(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153955
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】回路基板及び電子部品
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H05K1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115774
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】松田 賢二
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338CC02
5E338CC06
5E338CD02
5E338CD12
5E338EE31
(57)【要約】
【課題】外部回路基板と接続する回路基板で、平坦性の低下を抑制することのできる回路基板及び電子部品を提供する。
【解決手段】回路基板100は、基板10と、基板10の表面に配置されて第1めっき導体26を有する第1実装導体21と、第1実装導体21と対向して基板10に配置された第1グランド導体24と、第1実装導体21と第1グランド導体24との間に配置されたフロート導体と、基板10の内部に配置された信号線導体20と、第1実装導体21と信号線導体20とを接続する接続導体23とを備え、基板10の厚み方向から見て、信号線導体20及び接続導体23は第1めっき導体26と異なる位置に配置され、フロート導体は、第1めっき導体26の全体と重なって配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面に配置されて第1めっき導体を有する第1実装導体と、
前記第1実装導体と対向して前記基板に配置された第1グランド導体と、
前記第1実装導体と前記第1グランド導体との間に配置されたフロート導体と、
前記基板の内部に配置された信号線導体と、
前記第1実装導体と前記信号線導体とを接続する接続導体とを備え、
前記基板の厚み方向から見て、前記信号線導体及び前記接続導体は前記第1めっき導体と異なる位置に配置され、前記フロート導体は、前記第1めっき導体の全体と重なって配置されている、
回路基板。
【請求項2】
前記第1めっき導体が露出する開口を有する保護膜をさらに備え、
前記フロート導体は、前記保護膜の開口端部と重なるように配置されている、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第1めっき導体は、少なくとも一部の端部が前記開口から露出する、
請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記第1グランド導体は、さらに前記信号線導体と対向し、
前記信号線導体は、前記基板の表面と前記第1グランド導体との間に配置されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記信号線導体は、前記厚み方向において、前記フロート導体と同じ位置に設けられている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項6】
前記基板の表面と前記第1グランド導体との間に配置されている第2グランド導体をさらに備え、
前記第2グランド導体は、前記厚み方向から見て、前記第1めっき導体が内側に位置する開口を有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項7】
前記第2グランド導体は、前記厚み方向において、前記信号線導体と同じ位置に設けられている、
請求項6に記載の回路基板。
【請求項8】
前記厚み方向に見て、前記フロート導体と前記信号線導体との間隔は、前記フロート導体と前記第2グランド導体との間隔よりも小さい、
請求項6または7に記載の回路基板。
【請求項9】
前記厚み方向に見て、前記フロート導体と前記信号線導体との間隔は、前記フロート導体と前記第2グランド導体との間隔よりも大きい、
請求項6または7に記載の回路基板。
【請求項10】
前記接続導体の中心と前記第1めっき導体の中心とを結ぶ方向において、前記フロート導体の寸法は、前記接続導体の中心と前記第1めっき導体の中心とを結ぶ線分の寸法よりも大きい、
請求項1~9のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項11】
前記第1実装導体は、前記第1めっき導体が配置される第1領域と、前記接続導体と接続される第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第3領域とを含み、
前記フロート導体は、前記第3領域と重なるように配置されている、
請求項1~10のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項12】
前記第1実装導体は、前記第1めっき導体が配置される第1領域と、前記接続導体と接続される第2領域とを含み、
前記第1領域と前記第2領域とは接している、
請求項1~10のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項13】
前記基板の表面に配置されて第2めっき導体を有する第2実装導体と、
前記厚み方向において、前記フロート導体と同じ位置に設けられた他の導体とをさらに備え、
