(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001539
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】軸受用保持器、軸受、及び軸受の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16C 33/54 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
F16C33/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100255
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 舜
(72)【発明者】
【氏名】赤山 徳一朗
(72)【発明者】
【氏名】茂木 智
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA13
3J701AA14
3J701AA24
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA34
3J701BA46
3J701EA31
3J701EA36
3J701FA31
3J701FA44
3J701FA60
(57)【要約】
【課題】温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受の製造性を向上することができる軸受用保持器、軸受、及び軸受の製造方法を提供する。
【解決手段】保持器3は、周方向に沿って延在する第1部分10と第2部分20とに分割部32において分割されている。第1部分10は、周方向に沿って突出した凸部12を有する。第2部分20は、凸部12に対応した形状の凹部22を有する。凸部12が凹部22内に配置されることにより、第1部分10と第2部分20とが分割部32において結合されている。第1部分10と第2部分20とは、互いに分離され且つ凸部12が凹部22と径方向において重なった状態から、凸部12と凹部22とが径方向に相対移動することにより互いに結合可能となっていると共に、互いに分離された状態から、凸部12と凹部22とが周方向に相対移動することにより互いに結合可能となっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に沿って並んで配置される複数の転動体を転動自在に保持するための軸受用保持器であって、
前記複数の転動体がそれぞれ配置される複数のポケットが形成された本体部を備え、
前記本体部は、周方向に沿って延在する第1部分と第2部分とに分割部において分割されており、
前記第1部分は、周方向に沿って突出した凸部を有し、
前記第2部分は、前記凸部に対応した形状に形成された凹部を有し、
前記凸部が前記凹部内に配置されることにより、前記第1部分と前記第2部分とが前記分割部において結合されており、
前記第1部分と前記第2部分とは、
互いに分離され且つ前記凸部が前記凹部と径方向において重なった状態から、前記凸部と前記凹部とが径方向に相対移動することにより互いに結合可能と共に、
互いに分離された状態から、前記凸部と前記凹部とが周方向に相対移動することにより互いに結合可能となっている、軸受用保持器。
【請求項2】
前記第1部分と前記第2部分とは、互いに結合された状態から、前記凸部と前記凹部とが周方向に相対移動することにより互いに分離可能となっている、請求項1に記載の軸受用保持器。
【請求項3】
前記凸部は、軸方向における一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の傾斜部を有し、
前記一対の傾斜部の各々は、第1傾斜面と、前記第1傾斜面に対して径方向の外側に形成された第2傾斜面と、を含み、
前記第1傾斜面は、径方向の外側に向かうほど軸方向における前記凸部の長さが長くなるように傾斜しており、前記第2傾斜面は、径方向の外側に向かうほど軸方向における前記凸部の長さが短くなるように傾斜している、請求項1又は2に記載の軸受用保持器。
【請求項4】
前記凸部は、前記凸部の先端に形成された第1傾斜面及び第2傾斜面を有し、
前記第2傾斜面は、前記第1傾斜面に対して径方向の外側に形成されており、
前記第1傾斜面は、径方向の外側に向かうほど周方向における前記凸部の長さが長くなるように傾斜しており、前記第2傾斜面は、径方向の外側に向かうほど周方向における前記凸部の長さが短くなるように傾斜している、請求項1又は2に記載の軸受用保持器。
【請求項5】
前記凸部は、軸方向における一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の傾斜面と、径方向の外側を向いた表面と、を有し、
前記一対の傾斜面は、径方向の外側に向かうほど軸方向における前記凸部の長さが長くなるように傾斜しており、
前記凹部は、前記凸部が前記凹部内に配置された状態において前記凸部の前記表面と向かい合う表面を有している、請求項1又は2に記載の軸受用保持器。
