(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153860
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】加湿システム内の接続エラーの検出方法
(51)【国際特許分類】
A61M 16/16 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A61M16/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024125720
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2023015643の分割
【原出願日】2017-10-11
(31)【優先権主張番号】62/406,720
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】ポー-イェン、リウ
(72)【発明者】
【氏名】イバン、チー-ファン、テン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター、アラン、シークアップ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル、ジョン、スミス
(72)【発明者】
【氏名】ホ、シン、ロ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】誤接続を検出又は自動的に検出し、使用者に警告することができる加湿システムを提供する。
【解決手段】ガス源と、入口及び出口を含む加湿器と、吸気コンジットと、を含む呼吸加湿システム内の逆流の検出方法において、1つ又は複数の逆流検出テストを実行するステップと、逆流状態が検出された場合に、表示を出力するステップと、を含み、前記1つ又は複数の逆流検出テストを実行するステップは、前記加湿器の前記入口又は前記出口又はその付近において、逆流状態を直接検出する指向性フローセンサを用いること、を含む、方法。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス源と、入口及び出口を含む加湿器と、吸気コンジットと、を含む呼吸加湿システム内の逆流の検出方法において、
1つ又は複数の逆流検出テストを実行するステップと、
逆流状態が検出された場合に、表示を出力するステップと、を含み、
前記1つ又は複数の逆流検出テストを実行するステップは、
前記加湿器の前記入口又は前記出口又はその付近において、逆流状態を直接検出する指向性フローセンサを用いること、を含む、方法。
【請求項2】
逆流検出機構を備える呼吸加湿システムにおいて、
入口、出口、及び前記入口にガス源により提供されたガスを加湿するための液体を加熱する加湿器熱源を含む加湿器であって、吸気コンジットを介して前記加湿されたガスを使用者に供給するように構成された、加湿器と、前記ガス源、前記加湿器、及び前記吸気コンジットは使用の際、呼吸回路の少なくとも一部を形成し、
前記加湿器の前記入口又は前記出口又はその付近にあり、逆流状態を直接検出する指向性フローセンサと、
ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラであって、前記指向性フローセンサと電気通信し、前記ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、1つ又は複数の逆流検出テストを実行し、逆流状態が検出された場合に表示を出力するように構成されるハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラと、を備え、
前記1つ又は複数の逆流検出テストを実行することは、
前記指向性フローセンサを用いること、を含む、呼吸加湿システム。
【請求項3】
前記コントローラは、使用者に逆流状態の表示を警告するように構成され、及び/又は
逆流状態が検出された場合、前記コントローラは、1つ又は複数の可聴アラーム、インジケータライト、テキストメッセージ、画像、前記逆流状態を解消するための命令、又は、エラーの是正方法を示すアニメーション又は一連の画像を提供すること、前記加湿器への接続が誤っている可能性があることの表示を出力すること、及び、療法の提供を停止することのうちいずれか1つ又はその組み合わせを行うように構成されている、請求項2に記載の呼吸加湿システム。
【請求項4】
逆流状態の表示が特定されるたびにカウントを進めるカウンタを備える、請求項2又は3に記載の呼吸加湿システム。
【請求項5】
前記カウンタはタイマを有し、前記コントローラは、逆流状態の表示が存在する時間の長さを検出するように構成されている、請求項4に記載の呼吸加湿システム。
【請求項6】
前記コントローラは、逆流状態の表示が検出されるたびに前記カウンタを初期化する、及び/又は、正常な流れの状態が検出されるたびに前記カウンタをディスエーブルするように構成されている、請求項4又は5に記載の呼吸加湿システム。
【請求項7】
前記コントローラは、閾値まで増加する前記カウンタ又はタイマを使用し、前記閾値に到達し又はそれを超えると警告が生成されるように構成されている、請求項4~6のいずれかに記載の呼吸加湿システム。
【請求項8】
前記コントローラは、逆流状態が検出されなかった場合、その旨の表示を出力する、及び/又は、換気及び/又は加湿療法を開始する、及び/又は、現在の換気及び/又は加湿療法を継続するように構成されている、請求項2~7のいずれかに記載の呼吸加湿システム。
【請求項9】
前記コントローラは、ガス流がないときに前記指向性フローセンサをゼロポイント基準で校正するように構成されている、請求項2~8のいずれかに記載の呼吸加湿システム。
【請求項10】
前記ガス源、前記吸気コンジット、及び呼気コンジットのうち少なくとも1つを備え、前記呼気コンジットは、ヒータ及び1つ又は複数の別のセンサを有し、前記別のセンサは流量センサ、圧力センサ、温度センサ及び/又は湿度センサを含む、請求項2~9のいずれかに記載の呼吸加湿システム。
【請求項11】
前記加湿器は、ウォータチャンバとヒータプレートを含み、前記加湿器の前記入口及び前記出口はそれぞれ前記ウォータチャンバの入口及び出口であり、及び/又は
前記吸気コンジットはヒータを有し、及び/又は
前記システムは、シングルリム加湿システム又はデュアルリム加湿システムである、請求項2~10のいずれかに記載の呼吸加湿システム。
【請求項12】
前記加湿器は前記コントローラを備える、請求項2~11のいずれかに記載の呼吸加湿システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、呼吸加湿システムに関する。特に、本願は加湿システム内の構成要素間の接続のエラーを検出することに関する。本願は、2016年10月11日に出願された米国仮特許出願第62/406720号明細書の優先権を主張するものであり、その全内容を参照によって本願に援用する。
【背景技術】
【0002】
呼吸補助を必要とする患者に加湿ガスを供給するためには、多数の方法を使用できる。このような加湿システムは一般に、ベンチレータ等の加圧ガス(又はその他の混合ガス)源と、給水源と水を気化させてガス源からのガスを加湿するための加熱手段を含む加湿器と、加湿ガスを患者インタフェース、例えばマスク、鼻カニューレ等に搬送するための呼吸コンジットと、を含む。加湿システムは、シングルリム又はデュアルリムとすることができる。シングルリムシステムでは、患者から吐き出されたガスを患者インタフェースの通気孔を通じ周辺空気中へと放出させることができる。デュアルリムシステムでは、吐き出されたガスを患者から呼気コンジットを通じてガス源に戻すことができる。
【0003】
加湿システムが適正に機能するためには、ガスがガス源から加湿器を通じて患者へと正しい、又は正常な方向に流れることと、加湿システムの構成要素が正しく接続されていることが肝要である。正しい、又は正常な方向は、順流方向とすることができる。正しい接続と正常な流れの方向では、ガスが確実に患者に所望の湿度と所望の患者端温度で送達される。加湿システム内の接続エラーは、例えば患者インタフェース、加湿器、及び/又はガス源のうちの2つ又はそれ以上の間等、各種の構成要素間で発生し得る。加湿システム内の接続エラーは、セットアップエラーによる可能性がある。介助者は、同じ種類の対応する端コネクタ、例えば22mmの雄及び雌医療用テーパコネクタやその他の標準的コネクタを有するコンジットを誤って連結してしまうことがあり得る。介助者は、加湿器とガス源を逆に接続する可能性がある。独自のコネクタは、例えば加湿器の排出口等において、この問題を改善するのに役立つかもしれないが、それは製造が複雑となり、コストが増大する原因となり、及び/又は介助者や使用者にとってわかりにくいかもしれない。さらに、幾つかのコネクタは、規則により、及び/又は商業的な必要性により要求される標準化されたコネクタであるかもしれず、これは独自のコネクタに都合よく変えられないかもしれない。加湿システムのその他の構成要素も相互に誤って接続される可能性がある。
【0004】
接続エラーは逆流状態の原因となり得る。逆流状態とは、ガスが、順流方向等の所望の方向と比較して、間違った、又は逆の方向に流れる状態とすることができる。構成要素の誤接続は、ガスが患者に所望の湿度及び/又は温度より高い、又は低い状態で患者に送達されるという結果を招く可能性があり、それが不満足な治療、不快感、及び/又は患者体内の不利な反応につながる。例えば、乾燥した空気がガス源から患者に直接送達される可能性があり、その一方で、加湿ガスがガス源に送達される可能性がある。このような誤接続の場合、患者から吐き出された空気は加湿器に送達される。逆流状態では、ガス源(例えば、ベンチレータ又はその他のガス源)に湿気が提供されることによって損傷も生じる可能性がある。ガス源に提供される湿気は経路の原因なる可能性があり、それはガス源に損傷を与える可能性がある。
【0005】
逆流状態は、誤接続又は臨床医もしくは看護師による誤ったセットアップを示す可能性がある。現在の加湿システムは、逆流状態を直接検出することができない。これは、流れの方向を直接検出することのできない全方位フローセンサ及び/又は間接的な逆流検出方法を持ち合わせていない加湿システムの使用による可能性がある。例えば、現在の加湿システム上にある他の種類のセンサ、例えば湿度センサ及び/又は赤外線温度センサは、逆流状態又は誤接続を検出するように構成されていない。
【0006】
幾つかの加湿システムは、患者が吸気コンジットを通じて息を吐いているか否かを、加湿器入口においてガス源より高い温度を検出することによって、又は加湿器の入口と出口における流速及び/又は電力損失曲線を比較することによって検出できる。これらの検出の特徴は、システムがシングルリムかデュアルリムかを識別するのに役立ち得る。しかしながら、これらの検出の特徴は、本開示において記載されている誤接続の検出とは異なる。このようなシステムは、2016年1月18日に出願された、“HUMIDIFICATION OF RESPIRATORY GASES”と題する米国仮特許出願第62/280076号明細書及び2016年7月15日に出願された、“HUMIDIFICATION OF RESPIRATORY GASES”と題する米国仮特許出願第62/362709号明細書に記載されており、その各々の全体を参照によって本願に援用する。
【0007】
幾つかの加湿システムは、システム内の、逆流状態又はその他の種類のシステム誤動作によって生じる可能性のある加熱又は流量の異常を検出できる。異常は、加湿器の入口温度が加湿器の出口温度を所定の閾値だけ超えた場合を含むことができる。このようなシステムは、2016年3月11日に出願された、“HUMIDIFICATION SYSTEM”と題する米国特許出願第15/021616号明細書に記載されており、その全体を参照によって本願に援用する。
【0008】
幾つかの加湿システムは、専用チューブ及びコンジット用の独自の端コネクタを有することによって、構成要素の接続エラーを最小限にすることができる。例えば、吸気コンジットは、加湿器の出口にしか接続できない独自の端コネクタを有することができる。しかしながら、これらの加湿システムは、逆流状態を検出できない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の加湿システムは、誤接続を検出又は自動的に検出し、使用者に警告することができる。システムは、システム内の構成要素間、例えば患者インタフェース、加湿器、及び/又はガス源間の接続のエラーを検出できる。本開示の加湿システムは、患者が最適でない湿度及び/又は温度を受け取っていることになる逆流状態/状況の存在を検出できる。本明細書において開示されている方法は、ガスが間違った方向に流れているか否かを検出できる。間違った方向は逆流方向とすることができる。本明細書に記載されている方法により検出される逆流状態は、加湿器、患者インタフェース、及び/又はガス源間の接続のエラーを示す可能性が高い。本開示はまた、侵襲的機械換気療法、非侵襲的機械換気療法、新生児用侵襲的又は非侵襲的療法、及び/又はその他の治療を提供するためのシステム等のデュアルリムシステムの呼気コンジットの誤接続の検出にも関する。誤接続は、呼気コンジットの不適正な接続及び/又は切断を含むことができ、これは、呼気コンジットの熱源の不適正な接続及び/又は切断の原因にもなる。呼気コンジットの誤接続の検出には、使用者への警報を含むことができる。
【0010】
ガス源と、入口及び出口を含む加湿器と、吸気コンジットと、を含む呼吸加湿システム内の誤接続の検出方法は、加湿器の入口においてセンサにより測定された入口温度を、出口設定点又は加湿器の出口に位置付けられたセンサにより測定された出口温度測定値のうちの1つ又は複数と比較することによって、1つ又は複数の逆流検出テストを実行するステップを含むことができる。方法は、入口温度が出口設定点又は出口温度測定値のうちの1つ又は複数より高い場合に、誤接続を示す逆流状態の表示を出力するステップを含むことができる。方法は、逆流状態の表示を使用者に警告するステップを含むことができる。警告するステップは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供するステップを含むことができる。警告するステップはまた、逆流状態を解消するための命令を提供するステップも含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0011】
誤接続検出機能付き呼吸加湿システムは、ガスの供給源を提供するように構成されたガス源と、入口及び出口を含む加湿器であって、空気を加湿するように構成され、ガス源により提供されたガスを加湿するための液体を加熱する加湿器熱源を含む加湿器と、加湿ガスを使用者に提供するように構成された吸気コンジットと、を含むことができる。ガス源、加湿器、及び吸気コンジットは、呼吸回路の少なくとも一部を形成できる。システムは、それぞれ入口温度と出口温度を測定するように構成された、加湿器入口及び出口におけるセンサと、ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラと、を含むことができる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、センサと電気通信し、入口温度が出口設定点又は出口温度のうちの1つ又は複数より高い場合に、誤接続を示す逆流状態の表示を出力するように構成することができる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、逆流状態の表示を使用者に警告するように構成できる。警告することは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供することを含むことができる。警告することはまた、逆流状態を解消するための命令を提供することを含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0012】
