(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153902
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画像読み取り装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241022BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/00 L
B65H5/06 J
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024129758
(22)【出願日】2024-08-06
(62)【分割の表示】P 2020155382の分割
【原出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小柳 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】野本 耕佑
(72)【発明者】
【氏名】阿南 彰
(72)【発明者】
【氏名】坂元 直樹
(72)【発明者】
【氏名】別府 航
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の長さの媒体を排出スタッカーに整列性良くスタックさせる画像読み取り装置を提供する。
【解決手段】搬送方向長さが異なる媒体の画像を連続して読み取り可能な画像読み取り装置であって、搬送駆動ローラー及び排出駆動ローラーを駆動する駆動部により媒体を第1速度で連続して搬送させる場合、媒体検出部の検出結果に基づき搬送方向の媒体の長さを判定し、先行媒体の長さが閾値以上と判定した後、後続媒体の長さが閾値以上と判定した場合、媒体を排出する排出速度を第1速度から第1速度未満の第2速度に減速する弱減速制御を行い、先行媒体の長さが閾値以上と判定した後、後続媒体の長さが閾値未満と判定した場合、排出速度を第1速度から第2速度よりも遅い第3速度に減速する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向における長さが異なる媒体の画像を連続して読み取ることが可能な画像読み取り装置であって、
駆動部によって、媒体の搬送路において媒体を第1速度で搬送する搬送部と、
前記搬送路において前記第1速度で搬送される媒体の画像を読み取る読み取り部と、
前記駆動部によって、前記読み取り部で画像が読み取られた媒体を排出スタッカーに排出する排出部と、
媒体の有無を検出する媒体検出部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記制御部は、前記搬送部によって媒体を連続して搬送させる場合、前記媒体検出部の検出結果に基づき、搬送方向における媒体の長さを判定し、
先行媒体の長さが閾値以上と判定された後、後続媒体の長さが前記閾値以上と判定されたら、媒体を排出する排出速度を、前記第1速度から、前記第1速度未満の第2速度に減速する弱減速制御を行い、
先行媒体の長さが閾値以上と判定された後、後続媒体の長さが前記閾値未満と判定されたら、前記排出速度を、前記第1速度から、前記第2速度よりも遅い第3速度に減速する強減速制御を行う、
ことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読み取り装置において、
前記閾値は、媒体の排出方向における前記排出部の排出位置から前記排出スタッカーとの接触位置までの長さであることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像読み取り装置において、
前記搬送部が前記第1速度よりも遅い第4速度で媒体を搬送し、前記読み取り部が前記搬送路において前記第4速度で搬送される媒体の画像を読み取る低速搬送モードを有し、 前記制御部は、低速搬送モードが選択された場合は、第4速度で媒体を前記排出スタッカーに排出するよう前記駆動部を制御することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記制御部は、前記搬送部によって一連の媒体を連続して搬送させる場合、一度強減速制御が採用された後はその後の前記一連の媒体についてずっと強減速制御を実行することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記制御部は、前記搬送部によって一連の媒体を連続して搬送させる場合、一度強減速制御が採用された後のその後の前記一連の媒体について1枚ごとに搬送方向における媒体の長さが閾値以上か否かを判断し、搬送方向における媒体の長さが閾値以上の媒体については弱減速制御を実行し、搬送方向における媒体の長さが閾値未満の媒体については強減速制御を実行することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の画像読み取り装置において、
前記制御部は、前記搬送部によって一連の媒体を連続して搬送させた後にさらに一連の媒体を連続して搬送させる場合、一連の媒体ごとに弱減速制御及び強減速制御の切り替え判断を実行することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記搬送部は、媒体を透明ケースに収容して搬送可能であり、
前記媒体検出部として、透明ケースの搬送位置に基づいて搬送方向における媒体の長さを検出する透明ケース検出部を有することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記媒体検出部として、前記搬送路を搬送される媒体の搬送方向における媒体の端部の位置を検出する媒体端部検出部を有することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記搬送方向における媒体の長さは、媒体が斜行搬送されることで増加する長さ分を見込んだ長さとなっていることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記搬送路に媒体を給送する給送部を備え、
前記制御部は、前記読み取り部で画像の読み取りが行われた媒体が前記排出部により前記排出スタッカーに排出される前に、新たな媒体が前記読み取り部による読み取り位置に至ることがないように、前記給送部を制御して前記新たな媒体を給送させることを特徴とする画像読み取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排出部から排出された媒体を排出スタッカーにスタックする様々な構成の画像読み取り装置が使用されている。例えば、特許文献1には、排出部としての第1搬送ローラー及び第2搬送ローラーから排出された原稿を排紙トレイにスタックする構成の画像読取装置が開示されている。特許文献1の画像読取装置は、原稿の長さに応じて原稿の搬送速度を可変である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の画像読取装置のように、複数の長さの媒体を搬送可能な画像読み取り装置においては、複数の長さの媒体を排出スタッカーに整列性良くスタックさせることが困難である。特許文献1の画像読取装置は、原稿の長さに応じて原稿の画像を読み取る際の原稿の搬送速度を変更しているが、原稿の画像を読み取る際の搬送速度に対して排出スタッカーにスタックする際の排出速度を低減させないと媒体を排出スタッカーに整列性良くスタックさせることが困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の画像読み取り装置は、搬送方向における長さが異なる媒体の画像を連続して読み取ることが可能な読み取り装置であって、駆動部によって、媒体の搬送路において媒体を第1速度で搬送する搬送部と、前記搬送路において前記第1速度で搬送される媒体の画像を読み取る読み取り部と、前記駆動部によって、前記読み取り部で画像が読み取られた媒体を排出スタッカーに排出する排出部と、媒体の有無を検出する媒体検出部と、前記駆動部を制御する制御部と、前記制御部は、前記搬送部によって媒体を連続して搬送させる場合、前記媒体検出部の検出結果に基づき、搬送方向における媒体の長さを判定し、先行媒体の長さが閾値以上と判定された後、後続媒体の長さが前記閾値以上と判定されたら、媒体を排出する排出速度を、前記第1速度から、前記第1速度未満の第2速度に減速する弱減速制御を行い、先行媒体の長さが閾値以上と判定された後、後続媒体の長さが前記閾値未満と判定されたら、前記排出速度を、前記第1速度から、前記第2速度よりも遅い第3速度に減速する強減速制御を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】前面カバーを開いた状態のスキャナーを前方から視た外観斜視図。