【請求項6】
前記凸部は、前記凸部の先端に形成された第1傾斜面と、軸方向における一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の第2傾斜面と、を有し、
前記第1傾斜面は、径方向の外側に向かうほど周方向における前記凸部の長さが短くなるように傾斜しており、
前記一対の第2傾斜面は、径方向の外側に向かうほど軸方向における前記凸部の長さが短くなるように傾斜している、請求項1又は2に記載の軸受用保持器。
【請求項7】
前記本体部は、樹脂により形成されている、請求項1又は2に記載の軸受用保持器。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の軸受用保持器と、
前記複数のポケットに配置された前記複数の転動体と、を備える軸受。
【請求項9】
金属により形成された外輪を更に備え、
前記外輪は、前記軸受用保持器に対して径方向の外側に配置される円筒部と、前記円筒部における軸方向の両縁から径方向の内側にそれぞれ延在する一対のフランジ部と、を有する、請求項8に記載の軸受。
【請求項10】
請求項9に記載の軸受の製造方法であって、
前記円筒部及び前記一対のフランジ部を有する前記外輪を準備する準備工程と、
前記準備工程の後に、前記外輪の内側に前記軸受用保持器を配置する配置工程と、を含む、軸受の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受用保持器、軸受、及び軸受の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸方向に延びる切断部において分割された分割型の保持器を備える針状ころ軸受が記載されている。この保持器では、切断部の一方側に凸部が、他方側に凸部を受け入れる凹部が設けられており、組込み時には凸部と凹部とが嵌合して固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような軸受では、例えば使用時に温度が変化した場合に保持器が熱変形し、その結果、軸受のスムーズな回転が阻害されてしまうおそれがある。また、上述したような軸受には、製造性の向上が求められる。
【0005】
そこで、本発明は、温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受の製造性を向上することができる軸受用保持器、軸受、及び軸受の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の軸受用保持器は、[1]「周方向に沿って並んで配置される複数の転動体を転動自在に保持するための軸受用保持器であって、前記複数の転動体がそれぞれ配置される複数のポケットが形成された本体部を備え、前記本体部は、周方向に沿って延在する第1部分と第2部分とに分割部において分割されており、前記第1部分は、周方向に沿って突出した凸部を有し、前記第2部分は、前記凸部に対応した形状に形成された凹部を有し、前記凸部が前記凹部内に配置されることにより、前記第1部分と前記第2部分とが前記分割部において結合されており、前記第1部分と前記第2部分とは、互いに分離され且つ前記凸部が前記凹部と径方向において重なった状態から、前記凸部と前記凹部とが径方向に相対移動することにより互いに結合可能となっていると共に、互いに分離された状態から、前記凸部と前記凹部とが周方向に相対移動することにより互いに結合可能となっている、軸受用保持器」である。
【0007】
この軸受用保持器では、第1部分と第2部分とが、互いに分離され且つ凸部が凹部と径方向において重なった状態から、凸部と凹部とが径方向に相対移動することにより互いに結合可能となっている。これにより、例えば、円筒部及びフランジ部を有する外輪の内側に軸受用保持器を容易に組み込むことができ、軸受の製造性を向上することが可能となる。また、この軸受用保持器では、第1部分と第2部分とが、互いに分離された状態から、凸部と凹部とが周方向に相対移動することにより互いに結合可能となっている。このような軸受用保持器では第1部分と第2部分との間(凸部と凹部との間)の周方向における相対移動が許容されることから、温度変化により保持器が熱変形(収縮又は膨張)した場合でも軸受のスムーズな回転が阻害されることを抑制することができる。よって、この軸受用保持器によれば、温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受の製造性を向上することができる。
【0008】
本発明の軸受用保持器は、[2]「前記第1部分と前記第2部分とは、互いに結合された状態から、前記凸部と前記凹部とが周方向に相対移動することにより互いに分離可能となっている、[1]に記載の軸受用保持器」であってもよい。この場合、第1部分と第2部分との間の周方向における相対移動が許容され、温度変化により保持器が熱変形した場合でも軸受のスムーズな回転が阻害されることを抑制することができる。
【0009】