ガス源と、入口及び出口を含む加湿器と、吸気コンジットと、を含む呼吸加湿システム内の誤接続の検出方法は、加湿器の入口において第一のセンサにより測定された入口パラメータを、加湿器の出口において第二のセンサにより測定された出口パラメータと比較することによって、1つ又は複数の逆流検出テストを実行するステップを含むことができる。方法は、入口パラメータが出口パラメータより高い場合に、逆流状態の表示を出力するステップを含むことができる。パラメータは、流量又は電力損失値を含むことができる。方法は、逆流状態の表示を使用者に警告するステップを含むことができる。警告するステップは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供するステップを含むことができる。警告するステップはまた、逆流状態を解消するための命令を提供するステップも含むことができる。
【0013】
誤接続検出機構を備える加湿システムは、ガスの供給源を提供するように構成されたガス源と、入口及び出口を含む加湿器であって、空気を加湿するように構成され、ガス源により提供されたガスを加湿するための液体を加熱するための、例えばヒータプレート等の加湿器熱源を含む加湿器と、加湿ガスを使用者に提供するように構成された吸気コンジットと、を含むことができる。ガス源、加湿器、及び吸気コンジットは、呼吸回路の少なくとも一部を形成できる。システムは、それぞれ入口パラメータと出口パラメータを測定するように構成された加湿器入口及び出口のセンサと、センサと電気通信するハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラと、を含むことができる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、入口パラメータが出口パラメータより高い場合に逆流状態の表示を出力するように構成できる。パラメータは、流量又は電力損失値を含むことができる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、逆流状態の表示を使用者に警告するように構成できる。警告することは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供することを含むことができる。警告することはまた、逆流状態を解消するための命令を提供することも含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0014】
呼吸加湿システム内の誤接続の検出方法は、加湿システムのハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラにより1つ又は複数の逆流検出テストを実行するステップを含むことができる。1つ又は複数の逆流検出テストは、加湿システムの吸気コンジットの患者端において第一のセンサにより測定された患者端温度を患者端設定点と比較するステップと、患者端温度が患者端設定点より高い場合に、加湿システムの加湿器の入口において第二のセンサにより測定された入口温度を、出口設定点又は加湿器の出口において第三のセンサにより測定された出口温度と比較するステップと、入口温度が出口設定点又は出口温度より高い場合に、誤接続を示す逆流状態の表示を出力するステップと、を含むことができる。方法は、入口温度が出口設定点又は出口温度より高い場合に、入口温度を周囲温度と比較するステップと、入口温度が周囲温度より高い場合に逆流状態の表示を出力するステップと、を含むことができる。方法は、逆流状態の表示を使用者に警告するステップを含むことができる。警告するステップは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供するステップを含むことができる。警告するステップはまた、逆流状態を解消するための命令を提供するステップも含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0015】
誤接続の検出機構を備える加湿システムは、ガスの供給源を提供するように構成されたガス源と、入口及び出口を含む加湿器であって、空気を加湿するように構成され、ガス源により提供されるガスを加湿するための液体を加熱するための加湿器熱源を含む加湿器と、加湿ガスを使用者に提供するように構成された吸気コンジットと、を含むことができる。ガス源、加湿器、及び吸気コンジットは、呼吸回路の少なくとも一部を形成できる。システムは、患者端温度を測定するように構成された吸気コンジットの患者端の第一のセンサと、入口温度を測定するように構成された加湿器入口の第二のセンサと、出口温度を測定するように構成された加湿器出口の第三のセンサと、を含むことができる。システムは、第一、第二、及び第三のセンサと電気通信するハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラを含むことができる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、患者端温度が患者端設定点より高い場合に入口温度を出口設定点又は出口温度と比較し、入口温度が出口設定点又は出口温度より高い場合に逆流状態の表示を出力することによって、加湿システム内の誤接続を示す逆流状態の表示を検出するように構成できる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、入口温度が出口設定点又は出口温度より高い場合に、入口温度を周囲温度と比較し、入口温度が周囲温度より高い場合に逆流状態の表示を出力するように構成できる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、逆流状態の表示を使用者に警告するように構成できる。警告することは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供することを含むことができる。警告することはまた、逆流状態を解消するための命令を提供することも含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0016】
呼吸加湿システム内の誤接続の検出方法は、加湿システムのハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラにより1つ又は複数の逆流検出テストを実行するステップを含むことができる。1つ又は複数の逆流検出テストは、加湿システムの吸気コンジットの患者端で第一のセンサにより測定された患者端温度を患者端設定点と比較するステップと、患者端温度が患者端設定点より低い場合に、加湿システムの加湿器の出口において第二のセンサにより測定された出口温度を患者端温度と比較するステップと、出口温度が患者端温度より高い場合に逆流状態の表示を出力するステップと、を含むことができる。方法は、逆流状態の表示を使用者に警告するステップを含むことができる。警告するステップは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供するステップを含むことができる。警告するステップはまた、逆流状態を解消するための命令を提供するステップも含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0017】
誤接続の検出機構を備える加湿システムは、ガスの供給源を提供するように構成されたガス源と、入口及び出口を含む加湿器であって、空気を加湿するように構成され、ガス源により提供されるガスを加湿するための液体を加熱するための加湿器熱源を含む加湿器と、加湿ガスを使用者に提供するように構成された吸気コンジットと、を含むことができる。ガス源、加湿器、及び吸気コンジットは、呼吸回路の少なくとも一部を形成することができる。システムは、患者端温度を測定するように構成された吸気コンジットの患者端の第一のセンサと、出口温度を測定するように構成された加湿器出口の第二のセンサを含むことができる。システムは、第一及び第二のセンサと電気通信するハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラを含むことができる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、患者端温度が患者端設定点より低い場合に、出口温度を患者端温度と比較し、出口温度が患者端温度より高い場合に逆流状態の表示を出力することによって、加湿システム内の誤接続を示す逆流状態の表示を検出するように構成できる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、逆流状態の表示を使用者に警告するように構成できる。警告することは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供することを含むことができる。警告することはまた、逆流状態を解消するための命令を提供するステップも含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0018】
呼吸加湿システム内の誤接続の検出方法は、加湿システムの加湿器内の加湿器熱源に第一の電力を提供するステップと、加湿システムの加湿器の入口において第一のセンサにより測定された入口温度を加湿器の出口において第二のセンサにより測定された出口温度と比較する、又は入口温度の変化を出口温度の変化と比較するステップと、入口温度が出口温度より高い場合、又は入口温度の変化が出口温度の変化より大きい場合に、誤接続を示す逆流状態の表示を出力するステップと、を含むことができる。方法は、加湿システムで行われる療法を中断するステップを含むことができる。療法は、呼吸/換気療法及び/又は加湿療法を含むことができる。第一の電力は、最大電力とすることができる。方法は、逆流状態の表示を使用者に警告するステップを含むことができる。警告するステップは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供するステップを含むことができる。警告するステップはまた、逆流状態を解消するための命令を提供するステップも含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0019】
誤接続の検出機構を備える加湿システムは、ガスの供給源を提供するように構成されたガス源と、入口及び出口を含む加湿器であって、空気を加湿するように構成され、ガス源により提供されるガスを加湿するための液体を加熱するための加湿器熱源を含む加湿器と、加湿ガスを使用者に提供するように構成された吸気コンジットと、を含むことができる。ガス源、加湿器、及び吸気コンジットは、呼吸回路の少なくとも一部を形成することができる。システムは、入口温度を測定するように構成された加湿器入口の第一のセンサと、出口温度を測定するように構成された加湿器出口の第二のセンサと、第一及び第二のセンサと電気通信するハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラと、を含むことができる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、第一の電力を加湿器加熱源に提供し、入口温度が出口温度より高い場合、又は入口温度の変化が出口温度の変化より大きい場合に、逆流状態の表示を出力することによって、加湿システム内の逆流状態の表示を検出するように構成できる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、加湿システム内の逆流状態の表示を検出したときに、加湿システムで行われる療法を中断するように構成できる。療法は、呼吸又は換気療法及び/又は加湿療法とすることができる。第一の電力は、最大電力とすることができる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、逆流状態の表示を使用者に警告するように構成できる。警告することは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供することを含むことができる。警告することはまた、逆流状態を解消するための命令を提供することも含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0020】
呼吸加湿システム内の誤接続の検出方法は、加湿システムの吸気コンジット内の吸気コンジット熱源に第一の電力を提供するステップと、吸気コンジットの患者端において第一のセンサにより測定された患者端温度を加湿システムの加湿器の出口において第二のセンサにより測定された出口温度と比較する、又は患者端温度の変化を出口温度の変化と比較するステップと、患者端温度が出口温度より低い場合、又は患者端温度の変化が出口温度の変化より小さい場合に、逆流状態の表示を出力するステップと、を含むことができる。方法は、加湿システムで行われる療法を中断するステップを含むことができる。療法は、呼吸又は換気療法及び/又は加湿療法とすることができる。第一の電力は、最大電力とすることができる。方法は、逆流状態の表示を使用者に警告するステップを含むことができる。警告するステップは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供するステップを含むことができる。警告するステップは、逆流状態を解消するための命令を提供するステップも含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0021】
誤接続の検出機構を備える加湿システムは、ガスの供給源を提供するように構成されたガス源と、入口及び出口を含む加湿器であって、空気を加湿するように構成され、ガス源により提供されたガスを加湿するための液体を加熱するための加湿器熱源を含む加湿器と、加湿ガスを使用者に提供するように構成された吸気コンジットと、を含むことができる。ガス源、加湿器、及び吸気コンジットは、呼吸回路の少なくとも一部を形成することができる。システムは、患者端温度を測定するように構成された吸気コンジットの患者端の第一のセンサと、出口温度を測定するように構成された加湿器出口の第二のセンサと、第一及び第二のセンサと電気通信するハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラと、を含むことができる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、第一の電力を吸気コンジット熱源に提供し、患者端温度が出口温度より低い場合、又は患者端温度の変化が出口温度の変化より小さい場合に、逆流状態の表示を出力することによって、加湿システム内の逆流状態の表示を検出するように構成できる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、加湿システム内の逆流状態の表示を検出したときに加湿システムで実行される療法を中断するように構成できる。療法は、呼吸又は換気療法及び/又は加湿療法とすることができる。第一の電力は最大電力とすることができる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、逆流状態の表示を使用者に警告するように構成できる。警告することは、1つ又は複数の可聴アラーム、テキストメッセージ、画像、又はそれらの組合せを提供することを含むことができる。警告することはまた、逆流状態を解消するための命令を提供することも含むことができる。加湿システムはまた、呼気コンジットも含むことができる。
【0022】
