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2024-153835架橋型核酸GuNA、その製造方法および中間体化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153835
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】架橋型核酸GuNA、その製造方法および中間体化合物
(51)【国際特許分類】
   C07H 9/06 20060101AFI20241022BHJP
   C07H 19/06 20060101ALI20241022BHJP
   C07H 19/16 20060101ALI20241022BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
C07H9/06
C07H19/06 ZNA
C07H19/16
C07H19/06
C07H9/06 ZNA
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024124561
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2023041934の分割
【原出願日】2016-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2015185730
(32)【優先日】2015-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016039351
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002956
【氏名又は名称】田辺三菱製薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】小比賀 聡
(72)【発明者】
【氏名】川西 英治
(72)【発明者】
【氏名】澤本 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】山腰 修平
(72)【発明者】
【氏名】新井 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 新司
(57)【要約】      (修正有)
【課題】グアニジン架橋型人工核酸(以下、GuNAと略す)の製造方法、およびその製造のための中間体化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、一般式Iで表される化合物またはその塩を製造する方法であって、一般式IIで表される化合物に還元剤を反応させることにより製造する方法とする。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式II:
【化2】
[式中、R、R、R、R、R、R及びmは各々一般式Iのものと同じ意味を示し、環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物に還元剤を反応させ、環A’に縮合するオキサゾリジン環を開裂させる工程を含む、製造方法。
【請求項2】
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、環Aがチミニルもしくはウラシニルであり、環A’が下記構造式II-1またはII-2:
【化3】
であり、そして還元剤がPhPである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
一般式VII:
【化4】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、請求項1または2に記載の工程を含む製造方法。
【請求項4】
一般式I:
【化5】
[式中、R及びRは各々独立してBn基、2-ナフチルメチル、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、2,6-ジメトキシベンジル基またはp-フェニルベンジル基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項5】
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである請求項4に記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
一般式II:
【化6】
[式中、R及びRは独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項7】
及びRが各々Bn基であり、R、R、R、Rが各々水素原子であり、そして環A’が下記構造式II-1またはII-2である請求項6に記載の化合物またはその塩。
【化7】
【請求項8】
一般式II:
【化8】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式III:
【化9】
[式中、R、R、R、R、R、R、m及び環A’は各々一般式IIのものと同じ意味を示す。]
で表される化合物にアジド化剤を反応させる工程を含む、製造方法。
【請求項9】
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、環A’が下記構造式II-1またはII-2であり、そしてアジド化剤がDPPAである請求項8に記載の製造方法。
【化10】
【請求項10】
一般式VII:
【化11】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、請求項8または9に記載の工程を含む製造方法。
【請求項11】
一般式III:
【化12】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして、環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項12】
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、環A’が下記構造式II-1またはII-2である請求項11に記載の化合物またはその塩。
【化13】
【請求項13】
一般式IV:
【化14】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Xは脱離基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式V:
【化15】
[式中、R、R、R、R、R、R、X及びmは各々一般式IVのものと同じ意味を示し、そして環Aは1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させて、一般式V中のテトラヒドロフラン環に置換している無保護の水酸基を活性化する工程を含む製造方法。
【請求項14】
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、Xがメシルオキシ基(Ms-O-)であり、環Aがチミニルまたはウラシニルであり、環A’が下記構造式II-1またはII-2であり、そして水酸基の活性化剤がトリフルオロメタンスルホニルクロリドである請求項13に記載の製造方法。
【化16】
【請求項15】
一般式VII:
【化17】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、請求項13または14に記載の工程を含む製造方法。
【請求項16】
一般式IV:
【化18】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Xは脱離基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項17】
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、Xがメシルオキシ基(Ms-O-)であり、環A’が下記構造式II-1またはII-2である請求項16に記載の化合物またはその塩。
【化19】
【請求項18】
一般式V:
【化20】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Xは脱離基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項19】
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、Xがメシルオキシ基(Ms-O-)であり、環Aがチミニルまたはウラシニルである請求項18に記載の化合物またはその塩。
【請求項20】
一般式II:
【化21】
[式中、R、Rは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式IV:
【化22】
[式中、Xは脱離基であり、R、R、R、R、R、R、m及び環A’は各々一般式IIのものと同じ意味を示す。]
で表される化合物にアジド化剤を反応させる工程を含む、製造方法。
【請求項21】
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、Xがメシルオキシ基(Ms-O-)であり、環A’が下記構造式II-1またはII-2であり、そしてアジド化剤がnBuNNまたはアジ化ナトリウムである請求項20に記載の製造方法。
【化23】
【請求項22】
一般式VII:
【化24】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、請求項20または21に記載の工程を含む製造方法。
【請求項23】
一般式II:
【化25】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式VI:
【化26】
[式中、R、R、R、R、R、R及びmは各々一般式IIのものと同じ意味を示し、そして環Aは1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させて、一般式VI中のテトラヒドロフラン環に置換している無保護の水酸基を活性化する工程を含む、製造方法。
【請求項24】
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、環Aがチミニルまたはウラシニルであり、環A’が、下記構造式II-1またはII-2であり、そして水酸基の活性化剤がトリフルオロメタンスルホニルクロリドである請求項23に記載の製造方法。
【化27】
【請求項25】
一般式VII:
【化28】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、請求項23または24記載の工程を含む製造方法。
【請求項26】
一般式VII:
【化29】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。(但し、m=1であり、Bがチミニル、R、R、R及びRが各々水素原子、RがDMTr基、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基、RがBoc基、R10がBoc基、そしてR11が水素原子であるもの、およびm=2であり、Bがチミニル、R、R、R及びRが各々水素原子、RがDMTr基、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基、RがCeoc基、R10がCeoc基、そしてR11が水素原子であるものを除く。)]
で表される化合物またはその塩。
【請求項27】
Bが、1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、RがDMTr基であり、Rが水素原子または-P(O(CH)CN)(N(iPr))基であり、RがTeoc基またはBoc基であり、R10がTeoc基またはBoc基であり、そしてR11が水素原子である請求項26に記載の化合物またはその塩。
【請求項28】
Bが、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルであり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、RがDMTr基であり、Rが水素原子または-P(O(CH)CN)(N(iPr))基であり、RがTeoc基であり、R10がTeoc基であり、そしてR11が水素原子である請求項26に記載の化合物またはその塩。
【請求項29】
一般式VIII:
【化30】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、R12及びR13は各々独立して水素原子または水酸基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式IX:
【化31】
[式中、R、R、R、R及びmは各々一般式VIIIのものと同じ意味であり、R14及びR15は各々独立して水素原子または水酸基の保護基であり、環Aは1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物の環AをBに置換する工程を含む、製造方法。
【請求項30】
Bが、1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R12、R13、R14、R15がすべてBn基であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである請求項29に記載の製造方法。
【請求項31】
Bが、1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R12がDMTr基、R13がTMS基、R14がDMTr基、R15が水素原子であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである請求項29に記載の製造方法。
【請求項32】
Bが、1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R12がTMS基、R13がTMS基、R14が水素原子、R15が水素原子であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである請求項29に記載の製造方法。
【請求項33】
一般式VII:
【化32】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、請求項29から32のいずれか1つに記載の工程を含む製造方法。
【請求項34】
一般式VIII:
【化33】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、R12はBn基、DMTr基、またはTMS基であり、R13はBn基、水素原子、またはTMS基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項35】
Bが1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、そしてR12及びR13が各々Bn基である、請求項34に記載の化合物またはその塩。
【請求項36】
Bが1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、R12がDMTr基であり、そしてR13が水素原子である、請求項34に記載の化合物またはその塩。
【請求項37】
一般式X:
【化34】
[式中、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R16、R17及びR18は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表されるヌクレオシドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチド(但し、m=1または2の場合、Bがチミニル、R、R、R、R、R16、R17及びR18が各々水素原子であるヌクレオシドのみを架橋型核酸として有するオリゴヌクレオチドを除く。)の製造方法であって、
一般式XI:
【化35】
[式中、B、R、R、R及びRは各々一般式Xのものと同じ意味であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、R20は1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、そしてR21、22及びR23は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物からホスホラミダイト法により製造する方法。
【請求項38】
Bが1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、Rが水酸基の保護基であり、R16、R17及びR18が水素原子であり、R20が-P(O(CH)CN)(N(iPr))であり、そしてR21、R22及びR23は各々独立してアミノ基の保護基である、請求項37に記載の製造方法。
【請求項39】
一般式X:
【化36】
[式中、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R16、R17及びR18は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表されるヌクレオシドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチド(但し、m=1または2の場合、Bがチミニル、R、R、R、R、R16、R17及びR18が各々水素原子であるヌクレオシドのみを架橋型核酸として有するオリゴヌクレオチドを除く。)またはその塩。
【請求項40】
Bがアデニニル、グアニニル、シトシニル、5-メチルシトシニル、チミニルまたはウラシニルであり、R16、R17及びR18が水素原子である、請求項39に記載のオリゴヌクレオチドまたはその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋型核酸GuNAのモノマー及びオリゴマー、その製造方法、並びにその製造ための中間体化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸医薬による疾病の治療法として、アンチセンス法、アンチジーン法、アプタマーを用いる方法、siRNAを用いる方法などがある。このうち、アンチセンス法は、疾病に関わるmRNAと相補的なオリゴヌクレオチド(アンチセンス鎖)を外部から導入し、二重鎖を形成させることにより、病原RNAの翻訳過程を阻害し、疾病の治療や予防を行う手法である。siRNAを用いる方法もアンチセンス法に類似しており、生体に投与した二重鎖RNAによりmRNAからタンパク質への翻訳を阻害する。一方、アンチジーン法は、病原RNAを転写するDNA部位に対応する三重鎖形成オリゴヌクレオチドを外部から導入することによりDNAからRNAへの転写を抑制する。また、アプタマーは疾病の原因となるタンパク質などの生体成分と特異的に結合することにより該タンパク質の活性を調節して機能を発揮する。
【0003】
こうした核酸医薬の素材として、種々の人工核酸が開発されているが、未だ切札となるべき分子が存在しない。例えば、これまでに開発されてきた核酸医薬の素材として、ホスホロチオエート(Phosphorothioate:S-PO)型オリゴヌクレオチド(S-オリゴ)、2’,4’-ブリッジド(架橋)核酸(bridged nucleic acid)(BNA)/2’,4’-ロックト核酸(locked nucleic acid)(LNA)(特許文献1から4および非特許文献1から6)などがある。S-オリゴは、サイトメガロウイルスに対するアンチセンス医薬品として、既に米国で上市されている。これは、高いヌクレアーゼ耐性を有するものの、標的核酸鎖との結合親和性が低いという難点を有しており、改善が必要である。これまでに開発されている2’,4’-BNA/LNAは、いずれも標的核酸鎖との結合親和性が高く、これからの核酸医薬の素材として最も期待される分子である。しかしながら、ヌクレアーゼに対する耐性が十分ではなく、生体内での安定性という点で改良の余地がある。
【0004】
人工核酸の1つとして2’-アミノLNAが報告されている(非特許文献7)。ヌクレアーゼ耐性を有し、標的核酸鎖との結合親和性が高く、前記LNAと同様に核酸医薬の素材として最も期待される分子である。しかしながら、オリゴヌクレオチドを合成するための原料となりうる適切な置換基を備えたヌクレオシドとしては、チミニルまたは5-メチル-シトシニルを有するヌクレオチドしか知られていない(非特許文献8)。
また、別の人工核酸として、Aza-ENAが報告されている(非特許文献9)。架橋を構成する炭素原子が2’-アミノLNAより、1つ増えた構造を有しており、その核酸の塩基部分はチミニルのみしか知られていない。
【0005】
さらに別の人工核酸としてグアニジン架橋型人工核酸(GuNA)が挙げられる。これまで、グアニジン架橋型人工核酸(GuNA)については、核酸塩基部分としてチミニルを含むGuNAが知られている(特許文献5)。しかしながら、チミニル以外の核酸塩基部分を含むGuNAは知られていない。また、GuNAの製造は多段階を要し、そのため効率よく製造することは容易ではなかった。また、GuNAに類似する人工核酸として、GENAが報告されている(非特許文献10)。架橋を構成する炭素原子がGuNAより、1つ増えた構造を有しており、その核酸の塩基部分はチミニルのみしか知られていない。
【0006】
これまで知られるGuNAの製造方法は、非特許文献11に記載されているが、多段階の工程数を必要とし、GuNAの生成収率も十分な収率ではなかった。その製造経路を下記に示す。
【化1】
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第98/39352号
【特許文献2】国際公開第2005/021570号
【特許文献3】国際公開第2003/068795号
【特許文献4】国際公開第2011/052436号
【特許文献5】国際公開第2014/046212号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】C. Wahlestedtら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,2000年,97巻,10号,5633-5638頁
【非特許文献2】Y. Hariら、Bioorg. Med. Chem.,2006年,14巻,1029-1038頁
【非特許文献3】K. Miyashitaら、Chem. Commun.,2007年,3765-3767頁
【非特許文献4】S.M.A. Rahmanら、J. Am. Chem. Soc.,2008年,130巻,14号,4886-4896頁
【非特許文献5】M. Kuwaharaら、Nucleic Acids Res.,2008年,36巻,13号,4257-4265頁
【非特許文献6】S. Obikaら、Bioorg. Med. Chem.,2001年,9巻,1001-1011頁
【非特許文献7】S.K. Singhら、J. Org. Chem. 1998, 63, 6078-6079頁
【非特許文献8】Christoph Rosenbohmら、Org. Biomol. Chem.,2003年,1巻,655-663頁
【非特許文献9】Oommen P. Vargheseら、J. AM. CHEM. SOC. 2006年, 128巻, 15173-15187頁
【非特許文献10】Jharna Barmanら、RSC Advances, 2015年, 16巻, 12257-12260頁
【非特許文献11】Ajaya R. Shresthaら、Chem. Commun. 2014年, 50巻, 575-577頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、グアニジン架橋型人工核酸(以下、GuNAと略す)の製造方法、およびその製造のための中間体化合物、およびGuNAのモノマーやオリゴマーに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明者等は鋭意研究の結果、下記に示す通り、従来の製造方法と比較して工程数が少なく、GuNAの収率が改善されたGuNAの新規な製造方法、およびその製造方法に有用な新規な中間体化合物を見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、以下の項〔1〕~〔89〕に関するものであるが、これらに限定されるものではない。
項〔1〕
一般式I:
【化3】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式II:
【化4】
[式中、R、R、R、R、R、R及びmは各々一般式Iのものと同じ意味を示し、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物に還元剤を反応させ、環A’に縮合するオキサゾリジン環を開裂させる工程を含む、製造方法。
項〔2〕
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、環Aがチミニルもしくはウラシニルであり、環A’が下記構造式II-1またはII-2:
【化5】
であり、そして還元剤がPhPである項1に記載の製造方法。
項〔3〕
一般式VII:
【化6】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、項1または2に記載の工程を含む製造方法。
項〔4〕
一般式I:
【化7】
[式中、R及びRは各々独立してベンジル(Bn)基、2-ナフチルメチル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、2,6-ジメトキシベンジル基またはp-フェニルベンジル基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩。
項〔5〕
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである項4に記載の化合物またはその塩。
項〔6〕
一般式II:
【化8】
[式中、R及びRは独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩。
項〔7〕
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、そして環A’が下記構造式II-1またはII-2である項6に記載の化合物またはその塩。
【化9】
項〔8〕
一般式II:
【化10】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式III:
【化11】
[式中、R、R、R、R、R、R、m及び環A’は各々一般式IIのものと同じ意味を示す。]
で表される化合物にアジド化剤を反応させる工程を含む、製造方法。
項〔9〕
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、環A’が下記構造式II-1またはII-2であり、そしてアジド化剤がDPPAである項8に記載の製造方法。
【化12】
項〔10〕
一般式VII:
【化13】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、そしてR、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、項8または9に記載の工程を含む製造方法。
項〔11〕
一般式III:
【化14】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして、環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩。
項〔12〕
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、環A’が下記構造式II-1またはII-2である項11に記載の化合物またはその塩。
【化15】
項〔13〕
一般式IV:
【化16】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Xは脱離基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式V:
【化17】
[式中、R、R、R、R、R、R、X及びmは各々一般式IVのものと同じ意味を示し、そして環Aは1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させて、一般式V中のテトラヒドロフラン環に置換している無保護の水酸基を活性化する工程を含む製造方法。
項〔14〕
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、Xがメシルオキシ基(Ms-O-)であり、環Aがチミニルまたはウラシニルであり、環A’が下記構造式II-1またはII-2であり、そして水酸基の活性化剤がトリフルオロメタンスルホニルクロリドである項13に記載の製造方法。
【化18】
項〔15〕
一般式VII:
【化19】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、項13または14に記載の工程を含む製造方法。
項〔16〕
一般式IV:
【化20】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Xは脱離基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩。
項〔17〕
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、Xがメシルオキシ基(Ms-O-)であり、環A’が下記構造式II-1またはII-2である項16に記載の化合物またはその塩。
【化21】
〔18〕
一般式V:
【化22】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Xは脱離基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩。
項〔19〕
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、Xがメシルオキシ基(Ms-O-)であり、環Aがチミニルまたはウラシニルである項18に記載の化合物またはその塩。
項〔20〕
一般式II:
【化23】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式IV:
【化24】
[式中、Xは脱離基であり、R、R、R、R、R、R、m及び環A’は各々一般式IIのものと同じ意味を示す。]
で表される化合物にアジド化剤を反応させる工程を含む、製造方法。
項〔21〕
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、Xがメシルオキシ基(Ms-O-)であり、環A’が下記構造式II-1またはII-2であり、そしてアジド化剤がnBuNNまたはアジ化ナトリウムである項20に記載の製造方法。
【化25】
項〔22〕
一般式VII:
【化26】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、そしてR、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、項20または21に記載の工程を含む製造方法。
項〔23〕
一般式II:
【化27】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式VI:
【化28】
[式中、R、R、R、R、R、R及びmは各々一般式IIのものと同じ意味を示し、そして環Aは1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させて、一般式VI中のテトラヒドロフラン環に置換している無保護の水酸基を活性化する工程を含む、製造方法。
項〔24〕
及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、環Aがチミニルまたはウラシニルであり、環A’が、下記構造式II-1またはII-2であり、そして水酸基の活性化剤がトリフルオロメタンスルホニルクロリドである項23に記載の製造方法。
【化29】
項〔25〕
一般式VII:
【化30】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、項23または24記載の工程を含む製造方法。
項〔26〕
一般式VII:
【化31】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。(但し、m=1であり、Bがチミニル、R、R、R及びRが各々水素原子、RがDMTr基、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基、RがBoc基、R10がBoc基、そしてR11が水素原子であるもの、およびm=2であり、Bがチミニル、R、R、R及びRが各々水素原子、RがDMTr基、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基、RがCeoc基、R10がCeoc基、そしてR11が水素原子であるものを除く。)]
で表される化合物またはその塩。
項〔27〕
Bが、1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、RがDMTr基であり、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基であり、RがTeoc基またはBoc基であり、R10がTeoc基またはBoc基であり、そしてR11が水素原子である項26に記載の化合物またはその塩。
項〔28〕
Bが、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルであり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、RがDMTr基であり、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基であり、RがTeoc基であり、R10がTeoc基であり、そしてR11が水素原子である項26に記載の化合物またはその塩。
項〔29〕
一般式VIII:
【化32】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、R12及びR13は各々独立して水素原子または水酸基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式IX:
【化33】
[式中、R、R、R、R及びmは各々一般式VIIIのものと同じ意味であり、R14及びR15は各々独立して水素原子または水酸基の保護基であり、そして環Aは1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物の環AをBに置換する工程を含む、製造方法。
項〔30〕
Bが、1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R12、R13、R14及びR15がすべてBn基であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである項29に記載の製造方法。
項〔31〕
Bが、1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニン、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R12がDMTr基、R13がTMS基、R14がDMTr基、R15が水素原子であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである項29に記載の製造方法。
項〔32〕
Bが、1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R12がTMS基、R13がTMS基、R14が水素原子、R15が水素原子であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである項29に記載の製造方法。
項〔33〕
一般式VII:
【化34】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法であって、項29から32のいずれか1つ以上に記載の工程を含む製造方法。
項〔34〕
一般式VIII:
【化35】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、R12はBn基、DMTr基、またはTMS基であり、R13はBn基、水素原子、またはTMS基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩。
項〔35〕
Bが1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、そしてR12及びR13が各々Bn基である、項34に記載の化合物またはその塩。
項〔36〕
Bが1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、R12がDMTr基であり、そしてR13が水素原子である、項34に記載の化合物またはその塩。
項〔37〕
一般式X:
【化36】
[式中、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R16、R17及びR18は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表されるヌクレオシドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチド(但し、m=1または2の場合、Bがチミニル、R、R、R、R、R16、R17及びR18が各々水素原子であるヌクレオシドのみを架橋型核酸として有するオリゴヌクレオチドを除く。)の製造方法であって、
一般式XI:
【化37】
[式中、B、R、R、R、R及びmは各々一般式Xのものと同じ意味であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、R20は1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R21、R22及びR23は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物からホスホラミダイト法により製造する方法。
項〔38〕
Bが1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、Rが水酸基の保護基であり、R16、R17及びR18が水素原子であり、R20が-P(O(CHCN)(N(iPr))基であり、そしてR21、R22及びR23は各々独立してアミノ基の保護基である、項37に記載の製造方法。
項〔39〕
一般式X:
【化38】
[式中、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R16、R17及びR18は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表されるヌクレオシドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチド(但し、m=1または2の場合、Bがチミニル、R、R、R、R、R16、R17及びR18が各々水素原子であるヌクレオシドのみを架橋型核酸として有するオリゴヌクレオチドを除く。)またはその塩。
項〔40〕
Bがアデニニル、グアニニル、シトシニル、5-メチルシトシニル、チミニルまたはウラシニルであり、R16、R17及びR18が水素原子である、項39に記載のオリゴヌクレオチドまたはその塩。
項〔41〕一般式XII:
【化39】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Dは、N、水酸基又は-X(-Xは脱離基であり、好ましくは水酸基の脱離基であり、メタンスルホニルオキシ(メシルオキシ;Ms-O-)基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基等が例示されるが、これに限定されない。)であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい(「5から7員環の不飽和ヘテロ環」の置換基は、好ましくは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、又はハロゲン原子である。)。]
で表される化合物またはその塩。
項〔42〕R、R、R及びRは各々独立して水素原子、またはC1-6アルキル基である項41に記載の化合物またはその塩。
項〔43〕R、R、R及びRが各々水素原子である項41又は42に記載の化合物またはその塩。
項〔44〕R及びRは各々独立して、Bn基、4,4'-ジメトキシトリチル(DMTr)基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、トリフルオロメタンスルホニル基、トリメチルシリル基、又はメタンスルホニル基等である項41から43のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
項〔45〕環A’が、1つ以上の置換基で置換されてもよい6員環の不飽和ヘテロ環であり、好ましくは以下の構造II-1またはII-2を有するヘテロ環である項41から44のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
【化40】
項〔46〕DがNである項41から45のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
項〔47〕Dが水酸基である項41から45のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
項〔48〕Dが-X(脱離基)である項41から45のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。当該脱離基は、好ましくは水酸基の脱離基であり、メタンスルホニルオキシ(メシルオキシ;Ms-O-)基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基等が例示されるが、これに限定されない。
項〔49〕項46に記載の化合物に還元剤を反応させることにより、一般式I:
【化41】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成していてもよい。]
で表される化合物を製造する方法。本製造方法に用いられる還元剤は、ホスフィン類であり、好ましくはPhPである。また、環Aは好ましくはチミニル若しくはウラシニルである。
項〔51〕項47に記載の化合物に、アジド化剤を反応させることにより項46に記載の化合物を製造する方法を含む、項46に記載の化合物又はその塩の製造方法。本製造方法に用いられるアジド化剤は、アジ化水素酸、アジ化ナトリウム、アジ化リチウム、テトラブチルアンモニウムアジド、トリメチルシリルアジド、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、ニコチニルアジド、アジ化亜鉛(Zn(N)であり、好ましくはDPPAである。
項〔52〕項48に記載の化合物に、アジド化剤を反応させることにより項46に記載の化合物を製造する方法を含む、項46に記載の化合物又はその塩の製造方法。本製造方法に用いられるアジド化剤は、例えば、nBuNN又はアジ化ナトリウムであるがこれに限定されない。
項〔53〕一般式VI:
【化42】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物に、水酸基の活性化剤を反応させることにより項46に記載の化合物を製造する方法を含む、項46に記載の化合物またはその塩の製造方法。本製造方法に用いられる水酸基の活性化剤は、例えば、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリドまたはトリフルオロメタンスルホン酸無水物であるがこれに限定されない。
項〔54〕一般式V:
【化43】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Xは脱離基であり、mは1~3の整数であり、そして、環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物に、水酸基の活性化剤を反応させることにより項48に記載の化合物を製造する方法を含む、項48に記載の化合物又はその塩の製造方法。本製造方法に用いられる水酸基の活性化剤は、例えば、メタンスルホニルクロリドであるがこれに限定されない。
項〔55〕項49から54のいずれか1つに記載の製造方法を含む一般式VII:
【化44】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、又は1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]で表される化合物またはその塩の製造方法。
項〔56〕項49から55のいずれか1つに記載の製造方法を含むグアニジン架橋型人工核酸の製造方法。グアニジン架橋型人工核酸とは、一般式X:
【化45】
[式中、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R16、R17及びR18は各々独立して水素原子、又は1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、アミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]で表されるヌクレオシドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチドであり、
一般式XI:
【化46】
[式中、B、R、R、R、R及びmは各々一般式Xのものと同じ意味であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、R20は1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、そしてR21、R22及びR23は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基である。]に記載の化合物からホスホラミダイト法により製造されうる核酸である。
項〔57〕
一般式XIII:
【化47】
[式中、R及びRは各々独立して水素原子又は水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そしてDは、環A(式中、環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。)又はB(1つ以上の置換基で置換されていてよい核酸の塩基部分)である。〕
で表される化合物またはその塩。
項〔58〕R、R、R、Rが各々水素原子である項57に記載の化合物またはその塩。
項〔59〕Dが環Aである項57又は58に記載の化合物またはその塩。
項〔60〕環Aがチミニルまたはウラシニルである項59に記載の化合物またはその塩。
項〔61〕R及びRが各々独立した水酸基の保護基である項59または60に記載の化合物またはその塩。
項〔62〕R及びRは各々独立してBn基、2-ナフチルメチル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、2,6-ジメトキシベンジル基またはp-フェニルベンジル基である、項61に記載の化合物またはその塩。
項〔63〕項59から62のいずれか1つに記載の化合物が以下から選択される化合物またはその塩;
1-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン及び1-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
項〔64〕DがB(Bは、1つ以上の置換基で置換されていてよい核酸の塩基部分。)である、項57又は58に記載の化合物またはその塩。
項〔65〕Bが1つ以上の置換基で置換されていてよいアデニニル、1つ以上の置換基で置換されていてよいグアニニル、1つ以上の置換基で置換されていてよいシトシニル、1つ以上の置換基で置換されていてよい5-メチルシトシニル、1つ以上の置換基で置換されていてよいチミニルまたは1つ以上の置換基で置換されていてよいウラシニルである項64に記載の化合物またはその塩。
項〔66〕Rが水酸基の保護基である項64または65に記載の化合物またはその塩。
項〔67〕RがBn基、DMTr基又はTMS基のいずれかである項66に記載の化合物またはその塩。
項〔68〕Rが水酸基の保護基である項64から67のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
項〔69〕RがBn基である項68に記載の化合物またはその塩。
項〔70〕RがTMS基である項68に記載の化合物またはその塩。
項〔71〕Rが水素原子である項64から67のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
項〔72〕項64から71のいずれか1つに記載の化合物が以下から選択される化合物またはその塩:
1-[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒドロキシ-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル]-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
項〔73〕
一般式IX:
【化48】
[式中、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、R14及びR15は各々独立して水素原子または水酸基の保護基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物の環Aを置換することにより項64に記載の化合物を製造する方法を含む、項64に記載の化合物またはその塩の製造方法。
本製造方法において、好ましくは、Bが、1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルである。また、環Aは、好ましくは、チミニルまたはウラシニルである。R14、R15及びR16は好ましくはすべてBn基であるか、又はR14がDMTr基、R15がTMS基、およびR16が水素原子であるが、これに限定されない。本製造において環Aを置換する方法とはルイス酸を用いる方法、好ましくはルイス酸およびシリル化剤を用いる方法があるがこれらに限定されない。
項〔74〕項73に記載の製造方法を含む一般式VII:
【化49】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、又は1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩の製造方法。
項〔75〕項62又は63に記載の製造方法を含むグアニジン架橋型人工核酸の製造方法であって、該グアニジン架橋型人工核酸とは、一般式X:
【化50】
[式中、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R16、R17及びR18は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、又はアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表されるヌクレオシドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチドであり、
一般式XI:
【化51】
[式中、B、R、R、R、R及びmは各々一般式Xのものと同じ意味であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、そしてR20は1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R21、R22及びR23は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基である。]
に記載の化合物からホスホラミダイト法により製造されうる核酸である、該製造方法。
項〔76〕
一般式VII:
【化52】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。(但し、m=1であり、Bがチミニル、R、R、R及びRが各々水素原子、RがDMTr基、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基、RがBoc基、R10がBoc基、そしてR11が水素原子であるもの、およびm=2であり、Bがチミニル、R、R、R及びRが各々水素原子、RがDMTr基、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基、RがCeoc基、R10がCeoc基、そしてR11が水素原子であるものを除く。)]
で表される化合物またはその塩。
項〔77〕Bが、1つ以上の保護基を有してもよいチミニル、アデニニル、グアニニル、シトシニル、5-メチルシトシニルまたはウラシニルである項76に記載の化合物またはその塩。
項〔78〕R、R、R及びRは各々独立して水素原子である項76又は77に記載の化合物またはその塩。
項〔79〕Rが水酸基の保護基である項76から78のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。Rの水酸基の保護基は、好ましくは炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子および/またはシアノ基で置換された1から3個のアリール基で置換されたメチル基であり、更に好ましくはDMTr基であるがこれに限定されない。
項〔80〕Rが水素原子である項76から79のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
項〔81〕Rが1つ以上の置換基で置換されていてよいリン酸基である項76から79のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。当該リン酸基は好ましくは-P(O(CHCN)(N(iPr))基であるがこれに限定されない。
項〔82〕R及びR10が各々独立してアミノ酸の保護基である項76から81のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。当該アミノ酸の保護基は、好ましくはTeoc基またはBoc基であるがこれに限定されない。
項〔83〕R11が水素原子である項76から82のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
項〔84〕Bが、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルである項76に記載の化合物またはその塩。
項〔85〕R及びR10がTeoc基である、項84に記載の化合物またはその塩。
項〔86〕
一般式X:
【化53】
[式中、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R16、R17及びR18は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表されるヌクレオシドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチド(但し、Bがチミニル、R、R、R、R、R16、R17及びR18が各々水素原子であるヌクレオシドのみを架橋型核酸として有するオリゴヌクレオチドを除く。)またはその塩。
項〔87〕Bがアデニニル、グアニニル、シトシニル、5-メチルシトシニル、チミニルまたはウラシニルである項86に記載のオリゴヌクレオチドまたはその塩。
項〔88〕R16、R17及びR18が水素原子である項86または87に記載のオリゴヌクレオチドまたはその塩。
項〔89〕一般式XI:
【化54】
[式中、B、R、R、R、R及びmは各々一般式Xのものと同じ意味であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、そしてR20は1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、そしてR21、R22及びR23は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基である。]
で表される化合物からホスホラミダイト法により製造する方法を含む、項86から89のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチドまたはその塩の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法は、従来の製造方法と比較して工程数を大幅に短縮することができ、またGuNAの生成収率を大きく改善できる。本発明の核酸塩基置換方法により、チミニル以外の各種核酸塩基を有するGuNAを効率よく、かつ好適なβ体選択的に製造することができる。本発明の製造方法により、他の各種核酸塩基を有するGuNAモノマーを含むGuNAオリゴマー、例えばアデニニル、グアニニル、シトシニル、5-メチルシトシニルまたはウラシニルの塩基部分を有するGuNAモノマー及びこれらのGuNAモノマーを含むGuNAオリゴマーを製造することができる。本発明の中間体化合物は各種核酸塩基のGuNAの製造に有用である。
【0013】
本発明の中間体化合物には2’-アミノLNAのモノマーが含まれる。本発明の核酸塩基置換方法により、アデニニル、チミニルのみではなく、他の各種核酸塩基を有する2’-アミノLNA、例えば、グアニニル、シトシニル、5-メチルシトシニルまたはウラシニルの塩基部分を有する2’-アミノLNAを製造することができる。
本発明により製造された各種核酸塩基を有する2’-アミノLNAのモノマーを使用して2’-アミノLNAのオリゴマーを製造することができる。2’-アミノLNAのオリゴマーはヌクレアーゼに耐性であり、相補的な配列を有する核酸に強固に結合することから、核酸を用いた医薬品として各種疾患の治療、軽減、予防、再発予防及び診断、並びに核酸を用いた試薬として各種検査や試験に広く利用することができる。
【0014】
本発明により製造されたGuNAはヌクレアーゼに著しく耐性であり、相補的な配列を有する核酸に強固に結合し、さらに細胞内へ効率よく移行することから、核酸を用いた医薬品として各種疾患の治療、軽減、予防、再発予防及び診断、並びに核酸を用いた試薬として各種検査や試験に広く利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書において引用された全ての刊行物は、参照として本明細書に組み込まれる。
(定義)
まず、本明細書中で用いられる用語を定義する。
【0016】
本明細書において、用語「1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル」は、炭素数1から6(C1-6)、好ましくは炭素数1から4(C1-4)の任意の直鎖アルキル基、同一のまたは異なる分岐鎖を有する炭素数3から6の任意の分岐鎖アルキル基、炭素数3から6の任意の環状アルキル基、および炭素数4から6のこれらの組み合わせを包含する。例えば、炭素数1から6の任意の直鎖アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などが挙げられ、同一のまたは異なる分岐鎖を有する炭素数3から6の任意の分岐鎖アルキル基の具体例としては、イソ(「i」と略す)プロピル基、イソブチル基、tert(「t」と略す)-ブチル基、sec(「s」と略す)-ブチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基などが挙げられ、そして炭素数3から6の任意の環状アルキル基としては、3~6員単環式シクロアルキル基が好ましく、具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられるが、これらに限定されない。置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一または異なる1つ以上(または1~3個が好ましい)の基が挙げられる。
【0017】
本明細書において、用語「1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル」は、炭素数2から6(C2-6)、好ましくは炭素数2から4(C2-4)の任意の直鎖アルケニル基、同一のまたは異なる分岐鎖を有する炭素数3から6の任意の分岐鎖アルケニル基、炭素数3から6の任意の環状アルケニル基、および炭素数4から6のこれらの組み合わせを包含する。例えば、炭素数2から6の任意の直鎖アルケニル基の具体例としては、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基などが挙げられ、同一のまたは異なる分岐鎖を有する炭素数3から6の任意の分岐鎖アルケニル基の具体例としては、イソプロペニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-メチル-2-ブテニル基などが挙げられ、そして炭素数3から6の任意の環状アルケニル基としては、3~6員単環式シクロアルケニル基が好ましく、具体例としては、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一または異なる1つ以上(または1~3個が好ましい)の基が挙げられる。
【0018】
本明細書において、用語「1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル」は、炭素数2から6(C2-6)、好ましくは炭素数2から4(C2-4)の任意の直鎖アルキニル基、同一のまたは異なる分岐鎖を有する炭素数3から6の任意の分岐鎖アルキニル基、炭素数3から6の任意の環状アルキニル基、および炭素数4から6のこれらの組み合わせを包含する。例えば、炭素数2から6の任意の直鎖アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基などが挙げられ、同一のまたは異なる分岐鎖を有する炭素数3から6の任意の分岐鎖アルキニル基の具体例としては、イソプロピニル基、1-メチル-1-プロピニル基、1-メチル-2-プロピニル基、2-メチル-1-プロピニル基、2-メチル-2-プロピニル基、1-メチル-2-ブチニル基などが挙げられ、そして炭素数3から6の任意の環状アルキニル基としては、3~6員単環式シクロアルキニル基が好ましく、具体例としては、シクロブチニル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一または異なる1つ以上(または1~3個が好ましい)の基が挙げられる。
【0019】
本明細書において、用語「C1-6アルコキシ基」とは、C1-6アルキルが酸素原子と結合した1価基をいい、C1-6アルキル-O基を意味する。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、s-ブトキシ基、3-メチルブトキシ基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書において、用語「ハロゲン(原子)」としては、例えば、フッ素原子(フルオロ)、塩素原子(クロロ)、臭素原子(ブロモ)、またはヨウ素原子(ヨード)が挙げられる。
【0021】
本明細書において、用語「アリール(基)」とは、芳香族炭化水素から誘導された官能基または置換基であり、複数の環からなるものも含み、具体的には芳香族炭化水素基から水素原子1個を除いた炭素数6~14の1価の基を意味し、例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基などが挙げられる。また、アリール環が、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、水酸基、C1-6アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、フェニル基等の1種以上の基によって置換されていてもよく、そのような置換されていてもよいアリール基としては、例えば、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基、2-ブロモフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-クロロ-2-ニトロフェニル基、4-ニトロフェニル基、2-ニトロフェニル基、2,4-ジニトロフェニル基、ビフェニル基などが挙げられる。好適なアリール基としては、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、もしくはニトロ基で置換されたフェニル基、または無置換フェニル基などが挙げられる。
【0022】
本明細書において、用語「ヘテロアリール(基)」とは環構造にヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、および/または硫黄原子)を含む炭素数3~12の任意の複素芳香族化合物から水素原子1個を除いた1価の基を意味し、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリル基、イソキノリル基、キノリル基、インドリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、フリル基、チエニル基などが挙げられる。また、ヘテロアリール環が、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、水酸基、C1-6アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、フェニル基等の1種以上の基によって置換されていてもよい。
【0023】
本明細書において、本発明化合物、中間体化合物、原料化合物等に官能基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等)を有する場合は、Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis" 4th. ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999に記載の方法に準じて、有機合成化学において通常用いる保護基で保護し、反応後、当該保護基を除去することにより、目的とする化合物を得ることができる。保護基としては、同書に記載された有機合成化学において通常用いる保護基が挙げられ、官能基毎の保護基については、下記に記載する。
【0024】
本明細書において、「水酸基の保護基」、「アミノ基の保護基」、「リン酸基の保護基」、「メルカプト基の保護基」内に記載される用語「保護基」とは、核酸合成の際に安定してアミノ基、水酸基、リン酸基またはメルカプト基を保護し得るものであれば、特に制限されない。具体的には、酸性または中性条件で安定であり、加水素分解、加水分解、電気分解、および光分解のような化学的方法により開裂し得る保護基のことをいう。このような保護基としては、例えば、炭素数1から6のアルキル基;炭素数2から6のアルケニル基;炭素数2から6のアルキニル基;アシル基;テトラヒドロピラニル基またはテトラヒドロチオピラニル基;テトラヒドロフラニル基またはテトラヒドロチオフラニル基;シリル基;炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたメチル基;炭素数1から6のアルコキシ基で置換された炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたメチル基;ハロゲン原子で置換された炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたメチル基;炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたエチル基;ハロゲン原子で置換されたエチル基;1から3個のアリール基で置換されたメチル基;炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子および/またはシアノ基で置換された1から3個のアリール基で置換されたメチル基;炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたカルボニル基;ハロゲン原子、炭素数1から6のアルコキシ基および/またはニトロ基で置換されたアリール基;ハロゲン原子および/または炭素数1から6の3個のアルキル基で置換されたシリル基で置換された炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたカルボニル基;アルケニルオキシカルボニル基;炭素数1から6のアルコキシ基および/またはニトロ基で置換されたアリール基で置換されてもよいアラルキルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0025】
「水酸基の保護基」としては、有機合成化学(特に、核酸合成)において通常用いる保護基をいい、例えば、脂肪族アシル基;芳香族アシル基;置換されていてよいアミノカルボニル基;置換されていてよいアルコキシカルボニル基;脂肪族スルホニル基;芳香族スルホニル基;1から3個のアリール基で置換されたメチル基;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子および/またはシアノ基で置換された1から3個のアリール基で置換されたメチル基;またはシリル基が挙げられる。具体例としては、ベンジル(Bn)基、4,4'-ジメトキシトリチル(DMTr)基、4-メトキシトリチル基、トリフェニルメチル基、2-ナフチルメチル基、ジフェニルアミノカルボニル(DPC)基、シアノエトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、4-メトキシベンジル(p-メトキシベンジル)基、3,4-ジメトキシベンジル基、2,6-ジメトキシベンジル基、p-フェニルベンジル基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、メトキシメチル基、ベンゾイル(Bz)基、またはアセチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ベンジル(Bn)基、4,4'-ジメトキシトリチル(DMTr)基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、トリメチルシリル(TMS)基、ジフェニルアミノカルボニル(DPC)基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基が好ましい。
【0026】
本明細書において「1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基」とは、保護基を有していてもよい水酸基を包含し、当該置換基は、例えば、前記の水酸基の保護基、C1-6アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基であり、好ましい水酸基の保護基としてはBn基、DPC基、DMTr基、4-メトキシトリチル基、トリフェニルメチル基、2-ナフチルメチル基、シアノエトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、4-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、ベンゾイル(Bz)基、アセチル基であり、好ましいC1-6アルキルとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基であり、好ましいアリールとしては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基であり、好ましいヘテロアリール基としてはピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリル基、イソキノリル基、キノリル基、インドリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、トリアゾリル基、フリル基、チエニル基などが挙げられる。また、置換されてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、水酸基、C1-6アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、フェニル基等が挙げられ、これらの1種以上の基によって置換されていてもよい。
【0027】
「アミノ基の保護基」としては、有機合成化学(特に、核酸合成)において通常用いる保護基をいい、例えば、脂肪族アシル基;芳香族アシル基;置換されていてよいアルコキシカルボニル基;1から3個のアリール基で置換されたメチル基;ハロゲン原子および/またはシアノ基で置換された1から3個のアリール基で置換されたメチル基が挙げられる。具体例としては、アセチル(Ac)基、フェノキシアセチル(Pac)基、プロピオニル基、イソブチリル基、ベンゾイル(Bz)基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル(Boc)基、トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)基、シアノエトキシカルボニル(Ceoc)基、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基、アリルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、t-アミルオキシカルボニル基、4-メトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、2-ニトロベンゼンスルホニル基、2,4-ジニトロベンゼンスルホニル基または2-(トリメチルシリル)エトキシメチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、イソブチリル基、ベンゾイル(Bz)基、t-ブトキシカルボニル(Boc)基、トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)基が好ましい。
【0028】
本明細書において「1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基」とは、保護基を有していてもよいアミノ基を包含し、当該置換基は、例えば、前記のアミノ基の保護基、C1-6アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基であり、好ましいアミノ基の保護基としてはBn基、DPC基、DMTr基、4-メトキシトリチル基、トリフェニルメチル基、2-ナフチルメチル基、シアノエトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、4-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、ベンゾイル(Bz)基、アセチル基であり、好ましいC1-6アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基であり、好ましいアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基であり、好ましいヘテロアリール基としてはピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリル基、イソキノリル基、キノリル基、インドリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、トリアゾリル基、フリル基、チエニル基などが挙げられる。また、置換されてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、水酸基、C1-6アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、フェニル基等が挙げられ、これらの1種以上の基によって置換されていてもよい。
【0029】
「リン酸基の保護基」としては、有機合成化学(特に、核酸合成)において通常用いる保護基をいい、例えば、炭素数1から6のアルキル基および/またはシアノ基で置換された炭素数1から6のアルキル基;アラルキル基;ニトロ基および/またはハロゲン原子で置換されたアリール基で置換されたアラルキル基;炭素数1から6のアルキル基、ハロゲン原子、またはニトロ基で置換されたアリール基;2-シアノエチル基;2,2,2-トリクロロエチル基;ベンジル基;2-クロロフェニル基;または4-クロロフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「メルカプト基の保護基」としては、有機合成化学(特に、核酸合成)において通常用いる保護基をいい、例えば、脂肪族アシル基または芳香族アシル基、ベンゾイル(Bz)基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において、用語「脱離基」とは、反応の間にヘテロリシスでの開裂により切断される場合の、電子対を持つ方の基質分子の一部をいい、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、「水酸基の脱離基」を包含する。水酸基の脱離基の例としては、スルホニルオキシ基(例えば、パラトルエンスルホニルオキシ基、メシルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基など)、アシロキシ基(好ましくは炭素数1~8の、飽和もしくは不飽和アシロキシ基であり、例えばR-C(=O)-O-で表され、式中のRはアルキル基で置換されていてもよいアリール基(好ましい総炭素数が6~8であり、例えばフェニル基、p-トリル基など)、アルキル基で置換されていてもよいアリールオキシ基(好ましい総炭素数が6~8であり、例えばフェノキシ基、p-トリルオキシ基など)、アラルキル基(好ましい総炭素数が7~9であり、例えばベンジル基など)、アリールアルケニル基(好ましい総炭素数が8または9であり、例えばシンナミル基など)、アラルキルオキシ基(総炭素数7~15、例えばベンジルオキシ基、9-フルオレニルメチルオキシ基など)、アルコキシ基(炭素数1~8の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基、たとえばメトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基など)で表される基が挙げられ、具体例としては、ヨード原子、ブロモ原子、クロロ原子、フルオロ原子、メシルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、2,2,2-トリフルオロ-エタンスルホニルオキシ基、プロパンスルホニルオキシ基、イソ-プロパンスルオニルオキシ基、ブタンスルホニルオキシ基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ基、ヘプタフルオロプロパン-1-スルホニルオキシ基、ペンタンスルホニルオキシ基、ペンタフルオロエタンスルホニルオキシ基、ペンタンスルホニルオキシ基、シクロペンタンスルホニルオキシ基、ヘキサンスルホニルオキシ基、シクロヘキサンスルホニルオキシ基、o-トルエンスルホニルオキシ基、m-トルエンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、o-ブロモベンゼンスルホニルオキシ基、m-ブロモベンゼンスルホニルオキシ基、p-ブロモ-ベンゼンスルホニルオキシ基、o-ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、m-ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、およびp-ニトロベンゼンスルホニルオキシ基などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい脱離基の例として、メタンスルホニルオキシ基(メシルオキシ基;Ms-O-)、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0032】
本明細書において、用語「置換されてもよいリン酸基」とは、置換基(これは、保護基を含む)を有していてもよいリン酸、亜リン酸、または次亜リン酸を包含する。例えば、式-P(RP1)RP2で表されるリン酸基を包含し、式中、RP1およびRP2は、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す。ここで、上記式中、RP1がORP1aそしてRP2がNRP2aとして表すことができる基は「ホスホラミダイト基」と呼称され、好ましい例である。RP1aとは炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から6のシアノアルキル基であり、RP2aとは炭素数1から6のアルキル基を表し、「ホスホラミダイト基」の具体例としては、式-P(O(CHCN)(N(iPr))で表される基、または式-P(OCH)(N(iPr))で表される基などが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、iPrはイソプロピル基を表す。
【0033】
本明細書において、用語「置換されてもよいチオリン酸基」とは、置換基(これは、保護基を含む)を有していてもよいチオリン酸基を包含する。例えば、式-P(=S)(RP3)RP4で表されるリン酸基を包含し、式中、RP3およびRP4は、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基で置換されたアミノ基を表す。
【0034】
本明細書において、用語「アシル基」の例としては、脂肪族アシル基および芳香族アシル基が挙げられる。具体的には、脂肪族アシル基の例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、3-メチルノナノイル基、8-メチルノナノイル基、3-エチルオクタノイル基、3,7-ジメチルオクタノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、1-メチルペンタデカノイル基、14-メチルペンタデカノイル基、13,13-ジメチルテトラデカノイル基、ヘプタデカノイル基、15-メチルヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、1-メチルヘプタデカノイル基、ノナデカノイル基、アイコサノイル基およびヘナイコサノイル基のようなアルキルカルボニル基;フェノキシアセチル(Pac)基のようなアリールオキシアルキルカルボニル基;スクシノイル基、グルタロイル基、アジポイル基のようなカルボキシ化アルキルカルボニル基;クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基のようなハロゲン原子で置換された炭素数1から6のアルキル基で置換されたカルボニル基;メトキシアセチル基のような炭素数1から6のアルコキシアルキルカルボニル基;(E)-2-メチル-2-ブテノイル基のような不飽和アルキルカルボニル基が挙げられる。また、芳香族アシル基の例としては、ベンゾイル基、α-ナフトイル基、β-ナフトイル基のようなアリールカルボニル基;2-ブロモベンゾイル基、4-クロロベンゾイル基のようなハロゲノアリールカルボニル基;2,4,6-トリメチルベンゾイル基、4-トルオイル基のような炭素数1から6のアルキル基で置換されたアリールカルボニル基;4-アニソイル基のような炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたアリールカルボニル基;2-カルボキシベンゾイル基、3-カルボキシベンゾイル基、4-カルボキシベンゾイル基のようなカルボキシ化アリールカルボニル基;4-ニトロベンゾイル基、2-ニトロベンゾイル基のようなニトロ化アリールカルボニル基;2-(メトキシカルボニル)ベンゾイル基のような炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたカルボニル化アリールカルボニル基;4-フェニルベンゾイル基のようなアリール化アリールカルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書において、用語「アラルキル基」とは、芳香族炭化水素基(例えば、6~14員の単環式、二環式または三環式の芳香族炭化水素基を挙げられる)で置換された、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~4、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基をいう。具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、および2-ナフチルメチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
テトラヒドロピラニル基またはテトラヒドロチオピラニル基としては、より具体的には、テトラヒドロピラン-2-イル基、3-ブロモテトラヒドロピラン-2-イル基、4-メトキシテトラヒドロピラン-4-イル基、テトラヒドロチオピラン-4-イル基、4-メトキシテトラヒドロチオピラン-4-イル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