本発明の軸受用保持器は、[3]「前記凸部は、軸方向における一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の傾斜部を有し、前記一対の傾斜部の各々は、第1傾斜面と、前記第1傾斜面に対して径方向の外側に形成された第2傾斜面と、を含み、前記第1傾斜面は、径方向の外側に向かうほど軸方向における前記凸部の長さが長くなるように傾斜しており、前記第2傾斜面は、径方向の外側に向かうほど軸方向における前記凸部の長さが短くなるように傾斜している、[1]又は[2]に記載の軸受用保持器」であってもよい。この場合、凸部と凹部とが径方向に相対移動することにより第1部分と第2部分とが結合可能である構成を好適に実現することができる。
【0010】
本発明の軸受用保持器は、[4]「前記凸部は、前記凸部の先端に形成された第1傾斜面及び第2傾斜面を有し、前記第2傾斜面は、前記第1傾斜面に対して径方向の外側に形成されており、前記第1傾斜面は、径方向の外側に向かうほど周方向における前記凸部の長さが長くなるように傾斜しており、前記第2傾斜面は、径方向の外側に向かうほど周方向における前記凸部の長さが短くなるように傾斜している、[1]又は[2]に記載の軸受用保持器」であってもよい。この場合、凸部と凹部とが径方向に相対移動することにより第1部分と第2部分とが結合可能である構成を好適に実現することができる。
【0011】
本発明の軸受用保持器は、[5]「前記凸部は、軸方向における一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の傾斜面と、径方向の外側を向いた表面と、を有し、前記一対の傾斜面は、径方向の外側に向かうほど軸方向における前記凸部の長さが長くなるように傾斜しており、前記凹部は、前記凸部が前記凹部内に配置された状態において前記凸部の前記表面と向かい合う表面を有している、[1]又は[2]に記載の軸受用保持器」であってもよい。この場合、凸部と凹部とが径方向に相対移動することにより第1部分と第2部分とが結合可能である構成を好適に実現することができる。
【0012】
本発明の軸受用保持器は、[6]「前記凸部は、前記凸部の先端に形成された第1傾斜面と、軸方向における一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の第2傾斜面と、を有し、前記第1傾斜面は、径方向の外側に向かうほど周方向における前記凸部の長さが短くなるように傾斜しており、前記一対の第2傾斜面は、径方向の外側に向かうほど軸方向における前記凸部の長さが短くなるように傾斜している、[1]又は[2]に記載の軸受用保持器」であってもよい。この場合、凸部と凹部とが径方向に相対移動することにより第1部分と第2部分とが結合可能である構成を好適に実現することができる。
【0013】
本発明の軸受は、[7]「前記本体部は、樹脂により形成されている、[1]~[6]のいずれかに記載の軸受用保持器」である。本体部が樹脂により形成されている場合、本体部が熱変形しやすいが、この軸受用保持器によれば、そのような場合でも、温度変化に起因する回転不良を抑制することができる。
【0014】
本発明の軸受は、[8]「[1]~[7]のいずれかに記載の軸受用保持器と、前記複数のポケットに配置された前記複数の転動体と、を備える軸受」である。この軸受によれば、上述した理由により、温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受の製造性を向上することができる。
【0015】
本発明の軸受は、[9]「金属により形成された外輪を更に備え、前記外輪は、前記軸受用保持器に対して径方向の外側に配置される円筒部と、前記円筒部における軸方向の両縁から径方向の内側にそれぞれ延在する一対のフランジ部と、を有する、[8]に記載の軸受」であってもよい。このような軸受においては外輪の内側に軸受用保持器を組み込む工程が複雑化し得るが、この軸受では、外輪の内側に軸受用保持器を容易に組み込むことができ、軸受の製造性を向上することが可能となる。
【0016】
本発明の軸受の製造方法は、[10]「[9]に記載の軸受の製造方法であって、前記円筒部及び前記一対のフランジ部を有する前記外輪を準備する準備工程と、前記準備工程の後に、前記外輪の内側に前記軸受用保持器を配置する配置工程と、を含む、軸受の製造方法」である。この軸受の製造方法によれば、上述した理由により、温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受の製造性を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、軸受用保持器、軸受、及び軸受の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】保持器における分割部の周辺部を示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿っての断面図である。
【
図6】第1部分と第2部分との結合方法を説明するための模式図である。
【
図7】(a)及び(b)は、実施形態に係る軸受の製造方法を説明するための図である。
