(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153868
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】加熱式揮発物吸引カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24B 15/16 20200101AFI20241022BHJP
A24F 40/20 20200101ALN20241022BHJP
【FI】
A24B15/16
A24F40/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024126071
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2023109727の分割
【原出願日】2018-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱源によって伝達された熱によってエアロゾルを発生するエアロゾルフォーマ含有エアロゾル形成体を構成する組成物であって、芳香を有すると共に加熱によって芳香を発生する、新規な被加熱芳香発生体を構成する組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、エアロゾル形成体を加熱式喫煙具に装着した時エアロゾル形成体そのものから漂う香り(フレグランス)と、エアロゾル形成体を加熱した時空間に漂う香り(アロマ)と、エアロゾル形成体を加熱してエアロゾルと共に吸引した時口に漂う香り(フレーバー)の三要素にそれぞれ適した植物の種類、植物の部位、及び、加工植物から構成される被加熱芳香発生体組成物であることを特徴とする。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源によって伝達された熱によってエアロゾルを発生するエアロゾルフォーマ含有エアロゾル形成体を構成する組成物であって、
前記エアロゾル形成体を加熱式喫煙具に装着した時に前記エアロゾル形成体そのものから漂う香りと定義されるフレグランスを放つ素材として、被子植物の花、茶類、及び、穀物又は豆の発酵物から選択される少なくとも一つ以上と、
前記エアロゾル形成体を加熱した時に空間に漂う香りと定義されるアロマを放つ素材として、被子植物の根、地下茎、及び、幹枝、並びに、キノコのツボ以外の部位、並びに、コケ植物の仮根以外の部位から選択される少なくとも一つ以上と、
前記エアロゾル形成体を加熱してエアロゾルと共に吸引した時に口に漂う香りと定義されるフレーバーを放つ素材として、被子植物の種子及び/又は果実、地上茎葉、及び、発芽野菜、並びに、海藻の仮根以外の部位、並びに、シダ植物の葉から選択される少なくとも一つ以上とから選択される少なくとも一つ以上とから構成される、
ことを特徴とする加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火炎ではなく、ヒーター等の熱源によって伝達された熱によってエアロゾルを発生するエアロゾルフォーマ含有エアロゾル形成体を構成する組成物に関し、特に、芳香を有すると共に加熱によって芳香を発生する被加熱芳香発生体を構成する組成物に関する。更に、その被加熱芳香発生体を製造する方法、及び、その被加熱芳香発生体を用いた加熱式喫煙具に必要とする機能を備えたカートリッジに関する。
【0002】
そして、本発明の被加熱芳香発生体を構成する組成物は、ナス科タバコ属であるタバコ
及びその同属植物、並びに、その成分を含まず、植物等に由来する組成物自体の芳香及び熱によって発生する芳香を提供することができ、その組成物を用いたカートリッジの加熱式喫煙による心身の安らぎ、健康及び美容の増進に役立つ効果がある。
【背景技術】
【0003】
近年、タバコの禁煙が、職場や飲食店等の人が集う空間に幅広く普及する傾向に従って、タバコを火炎で燃焼して喫煙する人が減少するのに対し、ヒーター等の熱源によって伝達された熱によってエアロゾルを発生するエアロゾルフォーマ含有エアロゾル形成体を備えた電子タバコタートリッジを加熱式喫煙具で喫煙する人が急激に増加している。それと共に、加熱式喫煙を楽しむための各種電子タバコ製品が販売されるようになってきた。この原因は、正しく、この加熱式喫煙によれば、従来のタバコの熱分解及び燃焼によって生成される有害成分の吸引が低減されることにある。従って、電子タバコ製品に関する技術開発が活発に行われている(例えば、特許文献1~5)。
【0004】
このような加熱式喫煙のメカニズムは、加熱式喫煙具、電子タバコカートリッジ等の形態によって異なるが、典型的な例を次に示す。一端にエアロゾル形成体を、他端にマウスピースを備えた電子タバコカートリッジが、エアロゾル形成体を加熱式喫煙具の熱源と接触するように装着されて加熱されると、エアロゾル形成体からエアロゾルフォーマを含む揮発物が放出されると同時に、この揮発物は、喫煙者の吸引によって空気と共に他端のマウスピース側に吸い込まれる。この揮発物の搬送工程において、エアロゾルフォーマの揮発物は冷却、凝縮して、煙のようなエアロゾルを形成すると共に、その他の揮発物は、喫煙者の口及び鼻に芳香を与え、その結果として喫煙を楽しむことができる。従って、加熱式喫煙の場合、エアロゾル形成体に含まれるグリセリンまたはプロピレングリコール等のエアロゾルフォーマを揮発させることができる200~300℃程度、すなわち、タバコの葉の熱分解が開始する程度の温度で喫煙できることを示している。
【0005】
これに対し、従来の火炎によってタバコを燃焼する火炎式喫煙の場合、少なくとも燃焼するための600℃を超える温度が必要であり、喫煙時には最高900℃に達することがある。一般に、温度の上昇と共に有害物質の発生量が多いと言われていることから、加熱式喫煙の有害物質の発生量が極めて少ないことが分かる。
【0006】
その上、エアロゾル形成体に占めるタバコの葉の含有量が少なく、そのための材料設計が施されている。また、従来のタバコ製造工程で生じたタバコ茎、葉片、及び、タバコ粉塵等を使用してすることができ、材料の有効活用及び材料コストの削減が図られている。
【0007】
しかしながら、このようなエアロゾル形成体の材料設計には、タバコが嗜好品であり、喫煙者に要求される芳香の楽しみや心身の安らぎを高揚させることを阻害する要因が含まれている。第一に、電子タバコ製品を使用する喫煙者は、従来の火炎式喫煙の経験者であるため、タバコ成分の芳香を求めてしまうため、エアロゾル形成体のタバコ成分を排除することができない。第二に、エアロゾル形成体に占めるタバコ成分含有量を低減するため、非タバコ繊維を配合して入る上、エアロゾルフォーマをエアロゾル形成体に包容し、タバコ成分と非タバコ繊維を均質に一体化するための結合剤が配合されている。非タバコ繊維は、主に木材から抽出されるセルロース繊維であり、結合剤は、ゴム系、セルロース系、及び、多糖類系物質であるため、エアロゾル形成体が加熱された場合の芳香に極めて乏しい。そのため、エアロゾル形成体には、香味料も配合されている。香味料としては、メントール、スペアミント、ペパーミント、ユーカリ、ラベンダー、薬草、シナモン、カルダモン、セロリ、コロハ、コリアンダー、カモミール、ジンジャー、茶、バニラ、ココア、チョコレート、コーヒー等多種多様な物質が使用可能であることが開示されている(特許文献1~5)。更には、香味料をカプセル化してまで配合する技術も開示されている(特許文献1及び4)。しかしながら、未だ、タバコ成分が全く含有されておらず、火炎式
喫煙の経験者のみならず、初めての喫煙者にも、芳香の楽しみや心身の安らぎを高揚させることができる加熱式喫煙具に適用できるエアロゾル形成体を備えた電子タバコカートリッジは見出されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2008-518614号公報
【特許文献2】特表2010-520764号公報
【特許文献3】特表2013-519384号公報
【特許文献4】特表2016-538848号公報