前記第1グランド導体は、さらに前記第2実装導体に対向し、
前記厚み方向に見て、前記他の導体は、前記第2めっき導体の少なくとも一部と重なって配置されている、
請求項1~12のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項14】
前記厚み方向に見て、前記他の導体は、前記第2めっき導体の全体と重なって配置されている、
請求項13に記載の回路基板。
【請求項15】
前記フロート導体と前記他の導体とは、一の導体で構成されている、
請求項13または14に記載の回路基板。
【請求項16】
前記他の導体は、第3グランド導体である、
請求項13または14に記載の回路基板。
【請求項17】
前記第1めっき導体と前記第2めっき導体とは、一の部品に接続される、
請求項13~16のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項18】
前記基板は、樹脂を主たる材料とする、
請求項1~17のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項19】
前記基板は、前記第1めっき導体に接合された導電性接合材をさらに有する、
請求項1~18のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか1項に記載の回路基板と、
前記回路基板に配置された部品とを備え、
前記部品は、前記第1めっき導体において導電性接合材を介して前記回路基板に接続される、
電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板及び電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板の一つとして、特許文献1に開示された半導体素子搭載用基板がある。例えば特許文献1では、外部回路基板との接続用に設けられたパッドと、パッドに隣接し、かつ、パッドと対向する部分に開口部を有する内部導体層と、内部導体層の開口部内に他の導体と電気的に分離されて浮いた状態の導体とを有する半導体素子搭載用基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の基板は、基板の面方向において、他の導体と電気的に分離されて浮いた状態の導体と、信号用導体または信号用ランドとの間に、導体が配置されない領域を有する。基板の厚み方向から見て、この領域と重なる部分では、パッドの平坦性が低下する虞がある。特に、外部回路基板と接続する部分の平坦性の低下は、外部回路基板との接続不良を生じることがある。すなわち、実装導体に接続された導体との間に、導体が配置されない領域を有することで、実装導体で、特にめっき導体の平坦性が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る回路基板は、基板と、基板の表面に配置されて第1めっき導体を有する第1実装導体と、第1実装導体と対向して基板に配置された第1グランド導体と、第1実装導体と第1グランド導体との間に配置されたフロート導体と、基板の内部に配置された信号線導体と、第1実装導体と信号線導体とを接続する接続導体とを備える。また、基板の厚み方向から見て、信号線導体及び接続導体は第1めっき導体と異なる位置に配置され、フロート導体は第1めっき導体の全体と重なって配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、めっき導体の平坦性の低下が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、回路基板100の分解上面図である。
【
図2】
図2は、回路基板100の部分断面図である。
【
図4】
図4は、回路基板100の部分拡大図である。
【
図5】
図5は、回路基板101の部分拡大図である。
【
図6】
図6は、電子部品300の部分断面図である。
【
図7】
図7は、電子部品300の部分断面図である。
【
図8】
図8は、電子部品301の部分拡大図である。
【
図9】
図9は、電子部品302の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。第1変形例以降では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0009】
(第1実施形態)
[回路基板の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る回路基板100の構造について図面を参照しながら説明する。
図1は、回路基板100の分解上面図である。
図2は、回路基板100の部分断面図であり、具体的には
図1におけるII-II切断面における断面図である。
図3は、回路基板100の断面図であり、具体的には
図1におけるIII-III切断面における断面図である。
図4は、回路基板100の第1実装導体21を中心とした部分拡大図である。
【0010】
まず、
図1、
図2及び
図3を参照しながら、回路基板100の構造について説明する。回路基板100は、高周波信号を伝送する。回路基板100は、スマートフォン等の電子機器において、2つの回路を電気的に接続するために用いられる。回路基板100は、
図1及び