【
図8】(a)、(b)及び(c)は、比較例に係る軸受の製造方法を説明するための図である。
【
図9】(a)は、第1変形例に係る保持器における第1部分を示す斜視図であり、(b)は、当該保持器における第2部分を示す斜視図である。
【
図10】第1変形例に係る保持器における分割部の側面図である。
【
図11】(a)は、第2変形例に係る保持器における第1部分部を示す斜視図であり、(b)は、当該保持器における第2部分を示す斜視図である。
【
図12】(a)は、第2変形例に係る保持器における分割部の側面図であり、(b)は、(a)のB-B線に沿っての断面図である。
【
図13】(a)は、第3変形例に係る保持器における第1部分を示す斜視図であり、(b)は、当該保持器における第2部分を示す斜視図である。
【
図14】(a)は、第3変形例に係る保持器における分割部の側面図であり、(b)は、(a)のB-B線に沿っての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0020】
図1に示されるように、軸受1は、複数のころ(転動体)2と、保持器(軸受用保持器)3と、外輪4と、を備えている。各ころ2は、この例では針状ころ(ニードル)であるが、例えば円筒ころ等の任意の形状のころであってよい。複数のころ2は、保持器3により転動自在に保持されており、周方向に沿って所定の間隔を空けて並んで配置されている。軸受1の使用時には、各ころ2は、径方向の力を受けながら、軸方向Aに平行な軸線を中心として回転する。
【0021】
保持器3は、樹脂材料により円筒状に形成された本体部3aを有している。この例では本体部3aにより保持器3の全体が構成されているため、以下、本体部3aを単に保持器3とも記す。保持器3を構成する樹脂材料としては、例えばポリアミド46(PA46)又はポリアミド66(PA66)等が挙げられる。保持器3には、複数のころ2がそれぞれ配置される複数のポケット31が形成されている。ポケット31は、ころ2を収容するための空間であり、保持器3を貫通する貫通穴により構成されている。ころ2が組み込まれた保持器3は、ケージアンドローラとも呼ばれる。
【0022】
保持器3は、分割部32において第1部分10と第2部分20とに分割された分割保持器である。第1部分10及び第2部分20は、周方向に沿って延在する部分である。分割部32は、軸方向Aに沿って延在しており、保持器3を周方向における一方側(例えば第1部分10の側)と他方側(例えば第2部分20の側)とに分割している。第1部分10と第2部分20とは分割部32において分離されているが、分割部32の反対側においては互いに一体化されている(繋がっている)。第1部分10及び第2部分20の詳細については後述する。
【0023】
外輪4は、金属材料により略コ字状の断面形状を有するように形成されたカップ部材である。外輪4は、円筒部41と、一対のフランジ部42と、を有している。円筒部41は、軸方向Aと平行な軸線を有し、保持器3に対して径方向の外側に配置されている。一対のフランジ部42は、円筒部41における軸方向Aの両縁から径方向の内側にそれぞれ延在している。各フランジ部42は、この例では円環平板状に形成されており、円筒部41から径方向の内側に真っ直ぐに延在している。軸受1の使用時には、例えば、取付対象の部品に外輪4の外周面を圧入して嵌合させることにより、軸受1の位置が固定される。外輪4は、ころ2がスムーズに回転するために必要な精度を取付対象の部品の表面が有していない場合等に用いられ得る。軸受1の使用時には、例えば、回転するシャフトが保持器3の内側に組み込まれる。
【0024】
図2~
図5を参照しつつ、第1部分10及び第2部分20について更に説明する。第1部分10は、周方向に沿って延在する本体部11と、本体部11から周方向に沿って突出した凸部12と、を有している。凸部12は、略板状に形成されており、径方向における本体部11の端面11aから周方向に沿って延在している。凸部12の先端面12aは、周方向に垂直な平坦面となっている。径方向において、凸部12は、本体部11の全体にわたって設けられている。径方向における凸部12の外表面12bは、径方向における本体部11の外表面11bと面一となっており(段差無く連なっており)、径方向における凸部12の内表面12cは、径方向における本体部11の内表面11cと面一となっている。そのため、凸部12の厚さ(径方向における長さ)は、本体部11の厚さ(径方向における長さ)と等しい。軸方向Aにおいて、凸部12は、本体部11の一部に設けられている。この例では、凸部12は、軸方向Aにおける本体部11の中央部に設けられている。そのため、凸部12の幅(軸方向Aにおける長さ)は、本体部11の幅(軸方向Aにおける長さ)よりも狭い。なお、
図2~
図5ではポケット31の図示が省略されているが、実際には第1部分10及び第2部分20にはポケット31が形成されている。
【0025】