テトラヒドロフラニル基またはテトラヒドロチオフラニル基としては、より具体的には、テトラヒドロフラン-2-イル基、テトラヒドロチオフラン-2-イル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書において、用語「シリル基」の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、メチルジ-t-ブチルシリル基、トリイソプロピルシリル基のような炭素数1から6のアルキル基で置換されたシリル基;t-ブチルジフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、ブチルジフェニルブチルシリル基、ジフェニルイソプロピルシリル基、フェニルジイソプロピルシリル基のような1から2個のアリール基で置換された炭素数1から6の3つのアルキル基で置換されたシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書において、用語「炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたメチル基」としては、メトキシメチル基、1,1-ジメチル-1-メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、t-ブトキシメチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において、用語「炭素数1から6のアルコキシ基で置換された炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたメチル基」としては、2-メトキシエトキシメチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書において、用語「ハロゲン原子で置換された炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたメチル基」としては、2,2,2-トリクロロエトキシメチル基、ビス(2-クロロエトキシ)メチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書において、用語「炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたエチル基」としては、1-エトキシエチル基、1-(イソプロポキシ)エチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書において、用語「ハロゲン原子で置換されたエチル基」としては、2,2,2-トリクロロエチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書において、用語「1から3個のアリール基で置換されたメチル基」としては、ベンジル基、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、4,4’-ジメトキシトリチル基、4-メトキシトリチル基、トリチル基、α-ナフチルジフェニルメチル基、9-アンスリルメチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書において、用語「炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子および/またはシアノ基で置換された1から3個のアリール基で置換されたメチル基」としては、4-メチルベンジル基、2,4,6-トリメチルベンジル基、3,4,5-トリメチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-メトキシフェニルジフェニルメチル基、4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル基、2-ニトロベンジル基、4-ニトロベンジル基、4-クロロベンジル基、4-ブロモベンジル基、4-シアノベンジル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書において、用語「炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたカルボニル基」としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、Teoc基、Ceoc基、Fmoc基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書において、用語「ハロゲン原子、炭素数1から6のアルコキシ基および/またはニトロ基で置換されたアリール基」としては、4-クロロフェニル基、2-フロロフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-ニトロフェニル基、2,4-ジニトロフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書において、用語「ハロゲン原子および/または3個の炭素数1から6のアルキル基で置換されたシリル基で置換された炭素数1から6のアルコキシ基で置換されたカルボニル基」としては、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、2-トリメチルシリルエトキシカルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書において、用語「アルケニルオキシカルボニル基」としては、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書において、用語「炭素数1から6のアルコキシ基および/またはニトロ基で置換されたアリール基で置換されてもよいアラルキルオキシカルボニル基」としては、ベンジルオキシカルボニル基、4-メトキシベンジルオキシカルボニル基、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、2-ニトロベンジルオキシカルボニル基、4-ニトロベンジルオキシカルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書において、用語「不飽和ヘテロ環」とは、不飽和の脂肪族ヘテロ環式基または芳香族ヘテロ環式基を包含する。不飽和の脂肪族ヘテロ環式基とは、環内に少なくとも1個の二重結合を有し、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より独立して選ばれる同一もしくは異なる1~3の異項原子を含む、不飽和の脂肪族ヘテロ環式基をいい、好ましくは、環内に少なくとも1個の二重結合を有し、少なくとも1個の窒素原子を含み、さらに酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子からなる群より独立して選ばれる少なくとも1個(1~2個が好ましく(2個以上の場合は同一もしくは異なってもよい)、1個が特に好ましい)の異項原子を含んでいてもよい不飽和の脂肪族ヘテロ環式基をいう。該不飽和の脂肪族ヘテロ環式基は、例えば4から8員環であり、5から7員環が好ましく、5もしくは6員環がより好ましく、6員環が特に好ましい。具体例としては、ジヒドロピリミジニル基、ピロリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。また、芳香族ヘテロ環式基は、そのヘテロ環式部分としては、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より独立して選ばれる同一もしくは異なる1~3の異項原子を含む、芳香族ヘテロ環式基をいい、好ましくは少なくとも1個の窒素原子を含み、さらに酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子からなる群より独立して選ばれる少なくとも1個(1~2個が好ましく(2個以上の場合は同一もしくは異なってもよい)、1個が特に好ましい)の異項原子を含んでいてもよい芳香族ヘテロ環式基をいう。該芳香族ヘテロ環式基は、例えば4から8員環であり、5から7員環が好ましく、5もしくは6員環がより好ましく、6員環が特に好ましい。具体例としては、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましくはピリミジニル基である。該不飽和ヘテロ環は、適宜、置換基で置換されていてもよく、該置換基としては例えば、置換されてもよいC1-6アルキル基、置換されてもよいC2-6アルケニル基、置換されてもよいC2-6アルキニル基、置換されてもよいアミノ基、置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、またはハロゲン原子を挙げられ、好ましくは置換されてもよいC1-6アルキル基、オキソ基、またはチオキソ基などが挙げられるが、これらに限定されない
【0052】
該不飽和ヘテロ環は、さらに別の環と縮合してもよい。当該縮合し得る別の環としては、飽和もしくは不飽和非芳香族の炭素環、芳香族炭素環、飽和もしくは不飽和非芳香族のヘテロ環、または芳香族ヘテロ環を挙げられるが、芳香族環または芳香族ヘテロ環が好ましい。飽和炭素環とは、環を形成するアルカンをいい、例えば前記炭素数3から6のシクロアルカンを意味する。不飽和非芳香族の非芳香族炭素環とは、環を形成するアルケンをいい、例えば前記炭素数3から6の環状アルケンを意味する。芳香族炭素環(アリールとも呼称する)とは、例えば6~14員環の単環式、二環式または三環式の芳香族炭化水素基を包含し、具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレンまたはアンスレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。飽和もしくは不飽和非芳香族のヘテロ環とは、環内に少なくとも1個の二重結合を有してもよい、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より独立して選ばれる1~3の異項原子を含む、飽和の5~14員環の単環式または二環式の非芳香族ヘテロ環をいう。具体例としては、アゼチジン、ピロリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ホモピペリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロチエン、ジヒドロチエン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、インドリン、イソインドリン、クロマン、イソクロマン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロフロピリジン及びジヒドロベンゾチエンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
また、「環A」としての「置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環」における5から7員環の不飽和ヘテロ環は、二つ以上の窒素原子を含み、かつ一つ以上の酸素原子が置換されていれば、本明細書で記載する用語「置換基を有してもよい核酸の塩基部分」における核酸の塩基部分であってもよい。天然の核酸塩基、並びに非天然の核酸塩基由来の環部分であってもよく、例えばアデニン、グアニン由来のプリン環もしくはその誘導体、またはウラシル、シトシン、チミン由来のピリミジンのモノ若しくはジオン環またはその誘導体が挙げられ、好ましくはチミニルまたはウラシニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。置換基としては、前記不飽和ヘテロ環の定義の場合と同義である。環Aの好ましい置換基としては、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子であるが、これに限定されない。
【0054】
本明細書における不飽和ヘテロ環である「環A’」は、テトラヒドロフラン環、オキサゾリジン環と縮合し、多環構造を形成する。環A’は二つ以上の窒素原子を含む不飽和ヘテロ環であれば特に限定されないが、「置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環」であることが好ましい。該不飽和ヘテロ環は、さらに別の環と縮合してもよい。環A’の好ましい置換基としては、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子であるが、これに限定されない。
【0055】
本明細書の製造方法において環Aが水酸基の活性化剤を用いた反応により環A’に変化する場合、または環A’が還元剤を用いた反応により、縮合するオキサゾリジン環が開裂して環Aに変化する場合、2つの窒素原子を結合する構造非限定の部分は環Aと環A’とで一致する。環Aは二つ以上の窒素原子を含む不飽和ヘテロ環であれば特に限定されないが、置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であることが好ましく、置換されてもよいピリミジン環であることがより好ましく、チミニルまたはウラシニルであることが最も好ましい。該不飽和ヘテロ環は、さらに別の環と縮合してもよい。
【0056】
本明細書において、用語「置換基を有してもよい核酸の塩基部分」における「核酸の塩基部分」とは、天然の核酸の塩基部分、及び非天然の核酸の塩基部分を含み、芳香族ヘテロ環式基を含み、例えば、単環基、二環基、三環基などを包含する。当該分野の当業者にとって、これまで「非天然」であると考えられてきた様々な核酸の塩基部分がその後に天然において見出されることは、明らかであるべきである。従って、「核酸の塩基部分」とは、公知のプリンおよびピリミジンのヘテロ環だけでなく、そのヘテロ環アナログおよび互変異性体を含む。核酸の塩基部分の具体例としては、アデニニル、グアニニル、チミニル、シトシニル、ウラシニル、プリニル、キサンチニル、ジアミノプリニル、8-オキソ-N-メチルアデニニル、7-デアザキサンチニル、7-デアザグアニニル、N,N-エタノシトシニル、N,N-エタノ-2,6-ジアミノプリニル、5-メチルシトシニル、5-(C~C)-アルキニルシトシニル、5-フルオロシトシニル、5-ブロモウラシニル、シュードイソシトシニル、2-ヒドロキシ-5-メチル-4-トリアゾロピリジニル、イソシトシニル、イソグアニニル、イノシニル、N-アリルプリニル、N-アシルプリニル、N-ベンジルプリニル、N-ハロプリニル、N-ビニルプリニル、N-アセチレン性プリニル、N-アシルプリニル、N-ヒドロキシアルキルプリニル、N-チオアルキルプリニル、N-アルキルプリニル、N-アルキルピリミジニル、N-アシルピリミジニル、N-ベンジルプリニル、N-ハロピリミジニル、N-ビニルピリミジニル、N-アセレン性ピリミジニル、N-アセチルピリミジニル、N-ヒドロキシアルキルピリミジニル、N-チオアルキルピリミジニル、6-アザピリミジニル、6-アザシトシニル、2-および/または4-メルカプトピリミジニル、ウラシニル、C-アルキルピリミジニル、C-ベンジルピリミジニル、C-ハロピリミジニル、C-ビニルピリミジニル、C-アセチレン性ピリミジニル、C-アシルピリミジニル、C-ヒドロキシアルキルプリニル、C-アミドピリミジニル、C-シアノピリミジニル、C-ニトロピリミジニル、C-アミノピリミジニル、N-アルキルプリニル、N-アルキル-6-チオプリニル、5-シチジニル、5-アザウラシニル、トラゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびピラゾロピリミジニルなどを挙げられるが、これらに限定されない。好ましい核酸の塩基部分としては例えば、アデニニル、グアニニル、2,6-ジアミノプリニル、チミニル、2-チオチミニル、シトシニル、5-メチルシトシニル、ウラシニル、5-フルオロシトシニル、キサンチニル、6-アミノプリニル、2-アミノプリニル、6-クロロ-2-アミノ-プリニル、および6-クロロプリニルが挙げられ、特に好ましい核酸塩基部分としては例えば、アデニニル、グアニニル、シトシニル、5-メチルシトシニル、チミニルまたはウラシニルが挙げられる。これらの核酸の塩基部分は、さらに1つ以上の置換基を有していてもよく、置換基としては、水酸基、C1-6のアルコキシ基、メル力プ卜基、C1-6のアルキルチオ基、アミノ基、C1-6のアルキル基で置換されたアミノ基、C1-6のアルキル基、C1-6のアルキニル基および、オキソ基、チオキソ基、ハロゲン原子が挙げられる。該塩基部分上の官能性の酸素、硫黄および窒素基は、必要ならばまたは所望するならば、保護しおよび/または脱保護することができる。適当な保護基は当該分野の当業者にとってよく知られており、例えば、前記した水酸基の保護基、アミノ基の保護基を含み、ジフェニルアミノカルボニル基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、ジメチルへキシルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、およびt-ブチルジフェニルシリル基)、トリチル基、アルキル基、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、ベンゾイル(Bz)基、フェノキシアセチル(Pac)基)、アルコキシカルボニル基(例えば、t-ブトキシカルボニル(Boc)基、ベンジロキシカルボニル(Cbz)基、ジフェニルアミノカルボニル(DPC)基、シアノエトキシカルボニル(Ceoc)基)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、およびp-トルエンスルホニル基)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本発明において「アジド化剤」とは、アジド基を付加する試薬であり、例えばアジ化水素酸、アジ化ナトリウム、アジ化リチウム、テトラブチルアンモニウムアジド(nBuNN)、トリメチルシリルアジド、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、ニコチニルアジド、アジ化亜鉛(Zn(N)が好ましく、テトラブチルアンモニウムアジド、アジ化ナトリウム、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)がより好ましい。
【0058】
本発明において「水酸基の活性化剤」とは、無保護の水酸基を活性化し脱離能を高める試薬であり、例えばメタンスルホニル化剤、トリフルオロメタンスルホニル化剤、エタンスルホニル化剤、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル化剤、プロパンスルホニル化剤、イソ-プロパンスルオニル化剤、ブタンスルホニル化剤、ノナフルオロブタンスルホニル化剤、ヘプタフルオロプロパン-1-スルホニル化剤、ペンタンスルホニル化剤、ペンタフルオロエタンスルホニル化剤、シクロペンタンスルホニル化剤、ヘキサンスルホニル化剤、シクロヘキサンスルホニル化剤、o-トルエンスルホニル化剤、m-トルエンスルホニル化剤、p-トルエンスルホニル化剤、ベンゼンスルホニル化剤、o-ブロモベンゼンスルホニル化剤、m-ブロモベンゼンスルホニル化剤、p-ブロモベンゼンスルホニル化剤、o-ニトロベンゼンスルホニル化剤、m-ニトロベンゼンスルホニル化剤、およびp-ニトロベンゼンスルホニル化剤が挙げられ、具体的にはメタンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、エタンスルホニルクロリド、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニルクロリド、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニルフルオリド、プロパンスルホニルクロリド、プロパンスルホニルフルオリド、イソプロピルスルオニルクロリド、イソプロピルスルホニルフルオリド、ブタンスルホニルクロリド、ブタンスルホニルフルオリド、ノナフルオロブタンスルホニルクロリド、ノナフルオロブタンスルホニルフルオリド、ノナフルオロブタンスルホン酸無水物、ヘプタフルオロプロパン-1-スルホニルクロリド、ヘプタフルオロプロパン-1-スルホニルフルオリド、ペンタンスルホニルクロリド、ペンタンスルホニルフルオリド、ペンタフルオロエタンスルホニルクロリド、ペンタフルオロエタンスルホニルフルオリド、シクロペンタンスルホニルクロリド、シクロペンタンスルホニルフルオリド、ヘキサンスルホニルクロリド、ヘキサンスルホニルフルオリド、シクロヘキサンスルホニルクロリド、シクロヘキサンスルホニルフルオリド、o-トルエンスルホニルクロリド、o-トルエンスルホニルフルオリド、m-トルエンスルホニルクロリド、m-トルエンスルホニルフルオリド、p-トルエンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルフルオリド、ベンゼンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルフルオリド、o-ブロモベンゼンスルホニルクロリド、o-ブロモベンゼンスルホニルフルオリド、m-ブロモベンゼンスルホニルクロリド、m-ブロモベンゼンスルホニルフルオリド、p-ブロモベンゼンスルホニルクロリド、p-ブロモベンゼンスルホニルフルオリド、o-ニトロベンゼンスルホニルクロリド、o-ニトロベンゼンスルホニルフルオリド、m-ニトロベンゼンスルホニルクロリド、m-ニトロベンゼンスルホニルフルオリド、p-ニトロベンゼンスルホニルクロリド、およびp-ニトロベンゼンスルホニルフルオリドなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、メタンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホン酸クロリド、ノナフルオロ-1-ブタンスルホニルフルオリド、ヘプタフルオロプロパン-1-スルホニルフルオリド、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニルクロリド、ペンタフルオロエタンスルホニルクロリドが好ましく、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、メタンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホニルクロリドがより好ましい。
【0059】
本発明において「還元剤」とは、例えばトリアルキルホスフィンやトリアリールホスフィンなどのホスフィン類、金属ヒドリド類、水素ガス等の存在下での遷移金属触媒が好ましく、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、リチウムアルミニウムヒドリド、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ニッケル、水素ガス存在下でのパラジウムカーボンまたは水素ガス存在下での水酸化パラジウムがより好ましい。
【0060】
「ホスホラミダイト法」とはホスホラミダイトであるヌクレオチドモノマーを用いた核酸の固相合成法であり、例えば、ヌクレオチドの5’水酸基または3’水酸基、核酸の塩基部分のアミノ基、さらにRNAの場合は2’水酸基が保護されたホスホラミダイトモノマーを、テトラゾール系化合物、イミダゾール系化合物などを用いてカップリングさせ、後に酸化または酸化的硫化することでホスホロジエステル結合を形成する工程を含むものである。本発明において「ホスホラミダイト法」は少なくとも1種類の架橋型核酸であるホスホラミダイトモノマーを使用することが好ましく、架橋型核酸がGuNAであることがより好ましい。
【0061】
本発明において「環AをBに置換」とは核酸の糖部分に結合する環Aを糖部分から解離させ、1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であるBに置き換えること(トランスグリコシル化)を意味する。核酸の糖部分に結合した環Aをルイス酸で処理することにより解離させ、環Aが解離した核酸の糖部分にBを結合する。解離に用いるルイス酸としては例えばTMSOTf、TBSOTfなどが挙げられるが、これらに限定されない。トランスグリコシル化の反応を促進するためにシリル化剤を使用することができる。シリル化剤としては、例えばBSA、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられるが、これらに限定されない。このトランスグリコシル化の反応は一工程で行われることが好ましい。
【0062】
トランスグリコシル化反応において、Bは置換できる態様であればいかなる反応物で提供されてもよく、該反応物は「核酸塩基」であることが好ましい。「核酸塩基」とは、公知のプリンおよびピリミジンのヘテロ環だけでなく、そのヘテロ環アナログおよび互変異性体を含む。核酸塩基の具体例としては、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、プリン、キサンチン、ジアミノプリン、8-オキソ-N-メチルアデニン、7-デアザキサンチン、7-デアザグアニン、N,N-エタノシトシン、N,N-エタノ-2,6-ジアミノプリン、5-メチルシトシン、5-(C~C)-アルキニルシトシン、5-フルオロシトシン、5-ブロモウラシル、シュードイソシトシン、2-ヒドロキシ-5-メチル-4-トリアゾロピリジン、イソシトシン、イソグアニン、イノシン、N-アリルプリン、N-アシルプリン、N-ベンジルプリン、N-ハロプリン、N-ビニルプリン、N-アセチレン性プリン、N-アシルプリン、N-ヒドロキシアルキルプリン、N-チオアルキルプリン、N-アルキルプリン、N-アルキルピリミジン、N-アシルピリミジン、N-ベンジルプリン、N-ハロピリミジン、N-ビニルピリミジン、N-アセレン性ピリミジン、N-アセチルピリミジン、N-ヒドロキシアルキルピリミジン、N-チオアルキルピリミジン、6-アザピリミジン、6-アザシトシン、2-および/または4-メルカプトピリミジン、ウラシル、C-アルキルピリミジン、C-ベンジルピリミジン、C-ハロピリミジン、C-ビニルピリミジン、C-アセチレン性ピリミジン、C-アシルピリミジン、C-ヒドロキシアルキルプリン、C-アミドピリミジン、C-シアノピリミジン、C-ニトロピリミジン、C-アミノピリミジン、N-アルキルプリン、N-アルキル-6-チオプリン、5-アザウラシル、トラゾロピリジン、イミダゾロピリジン、ピロロピリミジン、およびピラゾロピリミジンなどを挙げられるが、これらに限定されない。好ましい核酸塩基としては例えば、アデニン、グアニン、2,6-ジアミノプリン、チミン、2-チオチミン、シトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、5-フルオロシトシン、キサンチン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、6-クロロ-2-アミノ-プリン、および6-クロロプリンが挙げられ、特に好ましい核酸塩基としては例えば、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミンまたはウラシルが挙げられる。これらの核酸塩基は、さらに1つ以上の置換基を有していてもよく、置換基としては、水酸基、C1-6のアルコキシ基、メル力プ卜基、C1-6のアルキルチオ基、アミノ基、C1-6のアルキル基で置換されたアミノ基、C1-6のアルキル基、C1-6のアルキニル基および、オキソ基、チオキソ基、ハロゲン原子が挙げられる。該核酸塩基上の官能性の酸素、硫黄および窒素基は、必要ならばまたは所望するならば、保護しおよび/または脱保護することができる。適当な保護基は当該分野の当業者にとってよく知られており、例えば、前記した水酸基の保護基、アミノ基の保護基を含み、ジフェニルアミノカルボニル基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、ジメチルへキシルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、およびt-ブチルジフェニルシリル基)、トリチル基、アルキル基、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、ベンゾイル基(Bz)、フェノキシアセチル基(Pac))、アルコキシカルボニル基(例えば、t-ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンジロキシカルボニル基(Cbz)、ジフェニルアミノカルボニル基(DPC)、シアノエトキシカルボニル基(Ceoc))、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、およびp-トルエンスルホニル基)などが挙げられるが、これらに限定されない。これら核酸塩基は、商業的に入手することができ、あるいは商業的に入手可能な出発原料を用いて有機合成的な手法により製造することができる。
【0063】
本明細書において、用語「β体」とは、核酸の(デオキシ)リボース部位の1’位に置換した核酸の塩基部分が置換する方向と、核酸の(デオキシ)リボース4’位に置換した5’位側鎖が置換する方向が同一の方向に置換された立体化学を持つものをいう。架橋型人工核酸2’,4’-LNAの場合、核酸の(デオキシ)リボース部位の1’位に置換した核酸の塩基部分が置換する方向と、核酸の(デオキシ)リボース4’位に置換した架橋には用いられていない5’位側鎖が置換する方向が同一の方向に置換された立体配置を持つ化合物をいう。なお、用語「α体」とは核酸のリボース部位の1’位に置換した核酸の塩基部分が置換する方向と、核酸のリボース4’位に置換した5’位側鎖が置換する方向が異なった方向に置換された立体化学を持つものをいう。
【0064】
本明細書において用語「β選択的」とはβ体を選択的に得ることができることをいう。好ましくは、トランスグリコシル化により得られる生成物のα体とβ体の合計含有量に対するβ体の含有量が80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは99%以上に選択的に得られることをいう。
【0065】
本明細書において、用語「人工核酸」とは、人工ヌクレオシド、人工ヌクレオチド(本明細書では1個のヌクレオシドまたはヌクレオチドをモノマーと記載する場合もある。)、または人工オリゴヌクレオチドを包含する。これらの人工核酸は天然の核酸ではなく、かつ人為的にのみ製造することができる核酸である。これらの人工核酸には核酸塩基部分が非天然の塩基を有するもの、糖部分が修飾された糖を有するもの、及び/またはリン酸部分が非天然のリン酸基を有するものがあげられるが、本発明では糖部分が非天然の糖を有するもの、特に2’位と4’位の炭素原子が架橋されている(デオキシ)リボースを有するものをいう。
【0066】
本明細書において、用語「人工オリゴヌクレオチド」とは、同一または異なる「人工ヌクレオチド」がリン酸ジエステル結合やチオリン酸ジエステル結合等で2個以上結合したものをいい、好ましくは2から100個までの、より好ましくは5から50個までの、最も好ましくは10から30個までの人工ヌクレオチドが結合したもの、またはこれらの相補鎖と2重鎖を形成したものをいう。本明細書では2個以上のヌクレオチドが結合したオリゴヌクレオチドをオリゴマーと記載する場合もある。
【0067】
本発明の製造方法および化合物(中間体を含む)の態様について記載する。
【0068】
一般式Iで表される化合物の製造方法
一態様において、一般式I:
【化55】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式II:
【化56】
[式中、R、R、R、R、R、R及びmは各々一般式Iのものと同じ意味を示し、環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物に還元剤を反応させ、環A’に縮合するオキサゾリジン環を開裂させる工程を含む、製造方法を提供する。
【0069】
一実施態様において、当該還元剤はホスフィン類が好ましく、トリフェニルホスフィン(PhP)がより好ましい。
【0070】
一態様において、一般式I:
【化57】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。ここで、m=1もしくは2であり、かつR、R、R及びRが水素原子である場合、またはm=1であり、かつRもしくRがメチル基で、R及びRが水素原子である場合、環Aはチミニルでないことが好ましい。]
で表される化合物またはその塩が、新規な中間体化合物として挙げられる。
【0071】
一実施態様において、上記一般式I中、R及びRが各々独立してベンジル(Bn)基、2-ナフチルメチル基、4-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、2,6-ジメトキシベンジル基またはp-フェニルベンジル基であり、R、R、R及びRが各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、そして環Aが、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環が別の環と縮合して環Aを形成してもよい、で表される化合物またはその塩が、挙げられる。
【0072】
一実施態様において、一般式Iで表される化合物またはその塩は、一般式I-a:
【化58】
で表される化合物またはその塩であることが好ましい(式中、R、R、R、R、R、R、m及び環Aは、一般式Iと同義である。ここで、m=1もしくは2であり、かつR、R、R及びRが水素原子である場合、またはm=1であり、かつRもしくRがメチル基で、R及びRが水素原子である場合、環Aはチミニルでないことが好ましい。)。
【0073】
一実施態様において、一般式I(一般式I-a)中、R及びRが各々独立して水酸基の保護基である場合、1から3個のアリール基で置換されたメチル基が挙げられ、例えばベンジル(Bn)基、2-ナフチルメチル基、p-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、2,6-ジメトキシベンジル基およびp-フェニルベンジル基が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
【0074】
一実施態様において、一般式I(一般式I-a)中、R、R、R及びRは各々独立して水素原子であることが好ましい。
【0075】
一実施態様において、一般式I(一般式I-a)中、R、R、R及びRが1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基である場合、当該C1-6アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。当該置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一または異なる1つ以上(または1~3個が好ましい)の基が挙げられる。
【0076】
一実施態様において、一般式I(一般式I-a)中、環Aは、6員環の不飽和ヘテロ環が好ましく、環Aの置換基としては、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、ハロゲン原子およびオキソ基からなる群から選ばれる1つ以上(好ましくは2もしくは3個)の置換基が挙げられる。環Aは、チミニルまたはウラシニルであることがより好ましい。当該置換基としてはメチル基、ハロゲン原子(フルオロ原子、クロロ原子、ブロモ原子など)が好ましい。
【0077】
一実施態様において、一般式Iで表される化合物またはその塩は、前記一般式I(好ましくは、一般式I-a)中、R及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルであり、環A’が下記構造式II-1またはII-2:
【化59】
である、化合物またはその塩であることが特に好ましい。
ここで、以下本明細書において、構造式II-1またはII-2中の波線:
【化60】
は、縮合しているテトラヒドロフラン環またはオキサゾリジン環の分子の残部との結合点を示す。
【0078】
一実施態様において、好ましい一般式IIで表される化合物またはその塩は、一般式II中、R、R、R、R、R及びRが一般式I(一般式I-a)のものと同じ意味を示し、環A’が該製造方法の還元反応の工程により、環A’に縮合するオキサゾリジン環が開裂して一般式Iの環Aを形成する、二つ以上の窒素原子を含み、かつ一つ以上の酸素原子が置換されている不飽和ヘテロ環を意味する化合物またはその塩である。
【0079】
一般式IIで表される化合物の製造方法
一態様において、一般式II:
【化61】
[式中、R、R、R、R、R、R及びmは各々一般式Iのものと同じ意味を示し、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式III:
【化62】
[式中、R、R、R、R、R、R、m、そして環A’は各々一般式IIのものと同じ意味を示す。]
で表される化合物にアジド化剤を反応させる工程を含む、製造方法を提供する。
【0080】
一実施態様において、当該アジド化剤はアジ化水素酸、アジ化ナトリウム、アジ化リチウム、テトラブチルアンモニウムアジド(nBuNN)、トリメチルシリルアジド、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、ニコチニルアジド、アジ化亜鉛(Zn(N)が好ましく、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)がより好ましい。
【0081】
一態様において、一般式II:
【化63】
[式中、R及びRは独立して水酸基の保護基であり、mは1~3の整数であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩が、新規な中間体化合物として挙げられる。
【0082】
一実施態様において、一般式IIで表される化合物またはその塩は、一般式II-a:
【化64】
で表される化合物またはその塩であることが好ましい(式中、R、R、R、R、R、R、m、そして環A’は各々一般式IIと同義である。)。
【0083】
一実施態様において、一般式II(一般式II-a)中、R及びRが各々独立して水酸基の保護基である場合、1から3個のアリール基で置換されたメチル基が挙げられ、例えばベンジル基、2-ナフチルメチル基、4-メトキシベンジル基が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
【0084】
一実施態様において、一般式II(一般式II-a)中、R、R、R及びRは各々独立して水素原子であることが好ましい。
【0085】
一実施態様において、一般式II(一般式II-a)中、R、R、R及びRが1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基である場合、当該C1-6アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。当該置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一または異なる1つ以上(または1~3個が好ましい)の基が挙げられる。
【0086】
一実施態様において、一般式II(一般式II-a)中、環A’は、6員環の不飽和ヘテロ環が好ましく、さらに環A’は前記構造式II-1またはII-2で表される構造であることがより好ましい。環A’の置換基としては、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、ハロゲン原子およびオキソ基からなる群から選ばれる1つ以上(好ましくは2もしくは3個)の置換基が好ましく、当該置換基としてはメチル基、ハロゲン原子(フルオロ原子、クロロ原子、ブロモ原子など)がより好ましい。
【0087】
一実施態様において、一般式IIで表される化合物またはその塩は、前記一般式II(好ましくは、一般式II-aで表される化合物またはその塩、より好ましくは環A’が前記一般式II-1または一般式II-2の構造を有する前記一般式II又は一般式II-aで表される化合物またはその塩である。)中、R及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、環A’が下記一般式II-1またはII-2である、化合物またはその塩であることが特に好ましい。
【0088】
一態様において、一般式III:
【化65】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして、環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩が、中間体化合物として挙げられる。
【0089】
一実施態様において、一般式IIIで表される化合物またはその塩は、一般式III-a:
【化66】
で表される化合物またはその塩であることが好ましい(式中、R、R、R、R、R、R、m、そして環A’は各々一般式IIIと同義である。)。
【0090】
一実施態様において、好ましい一般式III(または一般式III-a)で表される化合物またはその塩は、前記一般式III(または前記一般式III-a)中、R、R、R、R、R、R及び環A’が一般式II(または一般式II-a)のものと同じ意味を示し、例えば前記一般式II-1またはII-2である化合物またはその塩である。
【0091】
一般式IVで表される化合物の製造方法
一態様において、一般式IV:
【化67】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Xは脱離基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式V:
【化68】
[式中、R、R、R、R、R、R、m及びXは各々一般式IVのものと同じ意味を示し、そして環Aは1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させて、一般式V中のテトラヒドロフラン環に置換している無保護の水酸基を活性化する工程を含む製造方法を提供する。
【0092】
一実施態様において、当該水酸基の活性化剤はトリフルオロメタンスルホニル化剤またはメタンスルホニル化剤が好ましく、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、またはトリフルオロメタンスルホン酸無水物がより好ましく、トリフルオロメタンスルホニルクロリドが特に好ましい。
【0093】
一態様において、一般式IV:
【化69】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Xは脱離基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩が、中間体化合物として挙げられる。
【0094】
一実施態様において、一般式IVで表される化合物またはその塩は、一般式IV-a:
【化70】
で表される化合物またはその塩であることが好ましい(式中、R、R、R、R、R、R、X、m、及び環A’は各々一般式IVと同義である。)。
【0095】
一実施態様において、一般式IVで表される化合物またはその塩は、前記一般式IV(好ましくは、一般式IV-a)中、R、Rが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、そして環A’が前記一般式II-1またはII-2で表される環A’であることがより好ましく、さらに環A’は1つ以上の置換基を有してもよく、当該置換基としてはメチル基、ハロゲン原子(フルオロ原子、クロロ原子、ブロモ原子など)が好ましい。
【0096】
一実施態様において、一般式IV(一般式IV-a)中、Xとしての脱離基は、メシルオキシ(Ms-O-)基が好ましい。
【0097】
一態様において、一般式V:
【化71】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Xは脱離基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩が新規な中間体化合物として挙げられる。
【0098】
一実施態様において、一般式Vで表される化合物またはその塩は、一般式V-a:
【化72】
で表される化合物またはその塩であることが好ましい(式中、R、R、R、R、R、R、X、m、及び環Aは各々一般式Vと同義である。)。
【0099】
一実施態様において、一般式V(一般式V-a)中、R及びRが各々独立して水酸基の保護基である場合、1から3個のアリール基で置換されたメチル基が挙げられ、例えばベンジル基、2-ナフチルメチル基、4-メトキシベンジル基が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
【0100】
一実施態様において、一般式V(一般式V-a)中、R、R、R及びRは各々独立して水素原子であることがより好ましい。
【0101】
一実施態様において、一般式V(一般式V-a)中、R、R、R及びRが1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基である場合、当該C1-6アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。当該置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一または異なる1つ以上(または1~3個が好ましい)の基が挙げられる。
【0102】
一実施態様において、一般式V(一般式V-a)中、Xとしての脱離基は、メシルオキシ(Ms-O-)基が好ましい。
【0103】
一実施態様において、一般式V(一般式V-a)中、環Aは、6員環の不飽和ヘテロ環が好ましく、環Aの置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、ハロゲン原子およびオキソ基からなる群から選ばれる1つ以上(好ましくは2もしくは3個)の置換基が挙げられる。環Aは、チミニルまたはウラシニルであることがより好ましい。当該置換基としてはメチル基、ハロゲン原子(フルオロ原子、クロロ原子、ブロモ原子など)が好ましい。
【0104】
一実施態様において、一般式Vで表される化合物またはその塩は、前記一般式V(好ましくは、一般式V-a)中、R及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである、化合物またはその塩であることが特に好ましい。
【0105】
一般式IIで表される化合物の別製造方法
【0106】
一実施態様において、一般式II:
【化73】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式IV:
【化74】
[式中、Xは脱離基であり、R、R、R、R、R、R、m及び環A’は各々一般式IIのものと同じ意味を示す]
で表される化合物にアジド化剤を反応させる工程を含む、製造方法を提供する。
【0107】
一実施態様において、当該アジド化剤はnBuNNまたはアジ化ナトリウムが好ましい。
【0108】
一実施態様において、好ましい一般式IIで表される化合物またはその塩、および一般式IVで表される化合物またはその塩はそれぞれ、本明細書中他所で記載する通りである。
【0109】
一実施態様において、前記一般式IIで示される化合物またはその塩の製造法において、R及びRが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、Xがメシルオキシ(Ms-O-)基であり、環A’が前記一般式II-1またはII-2であり、そしてアジド化剤がnBuNNまたはアジ化ナトリウムである、ことが好ましい。
【0110】
一般式IIで表される化合物のさらに別製造方法
一態様において、一般式II:
【化75】
[式中、R及びRは各々独立して水酸基の保護基であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、mは1~3の整数であり、そして環A’は、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環A’を形成してもよい。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式VI:
【化76】
[式中、R、R、R、R、R、R及びmは各々一般式IIのものと同じ意味を示し、そして環Aは1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させて、一般式VI中のテトラヒドロフラン環に置換している無保護の水酸基を活性化する工程を含む、製造方法、を提供する。
【0111】
一実施態様において、当該水酸基の活性化剤はトリフルオロメタンスルホニル化剤またはメタンスルホニル化剤が好ましく、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、またはトリフルオロメタンスルホン酸無水物がより好ましく、トリフルオロメタンスルホニルクロリドが特に好ましい。