【
図3】スキャナーの原稿搬送経路を幅方向から視た断面図。
【
図6】スキャナーの排出部及び排出スタッカーを幅方向から視た断面図。
【
図8】スキャナーの排出フローの一例を表すフローチャート。
【
図9】搬送ローラー及び排出ローラーの回転速度を表すグラフ。
【
図10】
図8とは別のスキャナーの排出フローの一例を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る画像読み取り装置は、搬送方向における長さが異なる媒体の画像を連続して読み取ることが可能な読み取り装置であって、駆動部によって、媒体の搬送路において媒体を第1速度で搬送する搬送部と、前記搬送路において前記第1速度で搬送される媒体の画像を読み取る読み取り部と、前記駆動部によって、前記読み取り部で画像が読み取られた媒体を排出スタッカーに排出する排出部と、媒体の有無を検出する媒体検出部と、前記駆動部を制御する制御部と、前記制御部は、前記搬送部によって媒体を連続して搬送させる場合、前記媒体検出部の検出結果に基づき、搬送方向における媒体の長さを判定し、先行媒体の長さが閾値以上と判定された後、後続媒体の長さが前記閾値以上と判定されたら、媒体を排出する排出速度を、前記第1速度から、前記第1速度未満の第2速度に減速する弱減速制御を行い、先行媒体の長さが閾値以上と判定された後、後続媒体の長さが前記閾値未満と判定されたら、前記排出速度を、前記第1速度から、前記第2速度よりも遅い第3速度に減速する強減速制御を行うことを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、搬送部によって媒体を連続して搬送させる場合、媒体検出部の検出結果に基づき、閾値以上の長さの媒体を検出しその後に閾値未満の長さの媒体を検出するまでの期間においては画像を読み取る際の媒体の搬送速度である第1速度以下の第2速度で媒体を排出スタッカーに排出する。そして、閾値以上の長さの媒体を検出しその後に閾値未満の長さの媒体を検出してからの期間においては第2速度よりもさらに遅い第3速度で媒体を排出スタッカーに排出する。すなわち、画像を読み取る際の媒体の搬送速度よりも遅い速度で媒体を排出することを前提とし、長い長さの媒体を排出した後に短い長さの媒体を排出する際は、その後に排出される媒体を強減速させて排出する。媒体の排出速度を遅くするほど、媒体1枚当たりの画像の読み取り処理にかかる時間が長くなるが、排出スタッカーに整列性良くスタックさせることができる。ここで、長い長さの媒体を排出した後に短い長さの媒体を排出すると、排出スタッカーに整列性良く媒体をスタックさせることは困難となりがちである。これは、媒体1枚当たりの画像の読み取り処理時間が長くなりすぎないようにするためすべての媒体の排出速度を遅くしすぎることはできず、また、整列性良くスタックさせやすい長い長さの媒体の排出速度を維持したまま短い長さの媒体を排出してしまうと短い長さの媒体のみ整列性が悪化しやすくなるためである。そこで、異なる長さの媒体を排出させる場合において、これらの媒体を必要に応じて強減速させて排出することで整列性の悪化を抑制できる。したがって、本態様によれば、複数の長さの媒体を排出スタッカーに整列性良くスタックさせることができる。
【0009】
第2の態様の画像読み取り装置は、第1の態様において、前記閾値は、媒体の排出方向における前記排出部の排出位置から前記排出スタッカーとの接触位置までの長さであることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、閾値は媒体の排出方向における排出部の排出位置から排出スタッカーとの接触位置までの長さである。例えば、腰の強い媒体を使用した場合などにおいては、媒体の長さが媒体の排出方向における排出部の排出位置から排出スタッカーとの接触位置までの長さを超えると、排出部と排出スタッカーとの間で媒体が引っ掛かり排出不良を生じる場合がある。そして、このような排出不良は、排出速度が遅くなるほど生じやすくなる。そこで、本態様によれば、排出不良が生じやすい条件で媒体を排出することを抑制することができる。また、媒体が排紙時に排出スタッカーに届かない長さならば排紙時に散らばりやすくなるが、排出スタッカーに届く長さならば排紙中にスタッカーに接触している部分がブレーキ力を発生して媒体が散らばらないという効果もある。
【0011】
第3の態様の画像読み取り装置は、第1または第2の態様において、前記搬送部が前記第1速度よりも遅い第4速度で媒体を搬送し、前記読み取り部が前記搬送路において前記第4速度で搬送される媒体の画像を読み取る低速搬送モードを有し、前記制御部は、低速搬送モードが選択された場合は、第4速度で媒体を前記排出スタッカーに排出するよう前記駆動部を制御することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、低速搬送モードが選択された場合は、第4速度で媒体を排出スタッカーに排出する。第4速度は第1速度よりも遅いので、媒体を排出スタッカーに整列性良くスタックできない可能性を低く抑えることができる。
【0013】
第4の態様の画像読み取り装置は、第1から第3のいずれか1つの態様において、前記制御部は、前記搬送部によって一連の媒体を連続して搬送させる場合、一度強減速制御が採用された後はその後の前記一連の媒体についてずっと強減速制御を実行することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、一連の媒体を連続して搬送させる場合、一度強減速制御が採用された後はその後の一連の媒体についてずっと強減速制御を実行する。このため、制御を簡略化でき、制御部への負荷を低減できる。
【0015】
第5の態様の画像読み取り装置は、第1から第3のいずれか1つの態様において、前記制御部は、前記搬送部によって一連の媒体を連続して搬送させる場合、一度強減速制御が採用された後のその後の前記一連の媒体について1枚ごとに搬送方向における媒体の長さが閾値以上か否かを判断し、搬送方向における媒体の長さが閾値以上の媒体については弱減速制御を実行し、搬送方向における媒体の長さが閾値未満の媒体については強減速制御を実行することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、一連の媒体を連続して搬送させる場合、1枚ごとに搬送方向における媒体の長さが閾値以上か否かを判断し、搬送方向における媒体の長さが閾値以上の媒体については弱減速制御を実行し、搬送方向における媒体の長さが閾値未満の媒体については強減速制御を実行する。このため、媒体の長さを個別に判断し、整列性を悪化させやすい媒体の長さが閾値未満の媒体についてのみ強減速制御を実行することで、媒体の排出速度の低下に伴う一連の媒体の読み取り処理にかかる時間の増大を抑制することができる。
【0017】
第6の態様の画像読み取り装置は、第4または第5の態様において、前記制御部は、前記搬送部によって一連の媒体を連続して搬送させた後にさらに一連の媒体を連続して搬送させる場合、一連の媒体ごとに弱減速制御及び強減速制御の切り替え判断を実行することを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、搬送部によって一連の媒体を連続して搬送させた後にさらに一連の媒体を連続して搬送させる場合、一連の媒体ごとに弱減速制御及び強減速制御の切り替え判断をする。すなわち、複数回分のジョブを実行する場合、1回分のジョブごとに設定をリセットしながら複数回分のジョブを実行することで、各々のジョブにおいて適切に媒体の排出速度を選択することができる。
【0019】
第7の態様の画像読み取り装置は、第1から第6のいずれか1つの態様において、前記搬送部は、媒体を透明ケースに収容して搬送可能であり、前記媒体検出部として、透明ケースの搬送位置に基づいて搬送方向における媒体の長さを検出する透明ケース検出部を有することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、媒体を透明ケースに収容して搬送することで搬送しづらい媒体の搬送が容易となるとともに、透明ケースに媒体を収容して搬送した場合においても正確に媒体の長さを検出することができる。