図2に示すように、基板10、信号線導体20、第1実装導体21、第1フロート導体22、接続導体23、第1グランド導体24を備えている。本実施形態では、さらに、第2グランド導体25、保護膜27を備えているが、これらの構成は回路基板100が本発明の効果を奏するために必ずしも必要ではなく、これらの構成が備わってなくともよい。
【0011】
なお、以降の説明において、基板10の厚み方向をz軸方向とし、z軸方向に垂直な面をx軸及びy軸で規定する。
【0012】
基板10は、板形状の誘電体基板である。基板10は、基板層10a、10bが厚み方向に積層された構造を有している。なお、基板10は積層基板でなくともよい。
【0013】
第1実装導体21は、基板10の表面に配置されている。第1実装導体21の材料は、銅や銀などの金属箔である。第1実装導体21は、基板10の厚み方向において、基板10の表面と接する面と反対の面に、第1めっき導体26を有する。第1めっき導体26は、例えば、他の電子部品と接続させるために、はんだなどの導電性接合材を塗布されることができる。
【0014】
第1グランド導体24は、第1実装導体21と対向して基板10に配置されており、本実施形態では、基板10の厚み方向において、第1実装導体21と反対側の基板10の表面に配置されている。第1グランド導体24は、基板10の厚み方向において、第1めっき導体26と対向している。第1グランド導体24は、グランド電位に接続される。なお、第1グランド導体24は、基板10の内部に配置されていてもよい。
【0015】
第1フロート導体22は、基板10の内部に配置されている。第1フロート導体22は、基板10の厚み方向において、第1実装導体21と第1グランド導体24との間に配置されている。第1フロート導体22は、他の導体に接続されていない導体である。言い換えると、第1フロート導体22と他の導体との間には、基板層10aまたは10bが配置されている。第1フロート導体22は、基板10の厚み方向から見て、第1めっき導体26の全体と重なって配置されている。
【0016】
信号線導体20は、基板10の内部に配置されている。信号線導体20は、基板10の厚み方向から見て、第1めっき導体26と異なる位置に配置されている。信号線導体20は、基板10の厚み方向において、第1グランド導体24と対向している。言い換えると、信号線導体20は、基板10の表面と第1グランド導体24との間に配置されている。
【0017】
第2グランド導体25は、基板10の厚み方向において、第1グランド導体24と第1実装導体21が配置された基板10の表面との間に配置されている。第2グランド導体25は、基板10の厚み方向から見て、第1めっき導体26が内側に位置する開口を有している。本実施形態では、第2グランド導体25は、基板10の厚み方向から見て、信号線導体20や第1フロート導体22、第1実装導体21と異なる位置に配置されている。第1めっき導体26は、第2グランド導体25の開口の内側に配置されている。第2グランド導体25は、グランド電位に接続される。
【0018】
本実施形態では、信号線導体20、第1フロート導体22及び第2グランド導体25は、基板10の厚み方向において、同じ位置に配置されている。つまり、信号線導体20、第1フロート導体22、及び、第2グランド導体25は、基板層10bに配置されている。なお、信号線導体20、第1フロート導体22及び第2グランド導体25は、それぞれが別の基板層に設けられていてもよいし、1つだけが異なる層に設けられていてもよい。
【0019】
接続導体23は、
図2に示すように、信号線導体20と第1実装導体21とを電気的に接続している。接続導体23は、基板層10aを基板10の厚み方向に貫通している。接続導体23の一端は、信号線導体20に接している。接続導体23の他端は、第1実装導体21に接している。基板10の厚み方向から見て、接続導体23は第1めっき導体26と異なる位置に配置されている。
【0020】
保護膜27は、第1実装導体21が配置された基板10の表面に配置されている。保護膜27は、基板10を保護している。保護膜27は開口を有しており、その開口より、第1めっき導体26は露出する。第1フロート導体22は、基板10の厚み方向に見て、保護膜27の開口端部と重なっている。第1めっき導体26は、
図2に示すように、基板10の厚み方向に見て、保護膜27と重なっている。また、
図3に示すように、第1めっき導体26は、基板10の厚み方向に見て、少なくとも一部の端部が保護膜27の開口から露出している。基板層10aの一部は、基板10の厚み方向に見て、保護膜27の開口から露出していてもよい。この場合、
図3に示すように、第1めっき導体26や基板層10aの露出している部分は、基板10の厚み方向に見て、第1フロート導体22と重なっている。なお、基板10の厚み方向に見て、第1めっき導体26の全体が保護膜27の開口から露出していてもよい。また、基板10の厚み方向に見て、第1めっき導体26の全方位の端部が保護膜27の開口端部と重なっていてもよい。
【0021】
以上のように構成された回路基板100は高周波信号を伝送し、特に、信号線導体20、第1実装導体21及び接続導体23において、高周波信号を伝送する。
【0022】
[製造方法]
本実施形態の回路基板100は、例えば以下のような製法で得ることができる。
【0023】