【特許文献5】特許第6280287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、火炎ではなく、ヒーター等の熱源によって伝達された熱によってエアロゾルを発生するエアロゾルフォーマ含有エアロゾル形成体を構成する組成物であって、タバコ成分が全く含有されておらず、火炎式喫煙の経験者のみならず、初めての喫煙者にも、芳香の楽しみや心身の安らぎを高揚させることができる、また、芳香を有すると共に加熱によって芳香を発生する、新規な被加熱芳香発生体を構成する組成物及びその組成物を用いた被加熱芳香発生体を提供することを目的とする。更に、その被加熱芳香発生体を用いた加熱式喫煙具に必要とする機能を備えたカートリッジ、及び、その被加熱芳香発生体を製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
そして、本発明の被加熱芳香発生体を構成する組成物は、ナス科タバコ属であるタバコ及びその同属植物、並びに、その成分を含まず、植物等に由来する組成物自体の芳香を有すると共に、加熱されることによって芳香を発生することができ、これらのカートリッジの加熱式喫煙による心身の安らぎ、健康及び美容の増進に役立つ効果がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、多種多様な植物及びその植物に含まれている成分を、加熱式喫煙具に適用するエアロゾルフォーマ含有エアロゾル形成体を構成する組成物として種々検討した結果、エアロゾル形成体が放つ芳香には、エアロゾル形成体を加熱式喫煙具に装着した時にエアロゾル形成体そのものから漂う香り、すなわち、フレグランスと、エアロゾル形成体を加熱した時に空間に漂う香り、すなわち、アロマと、エアロゾル形成体を加熱してエアロゾルと共に吸引した時に口に漂う香り、すなわち、フレーバーの三要素があって、これらがすべて備わっている場合に、心身の安らぎをもたらすと共に、これら三要素にそれぞれ適した植物の種類、植物の部位、及び、加工された植物等があることを見出し、本発明の被加熱芳香発生体を構成する組成物、その組成物を含む被加熱芳香発生体、その被加熱芳香発生体を用いた加熱式喫煙具に必要とする機能を備えたカートリッジ、及び、その被加熱芳香発生体を製造する方法の完成に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、熱源によって伝達された熱によってエアロゾルを発生するエアロゾルフォーマ含有エアロゾル形成体を構成する組成物であって、「エアロゾル形成体を加熱式喫煙具に装着した時にエアロゾル形成体そのものから漂う香り」と定義される「フレグランス」を放つ素材として、被子植物の花、茶類、及び、穀物又は豆の発酵物から選択される少なくとも一つ以上と、「エアロゾル形成体を加熱した時に空間に漂う香り」と定義される「アロマ」を放つ素材として、被子植物の根、地下茎、及び、幹枝、並びに、キノコのツボ以外の部位、並びに、コケ植物の仮根以外の部位から選択される少なくとも一つ以上と、「エアロゾル形成体を加熱してエアロゾルと共に吸引した時口に漂う香り」と定義される「フレーバー」を放つ素材として、被子植物の種子及び/又は果実、地上茎葉、及び、発芽野菜、並びに、海藻の仮根以外の部位、並びに、シダ植物の葉から選択される少なくとも一つ以上とを含むことを特徴とする加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体組成物であることを特徴としている。
【0013】
このようなフレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材は、これらの総質量に対し、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材を、それぞれ、83.9~97.0質量%、0.4~1.6質量%、及び、3.2~15.6質量%含んでいることが、それぞれの芳香のバランスがよく、喫煙者が、3度に亘って楽しむことができ、喫煙者の心身を安らぐことができるので好ましい。
【0014】
更に、本発明は、上記フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材エアロゾルフォーマの素材に、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン、乳酸、モノアセチン(グリセリンモノアセタート)、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジ二酸ジメチル、テトラデカンサン二酸ジメチルから選択される少なくとも一つ以上を含むことを特徴としている。
【0015】
また、煙が大人の雰囲気を醸し出すため、エアロゾルフォーマによって形成される煙のように見えるエアロゾルは重要な要素であるが、喫煙周辺の環境も考慮すると、多すぎても少なすぎても好ましいとはいえない。特に、従来の火炎式喫煙を楽しんできた喫煙者にとって、煙は必須の要素である。従って、芳香とエアロゾル生成のバランスという観点から、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材総質量100質量部に対し、エアロゾルフォーマの素材を35.0~65.0質量部含むことが好ましく、40.0~60.0質量部であることがより好ましい。
【0016】
フレグランスを放つ素材として、茶類、及び、穀物又は豆の発酵物を挙げたが、特に、次に示すものが好ましい。
【0017】
被子植物の花については、無数にある被子植物の花の中でも、エンジュ、ミョウガ、カモミール、フキタンポポ、キク科キク属(イエギク・キクタニギク・ノジギク・イソギク・シマカンギク等)、ウド、スイカズラ、ナデシコ科ナデシコ属の植物(カワラナデシコ・エゾカワラナデシコ・カラナデシコ・セキチク等)、シソ科ヤマハッカ属の植物(ヒコオコシ・クロバナヒキオコシ・カメバヒキオコシ等)、シソ科ハッカ属の各種ペパーミント系植物(ペパーミント、二ホンハッカ、アップルミント、ウォーターミント、コルシカミント、ペニーロイヤルミント等)、シソ科ハッカ属の各種スペアミント系植物(スペアミント、ホースミント、ミドリハッカ、チリメンハッカ、ジンジャーミント等)、イヌハッカ、コウスイハッカ(レモンバーム)、キダチハッカ(セイボリー)、ヤナギハッカ(ヒソップ)、オトギリソウ、ウツボグサ、パチョリ、ヨモギ、ウド、マメ科カキドオシ、シソ科カキドオシ、セキチク、ケイガイ、ベニバナ、ホソバヤマジソ、ナギナタコウジュ、オオバコ科オオバコ属の植物(オオバコ・ムジナオオバコ・セイヨウオオバコ)、マメ科カワラケツメイ属の植物(カワラケツメイ・リュウキュウカワラケツメイ等)、ダイダイ、バラ、ハス、モクレン科モクレン属の植物(タムシバ・コブシ・モクレン・ハクモクレン・サラサモクレン等)、キク科オグルマ属の植物(オグルマ・ホソバオグルマ等)、アヤメ科アヤメ属の植物(アヤメ・エヒメアヤメ・ヒオウギアヤメ・ノハナショウブ・ハナショウブ・カキツバタ・キショウブ等)、タツナミソウ、ハナホタル、フタバムグラ、オレガノ、チョウジノキ、レンプクソウ科ニワトコ属(エゾニワトコ・セイヨウニワトコ・オオニワトコ・アメリカニワトコ等)、キンモクセイ、トウキシミ、ウスベニアオイ、セイヨウナシノキ、コウスイボク、ムラサキツメクサ、セイヨウノコギリソウ、セロリ、
シソ科イブキジャコウソウ属(コモンタイム・シトラスタイム・ワイルドタイム等)、チョウセンアザミ、キク科コウオウソウ属(マリーゴールド、アフリカンマリーゴールド・フレンチマリーゴールド・メキシカンマリーゴールド・レモンマリーゴールド等)、ラベンダー、ムラサキバレンギク、サフラン、及び、ガマ科ガマ属の植物(ヒメガマ・ガマ・コガマ等)の花が好ましい。ただし、花は、開花時の花ばかりではなく、花蕾の方が好ましい場合もある。また、花を構成する部位を全て使用する必要はなく、花弁、雌しべ、雄しべ等、特に香りの強い部位だけを使用することもできる。
【0018】
茶類についても無数にあるが、日本茶、紅茶、中国茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、イチョウ葉茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキドオシ茶、柿の葉茶、河原決明茶、まめ茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、桑の葉茶、黒豆茶、ゴボウ茶、桜茶、シソ茶、しょうが茶、スギナ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、松葉茶、ロースト・マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ルイボスティ、及び、ゴーヤ茶が好ましい。
