(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153867
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20241022BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20241022BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
H04N5/74 Z
G03B21/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024126020
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2023102519の分割
【原出願日】2018-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2017136618
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】松本 和也
(57)【要約】
【課題】光の状態を高精度に検出することが可能な画像表示装置を提供すること。
【解決手段】本技術の一形態に係る画像表示装置は、光変調素子と、光学素子と、センサ部とを具備する。前記光学素子は、前記光変調素子により変調された変調光を互いに異なる方向に進行する第1の分離光と第2の分離光とに分離し、前記第1の分離光の光路を逆向きに進行して入射する光が前記第2の分離光の光路に沿って進行することを規制する。前記センサ部は、前記第2の分離光の光路上に配置され、前記第2の分離光の状態を検出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を、赤緑青のうちいずれかである第1の色に対応する第1の光と、前記第1の色と異なる色に対応する第2の光とに分離する第1の光学素子と、
前記第1の光を互いに異なる方向に進行する第1の分離光と第2の分離光とに分離する第2の光学素子と、
前記第2の分離光の光路上に配置され、前記第2の分離光の状態を検出するセンサ部と
を具備し、
前記センサ部は、前記第1の色に対応する所定の波長帯域の光を透過させる第1の光学フィルタと、前記所定の波長帯域の少なくとも一部を含む波長帯域であり前記所定の波長帯域とは異なる波長帯域の光を透過させる第2の光学フィルタとを有する
画像表示装置であって、
前記第1の光を変調する第1の光変調素子と、
前記第1の光変調素子によって変調された前記第1の光と、前記第2の光に基づく変調光を合成する色合成部と
をさらに具備し、
前記第1の光変調素子は、前記第1の光の光路上に、前記色合成部の第1の面に沿って配置される
画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、さらに、
前記第2の光を、赤緑青のうち前記第1の色と異なる第2の色に対応する第3の光と、赤緑青のうち前記第1の色と前記第2の色とは異なる第3の色に対応する第4の光に分離する第3の光学素子と、
前記第3の光を変調する第2の光変調素子と、
前記第4の光を変調する第3の光変調素子と
を具備し、
前記第2の光変調素子は、前記第3の光の光路上に、前記色合成部の第2の面に沿って配置され、
前記第3の光変調素子は、前記第4の光の光路上に、前記色合成部の第3の面に沿って配置され、
前記色合成部は、前記第1の光変調素子によって変調された前記第1の光と、前記第2の光変調素子によって変調された前記第3の光と、前記第3の光変調素子によって変調された前記第4の光とを合成する
画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記第1の色は、赤色であり、
前記第2の色は、緑色であり、
前記第3の色は、青色である
画像表示装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像表示装置であって、
前記センサ部は、前記第2の色に対応する所定の波長帯域の光を透過させる第3の光学フィルタと、前記第3の色に対応する所定の波長帯域の光を透過させる第4の光学フィルタとをさらに有する
画像表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、
前記第2の光学素子と前記色合成部は、前記第1の光の光路上で直線上に配置される
画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、
前記第2の光学素子は、前記第2の光学素子に入射する前記第1の光の入射方向に対して斜めに配置される光分離面を有する
画像表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、
前記第2の光学素子は、前記第1の光変調素子によって変調された前記第1の光の主光路上に配置され、前記第1の分離光を前記主光路に沿って出射し、前記第2の分離光を他の光路に沿って出射し、
前記センサ部は、前記他の光路上に配置される
画像表示装置。
【請求項8】
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、
前記第2の光学素子は、前記第1の分離光を出射する第1の出射面と、前記第1の出射面とは異なる前記第2の分離光を出射する第2の出射面とを有し、
前記センサ部は、前記第2の出射面側に配置される
画像表示装置。
【請求項9】
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、
前記第2の光学素子は、前記第1の分離光の光量が前記第2の分離光の光量よりも大きくなるように、前記第1の分離光を分離する
画像表示装置。
【請求項10】
請求項1から9のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、
前記第2の光学フィルタが透過させる光の波長帯域は前記所定の波長帯域よりも広い
画像表示装置。
【請求項11】
請求項1から10のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、
前記第1の光変調素子は、透過型光変調素子である
画像表示装置。
【請求項12】
請求項1から11のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、
前記第2の光学素子は、ハーフミラーである
画像表示装置。
【請求項13】
請求項1から12のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、
前記センサ部は、前記第2の分離光の強度を検出する
画像表示装置。
【請求項14】
請求項1から13のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、さらに、
前記第1の光変調素子に隣接して配置される偏光板を具備する
画像表示装置。
【請求項15】
請求項1から14のうちいずれか1項に記載の画像表示装置であって、
前記第2の光学素子は、前記第1の光を反射光である第1の分離光と透過光である第2の分離光とに分離し、
前記センサ部は、透過光である前記第2の分離光の光路上に配置される
画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、プロジェクタ等の画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプロジェクタ等の画像表示装置が広く用いられている。例えば光源からの光が液晶素子等の光変調素子により変調され、その変調光がスクリーン等に投影されることで画像が表示される。光源としては、水銀ランプ、キセノンランプ、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等が用いられる。このうちLEDやLD等の固体光源は寿命が長く従来のようなランプ交換が不要であり、また電源を入れて即時に点灯するといった利点を有する。
【0003】
特許文献1には、偏光特性の違いを応用して3D(立体)映像の表示を行う画像投射装置について記載されている。この画像投射装置では、プリズム型ビームスプリッタに対してP偏光となるように右目用の映像が入射され、S偏光となるように左目用の映像が入射される。プリズム型ビームスプリッタにより右目用の映像及び左目用の映像が合成され、投射レンズを介してスクリーン上に投射される(特許文献1の明細書段落[0040][0049][0051]
図3等)。
【0004】