【0112】
一実施態様において、好ましい一般式IIで表される化合物またはその塩は、本明細書中他所で記載する通りである。
【0113】
一実施態様において、前記一般式IIで示される化合物またはその塩の製造法において、R、Rが各々Bn基であり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、環Aがチミニルまたはウラシニルであり、環A’が、前記一般式II-1またはII-2であり、そして水酸基の活性化剤がトリフルオロメタンスルホニルクロリドである、ことが好ましい。
【0114】
一実施態様において、好ましい一般式VIで表される化合物またはその塩は、一般式VI-a:
【化77】
であることが好ましい。
【0115】
一実施態様において、好ましい一般式VI(一般式VI-a)で表される化合物またはその塩は、一般式VI中、R及びRがBn基、R、R、R及びRが水素原子であり、環Aがチミニルまたはウラシニルである化合物またはその塩である。
【0116】
一実施態様において、好ましい一般式IIで表される化合物またはその塩は、本明細書中他所で記載する通りである。
【0117】
一般式VIIIで表される化合物の製造方法
一態様において、一般式VIII:
【化78】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、R12及びR13は各々独立して水素原子または水酸基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩を製造する方法であって、
一般式IX:
【化79】
[式中、R、R、R、R及びmは各々一般式VIIIのものと同じ意味であり、R14及びR15は各々独立して水素原子または水酸基の保護基であり、そして環Aは1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。]
で表される化合物の環AをBに置換する工程を含む、製造方法、を提供する。
【0118】
一実施態様において、環Aの置換反応(トランスグリコシル化)に使用するルイス酸はTMSOTfが好ましい。また置換反応を促進するためにシリル化剤を使用してもよく、当該シリル化剤はBSAが好ましい。
【0119】
一態様において、一般式VIII:
【化80】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、R12及びR13は各々独立して水素原子または水酸基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。ここで、m=1もしくは2であり、かつR、R、R及びRが水素原子である場合、またはm=1であり、かつRもしくRがメチル基で、R及びRが水素原子である場合、環Aはチミニルでないことが好ましい。]
で表される化合物またはその塩が、新規な中間体化合物として挙げられる。
【0120】
一実施態様において、一般式VIIIで表される化合物またはその塩は、一般式VIII-a:
【化81】
で表される化合物またはその塩であることが好ましい。ここで、m=1もしくは2であり、かつR、R、R及びRが水素原子である場合、またはm=1であり、かつRもしくRがメチル基で、R及びRが水素原子である場合、環Aはチミニルでないことが好ましい。
【0121】
一実施態様において、一般式VIII(一般式VIII-a)中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R、R、R、Rは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、そしてR12はBn基、DMTr基、またはTMS基であり、R13はBn基、水素原子、またはTMS基である、で表される化合物またはその塩が挙げられる。
【0122】
一実施態様において、一般式VIII(一般式VIII-a)中、R、R、R及びRは各々独立して水素原子であることがより好ましい。
【0123】
一実施態様において、一般式VIII(一般式VIII-a)中、R、R、R及びRが1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基である場合、当該C1-6アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。当該置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一または異なる1つ以上(または1~3個が好ましい)の基が挙げられる。
【0124】
一実施態様において、一般式VIII(一般式VIII-a)中、Bは核酸の塩基部分であり、天然の核酸の塩基部分、並びに非天然の核酸の塩基部分が好ましく、アデニン、グアニン由来のプリン環もしくはその誘導体、またはウラシル、シトシン、チミン由来のピリミジンのモノ若しくはジオン環またはその誘導体がより好ましく、アデニニル、グアニニル、シトシニル、5-メチルシトシニル、チミニルまたはウラシニルが特に好ましい。当該核酸の塩基部分は1つ以上の置換基を有してもよく、好ましい当該置換基としては水酸基、C1-6アルコキシ基、メルカプト基、C1-6アルキルチオ基、アミノ基、C1-6アルキル基で置換されたアミノ基、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基および、オキソ基、チオキソ基、ハロゲン原子が好ましく、C1-6アルキル基、およびオキソ基からなる群から選ばれる1つ以上(好ましくは2もしくは3個)の置換基がより好ましい。当該核酸の塩基部分の水酸基やアミノ基、チオール基は保護されていてもよく、当該保護基としては、核酸合成において通常用いる水酸基の保護基およびアミノ基の保護基が好ましく、アセチル基、フェノキシアセチル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、シアノエトキシカルボニル基、ジフェニルアミノカルボニル基がより好ましく、イソブチリル基、ベンゾイル基、ジフェニルアミノカルボニル基が特に好ましい。
【0125】
一実施態様において、一般式VIIIで表される化合物またはその塩は、前記一般式VIII(好ましくは、一般式VIII-a)中、Bが1つ以上の置換基で置換されてもよいアデニニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいグアニニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいシトシニル、1つ以上の置換基で置換されてもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいチミニルまたは1つ以上の置換基で置換されてもよいウラシニルであり、R、R、R、Rが各々水素原子であり、そしてR12、R13がすべてBn基である、化合物またはその塩であることが特に好ましい。
【0126】
一実施態様において、一般式VIIIで表される化合物またはその塩は、前記一般式VIII(好ましくは、一般式VIII-a)中、Bが1つ以上の置換基で置換されてもよいアデニニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいグアニニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいシトシニル、1つ以上の置換基で置換されてもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいチミニルまたは1つ以上の置換基で置換されてもよいウラシニルであり、R、R、R、Rが各々水素原子であり、R12がDMTr基であり、そしてR13が水素原子である、化合物またはその塩であることが特に好ましい。
【0127】
一態様において、一般式IX:
【化82】
[式中、R、R、R、Rは各々一般式VIIIのものと同じ意味であり、R14、R15は各々独立して水素原子または水酸基の保護基であり、mは1~3の整数であり、そして環Aは1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルケニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいC2-6アルキニル基、1つ以上の置換基で置換されてもよいアミノ基、1つ以上の置換基で置換されてもよい水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1つ以上の置換基で置換されてもよい5から7員環の不飽和ヘテロ環であり、さらに該不飽和ヘテロ環は別の環と縮合して環Aを形成してもよい。ここで、m=1もしくは2であり、かつR、R、R及びRが水素原子である場合、またはm=1であり、かつRもしくRがメチル基で、R及びRが水素原子である場合、環Aはチミニルでないことが好ましい。]
で表される化合物またはその塩が、新規な中間体化合物として挙げられる。
【0128】
一実施態様において、一般式IXで表される化合物またはその塩は、一般式IX-a:
【化83】
で表される化合物またはその塩であることが好ましい(式中、R、R、R、R、R14、R15、m及び環Aは各々一般式IXと同義である。ここで、m=1もしくは2であり、かつR、R、R及びRが水素原子である場合、またはm=1であり、かつRもしくRがメチル基で、R及びRが水素原子である場合、環Aはチミニルでないことが好ましい)。
【0129】
一実施態様において、一般式IX(一般式IX-a)中、R、R、R及びRは一般式VIII(一般式VIII-a)中の定義と同義である。
【0130】
一実施態様において、一般式IX(一般式IX-a)中、R15が水酸基の保護基であるとき、該水酸基の保護基は、一般式Iで定義する基と同義であることが好ましい。
【0131】
一実施態様において、一般式IX(一般式IX-a)中、環Aが、C1-6アルキル基およびオキソ基からなる群から選ばれる1つ以上(好ましくは2もしくは3個)の置換基で置換されていてもよい核酸のピリミジン塩基部分であることがより好ましい。
【0132】
一実施態様において、一般式IXで表される化合物またはその塩は、一般式IX(一般式IX-a)中、Bが、1つ以上の置換基で置換されてもよいアデニニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいグアニニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいシトシニル、1つ以上の置換基で置換されてもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいチミニルまたは1つ以上の置換基で置換されてもよいウラシニルであり、R14及びR15がすべてBn基であり、環Aがチミニルまたはウラシニルである、ことが特に好ましい。
【0133】
一実施態様において、一般式IXで表される化合物またはその塩は、一般式IX(一般式IX-a)中、Bが、1つ以上の置換基で置換されてもよいアデニニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいグアニニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいシトシニル、1つ以上の置換基で置換されてもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいチミニルまたは1つ以上の置換基で置換されてもよいウラシニルであり、R14がDMTr基、R15が水素原子であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである、ことが特に好ましい。
【0134】
一実施態様において、一般式IXで表される化合物またはその塩は、一般式IX(一般式IX-a)中、Bが、1つ以上の置換基で置換されてもよいアデニニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいグアニニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいシトシニル、1つ以上の置換基で置換されてもよい5-メチルシトシニル、1つ以上の置換基で置換されてもよいチミニルまたは1つ以上の置換基で置換されてもよいウラシニルであり、R14が水素原子、R15が水素原子であり、そして環Aがチミニルまたはウラシニルである、ことが特に好ましい。
【0135】
一般式VIIで表される化合物の製造方法
一態様において、一般式VII:
【化84】
[式中、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R、R、R及びRは各々独立して水素原子または1つ以上の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、Rは水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基、または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R、R10及びR11は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。(但し、m=1であり、Bがチミニル、R、R、R及びRが各々水素原子、RがDMTr基、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基、RがBoc基、R10がBoc基、そしてR11が水素原子であるもの、およびm=2であり、Bがチミニル、R、R、R及びRが各々水素原子、RがDMTr基、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基、RがCeoc基、R10がCeoc基、そしてR11が水素原子であるものを除く。)]
で表される化合物またはその塩が、新規な化合物として挙げられる。
【0136】
一実施態様において、一般式VIIで表される化合物またはその塩は、一般式VII-a:
【化85】
で表される化合物またはその塩であることが好ましい。(式中、B、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びmは各々一般式VIIと同義である。)。
【0137】
一般式VII中の但し書における、Bがチミニル、R、R、R及びRが各々水素原子、RがDMTr基、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基、RがBoc基、R10がBoc基、そしてR11が水素原子であるものを除く場合は、国際公開第2014/046212号に記載の公知の化合物を除くことを意図する。
【0138】
一実施態様において、一般式VII(一般式VII-a)中、R、R、R及びRは各々独立して水素原子であることがより好ましい。
【0139】
一実施態様において、一般式VII(一般式VII-a)中、R、R、R及びRが1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基である場合、当該C1-6アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。当該置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一または異なる1つ以上(または1~3個が好ましい)の基が挙げられる。
【0140】
一実施態様において、一般式VII(一般式VII-a)中、Rが水酸基の保護基であることが好ましく、トリチル型保護基がより好ましく、DMTr基が特に好ましい。
【0141】
一実施態様において、一般式VII(一般式VII-a)中、化合物又はその塩がホスホラミダイトである場合、Rは式:-P(O(CHCN)(N(iPr))の基であることが好ましい。
【0142】
一実施態様において、一般式VII(一般式VII-a)中、R及びR10がアミノ基の保護基であって、R11が水素原子であることが好ましく、該アミノ基の保護基がTeoc基またはBoc基であることがより好ましい。
【0143】
一実施態様において、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、好ましい当該置換基としては水酸基、C1-6アルコキシ基、メルカプト基、C1-6アルキルチオ基、アミノ基、C1-6アルキル基で置換されたアミノ基、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、オキソ基、チオキソ基、ハロゲン原子が好ましく、C1-6アルキル基、およびオキソ基からなる群から選ばれる1つ以上(好ましくは2もしくは3個)の置換基がより好ましい。当該核酸の塩基部分の水酸基やアミノ基、チオール基は保護されていてもよく、当該保護基としては、核酸合成において通常用いる水酸基の保護基およびアミノ基の保護基が好ましく、アセチル基、フェノキシアセチル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、シアノエトキシカルボニル基、ジフェニルアミノカルボニル基がより好ましく、イソブチリル基、ベンゾイル基、ジフェニルアミノカルボニル基が特に好ましい。Bのより好ましい態様としては、保護基を有してもよいアデニニル、グアニニル、シトシニル、5-メチルシトシニル、チミニルまたはウラシニルである。
【0144】
一実施態様において、一般式VIIで表される化合物またはその塩は、一般式VII(一般式VII-a)中、Bが、1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニル、または1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、RがDMTr基であり、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基であり、RがTeoc基またはBoc基であり、R10がTeoc基またはBoc基であり、そしてR11が水素原子である、化合物またはその塩、であることが好ましい。
【0145】
一実施態様において、一般式VII(一般式VII-a)中、Bが、1つ以上の保護基を有してもよいチミニルであり、R、R、R及びRが各々水素原子であり、RがDMTr基であり、Rが水素原子または-P(O(CHCN)(N(iPr))基であり、RがTeoc基であり、R10がTeoc基であり、そしてR11が水素原子である、化合物またはその塩、であることが好ましい。
【0146】
一実施態様において、一般式VIIで表される化合物またはその塩の製造方法は、本明細書に記載する工程のうち、以下の少なくとも1つの工程を含んでいてもよい。
一実施態様において、一般式VIIで表される化合物またはその塩の製造方法は、一般式IIで表される化合物に還元剤を反応させることにより、一般式Iで表される化合物またはその塩を製造する工程を含む。
【0147】
一実施態様において、一般式VIIで表される化合物またはその塩の製造方法は、一般式IIIで表される化合物にアジド化剤を反応させることにより、一般式IIで表される化合物またはその塩を製造する工程を含む。
【0148】
一実施態様において、一般式VIIで表される化合物またはその塩の製造方法は、一般式Vで表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させて、一般式V中のテトラヒドロフラン環に置換している無保護の水酸基を活性化することにより、一般式IVで表される化合物またはその塩を製造する工程を含む。
【0149】
一実施態様において、一般式VIIで表される化合物またはその塩の製造方法は、一般式IVで表される化合物にアジド化剤を反応させることにより、一般式IIで表される化合物またはその塩を製造する工程を含む。
【0150】
一実施態様において、一般式VIIで表される化合物またはその塩の製造方法は、一般式VIで表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させて、一般式VI中のテトラヒドロフラン環に置換している無保護の水酸基を活性化することにより、一般式IIで表される化合物またはその塩を製造する工程を含む。
【0151】
一実施態様において、一般式VIIで表される化合物またはその塩の製造方法は、一般式IXで表される化合物の環AをBに置換することにより、一般式VIIIで表される化合物またはその塩を製造する工程を含む。
【0152】
一般式Xで表される人工オリゴヌクレオチドの製造方法
一態様において、一般式X:
【化86】
[式中、R、R、R、Rは各々独立して水素原子または、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、R16、R17、R18は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表されるヌクレオシドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチド(但し、m=1または2であり、Bがチミニル、R、R、R、R、R16、R17、R18が各々水素原子であるヌクレオシドのみを架橋型核酸として有するオリゴヌクレオチドを除く。)の製造方法であって、
一般式XI:
【化87】
[式中、B、R、R、R、R及びmは各々一般式Xのものと同じ意味であり、Rは水素原子または水酸基の保護基であり、そしてR20は1つ以上の置換基で置換されてもよいリン酸基または1つ以上の置換基で置換されてもよいチオリン酸基であり、R21、R22及びR23は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基である。]
で表される化合物からホスホラミダイト法により製造する方法、を提供する。
【0153】
一実施態様において、ホスホラミダイト法がWO 2014/046212A1に記載の方法に準じる方法に従うことが好ましい。
【0154】
一実施態様において、上記一般式Xで表されるオリゴヌクレオチドの製造法において、一般式Xまたは一般式XI中、Bが1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシトシニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシトシニルまたは1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、Rが水酸基の保護基であり、R16、R17及びR18が水素原子であり、R20が-P(O(CHCN)(N(iPr))基であり、そしてR21、R22及びR23は各々独立してアミノ基の保護基である、ことが好ましい。
【0155】
一態様において、新規なGuNAオリゴヌクレオチドまたはその塩を提供し、
一実施態様において、一般式X:
【化88】
[式中、R、R、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、Bは1つ以上の置換基で置換されてもよい核酸の塩基部分であり、そしてR16、17及びR18は各々独立して水素原子、1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基またはアミノ基の保護基であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表されるヌクレオシドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチド(但し、m=1または2であり、Bがチミニル、R、R、R、R、R16、R17及びR18が各々水素原子であるヌクレオシドのみを架橋型核酸として有するオリゴヌクレオチドを除く。)またはその塩である。
【0156】
一実施態様において、一般式Xで表される化合物またはその塩が、一般式X-a:
【化89】
で表されるヌクレオシドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチドまたはその塩であることが好ましい。
【0157】
一実施態様において、一般式X(一般式X-a)中、R、R、R及びRが各々独立して水素原子であることがより好ましい。
【0158】
一実施態様において、一般式X(一般式X-a)中、R、R、R及びRが1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基である場合、当該C1-6アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。当該置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一または異なる1つ以上(または1~3個が好ましい)の基が挙げられる。
【0159】
一実施態様において、一般式X(一般式X-a)中、R16、R17及びR18が各々独立して水素原子であることがより好ましい。
【0160】
一実施態様において、一般式X(一般式X-a)中、R16、R17及びR18が1つ以上の置換基で置換されてもよい分枝もしくは環を形成してもよいC1-6アルキル基である場合、当該C1-6アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。当該置換基としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、チオキソ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一または異なる1つ以上(または1~3個が好ましい)の基が挙げられる。
【0161】
一実施態様において、一般式X(一般式X-a)中、Bがアデニニル、グアニニル、シトシニル、5-メチルシトシニル、チミニルまたはウラシニルであり、R16、R17及びR18が水素原子である、オリゴヌクレオチドまたはその塩である、ことが好ましい。
【0162】
一実施態様において、当該オリゴヌクレオチドまたはその塩は当該ヌクレオチドを2個以上連続して、あるいは不連続で結合したものであり、2から100個までのヌクレオチドを含むものであることが好ましく、5から50個までのヌクレオチドを含むものであることがより好ましく、最も好ましくは10から30個までの人工ヌクレオチドが結合したもの、またはこれらの相補鎖と2重鎖を形成したものである。当該ヌクレオチドが不連続で結合した場合、当該ヌクレオチド間に位置するヌクレオチドは特に限定されないが、例えば架橋構造を有さない天然のヌクレオチドが好ましい。
【0163】
本明細書において、用語「化合物の塩」における「塩」とは、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩などの金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、t-オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N-メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N-ベンジル-フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン原子化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような炭素数1から6のアルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;および、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩などを挙げられるが、これらに限定されない。薬理的に許容し得る塩を包含する。
【0164】
本明細書で記載する一般式I~XIで表される各化合物は、エナンチオマーもしくはジアステレオマーの形態またはこれらの混合物を包含する。例えば、各化合物の構造における、糖部分の立体配置がα体およびβ体を包含するが、β体が好ましい。前記一般式I~XIで表される化合物がジアステレオマーまたはエナンチオマーの形態で得られる場合、これらを有機合成(例えば、糖合成)の分野で周知の慣用の方法、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶法等で分離することができる。例えば、下記式:
【化90】
で表される16aの化合物は、糖部分の立体配置がβ体である。
【0165】
本明細書で記載する一般式I~XIで表される各化合物は、同位元素(例えば、H、13C、14C、15N、18F、32P、35S、125I等)等で標識された化合物および重水素変換体を包含する。
【0166】
本明細書で記載するオリゴヌクレオチドおよびその類縁体は、例えば、賦形剤、結合剤、防腐剤、酸化安定剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤などの医薬の製剤技術分野において通常用いられる補助剤を配合して、非経口投与製剤またはリポソーム製剤とすることができる。また、例えば、当該技術分野で通常用いられる医薬用担体を配合して、液剤、クリーム剤、軟膏剤などの局所用の製剤を調製できる。
【0167】
(製造方法)
以下に、本明細書で記載する架橋型核酸GuNAの製造方法を記載する。なお、一般式I~XIで表される各化合物において絶対立体配置を有する光学活性体は、出発原料に光学活性体のものを用いるかまたは合成の途中段階で生じる異性体を分離することによっても製造することができる。また、以下で記載する核酸塩基を置換する核酸塩基交換反応は、β選択的トランスグリコシル化が効率よく進行し、得られる一般式VIIIで表される化合物は所望するβ体を選択的に得ることができる。
【0168】
本発明化合物またはその薬理的に許容しうる塩は、以下の方法で製造することができるが、これらに限定されるものではない。
原料化合物については、それらの具体的な製法が述べられていない場合には、市販されているものを用いることができるか、または公知の方法もしくはこれに準ずる方法に従って製造することができる。
【0169】
なお、本明細書において使用される略号は、それぞれ以下の意味を表す。
THF:テトラヒドロフラン
TBAF:フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム
PhP:トリフェニルホスフィン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
MsCl:メタンスルホニルクロリド
DMAP:N,N-ジメチル-4-アミノピリジン
iPrNEt、及びDIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
TfO:トリフルオロメタンスルホン酸無水物
NaN:アジ化ナトリウム
BuNN:テトラブチルアンモニウムアジド
TfCl:トリフルオロメタンスルホニルクロリド
PhPO:トリフェニルホスフィンオキシド
BSA:N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド
TMSOTf:トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル
TBSOTf: t-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸
Bn:ベンジル
TMS:トリメチルシリル
TBDPS:tert-ブチルジフェニルシリル
Ac:アセチル
Teoc:トリメチルシリルエトキシカルボニル
Boc:tert-ブトキシカルボニル
CHCl:ジクロロエタン
MeCN:アセトニトリル
DPPA:ジフェニルホスホリルアジド
DIAD:アゾジカルボン酸 ジイソプロピル
DMTr:4,4’-ジメトキシトリチル
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
【0170】
まず、本願発明の架橋型核酸GuNAの製造方法の概略を記載する。
主要製造経路([A法])において、出発物質として糖化合物を用い、R基として水酸基保護基を導入して化合物を調製する。次いで、化合物を出発として用いて、公知の反応に従って多段階(6工程)の反応経路を経て、一般式IIIで表される化合物の前駆体(例えば、化合物)を調製する。当該化合物を脱保護することにより、一般式IIIで表される化合物(例えば、化合物)を新規な中間体として得る。続いて、適当なアジド化試薬を用いて光延反応を行うことにより、一般式IIで表される化合物(例えば、化合物(チミン誘導体)、化合物36(ウラシル誘導体))を新規な中間体として得る。
【0171】
更に、適当な還元剤を反応させることにより、一般式Iで表される化合物(例えば、化合物12)を新規な中間体として得る。
【0172】
次いで、一般式Iで表される化合物を、脱保護し、次いで新たな別の保護基を導入することにより、一般式IXで表される化合物(例えば、化合物14)を得る。続いて、グアニジン化試薬と反応させ、一般式VIIで表されるグアニジン化合物(例えば、化合物15)を新規な中間体として得て、更にホスホラミダイト試薬と反応させ、新規な化合物として一般式VII(または、一般式XI)で表されるGuNAホスホラミダイト化合物(例えば、化合物16)を製造することができる。該化合物は、架橋型核酸GuNAの人工オリゴヌクレオチドを製造するための、モノマー出発原料として使用することができる。
【0173】
また、上述した主要製造経路([A法])において、別の製造経路を採用することにより改変を行うことができる。改変法としては、メシル化反応経路([B法])、アジド化反応経路([C法])、及び核酸塩基交換反応経路([D法])を含む。
【0174】
本願発明の製造法についての製造経路の概要を示す。
【化91】
【化92】
【化93】
【0175】
[A法]
一般式IIIで表される新規な中間体化合物の前駆体の製造
まず、出発原料の化合物から、一般式IIIの化合物の前駆体(例えば、化合物)は文献公知の方法(例えば、J. Org. Chem. 2011, 76, 9891-9899に記載)に従って7工程を経て行う。
代表的な製造例を下記に示す。
【化94】
【0176】
化合物は、商業的に入手可能であるか、あるいは商業的に入手可能な原料化合物を用いて一般的な有機合成化学(特に、核酸合成)において一般的に知られる方法に従って製造することができる。例えば、上記文献中に記載されている化合物を適当な試薬を用いた有機合成法に従って一般式で表される他のの化合物を得ることもできる。
各製造工程は、J. Org. Chem. 2011, 76, 9891-9899に記載の方法に従う反応条件下で行うことができるが、出発原料である化合物の種類に応じて個々の反応工程の条件(例えば、試薬、反応時間等)を適宜改変してもよい。また、J. Org. Chem. 2011, 76, 9891-9899に記載の方法によれば、中間体化合物に対して核酸塩基としてチミン(T)を反応させるのに対して、下記に示す通り、チミン(T)に代わって別の核酸塩基(例えば、ウラシル(U))と反応させることによって、チミン以外の各種核酸塩基の類縁体を製造することもできる。
【0177】
一般式IIで表される新規中間体化合物の製造
【化95】
(一般式III化合物の前駆体の一般式中、Rは水酸基の保護基を示す。)
次いで、前記の調製した一般式III化合物の前駆体を適当な溶媒中、脱保護反応により、新規な一般式IIIで表される中間体化合物(例えば、化合物(チミン)、化合物34(ウラシル))を得る。かかる脱保護反応は、保護基の種類に応じて適当な反応条件(例えば、試薬等)下で行うことができる。例えば、水酸基の保護基Rがシリル型保護基(例えば、TBDPS)であるときは、酸性条件下での加水分解(例えば、酢酸-THF-水)またはフッ化物イオン供与試薬(例えば、TBAF)を用いて処理することにより、実施することができる。
溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、水またはそれらの混合溶媒等)中、実施することができる。反応温度は、0℃~100℃、とりわけ0℃~50℃で好適に進行する。
【0178】
続いて、光延反応条件下、適当なアジド化試薬と反応させることにより、新規な一般式IIで表される中間体化合物(例えば、化合物(チミン)、化合物36(ウラシル))を得る。
かかるアジド化反応は、一般式IIIで表される化合物を光延反応条件下(例えば、アジド化試薬(例えば、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)を、アゾジカルボン酸ジエステル(例えば、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD))、およびトリフェニルホスフィン(PhP)の存在下で行う)で実施することができる。
溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、トルエンなどの炭化系水素類、水またはそれらの混合溶媒等)中、実施することができる。反応温度は、-78℃~100℃、とりわけ0℃~50℃で好適に進行する。
【0179】
ここで、当該一般式IIIで表される化合物から一般式IIで表されるアジド化合物を得る反応の進行は、反応基質の精製の度合い等によって影響を受けやすく、操作上扱いが容易でない。そこで、直接に一般式IIの化合物を製造するのではなく、一旦水酸基を脱離基に変換した一般式IVで表される中間体化合物(例えば、化合物10(チミン)、化合物35(ウラシル))に変換し、その後当該脱離基を除去して適当なアジド化剤を導入することによって、一般式IIで表される化合物を容易に導くことができる。
脱離基Xとしては、有機合成上一般的に知られる基であれば特に限定されるものではないが、例えばメタンスルホニルオキシ基(メシルオキシ;Ms-O-)、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基を挙げられ、メシルオキシ基が好ましい。脱離基を導入するための試薬の例としては、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリドまたはトリフルオロメタンスルホン酸無水物が挙げられ、メタンスルホニルクロリドが好ましい。
アジド化剤の例としては、nBuNNまたはアジ化ナトリウムが挙げられる。
【0180】
脱離基の導入は、有機合成化学(例えば、糖合成)でよく知られる反応条件下(例えば、スルホニル化剤(例えば、MsCl)を用いて、塩基性条件下(例えば、ジメチルアミノピリジン(DMAP))実施することができる。
溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、水またはそれらの混合溶媒等)中、実施することができる。反応温度は、-25℃~室温、とりわけ0℃~室温で好適に進行する。
一方、脱保護およびアジド化を伴う反応は、有機合成化学(例えば、糖合成)でよく知られる反応条件下、脱離基の種類に応じて適当なアジド化試薬(例えば、テトラブチルアンモニウムアジド)を実施することができる。
溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、水またはそれらの混合溶媒等)中、実施することができる。反応温度は、室温から溶媒還流下の温度、例えば100℃以上の温度で好適に進行する。
【0181】
すなわち、一般式IIで表される化合物の製造方法は、以下の工程を含む:
a)一般式IIIの化合物の前駆体を脱保護して(5’位の水酸基保護基の脱保護)、一般式IIIで表される化合物を得る;および、
b)得られた一般式IIIで表される化合物を適当なアジド化試薬を用いる光延反応に付して、一般式IIで表される化合物を得る。
別製法として、前記b)工程に代えて、以下のb')およびc')工程を含んでもよい:
b')得られた一般式IIIで表される化合物を適当な試薬と反応させて、脱離基(X)を導入して(5’位の水酸基上)、一般式IVで表される化合物を得る;
c')得られた一般式IVで表される化合物を適当なアジド化試薬と反応させて、一般式IIで表される化合物を得る。
【0182】
一般式IIで表される新規な中間体化合物の別製造方法
一般式IIで表される化合物の別製造方法を記載する。
【化96】
前記の通り、化合物から調製した化合物を出発として用いて、まず水酸基のメシル化を行い、続いて前記J. Org. Chem. 2011, 76, 9891-9899に記載の方法に準じた方法(化合物から化合物の製造)に従って多段階(4工程)の反応経路を経て、一般式Vで表される新規な中間体化合物(具体例として、化合物25)を得る。
メシル化反応は、有機合成化学(例えば、核酸合成)で一般的に知られる反応条件下(例えば、適当な水酸基の活性化剤(例えば、メタンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物などのメシル化剤)を塩基条件下(例えば、トリエチルアミンの存在下)、実施することができる。
溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、水またはそれらの混合溶媒等)中、実施することができる。反応温度は、-25℃~100℃、とりわけ0℃~室温で好適に進行する。
【0183】
すなわち、一般式IVで表される化合物の製造方法は、以下の工程を含む:
新規な中間体としての一般式Vで表される化合物に、水酸基の活性化剤(例えば、トリフルオロメタンスルホニル化剤)を反応させて、一般式V中のテトラヒドロフラン環に置換している無保護の水酸基を活性化することによって、一般式IVで表される化合物を得る。
【0184】
前記したように、一般式IVで表される化合物(例えば、化合物10(チミン)、化合物35(ウラシル))に、アジド化剤(例えば、nBuNNまたはアジ化ナトリウム)を反応させることによって、一般式IIで表される化合物を取得する。
【0185】
一般式IIで表される新規な中間体化合物の別製造方法
一般式IIで表される化合物の更に別の製造方法を記載する。
【化97】
前記の通り、化合物から調製した化合物を出発として用いて、文献(Henrik M. Pfundheller, H. M., Bryld, T., Olsen, C. E., Wengel, J. Helvetica Chimica Acta 2000, 83, 128-151)に記載の方法に準じた方法に従って多段階(5工程)の反応経路を経て、中間体としての一般式VIで表されるアジド体化合物(具体例として、化合物21)を得る。
次いで、一般式VIで表される中間体化合物を、前記の製法における化合物から化合物(または、化合物25から化合物10)を得る方法と同様の反応条件下、水酸基の活性化剤を塩基性条件下(例えば、DMAP存在下)反応させることにより、一般式IIで表される新規な中間体化合物(具体例としては、化合物)を製造する。
本反応における水酸基の活性化剤の例としては、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、またはトリフルオロメタンスルホン酸無水物を挙げられるが、トリフルオロメタンスルホニルクロリドが好ましい。
溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、水またはそれらの混合溶媒等)中、実施することができる。反応温度は、0℃~100℃、とりわけ0℃~室温で好適に進行する。
【0186】
すなわち、一般式VIで表される化合物から、新規な中間体としての一般式IIで表される化合物を製造する方法は、以下の工程を含む:
一般式VIで表される化合物を、水酸基の活性化剤と反応させて、一般式VI中のテトラヒドロフラン環に置換している無保護の水酸基を活性化することにより、一般式IIで表される化合物を得る。
【0187】
一般式Iで表される新規な中間体化合物の製造
【化98】
更に、得られた一般式IIで表される化合物を、還元反応に付することによって、アジド基が還元された一般式Iで表される新規な中間体化合物(例えば、化合物12(チミン)、化合物37(ウラシル))(本明細書中、「2’-アミノLNA」と呼称することがある)を得ることができる。
アジド基の本還元反応は、例えば、還元剤(例えば、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類)下で行うことができる。
溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、水またはそれらの混合溶媒等)中、実施することができる。反応温度は、0℃~高温、とりわけ室温~100℃以下の温度で好適に進行する。
【0188】
すなわち、一般式Iで表される新規中間体化合物の製造方法は、以下の工程を含む:
前記で得られた一般式IIで表される新規中間体化合物を、還元剤と反応させることにより、一般式Iで表される化合物またはその塩を製造する。
【0189】
ここで、本反応は、4’位の炭素原子からアジドメチル基を伸長して2’位の炭素原子と架橋することで、2’位のアミノ基を導入することを特徴とする、新規な反応工程である。
【0190】
一般式VIIで表される新規なモノマー化合物の前駆体の製造
【化99】
【0191】
前記で得られた一般式Iで表される化合物を5’位および3’位上でそれぞれR基およびR基を脱保護して、中間体化合物3(例えば、実施例13の化合物)を得る。続いて、脱保護した保護基と脱保護条件が異なる新たな水酸基保護基を5’位の水酸基上のみ(R)に導入することで、前駆体としての中間体化合物4(例えば、化合物14)またはその塩を得る。