【0021】
第8の態様の画像読み取り装置は、第1から第7のいずれか1つの態様において、前記媒体検出部として、前記搬送路を搬送される媒体の搬送方向における媒体の端部の位置を検出する媒体端部検出部を有することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、搬送方向における媒体の端部の位置を検出する媒体端部検出部を有する。このため、搬送方向における媒体の両端部の位置を検出することで、簡単に媒体の長さを検出することができる。
【0023】
第9の態様の画像読み取り装置は、第1から第8の態様のいずれか1つにおいて、前記搬送方向における媒体の長さは、媒体が斜行搬送されることで増加する長さ分を見込んだ長さとなっていることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、搬送方向における媒体の長さは、媒体が斜行搬送されることで増加する長さ分を見込んだ長さとなっている。このため、媒体が斜行搬送された場合であっても、連続して搬送される媒体が重なることで媒体の搬送不良や画像の読み取り不良などが生じることを抑制できる。
【0025】
第10の態様の画像読み取り装置は、第1から第9の態様のいずれか1つにおいて、前記搬送路に媒体を給送する給送部を備え、前記制御部は、前記読み取り部で画像の読み取りが行われた媒体が前記排出部により前記排出スタッカーに排出される前に、新たな媒体が前記読み取り部による読み取り位置に至ることがないように、前記給送部を制御して前記新たな媒体を給送させることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、読み取り部で画像の読み取りが行われた媒体が排出部により排出スタッカーに排出される前に、新たな媒体が読み取り部による読み取り位置に至ることがないように、新たな媒体を給送させる。このため、連続して搬送される媒体が重なることで媒体の搬送不良や画像の読み取り不良などが生じることを抑制できる。
【0027】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では、画像読み取り装置の一例として、媒体の一例である原稿Mの表面及び裏面のうち少なくとも一面を読み取り可能なスキャナー1を例に挙げる。スキャナー1は、読み取り手段に対して原稿Mを移動させつつ読み取りを行う、所謂ドキュメントスキャナーである。
【0028】
なお、各図において示すX-Y-Z座標系は、X軸方向が装置幅方向であり原稿幅方向でもある。Y軸方向は装置奥行き方向であり、水平方向に沿った方向である。Z軸方向は鉛直方向に沿った方向である。また、V軸方向は原稿送り方向であり、原稿Mの搬送路である原稿搬送経路Tに平行な方向であって、装置の姿勢によって特にY軸方向及びZ軸方向との成す角度が変化する。また、V軸方向は、原稿Mである媒体の排出方向にも概ね対応する。本実施形態では、+Y方向を装置背面から前面に向かう方向とし、-Y方向を装置前面から背面に向かう方向とする。また、装置前面から見て左を+X方向、右を-X方向とする。また、以下では原稿Mが搬送されていく方向(+V方向)を「下流」といい、これと反対の方向(-V方向)を「上流」という場合がある。
【0029】
最初に、
図1から
図4を参照して、本実施形態のスキャナー1の概要について説明する。
図1から
図4において、スキャナー1は、装置本体部2と、装置本体部2を回転可能に支持する支持台5とを備えている。装置本体部2は、下部ユニット3、及び上部ユニット4を備えて構成されている。上部ユニット4は、
図4で表されるように、下部ユニット3に対して回転軸30を中心に回転することで開閉可能に設けられており、上部ユニット4を装置前方に開くことで後述する原稿搬送経路Tを露呈させることができる。
【0030】
装置本体部2を構成する下部ユニット3は、支持台5を構成するアーム部5aに対して回転軸5bを介して回転可能に設けられ、回転することにより姿勢変化可能に構成されている。本実施形態に係るスキャナー1の装置本体部2は、姿勢変化可能であるとともに不図示の姿勢保持手段によって3つの姿勢を保持可能に構成されており、3つの姿勢のうち2つは原稿読み取り時の姿勢であり、残る1つが非使用時の姿勢である。
図4の中央及び下に示す姿勢は、原稿読み取り時の姿勢の一つであり、
図4の中央の図が第1読み取り姿勢であり
図4の下の図が第2読み取り姿勢である。また
図4の上の図は、非使用時の姿勢である。非使用時の姿勢では、スキャナー1の載置面への投影面積が最も小さくなり、より具体的にはY軸方向の占有スペースが最も小さくなる姿勢となる。
【0031】
第1読み取り姿勢では、非使用時の姿勢よりも前記投影面積が増え、第2読み取り姿勢では、第1読み取り姿勢よりも前記投影面積が増える。また、第1読み取り姿勢では、原稿送り方向である+V方向が斜め下方向を向き、第2読み取り姿勢では、+V方向がほぼ水平方向となる。尚、本実施形態において第2読み取り姿勢では+V方向がほぼ水平方向となるが、必ずしも水平方向に限らず、第1読み取り姿勢よりも+V方向が水平方向に近づく姿勢であっても良い。
【0032】
装置本体部2の各姿勢は、不図示の保持手段によって保持可能であり、また不図示の解除レバーにより姿勢保持状態を解除できる様に構成されている。また、装置本体部2の各姿勢は、不図示の姿勢検出部によって検知可能に構成されている。
【0033】
上部ユニット4は前面カバー19を備え、下部ユニット3は上面カバー10を備えている。前面カバー19は、下部ユニット3及び上部ユニット4に対して回転軸30を中心に回転可能に設けられており、回転することで、
図1に示す様に閉じた状態と、
図2に示す様に開いた状態とを取り得る。前面カバー19は、開くことで、読み取りが行われて排出される原稿Mを受ける排出トレイとして機能する。別の表現をすると、排出トレイとしての前面カバー19は、画像が読み取られた後の原稿Mを複数枚スタックすることが可能な排出スタッカーとしての役割を兼ねている。
【0034】
上部ユニット4は、上面に、
図2に示す様に各種読み取り設定や読み取り実行の操作を行い、また読み取り設定内容等を示す為のユーザーインターフェースが実現される操作パネル7を備えている。操作部としての操作パネル7は、本実施形態では表示と入力の双方が行える所謂タッチパネルであり、各種操作を行う為の操作部と、各種情報を表示する為の表示部とを兼ねる。操作パネル7は、前面カバー19を開くことで露呈する。
【0035】
下部ユニット3に設けられた上面カバー10は、下部ユニット3に対して回転可能に設けられており、回転することで、
図1に示す様に閉じた状態と、
図2及び
図3に示す様に開いた状態と、を取り得る。上面カバー10は、開くことで、給送される原稿Mを支持する原稿支持トレイとして機能する。
図2で表されるように、原稿Mのサイドエッジをガイドするエッジガイド12a及び12bを備えている。装置本体部2の上部には装置本体部2内部に連なる給送口6が設けられており、上面カバー10に載置される原稿Mは、給送口6から装置本体部2内部に向けて送られる。
【0036】
次に、主として
図3を参照して、スキャナー1における原稿搬送経路について説明する。原稿搬送経路Tは、下部ユニット3と上部ユニット4との間に形成される、略直線状の原稿搬送経路である。原稿搬送経路Tは、
図4の上の図で表されるように装置本体部2が非使用時の姿勢をとる際には最も垂直に近くなり、
図4の中央の図で表されるように装置本体部2が第1読み取り姿勢をとる際には45°に近い傾斜角度をとり、
図4の下の図で表されるように装置本体部2が第2読み取り姿勢をとる際にはほぼ水平となる。
【0037】
原稿搬送経路Tの最も上流には、上述した上面カバー10が設けられており、上面カバー10の下流側には、上面カバー10に載置された原稿Mを下流に向けて送る給送ローラー14と、給送ローラー14との間で原稿Mをニップして原稿Mの分離を促す分離ローラー15とが設けられている。分離ローラー15は、不図示の負荷付与手段により、給送ローラー14に向けて押圧されているとともに、回転軸15aに制動力が付与されている。
【0038】
