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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153970
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】手すり
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067515
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】森 正樹
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301HH18
2E301JJ05
2E301JJ09
2E301JJ12
2E301KK01
2E301LL01
2E301LL14
2E301LL16
2E301LL22
2E301LL26
2E301MM02
2E301NN01
2E301NN12
2E301NN32
(57)【要約】
【課題】 施工性の良い手すりの提供。
【解決手段】 支柱1,1,…と下弦材2と下弦材連結金具3とを備え、支柱1は、左右の側面にパネル取付溝4を長手方向に有し、下弦材2は、支柱1,1間に架設してあり、パネル5の下縁部を支持しており、下弦材連結金具3は、押出形材で形成したブロック状の部材であって、押出方向を下弦材2の長手方向に沿う向きで配置したものであり、先端を支柱1のパネル取付溝4に嵌合する本体部6と、本体部6よりも見込方向に幅広に形成され、パネル取付溝4外に位置する載置部7を有し、左右の下弦材連結金具3,3の本体部6と支柱1を貫通する通しボルト8で固定してあり、下弦材2の長手方向端部を下弦材連結金具3の載置部7に載置して固定してある。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と下弦材と下弦材連結金具とを備え、支柱は、左右の側面にパネル取付溝を長手方向に有し、下弦材は、支柱間に架設してあり、パネルの下縁部を支持しており、下弦材連結金具は、押出形材で形成したブロック状の部材であって、押出方向を下弦材の長手方向に沿う向きで配置したものであり、先端を支柱のパネル取付溝に嵌合する本体部と、本体部よりも見込方向に幅広に形成され、パネル取付溝外に位置する載置部を有し、左右の下弦材連結金具の本体部と支柱を貫通する通しボルトで固定してあり、下弦材の長手方向端部を下弦材連結金具の載置部に載置して固定してあることを特徴とする手すり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅のベランダ等に設置される手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定の間隔で立設した支柱に笠木と下弦材を架設し、支柱と笠木と下弦材とで囲まれた開口部にガラス等のパネルを取付けた手すりが知られている。このような手すりにおいては、施工性の良いものが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、施工性の良い手すりの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による手すりは、支柱と下弦材と下弦材連結金具とを備え、支柱は、左右の側面にパネル取付溝を長手方向に有し、下弦材は、支柱間に架設してあり、パネルの下縁部を支持しており、下弦材連結金具は、押出形材で形成したブロック状の部材であって、押出方向を下弦材の長手方向に沿う向きで配置したものであり、先端を支柱のパネル取付溝に嵌合する本体部と、本体部よりも見込方向に幅広に形成され、パネル取付溝外に位置する載置部を有し、左右の下弦材連結金具の本体部と支柱を貫通する通しボルトで固定してあり、下弦材の長手方向端部を下弦材連結金具の載置部に載置して固定してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による手すりは、支柱と下弦材と下弦材連結金具とを備え、支柱は、左右の側面にパネル取付溝を長手方向に有し、下弦材は、支柱間に架設