【0019】
しかし、穀物又は豆の発酵物については、かなり限定的であって、香鼓(コウシ)、納豆、及び、神麹(シンキク)が好ましい。
【0020】
アロマを放つ素材として、被子植物の根、地下茎、及び、幹枝、並びに、キノコのツボ以外の部位、並びに、コケ植物の仮根以外の部位を挙げたが、特に、次に示すものが好ましい。
【0021】
被子植物の根も無数にあるが、塊根である、ダリア、サツマイモ、キャッサバ、キクイモ、ヤーコン、ツルドクダミ、カラスウリ、及び、キキョウ科ツルニンジン属の植物(ヒカゲノツルニンジン、ツルニンジン、バアソブ等)の根が好ましく、担根体である、ヤマノイモ及びナガイモの根が好ましい。通常の根としては、エゾウコギ、ゴボウ、キク科アザミ属の植物(モリアザミ・ノアザミ・タイアザミ・フジアザミ・ノハラアザミ・ハマアザミ等)、ニンジン、ダイコン、カブ、オタネニンジン、アカネ、テッセン、カザグルマ、サキシマボタンズル、センニンソウ、テンダイウヤク、キバナオウギ、ナイモウオウギ、コガネバナ、イトヒメハギ、マメ科クズ属の植物(クズ・シナクズ・タイワンクズ・フシゲクズ・トキイロクズ・シロバナクズ等)、マメ科カンゾウ属(ウラルカンゾウ・ナンキンカンゾウ・シンキョウカンゾウ等)、キキョウ、ウド、クララ、クロモジ、クコ、クスノキ科ニッケイ属の植物(ニッケイ・セイロンニッケイ・ジャワニッケイ・シナニッケイ・マルバニッケイ等)、ゴマノハグサ、ダルベルギア、オオバゲッキツ、コウホン、ヤブニンジン、カサモチ、ムレイセンキュウ、ウコギ、ヒナタイノコズチ、イタドリ、ミシマサイコ、ウマノスズカケ科カンアオイ属の植物(ウスバサイシン・オクエゾサイシン・トウゴクサイシン・ミクニサイシン等)、ウマノスズカケ科ウスバサイシン属の植物(ウスゲサイシン・ケイリンサイシン等)、コウモリカズラ、キク科タンポポ属の植物(モウコタンポポ・シナタンポポ・オダサムタンポポ・ケイリンタンポポ・カンサイタンポポ・セイヨウタンポポ等)、カイケイジオウ、アカヤジオウ、シオン、ムラサキ、シャクヤク、シベリアシャクヤク、トウシャジン、ハマボウフウ、ツリガネニンジン、リンドウ科リンドウ属の植物(ホソバリンドウ・シロバナリンドウ・キリシマリンドウ・クマガワリンドウ・アケボノリンドウ・オオバリンドウ・ソケイリンドウ・チベットリンドウ・エゾリンドウ等)、ノダケ、シャク、スイレン科コウホネ属の植物(コウホネ・ネムロコウホネ・セイヨウコウホネ等)、ナベナ、トウナベナ、クワ、タンジン、ワレモコウ、セリ科シシウド属の植物(トウキ・ホッカイトウキ・カラトウキ・オニノダケ等)、ジャノヒゲ、キジカクシ科ヤブラン属の植物(コヤブラン・ヤブラン・ヒメヤブラン・ホソバヤブラン等)、オランダゼリ(パセリ)、カスカスガヤ、タデ科ダイオウ属の植物(ダイオウ・ヤクヨウダイオウ・チョウセンダイオウ等)、リュウキュウアイ、ヨロイグサ、カラビャク
シ、ビャクブ科ビャクブ属の植物(ビャクブ・タマビャクブ・タチビャクブ等)、キク科オケラ属の植物(ホソバオケラ・シナオケラ・オオバナオケラ・オケラ等)、チガヤ、ボウフウ、ボタン、アケビ、ミツバアケビ、ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属の植物(ウマノスズクサ・マルバウマノスズクサ等)、オオグルマ、トウリンドウ、及び、ムラサキバレンギクの根が好ましく用いられる。根についても、根全体を使用しても良いが、根皮、根皮を取り除いた部位だけを使用した方がよい植物もある。
【0022】
被子植物の地下茎も無数にあるが、鱗茎である、チューリップ、ヒヤシンス、ニンニク、ラッキョウ、ユリ科ユリ属の植物(イトハユリ・ハカタユリ・オニユリ・コオニユリ・ヒメユリ・カノコユリ等)、アミガサユリ、エシャロット、ニンニク、タマネギ、ヒガンバナ、及び、スイセンの地下茎が好ましく、球茎である、クロッカス、グラジオラス、フリージア、アヤメ科アヤメ属の植物(アヤメ・エヒメアヤメ・ヒオウギアヤメ・ノハナショウブ・ハナショウブ・カキツバタ・キショウブ等)、サトイモ、及び、コンニャクの地下茎がより好ましい。また、塊茎である、シクラメン、アネモネ、ベゴニア、チョロギ、ジャガイモ、アメリカホド、エンゴサク、サルトリイバラ、ミクリ科ミクリ属の植物(ミクリ・エゾミクリ・ヒメミクリ等)、サジオモダカ、サトイモ科テンナンショウ属の植物(マイズルテンナンショウ・コウライテンナンショウ・チョウセンテンナンショウ等)、オニノヤガラ、クサスギカズラ、及び、カラスビシャクの地下茎も好ましく、根茎である、カンナ、ハス、ショウガ、ワサビ、ホースラディッシュ、ウコン、キジカクシ科アマドコロ属の植物(アマドコロ・ナルコユリ・クルマバナルコユリ・カギクルマバナルコユリ等)、オウレン、ガジュツ、クズ、ハマズゲ、コウホン、ヤブニンジン、カサモチ、ムレイセンキュウ、イタドリ、シオン、ハマボウフウ、サラシナショウマ、ショウブ、セキショウ、センキュウ、キク科オケラ属の植物(ホソバオケラ・シナオケラ・オオバナオケラ・オケラ等)、タデ科ダイオウ属の植物(ダイオウ・ヤクヨウダイオウ・チョウセンダイオウ等)、トチバニンジン、ハナスゲ、ワレモコウ、アブラナ科タイセイ属の植物(ホソバタイセイ・タイセイ等)、リュウキュウアイ、ツヅラフジ科ツヅラフジ属の植物(オオツヅラフジ・シマハスノハカズラ等)、アオツヅラフジ、チガヤ、ボウフウ、マオウ科マオウ属の植物(フタマタマオウ・シナマオウ・キダチマオウ等)、ヒオウギ、トウリンドウ、コウリョウキョウ、及び、ヨシの地下茎も好ましく用いられる。
【0023】
被子植物の幹枝については、針葉植物に好ましいものが多いが、特に、ヒノキ、マツ、スギ、アスナロ、ツバキ、タラノキ、メグスリノキ、アメリカハゼノキ、アカメガシワ、アンソクコウジュ、ウラジロガシ、キハダ、サクラ、センダン、クロモジ、クスノキ科ニッケイ属の植物(ニッケイ、セイロンニッケイ・ジャワニッケイ・シナニッケイ・マルバニッケイ等)、オオバゲッテイ、ホオノキ、カラホオ、タブノキ、トネリコ、コノテガシワ、スホウ、ハチク、トチュウ、及び、トウキシミの幹枝が好ましい。
【0024】
キノコは、胞子植物で、特に種類が多いが、食用にできるキノコで、キノコのツボ以外の部位が好ましく、マツタケ、シイタケ、ハツタケ、ショウロ、ハラタケ、ツクリタケ、シメジ、ポルチーニ、アカモミタケ、及び、レイシのツボ以外の部位が使用できる。
【0025】
同じく胞子植物のコケ植物についても、種類が多いが、ゼニゴケ、ホウオウゴケ、スギゴケ、ウマスギゴケ、ヒカリゴケ、ミズゴケ、ギンゴケ、キンシゴケ、シッポゴケ、ホソバオキナゴケ、ハマキゴケ、エゾスナゴケ、チヂレゴケ、サヤゴケ、ハリガネゴケ、ツボゴケ、チョウチンゴケ、ヒノキゴケ、タマゴケ、ヒジキゴケ、コゴメゴケ、ハイゴケ、及び、ツヤゴケの仮根以外の部位が好ましい。
【0026】
フレーバーを放つ素材として、被子植物の種子及び/又は果実、地上茎葉、及び、発芽野菜、並びに、海藻の仮根以外の部位、並びに、シダ植物の葉を挙げたが、特に、次に示すものが好ましい。
【0027】
