IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グロージャン マキシムの特許一覧

特開2024-153910第1部品と第2部品とをインサートを介して組み立てるための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153910
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】第1部品と第2部品とをインサートを介して組み立てるための方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/08 20060101AFI20241022BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20241022BHJP
   B23K 11/00 20060101ALI20241022BHJP
   B23K 11/14 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
F16B5/08 A
F16B11/00 D
B23K11/00 510
B23K11/14
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130532
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2020568272の分割
【原出願日】2019-06-07
(31)【優先権主張番号】18/54992
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】519391745
【氏名又は名称】グロージャン マキシム
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロージャン マキシム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】堅牢で迅速かつ経済的な方法で第1の部品および第2の部品を組み立てる方法を提供する。
【解決手段】この方法は、インサート(30)を介した第1部品(10)と第2部品とのアセンブリを可能にする。インサート(30)は、第1部品(10)に当接するように意図されたヘッド(31)と、第2部品に溶接されるように意図された端部(322)を有するボディ(32)と、を備える。前記方法は、インサート(30)におけるボディ(32)の端部(322)を第2部品に固定する前に、端部(322)のまわりに非干渉領域を形成するように第1または第2部品を適合させる工程を備える。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品(10)と第2部品(20)とをインサート(30)を介して組み立てるための方法であって、
前記インサート(30)は、
前記第1部品(10)に当接するように意図されたヘッド(31)と、
前記第2部品(20)に溶接されるように意図された端部(322)を有するボディ(32)と、を備え、
前記方法は、前記インサート(30)における前記ボディ(32)の前記端部(322)を前記第2部品(20)に固定する前に、前記端部(322)のまわりに非干渉領域(50)を形成するように前記第1または第2部品(10,20)を適合させる工程を備える
ことを特徴とする組立方法。
【請求項2】
請求項1に記載された組立方法において、
前記非干渉領域(50)が、エアキャビティである
組立方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載された組立方法において、
前記非干渉領域(50)は、前記ボディ(32)まわりに環状に延びる
組立方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された組立方法において、
前記第1部品(10)に前記インサート(30)を一体化する工程を備える
組立方法。
【請求項5】
請求項4に記載された組立方法において、
前記第1部品(10)に前記インサート(30)を一体化する工程と、前記非干渉領域(50)を形成するために前記第1部品(10)を適合させる工程と、は同時に行われる組立方法。
【請求項6】
請求項4に記載された組立方法において、
前記第1部品(10)に前記インサート(30)を一体化する工程は、前記非干渉領域(50)を形成するために前記第1または第2部品(10,20)を適合させる工程の前に行われる
組立方法。
【請求項7】
請求項4に記載された組立方法において、
前記第1部品(10)に前記インサート(30)を一体化する工程は、前記非干渉領域(50)を形成するために前記第1または第2部品(10,20)を適合させる工程の後に行われる
組立方法。
【請求項8】
請求項4に記載された組立方法において、
前記一体化工程は、前記インサート(30)の前記ボディ(32)の通路のために意図された穴を前記第1部品(10)に切削する工程を含む
組立方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された組立方法において、