ここで、脱保護反応としては、保護基の種類に応じて有機合成化学(例えば、核酸合成)で一般的に知られる反応条件下で行うことができる。例えば、ベンジル型保護基(例えば、Bn基)の場合には、有機金属触媒(例えば、パラジウム-炭素)存在下、水素との水素化分解反応により脱保護反応を実施することができる。
溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、THF等のエーテル類、酢酸エチルなど酢酸エステル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸等の酸類、メタノールなどアルコール類、水またはそれらの混合溶媒等)あるいは塩基自体を溶媒として用いて、実施することができる。反応温度は、室温~高温、とりわけ室温~50℃以下の温度で好適に進行する。
【0192】
また、新たに導入される水酸基保護基としては、例えばトリチル型保護基(例えば、DMTr基)が挙げられる。本保護基の導入反応は、保護基の種類に応じて有機合成化学(例えば、核酸合成)でよく知られる反応条件下、実施することができる。例えば、水酸基の保護基がトリチル型保護基(例えば、DMTr基)であるときは、塩基性条件下(例えば、ピリジンの存在下)で実施することができる。
溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、水またはそれらの混合溶媒等)あるいは塩基自体を溶媒として用いて、実施することができる。反応温度は、0℃~50℃、とりわけ室温で好適に進行する。
【0193】
すなわち、中間体化合物4の製造方法は、以下の工程を含む。
a)前記で得られた一般式Iで表される化合物(5’位および3’位上のR基およびR基)を、脱保護反応に付す(中間体化合物3を得る);
b)反応生成物に、水酸基の保護基を導入する(5’位)。
【0194】
本明細書中で後述の通り、得られた中間体化合物4をグアニジン化、続いてホスホラミダイト化を行って、一般式VIIで表される新規化合物を製造することができる。
【0195】
核酸塩基交換反応
【化100】
前述の通り得られた一般式Iで表される化合物又は中間体化合物4(一般式IXで表される化合物と総称する(例、化合物12、化合物14))を出発物質として用いて、核酸塩基交換反応(トランスグリコシル化反応)によりチミン(T)、ウラシル(U)等の核酸塩基のピリミジンを、別の核酸塩基(例えば、アデニン(A)、グアニン(G)、ウラシル(U)、チミン(T)、シトシン(C)、または5-メチルシトシン(MeC))に置換することによって、新規な中間体として一般式VIIIで表される化合物またはその塩(例、化合物26、化合物28、化合物29)を製造することができる。
該塩基交換反応は、例えば一般式IXで表される化合物を、ルイス酸の存在下で実施することができ、シリル化剤を反応させることによって反応を促進することができる。
シリル化剤としては、例えばBSA、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられ、ルイス酸としては例えばTMSOTf、TBSOTf、塩化スズなどが挙げられるが、これらに限定されない。
反応基質に対して、シリル化剤は約1~約20モル当量数で、ルイス酸は触媒量(約0.05モル当量数)~2モル当量数で使用することができる。
溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの炭化系水素類、アセトニトリル、水またはそれらの混合溶媒等)中、実施することができる。反応温度は、0℃~高温、とりわけ室温~約60℃で好適に進行する。
【0196】
一般式VIIで表されるモノマー化合物の製造
【化101】
【0197】
前記で得られた一般式IXで表される化合物または一般式VIIIで表される化合物をグアニジン化試薬と反応させて、一般式VIIIで表される化合物の架橋アミノ基上でグアニジン化された、一般式VII(一般式中、R8aは水素原子)で表されるグアニジン化合物(例えば、化合物15)を得る。ここで、グアニジン化反応は、有機合成(特に、核酸合成)上一般的に知られる反応条件(例えば、試薬)下で行うことができる。該グアニジン化試薬としては、例えば下記式:
【化102】
[式中、Rproはアミノ基の保護基(例えば、Teoc、Boc)である]
が挙げられ、適当な活性化試薬(例えば、銀トリフラート(AgOTf))の存在下で行うことができる。
【0198】
更に、得られた一般式VIIで表される化合物を、ホスホラミダイト試薬と反応させ、一般式VIIで示される化合物またはその塩(本願明細書中、「GuNAホスホラミダイト」と呼称することがある)(例えば、化合物16)を得る。ここで、ホスホラミダイト化反応は、有機合成(特に、核酸合成)上一般的に知られる反応条件(例えば、試薬)下で行うことができる。該ホスホラミダイト化試薬としては、例えば下記式:
【化103】
が挙げられるが、これに限定されない。当該ホスホラミダイト化反応は、適宜塩基(例えば、DIPEA)または適宜酸(例えば、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド、4,5-ジシアノイミダゾール)の存在下で行ってもよい。
【0199】
すなわち、一般式VIIで表される化合物またはその塩の製造方法は、以下の工程を含む:
a)一般式IXで表される化合物若しくはその塩、または一般式VIIIで表される化合物若しくはその塩を、グアニジン化反応させて、一般式VII(式中、R8aは水素原子)で表される化合物を得る;
b)反応生成物をホスホラミダイト化反応させて、一般式VII(式中、R8bは置換されてもよいリン酸基)で表される化合物を得る。
【0200】
また、一般式VIIで表される化合物またはその塩の製造方法は、本明細書に記載する工程のうち、以下の少なくとも1つの工程を含んでいてもよい。
一般式IIで表される化合物に還元剤を反応させることにより、一般式Iで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式IIIで表される化合物にアジド化剤を反応させることにより、一般式IIで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式Vで表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させることにより、一般式IVで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式IVで表される化合物にアジド化剤を反応させることにより、一般式IIで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式VIで表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させることにより、一般式IIで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式IXで表される化合物の環Aを置換することにより、一般式VIIIで表される化合物またはその塩を製造する工程。
【0201】
一般式Xで表されるGuNAオリゴヌクレオチドの製造
【化104】
一般式VII、もしくは一般式XIで表される化合物またはその塩は、GuNAオリゴヌクレオチドを製造するための、モノマー出発原料として使用することができる。GuNAオリゴヌクレオチドは、一般式VII、もしくは一般式XIで表される化合物またはその塩を用いてオリゴマー化反応をした後、必要に応じてアミノ保護基を脱保護することで合成することができる。
オリゴマー化反応は例えば、合成化学(特に、核酸合成)上一般的に知られる方法であれば限定されるものではないが、例えばホスホラミダイト法により行うことができる。ホスホラミダイト法としては、例えばWO 2014/046212A1に記載の方法に準じる方法に従って行うことができる。
本オリゴマー化反応により、一般式Xで表されるヌクレオチドを1つ以上有しているオリゴヌクレオチドを製造することができる。
【0202】
すなわち、一般式Xで表されるオリゴヌクレオチドの製造方法は、以下の工程を含む:
a)一般式VIIもしくは一般式XIで表される化合物、またはその塩を用いてオリゴマー化反応をした後、必要に応じてアミノ保護基を脱保護する。
【0203】
また、一般式VIIもしくは一般式XIで表される化合物またはその塩の製造方法は、本明細書に記載する工程のうち、以下の少なくとも1つの工程を含んでいてもよい。
一般式IIで表される化合物に還元剤を反応させることにより、一般式Iで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式IIIで表される化合物にアジド化剤を反応させることにより、一般式IIで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式Vで表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させることにより、一般式IVで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式IVで表される化合物にアジド化剤を反応させることにより、一般式IIで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式VIで表される化合物に水酸基の活性化剤を反応させることにより、一般式IIで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式IXで表される化合物の環Aを置換することにより、一般式VIIIで表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式IXで表される化合物若しくはその塩、または一般式VIIIで表される化合物若しくはその塩をグアニジン化反応させることにより、一般式VII(式中、R8aは水素原子)で表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式VII(式中、R8aは水素原子)で表される化合物またはその塩をホスホラミダイト化反応させて、一般式VII(式中、R8bは置換されてもよいリン酸基)で表される化合物またはその塩を製造する工程。
一般式VIIで表される化合物のR、R10、R11のアミノ保護基のいずれか1つ以上を脱保護することにより、一般式XIで表される化合物を製造する工程。
【実施例0204】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、化合物の同定は元素分析値、マス・スペクトル、高速液体クロマト質量分析計;LCMS、IRスペクトル、NMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により行った。NMRにおいて水素核磁気共鳴(H-NMR)では共鳴周波数が400MHzのものを、リン核磁気共鳴(31P-NMR)では共鳴周波数が161.8MHzのものを用いた。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重の二重線、tは三重線、tdは三重の二重線、qは四重線、quinは五重線、septは七重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brdは幅広い二重線、brtは幅広い三重線及びJは結合定数を意味する。
【0205】
化合物12の製造法の一例を示すが、これらに限定されるものではない。具体的には、市販の化合物1を出発物質として用いて、J. Org. Chem. 2011, 76, 9891-9899に記載の方法に準じて製造した。
【化105】
【化106】
【0206】
実施例1
((2R,3S,3aS,9aR)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジロキシ)メチル]-2-(ヒドロキシメチル)-7-メチル-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-6-オン (化合物
化合物(J. Org. Chem. 2011, 76, 9891に記載の方法に準じ、3,5-ジ-O-ベンジル-4-C-ヒドロキシメチル-l,2-O-イソプロピリデン-α-D-リボフラノース から合成した)(2.00g, 2.903mmol)およびTHF(14.5mL)を混合し、0℃冷却下、TBAF(3.77mL, 3.774mmol)を滴下した。室温にて130分撹拌した後、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール、100/0~85/15)にて精製することで化合物(1260mg、収率96%)を得た。
MS(APCI): m/z = 451 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41-7.24 (8H, m), 7.21-7.11 (3H, m), 6.25 (1H, d, J = 6.2 Hz), 5.32 (1H, dd, J = 6.2, 2.6 Hz), 4.79 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.61 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.39 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.34 (1H, d, J = 2.6 Hz), 4.34 (1H, d, J = 12.3 Hz), 3.86 (1H, dd, J = 12.2, 5.7 Hz), 3.69 (1H, dd, J = 12.2, 7.7 Hz), 3.33 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.30 (1H, d, J = 10.3 Hz), 2.20 (1H, dd, J = 7.7, 5.7 Hz), 1.99-1.95 (3H, m)
【0207】
実施例2
(2R,3S,3aS,9aR)-2-(アジドメチル)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジルオキシ)メチル]-7-メチル-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-6-オン (化合物
化合物(300mg, 0.6659mmol)とTHF(4.4mL)を混合した。0℃冷却下、PhP(524mg, 1.998mmol)、およびアゾジカルボン酸 ジイソプロピル(0.413mL, 2.098mmol)を加え、続いてジフェニルホスホリルアジド(0.431mL, 1.998mmol)を滴下した。室温下、10分撹拌した後、外温50℃にて30分加熱撹拌した。DMF(1.2mL)を加え、外温50℃にて17時間加熱撹拌した。0℃として飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過した後、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール、100/0~95/5)にて精製することで化合物(285mg, 収率90%、不純物としてPhPOを含む)を得た。
MS(APCI): m/z = 476 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41-7.26 (8H, m), 7.21-7.11 (3H, m), 6.19 (1H, d, J = 6.2 Hz), 5.29 (1H, dd, J = 6.2, 2.3 Hz), 4.77 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.61 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.40 (1H, d, J = 12.0 Hz), 4.35 (1H, d, J = 12.0 Hz), 4.29 (1H, d, J = 2.3 Hz), 3.63 (1H, d, J = 12.8 Hz), 3.49 (1H, d, J = 12.8 Hz), 3.33 (1H, d, J = 10.2 Hz), 3.25 (1H, d, J = 10.2 Hz), 2.01-1.95 (3H, m)
【0208】
実施例3
また、化合物は以下の実施例3及び4に従って化合物から合成することもできる。
{(2S,3S,3aS,9aR)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジルオキシ)メチル]-7-メチル-6-オキサ-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-2-イル}メチル メタンスルホネート (化合物10
化合物(7.00g, 15.54mmol)の塩化メチレン(155mL)懸濁液に氷冷下、MsCl(2.05mL, 26.42mmol)とDMAP(5695mg, 46.61mmol)を加え、室温にて1.5時間撹拌した。ジイソプロピルエーテル(500mL)を加えて生じた白色固体をろ取し、ジイソプロピルエーテルにて洗浄した。得られた固体をジイソプロピルエーテル(500mL)、クロロホルム(100mL)にて再結晶し、得られた結晶を水(1L)にて洗浄した後、乾燥することで化合物10(8.12g, 15.4mmol, 収率98.9%)を得た。
MS(APCI): m/z = 529 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.39-7.27 (8H, m), 7.21-7.14 (3H, m), 6.22 (1H, d, J = 6.1 Hz), 5.28 (1H, dd, J = 6.1, 2.6 Hz), 4.76 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.60 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.44-4.31 (5H, m), 3.40 (1H, d, J = 10.2 Hz), 3.29 (1H, d, J = 10.2 Hz), 2.92 (3H, s), 2.00-1.95 (3H, m)
【0209】
実施例4
(2R,3S,3aS,9aR)-2-(アジドメチル)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジルオキシ)メチル]-7-メチル-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-6-オン(化合物
化合物10(7.00g,13.24mmol)の1、4-ジオキサン(132mL)溶液にテトラブチルアンモニウムアジド(11.3g,39.73mmol)を加え、外温120℃にて7時間撹拌した。氷冷下とし、飽和重曹水を加えた。酢酸エチルにて2回抽出した後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、不溶物をろ去した。ろ液を溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール、90/10~85/15)にて精製することで化合物(5.80g, 12mmol, 収率92%)を得た。
MS(APCI): m/z = 476 (M+H)+
H-NMRは実施例2で得た化合物と一致した。
【0210】
実施例5
1-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン (化合物12
化合物(1446mg, 3.041mmol)、THF(20mL)および水(4mL)を混合し、PhP(1196mg,4.562mmol)を加えて外温70℃で17時間加熱撹拌した。溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール、95/5~85/15)にて精製することで化合物12(1267mg, 収率92%)を得た。
MS(APCI): m/z = 450 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.08 (1H, brs), 7.61-7.57 (1H, m), 7.39-7.23 (10H, m), 5.52 (1H, s), 4.65-4.51 (4H, m), 3.91 (1H, s), 3.87 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.80 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.64 (1H, s), 3.15 (1H, d, J = 9.7 Hz), 2.90 (1H, d, J = 9.7 Hz), 1.68-1.53 (3H, m)
【0211】
化合物16a及び15bの製造法の1例を示すが、これらに限定されるものではない。具体的には、上記で得られた化合物12を出発物質として用いて化合物16a及び15bを製造した。
【化107】
【0212】
実施例6
1-[(1R,3R,4R,7S)-7-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル]-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン 酢酸塩 (化合物13
化合物12(1.00g, 2.225mmol)および酢酸(6mL)を混合し、水酸化パラジウム(200mg、1.425mmol)を加えた。水素雰囲気下、外温50℃にて6時間加熱撹拌した。反応液を窒素置換した後、メタノールを用いてメンブランフィルターでろ過し、ろ液を濃縮した。トルエンにて共沸を行い、真空乾燥することで化合物13(774mg, トルエン9.8wt%含有, 収率100%)を得た。
MS(APCI): m/z = 270 (M+H)+
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 11.31 (1H, brs), 7.75-7.70 (1H, m), 5.33 (1H, s), 3.83 (1H, s), 3.78-3.56 (2H, m), 3.26 (1H, s), 2.90 (1H, d, J = 10.2 Hz), 2.58 (1H, d, J = 10.2 Hz), 1.91 (3H, s), 1.79-1.75 (3H, m)
【0213】
実施例7
1-[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒドロキシ-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル]-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン (化合物14
氷冷下、化合物13(4.00g, 12.1mmol)のピリジン(37mL,462mmol)溶液に、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(12.4g,36.4mmol)を加えた後、室温まで昇温させて、1.5時間撹拌した。反応液を酢酸水溶液(水250mL/酢酸69.5mL)に滴下し、酢酸エチル(300mL)を加えて30分間撹拌した。酢酸エチルにて抽出した後、有機層を飽和食塩水、飽和重曹水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥して不溶物をろ去した。ろ液を溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール、100/0~90/10)にて精製することで化合物14(5.98g,収率86%)を得た。
MS(APCI): m/z = 572 (M+H)+
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 11.33 (1H, brs), 7.63-7.59 (1H, m), 7.47-7.21 (9H, m), 6.94-6.86 (4H, m), 5.37 (1H, d, J = 5.1 Hz), 5.34 (1H, s), 4.05 (1H, d, J = 5.1 Hz), 3.74 (6H, s), 3.39-3.22 (3H, m), 2.84 (1H, d, J = 9.8 Hz), 2.63 (1H, d, J = 9.8 Hz), 1.53-1.46 (3H, m)
【0214】
実施例8
ビス[2-(トリメチルシリル)エチル] {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒロドキシ-3-(5-メチル-2,4-ジオキサ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物15a
化合物14(1266mg, 2.215mmol)、THF(7.7mL)、および2-トリメチルシリルエチル N-[メチルスルファニル-(2-トリメチルシリルエトキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバメート(1258mg,3.322mmol)のTHF(7mL)の溶液を混合し、氷冷下にてEtN(1.23mL,8.859mmol)、およびAgOTf(854mg,3.322mmol)を順次加えた。室温まで昇温後、室温で4時間撹拌した。氷冷下、飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、不溶物をろ去した。ろ液を溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、55/45~45/55)にて精製することで化合物15a(1563mg, 酢酸エチル1.9wt%含有, 収率78%)を得た。
MS(APCI): m/z = 902 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 10.36 (1H, brs), 8.26 (1H, s), 7.59 (1H, s), 7.49-7.42 (2H, m), 7.39-7.20 (7H, m), 6.89-6.80 (4H, m), 5.62 (1H, s), 4.71 (1H, s), 4.36-4.07 (5H, m), 3.84-3.70 (7H, m), 3.62 (1H, d, J = 11.8 Hz), 3.57-3.46 (2H, m), 1.67 (3H, s), 1.11-0.97 (4H, m), 0.04 (18H, s)
【0215】
実施例9
ビス[2-(トリメチルシリル)エチル] {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-{[(2-シアノエトキシ)(ジプロパン-2-イルアミノ)ホスファニル]オキシ}-3-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物16a
化合物15a(60.5mg,0.0671mmol)、及びジクロロメタン(1.5mL)を混合し、氷冷下、iPrNEt(0.0232mL,0.134mmol)、および2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホラアミド(0.0224mL,0.101mmol)を順次滴下し、室温として4時間撹拌した。再び氷冷下とし、iPrNEt(0.0232mL,0.134mmol)、2-シアノエチル N,N-ジイソプロピルクロロホスホラアミド(0.0224mL,0.101mmol)を追加し、室温として2時間撹拌した。氷冷下、飽和重曹水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、不溶物をろ去した。ろ液を溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、65/35~50/50)にて精製することで化合物16a(40.1mg, 収率54%)を得た。
MS(APCI): m/z = 1102 (M+H)+
31P-NMR (CDCl3) δ: 149.44, 149.31, 148.87, 148.69
【0216】
実施例10
ジ-tert-ブチル {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒドロキシ-3-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物15b
化合物14(1.20g, 2.10mmol)のTHF(21mL)懸濁液に、室温にてEtN(1.2mL,8.4mmol)、tert-ブチル N-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-メチルスルファニル-メチレン]カルバメート(910mg,3.1mmol)、およびAgOTf(810mg,3.1mmol)を順次加え、室温にて2時間撹拌した。反応液に飽和食塩水を加え、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、不溶物をろ去した。ろ液を溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、50/50~30/70)にて精製することで化合物15b(1.44g, 1.77mmol, 収率84%)を得た。
MS(APCI): m/z = 814 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 10.11 (1H, brs), 8.09 (1H, brs), 7.65-7.57 (1H, m), 7.52-7.41 (2H, m), 7.40-7.19 (7H, m), 6.89-6.78 (4H, m), 5.57 (1H, s), 4.67 (1H, s), 4.32 (1H, s), 4.15 (1H, brs), 3.85-3.72 (7H, m), 3.64-3.40 (3H, m), 1.72-1.65 (3H, m), 1.48 (18H, s)
【0217】
化合物12の別製造法(以下、アジドルートとも呼称する)を示す。
【化108】
【0218】
実施例11(アジドルート)
化合物(3,5-ジ-O-ベンジル-4-C-ヒドロキシメチル-l,2-O-イソプロピリデン-α-D-リボフラノース)から化合物20の合成は、既知文献(Henrik M. Pfundheller, H. M., Bryld, T., Olsen, C. E., Wengel, J. Helvetica Chimica Acta 2000, 83, 128-151)に従い実施した。
【0219】
3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-1,2-O-(1-メチルエチリデン)-5-O-(トリフルオロメチルスルホニル)-β-L-リキソフラノース (化合物17
化合物(70.10 g, 174 mmol)を塩化メチレン(700 mL)に溶解し、そこにピリジン(41.51 g, 524 mmol)を加え、内温-55℃まで冷却した。内温-55℃~-48℃でTf2O(78.93 g, 280 mmol)を30分間かけて滴下し、同温で1時間撹拌した。氷浴に切り替え更に1時間撹拌した後、8%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分離し、8%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。各水層を酢酸エチルで再抽出し、合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して不溶物をろ去た。溶媒を減圧留去して、化合物17(92.96 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):文献の値と一致した。
【0220】
5-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5-デオキシ-1,2-O-(1-メチルエチリデン)-β-L-リキソフラノース (化合物18
窒素気流下、化合物17(92.96 g, 174 mmol)をDMF(465 mL)に溶解した。室温でNaN(45.42 g, 698 mmol)を加え、外温60℃で4時間30分撹拌した。放冷後に、酢酸エチルと水に分配した。有機層を分離して8%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。各水層を酢酸エチルで再抽出し、合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して不溶物をろ去した。溶媒を減圧留去して、粗体(75.70 g)を得た。カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=90/10~80/20)で精製し、化合物18(45.70 g, 収率60%)を得た。
1H-NMR (CDCl3):文献の値と一致した。
【0221】
1,2-ジ-O-アセチル-5-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5-デオキシ-L-リキソフラノース (化合物19
窒素気流下、化合物18(45.70 g)を無水酢酸(46 mL)と酢酸(92 mL)に溶解した。氷浴冷却下で濃硫酸(280 μL)を加え、室温で2時間撹拌した。酢酸エチル(420 mL)で希釈後、氷浴冷却下で飽和炭酸ナトリウム水溶液を滴下した後、有機層を分離して8%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。各水層を酢酸エチルで再抽出し、合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して不溶物をろ去した。溶媒を減圧留去後、トルエンで共沸して化合物19(50.72 g)を得た。精製は行わず、定量的収率として次工程に用いた。
1H-NMR (CDCl3):文献の値と一致した。
【0222】
1-{2-O-アセチル-5-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5-デオキシ-α-L-リキソフラノシル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン (化合物20
窒素気流下、化合物19(50.72 g)をアセトニトリル(445 mL)に溶解して、チミン(26.56 g, 210 mmol)を加えた。室温でBSA(171.86 g, 841 mmol)を20分間かけて滴下し、外温90℃で1時間撹拌した。放冷後に、氷浴冷却下でTMSOTf(46.96 g, 210 mmol)を15分間かけて滴下し、外温90℃で1時間撹拌した。放冷後に、氷浴冷却下で8%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、析出した固体を濾別し、アセトニトリルを減圧留去した。酢酸エチルを加えて有機層を分離して飽和食塩水で洗浄した。各水層を酢酸エチルで再抽出して、合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して不溶物をろ去した。溶媒を減圧留去して化合物20(66.18 g)を得た。精製は行わず、定量的収率として次工程に用いた。
MS (ESI): m/z 536 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3):文献の値と一致した。
【0223】
1-{5-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5-デオキシ-α-L-リキソフラノシル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物21
化合物20(66.18 g)をTHF(70 mL)に溶解して共沸した後、THF(200 mL)に溶解して、窒素気流下、室温で40%メチルアミン水溶液(132 mL)を加えた。室温で1時間30分撹拌後、溶媒を減圧留去した。濃縮残渣を酢酸エチル、水、および飽和食塩水に分配し、有機層を分離して、飽和食塩水で洗浄した。各水層を酢酸エチルで再抽出し、合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して不溶物をろ去した。溶媒を減圧留去して化合物21(56.26 g)を得た。精製は行わず、定量的収率として次工程に用いた。
MS (ESI): m/z 494 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.40-7.26 (12H, m), 5.88 (1H, d, J = 5.1 Hz), 4.74 (1H, d, J = 11.3 Hz), 4.64 (1H, d, J = 11.3 Hz), 4.55 (2H, s), 4.40 (1H, t, J = 5.4 Hz), 4.26 (1H, d, J = 5.7 Hz), 3.72 (1H, s), 3.69 (1H, d, J = 4.1 Hz), 3.56 (1H, d, J = 9.8 Hz), 3.43 (1H, d, J = 12.8 Hz), 2.81 (1H, d, J = 5.1 Hz), 1.63 (3H, brd)
【0224】
(2R,3S,3aS,9aR)-2-(アジドメチル)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジルオキシ)メチル]-7-メチル-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-6-オン (化合物9
窒素気流下、化合物21(56.26 g)を塩化メチレン(935 mL)に溶解し、DMAP(51.38 g, 420 mmol)を加えた。氷浴冷却下で30分間撹拌後、TfCl(51.44 g, 210 mmol)を25分間かけて滴下した。室温で1時間撹拌後、氷浴冷却下で水を加えた。有機層を分離して水、0.1M 塩酸水溶液、4%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。各水層を酢酸エチルで再抽出して、合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して不溶物をろ去した。溶媒を減圧留去して化合物(52.10 g)を得た。精製は行わず、定量的収率として次工程に用いた。
MS (ESI): m/z 476 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3): 実施例2の化合物と一致した。(DMAP残留)
【0225】
1-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン (化合物12
窒素気流下、化合物(46.9 g)をTHF(810 mL)に溶解して、水(160 mL)を加えた。室温でPhP(29.79 g, 113.5 mmol)を加えて、外温70℃で17時間撹拌した。放冷後に、溶媒を減圧留去し、トルエン(200 mL × 2)で共沸して粗体(167.79 g)を得た。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=100/0~90/10~6/1~4/1)で精製して、PhPOと酢酸エチルを含む粗化合物12(42.78 g)を得た。窒素気流下、1Lのナスフラスコ中で粗化合物12(42.78 g)を酢酸エチル(200 mL)に懸濁した。外温50℃で1時間撹拌した後、ジイソプロピルエーテル(200 mL)を加えて、更に外温50℃で30分間撹拌した。終夜かけて放冷後に固体を濾取、酢酸エチル/ジイソプロピルエーテル=1/1(100 mL × 2)で洗浄、減圧乾燥して、化合物12(30.11 g, 収率70% :化合物18基準)を得た。
MS (ESI): m/z 450 (M+H)+
1H-NMR は実施例5で得た化合物12と一致した。(CDCl3
【0226】
化合物10の1製造法(以下、メシルルートとも呼称する)を示す。
【化109】
【0227】
実施例12(メシルルート)
化合物から化合物24の合成は、既知文献(Henrik M. Pfundheller, H. M., Bryld, T., Olsen, C. E., Wengel, J. Helvetica Chimica Acta 2000, 83, 128-151)に従い実施した。
【0228】
3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-1,2-O-(1-メチルエチリデン)-5-O-(メチルスルホニル)-β-L-リキソフラノース (化合物22
ピリジン法:窒素雰囲気下、化合物(1.00 g, 2.50 mmol)およびピリジン(10 mL)を混合し、0℃でMsCl(0.23 mL, 2.97 mmol)を滴下した。滴下後同温で1時間撹拌後に、室温まで昇温し、さらに4時間撹拌した。反応液に、10%塩酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し濾過後濃縮した。粗体をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=100/0~2/1)に付すことで、化合物22(743 mg, 収率62%)を得た。
1H-NMR (CDCl3):文献の値と一致した。
【0229】
トリエチルアミン法:
窒素雰囲気下、化合物(7.50 g, 18.7 mmol)、塩化メチレン(150 mL)、およびEtN(7.83 mL, 56.2 mmol)を混合し、0℃でMsCl(1.74 mL, 22.5 mmol)を滴下した。滴下後室温まで昇温し、2時間撹拌した。反応液に、水を加え、塩化メチレンで抽出した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し濾過後濃縮した。粗体をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=100/0~50/50)に付すことで、化合物22(8.20 g, 収率92%)を得た。
1H-NMR (CDCl3):文献の値と一致した。
【0230】
1,2-ジ-O-アセチル-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5-O-メチルスルホニル)-L-リキソフラノース (化合物23
窒素雰囲気下、化合物22(8.20 g, 17.1 mmol)、酢酸(140 mL)、無水酢酸(14 mL)、および濃硫酸(0.14 mL)を混合し、終夜撹拌した。反応液に、氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し濾過後濃縮した。粗体をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=100/0~2/1)に付すことで、化合物23(5.45 g, 収率61%)を得た。
1H-NMR (CDCl3):文献の値と一致した。
【0231】
1-{2-O-アセチル-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5-O-(メチルスルホニル)-α-L-リキソフラノシル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン (化合物24
窒素雰囲気下、化合物23(5.15 g, 9.86 mmol)、およびアセトニトリル(25 mL)を混合し、0℃でチミン(1.67 g, 13.2 mmol)を加え、BSA(5.20 mL, 21.3 mmol)をゆっくり滴下した。滴下後、50℃で3時間撹拌した。完溶を確認後、0℃に冷却し、TMSOTf(1.90 mL, 10.5 mmol)をゆっくり加えた。反応液を50℃で終夜撹拌した。原料が消失していなかったため、0℃に冷却し、TMSOTf(1.90 mL, 10.5 mmol)をゆっくり加えた。滴下後、50℃で4時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し濾過後濃縮した。粗体をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=100/0~50/50)に付すことで、化合物24(5.00 g, 収率86%)を得た。
1H-NMR (CDCl3):文献の値と一致した。
【0232】
1-{3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5-O-(メチルスルホニル)-α-L-リキソフラノシル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン (化合物25