給送ローラー14は、上面カバー10に載置された原稿Mのうち、最下位のものと接する。従って上面カバー10に複数枚の原稿Mが載置された場合、最下位の原稿Mから順に下流に向けて給送される。
【0039】
原稿搬送経路Tにおける分離ローラー15の上流側にはフラップ31が設けられており、フラップ31は給送待機状態において上面カバー10にセットされる原稿Mの、分離ローラー15への接触を防止する。フラップ31は回転軸31aを中心に回転可能であるとともに、給送開始前は下端部がセットガイド29と係合しており
図3の時計回り方向への回転が止められている。セットガイド29は、給送開始前は原稿Mを支持することで給送ローラー14に原稿Mを接触させない第1状態をとっている。
【0040】
そして原稿Mの給送が開始されると、セットガイド29は
図5で表される搬送モーター58の動力によって回転軸29aを中心に
図3の反時計回り方向に回転し、原稿Mを給送ローラー14に接触させる第2状態をとる。セットガイド29が第1状態から第2状態に切り換わると、フラップ31が回転可能となり、上面カバー10に載置された原稿束の先端が分離ローラー15に当接する。
【0041】
給送ローラー14には、
図5で表される給送モーター57からワンウェイクラッチ32を介して
図3において反時計回り方向、即ち原稿Mを給送方向下流に回転する方向のトルクが伝達される。以下では、給送ローラー14が原稿Mを下流に送る際の給送ローラー14の回転方向を正転方向と称し、その逆の回転方向を逆転方向と称する。同様に給送モーター57の回転方向についても、原稿Mを下流に送る際の回転方向を正転方向と称し、その逆を逆転方向と称する。
【0042】
給送ローラー14と給送モーター57との間の駆動力伝達経路にはワンウェイクラッチ32が設けられているので、給送モーター57が逆回転しても、給送ローラー14は逆回転しない。また、給送モーター57が停止した状態においては、給送ローラー14は搬送される原稿Mと接して、正転方向に従動回転することができる。
【0043】
続いて、分離ローラー15に対してトルクリミッター33が設けられている。給送ローラー14と分離ローラー15との間に原稿Mが介在しない場合、或いは1枚のみ介在する場合、給送ローラー14が分離ローラー15を
図3の時計回り方向に回転させようとする回転トルクがトルクリミッター33のトルク上限値を越え、これによりトルクリミッター33において滑りが生じ、分離ローラー15は給送ローラー14に従動回転する。
【0044】
給送ローラー14と分離ローラー15との間に、給送されるべき原稿Mに加えて更に2枚目以降の原稿Mが入り込むと、原稿間で滑りが生じることにより、分離ローラー15は停止する。これにより、重送されようとする2枚目以降の原稿Mが上流に戻され、即ち重送が防止される。
【0045】
以上説明した上面カバー10、給送ローラー14及び分離ローラー15、並びに、後述する搬送ローラー対16、排出ローラー対17及びスタッカーとしての前面カバー19とで、媒体の一例である原稿Mを給送する媒体給送装置9を構成する。媒体給送装置9は、別の観点では、スキャナー1から原稿読み取りに係る機能としての読み取り部20を省いた装置と捉えることもできる。或いは、原稿読み取りに係る機能としての読み取り部20を備えていても、原稿給送の観点に着目すれば、スキャナー1そのものが原稿給送装置と捉えることもできる。
【0046】
次に、給送ローラー14の下流には、搬送ローラー対16と、原稿の画像を読み取る読み取り部20と、排出ローラー対17とが設けられている。搬送ローラー対16は、搬送モーター58により回転駆動される搬送駆動ローラー16aと、従動回転する搬送従動ローラー16bとを備えて成る。給送ローラー14及び分離ローラー15によりニップされて下流に給送された原稿Mは搬送ローラー対16にニップされて、搬送ローラー対16の下流に位置する上部センサーユニット20A及び下部センサーユニット20Bと対向する位置に搬送される。
【0047】
読み取り部20は、原稿搬送経路Tに対して上に位置し、上部ユニット4に設けられた上部センサーユニット20Aと、原稿搬送経路Tに対して下に位置し、下部ユニット3に設けられた下部センサーユニット20Bと、を備えている。上部センサーユニット20Aはセンサーモジュール21Aを有し、下部センサーユニット20Bはセンサーモジュール21Bを有している。本実施形態においてセンサーモジュール21A及び21Bは、密着型イメージセンサーモジュールである。原稿搬送経路Tに対して上に位置するセンサーモジュール21Aにより、原稿Mの上面が読み取られ、原稿搬送経路Tに対して下に位置するセンサーモジュール21Bにより、原稿Mの下面が読み取られる。なお、上部センサーユニット20Aによる原稿読み取り面及び下部センサーユニット20Bによる原稿読み取り面は、原稿搬送経路Tに対して平行な面を成している。
【0048】
上部センサーユニット20Aは、下部センサーユニット20Bが備えるセンサーモジュール21Bと対向する位置に背景板22Aを備え、下部センサーユニット20Bは、上部センサーユニット20Aが備えるセンサーモジュール21Aと対向する位置に背景板22Bを備えている。背景板22A及び22Bは、シェーディング補正の為に、対向するセンサーモジュールにより読み取られる基準板で、例えば白色、灰色、黒色等の樹脂板または白色、灰色、黒色等に塗装された金属板等を用いることができる。
【0049】
背景板22A及び22Bは、不図示のモーターの動力により回転可能に設けられ、回転することにより、実線で示す様に対向するセンサーモジュールと対面する対面状態と、二点鎖線で示す様に前記対面状態を解消する非対面状態とを切り換えることができる。背景板22A及び22Bは、一例として白色を成しており、前記対面状態では白色基準値を取得することができ、前記非対面状態では黒色基準値を取得することができる。
【0050】
原稿Mは、読み取り部20において原稿Mの上面及び下面の少なくとも一方の面の画像を読み取られた後、読み取り部20の下流側に位置する排出部としての排出ローラー対17にニップされて、排出口18から排出される。排出ローラー対17は、搬送モーター58により回転駆動される排出駆動ローラー17aと、従動回転する排出従動ローラー17bとを備えて成る。
【0051】
上記のように、本実施形態のスキャナー1においては、搬送駆動ローラー16aを駆動する駆動部及び排出駆動ローラー17aを駆動する駆動部がともに搬送モーター58となっている。ただし、このような構成に限定されず、搬送駆動ローラー16aを駆動する駆動部と排出駆動ローラー17aを駆動する駆動部とが別々に設けられていてもよい。
【0052】
また、
図2で表されるように、スタッカーとしての前面カバー19には、読み取り部20により画像が読み取られた原稿Mが前面カバー19を超えて排出されないよう該原稿Mの排出方向における移動を規制する規制部としてのストッパー100が形成されている。
ストッパー100は、X方向に沿う第1回動軸101を基準に回動可能となっており、ストッパー100を前面カバー19に収容した収容状態と、ストッパー100を前面カバー19から立てて規制部としての役割を担うことが可能な規制状態と、に変位可能となっている。ここで、
図2中の実線はストッパー100を前面カバー19に収容した収容状態を表しており、
図2中の破線はストッパー100を前面カバー19から立てて規制部としての役割を担うことが可能な規制状態を表している。なお、前面カバー19は、複数のトレイをスライドして伸長及び収縮可能な構成となっており、
図2で表される収縮状態から伸長させることができる。この際、前面カバー19の伸長に合わせて、ストッパー100の位置も、
図2で表される位置から排出ローラー対17に対する距離が長くなる位置に移動する。
【0053】
続いて
図5を参照しつつスキャナー1における制御系統について説明する。制御部50は原稿Mの給送、搬送、排出制御及び読み取り制御を含め、その他スキャナー1の各種制御を行う。制御部50には操作パネル7からの信号が入力され、また、操作パネル7の表示、特にユーザーインターフェースを実現する為の信号が制御部50から操作パネル7に送信される。
【0054】