呼吸加湿システム内の逆流の検出方法は、加湿システムの1つ又は複数のハードウェアプロセッサを使って、加熱素子に電源供給するように構成された回路を制御するステップと、加湿システムの加熱素子に電力を提供するステップであって、前記加熱システムはガス源と、入口及び出口を含む加湿器と、吸気コンジット熱源を含む吸気コンジットと、をさらに含み、加湿器は加湿器熱源をさらに含むようなステップと、加熱素子の下流の第一のセンサにより測定された第一の温度勾配を加熱素子の上流の第二のセンサにより測定された第二の温度勾配を比較するステップであって、第一及び第二のセンサは1つ又は複数のハードウェアプロセッサと電気通信しているようなステップと、第二の温度勾配が第一の温度勾配より高い場合に、逆流状態の表示を加湿システムのディスプレイに出力するステップと、を含むことができる。ディスプレイは、LEDスクリーン又は他の何れかの種類のスクリーン等のスクリーン、可聴アーム、及び/又は本明細書に記載されている他の何れかの種類の警告方法を含むことができる。方法は、加湿システムの加湿器の加湿器熱源に別の電力を提供するステップと、加湿器熱源における、又はその付近の加湿器熱源温度センサからセンサデータを受け取るステップであって、加湿器熱源温度センサは1つ又は複数のハードウェアプロセッサと電気通信しているようなステップと、加湿器熱源の温度勾配を閾値温度勾配と比較するステップと、加湿器熱源の温度勾配が閾値温度勾配より高い場合に、加湿器の水切れ状態の表示を加湿システムのディスプレイに出力するステップと、をさらに含む。閾値温度勾配は、少なくとも一部に、流量、加湿器の種類、他の何れかのシステムパラメータ、及び/又は他の何れかの周囲条件に基づいて変化し得る。方法は、立ち上げ状態から実施することができる。
【0023】
立ち上げ状態からの逆流検出機能を備える呼吸加湿システムは、ガスの供給源を提供するように構成されたガス源と、入口及び出口を含む加湿器であって、空気を加湿するように構成され、ガス源により提供されたガスを加湿するための液体を加熱するための加湿器熱源をさらに含む加湿器と、加湿ガスを使用者に提供するように構成され、吸気コンジット熱源を含む吸気コンジットであって、ガス源、加湿器、及び呼吸コンジットは呼吸回路の少なくとも一部を形成するような吸気コンジットと、第一の温度を測定するように構成された、加湿熱源及び/又は吸気コンジット熱源の下流の第一のセンサと、第二の温度を測定するように構成された、加湿器熱源及び/又は吸気コンジット熱源の上流の第二のセンサと、ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラであって、第一及び第二のセンサと電気通信し、加湿器熱源及び/又は吸気コンジット熱源に電力を提供し、第一のセンサでの第一の理温度勾配を第二のセンサでの第二の温度勾配と比較し、第二の温度勾配が第一の温度勾配より高い場合に逆流状態の表示を出力することによって、加湿システム内の逆流状態の表示を検出するように構成されたハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラと、を含むことができる。第一のセンサは、加湿器出口又は加湿器入口に配置できる。第二のセンサは、吸気コンジットの患者端又は加湿器出口に配置できる。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラはさらに、加湿器熱源に別の電力を提供し、加湿器熱源における、又はその付近の加湿熱源温度センサであって、1つ又は複数のハードウェアプロセッサと電気通信する加湿器熱源温度センサからセンサデータを受け取り、加湿器熱源における温度勾配を閾値温度勾配と比較し、加湿器熱源における温度勾配が閾値温度勾配より高い場合に加湿器水切れ状態の表示を出力することによって、加湿器水切れ状態を検出するように構成できる。閾値温度勾配は、少なくとも一部に、流量、加湿器の種類、他の何れかのシステムパラメータ、及び/又は他の何れかの周囲条件に基づいて変化し得る。ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラは、立ち上げ状態から逆流状態の表示を検出するように構成できる。
【0024】
方法は、デュアルリム呼吸加湿システム内の呼気コンジット熱源の切断を検出できる。システムは、呼気コンジット熱源を有する呼気コンジットと、セグメント式の吸気コンジット熱源を有する吸気コンジットと、呼気コンジット熱源及び、吸気コンジット熱源の少なくとも1つのセグメントを通電させるように構成された第一の熱源ドライバと、呼気コンジット熱源及び、吸気コンジット熱源の少なくとも1つの他のセグメントを通電させるように構成された第二の熱源ドライバと、を含むことができる。方法は、第一及び第二の熱源ドライバの一方を使って、呼気及び吸気コンジット熱源に電圧を提供するステップと、第一及び第二の熱源ドライバのその一方により検出された電流をモニタするステップと、電流が所定の誤差だけ予想値からずれているか、閾値より大きい、又は小さい突然の変化を示した場合に、吸気コンジット熱源の切断の表示を出力するステップと、を含むことができる。方法は、進行中の療法モードから出るステップと、第一及び第二の熱源ドライバを接続しなおして、第一及び第二のドライバのその一方が呼気コンジット熱源を通電させる構成となり、第一及び第二のドライバの他方が吸気コンジット熱源を通電させる構成となるようにするステップと、第一及び第二の熱源ドライバの一方を使って、呼気コンジット熱源に第二の電圧を提供するステップと、第一及び第二の熱源の一方により検出された電流をモニタするステップと、電流がゼロであるか、それに近い場合に、呼気コンジット熱源の切断の表示を出力するステップをさらに含むことができる。第二の電圧は、低デューティサイクル又は最小電力を含むことができる。この方法の作動は、調節可能であるように構成できる。方法はまた、ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラが呼気コンジット熱源に電力を印加したときに回路IDレジスタの存在を検出することによって、呼気コンジット熱源の切断も検出できる。システムは、回路IDレジスタを検出できない場合、呼気コンジット熱源が切断されたと特定できる。
【0025】
呼気コンジット熱源切断検出機能を備えるデュアルリム呼吸加湿システムは、ガスの供給源を提供するように構成されたガス源、ガス源により提供されるガスを加湿するための液体を加熱するように構成された加湿器、加湿ガスを加湿器から使用者に提供するように構成され、セグメント式の吸気コンジット熱源を含む吸気コンジット、及び使用者から吐き出されたガスをガス源へと提供するように構成され、呼気コンジット熱源を含む呼気コンジットを有する呼吸回路と、呼気コンジット熱源及び、吸気コンジット熱源の少なくとも1つのセグメントを通電させるように構成された第一の熱源ドライバと、呼気コンジット熱源及び、吸気コンジット熱源の少なくとも他の1つのセグメントを通電させるように構成された第二の熱源ドライバと、を含むことができ、第一及び第二の熱源ドライバの少なくとも一方は、呼気及び吸気コンジット熱源に電圧を提供し、電流を検出し、電流が所定の誤差だけ予想値からずれている場合に吸気コンジット熱源の切断の表示を出力することによって、呼気コンジット熱源切断の表示を検出するように構成される。システムは、第一及び第二の熱源ドライバの構成を切り換えて、第一及び第二ドライバの一方が呼気コンジット熱源を通電させる構成となり、第一及び第二のドライバの他方が吸気コンジット熱源を通電させる構成となるように構成でき、第一及び第二のドライバの一方は、電流がゼロであるか、又はそれに近い場合に、呼気コンジット熱源切断の表示を出力するように構成される。第二の電圧は、低デューティサイクル又は最小電力を含むことができる。システムは、呼気コンジット熱源切断の表示を調節可能な間隔で検出するように構成できる。システムはまた、ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラが電力を呼気コンジット熱源に印加したときに、回路IDレジスタの存在を検出することによって、呼気コンジット熱源の切断も検出できる。システムは、回路IDレジスタを検出できない場合に、呼気コンジット熱源が切断されていると特定できる。
【0026】
方法は、デュアルリム呼吸加湿システム内の呼気コンジット熱源の切断を検出できる。システムは、吸気コンジット熱源を有する呼気コンジットと、セグメント式の吸気コンジット熱源を有する吸気コンジットと、吸気コンジット熱源を通電させるように構成された第一の熱源ドライバと、吸気コンジット熱源を通電させるように構成された第二の熱源ドライバと、を含むことができる。方法は、第一の熱源ドライバを使用して、呼気コンジット熱源に電圧を提供するステップと、第一の熱源ドライバにより検出された電流をモニタするステップと、電流がゼロであるか、それに近い場合に呼気コンジット熱源切断の表示を出力するステップと、を含むことができる。
【0027】
呼気コンジット熱源切断検出機能を備えるデュアルリム呼吸加湿システムは、ガスの供給源を提供するように構成されたガス源、ガス源により提供されたガスを加湿するための液体を加熱するように構成された加湿器、加湿ガスを加湿器から使用者に提供するように構成され、吸気コンジット熱源を含む吸気コンジット、及び使用者から吐き出されたガスをガス源に提供するように構成され、呼気コンジット熱源を含む呼気コンジットを有する呼吸回路と、呼気コンジット熱源を通電させるように構成された第一の熱源ドライバと、吸気コンジット熱源を通電させるように構成された第二の熱源ドライバと、を含むことができ、第一の熱源ドライバは、呼気コンジット熱源に電圧を提供し、電流を検出し、電流がゼロであるか、それに近い場合に呼気コンジット熱源切断の表示を出力することによって、呼気コンジット熱源切断の表示を検出するように構成される。
【0028】
方法は、過渡システムパラメータを使って呼吸加湿システム内の逆流を検出することができる。呼吸加湿システムは、ガス源と、入口及び出口を含む加湿器と、吸気コンジットと、複数のセンサと、を含むことができる。方法は、複数のセンサのうちの1つ又は複数からの過渡状態入力及び/又は呼吸加湿システムのシステムパラメータを受け取るステップと、少なくとも一部に、入力及び/又はシステムパラメータに基づいて逆流予測指標を特定するステップと、逆流予測指標がゼロを超えた場合に逆流状態の表示を出力するステップと、を含むことができる。複数のセンサは、加湿器入口温度及び/又は流量センサ、加湿器出口温度及び/又は流量センサ、患者端温度センサ、及び/又は加湿器熱源温度センサのうちの複数を含むことができる。受け取った入力は、過渡状態からのもの又は安定状態からのものとすることができる。システムパラメータは、加湿器熱源電力、加湿器出口設定点温度、患者端設定点温度、及び/又は吸気コンジット熱源の少なくとも1つのセグメントの電力のうちの複数を含むことかできる。逆流予測指標は、少なくとも一部に、複数のパラメータに基づいて特定できる。逆流予測指標は、少なくとも一部に、加湿器入口温度、加湿器出口温度と加湿器出口設定点との差の絶対値、流量対加湿器熱源電力の比、加湿器入口温度対加湿器出口設定点の比、及び加湿器入口温度対チューブ温度の比に基づいて特定できる。逆流予測指標は、少なくとも一部に、フィルタ処理された、又はフィルタ処理されない流量、加湿器出口温度と加湿器出口設定点との差の絶対値、加湿器入口温度対チューブ温度の比、及び吸気コンジット熱源の1つのセグメントのフィルタ処理された、又はフィルタ処理されない電力対加湿器熱源温度の比に基づいて特定できる。
【0029】
逆流検出機能を備える呼吸加湿システムは、ガスの供給源を提供するように構成されるガス源と、入口と出口を含む加湿器であって、空気を加湿するように構成され、ガス源により提供されるガスを加湿するための液体を加熱する加湿器熱源をさらに含む加湿器と、加湿ガスを使用者に提供するように構成された吸気コンジットと、を含み、ガス源、加湿器、及び吸気コンジットは呼吸回路の少なくとも一部を形成し、また、複数のセンサと、ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラであって、複数のセンサと電気通信していて、複数のセンサのうちの1つ又は複数からの過渡状態入力及び/又は呼吸加湿システムのシステムパラメータを受け取り、少なくとも一部に、入力及び/又はシステムパラメータに基づいて逆流予測指標を特定し、逆流予測指標がゼロを超えた場合に、逆流状態の表示を出力することによって、加湿システム内の逆流状態の表示を検出するように構成されるハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラと、を含むことができる。複数のセンサは、加湿器入口温度及び/又は流量センサ、加湿器出口温度及び/又は流量センサ、患者端温度センサ、及び/又は加湿器熱源温度センサのうちの複数を含むことができる。受け取る入力は、過渡状態からのもの又は安定状態からのものとすることができる。システムパラメータは、加湿器熱源電力、加湿器出口設定点温度、患者端設定点温度、及び/又は呼吸コンジット熱源の少なくとも1つのセグメントの電力のうち複数を含むことができる。逆流予測指標は、少なくとも一部に複数のパラメータに基づいて特定できる。逆流予測指標は、少なくとも一部に、加湿器入口温度、加湿器出口温度と加湿器出口設定点との差の絶対値、流量対加湿器熱源電力の比、加湿器入口温度対加湿器出口設定点の比、及び加湿器入口温度対チューブ温度の比に基づいて特定できる。逆流予測指標は、少なくとも一部に、フィルタ処理された、又はフィルタ処理されていない流量、加湿器出口温度と加湿器出口設定点との差の絶対値、加湿器入口温度対チューブの比、又は吸気コンジット熱源の1つのセグメントのフィルタ処理された、又はフィルタ処理されていない電力対加湿器熱源温度の比に基づいて特定できる。
【0030】
本開示のこれら及びその他の特徴、態様、及び利点は、特定の実施形態を概略的に例示しており、本開示を限定するものではない特定の実施形態の図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2A】
図1の加湿システムにおける逆流状態及び/又は誤接続の例を示す。
【
図2B】
図1の加湿システムにおける逆流状態及び/又は誤接続の例を示す。
【
図2C】
図1の加湿システムにおける逆流状態及び/又は誤接続の例を示す。
【
図2D】
図1の加湿システムにおける逆流状態及び/又は誤接続の例を示す。
【
図3A】シングルリム加湿システムの概略図を示す。
【
図3B】
図3Aの加湿システム内の逆流状態及び/又は誤接続の例を示す。
【
図4】加湿システムを、逆流を検出するための制御方法と共に使用した例示的な呼吸療法による治療のフローチャートを示す。
【
図5A】各種のセンサがシステム内に配置されたデュアルリム加湿システムの概略図を示す。
【
図5B】例示的な受動逆流検出プロセスのフローチャートを示す。
【
図6】他の例示的な受動逆流検出プロセスのフローチャートを示す。
【
図7A】例示的な能動逆流検出プロセスのフローチャートを示す。
【
図7B】例示的な能動逆流検出プロセスのフローチャートを示す。
【
図8A】別の例示的な能動逆流検出プロセスのフローチャートを示す。
【
図8B】別の例示的な能動逆流検出プロセスのフローチャートを示す。
【
図9A】特定の能動逆流検出プロセスを実装するための加湿システムの構成要素を示す。
【
図9B】特定の能動逆流検出プロセスを実装するための加湿システムの構成要素を示す。
【
図9C】特定の能動逆流検出プロセスを実装するための加湿システムの構成要素を示す。
【
図10】例示的な能動逆流及び水切れ検出プロセスのフローチャートを示す。
【
図11A】
図10のプロセスを実装した場合の加湿システムの、それぞれ順流及び逆流状態での例示的なシステム温度パラメータを示す。
【
図11B】
図10のプロセスを実装した場合の加湿システムの、それぞれ順流及び逆流状態での例示的なシステム温度パラメータを示す。
【
図11C】
図10のプロセスを実装した場合の加湿システムの、それぞれ順流及び逆流状態での例示的なシステム温度パラメータを示す。
【
図11D】
図10のプロセスを実装した場合の加湿システムの、それぞれ順流及び逆流状態での例示的なシステム温度パラメータを示す。
【
図12A】
図10のプロセスを実装した場合の、吸気チューブ内の吸気コンジット熱源を作動させた後に加湿システムの加湿器出口温度センサにより検出された例示的な温度変化を示す。
【
図12B】
図10のプロセスを実装した場合の、吸気チューブ内の吸気コンジット熱源を作動させた後に加湿システムの患者端温度センサにより検出された例示的な温度変化を示す。
【
図13】