窒素雰囲気下、化合物24(5.00 g, 8.49 mmol)、7N アンモニアメタノール溶液(60 mL)を混合し、4~7時間撹拌した。反応液を濃縮し、粗体をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル100/0~30/70)に付すことで、化合物25(4.12 g, 収率89%)を得た。
MS (ESI): m/z 547 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 9.08 (1H, brs), 7.39-7.26 (11H, m), 5.94 (1H, d, J = 5.0 Hz), 4.80 (1H, d, J = 11.4 Hz), 4.62 (1H, d, J = 11.4 Hz), 4.56-4.43 (4H, m), 4.35 (1H, d, J = 5.8 Hz), 4.29 (1H, d, J = 11.0 Hz), 3.78 (1H, d, J = 10.1 Hz), 3.66-3.61 (2H, m), 2.94 (3H, s), 1.59 (3H, d, J = 0.8 Hz)
【0233】
{(2S,3S,3aS,9aR)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジルオキシ)メチル]-7-メチル-6-オキサ-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-2-イル}メチル メタンスルホネート (化合物10
窒素雰囲気下、化合物25(4.10 g, 7.50 mmol)、塩化メチレン(80 mL)、およびDMAP(3.67 g, 30.0 mmol)を混合し、0℃でTfCl(2.4 mL, 22.5 mmol)を滴下した。滴下後、室温まで昇温し、2~4時間撹拌した。反応液に、水を加え、塩化メチレンで抽出した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し濾過後濃縮した。粗体をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=90/10)を二回繰り返すことで、化合物10(3.20g, 収率81%)を得た。
MS (ESI): m/z 529 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) は実施例3で得た化合物10と一致した。
【0234】
核酸塩基置換法を用いた、チミン化合物(化合物12)からの種々の核酸塩基化合物の製造法を示す。
【化110】
【0235】
実施例13
チミン化合物(化合物12)からアデニン(bz)(化合物26A)の合成
N-(9-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル)}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド (化合物26A
化合物12(100 mg,0.2225 mmol)とN-(9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(159mg,0.6674mmol)の1,2-ジクロロエタン(2mL)懸濁液にBSA(0.49mL,2.002mmol)を加えて、外温60℃にて15分撹拌した。15分室温にて放冷した後、TMSOTf(13μL,0.067mmol)を加え、再度外温60℃として15分撹拌した。氷冷下にて反応液にクロロホルム(10mL)と飽和食塩水(2mL)、飽和重曹水(2mL)を加えて室温として10分撹拌した。有機層をフェーズセパレーターに通した。溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール、96/4~90/10)にて精製することで化合物26A(119mg, 酢酸エチル1.0wt%含有, 収率95%)を得た。なお、化合物26Aは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z = 563 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.91 (1H, s), 8.77 (1H, s), 8.34 (1H, s), 8.06-8.01 (2H, m), 7.65-7.59 (1H, m), 7.57-7.51 (2H, m), 7.40-7.23 (8H, m), 7.22-7.17 (2H, m) , 6.02 (1H, s), 4.67 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.62 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.53 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.50 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.16 (1H, s), 3.89 (1H, s), 3.84 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.79 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.22 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.02 (1H, d, J = 10.3 Hz), 2.21 (1H, brs)
【0236】
実施例14
チミン化合物(化合物12)からグアニン(ib,dpc)(化合物26G)の合成
9-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-6-イル ジフェニルカルバメート(化合物26G
実施例13と同様にして、化合物12(1000mg,2.225mmol)と[2-(2-メチルプロパノイルアミノ)-9H-プリン-6-イル]N,N-ジフェニルカルバメート(2779mg,6.674mmol)(合成法はJ. Org. Chem. 1996, 61, 9207に記載の方法に準じる)から、化合物26G(1353mg, 収率82%)を得た。なお、化合物26Gは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z = 740 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.26 (1H, s), 7.90 (1H, s), 7.52-7.13 (20H, m), 5.92 (1H, s), 4.65 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.61 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.50 (2H, s), 4.10 (1H, s), 3.89 (1H, s), 3.81 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.76 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.19 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.04 (1H, brd), 2.98 (1H, d, J = 10.3 Hz), 1.26 (6H, d, J = 6.7 Hz)
【0237】
実施例15
チミン化合物(化合物12)からメチルシトシン(bz)(化合物26 Me C)の合成
N-(1-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ベンズアミド(化合物26mC
化合物12のアセトニトリル(6.7mL)溶液に、N-(5-メチル-2-オキソ-1H-ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(合成法はEuropean Journal of Organic Chemistry,2006,3152に記載の方法に準じる、431mg,2.002mmol)、及びBSA(1.47mL,6.00mmol)を加えて、外温60℃とし、15分撹拌した。室温に放冷した後、TMSOTf(39μL,0.200mmol)を滴下して、再度外温60℃とし、150分間撹拌した。氷冷下とし、飽和重曹水、クロロホルムを順次加えて分液した。水層をクロロホルムにて2回抽出した後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ去した後、溶媒留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール、100/0~95/5)にて精製することで、化合物26 Me (71 mg, 収率19%)を得た。なお、化合物26 Me は「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z = 553 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 13.38 (1H, brs), 8.36-8.27 (2H, m), 7.81-7.75 (1H, m), 7.58-7.21 (13H, m), 5.57 (1H, s), 4.68-4.50 (4H, m), 3.92 (1H, s), 3.89 (1H, d, J = 11.3 Hz), 3.81(1H, d, J = 11.3 Hz), 3.71 (1H, s), 3.16 (1H, d, J = 9.8 Hz), 2.91 (1H, d, J = 9.8 Hz), 1.80-1.75 (3H, m)
【0238】
実施例16
N-(1-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ベンズアミド(化合物26C
実施例13と同様にして化合物12(20.0 mg, 0.0445mmol)とN-(2-オキソ-1H-ピリミジン-4-イル)ベンズアミド (28.7mg, 0.134mmol)から化合物26C(10.4 mg, 収率43%)を得た。なお、化合物26は「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z = 539 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.64 (1H, brs), 8.28 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.90 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.62 (1H, m), 7.53 (2H, m), 7.45-7.20 (11H, m), 5.66 (1H, s), 4.66 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.62 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.55 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.47 (1H, d, J = 11.8 Hz), 3.87 (2H, s), 3.84 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.79 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.16 (1H, d, J = 9.8 Hz), 2.95 (1H, d, J = 9.8 Hz)
【0239】
核酸塩基置換法を用いた、チミン化合物(化合物14)からの種々の核酸塩基化合物製造法を示す。
【化111】
【0240】
実施例17
チミン化合物(化合物14)からアデニン(bz)(化合物28A)の合成
N-(9-{(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-[(トリメチルシリル)オキシ]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド (化合物28A
実施例13と同様にして化合物14(1.50g, 2.60mmol)、およびBSA(6.40mL,26.0mmol)から化合物28A(1.92g, 収率97%)を得た。なお、化合物28Aは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z = 757 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3)δ: 9.07(1H, s), 8.82 (1H, s), 8.42 (1H, s), 8.09-8.01 (2H, m), 7.66-7.19 (12H, m), 6.90-6.80 (4H, m), 6.05 (1H, s), 4.40 (1H, s), 3.89 (1H, s), 3.80 (6H, s), 3.46 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.32 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.11 (1H, d, J = 10.3 Hz), 2.99 (1H, d, J = 10.3 Hz), -0.02 (9H, s)
【0241】
実施例18
アデニン(bz)の脱シリル化(化合物29A
N-(9-{(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒドロキシ-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド (化合物29A
化合物28A(110mg, 0.1453mmol)、およびTHF(2mL)を混合し、氷冷下、TBAF(0.19mL,0.1889mmol)を滴下し、同温にて50分撹拌した。反応液にクロロホルム(10mL)と飽和食塩水(2mL)を加えて撹拌し、抽出した。有機層を飽和食塩水(2mL)にて洗浄後、硫酸ナトリウムにて乾燥した。不溶物をろ去し、溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール、100/0~91/9)にて精製することで、化合物29A(96.5mg、酢酸エチル1.4wt%含有、収率97%)を得た。
MS(APCI): m/z = 685 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3)δ: 9.16 (1H, s), 8.78 (1H, s), 8.33 (1H, s), 8.08-7.99 (2H, m), 7.65-7.21 (12H, m), 6.89-6.81 (4H, m), 6.05 (1H, s), 4.31 (1H, s), 3.90 (1H, s), 3.80 (6H, s), 3.59 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.52 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.16 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.09 (1H, d, J = 10.8 Hz)
【0242】
実施例19
チミン化合物(化合物14)からグアニン(ib,dpc)(化合物28G)の合成
9-{(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-[(トリメチルシリル)オキシ]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル}-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-6-イル ジフェニルカルバメート(化合物28G
化合物14(200mg,0.3499mmol)、[2-(2-メチルプロパノイルアミノ)-9H-プリン-6-イル]N,N-ジフェニルカルバメート(437mg, 1.050 mmol)の1,2-ジクロロエタン(4 mL)懸濁液に室温にてBSA(0.856mL, 3.499 mmol)を加えて外温60℃にて15分撹拌した。氷冷下としてTMSOTf(20μL,0.1050 mmol)を滴下し、外温60℃にて15分撹拌した。氷冷下にて飽和重曹水、飽和塩化アンモニウム水、飽和重曹水、飽和食塩水,、クロロホルムを加えて10分撹拌した。不溶物をセライトろ去した後、ろ液をフェーズセパレーターに通した。溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール、99/1~96/4)にて精製することで化合物28G(295mg, 酢酸エチル4.1wt%,BSAに由来するアセトアミド1.9wt%含有, 収率90%)を得た。なお、化合物28Gは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z = 934 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.37 (1H, s), 7.95 (1H, s), 7.52-7.20 (19H, m), 6.88-6.82 (m, 4H), 5.99 (1H, s), 4.29 (1H, s), 3.84 (1H, s), 3.79 (6H, s), 3.46 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.29 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.14-3.00 (1H, m), 3.08 (1H, d, J = 10.2 Hz), 2.97 (1H, d, J = 10.2 Hz), 1.28 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.27 (3H, d, J = 6.7 Hz)
【0243】
実施例20
グアニン(ib,dpc)の脱シリル化(化合物29G
9-[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒドロキシ-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル]-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-6-イル ジフェニルカルバメート(化合物29G
実施例18と同様にして化合物28G(210mg, 0.2182mmol)から化合物29G(163mg, 収率87%)を得た。
MS(APCI): m/z = 862 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.20 (1H, s), 8.08 (1H, s), 7.49-7.18 (19H, m), 6.85-6.80 (m, 4H), 5.93 (1H, s), 4.48 (1H, s), 4.01 (1H, s), 3.77 (6H, s), 3.49 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.45 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.19 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.13 (1H, d, J = 10.8 Hz), 2.80 (1H, brs), 1.24 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.23 (3H, d, J = 6.7 Hz)
【0244】
実施例21
チミン化合物(化合物14)からメチルシトシン(bz)(化合物28 Me C)の合成
N-(1-{(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-[(トリメチルシリル)オキシ]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル}-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ベンズアミド (化合物28 Me C
化合物14(200mg, 0.3499mmol)とN-(5-メチル-2-オキソ-1H-ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(241mg,1.050mmol)の1,2-ジクロロエタン(3.5mL)懸濁液にBSA(0.77mL,3.149mmol)を加えて外温40℃にて15分撹拌した。氷冷下にてTMSOTf(10μL,0.05248mmol)を加え、再度、外温40℃として15分撹拌した。氷冷下にて反応液に酢酸エチル(10mL)と飽和重曹水(2mL)を加えて撹拌し、抽出した。有機層を飽和食塩水(2mL)にて洗浄した後、硫酸ナトリウムにて乾燥した。不溶物をろ去し、ろ液を溶媒留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール、100/0~95/5)にて精製することで化合物28 Me (176mg, 収率67%)を得た。なお、化合物28 Me は「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z = 747 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 13.44 (1H, brs), 8.36-8.29 (2H, m), 8.05 (1H, s), 7.58-7.21 (12H, m), 6.90-6.80 (4H, m), 5.58 (1H, s), 4.27 (1H, s), 3.81 (6H, s), 3.59 (1H, s), 3.53 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.23 (1H, d, J = 10.8 Hz), 2.97 (1H, d, J = 9.8 Hz), 2.78 (1H, d, J = 9.8 Hz), 1.87 (3H, s), 0.06 (9H, s)
【0245】
実施例22
メチルシトシン(bz)の脱シリル化(化合物29 Me C
N-(1-{(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒドロキシ-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル}-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ベンズアミド (化合物29 Me C
実施例18と同様にして化合物28 Me (1124mg, 1.5049 mmol)から化合物29 Me (1001mg, 収率99%)を得た。
MS(APCI): m/z = 675 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 13.40 (1H, brs), 8.36-8.24 (2H, m), 7.91-7.86 (1H, m), 7.56-7.20 (12H, m), 6.92-6.79 (4H, m), 5.56 (1H, s), 4.22 (1H, s), 3.85-3.77 (6H,m), 3.68 (1H, s), 3.56 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.46 (1H, d, J = 10.8 Hz), 2.97 (1H, d, J = 10.3 Hz), 2.93 (1H, d, J = 10.3 Hz), 1.87-1.84 (3H, m)
【0246】
実施例23
チミン化合物(化合物14)からシトシン(bz)(化合物28C)の合成
N-(1-{(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-[(トリメチルシリル)オキシ]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル}-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ベンズアミド(化合物28C
実施例21と同様にして、化合物14(200mg,0.350mmol)とN-(2-オキソ-1H-ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(226mg,1.05mmol)から、化合物28C(101mg, 収率39%)を得た。なお、化合物28Cは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z= 733 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.61 (1H, d, J = 7.7 Hz), 7.94-7.89 (2H, m), 7.66-7.25 (13H, m), 6.92-6.86 (4H, m), 5.70 (1H, s), 4.22 (1H, s), 3.85 (6H, s), 3.70 (1H, s), 3.53 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.32 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.00 (1H, d, J = 9.8 Hz), 2.82 (1H, d, J = 9.8 Hz), 0.02 (9H, s)
【0247】
実施例24
シトシン(bz)の脱シリル化(化合物29C
N-(1-{(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒドロキシ-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル}-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ベンズアミド(化合物29C
実施例18と同様にして化合物28C(101mg, 0.133 mmol)から化合物29C(86.0mg, 収率98%)を得た。
MS(APCI): m/z= 661 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.48 (1H, d, J = 7.7 Hz), 7.82-7.76 (2H, m), 7.60-7.19 (13H, m), 6.93-6.82 (4H, m), 5.63 (1H, s), 4.24 (1H, s), 3.87 (1H, s), 3.81 (6H, s), 3.53 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.44 (1H, d, J =10.8 Hz), 3.01 (1H, d, J = 10.3 Hz), 2.88 (1H, d, J = 10.3 Hz)
【0248】
【化112】
【0249】
実施例25
アデニン(bz)のグアニジン化(teoc)(化合物15Aa
ビス[2-(トリメチルシリル)エチル] {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒロドキシ-3-{6-[(フェニルカルボニル)アミノ]-9H-プリン-9-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物15Aa
実施例8と同様にして化合物29A(91.5mg, 0.134mmol)から化合物15Aa(111mg, 酢酸エチル1.1wt%含有, 収率82%)を得た。
MS(APCI): m/z = 1015 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 10.66 (1H, brs), 9.01 (1H, s), 8.77 (1H, s), 8.25 (1H, s), 8.08-7.98 (2H, m), 7.67-7.40 (5H, m), 7.39-7.17 (7H, m), 6.90-6.78 (4H, m), 6.28 (1H, s), 5.13 (1H, brs), 4.63-4.54 (1H, m), 4.32-4.15 (4H, m), 3.96 (1H, d, J= 11.3 Hz), 3.87-3.74 (7H, m), 3.62-3.50 (2H, m), 3.31-3.09 (1H, m), 1.16-0.98 (4H, m), 0.04 (18H, s)
【0250】
実施例26
アデニン(bz)のリン酸化(teoc)(化合物16Aa
ビス[2-(トリメチルシリル)エチル] {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-{[(2-シアノエトキシ)(ジプロパン-2-イルアミノ)ホスファニル]オキシ}-3-{6-[(フェニルカルボニル)アミノ]-9H-プリン-9-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物16Aa
実施例9と同様にして化合物15Aa(104.8 mg,0.1032 mmol)から化合物16Aa(66.8mg, 収率53%)を得た。
MS(APCI): m/z = 1215 (M+H)+
31P-NMR (CDCl3) δ: 149.67, 149.39, 149.34, 148.01
【0251】
実施例27
グアニン(ib,dpc)のグアニジン化(teoc)(化合物15Ga
ビス[2-(トリメチルシリル)エチル] {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-3-{6-[(ジフェニルカルバモイル)オキシ]-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-9-イル}-7-ヒドロキシ-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物15Ga
実施例8と同様にして化合物29G(94.4mg, 0.110mmol)から化合物15Ga(114mg, 収率84%)を得た。
MS(APCI): m/z = 1192 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 10.87 (1H, brs), 8.12 (1H, s), 8.03 (1H, s), 7.52-7.33 (11H, m), 7.32-7.13 (8H, m), 6.81-6.75 (4H, m), 6.24 (1H, brs), 5.18 (1H, s), 4.99 (1H, brs), 4.26-4.03 (6H, m), 3.93-3.81 (1H, m), 3.76 (3H, s), 3.76 (3H, s), 3.45 (1H, d, J = 10.8Hz), 3.38 (1H, d, J = 10.8Hz), 2.65-2.52 (1H, m), 1.22 (3H, d, J = 7.2Hz), 1.17 (3H, d, J = 6.7Hz), 1.13-0.87 (4H, m), 0.03 (9H, brs), -0.01 (9H, brs)
【0252】
実施例28
グアニン(ib,dpc)のリン酸化(teoc)(化合物16Ga
ビス[2-(トリメチルシリル)エチル] {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-{[(2-シアノエトキシ)(ジプロパン-2-イルアミノ)ホスファニル]オキシ}-3-{6-[(ジフェニルカルバモイル)オキシ]-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-9-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート(化合物16Ga
化合物15Ga(50.5mg, 0.0423mmol)のアセトニトリル(1mL)溶液に室温にてジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(10.9mg, 0.0635mmol)、2-シアノエチル N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(19.1mg, 0.0635mmol)を加えて室温にて1時間撹拌した。さらにジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(21.8mg, 0.127mmol)、2-シアノエチル N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(38.3mg, 0.127mmol)を追加して室温にて3時間撹拌した。さらに2-シアノエチル N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(6.4mg, 0.0212mmol)を加えて室温にて20分撹拌した。氷冷下にてクロロホルム(5mL)、飽和食塩水(2mL)を加えて撹拌し、フェーズセパレーターに通した。溶媒留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(ヘキサン/酢酸エチル、80/20~60/40)を行うことで化合物16Ga(61.4mg, 収率83%)を得た。
MS(APCI): m/z= 1392 (M+H)+
31P-NMR (CDCl3) δ: 149.16, 148.68
【0253】
実施例29
メチルシトシン(bz)のグアニジン化(teoc)(化合物15 Me Ca
ビス[2-(トリメチルシリル)エチル] {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒロドキシ-3-{5-メチル-2-オキソ-4-[(フェニルカルボニル)アミノ]ピリミジン-1(2H)-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート(化合物15 Me Ca
2-トリメチルシリルエチル N-(((1R,4R,6R,7S)-6-(4-ベンズアミド-5-メチル-2-オキソ-ピリミジン-1-イル)-4-((ビス(4-メトキシフェニル)-フェニル-メトキシ)メチル)-7-ヒドロキシ-5-オキサ-2-アザビシクロ(2.2.1)ヘプタン-2-イル)-(2-トリメチルシリルエトキシカルボニルアミノ)メチレン)カルバメート (化合物15 Me Ca
実施例8と同様にして化合物29 Me (890mg,1.319 mmol)から化合物15 Me Ca(870mg, 収率66%)を得た。
MS(APCI): m/z= 1005 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 13.41 (1H, brs), 10.37 (1H, brs), 8.37-8.25 (2H, m), 7.75 (1H, s), 7.58-7.21 (12H, m), 6.93-6.81 (4H, m), 5.67 (1H, s), 4.76 (1H, s), 4.36-4.12 (5H, m), 3.86-3.73 (7H, m), 3.63 (1H, d, J = 11.7 Hz), 3.56 (1H, d, J = 11.3 Hz), 3.52 (1H, d, J = 11.3 Hz), 1.87 (3H, s), 1.11-1.00 (4H, m), 0.04 (18H, s)
【0254】
実施例30
メチルシトシン(bz)のリン酸化(teoc)(化合物16 Me Ca
ビス[2-(トリメチルシリル)エチル] {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-{[(2-シアノエトキシ)(ジプロパン-2-イルアミノ)ホスファニル]オキシ}-3-{5-メチル-2-オキソ-4-[(フェニルカルボニル)アミノ]ピリミジン-1(2H)-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物16 Me Ca
実施例9と同様にして化合物15 Me Ca(50mg, 0.0497mmolmmol)から化合物16 Me Ca(31mg, 収率52%)を得た。
MS(APCI): m/z= 1205 (M+H)+
31P-NMR (CDCl3) δ: 149.66, 149.44, 149.03. 148.87
【0255】
実施例31
アデニン(bz)のグアニジン化(boc)(化合物15Ab
ジ-tert-ブチル {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒドロキシ-3-{6-[(フェニルカルボニル)アミノ]-9H-プリン-9-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物15Ab
実施例10と同様にして化合物29A(1.74g, 2.54mmol)から化合物15Ab(1.735g, ヘキサン2.0wt%含有, 収率74%)を得た。
MS(APCI): m/z= 927 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 10.46 (1H, brs), 9.08 (1H, s), 8.76 (1H, s), 8.26 (1H, s), 8.06-7.99 (2H, m), 7.66-7.18 (12H, m), 6.88-6.80 (4H, m), 6.22 (1H, s), 5.21 (1H, s), 4.50 (1H, s), 3.95-3.81 (2H, m), 3.79 (6H, s), 3.58-3.49 (2H, m), 3.47-3.37 (1H, m), 1.65 (9H, s), 1.59-1.40 (9H, m)
【0256】
実施例32
アデニン(bz)のリン酸化(boc)(化合物16Ab
ジ-tert-ブチル {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-{[(2-シアノエトキシ)(ジプロパン-2-イルアミノ)ホスファニル]オキシ}-3-{6-[(フェニルカルボニル)アミノ]-9H-プリン-9-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物16Ab
実施例9と同様にして化合物15Ab (100mg, 0.1079mmol)から化合物16Ab(105mg, 収率86%)を得た。
MS(APCI): m/z=1127 (M+H)+
31P-NMR (CDCl3) δ: 149.39, 149.23
【0257】
実施例33
グアニン(ib,dpc)のグアニジン化(boc)(化合物15Gb
ジ-tert-ブチル {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-3-{6-[(ジフェニルカルバモイル)オキシ]-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-9-イル}-7-ヒドロキシ-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物15Gb
実施例10と同様にして化合物29G(77.8mg, 0.0903mmol)から化合物15Gb(83.2mg, 収率82%)を得た。
MS(APCI): m/z=1104 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 10.56 (1H, s), 8.13 (1H, s), 8.01 (1H, s), 7.49-7.33 (11H, m), 7.32-7.14 (8H, m), 6.77-6.80 (4H, m), 6.17 (1H, brs), 5.10 (1H, brs), 4.14-4.00 (2H, m), 3.89-3.81 (1H, m), 3.76 (3H, s), 3.76 (3H, s), 3.50-3.36 (2H, m), 2.73-2.58 (1H, m), 1.55-1.32 (18H, m), 1.22 (3H, d, J =7.2Hz), 1.17 (3H, d, J =7.2Hz)
【0258】
実施例34
グアニン(ib,dpc)のリン酸化(boc)(化合物16Gb
ジ-tert-ブチル {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-{[(2-シアノエトキシ)(ジプロパン-2-イルアミノ)ホスファニル]オキシ}-3-{6-[(ジフェニルカルバモイル)オキシ]-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-9-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物16Gb
実施例28と同様にして化合物15Gb(41.8mg, 0.0379mmol)から化合物16Gb(43.8mg, 収率84%)を得た。
MS(APCI): m/z=1304 (M+H)+
31P-NMR (CDCl3) δ: 148.92, 148.80, 148.36
【0259】
実施例35
メチルシトシン(bz)のグアニジン化(boc)(化合物15 Me Cb
ジ-tert-ブチル {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒロドキシ-3-{5-メチル-2-オキソ-4-[(フェニルカルボニル)アミノ]ピリミジン-1(2H)-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物15 Me Cb
実施例10と同様にして、化合物29 Me (1762mg, 2.612mmol)から化合物15 Me Cb(1467mg, 収率61%)を得た。
MS(APCI): m/z = 917 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 13.39 (1H, brs), 10.11 (1H, brs), 8.38-8.26 (2H, m), 7.77 (1H, s), 7.57-7.21 (12H, m), 6.91-6.80 (4H, m), 5.62 (1H, s), 4.71 (1H, s), 4.34 (1H, s), 3.85-3.75 (7H, m), 3.58 (1H, d, J = 11.3 Hz), 3.54 (1H, d, J = 11.3 Hz), 3.49 (1H, d, J = 11.3 Hz), 1.88 (3H, s), 1.53-1.45 (18H, m)
【0260】
実施例36
メチルシトシン(bz)のリン酸化(boc)(化合物16 Me Cb
ジ-tert-ブチル {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-{[(2-シアノエトキシ)(ジプロパン-2-イルアミノ)ホスファニル]オキシ}-3-{5-メチル-2-オキソ-4-[(フェニルカルボニル)アミノ]ピリミジン-1(2H)-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物16 Me Cb
実施例9と同様にして15 Me Cb(142mg, 0.1549mmol)から16 Me Cb(85.0mg, 収率49%)を得た。
MS(APCI): m/z= 1117 (M+H)+
31P-NMR (CDCl3) δ: 149.48, 149.08, 148.56
【0261】
実施例37
シトシン(bz)のグアニジン化(boc)(化合物15Cb
ジ-tert-ブチル {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-ヒロドキシ-3-{2-オキソ-4-[(フェニルカルボニル)アミノ]ピリミジン-1(2H)-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物15Cb
実施例10と同様にして、化合物29C(86mg,0.130mmol)から、化合物15Cb(91mg, 収率77%)を得た。
MS(APCI): m/z= 903 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 10.06 (1H, brs), 8.66 (1H, brs), 8.33 (1H, d, J = 7.7 Hz), 7.92-7.85 (2H, m), 7.65-7.23 (13H, m), 6.92-6.85 (4H, m), 5.71 (1H, s), 4.86 (1H, s), 4.30 (1H, s), 4.26-4.07 (1H, m), 3.87-3.74 (7H, m), 3.62-3.53 (2H, m), 3.45 (1H, d, J = 10.8 Hz), 1.49 (18H, s)