制御部50は、給送モーター57、搬送モーター58、カムモーター59、のこれらモーターを制御する。本実施形態では各モーターはDCモーターである。制御部50には、読み取り部20からの読み取りデータが入力され、また、読み取り部20を制御する為の信号が制御部50から読み取り部20に送信される。制御部50には、載置検出部54、重送検出部51、第1原稿検出部52、第2原稿検出部53、のこれら検出部からの信号も入力される。また制御部50には、給送モーター57、搬送モーター58、カムモーター59、のこれらモーターに対しそれぞれ設けられた不図示のロータリーエンコーダーの検出値も入力され、これにより制御部50は各モーターの回転量を把握でき、ひいては駆動対象の動作量を把握できる。
【0055】
制御部50は、CPU60、フラッシュROM61、及びRAM62を備えている。CPU60はフラッシュROM61に格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、スキャナー1全体の動作を制御する。記憶手段の一例であるフラッシュROM61は読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリである。また操作パネル7を介してユーザーが入力した各種設定情報も、フラッシュROM61に記憶される。記憶手段の一例であるRAM62には、一時的に各種情報が格納される。制御部50はインターフェース63を備えており、このインターフェース63を介して外部コンピューター90との通信が可能となっている。
【0056】
次に、
図6及び
図7を参照して、本実施形態のスキャナー1の搬送路である原稿搬送経路T、排出部である排出ローラー対17及び排出スタッカーである前面カバー19について、詳細に説明する。
図6で表されるように、画像が読み取られた原稿Mは、排出ローラー対17による排出位置であるニップ位置P1から原稿搬送経路Tの延長線上であってV軸方向の延長線上である前面カバー19との接触位置P2に向かって排出される。ニップ位置P1から接触位置P2までの長さL1よりも搬送方向の長さが長い原稿Mは、先端Maが接触位置P2に接触した後、前面カバー19の表面上を滑りながら前面カバー19上を移動し、前面カバー19上にスタックされる。ニップ位置P1から接触位置P2までの長さL1よりも搬送方向の長さが短い原稿Mは、先端Maが接触位置P2に接触する前に前面カバー19上に排出され、そのまま前面カバー19上にスタックされる。
【0057】
また、
図7で表されるように、本実施形態のスキャナー1は、原稿Mの搬送方向の長さを検出するために原稿Mの有無を検出する媒体検出部として、原稿搬送経路Tを搬送される原稿Mの搬送方向における原稿Mの端部である先端Ma及び後端Mbの位置を検出する媒体端部検出部71を有する。このため、本実施形態のスキャナー1は、搬送方向における原稿Mの両端部の位置を検出することで、簡単に原稿Mの長さを検出することができる。
【0058】
また、本実施形態のスキャナー1の搬送部である搬送ローラー対16は、原稿Mを透明ケースに収容して搬送可能である。そして、
図7で表されるように、本実施形態のスキャナー1は、原稿Mの搬送方向の長さを検出するために原稿Mの有無を検出する媒体検出部として、透明ケースの搬送位置に基づいて搬送方向における原稿Mの長さを検出する透明ケース検出部70を有する。このため、本実施形態のスキャナー1は、原稿Mを透明ケースに収容して搬送することで搬送しづらい原稿Mの搬送が容易となるとともに、透明ケースに原稿Mを収容して搬送した場合においても正確に原稿Mの長さを検出することができる。なお、本実施形態のスキャナー1で使用可能な透明ケースは、搬送中の透明ケース検出部70と対向する位置に複数の孔が設けられ、該孔を検出することにより透明ケースの位置を検出可能な構成である。ただし、使用可能な透明ケース及び透明ケース検出部70の構成に特に限定はない。また、媒体検出部として、原稿Mの画像を読み取るCIS(Contact Image Sensor)やエンコーダーなど、媒体端部検出部71や透明ケース検出部70以外の構成のものを使用することも可能である。
【0059】
なお、本実施形態のスキャナー1における媒体検出部(媒体端部検出部71及び透明ケース検出部70)は原稿Mまたは透明ケースの有無を検出しており、その検出結果に基づいて原稿Mの長さを制御部50で判断している。ここで、原稿Mの長さとして、媒体検出部の検出値そのもの、媒体検出部の検出値に対して原稿Mの斜行搬送などに伴うマージンを加えた値、媒体検出部の検出値からA4及びA5など既存の大きさの原稿に当てはめたもの、などのいずれを採用してもよい。本実施形態では、原稿Mの長さとして、媒体検出部の検出値に対して原稿の斜行搬送などに伴うマージンを加えた値を採用している。
【0060】
また、
図7で表されるように、本実施形態のスキャナー1は、搬送ローラー対16から排出される原稿Mに腰付けをすることが可能な、突起状の腰付け部72を2か所有している。搬送ローラー対16から排出される原稿Mは、腰付け部72により搬送ローラー対16からの排出時に排出方向から見て凹凸がつけられることで、X軸方向から見て丸まることなく、適切な状態で前面カバー19上にスタックされる。
【0061】
次に、
図9を参照しつつ、
図8のフローチャートにしたがって、本実施形態のスキャナー1の排出フローの一例について説明する。ここで、本実施形態のスキャナー1は搬送方向における長さが異なる原稿Mの画像を連続して読み取ることが可能な読み取り装置であるが、
図8のフローチャートは、1回分のジョブに対応する一連の原稿Mのうちの1枚分の原稿Mの排出フローを表している。すなわち、一連の原稿Mの1枚1枚に対し、
図8のフローチャートで表される排出フローが実行される。
【0062】
図8のフローチャートの排出フローが開始されると、最初に、ステップS110で、原稿Mの画像の読み取り処理が開始される。具体的には、原稿Mが給送ローラー14により原稿搬送経路Tに給送され、搬送ローラー対16により第1速度で原稿Mが搬送される。
なお、ここでの第1速度は例えば492mm/秒である。
【0063】
次に、ステップS120で、原稿Mの長さを検出する。具体的には、原稿Mを透明ケースに収容して搬送する場合は透明ケース検出部70の検出結果に基づいて制御部50が原稿Mの長さを判断し、原稿Mを透明ケースに収容することなく搬送する場合は媒体端部検出部71の検出結果に基づいて制御部50が原稿Mの長さを判断する。なお、原稿Mを透明ケースに収容して搬送する場合であっても、透明ケースの位置と透明ケース検出部70の位置とがずれて搬送された場合は、媒体端部検出部71の検出結果に基づいて制御部50が原稿Mの長さを判断することができる。
【0064】
次に、ステップS130で、読み取り処理が実行されている原稿Mが1回分のジョブに対応する一連の原稿Mのうちの1枚目か否かを制御部50において判断する。制御部50により原稿Mが1枚目であると判断されると、ステップS200に進み、読み取り部20で画像が読み取られた原稿Mは排出ローラー対により第1速度以下の第2速度で前面カバー19に排出される。なお、ここでの第2速度は例えば375mm/秒である。一方、制御部50により原稿Mが1枚目ではないと判断されると、ステップS140に進む。
【0065】
ステップS140では、1回分のジョブに対応する一連の原稿Mのうちでこれまでに画像の読み取り処理が実行された原稿Mにおいて、閾値未満の原稿Mを搬送したか否かを制御部50において判断する。なお、ここでの閾値は、ニップ位置P1から接触位置P2までの長さL1である。制御部50により閾値未満の原稿Mを搬送していないと判断されると、ステップS200に進む。一方、制御部50により閾値未満の原稿Mを搬送したと判断されると、ステップS150に進む。なお、閾値として、本実施例とは別の閾値を使用してもよい。例えば、閾値として、A4サイズ、カードサイズなど、任意に設定できる。
【0066】
ステップS150では、1回分のジョブに対応する一連の原稿Mのうちでこれまでに画像の読み取り処理が実行された原稿Mにおいて、閾値以上の原稿Mを搬送したか否かを制御部50において判断する。なお、ここでの閾値も、ニップ位置P1から接触位置P2までの長さL1である。制御部50により閾値以上の原稿Mを搬送していないと判断されると、ステップS200に進む。一方、制御部50により閾値以上の原稿Mを搬送したと判断されると、ステップS160に進む。上記のように、ステップS140及びステップS150では、1回分のジョブに対応する一連の原稿Mのうちに、閾値未満の原稿Mと閾値以上の原稿Mとが混載しているか否かが判断される。
【0067】