特許文献2には、RGBの各光を反射型ライトバルブに反射し、反射型ライトバルブにより変調された光を、投射レンズに向けて透過させる偏光ビームスプリッタを備える投射型表示装置について記載されている。この投射型表示装置では、偏光ビームスプリッタの面のうち、RGBの各光が入射する面と対向する面側に、エリアセンサが配置される。エリアセンサにより、偏光ビームスプリッタにより反射されずにそのまま透過する漏れ光の状態が検出される。エリアセンサの検出結果に基づいて、各部品の位置調整が容易に可能となり、また各部品の劣化状態を把握することが可能となる(特許文献2の明細書段落[0044]~[0058][0083]
図3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/132675号
【特許文献2】特開2008-129261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今後も、レーザ光源を使用したデジタルシネマ用の大型プロジェクタや、3D映像用に構成されたプロジェクタ等、種々のプロジェクタが普及していくものと考えられる。このようなプロジェクタ等の画像表示装置において、光の状態を高精度に検出することが可能な技術が求められている。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、光の状態を高精度に検出することが可能な画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る画像表示装置は、光変調素子と、光学素子と、センサ部とを具備する。
前記光学素子は、前記光変調素子により変調された変調光を互いに異なる方向に進行する第1の分離光と第2の分離光とに分離し、前記第1の分離光の光路を逆向きに進行して入射する光が前記第2の分離光の光路に沿って進行することを規制する。
前記センサ部は、前記第2の分離光の光路上に配置され、前記第2の分離光の状態を検出する。
【0009】
この画像表示装置では、光学素子により変調光が第1及び第2の分離光に分離される。また光学素子により、第1の分離光の光路を逆向きに進行して入射する光が第2の分離光の光路に沿って進行することが規制される。従って第2の分離光の光路にセンサ部を配置することで、変調光の状態を高精度に検出することが可能となる。
【0010】
前記光学素子は、前記変調光の主光路上に配置され、前記第1の分離光を前記主光路に沿って出射し、前記第2の分離光を他の光路に沿って出射してもよい。
【0011】
前記光学素子は、前記第1の分離光を出射する第1の出射面と、前記第1の出射面とは異なる前記第2の分離光を出射する第2の出射面とを有してもよい。この場合、前記センサ部は、前記第2の出射面側に配置されてもよい。
【0012】
前記光学素子は、前記光学素子に入射する前記変調光の入射方向に対して斜めに配置される光分離面を有してもよい。
【0013】
前記光分離面は、前記光分離面に入射する前記変調光の一部を前記第1の分離光として透過させ、前記変調光の他の一部を前記第2の分離光として反射してもよい。この場合、前記センサ部は、前記第2の分離光を反射する前記光分離面側に配置されてもよい。
【0014】
前記光分離面は、前記光分離面に入射する前記変調光の一部を前記第1の分離光として反射し、前記変調光の他の一部を前記第2の分離光として透過させてもよい。この場合、前記センサ部は、前記光分離面とは反対側の面側に配置されてもよい。
【0015】
前記光学素子は、前記第1の分離光の光量が前記第2の分離光の光量よりも大きくなるように、前記変調光を分離してもよい。
【0016】
前記画像表示装置は、さらに、複数の変調光を合成して合成変調光を生成する合成部と、前記合成部により生成された前記合成変調光を投射する投射部とを具備してもよい。この場合、前記光学素子は、前記合成部と前記投射部との間に配置され、前記合成変調光を前記第1の分離光と前記第2の分離光とに分離してもよい。
【0017】
前記光学素子は、前記変調光が入射する第1の面と、前記第1の面に入射する前記変調光を分離する光分離面と、前記光分離面により分離された前記第2の分離光が出射される第2の面とを有する光分離プリズムであってもよい。この場合、前記センサ部は、前記光分離プリズムの前記第2の面に近接して配置されてもよい。
【0018】
前記光学素子は、偏光ビームスプリッタ、ハーフミラー、又はガラス板であってもよい。
【0019】
前記画像表示装置は、さらに、第1の偏光状態の第1の画像光を第1の方向に沿って出射する第1の出射部を具備してもよい。この場合、前記光学素子は、前記第1の方向に対して斜めに配置される光分離面を有してもよい。また前記光分離面は、前記第1の画像光の一部を前記第1の方向に沿った第1の光路上に透過させ、前記第1の画像光の他の一部を前記第1の方向と略直交する第2の方向に沿った第2の光路上に反射してもよい。また前記センサ部は、前記第2の光路上に配置されてもよい。
【0020】
前記画像表示装置は、さらに、第2の偏光状態の第2の画像光を前記第2の方向に沿って出射する第2の出射部を具備してもよい。この場合、前記光分離面は、前記第2の方向に対して斜めに配置され、前記第2の画像光の一部を前記第1の光路上に反射し、前記第2の画像光の他の一部を前記第2の光路上に透過させてもよい。
【0021】
前記センサ部は、前記第1の偏光状態の光を抽出する第1のフィルタと、前記第1のフィルタにより抽出された光の状態を検出する第1のセンサと、前記第2の偏光状態の光を抽出する第2のフィルタと、前記第2のフィルタにより抽出された光の状態を検出する第2のセンサとを有してもよい。
【0022】
前記センサ部は、前記第2の分離光の強度、色度、及び光束の形状の少なくとも1つを検出してもよい。
【0023】
前記光学素子は、入射光に対して所定の作用を付与することを目的に構成され、前記光学素子に入射する前記変調光を、前記所定の作用が付与された前記第1の分離光と、前記所定の作用が付与されない前記第2の分離光とに分離してもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本技術によれば、光の状態を高精度に検出することが可能となる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本技術の一実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す概略図である。
【
図3】画像合成部の部分を拡大して示す拡大図である。
【
図4】画像合成部の部分を拡大して示す拡大図である。
【
図8】比較例として挙げる画像表示装置の構成例を示す概略図である。
【
図9】画像生成部の他の構成例を示す概略図である。
【
図10】画像生成部の他の構成例を示す概略図である。
【
図11】画像生成部の他の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
[画像表示装置]
図1は、本技術の一実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す概略図である。画像表示装置500は、レーザ光源を用いたシネマ用のプロジェクタであり、光の偏光特性を利用して3D(立体)映像を表示することが可能である。
【0028】
以下、便宜的に、画像表示装置500を上方から見ているとして、図中のX方向を左右方向、Y方向を奥行方向、Z方向を高さ方向として説明を行う。もちろんXYZの各方向がこれらの方向に限定される訳ではなく、任意の方向及び向きにて画像表示装置500を使用することが可能である。
【0029】
画像表示装置500は、第1の画像生成部100と、第2の画像生成部200と、画像合成部50と、1/2波長板60と、投射光学系70と、センサ部80と、制御部90とを有する。
【0030】
第1の画像生成部100は、3D映像における右目画像を構成する第1の画像光10を生成して出射する。第1の画像生成部100は、赤色光、緑色光、及び青色光(RGBの各色光)ごとに光を変調し、その色ごとの変調光を合成することで第1の画像光10を生成する。なお各色の変調光も、画像光に含まれる概念である。
【0031】
図1に示すように、第1の画像生成部100は、X方向に沿って左向きに第1の画像光10を出射する。また第1の画像生成部100は、画像合成部50の接合面51に対してP偏光となるように、第1の画像光10を出射する。
【0032】
本実施形態において、第1の画像生成部100は、第1の出射部に相当する。またX方向は、第1の方向に相当する。また接合面51に対してP偏光である状態は、第1の偏光状態に相当する。
【0033】
第2の画像生成部200は、3D映像における左目画像を構成する第2の画像光20を出射する。第2の画像生成部200は、RGBの各色光ごとに光を変調し、その色ごとの変調光を合成することで第2の画像光20を生成する。
【0034】