凸部12は、軸方向Aにおける一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の傾斜部13を有している。各傾斜部13は、第1傾斜面14と、第1傾斜面14に対して径方向の外側に形成された第2傾斜面15と、を含んでいる。第2傾斜面15は、第1傾斜面14と連続している。第1傾斜面14は、径方向の外側に向かうほど凸部12の幅が広くなるように傾斜している。第2傾斜面15は、径方向の外側に向かうほど凸部12の幅が狭くなるように傾斜している。これにより、軸方向Aにおける凸部12の両側には、軸方向Aの外側に向けて突出した突出部16が形成されている。
【0026】
第2部分20は、周方向に沿って延在する本体部21を有している。本体部21には、凸部12に対応した形状(凸部12と相似な形状)の凹部22が形成されている。すなわち、凸部12と凹部22とは、互いに入れ子形状となっている。凹部22は、径方向における本体部21の端面21aから周方向に沿って窪んでいる。凹部22の底面22aは、周方向に垂直な平坦面となっている。凹部22は、径方向において本体部21の全体にわたって設けられており、径方向における両側に開口している。軸方向Aにおいて、凹部22は、本体部21の一部に設けられている。この例では、凹部22は、軸方向Aにおける本体部21の中央部に設けられている。そのため、凹部22の幅(軸方向Aにおける長さ)は、本体部21の幅(軸方向Aにおける長さ)よりも狭い。
【0027】
凹部22は、軸方向Aにおける一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の傾斜部23を有している。各傾斜部23は、第1傾斜面24と、第1傾斜面24に対して径方向の外側に形成された第2傾斜面25と、を含んでいる。第2傾斜面25は、第1傾斜面24と連続している。第1傾斜面24は、径方向の外側に向かうほど凹部22の幅が広くなるように傾斜している。第2傾斜面25は、径方向の外側に向かうほど凹部22の幅が狭くなるように傾斜している。これにより、軸方向Aにおける凹部22の両側には、軸方向Aの外側に向けて窪んだ窪み部26が形成されている。
【0028】
図2及び
図3に示されるように、保持器3では、凸部12が凹部22内に配置されることにより、第1部分10と第2部分20とが分割部32において結合されている。この結合状態においては、凸部12の先端面12aが凹部22の底面22aと所定の間隔を空けて向かい合っている。また、凸部12の第1傾斜面14が凹部22の第1傾斜面24と所定の間隔を空けて向かい合っていると共に、凸部12の第2傾斜面15が凹部22の第2傾斜面25と所定の間隔を空けて向かい合っている。凸部12の突出部16が凹部22の窪み部26内に配置されており、これにより、凸部12が径方向に移動して凹部22から脱落することが防止されている。
【0029】
保持器3では、第1部分10と第2部分20とは、互いに分離された状態から、凸部12と凹部22とが周方向に相対移動することにより、互いに結合可能となっている。例えば、凸部12と凹部22とを周方向に相対移動させて凸部12を凹部22内に進入させることで、第1部分10と第2部分20とを結合させることができる。この際には、例えば凸部12の傾斜部13を凹部22の傾斜部23によって案内しつつ、凸部12を凹部22上でスライド移動させることができる。また、第1部分10と第2部分20とは、互いに結合された状態から、凸部12と凹部22とが離れるように周方向に相対移動することにより、互いに分離可能となっている。すなわち、保持器3では、第1部分10と第2部分20とが結合された状態から、第1部分10と第2部分20とが(凸部12と凹部22とが)離れるように周方向に移動することが許容されている。
【0030】
更に、保持器3では、第1部分10と第2部分20とは、互いに分離され且つ凸部12が凹部22と径方向において重なった状態から、凸部12と凹部22とが径方向に相対移動することにより、互いに結合可能となっている。すなわち、
図6に示されるように第1部分10と第2部分20とが互いに分離され且つ凸部12が凹部22と径方向において重なった状態から、凸部12と凹部22とを互いに近づくように径方向に相対移動させることで、第1部分10と第2部分20とを結合させることができる。この際には、例えば、凸部12の突出部16が凹部22内に押し込まれることで凸部12及び凹部22の少なくとも一方が変形し、凸部12の突出部16が凹部22の窪み部26内にスライドして入り込む。これにより、第1部分10と第2部分20とが結合される。突出部16が窪み部26内に配置されていることにより、第1部分10と第2部分20とは、互いに結合された状態から、凸部12と凹部22との径方向における相対移動によっては互いに分離不可となっている(分離可能となっていない)。
【0031】
図7は、実施形態に係る軸受1の製造方法を説明するための図である。
図7に示されるように、実施形態に係る軸受1の製造方法では、まず、円筒部41及び一対のフランジ部42を有する外輪4を準備する(準備工程)。準備工程では、例えば、金属素材をプレス成形することにより外輪4を形成する。このプレス成形時に円筒部材の両端を折り曲げることにより、一対のフランジ部42を形成する。なお、成形方法はプレス成形に限られず、他の成形方法が用いられてもよい。