前記非干渉領域(50)は、前記インサート(30)の前記ボディ(32)を受け入れ
るように意図された自由空間の残室によって形成される
組立方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載された組立方法において、
前記非干渉領域(50)は、前記第1または第2部品(10,20)の変形によって形成される
組立方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載された組立方法において、
前記インサート(30)における前記ボディ(32)の前記端部(322)は、電気抵抗溶接によって前記第2部品(20)に固定される
組立方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載された組立方法において、
前記第1部品(10)は、射出成形によって形成される
組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部品と第2部品とをインサートを介して組み立てるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に陸上または航空輸送分野では、スチール、アルミニウム、マグネシウム、熱硬化性または熱可塑性プラスチック、織られているか否かにかかわらずガラス繊維または炭素繊維によって強化された複合材料などの構成材を同時に一体化させた多材料アセンブリを製造することが知られている。この多材料アセンブリは、車両のエネルギー消費を低減するための若しくは車両の動的挙動を改善するための車両の重量低減、安全性に関連した要求を満足するための構造的補強、又は、車内の構成要素の数の低減に係る課題に対処する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、多材料アセンブリは、これらの組立の性質を考慮すると、実施するのが比較的困難であり、容易で、経済的で、耐久性があり、かつ堅牢な方法で、異なる性質を有する材料で作られた締結部品を必要とする。
【0004】
例えば接着によって多材料アセンブリを製造することが知られている。しかしながら、この解決策は、一般に、比較的長い架橋または硬化時間を伴い、また、老化効果によるアセンブリの性能の変化という欠点を有し得るため、その適用は、明確なケースに限定されたままとなっている。
【0005】
また、フローホール形成ネジ、リベット、または釘を用いることによって多材料アセンブリを作製することも知られている。しかしながら、これらの解決策は、特に高性能鋼板金属を含むアセンブリの製造を可能にするものではない。別の欠点は、組み立て後に残留突出部が存在することに関する。
【0006】
最後に、特にホワイトボディの構築作業中に、スポット溶接技術によってアセンブリを作ることが知られている。スポット溶接または電気抵抗溶接は、機械的観点から経済的かつ効果的であるという利点を有する組立解決手段である。それにもかかわらず、この技術は、典型的には2つの鋼板金属のように、同じ種類の材料で作られた2つの要素の組立に制限される。この技術は、例えばアルミニウム-鋼、鋼-複合材料、アルミニウム-プラスチック組立等のような異なる種類の材料を有する要素を組立てる場合に実施には複雑であることが分かる。これを解決するために、溶接パッチとも呼ばれるインサートを使用することが知られている。インサートは、組み立てられる要素の1つに配置され、その上に溶接電極が適用されて組み立てを達成する。したがって、これらの溶接パッチは、多材料アセンブリの製造を可能にする。
【0007】
しかしながら、溶接パッチにはいくつかの欠点がある。溶接パッチの寸法、特に直径は一般に大きい。実際、これにより、溶接ロボットアーム上にこの目的のための視覚位置決めシステムを追加することなく、パッチが挿入される部分ではなく、パッチ上の溶接クランプの電極のドッキングを確実にすることができる。さらに、これは、この熱が到達し、溶接パッチが挿入される部品の材料を溶融または変質させる前に、溶接中に発生した熱を放散させることを可能にする。この比較的大きなサイズは、車両の重量減少という現在の問題に対抗して、高い材料コスト、並びに増加した質量を伴う。加えて、例えばプラスチックまたは複合材料で作られた部品に溶接パッチを効果的に統合することは依然として複
雑である。
【0008】
また、本発明は、堅牢で迅速かつ経済的な方法で第1の部品および第2の部品を組み立てる方法を提供することによって、これらの欠点の全てまたは一部を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明の目的は、第1部品と第2部品とをインサートを介して組み立てるための方法であって、前記インサートは、前記第1部品に当接するように意図されたヘッドと、前記第2部品に溶接されるように意図された端部を有するボディと、を備え、前記方法は、前記インサートにおける前記ボディの前記端部を前記第2部品に固定する前に、前記端部のまわりに非干渉領域を形成するように前記第1または第2部品を適合させる工程を備えることを特徴とするものである。
【0010】
したがって、本発明に係る方法は、電気抵抗溶接による多材料アセンブリを達成可能にするとともに、このアセンブリは、限られた材料コストでありながらも堅牢であり、既存の抵抗溶接装置で実施されるように適合され、このことも、コストの低減を可能にする。