ステップS160では、強減速監視オン状態となっているか否かを制御部50において判断する。別の表現をすると、1回分のジョブに対応する一連の原稿Mにおける
図8のフローチャートの排出フローが開始されてから、後述するステップS180がこれまでに実行されたか否かを判断する。そして、制御部50により強減速監視オン状態となっていると判断された場合はステップS210に進み、制御部50により強減速監視オン状態となっていないと判断された場合はステップS170に進む。
【0068】
ステップS170では、読み取り処理実行中の原稿Mが閾値以上か否かを制御部50において判断する。そして、制御部50により読み取り処理実行中の原稿Mが閾値未満と判断されるとステップS200に進み、制御部50により読み取り処理実行中の原稿Mが閾値以上と判断されるとステップS180に進む。
【0069】
ステップS180では、次回以降に読み取り処理が実行される原稿Mに関して第2速度よりも遅い第3速度で前面カバー19に排出するよう制御する強減速監視オン状態とする。上記より、強減速監視オン状態となるのは、閾値未満の原稿Mと閾値以上の原稿Mとが混載しており、閾値以上の原稿Mを搬送したタイミングとなる。ステップS180の実行後は、ステップS200に進む。
【0070】
ステップS210では、強減速監視オン状態となってから閾値未満の原稿Mを搬送したか否かを制御部50により判断する。そして、制御部50により強減速監視オン状態となってから閾値未満の原稿Mを搬送していないと判断されるとステップS200に進み、制御部50により強減速監視オン状態となってから閾値未満の原稿Mを搬送したと判断されるとステップS200に進む。すなわち、強減速監視オン状態となってからも閾値以上の原稿Mが搬送される限りは、原稿Mは第2速度で前面カバー19に排出されることとなる。
【0071】
ステップS220では、読み取り部20で画像が読み取られた原稿Mは排出ローラー対により第3速度で前面カバー19に排出される。なお、ここでの第3速度は例えば101mm/秒である。そして、ステップS200及びステップS220の終了に伴い、原稿1枚分の
図8のフローチャートの排出フローが終了し、1回分のジョブに対応する一連の原稿Mのうちの次の原稿Mについて、ステップS110からステップS220までの画像の読み取り処理が開始される。ここで、強減速監視オン状態となっている場合、原稿1枚分の
図8のフローチャートの排出フローが終了するごとに、一旦、強減速監視オフ状態とされる。なお、
図8のフローチャートでは、1枚目が閾値以上の長さの原稿Mで2枚目が閾値未満の長さの原稿Mの場合、第2速度で原稿Mを前面カバー19に排出するが、この場合に第3速度で原稿Mを前面カバー19に排出するようにしてもよい。
【0072】
ここで、例えば、1回分のジョブに対応する一連の4枚の原稿Mに関して
図8のフローチャートの排出フローを実行する場合であって、1枚目が閾値未満、2枚目が閾値以上、3枚目が閾値未満、4枚目が閾値以上、の場合、1枚目は第2速度で排出され、2枚目も第2速度で排出されるとともに強減速監視オン状態となり、3枚目及び4枚目は第3速度で排出される。
【0073】
また、例えば、1回分のジョブに対応する一連の3枚の原稿Mに関して
図8のフローチャートの排出フローを実行する場合であって、1枚目が閾値未満、2枚目が閾値以上、3枚目が閾値以上、の場合、1枚目は第2速度で排出され、2枚目も第2速度で排出されるとともに強減速監視オン状態となる。ここで、3枚目は強減速監視オン状態となっているものの、該3枚目は閾値以上であるとともに、これまでに強減速監視オン状態となってから閾値未満の原稿Mの搬送がないので、3枚目は第2速度で排出される。
【0074】
さらに、例えば、1回分のジョブに対応する一連の3枚の原稿Mに関して
図8のフローチャートの排出フローを実行する場合であって、1枚目が閾値以上、2枚目が閾値以上、3枚目が閾値以上、の場合、閾値未満の原稿Mの搬送がないため、強減速監視オン状態とならず、3枚とも第2速度で排出される。
【0075】
図9は、1回分のジョブに対応する一連の原稿Mにおいてn枚目を第2速度で排出し、n+1枚目を第3速度で排出した際の、経過時間に対する搬送駆動ローラー16a及び排出駆動ローラー17aの回転速度の関係を表すグラフである。なお、本実施形態のスキャナー1においては搬送駆動ローラー16a及び排出駆動ローラー17aの外径は同等であるとともに両者は共通の駆動部である搬送モーター58により同じ回転速度及び同じタイミングで回転する。
【0076】
n枚目の原稿Mは、画像を読み取っている間、第1速度で搬送される。
図9におけるn枚目の原稿Mに対応する第1速度の領域は、n枚目の原稿Mにおいて画像を読み取っている時間帯に対応する。そして、n枚目の原稿Mにおいて画像の読み取りが終了すると、搬送駆動ローラー16a及び排出駆動ローラー17aは弱減速し、第2速度でn枚目の原稿Mは排出ローラー対17から排出される。ここで、搬送駆動ローラー16a及び排出駆動ローラー17aの弱減速期間は、原稿Mの搬送方向における長さに対してマージンを持った長さに対応する期間となっている。これは、原稿Mが斜行搬送された場合に、原稿搬送経路Tを搬送される原稿Mの見かけの長さが長くなるためである。具体的には、例えば、原稿Mが20°斜行搬送された場合に実際よりも長くなる見かけの長さをマージンとしている。そして、n枚目の原稿Mが排出されてから搬送駆動ローラー16a及び排出駆動ローラー17aの回転速度を戻し、n+1枚目の画像読み取りを開始する。なお、原稿Mが20°斜行搬送された場合に実際よりも長くなる見かけの長さをマージンとしている理由は、本実施形態のスキャナー1においては、20°までの斜行搬送であれば、読み取り部20で読み取った画像をファームウェアや外部コンピューター90にインストールされたアプリケーションなどで修正可能としているためである。
【0077】
n+1枚目の原稿Mも、画像を読み取っている間、第1速度で搬送される。
図9におけるn+1枚目の原稿Mに対応する第1速度の領域は、n+1枚目の原稿Mにおいて画像を読み取っている時間帯に対応する。そして、n+1枚目の原稿Mにおいて画像の読み取りが終了すると、搬送駆動ローラー16a及び排出駆動ローラー17aは強減速し、第3速度でn+1枚目の原稿Mは排出ローラー対17から排出される。ここで、搬送駆動ローラー16a及び排出駆動ローラー17aの強減速期間も、弱減速期間と同様、原稿Mの搬送方向における長さに対してマージンを持った長さに対応する期間となっている。そして、n+1枚目の原稿Mが排出されてから搬送駆動ローラー16a及び排出駆動ローラー17aの回転速度を戻し、n+2枚目の画像読み取りを開始する。なお、上記のように、一度、強減速監視オン状態となり、第3速度で原稿Mが排出されるようになると、次回以降の原稿Mも第3速度で排出される。
【0078】
ここで、上記のように、本実施形態のスキャナー1においては、原稿Mを原稿搬送経路Tで搬送させる搬送駆動ローラー16aと原稿Mを排出する排出ローラー対17が同期している。本実施形態のスキャナー1における読み取り部20は、一定速度で搬送される原稿Mの画像を読み取ることを前提としているので、制御部50により、画像の読み取り位置における原稿Mの搬送速度は常に第1速度で一定となるように制御される。すなわち、
図9におけるn枚目の原稿Mの第2速度で排出する際の搬送駆動ローラー16a及び排出駆動ローラー17aの駆動時間、n枚目の原稿Mを排出してからn+1枚目の原稿Mを給送するまでの時間は、該前提が満たされるように設定されている。別の表現をすると、制御部50は、n枚目の原稿Mとn+1枚目の原稿Mとの間隔が狭くなりすぎて、読み取り部20による読み取り位置で第1速度よりも遅く原稿Mが搬送されてしまうことがないように制御している。
【0079】
なお、上記のように、原稿Mを原稿搬送経路Tで搬送させる搬送駆動ローラー16aと、原稿Mを排出する排出駆動ローラー17aとを、別の駆動部で駆動する構成としてもよい。その場合も、読み取り部20による読み取り位置で第1速度よりも遅く原稿Mが搬送されてしまうことがないように制御する必要があるが、n枚目の原稿Mを排出してからn+1枚目の原稿Mを給送するまでの時間などは、本実施形態のスキャナー1と変えることも可能である。排出駆動ローラー17aによる先行する原稿Mの排出速度が遅くなっても、先行する原稿Mと後行する原稿Mとが重ならない限りは、搬送駆動ローラー16aによる後行する原稿Mの搬送速度を画像読み取り時の搬送速度と変えないことが可能なためである。