図1に示すように、第2の画像生成部200は、Y方向に沿って手前向き(図中下向き)に第2の画像光20を出射する。また第2の画像生成部200は、画像合成部50の接合面51に対してP偏光となるように、第2の画像光20を出射する。
【0035】
第1及び第2の画像生成部100及び200は、互いに略等しい構成を有する。
図1では、第1及び第2の画像生成部100及び200の各々について、一部の構成要素が模式的に図示されている。第1及び第2の画像生成部100及び200の各々については、後に詳しく説明する。
【0036】
1/2波長板60は、第2の画像生成部200と、画像合成部50との間に配置される。1/2波長板60は、使用される光の3原色の全波長帯にわたり、偏光方向を90°回転させる機能を有する。1/2波長板60の具体的な構成は限定されず、任意に設計されてよい。
【0037】
1/2波長板60により、第2の画像生成部200から出射される第2の画像光20の偏光方向が90°回転される。従って画像合成部50には、接合面51に対してS偏光となる第2の画像光20が出射される。
【0038】
本実施形態において、第2の画像生成部200及び1/2波長板60は、第2の出射部に相当する。またY方向は、第1の方向に略直交する第2の方向に相当する。また接合面51に対してS偏光である状態は、第2の偏光状態に相当する。
【0039】
画像合成部50は、プリズム型のビームスプリッタである。画像合成部50は、使用される光の3原色の全波長帯域にわたり、S偏光では高い反射率を持ち、P偏光では高い透過率を持つ偏光ビームスプリッタの特性を有する。
【0040】
本実施形態では、2つの略同型状の直角二等辺プリズムが接合され、その接合面51に所定の光学特性を有する偏光膜が形成される。接合面51は、第1の画像光10及び第2の画像光20の各々の進行方向に対して、45°の角度で配置され、この接合面51に対してS偏光及びP偏光が定義される。
【0041】
接合面51は、P偏光である第1の画像光10を透過させ、S偏光である第2の画像光20を反射する。これにより第1及び第2の画像光10及び20が合成され、投射光学系70に向けて出射される。従って本実施形態では、接合面51に対してP偏光となる第1の画像光10により右目画像が表示され、S偏光となる第2の画像光20により左目画像が表示される。
【0042】
本実施形態において、画像合成部50は、光学素子に相当する。この点については、後に詳しく説明する。
【0043】
投射光学系70は、画像合成部50の出射側に配置され、画像合成部50により合成された第1及び第2の画像光10及び20を所定の倍率に拡大して、スクリーン等の被投射物に投射する。これにより右目画像及び左面画像が表示される。投射光学系70は、例えば複数の投射レンズ等を含み、具体的な構成は適宜設計されてよい。
【0044】
センサ部80は、光を受光するセンサ81を有し、光の状態を検出することが可能である。光の状態とは、例えば輝度(強度)、色度、及び光束の形状等を含む。なお光束の形状は、光束の大きさ(断面積)を含む概念である。
【0045】
センサ81として、任意の輝度センサや色度センサ等が用いられてよい。またセンサ81として、複数のセンサにより構成されたアレイセンサや、CMOSセンサやCCDセンサ等のイメージセンサが用いられてもよい。
【0046】
図1に示すように、センサ81は、画像合成部50の手前側(図中下方側)の面に近接して配置される。センサ81により、第1及び第2の画像光10及び20の各々の状態を高精度に検出可能である。この点については、後に詳しく説明する。
【0047】
制御部90は、画像表示装置500内の各機構の動作を制御する。制御部90は、第1及び第2の画像生成部100及び200や投射光学系70、その他の機構と電気的に接続され、各機構に制御信号を出力する。例えば第1及び第2の画像生成部100及び200に含まれる光源部や光変調素子の動作を制御することが可能である。
【0048】
制御部90は、例えばCPU、RAM、及びROM等を有し、CPUがROMに予め記録されている制御用プログラムをRAMにロードして実行することにより、各機構が制御される。制御部90の構成は限定されず、任意のハードウェア及びソフトウェアが用いられてよい。例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)、その他ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスが用いられてもよい。また
図1では破線にて制御部90が図示されているが、制御部90が配置される箇所等も限定されず、適宜設定されてよい。
【0049】
[画像生成部]
図2は、画像生成部の構成例を示す概略図である。
図2には、
図1に示す画像表示装置500をY方向に沿って手前側から見た場合の、第1の画像生成部100の構成例が図示されている。
図1に示す1/2波長板60及び第2の画像生成部200は、
図2に示す画像合成部50の奥側に位置し、その図示は省略されている。
【0050】
第1の画像生成部100は、光源部101と、照明光学系110と、画像変調部130とを有する。光源部101は、白色光Wを生成して照明光学系110に出射する。光源部101には、例えばLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の固体光源、又は水銀ランプやキセノンランプ等が配置される。
【0051】
例えばRGBの各色の光をそれぞれ出射可能なRGB用の固体光源が用いられ、これらの出射光が合成されて白色光Wが生成されてもよい。または青色の波長帯域の光を出射する固体光源と、青色光により励起されて黄色の蛍光を発する蛍光体とが配置されてもよい。この場合、青色光と黄色光とが合成されて白色光Wが出射される。
【0052】
照明光学系110は、インテグレータ素子111と、偏光変換素子112、113及び114と、集光レンズ115と、クロスダイクロイックミラー116と、反射ミラー117及び118と、ダイクロイックミラー119と、リレーレンズ120、121及び122とを有する。
【0053】
インテグレータ素子111は、第1及び第2のフライアイレンズ111a及び111bを有する。これら第1及び第2のフライアイレンズ111a及び111bを白色光Wが透過することにより、白色光Wの輝度ムラが低減される。
【0054】
偏光変換素子112は、インテグレータ素子111を介して入射する白色光Wの偏光状態を揃える機能を有する。偏光変換素子112としては、偏光板や偏光ビームスプリッタ等の任意の光学素子が用いられてよい。偏光変換素子112を通った白色光Wは、集光レンズ115を介してクロスダイクロイックミラー116に出射される。
【0055】
クロスダイクロイックミラー116は、集光レンズ115から出射された白色光Wを、長波長側の赤色光Rと、短波長側の緑色光G及び青色光Bとに分光する。クロスダイクロイックミラー116により分光された赤色光Rは、反射ミラー117により反射されて偏光変換素子113に入射する。偏光変換素子113により偏光状態が揃えられた赤色光Rは、リレーレンズ120を介して、画像変調部130に出射される。
【0056】
クロスダイクロイックミラー116により分光された緑色光G及び青色光Bは、反射ミラー118により反射されて偏光変換素子114に入射する。偏光変換素子114により偏光状態が揃えられた緑色光G及び青色光Bは、ダイクロイックミラー119により、長波長側の緑色光Gと、短波長側の青色光Bとに分光される。
【0057】
ダイクロイックミラー119により分光された緑色光Gはリレーレンズ121を介して、画像変調部130に出射される。ダイクロイックミラー119により分光された青色光Bはリレーレンズ122を介して、画像変調部130に出射される。
【0058】
画像変調部130は、RGBの各色用に配置される反射型偏光素子131(131R、131G、131B)、反射型光変調素子132(132R、132G、132B)、波長板133(133R、133G、133B)、偏光ビームスプリッタ134(134R、134G、134B)、及び1/2波長板135(135R、135G、135B)を有する。また画像変調部130は、第1の画像光10を生成するための色合成プリズム136及び偏光板137を有する。
【0059】
反射型偏光素子131は、プリズム型のビームスプリッタである。
図2に示すリレーレンズ120~122の各々からは、反射型偏光素子131の接合面に対してS偏光となるように、RGBの各光が出射される。
【0060】
反射型偏光素子131Rは、赤色光RのS偏光成分を波長板133Rに向けて反射する。波長板133Rは、黒輝度の浮きを補償する補償板として機能し、入射する赤色光Rの偏光方向を回転させて、反射型光変調素子132Rへ出射する。偏光方向の回転角度は、高精度の画像が投射されるように、適宜設定される。
【0061】