【0011】
実際、端部、すなわち溶融スポットまわりの熱的な非干渉領域は、第1部品への熱伝達を制限することを可能にする。これは温度上昇の影響によって、第1の部品の材料を変質する危険性を制限する。このことは、第1の部品が、例えば複合材料のマトリックスからなるプラスチック材料を含む場合に特に有利である。
【0012】
一実施形態によれば、前記非干渉領域が、エアキャビティである。
【0013】
一実施形態によれば、前記非干渉領域は、前記ボディまわりに環状に延在する。
【0014】
一実施形態によれば、この方法は、前記第1部品に前記インサートを一体化する工程を含む。
【0015】
一実施形態によれば、前記第1部品に前記インサートを一体化する工程と、前記非干渉領域を形成するために前記第1部品を適合させる工程と、は同時に行われる。
【0016】
一実施形態によれば、前記第1部品に前記インサートを一体化する工程は、前記非干渉領域を形成するために前記第1または第2部品を適合させる工程の前に行われる。
【0017】
一実施形態によれば、前記第1部品に前記インサートを一体化する工程は、前記非干渉領域を形成するために前記第1または第2部品を適合させる工程の後に行われる。
【0018】
前記一体化工程は、前記インサート(30)の前記ボディ(32)の通路のために意図された穴を前記第1部品(10)に切削する工程を含む。
【0019】
例えば、切断工程は、金型またはスタンピングプレスの閉鎖時に実施される。
【0020】
一実施形態によれば、前記非干渉領域は、インサートの本体を受け入れるように意図された自由空間の空間を残すことによって形成される。
【0021】
一実施形態によれば、前記非干渉領域は、第1または第2部品の変形によって形成される。
【0022】
一実施形態によれば、前記インサートにおける前記ボディの前記端部は、電気抵抗溶接によって前記第2部品に固定される。
【0023】
一実施形態によれば、前記第1部品は、射出成形によって形成される。
【0024】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照することで、非限定的な例として提供される一実施形態に係る以下の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A図1Aは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
図1B図1Bは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
図1C図1Cは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
図2A図2Aは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
図2B図2Bは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
図2C図2Cは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
図3A図3Aは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
図3B図3Bは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
図5A図5Aは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
図5B図5Bは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1a~図1Cは、本発明の一実施形態に係る方法の工程を示す。この方法は、インサート30を用いることによって、第1の板金と第2の板金とからなる第1部品10および第2部品20の組立を意図している。
【0027】
第1部品10および第2部品20は、異なる材料を有し得る。一例として、第1部品10は、例えば、熱可塑性又は熱硬化性マトリックスと、短繊維又は長繊維タイプの補強材と、を有するプラスチック又は複合材料で製造してもよい。一方、第2部品20は、金属例えばスチールで製造してもよい。第1部品10が、導電性材料例えば金属から製造される場合、インサート30は、短絡を回避するために、部分的に又は完全に電気絶縁性コーティングで覆われていてもよい。
【0028】
インサート30は、ヘッド31と、ヘッド31に直交する軸Aに沿ってヘッド31から長手方向に延びるボディ32と、を含む。ヘッド31は、円板状の形状、または、例えば矩形、もしくは、多角形もしくは六角形のような外部占有領域を有する形状のような他の任意の形状、を有していてもよい。ボディ32は、円筒形、または、多角形断面を有する例えば角柱状の形状などの任意の他の形状を有していてもよい。ヘッド31及びボディ32は、一体的に一部品として作られてもよいし、インサート30を形成するように互いに固定されてもよい。有利には、ヘッド31は、すなわち軸Aに直交する断面であって、ボディ32の断面よりも大きい断面を有する。好ましくは、電気抵抗溶接の動作中にインサート30を流れる電流線がインサート30の中心に集中するように、ボディ32は、ヘッド31から中央に延在する。この場合、インサートは、それ自体、任意のデカップリング手段を欠いている。