図10のプロセスを実装した場合の、加湿器熱源を作動させた後の加熱システムの例示的な加湿器熱源温度変化を示す。
【
図14】他の例示的な受動逆流検出プロセスのフローチャートを示す。
【
図15A】それぞれ逆流及び順流状態での出口温度変化の例を示す。
【
図15B】それぞれ逆流及び順流状態での出口温度変化の例を示す。
【
図16】例示的な受動逆流検出プロセスのフローチャートを示す。
【
図17A】セグメント式の呼吸コンジットを備えるデュアルリム加湿システムの例を示す。
【
図17B】能動整流回路を使って、吸気コンジット熱源の2つのセグメントを並行して制御するように構成される回路図の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特定の実施形態と例を以下に説明するが、当業者であれば、本開示が具体的に開示された実施形態及び/又は用途ならびにその自明な改良及び同等物にとどまらないことがわかるであろう。それゆえ、本明細書において開示される本開示の範囲は、後述の何れの特定の実施形態によっても限定されるべきではないことが意図されている。
【0033】
加湿システムにおける逆流状態の例
図1は、例としてのデュアルリム加湿システム1の概略図を示している。加湿システム1は、ドライラインコンジット30を介して加湿器20と流体連通するガス源10を含むことができる。加湿器20は各種の構成要素を含むことができ、これには例えば、ウォータチャンバと熱源が含まれる。熱源は、加湿器熱源を含むことができる。加湿器熱源の例としては、ケミカルヒータ、ラジエントヒータ、インダクションヒータ、及びその他を含めることができる。例えば、熱源は抵抗ヒータを使用するヒータプレートとすることができる。加湿器20はまた、任意選択により、1つ又は複数のプロセッサ、例えばハードウェア及び/又はソフトウェアプロセッサも含むことができる。ガス源は、一方向ガス源、高流量式ガス源、ブロワ、換気器ユニット、圧縮空気タンク、病院用壁内蔵ガス源、酸素ボンベ、又は加圧ガスボンベとすることができる。ガス源はまた、空気の流れを提供してもよい気流源とすることもできる。ガス源はまた、例えば30L/分を超える、及び/又は最高150L/分という高流量の空気又はガスを送達するように構成された高流量式ガス源を含むこともできる。ガス源により供給されるガスは、乾燥空気、周辺空気、酸素、及び/又は治療用又は呼吸ガスの混合物の何れを含むこともできる。コントローラは、ガス源10を制御して、所望の流量、温度、及び/又は圧力のガス流を発生させることができる。ガス源出口12からのガスは、乾燥ガスを含むことができる。
【0034】
乾燥ガスは、ドライラインコンジット30を介して加湿器入口22へと提供できる。加湿器入口22は、加湿器入口温度センサ及び/又はフローセンサを含むことができる。加湿器20は、水等の液体を収容することができる。加湿器20は、ドライラインコンジット30からの乾燥ガスを加湿し、加熱するために水を気化させるヒータプレート等の熱源を有することができる。水は、水供給源から加湿器20に供給できる。加湿ガスは加湿器出口24から出て、吸気コンジット40に入ることができる。加湿器出口24は、加湿器出口温度センサ及び/又はフローセンサを含むことができる。
【0035】
給気コンジット40は、加湿ガスを患者2に提供できる。吸気コンジット40は、患者インタフェースに連結できる。患者2は
図1、2A~D、及び5Aにおいてはマスクを装着しているように得示されているが、当業者であれば、本明細書中の開示から、患者2は本明細書において開示されているものとは異なる種類の患者インタフェース、例えば鼻カニューレを装着するできることがわかるであろう。患者インタフェースはまた、加熱されないチューブの短い区間であるインタフェースチューブも含むことができ、吸気コンジット40は、インタフェースチューブに連結又は接続できる。吸気コンジット40の患者インタフェース端は、患者端温度センサ及び/又はフローセンサを含むことができる。吸気コンジット40は、凝縮物の形成を削減又は防止するための吸気熱源を有することができる。吸気コンジット熱源の例は、ヒータワイヤ、加熱テープ、及び/又はウォータジャケットヒーティングを含むことができる。凝縮物は、加湿器20を出た加湿ガスの温度が、そのガスが加熱されない呼気コンジット40を通って移動する際の熱損失により低下すると形成される可能性がある。加湿システム1は、呼気コンジット50を含むことができる。呼気コンジット50は、患者2から吐き出されたガスを再びガス源入口14へ案内できる。呼気コンジット50は、呼気コンジット熱源、例えばヒータワイヤ、加熱テープ、及び/又はウォータジャケットヒーティングを含むことができる。
【0036】
センサは、加湿システム内の様々な場所に設置できる。例えば、センサは流量、圧力、温度、及び/又は湿度センサを含むことができる。センサは、サーミスタを含むことができる。サーミスタは温度センサとして機能でき、サーミスタに電圧を印加してサーミスタを加熱することにより、フローセンサとして機能するように切り替えることができる。センサの出力は、コントローラにより受け取られて、コントローラが最適な療法を提供できるような方法で加湿システム1を動作させるのを支援することができる。使用されてよいその他のセンサには、サーモカップル、サーモスタット、半導体センサ、赤外線センサ、及び抵抗温度デバイスが含まれる。
【0037】
加湿システム1の構成要素の逆流状態及び接続のエラーの例を、
図2A~Dに関して説明する。これらは例に過ぎず、他のコンジット接続エラー、例えばコンジットを反対方向に、及び/又は回路内の、それらが通常接続されるべき箇所とは異なる場所に接続した、等も起こるかもしれないと理解すべきである。
図2Aに示されるエラー1においては、ドライラインコンジット30と呼気コンジット50のガス源10との接続が逆である。具体的には、ドライラインコンジット30は誤ってガス源入口14に連結され、呼気コンジット50は過ってガス源出口12に連結されている。その結果、乾燥したガスは呼気コンジット30の中で患者2に直接流れる可能性があり、乾燥ガスが加湿器20を通過しないため、加湿又は加熱されずに、呼気コンジット30内で患者2に直接流れる可能性がある。乾燥ガスは、呼気コンジット50内で呼気熱源により加熱される可能性があり、この場合、加熱はコントローラにより適正に調整されない。患者2から吐き出されたガスは、加湿器30を通じて加湿されてから、ガス源10に戻る可能性がある。
【0038】
図2Bに示されるエラー2では、加湿器20内に逆流状態がある。具体的には、吸気コンジット40は誤ってガス源出口12と加湿器出口24に連結されている。呼気コンジット50は誤って加湿器入口ポート22と患者2に連結されている。ドライラインコンジット30は、誤って患者2とガス源入口14に連結されている。システムは、吸気コンジット40内の患者端センサ及び加湿器入口及び/又は出口22、24のセンサから、実際の患者端温度及び/又は入口/出口温度を示していない出力を受け取る。加湿器熱源及び吸気熱源は、センサからの誤った出力のために、適正に機能しないかもしれない。患者2のために加湿器入口22を出たガスは、呼気コンジット50が加熱ワイヤを持たないかもしれないため、加熱されないかもしれないか、又は呼気コンジット50内の呼気コンジット熱源により加熱されるかもしれないが、この場合、加熱はコントローラにより適正に調整されない。
【0039】
図2Cに示されるエラー3では、ガス源入口14及び出口12の接続が逆である。具体的には、ドライラインコンジット30は誤ってガス源入口14と加湿器入口22に連結されている。呼気コンジット50は誤って加湿器出口24と患者2に連結されている。吸気コンジット40は誤って患者2とガス源入口12に連結されている。その結果、乾燥ガスは、ドライガスが加湿器20を通過しないため、加湿又は加熱されることなく呼気コンジット30内で患者2へと直接流れる可能性がある。患者2から吐き出されたガスは、加湿器30内で加湿状態となってから、ガス源10に流れる可能性がある。
【0040】
図2Dに示されるエラー4において、ガスは正常な方向に流れるが、接続にエラーがある。具体的には、呼気コンジット50は誤って加湿器出口24と患者2に連結されている。吸気コンジット40は誤ってガス源入口14と患者2に連結されている。その結果、吸気コンジット40内の患者端センサは、患者2に送達されるガスの温度を適正に測定できず、患者2から吐き出されたガスの温度を測定する。加湿器20を出たガスは、患者端温度が患者端設定点に確実に到達するように加熱されることができない。これは、呼気コンジット50が熱源を持たないこと、又は呼気コンジット熱源が、患者端温度入力を吸気コンジット40内のセンサから受け取るコントローラにより適正に通電させられないことによる可能性がある。患者2に到達するガスは、ガスが呼気コンジット50を通って移動する際に患者端設定点を超えるか、又はそれ未満となる可能性がある。
【0041】
図3Aを見ると、シングルリム加湿システム301は、
図1Aのデュアルリム加湿システム1と同じ特徴を有することができるが、下記の点が異なる。シングルリム加湿システム301はガス源310を有することができ、これはガス流出用の出口を有するが、ガス流入用の入口を持たない。シングルリム加湿システム301は、呼気コンジットを持たなくてよい。患者302から吐き出されたガスは、前述のように患者インタフェースの通気孔を通って、及び/又は患者の口から出ることができる。
【0042】
図3Bに示されるエラー5では、流れはシングルリム加湿システム301全体で逆になる。具体的には、吸気コンジット340は誤ってガス源310と加湿器出口324に連結されている。ドライラインコンジット330は過って加湿器入口322と患者302に連結されている。その結果、システムは吸気コンジット340内の患者端センサ及び加湿器入口及び/又は出口322、324から、実際の患者端温度及び又は入口/出口温度を示していない出力を受け取る。加湿器熱源及び吸気コンジット熱源は、センサからの誤った出力により、適正に機能しないかもしれない。ガス源310からの乾燥したガスは、誤ったセンサ出力から、加湿器320により適正に加湿されないかもしれない。加湿器320を出て、ドライラインコンジット330に入るガスは、ドライラインコンジット330が吸気コンジット熱源を有していないため、加熱できない。患者302に到達するガスは、ガスが加熱されていないドライラインコンジット330を通って移動するため、患者端設定未満となるかもしれない。ドライラインコンジット330には凝縮物の形成がある可能性がある。
【0043】
逆流検出機能を備える加湿システムの概要
本開示は、呼吸加湿システム内の逆流状態及び構成要素の接続エラーを検出する方法とシステムに関する。
【0044】
図4に示されるように、加湿システム、例えば
図1及び3Aの加湿システム1、301は、410で、加湿システムを作動させることによって患者のための呼吸治療を開始する。加湿システムは、看護師等の介助者又は患者により組み立てられる必要があるかもしれない。加湿システムのセットアップには、加湿システムの構成要素を本明細書に記載の各種のコンジットに接続することが含まれる可能性がある。作動させたときに、加湿システムのコントローラは、ステップ420で逆流検出プロセスを実行し、逆流状態の表示がないか特定することができる。当業者であれば、逆流検出プロセスは、加湿システムの動作の過程全体を通じてコントローラによって実行でき、必ずしもセットアップ段階しか実行できないわけではないことがわかる。逆流状態の表示は、加湿システム内の構成要素の接続のエラーがありそうであることを示す可能性がある。コントローラは、本明細書に記載されたもの、又はそれらの組合せ等、何れの適当な逆流検出方法を実行することもできる。コントローラはまた、特定の療法モードに基づいて適切な逆流検出方法又はプロセスを実行することもでき、これについては後で詳しく説明する。
【0045】
コントローラがステップ420で逆流状態の表示を特定したとしても、逆流状態が存在するか否か、又はセンサ/プロープが取り外されたか否かを知ることは難しい可能性がある。これらのシステムでは、コントローラはプローブアウトテストを行ってから、ステップ420の逆流検出プロセスを実行できる。プローブアウトテストはまた、コントローラに対し、システムを加熱して、チューブ温度が上昇するか否かをモニタするように命令することもできる。
【0046】
逆流及び/又は誤ったセットアップ/接続、及び/又は回路切断状態の表示が特定されると、加湿システムは430で、患者/介助者(以下、「使用者」という)に警告できる。例えば、コントローラは、エラーメッセージ、可聴アラーム音/ブザー、エラー表示ランプの点滅、又はその他同様の使用者への警告方法を出力することができる。コントローラからのメッセージはまた、誤って接続された可能性のある構成要素を示すこともできる。テキストベースの及び/又は画像ベースのメッセージ、及び/又はトラブルシューティングのアニメーションを表示して、誤接続の可能性を説明することができる。エラーの是正方法を示すアニメーション及び/又は一連の画像をスクリーン上に表示することができる。アニメーション及び/又は一連の画像は、システムが正しい状態とガスの正しい流れ方向を検出するまで、又は使用者がエラーが是正されたことを入力するまで繰返し表示できる。
【0047】
コントローラは、任意選択により、カウンタを備えていてもよく、これはハードウェアで実装し、及び/又はソフトウェアで実装できる。カウンタは逆流状態の表示が特定されるたびにカウントを進めることができる。カウンタは、逆流状態の表示が存在する時間の長さを検出できるタイマとすることができる。カウンタは、逆流状態の表示が検出されるたびに初期化でき、正常な流れの状態が検出されるたびにディスエーブルすることができる。カウンタ又はタイマは、閾値まで増加的に使用されてもよく、それによってシステムは、閾値に到達した、又はそれを超えると、本明細書の他の箇所において開示されているように使用者にアラームで警告してもよい。その代わりに、又はそれに加えて、フィルタを使用することができ、これには(FIR/IIR)フィルタが含まれるが、これに限定されない。
【0048】
逆流状態が通知された後、使用者は加湿システムの呼吸回路を正しい構成に再接続できる。使用者は、呼吸回路を再接続した後に、490で加湿システムをリセットできる。コントローラはまた、任意選択により、呼吸回路を再接続すると自動的にリセットできる。コントローラは、再接続された呼吸回路について、ステップ420の逆流検出プロセスを実行できる。コントローラが依然として逆流状態の表示を検出できる場合、コントローラは、430で使用者に別の警告を出力することができる。コントローラが逆流状態の表示を検出できなくなると、コントローラは440で呼吸療法の提供又は、患者に対する中断された療法の再開へと進めることができる。
【0049】
システムのセットアップ中に逆流検出プロセスを実行することにより、患者が療法を開始する前に接続エラーの検出を可能にすることができる。初期のセットアップ中に接続エラーを是正することは、有利な点として、呼吸コンジット内の凝結物を減らすことによってシステム性能を改善し、患者に最適な療法を提供でき、及び/又は乾燥した冷たい空気が患者に直接提供されて、それが不快及び/又は、より深刻な患者の体内での不利な反応を引き起こし得るような可能性を低減させることによって患者の安全を高められる。
【0050】
ここで、逆流状態及び/又は接続のエラーを検出する各種のプロセスを説明する。プロセスは、加湿システムの様々な場所での温度、流量、及び/又は電力損失の示差測定に基づくことができる。本明細書に記載のプロセスは、能動及び受動プロセスを含むことができる。受動プロセスは、バックグラウンドで実行されて逆流状態を特定できる。能動プロセスは、呼吸及び/又は加湿療法を中断して、逆流状態が存在するか否かを特定できる。中断は、呼吸療法の継続時間と比較して短時間及び/又はかなりの程度とすることができる。能動プロセスは、システムの正常な動作又は制御に優先し得る。例えば、能動プロセスは、吸気及び/又は呼気コンジット熱源、及び/又は加湿器熱源、及び/又はセンサの制御に優先し得る。
【0051】
本開示では、入口温度は、