反射型光変調素子132Rは、外部から供給される赤色光Rに対応した画像信号に基づいて、入射する赤色光Rを変調して反射する。反射型光変調素子132Rとしては、典型的には、反射型液晶パネルが用いられるが、これに限定される訳ではない。
【0062】
反射型光変調素子132Rにより変調された赤色光R(同じ符号を用いて変調光Rと記載する)は、波長板133Rを介して、反射型偏光素子131Rに入射する。変調光RのP偏光成分が接合面を透過して、偏光ビームスプリッタ134Rに入射する。
【0063】
偏光ビームスプリッタ134Rは、偏光変換素子として機能し、変調光Rの偏光状態が揃えられ不要光がカットされる。偏光ビームスプリッタ134Rから出射される変調光Rは、1/2波長板135Rにより偏光方向が90°回転されて、色合成プリズム136に出射される。
【0064】
緑色光G及び青色光Bも同様に、反射型光変調素子132G及び132Bにより変調され、反射型偏光素子131G及び131Bから1/2波長板135G及び135Bを介して、色合成プリズム136に出射される。
【0065】
色合成プリズム136は、例えば複数のガラスプリズム(4つの略同型状の直角二等辺プリズム)を接合することによって構成される。各ガラスプリズムの接合面には、所定の光学特性を有する2つの干渉膜が形成される。
【0066】
そのうちの第1の干渉膜は、青色光Bを反射し、赤色光R及び緑色光Gを透過させる。第2の干渉膜は、赤色光Rを反射し、青色光B及び緑色光Gを透過させる。第1及び第2の干渉膜は、S偏光の光に対する反射率が高く、P偏光の光に対する反射率は低いという特性を有する。
【0067】
本実施形態では、変調光RGBの各々が1/2波長板135により偏光方向が90°回転される。これにより変調光RGBの各々は、色合成プリズム136の接合面に対してS偏光で入射する。この結果、高輝度の画像を投射することが可能となる。
【0068】
変調光R及びBは接合面により反射され、変調光Gは接合面を透過する。これにより変調RGBが同一光路上に合成され、第1の画像光10が生成される。第1の画像光10は、偏光板137により偏光方向が揃えられて、画像合成部50に出射される。
【0069】
なお本実施形態では、色合成プリズム136の接合面に対してS偏光となる光が、画像合成部50の接合面51に対してP偏光となるように、第1の画像生成部100の向きが適宜設定されている。従って、第1の画像生成部100からは、画像合成部50の接合面51に対してP偏光となる第1の画像光10が出射される。
【0070】
上記したように、第2の画像生成部200は、第1の画像生成部100と略等しい構成を有する。第2の画像生成部200により、画像合成部50の接合面51に対してP偏光となる第2の画像光20が出射される。1/2波長板60により、第2の画像光20の偏光方向が90°回転される。これにより画像合成部50には、接合面51に対してS偏光となる第2の画像光20が出射される。
【0071】
なお
図1には、第1の画像生成部100の構成要素のうち、反射型偏光素子131R、反射型光変調素子132G、波長板133G、偏光ビームスプリッタ134G、及び1/2波長板135G、色合成プリズム136及び偏光板137が図示されている。
【0072】
また第2の画像生成部200の構成要素のうち、反射型偏光素子231R、反射型光変調素子232G、波長板233G、偏光ビームスプリッタ234G、及び1/2波長板235G、色合成プリズム236及び偏光板237が図示されている。
【0073】
図3及び
図4は、画像合成部50の部分を拡大して示す拡大図である。
図3には、第1の画像生成部100から出射される第1の画像光10の挙動が模式的に図示されている。
図4は、第2の画像生成部200から1/2波長板60を介して出射される第2の画像光20の挙動が模式的に図示されている。
【0074】
図3に示すように第1の画像生成部100から出射されたP偏光の第1の画像光10Aの多くが、接合面51を透過して、投射光学系70に向けて進行する。このX方向に沿って接合面51に入射する第1の画像光10A、及び接合面51を透過して同じくX方向に沿って投射光学系70に向けて進行する第1の画像光10Bの光路が、主光路OP1となる。
【0075】
主光路OP1とは、画像光(変調光)が生成されて、投射光学系70によりスクリーン等に投射されるまでの、画像光(変調光)の光路のことである。従って、画像合成部50は、画像光(変調光)の主光路OP1に配置されることになる。
【0076】
一方、第1の画像生成部100から出射された第1の画像光10のうち、接合面51によりY方向に沿って手前向き(図中の下向き)に反射される第1の画像光10Cも存在する。第1の画像光10Cは、いわゆる漏れ光となり、主光路OP1とは異なる他の光路OP2に沿って進行する。
【0077】
本実施形態において、画像合成部50は、第1の画像生成部100から出射された第1の画像光10Aを、互いに異なる方向に進行する第1の画像光10Bと第1の画像光10Cとに分離する光学素子として機能する。すなわち画像合成部50は、第1の画像光10の主光路OP1上に配置され、第1の画像光10Bを主光路OP1に沿って出射し、第1の画像光10Cを他の光路OP2に沿って出射する。
【0078】
画像合成部50の接合面51は、画像合成部50に入射する第1の画像光10の入射方向(X方向)に対して斜めに配置される光分離面として機能する。詳細には、接合面51のうち、第1の画像光10が入射する側の面が、光分離面に相当する。
【0079】
本実施形態では、第1の画像光10の入射方向(X方向)に対して、45°の角度で接合面51(光分離面)が配置される。接合面51は、接合面51に入射する第1の画像光10Aの一部である第1の画像光10Bを透過させ、第1の画像光10Aの他の一部である第1の画像光10Cを反射する。
【0080】
投射光学系70に向かって進行する第1の画像光10Bは、投射光学系70によりスクリーン等に投射される。この際、第1の画像光10Bの一部が、投射光学系70内の投射レンズ等により反射される場合があり得る。
【0081】
投射レンズ等により反射された反射光は、第1の画像光10Bの光路である主光路OP1を逆向きに進行して、接合面51に再び入射する。接合面51に再び入射する反射光は、第1の画像生成部100に向けて透過されるか、あるいは第2の画像生成部200に向けて反射される。いずれにせよ、第1の画像光10Cの光路である他の光路OP2に沿って進行することはない。
【0082】
すなわち画像合成部50及び接合面51は、主光路OP1を逆向きに進行して入射する反射光が、他の光路OP2に沿って進行することを規制する機能も有している。本実施形態において、第1の画像光10Bは第1の分離光に相当し、第1の画像光10Cは第2の分離光に相当する。また主光路OP1は第1の光路に相当し、他の光路OP2は第2の光路に相当する。
【0083】
また第1の画像生成部100の色合成プリズム136は、複数の変調光を合成して合成変調光(第1の画像光10)を生成する合成部に相当する。また投射光学系70は、色合成部により合成された合成変調光を投射する投射部に相当する。画像合成部50は、色合成プリズム136と投射光学系70との間に配置され、合成変調光(第1の画像光10A)を第1の画像光10Bと第1の画像光10Cとに分離する。
【0084】
図3に示すように、センサ部80(センサ81)は、第1の画像光10Cの光路である他の光路OP2上に配置され、第1の画像光10Cの状態を検出する。画像合成部50の接合面51により、投射光学系70からの反射光が他の光路OP2に沿って進行することが規制されている。従って、センサ81に、投射光学系70からの反射光が入射することはなく、反射光によるノイズ成分の発生を十分に抑えることが可能となる。これにより第1の画像光10Cの状態を高精度に検出することが可能となり、第1の画像生成部100から出射される第1の画像光10Aの状態を高精度に検出することが可能となる。
【0085】
センサ81が配置される位置は、第1の画像光10Cを他の光路OP2に沿って反射する光分離面側の位置とも言える。第1の画像光10Aが入射する側の光分離面側にセンサ81を配置すれば、光分離面とは反対側の面(第1の画像光10Bが出射される側の面)に入射する反射光が、他の光路OP2に沿って進行することを規制することが可能である。
【0086】
本実施形態では、2つの略同型状の直角二等辺プリズムが接合されて画像合成部50が構成される。このようなプリズム型の構成は、本技術に係る光分離プリズムに含まれる構成である。
【0087】
図3に示すように、画像合成部50のZ方向と平行となる4つの側面を、第1~第4の側面52a~52dとする。
【0088】