【0029】
有利には、ヘッド31は、溶接電極(不図示)を受け入れるように意図された近位面310と、この例ではボディ32を延在する反対側の遠位面312と、を備える。有利には、第1および第2部品10,20のアセンブリを保持するために、遠位面312は、第1部品10に当接するように意図された支持面313を区画する。ヘッド31は、例えば突起316のような、第1部品10にヘッド31を保持するための手段が設けられ得る側面314を有する。側面314は、近位面310および遠位面312を連結する。
【0030】
これは図示されていないが、近位面310は、例えば冷却流体の循環のために意図された、1つまたは複数の通気チャンネルを特徴とすることができる。通気チャンネルは、横方向に導くとともに、冷却流体の排出を可能にする半径方向の開口を有していてもよい。第2部品20上のインサート30の固定を分解させることが意図された力、特にトルクをヘッド31に加えるために、ヘッド31、特に近位面310は、ツール、例えばネジ回しまたはキーを受け入れるように構成された係合面、例えば、斜方晶系、斜方晶系の構成要素をさらに備え得る。この係合面は、通気チャンネルの側壁、または側面314の一部に対応し得る。
【0031】
インサート30のボディ32は、近位部320と、近位部320とは反対側の遠位端部322と、を有する。近位部320は、ヘッド31、特にその遠位面312に固定され得る。遠位端部322は、電気抵抗溶接または摩擦によって、第2部品20に固定することが意図されている。端部322は、溶接面324を有する。この溶接面324は、第2部品20上のインサート30のボディ32の溶接が意図されている。有利には、溶接面324は、減少する断面を区画する;それは、例えば、球形、円錐形または切頭円錐形であってもよい。したがって、ボディ32は、溶接が開始された後の熱を非常に局所的に集中させるために、遠位方向に相異する断面を有することができる。溶接面324は、下塗りされた状態(不図示)で終端してもよい。
【0032】
有利には、インサート30は、電気スポット溶接とも呼ばれる電気抵抗溶接を可能にするように意図されている。このように、インサート30は、該インサート30と第2部品20との溶接を可能にするために、電流によって交差するように適合されており、第1部品10は、インサート30によって第2部品20に組み付けられて保持される。したがって、ヘッド31およびボディ32は、近位面310から溶接面324までの電流の流れを可能にするように構成される。
【0033】
特に、インサート30のヘッド31およびボディ32は、例えば金属製の導電性材料を含む。したがって、インサート30、特にヘッド2および/またはボディ4は、鋼、アルミニウム、チタン、または銅を含むことができる。
【0034】
1つの可能性によれば、ヘッド31は、第1の材料を含むとともに、電力、ひいては発生した熱をインサート30の中心に局所化するべく、ヘッド31とボディ32との間に電気抵抗率差を作り出すように、ボディ32は、第1の材料とは異なりかつ、特に第1の材料よりも高い電気抵抗率を含みかつ第2の材料を含み得る。例えば、ヘッド31はアルミニウムを含み、ボディ32はスチールを含む。
【0035】
有利には、ボディ32は、異なる電気抵抗率を有する複数の材料を含み得る。例えば、遠位端部322は、ボディ32の残部よりも高い電気抵抗率を有する材料を含んでいてもよい。
【0036】
本発明に係る組立方法は、インサート30を第1部品10に一体化する工程と、インサート30のボディ32の少なくとも端部322のまわりに非干渉領域50を形成するように第1または第2部品10,20を適合させる工程と、第1および第2部品10,20の組立を完了するために、インサート30、より具体的にはその端部322を第2部品20に固定する工程と、を備える。
【0037】
インサート30を第1部品10に一体化する工程は、非干渉領域50を適合させる工程の前、後、または同時に実行することができる。
【0038】
インサート30を一体化する工程は、再加工として、特にインサート30の一部又は第1部品10の変形によって、例えばクリンプ又はリベット止めによって行うことができる。インサート30はまた、特に、第1部品10と係合するように意図された突起またはノッチなどの突起がインサート30に設けられた場合であれば、第1部品10にねじ込まれたり、または旋回可能に挿入されたりしてもよい。一体化工程は、ホワイトボディの組立作業中に実行することができる。
【0039】
さらに、一体化工程は、特に複合材料で作られた第1部品100の場合に、インサート1のセットアップを可能にするハウジングを実現するための第1部品10の切削を含むことができる。この切削は、構造体の基部上か、或いは、構造化されているか否かにかかわらず、長繊維をベースとした補強材の基部上で実行される。切削工程は、金型または工具を閉じる際、すなわち第1部品10を形成する際に、例えば、第1部品10から材料片または帯状体を切断するように意図された中空管を用いることによって実行してもよい。この材料片または帯状体の排出は、金型または工具を開く前に、切欠きを形成した管の内側を通して行うことができる。排出は、インサート30を用いることによって実行されてもよい。インサート30は、切欠きによって形成された孔の内側にインサートを挿通する間に、部品または帯状体を管の中に押し込む。材料片又は帯状体の切断は、例えばアルミニウムで作られた第1の金属部品10(図3A図5B)にも関連し得るが、これは特に順送プレス型工具において、切断-スタンピングによって行われる。