【0032】
続いて、外輪4の内側に保持器3を配置する(配置工程)。配置工程では、まず、ポケット31にころ2が配置された保持器3を準備する。この状態の保持器3においては、例えば、第1部分10と第2部分20とが分割部32において分離され、第1部分10と第2部分20の端部が重なって縮径された状態となっている。続いて、保持器3をフランジ部42を通過させて外輪4の内側に配置し(組み込み)、第1部分10と第2部分20とを結合させる。例えば、
図6に示されるように保持器3が外輪4(円筒部41)の内側に配置された状態から、凸部12と凹部22とを互いに近づくように径方向に相対移動させることにより、第1部分10と第2部分20とを結合させる。このように、実施形態に係る軸受1の製造方法では、保持器3を分割部32において重ね合わせて結合させる(ラップ収縮させる)ことで外輪4に組み込む。以上の工程により、軸受1が得られる。
【0033】
図8は、比較例に係る軸受101の製造方法を説明するための図である。比較例に係る軸受101の製造方法では、まず、円筒部141のみを有する外輪104を準備する。この外輪104は、例えばプレス成形により形成されるが、このプレス成形時には円筒部141の両端が折り曲げられずに片側(図中の奥側)のみが折り曲げられている。続いて、外輪104の内側に、ころ102が組み込まれた保持器103を配置する。保持器103は、実施形態の保持器3とは異なり、分割部を有さず、鉄等の金属材料により円筒状に形成されている。続いて、外輪104を加熱して折り曲げる折り曲げ工程が実施され、外輪104に円筒部141の両端から径方向の内側に延在する一対のフランジ部142が形成される。以上の工程により、軸受101が得られる。
【0034】
比較例に係る軸受101の製造方法では、保持器103が分割型ではないため、保持器103を外輪104の内側に配置した後に折り曲げ工程により外輪104にフランジ部142を形成する必要がある。これに対し、実施形態に係る軸受1の製造方法では、フランジ部42を有する外輪4の内側に保持器3を配置することができるため、プレス成形時に外輪4を折り曲げてフランジ部42を形成することができ、折り曲げ工程を省略することが可能となる。折り曲げ工程を省略することができると、製造を簡単化することができる点に加えて、折り曲げ工程中に熱により樹脂性の保持器3が変形してしまう事態を抑制することができる点でも有利である。
[作用及び効果]
【0035】
保持器3では、第1部分10と第2部分20とが、互いに分離され且つ凸部12が凹部22と径方向において重なった状態から、凸部12と凹部22とが径方向に相対移動することにより互いに結合可能となっている。これにより、例えば、円筒部41及びフランジ部42を有する外輪4の内側に保持器3を容易に組み込むことができ、軸受1の製造性を向上することが可能となる。また、保持器3では、第1部分10と第2部分20とが、互いに分離された状態から、凸部12と凹部22とが周方向に相対移動することにより互いに結合可能となっている。このような保持器3では第1部分10と第2部分20との間(凸部12と凹部22との間)の周方向における相対移動が許容されることから、温度変化により保持器3が熱変形(収縮又は膨張)した場合でも、ころ2を押圧して軸受1のスムーズな回転が阻害されることを抑制することができる。よって、保持器3によれば、温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受1の製造性を向上することができる。また、第1部分10と第2部分20とが分割部32において相互の径方向移動を制約する態様で結合されているため、保持器3にダレ(保持器3が径方向の内側に突出してしまう状態)が発生することを抑制することができ、保持器3の内側にシャフトを容易に組み込むことができる(シャフトの挿入性を向上することができる)。保持器3のダレは、ころ2や保持器3の重さによって発生し、ころ2の数が多い場合に特に発生しやすくなる。
【0036】
第1部分10と第2部分20とが、互いに結合された状態から、凸部12と凹部22とが周方向に相対移動することにより互いに分離可能となっている。これにより、第1部分10と第2部分20との間の周方向における相対移動が許容され、温度変化により保持器3が熱変形した場合でも軸受1のスムーズな回転が阻害されることを抑制することができる。
【0037】
凸部12が、軸方向Aにおける一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の傾斜部13を有している。各傾斜部13が、第1傾斜面14と、第1傾斜面14に対して径方向の外側に形成された第2傾斜面15と、を含んでいる。第1傾斜面14は、径方向の外側に向かうほど軸方向Aにおける凸部12の長さが長くなるように傾斜している。第2傾斜面15は、径方向の外側に向かうほど軸方向Aにおける凸部12の長さが短くなるように傾斜している。これにより、凸部12と凹部22とが径方向に相対移動することにより第1部分10と第2部分20とが結合可能である構成を好適に実現することができる。