第1の側面52aは、第1の画像生成部100に対向して配置され第1の画像光10が入射される面である。第2の側面52bは、第2の画像生成部200に対向して配置され第2の画像光20が入射される面である。第3の側面52cは、主光路OP1に沿って第1の画像光10Bが出射される面である。第4の側面52dは、他の光路OP2に沿って第1の画像光10Cが出射される面である。
【0089】
センサ81は、第1の画像光10Cが出射される第4の側面52d側に配置される。具体的には、第4の側面52dに近接して配置される。センサ81が第4の側面52dに当接されてもよいし、隙間を空けて配置されてもよい。
【0090】
画像合成部50としてプリズム型の構成を採用することで、センサ81の取付けが容易となる。本実施形態において、第1の側面52aは第1の面に相当する。第4の側面52dは第2の面及び第2の出射面に相当する。第3の側面52cは、第1の出射面に相当する。
【0091】
また接合面51に入射する第1の画像光10Aの多くは第1の画像光10Bとして主光路OP1に沿って進行する。そして他の一部である第1の画像光10Cは他の光路OP2に沿って進行する。すなわち画像合成部50の接合面51により、第1の画像光10Bの光量が第1の画像光10Cの光量よりも大きくなるように、第1の画像光10B及び10Cが分離される。これにより投射される画像の光量の損失を十分に抑えつつ、第1の画像光10のセンシングが可能となる。なお漏れ光をセンシングの対象として利用しているので、従来と比べても光量の損失はほとんどない
【0092】
図4に示すように、第2の画像生成部200から1/2波長板60を介して出射されたS偏光の第2の画像光20の多くが、接合面51により反射されて、投射光学系70に向けて進行する。このY方向に沿って接合面51に入射する第2の画像光20A、及び接合面51によりX方向に反射され投射光学系70に向けて進行する第2の画像光20Bの光路が、主光路OP1となる。
【0093】
本実施形態では、第2の画像光20Bの光路は、
図3に示す第1の画像光10Bの光路に略一致する。従って接合面51から後段では、第1の画像光10B及び第2の画像光20Bは、同じ主光路OP1に沿って進行する。
【0094】
一方、第2の画像生成部200から出射された第2の画像光20のうち、接合面51をY方向に沿って透過する第2の画像光20Cも存在する。第2の画像光20Cは、いわゆる漏れ光となり、主光路OP1とは異なる他の光路OP2に沿って進行する。
【0095】
本実施形態では、第2の画像光20Cの光路は、
図3に示す第1の画像光10Cの光路に略一致する。従って第1の画像光10C及び第2の画像光20Cは、同じ他の光路OP2に沿って進行する。
【0096】
画像合成部50は、第2の画像生成部200から出射された第2の画像光20Aを、互いに異なる方向に進行する第2の画像光20Bと第2の画像光20Cとに分離する光学素子としても機能する。すなわち画像合成部50は、第2の画像光20の主光路OP1上に配置され、第2の画像光20Bを主光路OP1に沿って出射し、第2の画像光20Bを他の光路OP2に沿って出射する。
【0097】
画像合成部50の接合面51は、画像合成部50に入射する第2の画像光20の入射方向(Y方向)に対して斜めに配置される光分離面としても機能する。詳細には、接合面51のうち、第2の画像光20が入射する側の面が、光分離面に相当する。すなわち第1の画像光10に対する光分離面と、第2の画像光20に対する光分離面とは、互いに反対側の面となる。
【0098】
本実施形態では、第2の画像光20の入射方向(Y方向)に対して、45°の角度で接合面51(光分離面)が配置される。接合面51は、接合面51に入射する第2の画像光20Aの一部である第1の画像光20Bを反射し、第2の画像光20Aの他の一部である第2の画像光20Cを反射する。
【0099】
また画像合成部50及び接合面51は、主光路OP1を逆向きに進行して入射する反射光が、他の光路OP2に沿って進行することを規制する。すなわち第2の画像光20に対しても、投射光学系70により反射された反射光が、他の光路OP2に沿って進行することが規制されている。なお、第2の画像光20Bは第1の分離光に相当し、第2の画像光20Cは第2の分離光に相当する。また主光路OP1は第1の光路に相当し、他の光路OP2は第2の光路に相当する。
【0100】
また第2の画像生成部200の色合成プリズム236は、複数の変調光を合成して合成変調光(第2の画像光20)を生成する合成部に相当する。画像合成部50は、色合成プリズム236と投射光学系70との間に配置され、合成変調光(第2の画像光20A)を第2の画像光10Bと第2の画像光10Cとに分離する。
【0101】
図4に示すように、センサ部80(センサ81)は、第2の画像光20Cの光路である他の光路OP2上に配置され、第2の画像光10Cの状態を検出する。画像合成部50の接合面51により、投射光学系70からの反射光が、他の光路OP2に沿って進行することが規制されている。従って、センサ81に、投射光学系70からの反射光が入射することはなく、反射光によるノイズ成分の発生を十分に抑えることが可能となる。これにより第2の画像光20Cを高精度に検出することが可能となり、第2の画像生成部200から出射される第2の画像光20Aを高精度に検出することが可能となる。
【0102】
すなわち本実施形態では、画像合成部50の接合面51に対して、主光路OP1とは反対側に構成される他の光路OP2にセンサ81を配置される。これによりP偏光状態の第1の画像光10と、S偏光状態の第2の画像光20とを、それぞれ高精度にセンシングすることが可能となる。
【0103】
なおセンサ81が配置される位置は、第2の画像光20Cが他の光路OP2に沿って出射する側の面、すなわち光分離面とは反対側の面側の位置とも言える。光分離面とは反対側の面側にセンサ81を配置すれば、第2の画像光20Bが反射される側の光分離面に入射する反射光が、他の光路OP2に沿って進行することを規制することが可能である。
【0104】
図3と同様に、画像合成部50のZ方向と平行となる4つの側面を、第1~第4の側面52a~52dとする。センサ81は、第2の画像光20Cが出射される第4の側面52d側に配置される。具体的には、第4の側面52dに近接して配置される。本実施形態において、第2の側面52bは第1の面に相当する。第4の側面52dは第2の面及び第2の出射面に相当する。第3の側面52cは、第1の出射面に相当する。
【0105】
また接合面51に入射する第2の画像光20Aの多くは第2の画像光20Bとして反射され、主光路OP1に沿って進行する。そして他の一部である第2の画像光20Cが他の光路OP2に沿って透過する。すなわち画像合成部50の接合面51により、第2の画像光20Bの光量が第2の画像光20Cの光量よりも大きくなるように、第2の画像光20B及び20Cが分離される。これにより投射される画像の光量の損失を十分に抑えつつ、第2の画像光20のセンシングが可能となる。なお漏れ光をセンシングの対象として利用しているので、従来と比べても光量の損失はほとんどない
【0106】
図5及び
図6は、センサ部80の構成例を示す概略図である。
図5及び
図6に例示するセンサ部80は、フレキシブル回路基板82に接続された回路基板83と、回路基板83に実装されるセンサ81とを有する。回路基板83及びフレキシブル回路基板82を介して、センサ81により測定された光強度の信号が、
図1の制御部90等に出力される。またセンサ81や回路基板83に、制御信号や駆動電力が供給される。
【0107】
センサ81は、受光面84を有し、受光面84の一部が測定領域85(Actiuve Area)として設定されている。
図6は、センサ81の測定領域85を示す概略図である。センサ81は、入射する光の強度を測定可能な複数の測定部86を有する。すなわち測定領域85には、複数の測定部86が配置されている。複数の測定部86は、互いに直交する方向に沿って、二次元状に配置される。本実施形態では、横方向に4個、縦方向に10個の計40個の測定部86がマトリクス状に配置される。
【0108】
またセンサ81は、複数の測定部86の各々に配置される、所定の波長帯域の光を透過させる複数のフィルタ87を有する。すなわち40個の測定部86のそれぞれに対応して、フィルタ87が配置される。本実施形態では、複数のフィルタ87は、3種類のフィルタとして、赤色の波長帯域の光を透過させる赤色フィルタ87Rと、緑色の波長帯域の光を透過させる緑色フィルタ87Gと、青色の波長帯域の光を透過させる青色フィルタ87Bとを有する。
【0109】
測定領域85に第1及び第2の画像光10C及び20Cが入射されると、赤色フィルタ87Rが配置された測定部86により赤色変調光Rの強度が測定される。同様に、緑色フィルタ87Gが配置された測定部86により緑色変調光Gの強度が測定され、青色フィルタ87Bが配置された測定部86により青色変調光Bの強度が測定される。例えば同じ色のフィルタ87が配置された複数の測定部86により測定された強度の平均値が用いられる。