図5Aに示されるように、加湿器入口22において、又はその付近で加湿器入口温度センサ23により測定される温度である。出口温度は、加湿器出口24において、又はその付近で加湿器出口温度センサ25により測定される温度である。チューブ温度は、吸気コンジット40の患者端において、又はその付近で患者端温度センサ42により測定される患者端温度である。患者端センサ42は、吸気コンジット40に組み込むか、吸気コンジット40のガスルーメンに取り外し可能に挿入することができる。加湿器熱源温度は、加湿器20の加湿器熱源において、又はその付近で加湿器熱源温度センサ21により測定される温度である。出口設定点は、加湿器出口24における、又はその付近でシステムが達成しようとする設定点温度である。チューブ設定点は、吸気コンジット40の患者端において、又はその付近でシステムが達成しようとする設定点温度である。加湿器入口センサ23、加湿器出口センサ25、及び/又は患者端センサ42の少なくとも1つは、ガス流の温度と流量の両方を測定するように構成できるサーミスタとすることかできる。システム1は、第二の加湿器出口センサ26を有することができ、これは流量センサ、圧力センサ、又はガス流のパラメータを測定するように構成された他の何れのセンサとすることもできる。システム1は、その他のセンサ、例えば他の種類の流量センサ、湿度センサ、又はその他を湿度入口22、湿度出口24、及び/又は吸気コンジット40の患者端において、又はその付近に含むことができる。加湿器入口22、加湿器出口24、及び/又は吸気コンジット40の患者端は各々、本明細書で開示される1つ又は複数のセンサを有することができる。加湿システム1はまた、システムのその他の場所に1つ又は複数のセンサを含むこともできる。
【0052】
温度ベースの受動及び能動プロセス
次に、温度ベースの受動及び能動プロセスの背景にある原理を説明する。システムの正常な動作において、冷たいガスが加湿器入口に流入する。加湿器の加湿器熱源は、コントローラによってオンにされて、ガスを温めることができ、それは加湿器出口から、加湿器入口に流入するガスより高い温度で出ることができる。その結果、入口温度は出口温度と出口設定点の両方より低い可能性がある。
【0053】
それに加えて、システムの正常な動作において、吸気コンジットが加熱されていないかぎり、加湿器出口を出るガスは吸気コンジットを通って移動中に冷却される可能性がある。したがって、システムは吸気コンジット内の吸気コンジット熱源に電力を供給して、チューブ温度がチューブ設定点に到達し、その温度に保たれることが確実となるようにすることができる。加湿器出口から吸気コンジットの患者端への温度勾配がある可能性がある。勾配は、加湿器出口から吸気コンジットの患者端への上昇温度勾配である。したがって、チューブ温度は出口温度より高いが、チューブ設定点より低いか、これと同等である可能性がある。あるいは、加湿器出口から患者端への温度勾配は必ずしも上昇であるとは限らないが、ガスの温度が露点未満に低下してレインアウト(rain out)を引き起こすことがないようにするのに十分な電力を提供する。
【0054】
温度ベースの逆流検出プロセスは、前述のように、システムの様々な箇所での温度の差を利用することができる。正常な流れの温度差が見られない場合、コントローラは、
図2A~D及び3Bに示されるエラー等、逆流状態の表示を特定できる。例えば、患者端から加湿器出口への温度上昇は、ガスが患者端から加湿器出口へと流れていること、又は吸気コンジットが誤って接続されていることを示す可能性がある。温度ベースの受動及び能動プロセスの詳細を、
図5B~8Bを参照しながら説明する。
【0055】
受動プロセス-入口温度過上昇テスト
受動プロセスは、システムの入口温度と設定点の関係を利用できる。このようなプロセスは、非侵襲(NIV)療法モードで使用するように構成できるが、プロセスは何れの療法モードで使用するようにも構成できる。NIV療法モードでは、チューブ設定点は正常な人の体温に、又はそれ未満に設定できる。例えば、チューブ設定点は約25~37℃、28~35℃、30~34℃、又は他の何れかの適当な範囲における設定点とすることができる。他の例では、出口設定点は、約22~35℃、25~33℃、27~31℃、又は他の何れかの適当な範囲の設定点とすることができる。チューブ及び出口端設定点は、相互に対応させることができる。非限定的な例において、チューブ設定点が34℃であるとき、出口設定点約31℃とすることができる。NIV療法モードで呼吸療法を受けている患者の体温は約37℃であるため、この非限定的な例において吐き出された空気は37℃又はそれよりわずかに低い可能性がある。逆流状態が存在すると、吐き出された空気が吸気コンジットの患者端で受け取ることができ、それによってチューブ温度はチューブ設定点より高くなる。チューブ設定点より高いチューブ温度は、例えば
図2A及び2Cに示される逆流状態において発生する可能性がある。逆流状況では、チューブ温度は長時間にわたりチューブ設定点を超える可能性がある。例えば、加湿システムはさらに、チューブ温度がチューブ設定点を超えている期間が所定の閾値時間より長いか否かを特定できる。
【0056】
チューブ温度は逆流状態においてチューブ設定点より高い可能性があるため、コントローラは、吸気コンジットの吸気コンジット熱源が0%又は非常に低いデューティサイクルを有するようにすることができる。吸気コンジットを通じて正しくない方法で移動しているガスは、吸気コンジット熱源が吸気コンジットを通じて流れるガスを加熱していないため、冷却される可能性がある。冷却されたガスが加湿器出口に到達したとき、出口の温度センサは出口設定点より低い出口温度を検出する可能性がある。これにより、加湿器熱源は加湿器内のガスを加熱するための第一のデューティサイクルを有する可能性がある。第一のデューティサイクルは、加湿器入口及び出口において温度変化を生じさせるのに十分に大きい何れのデューティサイクルとすることもできる。第一のデューティサイクルは、最大デューティサイクル又はほぼ最大デューティサイクルとすることができる。最大デューティサイクルに満たないデューティサイクルも依然として温度を変化させるかもしれないが、変化が測定可能な程度になるまでに、より長い時間がかかるかもしれず、したがって、その他の適当なデューティサイクルを使用できる。第一のデューティサイクルを印加した結果、入口温度は、逆流状態において、出口温度及び設定点の両方を超える可能性がある。
【0057】
プロセスは、NIV療法モードにおいて、コントローラに対して入口温度を出口温度と直接比較するように命令することができる。正常な動作において、入口温度は出口温度より低く、それは、加湿器熱源温度が十分に高温で、ガスが入口から出口に移動する間に加熱されるからである。したがって、入口温度が出口温度より高い場合、逆流状態の表示を使用者に提供できる。
【0058】
図5Bに示されるようなマルチステップ受動プロセス520も実装できる。
図5Bに示されるように、コントローラが522で逆流検出プロセス520の実行を開始した後、コントローラはステップ524で、チューブ温度がチューブ設定点より高いか否かを特定できる。チューブ温度がチューブ設定点より低い場合、コントローラはステップ540で、逆流状態がないと特定できる。システムはステップ540で、逆流状態が検出されなかったという表示を出力し、表示を出力せず、及び/又は換気及び/又は加湿療法を開始するか、その現在の換気及び/又は加湿療法を続けることができる。チューブ温度がチューブ設定点より高い場合、これは吸気コンジット熱源が吸気コンジットを加熱していないこと、及び加湿器熱源が加湿器内のガスを加熱している可能性があることを示しており、コントローラは、ステップ526で、入口温度が出口温度より高いか、又は出口設定点より高いか否かをチェックすることができる。正常な流れの状態では、入口温度は出口温度より低く、これは、ガスが加湿器出口を出るときに加熱されるからである。入口温度が出口温度又は出口設定点の何れも超えない場合、システムはステップ540で逆流状態の表示を出力しないようにすることができる。システムは、呼吸療法を開始するか、その現在の呼吸療法を継続できる。
【0059】
引き続き
図5Bを参照すると、入口温度が出口温度又は出口設定点を超える場合、システムはさらに、任意選択により、逆流状態が存在する可能性があることをさらに確認するものとして、ステップ528で、入口温度が周囲温度より高いか否かを特定できる。具体的には、入口温度は順流状態では周囲温度とほぼ等しいか、それより低く、これは、ほとんどのガス源が周囲空気又はガスタンクからのガスの何れかを供給するからである。何れの場合も、入口温度によって示される、ガス源から供給されるガスの温度が周囲温度を超える可能性は低い。周囲温度はまた、任意選択による周囲センサにより測定するか、使用者が手で入力するか、ガス源から受け取ることも可能である。
【0060】
ステップ526で入口温度が出口温度又は設定点より高いと特定した後、又はステップ528で入口温度がまた周囲温度より高いとも特定した後の何れかにおいて、コントローラはステップ530で、逆流状態の表示を出力できる。プロセス520は、ステップ528で入口温度が周囲温度より高いか否かをチェックしてから、ステップ526で入口温度がまた出口温度又は出口設定点より高いか否かをチェックすることもできる。プロセス520はまた、ステップ526で入口温度が出口温度と設定点のどちらよりも高いか否かをチェックすることもできる。プロセス520は任意選択により、入口温度が出口温度、設定点、及び周囲温度の何れよりも高いか否かを何れの順番でチェックすることもできる。さらに、コントローラは、加湿器内に逆流状態がある可能性があることを特定できる。システムは、本明細書に記載の方法で使用者に警告することができる。
【0061】
受動プロセス-チューブ温度過上昇テスト
受動プロセスはまた、チューブ温度を参照点として利用することもできる。このようなプロセスは、侵襲的療法モード又は高流量療法モードで使用するように構成できるが、プロセスは、何れの療法モードで使用するようにも構成できる。侵襲的又は高流量療法モードにおいて、チューブ設定点はほぼ正常な人の体温又はそれより高くすることができる。侵襲的療法モードでは、チューブ設定点は約40℃とすることができ、出口設定点は約37℃とすることができる。高流量治療モードでは、チューブ設定点は約36~40℃とすることができ、出口設定点は約33~37℃とすることができる。呼吸療法を受けている患者の体温は約37℃である可能性があるため、吐き出される空気は37℃か、それより若干高い可能性がある。逆流状態がある場合、吐き出される空気は吸気コンジットの患者端で受け取ることができ、その結果、チューブ温度はチューブ設定点より低くなる。チューブ設定点より低いチューブ温度は例えば、
図2A及び2Dに示される逆流状態で生じ得る。
【0062】
吐き出されたガスが患者から加湿器に逆流状態で流れると、吸気コンジット熱源はガスを第一の吸気コンジット熱源デューティサイクルまで加熱できる。第一の吸気コンジット熱源デューティサイクルは、最大デューティサイクル又はほぼ最大デューティサイクルとすることができる。吸気コンジット熱源は、チューブ温度がチューブ設定点より低い場合に吸気コンジット熱源に電力を供給するようにコントローラがプログラムされているため、作動させることができる。コントローラは、逆流状態であってもチューブ温度を設定点に到達させるように構成され、これは、既存の加湿システム内のコントローラが直接にも間接にも逆流状態を検出するように構成されていないからである。
【0063】
図6は、チューブ温度を参照点として使って逆流状態の表示を検出するための、例としての受動「チューブ温度過上昇」プロセス620を示す。コントローラが622でプロセス620の実行を開始した後、コントローラは、ステップ624でチューブ温度がチューブ設定点より低いか否かを特定できる。チューブ設定点よりチューブ温度が低いことは、ステップ640でコントローラにより逆流状態を示していないと解釈されることができる。システムは、ステップ640で、逆流状態が検出されなかったという表示を出力し、いかなる表示も出力せず、及び/又は換気及び/又は加湿療法を開始するか、その現在の換気及び/又は加湿療法を継続することができる。
【0064】
チューブ温度がチューブ設定点より低い場合、コントローラは、ステップ626で出口温度がチューブ温度より高いか否かをチェックできる。チューブ温度はチューブ設定点より低いため、吸気コンジット熱源は吸気コンジットを加熱して、吸気コンジット内を移動するガスをチューブ設定点に到達させようとしている可能性がある。正常な流れの状態では、加湿器出口から出るガスは吸気コンジットの患者端におけるガスより低い温度である可能性がある。熱勾配は、吸気コンジット熱源がオンにされると、出口から患者端へと上昇する可能性がある。出口温度がチューブ温度より高くない場合、コントローラは、その結果を、逆流状態を示していないと解釈できる。システムは、ステップ640で、逆流状態が検出されていないという表示を出力し、いかなる表示も出力せず、及び/又は換気及び/又は加湿療法を開始するか、その現在の換気/加湿療法を継続することができる。
【0065】
図6を引き続き参照すると、チューブ温度が出口温度より低い場合、コントローラはステップ630で逆流状態の表示を出力できる。より低温の吐き出されたガスが患者端から加湿器出口へと逆方向に流れている可能性があるため、コントローラは、吸気コンジットが誤って接続されている可能性があると特定できる。システムは、本明細書に記載の方法で使用者に警告することができる。
【0066】
本明細書に記載されている受動逆流検出プロセスは有利である可能性があり、これは、患者に提供されている呼吸又は換気療法及び/又は加湿療法が中断されず、それによって患者にとってより好都合となる一方で、逆流状態及び/又は誤った接続を検出することによって患者の安全が保証されるからである。バックグラウンドで受動プロセスを実行するために、吸気コンジット熱源又は加湿器熱源を療法モード外で加熱しなくてよいため、コントローラによる追加の処理を必要としない。吸気コンジット熱源と加湿器熱源の制御は、正常な機能することができる。さらに、受動プロセスを実行する前に、吸気コンジット熱源又は加湿器熱源が定常状態又は特定の温度に到達するまでの待機時間が不要である。
【0067】
能動プロセス-加湿器熱源高デューティサイクル(又は電力)テスト
本明細書に記載されている受動プロセスは、コントローラに依存する。受動プロセスを機能させるためには、システムのコントローラのセットアップを受動プロセスに組み込む必要がある。受動プロセスは、コントローラの動作、例えば使用者がいつコントローラの動作をプリセットするか等がわかる場合に有効となり得る。それに対して、能動プロセスは、加湿熱源コントローラ、吸気コンジット熱源コントローラ、及び/又はその他等のコントローラとは独立したものとすることができる。能動プロセスは、コントローラの動作がわからない場合に有効となり得る。
【0068】
図7A~Bは、例としての能動プロセス720、721を示す。
図7A~Bに示されているように、コントローラはまず、ステップ722で、加湿器熱源デューティサイクルを第一のデューティサイクルへと能動的に高めることができる。第一のデューティサイクルは、約100%とすることができる。能動プロセス720、721は、有利な点として、加湿器熱源コントローラとは独立して実行できる。コントローラは、能動プロセス720、721を実行する際に、システム内で実行中の療法を中断できる。療法は、呼吸又は換気療法及び/又は加湿療法とすることができる。受動プロセス500と同様に、出口温度は、正常な流れの状態では入口温度より高いと予想され、それは、ガスが加湿器入口から加湿器出口へと流れるときにガスが第一のデューティサイクルで加湿器熱源により加熱され得るからである。第一のデューティサイクルは、加湿器熱源を加熱して、加湿器入口及び出口における温度を変化させるのに十分に大きい。逆流状態があると、その代わりにガスは出口から入口へと加熱できる。
図7Aに示されているように、コントローラはステップ724で、入口温度が出口温度より高いか否かを特定できる。
