項8】
前記孔は、前記凹部において、前記膜よりも鉛直方向における低い位置に設けられるこ
とを特徴とする請求項6または請求項7に記載のキャップ装置。
【請求項9】
前記加湿室は、前記加湿流体が流通するための溝を有し、
前記加湿室は、前記溝および該溝を覆う前記隔壁によって前記流入口と前記流出口とを
連通する流路状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のうち何れか一
項に記載のキャップ装置。
【請求項10】
前記加湿室は水平に対して傾斜した姿勢で設けられており、
前記流入口および前記流出口は、前記加湿室の鉛直方向における中心よりも上側に設け
られることを特徴とする請求項1から請求項9のうち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項11】
前記凹部は、前記空間を大気と連通するための大気連通孔を有し、
前記大気連通孔は、前記凹部の鉛直方向における中心よりも上側に設けられることを特
徴とする請求項1から請求項10のうち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項12】
前記凹部は、前記空間を大気と連通するための大気連通孔を有し、
前記大気連通孔は、前記孔よりも鉛直方向の上方に設けられることを特徴とする請求項
1から請求項10のうち何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項13】
前記加湿流体を収容する加湿流体収容部と、
前記加湿流体収容部と前記流入口とを連通する供給流路と、
前記流出口と前記加湿流体収容部とを連通する回収流路と、
前記加湿流体収容部、前記供給流路および前記回収流路を含む循環経路内で前記加湿流
体を流動可能なポンプと、を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項12のうち
何れか一項に記載のキャップ装置。
【請求項14】
前記供給流路は、前記加湿流体収容部から前記流入口への液体の流動を許容し、前記流
入口から前記加湿流体収容部への液体の流動を阻止する弁を有することを特徴とする請求
項13に記載のキャップ装置。
【請求項15】
前記循環経路内に水分を供給可能な水分供給部を更に備えることを特徴とする請求項1
3または請求項14に記載のキャップ装置。
【請求項16】
前記キャップ装置は前記キャップが複数並んで構成されており、
複数の前記キャップのうち、1のキャップの前記流出口は、前記1のキャップと隣り合
う2のキャップの前記流入口に接続され、
最も上流に位置する前記流入口は前記供給流路に接続され、最も下流に位置する前記流
出口は前記回収流路に接続されることを特徴とする請求項13から請求項15の何れか一
項に記載のキャップ装置。
【請求項17】
液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドに接触したときに、前記ノズルの開口を囲む空間を形成可能なキャ
ップと、を備え、
前記キャップは、
前記空間を形成する凹部と、
前記凹部を加湿する加湿室と、を有し、
前記加湿室は、加湿流体が流入する流入口と、前記加湿流体が流出する流出口と、を有
し、
前記凹部内の液体は、前記流出口を経由せずに排出されることを特徴とする液体吐出装
置。