【0110】
図6に示すように、複数のフィルタ87は、x方向に沿って並ぶフィルタ群88に赤色、緑色、青色の3種類のフィルタ87R、87G、87Bが含まれるように配置される。また複数のフィルタ87は、3種類のフィルタ87R、87G、87Bうち同じ種類のフィルタ87が第2の方向に沿って隣接しないように配置される。これにより、測定領域85に3種類のフィルタ87R、87G、87Bを偏りなく配置することが可能となる。この結果、RGBの各色の変調光の強度を精度よく測定することが可能となる。なお3種類のフィルタ87R、87G、87Bの配置方法は、
図6に示すものに限定されず適宜設定されてよい。
【0111】
また本実施形態では、複数のフィルタ87は、ノイズフィルタ87Nを有する。ノイズフィルタ87Nは、赤色、緑色、青色の3種類のフィルタ87R、87G、87Bの各々が透過させるノイズ成分の光を透過させる。すなわちノイズフィルタ87Nは、赤色フィルタ87Rを透過するノイズ成分の光と、緑色フィルタ87Gを透過するノイズ成分の光と、青色フィルタ87Bを透過するノイズ成分の光とを透過させる。
【0112】
ノイズフィルタ87Nは、約200nmから約660nmの波長帯域の光を約1-5%の低い感度で検出する。従ってノイズフィルタ87Nが配置された測定部86(以下、ノイズ測定部と記載する)により、各色の測定部86がノイズ成分の光として検出する光の強度を測定することが可能である。ノイズ測定部86により測定されたノイズ成分光の強度を、各色の測定部86R、86G、86Bにより測定された、RGBの各光の強度から引くことで、各色の変調光の強度を高い精度で測定することが可能となる。
【0113】
図6に示すように、ノイズフィルタ87Nは、横方向に沿って並ぶフィルタ群88に少なくとも1つ含まれるように配置される。またノイズフィルタ87Nは、縦方向に沿って隣接しないように配置される。これにより、測定領域85において偏ることなくノイズフィルタ87Nを配置することが可能となり、RGBの各色の変調光の強度を精度よく測定することが可能となる。
【0114】
なお本実施形態では、投射光学系70からの反射光に起因するノイズ成分は十分に抑えられている。従ってノイズフィルタ87Nが用いられなくても、高い精度の画像を投射することが可能である。もちろんノイズフィルタ87Nを用いることでさらに高精度の画像が投射されてもよい。
【0115】
本実施形態では、第1及び第2の画像光10及び20の測定モードが選択されると、
図1に示す制御部90により、第1の画像生成部100による第1の画像光10の出射と、第2の画像生成部200による第2の画像光20の出射とが、適宜切替えられて実行される。
【0116】
例えば第2の画像生成部200による出射動作がOFFされた状態で、第1の画像生成部100により、測定用の画像光(第1の画像光10に含まれる概念)が出射される。測定用の画像光は、例えば白画像や黒画像、その他任意の画像を投射するための画像光である。なお黒画像等を表示させる場合に画像光の投射を規制する動作も、画像光の投射する動作に含まれる。また視聴対象となるコンテンツ画像等の画像光が出射されてもよい。センサ部80により、測定用の画像光の状態が検出され、検出結果が制御部90に出力される。
【0117】
その後、第1の画像生成部100の出射動作がOFFされた状態で、第2の画像生成部200により、測定用の画像(第2の画像光20に含まれる概念)が出射される。センサ部80により測定用の画像の状態が検出され、検出結果が制御部90に出力される。
【0118】
測定モードが選択されるタイミングは限定されない。例えばユーザが画像表示装置500を起動させたタイミングや、画像表示装置500の駆動を終了する指示が入力されたタイミングに合わせて、自動的に測定モードが選択されてもよい。例えば起動時のメーカーのロゴマーク等が表示されるタイミングに合わせて測定を実行する場合や、駆動の終了が完了するまでの待機中に黒画面を表示させて測定を実行する場合等が挙げられる。もちろんユーザにより測定を実行する旨の指示が入力され、当該指示の入力に応じて測定モードが選択されてもよい。
【0119】
制御部90は、第1及び第2の画像生成部100及び200の各々から出射された測定用の画像光の状態に基づいて、第1及び第2の画像光10及び20の輝度(強度)、色度、及び光束の形状等を検出する。すなわち本実施形態では、制御部90もセンサ部80の一部として機能する。
【0120】
例えば各々の測定用の画像光の状態に基づいて、キャリブレーションが実行される。キャリブレーションにより、例えばホワイトバランス(ホワイト色度)の測定及び補正や、色域(Color Space)の測定及び補正、すなわちRGB単色色度の測定及び補正が高い精度で可能となる。またガンマの測定及び補正等、種々の処理が実行可能となる。例えば画像表示装置500が、周囲の明るさに合わせて画像の輝度を調整する輝度センサを有している場合には、その輝度センサによる輝度調整機能の補正等も可能となる。
【0121】
また右目画像及び左面画像の輝度や色度等のバランスを調整することも可能である。その他、センサ部80の検出結果に基づいた他の処理等については、本実施形態に係る画像表示装置500の効果とともに後に説明する。
【0122】
図7は、センサ部80の他の構成例を示す模式図である。
図7に示すセンサ部80は、画像合成部50の接合面51に対してP偏光となる光を透過させ、他の偏光状態の光の進行を規制する第1の偏光板89aと、第1の偏光板89aを透過するP偏光の光の状態を検出する第1のセンサ81aを有する。
【0123】
またセンサ部80は、画像合成部50の接合面51に対してS偏光となる光を透過させ、他の偏光状態の光の進行を規制する第2の偏光板89bと、第2の偏光板89bを透過するS偏光の光の状態を検出する第2のセンサ81bを有する。
【0124】
第1の画像生成部100から出射される第1の画像光10Cは、第1の偏光板89aを介して第1のセンサ81aに入射する。第2の画像生成部200から出射される第2の画像光20Cは、第2の偏光板89bを介して第2のセンサ81bに入射する。従って
図7に示すセンサ部80では、第1及び第2の画像生成部100及び200の各々の出射動作を切替えることなく、第1及び第2の画像光10及び20の状態を、同時に検出することが可能である。
【0125】
これにより例えば、測定モードを設定することなく、コンテンツ画像等の投射時においても、常に第1及び第2の画像光10及び20の状態を検出することが可能となる。この結果、検出結果を常時フィードバックすることで、非常に精度の高い画像を投射することが可能となる。
【0126】
図7に示す例において、第1の偏光板89aは、第1の偏光状態の光を抽出する第1のフィルタに相当し、第2の偏光板89bは、第2の偏光状態の光を抽出する第2のフィルタに相当する。もちろん波長板以外の他の光学部品が用いられてもよい。
【0127】
さらに他の構成例として、センサを1つ配置し、その手前に偏光板等の偏光素子を回転可能に配置してもよい。偏光素子の回転角度を適宜制御することで、第1及び第2の画像光10及び20を、適宜切替えてセンサに入射することが可能である。センサによる検出結果と、偏光素子の回転角度とを関連付けて制御部90に出力することで、第1及び第2の画像光10及び20のいずれの検出結果であるかを容易に判定することが可能である。この構成でも、測定モードを設定することなく、コンテンツ画像等の投射時においても、常に第1及び第2の画像光10及び20の状態を検出することが可能となる。
【0128】
図8は、比較例として挙げる画像表示装置900の構成例を示す概略図である。比較例の画像表示装置900は、第1の画像生成部901に含まれる、RGBの各色用の反射型偏光素子931(931R、931G、931B)(プリズム型のビームスプリッタ)の近傍に、センサ981(981R、981G、981B)が配置される。
【0129】
具体的には、センサ981は、反射型偏光素子931のRGBの各光が入射する面と対向する面に近接して配置される。RGBの各色用のセンサ981により、反射型偏光素子931により反射されずに透過する各色光の漏れ光の状態が検出される。
【0130】
以下、
図8に示す画像表示装置900の構成と比較して、本実施形態に係る画像表示装置500が発揮する効果について説明する。
【0131】
(センシング精度)
図8に示すように、画像表示装置900では、投射光学系970により反射された反射光905が、第1及び第2の画像光10及び20の主光路にを逆向きに進行して、反射型偏光素子931に入射する。そうすると反射型偏光素子931により、反射光905がセンサ981に向かって反射され、センサ981に入射する。すなわち画像表示装置900では、投射レンズ等での投射光(画像光)の界面反射がセンサ981に直接入射するので、ノイズ成分が非常に大きくなる。この結果、センサ981によるセンシング精度は非常に低くなる。