【0080】
ここで一旦整理すると、上記のように、本実施形態のスキャナー1は、搬送方向における長さが異なる原稿Mの画像を連続して読み取ることが可能な読み取り装置であって、搬送モーター58によって原稿搬送経路Tにおいて原稿Mを第1速度で搬送する搬送ローラー対16と、原稿搬送経路Tにおいて第1速度で搬送される原稿Mの画像を読み取る読み取り部20と、搬送モーター58によって読み取り部20で画像が読み取られた原稿Mを前面カバー19に排出する排出ローラー対17と、媒体検出部である透明ケース検出部70及び媒体端部検出部71と、を備えている。そして、
図8のフローチャートで表されるように、制御部50は、媒体検出部の検出結果に基づき、原稿Mの長さを判定し、先行する原稿Mの長さが閾値以上と判定された後、後続する原稿Mの長さが閾値以上と判定されたら、原稿Mを排出する排出速度を、第1速度から、第1速度未満の第2速度に減速する弱減速制御を行い、先行する原稿Mの長さが閾値以上と判定された後、後続する原稿Mの長さが閾値未満と判定されたら、排出速度を、第1速度から、第2速度よりも遅い第3速度に減速する強減速制御を行う。
【0081】
すなわち、本実施形態のスキャナー1は、画像を読み取る際の原稿Mの搬送速度以下の速度で原稿Mを排出することを前提とし、長い長さの原稿Mを排出した後に短い長さの原稿Mを排出する際は、その後に排出される原稿Mを強減速させて排出する。原稿Mの排出速度を遅くするほど、原稿M1枚当たりの画像の読み取り処理にかかる時間が長くなるが、前面カバー19に整列性良くスタックさせることができる。ここで、長い長さの原稿Mを排出した後に短い長さの原稿Mを排出すると、前面カバー19に整列性良く原稿Mをスタックさせることは困難となりがちである。これは、原稿M1枚当たりの画像の読み取り処理時間が長くなりすぎないようにするためすべての原稿Mの排出速度を遅くしすぎることはできず、また、整列性良くスタックさせやすい長い長さの原稿Mの排出速度を維持したまま短い長さの原稿Mを排出してしまうと短い長さの原稿Mのみ整列性が悪化しやすくなるためである。そこで、本実施形態のスキャナー1は、異なる長さの原稿Mを排出させる場合において、これらの原稿Mを必要に応じて強減速させて排出することで整列性の悪化を抑制できる。したがって、本実施形態のスキャナー1は、複数の長さの原稿Mを前面カバー19に整列性良くスタックさせることができる。
【0082】
また、上記のように、閾値は、原稿Mの排出方向における排出ローラー対17の排出位置であるニップ位置P1から前面カバー19との接触位置P2までの長さL1である。例えば、腰の強い原稿Mを使用した場合などにおいては、原稿Mの長さが原稿Mの排出方向におけるニップ位置P1から接触位置P2までの長さL1を超えると、排出ローラー対17と前面カバー19との間で原稿Mが引っ掛かり排出不良を生じる場合がある。そして、このような排出不良は、排出速度が遅くなるほど生じやすくなる。そこで、本実施形態のスキャナー1は、閾値をニップ位置P1から接触位置P2までの長さL1とすることで、排出不良が生じやすい条件で原稿Mを排出することを抑制している。また、原稿Mが排紙時に前面カバー19に届かない長さならば排紙時に散らばりやすくなるが、前面カバー19に届く長さならば排紙中に前面カバー19に接触している部分がブレーキ力を発生して原稿Mが散らばらないという効果もある。
【0083】
ここで、本実施形態のスキャナー1は、搬送ローラー対16が第1速度よりも遅い第4速度で原稿Mを搬送し、読み取り部20が原稿搬送経路Tにおいて第4速度で搬送される原稿Mの画像を読み取る低速搬送モードを有している。なお、ここでの第4速度は例えば370mm/秒である。そして、制御部50は、低速搬送モードが選択された場合は、第4速度で原稿Mを前面カバー19に排出するよう搬送モーター58を制御する。このように、本実施形態のスキャナー1は低速搬送モードを有し、低速搬送モードが選択することで、第1速度よりも遅い第4速度で原稿Mを前面カバー19に排出することで、原稿Mが前面カバー19に整列性良くスタックできなくなることを抑制することができる。
【0084】
上記のように、本実施形態のスキャナー1は、低速搬送モードが選択された場合は
図8のフローチャートで表される排出フローを実行しない。別の表現をすると、画像を読み取る際の原稿Mの搬送速度が所定速度よりも遅くなると、原稿Mの排出速度を画像を読み取る際の原稿Mの搬送速度よりも遅くさせない。この際の所定速度は、特に限定はないが、例えば、375mm/秒とすることができ、また、解像度が300dpiで画像を読み取る際の搬送速度とすることもできる。なお、解像度が高くなるほど一般的には搬送速度は遅くなる。ここで、上記について、別の表現をすると、搬送速度が異なる複数の画像読み取りモードを有する場合、そのうちの1つ以上のモードにおいて第1速度(画像を読み取る際の原稿Mの搬送速度)、第2速度(弱減速による第1速度以下の排出速度)及び第3速度(強減速による第2速度よりも遅い排出速度)を
図8のフローチャートのように選択して採用するのであれば、本発明に含まれる。
【0085】
また、制御部50は、例えば
図8で表されるように搬送ローラー対16によって一連の原稿Mを連続して搬送させた後に、さらに
図8で表されるように一連の原稿Mを連続して搬送させる場合、一連の原稿Mごとに弱減速制御及び強減速制御の切り替え判断を実行する。すなわち、本実施形態のスキャナー1は、複数回分のジョブを実行する場合、1回分のジョブごとに強減速監視に関する設定をリセットしながら複数回分のジョブを実行する。このようにすることで、各々のジョブにおいて適切に原稿Mの排出速度を選択することができる。
【0086】
また、上記のように、弱減速期間及び強減速期間はともに、搬送方向における原稿Mの長さとして媒体検出部による検出長さに対してマージンを含んだ長さを考慮した期間としている。別の表現をすると、搬送方向における原稿Mの長さは、原稿Mが斜行搬送されることで増加する長さ分を見込んだ長さとなっている。このため、本実施形態のスキャナー1は、原稿Mが斜行搬送された場合であっても、連続して搬送される原稿Mが重なることで原稿Mの搬送不良や画像の読み取り不良などが生じることを抑制できる。
【0087】
また、上記のように、本実施形態のスキャナー1は、原稿搬送経路Tに原稿Mを給送する給送部としての給送ローラー14を備えている。そして、制御部50は、読み取り部20で画像の読み取りが行われた原稿Mが排出ローラー対17により前面カバー19に排出される前に、新たな原稿Mが読み取り部20による読み取り位置に至ることがないように、給送ローラー14を制御して新たな原稿Mを給送させる。このため、本実施形態のスキャナー1は、連続して搬送される原稿Mが重なることで原稿Mの搬送不良や画像の読み取り不良などが生じることを抑制できる。
【0088】
図8のフローチャートで表されるように、制御部50は、搬送ローラー対16によって一連の原稿Mを連続して搬送させる場合、一度強減速制御が採用された後はその後の一連の原稿Mについてずっと強減速制御を実行することができる。このような排出フローを実行することで、制御を簡略化でき、制御部50への負荷を低減できる。
【0089】
一方、制御部50は、搬送ローラー対16によって一連の原稿Mを連続して搬送させる場合、一度強減速制御が採用された後のその後の一連の原稿Mについて1枚ごとに搬送方向における原稿Mの長さが閾値以上か否かを判断し、搬送方向における原稿Mの長さが閾値以上の原稿Mについては弱減速制御を実行し、搬送方向における原稿Mの長さが閾値未満の媒体については強減速制御を実行することも可能である。このような排出フローを実行することで、整列性を悪化させやすい原稿Mの長さが閾値未満の原稿Mについてのみ強減速制御を実行することで、原稿Mの排出速度の低下に伴う一連の原稿Mの読み取り処理にかかる時間の増大を抑制することができる。
【0090】
以下に、上記制御を行う排出フローに関して、
図10のフローチャートにしたがって説明する。なお、
図10のフローチャートにおいて、
図8のフローチャートと同じステップは、同じステップ番号を付してある。このため、一度説明したステップ番号のステップに関しては説明を省略する。
【0091】