図7Bに示されているように、コントローラは、ステップ725で、入口温度の変化が出口温度の変化より大きいか否かを特定できる。
【0069】
入口温度が出口温度より低い場合、又は入口温度変化が出口温度変化より小さい場合、コントローラは、ステップ740で、その結果を逆流状態を示していないと解釈することができる。システムは、ステップ740で、逆流状態が検出されないという表示を出力し、いかなる表示も出力せず、及び/又は換気及び/又は加湿療法を開始するか、その現在の換気及び/又は加湿療法を継続することができる。入口温度が出口温度より高い場合、又は入口温度変化が出口温度変化より大きい場合、システムはステップ730で、逆流状態の表示を出力できる。さらに、コントローラは、加湿器への接続が誤っている可能性があると特定できる。コントローラはまた、加湿器入口及び出口における絶対温度と温度変化の両方を何れの順序で比較することもできる。システムは、本明細書に記載の方法で、誤った接続を使用者に警告できる。システムは、使用者がシステム内の逆流状態を是正するまで、中断した療法を再開しなくてもよい。
【0070】
能動プロセス-吸気コンジット熱源高デューティサイクル(又は電力)テスト
図8A~Bは、例としての能動プロセス820、821を示す。
図8A~Bに示されているように、コントローラはまず、ステップ822で、吸気コンジット熱源デューティサイクルを第一のデューティサイクルへと能動的に高めることができる。第一のデューティサイクルは、約100%とすることができる。第一のデューティサイクルは、吸気コンジット熱源を加熱して、吸気コンジット熱源が加湿器出口及び吸気コンジットの患者端における温度変化を生じさせるのに十分に大きい。能動プロセス820、821は、有利な点として、吸気コンジット熱源コントローラとは独立して実行できる。コントローラは、能動プロセス820、821を実行する際に、システム内で実行中の療法を中断できる。療法は、呼吸又は換気療法及び/又は加湿療法とすることができる。受動プロセス600と同様に、チューブ温度は、正常な流れの状態では吸気コンジット内の加熱勾配により出口温度より高いと予想される。逆流状態があると、加熱されていないガスは吸気コンジットの患者端に入り、ガスが加湿器出口に到達する際に加熱されることが可能であり、その結果、チューブ温度は出口温度より低くなる。
図8Aに示されているように、コントローラはステップ824で、チューブ温度が出口温度より低いか否かを特定できる。
図8Bに示されているように、コントローラは、ステップ825で、チューブ温度の変化が出口温度の変化より大きいか否かを特定できる。
【0071】
チューブ温度が出口温度より高い場合、又はチューブ温度変化が出口温度変化より小さい場合、コントローラは、ステップ840で、その結果を逆流状態を示していないと解釈することができる。システムは、ステップ840で、逆流状態が検出されないという表示を出力し、いかなる表示も出力せず、及び/又は換気及び/又は加湿療法を開始するか、その現在の換気及び/又は加湿療法を継続することができる。チューブ温度が出口温度より低い場合、又はチューブ温度変化が出口温度変化より大きい場合、システムはステップ830で、逆流状態の表示を出力できる。さらに、コントローラは、吸気コンジットへの接続が誤っている可能性があると特定できる。コントローラはまた、患者端及び加湿器出口における絶対温度と温度変化の両方を何れの順序で比較することもできる。システムは、本明細書に記載の方法で、誤った接続を使用者に警告できる。システムは、使用者がシステム内の逆流状態を是正するまで、中断した療法を再開しなくてもよい。
【0072】
加湿器熱源/ワイヤコントローラとは独立していることに加えて、能動プロセス720、721、820、821は、有利な点として、ステップ724、725、824、825において温度差がより容易に検出可能となり、その結果、吸気コンジット熱源又は加湿器熱源の加熱能力が高くなる。より高い加熱能力は、最大又は実質的に最大のデューティサイクルとすることができる。
【0073】
能動プロセス-上流及び下流温度勾配テスト
図9A~Cは、上流及び下流温度勾配を比較する能動逆流検出プロセスを実行できる加湿システムのセンサ及びヒータの組合せ910、920、930を示す。プロセスは、初期の「低温の」及び/又は加熱されていない立ち上げ状態から行うことができる。このプロセスは、立ち上げ後、例えば加湿システムの正常な動作中に、加熱パターンを提供することによって行うことができる。センサ位置での温度勾配は、温度センサ測定値の変化率とすることができる。加湿システムのヒータが初期の加熱されていない状態から加熱されると、下流の温度センサで見られる温度勾配は、正常な流れの状態では上流の温度センサで見られる温度勾配より大きいと予想される。これは、正常な流れの状態では、ガス流は、ガスがガス源から加湿器及び吸気コンジットを通って患者インタフェースへと流れる間に加熱されるからである。
【0074】
各種のセンサは、上流又は下流の温度センサとすることができる。センサとしては、加湿器出口温度センサ、加湿器入口温度センサ、及び/又は患者端温度センサを含めることができる。各種のヒータは、能動プロセスのために加熱できる。ヒータとしては、加湿器熱源及び/又は吸気コンジット熱源を含めることができる。
図9Aに示されるように、能動プロセスは、上流センサ912として加湿器出口温度センサ、ヒータ914として吸気コンジットヒータ、及び下流センサ916として患者端温度センサを含む組合せ910を利用できる。加湿器熱源は、動作停止させることができる。
図9Bに示されるように、能動プロセスは、上流センサ922として加湿器入口温度センサ、ヒータ924として加湿器熱源と吸気コンジット熱源、及び下流センサ926として患者端温度センサを含む組合せ920を利用できる。
図9Cに示されるように、能動プロセスは、上流センサ932として加湿器入口温度センサ、ヒータ934として加湿器熱源、及び下流センサ936として加湿器出口温度センサを含む組合せ930を利用できる。吸気コンジット熱源は、動作停止させることができる。
【0075】
図10は、
図10Aの組合せ910を利用する、例としての能動検出マネージャ1000を示す。加湿器出口温度を検出するための加湿器出口温度センサは、上流センサとすることができる。患者端温度を検出するための患者端温度センサは、下流センサとすることかできる。能動検出マネージャ1000は、
図10B及び10Cの組合せ920、930等のその他の組合せも利用できる。
【0076】
ステップ1004で、能動検出マネージャ1000はアイドル状態とすることができる。アイドル状態では、能動検出マネージャ1000は、システムのセルフテストが完了するまで待機する可能性がある。システムのセルフテストは、ハードウェアの切断及び/又は故障をチェックすることができ、及び/又はプローブアウトテストを含むことができる。幾つかのセンサは、セルフテスト中は利用できないかもしれない。例えば、流量検出センサを利用可能な状態とする前に、フローセンサをウォームアップする必要があるかもしれない。コントローラは、セルフテスト中に加熱制御を行うことができないかもしれない。能動検出マネージャ1000はまた、ステップ1004で、ガスの流れが検出されるのを待機する可能性もある。
【0077】
セルフテストの完了後、能動検出マネージャ1000は、ステップ1008で吸気コンジット内の吸気コンジット熱源を通電させることができる。能動検出マネージャ1000は、100%デューティサイクル又は電力を、患者端温度センサにより検出されるチューブ温度が、プリセットされた閾値温度又は最大限度に到達するか、所定の持続時間にわたって保持されるまで提供できる。電力は、定電力とすることも、パルスもしくは波形のパターン又はその他とすることのできる既知のパターンの可変電力とすることもできる。最大限度は約40℃とすることができる。加湿器熱源は、動作停止させることができる。能動検出マネージャ1000は、チューブ温度又は加湿器熱源温度が閾値を超えた場合に、吸気コンジット熱源の通電を停止させることができる。閾値は安全最大温度限度とすることができる。チューブ又は加湿器熱源温度は、ウォームスタートにより、又は吸気コンジットが加湿器から一時的に切断されたことにより、閾値を超える可能性がある。システムが周囲温度まで冷却されないうちにシステムを始動させることにより、ウォームスタートが起こる可能性がある。
【0078】
能動検出マネージャ1000は、ステップ1008で、患者端温度センサ及び加湿器出口温度センサにより測定される温度勾配をモニタし、比較できる。
図11A~11Dの中の破線で囲まれている領域を示す
図12A及び12Bに示されているように、吸気コンジット熱源を作動させた後ある長さの時間にわたりガス流が順方向である場合、患者端で検出される温度は加湿器出口より高くなる。図に示される例において、この時間の長さは約200秒であるが、当業者であれば、この時間の長さは、周囲温度条件、流量、及び吸気コンジット熱源に加えられる電力等、多くの要素に依存することがわかるはずである。時間の長さは、約5秒~10分、10秒~4分、10秒~3分、10秒~200秒、10秒~100秒、及び/又は50秒~100秒の範囲の時間であってもよい。加湿器出口では、加湿器熱源が動作停止されるため、ガスは加熱されない。吸気コンジットの患者端において、ガスは、吸気コンジット熱源が正常な流れで通電するため、加熱できる。吸気コンジット熱源は、最大デューティサイクル又は定電力へと、又はパルスもしくは波形パターン又はその他とすることのできる既知のパターンの可変電力で通電させることができる。
【0079】
図12A~12Bに示されるように、吸気コンジット熱源を作動させた後ある長さの時間にわたりガス流が逆方向である場合、加湿器出口で検出される温度勾配は患者端におけるより大きい。図に示される例において、この時間の長さは約200秒であるが、当業者であれば、この時間の長さは、周囲温度条件、流量、及び吸気コンジット熱源に加えられる電力等、多くの要素に依存することがわかるはずである。時間の長さは、約5秒~10分、10秒~4分、10秒~3分、10秒~200秒、10秒~100秒、及び/又は50秒~100秒の範囲の時間であってもよい。加湿器出口に到達するガスは、吸気コンジット熱源により加熱されており、それによって温度は加湿器出口において急上昇する。吸気コンジットの患者端に到達するガスは加熱されていない可能性がある。患者端における温度勾配は、加熱された呼気コンジットからの吐き出されたガスの流れが加熱された吸気コンジット内に移動するために存在し得る。患者端及び加湿器出口での温度勾配は、加湿器が水を有する場合、又は加湿器が水切れ状態のときに同様の傾向を有する可能性がある。
【0080】
前述のように、能動検出マネージャ1000は、異なるヒータを通電させて、逆流状態を検出できる。能動検出マネージャ1000は、ステップ1008で、加湿器熱源又は加湿器熱源と吸気コンジット熱源との組合せを通電させることができる。能動検出マネージャ1000は、異なる温度センサにより検出される温度勾配をモニタできる。加湿器入口温度センサは上流センサ及び患者端温度センサとすることができ、又は加湿器出口温度センサは下流センサとすることができる。
【0081】
立ち上げマネージャ1000が前述のように上流及び下流温度センサの温度勾配の差に基づいて逆流状態を検出すると、能動検出マネージャ1000は、ステップ1012で、逆流セットアップエラーを出力できる。逆流エラーの出力は、アラームメッセージをトリガできる。メッセージは、ビデオ、テキスト、絵、又はそれらの組合せの形態とすることができる。メッセージは、是正措置に関する命令を含むことができる。能動検出マネージャ1000は、エラーを検出すると、吸気コンジット熱源又はその他の作動中のヒータの通電を停止させることができる。
【0082】
立ち上げマネージャ1000がガス流は順方向であると特定すると、能動検出マネージャ1000はステップ1016に進む。ステップ1016で、能動検出マネージャ1000は、加湿器熱源を通電状態として、水切れ状態を検出できる。水切れ状態は、加湿器が空(水位ゼロ)であること、又は、加湿器内の水位が最低閾値より低い場合を示すことができる。最低閾値は何れの適当な閾値とすることもでき、例えば10mm、9mm、8、mm、7、mm、6、mm、5mm、4mm、3mm、2mm、及び/又は1mm未満の範囲内である。閾値は、少なくとも一部に、流量、加湿器の種類、他の何れかのシステムパラメータ、及び/又は他の何れかの周囲条件に基づいて変化する可能性がある。能動検出マネージャ1000は、設定時間にわたり、又は設定温度まで加湿器熱源を通電させることができる。加湿器熱源は、定電力で、又はパルスもしくは波形パターン又はその他とすることのできる既知のパターンの可変電力で通電させることができる。定電力又は可変電力は、何れの適当な電力とすることもでき、当業者であれば、より高い電力はより素早い結果を生じさせるが、過熱のリスクの可能性を伴い、より低い電力はより遅い結果を生じるかもしれず、過熱のリスクはより低いが、周囲条件の影響をより受けやすくなるかしれないことがわかるであろう。低電力又は可変電力は、約10~250W、50~200W、25~175W、50~150W、75~125W、100W及び/又は150Wの範囲内の電力であってもよい。能動検出マネージャ1000は、加湿器熱源が閾値を超えた場合に加湿器熱源の通電を停止させることができる。閾値は、安全最大温度限度とすることができる。ステップ1016で、能動検出マネージャ1000は、加湿器熱源又は、加湿器熱源と吸気コンジット熱源の両方を通電させることができる。吸気コンジット熱源と加湿器熱源の両方を通電させる場合、前述のように、定電力又は既知のパターンの可変電力を加湿器熱源に供給できる。
【0083】
能動検出マネージャ1000は、ステップ1016で加湿器熱源での温度勾配をモニタできる。
図13に示されるように、加湿器熱源での温度勾配は、加湿器が水切れ状態の場合のほうが、加湿器熱源を作動させてからある長さの時間にわたり加湿器の水位がゼロ又は最低閾値を超えている場合のほうが大きい。図に示されている例において、時間の長さは約150秒であるが、当業者であれば、この時間の長さは周囲温度条件、流量、及び吸気コンジット熱源に加えられる電力等の多くの要素に依存することがわかるはずである。時間の長さは、約5秒~10分、10秒~4分、10秒~3分、10秒~200秒、10秒~100秒、50秒~150秒、及び/又は50秒~100秒の範囲内の時間であってもよい。順流及び逆流のどちらの状態でも、加湿器熱源における温度勾配は、加湿器が水切れ状態である場合のほうが、加湿器が水切れ状態ではない場合より大きい。加湿器熱源の温度は、加湿器熱源からの熱を吸収するヒートシンクとしての役割を果たす水が不十分な場合のほうがより素早く上昇する可能性がある。能動検出マネージャ1000は、加湿器熱源における温度勾配を所定の閾値温度勾配と比較することができる。加湿器は、温度勾配が閾値を超えた場合に、水切れ状態となっている可能性がある。
【0084】
立ち上げマネージャ1000が前述のように水切れ状態を検出すると、能動検出マネージャ1000は、ステップ1020でセットアップエラーを出力できる。水切れエラーの出力は、アラームメッセージをトリガできる。メッセージは、ビデオ、テキスト、絵、又はそれらの組合せの形態とすることができる。メッセージは、是正措置に関する命令を含むことができる。能動検出マネージャ1000は、エラーを検出すると、加湿器熱源又はその他の通電中のヒータの通電を停止させることができる。
【0085】
立ち上げマネージャ1000が、加湿器に水が入っている、又は加湿器内の水位が最低閾値より高いことを特定すると、能動検出マネージャ1000はステップ1024に進むことができる。ステップ1024で、能動検出マネージャ1000を励起させることができ、コントローラは、加湿システムの通常の動作を開始できる。
【0086】
加湿システムの能動検出マネージャ1000を機能させることにより、逆流状態の検出、加湿器の水切れ状態の検出、及び/又は吸気チューブの加熱されていない部分における凝結の最少化を容易にすることができる。能動検出マネージャ1000は、故障検出を助けるために、加湿器熱源及び/又は吸気コンジット熱源とは独立した、予測可能な制御を行うことができる。