被子植物の種子及び/又は果実についても無数にあるが、特に、アメリカハゼノキ、ウイキョウ、ノイバラ、ミロバラン、ゴシュユ、ホンゴシュユ、チョウセンゴミシ、サンザシ、アカネ科クチナシ属の植物(クチナシ・コリンクチナシ・ミズナシ・コクチナシ等)、サンシュユ、モクセイ科イボタノキ属の植物(トウネズミモチ・ネズミモチ等)、バラ、シソ科シソ属の植物(シソ・チリメンジソ・マダラジソ・アカジソ・アオジソ等)、ハマビシ、ホウキギ、オカゼリ、ヤブジラミ(果実)、ヤシ科シュロ属の植物(ワシュロ・トウジュロ・アイジュロ等)、アモムム・ツサオコ、トウサイカチ、オナモミ、クワ、サイカチ、ビンロウ、ネナシガズラ科ネナシカズラ属の植物(ハマネナシカズラ・マメダオシ・ネナシカズラ・クシロネナシカズラ・アメリカネナシカズラ等)、コノテガシワ、ガマ科ガマ属の植物(ヒメガマ・ガマ・コガマ等)、アサ、シソ科ハマゴウ属の植物(ハマゴウ、ミツバハマゴウ等)、アケビ、ミツバアケビ、カリン、ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属の植物(ウマノスズクサ・マルバウマノスズクサ等)、リュウガン、モクセイ科レンギョウ属の植物(レンギョウ・シナレンギョウ・チョウセンレンギョウ・セイヨウレンギョウ・ヤマトレンギョウ等)、ケンポナシ、ミカン科ミカン属の植物(ダイダイ・ウンシュウミカン・ナツダイダイ・ポンカン・ハッサク・イヨカン・イーチャンレモン・カラタチ・オレンジ・マンダリンオレンジ・カボス・キシュウミカン・キノット・グレープフルーツ・コウジ・サンボウカン・シトロン・ジャバラ・スダチ・タチバナ・タンゴール・ナツミカン・ハナユズ・ヒュウガナツ・ヒラミレモン(シークヮーサー)・ブンタン(ザボン)・ユズ・ライム・レモン・コブミカン等)、アンズ、バラ科モモ属の植物(モモ・ノモモ等)、ブルーベリー、オランダイチゴ、ラズベリー、リンゴ、バナナ、パイナップル、マンゴー、葡萄、キンカン、メロン、カキノキ、カキ、アンズ、オリーブ、ザクロ、ソコトラ、ザクロ、バンジロウ、ビンロウ、カラスウリ、ウメ、トマト、ナス科トウガラシ属の植物である辛みを持たない各種トウガラシ(パプリカ・ピーマン・シシトウガラシ等)、ラカンカ、ハス、トウガン、ミョウガ、ゴボウ、マメ科センナ属の植物(エビスグサ・コエビスグサ)、オオバコ科オオバコ属の植物(オオバコ・ムジナオオバコ・セイヨウオオバコ等)、ヨウシュンシャ、シュクシャ、アオノクマタケラン)、メハジキ、アーモンド、クルミ、セイヨウハシバミ、ハシバミ、ツノハシバミ、カシューナットノキ、マカデミア、クリ、カシ、ナラ、カシワ、シイ、ブナ、クコ・ナガバクコ、ナツメ、サネブトナツメ、トチノキ、ニクズク(ナツメグ)、ヒルガオ科サツマイモ属の植物(アサガオ・マルバアサガオ・ノアサガオ等)、ヒマワリ、イネ科イネ属の植物(インディカ米・ジャポニカ米・ジャバニカ米・グラベリマ米・ネリカ米等)、イネ科カラスムギ属の植物(オーツムギ・カラスムギ等)、オオムギ、イネ科コムギ属の植物(コムギ・パンコムギ・クラブコムギ・デュラムコムギ等)、ライムギ、ハトムギ、モロコシ、トウモロコシ、アワ、ヒエ、キビ、シコクビエ、コドラ、トウジンビエ、フォニオ、マコモ、テフ、ソバ、ダッタンソバ、キヌア、アマランス、アズキ、イナゴマメ、マメ科インゲンマメ属の植物(インゲンマメ・ベニバナインゲン・テパリービーン等)、グラスピー、マメ科ササゲ属の植物(ケツルアズキ・ササゲ・バンバラマメ・ヤエナリ等)、シカクマメ、ゼオカルパマメ、ソラマメ、ダイズ、タケアズキ、マメ科ナタマメ属の植物(ナタマメ・タチナタマメ・アカナタマメ・シロナタマメ・ハマナタマメ・タカナタマメ等)、タマリンド、ハッショウマメ、ヒヨコマメ、フジマメ、ホースグラム、モスビーン、ライマメ、ラッカセイ、ルピナスマメ、エンドウ、クマル、オランダビユ、ミカン科サンショウ属の植物(サンショウ・アサクラザンショウ・ブドウサンショウ・ヤマアサクラザンショウ・リュウジンザンショウ・タカハラサンショウ等)、オールスパイス、アジョワン、コショウ科コショウ属の植物(コショウ・ヒハツ・ヒハツモドキ・フウトウカズラ等)、コロハ(フェヌグリーク)、ゴマ、トウゴマ、ナス科トウガラシ属の植物である辛みを有する各種トウガラシ(トウガラシ・ハバネロ・ハラペーニョ・キダチトウガラシ・トリニダードスコーピオン・トリニダードスコーピオンブッチテイラー・ブートジョロキア・ピモンエスプレット・ナガバイパー等)、クミン、アニス、カルダモン、トウキシミ、セイヨウネズ、セロリ、イノンド(ディル)、コエンドロ(コリアンダー)、キンポウゲ科クロタネソウ属の
植物(クロタネソウ・ニオイクロタネソウ等)、ケシ、アフラモムムメレグエタ、及び、ヤクチの種子及び/又は果実が好ましい。この場合も、種子及び果実共に用いることも、種子だけを用いることも、そして、果実だけを用いることもできる。
【0028】
被子植物の地上茎葉は、特に、一般的にハーブと呼ばれる、タラゴン、オールスパイス、コブミカン、ダイダイ、コロハ(フェヌグリーク)、ミント(シソ科ハッカ属の各種ペパーミント系植物及びスペアミント系植物(ペパーミント系:ペパーミント、二ホンハッカ、アップルミント、ウォーターミント、コルシカミント、ペニーロイヤルミント等;スペアミント系:スペアミント、ホースミント、ミドリハッカ、チリメンハッカ、ジンジャーミント等)、イヌハッカ、コウスイハッカ(レモンバーム)、キダチハッカ(セイボリー)、ヤナギハッカ(ヒソップ)、カレープラント、オレガノ、オオバゲッキツ(カレーリーフ)、ミカン科サンショウ属の植物(サンショウ・アサクラザンショウ・ブドウサンショウ・ヤマアサクラザンショウ・リュウジンザンショウ・タカハラサンショウ等)、トウキシミ、セイヨウネズ、セイヨウナシノキ、レモングラス、コウスイボク、ゲッケイジュ、ローズマリー、ムラサキツメクサ、セイヨウノコギリソウ、セロリ、シソ科イブキジャコウソウ属の植物(コモンタイム・シトラスタイム・ワイルドタイム等)、チャービル、セイヨウアサツキ、イノンド(ディル)、コエンドロ(コリアンダー)、メボウキ(バジル)、オランダゼリ(パセリ)、マジョラム、キク科コウオウソウ属の植物(マリーゴールド・アフリカンマリーゴールド・フレンチマリーゴールド・メキシカンマリーゴールド・レモンマリーゴールド等)、ラベンダーの地上茎葉を特に好ましく用いることができるが、これに限定されず、次のような様々な植物の地上茎葉を用いることもできる。中でも、ビワ、カキノキ、アカマツ、ヤシ科シュロ属の植物(ワシュロ・トウジュロ・アイジュロ等)、コノテガシワ、マメ科カワラケツメイ属の植物(カワラケツメイ・リュウキュウカワラケツメイ等)、メグスリノキ、オオバコ科オオバコ属の植物(オオバコ・ムジナオオバコ・セイヨウオオバコ等)、アカネ、アカメガシワ、ガンビールノキ、カワラヨモギ、ウラジロガシ、シソ科ヤマハッカ属の植物(ヒコオコシ・クロバナヒキオコシ・カメバヒキオコシ等)、オトギリソウ、ウツボグサ、パチョリ、ヨモギ、ウド、マメ科カキドオシ、シソ科カキドオシ、クロモジ、ナデシコ科ナデシコ属の植物(カワラナデシコ・エゾカワラナデシコ・カラナデシコ・セキチク等)、ケイガイ、ホソバヤマジソ、ナギナタコウジュ、ホオノキ、ウコギ、ウマノスズカケ科カンアオイ属の植物(ウスバサイシン・オクエゾサイシン・トウゴクサイシン・ミクニサイシン等)、ウマノスズカケ科ウスバサイシン属の植物(ウスゲサイシン・ケイリンサイシン等)、シソ科シソ属の植物(シソ・チリメンジソ・マダラジソ・アカジソ・アオジソ等)、メハジキ、セッコク、レンプクソウ科ニワトコ属の植物(エゾニワトコ・セイヨウニワトコ・オオニワトコ・アメリカニワトコ等)、ヤドリギ、オオバヤドリギ、ハチク、トウカギカズラ、カギカズラ、イグサ、トチュウ、ホンオニク、スイカズラ、タツナミソウ、ハナホタル、フタバムグラ、ツヅラフジ科ツヅラフジ属の植物(オオツヅラフジ・シマハスノハカズラ等)、アオツヅラフジ、アケビ、ミツバアケビ、カミヤツデ、キダチウマノスズクサ、ツルドクダミ、フジバカマ、ムラサキバレンギク、ニンジン、ホウライアオカズラ(ギムネマ・シルベスタ)、アマチャヅル、クコ、バンジロウ、イチョウ、クワ、ドクダミ、テンヨウケンコウシ、ギュウハクトウ、タスイカ、タスイセキカヨウ、ルイボス、及び、アシタバの地上茎葉が好ましい。地上茎葉も、茎だけを用いても、葉だけを用いても良い。
【0029】
前記発芽野菜は、マメ科型モヤシである、ダイズ、ヤエナリ、及び、コロハ(フェヌグリーク)の発芽野菜と、アブラナ科型カイワレである、ダイコン、ブロッコリー、キャベツ、カラシナ、シロガラシ、クレソン、及び、ソバの発芽野菜が好ましい。
【0030】
フレーバーを放つ植物については、胞子植物の海藻が好ましく、アオノリ、ヒトエグサ、スサビノリ、アサクサノリ、ボウアオノリ、イワノリ、チシマクロノリ、ハバノリ、エゴノリ、オゴノリ、アカモク、コンブ(ガゴメコンブ、マコンブ、リシリコンブ、ラウス
コンブ、ヒダカコンブ、ナガコンブ、アツバコンブ、ホソメコンブ)、アラメ、ツルアラメ、カジメ、クロメ、ワカメ、ヒロメ、クビレズタ、ダルス、ヒジキ、フノリ、マクサ、及び、モズクの海藻の仮根以外の部位が好ましい。
【0031】
同じく胞子植物のシダ植物の葉として、スギナ、ツクシ、マツバラン、トウゲジバ、トクサ、ゼンマイ、ウラジロ、ワラビ、ホラシノブ、タチシノブ、イノモトソウ、トラノオシダ、シシガシラ、ヤブソテツ、ベニシダ、リョウメンシダ、ホシダ、及び、ヒメワラビの葉が好ましく用いられる。
【0032】
フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材は、より更に、次の加工植物及び植物の各部位が好ましい。
【0033】