【0040】
非干渉領域50を適合させる工程は、特に第1部品10の成形時に、または適切な場合には第2部品20の成形時に、例えばコアを用いることによって、インサート30のボディ32を受け入れるように意図された自由空間の残室によって実行され得る。したがって、この工程は、第1部品10または第2部品20の形成と同時に行ってもよい。
【0041】
あるいは、デカップリング領域50を適合させる工程は、第1部品10または第2部品20の塑性変形によって行ってもよい。したがって、この工程は、第1部品10または第2部品20の形成の後であってもよい。
【0042】
図1A図1Cの例によれば、この方法は、第1部品10を形成するため射出工程を備える。第1工程10へのインサート30の一体化は、ここでは第1部品10の形成、すなわち、射出工程と同時に行われる。
【0043】
図1Aに示すように、インサート30は、第1部品10の射出を意図された金型100内に配置される。この方法は、第1部品10を形成するように意図された材料の射出前に、インサート30を金型100内に位置決めする工程を備える。この位置決め工程は、図1Bに示すように、射出された材料が、ボディ32特に端部322と接触するのを防止することによって、第1部品10の形成中すなわち射出中に、金型100を具備し、かつボディ32の周囲に非干渉領域のための空間を残すように意図されたコア40にボディ32を挿入することを含む。コア40は、ここでは中空管状、好ましくは円筒状に形成されており、インサート30のボディ32の少なくとも一部又は全体を、金型100の閉鎖に際してコア40の内側に挿入できるようにする開口42を有している。好ましくは、コア40の内側およびインサート30のボディ32が相補的な形状を有する。有利には、コア40は、一旦、金型100が閉じられると、ヘッド2に対して、より具体的には遠位面312に対して当接してもよい。したがって、インサート30は、オーバーモールドされてもよく、それゆえ、第1部品10に連結されてもよい。このオーバーモールドは、インサート30と第1部品10との間の機械的相互作用を補強するために、インサート30の変形を伴ってもよい。
【0044】
射出後、インサート30を備えた第1部品10は、インサート30のボディ32のまわりに非干渉領域50を有する。続く工程において、端部322は、第1および第2部品10,20を組み立てるために、例えば電気抵抗溶接によって第2部品20に固定される。
【0045】
図2A~2Cの例によれば、この方法は、第1部品10を形成するための射出工程を含む。第1部品10へのインサート30の一体化は、ここでは第1部品10の形成の後、すなわち、射出工程にて行われる。
【0046】
金型100には、図2Bに示すように、第1部品10の形成中すなわち射出中に、分離領域50のための空間を残すように構成されたコア40が設けられている。コア40はまた、インサート30を第1部品10に挿入するための空間を残すように構成されてもよい。したがって、コア40は、ボディ32に対応する部分を除いて、インサート30の形状と同様の形状を有していてもよい。ボディ32に対応する部分は、ボディ32の周りの分離領域50に適合させるために、ボディ32よりも大きくなければならない。射出後、図2Cに示すように、第1部品10は、非干渉領域50を含むとともに、有利には、インサート30、特にヘッド31を受け入れるように意図されたハウジング12を含んでもよい。その後、この方法は、図2Cに示されるインサート30の再一体化を含む。この一体化工程は、第1部品10によって形成された分離領域50内における、ボディ32の位置決めを含む。その後、この方法は、例えば電気抵抗溶接によって、端部322を第2部品20に固定するステップを含む。
【0047】
図3A図3B図4および図5A図5Bの例によれば、非干渉領域50を適合させる工程は、第1部品10(図3A図3B図5A図5B)および/または第2部品20(図4)の変形によって実行される。例えば、この変形は、第1または第2部品10,20のスタンピング(図3A図3B図4)または圧縮(図5A図5B)によって得ることができる。インサート30を第1部品10に一体化する工程は、例えば、非干渉領域50を形成するために実際に適合されるのが第1部品10である場合には、非干渉領域50を適合させる工程の前(図3A図3B図5A)に行うことができ、または、非干渉領域50を形成するために適合されるのが第2部品20である場合には、非干渉領域50を適合させる工程の後(図4)後に行うことができる。非干渉領域50を適合させる工程は、該非干渉領域50を適合させるように互いに当接するように意図された第1部品60および第2部品70を備える工具を用いることによって実行されてもよい。第1部品60は、構造面61を含む。