【0087】
電力損失及び/又は流量に基づく受動プロセス
逆流状態は、温度以外のパラメータに基づいて検出することができる。例えば、
図14は、流量測定値に基づく受動逆流検出プロセス1420を示している。前述のように、加湿システムは加湿器入口及び/又は出口にサーミスタを含むことができる。1422で逆流検出プロセスを開始した後、コントローラは、サーミスタに、まず電圧をサーミスタに印加して、サーミスタを加熱し、サーミスタの電力損失に基づく流量を間接的に測定することによって流量センサとしての機能を果たさせることができる。コントローラは、ステップ1423で、加湿器入口及び出口のサーミスタ流量センサから、特定された流量入力を受け取ることができる。加湿システムは、これらのサーミスタ流量センサが全方向フローセンサであることから、逆流状態を直接検出することができないかもしれない。専用の特定方向及び/又は無方向フローセンサもあり得、これらはどちらも、加湿器入口及び/又は出口における加熱を必要としないかもしれない。逆流状態は、システムの異なる場所での流量測定値の変化をモニタすることによって検出できる。異なる場所には例えば、加湿器入口及び出口又はその付近を含めることができる。流量測定値は、システム全体を通じて変化し、異なる形状によるシステムの流量設定点からずれる可能性がある。
【0088】
図14に示されるように、コントローラは、ステップ1425で測定された入口流量と出口流量を比較できる。例えば、加湿器入口及び加湿器出口の流れの波形を比較できる。システムの正常の動作中、測定された流量は、加湿器出口のほうが加湿器入口より高い。これは、ガスが正しい方向に流れる場合、加湿器出口の形状がノズルとして機能し、加湿器入口の形状がディフューザとして機能できるからである。その結果、ガスは加湿器入口においてディフューザを通って移動でき、ガスは加湿器出口においてノズルを通って移動できる。加湿器の入口及び出口の形状の違いは、ガスの速度変化を生じさせる可能性があり、加湿器入口でより低い速度、加湿器出口でより高い速度となる。入口流量が出口流量より少ない場合、コントローラはステップ1440で、その結果を、逆流状態を示していないと解釈できる。システムは、ステップ1440で、何れの逆流状態も検出されなかったという表示を出力し、いかなる表示も出力せず、及び/又は換気及び/又は加湿療法を開始するか、その現在の換気及び/又は加湿療法を継続できる。
図2A~C及び3Bに示されるような逆流状態が存在する場合、加湿器出口での流量は加湿器入口での流量より低い可能性がある。システムは、ステップ1430で、逆流状態の表示を出力できる。システムはまた、ステップ1430で、加湿器との接続が誤っている可能性があるという表示も出力できる。システムは、ステップ1430で療法を停止できる。システムは、本明細書に記載の方法により、誤った状態を使用者に警告できる。システムは、使用者がシステム内の逆流状態を是正するまで、中断された療法を再開し、又は新しい療法を開始しないかもしれない。
【0089】
他の例として、コントローラは、ステップ1425で、加湿器入口及び加湿器出口におけるサーミスタ流量センサの電力損失曲線を含むことができる。流量に基づくプロセス1420と同様に、コントローラはまず、電圧を加えてサーミスタを加熱する必要がある。電力損失方式はガス源の種類に依存する可能性があり、呼吸のフェーズを識別して、加湿器入口及び出口において別々に、電力損失値のこれらのフェーズを比較する必要があるかもしれない。例えば、波形上のより高い値は呼息フェーズを識別でき、より低い値は吸息フェーズを識別できる。出口センサでの電力損失は、正常な流れの状態では入口センサのものより低い可能性があり、これは、ガスが、それらが加湿器出口から出るときに、加湿器熱源により加熱されているからである。出口センサを通じた電力損失は、逆流状態ではより高くなる可能性があり、これは、入口センサと比較して、低温のガスが出口センサを通じて移動している可能性があるからである。逆流状態を検出するために加湿器入口及び出口における電力損失曲線を使用することに関するその他の詳細は、米国仮特許出願第62/362709号明細書に記載されている。
【0090】
コントローラはまた、加湿器入口及び出口における流量と電力損失の両方を何れかの順番で比較することもできる。逆流検出プロセスの1つを使って、他の逆流検出プロセスの正確さをクロスチェックすることができる。
【0091】
流量センサは、逆流検出プロセス1420の前に、ゼロポイント基準で校正できる。流量センサは、ガス流がないときにゼロの目盛りへと校正できる。加湿システムでは、ポートキャップがまだ加湿器入口に取り付けられたままである場合、又は加湿器システムにより流量センサの校正を命じられて使用者が加湿器の少なくとも入口ポートを塞いでいるときに、ガス流が生じ得ない。その代わりに、使用者又はポートキャップは入口と出口の両方を塞いでもよい。使用者はまた、1つ又は複数のポートを手で塞いでもよい。システムは、表示スクリーン上でのプロンプトで校正の命令を提供できる。
【0092】
幾つかの加湿システムは、逆流状態を直接検出するために、1つ又は複数の指向性フローセンサを含むことができる。1つ又は複数の指向性フローセンサによる逆流状態の検出は、加湿システムに誤接続の可能性の警報を出力するように促すことができる。誤接続の可能性には、加湿加湿器入口及び出口が加湿システムのセットアップ中に取り違えられたか、混同した場合や、ベンチレータの入口及び出口が加湿システムのセットアップ中に取り違えられたか、混同した場合を含めることができる。指向性センサは、ガスが好ましい方向とは逆の方向に流れているか否かを示すことはできるが、センサは、何れかのコンジットが
図2B及び2Dのように誤って取り付けられているか否かを示さないかもしれない。
【0093】
センサ測定値及び/又はシステムパラメータを使った受動プロセス
上述の逆流状態検出プロセスは、加湿システムが安定状態に到達したときに行われるように構成できる。加湿システムは、加湿システム内の1つ又は複数のセンサからの読取り値が実質的に安定したときに安定状態とすることができる。受動プロセスはまた、1つまた複数のセンサからの読取り値が実質的に安定する前の過渡状態中に実行することもできる。後述の例は過渡的なセンサ測定値及び/又はその他のパラメータに関連して説明されているが、上述のプロセスはまた、逆流状態を検出するための安定状態のセンサ読取り値及び/又はその他のパラメータにも当てはめることができる。
【0094】
過渡状態では、センサ入力は増加、減少、及び/又は変動している可能性がある。モニタされるシステムパラメータには、未加工の値、未加工のセンサデータ、及び/又は派生値もしくは微分値を含めることができる。未加工の値には、加熱電力、センサ測定値、療法のモード、及び/又はその他を含めることができる。加熱電力は、例えば加湿器熱源からの、及び/又は後述のHW1及びHW2等の吸気コンジット熱源の様々な部分からのものとすることができる。センサ測定値は例えば、入口温度、加湿器熱源温度、出口温度、チューブ温度、流量、及び/又はフィルタ処理された、もしくはフィルタ処理されていない流量とすることができる。加湿器及び/又は療法の呼吸モードとしては、例えば侵襲的、マスク、非侵襲的、高流量、Optiflow(商標)、新生児、麻酔、又はその他の療法モードを含めることができる。派生又は微分値は、測定値と設定値との間の誤差、フィルタ処理された、もしくはフィルタ処理されていない値、パラメータ値間の差、パラメータ間の比、ブーリアン条件、勾配、及び/又は整数、数学的関数、及び/又はそれらの組合せを含めることができる。設定点の値には、例えば加湿器熱源設定点、出口設定点、又はチューブ設定点を含めることができる。パラメータ値間の差には、例えば2つの温度及び/又は流量センサの読取り値間の差を含めることができる。パラメータ値間の比には、例えば異なるセンサの読取り値間の比を含めることができる。ブーリアン条件には、例えばパラメータが閾値より高いか低いかを含めることができる。勾配及び又は整数には、例えば近い過去におけるモニタ中のパラメータデータを含めることができる。数学的関数には、例えばパラメータ値の指数を含めることができる。
【0095】
加湿システムのコントローラはまた、任意選択により、安定状態に向かって推移中の各種のシステムパラメータを観察することができる。コントローラは、安定状態のどの値があり得るかを予測できる。予測は、パラメータの軌跡を予測するためのモデル又はその他の予測モードを使って実行できる。コントローラは、予想された安定状態の値に対して上述の受動逆流検出プロセスのうちの1つ又は複数を実行して、逆流状態の可能性を予測することができる。
【0096】
コントローラはまた、任意選択により、まず、外的条件が安定したか否かを検出することもできる。外的条件の一例には、ガス流を含めることができる。コントローラは、変化する、及び/又は不安定なシステムパラメータにおけるパターンを探すことにより、受動的過渡逆流検出プロセスを実行できる。システムパラメータは、前述のパラメータの1つ又は複数とすることができる。コントローラは、異なる療法モード、異なる流れの範囲、及び/又はその他のパラメータについて、異なるアルゴリズムを使用できる。加湿システムは、逆流及び順流状態を区別できる既知の挙動群を含むルックアップテーブルを記憶するメモリを含むことができる。コントローラは、現在の状態が表中の逆流と順流のどちらの挙動により近いかを特定するように構成できる。コントローラは、表中にない状態について、表に基づいて推定できる。コントローラは、逆流状態が存在する可能性を予測できる。
【0097】
下表は、逆流及び順流状態での安定状態にある例としてのパラメータを提供しており、これらの例としてのパラメータは、逆流又はセットアップエラー状態を識別するためのアルゴリズムにおいて有益であるかもしれないことを示す。これは、逆流及び順流状態での安定状態にある値の差が、これらの全部が全部、通常の測定エラー、療法条件、流量、及び/又は周囲条件に起因しているわけではなく、何らかのセットアップエラー及び/又は逆流状態による可能性があることを合理的な信頼度で示唆するのに十分に大きいからである。
【0098】
【0099】
図15A~15Bは、変化する、及び/又は不安定なシステムパラメータのパターンの例を示す。
図15A及び15Bに示されているように、加湿器出口の温度は順流においては出口設定点温度に近付き、最終的にそれに到達する。加湿器出口の温度は、逆流においては出口設定点温度に到達しないか、それに近付かない。これは予想とは異なる供給源からガスが流れて来ることによる可能性がある。例えば、チューブ温度は、ガスが逆流中に加湿器からではなくガス源から、又は患者の呼息から流れて来ると、その設定点温度より低い可能性がある。これはまた、ガスが上流ではなくセンサの下流にあるヒータにより加熱されるからである可能性もあり、その結果、温度は設定点温度より高いか、又は低くなり、例えば、上流温度は、ガスが逆流中に呼吸器コンジット熱源により加熱されるため、設定点より高くなる可能性がある。
【0100】
システムが不安定なパラメータのパターンに基づいて逆流状態を検出すると、システムは、前述の方法で逆流エラーアラームを出力できる。コントローラは、逆流状態が検出された、及び/又は逆流エラーアラームが発せられたときに、流量における突然の変化をチェックするように構成できる。コントローラは、システムの外的条件が不安定になった場合、アラームの動作を無効にすることができる。例えば、コントローラは、突然の流れの変化が検出されると、アラームの動作を無効にすることができる。コントローラは、任意選択により、流れ及び/又はその他の不安定な外的条件が安定化するまで待機できる。コントローラは、前述の受動逆流検出プロセスを再開できる。
【0101】
図16は、過渡状態中の1つ又は複数の検出されたパラメータに基づく、例としての受動逆流検出プロセス1620を示す。1622で逆流検出プロセスが開始されると、コントローラは、ステップ1623で、各種のセンサからの過渡状態入力及び/又は本明細書に記載のシステムパラメータを受け取ることができる。モニタされるパラメータの例としては、例えば加湿器入口温度、加湿器出口温度、加湿器出口設定点、流量、加湿器熱源電力、及び/又はチューブ温度を含めることができる。
【0102】
ステップ1624で、コントローラは、各種のセンサ入力及び/又はシステムパラメータを特定のアルゴリズムを使って組み合わせ、逆流予測数を計算できる。プロセスは有利な点として、個々にでは逆流状態をより低い信頼度でしか予測できないかもしれないこれらのパラメータを組み合わせることによって、逆流予測の信頼度を高めることができる。
【0103】
プロセスは、例えば加湿器入口温度、加湿器出口温度誤差(測定された加湿器出口温度と設定点との間の差)の絶対値、流量対加湿器熱源電力の比、測定された加湿器入口温度対加湿器出口設定点の比、及び測定された加湿器入口温度対測定されたチューブ温度の比を評価できる。当業者であれば、本明細書中の開示から、他の比を使用できることがわかるであろう。ある例としてのアルゴリズムは、例えば、A*加湿器入口温度+B*加湿器出口温度-加湿器出口設定点+C*(流量÷加湿器熱源電力)+D*(加湿器入口温度÷加湿器出口設定点)+E*(加湿器入口温度/チューブ温度)+Fを計算することによって逆流予測数を得ることができ、式中、A、B、C、D、E、及びFは係数とすることができる。係数は学習ソフトウェアを使って経験的に、実験により、及び/又はその他の方法により推定できる。例えば、学習ソフトウェアは、複数の逆流データセット及び複数の順流データセットから係数の1つ又は複数を推定できる。逆及び/又は順データセットには、異なる外部条件、例えば流量、周囲温度、又はその他を含めることができる。係数は、学習ソフトウェアに提供されるパラメータ及び/又はデータセットに応じて変化する可能性がある。
【0104】
プロセスはまた、例えばフィルタ処理された、又はフィルタ処理されない流量、加湿器出口温度誤差(測定された加湿器出口温度と設定点との差)の絶対値、測定された加湿器入口温度対測定されたチューブ温度の比、及び吸気コンジット熱源の少なくとも一部へのフィルタ処理された、又はフィルタされない電力(「吸気コンジット熱源電力」)対加湿器熱源温度の比も評価できる。当業者であれば、本明細書の開示から、他の比を使用できることがわかるであろう。例としてのアルゴリズムは、例えばG*フィルタ処理又はフィルタ処理されない流量+H*|加湿器出口温度-加湿器出口設定点|+I*(加湿器入口温度/チューブ温度)+J*(フィルタ処理された、又はフィルタ処理されない吸気コンジット熱源電力/加湿器熱源温度)を計算することによって逆流予測数を得ることができ、式中、G、H、I、Jは、経験的に推定できる係数である。例えば、G、H、I、及びJは、前述のA、B、C、D、E、及びFと同様の方法で推定できる。
【0105】
ステップ1625で、コントローラは、予測数が0より大きいか否かを特定できる。予測数がゼロより大きい場合、コントローラは、ステップ1630で、逆流状態があるという表示を出力できる。予測数がゼロを超えなければ、ステップ1640で逆流が検出されない。システムは、ステップ1640で、逆流状態が検出されないという表示を出力し、いかなる表示も出力せず、及び/又は換気及び/又は加湿療法を開始するか、その現在の換気及び/又は加湿療法を継続できる。予想数が0より大きいこと以外の異なる閾値を逆流状態を示すために使用できる。例えば、0以下の数は、順流を示すことができる。0~100の間の何れかの数は、逆流状態の可能性を示すことができ、それより大きい数は逆流状態の可能性がより高いことを示す。それに加えて、カウンタ及び/又は経時累積値を使って、信頼度をためることができる。ある例において、システムは、逆流アラームをトリガするために、予測数がある期間にわたり閾値を超えることを要求してもよい。
【0106】
他の例において、逆流は、1つのパラメータのみをモニタすることによって検出できる。例えば、フローセンサの読取り値が予想より顕著に高い場合、逆流状態の可能性がある。
【0107】
受動及び能動プロセスは本明細書において、加湿器及び/又は吸気コンジット、例えば