フレグランスを放つ素材は、植物の茎葉を加熱乾燥後、揉捻、焙煎、蒸製、発酵等の加工を施した茶類が好ましく、特に、日本茶、中国茶、及び、紅茶が好ましい。日本茶としては、煎茶、深蒸し煎茶、玉露、かぶせ茶、抹茶、てん茶、玉緑茶、伸び茶、釜炒り玉緑茶、茎茶、芽茶、粉茶、玄米茶、ほうじ茶、及び、番茶(一番茶・秋冬番茶・頭柳)を挙げることができる。
【0034】
茶類では、不発酵茶である日本茶よりも、発酵茶である中国茶及び紅茶(ブラックティー)がより更に好ましい。中国茶としては、烏龍茶(鉄観音、黄金桂、水仙、色種)、プーアール茶、及び、ジャスミン茶を挙げることができる。そして、紅茶が最も好ましく、ダージリン、アッサム、ウバ、ヌワラエリア、及び、キーモンが好ましく用いられる。
【0035】
アロマを放つ素材としても、チューリップ、ヒヤシンス、ニンニク、ラッキョウ、ユリ科ユリ属の植物(イトハユリ・ハカタユリ・オニユリ・コオニユリ・ヒメユリ・カノコユリ等)、アミガサユリ、エシャロット、ニンニク、タマネギ、ヒガンバナ、スイセン、コンニャクの地下茎がより更に好ましい。中でも、コンニャクが最も好ましい。これは、特に、コンニャクを加熱するときに発生するトリメチルアミンに起因しているものと考えられる。
【0036】
また、フレーバーを放つ素材としては、ガムやキャラメル等の食品添加剤や歯磨き粉等の口中清涼剤として使用されているメントール及びキシリトールを多量に含んでいる、アンズ、ブルーベリー、オランダイチゴ、ラズベリー、バナナ、及び、ブドウの果実及び/又は種子、並びに、ミント(シソ科ハッカ属の各種ペパーミント系植物及びスペアミント系植物(ペパーミント系:ペパーミント、二ホンハッカ、アップルミント、ウォーターミント、コルシカミント、ペニーロイヤルミント等;スペアミント系:スペアミント、ホースミント、ミドリハッカ、チリメンハッカ、ジンジャーミント等)、イヌハッカ、コウスイハッカ(レモンバーム)、キダチハッカ(セイボリー)、及び、ヤナギハッカ(ヒソップ)の地上茎葉が特に好ましく用いられる。
【0037】
このように、フレグランス、アロマ、フレーバーを放つ素材として、各種植物の様々な部位を用い、乾燥させて使用することが植物由来の成分を喫煙できるため、好ましく用いられる。しかし、特に、フレーバーを放つ素材としては、市販されているメントール及びキシリトールを用いることが生産性という観点から好ましい。これらは、植物由来のものが健康食品や生薬として販売されているので、植物がフレーバーを放つ素材として用いられる場合と同様に、喫煙者に安心感を与えることができる。
【0038】
また、フレグランス、アロマ、フレーバーを放つ素材は、予め乾燥等の加工処理が施されている生薬、茶類、スパイス、及び、粉末等として市販されているので、それらをそのまま用いることもできる。
【0039】
このようなフレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材においても、エアロゾルを形成するエアロゾルフォーマの素材としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン、モノアセチン(グリセリンモノアセタート)、及び、ジアセチン(グリセリンジアセタート)が、エアロゾル形成能及び沸点の観点から好ましく用いられる。
【0040】
そして、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材として、特に限定された素材を用いた場合でも、これらの配合比に変わりはない。フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量に対し、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材を、それぞれ、83.9~97.0質量%、0.4~1.6質量%、3.2~15.6質量%含んでいることが好ましい。フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、エアロゾルフォーマの素材を35.0~65.0質量部含めばよい。より好ましくは、40.0~60.0質量部含めばよい。
【0041】
以上、本発明の加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体を構成する必須素材について説明してきたが、加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体は、後述するように、その構成素材を成形加工することによって、エアロゾルフォーマを均一に分散し、安定に保持されると共に、熱源と接触して速やかに揮発性物質を発生させるために、角柱状や円柱状等に細断された充填物として包装部材で巻かれていることが多い。そして、その包装部材で巻かれた紙巻きタバコ状のものが、所望の長さに断裁される。従って、これらの細断及び断裁においても、形状が破壊されないように、塊状状態が強固に維持されなければならない。従って、従来のエアロゾル形成体には、タバコ成分、非タバコ繊維、エアロゾルフォーマなどと共に、結合剤として親水性の多糖類系高分子及びセルロース系高分子が利用されてきた。しかし、このような結合剤だけでは、本発明のフレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、フレーバーを放つ素材を用いた場合、エアロゾルフォーマの均一分散安定性及び形状維持能力が不足しているだけでなく、各素材及び各素材の芳香を放つ成分を十分に保持することができなかった。
【0042】
そこで、本発明では、種々の親水性架橋高分子を検討した結果、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、親水性架橋高分子を7.0~25.0質量部含むことによって、上記課題を解決できることを見出した。この親水性架橋高分子の配合量は、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、エアロゾルフォーマの素材を35.0~65.0質量部含んでいる場合にも適用できる。
【0043】
この親水性架橋高分子の効果の原因は、定かではないが、親水性架橋高分子が、親水性のエアロゾルフォーマや芳香成分との相互作用が強く、エアロゾルフォーマや芳香成分を強く吸着できるにもかかわらず、親水性高分子が架橋しているため、塊状状態を十分に維持できることに起因しているものと考えられる。
【0044】
使用できる親水性架橋高分子としては、特に限定されないが、水溶性の多糖類系高分子を種々の方法によって架橋した、エポキシ架橋型、エステル架橋型、エーテル架橋型、ラジカル架橋型等を使用することができるが、このような多糖類系高分子とは化学構造が異なる架橋ポリビニルピロリドンが最も好ましい。これは、架橋ポリビニルピロリドンの側鎖にあたる2-ピロリドンが、非プロトン性溶媒としてあらゆる溶剤との相溶性に優れているという特殊な化学的性質に起因するものと考えられる。
【0045】
特に、上述したように、本発明のフレーバーを放つ素材として好ましい、アンズ、ブルーベリー、オランダイチゴ、ラズベリー、バナナ、及び、ブドウの果実及び/又は種子、並びに、ミント(シソ科ハッカ属の各種ペパーミント系植物及びスペアミント系植物(ペパーミント系:ペパーミント、二ホンハッカ、アップルミント、ウォーターミント、コルシカミント、ペニーロイヤルミント等;スペアミント系:スペアミント、ホースミント、ミドリハッカ、チリメンハッカ、ジンジャーミント等)、イヌハッカ、コウスイハッカ(レモンバーム)、キダチハッカ(セイボリー)、及び、ヤナギハッカ(ヒソップ)の地上茎葉には、メントール及びキシリトールが多量に含まれており、これらと相互作用の強いβ-シクロデキストリンを含むことが、芳香成分を保持するという観点から好ましい。特に、デキストリンの環状化合物であるβ-シクロデキストリンは、水酸基による水素結合だけでなく、環状構造の特殊性によって、メントールをゲスト分子、β-シクロデキストリンをホスト分子として、メントールと包摂化合物をつくることが知られている。
【0046】