この構造面61は、平面(図5A)であってもよいし、キャビティを形成するための凹面(図3A)であってもよい。第2部品70は、構造面71を含む。この構造面71は、この第1または第2部品10,20が構造面61,71の間に配置されかつ工具の第1および第2部品60,70が互いに押し付けられたときに、第1または第2部品10,20を変形させるように意図された突出部を形成する。第1部品60は、ハウジング62、例えば、インサート30特にそのヘッド31を収容するように意図された、特に第1部品60の両側で開くことができる導管を有していてもよい。第2部品70は、インサート30のボディ32を受け入れるように意図された導管72を有していてもよい。この導管72は、第1部品10を貫通して形成された切欠きの受け入れを可能にし得る。有利には、導管72は、これらの切欠きを排気するための排出開口73を有する。
【0048】
非干渉領域50は、端部322と第1部品100との間に介在するように意図されている。有利には、非干渉領域50は、キャビティからなる。このキャビティは、断熱材料、特に空気を含む。非干渉領域50は、ボディ32の全周にわたって、特に、少なくとも端部322の全周にわたって延びている。非干渉領域50は、ボディ32まわりの360°にわたって延びるデカップリングリングを形成する。非干渉領域50は、断熱材料、例えばセラミックで作られた、場合によっては取り付けられた部品、またはコーティングを含
むことができる。これは、適宜、第1部品10または第2部品20に形成されたキャビティの内部に部分的にまたは全体的に配置することができる。
【0049】
ボディ32は、例えば図1Cに示されるように、この第1部品10へのインサート30の一体化の後に、第1部品10の面に対して乗り越えるように構成され得ることが強調されるべきである。ボディ32の余剰材料は、第1部品10の下面から越えるとともに、第2部品20上の溶接の動作中に非干渉領域50内で放射状に分布される。したがって、非干渉領域50を形成するキャビティは、第1部品10とのインサート30の厚さ適合性の範囲を増大させる。さらに、第1部品10に対するボディ32のこの超過は、溶接作業中に端部322と第2部品20との間に形成された溶融物の供給を可能にし、すなわち、溶融物はボディ32の材料と共に供給される。これは、より良好な溶接品質を得ることを可能にするとともに、リンクを壊れやすくしてロバスト性を低下させる可能性のある所謂「粘着」現象を回避する。
【0050】
図1Cを参照すると、非干渉領域50は、特に、インサート30のボディ32の直径又は幅の0.06倍以上の深さpを有していてもよい。さらに、非干渉領域50は、半径方向の幅l、すなわち、インサート30のボディ32の直径または幅の0.2倍以上の、軸Aに直交する平面において第1部品10からボディ32を隔てる距離を有し得る。
【0051】
有利には、インサート30を第2部品20に固定する工程は、電気抵抗溶接によって行われる。溶接電極(不図示)は、インサート30またはそのヘッド31、より具体的には近位面310に適用される。有利には、この溶接電極は、ヘッド31の断面よりも大きいかまたは等しい断面を有することができる。
【0052】
固定工程は、第2部品20上に、より具体的にはインサート30の反対側に、第2の溶接電極(図示せず)を適用することを含んでもよい。この第2の電極の断面、または寸法特に直径は、例えばインサート30のボディ32の断面または直径のような寸法と同様に、インサート30に適用される電極の断面、または寸法特に直径よりも小さくてもよい。
【0053】
しかしながら、固定工程は、シングルアクセス溶接を達成するために、インサート30のヘッド31上に適用される溶接電極に対応する1つの単一溶接電極の使用を含んでもよいことに留意されたい。1つの単一の電極が使用される場合、第2のパーツ20、または適切な場合には、第3の板金または第4の板金などの第2のパーツ20に直接または間接的に当接するパーツは、例えば、接地または反対の極性に接続される。
【0054】
非干渉領域50によって形成されたキャビティは、固定工程中に、第2部品20の座屈を可能にする。インサート30に対向するこの第2部品20の部分は、溶接が進行することにつれて、非干渉領域50の内側に上ぞりになることによって変形される。この変形は、ボディ32の材料の消費および電極によって発揮されるピンチ効果から生じ、ボディ32の長さの減少を補償する。したがって、第1部品10および第2部品20を押圧する傾向がある張力は、固定工程中に蓄積される。
【0055】
この方法は、インサート30を冷却する工程を含んでもよい。この工程は、溶接電極とインサート30特にヘッド31の方向における突出部との導管を通る、特に、空気などの冷却流体、より具体的には圧縮空気の循環を含む。その後、冷却流体は、ヘッド31上に、より具体的には近位面310上に、または溶接電極上に形成された通気チャンネルを通って流れてもよい。冷却は、例えば溶接電極の周囲に配置されたノズルを用いることによって、溶接電極の外部から周囲の態様で、特に中央の態様で溶接電極の内部から、冷却流体の供給によって行われてもよい。好ましくは、冷却工程は、固定工程の最中および/または後に、すなわち、インサート30を流れる電流の循環の最中および/または後に行わ