【0038】
軸受1は、保持器3と、複数のポケット31に配置された複数のころ2と、を備えている。軸受1によれば、上述した理由により、温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受1の製造性を向上することができる。
【0039】
軸受1は、金属により形成された外輪4を備えており、外輪4は、保持器3に対して径方向の外側に配置される円筒部41と、円筒部41における軸方向Aの両縁から径方向の内側にそれぞれ延在する一対のフランジ部42と、を有している。このような軸受においては外輪4の内側に保持器3を組み込む工程が複雑化し得るが、軸受1では、外輪4の内側に保持器3を容易に組み込むことができ、軸受1の製造性を向上することが可能となる。
【0040】
実施形態に係る軸受1の製造方法は、円筒部41及び一対のフランジ部42を有する外輪4を準備する準備工程と、準備工程の後に、外輪4の内側に保持器3を配置する配置工程と、を含んでいる。実施形態に係る軸受1の製造方法によれば、上述した理由により、温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受1の製造性を向上することができる。また、上述したとおり、折り曲げ工程を省略することが可能となる。
[変形例]
【0041】
図9及び
図10に示される第1変形例では、凸部12が、軸方向Aにおける本体部11の全体にわたって設けられている。凸部12の先端面12aには、第1傾斜面51及び第2傾斜面52が形成されている。第2傾斜面52は、第1傾斜面51と連続するように第1傾斜面51に対して径方向の外側に形成されている。第1傾斜面51は、径方向の外側に向かうほど周方向における凸部12の長さが長くなるように傾斜している。第2傾斜面52は、径方向の外側に向かうほど周方向における凸部12の長さが短くなるように傾斜している。
【0042】
第1変形例では、凹部22が、軸方向Aにおける本体部21の全体にわたって設けられている。凹部22は、第1傾斜面61と、第1傾斜面61と連続するように第1傾斜面61に対して径方向の外側に形成された第2傾斜面62と、を有している。第1傾斜面61は、径方向の外側に向かうほど周方向における凹部22の長さが長くなるように(凹部22の深さが深くなるように)傾斜している。第2傾斜面62は、径方向の外側に向かうほど周方向における凹部22の長さが短くなるように(凹部22の深さが浅くなるように)傾斜している。
【0043】
第1変形例の保持器3においても、第1部分10と第2部分20とは、互いに分離された状態から、凸部12と凹部22とが周方向に相対移動することにより互いに結合可能となっていると共に、互いに分離され且つ凸部12が凹部22と径方向において重なった状態から、凸部12と凹部22とが径方向に相対移動することにより互いに結合可能となっている。結合状態においては、凸部12の第1傾斜面51及び第2傾斜面52が、凹部22の第1傾斜面61及び第2傾斜面62とそれぞれ所定の間隔を空けて向かい合う。
【0044】
このような第1変形例によっても、上記実施形態の場合と同様に、温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受1の製造性を向上することができる。また、凸部12が、凸部12の先端に形成された第1傾斜面51及び第2傾斜面52を有し、第2傾斜面が、第1傾斜面51に対して径方向の外側に形成されており、第1傾斜面51が、径方向の外側に向かうほど周方向における凸部12の長さが長くなるように傾斜しており、第2傾斜面52が、径方向の外側に向かうほど周方向における凸部12の長さが短くなるように傾斜している。これにより、凸部12と凹部22とが径方向に相対移動することにより第1部分10と第2部分20とが結合可能である構成を好適に実現することができる。
【0045】
図11及び
図12に示される第2変形例では、凸部12が、軸方向Aにおける一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の傾斜面53と、径方向の外側を向いた表面54と、を有している。一対の傾斜面53は、径方向の外側に向かうほど軸方向Aにおける凸部12の長さが長くなるように傾斜している。これにより、凸部12の周方向に垂直な断面は台形状となっている。第2変形例では、凸部12は、本体部11における径方向の内側の一部に設けられており、表面54は、本体部11の外表面11bと面一となっておらず、表面54と外表面11bとの間には段差部が形成されている。
【0046】
凹部22は、軸方向Aにおける一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の傾斜面63と、一対の傾斜面63と連続する表面64と、を有している。一対の傾斜面63は、径方向の外側に向かうほど軸方向Aにおける凹部22の長さが長くなるように傾斜している。
【0047】