このようなβ-シクロデキストリンは、多量に使用する必要がなく、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、0.2~1.0質量部含むことが好ましい。これより少ないと、芳香成分を保持する能力を発現せず、これよりも多いと、被加熱芳香発生体として塊状状態を保持することが困難となる。このβ-シクロデキストリンの配合量は、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、エアロゾルフォーマの素材を35.0~65.0質量部、親水性架橋高分子を7.0~25.0質量部含んでいる場合にも適用できる。
【0047】
被加熱芳香発生体を製造するためには、この組成物に、更に相反する性質が求められる。これは、上述したように、被加熱芳香発生体が、角柱状、円柱状、及び、粒状等に細断された充填物として包装部材で巻かれている。必ずしも、被加熱芳香発生体が成形加工される必要がないが、芳香やエアロゾルが好ましく吸引されるためには、角柱状や円柱状等の形状が適しており、通常、成型加工されたシートが細断される。この成形加工方法として、ロール成形やプレス成形等の方法が用いられるが、いずれにしてもステンレス等の金属から大きな圧縮力が組成物に負荷される。この際、この圧縮力によって、組成物の凝集破壊、金属との付着等が発生し、成形加工が困難な状況が生じる。
【0048】
そこで、本発明では、このような問題を解決する方法として、種々検討した結果、微結晶セルロースを採用した。微結晶セルロースは、パルプを酸で加水分解・精製した、高純度の微結晶セルロースで、流動性のある粉末で、水、エタノール等の有機溶媒には溶解せず、医薬の錠剤成形用の賦形剤として用いられている。これは、微結晶セルロースの流動性と体積変化が大きい高圧縮性により、直打法による錠剤の成形における、凝集破壊の防止、金型との付着防止等に効果的であるためである。本発明においても、微結晶セルロースを添加することによって、例えば、三本ロールのロール成形によるシート製造において、シートの凝集破壊及び金属ロールとの付着を効果的に防止することができた。
【0049】
本発明の被加熱芳香発生体を構成する組成物の場合、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、微結晶セルロースを7.0~25.0質量部含んでいることが好ましい。これよりも少ないと、シートの凝集破壊及び金属ロールとの付着を効果的に防止できず、これ以上多いと、シートの強度が急速に低下して脆くなり、細断及び断裁による欠けや粉塵が発生し易くなる。この微結晶セルロースの配合量は、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、エアロゾルフォーマの素材を35.0~65.0質量部、親水性架橋高分子を7.0~25.0質量部、及び、β-シクロデキストリンを0.2~1.0質量部含む場合にも適用できる。
【0050】
このような微結晶セルロースの上述した効果は、主として粒子径に依存し、使用される用途、素材等に応じて異なるが、本発明においては、種々検討した結果、微結晶性セルロースの平均粒子径が、30μm以上200μm以下であることが好ましく、50μm以上150μm以下であることがより好ましく、70μm以上120μm以下であることがより更に好ましい。これは、粒子径分布が狭い程、組成物中へ均一に分散し、シートの強靭性を落とすことなく、シートの凝集破壊及び金属ロールとの付着を効果的に防止できるためと推測される。
【0051】
以上、被加熱芳香発生体を製造するために、各種添加剤を配合することによって、従来のエアロゾルフォーマ形成体の問題を解決してきたが、本発明においても、従来の結合剤である未架橋の多糖類系高分子及びセルロース系高分子が、各素材の結合に対して必要であることが分かった。その配合量は、従来と比較して少なく、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、上記結合剤を2.0~5.0質量部含むだけでよく、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、エアロゾルフォーマの素材を35.0~65.0質量部、親水性架橋高分子を7.0~25.0質量部、及び、β-シクロデキストリンを0.2~1.0質量部、微結晶セルロースを7.0~25.0質量部含む場合にも適用できる。
【0052】
未架橋の多糖類系高分子及びセルロース系高分子は、結合剤として不可欠であるが、この配合量を削減できることは、次のような点で好ましい。これらの高分子は吸水性を有するため、保水性の向上等の目的に用いられるが、未架橋であるため、粘着性が発現しやすく、保存安定性を低下させる。従って、特に、本発明の加熱式非加熱芳香発生体のように、加熱によって芳香を放ち、エアロゾル形成するので、湿度の影響を受けにくい、必要最低限の配合であることが求められる。
【0053】
そして、多糖類系高分子としては、コンニャクマンナン(グルコマンナン)、グアーガム、ペクチン、カラギーナン、タマリンシードガム、アラビアゴム、大豆多糖類、ローカストビーンガム、カラヤガム、キサンタンガム、及び、寒天が好ましく、セルロース系高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、並びに、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシエチルセルロースのナトリウム塩、カリウム塩、及び、カルシウム塩であることが好ましい。
【0054】
更に、本発明の加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体組成物は、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材として、加工植物、植物を使用するため、抗菌性保存剤を含むことが好ましい。この配合量は、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、抗菌性保存剤を0.005~0.04質量部含めばよい。この配合量は、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材の総質量100質量部に対し、エアロゾルフォーマの素材を35.0~65.0質量部、親水性架橋高分子を7.0~25.0質量部、及び、β-シクロデキストリンを0.2~1.0質量部、微結晶セルロースを7.0~25.0質量部、結合剤を2.0~5.0質量部含んでいる場合にも適用できる。
【0055】
抗菌性保存剤は、特に限定されないが、ソルビン酸カリウム及び/又は安息香酸ナトリウムであることが好ましい。
【0056】
最後に、本発明の被加熱芳香発生体組成物に無機粒子を配合することによって、予想外
の効果が認められたので説明する。無機粒子を添加して作製された被加熱芳香発生体は、無機粒子を添加していない被加熱芳香発生体と比較して、加熱式喫煙具の熱源に付着する汚れが少ないことが認められた。配合量は、被加熱芳香発生体組成物100質量部に対し、0.05~10質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましい。
【0057】
この効果は、無機粒子の材質や粒子径に大きく限定されず、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、アルミナ等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、リン酸カルシウム等の金属リン酸塩、チタン酸カリウム、チタン酸マグネシウム等のチタン酸塩、更には、ゼオライト、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等の酸化ケイ素等で認められた。中でも、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、アルミナが良好な結果が得られた。従って、この原因は定かではないが、熱源からの脱着時に無機粒子が熱源表面を研磨すること、加熱時に熱源と被加熱芳香体との接触面積が減少すること等が考えられる。
【0058】