図2A~Dに示されるような加湿器20及び/又は吸気コンジット40内の逆流状態に関して説明されているが、これらのプロセスは、各種の実施形態において、加湿システム内の様々な場所における逆流状態及び接続エラーを検出するために使用できる。さらに、1つのプロセスを、他のプロセスが逆流状態の表示を正しく識別したか否かを検証するために使用できる。システムは、受動及び能動検出プロセスを切り換えることができ、及び/又は、システムが受動検出モード又は能動検出モードにあるときに各種のプロセス間で切り換えることができる。
【0108】
逆流を検出するために、その代わりに、又はそれに加えて、前述の指向性フローセンサ、異なる圧力センサ、レーザドップラ、超音波トランスデューサ、入口及び/又は出口湿度センサ、及び/又は、フラップ、レバー、もしくはタービン等の機械的センサを使用する等、他のセンサも使用できる。
【0109】
加湿システムが複数のエラーを検出した場合、システムは最初に逆流アラームを出力することができる。複数のエラーとしては、逆流エラーと水切れエラーを含めることができる。逆流状態は、他のエラー、例えば水切れエラーをより高い信頼性で検出できるようにする前に是正する必要があるかもしれない。システムは、流量における急激な変化が検出されたときにアラームの動作を無効にすることによって、アラーム復旧の速度を改善できる。
【0110】
呼気チューブ誤接続の検出
デュアルリム加湿システムを必要とする呼吸療法において、呼気コンジット内の呼気コンジット熱源の切断をモニタすることが重要である。前述のように、デュアルリム加湿システムは、侵襲的療法の実質的にすべて、非侵襲的な成人用療法の約半分、新生児用療法の約半分、及びおそらく一部の小児用療法において使用できる。呼気コンジット内の吸気コンジット熱源の切断は、セットアップ中及び/又は使用中に発生する可能性がある。切断は、呼気コンジットの患者インタフェースへの不適正及び/又は不完全な接続、又はセットアップ中の使用者による呼気コンジットの誤使用による可能性がある。使用中の切断は、偶発的な切断又は使用者の誤使用による可能性がある。
【0111】
特定の療法モードについて、吸気及び呼気コンジット上の吸気コンジット熱源は各々、1本のワイヤとして加熱される(「シングルゾーンヒーティング」)。例えば、非侵襲的成人用療法は、吸気コンジットのシングルゾーンヒーティングで実行できる。加湿システムは、2つの熱源ドライバを有することができる。各ドライバは、2つの吸気コンジット熱源の一方を通電させるように構成できる。2つの吸気コンジット熱源は、低デューティサイクル及び/又は最小電力で通電させることができ、当業者であればそれが、吸気コンジット熱源が接続されたときに検出可能な電流を生成するのに十分な電力を供給できる高さの何れかのデューティサイクルであると理解するであろう。低電力は、それがより安全であり、療法中断を最小限とするため、好ましいかもしれない。この中断は、短時間のみ電力を供給することによって短縮されてもよい。低デューティサイクルは、約1~50%、1~25%、1~10%、2~15%、3~10%、4~9%の範囲内、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、又は他の何れかの適当なデューティサイクルであってよい。呼気コンジット熱源を加熱するドライバは、呼気コンジット熱源に電圧を印加できる。ドライバは、電気回路内の電流をモニタできる。電流がゼロ又はそれに近い場合、ドライバは呼気コンジット熱源切断アラームを出力することができる。アラームは、前述の方法によるものとすることができる。電流がゼロ又はそれに近くない場合、呼気コンジット熱源が回路に接続される。システムはまた、ハードウェア及び/又はソフトウェアコントローラが呼気コンジット熱源に電力を印加したときに回路IDレジスタの存在を検出することにより、呼気コンジット熱源の切断を検出することもできる。システムは、回路IDレジスタを検出できない場合、呼気コンジット熱源が切断されていると特定できる。
【0112】
特定の療法モード、例えば新生児用療法又はその他の形態の療法に関して、呼気コンジット熱源はシングルゾーンヒーティングより多くを有することができる。
図17Aは、例としての新生児用療法の加湿システム1700を示している。呼吸加湿システム1700は呼吸回路1701を含むことができ、これはセグメント式の吸気コンジット1702と呼気コンジット1710を含む。呼気コンジット1710は、呼気ヒータワイヤ1712を含むことができる。セグメント式吸気コンジット1702は、第一及び第二のセグメント1702a及び1702bを含むことができる。第一のセグメント1702aは、第一の吸気ヒータワイヤ1706aを含むことができる。第二のセグメント1702bは、第二の吸気ヒータワイヤ1706bを含むことができる。
【0113】
吸気リムのセグメント1702a、1702bは、相互に連結されて、ガス送達のための1つのコンジットを形成できる。第一のセグメント1702aは、吸気コンジット1602の、インキュベータ1708の外にある部分とすることができ、第二のセグメント1702b、又はインキュベータ延長部は、吸気コンジット1702の、インキュベータ1708の中にある部分とすることができる。インキュベータ1708は、例えばラジエントウォーマに関する場合のように、吸気コンジット1702の異なるセグメントに沿って異なる温度を生じさせることができる。第一及び第二の吸気ヒータワイヤ1706a、1706bは、吸気コンジット1702の異なるセグメント1702a、1702bに異なるレベルの熱を提供して、凝結を軽減もしくは防止し、及び/又は使用者に送達されるガスの温度を制御できる。
【0114】
コントローラ1722は、第一の吸気ヒータワイヤ1706a(「HW1」)を制御することと、第一及び第二の吸気ヒータワイヤ1706a及び1706b(「HW2」)を制御することとを切り換えるように構成できる。
図17Bは、吸気ヒータワイヤ1712、HW1、及びHW2の切り替えを変えることによって、HW1とHW2の加熱を切り換えるための例としての回路
図1750を示す。システム1700は、呼気ヒータワイヤ1712、HW1、及びHW2を駆動するための2つのドライバを有することができる。第一のドライバは、HW1と呼気ヒータワイヤ1712を並行して通電させることができる。第二のドライバは、HW2と呼気ヒータワイヤ1712を並行して通電させることができる。この方法の開示は、システムがバッテリワイヤドライバより多くのヒータワイヤを含む状況で有益である。
【0115】
使用中の呼気ヒータワイヤの切断を検出するために、吸気ヒータワイヤドライバの少なくとも一方は、電気回路内の電流をモニタできる。ヒータワイヤは、既知の抵抗又は誤差を伴う既知の抵抗を知ることができる。ドライバの一方が作動させられて、電圧を吸気ヒータワイヤに印加すると、動作中のドライバは電気回路内の電流をモニタできる。ドライバは、呼気ヒータワイヤとHW1に、又は呼気ヒータワイヤとHW2に電圧を印加できる。電流が既知の電圧に基づいて予想される値又はそれに近くない場合、及び/又は電流に急激な変化がある場合、吸気ヒータワイヤの1つ又は複数は切断されているかもしれない。電流が予想される値から所定の誤差だけ異なる場合、電流は既知の電圧に基づいて予想される値又はそれに近くないかもしれない。急激な変化は、電流の変化が閾値を超えたときに発生する可能性がある。吸気ヒータワイヤを通る電流は、呼気ヒータワイヤが適正に回路に接続されている場合の方が、呼気ヒータワイヤが切断された場合より低い可能性がある。これは、適正に接続された呼気ヒータワイヤが回路の全体的な抵抗を低下させるからである可能性がある。
【0116】
コントローラが予想値とは異なる電流及び/又は急激な電流の(したがって、抵抗の)変化を観察すると、コントローラはその療法モードから出ることができる。コントローラは、その療法モードから出たという表示を出力できる。コントローラは、吸気ヒータワイヤがシングルゾーンヒーティングを提供するかのように、上述の、1つのドライバにつき1つの吸気ヒータワイヤによる検出プロセスを使用するところに進むことができる。具体的には、コントローラは、ヒータワイヤドライバを1つのドライバにつき1つのヒータワイヤに接続しなおし、呼気ヒータワイヤを通じた電流を観察する構成に切り替えることができる。
【0117】
加湿システムは、療法モードに基づいて調節可能な、例えば
図17Aの呼気ヒータワイヤ等の呼気コンジット熱源の切断アラーム設定を有することができる。呼気コンジット熱源切断アラームは、実質的に常にデュアルリムシステムを使用する療法においては作動状態のままとすることができる。アラームは、幾つかの、例えば侵襲的療法用のデュアルリムシステムにおいては、デフォルトで作動状態のままとすることができる。呼気コンジット熱源切断アラームは、所定の間隔で作動させ、及び/又はほとんど常にデュアルリムシステムを使用するわけではない療法では作動停止状態のままとすることができる。間隔は、事前にプログラムされた間隔及び/又は使用者が決定する間隔とすることができる。アラームは、例えば非侵襲的成人用療法又は新生児用療法の幾つかのシステムにおいて、デフォルトで作動停止状態のままとすることができる。
【0118】
本開示は特定の実施形態と例に関して説明されているが、当業者であれば、開示は具体的に開示された実施形態のみにとどまらず、その他の代替的な実施形態及び/又は用途ならびにその自明な改良や等価物にも広げられると理解するであろう。それに加えて、本開示の実施形態の幾つかの変形型が図示され、詳しく説明されているが、その他の改良も、本開示の範囲に含まれ、当業者には容易に明らかとなるであろう。また、実施形態の特定の特徴及び開示の態様の各種の組合せ又は部分的組合せをなしてもよく、それらも依然として本開示の範囲内に含まれることも想定される。例えば、1つの実施形態に関連して上に記載された特徴は、本明細書に記載の異なる実施形態でも使用でき、その組合せは依然として開示の範囲内に含まれる。開示されている実施形態の様々な特徴と態様を相互に組み合わせ、又は置換することにより、開示の実施形態の異なる様式を形成することができると理解すべきである。それゆえ、本明細書の開示の範囲は前述の特定の実施形態により限定されるべきではないことが意図されている。したがって、別段の明記がないかぎり、又は明確に矛盾しないかぎり、本発明の各実施形態は、本明細書に記載のその基本的な特徴に加えて、本明細書において開示されている本発明の他の各実施形態からの本明細書に記載の1つ又は複数の特徴を含んでいてもよい。
【0119】
特定の態様、実施形態、又は例に関連して記載された特徴、材料、特性、又は群は、本明細書の本項又はその他の部分に記載されている他の何れの態様、実施形態、又は例にも、それと矛盾しないかぎり、当てはまると理解すべきである。本明細書(付属の特許請求の範囲、要約、及び図面のすべてを含む)において開示されている特徴のすべて及び/又はそのように開示されている何れかの方法又はプロセスのステップのすべては、それらの特徴及び/又はステップの少なくとも幾つかが相互に排他的でないかぎり、何れの組合せにおいても組み合わせてよい。保護は、何れの上述の実施形態の詳細にも限定されない。保護は本明細書(付属の特許請求の範囲、要約、及び図面のすべてを含む)において開示されている特徴の何れの新規な1つ、又は何れの新規な組合せにも、又はそのように開示されている何れの方法もしくはプロセスのステップの何れの新規な1つ又は何れの新規な組合せにも及ぶ。
【0120】
さらに、本開示において別々の実装例に関連して記載されている特定の特徴はまた、1つの実装例の中で組み合わせて実装することもできる。反対に、1つの実装例に関連して記載されている各種の特徴はまた、複数の実装例の中で別々に、又は何れかの適当な部分的組合せで実装することもできる。さらに、特徴は特定の組合せで機能するように上述されているかもしれないが、特許請求されている1つの組合せの中の1つ又は複数の特徴は、ある場合においては、その組合せから削除でき、また、その組合せは部分的組合せ又は部分的組合せの変形として特許請求されてもよい。
【0121】
さらに、動作は特定の順序で図示され、又は本明細書に記載されているかもしれないが、所望の結果を達成するために、このような動作を図示された特定の順序又は逐次的順序で実行する必要はなく、又は必ずしもすべての動作を実行しなくてもよい。図示又は説明されていないその他の動作を例示的な方法又はプロセスに組み込むことができる。例えば、1つ又は複数の追加の動作を、記載されている動作の何れかの前に、後に、それと同時に、又はそれらの途中で実行することができる。さらに、動作は他の実装例ではその配置又は順番を変えてもよい。当業者であれば、幾つかの実施形態においては、図示及び/又は開示されたプロセスの中でとられる実際のステップが図面に示されているものとは異なっていてもよいことがわかるであろう。実施形態に応じて、上述のステップの中の特定のものを取り除いてもよく、他のものを追加してもよい。さらに、上で開示された特定の実施形態の特徴及び属性は、別の方法で組み合わせて別の実施形態を形成してもよく、それらもすべて、本開示の範囲に含まれる。また、上述の実装例の中の各種のシステム構成要素の分離は、すべての実施形態においてもそのような分離が必要であると理解すべきではなく、記載されている構成要素とシステムは一般に、1つの製品の中に統合し、又は複数の製品の中にパッケージすることもできると理解すべきである。
【0122】
本開示の目的のために、特定の態様、利点、及び新規の特徴が本明細書に記載されている。必ずしもこれらの利点のすべてが何れかの特定の実施形態にしたがって達成されるとはかぎらないかもしれない。それゆえ、例えば、当業者は、本開示が、本明細書で教示されている1つの利点又は利点の集合は実現するが、本明細書で教示又は提案されているかもしれない他の利点は必ずしも達成しないような方法で実施又は実行されてよいと認識するであろう。
【0123】
「~できる(can)」、「~できるかもしれない(could)」、「~するかもしれない(might)」、又は「~してもよい(may)」等の条件文は、明確に別段の記載がないか、使用されている文脈の中で別段の理解がなされないかぎり、一般にその特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又はステップを含み、他の実施形態はそれらを含まないことを伝えようとしている。それゆえ、このような条件文は、一般にはそれらの特徴、要素、及び/又はステップが1つ又は複数の実施形態に何らかの方法で必要であること、又は1つ又は複数の実施形態が必然的に、使用者の入力又は促しがあってもなくても、これらの特徴、要素、及び/又はステップが何れかの特定の実施形態の中に含められる、又はその中で実行されるべきか否かを決定するための論理を含むことを黙示しようとしていない。
【0124】
本明細書で使用されている程度を示す文言、例えば「ほぼ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、明示された値、量、又は特徴に近く、かつ依然として所望の機能を果たすか、所望の結果を実現する値、量、又は特徴を表している。例えば、「ほぼ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」という用語は、明示された量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、及び0.01%未満以内の量を指していてもよい。それに加えて、本明細書で使用されるかぎり、「徐々に」は通常の意味を有し、例えば段階的変化等の不連続的な変化とは異なる。
【0125】
本開示の範囲は、本明細書の本項又はその他の箇所における好ましい実施形態の具体的な開示により限定されないものとし、本明細書の本項又は他の箇所に提示された、又は将来提示される特許請求の範囲で定義されるかもしれない。特許請求の範囲の文言は、特許請求の範囲の中で使用されている文言に基づいて広く解釈され、本明細書の中で、又は本願の審査過程で説明される例には限定されないものとし、これらの例は非排他的であると解釈されるものとする。