誘電体材料で、例えば、セラミックス材料、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を材料とする基板層10a、10bを準備する。熱硬化性樹脂は、例えば、ポリイミドやエポキシガラス等である。熱可塑性樹脂は、例えば、液晶ポリマー、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)等である。基板層10a、10bの片面に銅箔を張り、エッチング処理によって、信号線導体20、第1実装導体21、第1フロート導体22、第1グランド導体24、第2グランド導体25を得る。第1めっき導体26は、第1実装導体21に、ニッケルめっきを施した上から金めっきを施すことで得られる。接続導体23は、基板層10a、10bに貫通孔を形成し、導電性ペーストを充填して、導電性ペーストが加熱により固化することで得られる。基板層10a、10bを、加熱プレスにより一体化させたり、接着剤で互いに接合させたりすることで、積層させる。保護膜27は、絶縁性を有するペーストが印刷されたり、絶縁性を有するシートが張り付けたりして得られる。保護膜27の材料は、基板層10a、10bの材料とは異なる。
【0024】
[効果]
本実施形態の回路基板100は、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制する効果を奏する。以下、効果について具体的に説明する。
【0025】
本実施形態では、
図2に示すように、第1グランド導体24は、第1実装導体21及び信号線導体20と対向しているが、第1グランド導体24は、信号線導体20と対向していなくともよく、グランド電位に接続される他のグランド導体が、信号線導体20と対向していてもよい。
【0026】
図2に示すように、第1実装導体21は、基板10の厚み方向から見て、接続導体23と重なる領域A1、第1めっき導体26と重なる領域A2、及び、A1とA2との間の領域A3を有する。基板10の厚み方向から見て、第1グランド導体24は、領域A1、領域A2及び領域A3に重なり、第1フロート導体22は、領域A2及びA3に重なる。
【0027】
図4に示すように、信号線導体20と第1フロート導体22との距離をL1とする。また、第2グランド導体25と第1フロート導体22との距離をL2とする。回路基板100において、L1はL2より短い。接続導体23の中心と第1めっき導体26の中心とを結ぶ線分の寸法をL3とする。また、接続導体23の中心と第1めっき導体26の中心とを結ぶ方向において、第1フロート導体22の寸法をL4とする。回路基板100において、L3はL4より短い。
【0028】
回路基板100によれば、第1めっき導体26の平坦性の低下が抑制できる。より詳細には、第1フロート導体22は、基板10の厚み方向から見て、第1めっき導体26の全体と重なっている。これによって、基板10の面方向において、第1フロート導体22と隣接する誘電体基板は、基板10の厚み方向から見て、第1めっき導体26と異なる位置に配置される。仮に、基板10の厚み方向から見て、第1フロート導体22と隣接する誘電体基板が第1めっき導体26と重なると、導体密度の差によって、第1めっき導体26の平坦性が損なわれる虞がある。そのため、第1フロート導体22が、基板10の厚み方向から見て、第1めっき導体26の全体と重なっていることで、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制できる。
【0029】
また、回路基板100によれば、第1フロート導体22の大きさを変更することで、第1実装導体21と第1フロート導体22とで形成する浮遊容量を調整することができる。第1実装導体21には高周波信号が流れるため、浮遊容量を調整することで、適当な信号特性を得ることができる。
【0030】
また、回路基板100によれば、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。より詳細には、
図2に示すように、基板10の表面に配置された保護膜27によって、第1実装導体21の端部は被覆される。これによって、第1実装導体21は回路基板100に、より強く固定される。そのため、第1実装導体21の平坦性の低下が抑制され、第1実装導体21に形成された第1めっき導体26の平坦性の低下がより抑制できる。
【0031】
また、回路基板100によれば、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。より詳細には、第1めっき導体26は、基板10の厚み方向に見て、少なくとも一部の端部が保護膜27の開口から露出している。基板層10aの一部は、基板10の厚み方向に見て、保護膜27の開口から露出している。この場合、
図3に示すように、第1めっき導体26や基板層10aの露出している部分は、基板10の厚み方向に見て、第1フロート導体22と重なっている。これによって、より広範囲に第1フロート導体22が配置されることで、第1めっき導体26の平坦性の低下がより抑制できる。
【0032】
また、回路基板100によれば、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。より詳細には、信号線導体20は、基板10の表面と第1グランド導体24との間に配置されている。さらに、第1グランド導体24は、基板10の厚み方向において、第1実装導体21と重なることで、第1グランド導体24が第1めっき導体26のみと重なる場合と比較して、第1実装導体21の平坦性の低下が抑制できる。つまり、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。
【0033】