第2変形例の保持器3においても、第1部分10と第2部分20とは、互いに分離された状態から、凸部12と凹部22とが周方向に相対移動することにより互いに結合可能となっていると共に、互いに分離され且つ凸部12が凹部22と径方向において重なった状態から、凸部12と凹部22とが径方向に相対移動することにより互いに結合可能となっている。結合状態においては、凸部12の一対の傾斜面53が凹部22の一対の傾斜面63とそれぞれ所定の間隔を空けて向かい合うと共に、凸部12の表面54と凹部22の表面64とが所定の間隔を空けて向かい合う。
【0048】
このような第2変形例によっても、上記実施形態の場合と同様に、温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受1の製造性を向上することができる。また、凸部12が、軸方向Aにおける一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の傾斜面53と、径方向の外側を向いた表面54と、を有し、一対の傾斜面53が、径方向の外側に向かうほど軸方向Aにおける凸部12の長さが長くなるように傾斜しており、凹部22が、凸部12が凹部22内に配置された状態において凸部12の表面54と向かい合う表面64を有している。これにより、凸部12と凹部22とが径方向に相対移動することにより第1部分10と第2部分20とが結合可能である構成を好適に実現することができる。
【0049】
図13及び
図14に示される第3変形例では、凸部12が、先端面12aに形成された第1傾斜面55と、軸方向Aにおける一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の第2傾斜面56と、を有している。第1傾斜面55は、径方向の外側に向かうほど周方向における凸部12の長さが短くなるように傾斜している。一対の第2傾斜面56は、径方向の外側に向かうほど軸方向Aにおける凸部12の長さが短くなるように傾斜している。
【0050】
凹部22は、第1傾斜面65と、軸方向Aにおける一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の第2傾斜面66と、を有している。第1傾斜面65は、径方向の外側に向かうほど周方向における凹部22の長さが短くなるように(凹部22の深さが浅くなるように)傾斜している。一対の第2傾斜面66は、径方向の外側に向かうほど軸方向Aにおける凹部22の長さが短くなるように傾斜している。
【0051】
第3変形例の保持器3においても、第1部分10と第2部分20とは、互いに分離された状態から、凸部12と凹部22とが周方向に相対移動することにより互いに結合可能となっていると共に、互いに分離され且つ凸部12が凹部22と径方向において重なった状態から、凸部12と凹部22とが径方向に相対移動することにより互いに結合可能となっている。結合状態においては、凸部12の第1傾斜面55が凹部22の第1傾斜面65と所定の間隔を空けて向かい合うと共に、凸部12の一対の第2傾斜面56と凹部22の一対の第2傾斜面66とがそれぞれ所定の間隔を空けて向かい合う。
【0052】
このような第3変形例によっても、上記実施形態の場合と同様に、温度変化に起因する回転不良を抑制することができると共に、軸受1の製造性を向上することができる。また、凸部12が、先端面12aに形成された第1傾斜面55と、軸方向Aにおける一方側及び他方側にそれぞれ形成された一対の第2傾斜面56と、を有し、第1傾斜面55が、径方向の外側に向かうほど周方向における凸部12の長さが短くなるように傾斜しており、一対の第2傾斜面56が、径方向の外側に向かうほど軸方向Aにおける凸部12の長さが短くなるように傾斜している。これにより、凸部12と凹部22とが径方向に相対移動することにより第1部分10と第2部分20とが結合可能である構成を好適に実現することができる。
【0053】
本発明は、上記実施形態及び変形例に限られない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。軸受1は、外輪4を備えていなくてもよい。保持器3は、本体部3a以外の部分を備えていてもよく、例えば金属により形成された部分を更に含んでいてもよい。本体部3aは、樹脂以外の材料により形成されていてもよく、例えば金属により形成されていてもよい。本体部3aは、分割部32を複数有していてもよい。すなわち、上記実施形態では本体部3aが1つの分割部32において周方向における一方側と他方側とに分割されていたが、本体部3aは、複数の分割部32の各々において周方向における一方側と他方側とに分割されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…軸受、2…ころ(転動体)、3…保持器(軸受用保持器)、3a…本体部、4…外輪、10…第1部分、12…凸部、13…傾斜部、14…第1傾斜面、15…第2傾斜面、20…第2部分、22…凹部、31…ポケット、32…分割部、41…円筒部、42…フランジ部、51…第1傾斜面、52…第2傾斜面、53…傾斜面、54…表面、55…第1傾斜面、56…第2傾斜面、64…表面、A…軸方向。