れる。
【0056】
この方法は、第1部品10と第2部品20とを接着する工程を含むことができる。
この接着工程は、インサート30を第2部品20に固定する工程の前に行うことができる。この溶接固定工程は、接着剤の乾燥および/または架橋の前に行うことができる。より具体的には、接着工程は、第1および/または第2部品10,20の上に接着剤を堆積することと、次いで、適切な場合には第1および第2部品10,20を互いに局所化することと、ドッキング、すなわち第1および第2部品10,20間の接触を達成するためにインサート30に圧力を加える工程と、を含むことができ、この押圧工程は、好ましくはインサート30を第2部品20に固定するときに行われる。接着剤は、この固定工程の最中、または、例えば電気泳動堆積タイプの処理工程のような後続の工程の最中に、硬化または架橋することができる。
【0057】
もちろん、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、この実施形態は、単に例示として提供されたものに過ぎない。特に、様々な要素の構成に関して、または技術的均等物との置換によって、本発明の範囲から逸脱することなく、変形が依然として可能である。
【0058】
したがって、この方法は、2つの部品10,20よりも多くの部品の組立を可能にすることができる。適切な場合には、これらの部品または板金が積み重ねられ、インサートのヘッドは、2つの端部板金の一方に固定される一方、インサートのボディの端部は、2つの端部板金の他方に固定される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2024-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品(10)と第2部品(20)とをインサート(30)を介して組み立てるための方法であって、
前記インサート(30)は、
前記第1部品(10)に当接するように意図されたヘッド(31)と、
前記第2部品(20)に溶接されるように意図された端部(322)を有するボディ(32)と、を備え、
前記方法は、前記インサート(30)における前記ボディ(32)の前記端部(322)を前記第2部品(20)に電気抵抗溶接によって固定する前に、前記端部(322)のまわりに前記第1部品(10)への熱伝達を制限する非干渉領域(50)を形成するように射出成形またはスタンピングによって前記第1または第2部品(10,20)を成形する工程を備える
ことを特徴とする組立方法。
【請求項2】
請求項1に記載された組立方法において、
前記非干渉領域(50)が、エアキャビティである
組立方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載された組立方法において、
前記非干渉領域(50)は、前記ボディ(32)まわりに環状に延びる
組立方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された組立方法において、
前記第1部品(10)に前記インサート(30)を一体化する工程を備える
組立方法。
【請求項5】
請求項4に記載された組立方法において、
前記第1部品(10)に前記インサート(30)を一体化する工程と、前記非干渉領域(50)を形成するために前記第1部品(10)を成形する工程と、は同時に行われる
組立方法。
【請求項6】
請求項4に記載された組立方法において、
前記第1部品(10)に前記インサート(30)を一体化する工程は、前記非干渉領域(50)を形成するために前記第1または第2部品(10,20)を成形する工程の前に行われる
組立方法。
【請求項7】
請求項4に記載された組立方法において、
前記第1部品(10)に前記インサート(30)を一体化する工程は、前記非干渉領域(50)を形成するために前記第1または第2部品(10,20)を成形する工程の後に行われる
組立方法。
【請求項8】
請求項4に記載された組立方法において、
前記インサート(30)を一体化する工程は、前記インサート(30)の前記ボディ(32)の通路のために意図された穴を前記第1部品(10)に切削する工程を含む
組立方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された組立方法において、
前記非干渉領域(50)は、前記インサート(30)の前記ボディ(32)を受け入れるように意図された自由空間の残室によって形成される
組立方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載された組立方法において、
前記非干渉領域(50)は、前記第1または第2部品(10,20)の変形によって形成される
組立方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載された組立方法において、
前記インサート(30)における前記ボディ(32)の前記端部(322)は、電気抵抗溶接によって前記第2部品(20)に固定される
組立方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載された組立方法において、
前記第1部品(10)は、射出成形によって形成される
組立方法。