図10のフローチャートの排出フローにおいては、ステップS150の終了後、ステップS190に進む。そして、ステップS190で、読み取り処理実行中の原稿Mが閾値以上か否かを制御部50において判断する。そして、制御部50により読み取り処理実行中の原稿Mが閾値未満と判断されるとステップS200に進み、制御部50により読み取り処理実行中の原稿Mが閾値以上と判断されるとステップS220に進む。
図10のフローチャートで表されるように、該排出フローにおいては強減速監視のオンオフを行わず、1枚ごとに読み取り処理実行中の原稿Mが閾値以上か否かを判断する。
【0092】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。また、上記実施形態において媒体給送装置9はスキャナーに適用したが、媒体の一例としての記録用紙に記録を行う記録ヘッドを備えた記録装置、例えばプリンターに適用することも可能である。また、1枚目が閾値より短い紙の場合は1枚目から第3速度で原稿Mを排出する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0093】
1…スキャナー、2…装置本体部、3…下部ユニット(収容部)、4…上部ユニット、5…支持台、5a…アーム部、5b…回転軸、6…給送口、7…操作パネル、9…媒体給送装置、10…上面カバー、12a及び12b…エッジガイド、14…給送ローラー(給送部)、15…分離ローラー、15a…回転軸、16…搬送ローラー対(搬送部)、16a…搬送駆動ローラー、16b…搬送従動ローラー、17…排出ローラー対(排出部)、17a…排出駆動ローラー、17b…排出従動ローラー、18…排出口、19…前面カバー(排出スタッカー)、20…読み取り部、20A…上部センサーユニット、20B…下部センサーユニット、21A及び21B…センサーモジュール、22A及び22B…背景板、29…セットガイド、29a…回転軸、30…回転軸、31…フラップ、31a…回転軸、32…ワンウェイクラッチ、33…トルクリミッター、50…制御部、51…重送検出部、52…第1原稿検出部、53…第2原稿検出部、54…載置検出部、57…給送モーター、58…搬送モーター(駆動部)、59…カムモーター、60…CPU、61…フラッシュROM、62…RAM、63…インターフェース、70…透明ケース検出部(媒体検出部)、71…媒体端部検出部(媒体検出部)、72…腰付け部、90…外部コンピューター、100…ストッパー、101…第1回動軸、191…凹部(収容部)、M…原稿(媒体)、Ma…先端(端部)、Mb…後端(端部)、T…原稿搬送経路(搬送路)
【手続補正書】
【提出日】2024-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の画像を連続して読み取ることが可能な画像読み取り装置であって、
媒体の搬送路において媒体を第1速度で搬送する搬送部と、
前記搬送路において前記第1速度で搬送される媒体の画像を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部で画像が読み取られた媒体を排出スタッカーに排出する排出部と、
媒体の有無を検出する媒体検出部と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、前記搬送部によって媒体を搬送させる場合、前記媒体検出部の検出結果
に基づき、搬送方向における媒体の長さを判定し、
前記制御部は、
前記媒体の長さの判定結果に応じて、排紙速度を前記第1速度よりも遅い第2速度ま
たは、前記第2速度よりも遅い第3速度に決定し、
決定された前記排紙速度で、前記媒体を前記排出部により排出させる、
ことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読み取り装置において、
前記搬送部が前記第1速度よりも遅い第4速度で媒体を搬送し、前記読み取り部が前記
搬送路において前記第4速度で搬送される媒体の画像を読み取る低速搬送モードを有し、
前記制御部は、低速搬送モードが選択された場合は、第4速度で媒体を前記排出スタッ
カーに排出するよう前記排出部を制御する、
ことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
最初に搬送された先行媒体の長さが閾値以上と判定された後、後続媒体の長さが前記
閾値以上と判定されたら、後続媒体を排出する排出速度を、前記第1速度から、前記第1
速度未満の第2速度に減速する弱減速制御を行い、
最初に搬送された先行媒体の長さが閾値以上と判定された後、後続媒体の長さが前記
閾値未満と判定されたら、前記排出速度を、前記第1速度から、前記第2速度よりも遅い
第3速度に減速する強減速制御を行う、
ことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読み取り装置において、
前記閾値は、媒体の排出方向における前記排出部の排出位置から前記排出スタッカーと
の接触位置までの長さであることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項5】
請求項3または4のいずれか一項に記載の画像読み取り装置において、
前記制御部は、前記搬送部によって一連の媒体を連続して搬送させる場合、一度強減速
制御が採用された後はその後の前記一連の媒体についてずっと強減速制御を実行すること
を特徴とする画像読み取り装置。
【請求項6】
請求項3または4のいずれか一項に記載の画像読み取り装置において、
前記制御部は、前記搬送部によって一連の媒体を連続して搬送させる場合、一度強減速
制御が採用された後のその後の前記一連の媒体について1枚ごとに搬送方向における媒体
の長さが閾値以上か否かを判断し、搬送方向における媒体の長さが閾値以上の媒体につい
ては弱減速制御を実行し、搬送方向における媒体の長さが閾値未満の媒体については強減
速制御を実行することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の画像読み取り装置において、
前記制御部は、前記搬送部によって一連の媒体を連続して搬送させた後にさらに一連の
媒体を連続して搬送させる場合、一連の媒体ごとに弱減速制御及び強減速制御の切り替え
判断を実行することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記搬送部は、媒体を透明ケースに収容して搬送可能であり、
前記媒体検出部として、透明ケースの搬送位置に基づいて搬送方向における媒体の長さ
を検出する透明ケース検出部を有することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記媒体検出部として、前記搬送路を搬送される媒体の搬送方向における媒体の先端お
よび後端の位置を検出する媒体端部検出部を有することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記搬送方向における媒体の長さは、前記搬送方向において、媒体の長さに検出媒体が
斜行搬送されることで増加する長さを加えた長さとなっていることを特徴とする画像読み
取り装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記搬送路に媒体を給送する給送部を備え、
前記制御部は、前記読み取り部で画像の読み取りが行われた媒体が前記排出部により前
記排出スタッカーに排出される前に、新たな媒体が前記読み取り部による読み取り位置に
至ることがないように、前記給送部を制御して前記新たな媒体を給送させることを特徴と
する画像読み取り装置。
【請求項12】
媒体の搬送路において媒体を第1速度で搬送する搬送部と、
前記媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部によって記録された媒体を排出スタッカーに排出する排出部と、
媒体の有無を検出する媒体検出部と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、前記搬送部によって媒体を連続して搬送させる場合、前記媒体検出部の
検出結果に基づき、搬送方向における媒体の長さを判定し、
前記制御部は、
前記媒体の長さの判定結果に応じて、排紙速度を前記第1速度よりも遅い第2速度ま
たは、前記第2速度よりも遅い第3速度に決定し、
決定された前記排紙速度で、前記媒体を前記排出部により排出させる、
ことを特徴とする記録装置。