また、回路基板100によれば、第1めっき導体26の形成する容量を調整することができる。より詳細には、信号線導体20は、基板10の厚み方向において、第1フロート導体22と同じ位置に配置されている。これは、第1フロート導体22の代わりに何らかのグランド導体が配置されていた場合と比べて、第1めっき導体26の形成する容量の増加を抑制することができる。また、基板10の厚み方向において、同じ位置に配置された導体は、同じ厚みになりやすい。そのため、基板10の厚み方向において、第1実装導体21の平坦性の低下が抑制できる。つまり、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。
【0034】
また、回路基板100によれば、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。より詳細には、第2グランド導体25は、基板10の厚み方向において、信号線導体20や第1フロート導体22と同じ位置に配置されている。基板10の厚み方向において、同じ位置に配置された導体は、同じ厚みになりやすい。そのため、基板10の厚み方向において、基板10の平坦性の低下が抑制できる。つまり、第1実装導体21及び第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。
【0035】
また、回路基板100によれば、第1実装導体21が形成する容量を調整できる。より詳細には、信号線導体20と第1フロート導体22との距離L1は、第2グランド導体25と第1フロート導体22との距離L2より短い。これによって、第1実装導体21と第2グランド導体25とでの第1フロート導体22を介した浮遊容量の増加を抑制することができる。
【0036】
また、回路基板100によれば、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。より詳細には、接続導体23の中心と第1めっき導体26の中心とを結ぶ線分の寸法L3は、接続導体23の中心と第1めっき導体26の中心とを結ぶ方向における第1フロート導体22の寸法L4より短い。つまり、第1フロート導体22は、基板10の厚み方向において、第1実装導体21の比較的大部分と重なる。これによって、第1実装導体21の平坦性の低下が抑制できる。つまり、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。
【0037】
また、回路基板100によれば、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。より詳細には、第1フロート導体22は、
図2に示すように、領域A2及びA3に配置されている。つまり、第1フロート導体22は、基板10の厚み方向において、第1実装導体21の比較的大部分と重なる。これによって、第1実装導体21の平坦性の低下が抑制できる。つまり、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。
【0038】
また、 回路基板100によれば、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制できる。より詳細には、熱可塑性樹脂を材料とする基板層10a、10bを用いると、熱可塑性樹脂は熱変形しやすいため、他の材料と比較して、第1実装導体21の平坦性の低下を抑制することが容易ではない。よって、本構成を用いることで、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。
【0039】
また、回路基板100によれば、第1めっき導体26と他の電子部品との接続不良を抑制できる。より詳細には、第1めっき導体26は、例えば、他の電子部品と接続させるために、はんだなどの導電性接合材を塗布することができる。つまり、他の電子部品は、はんだなどの導電性接合材を介して、第1実装導体21に接続される。はんだなどの導電性接合材は、部材と部材を接合させる際に、軟化させて用いる。そのため、はんだなどの導電性接合材を用いる際には、それを塗布する部位の平坦性が低下していると、接合させる部材と導電性接合材との接続に不良が生じることが考えられる。したがって、はんだなどの導電性接合材を用いる際に、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制することは、第1めっき導体26と他の電子部品との接続不良の抑制に繋がる。
【0040】
なお、信号線導体20は、基板10の厚み方向において、第1フロート導体22と異なる位置に設けられていてもよい。
【0041】
なお、接続導体23の中心と第1めっき導体26の中心とを結ぶ線分の寸法L3は、接続導体23の中心と第1めっき導体26の中心とを結ぶ方向における第1フロート導体22の寸法L4より長くてもよい。
【0042】
なお、基板10の厚み方向から見て、第1グランド導体24とは異なるグランド導体が、接続導体23と重なる領域A1、第1めっき導体26と重なる領域A2及びA1とA2との間の領域A3に重なっていてもよい。また、第1フロート導体22は、領域A3に重ならなくてもよい。
【0043】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る回路基板101について図面を参照しながら説明する。
図5は、回路基板101の部分拡大図である。
【0044】