以上、本発明の加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体組成物は、少なくとも、上述したようなフレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材を含んでいればよく、更に、これらに適量の親水性架橋高分子、β-シクロデキストリン、微結晶セルロース、結合剤、及び、抗菌性保存剤を配合して、加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体を製造することができる。すなわち、本発明は、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材、並びに、これらに適量の親水性架橋高分子、β-シクロデキストリン、微結晶セルロース、結合剤、及び、抗菌性保存剤を含む加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体組成物を用いたことを特徴とする加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体を提供するものである。
【0059】
更に、上記被加熱芳香発生体を用いて、細断、紙巻き、断裁等の通常の成形加工によって加熱式揮発物吸引カートリッジを製造できる。すなわち、本発明は、上記被加熱芳香発生体を用いたことを特徴とする加熱式揮発物吸引カートリッジを提供するものである。
【0060】
従来のエアロゾル形成体は、スラリーから抄紙工程を経て、乾燥させた後、成形する方法等種々の方法で成形加工されてきた。本発明の加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体も従来技術に準拠して製造することは可能である。しかし、本発明の加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体は、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材を用いたことを特徴としており、これらに基づくフレグランス、アロマ、及び、フレーバーを効果的に発生し、喫煙者が楽しめることができることを目的として、次のような加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体の製造方法を見出した。
【0061】
すなわち、本発明の加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体の製造方法は、フレグランスを放つ素材を乾燥後、除菌して粉砕し、秤量する第1工程と、フレーバーを放つ素材を乾燥後、除菌して粉砕し、秤量する第2工程と、アロマを放つ素材を乾燥後、除菌して粉砕し、秤量する第3工程と、親水性架橋高分子を秤量した後、純水/アルコール混合溶液に混合する第4工程と、β-シクロデキストリンを秤量した後、純水/アルコール混合溶液に溶解・混合する第5工程と、微結晶セルロースを秤量した後、純水/アルコール混合溶液に混合する第6工程と、結合剤を秤量した後、純粋/アルコール混合溶媒に溶解・混合する第7工程と、エアロゾルフォーマを秤量する第8工程と、抗菌性保存剤を秤量した後、純水に溶解する第9工程と、第1、第2、第4、第5、第6、第7、及び、第8工程で得られた材料を混合する第10工程と、第10工程の混合物を熟成する第11工程と、第3及び第9工程で得られた材料を混合する第12工程と、第11及び第12工程で得られた材料を混合する第13工程と、第13工程で得られた材料を成形する第1
4工程と、第14工程で得られた成形物を細断する第15工程と、第15工程で得られた材料を紙巻きする第16工程と、第16工程で得られた成形品を断裁する第17工程と、第17工程で得られた成形品を乾燥する第18工程とからなることを特徴とする。
【0062】
特に本発明の特徴は、第11工程における熟成工程と、第11及び第12工程で得られた材料を混合する第13工程とにある。
【0063】
第11工程は、フレグランスを放つ素材、フレーバーを放つ素材、芳香成分を保持する親水性架橋高分子、及び、β-シクロデキストリンを一緒に熟成することによって、それぞれの芳香成分を十分に保持できるという点に特徴があり、喫煙時にその効果が発揮される。
【0064】
この熟成条件は、15~30℃で、3~14日で行うことが好ましい。しかし、温度が高過ぎる場合や、熟成が長すぎる場合には、カビの発生や腐敗の可能性がある。また、芳香成分の保持という観点からも、20±2℃で、4~7日行うことがより好ましいという結果が得られた。
【0065】
第13工程は、アロマを放つ素材を最後に混合することによって、加熱した時に空間に漂う香りを発現する素材が、水に長時間浸漬されることがない加工履歴の短縮を図ることによって、加熱によって効果的にアロマを発生しやすくすることができた。
【0066】
それ以外の工程については、各工程及び各工程間の段取りが最も効率よく製造できるように行われれば必ずしも工程番号に従って行われる必要はない。
【0067】
また、上記製造方法は、フレグランスを放つ素材、アロマを放つ素材、及び、フレーバーを放つ素材として、基本的に、植物を使用する場合であるが、既に記載したように、これらの素材は、乾燥等の加工された状態で入手可能である。代表的な物には、メントール、キシリトール、生薬、茶類、スパイス、及び、粉末等がある。この場合、乾燥、除菌、粉砕等の工程を省略することができる。従って、本発明の製造方法は、フレグランスを放つ素材を秤量する第1工程と、フレーバーを放つ素材を秤量する第2工程と、アロマを放つ素材を秤量する第3工程と、親水性架橋高分子を秤量した後、純水/アルコール混合溶液に混合する第4工程と、β-シクロデキストリンを秤量した後、純水/アルコール混合溶液に溶解・混合する第5工程と、微結晶セルロースを秤量した後、純水/アルコール混合溶液に混合する第6工程と、結合剤を秤量した後、純粋/アルコール混合溶媒に溶解・混合する第7工程と、エアロゾルフォーマを秤量する第8工程と、抗菌性保存剤を秤量した後、純水に溶解する第9工程と、第1、第2、第4、第5、第6、第7、及び、第8工程で得られた材料を混合する第10工程と、第10工程の混合物を熟成する第11工程と、第3及び第9工程で得られた材料を混合する第12工程と、第11及び第12工程で得られた材料を混合する第13工程と、第13工程で得られた材料を成形する第14工程と、第14工程で得られた成形物を細断する第15工程と、第15工程で得られた材料を紙巻きする第16工程と、第16工程で得られた成形品を断裁する第17工程と、第17工程で得られた成形品を乾燥する第18工程とからなる加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体の製造方法に簡略化することができる。
【0068】
簡略化した製造方法についても、その特徴は、植物素材を用いる場合の製造方法と全く変わりはなく、フレグランス、アロマ、及び、フレーバーを効果的に発生することが可能な加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0069】
本発明により、火炎式喫煙の経験者のみならず、初めての喫煙者にも、タバコ感覚で、
フレグランス、アロマ、及び、フレーバーの芳香の楽しみを味わうことができ、心身の安らぎを得ることができる効果がある。更に、本発明により、ナス科タバコ属であるタバコ及びその同属植物、並びに、その成分を含まない、植物等に由来する無害な芳香であるため、喫煙者本人のみならず、周囲の非喫煙者にとっても健康に悪影響を及ぼすことがない喫煙を楽しめるという効果がある。従って、本発明は、加熱式電子タバコカートリッジの代替と言うことではなく、芳香を楽しみ、脳内にα波をもたらす、癒し効果があり、健康及び美容の増進に役立つ新しい喫煙具を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る、素材として植物を使用する場合の加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体の製造工程概略図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る、素材とした加工された植物を使用する場合の加熱式揮発物吸引カートリッジ用被加熱芳香発生体の製造工程概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る、加熱式揮発物吸引カートリッジの外観を示す斜視模式図である。
【
図3】(A)は,