してあり、パネルの下縁部を支持しており、下弦材連結金具は、押出形材で形成したブロック状の部材であって、押出方向を下弦材の長手方向に沿う向きで配置したものであり、先端を支柱のパネル取付溝に嵌合する本体部と、本体部よりも見込方向に幅広に形成され、パネル取付溝外に位置する載置部を有し、左右の下弦材連結金具の本体部と支柱を貫通する通しボルトで固定してあり、下弦材の長手方向端部を下弦材連結金具の載置部に載置して固定してあることで、支柱のパネル取付溝に本体部を嵌合させて支柱の左右両側に下弦材連結金具を1本の通しボルトで簡単に取り付けることができ、その後、下弦材の長手方向端部を下弦材連結金具の載置部に載置して固定することで、支柱間に下弦材を容易に取付けることができるので、施工性が良い。
また、下弦材連結金具の回転が支柱のパネル取付溝により規制され、下弦材連結金具自体もねじれ難く、且つ下弦材連結金具の載置部により下弦材のねじれを防ぐことができるので、強風時に下弦材が回転したりねじれたりするのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図3のA-A断面図である。
図2】本発明の手すりの一実施形態を示す外部側から見た正面図である。
図3図2の支柱の周辺を拡大して示す正面図である。
図4図3のB-B断面図である。
図5】支柱と下弦材との連結部を示す分解斜視図である。
図6】(a)は下弦材連結金具の平面図、(b)は同側面図、(c)は同正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~5は、本発明の手すりの一実施形態を示している。本手すりは、マンション等集合住宅のベランダに設置される落下防止用の手すりで、図1,2に示すように、ベランダの屋外側端部に床面から立ち上げたパラペット9に複数本の支柱1,1,…が左右方向に間隔をおいて立設してあり、支柱1,1,…の上端部に笠木10が架設してあり、隣り合う支柱1,1の下部間に下弦材2がそれぞれ架設してあり、支柱1,1,…と笠木10と下弦材2とで囲まれた各開口部に合わせガラスよりなるパネル5を取付けてある。支柱1、笠木10、及び下弦材2は、アルミニウム合金の押出形材で形成されている。
【0008】
支柱1は、図4に示すように、外形が略正方形の中空状となっており、左右の側面の見込方向の中央部にパネル取付溝4を長手方向に沿って有している。パネル取付溝4にはパネル5の側縁部が呑み込ませてあって、パネル取付溝4の外部側の内側面に取付けた先付けビード11と、パネル取付溝4の内部側の内側面とパネル5間に設けたバックアップ材12及び湿式のシール材13とで、パネル5の側縁部がパネル取付溝4に保持されている。パネル取付溝4は、外部側及び内部側の内側面に段部14が形成され、底部側の溝幅を入り口側より一段狭くしてある。
支柱1は、図1,3,4に示すように、内部に補強部材15を設けて補強してある。補強部材15は、支柱1の下端から中間部に亘って設けてあり、下部にアンカーボルト16が固定して設けてあり、アンカーボルト16をパラペット9に開けた孔に差し込んで固定することで、パラペット9から立設してある。支柱1と補強部材15とは、内部側でネジ17(図3参照)で固定してある。補強部材15には、図5に示すように、後述する下弦材連結金部3の取付用の通しボルト8の挿通孔18が上下方向の長孔状に形成してある。なお、支柱1には、左右の側面のパネル取付溝4の底壁に通しボルト8の挿通孔(図示省略)が円孔(バカ孔)で形成してある。
【0009】
笠木10は、図1,3に示すように、ベース材19とカバー材20の2部材で構成されている。ベース材19は、隣り合う支柱1,1の上端に跨って載置し、上方から支柱1にネジ21で固定して取付けてある(図3参照)。ベース材19は、図1に示すように、下面にパネル取付溝4を有し、パネル取付溝4にパネル5の上縁部を呑み込ませ、支柱1と同様に、外部側に設けた先付けビード11と内部側に設けたバックアップ材12及びシール材13とで、パネル5の上縁部をパネル取付溝4に固定してある。
カバー材20は、上記のように隣り合う2本の支柱1,1ごとに取付けられた複数のベース材19,19,…にまたがるように、ベース材19,19,…に上方から嵌め込んで取付けられ(図1参照)、ベース材19,19,…をカバーしている。