回路基板101は、信号線導体20と第1フロート導体22との距離L1と、第2グランド導体25と第1フロート導体22との距離L2とにおいて、回路基板100と相違する。より詳細には、信号線導体20と第1フロート導体22との距離L1は、第2グランド導体25と第1フロート導体22との距離L2より長い。
【0045】
これにより、第1フロート導体22は、信号線導体20に対して遠い位置に配置されることで、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制できる。
【0046】
より詳細には、接続導体23は導電性ペーストからなるため、加熱や固化の方法によっては、接続導体23の表面に凹凸が生じる。第1実装導体21は接続導体23と接続されているため、接続導体23の凹凸により、基板10の厚み方向に見て、第1実装導体21の接続導体23と接している領域に凹凸が生じる虞がある。回路基板101では、第1フロート導体22は、信号線導体20に対して遠い位置に配置される。換言すると、第1めっき導体26は、基板10の厚み方向に見て、第1実装導体21の接続導体23と接している領域に対して遠い位置に配置される。それによって、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制できる。
【0047】
(第2実施形態)
以上の回路基板100及び回路基板101に他の部品129が実装されることで、電子部品300として用いることができる。電子部品300は、例えばスマートフォン等の電子機器において、2つの回路を電気的に接続するために用いられる。
【0048】
以下に、第2実施形態に係る電子部品300について図面を参照しながら説明する。
図6は、電子部品300の部分断面図である。
【0049】
電子部品300は、他の部品129を実装した回路基板102を有する。回路基板102は、第2実装導体121、第2フロート導体122を備えている点や、第1フロート導体22や第2グランド導体25の配置で、回路基板100と相違する。
【0050】
第2実装導体121は、基板10の表面に配置されている。第2実装導体121の材料は、銅や銀などの金属箔である。第2実装導体121は、基板10の厚み方向において、基板10の表面と接する面と反対の面に、第2めっき導体126を有する。第2めっき導体126は、例えば、ニッケルめっきを施した上から金めっきを施すことで設けられる。第2めっき導体126は、例えば、他の電子部品と接続させるために、はんだなどの導電性接合材を塗布することができる。
【0051】
第2実装導体121は、接続導体23を介して、金属箔等によって形成された導体パターンに接続される。電子部品300においては、この金属箔等によって形成された導体パターンは、第1実装導体21に電気的に接続されている信号線導体20とは別の信号線導体20である。なお、これら2つの信号線導体20は、同じ高周波信号が流れていてもよいし、一方は高周波信号で、他方はアナログ信号など、異なる信号が流れていてもよい。
【0052】
第2フロート導体122は、基板10の内部に配置されている。第2フロート導体122は、基板10の厚み方向において、第2実装導体121と第1グランド導体24との間に配置されている。第2フロート導体122は、グランド電位や信号線導体20に接続されていない導体である。第2フロート導体122は、基板10の厚み方向から見て、第2めっき導体126の少なくとも一部と重なって配置されている。電子部品300では、第2フロート導体122は、基板10の厚み方向から見て、第2めっき導体126の全体と重なって配置されている。第2フロート導体122は、基板10の厚み方向において、第1フロート導体22と同じ位置に配置されている。
【0053】
第2グランド導体25は、回路基板100の配置に加え、第1フロート導体22と第2フロート導体122との間にさらに配置されている。
【0054】
他の部品129は、はんだ等の導電性接合材を介して、第1めっき導体26及び第2めっき導体126と接続される。
【0055】
電子部品300によれば、他の部品129の傾きを抑制できる。より詳細には、第2フロート導体122は、基板10の厚み方向から見て、第2めっき導体126の少なくとも一部と重なっている。他の部品129は、第1めっき導体26及び第2めっき導体126と接続される。これによって、回路基板100と同様に、他の部品129の平坦性の低下を抑制できる。
【0056】
なお、第2フロート導体122は、基板10の厚み方向から見て、第2めっき導体126の全体と重なっていることで、他の部品129の平坦性の低下をより抑制できる。
【0057】
なお、第2フロート導体122は、基板10の厚み方向において、第1フロート導体22と同じ位置に配置されていることで、第1フロート導体22と第2フロート導体122とが同じ厚みになりやすいため、他の部品129の平坦性の低下をより抑制できる。
【0058】
なお、第2グランド導体25は、回路基板100における配置に加え、第1フロート導体22と第2フロート導体122との間にさらに配置されていることで、第1フロート導体22と第2フロート導体122、第2グランド導体25とが同じ厚みになりやすいため、他の部品129の平坦性の低下をより抑制できる。
【0059】
なお、電子部品300では、第1めっき導体26の平坦性が低下していると、接合させる部材と導電性接合材との接続に不良が生じることが考えられる。したがって、はんだなどの導電性接合材を用いる電子部品300で、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制することは、第1めっき導体26と他の部品129との接続不良の抑制に繋がる。