【0132】
これに対して本実施形態に係る画像表示装置500では、投射光学系70からの反射光が、センサ81に入射することはなく、反射光によるノイズ成分の発生を十分に抑えることが可能となる。これにより高いセンシング精度を発揮することが可能となる。
【0133】
(投射光との相関性)
図8に示す画像表示装置900では、反射型光変調素子932により変調される前の光のみをセンシングすることが可能である。すなわち投射光学系70から非常に離れた位置で、投射光学系70により投射される画像光とは異なる光がセンシングされる。従って投射光(画像光)と相関性が低い光をセンシングすることとなり、結果的にセンシング精度は低くなる。
【0134】
これに対して本実施形態に係る画像表示装置500では、センサ部80が、投射光学系70の直前に配置される画像合成部50の近傍に配置される。そして第1及び第2の画像生成部100及び200により生成される第1及び第2の画像光10及び20がセンシングされる。従って投射光学系70により投射される投射光(画像光)の相関性の高い光をセンシングすることが可能となり、高いセンシング精度を発揮することが可能となる。また投射光の回折光等をセンシングする場合と比べても、非常に高いセンシング精度が発揮される。
【0135】
(光学部材の劣化検出)
図8に示す画像表示装置900では、反射型光変調素子932に入射する前の光をセンシングするので、センシング結果に基づいて、反射型光変調素子932等の画像変調部930に含まれる光学部材の劣化を検出することができない。
【0136】
これに対して本実施形態に係る画像表示装置500では、第1及び第2の画像生成部100及び200から出射された第1及び第2の画像光10及び20がセンシングされる。すなわち
図2に例示する画像変調部130に含まれる反射型偏光素子131、反射型光変調素子132、波長板133、偏光ビームスプリッタ134、1/2波長板135、色合成プリズム136及び偏光板137を通った光がセンシングされる。
【0137】
従ってセンサ部80のセンシング結果に基づいて、これらの光学部品の劣化を検出することが可能となる。もちろん光学部品に形成されるコートや光学部品の接着等に使われる接着剤の劣化等も検出可能である。例えば黒輝度が浮く、白輝度が下がる等の検出結果に基づいて、反射型光変調素子132、補償板として機能する波長板133、あるいは偏光状態を揃える偏光ビームスプリッタ134等の劣化を適宜検出することが可能である。
【0138】
この結果、例えば適切なタイミングで光学部品の交換が可能となり、メンテナンスコスト等を抑えることが可能となる。また例えば光学部品が完全に壊れてしまう前に、新しく交換するための光学部品を適宜準備することが可能となる。すなわち、予め故障を予期して交換部品を用意する事により、修理にかかる期間を短縮することが可能となる。
【0139】
(黒輝度FBによる補償板の調整)
本実施形態に係る画像表示装置500に、モータ等を用いて、補償板として機能する波長板133の軸を回転可能な機構を備えることも可能である。この場合、センサ部80により検出される黒輝度をフィードバック(FB)して、波長板133の軸を回転させることが可能となる。これにより補償板ずれによるコントラストの劣化を防止することが可能となる。あるいは他の光学部材の劣化に起因したコントラストの低下を補うことも可能となる。補償板の調整は自動的に実行されてもよいし、リモコン等を介してユーザの操作により実行されてもよい。
【0140】
センサ部80のセンシング結果に基づいて、他の光学部品の位置や角度等が変更されてもよい。画像表示装置500内に調整機構等を適宜構成することで、センシング結果に基づいた高精度の画像表示が可能となる。
【0141】
(プリズムのセンシング)
第1及び第2の画像生成部100及び200の各々の出射動作を切替える、あるいは
図7に示すセンサ部80を構成する。これにより第1及び第2の画像生成部100及び200の各々に含まれる色合成プリズム136及び236の白輝度を測定することが可能である。白輝度の測定結果に基づいて、例えば光源部101等の動作を制御することで、高精度の画像表示が実現可能となる。
【0142】
(センサの数)
図8に示す画像表示装置900では、RGBの各色用のセンサが、第1及び第2の画像生成部の各々で必要となる。すなわち合計6つのセンサが必要となり、部品コストが増加する。本実施形態に係る画像表示装置500では、1つあるいは2つのセンサで、第1及び第2の画像光10及び20の各々の状態を検出することが可能であるので、部品コストを抑えることが可能である。
【0143】
(移動機構が不要)
図8に示す画像表示装置900において、第1及び第2の画像光をセンシングするために、画像合成部950と投射光学系970との間の光路に、適宜センサを移動させることが考えられる。すなわちセンシング時には光路上にセンサを移動させ、通常動作時には光路外にセンサを移動させる構成である。
【0144】
この場合、センサを移動させる移動機構が必要となり、装置が複雑化する。またセンサを挿入する分のスペースが必要となり、装置が大型化する。例えば第1及び第2の画像生成部から画像合成部950までの距離が長くなるとバックフォーカスが長くなり、投射光学系の大型化につながり、設計も難しくなる。さらにセンサを移動させることによるセンシング結果の信頼性の低下、動作時間の増加、コストの増加等も懸念される。
【0145】
本実施形態に係る画像表示装置500では、画像合成部50の裏側にセンサ部80が固定されるので、上記のような問題は発生しない。
【0146】
<その他の実施形態>
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0147】
図9~
図11は、画像生成部の他の構成例を示す概略図である。
図9に示すように、反射型偏光素子631(631R、631G、631B)として、プリズム型のビームスプリッタに代えて、ワイヤグリッド偏光子等の他の偏光素子が用いられてもよい。また反射型光変調素子632(632R、632G、632B)が配置される向きも限定されず、適宜設計されてよい。上記の実施形態と同様に、投射光学系670の直前に位置する画像合成部650の裏側にセンサ部680を配置することで、第1及び第2の画像光の状態を高精度に検出することが可能である。
【0148】
図10に示すように、透過型光変調素子732(732R、732G、732B)が用いられてもよい。例えば透過型光変調素子732を挟むように偏光板や補償板が配置される。その他、任意の構成が採用されてよい。上記の実施形態と同様に、投射光学系770の直前に位置する画像合成部750の裏側にセンサ部780を配置することで、第1及び第2の画像光の状態を高精度に検出することが可能である。
【0149】
図11は、1つの画像生成部を備える画像表示装置の構成例を示す概略図である。すなわち右目画像及び左目画像等の複数の画像を生成して合成するのではなく、1つの画像生成部801により生成された1つの画像が投射光学系870を介して投射される。
【0150】
図11に示す画像生成部801では、反射型光変調素子832Gにより変調された緑色の変調光Gが色合成プリズム836に入射する。反射型光変調素子832Rにより変調された赤色の変調光R及び反射型光変調素子832Bにより変調された青色の変調光Bは、反射型偏光素子831RBにより同じ光路に沿って出射され、色合成プリズム836に入射する。
【0151】
色合成プリズム836は、本技術に係る光学素子の一実施形態として機能する。すなわち色合成プリズム836は、緑色の変調光Gの一部を第1の分離光として投射光学系870に向かって反射する。緑色の変調光Gの他の一部を第2の分離光としてそのまま透過させる。
【0152】
また色合成プリズム836は、赤色の変調光Rの一部と、青色の変調光Bの一部とを、第1の分離光として投射光学系870に向けてそのまま透過させる。赤色の変調光Rの他の一部と、青色の変調光Bの他の一部とを、第2の分離光として、緑色の変調光Gの他の一部の光路上に反射する。
【0153】
センサ部880は、RGBの各色の他の一部(第2の分離光)の光路上に配置される。色合成プリズム836により、投射光学系870からの反射光がセンサ部880に入射することが規制されるので、RGBの各変調光の状態を高精度に検出することが可能である。
【0154】
このように本技術は、6つの光変調素子を用いて2つの画像を生成し、これらを合成する画像表示装置に限定されず、任意の画像表示装置に適用可能である。例えば
図2、
図9、
図10に例示したような、画像生成部が単独で配置され、画像合成部として配置されたプリズム型のビームスプリッタが、本技術に係る光学素子として配置される場合もあり得る。例えば