【0010】
下弦材2は、図1に示すように、下側が開放したコ字型断面部22と、コ字型断面部22上に設けられたパネル支持部23とを有している。パネル支持部23は、対向する外部側壁24aと内部側壁24bを有し、内部側壁24bは着脱自在な押縁となっている。外部側壁24aと内部側壁24bは、下側に外部側と内部側にそれぞれ傾斜した傾斜部25を有している。このように傾斜部25が設けてあることで、下弦材2に足を掛けにくくなっている。
パネル支持部23にはパネル5の下縁部が呑み込ませてあって、外部側壁24aの内側面に取付けた先付けビード11と、内部側壁24bの内側面とパネル5間に設けたバックアップ材12及び湿式のシール材13とで、パネル5の下縁部がパネル支持部23に保持されている。また、パネル支持部23内には、下弦材2の長手方向に間隔をおいてセッティングブロック26が複数設けられており、セッティングブロック26上にパネル5を載置してある。
【0011】
下弦材2は、図1,3,4に示すように、長手方向端部を下弦材連結金具3により支柱1に連結してある。下弦材連結金具3は、図5,6に示すように、アルミニウム合金の押出形材で形成したブロック状の部材であり、押出方向を下弦材2の長手方向に沿う向きで配置してある。下弦材連結金具3は、略角棒状の本体部6と、本体部6の上面側に本体部6よりも見込方向に幅広に形成され、下弦材2が載置される板状の載置部7を有している。
本体部6は、図4に示すように、支柱1のパネル取付溝4に嵌合するようになっており、且つ支柱1側の端面がパネル取付溝4の段部14に係止している。本体部6には、図5に示すように、通しボルト8が挿通されるボルト挿通部27が下側が開口した溝状に形成してある。
載置部7は、本体部6を支柱1のパネル取付溝4に嵌合させられるように、支柱1側が切り欠かれ、パネル取付溝4外に位置している。
また下弦材連結金具3は、図5に示すように、支柱1と反対側の上面に雌ネジ孔28が左右方向に間隔をおいて形成してある。
【0012】
下弦材連結金具3は、図4,5に示すように、支柱1の左右の側面のパネル取付溝4,4に本体部6をそれぞれ嵌合させて配置し、左右何れか一方側から1本の通しボルト8を左右の下弦材連結金具3,3と支柱1(補強部材15を含む)を貫通して通し、他方側の下弦材連結金具3から突き出た通しボルト8のネジ部にナット29を螺合して締め付けることで、左右の下弦材連結金具3,3が回転を規制された状態で支柱1に強固に固定される。支柱1の内部に設けられる補強部材15のボルト挿通孔18が上下方向の長孔になっていることで、パラペット9に不陸があって複数の支柱1,1,…の補強部材15の設置高さに誤差があったとしても、長孔でその誤差を吸収して下弦材連結金具3を複数の支柱1,1,…の同じ高さ位置に設置できる。
下弦材2は、図1に示すように、コ字型断面部22の長手方向端部を下弦材連結金具3の載置部7に上方から載置し、上方から挿入したネジ30を下弦材連結金具3に形成された雌ネジ孔28に螺入して固定される。載置部7が、本体部6よりも見込方向に幅広に形成されていることで、下弦材2の長手方向端部を下弦材連結金具3に安定して保持させられ、下弦材2のねじれを防ぐことができる。
【0013】
次に、本手すりの施工手順を説明する。本手すりは、工場にてあらかじめパネル5の無い状態で組み立てられ、そのパネル5の無い状態の手すり(手すりユニット)が手すりを設置する施工現場へと搬入される。手すりユニットを組立てる際には、上記のとおり、支柱1のパネル取付溝4に本体部6を嵌合させて支柱1の左右両側に下弦材連結金具3,3を1本の通しボルト8で簡単に取り付けることができ、その後、下弦材2の長手方向端部を下弦材連結金具3の載置部7に載置してネジ30で固定することで、支柱1,1,…間に下弦材2を容易に取付けることができるので、施工性が良い。
施工現場では、パラペット9上に支柱位置及びアンカーボルト位置の墨出しを行い、アンカーボルト位置にドリルで孔を開ける。