【0060】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係る電子部品301について図面を参照しながら説明する。
図7は、電子部品301の部分断面図である。
図8は、電子部品301の部分拡大図である。
【0061】
電子部品301は、他の部品129を実装した回路基板103を有する。回路基板103は、更なる接続導体23及び第3グランド導体124を備えている点と、各構成の配置が異なる点で、回路基板100と相違する。
【0062】
第1実装導体21は、
図7に示すように、基板10の厚み方向から見て、接続導体23と重なる領域A1及び第1めっき導体26と重なる領域A2を有し、それらの領域は接する。
【0063】
第2実装導体121は、グランド電位に接続されている。第2実装導体121は、接続導体23を介して、第2グランド導体25と接続されている。
【0064】
第2めっき導体126は、基板10の厚み方向に見て、第3グランド導体124と重なる。
【0065】
電子部品301は、
図8に示すように、複数の接続導体23が配置されていてもよい。また、基板10の厚み方向から見て、接続導体23と重なる領域と第1めっき導体26と重なる領域とが、接していなくともよい。また、複数の接続導体23は、それぞれ同じ信号を伝送してもよいし、別の信号を伝送してもよい。例えば、
図7に示すように、第3グランド導体124などのグランド導体と接続する接続導体23と、信号線導体20と接続する接続導体23とに分かれていてもよい。
【0066】
なお、
図8では、図が煩雑になることを防ぐため、他の部品129を点線で図示した。他の部品129は、例えば
図7に示すように、基板10の表面に実装される。
【0067】
電子部品301によれば、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制できる。より詳細には、基板10の厚み方向から見て、接続導体23と重なる領域と第1めっき導体26と重なる領域とを有し、それらの領域は接する。これによって、信号線導体20と第1フロート導体22との距離が小さくなることで、第1実装導体21の平坦性の低下を抑制できる。つまり、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制できる。
【0068】
(第3変形例)
以下に、第3変形例に係る電子部品302について図面を参照しながら説明する。
図9は、電子部品302の部分断面図である。
【0069】
電子部品302は、他の部品129を実装した回路基板104を有する。回路基板104は、第1フロート導体22と第2フロート導体122とが同一の導体からなる点で、回路基板102と相違する。
【0070】
第1フロート導体22は、基板10の厚み方向に見て、第1めっき導体26及び第2めっき導体126と重なるように、連続して配置されている。
【0071】
電子部品302によれば、第1めっき導体26の平坦性の低下をより抑制できる。より詳細には、第1フロート導体22は、基板10の厚み方向に見て、第1めっき導体26及び第2めっき導体126と重なるように、連続して配置される。これにより、より広範囲に第1フロート導体22が配置されるため、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制できる。また、電子部品300と同様に、他の部品129の傾きを抑制できる。
【0072】
なお、第2めっき導体126は第1めっき導体26と、また、第3グランド導体124は第1グランド導体24と、同じ材料で作られていてもよいし、本発明と同類の効果を奏するものであれば、別の材料から作られていてもよい。
【0073】
なお、接続導体23は、基板10の厚み方向に見て、接続導体23と重なる他の接続導体を介して、信号線導体20と第1実装導体21とを電気的に接続していてもよい。
【0074】
なお、基板層10aの表面には、第1実装導体21の他に、基板10の厚み方向に見て、第1実装導体21と重ならない他のグランド導体を配置してもよい。他のグランド導体と第1グランド導体24との間に信号線が配置されている領域では、ストリップライン構造をとる。
【0075】
なお、基板10の厚み方向に見て、第1めっき導体26の全体と重なる位置に、さらに他の導体が配置されていてもよい。他の導体が、基板10の厚み方向に見て、第2めっき導体126と重なることで、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制できる。換言すると、基板10の厚み方向に見て、第1めっき導体26の全体及び第2めっき導体126と重なる導体の枚数が同じであると、第1めっき導体26の平坦性の低下を抑制できる。
【0076】
なお、
図1,4,5,8では、図が煩雑になることを防ぐため、保護膜27を図示していない。
【符号の説明】
【0077】
10 基板
10a、10b 基板層
20 信号線導体
21 第1実装導体
22 第1フロート導体
23 接続導体
24 第1グランド導体
25 第2グランド導体
26 第1めっき導体
27 保護膜
100、101、102、103、104 回路基板
121 第2実装導体
122 第2フロート導体
124 第3グランド導体
126 第2めっき導体
128 導電性接合材
129 他の部品
300、301、302、303 電子部品