図2のA-A線に沿って切断した本発明の一実施形態に係る、非加熱芳香発生体、支持部材、及び、マウスピースがその順に連結され、包装部材で巻かれた加熱式揮発物吸引カートリッジの断面模式図であり、(B)は、
図2のA-A線に沿って切断した本発明の一実施形態に係る、非加熱芳香発生体、支持部材、冷却部材、及び、マウスピースがその順に連結され、包装部材で巻かれた加熱式揮発物吸引カートリッジの断面模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る、加熱式揮発物吸引カートリッジに充填された、角柱に細断された被加熱芳香発生体の断面模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る加熱式揮発物吸引カートリッジを一般的な加熱式喫煙具に装着した断面模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る加熱式揮発物吸引カートリッジに取り付けられた
図3(A)の支持部材をX方向から見た平面模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る加熱式揮発物吸引カートリッジに取り付けられた
図3(A)の支持部材をY方向から見た側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、実施形態を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
【0072】
≪実施例1≫
フレグランスを放つ素材としてサフランの花を、アロマを放つ素材としてコンニャクを、フレーバーを放つ素材としてペパーミントの葉及びアンズの果実を用いた被加熱芳香発生体を製造した。エアロゾルフォーマとしてはグリセリン及びプロピレングリコールを、親水性架橋高分子としては架橋ポリビニルピロリドン(PVP)を使用した。更に、芳香成分を保持するためのβ-シクロデキストリン、賦形剤として機能する微結晶セルロース、結合剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)を用い、抗菌性保存剤として、ソルビン酸カリウム及び安息香酸ナトリウムを用いた。製造は、
図1Aの製造工程に従って行われた。
【0073】
サフランの花、コンニャク、ペパーミントの葉及びアンズの果実は、それぞれ、水分量が約2質量%となるまで熱風乾燥させた後、粉砕し、80メッシュの箭を通過したものを用いた。また、ここで用いた微結晶セルロースは、平均粒子径が90μm、質量平均分子量(Mw)が36,000のものを使用した。配合量は、下記の通りである。
サフランの花(乾燥粉砕物) 87質量部
アンズの果実(乾燥粉砕物) 6質量部
ペパーミントの葉(乾燥粉砕物) 6質量部
コンニャク 1質量部
グリセリン 24質量部
プロピレングリコール 24質量部
架橋PVP 16質量部
β-シクロデキストリン 1質量部
微結晶セルロース 16質量部
CMC-Na 3質量部
ソルビン酸カリウム 0.005質量部
安息香酸ナトリウム 0.005質量部
【0074】
図1Aに示したように、架橋PVP、β-シクロデキストリン、微結晶セルロース、及び、CMC-Naは、アルコールとしてエタノールを用い、所定量の純水/エタノールに溶解・混合し、サフランの花、アンズの果実、ペパーミントの葉、グリセリン、及び、プロピレングリコールと混合した後、20±2℃で、5日熟成した。
【0075】
この熟成した混合物は、予めソルビン酸カリウムと安息香酸ナトリウムを溶解した純水に混合されたコンニャクと混合した後、3本ロールを用い、シートの厚さが、0.28±0.02mmとなるように成形された。そして、このように成形されたシートは、幅1.5±0.1mmとなるように細断された後、所定量の充填率となるように紙巻きされた。次いで、紙巻きされた被加熱芳香発生体組成物は、長さ11.5~12.0mmとなるように断裁された後、水分量が18~20質量%となるまで乾燥され、紙巻きされた被加熱芳香発生体として製造された。
【0076】
そして、一方は、
図2及び
図3(A)に示すように、製造された被加熱芳香発生体110、支持部材120、及び、マウスピース140を、X方向にこの順で連結し、包装部材150を用いて加熱式揮発物吸引カートリッジ100を作製した。また、
図2及び
図3(B)に示すように、他方は、製造された被加熱芳香発生体110、支持部材120、冷却部材130、及び、マウスピース140を、X方向にこの順で連結し、包装部材150を用いて加熱式揮発物吸引カートリッジ100を作製した。なお、ここで用いた支持部材120は、被加熱芳香発生体110を支持するように連結され、その中心部121が、加熱式揮発物吸引カートリッジ100のX方向の中心軸に沿って位置し、複数の側部122を有する。この複数の側部122は、中心部121から外方へ延伸して加熱式揮発物吸引カートリッジ100の周縁に位置する包装部材150と接して接着剤により包装部材150の内面に固定され、加熱式揮発物吸引カートリッジ100の強度を保持している。
【0077】
また、
図4に示すように、角柱状に細断された被加熱芳香発生体111が、所定数束ねられた状態で被加熱芳香発生体110を形成しているので、加熱して発生する揮発物を、喫煙者が安定した気流で吸引することができる。
【0078】
喫煙者が使用する際には、
図5に示すように、加熱式揮発物吸引カートリッジ100を加熱式喫煙具本体200の装着部210に装着すると、装着部210の底の中央部に設けられた熱源211が、被加熱芳香発生体110が突き刺さり、被加熱芳香発生体110が加熱されて喫煙を楽しむことができる。
【0079】
このような加熱式喫煙器具を用いて、本発明の被加熱芳香発生体から漂う芳香を、10名の被験者が評価した結果、7名の被験者が、冷却部材130の有無にかかわらず、被加熱芳香発生体を加熱式喫煙具に装着した時にエアロゾル形成体そのものから漂う香り、すなわち、フレグランスと、被加熱芳香発生体を加熱した時に空間に漂う香り、すなわち、アロマと、被加熱芳香発生体を加熱してエアロゾルと共に吸引した時に口に漂う香り、すなわち、フレーバーの三要素を感じることができ、心身の安らぎがもたらされた。
【0080】
≪実施例2≫
フレグランスを放つ素材として紅茶を、アロマを放つ素材としてコンニャク紛を、フレーバーを放つ素材として植物から抽出したメントールとキシリトールを用い、実施例1と全く同じ条件で、
図1Bの製造工程に従って、加熱式揮発物吸引カートリッジを作製し、実施例1と同じ加熱式喫煙具を用いて、本発明の被加熱芳香発生体から漂う芳香を、10名の被験者が評価した。その結果、9名の被験者が、冷却部材130の有無にかかわらず、被加熱芳香発生体を加熱式喫煙具に装着した時にエアロゾル形成体そのものから漂う香り、すなわち、フレグランスと、被加熱芳香発生体を加熱した時に空間に漂う香り、すなわち、アロマと、被加熱芳香発生体を加熱してエアロゾルと共に吸引した時に口に漂う香り、すなわち、フレーバーの三要素を感じることができ、心身の安らぎをもたらされた。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、ナス科タバコ属であるタバコ及びその同属植物、並びに、その成分を含まない、植物等に由来する無害な芳香であるため、火炎式喫煙の経験者のみならず、初めての喫煙者にも、タバコ感覚で、フレグランス、アロマ、及び、フレーバーの芳香の楽しみを味わうことができ、喫煙者本人のみならず、周囲の非喫煙者に対しても健康に悪影響を及ぼすことがない喫煙を楽しめ、脳内にα波をもたらす、癒し効果があり、健康及び美容の増進に役立つ新しい喫煙具である。従って、本発明の加熱式非加熱芳香発生体に関する技術は、線香、焼香、抹香、塗香等や、アロマセラピー等に応用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0082】
100 加熱式揮発物吸引カートリッジ
110 被加熱芳香発生体
111 角柱状に細断され充填されている非加熱芳香発生体
120 支持部材
121 支持部材中心部
122 支持部材周辺部
122A 第一の支持部材周辺部
122B 第二の支持部材周辺部
130 冷却部材
140 マウスピース
150 包装部材
200 加熱式喫煙具
210 加熱式喫煙具の装着部
211 熱源
L 支持部材の長さ
D 支持部材の直径
d 第一の支持部材周辺部と第二の支持部材周辺部との間隔