【0262】
実施例38
シトシン(bz)のリン酸化(boc)(化合物16Cb
ジ-tert-ブチル {[(1R,3R,4R,7S)-1-{[ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ]メチル}-7-{[(2-シアノエトキシ)(ジプロパン-2-イルアミノ)ホスファニル]オキシ}-3-{2-オキソ-4-[(フェニルカルボニル)アミノ]ピリミジン-1(2H)-イル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-5-イル]メチリリデン}ビスカルバメート (化合物16Cb
実施例9と同様にして、化合物15Cb(91mg,0.100mmol)から、化合物16Cb(61mg, 収率55%)を得た。
MS(APCI): m/z= 1103 (M+H)+
31P-NMR (CDCl3) δ: 149.58, 149.25, 148.86
【0263】
ウラシル体(化合物26A)およびグアニン体(化合物26G)の製造法(以下、ウラシルルートとも呼称する)を示す。
【化113】
【化114】
【0264】
実施例39
1-{2-O-アセチル-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5-O-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]-α-L-リキソフラノシル}ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン (化合物30
3,5-Di-O-ベンジル-4-C-ヒドロキシメチル-l,2-O-イソプロピリデン-α-D-リボフラノース(化合物)(15.0 g, 37.45 mmol)から文献記載の方法に準じ(J. Org. Chem. 2011, 76, 9891-9899)、2工程で得られた化合物 (25.58 g, 37.46 mmol) に、アセトニトリル (100 mL)、及びウラシル (5.668 g, 50.57 mmol)を混合した後、BSA (21.02 mL, 85.97 mmol)を10分かけて滴下した。反応系が均一になるまで50℃で13分加熱した後、0℃に冷却した。0℃下、TMSOTf(7.7mL, 40.08 mmol)を滴下した。室温下、5分撹拌した後、50℃で2時間加熱撹拌した。0℃下、飽和重層水(200mL)を加えた後、反応液を濃縮した。残渣を酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物をろ去し、溶媒留去した。粗体をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=65/35~50/50)に付すことで、化合物30(23.84 g, 収率87%, 2より3工程で)を得た。
MS(APCI): m/z= 735 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.00-7.95 (1H, m), 7.72 (1H, d,J = 8.2 Hz), 7.64-7.56 (4H, m) 7.46-7.27 (14H, m), 7.22-7.16 (2H, m), 6.07 (1H, d, J = 5.7 Hz), 5.35-5.27 (2H, m), 4.58-4.47 (4H, m), 4.35 (1H, d, J = 5.7 Hz), 3.92 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.82-3.63 (3H, m), 1.94 (3H, s), 1.04 (9H, s)
【0265】
実施例40
1-{3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5-O-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]-α-L-リキソフラノシル}ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン (化合物31
((2R,3R,4S,5S)-4-ベンジルオキシ-5-(ベンジルオキシメチル)-5-((tert-ブチル(ジフェニル)シリル)オキシメチル)-2-(2,4-ジオキソピリミジン-1-イル)テトラヒドロフラン-3-イル)アセテート (化合物30, 11 g, 14.97 mmol)、テトラヒドロフラン (55 mL)を混合し、室温下、メチルアミン (34 mL, 306.5 mmol) を滴下ロートで滴下し、室温下、1時間撹拌した。酢酸エチルを加えた後、酢酸エチルで抽出。飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後不溶物をろ去し、溶媒留去した。粗体をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=50/50~40/60)に付すことで、化合物31(9.23 g, 収率89%)を得た。
MS(APCI): m/z= 693 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.08 (1H, brs), 7.68-7.59 (5H, m) 7.48-7.26 (14H, m), 7.24-7.19 (2H, m), 5.95 (1H, d, J = 4.1 Hz), 5.40-5.33 (1H, m), 4.73 (1H, d, J =11.1 Hz), 4.63 (1H, d, J = 11.1 Hz), 4.49-4.40 (2H, m), 4.37-4.26 (2H, m), 3.82-3.69 (3H, m), 3.59 (1H, d, J = 10.1 Hz), 3.54 (1H, d, J = 10.1 Hz), 1.06 (9H, s)
【0266】
実施例41
(2S,3S,3aS,9aR)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジロキシ)メチル]-2-({[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-6-オン (化合物32
化合物31 (9.23 g, 13.3 mmol)、塩化メチレン (66.6 mL)、及びDMAP (5.70 g, 46.6 mmol)を混合し、0℃に冷却した。0℃下、TfCl (5.61 g, 33.3 mmol) を滴下した。室温下、1時間撹拌した。0℃下、水を加えた後、クロロホルムで抽出した。飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物をろ去し、溶媒留去した。粗体をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0=90/10)に付すことで、化合物32(8.58 g、収率95%)を得た。
MS(APCI): m/z= 675 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.67-7.58 (4H, m), 7.48-7.19 (15H, m), 7.13-7.07 (2H, m), 6.21 (1H, d, J = 6.1 Hz), 6.09 (1H, d, J = 7.2 Hz), 5.51 (1H, dd, J = 6.1, 4.1 Hz), 4.80 (1H, d, J = 11.3 Hz), 4.60 (1H, d, J = 11.3 Hz), 4.41-4.28 (3H, m), 3.82 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.68 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.36-3.27 (2H, m), 1.03 (9H, s)
【0267】
実施例42
(2R,3S,3aS,9aR)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジロキシ)メチル]-2-(ヒドロキシメチル)-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-6-オン (化合物33
化合物32 (8.58 g, 12.7 mmol)、THF (63.6 mL)を混合し、0℃冷却下、1M TBAF(16.5 mL, 16.5 mmol) を滴下ロートで滴下した。室温下、2.5時間撹拌した。溶媒留去後、粗体をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0~85/15)に付すことで、化合物33(5.54 g、収率quant.)を得た。MS(APCI): m/z= 437 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41-7.26 (9H, m), 7.20-7.13 (2H, m), 6.27 (1H, d, J = 6.2 Hz), 6.06 (1H, d, J = 7.7 Hz), 5.35 (1H, dd, J = 6.2, 2.6 Hz), 4.78 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.60 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.43-4.31 (3H, m), 3.88-3.80 (1H, m), 3.72-3.63 (1H, m), 3.40-3.26 (2H, m), 2.35-2.21 (1H, m)
【0268】
実施例43
{(2S,3S,3aS,9aR)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジロキシ)メチル]-6-オキソ-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-2-イル}メチル メタンスルホネート (化合物34
化合物33 (5.54 g, 12.7 mmol)、塩化メチレン (127 mL) を混合し、0℃下、MsCl (1.68 mL, 21.6 mmol)、DMAP (4.65 g, 38.1 mmol) を加えた。室温で1時間撹拌した。0℃下、水を加えた後、クロロホルムで抽出した。飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物をろ去し、溶媒留去した。粗体をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=100:0~90/10)に付すことで、化合物34(5.47 g、収率84%)を得た。
MS(APCI): m/z= 515 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41-7.25 (9H, m), 7.21-7.15 (2H, m), 6.23 (1H, d, J = 6.2 Hz), 6.08 (1H, d, J = 7.7 Hz), 5.30 (1H, dd, J = 6.2, 2.6 Hz), 4.76 (1H, d, J = 11.6 Hz), 4.60 (1H, d, J = 11.6 Hz), 4.46-4.29 (5H, m), 3.39 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.31 (1H, d, J = 10.3 Hz), 2.92 (3H, s)
【0269】
実施例44
(2R,3S,3aS,9aR)-2-(アジドメチル)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジルオキシ)メチル]-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-6-オン (化合物35
化合物34 (3.00 g, 5.830 mmol)、1,4-ジオキサン (58.3 mL)を混合し、テトラブチルアンモニウムアジド (4.976 g, 17.49 mmol)を加えた。120℃で4.5時間加熱撹拌した。室温にした後、0℃下、飽和重層水を加え、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物をろ去し、溶媒留去した。粗体をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=100:0~90/10)に付すことで、化合物35(2.264 g、収率84%)を得た。
MS(APCI): m/z= 462 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.41-7.24 (9H, m), 7.20-7.13 (2H, m), 6.21 (1H, d, J = 6.1 Hz), 6.07 (1H, d, J = 7.7 Hz), 5.32 (1H, dd, J = 6.1, 2.1 Hz), 4.76 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.60 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.40 (1H, d, J = 12.1 Hz), 4.34 (1H, d, J = 12.1 Hz), 4.29 (1H, d, J = 2.1 Hz), 3.62 (1H, d, J = 12.8 Hz), 3.47 (1H, d, J = 12.8 Hz), 3.32 (1H, d, J = 10.2 Hz), 3.27 (1H, d, J = 10.2 Hz)
【0270】
実施例45
1-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン (化合物37
化合物35 (2.2 g, 4.8 mmol)、THF (32 mL)、HO (6.4 mL, 360 mmol)を混合し、PhP (1.90 g, 7.20 mmol)を加え、70℃で21.5時間加熱撹拌した。溶媒留去後、粗体をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=100:0~17/2)に付すことで、化合物37(2.067 g、収率quant.)を得た。
MS(APCI): m/z= 436 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.30 (1H, brs), 7.80 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.40-7.21 (10H, m), 5.53 (1H, s), 5.46 (1H, d, J = 8.2 Hz), 4.65-4.49 (4H, m), 3.87 (1H, s), 3.83 (1H, d, J = 10.9 Hz), 3.78 (1H, d, J = 10.9 Hz), 3.64 (1H, s), 3.14 (1H, d, J = 10.0 Hz), 2.89 (1H, d, J = 10.0 Hz)
【0271】
実施例46
N-(9-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル)}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド (化合物26A
化合物37 (100 mg, 0.2296 mmol)、N-(9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(164.8 mg, 0.6889 mmol)の1,2-ジクロロエタン (2.296 mL) 溶液にBSA(0.5053 mL, 2.067 mmol) を加え,反応液を60℃で15分撹拌した.室温にて放冷、撹拌し、TMSOTf (0.01331 mL, 0.06889 mmol)を加え、50℃で15 分加熱撹拌した。クロロホルムで希釈した後、0℃下、飽和重層水を加え、クロロホルムで抽出した。飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物をろ去し、溶媒留去した。粗体をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0~95/5)および逆相分取(10mM炭酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル=90/10~60/40)に付すことで、化合物26A(129.2 mg、収率84%)を得た。なお、化合物26Aは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z= 563 (M+H)+
1H-NMRは実施例13での化合物26Aと一致した。
【0272】
実施例47
ウラシル体からグアニン体の製造 (化合物26G
9-{(1R,3R,4R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-6-イル ジフェニルカルバメート(化合物26G
実施例13と同様にして、化合物37(300mg,0.689mmol)と(2-(2-メチルプロパノイルアミノ)-9-プリン-1-イル)N,N-ジフェニルカルバメート(861mg,2.07mmol)(合成法はJ. Org. Chem. 1996, 61, 9207に記載の方法に準じる)から、化合物26G(412mg, 収率81%)を得た。なお、化合物26Gは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z= 740 (M+H)+
1H-NMRは実施例14での化合物26Gと一致した。
【0273】
次に、ピリミジン誘導体(化合物38aおよび化合物38b)の製造法を示す。
【化115】
【0274】
実施例48
(5xi)-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-6-デオキシ-1,2-O-(1-メチルエチリデン)-β-L-リキソ-ヘキソフラノース(化合物41
化合物40(J. Med. Chem. 2000, 43, 4516-4525に記載の方法に準じ,化合物から合成)(2.00g, 5.02mmol)、THF(25.1mL)を混合し、-78℃に冷却した。同温下、メチルマグネシウムブロミド(0.91M, 8.3 mL, 7.53mmol)を滴下し、-78℃で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去した。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル、80/20~75/25)にて精製することで化合物41(1.62g)を混合物として得た。
【0275】
(5xi)-5-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5,6-ジデオキシ-1,2-O-(1-メチルエチリデン)-β-L-リキソ-ヘキソフラノース(化合物42
化合物41(1.44g)、トルエン(17.4mL)を混合し、0℃冷却下、PhP(2.73g,10.4mmol)、DIAD(2.15mL,10.9mmol)を入れた後、DPPA(2.24mL,10.4mmol)を滴下した。室温下、1時間撹拌後、50℃で2時間加熱撹拌し、溶媒留去した。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル、85/15~80/20)にて精製することで化合物42(1.53g)を混合物として得た。
【0276】
(5xi)-1,2-ジ-O-アセチル-5-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5,6-ジデオキシ-L-リキソ-ヘキソフラノース(化合物43
化合物42(1.47g)、無水酢酸(4mL)、酢酸(2.31mL)を混合し、0℃で濃硫酸(17.9μL)を滴下後、室温で2時間撹拌した。0℃下、飽和炭酸ナトリウム水溶液(8.8mL)を滴下し、pH=6とした後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、トルエンで3回共沸して化合物43(1.60g)を得た。精製は行わず、次工程に用いた。
【0277】
1-{(5xi)-2-O-アセチル-5-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5,6-ジデオキシ-α-L-リキソ-ヘキソフラノシル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物44
化合物43(1.60g)、アセトニトリル(11.0mL)、チミン(563mg,4.467mmol)を混合した後、BSA(1.86mL,7.60mmol)を滴下した。反応系が均一になるように50℃で10分加熱した後、0℃に冷却した。同温下、TMSOTf(0.684mL,3.54mmol)を滴下した。室温下、5分撹拌した後、50℃で2時間加熱撹拌した。0℃下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下した後、反応液を濃縮した。残渣を酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル、67/33~50/50)にて精製することで化合物44(628mg,収率35%:化合物41基準)を混合物として得た。
【0278】
1-{(5xi)-5-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジルオキシ)メチル]-5,6-ジデオキシ-α-L-リキソ-ヘキソフラノシル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物45
化合物44(620mg,1.13mmol)、THF(4.5mL)を混合し、室温下、40%メチルアミン水溶液(2.56mL)を滴下し、室温下、40分撹拌した。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去した。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル、60/40~40/60)にて精製することで化合物45(556mg,収率97%)を混合物として得た。
【0279】
(2R,3S,3aS,9aR)-2-(1-アジドエチル)-3-(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジルオキシ)メチル]-7-メチル-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-6-オン(化合物46
化合物45(541mg,1.07mmol)、塩化メチレン(5.3mL)、DMAP(456mg,3.73mmol)を混合し、0℃に冷却した。同温下、TfCl(0.282mL,2.67mmol)を滴下した後,室温下、90分撹拌した。0℃下、反応液に水を加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去した。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール、100/0~89/11)にて精製することで化合物46(458mg,収率88%)を混合物として得た。
【0280】
1-{(1R,3R,4R,6S,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-6-メチル-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物38a
1-{(1R,3R,4R,6R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-6-メチル-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物38b
化合物46(450mg,0.919mmol)、THF(6.1mL)、および水(1.22mL)を混合し、PhP(362mg,1.38mmol)を加え、70℃で16時間加熱撹拌した。溶媒を留去した後、粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール、100/0~85/15)にて精製することで化合物38(406mg,収率95%)を混合物として得た。化合物38(287mg)をキラルHPLC(DAICEL,CHIRALPAK IC、φ30x250mm、メタノール/THF/ジエチルアミン、65/35/0.1、流速20mL/分)にて精製することで、THFの安定化剤であるBHTを含む粗38a(138mg)および粗38b(139mg)を得た。各々をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール、100/0~85/15)にて精製することで、化合物38a(132mg)および化合物38b(123mg)を得た。
化合物38a
MS(APCI): m/z= 464 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.21 (1H, brs), 7.55-7.50 (1H, m), 7.39-7.22 (10H, m), 5.48 (1H, s), 4.66-4.56 (3H, m), 4.49 (1H, d, J = 11.8 Hz), 3.91-3.83 (3H, m), 3.70 (1H, s), 3.25 (1H, q, J = 6.7 Hz), 1.62-1.57 (3H, m), 1.20 (3H, d, J = 6.7 Hz)
化合物38b
MS(APCI): m/z= 464 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.18 (1H, brs), 7.67-7.62 (1H, m), 7.39-7.22 (10H, m), 5.47 (1H, s), 4.66-4.50 (4H, m), 4.02 (1H, s), 3.77 (1H, d, J = 11.0 Hz), 3.72 (1H, d, J = 11.0 Hz), 3.55 (1H, s), 3.49 (1H, q, J = 6.7 Hz), 1.58-1.54 (3H, m), 1.14 (3H, d, J = 6.7 Hz)
【0281】
チミン体からのアデニン体の製造(化合物39Aa)
【化116】
【0282】
実施例49
N-(9-{(1R,3R,4R,6S,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-6-メチル-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル)}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(化合物39Aa
実施例13と同様にして、化合物38a(50mg,0.108mmol)と(N-(9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(77.4mg,0.324mmol)から、化合物39Aa(50.9mg, 収率82%)を得た。なお、化合物39Aaは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z= 577 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 9.03 (1H, s), 8.78 (1H, s), 8.28 (1H, s), 8.08-8.00 (2H, m), 7.65-7.50 (3H, m), 7.40-7.16 (10H, m), 5.99 (1H, s), 4.70-4.62 (2H, m), 4.53-4.44 (2H, m), 4.14 (1H, s), 3.96 (1H, s), 3.91-3.82 (2H, m), 3.37 (1H, q, J = 6.7 Hz), 1.25 (3H, d, J = 6.7 Hz)
【0283】
チミン体からのアデニン体の製造(化合物39Ab)
【化117】
【0284】
実施例50
N-(9-{(1R,3R,4R,6R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-6-メチル-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル)}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド (化合物39Ab
実施例13と同様にして、化合物38b(50mg,0.108mmol)と(N-(9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(77.4mg,0.324mmol)から、化合物39Ab(48.1mg, 収率77%)を得た。なお、化合物39Abは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z= 577 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 9.03 (1H, s), 8.77 (1H, s), 8.41 (1H, s), 8.08-8.00 (2H, m), 7.66-7.49 (3H, m), 7.41-7.14 (10H, m), 5.99 (1H, s), 4.70 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.60 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.56-4.46 (2H, m), 4.29 (1H, s), 3.78-3.68 (3H, m), 3.54 (1H, q, J = 6.7 Hz), 1.20 (3H, d, J = 6.7 Hz)
【0285】
チミン体からのグアニン体の製造(化合物39Ga)
【化118】
【0286】
実施例51
9-{(1R,3R,4R,6S,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-6-メチル-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-6-イル ジフェニルカルバメート(化合物39Ga
実施例13と同様にして、化合物38a(33mg,0.0712mmol)と(2-(2-メチルプロパノイルアミノ)-9-プリン-1-イル)N,N-ジフェニルカルバメート(130mg,0.641mmol)(合成法はJ. Org. Chem. 1996, 61, 9207に記載の方法に準じる)から、化合物39Ga(37.6mg, 収率70%)を得た。なお、化合物39Gaは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z= 754 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.21 (1H, s), 7.88 (1H, s), 7.49-7.41 (2H, m), 7.40-7.15 (19H, m), 5.87 (1H, s), 4.64 (2H, s), 4.49 (1H, d, J = 11.8 Hz),4.45 (1H, d, J = 11.8 Hz),4.07 (1H, s),3.95 (1H, s), 3.87-3.80 (2H, m),3.33 (1H, q, J = 6.7 Hz), 3.07 (1H, brs), 1.26 (6H, d, J = 6.7 Hz), 1.22 (3H, d, J = 6.7 Hz)
【0287】
チミン体からのグアニン体の製造(化合物39Gb)
【化119】
【0288】
実施例52
9-{(1R,3R,4R,6R,7S)-7-(ベンジルオキシ)-1-[(ベンジルオキシ)メチル]-6-メチル-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-3-イル}-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-6-イル ジフェニルカルバメート (化合物39Gb
実施例13と同様にして、化合物38b(20mg,0.0432mmol)と(2-(2-メチルプロパノイルアミノ)-9-プリン-1-イル)N,N-ジフェニルカルバメート(79.0mg,0.388mmol)(合成法はJ. Org. Chem. 1996, 61, 9207に記載の方法に準じる)から、化合物39Gb(27.9mg, 収率86%)を得た。なお、化合物39Gbは「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS(APCI): m/z= 754 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.33 (1H, s), 7.88 (1H, s), 7.48-7.41 (2H, m), 7.41-7.14 (19H, m), 5.88 (1H, s), 4.69 (1H, d, J = 12.3 Hz),4.58 (1H, d, J = 12.3 Hz),4.52-4.45 (2H, m),4.24 (1H, s),3.74-3.65 (3H, m),3.50 (1H, q, J = 6.7 Hz), 3.04 (1H, brs), 1.26 (3H, d, J = 7.2 Hz),1.25 (3H, d, J = 7.2 Hz), 1.16 (3H, d, J = 6.7 Hz)
【0289】
3’,5’-水酸基のチミン体からアデニン体の製造(化合物47
【化120】
【0290】
実施例51
N-(9-{(1R,3R,4R,7S)-7-[(トリメチルシリル)オキシ]-1-{[(トリメチルシリル)オキシ]メチル}-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]へプタ-3-イル)}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(化合物47
実施例13と同様にして化合物13(50mg, 0.132mmol)、およびBSA(0.36mL, 1.45mmol)から化合物47(56.6mg, 酢酸エチル2.9wt%含有, 収率79%)を得た。なお、化合物47は「β体」であるが、異性体である「α体」は得られなかった。
MS (APCI): m/z 527 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3) δ: 9.07 (1H, s), 8.80 (1H, s), 8.36 (1H, s), 8.08-8.02 (2H, m), 7.65-7.59 (1H, m), 7.57-7.51 (2H,m), 6.04 (1H, s), 4.29 (1H, s), 3.90 (1H, d, J = 11.8 Hz), 3.84 (1H, d, J = 11.8 Hz), 3.76 (1H, s), 3.16 (1H, d, J = 9.7 Hz), 3.90 (1H, d, J = 9.7 Hz), 0.19 (9H, s), 0.09 (9H, s)
【0291】
トランスグリコシル化反応による、架橋鎖のリングサイズが異なるGuNAヌクレオチドモノマーの製造
リボース骨格との架橋鎖を構成する炭素鎖の炭素数を改変することによる、架橋鎖のリングサイズが異なるGuNAモノマーを製造することができる。1例を以下に示すが、下記スキームにより得られる化合物61を用いてトランスグリコシル化を行い、各種核酸塩基を有するリングサイズの異なるGuNAモノマーを製造することができる。
【化121】
【0292】
以下、上記製法の各工程を記載する。
【化122】
【0293】
実施例52
エチル (5E)-3-O-ベンジル-4-[(ベンジロキシ)メチル]-5,6-ジデオキシ-1,2-O-(1-メチルエチリデン)-β-L-リキソ-へプタ-5-エノフラヌロネート(化合物48
ジエチルホスホノ酢酸エチル(6.83mL, 34.43mmol)のTHF(163mL)溶液に氷冷下にて水素化ナトリウム(1.38g, 34.43mmol、60%含有)を加え、室温で30分撹拌した。反応溶液を氷冷し、化合物40(10.96g, 26.48mmol)のTHF(54mL)溶液を滴下した。氷水浴を外し室温で1時間撹拌した。反応液に酢酸エチル(300mL)および冷水(500mL)を加え、しばらく撹拌後、有機層を分液した。水層を酢酸エチル(100mL)で分液抽出し、有機層を併せ水および飽和食塩水で洗浄後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、95/5~60/40)にて精製することで化合物48(12.18g,収率 97%)を得た。
MS (APCI): m/z 486 (M+NH4+
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.38-7.19(11H, m),6.24 (1H, d, J = 15.9 Hz), 5.76 (1H, d, J = 4.1 Hz), 4.77 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.60 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.57 (1H, dd, J = 4.6, 4.1 Hz), 4.50 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.41 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.27 (1H, t, J = 4.6 Hz), 4.23-4.13 (2H, m), 3.38-3.30 (2H, m), 1.47 (3H, s), 1.30-1.24 (6H, m)
【0294】
【化123】
実施例53
エチル 3-O-ベンジル-4-[(ベンジロキシ)メチル]-5,6-ジデオキシ-1,2-O-(1-メチルエチリデン)-β-L-リキソ-ヘプトフラヌロネート(化合物49
化合物48(12.06g,25.50mmol)のメタノール(241mL)溶液に塩化ニッケル(II)6水和物(1212mg、5.100mmol)を加えた。反応液を氷冷し、水素化ホウ素ナトリウム(1930mg、51.00mmol)を40分かけて加えた。氷水浴を外し、室温で2時間撹拌した。反応液をセライト濾過し、酢酸エチル(300mL)および水(300mL)で洗浄した後、濾液の有機層を分液した。水層を酢酸エチル(150mLで2回実施)で分液抽出し、有機層を併せ水(300mL)および飽和食塩水(300mL)で洗浄後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去することにより、化合物49(11.90g,収率 98%)を得た。
MS (APCI): m/z 488 (M+NH4+
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.38-7.21(10H m),5.75 (1H, d, J = 4.1 Hz), 4.76 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.61 (1H, dd, J = 5.1, 4.1 Hz), 4.55 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.49 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.40 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.14-4.06 (3H, m), 3.40 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.26 (1H, d, J = 10.3 Hz), 2.66-2.50 (2H, m), 2.37-2.26 (1H, m), 1.92-1.81 (1H, m), 1.62 (3H, s), 1.32 (3H, s), 1.23 (3H, t, J = 7.2 Hz)
【0295】
【化124】
【0296】
実施例54
3-O-ベンジル-4-[(ベンジロキシ)メチル]-5,6-ジデオキシ-1,2-O-(1-メチルエチリデン)-β-L-リキソ-ヘプトフラノース(化合物50
水素化リチウムアルミニウム(1904mg、50.17mmol)のTHF(155mL)懸濁液に氷冷下にて化合物49(11.90g,25.08mmol)のTHF(83mL)溶液を15分かけて滴下し、室温で1時間撹拌した。反応液を氷冷し飽和硫酸ナトリウム水溶液(10mL)を滴下し、続いて水(3mL)を加え室温で一昼夜撹拌した。反応液をセライト濾過し、酢酸エチル(100mLにて3回実施)で洗浄し、濾液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去することにより、化合物50(10.98g, 25.04mmol, 収率 100%)を得た。
MS (APCI): m/z 446 (M+NH4+
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.37-7.21(10H, m),5.76 (1H, d, J = 4.1 Hz), 4.76 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.62 (1H, dd, J = 5.7, 4.1 Hz), 4.56 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.51 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.41 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.16 (1H, d, J = 5.7 Hz), 3.76-3.58 (2H, m), 3.50 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.32 (1H, d, J = 10.3 Hz), 2.28-2.15 (1H, m), 2.06-2.01 (1H, m), 1.79-1.67 (2H, m), 1.65-1.55 (4H, m), 1.33 (3H, s)
【0297】
【化125】
【0298】
実施例55
3-O-ベンジル-4-[(ベンジロキシ)メチル]-5,6-ジデオキシ-1,2-O-(1-メチルエチリデン)-7-O-(メチルスルホニル)-β-L-リキソ-ヘプトフラノース(化合物51
化合物50(10.45g, 23.83mmol)の酢酸エチル(209mL)溶液に氷冷下にてトリエチルアミン(4.64mL, 33.36mmol)を加え、続いてメタンスルホニルクロリド(2.22mL、28.60mmol)を滴下し、同温度にて1時間撹拌した。反応液にメタノール(0.5mL)を加え30分撹拌した。反応液を水(200mL)にあけ有機層を分液した。有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、90/10~30/70)にて精製することにより化合物51(11.72g, 酢酸エチル3.3wt%含有、収率 97%)を得た。
MS (APCI): m/z 524 (M+NH4)+
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.37-7.22(10H, m),5.74 (1H, d, J = 4.1 Hz), 4.76 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.61 (1H, dd, J = 5.7, 4.1 Hz), 4.55 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.51 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.41 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.30-4.12 (2H, m), 4.11 (1H, d, J = 5.7 Hz), 3.41 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.28 (1H, d, J = 10.3 Hz), 2.95 (3H, s), 2.25-2.15 (1H, m), 2.07-1.94 (1H, m), 1.83-1.65 (2H, m), 1.59 (3H, s), 1.33 (3H, s)
【0299】
【化126】
【0300】
実施例56