図2に示す偏光板137の代わりに、偏光状態を揃える光学部品として、画像合成部50のようなプリズム型の偏光ビームスプリッタが配置される。そしてその裏側にセンサ部を配置することで、画像生成部から出射される画像光の応対を高精度に検出することが可能となる。
【0155】
また本技術に係る光学素子は、主光路上の任意の位置に配置可能である。例えば
図2に示す偏光ビームスプリッタ134を、本技術に係る光学素子の一実施形態として用い、その裏側にセンサ部が配置されてもよい。この場合でも、画像光の状態を高精度に検出することが可能となる。
【0156】
本技術に係る光学素子としては、偏光ビームスプリッタに限定されず、ハーフミラーやガラス板等を用いることが可能である。光を第1及び第2の分離光に分離可能であり、第1の分離光の光路を逆向きに進行する光が、第2の分離光の光路に沿って進行することを規制可能な任意の光学部品が用いられてよい。プリズム型ではない板状の光学部品が用いられる場合には、第1の分離光を出射する側の面が第1の出射面となり、第2の分離光を出射する側の面が第2の出射面となる。
【0157】
また光分離面が入射光に対して交差する角度も、45度に限定されず任意に設計されてよい。
【0158】
6枚の液晶パネル等が用いられる画像表示装置において、第1及び第2の画像光が、右目画像及び左眼画像の画像光である場合に限定される訳ではない。同じ画像信号に基づいて生成される同じ画像光が、第1及び第2の画像光としてそれぞれ投射されてもよい。例えば液晶パネル等に入射する光の光量を抑えることで液晶パネル等の寿命を長くすることが可能である。そして同じ画像を合成して投射することで、輝度の低下を抑えることが可能となり、高輝度化が実現される。もちろん意図的に異なる画像を合成して投射することで、面白い視聴効果を発揮させるといったことも可能である。
【0159】
上記では、第1及び第2の画像光の各々の漏れ光をセンシングする場合を例に挙げた。すなわち、入射光に対して所定の作用を付与することを目的に構成された光学部品を用いて、入射光を、所定の作用が付与された第1の分離光と、所定の作用が付与されない第2の分離光とに分離した。例えば上記の画像合成部であれば、所定の作用の付与は、所定の偏光状態に対する透過/反射である。そして所定の偏光状態に対する透過/反射の作用が付与された第1の分離光と、この作用の付与がされない第2の分離光が分離された。
【0160】
これに限定されず、いずれにも所定の作用を付与することで、第1及び第2の分離光が出射されてもよい。例えば上記で例示したハーフミラーが用いられる場合等が、これに含まれる。
【0161】
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【0162】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1) 光変調素子と、
前記光変調素子により変調された変調光を互いに異なる方向に進行する第1の分離光と第2の分離光とに分離し、前記第1の分離光の光路を逆向きに進行して入射する光が前記第2の分離光の光路に沿って進行することを規制する光学素子と、
前記第2の分離光の光路上に配置され、前記第2の分離光の状態を検出するセンサ部と
を具備する画像表示装置。
(2)(1)に記載の画像表示装置であって、
前記光学素子は、前記変調光の主光路上に配置され、前記第1の分離光を前記主光路に沿って出射し、前記第2の分離光を他の光路に沿って出射し、
前記センサ部は、前記他の光路上に配置される
画像表示装置。
(3)(1)又は(2)に記載の画像表示装置であって、
前記光学素子は、前記第1の分離光を出射する第1の出射面と、前記第1の出射面とは異なる前記第2の分離光を出射する第2の出射面とを有し、
前記センサ部は、前記第2の出射面側に配置される
画像表示装置。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記光学素子は、前記光学素子に入射する前記変調光の入射方向に対して斜めに配置される光分離面を有する
画像表示装置。
(5)(4)に記載の画像表示装置であって、
前記光分離面は、前記光分離面に入射する前記変調光の一部を前記第1の分離光として透過させ、前記変調光の他の一部を前記第2の分離光として反射し、
前記センサ部は、前記第2の分離光を反射する前記光分離面側に配置される
画像表示装置。
(6)(4)に記載の画像表示装置であって、
前記光分離面は、前記光分離面に入射する前記変調光の一部を前記第1の分離光として反射し、前記変調光の他の一部を前記第2の分離光として透過させ、
前記センサ部は、前記光分離面とは反対側の面側に配置される
画像表示装置。
(7)(1)から(6)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記光学素子は、前記第1の分離光の光量が前記第2の分離光の光量よりも大きくなるように、前記変調光を分離する
画像表示装置。
(8)(1)から(7)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、さらに、
複数の変調光を合成して合成変調光を生成する合成部と、前記合成部により生成された前記合成変調光を投射する投射部とを具備し、
前記光学素子は、前記合成部と前記投射部との間に配置され、前記合成変調光を前記第1の分離光と前記第2の分離光とに分離する
画像表示装置。
(9)(1)から(8)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記光学素子は、前記変調光が入射する第1の面と、前記第1の面に入射する前記変調光を分離する光分離面と、前記光分離面により分離された前記第2の分離光が出射される第2の面とを有する光分離プリズムであり、
前記センサ部は、前記光分離プリズムの前記第2の面に近接して配置される
画像表示装置。
(10)(1)から(9)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記光学素子は、偏光ビームスプリッタ、ハーフミラー、又はガラス板である
画像表示装置。
(11)(1)から(10)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、さらに、
第1の偏光状態の第1の画像光を第1の方向に沿って出射する第1の出射部を具備し、
前記光学素子は、前記第1の方向に対して斜めに配置される光分離面を有し、
前記光分離面は、前記第1の画像光の一部を前記第1の方向に沿った第1の光路上に透過させ、前記第1の画像光の他の一部を前記第1の方向と略直交する第2の方向に沿った第2の光路上に反射し、
前記センサ部は、前記第2の光路上に配置される
画像表示装置。
(12)(11)に記載の画像表示装置であって、さらに、
第2の偏光状態の第2の画像光を前記第2の方向に沿って出射する第2の出射部を具備し、
前記光分離面は、前記第2の方向に対して斜めに配置され、前記第2の画像光の一部を前記第1の光路上に反射し、前記第2の画像光の他の一部を前記第2の光路上に透過させる
画像表示装置。
(13)(12)に記載の画像表示装置であって、
前記センサ部は、前記第1の偏光状態の光を抽出する第1のフィルタと、前記第1のフィルタにより抽出された光の状態を検出する第1のセンサと、前記第2の偏光状態の光を抽出する第2のフィルタと、前記第2のフィルタにより抽出された光の状態を検出する第2のセンサとを有する
画像表示装置。
(14)(1)から(13)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記センサ部は、前記第2の分離光の強度、色度、及び光束の形状の少なくとも1つを検出する
画像表示装置。
(15)(1)から(14)のうちいずれか1つに記載の画像表示装置であって、
前記光学素子は、入射光に対して所定の作用を付与することを目的に構成され、前記光学素子に入射する前記変調光を、前記所定の作用が付与された前記第1の分離光と、前記所定の作用が付与されない前記第2の分離光とに分離する
画像表示装置。
【符号の説明】
【0163】
OP1…主光路
OP2…他の光路
10、10A、10B、10C…第1の画像光
20、20A、20B、20C…第2の画像光
50、650、750…画像合成部
51…接合面
70、670、770、870…投射光学系
80、680、780、880…センサ部
81…センサ
81a…第1のセンサ
81b…第2のセンサ
89a…第1の偏光板
89b…第2の偏光板
100…第1の画像生成部
110…照明光学系
130…画像変調部
132(132R、132G、132B)、232G、632、832R、832G、832B…反射型光変調素子
200…第2の画像生成部
500…画像表示装置
732…透過型光変調素子
801…画像生成部
836…色合成プリズム