次に、パラペット9に手すりユニットを置いてみて、パラペット9が下がっている不陸の部分において、補強部材15を支柱1から下に引き出して調整し、室内側からのネジ17で支柱1と補強部材15を固定する。なお、この時点では、支柱1及び補強部材15には下弦材連結金具3を固定するための通しボルト8が貫通しているが、補強部材15のボルト挿通孔18は上下方向の長孔になっているため、そのように補強部材15の位置を上下に調整して不陸を吸収することができる。
次に、パラペット9の孔に接着剤を注入した上で、手すりユニットの各支柱1,1,…の補強部材15から下方に突出するアンカーボルト16をパラペット9の孔に差し込む。
その後、手すりユニットの位置調整、高さ調整等を行い、仮固定治具を用いて手すりユニットを仮固定する。そして、所定の養成期間が経過した後、仮固定治具を取り外し、支柱1の根元にカバー31(図1,3参照)を取付ける。
次に、各支柱1,1,…間にパネル5を取付ける。パネル5の取付けは、下弦材2のパネル支持部23の内部側壁(押縁)24bを取外した状態で、内部側からパネル5の左右側縁部を隣り合う支柱1,1のパネル取付溝4に左右けんどんで挿入し、その後、パネル5を少し持ち上げてパネル5の上縁部を笠木10のパネル取付溝4に差し入れると共に、下弦材2にセッティングブロック26を設置してパネル5を受ける。
その後、下弦材2のパネル支持部23の内部側壁(押縁)24bを取付け、パネル5の周縁部に内部側からバックアップ材12及びシール材13を装填してパネル5を固定する。
【0014】
以上に述べたように本手すりは、支柱1,1,…と下弦材2と下弦材連結金具3とを備え、支柱1は、左右の側面にパネル取付溝4を長手方向に有し、下弦材2は、支柱1,1間に架設してあり、パネル5の下縁部を支持しており、下弦材連結金具3は、押出形材で形成したブロック状の部材であって、押出方向を下弦材2の長手方向に沿う向きで配置したものであり、先端を支柱1のパネル取付溝4に嵌合する本体部6と、本体部6よりも見込方向に幅広に形成され、パネル取付溝4外に位置する載置部7を有し、左右の下弦材連結金具3,3の本体部6と支柱1を貫通する通しボルト8で固定してあり、下弦材2の長手方向端部を下弦材連結金具3の載置部7に載置して固定してあることで、支柱1のパネル取付溝4に本体部6を嵌合させて支柱1の左右両側に下弦材連結金具3,3を1本の通しボルト8で簡単に取り付けることができ、その後、下弦材2の長手方向端部を下弦材連結金具3の載置部7に載置して固定することで、支柱1,1,…間に下弦材2を容易に取付けることができるので、施工性が良い。
また、下弦材連結金具3の回転が支柱1のパネル取付溝4により規制され、下弦材連結金具3自体もねじれ難く、且つ下弦材連結金具3の載置部7により下弦材2のねじれを防ぐことができるので、強風時に下弦材2が回転したりねじれたりするのを防止できる。
このような手すりは、パネル5に受ける風圧等により下弦材2の支柱1との接合部に大きな荷重が繰り返しかかるため、当該接合部に緩みが生じないように定期的にメンテナンスを行うことが好ましいが、本手すりは通しボルト8やナット29を増し締めすることで、そのメンテナンスが容易に行える。
本手すりは、支柱1は、パネル取付溝4を左右の側面の見込方向の略中央部に設けてあるので、手すり全体の見込寸法を小さくできる。
本手すりは、支柱1のパネル取付溝4に下弦材連結金具3を嵌合しているので、支柱1に下弦材連結金具3の回転規制用に別途溝を設ける必要がなく、支柱1の見込寸法を小さくできるとともに支柱1の断面形状をシンプルにできる。
【0015】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。支柱及び下弦材の断面形状は、適宜変更することができる。下弦材連結金具の形状、材質は、適宜変更することができる。パネルは、ガラス製のものに限らず、樹脂製や金属製等であってもよい。本発明は、ベランダの手すりに限らず、例えばビルの屋上や歩道橋の手すりなど、あらゆる手すりに適用することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 支柱
2 下弦材
3 下弦材連結金具
4 パネル取付溝
5 パネル
6 本体部
7 載置部
8 通しボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6