7-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジロキシ)メチル]-5,6,7-トリデオキシ-1,2-O-(1-メチルエチリデン)-β-L-リキソ-ヘプトフラノース(化合物52
化合物51(11.72g, 22.38mmol)および15-クラウン-5(4.43mL, 22.38mmol)のDMF (117mL)溶液にアジ化ナトリウム(4365mg, 67.15mmol)を投入し、50℃で16時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで分液抽出した。有機層を併せ水および飽和食塩水で洗浄後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、95/5~70/30)にて精製することにより、化合物52(9.94 g, 収率 98%)を得た。
MS (APCI): m/z 471 (M+NH4)+
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.36-7.22(10H, m),5.74 (1H, d, J = 4.1 Hz), 4.76 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.60 (1H, dd, J = 5.1, 4.1 Hz), 4.55 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.51 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.41 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.11 (1H, d, J = 5.1 Hz), 3.42 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.34-3.19 (3H, m), 2.22-2.11 (1H, m), 1.92-1.80 (1H, m), 1.69-1.51 (2H, m), 1.60 (3H, s), 1.33 (3H, s)
【0301】
【化127】
【0302】
実施例57
1,2-ジ-O-アセチル-7-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジロキシ)メチル]-5,6,7-トリデオキシ-L-リキソ-ヘプトフラノース(化合物53
化合物52(9.94g, 21.9mmol)の酢酸(19.9mL)溶液に無水酢酸(9.94mL, 105mmol)および濃硫酸(0.0497mL, 0.932mmol)を加え室温で4時間撹拌した。反応液に酢酸エチル(200mL)を加えた。激しく撹拌下、10%炭酸ナトリウム水溶液(200mL)を40分かけて滴下し、そのまま1時間激しく撹拌した。有機層を分液し、水層を酢酸エチル(50mL)で分液抽出した。有機層を併せ5%-重曹水(200mL)および飽和食塩水(100mL)で洗浄後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をトルエンで共沸(150mLにて2度実施)後に減圧乾燥することにより化合物53 (11.40g, トルエン4.9wt%含有、収率 100%)を得た。
MS (APCI): m/z 515 (M+NH4+
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.38-7.13(10H, m),6.10 (1H, s), 5.33 (1H, d, J = 5.1 Hz), 4.60 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.55-4.42 (3H, m), 4.29 (1H, d, J = 5.1 Hz), 3.40 (1H, d, J = 9.8 Hz), 3.35 (1H, d, J = 9.8 Hz), 3.31-3.18 (2H, m), 2.11 (3H, s), 1.89 (3H, s), 1.89-1.56 (4H, m)
【0303】
【化128】
【0304】
実施例58
1-{2-O-アセチル-7-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジロキシ)メチル]-5,6,7-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘプトフラノシル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物54
化合物53(11.40g, 21.78mmol)のアセトニトリル(57mL)溶液に室温でチミン(3022mg, 23.96mmol)を投入し、続いてBSA(16mL, 47.93mmol)をゆっくり滴下した。外温60℃で1時間撹拌した。TMSOTf(4.337mL, 23.96mmol)を同温度でゆっくり滴下し、外温80℃にて3時間撹拌した。反応液を氷冷し、5%炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を30分かけて加え反応をクエンチした。酢酸エチル(100mL)および水(100mL)を加えしばらく撹拌後に有機層を分液した。水層を酢酸エチル(50mL)で分液抽出し、有機層を併せ5%炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)および飽和食塩水(100mL)で洗浄後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、95/5~50/50)にて精製することにより化合物54 (10.62g, 収率 83%)を得た。
MS (ESI): m/z 564 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.14(1H,s),7.44-7.42 (1H, m), 7.39-7.27 (10H, m), 6.19 (1H, d, J = 5.7 Hz), 5.39 (1H, t, J = 5.7 Hz), 4.64 (1H, d, J = 11.3 Hz), 4.55-4.42 (3H, m), 4.37 (1H, d, J = 5.7 Hz), 3.66 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.37 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.34-3.17 (2H, m), 2.10 (3H, s), 1.95-1.70 (2H, m), 1.63-1.51 (5H, m)
【0305】
【化129】
【0306】
実施例59
1-{7-アジド-3-O-ベンジル-4-[(ベンジロキシ)メチル]-5,6,7-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘプトフラノシル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物55
化合物54(10.62g, 18.10mmol)のTHF (32mL)および酢酸エチル(11mL)溶液に氷冷下にてメチルアミン(10.62mL, 120mmol, 40%水溶液)を加え2時間撹拌した。反応液に1N-塩酸(105mL)を加えpH=8とした。酢酸エチル(200mL、および50mL)で分液抽出した。有機層を併せ飽和食塩水(100mL)で洗浄後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をトルエンで2回共沸後に減圧乾燥することにより化合物55(10.74g, 収率 100%)を得た。
MS (ESI): m/z 522 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.23(1H,brs),7.41-7.23 (9H, m), 7.19-7.12 (2H, m), 5.89 (1H, d, J = 6.2 Hz), 4.71 (1H, d, J = 11.3 Hz), 4.65 (1H, d, J = 11.3 Hz), 4.56 (1H, d, J = 11.3 Hz), 4.52 (1H, d, J = 11.3 Hz), 4.38-4.30 (1H, m), 4.17 (1H, d, J = 6.2 Hz), 3.63 (1H, d, J = 9.8 Hz), 3.41 (1H, d, J = 9.8 Hz), 3.37-3.28 (1H, m), 3.27-3.18 (1H, m), 2.94 (1H, d, J = 8.2 Hz), 1.98-1.71 (2H, m), 1.64-1.50 (5H, m)
【0307】
【化130】
【0308】
実施例60
(2R,3S,3aS,9aR)-2-(3-アジドプロピル)-3-(ベンジロキシ)-2-[(ベンジロキシ)メチル]-7-メチル-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-6-オン(化合物56
化合物55(10.74g, 18.14mmol)のピリジン(32mL)溶液に氷冷下にてメタンスルホニルクロリド(1.83mL, 23.59mmol)を滴下し、室温で3.5時間撹拌した。反応液を氷冷し1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(8.21mL, 54.43mmol)を滴下後に室温で4時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(400mL)で希釈し、10%クエン酸水溶液(500mL)に注ぎしばらく撹拌した。有機層を分液し、水層を酢酸エチル(100mL)で分液抽出した。有機層を併せ水(500mL)および飽和食塩水(300mL)で洗浄した。有機層(褐色)に活性炭(1.00g)を加え20分撹拌後にセライト濾過した。濾液を減圧濃縮後にトルエンで共沸した。得られた濃縮残渣に酢酸エチル(40mL)を加え懸濁しヘキサン(300mL)を加え析出物を濾取した。窒素雰囲気下で風乾後に減圧乾燥することにより化合物56(8.61g, 収率 94%)を得た。
MS (ESI): m/z 504 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.41 - 7.27 (8H, m), 7.18 (1H , d, J = 1.5 Hz), 7.16 - 7.12 (2H , m), 6.09 (1H , d, J = 6.2 Hz,), 5.21 (1H, dd, J = 6.2, 1.0 Hz), 4.72 (1H , d, J = 11.8 Hz), 4.57 (1H , d, J = 11.8 Hz), 4.37 (1H , d, J = 11.8 Hz), 4.29 (1H , s), 4.26 (1H , d, J = 11.8 Hz), 3.24 (2H , t, J = 6.2 Hz), 3.18 (1H , d, J = 9.8 Hz), 3.13 (1H , d, J = 9.8 Hz), 1.97 (3H , d, J = 1.0 Hz), 1.88 - 1.45 (4H , m)
【0309】
【化131】
【0310】
実施例61
(2R,3S,3aS,9aR)-2-(3-アミノプロピル)-3-(ベンジロキシ)-2-[(ベンジロキシ)メチル]-7-メチル-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-6-オン(化合物57
化合物56(8.61g, 17.1mmol)の1,2-ジメトキシエタン(198mL)溶液に水(17.2mL)を加え、60℃(外温)にてトリフェニルホスフィン(4930mg, 18.8mmol)を発泡見合いで小分けして加えた。同温度で20分撹拌後に外温80℃で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム/メタノール、100/0~70/30)にて精製することにより化合物57(8.25g, 酢酸エチル6.1wt%含有、収率 100%)を得た。
MS (ESI): m/z 478 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.39 - 7.23 (8H , m), 7.18 (1H , d, J = 1.0 Hz), 7.15 - 7.10 (2H , m), 6.11 (1H , d, J = 6.2 Hz,), 5.23 (1H , dd, J=6.2, 1.5 Hz), 4.72 (1H, d, J = 11.8 Hz,), 4.56 (1H , d, J=11.8 Hz), 4.35 (1H, d, J=11.8 Hz), 4.29 (1H, d, J = 1.5 Hz), 4.26 (1H , d, J = 11.8 Hz), 3.20 (1H , d, J = 10.3 Hz), 3.18 (1H, d, J = 10.3 Hz,), 2.65 (2H, t, J = 7.2 Hz), 1.95 (3 H , d, J = 1.0 Hz,), 1.80 - 1.29 (6H , m)
【0311】
【化132】
【0312】
実施例62
tert-ブチル (3-{(2R,3S,3aS,9aR)-3-(ベンジロキシ)-2-[(ベンジロキシ)メチル]-7-メチル-6-オキソ-2,3,3a,9a-テトラヒドロ-6H-フロ[2',3':4,5][1,3]オキサゾロ[3,2-a]ピリミジン-2-イル}プロピル)カルバメート(化合物58
化合物57(7.54g, 14.8mmol)のジクロロメタン(98mL)溶液に二炭酸ジ-tert-ブチル (3560mg、16.3mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/メタノール、100/0~97/3)にて精製することにより化合物58(7.67g, 酢酸エチル1.1wt%含有、収率 89%)を得た。
MS (ESI): m/z 578 (M+H)+
1H-NMR (CDCl3)δ: 7.40 - 7.27 (8H, m), 7.17 (1H, d, J = 1.5 Hz), 7.15 - 7.09 (2H , m), 6.09 (1H, d, J = 6.2 Hz), 5.20 (1H, dd, J = 6.4, 1.5 Hz), 4.71 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.56 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.48 (1H, brs), 4.35 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.28 (1H, d, J = 1.5 Hz), 4.24 (1H, d, J = 12.3 Hz), 3.17 (1H, d, J = 9.8 Hz), 3.14 (1H, d, J = 9.8 Hz), 3.11 - 3.03 (2H, m), 1.97 (3H, d, J = 1.0 Hz), 1.78 - 1.62 (2H, m), 1.55 - 1.48 (1H, m), 1.43 (9H, s), 1.42 - 1.33 (1H, m)
【0313】
【化133】
【0314】
実施例63
1-{3-O-ベンジル-4-[(ベンジロキシ)メチル]-7-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-5,6,7-トリデオキシ-α-L-キシロ-ヘプトフラノシル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物59
化合物58 (7.67g, 13.1mmol)のTHF(153mL)溶液に氷冷下にて1M水酸化ナトリウム水溶液(32.8mL, 32.8mmol)を滴下し、氷浴を外し室温にて6時間撹拌した。反応液に酢酸エチル(200mL)および5%クエン酸水溶液(120mL)を加え、しばらく撹拌後に有機層を分液した。水層を酢酸エチル(100mL)で分液抽出し、有機層を併せ水(200mL)および飽和食塩水(100mL)で洗浄後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、90/10~0/100)にて精製することにより化合物59(7.82g, 酢酸エチル2.4wt%含有、収率 100%)を得た。
MS (ESI): 496[M-Boc+H]+
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.46 (1H, brs), 7.52 (1H, d, J = 1.0 Hz), 7.40 - 7.25 (10H, m), 6.07 (1H, d, J = 4.6 Hz), 4.77 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.61 - 4.46 (4H, m), 4.42 (1H, brs), 4.17-3.86 (2H, m), 3.73 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.47 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.17-2.98 (2H, m), 1.77-1.45 (7H, m), 1.43 (9H, s)
【0315】
【化134】
【0316】
実施例64
1-{3-O-ベンジル-4-[(ベンジロキシ)メチル]-7-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-5,6,7-トリデオキシ-2-O-[(トリフルオロメチル)スルホニル]-α-L-キシロ-ヘプトフラノシル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物60
化合物59(7.82g, 12.8mmol)のジクロロメタン(63mL)溶液にピリジン(15.6mL, 193mmol)およびDMAP(3130mg、25.6 mmol)を加え、氷冷下にてトリフルオロメタンスルホン酸無水物(5.39mL、32.0mmol)を30分かけて滴下し、同温度で1時間撹拌した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物 (2.16mL、12.8mmol)を追加して同温度にて3時間撹拌した。氷冷下にて反応液に飽和重層水(200mL)を加えしばらく撹拌した。有機層を分液し、水層をジクロロメタン(100mL)で分液抽出した。有機層を併せ飽和食塩水で洗浄後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、トルエンで3回共沸した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、90/10~50/50)にて精製することにより化合物60(8.24 g,酢酸エチル4.2wt%含有,収率 88%)を得た。
MS (ESI): 628[M-Boc+H]+
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.36 (1H, brs), 7.41 - 7.27 (9 H, m), 7.25 - 7.21 (2H, m), 6.31 (1H, d, J = 5.1 Hz), 5.44 - 5.38 (1H, m,), 4.75 (1H, d, J = 11.8 Hz,), 4.59 - 4.40 (5H, m), 3.52 (1H, d, J = 9.8 Hz), 3.40 (1H, d, J = 9.8 Hz) , 3.22 - 3.01 (2H, m), 1.79 - 1.51 (7H, m,), 1.44 (9H, s)
【0317】
【化135】
【0318】
実施例65
1-{(1R,6R,8R,9S)-9-(ベンジロキシ)-6-[(ベンジロキシ)メチル]-7-オキサ-2-アザビシクロ[4.2.1]ノン-8-イル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物61
化合物60(8.24g, 10.9mmol)のジクロロメタン(124mL)溶液に氷冷下にてトリフルオロ酢酸 (41.2mL,535mmol)を加え、氷浴を外し室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後にトルエン共沸した。得られた残渣をジクロロメタン(200mL)に溶解し、氷冷下にて激しく撹拌しながら飽和重曹水(100mL)を加え、室温で13時間撹拌した。反応液の有機層を分液し、水層をクロロホルム(50mLで2度実施)で分液抽出した。有機層を併せ無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール、100/0~95/5)にて精製することにより化合物61(4.96 g, 収率 96%)を得た。
MS (ESI): 478[M+H]+
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.24 (1H, brs), 7.97 (1H, d, J = 1.5 Hz), 7.40 - 7.26 (8H, m), 7.25 - 7.20 (2H, m), 5.86 (1H, s), 4.76 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.56 (1H d , J= 11.8 Hz), 4.53 - 4.46 (2H, m), 4.40 (1H, d, J = 7.2 Hz), 3.72 (1H, d, J=10.8 Hz), 3.58 (1H, d, J=7.2 Hz), 3.54 (1H, d, J=10.8 Hz), 3.34 - 3.21 (1H, m), 3.14 - 3.03 (1H, m), 1.90 - 1.55 (4H, m), 1.41 (3H, d, J=1.5 Hz)
【0319】
【化136】
【0320】
実施例66
N-(9-{(1R,5R,7R,8S)-8-(ベンジロキシ)-5-[(ベンジロキシ)メチル]-6-オキサ-2-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-7-イル}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(化合物63
化合物62 (1-{(1R,5R,7R,8S)-8-(ベンジロキシ)-5-[(ベンジロキシ)メチル]-6-オキサ-2-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-7-イル}-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン, J. Am. Chem. Soc.2006, 128, 15173. に記載の方法に準じ、3,5-ジ-O-ベンジル-4-C-ヒドロキシメチル-l,2-O-イソプロピリデン-α-D-リボフラノース から合成した)(49.8mg, 0.107mmol)とN-(9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(77.1mg,0.322mmol) を10mLナスコルに入れ、トルエン (1mL)、および、BSA(0.235mL、0.961mmol)を加えた。外温60℃にて15分間した後、外温100℃に昇温し、TMSOTf(0.005mL、0.026mmol)を加えた。同温度にて30分撹拌した後、室温とし、3% 重曹水溶液(10mL)、クロロホルム(10mL)を加え,撹拌した。 有機層を分離し,水層からクロロホルム(10mL)で抽出した。有機層を混合し,水(10mL)で洗浄した.水層をクロロホルム (5mL)で抽出し,有機層と混合した。混合した有機層は綿栓ろ過し,固体を除いた.ろ液を溶媒留去した後、逆相HPLC分取(10mM炭酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル=60/40~30/70)に付し、さらに薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=12/1で2度上げを実施)で精製することで化合物63(4.9mg、収率 8%)を得た。
MS (ESI): 577[M+H]+
1H-NMR (CDCl3)δ: 9.08 (1H, brs), 8.77 (1H, s), 8.72 (1H, s), 8.05 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.65-7.59 (1H, m), 7.57-7.51 (2H, m),7.39-7.21 (10H, m), 6.45 (1H, s), 4.64 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.58 (1H, d, J = 12.3 Hz),4.55 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.47 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.23 (1H, d, J = 3.6 Hz), 3.71 (1H, d, J = 3.6 Hz), 3.66 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.52 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.26-3.16 (1H, m), 3.07(1H, dd, J = 13.9, 6.7 Hz), 2.07-1.97 (1H, m), 1.86(1H, brs),1.37(1H, dd, J = 12.8, 4.6 Hz)
【0321】
【化137】
【0322】
実施例67
9-{(1R,5R,7R,8S)-8-(ベンジロキシ)-5-[(ベンジロキシ)メチル]-6-オキサ-2-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-7-イル}-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-6-イル ジフェニルカルバメート(化合物64
実施例66と同様にして、化合物62(49.8mg、0.107mmol)と、[2-(2-メチルプロパノイルアミノ)-9H-プリン-6-イル]N,N-ジフェニルカルバメート(133.9mg,0.3216mmol)(合成法はJ. Org. Chem. 1996, 61, 9207に記載の方法に準じる)から、化合物64(24.4mg, 収率 30%)を得た。
MS (ESI): 754[M+H]+
1H-NMR (CDCl3)δ: 8.65 (1H, s), 8.04 (1H, s), 7.49-7.42 (2H, m), 7.40-7.21 (18H, m), 6.37 (1H, s), 4.64 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.56 (1H, d, J = 12.3 Hz),4.53 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.44 (1H, d, J = 11.8 Hz), 4.24 (1H, d, J = 3.6 Hz), 3.66 (1H, d, J = 3.6 Hz), 3.63 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.50 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.21-3.12 (1H, m), 3.04(1H, dd, J = 13.9, 6.7 Hz), 2.90 (1H, brs), 2.07 (1H, brs),2.06-1.93(1H, m), 1.35(1H, dd, J = 12.8, 4.6 Hz), 1.27(3H, d, J = 1.5 Hz), 1.25(3H, d, J = 1.5 Hz)
【0323】
【化138】
【0324】
実施例68
N-(9-{(1R,6R,8R,9S)-9-(ベンジロキシ)-6-[(ベンジロキシ)メチル]-7-オキサ-2-アザビシクロ[4.2.1]ノン-8-イル}-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(化合物65
化合物61 (49.7mg, 0.104mmol), および、N-(9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(74.7mg, 0.312mmol)を10mLナスコルに入れ、1,2-ジクロロエタン(1mL),BSA (0.230mL, 0.941mmol)を加えた。外浴60℃にて15分撹拌した後に、TMSOTf (0.0050mL, 0.026 mmol)を加え,外浴60℃にて3.5時間撹拌した。室温とし、3% 重曹水溶液(10mL)、クロロホルム(15mL)を加え,撹拌した。 有機層を分離し,水層からCHCl3(10mL)で抽出した。有機層を混合し,水道水(10mL)で洗浄した.水層をCHCl3 (5mL)で抽出し,有機層と混合した。水層からクロロホルム (5mL)で抽出した.再度,有機層を混合し,50℃で減圧濃縮した後、逆相HPLC分取(10mM炭酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル=50/50~20/80)に付すことで化合物65(19.2mg、収率 31%)を得た。
MS (ESI): 591[M+H]+
1H-NMR (CDCl3)δ: 9.00 (1H, brs), 8.80 (1H, s), 8.70 (1H, s), 8.04 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.64-7.59 (1H, m), 7.56-7.51 (2H, m),7.37-7.24 (10H, m), 6.28 (1H, s), 4.65 (1H, d, J = 6.7 Hz), 4.60 (1H, d, J = 11.3 Hz),4.59 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.52 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.47 (1H, d, J = 11.3 Hz), 3.86 (1H, d, J = 6.7 Hz), 3.65 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.51-3.47 (2H, m), 3.36-3.28(1H, m), 3.17-3.08(1H, m), 1.98-1.89 (2H, m), 1.83-1.67 (2H, m)
【0325】
【化139】
【0326】
実施例69
9-{(1R,6R,8R,9S)-9-(ベンジロキシ)-6-[(ベンジロキシ)メチル]-7-オキサ-2-アザビシクロ[4.2.1]ノン-8-イル}-2-[(2-メチルプロパノイル)アミノ]-9H-プリン-6-イル ジフェニルカルバメート(化合物66
実施例68と同様にして、化合物61(50.1mg、0.105mmol)と、[2-(2-メチルプロパノイルアミノ)-9H-プリン-6-イル]N,N-ジフェニルカルバメート(131.1mg,0.3148mmol)(合成法はJ. Org. Chem. 1996, 61, 9207に記載の方法に準じる)から、化合物66(42.4mg, 収率 53%)を得た。
MS (ESI): 768[M+H]+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.60 (1H, s), 8.01 (1H, s),7.47-7.42 (2H, m), 7.40-7.21 (18H, m), 6.18 (1H, s), 4.68 (1H, d, J = 6.7 Hz), 4.62 (1H, d, J = 11.3 Hz),4.60 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.51 (1H, d, J = 12.3 Hz), 4.47 (1H, d, J = 11.3 Hz), 3.84 (1H, d, J = 6.7 Hz), 3.63 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.49 (1H, d, J = 10.8 Hz), 3.36-3.25 (1H, m), 3.13-3.04(1H, m), 2.92(1H, brs), 1.97 (1H, s),1.94-1.84 (1H, m), 1.80-1.65 (3H, m), 1.26 (6H, d, J = 7.2 Hz)
【0327】
実施例70 オリゴヌクレオチド類縁体の合成および精製
実施例32で得られた化合物16Ab、実施例30で得られた化合物16 Me Ca、実施例28で得られた化合物16Ga、および市販の各種ホスホラミダイトを用い、各種核酸塩基を有するオリゴヌクレオチド類縁体を、DNA/RNAオリゴヌクレオチド自動合成機nS-8またはnS-8II(いずれも株式会社ジーンデザイン製)により0.2μmolスケールのCPGまたはポリスチレン担体を用いて、5’末端DMTr ONまたはOFFにて合成した。GuNAモノマーをカップリングする際の、GuNAモノマーのアセトニトリル溶液(0.1M)のカップリング時間は8分で行い、それ以外の工程はnS-8またはnS-8IIの通常のオリゴヌクレオチド合成条件にて行った。活性化剤は5-エチルチオ-1H-テトラゾール(0.25M)を用いた。
【0328】
合成したオリゴヌクレオチド類縁体の精製および純度確認は逆相HPLCにより以下の条件で行った。
移動相
A液: 0.1M 酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液,pH7.0
B液: 0.1M 酢酸トリエチルアンモニウム (水:アセトニトリル=1:1)溶液
グラジエント: A:B =95:5→70:30(23分)もしくはA:B =95:5→50:50(22.5分)
使用カラム:
分析 Waters XBridgeTM OST C18 2.5μm(4.6×50mm)
分取 Waters XBridgeTM OST C18 2.5μm(10×50mm)
流速:
分析 1 mL/分
分取 4 mL/分
カラム温度: 50℃
検出: UV(254 nm)
合成したオリゴヌクレオチド類縁体の分子量は、飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)により決定した。
【0329】
5’-d(TTTTATTTTT)-3’(配列番号1)(A: グアニジン架橋型核酸,化合物48)の合成
実施例32で得られた化合物16Abを用いて、0.2μmolのポリスチレン担体(LV-PS dT 0.2μmol,Glen Research社製)上でBoc保護オリゴヌクレオチドとして合成し、合成後のカラムに20%トリフルオロ酢酸の塩化メチレン溶液を充して室温で1時間放置した。塩化メチレンとアセトニトリルを順次通して担体を洗浄し、窒素気流下で担体を予備的に乾燥し、これを減圧乾燥した。
続いてアンモニアのメタノール溶液(7N)をカラムに通し、室温で1時間放置して切り出し、担体を28%アンモニア水で洗浄し、切り出し液と洗浄液をスナップバイアル内で合一した後、外温65℃で6時間加熱した。これを80%程度まで減圧濃縮し、逆相HPLC精製(グラジエント: A:B =95:5→70:30(23分) )を行った。収率27%。
MALDI-TOF-MS: m/z 理論値(M-H-)3057.06 実測値(M-H-)3053.00。
【0330】
5’-d(TTTTATTTTT)-3’(配列番号1)(A: グアニジン架橋型核酸,化合物48)の合成2
実施例32で得られた化合物16Abを用いて、CPG担体(CPG 500Å dT 0.2μmol, Proligo社製)上でBoc保護オリゴヌクレオチドとして合成し、合成後のカラムに脱Boc液(トリメチルシリルトリフレート 940μL, 2,6-ジメチルピリジン 1,260 μL, 塩化メチレン10 mLの混合物)を充して室温で3時間放置した。脱Boc液を抜き、カラムに10v/v% 2,6-ジメチルピリジン/塩化メチレン溶液と塩化メチレンを順次通して担体を洗浄した。
続いて28%アンモニア水を加え、12時間放置した後、切り出し液をスナップバイアルへ移し、外温65℃で5時間加熱した。これを半分量まで減圧濃縮し、逆相簡易カラム(Sep-Pak(登録商標) Plus C18 Cartridges, Waters社製)により精製し、逆相HPLC精製(グラジエント: A:B =95:5→70:30(23分) )を行った。収率12%。
MALDI-TOF-MS m/z 理論値(M-H-)3057.06 実測値(M-H-)3058.82。
【0331】
5’-d(TTTT m CTTTTT)-3’(配列番号2)( m C: グアニジン架橋型核酸,化合物49)の合成
実施例30で得られた化合物16 Me Caを用いて、0.2μmolのポリスチレン担体(LV-PS dT 0.2μmol,Glen Research社製)上でTeoc保護オリゴヌクレオチドとして合成し、カラムより担体を取り出しスナップバイアルへ移した。テトラブチルアンモニウムフルオライドのテトラヒドロフラン溶液(0.2M)を添加し、外温65℃で8時間加熱、続いて28%アンモニア水を加え、外温65℃で8時間加熱した。これを約半分量まで減圧濃縮し、残渣をゲルろ過カラム(illustraTM NAPTM-10 Column SephadexTM G-25 DNA Grade, GEへルスケア社製)、続いて逆相簡易カラム(Sep-Pak(登録商標) Plus C18 Cartridges, Waters社製)により精製し、さらに逆相HPLC精製(グラジエント: A:B =95:5→50:50(22.5分) )を行った。収率19%。
MALDI-TOF-MS m/z 理論値(M-H-)3047.06 実測値(M-H-)3046.06。
【0332】
5’-d(TTTTGTTTTT)-3’(配列番号3)(G: グアニジン架橋型核酸,化合物50)の合成
上記化合物48の合成2の製法に準じて、実施例28で得られた化合物16Gaを用いて、CPG担体(CPG 500Å dT 0.2μmol, Proligo社製)でTeoc保護オリゴヌクレオチドとして合成し、脱保護から精製までの処理は化合物48と同様にして行った。収率23%。
MALDI-TOF-MS m/z 理論値(M-H-)3073.06 実測値(M-H-)3071.24。
【0333】
飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)による分子量測定の結果が理論値とよい一致を示したことから、それぞれ目的とするオリゴヌクレオチドが得られたことを確認した。
【0334】
化合物5158も同様にして合成した。結果を表1に表す。
表1:グアニジン架橋型核酸を有するオリゴヌクレオチド
【表1】

比較対照として、化合物51から58と同一の塩基配列であり、グアニジン架橋型核酸を含まず天然型ヌクレオシドのみを有するオリゴヌクレオチド(それぞれ、化合物59から66)を通常のオリゴヌクレオチド合成条件に従って合成し、精製した。また、前記オリゴヌクレオチドと二重鎖を形成し得る相補鎖オリゴヌクレオチドとして、化合物51から58の相補配列であり、グアニジン架橋型核酸を含まず天然型ヌクレオシドのみを有するオリゴヌクレオチド(それぞれ、化合物67から74)、および化合物51から54の相補配列であり、グアニジン架橋型核酸を含まず天然型ヌクレオシドのみを有するRNAであるオリゴヌクレオチド(それぞれ、化合物75から78)を通常のオリゴヌクレオチド合成条件に従って合成し、精製した。
【0335】
実施例71 融解温度(Tm)の測定
実施例70で得られた各種オリゴヌクレオチド(化合物48から66)と相補鎖オリゴヌクレオチド(化合物67から74、または化合物75から78)とアニーリング処理して二重鎖を形成させた後、二重鎖の50%が乖離する温度であるTm値を測定することにより、オリゴヌクレオチドの二重鎖形成能を調べた。
具体的には,塩化ナトリウム 100mM、リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.99) 10mM、オリゴヌクレオチド 4μM、相補鎖 4μMを含むサンプル溶液(130μL)を、表2に記載の化合物については、室温から毎分5℃で95℃まで昇温した後、毎分0.5℃の速度で降温し5℃まで冷却し、表3に記載の化合物については沸騰水浴で加熱した後、静置し室温まで冷却した。分光光度計(Shimadzu,UV-1650PCまたはUV-1800)のセル室内に結露防止のため窒素気流を通し、サンプル溶液を5℃まで徐々に冷却し、さらに1分間5℃に保った後、測定を開始した。90℃まで毎分0.5℃の割合で温度を緩やかに上昇させ、0.5℃上昇する毎に260 nmにおける紫外部吸収を測定した。なお、温度上昇による濃度変化を防止するため、セルは蓋付きのものを用いた。結果をTm値および修飾単位あたりのTm値差にて表2に示す。Tm値が高いほど、二重鎖形成能が高いことを示す。
【0336】
表2:1残基のグアニジン架橋型核酸導入のTm値への影響
【表2】

*: 相補鎖オリゴヌクレオチドの塩基配列:
・化合物51,59の相補鎖: DNA/5’-d(AGCAAAAAACGC)-3’(化合物67)(配列番号12),
RNA/5’-r(AGCAAAAAACGC)-3’(化合物75)(配列番号13),
・化合物52,60の相補鎖: DNA/5’-d(AGCAAATAACGC)-3’(化合物68)(配列番号14),
RNA/5’-r(AGCAAATAACGC)-3’(化合物76)(配列番号15),
・化合物53,61の相補鎖: DNA/5’-d(AGCAAAGAACGC)-3’(化合物69)(配列番号16),
RNA/5’-r(AGCAAAGAACGC)-3’(化合物77)(配列番号17),
・化合物54,62の相補鎖: DNA/5’-d(AGCAAACAACGC)-3’(化合物70)(配列番号18),
RNA/5’-r(AGCAAACAACGC)-3’(化合物78)(配列番号19)。
【0337】
表3:3残基のグアニジン架橋型核酸導入のTm値への影響
【表3】
【0338】
表2および3から明らかなように、グアニジン架橋型人工核酸を含有するオリゴヌクレオチドは、全ての塩基において、RNAのみならずDNAに対しても優れた二重鎖形成能を有していた。また、いずれの塩基についてもオリゴヌクレオチドへのグアニジン架橋型人工核酸の導入割合が多いほど、Tm値の上昇が見られた。したがって、本発明のグアニジン架橋型人工核酸を導入したオリゴヌクレオチドは、アンチセンス法に適するオリゴヌクレオチドであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0339】
本発明の架橋型核酸GuNAの新規な製造方法は、架橋型核酸GuNAの製造のための工程数を短縮することができ、架橋型核酸GuNAの収率を改善できる。また、本発明の新規な中間体としての化合物を用いて、様々な種類の核酸塩基を含有する架橋型人工核酸GuNAを製造することができる。本発明の製造方法、及び中間体化合物はグアニジン架橋型核酸GuNAの効率的な製造に有用であり、グアニジン架橋型人工核酸GuNAオリゴマーは、各種医薬、診断、試験研究に使用することができる。
【配列表フリーテキスト】
【0340】
配列番号1~12、14、16、18および20~23は、DNAオリゴヌクレオチドを示す。
配列番号13、15、17、および19は、RNAオリゴヌクレオチドを示す。
【配列表】
2024153835000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式VIII:
【化1】
[式中、Bは1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシ卜シニル、1つ以上の保護基を有してもよい5-メチルシ卜シニル、または1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、各Rは独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基であり、R12及びR13は各々水素原子であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項2】
一般式VIII:
【化2】
[式中、Bが1つ以上の保護基を有してもよいアデニニル、1つ以上の保護基を有してもよいグアニニル、1つ以上の保護基を有してもよいシ卜シニル、または1つ以上の保護基を有してもよいウラシニルであり、R及びRは各々独立して水素原子、または1つ以上の置換基で置換されてもよいC1-6アルキル基、R及びRが各々水素原子であり、R12及びR13は各々水素原子であり、そしてmは1~3の整数である。]
で表される化合物またはその塩。